○塚本
委員 この問題、時間がございませんから打ち切らさしていただきますが、要望だけ申し上げておきます。必要ならばということの御
意見が
局長から出ましたが、もう必要に迫られて、ある山のごときはすでに相当な赤字を出しておる、こういう
状態でございますので、
企業としての努力は当然要求しなければなりません。しかし一方におきまして、そういう
生産費ゼロというようなものと太刀打ちせよなんということは、これは言うほうが無理でございますから、これに対する具体的な予算
措置その他について鋭意御検討いただきまして、これが
実施方を強く要望申し上げる次第でございます。この問題、せっかく前向きで御検討いただいておるようでございますから、要望だけにとどめさしていただきます。
私は次に通産
大臣にお尋ねいたしますが、
中小企業問題で、近年設備の近代化、
生産の合理化、こういうことがもう再々叫ばれてきております。ところが、私はきょうここで結論を得ようとは思いませんが、ぜひ通産
大臣にも
経済企画庁長官にもお願い申し上げておきたいと思いますが、私自身も
中小企業の一部門を担当して事業を行なっていて経験いたしたところでありますが、せっかく近代化あるいは大量
生産によるコストダウン等をなし遂げたら、そのときはすでに
中小企業の手からいわゆるその
産業は取られてしまって、大
企業がそれを行なってしまうというような
状態に今日までの
産業界はなっております。だから
中小企業が生き延びる道は、非合理な、そうして何らかの形で利潤を得る者だけが安泰であって、合理的に近代化された
生産体制を整えると、待ってましたとばかりに大
企業が豊富な資金をもって、
中小企業の行なっておりまする
産業等を取り上げてしまう。そして資金と
販売量にものを言わせて、とうてい太刀打ちできないような形にさせられてしまっております。だから私は、
中小企業の問題解決のためには、どうしても最終的には
中小企業の
産業分野に対して何らかの規定づけを行なっていくことが必要で、金があるならば何でもできるんだ、銀行さえつなぎとめておくならばどんなことにでも手を出せるんだというようなことでいきまするならば、
中小企業の努力というものは全く水泡に帰してしまうというふうに思うのでございます。それはたとえば、私は自分で家具屋をいたしております。前の菅野さんのときにも申し上げたのでございまするが、家具でも大量
生産のできるものはほとんど大
企業に取られてしまいました。スチール家具がその典型的なものでございまして、金属でございますると大量
生産ができます。だからせっかく開発したものが、できると大
メーカーががさがさっと設備を整えてやってしまう、こういう形で取り上げられてしまう。
一つの家具
業界を見ても、和家具で全然大量
生産のできない、職人でやっておりますようなところは、実は生き延びております。これがいわゆる洋家具になりますると、相当に大量
生産ができる、そういう傾向が出てきますると、これが大
企業の手を伸ばすところとなってきて、実はたいへんな資金に追われておるという
状態。これがスチール家具になりますると、もうその度を通り越してしまって、その
産業分野はもはや
中小企業ではなくて、大
企業に取られてしまっておる、こういうような
状態になってきております。結局大
企業が、大量
生産ができると
中小企業の
分野をほとんど取り上げてしまうというような
状態でございます。電気ごたつなんか極端でございますね。こつこつとやっておりまするうちはよかったのでございまするが、それができ上がって大衆に普及されてきますると、一生懸命宣伝費をかけて、何年か実験の過程を経て
中小企業がこれを確保した、その暁においては大電気
メーカーがごっそりと取り上げてしまう。こういう形になってしまうから、
中小企業者の立場になると、そんなに合理化しなければよかった、それならば自分たちも細々と先祖伝来の仕事、あるいは腕に覚えた職をそのままやっていくごとができたのに、こういうことが実は
一つ私が携わっておる家具
業界だけでも顕著にあらわれております。おそらくこのことは、あらゆる
分野においていわれてくるのではなかろうか。だから最終的に合理化することはやむを得ない。私はこれは開放経済
体制下における
産業人の当然の宿命ではあろうと思いますが、そうすると
中小企業とは何だということになりますると、逆に合理化のできないもの、人件費のかかるものだけが
中小企業のもとにと押しつけられてきておるという
状態。その顕著な例が、実は建設業なんかだと思いますね。実は五大建設
会社が落札はいたしておりまするが、実際そのあたりで働いておる人に落札をした建設
会社の従業員が一人でもおるかということを申し上げてみますならば、遺憾な
がら監督で図面を持って飛び回っておる人が、これもあるいはですが、その落札をした
会社の従業員であるかもしれない程度でありまして、おそらく最低五段階ぐらいピンはねをされて、そして小さないわゆる下請の業者がそれを行なっておる。だからこそそういうところが多く事故を起こす。事故の犠牲者は何だ。その建設現場は実は大きな建設
会社でありまするが、犠牲になっておる人は全く名も知らないような
会社の従業員であることがほとんどであるという
状態でございます。これはひとり建設
会社だけではない。製鉄
会社の中で働いておりまして、労働災害の事故にあいまするときも、その
会社の中であった事故だから、その人はほとんどそこの
会社の従業員であるかと思って見ますると、その場合、いわゆる半分以上が、その中で働いておりな
がら、実際はそこの従業員ではない、こういう形になっている。もうからないもの、手数のかかるもの、近代化のできないものだけが
中小企業にと
分野を押しつけられてしまって、みずからが製品として開発しておるものでさえも、それができ上がったとたんに、
販売力にものをいわせ、資金力にものをいわせたものが取り上げてしまう。もはやその時点では
中小企業の手から遠く届かないところにそれは行ってしまう、こういう形になっております。だから私は、このことをいま直ちに回答をいただくことは無理だとは思いまするが、最終的には現実に
中小企業のほうが
日本の
産業においていわゆる能率が上がり、そしていいところにいっている
分野がたくさんあります。現実に製造そのものは
中小企業が負っております。にもかかわらず設計と
販売だけ、あるいは資金面だけでひもをつないで、大
企業製品として、これをテレビのコマーシャリズムに乗せて
販売しておるという形にさせられておるわけでございます。だから最終的に
中小企業の問題を解決するところのきめ手は、
産業分野というものをある程度、むずかしい問題であるとは思いますが、何らかの形でこれにメスを入れて、そうして
中小企業分野の確保、
産業分野を確保するということに対する検討がなされてしかるべきではないか、かように思っておるわけです。将来の見通しとしてそう思うわけでございますが、この点の見解はいかがでございましょうか。