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1968-10-01 第59回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月一日(火曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員   委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 四宮 久吉君    理事 白浜 仁吉君 理事 田川 誠一君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       岡本  茂君    北澤 直吉君       長谷川 峻君    原 健三郎君       浜田 光人君    鈴切 康雄君       池田正之輔君  出席国務大臣         労 働 大 臣 小川 平二君  委員外出席者         労働大臣官房長 石黒 拓爾君         労働大臣官房会         計課長     藤繩 正勝君         労働省労政局長 松永 正男君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省婦人少年         局長      高橋 展子君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君         会計検査院事務         総局第三局長  増山 辰夫君         専  門  員 池田 孝道君     ───────────── 十月一日  委員丹羽久章君、水野清君及び勝澤芳雄辞任  につき、その補欠として北澤直吉君、岡本茂君  及び浜田光人君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員岡本茂君、北澤直吉君及び浜田光人辞任  につき、その補欠として水野清君、丹羽久章君  及び勝澤芳雄君が議長指名委員に選任され  た。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (労働省所管)      ────◇─────
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、労働省所管について審査を行ないます。  まず、労働大臣より概要説明を求めます。小川労働大臣
  3. 小川平二

    小川国務大臣 労働省所管昭和四十一年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算について申し上げます。  歳出予算現額は九百九十億二千二百九十六万五千円でありまして、その内訳は、歳出予算額九百八十八億八千八百三十万七千円、前年度繰り越し額一億六百六十五万八千円、予備費使用額二千八百万円であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額九百四十七億七千四百二十二万八千円、翌年度繰り越し額五百万円、不用額四十二億四千三百七十三万七千円で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額のおもなものについて申し上げますと、失業保険費負担金失業対策事業費及び炭鉱離職者援護対策費であります。  これらの経費は、失業保険法に基づく失業保険給付に要する費用の一部負担緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業及び炭鉱離職者臨時措置法に基づき実施した炭鉱離職者援護事業等に要したものであります。そのおもな実績は、まず、失業対策事業費のうち、失業対策事業について申し上げますと、事業主体数一千百八十二カ所、事業数三千八百三十五件、失業者吸収人員一日平均十五万九千二十五人等であります。  また、炭鉱離職者援護対策費のうち、炭鉱離職者援護事業実績は、移住資金支給一千九百三十四件、雇用奨励金支給二千五十三件、住宅確保奨励金支給二百十五件、再就職奨励金支給三千三百七十三件であり、炭鉱離職者緊急就労対策事業実績は、事業主体数五十九カ所、事業数四百九十一件、吸収人員一日平均五千二百二十八人であり、炭鉱離職者職業訓練事業実績は、施設数二十四カ所、訓練人員七百九十五人であります。  なお、翌年度繰り越し額は、婦人年少労働者福祉対策費であり、不用額のおもなものは、職業転換対策事業費であります。  以上、一般会計決算概要を御説明申し上げましたが、次に特別会計決算の大要について申し上げます。  まず、労働者災害補償保険特別会計について申し上げます。  歳入予算額は一千百七十八億九千九百三十二万七千円であり、収納済み歳入額は一千百十四億七千三百九十六万三千円でありまして、差し引き六十四億二千五百三十六万四千円の減収となっております。これは、適用労働者予定を下回ったため、保険料収入が少なかったこと等によるものであります。  歳出予算現額は、歳出予算額一千百七十八億九千九百三十二万七千円でありまして、このうち、予備費使用額は、十八億七千四百万円であって、これは保険金に要した経費であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額七百五十二億一千二百九十九万一千円、不用額四百二十六億八千六百三十三万六千円で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額のおもなものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働者災害補償保険事業業務取り扱いに必要な経費等であり、これらに要した経費は七百二億六千百十六万四千円であり、この事業実績概要は、適用事業場数九十一万五千件、適用労働者数二千二百五十四万八千人でありまして、差し引き百七億五千五百十五万六千円の減収となっております。これは、被保険者予定を下回ったため、保険料収入が少なかったこと等によるものであります。  歳出予算現額は一千八百三億五千六百四十七万七千円でありまして、その内訳は、歳出予算額一千八百三億四千九百四十八万円、前年度繰り越し額六百九十九万七千円であり、保険給付支払い件数は四百三十二万八千件、支払い金額は六百三十二億五百万円であります。  なお、不用額のおもなものは予備費であります。  次に、失業保険特別会計について申し上げます。  歳入予算額は一千八百三億四千九百四十八万円であり、収納済み歳入額は一千六百九十五億九千四百三十二万四千円であり、このうち、予備費使用額は、一億四千六百四十四万五千円であって、これは業務取扱費に要した経費であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額一千五百十八億一千八百六十八万九千円、不用額二百八十五億三千七百七十八万八千円で決算を結了いたしました。  支出済み歳出額のおもなものは、失業保険法に基づく保険給付に必要な経費及び失業保険事業業務取り扱いに必要な経費等であり、これらに要した経費は一千三百三十七億七百五十七万四千円であり、この事業実績概要は、適用事業所数五十八万七千件、一般失業保険保険者数一千八百六十五万五千人、日雇い失業保険保険者数三十九万四千人となっております。また、保険給付平均受給者人員は、一般失業保険五十八万五千人、日雇い失業保険二十万八千人であり、支給金額は、一般失業保険一千二百十一億六千四百万円、日雇い失業保険四十四億七千六百万円であります。  なお、不用額のおもなものは、保険給付費等であります。  以上が労働省所管に属する昭和四十一年度一般会計及び特別会計決算概要であります。  なお、昭和四十一年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。  これらの指摘事項につきましては、鋭意改善につとめるとともに、かかる御指摘を受けることのないよう今後とも一そう努力いたす所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 大石武一

  5. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 昭和四十一年度労働省決算につきまして、検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事件が三件でございます。  三〇五号及び三〇六号の二件は、労働者災害補償保険及び失業保険保険料徴収に関するもので、いずれも保険料算定基礎となります賃金総額が事実と相違していたため保険料徴収が不足していたものでございます。  三〇七号は、失業保険事業における保険給付に関するもので、保険金受給者が再就職したりなどしているのに、失業保険給付金支給していたものでございます。  なお、以上のほか、四十年度におきまして都道府県労働基準局及び労働基準監督署における経理につきまして、労働基準協会等団体から調査費等として現金を受領したり、物品の売りさばきあっせん手数料を受領したりして、これを会議に要する経費等支払いに充てているもの、協会所有物品無償で使用しているものがありましたので、経理の適正な執行を期するよう改善意見を表示いたしましたが、これに対する労働省処置状況につきましても掲記いたしております。  以上、簡単でございますが、概要説明を終わります。
  6. 大石武一

    大石委員長 これで説明聴取を終わります。     ─────────────
  7. 大石武一

    大石委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
  8. 田中武夫

    田中(武)委員 労働大臣に基本的な問題で一、二お伺いいたし、引き続いて具体的な問題を例としてあげていきたい、こう思うわけなのです。  まず、今日、日本国内はいわゆる高度成長ということで若い労働力が不足しておる。そこで沖繩あるいは韓国台湾からも若い労働力を入れろというような動きがございます。また一面、万国博の建設等で、いわゆる手伝いといいますか、建設労務者が足りないのでそういう動きもあるわけなのですが、現在沖繩から日本に来ておるといいますか、戦前からおる人は別といたしまして、最近沖繩からそういうことで集団就職等をしたような数あるいはそういうときにはどういう手続きをしてこっちへ呼んでくるのか、なお韓国台湾等についてはどのような実態であり、どういうように考えておられるのか、お伺いいたします。
  9. 小川平二

    小川国務大臣 最近におきまする労働力需給逼迫状況については、田中委員よく御承知のとおりでございます。こういう事態に根本的にはどのようにして対処していくべきかという問題でございます。なるほど、労働力需給逼迫人手不足が著しくなってきてはおりますけれども、今日なおきわめて安易に人手にたよる慣行も残っておる。個々の労働者の能力が十二分に発揮されておらないわけでございます。西ドイツ等においては、日本労働人口のちょうど半分で同じ規模の経済をささえておるわけでございますが、根本的には経済全体の効率化で対処していくべきものだと考えております。  そこで、ただいま韓国あるいは台湾と、外国人労働力移入についてどう思うかという御質問でございますが、政府といたしましては、まだまだこれから努力する余地がいろいろ残っておる、労働力の新しい供給源も開拓の余地がございまするし、職業訓練その他によって、現におりまする労働力の質を高めていくという余地もまだまだ残っておると存じます。当面、この労働力不足の問題は、日本人だけで解決をしていきたい。もっとも万博等に際しましては、ピーク時に五万人と推計される追加的な労働力が必要になりますので、さような場合には、特に沖繩方々に応援を願いたいということは考えておりますが、それ以外の点につきましては、当面考えておりません。  沖繩からどの程度の人が現に日本に来て働いておるか、その際の手続がどうであるかということにつきましては、事務当局からお耳に入れさせます。
  10. 有馬元治

    有馬説明員 沖繩から本土へ受け入れておりまする労働者の数は、最近の三年間の数字を申し上げますと、昭和四十年に九千三百八十四人、四十一年に九千四百五十六人、四十二年に一万二千八百二十一名。これは就職を目的として沖繩から本土へ来た者の数でございますが、この中にはいわゆる中学と高校を出た学卒者が含まれております。その数は、中卒で、四十年が千百七十六名、四十一年が千百五十四名、四十二年が千百二十七名。高卒は、同じく四十年が七百五十一名、四十一年が六百七十二名、四十二年が七百八十六名。大体、高卒中卒と合わせまして二千名足らずの学卒本土へ参っております。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 手続は。たとえばパスポート等を持ってくるのでしょう。
  12. 有馬元治

    有馬説明員 手続は、これは沖繩からの出域手続でもって本土に入っております。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 沖繩のことはあとで聞くとして、まず韓国台湾について、労働大臣はいまのところ受け入れる気持ちはない、こういうことですが、さきに看護婦見習いとかなんとかで、集団で三十名だったか来たこともありますね。それはそれといたしまして、いまのところ受け入れる気持ちがないということですけれども、これはよほど考えないと、国内の労働問題にも関係がありますし、さらに韓国台湾は特に戦前の例がございまして、また安い賃金日本韓国人ないし台湾人といいますか、中華民国の労働者を搾取する、こういう考え方があろうと思います。したがって、いまのところないということですから、これ以上伺いませんが、そういうこともあり得る場合は、これは向こうの国の実情、ことに戦前との関係において、よほど慎重にしないと、私は国際問題も起こりかねないと思う。これは戦前、たとえば韓国――北朝鮮も入れてですが、出身者に対してとのような労働条件で臨んだかということは、もう皆さんも、大臣も御承知のとおりでありますから、それの再現だと受け取られるようなことは決してやってはならぬ、こう思います。と同時に国内労働需給関係、ことに国内労働予備軍との関係等々も配慮する必要があると思います。その点については大臣としては異論はないと思いますが、いかがですか。
  14. 小川平二

    小川国務大臣 いま御指摘のあったような事柄に関連をいたしまして、いろいろむずかしい問題が起こってくるに違いない。そのことも実は外国人労働力移入に踏み切ることができない、ちゅうちょせざるを得ない一つの理由でございます。御指摘のことはもちろん今後の参考といたすつもりでございます。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 財界というか、経営者の中にはとつくからそういう考え方を持っている人があります。したがって、いずれかのうちにこれが問題化することもあろうと思いますから、前もって十分こういう点を検討し、気をつけてもらうことを要望しておきます。  それから沖繩からの求人ですが、ことに中卒あるいは高卒新規採用の問題について、あちこちに問題を起こしております。そこで大体沖繩のほうへこれこれの人が必要である、こういうことはやはり公的機関を通じてやるのですか。
  16. 有馬元治

    有馬説明員 本土求人は、すべて労働省を経由いたしまして琉球政府求人連絡をとっております。そこで求人条件が著しく悪いというものについては、私のところでチェックをいたしまして、琉球政府連絡をしない。そして沖繩に渡航した後の求人活動といいますか、これにつきましては琉球政府の指示に従って求人活動をやっておる、こういう状態でございます。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 労働省、出先としては職業安定所だと思うのですが、国内においては中卒者は全部そこを通じなくてはいかぬことになっておる。そこで労働条件等を検討して、あまり悪いのには訂正をさすとか、こういうことでチェックをしている。こういうことなんですが、求人のときにはいいことを言っておって、いざ来てしまって仕事につくと話は変わっておった、約束が違うじゃないか、こういうことで問題を起こしたところも聞いております。  そこでお伺いするのですが、ことに中卒高卒等沖繩から来た人の定着率はどういうことになっています。それから最初琉球政府を通じて提示したところの労働条件と実際の労働条件が違っておった、こういうようなことについて、労働省として指導をしたりあるいは指摘した、そういう事実はございますか。
  18. 有馬元治

    有馬説明員 沖繩から本土へ参りました中卒あるいは高卒者だけの離職率につきましては、特別にとっておりませんが、やはり一般的な傾向として九カ月間に一六%、一年に引き直しますと二十数%という離職率になっておりますが、この一般的な傾向に近いのではないかというふうに考えております。また具体的に求人条件と実際の雇用条件が違っておるというような事例は間々ございまして、私ども安定機関並びに監督署連絡をとりながら求人指導を積極的にやっておりまするが、中には求人条件と実際とが食い違っておるという事例が御指摘のようにございます。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 ございますじゃなくて、あった場合はどうするのかということです。  それから、内地中卒者にももちろん問題は多くございますが、沖繩から来た人が、労働条件が違う、そういうことで離職した場合に沖繩へ帰るのか、それとも内地でぐれるといいますか、突き放されてしまって堕落していくとか、やけになるとかという事例もあると思うのです。そういうことについてチェックはしていないのですか。
  20. 有馬元治

    有馬説明員 沖繩出身者につきましては琉球政府との間に職業紹介業務取り扱い要領というのを三十九年の三月にきめてございまして、転職につきましては十分相談安定機関が行なって、それでもなおかつ沖繩へ帰るというふうな場合には帰郷旅費の全額を企業主使用主負担する、こういった取りきめがございます。また基準法最低基準は下回らない、あるいは退職金制度があるといったような条件がついてございますが、この取り扱い要領に基づきまして、まあ本土学卒者以上に沖繩からの学卒者については安定機関としては注意を払って指導をしておるというのが実情でございます。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 内地学卒者中卒高卒沖繩から受け入れた労働者労働条件は、特別な帰るとか来るとかという旅費とか、そういうことは当然のこととして、それ以外の工場で働く上に立っての労働条件は変わっておりますか、変わっていないですか。
  22. 有馬元治

    有馬説明員 本土学卒者と同一でございます。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 もうすでにこれは解決を見たとも聞いておりますし、したがって、いまここでそのことを私は問題視するつもりじゃないのですが、実は私の地元にも問題を起こした例がございます。兵庫県の加古川市で日本製麻といいます、そこが労働条件最初の提示せられたのと違っておる。ことに、旅券を持つんですね、沖繩から来る場合は。その旅券会社が取り上げるというか預かるというか、保管する、そういうことで動けないようにする、そういうような事例がかつてあったと聞いております。同時に、そういうことが加古川中心としての工場に起こるならば今後のその加古川中心求人にも差しつかえる、こういうことで地元で問題になり、地元の新聞をにぎわしたことがございます。そのことについてもう調べられて、その結果もわかっておると思うのですが、簡単でよろしいですから経過をお述べいただきたいと思います。  それから、そういう旅券会社保管するということは、私は労働条件以前の人権問題ではないか、このように思うのですが、そういう事例についてはいかがでしょうか。
  24. 有馬元治

    有馬説明員 御指摘日本製麻加古川工場におきまして、この春沖繩から航渡してまいりました学卒者につきましてパスポートを一時会社が全員について保管をした事実がございます。これは、会社側の言い分によりますと、紛失事件がございまして、パスポートが非常に貴重なものでございますからこれを会社は好意的に保管をしたという事実がございましたが、これは現在では全部各人保管に戻しております。会社はあくまで離職防止という観点でパスポート保管したという趣旨ではなくて、紛失を防止するという意味が一時預かった、こういう経過になっております。私どもとしましても、この事例契機といたしまして、離職防止という誤解を受けるような結果になりまするから、パスポートについては必ず各個人が保管をするように厳重に指導しておる次第でございます。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 会社はそう言うだろうとは思います。しかし実際においては離職防止というよりか、むしろ逃げ出さない、悪く言うならばもっと条件の悪い仕事をさしても動きがとれないようにしたんじゃないか、こういうことすら考えられます。しかしこれは各個に返したということを私も聞いております。したがってこの事件はそれで済んだと思いますが、今後沖繩から受け入れる若い人たち、ことに若い人たちについてこのような事例は私はほかにもあろうと思うのです。だから提示した労働条件と実際の労働条件の違いがあるのかないのか、あるいは労働条件以前の人権問題としてパスポート旅券等保管したり、取り上げる――保管というのは聞こえはよろしい。しかし取り上げるということになれば問題です。そういうことのないようにひとつ十分な注意指導をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。ほかにもそういう点はあったと思うのですが、いかがでしょうか。
  26. 有馬元治

    有馬説明員 パスポート保管につきましては、私ほかの事例はあまり承知いたしておりませんが、少なくとも加古川にこういう事件がございましたので、これを契機にこの点は十分厳重に注意するように指導してまいりたいと思います。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣どうです。同じ意見だろうが……。
  28. 小川平二

    小川国務大臣 ただいまお話の出ております、要するにこれは雇用条件求人に際して提示された雇用条件と実際の労働条件が食い違っておるということでございますが、こういう事態が発生いたしませんように、特に沖繩出身新規学卒に対しましては、この春から働く青少年手帳を渡しまして、これに雇用条件を記載せしめる、食い違いのないようなことも努力をしてきておりまして、ただいまの旅券の問題につきましては、足どめ策として旅券を預かるというようなことを方々で始めるようではたいへんな問題でございますので、厳重に監督もし、指導もいたしてまいりたいと思います。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 この件はこの程度にして次に進みたいと思います。  今日日本経済界等では、いわゆる合理化ということが急ピッチで進められておりまして、そのやり方には私は二つあると思う。一つ企業合併というかっこうで合理化が進められている。一つは新しい設備大型設備合理化していくというやり方をやっております。それに対して労働組合では、そのしわ寄せが労働者にくることを警戒し、これに対して反対というか、十分納得がいかなければというような姿勢をとっております。そこで会社はそういったことにじゃまになる組合役員を、あるいは上部団体から脱退せしめるようにあるいは役員選挙までもいわゆる職制が介入してやっていきたいというような事実がいままでもたくさんあります。しかもその会社といいますか、経営者労働者ないし労働組合に臨む態度は、大きくいって私は三つあると思う。まず第一手段は肩たたき、甘言をもって誘うあるいは役付の係長なり課長その他のうちへ誘って飲ましたり食わしたりする、あるいはどこかで一ぱいやろうというような、そういうまず懐柔手段がとられる、この時点においてイチコロになってしまう組合役員あるいは労働者もございます。それでだめだったら第二手段分裂政策であります、組合を割るという政策をとる、そしてこれでもだめなら第三手段は徹底的な弾圧、徹底的ないやがらせをやるのです、そういう事例はいまたくさんございます。最近私が見てまいりましたのは積水化学の尼崎工場での事件でございます。これは合化労連にその組合は入っておりました。しかし合化労連合理化反対だ、こういうようにまず方針を打ち出しておる。そこでどういうような方法を講じたか、いま申しましたような手段が行なわれたと推測いたします。そうして組合が二つに分裂した。それで第二組合のほうがいま圧倒的にもちろん多くなっております。そこで第一組合、いわゆる合化の組織に残っておるところの労働者組合員に対してはいやがらせが徹底的に行なわれておる。その方法の一、二を申し上げますと、三十年もの経験を持つ熟練工をその仕事をさせずに草むしりをさせ、ガラスふきをさせあるいは交通事故であったと思いますが、足をけがした、そういうのにわざと重量運搬をさせ、あるいは女の子に対しましてはレポートを書けということで、その子を一人まん中に置いて両方に指導者というか職制がすわって書かせしめる、その書かせしめることは、その子の能力を越えたようなものを書かせしめる、あるいは仕事を与えるにいたしましても、作業心得といいますか薄っぺらなパンフレットのようなものを三日間も五日間も毎日それを読ませしめる、こういうことでその問題の解決のために第一組合が団交を申し入れてもこれを拒否する。いわゆる団体交渉申し入れの拒否は不当労働行為であります。そういうことで、組合関係しておるということで差別待遇、不利益待遇をするのもこれは不当労働行為であります。そこで組合は兵庫県の地方労働委員会に対して不当労働行為の訴えと同時に、法務局に対して人権問題として訴えております。最近法務局のほうからそういう調査がなされました。そのときに出した書類を私ここに持っております。例を読み上げるなら幾らでもございますが、そういったような事案が起きておりますが、そういうことについて労働省はどの程度知っており、どう考え、どうしようとするのかお伺いいたします。
  30. 小川平二

    小川国務大臣 ただいま御指摘になりましたような点が問題になっておる、この点については概略報告を聞いておりますので、ただいま労政局長からお耳に入れさせますが、労働省といたしましてはいかなる場合にも労働組合法七条に規定いたしておりますような不当労働行為をやってはならない、こういうことで絶えず労働教育につとめておる次第でございます。当面のこの問題につきましては第一組合から地労委に対して救済の申し立てがなされ、現に審理中と聞いておりますので、この具体的問題そのものについて労働省としての見解を申し上げるということは、これは差し控えたいと存じます。さようなことが起こりませんように絶えず努力はいたしておるわけであります。事実について聞き及んでおりますことは労政局長から答弁をいたさせます。
  31. 松永正男

    ○松永説明員 ただいま先生御指摘になられましたように、積水化学におきましては昨年末以来組合の分裂問題が起こりまして、合化労連から脱退するという者とそれから依然として合化労連の系統に残るという者との二つの組合が生じておるのは御指摘のとおりでございます。尼崎工場におきましては、この合化労連系統の組合のほうから兵庫の地労委に対しまして、会社がこの合化派の組合に対しまして入浴時間であるとかあるいは夜勤の勤務者の仮眠時間の規制であるとか、それから窓ふき、草むしり等の雑役に従事をさせるというような差別取り扱いを行なっておるという理由で不当労働行為の救済申し立てを行なっております。件数は全部で六件であるというふうに承知をいたしております。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 個人救済と団交拒否の不当労働行為とを別にして答弁してください。
  33. 松永正男

    ○松永説明員 私どもの聞いておりますのは、尼崎工場に関しましてはこの六件いずれも個人救済のものであるというふうに聞いております。  それから地労委におきましては、現在これの審査を行なっておるところでございますが、会社側の言い分といたしましてはこのような組合の不当労働行為申し立てに対しまして、入浴時間については従来便宜的に就業時間中に与えていたけれども、たまたま時間の都合で若干入浴時間をずらして与えようとしたところが、合化派の組合員四人が入浴を拒否して職制をつるし上げたので、同職制の業務を妨害したために翌日から就業時間内の入浴を認めないことにしたものである、それから仮眠時間につきましてはやはり同じように九人の人たちが職制に対しまして支配と介入をしておるという理由でこれをつるし上げた、したがって、そのために便宜認めておる仮眠時間を四日間与えなかったのであります。また窓ふき、草むしり等の雑役については、作業環境整備のため待ち時間等に職制が指示したもので、一方の組合員だけに行なわせたものではないというような反論をしておるようでございます。  いずれにいたしましても、地労委で詳細な事実審査をいたしまして何らかの決定が出るものと考えておるのでございますが、往々にいたしまして労使関係一つの撹乱要素といたしましては、御指摘のようにいろいろな経済情勢の変転等をめぐりまして、また組合内の事情等から組合が分裂するというような事態におきまして、このようなトラブルが発生しがちでございます。われわれといたしましては労働組合法第七条におきまして労使双方不介入の原則、団結権の保護という規定を先生十分御承知のようにうたっておりますので、その趣旨につきましての教育の徹底ということは、労働協会あるいは各県の労政機関等を通じて日ごろ心がけておるところでございますが、今後におきましても組合法の趣旨にもとるような行為がないような教育というものには引き続き努力をいたしてまいりたいと思います。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 まあ会社会社としての言い分があろうと思います。実は私も先日、合化労連本部及び兵庫県総評の依頼といいますか要請によりまして、合化組合役員と一諸に尼崎に行きまして、これらのいじめられておる人たちからなまの声を聞いてきました。その後私は会社工場長がいなかったので、総務課長に会いまして、いろいろ希望も言い、何かいたしました。そこでレポートの作成等はもうやめた、こういうことでありますが、職制をつるし上げるということについて、私はそれはあまり聞いておりませんけれども、かりにそれがあったとしても、それはそれとしての問題であって、そのための罰則として定められた入浴をやらさないとかあるいは仮眠時間を与えないということは、これは問題であると思います。これはまさに人権問題であると思います。私はその組合員個々と話をし、会社側に会って、それから法務局にも行きました。それから兵庫県の地方労働委員会にも行きました。実は、御承知だと思いますが、私は国会へ出るまでに長い間兵庫県の地方労働委員をやっておりました。そこでいろいろ地労委の事務局長とも話しましたが、出ておるけれどもまだ実際に審理は進められていないというようなことなんです。そこで、労働省なり役所が組合間の問題について介入することは厳に慎むべきである。しかしながら一面、はっきりしたそういった差別待遇が出ておるということ、それが人権にも関係するというようなことであるならば、これはよろしく指導をしてもらう必要がある、こういうように思うわけなんです。労働大臣、いかがでしょうか。私はこれはむずかしいと思うのですが、組合の活動に役所が介入することはいけないし、われわれもそれはやるべきでないと思う。しかし個々の労働者に対して労働基準法を越えた過酷なことをやらしめるとか、あるいはいまお聞きのような、一面職制に文句を言ったという事実があったにせよ、与えられた仮眠時間を与えないとか、入浴時間を与えないというようなこと、入浴はともかくとして、仮眠時間等については労働基準法にもあると思うのです、休憩の時間が。そういうことの違反にもつながってくると思うのです。そういう問題については、労働大臣はどういうような方針で臨まれますか。
  35. 小川平二

    小川国務大臣 ただいま問題となっております事件そのものは、ただいま審査が行なわれておるわけでございますから、それについてとやかくは申しませんが、一般的に申しますれば、ただいまおことばにございました処罰の手段として入浴を禁ずるということが、かりにそういう事実があったといたしますれば、これは捨てておかれない人権問題であると存じます。さような場合には、もとより労働省といたしましても断固たる態度で臨まなければならないことは当然だと思います。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 いま大臣から方針を伺ったのでけっこうですけれども、ここでひとつお互いに考えたいと思うことは、こういうような場合はできるだけすまに追いやるといいますか、その組合員なり従業員を孤独感におとしいれる。いやがらせを徹底的に行なう。一面、労働委員会が審査を進めておるが、こういう以前にもう本人がへこたれてしまって、ことに女の子なんかは毎日泣いているそうですね。今日のような状態ですから、それが親なり何かに聞こえたら、そんなにまでして行かなくたってほかへ行けばいいじゃないか、こういうようなことで、早くやらなければ、救済の決定が出たときには救済すべき主体がなくなっておる、こういうことが往々にしてあるわけなんです。私はそれに対してはがんばりなさい、こういう話をしましたが、まあ男はともかくとして女の子なんかもたないのじゃないかと思うのです。毎日泣いているそうです。うちへ帰って泣く。そうすると親たちは、そないまでしられて働く必要ないじゃないか、こういう状態が起こっているということで、それは労働委員会は私もおりましたから知っておりますが、労働省等が介入すべきではありません。しかし早く結審をすべきである。そういうことの要望は、私自体も兵庫地労委へ参りまして事務局長あるいは担当の審査長といいますか審査委員長に話をしてきましたが、そういうようにおくれるために、せっかくの救済が出されてももうその主体がいなくなっておる、こういうことのないように、一般的方針として労働省が労働委員会の運営等々について指導意見を述べられたり指導をすることはできると思います。そういう点はいかがでしょう。
  37. 松永正男

    ○松永説明員 ただいま御指摘になりました不当労働行為の審査事案が相当時間を要するということは、先生もお手がけになりましてよく御存じだと思うのでございますが、複雑な事実関係を公正に判断するというために、審査に当たられる委員方々も非常に慎重でございますので、とかくそうなりがちでございます。これは地労委、中労委を通じまして、審査促進ということは非常に大きな問題として掲げております。ことしも全労委協議会がございますが、その際にも審査促進をどうするかということを非常に熱心に御討議をなされる予定と伺っておりますが、私どもといたしましても公正でしかも迅速な審理、これは何よりも理想でございますので、今後とも中労委、地労委等とも連絡をとりまして、その方向で推進していきたいと思います。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 ここに私、事実を調べたものがあるわけなんです。何ならここに掲載してもいいのです。しかしそれはやめるとして、あなた全部御承知でしょうか。渡しましょうか。
  39. 松永正男

    ○松永説明員 はい。     〔田中(武)委員、松永説明員に書類を渡す〕
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ委員長、私はそれを全部事実としてここに掲載しようと思ったのですが、いま渡しましたからそれはやめます。  それじゃこの問題は、今後の労働省の出方といいますか、その出方にもむずかしい点があろうと思いますが、ひとつ注目したいと思います。  次に移ります。これはきわめてきわものといえばおかしいが、いま起こった事件なんですが、御承知のように昨日の午後二時半ごろ江戸川の町工場、これはゴムの加工工場のようですが、そこで火災が発生し五人の婦人労働者が焼死した。その原因は、何かシンナーの蒸発による引火だと言われております。  そこで、まずこの事故について労働省として調べられた点、どこに問題があったのか等々を労働災害の上からながめられて、調査なりあるいは行かれたと思うのですが、関係者から聞かれた点等について簡単にひとつ述べていただきたいと思います。
  41. 村上茂利

    ○村上説明員 御指摘の事案は、昨日午後二時二十五分、江戸川区平井三丁目二千六十三番地の富士ラバー・インダストリーで起こりました爆発事故でございます。この事業場は労働者数十七名でございますが、このうち死亡した労働者が六名、軽傷二名、合計八名の被災者が出ましたことは、はなはだ遺憾に存ずる次第でございます。  この事業場は、御指摘のようにピンポンのラケットにシンナーを溶剤とする接着剤を用いてラバーを張る製造工場でございますが、調査によりますと、被災当日給料日のため作業を早目に済まそうとしまして、シンナーをしみ込ませたぼろ布で作業台にこびりついた接着剤などをふきとっていたときに、気化したシンナーが作業場入り口付近にあったガスこんろの火で引火爆発したものと推定をいたしておるわけでございます。  目下調査中でございますが、問題点を簡単に申し上げますと、先生御承知のようにシンナーはベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチレン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの混合物でございまして、つくる会社によりましてその品質も若干異なります。そしてこれを使用する場所も、開放的な場所で使うか密閉した場所で使うかなどによりまして条件が非常に違いますけれども、大体引火点は摂氏の五度ないし十五度程度で引火をし、爆発範囲は空気中の含有量が一・五%ないし一〇%で爆発をする危険性のある物質でございます。この点につきましては使用する場所との関連、先ほど申しました窓があけっぱなしの開放性の部屋ですと空気の流通がございますので、引火あるいは爆発限界点も低くなる、こういうことになりますので、規則の適用としましては安全衛生規則と有機溶剤中毒予防規則の二つの適用面があるわけでございますが、この適用関係についてはいま申しました構造物の条件その他等から見まして適用除外しておる関係もございます。そこで安全規則の面からは危険物取り扱い主任者に関する十条、それから通気、換気の措置に関する百四十条、それから火気使用の禁止に関する百四十条の二の規定、これらの規定の関連がどうなっておるか。それから有機溶剤中毒予防規則の適用につきましてその適用除外関係がどうなるのかといったような基本的な問題をも含めまして目下詳細な調査をいたしておるわけでございます。  ただ遺憾なことは、かりに常態として、法の適用関係がある固定的状態にありましても、給料日で早く仕事を片づけたいというのでシンナーをしみ込ませたぼろきれで接着剤をふき取るなんという一時に多量のシンナーを発散さすというような特別な状態になった場合にどうするかといったような問題になりますと、取り締まり上も今後いろいろ問題があろうかと存じます。ただいま申しました規則等との関連において鋭意調査をいたしておりますが、こういったふだんないような異常なガスの多量に発生するような状態にどう処理するかという点につきましては、危険物取り扱い主任者の活用問題とも関連いたしまして今後十分注意をしてまいりたいと思います。  この調査の結果につきましては厳正に措置いたしたいと思います。  なお、この労働者の中にはいわゆる家内労働者のようなものもおるのじゃないかというような報道がございますが、災害補償の適用につきましてはパートタイマーであろうが、臨時工であろうがすべて適用があるわけでございますので、パートタイマー的な女子労働者がございましても労災補償の適用につきましては何ら問題ございません。死亡者の六名の方、軽傷の二名の方々に対する災害補償につきましては保険法によりまして遺憾なきを期したい、かように存じております。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 だいぶ詳細にわたって報告があったので、これから先聞こうと思うことまでさすがに名答弁で言われてしまったわけですが、そこでもう少し基本的な問題としてお伺いしたいのです。  この労働災害とは別に、これは労働省の所管でないとしても、いま高等学校の生徒だとかあるいはローティーン、ハイティーンあたりですか、シンナー遊びが社会的問題になっています。これを有毒物と見るのかどうか。現在ではシンナーは自由に買えるわけですね。そこで労働基準法の六十三条の危険有害業務の就業制限、これは満十八歳以下及び婦人労働に適用するわけですが、その二項と三項との関係においてこれは有毒物と見るべきなんですか、そうでないんですか。先ほど法より小さい規則をもって――令をもってお答えになりましたが、その根本的な問題として六十三条でいうところの危険有毒物に指定すべきなのか。現在していないと思うのですが、その点どうでしょうか。
  43. 村上茂利

    ○村上説明員 シンナーは、御承知のように先ほど申しましたような化学物質を含有しているわけですが、それは一面中毒を惹起するという点では有害物でございます。それから爆発するという点では、これは危険物でございます。それで一般的には危険、有害な物質になりますけれども、それが先ほど申し上げましたように作業をする施設の構造等によりまして爆発、中毒の可能性が非常に減退するという条件がございますので、そういう施設構造との関連等を考慮いたしまして基準を定めておるようなわけでございます。ですから先生の御質問のように、これは危険、有害物だからその取り扱いについて一定の規制をすべきだという点につきましては、いま申しましたような施設構造の条件等との関連において定めておるということに相なっておるわけであります。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 頭から六十三条の適用のある危険、有害物だときめつけるには、それの使い方あるいは作業環境等によって結論が違う、こういうことであろうと思うのです。しかし、往々にして労働災害のこの種のものは、作業環境の悪い、零細企業といいますか、そういうところに起こりがちなのです。したがって、そういうところには労働基準監督官もあまり目が届かないだろうし、実際、規則とかあるいは法とかいうものさしをもってはかると、これはほとんど違法というか、あるいは改善を必要とするというようなところになるのじゃないか。しかし、それをぴしぴしやってしまうと、零細企業は、これはまた成り立たないという問題もあろうと思います。しかし、あくまでも労働省としては労働災害防止の上で、そういう点については、人も足りないだろうが、そういった準危険物といいますか、それを扱っておるような町工場等にももっと強力な指導が必要でないか、こう思うわけです。ことに労働災害が起こるたびに思うのですが、これは炭鉱なんか別にいたしまして、大体が零細企業に多いと思います。あるいは大企業の中に起こったとしましても、それは本工でなくて下請工――下請がその工場等に入って仕事をしておる。特にこれは社外工なんていっておりますが、そういうところに多いようであります。これは私、問題だと思うのですが、そういうことについてはひとつ労働省は十分目をつけてもらわなければいけないと思いますが、その点大臣から方針と決意を伺います。
  45. 小川平二

    小川国務大臣 ただいまの御指摘はきわめて適切な御指摘だと存じます。したがいまして、中小企業等につきましてはこれから先も指導を強化し、監督も濃密にする。また災害防除に必要な施設等につきましては、融資の方法もすでに開かれておりますけれども、これを活用して万全を期していきたいと思います。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 もうこれで終わりたいと思いますが、時間の関係等もあってきわめて簡潔に行ないましたけれども、私はいまの労働問題といいますか、これらの点についての重要な点に触れたと思うのです。その一つは、沖繩からの就職者、それに対する問題であります。それは現在の若い労働力の不足、あるいは日本国内における相対的な需給関係等によって今後もますます沖繩等から受け入れるであろうと思うのです。そのことについての問題に触れました。  その次は、いま盛んに行なわれておる経営者なり職制の労働組合への介入、あるいはひどいのになるとほんとうに一人一人を呼びつけて、今度の役員選挙にはだれそれを入れてはいけない、だれを入れろと、こういうような目に見えた組合干渉が行なわれており、あるいは職制、経営者等の手を通じての上部団体からの脱退が指導せられておる。これはもう明らかな事実なのです。そういうような問題。  さらに労働災害がことに零細下請に起こっておるという問題。これは一面、私は現在においては労働省として十分注意をしてもらわなくてはならない問題に触れたと思っておりますので、今後十分こういうことを考えて、ひとつ労働省として指導あるいは監督を強めていただくように要望いたしまして、終わります。
  47. 大石武一

    大石委員長 華山親義君。
  48. 華山親義

    ○華山委員 まず会計検査院に伺っておきたいのでございますけれども、私は会計検査院というものが存在するがゆえに、また実地調査をするがゆえにとうといのであって、金を徴収するということが目的ではないのだということを申し上げておったわけであります。     〔委員長退席、鍛冶委員長代理着席〕 それで労働省につきまして会計検査院が重点的に調べておりますところのものは、失業保険あるいは労災保険の保険料徴収がりっぱに行なわれているかどうか、そういうところに重点を置かれていままでやっていられるようであります。ところがこの失業保険につきまして見てみますと、全事業場に対する割合でありますけれども、三十九年には三・二%、四十年には二・五%、それから四十一年には二・二%、労災保険につきましてはやはり三十九年の二・九%、四十年には一・八%、四十一年には一・四%と明白にかつ著しく実地調査をなさった個所の割合が減っている。こういうことでございまして、総括的に私が伺ったところでは、会計検査院のほうでは決してそういうふうな調査の割合が減ってはおらないということを、私から言われれば強弁なさるのでございますけれども、この労働省に関する限り、重要な調査事項について割合の減少が見えるということは、これはどこに原因しているか。人が足りないのか、あるいはこれは減少してもいい調査項目なのかどうか、そういう点につきまして会計検査院の所見を伺っておきたい。
  49. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 ただいまの華山先生の御質問でございますが、私のところにおきまして、労働省検査につきましては労働検査課で課としては担当いたしております。人数も別に減っておるわけではございません。それから重点として検査をやっておるものもお話しの状況になっております。それでいま御指摘になりましたように、結果的に実地検査個所が率において減っておるというようなお話でございますが、たまたま減ってきておるようでございます。これは方針としましてはいまお話し申し上げましたとおりで、決して落とすような考えではございませんのですが、たとえば昨四十年度の検査につきましては臨時的と申しますか、特に先ほどちょっと概要説明で申し上げました都道府県労働基準局及び労働基準監督署における掲記について、こういう問題がやや空発的と申しますか、出てまいりまして、改善意見を出したわけでございますが、こういった改善意見のようなものにつきましてはかなり人と時間がかかっておったと思います。  それからさらにまたその後減ってきておりますのは、失業保険関係におきましても、たとえば給付の関係などでございますが、労働省では電子計算機センターを設けられまして、その関係の業務の執行の適正になるようにはかられました。ところが私どもがいろいろ調べておりますと、計算機に乗ってくる以前にもまたいろいろな不適正な事柄が起きておるようでございます。そういうものの調査にだんだん人と時間がかかるようになってきております。最初まだ若干その点の新しいやり力についてふなれな点がありますけれども、そういった点で率が落ちたかと思います。だんだんなれてもう少し率が上がるんじゃないかと思っておりますが、ここ二年の下がっておる率につきましてはそのようなことを申し上げられるかと思います。特に検査個所を減らすとかそういうことは毛頭ないと考えておる次第でございます。
  50. 華山親義

    ○華山委員 もちろんそういう意図を持ってなすっておられるわけではないでしょうけれども事業場の数は多くなってくるし、それから会計検査院の機能がそれに伴って拡大するわけではないので、自然にこのような状況が出てきているんではないだろうか。このことは会計検査院の機能に関することでありますので、局長に申し上げるのもいかがかと思いますけれども、私は会計検査院の機能として、こういうふうに明白に三カ年間実地調査をした、ところがした場所が総事業場について減っているということは、私は相当考えなくちゃならぬ問題だと思います。この点ひとつお帰りになりましたならば長官にでもよくお話しなすってください。いまおっしゃったようなことでは私納得いきません。なるほど注意事項というものがございましたけれども、そのことのために各官署がやっていることについてそれだけの人がかかったなどということは、私ないと思うのですよ。これだけは私から御注意といいますか希望を申し上げておきたいと思います。  なお一つ会計検査院に希望いたしますけれども、この事業場におきましてどれだけの追徴額があったかということがわかりますけれども、追徴額のこの全額に対する割合、正当に取るならばこれこれであるけれどもそれについてこれだけが不足していたということが報告されていないですね。これは私の見方が悪いかどうか、また間違っておったならばあとで教えていただいてもいいのですけれども、そうしますと一体どういうふうなことでこれだけ少なくなったのか、どういう割合で徴収が不足しているのか、そうだったならばこれは予算等にも関係がある。そういう点が明白でない。会計検査院は今後、正当に取ったならば幾らなんだがこれしか入ってこなかったんだというようなことを明示するようなことをお考え願いたいと思うのですけれども、困難でございましょうか。
  51. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 従来同じような形で掲記しておりますが、先生のおっしゃる趣旨のことを検討させていただきたいと思いますが、たぶんできると思います。
  52. 華山親義

    ○華山委員 そういう点が明白でありませんと、行政実績が明白になりませんから、ひとつそういうことも、簡単だと思いますので今後載せていただきたいと思っております。  それから失業保険と労災保険の間におきまして三十九年は一二・五%、それから四十年がやや下がって九・七%、四十一年が一〇・九%であります。それから労災保険につきましては八・七%、一一・六%、五・七%、いろいろ変化をいたしておりまして、一つ傾向々見ることはできませんけれども、いつでも大臣等のお話にはこういうふうな会計検査院の報告等につきましては万全の措置を講じて、不都合なことのないように気をつけると言われるけれども、具体的にはこの完全な徴収に向かってどういうことをなすっていられるのですか、伺いたい。
  53. 有馬元治

    有馬説明員 失業保険の特会におきまして歳入見積もりが多少甘過ぎたという問題があるわけでございますが、これは見込みでございますから多少は違いますけれども……
  54. 華山親義

    ○華山委員 ちょっと、私お聞きしているのと違うようでございますけれども、歳入見積もりとの問題は別でございます。こういうふうな正当に納付すべきものを納付していないというような会計検査院指摘がございますね。この改善について具体的にどういうことをやられているかということなんです。
  55. 村上茂利

    ○村上説明員 労災保険関係について私から申し上げます。  会計検査院から御指摘をいただいて追加徴収をしたりいろんなケースがございますが、労災保険で保険料徴収で一番問題がございますのは有期事業、つまり建設業で、方々で工事をいたします、それをできるだけ的確に把握しようと思いますが、何ぶんにも短期の工事ですと、現場を把握しようとしている間に工事が終わってしまうとか、何と申しますか機動性がございますので、こういうものの把握に実は非常に苦しんでおるわけでございます。従来会計検査院から御指摘をいただいておりますのは、その有期事業についての徴収不足が特に指摘されておったわけであります。それで労働省といたしましては、そういう建設工事の発注の大どころであります建設省関係、都道府県関係、それから三公社五現業、それから市町村関係、そういったいわゆる公共事業の発注機関を重点にいたしまして、連絡をとりつつ、いわばその根っこのほうからどれくらいの工事量が発注されておるのかということを十年間くらいの間相当重点を置いてやってきたわけでございます。そういった関係で、関係機関との連絡のよしあしその他もございまして、その徴収不足とか検査院から御指摘をいただきました数字は必ずしも一定の傾向を示しておらぬ状況でございますけれども、そういった点、発注機関との連絡を一そう緊密にするということ、それから工事の繁閑を考えまして、工事の集中的に出されるような時期に調査を密にするといったような配慮をいたしまして、できるだけ徴収漏れのないようにいたしておる次第でございます。
  56. 有馬元治

    有馬説明員 御指摘徴収不足の措置につきましては、失業保険の場合におきましても、これの再発の防止対策については絶えず厳重に指導をしておるわけでございますが、一部の事業主の中には賃金総額の申告が不適当であったり、あるいは保険の趣旨を曲解といいますか、誤解をしておったりいろいろございますので、事業主の指導を適正にやるということを第一に心がけております。同時に監察官制度をフルに使いまして、実地の監査を適時やってこの是正につとめておるわけでございますが、会計検査院から御指摘がございまして、年度末までには大部分徴収されておるというふうな傾向もございますので、私どもとしましては指摘されるまでもなく徴収の適正化について一段と努力をしてまいりたいと思います。
  57. 華山親義

    ○華山委員 ただいまのお答えの中で私、ふに落ちない点があるのですけれども会計検査院から指摘された分は年度末までには完全に取るというふうなことの問題じゃないと思うのです。会計検査院の調査したのが先ほど申し上げましたとおりきわめて標本的な何パーセントというふうなわずかなものなんです。それで指摘された分を徴収したからといって、これで万事終われりというものじゃないと思う。もっともっと会計検査院の調査されなかったものに大きなものがありはしないか。そういうことにつきましてはどういうふうなことをなすっていらっしゃるのですか。
  58. 有馬元治

    有馬説明員 検査院の検査を受けたものは、御指摘のようにごく小部分でございますが、ただ傾向としましては、私ども指摘を受けたケースと似たような傾向がございますから、私どもとしましては御指摘を参考といたしまして、全体についていま申しましたような厳重な監督指導を行なっておる、こういうことでございます。
  59. 華山親義

    ○華山委員 これについて伺いたいのでございますけれども、私ども国会といたしましては、この問題につきましては重視しなければいけないと思いますが、業者といいますか、そのほうから初めに出した保険料といいますか、そういうものと、その後に労働省検査した結果、これだけのものをさらに追徴したという数字、そういうものがございましたならばいただきたいと思いますが、そういうものございませんか。
  60. 村上茂利

    ○村上説明員 それでは労災関係につきまして、私ども行ないました実績を数字で申し上げたいと思います。  たとえば昭和四十一年度におきましては、当初の保険料の目標額を設定いたしますけれども、さらにその後の賃金とか労働者数の伸びを見ましてもっと取れるのではないかというような判断は本省もいたしますし、都道府県の労働基準局もいたします。そうしてあらかじめ調査をいたしまして、追加徴収したもの、たとえば四十一年度で申し上げますと、十二万三千十四事業場について調査を別に実施いたしております。その結果、その十二万事業場のうち、追加徴収すべきものとして決定した事業場数が五万三千三百六、その金額が十三億四千五百五万一千八百八十八というように、いわば当局側がみずから積極的に動きまして当初の目標額より以上に超過しておるという例がございます。同様な例は四十年度におきましても十三万事業場、そのうち追加徴収した事業場が六万七千、追加徴収した金額が九億、三十九年度は十二億、三十八年度は七億、三十七年度は九億九千九百万というように、先生のお考えからすればまだ不足だというような御指摘もあろうかと思いますが、われわれといたしましても適正な保険料徴収するということは保険経済の基礎をなすものでございますから、鋭意努力をいたしたい、かように考えております。
  61. 有馬元治

    有馬説明員 事業所の監査状況につきまして申し上げます。  四十年度は監査件数が八万七千三百八十九件、事業所の数で四万三千百四十五事業所監査をいたしまして、その結果保険料の更正増をいたしました額が五億六百六十三万三千四百十円、同じ年に監査の結果、取り過ぎておりまして更正減をした額が、事業所の数で二万四千二百七十六事業所監査をいたしまして減にした額が一億一千六百四十三万千八百五円、四十一年度も同じような監査をいたしておりますが、更正増が三億八千四百十五万六千四百四十五円、更正減が一億一千三百七十五万四千五百六十二円、こういうふうに、監査の結果、厳正に保険料の適正徴収をやっておるわけでございます。
  62. 華山親義

    ○華山委員 先ほど申し上げましたように、会計検査院のほうの調査の割合というものもだんだん減るような傾向にもありまして、この点は是正していただかなければいけないと思いますが、労働省人員が足りないということはございましょうけれども、この問題は今後の保険の、ほんとうに先ほど申しましたとおり実体にも関してくる問題でございますし、かりに、もし将来これらの保険に関する法律等の改正、そういうふうな問題が起きましたならば、必ずこれは追及される問題だと私は思うのです。そういう点から申しましても、少ない人員ではございましょうが、できるだけ的確に保険料徴収はやっていただきたい、こういうふうにお願いをしたいと思います。  それから、これは事務的なことでございますから、大臣からは伺わなくてもよろしいし、大臣も御同感だと思いますので、ここでは答弁をお願いいたしませんが、また華山始まったなと言われるかもしれません。  古い話でございまして、機会のあるごとに労働省にはお願いしている問題でございますけれども、現在のこの近代化された世の中で、また企業におきまして、最も近代化されないと思われる労働の社会は、ほかにもございましょうけれども、私は建設業だと思っておる。それで、この点につきまして私は四、五年前に――毎年言っていることでございますけれども、石田博英労働大臣にお聞きいたしたところが、石田博英大臣は、その際に、港湾労働者について一応立法的な措置が終わったので、今後は建設労働について近代化すべく努力をしたい、こういうふうに言われたわけであります。私は、何らかの法律的措置がとられるものではないかというふうに考えておったのでございますけれども、いまだに何らそういう傾向が出てこない。そうして、私が建設業界の非近代化を感ずるのは、出かせぎ者の問題を通じて感ずるわけであります。重ねて申しますけれども、なるほど労働省は出かせぎ者の問題につきまして大臣等も努力されました方もございまして、未払い金につきましては、元請の責任でやるようにやるとか、あるいは飯場等の改善について、これを改正して行なうとか、そういうことはやっていらっしゃるので、決して労働省は手をこまねいているというわけじゃございませんけれども、もっと根本的にこれに手を入れる必要があるのじゃないか、私はさように思います。論説めきますけれども、一体最近の大企業において、みずからの労働者を持たない企業というものはあるでしょうか。大建設業につきましては、末端的の労働者を持たない。そしてその労働というものは下請、下請にやらしている、そういうふうな実態。私は外国の例は知りません また、建設業の本質を知りませんから、言いませんけれども、そういうふうなことじゃなく、大建設会社は、技術者は持っている、事務者は持っている、ある程度の棒がしら程度の人は持っているかもしれないけれども労働者というものを自分で雇っておらない。これらの賃金を渡し、そしてこれを保護していくというのは、二段、三段階下の下請企業者という実態なんです。私はこの点にも非常に前近代的なものがあるのじゃないかと思うのです。大臣、この点いかがお考えになりますか。しかも、これらの労働者には団結力もない、団結する力も弱い。そうであるならば、労働省は、すでに団結力を持つところの組合中心を置いてはならない。いまや団結力を持たない者、団結力の弱い者に手を伸ばすべき時代が来ているのじゃないか、そういうふうにも考えますので、建設業界労働の近代化という面につきまして、根本的な考えをひとつやっていただきたいと思ってお願いをする次第であります。いかがでございますか。
  63. 小川平二

    小川国務大臣 いま御指摘のありました港湾労働者、それから建設労働者、確かに多くの類似の点を持っておると存じます。仕事もひとしく屋外の仕事を主といたしておるわけでございますし、同じような下請系列で仕事が行なわれておる。あるいはまた、就労の形態も臨時的、短期的なものが多い。また、労働力の需給という点から見ましても波動的であるという点、非常に多くの類似の点を持っておると存じます。したがいまして、港湾労働者と同様に何らかの立法措置を講ずる必要がありはしないかというただいまの御発言の御趣旨は、よく理解できるのであります。この点につきましては、雇用安定審議会の中に先般来特に建設労働部会を設けまして、根本的に実態の御研究を願っておる段階でございます。何かの立法措置を要するやいなやというところまではまだ話が掘り下がっておりませんけれども、非常に大切な問題でありますので、審議会の御審議を待って、必要な措置を講じてまいりたい、こう考えておるわけでございます。  ただいまも御指摘がございましたように、経営の形態が近代的ならざる形態であるというところから、災害も多発いたしておりますし、あるいは賃金不払いの案件等も建設業においてはとりわけ多いのでございまして、こういう点につきましては、監督を厳重にし、指導も今後ますます濃密な指導をやっていこう――重点的な指導を行なっておるわけでございます。ただいまの御指摘につきましては、私どももかねてからこのままいつまでほうっておける問題ではない、そういう問題意識をもって臨んでおる次第でございます。
  64. 華山親義

    ○華山委員 昨年私がここでお聞きしましたときよりも、大臣のお考え方は進んでおるようでございます。ぜひこの点は建設労働界の近代化に努力いたしていただきたいと思うのでございます。  出かせぎ者の問題につきまして私申し上げますが、大臣もよく御承知の点と思いますけれども、未払いの問題がございます。私どもは極力、そういう問題が起きた場合や、それから地方等におきましても安定所を通じて出かせぎに出ろということを言っておりますけれども、しかしなかなかそうまいらない点もあるようでございます。私は、そういう点におきまして出かせぎ者にも一半の責めはあるかと思います。しかし実際問題といたしまして、出かせぎ者の実態を申しますと、職安を通じてくる場合といわゆる手配師とか手先という連中が農村を回ったときと、聞く話では賃金等に違いがあるのです。ばかといえばばかかもしらぬけれども――ばかなんと言ったら出かぜき者におこられるかもしれませんが、やはり賃金の高いほうへ行くわけです。そういうふうなこともございますので、私どももやっておりますけれども労働省におきましても、とにかく安定所を通じて出ろということを徹底していただきたいと私は思う。しかし安定所を通じましてもなお未払いの出る場合もあります。しかし安定所を通じた以上は、これは国の責任でやったことでございますから、法律的なことはないにいたしましても、基準局も相当力を入れてくれると私も思いますので、ずいぶんよくなっておりますが、どうぞその点、安定所を通じろということを徹底的に県や市町村等を通じまして宣伝していただきたい。  それからもう一つお願いいたしますが、労働力不足の問題があります。屋外労働者につきましては、先ほど田中委員からもお話のありましたとおり、相当不足するだろうと思いますけれども、今日のような建設業界の労働の状態では出かせぎ者はとうとうとして製造業に流れる傾向が出ております。それで従来建設業界の不足を出かせぎ者に仰いでいた、そしてそれが定着してきたような状態になっておりますけれども、今後出かせぎ者は製造業に流れると私は思います。そこに建設業界の労働不足が深刻になってくるのじゃないのか。私はその点につきまして、労働問題としましても、労働省としては、労働力不足の意味からも建設業界の近代化を考えていただきたいと思うのです。  いま秋場の初めですから目立ちませんけれども、これからどんどん農村、僻村地帯からは出かせぎ者が出てまいる。そして彼らのやっている現場の仕事、建設業の仕事は何か、大体深夜作業です。都合においてはこういう交通の状態等もありますから、深夜作業でなければ仕事ができないという現実、その深夜作業に従事している人は一体だれなのか。私の見回った限りでは出かせぎ者が非常に多いのです。私は東京都のほうにも言ったのでございますけれども、あなた方は、米の不足のときには東北に来て米をもらいたい米を出してもらいたいと言って、東京都の米の困難な場合を戦後しばらくの間しのいできたじゃないか。いまあなた方が地方に仰いでいるのは労働者なんだ。     〔鍛冶委員長代理退席、田中(武)委員長代理     着席〕  水道も地下鉄もそういうふうな出かせぎ者がなければ都市問題は解決しませんよということを私は言っているわけなんです。今日では非常に重要な労働の源だと思うのです。ひとつそのことにつきまして、労働の源の問題として出かせぎ者の問題、建設業界の労働の問題について取り組んでいただきたい。特に出かせぎ者の立場ばかり私言っているわけじゃありません。日本の労働の問題だと思いますので、この点はお願いいたしたいと思います。  それから事務当局方々に申しますけれども、こういう事態がありますので申し上げておきます。  これもなかなか解決しなかったのですけれども、皆さま方の御努力で出かせぎ者に未払い等のあった場合は元請が責任を負う、元請がその責任を果たさない場合はいろいろな指名には参加させないという方針をとられた。この点はときどき注意いたしませんと忘れますから、堅持していただきたいと思います。ところが私の扱ったのではこういうのがある。ある有名な大会社があって、一代目、二代目、三代目の仕事をしていた。そこに未払いが起きた。三代目の直接仕事をやっていた者は逃げてしまった。それで私はその某大会社に対しまして払ってもらいたいということを言いましたところが、その会社はどういうことをしたか。二代目と三代目の下請業者を集めて、おまえらが始末をしろということを言った、そういうような実態なんです。それで私は前々から言うのですけれども政府はお取り上げにならないが、こういう社会情勢において未払いを生じた場合には、元請の無過失責任なのじゃないか。それだから法制的な措置が必要だということを申し上げているわけでございます。私は答弁は要りませんけれども、ひとつこの機会に実態をお話をしておきたいと思うのです。  それからこの点につきまして、私、はたと思ったことは、私テレビで見たのですけれども、盛岡だと思いますが、田植えのときに農村では手不足なわけです。ある部落で手不足なので、よその部落に行って、婦人らしいのですが、田植えを手伝う人々を集めて歩いた。これが法律の違反だということで摘発された。このことは農村に広く一般に行なわれていることであって、こういうことが法律違反だということになりますと、田植えのとき等に大きな障害が出やしないか、そもそもテレビで盛岡の安定所長でございますか、が、何か言われておりましたけれども、あまり明確でないようでございます。こういうふうな問題につきましては、労働省としてはどういうふうにお考えになっておるのでございますか。
  65. 小川平二

    小川国務大臣 出かせぎ労働者を安定所のルートに乗せる、就労の経路を正常ならしめるということがこの問題に対処いたします最重点でなければいけないということについては、私ども全く御同感でございます。なかなか骨の折れる仕事でございますけれども、これから先もその方針で努力を積み重ねてまりたいと存じております。  それからまた建設業において労働力需給逼迫がとりわけ著しいことはこれまた御指摘のあったとおりでございます。根本的には業界の近代化をやってもらわなくてはならない。そういう業者の自主的な努力に対しまして政府も力を入れていく必要があると存じます。何と申しましても安定した魅力のある職場でなければ労働者が集まってくるはずはございませんので、そういう努力がまず肝心だと存じます。労働省といたしましても、出かせぎ労働者を使っております職場、事業場について台帳をつくりまして、労働の環境あるいは労働条件を適正ならしめるための指導を今日までもやってまいっておりますが、これからも続けていくつもりでございます。
  66. 華山親義

    ○華山委員 ある大臣は、私の要請に基づきまして、大建設業者を集めて出かせぎ者の就労について特に協力を求められました。三年ばかり前のことでございますが、その後顕著な改善余地も見えないように私思いますし、ひとつ大臣にお願いいたしますけれども、大手の建設業者だけでもよいと思いますけれども、建設業者をお集めになって、出かせぎ者の就労について強く要望をしていただきたい、こういうふうにお願いをいたしたいと思います。  それから、先ほどの盛岡のあれはどうなんですかね。
  67. 有馬元治

    有馬説明員 御指摘のように盛岡で田植えの手伝いの募集の問題をめぐりまして労基法違反がございました。これが一般的な農繁期の慣行とも関連いたしますので、岩手県庁を中心といたしまして農林当局と労働関係の部局が相談いたしまして、その摘発されたような募集形態で賃金の一割に相当する謝礼を徴するというようなやり方は、これはまさに労基法に違反するわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、農繁期における農家の労働力確保対策としましては、農林省と労働省とできめました昭和四十年農家労働力対策事業実施要領、この線に沿いまして農業に必要な労働力の調整対策を実施することになっています。その線に乗っけて農繁期に必要な労働力の確保をしてまいりたい。それは、要するに安定所と市町村の農業委員会とがタイアップいたしまして、農繁期の労働力需給計画を公式に立てまして、その計画に基づきまして必要な労働力を確保、調整する。この摘発された事例のように、部落のいわばボスというような方々が暗躍するということでなしに、公の機関が計画を立て、公の機関の手を通して必要な労働力を確保する、こういう本来の対策要領の線に戻してこの問題を積極的に解決していこう、こういう方針でいま県庁を指導し、督励しておりますので、この線でこれからは改善される、こういうふうに存じます。
  68. 華山親義

    ○華山委員 これはたまたま盛岡が問題になりましたけれども、東北各地の農村は似たようなことが多いと思うのです。お話を聞きますと、やはりそういうことをやった人はあまりいいことではないと思うのですが、あまり厳格にやりますと人手が得られないということもありますので、その点過渡的な問題でもございますので、ひとつ東北各県等ともよく相談されまして、あまりひどい事態が起きないように御注意をお願いしたいと思います。  それから出かせぎ者の問題につきましては、これは建設省に私が言いますと必ず労働省のほうにしりを持ってくるのです。そういうふうなこともありますが、これは建設省自体に考えてもらわなければいけない問題がむしろ多いような気がいたします。そういうことで建設省のほうにも機会がありましたならば私からまたお願いいたしますけれども、ひとつ御協力を願いたいと思います。  それから飯場の改善につきまして、昨年飯場の改善を、規格を変えられまして求められましたが、その後現場の調査はなすってごらんになりましたでしょうか。
  69. 村上茂利

    ○村上説明員 この実施状況につきましては監督をいたしておるわけでありますが、これを徹底的に行ないますために本年の九月、先月でございますが、先月一斉に建設業の宿舎の監督を行ないました。その結果の集計はいずれ近いうちにできると思います。その結果に基づきましてさらに規則によりまして適正な指導監督を継続してまいりたい、かように存じます。
  70. 華山親義

    ○華山委員 終わります。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員長代理 これにて華山君の質疑は終了いたしました。  この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩をいたします。     午後零時三十六分休憩      ────◇─────     午後二時十九分開議
  72. 田中武夫

    田中(武)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田賢一君。
  73. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あとで大臣に労働不足等の労働対策について基本的な点を伺うことにして、まずその前提になる資料的な意味も含めまして若干事務当局から明らかにしておいていただきたい点があります。  第一点は職業訓練の制度と運営の問題であります。これは職安局長と思います。職業訓練が現在のごとき技術労務者の不足時代、あるいはまた中高年齢のだぶつきその他需給関係あるいはまた技術開発、職域の変化等から見まして、その重要であることはもちろんでございます。したがって本年の七月二十九日でありましたか、中央職業訓練審議会の答申にもございましたが、今後の職業訓練のあり方についてかなり詳細な答申が出ております。これも一応存じておりますが、大体のねらいは何か。それからもう一つは、非常に緊切な問題として職業訓練機関が取り上げておる点は何か。この二点について計画なり実情を要点だけひとつ御説明願いたいと思います。
  74. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 職業訓練の答申の関係について申し上げます。  御指摘のごとく、過日中央職業訓練審議会から職業訓練制度の抜本的な改革につきましての答申がございました。そのおおよその内容を申し上げますと、職業訓練は従来そのときそのときの必要に応じまして拡充してまいったのでございますが、各種訓練の間に必ずしも体系的な連関ができていないということが第一点でございます。したがいまして公共訓練と事業内訓練、それから公共訓練の中における一般職業訓練所と総合職業訓練所といったようなものにつきまして、一貫した体系をもって、教科内容も相互に共通できるような基準を定めて、全体として一貫した職業訓練ができるようにしろというのが第一点でございます。  それから第二点は、職業訓練というものは一部の者だけが受けるべきものではなくて、およそ労働者として生涯を送ろうとする者はすべて職業訓練を受けるのが原則である。したがいまして、新規学卒者等に対する養成訓練、それから転職者等に対する能力再開発訓練、また職長、熟練労働者等に対する再訓練といったような体系を組み立てまして、すべての労働者が訓練を受け得る、また受けなければならないというような施設と体系を発展させるというのが第二点でございます。  それから第三点といたしましては、すべての労働者職業訓練を受けるためには、公共の職業訓練所だけではこれは何カ所増設いたしましてもとうてい間に合うものではございませんし、諸外国の実情を見ましても、職業訓練労働者の過半数に及んでおるようなところはいずれも事業内訓練を主体にいたしております。日本におきましても、今後企業内の職業訓練というものを飛躍的に拡充しなければならない。その企業内訓練を主体とするものにつきまして公共訓練との分担を定めるとともに、企業内職業訓練についての国の援助、補助といったようなものを飛躍的に増大させる必要があるというのが第三点でございます。  それから第四に、技能検定の拡充ということも申しております。また今後の日本が成り行くためには、ホワイトカラー偏重という風潮を改めまして、頭と腕とを備えた労働者、額に汗して働く労働というものを尊重する機運を盛り上げることが何よりも重要であるというようなことも指摘しておる次第でございます。  手元にちょっと資料がございませんが、おおまかな趣旨はそのようなところであるわけでございます。
  75. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは非常に重大な将来性のある機関でございますが、さて国といたしましては、労働省は予算関係から見て、去年、ことしあるいは四十四年、大体どういう程度に一口に言えば数字がなるのですか。
  76. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 ただいま数字を調べますからちょっと……。
  77. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 概要でよろしゅうございます。
  78. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 失礼いたしました。  職業訓練関係経費は、昭和四十三年度におきましては一般会計特別会計合わせて百十四億円でございます。四十四年度におきましてはこれを二百億円程度に拡充したいという要求をただいま大蔵省のほうに出しております。
  79. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこでこれは技術重視、それからホワイトカラー偏重廃止、一般労働者が受講し得るような機関に開放する、たいへんけっこうなのでございます。そこで一般の問題とそれからさらに別個の特殊な関係でございますが、一つは最近身体障害者の関係が相当重要になってきつつあります。この点は予算関係を見ましても若干組まれておることは承知しておるのでありますけれども、こういったものは相当思い切って、簡易敏速に拡充していくということにいたしまして、そしてすべての人が社会復帰し得るような条件を職業的に指導するということは、政府の重要責任であろうと思う。これは本来なら厚生省所管かもわかりませんけれども、両省関係の重要課題になるべきであると考えるのであります。ことにもう失明したような人に対しましても、最近御承知のとおりに特殊なライブラリーが特設されておるような、非常に進歩した傾向も見えるおりからでございますから、職業訓練のごときはリハビリテーションの施設に付属するくらいな重要性をもってこれは施設を拡充すべきではないかと思う。  もう一点は、いまの一般の場合でございますが、一般の場合には既設企業における受け入れの、求職体制の条件整備という面もありますけれども、しかし反面から見ますと、こういう技術革新あるいは経済変動のおりからでございますから、各方面における、たとえば中小企業等におきましても根本的な構造改善が要請せられるというような各種の企業がございます。そういった面につきましてはでき得る限り手を差し伸べまして、あまりかた苦しい資格であるとかあるいは卒業者に対する一つの何かを与えるとかそういうようなものじゃなしに、平易に新しい企業体制に即応し得るような労働技術を備えるように開放する、それはかなり手を広げていかなければいくまい、わずかな人を対象にするようなことではとてもどうにもなるまいと思うのです。たとえばこれは兵庫県の加古川市に四十四年の三月から発足するのでありまするが、これは総合職業訓練所の新設の一例でございます。これとても一所二十五名ということになっておるのでありますが、二十五名や五十名のことで、たとえば三万平米の敷地を使用いたしまして、そして総合施設の職業訓練所と銘打ってやるようなことは、これは全く二階から目薬であります。したがいまして、実態に即し、実情を前提といたしまして、職業訓練の機関を発足せしむるという政府のかまえといたしましては、私はどうだろうかと思う。だからこれはいまからでもおそくはありませんから、やはりぐっと手直しをして、門戸を広げて、いま官房長がお述べになりましたように、広く需要に応じていくというふうにいたしまして、既成観念を打破して、そして国民の職業訓練の要請にこたえるというようなかまえをあらゆる角度から再検討なさる必要があるのではないだろうか、こういうふうにも考えるのでありますが、この点いかがでしょうか。
  80. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 たいへん適切な御指摘であると存じますが、第一点の身障者につきましては、御承知のごとく、ここ数年来、身障者に対する職業訓練につきましては、労働省といたしましても非常に力を入れておるわけでございます。ただ身障者に適する職種、また身体障害の度合いに応じたリハビリテーション並びに訓練というのは、一般の訓練に比べまして非常にきめのこまかい施策が必要でございますので、努力いたしておりますわりに、それほど大きく人数を拡大することが困難な実情でございます。ただいま十カ所ほど身障訓練所がございますが、これを来年度はさらに一カ所拡充するとともに職種も増設いたしたい。さらにそういった訓練所だけではなくて、リハビリテーション施設も、厚生省もやっておられますが、私どものほうも労災保険を中心にやっておりまして、これをさらに拡充する。また民間の企業への就職を促進いたしますとともに、当座民間に入りにくい労災患者等につきましては、労災保険で作業施設をつくるということも逐次いたしております。特にただいまの身障者の社会復帰に対する非常に大きな問題の一つは、病院は病院、それからケースワーカーはケースワーカー、訓練は訓練といったような、各省間の施策が必ずしも十分な連携がとられておらないといううらみがあるように思われますので、来年度におきましては、身体障害者の社会復帰センターと申しますか、病院の治療、リハビリテーションから職業相談、職業訓練就職、さらにアフターケアといったようなものを一貫してできるような体制をさらに強化するように努力いたしたいと考えておるわけでございます。  非常にむずかしい問題が多々ございますが、職業研究所の研究等とも相まちまして、身障者の問題は今後一そう力を入れてまいりたいと考えております。
  81. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 どうも身障者の職業訓練につきましては、ある既設の施設に対して、ここへお通いなさい、ここへお入りなさい、それなら訓練をしてあげます。こういうようなことでは、とてもとても実際に効果はあがらぬと思うのです。足の悪い人、手の悪い人、目の悪い人、それぞれ車に乗って来なさい、してあげますというようなことでは、まさにこれに官僚的になりまするので、もっと実情に応じて、進んでその需要に応ずるということにするためには、たとえばこれはほんの思いつきですけれども、適当なところに出張する、そして別のリハビリテーションの施設のある個所に行きまして、可能な範囲の職業訓練もあわせてする、これが訓練所の出張作業である、こういうこともする。反面におきましては、やはり企業家はこれは営利体制ですから、したがいまして、能率のあがらないような身障者は結局は使わないのです。それが大勢なんです。ですから、この開発は法律、制度、行政指導等によりましては容易なことではございません。したがいまして、そういう面に対しましても、これはやはり、何といいますか、たいへん失礼な言い分ですけれども、実際に血の通った行政の働きをここでやってもらうためには、たとえば企業家等と直談判する、そしてわが子が就職するときのような熱心さになる、あるいは指導訓練等におきましても同様であるというふうに、役人が規則ずくめでぽんぽん判を押していく、時間がきたら、はいさようならということではなかなか実績があがらないのじゃないかとさえ私は思うのでありますので、できにくいことではありまするけれども、一段とその辺のくふうは必要ではないかと思うのが一つ。  いま一つは、そのような問題と関連するのですけれども、非行少年の問題でありますが、非行傾向あるいはそういった実績がある人々に対する訓練、こういうこともやはり特殊なケースといたしまして扱うべきではないかと思います。これはなかなかむずかしい問題でありまするので、慎重に御検討いただきたいと思うのでありますが、私の言わんとするところは、広範な待ち受けた大衆がおりまするので、これらの一つ一つについて、できるだけきめのこまかい訓練の成果をあげるように活動してもらいたい。新しい訓練所というのは活動の根拠になる、こういうふうに思います。つまり、仕事の道を開いてやるんだ、ともに開くんだというような――それほどになりましたならば、民衆の中に溶け込んでいくのだろう、こう思いますので、そういうように運営してほしいと思うのであります。ことに中小企業における構造改善にあたりましての労務者の新しい戸惑いというものは、やはり新しい体質に対して、構造に対して取り組んでいかなければいけませんので、これまた容易なことではございません。経費関係もあり、時間の関係もあり、余暇の関係もあり等々しまするので、これとても、できるだけひとつお役人風の風を吹かすのでなしに、実情に即して直接に訓練指導ができるような方法を、業者とかあるいはまた労働者団体とか、あるいは労働者とか等々適切な方法でおとりになっていくことが適当ではないか、こういうふうに思われるのであります。いかがでございましょう。
  82. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 身障者の訓練につきましておしかりをいただきまして恐縮であります。私ども、身障者につきましては、役所で判こを押して次から次へ回せば、それでよいというつもりは毛頭ございませんので、一人一人の身障者にそれぞれ異なった事情がございますので、それぞれにつきまして、その事情に応じてできるだけ懇切なる指導訓練をいたしたいと考えております。  ただ御指摘のございました出張訓練というような点につきましては、たいへん示唆に富んだ御指摘とは存じますが、一般の職業訓練所――全国に数百カ所ございますが、その指導員は、普通の指導員をそのまま身障の訓練に使えるというわけではございません。身障訓練に必要な特別の養成課程を経た指導員でありませんと、なかなかうまくいきませんので、出張訓練までいきますことは、正直申しましてなかなかむずかしいと存じます。ただ病院における療養過程におきまするリハビリテーションというものがもう少し進みますると、比較的近くの訓練所に通う程度のことはできるということもあろうかと思います。また、そのために通勤用の自動車の購入補助、あるいは身障者用の自動車の開発並びにその購入の補助というようなこと、あるいは――もちろん義手義足等の補装具の改善ないしは無料もしくは低廉の支給というようなことはいたしておるわけでございます。  今後いろいろお教えをいただきまして、一そうきめのこまかい血の通ったお世話をいたすように努力いたしたいと思います。
  83. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 では、ちょっと補足いたしておきたいと思いますが、さきの答申の結論の第二項でありますが、これは「国、都道府県等の公共の職業訓練施設網を中核として、ここにおける職業訓練事業主等の行なう事業内の各種の職業訓練とを有機一体的に連携して」いくこと。非常にけっこうでございます。そこで、この場合も一流の企業だけと連携するということでなしに、やはり中小のほうが需要が大きいという場合もあります。何となれば、一流企業等は事業内で持っておるのでありますから、その辺のことも抜かりないと思いますけれども、しかるべくされんことを御希望申し上げたい。  いま一点は、たとえば構造改善などをやりますときには、近代化等によりまして新しい機械を導入することもよくあることでありますが、こういうような場合は適当な場所を特設いたしまして、その機械を持っておいでなさい、そしてそこで訓練してあげましょう、このくらいのものもまたお考えになってはどうか。これも業者から聞いたほんの思いつきにすぎませんが、しかしこういうような新しい機関の活動というものは、日本におきましては相当大きな需要があろう、こう思いますので、この需要に対しまして、来年の予算の編成過程にあるわけでありますから、十分に大蔵省等の了解も得まして、そしてその辺についても配慮されることが望ましいと私は思います。これは一つ御希望だけ申し上げておきます。  それから第二点、次は職安局で出しております、職安行政における重点施策といたしまして、本年度のそれを出しております。その十六ページに出ております労働市場センターの機能拡充の件で、IDPのシステムの活用の問題であります。これは電算機を駆使いたしまして、全国の労働需給関係を掌握してその調整をはかろうというねらいのように考えるのでございます。  そこで私は、ちょっと伺っておきたいことは、一体このシステムの活用によりまして、ほんとうに把握し得るのはどの範囲までであろうかと思うのです。たとえばミクロ的な労働需給の実態というものにつきましてはなかなかむずかしいのじゃないだろうか。職安を通し、職安の目に入り、網に引っかかる、そういったようなのだけが入ってくるのじゃないだろうか。形式的にしましては、それは労災関係もありと思いますので、一切の五名以上の事業主体からはいろいろな報告も出ますから数字は出ると思いますが、しかし現在あるところの潜在労働力とか、そういうものを掌握するというようなこと、そしてその労働力が移動しておるというようなこと、需給関係というようなこと、これはこの網にはちょっと入ってまいりません。したがって、この統計なり電算機の基礎的なる前提の資料には入ってこないのじゃないだろうか、こういうふうに思うのであります。しかし、これもごく小区域、少量であるならば、問題はないのでありますけれども、これはかなり広範な範囲を占める対象でありますので、私は、この点についてこのシステムの活用をもってよくそれを掌握し得るのかいなや、この辺をひとつ伺っておきたいのであります。
  84. 有馬元治

    有馬説明員 労働市場センターも五年目を迎えまして、ようやく職安関係の業務の全分野にわたって、いわばフル操業の状態に入っておるわけでございますが、機械に乗る以前の問題があるではないか、こういう御指摘でございますが、これはもう御指摘のとおりでございまして、たとえば求人、求職の需給の関係がアンバランスになっておる。その場合に、機械は正直でございますから、第一線の安定所から送り込まれた求人求職のデータをそのままセンターで分類、記録されて、需給関係の調整のデータとして全国の安定所に連絡されるわけでございますが、この範囲だけでは必ずしも求人と求職が結びつかない、こういう事例は非常に多いわけでございます。そこでほんとうに求職者が欲しておる求人を積極的に開拓する、あるいは逆に求人者が望んでおる労働者を積極的に開拓をする、こういった積極面はどうしても機械にたよるというよりは、人間がそういう開拓をやらなければ、機械ではひとりでに解決しない問題でございます。そこで、私どもといたしましては、機械で合理化されることによって人手が省ける面もございます。そういった人手は積極的に求人、求職の開拓に振り向ける。またセンターのデータが適確なものになることによって求人者に雇用情報として提供する、あるいは求職者、学校等に情報として提供する、こういった情報活動によっていろいろな求人、求職の開拓もできる。この機械と人間と両々相まちましてこれからの労働力不足の時代に対処いたしまして、労働力行政を円滑に進めてまいりたい。その場合に中核になるのは、どうして毛この労働市場センターである。そうしてこれを補足するものは、やはり人間の力によって機械に乗らない点を積極的に開拓をしなければ、機械だけでは不十分である、こういう関係仕事を処理しておるわけでございます。
  85. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 たとえば兵庫県の北播地域におきましては零細な十人以下の従業員を擁する織物工場がございますが、こういった辺は少し大きいのを合わせて千三百五、六十あるわけですが、うち千は十人以下です。それは職安にたより、職安に労働者を求めていくというものはせいぜい百ですね。三百はちょっと多いです。したがいまして、少なくともその千は、これは職安を通じませんです。したがいまして職安外における労働需給が公然行なわれておるというようなことになるのでありまするので、この事業場の大部分あるいは労働者の大部分というものは職安とは一応関係がないということになりますので、これはほんの一例にすぎませんけれども、全国の中小企業、零細企業の末端になりますというと、この分野が広大であって、これは社会的に重大な問題を包蔵いたしております。かつ、労働市場センターがいまのような機械、機能を発揮いたしまして、全体の需給調整をはかっていく、これも大事なことであります。けれども、いまおっしゃるように、人間によってこれを補うという面は、一体いまの行政機構において可能かどうか、実績いかん。こういうことになりますと、その辺は全然見のがされておる分野ではないであろうかということを実は不安に思うのであります。そういう点はいかがか。  したがいまして、ここに労働需給の対策といたしまして重点施策としてあげられておるところに、いまの補うべき人間の行為によってという面はどこかに出てくるのでありましょうか。それによっていまの掌握されない、逸脱しておりまする分野の労働需給関係というものは全部その中へ入るのでしょうか、この二点はどんなものでございますか。
  86. 有馬元治

    有馬説明員 安定所の強制的な利用という考え方もございますけれども、何せ年間に三百万人をこえる転職、再就職というような事例がございますので、これを全部安定所を経由して就職のあっせんをするということは、これは事実上不可能でございます。  そこで安定所としては、その中で一番大切な学卒職業紹介、それから身体障害者の職業紹介、それから非常にむずかしい中高年の職業紹介、こういった重点的な対象を主としまして職業紹介の行政を展開いたしておるわけでございますが、一般の年齢層の方々で縁故とかあるいは新聞広告等によって自分で就職をしていくという事例が非常に多いわけでございます。これは、将来といえども数の上ではそのほうが多いだろうと思いまするけれども、やはり安定機関は適確な情報、求人の情報あるいは求職の情報というものを求人者求職者両方の側に提供いたしまして、選職がしやすいようにする、より適確な職場を見出しやすいようにするというのが一つの安定所の使命でございます。  したがいまして、今後は、先ほども申し上げましたように、雇用情報というものを提供をして、いわば雇用のサービスに重点を置く、こういうふうな運営をしてまいりたいと思います。  そこで御指摘の重要事項の項目と関連して、機械の近代化以外の場面でどういうところで人間の活躍する分野が考えられるかという御指摘でございますが、これはたとえばその次のページの広報活動及び雇用サービスの強化という項目がございますが、これなどはやはり人間といいますか、安定所の職員がこういった広報活動あるいは雇用サービスの充実をはかっていくということで、機械ではこういう面はできないわけでございます。そういう機械と人間が両々相まって今後の安定行政を展開していく。その結果、従来二割程度しか安定所は経由していないという実績がございまするけれども、できるだけこの安定所の利用率を高めていく、こういうことに相なろうかと思います。そういう方法で安定所の利用を積極的にはかっていきたいと思います。
  87. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この一七ページにいま報告されておりまする広報活動及び雇用サービスの強化、これはわかります。しかし、いま述べられておる広報活動、こういうものでそういう大部分の機械で掌握されない分野の労働需給が適当に実現するとは思われません。また次にありまする雇用促進事業団における相談とかあるいは便覧をあげますとか、こういったようなことは、要するにほんとうの官庁の窓口行政の末端の問題であります。私の言わんとするところは、労働省がかりにも労働行政の総元締めをもって認ずる限りは、やはりあらゆる面におきまして日本労働需給の完全を期するというくらいな一つの的確な目標を持って、そして労働行政をやってもらいたい。職業安定行政じゃないと私は思うのです。したがいまして、そういうふうに見てまいりますと、やはりこれもほんの一つの思いつきにすぎませんけれども、たとえば当該地方団体と連携するとかあるいは業者団体と連携するとかあるいは労働者団体と連携するとか、それぞれと手を差し伸べまして、その需給の実態を掌握する、それをだんだんと煮詰めていきまして行政の資料にする。その資料に基づきまして日本のこの労働需給不足対策等の基本前提にするというくらいなことをいたしませんと、しょせんは机上の計画、指導になりはしないであろうか、こういうようにおそれるのであります。広報活動といって、そんなもので人間の需給は決定いたしません。ことに新聞の広告なんというようなものは、それはもうほんの、全体の何ミリかの歩合にしかなっておりません。そうじゃなしに、縁故にあらず新聞にあらずして、一つ労働需給のある種の素朴な市場をなしておる、そして長年の間の慣行をなしておる。これが日本の非常に幼稚な中小企業、末端の零細企業の実態なんです。これが十分成長しないところに日本産業の根本的な弱点があるということは学者も指摘するところでございますので、私がやはり着目してもらいたいのはそこなんですよ。問題点はそこなんです。大臣にいろいろお伺いしてみたいと思う点が実はそういうところにあるわけなんです。でありまするので――これは私は何もけしからぬというのじゃありません。ありませんけれども、どうかひとつこの意味におきまして、労働省はすべからく労働行政の能率をずっと引き上げて、そして目標をもっと拡大して、もっと広い視野に立ちまして需給の調整を可能な範囲ではかっていく。さりとて行政万能じゃありませんから、一切オールマイティでこれを解決し得るものではないということは、これはよく存じております。存じておりまするけれども、やはり今日のような日本実情からいたしましたら、これは補完行政の見地から見ましても非常に重大な役割りを果たしつつあるわけでございますので、ぜひともそういうふうに一歩前進をせられることを強く望みます。とてもこの一七ページの(4)に書いてありまするこれだけではどうにもならぬと思います。その辺はひとつ――これはかねて思うておりましたので思いつきではないのでありますが、一体どういうもんでございましょうね。どなたからでもよろしゅうございます。
  88. 有馬元治

    有馬説明員 吉田先生の御指摘のとおり、私どもも市町村、さらには出かせぎ等については農業委員会こういった公共団体の系列の御協力も十分得る体制になっておりますし、各種の使用者団体に対しましても、啓蒙活動のほかに実際上の求人求職の指導についても相当御協力を願っておるわけでございます。あらゆる機関の協力を得て国民全体の雇用の安定ということに邁進しておるわけでございまして、先生御指摘の各種の機関の協力ということはこれからもさらに積極的に行なってまいりたいと思います。
  89. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣見えましたので、二、三お尋ねしてみたいと思うのであります。  私は、労働省が発行せられました「労働経済の分析」というものを読んでみましたが、どうも全体を貫くそれは、要するに労働に関する経済分析でございます。われわれ、経済だけが人間の一切を支配するもんでないというような人生観、世界観を持っておる者といたしましては、何かあともう一つもの足りない、こういうように思うのであります。  そこで、やはりこの非常に重大な行政担当の省でありまするので伺いたい第一点は、一体大臣の労働観と申しますか、人間の労働に対するお考え方、いまの傾向経済に偏重しておるのではないであろうか、経済以外に非常に重大な面があるのではないか、こういう点なんであります。たとえば私どもが労働します。また何がし労働者が労働します。女性も労働します。少年もあるいは年寄りも……。しかし、それは経済が一切支配しておるのじゃございません。それは生活のためであります。あるいは喜びをそれによって求めているかもわかりません。したがいまして、その内容たりや、言うなれば人生生活の断層面とも申すべきであります、人生生活の断層面といたしますると、これは経済だけじゃございません。重要な観点に立って労働という問題をつかんでもらう。そうしませんと、たとえば需給問題を考える上におきましてもあるいはまたその他の各般の労働施策を考えていく上におきましても、何かしらん、経済一切では弱い、こういうようになると思います。したがいまして、ここにこういうふうな労働に対する経済偏重の傾向は根本的に考え直すということが重大なときになっておるのではないだろうか。ことに社会開発が強く打ち出される現在の時世でございまするので、こういう辺につきまして大臣の根本的なお考え方を伺っておきたい。
  90. 小川平二

    小川国務大臣 労働行政が経済偏重であってはならないという御指摘でございます。私もまた同感でございます。労働行政の基本は、あくまでも人間を尊重する。個々の労働者がその人格を完成してほしい、こういう精神を基本として行政を展開していかなければならない、そのように心得ております。
  91. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうであるとするならば、私はかなり広範な労働行政の諸問題が新たに展開するのではないであろうかと思う。たとえば労働して生きている人もあり、それによって生活をささえている人もある。しかしながら、それは多額の賃金を得ることが最終の人生目的でないかもしれません。経済的に、家を持ち、そしてまたレクリエーションをほんとうに楽しむような、それだけが人生ではない。その人自身に、たとえば豊かな心を持ち得る、平和な生活をなし得るというような、そういう一つのある別の意味における要素がぜひとも必要ではないであろうか、こういうふうに考えてきますると、労働行政の内容に相当大きな新たな諸問題が起こってくるのではないか、こう思うのであります。大臣のお考え方は基本的に一致するようでありますので、私は、以下の問題点をひとつお尋ねしたいと思います。  私、いま御指摘申し上げたいことは、これは実はこの「労働経済の分析」あるいはまた職安局から出しておりまする重点施策、その他等々を見て、なかなかうまくぴったり出てこない、いうなればミクロ的な面について私は少し伺ってみたいのであります。これは現地の問題でございまするので、全国的な問題であるが、しかし、地方的にも私は接触いたしまするので、その生きた資料を持っておるのであります。ここに取り上げようと思いますることは、零細企業における主婦労働、零細企業における少年労働、これであります。きょうの東京の各紙を見て私の胸を打った一つの問題があるのでありますが、これは江戸川区におけるあるゴム加工工場におきまして、シンナー系の接着剤の蒸気の爆発によりまして五名の女性が即死しております。うち三名は主婦工員でありました。家計の足しにとバイトに出ておかあさんが死んでしまっておる。これはちょっと胸を打ちますね。ところで、このような境涯に生を託する主婦というものがずいぶんあるということであります。この点について大臣は深い、特段の御認識をいただきたいのであります。  ここに一つ、私は生きた資料を提供してみたいのであります。これは兵庫県、いわゆる播州地域における機屋の問題であります。これは通産省が昨年来継続いたしまして五年計画でする、いわゆる構造改善事業の一環をなす面でありまするが、ここには約千三百五十ばかりの工場があります。この工場のうちの千工場は従業員が十名以下なんです。しかして、その十名以下は大部分が主婦なんです。千工場十名以下、そして大部分は主婦なり、そしてその十名以下の主婦は毎日家から通勤しております。これが零細企業の構造改善に取り組んでおる工場、もちろんこれらの工場主は職安を通じて労力は求めません。その地域の主婦たちでございます。この主婦の実態というものは一体どうわれわれは労働行政の対象としてつかめばいいのであろうか、ここに私は重大な問題があると思うのです。だから中小企業の末端企業におけるこういう主婦の労務実態というものは、単なる労働需給の一対象として考えるということだけでは、これは人間を忘却したことになります。そうではなくして、やはり家庭を持つ主婦であります。したがいまして労働者といたしましては、たとえば賃金あるいは時間あるいはその他の余暇等の労働条件も大事であります。しかし反面家庭の主婦でありますので、主婦の立場からすれば、やはり子もあります。赤ちゃんならば育児の問題あり、小学、中学に行っておる子があれば、それは教育の問題あり、夜帰ってくれば学習の問題あり、ときには学校の参観も必要かもしれません。しかし主人もありおばあさんもあれば、家事もひまではないと思う。それにいそしまねばならぬ。主人がそれをするわけにもいきますまい。そうするとその仕事がある。そしてまた家計の心配もしなくちゃならぬ。月末のこともあり、女性である。これらが大部分だというのでは、その実態が非常に明朗であるかいなやは別といたしまして、事きわめて重大な現象でありますから、やはり家庭と労働が両立するのにはどうしたらいいであろうか、あるいはまた教育も滞りなくやらすのにはどうすればいいだろうか。児童のためにも、親の労働の犠牲になるということでは、これはまた家庭、社会が許しません、そういうことにもなる。そうすると、工場において構造改善と取り組んでいくこの女性であります。家に帰ればおかあさんの女性であります。親であります。そういう立場にありますので、こういうような問題につきましては、いまの職安行政の感覚のものさしでは問題じゃないであろうか、大臣、私はこういうふうに思うのでございます。  そこで、これはもちろん雇い主にも相当責任を持ってもらわなければいけません。本人もしかり。しかし同時に、またこれは地方団体も相当な責めを負うべき面もあろうと思います。しかし根本的には国自身の行政の対象として、国はどういうふうにきめかくこれに対処するか、こういう点が非常に大事だと私は思うのですが、まずこういう考え方につきましては、大臣、どういうふうにお考えになっておりましょうか。
  92. 小川平二

    小川国務大臣 最近女性の職場に進出する傾向がだんだん強まってきております。これは当面の人手不足に対処いたしまして、新しい労働力の給源を開拓するという観点から申しますれば、歓迎すべきことだと思っております。労働省といたしましては、その際職場の環境を改善する、あるいは労働条件を適正ならしめるという努力を払う必要がある。これからますますそういう点を考えていく必要があると存じております。  いまお話のありましたとおり、主婦は一面におきまして家事を管理する責任を持っておりますから、どうやってこれを仕事と両立させるかということが非常に緊切な問題になっておるわけでございます。  託児所の設置というようなことにつきましても、いろいろなところできわめて切実な要望にも接しておるわけでございます。労働省が設置しております婦人の家、この設置基準にはもともと託児所を置くことになっておるわけでございますが、地域によってそれぞれ事情が異なっております。職場で働いておる女の人がふえておるような場所でも、これがもっぱら若い人たちであるというような地域は別でありますが、家庭の主婦が多く就労しておるというような場所におきましては、実情に応じて託児の施設も設けておるわけでございます。また、個々の企業で託児施設を設けたいというような場合に、融資も現に行なっておるわけでございますけれども、この種の施設を広げていく必要性がますます強まっておりますので、先般来、厚生省ともいろいろ協議をいたしておるわけでございます。今後こういう施設を拡充をしてまいるつもりでございます。
  93. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 芽をふいておるということは存じております。しかし、事務的にあとで伺うといたしましても、それなら働く婦人の家にしましても、あちらこちらできておるようでございますが、なかなかしょうしゃたる感じのする婦人の家、これへ、よごれた着物を着て、おかあさんである従業員さんが帰りにお寄りなさいといったところが、これは実に高ねの花なんです。そういうことじゃなしに、もっと現実の実態に即して、どうすればいいかということを、地元からわき上がらせたようなものを集約して実現するという方向へ行ってもらいたいのです。たとえば、兵庫県に四、五カ所ほどあるようでございますが、他府県にもありますが、こうやって、大きな県に三カ所、四カ所持って、さあおかあさん、こっちへ来なさい。それは三十キロあるか知らぬけれども、自動車なんかに乗って、一カ月に一ぺん来なさい、そしてお茶でも飲みなさいというようなことは、これまた二階から目薬です。このような問題に対しましては机上の設計ではいけません。やはり生きた行政をなさい。生きた行政ということは、主婦の皆さんは何をお望みですか、どうすればいいんですか、こう打ち出してもらいたいと思います。たとえば、伊豆の熱川においてすばらしいレクリエーション・センターができておるということを聞いております。そういうすばらしいレクリエーション・センターが日本に二、三カ所ある、これもいいですよ。いいですけれども、零細企業のこういう無数にあるおかあさん方をもっと現実に生かすくふうはないであろうか。そのくふうについて、そんなに大きな金は要りません。七億数千万円を投じまして、あそこにレクリエーション・センターをつくるという前に、それを何十分いたしまして、簡素なものでもつくるという手はなかったのであろうか。そういう選択をするということが政策決定、予算作成の途上におきまして、重要な課題であります。あとで触れますけれども、私はそういうふうに思いますので、やはりこの種の問題は労働省は現実を十分に掌握しておらぬということのうらみがないかということをひとつ率直に、大臣、考えてもらいたいのです。電算機に入ってこないのです。職安から入ってこないのです。地方の職安職員が掌握しないのです。そういうような世界なのです。しかし、これは輸出産業の重要な担荷者であります。そして、家庭を背負っておるのであります。育児をしておるのであります。というような重要な人生の責任を果たしつつあるような人々でありますので、この人々らに対する福祉増進の見地から見ましても、私はやはりその事情に生き抜いていくような人々からあがってくるところの一つの要望案というものを集約して、政策決定してもらいたい。ぜひこういうふうにありたい。たとえば、その適用といたしまして、託児所の問題もあります。あるいは保育事業の問題もあります。しかし、保育所、託児所は一体何カ所ありますか。どんなむずかしい手続をせねばならぬかということはこれは御承知だと思います。そういうものは数百名以上の従業員を擁するような事業体がするのでないとできません。そしてまた、そのくらいでないと、容易に小さなものはできません。したがって、これは協業体によってすることにしましても、その前の段階のものがやはり必要です。ですから、ここは一番最初もちょっと申しておったのでありますけれども、地方行政団体とも連携なさって、あるいは職業団体とも連携なさって、そしてどうすればいいのかということで多分に財政を投じる。最近の日本の財政につきまして、これは大臣だから申し上げるのですけれども、もっと必要な予算はお取りなさいということです。むだなものは削りなさい。そんな中途はんぱな時代じゃございません。ことにこういう労働需給の逼迫しておる現状にかんがみまして、また人間生活がここで行き詰まりになるか、新たに開けていくかというような、そういう場に立たされておる人、こんな苦しい中で生き抜いていこうという無数の人々、これに対する施策ですから、やはり大胆に、去年何ぼだからことし何ぼでなければならぬというような予算でなしに、むだは切って、必要なものはどんどん要求するというような、生きた予算の要求もしてもらいたいと思うのです。そういうことをしなかったら、こんなことは長いこと議論がから回りいたします。大臣の演説の一節に、人間の能力を十分に生かすような社会、経済体制への移行を促進するというようなことがうたってありますけれども、どうかひとついまの問題は、言うならば谷間にある捨てられたような面の労働者問題、労働福祉問題あるいは主婦問題、健康問題、社会問題等々内包しておりまする広い意味における労働問題でないかと思いますので、やはりそこはもっときめこまかく行き届くような方法に施策をやっていただきたい。手直しなさい。これはできておりますものはみなけっこうであります。それはいかぬとは申しません。芽をふいておることはけっこうであります。しかし、これだけではいかぬ。それだけに切実に要求しつつあるというのが現段階における、この面における問題点でないか、こう思うのでありますが、大臣いかがでありますか。
  94. 小川平二

    小川国務大臣 非常に適切な御注意をいただいておるわけでございます。私も、もとより現状をもって足れりとしておるわけではないのでございまして、来年度におきましては、事業内の託児の施設に対して、従来は融資しかできなかったわけでございますが、補助ができるように、ぜひこのことを実行したいと考えまして、必要な予算要求もいたしておるわけでございます。  婦人の労働の実情につきましては、従来から調査もやっておるわけでございますが、地方団体等の協力も得まして、さらに十分な調査をして、実態の把握につとめまして、実情に即した施策を実行に移していきたいと考えております。
  95. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりこれと関連して同列に置くべき問題は、少年労働の問題でございますが、少年労働にいたしましても、単に経済対象として企業における労働の一つの要素として掌握するという見方でなしに、これから伸びていく人間が、将来の日本をしょっていく人間が、そこで育ちそこで成長しつつあるところの職場を通しまして見る人の問題でありまするから、これはまた身障者の問題に対するごとく、婦人に対するがごとくに、やはり特段の配慮をもって、これまた諸般のきめこまかい政策を打ち立てる必要があるのではないであろうか。たとえば教育の問題にしてもそうであります。あるいはまたあらゆる意味におけるしつけの問題にしてもそうであります。あるいはまた技術指導、訓練、開発、あらゆる面における人間の能力の開発、こういう面におきましてもそうであります。これらは行政だけではできませんで、また行政だけに押しつけるというようなことはこれまたいけません。やはり企業責任者、またみずから、家庭、相互協力いたしまして、すべきでありますけれども、少なくとも行政の面からいたしましても、これに対しまして壮大な一つの施策をもって臨んでもらいたい。小さな労働者の問題でありまするけれども、特に女性のごときに至りましては、二十前の女性ということになるならば、将来の人生をそこを通じて託していかなければならぬ一つの門出に立っておるのであります。したがいまして、これがもし失業するというようなことがありましたならば、失業の場合には別のサービス業に転じていく、転落するというようなことがあったらたいへんでございますので、そういうことも考えますると、非常に重要な人生のある期間を預っておるというのが職場であります。またそこに働いておるのがこういう将来性を持った人々でありますので、これらの点につきましても、大臣は、主婦に対するきめこまかい思いやりのある政策の樹立ということと同列に置きまして、この青少年の問題に対しましては、特段の配慮をしていただきたい。もちろんこれは労働省だけでは解決はできません。私はよく言うのでありますけれども、きのうも農林大臣に申し上げたのでありますけれども、やはりいま一番必要なのは、こんな動揺期、過渡期でありますので、やはり総合行政が必要です。そこはおぬかりのない大臣でありますから、練達の大臣でありますから、その点はなさいましょう。どうか、できれば労働省が文部省あるいは各省それぞれと横の連携をとりまして、閣議を通じまして総合調整を行なっていく。高い視野に立ちましたところの基本的な施策はそういうふうな線で常にやる習慣をつけてもらいたい。それならば、割拠主義とかいろいろなセクトの弊害、非能率等々によるところの非難もあるおりからでありますが、それが完全に私は克服し得ると思います。これは国民の福祉につながりますし、また非常に要請されておる政府に対する要望事項でもございますので、この辺も御配慮の上、一つ一つその施策を進めてもらいたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  96. 小川平二

    小川国務大臣 青少年、いわゆる勤労青少年は心身ともに十分成熟しないうちに職場に入るのでございますが、こういう人たちがまじめな地道な人生行路をたどってりっぱな人間として成長してもらいたい、経済の発展に寄与してもらいたいということは私ども心から願っておるところでございます。今後もそういう気持ちで各般の施設を進めてまいりたいと存じておりますが、最近におきましては、東京の中野に相当大規模な施設をいたしまして、これを勤労青少年対策のいわば総本山というようなものにいたしまして、今後さらに積極的にかつきめのこまかい施策を実行に移していきたいと考えております。
  97. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 問題を転じまして、PPBSの問題について若干伺ってみたいのでございます。  これは日本語に訳して計画別予算方式とも言っておるのでありますが、しろうとが釈迦に説法するわけではございませんけれども、しかし、国民の血税は百円たりとも、百円の価値のあるように予算を盛り、予算の執行をし、そして国民にこたえる福祉増進に役立つように使ってもらいたいということが基本的な願いであります。国民のほんとうの願望であります。したがいまして、予算の編成にあたりましては、できるならば正確な資料を前提にいたしまして、そしてあらゆる政策の樹立検討等におきましても、できるだけ正確な、あらゆる角度からする比較検討をいたしまして、これを決定せられるようにしたい。ことに労働行政の場面におきましては、これは労働という非常に多量な人間の労働力の需給関係が中核をなしておりますので、たとえば出産の問題、あるいはまた年齢層偏在の問題、あるいはまた企業の数の問題、これの需給関係の問題、あるいは学校その他で身につけた能力の問題、あるいは男女別の問題、地域別の問題等々、あらゆる面におきまして客観的な資料がそうむずかしくなく掌握し得るものではないだろうか。急にはできますまいけれども、狭い日本のことでございますから、北海道から九州に至りまするまで、こういうような客観的な資料などを十分に用意をなさいまして、そして、少なくとも労働行政の予算作成にあたりましては、PPBSの方式を取り入れるべき段階に来ておるのではないだろうか。これも申し上げるまでもありませんけれども、アメリカでは十年前にもこれに手をつけて、マクナマラ方式といたしまして、これはジョンソン大統領も全省に向かって号令をして、これを採用せしめつつあるわけであります。何もアメリカのまねを一々しなさいとは申しません。しかし、よいものはとり、長所はとり、そして日本国民の福祉増進に役立たしめることは当然であります。そこで大蔵省は相当本気になっておりますが、おとといの二十九日の新聞の伝うるところによりますと、来年度の予算の編成につきまして、PPBSに関する予算の要求をしておるものは農林、通産、建設、文部、行政管理、防衛、経済企画、科学技術、海上保安等々で、労働省が抜けておる。労働省というところは一つの典型的な導入の行政機関になるのではないだろうかというふうにかねてちょっと考えておったのでありますが、この点はいますぐに結論を出してどうというようなことをお互いに議論するつもりはございませんが、大体においてPPBSに対するお考え方、またこれを導入することについて相当な熱意を持っておらるべきが労働省であると思っておったのに、出ておらぬからきょうは急に聞きたくなったのであります。いかがなものでございましょう。予算をいかに効率的に使うか、予算を使った結果がどういうふうにあらわれているかということを常に分析評価していくというのがこの制度の趣旨であります。したがいまして、日本といたしましても、当然にこれはあらゆる面において導入の機運を促進していく段階にもうきていると思うのでありますが、それはいかがでありましょうか、大臣。基本的な労働省の態度お考え方等について伺ってみて、何だったら、しかるべきどなたからか伺ってもよいのでございますが、何もきょう結論を得ようというのではございませんので、どうぞそのおつもりで御答弁いただきます。大臣、どうでございましょうか。
  98. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 PPBSにつきましては、御指摘のごとく、今後の予算の効率的配分という点におきまして非常に重要な問題であると存じます。私どもといたしましては、かなり前からこの問題はすでに研究いたしております。現在、経済企画庁を中心といたしまして、大蔵省その他関係省で若い優秀なスタッフを集めて研究しております。私どものほうでも定員が非常に窮屈なおりでございますけれども、最も優秀なスタッフをそちらに出して共同研究に携わらしております。  また、先ほど御指摘の中に出生率、労働力率、進学率、したがって五十年後の労働力トータルというような問題は、これは比較的簡単にはじけて、私どももすでに推算しておりますが、これの地域別、あるいは産業別、業種別の配分というような問題になりますと、非常にむずかしい問題がもちろん出てくるわけであります。労働力全般につきましてのPPBSまでカバーできますのは相当な期間が必要であると存じます。  職業訓練につきまして、いかなる訓練種目ないし訓練技法が最も効率的であるかというような点につきましては、これは比較的早くモデルもでき、シミュレーションもできるのではないかということで、目下鋭意検討しているわけであります。来年度予算では、御指摘のごとくPPBS導入のために特に予算の要求はいたしておりませんが、私どもは、従来からの研究に積み重ね、現有のスタッフ並びに現在の程度の庁費をやりくりいたしますれば、各省に負けないものをつくる自信がございますので、要求しておる次第でございます。
  99. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりこの委員会で毎回いろいろ指摘することは、ちょうどいまの予算制度そのものの欠点を欠点と見てやる以外に手はないのです。     〔田中(武)委員長代理退席、田川委員長代理     着席〕 たとえば四十一年度決算はいまここで審査しておるわけですが、この決算を通じて見たときに、一体予算の執行に不当があったのか、不正があったのか、これはわかるわけです。これは会計検査院指摘してわかるわけです。しかし、この予算がはたして効率的に使い得たかどうかということはいまの予算制度ではわかりません。効率的に使われたかどうか、たとえばへたに一千万円かかるという予算を組んで、これをいろいろとくふうなさって、九百万円で実施して、百万円余った。余ったのは何ゆえ余らしたのか、水増ししておったのではないか、来年は九百万円にしぼっていきなさいということになると、これはいやなことをしなければならぬので、そうなると、一千万円ついておったら一千万円使ってしまえ、年度末がきたら旅行をして使ってしまえといういうな風潮がおのずから出てくるおそれがある。これが現在の予算執行の現状であります。でありますから、当委員会におきまして不正はすぐわかるが、効率的なものはわからない、これがいまの予算制度の最大の欠陥であります。これを克服し得るのがPPBSであります。一刻も早くしなければなりません。大切な国民の税金であります。三文でも、雨のように天から降ってくるわけではないのであります。みな血の出るような思いで税金を払っておるのであります。でありますから、効率的な予算を執行するということは当然であります。その制度があるわけであります。あるわけでありますから、これはいずれにいたしましても、大蔵省まかせではいけません。優秀なスタッフが何ぼでもございます労働省でございますから、労働省すべからくみずから率先いたしまして、これは部分的でよろしい、ある面においてPPBSを導入して、漸次拡大していく、そして客観的に掌握し得るような資料を何ぼでも持っていくということでなければならぬ。そういうような行政が大部分を占めておるのは、労働省なんです。やりにくいのは法務省とか文部省でしょう。労働省とか建設省とかいうところは、先にこれに取り組めます。防衛庁にしましても同様であります。でありますから、大臣ひとつこの機会に、予算要求をするしないは一応別にいたしまして、やはり来年は研究段階でなくして試みる段階へいく。導入する。試みるというふうにしてひとつおやりになってはどうか、私は強くおすすめ申し上げます。何もこれはあなたから言質を取ろうというけちな量見で私はお尋ねするのではないのであります。よいとするならば、ほんとに早くひとつぜひお取り上げなさいというふうにおすすめ申し上げたいのであります。大臣そのおつもりになりまして、予算の作成を完了し、来年の行政に入るという体制を組んでもらいたい、これが国民にこたえるほんとの労働省の立場でないかと思うのでございます。どうでございましょうか、大臣
  100. 小川平二

    小川国務大臣 ただいまお申し聞けの御趣旨に私も同感でございます。いま官房長からお耳に入れましたとおり、労働省は一番早くからこの問題につきまして最も真剣に検討を続けて今日に至っております。将来、これを現実に導入いたしますような機運がまいりましたような場合には、率先して実行に移してまいりたいと考えております。
  101. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私自身がしろうとでありますので、深く存じませんけれども、若干お尋ねしてみたい点は、ほんの数日前にも――九月二十四日でありますが、公表いたしました例の物価、賃金・所得、生産性研究会の報告書というものですね、この問題でございますが、これはいまのところまだ国民に周知されておらぬらしいのであります。新聞に公表された程度でございます。新聞以上の内容はわかりませんけれども、しかし、これはやはり日本の現在と将来に向かいまして、物価問題なりあるいは所得全体の問題なり、経済成長との関連なり、こういう面から見まして相当重要な課題を内包しておるのではないかと思うのであります。でありまするので、せっかく労働省は、労働者における賃金について直接の担当をなさるところの省であります、国民所得全体の関係はむしろ企画庁かも存じませんけれども労働省という労働の主管庁であるあなたのほうといたしましては、最も重大な関心を持っておられるべきでないか、こう思うのでございます。この公表された例の報告書なるものにつきまして私自身が詳細は存じておりません。若干の新聞の知識以上にはないのでありますけれども、いまのお考え方、またこれに対処する御方針、何かございましたらひとつ承りまして、またあらためていろいろと伺わせてもらおうか、こう思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  102. 小川平二

    小川国務大臣 きわめて貴重な画期的な文献だと存じております。  ここで述べておりますことは、要するに経済成長と物価の安定、この二つの目標をどうやって両立させるかという課題、これは日本ばかりの問題じゃないと存じますが、この課題をめぐりまして非常に掘り下げた実証的、理論的な記述がなされておるわけです。私どもも一読いたしまして大いに蒙をひらいてもらった点がたくさんあるわけでございます。賃金、物価、あるいは生産性の関係ということは非常にむずかしい問題だと存じます。かような点で従来いろいろな論議も行なわれておりますが、この報告にも書いておりますとおり、そういう議論が共通の認識に立っておらないきらいがある、したがってすれ違いの議論に終わっておるきらいがある、こういうふうに書いております。さような意味で私どもは各界の方々にこれを精読していただきまして、一そう真剣にこのむずかしい課題に立ち向かっていく努力をしていただきたい、このように期待いたしております。
  103. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それじゃひとつ資料として委員長におはからい願いたいと思いますが、いまの去る九月二十四日に公表せられました物価、賃金・所得、生産性研究会の報告書なるものがもし入手し得るような機会がございましたならば、当委員会の委員に一部いただく方法をもちまして、それを通じましてわれわれも研究し、かつまた今後のいろいろな審議に資したい、こう思いますので、しかるべくおはからいのほどをお願い申し上げておきます。どこからいただくかは別といたしまして、よろしくお願いいたします。
  104. 田川誠一

    ○田川委員長代理 吉田君の御要望に沿うようにとりはからいます。
  105. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから例の行政改革とあなたのほうの地方事務官の問題であります。これも何でもないようでありまするけれども相当重要な一つの課題でないかと思っております。これは例の公共職業安定所の安定行政の事務を都道府県に委譲するということにつながりまして、国家公務員でありまする、現在地方行政庁におりまする職安職員、これを地方公務員に委譲していくということが内容の一つらしいのであります。この問題につきましてどういうふうにお考えになりましょうか。この点につきましては臨時行政調査会の勧告等によりますると、これは委譲すべしということになっておるのでございますが、委譲すべきが妥当か、あるいは国の行政上そうでないほうがいいのかということはかなり議論のあるところであるようでございますが、大臣、まとまっておりますならば率直な意見をこの機会に伺わせておいてもらったらと思うのでございますが、いかがでしょう。
  106. 小川平二

    小川国務大臣 この問題については今日までのところまだ成案を得ておらないのでございますが、行政を簡素化する、権限をあとう限り地方あるいは民間に委譲していこうという考え方の大筋には、私どもも賛成でございます。また地方事務官の問題は非常に長い間の懸案になっておることでもございますから、この際これを解決することができれば幸いだと考えておるわけでございますが、現在いわゆる地方事務官は、都道府県における職業安定課課長並びに職員、それから失業保険課の課長並びに職員がいわゆる地方事務官でございます。これを地方公務員にするかしないかという問題でございますが、これはあらためて申すまでもないことでございますけれども、やはり職業安定の行政は広い規模で、全国的な規模で労働力の流動化をはかっていくということが今日の要請でございまするし、また失業保険のほうは事の性質上統一的な基準で運営されなければならない、これもまた当然のことだと存じます。こういう原則が阻害されるようなことでは困りますので、この際都道府県の職業安定課あるいは失業保険課で仕事をしております地方事務官を地方公務員にいたします際には、そういう原則がこわされないという何らかの担保、保証がなければ困るわけでございます。何かうまい方法がないものか、いま鋭意研究をしておるところでございますが、まだ成案を得ておらないというのが現状であります。
  107. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私自身も個人的には必ずしも結論はまだ持っておらぬのでありますが、反面におきましていまおっしゃったような地方の実情のみにとらわれまして、全体の視野を失うような職業安定業務が常に行なわれますと、これは弊害のもとになるおそれもある。ことに、全国的な視野に立ちまして労働需給を調整していくということが、国策といたしまして重要でありますので、それをはずすわけにいかぬ、こういうことも思われるのですが、地方、国、全体、部分、こういう関係につきましては、何ゆえにこういうような改革意見が起こっているかということについてもひとつ十分に御検討になって、そこで全体と地方とにつきまして両全を期する――需給関係におきましてその両全を期するというような結論を得るようにひとつもっていってもらいたいと思います。私自身も、臨調の答申どおりが一番適切な意見だというふうにも思われませんが、弊害のあるところは十分是正するというようなその勇断だけはどうしても必要である、こう思いまするので、せっかく慎重な御検討をわずらわしたいと思うのであります。  大臣にお尋ねしたいことは大体におきまして終わったのでございまするが、この機会に補足的に伺っておきたいと思いますることは、最近の労働需給の情勢を見てみますと、第一次産業じゃなしに第三次産業、いわゆるサービスを代表するところの第三次産業がどうもだんだんと率が高くなっていくというような就業構造の実態を見まして、私は、どうすればこれが是正されるであろうか――重要な通信とか交通とか運輸、全部入るわけでありますから、第三次産業全部必ずしも無用、不必要であるとは決して申しませんが、サービスなら若年労働者も殺到するといった現状はどう解釈したらいいのか、そして汗をかいて国民福祉増進のために生産にいそしまなければならぬというような二次産業においては、労働力不足でてんやわんや、一人の従業者を雇い入れるために八万円、十万円も使わなくちゃならぬという面もある、一体これはどうしたものだろうか。第一次産業――農業を代表的なものといたしまするならば、農業地帯におきましては、中高卒一〇〇に対して三%しか定着しないのであります。九七%は都市その他へ流出してしまうのであります。それは最高でございまするけれども。そしてますます婦人労働が過重になっていくのであります。きのうも西村農林大臣に、婦人労働力が米をつくるときの一番大きなにない手になりつつある現状は無視できませんというようなことを申し上げたと思いまするので、この面につきましては、これはやはり社会風潮がしからしめるのであろうか、政策の欠陥があるのであろうか、産業の構造的な欠陥でもあるのであろうか、一体何がかくなさしむるのであろうか、こういう過程を経なければ日本の産業経済は成長しないのであるかどうか、そこらにつきまして労働省は、やはりこの種問題については高い次元から観察をしていただいて、他省と連絡をとりまして何とかこれを改善するというほうへもっていく必要があるんじゃないか、こういうふうに思うのでございますが、大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  108. 小川平二

    小川国務大臣 日本におきまして第三次部門で働いておる人の数がだんだんふえていく顕著な傾向が存在しておることは御指摘のとおりでございます。これが一体何を意味しておるのかということは、一個の非常にむずかしい問題のようでございます。少なくとも、十分解明されておる問題ではない、あるいは、いわゆる第三次部門というものが国民経済においてどういう意義や役割りを果たしておるのか、これもまだ十分解明し尽くされた問題ではなさそうでございます。したがいまして、この労働力が第三次部門に移っていくのをいかにして是正するかというおことばがあったと存じますが、そもそもこれを是正すべきものであるかということもまだ非常にむずかしい問題であります。そこで労働省におきましては、この春以来いわゆる第三次部門の問題について掘り下げた研究をただいまやっておる段階でございまして、まだ結論的なものが出てこないというのがありのままのところでございます。  御質問の後半は、実はおっしゃることがよく理解できませんでしたので十分なお答えにならないかもしれませんけれども……。
  109. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 むずかしい問題を内包いたしておりますので、私は基本的な問題のつかみ方としてお尋ねしておったのでございます。職業選択は個人の自由でありますから、サービス業にいこうと――私は主として個人サービスのことを申し上げておるのでありますが、個人サービスにいこうとも、あるいはそうではない第二次産業にいこうとも、就業選択の個人の自由を一体だれが制限するのだという議論になってくればこれはおしまいであります。そうではなしに、やはり全体として調整のある発展、福祉増進、社会開発進歩、こういうことを企画するということが日本の政治の目標であるとするならば、この傾向是正に対しまして、また是正することの是非という問題もありますけれども、しかし、幾ら控え目に見てもこれではと思う面が相当あるのではないかと思うのであります。一々職業を指摘するのはいまの場合私はいたしませんけれども、もっと労働を尊重するという風を持ってもらいたい。西ドイツあたりにおきまして、日本のバスガールにかわるに定年退職の年齢層の男性がバスの車掌さんになっている事実を見たことがあります。東ドイツではそうではなしに妙齢の婦人が装いをしてバスガールをつとめておいでになったが、私はやはり前者のほうをとりましたね。これは労働力不足、完全雇用状態になっておったときの話でありますから、それがしからしめたのかわからないけれども、やはり適材適所、労働尊重という風が社会にほしいと思います。エレベーターガールを一々なくしなさいというのもそれは酷な話です。しかし、できますならば、やはりもっと労働を尊重して適材を適所に用いて、あなたのおっしゃる労働能力を開発する社会、経済の均斉のとれた発展状態を導き出すというような御所望のごとき状態を展開するためには、労働を尊重するという風がほしい。それを尊重も何もせぬ、かってだ、職業選択は自由だから婦人は売春婦、刑務所に行こうが、これも御自由だ、そこまでいけば何をか言わんやであります。そうではなしに、やはりものさしがあって、そうして基準をお互いがつくりながらいくというふうな観点からひとつ是正はできぬものだろうか、これとてもちょっと机上で考えたことだけですけれども、この風潮は何とかならぬものだろうかというのが私の個人的な気持ちだったのです。そこであなたにちょっと訴えたような次第でありますので、これはしいてここでどこがどう、どうしなさいというわけにいきませんけれども、少なくとも労働者問題、需給問題等をめぐりまして産業別の労働構成、就業構成というものは非常に重要な部門ではないか。あなたのほうがお出しになっておりますこの労働需給の不足対策につきましても、こういう面にちょっと触れておったと思うのです。ただ、需給対策の労働節約体制の推進という項がございますが、これはどこが出しましたか、労働省からお出しになったものですが、こういう面におきましても必要以上に湯茶のサービスをするようなことがあり等々、相当具体的な指摘をしていますね。ということもありまするので、こういう辺は何とか改善するという施策を高く揚げていくというような、PR時代ですから、する手はないものだろうか、こんなことを思うのですがね。どうですか、大臣。これは常識問題で恐縮ですけれども……。
  110. 小川平二

    小川国務大臣 第三次部門というものをバー、キャバレーとかいうようなもので代表させるわけにはまいりかねると思いますし、また、経済のことは複雑にからみ合っておる、有機的な一体をなしておるわけですから、いずれの部門、いずれの業種、職種がより大切であり、あるいは大切でないというようなことを、戦争中の物動計画のように荒っぽく割り切るというわけにもまいりかねると存じますが、しかしいずれにいたしましても、工場で汗を流して働く職工になるよりはバーやキャバレー、はなやかなところで働くほうがいいというような安易な気持ちで職業を選択されては、これは困ります。やはり額に汗して働く精神というものを涵養する、植えつけることは、非常に大切だと心得ております。若い人たちに正しい職業観を持ってもらうような努力を、これからいろいろな方法を講じて実行に移していきたいと考えておる次第でございます。
  111. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣への質問を終わります。  せっかく見えておりますので、ちょっと事務の方に五分間ほど時間をほしいのですが、婦人少年局長見えておりますね、ちょっと伺ってみたいのであります。  働く婦人の家の問題でありますが、これは御計画あるいはこのもの自体としまして私は何ら異存を持っておるわけではございませんのですが、これを、ちょっと先に触れておりましたように、末端の零細企業の婦人少年のために、そうりっぱなすばらしいものへ引きつけるというのじゃなしに、もっと手近なところで、簡単に、実際に応じたように、何かこの種の構想を実現するというようなくふうはないものであろうか。あまりりっぱなものをつくって――たとえば兵庫県に四カ所あるらしいのですね。姫路にあり、それから尼崎、高砂と、もう一カ所ですか、というようなそんな遠方につくっても、これを利用する人は階層も区域も限られます。そうじゃなしに、いま申しましたようなミクロ的な、分散した無数の女性も少年もおるのですから、こういうところ、何かもっと身近な、手近なところでこの種の潤いを持たすという手はないものだろうか。そうしないと、せっかくの催しは高ねの花で、利用する人は百人に一人では、生きた行政にはならぬと思うのですが、何か方法はないかどうか。ぜひそういう辺も今後検討を進めていただきたい。そしていま申しましたような需要に応ずるような、生きた、血の通ったほんとうのあたたかい行政がひとつ望ましい、こう思うのですが、どんなものでございますか。
  112. 高橋展子

    ○高橋説明員 働く婦人が利用することのできます施設といたしまして、働く婦人の家と勤労青少年ホーム、これを私どもは計画的に設置を進めてまいっておるわけでございます。働く婦人の家につきましては全国で約二十カ所、勤労青少年ホームが約九十カ所、四十三年度末には設置を見る、このような状況でございます。先ほど来御注意いただいております点につきましては私どもも全く同感でございまして、遠いところにりっぱな建物がございましても、それを利用できる人は非常に限られますので、願わしいことは、身近なところに施設がありまして、日々のいこい、日々の安らぎを得、また手軽に教養を深める、あるいは生活に必要な援助を受けるという施設が設けられることであるという点につきましては、全く私どももそのように考えているわけでございます。それで私どもといたしましては、最近は、これらの施設をいま申しましたような目標に少しでも近づけますために、人口五万以上の都市には全部これらの施設が設けられますようにということを一応の目標にいたしまして設置計画を進めております。しかしそれでもなおかつ、特に働く主婦にとりましてはなお手近さにおいて欠けるという御指摘は免れないかと思います。そういう点につきましては、私どもも働く主婦の現実的なニードがどこにあるかということにつきましてより一そう詳しく事情を把握いたしまして、これらの施設とあわせて、さらにきめのこまかな、血の通った施策が考えられるならば、一日も早く実現をはかってまいりたいと思っておりますけれども、またそのために各地におきまして働く主婦たちの声を聞くチャンスもしばしば設けて事情を伺うというような努力もいたしておるところでございますが、何ぶんにも新しい領域の仕事でございますので、なかなか私どもの知恵も十分でない点もございますので、具体的な施策につきまして御示唆をちょうだいできれば幸いだと存じます。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はやはり前提といたしまして、できるだけ現実の正確な資料を収集するということが必要であると思います。たとえば、申しましたように中小企業ないしは零細企業で主として通勤によって労働する主婦ないしは家庭婦人は、どの地域に、どういうような年齢層、何名日本には存在するか、はたしてこれが五十万となるのか、百万となるのか、どの地域にどのくらいあるかというようなこと、数的に地域分布の実態を掌握すること、またその職場の種別あるいはまたその職場の規模、職種、そういうもの等々、やはり現実の状態を全国的に詳細なものをおつかみになって、そしてできることでございましたならばやはり地域地域で代表的な相当な数の人々の意見、要望等をお聞きになる。それはちょっと先に申しましたように地方団体等の協力も得、業者団体あるいは労働者団体等の協力も得まして、そして現実を掌握していくということをまず一切の前提にする。そしてやはり一婦人少年局の問題にあらずして労働省の問題なり、労働省だけの問題にあらずして一つの重大国策なり基本国策の一環をなす、そこまで持ち上げ、積み上げ、拡大していくということで初めて最終の成果が得られるのではないだろうか。もちろんそれは教育の面からも観察せなければいけません。あるいは児童保護の面からも観察せなければいけません。母性保護の面からも観察せなければいけません。経済面もあるし、健康面もあります。あるいは家庭環境の面もありましょうし、あらゆる面から観察を必要としますが、要するに如上述べましたような点だけでも、一切正確な資料を前提にする。可及的すみやかに、ぐずぐずしておりましたならば、北海道はことし済んだけれども、九州は再来年になったというようなことでは、全部これは生きた資料になりません。したがって、税における総理府の統計のようなものじゃなしに、もっとなまの資料をやはりお集めになるということをおやりになってはいかがでしょうか。もちろん職安局も相当重要なお役割りを果たすべきと思いますけれども、省内における局につきましてはそれぞれと、内輪のことでありまするから、適当に御連絡をおとりになって、いま申しましたような資料を早く集めて、そして段階でもよろしい、本年十二月までの予算に間に合わぬでもよろしいから、いずれにしましても、この方向だけはやはり橋頭堡はちゃんと出してしまわなければいかぬと思うのです。こういうことに手をつけることなくして、数億円数億円ということでは、極端なものの言い方をしますと、予算のむだ使いになってしまうおそれがある、あるいはこれは効率のあがらぬ予算の使い方ということになってしまう。ですから、そういうふうに順序を追って、ひとつ正確な歩調で進んでいかれることを持に御希望申し上げたいのであります。これは婦人だけの問題じゃありません。少年の問題も同様でありますので、それは同じようなワクの中におきまして、考え方におきまして扱っていかれることを強く御要望申し上げます。だから省内における横の連絡は緊密にとって進んでいかれることを特につけ加えておきたい、こう思うのでありますが、どなたからでもよろしゅうございますからひとつ……。
  114. 高橋展子

    ○高橋説明員 御指示いただきましたような方向で、今後とも一そう関係機関と連絡を密にしながら努力してまいりたいと思います。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終わります。
  116. 田川誠一

    ○田川委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後四時二分散会