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1968-11-20 第59回国会 衆議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月二十日(水曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員   委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 白浜 仁吉君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       菅波  茂君    渡海元三郎君       丹羽 久章君    西岡 武夫君       葉梨 信行君    楢崎弥之助君       鈴切 康雄君    池田正之輔君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      木村 俊夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君  委員外出席者         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         国防会議事務局         長       海原  治君         防衛庁参事官  中井 亮一君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      麻生  茂君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁総務         部会計課長   高橋 定夫君         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君         外務省アメリカ         局安全保障課長 松原  進君         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         会計検査院事務         総局第二局長  石川 達郎君         専  門  員 池田 孝道君     ───────────── 十一月二十日  委員篠田弘作君、長谷川峻君、早川崇君、水野  清君及び柳田秀一辞任につき、その補欠とし  て菅波茂君、葉梨信行君、西岡武夫君、渡海元  三郎君及び楢崎弥之助君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員菅波茂君、渡海元三郎君、西岡武夫君、葉  梨信行君及び楢崎弥之助辞任につき、その補  欠として篠田弘作君、水野清君、早川崇君、長  谷川峻君及び柳田秀一君が議長指名委員に  選任された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  総理府所管防衛庁)      ────◇─────
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  総理府所管中、防衛庁について審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 防衛庁決算についてお伺いするわけなんですが、その前に一言だけ、昨日のB52の爆発事故についてお伺いいたします。この件につきましては、後ほど同僚楢崎委員からも質疑がありますが、主として官房長官に対する質問でありますので、私は防衛庁長官にお伺いをいたします。  昨日のB52の爆発事故、これはいわば起こるべくして起こった。いつかはこんなことがあるのではなかろうか、こういうことを地元住民は前から心配をしておった。それが現実となって起こったわけなんです。きのう、きょうの新聞等を見ましても、このことが大きく報ぜられております。そこで防衛庁長官としては、この事故に対してどのように対処というか、防衛庁として考えるのか、こういうことが一点と、さらにこのことは、基地があり、北爆は停止されたけれども、おそらくそこからB52がベトナムへ飛んで行ったと思うのです。そういうことが明らかになったということ、しかもきのうあたりも全然報道陣を近づけなかったそうです。まだ不発の爆弾がそこらにたくさん飛んでおるともいわれております。これは爆弾を積んで沖繩から飛び立っておったということが明らかであります。こういう点を考えたときに、基地は返せ、撤去せよ、こういう声が上がるのも当然だと思うのです。防衛庁長官はこのことに対してどのように考えられるかということと、さらに沖繩返還方式といいますか、考え方について、いま自民党総裁選挙一つの焦点になっておるようでありますが、三木さんが本土並みというような発言をした。われわれは即時返還を言っていますが、それに対して増田さんはきのうの記者会見で批判的な発言をせられたそうであります。そういうことも含めて、沖繩基地のこのB52の爆発事故に対して防衛庁としてはどのように対処していくか、お伺いいたします。
  4. 増田甲子七

    増田国務大臣 沖繩は御承知のとおりアメリカ施政権下にございます。そこで、防衛庁といたしましては直接の関係がないわけでございまして、かれこれの折衝をするのは外務大臣でございます。そこで外務大臣に対しまして――いま外務大臣事務取扱でございまするが、外務省に対しまして、オズボーンという在日アメリカ大使館の公使から遺憾の意を表明してきておるということを、昨日は楢崎さんまでお答えいたしましたが、そのとおりでございます。  事故内容等は、お聞きでございましたならばお答え申し上げまするが、これは在日米軍司令部発表したものがございまして、その範囲でございます。  それから将来どういうふうにするか。将来のことは防衛庁としてはいま研究中でございまして、まだ白紙段階でございます。われわれの希望はいろいろございます。防衛関係から出る希望もございます。また国民的な希望もございまして、いま検討中である、こういう段階でございます。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 ファントムにつきましては後刻お伺いするつもりでありますが、いわゆる機種の選定、今後ファントムを中心として、日本航空自衛隊が訓練なり、また実際においてそれをやるということ、そのことと今度のB52の事故を見た場合に、これは爆弾を積んでおったわけですね。きのうからの同僚委員質問では爆弾は積まないとかなんとかいうことを言われておるが、積める装置のあるものに爆弾を積んでおったのはあたりまえなんです。そういうことになりますと、いままで政府は、B52は沖繩からベトナムのほうへ爆撃に行ってないのだというようなことを言っておったわけなんですね。ところが北爆が停止せられた今日でもなお爆弾を積んでおったということがはっきりするわけですね。そこで私が防衛庁長官にお伺いするのは、ファントムの採用と、今後の日本防衛についての日米防空体制ということについて、この事故から何らか示唆といいますか、考えが出てまいりませんか。
  6. 増田甲子七

    増田国務大臣 在日米軍発表によりますと、通常爆弾を搭載しておったということが発表されております。そのために、危険であるからこの事故機の近所に近寄らないようにということをいたしております。原因在日米軍調査中である、この範囲でございます。あるいは外務省等でこれ以上のことがわかっているかどうかわかりませんが、私どもがわかっておる範囲のことを田中さんに申し上げておきます。  それからB52が、将来日本施政権が返ってきた場合にどうなるかこうなるかということはまだ検討中でございまして、白紙状態でございます。B52というものは、現在沖繩米国施政権下にある場合でもあまり望まないという態度をこちらはとっているわけでございまして、あまり発言関係につきましては権能があるかどうかわかりませんけれども、望まないという態度はとっております。ただし、ベトナムの情勢にかんがみまして、数機は嘉手納基地にあって、そこから出撃しておることもあるということは、外務大臣が各種の委員会において皆さまに報告を申し上げておるとおりでございまして、別段ベトナムのほうへ出撃しないということは言ったことはないのでありまして、そのずっと前にはグアムから直接出撃しておるという状態のときもございました。しかし約一年前くらいから、こちらは嘉手納B52が若干機存在しておる、それで出撃もしておるらしいということを時の外務大臣がお答えをしておるというふうに私は記憶しております。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 まあ、この問題につきましては後ほど同僚楢崎委員官房長官出席を求めて質問を行ないますから、そのときに譲りたいと思います。  そこで、防衛庁の四十一年度決算でございますが、四十一年度決算の末尾を見ますと、防衛庁の未確認事項として四十一年度で十六件、二百五十七億五千万円というのが出ております。この未確認事項というのを調べますと、ほとんど防衛庁だけなんです。他の役所にはないわけですが、こういう未確認事項防衛庁には多過ぎるということはどういうところに原因があるのかということが一点。  そこで一、二お伺いいたしますが、いわゆる決算報告の付表第一ですが、防衛本庁のところに前金払いが七十三億、概算払いが五十七億、そうして未確認の理由は「一部未納入などのため」、こういうことになっています。それでその二つ目研究開発費、これに対して六千二百万円の前払い金概算払いが三億五千万円、こういうことが出ております。これを全部いくと十六件あるわけなんです。これは全部いく時間もありませんので、この二点だけにしぼってお伺いしますが、防衛本庁前払い金七十三億は一体どこへ何を仕入れるために支払ったのか、概算払いについても一体どこへ何を購入のために支払ったのか、この防衛本庁決算の未確認研究開発費の未確認について詳細に御答弁を願いたいと思います。
  8. 佐々木達夫

    佐々木説明員 田中先生質問の第一点についてお答え申し上げます。  昭和四十一年度一般会計決算報告書の中に、確かに未確認事項防衛庁に計上されております。決算検査報告書の未確認と申しますのは、先生承知のように検査院においてこの決算検査報告書を作成するときにおきましてまだ検査確認し得ないものを記載しているものでありまして、いわゆる不当事項とか改善留意事項とは性格が異なるものであるということは先生承知のとおりであると思います。  なお、未確認事項の内訳につきまして、総額、三十八年から全体で三百八十九億五千万円ほどございますが、そのうち国産関係が二百七十三億円、一般輸入関係が約五億円弱、有償援助関係が百十一億六千万円程度でございます。  国産及び一般輸入関係につきましては、御承知のように契約してから納入されるまでに相当長期を要するものでありますところの艦船の建造及び航空機製造等にかかるものが大部分であります。また国庫債務負担行為及び継続費等予算に基づきまして契約しておりますけれども、履行途中において前金払い概算払い等が行なわれまして、まだ契約物品納入されていないというものの場合には検査報告上未確認事項となるわけでございます。防衛庁におきましては御存じのように航空機艦船、その他の物品につきまして国庫債務負担行為及び継続費予算というものが相当大部を占めております。これらが納入されて精算されますと初めて確認されるわけでございますので、性格上未確認額が多いということになるわけでございます。  なお、このほか、有償援助契約に基づく物品がございます。この物につきましては米国政府から納入されるわけでございますけれども、期間的に平均約二年程度かかるという性格のものでございまして、これらが精算されるまでに相当長期を要するということで未確認事項が多いということであります。  先生の第一点についてお答え申し上げます。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 ぼくはもっと具体的に伺っておるわけなんです。たとえば防衛庁本庁前払い五十七億円は一体何なのか。たとえばバッジ組織関係で八件ということはわかっておるのです。それが一体どこへ幾ら払ったのか。そして契約関係等もありましょうが、納期に十分に入ってくるようになっているのかどうか。さらに先ほど申しました研究開発費にいたしましても、前払い金六千二百万円の中には地上電波妨害装置ほか三件、これは一体どこへ幾ら支払ったのか。それから概算払いとか前払いというようなことは一体どういうような基礎に基づいて行なうのか。大体防衛庁は物の購入を発注したときに金を払うのか。あるいはそのうちの何%かを前払いするのか。そういうことについて基準はあるのですか、ないのですか。ともかく私が申し上げておるのは、事の性格が長年の時間を要するものであるかもしれませんけれども、あまりにも、ほかの役所にはないのに、防衛庁だけに未確認事項が多過ぎる。そうでなくとも国民防衛庁に対しましては何らかベールにおおわれておる、こういう印象を持っておるわけなんです。そこへもってきて、これだけ未確認事項防衛庁だけに多いということならば、ますます私は疑問を持たざるを得ないと思うのです。したがって、この席を通じてこういう未確認事項の多いのはなぜか。これは具体的に一、二の例をあげて、どこに幾ら支払ったか、こういうわけで確認できていないのだ、こういうことが一つ。  それから防衛庁長官に、これはだめを押しておきたいと思うのですが、私は国民は知る権利があると思うのです。したがって、国民には知らさねばならない。これは四十年度決算総括のときに長官もおいでになったと思いますが、私は総理確認いたしました。会計検査院検査に行ったとき、これは機密でございますからといって検査を断わることはできない。これは総理確認いたしました。防衛庁機密だからといって発表を断わることはできないということ、国民の知る権利、これらについて防衛庁長官はどのように考えておられるか、あわせてお伺いいたします。
  10. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 前半のほうの前払い金概算払い金、要するに未確認額の問題でございますが、ただいま経理局長が申しましたように艦船とか航空機とか、単年度で支払って物が入るという性格でないものが防衛庁には多いわけでございます。艦船も三年なり五年なりかかる。航空機も発注しましてから三年なり一年なりかかる。あるいは特に開発関係につきましては、開発を始めて完成するには年度を越すという関係がございまして、それの経費の支払い関係で、会計法上未確認というかっこうになるわけでございます。  もう一つ防衛庁で特徴的なものとしましては、米国政府から買います有償援助支払いが、大体注文しましてから二年かかるという関係がございまして、これも単年度で決済ができませんので、性格会計法上は会計検査院の未確認というかっこうになってまいるわけでございます。それが第一でございます。  それから大体前払い金が多いのでございますけれども、現在の防衛庁発注方式がいまのように年度がかかりますので、一定の基準を設けまして、前金を払っております。これは予決令に根拠を置きまして、大蔵省と協議をしまして、大体現在の基準前払い金を七五%払う。もちろんそれは頭金でございませんで、各必要に応じて払います。これは契約内容に応じまして、そういう基準を置いて、私のほうの調本契約の際につくります。たとえば船で申しますと、契約時に何%、着工時に何%、進水時に何%、最後は納入時、その契約方式先生御存じのように、初めアッパーリミットを置きました概算払い方式できめまして、終わったあと原価計算上の確定をいたします。その前に概算払いという形式契約をしてまいりますという関係で、こういうような姿になる。  それで先生具体的に例をあげろということでございますので、特に例としまして、研究開発費という四十一年度の二億一千四百万何がしの例を申し上げますが、これは国産のものが大体六件、FMSで入れますものが二件ございます。相手方はと申しますと、その国産のものの中で新明和工業を対象とします対潜飛行艇PXIS、いまPSIといっておりますが、その関係開発費を四十一年度で三件払っております。額を申しますと、一号機、二号機というふうに分かれますので、その一号機も二つに分かれて払っておりますので、形式上三件になっておりますが、一号機に第一回で三千五百六十九万八千円、第二回で三千六百十九万六千円、それが一号機関係、二号機関係で一億九千六百八十七万六千円、これが新明和に払っております。それから対潜飛行艇用のエンジンの製作につきまして、石川島播磨重工に七千万円払っております。それからそのほかに対潜用飛行艇のいまのPXISプロペラ関係の問題で、住友精密工業に千三百五十九万二千円、そのほかに先生いま御指摘の、地上電波妨害装置、三菱電機に五千八百三十二万三千円払っております。そのほかに二件、これは米国政府のほうにFMSのものとしまして、対潜飛行艇のこの関係で、搭載機器で九十二万八千円、もう一つは、レコーダーグループというものだそうですが、三百二十八万三千円それぞれ払っておりまして、その総合計が四億一千四百八十九万六千円ということでございます。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 防衛庁長官国民の知る権利会計検査院検査に対する態度……。
  12. 増田甲子七

    増田国務大臣 会計検査院検査に必要な事項につきましては、たとえ機密事項でございましても、会計検査院法二十四条ないし二十六条に基づく書類の提出、報告等の要求に応ずるべきものでございますから、従来から会計検査院当局者に対しては十分説明を行なっております。機密事項であるからといって、検査を拒んだ事実は全然ございません。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 会計検査院見えていますね。いま防衛庁長官もあのように言っております。前に総理にも確認をしました。そこで会計検査院としては、防衛庁会計検査にあたっていままでそういう事実がなかったかどうか、さらにまた、そのことによって検査した結果を隠すことなく全部会計検査報告に記載をする、そういうことは確認できますね。
  14. 石川達郎

    石川会計検査院説明員 検査にあたりまして、いろいろの書類あるいは現物を見た上で検査確認するものでございますが、書類の提示を拒まれたりあるいはそれぞれの物品についての調査を拒まれたという事実はございません。また検査の結果につきまして、これを不当としあるいは改善として表示する場合に、その発表に対して何らかの干渉を受けたという事実もございません。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは次に進みたいと思いますが、概算払いとか前金払いということが多いと、やはり国民一体精算のときにかっちりいくのかどうか、こういうことを心配すると思うのです。ことに本年の予算委員会でも、たしか楢崎委員大出委員かの質問に答えて、防衛庁長官も大体契約時よりかだんだん物が高くなっていく、私にも理解できないのだといった意味の発言もあったくらいです。したがって、つかみ金で初め金を渡しておいて、だんだん契約をしたものが――契約時よりか人件費だとか、いや材料費だとかいろいろなことを言うでしょう、高くなる、こういうようなことで済まされる問題ではないと思うのです。ことにこの種のものは一連の体系でございますので、一つ物の注文をとれば次々と一つ体系のものがつくっていかれる。こういうことで、初めの入札時には安くやっておいて、あとで金額を訂正していく、こういうことが往々にして行なわれております。そういうことについては、今後一切そういうことはしないようにする、こういうことについて防衛庁長官、御確認を願います。
  16. 増田甲子七

    増田国務大臣 提供した値段が、落札したときの値段よりも事情が変更しないにもかかわらずふえるということが絶対にないようにいたします。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは次に次期戦闘機のいわゆるFXの問題についてお伺いいたします。  この問題につきましては、もう内閣委員会を初め当委員会において、きのうからだいぶん論議せられております。したがいまして、できるだけ重複を避けたいと思いますが、もし質問の順序として同じようなことを伺うかもわかりませんが、そのときにはできるだけ簡単にお願いしたいと思います。  次期主力戦闘機機種決定で、いわゆるF4Eファントムにきまった。これはどこできまったのですか。防衛庁長官としてきめた。しかし国としてはまだきまっていないのですか、国としてきまっておるのですか。いかがです。
  18. 増田甲子七

    増田国務大臣 国の行政官庁である防衛庁長官決定いたしました。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 それは国の決定になりますか。
  20. 増田甲子七

    増田国務大臣 国の決定でございます。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 防衛庁長官行政行為としてきめられた、そういうことですが、その法律的根拠権限はどこから出ますか。あなたはF4Eファントム防衛庁長官権限においてきめる、それが国の決定である、こうおっしゃるんでしょう。そのあなたのきめる権限はどこのどの法律基礎として、この権限が付与せられておるんですか。
  22. 増田甲子七

    増田国務大臣 条文のことはよく知りませんけれども、省庁におきましてそれぞれ設置法がございます。その設置法範囲内において行政行為をなし得る、その行政行為として決定したわけでございます。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 防衛庁設置法の五条に「防衛庁権限」というのがあります。その一号に、おそらくこれできめられたとおっしゃるんでしょうが、違っておればひとつどの条文かをお示し願いたい。それが予算範囲内で所掌事務の遂行に必要な支出負担行為をすることができるということです。すなわち、あなたが行政行為として行なうのは、まず予算範囲内ということが一つ。しかも、その本文ただし書き以下に、「この権限の行使は、法律(これに基く命令を含む。)に従ってなされなければならない。」したがって、防衛庁長官防衛庁行政長官として、行政行為としてきめる範囲はまず設置法の各条文に従って行なわれるべきであると考えるわけです。違いますか。しかも、それは予算範囲内ということが一つ一つ法律範囲内ということなんです。違いますか。そういたしますと、これはどのような予算、どのような法律に従って行なわれたかをはっきりしていただきたい。
  24. 増田甲子七

    増田国務大臣 田中さんの御質問にお答えいたしますけれども、各省庁はそれぞれ設置法に基づいて権限があるのでございまして、その権限範囲内において決定するということは――決定しなければまた職務懈怠であると私は考えております。もとより、財政当局あるいは予算等関係において支出し得る、購入するという時点の行政行為もございます。その際には、もし年度が非常に将来にまたがるというような場合には、国防会議諮問も必要でございましょう。しかしながら、国防会議というものはあくまでも諮問委員会でございまして、いわゆる合議制行政機関ではございません。このことをよく国会でお間違いのようでございまするが、合議制行政機関というのは公正取引委員会とかあるいは会計検査院とか二、三のものにすぎない。これは合議制行政官庁でございまして、ピラミッド型の行政官庁ではないのでございます。それで機種を選ぶということは私も二カ年間苦心惨たんして、公正なる見地から決定を見ましたけれども、購入というような行政行為をするに際しましては、その前提として、将来年度が相当またがりますから、諮問委員会である国防会議とか、それからまた財政当局の了承を得る、こういうことでなかったならば、私自身大蔵大臣ではないんですから、そういうようなことは財政のことをよく御存じ田中さんは御存じなわけでございまして、行政行為それ自身をこの際法学通論とかあるいは行政法みたいなことであまり議論はしたくないと思います。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 それはちょっとおかしいですね。いまの防衛庁長官の御意見ですと、防衛庁権限というか、所掌なら何でもやれる、これは暴言だと思います。はっきりと法律予算範囲内ということと、法律範囲内ということになっておるわけです。防衛庁国防会議との関係について議論をお求めなら私はいたしましょう。なるほど、会計検査院だとか公正取引委員会とは違う。しかし、単なる諮問機関ではないと私は思う。その性格は別といたしましょう。しかし、法律範囲内ということは、すなわち防衛庁設置法六十二条に、次のものは国防会議にかけなければいけないとなっておるんですね。したがって、このあと議論は、機種決定がこの六十二条でいう各号に該当するかしないかということになるわけだ。  もう一つは、予算範囲内ということですが、その予算範囲内というのはどういう意味なのか。あなたがFX機種決定にあたって苦労せられたことは多としましょう。あなたは防衛庁長官として苦労せられるのはあたりまえだ。しかしながら、だからといって設置法権限を越えてできないのではないかと私は思います。法学通論ではありませんよ。私は、行政の長として持つところの権限の真髄といいますか、根本にさかのぼっていま議論しております。そういう法学通論とかなんとかいうようなことはおやめ願いたいと思います。設置法以外に防衛庁長官権限はないはずなんです。もしそういうことを言うなら、あなた暴言ですよ。したがって、防衛庁設置法のどこから出てきた権限においてこれをきめたのか、それをお伺いしているわけなんですよ。何でもきめられるという暴言は、私は許しません。
  26. 増田甲子七

    増田国務大臣 田中さんもよく速記録を読んでもらいたいと思いますが、何でもきめるということを言っておりません。たとえばTXなんていうのは私はきめております。しかしながら、この購入に際しましては、やはり財政当局予算の許す範囲内においてきめるわけでございまして、TX、CXをきめると同じ範囲においてきめておるわけでございます。しかし、これは事柄が重大でございますから、年度相当長期年度にまたがりますから、また財政関係も相当ございますから、結局購入という行為までにはその前提が必要であるということを私は詳しくあなたに申し上げておるわけでございまして、まるきり防衛庁長官権限がないといったような御発言でございますから、それで私があなたに対して申し上げたわけでございまして、防衛庁長官は、いわゆる軍令系統の仕事もいたしますが、軍政系統の仕事もいたします。すなわち、行政官庁であって何もできないというふうにあなたはおっしゃいますし、それからあなたは私が何でもできるのだということをおっしゃいますが、それは両方ともおかしな話ではないか、私が何でもできるのだったら外務大臣の仕事も通産大臣の仕事もできるということになっておかしな話でございますから、やはり設置法範囲内において行政行為をなし得るというお互いの了解で議論をしておるということであろうと思います。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 だから、設置法範囲内において行政府長官としてやられる、したがって、設置法のどこから出てきた権限に基づいてFX機種決定せられたのか、これをお伺いしておるんですよ。私が言っておるのは、その法律範囲内において、そうしてそれには予算範囲ということがあるということです。私は、本年度防衛庁費の予算の概要をここに持ってきておりますが、この四十三年度の重点事項の中に一、二、三、四とあがっておりますが、その三が、航空自衛隊において新たに救難及び輸送機等の云々ということで、航空自衛隊のことについてもあがっておるわけです。そこにFXについてのことが全然書いてないわけです。ないのです。予算範囲内というが、本年度予算にそんなことは一つも出ていないんですよ。説明書にもどこにも出てないんですよ。防衛庁プロパーにおいて決定せられるのには当然予算範囲内でなければならない。しかしながら、本年度予算にはそのことは何らうたってないわけだ。したがって、予算範囲内でないので、設置法の六十二条に戻って当然国防会議にかけるべきである。現に前に104ですか、きめたときには、国防会議にはかっておるじゃありませんか。昭和三十四年六月十五日の次期戦闘機機種内定を白紙還元ということで、一たんきまったものを白紙に還元して、今度は三十四年十一月六日の次期戦闘機機種決定ということがちゃんと国防会議の経過の中に入っておるじゃありませんか。104のときにはきめた。しかも調査にあたっても、これはオープンでやったと思うのです。今度はFXに関しては調査の結果も十分に発表せられていない。そして防衛庁長官としての行政行為できめたと言われるには、私はそれなりの理由がなくてはならぬ。いま申し上げているように、この前のときには、第二次防のときですか、次期戦闘機決定は、国防会議にかけておるのです。今度はなぜかけない。設置法からいって、あなたは設置法範囲内とおっしゃる。設置法範囲内からいうならば、私の言っておるのが正しいと思うのですがね。まず予算範囲内においては当然きめられる。しかしながら四十三年度予算には、そのことは説明にも数字にも全然上がっていない。したがって予算範囲内ではない。したがって設置法第五条の権限のうちに入らない。そうならばどこへ行くかというと、六十二条の国防会議にはかって、こういうところへ来るのじゃないですか。
  28. 増田甲子七

    増田国務大臣 どうも、田中さんくらい財政を知っておる方が、お聞きになるのはおかしな話だと思うのですよ。明年度予算に入るか入らぬかということなんで、その前提として明年度予算を請求する場合に、まず機種がきまり、その次に機数がきまらないと、予算を請求するに由なしなんです。予算のきまった範囲内しか行政行為はしてはいけないということはどこに書いてありますか。その条文を指摘してほしいと思います。私が指摘せんとするのは、防衛庁設置法第五条でございまして、第五条によって各種の需品と装備品も調達する。調達する前提行為として私が選ぶということは、当然私の職責である、義務であると考えております。  また、グラマン、ロッキードのときには国防会議にかけた事実はございまするが、これは防衛庁設置法六十二条から考えまして、必ずしもかけなくてはならぬことであるかどうか、私はいま疑問でございます。  そこであなたは、国防会議国防会議とおっしゃいますけれども、国防会議にかければいいということがどこに書いてあるかということを、あなたに御質問したいと思います。要するにこれは諮問委員会でございます。諮問委員会は行政委員会ではございません。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 あなた、しなくちゃいけないということを示せという、できることが組織法にうたってあるわけです。うたってないことはできないのですよ。前にかけた。あなたは必ずしもかける必要がない、こういう見解なんですね。しかしなぜかけちゃいけないのです。私に、しちゃいけないという条文を示せとおっしゃるんだから、私は防衛庁設置法五条の権限を越えたことはできない、これを示します。  そこで、このことについてあなたと議論ばかりしておってもしかたがないので、国防会議の事務局長が見えておると思うのですが、国防会議事務局長はこの種のことは国防会議にかける必要があるのかないのか、どう考えるかということが一点。  さらに国防会議の議事といいますか、単なる諮問機関だというが、私は単なる諮問機関ではないと思う。いわゆる国家行政組織法第三条に基づく行政委員会ではないとしても、私は単なる諮問機関ではないと思う。この議事はどうしてきまるのか。もちろん内閣総理大臣が云々ということになるのでしょうが、国防会議は常に受け身なんですか。防衛庁から持ってきたやつをはかるという受け身なのか。それとも国防会議の側から立って、これは設置法六十二条の何号に該当すると思うので、国防会議でひとつ相談をすべき問題であるという能動的な作業の権限といいますか、作業をするようなこともやるのですか、その点いかがです。
  30. 海原治

    ○海原説明員 先生のお尋ねが法制的な面にわたっておるような気がいたしますが、法制的な面のお答えはこれは法制局から御説明するのがしかりと思いますので、私は事務局長としての私の判断、過去の慣例に基づきましてお答えいたします。  第一点の、この種のことはかけなければならないか、その場合のこの種のことというのが実は内容的に問題でございます。先ほどお話のございました過去におけるいわゆる次期戦闘機検討の際には、国防会議検討し、その意思を決定して内閣総理大臣に報告いたしております。これは当時その前に防衛力整備計画というものを防衛庁で用意いたしまして、これに基づきまして国防会議が長い間審議しました結果が整備力の目標として決定されました。そのときに次期戦闘機機種の問題と対潜哨戒機の問題だけはきまっておりませんでした。したがいまして、その後検討した結果、国防会議としての意思を内閣総理大臣に報告、こういうことであります。  第二点の単なる諮問機関ではないではないか。性格としましては諮問機関でございます。これは内閣総理大臣の諮問に応じてその意見を答申するものでございますが、しかし法律にございますように、国防の基本方針であるとか、あるいは防衛計画の大綱であるとか、いわゆる国防に関する重要な事項は内閣総理大臣は国防会議にはからねばならないと書いてあります。その点におきましては、内閣総理大臣は義務がございます。したがいまして、単なる諮問機関という意味の単なるというおことばの解釈でございますけれども、事項によりましては、国防に関する重要事項国防会議の議を経るということが法律上規定されています。  第三点の、自分は意思があるかという問題でございますが、これは従来の解釈上、国防会議として内閣総理大臣の諮問がなくても意見は上申できるという解釈が過去のものでございます。しかし、そういう例は今日まではございません。今日までの慣例としましては、主として関係官庁は防衛庁でございますが、防衛庁からの御連絡によりまして国防会議が審議をいたしております。  以上、お答えいたします。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 国防会議性格については、私はまだ論点を持っております。単なる諮問機関ではない。何とならば国防会議にかけなければならない。ここでこの論争をしておると時間がありませんから、やめますが、そうならば砕いてお伺いいたしたいと思いますが、これはどこでも問題になっておることですが、ファントムはいわゆる強い攻撃力を持っておる。爆弾を積まなければ攻撃力にならないというような答弁をなされておるようですが、ともかく本来強い攻撃力を持っておる。それを採用するということは、私はまず第一にいわゆる日本の政治的姿勢がどうなのか、国防の基本方針との関係において論じなくちゃならない。すなわち、これは日本の国防に対する政治的姿勢、これに関連してくるわけです。そうするならば、当然六十二条二項の一号の「国防の基本方針」に関係がしてくる。関係があると考える。さらに、このファントムを採用することによって日本は一体どんな規模までの戦争をするつもりか、あるいは現在の憲法のもとで許されるのか、あるいは戦時における日米の共同作戦における日米のそれぞれの分担はどうなのか。そのためには日本の防空はどんな機種の戦闘機が必要なのか。すなわち、戦略的な問題として出てくると思います。このことは二号の「防衛計画の大綱」に関係してくる。さらに、あとで詳しくはお伺いするつもりでおりますが、この機種選定にあたり二機を輸入する。そうして国内でこれをライセンスで開発するといいますね。それを主として三菱重工、従として川崎航空機といわれておるわけです。そのことは私はよくわからぬが、六十二条二項二号すなわち防衛計画の大綱に関連する産業等の調整計画の大綱というところとの関係があるんじゃないか。以下、こうしてくると私はどの項から言ってもかけねばならないんじゃないかと思うわけです。したがって、かけなくてもいいということであるならば、逆に国防の基本的方針とは何ぞや以下各号について御説明を願います。
  32. 海原治

    ○海原説明員 御質問の趣旨が、国防会議にはからねばならないことをはからないで済ましておるのはいかなる理由か、打ち込んで申しますとそういうことになるかと思いますけれども、私どもの立場と申しますか、考え方は、防衛庁で先般御決定になりましたいわゆる機種決定というのは、先ほど大臣から御説明がございましたように、来年度予算要求の前定としての防衛庁が保有したい航空機機種決定になった、それを今後どのような形で何機整備をするかということは大蔵当局ともまだ最終的な意思の合致を見ていないというふうに聞いておりますので、その段階におきまして国防会議としていろいろ御審議、御検討になるものと考えております。具体的に事務的には一応防衛庁大蔵省両方から事務的な下相談を受けております。ただ、まだ国防会議で御審議をいただくだけの資料が十分整備されませんので、ただいま関係当局と申しますか、両省の事務当局のほうにお願いいたしまして、問題点の整理をやっておりますのが現状でございます。これができましたらば、当然国防会議で御審議になるものと私としては考えております。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 防衛庁長官、だいぶ答弁が食い違ったように思うのですがね。  そこで、私一番最初に伺ったのは、防衛庁としておきめになったのがそれが国できめたことになるかということですね。あなたが防衛庁長官として、防衛庁としてきめられることを私は云々しておるのじゃありません。それが国の決定とならなくちゃならない。だからいま国防会議事務局長が言ったように、防衛庁は次の予算要求等々のために内定することは、これは私はいまさら設置法を持ち出して言っておるのじゃないです。だから私が最初言ったように、あなたが防衛庁長官として防衛庁内で内定をした、こういうことでしょう。違いますか。これが国としてきまったということになると議論が発展してくるのですよ。そうじゃないですか。
  34. 増田甲子七

    増田国務大臣 防衛庁あるいは通産省、建設省みんな国であると考えております。それからどうも内定とかいうようなことばがアンビギュアスで私にはわからないのでございますが、財政関係あるいは長期の見通しに立つ国防であるならば、それは国防会議にかけると私が言っているのですから、別段食い違っても何でもおりません。話が食い違っておりませんし、私が機種をきめるというのは、防衛的見地からこういうふうにきめる。それをおよそごちゃごちゃ内輪でひそやかに内定するなんというものではないのでございまして、決定という、明瞭なる決定をしたわけでございます。それに何機数かというあるいは何スコードロンにするかどうか、あるいは長期にわたるかどうかというようなことはこれは国防会議の議を経たり、または財政当局の承諾を得なければならないと思いますけれども、二ヵ年間にわたって、ほんとうに神さまのような気持ちになって一生懸命選んだ、その選び方まで、ろくにそのことにタッチしていない財政当局その他が口を入れるということはどうかと思います。しかし、口を入れたってけっこうです。けっこうですけれども、こちらは心魂を傾けて、そして実際に乗ったり、試したりあるいはORというオペレーションリサーチをやったり、そのことにつきましては私は昨日、何も話してないとあなたはおっしゃいましたけれども、丹羽さんの御質問に対しまして、丹羽さんの御質問の五、六倍の長い時間をかけまして御答弁をいたしております。また内閣委員会におきましても、私は大出さんの御質問に対しましてやはり御質問よりも十倍くらい長くその経過等をずっと御説明いたしておりまするから、速記録でごらんになればわかりまするが、お尋ねがあればまたお答えをいたします。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 私はそんなことを言っておるのじゃないですよ。あなたが神さまのような気持ちで心魂を傾けたことは、これは了としましょう。しかし、いま言っているように、これが最終的に国家の決定であるということであれば、私は、防衛庁設置法からどこにそんな権限があるんだと言いたくなるのです。先ほど国防会議の事務局長が言ったように、予算化するためにはまず機種をきめなくてはいけない。そうしてそれを幾らということもなくちゃ予算を要求するにしてもできない。したがって、防衛庁としてそれをきめた、だがあなたは防衛庁長官としておきめになったけれども、それは国としてはまだきまっておりません、今後の国防会議なりその他の手続が必要である、こう言っておる。きめたことがいけないとは言っていないんですよ。もちろんわれわれは自衛隊の問題につきましてはあなたと違った観点を持っていますから――こういう議論をしておると平行線になります。だからそういうことはやめますが、防衛庁内できめたことについては私はあなたの権限をとやかく言っておるのじゃない。あなたが国として決定したと言うから、そんな権限がどこにあるかと言う。通産省だってどこだってと言うけれども、通産省に、たとえば国防会議のような規定が設置法にございますか。ないですよ。だから少なくとも私が言っておるのは、予算範囲内で防衛庁の任務に関することをやるということと、そうしてそのことは法律に基づかなくちゃならないということ、それだけを言っているわけなんですよ。わかりませんか。だいぶ食い違っておるようですが、あなたは私の言っておることはわかっておるのでしょう。ただ私は、二年間もう十分な調査をしてやったんだ、それをとやかく言うのはけしからぬというような頭を持っておったら困るんですよ。そういう頭を持つと昔の陸軍になりますよ。とやかく言うななんて、それはちょっと暴言ですね。私の言っておることがわかりませんか。わからない――おかしいですね。防衛庁予算編成にあたってきめたということ、しかし、それを正式な国の決定とするのにやはり手続を必要とするんだ。  この議論だけやっておってもしょうがないから、含めて次に進みますが、機種決定と機数とは一緒にきめなくてはおかしいのじゃないか。どういうものを幾らということで計画が立つのじゃないですか。まず機種だけをきめておこう、そうして機数はあとから考えるんだということは私はちょっとおかしいと思う。これは一体のものなんです。したがって、もう議論はやめましてイエスかノーかで伺いますが、機種決定と機数、これはあわせて国防会議の議に付するかどうかお伺いします。
  36. 増田甲子七

    増田国務大臣 私どもが国防会議にはかる場合には、機種はこういうふうにきめた、そこで機数はこれこれの年度においてこれこれ取得いたしたい、こういうことをきめて諮問委員会としての国防会議に、内閣総理大臣に答申してほしい、こういうふうに私どもは提案をいたします。その前提としていまそれぞれ内交渉をしておるわけでございます。財政当局もそうでございます。それは、あなたが国と言うのはどうも私にはよくわかりませんが、二つあるようでして、どうも予算がきまらなければ国の意思は最終的には決定しない、こういう意味のことでしたら、道路関係についても鉄道関係についても、予算がきまらないと一切きまらないということは言えます。これは国の意思というものはきまらないということは言えますから、その範囲においては田中さんの御意見は私は承知いたします。しかしながら、行政官庁が各種の準備行為をするという意味において、すべてが内定ではないのでございまして、決定というものもあるわけでございます。また何々大臣が何々審議会の議にはからなければならないというようなことは至るところあるのでございまして、この六十二条の内閣総理大臣というのは各省大臣のような権限を持っておる内閣総理大臣でございます。でございますから別段、こういう規定があったからこれが非常におそろしい規定である、これは絶対にほかのものと違っておって、国防会議はほかの会議よりも、ほかの審議会よりも、ほかの諮問委員会よりも高度のものであるというふうに私は考えておりません。そこで、尊重しなければならない――たとえば行政監理委員会、これは内閣総理大臣その他がこれにはかって、その答申はこれを尊重しなければならないというふうにまで書いてございます。これは必ずしも尊重とは書いてございません、「はからなければならない。」こう書いてあるだけでございます。尊重しなければならないということを書いてあるものもありまするが、それでもこれは合議制行政官庁ではないのです。その点は田中さんもよく御理解願いたい。合議制行政官庁日本では公正取引委員会会計検査院くらいのものである。それから国家公安委員会というものが合議制行政官庁でございます。あと委員会委員会と書いてありましてもみんな諮問委員会である。どうやるかということを諮問するのです。これはこういうふうなのがいいと思いますとまず答申する。もちろん自発的に答申もできます。意見の具申もできます。けれども性質を分類すると行政委員会ではないということだけは田中さんに御了解願いたいと思います。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 こんなことであなたとやりとりはいたしたくないのですが、単なる諮問機関であるならばそれは法律的拘束力を持たないわけです。では国防会議できまったことと違うことをやれますか、やるのですか。単なる諮問機関なら答申は一つの意見にすぎない、参考意見なのですね。ではこれは国防会議できまったことと違うことをあなたはやれますか。――そういう議論はやめましょうや。設置法から出てくる権限委任ということで、それならば五条の一号の「予算範囲内」と、そしてこの法律に基づく権限だと、こういうことなのですからね、それを申し上げておるわけなのです。私の言っていることはわかりませんか。(増田国務大臣「わからないですね」と呼ぶ)わからない。――どうもあなたは頭がかたいのじゃないですかな。  それでは国防会議決定したことと違ったことがあなたやれますか。
  38. 増田甲子七

    増田国務大臣 事実問題としてお聞きでございますから事実問題としてお答えいたしますが、事実問題としては尊重するということになると思います。ただ、しかしながら、ほかにたとえば鉄道建設審議会にはからなければならない、こう書いてございますよ。その場合に違ったことは運輸大臣もあまりしないでしょう。しかしながらこの字は大体同じ字でございまして、特別にこれは国家最高の会議というふうに――議長は内閣総理大臣でございますが、最高の会議で、国会をオーバーライドするとかあるいはその他の諸官庁をオーバーライドするものであるというふうにも考えておりません。諮問委員会でございます。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 そこまでおっしゃるのならまた言いたくなるのですが、私はいわゆる行政委員会ではない、このことは認めます。国家行政組織法第三条に基づく委員会ではない。しかし単なる八条委員会でもない。何とならば、ほかの審議会と違って国防というのは私は重要だと思う。国防の基本的方針なり戦略をきめるのでしょう。だからもっと尊重してもらわなければ困る、こういうことを申し上げて――ここでひっかかっておると次に進めませんので、あなたの主張は主張として、少し頭がかたいけれどもやむを得ません。しかしながら国防会議の事務局長は当然はからるべきものである、こういうように発言をしておる。この違いのところだけを明らかにしておいて、次へ参りたいと思います。  そこで、日本航空自衛隊の守備範囲というのは何ですか、任務は何ですか。それから有事のときにおける米軍との任務の分担はどういうことになるのですか。
  40. 増田甲子七

    増田国務大臣 日本航空自衛隊の任務は、領土、領海の上の領空の防衛でございます。それから守備範囲は別段協定はございません。それぞれの指揮系統によって協力して日本防衛に任ずる、こういうことでございます。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 守備範囲はいかなる場合でも日本の領空である、領海の上である、そういうことなのですね。そこでこれだけ足の長いファントムというようなものがなぜ必要なのかということになるのです。  そこで、この機種決定にあたっては、いわゆる専門家というか実際に乗っておる制服組と申しますか、この人たちの意見だけであなたはきめられたのですか。その要望だけでこういうことがきまると思われますか、いかがですか。
  42. 増田甲子七

    増田国務大臣 そうではございません。私は航空幕僚監部にはある程度まかせるから、専門的見地から良心に基づいて――その良心とは事務的、技術的、防衛的の良心である。その良心に基づいて答申を出せ、上申書を出せ、こういうことを命令しております。第一回の調査団も第二回の調査団もその点については非常にきびしい態度で臨んでおります。  それで上申書は十月八日に私のところに出ましたが、私がよき意味の行政官庁という立場において、国務大臣という立場において、また検討をしております。その検討の結果は、大体において十月二十八日ごろ私の頭はほぼ固まったわけでございまして、これは日本と必ずしも同じではございませんから、必ずしも妥当するものではございませんが、ただ例として申し上げます。  大体においてミラジュとCL1010-2とそれからF4Eファントムの三機種にしぼられたことはこの前の国会において皆さま方に申し上げましたが、そのうちで、私どもが通産大臣とはかりまして、まず日本の生産社をきめました。これも決定でございます。内定ではございません。その決定はプライムメーカーは三菱重工業、それからサブメーカーは川崎航空機、これに他の日本の飛行機の生産に従事しておる会社はたいてい参画するようでございます。  そこでこれをきめたのは十月十五日でございまして、直ちにアメリカ並びにフランスへ行きまして、すなわち三候補機種のある国でございますが、調べさせたわけでございます。航空幕僚監部の上申書は上申書といたしまして、私のやっぱり参考になりますからして調べさせました。その結果と、それから私自身が調べたものがございます。その結論とを合わせまして、昨日丹羽さんに申し上げましたとおりF4Eファントムが一番よろしい、こういう結論になったわけでございます。  その理由等はくどくは申し上げませんけれども、CL1010というのは日本で最初から開発してくれということを頼まれております。それではライセンス生産でも何でもないのです。その点が国会議員の方に特におわかり願いたいと思うのです。おそらくCL1010というものを日本開発するならば、それを開発する日本の技術も進歩はしておりますが、昭和五十一年ぐらいになるであろうということでございます。それでは間尺に合いはしません。そういうようなことでございまして、全然向こうで開発しようという意思がないということが明瞭になったのは十月二十八日でございます。そこまでは航空幕僚長の上申書にもございませんでした。私がよき意味の政治家という立場において、また国務大臣という立場において検討した結果の一つの結論でございます。それではCL1010を選ぼうと思ったって、日本で最初から開発しろ、最初から設計でも施工でも何でもしろというのですから、これは間に合いっこないのでございます。とんでもないことであると、私は一種の憤激さえ覚えたのでございますが、しかしそんなことは別段言う筋はございませんから、私の心証を固める理由になりました。  それからF104を日本と同様に持っておる西ドイツにおいては……。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 私が聞いておるのはそんな…。
  44. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは、経過のことはやはり御報告したほうがコンセンサスを得るゆえんでございますから、申し上げたほうがいいと思うのです。  西ドイツにおきまして、十月二十四日にF4ファントム八十八機を五億ドルで買うということを下院で決定しております。これも参考になりました。これは航空幕僚長の上申書のあとでございまして、航空便で来た新聞を見ましたらその新聞に掲載されておったことでございまして、わりあいに詳しく載っておりました。同じ日ごろ、すなわち十月二十七日ごろ、これも国情が違いますから一がいには言えませんけれども、イスラエルではミラージュというものを使っておりましたが、ミラージュでは困る、近代的防衛戦争ができにくいということでF4ファントムを五十機二億ドルで買うという新聞記事が出ておりまして、この三つのことを参考にいたしまして、私の頭が、総理に了解を得る前にある程度心証ができていないといけませんから、心証ができたわけでございます。それで国防会議議員たる方々には、私が良心的にきめますということについては、全部私は根回しをし、打ち合わせをいたしまして承諾を得ております。でございまするから、政治的にはベストを尽くしておるということを御了解願いたいと思います。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 憤慨したからといって、ここで聞きもせぬことをしゃべってもらっては時間がむだになりますから……。  そこで、空幕長から長官に上申があったのは十月八日ですか。そして主生産を三菱重工、サブを川崎航空ときめたのは何日ですか。十五日ですね。  そこでお伺いしたいのですが、国防会議事務局長あるいは防衛庁のほうでもけっこうですが、六十二条の二項の三号ですね。「前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」、これはどういうことを言っているのか。私は、たとえば私の観点から言うならば、ファントムの採用は防衛計画の大綱あるいは国防の基本方針にまでさかのぼって論議しなければならない、こう思っておりますが、そこでこの三号というのは、主生産をどこそこ、従をどこそこという産業の調整をする、そうじゃないのですか。これはどういう意味なんですか。
  46. 海原治

    ○海原説明員 国防会議で審議すべき関連産業の調整と申しますのは、例を申しますと、たとえば石油の統制を民と官とどうするか、自衛隊の需要と民間の需要とをどういうふうに有事の場合あんばいすればいいか、そういうふうな、いわゆる昔のことばで申しますと国家総動員的な面での考慮でございます。したがいまして、いま御指摘ございましたように、主たる製造業者をどこにするかということにつきましては、これに該当しない、これは私どもの従来の考えでございます。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 えらいまた国家総動員というようなことばが出ましたね。  私は、この産業の調整というのは、Aという会社、Bという会社に注文するとかどうとかいうそんなこまかいことじゃないと思っております。しかし、少なくとも航空機なら航空機開発するにあたってどうするかというようなことは入るのじゃないですか、こまかい一つ一つの注文じゃありません。しかし重点をどういうふうにしていくのかとかなんとかということはぼくは入るのじゃないかと思うのですが、その点はこの程度にしておきましょう、あなたは、この問題は国防会議にかけるべきであるという意見ですから。いずれにいたしましても私はこれを一応かけるべきである、こういうことを言っておるわけなんですから……。  それじゃ次にいきますが、このF4Eはきのうも大問題になっておったようですが、現在のF104J、F86F、F86D、これのどれにかわるべきものなんですか。これは一ぺんにかわるものじゃないでしょう。将来はこれだけになるのか、しかもこれが完成したころ、何年か先にはもっといい、たとえばミグにもいいのができておるそうですね、そういうものができてくればまたいいのがほしい、そういうことになると思うのですが、このファントムを採用決定といいますか、私は防衛庁内の決定にすぎない、こう言っておるのですが、いずれにしてもこれを採用するということについては、長期展望としてはどのように考えておられますか。
  48. 増田甲子七

    増田国務大臣 私も武器のことはあまり詳しくないのでわかりかねますけれども、F104のときに有人機の最後だというようなことを言いましたが、そうではなくなりまして、また有人機としては相当のものがある。でございますから、成田空港なんかができるわけで、SSTで三マッハなんていうのがあるわけでありまして、私はF4Eファントム以上のものができないということは保障できないと思います。現にF111というものも開発されて、その金額というものはばく大なものであって、あるいは攻撃的性質を持っておるというようなこともございまして、われわれは慎重を期しておるわけでございますが、十年後のFはどうなるかというようなことは、またそのときにFXXといったようなことが起きると私は考えております。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 十年後でなくて、第三次防は四十六年度までですね。そのころにまたかわる、こういうことはありますか。少なくとも三次防の終わりのころ、四次防に移るとき、そういうことはないですか。十年とか二十年とか、長いことはやめてですね。
  50. 増田甲子七

    増田国務大臣 そんなことは大体考えられないことでございます。
  51. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、三次防から四次防にかけて――四次防があるのかどうか知りませんが、三次防は四十六年度までですね。だから、近い将来においては、近いというのにいろいろニュアンスがありますが、かわるというようなことは考えられない、こう理解してよろしいですか。
  52. 増田甲子七

    増田国務大臣 さようでございます。
  53. 田中武夫

    田中(武)委員 このファントムはいま米軍もこれを主力として使っているわけですね。そうすると、米軍と同じ機種を持つということが、私はアメリカの極東戦略体制の中に、より日本航空自衛隊をコミットするようなことにならないかどうか、こういうことを心配しておりますが、いかがです、そういうことはありませんか。
  54. 増田甲子七

    増田国務大臣 アメリカがF4Cというものを使っているということは事実でございます。こちらはF4Eでございますが、しかし国会においてしばしばお約束しておりますとおり、ユニフォーム関係の要請がありましょうとも、私は攻撃的性質を持ってはいけない。そのためには爆撃装置を施さないんだ、こういうことで、爆撃装置的なものは空対地のレーダー、それからそれに応ずるコンピューター、それに応ずるコントロールボックス等は取りはずしを命じておるわけでございます。でございますから、日本に現在駐留いたしておりますF4Cとは、形は似ておりますが、内容は非常に違うものである、こういうふうに御理解願えれば幸いでございます。
  55. 大石武一

    大石委員長 田中君。官房長官が見えましたから、時間的にあれがありますから……。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 わかってます。防衛庁長官に対する質問はちょっと中止します。  楢崎委員から官房長官に詳しいことはお伺いすることになっておりますが、せっかく私の質問中ですから、一言だけお伺いします。  きのうのB52のあの事故に対して政府はどう考えておるのか、その対策はどうしようとしておるのか、さらにまたこれを機会にB52の撤去を求める、こういうような意思があるのかないのか、それだけ伺いまして、楢崎委員と交代いたします。
  57. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 昨日の嘉手納基地におけるB52の事故は、たいへん遺憾なことであります。したがいまして、政府としては直ちに外務省を通じましてアメリカ大使館に、今後こういう事故が再び起こらないよう、十分な安全対策をとってほしい、また、これに関する調査報告をしさいにやってほしい、また、今回の事故についての補償を十分やってほしい。この三点を申し入れいたしました。当然のことながらアメリカ大使館からそのようにいたしますということばをいただきました。
  58. 大石武一

  59. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ただいま田中委員から質問がありましたが、実は本年の予算委員会の最中に、二月二十七日であったと思いますが、B52撤去の立法院決議を持って沖繩の各党代表が見えました。佐藤総理から、抗議に来たのならば、そんなことなら帰れというようなことで、ちょっと問題があった。今回の事故は、九大の場合と同じように数百メートル先には核兵器が貯蔵されておるといわれる。地下――地下と呼ぶのかどうか知りませんが、地下に弾薬貯蔵庫がある。ちょっとのことでたいへんな事故になったわけです。それで、これは当然B52が沖繩に進駐してきたときに、そのことは指摘されておったわけです。それで今回の事故を契機としまして立法院、政府、それから沖繩の自民党もB52撤去をきめました。もちろんほかの各党は、そのとおりであります。先立っては、B52撤去、それから核基地撤去、これを公約に掲げた屋良主席が実現したのであります。こういった沖繩住民あげての要求に対して、単にこの種の事故が起こらないように注意を換起する、こういうことで日本政府としては責任が果たせるかどうか。沖繩といえども日本の国土であります。日本の国土にB52が落ちたというこの事実を、もう少し真剣に受けとめる必要があろう。こういった沖繩住民あげてのB52撤去の要求に対して、日本政府としては、それを受けてアメリカ政府に対してこの際、B52撤去の強い要求をなさるお考えはないのかどうか、もう一度お尋ねいたします。
  60. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 B52の墜落事故にかんがみまして、沖繩現地の住民の不安が非常に高まっておりますが、これは政府もきわめて重大関心を持っております。しかしながら現在、アメリカ施政権下にある琉球基地、そういう現実もまた考えなければならないと思います。そこで去る二月に、外務省からアメリカ大使館に対しまして、B52の撤収について十分配慮してほしいという申し入れをしたことは御承知のとおりでございます。その当時、アメリカ大使館からB52の基地として恒久化する意図はない、こういう返事をもらっております。その後、事態は改善されておりますが、そのB52の恒久基地化する意図はないというアメリカ大使館からの答えは現在もまだ生きております。その後、ベトナムの状況その他から申しまして、私ども政府としましては、いずれ近い機会にB52の撤収を可能ならしめる状況がくるのではないかと強く期待はいたしておりますが、現在の状況下におきまして、政府からアメリカ側に対しましてB52の撤去をいま申し入れをする意思はございません。
  61. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは沖繩住民あげての強い要求なり願望に対して、政府はそれを受けとめてアメリカB52の撤去をこの際要求するつもりは全然ないというお考えですね。
  62. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 私は、そういう気持ちで申しておるのではございません。これは単なる一片の撤去要求で実現するものとは思っておりません。そういう意味におきまして、すでに二月に申し入れをいたしましたあの申し入れがいまも生きておるということと、またベトナム戦の状況、これはもう楢崎委員承知のとおり、それを可能ならしめる国際的な環境を早く実現することが何よりも先決だと思います。その面についての日本の外交的努力、それは十分いたしたいと思います。しかしながら、この時点におきまして、B52の撤去の申し入れをするというアクションは、これはとる意思はございません。
  63. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、それはたいへん残念な態度であると思います。ニクソン大統領が出現した今日、外交問題について対米関係は、つとめて日本側からいろいろな点でみずからの意思をはっきりさせてアメリカと交渉していくということが、どんな世論関係からもはっきり出てきているわけです。特に本年の二月、そういうやりとりがあった段階で今日までそれが実現していない。今度こそ、事故があったこういうときこそ、日本政府としての意思を明確にアメリカに伝える絶好のチャンスではなかろうか。これこそが、また一体化を主張なさっている今日の政府の具体的なやり方ではなかろうか。日本の国土に落ちたというその認識を私は明確にしていただきたいと思うのです。そういうことでは沖繩返還その他今後の問題、核つきあるいは核抜き等の問題も含めて日本政府態度について、われわれは大きな疑問を抱かざるを得ないと思います。これは、ここで日本政府態度について、私は強く抗議をしておきたいと思います。  それから調査結果の報告をまつという話でありますが、日本政府として積極的に調査団を出すというような意向もないのでありましょうか。
  64. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 これは当然重大な関心をもって、先ほど申し上げましたとおり調査の結果について報告を受けるということを強く申し入れてあります。また政府の出先機関も、御承知のとおりございまして、その調査報告を受けることになっておりますので、あらためて政府から調査団を出すという考えはございません。
  65. 楢崎弥之助

    楢崎委員 先ほどの考えといい、ただいまのお答えといい、私は日本政府沖繩問題に対する関心が実に薄い、国民であり、日本国土であるという観念が薄い、非常な違和感なり、あるいはやはり差別的な、区別的な考えが強いということを指摘せざるを得ません。非常に残念に思います。これは抗議を含めて申し上げておきます。  それから時間がありませんから、昨日問題にしたところでありますが、官房長官は、三、四日前、板付の代替地選定は今年じゅうは無理であるという談話を出されているのを新聞記事で見たわけですが、それは一体あなたの個人的なお考えなのか、事務当局と十分打ち合わせてそういう見解を出されたのか、それをお伺いしておきたいと思います。
  66. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 これは記者会見における質問に応じお答えしたものでありますが、いまも防衛庁におきましては、たいへんな努力をもって候補地の選定をやっております。しかしながら、これは御承知のとおり、やはり代替地と申しましても、代替地における住民の感情その他を十分理解してかからなければならぬと思います。そういう意味におきまして、現在も年内に候補地を選定する努力は防衛庁も怠っておりませんし、また政府全体としても、これは同様でございます。ただ見通しとしましては、私、少し正直に申し上げ過ぎたのかもしれませんが、なかなか困難である、こういう見通しを申し上げた、こういうことでございます。
  67. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、昨日も指摘しましたが、福岡市民あるいは福岡県民、小郡に墜落しましたあの事故等を含めて、この板付の問題は、もう県下の重大関心事になっているわけです。そういう重大な問題について、事務当局と十分な打ち合わせなく官房長官が個人的な見解をああいう形で出されるのは、まことに無責任であると私は思うのです。もし年内にどうしても選定できないということが事務当局と打ち合わせの上でやっているならば、それなりに作業状況も見て、そういう結論が出るのはわかりますが、事務当局の打ち合わせなしにそういう談話を出されたということについては、たいへん不見識であるし、無責任であると私は思うのですが、どうでしょう。
  68. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 私は別に無責任とは思いません。防衛庁におけるいろいろな作業の状況から、私の心証において見通しを述べた、こういうことでございます。
  69. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そういう心証をこういう重大な問題について発言されるというのは、私は非常に無責任であると思うのです。年内には無理であるという予想を下されました。では官房長官の心証としては、大体いつごろのめどということを考えておられますか。年内に無理だというような心証を出された以上、その辺の心証もお持ちであろうと思いますから、お伺いしておきたいと思います。
  70. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 年内といわずできるだけ早く候補地を選定して、板付基地を移転する、これはもう政府の変わらない方針でございます。できるだけ早くというのが現在の私の心証でございます。
  71. 楢崎弥之助

    楢崎委員 できるだけ早くというのはめどにはならないのですね。じゃ、いまのところめどは立たないということですね。
  72. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 めどとしいて申し上げれば、できるだけ早くということでございます。
  73. 楢崎弥之助

    楢崎委員 沖繩の問題では二、三年をめどにして返還の時期をきめるというようなことを総理か何か知りませんけれども、そういうことがいわれておるくらいですね。この板付の問題についてできるだけ早くじゃ困るのです。それで昨日も政務次官が――大臣がおられないようになったので防衛庁の政務次官が、その移転が、あるいは撤去が実現するまでは、軍用機の発着については中止をされたいようにアメリカ政府に交渉してみるというお話でございましたが、官房長官としてはそれをコミットされますか。
  74. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 そこまで政府として具体的にお答えすることはできないと思いますが、防衛庁において十分努力されることと思っております。
  75. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それではお約束の時間ですから、最後に一点だけ聞いておきます。  先ほど田中委員から詰められておりましたが、F4Eの機種決定日本政府として正式に最終的に決定をされたのですか。
  76. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 私ども承っておる範囲内におきましては、機種決定行政行為として防衛庁長官がおやりになる、こう聞いております。
  77. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それは日本政府としても決定されたものであるし、変更はない、こういうふうに考えてよろしいですか。
  78. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 防衛庁長官権限を持って決定されたことですから、当然これは政府の行為としてお認め願っていいと思います。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 一点だけ。  住民が受けた損害についても十分な配慮をするというか考慮をするとアメリカ側は言っております、こういうことでありますが、日本側から幾ら幾らという要求はするのですか。しないのですか。損害賠償についてはアメリカのあてがいぶちなんですか。
  80. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 これは第一次的には琉球政府の問題でございますが、聞くところによりますと、すでに米軍のクレームの担当官が一々補償の申請書を各被害民家に持って回って、申請書を出すようにもう手続をしておるそうでございます。したがいまして、一次的には被害を受けたその被害者と米軍との間の話し合い、それがもしクレームの内容その他においてまとまらない場合、これは琉球政府がまずやるべきである、それがどうしてもまたいろいろ紛議の出ますときには、初めて日本政府アメリカ側と交渉するということにもなろうかと思います。これは外交的ルートを通じての交渉になると思います。
  81. 大石武一

    大石委員長 じゃ官房長官けっこうです。  引き続いて質疑を続行いたします。田中武夫君。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで防衛庁長官、F4Eは俗に六十機と言われておりますが、やはり六十機を必要とするのですか。さしあたり六十機、実際は百機以上も考えているようですが、この六十機という数字はどういう観点から出されたのか、いわゆる制服組の要求だけでそういう数字が出てきたのか、財政的な面についてはどのような考慮を払われたのか、これが一点です。  さらに当初は、私はあえて予算とは申しません。見積もりは大体十三億で六十機、七百八十億円と言われておった。ところがこれをライセンス生産をやる場合は二十億はかかるだろうと言われているのですね。そうするとその間に大きな財政上の食い違いというものが出てきます。そこでTX、練習機をやめてそれをF4Eのほうに回す、こういうことも言われておりますが、これの採用及び機数の決定財政関係について御答弁を願います。
  83. 増田甲子七

    増田国務大臣 私どもの当初の腹づもりは六十機でございましたことは事実でございます。そのときに防衛庁としては十三億という予定でおりました。しかしながら必ずしも財政当局がそれをまだ承諾したという段階ではなかったわけでございます、三次防策定のとき。そこで六十機を、正確に言うと何飛行隊つくるつもりであったのか、このことは防衛局長からお答えさせます。そこで三機種とも、いまは提供する値段というものは十三億よりいずれも多くなっております。CL1010のごときは日本で最初から開発しろというのですから、おそらく私は三十億近くなりはせぬかと考えておる。日本開発するのですから、まだ世界にどこにもないのですから……。そこでF4というものはとにかくございまして、それを日本で爆撃装置を施さないというふうなことをいたします。そういうようなことをいたします関係で、多少値の上がり下がりはございますけれども、裸値段では大体十六億、こういうことだけは申し上げます。部品を買っておきますから、二機エンジンがございますが、もう一機だけエンジンを買っておく、その他部品を買っておく、こういうわけで、武器はまた別でございます。武器は別といたしまして、そういうようなことで約二十億くらいになるであろうというふうに考えております。  そこで当初われわれは三次防の段階予算化すべきものは八十八億円、それから国庫債務負担行為は六百九十二億円、合計七百八十億円で、十三億に六十かけるとその数字が出てまいります。ところが今度の複座式というのは、単座式よりも練習は非常に容易なそうでございまして、したがいまして、ほかの飛行機で練習をさしておく。現在存在する他のTで練習をさしておく。そういうことで複座式で連動式であるということでわりあい楽なそうでございますから、TXを開発するまでの段階においてTXの外国からの完成機を導入する、こういうことも考えておった段階がございます。それは二百十億でございまして、そのうちの予算化すべきものは三次防の中において百四十億、それから三次防のそとにまたがりますが、国庫債務負担行為は七十億円、合計二百十億円でございまして、これを上のせいたしますと九百九十億になります。まず九百九十億くらいの段階で五十機に満たない範囲内のことを――われわれもやはり腹づもりをきめませんと国防会議にもかけるわけにもいきませんし、財政当局にも話はできませんから、腹づもりとしてはいま申した状況でございます。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで大蔵省に考え方を伺っておきたいのですが、来年度、あるいはそれに引き続いてファントム購入、あるいはライセンス生産に対する予算が出てくると思うのです。そこで先ほど来議論をしているように、これはやはり国家意思として十分にきまった、こういうことを前提として大蔵省としてはやるべきじゃないか。それからいま十三億と言われたのは、これは輸入価額ですね。国内生産価額ですか。
  85. 増田甲子七

    増田国務大臣 詳しくは防衛局長がお答えいたしますが、当時の、つまり二年前の第三次防の総額を閣議決定いたしましたそのときの腹づもりが十三億でございまして、い、ずれもライセンス生産でございます。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 ライセンス生産なら二十億もかかるといわれているのじゃないですか。ここで言わんとするのは、ライセンス生産は完成機を輸入するよりか相当高い金が要るということですね。しかし、そのために日本航空機技術をと、こういうことになると思うのですが、防衛庁プロパーでいうならば、輸入をしたほうが金が安くつくのじゃないですか。これはちょっといまの説明では一千億に近い買いものですね。だからなるべく経費のかからないような方法をとるべきじゃないかと思うのです。そういうことについて大蔵当局の考え方も、この際伺っておきます。
  87. 増田甲子七

    増田国務大臣 私から先にお答えいたしますが、これは該当しないかもしれませんが、イスラエルですら、大使館の大使並びにテクニカル・アタッシェが私のところへ参りまして、自分でパーツをつくるんだ、パーツをつくってないと、どうしてもさあというときに間に合わないから。こういうことを言っていました。そこでパーツとか、その他重要部分を日本でつくらないと、一般産業技術水準の向上ということももちろんこれはございます。けれども、兵たん補給という点が、一々何千キロも遠いところへ買いに行くでは間に合いはしませんから、日本の技術水準というものは相当高まってもおりますし、兵たん補給の見地から見て、一割かそこらは高いかもしれませんが、日本で生産することが費用対効果の点で最もよろしいという点は、私が国務大臣という立場で勘案をいたしまして、そのほうがいい、こう考えております。しかし、これは他の国防会議の議員あるいは大蔵大臣とも折衝しなくてはならぬ点でございます。
  88. 原徹

    ○原説明員 FXの問題につきましては、私どもまだ防衛庁から予算要求を受けておらないのですが、予算要求を受けてすぐきめられるような問題ではございませんから、いろいろと下相談と申しますか、勉強と申しますか、勉強しておるわけなのです。したがいまして、予算要求がありましたならば白紙の立場で慎重に検討いたしたい。それからいまの国内生産かどうかという点でございますが、それは将来の相当な国民負担になるお話でございますから、そういう見地から申し上げれば、私どもとしてはそれは安いほうがいいわけなのです。しかし、それだけでものがきめられるというものかといえば、それは必ずしもそうではないので、ただいま防衛庁長官からも申されましたように、やはり兵たん補給の立場とか、ドルの節約になる点とか、それから国内の技術水準の向上になるというような点、それはいろいろございます。いろいろな点がございますから、それらの点といまの国民負担の点を総合的に検討して結論を出したい、そういうふうに考えております。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 私も外貨をむだ使いしてはいけない、こう言うのです。だからといって、みすみす高くつくというようなことは、やはり国家財政という点、国民の血税という点からも考慮しなければならない、こういうふうに思うから申し上げたので、いずれにいたしましても、あまりむだな金を使わないように――いままでわかり切ったむだがなかったとはいい切れないわけですね。だからそういう点について十分考慮を払ってもらいたい、こう申し上げておきましょう。  これは私の地元のほうの新聞ですが、川崎航空機FXの受注を見越して岐阜工場を広げておる、こういう記事が出ておるわけなんです。そこで主たる契約というか、主たるところは三菱重工、川崎航空は従だ、こうおっしゃる。各三菱重工なり川崎航空にきめたと申しますか、きめたからでしょうが、どの程度のことをそれぞれの会社にいうておられるのですか。すでにこういう工場の拡張をやっておりますから、一たん拡張してしまうとただ六十機とか、いや何機とかいう、それだけでは企業は満足しない。やはりこれだけ工場を拡張するのですから、次々と注文を出してやらなければならない。そこによくいわれる産軍――産業と自衛隊、産軍結合体ができ上がってくる、こういうようにいわれる。いわゆる産業界と自衛隊のくされ縁というものが、ずっと続いていくと私は思うのですが、そういう点についてはいかがですか。
  90. 増田甲子七

    増田国務大臣 どうも産軍のくされ縁ということに対しては、私はことばをお返しします。そういうことがないために私は二年間苦労しておったのですから、全然ございません。そこで川航という、そういう省略されたることばで使われているかどうか私は存じませんけれども、私どものほうと通産省のほうでよく連絡をいたしまして、通産大臣がきめましたのは、三菱重工業がプライムメーカーであって、六割、川航のほうは四割。そこで川航のほうの四割の中に、またほかの飛行機の製造会社が二つばかりあるそうでございますが、お手伝いをする、こういうふうなことを通産大臣がいわれたのではないか。もちろん私どものほうでもそれは存じておるというたてまえでございますから、詳細なことは装備局長からお答えさせます。
  91. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 ただいま大臣がお答えしたとおりでございます。いまの先生の御指摘の川崎航空がすでに拡張工事をしているという問題でございますけれども、私も詳細存じません。通産省の問題ではございますが、現在日本航空機工業が将来を考えて、必要な投資をするということは当然別途あると思います。直接今度のFX問題かどうかについては詳細存じておりません。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 これは企業体は企業としての見込みでやるのだろうが、新聞の報ずるところでは、川崎航空機FX受注で、工事費九億五千万円を入れて工場を拡張しておる。だからある程度具体的な約束をしておるのではないか。具体的な約束はしてないのですか。たとえば金額的にとか、あるいは機種のどういうのとかというような具体的な点についてはどうか。
  93. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 十月十五日に通産省に二社を呼びまして、通産省から今度のFXの作業については三菱がプライムであって川崎は協力するように。その際の作業分担はコスト比で六、四を考える。その後F4Eがきまりました十一月一日、当然それにつきましては今後各部品その他アイテムを考えまして、三菱重工と川崎航空が協議しまして、それは通産大臣を通じて防衛庁の意向も聞いて、どういうものをつくるかということは検討されておりますけれども、現在の段階ではその六、四という比はございますが、具体的な作業内容については、まだ通産省からの話もございませんし、聞いておりません。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 きょうは通産省来てもらっていないので、これから先はまた通産省へ伺うことにいたしましょう。  そこできのう華山委員質問でも若干問題になっておったようですが、F4Eの作業といいますか、このことによってアメリカがF4Eの開発のために出した研究費の一部を負担せよ、こういうことです。アメリカはどれだけ金を出したかわからぬが……。ということできのうの答弁によると大体九億ドルくらいかと推測するというようなこともあったのです。そこでそうするならばこの負担金は一体幾らくらいかかるのですか。これをひとつ明らかにしてもらいたい。
  95. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 昨年のナイキ、ホークのときからアメリカ政府から日本側にいわゆる研究開発費、RアンドDの要求がまいりました。今回のFX決定する場合も当然RアンドDという問題が問題になるんじゃないかということで、調査団が参ります時期に並行しまして、アメリカ政府、フランス政府と交渉してまいりました。結論的に十月でF4E、CL1010-2、ミラージュの三機種についての政府間の交渉を終わりまして、めどをつけました。ということでF4EにつきましてのRアンドDの支払います額については結論的には終えております。これは米側政府の要請でその額は公表しないでほしいといわれておりますので、この際さし控えたいと思います。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 きのうもこれは問題になりましたが、アメリカの意向のために国会で答弁することもさし控えたい、そういうことが日本の国会で通るでしょうか。国会で要求せられたものに対して答弁を拒否するならば、それだけの根拠がなくてはいけないと思います。どういう根拠でしょうか。アメリカ法律ではありません、日本法律に従って根拠を明らかにしていただきたい。
  97. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 日本の国会が国政を審議する。そのために必要な資料を要求する。当然われわれは出す義務はあると思います。ただこの問題につきましては相手方政府のあることでございますし、またある意味ではある品物の値段をきめるという商談の意味もございます。いまアメリカ政府の申しておりますのは、アメリカ政府としましては、向こうの国家機密に触れるものであると言っております。われわれ日本政府としましては、その問題は直接国家機密ではないと思いますが、向こうではそう申しております。そのほかに向こうのもっと大きな理由は、今後とも各機種につきまして、このF4Eでも、ほかの政府に売らなければならぬ。その場合の交渉の問題があるんで、商売の問題なので、特にその交渉にさしつかえるからやめてほしいということでございまして、法制論は別としまして、やはりこういう問題につきましては、われわれ信義としまして、公の場では言ってほしくないということに対しましては、信義を守るべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 いずれもアメリカの立場での主張なんです。それからあくまでもわれわれは、日本の国会であり国会議員であり日本の国務大臣なんですね。アメリカがこうおっしゃったから信義の場において公表できないと言う。一体どういうことなんですか。日本アメリカの属国ではございませんよ。アメリカ法律なりアメリカ政府の意向が日本の国会を左右するんですか。この質問に対してあくまで拒否をせられるならば――日本法律に基づいてひとつお答えを願いたい。アメリカがこういう、あるいはアメリカ機密ということでは日本の国会では通りません。もしここでそういうことを通すならば、やはり日本アメリカに対して完全なる独立を持っていないじゃないかということを裏書きすることになります。どうですか。
  99. 増田甲子七

    増田国務大臣 この前のナイキとホークは二個大隊ずつつくりまして、二十七億円でございまして、品物ができてきたときに品物にかけてお払いするということにきまりまして国会でも御答弁いたしております。そこで今度御答弁しにくいのは、まだ交渉の過程でありまして、日本アメリカとは相互依存関係に立っておりますけれども、たとえばフランスから買うとかスエーデンからビゲンを買うという場合でもバーゲンをしている途中であるから申し上げにくい、こういうことを言っているわけでございますから、機密機密ということを表に出して言っているわけじゃございません。バーゲンの途中であるということを御了解願いたいと思います。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣の答弁と局長の答弁とはちょっと違いますね。あまりアメリカの要請だとかアメリカ側に立っての機密といわれると、われわれは言いたくなるんですよ。そこでこの金額はきまったようにいま局長は言ったんですが、長官の話ではまだ交渉中ということですね。きまっているのかきまっていないのですか。
  101. 増田甲子七

    増田国務大臣 田中さんの御質問も、機種国防会議なり財政当局できまったが、機数はこれからきめるのだということを了解されながら、今度はもう機数まできまったような前提で幾らできめたんだ、幾らできめたんだとおっしゃることは、財政に詳しい田中さんとしては多少御無理を御承知でお聞きになるような気がしますが、アメリカでたまたまございましたから、なんでございますが、まだバーゲンの途中でございまして、おおよそのめどはついているかもしれませんけれども、財政当局にもそういうことの説明は下説明としては言えるかもしれません。あるいは国防会議でも下説明としては言えるかもしれませんが、きまったものであるということをもし装備局長が言うならば、それは一応のめどというだけでありまして、まだ方々の御了解を得ないうちには、バーゲンの途中であるから、何もアメリカに限りません、相手国がスエーデンでございましょうとも、フランスでございましょうとも、すなわちビゲンでありましょうともあるいはミラージュでありましょうとも申し上げにくい、こういうことで装備局長の分も御了解願いたいと思います。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 どうも防衛庁長官は逆に切り込んでくるから、なんですが、私はもちろん国家意思として最終決定ではないという立場をとっている。防衛庁長官として、防衛庁としてきめたということには私は異議を言っているんじゃないんですよ。だからそういう上に立って見込みの問題、だから私は予算ということばを使わなかった。見積もりとか見込みということばを使った。だから見込みを聞いているわけです。しかしもうそういうふうにおっしゃるならばこれ以上は伺いません。しかしここで申し上げたいことは、一つはあくまで筋の通った交渉というか線をきめてもらいたい。これは私はこういうことはしろうとでよくわからないのかもしれませんが、アメリカ研究開発費の一部を日本が負担する、これは政府間の問題です。これは企業間におきますとやはりライセンス国産に入った場合には企業間ではロイアルティーは払うでしょう。何だか二重払いのような気もせぬことはないのですが、そういう点はどうなんですか。  それから払うといってもやはり国民の税金なんです。あくまで効果的でなくてはならぬ。そうした場合にF4Eをライセンス国産化することによる波及効果ということを考えてみた場合には、これはきわめて限られた企業にしか波及しないわけだ。国民全体の問題じゃないわけだ。それは防衛庁長官防衛国民全体のことだと言いたそうな顔なんですが、そうじゃなくて、そのことはいわゆる産業において実用化していく、生産化していく、この波及効果を考えた場合はきわめて限られた企業であります。それを国民全体の金で払うのにつきましてはどうかという気持ちがいたします。しかしこれも国の問題としてやるということならば、これだけを言っておるわけにはいかぬと思います。まあ総じて申し上げますならば、筋の通ったこと、そうして、どうも二重払いのような気がするが、そういうことでないのかどうか。もう一つは、いま言ったように波及効果ということを考えて、これも国民の金である、それの波及効果は限られた企業にしか及ばないのだ、こういう点を総合してひとつこの問題に当たってもらいたい、こう思うわけですが、いかがですか。
  103. 増田甲子七

    増田国務大臣 お説のことは、私もこの前ナイキとホークのときに、大体ライセンスの料金を払うのにRアンドDを払うというのはおかしいじゃないか、これはゼロでしかるべきものであると、大蔵当局よりもむしろ私が強かったわけでございます。しかしながら、そんなことはあまり言っておってもどうも国産化できませんから、国産化をはかるためにやむを得ず大体一千億くらいの頭のところへ二十七億ライセンスのほかに払う、ダブったような感じもいたしますけれども、パーセンテージはきわめて少ないものであるということを御了解願いたいと思います。今度のパーセンテージはどのくらいになるか、ライセンスとRアンドDを加えておそらく、絶対額としては大きく見えるかもしれませんが、総額もまだきまらぬわけでございますから、総額から見た場合において一機当たりおそらく二・三%、両方加えてですが、は上回らない、これぐらいのことは外国に知れても悪くはないと思いまして、田中さんは特に財政に造詣が深いわけですから申し上げておきます。
  104. 田中武夫

    田中(武)委員 このくらいにして、それでは、最初私が確認したように、まあ支払ったあと会計検査院検査に対しては了解のいくように十分に説明してもらいたい。あくまでも私は、その波及効果、国民全体、こういうことの上に立ってやっていただきたいことを要求いたしておきます。  次に、このF4Eを採用することによって新たな基地公害が起こらないか、ということは、双発の大型の飛行機ですから、いままでの、たとえば並等に比べて騒音も大きいと思うのです。そういうことで、新たなる基地公害という問題を考えねばならぬ。現に宮崎県の新田原基地周辺ではこれの反対運動がすでに起こっておると聞いておる。こういうことについてはどのように考慮せられますか。
  105. 増田甲子七

    増田国務大臣 御指摘の新田原でどういうことが起きたかということはまだ聞いてないようでございます。  そこで、F4ファントムというものはジェットエンジンが二つございますから、一つよりは高いと言えるかもしれませんが、しかしそのために防衛施設周辺整備に関する法律は相当活用さしていただいております。既存の飛行場に配属するわけでございますから、飛行場の滑走路の厚さを厚くしなくてはならぬという問題はございますけれども、新しく公害が起きるというようなことはまだあまり考えておりませんでしたが、また起きた場合には善処いたしたい。しかし田中さんに御了解願いたいのは、既存の飛行場に配置するだけでございます。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、既存の飛行場ですけれども、これは新たな公害が起こるのじゃないかという懸念もし、いま現に宮崎県のほうでは起こっておる、そういうことも伝え聞いておりますので、それに対する考え方といいますか、対策といいますか、これを伺っておきたかったわけでございます。いま公害はいろいろな面において大きな問題になっております。だから、基地公害についても十分の配慮を願いたい、このように思うわけであります。  もう時間がたちましたから結論に入りたいと思うのですが、防衛庁長官、新たにニクソンがアメリカの大統領になる。ニクソンの今日までのあり方といいますか、考え方から見るならば、日本に対して防衛力の強化といいますか、そういうものを強く要請してくるんではないか、そういう考えもあります。またベトナムの問題がああなりまして、いわゆるポストベトナムといいますか、この引き揚げたあとの空白に対して日本にその肩がわりを要求してくるのではないか、こういうことも考えられるのですが、そういうことについて防衛庁長官といたしましてはどう対処せられますか。
  107. 増田甲子七

    増田国務大臣 まあアメリカ日本のパートナーとして――日米安保体制のもとにおいて日本は自衛力を漸増いたしておるわけでございます。そこで日本の果たす役割りというものは、日本自身を守るということでございます。これが主眼でございまして、ただ第六条等に日本基地としてアメリカが作戦行動をとるという場合は事前協議の対象として予定されておりますけれども、ともかくも日本がこれだけの、世界第二というような生産力をあげながら、日本自身がまだ自分で防衛できないという状態は、国力、国情の許す範囲内において自衛力の漸増をはかるという、昭和三十二年に決定されました国防会議並びに閣議決定による国防の基本方針から見て、やはり漸増をはかってまいるというのがしかるべき線であって、ニクソンに言われようとも言われなくても、ほかのだれさまから言われなくても、自分の国を自分で守るという心持ちは、相当な生産力をいまあげておるのでございますから、私どもはこの努力を続けてまいりたい、こういうことに変わりはないのでございまして、東洋全体の平和と安全を日本がはかるというようなことは憲法九条の許すところではございませんから、そういうことはいたしません。ただ東南アジアその他の、中央アジアでもけっこうでございますが、開発途上国を、国際連合の貿易開発会議の決議に従いまして、GNPの一%をお助けするというような線はまだ実現しておりませんが、ぜひこれを実現することによって、経済的方面からあるいは生活水準を高めるという方面から、平和と安全をはかってまいるということには日本は寄与すべきであると考えております。
  108. 田中武夫

    田中(武)委員 今日までの――これは増田長官だけをさしておるのではありません。今日まで保守党内閣は、憲法九条のいわゆる自衛権をだんだんと拡張解釈してきました。そのことに対して国民は大きな不安と不信を持っております。ここで多目的機であるところのファントムを採用することによって、また憲法九条の自衛権が拡大解釈せられないかということ、このことを国民は不安がりかつ心配しておりますので、そういうことのないように――あるいはもうこの採用自体がある程度拡張解釈になるのかとも思いますが、そういうことのないようなことをひとつ望みたいと思います。  それから、先ほど三軍結合ということについてえらい元気でお返しをいただいたわけですが、現にそういうことは――あなたがということじゃないのですよ、全体のいわゆる世界的の動きといいますか、そういうことがいわれていることは事実です、三軍結合ということ。アメリカの元大統領のアイゼンハワーは、一九六一年一月十七日に大統領をやめるにあたっての演説の中で、アメリカ社会をいま猛烈な勢いで荒れ狂っている兵器体系という名の怪物がある、いずれこの怪物はアメリカそのものをも食ってしまうかもしれないというようなことを言っておるわけです。いままた私はこの怪物が日本にも上陸してくるのではないか、いまもうすでに上陸しておるのではないか。今日のアメリカの核兵器開発を見たときに、私は少し狂っておる。何が狂っているかといえば、目的と手段が逆になっている。目的を忘れて、ただ核兵器の開発が目的になってしまっておる。そういうことで次々とおそろしい新たなものが出てくる。自衛隊は、やはり制服とすれば、いいものがあればそれがほしいのは当然でしょう。しかし、日本の平和憲法のたてまえから、国防会議にきまりました基本的な態度、この上に立って、私は、今後も、国民財政等も考えて十分ひとつ対処していく、考えていってもらいたい。ただ必要だからこれを買うんだ、そういうことだけではなくて、やはり憲法の自衛権の問題あるいは国民の負担能力等々も考えていってもらいたいことを要望しておきます。
  109. 大石武一

    大石委員長 華山親義君。
  110. 華山親義

    ○華山委員 昨日、長官が退席されましたあとで、決算上の立場等から、一応生産が完了したと思われるF104Jのことにつきましてお聞きいたしました。その中でわかりましたことは、いろいろございますけれども、国産が進めば進むほど値段は高くなるということでございます。これは、一応ここでお聞きいたしませんが、その中で一点だけお聞きをいたしたい。  と申しますことは、このF104Jにいたしましても、F86Dにいたしましても、それと、今度採用されようとしておりますF4Eファントムの間には、根本的な違いがある――これはアメリカにおきましてですよ、違いがある。     〔委員長退席、田中(武)委員長代理着席〕 どういう点が違うかと申しますと、いままでの三機にないところの爆撃の装置を――爆撃装置といいますか、懸架以上の爆撃の装置を持っているということであります。これが諸外国に対しまして脅威を与えることがないのかどうかということでございますけれども、いままで長官は、そういう爆撃の装置はつけないんだ、はずすんだ、こういうことで外国に脅威を与えないということを言ってこられました。しかし、このF4Eファントム日本国産化される、昨日の質疑でもわかりましたけれども、完全なオーバーホールができる、こういうことであるならば、日本が欲する場合には、いま、はずす、装備しないと言われるところの爆撃の装置というものを装備することができるんじゃないか。  それからもう一点、これはお聞きして明らかになったところでございますけれどもF4Eファントムは空中給油を受けることができる、こういう答弁でございました。そうするならば、F4Eファントムの搭載爆弾の量あるいは飛行可能距離、こういうものが根本的に違ってくる。日本には給油機はないのだという御答弁もありましたけれども、共同作戦のような場合には、こうやってアメリカから来ることもできる。そういうふうなことであるので、私は、いま増田長官の善意を疑うわけでもございませんけれども、そういうふうな事実というものは、私、しろうとでさえもすぐそういうことに感づくのですから、外国の軍事専門家、そういう面につきまして、いま長官のとられているだけの方針で了解を与えることができるのかどうか、国際的脅威がないというふうなことを納得させることができるのかどうか、私は、その点に非常に疑問を持たざるを得ない。そういう面につきまして、昨日お聞きいたしましたけれども、事務当局の御答弁では、この問題について核心に触れた答弁はどなたもなさらない。他を顧みておっしゃるようなことだ。この点につきまして、国際的の問題でございますので、いまのやり方で、長官の考えていられることで戦術的に外国に了解が得られるのかどうか――何も了解をとるべきものじゃないでしょうけれども、得られるのかどうか、外国が了解するのかどうか、そういう点について大臣の所見を伺っておきたい。
  111. 増田甲子七

    増田国務大臣 華山さんにお答え申し上げます。  私は、国会においてお約束したことは必ず守るわけでございまして、爆撃装置というものは、現存しておる諸外国のF4Eファントムには存在しておりまするが、わが国でライセンス生産せんとするものに対しては、これを除去するわけでございます。そうしてあと爆弾なんかをつけた場合にどうするのかという質問も、衆議院の予算委員会その他でございましたが、爆弾をつける場合は、地上の支援をする、あるいは海上の支援をする――海上からわが国を進攻せんとする勢力に対して爆弾を投下する、あるいは地上にすでに侵略の実があがって一定の地域が占領されておるというようなものに対してこれを排除する、この場合の爆撃はできなくてはいけないと思っております。その爆撃はどうやってやるんだ。これはいわゆる目視装置でございまして、腰だめでやるわけでございます。これだけの作用は営み得るということはF4Eに対して期待をいたしております。ただ、しかしながら、空対地レーダーあるいはそれに相応する電子計算機、それに相応するコントロールボックスというものははずすわけでございますから、これは私あるいは総理大臣が国会において政府の政策として皆さまにお話を申し上げ、お約束を申し上げております、これはいたしません。将来につきましても、わが国の自衛関係の政策として、諸外国にございますF4Eよりは機能が爆撃については違ったものを備える、すなわち、要撃能力を向上することを主眼とする、こういうわけでございます。  空中給油をすればどこまでも行きはせぬかというようなお話もございまするが、空中給油機もございませんし、空中給油の訓練等もいたしておりませんし、それから、ベトナムなんかの爆撃はすでに停止されましたが、ベトナムの爆撃等をF4Eでしておるのは、たいてい、航空母艦から発進しておるわけでございまして、わが国を拠点としてどれくらい有効に働き得るかというと、中装備といたしまして四百五十海里の半径でございます。すなわち、七百二十キロでございまして、まず、進攻せんとする勢力がどこの国でございましょうとも、そこには脅威を与えない。ただ、侵略せんとする勢力がありと仮定いたしまして、その勢力から見て、日本を侵略しようとするときに都合が悪いというものまでは脅威とは私は見ておりません。これはやはり侵略せず、侮られず――侮られないだけの自衛力というものをわれわれは漸増させる必要がある。その線にぴたっと合っているのがF4ファントムの新しく日本で生産せんとするライセンス生産でございますということを御了解願いたいと思います。
  112. 華山親義

    ○華山委員 申し上げましたとおり、私はたびたびそのお話は聞いております。それですから、私は丁寧に増田長官のお考えは善意に解釈したいと思う。しかし増田長官、これからの世界というものはどう変わるかわからない。また、いつまでもいまの総理大臣や増田長官でない。その際にこの飛行機にそういう装置ができるんだ、空中給油もできるんだということであるならば、そういうことであるならば、私はこの採用によって外国に脅威を与えないとはいえない。とにかく部品を積み込めばいいんですから、空中給油もできるんですから……。そういう点について戦術的に、あるいはそういうふうな飛行機の知識において、ほんとうに外国に対しまして侵略の意図がないということの安心感を与えるかどうかということを私はお聞きしたわけなんです。しかし幾らお聞きいたしましても、長官はじめ事務当局からもこの点について明快な御答弁が得られない。残念です。国民はそれで納得させることができるかもしれない。国際的脅威という以上は国際的なものなんだ。国際的に安心感を与えられるかどうか非常に私は疑問なのでお聞きしているわけなんです。もうお聞きいたしましてもこれ以上の御答弁は、大臣からさえも得られないのでございますから、私はあきらめました。しかし、非常に私はこの点外国に対して脅威を与えるのではないかということを懸念します。  それからもう一度伺いますが、差しつかえがあるというならばお答えにならないで、あとでおっしゃってもいいと思うのでございますが、昨日お聞きしたのでございますが、物品会計の中でこれは詳細なものが国会に報告されておりません。飛行機の爆弾、投下される爆弾の量、これが出ておりません。しかし先ほど長官のおっしゃったとおり、F104Jその他の戦闘機にいたしましても、爆弾の装備は必要だ。一体いわゆる爆弾といいますか弾丸といいますか、それが何トンで、その中で投下爆弾は幾ら物品会計に載っているのか、これはどうも差しつかえるというならば私はあえて聞きませんが、教えていただきたい。
  113. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 四十二年度末の在庫を申し上げますが、これは弾薬一本でいきまして、現在弾薬が四十二年度末で八万トンございます。そのうちの爆弾というものが千三百トンございます。四十二年度末、四十三年三月三十一日現在の在庫でございます。
  114. 華山親義

    ○華山委員 いまあとでおっしゃったのが飛行機から落とされる投下爆弾でございますね。
  115. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 はい。
  116. 華山親義

    ○華山委員 では何か長官おっしゃることがなければこれで終わります。
  117. 田中武夫

    田中(武)委員長代理 いいですか、長官何かございませんね。  それでは楢崎弥之助君。
  118. 楢崎弥之助

    楢崎委員 時間が三十分しかありませんから、議論等は差し控えて、事実を確かめることにいたしたいと思います。  田中委員質問で大体F4E関係の問題について御答弁がありました。集約しますと、裸で一機約十六億だ、装備等をやれば約二十億、三次防の中のFX予算は一機十三億、六十機計七百八十億、そうするとファントムは約二十億ですから、その計算でいけば、機数が三十数機にしかならない。そこでつなぎのTXに予定されておる予算二百十億を転用して計九百九十億円にして五十機に満たないぐらいの数を三次防で確保したい、大体概括すると、そういうことであったと思いますが、よろしゅうございますね。
  119. 増田甲子七

    増田国務大臣 そうでございます。
  120. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで確かめますが、FXがF4Eに最終決定されたというわけですが、機種も変更しないというわけでありますけれども、三次防の中における予定生産数、生産計画をお伺いしたいと思います。
  121. 増田甲子七

    増田国務大臣 昭和四十六年末に二機をノックダウンとして獲得する、こういうことでございます。
  122. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは三次防では実際には二機だけしか獲得しないという計画ですか。さっきの御答弁と違いますが、五十機に満たない数を確保したいというお話でしたけれども……。
  123. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは予算化するものが七百八十億のうち八十八億を予定しております。それからTXのつなぎはなくていいということでございますから、二百十億のうち予算化するものが百四十億、これを予算化するわけでございますが、予算化いたしましても頭金を払うというようなわけでございまして、あるいはその他の初度調弁費というものがありまして、三次防は昭和四十六年度で終わるわけでございますから、結局実際の飛行機を獲得するのは、昭和四十八年ごろに五十機に満たない数を獲得する。それは国債と予算化したものとの、つまり百四十億と八十八億との合計二百二十八億の予算化と、それからそれを引いたもの六百九十二億に七十億を加えたもの、これが国庫債務負担行為としてメーカーその他に負担する、こういうことによって昭和四十八年ころには五十機に満たないファントム4を取得する、こういう予定でございます。
  124. 楢崎弥之助

    楢崎委員 新聞の報道するところによると、四十四年度に十機発注して二機獲得したい、四十六年度中に三十八機、合計四十八機を一応予定しておる、そういうことが発表になっておりましたが、違いますか。
  125. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 長官から、四十六年二機とお答えしましたのは、三次防中に入ってくる数字でございます。そのためには、四十四年度契約いたしたいということでございますが、われわれのいまの構想では、これはまだ財政当局と交渉が済んでおりませんけれども、四十四年度に十機程度契約いたしたい。その十機のうち、四十六年度中に二機入ってくる。さらにその次の年に八機入ってくるという構想を立てておる、こういうことであります。
  126. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ただいま私が申し上げた三次防中に四十八機という、構想でけっこうですが、そういう構想をお持ちですね。五十機に満たないというのはそういうことですね。
  127. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 四十四年度については、いま申し上げたような数字ですけれども、さらにそれだけでは足りませんので、四十六年度くらいに五十機足らずのものになるようなものをさらに契約いたしたいという構想を描いておるようなわけでございます。
  128. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると最終的にF4Eは、機数はどのくらいで何飛行隊くらいを考えておられるか。最終の構想でけっこうです。
  129. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 構想では百数十機程度をそろえたい。三次防、さらに次期防といいますか、そういう年度を頭に描きまして百数十機程度をそろえたい。飛行隊数にしまして五飛行隊前後のものをそろえたいという構想を描いております。
  130. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、つなぎのTXの予算は、三次防百四十億、国庫債務負担七十億、合計二百十億、それで何機を予定されておりますか。
  131. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 三次防で予定しておった数字はどうかということでございますか。
  132. 楢崎弥之助

    楢崎委員 TXの国産化までのつなぎのTXです。
  133. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 三次防で描いておりましたつなぎのTXは三十数機でございます。
  134. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、いまのTは何ですか。現在使用しているジェット練習機は何ですか。
  135. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 いろいろな機種がございますけれども、ごく初期はメンターといいますT34というのでやります。ジェット練習に入りましてT1というので練習いたします。その次にはT33という練習機で練習いたします。その次には、一線実用機にもなっております86Fを練習機にも使いまして、そして次の104にいくというのがパイロットの養成の過程でございまして、つなぎのTX、さらに現在国産を進めておりますTXは、いま申し上げました中で実用機である86Fを使っておりますが、そこの部分に入ってくる練習機の体系でございます。
  136. 楢崎弥之助

    楢崎委員 T33はロッキードですね。
  137. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 さようでございます。
  138. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、われわれの仄聞しておるところによりますと、つなぎのTXは一応T38に、ロッキードですね、内定したかに聞いておったのですが、そういう事実はありますか。
  139. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 T38はノースロップという会社だったと思いますけれども、それに内定したという事実はございません。
  140. 楢崎弥之助

    楢崎委員 きまりかけておったという事実はありますか。
  141. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 内部でいろいろ議論はございました。しかし、決定も内定もいたしておりません。議論としてはございました。
  142. 楢崎弥之助

    楢崎委員 つなぎのTXが不必要になった理由をひとつあげてください。
  143. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 国産のTX、国産を進めておりますが、これの開発が順調に進んでおるということが一つと、それから新機種に関連してつなぎのことも考えようということが三次防をきめたときの構想でございまして、これもさっき申し上げました三十数機も政府レベルではまだきまっておりませんで、大蔵省もつなぎを入れることを十分了解しておるところまでいかない程度の構想であります。それで新機種に関連してつなぎのことも考えようというのが数年前の三次防の決定のときのいきさつでございますけれども、ことしになりまして、新機種ファントムというふうに最近きまりました。その過程におきまして、ファントムは御承知のように複座機でございまして、後席、前席がございますが、後席を使えばパイロット養成にも役立つということが判明をいたしました。ある程度養成期間を過ぎましたパイロットをうしろの席に乗っけて練習いたしますと、前の席に移れるような――前の席のほうが本格的なパイロットでございますけれども、うしろの席で練習することも可能であるということがわかりました。ほかのミラージュであるとかCL1010ではできませんが、ファントムならそれができるということがわかりました。かたがたさっき申し上げました国産のTXを期待するというのが当然であるという、両方の理由でつなぎを入れることをやめよう、こういうことにしたわけでございます。
  144. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、F4Eの搭乗員の練習はどういう形でやるのか。
  145. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 練習体系としましては、先ほども申し上げましたメンターからT1、T33というのは従来どおりのことをやりまして、そこで現在86Fから104にいっておりますが、その最後の過程のところでF4の前席パイロットを養成をいたします。最初はこれはアメリカに委託しなければなりませんが、後席の者はT33までいきました者を乗せる。そうしてある期間練習いたしますと、前席パイロットにすることも可能である、こういうふうなことを将来考えるわけでございます。
  146. 楢崎弥之助

    楢崎委員 実に簡単につなぎのTXをあきらめられるわけですが、要らなくなったのだったらそれだけ三次防の予算を減らしてもらいたいというのが国民の願いであろうと思います。たまたまTXに予定しておった予算があるからそれをつけ加えてなんていうような、そういうふうに簡単にいくものであるか、これは議論になりますから私はやめます。いずれ予算委員会でやりますけれども、そういう危惧を私は持つわけです。  そうすると、結局、つなぎのTXというものはもう考えない、こういうことですね。国産化TXができるまで……。
  147. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 そのとおりでございます。
  148. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それははっきりしておりますね。えらい簡単に切り捨てられたようですが。ではつなぎのTXというものは全然考えずに、今後のTXは国産化を待つ、こういうことですね。  それでは次に移りますが、はだかの価格が十六億、装備して二十億、これはどこの試算ですか。
  149. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 防衛庁の試算でございます。
  150. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、相手方のマクダネル・ダグラス社はその金額を証明といいますか、コミットしておるのですか。
  151. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 私のほう、この春から秋にかけまして各関係会社、関係政府に必要な質問を出しまして、必要な資料をとりまして、それに基づいて試算をしております。そのほかに、十月十五日にプライムがきまりましたので、その三社と今度は会社ベースの検討もさせました。で、そういう各試算を持ち寄りましてわれわれのほうの試算価格を出しております。いま先生の御指摘の相手のダグラス社はどうだという問題でありますけれども、実は先ほど申しましたように、いまの三菱重工、川崎航空が相手会社と交渉しておりました段階では、まだ機種はきまっておりませんでした。それで、当然まだまだわれわれは相手方のダグラス社、またもう一つは国内のプライムメーカーとの価格交渉が残っております。その点の現在の詰めは行なっておりますけれども、一応いままでの各国なりあるいは一般の航空機を試算する場合の手法を使って、いまの試算になったわけでございます。
  152. 楢崎弥之助

    楢崎委員 先ほどの御答弁によりますと、メーカーの決定をされたのは十月十五日、正式に機種決定されたのは十一月一日ですね。  まず、正式に機種決定以前にメーカーの決定を急がれた理由を簡単にひとつ承っておきたい。
  153. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 第一点は、機種決定の要素としまして価格が大きな要素である。その場合に、われわれ防衛庁の役人としましては、できるだけのデータを集めて努力いたしますけれども、何と申しましても相当大きなプロジェクトで、やはりその専門のメーカーの意見をいれる必要があるという考えが第一点であります。  それからもう一つは、いままでは機種決定しましてから価格の問題に触れましたので、決定しますと、何と申しましても相手方は売り手市場に変わる。われわれとしましては、長官機種決定されるという腹をきめられた段階では、できるだけ早く相手方三社を相手にして買い手市場の立場をもって交渉したいということが一点でございます。  もう一つは、予算を組む段階で相当精度の高い予算を組むべきであるという、その三点から、機種決定の前に製造業者の決定をしたわけでございます。
  154. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、十五日に決定をして十月の十七日ですか、三菱重工と川崎航空に渡米を要請され、それらの点についてこまかい向こうとの打ち合わせなり調査を両社に要請された事実はございますか。
  155. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 要請と申しますか、当然プライムとしてはその作業をすべきであるということでございまして、向こうからの話もございまして、すぐにアメリカに飛び、また、フランスからは人を呼び寄せて交渉したわけでございます。
  156. 楢崎弥之助

    楢崎委員 その三菱重工、川崎航空両社は、何日にたって何日に帰ってきましたか。
  157. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 ちょっとこまかい日を覚えておりませんが、二十一日が月曜日でございますが、二十一日に向こうに着くように飛んでおります。すぐに参りたい予定だったのですが、向こうへの入国手続の関係で、二十一日の月曜日に向こうに参っております。それで、一応私のほうには機種決定のために必要だということでわれわれが強く言いましたので、土曜日にわれわれが特に必要としている問題への回答が参っております。帰ってまいりましたのは、たしか二十七日ぐらいだと思います。
  158. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると一週間ですね。その間に両社はマクダネル・ダグラス社と会って、そして確信を持った報告を行なっておるわけですか。
  159. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 日の限定もございましたが、報告では、ほとんど徹夜で、その行きましてから報告までの日を過ごしまして、二社の調査を終わったということでございます。
  160. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、現在の見積もり価格について、権威と申しますか、信憑性と申しますか、そういうものはおありですか。
  161. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 先ほど申しましたように、機種決定する前の交渉で、こまかい点の部品の生産の割合とかそういうことにつきましての交渉はできませんでした。向こう側でも機種決定を待ってその交渉はしたいということで、先ほど申しましたように、まだ今後ともそういう意味でのマクダネルと詰める問題もあります。また、われわれは詰めてきたメーカーの言い分を黙って聞くわけにいきませんので、その点も詰める問題が残っております。しかし、少なくともいままでの予算要求の場合に比べましては、相当精度を詰めた、高い信頼性を持っているというふうに考えております。
  162. 楢崎弥之助

    楢崎委員 時間がなくて残念なんですが、そうしますと、来年度には、予算要求としてはどういうものがF4Eに関連して出てくるわけでございましょうか。
  163. 佐々木達夫

    佐々木説明員 来年度予算要求につきましては、ただいま内部において作業中でございます。先ほど防衛局長からも話がありましたように、十機程度、装備局長から説明のありました詳細なる価格の算定等をやりまして、大蔵省に対して要求したいというふうに考えております。
  164. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、お伺いしたい点だけ先に進めます。  このファントムは非常に事故が多い。事故率についてお調べなさっていらっしゃいますか。――時間がかかるようですからずっと続けて質問を先に言っておきます。  事故率がどのくらいあるか、それがまず一つ。  それから、アメリカの国防総省は、事故率が非常に高いということについて、ファントム調査を、ファントム関係のあるダグラス社を省いて、ノースアメリカン、リパブリック、ゼネラル・ダイナミックス、ロッキード四社に――関係の会社を省いてです。関係のない会社四社にその調査を依頼し、その調査結果が出ておると思うのですが、発表できますか。
  165. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 ファントム事故につきましては、できるだけの調査はいたしました。戦闘機の事故率の詳しいといいますか正確な数字は国際的にあまり公にされていないのでございますけれども、まるめて傾向だけ申し上げますと、一般の戦闘機の事故率が十万時間十数件に対しまして、ファントム事故率は十に達しないという資料がございまして、その理由は、一般の戦闘機はたいていエンジンが一つでありますけれども、これはエンジンが二つありますので、全体の事故を起こす率は一般に低くなるということだと思います。そういうことで一般に技術的に調査しましても、普通の戦闘機よりは安全であるということが一つと、それから後半におっしゃいましたマクダネル・ダグラスだけを除いて四社についてそのことを調査さしたということについては、われわれ聞いておりません。
  166. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたのいまのお答えによりますと、双発だから事故が少ないと考える。それはあなたの単なる考えですね。私の調査したところによると事実は逆なので、最近の単発と双発の統計が出ておるのです。十万飛行時間をどちらもとって双発の場合と単発の場合のあれが出ております。双発、たとえばF4、F5、F111、これの十万飛行時間の平均の事故率は一四・五%、単発、たとえばF100、F102、F104、F105、F106は一二・〇という統計を私は調べておるのです。決して、双発だから安全性があるということにはなっていないのです。それではおたくの資料の根拠を示してください。
  167. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほど私がまるめた数字で申し上げましたのは、調査団が行きまして米空軍当局等に聞きましたときの資料でございます。そのときの私への報告説明で、エンジンが二つあるから一般に単発より安全であるという説明を受けました。ただエンジンが二つありますから、エンジンのトラブルそのものは多い。しかし大事故を起こすような率は逆に少ない、こういう資料に基づく説明でございました。
  168. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それは、調査団の報告によるということだけですね。その調査団は一体どういうデータでそういう結論を出したのかいまわからないと思いますから、これは別の機会に譲りたいと思います。しかし私が出しておる資料は、単発に比べて双発が必ずしも安全性があるとはデータの上からいっていえない。むしろ単発よりも双発のほうが事故率が高いというデータが出ておる。それからこの夏に国防総省が、ファントム事故が多いので調査を命じたという事実を御存じないならば、さっそく調べてください。その調査結果が出ておるはずです。というのは、エンジンが非常にとまりやすい。場合によると一基とまるどころか二基ともとまってしまう。特にそれが実戦の場合に、機体操作やあるいは機関砲を発射するなどの激しい動作を行なったときにそういう現象があらわれる、あるいは氷がつくような気象条件のときに雲の中を飛ぶとエンジンがとまりやすい、こういうことが出ておるのです。これはぜひひとつ御調査の上――きょうは時間がありませんから私は詳しいデータをここに出しませんけれども、そういう点でファントムというのは非常に安全性が危惧されておる。そういうことをひとつ考えておっていただきたいと思います。  それからF104Jの重量はどのくらいですか、それとF4Eの重量を比較してください。
  169. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 F104Jの重量は自重で約六・五トン、ファントムの場合は自重で約十四トンでございます。
  170. 楢崎弥之助

    楢崎委員 二倍以上ですね。そこで二、三年前に新田原にF104Jを入れるために、それまではF86Fを使っておったのですが、重量にたえかねるということで、滑走路の改修を行ない、その間F104Jは板付に移駐をいたしました。そこで現在F104Jを使っておる飛行場の滑走路は、大臣もおっしゃいましたけれども、当然F4の発着にたえない。滑走路の改修が行なわれなくては発着できないと思いますが、どうですか。
  171. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 確かにファントムのほうが重いので滑走路の改修を要する飛行場があると思います。センチで言いますと二十数センチの厚さが本来必要であるわけです。もっとも単に発着することができないというものではありませんで、ある程度の厚さがありませんとわりあい早目に滑走路が破壊されるということで、所要の厚さを計算するわけでございますが、現在F86F、F104Jを配置している飛行場にも相当な厚さを持っているところもあります。そういうところは改修は要しないでおけます。しかし二十センチ以下のところもございます。そういうところはファントムを配置する場合にはすぐ改修しなければ一日もおけないというような問題じゃありませんけれども、本来改修すべきものだと思います。
  172. 楢崎弥之助

    楢崎委員 もう一度確認しますが、二十四センチ以上あればいいわけですね。
  173. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 二十四だったかどうかははっきりいたしませんが、二十数センチ、その前後だったと思います。
  174. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは現在の自衛隊の基地で問題なく発着にたえ得る基地はどこどこですか。
  175. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 千歳が二十五センチ持っておりますのでだいじょうぶでございます。八戸も二十五センチでだいじょうぶでございます。小牧も三十五センチでだいじょうぶでございます。新田原も二十五センチでだいじょうぶだと思います。そのほかは必要な厚さを持っておりません。具体的に申し上げますと、松島、百里、浜松、小松、築城、こういったところは十数センチしかございませんので、将来ファントムを置けば改修を要する、こういうことになると思います。
  176. 楢崎弥之助

    楢崎委員 時間が参りましたので、F4のことは以上で一応は打ち切りますが、F4E百数十機採用ということになると金額的に約三千億になりますね。こういうことが一体予算上可能なのかどうか、あるいは必要だとしてつなぎのTX予算を計上しながら、それが私に言わせれば、突如としてF4Eがきまったから全然必要なくなったというような問題、あるいは事故率、安全性の問題、それから飛行場の改修に伴う費用等の問題きょうだけでもこれは非常にまだ懸案の事項が残っておるわけですね。そこで、当然これは来年度予算に十機分の発注予算を計上されるそうですから、予算委員会で以下は問題にしたいと思います。問題を残しておきます。  最後に、昨日残っておったのを一問だけ聞いておきます。法制局と外務省来ておられますね。  米軍の飛行機が九大とか小郡に墜落した。こういうときに、墜落された地元の土地所有権者の承諾なしに米軍はかってに無許可でその機体の撤収作業ができますか。これをお伺いしておきたいと思います。外務省と法制局どちらへも……。
  177. 真田秀夫

    ○真田説明員 お答えいたします。  一般論といたしまして、飛行機が落ちた場合であろうとも私人の所有地の中に無断で入ることは許されないことは当然でございます。これは一般論でございます。特に他に法令の定めがあればもちろんそれに従ってやれるわけでございますけれども、現在御指摘のような事案の場合に所有者に無断で他人の土地の中に入ってよろしいという法律はございませんので、権限行為としてそういうことをすることはできないわけでございます。これは一般論でございます。ただ具体的な事案、事案によりましては、それぞれ緊急避難のときとかいろいろなことがございましょうから、それに応じて考えなければならないと思う次第でございます。
  178. 東郷文彦

    ○東郷説明員 ただいま法制局真田部長から申されたとおりでございまして、具体的の場合に緊急避難ということもあり得るかと思います。現実には現場におけるわがほの警察当局その他と協力の上解決をはかるわけでございます。
  179. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなた、そういうことを聞いているのじゃないのです。法的な根拠がありますか。法制局でもいいのですが、緊急な場合そういうことはできるという法的な根拠はあるのですか。かってに撤去作業ができるという根拠です。
  180. 真田秀夫

    ○真田説明員 補足して申し上げますと、他人の土地、邸宅であれば刑法、田畑であれば軽犯罪法の規定がございまして、みだりに他人の土地に入れば犯罪になります。そういう意味でそういうことをやることができないのだというふうにお答えしたわけでございますが、なお緊急避難の場合には違法性が阻却されるという関係がございますので、違法な行為ではない、そういう趣旨でお答えしたわけでございます。
  181. 楢崎弥之助

    楢崎委員 緊急性がある場合にはそういうことができるという法的な根拠は何ですか。
  182. 真田秀夫

    ○真田説明員 それは刑法の三十七条でございます。
  183. 楢崎弥之助

    楢崎委員 刑法でいくのですか、根拠は。
  184. 真田秀夫

    ○真田説明員 先ほど申し上げましたように、一般論としては犯罪になる行為である。ただ違法性が阻却されるという意味合いでできるといえばできることであるというふうにお答えしたつもりでございます。正面からそういうことをやってよろしいという権限行為として書いてあるわけではございません。
  185. 楢崎弥之助

    楢崎委員 違法行為です。法的な根拠は何もない。その飛行機自体の所有権は米軍にあるかもしれないが、日本国民の土地等に落ちて、土地所有者の承諾なしにかってにそれの撤去作業をし得るなんという法的な根拠はどこにもありませんよ。ありますか。一般の刑法概念で違法性を阻却されるなんて、そういうあいまいなことでは、こういう国民権利義務関係を律することはできませんよ。
  186. 真田秀夫

    ○真田説明員 刑法の違法性阻却のつまり緊急避難の規定でございますが、これに該当する場合にはもちろん違法性がなくなる。こういう要件はなかなかきびしゅうございまして、他人または自己の生命、身体、財産の危害を避けるためにやむを得ない場合というふうにしぼってございますので、そういう場合にもできないということじゃこれまた困るというふうに考えるわけでございます。
  187. 楢崎弥之助

    楢崎委員 時間がありませんから多くを聞きません。  では、具体的例をあげます。今度小郡でジェット機が落ちた。補償交渉が成立しない前に、米軍は危険があると称して撤収作業を強行しだした。土地所有者はおこった。やめてくれという要望を現地でやった。こういう場合の日本国民のそういう個人の要求等を、窓口として米軍に交渉するところは一体どこですか。直接土地所有者が米軍とやるのですか。それとも外務省なんですか。東郷さんにお伺いいたします。
  188. 東郷文彦

    ○東郷説明員 そういう場合の補償の問題ということになりますれば、これは施設庁でございます。
  189. 楢崎弥之助

    楢崎委員 補償じゃない。撤収作業をかってにやっておるのをやめてくれ。現地で騒いだわけです。補償問題じゃないのです。だからいま私が申し上げたそういう種類の日本国民の要求をアメリカに向けて交渉するのは、個人でなくちゃいかぬのか、土地所有者、関係者でなければいけないのか、それともたとえば外務省なのか、どうなんですかと聞いておる。
  190. 東郷文彦

    ○東郷説明員 いまの例は緊急避難という事態に該当することだったと了解しておりますが、そういう場合にいま先生のおっしゃるような問題は、現場においてはわがほうの警察当局ということになると思います。それが外交的な問題になれば、むろんわれわれ外務省のほうに参るわけでございますが、現場におきましては直接には警察当局ということであろうと思います。
  191. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは議論はやめます。その違法性について、最終的に決定するのは、もし米軍が撤収作業を強行するような場合、それを拒否する、それは最終的には日本の裁判所で決定してよいわけですね、権限の問題について。最終的にはそういうことになるのですか。
  192. 東郷文彦

    ○東郷説明員 一応、具体的にどういう形で事が進展するかによっての問題だと思いますが、土地所有者のほうからこの問題が司法手続に訴えられれば、むろんこれは裁判所の問題でございます。あるいはそこまでいかなくして、場合によっては、ちょっと具体的によくわかりませんが、外交交渉ということもあり得ることかと存じます。
  193. 楢崎弥之助

    楢崎委員 じゃ具体的にちょっと例をあげて聞きますよ。いま九大の電算機センターに墜落ジェット機がそのままになっておりますね。それをたとえば米軍が撤収に来たときに、それを阻止する行為は違法ですか。
  194. 東郷文彦

    ○東郷説明員 単にその行為の違法性を阻却するような事情のない場合に来ることは地位協定も予想してないところでございますから、これは協定違反ということになります。
  195. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私はそうであろうと思いますね。米軍のほうが協定違反であろうと思いますね。だから、こういう問題は、いまおっしゃったとおり予想されていない問題だったと思うのです。それで、その点については有権的な解釈はないのですね、それをはっきりしておきたいと思います。よろしゅうございますね。
  196. 東郷文彦

    ○東郷説明員 これらの問題に関して、過去において合同委員会においてもお話があったと記憶しておりますが、いま申し上げましたように、特に緊急避難というような事情もなくして、わがほう現場の当局ともお話し合いもせず、直ちに実力行使に訴えるというようなことは、協定の予想していないところと考えております。
  197. 楢崎弥之助

    楢崎委員 以上で終わります。
  198. 田中武夫

    田中(武)委員長代理 午後二時三十分から再開することとし、この際休憩をいたします。     午後一時四十三分休憩      ────◇─────     午後二時三十四分開議
  199. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所要のため、指定により、私が委員長の職務を行ないます。  質疑を続行いたします。吉田賢一君。
  200. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 増田大臣にお伺い申したいのですが、防衛各般の問題につきましては、少し初歩的な質問で恐縮ですけれども、御答弁のほどをお願い申し上げます。  第一に伺いたいことは、憲法並びに条約、法律等によりまして、その原則とか制約などがせられておりますし、また幾多の国会論議等におきまして、国会なり政府の意思も明瞭になった点がだんだんございます。つきましては、これら一切を背景といたしましての基本的なわが国の平和と安全保障に対する防衛のその趣旨と限界、それから防衛庁のこれに対する防衛任務、こういうものにつきまして、ひとつ簡明に大臣の御所信を伺っておきたいのであります。
  201. 増田甲子七

    増田国務大臣 憲法九条下において、わが国は固有の白術権あり、こういう確信のもとにわれわれは防衛庁を設置し、自衛隊を設置し、これを訓練いたしておるわけでございます。しかしながら、あくまでも自衛の範囲を出ない、こういう制約が憲法九条から出てくる制約である。この制約を越えてはならない、こう考えておるものでございます。  簡単でございますけれども、以上が国防に関する基本方針でございます。お尋ねがあれば、また、国防会議決定にかかる昭和三十二年の国防に関する基本方針という閣議決定のことも申し上げたいと思っております。
  202. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 由来、日本ほど外交とか国防の問題につきまして国論が大きく割れておる国はないのではないかと思います。ことに日米安保条約をめぐりましては、これは明後年に選択が迫っております場合に、一方におきましては、長期固定化とかあるいは自動延長論、他方におきましては、廃棄もしくは中立論、こういった言うならば百八十度の意見の対立があることは、これはもうあまりにも公知の事実でございます。より高い判断を必要としまする、また政治の最高の意思決定の機関でありまする国会におきましても、このような論争が展開して尽きるところを知らないというのが現実でありますので、これは日本のためにも非常に不幸なことである、こういうふうな認識を私はいたしております。  こういうような認識のもとに、いかにして国民の常識を整理するか、そして国民共通の意識をどうして確立するか、かくして最も正しい認識と理解を求めるということはこの際緊要なことでないかと、こう思考しております。私は、幾多の論議もございましょうけれども、このような角度に立ちまして、堂々と国会が意思決定をしていくという方向に進んでいくことが議会政治の高度な運営でないかとさえ考えておる一人でございます。大臣の御所見いかがでございましょうか。
  203. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田先生のお説のとおりでございまして、国防並びに外交に関しては、その争いは水ぎわまで、国内では争いましても、国際関係まで争うということは望ましくない姿でございます。政党政治でございますから、各般の主義主張を掲げ、また、主義主張が違いまするから、それぞれの政党に分かれておるわけでございますが、しかし、国防と外交に関してはその争いは水ぎわまでにいたしたい、こういう考えでございます。  そこで、安全保障関係についてどういうふうに考えておるかということでございまするが、わが国の国防の基本体制は日米安保体制とともに――のもとという字はあまり使いたくないのであります。日米安保体制とともに日本の自主防衛の線を国力、国情に応じて漸増してまいる、これが政府、与党の基本的考えでございます。いろいろな御意見はこれから承りますが、吉田さんも究極においてはこれに御同調くださるのではないかと考えておる次第でございます。  そこで、防衛庁としても防衛庁のあらざるべからざるゆえん、自衛隊の存在理由等につきましてはPRする責任があると思っております。また、日米安保体制の必要性等もPRする責任があると思っております。私ども機会あるごとに一生懸命やっておりまするが、政府は御承知のとおり政党政治でございまして、この与党側におきまして日米安保体制が絶対に必要である、それから、日本の現在保有しておる自衛力くらいはみずからの国をみずからの手で守るために必要であるということのPRを一生懸命にやっておるつもりでございます。私は、何にも増して学生、生徒の諸君や青年の諸君等に話しかけておるのは、日米安保体制だけが世界に存在するただ一つの安保体制であると思っておる学生が相当多いのでございまして、青年も多いのでございます。一つの国に他の国の軍隊が駐留しておるということがないと思っておるらしいのですが、これはたくさんございます。国連憲章五十二条に基づいて、多くの国に多くの他国の軍隊が駐留しておって、共同防衛でその国の平和と安全を守っておるというのが第二次大戦後の姿でございまして、通例ある姿でございます。非同盟主義という、どことも共同安全保障の体制をとらないという国はきわめて少ないわけでございまして、それが日本の学生、生徒、青年諸君にはとかく間違えられて伝えられておるのでございまして、日米安保体制でアメリカの軍隊が日本におるというこの姿は、世界のユニークな姿であって、他の世界にはそういう姿はないのだというふうに誤解されておりますが、たいていの国は外国と安全保障条約を締結しております。そして、外国の軍隊が常時駐留しておる、それでその国の軍隊とともにその国を守っております。日本は、アメリカの軍隊と日本の自衛隊とで日本の平和と安全を守っておる、このことをぜひとも吉田先生に対する回答を通じて国民の皆さまにわかっていただきたい、こう思っておる次第でございます。日米安保体制はあまたの安保体制ある中の、その一つの安保体制である、このことの認識があれば国民の皆さまが血相を変えて廃棄論あるいは中立論などと言うことはないと思います。  平和と安全のない状態がどれくらい不幸な状態であるかということはもうわれわれは身にしみてわかったわけでございまして、ああいうような無政府的な状態に再びなって、あすの命もわからないという状態は困るということは国民の共通の意識でございます。この意識は、あるいは潜在意識であるかもしれませんし、顕在意識であるかもしれませんけれども、たとえば昭和二十年の八月九日から九月ごろまでに至る旧満州国の日本の移民の村の置かれたる状態というのが無政府状態でございまして、それから最後にはどこかの国から来て全部殺されてしまった。不安な状態がずっと続いた後に、とうとう不安な状態の極限である生命も失ってしまった、こういう状態が平和と安全のない状態でございます。こういう状態を歓迎するという人は国民の皆さまだれ一人ないと私は思うのでございます。でございますから、このことをぜひとも全国民に知らしてまいりたい。われわれの習った旧国家学の思想が古いのでございまして、主権というものは独立、唯一、絶対不可侵である。一兵といえども外国の軍隊がその領土におる間は、その国の主権は侵害されたものと見なければならないというのがわれわれの習った旧国家学でございます。ところが第二次大戦後においては、そういうことは言わないのでありまして、何ごとよりも平和と安全が最も大切である。  国家学やあるいは憲法論――これは比較憲法論でございますが、比較憲法論をいろいろ言っておるよりも、まず日本の平和と安全が保たれなくてはいけない、こういうわけでございまして、憲法九条もそういう意味合いからほんとうは設けられておるのでございます。憲法九条によって、日本はもう中立以外に手はないのである。非武装がいいのであるということを言う方もございますが、これは全然憲法を解せざるものでございます。ケロッグの不戦条約にはほとんど全部の国が加盟しておる。日本の憲法九条第一項は、ケロッグの不戦条約と内容は同じであります。しかるにもかかわらず、それぞれの国が相当の防備をしております。共同防備をしております。わが国の憲法九条から見ましても、共同防備は憲法の認めざるところであるということは間違いでございまして、憲法の認めるところである。そして中立論というのは名は美しくございますが、アフリカあるいは非同盟諸国等が多少ございますが、それぞれ国情によって非同盟をしているだけでございまして、日本のアジアに置かれた地位等は、同盟主義によって平和を守ることが一番国民のためである。あす死ぬかどうかわからぬというようなことでは、政府も国会も国民のしあわせを守る、しかしながら生命は守らないというようなことではとんでもないことでございまして、しあわせの根源は生命あるいは自由というものを守る。それから次には物質的の自由を守る。それから政治的な自由を守る、こういうようなことであると思っておりまするが、しあわせは守るけれども、生命は保障しないなどという国家にすることは絶対に無責任であって、相なってはならないという確信を、総理大臣、防衛庁長官増田甲子七、その他多くの指導者各位、国会の多くの指導者もそういう考えであると私は思っております。でございますから、安保廃棄とか中立論ということは、将来の見通しがないにもかかわらずそういうことを言われるのはどうかと思いまして、まず第一に考えるのは、国民の平和と安全を守る、このことについて責任観念がなくてはいけない、こういうことにつきましては、政府、与党はひとしく同じ考えを持っております。吉田さんの属する民社党も同じ考えであると思いますし、社会党も同じ考えであると思いまするし、公明党も共産党も同じ考えである、またありたい、こう願っておるものでございます。
  204. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで第二は、日本国の平和と安全、これに対する防衛、この線におきましては、おそらくは絶対多数の人がこれは当然である、何ら異議を差しはさむべきではない、こういうふうに私は考えもし、そう信じておるものと思います。  そこでまた一方、最近の世界的な傾向といたしましては、ヨーロッパのチェコ事件にあらわれました政治的な一種の権力独裁的な傾向、あるいはまたチェコを含めまして、日本の国内にいま随所に乱発しておりまする一種の物理的な暴力の横行、こういう権力独裁的傾向とか物理的暴力とかいうものが支配するという傾に対しましては深く憂慮し、これがまた平和と安全を脅かす一つの根源につながっていくのではないであろうか、こうも考える一人でございます。  つきましては、この国の平和と安全のための防衛、そのために存在するいまの防衛庁であります。したがって、自衛隊廃止論なんてこれは一つのたわけた空想にすぎない、こういう認識を持っておる一人でございますので、こういう角度からいたしまして、防衛庁のただいま幾多の自衛隊職員もしくは将来入ってくる隊員に対する教育の問題、これは非常に大事な基本的な問題の一つでないかと私は考えておるのでございますが、一般には、学校につきましては初等ないしは大学等に至りますまで、教育基本法、学校教育法その他の幾多の法制がほとんど整備されております。そこで、防衛庁関係の教育の基本理念は一体何であるのか、教育の原理は一体何に求めておるのであろうか、求むべき人間像とは一体何なのか、こういう面をひとつ率直に明らかにしておいていただきたい。  いろいろな資料その他御説明等によりまして、いろいろな学校その他教育団、その他防衛大学校等の施設のあること、並びに幾多の技術的な研究、訓練をなさっておること、これもよくわかるのでございますけれども、もっと突っ込んで、基本的な人間形成をどういうような原理によってこれをつくっていこう、養成していこうというのであろうか、そういうねらいがあるのかないのか、この教育の基本理念、教育の原理的な方面について、ひとつ明らかにしておいていただきたいのでございます。
  205. 増田甲子七

    増田国務大臣 基本的なことは私がお答えしまして、あと細目につきましては人事教育局長から補足説明申し上げさせます。  自衛隊法第三条に「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」このことを私は自衛官に徹底さしておるわけでございます。そこで、よく祖国という字がないじゃないかということをおっしゃいますけれども、旧憲法時代でも祖国という字はございません。結局わが国といえばこれは必要にして十分である、わが日本国の独立と平和を守るために直接、間接の侵略に対処する、そのために存在しておるのである、この重要なる使命感を持て、このことを、私は至るところの部隊へ参りましたが、どこでも自衛隊法第三条には祖国という字が書いてあるんだ、わが国の平和と独立を守るために、侵略に対して防衛をする、そういう貴重なる任務に従事しているのが君たちである、その使命感に徹底しなくてはいけない、しかし独善的であってはいけませんから、国民だれか国を愛せざる者はないわけでありますから、自衛官のみがというような独善的であってはいけませんが、しかしやはり陣頭に立ちまして、直接、間接の侵略があったときにこれに対処して防衛をするという、とうとい、重い任務に従事しておるのである、わが国という字は祖国という字にかわって法律にうたわれておるのであるということを、私は強調いたしております。  その他、法第五十二条その他の関係は、人事教育局長から付加的な説明を申し上げます。
  206. 麻生茂

    ○麻生説明員 ただいま大臣から御説明いたしましたように、自衛隊はわが国の平和と独立を守り、その安全を保つために直接及び間接の侵略に対してわが国を防衛するという任務を持っておるわけであります。そこで、そのわが国というのは、もちろん現行の憲法に基づいて規定されておりますところのわが国であるわけでございまして、現行憲法を貫くところの理念はやはり民主主義の理念であろうと思います。したがいまして、民主主義を基調といたしましたところのわが国の平和と独立を守る自衛隊であるという、自衛隊に対する使命感を確立するということが必要ではないか、こう思うのでございます。それが使命教育でございます。それからもう一つは、やはり自衛隊は個々の隊員からなっておるわけであります。したがいまして、個々の隊員が自覚ある人間としてわが国の防衛に参加をするという態勢においてこれを見ていくということが必要であると思います。そこに隊員の自主、自律の精神というものが私は必要じゃないか、こう思います。  これを法規的に先ほど大臣から言及されました自衛隊法第五十一条について申し上げますと、自衛隊法第五十二条におきましては、隊員の服務の本旨ということが書いてございます。これをいま読んでみますと、「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを期するものとする。」というふうに規定をしておるわけでございまして、これらのいろいろな使命あるいは徳目が書かれておるわけでございますが、これらを十二分に達成する、これらをみずからの人格の中に具現するというように教育訓練していくというものがやはり教育の本義であるように思うわけでございます。  この五十二条の規定は、これは法文の規定でございますが、さらにこれを教育上の参考にするために「自衛官の心がまえ」というものをつくっております。昭和三十六年の六月に「自衛官の心がまえ」というものをつくりまして、これを自衛官の精神教育上の一つの参考としておるわけでございます。そこで特に掲げておりますところの項目は、使命の自覚、個人の充実、責任の遂行、規律の厳守、団結の強化、こういう五つの項目を掲げまして、これらを達成するように常住座臥あるいは日常の訓練というものを通じまして教育訓練をやっておるわけでございます。  なお、近代的な科学の発達した現在におきましては、装備の近代化というものが急速に進んでおります。したがいまして、個々の隊員の科学的な素養あるいは高度の技術を利用するところの能力というものがどうしても必要になるわけでございまして、こうした科学面におけるところの知識あるいは能力を向上するということに特にまた重点を置いてきておるわけであります。また、さらに新しい戦略、戦術というものが第二次大戦後非常な変化を来たしております。したがいまして、新しい諸情勢に応じますところの戦略ないし戦術というものに対して弾力的に処置できるような一つの頭を養成する、一つの既成概念にとらわれず弾力的に柔軟に事態に対処できるような頭を養成するということが幹部においては重要なことであります。幹部におきましては、特にこうした点に重点を注ぎまして教育をやっておるわけであります。さらにまた、自衛隊は多くの隊員を統率していくわけであります。したがいまして、上に立つ者におきましては、もちろんその知力におきましても、また意志力におきましても、あるいは気力におきましても、また体力におきましてもすぐれた者でなければならぬわけでありまして、そうしたリーダーシップを持った指導者の養成ということに眼目を置いて教育に当たってきておるわけであります。
  207. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、基本的な体制につきましてはよくわかりますが、ただ今後自衛隊が逐次増強充実されていくという趨勢も予測されてまいりますときに、自衛隊における国の財政負担が相当加重していくということ、これも見やすい道理でございます。したがいまして、国家財政との関連におきまして一種の経済的経理、そういった考え方をもっと突っ込んでいくことも半面必要ではないであろうか。必ずここに将来の国民的な大きな問題が提起される契機が生じてまいります。自衛隊の負担に国民は耐えぬ、こういう問題が将来起こってきまするので、それもこれも考えまして、運営の上で、装備の面で、あらゆる角度から、やはり学校教育のいずれかの課程におきまして、もしくは研究課程におきまして、その方面を十分に検討せられて、身につけて、幹部であるといなとを問わず、昔の軍隊にない、いまの自衛隊の立場を十分に実践していかれるように、そういう教育の面、研究の面はぜひとも織りこんでいくべきである、とこう私は考えます。これは御希望として申し上げまして、しかるべき検討の上実現せられんことを強く御要望申し上げておきます。時間の関係もありますから進みます。  第三点に伺いたいのは、防衛庁の装備品の調達、この最近の傾向は国産化依存が次第に増加してまいりました。表によって見ましても、四十一年の三月末現在におきましては、陸上、海上、航空自衛隊合わせまして、装甲車、航空機、自衛艦、支援船その他戦闘機等々は、現有数に占める国産比率は最低が四〇%、ないしは七五%まで上がっております。この傾向は次第に高まりつつあるようであります。したがってこの国産化の現況という問題はまた新しく論議をしていくべき対象になるのではないであろうか、こういうふうに思うのであります。  そこで簡単に要点だけを伺っておきたいのでありまするが、このような状況にかんがみまして、国産化によってどういう効果が期待されるのであろうか、国産化効果という面、これをひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  208. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 防衛庁の装備品につきましては、将来の防衛を考えまして、やはり国内生産が重要であるということはもう根本問題でございますが、いま御質問の現在の効果でございますけれども、第一点は国内のそういう装備品の補給維持のために必要である。特に、補給はもちろんございますけれども、故障した場合の故障の原因の究明なりあるいは将来の対策なり、そういう問題につきましては非常に大きな効果といいますか、必要性を持っておるというふうに第一点考えられます。  第二点の、一般的に波及効果ということばがいわれておりますけれども、それは各品物によって多少あると思いますけれども、大体防衛庁が扱います装備品は何と申しましても最も必要な最高の技術を使う必要がある。そういう意味で新しい技術への引き上げる力と申しますか、それが非常に大きいというふうに考えております。
  209. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国産化の結果次第に高度化してまいりますと、たとえば電子諸種機械であるとか各般の開発の傾向が助長してまいるというと、あるいはまた貿易は相当これは寄与するところがあったと思いますが、こういった面につきましても、聞くところによりますと、スカンジナビアあたりにも輸出しておる国があるといわれるのですが、日本におきましても貿易関係に寄与するところは将来どうなんだろうか、こういうことも考えられるのでありまするが、こういう新しい科学面あるいは貿易面についての寄与は実際に相当あるものでしょうか。それほどのものではないのですか。
  210. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 たとえば飛行機にとってみますれば、当然機体、エンジンあるいは搭載します電子機器、現在の電子計算機の最も進んだものをいつもコンパクトにつくるわけでありますが、そうしたものへの効果は非常に大きいと思います。ただいま日本でつくった場合の効果につきましてはこまかい問題についても調査いたしておりますけれども、一般的に申しまして、現在の電子機器あるいは機械工業あるいはそのもとになります金属工業、そういうものはやはり第二次大戦のあるいはその後の世界の防衛産業が開発してそれが世界の産業となっていまの一般の国民生活の基礎になっているというふうに考えますれば、その効果は大きいと思います。  第二点の輸出問題でございますけれども、現在の日本の国策からいって、現在外務省なり通産省ではこういうふうな武器系統の装備品の輸出はフリーには認めておりませんので、その面での直接の効果は出てまいっておりません。
  211. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで一方国産化の問題になりますと、聞くところによりますと、アメリカにおきましては兵器産業は言うならば同国の花形産業である、その量産の量におきましても技術水準におきましても日本とは全くけた違いで問題にあらず、こういうふうなことを聞くのでございます。将来の技術の向上のために、技術開発のために必要なりという別の観点はございますけれども、現状におきましては以上のように聞くのでございます。そういたしますと、装備品の国産化という本のは、その選定の基準は、相当局い視野から、もしくは長期的に、もしくは国内財政等をにらみ合わせて、等々いろんな角度から考えて結論を出していくようにしなければならぬのではないだろうか、こう考えるのでございまするが、いまのところ防衛庁といたしましては、調達にあたりましての国産依存、国産選定、その基準というものはどういうものを立てておられるでしょうか。
  212. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 もちろん国産のできますものは国産品を調達いたします。国産できないものにいたしましても、現在国産をいたすべく開発研究をいたしております。それが現実に装備品となる場合には調達いたしたいと考えます。現在国産ができません、特に技術的に申しましてできませんもの、たとえば航空機なり電子機の一部につきましては、その技術をできるだけ導入して、確かにそのものずばりを買うよりも国内でつくりますとライセンス生産で多少は高くはなりますけれども、その技術を早く導入して、早くマスターして自分でつくるという体制をつくるために進めたい。やむを得ないものは、どうしても財政上から申しましても、あるいは技術面から見ましても、特に数量面から見まして国産化になじまないというものにつきましてはやむを得ず輸入するという考えで、装備品の性能を維持しながら、できる限り国産の方向へ向かいたいというふうに考えております。
  213. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この十一月一日でありましたか、閣議決定できまりました例のFXファントム4でありますか、この機種決定をめぐりまして幾多の論議があるわけでございますが、聞くところによりますと、日本におきましてはこれは一機二十億円、アメリカにおきましては一機十一億円なり、こういうことがいわれるのでございますが、こういう価格だけをとってみますと、何か国民は異様な感じを受けたりするのであります。もっともこれはそういう面からだけ扱うべきものでない、またそうでないことがこの国産化問題とのつながりにおきまして、幾多の問題を考えていく上におきまして重要であることは申すまでもございませんが、こういった面から考えてみましても、さらに相当まだ考えるべき余地があるのであろうか。もしくはないのであろうか。何かそこに割り切れぬものが残っては、これは国民のためにいかがかこう思いますので、その辺についてずばっと経済的もしくは将来の国産化推進等の政策的見地などから、この面に対する御所見を明らかにしておきたいと思うのです。
  214. 蒲谷友芳

    蒲谷説明員 ただいまのF4Eの数字でございますけれども、少し比較が違っております。先生のおっしゃった輸入する場合には十一億、その十一億という数字も私たちの試算ではもう少し高いと思います。それから、それは大体裸の数字でございまして、国産すれば二十億というのは、これは予備部品を含めました数字を先生おっしゃっております。大体われわれは先生おっしゃった十一億に対応するものをいま十六億円台というふうに考えております。それでその十一億もわれわれの試算ではもう少し高いのではないか。現在こまかい数字を試算をしておりますけれども、私のいままでの試算ではだいぶ数字が違うように考えます。  そこで、根本の問題でございますから大臣がお答えすることかと存じますが、あまりにも輸入する場合と国産する場合の価格が違う場合、それは逆に申しましてあまりにも技術格差が大きいということだと思いますが、そういう場合にはやはり財政事情、日本の技術を考えまして、体質に応じた、しかも一歩前進するというかっこうでものを考えるべきだと思います。しかし国防の問題だけでございませんで、たとえば私の個人的な意見で失礼でございますけれども、安いからというだけで物を買っておったのだったら、日本の鉄鋼業はなかった、日本の機械工業はなかった、日本の化学工業はなかったというふうに考えます。やはり技術の低い場合には、多少の技術勉強料を払って勉強するということが必要ではないかというふうに考えております。
  215. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこでこれは計画といたしましては、三次防で終わるものではありますまい。第四次、五次と次第に所要装備品も増大していくことは必至であろうと考えます。したがってまた技術水準にいたしましても、一そう高くなっていくのでございましょう。こういうことをあれこれ考えてみまするときに、日本にあらずして、米ソを中心といたしまして東西両陣営とも同じように高度な技術開発というものが一そう激しくなっていくのであろうと思います。したがいまして、防衛費は現在考えておりまするよりも――いまの大体の予算としましては、三次防で二兆三千四百億円ですか、二百五十億の上限、下限をつくっておるようでありますが、この際はさらに研究開発につきましても、各国に劣らないということを一面どうしてもする必要があるのではないだろうか。この統計なんかを見てみますと、三十八年度の米ソ独仏なんかは、米が六兆二千余億円ですか、ソが一兆八千億円余り、日本が三千二百余億円、こういう数字が出ているようであります。これは現在もっとふえておると思いますけれども、いずれにいたしましても、開発するというのならばこういった面につきましても相当予算を重視して、投資的な計画を立てていってしかるべきではないか、こうも考えられます。これはあとでお尋ねしたいと思いますけれども、いまの三次防の予算から見ましても、国民一人当たりざっと概算すると二万三千円ばかり負担していくということになるのでありまするから、より効率的な数字の結論を出していくような研究開発も必要ではないであろうか、こういうふうに考えるのであります。いまの国産化をめぐりまして、やはりこの方面から一そう精緻な研究を遂げまして、所期の目的に向かって進んでいくようにせられたいと私は希望するのでありますがいかがでございましょうか。
  216. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 答弁要りませんね。
  217. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 よろしゅうございます。
  218. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 もう予定の時間がたくさんありませんから……。
  219. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それじゃできるだけ簡単にいたしますから、そのおつもりで御答弁願います。  第四といたしましては、防衛庁における例のPPBSの導入について伺ってみたいのであります。これは皆さんは専門的な御研究のはずでありますが、アメリカの国防省におきましては、すでに六十一年度からマクナマラのもとにおいて実施しておるはずでございます。防衛庁といたしましては、かなり世界的な防衛計画、趨勢調査研究開発の実情等の情報もとっておいでになるはずでありまするが、防衛庁はすでに相当研究をしておられるのではないであろうか。防衛庁の職員の一人もある著書を出しておられるようでありまするが、いかがでございましょう。相当これは成果があがりまして、あるいは具体的にあるもので導入実施、こういうところまでいきつつあるのではないか、こう思うのでありますが、この点はいかがでございましょうか。
  220. 中井亮一

    ○中井説明員 お答えいたします。  御承知のとおり一九六一年にマクナマラ前国防長官が国防省に採用をした管理手法がPPBSでございますが、これにつきましては防衛庁でも個人的には研究をし、調査をしていた人たちがいるわけでありますけれども、組織的には、私が六月に長官からPPBSに関することを研究するように特命をされまして、庁内のいろいろと研究をしておられる人たちと、おもに現在までにアメリカの国防省がやってきたPPBSの経緯、それから現状というようなものの調査を続けているという段階でございます。  わかりやすくそのうちの一部だけ申し上げますと、主としてアメリカにおいて成果をあげつつあると私どもが知っておりますことは、核戦略をどのようにやるのが一番いいかというようなことに最初の重点が指向されていたように見受けられまして、現在一般兵力目的といいますか、そういうようなところにつきましてはまだまだ十分な研究も至っていないというふうにも聞いておりますので、私どもでもその辺についていま現在調査を続けている段階でございます。
  221. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 アメリカにおきましてはすでに大統領も各省庁に向かって指令を出しまして、全面採用への機運というようになりつつあるのは御承知のとおりであります。わが国におきましても、私どもはやはり防衛庁におきましては、たとえばこのたびの機種の選定にいたしましても、機種の選定についての意思決定などについては、それはスピードにしましても、あるいは爆弾の搭載量にいたしましても、あるいはその他のあらゆる性能にいたしましても、比較検討というようなものはいろいろな正確な資料が前もってあるのではないだろうか。こういう面、さらにまた実際のこの装備につきましては、これは相手のあることでありますから相手の兵器とかあるいはその他の動きに対しまして、その開発、その状態等に適応いたしましてこれに即応体制で臨む必要があるのではないだろうか。こういうようなことを考えますと、PPBSの導入ということが最もすみやかに、また最も効果が顕著に具体的にあらわれていくのが防衛庁予算のいろいろな面にあるのではないだろうか、こういうふうに考えるのであります。でありまするので、せっかく各省ともPPBSの予算要求もしておるのであることが一つ、また防衛庁にいたしましても、ちょっと調べてみましたら、防衛庁予算を見まするというと、四十一年度には三千四百五十億、四十二年度三千八百七十億、三年には四千二百二十億、四十四年には約四千五百億の予算要求ということになっておるようでございます。こういったことでございまするので、大切な国民の血税でありまするから、一円たりとも真に価値がありますように効果があるように使うということにぜひともこれは格段の努力、御検討をせられて、できるだけ早い機会に最も綿密な、公平な、周到な用意のもとにあらゆる資料を整備されまして、そしてでき得る範囲に導入していくようにせられんことを御希望申し上げたいのでありますが、いかがでございましょう。
  222. 中井亮一

    ○中井説明員 お答えいたします。  ただいまお話のございました点でございますが、アメリカの大統領のいま現在下命をして各予算関係についてやっておりますところは、先生承知と思いますが、ことしの四月に出されました通達を拝見いたしますと、全省庁にまではまだ至っていない。十ほどの省庁にいま試験的にやらせる段階だというふうな通達が出ているわけでございます。防衛庁自身につきましては、先ほどのPPBSに際しての意思決定の手法としてシステムアナリシスというのを使うわけでありますけれども、これはオペレーションズリサーチと従来呼んでいたものから派生してきたもう少し組織的なものの定量分析をする性質のものでございまして、先ほどお話のありましたFX関係した機種決定に際しましては、オペレーションズリサーチはやっているというふうになっておりますが、いまのシステムアナリシスというところまでは至っていないというふうになっておりますので、御了解いただきたいと思います。もちろん予算の効率使用ということをねらいにしてこのシステム、管理手法というものはできておりますので、今後この方向に向かって努力をするようにしてまいりたい、こう考えております。
  223. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 吉田君、もう時間です。
  224. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ごく簡単にしておきます。  第五に、去る十月の二十日に防衛庁に対しまして暴力の乱入事件がございました。これは何でもないようなふうに見る人がありますけれども、私も昨日現場に参りましてそのあとを見てまいりました。隣に電話交換手がおり、その他幾多の重要設備のある場所でございます。そういうところに夜多数闖入いたしまして、そして落書きをして器物をこわし、そこらをゆがめたりひっくり返したり何かしていくような日本人がおるということはとんでもないことでございます。暴力が最も重要な、言うならばこれは神経系統の中枢部であります。こういう脳神経の中枢部で、一たび電話などが何かをぶつけられてこわれてしまったならば、おそらくあちらこちらに号令、命令はできないだろうと思うのです。こんなことがもし日本の、たとえば発電所なんかに起きましたならば、東京都はまっ暗になるというようなことをあれこれ考えますと、私は暴力等に対しましては最も厳固たる態度をもって臨むというくらいな気魄がなければ、今後平和と安全を確保する防衛の任務遂行ということは不可能である、こうも考えておるのですが、大臣どうです。
  225. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田先輩のおっしゃることは重々ごもっともでございまして、十月二十日に、たとえ十五分間といえども乱暴な学生に占拠されたということは、心から遺憾の意を表する次第でございます。十月二十一日にはこれまたたいへんな乱暴が行なわれましたが、防衛庁の警備と警察機動隊の警備と相まちまして、占拠されるというところまではまいらなかったのでございます。しかしながら、将来やはり防衛庁というものは警察機動隊の本部というようなものよりはもっと機動的に動かなければならないという前提のもとに、諸般の訓練をしておるわけでございます。また防衛出動等の場合もあり得るわけでございまして、そのときの中枢は防衛庁自身でございまするから、防衛庁の庁舎等の警備が一般官庁並みの警備では国民の期待にはなはだしく反するわけでございまして、国民が非常に無力感を味わったのではないか。その点で私は吉田先輩に対して、申しわけないということを最初申し上げたわけでございます。  二十六日以後は、各師団司令あるいは方面総監部等と同様の警備を実施いたしておるわけでございます。すなわち、私をはじめユニフォームもおりまするし、シビリアンもおりますけれども、いずれも防衛行政をやると同時に防衛それ自身の行動をとるための訓練をし、一たん事があるときには各般の出動をする。そのときの司令所が防衛庁でございますから、師団司令部あるいは方面総監部以下の警備であってはいけない。少なくとも同等の警備であるべきであるということで、訓令をつくりまして、自来防衛庁内は師団司令部あるいは方面総監部と同様に、自衛官をもって警備をさしておる次第でございます。
  226. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これで終わりますが、ちょっと資料の要求だけしておきます。  四十一年度調査委託費というものが出ております。この資料を委員会にあてまして出しておいてくださいませんか。  各国における防衛費節約と効率化に関する研究、これを金融財政事情研究会に対して、第二は、軍事科学技術に関する世界情勢の調査研究、これは日本兵器工業会に対して、第三は、国防計画予算策定の企画、実行計画、システム分析、費用有効度調査等、方式の総合的研究、野村総合研究所に対して出しております。これはしかるべくみな補助金が出ておるわけでございます。これはどのような効果があったであろうか、その成果の状況等につきまして、資料として当委員会に提出方御要望申し上げておきます。  しかるべくお取り計らい願っておきます。
  227. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 差しつかえありませんか。――差しつかえなければよろしゅうございます。  鈴切康雄君。
  228. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 われわれが常に心配をしていた問題が、沖繩嘉手納基地B52戦略爆撃機が大爆発をするという事故となってあらわれましたけれども、そもそも本年の二月の初めにB52がグアム島から沖繩基地に何のために移駐されたか、まずお伺いいたします。
  229. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 アメリカ空軍の問題でございまして、われわれ正確にはお答えする立場でもございませんので、推測でございますけれども、おそらくベトナムの戦争に関連して移駐等が行なわれているということが推測はできます。
  230. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、沖繩基地にいるB52は常駐であるか、一時的な移駐であるか、その点についてお伺いします。
  231. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 その点も正確にはわかりません。ただ私が外務省等から聞いている限りでは、常駐ではございませんで、一時的な配置であるということだと思います。
  232. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 従来はグアム島から北爆をしていたのを、極東情勢の、あなたが言うベトナムの緊迫ということから、B52が移駐をされたというようなお話でありますけれども、現在においては、B52が移駐をされるに必要な、要するにベトナムの緊迫感というものについて、あなたはどのように判断されますか。
  233. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 ごく最近といいますと、北爆も停止されておりますし、幸いなことに和平の徴候も見出されていると思います。しかし移駐がありましたのはことしの初めごろでございますので、例のジョンソン声明は三月末でございまして、それ以前でございます。そういった時期に移駐があったということは、従来からのアメリカの戦略で、B52はもともと核を積んだ戦略部隊に属しておったわけですけれども、ベトナム戦等のために通常爆弾を搭載し得るようなものに変えているというふうなこともありましたし、そういったことから、ことしの初めにはベトナム戦に関連して駐留が行なわれたというふうに申し上げたわけであります。現在では幸いにベトナム戦もだんだん和平の徴候が見えてまいりましたので、半年前よりは次第にアメリカの戦略も少しずつは変わってきておるのじゃないかという感じはいたします。
  234. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ジョンソンが北爆の停止声明を行なって現在和平を交渉されておりますこの時点において、いまなお政府としてはあの沖繩基地B52を移駐をしていなければいけない、そのようにあなたは判断されて、いまそのようなことを言っておられるのかどうかという問題ですがね。
  235. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 アメリカの戦略のことでございますので、すべて推測でございますけれども、ベトナム戦が最近の焦点でございますけれども、アメリカの立場から見ますと、ベトナム以外の極東情勢全般ということを考えて、たとえばプエブロ事件がありました朝鮮半島というようなことも考えまして、沖繩にあるいはグアム島に爆撃機を配置するという必要は感じておるということではないかと思います。
  236. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま沖繩B52が移駐されて、このたびはこのような状態の大爆発が起こったわけでありますけれども、はたしてあなたのいまその考えから、沖繩にこのように、ベトナムのほうももうすでに平和交渉が進んでおる時点において、あなた自体がどうしてもB52が沖繩に移駐をしなければならないということの判断に立っておられるかどうか、こういうことをもう一度お聞きします。
  237. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 沖繩というのは、前々から一般にいわれておりますように、極東における米軍の基地、特に全般の基地はたくさんございますけれども、そのキーストーン、かなめ石である。かなめとなる基地であるというようにいわれております。これはいま申し上げたように、ベトナムを含み、その他極東全般の平和と安全のためにそういう基地を維持するということにアメリカは考えておる。またわれわれもそれがしかるべきことであるという感じはいたします。その一つとして爆撃機も配置されておる、こういうことだと思います。
  238. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 二月の時点においてあなたが考えられたその時点と現在とは、大きな国際情勢の変化があるわけであります。二月に移駐したときには確かにB52がそのように移駐をしてきた理由はわかるわけでありますけれども、現在においてはたして沖繩に移駐をしておく必要があるかどうか。もうすでに国際情勢の大きな変革というものは、いまのあなたの通り一ぺんのことばではどうにもならないものがあるのではないか、そのように私は思うのですが、その点について……。
  239. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 繰り返すようでございますけれども、ベトナムも確かに和平の徴候が幸いにして見えてまいりましたけれども、これは相手のあることでもありますし、現在いわばまだ火が完全にとまっていない状況でございます。米軍としてはやはりそういう状況も見、かつ極東全体の戦略体制から見まして、現在でも配置することが必要である、こう考えていることだとわれわれも推測するわけでございます。
  240. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それはどこまでも米側のほうの考え方であって、いま私が聞いているのは防衛庁としての立場を聞いているわけなんです。防衛庁としては、もう時点が、あなたがおっしゃった時点から大きく違ってきているというふうな状態であるならば、またそれだけ国際情勢の緊迫を感じないのならば、私は、当然B52の撤去をアメリカのほうに要求すべきではないか、そのように思うのですが、その点について。
  241. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 私は一応情報として得られるところがら判断しまして、アメリカの戦略を推測して申し上げたわけでございますけれども、いまお尋ねの防衛庁としてどうかということになりますと、これは所管でいえばやはり外務省の問題でございますし、かりにそういう撤去の要請をするということでございましたら、政府が判断されて外交ルートでお始めになるということで、防衛庁として云々する事柄ではないように感ずるわけでございます。
  242. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 B52は戦略爆撃機でございますけれども、現在沖繩に来ているB52はどういう装備をしていますか。
  243. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほどもちょっと申し上げましたように、B52はアメリカの戦略部隊に所属しているのが本来の姿でございますけれども、沖繩に来ておりますのは改装いたしまして、通常爆弾を搭載し得るように改装されたものが来ているというふうに聞いております。
  244. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 核は全然積んでいないというようにあなたはおっしゃるのですか。それとも核を積んでいないという保証があるかどうか。何をもって積んでいないという、その点についてひとつ……。
  245. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 核の問題ですと、沖繩に来ているB52には核は積んでいないというふうにわれわれは判断をいたします。と申しますのは、まず米軍当局がそう発表しているというふうに聞いております。それからアメリカの国防省当局もベトナム戦では核を使わないということをたびたび言明をいたしております、そういうところ。それからB52のいろいろなタイプがございますけれども、来ているのは核を積まないタイプの爆撃機である、B52の中のそういうタイプであるというふうに聞いております。そういった点から核を積んでいないというふうに判断をしておるわけでございます。
  246. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 積んでいる戦略爆撃機はどこにどういう形でパトロールされておりますか。
  247. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 アメリカの戦略空軍に属しておりましたのがかつてパトロールをしておりました。しかし御承知のように事故が起きましてからはやめましたので、現在では常時のパトロールはしていないものと思っております。
  248. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたはどこまでもアメリカのほうがそういうふうに発表しているからそうなんだと言うけれども、日本の国にしてみれば、沖繩の場合においては事前協議という問題が行なわれないわけです。それゆえに、もし万が一に極東情勢をアメリカが緊迫をしたというふうに判断をした場合には、沖繩B52にも核が積めるのではないですか。そうなるとものすごい危険性というものを伴ってくるし、今回はその基地内での爆発であったけれども、もし人家の密集するところであったらたいへんなことになるのじゃないですか。しかもそれにプラス核という問題が起こったならば、沖繩全部が吹っ飛んでしまうというような非常に危険性を伴う問題がひそんでいるのではないですか。それゆえに、沖繩においてはこのたび主席公選が行なわれ、その結果が、核基地反対、軍事基地撤去という、そういうふうに世論というものは大きくその決定を見たわけでありますけれども、それに対してあなたは極東情勢の変化によってアメリカが緊迫したと判断した場合に、B52も核を積む可能性があるということの危険性に対してどのようにお考えになっていますか。
  249. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 アメリカの高度の戦略でございますので、軽々しく推測することもなかなかむずかしいわけでございますけれども、いままで得られましたいろいろな情報から常識的に推測いたしまして、極東ではB52に使うような核攻撃は通常考えていないというふうに、大筋としては言ってよろしいのではないかという感じがいたします。しかし私がこれを保証するわけにももちろんまいらないわけでございまして、いろいろな世界情勢に応じてアメリカ国防当局が判断することで、私が断ずるわけにはまいりませんけれども、現在想像し得るような状態ではB52に核を積むようなことはないだろうというように推測するわけでございます。
  250. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 外務省にお尋ねしますが、われわれはかつてからB52の沖繩移駐については絶対反対という立場から、沖繩B52の早期撤去を強く政府に外交交渉するよう要望していましたけれども、どういうふうに外務省としては対米交渉をされたか、いままでの経緯についてお伺いします。
  251. 松原進

    ○松原説明員 B52が嘉手納基地に参りましたのは本年の二月でございますが、そのことがありました直後に外務省としては当時の在京米国代理大使オズボーン公使を招致いたしましていろいろな申し入れをしたことは御存じのとおりでございます。その結果米側といたしましては、沖繩基地B52の恒久基地とする考えはない、こういう趣旨を申したのでございます。
  252. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 このたびの爆発事故に対して政府としてはどのように申し入れをされましたか。
  253. 松原進

    ○松原説明員 昨日外務省の近藤外務審議官がオスボーン公使を招致いたしまして、こういう事故の再発がないように十分注意をし、それから調査の結果を日本側にも即時通報する、さらに補償について十分考慮するという三点について申し入れをいたしました。先方はいずれも了承いたしました。
  254. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この問題について十分注意するようにと言うのですけれども、実際にそれではいままで注意が払われていなかったかどうか。
  255. 松原進

    ○松原説明員 第一の、事故の再発防止について注意するようにという点につきまして、オズボーン公使は、米側としては従来から注意はしてきたのではあるけれども、今後さらに十分注意する、こういう趣旨の回答がございました。
  256. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 十分注意をされても、さらにまたこういうような、要するに爆発事故というものが再び起こらないとはだれもきめられる問題ではないわけです。そうした場合に、沖繩の世論でもあり、また国民の世論であるところの沖繩基地撤去問題について、政府としてはアメリカのほうに撤去ということを力強く言っていく時点ではないか。すなわち先ほども話がありましたように、ジョンソンのベトナム北爆停止の問題、あるいはあらゆる国際情勢の緊迫の解消という問題から考えたときに、もうすでにこういうふうな事件が起きた沖繩基地に対して、外務省として基地の撤去を強く要望すべきではないか、そのように私は思うのですが、その点あなたは、ただ単に爆発事故が再度起こらないように注意をしてもらいたいというような、そういうなまはんかな申し入れというのは非常に弱いように思うのですが、どうですか。
  257. 松原進

    ○松原説明員 B52の沖繩移駐につきましては、先ほど来申し上げておりますように、米側といたしましても国際情勢の現状にかんがみて、あそこへやむを得ず移駐させたわけでございまして、これを恒久化する意図はないということを申しておるわけでございます。現在の国際情勢という点も考慮に入れる必要かございまするし、私どもといたしましてはもちろんそういう情勢が緩和されまして、一日も早くB52が沖繩基地から去ることを希望しておるわけでございます。
  258. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 恒久化しないとアメリカのほうで言っているとするならば、私はいまが最もいいチャンスじゃないかと思うのです。沖繩においてあれだけの大爆発が起こったし、それからジョンソンはベトナム北爆停止を声明したという時点は、いま政府が言うように、ただ単に次にそういう問題が起こらないようにというなまはんかなときではなくして、すなわち沖繩の世論もすでにそういうほうに傾いている時点において、少なくとも外務省としてはもっと強い姿勢で臨むべきが当然ではないか。基地の撤去、B52の撤去という問題についてさらに努力する気持ちがあるかどうか、その点についてお伺いします。
  259. 松原進

    ○松原説明員 先ほどから申し上げておりますように、私どもといたしましてもB52が沖繩から去っていくという日が一日も早く来るということを実は念願しておるところであります。その点でお気持ちはわかりますけれども、私といたしまして現在申し上げ得るのは、私どもとしてもそういう気持ちは持っておる、つまり恒久基地化しないという大前提が明らかになっておりますので、その大前提があります以上、国際情勢緩和その他によりましてB52を沖繩へ配置する必要がなくなる日が早く来るということは希望しておるという点におきましては、私どもといたしましてもそういう気持ちには変わりはないわけであります。
  260. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたは、そういう気持ちは私もあるというようにおっしゃっているが、それではなぜそのような撤去要求を出さないのですか。あなたばかりでなしに、国民全体がそういうふうな大きな世論の中にいまあるわけです。それに対してただ単に、私はそう思っておりますけれども云々でなくして、そう思ったならなぜ撤去要求を力強く――この際出すべきいいチャンスじゃないかと私は思うのですが、その点についてさらに強い要望を外務省でやるべきが国民に対するところの大きな義務じゃないかと私は思うのですが、その点についてもう一度伺いたい。
  261. 松原進

    ○松原説明員 先生の申されましたとおり、御趣旨といたしましては私もそのとおりに思います。
  262. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁は十月十六日、参事官会議で秘密の保全に関する訓令と防衛秘密の保護に関する訓令の改正を内定したとあるのですが、今回の改正の目的とその内容を明らかにしていただきたい。
  263. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 十月十八日に、お尋ねの秘密の保全に関する訓令の改正をいたしました。この改正の目的、趣旨を申し上げますと、だんだん事務量がふえまして秘密を扱ういろいろな手続等も繁雑になってきた。一方、現在の訓令がだいぶ前の訓令でございまして、実情に合っていないというふうなことから改正を進めたわけでございますけれども、この改正の重点といいますか、ねらいは、手続を合理化するということでございまして、たとえば秘密を指定する――秘密にはいろいろな段階をきめておりますけれども、一番上の段階機密、それから極秘、それから普通の秘というふうな段階を一般の役所ではきめております。防衛庁もそうでございます。このきめ方は従来どおりでございますが、どういう事項を秘にし、どういう事項を極秘にするかというふうな判断につきまして、従来は、たとえば内局で言いますと課長級が判断をしておりましたけれども、今度の改正では、極秘以上は局長級以上が判断するというふうに手続を直した。つまり、むやみに秘密を指定してかえって書類が粗漏に扱われるというふうなことを防ぎまして、秘密にすべきものは秘密に指定しなければいけませんけれども、できるだけ数を制限しまして、一たん秘密事項にしましたものは厳重に保管して粗漏のないようにしたいということがねらいでございます。そのため、たとえば秘密文書になりましたものをどの課にもどの局にもたくさんばらばらあるということでは、やはり漏らすべからざるものが漏れやすいことになりますので、一定のところで集中して、厳重に保管するというふうなこともきめましたし、あるいは秘密を指定する際の様式等も改正をしたというふうな手続的な改正をいたしました。  繰り返すようでございますが、秘密の範囲を広げたというふうなことではございませんで、手続を合理的に整理をいたした、こういうことでございます。
  264. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、いまのことをもう一度あれしますと、結局は秘密文書の指定権者の格上げですか、それが一つ行なわれた。それからもう一つは、秘密文書の破棄は文書作成元に回収をするということですか。  もう一つの問題でありますけれども、これまで訓令になかった取扱い注意を新たに設けるということがたしか言われておると思うのですが、その点はあなたのいまの答弁の中には抜けておるわけですけれども、それは重要な問題ですから、ひとつお聞きします。
  265. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 取扱い注意につきまして先ほどは御説明申し上げませんでしたけれども、御指摘のように、今度の訓令には取扱い注意というのを入れております。これは従来の訓令にはありませんでしたが、事務次官の通達で取扱い注意というのをきめておりました。これを今度訓令に入れたということで、形式は変わってまいりましたが、内容を特に変えたわけではございません。なぜ次官通達から訓令に入れたかといいますと、取扱い注意は先ほど申し上げた秘の書類ではございませんが、みだりに部外に漏らすことがやはり業務上支障があるという程度の文書もございます。一般に一たんきまったことを外に広報する、あるいはお尋ねがあれば答えるというのももちろんたくさんございますけれども、秘とそういう一般に公表する書類の中間に、秘ではないけれども取り扱いを慎重にしなければならないという性質の文書もございます。これは防衛庁に限らずどの役所にもあるわけでございますが、それをこの秘密の保全に関する訓令にきめまして、これは秘密ではないがこういう取り扱いをしなさいよということをはっきりきめるという趣旨で今度の改正にいれたわけでございます。
  266. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そのことはあとでまた聞くとして、なぜ指定権者の格上げをしなければ、いままでの訓令自体では秘密保持ができなかったか。その点について……。
  267. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 従来でも秘密が全然保たれなかったというわけではございませんけれども、残念ながら一、二秘密が漏れるという事態も最近に全然なかったわけではございません。そういう教訓もありました。それから一般に事務を監査いたしますと、秘密と指定したものがどの部屋にもいろいろ方々にある。これではいつ漏れるかわからないぞという心配もありました。まあそういうふうなことからいろいろ考えまして、本来秘密にすべきものは秘密にして厳重にしなければいけませんけれども、われわれが考えまして、必ずしも秘密にしなくていいと思われるものまで従来秘に指定をしておったうらみがあったわけでございます。そういうことを直すのにいろいろな方法がございますけれども、一つの方法として、内局でいえば課長級、たとえば幕でいえば班長級、地方でいえば連隊長級とかというところのレベルで極秘なり秘なりを判断して、それより上の方面総監ならもっと全般的な判断ができるかもしれないけれども、連隊長ですと幾らかその辺が場合によっては数も多くなりますし、粗漏になるおそれもあるというふうなことを考えまして、格を一段上げまして、もっと責任あるところで、行政経験の豊かな人で責任あるところで極秘なら極秘を判断する、そして一たん判断したら新しい手続に従って厳重に保管すべきであるというふうなことに変えてみたわけでございます。
  268. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 幾ら規制を強化し、機構を充実しても、取り扱う者はしょせんは人であります。いままでの秘密漏洩事件の大半は自衛隊幹部の綱紀の弛緩によるものがほとんどであったわけであります。何もこういうふうな問題が秘密保持が非常にあいまいであったということではないと私は思うのです。あいまいであったとすればこれはもうたいへんな問題であります。だからそういう点についてむしろ幹部の綱紀の弛緩によるものである、私はそのように思うのですが、その点あなたはどう考えますか。
  269. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 その点は確かに御指摘のようなことがあるのじゃないかという感じもわれわれも持っております。一たん理由があって秘密に指定されたものがみだりに漏れるようでは困ります。それを防がなければなりませんが、いま訓令のことをお尋ねでございましたので、訓令の趣旨を申し上げたわけでございますけれども、われわれとしましてもこの一片の訓令の改正だけで秘密保全が完ぺきになるとは思っておりません。やはり根本はむしろ先生が御指摘になりましたように自衛官全体、特に責任ある幹部の者たちが十分な規律をわきまえて判断すべきことは判断し、守るべき手続は十分に守る。全般的に役所の公務員全体の規律がしっかりしておらなければ秘密保全も十分でないということは、御指摘のとおりだと思います。
  270. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官にお聞きしたいのですが、国民一般が防衛庁に望んでいる秘密保持への態度は、たとえばFXの選定の際のようなとき当然守らなければならない防衛庁内の関連する秘密事項が、業界の特定社に漏れて、その社を有利にする、かなり高度の機密漏洩等の問題は過去にありました。すなわち防衛産業との関連において秘密保護の立場から長官はどのようにお考えになっているか、その点についてお伺いしたい。
  271. 増田甲子七

    増田国務大臣 FXの選定過程における航空幕僚幹部の各般の書類は秘密でございまして、防衛産業等にはこれを提示しておりません、ということを申し上げておきます。
  272. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 必ずしも国家防衛に関する直接の秘密でないにしても、防衛産業との関連からいって漏らしてはならない職務上の秘密事項が最も漏れやすい状態にあるというのは、私は防衛庁の天下り人事に大きな原因があるのではないか。昭和三十九年四月一日から四十二年の三月三十一日の三カ年間に将、将補の営利企業に就職した数はどれだけに上るか、その点についてお伺いします。
  273. 麻生茂

    ○麻生説明員 三十九年度に二十六人、それから四十年度に十二人、四十一年度に十三人、四十二年度に十七人でございます。
  274. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 将、将補ですよ。将、将補といいますと、あなたのところから下さった資料はそんな少ない数ではないのじゃないですか。
  275. 麻生茂

    ○麻生説明員 いま申し上げましたのは将だけであります。
  276. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま私は将、将補について言っているわけですよ。わからなければ、私が申し上げます。  あなたからいただいた資料を数してみましたところが、たしか百七十九名いるわけです。その中で防衛庁の登録会社として直接の関係ある会社に就職した数は実に百十四名ですね。すなわち六〇%以上は要するに将、将補として営利企業に就職をした連中がいるわけです。また直接に関係がなくても間接に関係しているところはずいぶんあると思うのですが、長官は営利企業に天下りする人たちに対してどのような基準で推薦を容認されているか、その点についてお伺いします。――この問題は長官が推薦するのでしょう。
  277. 麻生茂

    ○麻生説明員 自衛隊法の第六十二条及び同施行規則によりまして、離職前五年間に従事した職務と密接な関係を有する防衛庁に登録した会社の役員または役員に相当する地位に、離職後二年以内につこうとする場合においては、長官の承認が要るようになっているわけであります。別にそういう会社に長官が推薦しているというわけではないわけであります。そういう承認をするという立場にあるわけであります。  そこで、いま申しましたように、会社の役員または役員に相当する地位、しかも防衛庁に勤務して離職前五年間に従事した職務と密接な関係を有する防衛庁に登録しました会社の役員または役員に相当する地位に就職する場合の制限になっておるわけでございます。先ほど先生からお話がありました防衛庁関係の会社に就職いたしました者の大部分というものは顧問、嘱託あるいはその他の職員でございまして、いわゆる役員というものになっておるのはきわめて少ないわけでございます。したがいまして、役員として長官が承認をしているというのは少数の関係になるわけであります。役員として承認するにあたりましては、当該就職しようとする登録会社の役員たる地位と、本人が離職前五年間従事しておりました職務と密接な関係があるかどうかということを中心にしてわれわれとしては検討するわけでございます。われわれといたしましては、その離職前五年間に従事した職務と、就職するところの役員との関係が密接な関係になかったという判断のもとに許可をするなり承認をするなり、あるいは承認する必要もないというようなことで処理をしてきておるわけでございます。
  278. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 営利企業の顧問とかあるいは嘱託とか参事とかいうことによって就職されておりますけれども、それは何を意味しておるのですか。
  279. 麻生茂

    ○麻生説明員 この役員と申しますのは、そういう営利企業体の意思決定に参画する者というふうにわれわれ解釈しておるわけであります。顧問と申しますのは会社の特定の事項につきまして調査をして意見を述べるというようなものであります。嘱託もまたそれに準じたことであるようでございます。したがいまして、会社経営の意思決定に参加するというような地位にないわけでございます。したがって防衛庁とその当該会社とが取引をする場合に、防衛庁に対してその契約締結というようなものについて影響力を及ぼす地位としては低い立場にある、こうわれわれ解釈しております。
  280. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 顧問的地位ならば結局は承認が楽になるというのですよ。要するに承認を容易ならしめるための隠れみのがそこにあるということなんだ。現に実質的には防衛庁に対する工作、天下った結果顔をきかす、要するに義理人情のおかたい人々の中にあっては天下りというものはまことに効果的であり、軍事産業は天下りの人材をよりよい条件で使用することによって、自社の競争条件を有利にしているというのが実態じゃないですか。それが実態なんですよ。どうなんですか、その点は。
  281. 麻生茂

    ○麻生説明員 防衛庁職員といたしまして在職中知り得ましたところの秘密というものは、やめたあとにおきましてもやはり秘密保持の責任があり、それを漏らした場合には自衛隊法におきまして罰則の適用もあるわけでございます。またこれらの職員はやはり将あるいは将補という地位にあったわけでありまして、その道義的な意識というものは高いものであるというふうに考えております。したがいまして、当該会社の顧問とか嘱託になったということによって特に防衛庁と当該会社との取引において不当な影響力を及ぼすというようなことはないものであると私は解釈しております。
  282. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたはよく知らないからですよ。要するに天下りには規制がある。しかし顧問的地位なら承認が非常に楽になる。営利企業に天下って一段落してから次のポストにのぼっているという例はたくさんあるでしょう。あなたはそう言うけれども、実際に天下りの実態について追跡調査をされたことありますか。
  283. 麻生茂

    ○麻生説明員 われわれのほうではその役員になった者につきましては追跡調査をやっております。われわれのほうも一つの一欄表を毎年つくってあとを追跡しておるわけでありまして、それを放任しておるわけではないわけであります。  それから先ほど顧問から役員にすぐなるじゃないか、二年たったらあるいは二年近くなってなるじゃないかという御趣旨の質問がありましたが、防衛庁の場合、自衛官としてつとめてその後会社に就職した者で、顧問から役員に変わっておるというような者はきわめて少数でございます。私の知るところでは二、三人くらいでありまして、そういうように顧問から役員に変わっておるというのは本省の場合においては該当しておらないのでございます。
  284. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それではいまあなたが話されたその追跡調査について資料を出してください。どういうふうに追跡調査をされてどのような厳密な追跡調査のもとにそのデータが出されておるかということについて、私に資料を出してください。
  285. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほどからの鈴切さんの御質問で、自衛官が退職して会社に行く、その会社が国防産業である場合には機密が漏れやせぬかということでございましたが、私も当初そんな感じもしないわけではなかったのでございますが、二年間在勤しておる間に私が見たり聞いたりいろいろした感じでは、自衛官の退職者が国防産業の会社へ参りましても別段機密漏洩というような憂いのある者はございません。それであなたが一つのワクとしてそういうことを御心配になることは、私も一つのワクとして心配した時点もございますから、わからないわけではございませんが、この二年間、顔をきかして不当勢力を働かして、そうして自分の後輩である自衛官に何か発注させるような働きをさせたというようなことはございません。そこでたとえば飛行機会社に自衛艦隊の司令官が行くというようなことは何も関係ないですから、昔のことばで言えばりっぱなソルジャーであるから会社へ来ても信用が置けるというようなことで、それで副社長になってもらう。この人は非常にりっぱな人でございまして、自衛艦隊と飛行機はまるきり関係ないのですから、そういうようなことが往々あるのでございまして、自衛官というものは厳粛なる規律のもとに育っておりますから非常にまじめでございまして、また人物としても信用が置けるというわけで、俗なことばで申しますと売れ行きが非常によろしいわけであります。その売れ行きが非常によろしいということは、私は非常にけっこうだと思っております。やはりだれからもきらわれるというような者は困るのでありまして、非常に売れ行きがいいということは、自衛官の時代に非常にきびしい訓練をいたしておる、そうして人格の陶冶もいたしておる、こういうわけでそれぞれの国防産業にも嘱託あるいは顧問で頼まれていくわけでございますが、だからといって不当勢力を及ぼしたという感じは一つもしていないのでございます。その点についてワクとして心配した時点が私もあります。ですから鈴切さんの御心配のことは一がいには退けませんよ。でございますから私も注意しておりますが、いまのところ二年間私が見まして、自衛官はまじめにりっぱにやっておる、自衛官たりし者はまじめにりっぱにやっておる、しこうして後輩である現職の自衛官に不当勢力は及ぼしていない、このことは明瞭に申し上げます。二年間の経験に徴して申し上げ得ますから、どうか御心配は御放念願いたい、こう思う次第でございます。
  286. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私がとにかく心配していることと防衛庁長官が心配していることが、これははからずも一致したことであります。そうなった場合には多分にそういう要素が含まれるということはいえるのではないかと思うのです。それで過去厳正な規律のもとにそういうふうに今日までやってきたとはいいながらも、やはり秘密の保護において、秘密の漏洩という問題についてはすでに事実があったわけであります。そういうことを考えたときに、私が心配していることと防衛庁長官が心配していることが現時点として合ったとなれば、やはり少なくとも今後天下りの問題については規制を強化する必要がある、そのように思うのですが、その点どうですか。
  287. 麻生茂

    ○麻生説明員 先ほどの大臣が、そういう疑問を持たれたのは、それは杞憂であった、こういうお答えのように私はお聞きいたしました。  それから将補で機密漏洩の問題が起きたとは思っておりません。もっと下のほうの関係であったように思います。しかし、いずれにしましても、李下に冠を正さずということばもあるわけでございまして、防衛庁の公正な公務の執行という点から、こうした登録会社に対しますところの就職ということにつきましては、われわれといたしましては離職前五カ年間の職務あるいは就任しようとする職務とかあるいはその会社と防衛庁との契約の実績の関係とかいろいろな点を考慮いたしまして、そのつきますところの職務が防衛庁に対して不当な影響力を及ぼすというようなものでないらしいということをよく確かめた上で認めていくという方向でいきたいと思います。また特に、われわれとしましてもこの三月以降その点に十分注意をしてやってまいっておるつもりでございます。
  288. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 自社に有利な報告、秘密等を自衛隊員が自分の地位を利用して自衛隊への食い込みを容易ならしめるということ、これはやはり天下り人事の大きな弊害であるわけでありますが、もしもそういうものの規制を強化をしなければ、当然今後黒い霧の発生源になるということは十分に考えられるし、幾ら秘密の保護というものの規制を強化をしてみても、そういうところから当然漏洩を容易ならしめることができる、このように私は思うのですが、その点の見解の違い……。
  289. 麻生茂

    ○麻生説明員 これは先ほど申しましたように、退職される高級自衛官の道義の問題もありますが、これらの高級自衛官が自衛隊において長年陶冶してきた人格の点から申しまして、やはり一つの誇りを持っておるわけでありますから、後輩に対して迷惑をかけるというような行為をやるというふうには考えられないわけでございます。しかし先ほど申しましたように、李下に冠を正さずという昔のことばもあるわけでございます。     〔鍛冶委員長代理退席、田中(武)委員長代理     着席〕 防衛庁の公務の適正な運営を確保するという意味におきまして、やはり登録会社に就職されるというような場合につきましてはわれわれのほうでよくチェックをいたしまして、その支障の有無をよく判断した上行なうという方針はやはり今後とも続けていきたいというふうに考えております。
  290. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 将、将補は幕僚長に匹敵する地位ですか。
  291. 麻生茂

    ○麻生説明員 これは鈴切先生よく御存じだろうと思いますが、将のうちの俸給の一番多いのが幕僚長になるわけであります。
  292. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あらゆる秘密を指定し、保管する権利を持っているわけですね。そうなれば、営利企業に天下りをして、たとえていうならば、口には出さないというけれども、頭で応用をして秘密の部分に似通ったものを創造した場合には秘密漏洩になるのかどうか。
  293. 麻生茂

    ○麻生説明員 それは刑法の問題でございましょうか。刑法の問題でありますと、やはり秘密の認識ということが要るわけでございまして、秘密の認識がないと、いわゆる故意がないわけでありますから、秘密漏泄罪にはならないわけでございます。
  294. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしたら、たとえていうなら、口には出さないけれども頭で応用して、秘密の部分に似通ったものを創造するということは幾らでもできるわけですね。できるわけですよ。口には出さない、頭で応用してそして秘密に似通った――それは全部自分は知っているのですからね。そういう場合に、それが刑法に問われないという状態になれば、もうどんどんそういう秘密というものは流れていく、そういうふうになってしまうのじゃないですか。
  295. 麻生茂

    ○麻生説明員 先生の言われる、こうだろうと推定してというのは、具体的にどういうことを言われるのかちょっとわかりませんけれども、具体的にはたとえばどういうことを想定して御質問になっておられましょうか。その点例示していただければ……。
  296. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえていうなら、FX等の問題においてはかなり重要な秘密の部分があるわけでしょう。そういう場合に、それを取り扱っている立場にあって、その立場を利用して――口に言えば当然秘密にひっかかってくるわけですから、それを頭で考えて、そして次の幾らか変わった問題でそれを応用したという場合においては、いまあなたのおっしゃるには、全然秘密の漏洩にならない、こういうことですね。
  297. 麻生茂

    ○麻生説明員 FXと申しましても、これは現在のところ日本では持っているわけでもありませんから、米軍の所有しているFXについての秘密を知ったということかと思いますが、MSA協定でその性能とかその他提供された知識を、将官が職務上知ったということで漏らしますと、これは相互防衛援助協定に基づく秘密保護法によって処分をされるわけであります。したがって、そのFXの性能そのものを話すというようなことはちょっと考えられないわけであります。
  298. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 秘密保護法としてそれは当然でしょうけれども、では、たとえば日本における秘密保護法がない立場でのいまのような事例においてはどうなのかということです。
  299. 麻生茂

    ○麻生説明員 いずれにしましても、自分が職務上知り得た秘密を漏らしますと、これは退職後でも、先ほど申しましたように秘密保護法違反になるわけでございます。ただ、自分が職務上知り得た秘密でないものを自分で独創的に考えて創造したというのでは、これはどうも職務上知り得た秘密を漏洩したということにはならない。
  300. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、そういうような場合が今後も起こった場合には、これは決して秘密漏洩でも何でもないのだ。そしてしかも、今後も相当高度な秘密の問題が応用されながらいくということは当然考えられるわけですけれども、それでも結局、秘密漏洩で取り締まる方法はない、こういうことですね。
  301. 麻生茂

    ○麻生説明員 その辺は、要するに職務上知り得た秘密の認識というものがなければ、現在は自衛隊法の秘密保護法は故意犯しか処分しておりませんから、相互防衛援助協定に基づいて提供されてくるものにつきましては、過失の処分もございますが、秘密漏洩に関しての故意というものがないと犯罪としては処分しにくいのじゃないかと思います。  しかし、そういう高級自衛官の道義の問題もやはりあるわけでございます。長年つとめたあとの自衛隊における公務の執行に妨げが生ずるような行為をするというふうには、私はどうも理解できないわけであります。そういうようなことに出るというふうには考えられないわけであります。
  302. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 秘密文書の保管体制はどのようになっているのですか。
  303. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほどもちょっと申し上げましたが、機密にはいろいろな段階がございますけれども、一番上の機密文書、その次の極秘文書、こういうものは一括して一定の場所に保管をしております。それから、それより若干低い普通の秘文書につきましては、それぞれの部局におきまして責任ある者が保管をする、こういうふうな保管の状況になっております。
  304. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま、科学の非常な発展に伴って、たとえばゼロックスとかリコピーあるいは写真等のそういうふうな技術が進んでいますけれども、それに対してはどのように対処をするつもりですか。
  305. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 お話しのように、印刷技術が進んでコピーも簡単にとれますが、秘密文書を関係者に配るというような必要も生じますけれども、そういった場合には、秘密保全の管理者、責任者が十枚なら十枚のコピーをとる、それ以上とってはいけないというふうな管理体制をしきまして、そして十部以上はとってないなということを確認します。十なら十とりますと、それに番号をふりまして、十分の一はだれに配る、十分の二はだれに配ったというようなことを確認する、こういうふうな体制をしいているわけでございます。
  306. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 どうもゼロックスとかリコピーというものは、たとえて言うなら、確かに十枚なら十枚というふうにはっきり数字が出てくればいいわけですけれども、ちょっと入れればもうすぐ一枚ふえるというような状態においては、その点私は秘密の保護の上においては非常にあいまいじゃないかというような感じがするのですがね。その点やはり何らかの今後の処置というものをもう少し考えていくべきではないか。その点どうですか。
  307. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 確かにお話しのような点が注意を要する点だと思います。いろいろ内部にも相談をいたしておるわけでございますが、今度の訓令でもその辺をできるだけ詳しくきめまして、秘密保全に関するそれぞれの部局の管理者、責任者というものをきめました。その責任者がコピーをしたりするときに立ち会う。またそれに使いました原稿等を焼却する場合には、従来はまるめて捨てておったというようなことが間々あったわけでございますけれども、そういうことの絶対にないように、焼却処分に立ち会って焼却するというふうなことをやりまして、保全の全きを期するというふうな体制にしたわけでございます。
  308. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 なぜこれまで訓令になかった取り扱い注意を新たに設けなければならなくなったか、その点について……。
  309. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 この点は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、従来は訓令そのものに書いておりませんで、通達で注意をしていたにとどまったものですから、その指定の方法なりそれから表示のやり方なり、あるいは保管なり破棄なりの方法が、いわばルーズに流れておったうらみがございます。これは今度訓令に取り入れまして、秘の書類に準じてそういう破棄の方法なり保管の方法なりを規制することにいたしました。なぜそうするかといいますと、どの役所でもどの会社でも新聞社でも、それぞれやはりみだりに他人に見せてはならない文書がございます。それは秘よりも若干軽度でございますけれども、やはり慎重に取り扱わなければならぬ文書でございますので、今度訓令に入れまして、そういうふうな保管なり破棄なりの方法を従来よりも明確にした、こういう趣旨でございます。
  310. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほども私は天下り人事が非常に、要するに防衛産業に対してのマル秘の点については非常に漏洩をする危険性があるという上から、天下りの人事の規制をもっと厳格にすべきであるというふうに実は私は言ったわけですけれども、たまたま秘密事項防衛産業業界に漏れた例が前にあったからといって、取り扱い注意までも準秘密扱いにする必要があるかどうかということですね。この点について私は非常に疑問を持つわけですが、その点についてはどうですか。
  311. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 やはり秘密のものは厳重に保全しなければならない点は先生御指摘のとおりでございます。  それから先ほども申し上げましたけれども、むやみにいろんな文書を秘密以上に指定する必要はないと思います。本来秘密にすべきものを秘密に指定して、指定した以上は厳重に保管するということが必要だと思います。その次に秘密に準ずる文書がやはりあるわけでございます。秘密以外のものは全部外の一般に公表していいかといいますと、必ずしもそうではない。できるだけ積極的に公表すべき事柄もたくさんございます。しかし秘密に準じて、ある特定の人以外には、あるいはある特定の時期まではみだりに出すべきでないという文書も防衛庁にもございますし、どの役所にもあるいは一般の会社、新聞社等にもそういうものがやはりあるわけでございます。そういう一定のものがありますものですから、それを秘密に準じて保管等の手続はやはりちゃんと規制しておくという必要が感ぜられたものですから、今度の訓令にそれを取り入れた、こういうことでございます。
  312. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、いまのあなたのお話の中で取り扱い注意は二つに分けられる、そういうふうな感じを受けたわけです。一つは、要するに準秘として秘密扱いにする。もう一つは、普通の取り扱い注意、こういうふうに理解していいですか。
  313. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 ちょっと言い方が悪かったかもしれませんが、そういう意味で申し上げたわけではございません。取り扱い注意という形式をなぜつくったかというお尋ねに対しまして、その実質的な理由として、秘密ではないけれども秘密に準ずる準秘密という文書も役所にはあるものだ、防衛庁にもあるものだ。そういう存在があるものですから、それを今度秘密の訓令に取り入れて一定の規制を加えた、こういうことを申し上げたわけでございます。二種類あるわけではございません。
  314. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 取り扱い注意というものは、要するに準秘ということで訓令として取り扱うことになったわけでしょう。いまあなたがおっしゃるように、どうしても秘密に準ずるような問題があれば、私はそれは秘密にすればいいと思うんですよ。何も取り扱い注意まで訓令にして、そういうふうに準秘みたいなことをする必要は毛頭ないじゃないか。その点私はどうもふしぎでならない。その点についてどうですか。
  315. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 その点はいま秘密に準ずると申し上げましたが、要するに、みだりに一定の者以外には見せてはいけないという文書が役所にございます。それを秘にすればいいじゃないかと仰せられるわけでございますけれども、秘にしますと、先ほど人事局長からお答えしましたように、かりにそれを漏らしますと罰則の適用を受けます。退職後も一切漏らしてはいけない。漏らせばまた罰則の適用を受ける、こういうふうなことになりまして、またそれだけの理由があるわけでございます。国の秘密であれば、それだけ完全に保全しなければいけないわけでございます。しかし事柄は必ずしもそういう文書ばかりではもちろんございませんで、慎重に取り扱わなければならないけれども、まだもって役所の秘密、国の秘密とするほどには達しないという種類の文書も現実にあるわけでございます。一定の時期までは取り扱いを慎重にして、大臣なら大臣が公表すれば一般に流布されるということもあります。その場合には、非常に大事なことであれば、その期間は秘でありますけれども、それほどでない場合には取り扱いを慎重にしなさいということもあるわけでございます。そういう場合には秘にいたしますと、必要以上に規制を加えて罰則の適用まで考えなくちゃならないというふうなことにもなります。それほどむやみに罰則の適用を拡大することが趣旨ではございませんので、訓令上取り扱い注意というので規制を加える。取り扱い注意であれば秘でございませんので、秘密の罰則は適用になりません。ただ、もっとも訓令は長官の命令でございますから、命令に違反したということでおしかりを受ける、処分を受けることは行政上当然でございますけれども、罰則の適用はない。秘の場合と取り扱い注意では、そういう実質的な差がございます。それだけの差を設けることがやはり必要なことである、そういう文書の種類がある、実質的にそういう種類の差があるということで取り扱い注意というものをつくったわけでございます。
  316. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それじゃ従前の取り扱い注意というものは、全部これに適用されるわけですね。
  317. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 次官通達の取り扱い注意と、今度の訓令に取り入れました取り扱い注意も制度上は同じでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、従来の通達よりも保管なり管理なり指定なりの方法が今度はより明確になってきたという手続上の差はございますけれども、実質的には同じでございまして、ただ、その判断するのもさっきの秘密の判断と同じでございまして、むやみに下のほうで何でもかんでも取り扱い注意にしてしまうというようなことのないように、管理者が本来取り扱い注意にすべき文書はもちろん取り扱い注意に指定すべきですけれども、その必要のないものはむやみに取り扱い注意の判こを押す必要はない、管理者がちゃんと判断しろ、こういうことを明確にしたわけでございます。
  318. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 憲法に規定され、国民のものであるべき防衛庁の実情を国民の前から、秘密だということで準秘密にしても秘密にしても、そういうふうなベールで隠してしまうというようなことは非常に危険だと思うのです。愛される自衛隊、またはシビリアンコントロールの立場から国会等にすべて資料を出させる、新聞等にも公開して国民に知らせる、また秘密扱いとなった場合、国民との唯一のパイプである国会の答弁においても抽象的になるおそれが多分にある。近ごろ防衛庁のほうのいろいろの話をお伺いしていますと、そういうふうな観点かどうか知らないが、非常に抽象的になっている。そういうふうなことであった場合においては非常に危険になってくるんじゃないか。取り扱い注意は名のとおり取り扱い注意であって、それを準秘扱いにし、訓令にする必要は毛頭ない。マル秘扱いにする必要は毛頭ない、そのように私は思うのですが、その点どうですか。
  319. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 取り扱い注意は、文字どおり先生のおっしゃるとおり取り扱い注意でございまして、準秘というのはちょっと比喩的に申し上げましたけれども、あるいはことばが適当でなかったかもしれませんが、われわれのほうは準秘ということを書いているわけではございません。ちょっと比喩的にむしろ先生のほうからそういうようなおことばがあったようにも感じまして、私がちょっと例示で申し上げたわけでございますけれども、取り扱い注意はまさに先生のおっしゃるとおり取り扱い注意ということでやっておるわけでございまして、従来よりもそれを一そう秘密にするということを今度やったわけではございません。従来もありました。どの役所にもあるいは会社にもあると思います。そういうものの手続を明確にする、破棄や指定等の手続をより一そうはっきりさせるということで今度きめたわけで、秘密のベールに包むというような意図は毛頭ございません。むしろ逆でございまして、今度の訓令改正の必要は先ほども申し上げましたように逆でございまして、一般的にいいまして、そういっては何ですけれども、やはり何となしに下の者といいますか、監督の地位にない者は、上からのいろいろなことを推測しまして、これもなるべく取り扱い注意にしたいとか、なるべくは秘にしたいとかいったような、そのほうが安全であるというように判断しがちでございます。上になりますと、全体のことを考えまして秘密にすべきものは厳重に秘密にいたしますけれども、その必要のないものは、これは秘密にしないでいい、取り扱い注意にしないでいいという判断をより的確にし得るということが一般的にいえると思います。どの役所でもいえると思います。防衛庁でもそうでございますので、できるだけ責任ある者が判断するように直した、今度の改正はそういうふうな趣旨でございますので、従来よりも秘密にすべからざるものを秘密にするということが少なくなります。先生もお認めのように本来秘密にすべきものはやはりあるわけでございますので、それは厳重に規制をいたしますが、本来秘密にする必要のないものまで秘密にしておったといううらみは従来全然なかったわけではございませんので、そういうことを避け、国民に公表すべきものは公表する、国会でお尋ねがあればちゃんとお答えする、そういう趣旨でわれわれはお答えをいたしております。ただ、急なお尋ねで手元に資料がなくてお答えできないことはございますけれども、趣旨としては、秘密主義でお答えを渋るというようなことはいたさない。先ほどいろいろFXでお尋ねがございましたが、アメリカとの関係、それから日本の国益というようなことからきょう現在ではまだお話しできない、あるいは交渉上不利である、かえって高くなり日本の不利益になる、だからきょう現在ではお答えを差し控えたいというようなことはございますけれども、一般に秘密のベールに包もうということで今度の訓令改正をやったわけではございませんで、むしろ逆でございます。
  320. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたはそういうふうに答弁をされておるわけでありますけれども、いままでマル秘までそういうふうな一つの制約があったわけでありますが、それが今度は取り扱い注意まで訓令というふうになりますと、どうしても自衛隊の中においては、これも取り扱い注意じゃないか、これもマル秘じゃないかというふうな機運がこの改正によって非常に濃厚になってきた場合においては、その運用いかんによっては自衛隊が非常に暗くなるのではないか。軽度の問題であれば取り扱い注意そのままであって何もマル秘扱いにする必要は毛頭ないのではないかと私は思うのですが、その点どうでしょうか。
  321. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 その点はお話しのとおりで私もそういう趣旨で申し上げているわけで、取り扱い注意にしていいものをマル秘にするということは避けたい。マル秘にすべきものはもちろん責任者が考えてマル秘にして、それは解除するまでは責任者が厳重に保管しなければなりません。しかし、取り扱い注意で足りるものをマル秘にする、秘密以上にするということが従来かりに間々あったといたしましても、これからはそれをできるだけ避けるという趣旨で訓令を直したのであります。それから本来普通文書というものを取り扱い注意にしたのがあるいは間違ってあったかもしれませんが、しかしそういうことをこれからもできるだけ避ける、本来取り扱い注意にすべきものは取り扱い注意にいたしますけれども、普通文書というものは普通文書にするということをねらいとして百点満点いくかどうかはこれからの問題でございますけれども、ねらいはそういうねらいでございます。
  322. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 自衛隊員もやはり憲法上認められた一つ権利があるわけであります。そういうところを政令によってどんどん規定をしていくということは、国民の基本的人権を制約されるおそれが多分にあるわけですから、その点はやはり十分考慮に入れておかないと、いま私がお話しいたしました諸点が必ずクローズアップされてくるのではないかと思うわけでありますから、その点十分に注意することを要望しておきます。
  323. 麻生茂

    ○麻生説明員 先ほどの職務上の秘密のことでお答えした点であるいは誤解があったかもしれませんけれども、たとえば先生の御質問の中で、職務上知り得たものをおれが創造したのだという名目で他に知らせたということでありますと、その場合は、職務上知り得た秘密があったわけですから、ただ相手をごまかしたというだけでそれを漏らしているという点はあるわけでありますから、その場合には秘密漏洩の問題はあると思います。ただ、先ほどお答えしたのは、要するに、それと全く違うものを話すという御質問でございましたから、その意味でお答えしたわけであります。
  324. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは口には出さないけれどもその予備知識が多分にあって、そうして新しいものを応用したという場合なんですよ。そういう場合なんです。
  325. 麻生茂

    ○麻生説明員 応用したところにその知り得た秘密が出てくる場合は漏らしたことになると思いますが、その応用のところに知り得た秘密が出てこない場合には、それはまた別なものになります。その点誤解のないようにお願いいたします。
  326. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は何も誤解していない。私が質問したことに対してあなたが間違っておったということで訂正すればいいんですよ。それは間違っておったんですよ。私は何も誤解していない。
  327. 麻生茂

    ○麻生説明員 私のお答えしたのが誤解を生ずるといけませんのでその点よろしくお願いいたします、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
  328. 田中武夫

    田中(武)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十九分散会