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1968-09-30 第59回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月三十日(月曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員   委員長 大石 武一君    理事 鍛冶 良作君 理事 四宮 久吉君    理事 白浜 仁吉君 理事 田川 誠一君    理事 田中 武夫君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       北澤 直吉君    丹羽 久章君       長谷川 峻君    北山 愛郎君       佐藤觀次郎君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君         通商産業大臣  椎名悦三郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      木村 武雄君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局長    諸永  直君         大蔵省主計局次         長       船後 正道君         農林大臣官房長 大和田啓気君         農林大臣官房経         理課長     樋貝  勇君         農林省農政局長 太田 康二君         農林省畜産局長 立川  基君         食糧庁長官   桧垣徳太郎君         通商産業大臣官         房長      両角 良彦君         通商産業大臣官         房会計課長   井上  保君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         特許庁長官   荒玉 義人君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君         会計検査院事務         総局第四局長  鈴木 治久君         専  門  員 池田 孝道君     ───────────── 九月三十日  委員水野清君、勝澤芳雄君及び森本靖辞任に  つき、その補欠として北澤直吉君、佐藤觀次郎  君及び北山愛郎君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員北澤直吉君、北山愛郎君及び佐藤觀次郎君  辞任につき、その補欠として水野清君、森本靖  君及び勝澤芳雄君が議長指名委員選任さ  れた。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十一年度政府関係機関決算書  昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (農林省所管通商産業省所管)  派遣委員からの報告聴取      ────◇─────
  2. 大石武一

    大石委員長 これより会議を開きます。  先般、歳入歳出実況政府関係機関経理及び公団等国資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する実情調査のため、当委員会は、島根県、鳥取県、岡山県に委員を派遣し、各方面から意見を聴取いたしてまいったのでありますが、この際、その報告を便宜上この席から私がいたします。  委員派遣第一班の調査報告を申し上げます。  派遣委員大石委員長吉田委員の二名、派遣期間は去る八月二十日から二十四日までの五日間であります。調査個所農林省専売公社道路公団動力炉・核燃料開発事業団の中国地方各出先機関及び岡山南地区産業都市であります。  以下順次その概要を申し上げます。  第一班は、中国四国農政局管内における干拓開拓並びに畑地かんがい等土地改良事業を主として調査いたしました。  まず島根鳥取両県にまたがっている中海干拓事業でありますが、本事業中海本庄地区中心として約二千八百ヘクタールの干拓を行ない、耕地約二千四百ヘクタールを四十八年度までに完成して、新規入植百五十戸のほか、増反約千百戸を実施して将来の山陰地方におけるパイロットファームとすることを目途とし、協業化大型機械化による水田酪農方式を取り入れることとしております。  総事業費は百六十五億円、三十八年度から着工いたしておりますが、水利使用公用水面埋め立て関係協議あるいは地元補償等交渉が延引しており、四十二年度までの事業費支出額は二十八億円、数次にわたって年度予算を返還し、工事進捗率はいまだに一七%にとどまっております。しかしながら、四十二年度中にこれらの交渉がほとんど解決しましたので、今後は順調なる工事進捗が期待される次第であります。  開拓につきましては、岡山勝央地区国営開拓パイロット事業を見ましたが、これは津山市の東方美作台地において農家収入向上離農防止等営農改善をはかるため七百五十ヘクタールの林野を開墾し、約千二百戸の農家増反をし、あわせて既耕畑との畑地かんがいを行ない、ブドウ、桃、蔬菜を主とする経営のほか、肉牛畜産ども予定し、これらによって十アール当たり十二万円の収入をあげることを目標としております。  総事業費三十億二千八百万円、四十一年度着工、四十七年度完成予定で、四十二年度までの事業費支出は九千三百万円、二十二ヘクタールの畑地開墾を終わりまして、現地視察のおりにはトマトその他の蔬菜類作付を行なっており、その成績はおおむね良好で、今後順調な事業進捗が予測される段階に入っておりました。  畑地かんがいにつきましては、同じく岡山備南畑地かんがい事業がありますが、これは倉敷市の西南方船穂町を中心とする約三百九十ヘクタールの畑地に総事業費三億六千五百万円をもって高梁川からかんがい取水を行なうものであります。工事は三十六年度着工、すでに揚水機三基のほか配水池取水路等を設けてスプリンクラーかんがいを行なっておりました。  本地区県下でも指折りのマスカット等果樹地帯で、なお集団蔬菜地域としても有望とのことであります。現地で聴取したところでは、マスカット栽培により十アール当たり実収は百五十万円をあげ、経営規模は一戸当たり十アールから三十三アールに達するものもあるとのことでありました。事業効果はきわめて良好で昨年夏の同地域干ばつ時にも十分に役割りを果たし、各農家賦課金返納は一〇〇%行なわれているとのことでありました。  以上三地区事業を視察して考えられますことは、第一に、事業の円滑順調なる遂行にはまず地元理解協力が先決問題であります。中海では三十八年度着工が現在までの進捗率がまだ一七%であるのに、船穂町の場合は三十六年度着工していまはほとんど完成し、その成果を十分にあげているのであります。  第二に、これら事業について受益者負担金償還にあたりましては、立地条件農家経営規模等を考慮して、期間金利などの償還条件を弾力的に運用することが必要であるということであります。  次に、大阪営林局松江倉吉営林署について申し上げます。  松江営林署は、国有林野民有林野に比してきわめて小面積でありますので、二十九年度以降国有林取得につとめ、当時の千五百ヘクタールから現在四千百ヘクタールに増加し、今後もこの方針で進むとのことであります。官行造林は五千五百ヘクタールでありますが、これは漸減方向にあります。倉吉営林署大山治山事務所は、大山地区荒廃を防止するため堰堤工事などを行なって地形の安定につとめ、本年度四千四百万円の支出予定しておりまして、これら治山工事実情を視察いたしてまいりました。  次に日本道路公団松江大山道路管理事務所について申し上げます。  松江道路松江市から玉湯町に至る五・八キロ、大山道路鳥取伯仙町から大山町に至る延長十二キロであります。  松江道路の四十二年度料金収入は九千五百万円で、計画収入の二七〇%に達し、二十五年間償還が約半分に短縮される見込みであります。これに対して大山道路は四千四百万円で計画収入の九四%にとどまり、三十年償還予定は若干延びるものと推定されております。これは松江道路産業幹線道路として大型車両交通量が増加しているのに対して、大山道路は主として観光に利用されている事情によるとの説明でございました。  次に動力炉・核燃料開発事業団人形峠出張所について申し上げます。  人形峠地区ウラン探査は、三十一年地質調査所による発見以来、原子燃料公社を経て現在の事業団に至るまで絶えず続けられ、ウラン鉱石約五百万トン(平均品位〇・〇五%)が確認されておりますが、現在探鉱事業人形峠地区ではほとんど終わり、岐阜県東濃、山口県豊田両地区に主力が移っているとのことであります。  四十二年度における事業団の総事業費公社時代のを含めて約三十八億一千八百万円、うち探鉱及び開発試験費は五億七千八百万円で、人形峠出張所はこのうち二億五千四百万円を支出し、ただいま申し上げましたウラン鉱探査のほか水力採鉱及び製錬技術の研究を行なっております。  私ども現地において、これら探査並びに採鉱坑とあわせて、三十九年七月完成いたしました山元試験製錬所においてウラン鉱石から塩化ウラニルを製造する一貫製錬法の操業状況を視察いたしましたが、四十五年度末までにウラン生産年間十トンに上げて、新型転換炉等に研究利用する計画がきまっております。  次に、岡山南地区産業都市について申し上げます。  本地区は、三十九年一月新産業都市に指定されて以来、すでに二千六百万平方メートルの工業用地造成を終え、自動車、石油精製石油化学、鉄鋼、電力、食品など五十二社、六十工場が操業しております。同地区工業生産額は、四十二年度二千九百億円と、過去五年間に四・二倍もの飛躍的上昇を示しております。  私どもは、現地中国電力水島火力発電所において、県その他関係当局から説明を聴取いたしましたが、特に公害対策について、水島地区には石油関係企業が多く、すでに異臭魚の発生、イグサの先枯れが見られまして、これは亜硫酸ガス公害として、原油、重油類脱硫装置が設けられているとのことであります。また、本年三月、大気汚染防止基本計画を策定して、集合高煙突建設など、煙源計画を推進しようとしており、これは全国で初めての計画として、その成果を期待したいと存じます。  次に、日本専売公社岡山地方局について申し上げます。  岡山地方局の特色は、管内における葉たばこ、塩の生産であります。  管内葉たばこ産地気候等、環境に恵まれ、全国屈指優良葉たばこ生産地として知られており、耕作面積は七千ヘクタール、収納代金は九十億八千百万円(四十二年度)に達しております。  四十二年度塩生産高は十七万六千トン、収納代金は二十三億六千万円で、これは従来の記録を更新する成績だとのことございました。  これら事業による岡山地方局の収支は、四十二年度において収入総額百七億六千百万円、支出総額百九十九億一千二百万円で、差し引き九十一億五千万円の支出超過となっておりますが、これは葉たばこ収納、塩の購入加工が多いことによるものであります。  以上、調査概要について御報告いたしましたが、なお詳細については別途報告書に譲ることにいたしたいと存じます。  調査は、関係当局各位の御協力を得まして、きわめて順調に予定の日程を終えて帰着いたしました。ここにお礼を申し上げまして、御報告を終わります。     ─────────────
  3. 大石武一

    大石委員長 なお、ただいま報告いたしました内容の詳細について調査報告書を提出いたしますが、これを会議録に参考として掲載いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大石武一

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────     〔参照〕    委員派遣第一班調査報告書  昭和四三年八月二〇日から同月二四日までの五日間、島根県、鳥取県、及び岡山県において、歳入歳出実況政府関係機関経理及び公団等国資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する実情調査を行なったので、その結果を報告する。 一、中国四国農政局  1 中海干拓事務所  中海干拓事業中海本庄地区中心として、約二、八〇〇ヘクタールの干拓を行ない、さらに、中海宍道湖残水域約一五、〇○〇ヘクタールを淡水化して干拓地のほか、沿岸既耕地約四、八〇〇ヘクタールの農業用水を確保しようとするもので、総事業費一六五億円で計画されている。  昭和初年大橋川の浚渫により、塩水が宍道湖に逆流するようになり、これを淡水化する計画に端を発し、以来数次にわたり開発計画が立案され、紆余曲折を経て、現計画が実現する運びとなりたもので、三二年六月に中海干拓調査事務所を設置して、調査計画を進め、三七年全体設計を完了、三八年度から事業に着手の段階に入り、三八年四月中海干拓事務所を開設した。四二年三月、中海東部ならびに西部干拓建設事業所を設置して、事業実施体制を確立した。  干拓計画耕地造成面積二、三八〇ヘクタールを四八年度までに完成し、これを入植は一五〇戸、二月当り四ヘクタール配分とする。増反は一、〇九九戸、これは、増反後の耕地面積が=戸当り二ないし二・五ヘクタールとなるよう平均一・五ヘクタール配分とする。  計画は工期三八年度から四八年度に至るまで、右千振のほか、農業水利淡水化にわたっているが、これら全体計画実施により、当地域は将来の山陰地方におけるパイロットファームたることを目途とし、大型機械化協業化による水田酪農方式をとることとし、耕地六〇ヘクタール、搾乳頭数一二五頭を経営単位(一五戸)とする。これによる増産効果は、干拓事業三億四、六〇〇万円(一○アール当り一万四、〇〇〇円)農業水利事業一億五、四〇〇万円(一〇アール当り三、〇〇〇円)と試算されている。  事業は三八年度に着手したが、地元漁業補償交渉あるいは水利使用公用水面埋立関係協議の延引によって四二年度までの事業費支出は二八億七、二〇〇万円、工事進捗率は、一七・四%に留まっている。しかしながら、地元との補償交渉その他協議は四二年度中に殆ど解決したので本年度から本格的に工事進捗するものと考えられる。   完成後の受益者負担は、入植月当り四へタタールとして九二七万円、増反三六四万円、償還条件は、据置三年、二二年均等償還である。  2 勝英開拓建設事業所  勝英地区国営総合開拓パイロット事業は、岡山美作台地東北部に位置する勝央町外四ケ町の関係地域について、農家収入向上離農防止等営農改善のため国営をもつて、開拓並びにかんがい水利事業を行なうものである。  岡山県は農業後進地域に対する振興計画を三四年度立案し、 「美作台地農地開発事業構造」を策定した。地元でも「美作台地期成同盟会」を設立した。県は地区を八ブロックに分けて調査したが、その一つ勝英地区国営で施行されるに至ったものである。  計画概要地区内七五五ヘクタールの林野を開こんし、受益農家一、一八九戸に平均○・六五ヘクタールの農地を与える。更に約一九〇ヘクタールの既耕畑と併せて畑地かんがいを行ない、ブドウ主体とする果樹経営を行なうことにより、年間取得八七万を得さしめる。このため九四四ヘクタールの畑地基幹作目ブドウかんがい用水量一八五万トンの供給を確保するため、西原ロックフィル・ダムを建設するが、集水方法として、直接流域一平方粁の狭小を補うため間接流域の施設として頭首工一のほか、導水路管水路道路建設を行なう。  総事業費は三〇億二、八〇〇万円、四一年度から四七年度完成予定である。  四二年度までの支出済事業費は九、三〇〇万円であるが、うち工事費は一、五〇〇万円で、これによって、開畑工一一・四九ヘクタールが終っており、蔬菜類作付を行なって、その成績は概ね良好である。そのほかは測量試験宿舎営繕用地補償関係が主なもので、工事本格化は本年度以降である。すなわち本年度事業費は二億五、〇〇〇万円、うち工事費一億三、三〇〇万円で開畑工一六九ヘクタール等が予定されている。  完成後の受益者負担は、開拓増反月当り一万一、〇〇〇円土地改良月当り一四万二、〇〇〇円で償還条件開拓が、据置三年一五年償還土地改良据置なし、一〇年賦償還となっている。3 岡山備南畑地かんがい事業  本事業岡山高梁川用水改良事務所が、浅口郡船種町を中心とする三八八・四ヘクタール畑地に、高梁川からかんがい取水を行なうものである。  総事業費三億六、五〇〇万円、三六年度着工、四三年度完成予定である。工事揚水池三基のほか、配水池取水路等を設置し、畑かん所要水量をまかなうものである。本地区県下で主要な果樹地帯であり、なお集団蔬菜地域として伸びる可能性が多い。畑かんがいによるマスカット栽培によって、一〇アール当り農家収入一五〇万円をあげており、経営規模は一〇〜三三アール程度である。昨年の干ばつ期には本事業の施設が、その役割を果し、各農家はその恩恵に浴したという。農家賦課金は一〇〇%完納されている。  以上、三地区事業調査視察して考えるに、第一に事業の円滑、順調なる遂行にはまず地元理解協力が先決問題である。中海では、三八年度着工が、地元との協議交渉遅延のため、現在の事業進捗率は、未だ一七%に留まるのに対し、船種町の場合は、三六年度着工して、いまは殆ど完成し、その成果を十分にあげているのである。  第二に、これら事業完成後の受益者負担金償還については、立地条件農家経営規模等を考慮して、期間金利などの償還条件を弾力的に運用することが必要である。この二点につき、当局は特に配慮すべきであると考えられる。 二、大阪営林局  1 松江営林署  国有林野面積は四、二二ヘクタールで管内森林面積の一・七%を占めるに過ぎないが、林野整備等による国有林取得に努力しており、将来漸増の方向にある。即ち昭和二九年度以降四二年度に至る問に民有林等三、四五七ヘクタールを買入れているが、本年度も一、〇〇〇ヘクタール余の取得計画している。  官行造林地面積昭和三六年の七、四五〇ヘクタール以後漸減方向にあり、現在、五、五〇六ヘクタールである。  樹種別蓄積は、針葉樹ヒノキ三三、〇〇○立米アカマツ一六、〇〇〇立米スギ一四、〇〇〇立米、その他を併せて六五、〇〇○立米広葉樹ナラ類八、七〇〇立米、クリ五、五〇〇立米、ブナ五、二〇〇立米、その他を併せて五一、〇〇〇立米、総計一一六、〇〇〇立米である。  四三年度収穫予定量(四一、〇〇〇立米)の九一%(三八、〇〇〇立米)を占めるものは官行造林であり、国有林は九%(三、〇〇○立米)を占めるにすぎない。官行造林収穫量は四二年度から減少し、四六年頃から急激に減少する見込みである。  国有林野造林事業については林野整備等により取得した国有林が大部分であり、従ってこれら林地の更新主体である。現在九七一ヘクタールの未更新地があり、早期に更新を行なう計画である。官行造林事業は四〇年度をもって更新が終了したので、今後は保有、保護が主体である。  販売事業はすべて、立木処分であり、その大半が官行造林であるが、伐期の低下に伴い、優良林分は減少しつつある。四二年度販売実績は、管内業者への売払五八%、管外が四二%、また公売八三%、随契一七%となっている。  販売量国有林の分五、一〇〇立米、三、九〇〇万円、官行造林官収分ハ、〇〇〇立米、一億六、〇〇〇万円である。  これらによる純利益は五、〇OO万円で、四一年度に比して、約四九%の減少となっているが、官行造林部門収益の減少が主な原因である。経営方針としては、国有林保有面積が少なく、経営目的を達成するには不十分なので、公私有林の積極的な買入れと取得地内の更新促進による生産力の増強に重点がおかれている。  2 倉吉営林署  国有林野面積は一四、五〇〇ヘクタールで、公有林野等官行造林地は二、五〇〇ヘクタールである。これが、管内東部に、国有林七、一〇〇ヘクタール、官行造林一、四〇〇ヘクタール、中部に、国有林四、六〇〇ヘクタール、官行造林五〇〇ヘクタール、西部に、国有林二、八〇〇ヘクタール、官行造林五〇○ヘクタールが分布する。かように、東部に国有林が集中し、管理機構もこの地域に集中している。中部西部には国有林国立公園地域内に分布しているため、林野管理面の比重が特に高い。  樹種別蓄積は、針葉樹ヒノキ二二五、〇〇〇立米スギ五八、〇〇〇立米アカマツ四四、〇〇〇立米、その他を併せて三七〇、〇〇〇立米広葉樹、ブナ二八六、〇〇〇立米ナラ類六九、〇〇〇立米、その他を合わせて七四九、〇〇〇立米、総計一、一二〇、○〇〇立米である。  国有林針葉樹ヒノキ主体をなし、広葉樹は、天然生林主体である。実行造林地は約四〇年生のスギヒノキ、マツで地方公共団体の重要な収入源となっている。  四十二年度収穫材積国有林三五、〇〇〇立米官行造林一二、〇〇〇立米官収分)であり、四三年度もほぼ同量を予定している。  造林については、四〇〜四一年に九〇〇ヘタタール国有林買入れを行なったので、これの更新造林が急務とされる。治山事業としては大山地区治山工事が、大正六年以降、佐陀川一、二、三の沢、阿弥陀川、加勢陀川に堰堤を主体とした渓間工が、施工されている。大山地区は、各河川が降雨ごと火山岩等を押し流し、晴天続きには河川が潜行して、岩石が河床に横たわり、荒廃がはげしいため、国土保全の見地から治山工事を重点的に行ない地形の安定につとめている。今後も本地区地形、地質、気象等特殊性を考慮して、各支流毎に施工計画を樹立し、漢床勾配修正維持流路固定化をはかり、下流域への災害防止のため施工を行なうこととなっている。治山関係事業費は四一年度四、三〇〇万円、四二年度四、二〇〇万円を支出し、本年度は四、四〇〇万円が予定されている。  販売は製品及び立木販売が行なわれており、四二年度において、製品は二、〇〇〇立米一二、〇〇〇万円、立木は二二、〇〇○立米、一八、〇〇〇万円を販売した。立木のうち、一二、〇〇〇立米、一〇、〇〇〇万円は官行造林官収分である。  これら事業による純収益は、四二年度四億六、六〇〇万円で、前年度二億九、四〇〇万円より大幅に増加しているが、これは木材市況好転等によるもので、ここ数年はこの状況が続くものと考えられる。 三、日本道路公団大阪支社  1 松江道路管理事務所  松江道路松江市横浜町から宍道湖沿いに八東郡玉湯町に至る延長五・八粁で、二八年建設省により着工公団は三一年四月これを引継ぎ三三年七月供用開始したもので、国道九号線及び五四号、一八〇号各線接続道路として、産業並びに観光道路として交通緩和に大きな役割を果たしている。  総幅員八・五米、車道幅員六・五米であるが、交通量の急増に伴い、近い将来には狭小化するものと予想される。交通量供用開始から四二年度末までの累計一、一四〇万台で同期間計画交通量七三五万台の一五五%となっている。四二年度をとってみると、二三七万台で、計画量の九一万台の二五九%となっている。  料金収入は、供用開始から四二年度末までの累計四億三、一〇〇万円で同期間計画収入二億九、一〇〇万円の一四八%に当たる。四二年度収入は、九、五〇〇万円で計画収入三、五〇〇万円の二七〇%になっている。  当初償還予定は二五年間で、来る五八年七月を予定していたが、この成績をもって四六年九月に繰上げられる見込みである。  2 大山道路管理事務所  大山道路鳥取県西伯郡伯仙町尾高から同大山大山にいたる延長一粁であって、大山国立公園登山道路として、従来の主要地方道米子大山線新設改良工事として三六年八月着工、三八年一月供用開始された。  総幅員七・一米、車道幅員五・五米で、終点側五粁は冬期積雪量が多いため、両側に除雪帯を設け、シリカサンドアスファルトによるすべり止め舗装を施工している。また国立公園区域内の道路のため、風致保全に配慮し、防雪林内での松の存置をはかるなど、観光道路としての景観保持に努めている。  交通量供用開始から四二年度末までの累計一〇五万台で、同期間計画交通量五二万台の二〇〇%となっている。四二年度をとつてみると、三二万台で計画交通量一六万台の一九七%となっている。  料金収入供用開始から四二年度末までの累計一億四、七〇〇万円で同期間計画収入一億四、九〇〇万円の九九%に当たる。四二年度収入は四、四〇〇万円で計画収入四、六○〇万円の九四%に留まっている。当初償還予定は三〇年間で来る六八年十二月を予定しているが、現在のところでは期間償還は不可能である。  これは、大山道路観光道路として、中小型車両の利用が多いためで、松江道路産業幹線道路として大型車両交通量が増加して好成績をおさめているのと対照的である。 四、動力炉・核燃料開発事業団人形峠出張所  岡山県苫田郡上斉原村に所在し、核燃料物質の探査、採鉱試験、製錬試験研究を業務内容とする。  三一年一二月、原子燃料公社倉吉出張所管内として発足し、三二年八月、同出張所から分離して人形峠出張所となり、四二年一〇月、動力炉・核燃料開発事業団設立に伴い、公社から事業団に引継がれたものである。  人形峠地区のウラン鉱床探査は三一年通産省工業技術院地質調査所による発見以来、原子燃料公社時代から現在に至るまで新鉱体の確認につとめ、峠、高清水等八鉱体を獲得し、現在ウラン鉱石埋蔵量五〇〇万トン(平均品位〇・○五%)が把握されている。探鉱事業は当地区では終了し、岐阜県東濃地区と山口県豊田地区にその主力が注がれている。これと併行して、三四年五月から開始された採鉱試験は峠鉱体を使って、残柱式採鉱法、長壁式跡ばらし採鉱法等の試験を終え、現在は水力式採鉱法の技術確立に努めている。製錬研究は、三九年七月山元試験製錬所の完成以来進められ、海外で行なわれているイエローケークと呼ばれる中間製品を経ず、鉱石から塩化ウラニールを製造して、これを東海製錬所において金属ウランにする二貫製錬法の各種鉱石適用試験を行ない、四一年四月からは連続操業試験を行なっている。  四二年度における事業団(公社の分を含む)の総事業費三八億一、八〇〇万円のうち、探鉱及び開発試験費は五億七、八〇〇万円で、うち人形峠出張所分は二億五、四〇〇万円である。その内訳は、探鉱費二、三〇〇万円、製錬試験費一、六〇〇万円、採鉱試験費=四〇〇万円、一般管理費一億九、九〇〇万円である。  動・燃事業団としては現在までに開発してきたウランの採鉱、製錬の技術の維持発展と技術者の養成をはかることが必要で、このため、当出張所としては現有試験設備の整備改善によって、操業条件の合理化をはかり、人形峠鉱山のうち、峠、夜次及び中津河南部の三鉱床の鉱石を対象として、採鉱、製錬を行なうこととなっている。これによって、生産される天然ウラン精鉱(重酸アンモン)は、現在年間一トン弱であるのを四五年度後半を目標に年間一〇トンに増産し、これを事業団の行なう高速増殖炉(F・B・R)、新型転換炉(A・T・R)の研究開発に必要とする天然ウランの需要に見合うようにすることとしている。  なお四三年度における事業団の総予算額は、七〇億〇、一〇〇万円であるが、このうち一般管理費一七億一、〇〇〇万円を除く事業費の内訳は、動力炉関係、四一億一、七〇〇万円、核燃料探鉱、採鉱、精錬関係二億五、〇〇〇万円、再処理関係三億三、七〇〇万円等である。 五、岡山南地区産業都市  水島臨海工業地帯は昭和二八年度から大型工業地域としての構想のもとに開発を進め、三九年一月に至って新産業都市に指定され、建設基本計画決定をまって、四〇年度から本格的に、大規模工業開発と合理的土地利用計画による文化、社会施設などの社会開発を目標として、建設に着手した。  総事業費は六、〇〇〇億円で工業用地面積四、三〇〇万平米、うち造成済みのものは二、六〇〇万平米である。  現在までの立地企業は、五二社六〇工場で、自動車、石油精製石油化学、鉄鋼業、電力、食品工業等が主要業種である。これら企業の進出により、四二年度における同地域工業生産額は二、九一四億円と、三七年度に比して約四二倍(対前年比約三〇%)と飛躍的に伸びている。  人口増加の状況も著しく、倉敷市人口は四〇年一〇月現在二七万五千人であったものが、四三年二月三〇万二千人に増加している。  このような急速な伸びにより当地帯は新産業都市として今後も着実な発展が期待される。  公害対策として、四三年三月、水島地区大気汚染防止基本計画を策定し、全企業の工場建設完成時において通常考えられる最悪条件気象下でも亜硫酸ガスの環境汚染濃度が人体に影響を与えない(〇・2PPm以下)とするため、各企業の協力を得て集合高煙突建設等の煙源計画を推進しようとするものである。  今後の対策としては、総合対策としてばい煙規制法等に基づく公害発生源施設の指導監督等を行なう。大気関係対策としては集合高煙突建設促進、亜硫酸ガスのイグサ等農作物への影響試験、肥培管理等の研究指導、水質関係対策としては水質汚濁防止基本計画異臭魚対策が考えられている。六、日本専売公社岡山地方局  岡山地方局の業務は、たばこ販売関係、葉たばこ生産関係、たばこ製造関係、塩業関係に分かれるが、特に管内葉たばこ生産は気候、土質等環境条件に恵まれ、全国屈指優良葉たばこ生産地として知られている。  耕作面積は、四二年度備中九七四ヘクタール、黄色種六、〇八二ヘクタール、計七、〇五六ヘクタールで、岡山県約七〇%、鳥取県約三〇%である。収納代金は九〇億八、一〇〇万円で、黄色種七九億四、七〇〇万円、在来種一億三、四〇〇万円となっている。耕作人員は二万二、〇〇〇人、黄色種は一万五、〇〇〇人、在来種は六、五〇〇人である。  管内の製塩業は三業者で、塩田の総面積は四七五ヘクタール、イオン交換膜の年間製塩許可高は二万トンで、管内生産能力は年間一六万トンに達し、全国の一七%となっている。  四二年度の塩生産は一七万六千トン、収納代金二三億六千万円と、記録破りの成績を残している。  たばこの製造は、管内岡山直轄と、高梁、米子のたばこ三工場と倉敷、米子の原料二工場があり、四二年度の製造実績は一〇三億本であった。四三年度製造計画は本年五月高梁工場の操業開始により、製造能力が大幅に伸びたため一三三億本となった。原料工場の四二年度処理実績は黄色種一、六三七万キログラム、在来種三九〇万キログラムである。  たばこ販売高は四二年度三八億二、一〇〇万本、四億二、〇〇〇万円で前年度に比較して、数量六・二%、代金一一・八%の増加となっている。本年度販売計画は三八億八、〇○〇万本、一三三億七、五〇〇万円で定価改訂後でもあるので、販売促進活動を強力に展開し、販売高の伸長を図るため、上半期の販売見通しを二〇億本としている。  これら事業による収支は、四二年度において、収入総額一〇七億六、一〇〇万円、支出総額一九九億一、二〇〇万円で差引九一億五、〇〇〇万円の支出超過となっているが、これは葉たばこ収納、塩の購入加工が多いことによるものである。      ────◇─────
  5. 大石武一

    大石委員長 四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  まず、通商産業省所管について審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。
  6. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は、きょうは主として特許の問題、最初に工業用水の問題についてお伺いいたしたいのですが、その前に、先日来当委員会でも取り上げてまいりました日本国際見本市振興会の問題について、その後の処理状況だけを若干報告を願いたいと思うわけなのです。  まず第一に、当時私が問題を提起いたしまして、国会議員、主として自民党の諸君でございますが、そういう団体に名を連ねていることはどうかと思うということで、通産大臣の個人的名をもって、関係を切るようにという意味の勧告というか要望をしていただいた。その後藤井政務次官もまた同じようなことを強力にやられたと聞いておりますが、その結果、現在国際見本市振興会に名を連ねている国会議員がまだあるのかないのか。もうこの段階で、二回、三回にわたって勧告というか要望してきた、にもかかわらず名を連ねておるという人があれば、これは名を発表してもらって、何回か大臣名その他でやりました文書、手紙とか書面、これについての回答がどうあったのかなかったのか、それもひとつ明らかにしていただきたい。
  7. 乙竹虔三

    乙竹説明員 御報告申し上げます。  四十九名の方が名を連ねておられましたが、その中で文書でもって辞任届を提出され——これは内容証明郵便でございますが、辞任された方が三十九名であります。口頭でもって辞任を申し出られ、確認された方が三名、目下手続中の方が六名、それで計四十八名になります。なお、残るお一人でございますが、この方は最初から承諾をした覚えがないので辞任届を出す必要はない、こういうことでございましたから、結局四十九名さまの方みな名が消えたというふうにわれわれ考えております。
  8. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで、実際問題として、この振興会はその後役員の変更といいますか、そういう国会議員の名前を消してやっておりますか。そういうようにわしは承諾した覚えはないのだからとか、あるいは文書、口頭でもって無関係である、あるいは一応承諾したがやめたい、そういうことを向こうに言ってやった、こういうことの上に立って、当然名を消すべきだと思うのですが、そのことについては実は確認しておりますか。
  9. 乙竹虔三

    乙竹説明員 その後国会議員を役員として文書に載せて活動しているかどうかは、私たちのほうでは確認をいたしておりません。  なお、五月末でありますが、「日本国際見本市振興会事務局の事業活動について」という文書が出ておりますけれども、それによりますと、「当会役員については、委嘱就任時に正式に受諾書を受けているのでありますが、今回の件につき、諸般にわたる事情の影響を考慮し、任期中ながら特に改選、さらに強力新体制をとることもありますので、この点、御了承賜わりますようお願い申し上げます。」という文書も出ております。
  10. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私もまだ国会議員等の名前を全部消しているかどうかということの確認はしていないのです。しかし、いまのお話ですと、全部消えた、こういうことであるので、もう一度それは国会議員全部消えておるかどうか確認をしてもらいたいと思います。  それからもう一つは、そういうことで若干の問題もある、また零細企業が大きな被害というか迷惑をこうむった、そういうことで中小企業庁をはじめ通産省の通商局ですか、貿易振興局等からも文書その他を出していろいろと指導せられたようですが、その後の指導あるいはそれに対する効果、なお、きょうは警察庁は来てもらっておりませんが、あえて出席を求めなかったのですけれども、警察のその後の動き等について聞いておることがあるならばひとつ御報告を願いたい。
  11. 乙竹虔三

    乙竹説明員 周知徹底方でございまするが、その後も府県庁、市町村、業界にそれぞれ個別に私の名前をもちまして周知徹底方をはかっておりまするし、さらに府県庁におきましては、特に東京都あたりは自分の名において業種別の新聞等、また商工会機関紙等に誤りなきょうの掲載をいたしておるわけであります。  なお、私のほうから府県庁、市町村に出しました、ないし業界、団体に出しました文書には、疑問がある場合には直ちに本省、通産局、府県庁に申し出てくださいということを書いておいたわけでありますが、その後三十七件、通産局、通産省に申し出がありました。それには大臣が回答いたしております。府県、市町村については相当多数の照会があったようであります。  以上です。
  12. 田中武夫

    ○田中(武)委員 警察のほうは。
  13. 乙竹虔三

    乙竹説明員 失礼いたしました。警察の関係でありますが、実は私たちのほうと警察庁、それから警視庁と密接に連絡をいたしておりまして、数次にわたりまして、両者の担当官の意見交換、事情の交換、情況交換をやっております。東京都及び府県県警においては、両方とも目下調査中であるということであります。
  14. 田中武夫

    ○田中(武)委員 まあ、そういうことが今後行なわれないようにあるいはそういうインチキ団体が横行しないような処置を要望したいと思います。  そこで、大臣に。いま、中小企業庁長官報告にありましたように、一応国際見本市振興会につきましては、処理が進められておりまするが、この事件を見ましたときに、零細企業がいかに国会議員とか政治家、ことに大臣等に弱いかということ。名前だけ聞けばそれで飛びつく。その陰には、まず金融に困っておる。だから、これに入っておれば金を借りる場合にも便利であるとか、指導してもらえる。さらに、困っているのは税金、さらに仕事口、それから働き手、進んでは商品を外国へ輸出したいという願望、こういうものが、あえて申しますが、このようなインチキ団体にひっかかる大きな要因であったと思います。そういう問題について、通産大臣、中小企業庁長官は過去においてそういう点について十分に努力せられたであろうが、なお、そういう状態にあるということは、これたけでもわかっておるわけです。したがって、そういう面の解決について今後どのようにしていくか、これは零細企業対策の問題になろうと思うのですが、ひとつ考え方をお伺いしておきます。
  15. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは私がまだ通産大臣になる前の話でございましたが、その後、私がこういう地位についたというわけで、ほっておくと非常に——非常にというか、従来以上に弊害を拡大するおそれがありましたので、御注意によってそれを防止し得たことを実は感謝しております。しかし、いろいろな手づる、あるいはその他の関係というものを利用することは絶対にこれは防止はできない。われわれも人間ですから、いろいろな関係で思わず口を聞いたり、その他のコミュニケーションをすることがあるわけでございますが、しかし、この本件のように、組織的に大がかりで、そしてこう名前を連ねて、非常にまぎらわしい行動をしておるということは、そうよけいはないような気がいたします。少なくとも私の身辺に関しては、これ以外に組織的にこういう動きをしておるものとの関係は、私はございませんし、また聞いてもいない、あまりないのではないかと思います。そういうわけでございまして、再びかようなことの起こらぬように十分に気をつけてまいりたい、こう考えております。
  16. 田中武夫

    ○田中(武)委員 十分気をつけたいという——ぼくは今度はその裏側を言ったのです。そういうのにやすやすとひっかかるのには、金融に困っておる、税金に困っておる、人手が足りないから困っておる、そういう悩みがあるから、わらをもつかむような気持ちでこういうインチキ団体にひっかかった、こう言っている。したがって、現在の中小企業、ことに零細企業の悩みをいかに解決すべきか、こういうことなんですよ。
  17. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 それは、すでに中小企業庁を中心にして各種の施策を実行しておりまして、そして、それはただ制度を設けただけではいかぬので、こういう制度がある、この制度の利用のしかたはこうしなければならぬ、書いたものの解釈はこういうふうに解釈すべきであるというように周知徹底をいたしまして、そしてさような制度、施設というものを十分に利用し得るように進めてまいりたい。それは、ただくだらない縁辺をたどって、情実因縁でやろうということよりも、もうちゃんと道がついておるのだから、それを正当に理解をして、それを活用すればよろしいというふうに周知徹底をさせようと思います。
  18. 乙竹虔三

    乙竹説明員 具体策につきまして私にお尋ねがございましたので、大臣の御答弁を補足させていただきます。  この小規模零細事業対策は、中小企業政策の中で最重点とわれわれ考えておりまするし、先日、中小企業政策審議会の企業小委員会報告にもそのことを明記しておるわけであります。したがいまして、来年度の施策といたしましては、まず御指摘の金融関係でございまするが、一つには国民金融公庫の拡充、次に信用保証制度の確立及び拡充及び税制上の措置、以上が柱になるように新政策を組んでおります。さらに御指摘のように、小規模零細層は情報のキャッチが非常に劣っておるわけでございまするので、指導行政を強化いたしたいということで、商工会の指導員制度を拡充いたしまして、特に税務につきましては、税務の指導員を強化拡充するということが一つ。なお、一般に情報提供のために種々の施策を講じておる次第でございます。
  19. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そういうような悩み、苦しみといいますか、それが零細企業の実態でありますから、そういうインチキ団体にひっかからないように実態をよくつかんで、それに対する適切な指導なり政策、あるいは保護、援助これを要望いたしておきます。  それからもう一つは、一人だけ承諾した覚えがないのだから、断わったりやめるという意思表示はしない——筋が通っておりますが、それではその人の名前は残ることになります。したがって、もしそうであるならば、なおのこと抗議すべきではなかろうか、なぜおれの名前を使ったのか、そういうようなことで、ここでその人の名前を私は申し上げませんが、ひとつ大臣からでも、やはりほうっておけばそのまま残る。したがって、無断で名前を使っておるならば、それに対するむしろ抗議でもすべきではなかろうか、その点についてもう一度確認だけいたしておきます。
  20. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 その人はいまは国会議員ではございません。どういうつもりで承諾した覚えはない、したがって辞任届けを出す必要はない。こう言っておるのか、名前があるから、こっちが注意をした。そのことには触れないで、承諾した覚えがないから辞任届けを出す必要はないということで、放っておく御意思のようでございます。なお適当な機会があれば、そのことを勧告したいと思っております。
  21. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは中小企業庁長官はけっこうです。  次に特許についてお伺いいたします。  最近の技術革新の進展といいますか、さらに日本経済の開放体制への移行、したがって一般の権利意識の向上等々から特許、これは大きい意味の特許、広い意味の特許の申請出願が増加してきておる。さらに日本の技術と外国の技術の競合問題等々にからみまして俗に特許戦争とまでいわれておる。この外国人の特許の出願等々が激増しておると思います。にもかかわらず、一方特許庁でのこれらの出願各案件の処理能力はきわめて低いといいますか、よくない。聞くところによると、出願件数のほうが処理件数を上回っておる。そうするならば、その差のギャップというものはますます大きくなっていく。したがって処理がおくれてくる、たまってくる、こういうことになるのですが、それに対する特許行政としての解決の方法、さらに現在の処理能力と出願件数との関係等々をまずお伺いいたしたいと思います。
  22. 荒玉義人

    荒玉説明員 御指摘の点につきまして、まず事実関係を先に申し上げます。特に特許実用新案について申し上げたいと思います。  現在非常に審査がおくれております。はなはだ皆さんに迷惑をおかけしておると思いますが、大体特許実用新案で最近の件数と処理を申し上げますと、四十二年度でございますが、出願が約二十万件、処理が十三万件でございますので、差し引き七万件の滞積があるという形になっております。累積が四十二年度末で六十万件ございます。  なぜそういうふうになってくるかといいますと、御承知のように、日本の出願増というのは世界的に最高でございます。件数でいいますと、大体二十万件でございまして、次はソビエトで十二、三万件、アメリカが九万件でございますので、量的には世界一です。それと同時に年率が最近の十年間で大体倍増しております。年率七%になっております。これにはいろいろ原因があるかと思いますが、まず出願が激増しております。一方、実はわれわれは基本的には人間の問題が何といっても最大かと思います。戦前平均の出願の増から見ますと、大体三・五倍でございます。特許に至っては五・五倍、一方人員増はラフで申しますと、戦前が大体八百四、五十人、現在は、いま総定員の数字を出しているのですが、これはまだ国会の承認を得ておりませんが、千七百十四名でございます。おおむね倍ちょっとでございます。出願が三倍から三・五倍、四倍近いのに、人員は倍でございます。何といいましても、やはりこのギャップが基本的には一番問題かと私は思います。したがって抜本策といたしましては、まず政府全体といたしまして定員削減という方向でございますが、われわれといたしましては、先ほど戦前比較で申し上げましたように、やはり定員増というものをぜひはかってもらいたいというのが第一点でございます。  第二点の抜本策といたしましては、これは全体の定員といいましても、現在の定員の数倍というわけにはなかなかまいりませんので、何といたしましても、現在の制度を何らか改善していきたい。現在審議会でいろいろ審議をしていただいておりまして、近く答申が出るとわれわれは期待をしておりますが、その一番の骨子は、新しくやはり審査請求制度というものを導入いたしました。御承知のように現在でございますと、出願があれば全部審査をするわけでございます。大体出願を百といたしますと、特許になりますのは約四割でございますから四十でございます。この四十の特許権がすべて世の中で経済的価値を持っているというわけにはまいりません。実際に実施をいたします出願権利は、約一割ないし五%、一割といたしますと、百出願があって四件が経済効果を持っている、これが実情でございます。特許集めというのは、早い段階で取るわけでございますが、その後いろいろ経済的価値があるかどうかという判断をいたします。あるいは自分の権利を防衛するために、いわゆる防衛のために取る、こういった権利がございます。そういったものは請求をしていただかないような制度、つまり請求しないのが……。
  23. 田中武夫

    ○田中(武)委員 特許法の解釈はいい。講義を受けているんじゃないからね。
  24. 荒玉義人

    荒玉説明員 そういう新たなる制度を導入することによりまして、審査の負担を軽減していきたい。したがいまして、現状を解決する方法としては、やはり何と言っても人員の拡充と同時に、必要最小限の制度の改正、この二つの方法によって改善いたしたいと思っております。
  25. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そういうことで特許庁は制度の面と人員の面から処理を早めたい、こういうことで審査処理計画というものを立てた。それによると特許実用新案を含めまして四十一年度では、いままで処理に必要な期間が四年一カ月であった、それを四十三年度では二年七カ月まで短縮したい、こういうような計画ができております。しかしいま話があったように、出願件数のほうが処理件数を上回っている。そのような状態でこの処理計画なるものがスムーズに行なわれているのか。最初目的にした四年一カ月を四十二年では二年十カ月、四十三年では二年七カ月、これでも長いと思うが、そういう計画を立てておりますが、その計画に対する実際の処理結果はいかがですか。
  26. 荒玉義人

    荒玉説明員 四十二年度で申し上げますと、大体処理計画が十九万六千件、実績は十三万二千件でございます。この原因が、要するに逐次一人当たりの処理能力が低下しているというのが一番大きな原因でございます。これは世界のことを申し上げて恐縮でございますが、アメリカでございますと大体一人当たり八十五件の審査でございます。西独も大体そうでございます。もちろん出願の価値が日本と必ずしも同じだとは申しませんが、日本ですと、年間大体二百十件、最高でございますと大体二百六十件くらい処理した時代もございますが、最近は二百十件というふうに一人当たりの処理が落ちております。これがそういった処理計画と実績のずれの最大の理由かと思いますが、なぜそうなっていくかといいますと、御承知のように審査といいますのは、出願の中身を読んで理解し、それと従来の文献と比較対照するのが審査でございます。大体従来の文献、特許資料だけを申しましても、この十年間でやはり倍以上、三倍くらいでございます。あるいは出願の中身は非常に複雑、高度化、同時にさっき先生から特許戦争という話が出ましたが、まさしくそれが権利を複雑にしております。小さな網の目を争っておるということでございますので、内容自身が非常に高度化、複雑化しておりますのが一人当たりの能力を低下さしておる理由かと思います。そういった意味で処理の実績が低下しておるというのが計画実施の差異でございます。
  27. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ともかくいろいろ計画してもそれが十分に果たせない、なお依然として処理期間が長過ぎる、そういうことで考えられる弊害が幾多かあります。たとえば出願案件の公開が許されない、公開しない、そのために新しい技術の交流がおくれるというようなことがある。あるいはそのために重複しての研究、重複しての投資、そういうことで大きなロスをしておる。さらにまた出願者から言えば、長い間権利が不安定である、またそういう長いということによって損害を受ける場合もあり得る。こういう損害等も考えた場合にどう処理するのか。まず私が申しました長いということで、公開されないということで重複研究、同じことをあっちこっちでやる、あるいはそのために重複した投資が行なわれる、そういう問題、あるいは出願者の権利の不安定の問題等についてはどう考えておられますか。
  28. 荒玉義人

    荒玉説明員 問題は二つございますが、第三者が、公開がおくれるための弊害。これはわれわれも一番大きな問題に考えております。現在ですと、出願公告は大体平均三年でございます。これは平均でございますから、もっと長くかかるのもございます。場合によれば、重要技術になって早く第三者が見たいというのがむしろ平均以上になるというおそれがございます。この点は審査を早くするということが何といっても一番肝要でございますが、それと並行いたしまして、これもやはり制度を改正いたしまして、出願から一年半たったらすべて公開をしていくという新たなる制度の導入によりまして、いま先生のおっしゃった最大の弊害を除去いたしたい、かように思っております。  それから一方、出願人が、おくれたために権利行使ができない、確かにそういう問題がございます。これにつきましては、国内でこういう方向でいま考えておりますが、御承知のように審査というものは、やはり当該技術の成熟状況その他と非常に相対関係にあると私は思います。たとえば技術進歩が非常に早い、流行が非常に早いというものは、現在でも、平均が三年と申しましたが、一年で勝負した部面もございます。そういった、つまり技術のテンポが早い、しかもものが流行品だというものは平均以上に早くやっていく体制もいまよりもさらに強化する。それと同時に、片や技術自身が早い段階でございますと、案外出願人自身は早く権利をもらうよりかやはりりっぱなサーティ、たとえば外国の明細書は必ず見てもらうということで四年くらいが適当であるというふうに、おのずから技術の分野ごとに審査期間というものがあると私は思います。したがって、一般的に早くするということは当然でございます。そういった意味で当該技術の分野に応じた審査体制、審査期間ということで、これは運用の問題でございますから、そういった形でやりたいと思います。したがいまして、いまの一般の問題は制度改正、後者の場合はもちろん運用その他の抜本的改善によりまして出願人の需要に応じたいと考えております。
  29. 田中武夫

    ○田中(武)委員 丹羽君が関連質問したいそうですから……。
  30. 大石武一

    大石委員長 丹羽久章君。
  31. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 特許庁の長官に関連してお尋ねいたしますが、いまの田中委員の質問によって大体わかったんですけれども、特許庁へ申請して大体平均三年あるいは二年半、そういう時日がかかるというお話でしたが、もう町では、国民の声といいますか、出しても大体四年くらいはほったらかしてちっともやってくれないという声が多いのです。あなたが長官になられる前のときにもこういう問題が起きて、どう早く処理をするかということは、議事録にも載っておると思いますが、これはつとめて何とか処理しなければならないと思っております、とこういうことであります。そこで、いま田中委員がおっしゃったように、非常に迷惑をこうむる場合がたくさんあるのです。たとえば建築材料なんかは、ただ単なる少しのもので、最初にその特許をとっておるからといって、それが役所でパテントとして認められて他のものを使用することは相ならぬ。それを変えなさいと言う。何もそう変わったもんではない、ほかの人たちがつくっておるのと同一のものが、その人でなければいけないという個条書きが入れてあるがために、その品物を買わなければならない。そういうことでたいへん高い価格を押しつけられて買って仕事をしていかなければならない。これは国家的に見て大きな損害になるのです。あるいは水門のとびらでも、一つのパテントを持っておるということで、片方は同じものをつくっていてもパテントがないということで、パテントのあるほうを優先して指定するというような場合が出てくる。そういう意味から考えていっても国家的損害というものはばく大なもんだ。私は考えなければいけないと思う。技術の進歩とおっしゃった。技術の進歩はそのとおり日々進んでおるのです。それをまず第一に解決するには人をふやせ、人をふやしてもらわぬと何ともならぬ。あるいは答申が出てきたら答申によってと言うが、答申を待って考えるというようなことは、私はおかしいと思う。それはもっと役所としての責任を果たすべきであって、人からこう言われた、答申がこういうふうに出てきたので、それを読んでみてひとつ研究して、それからやろうなんというような考え方というものは、長官、私はそれはあなたの答弁としては受け取りがたい答弁だと思うが、どうでしょう。関連ですから、ぼくはごく簡単にお尋ねして、すみやかにこれの抜本的対策というものとあなたのお考えを率直に聞かしていただきたいと思う。
  32. 荒玉義人

    荒玉説明員 先ほど、私、答申と申しましたのは、制度改正の部分でございます。したがいまして、先ほど田中先生から話されました早期公開をしていくというのは、それは現在ですと、出願公告になるまで秘密でございますから、それを出願から一年半たてば全部公開する、これはつまり法律改正の意味でございますから、したがって一般の運用その他を私は審議会で同意を得なければやらぬという問題ではございません。ただ、先ほど言いますように、私、基本的に考えますのは、何といっても一番大事なのは先ほどの人員とそれから制度改正と運用、この三位一体がそろってはじめて抜本的な対策になると思います。したがいまして、丹羽先生がおっしゃったような、運用面でやるべきことはこれは当然でございます。私どもとしてやるべきことはやっておるつもりでございます。
  33. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 田中先生がおやりになるそうですからもう一点だけ聞いておきますけれども、電子計算機でこれをすみやかにやろうという話があったんですけれども、それを買い入れるとか買い入れぬとかという問題があったのですが、それは買い入れたのか買い入れないのか、何か買い入れてもそれを運用することをようせないという話があったのですけれども、そういうようなことはないのですかどうですか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
  34. 荒玉義人

    荒玉説明員 現在、電子計算機は導入しております。導入して、主としていま大体年間三十数万件の出願がございますが、そういった出願事務に主力を使っております。われわれは今後はむしろ情報といいますか、技術を入れて、そうして新たなる出願があったらそれに使うという方向とあわせていまやっておりますが、こちらのほうは世界的にもまだ十分成熟した技術でございませんで、一部です。したがって、そういった意味で、出願の面で現在使っております。
  35. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで、処理期間が長いのでこれを短縮する抜本的対策として二つあると思う。一には審査官をふやす、一つは特許関係法、制度を直していく。  そこで、まず第一点のほうなんですが、私はかつて予算委員会でも苦干触れましたが、これは人事院勧告に関連してですけれども、ともかく審査官をふやすといっても、公務員の給料と民間大会社の給料との関係等から優秀な人を集めるのに困難ではないか。さらに審査官として一人前になるにはやはり十年くらいかかるんではないかといわれておる。そこで人をふやしたいからといって、頭が痛いので頓服を飲むようなぐあいにはいかない。ここしばらくはまだ超過勤務、それが結局は審査官の労働強化につながる、その結果はむしろ拙速ということになりかねない、こういうことを十分考えねばならない。  さらに第二点としては、かつて特許関係法の改正が出てまいりましたが、十分に機が熟していなかったといいますか、あるいは反対者が多い、そういうことで審議未了になっております。そこで、審議会の答申を得て再度改正を出したい、こう考えておられるようでありますが、具体的に特許改正法の国会提出はいつごろになるのか、いつごろにしたいと考えておるのか、この二点をお伺いします。
  36. 荒玉義人

    荒玉説明員 改正法は、私の希望といたしましては、来年の二月中には国会に提案して御審議をお願いしたいつもりでおります。
  37. 田中武夫

    ○田中(武)委員 人員の点は。
  38. 荒玉義人

    荒玉説明員 先生のおっしゃっておりましたのは、人員増加というてもそれだけではなかなか限度がある、私もそう考えております。つまり、量的にも大体今年度は九十九名、まだ総定員はとっておりませんが、大臣の御尽力によって九十九名確保してございます。これは審査官を全国から採用いたしますにしてもいろいろそういう意味での限度がございますが、同時にさっき言いましたように、すぐは役に立たぬという限度がございます。したがって、人員とさっきの制度改正を含めた、あるいは運用改善を含めた、あくまでそういう意味を持つもの、だと私は考えております。
  39. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大臣、いいですか、いま特許庁長官から答弁がありましたが、法改正のほうは来年の二月、通常国会に提出する。われわれはそれを受けて審議しますが、人のほうはなかなか思うようにはいかないと思います。そこで大臣、一つは審査官の俸給表といいますか、これについて人事院と話し合いをつけて、一般職あるいは技術職よりかなお高い給料にする必要があるんじゃないか。と申しますのは、先ほど申したように、よくできるのが民間大手に行く、むしろ審査をする審査官のほうが学校、大学等ではそれらの人よりかできがよくなかった。これは給料の関係等々があると思います。そういうことならほんとうの審査ということができかねるんじゃないか、こういうように考えますので、人員の増及びその待遇あるいは十分に予定の人が採用できるのか、あるいはその計画が大蔵省等との予算折衝の中において十分に果たせない、達しないということもあり得ると思いますが、この際大臣は、特許行政の重要性にかんがみ、私のいま申し上げたような点を含めてどう考えておるか、お伺いいたします。
  40. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 特許の定員増については毎年苦心をしておるのであります。ようやく今年度は九十九名の増員を実現することができたのであります。さらに、これに加えて特別俸給表を適用するということについては、非常に困難な事情は出てまいると思いますが、この点は慎重に検討したいと思います。
  41. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もっと具体的に、人事院等とも話し合いをして給料等も他の一般技術職よりか高いような給料を出し得るように——調べるほうなんですよ。身分を裁判官的にまで持っていけとは言わないにしても、その生活の安定をはかってやる。必要だと思うのです。だから、審査官について特別の給料表をつくるようなことを検討はしないか、こう言っておるのです。
  42. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ですから、検討いたします。いたしますが、これはなかなか困難だと思います。よほど努力しないと実現はむずかしい。いろいろひとつ応援していただきたいと思います。
  43. 田中武夫

    ○田中(武)委員 一般的にいえば一局を削減するとか、定員を五%減らすとかいわれているが、必要なところは伸ばさなくちゃならぬ、ふやさなくちゃならぬ、同時にまた必要な給与を与えなければならぬですよ。そういう点について、きょうはそういうつもりでやるんだったら大蔵大臣と並べておいてやりますが、これは通産大臣だけ幾らはっぱかけても大蔵省に対して言い分が通るかどうかという問題がございますから、この点についてはまた大蔵大臣と一緒のところで触れたいと思いますが、十分にその前に通産省としてはこう考える、こういうような案を出すべきじゃないか、こう考えますが、早急にそういったようなことを含めた抜本策について、ことに審査官の給与、身分等についても給料表を別個にするような問題を検討してもらいたい。いいですね。
  44. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 事前の研究は十分にしたいと思います。
  45. 田中武夫

    ○田中(武)委員 次に長官にお伺いしますが、日本人が外国に対して出願するのと——これは全部じゃなしに、特許と実用新案くらいにしぼりましょう。それと外国人が日本に対して出願してくる件数はどのような関係になっておりますか。さらに、いま申しましたように、また認められたように、外国に比べて処理期間が長過ぎる。そのために、先に日本の国内において特許を申請しておる。あとから外国において外国人が同じようなことについて申請する。ところが、そのほうが早く処理をせられる。したがって、日本が外国人特許を侵害したとかいうような問題が起こりかねないし、起こっておると思う。そういうような問題を含めてそういう点を特許戦争ともいわれているんだと思いますが、外国特許との関係あるいは外国に対して出願しておるもの、あるいは外国人が日本に出願するもの、同じような研究が日本と外国に別々の人から出たような場合、いろいろのケースが考えられますが、あわせて御答弁願います。
  46. 荒玉義人

    荒玉説明員 外国人が日本に出願する、大体特許が主でございますが、二割から二割四、五分あたりでございます。いま大体二万件ちょっとというのが外国人で日本に出願してくる件数でございます。これは国によりますが、アメリカが一番多うございまして、大体三、四千件というところが、日本人が外国に出願する件数でございます。外国といいますと、御承知のように一つの発明について数カ国やりますが、アメリカが一番多いのでありますが、出願の発明の数からいえば、大体三、四千件というのが現状でございます。審査でございますが、これは一番早いのはアメリカでございます。アメリカは大体二年半でございます。ドイツは日本よりおそうございます。日本が大体三年から四年でございますが、ドイツは五年以上でございます。そういった面では、審査期間では日本はちょうどまん中でございます。それぞれの国で独自に審査いたしますものですから、同じ発明についてアメリカが早く出てくるといったような問題がございます。ただ、効力は御承知のようにそれぞれの国の特許権でございますから、それぞれの国で審査をして特許にならないと効力は出てこないわけでございます。そういった意味で、審査の遅速の結果、それぞれの権利関係の紛争という問題は現実にはそうないかと思います。ただ、現在アメリカとの間では、いろいろ同じケースにつきまして、できるだけ一国の、日本が先にやれば向こうは待つということをいたしまして、それぞれ審査協力という形が考えられております。そういった意味で、審査遅速によるそれぞれの特許紛争というのは現実にはそんなにないかと思います。
  47. 田中武夫

    ○田中(武)委員 同じようなことについて、アメリカのほうで先に特許を発表する、権利を取って公開する。ところが日本はそれ以前に出願しておるという場合、何だまねしたのじゃないか、こういうような問題が現実に起きませんか。
  48. 荒玉義人

    荒玉説明員 日本人の立場になりますと、大体日本に出願してから一年以内に同じものをアメリカにおいて出願するわけです。アメリカの場合かりに早く権利になったといたしますと、アメリカでは実際特許権の行使ができるわけでございますが、日本ではできないという問題がございます。ですから、アメリカでは先ほど申しました特許権の行使が可能である、国内においてはまだであるという問題がございます。
  49. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そして、その後日本で認められた、そして、やろうとしたら、すでにこっちのほうは特許を取っているんだということで、委任をしたとか、クレームがつくというケースはありませんか。
  50. 荒玉義人

    荒玉説明員 もちろんかりにアメリカで先に特許になった、日本で出願公告になったといたしますと、日本の場合、これはいろいろアメリカなどから異議を申し立てしないというわけではございません。日本は別でございますから、異議の申し立てももちろんあります。向こうで、逆にアメリカで特許にならなかったという場合に、こちらで特許になるという場合もあり得ると思います。これはそれぞれの別な問題、もちろん業界としては同じ発明でございますから、利害は密接には関係しておると思いますが、特許行政の上から見ればそう関係はないのじゃないかと思います。
  51. 田中武夫

    ○田中(武)委員 特許行政からいえば関係はない、それは別々にやっておるのだから……。実際に事実、権利関係になるとぼくはあり得ると思うのです。権利侵害だとか……。
  52. 荒玉義人

    荒玉説明員 先生御承知のように、権利関係というものは実際に特許庁の段階で争う事項と、裁判所で争う事項というものは、それぞれ国によって全然違います。同時に特許のものの考え方というものも……(田中(武)委員「特許じゃない、裁判になる場合です」と呼ぶ)それはもちろん各国それぞれ主権のもとで全部独立してやっておりますので、それはアメリカで特許権侵害になる、日本では特許権侵害にならないという逆の場合も現にあり得るわけでございます。
  53. 田中武夫

    ○田中(武)委員 だからそういうことで、もちろん日本の裁判所に対して、たとえばアメリカからそういう訴えは可能なんでしょう。そうじゃないですか。
  54. 荒玉義人

    荒玉説明員 アメリカ人が日本で特許権者になるという場合には、もちろん特許権侵害で日本の裁判所に侵害訴訟を提起をする、これは当然であります。
  55. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ともかく新しい発明開発について、それを早く権利化しようとすることが競われておる。それが特許戦争といわれておる。開放体制に向かってますますそれが大きくなるわけです。それがおそいために、そういった権利関係が外国との関係において不安定になったら、そのためのトラブルがあり得るとぼくは思うのです。ないというならこれだけでなしに、またあらためてもっと事例等を引いて聞かねばならぬと思いますが、私はあり得ると思います。そういうことについてどう処理をし、どう考えるか。もちろん特許行政は特許庁だけの問題じゃない。特許権、工業所有権の問題について民事訴訟関係のことも含めてです。
  56. 荒玉義人

    荒玉説明員 アメリカですでに特許になって、日本に出願したけれども、まだ特許にならない。したがってどういう契約をしたらいいかという意味の民間の問題はございます。これは早く買い取ってもらえば、いわゆる契約というものがはっきりするだろう、そういう面はございます。ただ実際問題といたしまして、大体日本が導入する技術というのはわりにいい技術でございますので、アメリカで特許になれば日本では特許になるという前提で、事前にコントラクトがなされるというふうにわれわれは聞いております。そういった面の問題というのはございますが、さっきいいましたように、事実上特許になるであろうというようなことで進めておるようでございます。そういう意味の関係はございます。
  57. 田中武夫

    ○田中(武)委員 どうもピントが合いかねておる点があると思いますが、これはまたあらためて十分話したいと思います。いずれにいたしましても、そういった国際特許といいますか、あるいは国際特許条約というのもあると思います。それらの関係やら登記等から見て、おそ過ぎるためのトラブルは私はあり得ると思います。同時に高いロイアルティーを払わされておるという事実もあると思います。そういう点について十分考えてもらう、そういうことについて、もっとこういうときにはどうなってどうなるのかということは、特許法等々のこまかいことについてはあらためて伺うか説明してもらうことにいたしましょう。  さらに特許庁の予算ですが、歳入歳出を見た場合に、いまどうなっておるかわかりませんが、いままでは出願の手数料の収入が多くて、支出のほうが少なかった。そこで何も手数料だけ人をふやせとか、あるいは手数料を上回らなければいけないとかいうことではなくて、必要なだけ人員をふやすなり、機構の改革をする必要があるかと思います。かつて私は、手数料というか収入のほうがたくさんあって、支出のほうが下回っておる。したがって特許行政はもうけるための行政か、こういうことを商工委員会かどこかで言ったことを覚えておりますが、現在どのようになっておりますか。さらに手数料をどうしろというわけじゃないのですが、手数料のほうが上回っておるということなら、やはり特許行政はもうけるための行政か、こういうことを言われてもやむを得ないのではないか、こう思いますが、その点いかがですか。
  58. 荒玉義人

    荒玉説明員 現在の手数料といわゆる特許料全部突っ込めて申しまして、三十四年に改正したわけでございます。当時は大体改正しますと急激に歳入は上がります。支出はコンスタントでございますが、当初は大体三億から四億くらいの歳入超過といいますか、よけい国がもらっていたという事態はございました。最近、四十三年度、いまの予算で申しますと、大体差し引き一億ちょっとくらいの歳入オーバーでございます。最近ですと、四十二年度が大体六千九百万、四十一年度が六千七百万、その前が七千百万、大体一億弱くらいの歳入超過ではございます。われわれといたしましては、歳入一ぱい一ぱい予算を要求いたしまして確保すべく強い希望を持っております。
  59. 田中武夫

    ○田中(武)委員 先ほど大臣が御答弁になったからその必要はないと思いますが、いま長官の答弁のように、手数料のほうがたくさん入ってきておるのです。だんだんとその差は縮まっておるようですが、そういうことは特許行政からいって——金の面がなんですが、必要なものだけはどんどん出さなければいかぬと思うのですけれども、一般に特許で政府がもうけておるという観念だけはなくしたいと思うのですが、どうです。
  60. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 人件費、物件費全部包含して、なお収入が一億円ぐらいオーバーしておるということは、これは注目すべき現象だと思います。それで、毎年大蔵省を責めておるのですが、なかなかどうも言うことを聞かない、こういう状況でございます。
  61. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そういうことも含めて、次は大蔵省の関係、主計官あるいは大蔵大臣等と通産大臣を並べておいて、ひとつ突っ込んだ質問をすることにいたしたいと思います。  そこで、これはそのまま特許に直接に関係するわけじゃありませんが、やはり技術の問題についてでありますけれども、ここに私は、きのう、九月二十九日の読売新聞を持っております。それの社会面のトップに、 「革命的技術タナざらし」「実用化計画に待った」「半導体新製法役所のナワ張り争い」という見出しで出ておるわけです。この事実を御存じでなければ、新聞記事を若干読んでもよろしいですが。
  62. 荒玉義人

    荒玉説明員 私は読みました。
  63. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大臣は知りませんか。
  64. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 知らない。
  65. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは、ちょっと長くなりますが、新聞を読みましょう。「エレクトロニクスの世界に革命をもたらすだろうといわれる新しい半導体製造技術が、早大理工学部の伊藤糾次教授、理化学研究所主任研究員の難波進大阪大教授によって研究され、ほとんど工業化を待つばかりとなっている。この技術が開発されると、これまでアメリカに押えられっ放しの半導体技術に、新しい突破口ができるとみて、政府機関の特殊法人・新技術開発事業団(鈴江康平理事長)が六億円で日立、東芝の二社にその実用化開発を委託しようとした。ところが、科学技術庁と通産省のナワ張り争いから、この委託認可が宙に浮き、もう三か月もタナざらしになっている。この間、この新技術に着目したアメリカでは大メーカーが「日本に負けるな」と猛烈にあとを追いはじめたほど。ことは」——問題はここです。「“研究中”か“開発可能”かの判断をめぐって」通産省と技術庁とが争っておる。こういう意味のことが出ておるわけですが、そういう事実がありますか。
  66. 荒玉義人

    荒玉説明員 私は実はこれは所管でございませんで、重工関係だろうと思います。ですから、御承知のようにあれは特許をとったものを実施するといった場合のあれでございますが、もしございましたら、あとで適当な御報告をさしていただければ幸いかと思います。
  67. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大臣も知らないのですね、そういうことを。それじゃだれか知っておる人いますか。——重工ですね。これはあらためて聞くことにして、この次は科学技術庁とともに双方の意見を聞かなければ解決つかないと思います。ともかくこういうふうに大きく出ておるのです。それじゃこの点は保留いたします。  特許庁長官、けっこうです。  次に、工業用水の問題について、時間もありませんので、簡単に進めていきたいと思います。  工業、ことにケミカル工業の発展に伴って、工業用水の需要が激増している。そうして地下水のくみ上げによって地盤沈下が、これはかつては新潟で大きな問題になったが、各地に起こっておる。たとえば私の関係の播磨におきましては、地盤沈下はないのだ、こういっておるが、最近加古川、高砂等にもそのおそれが出てきた、こういう状態である。すなわち、地盤沈下という公害が起こりつつある、あるいは現実に各地に起こっておる。そこで、需要が増加していくところの工業用水について、この需要を満たすための計画というか、そういうものは通産省にもうできておるのかどうか、まずその点をお伺いいたします。
  68. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 通産省といたしましては、増大する工業用水の需要に対応するために、その水資源の確保に諸般の措置を講じております。まず、従来からやっておりました工業用水道の事業、主として都道府県でやっておりますが、それに対する補助金の確保、これが何といっても一番オーソドックスな方法でございますが、さらに最近は、さしあたり工業用水道をつくる計画は二、三年はないけれども、数年後には当然工業用水道の需要がそこに出てくるという場合に、先に農業用水あるいは治山治水等とあわせてダムの建設について水源の確保をする、そういうための特別な先行投資的な水源費の補助金というものを二年前から設けてやっておるわけであります。それ以外に一般的に水資源の基礎調査をずっと前からやっておりますが、そういうもの以外に、将来の問題といたしましては、河口湖を利用する。川の途中から水を取るということになりますと、農業用水その他と権利関係で競合するようなことがありますので、全部ほかの水に使ってしまった最後のものを河口湖でためてやる、こういうようなことを考えております。
  69. 田中武夫

    ○田中(武)委員 こまかい計画につきましては、ここで説明を願ってもどうかと思いますので、基本的なことだけを伺っておきたいと思います。  そこで、ダムをつくるとかあるいは河口の水を利用するとかということで、地元といいますか、地方団体はそこに先行投資をする。ところが、中には、ばく大な先行投資をしたが、今度は水が売れないという逆の現象が起きてくる、また、地元はそのために大きな財政負担になる、また地方公共団体はそういう事業をやるにしても、起債以外に財源がないという場合等々、いろいろな問題を起こしておると思います。そこで、まず工業用水の条件なんですが、ばく大な先行投資をした、その減価償却等も含めて、いわゆる水の原価が高くつく、しかしながら工業用水をあまり高くすれば、これは製品にはね返ってきて、物価の問題に関係してくる、ここに大きなジレンマがあると思うのです。昨年ですか、本年ですか、大蔵省と通産省が話し合って、そうして工業用水については四十二年以降の事業及び継続事業については、四大工業地帯ではトン一円、その他はトン五十銭の値上げを認めるとかどうとか、そういうようなことを話したようなことを新聞で見ておりますが、そういう事実と、そういう生産、物価との関係と先行投資、こういう関係において、工業用水道料金はいかにあるべきか、そういう点についてお伺いいたします。
  70. 大石武一

    大石委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  71. 大石武一

    大石委員長 速記を始めて。
  72. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大臣の時間の関係で飛ばしましょう。あとで答弁を伺います。  工業用水の確保という問題に関連をいたしまして、国、地方団体及び企業がどのように、犠牲というか、出費というか、投資を分担すべきであるか。そういう点につきまして、国、地方団体、企業この間の相互の関係あるいは負担の限度等々について、どういうようにお考えになるか、これだけちょっと大臣から伺っておきましょう。
  73. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 地盤沈下の場合、それからまた、新産都市等国の政策としてその地方に工業をぜひ興していかなければならない、そういうような見地に立って上水道の水資源に対する補助助成を行なっております。その比率の問題ですが、(田中(武)委員「三五%とか二〇%とかということは知っております。」と呼ぶ)そういう見地に立って国が助成をしておる、こういうことでございます。
  74. 田中武夫

    ○田中(武)委員 工業地域とか、新産都市とか、三五%とか、その他は二〇%とか、そういう補助率があるとか、そういうことはわかっておるのです。私が申し上げておるのは、今後ますます水を必要とする、工業用水の需要が増加しておる、それを解決するためには大きな先行投資を必要とする、その場合国、地方団体、企業、これの負担をいかに考えていくべきか、こういうことなんです。三五%をやっておるということじゃないのです。どのような姿が望ましいのか。この三者の負担の比率といいますか、どのようにし、どこが中心となってやるべきなのか、そういうことを聞いておるわけなんです。
  75. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは具体的な事例によって考え方を変えていかなければならぬのではないかと思います。ただいまのところはそうたくさん事例がございませんので、いままではそうしてきておったけれども、だんだん水の資源というものは不足して、そしていろいろなケースが出てくる場合には、これはいままでのように、ただ地下水の問題、あるいは工業立地の問題だけに限定するということはむずかしいんじゃないか。しかし、いままではその二点から国が乗り出す、こういうことにしておりますが、そのことを将来にわたって概括的に申し上げることはちょっとむずかしいだろうと思います。
  76. 田中武夫

    ○田中(武)委員 どうも、私の言っておることわかりませんか。——
  77. 大石武一

    大石委員長 時間的に終わりますか。あと六分しかありませんが、よろしゅうございますか。
  78. 田中武夫

    ○田中(武)委員 どうもピントが合わないのですよ。将来国と地方団体と企業がどのような関係においてこれを解決していくべきなのか。その原則というか、基本というか、そういう考え方を聞いておるわけなんです。
  79. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ですから、かりに地方、国、企業というふうにいたしまして、つい最近の北九州の水不足といったようなことは、これは企業じゃなくて地方全体が非常な水飢饉に襲われておるというような事態もぼつぼつ出てきておる。そういうようなことを考えると、ただ、国、地方、企業というようなものに案分して費用を出すというようなことでは追いつかないのではないかというふうに考えられますので、ただいまの状況では三〇%、二〇%、それから半分は企業というようなことでやっておりますけれども、将来にわたっては、この原則は、とてもこれではやっていけないということになると思います。
  80. 田中武夫

    ○田中(武)委員 かみ合わないのですけれども、保留します。
  81. 大石武一

    大石委員長 華山親義君。
  82. 華山親義

    ○華山委員 私、簡単に伺いますから、簡潔に大臣からお答え願いたいと思いますが、ことしの八月、日韓閣僚会議におきまして、私のことばは未熟でございますけれども、付加価値税というか、付加価値関税の提案が韓国側からありまして、日本側がこれを原則的に了承したということであります。この可否につきましては、党の態度もございましょうから私は保留いたしますけれども、この中で、韓国側の提案しましたところの品目につきましては、相当問題をかもし出しまして、これを一挙に現在やるならば、中小企業に非常な混乱を起こし、労務者に混乱を起こすだろうと思うのでございます。たとえばこの中にメリヤスのことが出ておりますけれども、メリヤスのことにつきましては繊維工業審議会なり、また党から産業構造の改善につきまして答申があったばかりであって、いかにこの産業というものを立て直すかというやさきであります。そのやさきに、まだそのこともできないうちに韓国側との間に行なわれた関税が実施されるということになるならば、非常な問題が中小企業に及ぶのではないか。メリヤスにつきましては、私はただ一例をあげたにすぎませんけれども、韓国側の求める品目にはこれに類するものが多々あります。また、この問題は、関税関係法規の改正を要することと思われますので、その場合には、韓国のみならず、最恵国約款によって各国に対してもこのことを認めざるを得ない、そういうふうなことでございますが、原則の当否につきましては保留いたすといたしまして、この品目につきましてはどういうふうにお考えになっているのか。この点について大臣の簡潔な現在の御心境を伺っておきたいと思います。
  83. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 日韓の定期協議がございまして、私はこの前出ませんでしたが、そのときの提案としてこの問題が出されたのであります。しかし、今回の会議において、韓国側がこの問題に集中して、ぜひこれをやってもらわないといかぬ、こういうふうにこれに非常にウェートをかけておるということが、私どもがソウルに出発する一カ月前にようやく明らかになった。それで、これは新しい問題でもございますし、いまおっしゃるように、向こうの提示品目どおりをやるということになったら、これはたいへんな混乱を招く。のみならず、関税の制度というものを手直ししなければならない。それに関してはまた最恵国条款というような問題もありますので、おっしゃるとおり大問題でございます。  なぜ一体韓国がこれに非常なウェートをかけて言ってきたかと申しますと、ベトナム問題も終息する。あそこから年々、最近は多額の外貨が入ってきておる。それから経済援助あるいは軍事援助、そういう問題。主としてアメリカ関係でございますが、そういうものをそういつまでも現状どおり期待することが非常に困難ではないかというような関係から、これはどうしても自前で働かなければならぬ。働くにしてもそういろんな産物はない。これからそういうような産業を興そう、こういうのでございますから、ほど遠い話なんです。そこで、韓国としては、さしあたり金になるのは何かといったらチープレーバーしかない。そのチープレーバーをいかにして金にするか、こういうことを考えたのであります。それでこっちから原材料を持っていってそれに加工する。加工したものをまた日本に持ってくるということになると、こっちから持っていった原材料にまたその関税がかかる。それは抜きにして付加価値だけにその関税を、こういうことを考えてそれを非常に強く言ってきておるということがわかりました。それでわれわれとしては、これは非常に大きな問題であって、いま現実に中小企業に多大のショックを与えるようなものはちょっと困るというので、数品目を提示したわけでありますが、とてもそんなことでは聞かないような勢いでございました。それで、いずれにしてもこれは必ずできるというのじゃなくて、新しい制度であって、しかも関税の制度というものを手直ししなければならぬ、国会の承認を得なければならぬということで、これはわれわれがここで相当な決意をしてもなおかつ非常にむずかしい問題だということは、十分に向こうに徹底するように話しておきました。新聞にはいろんなことが書いてありますけれども、新聞の報道はわれわれがいろいろ気配りをして向こうと話をした問題よりも非常に粗雑な書き方——これは発表いたしませんからそういうことになっておる。  それで私は、あなた方の経済的なそういう意欲というものはよくわかる。よくわかるから、必ずしもこういう問題だけに集中しないで、たとえば来年度はフォードが韓国にやってくる。そして現地で組み立てをやる。それからトヨタなんかも同様の進出を考えておる。そのほかにいままで実現をしないで足踏み状態になっておるのが三十数品目あるのです。これは役所側も指導、手心等にも関係がございますが、これをひとつ——おもに軽工業でございますが、そういうものを思い切ってこっちのほうに進出するように指導しよう。そうすると、こういう付加価値に対する関税というような特別のことを考えるよりも、まるまる向こうに企業が進出するんだからそれの下請であるとか、ことに自動車なんかはもう三千パーツとかなんとかいわれている。そういうような下請企業というのがいやでも応でも新しく植えつけられることになるのだから、そういうことも一緒に考えてこれだけに血道を上げないようにしてもらいたいということは申しまして、なお向こうの希望を一ぺんにだめだ、こう言ってしまうのもなんだから、できるだけ希望に沿って考えてはみるけれども、三カ月ほど余裕をもらいたい。そして可能なものについては逐次御希望どおり実施方向に努力することにしよう、こういう程度の約束をしてまいったのでございまして、新聞はどう書いてあったか私もよく存じませんが、真相はそういうわけです。そういうわけでございますから、いたずらに日本の中小企業に水をぶっかけるような、そういうことはもちろんできもしませんし、やるつもりもございません。
  84. 華山親義

    ○華山委員 慎重に処置していただきたい。
  85. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大臣の関係で中断いたしましたが、私が先ほどお伺いした件、先行投資の問題、あるいは地方の負担はいわゆる起債しかない、そうするとこれに対する金利の問題とか、それと料金の関係ですね、そういう点についてお伺いします。
  86. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 御指摘のとおり、先行投資の問題で、工業用水道は設置したけれども企業はなかなか来ないというようなことで、一部の地方公共団体の工業用水道の経営を圧迫しているということは事実でありますが、やはり工業用水道というものはそもそも先行投資性があるわけであります。特に新産、工特というようなこれから企業を誘致しなければならぬというところは、やはりある程度先に産業基盤である工業用水道というものを整備しておかなければ企業が来ないという問題があります。しかしながらこのまま放置できないので、われわれが考えている対策としては三つあるわけであります。  第一は水源費の補助。先ほどちょっと申し上げましたが、これはまさに先行投資でありまして、このためには水源費の補助率を上げなければならぬということで、現在は最高三五%になっておるわけですが、今度それを五〇%に引き上げるように折衝しよう。  第二に、一般の事業費の補助率もいろいろ先生御承知のように格差があるわけですが、先行投資の一番必要性のある新産、工特については最高三五%にする。  第三は、先行投資のために未収水量がある。水が売れない。それをつなぐためにその地方公共団体はいろいろ金繰りに苦労している。その場合に利子補給をやる。  大体この三つが先行投資に対する対策であります。  次に、料金政策全般についてですが、さっき先生が御指摘になりましたように、四十二年度においては四大工業地帯一円、その他五十銭というふうに上げられた。それからまた四十三年度については新規の分については五十銭というふうにして上げておるわけですが、この辺がもうせいぜい限度だということがいえるのではないか。先ほど申し上げましたように工業用水道というものは先行投資性があるから、企業誘致のためにできるだけ低料金に据え置く必要があるということが一つと、それから何と申しましても水というものは産業にとっては米に当たるような基礎的な物資である。こういうものは企業によってそれぞれ負担の程度は違いますけれども、何といってもこれは基礎的な生産資材だから、ほかに対する影響もだいぶあるから低料金に据え置く必要がある、こういう二つの観点から、工業用水道の料金というものはできるだけ低位に置きたいと思っております。  ちょっとほかの公共料金等の上がりぐあいを東京について見ますと、東京はさっき申し上げましたように、四十三年度以降は新規の分は七円五十銭というふうになってしまったのですが、七円五十銭といたしますと、工業用水が始まった三十一年からのアップ率が七割くらいの上昇になるわけです。ところがほかの公共料金をずっと東京で見まして、七割も上がっているようなものはほとんどない。電報にしても電話にしても、鉄道にしてもバスにしても、七割以上上がっているものはほとんどないので、七割以上上がっているのは公衆浴場とかあるいは理髪料金とか、そういうものは七割以上、二倍くらい上がっております。そういうことでありまして、この辺が限度ではないかと思います。
  87. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで、ともかく先行投資をやった。しかし企業が来なくてそれが遊んでおるというのがある。あるいは多目的ダムで農業のかんがい用水が高過ぎてあまりうまくいっていないという事例もある。そうかと思うと、これは東京都の江東区の地盤沈下の防止とあわせて考えられたと思うのですが、これは南砂の貯水場、これに二十一億円の投資をした。ところが、水が悪くてさらに高い、こういうことで売れない。こういうことで閉鎖した。まさに、これは都ではございますが、二十一億円、これは国も補助しておる。が、これはむだではないとしても、やはり問題がある。そうかと思うと、足りなくて困っておるところがある。したがって、限られた予算あるいは限られた補助の中において効率的な運営ということが必要ではなかろうか、このように思います。一面においては先行投資をしむだな面が起こっておる。と思えば、一方ではどうにも水が足りないために産業が思うように稼働できない、こういうところもある。これをうまく調整していく必要があろう、このように考えますので、その辺をひとつお考えを伺いまして、きょうはこの程度にしておきます。
  88. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 御指摘のように東京の例は先行投資のまずい例だということを言わざるを得ないと思いますが、しかしそれ以外の大部分のところのものはやはり新産とか工特というような地域でございまして、企業がくるのに数年かかるというようなところでございまして、やはり初期の段階においてはどうしてもこういう例はあるだろうと思うのです。そういう点は地元でもある程度覚悟してやっておるわけです。これが数年待つことによって企業が新産、工特でもはりついてくるわけで、現に九州のある新産で十二万トンやったやつが一万トンしか売れないということで非常に問題になったのですけれども、やはり四、五年たってみますと企業がついてくる、こういうことでございます。しかし全般を見ますと、乏しい限られた予算を配分していくわけですから、十分御指摘の点を勘案して効率的な運用をやりたい。特にわれわれとしては新産、工特というようなところを重点的にやるように立地政策を考えてまいる、その立地政策に合うように工業用水道の予算の配分も考えていきたい、かように考えております。
  89. 大石武一

    大石委員長 午後一時から再開することとし、この際暫時休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ────◇─────     午後一時九分開議
  90. 田中武夫

    ○田中(武)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林省所管について審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。大石武一君。
  91. 大石武一

    大石(武)委員 ひとつ農林大臣にお尋ねをいたします。私も簡単な質問をいたしますから、どうか御答弁もできるだけ要点だけをひとつお願いしたいと思います。  現在日本の食肉、ことに牛肉は、輸入をもってその不足を補っている状態でありますが、この牛肉の輸入につきまして、将来——将来と申しましても、まあ四、五年でけっこうでございます、それまではどうなるか、そのお見通しをひとつお聞きしたいと思います。
  92. 西村直己

    ○西村国務大臣 御存じのとおり食肉につきましては輸入をもって補っております。国内的にはできるだけこれの自給と申しますか生産をあげていきたい、これが基本でございます。  それから輸入につきましては、ただいまのところ価格等を十分考えつつ、国内の需給に応じまして必要な地域、需給に合う地域から輸入導入をいたしたい、かように考えております。
  93. 大石武一

    大石(武)委員 一般のおざなりの答弁ではなくて、今後四、五年間にどのような方向で、どのくらいに増大するとか減退するとか、そういう点だけでけっこうでございますが、そのお見通しをひとつお聞きいたしたいと思います。
  94. 西村直己

    ○西村国務大臣 数字的には事務局の方面からお答えいたさせます。ただ、私といたしましては、農政の転換におきましてお答えいたしておりますように、食肉の需要に対しましてはできるだけ国内の自給度を高めたい、こういう考え方を持っているわけであります。
  95. 大石武一

    大石(武)委員 輸入をふやすとかふやさないとかという対策ではなくて、お見通しだけです。ふえる見通しかふえない見通しか、これは事務官でなくて、事務官にお聞きなすってもけっこうでありますから大臣からその見通しを、大体の見当はつくはずであります、それをきょうおわかりならばお聞きしたいと思います。
  96. 西村直己

    ○西村国務大臣 私どもも、豚なら豚について例を申し上げますと、(大石(武)委員「豚じゃなくて牛肉です」と呼ぶ)食肉全体につきましてやはり若干の増は見込める、こういう考えでございます。
  97. 大石武一

    大石(武)委員 若干の増と申しましても、おそらく四、五万トン輸入するのだろうと思います。いままでの趨勢から申しましても、そういうことがおわかりにならなければ畜産行政とておやりになれないと思いますけれども、その点は御答弁はけっこうです。  次に中共から、中共と申しても中華人民共和国ですな、中華人民共和国から牛肉を輸入したいという国内の希望もございます。そのような努力も続けられておりますが、これに対してはどのような御方針であるか、簡潔にその方向だけをお聞きしたいと思います。
  98. 西村直己

    ○西村国務大臣 私どもは、牛肉、牛につきましては、口蹄疫の問題が一つありまして、口蹄疫の問題さえ解決すれば、これは一つの方向がとれると思います。いかなる国からでも入れていいと思いますが、問題は、口蹄疫の衛生上の問題については慎重な態度をもって臨まなければならないと思います。
  99. 大石武一

    大石(武)委員 中共の口蹄疫につきましては、どのような御認識でしょうか。どのように御調査でございましょうか。
  100. 西村直己

    ○西村国務大臣 今日、現在まで民間において調査された結果は聞いております。しかしそれだけでは研究のデータが足りないので、さらにいろいろな資料をいただいた上でさらに検討を進めなければならぬ、こういう段階になっております。
  101. 大石武一

    大石(武)委員 その資料というのはどこからお集めですか。
  102. 西村直己

    ○西村国務大臣 資料等は、御存じのとおり衛生技術上の問題としていろいろなこまかなデータが必要でありますから、それについては事務当局のほうからお答えさせます。
  103. 立川基

    ○立川説明員 いまの点でございますが、われわれ直接に政府間同士で資料の交換をやるわけにまいりませんので、一応日中総合貿易連絡協議会を通じまして、先ほどから大臣の申されました点について追加的な資料を得るように努力をしておるわけでございます。
  104. 大石武一

    大石(武)委員 畜産局長に伺いますが、いまの日中総合貿易連絡協議会の方面からの資料によって検討されておる、それ以外に、どこか重要な資料は入っておりませんか。
  105. 立川基

    ○立川説明員 世界的に認められておりますところの国際獣疫事務局からの資料は御案内のとおりまいっておりますけれども、それ以外に特別に申し上げる資料はございません。
  106. 大石武一

    大石(武)委員 大臣に伺いますが、戦前は青島からいわゆる青島肉として牛肉が輸入されていたはずでございますが、この場合はどのような方針でどのような法律と申しますか、それに準拠して輸入なすったのでありますか。簡単にひとつ御答弁を願います。
  107. 西村直己

    ○西村国務大臣 戦前とは両国関係の仕組みも違いますし、したがってそれぞれの検疫体制と申しますか、そういうものも相当やり得たと思います。今日は、したがってそういうような状況とは違った中において、しかも必要な材料というものをしっかり握り合って、そしていくべきじゃないか、こういうように考えております。
  108. 大石武一

    大石(武)委員 戦前のいわゆる中華民国あるいはその前の清国の時代と中華人民共和国になりましてからでは、家畜衛生につきましては進歩したとお考えになりますか、後退したとお考えになりますか。
  109. 西村直己

    ○西村国務大臣 私どもは間接の材料しか聞いておりませんけれども、しかし専門家の筋では、進歩はしておる、こういうことは聞いております。
  110. 大石武一

    大石(武)委員 そうすると口蹄疫が御心配だということで中国肉の輸入をお控えになっておられる。口蹄疫というのは中華人民共和国の時代になってから発生したのではございません。何十年も何百年も前から中国にもその他アジア大陸に発生したものでございます。その場合に、中国のたとえば清国なりあるいは中華民国なりの時代において輸入していた場合にも、おそらく日本の検査官が行ってあらゆる検疫をしてやったと思うのでございますが、そのような手が届けば、かりに口蹄疫がその国に発生しておると想像されましても輸入はできるのでございますか。
  111. 西村直己

    ○西村国務大臣 口蹄疫に対する考え方というものは、私ども、戦後は特に日本が口蹄疫にかかっていない国、こういうようなたてまえからこれを厳重に考えていることは当然だと私は思います。ことに戦前の場合におきましては、日本の検疫というものが、両者の間が違っておりますから、日本がおそらく現地に参りまして検疫等をやっておったのではないか、このような関係からそういうことも行なわれたでありましょう。それから同時にいろいろ軍政というような関係からも多少介入しておった面もあるのではないか、私は詳しいことは知りません。今日とは少し状況が違うのではないかと思います。
  112. 大石武一

    大石(武)委員 そういうことを聞いているのではないのです。戦前は軍政であろうと何であろうと、日本の検疫の方針に従って輸入したから心配がなかった。それならば戦後においてはあえて中国に限らずそのように日本の検疫が行き届くところならば口蹄疫が発生している地域においても輸入は可能でございますかということをお聞きしているのでございます。
  113. 西村直己

    ○西村国務大臣 そういうような口蹄疫の発生している地域から入れるという考え方については、われわれは賛成しかねる。口蹄疫があるかないかを確かめた上で、ないということが確かめられるならば、なま肉を入れることはいいので、したがって口蹄疫があるところから入れている場合には煮沸しているのがアルゼンチンの場合です。
  114. 大石武一

    大石(武)委員 そうすると、戦前戦後では日本の農林行政の方針、これはいろいろ国の方針も違っておるわけでございますが、全然戦前のは間違いであって、いまはそういうことはできないというお考えですね。
  115. 西村直己

    ○西村国務大臣 やはりそれぞれの国との間における相互の検疫についての保証関係の体制というものが確立するよう努力し合うことが大事な点ではないか。戦前においては比較的検疫が手が届きやすかったわけでありまして、したがっていま必要なのはそれの基礎になるところのデータが必要ではないか、こういう意味で資料を非常に要望しているわけであります。
  116. 大石武一

    大石(武)委員 口蹄疫が発生しているから輸入できないという方針でございますが、あなたの三代前の大臣の坂田英一君が農林大臣のおり、現在の食糧庁長官桧垣徳太郎君が畜産局長のおりには間違いなく中国から食肉の輸入を計画されました。そうしていろいろな資料を集めました。その結果、農林省との相談において日中食肉輸入考察団が日本の畜産界の権威と、それから大学の教授いわゆる畜産衛生の大家等を帯同して中国を視察してまいりました。その結果、中国の口蹄疫についてはおそらく心配あるまい、もうだいじょうぶだろうという報告をいたしました。さらにそれに呼応してその次の年には前農林省畜産局の衛生課長であり現在畜産振興事業団の副理事長である田中君がわざわざ参りまして、向こうの行政状態を調査してまいりました結果、これも心配はだいじょうぶであろうという見通しの報告をされました。その結果、農林省では一応いろんな取りきめを結んで輸入をしようかというふうにお考えになったようでございますが、その後農林大臣がかわられましてから方針が変わったようでございます。これにつきましては、農林省というのは、大臣がしょっちゅうかわれば方針が変わるものですか、どうでしょうか。その点についてひとつ簡単な御答弁をお願いいたしたいと思います。
  117. 西村直己

    ○西村国務大臣 農林省内において、食肉の輸入資源を多元化しようという考え方は、検討はしたと思いますけれども、中共産の食肉の輸入禁止措置を解除するということについて、正式な決定というものはしていないわけであります。
  118. 大石武一

    大石(武)委員 恐縮ですが、もう一ぺん……。
  119. 西村直己

    ○西村国務大臣 いわゆる多元的な方面から肉を入れようという考え方のもとに検討されたことは事実でございましょう、農林省として。しかしそれが特に、それじゃ中共について、中共の食肉を入れましょうという決定はしたということは、私どもは内部においてもまだ聞いておりません。
  120. 大石武一

    大石(武)委員 私はその食肉輸入考察団の団長として参りまして、農林省ともしょっちゅう折衝いたしました。坂田農林大臣とも話をいたしました。同畜産局長ともたびたび話をいたしました。その結果、中共からこれならば入れられるという返事を承りました。そんなことはうそだ、そんなことは間違いであるとあなたは断言できるのでありますか。
  121. 西村直己

    ○西村国務大臣 当時の経緯でございますから、さらに畜産局長から答えさせます。
  122. 立川基

    ○立川説明員 ただいまの点でございますけれども、補足して申し上げますと、私たちがお伺いしているところでは、当時の食肉の需給の関係から、輸入いたします国々につきまして、広い範囲につきまして入れたい。その場合に、中共もできることなら入れたいというようなことで検討を進められたということはお伺いしております。しかし、最終的に、それならばどういう条件で、どういうふうなやり方ならば中共から入れられるかということについての問題と、ほんとうに中共から入れられるのかどうだろうかという点の二つの点につきまして内部で検討いたしました結果、ことに後段の、ほんとうに中共から入れられるのであろうかどうかという点につきまして、まだ資料が十分に足らないので、その足らない部分について、前の二回の調査のほかに追加いたしまして五つの項目につきまして、その事情を調査して、その上で態度をめたいというふうになっておる経過でございます。
  123. 大石武一

    大石(武)委員 口蹄疫に対する発生の状況やその他の資料は、いま言ったように二つの道から求めておられる。それだけで十分なんですか。それでも足りないから、政府間の両方の折衝がなければできないというお考えか、どちらでございましょう。それをお聞きしたいと思います。
  124. 立川基

    ○立川説明員 現在の状況におきましては、両政府間の折衝というものが困難でございますので、先ほど申し上げましたような二つのソースから得ました資料で、ほんとうにわれわれが一定の条件のもとに中共からでも入れられるかどうか腹ぎめをして、その上でどういうふうな経路を通って、どういうふうな条件でやるか、その上できめたいと思います。
  125. 大石武一

    大石(武)委員 たくさんありますけれども、先を急ぎますからあれですが、そうすると、口蹄疫が現在発生しておる、存在すると考えられる国からは、煮沸肉以外に生肉は輸入するという御方針はありませんか。これは農林省の御方針ですか。またそれが農林大臣によって変わることがありますか。そのことをひとつお聞きいたしたいと思います。
  126. 西村直己

    ○西村国務大臣 御存じのとおりに、アルゼンチンは煮沸肉として入れております。ですから、生肉を入れる考えはありません。口蹄疫が出ておるということであれば、その疑いがありとすれば、生肉を入れる考えはございません。
  127. 大石武一

    大石(武)委員 今後とも、大臣によって変わることはないのですか、農林省方針は。
  128. 西村直己

    ○西村国務大臣 私どもはそう考えております。
  129. 大石武一

    大石(武)委員 わかりました。  実は昨年の春に、アルゼンチンからなまの牛肉を輸入する方針農林省で決定いたしました。ただし、しかも農林省からわざわざ技官がアルゼンチンに参りまして、フエゴ島におきまして、だいじょうぶだというので、牛並びに羊の肉を輸入する方針が決定をいたしました。そしていよいよ調印する段取りになりますと、突然口蹄疫が発生したためにその話がこわれております。こういうことについては、全然何らの交渉がなかったのですか、どうですか。そういうことについては、農林大臣、お聞き覚えはありませんか。
  130. 立川基

    ○立川説明員 当時アルゼンチンの一部の地域におきまして、生肉が安全であればぜひ入れたいという話があったと実は聞いておりますけれども、その当時の事情は詳しく存じておりません。結果的には、いままで生肉を入れたことはございませんし、今後も入れるつもりはございません。当時の事情は、私おりませんでしたので、詳しく存じません。
  131. 大石武一

    大石(武)委員 それじゃ、これ以上お聞きしても押し問答になりますから、これでやめておきます。  以上の答弁の内容を、またいずれあとで検討いたしたいと思います。     〔田中(武)委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 大石武一

    大石委員長 田中武夫君。
  133. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は、きょうは、行政管理庁が去る八月に、民間の補助金について勧告をしたこと、及び消費者米価があすから値上がりになるわけですが、それに関連した若干の質問をいたしたい、こう思っておるわけなんですが、その前に一言、委員長はじめ関係の方々に申し上げたいことがごさいます。そのことは——私は、いまここで初めて質問をこれからするのであります。関係の方面には、いま申しました程度の質問通告はいたしました。ところが、質問に際して、数日前から盛んに私のところへ電話がある等の方法で、先生の考え方には誤解があるようですから、説明をしたいというようなことが人を介してあったのです。ゴカイもハチカイもないのです。いまからやると関係方面だけに通告したのをなぜ部外に漏らして、こういう質問をせられるそうですが、どうも先生のお考えが誤解のように思いますので、前もって説明しておきたい、こういうようなことが現に行なわれました。私は、もってのほかであると思います。したがいまして、今後質問事項について関係方面に漏れないような措置をとっていただくことが一つ、さらに憲法五十一条には、両院議員は院内における演説、質問等々について院外で責任を問われないという、はっきりとした憲法の保障がございます。しかるに国会議員の質問に対して希望的なことをあらかじめ言ってくるということは、もってのほかである。そういうことがあるから国会議員の権威が国民の前に疑われる結果になります。今後私にそういうようなことがあるならば——きょうは名前を申しません。またここに人を経て文書を持ってきております。こういう点は質問をしてくれるなと言っておる。はなはだもって、私は不愉快であります。だれが漏らしたか知らないが、今後そのような質問のあらかじめ通告したことを関係方面に漏らすということがあるならば、断固処置をしていただきたい。そして、国会議員の質問等に関する権威を守っていただきたいことをまず委員長に要望しておきます。
  134. 大石武一

    大石委員長 御趣旨はよくわかりました。そのようにいたします。ですから、そのようなことがありましたならば、ひとつ御連絡をお願いいたします。
  135. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでは、質問いたします。  まず、行政管理庁長官にお伺いいたします。  去る八月の十三日に、民間団体等に出しておる補助金について勧告をしておられます。その農林省の一番初めに全国農業協同組合中央会に対する補助金の削減についてという勧告が出ております。どういう観点からこのような勧告をなされるに至ったか、考え方及び経緯をお伺いいたします。
  136. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 民間に対する補助金の中には、補助することが当時は適当であったかもしれませんが、時のたつに従って当然でなくなったものや、それから運用が適切ではありましたけれども、あとからまた適切でなくなったものと思われるものなどがありますので、この際国費を効率的に使用することが必要だ、こういう考えで監察を実施したのであります。その結果、農林省関係で改善の必要があるとして勧告したものの中の一部のお話でありますが、そのお話の農協中央会の補助金を削減することを勧告したのであります。これが、農協中央会のほうは補助金を削減することと、それから都道府県は廃止すること、こういう勧告をしたのであります。その二つを勧告したのでありますが、その詳しい内容につきましては、局長からお話しさせます。
  137. 諸永直

    ○諸永説明員 全国農業協同組合中央会に対しましては補助金の削減を勧告いたしました。と申しますのは、その事業のうち、アジア・アフリカ農村復興会議分担金、これは国の委託業務と見るべき性格のものでございますので、この補助は必要であると思います。しかしその他の補助事業につきましては、これは自分の事業として定着しておる、したがって補助目的は十分達成されておる、こういうふうに見ています。また補助金そのものが、総収入に対する比率が非常に小そうございまして、団体の負担能力からも自己財源に切りかえることが可能である、こういうわけで、前記の分担金を除きました補助金につきましては廃止という線を出したのであります。  それから都道府県の農協の中央会につきましても大体同様な趣旨でございまして、すでに昭和二十九年度から補助を継続しておられますが、その補助事業は組合本来の業務として定着しておる。したがいまして、補助金の目的がすでに十分達成されておる、また自己財源も十分確保する方途があるというわけで、補助金の廃止が適当である、こう判断いたしまして勧告いたした次第であります。
  138. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そういう勧告を受けて、農林省としてはその勧告をどのように受けとめられましたか、お伺いいたします。
  139. 西村直己

    ○西村国務大臣 農協団体、特に中央会あるいは県の中央会は農協の健全な育成、運営、こういうようなことを任務とする団体でありまして、そこで適正な事業活動に対しましては農協法に基づいて助成することができる、これに基づいて従来助成をしてきたと思います。そうして監査等を、あるいは経営指導でございますか、そういうような面でやってきたと思います。ただ、農協をめぐりますいろいろな情勢も変化しつつありますので、これに対処いたしまして、さらに一そう健全な発達をはかるために、こういうような補助事業の内容がいいか悪いか、これは次の予算編成期において十分その過程で検討を加えたい、こういう趣旨でございます。
  140. 田中武夫

    ○田中(武)委員 農協中央会に対してする国の補助は、農協法の七十三条の八に明記されております。しかし、そのことについて、いま行管庁のほうから御答弁のあったような観点に立って、行管庁は行政管理庁設置法の第二条十二号によって調査をせられたのだと思います。そして、行政管理庁設置法四条の八項で勧告権があるわけですね。そして四条の七項によって、当該行政機関の長に対して、とった処置を報告を求めることができる、こういうように設置法はなっておると思うのですが、そうでしょう。ぼくも設置法を持っておるんだけれども、その関係は調査をして勧告をする、そしてそのとった処置を報告を求める、そういうことでしょう、いま申しました条文によって。
  141. 諸永直

    ○諸永説明員 条文が若干違います。補助金関係の調査は先生おっしゃるとおり、二条の十二号によってでございますが、勧告権は四条の三項でございます。
  142. 田中武夫

    ○田中(武)委員 四条の三項か。「長官は、所掌事務に関し、随時、内閣総理大臣又は関係各行政機関の長に対し、意見を述べることができる。」これは意見だ。
  143. 諸永直

    ○諸永説明員 これは勧告の意味でございます。
  144. 田中武夫

    ○田中(武)委員 八項が「長官は、監察の結果行政運営の改善を図るため必要と認めたときは、内閣総理大臣に対し、関係行政機関の長に所管事項の改善を指示するよう意見を具申することができる。」ともかく調査をして、それで設置法四条三項によって意見を述べたんですな。これがいわゆる勧告というかっこうなんですね。そして今度八項によって「内閣総理大臣に対し、関係行政機関の長に所管事項の改善を指示するよう意見を具申することができる。」こうなっている。そうすると、内閣総理大臣に対しての、改善を求めるところの意見の具申はせられましたか、どうですか。
  145. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 内閣総理大臣個人に対しましては、意見は具申いたしておりませんけれども、意見のあがることを期待いたしまして閣議で報告をいたしております。
  146. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで、この勧告には期限がついておるのじゃないですか。いつまでに改善すべきである、そういうような期限がついておると思うのですが、それはいつになっておりますか。
  147. 諸永直

    ○諸永説明員 これは予算編成の関係もございますので、予算が確定してから、こういう意味で来年の一月の十五日までに回答を要請しております。
  148. 田中武夫

    ○田中(武)委員 来年一月ですね。  そこで農林大臣、その一月の十五日までに回答ができるよう検討を進められておりますか。
  149. 西村直己

    ○西村国務大臣 ええ。われわれとしては事務当局で当然、勧告を受けた以上、この勧告についてどういうふうにこれを扱うべきか、予算編成も間近に迫っておりますので、検討をいたしておるわけでございます。
  150. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それでこまかく分けてお伺いいたしたいと思うのですが、その勧告の国際関係以外はということの中身は、まず一つは組織強化費ですね、農林省においては農協中央会活動促進費といいますか、こういうものについてはどのように検討しておられますか。
  151. 太田康二

    ○太田説明員 ただいま先生御指摘のとおり、農協中央会に対する補助金でございますが、全国農協中央会の関係で申し上げますと、一つは経営改善対策費でございます。実は四十二年度までは監査対策事業の中に人件費の補助があったのでございますが、民間の機関に対する人件費補助という問題につきましては、実は公務員のベース改定がありますと、すぐまた民間の人件費補助に対するベース改定等の問題もございますので、その点は四十三年度から改めまして、実は経営改善対策費の中に長期計画の樹立の実施費という形で一部経営改善指導費の中にそういったものを取り込んだのでございます。ただ、経営改善対策費といいますといかにもばくといたしておりますので、こういったものにつきましては、ある意味でこの法律で命ぜられている事業でもございますし、補助金交付の規定もあるわけでございますので、われわれのほうとしては何かはっきりと目的を特定いたしまして、できますれば補助を続けていきたいということでいま検討いたしておるのでございますが、勧告もございますし、さらには財政当局との話し合い等もございますので、そういう点を含めて現在検討いたしておる段階でございます。
  152. 田中武夫

    ○田中(武)委員 聞くところによると、活動強化費ですか、活動促進補助金ですか、これは四十三年では八千百七十万円であったのが、今度はそれを上回った八千五百九十七万円を要求しておるということですが、違いますか。
  153. 太田康二

    ○太田説明員 農業協同組合対策事業活動促進補助金として前年度八千百万を四十四年度の現在農林省の中での検討では八千五百万になっているのは御指摘のとおりでございますが、実は前年度の節約額の戻しということで、当初のあれは八千五百万あったのでございます。節約の結果八千百万になったという意味で、われわれのほうは増額要求というようには実は理解をしておらない。節約戻しとして要求をしたということでございます。
  154. 田中武夫

    ○田中(武)委員 同じく検査指導費ですね。これが三千四百八十五万円だったのを六千二百七万円と、これまた大幅に増額要求しておられます。これも事実ですね。
  155. 太田康二

    ○太田説明員 実はこれは県の検査に対する補助金でございます。御承知のとおり、農協法で県が自分の管轄下にある単協については常例検査をすることになっておりまして、毎年行政水準の一定維持ということで県に対して旅費、事務費の補助をいたしておるのでございます。最近、先生も御承知だろうと思いますが、農協につきまして実はいろいろな問題も出てきておるわけでございまして、特に信用事業等につきましては問題がいろいろ出ておる。そういった意味におきまして、できる限り県の検査事業を強化するということで指導費並びに事務費の増額要求をいたしたのでございます。  それから、いま一つ新しい項目としまして千二百万ほど、農協信用事業整備強化特別事業費というのを出しております。これは実は現在農協団体が自主的な運動として組合の信用事業の強化刷新運動を展開いたしております。これは役所の側から援助するという意味におきまして、特に明年度は重点的に指導をやらせるということで、これまた県に対する補助金を新しくそういった角度から要求をいたしておるのでございまして、その経費がふえておるのでございます。
  156. 田中武夫

    ○田中(武)委員 行管長官、行管から設置法に基づいての勧告をした。ところが、いろいろいま答弁があったような理由をつけて、廃止を勧告しておるにかかわらず、むしろ増額要求が用意せられておる。そういうことについて行管庁はどう思われますか。
  157. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 私のほうで勧告をしたのが八月十三日だったのであります。その前後、農林省のほうで来年度の予算要求を編成したりしておいでになったんじゃないか、こう思います。しかし、ともあれ勧告があったのでありますから、その勧告の内容については十二分に検討してもらいたい。そして、勧告があった以上は、それに私たちは期待をいたしておるのであります。どういう形になるかわかりませんけれども、私たちのこの勧告の所期の目的が達成されることを非常に期待しておる次第であります。
  158. 田中武夫

    ○田中(武)委員 農林大臣、いまあなたのほうの政府委員はお聞きのような答弁をしました。それに対して行管長官は、勧告をした、したがってそれが聞き入れられることを期待しておる、こういうふうに申しております。農林大臣はどうお考えになりますか。
  159. 西村直己

    ○西村国務大臣 結局は、行管の趣旨も、中央会なり農協団体そのものが健全な発達をする、それに対して補助事業のいまのような形がいいのか悪いのか、これに対する意見だと思います。私のほうといたしましては、その根本の趣旨を生かす意味で、予算編成の過程において十分に検討を加えていきたい。なるほど第一の原案におきましては、前年のような形で要求はしていますけれども、これはまだ予算概算でございまして、おそらく八月中に出したものにすぎないでございましょう。今後二次、三次のいろいろな関係の過程におきまして十分検討を加えていきたい、こう考えております。
  160. 田中武夫

    ○田中(武)委員 行管からは廃止の勧告が出た。農林省は、これはいま申されたような理由があるにせよ、廃止の勧告に対し、むしろ増額の予算要求が用意せられておる。こういうことに対して、大蔵省はどういうように受けとめますか。まだ最終的な予算折衝等には入っていないと思うのですが、行管の勧告の受け入れという問題と、農林省は農協の活動を指導するといいますか、農協育成のための必要な経費だということで、行管と農林省で若干意見の食い違いがあるようです。大蔵省はこれをどう受けとめますか。
  161. 船後正道

    ○船後説明員 補助金の整理、合理化の問題、これは財政当局といたしましても毎年度の予算編成上の重要な問題でございまして、ずっと検討を進めておるわけでございます。四十四年度につきましては、ことしの八月に民間団体の補助金に対する行管の勧告も出まして、非常に貴重なる御意見でございます。これに伴いまして、来年度予算にこれをどう反映させるか、各省側、また行管御当局の御意見も十分聞きながら、予算編成過程で十分検討してまいりたい、かように考えておりまして、現段階では、御指摘の問題をどのように処置するかは、まだ結論的なことを申し上げる段階ではございません。
  162. 田中武夫

    ○田中(武)委員 まあ行管としても、自信のない、あるいは調査不十分のまま勧告したものではないと思うのです。十分な調査と、これをかりになくいたしましても、農協法で定めるところの農協の活動、あるいは農協活動の向上といいますか、そういうことは十分やれるんだ、こういう確信の上での勧告であろうと思うのです。行管からはときどきいいことが言われるわけなんです。しかしこれも総括的に一局を削減せよとか、五%人員を減らせとか——これはふやさねばならぬところもあるわけなんです。したがって、勧告するためには実行できるような勧告をする。ところが勧告したことが実行できないということであるならば、行管長官の責任もまた問題になろうと思う。したがって、これは実行可能であると考えて勧告せられたと思います。まだ予算要求の段階であり、煮詰まったものではないわけでございますが、最終的に行管長官の勧告が無視せられた場合は、あなたは職を辞してでも勧告を守るという決意がなくてはならないと思うのですが、どうでしょうか。
  163. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 行管としては調査は十分にやったつもりであります。その十分にやった調査の結果に基づいて勧告をしたものであります。ただ、そうした勧告がすべて受け入れられるほど、いまの行政組織というものは単純明快じゃない。私はそれを非常に残念に思っております。こいねがわくは今後何年か何十年かの後には、行管の勧告がすべてすなおに受け入れられるような状態をつくってみたい、こういう考えで現在努力しておる次第なんであります。それに非常な期待を持っていま取り組んでおる次第なんであります。ただ、この勧告が受け入れられなかったならば、おまえはやめるかやめないか……(田中(武)委員「いや、そこまでは言っていない。職を辞するくらいの覚悟を持っておやりなさいと言っているのだ。」と呼ぶ)私は仕事に取り組んでおりますときには、常にそれくらいの覚悟で取り組んでおります。そうでないと、実施させるということはなかなか困難だ、こう思っております。
  164. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで、こういう補助金については、会計検査院はやはり検査するのでしょう。
  165. 鈴木治久

    ○鈴木会計検査院説明員 検査いたしております。
  166. 田中武夫

    ○田中(武)委員 その検査の中にあって、あなた方のほうは、きめられたものがきめられたように支出されておるのかどうか、そこにむだがあるかないか、こういう観点を中心に検査をなされると思うのですが、いま行管が勧告をしたようなことについて、検査をした会計検査院はどのような意見というか気持ちを持っておられますか。
  167. 鈴木治久

    ○鈴木会計検査院説明員 私ども検査をいたしておりますが、ただいま先生がおっしゃいましたように、予算の目的に従ってそのとおり使用されているか、あるいは不経済な事項はないか、それからさらに突っ込みまして、予算できめられたものが効率的に使われているかというふうな点の検査はいたしております。ただいままで検査いたしました範囲内におきましては、予算に反したとか、あるいは目的を達していないとかいうふうな事態はございませんでしたので、このただいま問題になっております補助金につきましては、検査事項としては何もございません。ただ、ただいまお話しの、このただいまのような勧告に対しまして、検査院としてはどういう意見を持つかというふうなお話でございますが、私どもといたしましても、予算の効率的な使用というふうな問題に関連いたしますので、できればこの問題についても考えてみたいとは思っております。
  168. 田中武夫

    ○田中(武)委員 行管長官、この補助金というのは、農協の問題だけではなく、一般的に少し多過ぎるのじゃないか。これは洗い直す必要があるのじゃないか。と同時に、出すべきところにはもっと出す必要があるのじゃないか、こういうことを思うわけです。この八月十三日の勧告も、一つの基本方針に従っておやりになったと思います。この民間団体に対する勧告を出されるにあたっての基本方針を、もう一度明らかにしてもらいたい。
  169. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 私は、補助金というものがあったほうがいいか、ないほうがいいか、こう言いますれば、ないほうがいいと思っております。少なくとも何かものを計画する人は、自分で一本立ちできる、そういう方針計画がなくして、人の補助金を期待して、そうして立ち上がるなんということは根本において間違いである、そう思っておりまするが、補助金制度があったほうがいいか、ないほうがいいかと言いますれば、私はないほうがいい、こう思っております。しかしいろいろな角度から見まして国のために成長させなければならないものがある、しかし現段階においては自主的に成長しない、どうしても民族、国家の立場に立ったならばそういうものは必要だという場合には、やむを得ずに補助金によって一日も早く一本立ちせしめるという方針が必要だ、こういうふうに思っております。そういう際には大胆な補助金政策を行ないまして、そうして早く一本立ちさせるように政府は指導すべきである、こういう考えで私はこの補助金制度というものを見ておるのであります。そうでありまするから、その点では田中委員の意見と一致いたしておりまするが、全体のいまの補助金というものを調べてみましたところが、楽に一本立ちできるものであるにもかかわらず、在来の習慣上補助金をもらっておる、それから補助金をやっておるというものがたくさんあったのであります。そうでありまするから、現段階においては楽に一本立ちできるのじゃないか、もうできるようになっておるのじゃないか、こういう立場に立ちまして、その立場に立って見たものについて廃止するという勧告をしてみたのであります。ただその結果国際的な信用を失うようなものがあるとたいへんでありまするから、そういうような国際的な問題にまたがるものは当分維持していくべきである、こういう考えで私は維持するような方針でやっております。内容が二つになっておりますものは、一つは削減する、一つは維持する。したがって、削減というような方針をとったのであります。おっしゃるとおり、現段階において補助金制度を通観いたしまして、やめていいものがたくさんある、こういう感じがいたしました。
  170. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私も、ともかく必要なところには必ずしも補助金を否定するものではありません。しかしそれは弱い面あるいはしいたげられたところに対するものである。したがってそれが補助金政策といいますか、補助政策、指導によって早く一本立ちをすることを望むという意味において同じような意見になるのじゃなかろうかと思います。  そこで農協に対しましても、私は農協を発展させねばならない、こういうことで、法の七十三条の八によって国の補助という条文が農協法にある。このことは私は必要だと思うのです。しかしながら、今日農協はすでに大きくなり過ぎるほど大きくなっておるのじゃないかという感じを私は受けます。大きくなることは一向差しつかえありません。そこで先ほど長官言ったように、これは実績だからとか等々で、もうもらうことがあたりまえだという考え方になることが困るのじゃないかと思うのです。  そこで、農林大臣いかがでしょう。農協といたしましても、ただ単にずうたいが大きいというだけではなくて、今後指導すべき面もあろう、あるいは強化すべき面もあろう、だからその方面に対する補助を必ずしも否定するものではありませんが、いま行管から勧告が出た、にもかかわらず、理由はあるにせよ、増額をして出しておる。こういうようなことについてはもう一度検討をし直し——私は出すなとは申しません、必要な面には出すべきであろうが、もう一度検討をし直す必要があるのではないかと思いますが、どんなものでしょう。農協はいま直ちに補助金を出して指導せねばならないような状態でございましょうか。ありとすれば、その全般的なものでなくて一部の問題だと思います。これは単協という点についての一部ということもありましょうし、また事業の中の一部ということもありましょう。したがって、いままでの慣習である、既得権である、そういうことで処理すべき問題ではなくて、検討をし、洗い直して、必要でないところにはこれを打ち切る。必要なところにはもっとつけたっていいと思います。そういうような作業を要望いたしたいとともに、現在の農協のあり方についてどのように考えておられますか、お伺いいたします。
  171. 西村直己

    ○西村国務大臣 農協の一つの活動あるいはそれをめぐる情勢について、いろいろ変化が起こっております。これ自体は私もはっきり認めます。農協をめぐります諸情勢、また農協の活動自体につきましてもいろいろな御意見があることは当然であります。したがって、この補助の問題につきましても、先ほどから御答弁ありますように、何と申しましても出どころは国民の税金でございます。ですから、過去において実績があったからというだけではなくして、その内容がはたして今後の農協活動のためになり得るかどうか、予算編成過程の上において十分検討をしながら折衝を進めてまいりたい、そういう考えでおります。
  172. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は抽象論としては、いまの大臣の答弁でおおむね了承します。しかしそれをどう実行するかということ、さらにこの勧告にあった点については、もう十四年間補助してきたのでしょう。そこで、その効果がどうあらわれておるのか。私はいま農協に対して要望したいところは、むしろ真に農協精神の上に立って、耕作農民あるいは実際働いておる生産者の代表として十分なる働きを果たしてもらいたい、役割りを果たしてもらいたいと思う。その面から検討してやり直すということが望ましいと思います。何なら新聞の記事を読み上げてもよろしいが、ただ実績だからとかというようなことを農林省の人が言っていますね。これは新聞記者に語られたのだろうと思うのです。またそれに対して、国民は納得できないという談話も出ております。国民が納得するような補助政策——もちろん税金を納める者も国民ならば、農協に組織せられておる農民も国民であります。しかし、みんなが納得するような方法でなくてはならないと思います。その点について、現在の農協のあり方及び今後の指導の方針を明らかにしていただきたい。
  173. 西村直己

    ○西村国務大臣 農協は本来農協法にもきまっておりますし、それから、おっしゃるとおり、元来生産農民の生産意欲の発動、それに基づくところの各般の経営形態の指導、こういうところが中心になっていくべきでありまして、したがって、私が先ほど来申し上げておるように、ただ従来やってきたからそのまま継続するという意味ではなくして、この農協、特に中央会その他の補助事業に対しましても、内容については検討するということは私ども十分了承いたす次第であります。予算の編成の過程において十分検討をいたしてまいりたいと思います。
  174. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで私が一つ疑問を持つのは、現在の農協がはたして耕作農民の代表としての理想どおりの姿であるかどうかという点を、私はもう一度考え直す必要があるのじゃないか、こう思うわけなんです。少し農協本来からはずれている点があるような点も見受けられます。もちろん耕作農民が、年に一度や二度のレクリエーションなり慰安は必要であります。だがそのために、たとえば阿蘇、こういったところに農協資本による膨大なホテルのようなものができておる、これは利用者がもちろん農民ですから、安く利用できることによって農民のレクリエーションに便宜を与えるということ、これはけっこうです。しかし、たとえば建物共済とか生命共済といいますか、一般でいうならば生命保険あるいは火災保険に類するもの、そういうものの勧誘にあたって、部落といいますか、末端行政組織を使う、たいてい理事とかあるいは何とか委員とかいう人になるのでしょうが、いわば村の顔役であります。それがずっと回ってきて言われたら、あの人の顔を立てねばならないということで共済に加盟するやり方、上から県、県から単協と、何かの目標を立てて、これだけの目標を達成せよ、こういうようなやり方で行なわれておる。そういうような、上からきめてワクを設けて単協に押しつける、そこで単協はいわば村の顔役を使って一軒一軒回って勧誘をする、そういうようなあり方についてはどう思われますか。言うならば一種の保険です。もちろん農協ですから共済ということばを使っておりますが、中身は保険と一緒ですね。そういう点についてはどう思われますか。
  175. 太田康二

    ○太田説明員 確かに先生御指摘のような、一部において上から割り当てるというようなことがいわれたこともあるのでございますが、やはり農協共済は、技術面におきまして民間保険とほぼ同じでございまして、現在の農業協同組合によって行なわれておるのでございますが、その事業は原則として当然組合員を対象にしておりまして、両者の間に目的と機能において本質的に差異があるのでございますが、組合員に不測の損害を与えないように、農林省といたしましては十分規制、監督措置を講じておるのでございます。なお、その内容といたしまして、特に農協共済の募集方法につきましては、農業協同組合の共済事業の指導要綱によりまして、民間保険とほぼ同様の規制を行なっておるというような実態でございます。
  176. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そういうことでなくて、私が言っているのは、今度は幾らにふやすのだ、それを中央できめて県へ割り当てる、県は各単協に割り当てる、そこでその単協は目的達成のために、これはその単協の理事という資格の人もあります、しかし大体において末端行政組織とでもいいますか、町内会組織、自治会組織、こういうのを通して勧誘に回るわけなんです。そして是が非でも目的額を達成するように上から鞭撻をする。あるいはまた秋ともなると、いわゆる呉服の産地あるいは大きな問屋等々とタイアップいたしまして、展示会を開く、嫁入り道具の展示会を開く、これは組合員のためにといえばそれでもいいでしょう。そうして、いまほとんどのところに行き渡っておりますが、有線放送で宣伝をする。そういうことでその地元の呉服商人といいますかあるいは商工会等々、いろいろな問題を起こすようなことも間々あります。しかし一方が巨大なる組織であるために、泣き寝入りしておる。言うならば、むしろそういうような陰に泣く中小企業のために私は義憤を感じるのであります。そういうような行き方に対して、そこまでやり得る力を持っているものに対して、指導強化費というのが必要でありましょうか。
  177. 太田康二

    ○太田説明員 実は先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、現在私のほうで中央会に補助し、それから県の中央会に補助をいたしておりますのは、監査の事業費経営改善の指導費でございます。これは私のほうの考えといたしましては、自己監査ということは法律でも本来中央会の業務としてきめられておることでもございますし、経営指導も当然その任務とされているところでありまして、そういったことを全国足並みそろえて一定の水準を維持するということが必要ではないか、その維持のために補助する意味もあるだろうということで従来補助が行なわれてきたというふうに理解をいたしておるのでございます。ただ、経営改善指導事業ということになりますと、いつまでも経営改善指導というようなことであまりはっきりと指導の対象も特定せずに指導してまいるということははなはだどうかと思いますので、行政管理庁の勧告もございましたことでもありますので、その辺を今後どう考えていったらいいかということ、並びに先生等の意見もございますけれども、われわれもその点は今後検討してまいりたい。大臣も先ほどそのように申されたというふうに私は理解をいたしておるのでございます。
  178. 田中武夫

    ○田中(武)委員 たとえば検査指導費の補助金、これは自己監査の能力を持つことは当然であります。そうしなければいけないわけです。ところが同じ国民であり同じような組織であるところの労働組合に対しましては、法をもって公認会計士の監査を受けねばならぬことになっておる。農協はどうなっていますか。しかも自己監査することに対して十四年間指導費を出してきたという。それほど長くやらなければ効果があがらないというか、自己監査の能力を持たないんでありますか。いかがでしょうか。
  179. 太田康二

    ○太田説明員 農協に対する一般的な監督といたしましては、行政庁による監督と、まさに中央会という、農協とは別の組織による特別の法人によりますところの組合の監査と二本立てでやっておるのでございまして、先ほども申し上げましたように、国に検査官を置き県連等の検査を行なう。さらに単協の段階におきましては県に検査旅費の補助を出しまして検査をするというのが、行政庁による検査でございます。それとは別に、いま御指摘の中央会によります自己監査があるわけでございまして、これは本来中央会のなすべき事務として監査をすることになっておるのでございます。それを先生のお話では、もうそういうことなんだから自分でやってもいいではないかということの御意見、十分さようかとも存じますが、私のほうの一応のいままでの考え方といたしましては、組合の監査というものの意義をわれわれのほうも認めておりまして、これを援助するという意味で従来補助をしてまいったというのでございまして、もちろんこれによりまして、われわれのほうで、数字で申し上げますと、監査並びに経営指導等によりまして合併も非常に推進した。あるいは欠損企業を持つ組合も減少した。さらには各預金、購買事業あるいは販売事業ともかなり伸びたというふうな意味で——何もこれがそれに結びついて成果をあげたということは十分言い切れない面もあるかと思いますが、それはそれなりに十分効果を発揮したというふうに理解をしております。
  180. 田中武夫

    ○田中(武)委員 だから、もう定着しておるんだ。しかも賦課金制度がある。それに比べて補助金は少ない。そこで行管庁としても、もうやめてもいいんじゃないか、こういう意見であったと思うのです。ところが実際の運営は、たとえば単協の総会を見ますと、一時から行ないます、そして一時半からアトラクション、余興に入ります。しかもそれが、一つの市内の数組合が同時に行なうわけです。そして芸人等を一緒に雇うというか、契約をする。そして回すわけですね。だから総会に入って半時間ほどしか時間をおかないわけです。一時半からは余興があります。そして何々という漫才師が来る。それは次にどこそこの農協に行かなければならぬ。ここにおくれたらよそに迷惑をかける。一般の多くの人は、どっちを向いて経理が動いておるのやら何もわからない。それよりか早く漫才が聞きたい、余興を見たいということで、もうそのことばかりであります。そういう弱点を利用するというか、それじゃことばはどうかと思いますが、ともかく二、三十分で総会が終わるような仕組みを毎年やっておるのですよ。それを自主的監査だとか、上からするのも必要でしょう。むしろ個々の組合員が十分その会計なり活動なりについて、総会において議論をし意見を述べる機会を与えるべきじゃないでしょうか。こういうことについて今後の指導はどうです。現にあなたも知っているでしょう。半時間も時間がないのですよ。そうしてへたにそこで発言すると、何か異端者のようなものになって、一般のおじいさん、おばあさんは早く漫才を見たい、つまらぬことはやめておけ、そういうことで総会が持たれておる。これが民主的な総会運営だと思われますか。しかも、預金が上がったといわれておる。ところがその預金を見ますと、たとえば特定の日をきめて預金日として農協が指定する。そして地域婦人会を動員する。そうしてたとえ三日でもいいから、あるだけの金を預けてください、こういうように回るわけなんです。婦人会を使う、あるいは町村の末端機関を使う、有線放送を使う。こういうことで、農協はもう一人立ちをするには十分であり、今後もし行なうとするならば、農協のそういった面をむしろいいほうへ、農協法の精神にのっとった運営をするように指導すべきであり、そのことに必要な補助金はいいだろうと私は思います。しかし現在のやつは逆ですよ。そうでないというなら具体的な事実をあげて——何でしたらうちのほうの農協の総会に、どんな状況かあなたを御招待しましょうか。そういうことについてはどうでしょう。先ほど信用事業の振興のためとかなんとかで農協特別事業補助金として千二百七十五万円を新設した。その信用事業というのが、いま言ったようにきめて、そしてあるだけの金を、婦人会を動員して寄せ集めて、それで今日は何ぼできました。そうなると地域婦人会は隣の部落に負けまいとして、私のところにも来るのですよ。現に選挙の前にでも、一ぺんに選挙に金を使うわけではないのですから一ぺん預けてください。そういう方法で、上がったと言っているのです。そういう事実を御存じですか。
  181. 太田康二

    ○太田説明員 最近農協におきます預金が非常に伸びておるということ、特に都市近郊の農協におきましては兼業収入あるいは農地の売り渡し代金等がふえておりまして、そのために本来の農業からの所得による預金に比べまして、そういったものがかなり大きなウエートを占めておる農協があることはよく存じておるつもりでございます。  それから先ほどの総会のあり方の問題でございますが、総会は最高の議決機関でございますので、十分民主的に運営されなければならぬ、少なくとも発言を封ずるようなことがあってはならないというふうに私も考えます。従来の運営を見てまいりますと、最近におきます農協の規模の増大に伴いまして、議案内容が非常に複雑化する。そこで実際の運用としては確かに、総会の前に部落座談会等を開催いたしまして、議案の周知徹底をはかって、総会の運営が何と申しますか、あまりごたつかないようにするというようなことをやっているような事例があるようでございまして、そのために先生の御指摘のような事態も起こったかと思いますが、そういった面につきましての今後の指導のあり方につきまして、十分検討してまいりたい、かように思います。
  182. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それは、総会の議案をあらかじめ示して説明をするということをしておるところもあろうとは思います。しかし、ほんとうにいま言っているような状態ですよ。ともかく総会よりは漫才を見に行くんだ、浪花節を聞きに行くんだ、この頭ですよ。それを利用しておるとしか思えないわけですよ。そこで、そんな状態ではたして民主的な農協精神にのっとった農協の活動ができますか。いままで農協は最大の圧力団体だと言われてきた。したがって、農協問題についてあまり突き進んでやる人もなかったわけですよ。しかし、こうなれば私は徹底的にやりましょう。今後どのような指導をし、その結果どのように変わるかということを注目していきたいと思います。  また、信用事業の指導だとか発展と言っておりますが、いま国会議員に一人不名誉な人が出ましたが、関西で問題になっておる京阪神土地事件に対して、その地元というか関係地区の六農協が導入預金をしたという事実もあります。御存じでしょう。そういうことすらやっておるのです。農協が導入預金を入れている。それが大きな京阪神土地事件なり、国会議員が不名誉な事件に関連せねばならないというような問題につながってきたのです。そういうことに対してどうあなた方は指導し、どうしようとしておるのですか。いまや農協は、ところによっては大きなスーパーマーケットであり、あるいは百貨店であり、大きな金融機関なんですよ。その運営も、いま言ったような、十分に一般組合員の発言ができないような雰囲気の中において行なわれておる。したがってボス化し、ボス運営化するのはあたりまえなんですよ。それに対して、なおかつ行管からの勧告があるにかかわらず、前年より水増しをしたところの予算要求を用意するというに至っては、私は黙って見のがすことはできません。圧力団体を前にして私はこれから徹底的に戦っていってもいいと思います。農林大臣、こういうことを含めて今後の指導の方針、考え方をはっきりと言ってください。
  183. 西村直己

    ○西村国務大臣 まず第一に農政をめぐります環境が変わってきておること、これは農業団体のみならず豊政全般に対して大きな問題であります。したがって、その中において農民の指導機関であります農協等——農協が中心でありますが、これは本来の農協の姿というものを十分に発揮してもらわなければならぬ時期だと私は思います。その意味で農協というものあるいは農業団体というものに対しましては、ただ惰性で、あるいは単に部落の一つの封建性と申しますか、そういうような形で閉じこもっておるとしたら、これは農政に対してプラスはないと私は思います。そこで私どもとしては、やはり経済団体でございますからあくまでも経済性、それから農協法に定めました一つの法目的、それからくるところの一つの限界もございましょう、そういうものを十分に体して私どもは今後指導を加えてまいりたいと思います。この問題につきましては、非常に各方面のいろいろな意見が出るとは思います。しかし私は、出て、またそれぞれの立場でもって論議がかわされてしかるべき——農政が大きく環境が変わりつつある中においては、すべていろいろな問題が論議されてしかるべきだ、私はこう考えております。
  184. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そこで局長、さっきの京阪神土地の導入預金等について、どの程度あなた知っていますか。一ぺん知っている程度を言ってごらんなさい。
  185. 太田康二

    ○太田説明員 実は私も衆議院の大蔵委員会に出ましてこの問題についてもお答えを申し上げたことがあるわけでございますが、御承知のとおり農協は、余裕金運用として金融機関への預金ができることになっておるのでございまして、今回京阪神土地KKの問題にからみまして、あの辺一帯の単協並びに共済連の一部に、先生の御指摘のような事実があったことは否定すべくもないことでございます。そこで、実は責任関係を不明確にするわけではございませんが、私どものほうはさっそく第一次の監督責任でございますところの県を通じて実情調査いたしたのでございますが、ある単協は若干解決が長引きましたが、それ以外の単協におきましては、導入預金については全部一応戻りまして、自主的に、組合員並びに預金者の方に迷惑をかけるような事態はなくなった、それから残っておりました組合につきましても、金融機関との間に円満に話がつきまして、これも戻りまして、そういった意味で預金者に対する不安の解消にはなった。まことに遺憾な事態でございまして、やはりこういったものに対しましては、先ほどもちょっと触れましたように、県の検査指導費というものを十分補助をいたしまして、やはり農協検査の徹底をはかる。ということと同時に、先ほど申し上げましたように中央団体の農林中金、信連あるいは全中ら三者一体になりまして、系統の運動の一環として信用事業整備強化運動というのを今回、十月ぐらいを期して展開をいたすことになっております。行政庁もこれを側面から援助するということで、両々相まちましてこういった事件の起こらないように対処してまいりたい、かように考えております。
  186. 田中武夫

    ○田中(武)委員 農協の預金というのはいわゆる零細農民の金を集めたものなんです。しかも導入預金というのは、御承知のように、預金等の不当契約取締に関する法律違反なんです。しかもそれが補助金を出してやっておった監査でわからなかった、こうなると、一体何のための補助金であり、監査指導であるのかと言いたくなるんです。まだまだたくさん私ございますが、あとで米の値段のことで若干伺いたいと思っておりますので、この程度にしたいと思います。これに対して中央会を初め各全国農協がどのような態度を示すか、農林省がどのような指導をするかを注目したいと思います。  委員長に申し上げます。  先ほど申しましたように、ここにも手紙が来ております。読み上げてもよろしい。国会議員の発言に対して、あらかじめ、どういうことを聞くのかとか、こういうことを聞かないでくれとかいったような思い上がった態度をとるとなれば許されぬです。自分たちの強大な組織の上にあぐらをかいて国会議員に圧力をかけるというなら、私その矢面に立ちましょう。しかも私の質問が誤解に基づいており、あるいは悪意に満ちておるというならば——そのとき私は電話で申し上げたのです。意見があるというならば参考人としておいでなさい、意見を伺いましょうと申し上げています。もうこのことは関係者に聞こえるでありましょう。声を大にして申し上げます。私の質問に対し異議があり、あるいは意見があるならば堂々と決算委員長のもとへ、参考人として出席をして意見を述べたい、そうして田中というやつと対決をしたいという人があるなら出てきてもらいたい。あえてこういうことを申し上げたのは、私は質問にあたって不愉快なことがあったから申し上げたわけです。  これで農協関係を終わります。今後の出方なり動き方を注目していきます。まだ資料はあります。いつでもそれにこたえて立つだけの用意のあることを言明して、きょうはこの程度で農協を終わります。
  187. 大石武一

    大石委員長 いまの田中君にお話について申し上げます。  先ほど御意見の中で委員長に希望がありましたが、ちょっと内容がどういうことかわかりませんでした。しかし国会議員の発言に対して関係官庁でない者が容喙するということは、これは許しがたいことです。それは、容喙するしないはそのような秘密を漏洩した関係官庁に責任があると思います。これについては当決算委員会で厳重に調査をして処分をいたしたいと思いますから御了承ください。
  188. 田中武夫

    ○田中(武)委員 了承します。しかし私は、これはこのままでおきたくないのです。はなはだ不愉快です。私が地元へ帰っておるのに東京から電話があって、何を聞くのだ、こういうことは誤解なのだからあらかじめ説明したいとか、あまつさえ文書を持ってくる。何事かと言いたい。やるのなら全部ばらして、ひとつ対決してもいいんですよ。しかし、紳士でございますので、この辺でこの問題は保留ということにしておきます。  それでは配給米価と申しますか、消費者米価の手数料等について若干伺いたいと思います。  もう十分御承知のように、あすから平均約八%消費者米価が値上がりいたします。現に今夜といいますか、あすの零時、きょうの十二時に卸並びに小売りが持っておる米の販売についての手数料はどういうことになりますか。たとえば、たばこ専売法におきましては明確に、差益金の返納という規定がございます。米の問題についてはあまり聞かないわけなんです。何らかの行政措置をとられたことは、私も知っております。そのことにも今後触れていきたいと思いますが、たばことか酒については法律にそういうことがあります。その差益金、しかも生産から配給に至るまで食管法という法律によって管理せられている、なおかつ物価統制令によって統制を受けておる、このような米、しかも国民生活に欠くことのできないものについて、値上がりの際に、新聞等によりますと約十五億円、実際はもっとあるようでございますが、そのくらいは不労所得といいますが、私は不当所得だと思います、それを重ねてきておる。それが、四年間引き続いて値上げになっております。そうすると五十、六十億という金が不当所得として卸、小売り商人に入っておることは事実だと思います。そういうことについて会計検査院は今日まで数度にわたって意見を述べ、あるいは指摘をしてまいりました。まず、会計検査院のそのことに対する態度、考え方をお伺いいたします。
  189. 鈴木治久

    ○鈴木会計検査院説明員 ただいま、米価の引き上げの際販売業者が差益を得ていることについてどういうふうに考えるかという御質問の御趣旨と思います。価格改定の際におきまして、販売業者が手持ちしております米穀について発生する、新価格と旧価格との差益あるいは差損——場合によりましては差損を生ずることになると思いますが、差益を業者にそのまま帰属させるという結果となっていることは適当ではないということで、去る三十八年十一月改善意見を表示いたしております。
  190. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ここにも持っておりますが、三十九年以来勧告や何かいろいろなものを——二十六年の決算で注意書を出したのですね。それ以来注意書が一回、それから改善意見が一回ですか、それから是正状況を記載する——二十六年以来数度にわたって、二十八年、三十七年というように会計検査院から出ておりますね。そして三十九年ですか、四十六国会で当委員会においてもこの問題について要望がなされているのであります。そういうことも含めて、一体農林省はこの問題についてどのように善処をし対処をしてきたのか、しようとしておるのかをお伺いいたします。  さらに行管長官、こういう手ぬるいといいますか、こういうこともひとつ行管庁としても目を光らしていただく必要があるのではなかろうか。ちゃんとたばこ、酒では法律で規定があるわけです。ところが米については、法律的にはまあ野放しであります。そういう点について、まず基本的な考え方をお伺いいたします。
  191. 西村直己

    ○西村国務大臣 米というものは卸あるいは小売りの段階になりましてそれぞれ所有権が移ってしまっておる、国の管理の手を離れていることは事実でございます。ただその間に、価格改定が消費者について行われる場合に差益が出て不当である。この注意についてはしばしば勧告がありまして、四十年からこれに対しまして差益の徴収というものをやってきているわけであります。特に四十三年、今回の改定にあたりましては、さらに内容を検討を加えて、一段とそれに対して差益徴収を厳重にするという内容をとっております。詳細は食糧庁長官から申し上げます。  ただ小売りにつきましては、御存じのとおり五百数千という対象がありますのと、その対象になります個々の小売りの金額と申しますか、差益というものはきわめて小さい。したがってそれまで行政力を伸ばして、そうしてこれが御存じのとおりすでに国家の手を離れた品物でありますから、それぞれ協定を結んで差益を納付さしていく、こういうふうなことになりますと非常な手数がかかって実益があがらぬ、そういうことで、それは指導によりまして消費者に将来還元させる、そういう手を打ちたいと思っております。  内容につきまして、ちょっと食糧庁長官から具体性をもって補足させます。
  192. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 御指摘のように、国の行政価格が設けられておりますもので、たばこ、酒につきましては、差益徴収の法律根拠があるわけであります。その趣旨は、私の解釈、理解では、酒、たばこの価格の中には重要な国の財政課税というもので含まれておるということ、これが特定の個人に属することは適当でないという法律上の意味が強調されておるのだと思います。いま御指摘の消費者米価等につきましては、これは物価統制令に基づく最高販売価格であるということでございます。物価統制令は、諸物価について統制が一般的でございました当時は差益徴収の法律根拠があったのでございますが、その後この規定は削除されて今日に至っておるのであります。ために、消費者米価あるいは卸売り業者の最高販売価格というものは、差益徴収の法律根拠がないのでございます。そこで私どもも、三十八年に検査院からの注意を受けまして、四十年の一月一日、四十一年の一月一日、四十二年の十月一日の三回につきまして、消費者米価の改定の際、卸売り業者についてその差益の一部を、食糧庁と卸売り業者との契約によって納付してもらうということをやってまいったのでございます。  なお、本日のといいますか、明日の午前零時には新しい消費者米価が最高販売価格としてきめられるわけでございますので、今回も同様に、卸売り業者については一部の差益を納付していただくという契約を結ぶことにいたしております。  なお、従来は卸売り業者が改定日の午前零時に持っております在庫量のうち、年間扱い量の三日分に相当するものを控除して、自余の数量について四分の三相当額の差益を食糧管理特別会計に納付するという契約にいたしておるわけでございますが、今回は卸売り業者の年間扱い量の二日分、従来より一日分を減しまして、二日分をこえるものについて差益の十分の九を納付をしてもらうという契約をいたすことにしておるのでございます。小売りにつきましては大臣からも答弁がございましたように、五万七千軒という多数の小売り業者がございまして、政府とは契約関係が全くないわけでございます。でございますので、私どもとしては、小売り業者についてこれから差益を徴収するのは、方法論としても困難がございますし、また個々の小売り業の差益帰属額が僅少でもございますので、むしろ考え方としては、差益発生に相当する程度のことを消費者に対するサービスといいますか、消費者に対する利益還元という考え方で何らかの善処をしてもらうということを指導していくというほうが実際的であろうというふうに考えておるのでございます。
  193. 田中武夫

    ○田中(武)委員 これは卸ですが、いままでは三日間と見てその四分の三、本年度は二日として十分の九、この四分の一なり十分の一と、あるいは三日を二日にした根拠を伺いたいのですが、そういうことで推定をしてどのくらいになりますか。いままでの実績を見ますと、三十九年では推定額が七億三千五百七十七万六千円だった。ところが、実際は一億五百六十四万六千円、四十年度が五億八千二百二十二万円、それに対して実際が六千五百四十六万五千円、四十二年度が九億九百九十二万七千円の推定に対して実際は七千七百三十三万三千円という納入があったわけですね。この推定と収納決定額あるいは収納済み額との差はどうして出てきたのか。それから、四十三年度においてはその推定をどのように見、実際の徴収額はどの程度になるのか。さらに、小売りは複雑であり、五万数千軒もあるので一々わからない——私は小売り商まで云々するつもりはございません。しかし、大体三十九年は四億九千八百万円、四十年は三億三十三万円、四十二年は四億六千百万円程度の推定ですね。ことしは一体小売りのこの差益金はどのくらいで推定しておられるのか。それを私はやはり消費者に還元すべきじゃないか、消費者に還元する方法をとるべきではないか、このように考えるのですがいかがでしょうか、ということが一つ。  もう一つは、農林大臣、先ほど食糧庁長官から、物価統制令によってかつては法律的基礎があったが今日ではなくなった、そういうことであり、それは酒税並びに専売法は特殊なものであったと思います。しかし、これはともにやはり必需品とでもいいますか、むしろ米のほうが国民生活になくてはならぬものです。その面から見て、そういう差益金等の問題については、今後一切消費米価は上げないというならけっこうですが、でないとするならば、差益金の問題について法律的な規定が必要ではないか、こう思いますが、これは農林大臣、政治的答弁を。両方にお伺いいたします。
  194. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 差益の発生の推定額、御指摘になりました、たとえば卸が四十年一月一日には七億三千五百万円の差益の発生が推定されるということは、これは消費者米価改定の日の午前零時の在庫量を食糧管理法に基づく報告義務を課しまして報告をとっておるわけでございます。また、それを裏づけるような倉庫の台帳の調査等も必要により行なっております。その結果把握をいたしました在庫トン数に、これは厳密に言えばいろいろな品目がございますので、計算は至ってむずかしくなるのでございますが、簡略化する意味で、従来でございますれば普通米、あるいは今日でございますれば内地米というものの価格改定による差額を乗じて得たものを推定額といたしておるということでございます。その推定額の中で、従来のやり方でございますと、それぞれの業者が取り扱います年間数量の三日分だけは差益は徴収しない、それをこえる部分の四分の三だけを納付をしてもらうという契約でございましたから、したがいまして、その個々の業者との契約に基づく、わが食糧庁から納入告知をいたしました金額に基づいて各卸売り商から納付をしてきました総額が、御指摘になりました四十年一月一日には一億五百万円、翌年の四十一年一月一日には六千五百万円、それから四十二年十月一日には七千七百万円ということになったわけでございます。したがいまして、その差額というのは、結局はそういう契約上、卸に留保をするという契約になった部分にあたるわけでございます。  今回の措置につきましては、今夜の零時現在の在庫量はいま確定をするわけにはまいりませんので、かりに昨年の在庫量と同じ数量が在庫されるという仮定を置いて計算をいたしますと、昨年は消費者米価の上昇率は一四・四%でございまして、今回は平均八%ということでございますから、卸の差益発生の推定額は五億五千三百万円ということで、昨年度より差益の推定額は減少いたすわけでございます。それに対しまして、先ほど申し上げましたように、根っこからの差し引く日数——御説明しましたように、今回は納付額をきびしくいたしました関係上、この推定額のうち一億四千万円程度が納付されるというふうに推定いたしております。
  195. 西村直己

    ○西村国務大臣 現行制度におきまして、末端の小売りの差益が存在するということについては、国民の立場から見れば不合理ではないか。これは国民の立場から見れば、私どもは好ましくない。ただし、これを行政的に無理に取り上げていくことの手続、費用一切を考えると、それほど——一軒について五千円とか六千円とかの金額になりますから、はたして妥当であるかどうか。したがってこれは、一つは法律でこれを改正して取り上げるようにするか、あるいは食糧管理の一環として末端価格をどういう形にするか、こういうものとの関連でひとつ検討を加えてみたい、こう考えております。
  196. 田中武夫

    ○田中(武)委員 先ほどの食糧庁長官の話を聞いておっても、かくかくの契約があるから、こういうのですね。契約は当事者がするのです。どうでもきめられるわけです。もちろん、契約を結んだ以上はそれを履行する必要があると思うのです。しかし、契約がありますから、ということは、話が逆ではないですか。いかなる契約を結ぶべきか、じゃないですか。あなたの答弁は、契約があるからといって、これを至上のものに置いておる。そうではなくて、私はいかなる契約を結ぶべきかを言うておるのです。したがって、契約でなくて法律で定めることこそより明確化するのではないか、そう申し上げておるのです。それが一点なんです。  それから、もちろんそれに対するいろいろと事務的な費用は要るかと思います。しかし、調査をするとすれば、これははっきりと、小売り段階はともかくとして、卸段階は出るはずなんです。それを推定と言っておる。私は、調べようと思ったら、それは少々の差はあるにしても、そんなに推定と実績が何分の一だといったようなことではなくて、もっと厳格な調査が可能である、そうでなければ、食糧管理法は一体どっちを向いておるのか、こういうことになると思います。こういうような点につきまして農林大臣。もう事務官の説明はよろしい。契約が至上命令のような考えの人の相手はできない。契約をどう結ぶべきかを言っているのだ。そういう点について農林大臣、と同時に、行管長官もこれについて御意見があっていいと私は思います。お伺いします。
  197. 西村直己

    ○西村国務大臣 この問題につきましては、私は、卸の段階、特に小売り市場における卸の段階につきまして一応こういうような行政措置でいっておりますが、はたしてこれを法律的にやるべきか、あるいは配給の段階におきまする改善、その中の一環として私どもは当然これは取り上げて考えてまいりたいと考えております。それが法律改正の形になるか、あるいはもっと基本的に、配給改善の価格のあり方にも関連してまいると思います。そういうものを含めてひとつ改善を検討してみたいと思います。
  198. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 行政管理庁としてはこの件の監察を行なっておりませんものですから、はっきりしたことは申し上げかねまするけれども、ただ国民感情から申し上げますると、酒やたばこの差益金は取っておくが、米のほうは取らない、何となれば、法的な根拠がないからだ、そうかといって、取ってないかといえば、卸売り業者からは何ぼか取っておった、こういうことでありますから、こういう点はやはり国民が納得するようにすっきりとしたほうがいい、こういう気持ちを持っております。
  199. 田中武夫

    ○田中(武)委員 会計検査院はどうです。推定額とかそういうことについて、数字の分析できますか。
  200. 鈴木治久

    ○鈴木会計検査院説明員 数字の推定と申しますと、私ども、食糧事務所のほうに伺いまして、出ております卸売り商からの報告、これが食糧庁のほうにあがってまいりましてただいまの集計等になるわけでありますが、そのもとの食糧事務所にあるものにつきまして検査いたしておりますが、全体についての推定ができるかとおっしゃられますと、私のほうはちょっといたしかねます。
  201. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は、食管法の立場からいって、やろうと思えばほぼ的確な数字が出なくてはうそだと思うのです。それが推定と実績に三倍もの、まあ三分の一以下あるいは五分の一になるというような差ができるということがそもそもおかしい。それから四十二年度までの、こえる三日間の四分の三、こえる二日間の十分の九——四分の三は十分の九より小なり、これは中学生でも小学生でもわかる数字なんです。しかし、二日間としたのと三日間としたのはどこに根拠があるのか。こまかいことは聞きませんが、受ける感じは、三日が二日になったということで問題になっておるにかかわらず、むしろゆるめたのではないか、こういう感じも受けます。  そこで大臣、はっきりと今後どういう方針でいくのか。食糧管理法をもってやる以上、その手数料等に対して法律をもってきめるべきである、こう申し上げますが、どう答えます。
  202. 西村直己

    ○西村国務大臣 末端の消費者価格というのは、一つはあり方の問題が基本的にあると思います。物価統制令自体をどうするか、物価統制令によって、最高価格と申しますか、今日価格がきまっている、これ自体が一つの論議の問題になっております。それらを含めまして、私どもはこういう差益の問題につきましてより明確にはいたしていきたいと考えております。
  203. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 数字のことだけ補足して御説明申し上げますが、三日間を二日間にしたというのは、在庫のうち差益を取らない数量を三日分から二日分に減じた、それからこえた分の納付比率を四分の三から十分の九に上げたということでございますので、従来の方式からは納付の義務を強化したということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  204. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それなら、推定はもっと、昨年より以上の数字が出るはずですね。
  205. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 私の説明が不十分でございましたので恐縮でございます。説明の間で触れましたが、昨年は消費者米価の上げ率が一四・四%でございました。今年は八・八%でございますから、差益発生額は今年は減少するということでございます。
  206. 田中武夫

    ○田中(武)委員 その契約、あなたのことばをもってすれば、契約の内容が変わったということだと思うのです。ところが、差益が少なくなったのでほぼ同等だ。それはそのくらいでもいいでしょう。しかし、あすから現実に消費米価が上がって、これに関連してまさに値上げの秋だという、こういうことがいま問題になっておるのです。それに、その数字はどのようであろうとも、ともかく差益金が不労所得あるいは不当所得として米の卸屋等に入ることについて、国民はどう思いますか。どういう感じを持ちますか。私は、そのことをもっと政治的に解決する必要がある、そうでなければ国民にこたえる行政とは言いかねる、断言をいたします。  さらに、現在の卸、小売り段階における米の手数料はどの程度になっておりますか、お伺いいたします。
  207. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 本年の改定以前の金額でございますが、改定以前の金額では、玄米一俵当たり販売業者のマージンは六百六十円三十六銭ということになっております。
  208. 田中武夫

    ○田中(武)委員 それは、たとえばたばこ、塩等の販売手数料と比べまして、多いですか、少ないですか。
  209. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 玄米一俵当たりの原価が約八千円でございますから、八%強ということに相なるわけでございますが、その販売手数料は、私はたばこ等よりは高いと思います。ただ、この中には、玄米を白米に搗精するという搗精加工賃も含まれておりますから、直ちに高低をきめるわけにもまいりませんし、また、たばこ等のような店頭販売だけではございませんで、配給の経費等も含まれておりますので、直ちにこれをもって高い低いを議論するのはちょっと困難だと思います。
  210. 田中武夫

    ○田中(武)委員 感じとしては多いのではなかろうか、そういう感じもいたしますが、これははっきりと確認したいのですが、物価統制令によるものであるので、最高をきめておるのであって、それから値引きすることはかまわぬわけですね。
  211. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 米の販売価格は物価統制令によります最高販売価格でございますから、この販売価格をこえて売ることは違法であり、最高販売価格以内は違法ではないということだけは確かでございます。
  212. 田中武夫

    ○田中(武)委員 したがって、それ以下の手数料で売ることはかまわないのですね。
  213. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 法律上は違法ではございません。
  214. 田中武夫

    ○田中(武)委員 法律上違法でなくて、何上違法であるのですか。
  215. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 法律上違法であるほかに違法はあり得ないのでございますが、ただ、事実上値引きが可能であるかどうかという問題は、私は非常に問題だろうと思います。
  216. 田中武夫

    ○田中(武)委員 あなたが米の卸屋さんに肩を持つのはわかります。しかし、そういう答弁はだめですよ。私はいま法律的に違法かと聞いたのです。違法でない、法律上は違法ではございませんと言えば、何上違法なの、こうなるわけなのです。  私は、ともに関西のほうの新聞ですが、九月二十三日の新聞と、九月二十七日の夕刊をここに持っております。その九月二十三日には「お米安売り」堺の業者「団地と一括契約」「11月から15キロで43円」十五キロですか、それを四十三円値引きするのですか何か知らぬが、四十三円として割り引きして売るということで、団地と業者との間に契約といいますか、一括契約をした。ところがそれに対して、今度は中辻伊太郎さんという組合長の話ですが、合理化で採算は十分とれると言っておる。それに対していろいろの人が——食糧庁の業務部長ですか、馬場さんも、「安売り結構なこと」、それから関西消費研究会、これは婦人の方ですが、小売り店を守る運動を続けようとかなんとか言っておる。この小売り店を守る運動というのは、そういうふうに安くする、そのまわりから圧力がかからないように守るという意味の談話を発表しておる。今度は二十七日には「お米の値下げ撤回」、「同業者に迷惑かけると」ということでやめた。これは堺の米穀小売販売組合の副組合長さんですか、この人だけが最後まで踏みとどまって契約どおりやろうとした。ところが、毎日のごとく電話その他で脅迫を受けた、そして安いところに買いに来るのはあたりまえ、したがって他に及ぼす影響もあってというようなことで、撤回しますということになった。せっかく芽を出したところの米の安売りといいますか、一括契約によって消費者米価の値上げの消費者に対するはね返りを少しでも少なくしようとする運動が、同業者その他からの圧力によって、あるいは脅迫によって撤回せざるを得なくなったという新聞なんです。このことについて、食糧庁長官は堺市における実態を調査せられましたか、いかがでしょう。
  217. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 全般の事情は中央紙で私も見ました。大阪府庁、大阪食糧事務所にその事情について報告するように報告を求めておりますが、まだ報告が参っておりません。私ども報告が参りますれば、そういう事実についても十分認識を持ってまいりたいというふうに思っております。
  218. 田中武夫

    ○田中(武)委員 きょうはそこまでやるつもりはなかったので、警察庁なり公正取引委員長は来てもらっておりません。しかし、安売りをする契約をした人に対してまわりから圧力をかけた。考えようによっては脅迫罪です。あるいは、考えようによっては、一つのカルテルを無理に形成しようとしたともいえると思うのです。こういう問題について、今後の食糧庁の動き、あるいはいま照会している回答を待って、今後警察庁なり法務省の刑事局でも呼んで、脅迫になるのかならないのかという点をはっきりしていきたいと思う。あるいは独禁法上問題があるのかないのかもはっきりしていきたいと思いますので、その点は留保いたします。いいでしょうか。
  219. 大石武一

    大石委員長 けっこうです。
  220. 田中武夫

    ○田中(武)委員 何か農林大臣ありましたら——それでは、最後に一つ農林大臣にお伺いしたいのですが、食糧証券というのがありますね。毎年米の買い入れのために資金を補うということです。大体五千億程度のものが出ているそうです。その食糧証券の発行にあたって、農林大臣と日本銀行と大蔵省ですかの協議事項があって、これは公募する、こういう協議事項があると聞いております。  そこで、たとえば四十一年度を見た場合、五千億のうち大体三千五百億円というのが日銀、運用部資金等の金でまかなわれておる。これは公募してもあまり買わないということ、売れないということは、これが不人気であるということであろうと思います。そうして四十一年にはその利息が十三億四千万円というのが出ておりますね。言うならば、この食糧買い入れについて、これこれの食糧証券発行の必要があるということは、五千億円なら五千億円、これは農林省から、大蔵省要求というか、するだろうと思う。大蔵大臣の名前によって食糧証券が発行せられるのですね。そうして今度はその利息が、十三億四千万円というのがまた日銀を通って運用部等に戻ってくる。言うならば、大蔵大臣が発行し、回り回って利子も大蔵大臣の所管に返る、こういうようになるのですが、この辺のところがよくわからないのですが、食糧証券についてひとつ具体的に教えていただきたいと思います。
  221. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 食糧証券は、御案内のように、食糧庁が国内産米麦その他輸入食糧等の買い入れをいたします場合、あるいはその他の諸経費を支払います場合に、食糧庁自身には自己資本を持ちませんので、その資金の調達のために短期債券を発行するという必要がありまして、その際、大蔵大臣の発行いたしますのが食糧証券でございます。食糧証券の発行の概要は、毎週月水金の三回発行をすることにいたしておりまして、償還期限は二カ月、募集は原則として公募ということでございますが、市中で消化できない場合は日銀引き受けとする……(「その比率は、実績は」と呼ぶ者あり)たとえば、四十一年度を申し上げますと、日本銀行の引き受け割合が一七・五%、それから資金運用部の引き受け比率が五二・三%、市中金融機関が九%、その他が二一・二%、——その他が、これは公募というより、むしろ日本銀行が必要に応じて保有証券を売り渡した、売却をして引き受けたという形になるものと思われます。  発行の際の割引料は、三十八年六月二十四日から今年の四月二十二日までは日歩一銭五厘五毛、四月二十二日に五毛引き上げられまして日歩一銭六厘、その後本年の八月十二日にまた旧に復しまして日歩一銭五厘五毛ということでございます。  発行割引料の支払いの手順は、食糧管理特別会計から大蔵省の国債整理基金特別会計へ支払いまして、国債整理基金特別会計から日銀に払う、これが日銀引き受けの場合でございます。公募の場合は、食糧管理特別会計から国債整理基金特別会計へ支払いまして、国債整理基金特別会計から日銀に払い、日銀から応募者に払うという手順になっております。
  222. 田中武夫

    ○田中(武)委員 原則として公募債にする、こういうことであるが、実際は、七五%までは、あるいは七〇%程度までは日銀または国の資金ですね。そこに一つ何らか問題を考えられないか。問題があると思いませんか。いわゆる一般の引き受けが少ないということ、さらにこれに対する利息、これが先ほど申しましたように四十一年だけでも十三億四千万円払っておる。これはもちろん運用部資金は利息を取っています。あるいは日銀もそうでしょう。しかしそれは回り回ってまたもとの国庫へ戻るわけです。そうすると食糧会計が赤字になる、だから、生産者米価を上げれば消費者米価も上げねばならないんだ、こういうことからいって、何だかこの辺に、私まだすっきりと割り切れぬものがありますがね。食糧会計の赤字をなくしていくためにはもっと資金の使い方も、これは特別会計だからそういうように独立採算でいかねばならないのかと思いますが、特別会計で国家資金は七〇%ないし七五%で、利息をまた払って買い入れるというようなことですね。しかも公募ということが少ないのです。どうでしょうか農林大臣、食糧証券についての改善というか、あるいは買い入れ資金について、こういったような回りくどいことでなくて、もっと利子を払わない、すなわち食糧会計に赤字を持たさないような方法でやれないのですか、いかがでしょう。そのことがすぐにまた消費者米価にはね返ってきて国民の負担になる、こういうことについてどう考えますか。これは大臣に政治的答弁を願いましょう。
  223. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 政治的判断は大臣からお答え願うことにいたしまして、お話しのように、食糧管理特別会計運用上、金利を支払わずに済めばこれにこしたことは私はないと思います。ところが、本勘定は季節的に所要資金が非常にふえたり減ったりするわけでございます。米の買い入れ時にピークを築くわけでございまして、たとえばことしの十二月の初めにおそらく九千億に近い借入金を要するというようなことになりましょうから、金利を必要としない資金ということになると非常に困難を伴うのではなかろうか、かりに九千億程度の自己資金を持たしてもらえば、もちろん金利は要りません。それからもう一つ金利が要らない方法は、国庫余裕金の借り入れをする、その場合も金利が要らないのでございますが、いかにも膨大な金額でございますので、とうてい国庫余裕金でそれをカバーするということは不可能だろうと思うのであります。  それから、お話に出ましたのでちょっと申し上げますが、短期借入金でございますので、年度内には全部清算をいたすわけでございます。
  224. 田中武夫

    ○田中(武)委員 二年間でしょう。
  225. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 二カ月短期のものでございますので、年度末には清算をいたすわけでございます。清算の結果出たものは、従来は食糧管理特別会計については赤字繰り越しをしないというやり方をいたしておりますので、いわゆる赤字のための借入金というのは従来は全くやっていない、また私ども今後もやりたくないというふうに思っております。
  226. 田中武夫

    ○田中(武)委員 大臣、そういう仕組みはどうでしょう。
  227. 西村直己

    ○西村国務大臣 特に季節によりまして、御存じのとおり非常に食糧証券の発行状況が違っておるわけでございますけれども、買い入れのピーク時におきましては巨大になる。率直に申しますと、食管会計というのはひとつの商事会社みたいなもので、米を買っちゃ売っている。ところが、御存じのとおり自己資金はないわけでございまして、そこで、低金利ではありますけれども、こういう食糧証券の短期発行によって泳いでいる、それでもなお苦しいものでございますから、利子のつかない国庫余裕金を導入するが、それは限界があるわけでございますから、できるだけ私のほうは大蔵省と折衝いたしまして、国庫余裕金というようなものの限度をふやし、金利負担を軽からしめるようには努力をしているわけでございます。あとは一般会計から来る御存じの財政繰り入れ金というものが別途にございます。
  228. 田中武夫

    ○田中(武)委員 食糧管理特別会計に金がないから云々というところに私は一つの行政の問題があると思う。結局、あすから上がるということを考えた場合に、去年の米を買い入れるときに利息を払った金で買った、その利息も食糧会計の負担になる。しかもその古米が今度新米と混合せられて値を高くして売られるということですね。値を上げて売られるというわけでしょう。等外米とかなんとかいろいろ操作はあるようですが、そうでしょう。そうすると、消費者の側から見れば、古米をどうするのかというのがいま一つの問題だと思うのです。金利をかぶった古米を高い値で買わされて食わされる、こういうことになるんじゃないですか、そうじゃないですか。それで、国民は米を買いに行ったとき、きょうから上がっておりますと言われる。そういうような食糧会計のあり方、食糧証券のあり方、さらに、先ほど申しましたような卸——小売りはわからぬとしても、とにもかくにも値上げによる差益金が入っておる、もうけておることは確かです。そして、自分たちはあすから高い米を買わされる。これではたしてすっきりした気持ちで——米を買って帰らなければならないから、しょうがないから買いますよね。しかしすっきりした気持ちになって帰るでしょうか。こういうところに根本的な検討を加える必要があろうと私は思います。西村農林大臣、どうお考えになりますか。
  229. 西村直己

    ○西村国務大臣 御存じのとおり、実は食糧管理制度というものがありまして、これは二重価格でもありますが、しかし、ある程度経済でございますから、生産者米価と消費者米価は無関係とはいえない。ことに今日では管理費あるいはマージン等々で、米一トン買うごとに三万円の赤字が発生するというのが一応のあれです。その累積されたものが二千四百十五億円で、今年度八百五万トンでもそういう計算で赤字を繰り入れている。その上で、御存じのとおり末端逆ざやという現象がまだ解消されていない。百五十キログラムについて五百十五円という末端逆ざや、言いかえれば管理費その他持ってしまってもなお生産原価を割って消費者に配給している。したがって、これを自己財源と申しますか、自己の運転資金の巨大なるものを持ち得る国の財政力なり、そういう無利子の金が集まれば、そういう利子負担は消費者にかからぬで済むでありましょうけれども、米はある意味では一つの商品でございます。ですから、相当の部分は国が赤字を補てんしながらなおそれを商品として回転していく場合に、末端逆ざやはまだ解消できない。真に無利子の金はないということになるならば、低金利の食糧証券の発行で売り買いをしていく、この状況というものはやむを得ない。ただし、できる限り国庫余裕金の導入等によってその部分を少なからしめる努力はしていかなければならない。基本的には、むしろ生産者米価、消費者米価のバランスをどうとるかの基本問題にもなってしまうのじゃないかと思います。
  230. 田中武夫

    ○田中(武)委員 農業を育てる、耕作農民を育てていくということも国の大きな政策の一つ、また同時に、生活上絶対的に必要な消費者米価についてできるだけ国民に負担をかけない、軽くする、これも政治の大きな目的ではなかろうかと思います。  そこで私は、差益金の問題、あるいは食糧証券の問題、あるいは手数料の問題等々をいまあげました。しかし、まだほかにも検討すべきものはたくさんあろうと思います。したがいまして、私はできるだけ消費者に迷惑をかけない、はね返らない、こういった運営を望まねばならない。そのためには、今日までの、いま申しました差益金の問題とか、食糧証券の問題とか、あるいは手数料の問題等々は再検討すべきではなかろうかと思いますが、この際いかがでしょうか。あすから米が上がるというときだけに、私は検討すべき問題であろうと思いますが、いかがでしょう。
  231. 西村直己

    ○西村国務大臣 非常にむずかしい問題です。御存じのとおり、一方においてすでに米というものは過剰の状況でございます。そして生産者米価というものは安くはない、したがって政府へ全部これが集まるという傾向が強い、したがって政府としてはそれだけの資金繰りが要るわけです。そうすると資金繰りというものは、いま金利のつかない金というものはなかなか世の中にはない。それで、これは運転資金でございますから予算そのもので計上できないということになりますと、どうしてもそこに金利というものが出てくる。国庫余裕金である程度はつなげます。  それからもう一つは価格関係でございますが、生産者、消費者の間にいまだに末端におきましては逆ざや現象が残うておる。これは確かに生活の安定と生産意欲の保持という二律背反と申しますか、そういう面から出てきたものでありますけれども、できるだけこの間の正常化をはかるという面から、今回消費者にもある程度の御負担を願わなければならぬというので八%、大消費地におきましては七・八九%という値上げを申し上げたわけでございます。したがって私は、食管全体の差益の問題、あるいは手数料、それからいまの金利のあり方、もう一つは、やはり基本的には、過剰の状況下において需給を反映したような生産者価格というものもやはりそれを誘導してこなければいけないんじゃないか。そうしませんと、過剰の米というものの処置自体がまた今度は非常にどこかの負担にならざるを得ない。余った米というものは、結局はある時期が来れば変質するのでございます。そういう問題をどう処理するかという問題もやはり一つ検討の対象になる。それらをあわせて私どもは食管制度を生産者、消費者両面を考えつつ、御納得を得ながら漸進的に改善を考えていきたい、こう考えております。
  232. 田中武夫

    ○田中(武)委員 末端において逆ざや現象がある、だから一方を安くし、片方消費者価格を上げていってできるだけ縮めるというのはいただきかねるのです。先ほど言ったように、一方も重要な施策ならば一方も政治の問題なんです。したがって、逆ざやはやむを得ない、二重価格はやむを得ない。それが政治じゃないでしょうか。農業生産者も消費者も国民としてその福利を増進していく、これが福祉国家の使命ではなかろうか。これ以上やると議論の対立になるかもわかりませんが、いまの大臣答弁のうち、逆ざや云々とかあるいはバランス云々の点は若干いただきかねますので、一言申し上げて、いままでのあり方について再検討を要望いたしまして終わります。
  233. 大石武一

    大石委員長 吉田賢一君。
  234. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 時間が相当超過しておりますので、できるだけ簡単にしますから、しかるべく要点だけをお述べいただきたいと思います。  きょう大臣に伺いたい点は、これは日本農政の根本につながる問題でありますので、ぜひ御答弁をいただいておきたいのであります。  総合農政の推進の重要な一環といたしまして、生活の向上どもございまするが、大臣、私は根本的にこう考えるのですが、どんなものでございましょうか。やはりいまの農村の基幹的な労働力というものはどんどん他へ流出してまいります。あなたのほうでお出しになっておりまする報告書によってみましても、次第に婦人に依存する、老齢化する、こういう傾向が非常に顕著でございます。そこで、この傾向をずばっと具体的に是正するという措置を政策的に農業政策の基本的なものとして立てるということをやらなければ、遠巻きにするというだけでもいくまいじゃないか、こういうふう考にえておりますので、それなら具体的にどうするかという、ここが問題でございますが、私は農業労働力確保という観点からあなたのほうの年次報告あるいは施策等を通してみるのですけれども、なかなかずばっと出てこぬのでございますね。後継者育成の問題も、これに対する諸般の施策も聞くのでありますけれども、それよりも、現実にこの重大な農業の仕事を背負っておる労働力、これをどう保護するか、あるいは保持するか、そして基幹労働力として何か具体的な方法はないかというようなことにこたえることが非常に重要な基本的な問題じゃないかと思います。そういう考え方はどんなものでございましょうか。
  235. 西村直己

    ○西村国務大臣 事柄は農政の基本まで掘り下げなければならぬ問題だと私は思います。日本の農業というものは、農業基本法をつくりましたときに選択的拡大、そこで相当規模拡大が行なわれるというような見通しのもとに基本法というものは発足したと私は思います。しかし、実際の姿というものは必ずしもその姿にはなっていないで、兼業が多い。そうすると、土地というものはきわめて零細でございますので、そこでどうしても農業がある程度機械化してまいりましても、それからくる収入というものはそれほどはあがらぬ。御承知のとおり、全国で勤労者の世帯と農業の世帯の収入は農業のほうが少し——百万円あがったと申しましても、農業そのものからくる所得というものは十分でない。半分くらいである。したがって、農業が経営規模が小さいというとどうしても青少年のような比較的活発な基幹労働力は流動しやすい。そうしてこれを一挙に解決するということになりますと、規模が拡大すれば、基幹労働力は相当優秀なものが集まるでありましょう。そのかわりに農村人口というものはぐっと減らなければならぬ。しかし、現実にはそこに土地を大事にする、あるいはわずかな土地でも持って農業のかたわら他の収入と合わしていこうということになりますと、基幹労働力が兼業として工場あるいはその他につとめて、そうして残された主婦その他が農業を守っていくというような姿が現在の状況になっている。  そこでどうしたらいいかと申しますと、私どもとしては、これを一挙にすぱっと転換するということは困難だ、現実の姿がそうでございます。また、農民自体が土地に非常に愛着を持っておるので、たとえ五反、六反あるいは三反の土地でも放すまいという気持ちがあります。そこで私どもは、土地の流動化、農業規模の拡大を促進したいというので農地法の改正をお願いをしておる。もう一つは、基幹労働力を中心とした自立経営農家というものを育成してまいりたい。同時に、兼業に対しましてはできるだけ協業というような形で労働力の省力化をはかってまいるというようなこと、それから同時に、直接婦人その他に対しまする施策といたしましては、生活改善であるとか環境整備であるとか、こういったようなもので補ってまいりたい、こういうのがいま私どもがとっておる施策でございます。     〔委員長退席、四宮委員長代理着席〕
  236. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一面のひずみは、よく言われます農夫症ですが、戦時中はやったことばであるらしいのでありますが、ともかく病気であるのか疲労状態か存じませんけれども、農村にまいりますると、肩こりとか腰が痛いとか、あるいは目まいがするとか、手がしびれる、足がしびれるとか、よく聞くのです。最近私ども、六十過ぎた人々にしばしば会いますると、大体半分以上はどうも神経痛ですね。これはやっぱり過去の長い間の過酷な肉体労働の疲労の蓄積ではないか、私は医者でないからわかりませんけれども、一種の慢性疲労状態でないかとさえ考える。あるいはこれは一種の神経痛じゃないだろうかとも考えるのです。そういうことを思いますと、これはやはり一つは、いま重大な仕事といいますか、農業労働、農業の仕事を背負っております婦人、次第に老齢化しつつありますから老人も大切ですけれども、特に婦人の問題はいろんな面におきまして農村を破滅に導く危険がないであろうかとさえ実は私は考えます。あなたのほうでお出しになっておる統計等によってみましても、ずっと漸増しつつあるのは農業専従者の婦人数であります。男性よりも婦人がふえておる。婦人も中高年齢層にだんだんと進みつつある。そうして婦人は日本におきましては、やはり家庭の一主婦でもあるし、子の母でもあるし、あるいはまた夫あるいは年寄りに対しまして、何かと家事をせねばならぬ立場であります。この婦人に大きな農業を背負わしておるという現状では、一本ここに太い政策的なものを立てまして、そしてこれをどう保護するか、あるいはどう解放するか、こういうところまで施策を深めていく必要があるのではないだろうか。いまおっしゃいますように、農地法の改正も土地の流動化も大切でありまするが、日本はなかなかそんな大規模の農業が容易にできないことはこれは火を見るよりも明らかでありますので、簡単には促進いたしません。したがいまして、やはり現状におきましてもっと別の手で考える必要はないであろうか、こういうふうに思うのですが、しろうとですから、私自身の体験でありませんので、見歩いたところからちょっと私の感じだけでございますので、またこれとあなたのお出しになる統計等を比較いたしましての一つの私の考え方でございますが、この婦人、老人、特に婦人を中心といたしまして、過酷な農業労働から解放するということについて、ひとつこんなことは考えられないものだろうかと思うのですね。  たとえて申しますると、これは全体であるかどうか存じませんけれども、西ドイツの一部であるとか、あるいはデンマークあたりでやっておるのでありますが、デンマークの団体貸しとか、あるいは西ドイツの州が貸しているはずです。つまり農機械を操縦者つきで農家に貸し付けておる。したがってそれは非常に合理的、機械的、省力的に行なわれておるということでございますが、こういうようなことをもう少し日本では推進する余地がないであろうか。いま、たとえば農村に参りましても、でかでかとやはり農機械の宣伝が行なわれておるし、りっぱな機械がそこらにずいぶんと並んでおるし、それぞれいろいろな機械を操縦なさっておる農家を見るのでありますけれども、一体一年じゅうの何割この機械が動いておるのであろうかということを考えますると、あまりに不合理である。でありまするから、こういうものにつきましても、これはメーカーの利害と直接——いろいろなむずかしい関係もありましょう、ありましょうけれども、国の施策といたしまして、私は、団体なり国なりあるいはその他の地方団体などがこれを所有して、そして操縦者つきで貸し付けるというような手は行なえないものであろうか、こういうようなことも考えるのですが、これはひとつ大臣、考え方としてはどういうものでございましょうね。
  237. 西村直己

    ○西村国務大臣 私は、日本の農村の近代化というものは、やはり何と申しましても、中核としては自立経営というものを育成していくところに中核を置きませんといけないのだ、それから農業によりましては、地域によりましてずいぶん違うと思います。主産地形成というものをやはりもう少し明らかにしてまいりたい、これは大事なことだと思います。特に酪農とか果樹とか、こういうものになりますと、今日、御存じのとおり女手だけではとてもできるものではない。むしろそういうところは基幹労働力の入ったもので、しかも所得も相当上がってまいります。問題は水稲地域で、水稲地域でも、場合によれば相当規模の大きいところも中核的にやっておるところもあります。しかし問題は、そういうところにおきましても、兼業で規模が小さくても、私どもとしては、地域によりましては、いま吉田先生おっしゃるような陰惨なものでなくて、私らよくこういう立場でございますから、ずいぶんいろいろな方にいろいろな意見を問うてみるのでありますが、むしろ今日の水稲つくりは昔よりはるかに楽になった、そして主人はどこかへつとめておるが、日曜に帰ってもらって、あとは自分たちと女手だけでやっていてちょうどいいのだ、こういうようなお気持ちがありまして、必ずしも陰惨なものではない。しかし、できれば、私どもはそういうところに対しましても協業的な組織を入れまして、できるだけ婦人労働が過重にならぬように、生産があがるようにしむけていく、そこに協業の中の一環として、いまのような、たとえば防除の問題におきましては、こういうような専門的なものは共同で防除するとか専門職に委託するとかいうふうなことは相当やられていると思います。それから、ところによっては、機械作業などはいま言ったような農協中心とか、その他特殊な協業組織をこしらえましてそういうところでやっている。これは確かに私どもも協業組織助長の一環として機械の貸与とか機械を共同でやってもらうとかいうことはやっているつもりでございますし、今後も推進してまいりたいと思います。
  238. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 健康づくり運動というものは、いま生活改善の一環といたしましてかなり活発に行なわれているようでありますが、これは非常におもしろいと私は思いまして、根本的に健康に目ざめ、自覚するということから出発しますると日常生活の改善につながってまいりますし、健康とは何ぞやということに思いをひそめる農民の生活風習ができてくると思うのでございますが、健康づくりにつきまして、この間も兵庫県の一例ですが、私は倉石さんにも尋ねたことでしたが、ちょうど三木という市の細川町に二百戸ほどの戸数ですが、全国的な統計から見ると百倍からの十二指腸かいようを持った村がございまして、これはたいへんでございました。これはほんとうの山間僻地でありまするので、面積は狭く、他の重労働に従事するというような主婦、主人等の家庭でありますので、ここの村が十二指腸かいようで将来全く暗くなっちゃったというので健康づくりを言い出したのでございます。婦人中心の活動が非常に活発に行なわれております。それで、ついにそれから発想いたしまして、献血の運動もやっております。あるいはまた定期的に成人から、児童から、一般人から、あらゆる人の健康診断まで行なうというところまで進んでおるのでございますが、こういう健康づくりの問題につきましても、さてしかし、それとたとえば教育とか保育とかいう、そういうものとのつながりを多角的に考えないとこれまたいかぬのじゃないだろうか。こういうことになってきますると、保育事業のことも考えないといかぬ。試みに私も幾つかの保育所をずっと歩いてみたのでありますが、どうも最近の過疎地帯の農村の保育所はだんだんさびれてきます。これはえらいことでございます。さびれていくということは、やはり人口減でありますか、あるいは児童を持っておる者がどうもほかの仕事につくためでございましょうか、これは全体としまして過疎地帯の一般傾向らしく出てくるのでございますが、そうしますと、こういう保育事業なんかとの関連におきましても、同時に児童を守り、家庭を守り、主婦を守る、こういうようなこともあわせましてこれは一つの農村の環境づくりになるのじゃないだろうか。しかしこれは、やはり政府といたしましては厚生省の関係がありましょうし、幼稚園につながっていきますと文部省がありましょうし、そこで私といたしましてはひとつ大臣にぜひ伺っておきたいことは、こういう他省につながりますこと——農村には非常に重要なことであり、健康管理の責任者としての農林省とも考えられますので、農林省はこれらの省との横の連絡を事務的にとりながら、しかし閣僚といたしましては、閣議でやはりこういう基本的な方針の確立につきましては他省とも協力して、大臣間の協力を得まして、そうして農村の健康をどう保持するか、農村の保育にどう協力するか、生活改善をどうすることが日本の農業のために、国民の保健、福祉のために重要か、こういう辺をやはり大臣のお立場で調整しあるいはまた総合していく、こういう辺にも問題があるのではないだろうか、こういうふうに考えるのですが、この点はいかがでございましょう。
  239. 西村直己

    ○西村国務大臣 農村の健康管理と申しますか、これは何と申しましても大事なことでございますから、私どものはりは生活改善というたてまえから、あくまでもこれは強化してまいりたい。  それからもう一つは、農村地域全体の振興につきましては、農業投資というものをできるだけ農村地域に重点的にやらなければならぬという意味からも、また環境整備を重点的にやらなければならぬという意味からも、農村区域の整備に関する法律案なるものを国会に御提示申し上げて区域を明らかにしてまいりたい。いま一つは、経済企画庁を中心として、国土の総合利用計画の中におきます主産地なり、あるいは農村あるいは農業の働く地域的分野というものを、今後ともできるだけ明確にしてまいりたい。その際にあわせまして、過疎地帯等に対しましても、地域によって状況は違いますけれども、県々によっては知事もずいぶん考えられておると思います。過疎地帯全体を、ただ補助率をアップしたり何かして盛り上げようと思いましても容易ならざる金であるし、経済効率も薄い。そこで過疎地帯においてセンターをつくって、それからその集落というものをだんだんに集約しながら、しかも作業上には道路その他を整備することによって共同生活の環境整備をはかってまいる。こういうような過疎地帯対策というようなものも、もうすでにそれぞれの知事あたりも、現場をしょっておられるものですから、かなり苦労されておるようでありまして、これらをやはり国としてじょうずに取り上げながら財政措置を加えてまいりますれば、いま先生おっしゃるような過疎地域でありましても、完備された保育所あるいは衛生管理センターあるいはその他生活センターというものがわりあい集約的にできるのではないか。過疎地帯だから、ただちょっと手を入れてすぐ手を引いてしまうような過疎対策では、今後長い目で見たときに効果がない。むしろセンターシステムのようなものをよく考えて、そこへ道路なり、その他作業する部分と道路との関係を十分考えていくことによって、過疎地帯あるいは山村における住民の生活福祉の向上ができるのじゃないか、私はこういうふうに考えております。
  240. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いまの点等につきまして、やはり行政の総合性、あるいは調和といいますか、そういう辺に一つの問題があるのではない、だろうか。これは、道になると建設省の道路整備計画もありましょうし、それから保育になると厚生省でしょうし、文教関係になると文部省でしょうし、あなたのほうの農林における生活改善はかなり広範囲にわたる根本の問題がどうも一つあるような気がしまするので、これはやはり総合行政のあり方としまして、根本的に省々間でも御相談になるべき点があるのではないだろうか、こういうふうに考えますが、その点をひとつ……。
  241. 西村直己

    ○西村国務大臣 私、全く同感であります。実は東北でも、たしか昨年山村振興センターというのを一カ所つくって、それは非常に歓迎されていると思います。それは先生のおっしゃるような総合政策主義でいってはじめて環境整備ができるのではないだろうか。一つの省だけが幾ら努力してもいかぬし、また一つの省がなわ張りでなまけてもいかぬし、それがやはり縦割り行政の弊害を過疎地帯、山村地域等に出さぬように、総合的努力を各省間でやって、センターというものを中心にして作業能率なり作業の結果があがるようにしていけば、生活そのものが全体にまとまって上がっていく、またそれが経済的に見ましても、財政的に見ましても効果を発揮する、そういうふうに感じております。
  242. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまちょっと道にお触れになりました。これは大臣のことではございませんが、御承知と思いますけれども、アメリカにおきましては農村地帯における道路というものを相当重視いたしまして、上院におけるこうかんな調査報告書ども実は出ておったのでありますが、やはり農村における道路細胞といいますか、毛細血管的な一種の道路網、この完成というものが農村の環境整備に、また産業発展、農業資本の将来のために非常に重要な役割りを持つのであります。先般ある地域、たとえば具体的に言うと兵庫県の加西市でありますが、加西市から隣の多可郡のほうにちょっと渡ろうとしましたら、いい道があるのですけれども、ただ峠を通るのが自転車でなければ行けないというようなことでありまして、どうしてまたこんなことだろう、長年懸案だけれども実現しませんで、たいへん不便を感じておりましたというのが、ある工場主のお話でありましたが、こういうようなことは至るところにまだあると思うのです。これは道路整備五カ年計画にはかなり詳しい整備の面が出ておりますけれども、さっきおっしゃった国土総合開発等の関連もありまするので、こういうこともちょうど予算編成期に臨んでおりますので、できますれば来年あたりは数歩前進する、そして農村の毛細血管的な農村道を整備舗装する、こういうようなことまで進んでいってはいかがか、こういうふうにも考えております。こういう点につきましては大臣お抜かりないと思いますけれども、できるだけひとつ総合行政の見地に立ちまして、新しい態勢で進んでいっていただきたい、こういうふうに思います。
  243. 西村直己

    ○西村国務大臣 承知いたしました。
  244. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 きょうはこれで終わります。
  245. 四宮久吉

    ○四宮委員長代理 本日はこれにて散会をいたします。     午後三時四十六分散会