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1968-09-19 第59回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月十九日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 稻葉  修君 理事 湊  徹郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 川村 継義君    理事 神田 大作君       熊谷 義雄君    塩谷 一夫君       中川 一郎君    水野  清君       武藤 嘉文君    淡谷 悠藏君       井上  泉君    井上 普方君       小川 三男君    太田 一夫君       久保 三郎君    小林 信一君       斉藤 正男君    平等 文成君       小濱 新次君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君         運 輸 大 臣 中曽根康弘君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    川上 幸郎君         内閣総理大臣官         房参事官    杉浦 喬也君         警察庁刑事局捜         査第一課長   田村 宣明君         警察庁交通局交         通規制課長   玉田 茂芳君         警察庁警備局警         備調査官    津田 武徳君         国税庁間税部酒         税課長     玉置 明男君         文部省管理局教         育施設部指導課         長       栗山 幸三君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省社会局施         設課長     大和田 潔君         厚生省保険局国         民健康保険課長 松田  正君         農林政務次官  安倍晋太郎君         農林大臣官房参         事官      荒勝  巖君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君         農林省農林経済         局金融講長   松本 作衛君         農林省農林経済         局保険管理課長 福島 量一君         農林省農林経済         局保険業務課長 松永 正隆君         農林省農地局参         事官      井元 光一君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       櫻井 芳水君         農林省蚕糸園芸         局長      池田 俊也君         食糧庁業務部長 馬場 二葉君         林野庁長官   片山 正英君         水産庁漁政部漁         業振興課長   矢崎 市朗君         中小企業庁計画         部長      井土 武久君         運輸大臣官房観         光部長     蜂須賀国雄君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         気象庁長官   柴田 淑次君         気象庁次長   増田 誠三君         気象庁予報部長 北岡 龍海君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         建設省河川局砂         防部砂防課長  田中 憲一君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         自治政務次官  細田 吉藏君         自治大臣官房調         査官      角田 直方君         消防庁調査官  永瀬  章君         日本国有鉄道施         設局土木課長  三浦 誠夫君         参  考  人         (電源開発株式         会社理事)   石井由太郎君         参  考  人         (電源開発株式         会社理事)   桑原  進君     ───────────── 九月十九日  委員淡谷悠藏君、井上普方君、加藤清二君、楯  兼次郎君、福岡義登君、森義視君及び小川新一  郎君辞任につき、その補欠として金丸徳重君、  井上泉君、太田一夫君、小川三男君、小林信一  君、久保三郎君及び小濱新次君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員井上泉君、太田一夫君、小川三男君、小林  信一君、久保三郎君及び小濱新次辞任につ  き、その補欠として井上普方君、田原春次君、  田邊誠君、福岡義登君、森義視君及び小川新一  郎君が議長指名委員に選任された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  台風第七号及び第十号並び集中豪雨による災  害対策  自然災害の防止に資するための気象業務の整備  拡充に関する件      ────◇─────
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、前回に引き続き、台風第七号及び第十号並び集中豪雨による災害対策について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊谷義雄君。
  3. 熊谷義雄

    熊谷委員 時間の関係もありますので、きわめて簡単に御質問申し上げますので、答弁のほうも簡単でけっこうでございます。  五月の十六日に発生した十勝沖地震災害青森中心災害でございまして、総額五百億をこえるという、青森県にとってはかつてない大災害であったわけでございます。これに対して、いち早く農林関係あるいは中小企業関係に対しては激甚法適用を決定した。災害発生以来二十日にならない短期間で決定したというようなことは類例のないスピーディーな措置であったと感謝いたしておるのであります。しかしながら、公共災害についてはいまだ激甚災指定がなされておらない、こういうことでございます。この点については総務長官まだ見えておりませんから、最後に触れたいと思います。さらに八月の二十日、二十一日と集中豪雨がありまして、これについての災害が前十勝沖地震災害地域にまた重複する町村相当多かった。特に被害のはなはだしかった町村の中で十二、三カ市町村重複災害を受けている。その災害建設関係農地関係が多いわけでございまして、特に建設関係におきましては、中小河川についての被害相当大きかった。しかもその災害が、常襲犯的に災害の繰り返しが行なわれている。このことは重大でございまして、たとえば赤川という川を一つ例にとりますと、これはちょっとした降雨があると直ちに床上浸水がある。それが一年に少なくとも二回、多い場合は四回も繰り返されている。幾ら中小河川であり、原始河川の形態であるとはいえ、年々歳々それが繰り返されておるのにこれが対策が行なわれない、こうしたようなことは、災害をさらに待っているというようなことで、その地域の住民にとりましては、きわめて不安この上ないことであるわけでございます。  こうしたようなことでございまして、結局、私の言わんとするところは、五月十六日の地震災害は、その前に二日間相当の雨量をもって降り続けた長雨、それに地震という現象が起きた。さらに今度の八月二十日、二十一日の災害は、その地震でゆるんでいたそれにさらに集中豪雨であったというような、関連しての災害だった、こういうことが指摘されるわけです。したがって、この関係地震であり、集中豪雨だといっても、必ずしもそうした判然と分けての考え方に立つべきではない、こうした考えに立つわけでございます。さらに私は農地災害について、わずか二カ月ばかりの間に再度災害を受けている農民、こうしたようなことを考えますと、この点はなかなかに重大だ、こう思うわけです。ですから、この関係についてひとつ建設省並び農林省にその対策についてお伺いしたいわけですが、その後さらに岐阜県下を中心にした集中豪雨があって、これまた相当災害を受けている。聞くところによると、局地災害だというようなことで、十勝沖地震と同じように、また激甚法適用問題点が出ている。したがって、私はこうした一連の災害関連性を持たせて、不備である、またいまだ基準の改正が行なわれていない現段階においては、これを関連した災害として対策措置すべきもの、かように考えるわけですが、これに対しての御見解お願いしたいと思います。  さらに、重複を避けまして、総務長官が見えましたからお願いをいたしますが、局地災害に対しての基準激甚災基準を改めるということについては、前々から前向きでこれに対処していくという言明がございましたものを、さらに前回委員会におきまして、それをさらに言明をされた、このことについてひとつお伺いするわけでございますが、前向きに検討する、こういうことがしばしば繰り返されて、それが作業中である、かように私は信ずるわけでございますが、それまでの間に公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法あるいは公立学校施設災害復旧費国庫負担法その他の法律によって災害復旧は進められているわけでございますが、幸いにして災害基準改定が行なわれて激甚法適用されるというようなことになった場合は、これらの別の法律によって施行されてきた復旧事業に対しては追加措置が行なわれるべきが当然であるが、それが行なわれるかどうか、それが第一点。  それから第二点は、わずか二、三カ月の間に激甚な災害が繰り返されている同一地域、同一物件、その重複災害に対しては特別の措置があってしかるべきはずのもの、こういうことに考えるわけですが、そういうような法的な措置がとられるようになっているか、その点が第二点。  第三点は、先ほど来申し上げておりますが、十勝沖地震の前に二日間の長雨があって、それに引き続いての地震災害、その地震によってゆるんだ地盤にさらに集中豪雨が加えられたというようなことは、関連する災害と見てしかるべきだ。しかも同じような条件災害が各地域に引き続き起きている。したがって、指定基準を変えることにひまがかかるのであれば、こうしたような次々に起きているような災害を一まとめにして激甚災指定をするということは法的に可能であるはずだ。そうしてまた前例もあるやに聞いているわけでありまして、この点、こうしたようなことに問題が重なっている場合だけに、ひとつ多少の疑念があってもこれは政治的に割り切って措置すべきもの、そのことが結局は問題になっている指定基準を改めるということをどうしてもやらなければならないというふうに結論づけることにもなる、こういうふうに考えるわけですが、ひとつこのことについて総務長官、また先ほど来申し上げておる中小河川の問題について建設省農林関係について農林省当局からひとつお答えをいただきたい、こう思います。
  4. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  ただいまいろいろと御質問がございました中の第一点の、遡及するかどうかの点につきましては、一応たてまえは法の適用は遡及いたしませんが、それについてまた別途いろいろとお話が出て、その間の調整が当然あとで行なわれることも考えられます。  それからいまのお話の三本を一本にできないかというお話でございますが、各県から出てまいりました三本の分を一括いたしますとB基準を若干上回りますが、それが今度査定ということになりまして、普通査定のあれからすると八五%程度になります。そうしますとB基準を、三本を累計いたしましても割るような結果になってまいります。それからB基準適用の際におきましては、その中の一つの県が標準税収入の一倍でないといかぬということがございますが、それが今回の分でいきますとそういうふうなもう一つ条件に適合しない、こういう結果に立ち至ります。そういうことから結論づけて申しますと、現行どおりでは激甚災適用ができないということになるのでございます。  そこで前々から御相談申し上げておりますような、どうも私就任以来いろいろな災害がたくさんございますが、非常におのおのが特色を持った非常に激甚な地区でございますけれども、何と申しましても範囲が狭い。ところが現行激甚法が絵にかいたぼたもちみたいに、確かに激甚災の問題についてはうたっておりますけれども、やはりみんな適用外になってしまうということは、これは非常に因ります。  そこでただいま御指摘のとおりに、第三基準と申しますか、小規模ではあるけれども、非常に激甚な被害を受けた町村等は、やはり自力ではとうてい復旧できない、復興できないという問題に対しては、何とかこれを助けていかなければならぬ。激甚災法でも帰するところは自治体財政負担に対してそれをカバーするということでございますから、その小規模なものについては、そういうふうな特定の自治体に対して同じような考え方高率の助成をしていくべきである、こういうことで作業を進めております。が、そこの中で、しからばどういう基準にしたらいいかということに相なりますと、各省各様おのおの見解が違ってまいっております。せっかくこの問題についてぜひとも目的を貫徹するという非常にかたい決意のもとに推進をいたしておるのでございます。どうぞ御了承承りたいと思います。
  5. 安倍晋太郎

    安倍説明員 いま各災害関連、それに対する対策につきましては、田中大臣から言われたとおりでございますが、農林省といたしましては、いま御指摘農地農業用施設林道等災害復旧等につきましては、暫定法がございまして、これに基づきまして災害復旧を行なうことになっておりますが、その査定については、十勝沖地震関連のあるものについては第七次査定とあわせて実施することになっておりますし、その他につきましても準備の整い次第実施をいたすことになっております。また、査定前着工についても、県及び農林省と協議の上、必要なものについては認める。また災害を受けた方たちの融資に対しましては、青森の場合もなかなか天災融資法の発動は困難な点がいまあるわけでございます。これらについては、被害農家被害の実情及び資金需要の実態を把握して、自創資金等によって適切に措置をしたいという考えでございます。
  6. 坂野重信

    坂野説明員 青森県の赤川等中小河川改修がおくれていることは、先生指摘のとおりでございます。今回の十勝沖地震あるいは八月豪雨災害を受けたことはまことに残念でございます。そこで私どもとしては、できるだけ中小河川改修に力を入れようということで、実は先生承知のように、第三次の五カ年計画におきましても、中小河川改修を重点的に考えておりまして、赤川につきましては、少なくとも四十五年度までには、ひとつ地元の協力を得まして、一番問題の東北本線と交差しております乙供地区等につきましては暫定的にもぜひ通水をはかってまいりたいということで、河川改修のやり方でもってやはり下流のほうから先にやる必要がございましたので、赤川につきましては下流から細々やっておったわけでございますが、その下流地区につきましても四十四年度に完成をし、市街地につきましても、先ほど申し上げましたように、できるだけ小規模河川あるいは局改等により、ひとつ格段の推進をはかってまいりたいというぐあいに考えております。  その他の相坂川等河川につきましても、五カ年計画で主要なショートカットを概成してまいりたいということで、できるだけ不断の努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  7. 熊谷義雄

    熊谷委員 中小河川の常襲河川等、一々その河川名指摘しませんが、御承知のとおり、ひとつ十分お含みの上対処されたいと思います。  総務長官に申し上げますが、総務長官もわれわれと同じ気持ちになって対処していただいているというそのことはわからぬではないわけですが、十勝沖地震以来すでに三カ月、四カ月たっている。     〔委員長退席川村委員長代理着席〕 事務的な検討段階を仄聞すると、なかなかにわれわれの考えているような、また大臣の言われるような前向き検討が、政治的配慮を含めて行なわれてはおらない。ですから、この点は期待は申し上げたいけれども、容易なことではない。この点をお互いに何とか解決しないと、次々に問題が起きて、問題がまた問題を生むというようなことは避けられない、こういうことなので、この点再三再四各大臣言明されておるように、特に所管大臣である長官言明されておるような指定基準を改めるということについてはぜひとも御配慮を期待する。そうしてあとはひとつ同僚の委員からまた質問がある、こういうことでございますので、私はこの程度で終わります。農林関係についてもそういうわけでございますから、どうぞ重複災害については特段の配慮を切に要望して終わります。
  8. 川村継義

  9. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 今回の集中豪雨等につきましては、政府も非常な御努力をいただいております。特に岐阜県の集中豪雨によります被害地現地につきましては、総理以下関係大臣被災現地までおいでをいただきまして、バス転落現場はもちろんでありますが、そうした山村の僻地まで出かけられまして非常な認識を深められ、また理解のある御発言をいただき、非常な激励をいただいたのでありまして、この点われわれは非常に感謝をいたしておるのでありますが、今回明白になりましたように、現在の激甚災害の制度によりましては、こうした局地のしかも激甚災害というものが全く救済し得ない非常に大きな隘路を持っておるということがはっきりしたと思うのであります。先般のえびの地震の場合におきましても準ずる措置がとられたのでございますが、今回のように公共事業、特に小災害単独災害、また農地農業施設等が非常に大きな被害を受けました場合には、現状におきましては、現実の問題として救済し得ない問題が残るのではないかと私は思っておりますが、この点につきまして激甚災害と同じような考え方に立って御措置をいただくということはよく承知をいたしておりますが、実際に検討してまいります段階においては、やはり激甚災としての指定をいただかなければ解決がつかないというふうにわれわれ判断をいたしておるのであります。この点につきまして長官のお考え方、だいぶ御配慮をいただいているようでありますが、承りたいと思います。
  10. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおりに、激甚災害A基準B基準ともにたいへん国家全般の大災害を想定して、それに対します高率特別補助というような姿になっておりますので、普通の小区域の非常な激甚な惨たんたる被害に対しましては、気持ちは十分あっても適用できないといううらみが明確に残っておるわけでございます。こういうものをこのままにしておくのはどうしてもいかぬので、やはりかような、区域こそ違え大損害をこうむった自治体に対しましては、激甚災害法律と同じような法律支援措置を講じていかなければいかぬというふうな気持ちからせっかく努力をいたしておりますが、ただいま御質問がございましたごとくに、その方向に向かってまいりますけれども、なかなか右から左にということに相なっておりませんことは非常に残念でございますが、これは何とか必ずいたす所存でございます。
  11. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 先般の委員会におきまして長官の非常な御決意も承りましたし、建設大臣農林大臣それぞれのお立場ではございましたが、この際におきまして、局地でありましても激甚災害というものに対しましては措置をすべき段階にきておるという明快な御答弁があったのでありますが、きょうは自治大臣おいでいただいておりませんが、幸い政務次官おいでをいただいております。今回等の問題を考えますと、やはり一番の問題は地方財政ということになってくると思うのであります。自治省としてのひとつ御見解を、できましたらお伺いをいたしたいと思います。     〔川村委員長代理退席委員長着席
  12. 細田吉藏

    細田説明員 ただいま総務長官からお答えがございましたが、また前の委員会でございますか、関係大臣からも決意の表明があったと思います。私どもも、現在の激甚災害法適用基準というものには至らないが、局地的に非常に損害を受けた、こういう場合に、これに対処する方法、これは長い間当委員会でも問題になっておりますし、特に今回のような場合端的にあらわれているわけでございます。私どもといたしましてもそういう方向でぜひ考えたい、かように思っておるわけでございます。  ところで、実はこの基本的な方針が防災会議等におきましてどうきまるかによりまして、自治省関係等もおのずから変わってまいるわけでございまして、私ども防災会議の御結論を待ってできるだけのことをいたしたいと存じておりますが、その問題を離れましても、あるいは特別交付税問題でございますとかあるいは起債の問題等につきまして、できるだけ手厚い手当てをいたしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  13. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 ありがとうございました。災害には長く直接お骨折りいただきました細田政務次官から、やはり局地激甚に対します御理解のある御発言をいただきまして非常に感銘をいたしておるわけであります。私は先回の委員会で詳しく申し上げましたから、重複したことはもう省略をいたしたいと思いますが、現在の激甚法の中の、いわゆる国民経済に著しい影響を与えるということに拘泥をいたしまして――国が災害対策基本法によりまして責任所在を明確にいたしておりますが、その第三条によりまして、「国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有する」、こういうことをはっきりいたしておるのであります。やはり戦後の経済がまだ安定しておらない段階におきましては、私はそういう問題も考慮すべきであったと思いますけれども、先回も申し上げましたように、すでに四十七兆という世界で三番目の産業国にまで発展をいたしました、非常な成長を遂げました今日においては、このことにこだわっておるよりも、そうした百年ぶりにくるような集中豪雨等によります局地災害に対しましては、極力最善の努力をいたしまして、再び災害が起こらないということに努力をすべきではないか、それがむしろ国益に沿うものではないかということを申し上げたのでございます。さらに今回は現地におきましても百四名というバス転落死亡者、また行くえ不明者を出しておりますが、こういう問題につきましては、現地では、その責任所在を明確にする以前の問題として、地元の警察はもちろんでありますが、自衛隊、消防、また関係団体自治体、こぞってその救済に当たっておるのであります。それが現地にも非常な被害をもたらしておりまして、しかもそれは防災会議の御意見をお聞きいただきまして、基準改定すれば、これは救済ができるという段階にあるのでございますから、それをじんぜん日を過ごして解決に進まないということは、私は、これは災害に対します誠意というものが、被災現地にはむしろ理解をされないことになるのではないかというふうに考えておるのでございます。  そういう意味において、先ほど長官から御発言はいただきましたが、私がもう一度お願いをいたしたいと思いますことは、この際、A、Bの基準はございますけれども、さらに新しい基準をつくりまして、例外規定として、いわゆる局地でございましても、その市町村基準財政収入額に対しまして大幅に上回る被害発生をいたしました場合には、これは少なくとも激甚災害に準ずる措置をとるという基準改定によりまして、すみやかに御措置がいただきたいと私は思うのでございます。この点に対しましてはしばしば御発言をいただいておりますが、非常な信念をもって取り組んでいただいておるということもよく承知をいたしておりますので、ぜひこの機会に長官からもう少しはっきりした御見解を承りたいと思います。  同時にまた、そういう一つ方向とあわせまして、単独立法として局地災害というものを取り扱っていく道があると思いますが、そういう方向で進むとするならば、少なくとも次の通常国会においては、これは政府の責任においてひとつ御提案をいただくお進め方が願いたい。われわれの気持ちとしましては、議員立法でもひとつ進めたいという強い気持ちを持っておりますが、少なくとも災害に対します政府の責任からいきまして、これは当然政府において御提案をいただくべき筋合いのものではないかと私は思っております。この点につきまして、恐縮ではございますが、長官からひとつ明確なる御方針をお示しいただきましたならば、被災現地の者も非常に安心をしまして、災害復旧努力することができるのではないか、現在は非常な不安を持っておりますので、特にひとつお願いを申し上げたいと思います。
  14. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま渡辺委員からお話がありましたとおり私ども考えておるのでございます。それでいままで本席におきましてもたびたび申し上げましたように、その基準のA、B以外の局地激甚の問題につきまして、せっかく努力中でございます。ぜひひとつかような措置をとることによりまして、再起不能に近いような非常な大被害をこうむられました町村救済にわれわれは真剣に取り組んで考えてまいるのが当然であろう、こういうことでただいま努力いたしておる次第でございます。  なお、いろいろと御注意のございました点につきましても全く感を同じゅうするものでございまして、御趣旨の線に沿うて今後ともに全力をあげてまいりたい、かように考えております。
  15. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 いろいろこまかいことは最後にまたお願いをするとしまして、先般私は副長官おいでをいただいておりまして、要望的に申し上げたのでありますが、そのうちで特にお願いをいたしたいことにつきまして御答弁をいただきたいと思っております。  一つの問題は、今回の災害におきまして、非常に顕著な問題でございますが、非常に美しい人情愛といいますか、そういう問題がたくさんございまして、消防団が非常に努力をして、現在なお遺体収容あるいは遺体捜査に当たっております。この消防団の問題につきましてはすでに申し上げたとおりでございますが、現地の警察官が、実際どろどろになりました遺体の始末に、任務とはいえ、これが一カ月近くも努力をいたしておる姿、また自衛隊の協力、また白川町地内におきましても、自治会長が応急復旧のために架橋に努力をいたしまして転落死亡をいたしておるわけであります。また先生方も非常に美しい団結の姿において被害の復旧に努力をいたしておるわけでありますが、そういうような問題につきましては、高度な見地に立って、ひとつ格別な御配慮によりまして御措置をいただきたいと考えておるわけでございます。  もう一点は、個人災害の問題でございます。これは運輸省にお尋ねをするのが順序かと思いますが、バスの転落によりまして百四名の死亡者、行くえ不明者を出しまして、現在なお十二名がたしか遺体が収容されていないと思うのでありますが、そういう問題に対しまして、賠償の方針等は近く決定をするというお話でございますが、どのような段階までこれが進んでおりますか、きわめて簡単でけっこうでございますが、お答えを願いまして、それに関連いたしまして、被災現地の個人災害等につきまする政府の見解を承りたいと考えております。
  16. 黒住忠行

    ○黒住説明員 お答え申し上げます。  今回の飛騨川のバス転落事故につきましての原因、すなわち自動車側に賠償責任があるかどうかにつきましては、その事実の探求を、運輸省といたしましても鋭意行なっている次第でございます。ただ、その調査につきましては限界がございますので、警察の詳細な調査の結果をお待ちいたしまして、自賠法の適用につきまして最終的な結論を出したいと思っております。警察の調査は、目下のところ相当進んでおるように聞いております。
  17. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまお話の出ました件は、前回委員会でもございました消防団その他のたいへん御尽力をいただきました点についての表彰の問題でございますとか、あるいはまた警察官、自衛隊等々に対する感謝の表現の問題、これは御案内のとおりに、総理みずからも現地に参りまして深く御礼を申し上げ、また実際にもその模様をつぶさに聴取いたしまして、なお総理の口から、今後こういうふうな問題についての表彰その他の点を考えるということもあの場で申しましたことは、渡辺委員もお聞き取りのことでございます。かような次第で、ただいまお話しの線に沿いまして、われわれのほうといたしましても具体的な処置を考えたい、かように存じます。
  18. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 十分御配慮をいただいておるものと確信いたしておりますが、そこで仮定でございますが、たとえば自賠法によりまして、転落をいたしました死亡者に賠償が支払われるとすれば、たしか三百万ではないかと私は思っておるのでございます。同じ災害によりまして、しかも同じような山腹崩壊によりまして、一方は旅行に出かけておりましたために三百万の――これは私はぜひあたたかい措置をしていただきたいと思っておりますので、政府としてもできるだけの御配慮を賜わりたいと思いますが、これに反しまして、現地の山腹崩壊によりまして流失死亡した者は十数名に実はのぼっておるのでございますが、こういう者に対しては、現在は何らの措置がとられておらない。こういうことでございまして、私は従来の日本の経済力においては、個人災害まで目を通すことは困難だということも、あるいはやむを得ない時期もあったかと思うのでございますけれども、現在の経済力、また消費者の保護基本法までできるような段階になれば、こういうような災害によりまして、少なくとも死亡した者あるいは重傷を負ったというような者に対しましては、やはり私は政府としても十分な御配慮を願うべきじゃないか、こう思うのでございますが、この点につきまして、これは全体の問題でございますから、ひとつ長官のほうからお答えいただくことであろうかと思いますが、お伺いいたしたいと思います。
  19. 田中龍夫

    田中国務大臣 自賠法によります補償の問題は、これはただいま運輸省御当局からお話のありましたとおりでございます。渡辺委員お話は、自賠法との関係関連において、地元の十数名の方々が、あるいは非常に防災に努力をされながら殉職されたというふうな、いろいろなケースがございます。これとの比較権衡の御質問でございますが、この点につきましては、御案内のとおりに、被災者個人の補償ということについては、たてまえ上いままで出しておりません。そういうこととも関連いたしまして、これは今後の問題に残りますので、ただいまここで明快な御答弁をいたすことはちょっとできかねる段階でございます。さらに、御意見のほどは十分に拝聴いたしまして、また、その御要望に対しましてもよく了といたしますが、お答えは次回に延ばさせていただきます。
  20. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 私はバスの問題と同じ場において考えようとは思いませんが、少なくとも各自治体におきましては、これは財政云々を言っておるわけにはまいりませんので、十分ではございませんが、それぞれの見舞い金を出しておるわけでございます。しかも、町村によりまして裕福な自治体もあれば、そうでない自治体もございますが、それぞれまちまちの見舞い金がたしか出されておるわけであります。そういうことになりますと、それは結果においてはその自治体の負担に終わるのではないか。特別交付税の算定におきまして、災害地に対しまする配慮は一定基準によってある程度なされておりますことも、私は十分承知をいたしておるのでありますが、むしろこの際、私はそうした人に対しまする見舞い金等の基準は、政府におかれましてある程度これを想定されて、そういうものを基準として特別交付税等によって関係自治体にこれが還元されてくる、こういうことになれば、直接個人災害に行ったということにはならないかもしれませんが、実質的にはそれを考慮したことになるのでありまして、現在のように、特別交付税の配分に一つ基準でございますけれども関係自治体はそれぞれまちまちのことをしまして、隣の村では三万円の見舞い金を上げておる、こっちの村では一万円の見舞い金が出ておるというようなことは、私は少なくとも歓迎すべきことではないと思っております。事情はいろいろ違いますから一緒に話せませんけれども、特に今度のように直接関連をいたしまして、バス転落死亡者が出、一方においては現地のいわゆる流失家屋による死亡者が出ておる、こういうことになると、理屈はわかりましても、現地被災住民としては全く納得しかねることは事実でございます。私は、多少金額の違いはございましても、そろそろ何らかの御処置を願うべき時期に来ておるのではないか、こういうことを思いまして、幸い自治省からもおいでをいただいておりますから、私、それらの点につきまして御配慮をいただいておることは若干承知はしておりますけれどもお願いをいたしたいと思います。
  21. 細田吉藏

    細田説明員 各市町村から、あるいは県から見舞い金が出されておる、あるいは弔慰金が出されておる、これは、この種災害の際にはほとんどどこでもいたしておるように私も承知いたしております。いま御質問の中にございましたように、そういうものがまちまちであることは、確かにおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、そういう点につきましては、私どものほうとしては、これまでの実情等も十分検討しまして、何らか考えなければいかぬのじゃないか、かように思っておるわけでございます。なお、特別交付税の中でいまこれは必ず見るのだということにはなっておらないのでございます。そこらの点、災害の雑支出その他いろいろございます。結局、ある部分については、実際問題としては、交付税である程度のことは見ておるというような結果に実はなっておる、実情は私はそうなっておると思うのでございます。そこでそれらの点について、実はこれはやかましく言っていきますと、今度のような山くずれでその下敷きになられたというふうにはっきりした場合もございましょうし、だんだん詰めていきますと、いろいろなケースがあり得ると思うのであります。そういう点、なかなか困難な問題があろうかと思いますが、それらの点につきましても、私どものほうとしましても、これはもう毎年繰り返されておることでもあるわけでございますから、早急にひとつ検討をいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  22. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 時間があまりございませんので、もう一、二お願いをいたしたいと思います。  そこで私は、今度の災害を契機としまして、局地ではあるけれども、その地方自治体、特に市町村の財政基準収入額をある段階において超過するような災害が起きました場合には、基準改定、また場合によりましては法律の制定によりましてでも、これは遡及救助が願える、救済が願えるという観点に立っておりますが、さしあたりまして、いま災害復旧対策を進めてまいりますということになりますと、それを待っているわけにはいかないと思うわけであります。結局は、私は、当面は起債によってこれを措置する。あとはそういう段階になれば補助で御措置が願える、また最悪の場合におきましては、それが元利償還の形で交付税でいただく、あるいは特別交付税でいただくということになると思うのでありますが、いま一番問題になりますのは、さしあたりましての一般公共の場合は起債等で御措置がいただけると思いますが、問題は単独災害、その場合におきましても、農業用施設、林道、こういうものにつきましては、おそらく六五%程度しか認められておらぬのではないかと思います。なお小災害が非常に多い。特に今度の特徴としましては、小災害単独災害が多い。また農業施設、農地の復旧等が非常に多いということになっておりますので、その点に実はたいへんな行き詰まりを来たしております。特に、復旧いたします場合にも、すでにその関係農家の受益負担金の承諾書をつけなければならぬ、こういうことで、実はもう事務さえ進まないという段階でございますので、やはりある程度関係自治体が応援をいたしまして応益の負担をするということでないと、現実にはこれはできないと思うわけであります。そういう点につきましては、私どもといたしましては、従来の例にこだわらずに、できる限り単独災害、特に農業施設、農地、あるいは小災害につきましては、一〇〇%に近い起債措置お願いしなければならぬと思うのでございますが、この点につきましてのお考え方、また御方針を承りたいと思います。  もう一つは、非常に過疎の進んでおります段階で、今度のような農業関係災害というものは、現実によほど農家の負担を軽減してやりませんと、これは私は、復旧できなくて、現地を放棄して都会に出ていく人が非常にふえていくのではなかろうかという心配を、現にいたしておるのであります、とても農地復旧はできないから、どこかうちぐるみかわっていきたいというふうに、われわれに訴えておる農民も実はたくさんおるわけでありまして、私はその意味におきましては、過疎対策という意味においても、農林省としても、ひとつ従来のことにこだわらずに、今度は思い切ったあたたかい措置をおとりいただくことが絶対必要だろう。農林大臣現地おいでになりまして、そういうような意味の御発言をいただいておるわけでありますが、何か具体的にすでにお進めをいただいておるならばお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  23. 安倍晋太郎

    安倍説明員 ただいま御指摘のような、局地的な災害に対する基準の更改等の問題につきましては、ただいま田中長官からお話しのように、内閣において検討されておる段階でございますが、農林省といたしましては、農地あるいは農業用施設災害に対しましては、御存じのようなわりあい高率暫定法でこれを復旧をいたしておるわけでございます。しかしいま御指摘のような、だんだん過疎が進んでくるとか、あるいは今後の小災害に対する対策等については、やはりまだまだ十分でない点も、私はあると思います。今後の経済の非常な変化に伴いまして、やはりそれに応ずるような総合的な災害対策農林省としての災害対策を進めていかなければならぬ、そうしてそれを全体としてやはり内閣において統一していただかなければならぬ、こういうふうな考え方のもとに、農林省でもいま検討を進めておる段階でございます。
  24. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 私どもいま申し上げましたような点については、実際にこれをやっていただく自治省あるいは農林省において御配慮を願わなければならぬ問題でございますので……。
  25. 細田吉藏

    細田説明員 起債あるいはその償還について、いまいろいろ御質問の中にございましたが、私はこのように考えております。先ほど総理府総務長官からお答えございましたように、激甚法適用する、ないしは単独の法律できまれば、それは起債の問題は解決するわけでございます。これに準ずる扱いをするという場合に起債を一体どうするか、こういう全体の問題と関連してこれはきまる問題であると思うわけでございまして、私ども気持ちといたしましては、激甚の場合と同様に、できるだけ起債のめんどうを見ることが必要であるというふうに考えております。ただ、これは政府の各部内総合的な政策の一環としてやらなければいかぬ、かように思うわけでございまして、いま直ちに起債のパーセンテージを単独災について上げる云々というところまでお答えができませんけれども、そういうことを含めて防災会議でお考えをいただきたい。元利補給その他の問題につきましても同様のことが言えるのではないかと思います。私どもの省といたしましては、その決定に従ってできるだけのことはいたしたい、かように存じておるわけでございます。
  26. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 御理解はいただいておるというふうに、私は感謝をいたしますが、今回のような、まだ法的措置なり基準改正をしなければ根本的な体制が整わないという段階でございますので、こういう自治省だけである程度配慮がいただけるような幅のある問題につきましては、特にひとつ御配慮をちょうだいいたしたいと考えております。  なお、農業団体の、特に有線放送等が損壊いたしまして、とりあえずは復旧をいたしておりますが、なかなかこれは農家の負担によりまして復旧することも困難だというような問題が実は起きておるわけでございまして、これにつきましては、たしか二割程度の補助あるいはまた融資措置があると私は考えておりますけれども、先ほど申し上げました過疎対策とあわせて、特にあたたかい御配慮お願いいたしたいと考えております。  なお、最近緊急査定が行なわれておるようでございますが、私どもは、改良復旧の線でお進めをいただいておるものと考えておりますけれども、一部にはやはり従来のような原形復旧ということを主張されておる面もあるやに実は聞いておるのでございます。私どもはぜひとも、委員会で御発言をいただいておるように、ある程度改良復旧が徹底するように御指導を願いたいと考えておるのでありますが、その点は今回はどのような御指示をいただいておるのか。これは特に建設、農林に関係いたすと思いますので、簡潔でけっこうでございますが、お聞かせいただきたいと思います。
  27. 安倍晋太郎

    安倍説明員 先ほどの有線放送の問題についてまずお答えをいたしますが、これは御指摘のように、共同利用施設の災害についての補助率は二割の補助ということになっておりまして、この点につきましても、今後いろいろ検討する点があると私ども考えております。  また、災害復旧につきましては、やはりお話のような原形復旧という大きなたてまえはあるとしても、改良復旧的な方向で今後とも指導していきたいと思っております。
  28. 坂野重信

    坂野説明員 建設関係につきましては、先生指摘のとおり、私どもは改良復旧の考え方に立ちまして、橋梁あるいは河川等について、できるだけそういう方針でやっております。
  29. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 最後に一つお伺いをして、私、質問を終わりたいと思います。あとこまかいところは最後にまたお願いいたします。  いろいろお答えをいただきました中で、今回は非常な誠意をもっていま御尽力をいただきつつあるというふうにわれわれも理解をいたします。ただ現実には、今回は普通の災害と異なりますところの遺体捜査というような問題が派生をいたしておりますので、県におきましても関係自治体におきましても、そのために施設の汚損、あるいはまた動員によるところの遺体捜査、あるいはそのための経費、こういうようなものが相当な数字にのぼってくるのではないかと思うのでございますが、これは従来の特別交付税の算定のケースとは別の形において上積み配慮をされるべき問題だ、また施設等につきましても、これはやはり普通の単独債ではなくて、ある程度地元負担を軽減した形で財源措置お願いしなければならぬのではないかというふうに思っておりますが、この点につきましてのお考え方と、それからもう一つは、今度の災害を見まして、むしろ中小河川というよりは、非常な小河川、沢のようなものに大きな災害が起きておるわけでございまして、こういう点につきましては、いわゆる河川としてのお取り扱いをいただける限界点があると私は思いますが、できるだけの広義な御解釈を願わないと解決がつかないと思うのでありまして、この点についてのお考え方を一点承りたいと思います。  もう一つは、現在の局部改良と小規模改良でありますが、局部改良では治水五カ年計画等もございますけれども、実際は手が届かないような問題がたくさんございまして、県へ一本や二本参りました小規模改良ではとても手がつかぬ。予算の関係も当然ございますけれども、小規模改良というものをやはりある程度対象をふやしていただかないと、私は現実に中小河川の改良はむずかしいように思いますけれども、この点につきまして、お願いと同時に、御理解をいただいておるかどうか、承りたいわけでございます。  いろいろございますけれどもあとこまかいことは、時間も参りましたから、最後にまたお願いをさせていただきます。以上の点につきまして、お答えをいただきたいと思います。
  30. 坂野重信

    坂野説明員 普通河川につきましては、山間部の小さな河川でございますので、砂防の施設としてでき得るものはできるだけ砂防の施設を拡大してまいりたい、あるいは災害を受けた地点につきましては、緊急的な対策を要するものは緊急砂防ということで、砂防の指定地でなくても積極的にそういう方向に持っていきたい。ただ災害復旧につきましては、やはり普通河川につきましては、町村の支弁については、町村のほうからの災害復旧の申請というものを出していただき、それについて査定をして、あとでこれが一級河川なりあるいは二級河川に格上げした段階におきましては、河川につきましてはそちらのほうに事務的にかえることもできますので、こういうことを事務的にできる範囲内で考えてまいりたいというぐあいに考えております。  それから、局部改修と小規模改修の問題でございますが、私どもとしては、中小河川なり小規模河川というものについて、できるだけ大幅に促進し、局改では特に狭いところだとか曲がったようなところに限りたいおけでございますけれども、何しろ全体の治水の予算のワクがございまして――いろいろごめんどう願って、新治水事業五カ年計画をきめたわけでございますけれども、ワクの関係等でなかなか十分にまいりませんけれども先生指摘のような考え方を十分取り入れて検討して、中身をきめてまいりたいというぐあいに思っております。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に斉藤正男君に質問を許します。  前回委員会において決定いたしました参考人、電源開発株式会社理事石井由太郎君及び桑原進君が出席されておりますので、御紹介いたしておきます。  斉藤正男君。
  32. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 過日の本委員会で要請をいたしました資料を調製いたしまして、手元へちょうだいいたしたわけでありますけれども、私は本日も、天龍水系の台風第十号による被害関連し、特にこれが佐久間、秋葉両ダムとの関連においていろいろ検討した結果、今次災害はどうしても佐久間、秋葉両ダムとの関係を抜きにしては考えられないという立場から、関係大臣あるいは電源開発の皆さん方に伺いたいと思うわけであります。  私は現地へ参りました。現地には――ちょっと大臣関係者は見てください。これは静岡県と各市町村が、本年の災害の月に際してこういうポスターを出したのです。このポスターがむなしくあの台風によって落っこちているのを私は拾ってきた。いまやこのビラにかわって、災害地では、たいへんことばの荒い、しかも書体の荒い大文字の決議文や檄文がべたべた張られているわけです。特に天龍本川と支流である大千瀬川との合流点における浦川地区におきましては、罹災者が大会を開いて決議を行なったのであります。その第一は秋葉ダム撤去、第二は愛知県側に建設を予定されております新豊根ダム絶対反対、第三は大千瀬川でいま行なわれようとしております河川改修のやり方につき絶対反対だということでありますけれども、防災の宣伝ビラにかわって、こうしたビラが町じゅうくまなく張りめぐらされている。この事実は、私は、建設省もそして関係各省も、特に電発の皆さん方には十分ひとつお答えをいただきたい、かように思うわけでございます。  そして、配付をいただきました資料によりますれば――私は、三十六年災、四十年災、四十三年災のこの三回にわたる秋葉、佐久間両ダムの最大放流量並びにこれに流入いたしております大千瀬、水窪、気田三支川の最大流量及び時間につき資料を求めたわけであります。これによりますれば、三十六年災の佐久間、秋葉両ダムの合計最大放流量は一万九百九十六トン、四十年災において九千五百八十二トン、本年は九千三百二十一トンであります。なるほど最大放流量につきましては、本年のほうがこの三回の災害については少ないということが明らかであります。さらに気田川という支流は、秋葉ダムの下流に流入いたしておりますので、大千瀬、水窪両川の最大流量を見ますと、三十六年災において二千二百十一トン、四十年において三千九百四十トン、四十三年において五千トン、支川の水が多かったんだ、こういう判断は、客観的にこの資料が物語っておりますので、電源側の言い分も私は了といたすのであります。  過日の質問の際、四十年災のときと、十号台風、本年災のときとのダム操作の違いについて伺いました。このとき参考人の発言は、前回と変わっておりません、変わった点は、サイレンを吹鳴したこと、同時に刻々、ただいまから何トン流すという情報を伝達したこと、第三には佐久間において八百五十トンカットをしたこと、違うといえばこの程度です、したがってダム操作において前回と変わりはありません、こういう答弁をいただいたわけでございます。この点について間違いがあるかどうか。間違いないと思いますけれども、そう確認をいたしておりますけれども、どちらの参考人でもけっこうですから、御答弁をいただきたい。
  33. 桑原進

    ○桑原参考人 斉藤先生への答弁内容に追加したいと思いますけれども、ダムの操作は、流れてきた水をもとの河川の状態にして戻すということで、流入した量を一時間おくれの形で流すということになっております。この点を、いま先生おっしゃったことにつけ加えさせていただきます。
  34. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 過日、私は参考人にも伺ったわけでありますけれども、秋葉、佐久間両ダムとも、発電オンリーのダムであって、多目的ダムではない、特に秋葉ダムは佐久間ダムの逆調整ダムであって、天龍川の水利の関係からいけば発電オンリーだ、こういう御発言がございました。実はこのことは、私は実に意外に感じたわけでございます。と申しますのは、事実はそうであって知っているわけでありますけれども、私は長い間県議会におりました。この佐久間ダムが建設されるいきさつについても承知をいたしておるわけでございますけれども、昭和二十七年三月の静岡県議会におきまして、一体佐久間ダムや秋葉ダムをつくることによって天龍川はどうなるかという質問をいたしました。この質問に対し、当時の土木部長は、「ただいま県で取り上げておりまする総合開発の中に、下流の発電事業がうたわれておりますが、私はこの発電事業は非常に当を得た仕事だと思っておるのでございます。と申しますのは、この度の総合開発にうたわれております佐久間の貯水池、あるいは秋葉第一、第二の貯水池、これらはそういう面から考えて、非常に有効なのであります。と申しますのは、佐久間は約三十五万キロくらいの発電を起すために、いままでなかった百五十米の高い堰堤を築きまして、これによって発電をするわけでありますが、その下流に五十米くらいの低い堰堤を造ることになっております。この堰堤は発電はもちろんするわけでありますが、この第一の目的は上流の平岡とか、佐久問から流し出す水を、一番具合のいいように使ふことと、先ほども申しましたように、それにつれて上の大きい貯水池の水の変動を調整いたしまして所謂逆調整いたしまして、下流に水を流すのであります。この秋葉第一、第二の貯水池の目的は何も発電だけをねらっておるのではないのであります。ただいまのところ泰阜、平岡だけでは、下流の水の変動に困難するわけでありますが、将来秋葉第一、第二と、佐久間まで同時にできますならば、変動で苦しむということは、全然なくなります上に、」この次です、問題は。聞いてください。「洪水の水を調整いたしまして、下流には水が大体平均して流れるようになりますので、非常にこの点はよくなると思っております。」、責任ある当時の仁科土木部長発言であります。知事もまたほぼ同じような発言を何回かいたしておりますけれども重複いたしておりますからやめます。  さらにまた、こういう事実もあるのであります。ある議員が「本県出身の土木界の長老であり、現在磐田市に在住する青山氏の言によれば、昨年十二月十一日の朝日新聞に、天龍川を解剖するという見出しで、電源偏重の感が強いと論じ、すなわち次のごとくいうておるのでございます。省略しましてごく主要な部分だけを読みますと、「電源開発と、国土保全が両立して総合開発になるわけだが、天龍川の場合は電源開発に重点がおかれ、国土保全の面がいまのところ軽視されている感がある。せっかく起した電力をどう使うか、これをうまく計画化しないと、水害だけは地元がうけて、電力はよそにとられるという結果になる。現に富山県は他地域に電力を送っておるので、これを地元に還元してもらいたいとさけんでおるが、なかなか思うようにならず困っておる。電力を送って県に入る料金は、流域の補償費にたりない。電源開発によって河床が再び変化すれば、既設の護岸工事にも新らしい変化が生じ、技術的にも十分な研究調査が望ましい。ところが本県の場合は政治活動ばかりで、技術的の調査が余り活発でないように考える。ダムができ、調節するというが、これはむずかしい問題で、例外はあるだろうが、ぼくは発電と出水とは利害相反するものと思っている。これをダムができれば出水がなくなるという政治家の宣伝はどうかと思う。」」こういうことを郷土出身の土木界の先輩である青山氏が言ったということをある質問者は言い、知事もこの点は考慮しなければならないという答弁をなさっておるのであります。  私は、なぜこのように古い資料を持ち出してここで言っているかといいますと、ダムをつくるまでは、逆調整ダムだというような言い方も現地の人にはなかなかわからない。村長さんや、村会議員のうちでもごく優秀な人はおわかりだったでしょうけれども、調整調整と言うものだから、農業用水も工業用水も上水道用水もとれる、水害もこれによってぴたっととめられて、上から幾ら大きな水が来ても一時はとめるのだ、そうして徐々に放流するから下は安全だ、こういう宣伝を、現に用地買収のおたくの係はした。横山地区へ行ってしておるのです。しかし、もう少し上の技術関係の人は、そういうダムではありません、こういう説明をしている。いいですか。そういうところがら考えてまいりますと、今度の水害によって起こった水窪町における死者の四人、水窪町における重傷者の三人、水窪町における全壊の五、佐久間町の四、半壊の佐久間町における百七十三、水窪町における三、床上浸水の天竜市における百六十一、佐久間町における百五十九、床下浸水の四千何ぼという、これは県全体でありますけれども、これらの大被害は、水窪を除いては、いずれも天龍水系、特に秋葉、佐久間両ダムの関係地域に起こった問題である点は間違いないのであります。  私はこういう観点から、やはり古老も言っている、そうして最近もこういうことが三十六年、四十年、本年と続発したということから考えますと、過日配付をいただきました資料によりましても、特に横山地区におきましては、浸水の始まりが十時三十分、最高位になったのが十時五十分、水の引き始めたのが十二時五分、干上がったのが翌朝の午前三時という、この経過から見て、ダムの六千三百七十トンの放水が十一時二十分に行なわれたということから、やはりこの横山地区の浸水は、秋葉ダムの放水が原因だというように断定せざるを得ない。特に古老の言によれば、明治以来、あれよりも大きい出水は、鹿島地先において三回あったそうであります。しかし、そのうちの一回は、上流泰阜ダムのダム操作の誤りによる異常な出水であって、二回があれ以上の出水だった。そのときでも、横山地区、浦川地区にはあのような浸水はなかったというのであります。よろしいですか、あれより大きい水がいままで三回あったけれども、そのときでも、横山でも浦川でも、あんな浸水事故はなかったというのです。昔からあんな浸水事故があれば、だれが好んであんなところに住むものですか。とっくに移っていますよ。それが都市の形態をつくって今日あることは、過去の歴史にそんな出水はなかったということで、あそこに土地を求め、商売をやっていると思うのです。この点を一体、全然ダム側に責任がない、おりてきた水は、ただ流しただけだとおっしゃるのかどうか、責任ある答弁をいただきたい。
  35. 桑原進

    ○桑原参考人 桑原でございます。  横山の地点のことを申し上げますと、ダム操作規程では、横山地点の無害流量が二千四百トン毎秒ときまっております。これらは十分建設省のほうに御指導いただきましたダム操作規程に定められておる数字でございます。そういう数字でもって、われわれはダム放流というものをしていただいておるわけであります。それに備えまして、二千四百トンになるには、佐久間では千四百トン、秋葉では千八百トンというのが洪水量という定めになっております。よろしゅうございますか。
  36. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 総務長官、後ほどまだ私の質問は続くわけでありますけれども建設省の御意見も後ほど伺って、総務長官の最後の見解を承りたかったわけでありますが――これが浦川地区という現地の当時の浸水の状況の写真です。ちょっとごらんいただけばわかりますけれども、いま私が申し上げましたようなことから、佐久間、秋葉両ダムができて三回もこういう事実があり、過去百年もっと大量の水が出たことがあるけれどもこのような浸水事故はなかったということから考えますれば、どう考えても、ダムができた影響だということは当然考えられることだと思うわけなんです。したがって、災害対策部長である大臣、もし地元と電源側あるいは県と建設省等々の間に調整等の必要があった場合には、熱意をもってひとつ当たっていただきたいと思うわけであります。過日も若干の状況を申し上げて、大臣見解は承りましたけれども、もう一度、特に総合開発計画に基づく発電ダムの建設に伴う河川流域の被害につきまして、調整に乗り出す大臣気持ち、態度等について伺っておきたいと思います。
  37. 田中龍夫

    田中国務大臣 先般私に、斉藤さんでございましたか、御質問がございました。実は私的でございますが、私のところにも錦川がございまして、そのいまの、これは発電ダムであるか防災ダムであるかという点の論議が非常にむずかしくございましたり、あるいはまたそのゲートの開閉に伴います下流放水地区被害の問題、またさらに下流の潮流の干満時期とゲートとの水量の交差点の判定の問題、なかなかむずかしい問題がたくさんございます。確かに仰せになりましたように、防災機能を果たすべきダムが、ゲートの開閉いかんによりましては、逆に災害を誘発することもなきにしもあらずでございまするし、他方また、湛水いたしました水量というものは電力会社におきましては非常に大きな財産権でもございます。そういう点で非常にむずかしい問題でございます。しかしながら、こういうふうな各般の総合調整なり調整機能をいたしますのが、またわれわれの職務の一半でもございます。そのときの状況いかんによりましては、十分お話を拝聴いたしまして調整いたしたい、かようにも考えております。どうぞよろしく。
  38. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 参考人も読んだと思いますけれども、東京大学出版会から「佐久間ダム」という本が出ております。これは佐久間が完成してできた本なんですが、その後の地域社会に与える影響等については触れておりません。しかし、この中に小坂前電源開発総裁は「電源開発会社が開発に使う資金は、政府の出資や資金運用部からの借り入れ、つまり国民の金が大部分であるから、そこから生まれる電力をその地域にある電力会社だけに送るのは正しくない。それは全国民の利益になるように使われなければならない。」ということで、電発が発電した電力について言っておりますけれども、私が指摘したい点は、政府の出資や資金運用部からの借り入れ金、つまり国民の金が大部分だ。中電や東電のように、同じ国民の金でも株式によって募集したものではない。被害を受けた浦川の町民も横山の町民も税金として出したものがあのダムに幾らかは使われているということなんですよ。自分で出した金で自分の首を締めるというような結果を起こしている。そういう電源開発の性格からいきましても、私は電源がもう少し謙虚に本件と取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  時間がありませんので急ぎますけれども、過日も申し上げましたが、特に今日ダム堰堤の上流が盛んに河床が上昇をしております。一体初めの秋葉湖の最大許容量は幾らに設定をされましたか。
  39. 桑原進

    ○桑原参考人 最大許容量とおっしゃいますが……。
  40. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 貯水量。佐久間も言ってください。
  41. 桑原進

    ○桑原参考人 秋葉の総貯水量は三千四百七十万三千立方メートルでございまして、そのうち有効貯水量が七百七十五万立方メートルでございました。四十二年末現在では、総貯水量が二千四百七十五万九千立方メートル、有効貯水量が六百五十九万二千立方メートルになっております。  それから佐久間のほうは、総貯水量が当初は三億二千六百八十四万八千立方メートル、有効貯水量が二億五百四十四万四千立方メートルでございます。四十二年度末におきましては、総貯水量が二億八千三百八十一万一千立方メートルになっておる、有効貯水量は一億九千五百十七万六千立方メートル、そういうふうになっております。
  42. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 それでも明らかのように、湖床が上がって貯水量というのはどんどん減少しているわけです。堰堤上流の湖床の上昇責任は一体だれにあるのですか。これは河川局長でもけっこうです。ダムの上にどんどん土石が流入してきてダムが浅くなるのです。その浅くなるのを防がなければならないと思うのですけれども、それは責任はどこにもないのですか、あるのですか。
  43. 坂野重信

    坂野説明員 河川法の四十四条にダムに関する規定がございまして、その中で、取水ダムを設置した場合には、取水ダムの責任者は、河川管理者の指示に基づいて、従来の河川の備えておるいわゆる機能を維持するために必要な施設を設け、あるいはこれにかわる措置をとらなければならないということをうたってございます。本来的には、ダムの設置者にその責任があるわけであります。
  44. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 なるほどそのとおりだと思うわけでございまして、ダム側というか、電源側も貯水量が減ることは得じゃないと思うのです。しかし得でも損でも、要するに計画発電量ができれば発電側はいいわけであって、平たくいえば、全部埋まってしまっても、おたくのほうは電気さえ起きればいいということだと思うのです。それではたまったものじゃないと思うのです。この堰堤の上にたまった土石は、一体排除する気持ちがあるのか、全然そんな気持ちはないのか、ひとつ承りたい。
  45. 桑原進

    ○桑原参考人 お答えいたします。  私のほうは、計画的に、ダムの中にたまったものを排除いたしたいと従来からも努力しておったわけでございます。一昨年でございましたか、一部作業をいたしました。今後もゲートにより水位を下げてフラッシュをするとか、あるいは湖水周辺の堆砂を採取する、そういうことをさらに検討して実施に移したいということを考えております。
  46. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私の調査したところでは、日本における堰堤上流の土石の排除については、いまだ本格的な成功をしたことがない。いろいろなやり方があってやっているけれども、どうもはっきりしないというように聞いているわけでありますが、過日も申し上げましたけれども、秋葉ダムの中心地点のこの天龍川河状調査の十九定点におきましては、すでに河床が三十一年十一月よりも四十二年十一月は二メートル九十四上がっているわけです。さらにその上流の二十地点では三メートル六十六上がっているわけであります。さらに水窪川と本川の合流地点におきましては三メートル七上がっているわけでございまして、これはたいへんなダムの湖底の上昇であります。こういうことになってくれば、先ほども説明がありましたように、貯水量など年々変えていかなければならないということになってきますけれども、このことが私は最大の理由だと一つ考えておるわけなんです。  そこでひとつ伺いたいことは、過日の大輪橋の流失は全くダムの湖底の上昇による水位の上昇以外にない。いままであの程度の水は何回も出た、明治以来三回も出たというようなこと、あるいは同じ程度の水で流れなかった大輪橋が流れたという事実は、何といってもあの地点におけるダムの湖底の上昇以外にないと断定していいと思うのです。この問は、幾らか責任があるような気もしますというようなことを言っておりましたが、その点どうなんですか。     〔委員長退席川村委員長代理着席
  47. 桑原進

    ○桑原参考人 湖底が上昇しているということは事実でございます。しかし先般お答えいたしましたように、私どもは、あの程度の水は湖底が上がった状態でも十分流れ得るというふうに想像しておったわけでございます。現在解析を急いでおるわけでございますが、何ぶんにも非常に問題がたくさんございまして、なかなか進まないというのが現状でございます。できるだけ早く解析しまして、責任があるということが明確になりましたならば、私はそれに対して善処させていただきたいというように考えておりますので、御了承をお願いいたしたい。
  48. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 大千瀬川と本川の合流地点の河床の変動につきましては、過日申し上げましたように、この大千瀬川が天龍本川に合流する地点の河床の上昇は平均七十五センチであります。一口に七十五センチと言いますけれども、大千瀬のような幅員の川の七十五センチの河床の上昇はたいへんなものだと思うわけであります。なぜ上昇をしたか。それは一つは、佐久間ダムから一時に放水される水勢によってあそこに土石が停留をする、もう一つは、佐久間ダムの大放水によって大千瀬川に本川の水が逆流する形をとる、したがって大千瀬流域に降った水は本川にはけない、これはいずれもダムの責任だ、こういうふうに私は断定できると思うのだけれども、一体この大千瀬川と本川の合流点の河床の上昇はいかなる理由によって起こったと考えるか。  それから、いま言った第二の、大千瀬の流れが木川にうまく注がずに、かえって逆流する、停滞をするというようなことはダムの放水に関係すると思うのだけれども、第一点は河川局長から、第二の点は電源からひとつお答えをいただきたい。
  49. 川村継義

    川村委員 答弁なさる方にちょっと申し上げます。非常に騒音が入って速記がとりにくいですから、できるだけ大きな声でお願いします。
  50. 坂野重信

    坂野説明員 先生質問はまことにむずかしい質問でございますが、私どもの現在まで集めたいろいろの資料等によって私が判断しておるわけでございますけれども、大千瀬川につきましては、先ほど先生がおっしゃったように、非常に大出水でございました。     〔川村委員長代理退席委員長着席〕 おそらく、大千瀬だけについて申し上げますと、前古未曾有のような大出水じゃなかったかと私は考えております。そのためにむしろあの合流地点における堆砂の問題は、佐久間ダムの影響というよりも大千瀬自体の――災害あとを見てみますと、相当その流域の山が荒れておりますし、また部分的には立木を含めてごっそり土砂が流れたというような大災害を起こしております。したがって、私ども考え方でも、相当土砂を多量に含んだ洪水が一挙にどっと出てきたんじゃないか、それが天龍の本川にぶつかって、もちろん本川の水の多い少ないは影響があると思いますけれども、そこで水が広がったような状態になった、そこで流速が落ちて、上から流れてきた土砂が堆積したというぐあいに考えておりまして、これは私は佐久間ダムの放流の影響というより、大千瀬自体の大出水、特に土砂流、土石流を伴ったことが、その主要な原因じゃないかと考えております。しかしこれは非常にむずかしい問題でございます。特に土砂の問題は土木工学的にも最もむずかしい問題の一つでございます。十分検討しなければいかぬと思いますけれども、一応の私どもの解釈はそのようなぐあいでございます。
  51. 桑原進

    ○桑原参考人 お答えいたします。  佐久間ダムの放流は、先般申し上げましたように、約八百九十トンとかいうくらいの洪水のピークをカットした状態で流しております。それから、佐久間ダムのそばには副ダムがございまして、副ダムによりまして、落下した水を従来の河川の状態において流すというのが原則になっておりますので、私どもでは、佐久間ダムの放流によって大千瀬川に何か影響があったのではないかということは考えておらないわけでございます。
  52. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 しからば伺いたいと思いますけれども、秋葉湖の湖底の上昇は客観的にお認めになっている。したがって秋葉湖の堰堤までの水の流れる速度、これがきわめておそくなっていることは御理解いただけると思う。なるほど客観的な資料によりますれば、四十三年災の大千瀬の最大流量は四千三百トンであります。たいへんなものですから、大水が大千瀬に出たということはまあ確かです。しかし、その大水が秋葉湖の湖床の上昇によって非常にはけにくくなった。これはどうですか。
  53. 桑原進

    ○桑原参考人 私どもは、秋葉のバッグウォーターの堆砂の影響というのは、それほど上流までいかないと考えております。特に大千瀬の合流点あるいは佐久間の発電所、矢島という部落がございますが、あの辺まではとうていいかないというふうに私ども考えております。
  54. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 それが東京にいるとわからないことなんです。普通のときでも、水窪の合流点が大体流れのとまる、あるいは若干流れているかなと思うところなんです。洪水期には、あの水窪川の合流点から大千瀬川の合流点まで非常に水位が上がって、たいへんな痕跡が今日なお残っております。現地へ一ぺん行ってみてください、責任者ひとつ。いかにあの十号台風のときの水窪川の合流点から大千瀬川の合流点までの水位の上昇の痕跡がどうなっているかということをごらんいただけば、これは一目りょう然だと思うわけでございます。いずれにいたしましても、とにかく地元の空気は朝野あげて、ダムさえなかったらなあということなんです。ダムができたためにえらい目にあった。こういうことをだれもが言っていることは、素朴な住民感情として無視できないと思うのであります。地域社会にコミュニケーションをつくって、電発よし、住民よし、地方自治体よしというところに政治がある。もし電発が怨嗟の的だというようなことになりますれば、これは今後もゆゆしき問題だと思うわけでありますけれども、どうぞひとつこういう点は十分配慮をいただきたいと思うわけであります。特に私は、ここで、昭和三十六年九月二十五日、静岡県議会においてなされた質問に対し、知事の答弁をもう一度違った資料から読むわけでありますが、「大輪橋から下流竜山の大橋までの補償工事を電源会社が三億円でやる、こういうことに聞いておる。ところが一体そうすると、それらの上と、また同時にそれらの下流のところの災害復旧はどうなっているんだろうかと、それだけを電源が人災だということを認めているならば、全部を電源がやるべきだと、こう思う。ところがそのところだけを三億円でやって、一体あとはどうするんだということが、必然的に疑問点として残される、」云々という質問に対し、知事の答弁は、「従いまして今回の補償等の問題につきましては、秋葉ダムの直下における各種災害につきましては、電発の責任において処理すべきであるという結論に達したのであります。もちろんこれは建設省と十分協議の上、そういう結論が出たのであります。そして秋葉以上の上流におきましては、県道の湛水面以下におきましては、これはダムによる一つ被害であるということでありまして、査定額の三分の一、要するに四億でありましたのを、県と電発が一億ずつ、あとを国におきまして災害査定して助成する、こういうことに結論がなつたのであります。」こういう昭和三十六年災のあと始末の知事の責任ある答弁と議員の質問があるわけなんです。このこともよく勘案して、ひとつ電発側も建設省も善処を願いたい。  ところが非常に遺憾な書類がここにありまして、三十六年災に見舞い金を一千万円出されたときに、天竜市と電発が覚え書きを交換されております。この覚え書きの最後に、「台風二十四号に起因して提起された諸問題はすべて解決したことを確認し、将来乙に対し地元民等から異議、苦情等があった場合は甲において善処することを約した。」こう書いてあります。これは二十四号災のあと処理について、地元から苦情があった場合には甲、すなわち天竜市が善処するということに解釈してよろしいか。
  55. 石井由太郎

    ○石井参考人 御発言のとおりでありまして、二十四号台風につきましては、もう何も言わないという取りきめを書類でやった次第であります。
  56. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 遺憾な書類でなくて、いい書類であることを確認いたします。後ほどまたいろいろ要請があることと思います。  次に、農林省に伺うわけでありますが、時間がございませんので、簡単にやります。  去る九月五日午後五時四十分ごろから八時三十分にかけまして、いわゆる三方原農業用水の三号サイホン飲み口上流ほか四カ所から異常な溢水がございました。一体この西遠地方の全住民が待望してやまなかった天龍川の水が、おかげで西遠地方へ引かれたわけでございますけれども、わずか二トンないし二・五トンしか臨時的に流していなかったこの当時において、あのナイヤガラ瀑布を想像するような大溢水があの地域を襲ったということは一体どういうことなのか。私はたいへん驚いたのであります。ちょうどその溢水地が私の出生地でございまして、私は山一つ、木一本、全部知っているのであります。現地へ行って驚きました。これでは二度、三度このような災害があったら、一体あの三方原用水の沿川の住民は安心して眠れない。時間が五時だからよかったようなものの、あれが深夜に起こった場合にはどうなったかと思いますと、実は戦慄を覚えたのであります。一体この原因はどこにあるのか、農林省関係の説明を求めたい。
  57. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  このたび三方原の用水路に非常に溢水がございました点につきましては、まことに御指摘のとおりでございます。その原因につきましては、現在、三方原の用水の共同施設管理委員会というものが御存じのように設立されておりますので、その管理委員会の手元で、いわゆる基本的な原因につきましては研究調査中でございます。しかし現在までに農林省において推定される原因といたしましては、台風十号のときに、取水の門がときどき振動が見られましたので、今後秋の台風時期に備えて取水門系統の点検を行ないました。この点検に万全を期するために一時、午後二時から午後三時までの間に制水の門を締めまして、取水を停止いたしましたが、その後操作を多少行ないまして、毎秒一・二トン前後の取水を開始したわけでございます。しかしその後どういう事情か、その辺がいま問題の点でございますが、水位計がまあ故障したのではなかろうかと思うのですが、正常な表示を行なわなかった関係もありまして、予想以上の水量が流入したのではなかろうか、こういうふうに現在考えておる次第でございます。  なお、この用水路は、御指摘のように、現在まだ全部完成しておりませんで、末端の用水路につきましては現在まだ一部工事中であります関係で、いわゆる暫定通水でありましたので、多少各所に約九十センチ前後の暫定かさ上げをしていたようなことが、かえってこういう原因を招来したのではなかろうか、こういうふうに農林省では考えておる次第でございます。  先ほど申し上げました計器の故障等、まだ目下鋭意調査中ではありますが、この三方原用水の共同施設管理事務所並びに災害対策本部等で現在その応急復旧を行ないますとともに、引き続いて今後のいろいろ災害復旧工事につきましても検討したい、今後こういうことのないように、いろいろさらに同管理委員会におきまして、復旧並びにこういうことの原因究明について、現在鋭意取りまとめて検討しておる、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  58. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 先ほどもちょっと触れましたように、西遠州の住民にとりましては仏の水だったわけです。それが悪魔の水に変わったわけなので、これはたいへんなことなのです。取水門には故障はなかったけれども、制水装置のほうに故障があったと想像してよろしいか。
  59. 荒勝巖

    荒勝説明員 その辺がまあ問題究明の一番のポイントではなかろうかと思いますが、現在の段階では、どうもいわゆる水位計と申しますか、計器のほうにむしろ故障があったのではなかろうか、こういうふうにわれわれは聞いておるわけであります。
  60. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 一度取水樋を閉じて制水のほうの調整をして、でき上がったのであけた。ところが水は流れているのに水量計はゼロを示した。実際はゼロなんということはあり得ない。流れていたはずなのにゼロを示したという証拠は確かにあるわけなんだから、やはり取水門のほうでなくて、制水装置のほうに故障があったというように、ほとんど断定してよろしいのじゃないですか。
  61. 荒勝巖

    荒勝説明員 その点につきまして、きのう現在におきまして、現地の方を呼びましていろいろ検討いたしましたが、関係技術者の間では、断定的に、そういうふうなことについて、まだわれわれに対して報告を現在の段階ではしてない、こういうふうに理解しております。
  62. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 第二、第三、第四のサイホンですね、ここにスクリーンがありまして、その上流にせぎをやって分水をするということになっておるわけですから二トンや三トンの水で――ですから、それをやっていたわけなんですよ。したがって、そこら辺にごみがかかったとか、十号台風によって取水口から材木が入ったとかということで、そののせぎによる溢水だということは――私はすぐ行ってみたんですけれども、それほどのごみが取り除いてあるわけではないのです。山のようなごみが取り除いてあったわけではないのです。現在もやはり多少のごみはかかっているけれども、あれは管理事務所で定期的に何人かの人で除却している。したがって、もしそのスクリーンへごみがかかっていて溢水したというならば、管理側の責位もまた追及しなければならぬけれども、あの程度のスクリーンへのごみではあんなばかなことは起こり得ない。あくまでも私は取水口の何かの誤りでああなったというように思うわけですけれども、まあこれは今後もあることですから、ひとつ鋭意検討して、誤りは正す、設計にミスがあるならば設計を変える、施工に手落ちがあったならば追及をする、さらに製作者に何か誤りがあったならばやり直す。取水門並びに制水装置については十分御検討をいただきたい。  同時に、それだけではなくて、神ならぬ身の機械ですから、いつどういうことが起きるかわからぬ、このことはたいへんな教訓を今度教えたと思うのです。したがって、抜本的には、私はやはりこの水を非常の場合どこかへ放流するという措置を講じない限り、もし取水もだめになり制水もだめになったときには、十七トンが全部流れてくるということになる、あるいはそれ以上の水が圧のぐあいによっては入ってくるわけなんですから、抜本的には、やはり中途で数個所の放水をしなければならぬじゃないかというように考えます。そんな水をこんなことでカットされてたまるかという地域住民が大部分であります。したがって、天龍本川になるべく近いところで、天龍本川へもう一ぺん放流するというような設計も考えなければなりますまい。あるいは適当なところに、何分の一かのカットできる非常水門を用意しなければなりますまい。これも来年の六月ですか、何月ですか、この工事事務所が閉鎖されて、いよいよ終わりだということを聞いていますけれども、それでは画竜点睛を欠く。やはり一朝非常の際にも、この水はこうして、沿川住民には御迷惑をかけませんという最後の仕上げをしていただいたら、ほんとうにあの水は生きると思うのでありますけれども、一体そうした見通しにつきまして、本省としてはどういうようにお考えなのか、承っておきたい。
  63. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま御指摘のように、再びこのような事件といいますか、事故を起こすようではほんとうにまずいので、われわれといたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、まず原因の究明というところに全力を注ぎまして、それから対策を講じる所存でありますが、ただいま御指摘のように、放水口等を別個所に設けたらどうかという御意見につきましても、それは十分尊重してまいりたいと思っております。要するに、全体的ないわゆる工法とか、あるいは構造等につきましても再点検を行ないまして、こういう事故のないように十分検討してまいりたい、こう思っております。
  64. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 当面の対策として被害の補償でありますけれども、きわめて地元と緊密な連絡をとり、応急措置がなされておるようであります。当然なこととはいえ、この点は敬意を表するわけでありますけれども、一体それらの補償につき、災害査定等々との関連もあると思いますが、当面どのようにお考えになっておられるのか、承りたい。
  65. 荒勝巖

    荒勝説明員 災害被害の実情につきましても現在調査し、かつその対策を検討中でございまして、十分確定的なことは申し上げにくいのでございますが、被害のいわゆる床上浸水というものにつきましては、われわれのほうに入っております報告によりますと二戸、床下浸水が十二戸、家屋につきましては、そういうふうに聞いております。農地の浸水及び土砂の流入につきましては、約十一・六ヘクタールというふうに報告をいただいております。それから県道、市道、農道についてそれぞれ損傷がございまして、いわゆる県道では三十メートルくらい、市道では約三百五十メートルくらい、農道の損傷が約二百九十メートルくらい――それぞれ延長でございます。それから用水路の被害が約四百メートル前後、それからいわゆる土砂流入が約〇・二ヘクタールくらいというふうに、現在報告を受けておるわけでございまして、それぞれの災害復旧並びにそれぞれの補償につきまして、地元災害対策本部と十分協議いたしまして、現在検討中でございまして、なお工事につきましても、さしあたり応急復旧は現在どんどん進行している、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  66. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 農業用水、工業用水、上水道用水という形で、三者があの水を使う主流の事故であります。したがって、いろいろな関係があると思いますけれども、あそこの責任はやはり関東農政局の担当であろうというように思うわけでございますので、ぜひひとつ補強した復旧と、さらに今後の抜本対策につきましても鋭意御検討をいただき、これで三方原用水関係は終わりだということでないように、十分御検討をいただきたいと思うわけであります。これは要望でございます。  後ほどまだ電源と建設省あるいは気象庁にもありますが、川村先生の御都合があるそうですから、ちょっと中断をいたします。
  67. 芳賀貢

  68. 川村継義

    川村委員 理事会の申し合わせで実は太田委員質問になっておりますけれども、運輸大臣関係で、本日委員会の決議の取り扱いでございますから、その前に私が少しお尋ねをしておきたいと思います。  災害の問題については各般の重要課題をかかえておるわけでありますが、この中で気象観測という問題も、これは言うまでもなく重要な問題でございます。私はきょうは気象庁の長官はじめ皆さん方のお答えをいただきたいと思って、重複しないように、気象庁関係についてお尋ねをいたします。  この前いただきました「台風第七号の速報」という資料がございますが、その気象概況の第一に、「昭和四十三年八月三日二十一時、ウェーク島の西南西四百六十キロメートルの海上、北緯十七・二度、東経百六十三・〇度に弱い熱帯低気圧千六ミリバールが発生した。」こう書き出して、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)とずっと気象概況が書いてあります。  まずお尋ねいたしておきますけれども、第一項の、いま私が読みました点についての観測は、だれがどこで観測をするのか、それを初めに聞かせておいていただきたい。
  69. 柴田淑次

    ○柴田説明員 ずっと本邦から南のほうの地域にこういった熱帯低気圧が発生したということがわかるのは、一つはその付近を航行しております船舶からの入電、気象電報が一つございます。それからもう一つは、ちょうどその付近を飛んでいる航空機がございますれば、その航空機からも資料の入電はございます。それから気象衛星が飛んでおりまして、その気象衛星の画像を受画いたしますと、雲の状態でそこに熱帯低気圧があるということがわかります。それらをもとにいたしましていわゆる天気図をかくのでございまして、天気図をかきますと、そこに熱帯低気圧を示す等圧線が出てくるわけでございます。そういったことでわかるのでございます。
  70. 川村継義

    川村委員 そうしますと、その熱帯低気圧がいわゆる台風となってわが国に接近するという事態を考えた場合に、気象庁がみずからそれをとらえて予報なさるのは、一体どういう地点においてそれが可能なんですか。それをやっておられますか。
  71. 柴田淑次

    ○柴田説明員 ちょっと、御質問の意味がはっきり私のみ込めないのですが、気象庁みずからそこに参りまして観測をするというようなことは、実は御承知のように気象庁には船がございまして、その船が台風の観測にも出動します。そういうような場合もときにはございます。そういうような資料で――予報するというのは、ちょっと私、どういうような先生の御意向かわかりませんけれども、その熱帯低気圧の強さだとか、あるいは進行方向だとか、そういうものを予報するのであれば、その天気図と天気図関係のすべての資料がたくさんございます。たとえば上層の風の資料もございますので、そういったたくさんの資料をもとにいたしまして、今後の熱帯低気圧の予報をやるのでございます。
  72. 川村継義

    川村委員 私のお尋ねしたのが、ことばが足らなかったかもしれませんが、私がお聞きしたいのは、先ほどのあなたのお答えによると、船舶からの入電ももらえる、航空機からの情報もとる、あるいは気象衛星等の映像等によってつかまえる、こうおっしゃるのですね。それはみな気象庁のあなたのほうで、端的に言いますと、たとえば富士山のレーダーでとらえて、こう動いているぞというようなことでなくて、いわゆる外部からのいろんなものを集めて、専門的にそれを解析して予報なさるわけでしょう。気象庁みずから、いまこの台風は東経何度、北緯何度にある、大体どっちのほうに進んでくる、それをあなたのほうでとらえて予報なさるのは、一体どの辺の範囲からそれが可能ですかということです。わかりましょうか。
  73. 柴田淑次

    ○柴田説明員 わかりました。  さっき、ちょっと申し忘れましたが、南方には島がございます。島の上に測候所その他の出先機関がございますので、そういった測候所などでの観測も入ってまいります。そういうような観測の資料は、気象庁みずからの観測資料でございます。  それから、先ほど先生がレーダーのとらえる範囲というようなことをおっしゃいましたが、富士山のレーダーは、御承知のように有効半径が六百キロでございます。富士山の山頂から六百キロの範囲に台風あるいは熱帯性低気圧が入りますと富士山のレーダーに映りますので、気象庁みずからその台風をとらえることができるのでございます。
  74. 川村継義

    川村委員 先ほどお話しの航空機というのは、気象庁の所有されておる航空機じゃありませんね。
  75. 柴田淑次

    ○柴田説明員 そうではございません。
  76. 川村継義

    川村委員 私がなぜこういうことをお聞きしているかというと、たいへん失礼なことなんですけれども、一ころよく、天気予報でも何でも、どうも気象庁の発表は当たるも八卦、当たらぬも八卦なんて言われたこともあります。しかしいまは、そういうことはわれわれ全然感じないのですよ。ところが、今夏わが国に襲来した台風四号、七号、十号等のあなたのほうの予報をずっと見ておると、相当何か違った方向に動いているのですね。たとえばいま私がお尋ねしておる七号でも、当時の情報による、新聞に発表された予報を考えても――もちろんいまいただいておる資料には、結果がずっと報告してあるから間違いないのですけれども、当時発表された資料によると、いま私が申し上げるように、台風が太平洋から、四国沖から九州はるか海上で左に回って、沖繩の沖に入って、東シナ海に入って、また逆に日本海に抜ける、こういう予報は、この辺まで、十日の九時現在まで、あなたのほうは全然出していないのですね。ところがぐるっと、いわゆる迷走といいますか、そういうかっこうになっておる。そこで、私はどこかに予報体制のやはり不備があるのではないか、こう思っておるから、実はお聞きしておるのです。その点をひとつ誤解のないようにお聞き願いたいと思う。時間がたいへんあれですが、当時の新聞等で予報されたものを見てみましても、それが実は明確になるわけです。  そこで、やはり台風四号についてもお聞きせねばなりません。その一つの例として――私、七号についていろいろ申し上げませんが、台風四号について見ましても、二十七日、鹿児島地方気象台が九時現在発表したところによると、北緯二十九度三十分、東経百三十四度五十五分、時速二十キロ、北西または北北西に進んでおる、宮崎南東四百キロだ、こういうように鹿児島地方気象台が二十七日の午前九時に発表をしておるわけです。これは台風四号の場合。そして二十八日の午前九時に宮崎県と紀伊半島を結ぶ線に達する見込み、続いて二十八日朝四国、九州に上陸確実と、こういうような報道が出ておりますね。これは鹿児島地方気象台の発表。気象庁観測発表というのもやはり同じく出ておる。それによりますと、二十七日の午後六時現在、北緯三十度二十分、東経百三十四度三十分、時速十五キロ、北西または北北西に進んでおる、足摺岬南南東三百三十キロだ、こういう発表があります。もちろん二十七日の午前九時現在の鹿児島地方気象台の発表と、あなたのほうの午後六時現在の発表でありますから、発表の時間には相当差がありますが、北緯二十九度三十分、東経百三十四度五十五分という鹿児島地方気象台のとらえたのと、あなたのほうの北緯三十度二十分、東経百三十四度三十分というこのとらえ方が、時間の差にして非常に大きな開きといいますか、全く足踏みしておるような形になっておりますね。こういうとらえ方にどこかに不備なところがあるのではないか、こう思われてならないのです。それからさらに、この二十八日の午前九時の鹿児島地方気象台の発表と、あなたのほうの二十八日午後六時の発表の、到達する見込みは大体一致しております。その後、午後七時三十分に、高知県の須崎市付近に上陸し、瀬戸内海を通って、広島県の中部を抜けて、中国横断、二十九日朝日本海へ抜ける見込みと、こう発表されておる。ところが、実際は高知県の須崎付近に上陸して、山口県を抜けて玄海灘に出て、ぐるっと南下して、温帯性の低気圧になって、相当雨と風を伴いながら、今度は九州のまん中を東に抜けて、また太平洋に逆戻りをしておる。これは迷走しておりますね。二十八日の午後六時ごろの皆さん方の発表と実際動いたのは相当違ってきておる。これは台風については一体なぜこう予想が困難なんでしょうね。どこにその困難の原因があるかということをひとつ知らせておいていただきたい。
  77. 柴田淑次

    ○柴田説明員 台風の予報でございますが、一般の普通の正常コースと申しますか、正常コースを通る台風の予報は楽でございます。しかし、七月、八月にあらわれる台風の中には、ただいまのような迷走台風が非常に多いのでございまして、この迷走台風に対しての進路予想は非常にむずかしいのでございます。むずかしいと申しますその原因は、主として台風の進路に関する技術的のレベルがそこまでいってないのでございます。それが非常に大きな原因でございます。そのほかに観測体制の整備あるいは拡充という面も考えられますけれども、技術者である私が根本的に考えてみましても、やはり台風に対しての理論といいますか、研究がそこまでいっていない、そういうことでございます。したがいまして、根本問題は、台風の進路のみならず、台風の勢力が今後発達するか衰弱するかというような、台風に関するすべての研究を今後うんと進めていくということが最も大事なことではないか、というように私は考えております。
  78. 川村継義

    川村委員 皆さん方のようなほんとうに専門的な方が、われわれしろうとにいわせると、やはりこれくらいの予報というか、そのつかみ方というか、しかできないのだろうか、実はそういう疑問が一ぱいわいてまいります。当時の新聞等を見ても、ことしはいわゆる熱帯集束帯といわれるものがずっと北上しておる。これは予報官泣かせだといわれておるそうですね。この熱帯集束帯が例年に比べてずっと北上しておるならば――何年か前にもあったそうですね、昭和三十三年ですか、こういう時代に、幾つかぐるぐる回った。そうすると、皆さん方専門の解析があれば、ことしはあぶないぞ、ぐるっと回るかもしれぬということなどは、解析、予報ができるのではないかと私は思うのです。いま長官がおっしゃったように、おそらく問題がある。そこで、これはあとでお聞きいたしますけれども、言っておくことは、実際われわれが気象台等を見てみますと、予報官というものが実際手不足だ。私は機械のことなどはよく知りませんけれども、予報官の手不足というものが、こういうところに欠陥として出てくるのではないかと私は思うのです。これはあとでまた聞きますけれども、そう考えて間違いないでしょうか。
  79. 柴田淑次

    ○柴田説明員 予報官の手不足という問題につきましては、現状の予報官の人員数そのものは決して満足すべき状態ではないというように私は考えますけれども台風の進路の判定に対しての処置というものに関して、この予報官の不足ということが唯一の原因であるというふうには私は考えておりません。原因である場合も、それはときにはあるかもしれませんが、それよりもむしろ先ほど申しましたような原因のほうが非常に大きいのじゃないかというように考えております。
  80. 川村継義

    川村委員 あとで聞きます。  私は、いまの長官のことばにどうも納得できません。問題になった台風七号、そのあとやってきた台風十号。この十号にしても、これはあまり私くどくど申しませんでした、申し上げたくなかったのですけれども台風十号にしましても、二十八日の午後八時に、福岡の管区気象台は、二十九日明け方にかけて九州有明海を中心に九州西岸に上陸しそうだ、こういう予報をしていますね。九州西岸といったら、これはやはり長崎か有明海か、そちらと言わざるを得ません。ところが実際は、二十九日の午前三時の薩摩半島の枕崎をかすめて北東に抜けていますね。しろうとの素朴な質問なんですが、管区気象台ともあろうものが、しかも鹿児島にも気象台がある。そのときはずいぶんこの十号というものも九州に接近しておる、つまり枕崎南西約六十キロ、時速二十キロ、北北東に進んでおる、中心気圧は九百八十二ミリバール、最大風速二十五メートル云々、このような発表がなされておりますから、私は、ほんとうに専門の予報官であるならば、薩摩半島、枕崎付近に上陸するであろうというような予報は一体できないものか、どうして九州西岸、こういう予報が福岡管区気象台からなされたのか、そういうことを実は思うわけです。これは長官、いかがでございますか。
  81. 柴田淑次

    ○柴田説明員 非常にむずかしいことでございます。台風が九州なら九州の沿岸のごく近くに来たら、大体どこに上陸するだろう、局地名も大体わかるであろうというようにお考えになるのは当然だろうと思いますけれども、先ほども申しましたように、何と申しましても残念ながらいまはそういう非常にこまかいところの地名まで出しまして、この付近に台風が上陸するであろうというようなところまでは、ほんとうのところわからないのでございます。したがいまして、枕崎ということでなくして、九州西岸というような表現を使うのでございます。
  82. 川村継義

    川村委員 私も、どんぴしゃりということばもありますけれども台風などというものがそういう予報ができるものだとは、どんなりっぱな機械を設備しても、そう正真正銘の解析、予報というものができるとは思いませんよ。十号の台風の進路にしましても、ずっと一応日本に近づいて、沖繩から東シナ海に入って、そして勢力を盛り返して戻っておる。これなんかはおそらくむずかしいかもしれませんね。だれも、東シナ海に去ったからあっちで消えてなくであろうと、皆さん方も専門であってもそうお思いになったかもしれません。ところが、あそこでぐるっとあと戻りをして九州のほうにやってきた。こういうことが十号の姿でございました。しかし、いずれにいたしましても、長官おっしゃるようになかなかむずかしい問題でありましょうけれども、私は、いわゆる予報官であるとか、あるいは近代的な機械の設備であるとか、そういうものがあると、私がいま心配してお尋ねしておるようなはずれ方はないのじゃないかと思うんですよ。いやそれは、いまのところではどんなにやってもだめだとおっしゃれば何をか言わんやですけれども、私は実はそうは思いません。  そこで、それをあと回しにしましてちょっと聞いておきますけれども、この観測体制についてお聞かせいただきたいのです。これは私が申し上げるまでもなく、気象庁予報警報規程の別表第一に全国予報区というのが示してある。地方予報区というのが示してある。府県予報区、地区予報区等が示してある。この全国予報区は私はわかります、これは気象庁がやることですから。地方予報区とか、それから地方予報区のうちの管区気象台、地方予報区の中の地方気象台、それから各県行政単位に置かれておる気象台、こういうものの気象の業務の範囲と申しますか、あるいは権限と申しますか、これは一体どういうように分けてあるのですか。おそらくいろいろこまかなものに書いてあると思うのだけれども、それをひとつ説明していただけますか。
  83. 柴田淑次

    ○柴田説明員 全国予報区は、御説明するまでもなくおわかりいただいておると思います。それから地方予報区と申しますのは、二県あるいは数県を一緒にいたしまして、気象的に特性が同じであるようなところを一括して地方予報区としているわけでございます。管区の予報区と申しますのは、管区気象台が担当しております区域で、その区域の予報でございます。それから府県予報区、地方気象台と称するものは府県に一つでございますので、地方気象台の予報区とそれから府県の予報区というものとは一致しております。その地方気象台の予報区というのは、一つの県あるいは府単位でございます。大体その程度でございます。
  84. 川村継義

    川村委員 ちょっとはっきりしないのですがね。管区気象台、たとえば福岡管区気象台といいますと福岡、大分、佐賀、長崎、これらを管轄しますね。鹿児島気象台となると鹿児島と宮崎を管轄しておる。そうして宮崎には宮崎の気象台があるのですね。それらの業務範囲あるいはその権能というのですか、権限というのですか、それはたとえば予報であるとかいろいろな場合に、どういう仕組みになって動いているのか。それが一つ。  それと、なぜ管区気象台、あるいは鹿児島のごときはただ鹿児島地方気象台、こう言っているのですね。その辺のところをちょっと……。
  85. 柴田淑次

    ○柴田説明員 その点につきましては、予報部長から説明させていただきます。
  86. 北岡龍海

    ○北岡説明員 予報業務について、担当でございますから私から答弁させていただきます。  予報業務をやりますのにつきましては、全国的な気圧、低気圧がどこにあってどのように動くか、高気圧がどこにあってどのように動くかというような、気圧計の全体のパターンの移動、すなわちこれを予想天気図と申し上げておりますけれども、これをつくって予報の基本的な資料をつくる責任を持っておるのが本庁の責任でございまして、これを地方に流します。そして、先ほど長官が申されました、全国を約十の、地方予報中枢と称しておりますけれども、それに分割いたしまして、大体同じような気候区を持っておるところを地方中枢としておりますが、そこで、本庁から流れてきました予想天気図をもとにいたしまして、その地方の特有な天気の現象の翻訳をやるのが大体主でございまして、さらに、もう少しこまかい現象について常時監視をいたしまして、地方気象台の県民に対する予報を流すための重要な指示をするのが予報中枢の責任でございます。それを受けまして、地方気象台が直接県民に対して適切な情報を提供するというのが、地方気象台の任務になっておるのでございます。
  87. 柴田淑次

    ○柴田説明員 はっきり九州なら九州地方について申し上げますと、福岡管区気象台は、九州全般に対しまして指示報を流します。しかし、鹿児島に地方気象台がございますので、この鹿児島の地方気象台は、鹿児島県と宮崎県に対しましての、つまり鹿児島地方気象台、自分とそれから宮崎の地方気象台に対しまして、本庁から来た天気図を流してやるということでございます。したがいまして、天気図を流したり情報を交換したり、あるいは情報を流してやったりする責任があるのは、鹿児島は自分と宮崎県でございます。それから管区気象台は、鹿児島、宮崎を除いた北のほう全部の地方気象台に対しまして情報を流します。  なお、台風のときには少し違いまして、台風のときには、これは本庁が一本で台風の進路を決定いたします。これは御承知のように、扇形でもって台風の進路を設定いたしまして、各予報中枢、地方中枢と申しますかにおいては、その扇形の中におきまして自分で最も可能性のある方向を決定して差しつかえないというような仕組みになっておるのでございます。ちょっとおわかりにくいかもしれませんが……。
  88. 川村継義

    川村委員 その辺の業務はわかりました。つまり天気予報については、本庁でいろいろの天気をとらえて解析をして、いわゆる中枢機関と言っていい管区気象台あるいは鹿児島なら鹿児島の気象台に流す。それを今度は、それぞれの行政単位に設置される気象台が、自分の地域におけるものとあわせ解析をして、それぞれの府県に気象を予報する、こういうことになると思います。台風の場合にも、いま長官からお話がありましたが、私は、台風の場合には、たとえば福岡とか鹿児島とかいうような地方気象台は、三百キロ以内の時点においてはみずから台風の進路等を決定することができ得る権能が与えられておると聞いておるのです。一々気象庁からこうじゃこうじゃといったのを流すのではなくて、三百キロ以内に入ってきた台風については、福岡なら福岡がとらえて、それを解析して、進路とか気圧とかそういうものを流すことができる、こう聞いておるのですが、その辺のところはどうでしょう。
  89. 北岡龍海

    ○北岡説明員 専門的な問題になりなすので、私からお答えを申し上げることにいたします。  先生の御指摘のとおり、台風がその地方予報中枢に約三百キロに近くなりますと、そこの毎時の台風中心位置の推定、それと一時間ごとのおおよその進路予報につきましては、その地方予報中枢で発表することは差しつかえないとしておりますけれども、その台風の位置の確定につきましては本庁が最終的責任を持つことにしておりますし、また進路予報につきましても、やはり本庁が相談にあずかりまして、本庁の全国的な――ある中枢から次の中枢に移った場合に急に見解が違うようなことが起こるとぐあいが悪い、問題があると困りますので、そういう意味の調整を本庁がやることになっておりまして、本庁と絶えず密接な連絡をとりながら、地方中枢が推定をして発表することを行なっております。
  90. 川村継義

    川村委員 大臣お見えになりまして、私ちょうど質問の途中でございまして、これから実は気象観測体制について、私なりに人員の問題あるいは機械等の設備の問題、たいへん不備ではないか、こういうことを実はお尋ねしようと、いま質問しているところなのであります。しかし、大臣何かたいへんお差しつかえのようでありまして、そのことを聞いておりましたら大臣にたいへん御迷惑をかけると思いますから、それはまたあとでお聞きすることにいたします。  きょうは、大臣在席中に委員会として決議を取り扱うことになっておる、そのように考えますので、さよう委員長のほうでお取り扱いいただきたいと思います。  ただ、あとでまたちょっと長官にお聞きいたしますけれども長官にいま二、三お尋ねいたしましたが、私、しろうとの考え方としてもまだ十分納得できないものがあります。たとえば台風の問題にいたしましても、予報部長の答えられましたように、これは混乱をさせないためにも、気象庁の本庁が全責任を持つということはいいでしょう。しかし、その辺と管区気象台、地方気象台等の連絡が、その台風なら台風についての解析がはたしてうまくいくかどうか、それが十分であるかどうか、その辺でやはり先ほど私が二、三申し上げたような迷路といいますか、それを生み出す結果にもなるのじゃないか、こういうことも考えられますし、予報官の人数、これはまたあとで聞きますが、そこらにも大事な問題があるのじゃないかと私は思います。そういう点で、これは十分御検討いただいておると思いますけれどもあとでいろいろ長官にお尋ねをしていきますが、大臣のほうとされましても、この気象庁の整備充実というのは災害対策基本法災害対策の基本計画の中にもあるのでありますけれども、一番忘れられておるのじゃないかと私は思えてしょうがないのであります。どうぞひとつ、そういう意味で大臣のほうでもお取り扱いいただくようにお願いをしまして、次の取り扱いをひとつ進めていただきたいと思います。      ────◇─────
  91. 芳賀貢

    芳賀委員長 この際、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同をもって、自然災害の防止に資するための気象業務の整備拡充に関する件について、本委員会において決議いたしたいとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。湊徹郎君。
  92. 湊徹郎

    ○湊委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派を代表して、自然災害の防止に資するための気象業務の整備拡充に関する件につきまして、本委員会において決議いたしたい旨の動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    自然災害の防止に資するための気象業務の整備拡充に関する件(案)   台風豪雨、豪雪、干ばつ、地震等により年々全国各地に発生する災害は、我が国の民生、経済に著しい影響を及ぼしており、しかも、近時、人口及び産業の都市集中に伴い、災害の様相は複雑多岐に亘り、大規模な災害発生が憂慮されている。   これらの自然災害に対処するためには、災害の原因となる自然現象を精密に把握するとともに、その情報の迅速正確なる伝達により防災体制を確立し、被害を最小限度に食い止めることが肝要であることは論を俣たない。   然るに、我が国の気象業務の実態は必ずしも満足すべきものとは言い難く、つとに、その飛躍的拡充強化が要請されているところである。   よつて、政府は、左記事項について、速やかに措置することにより、自然災害の防止軽減に特段の努力をいたすべきである。      記  一、予報精度の向上を図るため、気象観測網の大幅な充実強化を推進するとともに、観測測器の近代化に努めること。  一、気象情報の迅速なる伝達を図るため、通信施設の整備、近代化を推進するとともに、情報伝達の徹底を期すること。  一、地震観測施設の整備、近代化を図るとともに、地震予知業務の推進を行なうこと。  一、気象業務に従事する要員の確保を図るとともに、その待遇等について特段の配慮を行なうこと。  一、気象、地象、水象に関する研究を強力に推進し、新技術の開発に努めるとともに、大学その他の研究機関との連絡協力を密にするこ   と。 以上であります。  決議の趣旨につきましては、過般のえびの地震台風七号、十号等による集中豪雨災害等を中心とする最近の災害について、数次にわたる本委員会の審議を通じ問題点が明らかにされ、ただいまの川村委員をはじめ各委員から具体的に指摘されておるところであり、その内容については、委員各位には十分御承知のところであると思いますので、説明を省略させていただき、満場一致御賛同あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  93. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  94. 芳賀貢

    芳賀委員長 別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  お手元に配付してあります案文のとおり、本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  95. 芳賀貢

    芳賀委員長 起立総員。よって、動議のごとく決定いたしました。  この際、中曽根運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根運輸大臣
  96. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ただいま御決議いただきました諸項目につきましては、気象庁にございます従来の五カ年計画を、さらにこの御決議の趣旨に沿って再点検いたしまして、補強すべきところは補強し、つけ加うべきところはつけ加え、さらにもう一回いままでの体制を精査いたしまして、御趣旨の線に沿うように、できるだけすみやかに努力いたす所存でございます。
  97. 芳賀貢

    芳賀委員長 おはかりいたします。  ただいまの決議の関係政府当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ────◇─────
  99. 芳賀貢

  100. 川村継義

    川村委員 それでは、たいへん午後の時間おそくなっておりますから、取り急いであと二、三、私立ったついでにお尋ねをしておきます。  ここでちょっと私注文をつけなければならぬと思うのですけれども、先ほどの長官のおことば、予報官のおことばを聞きまして、やはりどうも、台風一つ例にとってどうかと思うのですけれども台風の進路等について、もう少し地方気象台あるいは管区気象台に的確なる観測設備といいますか、観測体制を充実してやられる必要があるのではないか。それが一つ。もっとこまかに申し上げますと、いま私は管区気象台、地方気象台と申し上げましたけれども、でき得べくんばやはり各県単位に置かれておる気象台には、レーダーぐらいは設けるという必要はないのかどうなのか。レーダーを、富士山頂にあるような大きなものでなくても、出力は少しぐらい小さくてもいいじゃありませんか、そういうものを設置する。これはやっぱりいまの日本の立場からすると必要ではないか。  それから、予報官の問題は、さっき私ちょっと聞いて長官からお話がありましたが、私は納得しないと言ったのは、たとえば熊本気象台の例を申し上げます。  熊本気象台には予報官は一人しかいないのですよ。一人の予報官で、秋晴れのきれいな静かな天気のときにはいいでしょう。しかし、さて集中豪雨だとか台風だというときに、予報官一人ではとてもじゃないと思います。もちろん、そういうときには技術官が予報官の肩がわりをしておるようです。ところが、技術官が予報官の肩がわりをするということも、またこれは問題がある。決して万全を期せられないのではないか。こう思いますと、やはり府県単位の気象台、熊本なら熊本、宮崎なら宮崎、こういうような気象台にやはり――私はよその県に何人おるか知りませんけれども、熊本は予報官一人なんですよ。少なくとも三名配置する必要があるのではないか。それらを考えずに、予報官ならばだいじょうぶですというような御意見では、私は納得できないと思うのですがね。私は熊本の気象台のことをいろいろ聞いているのですよ。それは気象業務に携わっておりますあなたのほうの各県の気象台等々の皆さん方は、ほんとうにたいへんだと思うのですよ。福岡管区気象台でも予報官は六名しかいないでしょう。そうなると、もちろん予報官は専門家ですから、それは皆さん方の全国的な気圧配置等々の基本的なものが流されるならば、それに基づいていろいろな分析あるいは解析はするでしょう。しかし、私は、やっぱりそれは気象庁本庁でやる仕事も大事ですけれども、もう少しこういう地方の気象観測あるいは台風観測等々の整備を、機械の面においても、設備の面においても、人員の面においても、これは充実する必要がある。でないと、さっき私は二、三、台風のことばかり申し上げましたけれども、思わないずれ方をする、迷走するであろうという予報さえできない、こういうことになるのじゃありませんかね。ちょっと言い過ぎですか。長官お答え願います。
  101. 柴田淑次

    ○柴田説明員 初めの問題でございますが、観測測器の充実でございます。各県にレーダーを置くべきではないかという先生の御意見、まことにけっこうなことでございますけれども、一方考えますと、現在ございますレーダー、種子島にレーダーがございます。あるいは福岡にもレーダーがございますが、そのレーダーの有効範囲は三百キロということになっておりまして、福岡のレーダーは九州の大部分をおおいますし、種子島のレーダーは鹿児島まで到達するわけでございます。で、そのほかに各県一台小さいレーダーを置くということは、これはもちろんそういったレーダーがあるにはこしたことございませんが、それよりも前にわれわれが考えているところは、たとえばこの種子島のレーダーが鹿児島で見えるようにならないかということでございます。そういうような、レーダーの映像の必要なところへの分送ということをただいま考えておりまして、ある若干の地域につきましてはその分送はもうやっております。しかし、それは全国的に考えますとごく小部分でございますので、目下各レーダーを必要なところへ分送する、それを全国的に行き渡らせるようにするために努力している段階でございます。  それから、予報官が熊本には一名という御指摘はそのとおりでございまして、こういったように予報官が一名で十分だというようにわれわれは決して考えていないのです。しかし、ただいまのところ残念ながらそういうような状態でございますので、川村先生おっしゃるように、少なくとも三名という線は、これは常識的な線だろうと私も考えます。したがいまして、今後ともできるだけこういった技術屋の専門官というものを各地方気象台にふやしていきたいというように考えている次第でございます。
  102. 芳賀貢

    芳賀委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  103. 芳賀貢

    芳賀委員長 速記を始めて。
  104. 川村継義

    川村委員 農林大臣がお見えになったようですが、ただいま委員長からのお話のようなことでございますが、私は一つ注文をいたします。  そこで長官、気象台に行ってみると、気象台が委託をしておるたとえば農業気象観測所から入ってくるいろいろな問題、連絡、通報、民間委託からやってくる雨量等に関する通報、それから何カ所か設置されておる気象台の観測所、そこから入ってくるもの、そういうものはいまだに電報、電話でやられておりますね。私は、電報、電話は近代的な設備でないとは言いませんよ。しかし、気象業務として、これではまさかのときにはたいんな事態を起こすということは、私しろうとが考えても言えることだと思うのです。建設省はよく持っておられると思うのですが、テレメーターといいますか、建設省のほうがよほど充実している。そういうものをやはり気象庁も考えるときではないかと思うのです。きょう決議をされました趣旨の中の設備充実とあるのはそういう点ではないかと思うのですが、そういう予算要求の御用意はありませんか。
  105. 柴田淑次

    ○柴田説明員 御指摘のとおりでございまして、現在の気象庁の通信網は決して十分ではございません。したがいまして、気象庁といたしましては、予報体制の充実のほかに、それを伝える通信網の充実にも大いに力を注いでいるところでございます。テレメーターとおっしゃいましたけれども、気象庁といたしましては、たとえば地震の場合には電線が切れるというような場合も考えられますので、できるだけ無線で通信をするというようにしまして、そういった観測所から地方気象台へ集まってくる資料も、無線で集まってくるように考えていきたいというように考えております。
  106. 川村継義

    川村委員 たいへんけっこうな御意見でございます。  そこで、あと実は飛騨川事件の問題についてお聞きしたいと思っておりますが、これは太田委員あとでいろいろ質問いたしますから、そのときそれに関連してお尋ねをいたします。  農林大臣お見えになりましたので、あと質問予定者の方をお進めいただきたい。委員長お願いしますが、私の質問はちょっと保留させていただきます。
  107. 芳賀貢

    芳賀委員長 斉藤正男君。
  108. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 先ほども関東農政局関係の皆さん方、本省の皆さん方に伺ったわけでありますけれども、去る九月五日の午後五時四十分ごろから午後八時三十分にかけて、静岡県浜北市宮口字土取地内における三方原用水が溢水をいたしまして、突然被害発生したことは大臣も御承知だと思うわけでございます。待望の三方原用水の完工まぎわに、暫定通水中に起こった事件でありますが、伺いますと、いま予想られる原因は、秋葉ダム地先にあります取水門、さらに調整機能の欠陥から意外な水が流入してあのような被害を出したのではなかろうか、鋭意なお検討中だということも伺ったわけであります。大臣の支持者である山崎さんという方が、あそこの直下にミカン園をやっておりまして大被害を受けておりますから、大臣も個人的には伺っているとは思いますけれども、先ほどその責任あるいは原因の究明等々について所見を承りまして、大体満足をいたしているところでありますけれども、抜本的には非常の場合満量十七トンを放水できる装置を万難を克服してつけてもらわないと、沿川住民は安心できないというのが、あの災害をこうむった住民の素朴な感情であり、熱烈なる希望であります。聞くところによりますと、来年の半ばで三方原のあの事務所は閉鎖をし、いよいよ三方原用水事業は、農林省関係としては終わりなのだということを聞いているわけでありますが、私はこれでは画竜点睛を欠くと先ほども言ったわけであります。大臣地元関係者ともよく相談をいただき、要請を受けて、ひとつ善後措置につき万全の策を確立していただきたい。それも完全に十七トン満水で流すときには、その施設ができたというときでなければならぬと思うわけでありますけれども、補完の施策なり方法につきどのような見解をお持ちになっておられるか、大臣からひとつ承りたいと思います。
  109. 西村直己

    ○西村国務大臣 三方原用水につきまして、地元も非常にこれを待望しておりまして、これが今回一種の機能調整が十分でないというようなことから事故を起こしまして、地元民に対して被害をかけましたことを私は心からおわびをしなければならぬと思います。当時私のところへ関東農政局長もすぐ報告に見えましたし、続いて浜北の市長さんもおいでになり、また私も地元の県知事にもお目にかかり、県としての御要求なりあるいは県民に対する万全の措置をひとつとっていただくように、またわれわれとしてやるべきことは当然やらなければならぬ、こういうように考えておりまして、今日いろいろ地元中心に、復旧あるいは場合によれば補償の問題もありましょうし、それからもう一つは、今後において二度とこういったあやまちを繰り返さないという地元に対する安心感と申しますか、措置、こういったことにつきまして、原因の究明からどういう措置をとったらいいか、せっかく農林省関係者は努力いたしておりますが、私どもも、地元のそういう知事あるいは市長あるいは現場の三方原用水の事務所長等、いろいろ関係者がございますので、それらとよく連絡をとり合いまして万全の措置をとるように努力をしたい、こういうように考えております。
  110. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 了解。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員長 水野清君。
  112. 水野清

    ○水野委員 農林大臣に承りたいのでございますが、先週の当委員会で、千葉、茨城両県下の、御承知の穂発芽の災害について質問申し上げましたが、その後、対策について具体的にどの程度進んでいるかということを二点、重ねて承りたいわけであります。  まず、台風十号に伴う農業災害の総額は、農林当局の現在まで把握しておられるところ、どのくらいの金額になったか。同時に、その金額の高によっては、そもそも天災融資法の発動ということが農業災害に限っても可能ではないかと思うのでございますが、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
  113. 西村直己

    ○西村国務大臣 額でございますが、ただいま事務当局から資料をもらいまして、十号だけで農作物の被害は百一億、こういう数字でございます。したがって、この措置でございますが、あわせてお答えいたしましょうか。――天災融資法の問題でございますが、われわれは、十号台風につきましては最終的な数字を固めた上、できるだけ早く天災融資法適用方向で決定をするように努力をしたいという考えでございます。
  114. 水野清

    ○水野委員 天災融資法の発動の可能性が十分あるというただいまの大臣のおことばで、非常に関係者は助かると思うのです。  もう一つ伺いたいのですが、この穂発芽の災害という状態は、御承知のように、政府買い付け米の規格外米あるいは等外米というものを相当数生んでいるわけでございます。先週も申し上げたように、被災地においては集中的に一つの町の五割くらいがその対象になって、いま米の出荷時期でありますが、非常に持ち帰りの米が多くて困っておるところもあるわけです。そこで、食管会計の非常に苦しいという現状は私も存じておりまして、この規格外米を政府に買い上げをしろということはまことに言いにくいわけでありますけれども、一方、御承知のように食糧庁長官の通達によりますと、災害時には規格外米を買い上げる措置が行なわれておるわけです。そこで、被災地の農民はこの温情のある措置を強く期待しているわけであります。農林大臣としまして、いろいろ御検討いただいておるようでありますが、その結論が出たかどうか。出なければ、どのくらいまで待たされるのかということをお答えいただきたいと思います。
  115. 西村直己

    ○西村国務大臣 先般も現物を御持参いただきまして、詳細に承りました。天災融資法の発動になります災害の対象でありますが、実は私ども、等外米、規格外米の買い上げにつきましては、今般の著しい米穀の需給状況の中では非常にやりにくい問題ではございます。先般、食糧庁長官名で御通達申し上げましたように、原則として災害の場合はケース・バイ・ケースで扱っていく。そこで、本件の場合には、今月中には関係者とめどをつけて調整して、結論をはっきりさせたいというふうな考えでございます。
  116. 水野清

    ○水野委員 今月中に結論をいただけるということはたいへんありがたいのでございます。先ほど申し上げたように、米の需給状況から見れば無理なお願いかと思いますが、この際、ひとつ被災地の状況をあわせてお考えいただいて、ぜひとも農民の期待するように御決定いただきたいと思います。  私の質問を終わります。
  117. 芳賀貢

  118. 井上泉

    井上(泉)委員 水野議員の質問と大体同じことですが、先般の農林水産の委員会でも、規格外米の規格を設定して、米の政府買い入れについて食糧庁長官のほうから今月中に結論を出して処置をしたい、こういう御答弁をいただいておるので、あえて大臣質問を申し上げることもないかと思いましたけれども、あまりにも事態が重大であって――昨年ごろまでは、早期供出、早場米地帯ということで、高知県なんか食糧政策上早場米の供出についてずいぶん任務を果たしてきたわけですが、それがことし突然早場米はだめだ、おそ出しをしろ、早出しはだめだ、おそ出しをしろ、こういうような事情の、食糧政策の急変によって戸惑うておるやさきに、相次ぐ台風によって規格外の米が相当量出て、そうして政府の買い上げがないということで農民が非常にとほうにくれておるような状態であるわけです。そこで、高知県の知事からもあなたに要請がなされておるというようなことも聞くわけですが、いま水野議員にお答えされたように、規格外の米穀、特に災害におけるこういう事情に対して、今月中に結論を出して、こういう農民の心配を解消していただけることができるものと確信を持ってよろしいでしょうか、ひとつ大臣のお気持ちをお伺いしたい。
  119. 西村直己

    ○西村国務大臣 率直に申しまして、現在の食管会計あるいは今後の食糧需給の状況から申しますと、普通の米でさえも配給に回し得ないような古米が余ってくる日が近づいておるように私は思います。これは国民経済上大きな余剰米だと思います。いわんや、したがって規格外米というものを買うということについては非常に困難です。ただ、災害の場合においては、これはやむを得ないのではないかというのでああいう通達を出しております。したがって、災害につきましてはケース・バイ・ケースでよく地元の状況、それから関係省とも打ち合わせて決定をしてまいりたい、こういう方針でございます。
  120. 井上泉

    井上(泉)委員 ケー・バイ・ケースでやっていただくことによって、千葉県とか高知県というようなところの等外米の買い入れについては、当然買い入れの措置が講じていただけるものと推察をして、いまの大臣の御答弁によって安心をするわけですが、その価格の設定等についても、これはなるほど食糧事情上、古米がたくさんあるというような中で、そう高い価格では買えないというようなことで、五等米とあまり格差のあるような価格で、いやなら売るなという式でやらないような、愛情のある措置をそういう場合にもお願いをしておきたいと思いますが、ひとつ大臣のお気持ちをお伺いしたい。
  121. 西村直己

    ○西村国務大臣 災害のために、こういう苦しい食管会計、普通の米でさえも配給米として処理し得ないような需給状況に立つ日が近づいているときに、いわんや規格外米まで買い込んでいくことが、一方から見れば相当な意見の出る際であります。したがって、災害の場合において、これをケース・バイ・ケースで扱う場合におきましても、価格等もそこいらをよく加味しながら、しかしまた地元にも事情がありましょうから、ケース・バイ・ケースでよく御相談してやってまいりたいというのが私の考えでございます。
  122. 井上泉

    井上(泉)委員 政府売り渡しの時期が、早場米地帯では、こういう米を持っておる地域というものは九月、十月がその売り渡しの最盛の時期でございますので、やみ商人に買いたたかれる心配のないように、ひとつ早急に措置お願い申し上げて、私の質問を終わります。
  123. 芳賀貢

  124. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 すでに大臣には御質問申し上げまして、今回の一連の集中豪雨については、局地ではあるが、激甚災害として措置をすべきであるという御見解を承っておりますので、私は簡単にお願いをいたします。  今回、わざわざ被災現地おいでをいただきまして、そして親しく被災の状況を御調査いただきまして、心から敬意を表しておる次第であります。そのためによく御理解をいただいておるところでございますが、なおまた、自作農創設資金等についてもいろいろ事務的に御配慮をいただいておるようでございますから、これ以上申し上げる必要はないと思いますが、しいてお願いできるならば、七号から十号等の一連の農業災害につきましては、これはわれわれの気持ちといたしましては、従来も例を見ておりますように、合併をいたしまして御措置がいただきたいという率直な気持ちを申し上げまして、お願いをいたしたいと思うわけでございます。  なお、御承知をいただきましたように、非常に局地ではございますが、また、大臣のごらんいただきましたのは、きわめて一部ではございますけれども非常に激甚でございますが、とりわけ単独災害、また小災害、あるいは農業施設あるいは農地の埋没、流失というようなものが多いわけでございまして、それだけ激甚災でございましても問題が残るのでありまして、こういう点につきましては、すでに申し上げておりますように、特に農村の現状にかんがみまして、格別あたたかい具体的な御措置お願いいたしたいと思っておるわけであります。  なお、本日、総務長官からも、局地激甚に対しましては、基準改定あるいは立法によりましてでも、その制度の確立をこの機会にはかりたいという御所信の表明がございました。ぜひともひとつ、農林大臣の格別の御配慮をこの機会にお願いをしたいと思っております。御所見を承りたい。
  125. 西村直己

    ○西村国務大臣 先般、私も現地へ御案内をいただきまして、時間の都合上、まだ入り口かもしれません、したがって、さらに奥地へ参りますれば状況は激しいのでありまして、世間に想像されている以上の、局地ではありますが、激しいものである。したがって、百年間にこういうような災害を受けたことはないのだという地元民の非常なショックも、私はからだに、現地へ参りまして非常に強く感じたのであります。したがって、政府としましては法の許す限りの限度におきましては、農林はもちろんのこと、他の関係部門におきましても、一体になりまして、また、あの当時、御存じのとおり、一日内閣というものでも御議論が出ておるわけでありますから、努力していきたいと思っております。  天災融資法等の問題も、われわれとしてはできれば一括してやりたいが、それができなくとも、自作農創設資金の融資のワクを拡大する、こういうことは私どもの所管でございますから、十分に御期待に沿えるような努力をしてまいるようにいたしたいと思いますし、なお、関係の私どもの部門におきましては、現地でいろいろ困られるようなことがありますれば、ひとつさらに御相談に応じて努力をしてまいりたいと思っております。
  126. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 ありがとうございました。私ども、御苦労いただいておるのは十分承知いたしております。ただ、きょう総務長官からも、局地激甚につきましてはこの機会に制度を確立したいという御発言がございまして、なお大臣からも、先般そのような御所信を承っておりますが、ぜひひとつ、この実現につきましては格別のお骨折りをいただきたいと思います。
  127. 西村直己

    ○西村国務大臣 先般、一般論といたしまして、局地災害についてどうするか。私は、数字とか対象とかから行政的な筋を引いてしまうと、国民の側から見ると、何かそれは非常に不自然なことである。そこで、政治の知恵ということばを使いましたが、やはり政治というものは、なるほど同じ形でなくてもいいから、知恵を働かせるということによって、国民の立場に立って受けていくような制度を考えていくべきじゃないか。したがって、総理府でそういうようなお気持ちが強くなること、決意が固まってくることが非常にけっこうなことなので、われわれは当然それを御一緒になって考えるべきことでございます。
  128. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 どうもありがとうございました。
  129. 芳賀貢

    芳賀委員長 神田大作君。
  130. 神田大作

    ○神田(大)委員 大臣に、非常に大事なことで、次の委員会、特に農林委員会でやるのに間に合いませんから、私はここで等外米の買い上げについて御質問申し上げます。  過般、農林水産委員会で食糧庁長官が、本年度は等外米を買い上げないというようなことを申しました。しかし、災害の場合はその限りでないということを申されましたが、一体この等外米というものは、災害の場合はもちろんのこと、病虫害等によって生ずる場合が非常に多いわけです。これもやはり災害でありますが、しかしながら、このような病虫害の場合に災害としてなかなか取り上げにくい。ケース・バイ・ケースでやるといっても、こんなむずかしいことはとても技術的にもできっこないのです。だからして、本年度も例年のとおり等外米を買い上げるということにしないと、その区別を一体どこでつけるのか、非常に重大な問題であります。農民も、過般朝日新聞あるいはその他の新聞にも掲載されたために非常に大きな衝撃を受けておりますが、大臣としてどのように考えておるか、お尋ねします。
  131. 西村直己

    ○西村国務大臣 先ほど申し上げましたように、なるほど農民のサイドからいえば、全部何でも買ってもらいたいというのも一つの御意見でありましょう。しかし、一方におきまして、国民の全体の経済のたてまえから申しますと、普通の規格内の米でさえも配給米に回し得ないような相当量が出るかもしれないという日も近づいておる段階において、規格外の品物までも全部買い取っていくという行き方が妥当であるか、それに対する相当な意見というものもまた出ておるわけであります。そこで、先般、災害の場合には原則としてひとつやっていくんだ、こういう所信を明らかにしました。その扱いから、ケース・バイ・ケースでいこう、これがただいま私の所信でございます。
  132. 神田大作

    ○神田(大)委員 そのケース・バイ・ケースが問題です。等外米とか規格外米とかいうのは、これは災害によってできる場合が多い。これはもう先ほども言ったとおり、病害、虫害あるいは倒伏米がこのように等外米あるいは規格外米を出すわけです。それが、たとえば災害として取り上げた地域のみをこれを摘出するということになると、これは不公平なことになりますね。それから、去年も現に等外米を買い上げているのです。たとえばこれができないというならば、作付前にそういう方針を打ち出すべきなんです。それを、今日もう収穫の段階に来てそのような非常に大事なことを言明されること、あるいはそのようなことをいたそうということに対しましては、これは農民としてはとうてい納得のいかぬことなんです。その点十分考慮していただきたいと思いますが、いかがですか。
  133. 西村直己

    ○西村国務大臣 それはお気持ちはわかりますが、しかし、事柄は、農業も国民経済の中においても考えられなければいけない。したがって私が申し上げますように、現在、米の需給というものが著しく緩和しておる状況下において、規格内のお米でさえも相当古米の処理には苦慮しなければならぬ国民経済というものをしょっておる立場から申しますと、災害の場合は別であるが、災害以外について、従来のような規格外米をただ漫然と買うんだという形は今日とりにくいのではないか、これを私どもは所信といたしております。
  134. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは従来、等外米をいままでも買っておって、しかも、そうたいした影響はしておらないです。政府は長い間、等外米というものを買い付けていたんです。ここで米が余るからといって、農民の経済に重大な影響を及ぼすこのような決定はわれわれは納得できない。と同時に、食管法が自然とくずれていくわけです。等外米を自由販売にするということになりますれば、これは業者が産地に入り込んで等外米としてこれを自由に買い、自由に販売するということになれば、食糧管理法はそこからくずれる。先ほど大臣は、消費者米価についても八%の値上げをして、逆ざやを解消する。そうなるというと、今度はこの点からも新米のうまい米はやみに流れ、古米のまずい米は配給になるということで、食管制度はくずれていくわけです。あなたは常に食糧管理法の根幹を守ると、こう言っておりますけれども、この根幹は、今度の消費者米価の八%の大幅の値上げによって、これは新米のやみ買いという形でくずれ、今度は等外米の自由化によってこれもくずれていくのであって、政府は食管法の堅持を口で言いながら、これらの自然解消をねらっているとわれわれは思うのでありますが、大臣はどう考えますか。
  135. 西村直己

    ○西村国務大臣 食管法は、私どもは改善したいという気持ちでございます、ただし、その根幹を維持しながら。根幹とは、通常状態における再生産を確保する、同時に家計の安定、いま一つは政府の必要な量というものを買い上げる、こういう思想でございます。したがって、私どもは、等外米を買わないからといって食管法の精神に反するとか、そういうふうには考えておりません。
  136. 神田大作

    ○神田(大)委員 時間もありませんから、私はこのことは農林水産委員会その他の機会に徹底的に追及しますが、食管法の根幹は、このような消費者米価の値上げと等外米の買い付けをしないということから、これはくずれていくのです。これは法はあっても実際にはやみ米が横行いたしまして、いわゆる農民の米の買い上げということは規定どおりに行なわれないという結果になるのであります。これは重大な問題でありますから、私は時間がありませんから質問を保留いたしまして、大臣が十分考慮いたしまして、等外米の買い付けにつきましては例年のとおり実施されんことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  137. 芳賀貢

  138. 小林信一

    小林委員 前の質問者がだいぶ時間のないところを遠慮して私に時間をさいていだだきましたので、ごくわずかでございますが、お願いをしたいと思います。  実は山梨県の果樹地帯の農民が今回非常に被害を受けまして困っておるのですが、その問題についていろいろ御質問申し上げたい、あるいは農林省対策をお聞きしたいと思っておったのですが、特に大臣おいででございますので、その中の、これは困難だと思うのですが、農民の切実な要望がございますので、一つお聞きしたいのですが、それはブドウを栽培している人たちが、今回は台風、それからひょう害にもあいましたし、また集中豪雨等を受けまして、ブドウ地帯というのは非常に悲惨な状況に置かれたわけです。その惨状を私も何回か視察に参りましたが、晩腐その他玉割れ等、日に日に商品価値が下がっていく中で、農民の諸君がただ一つたよるものはブドウ酒にこれを使ってもらうことなんです。ところが、ブドウ酒の醸造権というものはやはり制約を受けておりますので、そういうところのまず容器がないというふうなことから、最初はキロ二十五円くらいしましたが、それが十五円になり、最後はもう五円とか七円とかで投げ売りですね。それでも農民諸君は、少しでも金になればいいというところで醸造家をさがしたのですが、それすらもうさがすことができなくて。みすみす全部これを放棄しなければならぬような状況になったわけです。これを捨てるにも場所を選ばないと、これは次年度にも相当影響がありますので、非常に困った事情を見たのです。その中で期せずして言うことは、一体われわれはブドウを生産するけれども、ブドウ酒を飲むときには、一たん醸造側に託さなければブドウ酒が飲めない。われわれの権利として自分で加工して自分が飲むくらいは許してもらってもいいじゃないか、かつてそういう時代があったわけですが、そういう配慮を国の政治の中で考えてほしい、こういうたっての要望があったわけです。個人の醸造が認められないならば、かつて農協に醸造権が与えられた時代もあるわけですから、そういう時代をひとつ復元してもらいたい、こういうような希望がありまして、あの災害の状況の中では、それくらいなものは許してもいいじゃないかというような気持ちを私どもも持ったわけですが、この際、ここで大臣の明確な答弁を受けることはできないけれども、そういう果樹農民のたびたびあう惨状に御同情を願って、何とかそういう面を考えてもらえるような御処置はできないものか。ことに私はヨーロッパへ参りましたときに、ジュネーブで青木大使にこういうことを聞いたのです。青木大使が桜桃酒を出したときに、私は飲めないのですが、非常に推賞したら、日本は自家用酒を認めないから良質なブドウ酒やその他の飲料酒ができないのだ。ヨーロッパのブドウ酒のいいのは自家用酒を認めるというところに、もちろん限度はあるのでしょうが、そういうところに良質のブドウ酒ができる。日本のいわゆる醸造家という商業手段だけで製造するところには、良質なブドウ酒はできない。大臣、これは内密のお話ですが、私どものところへ参りまして、これは密造酒ですが、そのブドウ酒を飲んだらとても日本酒なんか及ばないくらい良質なものができるのですよ。したがって、そういった点からも考えてほしい。そして農民が自分で生産するものを、それに対する権利というか、そういうものからも御考慮を願いたいし、こういう災害時にあたっては特にそういうことが切望されるわけです。まあこんなことも私は考えたのです。農林省災害状況を判断して、ことしはこの限度によっては自家用酒を認める、あるいは農協において醸造してよろしいというような、制限を加えた醸造権でもいいが、何とかここをひとつ御考慮願いたい。これはたってのブドウ栽培地域の要望でございますので、大臣のお考えお願いいたしたいと思います。
  139. 西村直己

    ○西村国務大臣 私のところの政務次官もおたくの県へ参りまして、ブドウの本場であります山梨県下の非常な災害に対して詳細承ったのでありまして、今回の災害はまことにお気の毒だと思います。したがって、融資その他におきまして、私どものほうが将来の再生産をやっていく基盤をくずさぬようにいろいろくふうをしながら御相談にあずかってまいる。ただいまブドウ酒の自家醸造を認めたらどうか。これは御承知のとおり、権限は大蔵大臣のほうの国税庁が主管でございますから、私どもが主管大臣として判定しにくい問題でございますが、そういう強い地元の要望があることは、十分御連絡を申し上げたいと思います。  それから、小林先生おっしゃるように、ドイツでもブドウの産地のライン川のほとりなどでは、やはり特殊なブドウ酒を伝統的に飲ませるという一つのおもしろい味というものは私はあると思います。それは私、よく存じております。たとえば山梨県へ行ったら、小林家の百年の長い歴史を持った一つの特定なかおりのあるブドウ酒があったりなんかしてもいいかもしれませんが、ただ、御承知のとおり、いま大蔵省で一つの免許行政できめてしまっている。それが商品形態になり過ぎているから、地元農民のおっしゃるような実際の味が、ほんとうの味を発揮したものがはたしてできておるか、こういう気持ちもこういうときに出てくるのではないかと思うのでございまして、地元災害を救うだけでなく、やはり地元のよいブドウ酒をつくるにはどうしたらいいかという問題も含めて大蔵省にも御連絡をしてみたい、こういうふうに思います。
  140. 小林信一

    小林委員 確かに、私も主管は大蔵省にあると思います。しかし、農民の実情というものを考慮する立場から、大臣がやはりそういうお考えをしていただくところに問題の発展があると思います。大臣と一緒にビシンスキーに会いましたときに、ビシンスキーが自分の自慢のブドウ酒を出したことがありましたが、そういうところからやはり良質のブドウ酒の発展というものがあると考えておりまして、大臣に特にお願いを申し上げるわけでございます。ありがとうございました。
  141. 芳賀貢

    芳賀委員長 この際、午後は二時四十五分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後二時休憩      ────◇─────    午後二時五十三分開議
  142. 芳賀貢

    芳賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斉藤正男君。
  143. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 先ほどに引き続きまして、建設省並びに電発の皆さんにお尋ねをいたしたいと思います。  過日の委員会の要求に基づき資料をちょうだいいたしまして、先ほども利用したわけでありますけれども、この資料のうち、大千瀬、水窪、気田、三川の最大流量及び時間、この中で、大千瀬川の四十三年八月二十九日二十二時四千三百立方メーターとあるのですが、私はどうもこの資料は怪しいと思うのであります。何となれば、現地災害対策本部が入手した資料によりますれば、大千瀬川は二十九日二十一時三十分において計量器不能、二十二時において二千八百六十トン、二十二時三十分において計量器流失、推定流水量三千トンとなっている。一体電発は、この大千瀬の四千三百トンなる流量をどこから求めたのか、根拠を示していただきたい。
  144. 桑原進

    ○桑原参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘の大千瀬川流量の四千三百トンというのは推定したわけでございます。この推定は、当社の浦川測定所というのがございます。そこの最大水位がわかっておりますので、従来からありますHQカーブから算出いたしましたのが四千三百三十トンという値になります。それからもう一つは、ラショナル式という式によりましてピーク時流量を算出いたしますと、これも同じく四千三百三十トンという数字が出てまいります。それからもう一つの方法では、河道貯流の計算によりますと四千二百八十五トンという数字が出てまいります。それで、この三つの方法から、当社の浦川測定所の水位痕跡による最大の流量が四千三百トンという推定をしたわけでございます。
  145. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 その論法でいきますと、たとえば、いまおっしゃった三カ所の水位計なり計器の示す流量は、二十一時、すなわち計量器不能という直前三十分ですね、災害対策本部に入ってきた情報によれば二千五百二十五トンだけれども、あなたのほうのは幾らになっているのですか。
  146. 桑原進

    ○桑原参考人 災害対策本部に来ました数字といいますと、私、どういうルートから入ったのかわかりませんが、私の耳に入っておりますのは、貯水所にあります計器が洪水のため測定不能になりましたのは二十一時と記憶しております。そのときの記録は二千八百五十トンですか、そのぐらいであったと聞いておりますが、それからさらに水位が上がっておりまして、その痕跡からHQカーブを用いまして算出いたしますと四千三百三十トンになりますと、そういうお話を承っております。
  147. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そういうことを聞いているのじゃないのです。まだ計器が働いておった、完全であった二十一時において二千五百二十五トンなんです。あなたのほうの論法でいったときには二十一時は何トンになるか、聞いているのです。簡単なことですから、いたずらに時間をとらないようにしてください。資料さえあれば答弁できることですから。
  148. 桑原進

    ○桑原参考人 まことに申しわけございませんが、河川の流量の資料をただいま持ってきておりませんので、調べましてから御返答させていただきたいと思います。
  149. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 これが実は一つのきめ手になるわけでございますので、私は非常にこれを重要視しているわけであります。もし、この二千八百六十トンが災害対策本部の二十二時における最大流量だというのに、おたくは倍にも近い四千三百トンだということを主張してまいりますと、これは事態の解決にはならなくなってまいるわけであります。  実は本日で私は電発の皆さんに対する質問は終わろうと思っていたわけですけれども、またまた次回に持ち越さざるを得ません。災害対策本部に入った二十一時は二千五百二十五トン、二十一時三十分は計量器不能、二十二時は推定二千八百六十トン、二十二時三十分に計量器が流失――もちろん二十二時三十分前に流失しているでしょう。推定流水量三千トンということで、これまた地元としては最高権威のある対策本部が発表している数字であります。ぜひひとつ次回までに、私がお尋ねした方法で、おたくが調査をした流量についてお調べをいただきたい。  それから次の点は、河川局長さんにちょっと伺いたいのですけれども、ダムがありますが、そのダムがあろうとなかろうと一級河川の管理は国の責任でありますが、ダムがあって、そのダムの岸と底ですね。いわゆる川というのは、両岸と底と水でなっていると思うのですが、ダム内の河床と両岸の管理はどこにあるわけですか。
  150. 坂野重信

    坂野説明員 お答えいたします。  全般的な河川の管理としては総合的に河川管理者にあるわけでございますけれども、直接ダムの施設のある範囲内におきましては、先ほど申し上げたようにいろいろな装置の配置の問題、あるいは水の問題等を含めて、第一次的には直接の利水ダムの管理者にあるわけであります。もちろん従前の機能の維持等の問題については河川管理者の指示に従ってやるということになっております。
  151. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私が申し上げるまでもなく、河川法第一条には「この法律は、河川について、洪水、高潮等による災害発生が防止され、河川が適正に利用され、及び流水の正常な機能が維持されるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もつて公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする。」というように規定をされておりまして、「国土の開発に寄与し」ということばが一つありますけれどもあとはすべてその「もつて公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする。」河川管理はまさにこの河川法第一条に規定をされているのが目的だと思うわけであります。したがって、ダムができたことによってその公共の福祉が阻害をされたという場合には、河川の管理者である建設大臣なりその筋の皆さんは、ダム管理者に対しましても適当なあるいは強力な指示と監督をするべきだというように考えます。その点については建設省いかがですか。
  152. 坂野重信

    坂野説明員 先生の御指摘のとおりでございまして、河川管理者としては、河川法の目的にもございますように、公共の安全を保持し、公共の福祉を増進するのが最終の目的でございます。そこで、先ほどお答えいたしましたように、利水ダムを設置する場合に「河川の従前の機能の維持」という根本原則がございまして、ダムを設置した場合に従前の河川の機能をひとつそこなわないように、これを維持するために必要な措置をとってもらうことを義務づけておるわけでございます。そこでまあ今回のような場合、利水ダム――佐久間ダムにしても秋葉ダムにしても、本来利水の目的達成のためにできたわけでございますので、河川管理の立場からいいますると、ダムができても、従来できない場合と比較して河川の状態が悪くならないように、これは最小限度のダムの設置者に対する要請であるわけでございます。そういう範囲内において、操作規程においてもそういった利水の目的を損しない範囲内において、河川の従前の機能はそこなっては困るという立場から、できるだけひとつ電力のほうでも洪水調節の役に立ってもらいたい、そういう立場で御協力願って、ダム操作規程等もそういうぐあいに行なって、洪水調節の役目を果たせるように考えていただいているわけでございます。しかし非常に事態が急迫して、緊急の状態になって、非常に重大な災害発生するおそれがある場合には、もちろんその時点に応じて、その気象条件なりダムの容量の現状、水位の現状等というものを十分分析いたしまして、場合によってはそういった緊急時の指示も与えることはできるわけでございます。その場合におきましてもできるだけひとつ最小限度の範囲にとどめたい。利水ダムの目的は目的でございますので、それを極端にそこなうということはできない。しかし、その極端にそこなわない範囲内において、河川のそういった重大な災害が起きるようなことに対しては、公共の福祉をそこなうということで重大な問題になりますので、そういう面においてできるだけ御協力願うというような立場にあるわけでございます。
  153. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 できるだけとかなるべくとかということばは私はきらいなんでして、あくまでも公共の福祉ということが河川法の精神である。四十九条、さらに五十二条をごらんいただけばわかると思うのでありますけれども、「洪水調節のための指示」ということが五十二条に明記をされておるわけでありまして、緊急時の措置が規定をされております。「河川管理者は、洪水による災害発生し、又は発生するおそれが大きいと認められる場合において、災害発生を防止し、又は災害を軽減するため緊急の必要があると認められるときは、ダムを設置する者に対し、当該ダムの操作について、その水系に係る河川の状況を総合的に考慮して、災害発生を防止し、又は災害を軽減するために必要な措置をとるべきことを指示することができる。」まさに五十二条はいかなる指示も電源側にできることを規定しているわけであります。なるべくとかよろしくとかということは何も書いちゃいない。どうも建設省の態度というのは電源側に肩を持って沿岸住民のことを考えていない。そうじゃないですか。一体この新河川法ができてからこの五十二条を適用したことがございますか。
  154. 坂野重信

    坂野説明員 適用したことはございません。  ちょっと誤解があっては困りますので……。できるだけというのは、私は、そういう緊急時の事態が発生した場合には、そういう洪水調節を指示する必要がある場合には、これは指示することについてはあえて遠慮をするつもりはございませんが、その場合においても、利水専用ダムについての本来の機能がありますから、それとの調整をはかりながらやっていきたいというわけでございまして、そういった緊急時、緊急事態においてそういう措置を必要とする場合があった場合には、これを発動するということについてはいささかも遠慮するものではないわけであります。この点誤解のないようにひとつ御了承願いたいと思います。
  155. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 法律はただ明文を書き連ねてあったって何の価値もないわけなんですよ。やはり法律にあることは法律どおり適用することによって法律は生きてくる。法律を使うまでもなく、法律がなくてもやるべきことを、最小限度のことを法律は規定しているわけなんです。そうでしょう。第一条の目的からいけばあたりまえのことですよ。だから、佐久間や秋葉が十日や一週間発電がとまったって沿岸住民の災害を防ぐということがこの河川法の精神だ。違いますか。
  156. 坂野重信

    坂野説明員 それは先生のおっしゃることに私も原則的に何も反対するわけでございませんが、私どもとしては、先般あるいは申し上げたことがあるかもしれませんが、そういった緊急時、洪水時のいろんな場合を想定してダムの操作規程を、実は半年あるいは一年がかりでかかりまして、それで四十二年の三月三十一日に実は承認したわけでございます。その段階相当どもは技術的にもいろんな面で検討したつもりでございまして、できればひとつダムの操作規程の範囲内でそういった出水時に調節できるということをなるべく自動的にやれませんと、その場に及んで指示するといいましてもなかなかいろんなむずかしい問題があるわけでございますので、できるだけ自動的にダムのほうで洪水調節の役目も果たしてもらうという立場から操作規程を慎重審議いたしまして、それによってやったわけでございます。もちろんそういった洪水調節の役を果たしてもらいたいという気持ちは、私ども先生と全く同感でございます。
  157. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 操作規程が出ましたので、操作規程に触れていきたいと思うわけですけれども、順次改善をされて、昨年最終的ないまの規程になったことも承知をいたしております。その規程どおりやって今度の災害なのです。ですから、これはなお再検討の要がある。四十年災と四十三年災は被害が大きくこそなれ少なくなっていないわけなのです。ここに問題がある。秋葉にしろ佐久間にしろ、建設当時の最大許容量が河床の上昇によってどんどん減ってきている。このような事実はやはり事実としてあるのですから、どうしても客観的にこの問題は取り組まなければならぬというふうに思うと同時に、管理者といったって、佐久間、秋葉に一番近いところは磐田工事事務所ですよ。磐田工事事務所は中部地建に連絡をとって、中部地建はあなたのほうに伺いを立てる。そんなことをしているうちに、水は早いのですよ。もう水が引いてからダムをあけろとか締めろとかいったっておそいのです。このように続発する天龍水系の秋葉あるいは佐久間の周辺に、磐田工事事務所のしかるべき責任者が常駐するような制度について何かお考えになったことはありませんか。
  158. 坂野重信

    坂野説明員 先ほど申し上げたように、私ども河川管理員の定員等も十分じゃございませんし、一々各ダムサイトに人員を派遣することも容易じゃないので、できるだけ先ほど申し上げたように操作規程の段階で自動的に出水の状況に応じて操作できるということをねらいとして、先生承知のようにかなり詳細に規定をしておりますので、その規定の範囲内で、いろいろダムのほうから建設省なりその他県なり関係筋のほうへの連絡系統ははっきり確立されております。そういう段階でできるだけ押えていくというぐあいに考えております。
  159. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 これは総合的にやり得る可能な範囲の措置を講じていただかないと、これは忘れたころにやってくるのじゃなくて忘れないうちにやってきているのですから、三十六、四十、四十三ときているのですから、災害は忘れたころなんというものじゃないのです。したがって、このこともひとつ御考慮を願いたいと同時に、ダム操作規程の改定について、昨年やったばかりだから完全ですということでは私は不服です。もう一度関係者相つどって検討する意思がありやなしや。
  160. 坂野重信

    坂野説明員 これは先ほど申し上げたように、操作規程をつくる段階においては相当いろいろなケースを想定いたしまして慎重審議をやったわけでございます。実際に電発のほうではこの操作規程にのっとって操作されて、実際に横山等において災害がございましたけれども、その災害はこの佐久間の操作によって被害が軽減しているということは、佐久間の操作に限りましてはいえるわけです。それ以外の土砂の問題とかいろいろございますけれども、そういう意味からいいますと、佐久間ダムは洪水調節にこのたびは非常に貢献していると私は思っておるわけでございます。  そこで、では貢献しているけれども何かもう少し貢献のしかたが足らないのじゃないかという御指摘だと思いますが、それにつきましては現在のいろいろな気象等の予報の精度といいますかこまかさ、そういったこと等の関係もございますし、その辺から見て今回電発でやられたダムの操作は、あれ以上の適切なことはできなかったのじゃないか。これは結果論からいいますと、百点満点ということはなかなかつけがたいわけでございますけれども、この当時の情勢からいってもやむを得なかったのじゃないかと考えております。操作規程問題に限らず、私どもはあの川を全体的に、今度の出水にかんがみて少し検討してみたいと思っております。出水の状況はどうあったか、それと私どものやっておるいろいろな管理、あらゆる管理の状況等を一括して、はたしてこれでよかったかどうかという反省の意味で、十分現状を分析したいと思っております。その段階で操作規程の問題にも触れてくるかと思いますので、操作規程の改定ということを前提ではなくて、全般の中に含めてひとつ考えてまいりたい、そのように考えております。
  161. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 ぜひ総合的な見地に立って、河川法第一条の目的に沿うようなダム操作規程の検討をいただきたいと思うわけなのです。  なお、このダム操作につきましては、ダム側の権限といいますか権能といいますか、全く第三者がやることはできないわけです。すべてをダム責任者が操作しているわけなのです。地元では、町長なり消防団長にダムを操作する権限を与えろ、こういうことすら言っているわけなのですけれども、ずぶのしろうとにゲートをあけろとか締めろとか言ったって、それは容易じゃないことなので、無謀な要求だと思いますが、私は地元の住民感情としてはわかるわけなのです。したがって、そういうことで佐久間、秋葉のダムさえなければこんな災害はなかったなどという住民感情は激しいものがあるわけです。私は先ほど現地と連絡をとって、浦川地区の状況がわかりました。六十年前に佐久間ダムの下流約二キロの地点で大きな山くずれがあって天龍川が自然ダムになった。山くずれで堰堤が自然にできた。そのときに浦川で、今日よりも少なかったけれども浸水があったそうです。それ以後ずっとなくて、三十六、四十、四十三と続発したということは、これはもう住民感情としては、秋葉のおかげだ、佐久間の被害だと考えて当然ではございませんか。ここら辺は十分ひとつ御理解をいただきたい。  そこで、横山地区につきましては、護岸の工事もやっていただいておりまして、ぜひこれは五年計画を四年にし、できることなら三年にでもして早く仕上げていただきたいと思うわけでございますけれども、浦川地区につきましては今日まだ何らの具体的な対策はないわけです。大千瀬川は一級河川ではございません。県の管理でございますので、直接建設省責任とかなんとかいうことではございませんけれども、やはり河川全般の管理の立場として、たとえば昔、大千瀬川というのはもっと幅広く流れていたのであります。ところが川をいじめて、堤防を高めて狭くいたしました。そこへもってきて本川との合流点の河床が上がった、土石もだいぶ流れてたまっているというようなことから、同じ水量でありましても激甚な溢水があったことは事実でございます。また大入川の水が途中で大千瀬へ入っているわけでありますけれども、この大入川の水を途中でカットして天龍本川へ洪水の際には放水をするというようなことも――新豊根ダムは電発でやるのですか中電でやるのですか知りませんけれども、もし電発でやるとするならばよほど注意してやっていただかないと、下流住民は絶対承服しません。これは下流には関係ない、直接補償とかなんとかの対象にならぬというようなお考えかもしれませんけれども、むしろ旗を立ててもあるいは実力行使をしても阻止します、そういう決意をいま佐久間の住民は固めているわけなのです。したがって、抜本的な措置としてはいろいろあると思います。これもやりあれもやって初めて浦川地区が浸水から免れるということになるであろうと思うわけなのですが、ぜひ御検討をいただきたいと思うわけであります。  最後に一言だけ、電発の皆さんに伺いますけれども、佐久間と秋葉の構築のために何百億お使いになって、電気を売るようになって何百億の電気を今日までお売りになったのか、トータルでけっこうですから、佐久間と秋葉に分けて教えてください。
  162. 石井由太郎

    ○石井参考人 建設費で申し上げますと、佐久間が三百八十六億、秋葉第一が二百二十五億、秋葉第二が三百三十三億であります。それから、しかしながらこれには送電線、変電所、こういったものがつきまして、名古屋の春日井でありますとか、東京の原町田まで参っております。そのような付帯的なものをつけ加えますと、合計して七百五十億三千万円の投資が秋葉、佐久間系で行なわれているわけでございます。  それから料金収入の件でございますが、三十一年度三十八億七千百万円、三十二年度四十九億三千二百万円、三十三年度七十億七千四百万円、三十四年度六十九億五千八百万円、三十五年度六十八億五千九百万円、三十六年度六十九億七百万円、三十七年度六十八億九百万円、三十八年度七十一億六千百万円、三十九年度七十億三千八百万円、四十年度七十四億六千六百万円、四十一年度七十四億六千五百万円、四十二年度七十一億六千七百万円、このような累年の収入状況に相なっております。
  163. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 合計が必要だから聞いているのです。年次別なんか関係ないのだ。合計にきまっているじゃないか。合計で幾ら売ったかということですよ。
  164. 石井由太郎

    ○石井参考人 収入の合計でございますか。
  165. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 はい。
  166. 石井由太郎

    ○石井参考人 七百億見当でございますが、ちょっといま計算をいたしまして御返事申し上げます。
  167. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そう私は意地の悪い質問をしているのじゃないので、幾ら投資をして、発電を起こしてから電気を幾ら売ったと聞いたんですから、幾ら投資して幾ら売ったと言えばいいのですよ。年次別なんか聞いていないのだから。まあいいです。  先ほどの大千瀬川の流量につきましてはきわめて疑問でございますので、後に正確な資料を、これは建設省河川局のほうでもひとつわかる範囲でごく詳細なものを調べて出してください。それから電発のほうも同様でございます。  時間がございませんので終わりますけれども建設省お願いをいたしたいのですが、ぜひ地元市町村並びにに県とも十分御相談をいただきまして応急対策はしかじかかよう、抜本対策はしかじかかよう、そのために必要な負担は電発にもしてもらう当然な理由がそこにあるというならばあたりまえだと思うわけでございますので、ぜひひとつ早急に善処方をお願いいたしたいと思うわけであります。電発側もまた、私は決して敵意を持ったりして言っているわけではありません。河川法の精神にのっとり――銭もうけに水をためているのだという気持ちはわかりますけれども、やはり地域住民の福祉が優先すべきだ。ぜひひとつ配慮をいただいて、温情じゃなくてあたりまえの気持ちで臨んでいただきたい。温情なんか要らぬです。あたりまえの気持ちで臨んでくださればいいわけですから、十分ひとつ常識的な臨み方をお願いいたします。  いずれにいたしましても抜本対策にはなりません。解決にはなっておりませんので、次回にまた自治関係、大蔵関係気象庁長官には御苦労ですが、この次も出ていただいて、お尋ねをいたしたいと思っております。  なお委員長お願いしますが、このダムを計画された当時の静岡県知事は斎藤寿夫さんでございます。いま代議士として国会に議席があるわけなのです。議事規則によりますればこれを参考人に呼ぶこともできることになっておりますが、斎藤寿夫さんとも相談をして、お願いをする場合にはお願いをしなければならぬ。なお地元の町長さんなり市長さんなりにも場合によってはお出かけをいただいて、ほんとうに二度と天龍水系でこのような悲惨な災害発生しないようにしなければならぬと思いますので、またお願いを入れますので御善処のほどをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  168. 芳賀貢

    芳賀委員長 塩谷一夫君。
  169. 塩谷一夫

    ○塩谷委員 ちょっと関連して、電発の関係者にお願いをいたします。  午前中の斉藤委員質問に関して念のためにもう一回伺っておきます。先般の災害は佐久間ダム放水が原因でないと言わんばかりの御答弁があったが、その点をもう一回確認しておきます。
  170. 桑原進

    ○桑原参考人 佐久間ダムの直接の放水とは私のほうでは考えておりません。むしろ佐久間ダムは洪水をカットいたしまして下流の洪水被害を軽減した、そのように私ども考えております。
  171. 塩谷一夫

    ○塩谷委員 それから、秋葉のバックウォーターの原因ではない、浦川は。この点はどうですか。
  172. 桑原進

    ○桑原参考人 浦川のほうは秋葉には影響はないというふうに私ども考えております。
  173. 塩谷一夫

    ○塩谷委員 これはあとでまた他日お願いをいたしますが、非常な地元との認識の相違がありますから、午前中のような不明確な答弁でなしに、私どもも十分検討してまた伺いますが、そういう点をはっきりお願いをしたいと思います。  それから河川局長お願いをしますが、先ほどの斉藤委員質問で、全体的な計画を検討していただくということでありますが、ダム操作を含めて再検討という意味に考えてよろしゅうございますか。
  174. 坂野重信

    坂野説明員 私の申し上げたのは、計画の検討とかなんとかじゃなくて、いろいろ洪水が出た物理的な問題、それから管理的な問題、まあすべてにわたってひとつ反省をしてみたいということで、操作規程を変えるとかというような検討をやるわけじゃございません。もちろんその関連において操作規程も関連してくるかとも思いますけれども、そういう意味でひとつ御了解を願いたいと思います。
  175. 塩谷一夫

    ○塩谷委員 けっこうです。関連ですから。
  176. 芳賀貢

  177. 井上泉

    井上(泉)委員 ダムをつくることによって災害が防がれるという地域住民の願いとは逆に、秋葉ダムによってもそういう多大の被害を与えられたわけですが、高知県の穴内川にダムができたことによって、穴内ダムの下流の人たちは安心どころか不安の中に毎日を暮らさなくてはならないという状態にあるわけです。一体こういうことから考えまして、私はもう斉藤議員がずいぶん詳しく質問をされたので詳しくは申し上げませんが、大体この穴内ダムの放水でも、四国電力側はこれは天災だと言っておるが、地元の人は人災だと言っておるのです。これについての建設省の御見解を承りたいと思います。
  178. 坂野重信

    坂野説明員 穴内ダムにつきましては、操作規程はやはり最近改定してもらいましてこれを建設省で承認いたしております。今回の出水は、私どもの解釈ではこれは異常な出水でございまして、これによって下流等においてかなりの被害が出ておるわけでございますが、ダムの操作そのものについては、流入量が従来の技術的な予想というものを非常に上回って、毎秒一千トン以上の流量が出たわけでございます。しかもその出方が非常に短時間で急激な出方をしておった。そういう状況でもって、私どもの現在までに受けた報告では、ダムの操作は、まあこれは百点とは申されませんが、当時の状況からしてみますと、まあちょっとあれ以上適切な操作を期待するということは困難じゃないかというぐあいに考えております。
  179. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうように考えておるということは現地の事情とは非常に食い違っておるわけです。雨量がわずか八十ミリ程度の雨でああいうふうな急激な放水をすることによって、百年生の杉の木が流失される、家屋が流失される、橋が流失されるという、こういう被害を現実に受けておるのです。それで、ダムの操作規程にのっとった操作のしかたをしておると四国電力側は言っておるわけですけれども、そうなれば、四国電力のやっておるダムの操作規程そのものに問題があるわけでしょう。そういうふうな規程どおりやったダム操作によって下流の住民が被害を受けるということは、操作規程が非常に矛盾しておる。下流被害があってもやむを得ぬという前提の上に立って操作規程を設けられておればこれはもう何をか言わんやですが、そういうことになっておりますか。
  180. 坂野重信

    坂野説明員 これは先ほどの佐久間ダムとは若干ケースが違います。佐久間ダムの場合は予定した計画流量の範囲内でもって水害が起きて、それを佐久間ダムが調節して、そして下流に洪水調節をして放流しておるわけです。ところが、はっきり申し上げますと、穴内ダムにつきましては先ほど申し上げましたように、実はダムサイトにおける計画の流量を毎秒七百九十トンというぐあいに考えておったわけでございますが、今回の出水は、先ほど申し上げましたように、実に一千四十九トンという大出水を見たわけでございます。計画の点でいいますと、いま申し上げました七百九十というのは、大体百年洪水と私どもいっておる、百年洪水というような、その当時としては、これは昭和二十三年の八月二十六日に起きた既往の最も大きな流量を対象にして考えたわけでございます。したがって、ダムの操作規程というものはそれがもとになってできておるわけです。ところがいまお話ししましたように、今度は千四十九トンという、これこそ、計算いたしますと実に二百年に一ぺんしか起こらないというような大出水、これはもう異常出水でございます。そういう出水が起きましたので、残念ながらいままで考えておりました計画流量を基準にした操作規程では確かに問題がございます。そういう意味で、これは佐久間ダムと違って、私どももこのダムの操作規程については、こういった異常出水がはっきり出てまいりましたので、従来の計画流量のままで考えたのでは問題があるということで、十分今後調査いたしまして、操作規程の改定の必要があれば改定していただくような手続をいろいろとるように、そういう面において前向きに検討してまいりたいというぐあいに考えております。
  181. 井上泉

    井上(泉)委員 それはもう早急に検討していただかないと、この計画流量七百九十トンといいますけれども、これは満水から七十センチ下がりで放水、こういうことになっておるわけです。ところがこの間の八十ミリ程度の雨というものは、過去十年の間に気象台の調べでは二回ある。いま局長さんが言われるような状態ではないわけです。百年に何回とかいうことではなしに、過去十年間、ダムができる以前にも二回も三回もそういう状態があったわけですから、私は、今度の穴内川のダムの操作によるはんらんはダムの操作規程そのものに大きな問題があると思われますので、いま局長の言われるようにダムの操作規程の検討をひとつお願いしたい。  次に、これによって受けた被害は一体どこが責任を負うのか。ダムの操作によって、かりに規程どおりに操作されたといっても現実にはんらんをして被害を受けたのですから、これによって受けた被害責任者はだれかということ、これをひとつお答え願いたい。
  182. 坂野重信

    坂野説明員 これはむずかしい問題でございますが、直接ダムの直下において相当被害が起きております。護岸がやられております。その他直接ダムに関連した被害区域については、もちろん四国電力株式会社で復旧をしていただくのが当然なわけでございます。その具体的な範囲、区間あるいは復旧のしかた等については、今後四国電力あるいは地方建設局あるいは県等も含めて十分検討したいと思います。しかし、ダムとの直接関連の薄いといいますか、かなり離れた下流のほうの問題についてはまた別な問題でございます。先ほど申しましたように、これは技術常識をはるかに上回るような異常現象であると私ども見ておるわけで、異常出水でございましたので、ダムの操作そのものは、百点満点とはいきませんけれども、そう大きな間違いはなかったという解釈でございますので、そういう観点からいきますと、下流の少し遠くダムから離れた被害等につきましては、公共土木災害として見られるものは建設省のほうで、そういった公共土木災害のたてまえからできるだけ積極的に採択していきたいというぐあいに考えております。その他の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、ともかくダムとしては洪水調節もしておるわけでございます。洪水調節の流量は二百トン以下の小さな調節でございますけれども、それにしても洪水の軽減には、ダムの操作問題はともかくとして、とにかく役立っておりますので、そういう面からいいますと、これは四国電力の責任だということもなかなかむずかしい問題でございますので、今後、その辺の問題等につきましても、現地調査官等も派遣いたしまして、十分分析してまいりたいと思うわけでございます。もちろん、四国電力の責任というものがはっきりすれば、その範囲内において補償をやっていただくべきであることは申すまでもございません。
  183. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは早急に現地調査団を派遣していただかないと――ダムの左岸が崩壊しておるわけです。左岸が崩壊をし、そしてこのダムのすぐ下のほうはもう土砂が二メートルも三メートルも堆積しておる。こういう状態にあって、今度八十ミリ、九十ミリ程度の雨が降って放流でもすると、ダムそのものが大きな危険を来たしはしないか、そういう不安感に流域の住民はおびえているのであります。これは専門的に技術家として検討していただかないと、対策の立てようもないし、あるいは四国電力との個人補償の問題を交渉する場合においても、原因の究明がなされないとできないわけなので、その点で早急に調査団を派遣――いま局長が派遣するということを言われておったのですが、これは早急に派遣をしていただくということに確認しておっていいですか。
  184. 坂野重信

    坂野説明員 これは早急に担当の係官を派遣いたしたいと思っております。  それから、先生御心配のダムのすぐ下流の問題でございますが、私どもの報告では、ダム下流の護岸等を破壊されておりますけれども、これはダムの本体とは別個の、河道を維持するための施設でございまして、ダムの本体そのものは強固な岩盤に築造されておりますので、そういった、ダムを破壊するというような心配はないというぐあいに報告を受けておりますので、その点をひとつつけ加えておきたいと思います。
  185. 井上泉

    井上(泉)委員 心配ないと局長言われるけれども地元の人は非常に心配しておる。ことに高知県の場合にはこの穴内ダムだけでなしに、鏡ダムあるいは杉田ダムというようにダムが至るところにつくられておるのでありますから、これはダムの流域住民の不安を除く意味においても、この穴内ダムの管理の問題は非常に重要な点になると思いますので、ひとつ早急に調査団を派遣し、原因の究明をはかっていただきたいと思います。  それとついでにもう一点、これはダムとは関係ないですけれども、都市河川の排水、というものが最近非常にやかましくいわれて、ちょっとした雨でも水害をもたらすわけです。ことに高知市なんかを流れておる中小河川のはんらんというものは、ちょっとした六十ミリ程度の雨でもすぐ市街地にはんらんをするというような状態、こういうふうな状態について、建設省としては中小河川、特に都市河川の排水ということについては積極的な手を打たなくてはならないと思うのでありますが、この点についての河川局長見解を承っておいて私の質問を終わりたいと思います。
  186. 坂野重信

    坂野説明員 お答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございまして、最近都市の周辺の人口集中あるいは市街地化、宅地化等が非常に急激に進んでまいりました。それに伴ういろいろな都市の治水問題が重大な問題になってきておりまして、従来人の住んでいないところに人が住んできた。そのために同じ雨が降っても一挙に水が出てくるというようなことで、都市河川の治水対策というものはますます複雑な様相を呈してまいりましたので、そういう観点から私どもとしてはできるだけひとつ都市河川対策というものを重点的に推進したいということで、第三次の五カ年計画におきましてもそういうものを重点的に考えております。御指摘の高知市内にもそういった種類の紅水川だとか江の口川等が流れております。そういう問題につきましてはひとつ都市河川対策の一環として重点的な事業の推進をはかってまいりたいというぐあいに考えております。
  187. 井上泉

    井上(泉)委員 穴内ダムのはんらんの問題について、高知の土讃線が一週間もあれくらいの台風で途絶をしたわけですが、その途絶の原因が、路床を洗われて一週間も土讃線がとまったわけです。その原因について国鉄はどういうふうに考えておられるのか。これは自然災害か穴内のダムの排水のためであるのか、どう考えておるか、この機会に承っておきたいと思います。御答弁願いたいと思います。
  188. 三浦誠夫

    ○三浦説明員 お答えいたします。  今度被害を受けましたのは、土讃線の八十九キロ付近の大杉――大王間の護岸が約二十メートル近く決壊して、この復旧に手間どって約六日ばかり途絶いたしたわけでございます。  それで、ただいまの全くの自然災害であるかどうかというお話につきましては、今回の増水は最近の十年間では最大の水位であったと思いますので、これが護岸のすそを洗いまして、引きぎわに護岸を決壊さしたということでございました。この引きぎわということでございますので、その水勢でやられたのかどうか、若干問題はございますが、いずれにしても過去にありませんでした高い水位の洪水によって被害を受けたということでございます。  先ほどから建設省に御質問のありました、その前の原因につきましては、私のほうも現地調査を進めておりますので、その結論を待って判断をいたしたいと思います。
  189. 芳賀貢

  190. 太田一夫

    太田委員 たいへん長時間お待ちをいただいた方々があるようで、はなはだ恐縮に存じますが、飛騨川バスの転落遭難事故に関係をいたしましてひとわたりお尋ねをしていきたいと思うのです。  大体、九月、今月の末ぐらいには警察庁かどこかでこの責任所在が明らかになるであろうという想定があるわけなんです。したがって、そういう想定のもとにお尋ねをするわけでありますが、責任所在は明らかになりつつありますかどうか。これは飛騨川バス遭難対策連絡会議を主宰していらっしゃる総理府のほうからお答えをいただきたい。
  191. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいまの件につきましては、総理府におきまして飛騨川事故災害対策本部を設けまして数回にわたって会議を行なっておるところでございますが、現在は警察におきまして調査中でございますので、その結果を待ちましていろいろ御相談したい、こう考えております。
  192. 太田一夫

    太田委員 そういう話は、八月十八日事故が起きてから、二十二、三日ごろでございましたか、衆参それぞれの常任委員会等におきまして取り上げられたときから同じ答弁なんです。いわば一月たってしまっておるわけでありますが、どうしてそんなに、一週間だ、それ十日だといいながら、一カ月たってしまったのでありますか。
  193. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいまの件につきましては、国家公安委員長をはじめといたしまして皆さま方からお尋ねがあったのでございますが、警察の調査におきまして、特に問題が大きゅうございますので、相当慎重な考慮を要するというので、警察におきます調査が非常に長引いておりますということで、対策本部におきましてもその結果を待っておるという次第でございます。
  194. 太田一夫

    太田委員 総理府は、きょう田中総務長官はご出席ではありませんけれども、かねがねこの問題についてはすみやかに責任所在を明らかにして、そうして対策を講ずると明言されておるのでありますが、一向にそれが明らかにならない。そうすると、総理府は、いま現在のところ警察庁にまかせっきりという段階ですか。
  195. 川上幸郎

    ○川上説明員 ただいまの件につきましては、警察におきましてその原因究明をお急ぎ願っておることはもちろんでございますが、総理府におきましても、運輸省または内閣法制局等と自賠法の解釈につきましては種々打ち合わせを行なっておるという次第でございます。
  196. 太田一夫

    太田委員 それでは、内閣法制局等との間に自賠法をめぐる折衝をなさる過程において、この問題の責任所在はどういう議論がなされていますか。
  197. 川上幸郎

    ○川上説明員 ただいまの件につきましては、やはりこの責任が何であるか、警察におきます調査の結果を待ちませんと答えが出てこないというのが現状でございます。
  198. 太田一夫

    太田委員 したがって、総理府としてはどうも手の下しようがないから、時間のたつのを待っているということなんですね。  それでは警察にお伺いいたします。刑事責任の有無につきまして現在判明している点がありましたら、お答えをいただきたいと思うのです。
  199. 田村宣明

    ○田村説明員 刑事責任の有無について捜査状況はどうであるかという御質問でございますが、岐阜県警察におきましては、本件発生以来、事案の重大性にかんがみまして、捜査専従員百名をもって、本件事故に関しまして業務上過失傷害致死罪として刑事責任の有無について、現在運行関係あるいは道路関係あるいは砂防、治山関係などにつきまして、鋭意慎重な捜査を続けておるのでございます。しかしながら、御存じのようにこのたびの捜査の対象範囲は広うございます。また関連いたします事象も複雑でございます。また関係者も多数にのぼり、それからいろいろ専門的な見解をお聞きしなければならないような事項もございまして、岐阜県警としては鋭意捜査を推進するということでやっておりますけれども、捜査が進むに従いまして、なお足りない点、さらに確認をいたしたい点、そういうふうな点がいろいろと出てまいりまして、たとえば関係者につきましてもすでに五百名余りの方々に事情をお聞きしておる。それからまた、土石流のありました沢につきましても二十回近く現場の実況見分等をやりまして、慎重にやっておるわけでございますが、事案の重大性にかんがみまして、落ちのないように、抜けのないようにという観点で捜査を進めておりますので、警察庁として、岐阜県警が結論を出しますにはまだ若干の日時がかかる、こういう報告を受けております。
  200. 太田一夫

    太田委員 捜査一課長、それじゃちょっとお尋ねしますが、百人からの大捜査陣をしいてこの刑事責任の有無について追及をなさってすでに一カ月、その間に責任者の更迭がありましたのはどういうわけでありますか。責任者の警察本部長が更迭された、それは即捜査上のブレーキに相なるのではなかろうかと世間では申すのでありますが、何か意図があるのでありますか。
  201. 田村宣明

    ○田村説明員 私、人事の担当者でございませんけれども、捜査という観点から私いろいろ事情を聞き、連絡をいたしております範囲におきましては、本部長がかわったということによって捜査のスピードがおくれるということは、全くないと申し上げましたらあるいは語弊があるかと思いますが、ほとんどない、かように私は考えております。
  202. 太田一夫

    太田委員 そうしますと、それを逆に解釈いたしますと、本部長のおかわりになりました時点におきましてはすでに捜査は一段落して、ほとんどのものは本庁のほうに移されておる、こういう段階であると理解してよろしゅうございますか。
  203. 田村宣明

    ○田村説明員 御承知のように、捜査を実際担当し、直接捜査をやりますのは岐阜県警察でございます。私どもいろいろ連絡を受け、あるいは助言を求められるという際にはもちろん積極的にやっておりますが、あくまでも捜査の担当者は岐阜県警察でございます。そして本部長はかわりましたけれども、当初から立てられました捜査方針につきましては別に変更はございません。したがいまして、捜査の区切りというような問題と本部長の更迭ということは直接関係はないというふうに、私捜査の観点からは考えております。
  204. 太田一夫

    太田委員 捜査の立場から影響がないとおっしゃればそれでよろしいのでありますけれども、外に対しては警察本部長はすでにいろいろな見解を述べられておるわけですね。そういう見解というものは、この問題について人がかわればおのずから見解も変わってくると私は思うのであります。実際上支障がないという考え方はおかしいのでありまして、どうも納得できないのですが、しからばあなたのほうの今度おかわりになりました新しい方が向こうへおいでになりまして捜査は急展開をしておるのか、それとも同じテンポで岐阜のほうでまだもたもたしておるのか、その点はいかがですか。
  205. 田村宣明

    ○田村説明員 捜査の進め方、捜査のスピードと申しますか、そういう点につきましては、私は別に変わるところはないというふうに思います。
  206. 太田一夫

    太田委員 まあ警察本部長をとやかく軽んずるわけではありませんが、かかる際の総指揮官がその過程の、しかも大事なときにおいておかわりになったということについては、いささか不安を覚えるものがないわけではない。心理的な影響も考えていただきたいと思うわけでありまして、御栄転になるのを拒むわけじゃありませんが、いわば国民に対する心理的な影響というものを無視されては困ると思うのであります。これは九月の初めごろに岐阜県の本部長お話しになった記者会見のことばでありますが、捜査は一とおり終わったが、社会的影響の大きい事故だけに詰めもむずかしい、特に危険性の認識をどう認定するか大きな問題だ、小さな過失を積み上げるわけにもいかず困っている、しかしこの捜査が行政的に大きい教訓を与える意味で生きがいを感じておる。このように感想を述べられた本部長さんが、まだ捜査半ば、いまおっしゃったその過程においておかわりになったことに対しては、いささか割り切れないものを感ずる。  しかしいまの御説明で一応納得いたしますけれども、私は非常に不審に感ずることがあるのです。建設省は、きょうは大臣がいらっしゃらなくて、道路局長さんだが、まあ局長さんはいろいろなことを知っていらっしゃると思いますから、あなたにお尋ねいたしますが、八月二十三日の参議院の災害対策委員会におきまして、大臣の保利さんはこういうことをおっしゃいましたですね。建設省は土砂崩壊を防ぐ義務があったのではないかという質問に対して、ごもっともとは思うが、あれだけの雨量があったとき車がよく動いたものだと思うのです。おそらく水の壁になっておったのじゃないか、そういう状態じゃなかったかと思うのです。こういう発言をされておるわけです。この考え方というのは、警察当局の御発言じゃありませんから私は見のがしてもいいと思いますけれども、少なくとも総理府がつくっておりますところの飛騨川バス遭難対策連絡会議等におきましてはいろいろな各位の意見が述べられると思いますから、その際建設大臣の所感はちょっと事実認識において誤りがあるような気がする。水の壁の中を走っているはずはありませんよ。水の壁の中を走るというのはまさに滝の中をバスが動くというような状態でありますが、そのような状態がどこにあったか。たいへんな誤りでありますが、それが公式に議論されておる。タコグラフを見ればわかるがごとくに、六十キロで快適に走ったバスは、最低にして四十何キロ、これは水の壁の中を走ったのではない。これを大臣がおっしゃるということは私は非常に問題だと思いますが、建設省の蓑輪さん、いかがですか。
  207. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 この問題につきましては、いろいろ、当時のバスが遭難の現地に行きます途中で、飛騨モーテルですか、あそこから引き返しております。その引き返した時間その他によりますが、私たちの資料といいましても、下流の上麻生の発電所の降雨量を見ますと、ちょっと記憶違いかもしれませんが、二十二時の終わり、二十三時近くになって十分間の雨量はかなり相当なものになっております。われわれ道路関係の者といたしまして、現在時間当たり五十ミリという雨量――これはいろいろなものの設計に使われておるのでございますが、時間当たり五十ミリの雨量というともうどしゃ降り以上の大きな雨になってまいります。そういう場合に、車を走らせる者からいいましても、普通の乗用車とバスとは違いますが、乗用車だと時間当たり五十ミリぐらいになるとほとんど雨をよけるワイパーも十分きかなくなる。視野も非常に狭くなる。それが当日は夜でございまして、そういう豪雨で視野のきかないところでよく車を走らせたものだなというような感じから大臣は言われたと思います。ただ乗用車と違いましてバスは前のフロントガラスもかなり大きいということはありますが、やはり相当豪雨だと視野もきかずに車を走らせるについてのある程度の危険は、車に乗った方はだれでもそういう感じになるのじゃないかという感じを述べたものだと思います。
  208. 太田一夫

    太田委員 私は建設省のほうは実は道路管理上の責任の一端を問われておるのだから、自分のほうの責任をバスの運転手なり添乗者という労働者のほうに、早くいうと転嫁をして、国家賠償法上のとかくの責任、過失というものをなるべくうやむやにしたいという気持ちがもしもそこにあるとするならば、ちょっとまずいと思うわけなんで、だから事実に基づいて言っていただくことがこの際必要だ。  実は飛騨モーテルに着く少し前に雨は非常に強く降ったのでありますけれども、飛騨モーテルに着いてからそうたいして降っておらないわけだ。ましてや帰ってくるときなどはちょっと小降りだという状態でありまして、雨は上がったという報告になっておるわけですね。雨が上がった中を走ってきているのだから、しかも五十三ミリの雨ならばあの道はだいじょうぶだということだから、どこにも情勢判断の上に誤りはなかった。それを何か曲芸的な運転をしたかのごときな話が大臣という責任者から出るというのは、問題だと思う。  警察庁の捜査一課長にお尋ねします。そんなような話がありましたか。
  209. 田村宣明

    ○田村説明員 私、岐阜県警察の捜査結果の詳細についてまだ承知をいたしておりませんが、いままで聞いておりますところでは、そのようなことにつきましてはちょっと聞いた記憶はございません。
  210. 太田一夫

    太田委員 総理府からおっしゃったごとくに、本件の刑事責任につきましては、現在警察庁のほうにおいてお調べになっていらっしゃる、その結論が出てから判断をするとおっしゃることについて、別に私どもも異議をはさむものではありません。したがってその間にあまり雑音が入っては困るわけであり、ましてや国家賠償法上の責任の当事者と目されておる建設省は、慎重の上にも慎重を期していただきたいと思うわけです。これは蓑輪局長さん、あなたを悪い者にするわけじゃありませんから、そういう意味でお聞きをいただいては困るのでありますが、事実は事実として厳粛に見ていただきたいと思うわけです。  そこでもうちょっとお尋ねをいたしますが、それならば、いまだにちょっとも出ない理由というのは、実はこの間岐阜で一日内閣があった。一日内閣の際に各大臣がそれぞれ、総理大臣お話しになりましたし、運輸大臣お話しになって、法は厳正であるけれども人情は厚くなんというお話があって、土地の人たちはそういう点につきまして、責任の問題とは別問題にいたしまして、非常にあたたかい援護の手配がなされるものと期待をしておるわけであります。そこで総理府にお尋ねいたしますが、一日内閣のときに、どういうことを岐阜現地においておっしゃったのでありましょうか。
  211. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 お答えいたします。  一日内閣の際に総理から御発表されるということでございましたので、私どものほうは関係各省ともお打ち合わせいたしまして、現段階で発表でき得る内容につきまして検討した結果、次のようなことを申し上げたわけでございます。  飛騨川の事故の直後から、政府といたしまして、関係各省集まりまして、早急に自賠法の適用の問題につきまして検討をしております。しかし、何といいましても事実問題の調査が重要なポイントでございますので、現在地元県警の捜査、関係機関の捜査を極力懸命にやっております。この調査が終わり次第早急に措置いたしたいと思います。さらにまた、自賠法の適用につきましては、法律の解釈の範囲の許す限り温情のある措置考えていきたい、このようにお答えしたはずでございます。
  212. 太田一夫

    太田委員 どうもなんでございますね。責任ある答弁がその際になされなかったというならばそれでよろしいのでありますけれども、自賠法を適用するということが遺族の切なる願いであるから、自賠法適用に焦点を当てて、何とか現行法体系の諸条件を満たしてスムーズに適用したいという考えがあるとするならば、過失は運転者側にあることになる、自動車を運行させた者の中にあるわけであります。しかし、今度の場合はそれが非常にむずかしいのでありまして、むずかしいからこそ一月もたって結論が出ないじゃありませんか。  捜査第一課長にもう一回お尋ねいたしますが、いろいろ専門的な調査もあって、鋭意その問題の調査を進めておるということでありますが、それはどういう方面に分かれておるのでありますか。たとえば運転者とかそういう運行をつかさどった者、そういう直接の者、その次は道路管理という問題、その次は警察なら警察の通行規制とかいう問題もあろうかと思いますが、そういう方面ですね。いろいろ全部落ちなく調べておられるということでありますか。
  213. 田村宣明

    ○田村説明員 私ども捜査の立場に立ちまして捜査に当たります場合には、もちろん予断といいますか、そういうものに立つことなく、現在、先生から御指摘がありましたように、広い範囲にわたりまして、特に今回の事故の重大性にかんがみまして、およそ関連ありというふうに考えられますものにつきましては、ただいま御指摘の運行関係者、たとえば旅行の主催者関係、あるいは自動車の運行管理者、実際の運転者、ほかにも添乗員もございますけれども、そういうものはもちろん、道路の維持管理あるいは道路をつくる際のいろいろの調査関係、砂防、治山、それから警察自体の交通規制につきましても、これがはたして妥当であったかどうか、それからさらに広く気象関係その他私どもおよそ――もちろん人間のやることでございますので万全は期せられないかもしれませんけれども、最善を尽くしまして、考えられるようなことはできるだけ落ちなくやる、こういう方針で岐阜県警といたしましては捜査に当たっております。
  214. 太田一夫

    太田委員 岐阜県警における捜査が一段落すると予定される日時は、およそいつごろでございますか。
  215. 田村宣明

    ○田村説明員 御承知のように、いろいろと相手がございます仕事でもございますし、関係者もたいへん多く、いろいろ供述の食い違い等もございますし、現に専門家の見解を聞いておるような事柄もございますので、正確に何月何日というふうには申し上げられませんけれども、私ども努力目標といたしましては、できれば来週の半ば前後までには何とか結論にこぎつけたいということで、岐阜県警も懸命の努力をいたしております。
  216. 太田一夫

    太田委員 よくわかりました。  それでは、運輸省の自動車局長さんがいらっしゃいますから、自動車局長さん、観光部長さんの通達についてよろしゅうございますか――その通達についてお尋ねいたしますが、何かいままでの制度と申しますか、実際のそういう旅行の計画等において過失ないしは十分ならざる点があったやに受け取られる。そのために急遽これをお出しになったのではないかと思うのですが、旅行計画作成にあたって無理なことをやらないこととか、あるいは三台以上のバスを連ねる場合においては、添乗させる者は相当の能力を有する者を乗せよとか、非常にこまかい御注意がございます。特に旅行計画作成にあたっては、あらかじめ旅行日程に含まれておる地域の道路の整備状態とか、道路交通のふくそうの状況とか、道路管理者とか、警察等の関係機関に照会する等の方法によって詳しく調べなさい。こんなことをバス会社、旅行あっせん業者がやられたら、きょうは警察の交通の方がいらっしゃらないかもしれませんけれども、警察はたまったものではないと思うのです。はい、けっこうです、何々山方面は道路快適にして落石なしとか、穴が三つあるからどの辺は気をつけて行けとか、何か言わなければならない、照会されれば。こんなことを。うっかり観光部長さんはお出しになったと思うのでありますが、いままででも当然できるだけのことはなしていたはずなのに、あらためて事故が起きておやりになったのは、念には念を入れるということでありますか。それとも、いままでなされておらなかったからこれをお出しになったのでありますか。
  217. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 念には念を入れるということで出したわけでございまして、たまたまこの事故があったときには台風シーズンを控えておりましたので、念には念を入れるということで出したわけでございます。したがいまして、この通達は行政指導でございまして、業界全般に出したものでございまして、具体的に法律に基づくところの命令とかあるいは勧告というのではございません。
  218. 太田一夫

    太田委員 観光部長さん、あなたの考え方というのは、そうすると、念には念を入れるのであって、これによって道路交通の状態等を警察側に照会しなさいということを一切やらなかった場合においては、今後事故があれば主催者の責任ということになるのでありますか。警察のほうは、これはオーケーでありますか。
  219. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 これはバスがあっせんをする場合には、バスの場合ですとあっせん業者、貸し切りバスの場合でございますとバス業者に聞くわけでございまして、当然旅行の計画をつくりまして、それをバス会社等に分かれましてきめるわけでございますが、バスのほうにおきましても、道路等がわからない場合には実情を調べておるわけでございまして、そういう点を確認するように考えておるわけでございます。
  220. 太田一夫

    太田委員 総理府のほうにちょっとお尋ねいたしますが、いまのこのやり方というのは交通安全の考え方によく似ておると思うのでありますが、そういうことについて事前に関係各方面とお打ち合わせをなさって、自治省も、いわゆる国家公安委員長も、それから道路管理者でございますから建設省、ないしは地方の自治体の長も、ともに、これはよろしゅうございます、そういうことはできるだけ協力しましょうということであったのか、それとも、これはそういうことじゃなかったのか、どちらでしょう。
  221. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 前もちまして運輸省からそういう御照会がございまして、事前に関係官庁とよく連絡をとっていただくようにというふうにお願い申し上げまして、大体運輸省のほうで関係の向きと御相談のあった後におきまして、飛騨川の対策連絡会議において、その案文について、関係官署全部集まりましたところで検討をいたしたわけでございます。
  222. 太田一夫

    太田委員 だからみんなオーケーということですか。  では、警察庁の捜査一課長にお尋ねいたします。今後旅行計画の作成にあたって、警察の署長に道路の状態を確かめずして旅行を実施した場合においては、責任はその運転者側にあるということに相なるのでありますか。
  223. 田村宣明

    ○田村説明員 たいへん問題が範囲が広うございますので、どのようにお答えしてよいかちょっとわかりかねるのでございますが、そういうふうな場合に、私は捜査をやるという立場からのお答えになりますけれども、その一事だけをもって刑事責任を追及し得るかどうかということになりますと、これは具体的な場合場合に応じて判断をいたさなければならないと思いますけれども、一般的に申し上げましてきわめて困難であろうというふうに思います。
  224. 太田一夫

    太田委員 よくわかりました。警察庁のほうでそうおっしゃっていただけば気が楽です。  観光部長さん、こういうことですね、私は石橋をたたいても渡るなという通達であったかと思ったんですね。これを完全にやればもう旅行なんてできないだろうと思いますから、これを完全にやらないと刑事責任が追及されるということになるならば、これからの長距離レジャー旅行というのはもう不可能になるという通達であろうか、こう思っておりましたが、そうでもなさそうだ。しからば、俗なことばで言うと、石橋をたたいたら渡ってよろしゅうございますか。
  225. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 そのとおりでございます。
  226. 太田一夫

    太田委員 わかりました。そういうことであるならば、今度の事故におきまして、おそらく当事者、運転手側の、非常に困難な状況の中で血の涙を流してがんばった人たちに、そんなに刑事責任がいくことはなかろうと思いまして安心をいたしました。  警察関係を終わりまして、建設省の道路局長さんにもう少し重ねてお尋ねをいたしたいと思います。  道路管理の問題でございますが、ちょうだいをいたしましたこの資料を見ますると、道路管理のあり方という中には、道路管理というものをいわゆる国家賠償法に規定する道路管理に瑕疵ありやいなや、これは道路の新設改良と同時に、通行の禁止制限等を含めておるわけでございますが、今度の場合、これを振り返ってみて、あなたのほうには、こうすればよかった、ああすればよかったという所感がございますか。
  227. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 今度の事故を振り返ってみまして、やはり私たち道路を管理いたします者といたしましても、こういう不幸な事件が二度とないように願うわけでございます。では、どういうことをしたらいいかということでございます。今度の事故で受けました一番大きな教訓は、気象の情報から交通の実態を考えまして、雨の降り方、こういうものから、道路を走っております車に気象の情報、道路の損傷の現状、こういうものをいかに早くドライバーに知らせるか、こういう連絡情報網をもう少し密にいたしまして利用者の便宜をはかるということが、ドライバーが安全に運行のできる的確な判断を出せる資料を得られる一番大きな方法ではないかということで、もちろん道路自身の防災ということは考えなければなりませんが、そういうドライバーに的確な判断を下せるような情報の伝達というもの、及び道路の破損状況を十分把握できるようなパトロールの強化というような、この三つが、われわれのこれからこういう事故を防ぐための非常に大きな課題というように考えております。
  228. 太田一夫

    太田委員 道路構造令等によりまして、いろいろきびしい規定はあるのでありますが、たとえばあの場合の沢を渡るのには、暗渠で渡るべきであるか橋梁によって渡るべきであるかという二者択一の決定に迫られたことがおありであったろうと思いますが、当時しごくスムーズに暗渠ということにきまったのでありますか。
  229. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 当時いろいろあそこの工事を設計いたしました人からまだ話を聞いておりません。あそこの場所が、暗渠にするか橋にするか非常に問題があったかどうかは、私承知しておりません。ただ、あの路線を見ますと、やはりもっと大きな沢については橋になっております。事故のありました沢から少し離れたところで大洞橋というのがかかっております。この沢は、この事故を起こしました沢よりはかなり大きな沢でございます。そういうことでかなりの水及び土砂のことも考えてああいう橋にしたのだろうと思います。現地についてどうするかの問題につきましては私聞いておりませんが、どうもあそこの沢自身をこの間災害あと通ってみますと、災害あとはもう土砂が全部流されまして岩はだが出ておるような現状でございます。ただ、現場の人に聞きますと、前はかなり木もはえておったということで、あそこを見たとき、災害の起きる前のあの沢を見、さらにその流域を見ますと、あそこでまさかああいうような土砂流が出るという危惧はほとんどなかったのではないかということで、あれは暗渠になったのだと思います。
  230. 太田一夫

    太田委員 あとになってこうすればいい、ああすればいいというのは、いささか繰り言めいて残念に思いますけれども、しかしあそこがもしも橋であったならなというのが、どうもいまだに胸にひっかかるわけでありまして、かつてあれは橋であったわけです。土地の人の話によれば橋であった。今度それがあのようなりっぱな道になって暗渠となったのでありますから、その検討にさらに一そうの慎重さがあったならばということも悔やまれるわけです。ただ、この山は四百十メートルくらいの山だと聞いておりますが、そののりが九百メートルくらいあって、上から七百メートルくらいという間はこれは民有地でございますが、石英とか安山岩の地帯、これはゆるやかな傾斜の山はだである。その下のほうの、道から二百メートルくらいのところは珪石層であって、これが保安林になっておる。これはたしか林野庁の国会に出された報告書でありますが、そうなっておる。したがって、石英、安山岩、珪石ということになると、山のしんというのは実にかたいものなんですね。そこで山くずれをあまり想定しなくて、そしてまさか鉄砲水はあっても鉄砲岩はなかろうということから暗渠になった。こんなことを想像したら間違いですかね。御感想はどんなものですか。
  231. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 こういう災害あとになってみますと、そういう土砂流のおそれが全然ないということは、実際起こった事実からいえば言えないのでございます。ただ、私たち道路をつくります際に、山が安定しておるか安定していないかということは非常に神経質に考えております。ことに地すべりの多いような地区、これは北陸地帯には相当ございますが、そういうところのルートをどう選ぶかについては、非常に慎重にやっておるつもりでございます。それをあそこの地区に振り返ってみますと、あそこはそういうような、上が砂防というようなことも指定されておりません。また地形から見ても、かなり上のほうはなだらかで、道路のすぐ近くから急に急傾斜になって飛騨川に注いでおるということで、沢を見ましてもあまり大きなそういう土石流の起こったというような現象も見られないし、山としては比較的安定しておるということで、ああいうような設計になったのだと思います。
  232. 太田一夫

    太田委員 それは人間の知恵ですから万全を期すということは困難だと思いますけれども、道路管理、道路構造上のいろいろな条件というのは、極力安全度を高めておくということにならないといけないと思うのです。  そこで、これはどうなんですか、建設省のほうは、つまり道路という部分は路面から上のほうまではいかないそうでありますが、全体を――林野庁が管轄しておる保安林であろうが何であろうが、側面は全部ひっくるめて道路なら道路の側面とこれを考えて、その道路に対する危険性と申しますか、安全の確保という点について今後は大いに注意をしていくべきだと思うのでありますが、何かそういうことをお考えになっていらっしゃいますか。
  233. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 今度の災害にかんがみまして、やはり道路は自分の本体の道路が決壊しないということが第一かと思いますが、それだけでは今回のような災害を防ぎ得ません。そういうことで、やはり道路から続いておる山がどうなっておるか。これについてはいろいろ林野庁の治山もございます。また渓流については河川局の砂防事業もあると思います。そういうようなものと連携を密にとりまして、どういうところが危険か、どういうところにはいまのうちに手当てをしておいたほうがいいかというようなことは、やはりおのおのの分野で十分連絡をとって、こういう危険を未然に防止するというように考えております。今度の事故のあと、念には念を入れるために、さらに直轄の指定区間、国が管理しております区間についてはそういう危険個所の再点検をやると同時に、それからやはり、道路区域外についてもそういう危険のおそれのあるところは、関係の所管官庁と連絡をとるように指示しております。
  234. 太田一夫

    太田委員 そういうことですね。林野庁ともよく連絡をとって、建設省と意見の一致を見た構造になさることが必要でありますと同時に、林野庁もまた道路の安全に寄与していただかなければならぬと私は思います。  どこででしたか、これは蓑輪局長さんがおっしゃった御答弁の中に、のり面の防護工法というのはいろいろ実施はしておるけれども、山頂からの土砂流出に対して十分であるというような安全施設はなかなかできがたい、どんな雨にもだいじょうぶというような構造はできぬと思う、そんなようなことばをおっしゃった委員会における議事録を拝見したのでありますが、飛騨川の場合を例にとってみると、ああいう大雨が降ってああいう山くずれが起きた場合には、今後も事故を避けることはできませんか。
  235. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 御承知のように、道路といいますと市町村道までも合わせますと九十九万キロ、約百万キロ近くございます。この中で、道路が二車線に改良されてあるところは、未改良のところよりは、防災的見地から見るとまだよくなっておると思いますが、しかし未改良の県道になりますと、まだまだそういうような危険の個所がたくさんあると思います。また国道でも、今度の四十一号線というのは、国道の中では、山間の道路として、われわれががけくずれ等の災害を防ぐために力を入れてつくってまいった、そういう点ではある程度、設計その他についてはいままでよりは自信があったのでありますが、今度のこういったような事故になりますと、やはりなかなか道路の周辺だけを防げば事故がなくなるのだということでもございませんので、そういう点はやはりもっと広い範囲の点検、広い範囲のパトロールというものがこれから必要になってこようかと思います。そういうあぶないところも全部手当てできればこれは完全だと思いますが、そういうことは国の予算の関係もあり、また広い山の中の道全体をとりますと、なかなか一日や二日でできることでもございませんので、やはりパトロールを強化すると同時に、そういうような危険の個所を早く発見して、それに対して対策を講ずる及び交通の規制を行なうということが、事故を防ぐ現在のとれる処置だと思います。
  236. 太田一夫

    太田委員 私は、国家賠償法第二条あたりの精神というものは、ある程度は、たてまえとしては無過失責任を問うておるような気がしてならない。でありますから、責任の範囲は広いと思うのですよね。そこで、どこまで、どの程度あなた方が道路管理をやったら責任を果たしたことになるかということは、たいへんむずかしい問題だと思いますが、それは法律論だとか何だとかいう理屈や立場の相違の応酬を越えて、交通の安全を守るためにとことんまで徹底を期していただきたいと思うのです。そのためには、たとえば道路構造令というものがあるのだが、ひとつああいうものを変えて、山岳地帯の道路というものに何か新しい基準をつくったらどうかという気がしますが、そんなことは必要ありませんか。
  237. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 道路構造令には、これも先生承知だと思いますが、現行三十一条に「(防護施設)」の項がございまして、「さく」とか「駒止」とか「擁壁」その他の適当な防護施設を設けなければならないという文句で書かれておるわけでございます。これを山岳部でどうしろ、平地部でどうしろということになりましても、なかなか全国、広い道路でございますので、一定の基準ということをこういうような構造令で書くことは非常にむずかしいと思います。ただ、やはり道路を設計いたしますときに、設計の技術者の参考になるような技術的な資料という形で、どういう地点でどういうことをやって非常に効果があった、どういう地点ではこういうような原因で土砂崩壊や、がけくずれがあったというような事例を、一つの設計の事例として広く、道路を設計いたします技術者に資料として出すほうがプラスではないかというふうに考えます。構造令そのものは、道路の幅員、曲線の問題、こういうものについてある程度はいま構造令の改正を考えておりまして、これのおもな趣旨は、やはり車道と歩道、車と歩行者を分けるというような趣旨で構造令を再検討しておりますが、この防護施設につきましては、場所場所によって適当な方法をとらざるを得ないので、構造令そのものにはなかなかこまかい基準というのはちょっとつくれないかと思います。
  238. 太田一夫

    太田委員 いまのお考え方を実現させていただければ、非常に安全の確保に役立つと思うのです。  そこでちょっとお尋ねいたしますが、あの事故が起きましてから、中部地建におきまして道路防災の担当官という、これは制度じゃないでしょうけれども、運用上の問題だろうと思うのですが、七人ほど任命されまして、その災害予防措置を強化するということをおきめになったそうでありますが、これは中部地建だけでおきめになったということでありますか。それとも全国的にこれは行なわれておることでございますか。
  239. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 これは、担当官という制度は法律的にはございませんので、こういう災害及び豪雨みたいなときに、現地災害を主体として指揮をとるような人、これを担当官と名前をつけたのだと思います。これにつきましては、各地建ともそういうような制度がよければこれを制度化したいと思います。各地建ともやはり災害の担当者というようなものをきめておりますので、そういう意味では各地建ともやっておることだと思います。
  240. 太田一夫

    太田委員 やはり、事故の事前の交通どめですか、交通規制であるとか、そういうようないろいろな災害予防措置というのは徹底的におやりにならないと、いまのあなたのおっしゃるお話を聞いていましても、たとえば技術がどんなに進んでいても、工法がどんなに発達いたしましても、ああいう百何十ミリというような雨による鉄砲水とか鉄砲岩とか鉄砲土砂でございますとか、そういうような山くずれを防ぐというととはなかなか確信が持てないとするならば、予防措置を講ずることが第一でありますから、それを全国的なものとしていっそのこと制度化して、大いに発展させてください。これは、私ども特にそういう方面から安全をはかっていただくことには大賛成です。  そこで、ついでに林野庁にお尋ねいたしますが、林野庁は保安林という制度をおつくりになりまして、上方二百メートルの傾斜地帯が保安林になっておりますが、明治四十一年にこれを指定されて以来、ほったらかしておったのでありますか、それともどういうことになっていたのでありますか。
  241. 片山正英

    ○片山説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生お話しのとおり、明治四十一年に道路沿いから約二百メートル、これは急傾斜地でございます。非常に急傾斜の地帯を保安林に指定いたしまして、保安林として定むるところにより管理してまいったわけでございます。現在、林相は三十七、八年生の広葉樹林を主体とする林相になっております。その上がいわゆる緩傾斜で、石英斑岩ということで保安林から除いてあるわけでございますが、これも明治以来、かつての伊勢湾台風のときもそのままで崩壊しない広葉樹林の林相を保ってきたわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、普通の観念でまいりますと、これは不安がないという観念で保安林の指定をやっておらないのでございます。
  242. 太田一夫

    太田委員 不安がないと思っていた裏から、大きな危険が確かに実際に出現したということになれば、今日の御所見はいかがですか。
  243. 片山正英

    ○片山説明員 保安林につきましては、ただいま申しましたような従来の普通の雨でございますと、伊勢湾台風程度の雨でございましても、不安はなかったわけでございますが、今回非常な豪雨でございましたので、不幸にして崩壊を来たし、土砂流となって流れたわけであります。したがいまして、われわれといたしましては、今後それに対しまする緊急治山の実施はすでに決定いたしましたので実施してまいるとともに、今後その山を保安林指定地にするかどうか、あわせて検討して、万全を期してまいりたいと思います。
  244. 太田一夫

    太田委員 一つのよき教訓を得たのでありますから、この教訓を宝として、さらに大きく発展させて、他のほうで同じような事故が繰り返されないように、林野庁としても十分この道路交通安全のために御努力をいただきたいと思います。百年に一度の山くずれというのだからまあしかたがないと、ほったらかしておってはたいへんだと思うのです。  そこで続いて、次は気象庁の関係のお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、気象庁長官柴田さん、いらっしゃるでしょうね。
  245. 柴田淑次

    ○柴田説明員 はい、おります。
  246. 太田一夫

    太田委員 気象庁は、実は先ほど本委員会で私どもが決議をいたしまして、たいへん喜んでいらっしゃると思うのでありますが、どうも八月十七日から十八日にかけての気象庁のいろいろの注意報、警報の発令、解除等の姿を見ますると、今度はいささか集中豪雨に振り回されたような感じがありますね。どんなんでございますか。ひとつ具体的なことをお尋ねいたしますが、名古屋の気象台が三時間ほど観測を中止したという事態があったわけですね。これは一体、何でもないことでございますか。
  247. 柴田淑次

    ○柴田説明員 先生承知のように、十七時十五分に注意報を解除いたしました。その解除したときの状況を申し上げますと、名古屋の気象レーダーで見える映像では、大雨を降らすような大きな雲の映像はだんだん薄れまして、ほとんどそういうような大雨を降らすような雲はなくなっておりました。それから名古屋の気象台と岐阜の気象台に管下の観測所から入ってくる雨の報告もほとんどなくなっておりました。また、雷雨の報告もなくなっておったのでございます。それで、十七時ごろにもう一ぺん岐阜の地方気象台から管下の観測所のほうへ電話をかけまして、そちらのほうの雨の状況はどうかということを聞いたのでございますが、ほとんど雨はもうやんだとか、あるいはぽつぽつ程度の雨しか降っていないというような報告でございましたし、かつはまた、岐阜市内にはちょっと青空も見えてきたような状態でございました。それで、その注意報を解除いたしましたと同時に、名古屋のレーダーの映像にも心配な雨雲がなくなりましたので、名古屋のレーダーの運転を一時休止したのでございます。
  248. 太田一夫

    太田委員 注意報が全部解除されたのは十七時十五分、名古屋の気象台のレーダーがその活動をとめたのは十六時十七分、それから十九時三十分までの間、約三時間、名古屋の気象台のレーダーというのは活動をとめておるわけなんで、その間、富士山頂のレーダーに依頼をしていたのであるというお話でございます。     〔委員長退席川村委員長代理着席〕 もし三時間とめておらなかったならば、フルに活動していたならば、もっと早くあの雨雲を見つけて、予報なり警報なりが早く出たのではなかろうか、こういうことですね。
  249. 柴田淑次

    ○柴田説明員 それも結果論的なことになりますが、気象庁におきましてもその点につきまして十分反省し、種々検討を加えた結果、技術的に見まして、あの場合に連続に名古屋のレーダーを運転していても、あの時点よりも早く注意報なりあるいは警報が出たかどうかということについては疑問である。特に早く警報が出せたかどうかということについては何とも申し上げられない。これは技術的なお話でございますので、ちょっと感覚的に考えますと、レーダーがフルに回転していればよかったのじゃないかというような気になりましょうけれども、実際のところはそうじゃございませんで、特にそのために注意報なり警報がおくれたということは、われわれとしては考えられないんじゃないかということでございます。
  250. 太田一夫

    太田委員 あとになってから議論するのだから、いさささかお互いに言いたいこともあると思うのでありますが、十六時十七分にレーダーをとめた。十九時十五分、約三時間たちますと、富士山頂から雨雲のある連絡を受けた。そこですぐにレーダーによる探査を始めましたら、幅三十キロに及ぶ琵琶湖から松本に至るまでの雷雲を見つけて、それからさあたいへんだというので、あらためて二十時に岐阜の気象台が雷雨注意報を出した、こういうことになるような気がする。幅三十キロに及ぶ琵琶湖から松本に至るまでの雷雲というのは大きいですから、これは名古屋の気象台のレーダーが動いていたらもうちょっと早く見つけていたのじゃないか。これはいまになっては水かけ論で、どうせ台風のときの話ですから水かけ論なら水かけ論でいいですが、どうなんですか。
  251. 柴田淑次

    ○柴田説明員 そういった大きな雷雲あるいは雨雲につきましては、富士山のレーダーで十分につかめております。したがいまして、富士山のレーダーでそれをつかんで、そして名古屋に報告してきたのでございます。だから、名古屋のレーダーは休んでおりましたけれども、そういった富士山のレーダーの報告によって作業を開始したということでございます。  なお、ついででございますけれども、そういった大雨を降らすような雲というものは急にできるものでございまして、その雲ができるのに二時間も三時間もかかるというのじゃなくて、もっとずっと短時間にそういうような雲ができます。したがいまして、そういったことの監視につきましては、富士山のレーダーがフルに回転しておりましたので、それでつかまえたというような次第でございます。
  252. 太田一夫

    太田委員 こつ然とあらわれた偉大なる雷雲によりまして、こつ然として百年に一度の大山くずれが起き、そして世界最初の大事故が起きたと言えば、何だかこれは理屈は通るようでありますけれども、お互いの間にそこに何かしら一つだけ欠けたものがあったのじゃなかろうか、こういう気がしてならない。  そこでちょっと古い話で恐縮ですが、かつて昭和三十五年の伊勢湾台風の当時、予防のために防災気象官制度が新設されたということを承ったことがあるのですが、これはいまだに存在をしておりますか。
  253. 柴田淑次

    ○柴田説明員 防災気象官につきましては、各地方気象台ごとに一名ついております。しかしそれは中部地方以西でございまして、その後も全国的に防災気象官を配置すべく財政当局にもお願いをしておりますが、残念ながらまだ全国的にこれをすべて配置する段階には立ち至っておりません。
  254. 太田一夫

    太田委員 中曽根さんはいらっしゃいませんけれども、かつて中曽根大臣が科学技術庁長官の当時、三十五年九月、台風の科学的対策委員会というものを中曽根さんの発案によって設置されたということを聞いておりますが、これもいまはないのでございましょうか。
  255. 柴田淑次

    ○柴田説明員 台風の何でございますか。
  256. 太田一夫

    太田委員 台風の科学的対策委員会……。
  257. 柴田淑次

    ○柴田説明員 ちょっと名前は、何かほかの名前ではないかと思うのですが……。
  258. 太田一夫

    太田委員 わからない……。
  259. 柴田淑次

    ○柴田説明員 はい。ちょっとわかりません。その名前はちょっと聞き覚えございません。
  260. 太田一夫

    太田委員 かつて気象庁の予報というものが非常に名をあげた時代がありましたね。昭和三十五年の伊勢湾台風の当時に名古屋の気象台が非常な手柄を立てた。これは有史以来の台風だということを断言されて、それでもう各方面においてたいへん人命を救ったという例があるのです。そのことを考えて予報がいかに防災上必要かということを痛切に感じている。その後、チリ津波なんかのときにはちょっと警報がおくれて、被害が大きかったということも聞いておりますが、予報と災害との関係というのはたいへん緊密な関係でありますから、特に私は、先ほど決議された精神にのっとって政府もこれが実現に十分努力をすると言われたのでいいけれども、柴田長官としても大いに声を出して言ってもらいたいと思う。予報官の仕事というものは、どうもむだが多くて、つまらぬ仕事までやらなければならぬということですから、人間をふやして――名古屋の気象台もたった四人しかいなくて、レーダーが一週間に二回も故障する。おんぼろレーダーにおんぼろ気象台と言われても弁解の余地はないだろう。したがいまして、一つのポストに長い間固定しているというような人事があって、そのために十分能力が発揮できないのならたいへんだ。だから、予算がほしいなら予算がほしい、人間がほしいなら人間がほしいということを、中からも大いに言っていただかなければいけないと思う。たまたまこういう事故があったから、われわれはこのことを気がついて申し上げるのですが、そういう点についてあなたの決意は――気象予報精度の向上という点については、先ほども決議をされて済んでおりますからけっこうでございますが、だいじょうぶでございましょうね。
  261. 柴田淑次

    ○柴田説明員 ただいま御指摘の点につきましては、もう申し上げるまでもないことでございまして、先ほど決議していただきました事項につきましては、私といたしましてもこれを機会に、気象業務の整備あるいは気象予報の充実あるいは研究の推進ということについて、なお一そう努力をしていくつもりであります。
  262. 太田一夫

    太田委員 消防関係をお尋ねいたします。  道路交通の規制について道路管理者側においていろいろと手配をされたのでありますが、今度の場合は残念ながら一番危険なところにバスが入ってしまった。それを何ともすることができなかったということでありますが、消防官と消防団員というのは、これは本来の使命と、それから災害対策基本法に基づく防災計画実施上の責任とは、ともに方面が違うと思いますが、防災上の立場から、消防団員というものが、こういう土砂くずれがあったから危険な場合には通行を禁止するということは、それぞれ自治体の長と相談してできることだと思いますが、いかがでありますか。
  263. 永瀬章

    ○永瀬説明員 確かに消防団は、一般の消防任務と、災害基本法に盛られております災害に際しましての任務とは、いささか違う面はございますが、いずれも生命、身体、財産の保護に任ずる任務でございますので、生業を持ちながら活躍いたしておりますが、基本法の規定の条文の中には、市町村長の責任といたしまして、生命等危険のある場合に対しまして避難命令等が出せることになっておりますが、その行為の代行といたしまして消防団が活躍するケースはあるわけでございます。
  264. 太田一夫

    太田委員 よく研究してほしいと思う。これは総理府とも連絡していただきたいと思うのですが、それぞれの防災計画を地方の市町村なら市町村、県なら県、国なら国で立てるわけで、その計画をつくり、それを実施するについては、それぞれ市町村長なら市町村長が消防団等に協力を求めて、お互いに協力してやらなくちゃならぬわけです。その場合に、交通の規制ということはその中に入っていると私は思うんだ。これは入らぬとするならば、私はどこかまだ研究不足のような気がしますが、ひとつ十分連絡してください。それでいいです。  それから、時間がありませんから先に進めます。  郵政省の石川電波監理局長さんにお尋ねいたしますが、今度の場合しばしば言われることは、金山へ行ったならば警報を聞いておるだろう、聞いておるだろうと言われるわけなんです。ところが金山へ行きましても、実は雷雨なんだから、雷が鳴っておるときにテレビやラジオを聞けますか。みんなうちじゃ切ってしまっている。そしてもう一つは、警報等が出ましても、意外にテレビやラジオというものは、郵政省のコートロールがきかぬのか、それとも商売に差しつかえちゃいかぬのか知りませんが、非常にのんきな娯楽番組等を放送しております。警報が出されたら、テレビ、ラジオは警報一本にしぼって避難とか注意とか、その模様の報道一本にしぼるということにして、のんきなドラマなどをやることはやめるという措置をとることはできませんか。これは非常にきついかもしれませんが、電波監理局長さん、お願いいたします。
  265. 石川忠夫

    ○石川説明員 お答えいたします。  ただいまのお話は、広く申し上げますと放送番組の編集の問題でございまして、これは御承知のとおり放送法の第三条にその原則が規定されておりますが、法律に定める権限に基づく場合でなければ、だれも干渉したりあるいは規制されることがないということが一般原則になっておりまして、その法律に定める場合というのは、たとえば災害対策基本法の五十七条だとか、あるいは気象業務法の何条でしたかにございますような場合には、放送しなければならない、あるいは放送を求めることができる、こういうことになっておりまして、今度の場合のような際に、全部娯楽番組をとめてしまって、警報その他のみをやるということは、現在の法律からは不適当であるというふうに考えております。     〔川村委員長代理退席委員長着席
  266. 太田一夫

    太田委員 それは電波監理局長さん、電波というものは、あなたのほうも監理される以上、公共の福祉のために使うとか人命尊重とか、あるいは災害の防除のためにこれを使うことがいいのであって、その際に、大風が吹いておるところでげらげら笑って番組を見ておるなんということはあり得ない。だから、そういう際においてはすみやかに人命尊長第一主義に立って、災害防除のたてまえから放送番組の規制をするということまで、ひとつ法改正に踏み切っていただきたい。これは、あとで研究していただかなければいま返事できないでしょうから、要請しておきます。  最後にもう一つだけお尋ねいたします。自賠保険の関係でございます。運輸省の黒住さん、自賠保険の結論は出ましたか。
  267. 黒住忠行

    ○黒住説明員 本件につきましては、責任の有無等につきまして鋭意調査を進めておるところでございます。警察におかれまして詳細な調査が行なわれておりますので、その結果等を参考にいたしまして結論を出す予定でございます。したがいまして、現在ではまだ結論を出してない次第でございます。
  268. 太田一夫

    太田委員 総理府審議室報告としてお出しになりました資料を見ますると、「会社側の責任がなければ払えぬが、法解釈について、法制局ほか各省の担当官との打ち合わせ会を行ない遺族救済のため必要な措置がとれるよう検討を進めている。」こういうことが報告されております。したがって、自賠保険は単なる自賠保険でなくて、今度の災害は特殊な条件下における特殊な支払い方法ということになろうかと思いますが、そういう意味で御調査は進んでおりますか。
  269. 黒住忠行

    ○黒住説明員 御承知のように、自賠法は第一条に書いてありますように、被害者の保護をうたっておるのでありますが、同法の第三条で賠償責任を書いております。したがいまして、責任があるところが賠償しなければならぬというたてまえになっております。しかしながら、この法律被害者の保護というようなことでもありますから、この運用にあたりましては、極力法律の規定の許す範囲内におきまして、被害者の保護をはかっていきたいと思っております。
  270. 太田一夫

    太田委員 法律の許す範囲ということですが、法は曲げられないがとあなたのほうの大臣はいつもおっしゃっているのですが、かってのいいことばかり法は曲げられないというのは困るわけで、そのあとつけ加えて、法の許す範囲内で最大限の愛情ある措置をとりたいと大臣はしばしばおっしゃっておる。両院のそれぞれの委員会におきましても、「被害者に対する救済措置については、遺憾なきを期すこと。」こういうことの決議がなされておる。これに対して各大臣は、趣旨に沿うて努力しますというお約束をなさっていらっしゃるという点から考えて、今回の場合、単なる法の厳正なる執行ということとは違っているような気がするんですね。局長さんどうですか。何かそこに愛情ある措置というのは、愛情というものによって法の輪郭というんですか、姿が少し変わるでしょう。愛情がつけ加えられる。変わらないですか。
  271. 黒住忠行

    ○黒住説明員 今回の事故は未曾有のことでございまして、従来の例、判例等から見ますると、この種のものはございません。したがいまして、被害者が非常にたくさんあるというふうな事実もございまして、われわれといたしましては、賠償保障法の適用にあたりましてはきわめて慎重に、かつ被害者の保護というこの法律の目的にも照らしつつ、検討を進めておるような次第でございまして、しばらくその検討を続けまして結論を出したいという考えであります。
  272. 太田一夫

    太田委員 四十一号線の災害復旧工事に二千九百六十三万七千円も出さなければいかぬというぐあいに、事故が起きればそれだけ金を出すわけですから、出すつもりじゃなかったのに出すということがあってもいいじゃありませんか。美談をつくれということじゃないですが、善政を施すということは――この前ちょっとどこかで申し上げたのですが、関東大震災のときには保険金を普通なら保険会社は払えなかった。しかし、時の政府は、かかるおりにおいては世の国民の大多数の要望にこたえて何としても払うべきだというので何割かを払ったという、まさに聞くもまことに美しい物語があるわけです。今日の時代においても、その聞くも美しい物語を残されるということは、黒住さんいいことじゃありませんか。中曽根大臣を補佐して、今度の自賠法の問題について、いままでの単なる事故として見るということじゃなくて、新しい判例をつくるという、こういう前例をつくるという、そういう方角に持っていかれることもあながち間違いじゃないと思いますが、何か奇想天外な理屈でも考えていらっしゃるかどうか。
  273. 黒住忠行

    ○黒住説明員 この法律は、損害賠償責任を従来の民法等の原則よりもさらに進めまして、被害者保護をはかっておるのでございます。その賠償責任を強制保険でもって担保しておるのがこの法律のたてまえでございます。したがいまして、見無い金的なものを一般の保険会社が払うというふうな制度ではございませんので、今回につきましては、やはり第三条に基づきますところの責任というものがどうであるかというふうなことが基礎になりましてこの法律適用が決定されるわけでございます。しかしながら、前にも申し上げましたように、今回の事故は非常な大きなものでございます。従来にないものでございますから、そういうことを念頭に置きまして、その適用につきましては慎重に検討をしていきたいと思うような次第でございます。
  274. 太田一夫

    太田委員 慎重はいいんですけれども、大体いつも、どなたもそういう御答弁です。しかし「救済措置については、遺憾なきを期すこと。」という両院の決議もあることであります。ところがさてそこで、刑事責任、民事責任所在を追及していっても、それがなかなか出てこない。出てこないから、今日で一カ月も時間が空費されてしまったでしょう。そう推測いたします。しかし、かりに刑事、民事の両責任なしと断定されてもなおかつ、自賠法によるところの相当額を払うという、新しい判断というものが必要ではないかということをお願いしておる。そういうことを求めておるわけです。いまあなたにお答えをいただくことは困難と思いますが、中曽根運輸大臣のおっしゃる最大限の愛情ある措置とは何か。それは即いまの法をそのまま真正面から適用するということじゃないでしょう。したがって、そういうことについて新しい判断をされることを望みます。  終わります。
  275. 芳賀貢

  276. 川村継義

    川村委員 たいへんおそくなってしまいましたが、私は午前中実はちょっと質問を保留しておきましたのは、太田委員の飛騨川のいまの質問について、関連して質問ができると思いましたので保留をしたわけですから、大急ぎで簡単にお聞きをします。  私の質問は気象庁にお尋ねしてまいったわけですが、ちょっと総理府の方と蓑輪局長がおられますから、いま関連して聞いておきますけれども、さっき蓑輪さんは大臣答弁についての弁明をなさいましたね。どうも私ちょっと気になるのですが、あれは取り消していただくか、もうちょっと修正してもらえませんですかね。というのは、雨の壁の中をよく走ったもんだ、こういうことになりますと、走った車が自分で突っ込んだとか、自分で運転を誤ってどうかしたということならば、そのことばの方向の向け方がよくわかるのだな。そうでしょう。あなたは大臣答弁を弁明なさいましたけれども、ところがあのときの実際のこれを見てみると、とにかく雨が降っているから前進できない。そこでバックをしてきたわけです。そうしたらそこに土砂くずれがあって、トラックが一台か二台とまっておる。行けない。そこで一号車、二号車、三号車、四号車、五号車、六号車、七号車ととまった。ところが、どうも前のほうで土砂くずれがするからあぶないというので、一号車、二号車、三号車がそれぞれバックをして七号車のあとについて、そうしてここに待避をしたわけですね。そのときに上から、小さい谷川からものすごい水が流れてきて、土砂と一緒に車をほうり込んだ、それが一つでしょう。事態はそういうわけですね。  それと、出発時の、あのバスが出発するときの気象状況等は、これはもう私が読み上げるまでもないのだけれども、「当時、台風七号が日本海側にあったので、」これはそのとおりです。「十分注意をしていた。当日の新聞及びテレビ等で、明朝、東北、北海道方面へ移動するとの情報であった。また、奥様ジャーナル社は数日前から気象協会と連絡をとっており、当日十八時三十分の連絡では、「霧の心配はあるが、雨は降らない、ご来迎はおがめるでしょう」とのことで、奥様ジャーナル高笠原社長から、予定どおり実施するよう名鉄観光サービース鈴木次長に指示があった。また、十九時のテレビ放送で、岐阜県地方は、「晴れ」との天気予報であった。二十二時二十分成田山名古屋別院を出発、当時は、雨は降っておらず、凡そ三十分程度走った附近から雨が降り出し、山に近づくに従って強い雷雨になったので、バス内のラジオにより状況を聞こうとしたが、雑音が多くて聞きとれなかった。」と報告されておる。  そうなりますと、雨の壁の中をよくも走ったものだということを政府側の皆さん方がおっしゃると、どうも会社側や運転者側に手落ちがあったような印象を与える、そういう判断を与える材料になりかねないと私心配するのです。いま私が指摘した二つの問題でも、相当大事な問題ではないかと思いますが、局長どうですか、これはやはり少し慎重にお考えいただいて、さきの大臣お話などは、この時点で訂正、修正されたほうがよくはないでしょうか。
  277. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 実は先ほどの大臣お話でございますが、はっきり申しますと、私も大臣にいろいろその事故の報告をしておりまして、十八日の朝の事故のあと現地に人もやりましていろいろ報告を聞きまして、その結果を大臣に申し上げたときに、こういうような災害が起きたんだけれども、その当時の気象のあれを見ますと、二十二時三十分に大雨警報が出ております。これがいろいろ――いまのバスの責任者がラジオで聞いたか聞かないか、ちょっといまはわかりませんが、そういうようなものが出ておるような天候のときに、非常に大きな雨が相当――先ほど言いましたように、これは現場から十キロぐらい離れておりますが、上麻生というところの雨量の記録を見ますと、一時間九十ミリぐらい降っておるということで、局地降雨というのは十キロも雑れますと、そこでは非常に降っておっても別のところでは降らないということはよくあることでございます。そういうことはあるのでございますが、やはり大雨警報も出ており、これだけ雨が降ったらこれは危険じゃないかというような感じがやはり運転する人にもあったのではないか、それがどうしてあそこの道路を通ったか、非常にその辺が私ども疑問になるのだというようなことを大臣にちょっとお話しした。それから大臣もそういうようなことを発言されたと思います。ただ、この意味は、やはりいま先生のおっしゃいました、あんなところを無謀な運転をするから悪いのだというような意味じゃなくて、やはり道路の問題、道路の交通の、安全に車を通すという問題は、道路管理者はもちろんそれは責任がございますが、やはり運転者もそういう雨の状況、そういうものによって、お互いが安全に通れるような注意がもう少しあったほうがよかったんじゃないかというような希望的なことでございまして、非常に無謀な運転をしたからおまえたちが悪いんだというような、そういうような趣旨ではございませんので、御了承願いたいと思います。
  278. 川村継義

    川村委員 気持ちはわかりましたが、気象予報、気象の受け取り方、いろいろ問題はあると思います。そこで先ほどあなたのお話を聞いて、そういう場合には、特に建設大臣等は慎重な発言をしてもらわなければ、これはかなりいろいなろ問題を起こす。それによって警察当局がいろいろ調査するときに左右されるとは思いませんけれども、やはり私どもそういう意味で特に念を押しておきたいと思ったわけであります。  もう一つ建設省が道路情報センターをつくる、こういうことを新聞に発表しておりましたが、これは実際おやりになるのですか。
  279. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 これは、実はこういう事故のございます前から、道路の利用が非常にふえてまいっておりますし、ことに私たちが一番心配しておりますのは、もちろんこういうふうな集中豪雨の問題もございますが、冬季の交通で、私たち道路局におりますと、道路局にも、現在東京から出て三国峠を越えて新潟に行けるのかというような問い合わせがしばしばございます。これは各地方建設局もそうだと思いますので、そういう意味で、そういう道路の利用者の便宜をはかるということを目的といたしまして、各地方建設局をまず手始めにそういう――いまの建設局には道路部に管理課というものがございまして、そこはいままでも窓口になってやっておるのでありますが、もう少しそういうような管理課の仕事及び地方建設局の中の各県にございます工事事務所、そういうものの道路管理の仕事も強化いたしまして、そういう利用者に利便を与えるような情報、そういうものをもっと流すようにしたらどうだということで、まず一番わかりやすい名前で、道路情報センターというような名前で、そういうものを要求して、機構及び人員、それに伴ういろいろな通信施設の改善というものの来年度予算の増額の要求をしてまいっておる次第でございます。
  280. 川村継義

    川村委員 たいへん私も賛成なんです。その場合に、気象庁とひとつ十分連絡をとっていただいて、緊密な連絡のもとに、この実効があがるようぜひ御配慮いただきたい。これだけひとつ局長お願いしておきます。  それから、総理府、おられましたね。先ほど太田委員のいろいろお話がありまして、佐藤総理岐阜県に行かれたときに、いろいろ発表問題で皆さんが相談されて原稿的なものをつくったというお話があったようですが、私ちょっとこれを読みますから聞いておってください。佐藤総理現地でこう言っておるんですよ。「飛騨川のバス転落事故被災者の遺族に対する補償について検討していた政府は、自動車損害賠償保険法の適用に踏み切り、十二日午後、佐藤首相が事故現場を視察して表明する意向である。政府は同法の適用について、初めは警察当局の捜査結果を待って方針をきめることにしていたが、捜査がかなり長期にわたることから、捜査結果を待たずに政治的判断に立って同法適用に踏み切ることになった。被災者一人につき三百万円の補償金を出す。」こう新聞に載っておるんですがね。これはさっきの警察庁の答弁、あなたの答弁、みな違うんです。これは佐藤さんがうそを言っておるのか、地元の諸君をちょっと喜ばせるために言ったのか、どっちが正しいんですか。
  281. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 いま先生のお読みになりました新聞記事でございますが、これにつきましては私存じ上げないし、また総理等からそういう発言があったということも聞いておりませんので、先ほどお答え申し上げましたように、私どもの事務的な段階で、現段階における政府の統一見解という形で御発表になったものというふうに私は現在考えておるわけでございます。
  282. 川村継義

    川村委員 これはあなたにお尋ねすることは実は無理かと思います。私もよくわかっておりますけれども、これは地方紙でない、中央紙に載っているのですからおそらくごらんになっていると思うのですよ。これは佐藤さんがたまたま岐阜に行ったので、総理岐阜に行ったので、たいへんけっこうなおみやげ話をしたのか、問題になるわけですね。たいへんなことですよ。太田さんがいろいろ質問しましたから私は繰り返しませんけれども、これは実に大きな問題がある、佐藤さんにはずいぶんに大きな責任がある、こう申し上げねばならないと私は思います。これは皆さん方に申し上げてもどうも場違いなんですけれども、ひとつ指摘をしておきたいと思います。  それでは先ほどの気象関係でもう少しお聞きをしておきたいと思いますが、太田さんの質問関連してちょっと気象庁長官にお尋ねします。  今度の岐阜集中豪雨に対する岐阜気象台がとった警戒状況というのは、資料をいただいて、大体先ほどお話しのように十七時十五分に大雨・洪水雷雨注意報を解除した。八時に雷雨注意報を発表した、こういうことが書いてございます。その予報あるいは警戒警報等を出されたあれはよくわかっております。太田さんの質問にも、三時間ばかりにいろいろ問題があると指摘されましたが、これはあなたの先ほどの答弁の、技術的な問題で、専門技術の問題で、よくわかります。わかりますけれども、われわれから考えると何かやはり割り切れないものが残りますがね、そこで、あなたは先ほど、地方気象台がいろいろ警報を出しておる、予報を出しておる、こうおっしゃったのですが、これは、予報官の答弁ではありませんが、気象庁が責任をもって名古屋地方気象台の連絡を受けてこの警報は出されておるのですか。それから名古屋から岐阜にいっておるのですか。あるいは岐阜独自で十七日十七時十五分に解除したとか二十時にまた出したとか、こういうような状態なんですか。なぜこれを聞くかということを申し上げますよ。私は午前中の質問でいろいろ、予報等の体制はどうなっているかというようなことは聞きましたね。これにちょっと関係しますから聞くのです。
  283. 柴田淑次

    ○柴田説明員 注意報、警報を出しますのは、その府県にございます地方気象台の台長の責任において出すのでございます。したがいまして、岐阜で出されました大雨警報というのは岐阜の地方気象台が出すのでございます。ただし、その岐阜の地方気象台長が出すに際しまして使いますいろいろな資料が必要でございます。そういう資料は名古屋の地方気象台あるいは本庁から岐阜のほうへ行っておりますし、また資料以外の点につきましては、名古屋と岐阜との間で、その警報の解除あるいは発令あるいは注意報の解除、発令にあたりまして、お互いに電話その他で連絡をしてそういう処置をするようになっているのでございます。
  284. 川村継義

    川村委員 岐阜の気象台にはレーダーはもちろんありませんでしょうね。
  285. 柴田淑次

    ○柴田説明員 ございません。
  286. 川村継義

    川村委員 岐阜県の集中豪雨について気象庁の発表資料によりますと、「十七日十七時十五分に解除した。その後、十八時四十五分に雷雨臨時発雷通報が入り、また、富士山及び名古屋のレーダーのエコーより判断して、あらためて雷雨注意報を二十時に発表した。」この十八時四十五分に雷雨臨時発雷通報というのは、おそらく富士山のレーダー等でとらえたからそれが発令されたのでしょうね。
  287. 柴田淑次

    ○柴田説明員 そうでございます。
  288. 川村継義

    川村委員 そこで、先ほどあなたは太由さんの質問に御答弁いただいておったのですが、集中豪雨等は突如としてその狭い地域に起こることがある。大きなやつをこのとき富士山のレーダーがとらえておるのです。私が先ほど、それぞれの気象台に、出力はそんなに大きくなくてもいいから、とにかくレーダー等くらいの設備は今日必要ではないかと言ったのは、岐阜の気象台にこういうレーダーがあったらもっと早くあの集中豪雨がとらえられたのではなかろうかと、しろうと判断するのですが、それはだめですかね。
  289. 柴田淑次

    ○柴田説明員 その問題は技術的な面にタッチいたしますので、予報部長から答えさせます。
  290. 北岡龍海

    ○北岡説明員 注意報、警報を出す場合に、問題は、現在まで降ってきた雨が幾らであるかということが一つの問題でございますけれども、この雨が今後まだどの程度続くか、そして被害になるか、どうかということの判断を加えなくちゃならぬ。そのためには、現在レーダーエコーに出ています雨雲がどのように変化するか。またその雨雲がどのような雨量になっているか。レーダーエコーの雨雲だけでは残念ながら定量的な雨量に換算することは現在のところできないわけです。その雨量等を総合する必要がございます。そういうような問題について適切な判断をとる場合には、若干広い範囲のそういう雨雲の状況、その移動状況、それがどうやって移動するかというような気象状況を集めて判断する必要がございます。そういう意味におきまして、注意報、警報を適切に出すためには一県だけの資料だけではだめなんです。そういう意味におきまして、数県をカバーする範囲で地方予報中枢という任務を持たせまして、そこにレーダーを設置いたしまして、府県の技術的なカバーをしておるのが現状でございます。  そこで、もし先生のおっしゃられるようにレーダーを各県につけるいたしますと、その各県のレーダーを維持する人間も要りますし、それから当然その施設も要りますし、またそれだけではいま言ったような判断ができませんので、その他の情報も府県に全部集めなくてはならぬ。そういう意味におきまして、府県にそういう通信施設を集中しなければならぬ。各県にそういうふうな状況をとれば、それはいいこともいいでしょうけれども経済的に見ますとかなりたくさんの人間と予算が必要であるということで、現在の人間の最有効な利用及びいろいろな技術の経済的効果を考えまして、地方予報中枢というものを強化いたしましてそれをやる必要があるというふうに考えております。  今度の場合の反省といたしまして、名古屋の予報中枢はレーダーを見ましてそういった適当な指示を出すということになっておりますけれども、午前中、あるいは太田さんのお話にあったかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、レーダーのエコーだけでは雨量を定量的に換算することはできない。そこにどうしても雨量の情報をコンバイン、総合しなければならぬ。ところで、その現地の雨量というのは、現在は委託の乙種観測でございまして、人に頼んで報告してもらっておるわけでありますが、それは名古屋の地方気象台には二十一、二十二と時間的に入っておりますけれども、乙種観測所から電報または電話で岐阜に入って、これを電話で名古屋のほうに伝送する、そこに人手がかかりますし、若干おくれるということでございます。そこでこの問題をどう解決するかということになりますと、一つの方法としては、先生のおっしゃるように各県にレーダーをつけてそこで判断するというのも一つでございますけれども、これには非常に人手と経費を要する。それからもう一つは、各県の、大体地方中枢の管内にありますところの委託の雨量観測器を全部自動通報化することにいたしまして、それが自動的に中枢部まで上がってくる。それは地方気象台にも当然テレタイプにプリントアウトされます。と同時に地方中枢まで上がるようにすることは、現在技術的には金をかけさえすればできないことはないわけでございます。そういたしますと、名古屋で監視しているレーダーの映像とその雨量の情報とをマッチさせまして、名古屋はより適切な判断を地方気象台に指示することができるというふうに考えております。
  291. 川村継義

    川村委員 たいへん専門的に技術的に御説明いただきましたが、わからぬでもないですよ。しかし、人員であるとか、経済的であるとか、どうも予報官がえらい遠慮しておられるようですが、じゃ予報官に聞きますけれども集中豪雨をとらえること、予報をすることは不可能ですか、可能ですか。あるいは困難ですか。困難ならばどこにその困難性があるか。今度こそひとつ専門的に答えてください。
  292. 北岡龍海

    ○北岡説明員 集中豪雨対策といたしまして、まず集中豪雨の予報の精度を向上するということはわれわれに課せられた非常に重要な任務だと考えます。これをやるためには、非常に逆説的なことを申し上げて申しわけございませんけれども、雨を幾ら観測しても予報はできません。雨が降っていることはわかりますけれども、これがどうして降るか、これからどうなるかという予報にはならない。そこで、まずその雨はなぜ降っているのか、どうして降っているのかということをどうしても追及する必要がある。そのために現状の雨が何で降っているかということを、現在その他の観測しているいろいろな観測資料、特に高層観測資料、上層の風がどのようなところからどういうように吹いているか、どのようなしめった空気がそこに流れ込んできているか、どのように下層に収斂が起こっているか、上層にはどのような寒気が入り込んでおるか、非常に大きな雷雨が起こるかどうか、そういうようなところに集中豪雨が起こっておると思いますけれども、それらの集中豪雨とその他の要素の関連を徹底的に追及いたしまして、その集中豪雨の雨量が何で説明できるか、現在観測しているもので何%まで説明できるかという研究の調査を徹底的に追及する必要があるのでございます。これに対しまして気象庁は二つの方面からいまその研究を推進しております。  一つは、先ほど申し上げました集中豪雨の雨量とその他の気象要素との関連を、統計的に徹底的に調査することにいたしまして、これは大量の資料を扱うものでございますので、電子計算機を使いましてその関係調査しているのが一つでございます。  もう一つは、それで一体どの程度まで説明できるかということはわかりますけれども、当然一〇〇%説明はできぬだろうと思います。それでは一〇〇%の説明をするためには何の要素が欠けているかということを、どうしても別の解析的研究をしてやる必要がございます。このためには、集中豪雨の研究といたしまして研究所が去年から取り上げました研究観測を予算化いたしまして、これは御承知のように九州の西のほう――佐賀県、長崎県でときどき起こりますので、あの地方にこまかい観測点を展開いたしまして、どうしてああいう集中豪雨が起こるのか、それを一〇〇%説明するためにはどういう観測資料があったならば説明がつくかという研究観測を実施しておるのでありますが、これを五カ年がかりでやろうと考えております。  この二つの研究を総合いたすことによりまして、この集中豪雨は何で説明できるか、一〇〇%説明するためにはどういう気象要素が現在欠けているのかということがそこでわかりました上において、その必要な観測のポイントを増加していきたい、予算要求していきたい。  ただ、しかしそれでもなお予報にはならないのでございます。それは、説明はつくけれども、その気象要素を予報しなければ集中豪雨の予報にはならない。しかし、予報ということは、全般的な予報精度の向上に関係するのでございまして、これは本庁の解析中枢と地方予報中枢、地方気象台が一つの組織として、一体となりましてこの予報精度の向上をやっていかなければならない。これが一つで、さらに組織の強化の問題がございます。これは各級予報組織の定員の確保の問題もございますけれども、組織的な予報精度の向上を行なっている次第でございます。
  293. 川村継義

    川村委員 いまお話を聞きましたが、不可能ではないが、言うならば、いまの時点では困難だと受け取れる。そこでいまいろいろ非常に専門的に研究を進めていこうとしておられる、けっこうなことですね。  そこで、私は先ほどからお聞きしょうとしているのも、集中豪雨をとらえるのはお話しのように非常に困難なものでありましょう。しかし、気象庁が、いわゆる全体的の気圧配置であるとか気流であるとか、そういうものをとらえておる。そうして予報中枢である名古屋なら名古屋にそういうものが連絡される。名古屋はそとで持っている力を発揮して自分がとらえられるものをとらえていく。岐阜の気象台にもしもレーダーがあったら、私は役立たぬとは言えないと思うのですよ。岐阜の気象台、名古屋の予報中枢、あなたのほうの気象庁、こういう最後におっしゃった組織体制といいますか、これが確立されると、先ほどの研究と相まって相当の成果があがるのではないか。予報官は、人員の問題であるとかお金の問題であるとか、たいへん心配しておられますけれども、きょうはひとつあなたのほうはお金の心配を抜きにして話をしてくれませんか。そういう意味で何かその辺にやはりこれは国全体として、いや政府全体として取り組んでいくものがなければ、この岐阜地方における集中豪雨の場合の、一方で予報を受け取るほうの問題、それから気象台が出したという、この間のズレがいつまでたっても疑問として残ると思うのですね。そういう意味で、私は午前中も、思い切ったひとつ予報官でも何でも配置するようにしなさい、こう言っているのです。もうこれ以上聞きませんから、ひとつ簡単に……。
  294. 北岡龍海

    ○北岡説明員 予報精度の向上につきましての御要望をお聞きいたしまして、われわれ非常にありがたい御激励のことばと思いますが、その地方気象台を増強するという意味におきましては、現在予報官が一人しかいないということは非常に欠陥でございまして、長官が先ほど三名といって妥協いたしましたけれども、われわれは四名の予報官をぜひほしいと思っております。それから地方予報中枢というものに現在六、七名しか予報官がいませんけれども、われわれはこれに十四、五名の予報官がほしいと思っております。そういう意味におきまして、予報中枢並みの気象台を各地方気象台に持っていこうとすると、これはいかにもたいへんなことです。  それで、先ほど申し上げましたレーダーの問題でございますが、ちょっと落としましたけれども、これは長官がさきに報告されましたように、現在われわれが考えておる問題は、その地方予報中枢にありますところのレーダーのエコーをできるだけ早く地方気象台にも分送してやる、ということを考えております。これはレーダーのエコーのスケッチをつくりまして、それを有線ファックスで電送するということを考えております。これをいたしますと、レーダーのエコーは見られますけれども、エコーの電送に大体十四、五分かかりますので、それだけおくれるという欠点がございます。しかし、地方気象台はそのエコーを見まして、予報中枢の言っている内容が何であるかということを理解する上に非常に役立つのでございまして、適切な注意報、警報が出せるのではないかと思っております。
  295. 川村継義

    川村委員 どうかひとつ、専門の皆さんですから、これは国民の生命、財産というのですか、それを守るためにはいろいろ問題もありますけれども、やはり気象予報はたいへん大事な問題でありますから、ぜひひとつ御検討いただきたいと思います。  実は、私はきょうは非常にはしょって質問をして申しわけありませんが、最後に一言聞いておきます。  長官気象業務法の三条にあなたの任務が書いてございますね。しかし、他の規定を見ると、長官はあの規定どおりに完全に任務が遂行されるとお考えでございますか。
  296. 柴田淑次

    ○柴田説明員 はなはだむずかしい御質問でございますが、私自身といたしましては、気象業務法に書いてあることにつきまして、できるだけその方向に仕事をし、気象業務法に書いてあることを遂行したいというような考えで、現在全力を尽くしている次第がございます。
  297. 川村継義

    川村委員 おそらくあれを読んでみて、これは長官が仕事をなさるのに、とても法律によく書いてあるけれども、実際としてはこれはたいへんなことじゃないかとわれわれは推測するわけです。その一助にもなると思って、きょうはおそらく委員の皆さん方もあの決議をなさったと思いますね。非常に急ぎますので、はしょって恐縮ですが、十四条二項にいろいろ通報の条項がございますね。しかし、今度の飛騨川事件で問題になったバス等の交通問題は、あれに明記されてない。ほかのものは書いてありますね。鉄道とかなんとかは明記されておる。あの条文の中に「特殊な事業」云々と書いてある。「特殊な事業」とは一体何をさしておるのですかね。その中でバス交通等についてもやはり連絡をせよ、こういう意味に解しているのですがね、どうでしょうか。
  298. 増田誠三

    ○増田説明員 ただいま先生の御質問の点でございますが、気象業務法の十五条に、気象庁が警報を出すときはこれこれの機関に通知しなければならないという規定がございます。それから十四条の二項のほうは、十三条との関連並びに十四条との関連におきまして、「気象、地象及び水象についての鉄道事業、電気事業その他特殊な事業の利用に適合する予報及び警報をすることができる。」要するに一般の天気予報なり、あるいは航空機あるいは船舶に対する海上気象予報のほかに、鉄道事業についての必要な予報あるいは電力事業についての必要な予報、こういう規定でございまして、バスとかそういう特定の――特定と申しますか、そういう産業向けのものをこの十四条では予定しているものではない、こういうふうに理解をいたします。
  299. 川村継義

    川村委員 私もたぶんそうじゃないかと解釈したのです。政令を見てみてもそういうのが目につきません。  それから、いまお話しの十五条なんですが、ここには「運輸省」というのが出ている。となると、バス交通等には当然、こういう気象関係等の予報、警報等が出された場合の問題等については、運輸省が責任をもって連絡すべきものとなるでしょうか。
  300. 増田誠三

    ○増田説明員 十五条に書いてございます「運輸省」といいますのは、最も平たく申し上げますと運輸省航空局、要するに飛行機に対します関係がございますのでこういうふうに書いてあるということでございまして、従来ともバス、あるいはハイヤーでも同様でございますけれども、自動車事業に対しましてどこが連絡をするというような慣習と申しますか、規定もございませんし、習慣もございません。実はこの飛騨川事故が起こりましたすぐあとでございますが、運輸省で会合が持たれまして、その際にも、自動車局はもちろん入りまして、官房も入りまして、気象庁も入りまして、気象情報の伝達につきまして打ち合わせをいたしたことがございます。そのたてまえは、気象庁はあくまでも従来のとおり、予報、警報を出しましたら、それをなるべく迅速に、この十五条の規定に従いまして必要な公共機関なり国の機関に通知する、こういうたてまえでございます。バスに対しまして連絡することの可否もその際いろいろ議論されたようでございますけれども、バス自体が動いておりますので、それに対する通信の手段を現在のところ持っておりません。したがいまして、バス会社が通知を受けましても、バス会社としても手の打ちようがないというふうに理解をされておりまして、したがって、こういう事故を防ぐには、バスに直接通知することよりか、むしろバスが通るであろう道路なりあるいはガソリンスタンドなりモーテルなりに、必要な気象情報を公示することのほうが適当ではないか、こういうふうな結論が一応運輸省の内部で出まして、それが総理府のほうに持ち込まれまして、総理府の災害対策本部におきまして、各省あわせまして――これには各省いろいろ関係もございますし、あるいは御協力を仰がなければならぬ面もございますので、総理府において取りまとめておるというふうに聞いております。
  301. 川村継義

    川村委員 そこで、今度の飛騨川バス事故で気象連絡というのが問題になったことはお話しのとおりだと思う。そこでいま気象業務法を読んでみて、あるいは政令を見てみて、そういうような疑問を私たちも持つわけです。で、いまお話しのような――あるいは法律解釈上からいけばそのとおりだし、実態からいってもまたあなたがいまお話しのようなことかもしれない。しれないけれども、二度とこういう事故を起こさないということになると、これはやはり考えなければいかぬと思いますね。法律をいじることが必要ないならば、政令で何かそのバスに気象情報を連絡するという方法を考えてしかるべきではないか。あなたがおっしゃるようにバスは動いているということになれば建設省が情報センターをつくろうということだが、情報センターはおそらくパトロールを機動的に持つと思いますので、そのパトロールが動いておるバスに気象情報を提供するような義務を負わせるということも、これは行政上可能だと思うのですね。そこで、これは時間もありませんからとやかく論議はしませんけれども、何とかして気象庁で検討してもらって、運輸省なら運輸省の責任で、建設省とともに、動いているバスに、情報センターができたら、おそらくパトロールしておる、その機動力を利用して情報を提供するとか、そういうものを義務づけるとか、あるいは業者に運輸省から情報を提供する、そういうような何かの手だてを講ずべきだと思うのですが、検討していただけますか。
  302. 増田誠三

    ○増田説明員 私ども気象業務を預かっております、また必要な気象情報を出しております、この気象情報が末端にまで届いて、しかも有効にして十分に活用されることはもちろん期待するところでございます。ただ、いま申し上げましたように、私どもが出します予報なり警報なり、これがいかなる手段なり、いかなるルートを通じて届くかという点が、先ほどの先生の御質問と申しますか、御趣旨でございます。そこで、先ほど申し上げましたように運輸省内部で集まりまして、一応気象情報をいかなる形でもって末端まで届かせるのが最もよろしいのかということを打ち合わせまして、一応運輸省としての案をつくりまして、ただいま総理府のほうに持ち込んでおるわけでございます。総理府のほうにおきまして、これはもちろん警察も関係がございます。それから道路関係ももちろんございます。消防の関係どもございます。したがいまして、そういうところとの調整を現在総理府において行なっております。その総理府におきます結論によりまして、必要な措置があれば必要な措置をとりたい、かように考えております。
  303. 川村継義

    川村委員 ぜひひとつ検討をしてください。われわれは実際入り組んだ筋道がよくわからぬですけれども、これはぜひひとつ検討をしていただきたい。いまバス会社にしましてもどこでも無線を持っておりますし、これはやろうと思えばできると思うのですよ。ぜひひとつそういう点を御検討いただいて、今度のような、いや情報が解除されておったんだ、出ておったのを知らなかったとか、こういうことにならないように――そんなのをあとになって責めたってこれは追っつきませんから、やはりこれは気象庁も、詳細は建設省にもいろいろ話があったわけでありますが、そういう国の側に立っての責任というものを十分検討する必要があると思うのです。そういう意味で、そういう問題はぜひひとつ取り組んでいただきたい、これだけお願いしておきたいと思います。  きょうはたいへん私急いで、はしょった質問になってしまいまして、かえって迷惑をかけたと思いますけれども、気象予報体制というか、気象のそういう業務体制というか、これを何とかひとつ強化してもらいたいということ等を中心としてこの際要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。あとお二人質問者がございまして、たいへんおそくなりましたけれども委員長よろしくお願いいたします。
  304. 芳賀貢

  305. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 時間がありませんので簡潔にひとつお答えを願いたいと思います。  その前に、いま気象庁のお話がございましたが、私は実は十時四十分にバスの転落現場を通ったわけであります。バスの転落したのは二時十一分であろうといわれておりますけれども、十一時ごろにちようど川辺町の下麻生の非常に災害の多かったところを通りましたのでありますが、そのころは非常な雨でございまして、実際に動けないような事態でございました。私はあとから振り返りまして、あそこで三十分くらい時間がずれておれば、私もおそらく帰れなかったであろうし、一つ間違えばあの土砂崩壊にぶつかったのではないかと、非常にりつ然としておるのであります。実は私はその直前まで、三カ所ほど民家で会合を開いておったのです。しかし私は、ああいう雨が降るということを、予報が出ていることも知らないし、またそういう事態になっておることも知らずに行動を起こしておったわけです。いまいろいろ川村先生からお話がございましたように、きょう決議もございましたけれども、こういう機会に気象に対します万全の対策をひとつ立てていただきたいと私は思いますが、やはり知らせることが大事な問題であって、私もあんな雨が降るということをもし知っておれば出かけなかっただろうと思うわけです。私、率直に申しますと、あの段階においてはむしろ私は気象庁を非常に恨みました。これは御回答はいただきませんが、ひとつ強く御要望申し上げておきたいと思います。  次に、国民健康保険のことでありますが、今回は非常に農山村が多いわけでありまして、ほとんど私は国民健康保険の加入者であろうと思います。したがって、こういったような地帯でございますと、今回のような災害におきましては、おそらく国民健康保険料の納付も困難でございまして、いずれその免税と申しますか減免と申しますか、そういうことでなければ、現実の問題としては私は国保の運営ができないだろうと思うわけであります。そういう場合に対しましては、たしか調整交付金等の制度があるように私は承っておりますが、今回は特に農山村であるだけに、この問題は非常に貧弱な市町村財政と考え合わせまして重大な問題だと思いますので、時間がないから一緒に御回答願えばよろしいが、厚生省はどのようなお考え方で準備をいただいておるのか、お伺いをいたしたいと思います。  それからもう一つは、えびの地震のときには激甚災に準ずる措置ということで、中小企業に対しまする融資につきましてはたしか六分五厘の措置がとられたと私は思っております。なお、水道等につきましても補助率のアップが行なわれておったと思いますが、今回の総務長官の御発言、各大臣の御回答、また現地総理以下おいでになりました御発言を総合いたしますと、現在の制度でやれないものについては、これは非常に困ったことであるが、それはひとつ制度を改正してでもやりましょう、こういう御発言であります。しかも、私は最後の記者会見までおりましたけれども総理は、あらゆる方法を講じて万全の措置をとるとおっしゃっておるわけでありますから、これは私がお伺いするまでもなく、えびの地震でとられました措置、すなわち法的規制を受けない措置は当然とられておるものと解釈をしておりますが、どのような御指示になっておるのか。先般の委員会で承りました内容は、私はどうもそのようになっておらないように記憶をいたしておるわけでありまして、この点につきましてひとつ明確な御回答をいただきまして、後ほどまたあらためて御質問をいたしたいと思います。
  306. 松田正

    ○松田説明員 国民健康保険制度につきましては、御承知のとおり、災害等によります場合には保険料の減免の措置を施行してもいいことになっておると存じます。それに対します国の裏づけといたしましては、減免をいたしました保険料の総額が財政需要額、すなわち国庫負担金を除きました保険者の負担分の三%をこえましたときには、その減免をいたしました保険料の総額の十分の八以内を調整交付金で裏打ちをする、こういうシステムに現在なっております。今回岐阜県の災害関係につきましては、この調整交付金の交付は、年度末でそれぞれの関係市町村からの申請をまちまして、それぞれの災害の実情あるいは所得の状況、減免の状況、こういうことを勘案いたしまして交付することにしておりますので、その際十分に検討いたしたい、かように考えております。
  307. 大橋文雄

    ○大橋説明員 お答え申し上げます。  水道が災害によりまして被害を受け、それを復旧いたします場合の補助率は風水害等の一般の災害の場合は二分の一ということになっております。ただし、地震というような場合、水道は特殊事情がございまして、地下埋設物が水道においては非常に大きいということで、その被害が甚大になりまして、補助率のアップという措置が、御指摘のようにえびの地震におきましてなされております。今回の場合は風水害によりまして災害を受けたケースでございまして、被害の額その他からいたしますと、地震に比較して必ずしも甚大であるということを申すことはできないわけでございます。したがいまして、事務的にはむずかしい点が非常に多いわけでございますが、なおこの点につきましては関係方面と検討いたしてまいりたいというふうに思っております。
  308. 井土武久

    ○井土説明員 災害を受けられました中小企業の復旧資金の融資につきましては、激甚災害の場合と同じように、たとえば融資の限度を引き上げましたり、あるいは融資の期間を延長いたしましたり、あるいは融資の据え置き期間を設定したりいたしまして、できるだけ復旧資金の借り入れがしやすいような措置をとっております。ただ、えびの地震の場合には災害が長期間継続をして起こりまして、復旧の見通しがなかなか立たないというような事情がございまして、金利の点につきましても、金利を下げるという措置をとったわけでございますが、今回の場合には、金利の点は、やや事情が違いますので困難ではございますが、金利以外の点につきましては全部できるだけの措置をとっておるような次第でございます。
  309. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 時間がありませんので私も簡単に申し上げますが、国保の場合は調整交付金はまだ残っておって、これはできるということでいいわけですね。
  310. 松田正

    ○松田説明員 さようでございます。
  311. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 そこで、いまの水道の問題ですけれども、これは私は地震と違うことはよくわかるのです。しかし、少なくとも総理以下、責任のある立場の厚生大臣ももちろん現地へ行っておるわけですが、法的にできないことは法律を変えてでもやります、できるだけのことは最善を尽くしますと言っておるのに、これをやらないということは私は誠意がないと思う。  それから中小企業は、期間とかあるいは額とか、いろいろ御配慮願っておることはよくわかりますが、私は大体六分五厘自体も十分じゃないと思うのです。これは地震と違うからやらなくてもいいという理由は一体どこにありますか。中小企業の味方であるべき通産省は一体何をやっておるのですか。私はこれは絶対に許せないと思う。政府の責任者が発言しておることを、政府の職員、政府委員が全くその裏をかいたようなことをやっておるじゃありませんか。考え方はいろいろあると思いますが、地震の場合は全部なくなってしまうことはないと思うのですよ。なるほどウイスキーのびんが落ちて割れたかもしれません。しかし、今度の現地を見なさい。あなた見ましたか。実際土砂が瞬間に入ってきて、とにかく全部ほうり出してしまっているわけです。何もないのですよ。それがなぜ地震より軽いということが言えますか。そういう発言考え方、一日内閣を岐阜県まで総理以下来てやっておることと、今日の委員会のこの発言と、一体同じ政府のやっておることでありますか。長官はおられませんが、中央防災会議は一体何をやっているのですか。これで総理の補佐ができますか。これは絶対承服できません。
  312. 川上幸郎

    ○川上説明員 ただいまの件でございますが、ただいま厚生省及び通産省から御説明いたしましたように、えびの地震につきましては、その地震の特異性、たとえば旅館業等につきましては顧客が減るというための不安防除、こういうような見地から不安金融といいますか、そういう目的で行なったということでありますので、今回とは若干その趣を異にするということでございます。とりあえず通産省また厚生省とお話しいたしまして、貸し出しのワクの問題もしくは期限の延長等お願いしたのでございますが、先生のおっしゃった点につきましては、総務長官もあたたかい趣旨で、こう申しておりますので、なお関係各省といろいろ打ち合わせたい、こう考えております。
  313. 大橋文雄

    ○大橋説明員 お答え申し上げます。  いまの、取り扱いを激甚災に準じたと申しますか、地震と同じような取り扱いをするということにつきましては、今後関係方面と十分検討してまいりたいと思います。
  314. 井土武久

    ○井土説明員 この問題は、確かに災害を受けられた方には非常に大きな問題でございます。したがいまして総理府と相談をしておるところでございますが、基準改定の問題もございますので、これと合わせて現在協議をいたしておるのであります。
  315. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 時間がありませんで簡潔にいたしますが、基準改定とは何ですか。
  316. 井土武久

    ○井土説明員 激甚災害指定基準の問題であります。
  317. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 わかりましたが、それは根本問題でございます。私は、それは考え方であって、地震で長期間にわたって不安であるということはよくわかると思うのです。しかし今度の場合は全く瞬間に土砂が流れ込んで、うちの中のものを全部外に出して、現実に何もないのです。よく助かったという現状です。だから金利六分五厘でもほんとうは高いのであって、私はこれは金利が八分二厘でもいいという理屈はないと思うのです。しかも、制度上やれないことは何とか基準改定してまでやりますと言っておって、えびの地震のときに現実にやったことが今度採用されないということでは、私は決して現在の政府のやっておる措置が誠実のある措置だとは言えないと思うのです。突っかい棒等の問題は、これはやはり地震と直結した問題でしょうけれども、原因が地震であろうと集中豪雨であろうと、水道がこわれたことは事実です。財政的に困っておることも同じでありますから、時間がありませんから私は詳しいことは申し上げませんが、この際もう一ぺん思いを新たにしていただいて――そういうような、現地まで行って、しかもそれぞれの所管大臣相当なことを言っておるわけです。それが、できることすらできないということでは、これは私はおさまらないと思うのです。だから、われわれはわれわれでまた徹底的にやりますが、これはひとつ各省も御検討願い、防災会議も、長官おられませんが、会議の議題として検討していただいて、私は突っかい棒のことまではお願いしませんが、少なくとも中小企業の金利、それから水道の問題、これは誠意のある結論が出るように、ぜひともお願いいたしたいと思います。これはこのままではわれわれは絶対承知できません。強くお願いしておきます。  あといろいろございますけれども、たいへん時間もかかりましたのでこれで……。どうもありがとうございました。
  318. 芳賀貢

  319. 小林信一

    小林委員 たいへん時間がおそくなりましたので皆さんに申しわけないから、はしょって簡単に質問申し上げます。  私は山梨県の果樹の災害について、二、三御質問を申し上げたいと思うのですが、山梨県の地元では、歴史的な災害だ、こう言っておりますが、農林省ではどういうふうにこれを把握されておるか、その点からまずお聞きしたいと思います。
  320. 池田俊也

    ○池田説明員 山梨県におきますブドウ及び桃の被害でございますが、局地的な問題でございますけれども被害といたしましては非常に激しいと私どもは思っております。県の報告でございますけれども、ブドウの玉割れにつきましては、金額にいたしますと約七億の被害である。それから桃につきましては、これも大体同じでございますが、六億八千万程度被害であるというふうに承っておるわけでございます。
  321. 小林信一

    小林委員 大体どういうふうに掌握しておるかとお聞きすれば、そういう金額の問題を出せばそれで済むというような、まさか気持ちではないと思いますが、しかしあまり災害が多いので、こういう局地的なものとはいいますけれども、山梨県とすれば非常に相当な部分を占める被害を受けておるわけであります。もう少し真剣に考えてくれないかという気持ちがあることを私はかわって申し上げたいと思うのです。そういう額の問題ではなくて、どういうような農家の現状であるか、あるいはこれからの肥培管理をどういうふうにしたら来年度の収穫というものができるか、ことしの問題はとにかくとして、それくらい深刻なものを持っておるわけです。私も現状をつぶさに視察をいたしましたが、全く日に日に腐っていく、玉割れになっていく、あるいは桃が灰星病にかかって落ちていく、その姿を見ておる人たちの状況というものは見るにたえないものがあるわけです。御承知のとおりだと思うのですが、あすこら辺の果樹地帯というのはほかに農作物を持っておりません。したがって一年間の収入というのはあれにかけているわけです。私はこういう声も聞いたのですよ。私はことし娘を嫁にやろうと思って、その支度金をブドウにかけていたのだけれども収穫皆無である、したがって嫁にもやれない、こういうように、具体的に申し上げれば一人一人の農民には実に悲惨な問題が出ておるわけです。だから、どういうふうに掌握しておられますかとお聞きして、そういう額だけを言われるような御答弁は、災害がたくさんあって、山梨県の果樹地帯の災害なんというのは小さい問題だというようなお考えか、さもなければ実情というものを十分お知りにならぬ、こういうふうに私は言いたいわけなんです。  そこで、あなたがおっしゃった額だけでも相当な額ですが、私たちが聞いておりますものは二十一億ぐらい、これは桃、ブドウを合わせての総額ですが、こう言われておるのです。山梨県自体でも、これに対して最初一億融資をするというような計画をしたのですが、あまりに被害が大きいので、いまの県会に五億の金を用意して、この人たちの救済に当たろうとしているわけなんです。この被害に対して政府当局はどういうふうな手を打っていただくお考えであるか、この際お聞きいたしたいと思うのです。
  322. 池田俊也

    ○池田説明員 金額を申し上げましたのは、実はごく一般的なことからというつもりで申し上げたわけで、私どもは、山梨県におきます農家の非常な被害につきましては、実は非常に心配をしておるわけでございます。今後のいろいろな災害を防ぐための対策ということにつきましても、これは非常に重要なことだと思っておるわけでございますけれども、当面の措置といたしましては、実はいろいろ中で検討をいたしたわけでございます。地元から非常に御要望がございましたのは、一つには天災融資法の発動ができないかという問題があったわけでございます。これにつきましても、私どものほうの局、それから農林経済局も関係いたしておるわけでございますが、いろいろこの災害の性格について研究したわけでございますが、いわゆる天災というふうに断定できるかどうかという点に、実はなかなか問題があるわけでございます。桃の灰星病につきましては、これはいわゆる桃の病害でございまして、従来ある種の農薬が使われているわけでございますけれども、どうも効果としては十分でない。しかし効果が全くないのかと申しますと必ずしもそうでもない。それから、直接病気の起こります原因といたしましては、気象状況、たとえば降雨量というのがかなり影響をしているということはわかるのでございますが、どの程度それが不可避的なものであるのか、必ずしもよくわからない。それから、ブドウの玉割れでございますが、これもやはり降雨が影響していることは確かでございますけれども、これも人力で全く玉割れを防げないかと申しますと、必ずしもそうでない面もある。そういうようなことで、いろいろ検討いたしたわけでございますが、どうもいわゆる天災融資法の発動対象になり得るにはかなり問題があるので、現状では非常に困難である、こういう認識を私どもは持っているわけでございます。  それから、被害の額でございますが、いま先生がおっしゃいました額と私どもが掌握しております額と若干違いはございますけれども、いずれにいたしましても天災融資法の発動の基準になっております金額よりもやや下回る。こういうことでございまして、直接には農林経済局が所管をしておるわけでございますが、私どもと内部的に相談をいたしましたところでは、非常にむずかしいという状況でございます。しかしながらこれは、先ほど先生もおっしゃいましたように、現地の農家におきます被害は非常にに大きいわけでございまして、県当局もいろいろやっておられるわけでございますので、私どもといたしましても、それならば他に何かかわる方策はないかということで、これは実は私どもの局というよりか、むしろ他の農林経済局なりその他の局の問題でございますけれども、現在さらにその問題を詰めておる段階でございます。
  323. 小林信一

    小林委員 まことに申し上げにくいことなんですが、何にもしてくれてはおらない、こう言っても差しつかえないと思うのです。天災融資法もだめだ。農薬の発見とか研究というのも、これもこれからということですね。それから、一体この病原菌というものはどこから生まれるかということが検討されている。これをしっかりやってもらえば今後の技術指導にはなるわけなんですが、しかしそれもやっているのか、いないのか、大体そういう見当をつけているだけのことであって、考えてみれば結局何にもやってくれないと私は判断をせざるを得ないのですが、どうです。
  324. 池田俊也

    ○池田説明員 現在の時点におきまして、こういう方策で災害による被害に対しまして何らかのお手伝いをするという具体的なことはまだ申し上げられないのでございますけれども、しかしながら、何かいま申し上げたようなことの以外にできることはないだろうかということを検討しているわけでございます。
  325. 小林信一

    小林委員 検討しているというのだから、現在においては、農民が、何かそのうちに政府のほうからも恩情ある措置があるだろう、こういうような期待を持っているのですが、いまのところは何にもない、こう言っても私は差しつかえないと思うのです。  天災融資法、それはいろいろ条件があるかもしらぬけれども、先ほど申し上げたように、局地的ではあるけれども個々の農家というものは全く困っておる状態なんです。だから、そういうふうな便法を講じたり、あるいは自作農創設維持資金というふうなものも何とか心配してもらう中で、自分たちの生活の問題もさることながら、来年度の収穫を期するための肥培管理、こういうものに心配をしておるわけなんです。あるいは、これらの人たちはたいがい金を政府から借りているわけです。それを償還しなければならぬ。しかしそういう償還もことしは不可能であるから、そういうことも延期するとかなんとかしてもらいたいというようなこまかい要望をしておりますが、いまお聞きすれば、まことにそういうような希望もはかない夢になっているような状態だと思うのです。  私はそこで、農民の声をこの際農林省の方やあるいは関係官庁にひとつ聞いていただきたいのですが、まず第一番にひょう害なんかにあったところがあります。これは春です。それから今度の灰星病、それから玉割れ、こういう桃、ブドウの災害にあった人たちが期せずして言うことは、われわれの財産というのは外へ全部出しておく。しかも農家のこういう経営というものは全部の財産を投じてあるわけですよ。ほかの業者の財産というのは、ときには金庫の中に入れて保管できる、あるいは災害があった場合に持ち出せば何とか処理できる。しかしわれわれの財産というのは外にむき出しであって、災害がくればもうこれは災害にまかせる以外にないのだ。しかも小資本で、ほんとうに自分たちがしし営々として働く中で保持される財産である。この財産を保護する何か抜本的な計画というものを、政府ができなければわれわれがしなければならないのだ、こういう希望を持っているのですよ。何かそんなことを聞いたことがありますか。お考えになったことがありますか。実際いままでは宿命的なものだとお百姓さんは考えておったのですが、最近の農業経営というのは相当資金というものを投ずる形になってきております。この財産というものがいまのような天災地変でむざんにやられてしまう。しかし、これを保護してくれるのが政治であるけれども、いま局長さんがおっしゃったように実際において何もないのです。これでは農民というのはまことにかわいそうなんです。だから農民自体でも、政府の規則に縛られてかろうじて出てくるようなものを当てごとにしたのではわれわれは浮かばれない、もっと抜本的なものをわれわれ自体で考える、もし幸い政府でそういうことが考えられておるならば考えてもらいたい、こういう要望をしておりますが、いかがですか。
  326. 池田俊也

    ○池田説明員 果樹の災害に対する救済措置、これはたとえば融資でございますとか、あるいは農地災害復旧でございますとか、そういうことが一般的に適用されることは当然でございますけれども、それ以外に、やはり基本的な対策といたしましては、いわゆる果樹保険と申しますか、これはヨーロッパ等でそういう災害によって果樹の受けます被害を防ぐというところからむしろ出発をしたというような経緯があるわけでございますが、現在試験実施の段階でございますけれども、そういうものをやはり充実をしていくというような方向が筋ではなかろうかと思っておるわけでございます。
  327. 小林信一

    小林委員 まだその果樹保険に対する理解徹底というものがなされておらぬのが私どもの農村の実態なんですよ。だからそういう声が出てきたわけです。そこで、私の知る限りの果樹保険の問題を出してみますと、いまのは従来の生命保険とか火災保険とか、ああいうものとの関連の中で考えるのであって、まだほんとうに徹底していないと思うのですが、やはり私はこれを合理的に進めていく必要があると思うのです。そうでもしなければ、何か政治的な配慮があるというような甘い考えで、災害にも甘んじてということはないのですが、宿命的に対処している農村とすれば、やはりここに問題点を持っていかなければならぬと思うのです。だから、今度の災害は期せずして果樹保険に入りなさいという大きな宣伝の機会になっているわけですよ。どこの農協へ行ってもそのポスターが張られておる。そこでその話をしますと、まだまだこれは試験的なものであるというふうな中で、掛け金が高いじゃないかとか、あるいはそれに対するところの補償というようなものが、はたしてわれわれが期待するような形でもって出てくるのかどうかというような心配をしております。きょうその問題をここで私は論議をするのではなくて、結局今後の問題としてそういうことが重大になってくるのじゃないかと思って申し上げているわけですが、何かお話がありましたらこの際お聞かせ願いたいと思います。
  328. 福島量一

    ○福島説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、果樹保険の問題は、ちょうど十年ほど前になりますか、伊勢湾台風災害を契機に問題が起こってまいりまして、その後、果樹農業がだんだん拡大していく過程において、これに対する有効的な災害対策を確立するということで、この保険制度の創設が考えられたわけであります。それで、昨年の春に臨時措置法が成立いたしまして、今年度から試験実施に入ったわけでございまして、実はその間農林省といたしまして、数年にわたりまして試験、調査等を行なってきたわけでございますが、何ぶんにも地域なりあるいは樹種によりまして非常に経営の形態が違うとか、それから被害の態様なり被害率そのものにいろいろ変化があるということで、実は満足すべき資料が得られなかったわけでございます。そこで、今年度から向こう五年間、そういった保険設計上必要な基礎資料の整備なり、それから損害評価の方法なり、さらには現在考えられておりますような仕組みに対する果樹農家側の反応、そういったものを実験実施の過程において確かめる、確かめた上でその効果的な制度をつくり上げていきたいという趣旨で実は試験実施をやっておるわけでございます。したがいまして、掛け金の率の問題でございますとかあるいは補償のあり方等につきましても、実は昨年来、一年以上も費やしましてPRにこれつとめてまいったわけでございますけれども、なかなか果樹農家の方々の十分な理解なりあるいは支持を受けるに至っていないというのが実は実相でありまして、いまお話しのとおり、こういった災害一つの契機になることは残念ながら事実でございますが、そういったものを通しまして、さらにその認識、理解を深めるような、そういった運動を進めていくと同時に、ひとつより合理的な、効果的な制度につくり上げたいというつもりで今後とも努力を重ねてまいりたい、かように思っております。
  329. 小林信一

    小林委員 時間があればこれらに対して、私は今後の問題として農民の方たちの意見も申し上げたり、また政府のお考えも聞きたいのですが、残念ながらきょうはそういう点には触れずに終わらしていただきますけれども、とにかく将来の問題としてはそういうことが農家の希望になるわけだと思うのです。  局長さんにこの際申し上げますが、ある地域の、ここは果樹地帯でいこうじゃないかという先覚者があるのですよ。この先覚者は、おとうさんの代と、そのあと子供さんが継いで、全く犠牲的な形で、全財産を投じて、ブドウをつくる、桃をつくる、リンゴをつくって、果樹地帯にしょうとして努力をしておったわけですが、ひょうでやられまして、ブドウは全滅です。しかも木にたいへんに痛手を受けている。桃はだめ、リンゴもつくっておりますが、リンゴの一つ一つはみんな商品価値のない形で終わっています。その人は、私の財産という問題じゃないのだ、私がせっかく二代にわたって果樹地帯の先覚者として、推進者として努力をしてきたけれども、この災害の実情を見て、私の周囲もぼつぼつ果樹を栽培しようとしておるけれども、これでまた後退してしまうのだ。私はその人がこの問題について非常に真剣に取っ組んでおられたのに驚いたのですよ。したがって、いまの果樹保険の問題については、全く農民がそっぽを向くようなそういう形でなくて、取っつくような形でもって持っていってやることが、災害対策の一番重要な問題だと思うのです。  その次に、局長さんにお願いをするのですが、これは先ほど農林大臣に申し上げましたが、今回は玉割れ、晩腐から日ごとにブドウがだめになっていく状態です。もう商品価値がないのです。ただ一つ道は、ブドウ酒屋さんに買ってもらうことなんですね。ところがそう醸造家もございません。そういうところもまた本ブドウ、いわゆる甲州ブドウをだいぶねらっておりまして、その容器というものをふさぐわけにはいかないというふうなことから、その要望を満足したのはおそらく何%というものでしょう。しかもその値段は、最初は四キロ二十五円ぐらいしていた。ところがそれがだんだん足元を見られて、十五円になり十円になり七円になり、五円になり、しかしもうそれでも買ってくれない。それをそのまま地べたへ落としたら、土壌が来年のブドウに悪い影響があるということから、これを一定の場所に捨てる。みすみすそういう状況が展開をしたわけなんですよ。その場合にその人たちが、せめてわれわれに自家用酒でもつくる権限が与えられておったら、何とかここでもって慰められたのじゃないか。私はこの問題をさっき大臣に話をしたのです。大臣と一緒にモスクワへ行ったときに、ビシンスキーという外務次官が、「これは私の郷里の自慢のブドウ酒です」と言って出してくれたことがあるのです。そのほか、私はそれがきっかけで至るところで聞いたのですが、ことに日本の外交官が、日本ではなぜ自家用酒を認めないのですかという。一つは、生産者が自分で飲むブドウ酒を、自分の生産品を一ぺん加工業者に渡して、それからでなければブドウ酒を飲むことができぬなんて、こんな矛盾がありますか。その次には、上質のブドウ酒が日本から出ないということは、自家用酒がつくられておらないからなんです。それを市販にするということじゃない。やはりそれが一つの刺激になって、ほんとうのブドウ酒というものはこういうものだという味が出てくれば、いまのような不良なブドウ酒は私はなくなると思うのですよ。そしてこういう災害の場合のせめてもの救助策というもので自家用酒の醸造を認める。これは大蔵省の権限かもしれませんが、農民のことを考えるのはやはり農林省だと思うのです。だから大臣がその点は発案をして、何とかここでそういうことを考えてもらいたい。できるならば個人に、それが無理ならば農協に、それが無理ならば、災害のあったような場合にはそういうことをしてよろしいという臨時措置というような形で考えてもらったらどうか、こういうふうに提案をしたのですが、この点は局長さんはどうですか。
  330. 池田俊也

    ○池田説明員 果実の加工というものは、ブドウの場合だけでございませんで、たとえば災害を受けた、あるいは干害等であまりいい果実ができなかったというようなときに、それを加工に回しまして、極力価格の維持をはかるとか農家の所得を確保するとか、そういう趣旨が実は歴史的に見ましてかなりあるわけでございます。そういうようなこともございますし、私どもといたしましてはやはり方向としては、今後も果実の加工を促進するような方策をできるだけ進めていきたい、こういう気持ちは持っているわけでございます。先ほども大臣が出席しておりますときに先生からそういうお話がございまして、私ども聞いておったわけでございますが、お気持ちとしましては、確かに捨てるような値段で引き取られるというようなことで、これを加工ブドウ酒に回せば非常に利用価値があるということは、常識的に見まして非常にごもっともなお考えであろうと思います。ただ、何しろ私どもといたしましてそれをいまどうこうするということを申し上げる立場にございません。本日は国税庁は見えておらないようでございますが、国税庁にもいまのお話の趣旨を十分連絡申し上げまして、何か方策がないか、検討してみたいと思っております。
  331. 玉置明男

    ○玉置説明員 災害を受けましたブドウの処理につきまして、これをブドウ酒の原料として使うような便法が考えられないか、こういう御質問でございますが、先生よく御承知のように、酒税法で酒類の製造につきましては免許制度というものを導入しておりまして、あらゆる酒をつくる場合に免許というものが要る。これはそもそも酒税保全の見地からとられた制度でございまして、単に日本だけではございません。ほとんどの先進国はこの制度をとっております。その免許を税務署長がおろす場合には、申請者の人的能力だとかあるいは資本的能力、あるいは技術的能力あるいはその酒類の需要供給の均衡の状態、さらに酒税確保上の検査、取り締まり上の便宜、そういういろんな要素を総合勘案いたしまして免許をおろす、こういう仕組みになっておるわけでございます。  そこで、災害等の特殊な場合に、そういう要件に該当しなくても特例的に免許をおろすことが適当かどうかという判断でございますが、これは実はそういうことをブドウ業者についてやりますと、全国の農民が現に米麦をつくっておりますけれども、その米麦を原料として清酒あるいは濁酒をつくってもよろしいかという問題がありまして、必ずやこれが全国的に波及することになります。したがいまして、私どもとしましては特例的にブドウ業者にのみ免許を与えるということは、酒税保全上から適当でないというふうに判断をいたしております。  しかしながら、現在山梨県におきまして玉割れ等の現実の被害がございまして、これはまた地方的にたいへんな問題でございますので、私どもは酒税行政あるいは酒類行政の見地からこれに御協力することはできないかというふうに考えまして、実はブドウ酒生産業者に協力を呼びかけたわけでございます。そこで、きょう実は国税局から報告があったわけでございますが、デラウェア種の玉割れにつきましては、ブドラ酒生産業者が平年必要とします量の約三倍を購入いたしまして――これは全部玉割れのものを購入したわけでございます。これを処理する生産者としては、これは実に技術的に非常に問題がございます。相当損敗をしておりますから、処理をするのに技術的な問題があるし、また高級酒としては使えない。したがってこれを甘味ブドウ酒あるいはブランデーの原料として使う、こういうふうなくふうをこらしまして、普通の価格よりも若干安く購入する、こういうことで了解がついたという報告を受けております。したがいまして、全般的にはこれでもちろん解決ということにはなりませんでしょうけれども、一応免許生産業者としては地域経済に協力をしたというふうに私どもは解しておるわけでございます。  それからもう一つ、山梨県のすでに免許を持っておりますブドウ酒生産業者は現在百八社でございます。全国でブドウ酒生産者は三百六十二ございまして、そのうちの三分の一弱が山梨県で占めておりますけれども、この百八のブドウ酒生産者のうち約八割はブドウ栽培業者で構成した会社でございます。しかもその一社の構成メンバーは四十名ないし五十名だそうでございますから、合計の構成メンバーが三千ないし四千名ということでございまして、全県下のブドウ生産者一万三千名のうち、三分の一程度はすでにその免許を持った会社に参加をしておる、こういう形になっておるのでございます。
  332. 小林信一

    小林委員 まず第一番の、いわゆる米をつくるお百姓さんが、じゃおれたちにも自家用酒をつくらせろというふうなことで、ブドウ栽培の人たちに許可することは至当でない。この問題もお説のとおりだとは思います。しかし、必ずしもそれとこれとを一緒にするということが妥当であるかどうか。これは政府の言いのがれにすぎぬじゃないかという批判も出てこないとも限らぬと思うのです。  それから第二の、従来の醸造の三倍に許したということ、これは非常にいいことだと思うのですが、ただし時期を失したと思うのです。だから、こういう災害のあった場合には、そういう年にはいまのような方針でもってやる、こういうふうなきめ方がどうか、これが私の問題のところです。  それから三番目の、山梨県の醸造ブドウ酒をつくる業者には、その傘下にはブドウ栽培者が相当に入っておる。いまのお話であれば三分の一は入っておるというふうなことになりますが、これは実態をお知りにならぬと思うのですよ。それは醸造権というものをもと農協が持っておったわけです。それを個人が実際は権利を買っているのです。そして従来のそういう人たちの名前にしておくだけであって、決してあなたのおっしゃるような実態ではない。もし三分の一がその傘下にあるとするならば、山梨県の今度の災害というものはもっと簡単に済んだと思うのです。そんな甘いものじゃないんですね。  それから、国税庁にこの際申し上げます。つくったかつくらぬか知りませんよ、しかし捨てるブドウですから、山の中に斗びんを持っていって、そこでもって密造する人もあるかもしらぬ。だがあの災害のときにどういうものが税務署から出されたかというと、密造は厳重に取り締まるぞという声が出てきたわけです。政府からは、この状態に対してまことに御同情にたえない、何らかの援助をいたしましょうというのですが、そんなものは何にも出てこない。けんけんごうごうとして、一体おれたちはどうなるのだという悲鳴をあげている農民に与えたものは、国税庁から、密造酒は厳重に取り締まるぞ、これだけだ。そんな考えをするよりも、何とかしてこの際こういう人たちを救う道はないのかというように、下部末端の官吏の根性というものを直す必要があると私は思う。あなたのところではいまのようにりっぱな御意見が出ましたけれども、下のほうではそういう農民にさらに追い打ちをかけるような――しているか、やっているか知らぬ、知らぬけれども、そういうものが追い打ちにかかっている。何という無情であるか。私は残念でならないのです。それが第二の問題です。  第三の問題、局長さんにお伺いをいたしますが、流通機構の問題で行政指導をするというようなことは、こういう場合必要ないかどうか。というのは、極端な例を申し上げますと、ある地域に行きましたら、桃をリヤカーに積んで、それを荷づくりして出荷した。いろいろな経費を差し引いたら二円残ったそうですよ。もちろんことしのブドウも同じような悲惨な目にあっているわけなんです。山梨県のブドウはそういう悪質なブドウである、しかも糖度が少ないというふうなことでもって、そういうときには業者はどんどんたたくわけですね。だから一番ひどいのは、地元でもってブドウを買って小売業者が売るよりも、市場へ来て買い取って、山梨県へ持って帰って山梨県で小売りをやることのほうが利益があるというくらいに、こういう場合に足元を見た市場の仕打ちというものが非常に今度ひどかったと私は思うのです。山梨県のブドウは、ボール箱をたたけばあのけぶみたいな虫が出ますね、あれが出てくる、こんなふうな悪評を出して、そしてしいて山梨県のブドウ、桃というものをほんとうにたたいたと思うのです。だから、山梨県の生産業者は遠く九州へ持っていったり、あるいは北海道へ持っていったりして、かろうじて販売をするといったようなことまでやったわけです。もし農林省というものが農民のためにあるなら、こういう場合にそういう行政指導というふうなものが適切に行なわるべきじゃないか、こう思ったのですが、どうですか。
  333. 池田俊也

    ○池田説明員 確かに、御指摘がございましたように、青果物の流通機構というのは理想から見まして非常に不十分なものでございます。果実の場合について見ますと、果実の場合だけでございません、青果物全般でございますが、私どもはやはり出荷者の体制を強化するというのがまず基本じゃなかろうか。具体的に申しますと、たとえば農協を中心にしました共販体制、こういうようなものを強くいたしませんと、やはり流通業者等にとかくつけ込まれる可能性がある。ブドウの場合は私は承知しておりませんが、果実の場合には、全国的なあれで見ますと、約四割ぐらいが共販体制に乗っかっている、あとの六割ぐらいが一般の業者でございますとか、そういうものが扱っておる、こういうことになるわけであります。やはり基本的には、私たちはこの共販体制というものをさらに拡充をいたしまして、市場関係者に不当な安値でたたかれるということを極力なくしたい。それとともに、もちろん中央市場におきますいろいろなせりの施行でございますとか、そういうものを改善していくということは当然でございますけれども、そういうことを同時にやりながらも、やはり生産者の出荷体制というものをまず固めていく。それから市場の状況に応じました出荷を行なう。あまり一つのところに、需要をにらみまして、それ以上のものがいくということになると、これはどうしても値段が安くなるわけでございますので、そういう市場の状況を産地において的確に把握をしていただいて、その上で適切な出荷をする、こういうような体制を現在いろいろ指導していっているわけでございます。  ただいま御説明がございましたようなことは、おそらく桃の場合でございますと、灰星病で、出荷された後にいろいろな傷が出てきた、そういうようなことで非常に安い値段になったのではないかと思います。まだわれわれ非常に努力が足りない点もあるかと思いますが、非常に不十分な点がございますので、そういう点につきましては、果樹農業振興特別措置法という法律もございまして、基本的には需要に応じた生産をするし、それからまた市場の状況に応じた出荷を確保する、こういうような方向で御指導申し上げているわけで、そういう線でさらに努力をしたいと考えております。
  334. 小林信一

    小林委員 もう申し上げません。だいぶ時間も過ぎておりますからこの程度でとどめますが、災害の実態はと聞けば、要するに金額だけを出して、そう言っては失礼ですが、何か責任をのがれているような態度ですね。私はこの点からまず残念であり、そしてこれに対する対策はどうかとお聞きすれば、天災融資法、あるいは農薬の発見だとか、あるいは技術指導だとかいうようなものは、いま考究中であるとか、あるいは他局で何か考えてもらっておるとかいうようなことである。農民が聞いたら、これはもうほんとうにどうしようもないんだというような落胆をさせるだけだと私は思うのですよ。しかし、それ以外に、こうやってお聞きしていけばやはり問題はたくさんあると思うのですね。そして、それは今日だけの問題でなく、将来の問題というようなことを考えてやっていただかなければどうにもならぬ面がたくさんあるのですよ。いま私は、流通機構の問題あるいは自家用酒の問題、果樹保険の問題というようなことで二、三取り上げたのですが、まだまだ考えればたくさんあると思うのです。技術指導の面なんかでも、お百姓さんは自分なりの考えでもってやっておりますが、私はもっと適切なものが必要だと思うのです。そこで、そういう点を今後御検討願いたいということと、さっき国税庁のほうからは絶対にできないというようなお話なんですが、外国でやっておるのは一体どういうわけか。外国では自家用酒をつくらしておる。日本ができないということはないと思うのですがね。私はこの点はもう一ぺん大蔵省としても検討してもらいたいと思うのですよ。そうして農林省としては、農民にせめてそういうような便宜をはかってやるという点から私は折衝してもらいたいと思うのです。それはいろんな酒をつくるという制度の中からはどこの国も確かに事情は同じ、共通したものがあるかもしれませんが、しかし、自家用の果実酒を外国のおもなる国が認めておる。日本だけが認めてないという点はまだ考える余地があるんじゃないかと思うので、そういう点をさらにお願いをしたいと思います。そうして、天災融資法の問題あるいは自作農創設資金の問題、あるいは薬品を早く発見をしていただく問題ということを特にお願い申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
  335. 玉置明男

    ○玉置説明員 いろいろ御指摘がございましたけれども一つ現地の税務署あたりで、現地の感情を尊重しないような言動があった、密造の問題をこの際特に出すというふうなことは、私も実はあまり穏当ではないように思います。そういう点は今後よく現地に徹底をいたしまして、住民感情を尊重するように指導いたしたいと考えております。  それから制度の問題として、自家用酒の製造を認めることはできるじゃないか。なるほど制度的にはそれは不可能ではございません。実は日本でも明治の初年、これはわずか数年でございますけれども、そういう制度をとったことはございました。したがって、外国にももちろん例はございましょうし、制度的に不可能ということではございません。法律の改正をするつもりであればできないことはないわけでございますが、ただ、現在酒税全体で五千五百億というものを酒に依存しておるわけでございますが、こういう大切な財政措置でございますので、できるだけ厳格に徴税するといいますか、そういう意味でいま日本はこういう制度、要するに全部免許を受けなければつくれない、免許なしにつくれるという制度の例外はございませんという、非常に厳格な制度をとっておるわけでございますが、現在私どもとしてはなるべくこの制度を守っていきたい。実は密造が最近減ったと申しましてもやはり相当量の密造がございます。特に東北地方の農村等におきましてはこの密造の悪弊がなかなか断ち切れない。これを取り締まるために多量の人員を投入して国費を使っておる、こういう実情もございまして、自家用酒の製造特例を認めるということによりまして、実はその密造との境い目が非常にあいまいになる、取り締まり上きわめて困難な問題があるということから考えまして、制度的な問題としては考えられますけれども、徴税の実際上からしますと、私どもはなるべくこういう制度はとりたくないというふうに考えておるわけでございます。
  336. 池田俊也

    ○池田説明員 私、実は現状を申し上げまして、なかなかむずかしい問題が多いということを申し上げましたために、どうもあまり前向きでないというふうに先生おとりになったかとも思いますが、実は、そういうことでございますが、気持ちといたしましては、やはり非常にたいへんな災害であるということは十分わかっておりますので、農林省の中の各局に関係いたしますけれども、十分相談いたしまして、何とかできますようなことは極力やりたい、こういう気持ちでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  337. 小林信一

    小林委員 国税庁のあなたのお考えは非常に紋切り型ですよ。私の言うのは、さっきも申し上げたように、私の考えだから数が少ないのですが、三つの問題を申し上げたわけです。個人とかあるいは農協とかあるいは災害時の特別な措置とか、何かそれは考えればいろんな方法が出てくると思うのですよ。あなたがいまのおっしゃる点にこだわってできないというようなことをやっていれば、この果樹地帯の農民というものは、こういうふうな場合に非常に救われないのですよね。そういう人たちを救うということも考えなければならぬ。ただ、密造酒と混同するからどうのこうのとか、あるいは技術指導がどうのこうのとかということを言いますけれども、何かやはりそこにはいろいろな便法というものが考えられると思うのですよ。私はそういう意味で申し上げているので、ひとつあまりかたく考えずに、まあ地域住民の非常な要望なんで、免許制度に合わせるというならば、農協単位にちゃんと正規のルートで認めていくというようなもの、それもしかもちゃんと農協でやるというような場合には、普通であればいけないとするならば、災害時だけこれこれの量をつくらすというふうな方法だって私はあると思うのですよ。そういう点を私はお願いしているわけです。  以上です。
  338. 玉置明男

    ○玉置説明員 御意見の趣旨はよくわかりましたので、かなり問題がございますけれども、私どもとしても検討を続けさしていただきたいと思います。
  339. 芳賀貢

    芳賀委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時四十七分散会