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1968-10-11 第59回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十月十一日(金曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 臼井 莊一君 理事 美濃 政市君    理事 永末 英一君       青木 正久君    遠藤 三郎君       大村 襄治君    塩川正十郎君       竹下  登君    辻  寛一君       西風  勲君    帆足  計君       吉田 之久君    伊藤惣助丸君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  委員外出席者         議     員 松本 善明君         衆議院法制次長 鮫島 真男君         内閣法制局長官 高辻 正巳君         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         外務省アメリカ         局外務参事官  大河原良雄君         外務省条約局長 佐藤 正二君     ————————————— 九月三日  委員吉田泰造辞任につき、その補欠として吉  田之久君が議長の指名委員に選任された。 十月十一日  委員福田篤泰君、古屋亨君、箕輪登君及び山田  久就君辞任につき、その補欠として塩川正十郎  君、遠藤三郎君、辻寛一君及び青木正久君が議  長の指名委員に選任された。  同日  委員青木正久君、遠藤三郎君、塩川正十郎君及  び辻寛一辞任につき、その補欠として山田久  就君、古屋亨君、福田篤泰君及び箕輪登君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 八月十日  一、沖繩県における公職選挙法適用暫定措   置に関する法律案川崎寛治君外九名提出、   第五十五回国会衆法第三一号)  二、沖繩に対する財政措置その他の援助に関す   る臨時措置法案多賀谷真稔君外七名提出、   第五十五回国会衆法第三三号)  三、沖繩及び北方問題に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩及び北方問題に関する件(沖繩台風十六  号による災害及び国政参加問題等)      ————◇—————
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  この際、沖繩における台風十六号による被害状況について政府から説明を聴取いたします。八木総務長官
  3. 八木徹雄

    八木説明員 台風第十六号による沖繩地区被害状況について御説明を申し上げます。  去る九月二十二日から二十三日にかけ、宮古島久米島を中心に沖繩全域を襲った台風は、去る昭和四十一年の第二宮古島台風に匹敵するほどの大型の風台風でありましたので、人命の損傷、一般家屋公共建物の倒壊、道路の損壊、船舶その他農作物等に多大の被害を受けました。  その被害状況は、お手元に配付してあります琉球政府災害対策本部作成の資料のとおりでありますが、概要を申し上げますと、死者五名、重軽傷十九名、一般住宅家屋全壊九百七戸半壊二千七百五十一戸、罹災者数二万八千七百九十名に及んでおります。被害見積もり額は、公共施設約九千五百万円、一般住宅約四億円、農作物約十二億四千四百万円、水産関係約一億四千万円、その他約八億二千八百万円、合計約二十七億七百万円となっております。  この台風十六号の対策として、琉球政府は直ちに災害対策本部を設け活動を開始し、九月二十五日には、十カ市町村災害救助法を発動して、被災者の救済と災害地復旧対策に着手しました。  日本政府としては、総務長官が去る九月二十八日から三日間、各省の担当官を帯同して現地におもむき、被害状況を直接視察し、また、アンガー高等弁務官及び松岡主席とも復旧対策について種々協議を行ない、琉球政府から、応急仮設住宅教科書等応急援助住宅再建のための資金、公共施設復旧費等援助等について要請を受けました。また、昨九日の第十五回日米協議委員会においても、米側より被害状況について報告がなされました。  政府は、今回の台風の規模及び被害状況から見て、第二宮古島台風の際に政府のとった措置に準じて救援を行なう方針であり、でき得る限り現地側要望に沿って救援措置をとることとし、これに要する経費について目下大蔵省と協議中であります。  なお、緊急対策の一部として、去る七日、約一万八千冊の教科書現地向けに発送しましたが、さらにまた、南援としても災害救援募金活動を行なうこととしておるわけであります。  以上、御報告を申し上げます。
  4. 床次徳二

    床次委員長 局長補足説明がありますか。——これにて説明は終わりました。     —————————————
  5. 床次徳二

    床次委員長 ただいまの被害状況報告について質疑がありますので、これを許します。臼井莊一君
  6. 臼井莊一

    臼井委員 今度のいわゆる第三宮古島台風は、先般の第二宮古島台風に引き続いての災害でございまして、被害を受けられた罹災者の方にはまことに私ども心から御同情申し上げるとともに、万全の措置を、いま伺いましてもさっそくやっておられるはずでございますが、ことに今度は、先般の第二宮古島台風では災害のなかった久米島がひどくやられているということ、全壊半壊住宅災害につきましては、前回よりは確かに台風の強さにもかかわらず少なかったということは、第二宮古島台風住宅復興が非常にその点よくできて、約千七百戸はブロックあるいは鉄筋でつくったということが効果をあらわしている、全壊半壊住宅損壊というものが前のときよりは少なかったということになったと私は思うのです。ですから、今後も復旧については、やはり至急にブロック、コンクリートで復旧する必要があると存じます。ことに宮古島付近はほとんど台風通過地点が多いので、ことにあそこで方向日本本土のほうに向けるというようなことで、台風の滞留時間の非常に長いことが、こういう災害をよけいもたらす理由のようにも思うのであります。  そこで、この前のときも私お見舞いに参り、今回も参りましたが、見て感じたことは大体いま申し上げたようなふうでありますが、ただ今度は、前回と違って宮古島で三名死者が出た、それから本島のほうでも二名、計五名ということでございました。この点について、まことになくなられた方には、またその御遺族に対しては心からお悔やみを申し上げる次第ですが、特に問題は、私もお悔やみに行ってみて、二軒の家は、一軒は幼子が五名、それからもう一軒はやはり幼子が六名いるという、まことに悲惨の極と言っても私は差しつかえないと思うのですが、これに対しましては、あちらでも生活保護法がございますから、今後の生活については保障もありましょうし、また、死者家族に対してもそれぞれのお見舞いの手当てはやったと思いますが、現在でも家庭援護のほうについては本土とよほど隔たりがまだあるように私は思うのですが、その点を一つ伺いたいことと、もう一つは、希望でありますが、あちらの琉球政府また民政府、USCARのほうでもいろいろ努力されておりますが、どうぞひとつ総理府のほうも、南連等を通じてそういう点についても、機会があった際に十分本土国会議員のそういう考え方というものをよくお伝えいただいて、遺漏のないように期していただきたいと思います。  それともう一つ住宅の問題で、第二号台風でつぶれた小学校附属の幼稚園、これが復旧されてがんじょうな建物になりましたから、幸い今度はこれは無事でしたが、前回つぶれたあとに、何か米軍海兵隊臨時に建てた建物屋根等が相当吹っ飛ばされた、こういうことで、やはりそういう仮の建物というようなものは台風などには耐えられない。ことに前回のときもブロック鉄筋でやったほうはよかったのですが、災害援助で急速にやったプレハブなどの住宅は、ほとんど吹っ飛ばされてしまった。ところが、やはり経済事情でしょう、プレハブで仮の建物であっても、そこに住んでしまうと、なかなかこれは急速に本建築的なブロック建て建物ができないというところに、今後の住宅を建てるについての政府の助成というものも、よほど琉球政府考えてもらう必要があろうと思うのです。ですから、とりあえずはプレハブ住宅でもやむを得ない。しかし、これはできるだけすみやかに本建築というか、少なくともブロック建物で、今後台風が来てもそういう災害が起こらぬようにひとつ万全の措置をしていただきたいということを、特に現地を見て感ずる次第であります。  それから、ついでにみな申し上げてしまうと、気象情報は決して間違っていなかったのですが、停電になってしまうと、気象状況変化——三十メートル、四十メートルの台風くらいは、あちらでは台風の数に入らぬくらい台風なれがしておりますが、七十メートル以上の台風なんということの予報をその前に知ることができなかったところに、たとえば二名なくなられた方などは、池間島のかつおぶしの工場のほうに行っていて、船がとまってしまったので自分のうちに帰れなかった。そこで、工場に泊まっていてつぶされてしまった。見ますと、じき近くには鉄筋コンクリートのりっぱな学校があるのでございます。ですから、そこに行っていればつぶされるという心配はない。どうもそういう点、少しのんびりしたように思うのですが、聞いてみると、停電してしまったので、気象状況のそういう変化というものがあとでわかったということで、やはりこれはトランジスターラジオども今後十分普及させて、そしていつ台風が来ても気象条件に応じられるような態勢というものが必要であろう。  それから、池間島あたりでも、村の責任の方が、何かそういう避難をしろというような、たとえば半鐘を打つとか、停電になればサイレンは鳴らぬかもしれぬが、何かそういうような緊急避難の方法というものも、私はこういう地区においてはもっと検討してしかるべきものだろう、これは何も池間島とか宮古島ばかりに限らず、沖繩全部の離島にも当然考えてやるべきで、そういう方面の指導というものも必要であろうと考えましたので、これらを意見として申し上げるとともに、ただ死者を出した家庭の問題ですね、これについてお聞かせいただきたいと思います。
  7. 八木徹雄

    八木説明員 さっそく臼井先生現地調査におもむきいただきまして、ほんとうに御苦労でございましたし、それからまた、その調査に基づく的確なる御注意をありがたくちょうだいいたしたわけでございますが、御指摘のとおり、前回と異なりまして今回は五名の死者が出た、しかも一家の支柱を失った御家庭があるということでございますので、これに対する対策につきましては、前例にとらわれないで考えなければならぬことだと思っておるわけでございます。先ほども御報告申し上げましたように、とりあえず第二次宮古島台風に準ずる体制を基本的に固めて、それによって応急対策恒久対策にひとつ迅速に取り組んでまいる心組みでございますが、死者の場合は初めてでございますので、ひとつ十分に実態を調査いたしまして、政府としてやるべきことについては十分考えてまいりたい、こう思っております。  御案内のとおり、生活扶助問題等社会福祉全体につきまして本土との一体化施策というものをこれから進めていくというときでございますから、それらが確立すれば問題ないわけでありますけれども、まだそれができてない。それだけに、将来生活扶助をやっていくという基本的な姿勢というものを一方十分堅持しながら、今回の応急対策に取り組むようにしなければならぬのではないかと痛感をいたしておるわけであります。今回の死者に対して琉球政府あるいは民政府がどういう措置をされるか、その中で当方がどういう援助をすることがベターであるか十分考えまして善処いたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、第二の住宅問題につきましては、御指摘のとおり、前回台風の結果にかんがみて、鉄筋あるいはブロック等恒久対策をしたところはやはり被害を免れておるという実績を思うにつけましても、台風銀座と称される沖繩住宅につきましては、その前例がすでに実績を示しておるわけでございますから、御指摘のとおり、恒久対策を確立することによってこのような災害を防止する方向で、住宅対策につきましては特に積極的に取り組んでまいりたい、こういうように考えるわけであります。  なお、気象通報等、そのこと自体が被害をある程度食いとめる大事な要素になることは本土も同じことでございますので、停電等のために十分な徹底が期せられない、本土であるならばトランジスターラジオはどこの家庭でも持っておるということでありますが、そういうようなことがまだ十分でないということでありますので、その意味では、そうかといって直ちにトランジスターラジオを買わすというわけにもまいりませんから、それに対応する何らかの措置というものは十分に検討する必要があるのではないかと思います。気象予報通報とも改善の必要性は十分あると思いますので、今回の体験にかんがみましてさらに前進さすように努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  8. 臼井莊一

    臼井委員 よろしゅうございます。
  9. 床次徳二

    床次委員長 総務長官は、車が込んでいるようですから、しばらくこのままでお待ちください。      ————◇—————
  10. 床次徳二

    床次委員長 次に、去る九日行なわれました日米協議委員会について、その報告を聴取いたしたいと存じます。田中総務長官
  11. 田中龍夫

    田中国務大臣 一昨十月九日、沖繩に関しまする日米協議委員会の第十五回会合が、日本側から外務大臣と私が、米国側からジョンソン日米国大使が出席いたしまして開催いたされました。  議題といたしましては、沖繩住民国政参加問題及び台風十六号によります沖繩地域における災害の問題が取り上げられました。  まず、沖繩住民が熱望いたしておりまする日本国政への参加の問題につきましては、去る七月一日に開催いたされました第十四回日米協議委員会におきまして、わがほうから、何らかの形での沖繩住民国政参加が望ましいので、日本側といたしましても、法律上の問題等、国内的な問題の解決について検討しておる旨を述べまして、アメリカ側におきましてもその早期実現について好意的な配慮をしてほしいと要請をいたしましたが、今回、わがほうの要請にこたえまして、一体化施策を含む日本本土沖繩施策沖繩住民の民意を反映させるために、選挙により選ばれた沖繩代表日本本土国会審議参加することが望ましく、かつ、有益であることが日米両国間で合意をせられたのでございます。沖繩住民の待望久しい懸案でありましただけに、まことに喜ばしいことと存ずる次第でございます。  沖繩住民国政参加の実施のために必要な措置につきまして、日米双方沖繩住民要望を考慮しつつ、相互に協力することが合意されておりますが、国政参加具体的項目は、本来受け入れ側たる本土国会及び代表を派遣する沖繩側の問題でございますので、国会におきましても十分の御協力あらんことをお願いを申し上げる次第でございます。  次に、台風十六号によります沖繩地域台風災害の問題につまして、ジョンソン大使から、アンガー高等弁務官のとられました措置について詳しい報告があり、わがほうより、被災地住民生活の安定のために、物心両面にわたり、できる限りの援助を行なうようにしたいということを申し述べたのでございます。  以上、簡単に日米協議委員会の経過を御報告申し上げます。     —————————————
  12. 床次徳二

    床次委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。西風勲君。
  13. 西風勲

    西風委員 いま御報告がありました日米協議委員会における国政参加の問題が合意に達したというようにいわれておるわけですけれども、この問題についてまずお尋ねします。  六一年の四月から本年の二月まで、琉球立法院では国政参加の問題について前後六回にわたり決議を行なっております。その決議の中では、沖繩憲法体制のもとに本土並み国会議員と同等の資格において国政参加さしてもらいたいということで一致しております。これは単に野党たると与党たるを問わず、沖繩県民のすべての人々が、考えの違いを乗り越えて、この点については一致しておるわけであります。それにもかかわらず、日米協議委員会アメリカと話し合いをする際に、このような沖繩本土人々考え方根本にしないで、初めから日本政府が、沖繩代表権限は、沖繩米国施政権下にあるという事実のもとで、日本国内法上認め得る最大限のものとすることが望ましいという見解を表明したということですけれども、私どもはたいへん遺憾に思うわけであります。  そこでお尋ねしたいのですけれどもアメリカ施政権下にある事実のもとで日本国内法上認め得る最大限のものというのは、内容的にどういう国政参加を意味するのか、明らかにしていただきたい。
  14. 田中龍夫

    田中国務大臣 まず、日米両国の間にこの国政参加につきましての原則的な根本了解が成立したことは、まことにおめでたかったと存じます。  それから、ただいま御質問の問題でございますが、つまり、申すならば、憲法なり公職選挙法なりの問題でございまして、日本国内法上認められます最大限権限施策というものを当方も用意いたさなくては相なりませんでしょうし、当然それにこたえて、いわゆる代表を送ってまいります沖繩側におきましても、将来本土との一体化ということを考えますれば、現時点における法域は異なりますが、やはり日本公職選挙法なり日本の相当県と同じような制度をあらかじめつくってもらうことが必要でございます。これは沖繩立法院において承認をせられなければならない法律事項でございます。
  15. 西風勲

    西風委員 私どもは、沖繩県民国政参加日本国憲法第十一条、すなわち、「國民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法國民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将來の國民に與へられる。」こういうように憲法第十一条で規定しているわけでございます。私どもは、この憲法第十一条に基づいて沖繩県民国政参加というのがはかられるべきだと思うのですが、その点どうですか。
  16. 田中龍夫

    田中国務大臣 いろいろと法理論上の御意見もございますが、現在日本潜在主権を持ち、また、日本国民としてわれわれは沖繩の方々を考えもいたしておるのでございますが、御承知のとおり、いまだ施政権が完全に返還されておらないという現時点におきまする制約は、当然免れないものであろうと存じます。
  17. 西風勲

    西風委員 それでは、沖繩では日本法律その他は一切適用されないという考え方になるわけですか。
  18. 田中龍夫

    田中国務大臣 法制上の法の適用の詳細につきまして、担当局長からお答えいたさせます。
  19. 西風勲

    西風委員 あなたに聞いておるのですから、あなたからお答え願いたい。
  20. 田中龍夫

    田中国務大臣 誤りがあるといけませんから、私から権限を授権いたしまして局長にお答えさせます。
  21. 山野幸吉

    山野説明員 私も担当ではございませんけれども、一般的な見解を申し上げますが、沖繩は、御承知のようにアメリカ施政権を持っております。したがいまして、わが国の憲法国内法が当然適用になるわけではございません。むしろ適用されていない。ただ、どちらかといいますと、比較的属人的な法律の中で、そういう法律米国民政府責任者である高等弁務官了解のもとに、一部の法律適用されておるということと承知しております。
  22. 西風勲

    西風委員 沖繩本土法律がそのまま適用されているのは二つばかりあるというように聞いておるのですが、ないのですか。あるとすればどの法律ですか。
  23. 山野幸吉

    山野説明員 たとえば国籍法、それから恩給法のような法律でございます。
  24. 西風勲

    西風委員 たとえば、私の聞くところによれば、未帰還者留守家族等援護法あるいは未帰還者特別措置法というものは、本土法律がそのまま適用されておるわけですね。これはもちろん緊急性を持っておる、どうしてもすみやかに解決されなければならぬという点で適用されておるわけです。国政参加の問題は、この問題と比べるのはどうかと思いますけれども、この問題以上に沖繩県民にとっては切実な問題なのです。沖繩県民が要求しておるのは、与野党含めて、本土政府沖繩人々に対して同情的な立場をとってくれということを言っておるのじゃないのです。沖繩の県民の皆さんは、日本国民として当然受けるべき国政参加する権利を認めてもらいたいということを要求しておるわけですね。私がどうもたいへん遺憾に思いますのは、政府日米協議委員会の中で、沖繩県民立場に立って国政参加の問題で白熱的な議論をした結果、日米双方見解が対立して最終的にあの結論になったというのならまだ理解できるのですけれども、初めから、立法院が六回にわたって決議してきた、あるいは琉球政府から日本政府に対してたびたび要請のあった内容宝全然交渉の基本的な条件にしないということが非常な問題ではないかというように思うのです。現に対日平和条約第三条は、どの点から見ても——きょうはこのことを議論するわけじゃないから長い時間をかけることはできませんけれども、対日平和条約第三条は、いまや無効であるということが世界の常識になりかかっているわけですね。そういうときに、国政参加の問題については、もっとはっきりした態度でもって日米協議委員会で交渉すべきであったというふうに思うわけです。いまさらそんなことを言ってもしようがないでしょうけれども、結局結論として、九日の日米協議委員会できめられた国政参加内容は、オブザーバー参加ということですね。そういうふうに理解していいですか。
  25. 田中龍夫

    田中国務大臣 そもそも対日平和条約が、いまや無効になっておるということは、私はちょっと考えておらないのであります。(西風委員「それはあなたが本を読んでいないからだ」と呼ぶ)本を読みましてもそれはおのおの法律解釈が違っておりますが、私どもの今回の日米協議委員会なるものは、最初の出会いであり、最初の原則を取りまとめたという原則的なものでございますので、今後さらに回を重ね、また具体的なケースにつきましてもよく相談に乗れる段階に入ったということでございます。
  26. 西風勲

    西風委員 私はそんなことを聞いていない。オブザーバー方式になるのかということを聞いているのです。
  27. 田中龍夫

    田中国務大臣 オブザーバー方式にするかしないか、これは私は国会の重大な問題だと思います。むしろ衆参両院国会におかれまして、どうか真剣に御審議を賜わりたい、かように考えます。
  28. 西風勲

    西風委員 あなたが参加された日米協議委員会で、日本側態度という中で示された沖繩代表権は、先ほども申し上げたように、米国施政権下にあるという事実、国内法上認め得る最大限のものということを、本土側政府側から提案しているわけです。この最大限のものというのは、政府のあらかじめの想定としてはどういう態様のことを言うのかということを聞いているわけです。
  29. 田中龍夫

    田中国務大臣 私どもは、最大限を一応要望いたしておきまして、そしてあと皆さま方の十分な国会の御審議にまとう、こういう考えでございます。
  30. 西風勲

    西風委員 政府方針をきめずに、国会で自由にきめるわけですか。
  31. 田中龍夫

    田中国務大臣 政府提案をいたしまする政府立法ではあり得ないと存じます。これは国会権限あるいはまた資格、そういうふうなものでございまして、行政府がこれにつきまして草案をつくり、政府責任で御提案をするということではなく、むしろ衆参両院の院の根本の問題じゃないか、私はかように存ずる次第であります。
  32. 西風勲

    西風委員 あなた方はそういうことを言いますけれども日米協議委員会の中で一定ワクをきめているわけじゃないですか。国会が自由にやるならワクなしで、沖繩国政参加について、院がその自主性において一定法律的措置をも含めて国政参加を実現するということならいいですけれども、あなた方はすでにアメリカに対して、沖繩国政参加については私どもアメリカ考え方を十分に考慮に入れて、アメリカ考えどおりにいたしますと言わんばかりの内容合意に達しているじゃないですか。制限を加えているじゃないですか。したがって、政府は一体どういう考え方でこういうふうなことを提案したのか。伝えられるところによると、政府考え方オブザーバー参加、表決権は与えないというような内容ではないか、これは天下周知の事実ですよ。そういうことはどうかということを聞いているのです。
  33. 田中龍夫

    田中国務大臣 私どもは、ただいま御質問のあったところから、御案内のとおりに、平和条約第三条というものは無効であるという御主張に対して、われわれはそういう解釈をとっておらない。また、ひいては日本憲法適用されておるんだという御解釈に対して、私どもは、施政権下にあります沖繩におきましては、日本憲法は完全に適用されてない、かように考えている。そういうふうな考え方の違いに基づくものだろうと存じますが、しかし、私どもは決して日本国民に与える最も大きな権限——ということは、これからの詳細な御審議国会のほうの皆さま方にお願いいたしますが、しかし、少なくともアメリカ要望いたしますにつきましては、まあ何でもできると申しましては語弊があるかも存じませんが、十分の権限と十分の資格ができまするように、一応外交交渉といたしましては原則的な了解をとってあるのでございます。  なお、その詳細につきましは、ひとつ担当局長からお答えいたさせます。
  34. 山野幸吉

    山野説明員 ただいま御指摘のございました日米合意内容でありますが、沖繩米国施政権下にあるということは、いま長官が申されましたように、わが国の憲法、関係諸法令が直ちに適用にはなっていないという認識でございます。それから、わが国の国内法最大限のものとするということは、いま先生からもお話がありましたように、沖繩の住民が本土並み議員になりたいという希望は私ども十分了解しつつも、わが国の憲法に問題点のあるような措置は、国会でおきめになる場合もおそらくできないだろう、そういう問題点があることを一応認識して、しかし、その問題点はあるにしても、日本政府としては憲法の許容する範囲内の最大限のものにしていきたい、それが沖繩住民の希望にこたえるゆえんであるという解釈でございます。  なお、オブザーバー方式じゃないかという御質問でございますが、これは決してオブザーバー方式のようなものではないのでございまして、オブザーバーは、先生もよく御承知のように、求められた場合に臨時に出席して、そして意見とか希望を申し述べるというのがオブザーバー方式でございますが、この場合には国会には常時出席をいたしまして、所要の発言をし、その他の権限行使ができる。ただ、問題になる憲法上のいわゆる表決権等の問題については、なお今後検討される問題はありますけれども、それ以外の点においてはほとんど国会議員に準じた権限が行使できる、かように考えているわけでございます。
  35. 西風勲

    西風委員 だから、長官本土並み国会議員と同じ条件ということはあり得ないわけですね。すでに制約があるわけですね。そういうように理解してよろしいかどうか。
  36. 田中龍夫

    田中国務大臣 いまの権限、どういう権限を与えていただくかということは、私のほうではなくて、皆さまのほうでお考えいただくのじゃございませんでしょうか。
  37. 西風勲

    西風委員 いまあなたが委任をされて答弁された特連局長——あなた聞いていてもらわなくちゃ困りますよ、隣であなたのかわりに答弁しているんだから。その特連局長のことばによれば——特連局長のことばじゃないですよ、大体政府考え方ですよ。その考え方によれば、本土並み、いまの日本のこの国会を構成している議員と同等の資格、同等の待遇というようなことは困難ではないかという内容のことを言われているわけです。それが全部自由にできるのなら、あなた方なぜ日米協議委員会でこんな見解を表明したのです。あなたは国会に全部まかすということをたびたび言われておりますけれども、この日米協議委員会内容は、国会に全部まかすようなことになっていないんですよ。したがって、先ほどからたびたびお尋ねしているようなことを聞いているわけです。
  38. 田中龍夫

    田中国務大臣 私どもアメリカ要望いたしますことば、まず数は、たとえば日本の相当県と同じ数の衆参両院議員を出すことが望ましいのでございます。そういう点は、将来本土一体化をいたしましたときにそのままスムーズに日本沖繩県となることができるからでございます。  また、その選挙のあり方でございますが、やはり県の衆参両院議員選挙と同じような公職選挙法適用になりますことが、これまた将来の問題として望ましいのでございます。そういう意味を考えまして米側のほうに要望いたしておるのでございますが、しかしながら法域が一応違っておる。そういう点で、アメリカ施政権下におきまして米国側並びに琉球政府その他琉球立法院、こういう沖繩側におきまして選挙の規定を立法をせられ、それに応じて選出せられておいでになった方々に対して、しからば日本側がどの程度の権限資格をお与えいただくかという問題をただいま御論議になっておるのだろうと存じますが、その点につきましては、これは行政府の問題ではなくて、国会衆参両院の問題であろう、こういうことを私お答え申したのでございます。
  39. 西風勲

    西風委員 あなたの言うことはよくわからないですけれども国会国会権限において沖繩住民国政参加の問題についていろいろ協議するということは、これは当然であります。ただ、その協議する場合に、こういう外交文書——外交文書ですよ。これは一種の外交的取りきめですよ。外交的取りきめと国会との関係というのはどうなるのか。したがって、政府としては、こういうものを結んだ限りは、国会がそういうことをやる場合でも一定の制限があるというように解釈をされておるのではないかということを聞いているのです。制限があるかどうかということを聞いているのです。無制限かどうか。無制限ですか。
  40. 山野幸吉

    山野説明員 まあ申し上げたいのは、憲法上かりに問題がある場合には、それは憲法に違反するわけにはまいりませんから、したがって憲法の許容する最大限、ということは憲法上問題が全くなければ問題になりません、そういうことを言っておるのでございまして、国会で御審議いただく前提としてのこの取りきめは、やはり憲法上問題があるかないかというところに、もし制約があるとするならそこにあるわけでございまして、それだけでございます。
  41. 西風勲

    西風委員 したがって私ども憲法上制約はない、第十一条で、沖繩国政参加については表決権も含めて与えるべきである、こういうふうに考えるわけですけれども、その点どうですか、総務長官
  42. 田中龍夫

    田中国務大臣 それはそういう御見解をお述べになっていただいたのでございまして、ありがたく拝聴いたします。
  43. 西風勲

    西風委員 これは私個人があなたにありがたく拝聴してもらうために言うておるのではなしに、沖繩県民が、与野党を含めて、先ほどからたびたび繰り返して申し上げておるような立場国政参加の問題を言っておる。だから、沖繩の皆さんは、国政参加の点について量の点を望んでおるのではない、質の点を望んでおるのです。質の点とは、表決権まで含めた実体的な国政参加というのを望んでおるのですから、このことをよく記憶してもらいたい。  このことだけやっておりますとあとの問題について時間がございませんから、あとはまた美濃委員その他から関連して追及があると思いますので、次の問題に移ります。  次に、宮古島台風の問題についてお尋ねいたしますが、宮古島災害に対して、政府はどの程度の額の緊急援助をするということをきめられたか、お伺いしたいと思います。
  44. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは現地のほうの御調査で、緊急対策恒久対策と、琉球政府のほうは二つに分けて出しておられるのでございます。それの緊急対策の中におきましても、直ちに実施する、また実施することができるというふうな問題をどんどんやっていかなければなりません。その中で、たとえば教科書等におきましては学年別、種類別のきちんとした要望が出ておりまして、これは日本航空のほうに無賃で輸送をしていただいたと、もう過去分詞が使えると思いますが……。(西風委員「金額にして全体でどのくらいかということです。」と呼ぶ)向こうのほうは、私のほうに緊急としてお出しいただいた要望でございますが、十三万五千何百ドル、邦貨に換算いたしまして四千八百余万円になります。しかしながら、このことにつきましては、これは緊急措置でございますから当然予備金支出でまかなうべきものでございますが、ただいま大蔵当局のほうと現実には折衝を重ねております。しかし、ただいま教科書のようなものはどんどんと右から左に輸送いたしております。
  45. 西風勲

    西風委員 大体政府が出されるのは五千万円というように聞いているのですが、大体間違いないですか。
  46. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま申し上げたとおりでございます。間違いございません。
  47. 西風勲

    西風委員 高等弁務官が弁務官資金として宮古島に出しますのは二十万ドル、七千二百万円というふうにいわれているわけですね。アメリカ高等弁務官が、弁務官資金としてさえ七千二百万円を緊急措置として出しているわけですね。それに対して日本政府が、弁務官資金よりも劣るような金額しか出せないというのは、これは問題だと思いますので、政府としては緊急に、もっと積極的な手だてをする必要があると思うのです。現にあなたは宮古島で、現地で記者会見されまして、次年度は沖繩に対して三百億程度日本援助ということがいま問題になっている、しかし、宮古島に対しては三百億円の援助とは別に特別な措置をしたい、こういうことを発言されておりますね。宮古島で、現地で言われているわけです。これは一体どういう内容のものですか、どの程度の金額を考えておるわけですか。
  48. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまお話しの案件は非常にむずかしいと思いますが、アメリカ側が二十万ドルぽんと出しますのは、これは見舞い金として出したのでございます。プライス法に基づくものは、千七百五十万ドルというものが沖繩援助資金として向こうのほうの院を通過いたしております。ところが、琉球側のほうは、日本に対して緊急で出してくれというのは十三万五千何百ドルかでございまして、これは要望であるわけでございます。アメリカ側が二十万ドル出すから日本もどうしてもそれを上回る八千万円か何か出さなければならぬのだと言われても、向こうのほうからの要望が五千万以下で出ておるわけでございまして、これはちょっと私どもも……(西風委員「出し過ぎたわけですね。」と呼ぶ)出し過ぎたんじゃございません。それは勘定科目が違いまして、日本のほうはこれからまだばく大な日本政府援助資金を出さなければなりませんが、その災害の中でもほんとうに緊急、応急の対策と、それから急ぎはするけれども来年度予算の中に繰り込めます分と、これがあるわけでございまして、いわゆる恒久対策分として申しておりますのは百三十五万ドル見当と相なりまして、全体としては被害総額が七百五十万ドルで、その中で二百四十五万ドル見当を日本に期待する。その中で、一方は十三万五千ドルの分は緊急に要望したい、こういうふうなことになっております。でございますから、アメリカの二十万ドルとうちのほうの分とを直接にお比べになっていただいては困ります。  それから、私のほうも、先方の緊急対策要望につきましては、大蔵省とは、もうぜひともこれは最優先に予備金支出を認めてもらうように、ただいませっかく交渉中でございます。  それから、私の申しましたのは、日本政府援助資金とこの災害のあれとを一緒にして、災害の金を中に入れるというようなことはしない、別途の扱いでということを私が申したのでございます。
  49. 西風勲

    西風委員 次の沖繩への日本政府援助は三百億というようにいわれているのですけれども、三百億援助するつもりですか。
  50. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは沖繩側からもまだ正式な民政府を通じての提案がございません。松岡主席日本に来た際に、三百億程度はと言うて話をされただけでございまして、事務的な軌道に乗った要求書、要望ということにはなっておらないことは、どうぞ御承知おき願いたいと思います。
  51. 西風勲

    西風委員 だから、三百億円というのは琉球政府側の要求であって、別に日本政府がそれに対して約束したわけではない、こういうわけですね。
  52. 田中龍夫

    田中国務大臣 琉球政府側の要望ともなっておりません。これは主席の個人的な感じと申しますか、日本においでになってのお話であります。
  53. 西風勲

    西風委員 日本政府としては、まだ正式な予算折衝その他されておりませんからあれですけれども総務長官としては、大体どの程度来年度は援助される見通しですか。
  54. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは私の立場としては多々ますます弁ずるので、沖繩一体化のためにも、少しでも私は多からんことを願っています。しかしながら、これまた日本の側におきましても、やはり財政当局なり何なりというものは、必ずしも私どもとは同じ考え方を持っておらないでございましょう。そういう点では私はできるだけ多いほうがいい、こういうふうに考えます。
  55. 西風勲

    西風委員 その場合三百億が一定のめどになって、多少上限、下限が出てくるでしょうけれども、三百億を一定の目標にして大蔵省との折衝が行なわれるというように理解していいわけですね。
  56. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは予算と申しましても、ただいまお話しのように、日本政府援助の正式のものもありますれば、あるいはまた災害復旧費というものも、私がさっき申し上げましたように、別個でなければいかぬということを財務当局に申しておる。あるいはまた、一般会計からのものもありますれば、財政投融資のワクからのものもある、そういうふうなことで、一がいに三百億というふうなことは申せないのでございます。ただ、松岡主席日本においでになったときにそう言われたのでありまして、琉球政府側からは、まだ民政府を通じ、その他事務当局を通じて正式な要請はございません。
  57. 西風勲

    西風委員 この際お伺いしておきますけれども、三百億をめどとするかどうかということも含めて、いまたくさんの大臣が沖繩に行かれているわけです。それぞれの大臣がさまざまな公約みたいなことをしているわけです。部分的なものもありますし、全体的なものもありますし、いろいろな公約が行なわれているわけです。財政投融資を幾らするというような内容まで含んだ、さまざまな発言を現地でやっておるわけです。沖繩県民は、これは政府がやってくれるだろうというふうに受け取っているわけです。その場合、現地では選挙向け発言というように言われているわけです。与党が勝ったらやるけれども、もし野党が勝ったらやらないんだといういうようなことが言われているわけです。私どもは、そんなばかなことはあり得ないというように考えるわけです。したがって、いま予算の金額の問題も含めて、大臣が、あるいは自民党関係者がさまざまな公約をしておりますけれども、そういう点は、与党が勝とうが野党が勝とうが、与党のためにやるんじゃないんですから、そういう点で、これはだれが主席になっても、政府がいままで約束したこと、これから約束すること、これをいままでの方針どおりやる、こういうように理解していいわけですな。
  58. 田中龍夫

    田中国務大臣 国政参加も日が近いことでございまするし、さような関係から、閣僚がおのおのおいでになりまして、ちょうど各県にいろいろ所管事項の御説明においでになると同じことであろうと存じます。  また、ただいまのお話のようなことは、これは私ども政府の者の考え方と、皆さま方政党の方のお考えとは、やはりおのおのどうも違うようでございます。その点は、どうぞ、私は行政官等の関係ではございませんことを申し上げておきます。
  59. 西風勲

    西風委員 私、きょう官房長官に出席してもらいたいということを要求したのですけれども、官房長官おいでになりませんから、重ねてあなたにお願いするのですけれども、いま申し上げましたように、だれが勝っても、政府沖繩に対して積極的な施策をするというのは当然で、あたりまえですから、そういう立場を明らかにしてもらいたい。  それから第二には、選挙に大臣あるいは自民党の人々が乗り込む際に、与党が勝ったらやるけれども、野党が勝ったら出さないんだというような卑劣なやり方、正しくないやり方、こういうことはしないというように約束してもらいたいし、そう理解していいですな。
  60. 田中龍夫

    田中国務大臣 私のほうはさようなことを申したこともございませんし、また、そういうふうなことを私がここでもってお約束する立場でもございません。
  61. 西風勲

    西風委員 なぜそれは約束できないのですか。あなたは、それなら、ある人が勝ったらやるけれども、ある人が勝ったらやらないんですか。行政府ってそんなものですか。
  62. 田中龍夫

    田中国務大臣 初めからそういうことは私申しておりませんから、そういうことであります。
  63. 西風勲

    西風委員 いままで、日本本土における選挙でもたびたびそういうことが行なわれておるから、この際、事沖繩の問題に関して、党派の利害に基づいてやるということが行なわれたら新しい悲劇が起こるわけですから、そういう点については、政府としては公明正大に、だれが勝とうとも沖繩の県民の要求には謙虚に耳を傾けて、差別なく、区別なくやるということを明らかにしてもらいたい。なぜ明らかにできないのですか。
  64. 田中龍夫

    田中国務大臣 私どもはさようなことを考えてもおりませんから、お答えもできません。
  65. 西風勲

    西風委員 なぜ答えられないのですか。そういうことをしないと言いなさいよ。
  66. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをする必要もございません。
  67. 西風勲

    西風委員 あなた少し興奮しているんじゃないかと思いますが、時間の制限もありますから、あとの問題に移ります。  あなた方御存知のように、大松発言、根性を売りものにした大松さんが沖繩に行かれて、私よりも若い西銘さんを主席の選挙があったらよろしくというので、沖繩の警察本部長がこれを問題にして、大松さんの帰られる空港で、ひょっとしたら沖繩の警察に来てもらわなければならない、あるいは本土の警視庁を通じて取り調べをやるかもわからぬ、そのときには応じてもらいたい、こういうことを言っておるわけです。それに対して大松さんの答えは、講演はしたがそういうことを言ったかどうかわからない、あとで記者から言われて気がついた。根性を売りものにした人にしてはお粗末な言い方をしていると思うのですけれども、こういう発言があるわです。この大松事件に対して、政府は一体どういうように考えますか、政府が直接どうこうと言うわけではないでしょうけれどもね。
  68. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは政府のお答えの限りではないと思います。というのは、ことに私沖繩担当の者とは申しながら、一切選挙関係とは縁がございませんから、どうぞお手やわらかに願います。
  69. 西風勲

    西風委員 それじゃあなたと関係のあることをやりましょう。沖繩タイムスで、総理府広報室というのが「新時代を迎えた沖繩」というので大きな広告を出しましたね。こういうことをいままでやったことがありますか。
  70. 田中龍夫

    田中国務大臣 その広告の内容をごらんいただきましてもおわかりのとおり、非常にいいことだと私喜んでおるのでございますが、しかし、その本土一体化ということは、私ども総理府としましてはそのために調査団を出し、そのために日夜努力をいたしておるのでございまして、何らそれに対してどうも御批判をいただく、おしかりをいただくようなものではない、私はかく信じております。
  71. 床次徳二

    床次委員長 西風君、約束の時間がありますので……。
  72. 西風勲

    西風委員 この両三年のうちに返すという内容については、時間がないから詰めることができませんけれども政府というものは住民に対立をつくり出したり、誤解されたりするようなことをしないことが必要なんです。いま沖繩で主席公選をめぐって与党野党、保守苗新入り乱れた激しい選挙のまっ最中ですね。選挙のまっ最中にいままで一回もやったことがないことを、国民の税金を使ってやることは、これは明らかに沖繩に対する政府選挙干渉です。そういうふうに受け取るのが当然です。与党が受け取らなくたって野党の側が受け取るのです。争っている一方の側が受け取るのです。争っている一方の側が受け取るのがまた当然なんです、客観的に見て。こういうことをやることは、これは沖繩の団結を政府が先頭に立ってそこなっていることです。こういうことを私どもはしてはならぬと思うのです。少なくともこれから選挙が終わるまでこういうことが行なわれてはならぬと思うのですけれども、まだやりますか。こういうことをやらないことが正しいと思うのですが、どうですか。
  73. 田中龍夫

    田中国務大臣 皆さま方も私どもに対して、一体化の問題を御一緒に大いに超党派で進めていただいておるわけでございまして、私どもはその一体化をますます盛んならしめる。それから、いままでやっておりませんことでも、いいことならばぜひどんどんとやるように、ひとつ今後とも御鞭撻のほどをお願いします。
  74. 西風勲

    西風委員 まああなたは、いつ質問をしてもあまりピントの合うことを言われないので、今回に限ったことじゃないからしかたないですけれども、こういうことはしないほうがいいですよ。こんなことをしたって別に選挙情勢は有利にならぬですよ。むしろ公正に争われるべき選挙政府が干渉しているというので、そうでなくても反権力的になっている沖繩の住民を激励するだけです。ましてや選挙が公正に争われなければならぬときに、こういう形で力を入れるということは正しくないですよ。政府がやることじゃないです。だから、以後こういうことはしないということを約束できませんか。
  75. 田中龍夫

    田中国務大臣 初めからそういう意思がございませんから、御質問が何をおっしゃっておられるかわからないのでございますが、どうぞ御容赦願います。
  76. 西風勲

    西風委員 あなたの顔色を見ていれば、どういう意図でやったかわかっているのです。明らかなんです。あなたは別にそう堂々とした態度で答弁してないじゃないですか。だから、そういう点であなたがそう言われるのは無理ないけれども、こういうことばしないということをこの際強く要望しておきます。  時間が来てたびたびせかれているものですからやめますけれども、こういうことをやらずに、沖繩選挙政府が干渉しない形で、堂々と公明正大に争われる。閣僚が行って利益誘導的な発言をする、あるいは自民党の人々が行って、特定の人々がやれば政府がやるというような発言をすることは、選挙の公明の上からも、あるいは沖繩本土との正しい関係をつくり出していく上でも害毒を流す結果になるわけですから、そういうことをしないように強く要望して、質問を終わりたいと思います。
  77. 床次徳二

    床次委員長 美濃政市君。
  78. 美濃政市

    ○美濃委員 先ほど、この質疑応答を聞いておりましたら、国政参加の問題で、国会がきめるんだ。それから、テレビの報道では、議員立法で提案するという報道があったわけですが、これは議員立法ときめておるのですか。
  79. 田中龍夫

    田中国務大臣 つまり、言いますと、国会議員資格権限事項等でございますので、院がおきめになるものであろうと私は信じておるのでございまして、御提案のものが議員立法であるかどうか、私まだ——こちらに法制局長官も見えられておりますから、御専門のほうで、ひとつお聞きをいただきとうございます。
  80. 美濃政市

    ○美濃委員 これはテレビのニュースで私は見たのですが、議員立法で提案する、こういうふうにテレビのニュースが出ましたが、どこかでそういうことを言ったんじゃないですか。
  81. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは、政府としての正式見解でも何でもございません。国会のことでございますから、私ども政府の者も十分ことばを慎まなければならないわけでありまして、かってに私のほう、政府提案で出すんだということも、まだ法制局その他のほうとも相談をいたしておりませんが、しかし、どういうことに相なりますか、ひとつどうぞ皆さま方のほうで、それこそ超党派でよく御検討いただきたいと思います。
  82. 美濃政市

    ○美濃委員 どうも、ちょっとあいまいなようですが、議会できめるんだということになれば、議員立法ということはあり得る。どうですか。いま長官としてどう考えますか。あなたのお考え政府提案で出すべき性格のものであるか、議員立法で出すべき性格のものであるか、大体どちらを考えておるか。確定した考え方でなくていいのです。結論でなくていいのです。
  83. 田中龍夫

    田中国務大臣 私は、どうも法律学者でございませんので、軽々にこういう重大な問題を申し上げることはできませんが、しかし、これは行政府の行政施策や何かではございませんから、国会の重要議案でございますから、この点は、私は、国会で、これからどういうふうな形式の御提案になるかも、ひとつ十分御審議をいただかなければならぬ重大な問題だと思います。
  84. 美濃政市

    ○美濃委員 議員立法で行なう場合、あなた方がきめた原則どおりに議院の意思がならなくても、これは差しつかえないですか。
  85. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは私は、立法府の重大な権限事項でありまして、私ども行政関係の者のとうてい及びもつかないことでございます。
  86. 美濃政市

    ○美濃委員 それでは、やはりあなた方がきめたと違う意味で国会がきめようとした場合、もう一回聞きますが、それでよろしいかどうかということです。あなた方を拘束するのか。
  87. 田中龍夫

    田中国務大臣 これはたいへんむずかしい問題でございますが、しかし、国際条約と国内法の問題私もかつて法律を学んだものでありますが、先生が言われるには、パクタ・セルバンダ、つまり約束は拘束される、従わなければならない、こういうことでございましょう。国と国との約束、それに対しまする関係——まあ何しろここに、私のような浅学非才な者でなく、法制局長官が隣におるのですから、法制局のほうにひとつ御質問をいただきたいと思います。
  88. 高辻正巳

    ○高辻説明員 総務長官からお話がございました点に実はこれといってつけ加えることはございませんけれども議員立法できまったかどうかという点のお尋ねもございました。法案は、われわれの解釈によりますと、内閣が提出しても一向に差しつかえないものだとは思っております。しかし、中身が事は国会における沖繩代表活動の分野に属することでございますので、これは政府がお出しするよりも、国会において、自己の発意に基づく法案のほうが私はいいのではないかと考えております。というのは、いままでの過去の例から申しましても、おそらくそれが妥当であるとすれば、今回もまたそうなるのが適当ではないかという考えからそう申し上げるわけでございます。  もう一つ、今度の基本的了解政府がいたしたわけでありますが、これについて、これにかわった考えをその立法において打ち出すことはどうかということのようでございますが、基本的了解をごらんになればわかりますように、実はこれにかわり得るものを考えるということは、きわめて基本的なものでございますので、あまり現実、具体的な問題としては、それほど私は実際には出てこないのではないかと思っております。  いずれにしましても、この問題は、米国施政権のもとにある沖繩の面にかかわることでございますので、アメリカ合衆国政府の意向というものを無視してできるものでもございません。かれこれ思い合わせてみますときに、ただいま御質疑のような事態が実際にあり得るということは、私としては考えられないところであろうというふうに思うわけでございます。
  89. 美濃政市

    ○美濃委員 時間の関係で質問はここで切りますが、またあとこの問題はいずれ、きょうで終わるという問題ではございませんから……。  しかし、いずれにいたしましても、国際間の条約その他とは、私は大幅に違うと思うのであります。たとえば少数の、まあ日本本土並みの現在の国会法による定数で、沖繩代表国会へ来てその議決に参加するからといって、その人だけできまるのではないのでありますから、日本国会全体のルールの中できまるのでありますから、施政権に与える影響などというものはほとんどないと思うのです。そういうことで拘束しないように、やはり参加する以上は当然、変わりない、同じ資格をもって——日本人でありますから、これはもう国籍も日本人であるし、戸籍法もしかれておると先ほど言っておるのでありますから、そうすると、異例の施政権があるということで、世界に例もなければ、いままでの歴史に例がない施政権があるのでありますから、そういうものにあまり深くとらわれる必要はないのではないか。ただ、その日米の間の協議がありますから、そういう点をどこまで勘案するかということで問題は出てくると思いますけれども、原則としては、あまりこだわらぬで国政参加をきめるということに努力してもらいたいと思います。  次に、宮古島台風について若干お尋ねいたします。  被害総額が、私の聞いた範囲では、町村長の調べた被害額と琉球政府の調べた被害額、それから本日報告を受けた被害額、これで琉球政府の調べた被害額と大体本日の報告は一致しておりまして、町村長の調べた被害額は九十七億でありますから約二十億食い違うのでありますが、これはどういう原因で食い違っておりますか。
  90. 田中龍夫

    田中国務大臣 なお具体的な詳細は担当局長から申し上げますが、倉皇の間におきまして罹災地の町村長がいろいろ現地を調べましたり、あるいは目の子で算定いたしましたり、それからいろいろな項目のものをすべて届け出る等、こういうようなことは内地におきましても当然いろいろございますが、それをたとえば県の段階におきましても重複を除きましたり、あるいは正規の被害額として計上すべきものと、またそうでないものとをふるい分けましたり、そういうようなほんとうの現地の実務上の整理をいたしたのだろうと存じます。  なお、詳細のことは担当局長から御説明申し上げます。
  91. 美濃政市

    ○美濃委員 いいです、時間がないですから。  次に、前回の四十二年度を災害のときには総合計十五億二百六十四万の援助が行なわれたわけですが、今回のこの被害に対する総援助はどのように考えるか。
  92. 田中龍夫

    田中国務大臣 これはただいま、先ほど来申し上げるように財務当局のほうと折衝をいたしつつございます。そこで、緊急として要望されておりまする十三万五千ドルばかりのものにつきましても、先ほど申しましたような、すでに教科書のようなものは送ってしまっております。  また、前回台風と今回の台風との間に非常に違ったことは、前回は種イモがなくて非常に困るというので、北海道からバレイショの種イモの供給を特に急ぎましたけれども、今回はそういう要望が一切ございませんでした。そういうふうに銘柄的にもだいぶ違っておりますが、ただいま大蔵当局と折衝しておる最中でございます。
  93. 美濃政市

    ○美濃委員 前回援助資金のうち、一般住宅建設資金だと思うのですが、こういう資金でつくった家がまた今回の台風でかなり破損したということを聞いておるのですが、その状況はどうであるか。  それからもう一つ、ちょっとその前に、日本から資金を出す場合に、そういう異常な台風地帯であるということを忘れて何か日本流の、この本土の建築基準で金を出すということで建築した、そういうことで、今回の台風でまた二年前に建てた住宅の大半が破損したという。どういうことで、どういう原因でそういうことになったのか。
  94. 田中龍夫

    田中国務大臣 まず、日本本土内におきまする罹災地の緊急住宅でありますが、これはプレハブ建築でございます。ところが、琉球のような場合、沖繩のような場合プレハブではだめでございまして、沖繩のほうの別途な規格の緊急住宅をつくっております。なお、その中におきましても、非常に烈風の多いところでありまして、土台からチェーンをぐるっと回しまして、屋根にチェーンを渡してあります分は倒壊いたしておりませんが、そのチェーンのなかった分が倒壊をいたしております。こういうことから、チェーンというものの非常な有効性を今度のあれで非常に高く評価しております。  それから、前回つくったものが今回倒れた、こういうことになりますとこれは非常に問題なんでありますが、緊急災害住宅、仮設住宅というのは耐久年限が二年になっております。ところが、罹災された方々はむしろ非常に低所得層の方が多いというので、耐久年限二年だから、理屈からいえばそれが二年目の台風でこわれてもやむを得ないじゃないか、こういうふうな話がありますが、そうは言っておれない、やはり今度つくった緊急住宅でありますが、その後において、いわゆる低所得関係の公営住宅の融資を受けて自前で建築をなさるとかなんとかいうことが実際問題としてできにくい、いわゆる保護世帯といったようなものが多いとするならば、何とか住宅の規格についてももっと耐久性のあるものでなければいけないのではないか、つまり緊急住宅ではありますけれども、低所得層の公営住宅のようなものを緊急住宅として出していかなければいけないのではないか、そうでないと、はたしてそういうふうな低所得層の方々が、後に永久住宅というものに切りかえられる可能性がどうだろうか、これは現地当局とこちらから参りました今回の私ども調査団といたしましては、真剣にこの問題を実は討議いたしたのでございます。これはまだまだ結論が出ておりません。御質問のように、内地規格を向こうに押しつけるといったようなことは、これはいたしておりません。が、同時に、いまの沖繩の特殊性というものと、さらに緊急住宅と低所得住宅、この関係をもう少し考え直していかなければならぬのじゃないかというのが、現時点における私ども考え方でございます。
  95. 美濃政市

    ○美濃委員 台風は来年来ないという約束はないわけでありますから、二年といっても三年といっても、ことし以上の台風が来ないという約束はないわけでありますから、どうかひとつ、せっかくやる以上は向こうと打ち合わして、十分向こうの状況に対応するものを、せっかく金をかけるのでありますから、つくるようにせいぜい努力をしてもらいたいと思います。  それから、沖繩の主産でありますサトウキビがかなりいたんでおるのでありますが、この表を見ましても甘蔗が二十五億五千百九十万四千円、これを二十二万トンの産糖高で割りますと、キロ当たり十一円六十銭ということになります。ことしの沖繩糖の買い入れを、ある程度これは高く買ってやらないとかわいそうだと思うのです、ああいう限界生産をやっておるのでありますから。これらのことについて長官としてどういう手を打っておるか、もう砂糖買い入れの価格もきめなければならぬ時期でございますから……。
  96. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは共済制度も適用されておりません甘蔗生産業者、お百姓さん等につきまして、ただいま先生のおっしゃったような処置で救済してやる以外には方法がないのではないかということで、せっかくその問題を農林当局のほうと折衝中でございます。
  97. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、潜水艦でかなり港が汚染して、いろいろな問題が出ておるようでありますが、この状況はどういうようにお考えでございますか。
  98. 山野幸吉

    山野説明員 那覇港の潜水艦のいわゆる海水汚濁の問題でございますが、この汚濁の問題につきましては、琉球政府米国民政府あるいは軍のほうと御相談になって、現在汚濁の状況については米琉で合同調査をされ、そしてその結果もそのつど発表になっておるようでございますが、その発表によりますと、ごく微量のもので、人体には全く影響がないということでございます。それに関連しまして、ごく最近、いわゆる潜水夫がどうも放射能の被害を受けたのじゃないかというような訴えが軍労側からありまして、これにつきましては米琉で相談されまして、この陸軍病院のほうに収容して健康診断をされたようであります。その結果をつい二、三日前に聞きましたが、その結果によりますと、この検査の結果は、そういう放射能の症状ではないということが発表されたように私は聞いております。
  99. 美濃政市

    ○美濃委員 その三名の潜水夫の問題ですが、これはやはり向こうの従事しておる労働組合その他がその診断の結果の信憑性について納得できなくて、本土で一回精密検診をしてもらいたいという希望があるんですが、それに対してはどう考えますか。
  100. 山野幸吉

    山野説明員 私ども承知しております限りにおきましては、一応そういう放射能の被害ではないということで、しかし、また同じような作業につけることについては十分配慮したいというような回答がありまして、軍労のほうではそれを了承されたというぐあいに聞いておるわけでございます。
  101. 美濃政市

    ○美濃委員 以上で終わります。
  102. 床次徳二

    床次委員長 永末英一君。
  103. 永末英一

    ○永末委員 十月九日に日米協議委員会国政参加沖繩県民に関するものが一応の合意を見たというのですが、われわれは、沖繩県民国政参加というのは、日本国民として沖繩県民に対し不当に制限せられておる権利を回復する、これが問題だと思うのです。ところが、この発表せられたものを見ますと、「一体化関係施策を含む日本本土沖繩施策沖繩住民の民意を反映させるため」というぐあいに、きわめて目的を制限した形で国政参加を認めたい、こういうような趣旨のようでございますが、一体その制限されている権利を回復する一つの手段として考えられておるのは何か。いまのような、いま政府がとっておる施策にのみ限ってものをいわそう、こういう態度なのか。それをひとつお答え願いたい。
  104. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおりに、国政参加という直大な問題を今回からを破って第一発の日米協議委員会が行なわれたのでございまして、これからどの程度のことをいたすか、十分に協議もし、また国内的にも準備してまいらなくちゃならぬ、かように考えております。
  105. 永末英一

    ○永末委員 総務長官、あなたの御答弁を聞きますと、まず第一段でここまで来た、したがって、私が申し上げておるのは、何もいまあなた方が考えているような一体化施策のためにのみ沖繩県民代表意見を聞きたいというのではなくて、日本国民としての権利の主張点、主張をやはり国会の場でやるべし、こういうことで国政参加が行なわれるべきだとわれわれは考える。だといたしますと、二の十月九日の日米協議委員会合意というのは、次に将来、もう一ぺんこれをあらためていま私が申し上げたような形の国政参加を認める、そういう交渉の用意があるということですか、お答え願いたい。
  106. 山野幸吉

    山野説明員 お答え申し上げます。  これは永末先生御承知のとおり、沖繩米側施政権がございまして、わが国の憲法適用になっていない、そういう状態のもとで、沖繩住民日本国政参加したいという要望をどのような形で受け入れるか、そこに両者の調和の問題があるわけでございます。したがいまして、私どもは、呪符点におきましては、要は、その沖繩住民国政参加要望の中の核心的な問題は、当面する日本政府の策定する沖繩問題が何といっても中心であろうと思うわけでございます。したがいまして、祖国復帰に備えての一体化施策を含む日本本土沖繩施策に住民の要望を反映さすという形の国政参加というぐあいに私ども考えておるわけでございます。
  107. 永末英一

    ○永末委員 特連局長は私の友人ですけれども、あなたに答弁を求めたわけではないので、佐藤政府としては国政参加の問題をどうつかんでいるかということを聞きたいから、大臣からお答え願いたい。  国政参加というのは、私が申し上げましたように、不当に二十三年も権利制限をされている沖繩の県民が日本国政参加する問題であって、何も沖繩の問題だけについて陳情したいために国政参加を求めている問題ではないと私は思うが、いま特連局長は後段のところだけを答えられた。それが佐藤政府方針か、お答え願いたい。
  108. 田中龍夫

    田中国務大臣 施政権がまだ完全にこちらに返ってきてないという事実と、同時にまた、憲法適用されていないというこの事実関係を踏まえまして、最大限のところは、今回の両国の間の合意書に表現されたようなことだろうと存じます。
  109. 永末英一

    ○永末委員 私が答弁を求めている線に沿ってお答え願いたいのですが、一体総務長官は、沖繩県民国政参加というのは占領、平和条約下の地位——いろいろ地位は変わりましたけれども沖繩県民日本国民として日本国政参加をしたいという要望にこたえて日米間の協議をされたのか、それとも、沖繩だけの問題についてのことについて日本国会意見を申し述べさせるための国政参加考えられたのか、どっちかということをお答え願いたい。
  110. 田中龍夫

    田中国務大臣 気持ちの上では全く永末先生のおっしゃる前段のものでございます。お互い日本国民同士といたしまして、私どもは一日も早く沖繩県が復帰いたしますことを待望してやみません。と同時に、また行政事務といたしましては、ただいま特連局長からお話ししたような次第でございます。
  111. 永末英一

    ○永末委員 前段のほうでやってくたさい。  そこで、この沖繩県から出てくる代表というものは、選挙で選ばれた沖繩代表ということばを使ってございます。アメリカ側選挙で選ばれたなんということを合意をしてくるというのは、選挙というのは何を考えておられるのですか、お答え願いたい。
  112. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは日本本土との一体化が実現いたしました暁におきましてもそのまま適用できるような、つまり日本におきまする公職選挙法のごとき姿において選出された議員であり、また、数も相当県の衆参両院議員が選ばれてまいりますそれと近似したものでありたい、こう私ども考えておるのでございます。別にアポイントされた者が選挙がなくて出てくるといったようなことは考えておらない、できるだけひとつ日本衆参両院議員選挙、同時にまた相当県の定数に近いもの、これをひとつぜひということで要望いたしております。
  113. 永末英一

    ○永末委員 わが本土において国民選挙をする、その代表として国会議員が選ばれるというのは、国民が主権者であって、その主権の行使をやっているわけです。いま総務長官は、沖繩においても沖繩県民の投票による代表者が日本国会参加をしてくるということだと申された。だといたしますと、いままで沖繩の地位については日本国の残存主権があるといわれてまいりました。しかし、この限りにおいては、その残存主権の残存部分が顕在化してくる、つまり沖繩県民日本国民としての主権行使、その部分をアメリカ側も認めた、こういう結果になったと了解してよろしいか、お答え願いたい。
  114. 田中龍夫

    田中国務大臣 非常に紙一重のところで違いがあると思いますが、気持ちは永末さんと同じだと思います。これは先ほどのお答えのとおりであります。その後のものは本土との一体化の施策、今後将来のことを考えましても、やはり日本法制と同じものであることが一番ベターでございます。しかしながら、いまの日本国民であるから——まあ問題はやはり憲法が実施されているかされていないかということに大きな論点の差が出てくるんじゃないかと思いますけれども、しかし、憲法が実施されていない現時点におきまして、国民代表としての完全参加がやはりできない実態にあろうかと存じますが、そういうふうなむずかしい法理論のほうは、ひとつ法制局長官のあれを聞いていただきとうございます。
  115. 永末英一

    ○永末委員 法理論を踏まえて総務長官、やってください。  法制局長官に伺いたいのですが、従来まで沖繩は、日本国憲法が潜在的には実施されなくてはならない地域であるが、現実的には実施が阻害されておる、こういう説明政府から国会でされてきたと思うのであります。そこでこの問題は、一票を投票する沖繩県民とっては、おれのこの一票は何だということを考え、なぜ投票する権利があるのか、それは一体その一番のもとはアメリカが認めたからあるのか、それとも、そもそも潜在主権というものをアメリカも認めており、そして日本国憲法が施行せらるべき地域であるけれども、いろいろな事情によってそれが現実には実施されていない。それがこの限りにおいて、自分が主権行為の一部として投票権を実施し得るに至ったんだ、こういうことでなければその一票を行使する意味合いがないですね。これはいままでの立法院選挙とか、あるいは主席選挙とか、市町村長や村会議員の選挙とは違うわけであります。これは本土との関連を持つ、すなわち憲法と関連を持つ行為だと思う。あなたは法制的にこれをどういうぐあいに解釈されますか。沖繩県民が投票する場合のその投票権の漂源はどこにあるか、お答え願いたい。
  116. 高辻正巳

    ○高辻説明員 基本的な点に関連する問題でございますが、私ども、先般ありました会合に基づく了解を見ましたときに、沖繩施政権が一応返還されたとかいうようなことではなくて、やはり沖繩の住民の基本的地位というものは、平和条約の規定するところに従って、やはり沖繩住民施政権のもとに立っておるというこの基本的地位の関係は、いささかも変わっていないのではないかと思います。  そこで、ただいま御質疑の点でございますけれども、確かに、選挙された沖繩のいわゆる代表は、わが国内におきまして——国内と言うのは語弊がございますが、本土、すなわち米国施政権のもとにある沖繩の地域を除いた地域における日本国内法令上の権限を行使する、こういうことになるわけであります、その権限が何であるか、これはいろいろ問題がございますけれども、いずれにいたしましても、日本国内法上与えられた権能を実はわが本土において行使するということになるわけでありまして、そのもとはいささかも向こうの法令に基づく権能を行使するわけではないのであります。そこで、結局向こうでやりますのは確かに仰せのとおりに選挙でございますが、その選挙はいわば手続でございますが、その選挙は、いま申し上げたような基本的了解の線に沿って、あちらの了解のもとに向こうの法令によってやられることでありまして、法令が制定された場合には、たとえば選挙権を持つとか、その意味の選挙権でございますが、そういう選挙権を持つということになりますが、それはあくまでも向こうの法令で与えられた、日本の法令でなしに、日本の主権の作用としての根拠に基づくものではなしに、向こうのやはり施政権の作用として与えられるものであることに間違いはないと思っております。大体そういうことから御推察願えると思いますが、一応それだけ申し上げます。
  117. 永末英一

    ○永末委員 法制局長官、その選挙に基づいて国会代表が出てくる。その代表はどういう地位になるかは、まだ法律がございませんからわかりませんが、出てきた代表は、わが国の日本国憲法国会法、衆議院規則、参議院規則その他その他のこの本土で妥当しておる法律、法令等によって縛られるわけですね。逆に言えば、それによる権利を取得することになりますね。そうですね。
  118. 高辻正巳

    ○高辻説明員 そのように了解していただいていいのであろうと思います。
  119. 永末英一

    ○永末委員 本土国会議員の場合にはともに自分の出てくる淵源が国民主権でございますから、国民にあり、その国民主権の主権作用としてつくった法律の体系の頂点に日本国憲法があり、そこで自律性が保たれている。そこで、沖繩から出てくる代表は、あなたのいまの御説明によると、日本国憲法、つまり憲法日本国がつくっている法律体系とは違った基礎から出てくるかのごとき御説明があった。こちらへ来ますと、こちら側の体系でぴしゃっと律せられる。その出てくる淵源は違う。それでつじつまが合いますか。
  120. 高辻正巳

    ○高辻説明員 何か具体的に御指摘があれば、それについて考えさせていただきたいと思いますが、率直に申し上げて、先ほど申し上げた点でいいのではないかと思います。つまり選挙された沖繩のいわゆる代表がわが本土においていかなる活動をするか。それこそ今後つくられる法令に基づいてその権能を行使することになるわけでございますが、それがなければ沖繩における選挙というのはないであろうということは、これは必然的な関連で出てまいると思います。ことばをかえて言えば、そういう基礎があるからこそ向こうで選挙という手続が始まるということは、そのとおりだと思います。しかし、その選挙を向こうでいたしますのは、そういう結果的効果を発生するという了解のもとに実はなされることでありまして、そういうような手続に乗せる根源の権力と申しますか、そういうものは沖繩施政権の作用として出てくる。これがやはり沖繩の現実の法律的地位にさかのぼることになるわけでございますが、私は現在の平和条約の地位から考えますと、それで別した矛盾と申しますか、そういうものはないと思って差しつかえないと考えております。
  121. 永末英一

    ○永末委員 あなたがいま最終段に言われたところ、つまり沖繩に対してアメリカが持っている施政権の作用として沖繩代表はこっち側へ出てくる、こう言われたのであります。それは作用は作用には違いないけれども、いわゆる一〇〇%の施政権が行なわれている状態ではなくて、これは日本の主権行使との関連を持つわけでありますから、その限りにおいては、今まで二十年アメリカが持ってまいった施政権がその部分だけへこんだ、そういう解釈ができますか。
  122. 高辻正巳

    ○高辻説明員 一時御指摘のようなへこんだというような言い方による表現がございましたが、これはへこんだというのは、もうきわめて比喩的な言い方でございますから、それが間違っているとまでは申し上げることもないと思いますけれども、要は、向こうの施政権に基づく、これはいろいろな法の形式がございますから、直接にそこから向こうの施政権自体の法令でありますか、あるいはそこに淵源する法令の形式によりますか、それは別といたしまして、いずれにしても、施政権に基づく法令の定めるところによって選挙をされるという限りにおきまして、やはりそれは施政権の円満なる作用に基づく手続であるというふうに考えるわけでございます。したがって、その限度で申しておるわけでございますが、施政権が別にへこんだという観念をわざわざ持ち込まなくてもいいような気がいたしますけれども先ほど申し上げましたように比喩の問題でございますので、あるいは先生の言われるような言い方もあるのかもしれない。しかし、それについて確信は持っておりません。
  123. 永末英一

    ○永末委員 一つ例を申し上げますと、おそらく沖繩代表議員というのは歳費を受けると思うのですね。歳費を受けないことはあり得ないと思う。その歳費の淵源は憲法四十九条にちゃんと書いてある。それをもとにして本土国会議員は歳費を受けておる。そうしますと、これは沖繩から出てくる代表について——いままで簡単な法令でもこれくらいある。これを全部が全部特別法をつくるということはあり得ないと思うのですね。そうしますと、やはり沖繩から出てくる代表はストレートに、直接に憲法によって律せられ、そして憲法に基づく諸法令によって律せられる、こういう形に私はならざるを得ぬと思いますね。その沖繩代表についてとことんまでアメリカ施政権が及んでいると日本国会で一体考えられるのだろうかどうか、日本法律体系の中でわれわれがあちらをへこまさなければあっちがこっちへ突っ込んでくるんだから。だから、私は日本国の独立というのは、日本法律体系がぴちっと自律性があり、一〇〇%自己完結をしていることだと思います。だといたしますと、沖繩代表国会へ出てくるということば、われわれの日本国側の自主的判断に基づき、日本国の法令で一〇〇%統一性が保たれるような形でなくては、これは独立国と言えないと思う。ところが、先ほど言われたように、あちら側の施政権の作用だけで突っ込んでくるのではなくて、われわれのいままで及び得なかった一つ法律、法域がそこへ向けて広がっていったと考えなければ、われわれのほうがやられますね。もう一回お伺いいたします。
  124. 高辻正巳

    ○高辻説明員 問題は、永末先生がいまおっしゃったように考える以外に道がないということだと思いますが、歳費の問題を例に取り上げられましたけれども、歳費は憲法上は国会議員に与える。国会議員というのは、全国を代表する選挙された議員ということに憲法上相なっております。それに憲法上歳費を与えられることになるわけでございます。なるほどおっしゃいますように、いろいろな法律上の取り扱いといいますか、国内法上どういうふうに取り扱っていくか、その点についてはたいへんめんどうではないかというようなお話もございましたが、私は、それは立法技術の問題であって、やはり考え方の基本をどうとるかということに相なるものだと思います。したがって、もしも沖繩住民代表というものが国会議員であるということであれば、おっしゃるように、現在の国内法令をそのまま適用して差しつかえないと思いますが、私ども考えでは、皆さんのような国会議員と同じものであるというふうには、なかなかそこまで考え切れませんので、やはりそれには歳費を与えるにせよ、何か特別の地位、待遇を与えるにはそれ相当の国内法上の特別な措置、これはやっかいかどうかということは抜きにいたしまして、必ずしも私はやっかいでないと思いますが、そういう道を講ずるのが、われわれの考え方からいいますと、きわめてすなおに出てくるものであるということを申し上げたいと思います。
  125. 永末英一

    ○永末委員 西ドイツの場合とちょっと対比して考えたいのですが、西ドイツの場合、西ベルリンは、ドイツ憲法の中で、ドイツ連邦の領土として規定せられておる。しかしながら、そこから代表を出す件については、西ベルリンの三カ国の占領国の覚え書きによって制限をしておる。しかし、出てきた西ベルリン出身の国会議員は、ほとんどその他の地域から出てくる国会議員と変わらない権利、義務を持っておる。したがって、その中の者は現に大臣にもなっておるし、あるいは議長になった人もある。そこで、いま沖繩代表についていろいろ議論をしておりますが、一体沖繩代表について、日本本土国会議員と平等の資格を認め得ない原因をひとつ言ってください。あなたが認め得ないと言うなら、何が一体それを阻害しているか。
  126. 高辻正巳

    ○高辻説明員 それは、先ほども永末先生御自身のおことばにあったと思いますが、主権の問題、そういうことに結局は帰着すると思います。基本的にはやはり憲法の前文の中に出ておりますように、国政の権威が由来する国民であるか、あるいは国政の福利を享受する国民であるか、いわゆる民主的な政治組織の基本原理である、代表するものと代表されるものとの統一性というような観点から考えます場合に、はなはだ遺憾なことでありますけれども、平和条約上の沖繩の地位というものを認めないのならこれは別でありますが、認める以上は、何としても現に沖繩の人たちが服しておりますのはまさにアメリカ施政権であって、日本の統治権であるとは言えない。そういう状況から考えまして、基本的な相違を認めざるを得ない。それがなくなりますのは、申すまでもなく施政権が返還されたときでありますが、これはむろん申すに及ばないことでありますけれども、それとそうでない状態と、これを全く現時点において同一に考えるということは、われわれから見ますと、どうしても法律上無理があるというふうに考えざるを得ないのであります。
  127. 永末英一

    ○永末委員 外務省から来ておられますが、いま法制局長官のおことばでは、平和条約三条が阻害している原因だ、こう言われた。そこで、日米協議委員会なるものは、これは一種の外交覚え書き、両国政府の協定みたいなものですね。協定というと外交文書上ある資格があって、協定でないと言われればそうかもしれない。どうでもよろしいが、とにかく両国政府を縛るものだ。そこで、平和条約三条というものは、日本アメリカ国だけの関係ではない。相手方はたくさんあります。しかし、あの平和条約三条が原因だとすれば、それを国政参加という点で、何らかの点で突きくずす方法はないか。わが民社党は、アメリカ政府との関係をその面について突きくずすなら可能だと考える。外務省はどう考えますか。その部分だけアメリカ政府をして認めしめる——施政権返還というのは全部ですよ。沖繩沖繩県になって、一切の日本国法令がここに妥当しなければならぬ。これが日本国憲法を頂点にした施政権返還。いま国政参加というのは、まさしく、あちらから代表がこちらに来て、日本国憲法に基づく国会議員としての資格を持つかどうかという非常に局限された問題その程度のことを一体わが国の外務省はアメリカ国の政府に向けてとってくるということはできないかどうか、お答えを願いたい。
  128. 佐藤正二

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  今回の沖繩協議委員会の発表文は、これは先ほど先生もちょっとお触れになりましたように、私はこれは国際合意というふうには考えておりません。協議委員会の中での、協議委員会自体の発表文でございまして、これは言ってみれば、日米両政府の政策上の意見の一致というような種類のものだろうと思います。それで、事実アメリカ側ないしは琉球政府及び日本政府、それぞれで国内的な手当てをするということを両方で意見を言った、こういう文書だと存じております。  そのあとの問題でございますが、三条にいっております施政権を一部——一部と申しますが、施政権の中のある部分をこちらに渡す、これは観念的には両政府間に合意があればできないことはない問題だと思います。ただ、本件のごとき、何と申しますか施政権の相当根源に触れるような問題になりますと、その点は施政権、いわゆる三条で申します立法権というようなものに直接ぶつかる問題でございますから、アメリカ側としても、いわゆる施政権を持っているといういわば根本的なところにぶつかるものでございますから、その点はなかなかむずかしい問題だと思いますが、一般論という意味でできないかといわれれば、合意があればこれはできないことはございません。
  129. 永末英一

    ○永末委員 いろいろ言われたけれども、最後の一言はよかった。合意があればやってできないことはない、やるかやらないかは佐藤政府の問題だとわれわれは思う。それをやらなければならぬと思うのです。総務長官、そういう問題ですね。  そこで、衆議院の法制局から来ておられると思いますが、先ほど議員立法か政府立法か、法制局長官はどちらでもできると言われました。そこで、法制局長官にはあとから聞きますが、衆議院の法制局として、いよいよ沖繩代表国会で受けるといった場合に、一体この沖繩代表国政参加の限度がこの覚え書きでくくられているということは、これは政府がやったことだ、こんなことは国会は知っちゃいない。国会がいよいよ沖繩代表を受けるにあたって、こんなものに縛られてこれだけでものを考えるとすると、政府が立法府に対してある制限を加えたことになる。こんなものに私はくくられる必要はないと思うけれども法律的に衆議院と、立法府との関係において衆議院法制局はどう考えるか、お答え願いたい。
  130. 鮫島真男

    ○鮫島法制局参事 お答え申し上げます。  これは法制局の立場から申しますと、私ども議員さんの補佐としまして立案の奉仕をいたしておるわけでございまして、実体的な事柄を私どもでどうきめるということでございませんので、結局は議員さんのほうで事柄をきめていただきまして、それに基づきまして法律的に可能な範囲内において立案せざるを得ない、こういう立場におるものですから……。
  131. 永末英一

    ○永末委員 もう時間がございませんから、法制局長官、先ほど外務省はアメリカ国が同意をすれば法律的にはできる、わが法制局もそうお考えですか、それをひとつ承っておきたい。
  132. 高辻正巳

    ○高辻説明員 施政権の全部返還ないしは一部返還という問題が従前からございまして、その一部返還が可能であるかどうかという場合に、われわれが考えますにつきましては、ある一定の事項の分野の行政といいますか、広い意味の行政ですね。国政事項の一部について施政権を返還してもらう、その国政の事項の一部については立法権も司法権も行政権もわが方が持つというようなことであれば、むろん合意次第によってはできることになると思います。むろん事の困難性は別として……。ところで、そのまたさらにだんだん区切ってまいりまして、さっき御指摘になった問題が実際何であったか、よく私つかめ切れておりませんけれども、たとえば単なる選挙の手続だけではなく、立法、司法、行政の部面にわたる選挙ということであれば、これは考えようによって考えられなくはないと思いますけれども、その中のまた一部ということになりますと、これはそう簡単に——ことばはよろしゅうございますが、実際にそういうことが可能かどうか、これは法制局長官、そんなこと言わなくていいとおっしゃるかもしれませんけれども法制局でもむろん言うまでもなく、現実の事態との対比においてものごとを考えなければなりませんので、きわめて大ざっぱに一部返還というようなものが不可能ではないという意味においては、私はそれで賛成してもいいと思いますけれども、何かごく一部の現象を限ってのことになりますと、私自身としてはどうも明確なお答えがいたしかねます。
  133. 永末英一

    ○永末委員 重要なことですから、これだけ詰めさしてください。外交交渉で平和条約にもし制限があるとするならば、沖繩代表について、日本国憲法下における国会議員と同等のものとして日本の法令上処置をするについて、外交交渉が成立するまでできるということが外務省見解だと思うわけだ。ところが世間には、日本国憲法があるからそれはできないのだ。つまり法律上の解釈としていわれている向きがあるわけですね。  そこで私があなたに伺いたいのは、外交交渉は成立する、ただし、まだ沖繩施政権は全面的に返ってきませんよ。ただ沖繩で、いま総務長官が申しましたように、選挙が行なわれて代表たり得るものがある。それを国会で処置をする場合について、われわれ国会議員と同等の取り扱いをぴしゃっと法制上もやっていく外交交渉が成立した場合、それはわが国の憲法上問題はありませんなということをお聞きしたい。そこだけお答え願いたい。
  134. 高辻正巳

    ○高辻説明員 沖繩のいわゆる代表本土において国会議員と同じ地位、権限を持つ、つまり全国民代表する選挙された議員になるということにつきましては、これはむしろアメリカ合衆国との合意の問題というよりも、実はわが国内法の問題であろうと私は思っております。したがってそういう意味で、これは先ほどもお答えを申し上げたと思いますが、ともかくも平和条約をごらんになるとわかりますが、住民と領域に対して向こうが施政権を持ち、通常の場合にはいわゆる統治権といわれておりますが、それと本質的にあまり変わりのないことでございますが、そういうものを向こうが持っている。そういう施政権のもとに属している者が全国民代表された議員になり得るかどうか、それこそが基本の問題であると考えております。したがって、合意があればどうかということだけでこの問題が片づくもので決してないということだけ申し上げさせていただきます。
  135. 永末英一

    ○永末委員 これで終わりますが、だから私最初申したように、日本国憲法というのは、沖繩があんなことになるということを予定してつくったものでないわけだ。その沖繩がなぜああいうふうになったかというと、戦争に負けたからであって、そして占領、それから平和条約という怪しげな形で押えつけたままになっている、その終期はしかとわからぬ、そういう状態ですね。そこで国政参加の問題があがってきた。われわれとしては、日本国民の一人としての沖繩県民権利がはっきり国会に反映できるようにしたい。だといたしますと、日本国憲法は全国民代表だとはっきり国会議員を定義づけております。おりますから、われわれの法域がこの国会議員の身分、権限、地位に関する限りにおいて沖繩へ突っ込んだのだろう、こういうことが日米関係で合意を得れば、それは日本国憲法を理由にして同等の権限を認められないというのではなくて、私は認められるではないかと思う。これはいままでの法律にない状態が起こってくるわけだから、やはり想像力を働かしてもらってやっていただかなくてはならぬ。研究の余地があるかどうか、お答えを願いたい。
  136. 高辻正巳

    ○高辻説明員 永末先生のおっしゃっていることはよくわかります。よくわかりますが、どうも軽々しく研究の余地があるというふうには、御注文どおりには実はまいらないと思います。これははなはだ遺憾なことでありますけれども、先生のおっしゃる基本は、国会議員と同じ地位、権限を持つ、そのことについて向こうの施政権がへこむというようなことで認められるじゃないかというお話のように私伺ったと思いますが、そういうことではなくて、もっと基本的な、要するに国会議員としての活動がどうか、向こうによって許されるかどうかというようなことではなくて、ことばはあるいは悪いかもしれませんが、言うならば施政権をわが方が掌握するような状態になるかならないか、それが基本的な問題だ。要するに、沖繩住民アメリカ合衆国の施政のもとに立っておるということがありますと、しこうして、わが統治権のもとには立っておらないということがありますと、全国民代表する選挙された議員という基本的な地位に立つことができないのではないか、それを解決する道は、申すまでもなく施政権を返還させること、そのことであろう。したがって、もしもそこまでお考えになりますならば、これはよけいなことでありますけれども施政権の返還についてやはりわれわれはもっとそこに徹して事の処理をはかるのが当然ではないか、ややよけいなことを申し上げて申しわけありませんが、基本的にはそういうふうに考えておるわけであります。
  137. 永末英一

    ○永末委員 あと一つ要望しておきますが、法制局長官、いま施政権がない。施政権が返還されれば当然沖繩から国会議員は出てくるわけだ。いまここで沖繩代表国政参加ということを問題にしておるのは、いわばその中間的なものがあり得るかどうか、その形はどうかということがいま問題になっているわけです。  そこで、いま日米間の合意でできたものは、われわれの側から見ますと、政府がいま進めておる一体化だけの問題に限っておる、こんなべらぼうなことはない。いま政府考えておるそのような代表と、それから一〇〇%の国会議員との間のところ、これをひとつ法制局としては——あなたのいまの答弁だと、全面的施政権返還がなければ考えられないかのように私は承ったのですが、そうではなく、もう一つその中間的なもの、沖繩の地位というのは全世界にまれなる地位でございますから、やはりそれを積極的に解きほぐすのは日本国の法律家の張本人であるあなただ。あなた考えてください、要望しておきます。
  138. 床次徳二

    床次委員長 この際、関連発言を許可いたします。帆足計君。  時間の関係がありますので、簡潔に願います。
  139. 帆足計

    ○帆足委員 貴重な時間を拝借いたしまして、同僚の時間が迫っておりますから一言だけ。  まず、長官が御健康を御回復になって御同慶の至りです。  また、きょう事務局の連絡で千島問題ということで申し込みがおくれまして、委員長に御迷惑をおかけいたしました。  時間がありませんからほんの数分。私どもは、沖繩代表国政参加をとにもかくにも歓迎する立場でありますけれども、その内容につきましていま重大な論議に入りまして、論議はまさに頂点に達したところでございます。時間がありませんから、まだあと数回この問題について御審議を願うことと思いますし、また法制局長官と条約局長の御答弁との間にも、聞くほうからいえば多少そごがあるように思いますし、軽々しく検討はできないとおっしゃいますが、軽々しくではなくて、重々しくもっと研究の余地があろうと思うのでございますが、私は、時間がないからお尋ねしたいのは、潜在主権ということに問題があるのでありまして、潜在主権ということばは国際用語としてあるか、歴史上使われたことがあるか、現在の国際公法上そういうことがあるのか、一言だけ伺っておきたいと思います。
  140. 佐藤正二

    ○佐藤説明員 現在国際公法上そのような用語があるかとおっしゃいますけれども、先生も御承知のとおり、国際公法と申しますものは成文があるわけではありませんで、そういう意味ではちょっとお答えしにくいのでございますが、ああいう観念が出てまいりましたのは、サンフランシスコ平和条約ができましたときが最初でございましたか、そういうふうなことで、そのときからできた観念でございます。したがって、従来の国際法上そういう用語があったかと言われれば、なかったということでございます。
  141. 帆足計

    ○帆足委員 時間がありませんから、このことについては次回に究明いたします。  憲法は国際法並びに法律に優先するものであるかどうか、これも一言答弁を得ておきたいと思います。
  142. 高辻正巳

    ○高辻説明員 憲法は国際法や法律に優先するものであるかという御質問だと思いますが、これはたびたびいろいろな機会に申し上げておると思いますけれども日本国憲法以外の法令に対して憲法が優先すること、これは最高法規でございますから言うまでもないことでございますが、国際法規となりますと、どうも一がいに申し上げられない。と申しますのは、国際基本法といいますか国際慣習法といいますか、つまり世界社会を律する基本的な法則がございます。これはむろんそういうことも前提のもとに立って各国家が存在するわけでございますから、そういうものについては憲法も国際法もどちらが優先するというようなことはない、相いれ合っているということが言えるであろうと思います。しかし、特定の一国と他の一国との条約は、たとえば国際法上の原則をうたったようなものでないいろいろな条約がございますが、この条約につきましてはむろん憲法のほうが優先するという考えでございます。ただし、学説には条約のほうが優先するというのもございますけれども政府は従来から憲法優先のほうをとっております。
  143. 帆足計

    ○帆足委員 時間がありませんから、あと二問だけです。  ただいまのこともきわめて重要なことですから、私は次回に申し上げたいと思います。  最後に、現在世上伝えられております案で沖繩代表国会参加いたしますと、その名称は国会議員という名前になるのでしょうか、その他の概念になるのでありましょうか。あと一問だけですから。
  144. 山野幸吉

    山野説明員 いま、こういう名称という名称はきまっておりませんので、何しろ国会の組織に関連した問題でございますから、国会が中心になられて今後御決定になる問題だと考えております。
  145. 帆足計

    ○帆足委員 問題はこれほど深刻でございますから、私どもは、もっと真剣に沖繩同胞のためにも日本のためにも検討したいと思います。  最後に、きょうお見せいたしましたこの琉球タイムスの政府のPRですが、選挙戦まさにたけなわなるときに、かくのごときことをなさったことは、君子は瓜田にくつを入れず、李下に冠を正さずといいますが、こういうことを選挙戦が始まってからもなさるおつもりか。私は、総務長官に深甚なる御考慮をお願いしたいと思います。すでに検事局の一部においては、これが沖繩においても問題になっておるといわれております。そこで、今後選挙戦中にたびたびこういうことをなさる意向があられるかどうか。それから西ドイツ方式並びに沖繩における主席公職選挙法についての資料を、少なくとも私並びに議員にひとつすみやかにお配りを願いたい。  以上でございます。そして、こういうことは、ただいまの意味において繰り返されることをひとつおやめ願いたいと思います。
  146. 田中龍夫

    田中国務大臣 友人とせられましての御注意、ありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
  147. 床次徳二

    床次委員長 伊藤惣助丸君。
  148. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 沖繩施政権の全面返還は、沖繩住民はもとより、日本国民の悲願であることは申すまでもないことでありますけれども、この施政権の返還に至る自治権の拡大については、幾つかの道があるわけであります。  その一つは、いわゆる現在行なわれようとしております主席公選の問題であります。  さらに考えられますことは、高等弁務官の拒否権を撤廃し、立法院の立法権限を拡大する現在の琉球政府の立法権というのはあっても、立法に対して米国側の布令、布告、これが優先しております、この高等弁務官の行政上の拒否権があるために、権限が非常に縮小されておる、こういう問題がございます。  さらに、行政調整範囲の縮小ということも大きな問題であります。これは基地関係以外の行政調整制度を撤廃しなければその縮小ができない。そして現在琉球政府は、立法、勧告の場合も法案可決後も、米民政府琉球政府に対する行政調整を協議する上の形式、協議の形式で行なっておりますけれども、この制度が非常に問題になっておるわけであります。その制度を撤廃するという問題があります。  さらに、公務外事件の裁判権、捜査権の問題等があります。これは米国の軍人あるいは軍属、その家族等において、公務外事件に対する一切の裁判権、捜査権は、一応琉球政府に現在はありません。そこで、その裁判はいつも軍法会議にかけられ、または米民裁判所で行なわれております。また、損害補償などについても一方的であります。  さらに、民事、刑事事件についても、米国の安全、利益に重大な影響を及ぼすことを認めた場合には、高等弁務官の移送命令で米民政府裁判所に移送できるような現在の仕組みになっております。したがってこれらの裁判の捜査権を琉球政府に移管する、こういう問題があるわけであります。そして国政参加、このような自治権の拡大には五つの問題点があると思いますが、その点について伺いたいと思います。
  149. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまお話しのように、われわれが一体化を推進いたす過程におきまして、御指摘に相なりました諸問題につきましても重大な関心を寄せております。
  150. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私たちは、一日も早く、この自治権拡大のために、いま申し上げました五項目の早期実現を願っているわけでありますが、長官としては、次にこの五項目の中において、どの点をいつ取り上げる考えがあるか、その点を伺いたいと思うのです。
  151. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは日米琉諮問委員会等の新しい機構もできたことでございます。米国施政権下におきまする民意暢達といいますか、民主政治の確立の上から申しましても、当然自治権の拡大に伴う重大な制約につきましては大きな障害になります。それにつきまして、私ども沖繩調査報告にもそれを記載し、あるいはまた、そのほかの政治交渉におきましてもこれを主張いたし、問題は、日米琉諮問委員会の場を通じましてその調整、修正を要望いたしております。
  152. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ちょっとわからないのですが、私は具体的に申し上げたわけです。いま言いました項目の中で、やはりどういうことを取りきめをしても、高等弁務官権限が非常に大きいので、いつの場合も、拒否権があるために、たとえ取りきめてもその布令、布告のいわゆる権限を縮小しなければ、国政参加されたあとでも問題が残るわけです。そういう点。  さらに、裁判権、捜査権の問題については、この国政参加の問題か終わったあとにこの点からやろう、その次、裁判権の問題またはいま言った布令、布告については、大統領行政命令についてはこうしていこう、こういうプログラムを聞きたいというわけです。
  153. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは国政参加の問題が終わったあとじゃございませんで、今日までもいたしましたし、また今後も、国政参加の問題なり主席公選の問題とは並行をして進めてまいらなくてはならぬ、かように考えておりますが、ただいまお話しのあるいは裁判制度の問題でありますとか、布令、布告の問題でございますとか、なおそういう点でより詳細な点につきましては、特連局長から答弁をさせます。
  154. 山野幸吉

    山野説明員 ただいま長官からお答えがございましたように、沖繩琉球政府の自治権拡大は、政府といたしまして最も重要な問題として取り組んでまいっておりまして、確かに御指摘のような国政参加合意ができた。この次まだ残った問題は相当あるじゃないかという御指摘でございますが、いまこれをどれを先に取り上げるかという問題といいますか、むしろどれもきわめて重要な問題でございます。したがいまして、今後私どもは、外交交渉その他を通じまして、自治権拡大には十分御意見も拝聴しつつ努力いたしてまいりたいと考えております。
  155. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 もちろん、同時にやっていただくのが一番いいわけであります。ただ、現在のように一つ一つやってきましたから、その次どれをやるのだ、さらにこれは問題ではないかと言いたいわけですが、その点も要望として申し上げておきます。もちろん、施政権の全面返還を即時にしていただきたい。これはわが党の主張でもありますし、それは国民の悲願でもあります。したがって、一日もその早期返還の実現に向かって努力していただきたい、これは要望しておきます。  次に、この国政参加の問題についていろんな面から考えることができるわけでありますが、先ほど同僚委員から幾つかの質問がございましたので、その点は割愛いたしますが、特に国政参加についていろんな返還の態様というものが考えられるわけです。たとえば基地つき、基地の自由使用という返還方式、さらに本土並み基地の返還ですか、その方式、さらに基地撤去、核基地撤去、もちろん、基地も全面返還の返還方式、核抜き、基地抜き全面返還ですね。それから、これはいまありませんけれども分離返還方式。返還の態様というのは、過去から現在までに大体その四つぐらいあったかと思うのです。  国民として一番考えることは、いわゆる国政参加という問題がたとえば返還に至るスタートを切ったとしても、目標はどこなのかということが、国民としては一番関心のあるところです。そのことについては、総理は、まだ世論の動向を見るとか、国際情勢の変化だとかいうことから沖繩の返還方式については白紙だ、このように言われておったわけです。しかしながら、具体的にはいろんな政府側一体化施策報告であるとか、さらに今回の公選の問題とか、国政参加の問題とかいう面から、白紙とは言いながらもそういう具体的な問題が出てきているわけです。  そこで、特に私が問題に思うことは、あなたが沖繩に行って一体化施策政府に対する報告をやったわけですね。あの中を見てみますと、一番大事な基地の問題について何も触れてないというか、問題にされてないわけです。したがって、どうしたのだろうか、基地の問題が与野党で大きな問題になっているのに、一行も触れてないということについて、国民報告書について大きな疑問を抱いたわけです。出さなかった理由と、また、いろいろ勘ぐればきまってなかったからと思いますけれども、そのときの特連局長のしなかった理由をこの際伺っておきたいと思うわけです。
  156. 山野幸吉

    山野説明員 私ども一体化調査団は、沖繩の民生、福祉、経済等の問題を中心にしまして、本土復帰に備えての格差是正等の立場から調査報告書を出したわけでございます。施政権返還の際にあるべき基地の形態等は、むしろ外務省が中心になられまして目下検討を加えておられると思うのでありまして、この基地の形態問題は、もっと高度の政治問題としてわが国の沖繩返還に備えての非常に基本的な大問題でございますから、今度の私ども一体化調査団という、主として内政を中心とした調査団の調査項目には入れなかったわけであります。
  157. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そういう理由がたぶんあったんだろうと思うのですけれども、私はやはりそういうところに、もっと高度というよりも事務レベルで調査報告をすべきでなかったかというふうに考えております。したがって、今後機会があればその面についての報告も詳細にすべきである、このように私は要望しておきます。  さらに、国政参加についてでありますが、表決権についてですけれども、この点について、あるとかないとか盛んに言われております。法制局長官に伺いたいのですけれども、その法的根拠ですね、これを明快にひとつ教えていただきたいと思うのです。
  158. 高辻正巳

    ○高辻説明員 御指名でございますので、私から申し上げますが、いろんな説明のしかたがございまして、たとえば、日本国憲法は現実に沖繩に施行されておらない。公職選挙法もまた施行されてない。したがって、そこから国会議員と同じ議員を出すわけにいかない。とすれば、その代表議員国会議員と同じ権限を行使するわけにいかない。したがって表決権は持てないというような、いわば形式的な説明もございます。しかし、もっと基本的には——どもは、基本的な問題としては憲法の四十三条にあります「両議院は、全国民代表する選挙された議員でこれを組織する。」これを誤ればむろん憲法違反になるわけでございますので、両議院の構成が、「全国民代表する選挙された議員でこれを組織する。」その「全国民代表する選挙された議員」というものになり得るのだろうかどうだろうか。それはむろん施政権が返還された暁には問題がございませんが、現時点においてそういうことが言えるのだろうかという問題になるわけでございます。それは、ものごとの本質からいえば、やはり国政に関して主権を持つといいますか、日本国政の淵源するところが国民に根ざしておる。その国民というのは、遺憾ながら現時点においては沖繩を除いた日本国の国民といわざるを得ない。これは平和条約三条のせいでございますけれどもども、そういう状況で、やはり代表する者と代表される者との等質性というものが、沖繩の現住民には、少なくとも現在の地位のもとでは言い切れないのではないかという考え方が基本でございます。これも憲法違反だと私は断じ切ったことばございませんけれども憲法上きわめて重大な疑義があることだけは確かでございますので、そういう根拠は何かといえば、基本的にはいま申したようなことであります。説明が十分じゃないかもしれませんが、大体お察しいただけるかと思います。
  159. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がないからまた続けますけれども、条約局長さんがいらっしゃっておりますので伺いますが、日米協議委員会での基本的な合意に達した、こう言われておりますけれども、その中で、現在折衝中の段階のところもあるようですけれども、私たち、沖繩国政参加について本土並みでいくべきである、こう主張しているわけですが、先ほどの答弁によりますと、政策的にあるいは政治的にといいますか、合意に達すればあるいは可能かもしれないというふうに聞いたわけですが、この合意に達する中において、外務省としては本土並みを主張したのかどうか。ちょっとその合意に達した点について伺いたいわけです。アメリカが言ったことに対して、また日本が言ったことに対して、またどの点で話し合いがついたのかということ、内容の点なんですけれども、非常に聞きたいわけなんです。その点、伺いたいと思います。
  160. 大河原良雄

    ○大河原説明員 交渉の中身についての御質問でございますが、実は七月七日に第十四回日米協議委員会が開かれまして、そこで外務大臣並びに田中総務長官から米側に対しまして、国政参加に関しまする現地沖繩の住民のきわめて強い熱望を伝えまして、米側において極力この願望に沿い得るような措置をとってほしいという要望をいたしまして、その後日米間でいろいろ折衝が行なわれました結果、去る九日の十五回日米協議委員会の会合におきまして、新聞に発表されましたように、沖繩代表権限につきましては、沖繩米国施政権下にあるという事実のもとで、日本国内法上認め得る最大限のものとするということにつきまして米側は異存がない、こういう回答をいたしたわけでございます。
  161. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がないのですけれども、要するに私たちは、やはり国民の声を外務省が代表して交渉するということは当然だと思うのですが、特に言いたいことは、いままでの長い外交姿勢の中に、どうしても、すべてアメリカの言うなりになってきた、向米一辺倒である、こういう点がしばしば問題になったわけです。今回の場合も、私たちは、国民からすれば本土並みを強く主張してもらってはどうかということですね。もちろん相手がいろいろな意味で強力ですから、なかなかそうはいかなかったかもわかりませんけれども、そういうような対米姿勢が、返還を早めるかおくらすかという基本的な問題になってくるのではないか、このように私は思うわけです。今後その折衝については、どうか国民の声を大きく反映するために、そういう強力な外交姿勢をとっていただきたい。このことを要望しておきます。  さらに、最後に法制局長官に伺っておきますが……
  162. 床次徳二

    床次委員長 もう時間ですから、ひとつ……。
  163. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 一問だけです。  一つは、国政参加については選挙区制をどうするかという問題があります。いろいろな報告によりますと、沖繩にまかせるというようなことをいっております。したがって、現在の小選挙区制でいくのかあるいは全県一区でいくのかというような問題になります。  さらに、その沖繩代表議員の任期は、やはり本土並みなのかどうかという問題です。  さらにまた、沖繩代表議員選挙で政党の自由が確保されるかどうかということ。  それから、沖繩代表議員に対する免責特権についての——これはそっちに聞くわけですけれども、大体その三点について長官の法的解釈を伺って、終わりたいと思います。
  164. 高辻正巳

    ○高辻説明員 せっかくのお尋ねでございますが、ただいま仰せになりましたことは、先ほど来お話をしておりますように、沖繩におけるアメリカ施政権に基づく権能の作用としてできるわけでございますので、私どものほうがつくるのと違って、そういう状況でございますので、責任を持ってお答えするわけにはまいりません。ただ、過日の日米協議委員会の会合で了解に達したものの中には、こういうことがございます。たとえば「日本側は、また、沖繩代表資格、選出方法及び法的地位を定める琉球政府法律の規定が、本土国会議員に関する日本本土法律の規定にそったものとなることを期待する旨表明した。」そして「米側は、日本側の上記発言に異議なき旨述べた。」というようなことがありますので、私はやはり、その文言から、日本国の法律の規定に沿ったものになるということだけは申し上げられますけれども、それ以上は申し上げられません。
  165. 床次徳二

    床次委員長 おはかりいたします。  議員松本善明君から、衆議院規則第四十六条に基づき委員外の発言を求められておりますので、この際これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認めます。よって、松本善明君の発言を許可するにいたしますが、総務長官の退席の時間が迫っておりますので、総務長官にまずお願いをいたしまして、総務長官がすぐ退席できるようにお願いしたいと思います。あとはほかの政府委員にお願いしたいと思います。
  167. 松本善明

    ○松本(善)議員 沖繩の返還の問題が問題になってきまして、私たちの党にいたしましても、国政参加の問題あるいは災害問題等でいろいろ事情を視察したりしなければならないことがたくさんあるわけです。いままで、この四十二年の六月以来八回にわたってわが党の国会議員の渡航申請が拒否されまして、四十二年十二月二十二日の参議院の沖繩問題に関する特別委員会で佐藤総理大臣はわが党の春日正一議員の質問に答えまして、「参議院議員の方が渡航される、公用でお出かけになる、それがいまだに行かれない、これについて私たちも善処すべき問題だと、かように思っております。」こういうふうに言われ、総務長官も、その後の参議院の特別委員会で、こういうことはまことに望ましくないことだという趣旨の答弁をしておられます。政府といたしまして、このことについてどのような措置、善処をされてこられたのかということ、それから、アメリカ側はどういう理由で拒否をしておるのかということ、それからもう一つお聞きしたいのは、私の党では、今度は野坂議長を団長にいたしまして、岩間参議院議員、それから林衆議院議員、それに私と一緒に、近く行なわれます沖繩立法院選挙、主席選挙、これに対する支援のために渡航申請をしております。これを政府は支持されるのかどうか。この三点について総務長官の御意見をお聞きしたいと思います。
  168. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内の渡航の件に関しましては、私ども監理渡航課におきましていつも御協力を申し上げ、またアメリカ側との交渉と申しますか、ぜひ渡航許可の出ますように要望なり連絡調整をいたしておりますことは、御存じのとおりでございます。今回の渡航につきましても、同様に、われわれといたしましては米側のほうと連絡もいたし、また御協力を申しております。
  169. 松本善明

    ○松本(善)議員 いまの質問について、残っている政府委員でわかる範囲で答えてもらいたいと思います。
  170. 山野幸吉

    山野説明員 沖繩本土の渡航問題につきましては、総理府といたしましても、渡航事務の簡素化、迅速化のために常時米側と接触いたしておりまして、その結果、ここ二、三年来相当程度——これは具体的に申し上げてもよろしいと思いますが、渡航事務は簡素化され、迅速化されてきたことは事実でございます。しかしながら、何と申しましても私どものほうといたしましては、現実に渡航される方たちにかわりまして、私のほうでまとめまして窓口になりまして米側のほうへそれを伝えておるわけでございまして、この渡航については迅速にやってくれ、この渡航についてはどうかと思うとか、そういう意思は一切米側には伝えておりません。全部ひとつ早急に渡航許可を与えてもらいたいということで折衝しております。しかし、何ぶんにも渡航の可否をきめる権限民政府にあるものでございますから、その中で若干の人たちが、いま先生御指摘のように、渡航ができないという現実も事実でございます。そうしてまた、その内容、理由等につきましては、米側としては一切返答してくれません。したがいまして、私ども理由は承知することができないわけでございます。
  171. 松本善明

    ○松本(善)議員 先ほど言いましたように、総理大臣が善処するということを言われ、そうして総務長官もその趣旨に沿う御答弁をされたわけです。それに従って政府としては、何をしたのか、そのことを具体的に答えてもらいたい。
  172. 山野幸吉

    山野説明員 私どものほうとしましては、指示のあった点については率直に米側に伝えております。
  173. 松本善明

    ○松本(善)議員 いつ、どのようなことをだれに伝えたかということを答弁いただきたいと思います。
  174. 山野幸吉

    山野説明員 私どもの基本的な態度をひとつ御了承いただきたいと思うわけでございまして、個々の事案につきまして、何月何日だれと会って、どういうことを言い、どういう文書を出した、そういうことにつきましては、いまここで公表することはできませんし、またその準備もいたしておりません。全体といたしまして、総理府としては沖繩渡航が敏速、迅速に行なわれるように要望していることは事実でございます。
  175. 松本善明

    ○松本(善)議員 それでは、やったのかどうかということだけ、まず聞きたいと思います。準備をしてないということですけれども、いま記憶にある範囲で、いつごろ、だれが大体どんなことをやったのかということも一切答弁できないのか、その点をお聞きしたいと思います。
  176. 山野幸吉

    山野説明員 米側とは、御案内のように個々にトラベルユニットがございまして、私どもはこことは常時電話連絡をいたしておりますし、また相互に行き来しておりますし、また、二カ月か三カ月おきに渡航会議もやっておりまして、そのつど必要な連絡事項は連絡しておるのでございます。そういうことでひとつ御了承いただきたいと思います。
  177. 松本善明

    ○松本(善)議員 それでは、いつ、どういうことをやったかということを後の機会に明らかにしてもらえますか。
  178. 山野幸吉

    山野説明員 これは非常に微妙な問題と申しますか、日米の渡航問題についてのいろいろ折衝の内容でございまして、それを資料その他で明らかにすることは、私、現在のところ適当ではないと考えております。
  179. 松本善明

    ○松本(善)議員 総理大臣が国会で善処をするということの内容をどういうふうにやったのかは、当然明らかにしなければならぬはずです。それを、総理大臣がそういうふうに言い、総務長官がそれに沿った発言をしておるにかかわらず、あなたがそれを明らかにすることができないと言われるのは、根拠はどういうことですか。
  180. 山野幸吉

    山野説明員 相手のあることでございますから、当方だけの問題ではございません。当方米側との関係の問題でございますので、政府部内におきましてはそれぞれ措置をとっておりますが、それを部外に詳細明らかにするということについては問題があろうかと思うわけでございます。
  181. 松本善明

    ○松本(善)議員 国会に対して明らかにすることについて、いけないというようなことが何かあるのですか。
  182. 山野幸吉

    山野説明員 渡航許可の問題につきましては、いろいろな角度から、米側としてはどういうお考えに基づいて拒否されるかということは、私はつまびらかにしませんが、しかし、そういう向こうの意見に関連したいろいろな問題でございます。したがいまして、日本政府がいついつどういう手続をとった、どう言ったということを、相手の了承もなく一方的に公開するわけにはいかないと思います。
  183. 松本善明

    ○松本(善)議員 アメリカ大使館に、沖繩渡航拒否の問題でわが党の春日議員が抗議に行ったときに、政府から何か言ってきておるかということをただしたところが、アメリカ大使館の一等書記官は、外務省あたりから一度言われたことがあるようだという、そういう話なんです。実際にはやってないのじゃないですか。私が言っておるのは、アメリカ側が何を言っておるかというようなことじゃないのです。政府が何をしたのかということを聞いておるのです。それが言えないということは、とうてい理解ができないことです。実際はやってないのと違いますか。アメリカ側は、記憶にも残らぬような形で外務省から一度言われたことがあるような気がする、そういう話なんですよ。ほんとうにやっておるのかどうか。共産党の国会議員が渡航拒否をされたという問題について、やったのかどうか、その点だけはっきりしてもらいたい。
  184. 山野幸吉

    山野説明員 大使館のどなたがどうおっしゃったかは別といたしまして、私はいままで御答弁申し上げたとおりのことをやっております。
  185. 松本善明

    ○松本(善)議員 それではあなたに聞いておきたいのですが、総務長官がおられると都合がいいんだけれども、こういう考え総務長官国会で明らかにされたことがあります。昭和四十三年四月十九日の参議院の沖繩の特別委員会で、岡田宗司議員が、井岡大治議員の渡航許可がおくれたために井岡議員が渡航できなかった問題について質問されたとき、田中総務長官は、いやしくも国会議員がそういうふうな扱いを受けたということに対しまして、われわれとしては主張すべきことは堂々と主張していく、いやしくも国会議員の渡航に対して何だということを申せますし、先方も、施政権のもとにおいてだれを入れ、だれを入れないということは当然の権利だということが先方も主張できることでございますけれども、これは外交上の問題として扱わなければならないと思います、そうして国会議員の渡航拒否というのはそれはけしからぬ、こういう態度をとっておるわけです。あなた自身はどういう考えですか。共産党の国会議員の渡航が拒否されているということについてどういう考えですか。
  186. 山野幸吉

    山野説明員 私どもといたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、本土沖繩とのあらゆる渡航が自由になることが理想でございまして、したがいまして、それに向かってできるだけ渡航制限が緩和されることを最も望んでおるものの一人であります。したがまして、もちろん国会議員の方々が沖繩へ行かれるということが、円滑にすぐ許可してもらえることが最も望ましいのでありますが、遺憾ながら米側の意思によって渡航が許可されない人がおるということを申し上げたいのでございます。
  187. 松本善明

    ○松本(善)議員 今度の一番最近では、災害の視察に河田賢治参議院議員が行きたいという、これも災害の視察ですら入れない。今度は、先ほど申しましたように、野坂議長をはじめとする国会議員四人が行くのは、近く告示になります選挙の支援に行くわけです。これは、御存じのように自由民主党も、各党がみな支援に行っておる。共産党の国会議員が行かれないという状態で行なわれる選挙は、きわめて公正を欠くことになる。選挙として公正を欠く選挙になるのではないかと思うわけです。あなたとすれば、この私たちの渡航申請についてどういう態度をとられるかということをお聞きしたいと思います。
  188. 山野幸吉

    山野説明員 私、先ほどもお答え申し上げましたように、他の党の議員さん方と区別した取り扱い方は、私どものほうといたしましては何らいたしません。
  189. 松本善明

    ○松本(善)議員 いままでの経過で断わられておるので、これについて特に何かされる考えはありませんか。アメリカ側と折衝する考えはありませんか。
  190. 山野幸吉

    山野説明員 私どもとしましては、先ほど来申し上げますように、ぜひこの許可をおろしてくれ、これは許可しないでほしいとか、そういうことは一切言ったことはございません。とにかく全体についてひとつ渡航の許可を早期におろしてもらいたい、こういうことを言っておるわけでございます。したがいまして、目下のところまだ米側の意思もわかりません。どうするということは考えておりません。
  191. 松本善明

    ○松本(善)議員 いま差別をしてないと言われるが、実際には断わられているのは、国会議員だけで言うならば共産党の国会議員です。それならば、どのような国会議員も、またもっと、先ほど来あなたの言うように、国会議員でなくても、全体がだれでも行かれるようにしなければならない義務があるはずです。当面でも国会議員が行かれないという事態が起こっておるわけです。現実の事態が起こっておるわけです。それについて一般的な態度をあなたは表現されるだけなのか、それとも、目八体的にそういうあなた方の考え政府考えとは違った事態が起こっておるのだから、何らかの措置をする考えがあるのかどうかということを具体的にお聞きしておるのです。その点についていかがでしょうか。
  192. 山野幸吉

    山野説明員 私どものほうとしましては、先ほど来申し上げますように、窓口として、各個々にやっていただくのを私のほうでまとめて向こうのほうへ連絡申し上げておるということでございます。したがいまして、国会議員さんの場合を除きますと全体として九万件、十万件ある渡航件数でございますから、個々の問題についてこれはどうだとかああだとか言うことは、私どものほうとしては一切しない。ただ、どれも同じように、ひとつ早期に迅速に許可してもらいたいということをお願いしているだけでございます。
  193. 松本善明

    ○松本(善)議員 総理大臣が善処をするということを約束されたのですから、断わられた理由くらいを聞いてくるというのは当然のことではないかと思いますけどれも、それについてはどうですか。
  194. 山野幸吉

    山野説明員 いままでの例にかんがみましてお答えいたしますが、米側のほうからは、理由は申しかねるということでございます。
  195. 松本善明

    ○松本(善)議員 外国人の入国について、それを拒否する場合に理由を言わないということはあり得ることです。あり得ることですけれども沖繩の場合には違う。アメリカへ私たちが行きたいといって断わられているのとは違うわけです。政府のほうでは、沖繩も外国並みに理由を言わないということでそのまま引き下がっておるけれども、外国並みに扱われておるというふうにしか考えられないわけです。この沖繩の返還をほんとうに望むという立場で折衝しているようにはとても思えないけれども、この点についてはどうですか。もしほんとうに沖繩日本に返すという立場であるならば、ほかの党は入れるけれども、なぜ共産党は入れないのかということについて聞くのがしかるべきだと思う。その点についての意見を聞きたいと思います。
  196. 山野幸吉

    山野説明員 私どもは、いま御指摘ございましたように、決して沖繩を外国とは考えておりません。しかし、米側施政権がございまして、その施政権の行使の態様として出入国の権限を向こうで持っておる関係上、そういう個々の渡航の不許可の問題が出るわけでございます。この不許可の理由につきまして尋ねても向こうとしては言えない、示されないということでございますので、私どもとしてはそれ以上のことはできない、かように考えております。
  197. 松本善明

    ○松本(善)議員 たいへん不満でありますが、機会を改めて総務長官にお聞きしたいと思いますので、この程度で質問を終わりたいと思います。
  198. 床次徳二

    床次委員長 本日は、この程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時七分散会