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1968-04-23 第58回国会 参議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十三日(火曜日)    午前十時五十五分開会     —————————————    委員異動  四月十八日     辞任         補欠選任      原田  立君     鬼木 勝利君  四月二十日     辞任         補欠選任      赤間 文三君     鬼丸 勝之君  四月二十二日     辞任         補欠選任      仲原 善一君     森部 隆輔君      加瀬  完君     小林  武君  四月二十三日     辞任         補欠選任      八木 一郎君     土屋 義彦君      岸田 幸雄君     萱野 儀作君      鬼木 勝利君     原田  立君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         津島 文治君     理 事                 船田  譲君                 吉武 恵市君                 鈴木  壽君                 原田  立君     委 員                 菅野 儀作君                 土屋 義彦君                 林田 正治君                 林田悠紀夫君                 林  虎雄君                 松澤 兼人君    国務大臣        自 治 大 臣  赤澤 正道君    政府委員        自治政務次官   細田 吉藏君        自治省財政局長  細郷 道一君        消防庁長官    佐久間 彊君        消防庁次長    山本  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    参考人        東京消防庁消防        総監       山田 義郎君        消防審議会会長  伊能 芳雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査  (昭和四十三年度地方財政計画に関する件)     —————————————
  2. 津島文治

    委員長津島文治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  理事互選についておはかりいたします。  去る四月十八日の委員異動に伴い、理事に欠員が生じましたので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選の方法は省略いたしまして、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、さよう取り運ぶことに御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 津島文治

    委員長津島文治君) 御異議ないと認めます。  それでは、委員長から原田立君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 津島文治

    委員長津島文治君) 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は初めに、本案について参考人の御両人から御意見をお伺いいたしたいと存じます。  参考人お二人におかれましては、非常に御多忙中にもかかわりませず御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  これよりさっそく御意見をお伺いいたしたいと存じますが、御自由にお話ししていただきたいと存じます。なお、時間の関係上、お一人十五分程度にお願いいたしたいと存じます。  また、委員方々に申し上げますが、参考人方々に対する質疑は、参考人方々お話が全部終わりましてからお願いいたすように運びたいと思いますので、御了承願いたいと存じます。  それでは初めに山田参考人にお願い申します。
  5. 山田義郎

    参考人山田義郎君) ただいま御指名をいただきました山田でございます。  参議院の地方行政委員会委員先生方には、今回上程されております消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、慎重に、しかも、御配意ある御審議をいただきまして、まことにありがとう存じます。これから日本消防の現況について御説明を申し上げたいと存じます。  御案内のように、昭和二十三年に警察から分離独立いたしまして、自治体消防として発足いたしてちょうど本年が二十年になります。その問、逐次法令が整備されまして、国や県の補完行政が完備され、現在では、発足当時と比較にならないほど充実発展を見るに至りました。試みにその数字をちょっと申し上げますと、発足当時は、消防本部消防署を置いております市町村が百二十一にすぎなかったのが、現在では、六百七十一都市にまで消防本部署が配置されておる状況でございます。特に戦前におきましては、旧警視庁官制あるいは特設消防署規程等によりまして、三十六都市にしか消防署がなかったことを思いますと、このような飛躍的発展ぶりは、このような組織消防実情にマッチしておるという証左ではないかと存じます。私どもは、さらに消防常備化近代化というような問題と取り組みまして、消防力拡充強化をはかり、国民の消防治安確保に邁進してまいりたいと存じます。  しかしながら、まだまだ問題点といたしますと、いろいろな点があるわけであります。特に消防財政充実というような問題が第一にあげられるわけでありますが、これは御案内のように、現在の地方財政実情からいたしまして、なかなか消防経費負担が重いというような点が指摘されておるわけでありますが、国や県におきましても、これらをカバーする意味から、起債とか、あるいは補助金増額とか、特に四十三年度におきましては、基準財政需要額消防費単位費用を、四十二年度の六百八十二円に比しまして四十三年度は七百九十円というような大幅な増額を措置していただきまして、地方財政消防費のてこ入れをしていただきましたことは、まことにありがたいことでございますが、さらに起債補助金等増額につきましても、先生方の格別な御配意をお願いしたいと存じます。  さらに、市町村消防という自治体消防の現在の形が、いろいろと対象が超高層地下街あるいはまたコンビナート等消防対象が大きくなるにつれまして、広域的な処理を必要とする行政もだんだんふえてまいります。地方自治体消防を根幹としながらも、広域消防を加味した組織をも検討してまいりたい、かようにも考えております。  さらには、いま申しましたような消防対象のいろいろな複雑化、規模の大きくなること等からいたしまして、科学消防力充実というような問題が、現存日本消防に課せられておる大きな問題でもありますし、また、石油あるいはLPG等需要の増加に伴いまして、大型タンカーの接岸がますます頻度を加えてまいりますので、これに対する消防艇拡充というような問題も大きな問題であろうと存じます。以上が一応当面する問題でございます。  さらに、最近いろいろと話題になっております超高層地下街に対する消防対策について一言触れてみたいと存じます。去る十八日に三井霞が関ビルもオーブンいたしまして、あれに対する消防対策はどうかというようなことをよく質問されるわけでありますが、あの建物には、現在消防装備施設といたしましては、最高のものが設置されております。一応火災、風水害、あるいはまた、地震等に対しましてもだいじょうぶだとは思いますものの、絶対安全であるとは言い切れないと存じます。さらにまた、地下街等におきましても、ますます都市発展に伴いまして、地下街が開発強化されておるような現状からいたしまして、これに対する消防対策もわれわれとしては大きく取り組んでおるわけであります。特に、これらの超高層地下街消防対策問題点といたします点は、万が一のことがありました場合に、消防隊進入が非常に困難である。はしご車もせいぜい十階程度しか届きませんし、また、地下街等は御案内のように、入口が制約される関係から、どこからでも消防隊進入するということは困難であります。また最近、超高層には限りませんけれども、無窓建築というような建物がずいぶんふえてまいります。超高層のああいう建物におきましても、窓はガラスのはめ込みでありまして、開閉ができないというような建築様式が多分に取り入れられる関係からいたしましても、いま申しましたような消防隊進入が非常に困難であるということが一つ特徴としてあげられるかとも存じます。  もう一つ間起点は、超高層地下街には限りませんけれども鉄筋不燃建築火災では、燃焼が緩慢である、燃焼——くすぶるというような形であります関係からいたしまして、室内に非常に濃煙と熱気が充満するというのが大きな特徴であろうと存じます。これらをおかして消防隊進入し、燃えているものに直接水をかける、あるいは消火活動をするということの非常な障害になるわけであります。濃煙が出ないようにするというような関係から、いろいろな内装や、あるいはまた、什器備品等を不燃化する、あるいはまた、それを防炎処理するというようなこと弔今後大いに研究もし、また、規制強化していかなければならぬというふうに毛考えておりますし、熱気の排除というような問題、あるいは排煙というような機械的な問題も、今後におきましては、これはまあ建築基準法にも現在技術上の基準がございませんけれども、こういうような問題も基準をつくりまして、ひとり消防対策の完備だけでなくて、建物全体の安全をさらにはかっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。  その次の問題点といたしましては、査察の問題でございますが、超高層地下街というような建物だけでなくて、いろいろな建物消防法的な立場から、消防施設なり、あるいは消火器等消防装備等設備するよう義務づけられておりますけれども、これらがなかなか法の命ずるところに従って完備されておりません。そんなような関係から、消防の一番大きな問題は、そういうような違反とまではいかなくとも、法にのっとっていないそれらのものに対しまして査察を行ない、是正さして安全をはかるということが大きな問題点であるわけであります。しかしながら、現在の日本の全般的な消防配備実情からいたしまして、きわめて人員の不足があげられるわけであります。そんな関係からいたしまして、ポンプ車に乗って消防隊として働く消防士手一ぱいでありまして、なかなかさらにその予防あるいはまた査察に専従する人員確保が困難な実情にあります。東京におきましては比較的恵まれているとは申しますものの、一署平均いたしますと十五人程度しか予防課員の配置がございません。これらの人員で数多くの建物査察するということは、非常に労力的に見ても困難でもあります。しかしながら、これは何としてでもやらなければならぬことでありますので、二部勤務の当番に従事して、あけた非番の日の人員を充足いたしまして、予防課員の行なう査察をカバーしているような実情であります。  さらに、これらの問題に対しまして、違反処理の問題があるわけであります。消防法には、それらの違反があったという場合においては、措置命令を出して、その措置命令になお服さない者に対して告発をし、あるいはまた、その結果によりましては、体刑罰金刑というようなものが規定されておりますが、現実の問題となりますと、告発をして体刑罰金刑を課すというようなところの段階にまでは、よほどの問題でないといきかねているような実情であります。もう少し簡便な形で行政措置ができるといいとは思いますものの、現在の法律上これ本非常に困難な問題であろうかと存じますが、それらの問題をからみ合わせて今後も査察の問題をさらに充実してまいりたい、かように考えておる次第であります。  さらに、今回の法改正には、いままで予防関係のほうが非常に多かったのでありますが、初めて火災現場における規制改正案の中に載っております。たとえばガス、火薬その他の危険物が漏洩した場合に警戒区域を設定する、あるいはまた、火気の使用、立ち入り禁止を命ずるという条文が入っております。また、火災現場におきます延焼防止人命救助に必要な場合にはその情報を求めることができるという、こういう火災現場における消防隊活動がやりやすくなる条文が今回初めて挿入されたのでありまして、私ども現場を預かるものとして、非常に心強く感ずる次第であります。  いずれにいたしましても、冒頭申し述べましたように、二十年間他の行政に見ないほど飛躍的発展を遂げましたものの、その中にはいろいろと法の改正、あるいはまた、財政上のバックアップの形等からいたしまして、国なり府県なりの御配意がこのような結果になったと存じます。私は東京消防総監でありますと同時に、全国消防長会会長もしております関係から、全国中小都市消防実情もよく承知いたしておりますが、何としても国なり府県補完行政をさらに整備していただくというような一面と、弔う一つは、消防自体が積極的に前向きな姿勢で、当面する財政なり法改正なり査察の問題と取り組みまして、その担当する市町村区域消防治安の万全を期してまいりたいという、さらに決意を新たにしている次第であります。  はなはだ短い時間で、ざっぱくな説明でありましたが、以上をもちまして説明を終わらしていただきます。
  6. 津島文治

    委員長津島文治君) ありがとうございました。  続いて伊能参考人にお願いいたします。
  7. 伊能芳雄

    参考人伊能芳雄君) 消防審議会のいままでの答申してまいりました経過を簡単に申し上げますと、もともと、消防審議会がまだ法律によらない審議会がつくられまして、その審議会答申に基づきまして、消防法の一部改正が行なわれて、消防審議会が置かれるような道を開かれました機会に、昭和三十四年の暮れに、いまの消防審議会発足いたしたのでありますが、そのときに、私、消防審議会委員の任命を受け、さらに会長選任を受けまして、自来今日に至っておるような次第でございます。その間、消防庁長官の累次にわたる諮問に対しまして、答申を重ねてまいりまして、そのつど、それぞれ法制化され、あるいは運営についての参考にされてきたものと考えておるのでございますが、今回、消防法及び消防組織法の一部改正案が提案されております。問題は、過般、「超高層建築物及び地下街防災対策に関する答申」を昨年十一月八日に出しておりますが、これの内容からとられたものが多いように考えますので、この問題を中心として申し上げてみたいと考えるものでございます。  この答申を出すに至りました諮問は、特殊火災対策というような問題でございましたので、これにつきまして、まず、最近いろいろ火災事故の多い石油問題、ことに石油コンビナートの問題についてまず取り組んだのでございまして、この問題をまず答申し、その後に、この超高層建築物及び地下街防災対策に関して取り組んだわけでございますが、それぞれの分野における委員方が非常に長い間勉強してくださいまして、浜田という建築の学者でございますが、この人が部会長となってこの問題に取り組んでまいったのでございますが、この問題を御答申するに至りましたまでに、おそらく半年くらいかけておったと思います。これにつきましては、最近における経済成長、したがって、社会生活経済空活複雑化建物高層化地下化、下と上と両方伸びつつある。したがいまして、その間起こる火災並びに事故というものがいままでと非常に態様を異にしてまいっておるというようなことが中心として言われたのでございますが、ただ、何と申しましても、数十年に一回くらいしか起こらないという非常にレアケースをこういうときに取り上げるわけにまいりません。同時に、非常にそういうレアケースでも起これば、あるいは人命に、あるいは財産に非常に経済的な損害を受けるというようなこともあり得るものですから、この間の調和、つまり、そういう事故の起こる確率、起こり得る頻度、あるいは、そういうことに対する非常な企業負担、さらには企業社会的責任、こういうようなものを十分頭に置きながら、それらの調和をはかっていかなければならなかった。これを極端に申しますというと、企業はそんなむずかしい設備をするよりは、一切を保険に入っておいて保険で解決するということを考えるかもしれない。これは企業だけの立場から見れば、それも成り立つわけであります。しかしながら、それでは企業社会的責任は果たされないのじゃないかというようなところ、そういったような問題から、これらの点について調和をはかり、それがつまり、具体的には常識をもって判定しなければならなかったのでございまして、これを全部行なったから、それでは人命に関する大きな事故なぞは起こり得ないかと言えば、それをこれが保証するほど高い次元のものとは申し上げられないのでございます。と申しますことは、いま申しましたように、極端にいえば数十年に一回起こり得るか起こり得ないかわからないようなことまで考えながら、非常に企業に大きな負担をかけるということは、これもなし得ないところであり、同時にまた、そうかといって、しばしば起こるのにさっぱり設備ができないというようなものであってもならない、こういうような間における調和、悪くいえば妥協と申しましょうか、そういうものがこの答申の中にあらわれておるわけでございまして、その点はどうぞお含みをいただきまして、この答申を御参考にしていただきたいと思うのでございます。  その内容をなすものは、いろいろの問題にわたっておりますが、ことに建設省とは非常に深い関係をなしておる、つまり、建築基準法、これは消防だけでは解決し得ない問題でございます。あるいはガスや何か、有毒ガスのようなものになりますというと、通産省の管轄に入る問題もあるというようなわけで、これらとも調和をはからなければならないという問題も伏在しておるわけでございます。  そこで、この答申内容は、一部はぜひ法制化していただかなければならないと思うものもあり、その法制化のうちでも、それぞれ事の大小程度によりまして法律でなければならないこともあり、政令あるいは省令、さらには地方の条例でやっていただかなければならない、こういうものもありますし、同時にまた、消防機関指導、あるいは建築監督官庁指導によってやっていただかなければならないもの、そういうものもあり得るわけでありまして、それらの区分というものは、これはやっぱり自然、内容的にわかってくることであり、また、これを運営される諸官庁の良識に待たなければならないと、こう考える次第でございます。  こうして考えてみまして、私まあ高層並びに地下街に関するものは一応この程度にいたしまして、消防に関する最近における非常に強い要望と申しましょうか、そういうものが出てきたというよりは、前からあったことでございますが、それは消防財政力の問題でございます。  地方の貧弱な町村に行きましても、すでにだんだん火災態様が変わってきておりますものですから、なかなか施設が間に合わない。しかも、その施設をするには相当金がかかる、その負担に応ぜられないというようなこと、つまり、消防財政の問題、もう一つは、消防庁も極力消防力強化、これは常備消防ということに通じてきておりますが、常備消防をやれということにしておりますが、これも財政問題等もからんでいまして、なかなか地方町村まで常備力を持つわけにはまいらないというようなところも多いようでありますが、同時に、団員確保常備消防力で職員でみんなやれればいいわけでありますが、全部やるわけにはまいらない。ことに貧弱町村に至りましては、とうていまだそういう域に達しておりませんが、そういう町村における消防団員確保、また、常備消防を置いても補助的に団員を置かなければならない、その団員確保というのが非常に困難になってまいっておることが実情でございます。つまり、私の申し上げたいことは、消防力拡充のために町村財政がなかなか応じられないということ、第二段階には、この消防団というものがいまどうしてもやっぱりまだ必要な部面が相当多いのでございますが、この消防団員確保ということが今日の非常な悩みになっておるということを申し上げたいのでございます。それぞれの問題につきましての各委員方の今後の御協力をお願いしたい次第でございます。  まことに整いませんでしたが、以上一応当面の問題を申し上げまして、御参考に供する次第でございます。
  8. 津島文治

    委員長津島文治君) ありがとうございました。  参考人方々の御意見陳述はこれにて一応終了いたしました。  参考人方々に御質疑のあるお方は、どうぞ御発言を願います。
  9. 松澤兼人

    松澤兼人君 お二人の参考人の方には、たいへんお忙しいところ来ていただきましてありがとうございました。  二、三お尋ねしたいと思いますが、今回提案されております消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案の問題につきまして、新しく問題が起こってまいりました超高層建築あるいは地下街、あるいは、このほかの危険と考えられるような個所の問題等が出てまいりましたが、どうも私どもしろうと立場からすると、こういう超高層建築物ができてまいりますと、現在の消防力あるいは消防能力の範囲内では非常に防火、消火に困難ではないかということを考えるわけでありますが、先ほども消防総監からお話がありました、やはり機械的な限度というものがおのずから高層あるいは超高層消火対策制限があるというお話も出てきたわけでありますが、実際としまして、たとえば霞が関ビルというようなものを取り上げてみまして、現在の消防設備あるいは消防能力、そういうもので、かりに非常に高いところから発火した、あるいは火災が起こったという場合に、機械的な力がどの辺まで有効であるか、届くかということを山田消防総監にお伺いしたいと思います。
  10. 山田義郎

    参考人山田義郎君) たとえば、あの超高層ビルの三十六階から火事が出た場合に、東京消防庁としてどうするかというような御質問と思いますが、現在の東京消防庁で持っております消防力は、一応従来高さ制限が三十一メートル、こういう関係からいたしまして、それらの建物基準はしご自動車でもポンプ自動車でも設計されて配備されておるわけであります。そこで、ポンプ自動車であの三十六階まですぐ水が届くかと申しますと、届かないことはございませんが、消防の用に立つほどの水圧が得られることは困難でございます。そういうようなことからいたしまして、またもう一面、はしご自動車というような面も、先ほど申しましたように、十階しか届きませんので、それ以上は機械的に、あるいは外から進入するということは不可能でございます。そういうような意味からいたしまして、ああいう超高層ビルにつきましては、たとえば簡単に申しまして、十一階以上の部分につきましては、施主のほう——建物建築主のほうで、ある程度消防設備をしていただくということを条件にいたしておるわけであります。たとえば、あの霞が関ビルには、自分自体での消火栓がついております。もちろん、三十六階まで水を常時魔上にあるタンクに上げてありますから、万が一のときには、すぐスイッチをひとつ入れることによってそれが加圧されて、各階にある消火栓によって十二分の水圧と水量が得られるように設計されております。また、火災初期におきましては、煙感知器というような、いままでのビルには設置されておらない感知装置、それからスプリンクラーが、全階設備しなくてもいい規定にはなっておりますが、全階設備されておりまして、火災初期には、自動的に天井にある散水装置から散水されて火事を消すというような形の消防設備をいたしてございます。そんな関係からいたしまして、われわれの持つ消防力と、また、われわれの持っております消防の人的な力と、ビル側が持っております消防設備とをあわせますと、まず、いま考えられますような火事にはだいじょうぶではないかというふうに考えております。  ただ、私どもが一番不安に感じますのは、やはり火事が起きて、あの中に煙が充満することでございます。二つの特別避難階段がありまして、それにはスモークタワーがついております関係から、一応避難には安全のように設計されておりますが、部屋全体の充満した煙を排煙する設備はございませんし、窓は、先ほども説明いたしましたように、はめ込みであきませんので、その煙に驚いて中の居住者がパニック状態みたような形で、どっと避難階段へ飛び込む、あるいはエレベーターへ殺到するというようなことが起こると、非常にあぶないんじゃないか、そのような点を非常に危惧いたしておるわけであります。  結論を申しますと、まず火事にはどうやらだいじょうぶであろうが、そういう避難の問題に若干の不安があるというようなことではなかろうかと思います。
  11. 松澤兼人

    松澤兼人君 霞が関ビルばかり例にとって恐縮なんですが、建築にあたりましては、消防庁なり、あるいは消防署の注意あるいは相談というふうなものはどの程度あったのか、何か積極的に、こういう高いビルはこういうものをしなければいけないということで、いまお話のありました火災探知器とか、煙の感知器であるとか、あるいはスプリンクラー、避難階段、そういうものができたのか、あるいはお話の施主の側において、これだけのビルにはこれだけの防火設備がなければいけないということで建築設計されたのか、その辺のところを。
  12. 山田義郎

    参考人山田義郎君) 施主のほうにおきましても、十分事前に検討されて、私どものほうに相談がありました。それで、両者いろいろと——私のほうの指導にもよりまして現在のものができ上がったわけでありますが、その一つ、二つを申しますと、全館にスプリンクラーを設ける、あるいは煙感知器を設けるというようなものは、両者の合意というよりも、私のほうの指導のほうが若干強くて、ああいう設備をさしたわけであります。特に全然私のほうからの指導によりましてできましたのは、建物の両側にあります、工事中は物を上げ下げするリフトがありましたが、そのあとを、ベランダのようにいたしましてそこへ階段をつけまして、設計された特別避難階段で十分ではあろうけれども、外気に面したそういう避難通路と申しましょうか、避難用のベランダとでも申しましょうか、そういうものは全然私どものほうの指導によりまして向こうがつけたような次第であります。大体におきまして、私ども消防当事者の一応の意見は十分取り入れられてでき上がったというような現状でございます。
  13. 松澤兼人

    松澤兼人君 今後できますたとえば帝国ホテルとか、そういうものも同じように、消防当局と建築設計者あるいは施主の間で相談されると思いますけれども、これは別に法的な義務を施主に負わせているわけではないので、経済的な理由等によって、そう言われても困るということになれば、もうそれだけですね。
  14. 山田義郎

    参考人山田義郎君) 一応消防法七条によりまして、施主側が建築行政当局に出願をいたしますと、それが私のほうへ、消防が同意するかしないかというような書類が回ってまいります。それでイエスかノーかの返事をして返すわけでございますが、その段階におきまして、ある程度、強制ということばはどうかとも思いますが、いま申しましたような消防設備の点につきましては、指導ができるわけでありますが、まあ結論的に、何でもかんでもできるかといいますと、やはり限界がございます。いま申しました七条の同意権の発動によりまして、ある程度こちらの意を通して消防保安体制を強化しておるような現状でございます。
  15. 松澤兼人

    松澤兼人君 高層、特に超高層建築につきましては、結局、施主側の防火、消火、避難等に対する積極的な意思があり、そのために多少金がかかってもやむを得ないというふうに考えれば、消防庁のお考えのようになるわけですけれども、経費がかかり過ぎるとか、採算に合わないとかいうことになると、結局、あまり外からやかましく言っても、そのとおりにならぬということになるわけですか。
  16. 山田義郎

    参考人山田義郎君) 何と申しましても、設備するには経費の問題もありますので、どんなことでも私どものほうの要求が通るとは申せませんけれども、まあ施主側が非常に理解ある態度を最近示してくれておりますので、まあまあというところまでは、私ども消防設備に対する意向が通っておりますが、さらにそれから先は、やはり施主側の一つの心がまえと申しますか、経費の出し方とでも申しますか、そういう点に最後はからんでくると思います。
  17. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまお話しになりました消防側の同意権と申しますか、これをもう少し強くして、多少経済的な負担がかかっても、人命尊重という意味から必要であるという、もう少し強制的にといいますか、あるいは義務づけるというふうに法改正をやる必要がある。特に超高層ビル等においては、今回、高層ビルとか、あるいは、これは法律用語ではありませんけれども、超高層ビルということがわれわれの論議の中にのぼってきたわけでありますが、特にそういう高層ビル、超高層ビルについては、もう少し消防側の意見を施主側なり、あるいは設計者側が取り入れるような方向をもう少し義務づける必要があると考えられますけれども、いまのところ、そういうお考えはありませんか。
  18. 山田義郎

    参考人山田義郎君) 非常に御理解ある御質問をいただきましてありがとうございます。消防法七条の同意権は——同意権と申しますか、同意に関する事務は、私どもといたしましては、さらにこれは強化しなければならぬというふうに考えております。ところが、一部、二軍行政であるというようなことからいたしまして、若干これを、逆にいえば縮小しようというような風潮もありまして、はなはだ遺憾に存じております。強化すると申しますのはどうするかということでございますが、これは現在イエスかノーかの返事だけしか法律上はできないわけであります。それでありますが、行政の実態といたしますと、イエスかノーかでなくて、まあ、ここはこうしたほうがいいというような行政指導で、イエスかノーかの返事を出す前に、両者の話し合いの上で結論を出すような形をとっておりますが、それを一部さらに強化する意味におきまして、イエスかノーかでなくて、若干の消防側に修正意見があったときは聞かなければならぬような形にまで持っていっていただければ、私どもは非常にありがたい、かように考えておる次第でございます。
  19. 松澤兼人

    松澤兼人君 伊能会長にちょっとお尋ねいたしますが、この答申は、改正法律案の中に相当取り上げられていると思いますが、特に会長としてお考えが、どの程度取り入れられているか、取り入れられていない点で特に重要であると思われるものがございますか。
  20. 伊能芳雄

    参考人伊能芳雄君) それが私も、いまここでどれが取り入れられて、どれが取り入れられてないかということの対照を、まだ十分検討しておりませんが、消防庁でやるべき消防法及び消防組織法改正の問題は、大体この答申の趣旨が織り込まれておるように考えるのでございますが、これに即応する建築基準法改正の問題は、私、どういうふうな改正案が出ているか、これを承知しておりませんので、申し上げる段階に至っておりませんが、消防法及び消防組織法に関しては、まあまあこれで一応法律そして、その後に政令あるいは省令ということが当然予想されるのでございまして、私どももこの点は法律でおやりになるべきものだと思っていることは大体織り込んでおる。政令で、あるいは省令で考えられることは今後扱われるものだと、こう信じておるわけでございます。
  21. 松澤兼人

    松澤兼人君 この答申は、表題にもありますように、「超高層建築物及び地下街防災対策」ということですが、先ほど会長がお触れになりました消防財源の問題でありますが、この答申は直接には消防財源のことには触れておりませんが、ただ、消防設備をした場合に税制上の特別措置を考えることが必要ではないかというようなことがうたってあります。先ほどの御意見の中では、消防財源の強化という点が取り上げられましたけれども会長としましては、消防財源——一般全国市町村に対する消防財源の問題ですが、この問題について何か具体的なお考えはございますか。
  22. 伊能芳雄

    参考人伊能芳雄君) 消防財源につきましては、非常に古い問題にはなってしまいましたが、火災保険からの負担、これによるいわば消防施設税というようなものを、時限立法でもよろしいからやっていただきますならば——その負担の配分等の関係もございますが、やっていただきますならば、とにかく消防に関する別ワクの財源を得ることになりますので、消防施設の改善には非常に有利になってくるであろうということを考えておる次第でございますが、赤津現大臣が、前に一度同じ自治大臣をやられたことがあります。あのときに、就任間もなくこの問題に触れられましたが、非常に任期が短かかったために、そのときには実現の運びには至りませんでした。この問題は非常に古い問題であって、かつ、新しい問題である、こう考えるのでございます。一面、税のほうの体系から申しますならば、やはり目的税をそうむやみにふやすのは適当でないとか、あるいは負担する者と受益者がうまくかみ合わないというような反対意見は当然あることでございますけれども、諸先進国が、ある時代に、ある過程において、消防施設税、火災保険料の負担による消防施設税というようなものをやってきた経過から考えますというと、私はこの問題を推進していただくのが、消防財源確保のために非常に有利である、非常に大切であると考えるものでございます。
  23. 松澤兼人

    松澤兼人君 保険金額に一定の料率をかけて消防財源にするということは、私も聞いておりますが、これはまあ、なかなか実現できません。そうなると、目的税的な財源としては、その問題もいろいろ議論があって、ペンディングになっている。この問題をはずしてしまうと、ほかに確固たる財源というものはお考えじゃないですか。
  24. 伊能芳雄

    参考人伊能芳雄君) 私自身も、やはり皆さん方と同じ程度の知識しかありませんから、なかなかそういう問題、新しい問題を取り扱うほど研究もしておりませんけれども、いままで消防庁ではしばしば基準財政に対する各個々の単価を上げてきておることは事実であります。単価を上げてきましても、なかなか各自治体がその限度まで使わないというようなところも相当あるようでございますので、これが一般的に消防に関するPRと申しましょうか、むしろ、こうした自治体に対して消防財政充実を、施設の改善をPRするということが一つの方法であると考えるのではございますが、同時に、いま固定資産税に付随してといいまするか、都市計画税という小さな税源がございますが、あれを広げて、一部を消防に充てられるようにするということは一つの行き方ではないかと考えるものでございます。
  25. 松澤兼人

    松澤兼人君 どうも会長にあまりそういうことを言っても……。現在答申を書かれたときには、あまりそういうことを考えておられなかったのだろうと思いますし、昔の同僚でもありますし、まあ、がんばっていただきたいと思いますが、なお、答申の中にはありませんけれども団員確保の問題、御意見の中で述べられましたけれども、実際私どもがよく出ぞめ式なんかに行きまして、団員活動などを拝見しているのでありますが、やはり人数も少なくなったし、また、現在仕事をしておられる方で団員になっておられるわけですから、その訓練等につきましても、いろいろと今後大いに力を入れていただかなければならないという感じがするわけでありますが、今度の改正によりまして、「常勤の消防団員」あるいは「非常勤の消防団員」というようなことが書かれてありますので、団員確保及び訓練ということは、今後の全体の消防活動の面から見まして、さらに一そう重要性が増してくるのではないかと思いますが、先ほどお触れになりましたので御質問するわけでありますが、団員確保あるいは訓練の問題につきまして、会長として御意見があれば承っておきたいと思います。
  26. 伊能芳雄

    参考人伊能芳雄君) 実は、この答申を出す前に、消防団員確保という問題が諮問が出ておったのでございまして、この問題はずいぶん関係者が、委員が集まりまして討議いたしましたが、結局、ある程度待遇をよくしていくということよりほかに、特別に消防団員確保ということのきめ手はないというような一応の結論になってまいったのでございまして、ただ、待遇を上げるということにつきましては、この問題として、さきに改正されました例の消防団員の退職金の問題、あれはやはり答申に基づいておやりになったのでございましたが、あの問題、あるいは、もっと古くは、十分殉職者が報いられるようにというのでできておりまする消防共済基金制度ですか、あの制度等を十分生かしまして、消防団員が安心して活動できるようにと、そのことが消防団員確保に間接ではあるけれども役立つというような意味でああいう問題を取り上げてまいったのでございます。まことに残念でございますが、消防団員をいま確実に確保していくといういいきめ手が発見されなかったということを申し上げなければならないことを、まことに遺憾に存ずる次第でございます。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 佐久間長官にお尋ねいたしますけれども、この資料の「政令指定市町村消防状況調」というのがございます。この中には、消防団員数あるいは消防団員の増減というものがございませんけれども、そういうものはお調べになってお手元にお持ちでございますか。
  28. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 個々の市町村におきまする団員の増減につきましては、ただいま手元に資料はございません。全体の動向につきましては、役所のほうへ帰りますると、若干のものがございます。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 それはいまお話はできないので、あとで資料ででも出していただけますか。
  30. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 全体の動向につきましては、また午後でも資料をもって御答弁申し上げますが、個々の市町村につきましては、私どもに資料がございません。
  31. 松澤兼人

    松澤兼人君 それではもう一つ、第八条には旅館等というのがありませんけれども、これは審議会の過程の中でも、そういう論議はございませんでしたか。「その他多数の者が出入し、」ということで、旅館あるいは料理業、そういうものが当然含まれると思うのですが、旅館の火災等がひんぱんに起こる、そういう場合には、死傷者も相当出ているようですけれども、特に、そういう大規模な旅館、高層建築で営業している非常に大きな旅館などを、こういうふうに一々「学校、病院、工場、」というように書き分けておりますけれども、旅館などでも、火災の現状から見て、特に書き分けて規定する必要があるというようにも思いますけれども、別にそういうことはお考えにならなかったのですか。これは佐久間長官から。
  32. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この八条の規定で、「防火対象物で政令で定めるもの」、こうございますが、この政令の中で旅館は定めております。消防法施行令の別表第一でございますが、この中の(五)というのがございまして、そこに「旅館、ホテル又は宿泊所」というのを規定いたしております。
  33. 松澤兼人

    松澤兼人君 消防総監にお尋ねしますが、答申の中にもあることなんですけれども高層建築物などでは、当然高級の料理店などは何軒か入っているわけですけれども、そういうものは、特に防火上特別何か義務を負わせて、防火設備あるいは防火の訓練等をなさることになりますか。
  34. 山田義郎

    参考人山田義郎君) あの中に料理飲食店的なものが相当数入っておりますが、これに対して特別の措置という点はございません。ただ、まず東京都の火災予防条例によりまして、火気を使用する設備につきまして、届け出をし、それの検査をし、合否をきめて許可をいたしております。
  35. 松澤兼人

    松澤兼人君 特にそういう火気を使用する場合は、一般の事務所などよりは厳重な規制が行なわれると思いますけれども、それは条例の中で書いてあるわけですか。
  36. 山田義郎

    参考人山田義郎君) 条例の中で、そういう特殊な火気使用設備については、これこれの基準に従って設けなければならないという形に規制いたしております。
  37. 松澤兼人

    松澤兼人君 もう一つは、避難の設備及び訓練ですけれども、避難設備はあっても、実際、避難の訓練が十分に徹底していなければ、やっぱりパニック状態という毛のが起こると思うんですけれども、どちらに非常階段があるとか、あるいは、この辺の人はどちらに行きなさいというような、そういう指導の何というか注意書きみたいなものは、各階あるいは各層に設備されておりますか。
  38. 山田義郎

    参考人山田義郎君) 一応先ほど御説明申しましたように、設備は整っておりますが、万が一の場合に、これを生かすも殺すも人の問題になるわけなんでありまして、ビルに専従する防火管理あるいはまた保安要員は当然でありますが、そこに事務をとり、あるいはまた、仕事をする人たちの、消防設備を生かし、あるいは避難階段を活用する、その訓練が大事になってくるわけであります。これは全館の居住がきまりましたならば、早急に一応各階ごとに訓練をいたし、あるいはまた、消火あるいは避難に関する何と申しますか注意も、あるいはまた、表札というようなものの点検もいたしまして、完備をいたしたいと思います。現在までのところでは、実はある程度そういう問題もやっておるわけでありますが、あれは貸しビルのような関係でありますので、あれが相当、今度、中に居住するようになりますと、間仕切りをするようになると思うのでございます。いまは一階まん中に階段やエレベーターがあって、あとは何といいますか、オープンになっております。あれが相当、数間仕切りをしたり、あるいはまた、本箱、机等を入れるようになりますと、現在のままで訓練をいたしても現状に即しませんものですから、一たんあれに各会社なり、あるいはまた、その他の事務所が引っ越しを完了した時点において、そういう問題について、十分訓練もし検討もいたしたいと考えております。
  39. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほどもお話がありましたように、防火設備消火設備というものはほとんど万全だというふうにお考えになっていらっしゃるようですけれども、要は、そういう万全の設備の中でも火災が起こる、火災が発生するというようなことがあるわけでして、普通の場合ならば、もちろん一〇〇%平穏に、中にいる人が避難できるけれども、一朝どっかでそごをしてしまいますと、そこにたくさん人が集まってしまって、押し合いへし合いになってしまうということですから、やはり避難の訓練というものは相当必要だと思いますし、先ほどお話のありましたバルコニーを利用して、臨時というか、応急の階段を使って、そうして下の階へ行くわけですか。
  40. 山田義郎

    参考人山田義郎君) はい。
  41. 松澤兼人

    松澤兼人君 あの三十四階、三十五階で、それは外なんでしょう。
  42. 山田義郎

    参考人山田義郎君) そうです。
  43. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういうところで、ぼくらがはしごを伝わって走って一階下まで、ごくわずかでしょうけれども行かれるかどうだか、その点だいじょうぶですか。
  44. 山田義郎

    参考人山田義郎君) ちょうど各階ごとにこういうようなベランダができておりまして、それでここにはしご段がありますが、はしご段が互い違いになっておりますので、下を見通して見るという——見えなくとも逃げられるわけです。高いところがら下を見ることによって、恐怖心というか、こわくて足がすくんでしまって動作が自由にできないということになるわけですが、一応ここの面は外部には面しておりますから、見ようと思えば下を見れないことはございませんが、一応こういうふうに互い違いになって各階ごとに階段ができておりますので、もちろん、気持ちのいいものだとは思いませんが、まあ万が一のときには、それを伝わって避難は可能だと存じます。
  45. 松澤兼人

    松澤兼人君 消防総監自身がそのはしごを使っておりてごらんになるといい。そんなあぶないことをおすすめしませんけれども、われわれ普通の常識だと、とてもそれはこわくておりられないと思うのですけれども、そういうことで避難の訓練、指導ということが一番最後のきめ手になるのじゃないかと思います。この点は十分に御努力願いたいと思います。  それから品後に、地下街の問題ですけれども、ああいうふうにほとんど軒並みにあって、そうしてシャッターはそれぞれあるようでありますけれども、一朝事があった場合に、あれだけの人ごみですから、これもまた、ほんとうにじょうずに誘導してやらないと、そこでもパニック状態が起こるということで、よく新聞なんかで拝見いたしますと、地下街の避難訓練というようなことはなすっていらっしゃるようですけれども、そこに店を出したり、あるいは商売をしていらっしゃる方は、それでも訓練を受けてどちらの方向に逃げたらいいかということはわかるでしょうけれども、一般通行人はそうはいかないと思いますね。そこで折り重なってということになると、非常に危険が生ずると思いますが、これなども、やはり消防当局としては、ほんとうに万全の措置を講じても、万が一のときには非常に危険な状態が惹起されるわけですから、これも十分に御指導願いたいと思います。何か特に地下街の万一の場合にどういう手を打つかと、あるいは、どういうふうにしてもらうという御方針があるならば、ひとつお聞かせ願いたい。
  46. 山田義郎

    参考人山田義郎君) 大きな地下街が続々とでき上がり、また、地下街が、百貨店でもそうでありますが、えてして食料品街が多いものですから、非常に不特定多数の人が出入りをする。いま御質問にもありましたように、そこで営業に従事している者は、比較的地理にも詳しい関係から、万が一のときにも比較的安全であろうと存じますが、いま申し上げました不特定多数のお客さん方の避難という問題が一番大きな問題でもありますし、私どもがその対策に腐心をいたしておるところであります。そこで、地下街万が一の事態が起きた場合には、まず絶対に電灯だけは確保する。もちろん、非常電源がありまして、万が一通常の電灯が断線いたしましても、すぐ切りかえられるようになっておりますが、これはまた人がやることでありますから、設備と人の訓練とをマッチさせて、地下街火災には絶対に電灯だけはつけさせたい、確保するということが一つの大事な点であります。もう一つは、状況を早くスピーカー等によりまして中の人に知らせまして、まあ、いたずらに不安心をかき立てないで、落ちついて動作をさせるというような一つの現状の措置、さらにはまた、表札というような、何と申しますか、つるした看板あるいは標識等々によりまして、出口、避難口等の位置を常に明確にしておく。火災のときに初めて避難口を見るのではなくて、不特定多数の買いもの客に対しましても、そこに何回か行っているうちには、その避難口等の表札によって、ああ、あっちへ行けば避難口があるのだなということをふだんから意識づけさせるような方途を現在講じておるわけでございますが、実は大きな地下街火災にまだ遭遇いたしておりませんので、結論的なことは申せませんけれども、やはり百貨店あるいはまた売り場に類するようなところへたくさんの人が入っている場合に火災等が起きれば、相当憂慮する事態が起こるのではないかというふうには考えておりますが、まあ、いま申し上げましたような点を強力に推進いたしまして、できる限りの安全を確保してまいりたい、かように考えております。
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 山田参考人にちょっとお尋ねします。まあ、さっきの松澤委員とのお話の中に、消防法第七条の同意するしない、あの問題述べられておりますが、あそこで同意するしないということは、結局、まあ、いまの、たとえば建築基準法あるいは施行令、消防法あるいは消防法の施行令、こういうものの中に定められておる範囲で、それに適合しておるかどうかということで、まあ同意する場合、あるいは同意しない場合ということが出てくると思うのですがね。いまはそれしかできないのじゃないかと思うのです。新しい、いわゆる超高層ビルというようなものができてきてですね、さてこういうものがほしいとか、あるいは、さっきお話がありましたように、十一階以上のものは、まあ何といいますかね、建物のほうの責任者、使っておるものの責任者のほうで何とかしてくれと、こう言っても、いま言ったようなことから、一つの限度があると思うのですね。で、そこら辺を考えてみますと、今度は現在の建築基準法なり、あるいは施行令、あるいは、まあ一つには構造上の問題だと思いますが、消防設備とかというようなことになりますと、消防法なり消防法の施行令等において示されておる基準、こういうものが一体、新しく高さの制限がとれて、どんどん高くなっていくという、そういう建物に対して適合しておるのかどうかという問題が一つあるのじゃないかと思うのですがね。そういう点でいかがでございましょう。もっといえば、その施行令なんかで定められてある基準、こういうものをもっとやっぱり検討し直して、そういう超高層のものに適合するような基準の設定を考えなければいけないのじゃないだろうかと、こうまあ頭の中で私考えるのだが、そこら辺どうでしょう。
  48. 山田義郎

    参考人山田義郎君) お話のように、同意は、現在の建築基準法なり消防法なりによって同意をすることは当然でありますが、このような超高層ビルというようなものが出現することになりまして、さらに消防設備等を強化する必要はあると存じますが、とりあえずの問題といたしましては、建築当局と消防当局との間に若干そういう設備、保安という点に誤差があると思うわけであります。それはまあ、できるだけ調整して、両者それぞれの法の中に盛り込まなければならぬことは当然でありますが、まあ一例を申し上げますと、建築基準法ではスプリンクラー、要するに、自動的な散水装置をつくれば防火区画等は要らないということになっております。しかし、私どもは現実問題といたしまして、もちろんスプリンクラーが一〇〇%作動するとは信じておりますけれども万が一にも機械の故障というような場合もあり得ることを想定いたしますと、やはり大きな建物にはスプリンクラー装置をつけても防火区画は必要だというふうに考えておりますが、まあ、それらの点が建築当局と消防当局との間に若干誤差がある一つの代表的なものであります。まあ、そういうような点をさらに詰めまして、今後建築当局側の法に盛り込む中にも、もう少し保安対策を考えてもらいたい。もちろん、消防当局側で消防法施行令等で考える面も私どもといたしましては再検討して、さらに安全を確保する意味から強化してもらいたいと、かように考えております。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 山田さんにお聞きしますが、まず先ほどからのことで、まあ、せんだってもちょっとおじやましたときにお聞きしたのですが、東京都のいわゆる消防力というものは、消防力基準に示されたそれと比べてみますと、かなり低くなっておりますね。これはまあ去年の統計でしょうから、ことしになってどういうふうになっておるかわかりませんが、ともかく、これを見ますと、ポンプ車、はしご車、化学車、消防艇、救急車等において、消防吏員等においても、まあ、いずれをとってみましても、ポンプ車では六四%しかない。はしご車は五三%、化学車が六二%、消防艇が五五%、救急車が八一%、消防吏員のほうは五五%、いずれも半分くらいか、半分よりちょっと上というような率です。そこで、東京では一生懸命やって、しかも、これだけあればいいというのでこういうところにあるのか。ですから、ことばをかえて言えば、消防力基準東京の場合には、少し高過ぎるというようにお考えになるのか、いや、消防力基準はやはりそれとして、ぜひ東京のほうをもっと引き上げていかなければならないのか、そこらあたり、ざっくばらんのところどうですか、現場の責任者として。
  50. 山田義郎

    参考人山田義郎君) むずかしい御質問でございますが、私は大体いま基準充足率が六〇%前後、あるいはちょっとそれを上回っているくらいかと思いますが、その半分ずつ上に上がり、下に少し下がったくらいがいいんじゃないか、結論的に申しまして。と申しますのは、現在の消防力もちろん十二分ではございませんが、さればといって、どこまでもふやすということもやはり限度がございますので、大体いまの消防力のあと三割程度の増強があれば、大体平常時の火災においてはいいんじゃないかというふうにも考えております。ただ、国で定めましたこの消防力基準は、十万の標準都市基準消防力を算出し、そうして、それを東京という都市に当てはめたものですから、孤立した十万都市消防というような考え方と、連帯した十万都市が百もあるというような考え方になりますと、基準も若干割り引くといいますか、修正といいますか、若干そういう連帯都市的な考え方から考えなければならぬかとも思いますが、これは私のほうの職員が国の基準を正直にそのまま当てはめたという関係から、若干基準が高いようにも考えております。そんな関係からいたしまして、先ほど申しましたように、基準のほうも、まあ一、二割下げて、私どものほうが三、四割上げれば、ちょうどそこらが何といいますか、ざっくばらんにという御質問ですが、限度ではなかろうかというように考えております。
  51. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間がないからやめますが、ただ、私ども消防力ということの充実、これはいつでも言うし、あなた方それをお考えになっていられると思うのです。その場合、消防力充実と言っても、一体、程度はどうなんだ、どこで充実したとかしないとかということを言うのかと、結局、いまのところでは、外から見て、大体の感じではとても言えませんから、結局、一つのよるべきそれとして国できめておる消防力基準、これをめどにしますわね、どの市町村を見ましても、どうも基準に達していないという現状だと思うのですが、その場合、その基準が実態に適合しないようなものであっても困るし、そこら辺のところ……。そうしますと、まあ私ざっくばらんにお聞きしたいというのは、東京では一生懸命これをやればいいんだということで、現状をそういうように認めておられるのか、いや、もっともっとやはり基準のところまでは到達しなければいけないのだというふうに考えて、それの何といいますか、目的達成のためにいろいろ考えておるのではないだろうかと思うのですが、そういうことでちょっといま聞いてみたんですがね。この消防力基準というのを見ますと、これはいわば最低のところを押えたというようなところでやっておりますですね。だから、そこら辺。
  52. 山田義郎

    参考人山田義郎君) 東京基準から申しますと、いま申しましたように、せめてこの基準の八割から八割五分程度まで充足したいということを目標にして一生懸命努力しておるわけでございます。もちろん、この基準がオーバーであるから八五%という意味ではございませんけれども、まあ一気にあまり高度のレベルを目標にしても、なかなか到達いたしませんので、そこらを目標にして現在一生懸命努力しておるわけであります。ただ、この際一言申し述べさしていただきますが、全国的に申しまして、いま申しました国の基準は、私は大体適合しておると思います。ただ、それが非常に充足率が全国でもやはりそこまでいっておる都市は幾つもないかと思いますが、それらの原因が、先ほど伊能会長からお話がございましたが、財政問題にも多分に基因しておると思う。もう一つは、市町村当事者の考え方の問題でございますが、たとえば橋がこわれた、道路がこわれた、学校に雨が漏るというようなものが目前に迫ってまいりますと、どうしても財政支出、予算を組むにも、それにウエートがかかりますが、どうも消防のほうは、すぐその目の前での必需品と言っちゃおかしいですが、火事がなければいいのだという考え方、たまに火事が起こってもしかたがないのだ、あのときには風が吹いたから悪かったのだというような諦観的な考え方で処理されがちですから、どうも充足が十二分でないように思うわけであります。そこで、東京の例をとりましても、先般御視察の際に申し上げましたが、三多摩の事務委託をいたしまして、現在約倍程度消防力強化いたしまして、三多摩の火災は半減いたしました。そんなようなことからいたしまして、ある程度消防力強化することは、決してむだな投資じゃないということを認識していただきたいということが一つと、もう一つは、基準財政需要額等の単位費用をせっかく上げても、いま申しましたような理由によって、それがどうも学校とか道路とか、当面する、せっつかれるほうの費用に回されてしまうような傾向が多分にあるわけでございます。これは現在の自治制度からいたしましてやむを得ないことでございますが、何か少し消防に関しては、たがをはめていくような形ができ上がると非常にありがたいと思うのであります。もう一つは、起債の問題でありますが、全国的に相当数の起債ワクを、国の消防庁のほうでワクをとっていただいておりますけれども、現実の市町村になりますと、たとえばポンプを一台買うと三百万円、庁舎を一つつくると二千万円というような、起債対象となりますと、個々になりますと、非常に金額が微細なものですから、どうも府県を通じ国のほうにまで上がってこないで、途中で消えてしまうというようなことが非常に多いわけであります。こういうような起債ワクにつきましても、消防の特殊性から、何とか少しひもつきのような形でいただけるならば、消防強化に非常に役立ち、ありがたいことだと、かように考えておるわけであります。
  53. 原田立

    原田立君 きょうはお忙しいところを御苦労さまでございます。  総監にちょっとお伺いしたいのですけれども、先ほどのお話の中に、規模の拡大をはかっていく、そのために化学消防車等の充足をはかっていきたいといったようなことのお話がふりましたけれども、いまも鈴木委員お話の中にありました、消防力基準から照らしてみて、化学消防車、排煙車、はしご車、そっちのほうはどうなのでございますか。
  54. 山田義郎

    参考人山田義郎君) もちろん、東京におきましても、これで十二分でございません。ここに、表にありますように、五、六〇%の充足率でありますから、さらにこれを整備をしていきたい。本年度も三台の予算を獲得いたしまして、目下設計中でありますが、ただ、私どものところは、先ほど申しましたように、非常に連帯部市でありますから、充足率がかりに五〇%でも、指令一つによりまして、少ない時間ですぐに、はしご車の十台や十五台、化学車の十台や十五台、すぐ集めることができますけれども地方の十万でも二十万で本独立した都市に行きますというと、隣接の都市にそういうものがうまくあれば有無相通じましてやれますけれども、ないと自分の自力でどんな——どんなと申しましても、限度がありますが、一応の高層火災あるいはまたコンビナートのようなところの油火災等にも対応するだけの消防力を持つということは、これは非常に困難ではなかろうかというふうに考えるわけであります。そこで、先ほどもちょっと申しましたように、広域的な、組合的な形で有無相通ずるような消防をさらに充足して、そのいま申しましたような欠点を補っていきたいというように考えておるわけであります。
  55. 原田立

    原田立君 それから超高層ビルや、あるいは地下街等消火対策について、消防隊の出動がなかなか困難である。特に無窓ビルなどできていて出動が困難になってきているというような御説明でしたけれども、それは必然的にそうなっていくのだろうと思うのですね。そうすると、現状でなかなか困難だというと、困難なやつがまたずっとふくらんでくるのだということになると、ただ困難と言っているわけにいかないと思うのですが、その点どんなふうに御研究なさっておりますか。
  56. 山田義郎

    参考人山田義郎君) そこで、先ほど申し上げましたような建築当局と消防当局との考え方の相違があるわけなんですが、私どもは、無窓建築というようなものはできれば禁止したいと思っておるわけであります。ところが、先般御視察の際にも御説明申し上げましたように、戦時中、この無窓建築というのは、アメリカの精密工場がこれを取り上げたのが最初だそうでありますが、日本ではそういう工場でなくて、デパートとか映画館等でこれを取り上げているわけで、逆にいえば、デパートとか映画館というような不特定多数の人が出入りする建物は、無窓建築なんていうのは禁止すべきであるというふうにも考えておるわけであります。いたずらにそういう建物ができて、困難だ困難だと嘆くだけではなくて、実はもう一歩手前の、用途や規模に応じて、その無窓建築その他の建物自体の構造に、ある程度制限をしていただくと非常にありがたいと私どもは考えておるわけであります。
  57. 原田立

    原田立君 それから査察についてですね、人員不足等でなかなか困難だというようなことでありました。東京では一署十五人の予防課員を用意してやっているということですが、二部制の勤務の非番の人がそれに当たるようなお話でございましたけれども、非番というのはやっぱり休養したりなんかする日であって、それはやっぱり予防査察のほうに向けると、かえって疲労度が増すのではないか。本番のときに力が出ないのではないか。こんなこともさっきお伺いしておって感じ取ったわけですが、実際は人員をふやしたほうが一番手っとり早い解決の方法なんだろうと思いますけれども、どのくらいあればそういうことができるのか。あるいはまた、疲労度を残さないで、しかも、最も効果的にやるにはどういう点を改善したらいいのか、どういうふうにお考えですか。
  58. 山田義郎

    参考人山田義郎君) 非番の人を予防査察に使うと申しましても、お説のように限度がございますので、せいぜい東京におきましては月に二回程度、そして午前中程度に限って使っております関係から、その査察量においてやはり限界があるわけであります。  次に、どのくらいあればいいかという問題でありますが、これは一署の管内の対象によりまして、たとえば丸の内のような地区と、あるいは杉並のような住宅地区とでは若干違いますけれども、一応平均一署十五人程度予防課員でしておりますが、これを三十入ぐらいの、倍の、東京の例をとりますと、予防課員にいたしたいということを一つの目標にしております。それからもう一つは、現在、二部勤務で当番、非番で消防職員が勤務いたしておりますが、これを三部勤務制度にいたしまして、日勤日を訓練なりそういう査察に活用するように、勤務の切りかえを行ないたい。これをするためには、現在で約二千五百人程度東京で増員しなければなりませんが、その二つを、どっちがどうという意味じゃございませんが、両方を並行しながら人員の充足に現在つとめておるような状況であります。
  59. 原田立

    原田立君 東京で現在十五人を三十人、あるいは三部制にするので二千五百人程度とするというと、なかなかちょっと数が多いように思うのですが、それは自治体できめることだろうと思いますが、これは国のほうもそういうふうな方向に考え方を向けていかなければならないのじゃないかというふうには思います。その点、長官ちょっとそこのところの見解をあとでお聞きしたいと思うのですが、その前に、審議会会長さんのほうからお話があったことなんですが、常備消防の設置をもっともっと声をかけていかなければいけないというようなことが最後のほうで話がありましたが、その点についてもうちょっとお伺いしたいと思うのですけれども
  60. 伊能芳雄

    参考人伊能芳雄君) 常備消防充実は、消防庁のほうでずいぶん勧奨しておられますので、私はそういうことで申し上げたかったのじゃなくて、もっと消防施設に力を入れるように財政配分を考えることを、地方自治体の首長、執行部にすすめたい、PRしていただきたいということを申し上げたのです。常備消防充実する問題は、かなり現に熱心に消防庁が勧奨しておられまして、だんだんいっているようでありますけれども、一面に、全体の消防財政の支出が少ないようでありますから、その点について、もっと首長が消防財政、つまり、施設をよくすることに頭を使うように財政配分を考えてもらいたいということを申し上げたわけでございます。
  61. 原田立

    原田立君 総監にお伺いしたいと思うのですが、全国的な面での会長さんでもあられるというお話がありましたので、すでに消防本部並びに署ができているところはもう取り扱っておられて十分おわかりであろうと思うのですが、まだ消防本部並びに署ができていない市が二十二、三あるように聞いておりますけれども、そういうようなところについては、私はもう、都市というのはすべからく本部並びに署を置くべきだということで、以前、総監といろいろお話し合いをしたことがあるけれども総監としては、全国会長としては、そういう小さな過疎みたいな都市だろうと思うのですけれども、そういう都市などは、そんなに本部署などは当分置かなくてもいいんだというようなお考えなのか、ぜひとも市ならば当然置くべきだと、こういうお考えなのか、その点はどうですか。
  62. 山田義郎

    参考人山田義郎君) 私はもう市制施行地は全部置かなければならぬというふうに考えております。昭和三十年ごろでしたか、消防組織法で、市制施行地の消防本部署の義務設置の法案が、当参議院でたしか議決されたと思いますが、最終的には成立はいたしませんでしたが、昭和三十年当時でさえ、そういう考え方でおりましたので、現在でも当然市制施行地はまんべんなく消防本部署を設置していただきたい、かように考えております。
  63. 原田立

    原田立君 これで大体終わりにしたいと思うけれども、実はこの前、一緒に新宿のほうの地下街を拝見さしてもらいました。昼間商売やっているからだろうと思うのですが、シャッターがおりるそのところに商品が山と積まれているのですよ。もしあれで、さあ今度は火事だなんてなったら、もうそれこそ大混乱するんじゃないか。まあシャッターをおろしておけば、中は火は入らないで済むでしょうし、おろすには商品をがたごと動かさなければならないし、まあ火事になればあわてちゃって、それこそめちゃめちゃになるんじゃないかと、こうおそれているんですけれども、そういうような点ですね、シャッターのそばなんか、おりるようなところには、何かもう少し制限つけてもいいんじゃないかと、こんなことを一つ思ったわけです。  それから、ああいうところで実際今度は火事だなんていうことで混乱したら、もうスピーカーやなんかで幾らしゃべったって耳には入らないんじゃないかということを心配したわけなんです。そうなると、まあ研究なり、あるいはまた、実際、訓練なんかもおやりになっているんだろうと思うけれども、たとえばAという地点で火事が起これば、Bの地点のほうに誘導するんだとか、Cで火災が起きた場合には、B、Aのほうへ回していくんだというようなことですね、そういうようなことは、あの店員さんなんか、ないしは防火管理者というんですか、店主というんですか、そういう人たちは十分知悉しているのかどうか、よく知っているのかどうか。とにかく不特定多数の人が入っていくわけなんですから、その人たちはまず完全に知らないと見ていいと思うんです。そうなると、やっぱりあの店に常時いる人たちがある程度はわかっていれば、そして、その情報がすみやかにキャッチできれば、そのぐらいの判断等で誘導もできるんじゃないかというようなことを実は思ったわけなんですけれども、そういうような点をどういうふうになさっておられるか。
  64. 山田義郎

    参考人山田義郎君) 新宿地下街のシャッターの点は、もう同感でございまして、どうも検査に行くと、ちゃんと片づけてありますが、もう帰ればすぐにまたこうショーウインドーのようなケースを出してしまう、あるいは荷物を置くというようなことで、まあ困っておる実情であります。そこで、そういうような違反者に、告発してどうのこうのと言ったって、それはとてもできませんから、簡単に、交通の科料、罰金のように、千円でも二千円でも取るようなことにして、シャッターのラインは物を置いちゃいかぬのだということを習慣づけるというか、励行さすくせをつけたいと思っているのですが、どうも現在では、行けば、すぐに直します、申しわけありません、帰ればもうすぐに出してしまうということで、実は手をやいているのが実情でありますが、これはやはり何回も何回も反復してやるよりしかたがないと思っております。  その次に、避難の問題でございますが、これは平素聞けば、私どもがいま行って、いきなりここに火事があったらどこへ逃げるのだと言えば、ここを通ってこう行きますということを一応みんな徹底しておりますし、計画もできております。ただ問題は、混乱して方が一の場合に、はたして平素のようにみんなが冷静に行動できるかどうかということが一番私ども不安に思っておるところでございますが、これはやはり何と申しましても、何回も何回も訓練をやるしかございませんが、現実の問題はなかなか相当の交通障害にもなりますし、といって、いないところで訓練もできませんし、そこらに悩みがありますが、まあ、できるだけ何回も何回も繰り返してやるという以外に方法はないと、かように考えております。
  65. 津島文治

    委員長津島文治君) ほかに参考人方々に対する御質疑はございませんか。——それでは、これにて参考人方々に対する質疑は終了いたしたものと認めます。  参考人のお二方に一言私からごあいさつ申し上げます。  本日は長時間にわたりまして、きわめて貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会の審査のため、きわめて有益な御意見をお伺いすることができましたことを、心から厚くお礼を申し上げます。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後二時二十二分開会
  66. 津島文治

    委員長津島文治君) 地方行政委員会を再開いたします。  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  67. 松澤兼人

    松澤兼人君 大臣が見えておりますのでお尋ねいたしたいと思いますが、午前中にも消防審議会会長あるいは東京消防総監などにお尋ねしたのでありますが、その中で、今後の高層建築物あるいは超高層建築物の防火あるいは消火、いわゆる消防体制というものは、機械的にいいますと、外からの努力、能力というものはおのずから限界がある、はしごの点につきましても、あるいは消火用水の問題にしましても限度があるということを痛感するわけでありますが、今後もますます高層建築物あるいは超高層建築物が新しくできると、これに対する消防体制というものが新たな事態に到達して、単にいわゆる建物の持ち主であるとか施主であるとかいう人だけにたよっていることもどうかと思われます。そういう高層、超高層建築物に対する消防当局としての抜本的な対策が必要であると思うのですけれども、この点いかがですか。
  68. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 必要なものは法律改正あるいは政令で処置するわけでございますが、何といっても、私どもも、こういう地下街とか、あるいは高層建築物が次第にふえていく際の消防、特に人命救助に対しては、重大な関心を持っておるわけでございまして、そのためには、やはり将来にわたって建物の構造なんかにも、相当な制約を加える必要があるじゃないか。それから、いろんな科学技術が進みまして、火元責任者、取り締まり者が自分でやらなくても、機械が自然に消火の役割りを果たすんだなどといったような設備ども十分研究もしておりますが、そういったものが次第に普及していくはずでございまするので、そういった面に十分意を用いたいと考えております。
  69. 松澤兼人

    松澤兼人君 午前中もそういう議論をしたわけでありますけれども、しかし、消防が万全だと思うような設備なり、あるいは装置なりを要求しましても、おのずから施主側におきましては、経済的な見地から消防が望むような設備をしないかもしれない、できないかもしれない、こういうことで、こういう新しい事態につきましては、従来の消防のあり方というものは明らかに検討し直さなければならないと思います。おそらく、外国などでは相当進んだ機械奉るいは設備などがあるのではないかと思うのですけれども、そういう強力な消防体制というものをつくる必要がある、そういうまず第一に、消防自身が機械的な体制を固めるということが必要であって、むしろ、この改正法律案を見ますというと、施主側といいますか、ビルの経営者あるいは所有者、そういうものの側に大きな負担なり、あるいは期待なりをかけて、消防自身はどうかというと、消防自身は何もしないということでは片手落ちじゃないかと思うのです。それから消防自体にも高層建築物に対しては、われわれはこれだけのことをするから、おまえのほうはこれだけのことをしてくれ、お互いに持ちつ持たれつという関係ができなければならぬ。その点はいかがですか。
  70. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) それは言うまでもないところでございまして、消防といたしましても、いわゆる近代消防充実するために、とにかく人間の知恵の及ぶ限りの努力はするわけですが、しかし、私の申しましたのは、やはりそういう近ごろ進んだいろんな器具機材がございますので、そういったもので効果的なものは、やはりそういった建築物の所有者と申しますか、そういうものに義務づける必要があるということを申したわけでございます。将来にわたっては、何らか法律の面でも規制する必要が、そういったものをはっきりさせる必要があると考えております。
  71. 松澤兼人

    松澤兼人君 施主側の建築設計等に対して、午前中もそういうお答えがあったわけですけれども消防当局としては同意を与えるという点で、両者の折衝、協力、相談ということが行なわれるということで、単に同意をするというだけでは不十分ではないかというような議論があったわけなんです。この点は、消防当局は建築あるいは設計の面で、もう少し積極的な、これだけはやってほしいという、そういうことを相手方に要求し、あるいは、まあ義務づけるというような法改正が必要ではないか、こんなようなふうに御質問申し上げたのです。まあ、おおむね、もう少し積極的に機会があれば法改正をやるように検討してみようということだったのですが、大臣自身としても、そのお考えですか。
  72. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) そう考えております。この前、私大臣やりましたときに、新潟の地震で例の石油タンクが燃えたわけでございますが、あのときに全くお手上げの状態でございましたので、科学的な意味での近代消防というものを整備するということに、あのときからかかりまして、いまごろやっと実を結びつつある状態でございます。しかし、当時よりなお進んだいろんな消火方法があるように聞いてもおりまするので、そういったものをやはり義務づけると申しますか、法律を明確にしなければならぬと思いますし、また、この建築基準法の面での要求につきましては、建設大臣とも話し合っております。しかし、今国会では間に合心なかったわけでございまするけれども、これは近く改正される予定と聞いております。
  73. 松澤兼人

    松澤兼人君 佐久間長官にお尋ねしますけれども、外国などにおける高層建築物に対する消火設備ですか、そういったものを御研究になったものございますか。
  74. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 私ども消防研究所もございまするので、特に最近におきましては、この超高層ビルなり地下街対象といたしました研究をいろいろやらせておるわけでございます。たとえば煙に対する消火の方法なども、いろいろと検討をさせておるわけでございますが、そこで、外国の事例でございますが、外国のことにつきましても、消防研究所から担当の研究者を昨年も一昨年も出張を命じまして、いろいろ参考となるところの視察もさせてまいっております。ただ、私聞いておりますところでは、この超高層ビルなどの問題につきましては、外国におきましてもまだそれほど進んでいないと申しますか、特に今回の霞が関のビルなどの場合におきましては、むしろ、外国でやっておりますことで、これは取り入れてしかるべきだというようなことはできるだけ取り入れて、この建築構造あるいは消防設備の面で東京消防庁がアドバイスをいたしたわけでございまするので、この点について、外国から非常におくれているといったようなことはないんじゃなかろうかと思っております。しかし、なお、お話消火方法なとの点についても、今後研究を要する点がこれは非常にあろうと思います。特に、午前中、消防総監も申しておりますが、消火と申しますか、むしろ、煙に対するいろいろな対策でございますが、この点の研究は、正直のところ、まだようやく緒についた程度のようでございますので、今後もせっかく督励をして研究開発を急がせたいと思っております。
  75. 松澤兼人

    松澤兼人君 地下街及び高層建築物では、ガス、それから煙、それから無窓といいますか、窓がないということのために非常に消火活動が十分にいかないという話を聞いております。したがいまして、その煙を薄めるとか、あるいは煙を抜くとか、これが第一だろうと思いますけれども、しかし、窓がないんではどうにも外からは手がつけようがないということなんですが、この高層ビルなどにおいては、消防職員が、まあ楽にということはどうかと思いますが、ある程度まで力を加えればガラスを破って中に入れるというようなところがなければならないと思いますけれども、そういうことまで消防当局としては考えていらっしゃらないのですか。
  76. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) ビルにつきましては、たとえば霞が関のビルなんかは、消防専用のエレベーターを設けさせております。それで、十一階までは、はしご車が履くわけでございますが、それから上階になりますると、はしご車が届かない。そういうところにつきましては、いまの消防専用のエレベーターを使って消防隊をすぐに送って処置をするというようなこと、それから、ただいま先生のおっしゃいました、消防が出入することのできる窓、入口をつくる、こういうようなこともいろいろと指導をいたしております。
  77. 松澤兼人

    松澤兼人君 それじゃ問題を変えまして、今度の消防法改正で、四条に「消防事務に従事する職員又は常勤の消防団員」とありまして、それから四条の二に、「消防本部を置かない市町村においては、非常勤の消防団員に限る。」というふうに書いて、常勤及び非常勤の消防団員消防職員と同じような仕事ができるように書いてあります。この点の改正はどういう意味を持っておりますか。長官にお尋ねしたいと思います。
  78. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 御承知のように、消防の見地からいたしますと、消防本部署の置いてございます地域と、消防団のみしかない地域とあるわけでございますが、その消防団のみしかない地域におきましては、現在、予防査察と私ども申しておりますが、四条、四条の二に規定してあります立ち入り検査でございますが、これは四条の二でもって、期日を限りまして、そして特定の対象物に限定をいたしまして、必要がある場合に団員に臨時に立ち入り検査をさせると、こういうことができる道が開かれておるだけでございます。これは実際には、火災シーズン等におきまして特に必要があるときに、消防団員の特定の者に命じて、特定の対象物の立ち入り検査をさせるということでございます。しかるに、最近は、農村部におきましても、プロパンガス等が普及してまいっておるわけでございまするので、そこで、そうしたところにおきまして、もう少し予防査察強化をする必要があるところで、団員しかおりませんので、これに消防職員と同様な立ち入り検査の権限を常時認めるということは、これはできないわけでございますが、まあ、たまたまと申しますか、消防署がございませんでも、消防団常備部と俗に申しておりますが、数名あるいは十名ぐらいの常備、常勤の団員を置いておるところがあるわけでございます。そこでは常勤の団員を置きまして、その常勤の団員消防職員と同様に、二六時中勤務をいたしておるものでございまするので、そういう者には、消防職員と同様な立ち入り検査権を与えて、そうした地域における予防行政強化の一助にしたらどうだろうかと、こういうような考え方でかような規定を置こうとしておるわけでございます。
  79. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、第四条のほうでは、常時あらゆる場所、どんなところへでも、消防本部を置かない市町村では、常勤の消防団員であれば、立ち入って検査し調査させることができる。しかし、非常勤の消防団員に対しては、消防対象物、それから期日、期間を指定する。時間なり、場所なり、それを限定して、非常勤の消防団員に、常勤の消防団員あるいはまたは消防職員と同じような立ち入り調査をさせるということなんですか。
  80. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) さようでございます。
  81. 松澤兼人

    松澤兼人君 そこで問題は、午前中長官にちょっとお願いしたんですけれども消防団員全国的な数、増減の趨勢、そういうものをここで発表していただけますか。
  82. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 消防団員全国的な増減の趨勢でございますが、十年前、昭和三十二年におきましては百七十三万七千三百十九人でございましたが、漸滅いたしてまいりまして、昭和四十二年におきましては百二十八万三千三人ということになっております。  それからなお、個々の市町村における団員の数でございましたが、午前中はちょっと手元に資料がないということを申し上げましたが、役所に帰って調べましたら、消防本部署の置いてございまする市や町におきましては消防団員が何人おるかという資料はございます。これの増減は、毎年の数字を調査いたしますれば、調べ上げますれば出るわけでございますが、ちょっと個々の市町村についての増減の状況を整理をしたものはございませんが、そのもとになります資料はございます。
  83. 松澤兼人

    松澤兼人君 三十二年と四十二年と比較すると、約五十万近い人員が減少しているようですけれども、かりに三十二年の百七十三万というものが消防活動に必要である人数とすれば、四十二年の百二十八万というのは非常に少ない。さらに、三十二年から見るというと、四十二年は家屋、工場、事業場、その他たくさんふえているわけでございますから、かりに消防対象というものが動かない数字であるとしても、急に人員不足という現象が出ているわけで、逆に消防対象物がふえているということになれば、五十万人近い人員の減少ということは、消防能力消防活動に非常に大きな支障を来たしていると考えられるのですが、そういうわけではないのですか。
  84. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 減少の原因でございますが、一つは、消防の機械化が相当進んでまいりましたので、それに伴いまして人員が減少する余地ができてきたということがございます。それからいま一つは、町村合併のあとを受けまして、従来の市町村ごとに消防団がそれぞれ単独でございましたものが、漸次新しい市町村区域を単位といたしまして整理統合が進められてきたということがございます。それから第三には、市町村消防常備化が進んでまいりまして、いわゆる消防本部署を持つ市町村がこの間急にふえてまいりましたので、それらの関係で相当人員が節約できるようになったと思います。  以上申しましたような原因による減少は、これは理由のある減少でございまするので、消防力確保の上からは心配ないと思っておりますが、ただ、最近の私ども心配いたしておりますことは、都市化がだんだん進んでまいりますのに対応いたしまして、消防団員のなり手が少なくなってきておる。しかも、まだ、そういう市町村におきまして常備化も進んでいないというような地域が、相当ふえてまいっておるところでございます。あるいはまた、出稼ぎなり都市への通勤者がふえてまいりますことに対応いたしまして、団員が減少しているというようなところでございまして、そういう地域におきましては、必要な団員確保に支障を来たしておるというところも出てまいっておるわけでございます。
  85. 松澤兼人

    松澤兼人君 必要人員といいますか、最低の人員がどのくらいであるかということは、消防庁として計算ができることだろうと思います。なるほど、少なくなってもかまわない、あるいは少なくなる理由として、いまおあげになりました機械化の傾向、それから町村合併あるいは常備化の傾向というものは、少なくてもいい理由にはなりますけれども、しかし、消防対象物の増加というようなことから考えると、これは不足であるということの理由にもなるかと思います。  ところで、急激に発展したたとえば小さな市あるいは町などにおきまして、ニュータウンができたり、あるいは団地ができたりするような急激な変化に対応するには、いわわる消防職員も足りなければ、消防組織上の機構も十分でない、消防団員も足りないといったように、何もかも消防活動の面からいって不十分なところが目立ってきているのじゃないかと思うのです。この団地化のような、急激に何万という人口がふえ、あるいは何千世帯というような家数がふえるという急激な変化に対して、消防庁としては、どのような対策を持っていらっしゃるのか。
  86. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) ただいま御指摘のございましたような地域に対しましては、一つは、消防本部署指定をなるべくして常備化をはかっていくようにいたしたいということで、これは毎年の指定の中にそのような地域もある程度考慮して加えております。それからいま一つは、国軍補助金の配分を通じまして、そういうところには優先的に消防本部等の所要の施設を整備させるように指導しているということでございます。
  87. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういう団地の人々を常勤、非常勤の消防団員になってもらうということは非常に困難かと思いますが、そういう場所における消防団員の募集なり、あるいは委嘱なりということについては、どのようなことをやっておられますか。
  88. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 団地そのものから消防団員を募集するということは、実際問題として非常に困難なところが多いと思います。ただ、団地の所在いたしておりまする市町村全体として見ますと、これも、ところの状況にもよりまするけれども、相当団員確保できる地域もあるわけでございます。そこで、それにいたしましても、予防の面につきましては、周辺の団員の手にたよるということじゃなしに、これは団地みずから団地の住民が考えていかなきゃならぬところでございまするので、そういうところにおきましては、たとえば婦人防火クラブといったようなものの結成を呼びかけまして、とにかく・お互いに火事は出さないようにするというような思想を高めることに努力をいたしております。
  89. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは当然のことだと思いますけれども財政の非常に貧弱な市町村に急激に団地ができたというようなところでは、当分の間、消防組織につきましても、あるいは消防力につきましても不十分であることは免れないと思います。そうかといって、そういう団地の性格上、消防団員をその団地の中で募集し委嘱するということも困難なことでありましょう。そうすると、消防法なり、あるいは消防組織法なりで近隣の市町村がお互いに防火あるいは消火のために協力するという規定があると思うのでありますが、暫定的には、そういう団地が急激にとつ然として生まれたという場合には、当分の間、そういう防火、消火その他災害に対する事務について、一部事務組合であるとか、あるいはまた、消防事務を他の市に委託するとかいうことも考えられていいんじゃないかと思いますけれども、そういう具体的な事例ございますか。
  90. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) お話のとおりと思います。それで、本年度、消防本部署の政令指定を先般行なったのでございますが、その中で、団地のありますために急激に人口のふえました町といたしましては、たとえば東京都の清瀬町でありますとか、神奈川県の座間町でありますとかを指定をいたしました。なお、この一部事務組合をつくるという例といたしましては、東京都の村山町と大和町、この二つで組合をつくらせる、その上で指定をするというようなことにいたしました。
  91. 松澤兼人

    松澤兼人君 消防団員の数の問題ですけれども、百二十八万人という四十二年の消防団員の数は、常勤、非常勤と分けたらどういうことになるのです。
  92. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これはこの中で常勤の団員でございますが、これは千百四十七名でございます。
  93. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、あともうほとんど百二十七万というものは非常勤ということになると思うのですが、その非常勤の消防団員を特定の消防対象物、それから特定の期日あるいは期間を指定して立ち入り検査をさせるということになると、大体その危険あるいは予防、あるいは消火、あるいは火の気のあるものが家屋のそばにあるとかいうようなこと、あるいはガス漏れ、そういうようなことについて、はたして知識経験があるかどうかということを非常に疑問に思うわけですけれども、四条の二で、場所を指定し、あるいは期日、期間を指定してやるにしても、知識経験が十分でないというふうに私たち考えるのですけれども、その点はいかがですか。
  94. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) お話のとおりと存じます。で、先ほども申しましたように、この四条の二の規定を実際やっておりますのは、火災予防運動週間中とか、あるいは冬から春にかけましての火災シーズンにおきまして、かまどの検査をさせるとかいうようなことに、比較的多く行なわれておりまして、特定の危険物につきましては、お話のように、それ相応の知識経験を持った者でございませんとできませんので、これは団員の中のそうした知識経験を持っております者を特に命じてやらせるというようなこと、例外的なことになろうかと思います。そこで、全体として見ますと、お話のように、最近のプロパンなり、あるいはガソリン、灯油等の需要が農村部に普及をしてまいりました状況からいたしますと、この消防団員の中でも、非常勤ではありますが、若干の特定の者については、特別の教育訓練を施して、ある程度予防査察ができるようにするという必要はあるんじゃなかろうかと、これは今後検討してまいるべき課題ではなかろうかと、かように思っておるわけでございます。
  95. 松澤兼人

    松澤兼人君 防火週間とか防火月間とかいう時期に限って、非常勤の消防団員に四条の本条に規定しているようなことをさせるというのですが、長官自身も、個々の団員が必ずしも知識経験を持っているとも思われないようでありますが、防火月間とか防火週間とかに限って、かまどの火を注意しなさいというくらいならば、それはしろうとでもできましょうけれども、しかし、専門的になりますというと、どうも知識経験が足らないように思う。そこで、いま長官は、特別な訓練をしてということを言われましたけれども、そこで、一番おしまいのほうにありますいわゆる消防団員の訓練あるいは研修というようなことが、今度の改正で削られているように思うわけなんですけれども、もし常勤及び非常勤の団員の知識経験というものが十分でないということならば、それぞれしかるべき消防訓練機関あるいは教養機関というもので教養を受けさせるということが必要であるのに、そうでなくされたのはどういうわけです。
  96. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これはそういうことではございませんで、大いにこれから消防職員及び消防団員の教育訓練に力を入れていこうと、こういう考え方で提案いたしたものでございます。と申しますのは、この現在の九条の第四号の規定が設けられました当時におきましては、まだ都道府県消防学校というものが法制化されておりませんで、全国的に見ても、ごく特殊なところだけしか消防学校がなかったのでございます。したがって、市町村はこうした訓練機関を設けなければならないということにいたしておったわけでございますが、その後、私どものほうでも、消防学校の設置につきましては、国庫補助金対象にもいたしまして、全国の都道府県にできるだけ消防学校をつくらせるように指導をいたしたわけでございます。その結果、現在では、四十一府県消防学校が設けられることになったわけでございますし、それから市では、大都市消防訓練機関を持っておったわけでございます。そこで、私どもといたしましては、都道府県消防学校と、それから大都市の持っておりまする訓練機関と、これを両方消防学校として、その消防学校については、訓練の内容につきましても現在まちまちでございまするが、消防庁のほうで一定の基準を示しまして、それでひとつ大いに消防学校を充実強化をさせていこう、そして、できるだけ消防職員なり消防団員の訓練をやらせるようにしていこう、かような考え方をとりましたので、そうなりますと、五大市以外に現在、市町村の訓練機関というものも実際問題としてもございませんので、あとのほうを充実するということのために、九条のほうは不要になる、こういうことで削除することにいたしたわけでございます。しかし、この前、鈴木委員の御質問に対してもお答えいたしましたように、これは市町村の機関として、消防本部消防署と並ぶ機関としての訓練機関は、これは現在の学校を充実して、そっちに持っていこう、こういうことでございまして、それぞれ、いわば職場研修的な意味で内部的な訓練機関を設けてやっていくということにつきましては、これは多々ますます弁ずで、大いに今後もやっていくべきものである、かような考え方をいたしておるわけでございます。
  97. 松澤兼人

    松澤兼人君 県に一つだけの消防学校があって、それから一般の消防団員がそとで訓練を受ける、あるいは教育を受けるということになれば、時間的にも経済的にもかなり不便のように考えられますし、もしも自分の住んでいる、あるいは自分の働いている、居住地あるいは事業所のできるだけ近くにそういう施設があれば、それを利用すれば経済的にも時間的にも非常に便利だというふうにも考えられますが、もしかりにそういうものが、つまり、消防学校以外にそういうものができたとすれば、法制的にはどういうことになるのですか。これは非公認あるいはまたは非公認ということで、そういうところの教育訓練というものは、経歴の上で認められないということになりますか。
  98. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは別に消防学校の訓練を受けたから特定の資格が出るというようなものではございませんので、消防学校でございましても、あるいは訓練機関でございましても、その訓練を終了したということは、これはりっぱな履歴事項になろうと思います。
  99. 松澤兼人

    松澤兼人君 それでは、もし消防学校以外にそういう市町村の訓練機関があっても、それが一定の、ある程度の規格に合っているものであれば、それは、そこの訓練教育を受けたということは、消防団員としての経歴の一部になると、それを消防庁としても認めてやろうということですか。
  100. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) それはそういうことでございます。
  101. 原田立

    原田立君 けさほど「政令指定市町村消防状況調」、これをちょうだいしたわけなんですが、本部並びに署の設置数や、あるいはポンプの台数、あるいは人員等が非常にアンバランスになっているのをずっと見れるわけなんですけれども、たとえて言えば、人口十万台のところが中心、大体それを基本にしてあるということですが、石巻市では署が二、ポンプが七台、消防署員が七十人、そうかと思うと、加古川市においては、署が一、ポンプが三台、消防署員が四十九人、あるいはまた、山口県の山口市では、署が一、ポンプが三台、消防署員が三十九人、こんなふうに非常に高いのと低いのとあるわけですが、これは十万台のところの都市をピックアップしてみたわけですが、この消防市町村消防をやるのがたてまえでありますけれども、ちょっとその差がひど過ぎると思うのですね、その点の御所見いかがですか。
  102. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) そのとおりと存じます。
  103. 原田立

    原田立君 そのとおりと思う、それだけではあんまり答えが簡単過ぎますよ。私は、消防力強化するという意味でこういうのはまずいじゃないかということを強く指摘するために申し上げているわけです。もしなんだったら、さっきちょっと抜き書きしてずっと書いたのですけれども、あとでごらんになってもらえばいいと思うのですが、そのとおりですだなんて言うのじゃなしに、その弱いところ、市町村に対してももっと言わなければならないとお考えであろうと思いますけれども、所信のほどをお聞きしたいというのが先ほどの私の質問なんですから、そのとおりですというのでは困るのですが。
  104. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは先生の御指摘のとおりに、私もこのとおりで満足すべき状態だと毛頭思っておりません。これは、低いところにつきましては、早急にレベルアップするように指導をしていかなければならないと思っておるわけでございます。従来は私ども反省をいたしてみますというと、とにかく常備化を進めるのだということで、消防本部署の指定をできるだけ急いで多くの市町村についてやっていこう、こういうことで指定の数をふやすことを急いでまいったきらいがあったと思います。が、しかし、もうほとんどの市が指定を受けましたし、それ以外の町村におきましても、観光地等でその必要度の高いところにつきましては、これも相当指定を受けることができましたので、今度はひとつ中身の充実をはかっていかなければならない、かように反省をいたしておるわけでございます。そこで、先般も申しましたように、本年度指定をいたしますときには、それぞれ希望の市町村から施設人員充実の計画を出させまして、そして、その計画を実行する熱意のあるところ、と申しますのは、大体二年あるいは三年ぐらいの問に、ほぼ私どもが期待している基準までは整備できるというような見通しのあるところを優先的に指定するというような方針をとったわけでございます。で、ここに資料として御提出いたしましたのは、ちょうどことしが三年目になる、昭和四十年四月一日から施行をいたしたものでございますが、これも御指摘いただきましたとおりに、非常によく整備されておりますところと、そうじゃないところとあるわけでございますが、今後すでに指定されましたところにつきましては、私どもがむろん直接指導をすべきところは指導いたしまするけれども、やはり都道府県消防防災課におきまして、県内のそういう市町村指導をもう少し積極的にやるようにさせたい、かように思っておるわけでございます。昨年の改正で、都市等級に関する事務を、五大市と県庁所在地の市以外のものは都道府県に移譲することにいたしまして、本年度から実施することにいたしましたが、とれもそういうようなことによって、普通の市町村消防力につきましては、都道府県が実態を把握して、それに対して適切な指導をするという体制をつくろうという考え方でいたしたわけでございます。以上申しましたような心組みで今後この指導に当たりたいと、かように思っております。
  105. 原田立

    原田立君 小さな市町村なら、いま言ったような意味でわかるのですけれども、ちょっとメモをしてもらいたいと思うのですけれども、たとえば平市が三十三万八千四百七十人、これに対して消防署は六、ポンプが十三台、消防署員が百八十八人、それから同じような人口で横須賀市が三十二万六千七百八十四名、署が十です。ポンプが十九台、署員が二百四十六人。これに比べて大宮が、同じ三十三万一千三百三人で、消防署が三、ポンプが五台、消防署員が九十五人。人口が非常に接近しているのに、平、大宮、横須賀などをこうやって比べてみると、大宮がけたはずれに少ないのです。これは特に御注意になって指導なされたことがおありなのか、あるいは大ざっぱに言わないで、大宮なら大宮等について、もっと何か指導なされたことがおありなのか、その点はどうですか。
  106. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 大宮につきましては、特に指導いたしましたことはございません。
  107. 原田立

    原田立君 消防庁は全部全国消防関係を統轄して指導なさっていかれるのだろうと思いますし、もちろん、たてまえは市町村消防ですから、自治体がしっかりやらなければいけないということは、これは原則的にはっきりしているのですけれども、やはりけたはずれのところはちゃんと心得て、何らか消防力強化するように話し合いとか熱意とか、そういう努力をしないと、長官は先ほどから何度も何度も、計画を出さしてしっかりやらせるのだ、こう言っても、それはことばだけで実効は伴わないということになって、はなはだ不満な思いをするわけなんです。そういうことでなしにしてもらいたいと思うのですけれども、その点、御所見いかがですか。
  108. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) まことにごもっともな御指摘でございまして、ただいま仰せのとおりに、今後指導を積極的にやってまいりたいと思います。
  109. 原田立

    原田立君 ちょっと前の鈴木委員松澤委員と重複するような点があるかもしれませんけれども、その点含んでもらってお答え願いたいと思うのですが、この資料の七ページの一番初めのところに、「この法律は、公布の日から施行する。ただし、第一条中消防法第八条の次に二条を加える改正規定及び第二条中消防組織法第十四条の三の改正規定は、昭和四十四年四月一日から施行する。」、こういうことでありますけれども、ここのところだけ来年の四月というふうに延ばされたのはどういうわけですか。
  110. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 八条の次に二条を加える改正でございますが、これはある程度周知をはかる期間が必要であろうと考えております。八条の二は、高層建築物等におきまして管理系統が分かれておりますものについて、お互いに必要な協議をさせるということになるわけでございますが、こういう関係者は非常に多いわけでございますので、これらはよくこの法律の趣旨を徹底をさせて準備をさせるという必要があろうかと思っているわけであります。  それから八条の三でございますが、これはこれまでこの法律による規制のございませんでしたものに対しまして、新たに防炎処理をしなければならない、こういうことにいたしたわけでございますから、これもいわゆる施主に相当な負担もかけることになるわけでございまするし、やはり一年程度の準備期間を置くことが常識的ではなかろうかと、かように考えたわけでございます。  それから十四条の三の改正規定でございますが、これも今回新たに消防署長につきまして、「政令で定める資格を有する者でなければならない。」ということにいたしたわけでございますが、その資格を持った者を採用するということにつきましては、これもある程度の準備期間を置いて施行することが実情に合った措置であろうと考えたわけでございます。
  111. 原田立

    原田立君 そうすると。前の第八条の三ですね。このどんちょうやカーテン類の防炎加工について、明年四月一日以降というふうにしてあるのはいま御説明になったわけですが、四月一日以前に、来年にならなくともやるという、取りかえるというのは大いにけっこうな話だと思うのだけれども、なかなかそういうものがあるかどうか。それで、もしやらなかったらどうなるのですか、指導はなさるだろうと思いますけれども
  112. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 八条の三の規定でございますが、むろん、指導といたしましては、法律が成立いたしましたならば、なるべく早く一般に今度こういうことになったのだ、そこで、法律の施行の前でもできるだけ防炎性能を施したものを使うようにという指導はするつもりでございます。  それから法律が施行になりました後にこれをやらなかった場合にどうかという御質問だと思いますが、これにつきまして、実は罰則をつけようかどうかということを立法の過程においていろいろ検討もいたしたのでございますが、まあ、いきなり罰則をつけて強制することもどうだろうか、むしろ、相当一般にこのことの周知をはかってきた段階において、それでもなおやらないものについては罰則で強制する、こういう措置をとることがいいんではないかというようなことで、御提案いたしましたものについては罰則は設けていないわけでございます。しかし、法律上の義務であることには変わりございませんので、指導としては強力な指導をしていこうと思っております。それからなお、ものによりますると、立ち入り検査の結果発見いたしましたものにつきましては、消防法の五条の規定によって除去等の措置をとるということもあり得るわけでございます。
  113. 原田立

    原田立君 強力に指導と言っても、どうもすみません、さっそくやりますと言って全然ようやらないで半年も一年もほったらかしになるという、そういうおそれが非常にあるのではないか、となると、やっぱり罰則がつかなかったということは、今度の法改正はちょっとざる法になるのではないか、たいへん失礼な言い方をするようですけれども。そういう心配があるんですけれども、それはどうでしょうかね。というのは、先ほど東京都の消防総監山田さんのお話がありました、地下街に行ってみると、シャッターがおりるところに品物を履いてある、調べに行くと、すぐはずしますと言って、行ってしまったあとまたもとに戻すと言ってたいへん苦労しておるというお話もありました。だから、ただ強力な指導と言っても、これは法が守られないようなきめ方であって、ちょっと非常に手ぬるいのではないか、こんなふうに思うんですが、どうですか。
  114. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは対象物がなかなか取り締まりの実際から申しますと、非常につかみにくい点もあるわけでございまするし、それから技術的にもなお検討をする、研究をもっと進める余地もあるようでございます。それからまた、この前も鈴木委員から御指摘がございましたが、現在使用中のものにつきましては、この規定は適用にならないわけでございます。そういうようなことから考えてみますというと、同じ一軒の家でカーテンを何枚も使っておりますというと、これは前から使っておったのだ、これは新しくやったのだといったようなことで、なかなかつかまえることが取り締まり上もむずかしい点もあるように思います。そこで、御趣旨は、せっかくつくりましたものでございますから、これがざる法にならないようにしなければならないということは全く同感でございますが、明年四月から直ちに罰則をもって強制をするということがはたしてどうだろうかというような意見も内部にいろいろございまして、とりあえず法律上の義務を課する、そうして強力な指導をやっていって、実施の経過を見ました上で、さらにひとつ御検討をいただいて、罰則をつける必要があれば罰則をつける、こういうふうな段階を踏んだほうがいいのではなかろうかと、かように判断をいたしたわけでございます。
  115. 原田立

    原田立君 どんちょうも衣料品でありますし、カーテンも衣料品でありますけれども、カーテンといっても、こういうふうに分厚いカーテンもあれば、薄いぺらぺらのものもあるし、薄いぺらぺらなものでやるというのはどうかなというような、それこそ、そっちのほうが行き過ぎじゃないかという気がするわけです。で、たとえば織物であるにしても、どんちょうとカーテンを一緒にするということがどだい無理なんじゃないですか。どんちょうといえば非常に分厚い織物をなして、要するに、特殊なところしかない、カーテンというと、普通一般家庭から非常に多くのところに使われている、そういうふうに思うんですがね。
  116. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) どんちょうとカーテンと、比較のとりょうによりますとお話のようなこともあろうかと思いますが、ただ、火災の危険というようなことからいたしますと、どんちょうにいたしましても、カーテンにいたしましても、上からたれ下がっているものにつきましては、火がつきやすいし、つきました場合に急速に火炎を拡大させる原因になるわけでございます。そこで、防火上の見地からいたしますと、これは同様に取り扱ってしかるべきものじゃなかろうかと思っておるわけでございます。
  117. 原田立

    原田立君 同じというような意見だけれども、これは実際はそうはいきませんよ。どんちょうだったら特殊な加工品ですし、カーテンというのは一般品、特にカーテンなどは一般化されておりますし、それで、たとえば、どんちょうなんかでも、劇場とか旅館、こういうところは営業場所ははっきりしておるわけです。だから、これをみな四月一日以降新たにつくるところはこうしなければいけないと。従来のすでに使っているところ、これなども当然そこにこの法が及んでいくようなことを考えなければ、何度も言うようですけれども、ほんとうのざる法になるんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  118. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 最初におっしゃいました点でございますが、これはカーテンというのは、どこにありますカーテンでも押えようというわけじゃございませんで、地下街、劇場、キャバレー、旅館、病院その他政令で定める防火対象物というので、政令で定める防火対象物につきましては、集会場、演劇場あるいはホテル、老人福祉施設といったような不特定多数の者が集合、集会いたしますところでありますとか、あるいは避難能力が非常に劣っておりますような方々を収容しておる場所でありますとか、そういうようなところだけに限りまして、そこで使用するどんちょう、カーテンということにいたしておりまするので、そういう限定をいたしまするならば、まあ私どもはカーテンもどんちょうも同様に規制対象にすべきじゃないか、かように思っておるわけでございます。  それからなお、現に使用中のものは適用の対象としないということについて、これはざる法になるんじゃないかという点でございますが、率直に申しまして、私どもも、現に使用中のものにつきましても防炎性能を義務づけるといったようなことにいたしますのが、もう私ども立場からいたしますと非常に望ましいことでございます。しかし、ものによりますると、防炎処理をいたしますために相当な経費を要するものもあるわけでございまするので、まあ一般の立法の立て方といたしまして、相当な経費を要するようなものにつきましては、若干の経過規定を置くというのが通例のことでございまするので、この場合につきましても、さような措置をとった次第でございます。
  119. 原田立

    原田立君 管理分担がばらばらの高層ビルあるいは地下街などでは、明年四月一日以後、管理者たちが協議し、あらかじめ消防避難計画をつくっておかなければならない、こういうふうになっておるわけですが、従来は、現行法においては、このような規定がないから今度新しくつくったのだと思うのですが、そういうような場合、いままではどういうふうに指導してやっておられたか。
  120. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 従来もそういう場合におきましては、防火管理者がお互いに事実上協議会をつくりまして、そして共通の防火管理上の問題について相談をするようにしろということは指導はいたしておったわけでございます。そこで、実情を見てみますと、非常によくやっているところもございまするし、形だけで実際、活動していないというようなところもあるわけでございます。そこで、今回は特に高層建築物なり地下街、そのほか必要のあります防火対象物につきましては、これを法律上の義務として、そうした必要な協議をさせておくことにしようということにいたしたわけでございます。
  121. 原田立

    原田立君 消防庁自身が法的義務をよく守らせ、これを実行すべく強力な行政指導を行なうでありましょうし、それをやらなければ全然無意味になってしまう。それで、どう守り実行させるか、あるいは法的義務、罰則適用等々、それなんかは今後とういうふうに考えておられるか。
  122. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この自治省令の規定いたします内容でございますが、火災が発生いたしました場合の通報をどうするか、あるいは避難経路をどういうふうに確保することにするか、あるいは消防の訓練をどういうふうに一緒になって実施をするか、あるいは、この前鈴木委員からお話がありましたように、そうした場合に、一体だれが統括管理者になって全体の統括をやっていくかといったような共同の行動に必要な事項を自治省令で定めて協議をあらかじめさせておくようにしよう。しかし、協議をさせるだけでは実効があがりませんので、それを所轄の消防長、消防署長に届け出させることにする。その届け出を受けましたならば、消防長、消防署長がそれをよく点検いたしまして、なお改善をしたほうがいい点につきましては、指導をしてこれを改めさせる、こういうようなことにしていきたい、そういうことによってこれの実効を確保していくようにいたしたいと考えております。
  123. 原田立

    原田立君 この前もたしか質問が出たと思うのですが、管理者が名目だけきまっておって、自分自身が責任者であることの自覚あるいは管理者になっていることを知らないのが間々あります。こういうのは行政指導をする消防庁側にも責任があると思うのですが、よく本人たちに自覚させるために、引き続きずっと何か指導するような、そういう手段を講じなければならないのじゃないかと思うのですけれども、その点はどういうふうになさるお考えですか。
  124. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この法律が成立いたしましたならば、施行までの間におきまして、各消防庁あるいは消防署ごとに、ひとつ管内のこれに該当いたします防火対象物の防火管理者を集めまして、そして必要な講習会を開くというようなふうにさせようと思っております。
  125. 原田立

    原田立君 講習かなんかをやったり、一年に何回やるとか二年に何回やるとかいうようなことで意識は徹底していくのですか。
  126. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 講習会をやりまして、そこでこの改正規定の趣旨なり、実際に協議事項をどんなふうにきめたらいいか、そのほか必要な知識、たとえば、こういう建築物におきまして火災が起こりました場合に、一番問題になりますのは煙の問題でございましょうし、あるいはまた、それからの避難の問題ございましょうが、そういうようなことにつきましての一通りの必要な常識と申しますか、そういうようなこともあわせて教えていくというようなことにいたしたい、そして、これは何年に何回やるかというようなことは、これはそれぞれの消防長なり消防署長の判断にまかせるべきことでございます。十分徹底しなければ何回もやる必要があると思いまするし、また、講習会だけじゃなくて、ときどき訓練をやらせまして、それについて消防庁のほうで指導をするというような方法も適当かと思っております。
  127. 原田立

    原田立君 最近のビル火災も多く、死者も激増しているわけでありますし、特に長官のお話しになったように、煙に巻かれて窒息死する例が非常に多くて危険なわけですが、今回のこの消防法改正にあたって、いろいろ各省庁権限のなわ張り争いみたいなことで、不本意ながら今回のような提案にとどまったというようなことを聞いたことがあるのですが、このような提案にとどまった理由は何であるか、あるいはまた、今回の改正内容は非常に小規模のもので、今後のビル火災あるいは地下街火災等に役立たせるにあたって、きわめて不十分じゃないかと、こうぼくは思うのですが、その点はどうですか。
  128. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 立案の過程におきまして、他の省庁と折衝をいたしました事項はございますが、その結果、こちらが非常に不満足な形で折れたということはございません。他の省庁といろいろ意見の調整をいたしましたのは、八条の二と八条の三でございますが、八条の二は建設省との関係でございまするけれども、これも私どもの原案——当初からこのとおりの原案でごさいましたが、建設省もこれを了承をされたわけでございます。それから八条の三は、これは通産省と関係があるわけでございまして、通産省としては、こういう仕事は通産省が相当責任を持ってやりたいというような意向も若干あったようでございますが、いろいろ折衝いたしました結果、このようなことで同意をされたわけでございます。  それから、全体としてこれで一体、超高層ビル地下街の対策として不十分じゃないかという仰せでございますが、ここにあらわれました事項だけから見ますと、確かに、そのような印象をお持ちになることは無理からぬことかと思いますが、前回も申し上げましたように、実はこれは消防法関係法律事項となるものだけをここに拾ったわけでございまして、そのほかは消防法の施行令、あるいは施行令の下の自治省令で処置できますものが非常に多いわけでございまして、これはそれぞれこの法律が成立いたしましたならば、一緒にひとつ整備をすることにいたそうと、かように考えております。まあ消防関係の問題といたしましては、大体答申に盛られました事項はほとんどそのまま実行ができるんじゃなかろうかと思っております。ただ、先刻も御質問ございましたように、建築基準法関係のもの、これは建設省の所管になりまするので、建設省のほうで検討をいましていただいておるわけでありますが、こちらのほうも数をそろえてと申しますか、改正がなされませんと、これは高層建築物地下街防災対策としては片手落ちになるということになろうかと思います。     —————————————
  129. 津島文治

    委員長津島文治君) 委員異動についてお知らせいたします。  本日、八木一郎君及び岸田幸雄君が辞任され、土屋義彦君及び菅野儀作君が選任せられました。     —————————————
  130. 原田立

    原田立君 建築基準法改正しなければどうしようもないと、その点は前にも質問があり、ほんとにそうだと、こう思うんです。それに、常時どのような連綿会議が持たれているのか。長官みずから出て行って、それで話し合いしているのか、あるいは他の担当がきまってやっているのかどうか、その点どうですか。
  131. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この消防審議会答申ができます過程におきまして、建設省の官房長も消防審議会委員になっておられまするし、建設省の住宅局の担当の課長が幹事になっておりまして、常時どちらかが審議会にも出席をいたしております。そこで、私どもの担当の課、これは予防課でございますが、予防課長もその過程におきまして建設省の担当の課長としばしば連絡をとりまして、お互いに討議をいたしております。それらの結果も十分この審議会のほうにお取り上げいただいておりまするので、この答申に盛られております建築基準法関係のことにつきましては、建設省当局もおおむね賛意を表した形になっておるわけでございます。  それから、答申ができましてからその後の立法作業の過程でございますが、これも常時連絡を主管課同士でとっておりました。私どもといたしましても、向こうの素案を拝見をいたしまして、この点はまだ審議会答申からするというと、不十分じゃないかというようなことも指摘をいたしまして、いろいろ話し合いをいたしております。私も住宅局長と二、三度話し合ったこともございますが、住宅局長も今回の建築基準法改正については、消防、防災上の見地をひとつ十分取り入れるように、その点については従来の建設省の態度よりも非常に積極的な理解を持っておられるようでございまするので、建築基準法の作業につきましても、私どもとしては大体との答申が尊重されますように期待もいたしておりまするし、今後さらにしていきたい、かように思っております。
  132. 原田立

    原田立君 そうすると、消防庁予防課長がその窓口になって建設省と交渉している、こういうことですね。
  133. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) そのとおりでございます。
  134. 原田立

    原田立君 建築消防はいろいろと関係も深いし、常時設置してあるような連絡会議なんてものはあるんですか。
  135. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 常設の連絡会議というものは別にこしらえておりませんけれども、私どもが三階で住宅局が四階でございまするから、これは常時必要があれば接触をいたしております。
  136. 原田立

    原田立君 三階と四階だから常時やっているということで連絡はうまくいくと思いますけれども、やはりこういう高層ビル火災あるいは地下街の問題、火災ですね。これらは非常に激発しそうな、あるいは一つでも起これば非常に危険なことになるのですから、これは三階と四階だから、近いからいいというのではなしに、常時、連絡会議を持つというような方向に向いたほうがいいんじゃないでしょうか。
  137. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 三階と四階と申しましたのはちょっと訂正さしていただきますが、昨年、建設省が新しい庁舎をうしろへ建てましたので、それからはちょっと隣同士になりましたが、しかし、非常にお互いの意思の疎通をよくいまはかっておりますので、わざわざ連絡会議という名前のものでございませんでも、実質的に連絡会議を持ったような形で常時接触をさせておりますし、今後もさようにやってまいりたいと思います。
  138. 原田立

    原田立君 十分そのつど連絡をするということは、その答弁は私としては、はなはだ不満足なんです。やはりこういう都市対策的な面からいっても、問題が起きてから相談するというのではなしに、問題が起きない前に、法律並びにいろんな諸点を検討してやっていくのが、ぼくは消防庁長官の役目じゃないかと思うのです。いままでのいろんな取り上げ方を見ると、事故が起きてからいつも手をつけている、いつも後手後手じゃないですか。だから、消防力の問題にしても、大東京だってまだ六割か七割だというような、こんな始末、そういう後手後手といくようなことでなしに、やはりここら辺で先手先手といくべきじゃないか、そういうことで常置の連絡会議等を持っていったほうが、むしろもっと建設関係なんかに消防の意向というものが強く反映するのではないか、こんな気でいるわけです。それはやらぬということだけれども、そういう方向で検討なさったほうがいいのではないか、これはぼくの意見ですから。  それと、最近大都市ばかりではなく、地方の中都市等も商店街のビル化、あるいは不燃化が著しく進んでおるし、さらに交通難とも相まって地下街がふえてきている。防災的見地から見れば、危険な要素は、ただ大都市ばかりではなしに、中都市にまでも全部及んでいる。それで、プロパンガスの問題、これは去年やりましたけれども、こういうプロパンだとか、あるいは新建材等の対策はどういうふうになさるのか、あるいは中都市消防力は総体的に低下している現状なんですけれども、そういう中都市充実策、これはどういうふうにお考えですか。
  139. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 新建材の点につきましては、最近の火災の経験に徴しましても、これは何とか対策を早急に講ずる必要があると思いまして、私どもも研究をいたしたのでございますが、これがやはり建築基準法の所管と申しますか、法律ではそういうことになりますので、建設省で次の改正の際にこれをぜひ織り込んでもらうように話をいたしておるところでございます。  それからプロパンにつきましては、昨年御審議をいただきました際に、私どものほうの改正と並行して、通産省で液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律案を立案中だということを申し上げましたが、その後、御承知のように、この法案が昨年末の臨時国会で成立をいたし、今年の三月一日から施行になっております。で、この法律によりますると、保安の基準につきまして通産大臣が消防庁長官意見を聞かなきゃならぬということになっておりまするし、それから施設の許可をするについては、関係消防機関意見書を添付しなきゃいかぬといったようなことにもなっておりまするし、また、消防機関が是正すべき点を発見いたしました場合には、都道府県知事に是正命令の要求ができるといったようなことになっておりまするので、法的措置としては、当面、私はこれで消防機関としてはこれらの規定を十分活用することによって、プロパンに対する対策が取り得るんじゃなかろうか。そこで、できるだけこの法律の運用がよろしきを得ますように、現在指導をいたしておるところでございます。  それから中都市消防力が貧弱じゃないかというお話でございまして、これは確かに御指摘のように、中都市の様相がだんだん変わってきております。高層建築物もどんどんできておりまするし、危険物施設もどんどんふえてきております。そこで、中都市消防力充実につきましては、私どもも格別関心を持って協力をしてまいりたいと思っておるわけでございますが、具体的には消防施設の国庫補助金あるいは起債等の配分にあたって、できるだけ積極的に消防力拡充しろということをこちらからも呼びかけをしてやっておるような状況でございます。
  140. 原田立

    原田立君 建築基準法改正しなきゃならないということで進んでいるんだろうと思うんですけれども、それは東京消防審議会答申した、あの内容で進めていくのか、何か消防庁としても基本要領というようなのは持っておやりになっているのですか。
  141. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 基本方針と申しますか、私は、まあ、高層建築物なり、地下街におきましては、この内装材料については、原則として不燃材料を使わせると、こういうような規制をすべきだと思っております。しかし、まあ、これらにつきましていろいろ建材の種類もございましょうし、技術的な問題もございましょうから、こまかい点は建設省でも御検討願い、私どものほうでもいろいろ消防研究所にも検討させておるわけでございますが、基本的な考え方は、超高層地下街の場合には不燃材料でなければならぬ、こういうようなことにすべきじゃないか、そういう構想で考えておるわけでございます。
  142. 原田立

    原田立君 不燃材料といったって建物はコンクリートでできるんだろうけれども、中のいろいろな施設まで不燃材料と、そういうことですか。中には、それこそカーテンだってきれだし、机は木だし。
  143. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 法律上は不燃材料、あるいは準不燃材料、難燃材料というような幾つかの段階を設けております。その段階の区別については技術的にいろいろあるようですが、私も詳しく承知いたしませんが、要するに、私、不燃材料と申しましたのは、常識的に言うて燃えない、燃えにくいものということで、あとはものの性質によってなお検討はしてみたいと思います。
  144. 原田立

    原田立君 実はこれは何新聞だったか、ちょっと新聞は忘れましたが、その社説の中に、火災を出さないような設計、これがまず第一番、第二番手に、出しても被害を最小限度にとどめるような各種の配慮、三番目に、最後の場合に備えての計画、これがすべでそろって、そして建築許可がおりるという、そういうような仕組みにしなければならないのじゃないか、こういうような意見が載っておりましたけれども、そんな点はどうなんですか。そういうような意味合いの考えもあって、それを建設省なんかにも主張するというのかどうか。そこら辺を聞きたかったわけなんですけど、そういうようなお考えはないんですか。
  145. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) こまかい点は私も正確にはもう少し検討をいたした上でお答えしなきゃいかぬかと思いますが、気持ちといたしましては、先生のおっしゃいますように、建築の設計、計画の段階におきまして、ただいま御指摘のありましたような点を十分配慮してやるべきだと、かように思います。
  146. 原田立

    原田立君 東京都議会で四十三年、ことしの三月二十八日付で、総理、建設、自治、各省に、高層建築物及び地下街等に対する関係法令の改正に関する意見書というものが出されたと、こう言われておるんですが、具体的にこの検討にはもうお入りになったのか、いつからやるのか、この点はどうですか。
  147. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この意見書を拝見いたしますと、大体、私ども消防審議会答申中心にいたしまして検討をいたしてまいっております事項でございます。この中ですでに取り上げておりますものもございまするし、それから、これから法令の措置あるいは指導をする、あるいはまたこの中でも、ただいまお話のありましたように、建築基準法関係のことにつきましては、建設省とも話し合っている事柄ほとんど全部、私ども検討の対象にいたしておりますものでございます。
  148. 原田立

    原田立君 第四条の二に、「当該管轄区域内の消防団員消防本部を置かない市町村においては、非常勤の消防団員に限る。)に前条第一項の立入及び検査又は質問をさせることができる。」、こういうふうになるわけですが、第四条の場合には常勤の消防団員とし、ここでは非常勤の消防団員としたのは、これはどういうわけですか。
  149. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは条文の整理の関係でございまして、第四条で今度新たに常勤の消防団員を加えることにいたしましたので、したがいまして、第四条の二には、いままで消防団員とありましたものの中から、常勤の消防団員の分はもう規定が要らなくなったわけでありますから、ここでそれをはっきりいたしますために、第四条のところでは、こっちは非常勤の消防団員に限るんだということを規定をいたしたわけでございます。
  150. 原田立

    原田立君 じゃ、そうすると、常勤、非常勤にかかわらず、消防団員にはこういう立ち入り及び検査または質問させることが全部にできるんだと、こういうことですね。
  151. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) ちょっと違うんでございますが、現在、現行法では第四条の二で消防団員はできるわけでありますが、第四条の二は防火対象物の限定をいたしまして、それからまた期日、期間を限定をいたしまして、特に必要がある場合ということで非常にしぼっておるわけでございます。ですから、現在は消防団員にはそうした非常な限定を受けた制限のもとでしか立ち入り検査ができない。しかし、その消防団員の中で、今回は常勤の消防団員には消防職員と同様な立ち入り検査権を与えることにしよう、どういうことにいたしたわけでございます。
  152. 原田立

    原田立君 よくわかりました。  第二十六条に、都道府県は、消防職員及び消防団員の教育訓練を行うために消防学校を設置しなければならない。また、指定都市消防学校を設置することができる。こういうふうにあるんですけれども、その構成、規模、内容、期間等は具体的にどういうふうになっているんでしょうか。あるいはまた消防の場合には、従来、人手不足とか予算不足とか、こういわれていて、はたしてこういう規定をつくってもきちんとしたものがつくれるのか、そういう財政的裏づけなどがあるのかどうか、そういう点はどうなんですか。
  153. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 消防学校につきましては、二十六条の第一項の規定で、都道府県は設置しなければならないと、こういうことになっておりまするから、数年前から都道府県に対しまして、建築をいたします場合の経費について国庫補助の対象にいたしまして奨励をしてまいったわけでございます。そこで、現在は四十一道府県消防学校ができております。それから今度の改正案のその次の項でございますが、現在、大都市には九条の規定による消防職員及び消防団員の訓練機関がつくられております。これはまあ実際は通称消防学校と申しておりますが、法律的には都道府県のつくるものだけが消防学校で、大都市のつくるものは訓練機関と、こういうことになっておりましたが、内容は大都市のつくっておりまする消防訓練機関は非常に充実いたしております。そこで、今度は都道府県消防学校と、それから大都市のつくっておりまする訓練機関も、これは消防学校という名称にいたしまして、これを大いにさらに教育内容充実していきたい。と申しますのは、現在は学校はかく多くの府県にできましたけれども、その行なっておりまする教養訓練の内容につきましては、たしか二県は六カ月、初任教養をいたしておりまするが、大半の府県は初任教養が三カ月未満でございます。ひどいところは一カ月なるかならぬかというくらいのところでございます。そこで、同じ消防職員の初任教養につきましても、非常なレベルにつきまして格差があるわけでございます。しかし、法律改正のたびに消防職員の責任が重加されてまいってきておりまするので、まあ私どもとしては、この際、全国消防学校の教育内容の質を一定のところまでレベルアップするようにいたしたい。そういたしますためには、ひとつ消防庁が、たとえば初任教養についてはこういう内容で何カ月ぐらいやるというのを基準にしろというような基準を示すようにしてみたい。そうして、それに応じた、財政的にはこれは交付税の基準財政需要額に算定されることになりまするが、これにつきましても、さらに充実するようにしていきたい、こういうのが二十六条関係改正の趣旨でございます。
  154. 原田立

    原田立君 その一つ消防署からほんの少数の人が全県的に集められてやるのだろうと思うのですけれども、訓練に出したので人手不足というようなところで、訓練に出したあとの職員の手薄化というようなこと、そういうことは考えられないのですか、こういう心配はないのかどうか。
  155. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 現実にはそういう心配があるわけでございます。そこで、小さな市町村になりますと、消防学校へ出しても、その間、人手が足らなくなるということで、なかなか出したがらないということになるわけであります。そこで、本年度から政令で、新たに消防本部署を置くように指定をいたしましたところにつきましては、本部署が発足をいたします準備期間の間に、署員の予定者に消防学校の訓練を受けさせる、そのために発足が何カ月かおくれてもいいじゃないかというような指導をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  156. 原田立

    原田立君 発足がおくれていいということになることはあまりよくないと思うのですが、ただ、要するに、学校はつくったけれども人員が不足で出せない、そこに出ればもっとしっかりした専門知識を得てたいへん力になるのに、出なかったばっかりに処置を誤って大火になってしまったというようなことがあっては何にもならぬ。これはおくれてもいいだなんということは、私は、うんと言うわけにいかないけれども、そこらの辺のちゃんと訓練が受けられるように体制としてはすべきじゃないか。それで、先ほども山田消防総監ですか、のお話の中にも、査察のところで、現在、東京は一署に十五人だけれども三十人はぜひほしいと言うし、あるいはまた、現在二部制をやっているけれども、三部制をぜひやっていきたいと言うし、そうすると、二千五百人ほど増員しなければならないというようなことになるというようなことを仰せになっておりましたが、そこら辺、一緒にあわせていかがですか、こういうことは検討してみようというか、あるいは実現不可能な意見なのかどうか。
  157. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 東京で何人あと必要かということは別といたしまして、全国的に見てまいりました場合に、予防業務がだんだんと質的にも量的にも増大してまいっておるということは御承知のとおりでございます。したがって、それに対処できるような体制を消防としてもつくっていかなければならないということは言うまでもないわけでございます。そこで、私どもといたしましては、基準財政需要額の中に計上されまする消防職員の人員でございますが、これを漸次増加するようにしてまいりまして、本年度も前年度よりも増員をいたしております。そうして、総額をふやすと同時に、その中で予防関係の職員もふやすようにということを指導をいたしておるわけでございます。個々の市町村をとって見ますというと、相当、予防関係の職員を充員いたしておりますところもございまするし、まだ不十分なところもございます。これらは市町村の規模、あるいはその市町村内における予防業務の態様にもよっているわけでございまして、一がいには申し上げられませんけれども、全般として、先生の御指摘になりましたように、予防関係人員をもっと充実をしていかなければならぬというふうに考えております。
  158. 原田立

    原田立君 大臣がお見えになっているので、そこのところを一緒にあわせてお答え願いたいと思うのですが、消防力強化していくということについては、基本的にははっきりしているのだろうと思うのですが、今度、四十三年度ですね、基準財政需要額が四十二年と比べると約三百何十億か多くなっている。このことを、さっき山田総監はたいへん喜んでいるというようなことであったわけですが、この消防基準財政需要額、今後もいろいろな年次計画等を含めてもっと増額していくような考え方ですね、基本的な考え方がおありになるかどうか、その点はどうですか。
  159. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) 基準財政需要額に計上されておるものが昭和四十二年八百十六億、四十三年で千四億になっておりますが、やはり火事で失われる国富というものは意外に大きいですから、やはり消防予防面にも十分努力をいたさなければならぬと、かように考えております。
  160. 原田立

    原田立君 十分意を尽くしていくということは、じゃ、今後も減るようなことなく、ずっと増額せしめていく努力を払う、こういうことですか。
  161. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) もちろんそのとおりでございます。
  162. 原田立

    原田立君 じゃ、最後にもう一つ。長官、先ほどのお話の中で、消防法第七条の同意についてはもっと強化してくれ、法律上ではイエスかノーかしか言えないようになっているので、結論を出す前によく話し合いたいし、消防側での修正権があるようにしてもらえれば、現場としてはたいへんうれしいんだというような意見がありましたけれども、これは具体的にどう受けとめておられるのですか。
  163. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) いま消防の現地の責任者として、山田総監がかような意見を述べられましたお気持ちは私もよく了解できるわけでございます。ただ、立法上、これを建設機関が許可いたしますものを、消防が、同意ではなくて、さらに修正もできるというたところまで改正することがいいかどうか。また、いいとしても、そういうことが実現の可能性があることかどうかというようなことになりますと、私は相当これはむずかしい問題ではないかと思っております。しかし、せっかくの御意見でありますから、よく検討はいたしたいと思います。そこで、運用上、山田総監も言っておりますように、正式の文書で同意したということを回答いたします前に、建築機関と消防機関がよく事前に連絡をとりまして、そして消防側から見てなおすべきところは、その事前の連絡の段階でこれはなおさせるというような運用をしていくことによって、私はその点は相当解決を見るんじゃなかろうか。この点はせんだって鈴木委員からも御指摘がございましたように、やはり建築機関と消防機関との連携を緊密にしていく、こういうような方向で当面ひとつ考えてみたらどうだろう、かように思っておるわけでございます。
  164. 鈴木壽

    鈴木壽君 長官、この前の消防法改正のとき、去年です。附帯決議も衆参両方でつけられておりますし、それから質疑応答の中に、将来こういうふうにしたいとか、こういうふうにするんだとかというような問題も幾つかございましたので、それについて、実はきょう一つ一つ、それがどういうふうになっており、どう措置されたのか、お聞きをしたいと思いましたが、時間もございません。ですから、きょうここで口頭でやりとりをしないことにしたいと思いますが、つきましては、これはあとでけっこうでございますから、簡単な文書にしてひとつお出し願えたらいいと思うんです。それは、いま申しました附帯決議に対してどう措置をし、あるいはどういうふうにこの措置が進行しておるのか、こういうこと、衆参両方の附帯決議を通じてひとつそれをお願いしたい。  それから会議録の中に、いま申しました質疑応答の中に、いろいろ、こういう問題はこうするとか、こういうふうにしたいとかというふうなことをお答えになっておられるのでありますが、たくさんありますけれども、めんどうでもそれをちょっと拾っていただいて、いま私二、三申し上げてもいいですが、それについていまの時点でどういうふうになっているのか、どうやられておったのかというようなこと、簡単でいいですからやっていただければいいと思います。たとえば、この会議録の九ページのところに、予防査察のことにつきましていろいろLPガス等のあの問題についてのものがありますし、十一ページ、十二ページ等においては、たとえば危険防止のための協力の問題であるとか、市町村の海上消防力の整備の問題、あるいはそれに関連して海上保安庁でやっております二十四年協定の改定の問題、こういろいろありますものですから、私いま一々あげるのを避けますが、ひとつこの中から懸案になっているようなもの、あるいは将来こうなるというふうにお答えになっていらっしゃるところを、簡単にそれがどうなったかというようなことをひとつ出していただくように、そうすればきょうは私はこれでやめます。
  165. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) さよう取り計らいます。
  166. 鈴木壽

    鈴木壽君 したがって、きょう審議は終わることになりますので、いずれあとで、いただいたものにつきまして他の機会にさらに消防庁のほうへお尋ねをするということも出てくるかと思いますが、その節はよろしくお願いしたいということを委員長にお願い申し上げて、それでは私やめます。
  167. 津島文治

    委員長津島文治君) ほかに御質疑はありませんか。——別に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認め、これより討論を行ないます。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。
  168. 船田譲

    ○船田譲君 ただいま議題となっております消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意を表するとともに、この際、私は、各派提案による修正案を提出いたしたいと存じます。修正案文はお手元に配付いたしておりますので朗読は省略させていただきます。  この法律案につきましては、今日まで本委員会におきまして慎重に審議を重ねてまいりましたが、内閣提出案におきまして、市町村における消防職員等の訓練機関設置の規定を廃止することとされていることにつきましては、市町村消防をたてまえとする現在の消防制度のもとにおきましては、必ずしも適当な措置とは考えられませんので、これら改正規定につきまして所要の修正を加えて、市町村は訓練機関を設けることができる旨の規定をしておく必要があると存ずるものであります。  以上がこの修正案の概要であります。何とぞ皆さまの御賛成をお願い申し上げます。
  169. 津島文治

    委員長津島文治君) ほかに御意見もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決をいたします。  まず、討論中に述べられました修正案を問題に供します。  本修正案に賛成の方の秦手を願います。   〔賛成者挙手〕
  170. 津島文治

    委員長津島文治君) 全会一致でございます。よって、本修正案は可決せられました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  171. 津島文治

    委員長津島文治君) 全会一致でございます。よって、修正部分を除いた原案は可決され、本案は全会一致をもって、修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、船田君から、各派共同提出にかかる附帯決議案が提出されております。船田君の説明を求めます。船田君。
  172. 船田譲

    ○船田譲君 私はこの際、ただいま修正議決されました消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、各派共同により附帯決議案を提出いたしたいと存じます。  ただいまから委員の皆さまのお手元に配付してございます案文を朗読いたします。     消防法及び消防組織法の一部を改正する     法律案に対する附帯決議案   政府は、左の諸点について、特段の配慮をし  善処すべきである。  一、最近における都市建築物の態容等にかん   がみ、本法の施行にあたっては、有効適切な   指導その他の措置により、人命等に対する保   護対策を徹底すること。  一、高層ビル地下街等に対する防災対策の万   全をはかるため、すみやかに建築基準法等関   係法令の整備を行なうこと。  一、消防財政充実強化をさらに推進し、もつ   て各市町村における消防力の向上を期するこ   と。   右決議する。  以上であります。何とぞ皆さまの御賛成をお願いいたします。
  173. 津島文治

    委員長津島文治君) ただいまの船田君提出による附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  174. 津島文治

    委員長津島文治君) 全会一致でございます。よって本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、赤澤自治大臣より発言を求められております。これを許します。赤澤自治大臣。
  175. 赤澤正道

    ○国務大臣(赤澤正道君) ただいまの御決議、まことにもっともでございますので、十分尊重いたします。
  176. 津島文治

    委員長津島文治君) 本案の審査報告書につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  177. 津島文治

    委員長津島文治君) 地方交付税の一部を改正する法律案昭和四十三年度地方財政計画に関する件を一括議題といたします。  補足説明を願います。細郷財政局長。
  178. 細郷道一

    政府委員細郷道一君) 補足説明をさせていただきます。  最初に、地方財政計画について、お配りいたしました資料によって御説明させていただきたいと思います。
  179. 津島文治

    委員長津島文治君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  180. 津島文治

    委員長津島文治君) 速記を起こして。
  181. 細郷道一

    政府委員細郷道一君) 地方交付税の一部改正に関する法律案について補足説明をいたします。お配りしてございます資料の法律案というところがございます。十枚ほどめくったところに青い表紙が一枚入っておりますが、そこに法律案がございますので、それによって御説明させていただきます。  最初の第十二条の改正は、その一ページの終わりのほうにございますように、特別事業債償還費を今回基準財政需要額に算入をいたすことにいたしておりますので、その測定単位として新たに設ける必要がございます。それによる改正でございます。  それから二ページは同じく市町村分について同様の改正をいたしております。  それから三ページにいきまして、第十二条第二項の表の改正は、特別事業債償還費という測定単位の説明に関する規定でございまして、たびたび申し上げておりますように、四十一年度において一般補助事業または直轄事業に充てられました特別事業債の発行許可額をもってそれに充てるということが四ページのところに書いてございます。  それから五ページにいきまして、第十三条の第五項の表は、これは補正の適用についての規定でございますが、二行目の社会福祉費のところで段階補正の下に新たに密度補正というのを入れました。これは保育所につきまして、保育所の児童数によってその実態を加味した密度補正を新たに採用したい、こういうことからここに補正を適用する旨の改正をいたすわけでございます。  それからなお戸籍費、住民基本台帳費、戸籍費につきましては、従来、戸籍住民登録費として一本でございましたが、昨年、住民基本台帳法ができましたので、それによって区分をいたしたものでございまして、実質的な改正ではございません。  それから六ページに、第十三条の第九項として、「人口、学校数その他の測定単位の数値が急激に減少した地方団体を加える。」、従来も人口の急減について補正を行なっておったのでございますが、その適用の範囲をふやしまして、人口以外にもたとえば林業、水産業、鉱業の従業者数、そういうものにつきましても数値の急減補正を取り入れる。過疎と申しますか、後進地域等におきます一つの対策として市町村分についてそれを適用したい。また、小中学校の学校数が減る、統合によって減った場合に、従来でありますと、普通交付税はすぐ落ちるわけでございますが、それを激変緩和をしながら落としていこう、こういうことでございまして、そういうふうに急減補正の範囲を広めようというための改正でございます。  それから七ページにまいりまして、附則の六項ですが、昭和四十三年度に限って四百五十億円を交付税の総額から減額をいたし、特別会計法の特別会計によりまして二百五十億円を加算する、借り入れをするという規定でございます。  それから七項はそれの償還の規定でございまして、四十四年度から四十六年度までは百五十億ずつを加算をする、それぞれのその年の交付税の額に加算をするということでございまして、さらに二百五十億借りたものにつきましては三カ年間でそれぞれ償還をいたしますので、その分を減額する予定でございます。二百五十億の償還につきましては、四十四年度は八十五億、四十五年も同じく八十五億、四十六年が八十億と、こういうふうに考えております。  それから八ページの第九項でございますが、これは特別事業債償還交付金についての規定でございまして、そこにございますように、四十一年度において特別に発行を許可された地方債の償還にかかる経費を基準財政需要額に算入いたしますので、四十三年度から五十六年度までの各年度に限って、以下に定めておりますようなところによりまして特別事業債償還交付金というのを出すという、これが根拠の規定でございます。  第十項は、その特別事業債償還交付金の総額は、四十三年度分はもうすでに決定をしておりますので、九十億円と定め、四十四年度から五十六年度までの各年度分にあっては政令で基準を定めまして予算に計上した額とする、こういうことでございます。政令におきましては、各年度分の元利の償還額を書きまして、それにその前年度の交付団体分の需要額の比率を定める、それを乗じたものを毎年の償還交付金の額とするというふうにしたいと思っております。要するに、交付団体分の元利償還金を毎年度定めていく、そういう基準を、計算の基礎を政令に書きたいと存じております。  それから十一項からは、特別事業債の償還交付金につきまして普通交付税と同じように扱って計算をしていくという技術的な規定でございます。  それから一一ページの別表、これは御承知のように、単位費用の金額の改正でございます。人件費等を含んでおりません。特定の費目を除きましてはほとんどの費目につきまして単位費用を改定をいたしております。  なお、一五ページのところに、特別事業債償還費、これにつきましては、県分は千円につき百二十六円、それから一九ページに、市町村分は千円につき九十円ということになっております。府県市町村で違いますのは、府県には政府資金以外の公募資金を割っておりますので、それだけ償還金利分が高くなっているということでございます。  それから二一ページの附則でございます。二項で、四十三年度におきましては災害復旧事業債について繰り上げ償還をすることにいたしておりますので、それに必要な測定単位を四十三年度限り設けるという規定でございます。そこの二一ページの「七災害復旧費」の終わりから二行目がそれでございます。「災害復旧事業費の財源に充てた地方債の昭和四十四年度以降において償還すべき元金の昭和四十三年度における繰上償還額」、これが繰り上げ償還の測定単位としての規定でござ  います。  それから二二ページ以降にございますのは、すなわち第二項の表の中の改正は、いま申し上げました繰り上げ償還の対象となる測定単位の説明についての規定でございまして、その規定は、ずっとめくっていただきまして、三〇ページから三一ページに改正して付け加わる部分が書かれてございます。「三十九の二」としてございますが、そこにございますように、「国庫の負担金を受けて施行した災害復旧事業に係る経費又は国の行なう災害復旧事業に係る負担金に充てるため昭和二十七年度から昭和三十七年度までの間に発行を許可された地方債で自治大臣の指定するものに係る昭和四十四年度以降において償還すべき元金を昭和四十三年度において繰り上げて償還する場合における当該償還すべき元金」、こういうことでございます。いま申し上げましたのは府県分及び市町村分通じてでございまして、その際の単位費用につきましては、三二ページに、千円について千円の額を財政需要額として計算をするということにいたしております。  それから、三二ページの最後の行の第三項は、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律、その中で、過去三カ年の財政力指数を使うことになっておりますが、昭和四十一年度は特別事業債の発行がございました特別な年でございますので、その年度は除外をして三年間の平均を取るのだという関連規定でございます。  以上が地方交付税法の一部を改正する法律案内容でございます。  それでは、続いて地方財政計画について御説明をいたします。  最初の一ページに策定の方針が書かれております。そこにございますように、一つは税負担の軽減をはかる。  それから第二は、「財源の適正かつ効率的な配分につとめ、地方経費の重点化を徹底する。」という考え方のもとに、(1)として、道路目的財源の充実をはかる。それから(2)に、「道路交通安全施設の設置に要する費用に充てるため」の「交通安全対策特別交付金を交付する。」、それから(3)は、過疎、過密策の一環として、「都市過密対策事業、辺地対策事業および公共用地の先行取得事業等に要する地方債を増額するとともに、地方交付税配分の合理化を推進する。」、それから(4)は、「地方公務員の給与改定等年度途中における事情の変化に対処するため、あらかじめ財源を留保する。」。  それから第三は、「財政運営の効率化を進めるとともに、財政秩序を確立し、地方財政の健全化を促進する。」ものとして、一つは、「行政機構の改善と定員管理の合理化をはかる」、そして既定経費の節減をするということでございます。それから、第二は、四十三年度に限って交付税を四百五十億円減額し、また二百五十億円を別途借り入れをする措置をとるということでございます。それから第三は、「二百五十億円の地方債について、償還期限を繰り上げて償還を行なう。」、それから第四は、「一般財源の増加に伴い、地方債への依存度を引き下げる。」、これは国庫補助事業等の地方債につきまして、一般財源による交付税需要増額をすることを見返りに地方債を減らしたわけでございます。それから第五は、特別事業債償還交付金というものを交付すること、それから第六は、超過負担問題の解決をはかろう。来年度は三百二十億円の超過負担の解消というものをはかっております。それから最後に、地方財政の実態を考慮して人件費等について規模是正を行なう。計画に盛られておりませんでした部分につきまして、拾えるものについては今回計画に新たに入れることにいたしました。  それから第四の柱といたしましては、地方公営企業の経営健全化ということで、一つは、「一般会計との負担区分に基づく一般会計からの繰出しに必要な財源を確保する。」、財政計画上に去年よりも相当の増額をして計上いたしました。それから第二は、下水道についての公営企業金融公庫の貸し付け利率の引き下げ、あるいは料金の高い水道事業についての地方債の低利借りかえ等の処置を講じております。  そこで、便宜、歳出のほうの一四ページ、検出の概要というところがございますが、これからごらんをいただきたいと思います。以上の方針によって策定されました地方財政計画の歳出のおもな増減事由というのが、この第八表でございます。  で、給与関係経費のうち、給与費として二千四百八十四億の増、その内容は、そこからそれぞれ項目に分かれておりますが、昨年の給与改定の平年度化、それから昇給等に基づく増、特別職の給与等の改定増、それから警察官及び高校教員等人員増に基づく増、それぞれ法律、政令等に定められております増員分でございます。それから規模是正による増、規模是正による増といたしまして、三万四千六百六十九人を新たに財政計画の中に組み入れたのでございます。それから定員合理化によります減は、警察官、消防職員、それから教育職員等を除きまして、来年度一%の合理化減を立てております。その他等を入れまして、給与費全体で二千四百八十四億と、それに恩給費を加えまして、給与関係経費として二千五百四十七億、そのうち一般財源としては二千百四十九億円、こういうことでございます。  それから第二は、一般行政経費としまして、その内訳として、国庫補助負担金を伴うもの、いわゆる生活保護、結核、児童保護、精神衛生等の国庫負担金を伴うものは、それぞれ国の予算に対応して計上をいたしております。それから、国庫補助負担金を伴わないものとして千六百四十一億円、新たに去年よりも増加計上をいたしております。この中には、一方では節減の八十九億円を含めておりますが、反面では、年度内に追加需要として起こるであろう経費として八百五十億円をここに計上をいたしております。こういうふうにしまして、一般行政経費全体としましては二千百三十八億円の増、うち一般財源として千七百四十九億円の増、こう相なっております。  それから次に三番目に公債費でございますが、六百六十三億の増、この中には二百五十億の繰り上げ償還分が入っております。  それから維持補修費は従前と同じようなベースでございますが、若干の節減をいたしております。  それから五番目に、投資的経費としては全体として二千百六億でございますが、このうち直轄事業並びに国庫負担金を伴うものにつきましては、それぞれ国の予算に対応するものを計上いたしております。それから国庫補助負担金を伴わないものにつきましては九百九十二億円の増を立てておりますが、その内訳としまして、普通建設事業として九百七十九億円、さらにその内訳として一般事業費は三百九十億円、長期計画事業費——御承知の道路でありますとか、港湾、治水、そういったような長期計画事業費につきましては四百五億、それから交通安全対策事業費として百八十四億円、こういうようなものを含めて国庫補助負担金を伴わないいわゆる単独事業に計上をいたしております。  それから六番目は公営企業の繰り出し金、先ほど方針のところで申し上げましたような考えのもとに百三十五億円を計上いたしました。  最後に、不交付団体における平均水準をこえる必要経費として六百三十八億円。  全体で、歳出の増として八千三百三十七億円と、こういうことでございます。  で、前に戻っていただきまして三ページでございます。三ページは歳入について地方税、それから地方譲与税、地方交付税、特別事業債償還交付金、交通安全対策特別交付金、国庫支出金、地方債、使用料及び手数料、雑収入と、こういうふうにそれぞれの費目につきまして歳入の見積もりをいたしております。  増減額で額の大きいのを申し上げますと、地方税は四千六十二億円、昨年に比して二一・一%の増でございます。それから地方交付税は二千百九十二億円の増、これはすでに四百五十億円、二百五十億円の操作をした後の数字でございます。前年対比二四・六%でございます。それから特別事業債償還交付金と交通安全対策特別交付金は、それぞれ本年度から新しい費目でございます。国庫支出金につきましては千五百六十三億円の増、特にそのうち公共事業費につきましては七百二十二億円の増、こういうことになっております。地方債は前年対比三十八億円、依存度を引き下げた関係上、伸びが少なくなっております。  こうしてできました歳入のトータルは五兆六千五十一億円でございまして、前年対比八千三百三十七億円、全体としては一七・五%という伸びでございます。なお、国の予算は、昨年の当初に対してやはり一七・五%の伸びと、こういうことでございます。そして五ページをごらんをいただきたいと思います。  歳入歳出のそれぞれの構成比があがっております。歳入につきましては、昨年と比較をいたしますと、地方税、交付税で二%、一%と増になっております。反面、国庫支出金と地方債でそれぞれ減が立っております。それから歳出のほうでは、給与関係経費で一%の減、一般行政経費で一%の増、そのほか投資的経費が一%減になっておりますが、最後の平均水準をこえる必要経費で増で、全体が一〇〇になっております。  以上が大体地方財政計画の概要でございます。六ページ以下はそれぞれの内訳資料でございます。  簡単でございますが、説明をさせていただきました。
  182. 津島文治

    委員長津島文治君) 両案件に対する審査は後日に譲りたいと存じます。  次回は、四月二十五日午前十時三十分開会の予定でございます。本日は、これにて散会いたします。   午後四時四十九分散会      —————・—————