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1968-04-24 第58回国会 参議院 本会議 第15号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十三年四月二十四日(水曜日) 午前十時四分
開議
—————————————
○
議事日程
第十五号
昭和
四十三年四月二十四日 午前十時
開議
第一
国民年金法等
の一部を
改正
する
法律案
(
趣旨説明
) 第二
南方諸島
及びその他の
諸島
に関する
日本
国と
アメリカ合衆国
との間の
協定
の
締結
につ いて
承認
を求めるの件及び小笠原
諸島
の復帰 に伴う法令の適用の
暫定措置等
に関する
法律
案(
趣旨説明
) 第三 アジア=
オセアニア郵便条約
の
締結
につ いて
承認
を求めるの件 第四
日本国
と
シンガポール共和国
との間の千 九百六十七年九月二十一日の
協定
の
締結
につ いて
承認
を求めるの件(
衆議院送付
) 第五
日本国
とマレイシアとの間の千九百六十 七年九月二十一日の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件(
衆議院送付
) 第六
製造たばこ定価法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第七
酒税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出、
衆議院送付
) 第八
訴訟費用臨時措置法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第九
社会福祉事業振興会法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) 第一〇
郵便切手類売さばき所
及び
印紙売さば
き所に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第一一
金属鉱物探鉱促進事業団法
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第一二
金属鉱業等安定臨時措置法
を廃止する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) 第二三
消防法
及び
消防組織法
の一部を
改正
す る
法律案
(
内閣提出
)
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり
—————————————
重宗雄三
1
○
議長
(重
宗雄三
君)
諸般
の報告は、朗読を省 略いたします。
—————————————
重宗雄三
2
○
議長
(重
宗雄三
君) これより本日の
会議
を開きます。
日程
第一、
国民年金法等
の一部を
改正
する
法律案
(
趣旨説明
)。 本案について、
国会法
第五十六条の二の規定により、
提出者
からその
趣旨説明
を求めます。
園田厚生大臣
。 〔
国務大臣園田直
君
登壇
、
拍手
〕
園田直
3
○
国務大臣
(
園田直
君)
国民年金法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。
国民年金制度
は、
昭和
三十四年に創設され、同年十一月から
福祉年金
の
支給
を開始し、現在ではその
受給者数
は約三百万人に達しております。この間、逐年、
制度
の
改善
を行なってきているところでありますが、この
福祉年金
が
老齢者
、
障害者
及び
母子世帯
の
福祉
に貢献する
役割り
が大きいことにかんがみ、なお一段とその
内容
の
充実
をはかる必要があります。
児童扶養手当
は、
昭和
三十七年に創設され、また、
特別児童扶養手当
は、
昭和
三十九年に
重度精神薄弱児扶養手当
として発足したものでありまして、逐年その
内容
の
改善
をはかってまいっておりますが、
支給
の
対象
となる
児童
の
福祉
の
向上
をはかるためには、なおその
改善
が望まれるところであります。 今回の
改正法案
は、以上の
趣旨
にかんがみ、
福祉年金
、
児童扶養手当
及び
特別児童扶養手当
につきまして、その額を本年一月の
改正
に引き続いてさらに
引き上げ
るとともに、
所得
による
支給制限
の
緩和
をはかろうとするものであります。 以下、
改正法案
のおもな
内容
につきまして御
説明
申し上げます。 第一に、額の
引き上げ
についてでありますが、
国民年金
につきましては、
障害福祉年金
の
年金額
を
現行
の三万円から三万二千四百円に、
母子福祉年金
及び準
母子福祉年金
の額を
現行
の二万四千円から二万六千四百円に、
老齢福祉年金
の額を
現行
の一万九千二百円から二万四百円に
引き上げ
ることといたしております。 次に、
児童扶養手当
及び
特別児童扶養手当
につきましては、その月額を
現行
の千七百円から千九百円に
引き上げ
ることといたしております。 第二に、
所得
による
支給制限
の
緩和
について申し上げます。 その第一点は、
福祉年金
、
児童扶養手当
または
特別児童扶養手当
の
支給対象者本人
の
所得
による
支給制限
の
緩和
でありますが、
地方税法
における
老年者等
についての
非課税限度額
が
引き上げ
られる見込みであること等を勘案して、
現行
の
限度額
二十六万円を二十八万円に
引き上げ
るとともに、
支給対象者
が子や孫を扶養する場合において、その子や孫について加算する額を
現行
の一人につき六万円から七万円に
引き上げ
ることといたしております。 第二点は、
福祉年金
、
児童扶養手当
または
特別児童扶養手当
の
支給対象者
の
配偶者
または
扶養義務者
の
所得
による
支給制限
の
緩和
でありますが、
扶養親族
が五人の場合で、その
限度額
を
現行
の九十三万二千五百円から百五万五千円に
引き上げ
ることといたしております。
最後
に、
実施
の時期についてでありますが、
所得制限
の
緩和
に関する
事項
につきましては
昭和
四十三年五月分から、額の
引き上げ
に関する
事項
につきましては同年十月分から適用することといたしております。 以上がこの
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
)
重宗雄三
4
○
議長
(重
宗雄三
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。
佐野芳雄
君。 〔
佐野芳雄
君
登壇
、
拍手
〕
佐野芳雄
5
○
佐野芳雄
君 私は、
日本社会党
を代表して、ただいま提案されました
国民年金法等
の一部を改正する
法律案
について、総理並びに
関係閣僚
に対して若干の質問を行ないます。 今日、国民の最も重大な関心事は、物価の安定と生活の安定であり、そして毎日の暮らしをどのようにして向上させるかということであります。
佐藤総理
も、この国民の素朴な願望をよく承知されているはずでありまして、それゆえに、総理は常に、
福祉国家
の実現を公約し、
社会開発
に対する構想を強調し、その施策を強力に推進すると述べてきておられるのであります。ところが、実際は、総理の今日までの公約に反して、
国鉄定期代
の値上げをはじめ、
公共料金
は軒並みに値上げされ、それにつれて
消費物価
は値上がりし、国民の生活は向上するどころか、低下の一途をたどっているのであります。そういう実態の中で、
国民大衆
の
社会保障
を中心とする
厚生行政
に対する期待と関心は、まことに強いのであります。にもかかわらず、四十三
年度予算
に示された
社会保障関係
の予算は、
財政硬直化
を理由として、日陰者の予算と言わざるを得ない実情であります。 四十三年度の
一般会計予算
に占める
社会保障関係費
は八千百五十六億円余であって、その占める割合は一四%、対前年度比の伸び率は、
国立療養所
の
特別会計移管分
を加えても一一%であり、昨年をも下回るところの、まさに戦後最低のものであります。しかも、国の
予算そのもの
は二・八%の増大を示しているのであるから、これは明らかに
社会保障
の後退を意味し、総理の公約であるところの
福祉国家実現
の政治とは、全く逆の結果を示しているのであります。それに引きかえ
防衛関係費
は、
債務負担行為
と継続費を加え、その予算額は、対前年度比二〇・五%増であって、しかも、公務員の五%削減に比し、二万四千人の人員増が認められているのであります。また、広義の
社会保障
に含められる
恩給関係費
中の
軍人恩給
も、二百八十八億円増の二千三億九千万円で、その対前年度比は実に一七・三%を示しております。これでは、
政府与党
に組する
圧力団体
の要求は通っても、恵まれない社会の片すみの、
声なき声
はむざんに押しひしがれ、貧しい庶民のための
社会保障
は、全く犠牲にされておると言わざるを得ません。 去る四十一年八月、
社会保障制度審議会
は、その要望の中で、「打つ手が常に
後手後手
に回る場合が多く、そのために余分の費用を負担することとなる。公害はその適例である。」と言っております。また、「思いつきのばらばらの改正が多く、
社会保障全般
にわたる均衡のとれた前進がない。」さらに、「強大な
圧力団体
の要求はいれられるが、声の低い
社会的弱者
は置き去りにされている。
医療保険
の行き詰まりはその象徴的なものである。」と指摘されておりますが、本
年度予算
は、またしてもその悪弊を踏襲して、
身体障害者対策
や
老人対策
などの
総合対策
が全く不十分で、
圧力団体
の要求は尊重されても、
生活保護費
は二二%に押えられ、総理が四十三年度から実施すると約束した
児童手当
は見送られ、さらに、
国立療養所
を
特別会計
に移管して
独立採算制
をねらい、また、
医療保険
の
抜本改悪
が着々と準備せられております。これでは、
佐藤総理
の言う
人間尊重
、
社会開発
は、単なる口頭禅にすぎないと言わなければなりません。総理の率直な御所信をお聞きいたします。 さらに、
わが国
の
老齢人口
とその対策について総理にお伺いいたしますが、今日、日本における六十五才以上の老人の数は六百九十一万三千人で、全人口の六・八%、昭和九十年には人口の二〇%、二千三百八十四万八千人が六十五才以上の者が占めることになると、
厚生省人口問題研究所
が指摘しております。戦後、
家族制度
の崩壊は、
老人家族
の
単一世帯
の急増、
核家族化
の拡大と相まって、老人の置かれた立場は非常に不安な状態となっております。東京都民生局の最近の調査によりますと、一般の男の老人は六七・八%がつとめに出たり
自家営業
に従事しており、その働く理由は、働かないと暮らせないという者が四一・九%、
生活保護
を受けている老人では、働かないと暮らせない者が八七%を占めております。また、
経済状態
は、十分食べていける者がわずかに三二・一%、どうやら生きていける者が三二・九%、食べられないという者が三五%にのぼっておるのであります。年金の受給率は、一般の老人で、
共済組合
二七・三%、恩給二三・六%、
国民福祉年金
が二九・一%となっているが、
生活保護
を受けている老人の
年金受給率
は四三・七%にしかすぎないのであります。このように、現在の日本の
社会保障
の中における老人の位置は低く、過去において国に幾多の貢献をしてきた老人に対して、その待遇は冷たいと言わざるを得ません。
国民年金
の
拠出制年金
は、将来二十年とかそれ以上の期間を経なければ国民のものとならないものであり、そういう意味で、無拠出制の
老齢年金
の位置は、現時点の保障という観点から、はなはだ重要なものであることは言うまでもありません。しかるに、現在の無
拠出制年金
の全部について言えることでありますが、特に
老齢福祉年金
の額の低さは全くお話にならないものであります。そもそも、
国民年金
が発足した昭和三十六年当時、
老齢福祉年金
は千円から発足して、このたびの
改正案
が通れば千七百円になるのでありますが、八年もたって七百円しか上がらない。この間、諸物価の上昇は
天井知らず
であります。総理は、この制度の重要性と現実の額のギャップをどのように考えておられるか、お尋ねをいたします。
福祉年金
の位置づけは、
社会保障
の一環であり、現在の額の低さは、この意味からいって、ほど遠いものであります。
社会保障制度審議会
は、本年二月十四日に次のように指摘しています。「
福祉年金
などについては、従来しばしば本
審議会
が問題点を指摘しているところである。また、
現行法
においては、
福祉年金
は本来の
拠出年金
の経過的、補完的な制度とされているが、その性質についても再検討の要がある」と。その上、
福祉年金
には
所得制限
があり、これが制度をゆがめている。また、
生活保護
との併給はなされていない。こうした制度の矛盾をどのようにお考えになるのか。つまり、
福祉年金
は、将来二十年とか三十年とが先の保障ではなく、現在の生活をどう助けていくかが重要な課題となるのであります。現在の
福祉年金
は、とうてい
老人対策
として
所得保障
の体をなしていないのであります。 また、
年金受給者
に対する医療は無料にするというのが、
西欧先進諸国
の常識であるのでありまするが、日本では、昨年十一月十七日の
厚生省抜本改革試案
では、七割という給付であります。老人、
乳幼児等
の医療をどうお考えになっているのか。
障害福祉年金
、母子、準
母子福祉年金
についても同様のことが言えるのであるが、今後、
福祉年金
というものを
年金保険体系
の中においてどう位置づけ、どのように推進していこうと考えておられるのか。総理並びに大蔵、厚生両大臣にお伺いしたいのであります。 第二に、
社会保障計画
についてであります。
社会保障制度
の充実は、
佐藤内閣
の最
重点施策
として取り上げられておりますが、
わが国
の
社会保障
は、
西欧先進国
の水準に比べると、全般的に見てまだかなり低い水準にあります。すなわち、制度の面では
児童手当
が欠けており、さらに、一応まとまっていると言われる
医療保障
についてみても、
各種医療保障
の内容がアンバランスであって、体系的に整備されていないのであります。したがって、来年度
医療保険
の
抜本的対策
を行なわなければならないことは、御承知のとおりであります。まして、
西欧諸国
の水準にはるかにおくれているといわれる
年金制度
については、
社会保障
の給付の面では、
医療保障
の給付が六〇%以上を占めているのに対し、わずかに
年金給付
は七%にすぎない状態であります。 政府は、昨年三月発表した「
経済社会発展計画
」の中に「
わが国
の
経済社会
の実態と、その将来の進路に即した適切な
社会保障長期計画
を策定し、これに基づく
体系的整備
を行なうことが不可欠である」と述べております。一年余を経過した今日、当然、
社会保障
の
長期計画
がなくてはならないのであります。もし、いまなお、
社会保障
の
長期計画
が作成されていないとすれば、政府は公約を守らないのみならず、
経済社会発展計画
は単なるうその作文であり、
社会保障
に対する熱意がなく、怠慢と言わざるを得ないのであります。この際、
社会保障
の
長期計画
について、総理並びに
厚生大臣
の御所見をお伺いいたします。 次に、
公的年金制度全般
の問題であります。
各種公的年金制度
においても
給付水準
に格差があり、政府は、
公的年金制度調整連絡会議
で検討しているようでありますが、その
進捗状況
はどのようになっているのか。これらの
公的年金制度
の
総合調整改善
について、基本的な考えを明らかにしていただきたいと存じます。 また、
国民年金制度
は、数次の改正により、一応軌道に乗ってきたとはいえ、他の
公的年金制度
と比較して、すべての点において大きく見劣りがしている現状であります。しかも、改善すべき点は、毎年、
国民年金法
の
改正案
を可決する際に、委員会における
附帯決議事項
によって明らかにされているところであります。この際、あわせて、
国民年金
と
被用者年金
との均衡について、どのように考えているのか、総理並びに
厚生大臣
の御所信をお聞きしたいと存じます。 次に、年金の
スライド制
でありますが、
スライド制
については
国民年金審議会
で検討中であり、また、
恩給制度審議会
の答申もあります。従来、五年ごとの再
計算期等
に際しては、
生活水準等
の諸事情を勘案して、物価の上昇に見合った改善をしてきたが、この問題について、
国民年金
としてはどう考えるのか。また、さきの
審議会
の答申や、他の
公的年金制度
については、どのように考えられておるのか、大蔵、厚生両大臣に御説明をお願いいたします。 次に、来たる昭和四十四年度においては、
医療保険
はもとより、
年金制度
についても
抜本的対策
が行なわれることになっており、さらに
児童手当
の創設や、
農民年金
の構想が実施されようとしている年でもあります。これらは、いずれも重要な課題であり、どのように解決しようとするのか、この際、具体的に大蔵、厚生両大臣の見解をお伺いしたい。 続いて、
通算年金制度
について申し上げます。 まず第一は、国内における
公的年金制度
には、現在
老齢年金
の
通算制度
がありますが、
遺族年金
や
障害年金
には通算の制度がなく、この問題を今後どのように解決しようとするお考えなのか。 いま一つは、
公的年金
の
国際通算
の問題であります。近年、長期にわたり海外において職務に従事する者が著しく増大し、
在外日本人
の数も、現在では、昭和三十五年の調査による
アメリカ合衆国
三万六百五十八人、カナダ九百六十五人、
イギリス
七百四十二人、
フランス
四百六十七人、ドイツ三十六人、
オーストラリア
五百八十一人をはるかにしのいでいるものと推定されます。一方、日本には昭和四十二年六月末現在、
アメリカ人
一万六千六百四十七人、
カナダ人
千三百三十二人、
イギリス人
二千二百七十六人、
ドイツ人
千九百四人、
フランス人
八百三十五人、
イタリア人
五百三十二人、
オーストラリア人
五百四十九人の人々が在住しております。このうち、被用者については
厚生年金保険法
が適用されるたてまえとされています。なお、
国際趨勢
を見ても、一九三八年に
ILO総会
において「
年金権
の保全に関する条約」、一九六二年には「
社会保障
における
内国人
及び非
内国人
の
均等待遇
に関する条約」がそれぞれ採択され、
労働者
の
国際移動
に伴い必要な
社会保障
上の権利の保全について考慮が払われてきておるのであります。また、実際にもEEC諸国内における一九五八年「
外国居住労働者
の
社会保障
に関する
EEC規則
」が締結されております。一九〇四年、
イタリア
とスイスの間に
互恵協定
が締結されたものを初めとして、現在まですでに二
国間条約
の締結国は三十カ国以上にのぼっているのであります。
わが国
においても、二カ国の制度間の
公的年金
の
国際通算
を行なう必要に迫られているが、これに対し、
厚生大臣
はどのように考えているのか、お伺いをしたい。 次に、
年金積み立て金
の運用についてお伺いをします。
厚生年金保険
及び
国民年金
の制度は、その
財政方式
として
積み立て方式
を採用しておりますが、給付が全面的に行なわれるようになるまでには、毎年、
保険料
や、
保険料
の運用から生じる収入等により、ばく大な
積み立て金
が蓄積されるのであります。すなわち、昭和四十三年の末、
厚生年金
二兆八千四百五十二億円、
国民年金
四千二百八十一億円に達する予定であり、これらの
積み立て金
は今後年を追って増加し、たとえば、
厚生年金保険
では
積み立て金
の額は、現行のまま制度を改正しないものとしても、将来のピーク時には約三十四兆円の巨額に達するものと見込まれています。 問題の第一は、
年金積み立て金
の使途を明確にすることについてであります。
厚生年金保険
及び
国民年金
の
積み立て金
は、
現行制度
では
大蔵省資金運用部
に預託され、
郵便貯金
その他の
国家資金
とともに一元的に管理運用されているため、
年金積み立て金
を他の資金と明確に区分して、その運用の実態を明らかにすることができていないのであります。このことから、
使途別分類表
に示された
年金資金等
の使途は、
当該年度
の
積み立て金増加額
についてのみであり、既往の蓄積分の
運用状況
、特に
年金積み立て金
の回収及び再貸し付けの状況は全く不明であります。また、
当該年度分
の使途につきましても、
厚生年金保険
、
国民年金等
の原資別の使途は不明であり、また、
融資対象機関
の資金量は不明であります。これらの点を解決するためには、
年金積み立て金
を独自に運用するか、
特別勘定
を設定すべしという意見が多くあり、昭和三十五年、
社会保障制度審議会
の要望は後者のほうを述べているのであります。 以上の点について、
総理大臣
、
大蔵大臣
の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
厚生年金保険
及び
国民年金
の毎年度の
積み立て金
の増加額は、強制的に徴収される
保険料
であり、しかも、国民の零細な
保険料
であるので、その使途については
保険料
を負担する被
保険者
の
福祉増進
のためにのみ明確に運用すべきものであることは、言うまでもありません。しかるに、この点が不明確であり、
積み立て金
の
自主運用
の議論が被
保険者
、
事業主側
及び国会で強調されてきたので、諸般の情勢により、大蔵省、厚生省の両省間において
積み立て金増加額
の二五%は直接被
保険者
の
福祉増進
のために還元し、残りの七五%につきましても民生の
安定向上
のためにその使途を明らかにすることとして、
財政投融資
における
使途別区分
を明らかにすることによって、さしあたり
特別勘定設置
と
同一効果
をもたらすこととして、今日に至っているのであります。しかるに、最近の動きを見ると、毎
年度積み立て金
は大幅に増額しているにもかかわらず、二五%相当の
還元融資
の分に、本来七五%
相当分
でまかなうべきものが、四十三年度六百五十億も食い込んできていることが発見されますが、これは絶対に承服できないところであります。もしこの情勢が推移せんとするならば、
積み立て金
の
自主運用
、少なくとも
特別勘定設置
の実現をはからなければならないと思うのであります。この問題を処理するためには、二五%相当の
還元融資
のワクは、
特別地方債
及び年金福祉事業団を通じて需要の多い住宅、
厚生福祉施設
及び
病院等
に充当するものとすべきであり、さらに、上下水道、
清掃事業等
、
生活環境
の整備、
医療金融公庫
、
国立病院整備等
、
国民生活
の
安定向上
に直結する分野の
資金需要
に対しては、
還元融資
以外の七五%
相当分
を優先的に充てることであり、以上の措置が明確でない以上、
特別勘定設置
の措置をとるものでなくてはならないと考えますが、この点について
大蔵大臣
、
厚生大臣
の御所見を承りたいと存じます。 最後に、
児童手当
と
児童扶養手当法
、
特別児童扶養手当法
の関係についてであります。 政府は、昭和四十四年度から
児童手当
の実施に
努力目標
を置き、
目下児童手当懇談会
において立法化すべく検討中であるようですが……
重宗雄三
6
○
議長
(重
宗雄三
君)
佐野
君、
質問
を急いでください。
佐野芳雄
7
○
佐野芳雄
君(続) もう終わりです。その
進捗状況
はどのようになっているのか。
児童手当実施
を目前に控えている段階では、具体的に
児童手当
の
構想
を明らかにされたい。また、
児童手当法
が創設された場合には、
現行児童扶養手当法
、
特別児童扶養手当法
はどのように取り扱われるのか。
特別児童扶養手当
は、
重症心身障害者
の置かれている
実態
にかんがみ、法の性格を
所得保障
として
考え
るよりは、むしろ
介護料
に切りかえ、
手当
の額を大幅に増額し、
所得制限
を廃止すべきではないか。
厚生大臣
の御
所見
についてお
伺い
して、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣佐藤榮作
君
登壇
、
拍手
〕
佐藤榮作
8
○
国務大臣
(
佐藤榮作
君)
佐野
君に
お答え
いたします。
社会保障政策
は、わが
内閣
の
重要施策
の
一つ
でございます。したがいまして、こういう
財政硬直化時代
、あるいは
圧縮予算
を必要とする際でも、特に私
ども
は
社会保障
の
充実
につきまして意を用いたのでございます。ただいまも御
指摘
になりましたように、ことしの
予算
では八千百五十七億が計上されております。これは、昨年の七千二百十五億に比べまして九百四十二億の増でございまして、当初
予算
に対しまして大体一五・三の
増加
でございます。他の項目とは違って、特に
社会保障
については私
ども意
を用いたつもりであります。したがいまして、今回は、
生活扶助基準
の
引き上げ
、あるいは
福祉年金
の
改善
、
老人福祉対策
、
心身障害児対策
、さらにまた、
原爆被爆者対策
等々を行なったわけであります。 ただいま、その各
対策
について具体的に
お尋ね
がございました。これについては、いずれ
厚生大臣
から
お答え
することにいたしたいと思います。 また、
老齢年金
について御
指摘
がありました。特に
老人
について、この際注意を喚起されたことについて、私も同感の意を表するものであります。私が申し上げるまでもなく、
お話
にもありましたように、
家族制度
がいわゆる核化するという方向に変わってきた、ここに
老人
についてさらにわれわれが意を用い、
児童対策
と同様に、
老人福祉対策
についてさらに意を用いなければならない、かように思います。
児童手当
の問題については、ただいま
児童手当懇談会
におきましていろいろ審議しております。これの結論が出次第、早急にこれを
実施
するつもりであります。 その他の点については、各
大臣
に
お答え
をいたさせます。(
拍手
) 〔
国務大臣水田三喜男
君
登壇
、
拍手
〕
水田三喜男
9
○
国務大臣
(
水田三喜男
君)
特別勘定
についての
お答え
をいたします。
昭和
三十五年に
資金運用制度
を根本的に
改正
しようというときに、この
資金運用部
に、
厚生年金
及びそのほかの
国民年金等
の
運用
は、
特別勘定
をもって経理するようにというのは、
社会保障制度審議会
の
要望
でございまして、これについて、
資金
運用
審議会
においては、また別個の意見を出しまして、問題はこの
資金
の
使途
が明確であればいいんだということで、特にこの
年金
類と
郵便貯金
のようなものを区別して
資金
の区分をはっきりし、そうして
使途
別の分類表をつくればいいということで、
昭和
三十五年の
改正
をやって現在に及んでおります。したがって、現在では、毎年の
年金
等の
増加
分、
増加
見込み分を他の
資金
と区別しまして、そうして
使途別分類表
をつくっていま明確にしております。そうして二五%は、御
指摘
のとおり、
還元融資
としまして地方債に
運用
すると、それから
年金
福祉
事業団を通じて住宅、
生活環境
整備
、あるいは
厚生福祉施設
というふうに、
国民
の
生活
に密着した分野に
運用
することにいたしておりますが、おっしゃられますように、過去の蓄積の残が
相当
ございますし、それが現在どういうふうになっているかというようなものも、今後これは明確にすることがいいんじゃないかと思いますので、この点は十分
考え
たいと存じております。 それから、この
スライド制
の御
質問
でございましたが、
恩給
審議会
から
答申
がございました、
物価
の
上昇
に見合って
年金
の額を調整するということは、
恩給
だけではなくて、各種の
公的年金制度
全部にこれは及ぶ問題でございますので、いま
政府
としましては、各種の
審議会
にこの審議をお願いすると同時に、
政府
自身の中にできております
公的年金制度調整連絡会議
——各省が参加している
会議
がございますので、この
会議
でいまどう取り扱うかを
検討
中でございます。問題は、この
給付
がふえる、
年金額
が調整されるということと負担の問題でございまして、追加
費用
の負担をどうするか、ここにむずかしい問題がございますので、この問題が合理的に解決すれば、ひとり
恩給
だけではなくて、
公的年金
の全体の問題が解決されるんじゃないかと
考え
ておりますので、各種の
審議会
にも諮問すると同時に、
政府
自身の機関において、できるだけ早くこの結論を出したいと
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣園田直
君
登壇
、
拍手
〕
園田直
10
○
国務大臣
(
園田直
君) 御
質問
が非常に早くて問題が多うございましたから、落ちがあるかもわかりませんが、もしありましたら、速記録を十分拝見して
お答え
を申します。 第一の
老人対策
の問題は、御
指摘
のとおりでございまして、
年金
は、明
年度
は百円
引き上げ
でございます。したがいまして、
老人
の置かれた地位を
考え
まして、
医療
については、御意見がありましたとおりこれを公費負担にするよう、ただいま準備をいたしております。なおそのほか、
老人
の方が長生きをされて健康で働かれるように職場のあっせん、または補導のための新しい
予算
を組む、あるいは家庭訪問などの
制度
を設けております。 次に、
福祉年金
の
改善
についてでありますが、
審議会
の
答申
の線に従って
改善
したいと
考え
ております。
社会保障
の
長期計画
は、御
指摘
のとおりでありますが、御承知のとおりに、その
社会保障
の二つの柱である保険の抜本
改正
と
年金
の
改善
充実
を目前に控えておりますので、この
改善
と抜本
改正
を中心にしつつ、ただいま
長期計画
を作成中でございます。 次に、
公的年金制度
の調整連絡
会議
はどうなっておるか——
委員会
を五回、幹事会を八回開いて、慎重に、いま急いで
検討
してもらっておりまするが、なお、結論が出ておりません。したがって、これは早急に結論を出していただくように調整連絡
会議
に相談する予定でございます。 次に、各種
年金
の格差の調整をやれということでございまするが、仰せのとおりでございまするので、それぞれの御意見を聞きまして調整をしたいと
考え
ております。特に四十四
年度
は
年金
の財源の再
改正
の時期でございまするから、この際、十分
検討
したい。
年金
の
スライド制
でございまするが、私のほうでは年々
物価
その他の変動に見合って
年金
を
引き上げ
るということよりも、基礎の、
内容
の
充実
をしなければならぬ段階でございまするので、私のほうでは
スライド制
の問題は、それを上回る
充実
のほうに重点を置いていきたいと
考え
ておるわけであります。
児童手当
につきましては、すでに申し上げておりまするとおりに、懇談会の
答申
を求めておりまするが、これの
答申
を受けて早急に
検討
したいと
考え
ております。大体の方針は、
児童手当
は二十一世紀の国の将来を背負う子供でありまするから、一律に
手当
を出すべきであるという方針であります。したがいまして、御
指摘
になりました特別扶養
児童手当
と
児童手当
は、その
趣旨
を異にするものでありまして、
答申
を得た上で
検討
はいたしますが、たぶん別個のものになるのではなかろうかと
考え
ております。
農民年金
につきましては、農林省と
審議会
の両方で専門部会を設けて
検討
しております。私のほうでも
年金
のほうに相談をしておりまするので、この結論ができ次第に結論を出して
検討
したいと
考え
ております。
遺族年金
の
通算
については、その方針で
検討
いたしております。
公的年金
の海外その他の
通算
保全
については御
指摘
のとおりでございまして、本月一月アメリカに、三月
ドイツ
に係官を派遣をして、相互
通算
の
検討
実施
の交渉をいたしております。
EEC
はすでに相互
通算
をいたしておりますので、この点につきましては、十分御
指摘
のとおりの方向で早急に解決をしたいと
考え
ております。
年金積み立て金
の
運用
につきましては、
国会
の附帯決議あるいは
審議会
の
答申
で、しばしばあなたの御意見のとおりの御意見を承っておりますが、何しろ国家財政全般に関する問題でございますので、なかなか結論が出ないわけでございますが、これも十分意見を述べ、その線に沿うようにしたいと
考え
ております。その使用についても御
指摘
のとおりでございます。(
拍手
)
—————————————
重宗雄三
11
○
議長
(重
宗雄三
君) 小平芳平君。 〔小平芳平君
登壇
、
拍手
〕
小平芳平
12
○小平芳平君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま
趣旨説明
のありました
国民年金法
の一部を
改正
する
法律案
について
総理
並びに
関係
大臣
に若干の質疑を行なうものであります。
社会保障制度
の
重要性
及びその大幅な
改善
の必要性については論ずるまでもないところでありますが、
わが国
の
制度
の現状は、
社会保障制度
の本義にもとり、
福祉国家
の建設とは名ばかりの、きわめて貧弱なものであると断言せざるを得ません。
昭和
四十三
年度予算
で、
国民生活
と密着した
社会保障関係
予算
は、
政府
のいわれもない
財政硬直化
を
理由
に、総
予算
の
伸び率
より低く押えられ、わずか一一・三%にとどまったのであります。しかも、四十三
年度予算
で
厚生省
の
要求
も、肝心な要項はみな
大蔵省
に削減され、まさに
国民大衆
の犠牲によって
財政硬直化
の是正を行なおうとしているとしか受け取れません。たとえば、
社会保障
の重要な柱である
生活保護
は、最低限に見積もっても、
国民
の消費支出一四%増を基準とすべきであるのに、保護基準を二二%にとどめたことは、
生活
格差が再び拡大し、貧困家庭の悲劇を生む要素をつくっているのであります。この際、
政府
は、国の財政事情によって切り下げられるようなことのない経済的な裏づけを持った
社会保障制度
の
充実
の年次計画を立てるべきであると
考え
ますが、この点について
総理
より大筋の
考え
方及び
大蔵
、
厚生
両
大臣
より具体的な答弁をお願いするものであります。 第二に、今回の
国民年金法
の一部
改正
についてであります。
社会保障制度審議会
でも、「単に
物価
の
上昇
との調整を行なうものにすぎない」と
答申
しておりますように、大体この程度の
引き上げ
では、
物価
の
上昇
に見合うどころか、全く誠意のないきわめて不満なものであります。特に
現行制度
は、各般にわたり抜本的な
検討
を要する段階にあり、
政府
のその場のがれの
対策
は、もはや許されないと
考え
るのであります。 まず、
障害福祉年金
でありますが、月額二百円の
引き上げ
で、月二千七百円で何の
充実
と言えましょうか。わが党がすでに発表したとおり、心身
障害者
の
福祉
に対する根本的な
検討
をなし、まずその基本理念を明らかにする必要があり、また、心身
障害者
の範囲の拡大とともに、国の責任のもとに行政の一元化をはかるべきであります。しかして、心身
障害者
保険扶養
制度
の創設等を含む基本法を制定する
考え
はないか、
厚生大臣
にお
伺い
したいのであります。 第三に、
老齢福祉年金
についてでありますが、この
年金
に至っては、わずか百円の
引き上げ
、月額千七百円であります。最近の
核家族化
の進行、
老齢者
の
増加
、寿命の伸びなどを
考え
ますと、国家
社会
に貢献した
老人
の
生活
保障
は、今後重大な
社会
問題となることは必然であります。しかも現実に扶養意識の薄れ、
老人
ホーム等の施設不足のため入所できず、心細い思いをしておる多くの
老人
に対し、
支給
年金額
の飛躍的
充実
こそ、
年金制度
の目的である老後の
保障
と言えると思うのであります。また、
老人
の病気、たとえば、脳卒中にかかる
老人
は、年間約三十万人にも及び、このため
老人
の自殺率は、女子が世界で一位、男子が七位という
状態
が、如実に老後の
保障
の不備を物語っておるではありませんか。
関係
審議会
も、「
制度
開始以来の問題の取り組み方に、不十分な点が認められる」と遺憾の意を表明しておりますが、このような少額の
引き上げ
では、全く消費者
物価
の
上昇
に解消され、
所得保障
の本義に反すると思うのでありますが、
大蔵
並びに
厚生大臣
の見解をお
伺い
したいのであります。 第四に、
母子
福祉
及び
児童扶養手当
でありますが、初めに
お尋ね
したいことは、
政府
が過去二十余年にわたり
公約
を無視してきた
児童手当
について、先ほ
ども
御答弁がありましたが、
昭和
四十四年からはっきり
実施
するということをおきめになっていらっしゃるものかどうか。この点について
総理
から、はっきり御答弁をお願いいたします。
厚生大臣
からは、全
児童
を
対象
にすると御
説明
がありましたが、
厚生大臣
としても、四十四年から始めるか、さらに具体的な
内容
々御発表願いたいと思います。
検討
中では答弁にならないことを申し上げておきます。さらに、わが党がすでに発表したように、
昭和
四十四
年度
から
児童手当
制度
が確立されれば、法の
趣旨
において同一とも見られる
母子福祉年金
及び
児童扶養手当
は、これを調整統合し、一元化して
児童手当
に併給して
所得保障
をさらに
充実
すると、このような
考え
に対してどうお
考え
か。しかしてILO百二号
条約
の批准体制が整うと
考え
ますが、以上
総理
、
大蔵
及び
厚生大臣
に
所信
をお
伺い
したいのであります。 第五に、
特別児童扶養手当
についてであります。 すでに御承知のとおり、公明党は心身
障害者
の
福祉増進
のための
施策
として、その総合基本法を提案しておりますが、
特別児童扶養手当
そのものを、わが党の主張のごとく介護
手当
に改め、新たに創設する
児童手当
に併給する、このような
制度
を立てるべきであると
考え
ますが、
厚生大臣
の御見解を求めるものであります。 第六に、
国民年金
の
スライド制
についてであります。 そもそも
年金
の目的とするところは、
所得保障
であり、
生活
水準
を維持することにあることは申すまでもありません。したがって、近ごろのように消費者
物価
が一年間に四、五%も
上昇
するような
経済状態
のもとにおいては、
所得保障
のたてまえからして、当然
物価
にスライドする
年金制度
に改めていくべきであります。ちなみに
恩給
法においては、
物価
、
生活
水準
、公務員給与などの
上昇
に応じて
改正
しなければならないという具体的な規定があり、さらに公務員に対する各種の共済
年金
法の中にも同様な規定があります。比較的
生活
の安定している公務員等にはかかる
保障
の規定がありながら、一方、
一般
の農漁民等の収入の不安定な
国民年金
対象
者には、
スライド制
について何らの規定がないということは矛盾であり、真の
所得保障
制度
とは言えないのであります。したがって、
国民年金法
に
スライド制
の導入を確立すべきであると
考え
ますが、
大蔵
及び
厚生大臣
の見解はどうかお
伺い
したいのであります。この点については、先ほど御答弁がありましたが、私が申し上げていることは、この
スライド制
を法制化する意思があるかどうか、この点についてお
伺い
しているのであります。 第七に、
支給対象者
の年齢制限についてであります。 共済
年金
の場合は五十五歳、
厚生年金
の場合は六十歳、
拠出年金
の場合は六十五歳、
福祉年金
の場合は七十歳でありますが、最も老後
保障
を必要とする
福祉年金
において、七十歳まで
支給制限
するということは、憲法十四条の「法のもとに平等」の精神に反するものと
考え
ますが、
厚生大臣
の御
所見
を
伺い
たいのであります。
最後
に、
配偶者
または
扶養義務者
の
所得制限
についてでありますが、今回の
政府
の
改正案
によっても、なお
相当
の受給漏れが生ずることは明らかであり、この程度の
改正
では年々その数は増高していくのであります。これはせっかくの法の目的に逆行するものと言わざるを得ません。したがって、わが党は大幅な制限の
緩和
と、特に
生活保護
世帯及びボーダーライン層などの低
所得
者に対しては、
所得制限
を撤廃すべきであると主張するものでありますが、
厚生大臣
の見解を
お尋ね
いたします。 以上、きわめて簡単に、
国民年金法
の一部
改正
にあたっての
政府
の見解をただしたのでありますが、具体的にかつ明確な答弁を
要求
いたしまして、
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣佐藤榮作
君
登壇
、
拍手
〕
佐藤榮作
13
○
国務大臣
(
佐藤榮作
君)
お答え
いたします。 先ほど
佐野
君に
お答え
をいたしたばかりでございますが、
政府
といたしましては、
社会保障制度
の
充実
を、特に
重点施策
といたしまして、力を入れておるつもりでございます。しかし、欧米先進国に比べれば、その間になお差のありますことは、私も否定はいたしません。さらにこの方向で努力しなければならないと、かように
考え
ております。ただ、四十三
年度
の
予算
編成におきましても、先ほ
ども
申したのでありますが、九百四十二億円も昨年に比べて増額したのでございます。これは率にいたしまして、ややただいまの小平君の計算と違うようですが、私
ども
は昨年の当初
予算
に対しては一五・三、昨年は一昨年に比べまして一五・七の
増加
でございますから、大体昨年並みの
予算
増、かようにその率におきまして言えるのではないかと思います。御了承いただきたいと思います。 したがって、これら
社会保障制度
の年次計画について、この際
説明
しろということでありますが、先ほ
ども
厚生大臣
が
お答え
をいたしましたように、まず、
社会保障
といたしましては、
社会
保険
制度
につきまして重点を入れ、そうしてこれの抜本的
改正
をしようと、これとただいま取り組んでおるのが第一であります。
所得保障
の面におきましては順次これを
充実
していく、ただかように
お答え
するだけであります。
老齢福祉年金
についてもまた、これは御
指摘
になりましたように、家族構成の点からも特に意を用いなければならないと思います。これも
佐野
君に
お答え
したとおりでありますから、省略させていただきます。 次に、
児童手当懇談会
におきまして、
児童手当
をいかにするかという、ただいま
検討
を願っております。結論が出次第、早急に私はこれを
実現
するように努力するつもりでありますが、ただいま、四十五年から必ずやるかと、かような
お尋ね
であります。私は、まだ結論が出ておりませんから、その点は保留させていただきす。(
拍手
) 〔
国務大臣水田三喜男
君
登壇
、
拍手
〕
水田三喜男
14
○
国務大臣
(
水田三喜男
君)
財政硬直化
を
理由
に
社会保障
費が大幅に切られているというような
お話
でございましたが、そういう事実はございません。で、本
年度
の
予算
は、非常に規模が抑制されておって、二・八%という
伸び率
でございましたが、
社会保障
につきましては、昨年よりも比率をそう落としておりませんので、
予算
の伸びよりも、はるかに多い
予算
の計上でございます。昨年の七千二百十五億に対して、本
年度
は八千百五十七億円——約九百四十二億円、一千億円近い増額でございますので、
社会保障制度
が後退しているということは言えないのじゃないかと
考え
ております。ことに、
老人
問題の
お尋ね
がございましたが、一年で五十五億円増、
老人対策
としては、ようやく
日本
の
社会保障
費の
水準
も六百億円台に及んできたということでございまして、
相当
社会保障
はいま順調に進展しつつあるということが言えようと思います。 その次は、
児童手当
の問題でございましたが、先ほど
厚生大臣
及び
総理
が
お答え
になったとおりで、ただいま懇談会が開かれておりますので、いずれ結論が出てくることと存じますが、ここで、もう御承知と思いますが、私
ども
の
考え
を申し上げますと、この
制度
の沿革からいいまして、もし
実施
するとなるというと、この負担を、国の負担と雇用主の負担をどうするかという問題が
一つ
ございます。で、雇用主の負担につきましては、いま賃金として払われている扶養家族
手当
とこの問題との調整の問題、それからさらに、年功序列型というような賃金形態というような問題に本当然
関係
してくる問題でございまして、一方で雇用主との問題があるということ、それから、国のほうで見ますというと、御承知のように、
日本
の
社会保障制度
は、
生活
力の弱い人を助けるというところから出発して、いろいろな
制度
が積み重ねられております。したがって、
母子福祉年金
制度
とかあるいは
児童扶養手当
、
特別児童扶養手当
というようなものをたくさん積み重ねて今日に来たっておりますので、それと、今度は
一般
の
児童
に、
生活
のいい人も悪い人も一律に子供に現金
支給
をやるということになりますというと、この
制度
との統制といいますか、調整というものが当然行なわれなければいけないという問題が
一つ
ございます。それに、さらに、たとえば税制で見ましても、
児童手当
というものを予想しておりませんでしたから、扶養控除というような
制度
をもってこれに対処してきたというようなことがございますので、この
制度
は、私
ども
は反対でございませんが、いよいよ
日本
の
現行
の
社会保障制度
の中へ取り入れようとしたら、これをすぐそのまま植えつけるということは困難であって、そのためには
相当
の全般的な調整という準備をしないというと、この
制度
は、
日本
の
制度
にそのままなかなか植わらないというむずかしい問題を持っておりますので、私は、
社会保障制度
をばらばらに積み上げるというのじゃなくて、今回の
児童手当
をもしやるにしましても、ごくわずかな金を出してお茶を濁すというようなことをやったら、
社会保障制度
がばらばらになって統一を欠く。やるのでしたら、
現行
の
社会保障制度
を合理的に統合
整備
するということをやらないというと、これはなかなかうまくいかない、こういう問題がございますので、
政府
側も、また
一般
も、十分これに対する準備をしてやらなければいけない
制度
だと、私
ども
はそう
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣園田直
君
登壇
、
拍手
〕
園田直
15
○
国務大臣
(
園田直
君) 第一の
社会保障制度
の
予算
についてでありますが、御承知のとおりに、本
年度
の
予算
の伸びは一一・八%、私のほうの
予算
の伸びは一二・四%。
生活保護
につきましても、経済企画庁の
国民
の消費
生活
の伸びは一四%になっておりまするが、
人口
の増がありまするから、個人別にいたしますると一二・九%、それを上回っておりまするし、また、
社会保障
については、それぞれ新しい事業もやっておりまするので、十分とは申せませんが、今日の財政
状態
においては、
政府
は非常に重点を置いておるものと
考え
ております。 次に、
障害年金
が二百円では不適当である、不十分であるということでありますが、これは四十年以降、毎年
改正
いたしまして、本年一月
引き上げ
たことに引き続いて、さらに二百円
引き上げ
ようとしているものでありまして、これも十分とは存じませんが、今日の財政
状態
では配慮されたものと
考え
ております。 次に、心身障害児のための基本法——御
指摘
のとおりに、心身
障害者
の
対策
が総合的な
長期
の計画をもってその基本に基づいていることは当然でありまして、
政府
は、身体
障害者
の
福祉
審議会
に四十一年に
答申
を求めまして、その年の暮れに膨大な総合的な計画の
答申
を受けております。これに従って新規の事業を逐次進めておりまするが、基本法をつくることは当然でありまして、幸い、ただいま各省間でこれについての話し合いがあるようでありまするから、この点が早くできれば、これに協力をしたいと
考え
ております。 次に、
児童手当
の問題でありまするが、
児童手当
の問題は
答申
を待った上で、それぞれの
関係
各省と調整をしなければならぬ点が多いことは、
大蔵大臣
のただいまの御答弁を聞かれてもわかるとおりでありまするから、その上で十分
検討
したいと思います。
スライド制
については、すでに国年法には調整規定がございます。したがいまして、新しい
法律
化をする意思はございませんが、この調整規定に従って逐次
改善
をしていきたい。明
年度
の財源
改善
の時期にもこれを大幅に
改善
、
検討
したいと
考え
ております。 次には
老齢年金
その他の
年金
の
引き上げ
あるいは年齢の引き下げ、それから
所得制限
の
緩和
のようなことの御意見につきましては、明四十四
年度
に計画をいたしておりまする各種
年金
の財源その他の再
検討
の時期に十分取り入れて
検討
したいと
考え
ております。(
拍手
)
重宗雄三
16
○
議長
(重
宗雄三
君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。 —————・—————
重宗雄三
17
○
議長
(重
宗雄三
君)
日程
第二、
南方諸島
及びその他の
諸島
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件及び小笠原
諸島
の復帰に伴う法令の適用の
暫定措置等
に関する
法律案
(
趣旨説明
)。 両件について、
国会法
第五十六条の二の規定により、
提出者
から順次
趣旨説明
を求めます。三木外務
大臣
。 〔
国務大臣
三木武夫君
登壇
、
拍手
〕
三木武夫
18
○
国務大臣
(三木武夫君) 本年四月五日に東京において署名いたしました
南方諸島
及びその他の
諸島
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件に関し、
趣旨
の御
説明
をいたします。
佐藤総理
大臣
とジョンソン大統領は、昨年十一月十四日及び十五日にワシントンで行なわれた会談において、小笠原群島等の
南方諸島
及びその他の
諸島
の地位について
検討
し、これらの
諸島
の
日本国
への早期復帰を達成するための具体的取りきめに関して日米両国が直ちに協議に入ることに合意いたしました。よって、
政府
は、昨年十一月以降、米側との間に協議を行ない、
協定
案作成の作業を進めました結果、最終的合意に達しましたので、本年四月五日に東京で、外務
大臣
と米側ジョンソン駐日大使との間で
協定
の署名が行なわれた次第であります。 この
協定
は、本文六カ条からなっておりますが、以下簡単に逐条御
説明
いたします。 第一条は、米国が、小笠原群島等に関して、平和
条約
第三条に基づくすべての権利及び利益を
日本国
のために放棄し、
日本国
が、この
協定
発効の日から、これらの
諸島
の行政、立法及び司法上のすべての権力を行使する権能及び責任を引き受けることを規定しております。 第二条は、安全
保障
条約
等日米間に
締結
された諸
条約
が、この
協定
発効の日から小笠原群島等に適用される旨を確認しております。 第三条は、小笠原群島等において米軍が現に利用している設備及び用地が、硫黄島と南鳥島にあるロラン局施設用地を除いて、すべて
日本国
に引き渡されることを規定しております。 第四条は、南鳥島にある米国気象局の測候所が、この
協定
発効の日に
日本
政府
に引き渡されることを規定しております。 第五条は、
日本国
が、米国の施政期間中に小笠原群島等において生じた対米請求権を放棄するが、米国または現地の法令で認められる
日本国
民の請求権は放棄されないことを規定しております。 第六条は、この
協定
が、
日本
側の
国内
手続完了の旨を米国
政府
に通告した日の三十日後に発効することを規定しております。 この
協定
は、
日本国
民の多年の念願であった小笠原群島等の復帰を
実現
するものであり、日米両国間の友好
関係
の一そうの緊密化に資するものと
考え
られるのであります。 以上が
南方諸島
及びその他の
諸島
に関する
日本国
政府
と
アメリカ合衆国
政府
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件についての
趣旨
でございます。(
拍手
)
—————————————
重宗雄三
19
○
議長
(重
宗雄三
君) 田中
国務大臣
。 〔
国務大臣
田中龍夫君
登壇
、
拍手
〕
田中龍夫
20
○
国務大臣
(田中龍夫君) 小笠原
諸島
の復帰に伴う法令の適用の暫定
措置
に関する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
南方諸島
及びその他の
諸島
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
に基づく小笠原
諸島
の復帰に伴い、法令の適用についての暫定
措置
を定めますとともに、小笠原
諸島
の旧島民及び現島民の小笠原
諸島
における権利または利益の保護並びにこれらの者の
生活
の安定をはかるため特別の
措置
を講じ、あわせて、小笠原
諸島
をその区域とする村の設置及び現地における行政機関の設置等について所要の
事項
を定めようとするものであります。 以下、この
法律案
の概要につきまして申し述べます。 まず、第一に、小笠原
諸島
が二十余年にわたり無人島に近い
状態
で放置されていたことにかんがみ、国及び地方公共団体は、その責務として、旧島民の帰島及び
生活
の再建並びに現島民の
生活
の安定に配慮すべき旨を定めております。 第二に、現島民に対する
措置
といたしましては、まず、建物等の敷地として他人の土地を使用している現島民の居住の安定をはかるために、
法律
上、その所有者がその使用者のために賃借権を設定することとし、次に、現島民で漁業を営む者の利益を保護するために、小笠原
諸島
周辺海域における漁業について操業を制限し、また、合衆国軍隊の引き揚げによる離職者の
生活
の安定、就職促進等をはかるために、失業保険法及び駐留軍
関係
離職者等臨時
措置
法の規定の適用について政令で特別の定めをすることができることといたしております。 第三に、旧島民に対する
措置
といたしましては、まず、本土引き揚げ当時存在していた耕作に関する権利を保護するための
措置
をとることといたしておりますが、耕作に関する権利がこの
法律
の施行後一年を経過する日までに消滅している場合には、一定期間内に申し出ることによって賃貸借契約を
締結
させることとし、また、旧島民で漁業を営んでいた者の利益を保護するために、現島民と同様の扱いをすることといたしております。 第四に、小笠原
諸島
における行政組織につきましては、まず、小笠原
諸島
を区域とする地方公共団体として小笠原村を設置し、また、現地における国の行政機関としては、小笠原総合事務所を設置することといたしております。 以上のほか、小原原
諸島
の復興につきまして別に復興法を定めること、復興の計画的、かつ円滑な推進をはかりまするために、一定期間、特定の場合を除き、容易に原状に回復することができない土地の形質の変更、工作物の新築等を認めないこと、その他公職の選挙及び最高裁判所裁判官の
国民
審査に関する暫定
措置
の政令への委任、旧鉱業権者に対する旧鉱区にかかる鉱業権の出願の優先的取り扱い等について規定いたしております。 なお、この
法律
の施行期日は、小笠原
諸島
の返還の
協定
発効の日といたしております。 以上が小笠原
諸島
の復帰に伴う法令の適用の
暫定措置等
に関する
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
)
重宗雄三
21
○
議長
(重
宗雄三
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。西村関一君。 〔西村関一君
登壇
、
拍手
〕
西村関一
22
○西村関一君 私は、
日本社会党
を代表して、ただいま
趣旨説明
のありました
南方諸島
及びその他の
諸島
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件並びに小笠原
諸島
の復帰に伴う法令の適用の
暫定措置等
に関する
法律案
について、
内閣
総理大臣
並びに
関係
各
大臣
に
質問
を行なおうとするものであります。 まず初めに、木
協定
が
締結
を見るに至ったのは、小笠原島民多年の悲願が達成せられたことであって、まことに喜びにたえません。沖繩の即時返還、北方領土の復帰がならなかったのは遺憾でありますが、事、小笠原
諸島
に関する限り、おそきに失したとはいえ、
政府
の努力を多とするものであります。しかし、本
協定
締結
後に残された
政府
の責任は、まことに重大であります。 そこで、
総理
にお
伺い
をいたします。 もともと小笠原島民は、その大部分が
日本
政府
の命令で強制疎開させられたものであり、また、終戦後残留していたものも、ごく一部の欧米系島民を除いて、米軍により本土に送還せられたものであります。これら引き揚げ者の中には、困窮の果て一家心中、親子心中したもの十二件、栄養失調等異常死したもの官名以上を数え、その他の多くのものも
生活
の基盤を失い、多大の犠牲を払ってまいっているのであります。これら島民の受けた精神的、物質的被害、損失について、
政府
はどのようにこれを償っていこうとせられるのでありましょうか。
政府
は、今後の総合的な
調査
に基づき、小笠原
諸島
の荒廃を復興するために、また、島民の
福祉
を増進するために、
長期
にわたる根本的な計画を立てられる必要があると
考え
られますが、この際、
総理
のこれに対するお心がまえのほどを伺っておきたいのであります。
質問
の第二は、小笠原
諸島
は太平洋戦争の熾烈な戦場となったところであります。特に、硫黄島の激戦においては、二万のわが将兵が勇敢に戦い、
最後
に無念の涙をのんで全員玉砕したのであります。米軍側においても、海兵隊の多くの将兵たちの血が流されたのであります。
政府
は、このかつての日米相克の修羅場となった島々とその海域を、平和の島、平和の海とするお
考え
はお持ちでないでしょうか。風光明媚なこれらの島と海を、世界の楽園、平和公園とするお
考え
をお持ちでないでしょうか。また、米軍基地はもちろん、自衛隊の基地も設けないということについて、
総理
並びに外務
大臣
のお
考え
をお
伺い
したいと存じます。
質問
の第三は、外務
大臣
にお
伺い
をいたします。 本
協定
第三条第1項に記載されている「硫黄島及び南鳥島におけるロラン局は合衆国軍隊が使用する」となっているが、
協定
締結
の際、これについていかなる話し合いがなされたか、お
伺い
いたしたい。また、
わが国
の領土に米軍のロラン局は他にどこにあるか、いかなる用に供せられているかについても、この際お
伺い
をいたしておきたいと存じます。
質問
の第四は、運輸
大臣
に対してでございます。
協定
第四条によれば、「合衆国気象局が運営している南鳥島の測候所は
日本国
政府
に引き渡される」とあるが、台風常襲国である
わが国
にとって、小笠原
諸島
の台風の観測はきわめて重要でありますが、これが引き継ぎ後は、どのように運営されるお
考え
でありますか。また、従来からあった測候所の復興について、どのような
措置
を講ぜられますか。気象観測の上から小笠原の
重要性
について、運輸
大臣
の御
所見
を承りたい。 また同時に、小笠原島民の復帰、島の復興開発について、港湾の建設、避難港の復興、飛行場の開発、定期船の運航、通船、はしけ等に対する援護
措置
等が
要望
されておりますが、これらの点に関しても、
大臣
の御
所見
を承りたいと存じます。
質問
の第五は、小笠原復帰暫定
措置
法案について、
総理
府総務長官並びに自治
大臣
にお
伺い
をいたします。 本法案の骨子は、現島民及び旧島民に対する
措置
に関し、国と東京都の責任について規定されております。国と東京都は、旧島民の帰島を促進し、
生活
の再建をはかるとともに、現島民の
生活
の安定につとめるよう義務づけておりますが、これが単なる精神規定に終わることなく、国と都の責任において島民の
生活
基盤の
整備
拡充を行なうべきであります。たとえば、移転
費用
、住宅
資金
の全額
支給
、産業
資金
の低利
長期
融資、帰島者に対する一定期間の免税もしくは減税
措置
、ミカンコバイ等害虫の徹底駆除、農業の振興、魚族の保護について、緊急
対策
を講ずること。道路及び水源地の開発、
医療
施設、学校教育施設の復興、電力、電気、電信、電話施設等の復興等についても、十分に意を用いられたい。島づくりと帰島
対策
は、同時に帰島
対策
として、父島のみならず、他島の開発も同時に行なうべきであると
考え
ます。また、欧米系現住民の就職あっせんにも、こまかい配慮が必要であると存じますが、
政府
のこれに対する御見解を承りたいと存じます。また、この際、土地の取得のみを見込んで、ほんとうに帰島の意思のない者、すなわち利権的帰島希望者の土地の取得を厳重に取り締まることが必要である。かりそめにも、一獲千金を夢みる、いわゆる一旗組の進出を許してはならないと思いますが、総務長官の御
所見
を承りたい。
質問
の第六は、自治
大臣
にお
伺い
をいたします。 法案第二十六条に、現地の行政機関として、
政府
は、国の事務を処理するため、現地に小笠原総合事務所を置くとあるが、別に東京都小笠原支庁及び小笠原村役場があり、その上に自治省の総合事務所を置く
理由
は何であるか。第二十六条三項によると、「小笠原総合事務所は、自治
大臣
の管理に属するものとし、その内部組織は、自治
大臣
が前項に規定する事務を所管する国の行政機関の長と協議して定める。」とあるが、従来、たとえば農林省、建設省の出先機関が自治
大臣
の管理のもとに置かれた例はないと思う。小笠原に限って、このような自治
大臣
のもとに総合事務所を置く
理由
は何であるか。その他の
措置
についても、たとえば八郎潟の大潟村の場合と法令上の扱いが違っているのは、どういうわけか。革新都政に対する牽制と思われてもしかたがない。自治
大臣
の明確な御答弁を承りたい。
最後
に、もう一度
総理
にお
伺い
いたします。 過去二十三年間、あらゆる辛苦報難をなめて、祖先墳墓の地に帰る日を一日千秋の思いで待ち焦がれていた島民の心情に深く思いをはせられ、一日も早く帰島ができるために、行政的、
予算
的
措置
が講ぜられるよう、また、単なる復旧ではなく、新たなる
構想
のもとに、新しい島づくりに努力をする。たとえばカンボジアのプリンス・シアヌークがジャングルを切り開いて、あのシアヌークビルというりっぱな港湾都市をつくったように、このジャングルに化しておるところの小笠原島の新しい島づくり、新しい村づくりをするという、そういう
構想
のもとに、
総理
が一大英断をもって当たられることを期待するものであります。 以上をもって私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣佐藤榮作
君
登壇
、
拍手
〕
佐藤榮作
23
○
国務大臣
(
佐藤榮作
君) 西村君に
お答え
いたします。 ただいま
お話
にありましたように、前戦争の結果、私
ども
が失った北方並びに南方領土——おそきに失したとはいえ、その一部が今日
日本
に返ってくるということになりました。これは、旧島民の方はもちろんのこと、
日本
民族といたしましても、その悲願の一部が達成せられた、かように思いまして、喜びにたえないところであります。この点は、西村君の御
指摘
になったとおりであります。さらに本番とでも申しますか、沖繩の返還を控えておる。しかし北方領土につきましては、まだ見通しが立たない。まことに私
ども
残念に思っておる次第であります。この小笠原の返還が
実現
すれば、日米友好
関係
、それがさらに増進されると、かように思いますし、沖繩の返還につきましても、必ず好結果をもたらすように、この小笠原の今後の処置を私
ども
も気をつけなければならないと、かように思っております。 ところで、ただいま御
指摘
になりましたように、小笠原には、現在欧米系住民百七十四名程度が住んでおられます。しかし、強制疎開をされた八千名近くの旧島民は、今回の処置によりまして、自分たちの昔のその土地に帰ろうというような、たいへん強い願いを持っておられるように私も聞いております。しかし、ただいまのところ、旧島民の方々の意識
調査
も終わっておりませんし、また、これらの方々のお帰りになった後に、その島をいかに扱うべきかという専門技術的な
調査
もまだ終わっておりません。したがいまして、これからの問題でございます。この旧島民の方々が強制疎開されて、たいへん苦しい
生活
をされた。この中には、あるいは自殺、一家心中等々のたいへんお気の毒な
状態
も、ただいま
お話
しになったとおりであります。これらの方々が帰島され、そうして
生活
を始められる、そのことは、これは
政府
並びに公共自治体の責任、責務において私は行なうべきだと思います。さような
意味
におきまして、
政府
並びに公共自治体が——はっきり申せば東京都でございますが、十分協力をいたしまして、りっぱな
生活
ができるようにいたしたいものだと、かように
考え
ております。いずれにいたしましても、
調査
の結果を待ち、そうしてどの程度の方々がお帰りになるか、それらをつかんだ上で、新しい村づくりと取り組むつもりでございます。 さらにまた、この地域は、御
指摘
にもなりましたように、硫黄島においては二方のわれわれの仲間がここで血を流し、地下に眠っておる
状態
であります。またアメリカも、この地で約一万を失ったといわれております。したがいまして、三万近くの日米両国の
国民
が地下に眠っておるわけであります。私
ども
が平和国家を願っておる今日から、今回の小笠原島復帰、これを
考え
まして、まことに感無量なものがあるわけであります。私は、この開発等におきましても、硫黄島の古戦場をいかに取り扱うかという点、これは民族的な誇りをそこなわないで、そうして新しく前進する
日本
の姿としてこれを残していく、そういう
意味
でも十分
考え
たいと、かように思っております。 そこで、
お話
しにありますように、もう一切の軍備をしないで、平和の島としてこれを残しておけという御主張でございます。私も、積極的に施設を拡大するような
考え
方は持っておりません。ただいままでアメリカ、米軍自身が有しておりました施設、これを米軍が撤退をいたしますから、そのあとを私
ども
のほうで引き受ける、その施設の維持管理、これは私
ども
の責任だと、かように思っておりますので、ただいま自衛隊におきまして、どういう部隊がこの地域に出かけるのが適当であるかどうか等の、具体的な
検討
をしておるのでございます。
お話
にありましたように、いまの施設そのものがございますから、全部をなくするというわけにもいかないかと思いますが、積極的にこれを拡大するような
考え
方はないことを、この機会にはっきり申し上げておきます。 さらに、ただいま
お話
しになりましたように、ただ単に返る、復帰というだけでなく、さらに復興、開発計画を立てる、こういう
お話
でございます。南方への窓であり、
日本
における唯一の亜熱帯、そういう地域だと、かように
考え
ます。さような
意味
におきまして、私は開発計画と真剣に取り組むべき地域だ、かように
考え
ておりますが、いずれにいたしましても、ただいままだ
調査
が終わっておりませんから、旧島民の方の意識
調査
並びにこの地域の専門的、技術的な
調査
を待ちまして、積極的に開発計画と取り組むつもりでございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
三木武夫君
登壇
、
拍手
〕
三木武夫
24
○
国務大臣
(三木武夫君) 西村君の私に対する御
質問
は、ロラン局について今度の返還
協定
の中でどういう話し合いであったか、いきさつについてという
お話
でございました。 ロラン局は、硫黄島にロランA、C、南鳥島にロランCがあるわけであります。アメリカに提供すべき施設はこのロラン局、これを除いては一切
日本
に返還されるわけであります。このロラン局は、まあ電波灯台とでも申しますか、航行中の船舶、航空機に対してロラン局からこういう電波を発する、みずからの距離を測定するために電波を発するというのがロラン局の
役割り
でございます。このロラン局は、北海道の十勝太にロランCの局がございます。これを置きました
理由
は、
一つ
には、ロラン局は、このロラン局の電波発信によって便宜を受けるのは、単に米軍だけではない。これは日米の区別はない。しかも、受信機さえ持てば、
一般
の船舶も同じようにこの電波の発信の便宜を受ける。現にロランAの便宜は
日本
の漁船もこれはたくさん受けているという。軍事施設といっても、
一般
も利用することのできる施設である。また、もう
一つ
は、ロランCは、いま
日本
に移管を受けましても、これを
日本
で
運用
していくことは困難である。非常に精度の高いものでありまして、
日本
の
運用
は困難である。もう
一つ
は、アメリカが、引き続いて維持し、そしてまた、これを
運用
することを希望した。 こうした三点から
考え
まして、安保
条約
第六条により、
日本
の安全のために寄与し、極東における国際の平和と安全のために寄与する、この安保
条約
の条文を適用して、アメリカに引き続いてロラン局の
運用
を許すことが適当である、こういうことで
協定
文案の中に、ああいう条項を入れたものでございます。また、日米間の安保
条約
によって——安全
保障
上の必要から安保
条約
を結んでおる、小笠原
諸島
が
日本
に返還されてきた以上は、安保
条約
の適用範囲にこれは機械的に小笠原が入ることは、当然のことと
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣
中曽根康弘君
登壇
、
拍手
〕
中曽根康弘
25
○
国務大臣
(中曽根康弘君) まず、輸送の問題でございますが、当面起こるのは補給輸送と復興のための資材輸送でございます。これらの点は、国と東京都が分担いたしまして行なう予定です。それから、とりあえずは、父島の港湾施設を
整備
する必要がございまして、二見港につきまして測量を開始する予定でございます。なお、それと同時に、岸壁施設それから灯台、航路標識等も準備、
整備
していくつもりでございます。それから民営の航路も将来は考慮する予定でございますが、当分は欠損であろうと思います。そこで、船舶建造及び運営につきましては助成を行なう
考え
でおります。 飛行機の問題につきましては、父島の飛行場を
整備
いたしまして、いずれはここに民間空路も設定されると思います。しかし、これは現在のところ、まだ確定しておるわけではございません。硫黄島には三千メートルの滑走路を持つ飛行場がございますが、これは大型ジェット機の訓練飛行場として共用するつもりで現在
調査
を進めております。 気象施設につきましては、鳥島で火山の爆発が起こりまして撤去したことは御承知のとおりでありますが、現在、用船をもちまして海上観測をやっております。千七百トンの観測船を現在建造中でございまして、これができますとその方面へ配置しまして、だいぶ気象陣営は強化される予定です。なお、父島と南鳥島に測候所がございます。これを引き継ぎまして、その方面における観測施設を準備、
整備
していくつもりでございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
田中龍夫君
登壇
、
拍手
〕
田中龍夫
26
○
国務大臣
(田中龍夫君) 私に対しまする御
質問
のまず最初は、この暫定法の立法にあたりまして、地方自治体の組織、権限等の問題に関しましては、東京都の事務当局と緊密な連絡をとってまいったのでございますが、今後とも、これらの自治体の問題につきましては、東京都と交渉を続けてまいるつもりでございます。 なおまた、ただいま御
指摘
の諸点の中におきまして、あるいは住宅
資金
の問題でございますとか、免税の問題でございますとか、さらに病虫害を防ぐ問題、こういうふうな諸点は、むしろ今回御提案申し上げました暫定法によりまして一応の軌道が敷かれました後に、小笠原に対しまするほんとうの復興法にこれらが規定されるべきものでございまして、この暫定法におきましては、後段御懸念になりましたいわゆる一旗組が行って乱脈になっては相ならぬ、また、いろいろ苦労を重ねた東京都その他各地におられます帰島者が、希望に従いまして島に帰るときに、その権利をいかに擁護して差し上げるか、あるいは、また、現在居住しておられます現島民の権利をどう守るか、こういうことがこの暫定法の主たる問題でございます。これらにつきましては、ただいま御
説明
申し上げましたごとく、現島民の方々の居住の問題、あるいは建物の権利
関係
、あるいは漁業権の問題、さらに駐留軍労務から離職されましたときの
生活
の安定、さらに就職促進、失業
対策
、こういうふうな問題につきまして、当面必要といたしまするものを暫定法で御審議を相願う次第でございます。さらに、また、旧島民の方々に対しましても、耕作権の保護の問題でございますとか、
諸般
の問題もございますが、当面、最も必要といたしまするのは、ただいま運輸
大臣
が
お答え
いたしました交通の問題とあわせまして、通信の施設が全くございませんので、これらの通信施設を行なう等、ほんとうの暫定法といたしまして、後に来たるべき復興法の前に一応の処置をいたす、これが御審議をお願いいたしまする今回の法案の要点でございます。よろしくお願いいたします。(
拍手
) 〔
国務大臣
赤澤正道君
登壇
、
拍手
〕
赤澤正道
27
○
国務大臣
(赤澤正道君)
お答え
いたします。 全島を同時に開発したらどうかという御意見でございますが、御案内のとおりに、現在
日本
人が住んでおるのは父島だけでございまして、これもきわめてわずかでございます。小さい島がたくさんありますけれ
ども
、統一的な開発を行なうためには、当分は行政組織は
一つ
にしたほうがいいと
考え
ておりますし、将来
相当
数の住民が住みつくことになりますれば、その時点で分村すればいいことです。また、この復興につきましては、国と都が密接に連絡をとって、実情に即した開発を行ないたいと、かように
考え
ております。 それから、村政の職務執行者につきましては、当分の間、都知事が自治
大臣
の同意を得て任命することといたしております。また、村議会にかわるものとしましては、村政
審議会
の意見を聞いて政務をとる、こういうことにいたしております。 それから、総合事務所の性格でございますけれ
ども
、これは国の総合出先機関でございます。給与の支払い、庁舎の管理などは自治省で所管いたしますが、その他仕事の
内容
や持ち分などにつきましては、それぞれ
関係
各省と
検討
中でございます。 全島の復興計画は、今後の専門的、技術的な
調査
の結果を待って立てるわけですが、単に戦前の集落を復旧するということではなくて、この地域の特殊な地理的条件の活用を主眼とした村づくりを
検討
してまいりたいと
考え
ております。 総合事務所と都との事務の
関係
についてでございますが、
法律
上は、ただいま申しましたとおり、直接の
関係
はありません。しかし、都の出先機関が設置されます場合は、これと共同で事務処理ができますように形を整えるように都と相談をいたしたいと思っております。都政が革新であるかどうかということは、このこととは全然
関係
がないと
考え
ております。(
拍手
)
—————————————
重宗雄三
28
○
議長
(重
宗雄三
君) 田代富士男君。 〔田代富士男君
登壇
、
拍手
〕
田代富士男
29
○田代富士男君 私は、公明党を代表して、ただいま
趣旨説明
のありました二法案に対して、
総理大臣
並びに
関係
大臣
に幾つかの
質問
をいたします。 昨年の佐藤・ジョンソン共同声明によって小笠原
諸島
の返還の合意を見、本年四月五日に小笠原返還
協定
の調印によりまして、小笠原
諸島
が二十三年ぶりに本土への復帰が決定いたしましたことは、まことに喜ばしいことであり、旧島民の喜びは言うに及ばず、
日本国
全体の喜びであります。 しかし、手放しで喜ぶわけにはまいりません。復帰に伴って起こってくる問題は山積みされており、小笠原
諸島
の開発は、われわれ一人一人の
国民
が一緒になって
考え
ていかねばなりません。 まず、小笠原
諸島
の復帰が
実現
されることによって、最も
国民
が関心を示し、心配することは、米軍の基地をどうするかという問題であります。このことは、戦後二十余年にわたる長い間、祖国復帰を願ってきた小笠原
諸島
の現地住民のみの問題ではなく、わが
日本
の
国民
がひとしく注目しているからであります。しかし、返還
協定
の第三条によれば、硫黄島及び南鳥島における通信施設用地(ロラン局)は、日米安全
保障
条約
に従って、アメリカの使用が認められることになっている点であります。これは、明らかに、
政府
・自民党が昨年の日米共同声明から始まったといわれている一連の右傾化現象であると思うのであります。このままで返還されるとするならば、本土へ基地つき返還を容認するものであり、沖繩返還を前に悪例を残すことにもなりかねないのであります。したがって、小笠原返還の第一歩は、米軍基地の撤去であると
考え
るのでありますが、
総理
はこの点どうお
考え
なのか、お
伺い
いたします。 さらに、また、硫黄島及び南鳥島のロラン局の撤廃を要請される意思があるのかどうか、もしその意思がないとするならば、その
理由
をお聞かせ願いたいと思うのでございます。 また、現在ある米軍基地の撤退後、防衛庁がこれを肩がわりするということでありますが、現在、硫黄島には、米軍の緊急着陸用飛行場と艦艇の航行を電波で誘導するロラン局など、また、基地隊の要員が若干名、父島には約八十人の米軍人及びその家族が住んでおり、気象観測施設と二、三隻の警戒用の哨戒艇がありますが、これら米軍基地の肩がわりを防衛庁が負うだけでなく、その他四十余の点在する島々の防衛まで行なうといわれているのであります。このようなことになれば、当然小笠原
諸島
が軍事基地化することは明らかではないでしょうか。そして、米国の極東における重要な防衛基地としての
役割り
を負わされることは必至でありましょう。七
総理
はこの点についてどうお
考え
なのか、御見解をお聞かせ願いたいと思うのでございます。 次に、
政府
の小笠原開発計画についてであります。現在、現地住民が最も望むことは、
政府
のあたたかい血の通った十分な開発計画であり、
措置
なのでありますが、
政府
の基本的態度をお聞かせ願いたいと思います。 今回の暫定
措置
法案を見ますと、米軍施設の縮小ないし撤廃によって、米軍労務者の離職については、駐留軍
関係
離職者等臨時
措置
法の適用によって、特例が設けられることになっておりますが、はたして住民の
生活
不安がこれによって解消されるでありましょうか。米軍労務が打ち切られた場合の退職金の問題、内地から産業、企業の進出が予想されるに伴って、再雇用が促進されたにしても、
日本
語が十分でない島民には不利な条件になってしまうのではないかという不安、このようなことに対して、
総理
の
所信
をお聞かせ願いたいと思うのであります。 次に、内地との航路を積極的に開放し、現地島民及び旧島民が安心して漁獲に取り組んでいかれるよう、国として特に開発の促進をはかるため、漁船の建造に
資金
援助をすべきであると思われるが、
総理
の明快なる御答弁をお願いしたいのであります。
医療
問題については、現地島民は
医療
サービスの供給を受けてはいるようでありますが、これは特に本島が距離的に本土から遠く離れている実情を考慮に入れた
医療
供給体制を早急に準備することが必要であります。それによって
医療
供給体制の空白を埋めることにもなり、疾病等の予防面からも役立つと思われるのであります。また、これとあわせて、公衆衛生等の諸活動も積極的に行なっていくことが肝要かと思いますが、
総理
及び
厚生大臣
から明確に、
医療
供給体制の具体案をお聞かせ願いたいと思います。 また、電気設備については、現在の米軍施設に依存して電気の供給を受けておるので、復帰後すみやかに住民に対し電気供給が行なわれることが大事であると思います。電気施設の技術的な諸問題もあるので、国から専門家を派遣して
調査
を進め、電気供給体制の確立に早急に全力を尽くすべきであると思うが、この点についての
総理
の御見解をお
伺い
したいのであります。 また、旧島民が帰島してからの
生活
の
保障
と住宅
対策
に関し、特に
政府
においては特例法を定める
考え
があるのか、
伺い
たいのであります。この旧島民の帰島問題については、一九四四年の
日本
当局の強制疎開命令で
日本
本土に引き揚げた当時からなのであります。小笠原
諸島
の住民は、戦争が終わればすぐにでも帰島できるものと信じていたのでありますが、それ以来、小笠原
諸島
は
日本
から行政分離の
措置
を受け、現在では欧米系住民二百人余りの帰島しか許されていないのが実情であります。小笠原旧島民の終戦以来の悲願は、故郷に帰りたいということであります。今日まで幾たびか米国側に要請はしてきたものの、軍事上の必要性という
理由
のもとに、帰島断念を余儀なくされてきた現実を
政府
はどれだけ誠意をもって示してくれたでありましょうか。この際、帰島までのプログラムの明示こそ、
政府
に課せられておる責務かと思いますが、
総理
の
所信
のほどをお
伺い
したいのであります。 さらに、今日まで帰島を許されないために、旧島民たちは、
日本
政府
に対し、小笠原島民の意思に反して強制疎開を命じた責任をおもな
理由
として、損害賠償の
要求
をしているのでありますが、
政府
の見解はまだきまってないようであります。旧島民が小笠原
諸島
に所在する財産権を行使して生産を営み得ないで来た事実を直視し、早急に旧島民の補償
要求
を受け入れることが、住民
福祉
の第一歩と
考え
ますが、
総理
の見解をお
伺い
したいと思うのでございます。 また、これら旧島民が帰島については、小笠原に骨を埋める帰島者を優先し、順次
政府
の財政援助をもとに開発事業に参加させ、二、三年のうちに希望者全員を帰島させる
措置
を講ずべきであると思いますが、
総理
の
所信
をお
伺い
したいのであります。 教育問題について言えば、現住民は米国の教育
制度
によって教育が行なわれているために、急に本土のような教育
制度
を強制することとなりますと、混乱することとなるのであります。返還後も米国式の学校教育を受けている子供たちはそのまま卒業させ、新しく教育を受ける
児童
から本土と同様の教育を施行すべきであると思うのでありますが、文部
大臣
は、このような実情に対しましてどのような
施策
を講じようとしているのか、お
伺い
したいのでございます。 また、これら小笠原開発の促進のために、国、東京都、旧島民、現住民の代表者によって、仮称小笠原開発協議会を設置し、小笠原島民の繁栄と発展に代表者が一致し、積極的に平和な島づくりを
検討
し、
調査
すべきであると提案いたしますが、
総理
のお
考え
をお
伺い
したいと思うのでございます。
最後
に、
政府
は次の
国会
において、小笠原復興計画案を提出する予定と聞いておりますが、その復興計画はいかなるものか、具体的な
内容
を明らかにしていただきたいと思うのでございます。 さらに
政府
は、小笠原開発にあたって、どれだけの
予算
を見積もり、開発に乗り出すのでありましょうか。単なる離島の開発援助と全く性格が異なるのでありますが、この際、小笠原復興開発には、
政府
が十二分の
措置
を講ずることが必要であります。
総理
の
所信
をお
伺い
しまして、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣佐藤榮作
君
登壇
、
拍手
〕
佐藤榮作
30
○
国務大臣
(
佐藤榮作
君)
委員会
等であるいは詳細に
お答え
するかとも思いますが、ただいままで
お尋ね
のありましたことについて、私の感じを率直に御披露いたします。 ただいま
お話
になりましたように、今回の小笠原の復帰は、これは
日本
全
国民
の喜びであります。ややおそきに失したとはいえ、日米友好
関係
、信頼のもとに、これが
実現
したことは、何と申しましてもいいことだったと存じます。そこで私
ども
は、せっかく帰ってきた小笠原、これを
日本国
の本来のある姿において開発する、そうしてこの復帰に、その期待にそむかないようにしたいものだと、かように思います。 公明党におきましては、いち早く現地を視察されたと、かように聞いておりますが、これな
ども
皆さん方のこの復帰に備えようという、たいへんな熱意のあらわれだと私は思います。そういう
意味
で喜びにたえません。 ところで、ただいままではアメリカがこれを占領し、アメリカが基地を持っていた。今回の調印によりまして、この日米安保
条約
による、いわゆる米軍のいま使っておる施設は本土の施設と同様になるわけであります。したがいまして、私、西村君に先ほど
お答え
いたしましたように、さらにこれを強化拡大するような
考え
は持っておりませんし、また、本土と特別な扱い方をするつもりもございません。その
意味
では、特別な軍事基地ができると、かようにはお
考え
にならないほうがいいんじゃないかと思います。四十の島々、したがって、これを守るということになれば、たいへん防備を強化しなきゃならぬのじゃないかと、こういう御
指摘
でありますが、四十の島々、これは
日本
の領土になるわけでありますから、その広いところにおきまして、この領土を守るのは
政府
の当然の責務であります。しかし、そのために基地を強化するというようなことは絶対にございませんから、御安心をいただきたいと思います。 次に、ロラン局の問題でありますが、先ほど西村君に外務
大臣
から詳細に
お答え
をしたとおりです。このロラン局はまあ電波灯台とでも申すべきものだろうと思います。航空機並びに船舶に対してその
位置
を、どこにいるかということを測定さすために電波で測定ができるようにしておるわけであります。ところで、電波の受信装置がただいま普及しておりませんから、ただいまの
状態
では軍用のみにこれが使われるということになります。そういう
意味
で、田代君からも御
質問
があったのではないかと思いますけれ
ども
、今日、米軍がこのロラン局だけは自分で管理し、そうして専門的な扱い方をしておりますのは、ただいまも申し上げるような、受信装置も普及しておらない特殊な装置でありますがゆえに、これを米軍が持っておるのでありまして、いわゆる核のような問題ではございませんから、その点もこれまた危険のないものだと、かように御理解をいただきたい。そうして受信機械がさらに
整備
すれば、私は
一般
の漁船等につきましても、これは使えるものだと、かように
考え
ますので、そういうような平和的な方面にも、これは活用できるように今後すべきではないかと思います。 また先ほど硫黄島や南鳥島には飛行場のあることを申しておりますが、しかし、これなぞも現在米軍が非常に活発に使っておるわけではありません。若干の米軍がそこに駐とんしている程度でありますので、これを
日本
に引き継ぎました場合に、いまの施設の維持管理、それに必要なのはどの程度の部隊かということを、ただいま自衛隊におきまして
検討
しておる次第でございます。したがいまして、これを持つことがいわゆる施設の増強だとか、あるいはただいまの防衛計画をさらに変更を要するような、そういう問題になるとは私は思っておりません。先ほど申したように、これを拡大する
考え
のないことをこの機会にはっきり申し上げておきます。 また、今回の
日本
復帰が
実現
いたします際に、特に日米安保
条約
に加えるような約定は何にもございません。いわゆる密約なぞはもちろんございません。したがって、この点も今回御審議をいただきますその取りきめどおりにお
考え
をいただきたいのでございます。 次に、米軍労務者に対する問題あるいは帰島した後の旧島民の漁船の建造に対する国の補助の問題あるいは
医療
及び
生活
保障
等についての問題、さらにまた、電気供給の問題あるいは住宅問題等について
お尋ね
がございました。もちろんただいま意識
調査
をいたしております。さらにその上で専門的な
調査
も行ないまして、そして帰島された方々が、りっぱな
生活
を営まれるように、十分に私
ども
もくふうし勘案していかなきゃならぬ、かように思いますので、ただいまの段階では
調査
にまず力を入れている。そしてどの程度の方々がお帰りになるか。その上でこれらの問題についても、あるいはこの島——父島に集中するとか、あるいは硫黄島はどういうようにするとか、こういうようなことを
考え
たらいいだろうと、かように思いますので、帰島される規模等も勘案いたしますし、また、これらの地域の特殊事情も
考え
て、そうして復興、さらに開発計画というものに乗り出したいと思っております。 また、
最後
に具体的提案として、
関係
の方々で小笠原の開発協議会を設けたらどうかという御提案でございますが、ただいま
関係
各省等を含め、また、旧島民の代表者等を交えて、小笠原復帰準備
対策
本部というものを設けて、いろいろ協議をいたしております。これをさらに強化しろという
お話
ではないだろうかと思いますし、また、役所だけで一方的に
考え
ないで、
関係
者の意見を尊重するようにという御注意だと思いますので、この運営に当たりましては、そういう方向で私
ども
も
対策
本部を運営してまいることにいたしたいと思います。 失礼いたしました。(
拍手
) 〔
国務大臣園田直
君
登壇
、
拍手
〕
園田直
31
○
国務大臣
(
園田直
君)
医療
につきましては、本土より医師、看護婦を派遣をして、現在の診療施設を活用して、
医療
に万全を期したいと思います。東京都で直接準備をいたしております。 なおまた、
医療保険
その他については、復帰後直ちに適用できるよう
検討
をいたしております。
生活
の
保障
につきましては、
生活保護
制度
その他の
社会保障
福祉
の
制度
をそのまま適用できるよう活用するつもりでおります。(
拍手
) 〔
国務大臣
中曽根康弘君
登壇
、
拍手
〕
中曽根康弘
32
○
国務大臣
(中曽根康弘君) 小笠原の復興開発に関しまして、空路とそれから航路につきましては、西村さんに申し上げたとおりでございます。 海上保安の問題が残っておりますが、復帰後巡視船を南方に派遣いたしまして、付近の哨戒を行なう予定です。そうして父島にいずれ補給基地を設定いたす予定であります。 なお、漁業あるいは民営航路等が盛んになりますと、海上保安署を設置いたしまして、巡視艇を配属いたします。父島の灯台四個は、海上保安庁においてこれを引き継ぎまして運営いたします。 なお、それと同時に、沿岸の測量を行ないまして、航路標識あるいはブイ等の
整備
を行なっていく予定でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
灘尾弘吉君
登壇
、
拍手
〕
灘尾弘吉
33
○
国務大臣
(灘尾弘吉君)
お答え
いたします。 小笠原
諸島
の復帰後の教育でございますが、もちろん、
日本国
民育成という観点に立ちまして、今後の教育は行なってまいらなければならない、また、そのために必要な人的、物的の施設を
整備
してまいらなければならないと存じておりますが、現在、小笠原には、ラドフォード提督初等学校という九年制の学校がありまして、そこに学んでいる者が五十六人ばかりございます。なおまた、付属の幼稚園に四名ばかりいるようでございます。さらに、高等学校に進学いたします者といたしましては、グアム島に二十人ほど進学いたしているのであります。なお、若干名はアメリカ本土のほうのハイスクールに通っている者もいるようでございます。 そういう現況でございますが、これを直ちに現在本土で行なっておりますような教育に移すというわけにもまいらないと存じます。ことに
日本
語の能力が非常に不足もいたしております。その他、従来の
関係
もございますので、しばらくの間の移行の
措置
といたしましては、教育
内容
については、実情に即し、無理のないような形で移行させるために、特別の
措置
を講じたいと
考え
ております。また、教員の配置につきましても、普通の基準よりも手厚くいたしまして、綿密な指導ができるようにいたしたいと
考え
ております。学校の施設、設備の
整備
につきましても、特段の配慮をいたしたいと存じております。また、高等学校への進学希望者につきましては、これは本土の高等学校に受け入れることができるような特段の配慮もいたしたいと存じております。さらに、青年の
日本
語能力の問題もございますし、いわゆる
社会
教育方面につきましても十分配慮してまいりたいと
考え
ておりますので、さよう御了承願いたいと思います。(
拍手
)
重宗雄三
34
○
議長
(重
宗雄三
君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。 —————・—————
重宗雄三
35
○
議長
(重
宗雄三
君)
日程
第三、アジア=
オセアニア郵便条約
の
締結
について
承認
を求めるの件。
日程
第四、
日本国
と
シンガポール共和国
との間の千九百六十七年九月二十一日の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件(
衆議院送付
)。
日程
第五、
日本国
とマレイシアとの間の千九百六十七年九月二十一日の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件(
衆議院送付
)。 以上三件を一括として議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
重宗雄三
36
○
議長
(重
宗雄三
君) 御異議ないと認めます。 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長三木與吉郎君。 〔三木與吉郎君
登壇
、
拍手
〕
三木與吉郎
37
○三木與吉郎君 ただいま議題となりました
条約
三案件につきまして、外務
委員会
における審議の経過と結果を御報告申し上げます。 〔
議長
退席、副
議長
着席〕 まず、アジア=
オセアニア郵便条約
は、万国郵便連合憲章で認められた地域的郵便連合の
一つ
であるアジア=オセアニア郵便連合の基本文書でありまして、連合の組織、任務、加盟国間の通常郵便物の取り扱い等を規定しております。 この連合は、地理的に接近し、つながりの深いアジア及びオセアニア諸国間の郵便
関係
の
改善
、利便の増大等をはかることを目的とするものでありまして、現在四カ国が加盟しております。
—————————————
次に、シンガポールとの
協定
及びマレイシアとの
協定
は、第二次世界大戦の際、
日本
軍のこれら地域占領中に生じた不幸な事件に由来する問題を解決するため交渉が行なわれた結果署名されたものでありまして、
わが国
よりシンガポール及びマレイシアに対し、経済協力を目的として、それぞれ二十九億四千万三千円の価値を有する
わが国
の生産物及び役務を、原則として三年間にわたり無償で供与すること、マレイシアに対しては、これをもって、主として外航用貨物船二隻を供与することを定めるとともに、それぞれの
協定
において、第二次大戦に基因するすべての問題が完全かつ最終的に解決されたことを明らかにしております。
—————————————
委員会
におきましては、慎重審議、特に郵便
条約
に関しては、当初署名して今日まで加入しなかった
理由
、
わが国
と国交のない国との郵便
関係
の
改善
措置
等につき、また、シンガポール及びマレイシアとの
協定
に関しては、第二次大戦中に生じた不幸な事件の概要、その他の国との戦後処理の問題等につき熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は
会議
録に譲ります。 四月二十三日、討論、採決の結果、三件はいずれも全会一致をもって
承認
すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
)
河野謙三
38
○副
議長
(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 まず、アジア=
オセアニア郵便条約
の
締結
について
承認
を求めるの件を問題に供します。本件を
承認
することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
河野謙三
39
○副
議長
(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって
承認
することに決しました。 —————・—————
河野謙三
40
○副
議長
(河野謙三君) 次に、
日本国
と
シンガポール共和国
との間の千九百六十七年九月二十一日の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件及び
日本国
とマレイシアとの間の千九百六十七年九月二十一日の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件、全部を問題に供します。両件を
承認
することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
河野謙三
41
○副
議長
(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、両件は
承認
することに決しました。 —————・—————
河野謙三
42
○副
議長
(河野謙三君)
日程
第六、
製造たばこ定価法
の一部を
改正
する
法律案
。
日程
第七、
酒税法
の一部を
改正
する
法律案
。 (いずれも
内閣提出
、
衆議院送付
) 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河野謙三
43
○副
議長
(河野謙三君) 御異議ないと認めます。 まず、委員長の報告を求めます。
大蔵
委員長青柳秀夫君。 〔青柳秀夫君
登壇
、
拍手
〕
青柳秀夫
44
○青柳秀夫君 ただいま議題となりました
製造たばこ定価法
の一部を
改正
する
法律案
は、たばこの定価が
昭和
二十六年以降据え置かれてまいりましたが、最近における
所得
及び
物価
水準
の推移等に顧み、また、財政収入の確保をはかる見地より、製造たばこの小売り定価を改定するため、その種類ごとに等級別に法定されている最高価格をそれぞれ
引き上げ
る等、所要の
改正
を行なおうとするものでございます。
—————————————
酒税法
の一部を
改正
する
法律案
は、酒税の税率が、
所得
水準
、
物価
水準
の変動にかかわりなく定額に据え置かれているため、税負担の相対的な低下を来たし、他の諸税負担との間に
均衡
を失しておりまするので、清酒特級及び一級、ビール並びにウイスキー類に対する従量税率を約一〇%ないし一五%
引き上げ
るとともに、ウイスキー類の一級、二級にも従価税
制度
を導入しようとするものであります。
—————————————
二
法律案
につきましては、衆議院においては施行期日を改める修正が行なわれ、酒税の税率の
引き上げ
は五月一日となりました。この
改正
による増収額は、たばこにおいて五百五十億円、酒税において四百十億円が見込まれております。
委員会
における審議の詳細につきましては、
会議
録によって御承知を願いたいと存じます。 質疑を終了し、二
法律案
を一括して討論に入りましたところ、
日本社会党
を代表して柴谷委員より、公明党を代表して中尾委員より、民主
社会
党を代表して瓜生委員より、
日本
共産党を代表して須藤委員より、それぞれ反対の意見が述べられました。 二
法律案
についてそれぞれ採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 さらに、
製造たばこ定価法
の一部を
改正
する
法律案
について、西田委員より、四派共同提案にかかる附帯決議案が提出され、全会一致をもって本
委員会
の附帯決議とすることに決しました。 以上御報告申し上げます。(
拍手
)
河野謙三
45
○副
議長
(河野謙三君) 両案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。柴谷要君。 〔柴谷要君
登壇
、
拍手
〕
柴谷要
46
○柴谷要君 私は、
日本社会党
を代表して、ただいま提案されました、たばこ定価法の一部
改正案
及び
酒税法
の一部
改正案
に対して、反対の討論を行なわんとするものであります。 まず、第一に、
昭和
四十三
年度
税制
改正
の最大の特徴であり、
国民生活
を無視したからくりは、いわゆる
財政硬直化
を口実として、
所得
減税の
実施
すら十分行なわず、しかも、その減税分を酒、たばこの増税で埋め、実質減税ゼロなどと称していることにあります。これは、
政府
みずからの政策の失敗によってもたらされた
財政硬直化
の真の原因を追求することなしに、失敗の犠牲を大衆に押しつけようとするものであります。まさに、
国民生活
を無視した、無責任きわまるやり方であり、
国民
とともに強く反対するものであります。 この減税ゼロの
実態
は、これまで本院においてもきびしく糾弾されているところでありますが、大衆にとっては、減税どころか、むしろ、明らかに実質的な増税となるものであります。
所得
税を納めていないような
所得
の低い階層にとっては、減税の恩典すらなく、増税による負担の増大だけを押しつけられることになり、とうてい減税ゼロなどとは言っておられないのであります。減税ゼロという
政府
の
考え
方は、こうした大衆負担の
実態
を見ることなく、国庫の収入だけを頭に置いた、冷酷な情け容赦のない
考え
方であり、今回の税制
改正
の
国民
軽視の本質をこの上なく証明しているものであります。 今日言われておりまする
財政硬直化
の根本原因は、明らかに資本蓄積型、高度成長型の財政、税制政策にあるということであります。勤労者には重い税金をかげながら、取るべき税金を取らず、大企業や個人の資産
所得
など、いろんな面で税の優遇を行なって、ますます税構造のゆがみを拡大し、税構造の硬直化をもたらしていることが原因の根本であります。取るべき税を取り、そのほか、個人の資産
所得
などの優遇
措置
をやめ、普通に税金を取るだけで、大衆減税などは十分できるのであります。それをしないで、酒やたばこにしわ寄せをすることは、本末転倒もはなはだしいと言わなければなりません。 特に、この際申し上げたいのは、大衆は、国庫の財源、国の金庫を当てにして
生活
しているのではございません。額に汗し、血のにじむ思いでかせいだ金から、税金を払い、
生活
費をまかなっているのであります。
国民大衆
は、もはや
政府
の減税ゼロなどというごまかしをやすやすと受け取るわけにはいかないのであります。 第二の問題は、低
所得
者に対して血も涙もないやり方であるということであります。 酒やたばこの税など間接税の特徴は、収入の少ない人ほど税負担の割合が高くなる、いわゆる逆進的な性質を持っていることであります。それだけに、低
所得
層の負担によって財源を調達しようとするものであって、財源としては最も悪質なものだと言わなければならないのであります。しかも、
所得
税を納めていない階層は全
所得
者のうちの五八%に及び、増税の大半はこれらの
所得
税さえ納められない人々によって負担させられるものであります。しかも、酒やたばこは消費者の選択の余地のない商品でありますから、
物価
値上がりの中で税負担の不公平を一そう拡大するものと言わなければなりません。
政府
は、これらの増税政策を税負担の調整であると抗弁をしております。しかし、大衆の増税によって高額
所得
層の減税を行なうことが税の調整だとは、とうてい言えないのであり、むしろ租税の応能原則とその
意味
での負担公平原則を公然と踏みにじるものであると言わなければなりません。これでは租税原則が根本からくつがえされてしまうことになるのであります。 第三の問題は、酒、たばこの値上げには何ら正当な根拠はなく、
政府
が率先して
物価
値上げを断行しようとしていることであります。
政府
の一連の
公共料金
の値上げの中で最もふしぎなのはたばこの値上げであります。
政府
は、原価の値上がりにもかかわらず、十四年間も定価を据え置いてきたからと言っております。しかし、たばこは、すでに
需要
の増大と銘柄の変化などによる値上げ政策によって実質的に増税されているのであります。専売益金は、その額においても、
伸び率
においても、増大をし、着実に
増加
傾向を続けているのであります。しかも、たばこの税率は、すでにハイライトで五八%、「しんせい」ですら五〇%に及んでいるのであります。言いかえれば、消費者の吸っているたばこの大部分が税金であり、三千億円をこえる利益をあげているのでありますから、これ以上値上げすることは悪質な大衆収奪と言わなければなりません。 また、
政府
は、
物価
値上がりの中で意図せざる減税の効果が生じているとして、酒、たばこの値上げを打ち出しているのでありまするが、ここには
物価
抑制に対する何らの努力もなく、また
物価
値上がりに対する一片の反省すら見られないのであります。特に、
予算
編成にあたって受益者負担原則を乱用し、国鉄定期の値上げをはじめ、電話架設料などの値上げを行ない、米価
スライド制
の導入など、一連の
公共料金
の値上げ政策をとろうとしております酒、たばこの値上げが、こうした値上げムードに拍車をかけるものであることは、火を見るよりも明らかであります。
公共料金
の値上げの抑制はむずかしいことではありません。まず何より、値上げをさせないという
政府
の意思と政治姿勢そのものにかかっておるのであります。大衆のための料金、間接税等は、これを
政府
の責任において抑制することこそ、とるべき態度ではありませんか。とりわけ酒、たばこの値段は、
政府
の意思のみによって抑制することができる数少ない品目であります。値上げの抑制、
物価
の安定を言う
政府
の宣伝が、全くのうそであることをみずから証明するものであり、今日の
物価
値上がりの中で、むしろ間接税はこれを値下げする方向をとることこそ先決であります。 第四に、今回の酒・たばこの値上げは、単に
所得
税の減税による税収補てんを低
所得
者層にしわ寄せすることによって
所得
の再配分という財政本来の機能を抹殺するものであるばかりでなく、そのねらいはきわめて危険なものがあります。実にこの点に今回の
改正案
の大きな落とし穴があると言わなければなりません。端的に申し上げますならば、今回の
改正
のねらいは、第一に、
所得
税においては相変わらず低い免税点を据え置いて、中小企業者や勤労大衆への重い課税に
所得
課税の中心を置き、大衆に重い税の体系を維持することであり、第二に、この大衆重課の
所得
課税の限界を突き破り、新たな財源を開拓するための間接税増徴政策に踏み切ったことであります。これは、昨年五月に行なわれた
大蔵大臣
の、「売上税創設が
考え
られてよい」との発言に象徴されるように、間接税の増徴と将来の成長財源としての売上税創設を第二のねらいとするものであり、いわばその布石であると言わなければなりません。昨年の印紙・登録税の
引き上げ
に始まった一連の間接税増税政策は、
財政硬直化
を口実として、大衆の犠牲によって、アメリカのドル防衛への協力、第三次防衛計画による軍備拡大のための
資金
調達にそのねらいがあることは明らかであります。かつての間接税増税の歴史を見ると、間接税の増税が行なわれたのは、常に戦争と軍備拡大への布石であったことを思い返すとき、まことにりつ然たる思いにかられるのであります。
最後
に、今回の
改正案
は、
日本社会党
を中心とする野党の追及と
国民
の広範な反対世論の前に
年度
内成立は不可能となり、酒の増税
実施
時期を一カ月延長せざるを得なくなったのであります。このことは、
国民生活
を軽視した
政府
の不当なやり方に対する
国民
の痛烈な批判のあらわれであり、
政府
の政治姿勢に対する不信の結果であります。 私は、
国民
とともに酒、たばこの値上げに強く反対をし、
政府
・与党の諸君に心から反省を求めて、私の反対討論を終わるものでございます。(
拍手
)
河野謙三
47
○副
議長
(河野謙三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 これより採決をいたします。 両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
河野謙三
48
○副
議長
(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。 —————・—————
河野謙三
49
○副
議長
(河野謙三君)
日程
第八、
訴訟費用臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長北條雋八君。 〔北條雋八君
登壇
、
拍手
〕
北條雋八
50
○北條雋八君 ただいま議題となりました
訴訟費用臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
について、法務
委員会
における審議の経過と結果を報告いたします。 本
法律案
は、
物価
その他
諸般
の事情を考慮して、民事及び刑事の訴訟における証人、鑑定人等の日当の最高額を
増加
するものであります。すなわち、証人及び民事訴訟の当事者の日当千円以内を千二百円以内とし、鑑定人、通事、通訳人、国選弁護人等の日当七百円以内を千円以内とするものであります。 なお、衆議院において、施行期日を修正し、「
昭和
四十三年四月一日」を「公布の日から起算して七日を経過した日」に改められました。
委員会
においては、日当の性質と算出基準、増額について考慮した事情、日当、鑑定料の
支給
状況
、訴訟
費用
に関する
法律
の整理統合、民事訴訟
費用
法の
改正
と司法書士手数料等の増額等について、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は
会議
録によって御承知を願います。 質疑を終わり、討論には別に発言なく、次いで採決の結果、全会一致をもって本
法律案
は
衆議院送付
案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 以上報告いたします。(
拍手
)
河野謙三
51
○副
議長
(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
河野謙三
52
○副
議長
(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。 —————・—————
河野謙三
53
○副
議長
(河野謙三君)
日程
第九、
社会福祉事業振興会法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)を議題といたします。 まず委員長の報告を求めます。
社会
労働委員長山本伊三郎君。 〔山本伊三郎君
登壇
、
拍手
〕
山本伊三郎
54
○山本伊三郎君 この
法律案
は、
社会
福祉
事業振興会が
社会
福祉
法人に対して行なっている
福祉
施設改造
資金
の貸し付け金に関し、さきに、四十二
年度
分について、利子の免除
措置
が行なわれたのでありますが、この
措置
を、四十五
年度
分にまで延長しようとするものであります。
委員会
における審議の経過は
会議
録に譲ります。 昨二十三日、質疑を終わり、採決の結果、本
法律案
は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。 なお、本案に対して、
社会
福祉
施設の計画的
整備
及び職員の確保を
要望
する旨の附帯決議が付せられました。 以上報告いたします。(
拍手
)
河野謙三
55
○副
議長
(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
河野謙三
56
○副
議長
(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。 —————・—————
河野謙三
57
○副
議長
(河野謙三君)
日程
第十、
郵便切手類売さばき所
及び
印紙売さば
き所に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長久保等君。 〔久保等君
登壇
、
拍手
〕
久保等
58
○久保等君 ただいま議題となりました
法律案
の
内容
を申し上げますと、最近における郵便切手類及び印紙の売りさばき人の業務の実情にかんがみ、買い受け月額十万円から五十万円までの間の手数料率を若干
引き上げ
、手数料率の不
均衡
を是正しようとするものであります。 逓信
委員会
におきましては、十万円以下の手数料率を据え置いた
理由
等について質疑が行なわれましたが、その詳細につきましては
会議
録により御承知願いたいと存じます。 かくて、質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本
法律案
は、全会一致をもって
衆議院送付
案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上御報告申し上げます。(
拍手
)
河野謙三
59
○副
議長
(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
河野謙三
60
○副
議長
(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。 —————・—————
河野謙三
61
○副
議長
(河野謙三君)
日程
第十一、
金属鉱物探鉱促進事業団法
の一部を
改正
する
法律案
。
日程
第十二、
金属鉱業等安定臨時措置法
を廃止する
法律案
。 (いずれも
内閣提出
、
衆議院送付
) 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河野謙三
62
○副
議長
(河野謙三君) 御異議ないと認めます。 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長金丸冨夫君。 〔金丸冨夫君
登壇
、
拍手
〕
金丸冨夫
63
○金丸冨夫君 ただいま議題となりました二法案について、商工
委員会
における審査の経過と結果を御報告いたします。 まず、
金属鉱物探鉱促進事業団法
の一部を
改正
する
法律案
は、探鉱促進事業団の業務を拡大して、海外における探鉱
資金
の貸し付け、開発
資金
にかかる債務の保証、地質構造
調査
及び資料の収集等を行なわせようとするものであります。
—————————————
次に、
金属鉱業等安定臨時措置法
を廃止する
法律案
は、本法の廃止期限が本年三月三十一日となっており、かつ、金属鉱業の現状にかんがみ、一応その目的を達しましたので、これを廃止しようといたすものであります。
—————————————
委員会
におきましては、両法案を便宜一括して議題とし、参考人の意見を聴取するとともに、海外鉱産物の探鉱、開発の実情と見通し、中小鉱山の助成策、鉱産物の需給安定
対策
等から、さらに金、硫黄等に関する鉱業政策全般にわたって質疑が行なわれましたが、詳細は
会議
録に譲ります。 質疑を終わり、討論なく、両法案を順次採決をいたしました結果、両法案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上御報告を終わります。(
拍手
)
河野謙三
64
○副
議長
(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 まず、
金属鉱物探鉱促進事業団法
の一部を
改正
する
法律案
全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
河野謙三
65
○副
議長
(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。 —————・—————
河野謙三
66
○副
議長
(河野謙三君) 次に、
金属鉱業等安定臨時措置法
を廃止する
法律案
全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
河野謙三
67
○副
議長
(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。 —————・—————
河野謙三
68
○副
議長
(河野謙三君)
日程
第十三、
消防法
及び
消防組織法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長津島文治君。 〔津島文治君
登壇
、
拍手
〕
津島文治
69
○津島文治君 ただいま議題となりました
法律案
につきまして、
委員会
における審査の経過及び結果を御報告いたします。 本案は、高層建築物、地下街等における防火管理の徹底を期するとともに、火災警戒区域の設定、消防学校の
整備
等、防災体制の
整備
をはかろうとするものであります。
委員会
におきましては、防火体制の現状について視察するほか、参考人の意見を聴取する等、熱心に審査いたしましたが、詳細は
会議
録に譲ります。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、船田委員より、自由民主党、
日本社会党
、公明党の共同提案として、市町村は消防職員等の訓練機関を設けることができることとする修正案が提出され、採決の結果、修正案、修正部分を除く原案とも、それぞれ全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決定いたしました。 なお、本案に対し、各派共同による附帯決議を付することに決定いたしました。 以上御報告いたします。(
拍手
)
河野謙三
70
○副
議長
(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。 本案の委員長報告は、修正議決報告でございます。 本案全部を問題に供します。委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
河野謙三
71
○副
議長
(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって
委員会
修正どおり議決せられました。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十八分散会 —————・—————