運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-11-19 第59回国会 衆議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月十九日(火曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 小山 省二君    理事 四宮 久吉君 理事 白浜 仁吉君    理事 田川 誠一君 理事 田中 武夫君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       北澤 直吉君    塚原 俊郎君       丹羽 久章君    楢崎弥之助君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君  委員外出席者         防衛政務次官  三原 朝雄君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      麻生  茂君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛施設庁長官 山上 信重君         科学技術庁振興         局長      佐々木 学君         外務省アメリカ         局安全保障課長 松原  進君         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         農林省畜産局参         事官      平松甲子雄君         通商産業省通商         局長      宮沢 鉄蔵君         工業技術院長  朝永 良夫君         会計検査院事務         総局第二局長  石川 達郎君         会計検査院事務         総局第四局長  鈴木 治久君         専  門  員 池田 孝道君     ───────────── 十一月十九日  委員篠田弘作君、長谷川峻君及び柳田秀一君辞  任につき、その補欠として北澤直吉君、塚原俊  郎君及び楢崎弥之助君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員北澤直吉君、塚原俊郎君及び楢崎弥之助君  辞任につき、その補欠として篠田弘作君、長谷  川峻君及び柳田秀一君が議長指名委員に選  任された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管防衛庁)、通商産業省所管〕      ────◇─────
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 議事進行。きょうは十時十五分に理事会を開き、十時半から委員会を開く。そういうことは前もって決定をしており、その旨は委員部を通じて防衛庁のほうへも通達といいますか、連絡をしたと思います。そこで、定刻に理事会を開いて十時半にはこのように委員も定足数がそろって、いつでも開会をできるようになっておるのにかかわらず、二十分間も待たすというようなことは、一体どういうことなのか。私はこういうところにも防衛庁国会軽視態度があらわれておると思うのです。一体きょうはどういうことでおくれたのか、はっきりと政務次官かだれからかここで弁明をしていただく。なお、このようなことのないよう、かつ国会に対して十分なる権威を尊重するように、委員長からも言っていただきたい、こういうことを提案いたします。
  4. 島田豊

    島田説明員 本日十時半からこの委員会開会されるということは、私ども承知いたしておりましたが、いろいろ防衛庁で、各政府委員それぞれ準備をいたしておりまして、実はこちらの政府委員室のほうからの連絡次第、急遽こちらへ参るという手はずにいたしておりましたが、その間ちょっとそごがありまして、私ども参りますのがおくれましたことは、まことに申しわけないと存じております。決してこの委員会を軽視するというふうな気持はございませんで、ちょっとした手違いからこういうことになりまして、まことに申しわけございません。今後はこういうことのないように、十分政府委員を督励いたしまして、議事が円滑に運用されますようにいたしたいと思っております。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 ともかく十時半ということははっきりとわかっておるはずなんです。したがって、政府委員室からの連絡云々じゃなくて、十時半には委員会に入るべきです。そのためには、少なくとも十分なり、あるいは十五分なりの余裕を見て、政府委員室に来ておるのがあたりまえじゃないですか。そういうことは私は了承できかねます。しかし、こういうことで時間をとりたくないのです。今後のことについて、委員長からも十分御忠告を与えていただきたい。そうでなければ防衛庁は往々にして国会軽視態度があらわれておる。そのことは、きょうあすの審議を通じて明らかにしていきますが、こういうこと自体にも、私は防衛庁国会に対する態度が出ておると思うのです。はなはだもって私は許しがたい。こう思いますので、重ねて要望いたします。
  6. 三原朝雄

    三原説明員 まことに恐縮しごくでございます。十時半から委員会開会ということも十分承知をいたしておりましたが、私ちょうど出がけ、福岡県会議員総務委員会の方が十数名おいでになりまして、委員会があるのでといういうことでございましたが、ちょっと立ち話というようなことで、つい時間をとりまして、政府委員諸公に心配をかけておる次第でございます。決して防衛庁委員会を軽視するということはございませんので、よろしくひとつお願い申し上げます。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 答弁すればするほど言いたくなってくるのだよ。地元のことでおくれたなんてことがあるか。
  8. 大石武一

    大石委員長 委員長から防衛庁に警告をいたします。  一番ものごとの正確とか確実を尊重しなければならない防衛庁が、十時半の開会にもかかわらずこのような二十分以上も委員会を遅刻したということは、許すべからざることだと思います。理由は何であろうと、これは弁明の余地がないと思う。しかし、今回は初めてのことだから、これはかんべんをいたしますから、今後は絶対このようなだらしのないことのないように、一番正確でなければならない役所がこのようなことであっては困るから、十分注意してほしい。このことを要求しておきます。     ─────────────
  9. 大石武一

    大石委員長 これより総理府所管中、防衛庁について審査を行ないます。  まず、防衛庁政務次官から概要説明を求めます。三原防衛庁政務次官
  10. 三原朝雄

    三原説明員 昭和四十一年度における防衛庁関係歳出決算につきまして、その概要をご説明いたします。  まず、第一に、(組織防衛本庁経費についてご説明申し上げます。  当初の歳出予算額は三千百九十六億五千二百万円余でありまして、これに昭和四十一年九月以降政府職員給与改善するための予算補正追加額六十三億一千九百万円余、高空における放射能じん研究等のため、科学技術庁から移しかえを受けた額九百万円余、国設宿舎建築交換のため、大蔵省所管組織大蔵本省から移しかえを受けた額五千七百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管組織文部本省から移しかえを受けた額二億六千五百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管組織文部本省から移しかえを受け、予備費使用した額九千三百万円余及び前年度からの繰り越し額二十九億二千万円余を加え、既定予算節約による予算補正減少額二十億四千六百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三千二百七十二億七千百万円余となります。  この歳出予算現額のうち、支出済み歳出額は三千二百四十六億一千八百万円余、翌年度へ繰り越した額は十九億四百万円余でありまして、差し引き不用額は七億四千九百万円余であります。  昭和四十一年度予算執行につきましては、昭和三十六年七月に国防会議決定された第二次防衛力整備計画最終年度として、昭和四十年度に引き続き、この計画に準拠して実質的な防衛力整備をはかることを主眼といたしました。  そのおもなものは次のとおりであります。  (一) 陸上自衛隊につきましては、ホークの導入に伴う関係部隊の新編を行なったほか、前年度に引き続き、戦車その他の部隊装備品計画的更新により装備近代化充実改善をはかりました。また、航空機につきましては、多用途ヘリコプターHU-1B)十機、輸送用ヘリコプターV-107)六機及び連絡観測用ヘリコプターH-13)七機を取得し、新たに昭和四十二年度取得予定の多用途ヘリコプターHU-1B)十機、輸送用ヘリコプターV-107)六機及び連絡偵察機LR-1)一機の購入契約をいたしました。  (二) 海上自衛隊につきましては、昭和三十八年度に着工しました護衛艦たかつき」及び潜水艦「あさしお」の竣工に伴い、それぞれ第一護衛隊群及び第一潜水群に編入しましたほか、中型掃海艇等十三隻を取得し、新たに昭和四十二年度以降竣工予定の二千トン型護衛艦一隻、三千トン型護衛艦一隻、潜水艦一隻、練習艦一隻及び中型掃海艇二隻計六隻、一万七百八十トンの建造に着手しました。また、航空機につきましては、練習機B-65)六機、輸送機YS-UM)一機及び対潜哨戒用ヘリコプターHSS-2)四機を取得し、新たに昭和四十二年度以降取得予定練習機(B165)一機、輸送機YS-HM)一機、救難用ヘリコプターS-㎝)一機及び対潜哨戒用ヘリコプターHSS-2)四機の購入契約をいたしました。(三) 航空自衛隊につきましては、バッジ器材導入に伴い関係要員を増強して、北部、中部、西部各航空警戒管制団の改編を行なったほか、自動警戒管制組織関連する諸施策の推進をはかりました。また、航空機につきましては、戦闘機F-104J)七機及び救難用ヘリコプターS-62)三機を取得し、新たに昭和四十二年度取得予定救難用捜索機MU-2)二機及び救難用ヘリコプターV-107)四機の購入契約をいたました。  なお、定員につきましては、防衛二法の一部改正案不成立となったため、前年度と変わりなく昭和四十一年度末における防衛本庁定員は二十七万三千百二十三人であります。  次に、繰り越し額十九億四百万円余のおもなものは、(一)有償供与または一般輸入調達品について、引き渡しが遅延したこと等により項防衛本庁等で十一億六千二百万円余、(二)用地関係工事計画気象条件等諸般事情から施設取得が遅延したことにより(項)施設整備費等で二億五千八百万円余、(三)艦船搭載装備品調達が遅延したこと等により艦船建造費関係で四億八千三百万円余を繰り越しております。  また、不用額七億四千九百万円余のおもなものは、防衛二法の一部改正案不成立等に伴う人件費及び演習場用地取得ができなかったことに伴う施設整備費であります。  第二に、(組織防衛施設庁経費について御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は、二百九億八千三百万円余でありまして、これに昭和四十一年九月以降政府職員等給与改善するための予算補正追加額一億六千七百万円余、賠償償還及び払い戻し金予算不足を生じ、予備費使用した額百万円余及び前年度からの繰り越し額十六億二千五百万円余を加え、既定予算節約による予算補正減少額一千三百万日余及び提供施設周辺土地等改修事業等に要する経費として移しがえをした額、農林省所管組織農林本省八億一千九百万円余、建設省所管組織建設本省へ一億六千百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は、二百十七億八千百万円余となります。  この歳出予算現額のうち支出済み歳出額は、二百四億六千二百万円余、翌年度へ繰り越した額は、十億一千三百万円余でありまして、差し引き不用額は、三億五百万円余であります。  支出済み歳出額のうち、おもなものは、施設運営等関連諸費でありまして、アメリカ合衆国軍隊等の駐留に関連し必要な土地等購入、賃借、各種の補償、騒音防止措置飛行場周辺安全措置等及び自衛隊施設維持運営関連し必要な騒音防止措置飛行場周辺安全措置等のため百五十六億一千百万円余を支出いたしました。  次に、翌年度への繰り越し額十億一千三百万円余は施設運営等関連諸費でありまして、補助金工事等において計画または設計に関する諸条件用地関係及びアメリカ合衆国軍事情等工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額三億五百万円余のおもなものは、施設運営等関連諸費でありまして、補助金精算の結果等によるものであります。  以上をもちまして、昭和四十一年度における防衛庁関係歳出決算概要説明を終わります。  なお、予算執行につきましては、諸法規を順守することはもちろん、最も効果的に運用するよう戒め、また綱紀の粛正にも留意し、国民の信頼にこたえるよう努力してまいったところでありまして、昭和四十一年度決算検査報告における二件の留意事項につきましては、よく部内に徹底させ、早急に改善すべく適切なる措置を講ずる所存でございます。  また、繰り越し額二十九億円余につきましては、前に述べましたような特殊事情によるものでありますが、今後とも予算年度内消化につきまして一そうの努力をいたす所存でございます。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  11. 大石武一

  12. 石川達郎

    石川説明員 昭和四十一年度防衛庁決算につきまして、検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、今後予算執行等にあたりまして留意を要すると認めたもの二件でございます。  その一つは、陸上海上航空、各自衛隊使用しております自営多重通信回線の中に未使用回線がありまして、別に専用回線を専用する必要がないなどの場合がありますので、未使用回線の把握と各自衛隊間の連絡をはかりまして、これを活用し、専用科の節減をはかるよう配慮の要があると認めたものでございます。  他の件は、陸上自衛隊航空機部品調達所要量算定にあたりまして、計算過程の検討、関係資料活用をはかりまして、所要量が過大に算定されることのないよう、また航空自衛隊航空機喪失などの特殊な事情から発生する部品につきまして、的確に数量を把握し、将来の調達計画等に反映させるよう配慮の要があると認めたものでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
  13. 大石武一

    大石委員長 これにて説明聴取を終わります。     ─────────────
  14. 大石武一

    大石委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。丹羽久章君。
  15. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 委員長のお許しを得ましたので質問をいたしたいと思います。四十一年度決算審査にあたりまして、防衛庁に対して二、三お尋ねをいたしたいと思います。  わが国防衛力整備状況は、昭和三十三年の第一次防衛計画の発足以来、三たびにわたって立案され、現在第三次防衛計画昭和四十六年を最終目標進行中でありますことは、すでに御承知のとおりであります。しかし自衛官充足状況戦闘機機種決定など、必ずしも満足すべき現状とはいえず、将来に問題の解決を残している点もあるように思われます。私は日本の国防に大きな関心を持つ一人として、これから重要な問題についてお尋ねをいたしたいと思いますので、本日出席防衛庁の各人は、国を憂える建設的な御意見をお聞かせいただきたいと思います。  まず第一に、災害派遣についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。自衛隊災害地派遣につきましては、毎年災害の発生するたびに地域の住民からたいへん喜ばれている状況でありますが、その効果につきましては必ずしも十分でないようであると思います。昭和四十二年の十一月に出された行政管理庁の勧告にもありますとおり、都道府県知事自衛隊に対する派遣要請の内容が不明確なために、必要な人員車両、機材の配置ができなかったり、作業に支障を来たしたりしたような場合があったようであります。今後派遣部隊の効率的な活動を確保するためには、地元受け入れ側との連絡及び費用負担区分についてどのようなお考えで臨まれるか、お答えを願いたいと思います。
  16. 島田豊

    島田説明員 自衛隊災害がございますたびに都道府県知事その他の者の要請によりまして、部隊を出しましていろいろな被害の復旧なりあるいは人命の救助等に当たっておるわけでございまして、私どもといたしましては、災害派遣による自衛隊活動並びにその成果につきましては、国民皆さん方からも相当評価をされておるというふうに考えておるわけでございますが、ただいま御指摘のようなことにつきまして若干事前連絡というものが十分でないために、いろいろ地元の御要望からしますれば、十分それに効果的に沿うていないというようなケースも過去にはあったかと思います。しかしながら災害が起こりますことが予測されます場合におきましては、十分知事部局なりあるいは市町村部隊の幹部が集まりまして、その後の災害派遣計画につきましては十分のお打ち合わせをいたした上で部隊派遣するわけでございますので、都道府県知事なり市町村長のそういう要望は相当程度かなえられておるというふうに私は考えます。ただ都道府県としましては、県内に非常に災害が多発いたしましたような場合に、それに対する救助計画というものが必ずしも具体的に明確に定められないというふうな場合におきまして、自衛隊派遣いたしますと、ときどきその地元からしますれば、不満があるということはあり得るかと思いますので、そういう点は事前十分部隊としてもそういうことが予測されます場合におきましては、連絡を緊密にとりまして、災害派遣の出動というものが十分に効率的に行なわれるように、今後とも十分注意していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  17. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 この災害派遣につきまして関連をいたしてさらにお尋ねをいたしたいと思いますが、いまの答弁はまずあと回しにいたしまして、昭和四十二年度災害派遣が六百四十二件の十四万二千名と聞いておりますが、これに要した費用はどれくらいになりますか。また災害派遣費用予算に計上されずに、隊員訓練費でまかなわれておりまするが、正式な予算措置を講ずる必要はないでしょうか。さらに災害派遣は各地の司令官の判断によることになっておりますが、派遣基準について御説明を願いたいと思います。
  18. 佐々木学

    佐々木説明員 ただいま災害派遣経費につきまして先生からお尋ねがございましたが、これらの経費につきましては一般訓練費等から支出しているような状況でございまして、非常糧食その他車両ヘリコプター等活用によりまして災害救助等を行なっておるわけでございます。なお、この経費につきまして特に事項を立てて予算要求ということを現在いたしておりません。通常の訓練費をもってこれを一応支弁し得るということでございますので、特にこのために多額の経費を要するという事態になりましたならば、予備費支出その他の点をお願いしたいというふうに考えている次第でございます。  なお、災害派遣関連いたしまして特に車両更新等が必要になりますので、予算要求にあたりましては、そういう意味におきましては車両更新等につきまして強く要請しているというような次第でございます。丹羽(久)委員 私の聞いていることはいま答弁のあったように、こういうような災害派遣費用訓練費でまかなっておるけれども、そういうことは予算の計上の上においてあまりよくないと思っているから、そういうような災害に対しては災害費用というものを予備費でなくてある程度見込む。年々どのような災害が起こるかということは予測ができ得ないことはよくわかっている。わかっているけれども、年々あるというデータは出てくるはずだから、そういうふうな別途予算を立てるべきだと思う。訓練費でやるということはいささか変に思うけれども、その点はどう考えていらっしゃるかということを私はお尋ねしている。その予算訓練費でまかなっておるということは私は知っておるから、それでいいのかどうだ、今後そういうような新しい予算を組み立てる意思があるのかないのか、こういうことを尋ねている。
  19. 佐々木学

    佐々木説明員 ただいまの予算の組み方につきましては、災害はこれからも年々起こることが予想されます。したがいまして、そのものにつきまして先生の御教示がありましたとおり、事項といたしまして予算を別個に求めるかという点につきましては、御意見を承りまして、今後十分検討していきたいというふうに考えます。
  20. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 その次にお尋ねいたしたいと思いますことは、自衛官充足対策についてでありますが、過去三カ年の自衛官定員年度末の現在人員とを比較してみますと、必ずしも満足すべき状態ではありません。すなわち陸上自衛隊について見ますると、昭和四十年度で約二万人、昭和四十一年度で約一万八千人、昭和四十二年度で約一万七千人の不足となっております。この人員は二個師団から三個師団に相当する規模で、このようなことではわが国防衛も前途が危ぶまれると思いますが、この原因はどこにあるか御説明を願いたいと思います。  私が聞くところによりますと、自衛官応募者の現況は二・五倍から四倍近くあるということをかねがね聞いておりますけれども、定員不足になるのは選考がきびし過ぎるのか、あるいは採用計画数欠員数よりなぜこんなふうに少ないのか、その辺にも疑問が残っております。また私の調査によりますと、法律による定員はあっても予算が当初より確保されておりません。大蔵省査定の段階で削られておるようであります。過去三カ年の大蔵省査定額を見ますと、陸上自衛隊では昭和四十年度は八五%、昭和四十一年度では八八%、昭和四十二年度では八九・九%になっております。これは定員の一割から一割五分減の数字であって、この面から定員確保改善策が考えられなければなりません。また充足対策として隊員食事改善宿舎整備、定年後の再就職による保障など、充足計画について一応具体策があるとするならばお聞かせを願いたいと思います。
  21. 麻生茂

    麻生説明員 自衛隊隊員充足状況は、海上自衛隊航空自衛隊におきましては、毎年九十数%の充足率を見ているわけでございまして、先生の御質問は主として陸上自衛隊関連してではないかと思うのですが、この欠員を生じてまいりました一つ原因は、昭和三十五年以来経済の高度成長が伸展いたすに従いまして、若年労働力に対する需要というものが多くなったわけでございます。したがいまして、一般産業自衛隊とで若年労働力に対する需要の競合という事象が生じてまいりました。また大学に対する進学率というものも、これまたふえてきたことは御承知のとおりだろうと思います。また各企業におきまするところの若年労働者に対する待遇というものが、自衛隊待遇よりもよかったということもあろうかと思います。そうしました客観的な情勢に対応いたしまして、これらの欠点を直すのには、まず国防思想を普及宣伝する。それとともに自衛隊における生活というものを、魅力あるものにするという必要があるわけでありまして、われわれといたしましては、この魅力化対策というものに鋭意努力をしてきたわけでございます。その方策といたしまして、第一には待遇、処遇の改善といたしまして、官舎の建てかえ、あるいは宿舎増設、特に曹の宿舎増設、あるいは曹士の昇任ワクを拡大する、あるいは営外居住ワクを拡大する、あるいは北海道在勤者帰郷制度を拡充するというような点。あるいは先ほど御質問になりました食事改善を行なうというような、これらの処遇改善の施策を一方に行ないまするとともに、やはり自衛官の生活をやったのがよかったという印象、そういう実際的効果を達成いたすことが必要でございまして、自衛隊におけるところの生活が、人生においてマイナスになるといこうとでなくて、少しでもプラスになるという施策をやる必要があるわけでありまます。したがってそういう点から、任期がきまして自衛隊を退職する場合において、円滑に就職ができるような措置、就職援護の措置というものにつきまして、いろいろな施策をやってまいったわけであります。それとともに、募集の広報宣伝というようなものにつきまして、近代的な手法を取り入れまして、これらにつきましても格段の努力をしてきたつもりであります。それとともに、募集機構というものによる組織的な募集というものを推進をしていくことが、何と申しましても肝要なわけでありまして、これらの組織募集の推進というようなことにつきましても、極力都道府県あるいは市町村の御協力を得まして、推進してまいったわけであります。  したがいまして、先ほど先生から御質問がありましたけれども、実は充足率は漸次改善を見ておるわけであります。昭和四十年におきましては平均充足率は八六・八%でありましたのが、四十一年度においては八八・七%、四十二年においては八九・八%と、四十二年におきましては千五百名の増員がありまして、前年に比べまして平均充足率の上昇を見ておるわけであります。また募集という点から見ますると、募集計画に対します募集人員の達成率というものは、四十年において一〇〇%として、四十一年においては一〇四%、四十二年においては一〇二・九%というような達成率を示しております。しかし平均充足率がやはり九〇%を割っておるということは、何としましても一つの客観的な事実であるわけであります。これを少しでも高めたいと、われわれは先ほど申し上げました処遇改善、生活環境の整備あるいは就職の援護措置の拡充強化あるいは組織募集の推進、あるいは応報宣伝の効果的な実施というようなことに極力意を注ぎまして、今後とも充足率の向上につとめていきたいというふうに考えておるわけでございます。先ほど申しましたように、募集人員は多くとりまして、計画に対しまして募集の達成率はややよくはなっておるわけではありますが、しかし企業界における一般の好況というような点から、任期がきまして、それに基づいてやめる人が計画より少し上回っておるわけであります。したがまして除隊率というものが計画より少し上回っておるという点から、実は平均充足率が九〇%以上にならないというのが脱状であるわけであります。  なお先ほど予算定員と法律定員との問題について言及されまして、予算定員があるために充足率が上がっておらないのではないかというような御質問がございましたが、予算上の充足率ということのために充足率が下がっておるということは、現在においてはないというふうに私どもは考えております。  先ほど応募者人員の点に御質問がありましたが、約二人に一人というのが現在における応募者と採用者の比率であろうか、こう思います。
  22. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ただいまの教育局長からの御答弁に対しましては、さらにまたあとでお尋ねいたすことにいたしまして、長官がおいでになりましたので、長官に一点だけ順序を変えてお尋ねいたしたいと思います。  主力戦闘機決定について長官にちょっとお尋ねをいたしたい。機種選定のための調査がどのようにして行なわれたか、その経過について簡単に長官から御報告いただきたいと思います。また決定しましたF4Eのファントムは約二十億円と報道されております。現在使用されておりますところのF104は約五億円と聞いております。この両機の相違点についてですが、片一方は二十億円、片一方は五億円、十五億円からの差があるわけです。F104は国産化の段階に入りまして、経費の節減ができるようになったときに、なぜこのような高い、しかも十五億も違うようなファントムを購入しなければならないのか。購入価格、予定機数、使用計画についても、こればひとつ長官から御答弁をいただきたいと思う。
  23. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 丹羽さんにお答え申し上げます。  まず第一に、昨年三月十四日の閣議決定のことは、国会においてしばしば申し上げておりまするが、国防会議の議を経ました閣議決定、第三次防衛力整備計画の主要項目についてという閣議決定がございまして、その中に新戦闘機種を選ぶということがございます。その新戦闘機はF104以上の要撃能力がないと国防上まずいということになりました。そこで丹羽さん御指摘の、いまF104等は五、六億でできておることは事実でございます。しかし新戦闘機種は、いまわれわれが取得所有しておりまするF104よりも要撃能力が高いものを選ぶのである。新戦闘機種の決定については迎撃能力の向上を主眼としてこれを選定する。これが閣議決定でございます。でございますから五、六億ででき上がるであろうF104では、もう国防関係からいってまずい、こういうことに相なったということを、まずもって、丹羽さんにおいて御了承いただいておることでございましょうが、あらためて重ねて御了承を得たいと思っております。  そこで新戦闘機の機種のことについて、多少長くなりますが申し上げさせていただきます。  機種の決定に至りました経緯を御説明申し上げます。まず機種選定のための作業は、第三次防衛力整備計画決定後直ちに始めましたが、新戦闘機の検討対象としては、広く現在自由圏諸国で使用し、または開発中の新鋭戦闘機を考慮しまして、昨年八月、検討対象機種を、米国のCL系飛行機、すなわちCL1010でございます。それからF4、F5、F111、P530、英国のライトニング、フランスのミラージュ、英仏共同開発のジャガー、スェーデンのビゲン、この九機種といたしまして、これらの調査のため昨年十月下旬から五十日余にわたりまして米、英、仏、伊、スエーデン、西独の六カ国に海外資料収集班を派遣いたしました。団員は一等空佐以下八名でございます。本年に入りましてこの海外資料収集班の報告を私が受けまして検討しました結果、候補機種を三機種にしぼりました。三機種にしぼったゆえんのものは当初この方針として丹羽さんに申し上げましたとおりF104という現在日本が製造所有いたしておりまる要撃能力の相当あるものよりもある意味からは低いということが他の六機種については判定されたわけでございます。そこで残ったのはF104よりも要撃能力が高いというものを選んだわけでございます。すなわちCL1010-2、F4E、ミラージュF1Cの三機種に六月にしぼりました。そこで全天候能力を有しておること、それからさきに申しましたF104J、現在日本が製造し使用しておるF104Jよりもすぐれておること、現在使用中のものにつきましては将来も引き続き生産を継続するものであること、現在開発中または開発を行なう予定であるものについては所要の時期までにわが国において取得し得るものであること、さらにわが国に対して提供される可能性のあるものであること等の諸点を基準といたしました。その後この三機種につきまして航空自衛隊のパイロットの手により実地に操縦する等の各種の調査テストを行なわせるため、本年七月中旬から九月初めにわたる約五十日間にわたりまして米、仏両国に新戦闘機調査団を派遣いたしました。団員は緒方空将以下十二名でございます。またこれと並行して航空幕僚監部におきまして候補各機種を中心とする総合防空武器体系の防空効果を比較考量するためのオペレーションリサーチ、運用分析作業を進めますとともに、候補機種の単価並びに部隊建設等の費用についての見積もりをも一応防衛庁として実施いたしました。次いで航空幕僚長は新戦闘機の緒方調査団長の報告書と各般に及ぶ航空幕僚監部の研究成果を基盤にして新戦闘機の機種についての総合的な評価を行ないまして、F4Eが最も適当である。この結論を得まして本年十月八日防衛庁長官である私に上申書を提出したのでございます。この上申書に基づきまして私は私の手元で慎重に検討いたしました結果、機種としては航空幕僚長の上申のとおり米国のF4Eファントムを選定いたしました。これは防衛庁長官の行政行為として決定したわけでございます。  わが国の国情に応じまして、また国会においてもしばしば私が攻撃的の脅威を与えるものであってはいけないということを申し上げております。それに応じまして核装置あるいは爆撃装置等を取りはずす、回収する、こういうことを命じまして、私が選ぶということについての関係閣僚の了解も得まして、去る十一月一日に総理大臣に説明して了承を得た上で、防衛庁長官として決定した次第であります。  以上が機種決定の経過でございます。
  24. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 長官から微に入り細に入り御説明を伺いましたが、ただ問題は、F4Eファントムは二十億円いたしますね。そこでこれは推定でありますからどういうふうになるかわかりませんけれども、何機お買いになるかということをひとつお尋ねいたしたいと思うのです。国防上当然必要でありましょうし、いまおっしゃたように性能が非常にいいということでありますから、これは長官でなくて専門的な方々が行かれましてずいぶん御調査になりあるいは綿密な調べ方によって決定いたしたものであろうと思いますから、この点についてはあえて私はとやかく申し上げるものではありません。国防上当然必要なものを買っていただき、そして日本の空を守っていただかなければなりませんから……。  そこでいま機数の御答弁がないようでありましたので、この四倍もするF4Eは何機お買いになるか、この点をひとつ簡単でけっこうです。あとの方がまだ長官にお尋ねいたしたいと言っておりますから私はこれで打ち切ります。
  25. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 丹羽さんが二十億とおっしゃいましたけれども、これはいろいろな部品のレザーブを買っておきます。エンジンも二基ございますが一基分についてもう一つエンジンを買っておきます。そういうわけでございまして、大体十六億円台で、装備をしないという場合には、飛ぶだけの飛行機としては間に合うわけでございます。しかしエンジンを買いますし、部品等も備えますから、約二十億円になるのでございます。機種を決定したのは航空幕僚長の……。
  26. 大石武一

    大石委員長 長官、それは内容が違うようです。何機買うかということで御答弁を願います。
  27. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 何機のことを申し上げます。機種のことは一応それできめましたから御了承を得たいと思います。機数のことでございますが、これは将来の長期発注にも関係いたしますから、機数等は財政当局が相当発言をすべき問題である。でございますから、財政当局とわれわれの防衛的な要求等を交渉いたしまして、国防会議等の議も経まして近く機数等をきめたい。機種はきまりましたが、機数はまだ未定でございます。
  28. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 これ以上聞こうと思いません。しかし第三次防衛計画として、今度機種がきまったら何機買うかということは前提としてお考えになるだろうと私は思うのです。これから予算だってやられるが、本年きまった分に対しては何機買うかということを聞こうと思いましたけれども、大蔵省当局とも折衝して金をどれだけくれるか、それとにらみ合わせて買っていくということならばそれでもけっこうです。  きょうはほかに長官に聞きたいという人がたくさんありますので、私は長官にお尋ねすることはまた後日に譲ることにいたします。
  29. 大石武一

  30. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 まず冒頭に、決していやみを言うわけじゃありませんが、せんだって叙勲をされたわけです。長官、おめでたいと思います。しかし私ども何となく割り切れない気持ちがしておったのは、例の少年自衛官のああいう事故のあった後の問題ですから、この辺、叙勲と長官の責任との関係等について、率直に言って割り切れないものを感じたわけですが、この辺の長官の責任問題に対するお考えを冒頭聞いておきたいと思います。
  31. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 楢崎さんの質問を兼ねた御説は傾聴いたしておきますが、私は従来教育とかあるいは演習とかあるいは防衛出動とかいうこと、すなわち日本語ではちょっと不適当なことばになりますから私は申し上げかねますけれども、統率と申しておきますが、統率関係防衛庁長官がつかさどっておるのであるということを明瞭にするために、責任を明らかにしたい、こう考えておったわけでございまして、いわゆる防衛行政事務だけをやっておるといったような従来の観念を、この際打破しなくてはいけませんから、そこで、責任を明瞭にするということを積極的に考えまして、私の態度を強引に総理にも、責任をとることによって、昔のことばでいえば必ずしも妥当ではございませんが、いわゆる軍令、軍制両方面について、最高指揮官は内閣総理大臣でございますが、その指揮のもとに平時においてそういう事務を両方ともつかさどっておるのが防衛庁長官であるということを明らかにするために、私は責任をとろう、こういうことをあくまで総理に迫ったのでございますけれども、総理の聴とするところとなりませんで、私も非常に不本意に思っておるのであります。まあその後の叙勲のことでございますから、あるいはとも思いましたけれども、これもきわめて無理のない自然な形で私はお受けをする、こういうことでお受けをしたわけでございます。  以上が私の答弁でございます。
  32. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 内閣改造も近いことですが、優秀な長官ですからお残りになるかもしれませんが、そういう責任態勢と申しますか、みずからその範をたれるという姿勢で今後もやっていただきたいと思います。  それから、冒頭報告を承りたいのですが、けさ四時に嘉手納にB52が墜落したという情報がありました。詳しい事故の状況、被害状況等も含めて御報告をいただきたいと思います。  外務省にお願いをしておったのですが、まだお見えになりませんか。
  33. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 ある程度知った範囲のことを申し上げます。  きょうの午前四時にB52が嘉手納基地の付近で墜落いたしました。幸いに人命その他には損傷はなかったわけでございますが、遺憾であるということをオズボーンという駐日のアメリカの公使が日本の外務次官まで申し出たという事実はございます。  そこで、その被害状況の内容等はあまりまだ詳細にはわかっておりません、きょうの午前四時のことでございますから。そこで、近い将来にB52を嘉手納基地から撤去する運びになる、またこちらもそういうことが望ましい、こういうことを外務当局、それから、米軍を代表するような意味におきまして駐日大使館のほうで言い合ったという事実がございます。
  34. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 外務省のほうにお願いをしておりますから、いま程度のことは私もよく知っておるので、もう少し具体的に御報告をいただきたいと思います。  もう来られるわけですか。――それでは、来られてからその問題をやりたいと思います。  そこで、ごく最近、木村官房長官が板付の代替地を年内に選定をするのは困難であるという談話を出されました。これは防衛庁長官と打ち合わせの上、そういう発表が出されたのでしょうか。
  35. 山上信重

    ○山上説明員 木村官房長官が、ただいま御質問のあったようなお話をなすったということを後刻、私ども承っております。  現在、板付基地の移転の問題につきましては、われわれの手元におきまして移転候補地につきまして慎重に検討をいたしておる段階でございます。
  36. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 聞いたことだけお答えになってください。いまの答弁は、ああいう発表をしたという報告しか受けていない、ということは事前の打ち合わせなしに行なわれたということですね。それを聞いているのです。
  37. 山上信重

    ○山上説明員 ただい庄山し上げましたとおり、後ほど私は伺いました。
  38. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 事前の打ち合わせはしていないとどうして答えないのですか。そういうほかのことばでどうして言うのです。私が聞いているとおりをお答えしてください、長官も時間がないとおっしゃっておるのですから。打ち合わせなかったのですね。そうですね。
  39. 山上信重

    ○山上説明員 私は特に打ち合わせをいたしておりません。
  40. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 増田大臣はお答えございませんが、もちろん打ち合わせなかったわけですね。
  41. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は板付の移転ということを米軍に表明さしたわけでございますから、特に責任を感じております。  そこで、官房長官、それから文部大臣――大学にまだ飛行機はあるわけでございまして、等としょっちゅう打ち合わせをしておりますが、おそらく官房長官はそのときの感じを述べられたと思うのでございまして、一々その感じというものについてまで打ち合わせをしなくてもいいんではないか。ただし、官房長官も私も早く移転候補地をきめたい、代替地をきめたいということについては協力一致しておるということを、この際言明しておきます。
  42. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 官房長官が主務機関を無視してその種のことについてどうしてああいう談話を出されるのですか。長官は何とも思われませんか。
  43. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 楢崎さん御存じのとおり、官房長官というものは政府の窓口でございまして、たとえばドル防衛についてもお話をいたします。そのときに、一々経企庁長官や大蔵大臣の了承を得なくちゃならぬというものではないのでございまして、官房長官として政府を代表する立場でどう思うか、こう聞かれれば、こんなふうな印象を受けております、こういった程度のことまで私の許可や認証は要らないと私は感ずるわけでございまして、ただ両者一致して代替地の早くきまることに努力をしておるということだけは申し上げ得ます。繰り返して申しますが、ドルのことについても大学問題につきましても、あらゆる問題について官房長官はそれぞれの主務大臣の許可を受けなくても、また新聞記者諸君のほうから、政府はどうだと聞かれれば、やはり窓口は官房長官でございますから、見解なり印象なりを発表するというのがスポークスマンの立場である、こう考えるわけです。
  44. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 本年中にむずかしいという印象を与えたのばだれですか、官房長官に。専門家じゃないのですか。だれですか。
  45. 山上信重

    ○山上説明員 検討なり調査の段階につきましては官房長官にも御報告申し上げておりますので、それによってああいう話をなすったんであろうかと想像いたしおります。
  46. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 全く無責任な話じゃありませんか。代業の状態も一々官房長官に報告なさっていらっしゃるのですか。そして、そういう見通しを官房長官にお伝えになったのですか。責任あるところをひとつ言ってください。
  47. 山上信重

    ○山上説明員 こまかいことは申し上げませんが、そういう状況については、官房長官に私どものほうから御報告申し上げるのが当然だと思っております。
  48. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃあ年内にむずかしいということは防衛庁長官施設庁長官相ともに認められますか。
  49. 山上信重

    ○山上説明員 私どもはただいま防衛庁長官の申し上げたように、移転先の選定につきましては最大の努力をいたしておるのでございまするが、ただいままでのところまだ決定するに至っておりません。この決定には相当むずかしい問題もありまするので、さような御印象を与えられたかと存ずる次第でございます。
  50. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 質問にどうして答えぬのですか。年内にはむずかしいと官房長官が言った、そういう印象を官房長官は持った、その印象を与えられた。とするならば、事務担当者であるあなた方が年内にはむずかしいという、この官房長官の印象なり考えを、そのとおりであるとあなた方も思っておられるわけですね。本年度じゅうはむずかしい、そうなのかどうか、はっきり言明をしてください。
  51. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 一生懸命努力しておるのでございまして、年内じゅうむずかしいということを言ってしまうと、まあ年がたってもむずかしくなりますから、一生懸命努力しておるということであります。やはり政府の立場として、ことに主務大臣という立場においてはそういうことでございます。
  52. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなこと言われてもだめですよ。そんなごまかしの答弁をしてはだめです。政府の窓口が年内にはむずかしいと言っているのに、そして施設庁長官は報告し、連絡しておるというんだから、それに基づいて官房長官がああいう見解を出したんだ、あなた方もそう思ってますねと聞いておるのです。自分たちはそうは言わないということはどういうことですか。じゃああれは官房長官がかってに言ったことで、われわれとしては関係ない、そういうことですか。どちらかが無責任になります。
  53. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 そういうことではないのでありまして、官房長官は政府のスポークスマンとして、ときどき聞かれるからいろいろな印象もございましょうが、われわれとしては一生懸命努力しておる、その間に矛盾はたいして感じません。やはり法律の文章のように考えるのじゃなくて、一生懸命努力していると言ったらいいじゃないでしょうか、櫓崎さん。
  54. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 冗談じゃありませんよ。努力しておるということだけで板付の周辺の人たちが納得しますか。それはあとからあなた方がずっとどういう努力をされておるか聞きますけれども、外務省が見えたそうですからB52がけさ四時に嘉手納に墜落をし……。
  55. 大石武一

    大石委員長 恐縮ですが、長官の時間もあまりありませんから、でき得れば長官のほうに先に質問を集中していただけませんか。
  56. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは引き続いてやります。  ではまじめに取り組んでおるとおっしゃいますが、どういうふうにまじめに取り組んでおられるか、具体的なそれを証明するに足る作業状況をひとつ報告してください。
  57. 山上信重

    ○山上説明員 板付の移転先につきましては、いろいろなところが考えられるわけでございますので、これらにつきまして技術的な面あるいはその他いろいろな角度からただいま検討いたしておる状況でございます。ただ、先生承知のとおり、いろいろ候補地の名前があがりますと、そこにいろいろまた微妙な現象も生じまするので、そういった意味合いでここで詳しく申し上げるということは私どもいたしかねるのでございまするが、相当数の候補地についていろいろ技術的その他の面で検討をいたしておるというのが現状でございます。
  58. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ではまず移転の基礎条件をどういうふうに考えておられるか伺いたい。
  59. 山上信重

    ○山上説明員 概括申し上げますれば、大体現在の板付飛行場の持っておるところの飛行場としての機能並びに能力、場所によりましては必要に応じて住宅等も考えなければならぬというふうに考えておるような次第でございます。
  60. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうもあいまいですね。移転のための条件というものはそれだけじゃないはずです。  それじゃ長官時間がないそうですから長官だけ先にお伺いします。  六月二日九大にジェット機が落ちまして、ちょうど参議院選挙のときです、木村さんもおっしゃいましたが、長官も一年内に代替地を選定したいとおっしゃったですね。いまその方向で努力中ですか。年内に選定し得るという可能性についてどういう見通しを持っておられるかお伺いします。
  61. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 年内というと一カ月とちょっとでございますけれども、一生懸命努力をしております。それから基準と申すと、いま施設庁長官が申しましたが、代替地ということが基準でございます。あくまで板付の代替地、あまり飛び離れたところが板付の代替地になるとは思っていないのでありまして、横田の代替地、厚木の代替地というものが板付の代替地ではない。板付の代替地については、およそ常識的に範囲がきまってくる。そういうわけで苦心惨たんしておるわけでございます。
  62. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 長官はそのときに大体具体的に名前をあげられておるわけですね。たとえば築城、たとえば芦屋、たとえば有明海を埋め立てて、あるいは九州北部に限らず山口県あたりまでも含めて考慮したい。そういうことをおっしゃいましたが、そういうお考えで進められておりますか、いま。
  63. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私は方々検討しておる。そうしてものさしはあくまでも板付の代替地ということである、こういうことは申しております。埋め立てというようなことも申した事実はございますけれども、積極的にこれこれあれあれということを地元のコンセンサスを得ないうちには申さないという方針にいたしております。それから政府全体の発言としては、私も責任を負うわけでございまして、呉の施設局あるいは福岡の施設局等にも調査をさしておるという発言があった事実もございますが、具体的に山口県とか、九州南部だとか、九州全体だとか、中国全体だとかいうことは私は申しません。ただ板付の代替地、こういうようなことで常識的におのずからきまるであろう、そのきまる場合にも、きまる前にコンセンサスがなくてはいけない、こう考えております。
  64. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 さっぱり何のことかわからないのですがね。来年度予算要求の中に、板付の代替地調査のための約二億の金が予算要求されておると聞きますが間違いありませんか。
  65. 山上信重

    ○山上説明員 調査費として要求いたしたいと考えております。
  66. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 二億円の積算の基礎をひとつお示しをいただきたい。
  67. 山上信重

    ○山上説明員 調査に要しまする費用は、いわゆる図上の調査とかそういったようなものは特に多くの経費を要しませんが、現地におきましてボーリングをいたしたりあるいは測量をいたしたり、相当の事前調査的な意味の費用が要る次第でございまして、それらを計算いたしましておおむねさような数字を出した次第でございます。
  68. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは積算の基礎になりません。ボーリングやったり測量したりするのは常識でわかります。それがどうして二億円になるのか、その中身を言ってくださいと言うのです。
  69. 山上信重

    ○山上説明員 ただいま手元に資料を持ち合わせませんので、詳しくは申し上げかねますが、ただいま私が申し上、げたような、現実にある程度のボーリングとかあるいは測量工事とかいうのをいたさねばならぬので、そういったような土木工事等を含んだ費用として二億円を予定いたしておる次第でございます。
  70. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 積算の基礎の数字はないのです。ないのでしょう。あなた、資料は手元にないとおっしゃっていますが、ありますか。こまかく積み上げて二億になるという数字の基礎がありますか。ないでしょう。
  71. 山上信重

    ○山上説明員 われわれの計算の基礎は当然ございます。
  72. 大石武一

    大石委員長 もう一ぺん言ってください。
  73. 山上信重

    ○山上説明員 われわれがかような要求をいたしますときには、当然計算の基礎は持って要求いたしておる次第でございます。
  74. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 すぐ出せますか。
  75. 山上信重

    ○山上説明員 ただいま手元に持ち合わせておりませんので、ただいますぐにお出しするわけにはいきません。
  76. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あとで出せますか。
  77. 山上信重

    ○山上説明員 後ほど時間をいただければ御説明申し上げます。
  78. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは引き続いてお伺いしますが、大蔵省来ておられますね。
  79. 大石武一

    大石委員長 大臣はもう帰っていいですか。もうお約束の時間です。大臣も用事がありますので……。
  80. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、いいでしょう。あしたまたやりますから。  大蔵省査定をなさる場合に、二億の移転調査費が出ておる、そういう場合に、積算の基礎なりあるいは対象、そういうものがきまらないと、実際に決定にはなりにくいと思いますが、その辺はどういうふうにお考えになりますか。
  81. 原徹

    ○原説明員 一般的に申しまして、予算は積算を伴って要求がなされます。そしてその積算の根拠が不十分であれば、その内容をただし、そして必要であるかどうかを判定した上で査定する、そういうふうでございます。
  82. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、最終的な二億の決定の段階では代替地は選定される、そのように理解しておっていいわけですか。     〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
  83. 山上信重

    ○山上説明員 私どもとしてはそれが一番望ましい姿であり、そういたしたいと思っておりまするが、これは調査の段階いかんによって状況が変わりまするので、確とした御返事は申しかねるわけであります。
  84. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大蔵省との折衝の場において確たる対象がきまらなくてもそのときの予算決定にはなるのでしょうか。
  85. 原徹

    ○原説明員 対象をきめるための調査費であるとするならばそういうことはあり得ると思いますが、ただいま現実の予算要求につきましては現在検討中でございますので、まだ結論を申し上げる段階にはございません。
  86. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 結局、あなた方が考えておられる代替地選定ですね。まじめに考えておられれば、数カ所にしほられておると思うのです。いま現在、米軍からこれこれしかじかの条件が要る、板付をどこかへ変えるためにという答えが出てますか、米軍のほうから、条件みたいなものが。
  87. 山上信重

    ○山上説明員 概括的な事柄はわかっております。
  88. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、年内にきまらないというのはどういう困難性があるのですか。
  89. 山上信重

    ○山上説明員 さような飛行場をつくるにつきましての、あるいは技術的な問題、あるいは経済的な問題その他一般的な地元等の動向の問題、いろいろ考えなければいかぬというふうに考えておる次第でございまして、これ一つというようなことではございません。
  90. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 十四日の日にも小郡に落ちましたね。いまのような作業状態で、まじめに板付問題を考えておるという印象を地元の人たちは持たれないわけですね。きょうも、さっき政務次官のところに地元の総務委員会が来たということは、そのことであろうと思うのです。真剣に取り組んでおる一こういうふうに取り組んでおるのだという中身がないでしょう、いまのお答えで。言われない言われない、検討中と言えばそれで十分じゃございませんかという増田さんのお答え等も、私はこれは非常にふまじめきわまると思うのですね。まじめに考えておるのじゃない。  こういうことは答えられますか。米軍は、地域については、たとえば北部九州、そういう要望をしておるのですか、米軍から出ておるとおっしゃいますが。
  91. 山上信重

    ○山上説明員 現在の段階ではさような限定のいたし方はいたされておりません。
  92. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは出ていないということです。私は、施設関係のいろいろな方にしばしば会いますが、米軍から具体的にまだ出ていないのだ、それが出てこないとなかなかしぼっていかれない、こういう話を聞きますが、私はいまの段階はそうであろうと思うのですね。具体的に米軍から出てますか。まだ出ていないでしょう。あなた方が板付をどこかにかえたという希望を出されたのは聞いております。それからまた適当なところがあれば移ってもいいという米軍のお答えがあったようにも聞いております。それ以上の具体的な米軍側の移転に伴うところの希望の条件なんかまだ出ていないでしょう。
  93. 山上信重

    ○山上説明員 先ほど私が申し上げましたとおり、一般的な事柄についてはすでに承知いたしております。ただ具体的な場所等につきましては、これは選定した上で相談するというような筋書きに私どもは考えておりまするので、どこそこという限定を受けておらぬということを申し上げたのでございます。
  94. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、日本側のほうから一応二つか三つくらいにしほって、ここはいかがですか、こういう交渉をやるのですか。どうなんです。日本側のほうでもう米軍側からの一応のあれは出ておるというならば、米軍のほうに日本側の責任でしぼって出すのですか。
  95. 山上信重

    ○山上説明員 スケジュールとしてはそういうふうに私ども考えております。
  96. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ日本側としてしぼれる時期はいつごろになりますか、二つなり三つなり。
  97. 山上信重

    ○山上説明員 それはまた冒頭に返っておしかりを受けるかもしれませんが、私どもいましほるべく最大限の努力をいたしておるのでございまするが、まだそこまでに至っておらぬという実情でございます。
  98. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、もう一ぺん聞きますが、しぼるためにはどういう条件が要りますか。具体的に三つか四つあげてください。あるでしょう。
  99. 山上信重

    ○山上説明員 先ほど私が申し上げたように、板付飛行場の代替施設でございますので、ほほ現在の板付飛行場と同程度の滑走路なりあるいはその他の付属施設なりあるいはエリアにつきましてもこれに匹敵するようなものというふうに考えております。
  100. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、あなた方は大体費用はどの程度見積もられておりますか。
  101. 山上信重

    ○山上説明員 これは、場所がきまりませんと具体的にははっきりいたしませんが、相当程度の金額がかかるということは当然でございまして、ありていに申しまして、数百億の金がかかるであろうというふうに考えております。
  102. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 数百億の費用がかかると思うのですね。それで、いままでの御答弁から引き出してみても、何ら具体的なものはないのですね。納得させ得るものがない。とするならば、それでは移転までは一体どうなるのか。事故が起こらないように注意しますといっても、半年もたたない間に起こっておる。結局、軍用機の発着をとめる以外にない、あなた方が言う移転までは。政務次官、どのようにお考えになりますか。地元のほうからもそういう要望は参っておると思いますが……。
  103. 三原朝雄

    三原説明員 ただいま楢崎委員の仰せのように、地元からそうした陳情書なり要望書が参っております。しかしこれは米軍との関係もございますし、その旨は米軍といま御相談をいたしておりまするが、その点については、私どもの見通しとしては、使用しないあるいは発着をさせないというようないまの陳情に対しましては非常に苦慮いたしておるということを申し上げる以外にないと思います。そういうことは、米軍自体の今日の状態において地元要請にすぐ回答のできる事情でなかろうという点で……。といって、そのまま陳情なり要請を私どもだけで持っておるということではございません。相談を進めておりますが、非常に至難であるというような見通しを抱かざるを得ないという現況でございます。
  104. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では防衛庁としては、緊急避難は別ですが、訓練等を含めた軍用機の発着については差し控えてもらいたいという要望を米軍に出す用意があるのですか。
  105. 三原朝雄

    三原説明員 一昨日そういう要請を受け、また、知事、地元からもそういう陳情を受けております。そういう問題をとらえて、それに善処いたしたいという御回答を申し上げておりますが、米軍と折衝をするということについては、先ほど申しましたとおり、いたしたいと思っておりますが、要望にこたえ得ることに対しましてはきわめて至難なことではないか。せんだって、訓練につきましては、夜間飛行についてこれを中止をされましたが、今回の場合は、離着陸をやめろ、昼間の訓練も停止してほしいというような要請でございますので、そうしたような立場で、いま申し上げたように、きわめて困難な問題であるということでございます。しかし折衝はする考えております。
  106. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、夜間のほうの訓練は中止になっておりますから、昼間の訓練を中止するということは、板付から、緊急避難を除いて、軍用機の発着を差し控えてもらいたいという交渉はする、しかしその見通しについては非常な困難なものを感ずる、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  107. 三原朝雄

    三原説明員 そのとおりでございます。
  108. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 移転というものは、全く、私から言わせると、来年度予算を二億つける、調査費をつける、それで当面をごまかしていく、それ以外にないのですね、いままでの答弁から見ると。それをくつがえす何ものもない。もしあなた方がほんとうに熱意があれば、米軍に、こういうところはどうですか、こういうところはどうですかと言えるはずです、公表されなくても。それをやっていない。ということはそういう熱意がほんとうにはない。そうすると実際問題として、いま政務次官態度表明されましたそのことが当面の問題になってこようと思います。ぜひひとつ日本政府としては、軍用機の発着を差し控えてもらいたいという態度を堅持して、それが実現するように努力をしていただきたいと思います。  そこで、九大の電子計算機センターにファントムが落ちまして、機体はそのままになっておるのですが、非常に工事がおくれておるわけです。文部省としてはこの電子計算機センターの建設について、予算等も含めてどういうお考えを持っておられるか、お伺いをしておきます。
  109. 菅野誠

    ○菅野説明員 お答え申し上げます。  九大に大型計算機センターの建設中に飛行機事故のありましたことは御案内のとおりでありますが、これにつきましての現在の建築関係状況を申し上げますと、九大の大型計算機センターの予算は四十二年度から四十三年度への国庫債務負担行為として大蔵省の了解を得まして、四十二年度七千百万円、四十三年度一億六千四百八十四万一千円ということで工事中でございます。それで八月末にはおおむね工事が完了して計算機の取りつけにかかろうという予定でございましたが、御案内のように墜落事故によりまして現在工事がストップしておるわけであります。それで、これは大学の委任工事でございますので、九大自体が主たる建築工事は銭高組と契約しておるわけでありますが、大学のほうといたしましてもできるだけ早くこの計算機センターの工事再開を希望しておりまして、御案内のように現状の飛行機がひっかかったままでは工事続行ができないというようなことで、これを引きおろすことをたびたび大学ともども努力したのでございますが、残念ながら現在に至るまで失敗いたしまして、まだおろしてないという状況は御案内のとおりだと思います。なお引き続いて大学は、できる限り今月中に引きおろしをもう一度努力してみるということでございますので、私どものほうといたしましても大学の努力に期待をかけまして、これの引きおろしを行なって工事をできるだけ早く再開したい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  110. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうするといまのところは現状を見守っておるということだと思います。いろいろ問題かあることは御承知のとおりです。なかなか思惑どおりいくかどうか、これはわからないことですけれども、結局、たとえばもう九大はあきらめてよそに持っていくというような事態が起こらぬとも限らぬと思うのですね。そうすると、その辺のあなた方が見込まれておる見通しの限度というのは大体どのくらいを思っておられるのでしょうか。
  111. 菅野誠

    ○菅野説明員 御案内のように学内事情が非常にむずかしい事情もありまして、現在確たることは申せないような状況で、私どもも苦慮しておる次第でございますが、ともかく全力を尽くして引きおろして工事再開ということを大学もやっておりますので、いましばらく静観したい、その後の問題についてはやはりその時点になって、また考えざるを得ない、こういうふうにいまのところでは静観しておる次第でございます。
  112. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまのところでは、じっと見守っていきたい。いまのところはというのはちょっとひっかかるのですけれども、私は、やっぱり九大自体で解決されるのをじっと待っておられて、予算等でこれに制約を加えるというようなことがないようにひとつお願いをしたいのですが、最後にもう一ぺんそれを聞いておきたい。
  113. 菅野誠

    ○菅野説明員 私どもも被害者の一人というか、被害者側になっておりますので、なかなかむずかしい点があろうと思いますが、できるだけ方向といたしましては、計算機センターの工事の再開をできる限り努力するということでまいりたいと思いますが、やはり予算的なリミットがありますので、その辺がまた、これは会計法上の問題点もあろうかと思いますが、できる限り努力してまいりたいと思っております。
  114. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、そのリミットということを言われるから心配するのですが、そのリミットというのは、大体どういうことなんでしょうか。
  115. 菅野誠

    ○菅野説明員 建設工事自体のリミットを申し上げますと、御案内のように、予算が債務負担行為の予算でございますので、現在は、請負側からは工事延期願いを出しておるわけでございまして、それで結局、今年一ぱいの予算になっておりますので、債務負担の限度が今年度が終年度になっておりますので、これを予算的に申し上げますと、リミットと申し上げましたのは、繰り越しの手続がどうなるかという問題が一つあるわけです。その繰り越しの手続は、大蔵省のほうと御相談せねばならぬのですが、ここ見通しがないままに工事を延期いたしますと、その間の休業補償の問題が出てくるわけでございまして、請負人に不当の支出をしいるということも、これまた当然できないことでございますので、そのようなことから、これは事故繰り越しの手続にならざるを得ない、こう思うのですが、事故繰り越しの手続をいたす場合に、そのような見通しのない、むしろこれは先生方のほうが御存じかと思うのですが、国損になるおそれのあるものを事故繰り越しとして認めることができないということになりますれば、そのときにおいて不用に落ちてしまうというおそれがあるわけでございます。したがって、その辺が予算的にはタイムリミットがあるということを心配しているということでございます。
  116. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いろいろ技術的にはむずかしいところがございましょうが、ひとつ先ほどの態度で、あくまでも見守っていただきたい。  時間がありませんので、引きおろしの問題の法的な関係もお伺いしたかったのですが、それは次に譲りまして、残しておりましたB52の嘉手納における墜落の状況を報告していただきたいと思います。
  117. 松原進

    ○松原説明員 今暁四時十五分ごろに、沖繩の嘉手納基地におきましてB52が墜落、炎上いたしました。この情報につきましては、本日早朝、在京アメリカ大使館より外務省のほうに連絡がございました。  事故の大体の模様につきましては、詳細はまだ調査中でございますので、ただいままで私どもの承知しておるところによりますと、離陸後しばらくして再び着陸したときに事故が起こった。幸いにいたしまして、人身を含めまして被害はたいしたことはなかったということが不幸中の幸いであったかと思います。  原因につきましては、なお米空軍当局において現在、調査中でございまして、判明次第、逐次連絡がくる予定になっております。
  118. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 米軍側と外務省の間で、何かその点についての正式な話がありましたか。
  119. 松原進

    ○松原説明員 ただいま、外務省は直接米軍側と話し合いを行なっておる段階ではございません。ただいま、詳細な情報をさらに待っておる段階でございます。
  120. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 先ほど、増田防衛庁長官は、外務次官のところでオズボーン氏ですか、B52の撤去問題について話し合いが行なわれたという報告をさっきなさったのですが、そういう事実があったのですか。
  121. 松原進

    ○松原説明員 私が出てくる段階では、まだそんなことはございません。
  122. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、増田大臣のおっしゃていることは、何が根拠であったのでしょうかね。外務省としては、増田大臣の発言については責任を持たないわけですか。
  123. 松原進

    ○松原説明員 かつて本年の二月にB52が沖繩に集結してまいりましたその段階におきまして、外務省より、当時のオズボーン代理大使を外務省に呼びまして、申し入れをした事実はございます。
  124. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 たいした被害がなくて幸いだったとおっしゃいますが、爆弾を積んだまま落ちたのでしょう。落ちた個所は爆弾倉庫等とは関係のないところに落ちたのですか。
  125. 松原進

    ○松原説明員 爆弾は、通常爆弾を搭載しておったというふうに承知しております。ただ、落ちました場所は滑走路の端であるというふうに情報を受けておりますけれども、それ以上の詳しいことはさらに追報を待っております。
  126. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どのくらいの爆弾を積んでおったのでしょうか。
  127. 松原進

    ○松原説明員 ただいまのところ、通常爆弾を搭載しておったということ以上は詳細は承知しておりません。
  128. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうも課長さんで恐縮なんですが、いまのお話によりますと、外務次官とオズボーン氏という人の話というのは知らないということですが、いま一本化ということでいろいろ努力をしておるところです。どういう対策を考えておりますか。直接の施政権はございませんが……。
  129. 松原進

    ○松原説明員 B52が嘉手納の基地を本年の二月に使用を始めましたときに、先ほど申し上げましたように、外務省といたしましては、在京米国大使館を通じまして、米軍にいろいろな申し入れをいたしたわけでございますが、その際から、米側といたしましては、嘉手納基地をB52の恒久基地とするつもりはないということを申しておられます。したがいまして、私どもといたしましては、B52が嘉手納基地を使用しない日が早くくることを実は期待しておるわけであります。
  130. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 期待はされておりましょうが、たとえばまだ詳細がわからないということですが、残骸等の飛び散ったところは相当あるという報告を私は受けておるのです。それからまた、相当の爆発を起こしたということ本聞いておる。それで、一体化等のたてまえとも関連をして、何か政府のほうで直ちに調査団を出すという、そういうお考えがおありですか。
  131. 松原進

    ○松原説明員 私どもといたしましても、今回のような事故が起こることはたいへん困ると思います。米側がさらに十分注意するよう望んでおるわけでございますが、具体的に米側との間にどういうことをするかという点につきましては、目下まだ検討中でございます。
  132. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 調査団等を派遣する意思ありやいなやを聞いておるのです。
  133. 松原進

    ○松原説明員 ただいま申し上げましたように、具体的な米側との今回の対策につきましては、さらに検討中でございますので、具体的な点につきましては、現段階では申し上げかねるわけでございます。
  134. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 現在の段階ではおわかりにならないそうですが、これはやはり直ちに調査団を派遣すべきだと思います。そして懸案になっておりましたB52の沖繩からの撤退の問題、これは真剣に米側に申し込む必要があると思うのです。その辺についてはどういうお考えでしょうか。
  135. 松原進

    ○松原説明員 ただいま申し上げましたように、今後の米側とのやりとりにつきましては目下まだ検討中でございますので、これ以上具体的に申し上げられないことはたいへん残念でございます。
  136. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは時間がきたようでございますから、自後の質問ば明日さしていただきます。残っておられるそうですから……。
  137. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 先ほど人事教育局長からの御答弁がありましたが、私の尋ねんとしておることは、年々応募は多いけれども、実質的にその採用する面が少ない。これは一体どういう意味だということをお尋ねしているのと、もう一点は、停年考になって社会人になっていくときの就職に対するえ方、もう一点は隊員食事あるいは宿舎の設備だとかいう点について、どのようなお考えを持っていらっしゃるかということを聞いたら、それに対しては鋭意考えを進めつつやっているんだというだけであって、本質論的にこういうふうにしているのだ、こういうことを実行に移しているのだというような答弁はない。  もう一つは、最初に戻るのでありまするが、人員不足は一割五分に達しておる、予算は年々ふえておるとおっしゃるけれども、計画どおりの人は来ていない。大蔵省予算が削られておるがためにそういうふうであるのか、あるいは試験が非常にむずかしいから、応募者はあっても一〇〇%入れることができ得ないのかどうだという点を、明確にひとつ答弁をいただきたいと思うのです。
  138. 麻生茂

    麻生説明員 最初の充足率の問題につきまして、先ほど御説明いたしましたのは、われわれとしまして毎年募集計画があるわけでございますが、この募集計画に対しまして、採用する数というものは漸次一〇〇%をこして上昇しておる。しかし任期がきました者がさらに継続して任用されるということでなくして、やめていく、そういう任期満了の除隊者、これが計画よりも上回っておる、したがって実際の充足率計画どおりの充足率を達成できなかった、こういうことでございます。  それから先ほど私がお答えいたしました点で、ちょっと補足さしていただきますが、現在の陸上自衛隊充足率は今年の四月からは九〇%をこしております。九月現在で申しますと、九〇・二%に充足率はなっております。この点先ほど九〇%をこえないということを申しましたので、訂正させていただきます。いずれにしましても、四十三年度におきましては、毎月九〇%をこえて充足率を維持してきております。  それから停年の問題でございますが停年後の退職の問題というものにつきましては、今後多くの者が若年で停年に達しまして退職してくる見通しがあるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、この広域就職と申しますか、労働省の職業安定局と連携をとりまして、職業安定所と出先の駐とん地あるいは地方連絡部、これらの三者の共同の連絡によりまして、停年者の第二の人生への面を広げていくということで極力努力をしておるわけであります。本年のたしか二月ごろだったと思いますが、労働省とそういう話し合いをいたすことにいたしまして、職業のあっせんに対して一段と拍車をかけるようにいたしておるわけでございます。  それから住宅につきましては、曹関係のものにつきまして具体的に申し上げますと、曹用の宿舎状況昭和四十年度においては千五百十五戸でありましたのが、四十三年度におきましては二千三百五戸の建設をやっております。この中には特借宿舎も入っております。特借宿舎として千八百十七戸というのが入っております。  それから糧食のことにつきましてお話がございましたが、これらにつきましても、四十年度におきましては単価が百六十三円でございましたのが、四十三年度におきましては二百二十九円というように単価を引き上げまして、米価の改定もありますが、また食事内容の改善ということにもっとめてきておるわけでございます。  あるいは御質問の点でお答え漏れした点があるかと思いますが、もし漏れている点がございましたならば補足さしていただきます。
  139. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 どうも私の耳が悪いのか、熱心に答弁していただいておりますけれども、私の聞いておることはそうむずかしい話ではなくて、隊員がやめていくときに、それは安定所なんかと話し合っているということであるけれども、実際隊員がやめていったときに就職のあっせんというものを隊自体が考えているのかどうだ、そしてその隊員に対して何%までの就職率を示しておるかということと、それからいま、食事に対しては四十三年は二百数十円になったのだ、非常に上がってきたと、こうおっしゃるから、隊員はその食事で満足しておるのかどうだ、こういう問題等々についてもう少し私はお尋ねをいたしたいと思うのです。私が聞いた範囲による隊員は、国を愛する観念から自衛隊員として来ておるのであるから不平こそ言いませんけれども、実際においてはもう少し食事内容もよくしてもらいたいということを言っておる。それから宿舎に対しても、いま借りることは困難である、そういう意味で、隊員の妻帯者においては何とかこれは考えてもらいたいということを非常に主張しておる。それからやめた場合においての就職というものを非常に心配をしておる。こういう点に対して、防衛庁の考え方というものは、真剣に取り組んでいただいておるかどうだ、そういう点が真剣に取り組んでいただいておらぬと、いま募集するという人に対しても一割なり一割五分というものが減ってくるという原因をつくっている。少なくとも国を愛し、みずからの国を守っていこうということで、国会において人員もきめられ、そして予算も計上せられたとするならば、その金を全部使い果たすような方向に持っていくべきが当然であると思う。そういう点から私は尋ねているのであるから、もう一度担当者においてひとつ御説明をいただきたい。
  140. 麻生茂

    麻生説明員 最初の問題につきましては、隊員がやめていく場合、十分就職のあっせんができるのかどうか、こういうことでありますが、任期制の隊員につきましては、これに対する需要のほうがむしろ多いわけでございます。停年でやめていく者につきましては、こちらからあっせんをしないとなかなかむずかしいわけでございます。停年でやめていく者についてはそういう事情にあるわけでありますが、任期制の隊員については、むしろ今日のような若年労働力の逼迫しているときでありますので、これにつきましてはいわゆる需要者のほうが多いというのが現状であるわけでございます。停年でやめていく曹以上の者につきましては、やはり従来の自衛隊の生活から第二の人生に踏み込むわけでありまして、われわれといたしましては、これは真剣に親身になってお世話をしていくというつもりでおるわけでございます。先ほど申しましたように、自衛隊における生活というものがその人生において少しでもプラスになったという結果が出るように極力努力していきたいという考えで、基本的な態度としては臨んでおるわけでございます。  それから食事の点につきましては、これは私から直接申し上げるより、あるいは装備局長から申し上げたほうがいいのかと思いますが、食事につきましては従来外米が入っておった量を少なくして、できるだけおいしいものにするという方針で漸次改善食事内容については加えてきておるわけでございます。  それから宿舎につきましては、大体今後三次防間におきまして特借宿舎を含めまして曹に毎年約二千戸近い数字の宿舎をつくるという計画で前向きに臨んでおるわけでございます。
  141. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 食事の問題……。
  142. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 元来自衛隊食事につきましては、厚生省が調査しております日本人の栄養所要量というものを基準としまして、もちろんそれをオーバーしたものを給与しております。計算上はいまの隊務に支障のない食事を支給していると考えております。ただ私も昔主計科の士官をしておりまして、現実に支給する場合の方法とか、そういう問題にも問題があると思いますので、隊員の希望に応ずるような食事を支給したい。現在の支給しております基準量なりあるいは中の栄養につきましては専門家が検討し、それに必要なものは支給しております。いま申しましたような現実の支給方法、そういうことについても改善を加えて、隊員の満足する状況に持ってまいりたいと考えております。
  143. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いま装備局長さんからの御答弁で、カロリーの関係、さらに食事に対しては今後も隊員の意思を尊重して十分考えてやろうということでありますから、この点ひとつ十分に考えてやっていただきたいと思うのです。机上プランだけではなくて、実質的にその声を聞いてやっていただいて、そして各部隊につとめてそのような予算に対して考えてやり、さらにカロリーを引き上げてやり、十分な食事を与えてやっていただくことを私は願います。  それから、教育局長からのお話では、一応納得することができたんです。若年と老年と申しまするか、停年で出ていくという人たちに対していささか就職の面においては違っている。けれども何にいたしましても、隊員としてつとめ、そして出ていくときに不安を持たせないように、自衛隊に入っておっても、今度隊を退くときには安心して就職ができるんだ、そういう点についてひとつ十分な配慮をしてもらいたい、こう思います。  さらに、時間の関係で簡単に質問をいたしておきたいと思いますが、研究開発費についてお尋ねをいたしたい。現在日本が支払っている研究開発費の総額とその内容、算出基準について御説明を願いたいと思います。
  144. 佐々木学

    佐々木説明員 研究開発費は三次防の大きな柱でございまして、国内技術の革新等と見合いまして、三次防では大体二兆三千四百億のうちの四百九十億程度を研究開発費に充てたいというふうに考えております。この数字は、二次防の期間中約百八十億投じてございますが、それの倍増以上にふくれ上がっておるというような形でございます。技術革新に応じまして、今後防衛庁内における研究開発の促進につきましては、予算的にも重点を置きたいと考えております。
  145. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 F4Eファントムの研究開発費として米国は製造会社に幾ら払っておるか、わかっていたら教えていただきたいと思います。  また技術提携に要する費用の割合はどのようにして決定されるのか、この点もお尋ねをいたしたい。
  146. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 アメリカ政府がアメリカの会社に払いました経費につきましては、実は詳しく教えてくれません。ただ私今度のF4E交渉の過程で感じましたのは、大体F4シリーズの開発に約九億ドルを払っているのではないかというふうに見ておりますが、これはアメリカから渡された正式の数字ではございません。  それから第二点のお話の技術開発費にどう払うかということでございますが、 二つございまして、一つはアメリカ政府が開発に要したいわゆる研究開発費――RアンドDと申しておりますが、これにつきましては昨年の四月から米国政府の方針として、先進諸国からは適当の分担金を回収するということで交渉がございまして、アメリカ政府の四十二年四月一日から施行されております国防省令では、過去十年間の開発に要した金とその品物との比で出すという基準がございます。そのほかにいまの技術料としましては、いわゆる各会社が技術協定をします場合にロイアルティーを払います。これにつきましては、外資審議会で審査をして認可をいたしますが、それぞれの品種によってあるいはものによって率は変わっております。一がいには申せませんが、これはむしろ民間ベースの問題でございまして、通産省なりあるいは外資審議会なりが具体的な事案について検討して認可するということになっております。
  147. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 これは非常に微妙な問題でありますので、きょうは時間がありませんので、この次にまたお尋ねいたすことにいたしたいと思います。  それから防衛力整備計画についてちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、三十三年以来、十年間にわたり第三次防衛計画までの実績は計画に比べて未達成のものが相当あります。当初計画どおり進行しなくてもわが国防衛計画には支障はないのか、未達成の部分をどう解決するのか、この点をお尋ねいたしたい。  昭和四十六年度で終わる三次防のあとの四次防、五次防の計画はすでに考えられておられるかどうか、日本の防衛力の目標をどの程度に考えておられるか、あわせて御説明を願いたいと思います。
  148. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 わが国防衛計画につきましては、昭和三十二年にきまりました国防の基本方針があります。それからわりあい最近のものでは、三次防の整備計画をつくりました際に、一般方針がきめられております。すなわち、わが国整備すべき防衛力といいますのは、通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対しまして、最も有効に対応し得る効率的なものを目標とするというのが防衛計画の目標でございます。  それでお尋ねの二次防以来の達成の状況でございますが、そういうふうに整備目標をつくりましたけれども、二次防で申し上げますと、これは昭和四十一年度に終わったわけでございますが、計画と比較いたしまして、必ずしも一〇〇%達成はいたしておりません。  具体的に申し上げますと、陸上自衛隊では自衛官十八万体制を目標といたしましたが、そのうち八千五百人の増員は未達成に終わりました。しかし、そのうち千五百人につきましては、三次防に入りまして達成をいたしました。したがいまして、あと七千人が達成していないので現在定員が十七万三千でございます。陸上自衛隊でおもなものでは、そういう問題が残っております。それから海上自衛隊におきましては、計画から見まして、保有艦艇が約三千五百トン程度未達成に終わりました。この艦艇につきましては、三次防の整備の際に逐次これを達成したいと考えておるわけでございます。それから、航空自衛隊につきましては、おもなものは、半自動警戒管制装置、いわゆるバッジでございますが、これを二次防期間中に達成したいということでございましたが、未達成に終わりました。しかし、これも一年ずれましただけで、三次防の初年度、四十二年度に達成いたしまして、四十二年度末には領収をいたした、こういうのが各自衛隊の未達成のおもなものでございます。  三次防に入りましてからは、いま申し上げましたように、陸上自衛隊なり航空自衛隊の未達成のものを初年度、四十二年度に解決をいたしました。それから、四十三年度進行中なわけでございますが、これは三次防の計画から比較いたしますと、大きな柱、大きな項目につきまして、四十三年度について計画がたいへんずれているというふうなことは現在までございません。ほぼ順調に進捗していると申し上げてよろしいかと思います。  問題は、これから四十四年度予算をいま要求中でございますけれども、あと二カ月足らずできまると思いますが、たとえばいま申し上げました陸上自衛隊で、二次防で達成できませんでした八千五百人のうちの、さらにそのうちの柱になります六千人を要求中でございますが、これは財政当局とこれからさらに折衝を要する問題でございます。その他、いろいろ問題もございますが、四十四年、四十五年、四十六年、すべてこれからの問題でございますので、われわれはできるだけ目標を達成いたしたい。最初に申し上げましたような目標、局地戦以下の侵略事態に対し、効率的な抑止力となるものを整備いたしたい、こういうふうな目標で進んでいきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  149. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私はまだ聞きたいことがたくさんあります。いまの御答弁によっても聞きたいことがありますけれども、華山委員質問いたしたいということでありますので、もう一点だけお尋ねいたしておきたいと思います。  防衛産業の育成ですが、兵器資材の発注の基準と、日本の産業の中で防衛産業の占める割合、また今後防衛庁がこれらの関連産業に対して、どのような指導、育成をはかっていかれるか、その計画について、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  150. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 非常に大きな問題でございますけれども、われわれ日本の防衛を達成するためには、やはり国内に必要な産業が必要であろうというふうに考えております。特にいまの、技術が非常に進歩する段階におきましては、開発面に重点を置いて、国内の関連産業の発達が望ましいと考えております。現在、大体国内の総生産に対しまして、防衛の発注の占める比率は〇・五%程度でございます。航空機とかそういう特殊なものにつきましては、相当国内の生産額の中に防衛費の占める比率が大きいのでございますけれども、一般的に申しまして、大体〇・五、各品種別に見ましても各業種ごとの総生産に占める比率は〇・五から、高いところで三%程度でございます。企業で見ましても、特殊な企業は別としましても、大体その程度の比率でございます。先ほど先生の御指摘の、国内の研究開発費の支出も比較的ほかの国に比べて少ないのでございます。われわれとしましては、そういうものに重点を置きまして、関連の産業が発達していただくように努力してまいりたいと考えております。
  151. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 同じことですが、この問題についても、いまの御答弁ではちょっと納得しがたいところがありますので、さらに日を改めてお尋ねをいたすことにいたしまするが、何にいたしましても、この防衛関連産業の指導育成に対しては、慎重な態度で考えてやっていただきたい。F104ですが、これも国産化するようになってきたら、もう防衛庁では必要のないような形になってくるということになりますと、やはりそういうような問題から考えてまいりましても、いろいろと研究段階に来て、コストも安くでき上がるという事態で四倍もするような新機種が買われていくということになりますると、研究そのものに対する気勢がそがれるような状態になっていくと思うのですね。さらに、関連的ないろいろの物資をつくっていらっしゃる方も、防衛庁がそういうような態度で、次から次へと、新しいものということでかえられていきますると、情熱もそこからなくなってくるのじゃないか、こういうことも考えられていきますから、指導、そして育成に対しては、非常に御研究になって、そしてこの人たちを十分育成されるように私は願ってやみません。この問題についてまだいろいろとお尋ねをいたしたいところがありまするけれども、相当時間が経過いたしましたので、この程度で私の質問は一応打ち切ることにいたしますが、先ほどから申しておりますように、日を改めて、また質問させていただくことにいたしまして、委員長、ありがとうございました。
  152. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 華山親義君。
  153. 華山親義

    ○華山委員 きょうで、いろいろお聞きすることは終わらないと思いますから、また明日にもお聞きしたいと思います。  決算委員会の立場といたしまして、金が幾らかかったとか、そういうことだけでは済まないわけであります。一応F104Jのことが一段落のようなところでございますので、このF104Jにつきまして、どういうふうな過程をとって、どういうふうな金の出し方をしたか。この点について承りたい。時間がありませんので、ごく簡単に聞きますから、ひとつ簡単にお答えを願いたい。F104Jというものを機種として決定したのはいつでございますか。
  154. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 三十四年の十一月の六日の国防会議決定しております。
  155. 華山親義

    ○華山委員 その、初めに国産化するためにアメリカから輸入をいたしまして、そして製作にかかったと思いますけれども、それはいつからいつまでかかったのですか。
  156. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 F104の契約をいたしましたのが三十五年度でございまして、三十六年に一機入ってまいりまして、続いて三十七年度に残余の分が入っております。
  157. 華山親義

    ○華山委員 その後、いわゆる日本の国産化ということになったわけでございますけれども、それは、いつから、年次別に何機ずつつくりましたか。
  158. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 三十五年度に契約しまして、三十六年に完成機を一機入れまして、三十七年度に二十三機入っております。三十八年度に六十機、三十九年度に九十六機でございます。合計百八十機でございます。
  159. 華山親義

    ○華山委員 もう一度おっしゃってください。
  160. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 三十五年度に契約しまして三十六年の三月一機入りました。その後続きまして三十七年度が二十三機、三十八年度が六十機、三十九年度が九十六機、合計百八十機入っております。
  161. 華山親義

    ○華山委員 現在F104Jは何機あるのですか。
  162. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 そのあとで、また四十年に三十機の追加をしましてF104Jは二百十機つくりました。現在百九十五機ございます。
  163. 華山親義

    ○華山委員 その二百十機と百九十五機の差はどうなったのか。
  164. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 事故で使用廃止されております。
  165. 華山親義

    ○華山委員 そのつくられたF104Jは寿命というものがあると思いますけれども、平均余命等から見まして、いつまでこの飛行機はありますか。
  166. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 現在の二百機足らずの104Jはずっとダウンしてまいる見込みでございます。これも将来の事故によっていろいろ違ってまいりますけれども、大体の推測を申しますと、昭和五十五年までスコードロンを編成し得る。五十六年になりますとスコードロンを編成できない程度の機数に落ちていくであろうというふうな推測が可能でございます。
  167. 華山親義

    ○華山委員 F104Jは、もう生産は打ち切りであって、今後つくらないのでございますね。
  168. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 その方針でございます。
  169. 華山親義

    ○華山委員 それからF86F、F86D、これらのものも古いものとしてありますけれども、これらは今後補給しない見込みでございますか。
  170. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 補給しない予定でございます。
  171. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、四、五年のうちにはF4Eファントム、これ一色になるわけでございますね。
  172. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 四、五年ということでございましたら、104はまだ相当部分あります。それで、新しくファントムが入ってまいりますので、ファントムと104とで主力戦闘機部隊を編成する。そのほかF104、F86Fもだんだんダウンしてまいりますけれども、これは現在三百機近くございますので、四、五年後もまだ相当残っておりまして、部隊を編成することは可能でございますけれども86Dのほうはもうございません。
  173. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、将来はF86F、F86DそれからF104J、こういうものはもう補給しない、自然に寿命のくるとか、事故のためになくなればそれだけのことで、あとは全部今度の新しいF4Eへかわっていく、こういう構想でございますか。
  174. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 86Dにつきましてはもうなくなりましたが、これは補給するつもりはございません。86Fはいま申し上げましたように、まだ相当機数ございますので、ほんとうになくなりますのは五十年代になりますが、いまの見込みでは、これを五十年以降追加して補給するつもりはございません。104もなくなりますのは、まだ先になりますけれども、104自体を追加生産するという構想は持っておりません。そこで、F4Eファントム一つじゃないかということになりますと、そういうことじゃございませんで、四、五年後にファントムがわれわれの構想によりますと第一線機に登場してまいる。そのときにはまだ先ほど申し上げましたように104Jが次に並ぶ戦闘機として相当の部隊編成を持っているであろう。さらに86Fもそう  であろうが、86Fはわりあい急激にダウンしていくということでございます。そこで、さらにもう少し先のことの構想を申し上げますと、86Fはだんだんダウンしてまいりますが、ファントムと104とが並ぶ時期が相当あるであろう。それを見込みまして、さらに数年後のことになりますと、104が落ちますので、さらにその時点になりますと、104にかわる何かを考える。次期の次期の戦闘機を数年後にはまた考えなければならない、こういうことになろうかと思います。そこである時点をとりますと、一機種だけじゃなくて、そのときの主力戦闘機と、それからもう減退期に入りましたその前期の戦闘機とがたいていダブってわが国の防空に当たる、こういうことになろうかと思います。大ざっぱな構想を申し上げますと、そういうことになるわけでございます。
  175. 華山親義

    ○華山委員 F104Jが寿命が来てなくなるのはいつごろなんでしょう。
  176. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 これも先ほど申し上げましたように事故の減耗の将来の見込みでございますから、そう正確ではございませんけれども、五十一、二年ごろまでは相当な機数、百数十機はまだある見込みでございまして、五十三、四年以降になりますと、急激に寿命がどんどん尽きてまいりまして、急激にダウンしてまいります。五十五年ごろまで、五十六年になると部隊編成ができない程度の機数になるであろうというのが大体の見込みでございます。
  177. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、この104Jが今後F4Eと並んで主力戦闘機になる、こういうことでございますね。
  178. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 そういうことでございまして、これから整備いたしたいと思っておりますファントムがほんとうの主力戦闘機で、現在の主力戦闘機である104も相当な主力戦闘機でございますけれども、104は若干性能が落ちますので、セカンドクラスの主力戦闘機、こういうふうになって、ファントムと組んで防空に当たる、こういうことになるわけでございます。現在は104が第一流で86Fは第二流である、こういう状況でございます。
  179. 華山親義

    ○華山委員 F104J、これは一機当たり、経費につきましてどういうふうな変遷をとってこられましたか。
  180. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 三十五年度予算を組みまして関係会社と契約いたしましたけれども、第一次生産の百八十機につきましては、このほかに二十機のDJという複座機を一緒にしまして二百機の生産を行ないました。それにつきましては、単価は最初予定いたしました四億二百万円という数字で、最終的にもそれででき上っております。予算を組みました予定価格で確定してございます。あと三十機を四十年度に予定しまして、これも四十年度に契約しましたけれども、これは契約当時に予定しました単価よりも多少下がりまして、四億九千九百万円という単価ででき上がっております。
  181. 華山親義

    ○華山委員 これは、あとになって値段が上がったのはどういうわけですか。
  182. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 最初は三十五年度時点で二百機という機数を契約しました。あとまた一時中断しまして、四十年度から契約いたしました。その際には物価あるいは賃金の値上がり、それがはね返っておりまして値が上がっております。
  183. 華山親義

    ○華山委員 ずいぶん長い年月だが、値段を下げる合理化はなかったのですか。
  184. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 当然合理化は進んでおりまして、たとえばエンジン等につきましては相当の合理化は進んでおりましたけれども、実を申しますと、第一次生産につきましては国産化率が四三%程度でございました。高いものは輸入して、つくったほうが安いものをつくるというような計算でございましたけれども、だんだん技術が進みまして、しかも日本の航空機工業の技術を推進するという観点もございまして、第二次生産は六四%の国産化率に上げました。その関係もございまして、搭載武器等につきましても国産化を進めました。多少そういうもののはね返りもあると思います。
  185. 華山親義

    ○華山委員 それでわかりましたが、現在の段階におきましては、国産化を進めれば進めるほど値段が高くかかるということでございますね。
  186. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 一がいにそうは申せませんが、残念ながら現在航空機工業につきましては日本の技術はまだ十分でない。それに、もう一つは、いまの航空機の生産は米国が主でございますけれども、非常に世界の需要を持った大量生産をしているという関係で、確かに国産する場合のほうが値が高くなります一般的に申しまして、日本の鉄鋼業でも、化学工業でも、機械工業でも、初めは高い技術を買って、それで自分のものにして国際競争力をつけたということもございますので、われわれはある程度のそういうものはやむを得ないというふうに考えております。
  187. 華山親義

    ○華山委員 この飛行機は、日本ではオーバーホールがもうできるのですか。
  188. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 104でございますか。
  189. 華山親義

    ○華山委員 はい。
  190. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 やっております、もちろん。
  191. 華山親義

    ○華山委員 それで、先ほど国産の率ということを申されましたが、四〇%、六〇%と言われたのは金額で言われるのですか。
  192. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 金額で申しております。それの計算方式は、全費用の中から外貨で払ったものというのに分けまして、その比率を出しております。
  193. 華山親義

    ○華山委員 外貨で払う、この中にはF104Jにつきましてはアメリカの政府に対して、開発の経費、そういうふうなものも入っているのですか。
  194. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 当時は米側のほうはむしろ援助をしておりまして、104Jをつくる場合には七千五百万ドルの援助がございました。そういう関係でアメリカ政府へのそういう費用は払ってございません。
  195. 華山親義

    ○華山委員 今度のF4Eにつきましてはこれを払うということにお考えなようでございますが、これはどういうわけでこういうことになるのですか。何か日本の国のほうが経済力ができたからアメリカでも払え、こういうことなんですか。
  196. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 簡単に申しますと、そういうことのようでございます。当初は日本に対しましてもアメリカは援助をして――一番初めには物をそのままよこしまして、その次には援助をして、日本の国防に向こうも援助しておりましたけれども、四十一年度からアメリカの国の方針が変わりまして、NATO諸国なり日本なりあるいは豪州なりにつきましては、そういうような援助をやめまして、逆にいまの国防省令ができまして、四十二年度の四月一日からは、向こうが指定します国からは、アメリカ政府の払いました、使った費用については、ある基準で応分の分担をしてもらうという方針にきまりまして、今度の新しいF4E――先年導入決定いたしましたナイキ、ホークからそういう方式に変わっております。
  197. 華山親義

    ○華山委員 アメリカはそうでございましょうけれども、防衛目的のためにする特許権及び技術上の云々という長いアメリカ政府との間の協定がありますね。この協定はどうなるのですか。
  198. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 ナイキ、ホークの場合には、実は向こうからRアンドDを要求せられまして、その条文で問題になりました。われわれは日米の技術協定で両国政府とも国防上のそういう政府の持っている技術料については無償だという協定があるではないかということで、折衝したわけでございますけれども、向こうの解釈は、現在の米国政府なりが持っている、あるいは米国政府が管理している特許権なりノーハウというきまった権利金は取らない、しかしそれの前提になっている何年かつぎ込んだ開発費は、その協定の範囲外だということで向こうは主張しまして、現実には、NATO諸国あるいはカナダ、豪州とも、米国政府は技術協定第五条のような協定を持っておりますけれども、これは払っております。そういうことで、われわれはナイキ、ホークの際にも払わざるを得なかったという状態でございました。
  199. 華山親義

    ○華山委員 たいへん遺憾なことでございますけれども、そういう問題で板ばさみになって、昨年のいまごろでございましたか、局長が自殺なすったというふうなことも起きているわけです。それで、アメリカのいまのような主張に対しまして、政府のほうはどういう反論をしたのですか。
  200. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 当時前局長がその問題でいまのように理論的に向こうの誤明を求め、こちらも主張をしたのであります。当時は、もう一つもっと大きな問題としまして、現在アメリカ政府が払っているRアンドDは自分の国の防衛に払ったもので、それは自分の国の問題としてちゃんと済んでいるじゃないかということも申したのでありますけれども、結果的には払わざるを得なかったということになっております。
  201. 華山親義

    ○華山委員 しかしとにかく局長が自殺されるほどの大問題なんでございますから、いま局長が御説明になったような簡単なことできまる問題じゃないと思う。国費なんですからね。  それで、ナイキ、ホークにつきましては何%払ったのですか。
  202. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 米国政府に払いますRアンドDにつきましては、米国政府の要請で、やはりこれは防衛上の機密ということで、申し上げることについては向こうからはやめてほしいということでございますが、当時の御審議いただきましたときの数字の中に、約三%という数字で申し上げているようでございます。
  203. 華山親義

    ○華山委員 アメリカ政府の要請によって言わないでくれと言われたって、決算委員会は困る。とにかく国費で出るのでしょう。どれだけのものがこの飛行機なら飛行機、あるいはナイキ、ホークについてかかったのか、それにつきましてはどれだけのものがアメリカ政府に支払われたのか、そういうふうなことを決算委員会としては当然知る権利があると思う。私、知らなければいけないと思う。アメリカ政府が秘密にしてくれということだけで、三%程度でございますということで済むでしょうか。
  204. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 先生の御指摘はごもっともでございます。ただ、いまのようなアメリカ政府の言い方は、現在の国防省令で計算基準がございます。二つ意味がございまして、一つはその計算基準がございますので、いまのいわゆるアメリカ政府が供給している全機構の武器の数、精度がわかってくるということから、国防上の機密である、それが第一点でございます。第二点は、これは実は国会で申し上げるのもどうかと思いますけれども、われわれとしましてはその計算基準につきまして、日本が最も有利な方法で計算してほしいということで通しておりますけれども、各国の解釈は違っておりまして、日本側でどういうような計算でどういう協定をしたかということは、ほかの国で聞いた場合に問題も起きる。二つの問題から、ぜひこれは公表は差し控えてほしいということになっております。われわれも相手方のあることでございますので、これ以上申し上げるわけにまいらぬということでございます。
  205. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、ここの委員会が今後とも飛行機についての原価計算の内容を示してもらいたいと言った場合には、あなたのほうは拒否されますか。
  206. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 当然、国会で御審議いただきますので、最終的に決定しました数字については申し上げることになると思います。たたその内訳につきまして、何が幾らということは申し上げかねる。特にRアンドD問題だけでなくて、いまの原価計算になりますと、それぞれの持っております武器の内容、精度まで申し上げませんと原価計算はできてまいりません。そういう意味では、ああいう第一線機でございますので、公の場で申し上げることはいたしかねるという問題でございます。
  207. 華山親義

    ○華山委員 それだったならば、われわれはわれわれの任務を果たすことはできない。何に使われたかわからない、どういう原価計算でこの会社に金が支払われたかもわからない、そういうことでは、決算委員会は、あるいは衆議院、参議院は職務を果たせないことになる。そのことにつきまして次官、どう思いますか、あなたも衆議院議員なんだから。
  208. 三原朝雄

    三原説明員 この点につきましては、以前においてもこの問題が問題になった事項でございます。われわれとしても、国会審議の使命、重要性から、いま先生の御指摘のような点をできるだけ審査できるような態勢に持っていくべきであるという立場で検討を進めておりますけれども、いま装備局長から申しました米国との協定等がございまして、十分意に浴い得ない点のあることを遺憾といたしております。いま申されましたように、国会の場において審議が十分できないというような事実が出てまいりますので、そういう点については米側ともできるだけ相談はいたします。相談はいたしますが、前回のそういう問題のときにもついに御要請のような事態まで解決することはできなかった事情もございますので、きょうは御意見として承りまして、検討してまいりたいと思います。
  209. 華山親義

    ○華山委員 場合によっては秘密の国会もあるわけです。ぜひわれわれの職務を完全にできますように深甚な考慮をしていただきたいと思うのです。  それからこのF104Jは、どういう機能を持っておりますか。
  210. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 機能と申されましたけれども、性能のことでございますか。
  211. 華山親義

    ○華山委員 言い違えたかもしれません。性能でけっこうでございます。
  212. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 スピードは二マッハ程度でございます。それから戦闘上昇限度が約一万五千メートル前後でございます。行動半径は支援戦闘と要撃の場合と違います。敵の爆撃機等をこちらから要撃する等の場合のやり方でいきますと百数十海里でございます。それから支援戦闘、爆弾を積みまして向こうの艦艇等を攻撃するというような場合ですと、約二百海里前後でございます。  搭載兵装でございますが、バルカン砲といいまして二十ミリの機銃を一基持っております。それからAIM19Bといいまして、いわゆるサイドワインダーという赤外線ホーミングのミサイル、ジェット機等の出す赤外線を追尾するしかけの、ミサイル二発を積むことができます。爆弾を搭載します場合には、二百五十キロの爆弾二個でございます。  それから離着陸性能としましては、離陸距離が約千二百メートル、着陸距離は約九百メートルでございますので、所要の滑走路長は約二千七百メートル、諸要素を申し上げますと大体こんなことでございます。
  213. 華山親義

    ○華山委員 いま爆弾のことをおっしゃいましたけれども、爆弾はわれわれにいただくところの国有財産ですか、物品会計におけるところの財産、そういうものには明白でない。武器一本で出ておるだけです。どれだけのものが爆弾としてあるのですか。
  214. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 いま数字を持っておりませんので、至急調べて後ほど報告いたします。
  215. 華山親義

    ○華山委員 先ほどのお話では爆弾を積める、また爆弾は積むことになっているわけですね。この爆弾を、何か増田長官は爆装と爆弾投下装置とは違うのだというようなことを内閣常任委員会か何かで言っているようでございますけれども、このF104Jにつきましては、これはひっかけておくだけですか、腰だめで落とすのですか。
  216. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 104Jが爆弾を積みます場合は懸吊装置がございまして、それにサイドワインダーとか、それから燃料をふやす場合にはその燃料タンクもそこに積みます。通常そういうふうなことにむしろ使いますが、艦艇等を攻撃するというような場合には爆弾も積める懸吊装置がございます。そこへ積みまして、それから目視照準器がございます。それによって所要の艦艇をねらって落とす、こういうのが装置でございます。  それから先ほどおっしゃいましたように、長官が爆撃装置を今度きまりましたファントムにつけないのだということを国会で明言しておられます。それはいわゆる爆弾専用装置といいまして、先ほどお話にございましたB52とかいうふうな爆撃機にはそういうような単なる懸吊装置はございますが、目視照準器以外に複雑な、たとえば空から地上を見ますレーダー、空対地のレーダーがございます。それから核を積む場合にはもちろん核の管制装置がございます。それから投下用の専用の計算装置がございます。それに関連しましてコントロールボックス、コントロールするいろいろな器材がございます。そういうように目視照準器でなくて、正確に爆弾が投下できる機能を爆撃機なり戦闘爆撃機なりは通常そろえております。ファントムにもそのうちのレーダーはそろえておりません。戦闘爆撃専用ではございませんので、レーダーはそろえておりませんが、米軍のものは核爆撃装置なりそれから爆撃の計算装置なりコントロールボックスをそろえておりますが、それはわが国に採用いたします場合にば、そういう専用装置は除いたものに改修をいたすということを長官は申されたわけでございまして、燃料を積むような懸吊装置あるいは機銃を撃ちます――目視照準器はむしろ機銃を撃つためにあるわけで、それが爆撃投下装置にも使えるわけでございますが、そういうものは要撃機にも必要なことでございますので、そういうものは除かない、こういうことでございます。
  217. 華山親義

    ○華山委員 アメリカにもF104Jがあると思いますけれども、アメリカの軍のF104Jの爆撃装置はどうなっておるのですか。
  218. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 諸外国のF104Jでいいますと、いま申し上げました爆撃用の専用装置は本来ございません。先ほど申し上げました空対地のレーダーとか爆撃の専用の計算装置とか核の管制装置とかコントロールボックスというものは山型には本来ないわけなんです。日本にもありません。アメリカでも本来、日本に提供されましたものにはないわけです。ただドイツのは104Gというのでございますが、これには爆撃装置がついているというふうにいわれておりますが、一般的に104型にはそういう専用装置はついていないのでございます。
  219. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、アメリカにおきましてはこのF4Eファントムにつきましてはあるわけでございます。そういうふうな飛行機が初めて日本に入るわけですが、いままでの飛行機では外国にもない、日本にもない、ところが今度のF4Eファントムにはある、日本ではそれをはずす、こういうことですね。そして将来F4Eファントムにつきましては日本で国産化するということでございますけれども、オーバーホール等も日本でできますか。
  220. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 当然いたします。
  221. 華山親義

    ○華山委員 F4Eファントムにつきましては日本でオーバーホールができる、そういうふうな技術までいく。そうした場合には、一たん何らかのことがあった場合には、これに爆撃装置というものを積み込むことは可能なんじゃないですか。
  222. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 日本で採用されますのは改修型でございますので、できますものは一切そういう爆撃専用装置はついていないものができ上がるわけでございます。純粋技術的にいいますと、現在アメリカで使っておりますレーダーを除いたほかの計算装置は持っておりますので、世界の技術水準からいいますと、爆撃専用装置をさらにまた改修しましてやることは、純技術的には、現在あるわけですから、可能なわけでございますが、日本の政策でそういうものは一切日本ではつくらない、改修したもの以外はつくらない、こういうことだと思います。
  223. 華山親義

    ○華山委員 いまわかりましたことは、F4Eファントムにつきまして、やろうと思えばいわゆる爆撃装置も、何かことがあった場合には積めるんだということがわかった、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  224. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 一般論として、F4Eファントムに爆撃装置はいまついております。世界の水準でいいますと、ファントム型にそういうものをつけることは技術的にいって可能でございますが、日本に採用しました日本のF4Eはそういうものはづけないというのが政策である、こういうことであります。
  225. 華山親義

    ○華山委員 つけないでなくて、つけることが将来できるかということを聞いている。
  226. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 繰り返すようでございますが、政策と技術との違いだと思います。純技術的に申し上げますと、現在のもございますから、ファントムには爆撃専用装置の一部がございますので、そういうことは存在しておるわけで、そういうものをつけないものを日本は採用する、こういう政策をきめられた、こういうことでございます。
  227. 華山親義

    ○華山委員 それで私伺うのは、防衛庁長官がそう言い、あなた方がそう言っても、それは国内では通るでしょう。国際的水準の飛行機の製造、そういうものから見た場合に、日本がこの飛行機を採用したら、いざという場合には爆撃装置を――これは国産化するのですから、入れられるんだということは、これは国際的に重大な問題だと思うのです。これは国際的に通用する説明ができるのですか。日本の今度つくるところのF4Eファントムには、いざという場合でもどんな場合でも、そういうふうな爆撃装置は積み込まないんだということを技術的に世界に説明できるのかどうかということです。説明できなければ、日本の人はそう思っておっても、ほかの国の人は脅威を感ずるでしょう。日本では国産化する、オーバーホールも全部やれる、それだけの技術を持っているならば、攻撃に対して爆撃装置を積み込まないというようなことは、私は技術的知識を持ちませんけれども、国際的に通らないと思う。したがって外国に対して脅威を与えないということは、私は脅威を与えるのではないかと思う。国際的の水準、知識としてどうなのか、今度の飛行機には積めないということが、だれにでも国際的に説明できるのですか。
  228. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 お話でございますけれども、現在アメリカその他の国で使っておりますファントムは、先ほど申し上げました爆撃の計算装置等をそろえているわけでございますが、それをわざわざ除いたものに改修して日本はそれを採用する、こういうことを明白にされておりますので、また支援戦闘の航続距離も四百海里前後でございまして、比較的短いわけでございますので、諸外国の国際常識、軍事常識からいたしますと、日本がそういう改修されたファントムを採用したということは、日本が外に向かって攻撃する意図がないということを、これによってきわめて明白にしたものであるというふうに受け取り、そうして、そういう日本からの攻撃を受けることはないという意味で、そういう意図の脅威は感じない。しかし、ファントムは現在のよりもすぐれた要撃性能を持っております。それでわれわれはそれを採用いたしたいということを申し上げるわけでございます。したがいまして、これが整備されましたら、日本を攻撃する場合には、向こうから見ますとたいへんじゃまになる。将来のあり得る侵略者から見ますと、これがたいへんじゃまになる。めったに日本を進攻できないという意味の心理的影響は与えるものであろう、われわれはそれを期待する。これをある程度整備しまして訓練をいたしますと、それは一般に脅威とは申しませんで、普通の常識では脅威と申しませんで、抑止力――日本に進攻するのにじゃまになるというふうに受け取ってもらえるであろというのが世界の軍事常識、世界の情勢から見た常識ではなかろうか。かつ、先ほどとちょっとタブりますけれども、日本から進攻していくようなことをしないということを、爆撃装置をはずすということで明白にいたします上に、さらにそういう訓練もいたしません。対地支援、つまりわりあい近距離の侵略者がかりに艦艇等で攻撃した場合に、それを陸上でも迎え撃ちますが、空からもそれを攻撃しなければ日本の防衛は十分でございませんから、そういう場合に空からも攻撃するというふうな支援戦闘をやるだけでございまして、外に向かって攻撃を加えるというふうな訓練は一切現在もいたしておりませんし、将来もいたしませんので、私の申し上げたようなことは諸外国からも明白に受け取ってもらえるであろ、こういうふうに考えます。
  229. 華山親義

    ○華山委員 私がお聞きしておるところには明確にお答えにならない。このF4Eには、一たん何らか日本が欲するならば、爆撃装置というものをできる。日本が国産化する、オーバーホールもできる、それだけのことであるならば、それらの装置を、一たん何らかのことがあった場合にはできるんじゃないか、そういう疑いを持つのはあたりまえでしょう。その点をお聞きしておるのでございますけれども、その点について明確なお答えがないのです。現在はこうなんだ、現在はこうなんだ、それでは答えにならないのですね。ですから、今度入れるところのF4Eファントムはどんなことがあったってアメリカで装備しているような爆撃装置というものは積み込めないんだ、こういうふうなことが国際的に了解される問題なのかどうかということを聞いている。どうなんですか、了解されますか、そういうことが。
  230. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 繰り返すようで恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたような日本の政策は明確に諸外国に了解されるものとわれわれは考えております。
  231. 華山親義

    ○華山委員 それじゃ、私はこういうふうに要約します。F4Eファントムには、日本が何らかの場合に欲するならば、爆撃装置を積み込むことができる。しかし、そういうふうなことはしないつもりだし、練習もしないつもりだから、外国は安心するであろう、こういうことですね。私はしろうとの中のしろうとだけれども、航空機の製造なりあるいは戦争というものに対して多くの知識を持っている人が外国にもたくさんいるわけです。そういうふうなことで爆撃の脅威がないというふうには国際的に了解を求めることはできない、私はこういうふうに言わざるを得ません。  それで、F104Jに返りますけれども、このF104Jはどういう金の払い方をしているのですか。一機について幾らというふうに、一つの会社に払っているわけですか。あるいは分割して払っていらっしゃいますか。
  232. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 こまかいデータを持っておりませんが、現在機体のほうは三菱重工と川崎航空機でつくっております。 エンジンは石川島播磨がつくっております。それぞれの搭載機器につきましては、専門の会社がつくっております。それで、機体自体につきましては三菱なり川崎に払いますが、搭載機器あるいはエンジンにつきましては、官で別途契約しまして官給するというかっこうでいっておりますので、いま関係のおもな会社も十社はこえております。われわれが直接支払います会社の数が十社をこえているというふうにお考えいただきたいと思います。
  233. 華山親義

    ○華山委員 このF4Eファントムにつきましては、来年度に二機を輸入して、それを土台にいたしまして日本の国産化を進められるということでございますが、それがいい悪いの問題は別といたしまして、この飛行機はどこか商社でも通じて完成機のまま買われるわけでございますか。
  234. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 その点につきましては、まだ具体的にきまっておりません。現実にわれわれとしましてはいろいろの計画を持っておりますが、先ほどの機数の問題もきまっておりませんし、また財政当局との話も進んでおりませんので、それを待ちましてから具体的な問題については進みたいと考えております。
  235. 華山親義

    ○華山委員 F4Eファントムを一その是非の問題はこれから論議されると思いますけれども、輸入する。その際には、この会社に全額が払われるわけですね。アメリカの会社につきましては、これをつくっている会社に全額が払われるわけですね。
  236. 蒲谷友芳

    ○蒲谷委員 現在われわれは国内生産をする、ライセンス生産をするという前提で検討しております。もちろん、輸入した場合の価格がどうなるかというような比較のための当然の勉強はいたしておりますけれども、そういう意味で、国内生産いたします場合には104と同じような形態になっております。もちろん関係会社は違ってまいりますけれども、機体を製造するもの、エンジンを製造するもの、搭載電子機器その他を製造するもの、それぞれにつきまして最も適切なところに契約いたしまして、それがいまのわれわれが予定しております三菱重工という主担当会社にまとめられて、そこで完成機になりますけれども、個々の契約は別の会社といたすということになっております。
  237. 華山親義

    ○華山委員 アメリカ政府に対する開発費は、そうすると、アメリカ政府に直接政府が払うのですか。
  238. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 まだその方法も実は財政当局とも話しておりませんので、最終決定を見ておりませんが、私たちのアメリカ政府との交渉経過は、ナイキ、ホークに準じてしたいという考えでございます。ということは、三菱重工に払いまして、それがマクダネルに行きまして、マクダネルがその部分を米国政府に払うというかっこうのルートをとるようになるのではなかろうかと考えておりますけれども、まだこの問題は関係当局との最終的な折衝を終えておりません。
  239. 華山親義

    ○華山委員 F104Jにつきましては、六割まで国産化が進んだというお話がございますが、F4Eファントムにつきましては、どのくらいを目標にしていらっしゃるのですか。
  240. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 こういう飛行機の補給の整備を考えまして、また日本の技術の開発への貢献も考えまして、できるだけ国産化率を上げたいと思っておりますが、現実の日本の国内技術の問題あるいは先ほど先生御指摘のような、いまの段階では国産のほうが高くなるという問題もございますので、財政面の考えもあるわけでございます。われわれとしましては、少なくとも104の実績程度、あるいはそれ以上の努力をしてみたいと考えておりますが、いまのところまだ最終的な小さな部品の生産までの検討の結果は出ておりません。
  241. 華山親義

    ○華山委員 F104Jと、先ほど性能についてお伺いいたしましたが、F4Eとの間の大きな違いは爆弾の搭載、それがいわゆる先ほど私が言いましたような腰だめで撃つのか、あるいは精密な機械を使って落とすのか、その問題は別としてあるようでございますが、F4Eファントムの爆弾の搭載可能量は何トン――七トンとか、七トン半とかいろいろなものに書いてありますが、どうなんです。
  242. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 ファントムは、通常の爆弾搭載量は二百五十キロで四発ないし、燃料等を節約しました場合の標準は大発でございますので、換算いたしますと二トンでございます。それで支援戦闘をやるというふうなことになりますが、ただ燃料なんかを全部、それからミサイル等を全部除きましてかりに計算上どれだけ積めるか、そういう戦闘体系は考えられないわけですが、ほかのものを全部はずしまして、かりに爆弾だけ全部搭載すればどういうことになるかといいますと、約六トン程度まで積めるという計算は可能でございますが、いま申し上げましたように、二百五十キロにしまして四発ないし八発が標準の兵装になっております。
  243. 華山親義

    ○華山委員 アメリカのF4Eファントムには、空中給油ができるようになっていますか。
  244. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 アメリカのものはできるようになっています。
  245. 華山親義

    ○華山委員 それだったら日本もできるわけですね。そうだとすれば、日本だってやろうと思えばやれる。そうすれば爆弾の積載量も多くなるであろうし、また遠距離までも飛べる、そういうことになるわけですね。私はそういう意味におきまして、F4Eにつきまして戦闘機戦闘機といわれるけれども、これは戦闘爆撃機なんじゃないのか、またいつでも戦闘爆撃機として改装のできるものじゃないのか。そういうふうに思いますと、私は非常に外国に対する脅威、そういうものがあるんじゃないかと思うのです。そうすれば、途中で給油をして遠くまで飛べるし、また爆弾もたくさん積めるということです。先ほどお話しいたしましたとおり、また爆弾を正確に落とす装置もやろうと思えば改装できる。こういうふうなもので、このF4Eファントムにつきましては、少なくとも現実の問題としては。皆さま方攻撃機というつもりでありましょうし、またそうであっても、将来につきましてこれは攻撃爆撃機になる可能性を非常にたくさん持っているということなんですよ。そのことにつきまして、日本の国民には了解を求められても、国際的にはそういうふうな話は通らないんじゃないか、日本の採用しましたF4Eは戦闘機であって、爆撃機じゃございませんなんという理屈は通らないんじゃないかということなんです。皆さん方専門家でございますけれども、どうです、そういう気持ちしませんか。外国で持った場合には、外国の言うこと、ああさようでございますかといって、それで聞いてあなた方戦略なり戦術なり立てられますか、どうなんですか、立場をかえてみたら。
  246. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 少し技術的にわたって恐縮でございますけれども、ファントムにつきまして戦闘爆撃機と先生おっしゃいましたけれども、アメリカへいろいろ聞き合わしてみますと、アメリカは必ずしも戦闘爆撃機の範疇に入れてはないようでございます。と申しますのは、やや技術的でございますけれども、先ほど申し上げました爆撃機なり戦闘爆撃機なりは、空対地のレーダーが非常に必要なところでございまして、いわゆるB52等の爆撃機とか、戦闘爆撃機の典型的なF111とかF105とかドイツでやっております104Gとかいうものはレーダーをつけております。さらに爆撃の計算装置をつけております。ところがアメリカのものはレーダーを欠いております。ファントムにつきましてもレーダを欠いております。爆撃の計算装置は持っております。そういうことで、いわゆる戦術戦闘機といわれているわけでありますけれども、それよりも先生がおっしゃいました、外国に脅威を与えるかどうかの点につきましては、そういうふうに差はございますが、爆撃専用装置がありましたら、あるいは行動半径等から見まして、さらに給油等のことをやりましたら、脅威と感ずる国が出るやも知れないということの、おそらく政策上の考慮が払われたんだと思います。そこで先ほど申し上げましたように、そういう危惧を一切除くために、爆撃専用装置は除いたものを採用されるということでございます。  それからさらに給油機等をわが国はそろえる構想を持っておりません。先ほど申し上げましたように給油機を使い、それから遠く外国に向かうような訓練もいたしません。対地支援はいたします。内地における対地支援は、いざというときのことを考えればしなければいけないと思いますけれども、遠く外国に出かけていくような、給油機を使って距離を延ばして爆撃専用装置をつけてというようなことは、性能からそれを落としておりますし、そういう構想もまた持っていないというふうなことから、諸外国から見ましても、日本の政策はきわめて明確で、要撃専門に要撃の機能のいいファントムを採用したのである、防空上の性能は日本は相当上がるなということは理解されても、諸外国に攻撃的な脅威を与えるものではないということは十分理解される、こういうふうに感ずるわけでございます。
  247. 華山親義

    ○華山委員 これで終わりますが、私と防衛庁皆さん方との話は合わない。将来そういう可能性のある飛行機ではないのか。空中給油もできる。アメリカではそういうファントムなんです。また日本で国産化する以上は改装もできるはずだ。その際に爆撃装置だって積み込める可能性のあるものじゃないか。その可能性を外国ではどう思うかということをお聞きしたのですけれども、明確なお答えがございませんので、私これで終わります。
  248. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 午後二時四十分から再開することとし、この際休憩をいたします。     午後二時一分休憩      ────◇─────     午後二時五十分開議
  249. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、指定により私が委員長の職務を行ないます。  通商産業省所管について審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。
  250. 田中武夫

    田中(武)委員 去る九月三十日の当委員会において、新半導体技術開発について通産大臣に、実はその前日の九月二十九日の新聞記事を示しながら質問をいたしたのでありますが、大臣は、そういうことは報告を聞いていないし知らない、こういうことでありましたので、保留をしておりました点から質問に入りたいと思います。  そこで通産大臣、九月三十日に私がお伺いいたしました半導体の新技術開発について、もっというならば、イオン注入によるところの半導体の新しい技術の開発ですか、このことについて通産省と科学技術庁との間に、新聞記事等によりますと、開発可能ということか研究中かということで、若干通産省と科学技術庁との間に悪くいえばなわ張り争いといいますか、所管の問題等についてスムーズにいかない、そのためにせっかくの画期的な技術の開発がたなざらしになっておる、こういうことを伺ったわけですが、その後そのことについてどのような報告を聞き、科学技術庁との間にどのような話し合いを持たれましたか、経過をお伺いいたします。
  251. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは、初めて具体的に科学技術庁と一緒に技術の内容について説明を受けたのが十月の五日であります。それで、この半導体の連続加工技術それから超高周波半導体素子の製造技術、この二件についてでありますが、その説明を聞いた上で十一月の十一日に科学技術庁から開発実施の認可に伴う協議を受けまして、そして省内において所定の手続を経た上で、三日後の十四日付でこれは通産省としては異論がない、こういう協議に対しまして返事をいたしました。でありますから、両省庁の間で所管の争いやなんかの問題は全然起こらない、きわめて順調に手続を進めて、すでにこれは処理済みでございます。
  252. 田中武夫

    田中(武)委員 科学技術庁にお伺いいたしますが、いまの通産大臣の経過の報告であると、私がこの委員会において若干問題を提起したその直後、十月の二日に科学技術庁に事業団のほうから正式に申請があった、こういうことになっておりますが、その以前にいろいろな新聞に、科学技術庁と通産省との間にトラブルがある、はっきりいうと通産省が反対だ、そのために新しいせっかくの技術開発が実施がおくれておる。たとえばここに持っておりますのは日本工業新聞の四十三年八月十七日付ですが、そこにもはっきりと新半導体技術の開発に工業技術院、すなわち通産省が反対するのは理解に苦しむ、こういう社説まであげておるのです。しかも先ほど言ったように、二十九日には、これは読売新聞ですが、こういう大きく六段抜きで「”革命的技術〃タナざらし」こういうように出ておるので、正式な書類として出たのは十月の二日か知らないが、その以前にいろいろな折衝ということがあったのじゃないですか。そうでなければいかに新聞といえどもこのような大きな見出しで私は取り扱わないと思う。火のないところに煙は立たない。この問題が何らかあったに違いない。ももろんこの新技術開発事業団法ができるときから、私は当時商工委員と科学技術特別委員を兼ねておりました。そのいきさつも知っております。通産省がいわゆるこの事業団を科学技術庁へ持っていくことに大きな反対をしたことも私知っております。そういうことがあるからこそ事ごとにこういうようなことになるのじゃないですか。経過はいかがでしょう、科学技術庁
  253. 佐々木学

    佐々木説明員 この問題につきまして、全般的に経過を御説明申し上げたいと思います。  御承知のように、新技術開発事業団が開発課題を取り上げます場合には、開発審議会の意見を聞くことになっておりまして、本件につきましては五月二十三日の審議会に付議いたしまして、そして審議会としては開発に着手すべきであるという意見を得たわけであります。ただ、この段階におきましては、開発課題はきまりましたけれども、まだ委託する企業はきまっておりません。そこで、新技術開発事業団といたしまして委託する企業を公募し選定し、さらに開発の実施計画をつくり、あるいは必要な資金量の算定等を行ないまして、そして八月二日の理事会で大体そういう点について決定したわけでございます。  その後、科学技術庁に対しましてこの二つのプロジェクトの内容の説明があったのでございますけれども、当庁におきましても多少なお追加して調査してもらいたいという点がございましたので、二、三点指摘いたしまして細部についての再検討をお願いしたわけでございます。それに対する事業団の回答が八月三十日にございました。  その後、事業団が十月の二日に正式に認可申請書を提出いたしましたので、科学技術庁において成規の手続をとり、通産省ともお話しをいたしまして十一月の十一日付で正式文書で通産大臣と協議を行ない、異存ない旨の回答を十四日に受け取った、これが経緯でございます。
  254. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、九月段階にあってこういう新聞記事なりあるいは日本工業新聞の社説なりが出たということは全く憶測である、こういうことですか。
  255. 佐々木学

    佐々木説明員 私もその記事を読んだのでございますけれども、その記事につきましては、これは科学技術庁から御返事申し上げるよりむしろ工業技術院のほうから……。
  256. 田中武夫

    田中(武)委員 君はそのとき通産省だったのじゃないか。
  257. 佐々木学

    佐々木説明員 その当時特許庁におりまして……。
  258. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは工業技術院長から聞こうか。
  259. 朝永良夫

    ○朝永説明員 工業技術院といたしましては技術の内容については存じませんで、開発審議会にかかりまして、ここでまとまりまして、それから委託先の公募が行なわれましたので、その点でそういう問題については知り得ておりますが、技術の内容のこまかいことは全く私どものところは存じません。
  260. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは八月十七日の日本工業新聞の、工業技術院の反対は理解に苦しむという社説は根もないものだ、こういうことですか。
  261. 朝永良夫

    ○朝永説明員 工業技術院ではその問題について反対をしたことはございません。
  262. 田中武夫

    田中(武)委員 ともかく、これが新聞記事に出て私も初めて知ったのです。ことに半導体ということは、私も出身が電子関係ですから、特に関心を持ちまして質問したわけです。ところが、その当時は何もわからぬ、こういうことだったのが、十月の二日に正式申請がなされ、そして私が質問を保留し、あらためて質問すると言ったから早く事が運んでおるのではなかろうか。そして本日質問するということは、一週間余り前から通告しておりました。したがって、この認可は、私の質問までに認可を与えるということでやられたように私は思います。しかし、私はそれでもいいと思う。そのことが、せっかくの発明の新技術を早く実施段階に移すことについて、陰ではあったけれども私の発言が何らかの促進役をつとめたとするならば、私はそれでいいと思う。しかし実際は、いまそこに大臣以下三人並んでいかにもきれいごとを言っておられる、決して私はそうではなかったと思うのです。新技術開発事業団法が国会に上程せられたときのことを少し考えてみたいと思うのです。  この新技術開発事業団法が出たときに、これを科学技術庁の所管とすることに対して通産省は大きな反対をしておる。私も、両省庁の設置法から若干の疑義がある、こういうことを申し上げたことを覚えておるわけでございます。念のために申し上げますが、事業団法の第二条には定義がありまして、 「新技術」というのは試験研究の成果で、企業化されないものをいう。「開発」は企業的規模において実施することにより企業として得るようにすること、ということが、まず新技術開発事業団の法律に使われる用語の定義としてあがっております。そこで、科学技術庁設置法の第四条の「権限」を見た場合、その十二号に、科学技術庁は「関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整」これが科学技術庁の主たる権限というか、任務だ。ところが通産省設置法の四条のやはり権限の十四号、これには「鉱工業の科学技術に関する試験研究等を行う」こういうようにせられており、なおかつそこの十八条の工業技術院設置の条項、ここには「鉱工業の科学技術に関する試験研究等を行う機関」である、こうなっておる。こういうのを総合した場合には、私は新技術開発事業団が最初出発のときから科学技術庁と通産省の間でこの法案をめぐってとかく問題になったことは、私その当時商工にもおり、そして同じく科技特にもおったから、よく知っておる。そういう過去の問題を知っておるだけに、かつまたいま申し上げたような条文をずっと検討していくと、これは今後ともにこのようなことについて科学技術庁と通産省の間にいろいろな問題についてふくそうするというか、トラブルのあることは、私はわかり切ったことだと思うのです。  さらにこれを実際問題に当てはめて考えてみますと、まず研究に入る。その研究は基礎研究とそれから応用研究というふうに分かれるだろうと思うのです。そしてその研究の成果によって開発段階に入る。その開発は工業試験開発といいますか、それと、企業化試験開発ということに分かれるだろうと思うのです。そしていよいよ企業化となると思うのです。そうしたところが、企業、たとえば電子工業、これは通産省が指導しておる。そういうところで、企業化の段階において、委託する企業がどこにあるのか、どこに持っていくのか、こういうことは通産省が所管しておる。したがって、新技術開発事業団法の四十六条二項によって所管するところの関係大臣と協議する、こういう規定があるわけなんですが、こういうのがうまくいっていないのじゃないか、こう私は思うのです。通産省、これは工業技術院でけっこうです、それと科学技術庁、といっても、あなたは最近科学技術庁に行ったところなんですが、今日まで五十何件の実際問題かあったのですが、ほんとうにスムーズに事が運んだのか。今後また、このような両省の意見調整のために期間がかかる。しかも、そのために、日進月歩の新技術といいますか、科学技術の中にあって、タイミングを失するというようなことがあるとするならば、私はこの法律にさかのぼってもう一度検討し直す必要があるのではないか、こういうようにすら思うわけなんです。  過去の五十数件にわたって、いつもいま大臣がおっしゃったようににスムーズに行きましたか。いかがです。
  263. 朝永良夫

    ○朝永説明員 いま御指摘の過去の問題でございますが、従来はおおむね順調に処理されておると思いますが、通産省が科学技術庁からの協議に対しまして同意しなかったものはございません。
  264. 田中武夫

    田中(武)委員 科学技術庁、どうです。
  265. 佐々木学

    佐々木説明員 私が科学技術庁に参りましたときにちようど先生御指摘のイオンの問題がございまして、科学技術庁に参りましてさっそくこの問題について、いろいろ前任者との引き継ぎなりあるいは所管の引き継ぎで通産省の問題を聞いたのでございますけれども、特に特筆してうまくいかなかったというようなことはほとんどありません。そういう話でございます。
  266. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほども申しましたが、この研究といいますか、この発明は世界的なものである、アメリカでもまだそこまでいっていないわけです。したがいまして、タイミングがはずれるということによって、いままでも例があったのです。こちらが早くやっておりながら、そういうことでばたばたしたり、あるいは特許庁でがたがたしたために外国のほうが早く特許を取ってしまった。そのために、払わなくてもいいようなロイアルティー、特許料を払ってきた、こういうこともいままでに決してなかったとは言えない。したがって、今後ともに、この種の問題について役所間のイズムを出し過ぎて実際の問題に即するにあたってタイミングを失することのないように私は希望したいのです。そうでなければ、これはもう一ぺん考え直さなければいかぬと思う。  これは、通産大臣、あなたのときだったかどうか、大臣は忘れましたが、この法律が上程になったときに科学技術庁はたしか長官は問題の池正さんだったと思う。これは商工委員会との連合審査等もやりまして、相当その点が問題になったことは確かなんです。そういうことであるだけに、うまくいってもらわないとこれは困ると思うのです。しかも、そういうことがあるとするならば、もう一度法律を洗い直して、どっちの所管にしたがいいのか、こういうことを議論しなければならない。こういうことにならざるを得ないと思うのです。  そこで、科学技術庁が具体的に四十六条二項に従って協議をする場合には、これは協議するというだけで、どういう点について協議するということは書いてないわけですが、こちらから申し上げますが、それ以外に協議することがあれば言うてもらいたい。  まず第一に私は、この新技術が重要であるのかどうか、必要であるのかどうか、こういうことが一つの協議になると思います。次に、企業的の規模において実施できるのかどうか、そういうことが問題だと思う。さらにまた、実施するとして、委託する企業がどこなのか、その企業の選定について、通産省なら通産省としての意見があるだろう。  私は、そういうような点だろうと思いますが、そのほかにもあるだろうと思います。どういう点について協議せられましたか。具体的にこの問題について、どういう点とどういう点とどういう点とを協議し、その結果どういうことになった、こういうようにひとつお答えを願いたいと思います。これは科学技術庁から……。
  267. 佐々木学

    佐々木説明員 科学技術庁から工業技術院に協議をいたします際には、たとえばイオン注入のこの件について協議をするということで、具体的な内容はしていないのであります。そして当然両省庁間で議論いたします中心点は、ただいま先生の御指摘のように、新技術が重要であるかどうかといったようなこと、それから試験研究の段階が終了して、ただいま御指摘のような企業的規模で実施し得る段階に達しておるかどうか、それから委託先が適正であるかどうか、こういうところが中心になって議論されるわけでございます。
  268. 田中武夫

    田中(武)委員 それで具体的にこの新技術について、この三点にわたって協議したと思うのです、一々あげてやったかどうか知りませんが。その結果、異議ないということだった、こいうことですから、具体的にひとつ言ってください。どういうことを話し、通産省はどういうことで答えたか。また文書でもあるならばその文書を出していただきたい。通産省からこのことについて異議がないというような文書でもあるなら……。
  269. 佐々木学

    佐々木説明員 製造技術の新技術の内容であるとか委託先を選んだ理由、開発の規模あるいは認定の基準あるいは新技術の特色といったようなものをまず送付しまして、それを中心にして議論されるのでございますけれども、本件につきましてはいろいろこまかい議論があって、私手元に完全に資料を持っておらないのでありますけれども、開発体制のできる企業については、たとえば半導体の製造技術があるかどうか、あるいは加速機の製作経験があるかどうか、あるいは電子ビームによる加工技術があるかどうか、あるいは制御技術を持っておるかどうか、あるいはマイクロ波の技術を持っておるかどうかといったようなことについて、まず受託企業の適否を討議されたわけでございます。そのほか半導体のベースに一体どういうものを使ってどの程度にイオンを打ち込んでいくのか、そういう技術的な問題、そしてその技術が完成された場合に用途はどうなるのか、あるいは製品のコストは一体どういうふうになって、どのくらい企業の合理化にも役に立つのか、そういうことであります。
  270. 田中武夫

    田中(武)委員 具体的に委託企業はどこにきまったのですか。
  271. 佐々木学

    佐々木説明員 半導体の連続加工技術につきましては、委託企業は日立製作所でございます。それから超高周波半導体組織の製造技術につきましては、委託企業は東京芝浦でございます。
  272. 田中武夫

    田中(武)委員 いわゆるそれを実用化していく設備なり技術なり能力があるかどうか、こういうことになると大手筋になると思う。しかし往々にしてそういうのが大手に固まるということも考えものじゃないか。今回のやつが日立が適当であるとかないとかいうことは申しません。しかしいままでの例はどうなんですか、そういうことを企業化する相手の企業は大体大手が多いのじゃないですか。中小にもやらしたことがありますか。
  273. 佐々木学

    佐々木説明員 この対象企業を選定いたします場合に、資本金の大きさ、そういったことは必ずしも考えませんで、やはり技術的な蓄積を持っておるかどうか、それから熱意があるかどうか、こういうことに重点を置いております。たまたま今度のイオンの問題は、非常に最新の技術であるということ、それから最新の技術の蓄積が必要であったために大企業になったわけでございますけれども、従来の例を調べてみますと、資本金でいいますと、非常に資本金の小さい企業に委託した例、大体一億円以下の会社に委託した例は、従来五十五件のうち二十件近くは一億円以下の企業に委託しておるということでございます。
  274. 田中武夫

    田中(武)委員 そういうことであるなら、必ずしも大手企業に限られていないということがいえると思うのですが、通産大臣の立場から、こういう協議のときに発言してもらいたいのは、できるだけ、中小にできる技術があり、熱意があるならば、中小にやらすように考えてもらう、そういう委託企業の選定のときにこそ、通産大臣はひとつ大所高所に立って発言してもらうこと、こういうことが必要だと思う。通産省に協議したおかげで、通産省はいつでも大きなところばかりを主張したというのでは困るのだが、そういうことがないようにひとつ考えてもらいたい。  それから、これはむしろ科学技術庁に申し上げることなんですが、きょうは科学技術庁の長官が見えておらないので、国務大臣としての椎名大臣に要望しておきますが、新技術開発事業団法の四十六条の二項で、協議するということだけになっておって、必ずしもどういう点について協議するかということが明確でありません。したがって、これは、少なくとも政令、なんなら法でもよろしい、法律改正をするかして、この点とこの点とこの点だけは協議するといったような例示的な例をあげておく必要があるように思うのです。ばく然と協議するということであるからこそ、いいようなこともあるけれども、よけい、文句を言おうとすれば、どこかで文句を言うておくらすことができるというようなことにもなると思うのです。これは、例示的にあげた場合には、その他云々ということが必ず入りますが、これは、その他云々で最後はくくれるとしても、少なくとも私が先ほど言った三つあるいは四つぐらいの点を掲げておく必要があると思うのです。協議の、どの点を協議するかということについて、少なくとも基本的なものを掲げる必要があるのではないか、このように思うのですが、どうでしょう。これは要望としておきましょう。
  275. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 協議ということで、協議すべき事項を明示しないという例がたくさんあるのか、多少そういったような問題も調べまして、しかしおっしゃることは非常にけっこうだと思いますので、研究してみます。
  276. 田中武夫

    田中(武)委員 この問題はこれで終わります。科学技術庁けっこうです。  次に、日中貿易に関連してココムその他についてお伺いいたしたい、このように思うわけです。  実は十一月十六日の産経新聞に、椎名大臣が十五日の商工委員会で、北京、上海の日工展にもココム規制を適用する、こう言ったというようなことが伝えられております。私、その場にいなかったのでどのような発言をせられたか存じませんが、そのような意味にとれるような発言をなされたのでありましょうか。いかがでありましょう。
  277. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 私も記憶がおぼろげでございます。まあそういったような似たような問題で質問を受けたことは思い起こしますが、ココムといいますけれども、これは法律でも何でもない。自由圏の諸国の間でいろいろ戦略物質について相談をしておりますが、それを貿易管理令に取り上げて、これによって規制をする、こういうことをいまやっております。そういう趣旨において答えたと思います。
  278. 田中武夫

    田中(武)委員 確認いたしますが、私も商工委員会にいなかったので、どのような答弁をなされたか知りません。しかし、どのような答弁をなされたにせよ、いまから私が大臣と一つ一つ約束をいたします。そのことがより生きておるということ、そういうことをひとつ確認をしてもらいたい。私が申し上げることであなたが了承できなければできないでけっこうです。商工委員会でどのような答弁をしたか知りませんが、私が申し上げることで、それは異議がないということでよろしいならば、ひとつそのほうが正式の通産省の見解である、このように確認をしてから質問をいたします。  まず第一に、いま大臣も申されましたが、ココムというのは法律でも条約でも何でもない。すなわち、法的根拠を持つものではない。したがって、ココムそれ自体が直接国民の権利を制約することはできない。確認できますか、どうですか。
  279. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 おっしゃるとおりです。
  280. 田中武夫

    田中(武)委員 次に、輸出貿易管理令の中に取り入れられておる、こうおっしゃたのですが、これは間違いなんです。何となれば、日本がココムに加盟したのが一九五二年、すなわち昭和二十七年なんです。輸出貿易管理令は二十四年十二月一日の制定なんです。したがって、先にできた管理令の中にココムが包含されておるということは言えないわけです。したがって、先ほどの大臣の答弁はその点を訂正していただきたいと思います。いかがですか。
  281. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 管理令のできたのはココム以前、二十四年です。
  282. 田中武夫

    田中(武)委員 したがって、ココムの観念が輸出貿易管理令に包含されておることは、大臣、勘違いなんです。そして一九五二年、すなわち昭和二十七年に加盟というのは正しい言い方かどうか知りませんが、ココムに日本が関係をした。その後、ココムリストによって管理令が改正せられておるかどうかということを、私は前もって調べました。ところが、そうではないわけなんです。したがって、現在管理令はココムとは関係がない。ココムとは関係なく、管理令は外国為替及び外国貿易管理法の四十八条に基礎を置くところの政令であるという点を確認いたします。間違いありませんね。
  283. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 そのとおりです。
  284. 田中武夫

    田中(武)委員 したでいまして、この輸出貿易管理令は、すなわちその根拠となすところは外国為替及び外国貿易管理法の四十八条であります。四十八条を越えて解釈ができないということなんです。いいですね。しかも、もう一つ議論をさかのほらすならば、この法律は日本国憲法のもとにあるわけなんです。そして、日本国憲法は二十二条で職業選択の自由をうたっている。輸出行為ということは憲法に保障せられる職業選択の自由なんです。したがって、これは本来法をもって制限できないのがたてまえなんです。ここで理屈を申すわけではございませんが、旧日本国憲法、明治憲法は、国民の権利義務は法律をもって制限する、そういうふうになっておったのです。ところが、今度の日本国憲法はそういうことになっていないわけです。二十二条で職業選択の自由ということが基本的権利として認められている。したがってこの二十二条の基本的権利は、いわゆる何人も公共の福祉に反しない限り、法律をもっても制限できないと読むべきが日本国憲法の解釈だと私は思います。この解釈について、通産省で反論ができるならば承りますし、法制局を必要とするなら法制局に出てもらって議論いたします。
  285. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 憲法解釈の問題はそのほうの係というか、法制局のほうに……。ただ外国貿易管理法ですか、四十八条に基づいて管理令ができておる、これは間違いありません。
  286. 田中武夫

    田中(武)委員 なぜ私がそもそも憲法第二十二条を持ち出したかというと、外国為替及び外国貿易管理法の四十八条の二項を見てください。一点が国際収支の均衡の維持、二点が外国貿易、三点が国民経済の発展、これをあげて、この必要な範囲を越してはならないとなっております。すなわち乱用を戒めておるわけです。ということは、本来輸出することは憲法に保障されたところの基本的人権である。したがって法といえどもこれをみだりに制限はできない。したがって、管理法の四十八条二項は、言うならば不承認の場合、許さない場合は、これこれの点をあげて、必要なるその範囲を越えてはならない、こう規定しておるのです。言うならば、この四十八条の規定、これは貿易という上に立った場合には例外規定なんです。そうでしょう。輸出は本来自由である。ところがそれは憲法でいう公共の福祉のため、国民経済の発展のためにということに反するときに限っていけませんよ、こういうことなんです。したがって四十八条二項は、あくまでシビアーに解すべきである。拡張解釈は許すべきでない、いかがでございましょうか。
  287. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 まあ法律のくろうとを呼んでこないとむずかしいように思いますが、 われわれは、とにかく自由圏の諸国の申し合わせというものに従うことが国民経済発展に非常に大きくつながる、こう見ております。それで貿易管理令によって輸出を制約するということは、公共の福祉及び国民経済発展、こういうものに結局つながってくる、こういうふうに解釈して管理令を施行しておる、これだけ申し上げておきます。
  288. 田中武夫

    田中(武)委員 私は管理令について云々しておるのではないのです。必要な範囲を越えてはならないということは、そういう場合はあくまでも例外である。したがって、厳格に解すべきであるということが法のたてまえであるということを言っておるのです。なぜならば憲法の二十二条にさかのぼるわけです。したがって、この精神をもって管理令を運用すべきであるということを確認したいのです。いかがですか。
  289. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 大体そういうことだと思います。
  290. 田中武夫

    田中(武)委員 天体だけよけいですがね。  そこで、そのような確認ができましたならば、あくまでも管理令というものは法律のもとに立つ。したがって管理法の四十八条二項の精神をもって運用すべきである、これは確認を得ました。そこで、次にお伺いいたしますが、輸出貿易管理令の運営についてというのが通産省にありますね。――これの性格は何ですか。
  291. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 輸出に関する制度の運用についての注意事項である、こう考えます。
  292. 田中武夫

    田中(武)委員 ならば、管理法があって、その四十八条によって管理令がある、その管理令の運用は二項の精神を守ってやらなければいけないということはいま確認されたわけです。さらに、前にこの管理法を受けた受理令はココムとは関係がないということも確認せられたわけですね。ところがこの運用についての中に「ココム物資の輸出承認」といったような文句があるわけですね。すなわち――それの二二ページ、番号にしたら1-1-1というところだ。  そこで、管理令はココムとは関係ない、関係なく存在する、こういうことが明らかになりましたわけですね。ところが輸出貿易管理令、その政令の運用をきめたもの、これはおそらく内部的な注意だろうと思うのですが、それにココムということがぽんと出てきておる。さらにまた管理令には甲地域、乙地域とがあって、甲地域というのは共産圏だけじゃないずらっとほとんどの国の名前が書いてあるわけですね。ところがこの運用についての別表の第1になると、今度はい地域、ろ地域と出てくるのですね。その地域とは何かというと、まさにココムでいうところの共産圏の国の名前がずらりとあがっているわけだ。さらに、昭和三十三年七月二十八日に制定せられた戦略物資輸出承認等事務処理要領というのがあるのです。これが三十三年の七月にできておるわけです。まさにこれがココムと関係を持つわけです。三十三年七月に戦略物資輸出承認等事務処理要領というのがあるでしょう。これがココムのためにできたのだと私は思うのです。そこで私が言わんとするのは、ココムとは直接に国民の権利を縛るものではない。しかも輸出というものは憲法で認められた基本的人権である。したがってそれを制限するのはできるだけシビアにやるべきであるということが法律的に確認をせられた。ところがこういったような運用についてだとか、あるいは事務処理要領とかいうことによって実際の事務が片づけられておるということなんです。言うならば窓口においてはココムが生きておって、そしてそこで基本的人権たる輸出の自由に対してのチェックをやっておるということ、言いかえるならば、 このことは、行政権に基づくところの内部規定なんです。私は先ほどから法律のことを言ってきました。立法のことを言ってきました。その立法に対して行政が、行政権に基づいてこういうものをきめて、法律の精神をゆがめるというようなことは許されるでしょうか。常に私はこれを問題にするのです。いままでも何回か商工委員会で私は問題にしてきました。予算委員会でも問題にしました。法律がある。ところがその法律と直接関係のないような業務規定によって、いわゆる行政権によってつくられた内部規定によって法律の精神を曲げておるという事実がたくさんある。このことをもって私は行政の立法に対する挑戦であり、行政府の国会に対する侮辱である。このようにいままで言ってきたわけなんです。まさにここにもそういうことがあらわれているわけなのです。いま直ちに私は変えろとは言いません。言いませんが、先ほど来私はココムとどこに関係が出てくるのかということを順次法令に当たってやりました。ついにこの事務処理要領で突如として戦略物資云々というのが三十三年にきまっておる。三十三年にきまったのですからこれはココムと直接関係を持つということは明らかであります。通産大臣、こういうことで法律をゆがめあるいは基本的人権をゆがめていくことは許されないと私は思うのです。ココムで押えねばならないということであるなら、堂々とどこが公共の福祉に対していけないのか、このことを明確にしながら特別立法で持ってきなさい。そうでなければ、こういうことでは私は承認できかねます。ココムは直接国民の権利を制限するものではない。これは何回も確認しておるのです。ところが行政府の内部規定によって窓口でチェックしているというやり方については、私は法治国の国民として、国会議員としてこれを見のがすことはできません。いかがでしょう。
  293. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢説明員 先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、輸出貿易管理令の運用についてというのは運用通達でございます。一つの輸出注意事項でございます。  それからもう一ついま御指摘のありました戦略物資輸出承認等事務処理要領、これもやはり輸出注意事項でございまして、この輸出注意事項によって、政令できめたことをひっくり返すとかあるいは法律できめたことに違反するとか、そういうことでは全然ないわけでございまして、あくまでも政府の運用通達でございまして、この法律の委任の範囲内において役所内でもってどういう問題をどう処理しろということをきめておる、その程度のものにすぎないというように御理解願います。
  294. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律を受けた令、管理令の運用としてきめておるわけです。ところが法律は全然関係のないココムというのがぼこっと出てきている。地域についても、令は甲地域、乙地域と出ている。それがい、ろとなっている。そして何ら法律に関係がないといえば関係がない。戦略物資輸出事務処理要領というのが突如として出てきてそれで規制しておるのですね。言うならばこれは性格は行政権に基づく内部的規定なんでしょう。それによって法なり政令を変えることはできません。これは確認できるでしょう。そのこと自体、これはいまどこの省でもあらわれておるが、私は常にこれが一番問題だと思うのですが、法律の精神に違った内部規定等によって運用せられておる。先ほど言ったように行政が立法に対して挑戦し、これを軽視し、言うならば行政の行き過ぎということがここにある。私はこの問題についてぐうとでも言うなら言うてみろとまでやってもいいのですが、直接の担当局長の原田君もいないことだし、きょうはその程度にしておきます。  大臣、いま申し上げているようにあくまでも政府が仕事をする上においてはまず一番大事なのは何といっても憲法なんです。次が法なんです。政令なんです。その政令を運用するにあたって、政令なりその基礎の法に全然関係のないものをぼつっと入れるというようなことは私は許されないと思います。したがってこれはひとつ検討していただきます。検討の結果権威ある回答を求めます。いいですか。それとも通産省、だれでもそうじゃないというんだったら言ってください。何なら法制局を呼んできてもいいですよ。
  295. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 よく検討いたしましょう。
  296. 田中武夫

    田中(武)委員 そこでもう一つ同じようなことが言えるのは、いままでもあったことですが、たとえば日工展に例をとりますならば、輸出承認申請書を持ってくる。これをいわゆる正式に受け付けないで行政指導という名のもとにやっている。ことしは受け付けたようであります。去年私は、春、委員会などでも言ったと思いますけれども、受け付けたようであります。ところが往々にして窓口における折衝だとか話し合いということで引っぱってきて、これはだめなんですよ、そして公式的にいうならば申請書は出ませんでしたといって、行政指導でごまかして、公の問題にならない。これもわれわれは予算委員会等で大臣にも申し上げたと思うんですが、大体このごろ行政指導と称して行政権が行き過ぎておるということ。行政指導によって被害をこうむった場合は救済の道がありません。そのことを知ってか知らずか知りませんが、これは通産省だけではない。あらゆる役所が行政指導という名のもとに法をくぐり、あるいはかってなことを言ってることが往々にしてあります。そこで私が主張したいのは、この種の問題についてあくまでも正式に受理すること。そして、これをかりに不承認とする場合は、その法律的根拠を明らかにして、行政処分をもってこれを却下する。不承認書を渡す。管理令によりますならば、承認を与えるときには文書を交付する、書面によるということになっておるのですね。したがって不承認のときも当然文書をもって交付する。そこでそれを受けまして、われわれはもし気にいらなければそのときには行政訴訟の対象になります。またそういうことで、これを扱った国家公務員が故意または重大な過失があるならば、国家賠償法に基づいて損害賠償もできます。このココム問題については今日まで国会等において、いろんなところで議論しておりますが、きめ手がございません。今後通産省、勇をもってはっきりと法律的根拠を示して、不承認ならば不承認と出していらっしゃい。私は行政訴訟で争うことによって、ココムなるものが一体いかなる存在であるのか、日本国憲法のもとにおいてどれだけの効力があるのかということを、今度は三権分立の司法の場において私ば勝負をつけてもいいと思っています。したがって、そのようにしてもらうということの要求が一つ。しかもこの日工展については開催期日、それまでに現地に送らなければいけないとか、あるいは荷づくりする必要があるとか等々で、十二月中ごろくらいまでに決着をつけてもらわなければあとはどうもうまく事務的にいかないというようなことがあるようです。その決着は、もしこれが不承認であって、法をもって争うならば、これも早くやらなければならないのです。したがってできるだけ早く決着をつけていただきたい。この二つを要望いたします。いかがです。
  297. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 明確にこの承認、不承認を書面によって処理することが適当だと思います。  それからもう一つのココムの制約ということばを使って制約をするということについての法律上の説明ですか、これはひとつ研究しましょう。
  298. 田中武夫

    田中(武)委員 研究じゃなくてそうしなければいかぬのですよ。
  299. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 研究をできるだけ早くやります。
  300. 田中武夫

    田中(武)委員 研究じゃない、検討でしょう。
  301. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 検討です。
  302. 田中武夫

    田中(武)委員 そこでココムというものについては、私は法的には認めない、これは先ほど来主張しておるとおりなんです。しかし事実問題として、ココムが存在することはこれまた事実なんです。そこで通産大臣は、前にはココムの運用については弾力的に行なうとかなんとかいうような前向きの考え方があったようですが、急に何だか冷たくなったようですね。何か原因があるのですか。たとえば十月の十四日からパリでココム本部で何か協議があったのですが、そのときにアメリカからことに中国に対して強い要請があった、そういうことも新聞は伝えておりますが、大臣の態度が変わったといいますか、少なくとも先任の菅野大臣とは私は緩和を検討するという約束をした。また引き続いて私が国会法に基づく文書、いわゆる質問趣意書を提出いたしまして、そして内閣から回答をとりましたのにも、そのような意味のことがあるわけです。ところが、最近厳格にやろうというような態度に変わったのには何か原因があるのですか、それともそういうことはないとおっしゃいますか。
  303. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 別にほかから注意を受けたとかそういうことは一切ありません。ただ何でも約束したとおりやろうじゃないか、こういうことを言っているだけの話なんです。
  304. 田中武夫

    田中(武)委員 だからあなたは前に弾力的に運用するということを言ったのでしょう。これも約束なんですよ。だからそういう発言をしたときといまと心境の変化がありませんかと聞いておるわけです。
  305. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 それはちょっと事柄が違うわけです。日工展に出して……
  306. 田中武夫

    田中(武)委員 日工展じゃない。私が言っておるのはココム一般です。
  307. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ココム一般について、できるだけこれはあまり固定観念に縛られないで、日進月歩するのですから、そういう点で、昔は非常に戦略的な意味が濃厚であったけれども、いまはそんなことはないということなら、どんどんこれはココムの場において削除する、そういうほうに大いに進めるつもりだ、こういうことを言っておるのです。
  308. 田中武夫

    田中(武)委員 けっこうです。その場合に中共だけを特別扱いにはしませんね。
  309. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 そんなことはしません。ただ日工展に持っていって、そして持ち帰りを約束しておきながら、それをうやむやにするということはいかぬと思います。それだけです。
  310. 田中武夫

    田中(武)委員 私の言ったことに答えてもらう、一つ一つ最初言ったように確認をしておく、こういうことですから。  そこで、ココムの問題について、そのように一つ一つ検討してはずしていく、緩和していく、こういう気持ちが大臣にあることを私は了承します。ココム問題はこれで終わります。  引き続いて同じ中国貿易の問題なんですが、自民党の田川委員が、当委員会委員でもあるのですが、先日行きまして、覚え書き貿易の問題について話し合ったらしい。ところが、中国は思ったより柔軟な態度をとっておる。したがって来年以降は中国貿易について相当明るい見通しがある、こういうように伝えられておるわけです。そうすると、それまでに日本側に解決しなければならない多くの問題があります。その一つがいま申しましたココムの問題であり、その一つがプラント等の輸出についての輸銀資金の使用の問題なのです。私はあえて亡霊となった吉田書簡を云々はいたしませんが、輸銀資金の活用の問題がある。ココムの問題はいまなにしました。深追いはいたしません。プラント輸出等についての輸銀資金の活用については、私は前にも大臣から答弁をいただいたのですが、念のためにこの際もう一度確認をいたしておきます。
  311. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは釈迦に説法だからそう詳しく言う必要はありませんが、とにかくこれは相手国に対するフェーバーではなくて、輸出するものに対する輸出金融の緩和なんですね。ですから、相手の国がどこの国であろうと、とにかく貿易はもうどんどんやらなければならぬ、盛んにしなければならぬというたてまえから出ておるものは、これは甲乙をつけてはいかぬ。輸銀資金はまさにそのとおりのものだと私は考えております。ただその場合に、ある国との国交を犠牲にするというようなことが出てくるならば、その方面から制約はどうも受けざるを得ない。そこのところをどう緩和するかというのが問題で、これは主として外務大臣の問題です。私の関与すべき問題ではない。
  312. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろん外務大臣にもいままでも聞いたし、またこれからも聞きますが、貿易ということなら、総括的に管轄しておるのは通産省です。私はこの問題については、吉田書簡だとか云々とかみんな言っていますが、そんなことを言ったことはないのです。輸銀法の第一条だったか第二条だったかの「外国」ということばは、特定の国を除くのかということの観点に立って私はいままで質問してきたわけです。したがって、その輸銀法でいうところの「外国」、これについては中共等を特別に扱わないという大臣の解釈は、私の解釈と一致します。  そこでもう一つは、これは通産省というよりもむしろ農林省の畜産局の関係になると思うのですが、それまでに解決しなければいけない問題が中国食肉の輸入の問題であります。御承知のように、いま日本国内では、いわゆる物価高騰で、生活難だということで、総評はこの間も物価メーデーといって特別な決起大会をやるといったような状態である。メジロ押しに物が上がっておる。特に牛肉等は高値を示しておる。そこで中国肉の輸入を国民は要黒しておると思います、しかし、法的な問題等はあとで伺いますけれども、こういった中にあって、去る十四日ですか、友好商社が中国側との問に一年以内に二万トン、これは牛、豚それから羊の肉、これを含めてですが、二万トン一年間に入れる、価格は国際価格を下回る、こういう議定書に調印したわけです。このことは、いろいろの面から批判もあれば、いろいろあると思います。むしろ私は、これは煮え切らない政府のといいますか、農林省の態度に対する、一つの友好商社の強い意思表示のあらわれであろうと思うのです。ところが伝えられるところによると、どうも微妙な段階にあるのに、行き過ぎたというか、かってに調印なんかしやがって、こういうことで、農林省も通産省も感情的に硬化したと聞いていますが、そんなことはありませんか。どうですか。
  313. 平松甲子雄

    ○平松説明員 ただいま先生から御指摘ございましたように、食肉の価格というものにつきましては、物価対策上非常に大きな問題であるということは、私どももよく認めておるところでございます。十四日に友好商社が中国で二万トンの食肉の輸入の協議書に調印をしたという報道を得たわけでありますけれども、先生も御承知だと思いますけれども、私どもが現在食肉の輸入につきましてとっております立場は、家畜伝染病予防法という法律がございまして、国内の家畜に悪性の伝染病が海外から入らないようにということで海外の悪性の伝染病の汚染の地域からは、動物の生体なりあるいはその食肉なりというものについて禁止しておる。中共もその地域一つに当たるわけでありますが、そういう点でいろいろ折衝して、われわれのほうで検討しておることは先生もすでに御承知だと思いますが、そういうことにつきまして、どういうつもりか協議書を調印された。これには政府の許可を条件とするということのようでございますから、当然のことだと思いますが、このことのために私どもが感情的になる――法律の運用でございますから、私ども感情的に運用しておるということはないつもりでございます。
  314. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢説明員 通産省が感情的になっているというようなことは全然ございません。
  315. 田中武夫

    田中(武)委員 感情的というか、硬化したということが新聞に報ぜられておるのですがね。通産省も畜産局もそういうことがなく、あくまでも法律的な問題として考えていくということであるならばけっこうです。  そこでその法律なんですが、家畜伝染病予防法の三十六条かに輸入禁止という条項があって、根拠はその一号だと思うのですね。しかしこれは昭和二十六年五月三十一日にできたのですね。いまからもう十七、八年前ですね。そしてこの三十六条を受けて家畜伝染病予防法の施行規則の四十三条に別表というのがあって、それに地域が指定せられておる。その地域に「中国」、カッコして満州云々とあるけれども、中国が入っておる。そういうことで、一応この法律に基づく政令等からいうならば、いまの農林省の態度は法律的には間違いであるとは言えないと思うのです。しかし昭和二十六年、十七、八年も前に指定したのを今日においてもまだ入れておるということ、そういうことは一たん指定するといつまでもそのままにしておくのですか。私はやはり適当な時期に検討しあるいは調査をして、必要がなければはずしていく、そういうことが必要ではないかと思うのです。法律が二十六年で、この指定が何年かは知りませんが、結局そのころでしょう。
  316. 平松甲子雄

    ○平松説明員 法律を受けまして省令で地域の指定をしておるわけでございますが、この地域の指定につきましては法律制定後改正を加えておるわけでございますから、決して固定的に運用しておるわけではございません。
  317. 田中武夫

    田中(武)委員 この指定地域に中国を入れたのはいつです。
  318. 平松甲子雄

    ○平松説明員 この政令を制定いたしました当時でございます。
  319. 田中武夫

    田中(武)委員 そうするとやはり十七、八年前でしょう。
  320. 平松甲子雄

    ○平松説明員 私が申し上げましたのは、この政令に出ております地域につきまして、中国ということに限定いたしませんで、そのおのおのの地域について検討を加えて運用いたしておる――中国が入りましたのは二十六年でございます。
  321. 田中武夫

    田中(武)委員 お聞きのとおり十七、八年前に指定したままずっとあるわけですね。私はやはりこういうことは時期に応じて検討すべきだと思う。その検討するときに、そういう伝染病が、この場合は口蹄疫というのですか、まだそれが中国にはやっておるのかどうか、そういうことを調査する必要がある。調査もせずに指定しっぱなしでいつまでもほっておくということは、私は法律の運用上許されないのじゃないかと思う。  ここでも同じことを申し上げるのですが、先ほどは輸出について私は申し上げました。輸入についても、これは原則として自由なんです。これは繰り返すまでもなく国民の基本的人権なんです。しかし必要に応じて法律をもってこれを制限するわけなんです。そうするならば、その制限はできるだけ少ないほうがいいわけです。その上に立って、当然指定地域等の検討も繰り返し行なわるべきが、私はまじめな行政官のとるべき任務だと思うのです。  そこで、この中国肉につきましても、これは食肉関係の専門家ですが、三回にわたって中国を訪れて現地にあって調査をした。そして心配ないと言っておるわけです。しかし、ただそれだけで私は農林省がまるのみにしてはずせとは申しません。しかし、少なくとも専門家がそう言っておるわけですよ。それならば通産省としても、私が先ほど申し上げたように、本来自由なものを特別な理由によって制限しておるのだから、制限はできるだけはずしていく方向をとるべきである。その観点に立って心配がないということを専門家が言われるならば、私は検討するだけの誠意というか態度があっていいと思うのですが、どうですか。
  322. 平松甲子雄

    ○平松説明員 私どものほうで過去三回、正式の政府の調査団というわけではございませんけれども、中国について調査を行なったということは先生御指摘のとおりでございます。まあ第一回の調査団が参りました際は口蹄疫があるという報告があったわけでありますが、あと二回の報告につきましては、中国が家畜伝染病予防の観点から非常に進歩してきておるという点を認めておるわけでございますけれども、その報告をわが国の家畜衛生の専門家の集まりにはかりまして、いかがいたしたらよかろうということで諮問をいたしましたところ、学者の御意見として、非常に改善されておるというようなことは認められるけれども、もともと口蹄疫なり何なり家畜の伝染病というのは非常に悪性なものでございますから、十分安心をした上で輸入を認めるということにすべきである、この報告書からは、まだこれこれの項目が十分にわかっていないということであるわけですから、その点を十分確かめるようにということでお話がございましたので、その五項目について――それは項目が五つあるわけでございますが、その五項目について友好貿易の事務所のほうかう中国のほうに承知いたしたいということを、私どものほうで現在照会いたしておるという段階でございます。
  323. 田中武夫

    田中(武)委員 その五項目というのは長くないのでしょう、ちょっと読み上げてください。
  324. 平松甲子雄

    ○平松説明員 その五項目と申しますのは、口蹄疫の過去における自然発生状況及びその実害、口蹄疫の撲滅方法、それから口蹄疫の診断方法、ワクチンの種類、性状、その他不明疾病の発生状況ということになります。
  325. 田中武夫

    田中(武)委員 学者、専門家がそう言ったのだから、こういうことだけれども、その五項目が全部必要なのかどうかということについて、ある一面では、この五項目自体が最初から無理な注文じゃないか。たとえば調査など過去にさかのぼってというようなことを言っておるのかどうか知りませんが、そういうこともあると思うのです。私もよくわからぬのですが、その肉そのものを顕微鏡にかけるか何かしてビールスがあるかないかということの判定はできてないのですか。
  326. 平松甲子雄

    ○平松説明員 食肉の輸入が経済的に行なわれるということになりますと、相当多量なものが入ってくるということになろうと思いますので、大量に入ってまいりました場合も対処できるというふうなかっこうでなければならぬだろうと思います。そういうことでございますから、中国の家畜伝染病の学問上のステータスがどういうような状況であるかということについてはっきりいたしまして、その上で対策を立てるということが最も賢明であろう。このことは、もし国内に口蹄疫なり何なり悪疫が流行いたしますということは、国内の混乱なりあるいは被害なりというものを考えました場合には、やはり慎重に対処すべきものであろうというぐあいに考えておるわけでございます。
  327. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、この指定地以外の肉ですね、これは入っておるのですか。いま牛肉等が高いから、国民はやはり少しでもそういうことを望んでいると思うのです。さしあたり中国が解決しないとするならば、ほかからは入れる用意はあるのですか。
  328. 平松甲子雄

    ○平松説明員 牛肉につきましてはアメリカあるいはオセアニアの二国、それから豚につきましても最近入っておりますのはアメリカだとか台湾だとかいうところから輸入いたしております。
  329. 田中武夫

    田中(武)委員 貿易全体から言えば通産省のほうですが、こういう食肉等、いわゆる農林省関係のものは農林省の態度が出れば通産省はそれでいいんですか。
  330. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これらは主として農林省の認定いかんによって解決する問題であります。
  331. 田中武夫

    田中(武)委員 それではもう一問で終わります。だいぶ委員長代理も時間を気にしておるようですから……。  これはいままで言ったことの繰り返しになると思うのですが、輸入にしろ輸出にしろ本来自由に行なわれるということがたてまえなんですね。これは憲法に保障せられた基本的人権です。それをいわゆる国民経済という立場からあるいはその他の立場から、言うならば、国益といいますかナショナルインタレストといいますか、しかしそれはあくまで民主国家である限りは国民が重点なんです。その上に立って万やむを得ないために輸出を制限する、輸入を制限するということです。したがって、それはあくまでもないことがたてまえなんです。望ましい姿なんです。したがって、これは逐次緩和する方向に常に検討していく、これが行政官としてあるべき姿である、こういうことについて強調しておきます。常にそのことについて検討すべきである。そうして通産大臣にも申し上げたいのですが、もしぜひ必要とするならば、別個の観点に立って必要とするものがあるとするならば、それはあくまでも法律によることが正しいのじゃないかと思う。先ほど来言っているように、旧憲法は法律によるならば国民の権利を制限しあるいは義務を課すことができる、しかし今日の日本国憲法は公共の福祉に反しない限り法律をもっても制限できないわけなんです。その上に立って輸出、輸入の問題について幅広い検討をして考え方を修正してもらいたい、こういうことを要望して終わります。
  332. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 次回は明二十日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時七分散会