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1968-05-14 第58回国会 参議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十四日(火曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         井川 伊平君     理 事                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 山崎  昇君     委 員                 大森 久司君                 熊谷太三郎君                 小柳 牧衞君                 菅野 儀作君                 山本茂一郎君                 中村 英男君                 前川  旦君                 多田 省吾君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君    政府委員        運輸政務次官   金子 岩三君        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省港湾局長  宮崎 茂一君        運輸省航空局長  澤  雄次君        海上保安庁次長  井上  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        運輸省電子航法        研究所衛星航法        部長       木村 小一君        労働省職業安定        局参事官     中島 寧綱君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 井川伊平

    委員長井川伊平君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。関係当局からの御出席は、金子運輸政務次官町田官房長宮崎港湾局長井上海上保安庁次長、以上の方々でございます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に続いて二、三お伺いいたします。  まず、お伺いしたいのは、海難事故防止対策についての要点を伺いたいと思いますが、順序として、最近における海難事故現状についてまず承りたいと思います。要点だけでけっこうです。
  4. 井上弘

    政府委員井上弘君) 最近の海難状況について御報告申し上げます。  昭和四十二年末までの海難について見ますと、船舶海難発生の総隻数は二千七百四十七隻でございます。そのうち全損船舶は五百五十五隻、この数は全海難船舶の二〇%でございます。また、船舶海難に伴う死亡、行くえ不明者の数は五百二十九人でございます。最近の海難の特徴といたしまして、次のようなことが申し上げられると思います。その一つは、海難発生隻数は、ここ数年横ばいの状況でございますが、一隻当たりの総トン数は毎年大きくなっていく傾向にございます。これは海難船舶大型化ということが指摘されると思います。数字で申し上げますと、四十二年におきます一隻当たり海難のトン数は三百九十五トンでございます。  それから海難の発生した海域でございますが、港内及び三海里未満の近間の海域、この海難が全海難の七一%でございます。第三点は、小型鋼船海難がかなり大きくのぼっていく傾向にあるということを指摘できると思います。小型鋼船と申しますと、百トン以上五百トン未満船舶をここではさしているのでございますが、四十二年末までの一年間の海難は三百六十六隻でございます。第四点は、漁船海難でございますが、漁船海難も相変わらず多うございまして、行くえ不明者の数は、全海難船舶におきます五八%を占めている次第でございます。また、この漁船海難の三二%が北海道中心といたします北洋海域で発生いたしております。第五点は、油送船増加あるいは油送船大型化に伴います火災、あるいは油の流出といった公共危険度の高い事故が漸次多発する傾向にあるということも関心を持たなければいかぬと考えております。  以上でございます。
  5. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 以上相当詳細に海難事故に対する現状が明らかになったわけですが、それに対して防止対策も十二分に検討され、できる面から実行されていると思いますが、そういう事故防止対策について、その要点をひとつお聞かせいただきたい。
  6. 井上弘

    政府委員井上弘君) 海難防止並びに救助体制を申し上げます。  まず、救助体制から申し上げますと、海上保安庁には八十八隻の巡視船と二百八隻の巡視艇、そのほかに十七機の航空機をもちまして、これを全国の基地に配属さしておりますが、これによりまして、海難即応体制を一応しいております。それからまた、気象海象状況、あるいは漁船出漁状況船舶の通航が多いかどうかといったような、その状況を勘案いたしまして、海難の多発が予想されます海域につきましては、特に巡視船沖合いのその地域にパトロールさせる、前進哨戒制度をしきまして、海難後通報がございますれば、いち早く現場にかけつけられるような体制をとっております。また、特に北のほうでございますが、巡視船等に医師を乗船させまして、海上における医療もいたしております。また、これは漁船がおもでございますが、たとえばサケ・マス等の季節的に集団漁業に出ます前に、関係機関と協力いたしまして、出航前の整備状況検査指導を実施いたしております。これは漁船のみならず、小型船舶等も含めまして、各地で海難防止に必要な講習会を実施しております。  遠距離海域におきます海難防止救助体制といたしまして、私ども海上保安庁中心といたしまして、外務省あるいは防衛庁、水産庁、気象庁、各関係機関と連絡いたしまして、総合的な活動を準備いたしております。一昨々年のマリアナ海難を契機といたしまして、海上保安庁にも二千トン型の巡視船が入りまして、本年で二はい建造できるわけでございますが、これによりまして、そのシーズンにおきましては、マリアナ海域に常時遊よくさせて、即応体制をとることにいたしております。  それから、海難防止に第一歩をしるすものといたしまして、情報キャッチが必要でございますので、これは通信施設整備ということでございますが、昨年六月に、船舶遭難信号自動発信機というものを搭載することを義務づけられまして、現在一万八千隻の船舶がこれを搭載してございますが、これは万一海難がありました場合には、この機械を調査いたしまして、そこから海難場所と、それから海難にあっている船舶の符号が自動的に出てくるわけでございまして、それを海上保安庁陸上施設あるいは船舶施設がキャッチいたしまして、巡視船、あるいはもよりの船舶現場に急行させることができるというような制度をしいております。また、最近は船舶のVHFの通信施設が普及しつつございますので、これに即応いたしまして、海上保安庁のほうも、陸上にこれを受信する施設を設けて、来年度にはこれが完成するという予定になっております。  以上でございます。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま各面から御説明あったわけですが、海難救助体制の強化ということが各方面から強く要望されておると思うのでありますが、最近における海上保安庁船艇航空機整備状況、その一端についていま御説明があったと思うんですけれども、特にその中で、ここでこまかい数字をあげる必要はありませんが、どういう点にまだ整備が及んでいないかという点ですね。この点にまだまだ抜かりがあるとか、その点がまだ遺憾の点だとか、そういう重点的な面についてひとつお聞かせいただきたい。  それと本年度船艇航空機等整備計画があろうかと思いますが、それについてもあわせてお答えいただきたいと思います。
  8. 井上弘

    政府委員井上弘君) 海上保安庁船艇状況でございますが、この数字は先ほど申し上げましたように、巡視船八十八隻、巡視艇二百八隻、計二百九十六隻ございます。このほかに航空機が十七機ございます。一応この体制でございますが、この船舶は、私どもとしては必ずしも十分と思っておりません。特にこの中には、旧海軍等から移管されました老朽船艇が二十五隻ございます。これにつきましては、従来も代替建造をやってまいりましたが、早急に代替建造あるいは船体改造を行ないまして、質的な改善をはかりたいというふうに考えております。また、海上保安庁が発足をいたしまして後に、マッカーサー書簡などによりまして、緊急整備されました巡視船艇が百六十七はいございます。この巡視船艇につきましても、当時その能力につきましての制約もございましたし、また、精度も悪い点がございますが、特に小型船であります巡視艇につきましては、耐用年数がもう切迫いたしておりまして、これを至急代替建造しなければならないというふうに考えております。  以上の方針によりまして、私どもといたしましては、まず老朽船艇代替建造並びに船体改造ということを早急に実施して、質的な改造をはかりたいと思います。なお、これだけの質的改善だけで私どもは十分とは思いませんが、まず質的な改善をはかりました上で、将来の保安業務の需要に見合う、まあそれに関連いたしまして逐次漸増の方向に持っていきたいというふうに期待しております。  なお、海上保安庁業務といたしまして、先ほどもちょっと触れましたが、タンカー増加、また、タンカーによります災害を予想されますので、消防艇充足をはかりたいと思っておりますが、四十三年度におきまして、科学消防能力を持ちます大型消防船を、これは純増として建造することになっております。  以上でございます。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いろいろ御説明がありましたが、概して言うと、船艇性能が低い。で、この性能の低い船艇老朽になって、相当老朽船艇を使っておるようですが、さらに性能が低下する。それから、御説明にもありましたように、旧海軍から、また、現海上自衛隊等からの払い下げもあるやに聞いておりますが、そういうことで、性能の低い船艇老朽でさらに性能が低下する、あるいは船艇航空機の数の面でも不足しておる、こういうことで、これは船足が速かったら、ヘリがあったら海難救助できたであろうという場面でも、残念ながら目的を達しなかった、そういう事態もあちこち起きておるのではなかろうかと思うのですが、この点はどうですか。
  10. 井上弘

    政府委員井上弘君) まあ私ども巡視船艇能力でございますが、スピードが速いに越したことはございませんが、これはいろいろ用途がございますので、その活動する業務に従いまして、ある船につきましてはスピードがあったほうがよろしい、ある業務につきます場合には、スピード犠牲にいたしましても、作業がしやすいような形の船がよろしいと、いろいろあると思います。そういうことでございますが、実際の海難が発生いたしまして、いまの勢力で十分であったかどうかという点ににつきましては、われわれといたしましては、精一ぱいの努力をしておるつもりでございますが、また巡視船が足りないというようなことも考えられますので、現在それに対する措置といたしましては、先ほど申し上げましたように、前進パトロールという制度を編み出しまして、沖合い船舶がふくそうしておる場所に常時張りつけていくような形にする。それからそれで足りない特殊のような場合には、よその管区隣接管区から遠回しのほうに伸ばしまして、こちらのほうに応援をさせて協力させる、いろいろの手をとってそれを補っておる次第であります。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま私が質問しておるのは、資料などで調べた結果お伺いしているのではなくて、当内閣委員会として、国政調査全国のいわゆる海上自衛隊出先機関を実地にしばらく調査した結果に基づいてお伺いしているわけです。その出先機関をつぶさに調査の結果、ほとんど例外なく、いわゆる旧海軍とか海上自衛隊等払い下げで、相当老朽と思われる船艇が相当数あるということ、もちろん性能は相当に低いものが多い。それと数だけでなく、数、質量とも改善を要する点がたくさんあると思う。特に要望の強いのは、船艇性能の優秀なもの、それから航空機、特にヘリが多いようです。そういうものの配置がほしいと、そういう要望が特に強いわけです。どこの出先へ行ってもそういう声を必ずといってもいいくらい聞くわけです。そこで、船足が速くて性能がよい、まあ船足だけということじゃなく、その用途用途でもちろん違いますけれども、それはもう言えることは、まず船足が速いということが要素であろうと思うわけです。それと、いろいろ施設を完備した、いわゆる性能のすぐれた船艇、それとヘリと、こういうものが海上保安庁出先には不可欠のものであると思いますけれども、なかなかヘリまで整備されているところは少ないようです。結局、人命尊重ということをほんとうにそういう海上保安行政で推進するということであるならば、今後海上自衛隊などからお古などをもらわないで、性能のすぐれた船艇航空機を優先的に配置してしかるべきだと思うのです。これはこの目で、またこの皮膚で痛感した問題であるので、これは強く要望をかねてお伺いしているわけですが、この点いかがですか。
  12. 井上弘

    政府委員井上弘君) ただいま先生から御指摘ございました船艇でございますが、老朽船艇の中には、旧海軍から移管したものがまだ二十五はいい残っておるわけでございますが、これは遠からず代替建造できる見通しで私どもやっております。それから現在自衛隊から移管を受けるというようなことはございません。これは全部海上保安庁独自にやっております。ただ、御指摘のとおり、老朽船艇を早く改造していく必要はございますし、これが済みましたらば、用途に応じまして増強していきたいというふうに考えておりまして、先生の御指摘のように努力したいと思います。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 一昨年の全日航機遭難の際、遺体とか、あるいは機体の捜索活動において問題になったことですが、職員が相当過労で倒れたり、ヘリコプターが不時着して、そのための犠牲者を出したという事態もあったわけですね。これは海上保安庁船艇とか航空機定員、そういうものが相当関係あったと思うのです。海上保安庁の本来の使命を完遂するためには、そういう面が整備されていなければならぬ。特に船艇航空機整備もさることながら、定員についても十分な配慮がなければならぬと思うのです。  特にここでお伺いしたいのは、この定員充足状況は一体どうなのか、特に凍結欠員などはどうなっておるのか、こういう点についてお伺いしたいと思います。
  14. 井上弘

    政府委員井上弘君) 本年度の当庁の定員は一万一千百十六人でございます。前年に比しまして十八人の減員でございますが、これは凍結減が三十四名ございましたが、増員が十六名でございまして、差し引き十八名減という形になっております。この凍結減の員数につきましては、陸上管理事務を合理化いたしまして整理いたしました。増員の分につきましては、新しくできます消防船潜水調査船灯台見回り船という船舶につく数でございまして、昨年来御指摘がございましたように、船員につきます人間といたしましては、十分私どものほうといたしましても留意いたしまして、減員にならないように努力いたしております。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 特にいま御指摘のあった凍結欠員につきましては、これはもうこういう特殊な使命を持った職場には、凍結欠員などあっては相ならぬと思うのですが、その点は最重要な問題だと思うので、今後もその点特に配慮すべきだと思うのです。  次にお伺いしたいのは、海上交通安全のために、航路標識整備ということもきわめて重要な一面であろうかと思うのです。そこでお伺いしたいのは、その整備状況は現在どうか。それから方法としてロラン方式がいまとられておるようですが、日本ロラン局とか、あるいはデッカ局をどのように整備されておるか、こういう点についても概要をひとつ御説明いただきたいと思う。
  16. 井上弘

    政府委員井上弘君) 航路標識整備状況について御説明申し上げますと、昭和四十二年度末におきまして、全国に三千四百三十一基の航路標識を持っております。その種類別を申し上げますと、夜間、光によりまして位置を示します光波の標識、それが三千二百九十四基でございます。それから音を出しまして場所を示すいわゆる霧信号音波標識が五十二基でございます。また、いわゆる電波標識、これはロランデッカ、ハイパーレーダー、各種のビーコン、こういったものでございますが、その電波標識が八十五基でございます。  それから第二点の、ロラン局デッカ局整備状況でございますが、ロラン局につきましては、現在日本国全般にわたりまして九局整備されておりまして、おおむね日本周辺海域をカバーしている状況でございます。デッカ局につきましては、北海道デッカ網、これは四局ございますが、これが整備いたしまして、四十二年の四月から業務を開始いたしております。一方、九州地区におきましては、目下デッカ網整備中でございまして、これは四十四年四月から業務を開始する予定になっております。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま整備状況の御説明にあったロランとかあるいはデッカ等電波航法航法の面で、いまのところ何か欠陥があるように聞いておるのですが、この電波航法欠陥はどういう点なのか、この機会にひとつ伺っておきたいと思います。
  18. 井上弘

    政府委員井上弘君) 航波航法欠陥というのは、私は聞いておりませんです。私の不勉強のせいかもしれませんが、ただいま私どもとしては、欠陥は聞いておりません。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 船舶技術研究所人工衛星による航法研究しておるようですが、今日までの研究の結果についてはどのようになっておるか、承りたいと思います。
  20. 木村小一

    説明員木村小一君) お答えいたします。  当時、船舶技術研究所で正式に人工衛星による航法研究を始めましたのは昭和四十一年でございますが、その前、昭和三十八年ごろから、いろいろ勉強と申しますか、調査的な研究をしておりまして、四十年の四月に省としてこういう開発をやるということをきめまして、四十一年の予算要求をしたわけでございます。四十一年研究室一つと、三名の定員がつきました。その後四十二年に船舶技術研究所から電子航法部が分離いたしまして、電子航法研究所が昨年の七月にできますときに、衛星航法部七名ということで、四名増強しておるわけでございます。  その間どういう研究をしたかと申しますと、こういう研究をやりますのに、大体約十年間ぐらいかかるだろうということを見通しまして、初めの三年−四十一、四十二、本年度、四十三年度でございますが、これは第一期と申しますか、これは初め基礎的な研究をしようということで、理論的研究、若干の実験研究を含めたものを、やるということでスタートいたしまして、理論的な研究のほうは、人工衛星を使いまして航法をやりますのにいろいろな方法がございます。たとえばロランとかデッカとか、いろいろ方法があると同じように、いろいろな方法がありますので、そのいろいろな方法比較検討というようなことを、文献を調べるとか、電子計算機を使って計算をするとか、性能はどういうものか、どういう電波を使うのがよいかというような研究を今日までずっとやっておりまして、大体その三年間でどういう方式に、一つ方式あるいは一つ二つ方式をしぼりまして、的をきめて、次の段階に移っていくということの研究をやっておるわけでございます。まあ、いまのところ必ずしも一つではございませんけれども二つ、三つそういうふうに大体的がしぼられてきているという段階でございます。  実験研究のほうは、そういう理論的研究に基づきまして、その理論だけではどうしてもいかない面の非常に重要な部門について、一、二試作して実験を進めておる段階でございます。  現在やっておりますのは——人工衛星を使った航法のやり方に二種類ございまして、一つ衛星からの電波によりまして、ちょうどロランとかデッカのように、船の上で自分がいまどこにいるかということをはかる方法。それから、陸上から衛星を通しまして船に電波を送りまして、それをまた返してくるということによりまして、ちょうどレーダーで船や飛行機の位置陸上で見つけるような方法とがございますが、その後者のほうを使いますと、衛星の上とか船の上とかに電波を送ると、すぐ電波を送り返す装置が要るわけでございます。その試作を四十一年度と四十二年度、二年度にわたりましてやりまして、いろいろ実験中であるということでございます。  それからもう一つは、これをやりますのに、衛星位置が基準になりますので、衛星位置がわからないといけません。それをはかるための受信装置、地上におきます受信装置試作を行なう。これは四十一年度にできまして、ただいま飛んでおりますいろいろな衛星を使いまして、そういう実験を繰り返しておる。これはあと非常に複雑な計算が要りますので、現在そういう計算方法について研究しておる段階でございます。  以上が大体いまの状況でございます。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 船舶技術研究所でこういう研究をやっておられるのは、高性能航法技術開発の一環としてやっておられると思うのですが、これは船舶技術研究所だけではなく、人工衛星による方法研究については、東大とかあるいは科学技術庁でも行なっておるように伺っておるわけですが、もし御存じでしたら、その現状がどうなっておるか、概要でけっこうですから聞かせてください。  それからまた、諸外国におけるこの種の研究現状はどうかという点。さらにまた、アメリカから共同研究申し入れがあったように聞いておりますが、その申し入れに対してどう処置しておるか。こういうような点についておわかりの点があったら、ひとつお聞かせいただたい。
  22. 木村小一

    説明員木村小一君) 現在科学技術庁その他で一連の宇宙開発をやっておりますけれども、私どものほうと科学技術庁その他とは、いろいろ業務分担をいたしまして、航法に使います人工衛星関係のいろいろな技術航法だけに特有な技術に関して運輸省でやる。それからロケットとか人工衛星一般に関しましては、科学技術庁その他でおやりいただいたデータをいただく。あるいはロケットは将来使わせていただくというようなことをやっております。  それからアメリカからの申し入れというのは、一回あったことはございましたけれども、これは日本に非常にいいアイデアがあれば一緒にやってもいいということでございまして、まだその段階に私どもきておりませんので、必ずしもそれが進んでいるというわけではございません。  それから外国の問題でございますが、これはアメリカ海軍が一九五七年以来研究をいたしまして、数年前に実用化しました方式がございます。これは主として例のアメリカ原子力潜水艦を主体にしたものでございまして、民間用として使いますのに若干の欠点がございます。一つ受信装置が非常に高いということでございまして、まあ大きな船であれば別でございますが、漁船あたりではとてもつけられない。もう一つは、これは回ってくる衛星を使いますので、一時間あるいは二時間に一ぺんしか回ってこない。しかも、回ってくるときだけしか使えないということもございます。昨年の七月に、たしか海軍民間用としても使わすことを決定をしたはずでございます。そういう意味で、私どもとして、すぐに民間実用になるというふうには考えておりません。そのほかのアメリカ航空宇宙局あたりは、いろいろ民間の会社に研究委託その他をして、研究している方式がございますが、これはまだ理論的な研究段階で、実験その他は、ごく一部につきまして、アメリカ実験衛星でやっているという段階でございまして、すぐに実用になるというものではないように私どもは聞いております。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、大体海難事故防止に関連の面は一応わかりましたので、次に、前回途中までやりました空港の安全対策について、引き続いてお伺いしておきたいと思います。
  24. 中村英男

    中村英男君 ちょっと関連して。この間、エンタープライズの調査に浜田、境、私も行ったのですが、全体の海難防止を見ても、非常に手薄な感じがするし、ことに香住港は日本海で相当重要な船舶の多い漁港ですが、あれは舞鶴の出先機関ですか、あれは将来、あすこに海上保安部を設ける意思があるかどうか。それに保安庁の船が小さくて、速力が全く問題にならぬ速力ですね。非常に行動半径も狭いし、あれで一体実際の海上救助なんかできるかどうか、非学に私ども心配しているのです。この二点について、将来保安部を設ける意思があるかどうか、あるいはあの船舶でよろしいと思っておられるのか、この点をひとつ二点だけ伺っておきたいのですが。
  25. 井上弘

    政府委員井上弘君) プエブロ事件に関連いたしまして、山口県、島根県、鳥取県の沖合いで、漁業安全のための哨戒を実施いたしたわけでございますが、そのときに活動いたしました船は舞鶴に本部のございます八管区と、それから門司に本部を置きます七管区と、両方から出したわけでございます。大体二百七十トン、三百五十トン、四百五十トンの型の巡視船を常時二はいないし三ばい配置して実施いたしました。これは沖合いに線を引きまして、そこに常時船舶がパトロールできるような態勢でやっておりまして、一応当時一カ月以上の長い作業でございましたけれども、無事故でやってこられたというふうに思っております。  当時、国会の先生方も御視察いただきまして、いろいろ激励も賜わったわけでございますが、われわれの船、スピードは十三ないし十五ノットでございますが、一応あの海域では前進パトロールという形でいいんじゃないかと思いますが、いずれも年齢がだいぶ年取ってまいりましたので、時期がまいりますれば、なるべく時期を早めまして代替建造で、質のいいものに持っていきたいと思います。  それから香住を保安部に昇格させるかどうかという御質問だと思いますが、これはまだ私どもの態度をきめておりません。検討いたしてまいりたいと思います。
  26. 中村英男

    中村英男君 とりあえず香住の保安部の設置の問題を非常に要望しておるし、それから香住の船は十三ノットないですよ。全くちゃちなもので、あんなもので海上の救難なんてとてもできないですから、あれは早急にひとつ検討していただきたいと思います。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 四年前に当委員会で、いわゆる空港についての審議の際、空港の消防施設がはなはだ不十分だ、第一種空港の羽田空港でさえも必ずしも完全でない。そのときの航空局長も、その不十分な点が多々あることを認めて、今後できるだけ充実していきたい、そういう意味の御答弁があったわけです。それから四年経過しておりますから、もう遺憾のない整備がなされておると思いますが、その点にしぼってまずお伺いしたいと思います。
  28. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) わが国の空港の整備態勢が非常におくれておりましたことは、先生の御指摘のとおりでございます。その後、第一種空港におきましては、第一種空港すなわち東京と大阪の国際空港におきましては、機材、人員を増強いたしまして、現在ではICAO——国際民間航空機構、ICAOというのがございます。ICAOで、国際空港に設置すべき消防機材の基準をきめておりますが、その基準に適合する、あるいはその基準をやや上回る機材の整備がおかげさまでできました。東京に化学消防車が三台、給水車四台、それから破壊救難車一台、救急車一台、それからレッカー車一台、その他の雑草というものが設置されております。それから大阪には化学消防車二台、給水車二台、救急車一台、レッカー車一台、その他雑車が整備されております。これによりましてICAOの基準に適合する機材を整備することができたわけでございます。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 民間航空が競ってスピード化とか、あるいは大型化というふうに、各面、年々発展の一途をたどっておるわけですが、それに伴う整備で当然に考えられることは、パイロットとか、あるいは航空関係の従事者、こういう面の質と量の充実が当然に必要になると考えられるわけですが、特に航空従事者の充足状況は一体どうなのか。これは毎回このことに関する審議ではいつも問題になるわけで、いわゆる充足状況は不十分という点がいつも指摘されておるわけです。この点お伺いしておきたいと思います。
  30. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 御指摘のように、日本の航空会社にとりまして、いま一番頭の痛い問題は、質のいいパイロットの数をそろえることでございます。それから特に最近に至りまして、各エアラインは急速に飛行機をふやしてまいりまして、これに対応いたしますために、国といたしましては、まず航空大学校の定員を、従来の三十名から九十名にふやしまして、それから防衛庁に毎年約四十名を委託をいたしております。また、防衛庁に、すでにでき上がった。パイロットの割愛を、毎年三十名ないし四十名の割愛を受けております。これらのことをやりましてもパイロットの数が足りませんので、いまだに日本航空では外人パイロット百数十名雇っておるような状態でございまして、目下運輸省とエアラインと一緒になりまして、質のいいパイロットの数をそろえるということにつきまして、懸命の努力をいたしております。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほども指摘申し上げた、スピード化、大型化ということになりますと、パイロットも当然ですが、また整備要員なども、質のすぐれた要員が当然に必要かと思います。いまお答えになったパイロットについても、いまのところ宮崎の航空大学校がありますが、そこで養成しておるだけのように聞いておりますが、これでは不十分ではないかという点が当然考えられるわけですね。と申しますのは、いわゆる民間航空学校ではプロペラ機が主体になって——ジェット機に移行してしかるべきですが、まだその段階にはいっていないように聞いておりますが、プロペラ機のパイロットを養成しておるだけでは、なかなか時代の要求に応じかねると思うわけですが、そこで、こういう点についてはどのような対策があるのか。また、いろいろ計画があろうかと思いますが、その点についても重ねてお答えをいただきたい。
  32. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 御指摘のように、宮崎の航空大学校では、プロペラ機の訓練をいたしているわけでございます。ただ、従来の三十名の定員で実施しておりましたときの訓練では、大学を卒業しましてからも、さらにYS11、DC6Bというようなプロペラ機の訓練を経なければ、ジェット機に進めなかったのでございます。今度の新しい大学の教育といたしましては、航空大学校でYS11を買いまして、これで十分訓練をいたしまして、大学を出ればすぐにジェット機の訓練に入れる、ここまで教育をいたすということに関係政府機関の了解がついたわけでございます。その方針に基づきまして、新しい航空大学校では教育を進めております。  それから、先ほども申し上げました、防衛庁のジェット機のすでに経験を積んだパイロットの割愛を——これは防衛庁と事務的にお話をして、今後毎年計画的に譲っていっていただきたいということで、三十名ないし四十名のパイロットを、防衛庁のほうから割愛を受けております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 一昨年ですか、相当大きな事故が相次ぎましたが、こういう事故を契機にして、空の安全を確保するためのいろいろの施策が進められてきておると思います。たとえば施設、組織の整備は、これは当然ですが、より高度化しており、膨大化しておるという、いわゆる航空保安業務を運用する要員については、さらに一段と重点が向けられなければならぬと思いますが、現状ではまだまだ不十分のように聞いておるわけです。たとえば要員は不足しておる、予算不足、こういうような悪条件のために、乗員の試験とか、あるいは航空機の検査、事故調査、こういう点もはなはだ不十分のように聞いておるわけです。  こういう事故の反復にかんがみて、当委員会でも、前回申し上げたように、航空保安要員についてはすみやかに凍結定員を解除等の措置を講じ云云と附帯決議が付せられておるわけです。その当時運輸省としても、十分その趣旨に沿うて最大限の努力をするという意味の御答弁があったわけです。それから相当年数もたっておりますし、この点はある程度整備されたものと思いますが、現状は一体どうなっておるでしょうか、こういう点について伺いたい。
  34. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 航空保安職員を充足するということは、航空局の一番重要な政策といたしまして、われわれも努力をいたしまして、また、先生方からも非常に御支援をいただきまして、漸次充足をいたしてまいっておるわけでございます。そのうち特に管制官の定員の不足その他につきましては、これは定員がないために方々から人を集めて研修する。その定員が引き抜かれた管制部その他で定員がなくなるというような現象がございましたのですが、これも順次充足をされました。それから保安研修所を正式にお認めいただきましたので、その定員を来年から管制官四十名、二年でございますから八十名、それから通信が三十名、無線二十名というような定員をもらうことができましたので、非常に定員的に操作が従来よりは容易になってきた、このように思うわけでございます。  それから航空のパイロットの試験官、検査官   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕 につきましては、これは航空会社のパイロットが非常な勢いで増加をいたしておりますし、航空機の数も不足をいたしておりますので、先生指摘のように非常に不足ぎみでございます。これは今後予算折衝を通じまして、この充足に大いに努力をしてまいりたいと、このように思っております。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはきょうの新聞にも出ておりましたが、前から問題になっておりました、いわゆる三十九年に米軍のいわゆる南北に走る航空管制路が制定されたために、自来民間航空機については、羽田から関西へ向かう場合でも、まず羽田を出ると木更津へ回り、さらに南に下がって伊豆大島と、相当迂回して行っておって、なかなか、われわれもいつも往復する場合にふしぎに感じておったわけです。なぜあんな遠回りをするのだろうと、民間航空機を利用するお客にとっても七ふしぎの一つになっておったと思うのですけれども、今回、米軍との交渉で、それが一部解除されようとしておるわけですが、大体、日本民間航空路が、米軍のそういう一方的な制約によって不便を受けておるということは、これはゆゆしい問題だと思う。だからこそ運輸省としても鋭意折衝を進めてきたと思うのですが、そういう問題について、現在はどうなっておって、将来の見通しと、こういうふうに大別して、その要点だけをお聞かせいただきたいと思うのです。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕
  36. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 御指摘の問題につきましては二つの問題がございまして、一つは管制を日本側が自主的にやっているかどうかという問題が第一点。それから第二の問題は、飛行場を米軍に提供しているかどうかという問題でございます。それで第一点の管制は、これは日本政府が完全に自主管制をやっておりまして、たとえばいま問題になりましたブルー14でも、これは運輸大臣が設定した航空路でございまして、日本の飛行機がこの航空路に沿って通ることはできるわけでございます。問題は第二点の米軍への提供飛行場があるということでございまして、このブルー14の下には横田、立川、厚木、この三飛行場、さらにその北には自衛隊の入間川の飛行場がございます。これらの四つの飛行場がございますために、この飛行場に進入する米軍機がこのブルー14を非常に多く通っているわけでございます。ブルー14は、大島からこれらの飛行場の上、日光の上空を通る航空路でございますが、この上を非常にたくさんの飛行機が通っているわけでございます。したがって、それを横切ることが困難である、こういう実情にございます。それで、このブルー14がございますために、あるいはこの飛行場へ進入する飛行機が非常に多いために、それで御指摘のように大島まで下げまして、それから大阪へ回しておったわけでございますが、横田のレーダーと、それから羽田のレーダーが最近非常に整備されまして、両方のレーダーでリレーをしながらこの飛行機を見まして、そしてブルー14を横切らせることが可能になったわけでございます。それでこのような方法をこの二十五日からとりたいと、このように思っているわけでございます。  で、そのほかの日本の航空路では、特に米軍の飛行機の往来が激しいためにそれを横切れないというようなポイントは、国内におきましては少ないのでございますが、しかし、漸次レーダーの整備によりまして、そのような方法を拡大してまいりたい、このように考えております。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは時間の関係もありますから、最後に陸の交通安全対策について一点だけお伺いしておきたいと思います。  いま日本陸上交通運輸、とりわけ自動車事故現状は悲惨を伴うものがあり、まことに憂うべき事態にあろうかと思います。特に交通事故が激増しておるという点、都市における交通の渋滞状況、あるいは白タクとか白トラに見られる輸送秩序の混乱、こういう文字どおり交通地獄の現状は、まことに看過し得ない重大な問題かと思うのです。  そこで、ここで特にお伺いしたいのは、運輸省としても各面そういう点を検討されて、抜本的な対策を進められておろうかと思うのですが、こういう事態に対して、運輸大臣としてはどのようにこれを受けとめ、どのような対策をお考えになっておるか、大綱について承りたいと存じます。
  38. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 陸上の交通安全対策は、これは総合的にやりませんと実効があがりません。運輸省といたしましては、踏切道の問題であるとか、あるいは自動車の安全基準の確立の問題であるとか、そのほか必要なことをやっておりますけれども、内閣全体として、各所各所に手を打ってやる必要性が非常にあると思うのであります。たとえてみますと、警察のほうの仕事と運輸省のほうの仕事と、あるいは建設省のほうの仕事と吻合しませんと、片っ方やっただけでは全然効果がないというところがあります。たとえば事故多発地点というのがございますけれども事故多発地点を調べてみますと、その周囲の構造であるとか、あるいは信号の問題であるとか、あるいはそこへ至るまでの道路の流通過程であるとか、そういう問題に原因が多いようであります。そういうような点を内閣全体といたしまして協調いたしましてやるように、いまから三カ月ぐらい前の閣議で私も発言いたしまして、いまそういう協調体制をとって対策を講じているところでございます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまお答えにもありましたように、これは運輸省だけの問題でなく、関係する省庁、特に建設省とか、あるいは警察庁、こういう横の連係がきわめて重要な問題だと思うのですが、ここでさらにお伺いしたいのは、そういう関係各省とのその横の連係をとるための何か定期的な機関でもおありかどうか、そういう点についてもこの際伺っておきたいと思います。
  40. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 陸上交通安全調査室というのが内閣のレベルでございまして、そこへ常時集まりまして検討しているわけでございます。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年の七月の段階では、日本の自動車のいわゆる保有台数は、もう約一千万台を突破したと聞いておりますが、本年はさらに千三百万台に増加するという見通しのようでありますが、やはりこういうふうに自動車が激増してくると、結局道路はそのまま、施設もあまりはかばかしくないということになると、陸上交通の実情はまことに憂うべきものがあろうかと思うのですが、そこで特にお伺いしたいのは、結局いろいろ対策が講ぜられてはおりましょうけれども、自動車の激増に追いつかないというのが現状ではないかと思うのですが、その点については、どういうふうにお考えになり、どう対策を講じておられるか。
  42. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) お尋ねのとおり、自動車の激増に対して取り締まりや対策が追いつかないというのが、率直に申し上げて真相でございます。そこで運輸省といたしましては、非常に交通がひんぱんになって、あまりにも混雑し過ぎるというようなところにつきましては、大型自動車とか、あるいはそのほかの所要な自動車の乗り入れを時間的に制限する、あるいは警視庁と連絡をとりまして、右折禁止地帯をさらに増加いたしまして、応急措置として混雑地帯の緩和を行なうように一面においてやらなければならぬと思います。  それから運転手の運転の要件といいますか、近ごろはまあ免許を取る人が非常に多いのでございますけれども、免許基準というようなものをもう少し厳格にしたらどうかというような気もいたします。自動車学校を出て、自動車学校の内部でいろいろやっているわけでございますが、もう少し運転手としての社会的責任とか、交通安全に対する自覚とか、そういう点をさらに強調して、いままでのように、そう簡単に免許が取れないようにするということも一つ方法ではないかと思うのです。最近はしかし自動車が相当ふえている分は農村地帯が多いわけがございます。農村地帯に自動車がふえるということは、必ずしも悪いことではないのでございまして、文明が、平均化していくということで、農村がおくれを回復しているという現象でもございますので、そういう点を阻害するようなことをしようとは思いません。また、自動車の生産台数というものをそれによって制限しようとも思いませんが、取り扱う地点及び取り扱う人間の対策をもっと力を入れてやる必要があるように感じております。
  43. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は最初に法案に関しましてお尋ねをしたいと思います。この法案で、コンテナ輸送による新しい荷役方式についても調査審議をする必要があると、こういうことも述べられているわけでございます。はたして昭和四十五年までこれを延長されて、この結果結論が出るのかどうかですね。それから審議の対象として、具体的にコンテナ問題に関していかなる点を重要視して審議されるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  44. 宮崎茂一

    政府委員宮崎茂一君) お答えいたします。  港湾審議会におきまするところの運送部会の二カ年延長をして、どういうことを審議するのかというお話でございますが、まず第一に、現在すでに港湾運送事業の運賃料金体系につきまして、運輸大臣から諮問が出ておりますが、その答申をまだいただいておりませんので、これは集約化と並行してことしの秋くらいにいただきたい、かように思っておるわけでございます。それから現在港湾運送事業の集約化が問題になっておりますが、集約化の実施に伴って生ずるいろいろの問題も審議していただきたいと思っておるわけでございます。また、コンテナという新しい荷役方式が出てまいったわけでございます。現在は東京と神戸で暫定的にやっておりますけれども、本格的にコンテナ輸送をするためには、うしろの港湾運送事業、そういったものがどのように変化していくのか、そういったことも審議していただきたい。これは早急の問題でございますので、二カ年以内にと申しますか、コンテナ問題はさっそく、料金体系の答申をいただきましたならば、その次にひとつお願いをしたいと思うわけでございまして、二カ年以内には必ず結論が出るものと期待いたしております。また、出なければならないものというように考えております。
  45. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、港湾運送事業における労働力の問題でお伺いしたいと思いますが、常用労働者が、二、三年前に全体の三〇%しかないではないか、その後改善されたと思いますが、そういう問題もありましたし、また、良質の労働力を確保することが、絶対的にこれは事業の発展のために必要だと思いますけれども、それがなかなか得られないという問題もありますし、また、日雇い労働者のほうの質が非常に低下しておるということも聞きます。生活が非常にたいへんで、木賃宿に泊まって、酒を飲んだり、また野宿をしなければならないようなかわいそうな姿も出ておるということも聞いておりますし、この港湾事業における労働力という問題は、非常にまた暴力団なんかと結びつくような、犯罪との結びつきも考えられますし、これを是正する必要があるのではないか、こういった問題ですね。さらに、年齢的に若い人が入ってこないために、老齢者が多いのではないかということで、能力の低下という点も考えられます。こういった問題さらには最近港湾福利厚生協会で施設整備の長期計画を立てておられるそうでありますが、これはどうなのか、こういった港湾労働事業におけるいわゆる労働力の問題に関して、簡単でけっこうですから、全般的な問題としてお伺いしたいと思います。
  46. 宮崎茂一

    政府委員宮崎茂一君) 労働省の方もあるいは見えておるかもしれませんが、私からまず全般的なことについてお答え申し上げたいと思います。  御承知のように、港湾運送事業というものは、歴史的な関係がございまして、いま先生の御指摘のようないろいろな問題点を含んでおります。したがいまして、私どもの目標といたしましては、労働力というものがだんだん逼迫していく、それに加えまして港湾におきますところの扱い量というものは、日本の経済成長とともにますますふえていくというような傾向でございます。したがいまして、これをどのように解決するかというと、基本的にはやはり近代化をしていく、機械化をしていく、そういうことになろうかと思うわけでございます。現在のいわゆる力にたよっていく、人の肩にたよっていく港湾労働というものを非常に近代的な方向に変えていく、したがいまして港湾労働者自体も、技能のない労働者というものから、だんだんと機械を扱ういわゆる技能者ということにかわる、また、全般的にやはり港湾労働の職場というものを魅力ある職場にしなければならない。方向といたしましては、そのような方向に向かって進めたい、こういうように考えておるわけでございます。  現状を概観申し上げますと、おおむね港湾労働者が問題になりますのは、いわゆる六大港と申します港でございまして、日本で大きな港、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸それから関門、こういう大きな港における労働でございますが、ここに集中しております労働者の総計が大体六万二千人ぐらいございます。これは常用労働者でございまして、いわゆる技能的なものも相当におります。この常用労働者につきましては、あるいはこれはまだ待遇が低いというお説もあろうかと思いますが、まあまあこちらのほうはそう社会問題になるというようなことはございませんので、問題は実は日雇いの労務者、これがいろいろなところにおきまして問題があるわけでございます。この日雇い労務者の数というものは、大体常用労務者の三〇%、全体の港湾労働者の二〇%程度というのが日雇いの労務者でございます。全般的に申し上げますと、こういう日雇い労務者というものを、実はだんだんとなくしていきまして、皆さんが常用労務者として各港でお働き願うということが非常に望ましいのでございますけれども、各企業といたしましては、こういう非常に仕事に繁閑が多い、月末、月首に荷役が集中する、こういった関係がございますので、どうしても日雇い労務者に依存しなければならないというような関係にあるわけでございます。これに対しましても、いろいろと私ども、労働省の方々と打ち合わせいたしまして、どうしたらいいかということでやっておりますが、現在におきましては、遺憾ながら、まだそういう出雇い労務者——これはあまり技能もないというふうに私考えておりますが、そういう方々が毎日毎日港の付近の寄り場に集まりまして、きょうはどこへ行くんだ、きょうはあそこへ行く、あるいはは雨が降るときようは仕事がないんだという、そういったような問題があるわけでございます。全般的にこういった日雇い労務者に対する需要と供給という問題は、大体一カ月間で申しますと、六大港で三十一万人ぐらいほしい——二月の統計でございます。それに対しまして五万人ぐらい不足するというような状態でございます。  そのほか、あるいは労働者に対しますところの実態につきましては、労働省のほうからお願いしたいと思いますが、第二点の福利協会の問題でございますが、これは全国の港湾荷役をやります際に、一トン当たり一円という金を、労務者のそういう福祉施設費として別途に計上しておきまして、あるいはそのほかに、なおまた地方公共団体からの御援助あるいは事業団体からの御援助をいただきまして、宿泊施設でございますとか、あるいはまた、総合的ないわゆる労務厚生センターと申しますか、そういったものでございますとか、あるいは会議室、そういったものを逐次整備いたしております。この点につきましても詳しいことは、労働省のほうからもう少し補足的にお願いしたらいかがかと思います。
  47. 中島寧綱

    説明員(中島寧綱君) 御質問のありました労働力問題の確保その他につきまして、簡単に御説明申し上げます。  一番目に御質問のありました労働力の確保の問題でございますが、いま港湾局長さんが御説明なさった概要のとおりでございます。ちょっと申し上げておきますと、港湾労働法が生まれましてから、六大港に登録制と届け出制がしかれております。ただ、その届け出とか登録だけでは十分な確保対策ができませんので、毎年雇用調整審議会にはかりまして、雇用調整計画というものを立てております。これによりますと、六大港で八万一千人の労働者を確保しなければならない。それに対しまして、いま安定所で掌握しておりますのが、常用、日雇い合わせまして七万二千人、約九〇%程度確保している状況でございます。ところが御承知のように港湾には作業の波動性がございますので、常用の促進とか、登録労働者を多くするとか、それで足らないときには一般の日雇い労働者でまかなうとか、こういう対策を立てておるわけでございます。  それから日雇い労働者の質の問題でございますが、お説のように、港湾の日雇い労働者につきましては、重筋作業とかよごれ作業、それからまた、本質的に自由労働者的な風潮がございますので、なかなか思ったように安定ができないわけです。これの質の向上策としましては、やはり生活を安定させるのが一番じゃないだろうか、こういったことのために、労働条件の改善なり、あるいは福祉施設の拡充なり、福祉施設の中でも住宅問題とか、港湾福祉センターとか、そういったものを充実していきまして、生活の安定をはかっていきたいと考えております。  それから暴力団等の問題のお話がございましたが、港湾労働法が生まれますまでは、手配師等を中心にいろいろ問題がございました。これは港湾労働法ができた一つのきっかけにもなっておるわけでございますが、手配師等の排除のために、安定所で十分力を出してあっせんができるようにしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから若手が不足しかけておるというお話もございましたが、最近の調査では三十五歳以上の方が常用、日雇いを通じて六〇%以上になっております。これはまあ一般的に若手労働力不足の影響を受けておるわけでございますが、今後も若手はなかなかこういった作業には集まらないと思います。でありますから、先ほど申し上げました福祉対策等を充実しながら、港湾に集まる方策をひとつ進めていきたいと思っております。  福祉対策につきましては、局長が申されましたが、労働省のほうでも国費を投じまして、福祉センターや簡易宿泊所、それから住宅施設等に重点を置いて充実につとめておるところでございます。  概要でございますが、以上でございます。
  48. 多田省吾

    ○多田省吾君 日米航空協定の問題でお尋ねしたいのでございますが、運輸大臣は、従来からこの不平等性ということをつかれて、特に太平洋ケースの場合は、日米間の政治問題ではないかという発言もしておられるそうでございますが、当初予想の太平洋ケースの昭和四十五年の予想が繰り上がるような、そして早ければ来年の春になりそうだということを言われているわけでございます。この日米航空協定の協定改定の問題も若干お話があったようでございますけれども、この問題に関して運輸大臣は、どういう所信で今後臨まれるのか、そしてこの十一日に林航空局審議官も、交渉のためにアメリカに派遣されたということも聞いておりますけれども、あわせて御答弁いただきたいと思います。
  49. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 太平洋ケースの問題は突如起こったという感じがいたしまして、われわれとしても、周到に対策を講じなければならぬと思っております。日米航空協定によりますと、はなはだ遺憾なことでございますが、アメリカ側は二社以上何社でも入れられるということになっておるようであります。それから東京以遠圏と申しますか、東京から外へ、西のほうへ行くルートを、アメリカはこれをある程度確保することができる。そういう状況に対しまして、日本側は、ニューヨーク乗り入れ、大西洋を越えて世界一周路線まではできましたけれども、ニューヨーク以西について選択権はないわけなんであります。そこで今回アメリカ民間航空局の査察官が案を出しまして、民間航空局に提出したのが、太平洋の中にフライングタイガーという貨物路線を中心にする路線を一社入れる、そのほかにTWAという会社を一社入れる、そういうような構想を民間航空局に提出いたしました。現在はまだ査察官がその案を提出したという程度でございますので、民間航空局自体の議題に正式になっておるわけではございません。しかし、ことしは大統領選挙の年でございまして、思いほか、こういう考え方が出たところを見ると、あるいはジョンソン大統領がやめる前にサインをする可能性がないとは言えない。そこで、これが民間航空局の中でどういう取り扱いを受けていくか、重大な関心を持って私たちは見ておるわけでございます。  たまたま日航機をバンクーバーに寄せるという問題がございまして、主としてそのために審議官をワシントンに派遣したのでございます。しかし、その機会に先方とよく会って、いかなる情勢にあるかということをよく確かめてきて、われわれとしては、太平洋路線にあまり入り過ぎるというと経済的にみなペイしなくなる。そういう経済問題の線から、先方側に対して自重を要望いたしまして、あまり過当競争になって、採算が割れるようなことがないようにお互いにしたほうがいい。そういう感じを持って、意見を林君からもいろいろ言わせているというのが状況でございます。まあ日本側としては、もしアメリカがそういう路線を強く出してくるような場合には、やはりわれわれとしても、われわれとしての要望がございますから、そういう線を強く出して、結局外交交渉のレベルにこれは引き上げて、双方で協調しながら打開していくという線に持っていったらいいだろうと、そういうふうに考えております。
  50. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に私は日中関係に対して、運輸大臣が従来閣議等におきましても、ある日突然アメリカと中国の間に話し合いが生ずるような場合も考えられるのではないか、日本が最後に中国を承認するという事態にもなりかねないというお話をなさったり、あるいは吉田書簡問題で、吉田元首相もなくなられたことですから、野べ送りにして、船舶輸出なんかに対して輸銀の延べ払い方式を認めたらよろしいのではないかというような、非常に前向きの発言をなされて、一時は総理もそれを認められたかのように見えましたけれども、また、ちょっと後退しているようでございます。運輸大臣としまして、従来のこの船舶輸出にからむ輸銀の延べ払い方式を実現するという、前向きの姿勢においてお変わりないのかどうか。そしてこれを政府の統一見解まで持っていくことに対して、どういうお考えを持っておられるのか。そして現在具体的な船舶輸出の取引商談というものがどういう方向で行なわれ、また、将来どうあらねばならないか。この問題を最後にお尋ねいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  51. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 中国に対する船舶の輸銀使用につきましては、私の熱意はいささかも変わっておりません。私がそのことを強調しておりますのは、一つには、日本の貿易の振興という面と、もう一つは、日中関係を漸次正常化していく、そういう考え方に立ってやっておるのでございます。総理大臣や、あるいは閣内におきましても、必ずしも反対というわけではないのでありまして、事務レベルでこの問題がどういう点まで行き着くか、つまり事務レベルで進めるということについては異議はないのであります。それによりまして、向こうがどういう条件を持ってくるか、まあケースバイケースで考える、そういう立場に現在ございます。  この前問題になりましたのは、日立造船の船でございましたが、日立の社長を呼びまして、もう一回あの商談を、どういうふうな向こうが反応を示すかやってみなさい、そういう話をしまして、日立のほうで関係者を使って、いろいろ広州の交易会でも話をするとか、それから北京まで行って責任者とも話をしてみたい、そういう希望を持って、たしか北京にも行っているか、あるいは行くことになっているのではないかと思います。そういう向こうのある程度オーソライズされた考え方がわれわれのほうへ情報として入ってきました場合に、いろいろ具体的に政治的にどう取り扱うか、検討してみたいと思っておるのであります。こういう問題は、やっぱり先方の出方もありますので、日本だけで独走するわけにはまいりませんが、私は運輸大臣といたしまして、日本の貿易構造の将来を考え、また、ベトナム和平以後の世界の国際情勢等も考えてみまして、日本としては、誠実に善隣友好の道を進むということが賢明な道であり、それが一朝にしてできるものではないので、積み重ねによって、順次打開していくということが賢明であるだろうと思うのであります。そういう誠意をやはり持ちまして進んでいくのがいいと思います。相手がどう出るかということは、相手が世界から見られていることでもあって、日本日本としての独自の公正な誠意ある態度を持つということが、隣人の道として正しい、そういうように考えて進んでまいりたいと思っております。
  52. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  53. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 井川伊平

    委員長井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十三分散会      —————・—————