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1968-05-17 第58回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十七日(金曜日)    午前十時十分開議     —————————————議事日程 第二十二号   昭和四十三年五月十七日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(昭和四十三    年十勝沖地震被害状況について)  第二 国務大臣報告に関する件(原子力潜水    艦佐世保港入港に伴う放射能調査につい    て)  第三 昭和四十一年度一般会計予備費使用総調    書(その2)(衆議院送付)  第四 昭和四十一年度特別会計予備費使用総調    書(その2)(衆議院送付)  第五 昭和四十一年度特別会計予算総則第十条    に基づく使用調書衆議院送付)  第六 昭和四十一年度特別会計予算総則第十一    条に基づく使用調書(その2)(衆議院    送付)  第七 昭和四十二年度一般会計予備費使用総調    書(その1)(衆議院送付)  第八 昭和四十二年度特別会計予備費使用総調    書(その1)(衆議院送付)  第九 昭和四十二年度特別会計予算総則第十一    条に基づく使用調書(その1)(衆議院    送付)  第一〇 昭和四十一年度一般会計歳入歳出決    算、昭和四十一年度特別会計歳入歳出決    算、昭和四十一年度国税収納金整理資金受    払計算書昭和四十一年度政府関係機関決    算書  第一一 昭和四十一年度国有財産増減及び現在    額総計算書  第一二 昭和四十一年度国有財産無償貸付状況    総計算書  第一三 関税及び貿易に関する一般協定のジュ    ーネーヴ議定書(千九百六十七年)及び関    係交換公文締結について承認を求めるの    件(衆議院送付)  第一四 関税及び貿易に関する一般協定第六条    の実施に関する協定締結について承認を    求めるの件(衆議院送付)  第一五 千九百六十七年の国際穀物協定締結    について承認を求めるの件(衆議院送付)  第一六 国有林野事業特別会計法の一部を改正    する法律案内閣提出衆議院送付)  第一七 旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改    定に関する法律の一部を改正する法律案    (内閣提出衆議院送付)  第一八 最低賃金法の一部を改正する法律案    (内閣提出衆議院送付)  第一九 身体障害者福祉法の一部を改正する法    律案内閣提出衆議院送付)  第二〇 国立光明寮設置法の一部を改正する法    律案内閣提出衆議院送付)  第二一 理容師法及び美容師法の一部を改正す   る法律案衆議院提出)  第二二 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関    する法律案内閣提出衆議院送付)  第二三 都市計画法案(第五十五回国会内閣提    出、第五十八回国会衆議院送付)  第二四 都市計画法施行法案内閣提出、衆議    院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣報告に関する件(昭和四十三年十勝沖地震被害状況について)。  田中国務大臣から発言を求められております。発言を許します。田中国務大臣。    〔国務大臣田中龍夫登壇拍手
  4. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 十勝沖地震被害状況につきまして御報告を申し上げます。  初めに、今回の地震によりまして、不幸にもおなくなりになられました多数の方々に対しまして、つつしんで哀悼の意を表しますとともに、罹災されました方々には、政府といたしまして、でき得る限りのことをいたしまして、一日もすみやかに立ち直っていただけるように努力をいたす所存でございます。  まず、地震の概況につきまして御報告をいたします。  十六日午前九時四十九分ごろ、北海道襟裳岬南東方約百五十キロメートルの海底を震源といたしまして、規模七・八の大規模地震が起こりました。この地震によりまして、苫小牧で震度六、浦河広尾、函館、青森、八一尺盛岡では震度五でございました。この地震発生に際しまして、北海道東北地方及び関東地方太平洋沿岸に対しまして津波警報を発表いたしたのでございますが、最高の津波岩手県の宮古の約二・五メートルで、その後は次第に減少したのでございますが、十九時三十九分ごろに再び余震が発生いたしまして、その規模は七・五、浦河広尾震度五でございました。との地震によりまして、午前の地震と同地域津波警報を発表いたし、警戒に当たったのでございます。  この地震による被害は、北海道青森県を中心に、岩手県、宮城県、秋田県に及びまして、現在までに判明いたしました一般被害は、警察庁の調査によりますると、死者三十八名、行くえ不明九名、負傷二百二十五名、住家全壊が百七十八棟、同半壊が七百八十八棟、同全焼十三棟、同半焼十一棟、床上浸水九百十一棟、罹災世帯が二千二百八十二戸、罹災者九千三百十八名などと相なっております。  次に、施設被害でございますが、まず、電信電話被害を受けまして、盛岡以遠市外通話並びにTV放送が不能と相なりました。  国道につきましては、北海道では国道三十六号線外十一路線東北地方では国道四号線外九路線被害を受けました。  文教施設につきましては、二百三十二校が被害をこうむりました。  鉄道につきましては、二十一線区八十一区間不通区間を生じたのでございます。  航空関係につきましても、一時、運航を中止いたしたほか、船舶被害もかなり生じたのでございます。  政府といたしましては、この災害を重視いたしまして、直ちに災害対策基本法に基づきまする「一九六八年十勝沖地震非常災害対策本部」を総理府設置いたしまして、本部長には私が就任いたし、副本部長には八木総理府総務長官川野北海道開発政務次官谷垣厚生安倍農林金子運輸仮谷建設の各政務次官を当てまして、応急対策を強力に推進いたすことにいたしております。  また、被災地のお見舞い並びに現地調査のために、政府調査団を本十七日に派遣いたしました。  まず、北海道班には北海道開発政務次官川野三暁君を団長といたし、東北班には総理府総務長官八木徹雄君を団長といたしまして、団員にはそれぞれ関係省庁担当官を当てております。  次に、現在までにとっておりまする措置を簡単に御報告をいたします。まず、自衛隊の派遣につきましては、北海道青森県で給水活動救出活動輸送活動実施中でございます。通信対策につきましては、鋭意復旧中でございますが、災害救助法の適用につきましては、八戸市に適用し、救助活動実施中でございます。交通対策につきましても、国道については一部の個所を除きまして復旧いたしております。国鉄は現在、五線区四十一区間不通区間を除いて運行いたしております。航空関係もほぼ平常どおり運航いたしております。また、米穀、乾パン等応急食糧につきましても万全の措置をとることといたしております。  以上、現在までに判明いたしております被害状況措置につきまして御報告をいたしましたが、被害状況を的確に把握いたし、その対策につきまして遺憾のないよう、今後とも努力をいたす所存でございます。(拍手
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。大竹平八郎君。    〔大竹平八郎登壇拍手
  6. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、昨日の十勝沖地震対策について、若干の質問を行なうことといたします。  昨十六日午前九時四十九分ごろに発生いたしましたこの地震は、マグニチュード七・八ということであります。これは去る昭和三十九年の新潟地震の七・三を上回り、大正十二年の関東大震災の七・九にまさに匹敵する大地震であります。被害状況につきましては、ただいま政府より御報告がありましたが、私の見るところでは、今回の地震の特色は、その被害地域がきわめて広範囲にわたっておるというところにあると存じます。おそらく、まだ判明していない被害相当にあるのではないか、時間の経過とともに被害の数字は一そう大きなものになるのではないかと憂えるのであります。  私は、まず、この地震によって不幸にもとうとい生命を失われた方々に衷心より哀悼の意を表したいと思います。また、負傷された方々家屋の崩壊、火災、家財の喪失など、財産上の損失をこうむりました方々に対しまして、深く御同情を申し上げ、心からお見舞いのことばを申し述べたいと存じます。  私は、まず最初に総理お尋ねをいたします。  政府は、災害対策本部設置すること、また政府調査団を派遣することを御決定になりました。そこでお伺いいたしたいのは、さしあたって最も必要とすることは、緊急の救援対策でありますが、政府としてこれまでにいかなる御処置をおとりになったか、また、いかなる処置をとろうとしておられるか、お聞かせ願いたいと思います。緊急措置のうちでも最も急を要しまする問題は、食糧、衣類、寝具など、罹災者にとって一日もなくてはならないものが円滑に供給せられておりましょうか。万全の処置が講じられておるかどうかでございます。今回のように、被害広範囲にわたりますと、日用の物資あるいは応急建設資材について、不当な暴利をむさぼる者が出てまいります。これは、はなはだ遺憾なことであります。供給の点で政府として必要な措置をとると同時に、暴利取り締まりにつきましても、十分な配慮を加えなければならないと存じますが、総理のお考えを承りたいと思います。  また、政府は、現地調査団を派遣することをおきめになりましたが、これはただ名のとおり、単に調査を行なうにとどまるというのであれば、ややもの足りない感じがいたします。政府の特派する出先機関といたしまして、現地において応急措置の決定なり、指揮を行なう権限を持つものであってほしいと思うのでありますが、この点はいかにお考えでありましょうか、お伺いいたします。  なお、災害復旧に必要な経費につきましては、予想外のできごとでありますから、予備費の支出ということは当然でありましょうが、はたして予備費だけでこと足りるでありましょうか。財政硬直化のおりからではありますが、それがために災害対策に欠くるところがあってはならないと思います。財政措置を含めて、災害対策全般に取り組む総理のお心がまえを、この際お聞きいたしたいと思います。  次に、厚生大臣お尋ねをいたします。  この種の災害が起こった場合に最も心配されますることは、悪疫発生であります。新聞等報道を見てみますると、各地において水道がとまったところがあるようであります。被災地における飲料水の不足からくる悪疫の流行を未然に防止するためには、緊急な防疫対策実施することが急務であります。今朝のテレビの放送によりますれば、八戸市のある病院のごときは、水がないために患者に薬一服与えられないということが放送せられております。また、水がないために食事もできずに、パン一きれをかろうじて与えるという、こういう事実も放送されておるのであります。私は、かつてチリ地震の三陸におけるところの大津波の際、特派せられまして、なまなましい現状を見てまいりました。いかに水の問題を中心としてのこの防疫施設が大切であるかという問題を、私は、まのあたりに見てきたのでございます。この際、この防疫対策並びに医薬品等に対して、その手配が十分にできておるかどうか、これをお伺いいたしたいのであります。  次に、建設大臣お尋ねをいたします。  第一に、今回の地震によって各地道路相当被害を生じ、土砂くずれ、亀裂によって、いまなお不通になっておりまするところがあります。全般的な被害状況並びに復旧見通しについて、お伺いをいたしたいのであります。  第二に、河川堤防被害はどの程度のものであったか。堤防の決壊など二、三報じられておりますが、しかし、地震の影響は、いま直ちにあらわれたものだけに限らないと、私は思うのであります。もう間もなく出水期が始まります。いま見過ごされた損傷が、出水期に大きな災害を招かないとも限らないのであります。万全の予防対策が必要であると思いますが、今後の方針についてお伺いをいたしたいと思うのであります。  第三に、建築物についてであります。住宅復旧については、罹災者の最も強い要望であると存じます。その復旧についての御方針をお聞かせ願いたいと存じます。建築物につきましては、私昭和四十三年五月十七日 参議院会議録第二十一は、昨日の夕刊で函館大学の四階建ての校舎の一階が押しつぶされて、三階建てになった写真を見たのでございます。非常な驚きを覚えました。新潟地震の際にも、四階建てアパートが倒れたことがありましたが、あれは軟弱な地盤の上に建ち、基礎工事が十分でなかったためでありまして、構造体自体はこわれてはおらないのでございます。ところが、函館大学は一階が押しつぶされておるのであります。現行建築基準法に、例の関東大震災の経験にかんがみまして、今回程度地震にも十分耐え得るだけの強さを要求しておるはずであると、私どもは聞いております。函館大学の例から見て、建築基準法の定める基準そのものを再検討する必要はないのでありましょうか。それとも函館大学工事に手ぬかりがあったのでありましょうか、御所見をこの際伺いたいのであります。  次に、郵政大臣お尋ねをいたします。  まず、今回の地震による被害状況並びにその復旧見通しはいかがでありましょうか。今回の地震に際して、わが国の電信電話施設の現況について、私は若干の不安を抱かざるを得なかったものであります。新聞報道によりますと、地震の直後には盛岡以北のすべての地方東京との電信電話は、一時全く不通となったということであります。被害が特に激甚であったある一部の都市との通信がとだえるということは、あり得ることでありましょう。しかし、盛岡以北東北地方北海道全域との電信電話不通になるということは、異常な事態でありまして、緊急通信のための施設に不十分な点があるのではないかと疑わざるを得ないのであります。今回のような全面的な不通というのは、どこにその原因があるのか、すみやかに究明する必要があると思います。御所見を承りたいと思うのであります。  最後に、運輸大臣お尋ねいたします。  第一は、今回の地震によりまして鉄道施設にもかなりの被害が生じたようであります。全般的に被害状況はどの程度であったか、また、その復旧見通しはどうか。  第二に、被災地への緊急物資輸送が当面の問題でありますが、鉄道輸送道路輸送になお支障がありますとするならば、海上輸送、あるいは必要に応じ、航空機による輸送考えなければなりません。ともかくも緊急輸送には万全を期さなければなりませんが、十分な手配がなされておるのでありましょうか、お尋ねをいたします。  第三に、これは当面の問題のはございませんが、地震の予知、予報ということは、現在の科学技術をもっていたしては、まだ困難なのでありましょうか。このような大地震を経験するたびに、そういう点を痛感いたします。本年の予算のごときは、その施設が逆に三四%も削減をされておるという事実もあるのでございます。その点をお伺い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま大竹君が御指摘になりましたように、今回の地震はたいへん大きな地震であり、また被害を受けましたその地域もまことに広範でございます。私は、ただいまのお尋ねにお答えいたします前に、一言罹災者方々に対しましてお見舞いを申し上げたいと思います。  申すまでもなく、この地震によりましてとうとい生命を失われた方々の御冥福を心から祈り、同時にまた火災地震等によりまして、財産家屋を失われた、あるいはまた多数の負傷者を生じたのでございますが、これらの方々に対しましても心からお見舞い申し上げます。どうか、これらの方々早期にこの災害から立ち上がられるように心からお祈りする次第であります。  ところで、ただいま具体的な問題につきまして詳細なお尋ねがございました。すでに御承知のように、政府におきましては、対策本部を設ける、あるいは現地調査団を派遣する、また、中央におきまして、その本部設置に伴いまして、各省の連絡会議を開いて緊密な対策を立てております。しかし、何ぶんにも、ただいままでのところ、きょうはもうだいじょうぶですが、いままでは通信網がこわれている、あるいは交通等もなお十分整備されて回復しておりません。そういうような点がありまして、実情を把握するのにたいへん困難を来たしておりますが、しかし、急ぎ実情の把握をいたしまして調査し、その状況に応じてそれぞれ必要な対策をとるつもりでございます。ただいま御指摘になりましたように、何と申しましても、広範であり、激甚でございますから、まずその基本的な施設を整備すること、交通通信、さらに、ただいまの水等の問題、基本的な問題と取り組む、この早期復旧住宅の問題につきましても、これまた早期復旧ということを目ざしまして、これと真剣に取り組まなければなりません。まあ、そういう意味からも、金融あるいは資材等確保についても注意しなければならぬと思います。  お話のありました寝具あるいは食糧等状況でございますが、それらにつきましては、まず地域的に十分確保できるのではないだろうか。地方庁に対しましても、これらの確保について遺漏なきを期するようにいたしております。  なお、生鮮食料品確保、ことに、この地域は、蔬菜等につきまして、他地域からただいまでも供給を仰いでいる地域でございますので、これについて特に気をつけなければならぬだろう、こういうように思って農林大臣も意を用いております。  さらに、物価の問題についてもお触れになりましたが、申すまでもなく、需給の円滑な計画をはかれば、物価問題は非難を受けるような問題を起こさないと思いますが、需給の問題としてこれと取り組んでおります。  また、調査団を派遣いたしました場合に、現地において緊急な措置を要するような場合には、もちろん、その調査団が緊急な措置をとっていい、かように思いますけれども、いずれにいたしましても、基本的には、調査早目に完了いたしまして、そうしてこれに対する財政的措置をとらなければならぬと思います。総合予算主義をとりましたけれども、かような問題が起こりましたので、この調査復旧に万全を期するという意味におきまして、予備費等使用だけで万一足らないということがあれば、さらにさらにくふうをするつもりでございます。(拍手)    〔国務大臣園田直登壇拍手
  8. 園田直

    国務大臣園田直君) お答えをいたします。  飲料水につきましては、直ちに給水タンク車及び自衛隊給水車を出動して、地域飲料水確保を期しておりますが、さらに逐次準備をするつもりであります。水道の破裂は、地中にありまするので、発見は困難でございまするから、場合によっては、厚生省はじめ、その被害地並び東京都をはじめとする各技術官協力を願って、動員する準備をいたしております。昨晩までの報告では、わりに短期間に復旧できるという見通しをつけております。  それから防疫については御指摘のとおりでございますので、ただいま防疫官を派遣して、現地の消毒あるいは清潔の方法等実施、あるいはその他の指示をいたしておりまして、伝染病早期発見及び防止の体制をしいておりまするが、ただいま的確な情報ではございませんが、十和田市と申しまするから、弘前大学ではないかと思いまするが、ここで培養しておりました細菌が川に流れたという情報がございますので、直ちに電話をもって調査中でございます。  医療につきましては、日赤の救護班及び隣接地域救護班等の動員を願って万全を期しておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣保利茂登壇拍手
  9. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 道路につきましては、県道以下の地方道についても相当被害があると存じますけれども、まだ的確な実情が把握できておりません。国道に関しましては、国道四号線はじめ十六本ほどいたんでおりますけれども、大体は路面の亀裂でございまして、交通確保が一番先行すべきことと存じまして、昨日来、復旧努力いたしております。きょう中には留萌と網走の間の二百三十九号線を除きまして、全部一車線の交通確保はできるようになっております。二百三十九号線につきましても、十九日までには復旧の見込みでございます。また、補助事業県道等につきましては、現地実情を把握いたしまして、緊急の査定を実施いたして、万遺憾なきを期してまいりたいという考えでおります。  河川につきましては、御心配のように、ちょうど出水期を前にいたしておりますから、特に配慮を要すると存じます。北海道におきまして、石狩川ほか五河川青森県におきましては岩木川、馬淵川の堤防破損をきたしておりますから、これはさしむき既定経費を流用いたしまして、緊急な応急工事実施いたしまして、出水期の前に不安なからしめるようにつとめたいと存じております。  住宅関係につきましては、ただいまのところ、全壊百七十八戸——青森百七十戸、北海道八戸というふうに報告されておりますけれどもえび地震の教訓にも顧みますれば、これはやはり相当ふえるということも考えておかなければならぬのじゃないか。したがいまして、規則等に拘泥いたしますと、なかなかやりにくうございますけれども、少なくとも住宅につきましては、えび地震にとってまいりました方針に準じて扱ってまいりたいと考えております。函館大学の問題は、ひとり函館大学のみならず、現行建築基準法はもちろん耐震、耐風——地震台風等基準を定めて、不安のないような状態になっている。したがって、この大学の工事建築につきましても、そういう点は守られておると判断をされておりますが、実際の実情調査してみなければわかりませんので、建築学会にも昨日委託をいたしまして、実情調査いたしてもらいますとともに、一般住宅を含めて、建築学会構造補強であるとか、あるいは復旧工事やり方等につきましても御協力を願うように手配をいたしております。  海岸につきましては、青森の百石海岸青森海岸、いずれも損害をきたしておりますが、三十五年のチリ地震による津波被害のあと、かなりこの地帯の海岸堤防工事が進んでまいっておりまして、今回の津波に対しても、相当の効果をあげておるように判断をしております。部内的には、全国的に海岸補強を必要とするところがかなりございますので、計画を立て、漸次、全国的な海岸の防衛に万全を尽くしていくように手配をいたしておる次第であります。(拍手)    〔国務大臣小林武治登壇拍手
  10. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 今回の地震に際しまして、北海道方面に対する全通信が二時間余にわたって途絶をした。そのために、国民の間に無用な不安を増大させた。こういうことは、私どもとして、深く遺憾としておるのであります。当局といたしましても、この際、十分な反省をいたし、今後の対策樹立に資したいと思っておるのであります。  いまのマイクロ回線等は、昨夜半に全部回復をいたしたのでございまするし、また、北海道方面においては、通信関係においてはほとんど被害がなかった。こういうことが申せるのでありますし、東北方面におきましては、小さい局の電話が、十局程度故障を生じたのでありますが、これらも大かた復旧いたしておるのでございます。  いずれにいたしましても、かようなことの起きたということは、主要な通信回線が一回線しかなかった、こういうことがもとでありますので、今後、北海道等に対しましては——現在、裏日本マイクロ回線をさらに一回線を増設中でありまして、本年中にはこれが開設を見る予定でございますが、なお、全国の主要回線等についても、今後は二ルート主義、こういうものを実現して、こういう非常事態に対処いたしたいと、かように考えておるのでございます。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇拍手
  11. 中曽根康弘

    国務大臣(中曽根康弘君) まず、地震予知の問題でございますが、地震予知ということは、その地点、その時、その大きさ、これらをあらかじめ知るというのが、地震学上の問題だそうであります。今回の地震は、気象庁の報告によりますと、えび地震とは関係はない由であります。えび地震は、局地的な浅いところに頻発して起こる地震で、ごくローカルなものでありますが、今回の地震は、日本列島の東部の太平洋岸における地殻構造上の地震だそうでございまして、両者の関係はないとのことでございます。  そこで、昭和四十年に、測地学審議会から建議がございまして、地震予知に関する諸般の対策が上申されておりました。私、着任以来、この問題を、前期五カ年、後期五カ年、十カ年計画としまして、相当額の金を使って、その計画を政治の上にのせるように命じてまいりまして、ようやく各省との調整が得られまして、いろいろな対策の原案ができたばかりでございます。これをできるだけ早期予算化いたしまして、実施してまいりたいと思うのでございます。  気象庁の専門家の話によりますと、要するに、地震は、地殻の構造上におきまして、ひずみが起こるとか、あるいは一カ所にエネルギーが非常に蓄積して、大きな圧力が出てくるとか——それが陥没して起こる、その前には地電流の異常な流れが発生するとか、地熱に変化が起こるとか、あるいは海の潮の上に変化が起こるとか、そういうものを精密に検査すれば、ある程度の可能性を予知することができるという由であります。そこで、測地、地磁気、地電流、検潮、あるいは断層の分析、褶曲の移動の変化、あるいは地殻の変動、あるいは地震が起きた場合のその地震の動態の分析等々を精密に、克明に相当な年月をかけてやりまして、その傾向を確実に把握いたしまして、地震予知の資料とするということだそうでございます。そういう方面の対策をやりますために、地震の頻発地点あるいは全国の要所要所に碁盤の目のように観測機構をつくりまして、そうして長期にわたってその資料を蓄積していくと、そういう方向で、この前期五カ年、後期五カ年の計画実施いたしまして、国民の皆さまに御安心を得るようにいたしたいと思っております。  第二に、被害の問題でございますが、港湾関係で約十三億円、一番大きいのが八戸でありまして約十億円、函館が二億円、青森が五千万円、そのほか釜石、苫小牧、大湊港等に多少の被害が出ております。鉄道は、けさ八時までにおきましては、不通区間が五線区、四十一区間でございます。これらはしかし、一両日中に回復いたします。一番大きいのは、青森盛岡間でございまして、その中でも野辺地−尻内間、これが一週間ぐらいあるいはかかるかもしれぬ由です。それ以外は、青森盛岡間も本日中に開通いたします。函館港の岸壁に亀裂を生じましたが、修復を急いでおりまして、今日では航送力は九〇%に回復いたしました。物資輸送その他につきましても、海陸空を通じまして遺憾なきよう手配をいたしております。(拍手)     —————————————
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 沢田政治君。    〔沢田政治君登壇拍手
  13. 沢田政治

    ○沢田政治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま政府から御報告のありました十勝沖地震災害状況とその対策に関し、総理並びに関係各大臣に若干の質問をいたし、その所信をお伺いしたいと思うのであります。  まず、冒頭にあたりまして、今次の地震により、一瞬にしてとうとき生命を失われました犠牲者の方々の御冥福を祈り、肉親を失い、家財をなくする等、痛ましい犠牲になられた方々に対し、深甚なる御同情と心からなるお見舞いのことばを申し上げる次第であります。と同時に、一日も早く悲嘆のうちから力強く立ち立がっていただくことを、心からお祈り申し上げるとともに、すみやかなる復興を念願するものでございます。  さて、ただいま御報告がありましたとおり、この十勝沖地震は、その震度において戦後最大で、しかも昭和二十七年の地震と震源を同じくし、北海道東北地方等と被害規模もきわめて広域にわたって災害発生しておるのであります。  なお、断続的に起こる余震と津波に対し、人心の動揺混乱とその被害は真にはなはだしいものがあり、逐次実情が判明するに従い、その被害が数字の上においても増してくることは明らかだと思うのであります。  まず、総理にお伺いする第一点は、本年の二月南九州に起こったえび地震におけるごとく、従来ややもすると、災害対策に際し、「よく実情調査して判明次第」云々ということばが常用語でありましたが、この被害実情を直視され、当面、すみやかなる人心の安定をはかることを第一義とすべきであります。もちろん、周到なる調査の必要は言うまでもありませんが、それと並行して、直ちに具体的な対策を樹立し、実施をすることが、必然的に人心の不安と混乱を取り除くに絶対肝要であると思うのであります。まずもって、人心の安定に対し、いかなる方途をお持ちであるか、総理の御所見をお伺いしたいと思うのであります。  その第二は、政府は、今回の地震災害に対処し、すでに災害対策会議を持ち、災害対策本部を設けられ、さらに政府委員を現地に派遣されましたが、まことに適切な措置であろうと考えるのであります。しかしながら、かつてのえび地震の際の政府措置をここに想起いたすのであります。衆参両院の災害対策特別委員会等の審議の場におきまして、災害対策本部設置と激甚災害の指定を強く要望したのでありますが、本部設置は行なわれず、やっと災害対策協議会というものを設けたに過ぎないのであります。激甚災害にも指定せず、激甚災害に準ずる措置を行なうというような、きわめてあいまいな面が見受けられたのであります。災害に際し、政府のとられた措置——罹災者にとって救済及びその復興対策は、きわめて消極的な態度ではなかったかと思うのであります。災害が大きければ大きいほど、人心の動揺混乱は避けがたいのでありまして、今回の災害に対しては敏速に激甚災害の指定を行ない、政府の思い切った抜本的な措置が講じられなければならないと考えるのであります。ただでさえ財政困難な地方自治体で、その租税負担者が甚大な打撃を受けた、こういう状態のもとにおいて、自力でもって災害対策に当たるということは不可能に近いことであります。総理は、現在の財政硬直化総合予算主義に名をかりて、よもや、この災害救助及び復興のための財政援助を圧縮するというような意思は毛頭お持ちになっていないと思います。したがって、政府は、すみやかに応急財政的措置をし、地方公共団体の行なう災害対策を積極的に指導督励すべきであると思いますが、総理の御所要をお伺いいたします。  第三は、地震を含め、災害に対する防災科学技術の研究についてであります。  御承知のとおり、わが国は地震国であり、台風常襲の国柄であります。この狭い国土に人口一億人を擁し、しかも自然災害の絶えざる暴威にさらされているのであります。季節的な台風、集中豪雨、地すべり、豪雪、冷害、産業災害等、数え切れない災害に対しまして、昭和四十三年度において、各省庁の防災担当研究機関の行なう、これら災害防止のための防災科学技術に関する研究予算額がわずか二十二億三千万円であります。これと比較して、災害に対するその復旧費が一千八百五十七億円であります。昭和四十二年度におきましても、一千六百六十七億円というばく大な巨費を投じているのであります。この復旧費は国の予算額でありますから、地方自治体等の負担金を加算しますと、おそらく二千四百億円程度になるのではないでしょうか。科学技術の開発研究は、決して研究者のための単なる研究費ではないと思います。いかに研究の成果を活用するか、あるいは未知の分野を究明し、それをいかに開拓し、利用するかということでなければならぬと思うのであります。  特に、このわずかの研究予算額の中で、科学技術庁に九億円、文部省に六億三千万円というようにきわめて少額であり、他の省庁の研究機関は微々たるものであります。民間企業を含め、きわめて高度な技術水準におるわが国が、しかも、災害頻度において世界に類例のない国土でありながら、このための研究費があまりにも少額で、政府は過酷なまでにこれを抑制しているのではないだろうかと疑念を持たざるを得ないのであります。地震観測施設や気象観測施設をとりましても、その施設費は微々たるものであります。総理は、この際、財政硬直化と称することなく、思い切って、防災科学の推進のための研究費を支出される意思をお持ちになりませんか。これら科学技術の推進のための対策等について、御所見をお伺いしたいと思うのであります。また、科学技術長官からも、この点について御答弁をお願いしたいと思います。  次に、運輸大臣にお伺いいたします。  災害地における生活物資確保、人心の安定、さらには、災害復興の原動力は、道路を含めて交通運輸の確保にあると言っても過言ではないのであります。今回の災害も、鉄道軌道、道路の途絶等、随所に見受けられるのであります。運輸大臣は、この重大なる使命を担当しておられるのでありますが、災害時におきまして、いかなる方策をもって推進されようとするものでありましょうか。その方策をお示し願いたいと思うのであります。  なお、今回の地震は、昭和二十七年と同様、同海域の海底を震源として起こっておるのであります。この地震の常襲に対して、その予知はできないものかどうか。また、これらに対する研究なり、器械の整備に対して、現在、気象庁のもので十分と考えられておるでありましょうか。これらの諸点に対しても、その具体的な方策をお持ちになっていられるか、お示しをお願いしたいと思うのであります。  当初多くの人が予想したより、人的被害が少なかったと言われているのでありますが、現在判明しただけでも、不幸にも、死亡された方が三十八名、行くえ不明九名にのぼっているのであります。また、多数の方が負傷され、その住む家を失っているのであります。したがって、食糧飲料水等の確保、さらには、これから梅雨期にかけて予想される伝染病予防のため、厚生大臣はいかなる対策をお持ちか、お伺いいたします。  最後に、建設大臣にお伺いいたします。  今回の地震が海底に震源があったため、北海道をはじめ、三陸海岸等沿岸一帯に津波発生したのでありますが、特に三陸海岸は、かつて昭和三十五年に、チリ地震津波災害で激甚な被害を生じた地域であります。また、北海道青森県には、海岸浸食を受けている地域広範囲にあります。今回の地震津波が起こるというような現象が起こるとき、はたして、四周を海で囲まれているわが国として、いかなる防備がとられているか、きわめて疑問を持つものであります。特に東京、大阪等の大都市は、地盤沈下等の影響から、海面下にあると言われるのでありますが、防潮堤等の海岸保全施設が、これら津波に対して十分整備されているのでありましょうか。また、この整備に対して計画を策定することとなっていますが、具体的に、その整備計画及び体制について、お伺いをいたしたいと思うのであります。  私は、最後に、質問の結びとして、一言総理に申し上げておきます。総理は、あの忌まわしい黒い霧解散総選挙にあたって、国民に、選挙制度審議会の答申を尊重して政治資金規正法の抜本的改正を約束したのでありますが、これが実施を求める世論のきびしい風に馬耳東風、けろりと忘れ去ったと言われておるのでありますが、災害は、総理が忘れようが忘れまいが、必ず来ることを念頭に入れておくことを一言申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  政治の要諦は人心を安定さすことにある、これは御指摘のとおりであります。ことに、災害の場合にはどうしても動揺しやすい事柄でございますから、平素から政府がこれに対しての対策と取り組んでおる、そういうことを十分国民が理解する必要があると思います。中央におきまして中央防災会議を設け、さらにまた、これに対応いたしまして、各省庁におきましても防災業務計画を立てるようにいたしております。またさらに、地方団体におきましても地域防災計画を立てるようにいたしております。これらによりまして、基本的な政府並びに地方公共団体の態度を国民が理解し、さらにまた、不幸にして一たん事故が発生いたしました際には、緊急な対策調査、さらに本部設置、その他災害の状態を把握することに最善を尽くし、さらにまた、これに対する対策早期に行なわれること、これがただいまの人心を安定さすゆえんだと、かように思っております。したがいまして、今回の地震につきましてもそれぞれの処置をとってまいりました。先ほどもお答えしたとおりであります。  そこで、なお具体的な問題として、激甚災害地の指定をできるだけ早くすること、もうすでにしておる地域もございます。さらに今後の問題としては、残っておる地域については調査を待って必要な指定をするつもりであります。  政府総合予算主義という問題がありましても、その救助や復旧に事欠くようなことがあってはならないと思います。私どもの仕事は、何と言いましても人命、財産を守ると、これが政府に課せられた使命である、かように思います。この点では、ただいま沢田君の御指摘になったとおり、私もこの救助、復旧には万全を期するつもりでございます。  さらにまた、災害防止予算が非常に少ない、そして復旧費は多額のものを出しておるじゃないか、これはもっと科学技術の進歩にこたえるように平素から研究に力を入れるように、こういう御注意でございます。私も、さようにこの点では同感でございますので、予算編成の際におきまして、さらにくふうを重ねるつもりでおります。お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣鍋島直紹君登壇拍手
  15. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) お答えを申し上げます。  科学技術庁におきましては、国立防災センターにおきまして、いわば防災に関する基本的な科学の基礎研究を行なっておるわけでございますが、今回の問題について申し上げますと、地震予知の問題でございます。この点は先ほど運輸大臣大竹議員の御質問にお答え申し上げましたように、前期・後期五カ年計画——十カ年計画で、大体一カ年に約十億円もの施設をして十分これを行なっていけば、少なくとも予知がある程度でき得る方策ができるというようなことになっておりますので、これに全面的に御協力を申し上げまして、この方面の予算の獲得なり、その他運輸省と十分打ち合わせをして進めたいと考えております。  なお、緊急に、特別にこういった問題につきまして調査をし、あるいは研究をする場合におきましては、技術庁にございます特別研究促進調整費によりまして、これを各省に支出をいたしまして、それぞれ御研究に当たっていただくようにいたしたいと思います。予算はまだ非常に少のうございますが、ただいま総理も言われましたように、今後ともこういった基本研究予算につきましては、最善の努力をいたしたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘君登壇拍手
  16. 中曽根康弘

    国務大臣(中曽根康弘君) 物資輸送の問題でございますが、陸海空全面にわたりまして指示を出しまして、対策を講じております。自衛隊、それから地方庁、それから運輸省の陸運局、海運局等が密接に連絡をとりまして、いま手当てをやっておる最中でございます。一番大事なことは北海道におきます生鮮食料品輸送でございまして、この点につきましても万遺憾なきを期しております。また、救援物資につきましては、国鉄の運賃を減免することにいたしております。  それから、地震予知につきましても、いまお答えのとおりでございますが、先ほど申しましたようなことを関係各省の協力においてやらなければならないのでございます。その関係各省を具体的に申し上げますと、各大学、それから緯度観測所、東京天文台、国土地理院、気象庁、水路部、地質調査所、それから防災センター、これらの関係各省が緊密な連絡のもとに、いま申し上げましたような計画実施しようとしておるのでございます。  それから、津波の問題でございますが、この津波の速報ということが非常に大切でございまして、電電公社、NHK、警察庁、都道府県、都道府県の警察本部、海上保安庁、国鉄、これらに直ちに電波あるいは通信をもちまして警報を出しまして、住民各位に伝達を持つようにいたしております。今回の情勢を見ますと、一部のところにおきまして津波の来襲がかなり早くて、五分くらいの差しかないところもありましたが、これらの点については大いにまだ改善の余地があると思いまして、研究いたしたいと思っております。(拍手)    〔国務大臣園田直登壇拍手
  17. 園田直

    国務大臣園田直君) 防疫につきましては、専門の技官を現地にただいま派遣中でございまして、地元と協議をして、消毒、清潔の方法を実施をし、伝染病の防止、早期発見等に態勢を整えております。なおまた、日赤の救助班その他の機関も活躍中でございます。必要に応じて隣接機関からの協力準備もいたしております。  なお、先ほど報告申し上げましたのは、弘前大学ではなくて、北里大学畜産学部衛生検査技師養成所でございました。付近には人家はない模様ではございまするが、太平洋に流れておりまする奥入瀬川だそうでございまして、電話不通のために、ただいま県のほうから係官三名を派遣して連絡、検査中でございまして、あと三時間くらいすれば情報が入る模様でございます。県のほうでは、広報車を使って流域の住民にPRを実施しております。(拍手)    〔国務大臣保利茂登壇拍手
  18. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 海岸の保全事業につきましては、防災上の意義が非常に大きいことにかんがみまして、御案内のように治水計画の重要な一環として力を入れてまいっておるわけでございまして、おおよそ東京湾あるいは大阪湾等のゼロメートル地帯につきましてはだいぶ改善をせられて、少々のことでは不安はないのじゃないかというところまでこぎつけてまいっておりますが、今後、全国的にはさらに力を入れてまいらなければならないと、部内的に計画を立てて実施をしていくように準備をいたしております。(拍手)     —————————————
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 小平芳平君。    〔小平芳平君登壇拍手
  20. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま政府から報告のありました十勝沖地震について、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたすものであります。  質問に先立ち、不幸にしてこのたびの災害でなくなられました数十名の方々に対し、衷心より哀悼の意を表し、その御冥福をお祈り申し上げるとともに、災害者の方々が一日も早く立ち上がられんことを心より御期待申し上げる次第でございます。  質問の第一は、総理お尋ねいたしますが、激甚災害法の適用についての見通しはいかがでありますか。いま総理は、すでは一部地域は指定されたと言われ、他の地域調査を待ってと答えられましたが、災害のたびにこの問題が起きるわけであります。一刻も早く結論を出されるように、また、その具体的な見通しについてお願いをいたします。  質問の第二は、総理及び総務長官にお伺いいたします。  応急物資輸送対策はどのようにできているか。国鉄の不通や青函連絡船の施設被害を受けているので、輸送に困難を来たすのでありますが、特に野菜、衣類、消毒薬品等、現地で不足することのないように、格段の努力が必要と考えますが、いかがですか。特にこれらの品が値上がりのおそれありと、すでに伝えられておりますが、関係大臣はそのようなおそれはないと言われましたけれども、この点について具体的に御説明をお願いいたします。  また、被害地において、ガス、電気、水道がとまり、青森では発電所が故障したと伝えられますが、不安の一夜を明かされた方々が大多数であります。これらの復旧についての見通し、一刻も早く御安心願えるような対策について御説明をお願いいたします。  市民に対し、正確な情報を伝えることが大切であって、根も葉もないうわさの広がることのないようにすることが肝要だと考えますが、いかがでありますか。  質問の第三は、建物の被害についてであります。  住宅全壊、半壊等に対し、建設省はどのような対策を持っているか。さしあたり応急プレハブ等の用意をしておられますか、いかがですか。  最近特に、地震が多いが、木造家屋でも地震にたえられるような補強をする必要がある。あるいはまた、地質の軟弱なところでは鉄筋コンクリートの建物でも崩壊をしております。新潟地震でこれらの教訓を得たはずなのに、対策が十分でなかったと思いますが、いかがでありますか。復旧にあたっては特にこの点が大事であると思いますが、建設大臣は、個人の住宅について、あるいは公共建物について、どのような御研究を、また援助をなさろうとなされるか、具体的にお答えを願いたいのであります。  第四に、文部大臣に伺いますが、函館大学の崩壊が報ぜられております。文部省では国、公、私立の各学校の被害をどの程度に見ておりますか。また、その復旧状況はいかがでありますか。一日も早く授業の再開できるように切望いたします。  また、学童の避難ちゅうに土砂の崩壊によって死亡した事件が報ぜられておりますが、このような点については、ふだんの避難訓練はどのようになっておりますか、お伺いいたします。  質問の第五は、農林大臣伺います。  小型漁船をはじめ多くの船舶が流れ、沈没したようでありますが、これに対する具体的な対策をお伺いいたします。  また、カキ、ワカメ、コンブ、ノリ等の養殖に大きな被害を受けております。漁村の零細な漁民の方が非常に不安に思っているわけでありますが、大臣として手厚い復旧対策を早急に立てる必要があると考えますが、いかがでしょうか。  また、農地及び農業用施設被害も大きいのでありますが、農繁期はまさに来ているのでありまして、どのような緊急対策をお立てになるか、お伺いいたします。  また、天災融資法の適用の見通しについてはいかがでありますか、あわせてお伺いいたします。  質問の第六は、個人災害の補償についてでありますが、以前に総務長官が、この問題についてきわめて積極的な発言をされたことがありますが、その後どうなりましたか。特に負傷した方々に対し無料で治療するとか、具体的な対策があったらお答え願いたいと思います。また、個人の住宅、商店の建物及び商品の被害等、数多いのでありますが、これらに対しては、低利長期の融資を必要とするのはもとより、政府はどのような救済をお考えになっておられるか、お伺いいたします。  最後に、総理に対し、本年度の補正予算を組まないと強調してまいりましたが、このような思わぬ災害を受けて予備費でまかなえるかどうか。この点については、総理は先ほどの御答弁では、予備費でまず支出し、あと補正予算については云々と濁されておられましたが、明確なるお考えお尋ねいたします。すでに今国会の会期も残りわかなのであります。政府は、この際、災害のための臨時国会を召集し、補正予算も含めて、災害対策の万全を期すべきと考えますが、いかがでしょうか。総理の明確な御答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 小平君にお答えいたします。  先ほども申しましたとおり、激甚地災害指定の問題は、ただいま一、二いたしましたが、さらに調査を待ちましていたすつもりでございます。その際は、御指摘になりましたような、早期にやらなければこれは十分目的を達しない、かように思いますので、調査が急ぎ、また、中央における処置早目にやると、かように努力するつもりであります。  次に、緊急応急物資輸送についてのお尋ねがありましたが、現地の備蓄状況も、食糧につきましてはただいま心配する状態ではございません。しかし、御指摘になりましたように、野菜などは、この地域は他地方からこれを仰いでおる、こういう状況でございますから、これにつきましても、政府は積極的にこの野菜類の確保努力して、御指摘になりました衣類であるとか薬品等につきましても、当然私ども考えなければならない。また、これらの物資の値上がりにつきましても、先ほど大竹君に答えたように、需給を円滑にすることによりまして、さような心配が起こらないのでありますから、私ども、特にさような注意をするつもりであります。  また、ガス、電気についてのお尋ねがありました。大体、ガス、電気は、十六日の夜までには復旧したようでございます。電気はまだ一部残っておるようでありますが、しかし、とのことは、ガス、電気が復旧しないと、やはり不安というものがどうも起こりやすい、かように思いますので、こういう際は、これは何といっても、先ほどもお答えしたのでありますが、一般住民の不安をなくするように政府は心がけなければならない。したがって、この電気、ガスの復旧は特に緊急を要するとかように思って力を入れております。  また、総合予算主義をとったので、復旧あるいは援護等について欠くるようなことが起こるのではないか、かように言われましたが、予算予算でありますし、いま起きた事故に対しての対策に万全を尽くすこと、これは政府の基本の態度でなければなりません。私は、先ほどもお答えいたしましたように、国民の生命財産を守る、これが政府に課せられた課題である、かようにはっきり申しましたので、私はあらゆる努力をいたしまして、これらの点に万全を期するつもりであります。  次に、臨時国会を開けというお話でありますが、この点は皆さん方ともよく相談いたしますけれども、よく現地実情を把握いたしまして、しかる上できめることではないか、かように思っております。(拍手)    〔国務大臣田中龍夫登壇拍手
  22. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えいたします。  私に対しまする御質問の中で、応急物質の輸送の問題がございまするが、ただいまも総理からお答えをいたしましたごとくに、当地方が蔬菜その他の需要地でございまする関係から申しましても、これらの物資輸送等につきまして、特に国鉄運賃の減免でございまするとか、あるいはまた、緊急輸送に関しまして万全の対策をとり、同時にまた、航空、海運等によりましても緊急輸送を行なう所存でございます。  なお、ガス、電気の問題は、ただいま総理がお答えになりましたので、それ以上ございません。  次に、個人災害につきましての御質問でございまするが、御案内のとおりに、国といたしましては、個人に直接財政上の措置をいたすことができない現行制度上の問題がございまして、しかしながら、住宅の問題でございますとか、あるいはまた、商工業者のいろいろな損壊に対しましては、各種の金融措置でございますとか、あるいはまた、災害救助法の適用、租税の減免等、万全の措置を期しまして、これらの方々に対しまする救済をいたす所存でございます。  大体以上でございます。(拍手)    〔国務大臣保利茂登壇拍手
  23. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほど申し上げますように、一応ただいままで入手しておりますところによりますと、今回は、全壊家屋が百七十八戸、半壊が七百八十八戸というような報告を受けておりますが、いずれにいたしましても、住宅をどう扱うかということは、えび地震でもそれぞれただいまお話しのようなことを実施してまいっておりますから、実情に沿いまして、これに準じて万全を尽くしたいと考えております。ちなみに、えび地震の際の全壊家屋は約四百戸であったわけでございます。しかし、今回百七十八戸といえども、この数字はまだ異動してまいりましょうし、いずれにいたしましても、えび地震にとりました措置をとって万全を期したいと考えております。  なお、たびたびの地震を受けておって相当の経験を積んできているじゃないか、家屋構造等に少し研究が足りないんじゃないかという御指摘は、ごもっともでございますが、現行建築基準法の運営を全くいたしますれば、耐震耐風に対して十分の備えができる程度にはなっておるわけであります。今回の災害に関しましては、特に建築学会に昨日御委嘱をいたしまして、家屋構造補強でありますとか復旧等について御協力を願うということに手配をいたしております。なお、この災害応急住宅は所管は厚生省でございますけれども、したがいまして、地元の実情、また地元の要請にこたえて、これはもちろん実施せられることと考えて期待をいたし、また、そうしなければならぬと思っておるわけであります。(拍手)    〔国務大臣灘尾弘吉君登壇拍手
  24. 灘尾弘吉

    国務大臣(灘尾弘吉君) お答えいたします。  このたびの地震による学校関係施設被害につきましては、ただいままで、国立学校関係では、岩手大学外五大学、一高専に約二千万円、公立学校施設では、北海道青森岩手、宮城、秋田の各県にわたりまして三百四十五校、約二億一千万円の被害があった旨の報告を受けております。また、私立学校につきましても、函館大学をはじめ、かなりの被害があった模様でありますが、いずれも詳細については目下調査中でございます。  なお、社会教育施設、文化財等につきましても調査いたしておるところでございますが、文部省といたしましても、現地に、北海道並びに東北地方に係官を派遣いたしまして鋭意調査を進めるつもりでおります。  この学校の授業の再開ということは一日も早くいたさなければならぬと存じますが、各道府県の教育委員会におきましても、それぞれ努力をいたしておる次第であります。  全半壊となりました校舎につきましては、とりあえず応急仮設校舎、プレハブ等の校舎を建設するなど、その対策の万全を期してまいりたいと存じております。また、私立学校につきましては、私立学校振興会の融資を行なうなど、早期復旧につとめてまいりたいと存じます。  学童の避難訓練についてのお尋ねでございますが、今回のこの地震によりまして、学童の死亡者四名ということが伝えられておるのでございまして、まことに同情にたえないところでございます。その他にも相当負傷者も出たことと思うのでございます。現在、小中学校におきましては、地震火災等の不時の災害に備えまして、避難訓練を全校的規模で行なうことになっておるわけでございます。各学校におきましては、おおむね毎学期一回程度実践をせられておるわけであります。また、これらの訓練とともに、自然災害についての知識につきましても、小学校の高学年以降、指導をいたしておるところでございます。今後はさらにこれが徹底するように指導してまいりたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣西村直己君登壇拍手
  25. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 漁船の被害でございますが、目下まだ詳細なところは分明ではございませんが、いずれにいたしましても、漁船の被害に対しましては、損害補償法による漁船保険制度がございますので、保険金の支払いにつきましては、できるだけすみやかに行なわれるように指導してまいりたい。災害復旧資金につきましても、必要に応じまして、公庫資金の融通というものを活用してまいるつもりでございます。  それから養殖の関係であります。共同利用施設につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置法というのがございます。これによりまして、協同組合等が行なっております復旧事業につきましては助成する道がございますので、適切な措置を講じます。と同時に、なお、個人のこういう施設につきましても、公庫資金の活用をはかってまいりたいと思います。なお、これらの共済金の支払いにつきましても、関係団体を指導して、すみやかに払えるようにいたしたいと思います。  それから、その次は、農地、農業用施設被害でございます。これにつきましても被害の実態をできるだけ早く的確につかむように努力してまいりたいと思います。特に田植えの時期に迫っておりますので、かんがい施設が問題でございますから、被害を受けました地域があります場合には、応急水路等の緊急な方法によりまして、かんがい用水の確保努力してまいりたいと思います。  最後に、天災融資法でございますが、これは被害の実態が明らかになりました場合におきまして、これに対しまして、それを検討いたしまして、できるだけすみやかに結論を得たいと、おそらく適用の方向に、前向きに検討したい、こういうふうに努力をしてまいりたいと思っております。(拍手
  26. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      —————・—————
  27. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、国務大臣報告に関する件(原子力潜水艦佐世保港入港に伴う放射能調査について)。  鍋島国務大臣から発言を求められております。発言を許します。鍋島国務大臣。    〔国務大臣鍋島直紹君登壇拍手
  28. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直君) アメリカの原子力潜水艦ソードフィッシュ号の佐世保港寄港時の放射能調査問題につきまして御報告をいたします。  同潜水艦は五月二日朝、佐世保に入港し、同十一日同港を出港いたしました。  五月二日の同艦入港直後に、通例どおりモニタリングボートにより港内の放射能調査実施いたしましたが、平常時に変わらない測定値を得たのでございます。五月六日朝、同じくモニタリングボートにより港内の放射能調査を行ないましたところ、数カ地点におきまして、平常時の十ないし二十倍の値が測定されました。   これに対して科学技術庁は、直ちに再度の放射能調査を行なうよう現地に指示いたしますとともに、測定されました異常値の原因を調査するために、五月九日以降、専門家会議を開催し、現地から送られてまいりました記録データの検討を行ないましたが、その原因を分析するためには疑問の要素が多くあったので、さらに詳細な調査を行なうために、三人の専門家からなる調査団を五月十日現地に派遣いたしました。  五月十三日、専門家会議から中間報告を受けたのございますが、この報告は、その後の放射能の測定値には何ら異常はなく、また測定機器も正常に作動し、その操作も正しいことが確認されました。  また、放射能以外の電気的な原因による影響の可能性につきましても調査を行ないましたところ、それらがこの測定器には影響を与えないことが判明した由であります。したがって、専門家会議の現段階の意見によれば、今回の異常値を放射能以外の原因によるものと見ることは困難であると考えられております。  一方、アメリカ側に対しましては、十三日、三木外務大臣が、安全保障協議委員会におきましてジョンソン駐日米国大使に対し、原因の調査協力するよう要望し、アメリカ側もこれに対し、その用意ある旨を答えております。  また、原子力委員会は、十四日臨時委員会を開きまして、同委員会の見解をまとめ、これを政府に提出いたしました。これによりますと、今回の異常値は、人体に実害を及ぼすものではないが、次のような三つの措置をとる必要があることを示しております。  一つは、原因究明はさらに調査検討すべきであり、その際、アメリカ側にも資料提供等を求めるなどの方法をとる必要があること。  二に、原子力軍艦寄港時における放射能調査体制の整備強化をはかる必要があること。  三、現在、異常値の原因を調査中であり、また、調査体制の整備強化をはかる必要があるので、その間、原子力軍艦の寄港が行なわれないよう善処すべきであると考えること。  以上でございます。  今回の異常値は、いずれにいたしましても人体に実害を与えるほどのものではございませんが、政府といたしましては、この原子力委員会の見解を尊重し、今後、その原因の究明、放射能調査体制の整備強化、アメリカ側に対する所要の要請を行ない、安全性の確保をはかり、国民の不安を除くために最善の努力をいたしたいと考えます。  わが国の将来にとりまして原子力平和利用は不可欠の要件であり、国をあげてこれにつとめなければなりませんが、安全性の確保と国民の正しい理解なくしてはとうていその推進は望み得ないものでありまして、政府といたしましては、これらの点に関し、万遺憾なきを期したいと考えております。  以上御報告を申し上げます。(拍手
  29. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。達田龍彦君。    〔達田龍彦君登壇拍手
  30. 達田龍彦

    ○達田龍彦君 私は、日本社会党を代表して、今日、国民の重大な関心と大きな政治問題となっております、アメリカの原子力潜水艦ソードフィッシュ号にかかわる異常放射能事件に関して質問を行なうものであります。  すでに一部報道され、国会でもたびたび取り上げられているように、この事件は御承知のとおり、去る五月六日、佐世保港においてアメリカ原子力潜水艦ソードフィッシュ号の入港中に起こった異常放射能にかかわる事件であります。私はこの問題を本会議で取り上げるにあたり、政府に対し、強い憤りと不信を表明するものであります。(拍手)  それは、六日、佐世保における測定の結果、異常放射能が認められたにもかかわらず、政府は故意に公表を避け、隠蔽した事実であります。この事実を故意に隠蔽した政府の意図は、国民が常に原子力潜水艦に抱いている危険性を政府がおそれて公表を避ける意図であったことは間違いありません。との政府の態度は、いかに弁明しようとも、断じて容認できないものであります。これこそ政府みずからが、国民が原子力潜水艦に持っている不安と疑惑を一そう増大させただけでなく、原子力平和利用三原則の基本精神を踏みにじった憎むべき行為であり、佐藤内閣に対する国民の不信はまさにきわまれり、と言わなければなりません。(拍手)一体、総理はこの政府の欺瞞的態度についてどのように国民に責任を感じ、また、その責任をとろうとされておるのか、まずお伺いをいたしたいのであります。  御承知のとおり、原子力潜水艦の寄港は、三十九年八月二十八日、日本政府が正式に承認したことによって、今日まで二十数艦の寄港を許してきたのであります。わが社会党は、当初から一貫して原子力潜水艦の入港反対の立場を貫いてまいったのであります。  その反対の主張と理由の一つは、安全性の問題にあったのであります。世界の唯一の被爆国である国民感情を無視し、しかも、安全性に大きく不安と不備のある原子力潜水艦を寄港させることは、国民の生命財産を危険にするばかりでなく、日本の安全と平和をおびやかすからであります。今日、日本政府原子力潜水艦の安全性を主張しているのは、科学的に実証された安全ではなく、アメリカ政府が安全を保証しているから、これを信頼する以外にないという安全性であり、全くの政治的安全性であります。しかしながら、この政府の主張する安全性が、わが社会党が当初から主張したごとく、いかに安全性のないものであり、何ら科学的根拠も裏づけもないものであるかは、今回のソードフィッシュ号の異常放射能測定により、完全に実証されたのであります。  従来から安全性の問題点として激しく論議してきたことは、衝突など不測の事故による海難の問題と、原子炉から出る冷却水や廃棄物の投棄の処理の問題にあったのであります。しかし、これもたとえば海難事故の一つをとらえてみても、アメリカ政府の説明では、今日まで百回以上各国の港に寄港したが、事故がないから安全であると言っているのでありまするが、日本のような船舶の出入りのきわめて多い港で、かりに百一回目に事故が起こらないとは、だれも保証できないのであります。また、冷却水や廃棄物の処理についても、アメリカの立場は原子力の軍事利用が重点であり、日本の立場は平和利用である限り、基本的に処理についても大きな相違があるのであります。ましてや、原子力潜水艦が軍艦である以上、核推進装置の設計構造に関する資料は軍事機密に属することとして、アメリカ政府がこれらの資料を安全審査のために提供しない立場をとる限り、科学的な安全を確保することは全く不可能であります。アメリカ政府が安全を保証しているから、これを信頼するという安全でしかあり程ないところに大きな不安と危険があるのであって、今日の事態を招いた最大の原因もここにあるのであります。  そこで、私は総理お尋ねをいたしたいのは、今度検出された異常放射能の原因について、まず徹底的な究明が行なわれなければならないことは言うまでもないのであるが、その場合、従来までアメリカ政府が軍事機密として提供しなかった資料の提供がない限り、科学的でしかも完全な原因の究明は不可能と判断されるが、一体どうお考えになっておるのかお伺いをいたします。(拍手)  さらに、日米合同調査では、資料入手に優位性を持つアメリカの立場が強調され、結論づけられる可能性が非常に強いが、この日米の専門家からなる合同調査の機構、運営及び性格を明らかにしていただきたいのであります。この点科学技術長官にお答えをいただきたいのであります。  次に、私は今回の事件により、はしなくも暴露された放射能に対する監視体制と調査体制の不備を指摘しないわけにはまいりません。事件発生以来今日まで十数日を経過しているにもかかわらず、いまだにその原因の究明ができないのは、放射能に対する監視体制と調査体制が不備をきわめていたことがあげられるのであります。そこで、過去においても数回異常が測定されているのでありますが、これらの異常測定の原因と結果についても、このずさんな監視体制と調査体制ではほとんど検査も調査も行なわれず、政府の一方的な判断で処理されていたということは絶対に間違いがないのであります。これが佐藤総理がいうところの人間尊重の政治の実態であり、国民不在、人命軽視が佐藤内閣の政治の本質であると言われてもいたし方ないのであります。しかも、このずさんな監視体制のもとで発表はすべて、異常がなかったという発表であり、全くでたらめであります。この監視体制は見ようによっては、異常なしという報告をするための監視体制であって、事故や異常を発見、解明するためのものではないと言っても言い過ぎではないと考えるのであります。これが佐藤総理が言う、アメリカ政府の言う安全性を信頼した監視体制のあらわれであるとするならば、国民を愚弄するもはなはだしいと言わなければなりません。  そこで、科学技術長官お尋ねをいたしまするが、今後のこの監視機能と調査機能の両体制をどう根本的に立て直そうとされるのか、御方針を承りたいのであります。また、そのずさんな監視、調査の両体制の不備のために、今回の異常放射能の原因究明ができなかった場合の責任は、一体どこに責任があり、だれがおとりになるのか、その態度を明らかにしていただきたいのであります。  さらに、この放射能測定の結果は、原子力利用三原則にのっとり、そのつど結果の報告ではなく、測定表を含む関係資料を国民に公表すべきであると考えるが、いかがですか、具体的にお答えをいただきたいのであります。  次に私は、今回の事件発生後における政府の政治姿勢についてお伺いをいたしたいのであります。  先般、政府は原因究明の目的をおって、科学者による専門家の調査を行なわれたようであります。その結果、異常放射能の原因は、一部に言われた電気系統のスパーク説や、レーダー影響説でないことが、科学的に検証された結果判明したのであります。したがって、他の原因ではないことが解明された以上、原因は放射性物質と考えることがきわめて常識的であります。したがって、その源泉を持っているソードフィッシュ号を疑うのは当然であります。専門家もこれを認め、新聞等に公表しているところであります。ところが、ふしぎなことに、日本の外務省は、「アメリカ原子力潜水艦が原因だという可能性は全くない」とか、「専門家による現地調査は原潜には無関係であるという前提に立っての原因調査である」とか言っているのであります。アメリカの国務省や国防省の言明ならともかく、日本の外務省がこういう発言をするのは本末転倒であり、日本の国権と国益を守る立場にある外務省のとるべき態度ではなく、断じて許すことのできないところであります。まして、本事件の本質究明は、政治的干渉を排して、純科学的立場で究明されるべき性質のものであります。今日までこの種の関係事件が、この外務省筋の態度に象徴されるように、純科学的立場を没却し、政治的立場で判断され、処理されていたところに大きな問題があり、今日の事態を招いた要因があるのであります。この外交姿勢こそ、自主性も独自性もない従属と追従の外交であり、総理が常に好んで使う日米一体化外交の本質を端的に示しているものと言わざるを得ないのであります。  そこで、外務大臣にお尋ねいたしたいことは、今回の事件に対して、外務省はどういう外交方針をおとりになるのか。また、今日までアメリカ政府との間にいかなる具体的外交対策をとられたのか。特に、去る三十九年の八月二十八日、原子力潜水艦の寄港承認を前にしてアメリカとの間に取りかわしたいわゆる口上書の中で、安全性にかかわる部分の変更を求めるべきであると考えるが、その意思があるのか、お伺いをいたします。  最後に、総理にお答えをいただきたいのであります。  今回の原子力潜水艦ソードフィッシュ号の異常放射能事件によって明らかにされたごとく、原子力潜水艦に対する危険性と国民の疑惑はますます深まり、同時に、日本政府に対する国民の不信感はさらに強くなっておるのであります。さらに、現地佐世保市民や長崎県民は、放射能汚染による人体と生命に及ぼす影響の悲惨さと苦しみを身をもって体験しているのであります。戦後二十三年の今日、いまなお放射能汚染によるいわゆる原爆病のために病床に伏し、あるいは不自由なからだで生活を続けている原爆被災者の現実の生活をまのあたりに見ているだけに、今回の放射能放出事件は最大のショックであり、その不安と不信と怒りは言語に絶する深刻なものがあるのであります。長崎県民や佐世保市民は、今日初めて暴露された政府の全く無策の安全対策と、現実となった原子力潜水艦の危険性について、いまさらのごとく、国民不在、安全無視のこの現実の前に、怒りよりも恐怖の中におののいているというのが、偽らない市民や県民の感情であります。したがって、この国民の政府に対する不信と疑惑と恐怖の感情を解消するための総理に残された道は、ただ一つであります。それは、原因究明まで原子力潜水艦の日本寄港を認めないことはもちろん、今後一切の原子力潜水艦を含む原子力艦隊の寄港を断わる決意を国民の前に明らかにすることであると考えます。(拍手)この決意を表明することこそ、国民に不安と不信と恐怖を与えた最高責任者としての責任ある態度であると確信いたすものであります。  総理の決意と御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  31. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 達田君にお答えいたします。  今回の佐世保における異常放射能、この発表について、政府は欺瞞的発表をした、欺瞞的態度だ、これをひとつ反省しろと、こういうことですが、別に政府は欺瞞的な態度をとったわけではありません。しかし、私は今回の発表が、再調査その他で時間をとったにしろ、やや、政府におきましても、国民の不安、疑惑をなくするということは政府の責務だと、かように考えれば、もっと早期に実態を発表すべきだったと、かように思います。今後の発表等につきましては、これらの点も考えまして、国民にいたずらに不安を与えるというようなこと、あるいは疑惑を起こすようなことのないようにいたしたい、かように思います。  次に、今回の問題につきましては、お説のように、専門家による徹底的調査を進めるつもりでございます。また、調査体制等につきましてもなお不十分ではないかと、かようにも考えられますので、それらの点も、特に科学技術庁におきまして、体制の整備につきましてこの上とも努力するつもりであります。これらの点については、すでに原子力委員会においても、その意見書を政府に出しておられますから、これを尊重いたしまして処置するつもりであります。  そこで、調査の問題について、いわゆる合同調査ではないかと、かように言われますが、合同調査というものではございません。日本は独自の立場において調査をいたします。しかし、アメリカから適当なる資料の提出も必要といたしますし、この調査協力もしてもらいたい、かように思って、米政府にも申し入れをいたしまして、すでに専門家が日本に参っております。これらと一緒になりまして調査をいたしますが、どこまでも調査の責任は独自の調査をする、また、それを私は尊重していくつもりであります。  最後の問題といたしまして、かような状態でありますから、今後の処置、この不安を除去する方法、これといたしましては、原子力委員会の意見も出ておりますし、また、調査関係者の当局の意昭和四十三年五月十七日 参議院会議録第二十一見を十分尊重してまいるつもりでおります。いずれにいたしましても、今後の原潜寄港、あるいは入港につきましては、慎重に政府は対処する考えでございます。(拍手)    〔国務大臣鍋島直紹君登壇拍手
  32. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) お答えをいたします。  問題の第一点でございますが、ただいま総理からも発表の問題につきましてお答えがございましたが、その状況を簡単に申し上げまして、今後のことに及びたいと思います。五月六日朝、異常値が発見せられました際におきまして、実はその異常値が出た、出方に、技術的に見ると、今日もまだ解明されておりませんが、疑問があったので、再度の調査まで、その発表を差し控えたというところに問題があったわけでございまして、決してこれを故意に隠蔽しよう、どうしようというつもりは全然なかったのであります。しかしながら、今日、省みますと、異常値は異常値として、そのまま発表して、再度調査していることもお知らせするということが、あるいは適切なる処置であったかと考えます。その点は深く反省いたしまして、今後の発表態勢については、さらに、不安を与えることのない措置をとってまいりたいと思います。  次に、調査団の性格でございますが、日本におきます十人の専門家からなる調査団は、あくまで日本の調査団でございまして、アメリカとの合同調査はいたしません。アメリカに対しましては、資料の提出あるいは見解の検討、ディスカッション、あるいはそういった討議をすることによりまして、あくまで日本独自の立場においてその結論を出して、究明をしていくつもりでございます。  なお、軍事機密等の場合におきまして、もちろんこれは各国とも同様でございますが、アメリカ側の軍事機密があるわけで、この点は、あるいはアメリカ側において断わられる場合もあろうかと思いますが、でき得る限り、そういうことを顧慮せず、率直に調査団に、アメリカ側に対して、質問なり、あるいは資料の提出なりを行なうという態度をとっております。  次に、観測体制でございますが、従来におきましても、平常時におきまして、いわゆる入港時外におきましても、モニタリングポストで海及び空の、いわゆる空間の調査もいたしておりましたし、あるいはそのほかに、モニタリングボートによる港の内外の調査、あるいは年四回の、海水、魚介類、あるいは海底の土、あるいはプランクトンの調査も続けてまいりまして、そのほかに、入港時におきまして、モニタリングボートによって、海中及び空中の調査をいたしておったわけであります。それが、入港時のモニタリングボートによって、実は今回の異常値が発見せられたわけでございます。しかし、やはり、発表の行ない方、あるいは異常値を発見したときの措置におきましては、今日やはり反省すべき点が多いのでございまして、まことにこの点は、今後これを改めていかなければならないと思います。  そこで、今後の強化策としましては、さらに、測定器を増強し、あるいは優秀な測定器を設置することや、入港時におきまして人員を配置する、あるいは科学技術庁から、相当の責任者あるいはスタッフを置いて、臨時に手段がとれるようにすることや、あるいは発表の時期等を考えるというように、あらゆる面におきまして、観測体制に万全を期してまいりたいと考えております。  また、今回の調査、その他におきまして、逐次公表をするかというお話でございますが、あくまで隠蔽するというようなことなく、すべてこれは公表をして、世間の批判を仰ぎながら、誤解等や御不満を除きたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  33. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 達田君の御質問の、外務省は、このソードフィッシュ事件について、外交的にどういうことをやっているのかという御質問でございます。いま、御承知のように、科学技術庁が中心になってこの調査をいたしている、役所としては科学技術庁がやることが一番適当である。科学技術庁から、こういう資料、情報をアメリカ側から入手したいという希望があるつどに、アメリカ側に対して、これを要求をいたしまして、その情報や資料をアメリカから入手して、そうして科学技術庁にこれを渡して、調査協力をいたしているのでございます。  また、五月の十三日に、日米安全保障協議会が開かれましたときに、ジョンソン大使、シャープ太平洋司令長官も列席しておりまして、私から、この問題の重要性というものに対して、アメリカの注意を喚起いたしたのでございます。そうしてアメリカ側としても、これは軍機の秘密とか、いろいろなことの制約があるにしても、国民が非常に不安に思っているわけなんだから、アメリカは最大限度の協力をしてもらいたい。アメリカも協力をいたしますということで、専門家の派遣もそのときにいたすということになって、現在参って、科学技術庁の調査協力をしている次第でございます。こういう問題は、こういう事件が起こったことを契機にして、徹底的に原因を究明して、国民の不安を解消する、これが政府の責任であると考えております。  また、口上書、いわゆる安全性の確認に対するアメリカの口上書に対して、これを将来変更するかという御質問でございましたが、最終的な調査の結果を待って、安全を確保する上において、いままでの口上書だけでは足りない、もっと補足する必要があるというときには、補足いたすような変更を加えたいと考えております。全部最終的な調査の結果を待ちたいと思っております。  また、最後に、日本外交の姿勢について御批判がございましたが、日本の外交は忠実に冷静に日本の国家的利益を守ることに努力をいたしておりますから、達田君の御指摘のような追随とか従属というような御懸念はございません。(拍手)日本の外交に対して、われわれは国益を守ることに冷静、忠実である。日本の外交の姿勢に対して、皆さん方の御信頼を願いたいのでございます。(拍手)     —————————————
  34. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 黒柳明君。    〔黒柳明君登壇拍手
  35. 黒柳明

    ○黒柳明君 私は、公明党を代表して、佐世保における米原子力潜水艦寄港による異常放射能測定の件に関して、総理並びに関係大臣に若干の質問をするものであります。  去る六日、米原子力潜水艦ソードフィッシュ号が佐世保に寄港した際、同号より百メートル先の水中、空中で正常時の十七倍から二十倍という放射能が検出され、いまだにその原因が明らかにされていないことは、国民に多大の不安を与えております。この問題に関しては、衆参両院で幾たびか質疑が行なわれておりますが、人類に最大の脅威を与える放射能の問題でありますので、ここにあらためて疑問点について質問するものであります。  まず第一に、去る十三日、科学技術庁の専門家の検討会は、「放射能汚染の原因としては、米原潜ソ号を考えるのが最も常識である」と判断しております。ところが、先ほど三木外務大臣がおっしゃいましたように、同日、ジョンソン米大使、シャープ・アメリカ太平洋統合司令官が佐藤総理を訪問した際、「汚染の原因は絶対に米原潜ではない」旨を強調したと報道されておりますが、日米の見解は完全に食い違ったのであります。両名がそう断定したからには、それ相当の根拠があってのことだと思いますが、その裏づけとしての科学的データの提出を求めたのかどうか、この際総理大臣にお伺いしたいのであります。  第二に、ソードフィッシュ号は、ソーナーの修理に必要な部品が到着しないことを理由に出港を延ばしていたと言われておりますが、どこが故障していたのか、部品がいつ、どのような方法で送られて、どういう修理がなされたのかなど不明確のまま出港してしまったのであります。この点が解明されなければ、汚染の原因も不明なるままに終わってしまう可能性があります。政府は、この点についても、アメリカに対して必要なデータの提出を求めるべきであります。それができなければ、いたずらに国民の核に対する脅威を増長し、反米感情をつのるばかりであると思いますが、いかがですか。  第三に、科学技術庁は、「今回の異常値は人体に実害を及ぼすものではない」とし、また外務省筋の発言でも、「平常の十倍ないし二十倍の放射能は、人体に全く危険がない」としております。しかし、いま直接人体障害を起こすほどの放射能ではないにしても、プランクトンを通じて魚類の体内に濃縮される可能性があり、特にコバルト60は魚介類の食肉の中で千倍から一万倍に濃縮される事実があるのであります。この魚介類が私たちの口に入り、体内における生理的影響を土やえれば、ゆゆしき問題と言わなくてはなりません。この点についてどのような調査が行なわれ、今後どう対応していくつもりなのか、見解をお伺いしたいのであります。  第四に、今回の異常放射能も、まだ原子力潜水艦から出たという証拠がないと言われております。もし、海水分析で、コバルト60、ニッケル65、クローム51、沃素131など、いずれも原子炉の冷却水に特有の放射性元素が発見されれば、佐世保をよごしたのは原潜ときめつけられるのであります。しかし、現在採取され、そして分析されている海水は、異常な放射能を測定してから数時間たってから採取されたものであり、異常が発見されたときの海水そのものではないのであります。しかも、分析の結果はいまだに異常は発見されていないということでありますが、このような海水を分析すること自体に意味があるのかどうか疑問であると思いますが、いかがでございましょうか。  また、これは明らかに日本側の放射能監視体制の不備を完全にさらけ出したと言わざるを得ません。いわゆる異常放射能を検出しながら、すぐ海水サンプルを採取しなかったこと、連絡のおくれ、発表の不手ぎわなどの責任を、単なる言いわけや一片の弁明でのがれるわけにはいかないと思いますが、政府はその責任をどうおとりになるつもりでございましょうか。  今後、日本側のとるべき科学的調査の方向として、もっと大量に佐世保港内の海水あるいはどろ、あるいは魚介類などのサンプルを集め、放射能検出につとめることでありますが、これには相当長期間の、そして相当規模なる努力をすることが肝心だと思いますが、政府にはその用意がおありかどうか、お尋ねいたします。  さらに、けさほどの報道によりますと、アメリカより派遣された三名の調査官の言によると、「一次冷却水は海水の汚染のない限りにおいては放出することもある、佐世保においては放出しなかったのではないか」と述べております。彼らが言う「汚染のない限り」ということはきわめてあいまいであると思いますが、はたして一次冷却水が佐世保港内において放出されたのかどうか、厳重なる調査をする必要があると思います。  第五に、一昨年、レーダー波によるものとして片づけられていた横須賀港での異常放射能記録のことであります。    〔議長退席、副議長着席〕 すなわち、当時、米原潜スヌーク号が出港した後、空中で異常に高い放射能値が記録されました。これについて科学技術庁から依頼された理化学研究所では、「レーダーか電気ノイズ、または近くで行なわれていた工事のためか、きめられなかった、しかし、たぶん電気的なものと思う」と発表されております。ところが、科学技術庁の測定グラフ紙には、「そばに停泊していた空母コンステレーションのレーダー障害」とはっきり書かれております。しかも科学技術庁では、なぜそうなったのかとの問いに対し明快な答えをいまだ出していず、国民の疑惑を深めたままになっております。この際、国民の疑点を晴らすためその真相を明らかにしていただきたいと思います。  第六に、日本も調査し、アメリカも専門家を派遣して調査に当たっております。また、沖繩でも独自に放射能調査を行なう旨の報道がありましたが、日米間の調査結果が食い違った場合、いずれを優先して考慮するのかお聞かせ願いたいと思うものであります。  最後に、去る四十一年二月科学技術庁は、エンタープライズ入港に際して、原子炉の安全性確認に重点を置いて、アメリカに対し五項目の質問書を作成したことがあります。この際、あらためて政府は、原子炉の安全性、一次冷却水をはじめとする放射能廃棄物などの処理、過去における事故の際の状況、外国に寄港したときの海水放射能汚染の程度などについて質問書を作成し、アメリカ政府に提示するぐらいの用意があってもよいと思うがどうでしょうか。そして返答が不満であったならば、再質問を出してもよかろうかと思います。すべてを軍の機密としてしまうことは、日米両国の友好関係にも大きなマイナスをもたらすものと思うものであります。総理の明確なる答弁をお願いして私の質問を終了します。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  36. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 黒柳君にお答えいたします。  先ほど三木外務大臣からお答えいたしましたように、日米合同委員会の席上におきまして、この異常放射能についての発言を外務大臣がされたその結果であろうと思いますが、私の部屋に、ジョンソン大使並びにシャープ提督が見上えましたときに、口を開くや、いきなり、この異常放射能の話になりました。そうして、米海軍は絶対に汚染するようなことはないと、こういう非常に強い断言をされたのであります。そこで私は、その断言は非常にけっこうだが、ただいまの状態では、何といっても、原因の科学的に説明しないことには、みんなは納得しない、だから、そういう意味で、いま私どもはせっかく調査に乗り出して、これは徹底的に調査するつもりだ、そこで米側もやはり協力してもらいたい。これはいわゆる合同調査的のものではございません。独自の調査をしますが、米側がこの原子力についての特別な知識も持っておるだろうから、そういう意味協力してほしいし、また、軍の機密その他もあるだろうが、とにかく、あとう限りの資料を提出をしてもらいたい、こういう話を率直にいたしました。その結果、それでは今夜のうちにもワシントンに連絡をとって、専門家を日本に来てもらうようにいたしましょう。それでその処置がとられたのでございます。したがいまして、私は、この日本の政府並びに米側におきましても、特にこういう問題を隠すようなことはないのだ。これは非常に率直に、端的に、ただいまの独自の調査を進めるにおいては、相互に誤解なしに進めることができておる、かように思います。したがいまして、原潜入港の際にいろいろの取りきめがございますけれども、まあ今回のような異常放射能が出て、そして、それが原潜が原因だというようなことにもなるかもわかりません。そういう際には、さらに必要な資料の提出等を要求することはあり得る。私は、必要なる処置をこの上ともとって、そうして不安をなくするようにいたしたいと思っております。ただいま言われますように、日米の友好関係は、ただ軍の機密だと、こういうことでみんな逃げられては、日米の友好関係を深めるという方向から考えましても、たいへん遺憾だと、かように思いますので、そういうことのないように、この上とも努力するつもりであります。  そこで、ソードフィッシュ号が出港するまで、一体どういうような処置をとったか。ただいままでのところは、この原子力ではないが、ソーナーの部品の取りかえをしたのだ、かような言明をしております。しかし、これらの言明も含めて、いま調査をしておるのでありますから、その調査の結果を政府は尊重し、そうして国民に不安を与えないように、ことに、原爆を受けた長崎県民にそういう不安を与えないように、この上とも最善を尽くすつもりであります。もうすでに原子力委員会等から意見も出ておりますから、これを尊重することはもちろんであります。また、ただいまの調査結果等も尊重いたしまして、こういう問題について最善を尽くす考えでございます。(拍手)    〔国務大臣鍋島直紹君登壇拍手
  37. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 第一点でありますが、ソードフィッシュ号の出港がおくれた原因は、現在、先ほど総理がお答えいたしましたように、ソーナーの部分品の取りかえであって、それを飛行機でアメリカから持ってくる期間だけ出港をおくらしたいという通知があったのでございます。この点におきましても、現在、科学技術庁の専門調査団とアメリカの調査団と、きのうから接触をして、いろいろ討議をしておりますので、この点もあわせて明確にいたすように、私は調査団にお願いをいたしておりますので、明らかになっていくのではないかと考えます。  次に、佐世保港内におきまする放射能蓄積による魚介類等の問題について、非常に重要な問題ではないかという御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、年四回——潜水艦が入ろうと入るまいと、あるいは原子力軍艦が入ろうと入るまいと、常時年四回の調査を、プランクトン、魚介類、泥土、海水というふうに分けて調査をいたしておりますが、今後におきましても、今度の観測体制の強化におきまして、さらに期間を短くし、あるいは測定器をかえ、測定場所をさらに多くして、十分この点につきましては測定をしながら、安全性を確保してまいりたいと考えております。  次に、原子力潜水艦の佐世保港におきまする水、海水の問題でございますが、率直に申し上げまして、測定せられた直後に海水を採取する必要があったと思います。現在分析しております海水は約三時間前後あとになっております。この点は、確かにいま考えてみますと、専門家がいなくて、その数値を見たときに数値に多少の疑問を抱いたのでありますが、やはり万全の策をもって海水を採取すべきであったことは、まことに私としては科学技術庁として申しわけのないことだと考えております。この点の責任は、もちろん科学技術庁にございます。したがって、今後そういうことがないように最善を尽くす以外に安全性を確保する道がないわけでございまして、よく反省をいたしまして、そういうことのないように処置をいたしたいと思います。  次に、連絡、発表等の不手ぎわ、あるいは観測体制に不備があったのではないかというようなことでございまして、この点は、先ほど達田議員の御質問にお答え申しましたように、現在の観測体制をさらに強化いたしますとともに、科学技術庁の係員を、入港時にはそれ相当のスタッフを向こうに置きまして、そして即時観測値によって判断ができ、あるいは現地においてできるだけこれを発表するというような形をとるように、最善の強化をいたす体制を目下検討中でございまして、できる限り早くこの強化を実現したいと考えております。そういうことによってひとつ安全性の面でも一面から強化して、御不安を除きたいというふうに考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  38. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 黒柳君が御指摘になりましたように、放射能の被害というものはすぐ目に見えるものではない、それだけに非常な不安を国民に与えますので、ちょうどこういう事件が起こったことを機会にして、原因を徹底的に究明すると同時に、あるいは冷却水の問題もお出しになりましたが、口上書の中に、放出は絶対にいかぬとは書いてない。この点もやはり究明の結果、口上書に対して変更を加えるかどうかということに対しては検討してみたい。そうでないと、このことが、御指摘のように非常な疑惑が起こるということになれば、日米友好関係の上にも響くことは明らかでございます。また、アメリカ自身としても日本の港にだけくるのではないので、自分の国でも方々に寄港しておりますし、よその国々にも原子力潜水艦は寄港するので、放射能の被害があるということは、これは非常にアメリカ自身としても大問題である。軍機の機密などというようなことで調査に対して非協力な態度はとるはずがないし、またとってはいけない、こう思いますので、政府としては、多少の時間はかかりましょうが、この事件に対して原因をできるだけ明らかにして、国民の不安解消のために万全の処置を講ずる所存でございます。  お答えをいたします。(拍手
  39. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      —————・—————
  40. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 日程第三、昭和四十一年度一般会計予備費使用総調書(その2)。  日程第四、昭和四十一年度特別会計予備費使用総調書(その2)。  日程第五、昭和四十一年度特別会計予算総則第十条に基づく使用調書。  日程第六、昭和四十一年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書(その2)。  日程第七、昭和四十二年度一般会計予備費使用総調書(その一)。  日程第八、昭和四十二年度特別会計予備費使用総調書(その一)。  日程第九、昭和四十二年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書(その一)。   (いずれも衆議院送付)  日程第十、昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十一年度政府関係機関決算書。  日程第十一、昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算書。  日程第十二、昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書。  以上十件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。決算委員長亀田得治君。    〔亀田得治君登壇拍手
  42. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいま議題となりました昭和四十一年度一般会計予備費使用総調書(その2)外三件並びに昭和四十二年度一般会計予備費使用総調書(その1)外二件の事後承諾を求める件について、決算委員会における審査の経過並びに結果について御報告いたします。  まず、本件の内容について概略を申し上げます。  昭和四十一年度一般会計予備費使用総調書(その2)外三件は、昭和四十二年一月から同年三月までの間に使用されたもので、その総額は百六十億四千万円余であります。  次に、昭和四十二年度一般会計予備費使用総調書(その1)外二件は、昭和四十二年四月より同年十二月までの間において使用されたもので、その総額は二百八十八億四千百万円余であります。  決算委員会におきましては、以上七件につきまして、大蔵省当局から説明を聴取した後、質疑に入りました。質疑におきましては、災害復旧問題、海外経済協力問題、食糧管理特別会計の問題及び退官退職手当の問題等につき活発な質疑が行なわれましたが、詳細については会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて質疑を終わり、採決の結果、以上七件はいずれも多数をもって承諾を与うべきものと議決した次第であります。     —————————————  次に、昭和四十一年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、昭和四十一年度決算関係四件については、昭和四十二年十二月二十七日国会に提出され、昭和四十三年二月一日当委員会に付託され、国有財産関係二件については、昭和四十二年十二月二十七日国会に提出され、昭和四十三年一月二十三日当委員会に付託されました。  当委員会は、決算外二件の審査にあたりましては、会計検査院の検査報告中心の審査ということではなく、国民の声を反映する国会としての立場から、国会が議決した予算及び関係法律が適正かつ効率的に執行されたかどうかという点を主眼といたし、さらに必要ならば政策の批判にまで及ぶという心がまえで審査を行なった次第であります。この間、委員会を開くこと十七回、慎重に審査を重ねたのでありますが、それらの詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて委員会は、五月十五日質疑を終局し、決算外二件について討論に入り、まず、決算の議決案について討論を行ないました。その議決案は第一に、本件決算はこれを是認する、第二は、内閣に対する九項目の警告決議であります。  討論においては、日本社会党、公明党及び日本共産党を代表した委員から、本件決算については数々の不当事項が会計検査院から指摘されているが、これは氷山の一角にすぎないものであることが予想される点、当委員会で取り上げられた巣鴨拘置所移転問題、食糧管理特別会計における財務処理問題等の案件がいまだ十分解明されていない点、指摘された河川敷用地のあり方について依然として是正実績の認められない点、行政運営の面において綱紀粛正の要請されるように事態が絶えない点などから、本件決算を是認することはできないが、警告決議案には賛成である旨、また、自由民主党及び民主社会党を代表した委員から、本件決算を是認するとともに、警告決議案に賛成する旨の意見の開陳がありました。  かくて、討論を終わり、採決の結果、本件決算は、多数をもって是認すべきものと議決され、続いて内閣に対し、全会一致をもって警告決議案のとおり警告すべきものと議決された次第であります。  内閣に対する警告事項の内容は次のとおりであります。  (1)政府は公務員が予算執行にあたり、その財源 が国民の租税負担に基くことの自覚に徹し、旧来の惰性になじむことなく、与えられた経費をもって最大の行政効果を発揮するよう努めるべきである。  (2)綱紀の厳正な保持は、適正な予算執行の基調である。近年公務員の汚職の事犯が漸増の勢いを示しているのは遺憾に堪えない。政府は公務員の綱紀粛正に一段と留意し、ことに業者等との接触に際しては、疑惑を招くことのないよう清廉な態度を持すべきである。また、政府は公務員が勤務態勢上、たとえばゴルフなどの遊技にみられるごとく公私の別をみだり、国民のひんしゅくをかうがごときことのないよう指導監督に留意すべきである。多数の退職高級公務員の関連団体への再就職が行なわれているが、政府はこの極人事について弊害を伴なわぬよう努めるべきである。  (3)わが国の土地政策の遅れていることは、住宅問題等の公共事業の遂行上好ましくない影響を与えている。政府は総合的かつ実効ある土地対策を施行し、もって住宅問題等真に国民の利益に奉仕する公共事業の円滑かつ効率的な遂行を期すべきである。  (4)日本住宅公団の工事発注に関して、工事代金の前払いをするにあたり、業者の着工可能日の適確な見通しを誤り、前払金の支払後もその着工が著しく遅れる事例がある。建設省は同公団をして善処させるべきである。  (5)法務省八王子拘置支所は昭和三十五年の開設以来脱走事件四度におよび、付近住民に不安を与えていることは遺憾である。法務省は同拘置支所につき管理および施設の改善を行ない、再びこの種事件をおこさぬよう努力すべきである。  (6)厚生省では多額の補助金を交付して市町村にし尿処理施設を整備させているが、これら施設のうちには十分活用されぬものが少なからずあり、このため、不衛生なし尿処理が行なわれていることは看過できない。当局は当該市町村に対しこれが管理、運用体制を充実、強化させるよう早急に実効ある措置をとり、補助目的の達成を図るべきである。  (7)食糧管理特別会計において、運賃計算方式包装資材の調達のあり方、食管関係代金の代理受領を認める支払方式等については問題があると思われるので、食糧庁はこれら諸点を検討の上食糧管理特別会計における諸経費の節約に一そう努力すべきである。  (8)郵政省職員による貯金預入金の領得などの部内犯罪については、当委員会としても連年警告してきたところ、いまだ減少傾向はみられない。特に監察機構をもちながら郵袋盗難など多くの未検挙事犯をだしていることは遺憾である。郵政省は特段の防犯施策を講じてその根絶を期すべきである。また、郵便書簡を過大に調達する等業務処理上不適切な事態を生じているが、当局はこのような事態を再びおこさぬよう留意すべきである。  (9)日本電信電話公社では、資材の調達にあたり、既設ワイパ中、部品のみ取り替えれば十分使用再川できるところ、新品を購入したため不経済な事態を生じている。郵政省は料金改訂が問題になっている今日、一そう冗費を省き、予算の効率的使用に徹するよう措置すべきである。  以上であります。     —————————————  次に、昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書の二件につきましても、採決の結果、多数をもって異議がないと議決された次第であります。  以上のとおり報告いたします。(拍手
  43. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、日程第三より第九までの予備費等使用調書七件について採決をいたします。七件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  44. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、七件は承諾することに決しました。      —————・—————
  45. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 次に、昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和四十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十一年度政府関係機関決算書について採決をいたします。  本件の委員長報告は、本件決算を是認すること及び内閣に対し警告することからなっております。  まず、本件決算を委員長報告のとおり是認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  46. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本件決算は委員長報告のとおり是認することに決しました。      —————・—————
  47. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 次に、委員長報告のとおり内閣に対し警告することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、右全会一致をもって委員長報告のとおり内閣に対し警告することに決しました。      —————・—————
  49. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 次に、昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書について採決をいたします。  両件は、委員長報告のとおり異議がないと決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  50. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、両件は委員長報告のとおり異議がないと決しました。      —————・—————
  51. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 日程第十三、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百六十七年)及び関係公換公文の締結について承認を求めるの件。  日程第十四、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定締結について承認を求めるの件。  日程第十五、千九百六十七年の国際穀物協定締結について承認を求めるの件。   (いずれも衆議院送付)  以上三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長三木與吉郎君。    〔三木與古郎君登壇拍手
  53. 三木與吉郎

    ○三木與吉郎君 ただいま議題となりました条約三案件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、「関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書」は、一九六四年から六七年までの貿易会議、いわゆるケネディラウンドにおける関税交渉の結果、参加国の関税を五年間に段階的に引き下げることを約束したものであります。  また、「交換公文」は、一定の乗用自動車に関するわが国の関税譲許の特例について、欧州経済共同体との間に取りきめたものであります。     —————————————  次に、「関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定」は、ダンピング防止措置の乱用を国際的に規制することを目的としたものであります。     —————————————  最後に、「国際穀物協定」は、従来の小麦協定にかわる小麦貿易規約と新たに加わった食糧援助規約とからなっており、小麦貿易規約については、価格の規定等に改正が加えられております。また、援助規約は、低開発国に対する食糧援助の義務等を規定しておりますが、わが国は、援助の必要性を認めつつも、食糧援助義務を穀物協定中に置くことは妥当でないとの考えから、該当規定の受諾を留保することといたしております。     —————————————  委員会におきましては、最近における米国の輸入制限の動きに対処する問題、中共貿易に関するわが国の関税率の問題、穀物協定に関連するわが国の自発的援助の問題、わが国の援助体制等、各般にわたって熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録に譲ります。  五月十六日質疑を終え、討論に入りましたところ、森、羽生両委員より、それぞれ、中共貿易業者が不利にならないように措置し、中共貿易の前進をはかるべきである、また、米国の保護貿易的な動きに対処し、ケネディ・ラウンドの成果に寄与するよう外交措置を講ずべきであるとの要望を付して賛成の意見が述べられ、次いで採決の結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  54. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  三件全部を問題に供します。三件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  55. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、三件は承認することに決しました。      —————・—————
  56. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 日程第十六、国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長青柳秀夫君。    〔青柳秀夫君登壇拍手
  57. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 ただいま議題となりました法律案は、国有林野事業特別会計に属する特別積み立て金引き当て資金について、従来林業振興等の財源に充てるため一般会計に繰り入れる場合に限り使用することとなっておりましたものを改め、今後当分の間、森林開発公団に対するこの特別会計からの出資に優先的に使用することができることとしようとするものであります。  なお、本法律案は、衆議院において、施行期日を改める修正が行なわれております。  委員会におきましては、森林開発公団への出資方式を改める理由等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  58. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  59. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      —————・—————
  60. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 日程第十七、旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の一部を改正する法律案(内提閣出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長北條雋八君。    〔北條雋八君登壇拍手
  61. 北條雋八

    ○北條雋八君 ただいま上程の法律案について、法務委員会における審議の経過と結果を報告いたします。  本法律案は、旧執達吏規則に基づく執行吏恩給を、一般公務員恩給の改善に対応せしめるため、今後恩給法令の改正により、一般公務員恩給が増額される場合には、執行吏恩給もこれに準じて増額されることとするものであります。  委員会における質疑については、会議録によって御承知を願います。  質疑を終わり、討論には発言なく、次いで採決の結果、全会一致をもって本法律案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  62. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  63. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  64. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 日程第十八、最低賃金法の一部を改正する法律案。  日程第十九、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案。  日程第二十、国立光明寮設置法の一部を改正する法律案。   (いずれも内閣提出衆議院送付)  日程第二十一、理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案。(衆議院提出)  日程第二十二、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案。(内閣提出衆議院送付)  以上五件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長山本伊三郎君。    〔山本伊三郎君登壇拍手
  66. 山本伊三郎

    ○山本伊三郎君 ただいま議題となりました五法律案につきまして、委員会の審査の経過と結果を申し上げます。  まず、最低賃金法の一部を改正する法律案は、最低賃金制の進め方について、その決定方式に変更を加えるものであります。  わが国の最低賃金制は、昭和三十四年の法施行以来、業者間の取りきめに基づいて最低賃金を決定する方式、いわゆる業者間協定方式を主軸として進められてまいりました。しかしながら、最近の経済事情の変化によって、業者間協定方式に依存していては、最低賃金制のより効果的な拡大が期しがたい情勢になってまいりました。このほか、最低賃金の決定にあたり、労使関係の参両のあり方についても、国際上の慣行から見て、再検討の必要が指摘されてまいりました。  そこでこの法案は、最低賃金制をより適正に発展させるため、業者間協定方式を廃止することにし、決定方式の主軸を、最低賃金審議会の調査審議に基づいて行政官庁が決定する方式に移行させようとするものであります。しかし、改正法施行の際、効力を持っている業者間協定に基づく最低賃金を急激に廃止することは混乱を招くおそれがありますので、法施行後二年間、その効力を存続させることとしております。  衆議院においては、職権方式の促進をはかる趣旨から、関係労使が行政官庁に対して、最低賃金の決定及び改廃に関する意見を申し出ることができる旨の条項を加え、あわせて最低賃金制度の基本的なあり方について、政府は中央最低賃金審議会の答申を尊重し、すみやかに必要な措置を講ずべき旨の修正を行なっているのであります。  委員会における質疑のおもなる事項は、次の諸点であります。最低賃金制度の社会、経済における役割り、最低賃金の決定要素となる生計費と企業の支払い能力との関係、海外諸国における全国一律最低賃金制の実態、最低賃金審議会の運営における労使対等の実現、労使関係健全化の促進と労働協約の拡張適用方式の活用、家内労働対策、制度の基本的なあり方に関する中央最低賃金審議会の答申を明年三月末日までに期待し、同答申に基づく法律改正の指貫を一年以内にとることについての確認等であります。  質疑を終局し、採決の結果、多数をもって衆議院送付案のとおり可決すべきものと決しました。  次いで、本法案に対して、最低賃金制度のあり方に関するすみやかな検討及び法改正を含む必要な措置実施に関して、政府努力を要望する旨の附帯決議が提出され、全会一致をもって委員会の決議とすることに決しました。     —————————————  次に、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案は、身体障害者更生援護施設において訓練を受ける障害者に対し、訓練に伴う参考書購入費として更生訓練費を支給しようとするものであります。  採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。     —————————————  次に、国立光明寮設置法の一部を改正する法律案は、中途失明者を主とした社会復帰の訓練施設として設けられる国立光明寮を、新たに福岡県に設置するものであります。  採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。     —————————————  次に、理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案は、理容所、美容所における衛生管理を実効あらしめるための改正措置でありまして、二人以上の理容師、美容師が業務に従事する理容所、美容所にあっては、少なくとも一人はそれぞれ管理理容師、管理美容師でなければならないとするものであります。  採決の結果、全会一致をもって本法律案は原案どおり可決すべきものと決しました。     —————————————  最後に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案について申し上げます。  原爆被爆者に対しましては、昭和三十二年から、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律によって、健康診断の実施と特別の、医療給付がなされておりましたが、この措置は、原爆被爆に起因する身体的障害の特殊性に対象をしぼって、その健康の回復を企図したものであります。しかし、その後十年の実績にかんがみますと、この医療措置のみによる対策をもってしては、いまだ足らざることが明らかになってまいりました。そこで、この法律案は、原爆被爆に関連する特別の支出を補てんする措置を、従前からの医療措置にあわせて講ずることにするものであります。  特別措置は、次の手当を含みます。  第一に、原爆症患者に対して支給する月額一万円の特別手当及び医療給付を受ける期間中支給される、医療手当、  第二に、多量の放射能を浴びた特別被爆者のうち、機能陪審を起こしている者に支給される月額三千円の健康管理手当、  第三に、介護人を必要とする特別被爆者に支給する介護手当とされているのであります。  委員会における質疑のおもな事項は、原爆被爆者に対する施策の基本的姿勢、原爆障害に関する認定基準再検討の必要性、三十万の被爆者の八%にしか適用されないという支給基準の再検討、手当と生活保護費との調整等の諸点であります。  質疑を終わり、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。  次いで、本法の施行にあたって配慮すべき諸点及び今後改善に努力すべき諸点について、八項目にわたる附帯決議が提出され、これまた全会一致をもって委員会の決議とすることに決しました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  67. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、最低賃金法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  68. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      —————・—————
  69. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 次に、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案国立光明寮設置法の一部を改正する法律案及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案全部を問題に供します。以上三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  70. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、三案は全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  71. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 次に、理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  72. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      —————・—————
  73. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 日程第二十三、都市計画法案(第五十五回国会内閣提出、第五十八回国会衆議院送付)。  日程第二十四、都市計画法施行法案内閣提出衆議院送付)。  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。建設委員長藤田進君。    〔藤田進君登壇拍手
  75. 藤田進

    ○藤田進君 ただいま議題となりました都市計画法案及び都市計画法施行法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  現行都市計画法は、大正八年に制定されて以来約五十年になるのでありますが、最近の都市化の現象、特に大都市周辺における無秩序な市街化の現状に対処するため、本案は現行法を全面的に改正しようとするものであります。  そのおもな内容は次のとおりであります。  第一に、都市計画は、農林漁業との調和をはかり、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきであること、そのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用がはかられるべきことを基本理念として定めるものとすることであります。  第二に、都市計画区域は、都市の実態及び将来の計画を勘案して、一体の都市として整備、開発及び保全する必要のある区域を、都道府県知事が建設大臣の認可を受けて指定するものとし、二以上の都府県にわたる場合は、建設大臣が指定するものとすることであります。  第三に、都市計画の内容として、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに区分して定めるとともに、都市計画には、用途地域その他の地域地区、道路その他の都市施設及び土地区画整理事業その他の市街地開発事業を定めるものとすることであります。  第四に、都市計画の決定につきまして、広域的見地から決定すべき事項または根幹的都市施設等に関する都市計画は都道府県知事が、その他の都市計画は市町村が定めるものとし、必要がある場合には、建設大臣は、国の利害に関係がある事項に関し指示することができるものとすることであります。  第五に、都市計画制限につきまして、市街化区域または市街化調整区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければならないものとし、市街化調整区域内においては、その区域内に立地することが支障なく、かつ、やむを得ない行為に限り許可するものとするほか、都市計画施設または市街地開発事業の区域においては、一定の建築物建築を規制するものとすることであります。  第六に、都市計画事業は、市町村が都道府県知事の認可を受けて施行するものとし、必要な場合には、都道府県または国の機関等が建設大臣または都道府県知事の認可を受けて施行することができるものとすること等であります。     —————————————  次に、都市計画法施行法案の要旨について申し上げます。  本案は、都市計画法の施行に伴い、施行期日及びその施行に必要な関係法律の一部改正及び経過措置を定めるものであります。     —————————————  両案は、衆議院における修正議決の後本院に送付され、委員会においては、農林水産委員会との連合審査及び参考人の意見聴取を行なう等、慎重な審査を重ねてきたのであります。  委員会における質疑のおもな点は、全国総合開発計画等の上位計画との関連、農業政策との調整、都市計画の決定主体、地価対策の必要性等に関するものであり、また、参考人からは、都市計画の主体性を大幅に市町村にゆだね、かつ、財政負担の軽減をはかるべきこと、都市近郊の農業に対する適正な措置がとられるべきこと、一貫した方針に基づいて総合的な都市政策が行なわれるべきこと等の意見が述べられましたが、それらの詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して大河原委員より、住民参加、農業との調整、地価対策及び財政措置等の考慮がきわめて不十分と思われるので反対する旨の発言がありました。  討論を終了、採決の結果、両案はいずれも多数をもって送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  続いて、自由民主党の稲浦委員より附帯決議案が提出され、採決の結果、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  附帯決議の内容は次のとおりであります。   政府は、都市計画法の施行に当たり、次の諸  点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾  なきを期すべきである。  一、現下の都市化現象に対処し、国土の均衡ある発展を図りつつ適正な都市計画を樹立するため、すみやかに全国総合開発計画を改定し、国土全体にわたる総合的な開発、利用及び保全に関する計画を確立すること。  一、市街化区域及び市街化調整区域を定めるに当つては、市街化と農業との調整を図るため、農業関係機関等の意志が充分に反映されるよう所要の措置を講ずること。  一、市街化区域は、必要な範囲に止めるとともに、集団的優良農地は原則として含ましめないよう指導すること。なお、当該区域における開発行為の許可を要しない面積の基準を極力引き下げるとともに、開発許可を要するものについては、その許可のあつたことを証する書面を農地転用届出書に添付するよう措置すること。  一、市街化区域内の農家で、離農ならびに他の地域に移住して農業を継続しようとする者に対しては、農業関係機関等を活用して健全かつ安定した就業の方途ならびに代替地のあつせん、取得等について遺憾なき措置を講ずること。  一、市街化区域内の農地転用に際しての土地改良費分担金の確保ならびに市街化に伴うかんがい用水の汚濁の防止等に万全を期すること。  一、市街化区域にある未利用の土地については、土地基金を拡充し、極力これを買い上げ、公共用地の確保に努めるとともに、公共住宅の建設を促進すること。  一、市街化区域の優先的かつ計画的な市街化を促進するため、当該区域内において行なわれる都市計画事業に関し、国の助成の強化等地方公共団体の財源充実のため格段の措置を講ずること  一、市街化区域内の農地については、固定資産税等において過重な税負担をきたさないよう適切な措置を講ずること。  以上御報告申し上げます。(拍手
  76. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 両案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。大河原一次君。    〔大河原一次君登壇拍手
  77. 大河原一次

    ○大河原一次君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま委員長より報告されました都市計画法案及び都市計画法施行法案に対し、反対の立場を表明するとともに、具体的に二法案に対する反対理由を明らかにするものであります。  今日、極度に混乱を引き起こしているところの都市問題が、健全な都市への再建見通しさえも立たぬまま深刻な事態にさらされていることは、御承知のとおりであります。その最大の特徴は、大都市地域への急激な人口、産業の集中によって、住宅難、交通地獄、さらに公害や災害の激発、緑地や通勤施設等は一そう貧困化し、いまや生命と生活の不安は急速に顕在化しようとしているのであります。また、同時に、農村をはじめ、地方中小都市は、人口の減少、地方財政の逼迫等によって、住民の生活危機を深めつつあるのも現実の姿であります。  このような国民生活の悪化に、政府は、いま都市の整備に対処しようとして、今回、新都市計画法案を提案されたものであります。現行都市計画法が大正八年の制定以来、いわゆるかたかな法文のもとで、昭和十五年に追加された戦時体制強化のための防空目的をいまなお温存してきた点にも示されておりまするように、現行法は国民生活の向上を軽視し、急激に変化した都市の実勢から遊離したものとなっているのであります。  したがいまして、現行法の全面的改正でありますところの新都市計画法案が、ひらがな書きに改められていることはもとより、国土利用の合理化、中央集権に立つ計画行政から地方公共団体への権限移譲、国土開発関係諸法との総合的な体系化をはかろうとするなど、幾つかの改善の意欲が見られることは、一応の前進と言えるのであります。  しかし、その内容を検討してみますると、都市計画にとって最も大切な問題でありまする市民の積極的な協力と参加による都市づくりの保障や、また、都市づくりの基幹法律としての役割りは全くあいまいなものになっておるのであります。このような基本問題が不明に付されたまま都市計画が実行に移されますならば、その都市計画は市民のための理想的な都市づくりとはならず、逆に市民に新たな犠牲をしいる結果となることが予想されるのであります。わが社会党は、委員会審議におきまして、理想的な都市をつくり上げるための都市計画のあり方を、具体的な質問を展開しながら攻めたのでありまするが、政府の態度はわれわれの不安を解消するところとはならなかったのであります。ここで、あらためてわが党のおもな批判点を提起しながら、本法案に反対する理由を明らかにしたいと思うのであります。  まず第一は、都市計画の基本方向に関してであります。  本法は、国土の均衡ある発展と一体となった都市建設をめざすことを冒頭でうたっておりまするが、国土総合開発計画地域開発計画をはじめ、今国会に提出されておりまする都市再開発法案、公害関係法案、農地関係法案、さらに政府で検討が進められておりまする工業立地法案などとの法的相互関連は不明確であり、これらの諸法と有機的に関連し、一体的な体系をもって都市づくりをはかる位置づけも、あいまいきわまるものであります。このように都市計画に関連する基本問題が不明確のまま進められるならば、地方総合開発計画がいまなお策定されていないことや、国土の全国総合開発計画の実績から見ましても、同じように本法案は空文に終わるおそれがあるのであります。  次いで、都市計画は、都市のあるべき理想像の到達方法でありまするが、そのためには、人間生活の基本条件であるところの居住水準と住居計画のあり方をはじめ、都市生活に密接に結びつく都市環境を、総合的、立体的に構成すべきでありまするが、本法案は、この積極的な改造策を欠いておるのであります。これでは、単に現状追認の指定であり、貧困な現実に対する部分的な手直しをすることにとどまっておるのであります。さらに、都市環境、生活施設の重点的強化の意思をあいまいにした施策のもとで、施設計画を単に羅列するだけでは、現実の矛盾や混乱に対処できないのみか、新たなる弊害の多発を招き、ひいては都市建設は、より一そう大きな壁にさえぎられてしまうのであります。  次いで、批判点の第二は、区域区分の設定についてであります。  都市計画区域は、新たに市街化区域と市街化調整区域に区分され、土地利用の合理化をはかろうとしておるのでありまするが、現実に指定する方法におきましては、肝心の都市計画区域の指定基準は抽象的であり、具体的な規定は政令にまかされておるだけではなくて、むしろ、都道府県知事の裁量に左右される余地すら残されておるという姿であります。そもそも、都市計画の現実性とは、具体的な規定が明らかにされて、初めて権威と信頼が生まれるものであります。市民に納得してもらい、積極的な協力が得られない都市計画は、市民を無視する、いわば権力的支配と言わなければなりません。また、市民の意思を反映した都市計画の現実的執行主体は市町村でありまするが、法案の上では、むしろ、国や都道府県の権限に重点が置かれておるのであります。もっと市町村の権限を明らかにし、同時に、都市機能の強化を、都市計画者や専門スタッフの配置ではかるべきであり、さらに大幅な財政援助によって、都市計画の発展を保障すべきでありまするが、政府の態度は、市町村に対して、はなはだ冷淡なものであります。  都市計画は、住民一人一人の生活向上と総合的な計画によって実現する方策でありながら、このように、直接住民と結びつく市町村を軽視しておることは、実際には、住民の福祉を軽視しておることの証左であると言わなければなりません。さらに、住民の軽視について、特に指摘せねばならぬ問題は、農業経営者についてであります。本法案の第二条は、都市計画の基本理念として、農林漁業との健全な調和をはかることを強調しておるのでありまするが、本案をさらに検討するならば、農業を都市の副次的、あるいは側面的な役割りとしてしか評価していないと思われるのであります。都市にとって、農地と農業は、単に食糧供給にとどまらず、緑地や自然環境等、健康増進にとっても不離一体のものであります。それだけに都市計画に関連する農林漁業の健全な発展等を、農業と農村生活の両面にわたって確立すべきでありまするが、これまた、政府の態度は、抽象的な答弁だけで、農民の切実な要望に身をもってこたえようとする姿勢に欠けておるのであります。  次いで、第三点は、地価安定対策についてであります。  都市計画は土地利用の野放しを規制するものでありまするが、本法案に基づくところの施策は、市街化区域に対する積極的な公共投資によって、地価上昇を招くおそれが十分予測されるのであります。もし地価高騰が引き起こされるならば、都市機能は一そう混乱し、計画は無計画に転落するのであります。都市計画にとっては、何よりも強力な地価安定対策の確立が必要とされるのでありまするが、これまた、政府の放置するところであります。  第四の批判点は、住民参加と計画手続についてであります。  都市計画の目的は市民生活の全面的な向上安定をはかるものであります。それだけに、自分たちの都市を市民みずからの創意と力によってつくり上げることが最も基本的なことであり、これは民主主義を具体的に表現することとなるのであります。しかるに、都市計画作成段階での住民意思の反映や事業の行政手続による救済は無視され、依然として上からの押しつけ的都市計画中心となっておるのであります。  住民意思を反映するという都市計画審議会は、従来の形式的な隠れみの的役割りを振り捨てて、公正な第三者の立場をどれだけ貫けるかは、はなはだ疑問とするところでありますし、また、市町村議会の議決による計画も、都道府県知事の優先主義によって打ち消され、住民の日常生活に直結する市町村議会の議決は、これまた意味を失うことになってしまうのであります。このように、直接の利害関係者でありまする住民の要望が手続的に軽視されては、都市の再建計画は困難であると言わなければなりません。  最後に、私権の制限について、本法案の危険な側面を指摘するものであります。  都市計画の効果は、さきに触れましたように、土地利用の制限をはじめ、地域住民の幾多の私的権利を大幅に制限することによって成立するものであります。それだけに、都市計画は住民の納得を必要とするものであります。したがって、損失等の犠牲を受ける住民に対しては、ただ単に金銭のみの補償にとどまらず、市民生活の再建にとって必要な措置を全面的に講じなければならぬと考えるのであります。全体のために、一部の犠牲はやむを得ないと、こういう考え方や、やり方は、実は全体の利益をも尊重しない権力者的な詭弁でありまして、わが日本社会党は、私権制限による不利益者に対して、積極的な生活再建の方策で救済することを強く要求するものであります。  以上をもって、都市計画法案並びに都市計画法施行法案に対する反対の理由を明らかにいたしましたが、わが日本社会党は、今後とも住民のしあわせを念願とする都市計画に不断の努力を払いながら、今後さらに一そうの全力を傾注いたしまして、国民の意にこたえたい決意であることを表明し、私の反対討論を終わりたいと思います。(拍手
  78. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  79. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十九分散会