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1968-10-17 第59回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月十七日(木曜日)    午前十時三十分開議  出席委員   委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 小山 省二君    理事 四宮 久吉君 理事 田中 武夫君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       木野 晴夫君    塩川正十郎君       丹羽 久章君    水野  清君       赤路 友藏君    勝澤 芳雄君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 保利  茂君  委員外出席者         農林省農地局参         事官      井元 光一君         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設大臣官房会         計課長     粟屋 敏信君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君         会計検査院事務         総局第三局長  増山 辰夫君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         住宅金融公庫総         裁       浅村  廉君         専  門  員 池田 孝道君     ───────────── 十月八日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として實川  清之君が議長指名委員に選任された。 同日  委員實川清之辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員赤路友藏辞任につき、その補欠として柳  田秀一君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員篠田弘作君、長谷川峻君及び柳田秀一君辞  任につき、その補欠として塩川正十郎君、木野  晴夫君及び赤路友藏君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員塩川正十郎君、木野晴夫君及び赤路友藏君  辞任につき、その補欠として篠田弘作君、長谷  川峻君及び柳田秀一君が議長指名委員に選  任された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (建設省所管住宅金融公庫)      ────◇─────
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  昭和四十一年度決算外二件中、建設省所管等審査のため、日本住宅公団及び日本道路公団より参考人として関係者出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人出頭の日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ────◇─────
  5. 大石武一

    大石委員長 昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は建設省所管及び住宅金融公庫について審査を行ないます。  まず建設大臣より概要説明を求めます。保利建設大臣
  6. 保利茂

    保利国務大臣 建設省所管昭和四十一年度歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  歳入につきましては、一般会計歳入予算額三十一億二千八百余万円に対し、収納済み歳入額は四十九億九千七百余万円となっており、道路整備特別会計は、歳入予算額三千九百七十四億三百余万円に対し、収納済み歳入額は三千九百五十九億七千三百余万円。治水特別会計治水勘定は、歳入予算額一千百六十四億七千九百余万円に対し、収納済み歳入額は一千百六十三億四千二百余万円、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定は、歳入予算額百九十六億八千九百余万円に対し、収納済み歳入額は百七十億二千七百余万円、また、都市開発資金融通特別会計は、歳入予算額十五億三千六百万円に対し、収納済み歳入額は十五億五百余万円となっております。  次に、歳出でありますが、一般会計支出済み歳出額は五千七百五十八億七千余万円、道路整備特別会計支出済み歳出額は三千九百十八億八千六百余万円、治水特別会計治水勘定支出済み歳出額は一千百五十三億九千五百余万円、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定支出済み歳出額は百五十四億二千七百余万円、都市開発資金融通特別会計支出済み歳出額は十二億五千四百余万円であります。  これらの各会計支出済み歳出額は、治水関係事業災害復旧関係事業道路整備事業都市計画事業住宅対策事業官庁営繕及び都市開発資金貸し付け事業等を実施するために支出したものであります。  まず、治水事業につきましては、昭和四十年度初年度とする治水事業五カ年計画の第二年度目の事業として、河川ダム砂防の各事業施行いたしました。  その結果、河川事業につきましては、直轄河川改修事業として、北海道を含め百十八河川改修工事を実施し、また、補助事業におきましては、中小河川改修事業等九百七十三河川改修工事施行し、このうち四十二河川を完成いたしております。  ダム建設事業につきましては、直轄事業として、鬼怒川川俣ダムほか十六ダムについて建設工事及び実施計画調査を実施し、このうち鬼怒川川俣ダムを完成し、吉野川早明浦ダムは水資源開発公団に引き継ぎを行ないました。  また、補助事業として三十二ダムについて建設工事及び実施計画調査を実施し、五ダムを完成いたしました。  砂防事業につきましては、直轄事業として利根川ほか二十五河川について百八十七カ所の砂防工事を実施し、うち八十五ヵ所を完成し、また、補助事業として二千八百八十六ヵ所の堰堤工流路工等を実施し、うち千三百八十ヵ所を完成いたしました。  このほか、海岸事業につきましては、直轄事業として九海岸を実施し、また、補助事業として百六十一ヵ所を実施し、うち二十六ヵ所を完成いたしました。  次に、災害復旧関係事業につきましては、河川等災害復旧事業として、直轄関係では、三十九年発生災害は完了し、四十年発生災害は九七%、四十一年発生災害につきましては、補正予算及び予備費を使用して、全体の四八%の復旧を完了いたしました。  また、地方公共団体施行する災害復旧事業につきましては、三十八年災は完了し、三十九年災は八八%、四十年災は七〇%、四十一年発生災害につきましては補正予算及び予備費を使用して、全体の三〇%の復旧事業を完了いたしております。  次に、道路整備事業について御説明申し上げます。  昭和四十一年度は、昭和三十九年度に改定いたしました道路整備五ヵ年計画に基づく第三年度目の事業として一般国道等改良及び舗装等を実施いたしましたが、その結果、改良において三千四百五十五キロメートル、舗装において六千百四十六キロメートルを完成し、前年度までに完成したものと合計いたしますと、全体計画に対し、改良は約六二%、舗装では四八%の進捗状況となっております。  また、五ヵ年計画の一環として、一般国道直轄維持管理を行なっておりますが、昭和四十一年度延長九千三百五十二キロメートルの指定区間について、その維持修繕を実施いたしました。  以上のほか、有料道路事業を実施している日本道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団に対し、それぞれ国の出資を行ないました。  次に、都市計画事業について御説明申し上げます。  国営公園整備は、霞が関公園は完了し、北の丸公園につきましては全体計画の約三九%を完了し、都市公園整備については全体計画の約一〇%を完了いたしました。下水道関係として六百三十二ヵ所の公共下水道等施設整備を実施いたしました。  次に、住宅対策事業について御説明申し上げます。  公営住宅建設といたしましては、七万二千六百六十六戸の建設を実施いたしました。  また、不良住宅地区改良事業としては、改良住宅四千四百四十五戸の建設を行なうとともに、不良住宅地区整備を実施いたしました。  以上のほか、政府施策住宅として、住宅金融公庫及び日本住宅公団関係で二十二万千八十一戸の住宅建設いたしております。  次に、官庁営繕について御説明申し上げます。  建設省に計上された営繕事業予算及び他省庁所管に計上された営繕事業予算支出委任等により、国立劇場新営工事ほか五百九件の工事施行いたしました。  次に、都市開発資金貸し付け事業について御説明申し上げます。  昭和四十一年度は、初年度事業として五地区を対象に工場移転あと地買い取り資金等貸し付けを行ないました。  以上が昭和四十一年度における建設省所管決算概要であります。  次に、昭和四十一年度決算検査に関する建設省所管概要について御説明申し上げます。  所管事業を遂行するための予算執行にあたっては、常に厳正な執行をはかるため内部監査等により万全を期してまいったのでありますが、決算検査におきまして指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。  指摘を受けました事項に対する措置といたしまして、地方公共団体施行する国庫補助事業工事施行が不良なるため工事効果達成していないものにつきましては、手直しまたは補強を命じて事業の所期の目的を達するよう措置いたし、積算の過大については積算の適正を期する所存であります。  なお、今後は、さらに事業執行方法について検討し、指導を強化いたしまするとともに、その責任体制を確立せしめることとし、このような事態の発生を未然に防止するよう指導を徹底する所存であります。  また、災害復旧事業費査定につきましては、被害の実情を十分に把握し、さらに厳格な査定に万全を期するよう努力いたしたいと考えております。  以上が昭和四十一年度における建設省所管決算概要及び決算検査報告に関する建設省所管事項概要でありますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  7. 大石武一

  8. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 昭和四十一年度建設省決算につきまして、検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が二十六件でございます。不当事項として掲げましたものについて説明いたします。  三〇八号から三三二号までの二十五件は、公共事業施行にあたり工事施行が不良であったりまたは工事の出来高が不足しているなど国庫補助金の経理が当を得ないと認められるものでございます。  三三三号は、昭和四十一年発生災害復旧工事費査定を了したものに対し、早期に検査を行ないましたところ、査定工事費の設計及び積算が過大となっているものがあり、これを修正減額したものでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  9. 大石武一

    大石委員長 次に、住宅金融公庫当局よりの資金計画事業計画等についての説明は、便宜会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     ─────────────     〔参照〕   昭和四十一年度住宅金融公庫業務概況  住宅金融公庫昭和四十一年度業務計画と実績につきましてご説明申し上げます。  貸付計画は、当初、住宅等資金付け一千二百二十億四千七百万円、宅地造成等資金付け二百三十六億円、計一千四百五十六億四千七百万円でございましたが、その後、資金需要の変動に伴い、計画住宅等資金付け一千二百二十九億八千三百万円、宅地造成等資金付け二百二十六億六千四百万円に改訂して、計一千四百五十六億四千七百万円といたし、住宅十七万一千戸、宅地取得九百六十八万平方メートル、造成一千百三十万平方メートルの貸付契約を行なうことに定められたのでございます。  この計画に対する資金計画は、四十一年度事業計画にかかる分八百七十三億八千八百八万円と前年度計画うち資金交付未済分五百二十二億二千三百七十九万円の合計額一千三百九十六億一千百八十七万円を貸し付け計画でございました。この原資は、資金運用部資金借入金一千九十一億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金借入金九十億円、宅地債券発行による収入十六億百四十七万円のほか、貸付回収金等から百九十九億一千四十万円をもつて、これにあてることにいたしたのでございます。  この計画によりまして、貸付契約を締結いたした額は、住宅等資金付け一千二百三十一億七千六百二十三万円、宅地造成等資金付け二百二十六億六千五十九万円、計一千四百五十八億三千六百八十二万円、戸数等にいたしまして、住宅十六万八千戸、宅地取得九百六十五万平方メートル、造成一千百三十五万平方メートルとなり、貸付実行額は、前年度までの貸付契約分を含めまして、住宅等資金付け一千二百十九億三千二十九万円、宅地造成等資金付け百七十四億八千二百九十三万円、計一千三百九十四億一千三百二十二万円となりました。この貸付実行額は、前年度に比べますと二百三十億一千四百九十四万円、率にいたしまして十九・七パーセント増となっております。また、年度間に回収した額は、四百五十五億八千六百九十七万円でありまして、前年度に比べますと九十一億五千三百十三万円、率にいたしまして、二十五・一パーセント増となっております。  この結果、年度貸付残高は、五千六百四億四千六百一万円となりまして、前年度末に比較いたしますと、九百三十八億二千四百十七万円の増加となったのでございます。  貸付金延滞状況につきましては、四十一年度末におきまして、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は六億一千七百七十四万円でありまして、このうち一年以上延滞のものは五億三千五百九十七万円でございました。  次に、住宅融資保険事業につきましては、四十一年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額を七十六億円と予定し、この額の百分の八十に相当する六十億八千万円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立したものは、二十六億七千二百九十万円でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済額は、収入予算額三百二十億四百六十五万円に対し、三百十八億四千六百四十七万円となりました。また、支出済額は、支出予算額三百十七億六千三十万円に対し、三百八億二千六百七十五万円となり、収入が十億一千九百七十二万円多かったのでございます。  また、損益計算の結果につきましては、貸付業務では、利益三百二十六億二千二百一万円、損失三百二十六億二千二百一万円で、利益損失同額となり、利益金は生じませんでしたので、国庫納付金はございませんでした。住宅融資保険業務では、利益八千七百十一万円、損失五千八百五十万円で、差引き利益金二千八百六十一万円を生じましたので、これを積立金として積み立てました。  以上をもちまして、昭和四十一年度業務概況のご説明を終らせていただきます。     ─────────────
  10. 大石武一

    大石委員長 これにて説明聴取を終わります。     ─────────────
  11. 大石武一

    大石委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。丹羽久章君。
  12. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ただいま委員長から許しを得ましたので、質問をいたしたいと思います。  まず、建設行政に関してでありますが、私は過去何回かにわたって、建設行政に関し当決算委員会あるいは交通安全対策特別委員会において政府の見解をただしてまいりました。きょうは、昭和四十一年度決算議題とするにあたりまして、建設省並び住宅金融公庫に対して、二、三お尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、建設省道路局長お尋ねをいたしたいと思います。  全国国道地方道舗装率と今後の計画についてでありますが、全国道路舗装率を見ますると、昭和四十一年度末で、国道は二万七千百四十四キロメートルに対して六七%、地方道は十二万二千五百九十一キロに対して二一・七%の舗装ができ上がったようですが、道路五ヵ年計画終了時の予想が、国道で九三%、地方道で五三%ということですが、交通事故問題が大きな話題になっているとき、この道路整備について当局の考え方と今後の方針をお尋ねいたしたいと思います。
  13. 蓑輪健二郎

    蓑輪説明員 ただいま国道地方道舗装につきましては、先生のおっしゃいました数字でわれわれ五ヵ年計画達成計画しております。この中でどういう形で国道なり地方道改良舗装をやっていくんだということになりますと、国道につきましては、昔は一級国道と二級国道がありまして、それが一緒になりまして一般国道という形で整備されておりますので、総延長が二万七千キロございますし、このうちもと一級国道については、四十五年くらいでほぼみな完了する予定でございます。もとの二級国道につきましては、これが大体完了するのは四十七年くらいの計画でございます。四十六年度までの第五次の五ヵ年計画では、もとの二級国道については一部まだ改良できないというところも残るかと思います。また、地方道につきましては、全体の延長が十二万二千六百キロくらいございますが、これをどうやって整備するかが非常に問題があろうかと思います。この五ヵ年では、まず、いまの道路でも交通がふくそうしているようなところでは、拡幅、改良工事を相当やっていく予定でございますが、そのほかの道路につきましては、一部非常な局部的な危険個所をまず直して、早く舗装を進めていきたいという考えでございます。先ほど先生のおっしゃいました五ヵ年計画の最終の県道整備状況は、舗装でいえば大体五〇%の舗装を考えております。これについては、四十四、五、六年で、特に舗装に重点を置きましてこの計画達成をはかっていきたいと思います。あわせまして、先ほど言いましたような危険個所については、特改一種改良工事を入れまして、危険個所を直しながらまず舗装を進めていくというような形で、一般的な県道についてはやっていきたいというように考えております。
  14. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ただいま道路局長の御答弁を聞いておりますと、一級国道は大体五ヵ年計画でいける、しかし二級国道はそんなぐあいにはいかないから四十七年くらいになるだろうと思うという話でありまするが、はたしてそのようにほんとうにいけるかどうかということに私は疑念を持つのですね。現在でき上がっている道路、そして五ヵ年計画が始められてきたその状態から見ましても、あなたのおっしゃるような、現在のような予算づけでいくと実質的にはできないんじゃないかしらんという心配を持ちます。どうですかその辺、自信をもってやれるということが言い得るでしょうか。
  15. 保利茂

    保利国務大臣 道路整備の問題、特に一般国道の問題でございますが、旧一級国道、二級国道の場合、たとえばあそこの百五十六号線なんというものは、四十七年までにいけるかどうかということに私も実は危惧を感じております。しかしこれは今後の予算計上の問題に関連してまいりますが、何といってもとにかく今日最大の急務はやはり道路整備じゃないかと思いますので、ひとつ特段の力を入れまして、ただいま局長が申し上げますようなことが単に口先だけで終わらないようにやっていきたいと考えておりますから、非常にむずかしい、困難だということは覚悟しております。
  16. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣から御答弁いただこうとは思いませんでしたけれども、大臣から特別な御答弁をいただきまして感謝にたえません。  そこで、せっかく大臣に御答弁していただきましたのでちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、先日大臣はどこかの席で、全国とは言わぬけれども、日本じゅうの半分ぐらいのところをぐるっと回ったというお話をせられたことがある。そのときに、国道ばかりでなくて、町村道についてもぜひやってみたいと考えております、こういうようなお話があったように私は思いますが、そういう気持ちを持って今後——この国道でさえ心配であります。そういうときであるから、予算づけに対して大蔵省と、道路行政に対してはつとめて予算獲得のために一段の、大もの大臣として建設大臣に心からお願いいたしたいと思います。どうぞひとつよろしく予算をとっていただいて、りっぱな道路を早くでかしていただくようにお願いいたすわけであります。  以上をもって私はこの道路の問題はおきます。  さらに、舗装についてこれまた局長お尋ねいたしたいと思います。  道路舗装は種類は幾つかあげられますが、特にコンクリート以外の舗装は雨天の際暗くて見通しが悪く、そうして交通事故発生原因となっておると考えられるが、今後の舗装はどのような方法工事を進められようとしておるのか、あるいは研究していらっしゃるのかどうだという点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  17. 蓑輪健二郎

    蓑輪説明員 道路舗装につきましては、御承知のようにアスファルト系の黒い舗装コンクリート系の白い舗装とこの二つに大別されるかと思います。現在アスファルト系舗装を非常に全国的に、全体の舗装の約八〇%から九〇%ぐらいがアスファルト系舗装になっております。アスファルトコンクリートに比べまして、施工をして交通開放をするまでの時間が少ないということで、非常に現道を舗装するときの工事をする上での利点はございます。ただ、いま先生のおっしゃいましたように、コンクリートに比べますと、夜などの自動車のヘッドライト反射効果、こういう点についてはやはりコンクリートよりは劣るかと思います。こういうことが非常に交通事故原因になるのではないかという指摘も私受けております。ただアスファルト自身も非常に利点がございます。また交通安全の面から考えますと、横断歩道、こういうものにつきまして白いゼブラマークをするとか、また道路の路肩と車道との間に車道外側線というような白いペイントで区画線をかくとか、そういうことをやっております。何といってもやはり夜は、黒いのでヘッドライトだけではわからないということもございます。やはりそういう交通の危険な個所につきましては、最終的には照明をするということが第一だと思います。私たち、いまの先生の御指摘のようにアスファルト舗装につきまして、これをさらに色を変えるということも、金をかければできないことはございませんが、黒いアスファルト舗装をもっと鮮明な色にするということ、これ自身がはたして金をかけただけの効果があるかどうかの疑問もございますので、やはり今後はできるだけ区画線とか、横断個所ゼブラマークとか、照明、こういうものをやっていきまして、交通の危険をのけていきたいと思います。  なお、二次改築であります大きなバイパスになりますと、これは現道舗装でありませんので、相当時間的な余裕もありますので、こういうものについては、やはりコンクリート舗装のいい点もございますので、コンクリート舗装も今後進めていきたいというふうに考えております。
  18. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 局長さん、あなたに申し上げますが、大きい交通事故を起こした人に会って、どういうふうであったかといって尋ねてみますと、前方不注意ではなかったんだ、やっぱり雨が降っておるとヘッドライトとアルファルトの反射関係が非常に悪い、はっと思った瞬間にもうすでに当たっていたんだ、けれども、警察庁ではそれをなかなか取り上げてくれない、前方不注意だと言う、なぜ日本舗装はもう少し変らないのだろうか、こういうことを言うのです。実際に私がハンドルを握ってみても、そういう感じがするのですね。日本という国は雨の多いところであって、非常に激しく雨が降ってきた場合に、コンクリート舗装というのは、トペカ舗装というのか、普通一般舗装というのか、黒い舗装とは、それはもう全然視野が違ってくるのです。これはやっぱり建設省の研究所において研究をしてもらって、性能が落ちなくても色変りでするくらいのことは、私はできるんだろうと思うのです。これは十年一日として変わらない。同じやり方の舗装をしていく。イタリアだとかドイツへ行くと、日本より雨の量が少ないのです。だから、あちらでは、舗装するにおいても比較的簡単にもやれるし、あるいはいたみもそんなに激しくないということを私実感で身につけてきたのです。日本ではそうでなく、やっぱり雨が多いという関係をひとつ考慮に入れて、舗装のあり方というものを一応研究してもらう必要があるんじゃないかしらんと思う。その点十分今後研究していただけるかどうか、もう一度お尋ねしておきたいと思うのです。
  19. 蓑輪健二郎

    蓑輪説明員 ただいま先生指摘のように、日本では非常に雨が多い。私も、やはり東名高速などを通った経験で見ますと、夜間で相当雨が降っておる、かなり豪雨のときは、ほとんど見えません。ただいま先生おっしゃったような、区画線自身もはっきりしない。また、照明も、天気のときと比べて非常に暗くなってくるということでございます。いま先生指摘のような、日本では特に雨が多いということから、夜間の雨の場合の交通の問題、これで舗装とそのほかの安全施設をどうするか、こういうことは、先生の御指摘のように、私たち今後も大いに研究してまいりたいというふうに考えております。
  20. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それじゃ次の問題をお尋ねいたしたいと思います。大都市の道路建設についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。  大都市は、市街地の過密化によって交通渋滞を来たしているが、道路の拡張、新設は、住宅の立ちのきの補償金を含めて相当の経費を必要とするが、重要な部分については高速にしたほうが予算がかからなくて安あがりのように思うが、道路事情の改善のためにどのような研究をせられておるか、この点をお尋ねいたしたいと思うのです。
  21. 蓑輪健二郎

    蓑輪説明員 大都市の中の道路といいますと、これは現状は御承知のように、どこもここも非常に渋滞が多くなっておると思います。根本的にいいますと、やはり欧米に比べましてまだまだ都市の面積の中で道路の占めるパーセントが少ないのではないかということがございます。そういうことで、さらに幹線の道路については広げるというようなことをやっておりますが、これは御指摘のように、非常に用地補償がかさむ工事でございます。それを解決する一つの方法といたしましては、ただいま首都高速及び阪神高速でやっておりますような、幅の広い道路の中で橋の高架の道路をつくりまして、自動車の専用道路としてできるだけその流通をはかっていっております。     〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕 やはり高架の道路をつくるということは、非常に都市の中の交通の流通に効果があると思いますが、何ぶんやはりああいうものをつくるということになりますと、下の道路が相当広がってないと何ともできないということもございます。いまのところ、四十メートル以上の場合は上に高架の道路をつくるようにしております。狭くても三十メートルはどうしてもないといかぬということもございまして、なかなかそういうような下の道路を広げることも困難なような場合には、街路の交通容量をふやすために、平面交差の立体化、こういうものも相当やっていくということと、これはやはり警察庁にもお願いして、交通信号の広域的な連係のとれた信号をつくっていくというようなこと、こういうことによって、都市内の交通の渋滞を解消していくということをとりあえずはやりたいというように考えております。やはり根本的には、下の道路を広げ、交通量に応じた、首都高速のような高架の道路、こういうものをつくっていくことが必要ではないかというふうに考えております。
  22. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私の言わんとすることは、大都市の中は非常に交通が渋滞してきた。そこで、新しい道路をつくってもらいたいとか、あるいは何とかこれは解決してもらいたいという、そうした陳情がしばしばある。それを解決していかなければならないという問題が建設省としてはいま問題になっておる点だろうと思うのです。そこで、道路拡張をするにしても、都市でも負担しようが、国でも金を出す、あるいは、国道においても国道自体がもう非常に一ぱいになっちゃって何ともならないというような場合においての今後の行き方というものは、やはり立ちのきをさしたりあるいは補償金を出したりするために非常な時間と日にちと金をかけておって、土地収用法だとかあるいは家屋を取りこわすに強制命令を出すというようなことで、それがために時間と費用をかせがれておっては、この交通問題というものは解決していかない。そういうようなことを考えてくると、やはりもっと簡単に行くためには、高速をつくったほうがいいんじゃないかしらんという面があるが、少々金がかかっても、百年の大計のためにそういう方向で進むようなお考えを今後持っていただきたいと思うが、道路局長はどのようにお考えになっておるか、こういうことを私は聞くのです。
  23. 蓑輪健二郎

    蓑輪説明員 ただいま先生の御指摘のように、やはり大都市というのは、東京と大阪のような高速道路、そういうものは将来必要になってくると思います。そういうことで、私のほうも、将来の都市の交通というのは、短い区間、短いトリップの交通を処理すると同時に、かなり大都市の中心を抜けるような高速道路、こういうものは計画をしてまいりたいというふうに考えております。
  24. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 じゃ、そういうふうでひとつ進んでいただくことにいたしましょう。  それから、道路工事の時間帯についてひとつお尋ねをいたしたいと思いますが、昼間の道路工事は各地で交通渋滞の原因に非常になっておるのですね。これは夜間に集中できないものでしょうか。また、夜間工事道路照明は、これはもう完全なものにしていただかぬと事故が発生するもとになる。こういうようなことに対してやはり何というか、そういう夜間照明というものは、業者がそれぞれかってな照明の程度でなくて、一つの基準を設けてやっていく。それには何というか、国がそういう照明道具を買って貸し与えてやるとか、あるいは基準をきちっときめて、それでなければ夜間作業はでき得ないというような方向に持っていく、そして交通ひんぱんなところにおいてはやはり夜間で仕事をさせていくという原則にするというような方向へ持っていくことが、私は交通渋滞をなくすることだと思うけれども、最近業者が横暴になりまして、われわれは道路を直しておるんだという一つの特権的考え方を持って仕事を進めていくとするならば、これは非常に悪いことだと私は思う。また、それがために大きな迷惑をたくさんの人がこうむるわけです。その点については道路局長はどういうお考えを持っていらっしゃるか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  25. 蓑輪健二郎

    蓑輪説明員 道路工事を夜間にするか昼間にするかということでございますが、まず夜間の工事は、これは昼間に比べて作業の効率も悪くて、また安全管理も、ただいま先生指摘になりましたようなことがあるかと思います。やはり大都会で昼間より夜のほうが交通量の少ないような場合は、これは当然私たち、夜間に道路工事をさせてまいりたいというふうに考えております。ただ国道一号線のようなことになりますと、夜間も昼もほとんど変わらないというような場合は、これはやはり昼間やらせたほうが効率はいいのかもしれませんが、大体大きな都会の中では夜間の工事をやらせるように指導しております。ただ、いまの先生の御指摘のように、夜間の工事になりますと安全の管理がまず問題になってくると思います。この中で照明その他については、やはりこれは——一例をあけますと、関東地建の中に東京国道というのがございますが、東京都内の工事についてはいろいろ工事をやるときの安全のための照明の基準だとか、道路の境界等、そういうものを全部示しまして、それによって業者の入札の見積もりをその中へ入れるということを指導しております。ただ、いま先生のおっしゃいましたように、非常に私たちも夜通って感じるのでございますが、一つの特権的になって、おれたちは道路をやっているんだから、おまえたち少しぐらいというような感じをあるいは受ける場合もございますので、この辺につきましてはよく入札の問題及び工事指導の問題、こういうことで通行の利用者の皆さんには不快な感じを起こさせない、また迷惑をかけないということを今後さらに一そう強力に指導してまいりたいというふうに考えております。
  26. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大体了承することができましたが、つとめてひとつ都市で仕事をせられるとき、あるいは交通量の激しいところはよく設計上考えていただいて、交通の渋滞をしない方法をもって工事を進めるような設計をしていただきたい。私は心からお願いいたすわけでございます。  さらに、橋梁工事の進め方についてちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、全国に橋梁工事はあちらこちらで行なわれておりますが、それが半年か一年で工事が完成すればいいんだけれども、何年計画というような場合が幾らもあるわけですね。そうすると、第一に基礎工事を打つ、第二にはピアをやる、第三にはけたをやるといったようなことで、三年、四年という計画が立てられておりますと、その間ほんとうにわずかのところで通れるのであるけれども、なぜやってくれぬかしらんと思っていると、予算がないからもう一年これは待ちだといったようなところがあるんですね。こういうような場合には一部だけでも開通していくというような方法を考えてもらうなら非常に助かるんじゃないかと思うのです。これは継続事業として考えていくことについてはもう少し私は考え方があると思うのです。これだけ激しく自動車が通るようになって、これだけ交通量が激しくなってきたときには、私は建設省の考え方にももっと研究してもらう余地があると思うわけです。この点について局長はどうお考えになっているか、お尋ねいたしたいと思います。
  27. 蓑輪健二郎

    蓑輪説明員 橋梁の整備につきましては全国で非常に数多くの橋梁をやっております。われわれの橋梁についての考え方につきましては、百メートル未満の小さな橋についてはこれは基礎も入れまして大体二年くらいでやりたい、さらに百メートル以上の長大橋でございますと、これは場所によりましては、洪水の時期を避けて基礎をやらなければいかぬということもございまして、あるいは四年くらいかかる場合もございますが、大体三ヵ年程度で完成させていきたいというふうに考えております。また四車線以上の道路になりますと、まず二車線を通して、早く二車線だけは供用を開始して、そのあと残りの二車線をやるというようなことを行ないまして、できるだけ早く供用開始にもっていきたいというふうに考えております。ただ、いま先生指摘のように、予算がないからということも、これはあるいは全国的にはあるかと思いますが、もうすでにことしある程度の予算をつければ供用開始になるというようなものにつきましては、これはことばは悪いのですが、ほかの金を回してもやるべきだというふうに考えております。全体の道路事業の中で、予算的な制約も相当受けますが、橋梁、特に交通の混雑しているところにつきましては、ある程度のそういうような、何を優先するかということをはっきりさせまして、できるだけ早く供用を開始して、地元の迷惑を除くというような方針でいきたいというふうに考えております。
  28. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いまの局長さんの答弁は、大臣のいらっしゃるところでそういう御答弁をいただきましたので、私は、ひとつお忘れのないように、優先的に早く通れるように考えていただきたい、これも口だけでなくて、ほんとうに実施していっていただきたい、この点をお願いしておきます。  それから工事の実情についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。  道路、橋梁に限らず、建設省関係の仕事については、工事を請け負う際に入札だけで、実際の工事は手数料だけ取って、そのままずばり下請に流すのがだいぶあるのですが、こういうようなことについてはどういうお考えを持っていらっしゃるか、この点ひとつお伺いいたします。
  29. 蓑輪健二郎

    蓑輪説明員 道路工事に限りませんと思いますが、一つの業者がとりまして、それをさらに下請に出すというような話を私も聞いております。正式にはそういうようなものを下請に出す、工事の主要部分を下請に出すということは、われわれ発注者のほうとしては許可をしていないわけでありまして、ただその中で、そこの現場に働いている人がどこの請負会社の者か非常に判別しにくいということで、いま言いましたような、手数料だけ取って下請にするということもあるいは小さな工事ではあろうかと思います。私たち直轄の事業につきましては、できるだけそういうようなことのないようにして、一つの直轄事業が補助工事についても見本になるような形で、まず直轄事業が、そのような一括下請というようなことのないように指導していきたいというように考えております。さらにこれを補助工事のほうにも及ぼしてまいりたいというふうに考えております。
  30. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大業者だとは申しませんが、大業者に次ぐ程度の店で、支店、出張所だけ持っていって、そして看板を上げて、工事入札に参加する、そして仕事をとるとすると、一人も人を持っていない、一体どうするかというと、その付近の下請業者を集めて、部分的にも下請させていく、あるいはすぽっと全部渡してしまう、そしてピンはねだけをする、こういう悪い習慣は長年建設業者に現実にあるのですよ、実際。そうすると、一割なりあるいは一割五分なりというものをピンはねせられて下請されるというと、それがまた下請に出すというようなことになる、だんだん下へくると、ほんとうに仕事をするというのは非常に安い価格でやらなければならぬということにならされて、そして倒産というような例はいままでずいぶんあるのです。こういうことを考えてまいりますと、私は少なくとも全部の、その支店、出張所を出される人はおやりなさいというわけじゃないのです。ないが、少なくとも半分以上が自分の能力をもって仕事をやってもらわなければいかぬと思うのですね。そうでなければ、責任が持てないじゃないか。  もう一点は、たとえば舗装工事なんかは、ある県によっては何と何と何と道具を持って、プラントを持たなければ入札に入れない、ブルドーザーを持たなければいかぬ、あるいはこういう機械を持たなければいけないとかいって、いろいろ機械を指定する。そして、そういう機械を無理して月賦で買って、工事量はどれだけあるかというと、工事量は比較的ない。だが、入札に入りたい、入りたいために道具を買う、道具を買っても仕事はそれだけないというのでつぶれていくという店がある。こういう矛盾というもの、こういうあり方というものははたしてほんとうに正しく、そして健全な業者の育成になっていくかどうかということを私は考えるのです。やはりそれは、正しい行き方でないように考えております。建設省の方針として、どういうようにお考えになりますか、もう一度お尋ねをいたします。
  31. 川島博

    ○川島説明員 この入札に参加したいという業者につきましては、建設業法に基づきまして、公共工事については建設大臣あるいは都道府県知事が客観的な経営内容の審査をいたすことにしております。ただいま先生指摘のように、最近人手不足ということもございますし、技術革新等々で機械を使用する作業が非常に多くなっております。したがいまして、この経営の内容に関する審査方法といたしまして、機械の保有状況を審査対象にしていることは、先生御承知のとおりでございます。しかしながら、機械を持っているかいないかということが審査に合格するか不合格になるかという決定的な意味を持つわけではございませんでして、一般的に申しますと、百点満点の点数をつけます場合に、機械を持っているか持っていないかで差がつくのは四点ないし五点程度でございます。したがいまして、機械を全然持っていない場合に落第をするということは考えられないわけでございますが、確かに機械を持つと持たないでは、若干有利、不利が出てくるわけでございます。したがいまして、中小建設業者等が無理をして機械を購入する。そのために借金の返済に追われて経営内容が悪くなったということが現実にございますことも事実でございますので、私どもは、そういった場合には中小の業者が協同組合なりあるいは協業組合なりを結成いたしまして、機械を共同で買い、共同で使うということによって、大手の業者に対抗して十分工事ができるように指導いたしておるわけでございます。したがいまして、この共同化の推進によりまして、業者が相寄り相助けて工事をとれるように指導をいたしておる次第でございます。
  32. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私、時間が制約せられておりますから、大臣の関係もあるそうですからもうこれ以上のことを聞こうとは思いませんけれども、ぜひ下請という問題についてはもう一度よくお考えをいただく。それからむだな機械をあまり買わせないように、そして、そういう業者に対する育成、指導をひとつやっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  33. 保利茂

    保利国務大臣 ただいまの下請関係につきましては、私も実は同様の心配をいたしておるわけでございます。発注者が、客観的な条件がそろって発注したらしっぱなしで、それで安心しておるというわけにもいかぬ場合があるだろうと思うわけです。したがって、第一は、国の工事等については、非常に大事でございますから、やはり受注者が最終まで責任を持ってもらうということが、実際上とられなければならぬ。お話にはございませんでしたけれども、たとえば下請業者が破産をした。そこにたくさんの零細ないろいろな方が納入をされる、それらが取れないというようなことも耳にしないわけではありませんので、特に部内に十分そういう措置を講ずるように、いまは指導を強化しております。  第二は、下請——要するに大手業者と地元業者との調整といいますか、地元業者の育成といいますか、そういう点については、もう少し建設省も考えなければならぬだろうという点でそれぞれ配慮をいたして、検討をいたしておるわけであります。御意見の存するところは、大体私も同感に存じて、やっておるのであります。
  34. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 丹羽君に御相談をいたしますが、実は大臣は午前中しか出席できないということで、大臣に対して勝澤君と田中君が質問をする、こういうことで、できれば質問を午後にしていただきたいと思います。
  35. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 けっこうです。
  36. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 それでは、勝澤芳雄君。
  37. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、大臣に三つお尋ねをいたしますが、一つは最近問題になっておりますマンションの購入契約者の保護の問題それから第二は、住宅融資保険制度の問題、第三は、国道一号線のバイパスの促進、この三つを簡単にお尋ねをいたします。  まず一の、マンション購入契約者の保護の問題でありますが、これは最近御案内のように、稲村建設が倒産をされて、特に稻村さんは代議士になっておる関係上、いろいろといま注目を浴びておるわけでありますけれども、実はこういうような場合にどうしたらいいだろうかというのは、急に起きてきた問題ではないわけです。過般の国会の中でも、物価対策特別委員会の決議の中でも、特に「宅地建物の前払式割賦販売については、契約解除の際の損害賠償額の制限、前受金の安全保証措置等必要な規則を加えること。」実はこういう物価対策特別委員会の委員会決議がなされておるわけであります。またこの問題は、かつて家の月払いといわれた電建とかあるいは殖産とか、こういうのが盛んになったときに、契約をして、十回かけたが、あとがかけられないからそのままにしておけば、満期になるまでその金は凍結されて返されない、契約書はそうなっておる。その契約書そのものは虫めがねでもなかなか契約時点ではよくわからない、こういう問題が問題になって、何とかこれはやはり消費者保護、利用者保護という立場から、問題を考えなければという意見が実は出ておったわけであります。たまたまもう十年前になるのですが、通産省は、割賦販売の問題で特にいざこざがあるために、割賦販売を一つの法律のルールの上に乗せて、裁判でやるというようなそんな消費者に迷惑なことよりも、簡単に法律の上できっちりルールをつくったらどうか。こういうことで、割賦販売法ができておるわけであります。そういう点で、私はこの際、特にヨーロッパを回って帰ってきて、考えるのですが、ヨーロッパは道路からいま住宅に移りつつあるわけなんです、政治が。日本はまだ道路なわけです。まだまだ住宅はこれからです。しかしやがて住宅問題が出てくるわけでありますから、いまからやらなければ、法律的な問題についてはある程度整理をしておかないと、これからもっともっと広がってくるのじゃないだろうか、こう思うわけであります。そういう点で私は、この際、過去に何回も言い古された問題でありますけれども、思い切って、これは英断をふるって、ルールというもの、あるいは問題点というものをやはり建設省で洗い直していただきまして、そうして次の通常国会あたりには、やはり法案を出すことによって——それは、この法案を出すことは、建築業界からもいろいろの業界からも問題が出てくると思うのです。しかし、問題が出てくる中で、政治の場でお互いが議論し合って、それをよりいいものをつくり上げていく。建設省から出していくと問題ができるかもしれませんが、やはり建設省が主体になってこれを出していかないことにはこの問題は進まないと思います。過去、こういう法案を出そうとして、業界筋の抵抗があってなかなか法律が出せなかったという経過も私もよく聞いておりますけれども、あるいは法律の手続の上でなかなかむずかしいという意見もあります。しかし、そうはいいましても、やはりこの際一般の消費金融の問題については、割賦販売でいろいろルールがきめられておるわけでありますから、この際思い切った措置を、いま起きている問題とにらみ合わせながらひとつ御検討して、通常国会あたりにこの問題は芽を出させて、ぜひ議論をさせるようなことで、入居者を守っていく、そしてまた業者も健全な業者を育て上げていく、こういうようなことをひとつ考えていただきたいと思うのですが、その点についてのお考えを賜わりたいと思います。
  38. 保利茂

    保利国務大臣 私は勝澤さんの御意見と全く同じでございまして、この間起きております問題もございます。考えてみますと、前払いにしろ積み立てにしましても、実際に差し迫った必要から非常な汗の結晶である大事なものを積み立てられ、あるいは前払いされて、それがさっぱり実を結ばないどころか、あだになるというようなことを放置しておけるものであろうかどうか。おけない。これは何としても住宅事情の現状から見まして、多々ますます起こり得る可能性があるわけでございますから、ただいま事務当局に検討願って、通常国会にはどうしても御審議をわずらわして、消費者というか、需要者保護の安心のいく方途を立法的に措置をしなければならないのではないか。ただいま準備をいたしております。
  39. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この問題は、あとでまた田中委員から御質問があると思いますけれども、前向きで次の国会には法案を出すというお話でありますから、中身の問題につきましては、また別の機会に事務当局のほうに申し上げるといたしまして、次の問題でありますが、住宅融資保険制度の問題でございます。  これは、住宅金融公庫がほかの金融機関との契約を結んで保証をいたしておるわけでありますが、最近この住宅問題の関連の中から、損保業界のほうで住宅金融保険というものを考えられておるようであります。片や国のほうは住宅融資保険制度をいまやっておる。片方では損保が今度は住宅金融保険というものを考えておる。こうなりますと、個々に別に業界もあるいは公庫も扱っている。けっこうでございますけれども、やはりいま損保業界が考えている問題と、現状の住宅融資保険との問題をにらみ合わせながら、総合的な、もっと抜本的なものをつくっていかなければならないのではないだろうかという実は気がするわけであります。これは先般四十二年の六月に住宅融資保険制度の法律改正のときに私も申し上げたわけでありますが、てん補率が引き上げられまして、従来の八〇%が九〇%になったわけでありまして、料率も引き下げた。私はこれは引き下げでないという議論をしたことがありますけれども、それはさておいて、やはり安い保険で、そしてまた補てんを一〇〇%する、これが理想であります。ですから、こういう点を考えてみますと、いま起こっている住宅を建てようという庶民の願い、そうしてまた政府住宅融資保険制度も取り入れて、最初やってみたけれども、利用率がないからといって補てん率を上げ料率を下げたら、今度は銀行のほうではまた利用率がふえてきたという話を聞いております。九〇が一〇〇%になれば、これは文句なしにもつとふえていくということは間違いないわけであります。その場合保険経理がどうなるかということでありますが、いま保険経理が、これは私はしろうとですからわかりませんけれども、黒字の現況からいえば、もっと拡大すればいいじゃないか、あるいは損保業界ですら民間金融としてそろばんを計算しながらやろうとするのがある以上、それは国が政策的に、保険経理が黒字でなくても、そこに少しくらいの金を出したとしても、もっと大々的にやることが、特に国が住宅建設にはまだ不十分な段階でありますから、なおさら民間住宅建設を促進することになるのではないかというふうに思うわけであります。こういう点についての、住宅融資保険制度と損保業界が考えている住宅金融保険問題との関連性の中で、建設省のお考えをお伺いしたいと思います。
  40. 保利茂

    保利国務大臣 住宅建設における住宅融資保険がだんだん普及してまいって、大きな役割りを持ってきておるようでございます。したがって融資保険を少し強化してまいるという線で、ただいま具体的な検討を事務当局に頼んでおるわけでございまして、具体的には事務当局から御説明申し上げます。
  41. 大津留温

    ○大津留説明員 ただいま大臣から申し上げましたように、最近、前回のてん補率の改定、それから料率の改定に伴いまして、年々保険額がふえてまいっております。さらにこういう時勢でございますから拡充、改善をはかりたいというので、来年度におきましてはてん補率を一〇〇%に引き上げたい、また資金も三億ばかりふやしまして保険の総額を二百億まで引き上げたい、また料率につきましても、事故の状況等を見ましてできれば引き下げたいということで検討しておるわけでございます。  なお、御指摘のように民間の損保業界で住宅金融の保証保険を新たに始めようということで、御研究が進んでおるようでございます。これが住宅金融公庫の融資保険と全く競合するならば、損保業界がやれるところはそちらにおまかせしてもいいんじゃないかと思いますけれども、扱う対象の業種あるいは貸し付け金融機関その他についてまだ詳細に承っておりませんが、そういう点でなお金融公庫としても引き続きやる分野が残されるのじゃなかろうかと思いますので、そういう場合にはそれぞれの分野を受け持ちまして、両方でやるというような事態も生ずるかと思います。
  42. 勝澤芳雄

    勝澤委員 てん補率を一〇〇%にするということはたいへんけっこうだと思いますが、一〇〇%になれば伸びることは私は確実だと存じます。問題は料率の問題であります。料率は私が言うまでもなく安いほどいいということなんですけれども、保険との関係がありますから、ぜひこの問題は民間よりもどうも悪い、悪いといいますか高いなんというのはおかしなことでありますし、またそれをただ単なる保険金融だけでやることについても私は疑問があると思うのです。ひとつ一そう、大臣もよくおわかりになっているようでありますし、局長もお詳しいようでありますから、ひとつぜひ来年度予算あるいは法案の中で御検討を特にお願いいたしておきます。  それから第三の問題でございますが、これは国道一号線のバイパスの問題であります。長い間私もこの問題は歴代の大臣にお願いいたしてまいりましたが、前の西村建設大臣も特に静岡県の実情ということで現地を見ていただきまして、また衆議院の建設委員会あるいは交通安全対策委員会も現場を見まして、これはどうもたいへんなことだということがいわれておるわけであります。私もきのう、その清水から富士川まで用事がありまして車を飛ばしたわけでございます。普通三十分ですけれども、きのうは一時間半かかったわけであります。それで、仲人の酒すましの時間が余裕を持っていたからようやく間に合ったわけで、帰りはいつも三十分かかるやつが、いつ帰れるかわからぬという状態です、国道一号線。しかたがないから駅まで歩いて汽車でうちへ帰ったという状態です。それは実は事故があってそうなっているわけじゃないのです。きょうのような雨が降れば、これは慢性渋滞です。国道一号線がそうなっていることは、まさに日本の経済動脈がとまっているということです。東名が部分開通いたしておりますけれども、なかなか部分開通だけでは問題があるわけであります。そこで、このバイパスの問題につきましては、特に静岡の県知事が、建設大臣をやられました竹山さんでありますから、一生懸命努力されておるわけであります。また建設省の御努力で、一応バイパスの建設計画も進んでおるわけでありますが、実は建設省のほうのテンポがもっと速ければ、地元としてもまあこれぐらいでがまんしようというのが、テンポがおそくなればなるほど、もう少し路線をこうしてくれ、ああしてくれという問題が出てきておりまして、中へ入ったわれわれ地元の国会議員与野党問わず、バイパスをつくってくれと陳情したはいいけれども、つくる段になると、あっちへやれ、こっちへやれということで、みなたいへん悩んでいるわけであります。しかし、現状はにっちもさっちもいかない。特に私の住んでいるのは、大臣の御存じの水口屋のある興津でありますから、一本しかない、迂回路がないわけですから、先ほど道路局長が言われましたように、昼間工事をやろうが夜工事をやろうが何ともならぬわけであります。ですからこれは、ただ単に建設省だけで、出先で努力されておるのもたいへんだと思うのです。県もひっくるめて、あるいは市もひっくるめて、市、県、国が一緒になって地元住民に対して協力といいますか、こういうことをよほど徹底して行なわないと、なお一そう建設がおくれるのじゃないだろうかと思うわけであります。ですから、最近、掛川地区なんかがバイパスをつくってくれと私のほうへ来るわけであります。それは地元で用地から何から責任を持つということを、市長から市会議員の衆がみんな誓約して来い、そうしさえすればすぐやろうじゃないか、これはみんなで与野党一緒になってやろうじゃないかというお話をしております。なかなかそこまでまいりませんけれども、バイパスをつくってくれという段階ならば実はそういうこともできるわけでありますけれども、建設省できまって路線の発表ということになると、みんなお互いに手を引いちゃってなかなかうまくいかぬということですから、ひとつこの問題は、特に私はよそのことはよく知りませんけれども、国道一号線の最近の渋滞、東名の部分開通、それから来年の七、八月ごろですか、東京までの開通があるようですが、そこらを見てみましても、相当急がないと、東名が開通になっても国道一号線の解消はならないし、バイパスというものは相当早い機会につくらなければならぬ、こう思うわけでありますが、そういう点、ひとつ大臣心にとめていただいておきまして、実情を御理解いただき、東海道の動脈がいまのような状態だとたいへん困るわけでありますから、一そうの促進を願いたいと思うのですが……。
  43. 保利茂

    保利国務大臣 静岡−富士の東名の部分開通が、皆さん方強い御要請で、暫定料金等もして、何とかこっちへ利用を回してもらいたいということで、あの辺の、多少交通緩和が見られたというようなことをそのころ聞いておりましたけれども、やはり全線開通になっていないものですから……。来年五月に東名の全線開通になりましたときにどういうことになりますか、多少の変化が起きるだろうと思いますが、しかし、どちらにしましてもバイパスは決定いたしております。仰せのとおりつくれと運動のあるのはお互いさまこれはよく経験し悩んでおるわけですが、さていよいよつくるという段階になってきますと、またいろいろ御注文が多くなってきて、なかなか右左といかないということで、特に関係の議員さん方のなにを体験上私もよくわかっておるわけでございます。しかし、路線決定をして、計画決定をいたしております以上は、特にもう東海道のあの線がどうにもならぬということはよくわかっておりますから、ひとつ最善の努力は払うようにいたします。御了承願いたいと思います。
  44. 勝澤芳雄

    勝澤委員 質問を終わります。
  45. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 田中武夫君。
  46. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大臣は十二時までですから、十二時までにおきます。実は私の本番質問はあすなんですが、大臣はあす出られないというので、勝澤委員の質問に関連をいたしまして、大臣にしぼって質問をいたします。  いま勝澤委員住宅の割賦販売の問題を取り上げました。そこで、市民が住居を手に入れるためには、自分でその家を持つか、でなければ人の建てたものを借りるかであります。政府はどちらに重点を置いておられますか。いわゆる持ち家制度に重点を置くのか、借家制度に重点を置くのか。
  47. 保利茂

    保利国務大臣 これは田中さんの御質問でございますけれども、私は実際言いまして、どっちに重点を置くというような片面だけでものを見られないのじゃないか。ある程度の土地の用意もされ、見通しも持たれ、それからある程度勤労の蓄積で、ほんとうに家を建てたいということで、そういう切なるなにで、営々としてある程度の生活上の切り詰めまでされて家を建てようという方、やはりこれには応じなければいけないじゃないか。     〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕 むしろそういうことにすら応ずる用意がないということは、私は住宅政策からいってもどうかと思いますから、できるだけそういう方にはそういう要請にこたえ得るような体制をとりたい。しかし、また一面申しますと、広範な勤労大衆と申しますか、そういう余裕も見通しも持たれない方で住宅に困っておられる、これは何といっても一番多いわけでございますから、したがって、賃貸し住宅というものにもう少し政府が力を入れていかなければならぬ。でございますから、これはやはり両面から見させていただかなければならぬかと思っております。
  48. 田中武夫

    ○田中(武)委員 なぜこういうことを冒頭お伺いしたかというと、政府は年頭にあたって、本年度住宅を何万戸建設する、こういうことを言われるのですが、その大半はいわゆる自力建設、民間建設に依存しておる。言うなれば政府住宅政策のお粗末というかそういう点を指摘したかったわけなんです。  そこで、住宅問題はもちろん一方だけで解決するものじゃないと思うのです。そこで持ち家制ということを考えた場合には、まず持ち家のためには金融あるいは先ほど勝澤委員が言った保険、こういう問題が十分でなくちゃいかぬ。それからもう一ついま勝澤君が取り上げました割賦の問題ですが、いま住宅の割賦販売について法的規制を必要とする、こういうことについては大臣はその意思がある、こういうようにおっしゃったわけです。  そこでお伺いするわけですが、その方法に二つあると思うのです。一つは単独立法でいくのか、もう一つはすでにある割賦販売法を改正してやるのかということです。現在ある割賦販売法は、まず二条の定義で、販売方法が三回以上の場合、また指定商品は「耐久性を有し、かつ定型的な条件で販売する」物となっておる。したがって、現在ほとんど同じかっこうで、ことに最近通産省では建材を規格化する、JISマークをつけて規格化する、そういうことで、ますますそういった建て売り住宅、分譲住宅は規格化せられる方向にあると思うのです。そうした場合は、別にこれが通産省の管轄だからどうということでなくて、現在ある割賦販売法でやれるんじゃないか、定義そのままでも。そういうことと単独法と二つあるのですが、いま大臣にどちらでおやりになるかといっても無理だと思いますが、大臣どうでしょう。これは建設省とか通産省とかというなわ張りの問題でなくて、現在のあれに乗せるという考え方はありませんか。
  49. 保利茂

    保利国務大臣 田中さんは割賦販売法の大家だから、あまり申し上げるととっつかまりますからこれはなにしませんけれども、私が承知しておるところでは、割賦販売法の中に、宅地住宅等を対象とできないかということも相当議論があったように聞いております。ちょっとややこしいようでございますから、これはもう単独立法で、とにかく非常に大事な問題でございますし、これはこれとして単独立法をお願いいたしたいということで、次の国会にはぜひ出さしていただきたい。そうして御審議をわずらわして、御審議を通じてひとついい立法を得たい、こう考えております。
  50. 田中武夫

    ○田中(武)委員 住宅のことはわかりました。  次に、建設省のやることは、究極のところ土地に返ってくると思うのです。住宅政策にしてもそう、道路政策にしてもそう、あるいは都市建設にしてもそうだと思うのです。ところが、今日ほど地価が暴騰を続けている時期はなかったと思う。ところが、政府は地価対策、あるいは宅地対策、土地対策、こういうものに対していままであまりきめ手的な施策を持たなかったと思うのです。これに対して、もちろん土地何とか懇談会というようなものがありまして、その答申も出ているようですが、どういうような基本方針を持っておられるかということなんです。  それには、憲法二十九条の規定を見た場合、まず財産権の不可侵ということを一項にうたっておる。そして二項には、公共の福祉のためには制限をするいわゆる公益優先の思想をうたっておる。そして第三項では、受益者の負担といいますか、正当なる補償、こう三つほどうたってある。ところが憲法十二条では、「公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」すなわち土地所有者は、権利者とともにこれを公共の福祉のために利用する義務があるとぼくは思うのです。そういうのをにらみ合わせて、今後どのような立場に立って土地対策を進めていこうと考えておられるのか、お伺いいたします。
  51. 保利茂

    保利国務大臣 田中さんはこの法律の大家ですから……。  私は特に現況からかんがみまして、都市並びに都市周辺の土地というものに対して、これは仰せのとおりですよ、やはり公共の福祉というものが非常に優先されなければならぬ。しかし財産権を侵すというわけにはいかない。これはもちろん尊重されなければならない。その財産権は公共の福祉のために利用されなければならない。公共の福祉、公益優先ということを少なくとも都市並びに都市周辺地区においては、土地所有者の方々はそういう認識を強く持っていただかなければ、今日の土地問題というものは解決の方向に踏み込むことすらできないということをおそれておるものでございます。幸いに自民党はじめ社会党、民社党、公明党、それぞれ土地並びに都市政策等に関しまして、先ごろの参議院選挙の前後にそれぞれの党派からも提案を発表されておるわけで、私どもはとにかく土地問題、都市問題というものは一党一派の力で、考え方でやれるものじゃない、やはり国民合意の上に立って解決に向かっていかなければならぬものだという基本的な考えを持っておるわけであります。したがいまして、謙虚に各党の主張を検討いたしまして、そこに共通点をたくさん見出せるわけでございますし、そういう共通点をまとめて——さてそれじゃこれはあなたのほうからも出ておるじゃないかといってやってみても、いよいよ一つにまとめるあるいは立法手段等を講ずるということはそう簡単にいくものでないということもよく承知いたしておりますけれども、しかしそれにしてもそういう公約数を見て、そうしていわゆる公共優先の立場から、ひとつ具体的な解決への方策を講じてまいりたい、そういう基本的な態度を私はとっておるわけであります。あるいは土地の公的保有を拡大してまいるとか、あるいは土地の価格公示制度等を取り入れる、そういうふうに二、三あるようでございますから、そういうものから——とにかく議論ばかりしておってもしようがないときでございますから、やれるものからひとつやっていきたい。何といってもそういうふうなときでございますから、これが投機の対象になってどんどん騰貴していくというようなことは何とか抑制していかなければならぬ。そういうことについても、今回の税調の答申は私は満足なものではないと思いますけれども、とにかく出ておるものだけでもぜひ御審議を経てまとめていきたい、こういうふうな考えを持っておるわけであります。
  52. 田中武夫

    ○田中(武)委員 土地の所有権に対する公益の立場からの規制は、たとえば土地収用法等がございます。しかし私はこういう時代にはもっと規制し、言うならば、いま言いました憲法十二条による公のために利用する義務があるのだ。そういう点から都市計画法の五十六条では土地の買い取り権というのがあります。今度それを改正して、まだ実施せられていないようですが、近く実施されることになった五十七条では、先買い権というものがあるわけですね。そういう問題をもっと進めていくべきじゃないかということが一つ。それと同時に、私は土地の値上がりだけを待って、それを利用せずにほっておくことは一つの権利乱用だと思うのです。したが一いまして、前から議論になっておりますが、空閑地税といいますか、そういうものを取ったらいいじゃないか。少なくとも土地所有者は、公のためにこれを提供する義務があるのだ、こういうような考え方を徹底さしていく必要があると思うのですが、そういう点はいかがですか。その空閑地税等も含めて……。
  53. 保利茂

    保利国務大臣 税調の審議の段階で、建設省の所見としましても、この際やはり空閑地税等は大胆に取り上げてもらうべきじゃないかという強い主張をいたし、また税調内部におきましても、委員の間におきましても踏み込むべきだという意見も相当あったわけでございます。しかし都市計画法で期待せられる利用計画だけでなしに、もう少しきめのこまかい、それを実施し得るような利用計画を持つべきではないかという考えが大体大ぜいの方になにされて、税調答申もそういうふうな形であらわれて、空閑地税それ自体を否定はしない。それはけっこうだ。けっこうだが、それがもっと適用しやすいようなくふうをはかるべきであるというような意見でございます。それに即応して、私のほうでもさらに検討いたしております。
  54. 田中武夫

    ○田中(武)委員 税調の中でも、土地に対する課税について減税論と増税論とあることも承知いたしております。しかし、こまかいことはあす局長さんたちに伺うことにいたします。  そこでもう一つ、先ほど大臣も都市政策のことについて自民党、社会党、各党が発表しておる、こういうことでございましたが、昭和六十年になると人口の八〇%が都市に集中するであろう、こういわれておるわけなんですね。そこで、このままでほうっておくならば、過密化はますます増大すると思うのです。政府の大方針として、都市集中なのか、地方分散なのか、基本的な考え方はどっちなんです。都市集中なのか、地方分散なのか。
  55. 保利茂

    保利国務大臣 単刀直入にぼそっと答えるといいかもしれませんが、都心に集中するというと語弊がありますが、都心になくちゃ機能が果たせないという機関、施設は都市に向かっている。これが非常に多いということは否定できないと思いますが、しかし政府の施策としては、都市部になくても十分機能を果たし得る機関、官民を通じて、そういう施設、機関は、やはりこれは分散すべきものである、そういう考えであります。
  56. 田中武夫

    ○田中(武)委員 勝澤委員国道一号線を取り上げましたが、私は二号線を取り上げます。  国道二号線の明石−姫路間はものすごい停滞地区なんです。ことに加古川地区は、私たちもそこを通っているのですが、ほんとうに困るわけなんです。そこでこれを緩和するために、三十九年に着工し、そして四十四年三月に開通の予定国道二号線播磨副線、すなわちバイパスが工事が進められておる。大体一部では完成しているわけです。あれを少し手直しというか、どこか国道へ出てくるところさえ直せば使えるんじゃないか、全道路のでき上がりを待たずに、一部的に使って緩和できる方法があるんじゃないか、そういうふうに思うのですが、そういうことについて検討せられることはありますか。播磨副線はもうできておるのです。ただ出口のところががたがたして、そこだけが残っておるわけですね。だから、途中から迂回するということはできると思うのですが、その点いかがですか。
  57. 保利茂

    保利国務大臣 御指摘のバイパス、たまたま私も加古川の二号線の状態を見まして、これはひどいなと思ったのですよ。一方においては相当進んでバイパスができておる。あそこの、いまの二号線の沿線の住民の方々がほんとうに困っておられる状態がよくわかります。それで道路局長に、何とか早くならぬかということで、すぐ話してみて、やっておりますから、道路局長から答弁してもらいます。
  58. 蓑輪健二郎

    蓑輪説明員 ただいまのお話の明石姫路間でございます。いま、公共道路として加古川のバイパスを数年前から始めております。ただ、一番西の端で用地が非常に難航いたしまして、その付近がまだできていない状況です。ただ、あの道路は、御承知のように四車線の車道に側道がついております。なるべく早くその側道を舗装して、そこだけでも利用できないかということで、いまいろいろ検討しております。ただ、現在の二号線との連絡になりますと、やはり鉄道は平面交差しなければならぬという問題がございます。その辺でちょっと問題があろうかと思いますが、なるべく早く側道を使えるようにしたいというように計画しております。  また神戸−姫路間につきましては、道路公団が、現在地建でやっております加古川バイパスまで明石のバイパスということで、万博までには開通したいということで鋭意やっております。それができますと、神戸の阪神高速からずっと加古川までバイパスがつながるわけでございます。  また問題は、さらに加古川から姫路のバイパスのほうが問題になろうかと思いますが、姫路バイパスについてもことしから着工しております。地元から用地の先行の資金を相当出していただきまして事業を進めるように考えております。
  59. 田中武夫

    ○田中(武)委員 先輩に敬意を表してきちっと十二時に終えたいと思います。もう一問だけです。  先ほど地価の問題について申し上げました。今度は、自分が家を持つとしても、自分で土地を取得する場合、これは地価の問題になる。あるいは人の土地を借りる場合、方法は二つある。一つは地上権の設定と、一つは賃借だと思います。そこで、宅地の賃借り料といいますか、宅地料、これについてはいま地代家賃統制令がやはり生きているのですか。使っているのですか。借地借家法でやっているのですか。そういう土地の借り賃、借地料についてどのような方針をお持ちなんですか。これは地代家賃統制令で押えているのでしょう。
  60. 大津留温

    ○大津留説明員 地代家賃統制令というのがまだ現在ございまして、そういう借地の全部ではございません、昭和二十五年以前に建てられた三十坪以下の小さい住宅の敷地につきましては統制令は生きておりますが、それ以外のもの、その後建てられた住宅とかあるいは商店等については、統制令がかかっておりません。
  61. 田中武夫

    ○田中(武)委員 統制令は、戦時中のいわゆる低物価政策で押えろという点から出たわけなんです。それから、たしか戦後一ぺん改正したですね。それはあの当時のインフレというか、ああいう混乱のときだった。そこで、三十坪以下ではそうだが、三十坪以上は規制はしていない。そうなりますと、基本的に借地料というものがどうあるべきかということについて考えておられますか。どのような方向で借地料を指導していくか、これは大臣、どうでしょうか。  これで終わります。
  62. 川島博

    ○川島説明員 土地価格が高騰いたしておりますので、これに対する対策といたしまして、地価の安定、鎮静をはかる措置をいろいろ検討しているわけでありますが、私どもは直ちに統制額で、マル公で価格を押えるということは、現段階で必ずしも適当だとは思っておりません。ただ、いかにも土地の取引が呼び値とかつけ値とか、実勢を離れた取引の事例が散見されるのも事実でございます。したがいまして、当面私どもが実施をいたしたいと考えておりますのは、不動産鑑定士を使いまして、客観的、科学的な土地の価格を調査をさせまして、これを毎年公示をする。これは直ちに地価の鎮静に役立つとも思いませんけれども、やはりそういう適正な価格を公示することによって取引慣行がだんだん表示価格にさや寄せされる、ひいてはこれが地価の安定にも適する、こういう方向で、来年度はとりあえず地価公示制度の準備にとりかかりたいというふうに考えておるわけであります。
  63. 田中武夫

    ○田中(武)委員 これで私は終わります。ただし、あすこちらから問題を提起して議論を展開します。きょうは大臣だけにしぼって終わりたいと思います。ありがとうございました。
  64. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 関連いたしまして住宅局長お尋ねいたしますけれども、いま田中委員から質問がありました三十坪以下は統制がいまだ解除になっていない。そういうわけで、建物を三十坪の敷地以内に建てて、それも総二階で、当時はそうやかましく坪数制限というものはなかったということで、相当広い家が建てられ、総二階建てで建てられておる。それで家賃を上げることはできない。そのままの家賃であり、土地代もそのままである。  一例をあげますると、そこに住んでいる人は、カラーテレビを買って自家用を持って、そして通勤しているんだ。それにもかかわらず、私のいただく家賃、土地代というものは全く泣くにも泣けないような賃金で、いま全国でそれがために泣いておる人はどれだけあるかわかりませんという書面が私のうちへ何通も来ておって、これは何とかしてもらわなければ、一体私どもはどうするんだ。少し悪ければあすこを直せ、ここを直せといって文句を言われる。そして大工さんが一日入って少し直すと数千円の金を持っていく。ベニヤ板一枚買ってもすぐ数千円の金を取られる。これで一体ほんとうの政治と言えるでしょうか、という投書が来ておりますが、一体どう考えておられるか、この点お尋ねいたしたい。
  65. 大津留温

    ○大津留説明員 統制令の統制の現状は、先生指摘のとおり、統制額は現在の経済状態にマッチせずに非常にずれておるということはそのとおりでございます。私どもも、この制度がいまのような形でいつまでも継続してしかるべきとは実は考えていないわけでございます。過去におきましても、この扱いにつきましていろいろ政府提案で、この法律の使命は終わったんじゃなかろうかというので廃止の提案をしたこともございます。また議員提案で同様の法案が出されたこともあったわけでございますけれども、いずれも成立せずに今日に至っておるわけでございます。私どもとしましては、当面この額をやはり実態に合うような形に改定するのが必要じゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。その後にやはりだんだん住宅事情が安定してまいりますとともに、こういう戦時中の制度でございますから、適当な時期にやめるのが適当じゃなかろうかというふうに考えております。
  66. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いまのお話を聞きますと、適当な価格に改めるべき考え方を持っておる。またある時期においては廃止していきたいと思っておるというお考えですから、これ以上私は聞こうとは思いませんが、実態をよく把握してもらって、そしてこれは、やはりそういう人たちはほんとうに困っているのですよ。税金はどんどん上がってくる、家賃は上がらない、そういうような板ばさみになって、そうして戦時中に建てたものであるから、いたんでくれば直せ直せという非常に強い権利を主張せられる。こういう実態はもっと私は早くやってあげてもらいたかったけれども、いまお気づきになればけっこうですから、至急そういうことについての考え方をやっていただくようにお願いいたしたいと思います。  さらに私は政務次官にお尋ねいたしますが、贈収賄した建設業者がおる場合に、これが処罰を受ける、あるいはそういうようなことで検挙せられ、そして取り調べを受けて一応検察庁のほうへ書類が回って、そうして双方ともに起訴せられたということが明らかになってきたというような場合、あるいは不正工事が行なわれた、不正工事が行なわれたことが投書やあるいは会計検査院によってはっきりしてきたというようなときには、その贈賄側に対しては当然またこれは法律上の処分があることと思いますが、業者に対しての処分はどういうふうにしていらっしゃるか、その点ひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  67. 川島博

    ○川島説明員 贈収賄事件を起こしました建設業者に関しましては、これは発注者が次の機会にその業者をどう扱うかという問題でございますが、これは基本的にはそれぞれ発注者において処理をいたす問題でございますが、一般的には贈収賄事件を起こしました業者に対しては、その軽重によりまして一定期間指名停止の処分を行なうのが実情のようでございます。建設省におきましても、職員に対する贈収賄事件に関しまして、昭和四十二年に一件、本年度にも二件、指名停止の処分を行なっております。なお建設業者の監督官庁としての私どもといたしましては、贈収賄事件等を含めまして、業務に関し法令に違反して罰金以上の刑に処せられて建設業者として不適当であると認められるときは、建設業法に基づく監督処分をいたすことにいたしておる次第でございます。
  68. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 建設業法の二十八条の一項の三号に入札禁止規定についてというのがあります。これは「建設業者(建設業者が法人であるときは、その役員)又はその営業所を代表する者がその業務に関し法令に違反して罰金以上の刑に処せられ、又は建設工事に関する他の法令に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき。」建設大臣または都道府県知事は業者に営業の停止を命ずることができる、こういうことでありまするが、さてそこでいま私が申し上げたように、事件を起こした者に対してはどういうように審議をして、そうして入札指名に参加することのでき得ない業務停止をせられるのか、こういう点について私はお尋ねしているんです。そこでわかりやすく言うと、土木で贈収賄事件を犯した者あるいは建築で贈収を犯した者、こういうようなときにはその会社自体全体が指名権を停止せられるのか、あるいは土木ならば土木だけが停止せられるのか、建築で犯した事件のときは建築だけがとめられるのか、どういうふうに指導していらっしゃるのかということを私はお尋ねするんです。
  69. 志村清一

    ○志村説明員 各地建におきましては、先ほど計画局長から御説明申し上げましたように、本省からの通達に基づきまして、たとえば贈収賄が行なわれたとき贈収賄をした方が役員であった場合、あるいは代表者であった場合、その他であった場合というふうないろいろな区分がございます。それぞれに応じまして、ある程度の指名停止の基準を設けております。それらにつきましては先生おっしゃるように一体どのくらいの期間指名停止をするのかあるいはどういう範囲で指名停止にするかというふうなことにつきましてはケース・バイ・ケースのものですから、地方基準局におきまして大体通常行なわれておりますのは局長、部長あるいは主要なる事務所長等が集まりまして御相談申し上げてきめていくということにいたしております。
  70. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ケース・バイ・ケースでいくというと、ある県では非常に大きな贈収賄をやったけれども比較的軽くて半年かそこいらで指名停止解除になった。ある県では非常に重くて一年間指名停止を食った。そうして支店、出張所でやった場合においては支店、出張所だけが簡単にそういうような処分を受けただけであって、本社のほうには何らの影響もないというようなあり方があったとすれば、これは不正工事においてもあるいは不正工事を行なわなくても手心を加えてもらった、あるいは目をつぶっていたというような事態がますますふえていくばかりだと思うのです。私はこれはやはり一本化した指導方針を持つべきだと思うが、どういうお考えを持っていらっしゃいますか、官房長に聞きたい。
  71. 志村清一

    ○志村説明員 私ども指名停止につきましてのある程度の内規的なものは建設省所管の地方建設局の直轄の事業につきましては一応持っておりますが、都道府県等の指名停止につきましては、私ども明確な基準というものは設定いたしておりません。先生の御指摘もございましたので今後検討させていただきたいと思います。
  72. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私はそれを言うのだ。建設省においては国の直轄事業においての基準というものは持っているけれども、地方はその県県ごとにまかしてある。しかしやはり指導するならばそういう不正工事は、本省としては大体こういうふうな考え方を持っておるからこれに準じてやれというような指導をしていくことがほんとうだと思うがどうですか。そういうように地方審議会があって、一つ一つ取り上げてケース・バイ・ケースで決定していく上においても、これを基準にしてくれというようないき方が正しいと思うのですよ。  それからいま言ったうち答弁がないけれども、たとえば大きな店、出張所でそういうことをやって出張所長が引っぱられたというような場合においては、それは一体店全体に影響を及ぼすのか、その出張所管内だけにそれをとどめるのか、その点どういうふうに国の場合はお考えになっておりますか。
  73. 志村清一

    ○志村説明員 具体の問題でございますと、いろいろその事態に応じまして検討いたしておるわけでございますが、従来の実例等もございますので、それらを彼我検討いたしまして定めておるような状況でございます。
  74. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 特に私はそういう点についてもっと指導育成というか、業者がそういうことをすればもう再び仕事をもらうこともできなければ、立ち上がることもでき得ないというくらいの観念を持って仕事をしてもらわないと困ると思うのです。愛知県なんかにおいてはそういう事件があったでしょう。国から補助金をもらって、堤防がこわれた。一体どういう工事をやったんだといって調べてみたら手抜き工事だといって大きな問題として取り上げられたことは御存じでしょう。建設省はその後その業者に対してどのような処罰をせられたかは私は知りませんが、そういう問題をもっとしっかりやっていただかなければ、請負業者、建設業者というものはやはり手ぬるい処罰ならばいつまでもあとを断たないと私は思う。  それともう一つは、先ほど言ったように零細企業者を泣かせるような元請業者に対する指名というものは、やはりその県にまかすべきものではなくして、建設省自体が指導していく。建設業法に照してびしびしやらせるというような指導をすることがほんとうだと思うが、官房長どういうようなお考えを持っていらっしゃるか。
  75. 仮谷忠男

    ○仮谷説明員 官房長という御指名ですけれども、問題が建設行政の姿勢の問題でありますから、私からお答えをいたしますが、不正の工事については厳正なるきびしい態度で臨むという基本方針はあくまでも堅持しなければならぬ。これは大臣の最高の方針でありまして、私どももそういう方針で臨むべきだということはおっしゃるとおりであります。特に贈収賄等の問題につきましては、その問題の大小にかかわらずあるいはそれが出先であろうが本社であろうが、そういうことによって区別する性質のものではございません。その会社に対しては厳正な態度で適当な処置をしなければならぬということは当然であります。ただその贈収賄等を除いた工事上の法令違反の問題がいろいろありますが、こういう問題については官房長が言いましたようにケース・バイ・ケースで問題を考えていかなければならぬ場合がある。現実にそういう方法をとっておるものがあることは間違いありません。それから本省直轄の場合とそれから地方の行政の場合との問題でありますけれども、これは本省からどこまでこれを指示していくことがいいかということには、具体的な問題がいろいろあろうかと思いますが、そういう精神で、あくまでも中央も地方も同一の考え方に基づいて進まなければならぬというその精神は当然でございまして、今後そういった面については十分に連絡をいたしてまいりたいと思っております。
  76. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 どうもありがとうございました。姿勢をくずさない態度でひとつ次官臨んでいただきたい。お願いをいたします。  それじゃ次に建設省住宅局の住宅金融公庫に対してお尋ねをいたしたいと思います。  私は、昨年の十二月十九日の第五十七回の国会、決算委員会において住宅問題についてお尋ねをいたしましたが、御答弁を願いました諸点について、その後の対策がどのように具体化されたか。新しい問題も含めましてお尋ねをいたしたいと思います。  住宅建設の五ヵ年計画について、昭和四十一年七月に決定された住宅建設の五ヵ年計画は、民間の自己資金による住宅建設も含めて六百七十万戸と聞いておりますが、四十一年度は実績が百八万八千戸、四十二年度は百二十九万九千戸といずれも目標額に達しない現状ですが、今後の見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。
  77. 大津留温

    ○大津留説明員 住宅建設五ヵ年計画全体の進捗の状況のようでございますから、私からお答えを申し上げます。  四十一年度の実績は先生おっしゃったとおりの状況でございますが、四十二年度それから本年度計画あるいは達成の見込みを含めまして、第三年度の終わりにおきましては全体で五五・二%の達成率になる見込みでございます。この中で公的資金による住宅は五〇%をちょっとこした程度でございまして、民間自力のほうは五八・八%程度でございます。今日までの状況から見まして、公的資金による住宅を残る二ヵ年で一〇〇%達成するには相当の努力を要するものと覚悟しております。したがいまして、来年度公営住宅その他それぞれ一〇〇%達成を目ざして、四十四年度中には七二・五%まで公的住宅を持っていきたい。それで最終年度の四十五年度で一〇〇%まで達成したい、こういうふうに計画いたしております。
  78. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 住宅局長からの御答弁を聞きますと、ちょっと困難であるけれども、六百七十万戸の五ヵ年計画は大体いけるのではないかという見通しのようでありますが、これは机上プランでなくて、実質的にいけるという自信があるのですか。ただ軽い答弁でその場のがれの答弁でなくて、ほんとうに五ヵ年計画で六百七十万戸というものがいけるという確信が持てるのですか。これは民間とあなたのほうとの双方で六百七十万戸というものは五ヵ年計画でいこうという考え方だろうと思うが、私はなかなか困難のように思っておりますけれども、もう一度お尋ねをいたしておきたいと思います。
  79. 大津留温

    ○大津留説明員 御指摘のように、先ほども御答弁いたしましたように、全体では十分達成の見込みがございますが、公的資金の受け持つ分野につきましては来年度、再来年度、これは相当ふんばってやらないとそう簡単には一〇〇%はまいらないというふうに覚悟いたしております。年々一〇%程度の伸びを示しておりますので、三年度が終わるところで五二%程度までいっておれば、その同じ伸び率でいって一〇〇%いくわけでございますが、先ほど申しましたように、五〇%ちょっとこえた程度でございますので、従来の伸びよりも一そうの伸びを示さないと一〇〇%いかない、こういう状況でございますが、私どもも大いにがんばりまして、ぜひともこれは一〇〇%やりたい、またそうできないことではないというふうに確信しております。
  80. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そういう決心でやってください。なかなか困難なことだと思いますけれども、これ以上いま争ってみたって答えは出ないと思うのですけれども、あと何年かあるのですから、全力をあげてやっていただくことにいたします。  それから住宅資金の貸し付けについてお尋ねいたしたいと思いますが、資金の貸し付けについては、四十二年度までは抽せんの方法をとって貸し付けをしてきたのですが、四十三年度貸し付けの内規を改定して、申し込み順に貸し付けを行なうようになったと聞いております。この結果、抽せんのころと異なり、申し込み者が順次貸し付けを受けられると考えておりましたが、聞いてみると、年度末に予算資金がなくなると打ち切って、貸し付けを受けられなかった者は次の年度へあらためて申し込みをまたしなければならぬというような実情のようですね。抽せん制度を廃止して申し込み順序に貸し付けを行なっていくとするならば、ここまできてそのあとの人は次年度へ優先的に順序をつけてやるならいいが、そこでワクを打ち切って、新規にまた申し込めというようなあり方はどうかと思うけれども、これは何が原因でそういうような方法を、もしおとりになっておるとすれば、せられておるか、この点をひとつお尋ねしたいと思います。
  81. 浅村廉

    ○浅村説明員 お答え申し上げます。  住宅金融公庫におきましては、ただいまお話がございましたように、本年度から従来の個人住宅建設資金の申し込みの受付方法を改めまして、いままではもっぱら抽せんによっておりましたものを大部分申し込み順で受け付けるという制度に切りかえたわけでございます。実はそのねらいといたしまするところは、ただ申し込んでおけばいつか当たるだろうというようなことでお申し込みをいただきましても、数ばかり多くなりまして、ほんとうに住宅を必要とされる方々にかえって薄くなるというおそれもございますので、その辺を勘案いたしまして、土地の手当てがついておるということをおっしゃっていらっしゃる方に今回はお貸しをしようじゃないか、しかもこれをただ抽せんという簡単な方法で、運のいい人に当たるというようなことでは済まないような気がいたしますので、申し込み順で受け付けるということに切りかえてみようということで、実は始めたわけでございます。始めたのでございますが、何しろ最初でございまして、はたしてどれだけ申し込みがあるものか、従来の申し込みと比べましてどのくらいふえるのか、どのくらい減るのか、どんなところにおさまるかということもかいもく見当がつかないままに一応踏み出したわけでございます。しかし、申し込み順で受け付けますと言った以上、やはりそこに何らか措置をしなければなりませんので、予算的にも非常に苦心をいたしまして、できる限りそのワクのほうの充足もはかりまして、まず六月に第一回をやったわけでございます。やりましたら、いままでは大体十八万戸か二十万戸ぐらいの申し込みがそのとき参りましたものが約十万戸ぐらいきたわけでございます。比較いたしますと約八万戸ぐらい減っておる、ということは、やはり一応申し込んでおこうじゃないかというような方が、今度はお出しにならなかったのじゃないかと思いますので、数字はさようなことになりました。そこで私どもは予算のワクとにらみ合わせまして措置いたしましたが、全部そのままのみ込むというわけでは、ワクのほうもございますものですから、できないわけでございます。そこでまた八月にもう一度残りをやりまして、それまでに前回不幸にしてどうしてもワクに入らないという方はぜひもう一度出していただきたいというようなことも私どもの出先を通じましていろいろとお願いしたわけでございまして、非常に多くの方々がまた二度お出しになっておられるようでございます。そこで二度目はどうかと申しますと、やはりこれも前年に比べまして非常に減っておりまして、大体全体で前年は二十七、八万ございましたものが、今回は十八万戸ぐらいにとまっております。その間いろいろとまた辞退される者も出てまいりますので、実際とまっておるものは十二、三万ではないかと思っております。いずれもこれは予算との関係がございまして、完全に一〇〇%充足というわけには今年度はまいりませんでした。そこで御指摘のようにいろいろ問題点を私どもも感じておりますので、来年度はもう少しこの制度の運用を考えましてじょうずにやるように持っていきたいということで、ただいまいろいろと検討いたしておるわけであります。
  82. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ただいまの説明でけっこうだと思うのです。そういうようにひとつ研究してください。運営の妙味を発揮してもらいたいと思うのです。だいぶ不平があるのです。あなたのほうから言わせれば、やはり申し込んでおけばうまくいけば当たるのかもしれぬという考え方は、いままでの抽せんではあったと思うのです。ですから抽せんには当たったけれども、実質的には土地がないという人も当たっておる。それをどこかへ当てはめようというので改正せられて、申し込み順によってこれをきめていくという制度というものは、私はけっこうなことだと思うのです。ところがこれはなかなか早くやってもらえないのですから、できるだけ敏速にやってもらって、土地を持っており、そしてほんとうに建てる意欲のある人についてはどんどんひとつ採用してやってもらうということ、それからそれが引き続いてできるならば、そういう人たちに対しては年度で金がなくなってきたら、明年度へ繰り越していってもらうようなことが妙味となるならば、そういうようにしてもらいたいということでこういうことを私は申し上げるのでありますが、いまの御答弁でけっこうだと思います。  そこで貸し付けの弁済金の遅延について、四十一年度検査報告書を見ますと、弁済期限六ヵ月以上を経過した元金延滞金が六億千七百七十四万円あると指摘されておりますが、この内訳と延滞を生じた理由並びに不良貸し付けの有無について、あるのかないのか、ひとつこの点をお尋ねいたしたいと思うのです。これは住宅金融公庫のほうだと思います。
  83. 浅村廉

    ○浅村説明員 実は数字の非常にこまかい点までちょっとここにまだ私持っておりませんが、私どもたくさんの貸し付けをいたしておりますので、そのような延滞を生じたわけでございます。延滞をいたしましても私どもはできる限り強制執行のようなことをいたしませんで、お話し合いで取り立てるという方法でやってまいっておるわけでございまして、まずどういうわけで延滞をされるかと申しますと、これはもう普通のことでございまして、個人の方々にお貸しをいたします場合には、事業が不振であるとか給料が遅配されてどうにもならぬとか、家族の方が長い病気でどうしても融通がつかないとか、いろいろな事情があるようでございます。まあ具体の場合はいろいろございますが、私どもは延滞ということに対しましてはできるだけお話し合いをいたしまして、何とかいけるものは普通の方法でちょうだいをいたす、どうしてもいけないという悪質なものはさっそく一時償還をお願いするとか全額償還をお願いするとかいろいろなことをやっておりますが、できる限り無理をしないで私どもの債権を回収するという考え方でやっておるわけでございます。
  84. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いまの御答弁で私はまだこまかいことをいろいろ聞きたいと思いますけれども、もう時間的にも十二時がだいぶ過ぎてきましたので、それでけっこうだと思うのですが、あまり無理をしないように、指摘せられたからといって、会社がつぶれたとかあるいは病人が出たという正当な理由によってどうしても支払いができ得ない人に対しては、あまり追及しないように寛大な考え方でその支払う時期を待ってやるようなお考えをしてやっていただきたいとお願いするものであります。  それから融資基準の改定についてちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、住宅の標準建設単価や土地の標準価格の設定が年々上がってはおりますが、物価の上昇と見合う程度の改定であって、実質的な建築費や土地の値段とだいぶまだ格差が開いておると思うのです。現在の住宅需要に応ずるために公庫はどのような方針を立てられているかお尋ねをいたしたいと思います。  もう一つは、宅地造成資金について、貸し付け利率の年七分五厘、償還期限五年というのは利用者にとっては魅力がないということで、この改定についても、前回私お願いをしたのですが、今年度も据え置かれたようであります。来年度はぜひ実現をしていただきたいと思いますが、計画内容をひとつ御説明願いたい。  次に、土地の標準価格の改定について、来年度予算要求額を見ますと、いまの価格の四倍程度の値上げが要求されておりますが、一ぺんに四倍なんというような価格を要求せられたという理由は、いままでこう押えられてきたからそういうようにせられたのか、幾らなんでもどういうわけでこんな急激に四倍にもせられたかということについて、ちょっと私は疑問を抱くのですが、その点をひとつ御答弁願いたい。
  85. 浅村廉

    ○浅村説明員 私どもの扱っております融資の基礎になります単価というものがいろいろございますが、いま御指摘のように、時代に合わない非常に安いものを単価にして計算しておるじゃないかということでございます。これはまことにごもっともでございまして、私どもも常々そのような点についてもう少し何とかしなければならぬと考えながらやっておるわけでございますが、長い間の歴史がございまして、そういきなり一挙にというわけにもまいりません。実は、先生御承知のように、二十五年にできましたときからだんだんに今日まで参っておりますが、その単価を年々物価の値上がりくらいのところは予算折衝の段階におきまして上げさしてもらってきておるわけであります。しかし住宅の質もだいぶ変わってまいりまして、二十五年ごろの住宅の要求と、それから現在の住宅に対する皆さんのお考え方とはだいぶ変わっておりますので、そういう規模の問題なども大いに関係してまいるわけでございます。そこで、年々建設費の標準となるような額は上がってはおりますけれども、とてもこれでも実際は間に合わないということで、来年度予算要求におきましては、私どもは少し大幅なアップを要求いたしております。しかし、これは全体の予算のワクとの関係もございますので、一挙に私どもが考えておるだけにまいるかどうか、まだいまのところわかりませんけれども、少なくとも現在四十三年度において私どもが用いておりますこの単価を大幅にひとつ来年は上げたいという方向で努力をいたしておるわけでございます。  それから二番目の宅地造成資金の融資につきましては、ただいまお話がございましたように、利率の点、それから償還期限の点——償還期限の点につきまして来年度ひとつそのように持っていきたい。今年度はできませんでしたが、来年度はそのような方向で少し制度を改善したいと思って、ただいま関係方面といろいろ打ち合わせをやっております。おっしゃるとおりそういう点で一歩一歩前進をしてまいるのが金融公庫の責任だと思いますので、大いに私どもは努力をいたしておるわけでございます。  それから最後のお尋ねでございますが、まことにごもっともでございまして、非常に大きな予算要求をいたして私ども恐縮をいたしておるわけでございます。これはやはりやります立場の者からいたしますと、あれもこれもお願いいたしたいということで、結局積算いたしますと、そのようになってしまうのでございます。予算のことはいろいろと今後ございましょうが、要は、私どもはもう少し融資の額を増したいということの一語に尽きるのでございまして、そのような方向で今後努力をいたすつもりでございます。
  86. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大蔵省、どなたかいらっしゃいますか。——じゃよくわかりました。それじゃ来年度はひとつ——七分何厘という利息を払って五ヵ年の融資というのはあまり魅力がないのです。だからこれもひとつ考えてもらう。だいぶ押えられ押えられてきた不満というのが——そうではないと思うけれども、ひとつ実情に合う単価を出してもらうように、そうしてその金はもらい放しでないのだから、ちゃんと返していく金ですから、年々返していくのですから、それを十分に考慮に入れてもらって、一時融資というような形になるのですから、ひとつ大蔵省との折衝を強くしてもらいたい。大蔵省に対して、いらっしゃったら、私はそういう点についての一応考え方を聞きたいと思ったが、大蔵省がいらっしゃいませんので、これで私の質問を打ち切ることにいたします。  どうもありがとうございました。
  87. 大石武一

    大石委員長 午後一時半まで休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ────◇─────     午後一時四十五分開議
  88. 大石武一

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。赤路友藏君。
  89. 赤路友藏

    赤路委員 住宅問題で、けさほど各委員のほうから住宅問題のポイントについてはすでに質問があって、御答弁をお聞きいたしましたが、二、三の点でお聞きしてみたいと思います。  四十一年度住宅対策費を見てみますと、四百七十七億二千四百万円、こういうふうになっております。さかのぼって過去三十七年二百二十億五千万、三十八年が二百三十六億七千三百万、三十九年が二百八十九億六千七百万、それから四十年が三百七十七億七千五百万、こういうふうになっておるわけです。五ヵ年の間にこの金額は二倍以上に伸びを示しておる、こういうことであります。ところが、建設された戸数のほうを見てみますと、四十一年が七万二千六百六十六戸、それから三十七年を見てみますと、五万四千百二十七戸、こういうふうになっておるわけです。そうしますと、これの伸びは大体三五%程度の増加にしかすぎない、こういうことになるわけです。なぜ、金額が二倍以上にもなってこの建設の伸びは三五%しか伸びていないのか、この原因は一体どこにあるのか、それをちょっとお聞きしたい。
  90. 大津留温

    ○大津留説明員 一つには住宅の質の改善をはかりまして、規模を少しずつふやしてまいりました。また構造の面でいいましても中層、耐火構造のもの、あるいは簡易耐火の二階建てのものをふやしてまいりましたので、そういう構造面で金のかかるものをふやしたという関係がございます。それから建築費がその間に年々上がってまいりましたので、工事費の増高、また用地費が同じように年々上がってまいりましたので用地費の増高、そういうような四つの要素がからみ合って、資金面では約二倍、それに対しまして戸数の面からいいますと三五%程度の伸びにとどまったということに相なろうと思います。
  91. 赤路友藏

    赤路委員 そこで、先ほど丹羽君の質問に対して、住宅建設五ヵ年計画の将来を見通して大体やるつもりだ、こうおっしゃっておるのですけれども、どうもこの伸びを見てみますと、そう簡単には行きそうに思わない。新しい五ヵ年計画、四十一年から四十五年まで、これの建設省所管住宅が百九十五五戸、これが計画になっております。それに対して四十一年の実績が二十九万八千、それから四十二年の実績が三十四万七千、こういうふうになるわけなんです。百九十五万戸のこの五ヵ年計画を平均的にならしますと年三十九万戸になりますから、二年では七十八万戸、まあこれは非常に算術的過ぎますが、一応その計画の面からいけば、七十八万戸できなければならぬ。それが二年間の実績が六十四万五千戸、十三万六千戸二ヵ年の間で建設計画よりも落ちておる、こういうことになる。伸びで見てみますと三三%の伸びになるわけです。一方民間関係の自立建設住宅、これを見てみますと五ヵ年計画で四百万戸、そうして四十一年が六十九万戸、四十二年が八十四万戸、だから二ヵ年の実績は百五十三万戸の実績になる。そうすると、計画計数、これも平均的に申しますと、二ヵ年間で八十万戸なんですが、約倍近いものが民間建設ではできておる。そうすると、何か建設省のほうで計画されておっても、言いわけと言ったら語弊があるかもしれませんが、先ほども田中君の発言にありましたが、民間建設におぶさってしまって、建設省のほうでは言いわけに予算を組んでやっているのだというような数字にしかならない。だから私は、午前中に丹羽君が質問したときに局長のほうから御説明がありましたけれども、一体ほんとうにいくのかどうか。それだけの予算がつけられるのかどうか、これはもう先ほど丹羽君にお答えは出ておるわけですけれども、一体五ヵ年計画のとおりにやっていき得るだけの予算措置ができるかどうか、この点は非常に政治的になりますので、ひとつ次官のほうからお答え願いたいと思います。
  92. 仮谷忠男

    ○仮谷説明員 おっしゃるような懸念のあることはごもっともだと思います。ただ、本年度は特に住宅五ヵ年計画の中間の年度でありますし、したがって本年度予算の獲得の場合も、建設省の中で特に住宅行政を最重点で交渉いたしてまいったわけであります。四十九万六千余りの確保が一応できて、今年はこれを実施いたす。これが一応終わりますと、大体計画の五〇%程度ができ上がるということになるわけです。あと五〇%の問題でありますから、四十四年、四十五年でよほどの努力をしなければならぬことはもとよりであります。来年度は六十万戸以上の計画を立ててすでに予算要求をいたしておるわけであります。これは内閣の最重点の問題でもありますし、建設省でも最重点の問題でありますから、ぜがひでも計画は確保して五ヵ年計画の実施に遺憾なきを期したいというのが私どもの考え方でございます。
  93. 赤路友藏

    赤路委員 大体わかります。ただ重ねて要望をしておきますが、住宅建設は当面の社会資本投資の一つの大きなポイントだと思うのです。それだけに真剣に取っ組んでいただきたい。いままでの数字から推しますと、いま次官がおっしゃるように、これは並みたいていのことではないと思う。だからよほどがんばってやっていただきませんとこれはできないのではないか、こういうふうに思います。  それじゃそれはひとつそういうふうにお願いして、もう一ぺん変わった角度からお尋ねをいたします。いまさら申すまでもありませんが、国民生活の中で居住水準といいますか、住宅建設が非常に立ちおくれておる、このことだけはけさがたの各議員の質問でもわかるわけなんですが、どうも都市へ人口が集中してくる、この都市へ集中する人口の増加率というものと、住宅建設計画というものとのテンポが合わないんじゃないか、こういう感じがするわけなんです。そこで変わった角度からお聞きしたいというのは、御承知のとおり経済企画庁のほうで国土総合開発計画が立てられておりますが、これは昭和六十年を押えて都市計画あるいは地域開発、こうしたものが出されておるわけなんです。そうすると、建設省のほうでこの昭和六十年の国土総合開発に対応して住宅計画というものが出ていなければならぬと思うわけです。それは一体どういうふうになっておるのか。
  94. 大津留温

    ○大津留説明員 国土建設の長期構想に合わせまして、住宅の供給というものを長期的に計画を持っておるわけでございますが、この昭和六十年までの間における世帯の増加、それの地域的な移動等を考慮いたしまして、昭和四十年から六十年までの二十年間に住宅建設戸数といたしましては二千七百万戸をもくろんでおるわけでございます。
  95. 赤路友藏

    赤路委員 その二千七百万戸は、それは建設省の所管住宅だけになるのか、それとも民間の自立建設住宅が入っておるのか。
  96. 大津留温

    ○大津留説明員 民間自力建設を含んでおります。二千七百万戸のうち公的資金による住宅が千八十万戸、民間自力による建設戸数が千六百二十万戸というふうに見ております。
  97. 赤路友藏

    赤路委員 この数字からいきますと、昭和六十年を押えて建設省所管、これはもちろん住宅金融公庫それから住宅公団、公営住宅等を入れてでありますが、千八十万戸、そして民間のほうが千六百二十万戸、比率からいきますと現在の比率よりもやや建設省関係は上昇する、こういうふうに思います。これでおそらく足るのだと思いますが、私のほうでちょっと数字を調べてみますと、四十年の人口が九千八百二十七万余り、六十年が一億二千万という、大体一億二千万を押えてそうして数字が出されてきておるようであります。世帯数は四十年と六十年とを比較いたしますと、六十年には千百四十三万二千世帯増加する、こういうことになっておるので、これに対応してのものだと思います。相当大きな金額にのぼると思うわけです。それから先ほど局長のほうからの御答弁にありましたように、最近はだんだん住宅の規模と申しますか内容が違ってきておるわけですね。二DKから三DKのほうに移っていく。最近の家屋の規模は大体一戸当たり六十平方メートル、これが一つの水準になっておるが、少なくとも国土総合開発計画の六十年を押えましたときの目標は九十平方メートル、もっとことばをかえて言いますと一人一室、こういうことが一つの目標になっておるわけなんです。それだけに従来のような予算の組み方と申しますか、そうした考え方ではとうてい追っつかないものになるだろう、こう思いますが、その点十分自信をもっておやりになれますか。あまりにも率直な、むき出しな聞き方でありますけれども……。
  98. 大津留温

    ○大津留説明員 この長期計画におきましては、いま先生おっしゃいましたように、昭和六十年の時点におきまして三人世帯で八十平方メートル、四人世帯で百平方メートル、平均して九十平方メートル程度を確保したい。そういう目標で、現在の五ヵ年計画におきましても、年々わずかずつでございますが、規模の拡大をはかってまいっております。来年度におきましては本年度に比べまして、賃貸住宅におきましては平均二平方メートル、持ち家につきましては四平方メートルの拡大をはかりたい、こういう計画であります。
  99. 赤路友藏

    赤路委員 これで住宅関係はやめておきますが、特に言いたかったことは、この新五ヵ年計画を見て率直に感じたことは、計画のとおりに進まないということ。けさ方からの御答弁では、非常にむずかしいだろうが、うんとひとつがんばってやっていく、これは単にここでおっしゃるだけでは意味がない。あるいは計画書に書いておるだけでは何にも意味がないわけなのであって、それをどうして実行してもらうかということにかかるわけであります。非常にしつこいようでございますけれども、佐藤さんが常に言う社会開発、人間尊重のこれは一つの柱のものだ、こう思いますので、ぜひその点は強力におやり願いたいと希望いたしまして住宅関係はこれで終わらしていただきます。  それでは治水関係で御質問申し上げます。  治水特別会計の中の補助率の項なんですが、この補助率の項の中に河川汚濁対策というのがあるわけです。内地は四分の一、三分の一、こういう補助率になっておるのですが、この説明書の中でも、あるいは特別会計決算参照表の中でも、歳入歳出説明でも全然この内容がわからない。この説明書の実績説明の「河川」の中に河川汚濁対策事業という文字があるわけですが、予算をどれだけつけたのか、どこで一体何をされたのか、こういう面ではほとんどない。四十一年の一般会計予算を見てみると、これには水路水質汚濁防止の調査に必要な経費というので三百六十万五千円出ておるわけです。だから一般会計予算には一応これは出されておるわけなんですが、決算説明とこれとを見てみますと、最近問題になる公害の規模といいますか河川の汚濁対策、しかもこの一般会計予算で出しておりますのは水質汚濁の防止ということになっておる。一体三百六十万五千円で何をおやりになったのか、その説明をお聞きしたい。
  100. 坂野重信

    ○坂野説明員 まことに申しわけございませんけれども、いまちょっと手元に資料を持ち合わせませんので、あとで先生のところに提出させていただきたいと思います。御了承願います。
  101. 赤路友藏

    赤路委員 それではどなたかおいでになりますか。——それではいいです。     〔委員長退席、鍛冶委員長代理着席〕  この説明書の三四二ページにこういうのがあるのです。「河川汚濁対策事業(継続事業においては東京、大阪、名古屋地区、新規事業においては福岡地区)を施行した。」覚えておられますか。——答えがなければまたあとでいただきますが、ただ知っておいていただきたいことは、これは東京、大阪、名古屋、福岡でしょう。三百六十万五千円で一体何をやったのかということですね。これはちょっと皮肉なことを言うようですが、あんまり腹を立てぬで聞いておいてほしい。一般会計予算書を見てみますと、水路水質汚濁防止の調査に必要な経費三百六十万五千円、こうありますね。そうして「水質汚濁の著しい地域及び汚濁のおそれのある地域を対象として都市下水及び工場廃水の水質の実態を調査するとともに、公共用水域の水質基準の設定されている地域における排出下水の状況を調査するため必要な経費である。」という説明がついておる。この説明は、四十年、四十一年、四十二年、四十三年と全部調べてみた。そうすると、四十年の予算は三百四十六万六千円、四十一年が三百六十万五千円、四十二年が三百六十七万八千円、四十三年が三百七十六万円、きっちりですね。そうして説明の文句は一宇も違いはありません。四年間全部同じです。これからも続くのであります。そうすると金額がべらぼうに少ない。それで一体何をやったのかということなんです。しかも説明は四年間一つも変わらぬ。一字も違いがない。これが本気になってやっておるのかどうかということです。ただ予算で小取りをすればいいというなら、もうそんなことはおやめになったほうがいい。そうして水質の汚濁というのは——こういう調査は科学技術庁なら科学技術庁あるいは経済企画庁なら経済企画庁それぞれやらしていいわけであって、何も建設省がこういうわずかな金を、しかも説明にあるように東京、大阪、名古屋、新規に福岡なんて、何ぼずつ分けるのですか、何を一体しよる。私はそういう面ではあまりにも何かまともな感じを受けない。何もあれだけじゃないでしょうけれども、御承知のとおり水質保全指定水域というのはすでにもう四十二年まで、少ないが二十水域ちゃんと指定されている。まあ建設省河川について責任があるわけです。だからこういうあれがあったのだと思いますけれども、これはあまりにもひどいと思います。いま答弁は求めません。もし御答弁願えるのだったら、していただいてもいいですが、いま答弁されますか。——それじゃしていただきましょう。
  102. 久保赳

    ○久保説明員 ただいま先生指摘のとおり、約三百六、七十万の経費で調査をいたしておりますのは、水路の水質汚濁でございまして、河川の水質調査ではございません。これは建設省の都市局のほうが所管をいたして実施をしておる調査でございますが、主として大都市あるいは大都市に準ずるような市内の水路の汚濁状況を調査をすることによりまして汚濁源の地域的な分布を調べて、下水道事業を実施していく上のプライオリティをそれによって測定をするというのが一つの目的でございます。  それから第二の目的は、すでに経済企画庁から水質保全法によりまして水域を指定され、水質基準がすでにきまっておる地域の中に下水道の施設がございます。その下水道の施設から公共水域に水が出ておるわけでございますが、それがきめられた水質基準に適合しているかどうかということを監督する意味合いから、下水道から公共施設に出ている水質を年間に——回数は非常に少のうございますけれども、チェックをする、こういう意味で調査をしているのが内容でございます。河川の水質調査とはちょっと違う内容でございます。
  103. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、各工場が排出をする廃液の調査は、通産省がやっていますね。
  104. 久保赳

    ○久保説明員 さようでございます。
  105. 赤路友藏

    赤路委員 それではもう一点お聞きしますが、この説明にある、東京、大阪、名古屋、新規に福岡へこれを施行した。それぞれのところへどの程度の金額を——東京へ幾ら、名古屋に幾ら、大阪に幾ら、福岡に幾ら、そうしてその水路の検査をした結果、どれだけの汚濁条件が出てきたのか。これをかりに、四十三年度三百七十万でしょう。これは四十一年度決算なんですが、四十一年度のこの四ヵ所を三百五十万円でやる。四で割ると一ヵ所九十万円。それで一年間やるのですからね。一回ではないのでしょう。もうこれで、私はあなたの答弁をここで求めません。ただ言いたいことは、もうけちな金の取り方はするなということなのです。取るなら思い切って取って、思い切って調査をやる。こういうことでないと、ほんとうに生きてきませんよ。だから、今後そういう面ではひとつ十分注意をして、何にも遠慮することはない。このごろ公害問題というのは第一の問題になっている。いままでは産業優先、日本経済の高度成長というのでどんどんやってきたのです。ところが、もうそれだけではいかぬのですね、公害問題がいま前面へ出てきておるのですから。だから、遠慮なしに十分これと取っ組んでいただいて、そうして予算などは遠慮なしに取ってください。取ってくださいなんて、私が変な言い方をするようですが、それであとは答えはいただきませんから、それでけっこうです。  次へいきまして、この治水事業なんですが、治水の新五ヵ年計画があるわけですね。それで十ヵ年計画の前期、五ヵ年が完了して、四十年から後期へ入ったわけですね。四十年から後期へ入って、今度は四十三年度初年度とする新しい五ヵ年計画ができたわけです。そういう経緯になっておるわけですね。それはどういうことでそういうふうになったのか、この点をひとつ御説明願いたい。
  106. 坂野重信

    ○坂野説明員 先生のおっしゃいましたように、第二次の五ヵ年計画が三ヵ年経過した段階で改定を見ることになったわけですが、第二次五ヵ年計画の進捗率を見てみますと、かなりの努力をもって所定の計画を上回った進捗を見たわけでございます。そこで残事業がかなり減ってきたというのが第一でございます。  それから計画の内容ですが、第二次五ヵ年計画を策定した当初に比べまして、一つは中小の河川の被害が非常にふえてきたという特徴がございます。それはいろいろな地方的な条件もございまして、最近集中豪雨等による一時的な異常豪雨が出てきたというような問題、あるいは都市の周辺のいろいろな都市開発に伴う人口集中等に伴うような災害が新しい事態として起こってまいりました。それから山地における土石流の非常な被害というものが新しい事態として出てまいった。そういうような観点から総合いたしまして、第三次の五ヵ年計画というものを立案いたしました。新たな観点からひとつ量、質ともに従来の五ヵ年計画を改定いたしまして新しい出発をいたしたいというぐあいに考えたわけでございます。もちろん、その五ヵ年計画の前提といたしましては、建設省昭和六十年を目標にいたしました国土建設の長期構想というものを昭和四十年に打ち立てております。それに準拠いたしまして、昭和六十年のうちの第一期の五ヵ年というような考え方で四十三年度から出発したわけでございます。
  107. 赤路友藏

    赤路委員 いま局長から説明があったように、新五ヵ年計画というのは国土総合開発の六十年を押えた長期なものだ、それの一環として建設省のほうで長期需給計画だとか、あるいは広域水域、こういうものをおやりになった。従来、水の問題については案外大きな関心を呼ばなかったきらいがあるように思うわけです。     〔鍛冶委員長代理退席、華山委員長代理着席〕 日本の地勢その他から考えてみますと、案外水というものは豊富にあった。ところが、最近のように都市にどんどん人口が集中する、そうすると都市の飲料用水が急速に増量してくる。また工場がどんどんできるので、工業用水が非常に大きなウエートを占めてくる。そういうことで、この水の問題というのは、今日の段階においては、今後日本の経済成長という面等をも考えあわせてみると、かなり大きな問題の一つになってきた、こう私は思うわけです。  そこで、利水あるいはそういうような水の必要量を確保するということから考えあわせていきますと、何といったって一番問題点は降雨量なんですね。雨が降らなければ何ぼじたばたしてみたところで、いまの段階では水はできないわけです。だから一つ降雨量が一番大きな問題点になるのじゃないか。その降水量をどういうふうにして確保するか、抱水するか、抱いていくかということが私は一つのポイントだと思う。そういうことを考えてまいりますと、治水計画を立てるときに、やはりそうした面が基礎にありませんと、これはちょっとむずかしいのじゃないか。ただ数字の面だけで、これだけの工業用水が要ります、これだけの飲料用水が要りますということだけではいけないのじゃなかろうか、そういうふうに思うのです。そういう点は御調査になっておるのかどうか、これをお聞きしたい。
  108. 坂野重信

    ○坂野説明員 全く先生の御指摘のとおりでございまして、私どもはその治水の長期構想を立てるにあたりましても、単に災害防除という点だけではなくて、水の長期的な需給をどうするかというような問題を非常に重要視いたしております。利水の、水の問題につきましては、私どもは最近広域利水計画調査というものをここ数年間調査いたしておりまして、調査を始めましてからもうすでに三年目になっております。これは全国の各河川ごとにどれだけの水が開発できるか、それから開発した水をどういうぐあいに使うべきかというようなことを、全国を総合いたしまして、特に水の逼迫している地方を重点的に、たとえば首都圏、中京圏、近畿圏、東海、北九州というようなところを重点にいたしまして、もちろんそれ以外のところも実施しておりますが、将来の需要の想定というものをいたしまして、それに対して、各河川を開発した場合に一体どれくらいの水がどれくらいの単価で開発できるかというような第一次的な作業はすでに終わりまして、約一月くらい前にその成果を発表いたしております。  そういうことでございまして、私どもとしては先生のおっしゃいますように、降った雨をできるだけ有効に使うということで、現在河川水が利用されておりますのは、年間を通じて流れている川の量のうちでいまわずかに全体の一〇%以下でございます。それを重要な地域については少なくとも五〇%くらいまで上げたいというような昭和六十年ごろまでの目標を立てておるわけでございます。したがいまして、私どもは治水計画を考える場合には、そういうものの一環として洪水調節、治水の防災の問題と同時に水資源というものをからませまして、特にダムをつくったりあるいは河口せきを建設するというような場合には治水と利水と両方をからませまして、総合的な計画というものを具体的に目下立案中でございまして、その新治水事業の第三次五ヵ年計画においてもこの辺のところをにらみまして詳細な計画を目下立案中でございます。およその目安としては、先ほど申し上げたように、水の将来需給というものは第一次の調査を終わりまして、先般発表したわけでございます。
  109. 赤路友藏

    赤路委員 それでは、もう一ぺんその問題を変わった角度から質問をしてみます。  これは実は気象庁のほうで調査してもらったもので、全国十六地域の各ブロック別に降雨量を調べてもらっております。これは一番古いところでは明治八年から出ておるわけです。これによりますと、昭和三十三年から四十二年までの十ヵ年間の平均降雨量は一七一〇・六ミリなんです。それから三十年余りさかのぼって、昭和六年から十五年までの十ヵ年間の平均は一五九一・一ミリになっておる。それからもう一つさかのぼって六十年前、明治四十三年から大正八年までの十ヵ年間の降雨量は一七〇一・九ミリ、こういうふうになるわけです。そうすると、現在の十ヵ年間の平均と三十年前、六十年前の降雨量を比較いたしてみますと、最近の十ヵ年間のほうが降雨量が多くなっておるわけです。  そこで問題が出てまいりますのは、それだけ降雨量が多くなってなぜ河川の流水量が減ってくるのか、あるいは地下水の水位がなぜ下がってくるのか、こういう点に一つ疑問を感じるわけなんです。これは率直に申し上げまして、単にダムができたからということだけではこの答えが出てこないと思うのです。これはこの治水計画をお立てになるときに、こういう面を十分掘り下げて御検討になっておるのかどうか。もしそういうようにトン数計算をしてみますと、三十年前と比較いたしまして四百四十一億トン、六十年前と比較しますと三十二億トン降水量が多くなっておるわけですから、その点何か御見解があればお聞きしたいと思います。
  110. 坂野重信

    ○坂野説明員 実は、これは、私ども先生に非常に貴重な資料を教えていただいたわけでございます。私どもは、大体最近のダム計画では、最近の十ヵ年というものを実は基準にいたします。長いものはもう少し長期間とっておりますが、その辺で、私どもは気象庁と違いまして、河川の流量——降った雨が川に出てきた状態の問題でございますので、その辺はあまり昔にさかのぼりますとそういった観測の精度の問題もございますので、大体過去十年というものを一応調査の対象にいたしております。先生からいろいろ御指摘ございました点、私どもひとつ十分勉強してみたいと思います。
  111. 赤路友藏

    赤路委員 そういうふうな答弁をされますと、もうこれはものが言えなくなってしまうのですが、それでは一方的な私の言い分になるかもしれませんが、ひとつお聞き願っておいて、十分ひとつ御対処願いたいと思います。  大体普通いわれておりますのは、従来までは、降雨量の平均は大体千六百ミリ、そうして、それを水量に直しますと六千億トン。そのうち蒸発散するものが二千四百億トン、それから、川を通じ、あるいは地下を通じ海へ流れ込むものが千六百億トン、結局二千億トンがこれを使用すること、利用することが可能である。これが大体水の問題を中心にしていろいろ検討をするときの一つの常識論と申しますか、そういう形になっておるのです。ややそれとは数字が違ってきておる。こういうことに一つ問題があるわけなんです。で、これはあなたのほうからお出し願ったのかどうか、「二十年後の水の需要に如何に対処するか」こういうプリント、これはひょっとしたら経済企画庁じゃないかと思いますが、これによりますと、二十年後の水の需要にいかに対処するかということで上水道の必要量を換算いたしてみますと百九十七億九千万トンになる。それから工業用水が三百六十四億トンになる。それから農業用水が五百六十七億トン、こういう数字を出して、千百二十八億トン、こうトータルが出てくる。そうしますと大体二千億トンの利用可能水がある。これはいろいろ現象によって違うと思いますが、大体二千億トンの利用可能の水量があるということになりますと、問題は、ではその抱水の度合いはどうあるか、もっと言いますというと、一体地下水の量といいますか、それがどの程度あるのか、この把握が非常にむずかしいと思うのです。しかしむずかしいができぬことではなさそうなんです。というのは御承知かと思いますけれども、水田地帯における地下水の流動状態を観測する方法を確立した、もうこういうことをいっているわけなんですね。これは農林水産の技術会議のほうのデータにそれがあるわけなんです。まだ普遍的にやり得るほど十分な機能を発揮するかどうか、これはわかりません。ただしかしながら見てみますと、利根川を中心にする関東地帯の地下水の流動状況というものが、すでに出されておるわけです。どういうふうな出方をしてくるかということになると、これは何かアイソトープを使ってやっておるようなあれがありますが、そうするとやり方いかんでは、ブロック別に部分的にでも見ることによって、ある程度の地下の水の量というものは見られないものかどうか。これは私はしろうとだから、そんなことを感ずるのかもしれませんが、それが一つあるわけです。こういうものがあるのだということを一応お含み願いまして、そうしてやはり現在の降雨量、それから利用し得ておる水の量、それから地下水が一体どれだけあるのか、こういうことが問題になると私は思う。建設省のほうでは先ほども御答弁にありましたように、各河川の流水量は検査をされておるはずですね。そうして各河川の流水量が三十年前、五十年前と比較してみて、多くなっておるとはちょっと考えられない。私もたいてい歩いてみましたが、むしろ全体としては非常に流水量は落ちておる、こういうふうに考えられる。  その点はまた、まとめて御答弁願うことにして、その次は、これは河川局から出ておるわけですが、「新治水事業五箇年計画について」これの六ページのところにこういうのがありますね。「都市周辺部は耕地や丘陵地などが急速に宅地化されているが、このような市街地化によって降雨は一挙に河川に流入するため、洪水時の流量は急激に増大し、氾濫をひきおこす。」こういうふうに分析されておるわけです。私はこのとおりだと思う。最近の河川の状況を見てみたら、ここにこういうふうにいっておられることは非常に正しいのだ、こういうふうに私は思います。しかし、ここで言われておるように、市街地化された都市周辺の状態だけでなしに山地においてもそういう条件があるんじゃないか。たとえばこの前災害対策特別委員会があったときに、渡辺委員でしたか、ダムの放水の問題を取り上げてかなり言っておったようであります。この点確かに都市周辺だけでなしに、川の流域、山村地帯までにもそういう問題があるんじゃないか、こういうふうに考えられる。八ページに「新らたに河から水を引いて利用することは殆んど不可能になって」云々とあります。それから「通常の日における河の流れはごく僅かであり、この流れも殆んどすべてが利用されつくしているからである。」要するにこの治水五ヵ年計画で参りますと、先ほど来私が言ったようなことが一応そのまま記載されておる。だから私もそういうふうにこれを感ずるわけだ。非常にむずかしいことは、この前も渡辺委員が言っておりましたように、川底が上がっておる、河床が上がっておる、これは確かにいえるわけですね。そうすると川底の上がっておるものをこれからたとえば治水五ヵ計画、要するに河川対策をやる場合川底を下げることができるかといったらそんなことは口で言ったって簡単にできるものではないと思う。川底が上がるということになると依然同じ流水量であっても外へ溢水するということは、あふれ出るということはあり得るわけなんです。そういうような面がうまく全体として調査がなされておるのかどうか。これが一つあると思います。河床の上昇ということはやはり何といっても土砂の流入だと思う。これが一つの問題点だと思います。そういう点に対する対策がどういうふうに立てられるか。これが一つある。  ついでですからもう一つ申し上げますが、それは多目ダムですね。ダムのほうはずっと見てまいりますとだいぶやっておられます。四十一年の決算説明を見てみましても三百四十三ページから三百四十五ページのところに「特定多目的ダム建設工事勘定」ということでダムに対する歳入歳出関係が出ているわけでありますが、このほかにも電源開発のそうしたものもございましょう。ただここで一つ問題になりますのは、この前の渡辺君の質問からちょっと気になったのですが、ダム類は、ダム類と言うと変ですが、ダムは一体何年くらいもつものか。なかなかむずかしい問題なんですが、たとえば小さいダムでありますけれども、電力会社のダムですね。夜掃除するのに底の土砂をそのまま川へ流出する。そして河川がよごされてしまって、それでアユが全滅したなどというところがあるわけです。だから一体ダムに対する土砂流入というものがどういうふうに防止されているのか。河川に対する土砂の流入、あるいはダムに対する土砂の流入、これをどういうふうに防止しておるのか、こういうことが一つ問題になるわけなんです。それだけ一応何か御答弁がございましたらお聞きしたいと思います。
  112. 坂野重信

    ○坂野説明員 最初の流量、地下水の問題ですが、先生指摘のように、私どもは河川にあらわれた水の量を対象にしてやっているわけでございまして、大体私どもは全体の量のうちで八割を概観的に河川の依存量というふうに考えております。もちろんそれは河川ごとに積み上げておりますから、客観的な話でございますけれども、そういうものを考えております。ですから先生のおっしゃるように河川に流れてくる流量が年間で五千億トンということでございますと、四割ぐらいは確かに客観的に開発できるわけであります。河川の状態、流れの状態、いろいろダムサイト等によって変わるわけでございます。ですから客観的に言うと確かに先生おっしゃるように二千億トンくらいの水が使い得る全体の量、すでに使っているものも含めてでございます。私どもはここにございますように四百トンくらいは昭和六十年までに開発する必要があるのではないか。またそういう開発の可能性があるというふうに考えております。  それから河床の問題でございます。川底が上がる下がるという問題でございます。これは場所によって川底の上がっているところもございますし、また川底が下がっていろいろな問題を起こしているケースが全国にいろいろあるわけでございまして、数年前から私どもが河道調査というものをやっております。ある程度の成果も出ておりまして、それによって今後河川の川底を一体どのくらいに保つべきであるかというような計画も行ないつつあるわけでございます。川底の上がっておるほうの問題については、これはひどいのになっていきますと天井川と称して道路が立体交差しているような状態で道路の上を川が流れているというような状態も起きておるわけであります。局部的にダムの上流部において堆砂の起きているというところもございます。  そこでどうするかという問題でございますが、これはもちろん基本的には砂防施設というものを山地においてやりまして、できるだけ砂防ダム等によって上流からの土砂の流出を防ぐというのが第一次的にあるわけでございます。それからひどいところになりますと、ダムにたまっておるようなところは、これは今後の問題として出てくるわけですが、ダムの堆砂をひとつしゅんせつしようという問題があります。さらに天井川になったようなところは別に河川を切りかえて低いところに持っていくというような対策があるわけでございます。それが土砂の流出対策でございます。  ダムの寿命、非常にむずかしい問題でございますけれども、私どもはダムのいろいろな減価償却を計算するような場合には、大体八十年というものを一応の基準にいたしてやっておるわけでございます。もちろん八十年になったらぴったりダムがこわれるかというとそうでもございませんので、これはダムごとに寿命が違ってくるわけでございますが、総体的の見当としてはそういうものをにらんでおるわけでございます。
  113. 赤路友藏

    赤路委員 この問題は何か非常に広範にわたっていろいろ関係してまいりますので、またの機会にしましょう。  一応一つだけ。これはおそらく皆さんのほうも御承知のことと思いますが、「岩手県の林業試験場の報告99号」によりますと一時間の山地の水の浸透能、これが出ておるわけなんです。山地の水の問題についてはいま全国でここだけが非常に進んでやっておられるようです。それによりますと、広葉樹林地では一時間の水の浸透能は二百七十二ミリ、それから針葉樹林地では二百四十六ミリ、草生地では百九十一ミリ、伐採あと地は百六十ミリ、それから崩壊地は九十九ミリ、こういうふうに水の浸透能を出しておるわけです。これが一体まともなものとしてつかまれておるかどうか。実は、西ドイツのほうの森林研究所のものなんですが、それでちょっと見てみますと、百ミリの水を吸収するのに要する時間、こういうので保安林地の場合は二分三十七秒それから幼年林地の場合は六分十二秒それから放牧地の場合は三時間四分四十三秒、こういうふうに出ておるわけなんです。これも正しいかどうか私にはわかりません。しかし、森林地におけるところの水の浸透能というものは、岩手試験場のものとこれとを対照してみますと、大体似通ったものである。やはり山林のあるところでは案外放水量が大きい。当然、そうした面では、土砂の流出にいたしましてもある程度の違いが出るかと思うわけです。建設省のほうでおやりになる治水計画、これは治山、治水二つがやはりからみ合ってきておると思う。だから、たとえばがけくずれであるとか、いろいろありますが、そういうことも治水と治山とがマッチして初めてまともな治水計画というのが立つのではなかろうか、そういうような感じがするわけなんです。  もう一つ、私言っておきたいことは、河川に対する責任と申しますか、所管官庁は建設省ですから、ただ単にその河川だけをということでなしに、それに付随するいろいろな諸条件というものはやはり考えていただいて、そうして各省間における協力、これが望ましいわけなんです。それは一つ申しますと、たとえば津軽石川ですが、これは私も行って見てまいりましたが、上流のほうでは水はかなり満水しておる。ところが中流へきますと水は全然ゼロです。そうしてトラックが中に入って砂利をとっておる。それから下流へきますと、また水が出てくる。中流は、何というのですか、底へ水が入ってしまう。そうして下流へきてから出る。それはどういう効果がそんなものにあるのかと申しますと、何か中流のところで下へ入ったときに、水温が統一されるらしい。そうして水温が低下する。水温が下がったものが下流で出てくる。それへサケがついておる。だからあの小さい川が、尾数にいたしますと、日本で一番たくさんサケがのぼっておる。ちょっとほかにないわけです。そうなってくるというと、その川を守るということが一つの大きな、漁業に影響を及ぼすあれになるわけです。そういうものもありますから、治水治山の計画と同時にそういうような関連する面を十分御考慮を願いたい、こういうことであります。また何かわからない点が出ましたら、私のほうから出かけていってでも、いろいろまた資料を御提出願う、こういうことにして、一応これで終わります。  それでは、下水道のことについてお尋ねいたします。公害防止というのがかなりやかましくいわれておる。社会環境の整備、これを考える場合、当然下水道は完備されなければならない。ところが非常におくれておるのです。     〔華山委員長代理退席、鍛冶委員長代理着席〕 四十一年の三月三十一日現在ですから、だいぶん古いから相当違いがあろうと思いますが、東京の下水道の進捗度が二七・四%、横浜が三一・六%、それから名古屋が六〇・一%、京都が三一・三%、大阪は五六・三%、神戸が二五・四%、四日市が二%、北九州市が一二%、全国平均二三・八%、こういうふうに出ておるわけです。そうすると、予算のほうを見てみますと、下水道事業の補助費、これは四十年度が百三億六千万、四十一年度が百四十二億五千八百万、四十二年度が百九十二億七百万、四十三年度が二百七十一億一千百万、こういうふうに出されておる。この二三・八%しか伸びていないのにしては、あまりにも予算のとり方が、これだけ公害問題が表へ出、社会環境といいますか、やかましくいわれる中で、少しどうも少な過ぎるのではないかと思いますが、その点何かございましたら御説明を願いたいと思うのです。
  114. 竹内藤男

    ○竹内説明員 先生指摘のように、下水道の整備はたいへんおくれております。私どもといたしましても公害対策、あるいは河川の水質保全対策、あるいは都市の環境整備という面から、大いにやらなければいけない事業であるということで仕事を進めておりまして、いままで精一ぱいやってきたつもりでございますけれども、公共下水道の整備がおくれていることは事実でございます。先ほど国費の額を先生申されましたが、その伸び率で見ますると、大体四十二年度までは三五%ぐらいの対前年度伸び率で国費を伸ばしてきたわけでございます。ただ四十三年度は全体の財政政策の観点から若干伸び率が落ちておりまして、四十三年度は四十二年度に比較いたしましてそれより伸びておりませんけれども、四十二年度まではかなりの伸び率で伸ばしてきております。私ども一応第二次五ヵ年計画としまして九千三百億の事業達成しなければならないと考えております。今後も下水道整備を私どもの政策の重点に掲げまして大いにやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  115. 赤路友藏

    赤路委員 だいぶ遠慮した答弁のしかたをされておるようですが、たとえば、私が率直に言ったのですが、四十年の下水道事業、補助費は百三億、それから四十三年が二百七十一億、そうしますと倍以上になっておる。だから率として伸びは四十年、四十一年、四十二年、四十三年の四年間に倍以上に伸びておる。だから非常にけっこうなことなんだ、その率でいけば。ところがもともと基本数字が小さいんだから、率だけじゃものを言えぬことになってしまう。特にこの下水がおくれておるものですから、もう少し下水道が完備しますと公害がもっと減るのじゃなかろうか、あるいは団地の面でも違いはありましょうし、それから中小企業の排水も一応下水で処理していく、こういうことを考えていきますと、かなり私は公害関係は下水の完備することによってできると思う。  それから大都市周辺は従来あまりにも野放しにやらせ過ぎたものだから、それで公共事業計画的な面がかなりくずされておる。不動産業者がかってに団地をつくって、そこへ住民が入る。そうすると当然水道問題が出る、道路の問題が出る、下水の問題も出る。そうすると、最初からの計画性というものがもうてんでものにならない。そういうこともあって、下水の工事というものがかなり大きくおくれておる、これは非常に問題なんです。  それから四十三年の建設省予算には終末処理場の分はありますか。あればそれは何ぼ出していますか。
  116. 竹内藤男

    ○竹内説明員 いま先生指摘されましたことは、私どもも全くそのとおりだと思っております。都市整備の基幹施設といたしまして下水道を大いに伸ばしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけです。数字につきましては実は四十年度は国費が百五十三億、四十一年度は二百十億、四十二年度が二百七十七億で、四十三年度、今年度は三百七億でございます。  実は下水道につきましては、従来終末処理場と管渠というのが所管が分かれておりまして、管渠につきましては建設省、終末処理場は厚生省ということでございまして、四十二年度から下水道建設の一元化ができまして、四十二年度からは終末処理場の費用も建設省所管予算の中に含まれているわけでございます。数字で申し上げますと、四十二年度が五十四億、終末処理場の費用が先ほど申し上げました四十二年度二百七十七億の中に含まれているわけでございます。
  117. 赤路友藏

    赤路委員 その五十四億というのは四十二年度の終末処理でしょう。四十三年度はゼロでしょう。
  118. 竹内藤男

    ○竹内説明員 一応予算の組み方を四十三年度から管渠と処理場に分けないで一本にいたしましたので、結果が出てみないとわかりませんが、大体七十億ぐらいが終末処理場の分と予定されております。先ほど申しました三百七億のうち七十億です。
  119. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、四十三年度からは下水道工事と終末処理とは一本の形で出している、こういうことですか。
  120. 竹内藤男

    ○竹内説明員 予算の配分といたしましては、終末処理場と管渠と区別しないで出しております。ただし設計の段階におきまして、処理場と管渠が並行して進められるように予算の配分にあたっては留意いたしておりますけれども、予算の科目が従来は別であったものが一本になっている、こういうことでございます。
  121. 赤路友藏

    赤路委員 大体いままでは終末処理だけが厚生省所管だった。それで地方は非常に不便を感じたわけですね。それで今度一本化して全部終末処理まで建設省建設省のほうは終末処理の分も普通下水道工事事業費の中に入れている、こういうことですね。そのことは末端のほうでもずっと地方はわかっているのですか。
  122. 竹内藤男

    ○竹内説明員 それは末端までみんな承知しております。大問題であったわけでございまして、地方の不便をなくすという意味で一元化したのでよく承知しております。
  123. 赤路友藏

    赤路委員 それでは四十一年度の下水の予算総額、これが一つ。  それからそれに対応する排水面積、これはどれだけか。  それから排水人口はどれだけか。  そのほかに地方起債の分があるのですね。だから政府の下水道予算のほかに地方起債がついているはずですが、その地方起債はどれだけあるのか。  それをちょっと知らしていただきたい。
  124. 竹内藤男

    ○竹内説明員 下水道関係の総体の事業費は、四十一年度は千三十七億でございます。そのうち国費が、先ほど申し上げましたように二百十億八千万でございまして、起債が五百三十七億六千万でございます。それ以外の、事業費から国費と起債を除きましたものは一応地方の負担になるわけでございます。地方の支出になるわけでございますが、それが二百九十一億でございます。この二百九十一億の中には地方公共団体が受益者分担金として取っておるもの、あるいは都市計画税を充用しているもの、それから一般財源から持ち出したものというものが入ります。それ以外に若干の都市につきましては、府県が出した金額ではございませんが、補助をいたしたものもこの中に入ります。  それから四十一年度末におきます整備見込みでございますが、排水面積で申し上げますと、この予算で八面八十六方キロ——これはその予算でではございませんで、四十一年度末におきまして八百八十六方キロが下水の排水ができるという面積になっているということでございます。それから排水人口にいたしまして、千五百二十一万人の排水人口になっております。したがいまして、普及率といたしましては、排水面積で計算いたしました普及率といたしましては一九・九%、それから排水人口の普及率で申し上げますと三一〇%。ちなみに処理人口のほうを申し上げますと、処理人口は四十一年度末で千三百四十七万人ございまして、処理人口の普及率は二七・五%、こういうことになっております。
  125. 赤路友藏

    赤路委員 排水面積が八百八十六万平方キロメートル、それは間違いないですか。
  126. 竹内藤男

    ○竹内説明員 八百八十六方キロでございます。
  127. 赤路友藏

    赤路委員 立方キロですか。
  128. 竹内藤男

    ○竹内説明員 平方キロでございます。
  129. 赤路友藏

    赤路委員 そうしますと、非常に下水道工事は水道工事等と比べてみると極端におくれております。おくれておることがいろんな問題を起こしておるわけなんですね。いまのような予算のつけ方でいくのでは、いつになったらまともなものになるかという心配がある。公害関係、特に東京周辺のような中小企業といいますか、零細企業が多いところでは廃液処理というのが非常にむずかしい。実際上、言うことはやすいが、廃液処理というのはむずかしい。昭和三十三年に水質保全に関する法律、これと工場排水法と二法はできたのですが、十年たってまだ今日まともじゃないと言わざるを得ない。対象がそういうような中小企業なんだから、これに全部浄化装置をつけさすということは実際上の問題として非常に困難なんですね。これが金を入れて浄化装置をつけることによってそのコストが下がるというなら、これはいいわけです。ところがそうでなしに、そういう投資はそのままコスト高になる。だから中小企業体としてはなかなかこれはやり切れぬ。そしてそのままやはり流していくというような状態が依然として続いておる。そうすると、通産省のほうは通産省で、何というんですか、通産省の仕事の手前というんですか、産業振興というんですか、ついものごとを大目に見なければならぬ。監督は通産省がほとんどです。それに厚生省あるいは農林大臣等がありますけれども、ほとんど通産省ですね。それで十年たっていますけれども、いまだに調査権限の移動はないのです。だから東京都なら東京都を例にとって考えてみたときに、東京都のほうでこの水質保全二法に基づく権利行使ができるか、法律行使といいますか、これはできないですね。だから東京都の条例なり何なりでやらざるを得ない、こういうことなんですね。そうなってきて考えられるのは、そういうことで何といいますか、建設省に何もかも持ち込むというのはおかしい話だが、とにかく下水道工事が少なくとも進めば、そういうような中小企業の零細なものはそれでいいですよ。そうしてトン当たり何ぼという使用料を、たとえはたいしたことはない——たいしたことはないと言ったら語弊がありますけれども、いつか姫路のほうが、下水道工事をやる前に、下水道工事をやるからというので中小企業者に言って、そうして工事をやる分担金というのか先取りというのですか、そういったことをやってこれを完成するという方法をとった。だからやはり公害関係から考えますと、この際思い切って建設省のほうで下水道工事を進めていただかないと、こういう状態ではどうにもならない。失礼な話ですが、都市局長さんだから玉川の浄水場においでになったでしょう。東京の水道の玉川浄水場、おいでになりましたか。これは一ぺん行ってください。これはたいへんですよ。見てみると、水がまつ黒です。これはどうにもならない。ずっとデータを調べてみますと、年を経るごとに汚染度がひどくなっておる。汚染度がひどくなるに従って、浄化する経費が高くついてくる。これはとてもじゃないが相当なものです。下水の場合は、終末処理場において水を排水するときはちゃんと基準があるわけです。水道の場合はないんですね。何ぼよごれでまっ黒でも、飲めるようにしさえすればいいわけです。そういうことでやっておるのですね。それにもう一つひどいのは、最近各団地がお使いになる洗剤のあのあわが一ぱいになっている。これがまた浄化をする経費を非常に大きく取る。いまあなたのほうでやっておる下水の終末処理場、川に流れておるところに相当あちらこちらであわが出ておる、においがする。だから、必ずしも一〇〇%うまくいっておるとは考えられない点もある。そういう状態にありますだけに、いいかげんなことでなしに、本格的にこれは取っ組んでもらって、急速にこの線を延ばしていただきたい。このことをひとつお願いいたしておきます。  次官、あなたの政治的な決意のほどをお聞かせ願いたい。
  130. 仮谷忠男

    ○仮谷説明員 下水の問題が非常におくれておる、しかも世界の先進国の中でも一番おくれておるということは十分私ども認識しております。したがいまして、この問題は住宅問題と同じように、重点施策として積極的に取り組んでおるわけであります。五ヵ年計画を立てましてから、率直に言って四十三年度予算獲得というのが、財政硬直化というようなもとに相当力を入れて、ほかの予算よりは伸び率はよかったのですが、四十二年度、それ以前から伸び率は非常に悪かった。このままでいくと現在できておる五ヵ年計画すらも達成できないという心配ができた。したがって少なくとも明年度からは、残された期間のもとに年間三〇%以上の伸び率を確保しなければ、五ヵ年計画達成できないという状態であります。したがって、これをどういう形でやるか。まずざっくばらんな話が、どうして来年度予算を獲得するかということで、これは与党の先生方にも御協力を願いまして、与党の中にも下水対策特別委員会を新たにつくってもらって、そして強力にひとつバックアップを願おうということで、これは不退転の決意で努力をいたしておる次第であります。よろしくひとつ御協力願います。
  131. 赤路友藏

    赤路委員 これでもうきょうは終わりますが、いま次官がおっしゃるとおり、ただ財源に限度があるわけです。けさからの、私を含めて各委員の意見を聞いておると、なぜもっと予算を取らぬかということなんですね。そこでお願いしておきたいことは、順位というと変ですが、重要度はおのずからあるわけです。で、やはり重要なものからやっていただく。産業開発も必要でありますけれども、もうこの際はひとつ人間尊重という面を重要視していただいて、集中的にぜひお願いをしたい。  これで終わります。
  132. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 水野清君。
  133. 水野清

    ○水野委員 私は、実は千葉県成田の新国際空港の計画に伴って行なわれる河川改修のことについて少し伺いたいと思います。  具体的に申しますと、この河川は根本名川という利根川の支流に当たる川なんです。今日までは、千葉県の地元では知られておりましても、全国的には全く問題にならなかった川なんでありますが、新国際空港の計画が公表されますと、それから派生して、膨大な空港の用地から排水される雨水をこの小河川に流すということになって、非常に問題になっているわけでありますが、同時に河川改修計画が非常に大きいので、地元の成田市あるいは隣の香取郡の下総町という小さい町でありますが、農民が非常に大騒ぎをしているわけであります。そこで、河川局長にまず伺いたいのですが、根本名川という川の改修計画について、大体の予算規模、改修年次、日程、それからどのくらいの用地買収が必要かどうか、あるいはその買収の際の単価を大体どのくらいに考えておられるかということを、概略をお話し願いたいわけです。
  134. 坂野重信

    ○坂野説明員 先生指摘の根本名川は、当初は昭和三十三年度から中小河川として千葉県において改修工事施行中でございました。ところが、先生のおっしゃいますように空港問題が出てまいりまして、このために従来の改修計画のままでは、空港ができ、または空港に伴うこの地域の開発のために水の量が一挙にふえてまいる、そういう観点から、従来の改修計画というものをこの際再検討せざるを得ない段階になったわけでございます。そこで、水害の最近の発生状況あるいは将来の周辺の開発というようなことを勘案いたしまして、計画の流量を毎秒七百立方メートルというぐあいに改定いたしまして、しかし非常に膨大な事業費がかかりますので、さしあたって暫定的に毎秒三百立方メートルという程度の洪水の疎通をはかるということで、しかしそれにいたしましても、全体の事業費を約四十億ばかり要するというぐあいに見込んでおります。用地の買収は、田畑だけでも約百四十六町歩、百四十六ヘクタールばかり見込んでおります。買収の単価の問題もたいへんむずかしい問題でございますけれども、私どもはいろいろ総合的に勘案いたしまして、できれば反百万程度に押えていきたいというふうに考えておりますことを率直に申し上げておきます。
  135. 水野清

    ○水野委員 そこで伺いたいのでありますが、単価の問題はあとにいたします。計画設計といいますか、これは完了しておるのかどうか。それで一部の改定とか修正というようなことは考えられるかどうか。もう時期的におそいのかどうかということを簡単に伺いたいと思います。
  136. 坂野重信

    ○坂野説明員 先ほど申し上げましたように、改修の基本的な問題はすでに決定しております。先ほど申し上げておりますように、流量が下流で約七百毎秒立方メートルということは決定いたしております。ただ細部の川幅の問題だとか高さの問題等につきましては、もし地元の要望等がございましたら、それを十分勘案いたしまして、細部の問題については検討する余地はまだ残されておるわけでございますが、基本的な流量の問題だとか改修の規模、大体の川幅等につきましては、私どものほうとしてはすでに決定を見ておりますので、その方針に沿って進めてまいりたいと思っております。
  137. 水野清

    ○水野委員 大体のことは私のほうもいま賛成をしてもけっこうなんですが、こまかい点において、特に支流との——根本名川のまた支流があるわけです。その支流との関連の問題については、具体的に申し上げませんが、あるいは計画変更をしてもらわなければ地元で受け入れができないというような事態があるかもしれない。その点はひとつ今後あまりかたくなな方式で地元に河川改修を押しつけないようなかっこうでやってもらいたい。これは返事はけっこうですが、そういうふうに申し上げておきます。と言いますのは、これは少し話がさかのぼりますが、さっきお話があったように、昭和三十三年度から中小河川として千葉県が主体となって河川改修を去年までやっておった。その段階においては、地元の人たちは陳情書をつくってはるばる建設省まで出てきて、町村長が頭を下げて、ひとつお願いします、こういうことであったのでありますけれども、それははっきり言うと、現在の河川は、たとえば私の知っておる範囲でも、現在人が飛び越えられるような一メートルか二メートルの河川が、いきなり九十メートルか百メートルくらいになるところもあるわけです。そうすると、農民の希望によって河川改修をやるのではなくて、これは空港の計画に伴ってやるわけなんで、地元としては迷惑だということが率直な意見なんです。ですから建設省も——これは河川管理者というのは千葉県知事になっておるわけですけれども、千葉県の土木というものを予算上いろいろ指導しておられるのはやはり河川局だから、その面では、率直に言うと、河川改修をやらしてもらうのだというふうな立場に国が置かれておるわけです。その辺に若干、現地の当局者は千葉県ですけれども、現地の農民と河川改修計画執行者との間にいろいろ意見の食い違いやそごを来たして、それがひいてはこの空港問題の処理に非常な影響が今後出てくるように思うわけです。河川改修に対する国及び県の態度をもう少し——私は、率直に言うと態度があまりよろしくないと思うのです。建設省では運輸省からの希望によって予算を立てて執行するわけなんだから、私のほうは頭を下げるいわれはないというふうにお考えかもしれません。これはひとつ大局的な立場から、逆に頭を下げてもらって現地の土地の提供者にはよくわかるような説明をしてもらう。でないと非常に反対の空気が強い。これをただ力だけによって押えていこうということはかえって将来に禍根を残すように思う。その点はひとつ御忠告を申し上げておくわけです。局長でもけっこうですが、政務次官にちょっと……。
  138. 仮谷忠男

    ○仮谷説明員 事情私詳しくありませんが、大体の動きはよくわかりました。国際空港に関連した問題として地元にはいろいろな意識があると思うのですが、そういう意識を緩和してもらうためにこちらはそういう考え方で工事をしなければいかぬと思うのです。それは、やはり工事をする気持ちの問題だと思いますから、そういう態度が必要だと思います。お説のような考え方で進むべきだ、そういうふうに思います。
  139. 水野清

    ○水野委員 そこで今度は少しこまかいことに入って、この根本名川の支流に荒海川という川、あるいは小橋川という川があります。あるいは取香川という川があります。この三つの河川については計画ができておありのようですが、要するに、河川法上の末端から上流地域についてはどういうふうな計画を持っておられるか。建設省の所管でないというお話ならばあるいは農地局にきょう来てもらっていますから農林省のほうに伺いたいわけです。  それから、根本名川の本流の改修上流点というのがありまして、これはそちらの地図におありだと思うのですが、そこから上流を一体どうするか。要するに、この付近全体が都市化するわけです。いままでの河川法上の末端というところだけで河川改修をとどめておけば、それから上流については野放しになる。野放しになってしまうといろんな弊害が起こってくるわけです。それをどういうふうにお考えか。
  140. 坂野重信

    ○坂野説明員 根本名川の上流端につきまして、本川、これは現在一級河川の範囲に限定されておりますが、流域の開発も逐次進んでまいると思いますので、その段階に応じて、できればひとつ河川の区域を延長いたしましてでも対策を考えていきたい。  それから小橋川の問題につきましては、上流のほうに空港関連でニュータウンの計画があるようでございますので、これは都市計画計画がまだ策定中でございますので、この策定の結果を待って河川なりあるいは下水道というようなことでこの辺の結びつきをまず考えていきたい。  それから取香川につきましては、これは空港公団のほうで実施していただくということで目下調整中でございます。  それから荒海川につきましては、これは大体上流のほうまで河川区域がいっているようでございますので、あまり上流端についてはいまのところ問題はないと思いますが、しかし、問題の出てきた段階においてはその時点において考えてもらいたい。  その他、普通河川等の関連がございまして、その問題につきましては、農林省のほうも土地改良計画がございますので、その辺と十分調整をとって、必要に応じて実施していくように考えてまいりたい。
  141. 水野清

    ○水野委員 その普通河川のことを少し伺いたいと思います。その地図にないかもしれませんが、荒海川と取香川の間に赤荻川という川がある。それからもっと利根川の河口に近いところに尾羽根川という川がある。この二つの川が普通河川ですが、これが改修になって堤防が高く、現在集中豪雨があると湛水がある。その湛水を排除するのにどういう計画を立てておられるかということを伺いたい。これは農地局ですか。
  142. 井元光一

    ○井元説明員 ただいまの普通河川の県営の土地改良事業、この地区には入っていないわけでございます。入っている地区でしたら当然土地改良事業計画の中に入れて工事をやるわけであります。あまり地区から離れているのは、現在のところは予定してないわけでございます。ただいま再三先生がおっしゃるような、河川計画にもない、土地改良計画にもないというような地区で、非常にはんらんするということは、下流の耕地にも非常に影響するような地区があると思います。そういう地区は、現在農林省の県営の事業には入っておりませんから、あるいは一般的には全部やれないわけですが、たまたま構造改善などの事業等で採択になると、河川の一貫的な改修にはなりませんが、部分的の改修はできないとはいえないわけであります。ただ、いまそれを構造改善事業でやれるというところまでは、私どもの計画に載っておりませんので、将来やれるということは断言できないわけでありますが、御忠告のような、いろいろお困りの点がございますので、あらゆる見地から同情的な気持ちで今後やっていかなくちゃならないと思います。以上でございます。
  143. 水野清

    ○水野委員 まだ計画中なんで、あまりこまかいことを突っ込んでも、局長や何か御存じないかもしれません。いまおっしゃったように、農林省のほうでは、さらに小さい普通河川はちょうど土地改良計画に入っていないというお話です。千葉県のつくった地図には赤荻川のほうは入っているようですが、尾羽根川のほうは入っていないようです。そうすると、これは全く見捨てられてしまって、堤防は高くなってしまうし、湛水する水をどうしてポンプアップするか、あるいはほかの方法で排水をするか、わからないわけです。その辺の計画がどうも私は調査が不十分じゃないかと思う点があるのでありますが、ここで申し上げてもいいですか、局長答弁できますか。
  144. 坂野重信

    ○坂野説明員 一般の普通河川につきましては、農林省のほうでお述べになったような問題でございます。私どもできるだけ農林省あるいは県の土木部と連絡を今後とも十分とってまいりたい。それから尾羽根川につきましては、私どもは現在のところ詳細な計画はまだ検討中でございまして、確立しておりませんが、行く行くはやはりこの流域も発展してくると思いますし、そういうことをにらみまして、上流のほうは直接空港に関連するようでございますが、それは上のほうで切りまして、別途下水のほうで考えているようでございます。下流のほうの一般につきましては、一般河川改修の方式で、おそらく堤防をつくるような計画になると思いますけれども、さしあたっては、調査を進めてみたいというぐあいに考えております。
  145. 水野清

    ○水野委員 それから、さっき河川局長のあれはちょっと訂正しておかないと河川局長困るだろうと思う。小橋川のあれは空港関連でニュータウンから下水を流すかもしれぬと言われましたが、あれは下水は流さないことになっているはずです。雨水だと思う。これはちょっと訂正しておかないと重大問題になります。
  146. 坂野重信

    ○坂野説明員 訂正いたします。雨水だけでございます。
  147. 水野清

    ○水野委員 それから今度は利根川の河口、要するに根本名川と利根川の合流点のところに大きなポンプがあるわけであります。現在十二トンのポンプがあるのですが、このポンプはもっと増設をするつもりがあるのかどうか。
  148. 坂野重信

    ○坂野説明員 増設の計画はございます。第一期が毎秒十二トンを四十三年度に完了いたしまして、第二期で一応計画としては十トンさらに増強いたしたい、かように考えております。
  149. 水野清

    ○水野委員 これは農地局になるか河川局かわかりません、そちらで区分をしてもらいたいのですが、この根本名川の本流に沿って、さっき申し上げたように、普通河川はもちろん、荒海川、小橋川もそうですが、この河川の水を排水するのに本流と同時に副水路をつくるということをいわれているわけです。その副水路をつくるためにその土地の買収面積がまたふえているということから、地元としては副水路をなるべくつくってもらいたくない、できれば本流に水を吐き出すような方法がないだろうかということを言っているわけです。それについては明確な計画があれば、ちょっと話をしてもらいたい。
  150. 井元光一

    ○井元説明員 ただいまの副水路でございますが、県の土木、県の耕地課のほうといま連絡をとりまして、どういうふうにするかということを技術的に検討中であります。この二十日ごろに私のほうには計画を出すことになっております。間もなく出ると思いますけれども、これらにつきましては技術的並びに受益者の負担をいろいろ検討の結果、建設省のほうと十分連絡をとって決定したいと思っております。  以上でございます。
  151. 水野清

    ○水野委員 それから土地の買収価格でありますけれども、さっき河川局長から総合的に判断をして一反歩百万円ときめたいという話をしておられる。総合的に判断をされれば、実際の空港の敷地の中では平均一反歩百四十万円で買収するということに空港公団と地元農民の間で話がついているわけです。そうすると百万という金額は少ないので、またこの土地買収計画が暗礁に乗り上げようとしているわけです。これについて、それでは幾らに上げましょうということは言えないかもしれませんが、常識として空港の中は百四十万で買ったのだが河川のほうは百万でがまんしろというような空気が見えて、地元の人たちは、それがさっき言ったように、大体国の都合で河川改修をやるのに、空港の中の連中はだいぶ赤旗を立ててがんばっているのがいるから上げたけれども、われわれはあまり騒がないからだめなんだ、それじゃわれわれも赤旗でも借りてきてやるか、こういって騒いでいるのですが、こういうつまらないことをする必要はないと私は思う。どうして差をつけるのか、そこをちょっと考えを伺いたいと思うのです。
  152. 坂野重信

    ○坂野説明員 先ほど私が百万と申し上げたのは目標でございまして、できるだけその辺でおさめたいというふうに私どもとしては考えておりますが、これはもちろん相手のあることでございますし、私どもの考え方だけではあるいはおさまらぬかもしれません。しかし私どもの考え方を申しますと、我田引水になるかもしれませんが、河川改修にしろ道路にしろ——私がかつて関東地建におりましたころ、五十一号の道路の買収をしたわけでございます。これなどずっと安く買っております。これは空港があろうとなかろうと本来道路にすることが必要という立場でございます。河川のほうにしましても、確かに空港の関連で河川改修の規模は大きくなっております。また河川改修もスピードアップをはからなければならぬわけですけれども、本来私どもとしてはできるだけ地方の治水という立場に立って、空港があろうとなかろうと河川改修はできるだけ早く進めたいという考えでございますので、空港に関連してできればこの際地元の抜本的な治水というものを促進したいという立場から、できるだけ空港の関連事業ということで協力申し上げて、しかもできるだけ地元の将来の治水上の不安がないように持っていきたいということでございますので、その辺のところを勘案していただきまして、できるだけ地元の御協力を私どもは期待しているわけでございます。まあひとつよろしく御賢察いただいて、先生のほうでも御協力いただきたいと思います。
  153. 水野清

    ○水野委員 総合的だとおっしゃるのが、ぼくはもっと全国的な河川改修の際の土地買収の単価が上げられるのでは、はなはだ困るんだというお考えなのかと思っておったのですが、そういう点ならよくわかるわけです。これが全国公共事業に影響するということはよく立場がわかるわけです。成田の場合には、総理以下関係閣僚会議をやって、特別立法までやろう、こういうことになっているわけです。いまおっしゃったように地元の人たちも治水計画ということとあわせて利益もあるのだから、その辺でがまんしろ、その辺のお話はちょっとわからないところもあるのですが、それはこの辺でけっこうです。  ひとつ、土地改良をやらなければ、農林省の所管のほうにも入らない小さい普通河川があるが、建設省のほうでは、私がいままで何べんかそれについて質問をしたのですが、明確な改修計画が伺えない。特に赤荻川と尾羽根川の二つの川については全く明確なお話を得られない。いずれ何とかしょうという程度のお話しか得られないので、詰めて伺ったわけですが、この普通河川についてもひとつ早急にあわせて計画をしていただきたい。それならば私は地元の治水計画にも役立つのだというお話が納得できるのです。率直に言うと、空港から流れる水を中心にして河川改修をやるわけなんです。その趣旨と計画とがやや食い違っているように思うのであります。よろしく御留意願いまして改修計画を進めていただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  154. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員長代理 次回は、明十八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くことといたしまして、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十八分散会