○堀
委員 支出のほうは私もどこがどうというふうにいま言わないで、ただ、九千億からあるから七十七億くらいは――過去の例は去年四百億も圧縮しているから、まあまあそのくらいは減るだろうと言ったのですけれ
ども、そういう
答弁があると私もちょっと一言言わなければいかぬので、少し申しておきますと、ことしの逓信
委員会で実は私は設備料の問題というのを企画庁長官も小林郵政大臣も御出席をいただいてやりました。そこで、実はあの問題はいままだペンディングになって残っておると思うのです。しかし、あの問題、お聞きになっている方がわからないといけませんから、ちょっと簡単に
説明をいたしますと、公社は、設備料というのは何かといいますと、要するに家の中にある電話機と引き込み線に見合う設備料であります、こういうことです。ですから、その設備に見合う費用がそこで加入者から取られておるということにいまなっておるわけです。電力会社がこういう一部負担金をする場合には、その一部負担金というのは横へどけておいて、それを除いた額だけが固定資産として計上をされて、その部分だけが償却をされる。ですから、要するに電力会社の場合には、民間事業でありながら初年度の工事については実は減価償却の二重取りというのはないのでありますけれ
ども、私が観念をするところでは、電電公社の場合には、最初に引き込み線とその中の電話機に対する費用として三万円取ってあるのですから、その部分をもし根っこから償却するならば二回償却をしたことになるのではないかという議論を実はこの春の逓信
委員会で設備料値上げでやっておるわけです。それを、もし私の論理どおりにいきますと、ことし電電公社は設備料収入として五百二十六億円ここへ計上しておるわけですから、いまの引き込み線と電話機の耐用年数は幾らかわかりませんが、もしそれを十年とするならば、その十分の一の五十二億は減価償却を圧縮してもいいのではないかという議論が当然あっていいのではないかと私は思っております。これはひとつ企画庁と郵政省と電電公社でよく話し合って
結論を出していただきたいとあのときに私申しておきましたが、
結論は出ておらぬだろうと思います。この電電公社の減価償却というものは非常にばく大な減価償却が行なわれておるという例をちょっと申し上げますと、
売り上げ高に対する減価償却費の割合が一九六五年についていえば、ベル・システムは一四・七%しか償却しておりません。ゼネラル・エレクトリックは四・九%、電電公社は二九・八%償却しておる。償却前
利益で、日本の会社の中でこれほ
どもうかっておる会社はおそらくないのじゃないかと私は思うのです。これは実はたいへんな収益を上げておると私は思うのです。ですから、それだけもうかっておるところが、一体設備料の分についてまで二重に償却しなければならぬかどうかについてはなはだ疑問なんです。そして、そういうものを前に出して、赤字になるから電話料を値上げをしようという立論構成については、私はどうしても国民の立場から納得できない。それで五十二億ぽんと出ますと、あとは二十五億しかないのですから、九千億で二十五億なんというのは、これはさっきの話じゃないけれ
ども、どうにでもなるという問題ではないのかということになりますと、私はどうもいまから言うのはあれですけれ
ども、四十四年度においては、結果としては電電公社の損益計算では赤字は出ない。ただ赤字が出てくるとするならば、それはさっき私が前段で論議をいたしました予算に計上されていないところの、要するにベースアップ分というものをここで取り入れてみる場合には、決算としては赤字が出る場合はあり得るだろうと思いますけれ
ども、少なくとも予算上の論議の中では、赤字が出る論議にはならないというのが私の現在の
判断であります。ですから私が前段で言ったのは、そういう点はもう少しきちんと合理化をして、予備費を積んだ上で私は実は議論したいわけです。そうしないと、ちょっと片手落ちな点があるから、前段でいまのベースアップ分を予備費の中に少し入れて、バランスのとれたかっこうで、赤字が出たとしても、それはこのくらいだということになったほうがいいと思ったけれ
ども、そこはいろいろの過去の
沿革からして急にはいきませんが、少なくとも皆さんのほうで出される予算上の形の中においては、赤字が出るということにはならないのではないか。だから、電電公社もいろいろ事情はありましょうし、私はわかる点もあるのでありますけれ
ども、今度の値上げというものは、これまでの論理構成からするならば、もう一年引き延ばしてもらったほうが――来年の物価上昇というものは、これは企画庁長官もしばしばおっしゃっておりますように、ちょっとまだ高度成長は続きますから、これの余波は必ず来年にまたしわ寄せのかっこうで出てくるだろう、こういうふうな感じもしますので、この際政府の
関係する公共料金については値上げを避けてもらうのが適当ではないのか、これが本日の
委員会で私がこの問題を取り上げた主要な論点でございます。これについて、まず物価を担当しておられる企画庁長官から、いまの電話料値上げについての客観的な私なりの分析でありますが、御参考までに出したものをもとにしていただいてひとつ御
判断いただきたいと思いますが、いかがでありますか。