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1968-04-09 第58回国会 参議院 文教委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月九日(火曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————   委員異動  四月四日     辞任         補欠選任      鈴木  力君     鈴木  強君  四月五日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     鈴木  力君  四月九日     辞任         補欠選任      大谷藤之助君     竹中 恒夫君      北條  浩君     矢追 秀彦君     —————————————  出席者は左のとおり。     委員長         中村喜四郎君     理 事                 楠  正俊君                 佐藤  隆君                 小野  明君                 鈴木  力君     委 員                 北畠 教真君                 剣木 亨弘君                 近藤 鶴代君                 竹中 恒夫君                 内藤誉三郎君                 岡  三郎君                 松永 忠二君                 矢追 秀彦君                 石本  茂君        発  議  者  鈴木  力君    国務大臣        文 部 大 臣  灘尾 弘吉君    政府委員        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部省初等中等        教育局長     天城  勲君        文部省体育局長  赤石 清悦君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        文部大臣官房総        務課長      吉里 邦夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○日本学校安全会法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○国立及び公立学校教員に対する研修手当の  支給に関する法律案鈴木力君外一名発議) ○へき地教育振興法の一部を改正する法律案(鈴  木力君外一名発議)     —————————————
  2. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事に一名の欠員が生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、理事鈴木力君を指名いたします。     —————————————
  4. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) この際、委員長から、先般の委員会におきまして、松永忠二委員のほうから委員長に対する質問が行なわれまして、これに対する委員長の答弁を理事相談の上本日いたすことになっておりましたので、その状況を私から御報告を申し上げまして、御了承をいただきたいと存じます。  それは、学校安全会法案審議にあたりまして、参議院先議にされる際に、与党の、そして野党の理事のほうに文部省のほうから先議にしたいというような理解相談等が全然なされずに、参議院のほうに先議として提案されたわけでございます。これにつきましては、文部省のほうからも、まことに先例もなかったことで申しわけなかったと、以後十分に注意したいという申し出もあり、委員長としても、今後これらの取り扱いにつきましては十分与野党理事等の納得の上で行なわれるようにしたいと、注意を今後続けていきたいと存じます。  以上のようなことでひとつ御了承をいただきたいと存じます。     —————————————
  5. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) この際、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。灘尾文部大臣
  6. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先般衆議院の文教委員会におきまして、斉藤委員から、文部省今村審議官の執筆にかかわる「教職特別手当支給について」という解説資料についてきびしい御批判があったのでございます。私はその資料につきまして検討をいたしましたところ、それは法案の趣旨、内容説明する資料としては、個人の主観を加え、国会軽視の印象を与えた、いかにも限界をこえたもので、私の真意とはおよそほど遠いものがあったのであります。で、私は、かような資料が公の会合で配付せられましたことは、文部省としまして重大な失態であり、まことに申しわけないと存じます。主管大臣としましては申しわけにはならないことではございますけれども、私は全くこのことを承知しておりませんでしたし、また事情をよく調べてみましたが、次官局長も十分に承知はしておらなかったようであります。しかし、その最終責任は当然大臣として私の負うべきものであり、この機会に本委員会を通じましておわびを申し上げたいと思うのであります。  そこで、私は、直ちに配付資料の回収を命じ、また教育委員会月報掲載予定でありましたところの今村審議官のただいま申し上げました原稿を削除することにいたしました。本人も非常にその責任を痛感いたしておりました。この問題は、ひとり今村審議官のみの問題でなく、文部行政に携わる者の規律粛正の面から考えまして、関係者一同責任と存じ、私の行政権限の範囲でそれぞれ処置をいたしますとともに、今後再びかようなことを起こさぬよう十分監督指導してまいりたいと存じます。  で、私は、これに関連いたしまして、今村審議官に対しましては、文書をもって訓告の処分をいたしました。また、直接の上司でありますところの初中局長に対しましては、これまた文書をもって厳重に注意を促しました。また、事務次官に対しましても、監督指導についてさらに注意を促したような次第でございますが、同時に、今村審議官に対しましては配置がえを命じまして、十分反省し、また謹慎しながら今後の文部行政について勉強するように、このような措置をとりましたような次第でございますが、私の不行き届きの点は重々おわびを申し上げますが、どうぞひとつ御了承をいただきたいものと存じます。
  7. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまの発言に対し質疑申し出がありますので、これを許します。鈴木君。
  8. 鈴木力

    鈴木力君 いま大臣から、釈明ですか、経過説明を伺いましたが、具体的な扱いとか経過とかいうよりも、問題の本質相当問題をはらんでいるような気がいたしますけれども、きょうはいろいろ委員会運営の都合がありますので、質問はきょうは申し上げません。後刻また質問をすることもあると思いますので、その点をひとつ御了解しておいていただきたい。
  9. 岡三郎

    岡三郎君 ちょっと。いま鈴木さんの言われたことで、きょう質問することを遠慮したいと思うのですが、ただ一点。  大臣もよう知らない、次官もよう知らなかったような、そういう話があったわけですね。一体これはどういうことなのか。大臣はこれはどういうふうに考えているか知りませんが、この点は、まあ文部省というところは指揮系統が厳重にできていると思うのだが、大臣の知らぬものを配付したということについて、ちょっと一言言った、それじゃ罪が軽いのじゃないか。厳重注意どころじゃなくして、これはやはり大臣を無視したということですかな。だから、こういう点で、これ以上はこの次にいたしますが、その点だけ一言だけちょっとお聞きしておきたいと思います、心境を。
  10. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 月報に掲載する事項でありますとか、また各種解説資料等を発表いたします際に、一々のことは従来私も実際には目を通しておらないのでございます。そのために今回のような不始末をしでかしたということにもなるわけでございまして、その点はまことに相すまぬことと存じておりますが、今後監督の任に当たる者に十分注意をいたしまして、このようなあやまちを繰り返さないようにいたしたいと、かように存じております。
  11. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 文部大臣発言に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  12. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 国立及び公立学校教員に対する研修手当支給に関する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。鈴木君。
  13. 鈴木力

    鈴木力君 ただいま議題となりました国立及び公立学校教員に対する研修手当支給に関する法律案について、提案理由内容概略を御説明申し上げます。  一般的にいって、教育においては教える人の問題がまことに重要であり、教育発展個々教員の人格及び教育的・技術的資質に依存するものであることは、申し上げるまでもありません。そして、これらの資質を向上させるためには、教員研修が欠くべからざるものであることもまた多言を要しないところであります。  したがいまして、すべての教育計画は、教員が自主的、積極的に研修を行ない得るよう十分な機会提供がはかられるとともに、専門的職務への集中を可能ならしめる措置が含まれるものでなければなりません。  わが国においても、このことはつとに認識され、教育公務員については、他の一般公務員制度特例としての教育公務員特例法昭和二十四年に制定され、特別の研修制度がしかれております。すなわち、他の一般公務員が当局の行なう研修を受動的に受けるのに対して、教育公務員の場合は、能動的にみずから研修することを義務づけられているのであります。教育者本質使命からして、当然のことでありましょう。  しかしながら、このような教育者使命もしくは義務の遂行も、教育者に対する待遇の考慮、研修費提供研修施設設備整備等の諸条件が確立されなければ十分に期待できないことも、また言うをまたないところであります。かような点の理解があったればこそ、教育公務員特例法制定時においても、国会では、研修費に対する財政裏づけの問題が真剣に討議され、法案修正の方針をきめたのでありましたが、当時は占領下のこととて、遺憾ながら国会の意思は貫けなかったのであります。  その後、十数年を経ましたが、その間の文部省研修に対する施策を見ますと、文部省講習会開催教育研究団体に対する補助金の支出、教育会館教育センター設立等文部省なりの努力のあとがうかがえますが、これらの予算施設はほんの一部の教員が利用し得るのみで、すべての個々教員研修に打ち込む予算裏づけ機会提供からはほど遠く、むしろ、今日教育学界において問題になっている教育課程統制的押しつけ、画一的な天下り教育研究の推進以外に何らの意味がなく、現場の大多数の教師にとってきわめて大きな不平不満の要因になっております。その結果は教育界に沈滞の風潮を招来し、日本の真の教育発展に対して大きな不安を与えているのであります。  今日、教育公務員待遇は、他の公務員と比較しても、決してよいとは申せません。また、研修費についても、国立大学には相当額講座研究費教官研究費予算化されておりますが、高等学校以下には全然ありません。ところが、私どもの最近の実態調査では、高等学校以下の教員研修のために、毎月自分で購入する図書の費用は、約二千円という事例が最も多いのであります。また、各種研究会講習会への参加や見学、研究のための出張、旅行等に要する費用と労力も相当なものにのぼっております。なお、旅費については、予算上は教員一人当たり年間平均一万円程度でありますが、これは赴任旅費や校長、事務職員事務連絡旅費等にほとんど食われてしまい、修学旅行、臨海学校林間学校対外試合等付き添い旅費PTA負担に依存している状況で、研修のための旅費は事実上皆無に近いのであります。  このような実情を考慮いたしまして、教員のすべてに研修を積極的に行なってもらうためには、この際是非とも研修手当支給する必要があるとして、本法律案を提出した次第であります。  本法律案内容といたしましては、第一に、国立高等学校以下の常勤の教員に対して、月額四千円を研修手当として支給すること。第二には、公立学校教員研修手当は、国立学校のそれを基準として定めること。第三には、施行期日昭和四十三年四月一日としていること。第四には、附則において関係法律改正を行ない、市町村立学校職員給与負担法改正に伴って、義務教育学校教員研修手当の半額は、国庫負担することになることを特に付言いたしたいと思います。  以上でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  14. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 以上で本法案についての提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  15. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) へき地教育振興法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。鈴木君。
  16. 鈴木力

    鈴木力君 ただいま議題となりましたへき地教育振興法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由内容概略を御説明申し上げます。  わが国には、山間地離島その他の地域にあって、交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない、いわゆる僻地が散在しております。この僻地に、昭和四十二年五月の調査によりますと、五千八百五十二校の小学校及び二千百九十二校の中学校があり、全国公立小・中学校のうち、僻地小学校は約二三%、僻地中学校は約二〇%の割合を占め、その児童生徒数小学校五十一万一千九百三十六人、中学校二十四万八千九十二人であります。これらの僻地学校には小学校三万一千九百十人、中学校一万七千六十二人の教員が勤務しているのであります。  ところが、僻地学校は一般的にいって小規模学校が多いこと、学校施設設備貧弱であること、児童生徒通学条件が悪くかつ困難であること、要保護、準要保護児童生徒が多いこと、保健衛生状況が悪いこと、教員配置に困難が伴うこと等、その教育条件はきわめて劣悪であります。  このような劣悪な教育条件のもとにある僻地学校に対しては、教育機会均等の理念に基づき、平地学校以上のきめこまかい行財政上の配慮が必要であります。  以上のような理由から、昭和二十九年の第十九回国会においてへき地教育振興法が制定され、さらに第二十八回国会には同法の一部改正が行なわれ、僻地教育改善充実は着々と進められてまいりました。  しかしながら、僻地の一部は交通機関発達により、交通条件等に多少の緩和が見られますものの、なお全体的に見れば、その生活文化水準及び教育水準は他に比べて一そう格差を生じつつあるのが現状で、僻地教育振興施策は特段に徹底される必要があると信ずるものであり、ここに本改正案を提出した次第であります。  次に、改正案内容のおもな点について申し上げます。  まず第一点は、僻地学校定義についてであります。すなわち、現行法におきましては、「交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地離島その他の地域に所在する公立小学校及び中学校をいう。」とありますが、今回これを「交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれず、他の地域に比較して住民生活文化水準が著しく低い山間地離島」云々と改めたことであります。  近年における交通機関発達とテレビ、ラジオの普及等は、僻地状況に多少の変化を与えておりますが、僻地における地域住民生活文化水準は依然として低く、その上産業開発のおくれと人口の漸減等理由により、僻地市町村財政の悪化も加わり平地との生活文化水準格差は一そう開いております。これが学校教育の面に対しても大きな影響を与えていることは当然であります。したがって、僻地学校定義を「その地域住民生活文化水準の低い山間地離島その他の地域に所在する小中学校」と改めたものであります。  第二点は、市町村任務として、学校給食に関する規定を新たに掲げて、その任務を明確にしたことであります。  学校教育の一環としての給食を特に必要とする僻地学校における給食実施状況は、高度僻地特別対策としてパン、ミルク給食を開始した結果、その実施率相当に上昇いたしましたが、完全給食については全国平均小学校では七二%に比し、四九%といまだ低い現状にあります。申すまでもなく、僻地における給食普及率の低いことは市町村財政貧弱地域住民の貧困がおもな原因であります。  それゆえに、ここに学校給食に関する規定を定めて、学校給食普及を一そうはかろうとするものであります。  なお、その実施にあたっては、年次計画をもって逐次整備するものと考えております。  第三点は、市町村任務として、僻地学校児童生徒通学を容易にするための必要な措置を明確に規定いたしました。  僻地における通学条件を改善するための一つとして、バス、ボートの整備が必要であることは御承知のとおりでありますが、その運営費年間相当額にのぼり、財政力貧弱市町村にとっては過重な負担となっておりますので、これを国庫補助対象とするよう改めております。  また、寄宿舎設置についての市町村任務を明らかにし、これに要する経費に対して国庫補助対象とするよう法の整備を行ないました。なお、これが設置計画といたしましては、僻地の四、五級地の最も条件の劣悪なところから年次計画をもって設置すべきものと考えております。  第四点は、僻地学校級別指定基準を定める場合に、僻地条件程度とともに市町村財政状況をも考慮することといたしたことであります。  僻地学校級別指定基準には、僻地条件程度によって級別指定が行なわれることは当然のことでありますが、当該市町村財政力貧弱度学校施設設備その他の面においておくれを招き、ひいては学校教育に大きな困難をもたらすことを考慮して、これを特に級別指定の要素とするように措置したものであります。  また、僻地に勤務する教職員に対して、僻地手当支給割合を従来よりも最低二%から最高一一%まで引き上げ、特に僻地性の高い五級地については保健、医療その他の衛生に関する環境の程度に応じて一種から三種までに分けるとともに、これらの級地別最低保障額を設けることによって、教職員待遇改善を行ない、人事異動を円滑にし、有能な教職員配置したいと考えております。  第五点は、市町村が行なう事務に要する経費のうち国の補助率現行の二分の一から十分の八に引き上げております。  僻地市町村財政力貧弱であり、昭和四十一年度の調査によれば、僻地を持っている一千五百九十八市町村中その財政力指数二〇%未満が四百一団体、二〇%以上四〇%未満が七百八十六団体であって、実に七四%以上の市町村財政力指数が四〇%以下となっている現状であり、これがため積極的に僻地教育振興のための諸施策を促進させるには、国の二分の一の補助をもってしては実効をあげ得ない現状でありますので、補助率を大幅に引き上げて僻地における教育充実向上をはかりたいと考えております。  なお、附則におきまして、施行期日昭和四十三年四月一日といたしております。  また、昭和四十二年以前の予算にかかる国庫補助金については、従前の例によることといたしております。  以上が、この法案提案理由及び内容の概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申しあげます。
  17. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 以上で本法案についての提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  18. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 日本学校安全会法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明は聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側より灘尾文部大臣赤石体育局長が出席いたしております。
  19. 鈴木力

    鈴木力君 この学校安全会につきまして若干お伺いいたしたいのでありますが、まず第一は、事業状況についてちょっと伺いたいと思います。と申しますのは、法の第十八条にありますように、この業務のところに、第一に「学校安全……の普及充実に関すること」とありますが、この「学校安全(学校における安全教育及び安全管理をいう。)」と説明がついております。安全会として学校における安全教育及び安全管理をどのような計画でどのように行なっているのか、その状況を御説明いただきたいと思います。
  20. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 学校安全会は、御承知のように、学校安全をはかり、義務教育学校等の学童の災害共済給付を行なう、この大きな二つの使命をもって発足いたしたのでございます。したがいまして、学校安全の普及充実につきましても、この特殊法人としての学校安全会発足以来気を使ってきたところでございます。  で、現在までのところ、この学校安全に関する普及啓発事業といたしまして、本部といたしましては、たとえば研究学校依頼研究大会開催、また学校安全に関します資料作成配付、それから文部省が出しました「交通安全指導の手びき」の普及のための出版、及びこの手びきの詳細な普及をはかるための指導資料作成出版、これはもっともいま第一集しかできておりませんので、逐次第二集、第三集と準備いたしております。それから、いろいろのスライドの購入配付、またいろいろな安全教育安全普及をはかるための民間団体がございますが、それらとの協力、それから機関誌作成配付、以上が大体本部中心になって行なっている学校安全の事業でございます。なお、これに関連しまして、支部といたしましても、大体本部に準じまして、研究協力校依頼研究協議会開催、若干ではございますが、救急医薬品配付優良校の表彰、資料作成配付機関誌作成配付、大体抽象的でございますが、このような事業計画をいたしております。
  21. 鈴木力

    鈴木力君 もう少し具体的に伺いたいのです。つまり、資料をちょうだいして見ますと、交通災害ですか、交通安全のほうは資料等もいろいろ拝見をいたしましたのですけれども、その他のやっていらっしゃることの内容がよくわからない。  そこで、それを伺います前に、一体この学校安全という対象、あるいは安全管理というこの考え方に何々をいま対象とされているのか。学校ということを主体にされた場合、交通安全ということはわかります。その他のもので救急医薬品を配当したということでありますけれども、これは全国的に行っているようにも聞いていない。どういう程度救急医薬品の配当をしたか、そういう状況を少し詳しく伺いたい。
  22. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 確かに最近は交通安全が中心でございますが、しかし、発足以来で見ますと、学校生活安全全般についてやってまいっております。たとえば学校生活の安全という映画をつくるとか、児童生徒学校管理下における災害分析調査をしますとか、そういった全般のことをいたしておりました。したがって、これは御承知のように文部省も関連ございますが、学校安全にはいろいろございます。水泳の安全、山登り、それから理科の場合とか、そういう各般の安全を一応全部対象にいたしております。ただ、多少包括的にとらえておりまして、個別的な掘り下げというふうな点になりますれば、あるいはまだ不十分な点もあるのではなかろうかと思っております。  それから、先ほどの救急医薬品でございますが、これは安全会財政もございますので、いまのところ大体僻地中心にして配付をいたしております。
  23. 鈴木力

    鈴木力君 全部やっていると言われると満点だと思いますが。それでは、一つだけお伺いいたします。  最近学校公害ということが非常に大きな問題になっていると思います。そこで、この学校公害、いまのことを全部やっていらっしゃるうちに、具体的に学校公害対策、あるいは学校公害から子供を守るための指導、こういうものについて具体的にどういうことをやっていらっしゃるのか。できればその資料指導書等もあれば、それを見せていただきたいし、詳しく御説明をいただきたいと思います。
  24. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 学校公害の問題につきまして安全会が何をやっているかというお尋ねでございますが、これは率直にいいまして、安全会としてはまだ公害対策に手をつけているということは、ちょっと言いかねる状態でございます。と申しますのは、公害全般の問題がきわめて大きな、かつ重要な問題でございまして、いま国会もしくは政府全体としてもこれをどうしようかというたいへんな取り組み中の段階でございます。文部省の中でも大体管理局が中心になりまして、数年前からその原因調査等につきましてはいろいろ研究会等を設けましてやっているところでございますが、安全会もしくは私ども体育局では、学童の保健に関するようなところまではまだ調査なり分析なり結論ができかねておる状態でございます。したがいまして、それを直ちに安全会の普通の日常の事業活動として取り上げる段階までにはまだ残念ながら至っておらないのが現状でございます。
  25. 鈴木力

    鈴木力君 ここは吟味して聞かないといけないところだと思いますが、局長は残念ながらまだやっていないという意味は、やるべきであるがやっていないという意味なのかどうかが一つですね。それから、最初のほうの答弁は、何か学校公害安全会のやるべきことじゃなくて、国会や政府がやるべきことだというような意味にも取れたんですけれども、いまの局長の申された意図は、安全会事業の中に、つまり安全管理、安全指導、この意味には学校公害というのは含まれていないという立場をとっているのか。含まれてはいるけれども、まだ手をつけかねているというのか、どっちなんですか。
  26. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) これは部内で十分検討した段階でございませんが、多少私見も入ると思いますが、公害を安全会がどのように取り上げるかという問題、確かに問題としてあると思います。しからば、現行法で公害をどのように受けとめ得るかという問題になりますと、御承知のように、現在の安全会法は学校管理下における負傷、疾病、廃疾、死亡でございますか、これに対する安全対策であり、かつ災害給付でございます。したがって、その原因の何であるかを安全会法は別に言っておりません。したがいまして、もしその原因が公害であった場合においては、当然安全会法の給付の対象等になり得るだろうと思います。  ただ、いろいろ私ども考えてみたわけでございますが、公害でもってどのような負傷なり疾病なり廃疾なりがあるかといったデータが、必ずしもまだ直ちに技術的に日常化して災害給付し得る資料がそろっていないのではないか、こういう意味で、やはりこの公害の問題は、安全会にとっては少なくも今後の課題であるのではなかろうか。現在も取り上げているかいないかという問題になりますれば、災害になった原因にもし公害があるならば、当然取り上げてもいいことだけれども、それをさらにほかの事例とは区別して、より手厚く公害の場合は安全会が取り上げるべきだといったような観点からになりますと、なかなかこれは将来の大きな困難な問題ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  27. 鈴木力

    鈴木力君 私はよくわからないんですよ、いまの局長の御説明では。いまの学校公害というものに対する認識の度合いの違いじゃないかというふうに私は思いますね、いまの局長の答弁と私の質問する意図とは。私はいま学校公害というものを、たとえば去年参議院文教委員会でも四日市に行って見まして、学校の中にも入って見ました。学校のある環境も見ました。そうしておそらく報告書も出してあるはずであります。これが原因がどこにあるのかわからないから安全会が手をつけないというような、そういうことになってくると、どうも私は安全会というのが、全部をやっていると局長がおっしゃるんですけれども、学校公害というのは対象外にしているというふうにしか受け取れないんですが、ところが、単に四日市という問題ではなくて、いまは学校公害というのは、東京でも工場地帯では非常に大きな問題になっているわけです。そのときに、せっかくこういう政府の特殊法人をつくって乗り出しているときに、これはワク外だというふうにおっしゃられるのは、どうもその意図がまだよくわからないのですけれども、ワク外にする理由をもう少しわかりよく説明していただけませんか。
  28. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) たとえば、具体的に申しますと、四日市のような場合は、子供の気管支系統の疾患、あるいは結膜炎、あるいはまた心臓疾患なんかあるかもしれません、それから鼻カタル、こういったような症状が、これが公害の結果ではないか、こういうふうに一般に言われているわけでございますが、先生御承知のように、学校管理下における疾病、廃疾、こうなりますと、こうしたものが学校管理下災害であるかないかといったような第一点の問題がございます。それからもう一つ、こういう病気が現在の、これは将来の問題と申し上げてはあれでございますが、残念ながら直ちにこれを取り上げる対象としての疾病の種類に入れていない、こういうことでございます。そういう現状がございますので、ちょっとまだいろいろな公害について万般のことを安全会は取り上げていない、こう申し上げたわけでございます。
  29. 鈴木力

    鈴木力君 だから、入れていないという理由を伺いたかったわけですよ。その学校管理下のという場合に、教室に亜硫酸ガスが入ってきて、授業中みなゴホンゴホンとせきをしているわけです。これは学校管理下でないという言い方の理由がぼくにはわからない、こういう意味です。
  30. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) それは直接お答えする前に、じゃどういうものが入っているかから申し上げたいと思いますが、学校給食による中毒、あるいはまた暑い炎天のもとに体操をやっていたような場合の日射病、それから先生が指導して水泳ぎしておったような場合の湯水、それから何か変なもの、異物の嚥下、こういったようないわゆる学校管理下における疾病、こういうものを取り上げているわけでございます。これは通常学校管理下にあるいろいろなものだということで取り上げているわけでございます。  ところが、いまの気管支系統とか、こういうものは、普通のこの学校において、学校管理下の通常の形態において起こり得るものと従来までは考えておらなかったものですから、こういうものを取り上げていなかった。それはいま先生の御指摘の亜硫酸ガスが入り込んできた、こういうことを学校管理下と見るか見ないかといったような、学校管理下の限界、範囲の問題として一つの大きな問題があるように思います。
  31. 鈴木力

    鈴木力君 もう一つ、その学校管理で、学校に亜硫酸ガスが入ってくる、これが学校管理の中にあるかないかという議論だというが、ないという議論が通った場合に、どういう理由でないということが成り立つのですか。
  32. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) たいへんこまかくなりますが、学校がもともとある、そういった地域にあとに亜硫酸ガスを出す工場が入ってきたとなれば、学校責任であるとちょっと言い切れない。学校をそういう変なものを出す工場のそばにわざわざ持っていったのならば、設置者に責任があるように思います。学校のほうが悪いのじゃなくて、工場のほうがあとで入り込んできた、こういったようなことが学校管理下と考えるか考えないかという法解釈の問題だと思います。
  33. 鈴木力

    鈴木力君 わかりました。それでは、こういう場合どうですか。学校が建ったときには、ほとんど自動車の交通もなくて平和な村だった。どこかに工場が建って、トラックやなんかがどんどん通るようになって、交通事故がどんどん出るようになった。それで、登校の途中で交通事故が起こったのは管理下文部省は見るのですか。この原因はおそらく学校責任ではないわけですね。そうすると、そういう場合も学校安全の対象からはずすのですか、はずさないのですか。
  34. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 御指摘の通学の場合の交通事故につきましては、これは通常の解釈を広げまして、現在学校管理下と解しております。したがって、学校管理下という解釈はやはり不動のものではなくて、社会情勢の変化によりまして若干ずつ弾力的に解釈されるべきものとわれわれ考えております。
  35. 鈴木力

    鈴木力君 これはもう大臣に伺ったほうがいいと思いますが、私はどうしてもよくわからぬのです。亜硫酸ガスだけが学校公害ではない。まだあると思いますが、学校公害というのは私はもう少し広げるべきだという気持ちはありますけれども、これは論外として、教室に亜硫酸ガスが入ってくるような場合には、これは学校責任ではなくて、亜硫酸ガスを出すところが責任があるから、学校安全の対象の外だと。ところが、交通事故の場合には、学校が先にあって、あとに工場ができたり、地域条件が変わってきて、交通がひんぱんになって事故が起こってくる、これは学校責任だというこの説明。この区別をする説明が私にはどうしてもわからないのです。これは大臣に伺いたい。
  36. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) ちょっと、失礼でございますが、大臣がお答えする前にもう少し補足的に説明さしていただきますと、一応こういうふうに解釈しております。疾病の原因が、学校管理下に直接結びつくかいなか。地域全体の大気汚染、学校におろうが学校におるまいが、その地域全体にあるような場合は、学校管理下とはちょっと言いかねるのではないか、といったような、その辺でいま区別をしておるということを申し上げているわけでございます。しかし、その因果関係、学校管理下であるかないかという因果関係が、はっきり学校管理下であるという論証、また一般の常識的な見解が支配的になるならば、これは学校管理下に入れてよろしい、こんなふうに一般に考えております。
  37. 鈴木力

    鈴木力君 地域全体のとおっしゃいますが、交通の問題を取り上げていらっしゃるでしょう。交通の問題は、地域全体のそういう状態で交通事故が起きるのです。その場合に、学童が交通事故にあった場合には、登校、下校の際でも対象になる。公害の場合には対象にならない。しかも、学校に行って、私いま亜硫酸ガスだけを話をしたからそれで話をいたしますと、明らかに教室の中におるときにむしばまれていることは明らかでしょう。ですから、国立教育研究所の人も四日市に行って、これは公害教育が必要だということまで言っているわけです。そして公害教育のいろいろな資料までとる作業をやっているのです。  そうすると、安全教育の中に公害対策の教育が必要でないという局長説明は、私にはどうしてもわからない。もし、かんぐって言えば、いまの工場の公害については、経営者側が非常にいろいろなことを言っている。そうすると、やや文部省は工場の経営者側の立場に立って、冷たく学校公害というものから離れようとしているのではないか、目をそむけようとしているのではないかというように、これは少しかんぐり過ぎかもしれませんが。いま私は、日本が全部、あっちにもこっちにも工場がどんどん出てまいりまして、工場から学校をいかに守るかということが非常に重要な課題になっていると思う。そういう場合に、対象にならないと。これは私はちょっと時代おくれではないかという感じがするのです。  この考え方は、これは大臣に伺いたいと思います。私は正直に申し上げまして、いま幾ら御質問申し上げても、やっていないことをやっていると言えと言っても、うそを言うことになりますから、やっていないということはわかりました。しかし、やっていないということで、このままの状態でこれは是認されていいかどうか。私はいまからでも、学校公害というものを、安全会でも一つの、安全管理あるいは安全教育という中に相当に大きな柱を立ててやる時期が来ている、こういうふうに思うのですけれども、大臣の見解をお伺いいたしたいと、こう思います。
  38. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) いわゆる公害と安全会事業との関連においての御質問のように伺ったのであります。公害対策というものにつきましては、いろいろな見地からこれが対策というものは考えられなければならぬと思うのであります。ひとり病気だけの問題でもございませんし、また単にいわゆる災害だけの問題でもない、いろいろなものがまああるわけでございます。これをどういうふうに対処していくかというのが現在の日本にとって大きな問題ということになろうかと思いますが、その間において学童その他の安全を守るためのいわゆる学校安全会がいかなる程度、いかなる範囲においてこれとの関連を持つかという問題として考えてみるべきじゃないかと思うのでございます。安全会のこの仕事の中にいわゆる安全教育、こういうものがあることは御承知のとおりでございます。そういう見地からいたしまするならば、そのいわゆる公害が学童に及んできておる、あるいはまた学校に学んでおる間にそういう影響を受ける、こういうようなことであれば、やはり安全会としましてもこの種の問題に関心を持って、安全会それ自身がこの対策を立てるか立てないかは別問題としましても、学童の安全を守るという見地からいたしまするならば、安全会としてなすべき分野が私はあろうかと思います。そういう点はもちろん問題として安全会としても積極的に取り組んでよろしいと思います。それからいま一つ、それによってたとえば病気にかかったというふうな場合に、これを給付の対象にするかしないかというふうな問題は、それはそれとしてまた考えなければならない問題だと思います。  現在は御承知のようにその種の問題にまで安全会の手が伸びていないというのが先ほど来の局長説明によっても明らかでございますけれども、現在その手が及んでいないということでそのままにしていいものかどうかという問題が多少残るわけでございます。鈴木さんの御質問もおそらくその辺にあるのではなかろうかと思うのでございますが、まあ安全会の仕事は、やはり給付の対象というものがある程度明確にならなければ仕事もしにくいわけでございますから、各地によってまちまちになってもいけないことでありますし、またあまり明確でない事柄に対して給付をするということについても相当検討を要する問題があろうかと思います。いずれにしましても、これを入れるか入れないかということについての考え方をきめなければならない、このように私は伺っておるわけであります。そういう見地からいたしまして、公害が学校に及んでくる、そのために児童が病気になる、児童の健康がそこなわれる、こういうふうな場合におきましては、どの程度安全会がこれを取り入れて給付の対象とするかという問題をはっきりする意味におきまして、安全会としてももっと検討をすべき事柄ではなかろうかと思うのであります。まあ私は検討ということばで逃げるつもりはない。問題がだんだん起こってきておるわけでございますから、やはり前向きに安全会の給付の対象としてどの程度取り入れることができるか、あるいは適当であるか、こういう問題について検討をしてもらいたい、このように存じております。
  39. 鈴木力

    鈴木力君 まあ大臣の御答弁で大体わかりました。やはり私は直ちにどういう形でやれと申し上げる段階でもないと思いますけれども、この学校公害という問題はやはり相当重要課題として、これはもうあまりこだわらずに研究に取り組む時期が来ておると思いますから、これは御要望申し上げたいと思います。  学校管理下ということでありますけれども、安全教育の中に、たとえばそういう地域に居住している子供たちの学習なんかについてもいろいろな問題が出てきているわけであります。そうすると、家庭学習なり家庭生活というのは学校管理下でないということははっきりできると思うのですけれども、しかし、学校において、そういう場合に対する対策としての安全指導というか、衛生指導というのは、ぼくはやはり学校が受け持つべきではないか、いまの段階では。だから、そういう面もあわせてこれはひとつ将来御検討いただきたいと、こう思います。  その次に、経理の状況について若干伺いたいのでありますが、経理全体についてこまかく伺いませんけれども、私はその経理の中で、前にも法律改正のときに申し上げたことがあるように記憶しておりますが、事務費の処理ですね、処理というよりは、掛け金からの事務費の持ち出し金額であります。この対象義務教育学校、幼稚園から今度は高等専門学校まで含むにいたしましても、そういう主として幼い子供たちを主たる対象にして出発した安全会のこの趣旨からいきましても、私は掛け金は本来ならば全額がこの給付に回ってしかるべきじゃないか。国が特殊法人をつくってこれを運営してやるという善意は、事務本部であれ支部であれ、これは国が責任をもってやるんだという体制がどうしても必要だと思うのですけれども、しかし、それが毎年毎年やはり掛け金から事務費に繰り入れが相当出ておるわけであります。この点についての安全会あるいは文部省当局の御見解を承りたいと、こう思うのです。
  40. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 事務費に対して掛け金収入をもって充てることはおかしいのではないかという御意見でございますが、私どもも全く同様に考えまして、発足以来逐次その方向に向かって努力してまいっておるところでございます。経過を申せば、昭和三十五年に発足いたしましたときは、掛け金からの繰り入れが一六%ほどでございました。どうしても人件費の一部、物件費の一部にのみ国庫補助金が回りまして、全部予算化できなかった。自来その人件費なり物件費なりの事務費に対する国庫補助の増額につとめてまいりまして、もっとも途中でいろいろな経緯がございまして、繰り入れ率が二〇%ちょっとこしたときもございます。それ以来非常に努力いたしまして、今日にいたりましては五%を割りまして、四・五%ほどになっております。  いま一番問題と私の考えておりますのは、おかげさまで本部、支部とも人件費は全部国庫補助対象にさせていただいております。ところが、残念ながら物件費——物件費と申しますのは、先ほど御指摘のございました普及啓発事業の仕事なんでございますが、この普及啓発事業についてどの程度にやるかについてやはりいろいろ大蔵省と意見の食い違いがあったり、いろいろ原因がありますが、全額認められておらない。特に支部の物件費につきましては、在来ゼロでございました。しかし、おかげさまで昨年度あたりから、この学校安全会に対する地方の物件費の補助を、どうやら昭和四十二年度、昨年度から少しずつ見てもらうことになっております。ことしはさらに一千万円増額して二千万円になりましたので、五%を割りまして、現在四・五%まで来ております。御承知と思いますが、法律のたてまえは、事務費の一部について予算の範囲内において補助すると、こう書いてございますから、全部と書いてないという点もございますが、しかし、ほとんど三億に近い事務費が計上されてきております。繰り入れ額は五千五百万円でございますから、国庫補助が圧倒的に大半を占めておる。しかし、御指摘のように、確かに五、六千万円の掛け金による繰り入れがまだ現に行なわれておる、これが支部の物件費のために行なわれておる、こういう状態でございますので、今後ともこの繰り入れ率を少なくしていく、できることならばこれをゼロにしてみたい、ゼロにすべきである、こんなふうに考えておる次第でございます。
  41. 鈴木力

    鈴木力君 パーセンテージもありますが、ずっとパーセンテージのカーブを見ますと、掛け金が上がりますればパーセンテージががたっと落ちますから、だから、そのパーセンテージが落ちたことが政府の補助を多く取ったという、努力もしたということには直ちには結びつかない事情があるわけですね。  それからもう一つ、私は気にかかるのは、この前のときにもたぶん同じようなことを言ったんですけれども、法律に予算の範囲内で事務費の一部と書いてあるから、これはしかたないんだとあきらめられますと、どうもぐあいが悪い。それからもう一つは、大蔵省と折衝してみたらここまでしかいきませんでしたということを、いつまでもいつまでも繰り返している段階じゃないと私は思うんです。少なくとも学童からそうして掛け金を取って、これをもって何か負傷したり死んだりした場合にそれに補償金を出してやる、こういう安全会の大きな仕事なのですから、それを事務費を受益者負担などということは、まだそういうことばはだれも使っていないからまだいいけれども、財政がだんだん何とやらということで、受益者負担の原則があるなどということを持ち出さないという保証は私はいまのところないと思うんです。だから、もうここではっきり、よそのものとは違うんですから、学童なんですから、この場合にははっきりと、もう立法技術上できるなら法律を改正しても、事務費は全額国が持つべきだというふうにすべきだと思う。法律改正は、もう大体予算の範囲内ということが常識でということはできないと思いますが、そういう場合は原則としてこれは国が持つんだという原則をはっきりと立てて、そうして文部省当局も予算折衝ではもう譲らない、こういう形に私はするべきではないかと、こう思うんです。  特に、いろいろな形ありますけれども、いま事務費といっても物件費——物件費というのは指導啓発に使ういろいろな資材であります。地方で掛け金からそういう指導啓発の資材に使って、それで教育をされるということになってきたら、これはまあ別の面からいいますと、義務教育無償の原則というのがこういう形に変わってきておるということにもなると思うんです。そういう点はもう少し私は厳格に考えてもらいたいと、こう思うんです。これは文部省としても考えてもらいたい。やはりどうしても掛け金というのは、幾らかは掛け金から事務費に回さなければいけないとおっしゃるのか、その原則はどっちなんだということをはっきりしていただきたいと、こう思うんです。
  42. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 終局の目標といたしましては、事務費については全額国費支弁にいたしたい。現に予算要求は、地方支部の物件費についても全額要求したわけでございます。しかし、いろいろな財政状況ございまして、昨年の一千万円に引き続いてさらに一千万円増額になった。もちろんこれは増額になっておりますけれども、私どもとしてはことしの予算編成のいろいろなあれからして、一応大蔵当局も好意を示してくれたものと考えておるわけでございますが、私、遺憾ながら物件費へ五、六千万円繰り入れなければならぬ。したがって、一銭も繰り入れなくてこうした事業を行なうかという一つの問題でございますが、これはやはり従来からのいろんな惰性——惰性と申しますか、行きがかり、いろんな事業活動、やはり安全会がどうしても啓発活動もしなければならない、こういったこともございますので、運審等や負担される方々の御異論はないものと判断いたしまして、従来どおり、まあ金額は少なくなってきておりますけれども、繰り入れさせていただいておるわけでございます。しかし、昨年から始まりました地方支部の国庫補助金の増額はございますが、あと数年たてば私どもはゼロになるのではないか、こういうふうに期待いたしておりますし、そうした暁におきましては、現在事務費の一部についてという表現を事務費についてと、たとえば私学共済、公立共済も同じだったと思いますが、あのように同じような規定改正すべきではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  43. 鈴木力

    鈴木力君 まあいますぐやれとも申し上げませんが、いま局長の御答弁の中に、少なくとも学童から掛け金を取って——掛け金面については文部省は一銭も出しておらないわけであります。大体これの金額は、地方自治団体は出しておりますが、文部省からはそちらの面には出ていない。そういう形でもってこの種の事業運営しながら事務費に回せということは、ちょっと私は酷だと思います、俗な表現を使うわけじゃないが。局長運営審議会等でも異論がないのだと言うのですが、運営審議会も文部大臣が任命することになっておりますが、そういう形でそれをやって、それで掛け金から回せるのだということにはあまりこだわってもらいたくないという感じがいたします。時間がないので、これは要望として。ゼロにしたいという点、私どもよくわかります。できれば来年度からゼロになるように全努力をまずしていただきたいということが一つでございます。  その次にもう一つ、あとで役員の問題をちょっと伺いますが、その前に、特殊法人として文部省責任を持つ、これは私は当然だと思う。そういう形で送り込んでおって、いまも申しましたように、事務費も大半は国が持っておりますけれども、掛け金の給付面については、父母からも掛け金を取る、これの中の大体四〇%ないし六〇%は設置負担という形で地方自治団体負担をさせている。ですから、私に言わせると、この事業全体の金額からいうと、文部省の出している金は、事務費も給付も含めますと、あまり大きなつらはできないような金しか出していない。大部分は父母と地方自治団体に出させている。そうして役員のほうは、文部省責任を持つということで、全部文部省が占める。天下りということばはよくないが、そちらのほうにいって、そうして管理をしているわけでしょう。だから、私は、そういう管理をするというならば、掛け金面についてもできるならば私のほうは最低でも七〇%は国が持ち、国の事業として子供たちの安全を守るのだというところに切りかえるべきだということを私どもは主張しております。そこにいくべきだということを主張しておりますが、そこにいけない場合でも、最低でも地方自治団体と同額くらいの掛け金の責任を持つ考えはないか、そうして近い将来は七〇%程度を国が持つ、こういう形に進めていく考えはないか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  44. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) ただいま御指摘の点は、この種の行政制度上のきわめて大きな課題であろうかと思いますが、私どもの現在の考え方といたしましては、地方公共団体という御指摘でございましたが、法律では設置者、したがって私立学校の場合には設置者は学校法人、国立学校の場合には国がこの設置者として負担する。事業対象義務教育学校でございますから、ほとんど大半は公立学校でございます。したがって、市町村立小・中学校でございますから、地方公共団体と申しましても市町村が大半を占めており、市町村負担は御指摘のように四割から六割の範囲で、大体五分五分、折半が八、九割を占めておりますが、それで四億二千万円ほど市町村負担している。  大きなつらはできないとおっしゃられましたから、ちなみに申しますが、文部省の出している金は三億二万万円でございます。最初出発当初は二千四百万円ですかが現在までに三億二千万円まで伸びてきておりますから、文部省もたいへん努力している。私どもの手ぎわではなく、歴代の文部省の先輩が努力してきたことはお認めいただきたいと思います。  そこで、それは余談でございますが、財源的な問題と、もう一つは、これはどうしても共済制度でございます。父兄がお互い出し合って、この種の事故があった場合助けていこうじゃないか、こういう趣旨で出てきております。したがって、共済制度でございます。第一に、父兄でございます。その次は、その学校設置している設置者でございます。その両者がお互いに出し合ってやろう。御承知のように、紫雲丸事件に発足いたしまして、あのとき大量に事故を起こした父兄が市町村当局に働きかけて、やはりつくろうじゃないかといったようなのがこの発足の過程でございます。そうした共済制度でございますから、確かに医療給付とかいろいろなものがございますから、何となく他の社会保険制度を引き合いに出してみたくなるというふうなことになりますけれども、やはり共済制度でございますし、もう一つは、御承知のように掛け金は現在、たとえば小・中学校で申せば年額五十八円でございます。したがって、半分設置者が持つとすれば、父兄は二十九円でございます。したがって、父兄からしてみれば、それほど過重な負担だと私ども考えておりませんし、父兄もそれほど過重だというふうに言っておらないし、むしろ安全思想と申しますか、学校安全会の考え方というものを父兄なり設置者なりに支持してもらうには、やはりある程度負担をしていただく。それに見合って、国が、父兄なり設置者に負担させてはいけない事務費を全額持ってやるのだ、こういったような考え方でいくのが、この種の制度として正しいのではなかろうかと今日まで考えてきたところでございます。
  45. 鈴木力

    鈴木力君 今日まで考えてきたことは、そうやってきたのですから、よくわかるわけです。私が言っている意味は、今日以降考え方を変えないかということを言っておるのですから。それはやはり共済制度だということを主張なさいますが、それは形の上からは共済制度だと思います、私は。しかし、事業の第一には共済制度とは書いていない。事業の第一には、そうじゃなしに、さっきも私が申し上げましたように、学校安全の普及及び充実に関することと、こうありまして、私はやっぱり、金額の量は別としても、少なくとも学童を取り扱うという場合には、対象が親だからといって、これは共済制度だと割り切ってしまうのは、少し文部省当局としては冷た過ぎるのじゃないか。共済制度というものを通じて社会の仕組みがこうなるんだということ、私はやっぱり学校安全会というものは教育をつかさどる重要なる一つの機関だと見ておるのですが、そういう立場からすれば、それは父兄から二十九円だからたいしたことはないとおっしゃるが、金額の多寡でこれを判断するのは私どもとちょっと考え方が違う。ほんのわずかであっても——わずかであればなおのこと、文部省が出せばいいのだ。集まってくる金額が多いから、事務費さえも全部は大蔵省からもらえない、零細な金を集めて、零細だからということでそっちにやらしておくという考え方ではなしに、要するに給付面についても、国もこれだけ出すのだということが私はこの種の事業には必要だと、こう思う。まあしかし、これも議論をしておっても御返答がないと思いますから、私は将来そういう立場でこれは検討してみてもらいたいと、こう思います。要望をしておきます。  そのあとに、今度の改正案の法律改正の趣旨のうち、役員の項、改正の趣旨の中の役員の欠格条項で、何ですか、国務大臣国会議員、地方公共団体の何々を除く、こういう欠格条項があったものを、今度は削除する、この意図はどういう意図でございますか、お伺いをしたい。
  46. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 経過を申し上げますと、今回の改正は御承知のように高等専門学校の学生を対象にしたい、これが一点でございましたが、御承知のように特殊法人でございますし、特殊法人につきましては政府全体が統一方針を持っておるわけでございます。そこで、いろいろ各省庁と接触しておりましたところ、最近の立法例、文部省で申せば国立劇場法、学術振興会法しかりでございますが、最近の新しい立法例によりますると、国会議員を欠格条項に入れておくのはおかしい——国会議員は普通の一般公務員とは違いまして、かなり就業等についての自由が認められておる。したがって、絶対的に欠格条項にするのはおかしいのではないか、一応はずしておいてあとは任命権者の判断にまかせるべきではないか、こういうふうなのが最近の立法例のようでございます。さような統一方針がございますので、今回この高等専門学校対象にするという改正を上程する機会に、こうした他にも二、三追加の条文がございますが、それと同様に一般の立法例に従って改正をさせていただきたい、こういうことで提案した次第でございます。     —————————————
  47. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、北條浩君、大谷藤之助君が委員辞任され、その補欠として矢追秀彦君、竹中恒夫君が選任されました。     —————————————
  48. 鈴木力

    鈴木力君 くどくなって申しわけありません。あまり時間をとるのも何ですから、できるだけ簡単に伺いたいのですが、任命権者の意図によって処理できるというのですが、私はこの欠格条項は全部はずすのがあたりまえじゃないかと思うのですがね。特に第二項を残しておいて第一項だけをはずすというのは、任命権者の意図によってということになれば、全部欠格条項なしでもやれるわけです、方針がきまっておればですよ。それが第二項は残しておくが第一項だけは今度削るという意図は、よそさまでそうやっているそうですという答弁じゃなしに、あなたも政府なんだから、政府の意図はこうなんですというやつをはっきり言ってください。
  49. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今回の改正にあたりましてわざわざこういう改正をしたということで、その意図について御質問だろうと思うのであります。私はこれは率直に申し上げますが、実は何ら他意はない。ただ、政府の最近のこの種の立法につきまして、今回修正するような方向において立法がなされておりますので、安全会法の改正をするのならこの機会に特に歩調を合わすようにしたらどうか、こういうことが政府部内の話として出てまいりまして、それに従って改正をお願いするということになりましたようなことでございます。格別何ら他意あってのことでもございません。要は、最近の立法例にならってこの機会に直しておいたらどうか、こういうふうなお話もございまして、それもよかろうということで直しましたようなことでございますので、これはざっくばらんな話でございますが、ひとつ御了承願いたいと思います。
  50. 鈴木力

    鈴木力君 どうもしつこい話で申しわけありませんけれども、最近、大臣の他意ないことでわれわれから見ると他意のあることもときどき起こるものだから、私どもはこういうことが心配でならないのです。たとえば国会議員を欠格条項からはずしておきますと、国会法では特殊法人の役員になってはいけないという項目がありまするから、国会議員が特殊法人の役員になる道をここで開くということなんですね、いま意図があろうとなかろうと。そうしますと、たとえば最近に文部省の関係機関であったように、ある人がある特殊法人の役員になる、国会議員がなっちゃいけないという法律があるものですから、考えてみると、二年間の任期に国会の選挙に出ようとする人が役員になっても、これは六カ月くらいでやめなければいけないから、悪いことをしたといって自発的に退職することがある、そういう事例は最近文部省の関係機関にあったはずなんです。勘ぐれば、こういうことがあると、これは国会議員というのを欠格条項からはずしておけば何も問題がないのであって、二年間、当選したらまた役員を続けられるから、役員に天下ることがどこが悪いのだと開き直る道を開いておる。これはまあ少しおまえの勘ぐりだとおっしゃられるでしょうから、勘ぐりだと申し上げてもいいのです。しかし、この勘ぐられるような事例が最近あまりにも多過ぎるので、私はこういう条項の修正というのは、これは相当慎重にやるべきだ、こう思うのです。  ですが、きょう大臣はいま、他意がないとおっしゃいましたから、これはそういう法律の一つの統一的なていさいを整えるためにやったのであるということは私は了承いたしますから、大臣からここで、欠格条項からはこれを除外するけれども、この項は欠格条項として運営のときにはやるのだということをはっきりここで言明をしておいてもらいたいと思うのです。
  51. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お答えしにくい問題でございますが、法律の条文がそうなれば、法律の解釈はどうだ、こうおっしゃれば、その条文どおりの解釈を申し上げる以外にございませんけれども、この条項の運営につきましては、従来の方針を私は変えるような気持ちは持っておりません。
  52. 鈴木力

    鈴木力君 もう一つだけ伺います。長くなって恐縮ですが、役員についてですが、役員の待遇について伺いたいのです。  役員が大体文部省の、何といいますか、卒業生でほぼ占られておるということは、これは私も存じ上げておりますから、これは特にお聞きはいたしません。こういう形でいいかどうかというのは私は実は議論があるところでありますけれども、これはあと回しにいたしまして、この役員の待遇について、特にこの退職金の制度はどうなっているのか、ちょっと伺いたいと思うのです。
  53. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) これは他の特殊法人と大体同じだと思いますが、役員の退職手当は在職一カ月につき退職の日におけるその者の報酬月額に百分の五十以内の割合を乗じて得た金額、つまり月の報酬の半分、最高半分までは出してよろしい、こういう規定でございます。
  54. 鈴木力

    鈴木力君 大体わかりました。  それで、これはちょっと私どうしてもふに落ちないのです。ただし、調べてみますと、政府関係機関の退職金のほうはまあよそよりも文部省関係機関はよくないということを、これもまあ大体私は調べてみたらそういうことですから、文部大臣けしからぬというのもちょっと言いかねる気持ちもありますけれども、一般の公務員は一カ月刻みで退職金をくれるというような制度にはなっていないと思うのです。一年未満の勤務のときにはおそらく切り捨てになっているのではないかと思いますが、これはあまりはっきり自信がありませんけれども。特殊法人の役員になると、一カ月かせげば半月分の退職金がもらえる、特別にこういうような配慮をしなければならないのかどうかということは、これは私は多分に疑問を感じております。特に、この一カ月百分の五十と、こういうことになりますと、一年間で六カ月分でありますから、そうしますと、かりに十年間勤務いたしますと六十カ月分の退職金をもらえるわけです。おそらくこの人は、どの人でも、文部省の役人をやめますときに、一ぺんは普通の公務員並みに退職金をもらった人たちだったと思う。その人が三年ぐらい特殊法人の役員をやって退職金をもらって、またどっかに行って、別のところの役員をやってまた退職金をもらってと、こういうことを特殊法人が繰り返しておる。そういうような状態でやつておって、しかも、零細な学童の父母からの掛け金が主体で事業をやっておる。こういうことは一体に国民の側は割り切れるとは私は決して思わぬのであります。教員ですと大体、一生やって、三十数年やっても六十カ月分はもらえない、退職金が。一般公務員も同じなんです。何か法人をつくれば、父母はたいしたことはないからというので、零細な金を集めては、役員が行って、そうしてそこでこういうような仕組みをつくっておるということ自体を私は根本的に改めるべき時期が来ているんじゃないかという気がいたします。これは文部省だけの責任とは私は申し上げませんで、さっきも言いましたように、たとえば他の省の関係のこの種の機関と比べれば、文部省関係はまだ待遇は悪いほうである。他の省の職員と教員と比べれば、教員のほうが待遇が悪いほうであるということですから、それに右へならっているのかもしれません。しかし、政府全体としてやはりこの種の問題はもうそろそろ処理する時期が来ているんじゃないか、こういう感じがいたします。  特に文部省関係のこういう法人は、いま言ったような学童から金を集めているというような事業もあれば、その他いろいろ事業があるわけです。単なる事業団体、利益を追求していくような事業団体でないようなものが非常に多いわけです。こういう点については、文部大臣としての私はきょうは所見を伺って、今後やはり政府部内でひとつこの問題を検討するような方向で努力をしていただきたいと御要望申し上げたいんでございますけれども、これは御所見を承りたいと思います。
  55. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) この問題につきましては、鈴木さんもいまおっしゃいましたように、やはり文部省だけの問題とも存じません。全体的に政府として検討すべき問題じゃなかろうかと思います。御要望を御要望として十分伺っておきます。
  56. 岡三郎

    岡三郎君 二、三質問いたします。  先ほどの局長の答弁で、日本学校安全会法は即共済組合法というふうに言われたわけですがね、私はそれならばそれなりにこの目的を明確にすべきだと思うんですが、たまたま「日本学校安全会は、学校安全の普及充実を図る」、そうしてあと「管理下における」云々といって、「もって学校教育の円滑な実施に資する」、こういうふうな目的というものをここへ立てておいて、「学校安全(学校における安全教育及び安全管理をいう。)」ということで、その「普及充実に関すること。」と、こういうふうに目的達成の業務を書いてあるんです。そうするというと、非常に広範な業務というものが将来ここに含まれてくるということの中から、とりあえずいま問題になっている学校管理下における児童生徒等の疾病とかあるいは負傷、あるいは死亡等に対する共済の問題をやっているんだというふうにとりたいんです。それでなくては、これはやはり日本学校安全に関する共済組合なら共済組合法だと、そういうふうに明確にしないと、問題は混淆してくるんじゃないかと思うんですが、この点、大臣、どうですか。
  57. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) ただいま御指摘の学校安全会の性格でございますが、御承知のように、この学校安全会法をつくりますときに名称をどうするかということがあったようでございます。特殊法人になる前に、市町村なり府県なりに幾つかのこの前身の制度があったのでございますが、それもいろいろと、学童事故災害補償組合とか、いろいろまあはっきりと共済組合的な名前を使っておったようなものもあるようでございます。で、結局そういうものが基礎になってできたのでございますが、国の機関、国の特殊法人とする段階になりますと、やはり御指摘のように、いままでもお話が出ましたように、せっかく国の特殊法人にするならば、学校安全思想、学校安全教育、こういったようなものにも大いにやってもらおうじゃないか、こういったようなことがこの法案に期待が寄せられましたので、いま御指摘いただきましたように、「目的」なり十八条の「業務」なりに、この災害給付よりもむしろ「学校安全の普及充実」といったような表現のほうが先に出てくる、こういうことになっているのでございます。  ただしかし、先ほどからいろいろ出ましたが、何といいましても、その予算内容事業内容を見ましても、災害給付、これが全く一番大きな事業活動でございますし、予算からいってもそうですし、内部の事務処理機構からいってもそうでございます。特に最近、こうした学校安全教育なり学校安全思想普及が重要であるけれども、文部省との関係はどうであるかといったようなことを行政管理庁あたりからの指摘も受けているところでございます。方々でいろいろな立場で交通安全教育なり安全思想普及、こういったことをやることはもちろん望ましいわけでございますが、やはり秩序あるこういったことをやるのには、国と安全会との関係がどうであるかといったようなことがいろいろ話題になっているような現状もございます。さようないろいろなことを踏まえて、先ほど来から、共済制度的な発足であったし、またその実態もそうであるのではないか、こういう観点から申し上げた次第でございます。
  58. 岡三郎

    岡三郎君 いろいろと説明がありましたがね、その説明を聞くというと、逆に、やっている業務は単純なもの、しかしそれをいろいろと尾ひれをつけ衣をつけて一応りっぱな目的にする、そういうことをしないというと特殊法人になれぬでないかというふうな形で、目的はどこにいってしまうかわからぬような問題になっちゃ困ると思うのです。しかし、私は、この目的、それからこれに伴うところの目的を達成するための仕事について、これでいけないと言っているわけじゃない。先ほど鈴木君が言ったように、そういうふうな目的を達する業務をするということならば、やはりそこへ向かって積極的に、羊頭狗肉ではなくして、本来そうあるべきだという教育的な見地に立っての内容充実というものに積極的にいかぬと、これは羊頭狗肉の策になってしまうと思う。  私は、そこで、この安全の面において文部省指導的な立場に立って積極的な提言をするという場をここに置くということになっていった場合に、それは即予算的にいうて、たとえば公害の問題がいま指摘されたけれども、そういう公害の問題を含めて、いろいろな学校安全に伴う仕事というものがある。しかし、それを具体的に予算化する場合については、各省との関連というものも出てくるし、さまざまの関連が出てくるけれども、事、学校安全教育の「安全」という問題については、文部省が積極的に提言をしていく、そうしてそれに伴う普及宣伝をしていく、そうしてその経過の中から、主体的に文部省事業の推進者になって各省をまとめて、この学校教育の目的に沿うような方向への努力をしてもらわないと、私はこれは意味が非常に弱くなってしまうのではないかという気がするわけです。  これは端的にいうて、灘尾さんが文部大臣になったとき、私は文教委員長をやっていた。そのとき千駄ガ谷の鳩森小学校の問題が起こった。学校周辺においてあいまいな旅館が続々と発生する、学童が変な遊戯をする、そういうようなことから、父兄があちこち陳情しても、なかなかうまく取り扱ってくれない。これは旅館業法の関係もあるし、保健所の関係もあるし、教育委員会にいっても、区にいっても、都にいっても、なかなか処置してくれない。そこで、この文教委員会に直訴してきたという問題があった。これは学校教育というものを考えたときに、いわゆる身体的な障害を受ける問題と同時に、精神的な傷を受けるということは、これはより重要な問題だと思われるわけです。  そこで、先ほど言われた、自然のうちに公害というふうな問題で健康がむしばまれていくということは、突発的な事故についてはよく指導していけば減少するけれども、社会的な現象の中で学童が健康がおかされてくるという問題については、これは積極的に周辺の自治体の長、あるいは政府自体、あるいは産業を指導する通産省、各方面が相連携してそういうものを取り除いていくという仕事をしなければ、本来の教育の目的に私は沿わない結果になるのじゃないか。そういうふうなことから鈴木さんが言われておると思うのです。  そういうことを考えると、私は積極的にやはり学校安全会の中において、先ほど言われておるように、安全の普及充実をはかるという目的で、いろいろ安全教育安全管理を行なうという面の中において、広範なやはり現下の教育上において起きておる大きな問題として、それを積極的にここで予算を取って全部こうしろということは無理だと思う、いまの段階は。しかし、ここで国民世論に対してこたえていくという一つの積極的な施策を提言することが必要ではないかというふうに考えるわけです。これは大臣、どうですか。
  59. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) ごもっともだと存じます。学童の健康その他安全を守っていく問題につきましては、やはり文部省中心となってその推進をはかっていかなければならないと思います。その点についての適切な御注意をいただいたと思うのでございます。  従来も、特に交通安全等につきましては、相当文部省も推進役をいたしたつもりでおりますけれども、広く学童の安全の問題につきまして、文部行政としましてももっともっと積極的に努力してまいりたいと、このように存じます。また、その一環としまして、この安全会等の活動も一そう積極的にやるように促進してまいる、こういうふうに今後努力してまいりたいと思いますので、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  60. 岡三郎

    岡三郎君 私は、いま鈴木さんが言われた、公害の問題等について四日市の例をあげられたわけですが、横浜等においても、あるいは神奈川を含めて川崎・鶴見工場地帯、これはやはり亜硫酸ガスその他のばい煙等によって非常にトラホームが多いわけです。われわれはいなかにおいて、やはりたきぎを燃すとかいろいろなことで、そういう現象というのは経験をしてきたわけですが、直接工場の中にある学校においていろいろな問題が起こっておりますが、それに保健婦というものが足りない、そういうふうなことから、付近の診療所なり医師にかかる。ところが、それに伴うところの費用負担というものがとてもかなわぬ、何とかこれを学校でやってもらえないか、これは父兄の痛切な望みで、これはわれわれ自体としても市長にそういうものについて積極的にこれを改善していくように要請をしておりますが、いま申されたように、産業の高度発展に伴って学校の周辺というものが漸次変貌してきておる、そういうようなことから、でき得れば学校は逃げたい。疎開したい。ところが、経済的にそれがなかなかできないということで、父兄も悩み、自治体も悩み、国としても大きな悩みの問題だと思うので、この問題については、やはり積極的に施策を講じてもらいたい。今朝の報道によれば、千葉市がやはり積極的に、相当の児童を対象にして、年間取り組んで、この公害問題について、どういう影響を及ぼしているかをこれからすぐに検討するということが報道されております。そういう点についてもやはり、安全会指導している立場においては、積極的にそういう面についてはかって、一ぺんにそれに伴う補助金とかいろいろな予算措置がかなり困難な面があるにしても、やはりそういうものに勇気づけ、そうして指導なり便宜を与えて協力するということによって、積極的に学童の健康を守るということをやはり安全という面でやってもらいたいというふうに私は考える。  それと、先ほど言ったように、もう一つは、学校周辺の環境整備、こういう問題についても、これは過去において横須賀において駐留軍の問題から風紀上の問題が非常に論議されたときに、これはいろいろと純潔教育の問題とかいろいろの問題がありましたが、やはり横須賀市の教育委員会としては、これに対して積極的にやはり環境を整備できることはやっていかなければならない。ただ、最近の風潮は、間々すると、そういうものに対して目をつぶるというふうな傾向が非常に強い、行政的においても政治的においても。私は、通産省のほうが文部省よりか力があるかもわからない。しかし、ここに灘尾文部大臣という大臣が登場することに私は意義があると思う。これはほめることではなくして、やはり積極的な識見と行動力というか、そういう面において、いわゆる教育を害するものに対して積極的に提言をしていく。環境を整えていく。いろいろな問題についての政治的な措置というものについても、それは適切にやらなければいかぬとしても、根本的には、私は教育というものは環境を整備して、そうしてよりよく教師がその中において児童生徒指導していくことができるようなことがまず根幹だと思う。ところが、これを抜きにしたいろいろな面の施策がいろいろな混乱をもたらすというようなことを考えているのです。  そういう点でもう一つの提言は、いまの学校周辺の環境を整備する法律がどれだけ生きているか、私はまだ寡聞にしてよくわかりません。三崎の例として、三浦の三崎小学校の周辺にあいまいな旅館を建てられるという機運があったときに、あの法律があってそれがどうしてもできなかったということが具体的な事例としてあります。したがって、相当陰ながら役に立っているのじゃないかと思うのですが、そういう面において将来の展望として、公害なりそういう問題との関連で学校周辺をどういうふうにするのか。やはり工場なら工場の規制をするとか、特にその工場が騒音を出すとか、あるいはいま言ったいろいろな害毒物を流すとか、そういう点については文部当局として、これは断固として許されないという面において、やはり通産省なり内閣等において積極的に文部省学校安全全体の問題として提言をしていく、世論を巻き起こしていく、問題を提起していく、そういう中でいろいろと産業上の問題もあって、根本は日本の将来を託する児童学童の問題であるから、そういう点については積極的に協力すべきであるという一歩踏み込んだ行政的な立場で、ひとつ検討してもらいたいというふうに考えるわけです。そういうふうなことを考えているわけです。  先ほど大臣が言ったように、交通の問題についてはかなり積極的に出て、そうしてそういうふうな中に交通安全対策本部というものの中から児童生徒の問題をどうするかということをやっておられるようですが、こういうふうにあらゆる面において学校安全というものについての文部省のやはり検討された問題を十分打ち出していく、いわゆる一つのこれは安全会というものが母体になるくらいの抱負を持ってやっていってもらいたい。それだけでできなければ、それに伴うところの立法措置というもの、現行ある法律、公害の問題も含めるような施策というものもやっていってほしいと、こういうふうに考えるわけですが、その点どうですか。
  61. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お考えにつきましては、何ら異存はございません。
  62. 岡三郎

    岡三郎君 あとやってくれるかどうか。
  63. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 留意したいと思いますが、公害の問題は実は非常な悩みであるということは御了解いただけるであろうと思います。新たな公害の発生と、こういう問題については、今後の問題としまして、文部省としても重大な関心を持って積極的にこれに取り組んでいかなければならぬと思います。一番私ども困っておりますのは、自動車の騒音というか、学校がたまたま道路のそばにあるというふうな場合に、ちょっと処置のしようがないというふうなところで、騒音防止に関する若干の施設はいたしますけれども、非常に悩んでおる。さりとてまた、これをどっかへ移すということになりますれば、これまた容易なことでもないので、非常に悩みの多い問題でございますが、しかし、この問題についてできる限り、やはり学校教育を守り子供を守っていくという立場において、従来あるいは消極的なそしりを免れなかったかもしれませんけれども、せっかくの御注意でもございます、今後積極的にこの種の問題と取り組んでいく、学校安全会のそういう面において積極的な活動をなし得るように私どもとしましてもこれを援助していくという方向において進んでまいりたいと思いますので、御協力もいただきたいと思います。
  64. 岡三郎

    岡三郎君 あと一つ。これは最近における過密地帯の中における学校建築の問題は、この前言うて、これは大きな問題ですから、きょうは……。  児童公園なり児童の遊び場ですね、こういうものについては非常に危険防止という面から自治大臣が苦慮しておるのです。しかし、いまの土地の入手難といいますか、非常に土地が高くなっておるということから、いまの自治省の予算等においては思うようにいかない。しかし、反面において、国有財産の土地の中に、あるいは国有農地の中において、これは先般の決算においても指摘したのですが、旧地主に対して自作農創設という問題で昭和二十二年当時にこれを国が買い上げた問題がありますが、それが後になってこの土地を、昭和二十七年ですか八年ですか、これを旧地主に返さなければならぬというふうな法律をつくったために、現在では都市のまん中にあるそういう土地を坪二円五十三銭ほどで払い下げておる。これは公共的な施策という面からいろと大きな問題で、そう広い土地ではないとしても、大体二百坪から百坪くらいの土地がさがせばかなりある。そういうふうな面について、国自体としては河川敷、多摩川の河川敷とか、そういうものを開放して積極的に公園あるいは緑地というものを求めていることについてはかなりよく知っておるわけですが、しかし、過密都市の一つの町の中に非常に遊び場というものが不足しておる。だから、そういうふうな点で、私は文部省自体として、やはり交通安全の立場からそういうものを積極的につくっていくための協力というものを農林省なり大蔵省なり、そういうところに提言をして、そうしてひとつ総合的に、自治体の公有地の問題についてもこれは含めて当然ですが、そういう問題についてやればやり得るのではないかという気が非常にしているわけなんです。こういう面についてもひとつ検討をして、まあ総理府の中にあるところの交通対策本部等に対して提言をして、こういう問題についての一つの方向というものをとってもらいたいというように考えるわけです。われわれも協力をすることについては惜しまないわけです。この点について……。
  65. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 児童の安全な遊び場所をつくるということはきわめて必要なことだと思っております。そういう観点から、今日まで、政府におきましても、児童の遊園地等の問題につきましては相当な関心を払ってきておると思うのでございますが、お話しになりましたような問題につきまして、私どもも考えなければならぬと思いますし、それぞれ地元の教育委員会等におきましてもこの種の問題について十分関心を払ってもらいたいと思うわけであります。政府部内におきまして関係の各省との間にいろいろ連絡をとり、問題の目的の達成のために近づいていくということが何より必要と思いますが、御質問の御趣旨を十分尊重いたしまして、今後対処してまいりたいと思います。
  66. 小野明

    ○小野明君 局長にお尋ねしたいと思いますが、それぞれ掛け金の額というのはさまっておるようですが、生活保護及び準要保護、これについては大体四年以内とするというような施行令になっておるようですが、生活保護、準要保護については、それぞれ義務制から高等学校あるいは今回の高等専門学校、これについては幾ら徴収するようにお考えですか。
  67. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 義務教育振興の観点から、御指摘のように、要保護児童につきましては掛け金を四円にしまして、これを国と市町村で折半しまして、父兄がゼロになるように措置いたしております。それから、準要保護児童は掛け金は五十八円そのままでございますが、設置者が二分の一を持って、あと二分の一父兄負担の分、それを国とさらに市町村で半々持って、父兄が出さなくてもよろしいと、こういう仕組みになっております。それらを合わせまして、年間本年度は約千五百万円の予算を計上いたしております。
  68. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、実質的には生活保護、準要保護については持ち出しはないということですか。
  69. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) さようでございます。
  70. 小野明

    ○小野明君 それは高等学校、それから今度やろうとする高等専門学校、この場合も同様ですか、いかがですか。
  71. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) いま申しましたのは義務教育学校だけでございます。高等学校、それから高等専門学校は、ちょっとこれはたてまえ上困難な点がありまして、実現されておりません。
  72. 小野明

    ○小野明君 実はそのたてまえというのが、これは文部省だけの問題ではないかと思うのですが、高等学校の生徒は百十円ですね、百十円払うようになっている。しかし、この生活保護の子供は、そうすると、高等学校にはいないということですか、その辺はどういうことですか。
  73. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) これは体育行政をあずかる私としてお答えする課題であるかどうかわかりませんが、まあ私の普通受けている感じで申しますと、義務教育じゃございませんから、高等学校に行くほどのものだと、こういう前提に立ちますと、やっぱりこの要保護児童、準要保護児童、こういった考え方で国が国庫補助対象にするということはちょっと困難ではないか。まあ育英会とか進学奨励とか、そういうものと別個の生徒だと、こういうふうに考えられるのではないか、こう思います。
  74. 小野明

    ○小野明君 最後に、大臣にちょっとお尋ねをしたいのです。生活保護者の家庭ですと高等学校に行けないわけですね。逆にいうと、高等学校に行きます場合は生活保護を打ち切られるということになっておるわけです。その辺に私は非常に問題があると思うんですけれども、直接は文部大臣の所管ではないかと思うんですが、そういった一つのたてまえがあるんですが、それが私は高等学校の入学率が八二%にも上がっているという現実の段階から見ますと、非常に不都合があるのではないかと、このように考えるわけであります。そこで、この問題は非常にむずかしいわけですが、大臣のひとつ御見解をこの際いただけたらと思うんですが。
  75. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 私もかつて生活保護の仕事をいたしたこともあるわけでございますが、いまはっきりとその辺がどういうふうになっておるか記憶いたしておりませんが、現在生活保護を受ける家庭の子供がもし高等学校へ入れば、生活保護を打ち切られる、こういうことになって、その点が実は私はっきりしないのでありますが、そうなっておるとしますれば、この問題はよほど考えなければならぬ問題だと思います。ことに現在のように非常に進学率の高い、ほとんどもう普通の子供はみな高等学校に入るというふうな状態のことでもありますので、生活保護の扶助について、私どもとしましてももう少しよく調べて検討さしていただきたいと存じます。
  76. 小野明

    ○小野明君 終わります。
  77. 楠正俊

    ○楠正俊君 もう時間がございませんから、簡単に質問いたします。  最初に文部大臣にお願いしたいのですが、今回この高等専門学校災害共済給付対象に加えたわけでございますが、その加えた理由として、「教育の成果を高めるために」ということが書いてあるですが、その教育の成果を高めるということだったら、大学のほうも、これはまあ段階的に徐々にお考えになるとは思いますが、大学を放置しておくということは、これはやっぱり大学の化学の実験や激しいスポーツ、こういったこともございまして、相当災害対象になるものも大学生にはあると考えられるのですが、その点はどうして高専を対象にして大学は、放置したわけじゃございませんでしょうが、現在のところ対象にしなかったかということ、この点について御説明願います。
  78. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今回の国立高等専門学校の生徒に対する法律の適用は、従来の高等学校の生徒の状態とほぼ同じような状態にあるわけでございますので、これと歩調を合わせる意味において法律の改正をいたしたわけでございます。大学あるいは短期大学における学生の災害の実態はいろいろさまざまでありまして、教育課程、学習の形態、学校の管理体制等も他の高等学校等とはだいぶ趣を異にしておりますし、学校管理下における災害を正確に把握するということも困難な事情もございますので、短期大学及び大学の学生につきましては、これを給付の対象としておらないのであります。これを今回あわせて改正するというようなことも、いま申しましたような事情からいたしましてはたして適当であるかどうか、問題もあろうかと思いますので、ただいまのところは給付の対象とすることを考えておらないというのが私どもの立場でございます。
  79. 楠正俊

    ○楠正俊君 いまの「管理下」という、法律の第一条にございますことばですが、冬の間の僻地等の寄宿舎、それから町村統合のための寄宿舎、そういうところで起こった災害というのは「管理下」に入るかどうかなんですか。
  80. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 御指摘のケースはただいまのところは入れておりません。いまは特殊教育学校の宿舎に限っております。
  81. 楠正俊

    ○楠正俊君 前に戻りますが、高等専門学校がこれに加入した場合の掛け金が幾らで、それから加入した場合どういう給付が得られるか、これは高校と同じですか。
  82. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) はっきりまだ最終的に態度をきめたわけじゃございませんが、大体学校安全会につきまして、私どもの見解といたしましては、高等学校並みにしたい、こういう気持ちから百円——高等学校が百円ですから、百円あたりはどうであろうかと考えております。ただ、中に商船高等学校が切りかわって商船高等専門学校となったのがあります。従来の商船高等学校は百十円でございますから、これは百十円ぐらいはどうであろうかと、こういうふうに考えております。
  83. 楠正俊

    ○楠正俊君 それから、廃疾、死亡の見舞い金ですね、これは非常に安いので、廃疾の見舞い金が十三万から最低が五千円ですね。死亡の見舞い金がたった十万円。これはもう少し見舞い金を上げるというようなお考えはおありになるかどうか、お答え願います。
  84. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 御指摘のように、廃疾は程度によりまして十三万円と五千円の間を十四階級に分けております。また、死亡見舞い金は数年間据え置きで十万円でございまして、関係者から、幾ら何でもこれは安過ぎるのではないかと、こういう御意見が出されております。  ただ、一方におきまして、現在は、ことしあたりはまだよろしいのでございますが、医療費の単価の値上がりとか、給付率であります、給付する件数が非常にふえていっておりますので、どうしても赤字の傾向を帯びておるというのが現状でございます。そこで、現在の私どもの考え方としましては、いずれはこれはどうしても掛け金は上げなければならない、その機会に、従来から御要望のありました、こうした安いのじゃないか、先ほど先生御指摘のございました寄宿舎も、義務教育学校の寄宿舎だけに限るのはこれはちょっと片手落ちじゃないか、もう少し広げたらどうかという御意見もございますので、そういったものをあわせまして、掛け金を増額するような機会に給付の対象内容も改善すべきではないかと、こんなふうに考えております。
  85. 楠正俊

    ○楠正俊君 これは給付の範囲ですけれども、先ほど社会党の先生のほうから公害のことが出ておりましたが、学校でトラホーム、耳下腺炎、水ぼうそう、そういうものがうつってくる。これは学校管理下にあってうつってくると思われるのですが、その点どうですか。
  86. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) いまのところ、いま御指摘になりました病気は対象になっておりません。ですから、やはり将来の課題として残されると思います。
  87. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  88. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見のある方は討論中にお述べを願います。
  90. 楠正俊

    ○楠正俊君 私は、本法律案に対して修正案を提出いたします。  まず、修正の案文を朗読いたします。  日本学校安全会法の一部を改正する法律案に対する修正案  日本学校安全会法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  附則を次のように改める。    附 則  1 この法律は、公布の日から施行する。  2 日本学校安全会は、高等専門学校の学生の負傷、疾病、廃疾又は死亡で昭和四十三年四月一日以後この法律の施行の日前に生じたものにつき、この法律による改正後の日本学校安全会法第十八条第二項の災害共済給付を行なうことができる。  本修正案は、本年の四月一日施行が不可能となりましたので、これを「公布の日」とし、高等専門学校の学生の災害昭和四十三年四月一日以降本法施行までに生じたものについても、これを日本学校安全会災害共済給付対象とすることができるようにするものであります。  何とぞ御賛成をお願い申し上げます。
  91. 鈴木力

    鈴木力君 私は、本法案に対して反対の立場を申し上げます。  質疑でも明らかになりましたように、この種の事業教育の一環としての事業であり、対象が学童であることから考えまして、特に学童の安全教育を行なう機関であるという立場から、事業運営は国が責任を持って国費で運営されるべきであると思います。少なくとも、とりあえず最低七〇%程度は国費をもって運営すべきである。すなわち、掛け金の七〇%は国庫負担となすべきであると思います。  また、役員の任命につきましては、特に従来あった欠格条項を削除いたしましたことは、法令の統一的整備のためということでありますが、なお今日問題になっております高級官僚の天下りの場を広くする可能性も若干あるわけでございますので、この種の機関としての役員の任命の制度としてはふさわしくないと思います。  以上の理由によりまして、本改正法律案に反対いたします。
  92. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより日本学校安全会法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にありました楠君の提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  94. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 多数と認めます。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  95. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は多数をもって可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  97. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 松永君。
  98. 松永忠二

    松永忠二君 私は資料を要求しておきますので、できるだけ早くひとつ資料提出をしていただきたいと思います。  それは、公立文教施設の第二次五カ年計画の進捗状況一つ。それから、第二としては、児童生徒の社会増に対する公立文教施設についてとっている対策とその実績の資料を、ひとつ提出していただきたい。第三に、宅地開発または住宅建設に関連する利便施設の建設及び公共施設整備に関する了解事項、五省了解事項のうち公立文教施設についての実施状況。最後に、小・中学校の過大学校、過大学級を持っている過大学校状況についての統計表と、複式、複々式学級の状況についての統計、以上四つを資料としてひとつ出していただきたいと思います。
  99. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 文部省側、よろしゅうございますか。
  100. 吉里邦夫

    説明員(吉里邦夫君) はい。
  101. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会      —————・—————