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1968-11-20 第59回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月二十日(水曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員   委員長 堂森 芳夫君    理事 鹿野 彦吉君 理事 神田  博君    理事 田中 六助君 理事 岡田 利春君    理事 多賀谷真稔君 理事 池田 禎治君       佐々木秀世君    菅波  茂君       西岡 武夫君    廣瀬 正雄君       八木  昇君    田畑 金光君       大橋 敏雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      亘理  彰君         通商産業省鉱山         石炭局長    中川理一郎君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 長橋  尚君         通商産業省鉱山         保安局長    橋本 徳男君         建設省住宅局長 大津留 温君     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ────◇─────
  2. 堂森芳夫

    堂森委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  3. 岡田利春

    岡田(利)委員 去る七日の日に当委員会で、石炭鉱業審議会植村会長参考人に出席願いましていろいろ見解を承ったわけです。そこで、その後小委員会作業はどのように進んでいるか。さらにまた植村会長が当委員会で述べられた、大体小委員会結論は今月一ぱいくらいでまとめたい、しかる後に総合部会及び総会を経て本格答申は十二月に若干入るのではなかろうか、こういう見解が実は述べられておるわけです。したがって、それ以来約二週間近く経過をいたしておりますので、その後の審議情勢見通しについてこの機会に承っておきたいと思います。
  4. 中川理一郎

    中川説明員 会長が当委員会お話しになりました以降、私ども審議会事務局といたしまして、会長のお呼びのある機会に、あるいはまた私どもから御都合を伺っては参上いたしまして、いろいろとまだ詰めの終わっていないものについての御相談をいたしておるのでございます。その間、私が申し上げるのは適当かどうかわかりませんけれども会長自身も他の小委員方々等意見を個別にお聞きになっておるのではないかと推測しておりまして、会長を含め、小委員会共通意思というものが固まるにはもう少し時間をいただきたい、かように考えております。
  5. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣にお伺いいたしますが、先般植村会長が出席された場合、大臣も当委員会に出席されておるわけです。しかし、いま事務局のほうから答弁もございましたけれども、私どもから言わしめれば、実はそう期待されたような審議が積極的に進んでおるように受けとめられないわけです。たまたま本日の報道等を見ますと、通産大臣は、できれば来週中にでも諮問者としてすみやかに答申ができるように、そういう点で努力をしたいというような見解等報道されておるわけですが、今日の情勢の中で、諮問者である通産大臣としてどのようにお考えになっておるか。本日の報道のように、諮問者として積極的にすみやかに答申ができるように、意見調整あるいはまたいろいろな点について大臣として努力をする、こういう決意がおありなのか。こういう点について大臣の所見を承っておきたいと思います。
  6. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 この前の参考人として植村会長が言われたコース、スケジュールによってもし進められるとすれば、私は適当な機会会長と会って最終的な意見の交換をしなければならぬということは心の中では考えておったのですが、新聞に出たように私はまだそれを発表したことがないのですね。私の心をどうして読んだのか、よくわかりませんが、そういうことは絶えず考えておりますが、まだその段階には達しておりません。
  7. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国石炭産業のいわゆる最終案といわれる抜本策をきめる非常に重要な段階でございますし、まあ、いままでの長い審議の経緯からかんがみますと、諮問者である大臣としても、この機会にやはり相当決意をもって一体なぜ答申ができないのか、問題点は何なのか、こういう点についてむしろ積極的に意向をただしていく、そういう中で、答申が少しでも早くできるような方向諾問者である大臣努力されることはきわめて当然ではないかと、こう私は思うわけです。そういう時期にもうきているんだ。これは年末金融をひかえての石炭企業実態、あるいはまた、来年度予算が一月に政府原案が編成される見込みであると聞いておりますけれども、そういうタイミングからいっても、そういう時期にもう来ているんではないか、こう実は私は判断をするのですが、大臣はそのように判断をされておりますか。
  8. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私が直接会いませんでも、事務局として、いろいろこまかい問題について時々接触がございますので、それによって絶えず動きを観察をしております状況でございます。それで、私が直接会って総合的に話をするという時期までにはまだきておらぬ、しかし、近く来ることを私は予期して、絶えず心待ちに待っておるような状況であります。
  9. 岡田利春

    岡田(利)委員 来たる二十七日には自民党総裁公選の大会が予定されておる。政党政治でありますから、当然新しい総裁のもとにまた新しい内閣構成等も考えておるということは、もうすでにそれぞれの候補者は言明いたしておるところであります。そういたしますと、四月の末に石炭抜本策について鉱業審議会諮問をした椎名通産大臣が留任をされれば、引き続きいままでの経過等も踏んまえて、その限られた時間の中で答申をまとめ、閣議決定に持ち込む、こういう形で順調にいくと思いますけれども、私は、そういう政治情勢から判断をするならば、当然新しい内閣改造が行なわれる前に、せめて小委員会でも答申などのめどはつけられるべきではなかろうか、政治判断いたしましても、当然こう考えざるを得ないわけです。こういう点について大臣の所信はいかがですか。
  10. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 自分の進退を自分できめるわけにはいかぬので、その点ははっきりと申し上げても、あるいは実現性は非常に薄いということに結論としてなるかもしれない。まあ、いずれにしても、新総裁がだれになろうと、この問題の進行はそう変わるものではないし、変えられるものでもありません。もうすでに相当なところまで進行しておりまして、結論としてどういうふうに出るかという最後の段階にもう近づいておりますので、その点はそう御心配になる必要はない。同じ自民党の中で人が変わるだけのことでございますから、そういう問題に対する考え方はそう変わるものではありません。
  11. 岡田利春

    岡田(利)委員 いずれにしても、私は、いまの大臣答弁で、今日の石炭答申を得るためには、やはり時期的に見て、大臣としても、諮問者として、大体植村会長の言われたコース答申がされなければならないし、そうあらねばならない、そういう点で、諮問者としても、十分その点については情勢を把握し、そういう点についての判断というものは的確にしなければならない、こういう御決意であると受け取ってよろしいですか。
  12. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 さようでございます。
  13. 岡田利春

    岡田(利)委員 先般のこの委員会で問題になりましたけれども、いわば石炭鉱業審議会事務局通産原局意見が対立している、対立していないということがしばしば議論されたわけですが、いわゆる石炭鉱業審議会事務局というのはどういう構成になるのですか。いわば通産省鉱山石炭局かもちろん中心になって——これは通産省原局でありますけれども事務局というのは、通産以外の範囲ではどういうメンバーがこの事務局の中に入っておりましょうか。
  14. 中川理一郎

    中川説明員 審議会職員につきましては、これは当然のことでありますが、私の鉱山石炭局石炭部が主になっておりますが、審議の必要上、たとえば労働者問題について労働省の職員、あるいは財政上の観点予算制度というようなことから大蔵省職員、あるいは産炭地その他でございますと建設省その他と、いろいろございますけれども、これらは、いまお話しになったような事務局という立場とは異なりまして、小委員会がそれぞれ必要と御判断になったときにお招きになって状況をお聞きになっている、こうお考え願えればよろしいわけでございます。その意味では、事務局は私のほうでございます。
  15. 岡田利春

    岡田(利)委員 今度の答申の流れをずっと見てまいりますと、何といっても膨大な財政負担がなくして石炭再建というものは考えられないわけです。そういう点で、いわば予算の面になってまいりますと、大蔵当局よりこれらについて当然それぞれの意見が述べられると思うわけです。伝えられるところによりますと、通産省及び大蔵省との間では、事務局案について、伴う財政措置その他の考え方、あるいは政策の立て方、それに伴う予算の配分、こういう点については完全に意見が一致している、こう伝えられておるわけです。こういう点については、事務局案については、この内容については、大蔵当局は全く同意見である、こう受け取っていいのかどうか、この点大蔵省主計官からお伺いしたいと思います。
  16. 亘理彰

    亘理説明員 対策内容につきましては、通産省からお答えがございましたように、小委員会中心といたしまして御検討の最中でございまして、私ども、その全貌について、どういう結論に達しておられるかまだ伺っていないわけであります。個々の問題について個々意見を申し上げることはあるわけでございますが、御承知のように、石炭特別会計のワク内で、全体として、助成策、離職者問題、閉山対策産炭地鉱害等もろもろの問題をあわせて総合的に検討いたさなければならない。そういう形での総合対策は、目下小委員会中心に鋭意御検討中でございますので、私ども、これについて、全体としてどうだということについては、確定的な意見にまだ達しておりません状況でございます。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 今度の政策を立てる場合の財源としては、石炭特別会計、いわゆる重油関税一〇%を昭和四十八年度まで延長して、この総額を財源に充てるという考え方基礎になっているように私どもは聞いているわけです。大体の私の予測では、今日のわが国の経済の伸びまたはエネルギーの需要の伸び等を推測いたしますと、関税収入も大体年率一二%、毎年一二%アップしていくのではなかろうか、こう私なりに推測いたしておるわけでありますが、大蔵当局では、この財源の問題について、この予測についてはどういう予測を立てられておりますか。
  18. 亘理彰

    亘理説明員 関税収入予測につきましては、まずその前提となります原重油輸入見込みはどうなるかということでございますが、これは通産省鉱山石炭局のほうで試算になっておるものがあるわけでございます。私どもとしまして、今度の対策関連しまして特別会計を三年間延長するという話が出ておるわけでございますが、私どもの省内にもいろいろな関係がございます。関税局のほうにはまた関税審議会というような機構もございまして、今後の関税政策全般との関連もございますので、そういう面からも検討されておるわけでございます。具体的に関税収入がどういう伸びになるかということはつまびらかに詰めておりませんけれども、これが基礎になりますのはやはり通産省のほうでお立てになる石油原重油輸入見込みであろうかと思います。
  19. 岡田利春

    岡田(利)委員 もちろんいろいろ予測の立て方があると思いますけれどもエネ調その他の予測のしかたというものを総合して大体年率一二%という数字をとりますと、四十八年度までもしその財源に充てるとするならば、私の試算では大体四千五、六百億円になるのでなかろうか——もちろんそれは全部使うという意味じゃないです。それ以内という意味でありましょうが、その程度になるのではなかろうか、こう私自身予測をいたしておるのですが、こういう点についてはいかがですか。
  20. 亘理彰

    亘理説明員 いま申し上げましたように、前提になります輸入見込みがどうなるかということが基礎でございまして、その見通しいかんによっていろいろな数字が立てられるわけでございます。ただいま先生お話しの一二%がどうかということにつきまして、役所としまして私どものほうに関する限りは、まだ具体的に検討いたしておりません。
  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 現在の石炭企業経営内容というものが非常に悪化しているということは、いかなる数字検討しましてもこれは明らかであるわけです。問題は、第三次答申は、御承知のようにこれが実施に移されて政策が実現した、その間要した期間というのは大体二年、したがって実際の効果をあげた期間を含めますと約二年半くらい経過しておるのでないか、これが大きくタイミングをはずして、いわばその効果というものを当初見込んだとおり十分発揮することができなかった。こういう面からの失敗というものが第三次答申の場合にあったと思われるのです。今度の答申の場合にも、当然所要予算審議、さらにまた必要な法案審議等考えますと、これが実施に移されるのはおそらく早くて来年の七月の中ごろでなかろうか、こう私どもは見ているわけです。そういたしますと、半年以上経過をするわけでございまして、どういう答申が出るかは別にして、この間の、いわゆる政策を展開していくまでの間を一体どうするのか。差し迫っていえば、まずこの年末の経過金融というものをどうするか、さらにまた閣議決定がなされ、それぞれ予算法案審議をされ、それが実施に移されるまでの期間経過金融というものをどうするか、これがこれからの石炭政策を進めていく場合に非常に重要なポイントじゃなかろうか、このように私ども判断をいたしておるわけです。これまた伝えられるところによれば、全国銀行協会といいますか連合会は、この石炭の現在進められておる作業について、われわれは別に正式に委員にも入ってないし、具体的に意見を求められておるというものでもないという点で、いわば冷ややかな態度をもって一応見ている、こういうのが偽わらざる情勢でなかろうかと私は判断をするわけです。問題は、経過金融がはたして合理化事業団保証等でできるのかどうか、こういう点が一番不安なわけです。ですから、答申が固まってくる場合に、少なくても従来の経験にかんがみて、当然この間の経過金融体制というものに万全な措置が施されていなければ、むしろ実施に移されるまでの間に混乱が起きる、こういうことはだれしもが予測できると私は思うわけです。ですから、答申内容いかんにかかわらず、この面については確たるものがすでに固まっていなければならない、こう思うのですが、こういう点については、一体事務局ではどう検討されておるのか、伺っておきたいと思います。
  22. 中川理一郎

    中川説明員 実態は、おそらく岡田委員指摘のとおり、なかなか困難な状況にあると私どもも思います。審議会検討を急いでおりますのも、来年度の予算及び法律という形でスタート時期を早くしたいという感じでございます。国会がどんな状況で進んでいくのかは予測できませんけれども、私ども気持ちといたしましては、予算につきましてはもとよりのこと、法律につきましても予算関係法案ということで、もし私ども準備ができましたならば国会で一刻も早く成立させていただきたいと思っておりますので、その期間の短縮には可能な限り努力をいたすつもりでございます。いずれにいたしましても、今年の十二月あるいは来年の初頭の金融問題というのは石炭産業にとりましてはたいへん大きな問題でございます。そこで審議会におきましても、実は新しい対策をどういうふうに確定するかということの審議のほかに、それが一とおりのものでまとまるということでございましても、並行してこの間の経過金融問題につきましても御検討を願うということで、いま御審議をいただいておるわけでございます。これらは新しい対策とも関連がございますし、あるいは関連のないものでございましても、この問題自身としてやはり片づけなければならないという問題でございます。きわめて重要かつむずかしい問題でございますので、そういった趣旨で御審議をいただいております。私どもとしましては、関係金融機関、ことに政府系合理化事業団あるいは開銀等の御協力をいただきまして、万遺憾なきを期したいという気持ちでございます。
  23. 岡田利春

    岡田(利)委員 これも真偽のほどはわからぬのでありますけれども開銀はいわゆる石炭についての金融はこの際差し控える、こういう態度等が実は報道関係を通じて漏らされておるわけです。こういう点については事実なんですか。それとも、そういう話というものは単なる報道だけであって、別に公式にないのか、あるいはまた非公式にでもそういう点について話し合いがあるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  24. 中川理一郎

    中川説明員 ある種の石炭企業実態金融機関の目から見ますと、融資を継続することについて非常に不安があるという実態にあることは、岡田先生指摘のとおりでございます。金融機関としてはそこに非常な不安を感じ、したがってまた融資の継続にちゅうちょをしておるという事実は、もうこれは一般的でございます。その意味合いにおきまして、おそらく開銀といえども金融機関として貸し倒れになる心配はいたしておると思いますが、実際問題といたしまして、先ほど御指摘のありました年末を控えての経過金融問題ということは、それぞれのところと私どもいま相談をしておる状況でございますので、新聞にどのように出ておるか知りませんけれども、明白な意思として融資についてお断わりをするというようなことでおっしゃっておるということは事実と違います。いろいろな角度で御相談をいたしております。
  25. 岡田利春

    岡田(利)委員 答申がどういう形で出されようと、問題はこれからの石炭鉱業をささえていく金融のあり方、これに対する保証という問題が一番大きなポイントではなかろうかと思うわけです。いわば事務局案であろうとあるいは植村構想であろうと、いずれにしても、この点が一番ポイントになっていくのではなかろうかと思うわけであります。第三次答申経験からいいますと、第三次答申は一千億の肩がわりをした、そのことによって銀行に対しても保証をしたのであるから、その後の金融についてはむしろ協力期待したというのが、第三次答申の場合の一千億の肩がわりだったと思うわけです。ところが結果的に、肩がわりをしたとたんに、各金融機関石炭企業に対する金融は差し控えた、非常にシビアーになったということが、今日非常に大きく石炭企業内容に影響を与えておるというぐあいに私は思うわけです。  そういたしますと、第三次答申経験からかんがみましても、どういう答申が出ても、これからの石炭再建のための金融というものは当然何らかの保証が伴い、いわば市中金融協力期待をする、そういうばくたることだけであっては、石炭再建はできないのではないか。伝えられるところによりますと、今日あります事業団のいわゆる保証、こういうものを拡大をしていくとか、できればそういう方向で問題を解決したい、あるいはまた肩がわりをすることによって担保を抜いて、この資産評価がえを行なってこういう面でのある程度担保能力を持たして、これと併用して金融関係を考えていく、いろいろ立てられているわけですが、どれを見ても非常に問題点ばかりです。たとえば現行商法上、いわゆる資産評価がえというものはそう簡単にいかない、特別立法を必要とするというような面もございましょうし、また合理化事業団のいわゆる保証制度というものは、普通一般金融まで保証するという体制にはございませんから、そういう場合には当然合理化事業団の持つ保証の機能を変えていく、こういう点が順次解決されないと、依然としてこの問題は未解決のままに残り、結局石炭再建のいわゆる血液の循環というものが順調にいかないということになるのではないか、どこを見てもきわめて重要な問題点ばかりだ、私は実はこう理解をいたしております。先ほど来述べている経過金融についても、これらと関連してまさしくそうであります。ですからいま事務局で考えておるのは、こういう点については一体どういう一つの確実な装置をしようとしているのか、こういう点についてできればお聞かせ願いたいと思うわけです。
  26. 中川理一郎

    中川説明員 石炭鉱業の現状及び先行きの見通しから見まして、今後における石炭鉱業再建のために必要な金融確保というものには相当な困難が予想されるということは、御指摘のとおりでございます。これは小委員会におきましても共通の認識としてある点でございます。  そこで一つの問題は、今後新しい対策によって講じます助成措置によりまして、企業相当程度損益状態のよくなるものとして金融機関評価してくれるかどうかという問題がございますが、これを別といたしましても、実態、なかなか今後の金融確保には困難があるという感じでございますので、そうであればどうしても合理化事業団といったような石炭対策特別会計から出ておる金をもって運営するということへの依存度というものを、結果として高めざるを得まいというふうに考えております。しかしながら企業態度といたしまして、安易に財政融資だけに依存するという弊害におちいるということには、私どもは非常な疑問を持っております。これらを防止し、かつ企業金融の相互の努力というものを可能にするための仕組みを持たなければいくまい、かような観点で直接の融資にいたしましても保証にいたしましても、いま御指摘のような点を考えました上で相当準備をいたしておきたいというのが、いま審議をしておる各先生方のお気持ちでもありますし、私ども気持ちでもございます。したがって先生心配になりますように、単なる期待であるとか願望であるとかというようなことでなくて、ある程度見通しが制度的にビルトインされておるものをどこに求めるかということが、いま審議の過程でいろいろと問題を生じ、かつそれぞれに議論を尽くしている事項でございまして、御質問の趣旨どおりどもも理解しておりますが、またそれだけにむずかしい問題である、そこを入念にいま御検討願っておる、こう御理解いただいてよろしいかと思います。したがって先生の御心配なさっているような点を中心にしていま検討しておるということだけは、私自信を持ってお答えできるのではなかろうかと思っております。
  27. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、極端なものの言い方をすれば、この金融体制というものを一体どう解決するか、いわゆる安定的に再建にいそしむことができるような背景をどうつくるか、裏づけをどうつくるかということにせんじ詰めれば問題がかかってきておるのではないか、こう言っても過言ではないと思うわけです。結局は、問題はまるがかえ論とかいろいろございますけれども、いままでの政府の一貫したたてまえは、いわば閉山等についても自主的にやるのだというようなことを強調し、実質上はそれがある程度見せかけである、こういう経過を今日までたどってきたものであると私は思うわけです。しかし、これからの石炭対策を進めていくという場合に、環境はより一そうきびしくなるし、そうしてまた、石炭の持つ自然条件等の変化、事故等を考える場合は、金融関係がリスクを非常に敏感に感じ取ることは、経過からいってもきわめて当然であろうと思うわけです。いわばスクラップジャッジというものはどこも持っていない、ここに結局金融についても思い切ったことができない。いわば中途はんぱになる。ベルギーなどの場合には合理化事業団がある程度スクラップジャッジを持っておる、こういう中で石炭政策を進める、あるいはまたドイツの場合には、今度は再編成をしてルール炭鉱株式会社をつくって、ここで明確に調整をしている、こういう一つの組み立てられた体制下のもとに石炭政策が進められているわけです。この点のふん切りがつかないところに結局は問題をむずかしくし、また問題をむずかしくするばかりでなくて、自信に満ちたいわば生き生きとした政策開展というものがどうしてもできない、こういう脳みを持っておるのではなかろうか、そういう経過がいままでの石炭政策経過ではなかろうか、こう思うわけです。したがってそういう意味では、まるがかえの問題から考えるならば、スクラップジャッジというものは一体どこが持つのか。あくまでも企業の自主的なものであるとはいいながらも、結局はこれはそういうだけであって、なかなか企業の自主性だけにもまかせておけない。企業の自主性であるからこれは融資等の保証等についてもある程度その面をにらみ合わせて考えなければならない、むしろ立て方をむずかしくしている、私はこういう感じを非常に強くするわけですが、その点一歩突っ込んで進むという検討はいままでもなされて、それは検討済みでもう検討する余地がない、こう実は事務局ではお考えかどうか承っておきたいと思います。
  28. 中川理一郎

    中川説明員 多少御質問の趣旨が私理解できなかった点もございますけれども自分なりの受け取り方でお答えいたしますと、先生おっしゃいますようにだんだんと状況が悪くなってきておるということは、数年前の石炭鉱業の置かれた状況とはやはり客観的に違ってきておるという認識を、われわれだけでなくて企業も持ってきておると思います。前々から当委員会でお答えいたしておりますように、政府が直接具体的な会社あるいは炭鉱につきまして再建に値する、あるいは値しないというような判断を下すことは適当でない、自然条件のその後の予測というような不安定な要素があるだけにこれは適当でない、この態度は私どもはくずさないつもりでございますけれども、片方にいま申しましたような客観情勢というものが漸次深刻化し、かつ明瞭に意識されておるようになってきておりますので、いままでのように苦しいけれどもがまんしておれば毎回追加政策が出てくるであろうというような安易な期待というものは私は持てないのではないだろうか。したがって、今回も長い先のことを考えますといろいろな手直しはあり得るかとは存じますけれども、基本的な政策対策といたしましては、相当期間この対策でひとつ自主的に判断してもらいたいと、こういう態度で臨むべきだと思っております。残念ながら毎回政策の追加をいたしていきますと、そういう感じから客観的に見ていかがかと思われるようなものにつきましても、ことに地元の感情その他からいいますと、延命救済策の要請がよく行なわれるのでございますけれども、私はこれから先の問題といたしましては、ことに財政依存度が非常に高くなってくる状態、かついろいろな意見はございましょうけれども、結果として非常にばく大な国費を投ぜなければいかぬという状態に置かれておる状況におきましては、実際問題として再建に値しないような状況の会社なり炭鉱なりに先のめどなくお金をつぎ込むというようなことにはならないのではなかろうか。そこは適用対象なり資本対策なり先の見きわめなりについて十分な審査をいたすべきではなかろうかと考えております。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 私の感じでございますけれども、従来の政策の場合もそうですが、いわば三百億から五百億くらいの金を惜しむことによって結局またさらに大きな金がかかる。こういう心配というものが私は非常に強いのではなかろうか。前回の場合にも大体トン当たり百五十円から二百円くらい思い切って出すことによって昭和四十五年度までの計画というものはそう大きく手直ししなくてもある程度いけたのではなかろうかという反省等も実はあるわけです。こういう点について特に私は、最終案であるとするならば、そういう点についてあまりちゅうちょしないで、ほんとうに最終案らしく再建等についてもやはり考えるべきだ、そのことが国民の負担側から見ればむしろプラスになるのだとこういう点をこの機会に強く申し上げておきたいと思うのです。それと同時に、いずれの構想でこれが答申されようとも、管理部門の体制というものがいまのままでいいという議論に私はならぬのではないかと思うのです。第二会社にしょうが、あるいはまたいまの体制で経理区分をしょうが、たとえば天下の三井鉱山であれば九州に三池があり北海道に砂川と芦別があり、あるいはまた三菱鉱業であればはるか長崎に二子、端島という高島の鉱業所があり、北海道には大夕張の鉱業所がある。端と端に、南と北に一つずつ鉱業所を持っている。だから東京に本社があり、札幌と福岡にそれぞれ支社といいますか、あるいは事務所を設ける。各社がそういう体制になっておるわけです。こういう面がそのままでいいというぐあいに考えている人は私はいないのではないかと思います、当然この面は合理化し、メリットを上げるということは当然考えておるのではなかろうか、こう思うのですが、こういう点については検討されておるのでしょうか。
  30. 中川理一郎

    中川説明員 相当多額な国費を投じた、投ずるという前提の上で今後の石炭対策の推進をいたすということでございますから、石炭企業の側におきましていま御指摘の管理部門の簡素化を含む諸般の合理化措置が要請されるということは、御指摘のとおり私は当然のことだと思っております。また私なりの判断によりましても、企業の中には管理部門の役職員に過剰人員がなしとはしないという状況はございます。しかしながら、これは前もって当該企業において適宜、適切な処置を取られることが期待されるところでございますが、私どもとしましては助成策を推進する前提としてそのような措置を要求する事態も出てこようかと思っております。ただ、これらの点につきましてもいろいろ御意見があろうかと思いますけれども、最終的には審議会検討結果を待ちたいと考えております。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 現在、政府石炭関係機関として石炭鉱業合理化事業団があり、また電力用炭の電炭会社が存在をし、石炭技術研究所、これはもちろん自主的な協会でやっておるわけですが、こういう制度がある。また石炭鉱害事業団があるわけですが、石炭鉱害事業団というのはその目的からいって当然そのまま残されなければならない事業団であることはもう議論の余地がないと思うわけです。ただ私は、先ほど来から述べられている金融その他の面等を考える場合に、従来の石炭合理化臨時措置法による合理化事業団という性格は相当ふくらんできていると思うわけです。むしろこの際すっきりとこれを改組する必要があるのではなかろうか、こういう気がするわけです。いわば石炭鉱業事業団といいますか、こういう形にやはり再検討されなければならぬのではなかろうか、その場合特に電力用炭株式会社のような場合は、ある程度金融的な炭代の先払いとか、こういった操作等もできるわけですから、むしろこの電力用炭株式会社も発展的に解消さして、政策需要である原料炭及び電力用炭については発展的に変わった会社がむしろこれを行なう、そうしてここにある程度金融的な調整機能を持たせる、こういう点をある面では考えていいのではないか、こういう気がするわけです。またそういう必要性というものが実際の運用上私はここに数年間出てきた、こう理解をしているわけです。あるいは技術研究所がほんとうにここ四、五年、五年なら五年を目途として研究しなければならぬ事項や鉱害研究、こういう点についても同じようなことをやっている面が実はあるわけですが、この面を調整する必要もあるのではなかろうか、こういう点について、政府関係機関についても再検討、あるいは持つ機能についても総合的な調整といいますか、あるいはまた、いま申し上げましたような政策需要である原料炭、電力用炭については扱って、そういう面の金融的な調整機能を持たせる、こういう点は当然検討されてしかるべきではないか、こう思うのですが、こういう点については、なかなか政府関係機関のあれを変えるということは非常に抵抗が強いのでありますけれども、私は今日の石炭政策を進める場合には、当然これらの点について解明されなければならない問題ではないか、こう思うのですが、こういう点についてはいかがですか。検討されておりますか。
  32. 中川理一郎

    中川説明員 率直に申しまして、それほど深い突っ込みで検討はいたしておりませんけれども、新しい対策を考える上で、政府関係あるいはそれと縁のある補助金交付を受けているような団体等についての合理化というものは、検討事項としては考えてきております。ただ御指摘の電炭と技研と合理化事業団ということで考えますと、やはりそれぞれに与えられた職能を持っておりますし、機能はそれなりに発揮をいたしている。しかも人員その他の配分からいたしましても、一口に三機関を並べましても、非常に大きいものと小さいものがございまして、その三者を統合するというような方向がはたして妥当であるかどうかということは、私はにわかには断じがたいものがあるのではないかと考えております。いずれにいたしましても、これから先の合理化事業団の任務、この機能というものは相当大きくなっていくのではなかろうか、これを主軸にいたしまして技研なり電炭なりの仕事というものに調整の要があれば、これは十分に調整すべきだと考えておりますが、前国会で御審議いただきまして統合に踏み切りました鉱害基金等四つの鉱害事業団のほうに統合することが明らかに合理的だというほどのところまでは私はいっていないのではないか、こう考えております。しばらく検討さしていただきたいと思います。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 先般の植村会長の構想あるいは事務局の構想の中にも、流通機関の一元化という問題は出ていないわけです。ただ私は、流通問題の解決しなければならぬ最低の問題として、原料炭及び電力用炭は中間機関を経過して納炭をするという事態は過ぎ去った、こうきびしく認識をいたしておるわけです。もちろん中小商社のような場合には、ABCというそれぞれの炭鉱の炭を集めて、そこである程度調整をして、そして電力会社に納めておったという歴史的な経過がありますけれども、そういう経過についてはある程度尊重するとしても、少なくともある程度の主力の納炭会社が大手の商社を経由して、これは商権である、権利であるということに手を染めないというのは、今日の追い詰められている石炭産業の現状からいえばあまりにも策がなさ過ぎるのではないか、こう私は考えざるを得ないわけです。むしろこういう点は廃止をして直接納めることができるようにしなければならぬ問題ではないのだろうか。しかし一向に流通については手が全然触れられていない。あるいはまた、わが国の伝統的な炭価の形成は九州が主力であって、九州から遠いところが高くて九州に近いところが安い。産炭構造は北海道が主力になって、遠いところに送るに従って運賃がよけいかかって炭価が安いというこの産炭構造の変化に対応する炭価の是正というものにある程度触れないで、いわゆる石炭抜本策だなんというのはおこがましいのではないか、こう私は理解いたしておるわけです。したがってこの面については、流通機構上の問題から離れて検討されておるかどうか。これを解決するという意思があるのかどうか、再三これらの問題を私は当委員会でも質問いたしておるのでありますけれども、この面の検討された経過についてひとつ御説明願いたいと思うわけです。
  34. 中川理一郎

    中川説明員 流通問題についてはいろいろ問題があることは御指摘のとおりでございます。審議会におきましても、この流通機構の簡素化ないし整備という問題は重要な問題として御検討願っております。ただ毎々申しておりますように、この問題は石炭鉱業だけで解決できる問題と、そうでなくて需要側の協力を仰がないと解決できない問題と、大ざっぱに言って二つございまして、後者のほうにはなかなかいろいろと問題がございます。石炭鉱業内部の問題でございますならば、審議会が的確に方向を示し、業界全体がその方向に従って熱意をもって考究してくれるならば実現の可能性は望めるわけでございますけれども、需要業界との関連のある問題につきましては、なかなか私どもだけで考えてもどうにもならない問題がございまして、にわかには決定できないのじゃなかろうかと考えております。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は問題だけ提起をいたしておきますけれども、たとえば電発が今度火力をつくった。磯子、竹原、高砂、これも全く同じシステムで、九電力の古い伝統的なものそのままやはり炭の納入をきめておるわけです。しかも、電発は政策的にできた火力発電所であるわけですね。それもやはり同じ三井なら三井でも、三井から直接納めるもの、ある商社を通じて納めるもの、これまで九電力と同じようなシステムがとられておるわけですね。むしろ、こういう点なんか改善する気ならできたはずなんですが、どうもそういう点が解決されない。こういう点の問題がそのまま放置されて、いわゆる相当財政負担が伴う石炭対策最終案だ、抜本策だ、こう言っても、これはちょっと石炭を知っておる人間は理解できないですね。こういう点については私はきょうは問題を提起しておきますから、十分ひとつ御検討されなければならぬ問題であるし、解決しなければならぬ問題であるということを指摘をしておきたいと思う。  次に、わが国石炭政策が原料炭中心で進めていくということになっておるわけですが、有明開発については先般調査団が参りまして、調査団の結論も出ております。先般も指摘しておきましたけれども、その有明開発というものが海外開発に優先してむしろ開発のくふうがなされなければならない問題ではないのか。これはやはり放棄をするのかどうかということになれば、割り切ってとにかく有明開発は新しい組織体制のもとでこれの開発を進める。これにはまず一つには、隣接する三井三池の協力を技術的にもあらゆる面からも得なければならないでしょう。一つにはまた、優良な原料炭であるととは間違いないわけで、水の制御だけでありますから、こういう点について総合的なわが国の技術を発揮して開発をしていく。これは原料炭を戦略的に位置づけする以上、そういうことが必要ではないか。答申方向から見ても当然そうなければならないのではないだろうか、こう思うわけです。この点の見解一つと、一般炭の原料炭化の問題でありますけれども、大体一般炭四百万トン程度は原料炭化できる、こういうことは議論の余地のないところであります。あるいはまた砂乾留方式等を採用しないでもある程度原料炭化は採用できる点もあるわけですから、この点はドイツにおいては二十五トン程度のプラント開発も進んでおりますし、これは来年やってすぐできるという問題ではありませんけれども、大体二、三年の時間をかければ解決できる可能性があるのじゃないか。原料炭を戦略的に位置づけする以上、との点は来年度予算の中で当然この方向の道をつけるべきではないか、こう思うのですが、この点の見解を伺っておきたいと思います。
  36. 中川理一郎

    中川説明員 有明開発につきましては、当委員会で幾度かお答えしておりますように、水の障害からいま中止をいたしております。御指摘のように非常に有望な炭田であることは間違いございませんけれども、いままでの既投資額、それから今後の必要投資額というものを判断して、しかも、最終的な結論はどういうことになるかわかりませんけれども審議会答申の決定次第、政府がきめるであろう原料炭に対する助成策というものを、片方におきましていま申しました既投資額と今後必要になる投資額というものとの判断からこれを継続することになるかならぬかという問題が経済的な問題として一つあるわけであります。そのときにやはり水の対策が技術的にどれくらい可能であるか、その障害排除にどれくらいの経費が要るのかというまだ未確定な面もあるわけでございます。これはいずれにいたしましてもそういうプロジェクトとしての強化を先行き成り立つものとして考えるか考えないかという問題でございまして、企業主体がどこであれ、その答えは同じことになるはずでありますが、隣接鉱区からの協力を受けなければならぬという問題は、おのずからやるということであればこれを含めて考えなければならぬことだろうと私は思っております。  第二番目の一般炭のコークス化についてでございますが、これまで資源技術試験所や石炭技術研究所等で研究されてきまして、主要な方法として予熱法と加熱成型法の二つが進められております。予熱法は一般炭を一〇ないし一五%使用できる方法でございまして、すでに企業化試験を実施中であると承知しております。加熱成型法は一般炭が七〇%程度使用できるいわば画期的な技術でありまして、現在各国で研究開発の途上にございます。わが国では資源技術試験所で、すでに百キログラム・パー・アワー程度の、小規模実験が完了いたしまして、引き続き石炭技術研究所で、パー・アワー数トンの中規模実験を実施する予定でございます。本法を企業化するにあたりましては、さらに試験規模を拡大し、数十トン程度企業化試験に移行する必要があると考えられております。この試験の助成につきましては、原料炭の必要性にかんがみまして、前向きに対処いたしたいと考えております。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣の時間がございますから、これ一問で。同僚委員大臣に質問がございますから、変わってあとからまた、残った質問をさしていただきたいと思います。  一つは、今度の政策の中で、原料炭、一般炭ということが非常に問題になってくるわけですが、伝えられるところによれば、原料炭と一般炭の補助金、たとえば一般炭が百五十円であれば原料炭が三百五十円、一般炭が三百円であれば原料炭が五百円、大体二百円程度。前回も若干質問をいたしたわけですが、私は各山を、単位炭鉱をずっと検討してまいりますと、先般の答弁というものはあながち一般論だとは思わないわけです。たとえば歩どまり九八%、百トンの石炭を掘って九十八トンが石炭だ、百トン掘って七十トンが石炭だ。歩どまりの関係、あるいはまた傾斜の関係わが国の成層条件からいえば、炭化作用が進んでいるのは結局褶曲作用でありますから、造山活動の結果でありますから、急傾斜の場合にはなかなか機械化できないわけです。空知炭田で見られるように、急傾斜で原料炭の山がある。こういうところは確かに条件としては大きな差があると思うのです。しかしながら、たとえば三井三池のように——私も三池におったことがございますけれども、日本最大の条件のいい炭鉱だとされているわけです。しかも平層なわけです。平層の場合は、私はそうコスト上、差がないと思うのです。しかし、急傾斜の場合には確かにある。あるいは深度が非常に深部であるという場合には、私はコストの差があるのではないか。こういう意味で、単に原料炭、一般炭を分けるのは、どうも政策として当を得ていないのではなかろうかという見解一つ持っているわけです。  それから補給金制度が現在ございますけれども、これなどは中小の場合には一応百五十円の安定補給金、また掘進補助金もございますけれども、しかし、これらの補助事業に対する事務が非常に膨大化しているわけですね。これが、たとえば札幌にも相当の人数を置かなければならぬ、福岡にも人数を置かなければならぬ、こういう点が実はあるわけです。だから、私はむしろこういう点は思い切って簡素化、合理化をすべきではないか、こういう見解を持っているわけです。しかし金を出す大蔵省からいえば、ある程度国の資金でありますから、厳格にチェックする。その結果、いま申し上げましたような、非常に管理部門が膨大化する、時間もかかるという問題があるわけです。したがって、この面は今度の石炭政策を進める場合には思い切った簡素化が、いわゆる事務管理体制の合理化につながるのだということを念頭に入れて、この面の思い切った簡素化を断行すべきではないか。それと同時に、いま私は一つ見解を述べたわけですが、原料炭、一般炭のこういう画一的なものの見方、こういうものについては実はどうも理解ができないわけです。したがって、これは問題提起でありまして、十分この面については、そういう政策を立てる場合の理由、根拠というものについて明らかにしなければ、どうも納得できないという判断を私は持っておりますので、この面について特に何かあれば、この機会見解を承っておきたいと思うのです。
  38. 中川理一郎

    中川説明員 後段御指摘になりました坑道掘進の補助金の交付についての事務的なわずらわしさというのは、私どもも全く同感でございまして、会計検査の関係もございますので、あまり極端なことはできないかと思いますけれども、これの改善をはかりたいというのが念願でございます。そのことがまた、行政事務を簡素化するだけではなくて、企業側の負担も相当軽減する結果に相なるということでございますので、その意味からも関係のところ、つまり大蔵省とか会計検査院とかいうところと御相談した上で、その改善を進めてまいりたいと思います。  それから一般炭と原料炭との区別の問題でございますけれども、これは私の意見と申しますよりは、小委員会気持ちといたしまして、やはり長期的には原料炭というものの確保にウエートの乗った政策をとるべきだという御意見が支配的でございます。ただ実際の企業から見ますと、いま御指摘のようなでこぼこもございますので、そういうものをより単純化するという意味では、原料炭と一般炭の補給金制度だけで、従来の坑道掘進補助みたいなものをその中に吸収させるというのが、むしろ思い切った単純化だろうと思いますけれども、ただいま御指摘になったような企業別のでこぼこがあるものですから、私ども事務局としては、制度そのものは何らか簡素化するとして、坑道掘進補助という制度はやはり残すべきではなかろうかという進言を小委員会にしております。それはいま御指摘趣旨から出ているというふうに御理解を願ったらよろしいかと思います。
  39. 堂森芳夫

    堂森委員長 田畑金光君。
  40. 田畑金光

    ○田畑委員 去る七日に植村審議会会長に来ていただいて、いろいろ審議会審議の進捗の状況についてお話を承ったわけでありますが、特にその際、植村構想なるものについてそれぞれの委員から意見をただしたわけであります。私の受け取り方が正確を期していないかもしれませんが、植村会長としては、やはりいまの事務局の試案についてまだものを申したい内容がある。そのためには、あと一、二回の小委員会で論議を通じ煮詰めてまいりたい、こういうお話があったわけであります。ところが、十一月七日のこの石炭特別委員会の直後だと記憶いたしておりますが、新聞の伝うるところによれば、植村会長としては、植村案とさらにいわゆる事務局案について、それぞれの企業体の二者択一という自主判断にまかそう、こういうことを事務当局に伝えられたということを聞いておるわけでありますが、二者択一ということになってまいりますと、植村会長考え方はどういう内容であるのか。と申しますことは、当初の植村構想から大きく後退と申しますか、変わってきておることは、この間の植村会長の、この委員会における質疑応答を通じ明らかにされたわけでありますが、植村試案なるものの現在の段階における内容は何なのか、また事務局試案なるものは、すでにわれわれはおよそ把握しておるわけでありますが、この二つの間の相違というものは、考え方の違いが那辺にあるのか、この点を局長からまず御答弁をいただきたい。幸いに、先ほどの質疑応答を通じ明らかにされたところによれば、鉱山石炭局が、あるいは石炭部が石炭鉱業審議会事務局にもなっておるわけであります。同時にまた、通産省の、政府石炭行政を構想していく一番大事な中心が局であり部であるわけでございまするが、その意味において、局並びに石炭部はそれぞれの考え方の違いについて当然正確に把握しておられるはずでありますので、この際その御説明を願いたいと思います。
  41. 中川理一郎

    中川説明員 冒頭岡田先生の御質問にお答えいたしましたように、せっかくのお尋ねではございますけれども会長自身いろいろと実行され、またいろいろな方と申しますか小委員各位の意見を聞きながら、いま考え方をまとめるべく努力と苦心をなさっている状況でございます。会長自身のお考えも、細部の方法論にわたりましては、ある時点ある時点でいろいろ実行された結果お変わりになることは当然でもございますし、今後もあり得ると思いますので、いまどのようなお考えで、あるいはどのようなお気持ちになっておられるかということは、若干は承知しておりましても、最終的に結論が出るまで私どものほうから申し上げるのは適当ではない。むしろ前回当委員会会長をお呼びになったのは、私どもの立場ではなかなかそういうことは申し上げにくい状況でございますので、御本人から直接お聞きになりたいということでお呼びになったのだと思っております。あれ以上のことを私どもから申し上げるわけにはまいりません。  それから、世上伝えられておりますように、事務局案云々というものと会長の御意見とが何か食い違っているというようなことはありませんで、再三申しておりますように、私どもは、事務局といたしまして小委員会審議結果を整理する役割りを持っておりますので、整理という形で、いままでの出ました議論を一つのものにまとめるということはやっておりますけれども、各委員のお気持ちから離れたものを特別につくるということはございません。ただ、そうは申しましても、個別の問題につきまして、これは明らかに行政上そうお考えになっても手段がございませんというようなもの等につきましては、個別に御進言申し上げることはございます。それはあくまで方法論としての可能性、妥当性ということについて申し上げているわけでございますので、もうしばらく時間をおかしいただければ、小委員会体制も固まることと思いますので、その時点でお答えできるならばお答えする、中間経過過程でいろいろ申し上げることは、小委員各位も会長もいろいろと苦心をなさって実行なさっている段階でございますので、そういうことの障害になるようなことは申し上げるべきではないのではないかと思っております。
  42. 田畑金光

    ○田畑委員 局長が大事をとって、いま答える時期ではないということもよくわかりますが、この委員会では答えられないことがしばしば新聞報道その他を通じ伝えられて、あとから私たちが、あれは事実かどうか確認すると、おおよそそのとおりだということが今日まで続いておるわけです。また、あなたのお話のとおりに、この間植村会長自身が、事務局の案については納得していない、こういうこともはっきりしているわけです。私が特に奇異に感ずることは、もうこの時期になって、なおかつ二者いずれを選ぶかこれを検討してみろという、審議会植村会長から事務当局に下問されたというようなこと、こうなってまいりますると、会長自身が強く会長の案を固執されているということを意味すると思いまするが、そうなってきますると、早期の答申ということはとうてい期待できないわけです。事務局案なるものはすでに私たちは承知しておりますが、特に会長が、会長案なるものについて検討してみろという事務局に対する指示があったわけで、一体その相違の、一番大事な考え方の違いはどこにあるのか、これくらいはこの委員会で、はっきりしておいてもらっても、小委員会の今後の作業に支障があるはずはない、こう思うのです。あの御下問は、事務局に対する下問なのか、それとも小委員に対して二者択一どの道を選ぶか、小委員各位はひとつ検討してくれという意味なのか、どっちなのか、あわせてその辺の事情も明らかにしてもらいたいと思うのです。
  43. 中川理一郎

    中川説明員 いままで議論が進みました過程で、私ども事務局としていろいろな整理をいたしますので、そのお考えに立った上でまたいろいろな計算をいたすわけでございます。たとえば原料炭トン当たり幾らの補給金にするか、一般炭の補給金を幾らくらいにするか、これを頭から何の材料もなしに小委員会にきめていただきたいと申し上げても、きまる筋合いのものではございません。したがって、そこは、現状のままで推移したときの代表的な会社あるいは平均的な全社の平均での損益数字というようなものをお示しして、そしてまた、これにかりにトン当たり何百円という数字を当てはめればこういうものになりますという計算を幾通りかして、中から選んでいただくというようなことでやっているわけです。これは補給についての損益問題でございます。  もう一つは、先ほど岡田委員からも御質問がございましたように、今後の金融制度というものをどうやっていくか、この制度、仕組みでどれくらいの融資額が確実なものとして期待されるかという点等々がいろいろと問題になるわけでございます。  そういうことを考えますと、会長が、若干まだのどにひっかかるものがあるという御懸念をなさっておる点は、いま申しました損益についても資金繰りにつきましてもまだ若干の不安感をお持ちになっておる、こういうことにほかならぬと思います。その辺のところをどこまで確実なものとして見通しをつけるかはそれぞれまた予測が入ってまいりますので、私どもが計算上これで成り立つはずだと申し上げても若干不安があるというお気持ちになられるのは、これまたある意味で当然のことでございます。私どもも、かりにある数字を当てはめまして一つの計算をお出ししましても、それにスティックして永久に変えないなどという性質のものではございませんで、先ほど来申し上げましたように、あくまで事務局として一つの計算を提供しておるということでございますから、先生方の大部分が、これでは不安がある、もう少し助成を増さなければいかぬとか、あるいは資金繰りのめどをもう少し確実なものとして持ちたいというお気持ちがあれば、またその御意見に従って私どもも計算し直すことは当然でございます。ただ、基本におきまして、一定の財政支出というものを前提に置きませんと、必要であれば野方図に積み上げていくというわけにまいりませんことは先ほど来岡田委員から関税収入その他の点で御質問のあった点でございます。そういう意味合いで、もしどこかをふくらませなければいけなければ、ほかに切れるところがあるかどうかということを事務局としては意向を承りながら考えていかなければならぬ。ある項目をふくらませれば、それが非常に大きな数字である限りにおきましては、ある項目についてまた減らすことの考慮をいたさなければいかぬ、こういう点で、絶えず全体の調整事務局として数字を具体的に当てはめたもので御提示しておりますので、その間ある一つ数字による案につきましてまだ納得がいかないということがおありになるのは当然のことでありますし、真剣に石炭鉱業の将来を心配なさっている立場からいたしますと、私どもも十分その疑問に答え得るような数字検討はいたすべきだと考えております。
  44. 田畑金光

    ○田畑委員 局長の御答弁、御親切で、そしてまた、あらゆる点に触れておいででありますので、わかったようでありますが、実は私の聞きたい点については答えていないわけです。私どもが率直にお尋ねしたいのは、この間の植村会長の御答弁を通じ明らかになったのは、いわゆる体制論については私企業の原則をあくまでも守っていくんだ、このことははっきりなされたわけです。だがしかし、植村構想として伝えられたいわゆる分離構想なるものについては、この辺のお答えというものがまだ植村さんの頭の中に一番強く残っておる、われわれとしてはこのような感じを受けたわけです。事務局の分離勘定といえば、いわゆる勘定の分離ということでありますが、植村会長のそれは、もっと別の意味の第二会社をつくるとか、あるいは石炭についてはドイツ方式とは申しませんが、ああいうような一つの形を前提として、まだ構想の中に強く残っておるように聞いたわけであります。そういう根本的な問題も含めて、植村さんとしては、事務局でもう一度これを検討してみろという御意思なのかどうか、そのあたりを実は私はお尋ねしておるわけなんです。
  45. 中川理一郎

    中川説明員 この前会長が当委員会でお答えになりましたように、私企業体制を原則にして考えておる、これは非常にはっきりしておるのでございますが、その中で分離その他をどう考えるかということをいま田畑先生御質問だと思います。私どもも、望ましい分離というものは、これは意味のあることである限り企業側の自発的な行動として行なわれるのであれば、これに対してそれが成りやすくなるような所要の応援をするという気持ちはございますし、あるいはまた、鉱区調整か何かのためにある個所の鉱業所が一緒になるのが絶対に正しいんだということが客観的に明らかであるならば、これをおすすめするということも検討しなければいけない、こうは考えておりまして、御質問の趣旨は、おそらく何らかの助成政策とのからみで、条件として分離を行なうかどうかということではなかろうかと思いますが、この点はまだ小委員会全体の意見も一致しておりませんし、今後の問題として残る事柄でございますので、私どもいまここでどちらに傾きつつあるということを申し上げるのはいささか言い過ぎではなかろうかと思うわけであります。体制としては、やはり自主的、自発的なものということで考えていくのが筋ではないかという意見が一般的であるのではなかろうかと思っております。これは私の推察でございます。
  46. 田畑金光

    ○田畑委員 まあ自主的に自発的にいずれの道を選ぶか、こういうことになってきますと、その行き方によってはそれぞれ相当の違いも出てきょうと思うのです。いわば限られた財源措置の中で、しかし政府の側から見れば助成策については甲乙をつけるわけにはまいらぬ、こう見ておりまするが、いまのお話のように自主的な判断といっても、いわゆる分離コースでいくのか、事務局の案でいくのかというようなことになってきますと、私は相当そこに問題が出てくるのではないかというようなことが、これは計数的にいろいろな場合を想定して私自身が固めてこうなるのではないかという意味じゃなくして、常識的に見ても二者いずれかを選ぶということになってくると、それぞれ問題が発生してくるのではないか。ことにいまの局長の御答弁のように、自主的な判断でいずれかの道を選べということになってくれば、いままで提示された事務局試案なるものと相当違ったものが出てくるのではないか、このように私は受け取っておるわけでありますが、この点についてもう一度ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  47. 中川理一郎

    中川説明員 お答えになるかどうかわかりませんけれども、私どもの立場として、小委員会でいろいろな議論が行なわれましても、先生方に再度考えていただくという立場で御意見を申し上げるときの基本は、いま先生もお触れになりましたように、行政当局といたしましては、やはりとられた制度の各企業に対する公平さというものが肝心でございまして、たとえば、大手について詳しい方々がそれを頭に置いて議論をなさるときに、もし中小の配慮というものが何とはなしにはずれておるということであれば私ども事務局として、そこは大手並みには考え方としてはできますけれども、中小のことを考えると政策の公平さという点で疑問が出てきますというようなことはやはり申さざるを得ない事態が出てまいります。企業先生承知のようにひとしく石炭企業と申しますけれども、置かれております実態が、個々に見ますと、やはり相当差異がございます。ある会社を念頭に置いてこの政策が適当ではないかという御判断になりましたときでも、ほかの企業を念頭に置いて考えますと、どうもある企業にとってはその政策は有利であるかもしれぬけれども、ある企業にとっては非常に不利になってくる、差が目立ち過ぎるというようなものが出てまいります。私どもとしては、やはり政策の公平さという意味合いで若干のだめ押しをお願いせざるを得ないことが出てまいります。これは先ほどの岡田委員の質問の際にございましたように、一般炭と原料炭の取り扱いについてさえ、いろいろとまた議論のあるところでございます。そういう意味体制と申しますか、企業形態問題にあまり一つのものさしで固いことを要求いたしますと、ある社にとっては非常に妥当であっても、ある社にとっては必ずしも妥当ではないという状況が出てくると場面がございますので、そういうことも含めながらいま御審議をいただいておる、こういうことでございます。
  48. 田畑金光

    ○田畑委員 会社形態をどうするかという問題でまだ議論が甲乙にそれぞれ分れておるという状況、そういうことを考えてみますならば、一体小委員会一つの案をまとめ、あるいは総合部会で案をまとめて答申に至るという時期的な判断というものは、今月どころかさらにずれ込むような感じを受けるわけです。この間答申に基づいてやる以外はないんだというのが諮問された。これは通産大臣としてのまた態度であろうと思いますが、しかしながら、やはりこの答申というのは前回のような諮問から答申政策実行までに二年有半むだな時間をかけたというところに、石炭政策は常に後手後手に回ったという教訓と反省、今回は再びそのようなことがあってはならぬということで、通産大臣はしばしばわれわれの質問に対しまして今回は諮問から答申、具体的な政策の間に時間的な余裕はできるだけ置かないということを確約されてまいったわけです。ことに通産大臣は八月の当委員会において、答申の時期のわれわれの質問に対しては、九月になれば秒読みの段階だというお話が私の記憶に強く残っておるわけです。秒読みの段階などとまことに高等数学のような御答弁をいただいて、それをわれわれは記憶しているわけですが、十月を過ぎ、十一月になってもこういう状況です。いま局長のお話によれば、企業形態の問題について自主的な判断云々というところまでまだ小委員会の議論も煮詰まらない。こういうような状態に対して、通産大臣としてはどのような対処をなされようとしておるのか。先ほどの岡田委員の質問に対するお答えを聞いておりますると、いずれ内閣がかわっても自民党員であるから変わりはないだろうというようなことでは、これは済まされぬと思うのですね。せっかく通産大臣石炭問題と真剣に取り組まれて、四月の段階諮問をなされて、そうして通産大臣が、やはり椎名さんがこの問題についてはりっぱに締めくくりをつけるということがほんとうじゃないかと思うのです。そう言うと何か通産大臣がもうやめなさることが既定事実のようなことに受け取られるかもしれぬが、私はそんなことはあり得ないと思いますけれども椎名通産大臣のような大物の大臣がすわってこそ、はじめてこういう困難な問題についての政策的な処理づけが一番望ましいと思うので、このあたりについて通産大臣としてはどのように取り組まれていこうとするのか、御所見を承っておきたいと思うのです。
  49. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 だいぶ答申はおくれておりますが、絶えず折衝の様子は私こまかく通報を受けて、そして最終的な結論をもちろんまだ言うことはできませんけれども、大体この辺の見当かなというようなところがだんだん私の頭に固まりつつございまして、そういうような見当をつけておいて、一方においては大蔵当局と折衝をして、そして財政上の措置というものと具体的答申というものと、とんでもない離れたものというようなことのないようにいまいろいろ考えてはおるわけです。でありますから、もう秒読みの段階がだいぶ続きまして、これは別な段階じゃないかというふうにお考えかもしれませんが、依然として秒読みの段階でございます。
  50. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣は頭に考えておるというお話でございますが、大蔵省との関係などについても、単に頭で考えておるのじゃなくて、事務当局段階等では、この事務局試案作成の過程において、大蔵省との話し合いも十分進めながら、今日までの作業が進められてきておると考えるわけで、大臣の頭だけで考えられてもしようがないのですね。やはり考えたことは一つ一つ具体化する御努力大臣みずからなされなければ意味がないと思うのです。また大臣はそうなさっておると私は信じたいのです。  私、先般イギリスでフリーソンという動力省の大臣と会って、いろいろ話を聞きましたが、向こうの大臣というのはさすがに計数的にも何でも、数字はひとつ政府委員になどというようなことは申しません。エネルギー政策について堂々と一時間有半にわたって私は話を聞いてきましたが、やはりイギリスのいまの停滞した経済、そういう背景のもとにおけるイギリスのエネルギー政策はこうなければならぬ、石炭についても石油についても電力についても、原子力、天然ガスについても、それぞれ数字をあげて政府の方針を明確に説明を聞いてきましたが、やはり日本の閣僚とイギリスの閣僚、あるいは議会の運営自体が異なっておりますのでそれはやむを得ないと思いますが、椎名通産大臣のいまのお答えは、別にイギリスの大臣から見て遜色があるとか何とかいうことを言っておるわけじゃないので、そうじゃなくして、大臣がいま頭に考えておることは、実は事務当局を通じ具体的な作業を進めてきたのだ、こういうお答えがほんとうだと思うのですが、その点はどうなんですか。特に先ほど金融の問題その他を通じ、いろいろ質疑応答がなされましたが、財源措置については、大臣承知のごとく、石炭特別会計というものが昨年の国会で設けられて、四十五年までは原重油税の関税率の一〇%をもって充てる、これははっきり法律に基づいてできておるわけであって、先ほど見通しがどうとかこうとかいう話がありましたが、少なくとも今後の原重油の輸入の増加に応じ、財源が当然ふえてくると考えておりますが、そういう財源石炭政策に充てるということは、もう国会できめて、政府も約束しておるわけでありますから、問題は四十八年度まで延長するかどうかというところに大蔵省との話し合いがあると考えておるわけです。そのあたりについてはきまった方針どおり進めていくんだ、こういうことを明確にひとつこの際大臣から承っておきたいと思いますが、この点ひとつ御答弁いただくと同時に、大蔵省主計官もいらっしゃっておるようでありますが、どうぞひとつそういう気がまえで取り組んでいただきたい。大臣の御答弁を求めます。
  51. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 とにかく見当はつけて、その見当のもとに、本折衝じゃありませんが、こういう見当のようだというようなことで、いろいろ絶えず大蔵省考え方、こちらの考え方等について折衝をいたしておりまして、ここに大蔵省主計官がおられますが、確定というようなことは言いませんけれども、お互いこの見当だなというくらいな腹づもりはしておるように私もここでこれは申し上げることはできると思います。これはまだ研究の意味での検討でない、見当をつける、こういう意味の見当でございます。そういうことで、いずれこれは表面化した場合に、とんでもないということで、審議会結論政府のいわゆる見当と見当違いにならぬようにやっておるつもりであります。
  52. 田畑金光

    ○田畑委員 どうも大臣答弁を聞いておるとどのようにお答えを判断していいのか、なかなか取捨選択に困るわけでありまするが、私は大臣答弁はつとめて、こうであろうなと好意的に善意に受け取っておるわけでありますので、あなたの「けんとう」は研究の検討じゃなくてそっちの見当だ、こういうわけでありますが、そのあたりがなかなか哲学的でのみ込めないので、まことに困るのですが、私は特に大臣に希望したいことは、原重油関税の一〇%の財源を充てているということは、これは法律できめ、そしてそのための特別会計も設けられたわけで、この方針は、これは四十五年までは動かすわけにはまいらぬでしょう。問題はそれを四十八年まで延長するかどうかということなんですが、大蔵省との話し合いというのは三年の延長の問題、このことだと私は理解する。それで当然大蔵省——主計官もいらっしゃるが、主計官にいまさら聞くまでもなく、私は事務局試案がここまで煮詰まったという経過を振り返って見るならば、その辺もおおよその話し合いがついてのことだと思いますので、願わくはひとつきまったことは法律どおり約束どおり、原重油関税についてはそれが四千二百億になろうが四千六百億になろうが、積極的に石炭の前向きの施策に充当することを、大臣努力くださることを、ひとつ強く希望しておきたいと思います。  それから、先ほどの質問にも、金融問題についていろいろ質問がありましたからこの際省略いたしますが、これも局長の御答弁を聞いておりますと、まあ開銀が手を引くのじゃないかというお尋ねに対して、そんなことはないとかいろいろございましたが、どうかひとつ、年末金融ということはこれは石炭企業にとってはたいへんなことじゃないかという気持ちを持っておるわけで、この点については事務局にだけまかせるということじゃなく、ひとつ大臣みずからが足を運ぶなり電話をとるくらいはして、御努力を願いたいと思いますが、たとえば本年度の予算なら予算の中を見ましても、安定補給金であるとか先ほどの坑道掘進補助金であるとか、あるいはまた、たとえば今度新しくついた増加坑内水揚排水費であるとかいろいろな予算措置もあるわけですね。これらの金額はそれほど予算としては大きなものでないかもしれぬが、しかし個々企業にとってはこの年末の金融措置の忙しい時期でありますから、これは当然事務当局として、予算の中へ組まれたものについては、この年末の金融措置に間に合うように処理されるものと私は確信しておりまするが、これのいま私が指摘した点についてどうなっておるのか、これをこの際明らかにしていただきたいと思います。
  53. 中川理一郎

    中川説明員 ただいま御指摘の本年度予算実施いたします助成につきましては、たとえば坑道掘進費補助でございますけれども、上期分は実施いたしておりますが、下期分は来年の二月くらいになるのではないかと思います。また坑内水の排水補助金は、補助金等適正化法が適用されますので、基準となります昭和三十七年と本年の一月から十二月、これの実績を比較してその増加した費用について交付するということで、いまその手続を進めておる段階でございます。かようなことでございますので、交付時期は来年の二月ないし三月になるのではないか、こう考えております。
  54. 田畑金光

    ○田畑委員 私、坑道掘進補助金については、いままでの慣例もありまするから、そういうようなことであろうと考えておりますが、たとえば坑内の揚排水の補助金などについては、大蔵省と今日まで長い間交渉なさっていたわけです。基準年次のとり方などについても、あるいは増加の比較の時期の設定などについても、いろいろ努力して大蔵省と話し合ってきたわけでありまするが、結局来年にずれ込むことになったということは、この点はいままでの折衝の経過を見るならば、通産石炭事務当局はあまりにも大蔵省に妥協し譲り過ぎてきた結果こういうことになっておるのじゃございませんか。やはりこういうようなものこそ自分たちの手でできるととはまずきちんとやることが大事だと思うのです。さらに大きくは、市中銀行なり政府関係金融機関などを通じ、年末の融資について通産当局が努力するということが、これは当然のことだと思うのです。予算の中に計上されておるこのような補助金などについて、いつも大蔵省にしてやられるようなぶざまなかっこう、情けないと思いますね。基準の設定のとり方によって、年末に十分これは払えたはずですよ。これがまたいま言ったような基準のとり方で大蔵省に押されてこういうようなかっこうになっておるということは、遺憾なことだと思うのです。この点どうですか。
  55. 中川理一郎

    中川説明員 いろいろ相談をし折衝した結果のことをいま申し上げたわけでございますが、先生のお気持ちからすると、せっかくの制度なんだから、しかもいまの石炭の置かれた事態から見て、年内くらいに金が出るようにすべきであったのではないかということだと思いますが、まことに気持ちとしては私もそのとおりだと思いますけれども、やはり当事者といたしましては、補助金交付について疑念のないようにするためには、資金機関の実績と、ある基準年次との比較でやるということになったものと思っております。ただ、もし今後私ども努力いたすといたしますならば、年内にある程度数字上のめどをつけまして、若干かた目にとるかわかりませんけれども、めどをつけまして、その範囲内で、よくこの種のことでやらざるを得ない場合があるわけでございますが、私の責任で来年の二月、三月になればこれくらいの金が交付できるはずだという証明なり何なりをいたしまして、当該分の融資について実際に金が国から出たものと同じようになることに努力はいたしてみたいと思います。
  56. 田畑金光

    ○田畑委員 私は、いまの局長の御努力期待して、この点はやめますが、ひとつそれくらいの努力は払っていただきたい。また大蔵省主計官のあなたも、あまりかたいことばかり言わぬで、せっかく予算で取っておることなんだから、もうすでに予算に出たものは、石炭のいまの苦しい立場というものはあなた方もおわかりだろうと思うから、出すなら出すと、謙虚にひとつ、協力するなら協力する、こういう態度で出てもらいたいと私は思う。このことを大蔵省主計官にも特に希望しておきまするから、ひとついまの局長の言うような措置に御協力願いたい。  最後に一つ、これは希望でございまするが、二、三日前、私は常磐の地域の炭鉱の労働組合の諸君に、いろいろ石炭問題について、特にヨーロッパのエネルギー事情について報告をして、そのあといろいろな質疑応答があったわけですが、去る十一月十四日、日刊工業新聞に、実に石炭大手十六社の今後の運命に関する記事が出ておるわけです。これによると、「黒字は三井など四社、松島、常磐などボーダーライン」等々と書いて、これこれの山はすぐ入り口でつぶれますよとか、これこれの山はやがてこうなりますよとか、こういう大事な問題が記事として出ておるわけですね。こういうようなことはどこから漏れたか。もちろん通産事務当局が漏らしたはずはございません。にもかかわらず、このようなことが新聞記事になるということですね、これが炭鉱の労働者その他に与える心理的な影響というのは非常に大きなものがあるわけです。こんなことは迷惑なことですね。だから私は、こんなことについては事務当局としても厳に戒めて、秘密にすることについては秘密にする——努力なさっておることは重々認めまするが、いわゆるスクープということがしばしば起きるわけです。だから、今日までの鉱業審議会政策委員会の具体的な作業の進捗のぐあいを見ても、われわれはむしろ新聞から初めて、いまこうなっているな、ああなっているなということを知る程度で、この委員会で幾らあなた方に質問したところで、あなた方はほんとうのことを教えてくれない。新聞で初めてものがわかる、こういう実情ですね。これは考えてみなくちゃならぬ点だと思うのです。このような記事では影響するところ非常に大ですよ。この点について、この際、大臣なり局長から釈明を求めておきたいと思います。
  57. 中川理一郎

    中川説明員 御指摘のような資料につきましては、当省として、小委員会に提出したこともございませんし、また、外部に明らかにしたこともございません。事務当局として、将来の石炭対策を樹立するための素材とする計数をいろいろ検討はいたしておりまするけれども、目下のところ、これを取りまとめたということはいたしておりませんし、また事柄の性質上、出すべきものでないことは明らかでございます。ある新聞に、いま先生指摘のようなものが出まして、どういう経緯とどういう中身のものをどこからどういう経緯で入手して出したのか、私どもには想像がつかないのでございますけれども、これが当該企業にとりまして、あるいはその企業の従業員にとりましてどんな感じを与えたろうかということになりますと、全く先生のおっしゃるとおり私も一言もないわけでございまして、これは私どものほうに何かの手落ちがあったのか、あるいは作為的な数字であるのかここでお答えするのは適当ではないと思いますけれども、自今、私ども相当気は使っておるつもりでございますけれども、今後の問題といたしましても十分に注意いたしたいと思っております。関係の先には、経緯は別にいたしまして、結果について私は石炭協会にもおわびをいたしております。どこから出たのかは知りませんけれども、ああいうものが出たということについては私はまことに残念なことと思っております。報道機関の良識というものも期待いたしたいわけでございますけれども、ああいう数字企業なり従業員にどういう気持ちを与えたか、結果としてたいへん申しわけないと思います。
  58. 田畑金光

    ○田畑委員 質問を終わります。
  59. 堂森芳夫

    堂森委員長 大橋敏雄君。
  60. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 大臣にお尋ねしますが、時間がないように聞いたのですが間違いありませんか。ゆっくりありますか。
  61. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 次の予定が迫っております。
  62. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 ああそうですが。こういうときを秒読みというのだそうですが、先ほど大臣は、九月の委員会のときから秒読みだ、いまもその秒読みが変わっていないと言いますが、私は非常に不見識な答えだろうと思いました。石炭問題はみな非常に深刻に真剣に考えておりますので、もう少し誠意ある答弁を願いたいと思います。私は一、二大臣に聞くだけであります。  いま申し上げました再建策はいわゆる今月中にまとまる見込みはあるのかないのかということであります。お願いします。
  63. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 再建策とおっしゃるが、再建策に関する審議会答申のことを言われたものと思いますが、これは先般植村会長国会のこの委員会において言われたところによっても、できるだけ今月中に取りまとめて答申したいというようなことを言っておられました。私はそれがほんとうに実現されることを期待しております。
  64. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 ある新聞ではその小委員会のいわゆる基本方向といいますか、結論といいますか、そういうものをまとめるために植村審議会長と大臣が会見されるというふうに書いているのですが、それは今週中なのか来週になるのか、その点ちょっとお尋ねいたします。
  65. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いずれ答申が出る前後においてお目にかかっていろいろ会談をしたいと思っておりますが、まだその予定が立っておりません。
  66. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いつも言われていることでありますが、とにかくタイミングをはずした政策というものは無意味である、ナンセンスであるといわれておりますが、つまりこの前の石炭大手の九月決算を見ましても、軒並みに減収なんですね。繰り越し損がふえております。また石炭業界唯一の有配会社といわれていた太平洋炭鉱も減産無配に転落した。またそういう状況から労務者はとにかく石炭産業に見切りをつけて、次々と離職していっているという現状であります。こういう事態を目の前にいたしまして、われわれはこのままでいいのだろうかと常に危惧しているわけであります。このように答申がおくれるということは、また年末を目前に控えまして、いよいよ危機におちいるのではないか、またそういう会社が次々と出てくるのではないかと心配するわけであります。いまのお話では、今月中には答申がまとまるように念願していると言われますけれども、むしろこの小委員会答申を、少なくとも今月中には公表できるところまでいっていただきたい、このように要望するのですが、その点はいかがでしょうか。
  67. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういうふうに強く期待をしております。
  68. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 今月中に公表できるように期待をしているというわけですね。  実はきょうの理事会で大体内定したわけでありますが、来月早々に九州また北海道、常磐等で、委員派遣のもとに公聴会を開こうということになっておりますが、もうどんなにぎりぎりに押し詰まっても、そのところぐらいまでにはその内容を示してもらいたい。そうせぬと、検討の筋が立たないという感じを受けるわけです。そういう私の強い希望があるわけですが、その点に対して、大臣はどうお考えになりますか。
  69. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう公聴会等にお出かけくださることはたいへんけっこうだと思うのです。それに間に合うように小委員会結論を出してくれることを強く期待しております。
  70. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 時間がないようでございますので、結論的に申し上げますと、要するに政府審議会もその運びが非常におそい、これでは再びタイミングを失するのではないか、そうしてまた大失策に終始するのではないかと心配するわけであります。  そこで、われわれ公明党といたしましても、この深刻な事態に対処して、かねがね研究、検討を重ねてきましたが、それをまとめて近く御提出申し上げますので、当局もこれを謙虚に受けて、真の抜本策の基本とされるよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  71. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほどから引き続いて若干質問をいたします。  一つには、どうもいままでの石炭構想等を考えますと、いわば企業本位、こういう面がやはり非常に強く出ているように私は判断をするわけです。問題は、たとえばいままでの合理化過程で、三井鉱山が三井山の第二会社に分離をした、あるいは三菱鉱業が一般炭の山である三菱の美唄を第二会社に分離をした、こういうようないろいろな経過をたどって今日まできておるわけです。そういたしますと、結局これらの山はすでに新たな会社の組織になっておりまして、分離した親会社のほうは肩がわりを受け、今度もその対象になっている。しかし今日まで企業とともにあった単位炭鉱は、いまの事務局の試案でいけば、いわば自決の権利といいますか、山を閉じるか継続をするか、地域経済等を考えて、そういう権利というものが抹殺をされる。いわば入り口整理という点が一応後退をしたといいますけれども、これはあくまでも形式上の問題であって、事務局ベースの案では、入り口整理というものは形式上は撤回されたような形であるけれども、実質上そういう考え方が非常に強いと思うわけであります。たとえば三つなり四つなりの山がある。しかし企業としてはもうとてもやっていけないというところもこれから出てくるのではないか、しかし単位炭鉱ごとに見れば、これは負債が解消されて、一応整理されて、単位炭鉱としてその時点からスタートしてやる場合には、地域あるいはまた労使の協力によればやり得る炭鉱というものもあるのではないか、あると私は分析をいたしているわけです。こういう炭鉱というのは、やはり山は一回閉じてしまうと再び開くことができないわけですから、いわば単位炭鉱の自決の権利というものは保障されなければならないのではないか。しかしながら、単位炭鉱としてやっていったけれどもできないから閉山をするという場合もあるでしょうし、やった結果新たに炭層が展開されて、これが長期的にある程度残るという炭鉱も出ることは、過去の経験にかんがみてあるわけです。そういう自決の権利というものが単位炭鉱に保障されなければならない。この点がないと、やはり企業対策だけで、その中の単位炭鉱の救済もできないということになるわけですから、またなだれを打って閉山が進む。その結果、しばしば問題になっておりますように、昭和四十四年度でおそらく三千五百万トンになるだろう、こう私は見ているわけです。したがって、昭和四十八年になれば三千五百万トンを相当割るのじゃないか、こういう判断をいたすわけですから、そういう意味で自決の権利というものが保障されるということは、わが国の資源対策から見ても、地域経済から見ても非常に大事な点ではないか。なぜかなれば、いままでの経験にかんがみますと、大体単位炭鉱の地域ぐるみで、この山をどうするか、山を閉じた場合には、ではその地域の振興策をどうするのか、これは単に単位炭鉱の自決の権利でなくして、地域経済全体として問題を扱う、こういう性格が出てまいるわけですから、当然こういう考え方は貫かなければならないのではないか、こう思うわけです。そのためにはどういう方向がいいのか、どういうような政策がいいのかということにならなければならないのではないかと思うのですが、そういう企業のワクをはずした単位炭鉱の自決の権利というものについて、どうもいままでの流れから見ると保障されない。これは非常に問題ではないかと思うのですが、こういう点についてどうなのか、あるいはまた総体的に、ある程度ボーダーラインといいますか、企業としては非常にボーダーラインでありますけれども、山を分離することによって、これは投資その他のいろいろな地理的な条件、鉱区、こういうあらゆる条件を整理検討してまいりますと、結局これは切り離して共同でやることによって、鉱区その他の面からやり得るという面もあるのではないか、こういうあらゆる面で、結論的には単位炭鉱の自決の権利というものがこの際保障されなければならないという、政策を立てる場合私自身のそういう考え方があるわけですが、こういう点についてはどうも非常に鮮明さを欠いておる。むしろこれは植村構想事務局案といわれるそういう中で、これらの問題が非常に大きな一つ問題点になっていると私は思うわけなんです。こういう点はどういう感覚で検討されておりますか。
  72. 中川理一郎

    中川説明員 いまお話しになりました点は、私は非常によくわかります。と申しますのは、実は私もそういうことをある範囲で考えておるわけでございます。それからまた、私ども考え方を小委員会にも進言という形で申し上げております。ただ、非常にやっかいな問題でございまして、議論の立て方としてはいろいろあろうかと思います。端的に申しまして、いまおっしゃったような筋合いで単位炭鉱として成り立つ可能性というものは御指摘のとおりあると思います。ところが、甲という会社にA、B、Cという炭鉱があって、Cという炭鉱はいま御質問のように成り立つ可能性がある。A、Bは成り立つ可能性がない。その三つを含んだものとして甲という会社は成り立つ可能性がない、こういう状況があろうかと思うわけでございます。そこで、従来のケースでございますと、C炭鉱を別会社にするということがまま行なわれた経緯がございます。会社発足のときには会社法の原則がございますので、新しい会社をつくりましたときに、その会社の資産と負債というものは見合っておるか、あるいは資産のほうが大きくございませんと、資本充実の原則からいきまして設立が不可能になります。そこでいまのような設例によりますと、甲という会社は非常に大きな債務超過の会社になっておるから、会社として成り立たないわけでございますので、C炭鉱を切り離しますときにC炭鉱において資産と負債がバランスしておるような形にいたしますと、C炭鉱が負うべき負債をも甲社に残しておかなければいかぬ、こういうことになるわけでございます。いままで行なわれました第二会社というのは、大体そういう形で行なわれてきております。しかし、いままでの場合は、その甲会社というものが存続するという前提で成り立っております。今後の問題として出てまいりますのは、その甲会社が成り立たない可能性が非常にはっきりしてきた場合に、私ども取り扱いに非常に苦慮するわけでございまして、その甲会社の解散のあと始末と申しますか、混乱なしにこれを処理しようと思いますと、特別の閉山交付金か何かによりまして、その甲社の持っている負債について相当の援助をしてあげなければいけない、こういうことに相なりますが、そのときにC炭鉱が負うべき負債を甲社に集めておいて、これの処理をするということが適当であるかどうかという問題がひとつ出てまいります。この辺のところは、いろいろ形態論もございますし、方法論もあろうかと思いますが、実は苦慮いたしておることでございます。趣旨といたしましては、そういうケースはなるべく生かして考えてみたいという気持ちには変わりはございません。
  73. 岡田利春

    岡田(利)委員 もう一つ石炭政策上のことに関連してお尋ねしますが、いわば植村構想であろうが事務局案であろうが、膨大な、いわゆる財政負担というものが伴うわけです。しばしば鉱区問題等がいろいろ議題になりますけれども、なかなかこれは、そのつどそのつど、単位炭鉱周辺において調停で解決する、いままではそういう方向で解決されてきたわけです。もはやこの鉱区というものは、当然これだけの財政負担を伴う場合には、いかなることがあろうと提供すべきではないか、もう鉱区があるから自由に掘れるなんという時代は過ぎ去ったわけですから。合理化事業団は、御承知のように買い上げた鉱区を持っているわけです。合理化事業団が適当かどうかは別にして、鉱区は出したらどうか。ただし、施業案が出て、採掘計画が立てられれば、それは移譲すればいいわけです。旧三井の鉱区であろうが、旧北炭の鉱区であろうが、旧明治の鉱区であろうが、その施業案が認められるならば、その鉱区を譲渡する。そうすると、鉱区問題というのは一ぺんに解決するわけです。その施業案に基づいて鉱区の権利をやるわけですから、鉱害問題はそれについていくわけですから、別に当初の鉱区を持っている合理化事業団なら合理化事業団が、その鉱害に責任を負うということにはならぬわけです。少なくとも、これだけの財政負担をする場合に、そういう程度のことは割り切らないといかぬのではないか。まして、資産として見れば、鉱区はもう微々たるものなんですね。一番鉱区の面積を持っている三菱の鉱区資産の簿価等を見れば二千万程度、太平洋あたりで九十七万、額にすれば、きわめて問題にならぬわけですね。そのくらいのことをやらないと、国民は納得しないのではないか。鉱区調整はもう考える必要はないのです、そういう措置をすれば。そういう点については検討されたことがあるかどうか。検討されたことがないとするならば、一つの問題として検討に値するのではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  74. 中川理一郎

    中川説明員 一つの御意見だとは思いますけれども、私どもはその角度で検討したということはございません。問題は、鉱区調整でございますが、鉱区調整につきましては、現行法でも勧告制度がございます。ただ、実行その他に相当思い切ったことをやってきたかどうかということになれば、多少問題があろうかと思いますし、今後の事態の進展に伴いまして、鉱区調整を、相当思い切ったことをやるということであれば、現行制度でもやれると私は思っております。極端な場合、国民経済的に望ましい鉱区調整に応じないような企業に対して助成策を考え直すということは、あってもいいんではないかというくらいに考えておりますので、その辺の決意をいたすならば、鉱区調整相当程度やれる、こう考えておりますので、鉱区調整のために鉱区の提供と申しますか、召し上げまでやっていいかどうかということになりますと、目的と手段とのつり合いが十分とれておるかどうかという点では、私は異論がございますが、御質問の御趣旨である鉱区調整を必要に応じて相当思い切ったことをやるということについては、何ら異論はございません。
  75. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、もはや鉱区を譲渡したから、それがトン当たり三十円とか五十円とか六十円とか百円とかになる時代はもう過ぎた、ここまで石炭政策というものを国の財政負担でやる場合には過ぎた、ゼロでなければならない、ゼロであるためにはどうあるべきかということを、ひとつ検討する場合に検討してもらいたいと思う。金がつくのであれば、これはもうたいした問題ではないわけですから、そういう点で一つの問題提起をしておいたわけです。  次に、住宅局長、お忙しいようで、たいへん長い時間お待たせして申しわけないのですが、実はいま石炭産業で、労働力をいかに安定的に確保するかということがたいへん問題になってきておるのです。しかも、最大の産炭地であるところの北海道の例をとりますと、炭鉱住宅は五万四千戸程度あるわけです。このうち四割ちょっとに当たる二万四千戸は、非常に老朽が激しい。共同外便所、共同給水、こういうような状態で、非常に手が回らないものですからずんずん悪化してきた。戦後石炭を掘れという場合に、炭住計画で、とにかく人を入れるところをつくらなければならぬというので、そっちのほうに重点を置いたときに、古い歴史を持つ住宅の改修ということが非常におくれておる地帯が多いわけです。そこですでに赤平地区等においては、去年、おととしあたりから改良住宅によるこれらの問題の若干の解決の方法というものが努力されておることは御承知のとおりだと思うわけです。ただ、いま住宅地区改良法でいえば、こういう企業の住宅まで対象になるということにはなっておりませんが、しかし炭鉱は、労働力が非常に集中する産業でありますし、非常に地域がさまざまな形で偏在をしておるという面から考えて、やはりこのまま置くとスラム街になり、環境が悪化して、どうしても非行少年がふえる。非常に環境が悪化するために労働者の定着ができない。地下労働でありますから、住宅条件というものは非常に宿命的につきまとってまいるわけです。少なくともそういう点では、石炭産業の置かれておる状態は、いま申し上げたとおりでありますので、もちろん予算その他には限度はあるのでしょうけれども、改良住宅について、住宅地区改良法について、いわゆる建てかえを実施する方途というものは開けないものだろうか。もちろん国全般の住宅政策があるでしょうけれども、その中に一つの部分として、この道は切り開かれないものであろうか。すでに、各自治体からもこの問題は出ておると思うのですが、この点は住宅局としては、いままで検討になっておるか。なっておるとすれば、その点に対する考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  76. 大津留温

    ○大津留説明員 炭鉱地帯の、いわゆる炭住が閉山を余儀なくされたところはもちろん、そうでない、これから継続する炭鉱におきましても非常に老朽化し、住環境が悪くなっておるということは、私どもも十分承知しておるところでございます。これまで炭鉱の住宅対策といたしましては、住宅金融公庫の融資とか、あるいは住宅公団の特定分譲住宅の建設、また公営住宅の建設等をやってまいりましたけれども、近年のような炭鉱地帯の状況でございますと、新たな建設というのが大体ストップされておる。それで、ただいま御指摘のように、老朽化が急激に進んでいるという状況でございます。これらの状況に対しましては、一面では従来の炭鉱従業者が他に移転される。その移転先の受け入れのための住宅建設というのをやってまいりましたが、残った方々に対する対策というのが残された問題でございます。そこで、その地元の公共団体がいろいろ熱心にこの問題を取り上げられまして、いま御指摘の住宅地区改良事業を行なって建てかえようという意欲がだんだん出てまいっておる状況でございます。住宅地区改良法に定めます要件に合致するものにつきましては、従来もわずかでございますけれども、取り上げてやってきたのでございますが、一つはそれに当たらないものも相当ございますし、また実は住宅改良事業というのが大都市のスラム対策ということから出発いたしまして、そういうところとかあるいは同和対策としても有力なあれをやっておるわけでございますので、現在の予算なり計画のワク内ではなかなかそう多く炭鉱地帯にさき得ないのではないかという悩みがございます。来年度の予算におきましては、そういう事情も考慮いたしまして相当量要求はしておりますけれども、はたして要求どおりにまいりますかどうか、要求どおりにまいりますとすれば、ある程度と申しますか、相当量炭鉱地帯にも振り向け得るかと思います。  そこで、実はこれは私ども一つの試案でございますが、この改良事業の費用の一部に産炭地域の振興という意味合いから石炭特会のほうから資金を回していただくというようなことができますれば炭住の改良事業が相当進むのじゃなかろうかというふうに考えて、通産省あるいは大蔵省に御相談しておるような段階でございます。
  77. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま住宅局長からお話があったわけですが、北海道のような場合ですと、四十四年度だけで千五百戸程度の希望があるわけですね、とてもいままでのままでは消化はむずかしい、こう思うわけです。しかし、産炭地振興の面から考えても、また労働者の定着から考えても住宅問題の解決というのは非常に重要ではないか、こう思うわけです。通産省はいま住宅局長が述べられた意見に対してどういう検討をされておるでしょうか。
  78. 中川理一郎

    中川説明員 私どもといたしましては、先の石炭対策を考えます上での労働力の安定確保対策という意味合いで生活環境の改善ということははずせない事項だ、こう考えております。いま検討しながら小委員会にも進言をいたしておりますのは、緊急問題として、たとえば外便所の解消その他を手がかりにいたしまして、何らか新しいこれらの仕事を進めていく上での融資制度の織り込みということを考えてもらってはいかがか、こう思っております。事柄の筋合いといたしまして、先行き五ヵ年間のいろいろな資金需要を考えますと、機械化、合理化の投資が要りますし、坑道掘進の費用も要りますし、保安の経費も確保せねばいかぬという中で、この住宅関係の改善もやっていこうということでございますが、さいふは一つでございますので、融資額を考える上でどれくらいのものを考えられるかというところにまだ懸念は持っておりますが、ぜひ何らかの形でこの中に取り組むことを考えてみたいと思っております。  それから現行制度での厚生年金の還元融資でございますとか、建設省のほうにわずらわしておりますいま御指摘の不良住宅の改造でございますとか、住宅金融公庫の融資だとかいうものにつきましては、関係省と相談しながらできるだけこれの拡大をお願いしてみたい。別個に先ほど申しましたような石炭対策特別会計の中で融資制度を考えてみたらどうか、こういう感じでおります。
  79. 岡田利春

    岡田(利)委員 一つの問題は住宅の戸数の問題、一つは、住宅の面積からいいますと、いまの場合これは限定されておるわけです。しかし炭鉱住宅として考えたような場合には、面積としては大体三DK程度のものがないと、就労条件からいって非常にむずかしいのではないか、実はこういう気がするわけです。こういう制度を考えていく場合には、これはやはり道を開かないと、なかなかそう簡単にはいかないと思うのです。いま折衝されておる考え方は、そういう点についてはどういう考え方で住宅局としては希望を述べられておるのですか。
  80. 大津留温

    ○大津留説明員 産炭地域から改良事業につきまして希望が出ておりますのを集計いたしますと、来年度につきましては、北海道地区で千六百戸、筑豊その他北九州で約五百戸程度でございます。それらの市町村に長期の計画の立つものはお聞きいたして、今後五ヵ年間に全国で三万戸以上の計画を一応持っておられるように聞いておるわけですが、これは相当な数でございますし、住宅地区改良事業本来の予算ワクなり従来の傾向からいたしますと、なかなかこれは御希望に沿うのが困難ではなかろうか。したがいまして、炭鉱地帯の改良住宅建設に見合う分については、そういうふうに石炭特会のほうにお願いしたらどうかというように一応私どもとしては考えておるようなわけでございます。この改良住宅の規模は二DK程度で、あるいは先生の御指摘のように、炭鉱地帯のほんとうの需要からいいますと少し狭過ぎるということもあろうかと思います。この点はほかの地区についても同様なことがございますので、年々わずかずつ規模も拡充していきたいという努力をいたしております。
  81. 岡田利春

    岡田(利)委員 この場合結局、継続的に山をやっていくところと山が閉山されて産炭地振興対策、この二つの面があるわけであります。住宅なりそこに労働者が定着して労働力があるということを魅力にして、現行制度の中で産炭地振興の一環としてある企業が工場を建てるということになっていくのだと私は思うのです。一つは山が持続的にあるわけですから、炭鉱住宅というものはいわゆる炭住制度という形で歴史的な変遷もありますから、今日置かれておる炭鉱の事情から考えればそういう歴史性にもかんがみてそういう制度の道を開くということはきわめて有効ではなかろうか、こう私ども判断をいたしておりますし、たとえば将来山を閉じたとしても、その地域の産炭地振興に大きく役立つことはいままでの経験からかんがみましても明らかだ、こう思うわけです。したがって、いまの問題について特に産炭地振興法の改正が次期通常国会に出される、これはいわば国の直轄事業に対してそれぞれいままでは見ておるわけですが、純粋な炭鉱地帯は直轄事業が少ない。そうでないところが恩恵を大きくこうむっているということになっている。こういう面と関連して産炭地振興の一環としてもこの住宅問題、これにある程度財源といいますか、こういう面でくふう、検討される必要があるのじゃないかと思うのですが、そういう検討は行なわれておりますか、まだ未検討ですか、これは通産省になると思うのですが。
  82. 中川理一郎

    中川説明員 産炭地振興問題で住宅問題をいま検討しておるということは、率直に申しまして、ないと思います。いずれにいたしましても、一つのさいふの中でさくわけでございますので、あらゆることを全部かなえようというのは、なかなかむずかしい状況でございます。いまの問題もひとつ、産炭地振興審議会を開いておりますので、含めて検討していただくようにはいたしたいと思います。
  83. 岡田利春

    岡田(利)委員 住宅局長のお話は、そういたしますと、結局は財源の問題であって、法上、道を開くということはそうむずかしくはない、そういう意思はある、こういう理解でよろしいのですか。要するに、問題は裏づけである財源の問題であるということになりますか。
  84. 大津留温

    ○大津留説明員 地元の公共団体が御要望になっておるような住宅地区改良という事業といたしましては、先ほど申し上げたようなことになろうかと思うわけでございますが、このほかに、地元の市町村で市町村営、いわゆる公営住宅をこれと別に建設するという方法もございます。また、企業主のほうで労務者を確保するためのいわゆる給与住宅をお建てになろうという御意思があれば、これはまたそれとしていろいろな融資の方法もあるわけでございまして、いろいろな方法によって、その実態に合うような対策は進めてまいりたい。また、古い、いたんだ住宅の改修、修繕の費用の融資という方法もございますので、そういうことをいろいろくふうしてまいりたいとは思っております。
  85. 岡田利春

    岡田(利)委員 この要望は、最近特に強くなってきておりますし、また、いずれにしても、この問題は手を染め、短期間に解決するということは無理であっても、ある期間内で解決しなければならぬ問題になってきている。ましてこれからの石炭政策方向というものから考えても、どういう答申が出ようと、この問題はさらに重要な問題であると思うわけです。建設省として、全国的な住宅政策の中で、やはりこれらの問題は、地域から見れば非常に集中化している非常に重要な問題なわけですね。全国的に見ると産炭地域に限るということになるわけですが、非常に重要な問題でありますので、私どもとしても、いま述べられた点については、十分これからも検討し、努力しなければならない面だと認識をいたしますので、具体的にひとつこれを進めるように、さらに一段の努力をこの機会に特に要請いたしておきたいと思います。たいへんどうもありがとうございました。  あと一、二点で私の質問を終わりますが、これは労働者確保関連するのですが、労働者の退職金、社内預金未払い債務の問題です。たとえば、いま事務ペースの構想でいきますと、企業が炭鉱経営をあきらめると、そこで特別なプレミアムのついたいわゆる閉山交付金で問題を処理することになるわけですが、この場合、われわれが聞いておるのでは、事務局案というものは退職金七五%保証、これがまた審議会でも問題になっているポイントのように思うわけです。しかし、一生懸命やっていって、閉山するときに退職金は一〇〇%もらえない。いままでは、個々の山がやめていくと、むしろ一〇〇%プラスアルファでやめていった。今度は、山にいても、いざという場合には退職金がもらえぬということになりますと、労働者は定着しないのではないか。これはもう、国際的に見ても、とにかく労働力を確保することは非常に重要な課題でありますから、そういう意味で、私は退職金というものが保証されなければいかぬのではないか、また、その労働力をさらに別な炭鉱に再雇用するという装置はどうしても必要ではないか、こう思うわけです。たとえばAというところの退職金が精算されれば、それはどこかで預かっておいて、勤続年数は通算して、そうして五十五歳で定年でやめる場合にはその預かったものを含めて精算をしてやるとか、こういう装置をすることになってまいりますと、どうしてもこれに対する保証というものが伴わなければならないということに論理的になっていくと思うのですが、どうもいままでのいろいろな検討されておる内容を見ますと、ここが肝心なところである、これからの石炭対策で非常に重要な、肝心なところであると言いながら、結局あまり議論がされないで、結局有効な対策というものがない、こういう経過に私は終わっておるのではないかと思うのですが、この点については、労働力確保が重大な石炭再建の柱であるという面で、これらの装置を私はどうしてもしなければならないと認識をしているのですが、この点はどういう検討をされておるのですか。どうお考えになっておるのですか。いま私が述べた程度のもので終わっておるのかどうか、承っておきたい。
  86. 中川理一郎

    中川説明員 毎度申しておりますけれども事務局案というようなものはございませんで、いまのような問題をいろいろと検討していただいているわけでございます。ただ、議論といたしまして、日本のいろいろな制度全体を通じまして、ある産業のある会社の退職者にのみ国が一〇〇%退職金を保証するということについては、私は問題があろうかと思います。ただ、国が相当思い切った助成をして、退職金の支払いについても国が相当程度持つという前提の場合に、いまおっしゃいましたような労働力確保対策という観点から見ますと、その不足分を何らかの形で埋めておかなければいかぬ、そうでないと労働力は流出するであろう、こういう御判断もまた私は正しいと思います。そこいらのところは、むしろ企業自身自分企業を存続させていくための不可欠要件であると考えるならば、国の助成政策前提として企業内で考えるべきことであるのでございまして、何から何まで国がめんどうを見なければいかぬという筋合いではなかろうと私は思います。  この点につきましては、小委員会の議論がある程度固まり次第——あるところまではいま固まっておるわけでございますが、お話しになりましたように、最高限と申しますか、七五%ぐらいの保証をしてもいいのではないか、助成をしてもいいのではないかという議論も出ておりますので、それを前提に置いて、残りの分をどういう仕組みで確保していけば労働者を引きとめておく対策というものが考え得るか、ひとつ考えてくれということを、石炭協会にも私、申しておるわけでございます。ほうっておきますと、何から何まで問題があるからということで国の助成にたよるということではいけないのでございますので、そこいらの点は、私は企業側においても十分ひとつ考えてもらいたいことだという気持ちでおります。それで何がしかの考えが出てきましたならば、さらにそれをどういう形で応援できるかということは、私もまた先生指摘のように大事な問題と思っておりますので、考えることにはやぶさかではございません。
  87. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は最終案といわれる石炭対策は、企業にはきびしく、労働力確保のためには必要な措置をとる、こういうものごとの考え方でなければいかぬのではないか。ここに、石炭はこれからの長期安定のためにどういう体制がいいのかという問題が私はついて回ると思うわけです。どすから、別に何から何まで見るというのではなくして、石炭再建する必要な柱をきちっときめたならば、それに対しては企業を乗り越えても、企業にきびしくしてもその面はきちっと押える、ポイントを押えるということでなければ、石炭対策はなかなか成り立たないのではないか。たとえば植村構想であれば、当初管理会社がある、こういうものが受けざらになる。それならば、これらの問題はその部面を切り離して解決できるかもしれない。しかし企業サイドだけで今後の安定策を立てようとすれば、これらの問題はどうもまるがかえ式になってしまって、これは一般産業と比較して云々、こういう議論が出てくるところに、結局石炭鉱業のあり方、石炭鉱業の再編成の方向という問題がやはりここらにどうしても関連してくるのではないか。私はどのように組み立ててみて、どのように検討してみても、結論的にそうならざるを得ないのではないかという気がするわけです。ですから私どもが言うのは、何もすべて国が見るというのではなくして、そういう企業に対してはきびしくあっても、そういう労働力の確保の安定策の重大な柱である面についてはやはりぴちっと装置をする。こういうことが私は必要ではないか。いままでたくさんの借金ができた。これに対して肩がわりをすることもけっこうでしょう。それも一つの方法でしょうけれども、これからの炭鉱が安定をするためには、何といっても労働力を安定的に確保する、これが最大のポイントなんだ。たとえば三百億、五百億の金をつぎ込んだって、労働力を確保できなければ崩壊しますよ。そういう可能性は非常に強く持っているわけですから、ここが集中一社化案とか、あるいは植村構想とか、あるいは公社案とか、あるいは何々案とか、いわば石炭再編成をめぐっていろいろな意見が出てくる根源ではなかろうか、こういうふうに私は理解をいたしておるわけです。なるほど、おそらくいまの事務ペースの考えているような方向では、この解決はおそらく無理でしょう。これは非常に困難だと思うのです。だから私はそういう意味において、たとえばそういうものを生かそうという場合であっても、最低限度何らか受けざらといいますか、植村会長が言う一つの系統的にささえる柱、こういう組み立て方というものが絶対不可欠ではないのか。しかもそれは既存の合理化事業団の発展的な改組や、あるいは自主的な一つの統一的な組織、こういうものがきちっと組み立てられないところに、これらの問題の解決できないところがあるんだということを、私は特に指摘をいたしたいわけです。いかんせん、まだ答申方向というものが世上伝えられておるように、最も重要なポイントが解決されてないわけですから、これ以上議論をしても無理でしょうけれども、私の考え方というものはそこにあるんだという点を、この際申し上げておきたいと思うのです。  いずれにしても、私はいまの進められておる石炭政策で見ると、結局はこれは将来にわたって非常に大幅に縮小する計画になるでしょうし、またいま考えておる構想を進めるにあたっても、先ほど質問しました経過基準あるいは担保解除の問題、あるいはまた新旧勘定を分離をして資産評価がえをするという問題、いずれにしても一つ一つきわめて重要な問題でありますので、いわばほんとうにそういうポイントを組み立て、連立方程式に解決でき得る体制というものは一体何なのか、そういう組織というものは、たとえば地域を生かすなら生かす、そういう立場に立つなら立つとしても、最低限度は何なのか、これを押えないで私は石炭政策というものは絶対成り立たない、こう考えておるわけです。この点特に一点を総括的に述べておきたいと思います。  最後に、ここまで来ると、日本の石炭の事情というものは明らかになってまいったわけですから、安定的に生産を確保するためには、労使の安定的な協力体制というものが非常に必要になってまいりますし、これは大きく期待されるところだと思うのです。しかし私は単にそれを期待するというだけでいいんだろうか、そういう体制をやはりほんとうにつくり上げるための装置はまた必要でないだろうか、たとえばこの際思い切って労働者を経営に参画をさせる、あるいはまた、ある重要事項については当然政府自身の計画を示すわけですから、これは共同決定させるとか、こういう装置というものは考えなくていいんだろうか、こう私は非常にまたこの面においても心配をするわけです。ましてどういう予測を立てても、わが国の経済の発展段階というものは、いままでの予測を大きくくつがえしているわけですから、その場合には必ずいろいろな労働条件にもトラブルが生まれてくる可能性、こういう基盤というものが存在するわけですから、そういう装置についても思い切ったことを考えないではたしていいんだろうか、こういう実は私は非常に大きな心配を持っておるわけです。この点最後に所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  88. 中川理一郎

    中川説明員 御指摘どおり、今後の石炭産業再建のために労使の信頼と協力というものがなければ成り立たないことは、私もそのとおりだと思います。残念ながら私の理解している限りにおきましては、まだ相当の不信感がある向きもないとは言えない状況でございますので、こういうことで先行きの再建が可能になるかどうかということには、私も大きな不安を持っております。そういう意味合いにおいて、労使間の再建に取り組む気持ちというものを何らかの形で確保しておくということの必要性は、私個人といたしましてはあるのではないかと思っております。その意味の進言を会長にしたこともございます。これは全体の産業の中での均衡問題もございましょうし、財界長老として御判断なさるところもあろうかと思いまして、その辺は意見の申達にとめてございますけれども、ひとつ考えておいていただきたいということを申し上げたのでございまして、私個人の気持ちとしましては、何らかの形でそういうものが必要なんではなかろうか。そのことが、いままで若干気持ちの上で離れていた双方をしっかりとつなぎ、一致協力して再建に熱意をもって努力するということに役立つのでございましたならば、可能な限り考えてみたいと思っております。会長自身も、たとえば日本航空の経験その他から見ていろいろなことをお考えになっているようでございますので、この問題については何らかの形でお答えをいただけるのではなかろうかと考えております。
  89. 堂森芳夫

    堂森委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十九分散会