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1968-09-20 第59回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月二十日(金曜日)    午前十時五十六分開議  出席委員   委員長 堂森 芳夫君    理事 鹿野 彦吉君 理事 神田  博君    理事 中川 俊思君 理事 野田 武夫君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 池田 禎治君       大坪 保雄君    佐々木秀世君       古屋  亨君    吉田 重延君       石野 久男君  委員外出席者         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省鉱山         石炭局長    中川理一郎君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 長橋  尚君         通商産業省鉱山         保安局長    西家 正起君     ───────────── 九月二十日  委員菅波茂君及び西岡武夫辞任につき、その  補欠として吉田重延君及び古屋亨君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員古屋亨君及び吉田重延辞任につき、その  補欠として西岡武夫君及び菅波茂君が議長の指  名で委員に選任された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(北海道炭礦汽船株式会社  夕張炭鉱災害に関する問題及び石炭対策基本  問題等)      ────◇─────
  2. 堂森芳夫

    堂森委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  まず、北海道炭礦汽船株式会社平和炭鉱災害のその後の経過並びに去る三日発生いたしました北海道炭礦汽船株式会社夕張炭鉱災害について政府当局より報告を聴取いたします。西家鉱山保安局長
  3. 西家正起

    西家説明員 北海道におきまして相次いで重大災害発生いたしまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。  最初に、平和炭鉱災害のその後の状況につきまして御報告申し上げます。  災害発生いたしましたのは七月三十日でございまして、直後の状況につきましては、前回委員会で御報告申し上げたのでございますが、八月一日に九名の遺体を収容いたしまして、その後は入気側排気側から罹災者救出に当たったのでございます。人気側からは戸門を設置いたしまして直接の消火作業を行ないまして、ベルトコンベヤーのございました崩落個所まで進行したわけであります。本格的な救出作業排気側から行ないました。当初は風管通気でございました。風管通気を行ないまして、救護隊の基地から災害現場に至ります距離約九百メートルございますが、そのうち四百八十五メートルまで探検が可能であったのでございますが、その後風量が減少いたしまして、煙の排除が思わしくなく、温度も上昇いたしましたので、八月一日から坑道の張り分け通気に切りかえたのでございます。この辺まで前回報告申し上げたのでございますが、張り分け通気を約五百五十一メートルまで進行したのでございますが、その後、その先が崩落をしておりまして、温度も八十三度というように上昇いたしまして、視界も全くゼロということになりましたので、八月十一日にこの張り分け通気による救出作業は中止をしたわけでございます。そして、罹災者家族等の御了承も得て、炭鉱側は十二日から注水をすることに決定をいたしました。十二日から坑内水、十三日からは坑外水を入れまして注水作業を行ないまして、これが八月の十五日に大体予定水位のマイナス百二十一メートルまで水没をしたのでございます。そこで注水作業を中止したわけでございます。  それから、翌十六日から排気側から二回にわたりまして探検隊を入れまして中の状況を調べたのでございますが、その間に軽度の爆発現象坑内において確認をいたしております。そういうことでございまして、百二十一メートルまでの水没ではまだ救出作業ができない、こういうことに相なったわけでございまして、その後排気側分岐個所奥部に本密閉をすることに決定をいたしまして、十九日から密閉作業にかかりまして、二十一日に完成いたしました。  八月二十四日に、今度は入気側から崩落個所の取り明け作業を行ないまして、八月二十七日に原動機のあるところまで、それから少し奥まで入ることができまして、この日から本格的な火災原因調査に入ったわけでございます。  八月二十八日には、ほかの、災害のございました地区と同じ抗内でございますが、別の区域でございます北と東の区域監督官総合点検をいたしまして、あぶないところを修理をさせまして、九月二日から北地区及び東地区全面操業に入ったような次第でございます。  この間、通産省といたしましては、八月の中旬に監督課長会議等を開きまして、この間の国会の決議趣旨につきまして十分説明をいたしまして、それぞれ具体的な指示を各監督局を通じまして各炭鉱に送らせたような次第でございます。八月二十一日には、さらにまた検討事項のございます地区につきましては、緊急に監督部長会議を開きまして、その具体化をはかったような次第でございます。  九月十六日現在の平和炭鉱災害現場の付近の状況でございますが、排気側のほうからは、密閉の中のガス状況観測をいたしております。それから、入気側のほうからは水没をいたしました水位状況等をあわせて観測いたしておりますが、密閉内のガス状況は、その後比較的好転をいたしておりまして、一酸化炭素の量が非常に減る等、中の状況はよくなっておりますが、なおまだ若干でございますが、エチレンが出ておりますので、中は完全にまだ火が消えたという状態にはなっていないということでございまして、ガス状況等観測と相まって、今後の取り明け作業を行ないたい、こういうように考えておる次第でございます。  続きまして、九月の三日に起こりました夕張炭鉱落盤災害につきまして御報告をいたします。これはお手元に簡単な資料がございます。この資料に基づきまして御説明いたします。  災害のございました炭鉱は、夕張炭鉱第二坑でございます。夕張市にございます。鉱業権者北海道炭礦汽船株式会社社長原功一でございます。災害の起こりましたのは、昭和四十三年九月三日午後二時二十分ごろでございまして、発生をいたしました個所は、三区の左二片十尺層ロングでございます。災害の種類は落盤でございます。同炭鉱出炭量は、毎月九万三千七百トンでございます。労働者の数は、八月末現在で三千二百名、今回の災害による罹災者は死亡八名でございます。  災害の概況でございますが、夕張炭鉱は、第一坑と第二坑とがございまして、合わせまして三千二百名の労働者で九万三千七百トンを出炭いたしておりますが、今回災害発生いたしました第二坑は、鉱山労働者数約二千名でございまして、十尺層というのと上層という層の二つの層で六つの払い稼行いたしておりまして、月産六万九千七百トンを出炭いたしております。災害発生いたしました三区左二片十尺ロングは山たけ、炭の稼行たけでございますが、一・五メートルでございまして、支柱には摩擦鉄柱一・四メートルカッペを用いております。それで、採炭は、災害当時ピック採炭実施をいたしておったのでございます。この災害のございました当払いは、直接天盤は、含媒と頁岩の互層でございまして、これが一・二五メートルくらいございました。その上に大天として十八・八メートルの砂岩が乗っておるわけでございます。払いの面長は百三十五・八メートルでございまして、傾斜は十八度、先ほど申しましたような支柱を行ないまして稼行をいたしておったわけでございます。この採炭現場払いの肩のほうに断層が出現したために、八月二十二日から払い深部から八十・六メートルにございます地点から断層に沿いまして切りかえ昇りを行なっておりまして、この作業が八月三十一日に上添坑道に貫通いたしておるのでございますが、この払いはもともと一カ月前の七月二十二日に採炭を開始した採炭作業場でございまして、災害時までには二十メートルしか進行していなかったわけでございます。災害当日、一番方として係員の方が一名、鉱員の方が三十三名配番されまして採炭、山固め、ステーブル座つくり等の作業に従事しておったのでございますが、十四時二十分ごろに払い深部から四十一メートルのところにございます地点から上のほうに向かいまして十八メートルの間にわたって突然崩落がございまして、その中の係員一名を含む八名の方が崩落ズリ埋没罹災をしたのでございます。  災害発生と同時に六十六名の救出作業隊罹災者救出作業に従事をいたしまして、翌日の四日の十九時二十三分に全部の罹災者を収容したのでございますが、全員遺体となって収容されたわけでございます。  災害発生直後に、札幌鉱山保安監督局より石炭課長以下七名を現地に急行させますとともに、鉱山保安局からは外山監督官を急遽現地に派遣をしたような次第でございます。  災害原因でございますが、原因につきましては、罹災者救出作業と並行して調査中であったのでございますが、罹災者の収容が完了いたしましたので、その後本格的な調査に入っておるのでございます。崩落個所には何らかの異常現象断層あるいは盤折れ等があったため、突然崩落したものと推定をいたしておりまして、いろいろ現在まだ推定をいたしておりますけれども、災害現場を全部取り明けてみなければ、また断定することはできない状態でございます。  当災害につきまして通産省のとりました処置といたしましては、ここに書いてございませんが、北海道炭礦汽船株式会社が、比較的時間の短い間に二回の大きな災害を起こしたことにつきまして、これを重視いたしまして、災害原因等はまだわかっておりませんが、社会的な影響もございますので、北炭社長通産省に招致をいたしまして、厳重に警告するとともに、今後の保安に対する改善につきまして自主的な提案を求めたような次第でございます。  一方、保安局長といたしましては、石炭協会各社社長を集めまして、今回の災害が必ずしも対岸の火災じゃないということで、一般的な警告を行なったような次第でございます。  資料の最後に図面がかいてございますが、これが災害のございました夕張炭鉱の略図でございます。左のほうに中央立て坑と書いてございます。ここから大体中に入るわけでございますが、この中央立て坑の入り口からずっと立て坑を下りまして水平坑道で右のほうへ参りまして、一番右端のところに、今回災害のございました三区左二片十尺ロングがございます。入口から災害発生個所まで約二千六百四十メートルという距離にあるわけでございます。  以上、簡単でございますが御報告を終わります。
  4. 堂森芳夫

    堂森委員長 これにて政府当局報告は終わりました。     ─────────────
  5. 堂森芳夫

    堂森委員長 石炭対策基本問題等について質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  6. 岡田利春

    岡田(利)委員 初めに、ただいま平和並びに夕張炭鉱災害についての報告がありましたので、これに関連して一点だけまず質問いたしておきたいと思います。  それは、去る八月の九日に、衆議院並びに参議院で当面の炭鉱保安確保するための決議が行なわれておるわけです。また、これに先立ってすでに保安調査団が一応の調査結果をまとめておるようにも伺っておりますので、この決議具体化のために、一体どういう努力をされておるか、さらにまたその状況について、この際説明を承りたいと思うわけです。
  7. 西家正起

    西家説明員 八月の九日に行なわれました本委員会決議に対しまして、通産省といたしましては、まず項目ごとにごく簡単に御説明を申し上げたいと思います。  第一の炭鉱経営者に対する保安優先をやらせるような指導でございますが、これは災害直後、大臣業界代表者並びに当該社長を招致されまして、厳重に警告をされましたとともに、その後鉱山保安局のほうから、監督局長を通じまして、各炭鉱のほうに保安優先考え方を徹底せしめるような指示を行なっております。実際問題、これがすぐに浸透するかどうかは、はなはだまだ疑問ではございますけれども、少なくとも私の現在の判断しておるところによりますと、各社におきまして、経営者の方々がこういう考え方で進もうという気持ちになっておられることは事実かと思っております。  それから、石炭鉱山保安点検並びに保安法規の再検討、あるいは所要の改正の件でございますが、この点につきましては、現在とりあえず保安監督点検強化ということでこれを指示をいたしまして、監督官は重要な事項は必ず保安統括者あるいは経営者に反映せしめるように指示事項を徹底させるように指示をいたしております。それから法規改正につきましては、現在、中央鉱山保安協議会におきまして検討中でございまして、二、三早急に改正することに決定をいたしております。改正を見るまでもなく、この事項につきましては、監督につきまして、現に炭鉱に対しましてそのような方向指導を行なっておるような次第でございます。  それから、保安管理体制につきましては、災害即時対策指示できるような管理者の三交代制につきましても、それから機器管理体制の再検討につきましても、監督局を通じまして各炭鉱に具体的に指導を行なっておる次第でございます。  それから、月一回の退避訓練保安点検の点でございますが、保安点検につきましては、毎月一回必ずこれを山のほうでやらせるように指示いたしております。それから退避訓練につきましては、とりあえず回数をふやすように指示いたしておりまして、これは回数だけではなくて、実際に効果のある訓練をあわせてこの際やらせる必要があるということで、具体的な効果のある方法につきましては現在検討中でございまして、これがまとまり次第早急に山のほうに監督局を通じて指示をいたしたい、こういうふうに考えております。また、必要があれば法規改正をいたしたいと考えておる次第でございます。  保安技術職員災害がございましたときにすみやかに避難を命ずるように指導する、これも当然のことではございますが、そういう指示をいたしますとともに、係員がそういう指示をした結果、何も災害がなかった場合に、係員に不利なようなことにならないように、十分経営者のほうにその点をわかっていただくような方向指導をいたしておる次第でございます。  自己救命器生産確保自己携行実施改善でございますが、自己救命器携行につきましては、予定どおり今月の末日をもちまして、十月からは各人坑内に入ります場合に必ず持って入るように計画どおり進行中でございます。また、各人のそのマスクが自分のものになるという期日は十一月中旬ごろになるかと思いますけれども、少なくとも十月一日からは坑内に入る者は必ず携行して入るということにいたしておる次第でございます。救命器改善につきましては、酸素補給機器につきまして、ことしも七月に補助金を出しまして、酸素補給機器のさらにいいマスクにつきまして研究を現在進めておるような次第でございます。  災害報知のための坑内誘導無線全面採用並びに警報器強化でございますが、この点につきましては規則改正と、それから実際に誘導無線器を買いやすくするための融資につままして、これは現在金がございますので、これらにつきまして鉱業権者に対しましてできるだけすみやかにこれを採用するように現存指導中でございます。  それから地域別地方別救護隊編成強化でございますが、この点につきましても、炭鉱密集地帯につきましては、あらかじめ相互の援助協約と申しますか、そういうものをつくらせておきまして、いざという場合に、系列の違った、あるいは企業や違った救護隊も、いろいろなことに遠慮することなく救護に参加できるようなふうに現在指導中でございます。これも近くそういう編成ができ上がるものと考えております。  常設救護隊につきましては、これは若干時日を要する問題でございまして、とりあえず自山における救護隊員というものをもう少し強化をいたしまして、常設救護隊隊員となり得るような人の絶対数をもう少しふやさなければ、いずれにいたしましてもなかなか実現ができないのだ、そういう方向で現在前向きに検討をいたしておるような次第でございます。  保安確保のための労働者係員申告制につきましては、これは当然のことでございますが、無災害運動等を含めまして、提案制度につきましてこういうことがスムーズに行なわれ、また鉱業権者がそれを受け入れるような体制につきまして強力に指導をいたしておるような次第でございます。  これを全体的に見まして、とりあえずこの決議趣旨に沿った線で指導をいたしておりますけれども、なお完全に具体化いたしておりません点につきましては、今後ともこれを強力に実施できるような方向監督指導をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  8. 岡田利春

    岡田(利)委員 聞くところによりますと、この保安決議に基づいて、石炭協会においても、保安委員会といいますか、保安専門会議を持つべきではないか、こういう機運も最近出ておるように私は聞いておるわけです。もちろん中央鉱山保安協議会もございますけれども、何といってもやはり石炭業界自身が、炭鉱保安を一体どう守るか、こういう前向きの姿勢が積極的に出てこなければなりませんし、そういう意味では、鉱山保安局としてもそういう業界自身の自主的な保安確保という芽を今後伸ばすようにひとつ積極的に努力すべきではないか、またそういう中で積極的な意見というものを出さして、これを実施をさしていくべきではないか、こう思いますので、この点特に今後さらに一そうの努力を私は期待をしておきたいと思います。  あとから委員懇談会がございますので、本日は基本的な問題について藤井政務次官からお聞きいたしたいと存じますが、その第一点は、先般の当委員会で、私の質問に対して通産大臣は、石炭鉱業審議会答申は、大体八月一ぱいめどにして九月に入れば答申ができるであろう、八月が過ぎればいわば秒読みである、こういう答弁がなされておるわけです。しかし、もう九月も相当日にちを経過しておりますけれども、石炭鉱業審議会答申というのはもう今月一ぱい答申することすらも不可能ではなかろうか、こういう状況が伝えられておるわけです。いわば通産大臣答弁秒読みではなくして、建築物にたとえればまだびょう打ち段階で、これからコンクリートをこねて建物の外郭をつくっていく、こういう意味にしか受け取れないような実は感じを抱いておるわけです。しかし一方、石炭企業状態というのは金融が非常に逼迫をするとか、いろいろな面で非常にゆゆしき傾向を強めている、こういう点もございますし、一方、炭鉱に働いておる労働者自身が一体どうなるのかという点について、しばしば政府から言明されておる答申大綱についても相当時期がずれる、こういう点の不安感というものが非常に増大をし、災害発生と相まって労働者が離山をするという傾向が強まっている。さらにまた、産炭地域住民の不安というものも、先ほど陳情もありましたように、これまた見のがすことのできない状況にあるわけです。したがって、石炭鉱業審議会答申というのはやはりある一定のめどを立てて答申をする、そういうものに基づいて多方面の意見を聞き、さらにその答申に基づいて閣議が決定され、来年度予算が編成をされていく、こういう点が早急に明らかにならないということは石炭業にとって非常に不幸ではないか、こう実は私は思っているわけです。したがって、現時点石炭鉱業審議会総合部会を開き、さらに総合部会の結果、より煮詰めて大綱答申をするということになると思うのですが、その総合部会の開催のめど及び答申の時期は、一体現時点でどの時期に答申ができると判断をされているのか、この点は少なくともいままでの経過からいえば当然明らかにされなければならないと思うのですが、この面の所見をひとつ承っておきたいと思う次第です。
  9. 藤井勝志

    藤井説明員 石炭問題につきましては、きわめて範囲が広く困難な問題を含んでおることは御承知のとおりでありますが、お説のとおり一刻も早く抜本策をつくらなければならぬということは、もうだれしも同じ考えでございます。さらばといって、問題の性質上拙速でもいかず巧遅でもいかないという、なかなかこれはむずかしい問題だと思うのであります。実は内部でも盛んに審議会の各委員にいろいろ資料を送り連絡はとっておりますが、いつごろというめどがこの時点に立ってこの委員会において発表できないということはまことに申しわけない次第でございます。大臣が、先般の委員会において秒読み段階に入っておる、こういう御答弁があったやに私もその後承りました。これはどういう意味大臣が言われたか、正確なことは私もわかりませんが、ともかく真剣に取っ組んでいるという、まあ私碁のことはあまり知らないけれども、何か局面ごと秒読み段階に入ったということばがあるわけですが、一つ一つ真剣に問題をとらえて検討している、こういうふうな意味もあったのではないか、こう私は想像いたしますが、多少時期的に、八月中というめどでやったとき、秒読みということになると、もう間近かだというふうに受け取られることばの印象があったのじゃないかということも半面わからないことはないわけですけれども、いまの段階では、一つ一つの問題をとらえて真剣に委員各位の御審議を願っておる、同時にわれわれは委員の御指示によって必要な資料は極力最善の努力をしてお出しし、早く結論を出していただけるように努力をしている、こういう段階でございます。
  10. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭鉱業審議会は、たとえば物価とかあるいはまた政府行政機構を変えるための審議会等いろいろ審議会がございますけれども、私は石炭鉱業審議会というのはそういう審議会とおよそ性格を別にしておる非常に特徴的な性格を持っておる審議会ではなかろうか、こう実は判断をいたしておるわけであります。といいますのは、いままでの過程で、審議会で議論されている内容を仄聞いたしますと、特にその感を深くするわけです。     〔委員長退席多賀谷委員長代理着席〕 しかも通産大臣は、この答申については八月一ぱいを目途にして答申をしてもらいたい、初めからこういう一応のめどをつけているわけです。そういたしますと、もう少し積極的にやはり通産大臣諮問者としてその状況を把握し、しかもそこで政治的に大きな問題になっている点については、さらに通産大臣がこういう点についてはこういう方向検討してもらいたい、あるいはこういう点について促進する意味においてさらに諮問する、諮問具体化していく、こういう態度がなければ口で幾ら誠意をもって石炭政策をやっていく、こう言明されても、おおよそ国民は信頼をしないのではないかと思います。たとえば西ドイツの場合ですと、石炭適応化法案ができるまで、この法案が通過をし、さらに七社に再編成されるに至るまでの周において、シラー経済大臣は積極的に炭鉱経営者意見をも聞く、あるいは労働者意見も聞く、あるいは関係者意見を聞く等の姿勢を示しつつ、あらゆる面を調整しながら一つ方向を精力的にまとめ上げている。こういう面から考えても私はどうも積極性が足らないのではなかろうか、やはり大きな問題なのですから、そういう点については政治ベースの面である程度積極的な諮問者としての考え方というものを示される、こういう態度が今日必要ではないかと思うわけです。でないと、結局出てきた内容自体に対しても、労使の間においてあるいはまた石炭関連業界、こういう面から相当不信が出てくるのではないか。せっかく相当の時間をかけて審議をして出した答申が、労使関係方面から不信の目で見られるということになりますれば非常に不幸なことではないか。特に石炭産業の置かれている現状から考えれば、その点を非常に心配をいたしているわけであります。そういう意味においてもう少し積極的にとの審議会審議している内容を促進する姿勢諮問者として示すべきではないか。きょう大臣が出席できないということでございますけれども、私は特にそういう見解を持っているわけでありますが、そういう見解について次官の御見解を承りたいと思います。また、こういう点についてもしここで見解を示すことができないとすれば、通産大臣はじめ通産省自体としては、そういう点を十分積極的に検討して停滞をしている審議会を早急に具体化していく、早い時期に答申を得る、このための努力をすべきではないか、こういう意見を持っておりますので、見解を承っておきたい。
  11. 藤井勝志

    藤井説明員 御指摘のとおり、私もこの石炭鉱業審議会というのは事の性格が他の一般の審議会と趣が違う、こういう点においても御指摘のとおりだと思うのであります。したがって、この審議会に臨む政府関係当局のかまえと申しますか、それもやはりおのずから一体的な立場で事を処さなければならない、このように思うわけでございます。ただ、過去の石炭対策抜本策が御案内のような経過をたどっている。過去を振り返ってこの石炭問題が含んでいるいろいろ広範な困難な問題を考えると、拙速でいけず、先ほど申しました巧遅でいけず、しかも現在せっかく審議会諮問いたしておりますから、委員の自主性といいますか、そういうことをこちらが先々先走ってもいけない、いま重大な問題、委員の間でもだいぶまだ意見が調整できない、真剣に検討はしていただいておるけれども調整ができない、こういうことにもなっておるやに私も間接に聞いております。しかし御指摘の点は私も全く同感でございます。審議会政府当局が一体となって、一日も早くいい結論が出るように最善の努力をいたしたい、このように思っておる次第であります。
  12. 岡田利春

    岡田(利)委員 先般の閣議において佐藤総理大臣は、石炭産業並びに地方公営企業、さらにまた国鉄等の国営企業は、単に経済の合理性だけを追求をしていくという態度であってはこの問題は解決できないのではないか、そういう意味では国民経済の立場に立って、それぞれの実情を十分勘案をして、ある意味では経済の合理性を乗り越えて積極的な施策を展開すべきである、こういう見解が閣議で述べられたことはすでに報道されておるとおりであります。この佐藤総理の発言を受けた、特にいま石炭産業の政策を立案中の通産省としては、これを一体どう受けとめておるか、どういう形で受けとめておるのか、また総理自身が閣議でこういう発言をするということは、ある意味においては、この停滞をしている石炭鉱業審議会の自主性は尊重しつつも積極的な政治ベースのある意味の助言というものは必要ではないのか、このように私は判断をいたすわけです。こういう点についてどういう受けとめ方を持っているか、また佐藤総理発言を、通産省は、今後の石炭政策を進めるにあたってどういう方針で具体化しようとするのか、見解を承りたい。
  13. 藤井勝志

    藤井説明員 佐藤総理が閣議で御発言になったことは、御指摘のとおり新聞には一応報道されておりますが、内容について大臣から、しかとそのような御発言があったか、実は確認をいたしておりません。察するに、いわゆる産炭地域のその社会に及ぼす重大性、非常に密接不可分でございますから、そういった点とかあるいはエネルギーの安定供給という面からいうと、需要家に対しても重大な影響を及ぼしますから、そういう点を総合的に考えなければならないということではないかと思うのであります。ただ石炭対策抜本策は、申し上げるまでもなくやはり産業政策であり、ないしは経済政策でございますから、やはり経済合理性といいますか、これを没却してしまうというわけにはいかない、それを守りながら、いかにして全体に混乱を起こさないように問題を解決するか、こういう点は通産政策としては一つ基本線といいますか、基本路線、これはやはり守っていかなければならぬ、それを守りながらも、できるだけ総合的に問題を解決する、混乱を起こさないように配慮する、総合的に判断をして混乱を起こさないように配慮する、こういうことが必要ではないか、そういう意味において総理が指摘され、特にまたそういう総合的な配慮が足らないために問題の解決がおくれてはいけない、もしあったとすればそういう御発言ではないかというふうに思うわけでございます。
  14. 岡田利春

    岡田(利)委員 佐藤総理は、御存じのように、昭和三十七年、有澤調査団発足当時の通産大臣であり、この構想を打ち出した場合の責任者であるわけです。そういう意味では、昭和三十七年調査団発足以来の石炭政策についても責任を持っておるから、私は非常に関心があるのだと思うわけです。だから、また閣議においてもそういう発言をしたのだと思うのです。私はそういう意味において、それがどういう、ある程度の真意なのか、通産大臣はどう受けとめておるのか、こういうことにやはり敏感でなければいかぬのではないかと思います。特に石炭局はもう少し敏感でなければいかぬのじゃないか、私はこう考えるわけなんです。特に私はきのう通産大臣の出席を要求したのでありますけれども、残念ながら通産大臣のいろいろな日程できょう出席ができないということで、政務次官にかわって出席を願った、しかも質問については、この点についての見解を求めるということを事前に石炭局に話をしてあるわけです。その点大臣からも全然確められないで、どういう真意なのか、大臣はどう受けとめたのか、全然部内としてわからないという答弁はどうもいただけないのですが、この点はどうなんですか。
  15. 中川理一郎

    中川説明員 岡田先生から御連絡があったことは私も承知しております。実は先日私午後ずっと石油審議会の小委員会をやっておりまして、閉会をしたのが八時でございまして、それから岡田先生の御質問の中身を聞きまして、石炭部のほうから閣議の模様を大臣に確認するように連絡をとらしたのでございますけれども、いろいろな点で連絡がとれませんで、ただいま政務次官が御答弁なさいましたのは、石炭部の連絡で、内閣の総理の経済担当の秘書官に連絡をとらしたのでございますが、閣議の模様はよくわからないけれども、閣議後官房長官から新聞にあったような内容の御発言があったということで、大体新聞報道のような、何らかの形でのお話があったものと私どもは想像しておるわけでございます。岡田先生も御承知のように、総理は前の経緯もございまして、石炭問題についてかねてからたいへん御関心が強いわけでございますし、石炭問題等につきまして、単純な経済合理性という観点だけではなくて、いろいろな角度の社会的影響、こういうものを十分考えるべきだという御意見はお持ちになっておるはずでございますし、私どもも、実は総理がおっしゃったかどうかをいまのところ確認はしておりませんけれども、総理のおっしゃりそうなことだというふうな感じは持っております。間接的な連絡は、人を介しまして石炭の状況も総理の耳には入っておるわけでございます。審議会の模様もかなり御承知のはずでございますので、促進の意味あるいはこの問題の取り上げ方、処理のしかたの大きな立場から御発言があったものと想像しておる次第でございます。
  16. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はいま石炭局長答弁されたように、そういう判断は当然だろうと思うわけです。したがって、閣議で総理が公営企業等の問題に含めてこの問題を発言するということは、そういうような政治的の背景というものがこの審議会を包んでいる、このように私はすなおに実は受けとめているわけです。それだけにわれわれはこれに対しては非常に無関心ではおられないわけでありまして、そういう意味で、こういう点についても、むしろ石炭鉱業審議会審議している内容やあるいはまた経過等からかんがみますと、もう少し敏感にやはりこの点を受けとめるという姿勢が大事ではないか、このように考えるわけです。したがって、そういう点について、いずれきょう午後二時に通産大臣と会うことになっておりますから、私は確かめてみたいと思いますけれども、そういう点についてはもう少し敏感に受けとめる必要がある、こういう点を特に私はこの機会に指摘をしておきたいと思います。  それと同時に、いま審議会答申の時期もなかなか不確定だということで、そのめどが明らかにされておらないのですが、この機会にひとつ問題を提起をしておきたいと思うわけです。それはかつてスクラップ・アンド・ビルド方式を鋭角的に進めていく。したがって、その対象が九州の筑豊炭田である。この対策を総合的にするために、臨時石炭本部というものを一応置いたわけです。これはもちろん産炭地振興の関係をも含めて民生安定を考えるためには総合施策が必要であるという発想であったと思うのですが、この機能は、われわれが期待した機能を発揮しなかったと実は受けとめておるわけです。私は少なくともいま、今後五カ年間で日本の石炭産業の規模をきめ、石炭産業方向というものをきめていくとするならば、いま審議会審議されている内容がどういう形で答申されるにしても、もう少し次元の高い総合的な石炭本部、こういう構想が当然出てこなければいかぬのではなかろうか。いわば石炭局全体が石炭対策の本部だと、こういう理解もできますけれども、しかし、これからのいずれにしても答申された内容を消化するためには、いろんな問題が出てくると思うのです。もちろん労働省所管の問題も出てまいるでしょうし、あるいは産炭地振興になりますと、あらゆる各省に関係する問題も出てまいるでしょうし、いろんも多面的な問題が提起されてくるのではなかろうかと思います。残る炭鉱については、先ほど陳情がありましたが、住宅一つ考えても厚生省所管である。こうなってまいりますと、どういう答申が出るにしても、これをほんとうに実のあるものに総合的に推進をしていくという観点に立てば、石炭対策を総合的に進める本部といいますか、そういう機関というものが当然考えられなければいかぬのではなかろうか。ドイツですと、連邦議会の代表がある程度の権限を持って、いろんな地方との関係あるいは政府部内のいろいろな関係を調整するというような機能を持たしておる構想も石炭適応化法案の中には出ておるわけですが、私はやはり今後の石炭政策を総合的に進めるためには、そういう機関というものをこの際検討すべきではないか。こういう点もやはり審議会として検討願う。あるいはまた、その後の答申を受けた側としても、いまからやはりそういう点についての検討をすべきじゃなかろうか。聞くところによりますと、産炭地振興法の改正案も次期通常国会に出る、答申に即したそれぞれ関連の法案も国会に提出されると思いますので、そういうものも含めてこういう点について考慮をすべきではないか、こういう積極的な意見を持っているのですが、この面についてどういう見解を持たれるか、この機会に承っておきたいと思うのです。
  17. 中川理一郎

    中川説明員 お話しのとおり、どのような結論に相なるかは別にいたしまして、今回以降とられるべき石炭対策につきましては、かなり従来とは違った問題が新しくかつ広い範囲に出てくることと思います。したがって、これは全政府ベースで各省が相協力して解決すべきことだと考えます。そのことは産炭地振興等を考えましてもおっしゃるとおりでございまして、産炭地域振興審議会の運用等でもおわかりのように、各省が入りましてこの審議をいたしておるわけでございます。石炭政策のほうはいまなお基本的なところを審議しておりますので、基本ラインがきまりました上で、事項別に各省とまた部会その他の運営によりまして相談をいたす、こういう考えでおります。いずれにいたしましても、審議の過程におきましても、実施段階におきましても、各省庁と密接な連絡、完全な意思の疎通ということが行なわれておらなければならないことは御説のとおりでございます。ただ、これがために特別な行政機構を考えるかどうかということはまた別個の問題でございます。さようなことも考慮に入れまして、ただいまの御意見に即した態度をとりたいと思います。
  18. 岡田利春

    岡田(利)委員 あとから懇談会で審議会経過等について伺うことになっておりますから、この程度にとどめておきたいと思います。  次に、いま北海道で雨竜炭鉱の閉山が提案をされておるわけです。しかもこの閉山提案をめぐって、労働者側は、新しい政策が出るまではこの閉山は認めないという形で対立をしておることは、すでに御存じのとおりであります。そもそもこの雨竜地区というのは、御承知のように留萌鉄道がいわば石炭を輸送するための専用鉄道という性格を持っており——さきに九州鉱山の太刀別炭鉱が会社更生法の適用を受けて、当初の経営状況から大きく後退をしている。残るは明治の昭和炭鉱一山である。いわば雨竜三山、こう私どもは称しておるわけですが、その一つの雨竜炭鉱の閉山が正式に提案をされたわけです。私どもは、特に雨竜の地域の問題については、地域の総合的な開発を前提にしてここに炭鉱をやはり残すべきである、こういう見解を表明してまいりましたし、今日もその見解については変わりないわけです。もちろん雨竜の場合には昭和から相当離れておりますから、当面は雨竜と太刀別の総合開発。しかしながら、今日の労務事情からいえば、この地域の労働者を逃がさない——通勤可能でありますから、この地域の労働者確保しつつ、そういう総合開発の方向に持っていくべきである。特に、太刀別の場合には、昭和坑道を若干延長すればこれはもう連絡できるわけですから、坑外で索道で石炭を輸送するよりも、坑内で輸送したほうが非常に経費も安くなるし、総合開発も可能だ、こういうぐあいに私どもは見ておるわけです。特に北海道の積雪寒冷の状況から、たとえばハウスコールの地域的な確保という側面も考えなければなりませんでしょうし、留萌における石炭の積み出しの施設の充実、こういう面を考えても、この点については相当配慮が払われなければならないものではないか。ところが、石炭政策が立ちおくれて、こういう地域総合開発の問題については全然議論されないという中から雨竜の閉山が行なわれ、労働者が四散してしまう。太刀別においては労働者が集まらない。昭和についても、同様、労働者が不足である。この地域の労働者が、結局時期がずれるために四散してしまい、地域の産業が崩壊してしまう、こういう道を私はたどるのではないかと心配をいたしておるわけです。雨竜をすぐ総合的に開発することは困難であるとしても、私はそういう前提に立てば、この面についてはある程度の方向が示されれば労働者確保もこの経過の中で可能ではないか、こういう見解すら持っているわけですが、この点については、全然無縁なものであり、そういう点については全然考慮しないという見解を持っているのかどうか、この点、見解を承っておきたいと思います。
  19. 中川理一郎

    中川説明員 雨竜炭鉱は、御承知のように昭和三十七年の十二月に古河鉱業から分離した炭鉱でございます。分離以降、経営の安定化を目ざして鋭意努力してきた様子でございますけれども、地質構造の変化、炭質の劣悪化、こういった自然条件の悪化や相次ぐ災害発生及び労働力確保の困難性というようなことから、長い間にわたりまして減産のやむなきに至っておりまして、経理状況はきわめて悪化いたしておりまして、操業は困難となっております。このため、会社側は八月二十六日、労働組合に対し閉山の提案をし、現在折衝を続けておるという状況でございます。組合側は、石炭の新政策が出るまで閉山には賛成できないという態度をとっておることは、岡田委員おっしゃったような状況と私どもも理解をいたしております。本来、炭鉱の閉山は経営者側と労働者側とが十分なる意思疎通の上で決定すべき問題でございますので、私どもとしてはこの折衝の成り行きを見守りたい、こう考えておる状況でございます。なお、留萌の三山、明治の昭和、雨竜と太刀別について総合的に開発、運営をするならば、かような状況にはならないのではなかろうかという御意見と承知いたしますが、すでに九州の太刀別鉱が会社更生法の適用をとりまして、いまたいへん苦心をしておるという状況は御承知のとおりであります。留萌鉄道につながるこの三山も、きわめて客観的に申しますならば、自然条件その他の条件を考えまして、非常に優良な炭鉱であるというふうには判断し得ないものと、私どもは残念ながら思っております。したがって、もう少し早く何かやっておれば、ということは、一つの想像論にはなりますけれども、現状におきまして、かりに三山を統一的に運営するということを考えまして、はたしてうまくいくかどうかということには相当の不安、困難性があると認めざるを得ないのではないかと考えております。
  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、留萌三山というものはいずれもそうすばらしい炭鉱だとは思わないわけです。これは認識はそう違わないわけですが、ただ昭和を中心にして相当持続的に、石炭生産というものが安定的に可能ではないか、実はこういう見解を私は積極的に持っておるわけです。ですから、雨竜地域の場合には確かに離れておりますから、すぐ総合開発ができるところではありません。しかし、私が言うのは、たとえば昭和というものが、これは残っていくんだということが前提になれば、雨竜の人間は、たとえ閉山にはなっても通勤可能なわけですから、労働力の確保は、この地域に残りたい人は昭和に残るということになる。ところが昭和自体がどうなるかわからない。だからいま引き抜き合戦で、一人雇用するのに二十万あるいは二十五万という金を積んで、空知炭田から一せいに押しかけてスカウト合戦をしている。どうぞ山の見学にいらっしゃいといって、バスをもって乗り込んでいるのが今日の現状なんです。いわゆる石炭政策が後手後手であるから、こういう点についても何らの方向づけをすることができないというのが、私は今日の現状ではないかと思うのです。また、太刀別は会社更生法の適用を受けたけれども、私どもの聞いている範囲では、これは立ち直ることは不可能であろう。そういたしますと、結局管財人はこれを放棄をして買い上げてしまう。これまた個別的に消えてしまう。そうするとこの地域に労働力を確保すること自体が困難になってくる。社宅もあるわけなんです。施設はあるわけなんですから、そういうものを活用しつつ、基点になる炭鉱体制というものを安定化をはかるということが積極的にとられれば、私は非常に効率の上がることではないかと思うわけです。この点がはっきりしないものですから、労働者は不安だから、結局、大体これはもう間違いなく残るというような方向に全部四散してしまう。もう炭鉱をあきらめてどんどんほかに流出してしまう。特に雨竜の労働者というものは、第二会社に切りかえて退職金が清算をされ、相当炭鉱に対しては熟練工といいますか、そういう人々が多く残っておるわけなんです。こういう点が確定をされると、地域経済も一応先の見通しもできますし、労働者も残るということも相当可能ではないか、私はこういう見解を持つわけです。こういうところに、どうも石炭政策というものが後手になる。なると同時にそういう思い切った打ち出し方ができないというところに、日本の石炭政策が常に跛行状態になってしまうという欠陥を持っているのではないか、こういう見解なんです。そういう見解がある程度明らかになっていくとするならば、私は何らか打つべき手があると思うのです。いたずらな紛争を起こすこともないと思うわけです。私ども、そういう意味においては協力することについてはやぶさかでもないわけです。そういう点は全然考えられないのかどうか。全然脈がないということであるならば、これは何をか言わんやでありますけれども、これまたこの地域にとっては鉄道もろとも地域が空洞化するということですから、たいへんな問題なわけです。これは前の天塩鉄道の例もありますけれども、私はそういう意味でこの地域の問題を非常に心配しているわけなんですが、きょうはもう少し具体的な答弁はできませんか。
  21. 中川理一郎

    中川説明員 御質問の御趣旨は、私は非常によく理解できるわけでございますが、石炭政策がどうなるか、これはいまなお検討中の事項でございまして、情勢の度合いその他、大切な点がまだきまっていないわけでございます。かりによく議論されております石炭の想定出炭規模というようなものによりましても、私どもおそらく最終的な結果として、Aという炭鉱は残る、Bという炭鉱はなくなるのだというふうな、個別の具体的な炭鉱について一つ一つ政府判断するというようなことには、政策としては相なるまいと考えております。むしろ企業政府との関係からいたしますならば、これだけの助成をいたしますから、やれるところはやってください、やれないところは考えてください、やれないところにはまた何らかの措置は講じますということになるのではないかという感じがいたすわけでございます。御承知のように、ぴしりと個別の鉱山について存否を明らかにするというような態度は、これはとり得まいと思います。これはまた石炭産業性格からもそうでございまして、相当、労使双方の熱意によって、御承知のように非常にたくさんの人間を使う産業でございますので、気合いの入れ方によっては同一条件の炭鉱でありましても、しっかり働いてくれるところはやり得るという可能性のある産業でございますので、私どもが機械的な数字でもって、イエス、ノーを区分するということには非常に——かりに工業製品の場合と比べましても、相当差があるのではないか、こういう感じがいたすわけでございます。したがって、残念ながら、いまの時点で基本的に具体的な山についての存廃を明らかにする立場にもございませんし、また政策の決定いかんで、成り行きとして可能であると当該企業が考えるかどうかという状況につきましても、残念ながら時期的にはまだ判断のつかない状況でございますので、これ以上のことは申し上げることが不可能でございます。  ただ、太刀別が非常に苦しいことは、ただいまおっしゃったとおりでございます。雨竜はこうやって閉山通告を経営者側がしておるという状況であります。残るものは明治の昭和でございます。昭和につきまして、昭和がほんとうにやっていくということになりましたならば、この昭和炭鉱から太刀別の鉱区の一部を採掘するというメリットは、私どもが考えましても十分にある、こう考えます。また昭和炭鉱は労務者が現在五十人不足しておるという状況でございまして、雨竜がもし閉山ということに相なりますならば、雨竜からの採用を期待しておるという状況はございますので、もしそういう時点に相なりましたならば、これらの労働力の転換につきまして、私どもも所要の協力をいたすつもりではございます。
  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は確かにある一定の時期まで、ある一定の基準にかなうものはそれはやっていけるという局長の答弁は、そうだろうと思うのです。そうしますと、これを裏返しをすると、閉山の買い上げの額も、何ぼになるか知りませんけれども、上がることだけは間違いないわけですから、その分だけは損をしても、じき答申大綱が出るまで様子を見ようというのは、これは無理からぬことではないか。そして大体この基準でいくのだということになると、昭和に入っておれば、じゃ、がんばってやるかという決断がつくわけです。そうすると労働者側もある程度、一カ月間で答申大綱が出るのだからそれまでとにかく待とう、いまやめたってあとからやめたって、買い上げのやつは来年かもしれぬけれども、とにかく様子を見ようという労働者の気持ちは無理からぬものがあるというふうに、私は判断するわけです。そうしますと、結局は労使の紛争というものは持続をされていく、こういうことになるわけです。だから私はそういう意味で、かねてスクラップ・ジャッジの問題についてもいろいろ意見を述べておりますけれども、しかしながらやはりこれからの閉山は、いままでのように、悪いからつぶして、いいところをどんどん石炭を出すというようなことにならぬですよ。ビルドをしていく炭鉱といっても、限界はありますよ。だから閉山というものは閉山されただけ極端にいえば出炭規模も減る。そういう傾向がこれからの炭鉱の実情だと私は思うのです。そうなってくると、労使の紛争というものは従来の経験とは相当違った紛争が出てくるのだということを知らなければならぬと思うのです。いままでは、四山があれば一山が閉山をする。そうして三山を生かすために一山は割り切るのだという労働者姿勢があったわけです。今度の場合は、もろともなくなるが、とても負担はしょい切れぬということになるわけですから、相当な抵抗が予想されるわけです。こういう問題を考えないでこれからの政策を具体的に進めることは不可能である、こう思いますので、特にこの点はこの機会に指摘をしておきたいと思うのです。  時間がありませんから、次に、北海道の産炭地振興のために私どもが大きく期待しましたのは、筑豊炭田の地理的な条件と違いますから、北海道の産炭状況から判断をして、この石炭を使って二次産業が起こされる、そのことによって雇用吸収ができる、地域経済がその面である程度プラスになる、こういう意味で活性炭の予算がつき、さらにまた北海道工業開発試験所でやりました無煙燃料についてもそういう工場ができるということについては、北海道の産炭地振興には最も適切であるという点で実は大きな期待を抱いておったわけです。ところが、いずれも活性炭の場合には会社がまだ設立されていませんし、無煙燃料もその後の情勢の変化で当分見込みがないのじゃないか、こういうように実は承っておるわけです。     〔多賀谷委員長代理退席、委員長着席〕 この点については特にどういう状況になっておるか。それと同時に、北海道の産炭地振興については、九州や常磐の経験をそのまま当てはめることはむずかしいのではないか。積雪寒冷地でありますし、海岸から非常に奥地にある内陸に炭鉱が存在をしている。さらに沢地にそれぞれ炭鉱が存在している。こういう点から考えますと、北海道の産炭地振興というのは筑豊、常磐とは違った面で対応しなければならぬだろう、こう私は考えるわけです。  そういたしますと、単に工場団地をつくって従来の優遇措置をとったから企業北海道の団地にくるということにはおそらくならぬだろう。そうすれば、結局ある程度労働力が労働力を生かしながら、そこに企業を配置するとすれば、中核的なものについて思い切った優遇措置をする、これが呼び水になって一般基準で企業がくれば幸いであるし、こなければなかなかそれは見通しとしては暗い。こういう割り切った重点的な考え方で産炭地振興をやらないと、北海道の場合はむずかしかろう、こう思うわけです。これから特に北海道が産炭地振興の正面に出てまいるわけですが、こういう点についてはどういう見解を持たれておるのか、この機会に承っておきたいと思います。
  23. 中川理一郎

    中川説明員 ただいまの御意見につきましては、私は全く同感でございます。  北海道の産炭地域振興を考えます場合に、この地域の気候、風土といった自然条件あるいは市場の形式と産業基盤の整備状況などという経済的条件、こういうものがともに恵まれた状態にあるとは言えないわけでございまして、鉱工業等の振興も他地域に比して特に大きな困難が存しておると思います。したがって、御指摘のように、九州、常磐の例をもって北海道の産炭地振興を単純に引き伸ばして考えて遂行するというわけにいかぬということは、私どももそうであろうと考えております。しかし、反面、将来の工業開発の適地としてとらえられる地域も少なくはございませんし、御指摘のように、石炭鉱業をベースとして形成された若干の社会資本であるとか、特に労働力のストックというものがあるわけでございますので、これらを前向きに活用しつつ、石炭鉱業にかわるべき産業の育成振興を特に強力に促進する必要があると考えております。  御承知のように、産炭地域振興審議会におきましても、石炭審議会審議と並行いたしまして、すでに総合部会を一回、小委員会を六回——小委員会では、北海道、九州というふうに、個別地域を分けて審議をするという形でやっておりますのは、御指摘のような地域の特性の相違を念頭に置き、かつこれからの北海道の産炭地域開発というのは非常にむずかしい問題があるということを私どもが意識しておるからにほかならないのでございます。  こういう状況でございますので、産業基盤等の整備を進める一方、振興事業団による企業誘致のための諸事業につきましても、特に北海道地域のように振興の必要性、緊急性の大きな地域に対しまして、いまの自然条件その他も考えあわせまして、融資条件等について特別の考慮をいたすこと、あるいは他地域と区分いたしましてある程度出資事業の弾力的な運営をはかるというようなことは当然考えていかなければならないのではないかという角度で、鋭意検討を進めておる状況でございます。  なお、前段具体的な問題として御質問のございました活性炭製造会社の設立、無煙燃料製造会社の設立について、その後どうなっておるのかということについてお答えをいたします。  活性炭の製造会社につきましては、御案内のように、四十二年度の予算の五千万円を産炭地振興事業団が出資するという方法で民間出資を期待しておるのでございますが、御承知のように、需要面につきましては、主として鉱害対策上の問題の進みぐあいを前提にいたしておるということでございますが、この需要見通しに若干のなお困難性があることと、技術開発の問題につきまして、なお企業化にあたりましては若干検討すべきことがあるということでございまして、もうしばらく結論を出すには時間がかかろうかと考えられる状況でございます。  他方、無煙燃料につきましては、そもそもの計画が微粉炭を若干利用するということに相なっておりますけれども、微粉炭の市場に非常に大きな変化が出ておりまして、無煙燃料に微粉炭を利用することが経済的にどうも非常にむずかしいという状況が刻々生まれてきておりますので、これらも早急に検討いたしたいと考えております。  以上二件のプロジェクトにそれぞれ五千万円の出資を予算上は計上しておるわけでございますけれども、最悪の場合、これらの二会社の設立に問題が出たといたしましても、実はやはり情勢の変化が刻々とまた新しい出資期待が産炭地事業団に対して出ております。私もよく存じませんけれども、わらを圧縮加工して建材にしたいというようなプロジェクトも動いておるというようなことでございまして、かなりのものもございますので、用意しております予算を十分活用することには支障はないのじゃなかろうか。その際、先ほど御指摘のありましたような特殊性にもかんがみまして、北海道を優先的に考えていくことはもちろん当然でございます。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは答弁は要りませんけれども、最後に、いままでの石炭政策は相当スクラップをやってまいりましたけれども、いわば拡大生産の方向なんですよ。五千万トンの方向でとにかくきたわけですから、いわば石炭の出炭総量からいえば、ある程度拡大生産、五千万トンを大きくこえるということはなかなかむずかしかったわけですから、そういう意味ではある程度スクラップのやり方も思ったよりもスムーズにいった。あるいはまた大手で相当山を持っていて、とにかく全部もろともいくよりも、残るものは残そう、そのためにこの点は割り切ろう、こういう心理状態労働者にあったから、閉山に対しては協力をした。また残るために、やめる労働者に対しては退職金を完全に払い、あるいはまたある程度のプレミアもつけてこの面をおさめた、こういう経過をたどっていままでの石炭政策が動いてきたわけです。これからは、少なくとも私は現状四千七百万トンから五千万トンに伸びていくのだという前提に立って石炭政策というものは進まないのだと思う。出炭規模はどうなるか知りませんけれども、四千万トン台になろうが三千五百万トンになろうが、要するに総量も縮小するし、積極的なスクラップもやるのだ、一方においてはビルド炭鉱もそう生産量がぐんぐん伸びていく状況じゃない、こういう中でこれからの石炭政策を進めるわけですから、従来とは全然質的に違うのだということを念頭に入れておかないと、私はたいへんなことになると思う。そういう意味では、労働者側の反応というものも非常にきびしい、きつい態度で対処してくるでしょうし、労使紛争というものも相当鋭い形が起きてくる可能性がある。また一方、われわれ国会議員として、当委員会でこれからの政策に基づく法案等も出されてまいるでしょうけれども、昭和三十七年の石特委では、大乱闘を演じた歴史的な経過があるわけです。そういう経験を経て、超党派的に石炭政策というものを煮詰めていこうという立場に立って、当委員会はお互いに譲るものは譲り合って、とにかく石炭のために超党派的な感覚でひとつやろうということで推移してきたことは御承知のとおりなわけです。ですから私ども社会党の場合、当委員会に対してもすでに私どもの案は出しておりますけれども、われわれはこれに硬直的に固執するという態度を示しているのではないわけです。よりよい方法があるならば、妥協してもとにかくみんなである程度譲り合って、納得できるものがあるならば石炭産業のためにそういう方向を見出していこうではないか、こういう弾力的な態度で実は臨んでおるわけなんです。したがって、今後出されてくるものが、労働者側や私どもも全然納得できない、物理的な抵抗をしてもこの点については反対をするなどということになりますと、私は石炭産業そのものが瓦解するような不幸な事態におちいる可能性すらもある、こういう点を、従来の石炭政策を進めた経過と、これから打ち出してくる石炭政策をどう展開していくかという場合には、質的には変わるのだ、客観情勢も主体条件も質的に変わってくるということを十分腹の中に入れて、肝に銘じてひとつ今後の審議会に対処してもらいたいし、また答申を受けても、そういう点できびしく受けとめて、ひとつそういう方向を示してもらいたいということを特に強く指摘をいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  25. 堂森芳夫

    堂森委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕