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1968-03-28 第58回国会 参議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十八日(木曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      柳田桃太郎君     内田 芳郎君      北條 雋八君     宮崎 正義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         西郷吉之助君     理 事                 北畠 教真君                 剱木 亨弘君                 近藤英一郎君                 玉置 和郎君                 内藤誉三郎君                 加瀬  完君                 鶴園 哲夫君                 小平 芳平君     委 員                 内田 芳郎君                 大谷 贇雄君                 大森 久司君                 岡本  悟君                 小林  章君                 小山邦太郎君                 斎藤  昇君                 櫻井 志郎君                 白井  勇君                 杉原 荒太君                 任田 新治君                 船田  譲君                 増原 恵吉君                 山本茂一郎君                 吉武 恵市君                 岡田 宗司君                 木村禧八郎君                 瀬谷 英行君                 田中寿美子君                 千葉千代世君                 戸田 菊雄君                 羽生 三七君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 森中 守義君                 二宮 文造君                 宮崎 正義君                 矢追 秀彦君                 片山 武夫君                 市川 房枝君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  赤間 文三君        外 務 大 臣  三木 武夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        厚 生 大 臣  園田  直君        農 林 大 臣  西村 直己君        通商産業大臣   椎名悦三郎君        運 輸 大 臣  中曽根康弘君        郵 政 大 臣  小林 武治君        労 働 大 臣  小川 平二君        建 設 大 臣  保利  茂君        自 治 大 臣  赤澤 正道君        国 務 大 臣  木村 武雄君        国 務 大 臣  木村 俊夫君        国 務 大 臣  田中 龍夫君        国 務 大 臣  鍋島 直紹君        国 務 大 臣  増田甲子七君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣法制局第一        部長       真田 秀夫君        経済企画庁調整        局長       赤澤 璋一君        経済企画庁国民        生活局長     八塚 陽介君        経済企画庁総合        計画局長     鹿野 義夫君        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省主計局長  村上孝太郎君        大蔵省理財局長  鳩山威一郎君        大蔵省証券局長  広瀬 駿二君        大蔵省銀行局長  澄田  智君        国税庁長官    泉 美之松君        農林政務次官   日高 広為君        農林大臣官房長  檜垣徳太郎君        食糧庁長官    大口 駿一君        中小企業庁長官  乙竹 虔三君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省自動車局        長        鈴木 珊吉君        建設省計画局長  川島  博君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君         ─────        会計検査院長   山崎  高君    事務局側        常任委員会専門        員        水谷 国一君    説明員        会計検査院事務        総局第四局長   鈴木 治久君        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本国有鉄道理        事        井上 邦之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ただいまより予算委員会を開会いたします。  昭和四十三年度一般会計予算昭和四十三年度特別会計予算昭和四十三年度政府関係機関予算。  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続いて総括質疑を行ないます。二宮文造君。
  3. 二宮文造

    二宮文造君 まず総理にお伺いをしたいと思います。  当面、日通の問題があれほどの事件内容を持って世間注目をされております。事件の推移は別としまして、この取り上げ方というのは、結局は日通王国と、あるいはその独占事業弊害と、そういうことでマスコミなんかも非常に注目をしておる。私ども考えますのに、あれは一つのうみであって、中にやっぱりそうさせるものがある、こういうふうな見方もされているわけです。で、特に私ども考えるのは、許可あるいは認可事務について問題が非常に多いということで許認可という、認可料金などというものは一方では業者保護する、しかし、それがまた半面は独占という形を形づくってくる、こういう弊害を伴って今日までまいりました。行管のほうでも行政改革の問題で許可認可事務ということについては非常に注目をしておるようですが、それにからんで綱紀粛正といいますか、行政の姿勢を正すといいますか、総理の御見解を伺います。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 二宮君にお答えいたします。  まあ、私自身は別に日通を弁護するとかいう意味ではございませんが、古い日通というものを知っているわけです。これは、いわゆる古い日通というのは、何か。鉄道にある小運送業務、それを旧鉄道省時代に民間に投入する、資力信用がない、こういうことではたいへんだ、小運送機関資力信用がなければいかぬ。そこで小運送の統合という問題があり、そうして強化され、そして日本通運株式会社法、その法律に基づく日本通運というものが実は頭にあるのであります。しかし、もう戦後になりまして、これがすっかり変わりまして、いわゆる集中排除法案、その結果、一般商法による日通に変わったのであります。どうも日通見方が、昔の特権が与えられ、特別な保護のもとに、特別な責任を負わした、その時分とはいま変わってきている、一般商法のもとで行なわれておる。この日通は、かように私自身の頭を整理しないと、最近の日通は理解しかねるのであります。しかし、一般の方もこの日通がいま問題になると、非常な強力な力を持っておりますから、昔の時代のような日本通運会社法、それによって設立された特別会社のように考えておるのじゃないかと思いますが、いまはもうそういうものじゃありません。そこで、さらに話が進んできて、二宮君はそういう誤解をしていらっしゃらないようだが、いま許認可料金、その他の問題が非常にある。これは自由自在に料金を決定するわけにはいかない。やっぱり小運送業の持つ公共性から見まして、その料金手数料等が適正でなければならない。また特別に荷主保護の観点に立ってやはり保険を課す等々のことが考えられる。しかし、まあ理屈を言えば保険任意保険、こういうことでございますから、私はそういう意味で現在の運輸省並び国鉄日通との間に間違いのないように特に気をつけておる、かように考えております。しかし、世間的に見ますと、日通は非常な、全国一律に、また特別な荷物についてはそれを請負っている、こういうようなことで特別な保護も与え、特権を与えているんじゃないか、そういう誤解がありますから、いろいろ疑惑も持たれると、かように思いますけれども、そういうものじゃないということ、本来の姿はもっと筋の通ったものだということを申し上げたいのであります。  そこで、お尋ねになりましたのは綱紀粛正の問題であります。私は決算委員会にまいりましても、しばしばこのことを聞かれますし、今回のこの予算審議を通じましても、一般綱紀粛正はもちろんのこと、特に防衛庁関係等につきまして綱紀の弛緩を、ゆるみを指摘されまして、そして政府は一体どう考えているのか、こういうお尋ねでございます。私は毎度申し上げておりますように、公務員個々の者が国民全体に奉仕するというその使命感に徹することがまず第一に必要なことだと思います。同時にまた、いろいろ綱紀粛正のために具体的な措置はとっておりますけれども、基本的な考え方に、そこにゆるみがあるのじゃないだろうか、かように思ってたいへん責任の重大さを感じておるわけであります。私が、申すまでもなく公務員の最高の責任者である、そういう立場にございますので、綱紀粛正につきましては国民から信頼を受けるように、不信を買うようなことのないように、この上とも努力してまいるつもりであります。個々の具体的な措置については一々申し上げませんけれども、私はただいま他の委員会において説明したり、あるいは本会議において答えたそれと同じ考え方で、この問題と取り組むつもりでございます。
  5. 二宮文造

    二宮文造君 日通に対する考え方をすっきりしてもらいたいという総理のお答えのようでしたが、以下、問題点をあげてまいりますので、総理もひとつお聞きいただきたい。  運輸大臣に伺いますが、最近、運輸省に関連して非常に事件が多い。冷房料金の問題にしましても、あるいはLPガスの問題にしましても、あるいは今回の日通の問題にしましても、非常に多いのですが、特に現在の日通事件発生した状態で、通運事業というものにどういうような新しい運営の方式を考えられていくか、まず総括的に運輸大臣の御意見を伺いたい。
  6. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日通事件は非常に遺憾な事件でございまして、司法当局の処断を待ってから総合的な特別監査を行なうつもりございます。日通は、戦争前、戦争中、国策的な要求に基づいて、中小企業業者を整理統合してできた一元的な国策会社であったのでございます。昭和二十四年に集中排除法の適用を受けて、こういう線から離脱いたしましたが、事実上、全国的支配を行なう大きな企業になっておりました。そういう経緯でできたのでございますから、商法上の一私企業になったとはいえ、あるいは国家的な、あるいは道義的な責任を感じて、普通の一般私企業とは違う考え方で運営されてしかるべきものであると思っております。しかるに、今回、いろいろ誤解を受けるような事件が起きましたということは、そういう使命感に徹しないところがあったと思います。運輸省としましては、従来、そういう総合的な大企業に成長しましたものを、総合的に監査するということをやっておりませんでした。倉庫業法であるとか、自動車運送事業法であるとか、あるいは通運業法であるとか、そういう事業法の系統に従って部分的に見ておっただけであります。そういう結果、日通は約七十一に及ぶ会社を傘下に入れるような大企業に成長いたしまして、あるいは本質的な業務を逸脱しているのではないかと誤解を受けるようなところまで手を出しているきらいなきにしもあらずであります。そういう情勢をよく見まして、特別監査にあたりましては、総合的に会社全体を見て、よけいなところに手を出しているかいないか、資本関係役員人事関係においてそういう適切な処理が行なわれているかどうか、あるいは食管関係食糧輸送その他について妥当であるかどうか、あるいは国鉄との契約その他において競争原理を多少導入することは適当であるかどうか、そういう総合的な部面から監査を行ないまして、その結果によって処置しようと考えております。なお、この事件を契機に、一般のその他の通運業者、あるいは倉庫業者等につきましても、所要の施策を行なって指導していきたいと考えております。
  7. 二宮文造

    二宮文造君 国税庁に伺いたいのですが、世間で百年戦争といわれるような長い係争が日通国税庁との間に行なわれてきたと伺っておりますが、いわゆる平衡資金の問題につきまして、その概略を伺っておきたい。
  8. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お答えいたします。  いわゆる日通平衡資金と申しますのは、公用元請契約というのがありまして、戦時統制が始まりました当時から、いわゆる統制物資輸送につきまして日通がこれを引き受けまして運送したわけでありますが、その際に事故発生いたしますと、その事故について日通全額損害賠償責め任ずるということからいたしまして、そういう損害賠償責め任ずる必要上、契約収入の一部を平衡資金という形で留保して、損害発生して、その賠償をするときにその平衡資金から支払うと、こういうことで設けられたのであります。で、戦時中はその金額も僅少でございましたし、また事故の数も少なかったので、それほど問題にならなかったのでございますが、戦後になりまして、御承知のように、社会、経済が混乱いたしました。その結果、事故発生率も大きくなり、また日通としても、その事故発生に備えてきわめて多額な平衡資金を積み立てるというようなことになってまいりました。そこで国税庁のほうで調査いたしましたところ、昭和二十五年に調査いたしたのでありますが、あまりにも平衡資金の額が大きく、二十億あるいは四十億に達するような巨大な金額でありますので、その平衡資金支払い状況等をつぶさに調査いたしたのであります。そういたしますと、いわゆる平衡資金として積み立てておる金が実際の損害賠償支払い額に比してきわめて大きい、それから支払ったと言いながら事実上は相手方に免責を受けて支払っておらない、こういった事実が判明いたしましたので、昭和二十三年九月期以降の各期につきまして相当更正をいたしたのであります。その結果、二十三年九月期、二十四年三月期、二十四年九月期、二十五年三月期、九月期、二十六年三月、九月、三十年三月、九月、三十一年九月、四十二年九月、四十三年九月というふうに約十二事業年度につきまして審査請求が提出されました。提出されましたのは、一番最初のが二十七年十月でありますが、自後、平衡資金の実情について申し上げるということで百六十二冊の審査請求補足書が提出され、そのほかに御承知のとおり運送契約は一件一件の問題でありますので、その一件一件についての書類が提出されました。国税庁といたしましては、このために協議官を動員いたしまして審査事務に当たったのでありますが、相手方主張は次から次へと変わり、また次から次へと書類が提出されましたので、ようやく四十一年になりまして、最初主張額ときわめて大きく隔りのあります二十三年九月と二十四年三月期と二十四年九月期及び二十五年三月期についてようやく処理を了したのであります。なお、あとの八事業年度分については現在なお審査を継続中でございます。このように昭和二十七年からいたしますと、今日まできわめて長い間かかっておるのであります。国税庁協議官の一人はそのために、その事案だけに約十三年間従事しておったというような事態も生じた次第でございます。
  9. 二宮文造

    二宮文造君 二十三年度更正分が四十一年に至って決定をする、なかなか複雑な経理内容のように思います。なお長官、ちょっと年度の言い方が間違っておりますから、あとで訂正しておいてください。四十三年はまだきておりません、三十四年だろうと思います。そういう平衡資金的な経理のしかたが現在も本支店の間にあるのではないか、こういうふうにも言われておりますが。この点はどうですか。
  10. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) この平衡資金の問題は三十四年の三月事業年度限りで日通としては廃止しておるのであります。ただ一部に現在なおその平衡資金の変わった形の公用調整資金というものがあるというふうに言われており、そういう文書も、私、拝見したのであります。私のほうで調査いたしますと、結局、日通本支店間の経理上の扱い方に問題があるわけでありまして、支店における運送収入を計上する際に、当初、契約による運送料収入支店勘定に計上させておきまして、その後、本契約が成立いたしました場合に、その差額を本店支店をコントロールする手段といたしまして本店に取って置きまして、それを事業年度末に至って、これはA支店の分、これはB支店の分というふうにして運賃収入支店収入に振りかえ処理をしておるようであります。したがって、その事業年度間にそういうものが本店にたまっておるという事実はあるようでありますが、しかし、それは決算の際に支店勘定に振りかえられておりますので、いわゆる平衡資金とは違った存在であろうというふうに考えております。
  11. 二宮文造

    二宮文造君 本支店問経理と、こう断定されますけれども、本支店間を動脈としますと、支店経理内容というのは静脈になります。ここで経費関係がどういうふうに出てくるかによってその課税のしかたもまた変わってくる、したがって、支店経理内容がいま言ったように、怪文書と称するものを見ますと、支店経理内容が非常にあいまいである、こういうようにも私どもは思うわけです。そこで総括的に国税庁としては日通税務行政指導する上に、税務考え方指導する上に把握がしやすい経理内容になっているか、あるいは実態をつかみにくい経理内容になっているか、いまも平衡資金の問題で二十三年度分が四十一年にどうやら落着をしたというような経緯を見ますと、なかなか経理内容を捕捉しにくいのではないか、その困難な中で国税庁把握につとめておるように私ども思うのですが、その点はどうですか。
  12. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お答えいたします。  御承知のように、日通全国に三千四百の支店その他の事業所を持っておるわけであります。しかも、それらの支店その他の事業所は、御承知のとおり以前は他の独立した業者でありましたのを、日通が設立されましてだんだんとこれを吸収していったというようなことがありますために、本支店間の経理が、先ほどもちょっとその一部を申し上げましたが、非常に複雑であります。しかも、三千四百もあるということで法人税調査対象法人としては、一番、本支店数の数が多いのであります。それに次ぐものに比べまして、きわめてけたはずれに支店その他の営業所が多いのでありまして、したがいまして、この調査にはたいへん苦労をいたしております。三十五年から特別調査官制度というのができまして、資本金の多額な調査に骨の折れるものにつきましては、特別調査官調査日数に制限なしに調べるということで調査をいたしたのであります。日通につきましても、巨大企業でありますために、三十六年にその調査をいたしておりまして、四百八十人日かかって調査を終了いたしております。その際におきましても、日通の本・支店間の経理をはじめ、先般もちょっと申し上げましたが、使途不明出金であるとかいったいろんな経理上の問題が出ておりますので、そのつど経理をもう少しわかりやすくするように、そして税務調査上一々の運送契約について調べなければならないといったような手数を省いてもらいたいということを申し入れております。たとえば最近の例で申し上げますと、四十年十一月の際に申告指導の事績といたしましては、約十二項目にわたって指導をいたしております。それから四十二年四月におきましても同じく三項目にわたって指導をいたしております。その結果、最近は逐次経理内容が改善されてまいっておるように見ますけれども、しかしまだなお多くの問題が残っておるような状況でございます。
  13. 二宮文造

    二宮文造君 そういうところに検察当局の手が伸びて、やみ賞与の問題が出てくるような素材があるようにうかがえますが、次に大蔵省にお伺いしたいんですが、昭和四十一年に日通が百億円にのぼる転換社債発行したようですが、発行の時期、当時の株価についてお伺いいたします。
  14. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 証券局長出席させておりますので、正確にお答えいたさせます。
  15. 広瀬駿二

    政府委員広瀬駿二君) 転換社債新聞紙上で初めて報道されましたのは昭和四十一年三月十七日でございます。  それから二番目の、当時の株価でございますが、東証の終わり値で見ますと、三月十六日、百六十八円、十七日、百六十四円、十八日、百五十六円、十九日、百五十八円、二十二日、同じく百五十八円、二十三日、百五十八円、二十四日、百五十七円、二十五日、百五十三円、二十六日、同じく百五十三円、二十八日、百五十円になりまして、以下四月の二十二まで百五十円で続いております。  それから三番目の転換社債発行条件でございますが……。
  16. 二宮文造

    二宮文造君 まだ聞いてないよ、それは。
  17. 広瀬駿二

    政府委員広瀬駿二君) 失礼しました。
  18. 二宮文造

    二宮文造君 じゃあ、いいですよ、発行条件どうぞ。
  19. 広瀬駿二

    政府委員広瀬駿二君) 発行条件は、表面利率七・五%、発行価額額面百円につき百円、額面発行でございます。償還期限は九年六カ月、応募者利回り七・五%、転換価額は百七十六円でございますが、これはその後額面が五十円に変わりましたものですから、現在では八十八円となっております。
  20. 二宮文造

    二宮文造君 ところで、いまお伺いしたように百五十円が三月の二十八日から四月の二十二日までずっと続いている。この件について証券局のほうで調査をされ、措置をとったと思うんですが、その概要についてお伺いいたします。
  21. 広瀬駿二

    政府委員広瀬駿二君) 当時相当長期間にわたりまして百五十円という価額が持続いたしましたものですから、これはかなり不自然な経過をたどっておると思われましたものですから、東京証券取引所におきましても、四十一年の四月に、野村証券から同社の日本通運株式売買状況につきまして、事情を聴取いたしております。それから会員業者売買の自己、委託の別、委託者の住所、氏名等調査も、四月二十一日以降、大蔵省といたしましては、五月二日になりまして、野村証券より事情聴取、九日、日本勧業証券から、五月十日に日本通運より事情聴取、五月十八日、八千代証券より事情聴取、五月十八日、光亜証券より事情をそれぞれ聴取いたしました。で、それらの結果、野村証券につきましては、四十一年七月一日の一日営業の一部停止の処分をいたしております。これは証券取引法第五十条三号に基づく、証券会社健全性準則等に関する省令の第一条第三号に違反するということで……。
  22. 二宮文造

    二宮文造君 もう少し明確に言ってください。
  23. 広瀬駿二

    政府委員広瀬駿二君) もう一度繰り返しますと、野村証券につきましては、昭和四十一年七月一日、一日間営業の一部を停止する処分をいたしました根拠は、証券取引法第五十条第三号に基づく、証券会社健全性準則等に関する省令、第一条第三号に違反し、同法第五十九条に該当するものとして処分いたしました。それから東京証券取引所でも、定款の五十五条に該当するものとして同じ処分をいたしております。それから証券業協会では、定款七十六条第四号に該当するをもって過怠金五万円を科しております。  それから日興、山一、大和の三社につきまして、始末書の徴求をいたしております。四十一年七月十二日付でございます。この理由は、日通株式の売り付け行為中には作為的相場の形成に至らないまでも、はなはだ穏当を欠く行為が含まれていたと認定いたしたからであります。同じように東京証券取引所でも始末書の徴求をいたしております。日通株式の売り付け行為は、一般投資者に対し有価証券市場に不信の念を抱かしめるものであったという理由でございます。  それから日本勧業証券に対しましては、やはり始末書の徴求を七月八日付でいたしております。日通株式の売買は実勢を反映しない作為的相場を形成させ、証券会社健全性準則等に関する省令第一条第三号に違反する疑いがあると認められる行為があったからであります。それから東京証券取引所では、同じく始末書の徴求、理事長の戒告をいたしております。理由は、日通株式の売買は実勢を反映しない作為的相場を形成させ、証券会社健全性等に関する省令第一条第三号違反の疑いがあると認められ、かつ定款第五十条第一項第十号該当の疑いのある行為であるという理由からでございます。  八千代証券につきましては、証券取引法第四条第一項に違反し、旧証券取引法第五十九条に該当したが、同社はその行為を深く反省し、遺憾の意を表明いたしますとともに、日通転換社債の募集の取り扱いを自発的に辞退いたしました。また、初回で投資者の具体的損失も認められなかったということのために、処分を留保いたしました。証券取引所では過怠金十万円を徴求いたしました。七月十二日でございます。証券取引法第四条第一項に違反し、旧証券取引法第五十九条に該当、かつ定款第二十八条違反の行為があり、これは定款五十条一項十号に該当するという理由であります。それから証券業協会では、定款七十六条第四号に該当するものとしまして、過怠金十万円を科しております。
  24. 二宮文造

    二宮文造君 ここでもまた日通は、百億円の転換社債発行について有利な条件にするために、株価の操作をしたという事実がここで明確になってきたと思うのです。  次に、運輸省お尋ねしたいのですが、日通は経営不振の新免業者に対して株式の買い取りとか、役員の派遣などをやって、そのために業界の公正競争を阻害したというふうな意味の提訴があって、それが運輸省に回ってきた。運輸省措置をとられたはずですが、その措置について伺いたい。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 過去において七件ございまして、新免の業者団体から提訴があり、訴訟行為になりました。そして終局的には和解になりまして、一部運輸省指導して落ちつかせたというケースもございます。
  26. 二宮文造

    二宮文造君 もう少し事件の発端から勧告に至る事情、その後の措置を明らかにしてください。
  27. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は政府委員をして答弁せしめます。
  28. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) 御説明を申し上げます。  新免業者の公正取引委員会への提訴問題でございますが、それにつきましての発端、それから運輸省のとりました措置、それからその後の経過につきまして概要を御説明申し上げます。  昭和三十五年でございますが、新免業者の団体でございまする全国通運業連合会というものがございます。そこから公正取引委員会委員長に対しまして、日本通運が私的独占禁止法第十条、第十三条及び第十五条の違反があったとの理由で提訴いたしました。  そこで、これに対しまして運輸省におきまして、これは独禁法の問題である、したがいまして、公取のほうで処理すべき問題であるというふうに考えたものでございますけれども、通運事業法の精神から照らしまして、このように日通が新免の事業者に対しまする株の取得等によります支配を行なう、その結果せっかく複数制になっているところが、形式的には複数制であっても、実体的には日通が一本だというようなふうになって、その結果通運サービスというものが低下するということになってはいけないというふうに考えまして、提訴中ではございましたけれども、当時の自動車局長が中へ入りまして、両者に対しましてこの問題の解決につきまして勧告をいたしました。  その勧告の内容でございまするが、これは両者を呼びまして、問題の会社は七社ございます。その内容につきましては、まず第一に六つの会社に対しまして、これは名古屋通運梱包株式会社以下五社でございますが、その六社に対しまする日本通運並びに日本通運系統の会社の持ち株は適正価額処分すべしと言っております。それから第二点は、残りの一社でございます。これは新潟海陸運送株式会社でございます。これに対しましては、新潟臨港開発株式会社と新潟海陸運送株式会社とが合併したあとで、日通系統の役員を四名中一名を出すこと。日通並びに日通の系統会社によって所持されておりまする持ち株四五・二二%、これを四〇%を限度とするように改めるべしということが第二点でございます。第三点は、一般論といたしまして、今後株式の取得等によって通運事業の公正競争維持の趣旨に反するごとき事態を起こさないこと。四番目に、今後各通運事業者は相協力して通運業の健全な発達につとめるべしという点の四点でございます。  そこで、日本通運並びに全国通運連合会業者は、この勧告を契機といたしまして、その後この勧告を了承いたしました。それで運輸省は、その了承した結果、勧告どおりに実施されるように指導いたしまして、なおその際、新免業者のほうは公取の提訴を取り下げたのでございます。そこで運輸省指導でございますけれども、公取へ提訴した当時の状況と、その後の経過との比較を申し上げたいと思いますが、まず七社のうちの六社につきましては、日通ないし日通系統の保有株というものが皆無になったという例が一件ございます。あるいはその保有比率が低減されておるということでございます。それからあと残りの一社につきましては、現在におきましては、途中では低減をいたしたのでございますけれども、現在におきましては、種々事由がございまして低減されておりません。これにつきまして申し上げたいと思いますけれども、まず最初に株式の保有を完全になくしたというのは、塩釜通運という会社がございます。これは提訴の当時は二六%の保有を、日通系統の塩釜港運という会社が持っておりました。勧告の結果、話し合いの結果、これはゼロいうことに相なりました。それから岡山県貨物運送株式会社、これは日通並びに日通の系統の日通トラックというのがございますけれども、その両社合わせまして三六%の株を持っておりましたが、勧告の結果二一%に現在減っております。それから新潟臨港海陸運送におきましては、日通並びに日通トラックほか三社についてでございますが、その四社で持っております株が当時五二%でございましたけれども、その勧告の結果によりまして、現在は合計いたしまして二三%に減っております。それからもう一つ石見運送という会社がございます。これは日通が一〇〇%持っておりましたですけれども、勧告の結果、現在は三一%に減っております。それからもう一つは、名古屋通運梱包という会社でございます。これは勧告当時は愛知日産、日通商事という両社が一〇〇%持っていたのでございますけれども、勧告の結果、現在は九〇%に下がっております。そこで残りの一社でございますけれども、これは大阪通運でございます。これにつきましては、勧告当時は日通の系統会社日通商事という会社が六一%持っておりました。その後勧告の結果、日通商事が株を手放したのでございます。それで一時は六一%が二一%まで減ったのでございますけれども、その後増資がございまして、それから個人で持っている株主が日通に買ってくれというようなことがございまして、そんなような結果、一時は二一%に下がったのでございますけれども、現在は六七%ということになっております。  以上が七社につきましての当時の状態と、その後の改善状況の経過でございます。  以上でございます。
  29. 二宮文造

    二宮文造君 説明でございますけれども、名古屋、大阪、岩国、岩国は例の基地がありますが、こういうところについて、せっかく運輸省が勧告をしておりながら、その勧告の趣旨が生かされてない、こういう事実は、どういうわけですか。
  30. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) 御説明いたします。  勧告が完全には実施されておりません。これは総括的に申し上げますと、特定のいわゆる駅のステーションにおきまして、日通の持っておる株を新免業者が買うだけの資力がないという実情もございます。それから株価の問題で、高くて話が合わなかったという問題があるやに聞いております。
  31. 二宮文造

    二宮文造君 この勧告の三に、「今後株式の取得等によって通運事業の公正競争維持の趣旨に反するごとき事態を起こさないこと」、こういっておりながら、この大阪の場合は、その後また買い取って、個人が日通に渡したからふえた。これはどうですか、この第三項については、運輸省としては日通に対して厳重に反省を求めましたか、個人の株を買い取ることについて。
  32. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) 特に措置をとっておりません。
  33. 二宮文造

    二宮文造君 じゃあ、この勧告の第三項はどういうつもりで勧告の第三項にあげられたのですか。
  34. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) これは、こういったような問題が今後起きて、せっかくの趨勢が、実態がなくならないように、実態が害されないようにという趣旨で出したものでございます。
  35. 二宮文造

    二宮文造君 じゃあ、いままでの分はいいのですか。事件を起こした分は三項に当たらないのですか。これからの分だけですか。
  36. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) いままでの分も含めましてでございます。その点について遺憾に思っております。
  37. 二宮文造

    二宮文造君 これどうするのですか、一体こういう状態になっておるのを。
  38. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) 実態を調べまして、早速善処いたしたいと思います。
  39. 二宮文造

    二宮文造君 三十五年の勧告ですよ。いま四十三年ですよ。こういう事実がわかっておりながら放置しておるということは、いわゆる複数制を運輸省自体がこわしておるじゃないですか。
  40. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) 実態を調べまして、十分指導いたします。
  41. 二宮文造

    二宮文造君 大臣、いまの問題。
  42. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 勧告に対する事後処理が不徹底のように思いますから、その点は徹底するように処理いたします。
  43. 二宮文造

    二宮文造君 次に、これは田中彰治事件の冒頭陳述に、私も伺ったことでありますが、こういう趣旨のことが述べられております。町井一之は、昭和三十九年十月ごろ、地元民から約五億円で買い受けた八王子市長房所在の約十万坪の土地を六億円で買い受けた興亜建設株式会社を経て日通と日綿実業のおのおのに約七億五千万円で売却し、日綿実業は購入資金の一部として小佐野賢治から約三億五千万円の融資を受け、その分の土地を同人に引き渡した云々、こういう趣旨の冒頭陳述が行なわれておりますが、国税庁はこういう事実を知っておりますかどうか。
  44. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お答えいたします。  いまお話しのような事実があることは承知いたしております。ただ若干の点においてこの金額に違いがございます。それを申し上げますと、日通不動産へは当初七億五千万円で売却するということであったのでありますが、実測の結果、四十一年の四月に坪数が減少をいたしておりまして、約五万坪で坪当たり単価一万五千円で七億五千万という契約であったのでありますが、実測の結果は三千六十五坪減りまして、その結果金額が七億五百八十九万四千二百七十円ということで売買されております。それから日綿実業のほうに売ったのは七億三千万円でございます。
  45. 二宮文造

    二宮文造君 その売り主はだれですか。
  46. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これは興亜建設が日綿実業及び日通不動産に売却したのでございます。
  47. 二宮文造

    二宮文造君 ここで言われました興亜建設は、吹原事件とともに公判中でございまして、相当額の脱漏税額があったと聞くのですが、それは事実でありますか。また、もしそれが事実であれば、その脱漏税額と、おさしつかえなければ納税されたかどうか、その有無について伺いたい。
  48. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 本件売買は、興和建設の事業年度からいたしますと、三十九年五月から四十年四月の事業年度にわたっております。この事業年度におきましては、確かにそういう売却が行なわれた——いま私が申し上げましたような数字での売却が行なわれたということの帳簿が公表帳簿に載っております。そこで、私どもいろいろ調査いたしたのでありますが、他方、現在事件になっておりますように、森脇文庫に対する利子の支払い二十億を含めまして当期における利子支払い総額が二十二億に達しておる、したがって申告は千五百九十三万九千円の赤字である、こういう申告が出ております。したがって、その利子の問題について現在調査中であります。なお、その前事業年度、つまり三十八年五月から三十九年四月までの事業年度におきましては申告所得が千九十五万円でありましたので、それに対して一億六百四万円の所得を加算更正いたしまして、その結果、本税が四千三百十六万三千円、加算税が一千七十四万九千円、合計五千三百九十一万二千円を更正いたしたわけでありますが、これに対しましては、現在異議の申し立てを経て審査請求が提出されております。なお、この税額は全額滞納になっておりますので、現在、建物、土地、動産、電話加入権等、それぞれ差し押えいたしておる次第であります。ただ、審査請求中でありますので、なお公売処分ができないという状況にございます。
  49. 二宮文造

    二宮文造君 いまの説明でやや了解ができつつあるのですが、興亜建設が六億円で買ったものを十五億近くで売却をした、こういうふうな前提のもとに申告がされておりますか、その点をもう一ぺん確認をしておきたい。
  50. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 先ほど申し上げました四十年四月期に千五百九十三万九千円の欠損であるという申告が、いまお話しのような六億円で購入したものを片一方は七億三千万円、片一方は七億五千万円で売却したということで申告が出ておりまして、他方で森脇文庫に対する利子の支払い二十億を含めまして当事業年度内における利子の支払い総額は二十二億に達する、したがって欠損である、こういう申告になっておるのであります。その利子の支払いの内容等につきまして現在精査をいたしておる段階であります。
  51. 二宮文造

    二宮文造君 日通は現在その土地を所有したかっこうになっておりますか——かっこうといいますか、所有しておりますかどうか、その点は国税庁は御存じですか。
  52. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) いまの土地は、日通不動産の帳簿に載っております。
  53. 二宮文造

    二宮文造君 次に、今度は日通にからむ食糧輸送のことについてお伺いしたいのですが、昭和四十一年度政府食糧の運送実績が五百六十余万トンに達しますし、その運送賃は百二十六億円余になっておる。このうち国内の米穀がその大半を占めて、運送実績は四百三十二万トン余り、それから運送賃は百五億余円となっておりますが、この金額の確認と並びに昭和四十二年についてお伺いしておきます。
  54. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 昭和四十一年度は百五億円、それから四十二年度運送賃は百二十億円程度になる見込み、こういうふうに考えております。
  55. 二宮文造

    二宮文造君 これらの政府食糧、特に国内米穀に限りますが、これらの運送がどういう形で今日まで行なわれてきたか、方法を伺います。
  56. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 運送契約の締結の方法だろうと思います。そこで御説明申し上げますが、政府食糧の運送契約は、会計年度ごとに日本通運会社と随意契約によって締結をいたします。運送諸掛かりは、過去一カ年——米穀年度でございます——の運送数量を運送形態別、品目別等に全国的に食糧事務所で実態調査を行ないまして、各種認可料金、料率などによりましてトン当りプール単価を算出いたしまして、これを一個当たりに換算して契約単価をつくってまいります。その場合に、鉄道運賃等につきましては、鉄道料金——いわゆる切符等によりまして、実費で通り抜け勘定になっておるのであります。実費で支払っていく形であります。
  57. 二宮文造

    二宮文造君 四十二年度の県間陸上諸掛かりについての契約単価は幾らになっておりますか。
  58. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 食糧庁長官に……。
  59. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) お答えいたします。  四十二年度の国内米の契約単価は、四十二年度から包装形態別に分けておりまするので、俵の場合七十九円五十四銭、かますの場合七十円六十五銭、麻袋の場合七十一円八十七銭、かようになっております。
  60. 二宮文造

    二宮文造君 そこかもう一つ、こまかくなりますが、構成費目別に幾らかお伺いします。
  61. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) お答えいたします。  ただいま私がお答えをいたしましたのは、発地の諸掛かりと着地の諸掛かりを合計した金額を申し上げておりますが、この構成費目といたしましては、発地と着地と別々になっておりますので、別々にお答えをさせていただきたいと思います。  入出庫料、発地九円八銭、着地八円六十銭、通運料金、発地二十九円四十四銭、着地二十二円十五銭、運送事務処理費、これは着地だけで八十五銭、乱体手直し料、発地九銭、着地九銭、資材費発地のみ四銭、小出し横持ち料発地のみ三十四銭、仕訳荷役費、発地六十三銭、着地三十九銭、看貫荷役費着地のみ十七銭、合計しまして、発地が三十九円六十二銭、着地が三十二円二十五銭であります。
  62. 二宮文造

    二宮文造君 なぜこういうこまかい問題をお伺いするかといいますと、これは一個当たりのプール単価になるわけです。運送個数というものは三十キログラムのものもありまするので、五百万トンとかりにしますと大体一億個ぐらいになる。そうすると、一円違いましても一億円が変わってくる。したがって、この構成費目というものをしさいに検討しませんと、やかましく言われております食管会計の赤字、これに直ちに響いてくるわけです。  そこでもう一つお伺いいたしておきますが、集貨の場合の距離、これを平均何キロと見ておりますか。
  63. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) お答えいたします。  四十二年度でいいわけですか。
  64. 二宮文造

    二宮文造君 ええ、四十一年、四十二年。
  65. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 集貨の場合と申されましたから発地のことだと思いますが、四十一年は六・〇二一キロメートル、四十二年は六・〇八二キロメートルでございます。
  66. 二宮文造

    二宮文造君 ここで問題になりますが、その認可を受けた料金表によりますと、通運料金の場合は二キロ単位にきめられております。かりに二キロを一メートル超過しても、適用される料金は四キロのところを適用される。いま伺いますと、四十一年の距離は六・〇二一、わずか二十一メートルふえておるだけで八キロ分、すなわち千九百八十メートル分余分に払うわけです。四十二年においては六・〇八二、八十二メートル平均でオーバーしておるゆえに六キロ欄を適用されないで八キロ欄を適用される、千九百十八メートルというものが国民の負担になっておるわけです。もし当局が食管会計の赤字を埋めようということに努力をされるならば、この二十一メートルとか八十二メートルとかいうものはどのようにでも私は指導ができる、それをなぜやらなかったか。ちなみに六キロのところの料金表を見てみますと、二号級地で見ますと、六キロでは一個当たり十八円九十一銭、ところが八キロでは二十一円三十五銭、二円四十四銭の食い違いが出てきます。もちろん、これは発地と着地を含めたものですから、この二円四十四銭がそのまま支払いには出てきません。半分になりますか、六分になりますか。それにしても、考えようによっては、ここで一億五千万程度の——通運料金においてでも一億五千万程度の赤字が埋められたのじゃないか。その他こまかい、それこそもうミクロの世界といいますか。微細なあの積み立ての計算を見ますと、一つ一つの中にそういうものがあるとしますと、いままでの国内米穀の、いわゆる政府食糧の輸送契約というものに総括的に疑義を持たざるを得ない、こういう考えがあるのですが、大臣いかがですか。大事な問題ですよ、食管会計の赤字につながるのですから。
  67. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) もちろん食管の会計は大事な問題でして、われわれも、皆さんにも御苦労いただいておるわけであります。できるだけ赤字を小さくするということも大事だと思います。  そこで、いまお尋ねの点につきましては、やや技術的な問題でありますけれども、運送の距離の問題、一つは距離が、ある段階段階でこう料率がきまり、運賃がきまっております。したがって、ある段階を越えれば運賃が変わるというところを正確にやって、少しでも、何と言うか、安いところにおさめる努力をしたらどうか、こういう御趣旨だと思うのであります。そこで、食糧事務所といたしましては、実態調査をたんねんにする。この問題になってまいるわけだと思います。それ以上は一つのきまったものさしで料金を払わなければなりませんが、それにつきましては、私の知っている限りにおきましては、実態調査は正確を期していく、また、今後もそれは期してまいりたいと思います。そして、そこに作為というのじゃなくて、客観的な事実をきちっと出していく、こういう努力はしてまいりたいと思います。
  68. 二宮文造

    二宮文造君 答弁の趣旨が違うんですがね。私の申し上げたいのは、食管会計の赤字を少しでも少なくするというのが当局が常に考えなければならぬ問題じゃないか。実態調査によって二十メートル出たから千九百八十メートル余分に払わなければならぬというふうな計算になったときには、何かそこに行政的に考えていいじゃないか、それをなぜいままでやってこなかったかという問題です。
  69. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) これはやや技術的な扱いの問題で、お気ちは持わかります。ただ、計算方法として、何万キロあるのを平均値を出すというふうな中から割り出されている八十二メートルとか二十一メートル、こういう計算値が出てくるんじゃないかと思います。なお、その説明につきましては、食糧庁長官からお答えいたさせます。
  70. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 大臣が申されたことに補足して申し上げますが、先ほどの発地における六キロ二十一とか六キロ八十二という数字を出しますためには、およそ国内米を運送いたしておりますすべての倉庫から駅までの距離を実態調査で調べましたものを、割り算をして平均を出した端数でございまするので、実際に六キロ二十一という距離が巻き尺ではかられたものの、二十一メートルということではないということは御理解の上での御質問かと思いまするが、私どものほうは、この集配距離の平均を出しまするもとになりまする実態調査は、もちろん正確を期してやっているつもりでございまして、この距離をそれぞれ測量をいたしておる者たちが、最後に全国の平均をしたときに、端数が上に出るか、下に出るかということは一切わからずにやっているわけでございますから、その意味では、全く作為は入っておらないと私は信じております。
  71. 二宮文造

    二宮文造君 くどいようですが、私は、作為とか何とかというつくられた数字とかという観点から質問しているのじゃないのです。六キロを二十メートルこえた、これはなぜこういうこえ方をしたか、四十二年度においては、指定倉庫を指定するのにこういうところははずしたら六キロ以内におさまるのじゃないか、そういう努力を食糧庁はやってもいいじゃないか、それが直ちに食管会計にはね返ってくるんだから、行政当局としてはそうすべきじゃないか、しなかったのはなぜか、そういう質問を私はしているわけです。作為でつくったとかなんとかということは、私は最初からそんな考え方で質問しておりません。
  72. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) お答えいたします。倉庫までの距離の事情というものは、あるいは土地ごとに若干相違がある結果数字が変わってまいることもございます。それで、距離の遠いところの倉庫の問題でございまするが、最近の政府米の買い入れ数量が著しく増加をいたしておりまする関係上、相当な倉庫の窮迫を告げておりまする関係で、結果的に若干遠距離の倉庫も利用せざるを得ないということもあるいはあったかと思います。それから、産地で倉庫の前で検査をした上で買い入れをいたすわけでございまするので、ある程度検査業務なり生産者の都合等もあって倉庫の位置というものがきまってくるわけでございまするので、その結果平均値がかようなことになったと思いまするが、いずれにいたしましても、ただいま先生が申されましたように、基本的には経費の節減というものを常に心がけてやるべきだということは、私ども従来もやっているつもりでございますが、なお、今後ともそのように努力をいたしたいと思っております。
  73. 二宮文造

    二宮文造君 どうも私はすっきりしないのですがね。国民の負担の側からこういう計算をしていく食糧庁なのか、倉庫側ないしは通運業者側の立場に立って計算をしていく食糧庁なのか、その考え方をはっきり知りたい。
  74. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) それは当然、国民の側に立ってやるべき計算に中心を置かなければならぬということは明らかであります。
  75. 二宮文造

    二宮文造君 ならば、そういうふうな努力が従来重ねられてきたかどうか。この数字を見た限りにおいては、その努力がなされていない。しかも、いま長官の説明を受けますと、その倉庫が逼迫したからやむを得ない事情だということで逃げてしまっておりますけれども、この質疑を聞いている大半の方は、何かそこにやっぱりあるんじゃないか。従来からも間々、日通が食糧運送独占している。そういうところにもそういうものがあるんではないかと、変な誤解を持つかもしれない。今後の姿勢をはっきりしていただきたいと思います。
  76. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 私といたしましては、国民の負担であれだけの食管の会計が苦労しておるということはもう事実でございますので、したがって、国民の側に立ちまして、できるだけ経費の節約にはこれは今後とも努力をしてまいりたい。もちろん、いままでやってまいりましたこと自体が、必ずしもそれが適当であると言うわけにもいかない場合もありましょうけれども、しかし、より以上その努力というものは私はやってまいりたい、その考えというものはよく徹底してまいりたいと思います。
  77. 二宮文造

    二宮文造君 さらに計算上の問題はその次にも出てまいりますけれども、ちょっとここで会計検査院長にお伺いしたいのですが、政府食糧とか、あるいは専売公社、防衛庁その他政府物資の輸送は、いま伺いますと、日通のいわゆる元請契約というふうな形式で行なわれてきております。ところが、一部にはそれに非常に反対がある。その反対側の意見は、この契約の方式が会計法とか予決令の違反ではないか、また、随意契約をする場合には、「なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない」という規定がある。そういう点をついて、この種の契約は納得ができない。しかし、それが民間からあげられた一応の疑いの段階ではあるにしましても、水増しがあるのではないかというふうな意見も述べられている今日において、会計検査院としては、この検査あるいはこの処理相当考慮を下さなければならぬ段階に来たのじゃないかと思いますが、院長の見解を伺っておきたい。
  78. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) ただいまの御質問でございますが、会計法第二十九条の三の第五項の規定を受けまして出ている予算、決算及び会計令第九十九条第八条におきまして、運送保管を行なう場合には随意契約によることができることとなっております。しかして、予算決算及び会計令第九十九条の六において、「随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。」ということを定めておりますが、いままでの状態では全面的な運送体制を有する業者日通以外になかった以上、見積りをしていないこともやむを得ないのではないかと考えられる次第でございます。
  79. 二宮文造

    二宮文造君 「いままでの状態では」と特におっしゃいましたけれども、院長、けさの朝日新聞をごらんになりましたか。これは結局、いままではそういう意見であったのでしょうけれども、日通の持つ全国的な組織とか、一貫性とか、そういうものはいままでも国会において相当議論されてきました。しかし、少なくともいまの時点におきましては、日通以外の業者が経営技術も成長してきましたし、また、組織自体も全国的に一貫性にやや似たような伸び方もしております。また日通が元請契約はしながら、相当部分を下請をさしている。こういうふうな事実もずっと積み重ねられてきますと、過去にやってきたことが現在そのまま妥当か、これは検査院の立場として妥当かという議論も出てくるんじゃないかと思う。過去は過去、現時点においては長官はどういう形が望ましいか、私見でもけっこうですから伺っておきたい。
  80. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) ただいま、私見でもいいからということでございますけれども、今後の点につきましては検討さしていただきたいと、かように考えております。
  81. 二宮文造

    二宮文造君 どういう面について検討をされるんですか。
  82. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) 御質問の要旨は、見積書をとるべきであるということであると思いますが、われわれは……。
  83. 二宮文造

    二宮文造君 いや、元請契約ですよ、元請契約。それから見積書が出てくるわけです。
  84. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) ですから、見積書のことでございますが、そういうことも含めまして、今後の点につきましては検討いたしたいと、かように考えております。
  85. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっと院長の答弁が焦点はずれるんですがね。契約があって見積書を出すわけでしょう。契約のあり方について何か検討される項目はないか、こということです。
  86. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) 元請契約とおっしゃる点も含めてのお話だと思いますけれども、つまり、契約のあり方の問題でございますか。
  87. 二宮文造

    二宮文造君 そうです。
  88. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) あり方の問題ということになりますと、これはまた日通だけがやっていることがいいか悪いかというような問題も含めての問題になるわけでございまするけれども、日通だけがそういうふうな全国的な輸送をやっていることがいいか悪いかという問題になりますると、これはやはり輸送の本質の問題、食糧輸送の本質とか、監督とか、いろいろと考慮すべき点があると思うのでございます。そいううような輸送体系の根本的な問題になりますると、やはり政府のほうでもって十分御検討願って、われわれはまたそういうふうな政府のなさったことを一項目、一項目批判する、政府の仕事というもの、行政行為というものを会計的な面から批判するという立場の役所でございますので、そういうふうな輸送体系とか運輸行政の本質に関するようなことは、いまここでもって私どもが申すわけにはいかないということなんでございます。
  89. 二宮文造

    二宮文造君 検査院の性格というものは、いまさら私、門前の小僧が院長に対して言うことはおこがましいと思うんですが、問題は、検査院はその構成費目がどうであるか、その内容にわたってまでそれが適正であるかどうか、国費のむだな支払いがあるかどうか、ここに焦点を当てて検討していただかなければならぬ。そうすると、そういう個々契約金額内容をしさいに検討するにはそのもとがある、これは契約で行くわけですから。したがって、こういう契約のしかたが望ましいではないか、また、費目の計算についてはこういう計算をやることが必要ではないか、こういう立場を検査院は従来もとってこられたと思う。で、いまいろいろ問題が出ておりますから、日通独占契約しておることが、一つの政府食糧にかかわらず、専売にしても防衛庁にしても、そういう政府物資を一括して元請をしてやっているというあり方が会計検査院の立場として好ましいかどうか、これにメスを加える意図はあるかどうか、こういうことをお伺いしているわけです。いろいろとか種々とか、政策のなんとかということじゃなくて、根本的な姿勢をお伺いしているわけです。
  90. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) たっての御質問でございますけれども、やはりこの日通がそういうふうなものを現在、独占と言いますか、やっておりますけれども、それがいいか悪いかということは、これはやはり行政のほうに属する。まず行政のほうに属する問題でございますので、検査院のほうといたしまして、これがいいか悪いかと言われましても、この際私は意見を申し上げる段階ではない、かように考えております。
  91. 二宮文造

    二宮文造君 長官はけさの朝日新聞の記事をお読みになりましたか。朝日新聞の記事、お読みになりましたか。
  92. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) 朝日新聞の日通に関するところでございますが、まだ読んでおりません。
  93. 二宮文造

    二宮文造君 私は通告をしてあります。特に日通の件について質疑をしたいと特に院長の出席を求めたわけです。こまかい問題はありますけれども、院長には会計検査院の根本的な態度をお伺いしたい、こういうことを通告をしてありますのに、肝心かなめのすっぱ抜きをごらんにならないということは、当委員会に出てくる院長の姿勢を私疑いたくなるのですが、もう少し勉強していただきたいと思います。これは別に答弁は求めません。しかし、そういうふうな態度ではですね、ほんとうに国民の、いわゆる国庫の番人としての……じゃあ、理事からの忠告もありましたので、これはよく読んで、午後また再答弁をお願いしたい。  じゃあ、問題を変えます。
  94. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは二宮君、あなたの御質疑の途中ですが、この程度で午前中休憩したいと思います。  午前中はこの程度にいたしまして、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時四十八分開会
  95. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 予算委員会を再開いたします。  午前に引き続きまして質疑を続行いたします。二宮君。
  96. 二宮文造

    二宮文造君 農林大臣にお伺いしたいのですが、けさほどの国内米穀の輸送について、さきに消団連なる団体から、三十億円の水増し請求日通がやっておるのではないか。その中に、契約関係とか、それからまた、こまかい金額の計算をして見解を出しているようでありますが、その中身を要約してお知らせ願いたい。
  97. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 私も消団連のことは概略は聞いて陳情を受けております。ただ、三十億円の水増しということについてちょっとふしぎに思うので、後ほど長官からお話し申し上げます。大体支払っておるのが百二十億円くらいですから、その中で、国鉄その他に通り抜けてしまいますと、日通自体で五十億円くらい入る、その中に三十億円水増しが入る余地がないのじゃないかと思いますが、しかし、詳細、長官から御報告します。
  98. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 四十一年の十月に消団連の声明が出されたのでありますが、長いものでございまするから、要点だけ申し上げますと、現在政府食糧の運送契約日通と随意契約でやっているのは、会計法から言って違反しておるということとか、それから契約単価が運輸大臣認可料金を上回って支払われておる、その金額が九億円余りである。それから支払っている単価の中で、いろいろ実態と違うものが入っておるとか、いまの国内米で九億円の支払いが不当であったとすれば、全体の数量からすれば三十億円になるというようなところがポイントであろうと思います。  そこで、私ども、契約関係につきましては、現在の食糧庁と日本通運運送契約を会計年度ごとに随意契約でやっておりまするのは、会計法の二十九条の三の五項に、政令で定める場合においては随意契約によってもよろしいという根拠がございまして、これを受けました政令たる予算決算会計令の九十九条の第八号に、「運送又は保管をさせるとき」は随意契約をやってもよろしいという明文がございまするので、この根拠に基づいて随意契約でやっていることは法律的に誤りではないという見解を持っております。  それから、ただいま御指摘になりました三十億円の問題でございまするが、この三十億円をどういう根拠で計算をいたしたかということについて調べてみたのでありますが、まず、国内米について九億円ばかりよけい払っておるということを言っておられる。その根拠としましては、一定の運送形態を想定をいたしまして、たとえば集配距離は三・六キロ、通運事業法による土地号級が三号級、それから倉庫は丙地というところで輸送をする場合の計算を独自にいたしまして、これに対して実際に払っておる金額をトン当たりから推定をした金額を出しまして、その金額との差額に総数量をかけて九億円という計算をしておられるようでございます。それから、三十億円というのは、実際に払っておる金額に対する、いま申しました九億円の金額が大体一・二%ぐらいに相当するので、輸入食糧その他の総数量にも、同じような割合であるとすれば、全体が三十億円になるという計算をされておるのではなかろうかと思うのであります。  なお、こまかいことがたくさんございまするが、一々申し上げることは御遠慮さしていただきます。  私どもが実際に日通契約をいたしまする場合の運送形態は、全国のすべての運送形態を実態調査をいたしました上で数量比によって加重平均をいたしてやっておりまする関係で、いまの消団連の計算の基礎になっておりまする集配距離が三・六キロとございますが、実際は六キロぐらいあるということがまず違っておりまするし、通運号級を三号級ということでやっておられまするが、実際は二号級以上のところが相当ある。あるいは、倉庫については丙地で計算をしておられまするが、実際は乙地が相当あるというようなことで、一定の想定のもとにやっておられる運送形態と、実際の全国運送の実態とが、若干違っておるという問題が一つの根拠でございます。  それから、こまかいことでございまするが、冬期割り増しであるとか、夜間の作業の割り増しであるとかいうような料金も、必要に応じては払う必要がある点については、何ら計算に入っておらないというようなことが根拠になっておるようでありまして、私どもは、この九億円というものの計算の根拠はいま調べてわかったわけでありまするが、これをもって食糧庁が不当によけいに払っておるという御指摘は、当を得ないのではないか。いわんや、九億円を数量比で案分をして三十億円と申されておりまする点につきましては、私どもは承服できないと思っております。ただいま大臣が申されましたように、日通運送賃として食糧庁が年間払っております金額が、大体百億ちょっとでありまするが、このうち、約半分が鉄道運賃として通り抜け勘定になっております。日通そのものに払っております金額は、約五十億ちょっとでございますから、その金額の中で三十億が不当支払いだということは、いかにもちょっと実態とおかしい。ただ、いろいろ先ほど来大臣が申されておりますように、運送賃の問題は何しろ金額が張るものでございますから、契約の締結なり実態調査にあたっては、厳正を期すべく努力をいたしております。いまの消団連の御指摘については、私どもはその根拠が何らないものと思っております。
  99. 二宮文造

    二宮文造君 見積もり書の徴収。
  100. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 契約が随意契約であることが法令違反であるということのほかに、予算決算会計令で見積もり書をなるべく二名以上の者ら取るようにという規定に違反をしておるのではないかという御指摘でございます。私どもは、日本通運との契約運送事業法に基づいた認可料金を計算の基礎にしてやっております関係で、二人以上から見積もり書を取るということによって、違った金額が計算される可能性がないので、見積もり書を取る実益がないというふうに従来考えておりまして、そこで従来は見積もり書の徴収をいたしておらないのでありまして、法令上もこれはなるべく徴するようにという規定でございますが、いま申しましたような理由で、私どもとしましては、食糧の運送に関して見積もり書の徴収ということはやっておりません。
  101. 二宮文造

    二宮文造君 午前中の質疑に続きますが、会計検査院の院長、以上お聞きになったような疑義が民間から出たわけです。過去は過去、これから先、会計検査院としては、こういう問題に対してどのような見解で検査をされていくか、その点についてお伺いしたい。
  102. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) 先ほど来の質疑並びに政府側の御答弁も拝聴したのでありますが、今後もやはり私どもとしては、あくまでも厳正に国の経費の節減をはかるという意味で努力してまいりたい、かように考えております。
  103. 二宮文造

    二宮文造君 どうもすっきりしませんがね。精一ぱいであろうと思うのです。  じゃ、こまかい問題に入ります。  いまも農林省のほうから、実地調査をやっている、だから間違いはない、実態調査表も出ている、こういうような明言でありました。そのいわゆる実態調査あるいは実地調査です。これは会計検査院がいまの陣容で完ぺきに、この農林省の言われる実態調査表なるものを検討することができますか、これをお伺いします。
  104. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) 検査院の検査陣容、人員の問題でございましょうけれども、これはまあ私も決算委員会でしばしば御質問を受けるわけでございますが、やはり私どもとしては、結局、与えられた陣容で最大の能力を発揮するようにしなければならぬと考えております。そのために、今後人員の充足ということにつきましては、さらに努力していきたい。また、実際に実地検査の進捗をさらにはかるという点からして、実地検査の検査旅費の問題とか、あるいは職員の資質の向上の面で研修をするとか、いろいろ考えなければならぬ点がございますので、そういう点につきましては、さらに一段と努力をしたいと思うのでございます。いままでにおきましては、たとえば農林省につきましては、四つの課を置いてやっております。私ども、国の経費の支出全般にわたることを担当いたしておりますので、さらに今後は検査能力につきまして一段の努力をいたしたい、かように考えます。
  105. 二宮文造

    二宮文造君 会計検査院長、うしろを向いておっしゃっていただいたらよかったような答弁です。実際に倉庫と駅の距離とか、夜間作業の有無とか、資材使用とか、これが全部こまかく積み上げられて運送賃に計算されているわけですね。それを事後、いわゆるそういうことの行なわれたあとで、検査院が実地調査に行って、はたしてそれが正確であるかどうかということを類推できますか。これはどうでしょうか。政府委員の方でけっこうです。
  106. 鈴木治久

    説明員鈴木治久君) 私ども検査を担当いたしております者は、課長を別にいたしまして十二名でございます。
  107. 二宮文造

    二宮文造君 四十六事務所ありますよ。
  108. 鈴木治久

    説明員鈴木治久君) 食糧事務所四十六ございまして、そのうち、昨年参りましたものが、北海道のほか十五事務所の検査をいたしております。やりましたところにつきましては、食糧事務所に備えつけてありますいろいろの台帳とか、いろいろの証拠書類、そういうものを検討いたしまして、実際に運送された距離あるいは保管の状況というふうなものも検討いたしまして、私どもの検査いたしました範囲におきましては、事実はございませんが、類推できるかどうかとおっしゃられますと、三分の一程度を検査いたしたものでございますので、私ども別に心証としてはどうかとおっしゃられますと、そういう事実として、われわれは見ました範囲内でのいろいろの整理状況というふうなものから考えますと、ちょっと私どもここであると類推できると申し上げることは、私としてはいたしかねます。
  109. 二宮文造

    二宮文造君 先ほど距離の問題を問題にしましたが、看貫荷役賃ですね、それから仕訳荷役賃、それから乱体の手直し料、袋の破れたやつ、こういうものについて、検査院として農林省のほうへ、食糧庁のほうへ四十二年の十月に照会されておりますが、そのあらましを説明願いたい。
  110. 鈴木治久

    説明員鈴木治久君) ただいまの御質問でございますが、仕訳賃につきまして……。
  111. 二宮文造

    二宮文造君 どういうものかということ。
  112. 鈴木治久

    説明員鈴木治久君) 倉庫に入り受けから実施する場合に、種類、年度、包装別、等級というふうにいろいろ仕訳するように、運送にあたっていろいろ指示されているわけでありますけれども、この仕訳につきましては、ただいまの包装状況あるいは荷役の合理化というふうな点から考えまして、仕訳荷役賃も運送業者が全部必ず着発ともにやらなくてはいけないというふうな点は、従来一律に積算されておりますので、金額は違いますけれども、一律に積算するという方法をとっておりますので、これにつきまして、先ほど申し上げましたような諸事情の改善あるいは合理化というふうなものから考えて、こういうものはもう少し節減できるのではないか。特にやらしてるところにつきましては別でありますけれども、あるいは、やった実績があるというものについては、それは払うべきでありますけれども、一般的に言って、一律に積算するというふうな点について、ひとつ考慮を願いたい。合理化して実態に合うような積算をしてほしい。要らないものについてはやめてほしい。やるものについては払うというふうな意味の照会を発しました。  それから看貫でございますが、看貫も先ほど申し上げましたように、荷役の合理化というふうな点がありますので、これも必ずしも発着両地において看貫する必要はなかろうというふうに考えまして、一律積算ということにつきましては、先ほどの仕訳荷役賃と同じように再検討の要がある。こういう点を照会いたしました。  第三点の乱体手直し料でございますが、これも四十一年度におきましては、三十九年度の実績をとりまして積算いたしておりましたので、乱体の実態というふうなものについて、もっとはっきり把握した上で、その実際にかかって、実態に即したそういう積算をしてほしい、こういう照会をいたしたわけでございます。
  113. 二宮文造

    二宮文造君 回答は。
  114. 鈴木治久

    説明員鈴木治久君) 回答につきましては、これは食糧庁長官にあてた照会でございまして、これに対しましては、倉庫の仕訳荷役賃につきましては、私どもが申し上げましたように、経費の節減をはかる意味から、さらに実態に即したように積算していきたい、将来におきましてこの点も十分考慮したい、かように回答が参っております。  看貫につきまして、同様に、今後弾力的な運用をはかりたい、かような回答の要旨でございました。乱体手直し料につきましても、今後実態を調査してその適正化につとめる、こういう意味の回答をいただいております。
  115. 二宮文造

    二宮文造君 積算の問題については、会計検査院のほうも漸次当局に対して改善方を要求し今日まで来たと思うのですが、で、当初の質問に返りますけれども、けさの新聞によりますと、もろもろの情勢を勘案して四十三年度からは新たな運送方法を考慮されているように承っておりますが、農林大臣、このことについて。
  116. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 御質問の趣旨は、日通が一手でやっておったのに対して、何らかのくふうなり方法を考えたかという御趣旨のように承りますが、長い間政府の食糧の運送日本通運株式会社に一括契約をしておりました。この理由は御存じのとおり、大量の食糧を全国的な規模で動かすということと、食糧需給というものを、あるいは食糧の配給にそごがないようにという点から、運送人としては、全国的な機構、能力あるいは資力信用、こういうものを勘案して日本通運というものを選定してきた、これはこれなりの理由があったのでありますが、しかし、最近の食糧の事情もございますし、また、通運業界の実情がかなり、何と申しますか、新規業者の能力で、新しい形で何かやろうという機運が十分できてきたように思います。また、運輸省のほうにおいても、そういう動き等もされておる。そういうように平仄を合わせまして、新年度に私どもとしては、何らかの形でこれを新規業者に参加させる、こういう決意のもとに、私はこれを事務当局に命じて検討さしております。これが早急に結論を得まして、その方向で新年度から始めていきたい、こういう考えでございます。
  117. 二宮文造

    二宮文造君 その何らかの方法でというのは、いろいろ考えられると思うのですが、こういう形態とこういう形態、たとえば日通全国通運とを並列的に考える場合と、全国通運を日通の下請として考える場合、いろいろあるのですが、その点についてはどうですか。
  118. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 私はその能力が——しっかり信用、能力、そういうものができれば、並列的な考え方にいきたい気持ちでございます。ただ、これはあくまでも考えようというものを、事務当局と申しますか、いろいろな二者と申しますか、三者と申しますか、集まりまして、昨年の十二月以来、たしか研究会というものを起こしまして、詳細な内部の研究をやっておるようでございます。その結論の煮詰まったところで最終的な方法をきめたいと思います。方向としてはそういう気持ちでやっていきたい、こういうことでございます。
  119. 二宮文造

    二宮文造君 その場合に、全国通運は通運事業認可を受けていないのですが、これでも並列的にできますか、日通と。
  120. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 全国通運は通運事業認可を受けていると私、解しておりましたが、その点は調べさせます。  先ほど申し上げましたように、競争原理を導入するということも、ここで検討すべき時代であると思いまして、司法当局の処断を待って、その方面に向かって処置いたしていきたいと考えております。
  121. 二宮文造

    二宮文造君 農林大臣、いまの件で、たしか通運事業認可を受けていないと思う。それは並列的に並べる場合の障害になりますか。
  122. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 私、細部の研究はまだ報告を聞いておりませんが、全国通運はそういう認可を持っていないとすれば、個々業者というものが契約対象になってきます。そうすると、それらがうまくきちっと事務的な形でいけるかどうかを十分研究してもらわなければならぬ。全国通運そのものを直ちに並列的に持ってくるということは法律的に不可能でありますし、認可も受けていない。
  123. 二宮文造

    二宮文造君 ただ、ここで日通独占していたから経費の節減にならなかったという議論にもならないと思うんです。要するに、当局の姿勢、積み上げ、積算の考え方というものが中心になってくる。したがって、ここで運輸大臣にお伺いしたいんですが、たとえば先ほど距離を問題にしました。こういう政府物資の輸送にあたっては、一般の通運料金のほかに特別に認可料金表をきめて、そうして、たとえば六・〇二キロという場合に切り上げて八キロにするという考え方じゃなくて、六・〇二キロだったら六・一とか、そういう料金表を適用するというふうに指導していく、考えていくという考え方もあると思うんですが、それだけ節減できるわけです。この点についてはどうですか。
  124. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は検討してみます。
  125. 二宮文造

    二宮文造君 検討するんじゃなくて、そういう考え方が好ましいか、繁雑であるか。
  126. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政府の負担が軽くなるという方向は好ましい方向であります。
  127. 二宮文造

    二宮文造君 それから大蔵大臣、通告してありませんでしたけれども、専売公社がやっぱり日通といろいろとこういう元請契約をやっているわけですが、この点についてはどうでしょうか。こういう問題が出てきて、やはりその積算とか荷とかという問題になってきますと、いま食糧輸送で考慮されているような方法もやはり指導されなきゃならぬじゃないかと思うんですが、これはどうでしょう。
  128. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) やはり検討してみたいと思います。
  129. 二宮文造

    二宮文造君 検討はですね、(「見当違いだ」と呼ぶ者あり)それこそ見当違いです。いま、従来、問題になってきたその食糧ですね、この輸送が一つの形になって、専売も防衛庁もその他政府機関もやっぱり元請契約のような形をとっているわけですよ。基本になる国内食糧の輸送の形態が、いま農林大臣がお話になったように再検討の時期にある。そうすると、右へならえのような考え方で前向きに進んでいくと理解してよろしいですか。そういう検討と理解してよろしいですか。
  130. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 申しわけないんですが、いま農林省のやっているような契約で、この専売公社のほうもやっているかどうか、全く同じ形でやっているかどうかをよく存じていませんでしたので、一方そういう問題が出て改善の必要が出てくるということでしたら、この専売公社の輸送契約についても同じような問題があると思いますので、そういう方向で検討して改善したいということでございます。
  131. 二宮文造

    二宮文造君 総理にお伺いしたいんですが、午前中からこの日通にからむいろいろな問題について総理のお耳に入ったわけです。特に私どもは、最後に申し上げた政府物資の輸送という問題が、特に米の場合は食管会計の赤字につながる。どうもお話を承わってみて、国民の側に立った積算という要素が非常に弱かった。この点について、今後、総理がどう指導されていくか、このことをお伺いしたい。
  132. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ先ほど来の質疑を通じまして、農林あるいは大蔵、それぞれ各省も、一括運送引き受けということはこれは長所もありますが、同時になかなか欠点もあると思います。これはよくわかっているだろうと思います。なかなかめんどうくさい問題だろうが、こまかに国民の側に立ってこういう問題と取り組むその姿勢が望ましいし、またそれが成果をあげるゆえんでもあると、かように私は考えます。
  133. 小平芳平

    ○小平芳平君 関連。初め総理運輸大臣からこの問題についての御答弁があったときに、総理は、日本通運というのは戦争中にできた統合された国策会社である、そういうことがいま頭の中にあって、今日の新しい姿を認識してかからなければならないような意味のことを総理は言われましたが、運輸大臣はまた誤解を受けるような事件が起きたとか、誤解を受けるような事業に手を出したとか、誤解を受けるようなというふうな答弁をしておられたわけです。けれども、ずっといま何時間にもわたる質疑応答を通じて、はたして総理が言うような戦争中の統合のその姿が現在の日通の姿、つまり新免業者の株を買い占めた、勧告をされて八年にもなるけれども、そのままか、少し減ったりふえたりしているような現状にあるというようなこの姿、あるいは運輸大臣の言われた誤解を受けるような事件なのか、誤解を受けるようなことに手を出しているのか、誤解なんかないと思う。この際はっきりしたことを指摘されて、いまのお考えはいかがでしょうか。
  134. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私の発言を小平君ちょっと取り違えていらっしゃるのじゃないか。私は運輸省の出身、鉄道の出身ですが、その当時、日通ができたときに、これは日通が国策の独占形態でスタートした。しかし、戦後はそういう日通ではなくて、これは商法に基づく普通の会社です。だから、私どもの見方も昔のような特権を持っておる国策会社、こういう見方をしないで、新しい商法のもとにできた会社として考うべきだ、そういうことを私申したのです。だから、これが戦後特別な使命を持った会社になっておるというのじゃなくて、戦後においては、過去のものから変わって、そうして普通商法の適用を受ける会社になっておるということでありますから、そこは誤解のないように。
  135. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 司法的な措置が最終的に完了するまでは、やはり慎重なことばを使ったほうがいいと私は思いまして、誤解を受けたということばを使ったのであります。しかし、事態はこれは遺憾な事態でありますから、遺憾でありますと表明しておるのでございます。
  136. 小平芳平

    ○小平芳平君 運輸大臣、その買い占めの問題はどうなんですか。
  137. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 七件にわたる株式買い占めの事態については、運輸省の勧告がまだ徹底していないのはわれわれの落ち度でありまして、その点につきましてはわれわれは遺憾の意を表します。また、そういう事件が過去に日通にあったことは、これは穏当を欠く措置でありまして矯正させなければならぬと思います。
  138. 二宮文造

    二宮文造君 総理ですが、商法上の会社と、こういうふうな要素、確かにそれはそうです。ですけれども、ずっと午前中から審議してきましたように、そのバックボーンになるのは、やはり何といっても政府物資の輸送なわけです。それがバックボーンになって今日の日通王国ができた。こういう考え方はだれしも見るところです。したがって、そういう日通との契約にあたっては、政府はそういう疑惑を持たせないように、また国費のむだがないようにやっていってもらいたい。これは再三のお話でありますけれども、あらためてまたお伺いしておきます。
  139. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) その点は私もあなたと同じように、ただ私は一がいにこれが国民のためにならない、こうきめてしまうということはどうかということを私はやや条件をつけておる。総括的に請け負わすということによって、その長所もありますから、その点を一言お忘れないようにということを申し上げたのです。しかし、それぞれの農林省や大蔵省国民の立場に立って、この国費を使う、これがむだがないようにというので努力する、これは当然でございます。そういうことでやるから、これからよくなるだろうということであります。
  140. 二宮文造

    二宮文造君 最後に一問。農林大臣、契約はいつします、四十三年度は。
  141. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) できる限りすみやかに、毎年まあ四月をちょっと過ぎるわけでありますが。
  142. 二宮文造

    二宮文造君 五月。
  143. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 五月でしたかな、四月を越えるんですけれども、新年度になるたけ間に合わせるような形でやってまいりたいと考えております。
  144. 二宮文造

    二宮文造君 次に、国鉄の合理化の問題でお伺いしたいんですが、総理、この間の順法闘争とか、あるいは半日ストですか、そういう問題で、結局は二百万にのぼる大衆が足を奪われたと、こういう結果になったわけですね。それから最近は、何かこうありますと、ストとかデモとか非常に人心を騒乱させるような行為が伴ってくるわけですが、特に今回のストライキは、ちょうど学生諸君の入学の試験にぴたっと合ってしまって、多感な青年に対して、特に土地不案内の人たちに対して相当心理的な影響をもたらしたと思うんですが、このストの模様を振り返って、総理の実感というものをお伺いしておきたいんですが。
  145. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はいわゆるスト権があるとかないとか鉄道の場合に言われておりますけれども、公共企業体が公共の目的を達するのに遺憾ないように努力してもらいたいと思います。ただいま順法闘争だと言われておりますが、私はストライキをするというようなことは許してないと、かように思っております。それらの点は総裁もいらっしゃいますから、十分お聞き取りをいただきたいと思います。
  146. 二宮文造

    二宮文造君 大衆に対して、国民に対して。
  147. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国民に対してただいまのようなたいへんな損害を与える、あるいは混乱を来たす、これはたいへんなことだと思います。まず公共の目的を達するというのは、そういう意味を公企体として十分考うべきだ、これはどこまでも大衆、国民のための機関でございますから、その性格を無視しないように、十分その目的を達するように働いていただきたいということでございます。
  148. 二宮文造

    二宮文造君 国鉄の総裁がおられるようですが、いかがですか、いまの問題。
  149. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) お答えいたします。  今度の闘争によりまして、今度の闘争というのは昨年の十二月以来今度で三回目でありまするが、そのつど多数の乗客の諸君に非常な御迷惑をかけたということはまことに申しわけないことでありまして、私としてはつつしんでおわびを申したいと思います。  順法闘争のことについて申しますか。
  150. 二宮文造

    二宮文造君 総裁らしくないような答弁で、私もあとのことを考えているうちに終わっちゃったんで、もっと長いと思っていたんですがね。ただ今度のストの原因が合理化に始まる、で、組合の方々に伺ってみますと、当局は強力な権力を持っている、われわれとしてはこういう方法を講ずるよりほかにわれわれの立場を守っていくわけにはいかないんだ。ですから、これは労使双方から見た見方があると思うんですが、ただこの場合、国鉄当局としての措置が、やっぱり国民大衆のほうから見ますと、車がとまってるということにおいてはやはり当局に対する非難が強い。私もそう思うんですが、この点に対して当局の責任というものを私はお伺いしたい。
  151. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 国鉄総裁としてもその責任は十分に感ずる次第であります。しかし、二宮さんに申し上げますが、今度のこの闘争の目的は、法律で禁止してあるつまり労働争議、これを順法闘争というもっともらしい名前のもとにやっておるのが今度の順法闘争であります。それで、私から言わせりゃこれは順法闘争じゃないんだ、これは不法闘争なんだ。まるで違う。つまりちゃんとダイヤが組んである。それを何の一体必要があってサボタージュ式にこれをおくらせる必要があるか。ちゃんともう、ずいぶん二分十秒とか三分とかと、こまかいダイヤでありまするが、その中にはちゃんと安全なマージンというものは見ておる。そのとおりやっていけば何ら故障はない。それを故意に、つまりスローダウンする。その結果はどういうことになるかというと、輸送力の減少を来たす、ダイヤの撹乱をする、へたをすると大きな事故の原因をなしてくる。その結果、とにかくこの輸送力というものは非常に激減して大ぜいの人に御迷惑をかけるようになってくる。これは私は実に国鉄職員として考えてもらわにゃならぬことは、われわれ国鉄職員というものは、とにかく輸送のサービスに徹するのがわれわれの仕事なんです。その徹すべき国鉄職員が逆にそのサービスを低下させるということは、これは私は国鉄職員としては慎重に考えなければならぬものだというふうに考えております。
  152. 二宮文造

    二宮文造君 そうしますと、不法闘争というふうな断定をされたら、国鉄当局としては、その責任を組合側にとって処分とか何とかという問題が起きるんですか、今度の場合は。
  153. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) これはただいま取り調べ中でありますので、いまここで私は断言できませんが、はっきりそういうことをした者に対しては、これは再三警告してあるとおり処分せざるを得ぬということに考えております。
  154. 二宮文造

    二宮文造君 組合側に再三忠告をした。ところが今度は当局側にも私は責任がある。組合をそこまで追い込んだ、合理化という計画を立てて追い込んでいった当局側の責任というものが私はあると思うんですが、これはどう調査されておりますか、当局側の責任は。処罰するなら両方だと思うんですが。
  155. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) この問題は二宮さんすでに御承知のことだろうと思いますが、いま急にこの問題を起こしたわけじゃなくて、去年の三月から約十五項目にわたってこの問題を円満裏に解決すべくちゃんと懇談してきたんです。それで、もうすでに今日においては一件か二件残っているだけでありまして、あとの十三件というものは円満に解決している。それを組合のほうでは、今度の合理化というものはこれによって輸送の安全を脅かすものであるとか、あるいは労働の過重を来たすものであるとか、あるいはサービスの悪化を来たすものであるとかいうことを申しておりますが、これはとんでもないことなんです。国鉄の総裁をはじめとして国鉄職員の考えることは、輸送の安全あって輸送ありと、この精神に私は徹していくべきだ。だからして国鉄の組合あたりが輸送の安全を犠牲にして何とかと言うことは、これはもう法外なことで、私は見当違いだと思う。それからまた労働量の過重なんということは逆なんだ、これは。決して国鉄の職員の犠牲においてやるなんということは考えていやせぬ。たとえば実例をもって申し上げれば、保線の仕事のごとき、あれは非常な重労働ですよ。今度あれを機械化して労働量を減らす。ことにこれからは国鉄の現場の労務員というものを手に入れるということは非常にむずかしくなってくる。そこで、それはできるだけ機械化する。近代化する。そうして、あるものはもう国鉄で自分でつくらないで外へ注文する。そして国鉄職員の手を省くというようなことで、絶対にこの国鉄職員の労働量をふやすなんということは考え及ばないことだ。ただ問題は、断わっておきますが、これは配置転換というものがある。これはある意味において私は相当に苦痛を与えるものだと思います。しかし、それも約一割ですよ、五万人のうちで。しかしそれに対しては、本人の希望を聞いて、できるだけ希望の合った職に転ずる。それからまた、自分のうちを離れて仕事を、配置転換される者に対しては、宿舎を建てて、そういう迷惑のできるだけ少ないようにしたいというようなことで、われわれとしては、そういうことについては十分の思いをいたしてやっておるのでありまして、それを組合から、どうも国鉄職員の犠牲だとかなんとかというようなことを言われるのは、はなはだこれは迷惑千万。特に、輸送の安全を脅かすなんということは、これは全然問題にならぬ。  事実われわれがやってきたところをごらんなさい。いかにわれわれというものが、私は国鉄総裁になってから、輸送の安全ということに徹したことをやってきたか。たとえば青函連絡船のあのぼろ船で、一度に人を千人も運んでおるような船、いつぶくぶくやるかわからぬ。これをたちまちのうちに日本で一番いい船をあそこへ置いた。あるいは宇高連絡船のごとき、あれは実に危険なところだ。霧が多くて、そして船が多くて、そして門司−神戸問の船が来る。横っ腹に突き刺す、そういうようなところ、そういう危険があったのだ、いままでは。そういうものに対しては、船にやられても沈まないような、不沈艦式の船をつくる。いかにこれは国鉄輸送の安全というものについてやっているか。これは例をもって示さぬと、あなた方は御了解くださらぬと思うから私は申し上げるのだが、過去六年の間に、輸送安全措置のために千八百億使っておる。これから四十六年までの間に二千億使おうというようなことで、これは至れる尽くせりですよ、輸送安全措置のために。そういうことで、ひとつ組合のほうに対しては、われわれはちゃんと事実をもってし、理を説いて、円満のうちにこの問題を解決しよう、こういうことなんで、組合のほうもそんな短気を起こさないで、もう少しよく考えてやればいい、こういうことなんです。
  156. 二宮文造

    二宮文造君 総裁、この写真見てください。いいところばかり総裁おっしゃったけれども、今度のストの写真を見てください。総裁はいま、いいところの例といいますか、私ども一がいにそうは思えないのですが、そういう面を取り上げて、安全である、また、組合側の言い分がいかにも不当のような言い分でしたけれども、私どもはやっぱり日々の新聞報道を通じまして、そうは受け取れない。第一、現在の山手線だとか中央線の混雑ぶり、これは危険きわまりない。軽わざ運転だ、曲芸師の運転だ、これは評判ですよ。こういうものをわれわれは目の前に見ているわけです。したかって今度の合理化ということで、配置転換というようなことになってきましたら、やはり組合側で指摘されることも正しいと思わなきゃならぬ面も出てくるわけです。ですから、ただそういう労使の話が、結局大衆の足を奪うという行き方になってしまう。ここが問題だ。この点について当局としては何か打開策を講ずる必要があるのではないか。ただ一片の新聞広告のおわびだけ、あるいは総裁が、つつしんでここでおわびをしますと言っても、今後はまた紛争が予想されるわけです。今後の紛争に対しては乗客にどういう、迷惑をかけないように、あるいは周知徹底の方法とか、民放を使ってもいいと思うのです、定時的に、交渉はこうである、あるいは政府はこうであるとか、大衆に迷惑をかけないという意味の当局の処置があると思うのですが、その点はどうですか。
  157. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国鉄の順法闘争に対する見解を申し上げたいと思いますが、昭和三十二年の九月に、閣議了解でこれらの問題に関する見解を発表しているのであります。「公共企業体等の職員の労働組合の争議行為等について。」、それで公共企業体の組合の争議行為は、これは禁止されているわけなんで、法律で。その中の争議の態様として、勤務時間内職場大会あるいは休暇闘争、あるいは遅刻戦術、早退戦術、定時出勤、あるいは超過勤務拒否闘争、それから順法闘争等々について、これらは違法であるというふうに政府は断定しているのであります。  特に順法闘争につきましては、「従来の業務運営の慣行が法令又は業務上の規程の合理的な解釈から正当と認められてきている場合に、組合の指令等に基づきその主張を貫徹することを目的として、職員が当該の法令又は業務上の規程をほしいままに解釈して従来の業務運営の慣行を違法であると主張し、その慣行を無視してほしいままの仕方で業務を行い又はなすべき業務を行わないいわゆる順法闘争は、業務の正常な運営を阻害する行為であるから、争議行為である。」、争議行為は違法ということになっているのであります。こういう関係からいたしまして、今回の国鉄の合理化の問題に関する組合のやった行為は、明らかに順法闘争と称して行なっており、かつ出てきた結果は、あのように不測の迷惑を国民大衆に与えているのでありまして、政府といたしましては、これらの行為は違法であるから、やはりやめてもらわなければならないと思いますし、国鉄としても、その事務規則等に従って処置すべきものは処置すべきものであると、私は考えます。  いま二宮さんのお話を承りますと、現在の実情がこうであるからとか、あるいは動機がこうであるから、これらの行為はやむを得ないのではないかというふうに一般国民に響くと思いますが、私は、その点はやはり法治国家として、はっきりしておくことははっきりしておかなければならないと思うのです。つまり法に違反する行為はやってはならないのだ。動機がいいからといってそれは見のがさるべき問題ではないのだ。その点は明らかに違法であるから、守らなければならない。しかし、ほかの面で、その面を矯正すべきものは労使関係の協議等において矯正すべきであって、それらの手段が正当であるというふうに解釈することは間違いである。こういうふうに私は考えますので、念のために申し上げたいと思います。
  158. 二宮文造

    二宮文造君 運輸大臣がひょこっと飛び出されたので、私も言いたいのですが、私はそういうことを問題にしてないのです。労使間には双方に言い分がある。これはわれわれお客の立場から言いますと、内部問題です。しかし、そのとばっちりがいわゆる通勤者の足にくる、これが問題だ。したがって、それをどう改善していくかという改善策というものを考えているかどうか。あるいはストの場合、ああいうふうにとまった場合に、国鉄なり運輸省なりが、一般大衆に対してどういうふうな周知徹底のしかたをしたか、迷惑をかけないようにどういう努力をしたか、この問題なんです。たとえば通達一つにしても、交渉の経過がどうである。五時四十分に解除された。これにしても当局の責任ある周知徹底はないのです、ニュース解説的なものはあっても。こういうところが、大衆は非常に迷惑をする。内部問題と、それから大衆との問題、分けて考えていただきたい。この点どうですか。
  159. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) その問題は、担当常務の井上常務から説明をいたします。
  160. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) お答えします。  先ほど来、当局と組合との団体交渉のやり方に、まあ大衆不在の団体交渉をやっているというようなことで、非常な迷惑をかけているじゃないか。また、事前にそれを国民の皆さま方に知らせる、周知徹底させる方法はなかったであろうかというようなお尋ねがあったように思いますが、私どもの立場といたしまして、まず基本的に考えなければなりませんことは、先ほど来総裁も、また運輸大臣も申しておりますように、本来法律で禁ぜられているこのストライキ、違法の争議行為をやってもらっては困るということ、これは、ぜひやめてもらわなくちゃならぬということ、これをやめてもらえばこれはもう問題は解決するわけでございますから、それについては再三総裁からも警告書を出しました。また副総裁みずからも組合の幹部を呼びまして、そういう違法なことはやめてもらいたいということも繰り返し申しましたけれども、ついに組合の了承するところとならず、御承知のとおりの結果になったのでありますが、もし組合の計画いたしておりますとおりのストになればこういうふうな事態が生ずるということは、私どもといたしましても国民の皆さまに周知させる義務がございます。したがいまして、私どもといたしましては、新聞記者クラブにもこれは詳細に発表いたしました。また私も、今回の場合はテレビの全チャンネルに出ましていろいろ事情も御説明いたしました。いたしましたけれども、まあああいう結果になったということについては、これはやはり国鉄全体として私どもの責任はやはり感じなくちゃならぬ、かように存じております。また、先ほど先生のお話のありました、特に今度の問題の三月二日の時点、あるいはまた二十三日の時点が、純真な学生が大学を受ける、この大学の受験日に相当しておるということも、私どもは十分承知いたしております。したがいまして、事前に文部省当局のしかるべき筋に私どものほうからも連絡させましたし、また私学関係には私学総連のほうにも連絡させてはおります。また、駅頭にもいろいろ掲示を表示いたしまして、組合の計画によればあすはこういうことになるから、ひとつ皆さん方もそのおつもりで行動いただきたいということも、関係の駅の駅頭に掲示を出しておりますが、遺憾ながら結果としてはああいうことになったということにつきましては、重ねて深くおわびを申し上げます。
  161. 小平芳平

    ○小平芳平君 関連。全然そのお答えがかみ合わないのでお聞きしたいのですが、総理もよく国鉄内容を御存じですから。それは、組合との交渉にいまのように言われるということは、そういうことはあろうと思います。しかし、いまここで二宮委員の質問していることは、国民大衆の立場でこの問題を考えた場合に、いま総裁も、大臣も、常務も言われるように、ただ組合が違法だ組合が違法だでこの問題の解決になるかということをお聞きしているわけです。それじゃ、法治国家だから規則どおり——それはもちろんそうです。それではいまの、先ほど指摘したように、山手線にしても、中央線にしても、総武線にしても、あの混雑する、それは法規上何人が安全ですか、またそのとおり法規上の安全が守られているわけですか。あるいは、そのストライキが解除になったと、けれども何時間たって動き出したわけですか。それは、そのときに限らず、大雪の朝もそうでしたけれども、問い合わせても汽車は出ません汽車は出ませんの一点ばりで、何のことはない、八時何分に発車している汽車もあったわけです。そういう点も、国鉄の当局者としてそうした乗客に対してどういう考えが必要か、態度が必要か。特に組合のそうした幹部といいますか、とにかく争議行為を行なったから処分するというように総裁はここで断言なさるけれども、しかし、国民大衆としては何も組合から切符買っているのじゃないですから、そういう場合に、迷惑を受けたことに対して、総裁として、あるいは管理の責任ある立場のそれぞれの人たちの責任をどうなさるのか、こういうことをお聞きしているわけです。
  162. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) お答えいたします。いまのお尋ねのまず第一点でございますが、組合がストの中止命令を出しましても、直ちに列車の正常運行をやるということは、これは実際問題としてむずかしいのでございます。四時ごろの始発から——大体まあ組合が、国労のほうで中止指令を出しましたのは五時四十五分でございますけれども、これが現地に——組合の連絡でございますけれども、これが現地のほうに到達いたしましたのは約三十分おくれております。まあそれにいたしましても、その時点で列車が正常運行を開始できるかといいますと、これはそれまでに非常に列車が乱れておりまして、また車庫に眠っております電車を急に引っぱり出して正常なダイヤに乗せるということも非常にむずかしい面がございます。どうしてもこれは事実問題として二、三時間は列車は混乱いたすのでございまして、この点は事実問題としてひとつ御了解いただかなくちゃならぬと思います。  また、その根本において、組合をなぜああいう窮地に追い込んだのか、当局のやり方に反省すべき点があるのじゃないかというお尋ねが先ほど来あったように思いますけれども、この点は今度の近代化計画についての内容を少し説明さしていただきませんと御了解いただけない面があるのじゃなかろうかと思いますが、もしお差しつかえなければわがほうの近代化についての考え方を説明いたしたいと思いますが、お許しあれば御説明いたします。
  163. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 簡略に願います。
  164. 二宮文造

    二宮文造君 近代化じゃない、乗客の迷惑をどうするかという問題です。
  165. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 乗客の迷惑については、これは私ども万全の策を講じてできるだけ早い機会に正常な運転を開始いたしたいという努力をいたしておりますけれども、やはり四時から六時ごろまでの時間が、その間の列車が乱れておりますと、直ちに正常な運行はなかなかむずかしいということを事実問題として御了解いただきたい、かように申し上げておるわけでございます。
  166. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと議事進行。  小平委員が御注文をしたのは、二宮委員の質問に答えておらないので、正しく答えてもらいたいという注文なんです。それにお答えしなければ進みませんよ、同じこと繰り返したって。
  167. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) ですから、先ほど来御説明申し上げておると思いますけれども、もしそれでは不十分であるといの点がございますならば、おそれ入りますが、もう一つそれならばどこがどうだということをお尋ねいたします。
  168. 二宮文造

    二宮文造君 いいですか、委員長。もう一度言ってくれというのです。——じゃあね、結局ですね、今回の問題については労使双方に「おのおの言い分がある。それはそれで、労使双方でその交渉をし、妥結をしてもらえばいいことである。ただ、それが直ちに国民の足に響いてくる。今後もそういうことが予想される。したがって、いままでの問題は別として、今後そういうふうな紛争、またそれが大衆に響くと思われるときには、国鉄はどうするか、これを伺っているわけです。たとえば、方法としてですね、周知徹底をはかれと、具体的な話もしたわけです。それは、あなたはテレビの各チャンネルに出ました。出たって、それは交渉の経緯を説明するだけであって、当局の立場を説明するだけであって、国民が疑問に思っている、迷惑に思っている点についてはひとつも触れていない。触れたのは、二十六日付の新聞のおわびだけです。これでは、踏まれて、けられて、たたかれて、国民はどこに持っていけばいいのだ、やはり当局に責任があるのじゃないか、こう私はさっきから繰り返しておるわけです。これに対して確たる御答弁がないわけです。
  169. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) その点につきましてですね、やはりその交渉の中身を申し上げませんと御了解いただけないと思うのでありますけれども、これは時間がありませんから申し上げませんが、そもそもですね、それはもうはっきり申し上げて、今度の近代化の提案を当局が撤回すれば、これはもう問題は完全にないわけであります。しかしながら、これはそうはまいりませんので、できるだけ話をつけて、それで組合と、組合がストを計画いたしておる、その開始の前にわれわれとしてはできるだけ話をつけたいということで全力をあげてやったわけでございますが、それは遺憾ながらそういうことにならなかった。  今後の問題でございますが、今後やはりまず組合に対してば違法なストはやってもらっては困るということを極力言わなければなりませんし、また、できるだけ私どもとしては話し合いで解決していきたいと思いますけれども、これは相手のあることでございますから、私だけでそういうことを申し上げるわけにはまいりません。
  170. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) こういう問題が起こらないようにする、そして大勢の人に迷惑をかけないようにするということは、これはやろうと思えばわけはない。要するに、組合の要求を聞けばいいんですよ。その場合に国鉄はどうなんだ。一体私は国鉄総裁としてそういうことはできませんよ。それは組合の言うほうが合理的で、どう考えてもわれわれのほうが間違っているならこれはもう何をか言わんや。しかし、われわれのほうの言うことが間違いないということであるならば、これは国鉄の経営の合理化をやるということは私のほうの大責任だ、これはやらざるを得ない。それはもうそのために組合が労働争議に訴える、法を犯すというようなことなら、これは何をか言わんやだ。ひとつこれは組合としても考えてもらわなければならない。
  171. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) お話しのポイントはこういうことだろうと思うのです。つまり、両方で交渉し合っておる。去年の十二月から合理化の話し合いを両方で進めておる。したがって、その話がずっと続いている中で最後の一、二点——現実には二点です。電修場その他の修理の問題。もう一つは、機関助士をやめるかやめないかという問題。国鉄労働組合にとっては一番たえられない山場にさしかかってきている。ところが、国鉄のほうといたしましては、将来計画及びその他諸般の計画を見てこれをやらないと合理化ができない。そういう形で両方で交渉して、十数項目のうちその二つくらいが最後に残ってきた。たまたまそのシーズンに子供の入学試験やその他の大事なシーズンにさしかかってきた。しかし、国鉄のほうはそれを引かない。組合のほうも引けない。そこで破裂点みたいになってきて、実力行使と称して社会の注目をひくような事象がここに起きてきている。そこで、それでは運輸大臣としてどうしたらいいか。私はこの問題をわきですっと見ておりまして、運輸省はどうすべきかということをずっと検討してまいりました。また、政党その他におきましては、運輸省はこれこれしろというような御指示を持ってきたところもございます。しかし私は、ずっと交渉の中身を見ておりまして、この交渉の中身が、労使のやるべきことでないことをやっておるなら、私は出ていかなければならないと思いました。しかし、中身は労使で交渉すべき中身であるのであります。逸脱はしておらないと私は判定いたしました。そうであるならば、これは公共企業体労働関係法のワク内において労使で話し合いを進めていただくべき問題なんです。それが自分たちのやり方に合わぬといってお客に迷惑をかけ、違法なことまでやるということは、これは国家として見のがすべきでない事態であると、そう考えておりまます。だからといって、その労使の話の内容まで私たちが介入することは適当なことでないから介入しないで見守っておりますが、しかし、違法な行為は違法な行為であるということははっきりしておきませんと、国民の皆さんの判断を迷わしますし、それでは法治国家の基礎が失われるからいま私は申し上げたのであります。そういうふうに、現在の国鉄の労使の関係の交渉というものは、合法のワク内で行なわれているものが、ある時期になるとそれが行為として逸脱してきているものが出ているという現象なんで、その逸脱して国民に迷惑をかけるということはやめていただかなければならない。そうしてそれを前提にした上で労使の話の内容をさらに進めていただく。これが正常な形であると私は思います。
  172. 二宮文造

    二宮文造君 交渉の中身を私は聞いてるんじゃないんです。それが直ちに国民の側に響いてくる、これを国鉄はどう処理していこうとするのかという問題です。
  173. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) これは結局、組合をして善処する。善処するということは違法行為はやらないようにする、どこまでも国鉄と話し合いをつけていく、こういうこと以外に私は方法はないと思う。二宮さん、あなたが国鉄総裁ならどうしますか。
  174. 二宮文造

    二宮文造君 私は話しますね、私はみずから国民に呼びかけますね、総裁として。そういうことを私は言っているわけです。
  175. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) どういうふうに話しますか。
  176. 二宮文造

    二宮文造君 国鉄側のサービスがないんです。
  177. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 別に御指名ございませんけれども、この公衆に対する関係におきましては、ひとり経営者ばかりが矢面に立つわけではございません。組合の諸君も同じように、労使双方が一体となって初めて国鉄企業というものがある。だから、そういう意味でこの問題を見ていただかないと、そう経営者だけお責めになりましても案が出てこない、かように私は思います。
  178. 二宮文造

    二宮文造君 私、別に責めているつもりはないのです。同じことを言うのですよ。責めているつもりは一つもないのです。その労使の交渉は、いまは合理化の問題で労使が交渉していますね、将来も出てきます。その飛ばっちりが大衆に行く。その場合に当局としても大衆に働きかける方法があるんじゃないか。迷惑かけないようにする、その点が従来ないがしろにされているから国民は混乱する。——答弁だけ、いまの分だけ言ってもらって。
  179. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) この問題につきましては今後とも最善の努力をいたしまして、よく組合との間に平和的に解決することに努力をいたしたいと存じます。
  180. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは諸般の事情がございますので、本日の質疑はこの程度にいたしまして、次回は来月二日続行いたしますが、なお、その間におきまして暫定予算が来ました場合は、明後三十日に審議をする予定になっております。  これにて本日は散会いたします。    午後二時五十九分散会