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1968-04-12 第58回国会 参議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十二日(金曜日)    午前十一時三十九分開会     —————————————   委員異動  四月九日     辞任         補欠選任      植木 光教君     鬼丸 勝之君      大谷 贇雄君     鈴木 万平君      竹中 恒夫君     大谷藤之助君  四月十日     辞任         補欠選任      鬼丸 勝之君     植木 光教君      鈴木 万平君     大谷 贇雄君      大谷藤之助君     竹中 恒夫君     ————————————— 出席者は左のとおり。     委員長         青柳 秀夫君     理 事                 植木 光教君                 小林  章君                 西田 信一君                 柴谷  要君                 中尾 辰義君     委 員                 青木 一男君                 大竹平八郎君                 大谷 贇雄君                 徳永 正利君                 林屋亀次郎君                 藤田 正明君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 野上  元君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君    政府委員        人事院事務総局        任用局長     岡田 勝二君        人事院事務総局        職員局長     島 四男雄君        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省主計局次        長        相沢 英之君        大蔵省主税局長  吉國 二郎君        国税庁長官    泉 美之松君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        大蔵省主税局税        制第一課長    大倉 真隆君        国税庁税部長  川村博太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○国立病院特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○所得税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。去る四月九日、植木光教君が委員辞任され、その補欠として鬼丸勝之君が委員選任され、次いで四月十日、鬼丸勝之君が委員辞任され、その補欠として植木光教君が委員選任されました。     —————————————
  3. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) この際、おはかりいたします。現在本委員会理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任いたしたいと存じます。選任の方法は、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。それでは、理事植木光教君を指名いたします。     —————————————
  5. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 国立病院特別会計法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。二木政務次官
  6. 二木謙吾

    政府委員二木謙吾君) ただいま議題になりました国立病院特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び概要を御説明申し上げます。  この法律案は、従来一般会討で行なってまいりました国立療養所経理を、新たに国立病院特別会計において行なうこととするものであります。  御承知のように、国立療養所は、これまで、戦後におけるわが国の結核対策を推進する上に大きな役割を果してまいったのでありますが、これに加えて、近年は国民疾病構造の変化に伴う各種の長期慢性疾患重症心身障害進行性筋萎縮症等の新たな医療需要にこたえることが強く要請されているのであります。しかしながら、現在の国立療養所施設の多くは相当老朽化しておりますので、このような時代の要請にこたえるためには、すみやかに、かつ、計画的にその整備を促進し、充実した医療を行ない得る体制を確立する必要があります。今回の改正措置は、国立療養所特別会計に移すことにより、その収支を明らかにし、なお足らないところは一般会計から補足する措置を講じまして、その経理を明確にいたしますと同時に、ただいま申し上げましたような国立療養所実情にかんがみ、特別会計において借り入れ金の導入、資産効率的活用予算弾力的運用等を行なうことにより、その施設設備整備を促進し、あわせて経営円滑化をはかろうとするものであります。なお、国立療養所のうち、らい療養所につきましては、その特殊性にかんがみ、引き続き一般会計において経理することといたしております。  次に、この法律案概要について申し上げます。  新たに国立病院特別会計において国立療養所にかかわる経理を行なうことといたしましたことに伴い、同会計病院勘定及び療養所勘定に区分いたしますほか、療養所勘定においても、施設費を支弁するため必要があるときは借り入れ金をすることができることとし、また、各勘定相互間の資産の移動に関し必要な規定を設ける等、所要規定整備をはかることといたしております。なお、昭和四十三年度暫定予算の期間中に行なわれる支出及び債務の負担並びに収入国立病院及び国立療養所にかかわるものは、暫定予算が失効することとなった場合には、この会計の各勘定において行なわれたものとみなすことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  7. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 補足説明を聴取いたします。
  8. 相沢英之

    政府委員相沢英之君) 国立病院特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。  現在、国立療養所は、らい療養所十一施設を別にしまして、全部で百五十七施設ありますが、そのうち、精神療養所が六、脊髄療養所が一で、残り百五十施設はすべて結核療養所であります。このように、従来、国立療養所中心課題結核対策の推進にあったのでありまして、結核患者数の減少が予想される今後におきましても、国立療養所結核医療に果たす役割り重要性はいささかも変わりはないものと考えられるのであります。  一方、近年における新たな医療需要に対応するため、昭和三十九年度以降、毎年進行性筋萎縮症に対する病床の新増設を行なってきており、さらに、昭和四十一年度以降重症心身障害についても病床整備を進めておりますが、この方面における国立療養所役割りは今後もますます増大してまいるものと考えられます。しかしながら、現在の国立療養所施設は、戦前からありました旧軍事保護院、旧日本医療団等施設を引き継いだ老朽木造施設が大部分を占めておりますので、以上のような要請にこたえて国立療養所が十分にその使命を果たしていくためには、これらの施設設備計画的整備を促進する必要があるのであります。  以上のような状況にかんがみまして、今回、国立療養所経理一般会計から特別会計に移すとともに、予算内容におきましても画期的な改善をはかったのであります。すなわち、昭和四十三年度国立療養所歳出予算は総額四百二十億円を計上いたしておりますが、これを前年度と対比いたしますと、補正予算に対し六十八億円、一九・四%の増、また当初予算に対しては七十九億円、二一二・二%の大幅増加となっております。  これを内容的に見れば、まず、施設整備費については、新たに十五億円の借り入れ金を導入するとともに、不用土地売却収八十八億円をこの財源に充てることとして六十三億円を計上しておりますが、これは前年度予算に対比して約三十億円の飛躍的増額となっております。そのほか、医療内容の充実及び患者サービス改善をはかるため、医療機械器具整備費患者用品費等についても大幅な増額をはかっているのであります。このような国立療養所所要経費につきましては、その経営実態からいたしまして、診療収入をもってそのすべてをまかなうことは期待することができませんので、その収支の差額につきましては一般会計から繰り入れることとし、四十三年度予算におきましては、一般会計からの受け入れ二百六億円を計上いたしております。  なお、国立療養所特別会計に移りましたことに伴い、特別会計予算総則にいわゆる弾力条項規定を置き、療養所収入その他の収入予算額に比して増加する場合には、これを療養所事業のため直接必要な経費支出に充てることができることとして、医療経営円滑化をはかることといたしております。  以上、簡単ではありますが、国立病院特別会計法の一部を改正する法律案につき、補足して御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。     —————————————
  9. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  10. 柴谷要

    柴谷要君 税制調査会は、かつて間接税と直接税の比率がどうあるかについては、結果的にそうなるのであって、ある意図をもって均衡を変更する必要はないといっております。今年度国税収入直間比率を見ますと、四十二年度補正予算後の数字は三九・九%、四十三年度予算で見ますると四〇・三%へと間接税伸びております。これには意味があると考えていいのか、均衡していると考えるべきか、この点をひとつお答えを願いたいと思います。
  11. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) ただいまお尋ねでございましたが、間接税と直接税の比率につきましては、御指摘のとおり、税制調査会では、常に直間比率というものは一定のものがあるのではなくて一全体の税の均衡をはかって、その結果として出てくるものであるということを言っております。ことしは、御承知のとおり、一方で所得税を減税いたしておりまして、他方、間接税については、たばこの益金を含めまして、増徴をはかっております関係で、昨年よりも〇・四%程度間接税比率は上がっておりますが、四十一年をごらんいただきますと、四十一年は四〇・七%であったわけでございまして、昨年の四十二年度におきましては、御承知のとおり、法人税が異常な伸びを示しましたのと、所得税相当伸びを示しまして、補正後の姿では、当初の四〇・七が三九・九と下がったような事情がございますけれども、これらは、いま御指摘のような、ことし若干それが上がったということは特別の意味があるというふうにおとりいただくものではないと私ども考えております。よくいわれますように、直接税から間接税に比重を移すというような意図で行なわれたのではなくて、毎々申し上げますが、今回の間接税増徴も、間接税のうちの従量税率をとっておりますものが、従量税を据え置いた関係税負担率が相対的に下がったのを是正するという意味でございますから、むしろそこで均衡がはかられて、その結果として四〇・二%に戻ったということであると考えております。ちなみに、昭和三十年当時におきましては間接税比率は約五〇%でございましたが、この後、直接税が非常に増収になってまいりまして、相対的に現在の六−四の比率に下がってまいったわけでございますが、これも特別の意図でそこに下がってきたというよりは、経済の動きによる課税標準の違いによってできたことだ、かように考えておる次第でございます。
  12. 柴谷要

    柴谷要君 大蔵大臣は、昨年でしたか、売り上げ税というものを創設をしたいというようなことをちょっとほのめかしたことがある。酒、たばこ物品税を来年度も上げないとしたら、歳出の増大、国債圧縮を考えますと、もう一度売り上げ税提案をするのではないかというふうに予測されるわけですが、税調が再開される際にこの問題を諮問される意図があるのか、政府考え方をお尋ねしておきたいと思う。
  13. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 売り上げ税につきましては、一昨年の中間答申におきましては、当面これを問題にするというものではないという態度を示しております。ただ、御承知のように、最近のアメリカの輸入課徴金問題に関連をいたしまして、ボーダー・タックス・アジャストメントということが非常に問題になりました。これは売り上げ税の一形態と考えられております付加価値税を徴収している国々におきましては、その付加価値税の徴収によって物価水準が上がる。したがって、輸出にあたっては、他の国の水準よりも高い物価輸出をしなければならないので、付加価値税相当分を払い戻すということ、さらに、輸入にあたりましては、すでに国内生産物課税されているにひとしい付加価値税相当額を付加して輸入する必要があるというので課徴金を取ると、こういうことをやっております。それが非常に表に出てまいりました。一部の方面では、売り上げ税を実施して同じようなことをやるべきではないかという意見どもございます。私どもといたしましては、税制調査会長期答申をつくります際には、もちろん間接税についても意見をまとめていただくつもりではございますけれども、何しろ売り上げ税というものを創設するといたしますと、ごく低い率で概算をいたしましても相当大きな収入のオーダーになるわけでございます。それだけに、経済に与える影響も非常に大きいと思われますが、先ほど申し上げましたような付加価値税体系をとりましても国内物価水準相当に上がるというようないろいろなむずかしい問題がございます。これについて早急に結論を得るということはとうてい困難だと思っております。したがいまして、いま御指摘のような、来年度というような問題として提起されることは、まず私としてはあり得ないと考えている次第でございます。
  14. 柴谷要

    柴谷要君 次は、課税最低限の問題ですが、給与所得者標準家族で百万円課税最低限引き上げについて、大蔵大臣は、四十五年度には初年度べースで達成できると思うと、こういうことを国会で答弁されておるのでありますが、もう少し配慮をすることによって四十四年の平年度ベースにこれが採用できないものかどうか、政府の努力でこれはできるような気がするわけでありますが、この点について政府見解をお尋ねいたします。
  15. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 給与所得につきまして、標準世帯、あるいは夫婦子三人の世帯におきまして、収入金額百万円までを課税最低限にするという考え方は、御承知のとおり、政府としては四十五年度ということで申してまいりました。大蔵大臣が、先般、初年度ベースでも実行可能ではないかということを言われたのは、ことし平年度で八十三万円程度初年度で八十万円をこえておりますので、ことしのベースで十万円ずつ来年、再来年とやれば初年度計算でも百万円になるという意味で申し上げたと思うのでありますが、来年度それを実施するという問題は、一年間でそれをやるとすれば、やはり所要額としてはことしの減税額の倍額を要すると思います。そういう関係で、来年度財政事情その他を考えますと、来年度これを実現するのは、どうもいまの段階では困難であると私も思っております。少なくとも四十五年には実施をいたしたいというのが大臣のお考えでもあり、私ども事務当局考え方でもあるということでございます。
  16. 柴谷要

    柴谷要君 この点はまだまだ大いに議論してもらいたいと思うところですが、標準家族という定義ですけれども昭和四十年の国勢調査によりましても、世帯人員平均は四・〇五人になっているのですね、五人世帯は、九千三百五十二万世帯のうち、四%にも満たない三百七十五万世帯、こういう結果になっている。それですから、標準世帯ということになれば、これは当然家族構成が四人、こう見るのが妥当ではないか。国民所得計算などは、いつの間にか新しい計算になっておるのでありますから、標準家族四人世帯百万円の課税最低限、こういまから言い直したほうがいいように思うのですが、これはいかがでございましょう。
  17. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 御指摘のとおり、課税人員の中で見ますと、夫婦子三人の世帯は一六・七%かと思いますけれども、御承知のとおり、納税人員の中で一番多いのは単身世帯、ことに給与所得者単身世帯が多いわけであります。そういう意味では平均は確かに四・〇五になりますけれども、私どもといたしましては、従来から課税標準負担軽減継続性という意味夫婦子三人をとってまいったわけでございます。あるいは標準世帯という言い方を変える必要があるかどうか、その点はあるかもしれません。最近は、実はこれはたいへんかってな言い分でございますが、夫婦子三人という表現をとっておりますのもその意味で、負担軽減継続性を明らかにする意味夫婦子三人を続けておるというふうにお受け取りいただきたいと思う次第でございます。
  18. 柴谷要

    柴谷要君 次は、給与所得控除は、ことしの改正で平年度分百十万円の所得の人は最高限二十八万円となっています。これが事業所得者でありますと、経費が三割ぐらいといたしましても、百十万円所得の人は三十三万円となる。これがまあ二百万円の人だというと六十六万円にもなる。あるいはその経費のほうがよけいかかって赤字になったというような場合さえ事業所得者の場合にはある。事業所得者には青色申告白色申告とあります。帳簿をつけ、正確に政府に協力している人には青色という恩典を与えている。それから、事業専従者控除は、白色定額でありますが、青色完全給与制が行なわれている。で、給与所得者はみんな青色申告者のようなもので、政府に非常に協力しているわけですね。ところが、恩典がさらさらない。証明できるような経費については、これは認めてやってもいいのではないかと、こうまあ考えるわけですが、その計算ができないものについては定額処置をとるけれども計算のできるものについては恩典を与えてやる、こういうようなことが税の公平な上から見ても、当然事業所得者と、あるいは給与所得者との、何といいますか、政府がとっておる処置をにらみ合わして見た場合に、給与所得者にもそのような恩典を与えてしかるべきではないかと、こう考えるわけでありますが、この点について政府見解をお尋ねいたします。
  19. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 所得税におきましては、所得計算の大原則と申しますものが、収入から収入を得るに要した経費を引くというのが大原則だと思います。事業所得者の場合は、御承知のとおり、たとえば生産者でございますと、いわゆる生産コスト、原料の仕入れとか、そういうものがあるわけで、非常に収入に対して大きな経費割合になることは事実でございます。ところが、給与所得者の場合は、収入に対する必要経費範囲というのが、いろいろ私ども計算をしたこともございますけれども、なかなかむずかしい問題でございます。ことに家事関連経費に近いものが大部分でございます。それを分類をいたしましていろいろ計算をかつてやったこともございますが、なかなかいわゆる必要経費として多額な控除ができるまでの積み上げ計算ができないというような事情もございます。一方、税制といたしまして、確かに仰せのような必要経費を書き出せば、それで認める制度、そしてそれができないものはスタンダードのデダクションをやるというような制度もございますが、執行の実際を見ますと、そのスタンダードで引いておるということでございまして、給与所得者の場合の必要経費は、先ほど申し上げましたように、家事関連関係が多いために、かえって複雑な結果になる。むしろ給与所得控除をできるだけ合理的に考えてこれを引き上げていくという方向が現実的ではないかという考え方を私どもいたしておるわけでございます。で、給与所得控除にいたしましても、その内容は、一般所得水準が上がり、生産水準が上がりしてまいりますと、内容的にもかなり必要経費範囲がふえてくるということは予想できるところでございます。そういう意味では、できるだけ給与所得控除合理的引き上げという方向で対処していくことが現実的であり、また、紛争を避ける意味で実際的ではなかろうかというのが私ども考え方でございます。
  20. 柴谷要

    柴谷要君 いま局長が御答弁になっておりますけれども柴谷の質問したことも一理あるから、そういうことも行なわれればいいじゃないかというような気持ちが多少腹の中にあるのではないかと思いますが、私は、やはり必要経費というものは給与所得者の中でも相当最近叫ばれてきている。特に給与所得者の中でも最近強くそれを主張して、国税庁がある程度認めておる部面があると思う。それは芸能人であり、野球選手とか何とかというものについてはある程度認めておると思うのですが、この点をひとつ国税庁の知っている範囲で教えてもらいたいと思います。芸能人あたり必要経費はどの程度みておるのか。野球選手なんかにある程度みておるような話を聞いておるのだが、一体どういうふうにみておるのか、そういう点を国税庁自体がやっていることについて聞かしてもらいたい。
  21. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 芸能人等、いわゆる自由職業者に対しまする課税におきましては、記帳のない方々に対しては一般的に標準率を適用して課税しております。記帳をされておる方々につきましては、その実態に応じまして経費を認めるという方向で処理をしております。なお、標準率と申しましても一本ではございませんで、実情に応じまして、収入金額段階に応じまして、おおむね五割ないし六割程度所得率課税しておると考えております。
  22. 柴谷要

    柴谷要君 それは、そういう説明だというと皆さんがわからんでしょう。だから、具体的に聞きたいのだけれども、たとえば芸能人といっても歌舞伎俳優ですね、特に知名人である左団次であるとか歌右衛門であるとか、そういったような知名人年間収入がたとえば数千万円あると、こういうような事例の中で、その経費の一体何%ぐらいを必要経費として認めて控除対象にしているのか。それから、巨人軍で言えば金田とか長島とか王とかという選手が受けている俸給は新聞に出ておりますね、こういう選手に対してどのくらい免除しておるのか、具体的に説明してください。これはあなたのほうに資料はあると思います。
  23. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) ただいまのそういう方方は事業所得者でございまして、記帳がございますれば青色申告が受けられるわけです。いま御質問になりました個々の課税資料につきましては、ただいま手持ちしておりません。もし必要であれば後ほど御説明いたしたいと思います。
  24. 須藤五郎

    須藤五郎君 関連。映画の監督、作者、そういう人たちは、要するに作品を書くためにどこどこの旅館、ホテルへ行くとか温泉地に行くとか、そういうこと全部経費として落とされているでしょう。ホテルで飲んだ酒代も何もかも全部経費になってこれは落とされているんですよ。ぼくはそれを知っておりますよ。これは一例にすぎませんけれども、その金額相当私は多額になっていると思うんですね。それから、お医者さんも相当経費が落とされているということを私ども知っているんですよ。それが悪いとはぼくは言わないですよ。そういうことをやってさしつかえないと思うんですよ。しかし、そういう落とされる面というものはサラリーマンにはさらさらないわけなんですよ。しかし、問題は、サラリーマンだってやはり必要があるんですよ。私だって、やはり国会で質問しようと思うと参考書も買わなければならぬし、それから、人を頼んできて勉強しなければならぬ。その勉強するためには、その人にめしも食わせなければならぬ、交通費も出さなければならぬ、これは全部議員たちはやっていることですよ。議員を例にとってもそうなんですが、議員だけではないです。すべてのサラリーマンがそういうことは必要なんです。第一、通勤には通勤の定期代が要るでしょう。ところが、サラリーマンはそういうことは全部なしで、もう月給や何か差し押えをくっているようなものなんです。ぼくらは最初からそれで源泉徴収でいやおうなしに差っ引かれる。全く今日のサラリーマンほどひどいことはないのですよ。そういう面をおそらく柴谷さんが追及していらっしゃるだろうと思うのです。もっと必要ならぼくはちゃんと具体的な資料を持ってきます。いま持っていないけれども、それが悪いと言うのじゃないのですよ。
  25. 柴谷要

    柴谷要君 いま須藤先生が言われましたように、悪いのじゃないのです。いいことなんですよ、やっていることは。だけれども給与所得者にも必要経費というものはあるのだ、だから、それに対する何らかの措置政府は考えないかということをぼくは言いたい。そういうことなんですよ。だから、野球選手なんかも、考えようによっては、なんだ、人を喜ばして高額をもらっている、それを必要経費を差し引くのはけしからぬ、こんなけちなことを言うのじゃない。かれらはかれらなりに、人気のあれですから、必要経費というものがある。それから、また、俳優さんなら俳優さんには必要経費が大いにある。そういうものにしているならば給与所得者のことも考える必要があるということを力説したいから申し上げたのです。だから、隠さずに、正直にものを教えることが大事です。それはあなた方だって、役人で成功していこうとするには、やはりいろいろと要ると思います。要ると思うのだが、そういうものが大っぴらじゃなくても、日常の必要経費の中にある程度認められるということになったら、これはたいへんいいことじゃないか。だから、われわれ国会議員が、先ほど須藤先生が言われましたように、確かに思わぬ必要経費が要っているわけですよ。しかし、それを税務署のほうではそうは考えてくれておらないというきらいがありますね。だから申し上げるわけなんですけれども給与所得者サラリーマン、とにかく赤子の手をねじるよりもっと簡単に給料から差っ引かれるこの人たちに何らかの方法はないか、こういうことを言いたいものですから質問するわけです。いかがですか、同感というお答えが出ませんか。
  26. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) ただいま御指摘がございましたように、自由職業者の場合は給与所得に非常に近い形をとっておりますが、内容はまさに事業所得でございまして、そういう意味では、いわゆる必要経費という形で控除が行なわれておりますが、その場合では、いま御指摘がございましたが、これはもう船橋聖一先生にさんざんやられた問題でございます。たとえば船橋先生のお説でございますと、自分の家の隣にやかましいのが来ると小説が書けないから、隣の土地を買った、これは必要経費だ、こういう仰せがございました。それは違うのだ、家事関連経費であるというので、これは否認をいたしております。ですから、確かにその査定についていろいろ問題があるかと思いまするけれども、旅館に行って飲んだ酒代も、実を言うと税務計算は分けているわけでございます。当然家にいて飲むべき部分というのは引いておるのでございますから、なかなか私はそれはむずかしいところでございます。いま御指摘のように、給与所得者も同じようなことがあるんじゃないかという点でございます。給与所得者の場合には勤務しておる、これは言い方が悪いのでございますが、勤務しておればそこで収入は得られるわけであります。あと追加していろいろ努力する人もございますけれども、それは収入を得るための必要経費とまでは言えないというような面、それをどこで区分するかというようなのはなかなかむずかしい問題でございます。そこで、私どもとしては、そういう実態を踏まえながら、給与所得控除も最近思い切ってどんどん上げてまいります。そういう方向給与所得控除として解決をしていくことが必要ではなかろうか。頭打ちにしても、もう少し高いところで頭打ちをする。かなり収入に比例して必要経費がありそうだということは常識でも考えられる。そういう点を考えまして、ことしも最高限度平年度で二十八万円まで上げましたけれども、私どもとしては、これはさらに十分な根拠をもって引き上げたい、かように念願をしているわけでございます。
  27. 柴谷要

    柴谷要君 これはいつまでやっておりましても時間がきてしまいますから、次に移りたいと思います。とにかく給与所得者の税に対する協力の態度というものは、これは事業所得者などと違って、青色申告で申告をしているものよりもっと私は高く国家に協力していると思う。そういう協力者に対する恩典を与えてやるという税の扱い方が私は必要じゃないかという点から申し上げておる。大いに検討していただきたい。  次は、ことしも寄付金控除の限度額を手直した改正を行なっておりますね。この控除を受けた人員、それから、税額について、四十一年分所得税でよいから、大体受けた人員、税額、これらをひとつ御説明願いたいというのが一つ。  それから、これは直接的にはともかく、間接的に私学の振興に役立つものと考えるけれども、その中での区分はどのようになっているのか、わかっていたらばひとつ教えていただきたい。まずこの二つを先にお伺いいたします。
  28. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) 細部にわたりますので、私からお答え申し上げます。  第一点の御質問につきましては、四十一年は現在の制度と違いまして、税額控除でございましたのですが、税額控除の実績は二億八百万円と出ております。四十二年から制度改正がございまして、四十二年税法以降は所得控除になっております。実は四十二年の申告分のこのこまかい部分までの集計がまだ出ておりませんので、これは後刻わかりましたら別の機会に御報告いたしたいと思います。
  29. 柴谷要

    柴谷要君 人員は、わかりますか。
  30. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) 人員は、四十一年分ははなはだ少のうございまして、三千六百人ということになっております。この点につきましては、御承知の足切り限度を漸次小さいほうへ改善いたしてきておりますので、今後人員の増加を見込めるのじゃないかと考えております。  なお、第二点の御質問の、寄付金控除の対象が私学とその他でどうなっておるか。これは申しわけないのでございますが、実はそういう統計をとっておりませんものですから、ちょっとただいま判明いたしておりません。
  31. 柴谷要

    柴谷要君 それでは次ですけれども、四月九日の新聞に私学白書というものが出ている。その行き過ぎた借金経営が学生の過大な負担を招き、低所得者の子弟から大学進学の機会を奪いつつあると、こういうふうに批判しているわけです。私学の経営問題は、これは文教委員会にまかせるにしても、この低所得者の教育費の負担増大はどうか、これを考えてみますると、彼らの親たちは、文字どおり身銭を切ってわが子を教育をしている。非常な苦しい思いをしながらもわが子の教育に専念をしているというのが実情じゃないかと思うのです。こういう意味で、余裕のある人の寄付金控除より、特に低所得者のために教育費控除というものを新設すべきであると私は考えるのですが、有能な人材を多数社会に送り出すためにも、まあその親の、といいますか、低所得者のためにりっぱな教育を受けさせることができない、こういう状態がかもし出されることはまことに残念なことだと思うので、教育費控除というものを新設するような考えのお持ち合わせがあるかどうか、この点をひとつお聞かせ願いたいのです。
  32. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 教育費控除の問題は再三本委員会でも御指摘のあった問題でございまして、私どもも、教育費が非常に高くなってきている、生計費の調査の中でも、いわゆるその他というものが非常に増大してきている、その相当部分が教育費であるということも認識はいたしております。ただ、御承知のような所得税の現況でございますと、これも毎回御指摘を受けるのでございますが、高校を卒業して一年目というような者でもまだ課税になるという状況でございますので、それだけに、その間、高校、大学に進学しているものが特別な経費控除を親が受けられるということまで、まだそこまでまいらぬのではなかろうかということでございまして、もちろん英才と申しますか、多くの人に勉学の機会を与えるという意味では、育英資金とか、あるいは育英資金のための寄付金の控除とかいうことは税法の上でも考えておるわけでございます。それで、教育費控除となりますと、そのおのおのの担税力の問題としてとらえてまいりますから先ほど申し上げましたような問題がございます。現在の段階では、なお教育費控除を設けるということには相当な困難があると思いますし、積極的な支出としての育英資金という形でございますとかなり公平が保てると思いますが、教育費自体は、そのおのおのの学校の選択その他によっても違ってまいりますし、そういう意味では、育英資金の強化とか、あるいは税法上の育英資金のための寄付金は指定寄付にいたしております。その方面で考えていくということで当面進めていくよりほかないのではなかろうかというのが私ども考え方でございます。課税最低限その他がもっと合理的になって、大学卒業の初任給が課税にならぬという程度になってまいりますと、これまただいぶ考え方が違ってくるかと思います。
  33. 柴谷要

    柴谷要君 育英資金というのは、それはないよりあるほうがましなんだけれども、結果的にはそれは一時的に立てかえてもらっているということで、将来返さなければならぬということですから、そこに最近は返さない者があるので、特に強制取り立てをするとか何とかいう問題が起きるわけですね。そういうことではなしに、わが子の教育をするために親が身銭を切って苦しい思いをしているんだ、そこを税の面で何とかできないか、こういうことなんで、そういう面にひとつ大蔵省は考えるべきで、いま言ったように、育英資金のほうへ逆に力を入れなくも私はいいと、全く逆だと、だから、いま言ったように、教育費控除の面を取り上げて大いに検討すると、きのう大蔵大臣が入場税の問題で須藤先生にいい答弁をしたそうですから、きょうは私にいい答弁をしてもらいたいと思いますね。そのくらいのことがあってしかるべきだと、そういう意味でひとつ検討してもらいたいということを申し上げて、次の問題に入ります。  次は、所得税課税単位についてまず伺いますけれども、現在の所得税課税単位は、所得税が設けられて以来、個人単位で行なわれてきたが、現在の社会生活の実態から見て、必ずしも万能のものであるということは言い切れない。そこで、所得水準の上昇の激しい現在、一定額以下については二分二乗方式を採用して実質的負担の軽減をはかるという考え方をしたらどうか、こういう方式をとることを税制調査会等に考えてもらえないか、あるいは政府もそういうような方法を考えて、実質的な負担の軽減をはかるような方向に努力をする意思がないかどうか、この点をお尋ねしておきたいと思います。
  34. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 御承知のように、世帯課税の問題は世界各国非常にむずかしい問題として取り扱っておりますが、アメリカでは、御承知のとおり、憲法問題がございまして、二分二乗制度がとられております。ドイツも四、五年前からこの二分二乗制を採用いたしております。フランスはさらに多くて、世帯単位で分けるというような方式もとっております。この点につきましては、実は世帯単位課税の問題として、税制調査会でも相当突っ込んだ検討をしていただいたのでございますけれども、この二分二乗制をとりますと相当に大きな減収が生ずることは、事、当然でございますけれども、それと同時に、非常に負担の激変を生じますので、税率控除その他を根本的に直さなければならないというような大きな問題が出てまいります。そこで、当面さらに検討を続けるといたしまして、御承知のように、少なくとも配偶者には基礎控除と同額の控除を与えるべきだろう、控除の面では二分二乗制に近いものにしようということで、御承知のとおり、配偶者控除を創設した経緯はございます。したがいまして、この二分二乗の問題というのは、将来も私どもとして真剣に取り組まなければならない問題だと思っておりますが、いま申し上げましたように、税率控除全般を通じて考え得る問題だけに、今後よほどの検討が必要と思いますので、相当時間をかして検討さしていただきたい、さように考えておる次第でございます。
  35. 柴谷要

    柴谷要君 時間をかけて検討していただくということですから、けっこうなことだと思います。よろしくひとつお願いしたいと思います。  次は、法人税法改正案では、貸し倒れ引き当て金等、法人税法に書いてあります諸引き当て金について、今回より青色申告法人でなくても適用されることになります。で、欠損金の繰り越し控除についても、その年だけ青色であればよいとされるわけですね。税法ですから、緩和されることには決して異議ありません。これはいいことだと思うのですが、そうかといって、青色申告の奨励、これに従って諸種の制約のもとで協力してきた人々は、何かつまらない、ばかをみたような感じがするわけですね、直感的にですよ、気がする。そこで、青色申告の普及状況、また、この改正後も、青色申告恩典と申しますか、努力したものに与えられる報償というのは一体どういうものか、この点もひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  36. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 今回の改正におきまして、法人について青色申告の要件を緩和いたしましたのは、法人は商法等の規定によりまして、相当きびしい記帳の要件がございます。ことに昭和三十八年の商法改正以来、企業会計原則を商法に持ち込んだような詳しい改正をいたしました。したがいまして、法人には記帳というものが確実に存在をするという状況に現在なってまいりましたし、実際に青色申告も八割方青色申告になっておりますので、休業法人等を除けば、ほとんどの法人が青色申告になっておるという状況でございます。そういうことで、特別措置の適用については、青色申告の基準は残しておりますが、本法における諸引き当て金等は、会計原則から申しましても認めるべき性質のものでもございますので、この際、青色申告の要件を緩和したということにいたしましたが、青色申告を最も必要とするのはむしろ個人でございますので、個人にはやはり青色申告の特典を残しておくということにいたしたわけでございます。したがいまして、青色申告の要件は、個人においては依然として諸引き当て金には残っておりますし、さらに、御承知のように、青色申告者につきましては専従者控除をことしの一月一日から完全給与制に切りかえたわけでございます。これも非常に大きな恩典だと思います。しかし、一方において白色申告者が非常に不利になるのではないかという問題もございますので、むしろ個人の段階では白色申告者が青色申告者になりやすいように、一番青色になりにくいといわれております小企業者に対しては、現金主義による記帳をもって青色申告の要件を満たすものとするような改正を昨年いたしまして、できるだけ青色申告に変わってもらう、そうして特典は享受してもらうという方向にいたしたわけでございまして、現在課税されております事業所得者等、いわゆる青色申告を適用できる人員のうち、四七%までがすでに青色になっております。それらを考えますと、今後新しい記帳方式のもとでは相当青色申告制度を拡大する望みがあると思いますし、現在、税務行政におきましては、これは私の分野でございませんが、青色申告の拡大ということを非常に大きなポイントとして行政をやっておりますので、個人の面では、青色申告は、やはり申告の向上、経理の向上の大きなポイントになっていると思います。また、それに応じた特典は依然として残してあると考えている次第でございます。
  37. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 午後一時三十分より再開することといたしまして、それまで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時四十五分開会
  38. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、三法案の質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  39. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 だいぶ時間を待たせまして申しわけございません。  所得、法人、特別措置等に対して質問してまいりたいと思いますが、最初に、国税の業務量が非常にふえてまいりまして、職員が非常に苦しんでいるのではないか、こういうふうに考えますので、いわゆる労務管理政策等につきまして若干質問してまいりたいというふうに考えます。  現在、税務署の数は全国で何カ所ありますか、また、この職員の数は総体でどのくらいおられますか。
  40. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 税務署の数は現在四百九十九税務署でございます。職員の数は五万一千百五十一人でございます。四月一日現在はこの定数一ぱい埋まっております。
  41. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 四十三年度の各税務署の要員要求があると思いますが、総体でどのくらいございましたか。
  42. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 実は、私のほうは各税務署からそれぞれの税務署について幾らほしいという要求はとっておりませんが、国税庁で全体をまとめまして予算要求をいたしておるのでありますが、その数字は、四十三年度予算編成のときに要求いたしました人員増加数は千六百八十三名でございます。
  43. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その千六百八十三名という全員実現しているわけですか。
  44. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) これは予算要求の数字でございまして、予算上認められます数字は、予算書にありますとおり、百八名でございます。これはまだ定員法が通りませんので、定員法が通過いたしますればそういうふうに増加する見込みであります。
  45. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その年間の定員要求に対して、国税庁としてはどういう査定で要求内容というものを決定をしてまいりますか。
  46. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 私どものほうの仕事で一番人員の不足をつげておりますのは、実は法人税関係でございます。これは法人数が毎年約四万程度増加いたしております。そこで、法人関係の職員を所得税関係のほうから転課させたりなどいたしまして増員いたしておりますけれども、とうてい追いつけませんので、四十三年度予算要求の際におきましては、千六百八十三名のうち、約半数の八百五名は法人税の職員の増加でございます。そのほか、法人数が増加いたしますと同時に、資本金額の大きい法人も増加いたしておりますので、国税局の調査官、あるいは査察官、こういった方を充実する必要がありますので、このほうに二百八十三名増加要求いたしました。それから、さらに所得税の納税者もここ十年間ほどで、まあ源泉徴収と合わせますと約倍増いたしております。申告所得税のほうだけで申し上げますと、約五割近い増加になっております。そのための所得税事務に三百三名、それから、御承知のように、最近土地の譲渡所得の件数が増加いたしておりますので、資産税事務に二百九名、これがおもな要求の内訳でございまして、そのほか税務大学校の教育の能力の拡充のために四十名とか、あるいはテレタイプの要員として十三名であるとか、あるいは国税庁の監察官の事務補助として二十名、こういった要求を合わせまして千六百八十三名に相なるわけでございます。
  47. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 現在、四十三年度で百八名実質的に定員化をしていくと、こういう状況でありますけれども、これは本来の要求要員数からいけばわずか一%にもなっておりませんね。こういうことでは、やはり滞納の解消なり、いろいろなきびしい条件の中で働いている職員としてはたいへんなことになってくると思うのです。昨年私は国政調査で九州その他に行ってきたのでありますが、各税務署とも、いま要員は不足だということを率直に聞きました。だから、そういう問題について、私は、百八名程度では完全に現地のそういう苦しい度合いというものを解消することにはならない。また、現地から増員要求をされたそれを実現されたいと、そういう期待にこたえる数字にはなっておらない、こういうふうに考えておりますが、国税庁長官はどのように考えておられますか。
  48. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お話の点はそのとおりでございまして、実は、私どもといたしましては、各税務署の仕事量が非常にふえておりますので、その事務処理を十分に円滑に処理するためには、少なくとも予算要求くらいの定数はぜひ増加していただきたいと思っておるのであります。何ぶんにも、政府全体の方針が、国家公員務の定数を減らす、五年間に三%減らす、こういう計画でありますので、そういう中で私どもの定員を増加していただくということがなかなかむずかしいような状況になっております。そのために定数が増加いたしませんので、私どものほうでは、結局やるべき仕事を切っていくということにならざるを得ない状況であります。そのために法人税の実調率など、あるいは所得税の実調率、資産税、譲渡所得税の実調率というのは年々低下せざるを得ないような傾向にあるのであります。しかし、実調率が低下いたしますと、実調を受けた納税者は充実した課税を受ける。ところが、実調を受けない納税者はその課税が十分徹底しない。そうなりますと、納税者の間の税負担に不均衡を来たすことになります。これが結局税務行政に対する不信頼ということになりかねませんので、私どもとしては、実調率をあまり落とさない程度に維持していきたい。そのためにはどうしても相当数の人員の増加の要求を認めていただかなければ非常に苦しい、こういう立場にあるわけであります。
  49. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 きょうは大臣や行管長官がおりませんから、いずれこの点は確かめてまいりたいと思っておりますけれども、それで、長官がいまおっしゃられますように、一部は業務切り捨て、あるいは人手が不足でやれないというものはどんどん切っていく、こういう状態にならざるを得ないと思う。しかし、この結果は滞納という状態が相当蓄積をされていく。一面は、それでは労働者に対する労働強化というものはひどいところにいっていると思うのですね。そういうところは早急に私は解消していくような努力を今後も長官はやっていかなければいけないと思うのでありますが、その辺の考えが一つと、それから、年間のこの超過勤務、これは予算でどのくらいで、決算でどのくらい出ておりますか、四十年度以降。
  50. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) いまお尋ねのように、仕事の量に対しまして定員の増加がなかなか容易でありませんので、最近は内部事務はできるだけ機械化いたしまして、機械によって迅速に処理するということにいたしまして、人手を要する外部調査に全力を注いでやる、こういう体制に切りかえておるわけであります。それでも、先ほど申し上げましたように、人員の充実が円滑にまいりませんので、調査割合を低下せざるを得ない。調査割合があまり低下いたしますと、納税者の間に課税の不均衡を生じて問題を生ずるということで、非常に困っておるような次第でございます。  超過勤務の状況でございますが、これは予算上、国税庁の仕事は相当超勤を要する場合が多うございます。現在局署とも年間百八十時間を認められております。予算も、たとえて申し上げますと、四十一年度では当初予算額は二十二億五千七百二十九万でございましたが、補正予算の際に一億三百七十三万を追加していただき、さらに四万四千円の流用をいたしまして、支出実績が二十三億六千百六万という数字になっております。予算額をごくわずか余して、不用が残っておりますが、その不用の金額はほとんど言うに足らない金額しか残っておりません。全額消化いたしております。
  51. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これをいまの国税庁の職員の平均給与で割ると何人分ぐらいになりますか、二十三億を。
  52. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 大ざっぱに申し上げまして、約五千円でございます。
  53. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 五千名……。
  54. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 人員でございますか。人員は五万一千百五十一人全員になっておりますが、そのうち、税大の普通科の者と、それから役付職員は、超勤でなしに、管理職として管理職手当が出ておりますので、それを差し引きますと、約四万六千人の人にそういった超勤が出るわけであります。
  55. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうしますと、この五万一千百五十一人が総体職員数と、こういうことになりますね。そうすると、管理職は別でしょうから、それを若干除きますと、ほとんどの職員がとにかくいや応なしに超勤をやらさせられると、こういう状況になっておりますね。結局私は、この要員不足からそういう現状が生み出されているのだろうというように考えます。ですから、さっき申し上げましたように、早急にこれらの定員措置というものをやっていかなければその税務業務というものが完全に遂行できないと、こういうふうに考えるわけです。  そこで、なお具体的に聞いてまいるのでありまするけれども、非常に最近税務職員の死亡率が高まっていると私は考えるのです。一つの例でありますけれども昭和四十年に大阪城東税務署三谷さんという人、これは資産税係長、突然目まいを起こして階段からころげ落ちた。で、胃かいようで手術をしたわけですけれども、こういったこの作業中の病気発生という事故がいま各署に起きているのではないか。あるいは富山税務署でありますが、矢合照明さんという方、これは昭和二十六年に差し押え物件引きあげのためにトラックの助手台に乗っていた。で、たまたまトラックがバウンドしまして、その反動で頭を強く自動車の屋根に打ちまして、それ以来ずっと何かしびれがきれたり視力減少、こういう症状を呈しまして、長く入院をしたわけです。その結果は昇給欠格者、こういうことで、賃金も同僚と比較して非常に低いそういう賃金に置かれている。五年間そういう病状で病院に入院をされたりなんかしておるわけです。こういった事故は各署にいま数多く起きておるようです。ことに矢合照明さんという方は公災法の適用申請をしたのでありますけれども、これが人事院の判定の結果、不適用、こういうふうになっているようでありますけれども、現在再審査請求を行なわれておると思うのでありますが、この内容について、その状況についてひとつ説明願いたい。
  56. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) ただいまの御質問の矢合さんの事案でございますが、これは昭和三十三年十二月十二日の日付をもちまして人事院から判定が出ております。判定の理由の中でいろいろのことを言っておるのでございますが、この方の申し立てました趣旨というのは、ただいま御質問の中にも若干出ておると思いますが、二十五年九月のことでございますが、差し押え物件の引きあげ用務に行って、大型トラックに乗っておりまして、各滞納者の家を巡回しておった。ところが、たまたまその通りましたところが山間地帯で、非常に道路が悪いということで、車の動揺がかなり激しかった、そのために頭を車体にぶつけまして脳震盪を起こし失神状態になった。それから二日ほど休んで、三日目にようやく出勤したところが、まあ嘔吐等のため途中退庁して自宅に戻りましてから意識不明になった、こういう申し立てでございます。さらに同年、昭和二十五年九月の終わりに医者に見てもらいましたところが、脳圧高進症と言われ、後に視力が著しく低下、失明のおそれありと言われまして、さらに脳腫瘍の疑いがありと言われ、金沢大学病院に入院治療し、三十年九月十五日退院したと、こういうケースでございます。これにつきまして公務上にしてもらいたいという訴えが人事院のほうに出てまいりまして、人事院としては災害補償委員会を開き、専門家の立場から種々検討したのでございますが、まず、この頭を車体にぶつけたという事実について、そのときたまたま同僚の方が二名トラックに乗っておりましたのですが、その同僚の方もそういう事実は現認しておらないということでございます。それから、その方が、かりに頭をぶつけたということが事実といたしましても、はたしてそれによってそのような病気が発生したのかどうかという、いわゆる外科的な外傷とその方の病気との間におきまして、相当因果関係がありとは必ずしも認められないということで公務外という判定を下したわけであります。
  57. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 しかし、その医師の判定によれば、明確に頭を打ったということが明らかになった。確かにその同僚二人がおって、それらの人たちがそういう記憶はないと、こう言っておりますが、だいぶものごとは強圧的にと言っては語弊があるかもしれませんが、だいぶこれらの事件に対して職制からの口どめとか、そういうことがあったと聞いているんですが、こういう事実はどうですか。
  58. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) そのような事実は私ども承知しておりません。
  59. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 現地に行って調査しましたか。
  60. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 私どもから担当官が出向きまして現地調査をしております。
  61. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それはどなたですか。
  62. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 確かに二名行っておると記憶しておりますが、何ぶん十年前のことでございますので、その氏名はいま少し調べませんとちょっとお答えいたしかねます。
  63. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 もし本人が証言をするような内容であったとすれば、当然これは公災法を適用するこういうことになりますか。
  64. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) その事実だけで直ちに公務上になるかどうかということは、ちょっと私ここで責任ある御答弁はできかねますが、いずれにいたしましても、こういう問題は医学的な判断が一番きめ手になるというふうに考えますので、かりにそういう事実があったとしても、その外傷とその方の病気との間にどのような因果関係がありますかということは、まさに医学的な専門的な立場で判断するしかないのではないか、かように考えます。
  65. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 どういうケースであがってきたら人事院としては判定が一番信憑性があるとしてそういうものをもらえるのですか。
  66. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) ただいまのような矢合さんの例でございますが、このように、ある負傷をいたして、その結果発病したというケースが一番判断がむずかしいと思います。そこで、私どもでは、公務上にするかしないかという場合の認定基準を事務総長通達で、これは昭和二十六年でございますが、出しております。この認定基準によりますと、ただいまのような、ある負傷による疾病が公務上であるかどうかという判断の基準として四つほど掲げておりますが、まず第一番に、そのけがをした当時全く健康であって、何ら疾病の素因を有しなかった者がその負傷によって発病した場合。第二番目に、負傷した当時、疾病の素因はあったが、発病の程度でなかったものが、その負傷により、その素因が刺激されて発病した場合。第三番目に、負傷した当時疾病の素因があり、しかも、早晩発病の程度であったものが、その負傷により発病の時期を著しく促進した場合。第四番目として、負傷した当時すでに発病しているものが、その負傷により、その疾病を著しく増悪した場合、この四つを掲げております。たとえばこの方の場合に、はたして負傷によって発病したのかどうか、あるいはもともとそういう疾病の素因があって、こういうけがをした結果発病をするに至ったのかどうか、必ずしもこういうけがはなくてもあるいは発病したものかどうか、その辺の判断は専門的な立場で医者の意見を待つしかないと思います。
  67. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 どうも官庁というのは、えてして災害発生というものは隠したがるものなんですね。できるだけ上司に報告をしない、また、報告しないような一つの処置というものをとっている。こういうものは官庁のしきたりとして十分考えられるのですから、私はやっぱり本人申請を土台にして、それはもう二人行って調査したと言いますけれども、当該署長なり、あるいは上司の方方等にも十分徹底して、公平な調査対象を通じてこれらの問題の判断というものをしていかないと、実際本人は自動車に乗ってやったことは間違いないのですけれどもね、われわれ聞いてる範囲では。それで、あなたのほうの調査になるといろいろ認定基準はある。しかし、いまのような認定基準から考えれば、当然本人の言ってることからいって該当することなんですね。それが不適用になってるということは、どっか私は判定に、一つの何といいますか、歪曲性をもってやられてるんじゃないか、こういうふうに考えるのですがね。はたして御調査というものが全く完ぺきだったということについて自信持てますか。
  68. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) もちろんこの調査官が現地へ行きまして、それぞれのケース・バイ・ケースで詳しく関係者の意見を聞き、あるいは資料を集めて、それをもとにいたしまして災害補償委員会にかけて判断をしたわけでございます。もちろん調査漏れとか、その他現実問題はあるかと思いますが、人事院といたしましては、できるだけ公平に、しかも、広い範囲の調査に基づいて判断をしてると、こう申し上げてよろしいかと思います。
  69. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 この問題、いま再申請をされてるわけですね、現在やってると思うのですよ。ですから、もう一度やはりこの現地調査なり、あるいは当該の申請内容について本人から意見を聞くとか、もう一回この再調査をやる意思はございませんか。
  70. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) ただいま再審請求があるやの御質問がございましたが、公務災害の判定につきましての再審請求の道は制度上認められておりませんから、そのような事実は、この方について再審が現在行なわれているということはございません。
  71. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうしますと、その不適用判断が下ったあとの救済措置というものはないわけですね。そうすると、一般法的にそれは民事裁判とか、そういうかっこうになっていくわけですか。
  72. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) そのとおりでございます。
  73. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それじゃ室蘭税務署において、林勝太郎さんという人が、これは所得税係でありますが、この人が三十歳で実は死亡した。原因は糖尿病ということでありますが、しかし、これは申告期間の繁忙時期に非常に無理をしている、こういうことが直接原因だということをいわれておるのです。このことに対して、奥さんから、いわば公開口頭審理を国税庁長官に実は申請した、そういう事実はありますか、長官どうです。
  74. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 室蘭税務署の所得税課におりました林勝太郎君が昭和三十九年の四月三日に死亡いたしたのであります。これにつきまして公務災害を適用すべきかどうか、人事院と御相談申し上げたのであります。人事院のほうから公務災害補償法の適用は認められないということでございましたので、三十九年の十一月十八日に、札幌国税局で公務外として取り扱うよう指示いたしました。それに対しまして、残された妻から、四十一年の一月十三日に人事院に対して審査申し立てがございまして、四十一年二月一日に人事院が受理されまして、人事院のほうでは四十二年五月二十六日に公務外であるという認定を下されまして、四十二年の八月二十五日に札幌地方裁判所に訴訟が提起されておる状況にございます。
  75. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 人事院に持っていくと、全部そういうことで不適用という判定が多いわけですね。いままで扱った件数と、それから、適用と不適用の件数を教えてください。
  76. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 人事院に請求がありますとすべて公務外というような判定があるやの御質問がございましたが、いままでこの種の申し立ての件数は、いまちょっと手元に資料はございませんが、おおむね二割五分から三割程度のものは公務上の判定が下されております。
  77. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それでは、詳細はあとで資料で提示を願いたいと思いますが、室蘭の場合、これは現地調査には行ったのだろうと思いますが、業務の繁雑度合、さっき国税庁長官にも聞いたのですけれども、このとおり定員が足らないのですね。足らないから、いきおい労働強化の姿がどんどん職場にいっている。そういう全体の繁雑状況というやつをあなた方のほうで詳細検討されましたか。
  78. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) もちろん私どものほうで係官が現地に参りまして、その間の事情も十分詳細に調査してまいっております。そのこまかいことは申し上げませんが、この方についておもに二つの理由で公務外としたわけでございますが、一つは、この方の訴えは、この方の奥さんから申し立てが出たわけでございますが、三十九年の三月の終わりといいますと、ちょうど税務署では一番繁忙期であることは間違いございませんが、その時期に糖尿病と診断され、入院して間もなく死亡されたわけでございます。はたしてこの方の従事いたしました公務の過重によって病状が悪化したものか、それとも、もともとこの方の身体的素因がしからしめて、公務というものはたまたま副次的な誘因として作用したものかどうかという点を実は詳細に調べてまいりました。ところが、まず、この発病そのものについては本人の素因が主たる原因であるということが一つの理由でございます。もう一つの理由といたしましては、公務の過重により病状が急速に悪化したものかどうかという点につきましても、必ずしもそういうような判断はいたしかねる。診療の機会も十分あったにもかかわらず、診療もしていないということでございまして、この方の糖尿病の増悪と公務との間の因果関係というものは認めることはできない、こういう二つの理由で、本件は公務外という判定を下したものでございます。
  79. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 長官にお尋ねをしますけれども、東京管内の各署のいま死亡率はどのくらいございますか。四十年以降でけっこうですが。
  80. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 東京国税局管内の職員数は、大体四十年度が一万一千九百八十一人でおります。そのうち、四十年度中に死亡いたしました者が十七名、四十一年度は人員が若干増加いたしまして、一万二千三百六十七名でございます。死亡いたしました者が十九名、四十二年度は人員がまた増加いたしまして一万二千八百七名になっております。そのうち死亡いたしました者が十二名、こうなっております。
  81. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 東京各署の死亡率というものが非常に多くなっているというのですが、いま発表になったように、〇・一%程度あるのですね。それでは、国税庁の現在の罹病率、これはどういうふうになっておりますか。病名のおもなるものもあげていただきたいと思うのですが、これはどうですか。
  82. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 病状は、私どものほうは、これは人事院の指導のもとに、程度に応じましてA、B、C、Dといったような指導区分に基づいて、疾患に応じてその処理をいたしております。まず、A、B、Cの指導区分のものについて申し上げますと、先ほど申し上げましたように、全体の人員約五万一千人に比べまして、A、B、Cのものが千五百二十三名、三・一%の数字にのぼっております。そのうち、呼吸器系の結核関係の人員が一番多いのでございまして、これが六百九名、一・二%、それから、その次が消化器糸疾患で百五十六名、〇・三%、その次に高血圧症、これが百三十名で〇・三%、それから精神病疾患が九十五名で、〇・二%、糖尿病が三名で、これはパーセンテージにはほとんどのぼってこない。それから、その他循環器系疾患が九十九名、それから呼吸器系以外の結核が二十六名、その他の疾患が三百五十六名、こうなっております。
  83. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いま発表されましたように、非常に最近呼吸器関係の結核が六百九名も実は出て、一・二%、こういうことになっておるのですが、結核、ノイローゼ、あるいは糖尿病、高血圧、胃病、心筋梗塞、こういう病名が最近この職員の中に相当出てきておると、こういうことですが、これはやはり健康管理上何か欠陥があるんじゃないかと思うのですが、どうですか。  それから、もう一つは、やはりこういうところに職員の労働強化というものが相当いっているんではないかと思うのですが、これはどうですか。
  84. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 私どものほうでは、最近特にそういう病人がふえたというのではなしに、むしろ戦後非常に混乱しておりました当時、これは国民全体が栄養がなかなか十分とれなかった時代があったわけでありますが、あの当時が一番ひどく、その当時は結核愚者の数が全省庁中で一番多かったような時代があったわけでございます。その後は、だんだんと健康管理に意を用いてまいりまして、最近はこの呼吸器系結核患者の数にいたしましても、他の省庁に比べてみますと、私どものほうが特に多いというわけでなしに、国税庁よりも罹病率の多い官庁がまだ相当ほかにあるという状況にまで実は最近は改善されてきておるように思っております。しかし、それでも、先ほど申し上げましたように、呼吸器系のA、B、Cの区分のものが六百九名おりますし、さらにD1、D2を加えますと、それが呼吸器系結核患者だけで二千六百四十名にもなる、こういった状況でございますので、職員全体の五・三%、D2までがそういう状況にありますので、そういうことは、結局A、B、Cは六百九名だけれども、D1、D2が二千三十一名いるということでございますので、かつてそういう病気をして、現在はだんだんよくなりつつありますけれども、なお過去に結核病をわずらったという形跡を残しておるものが非常に多い、こういうことでございますので、そういった職員がもし過労におちいりますと、また再発という危険がなきにしもあらずでございます。そういう意味で、私どもとしましては、十分職員の健康管理に気をつけておるところでございます。  なお、最近の病気の傾向といたしましては、これは一般的にもそうでございましょうが、呼吸器系結核のほうは、だんだんといま申し上げましたように、人数はむしろ減ってきつつあるのでありますが、最近は高血圧、あるいは消化器糸、あるいは精神病疾患、いわゆるノイローゼのこういった病人が非常にふえていく傾向にございます。先ほども申し上げましたように、A、B、Cだけで申し上げますと、高血圧患者は百三十名でございますけれども、これにD3までを加えますと四千二百三十六名、全職員の八・五%といった数字にまで達するのでございます。それはまあ健康管理に意を用いておりますために早期発見ができておるせいもありますけれども、いずれにしましても、D3までの人がそれだけおるということは、健康管理に今後よほど注意しなければならぬ事態である、このように思っております。
  85. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 結核患者が多いというのは、相対的にわれわれは判断するのに、やっぱり疲労がその根源じゃないかというふうに考える。休養不十分であるというところにそういう病気が発生してくるのではないかと思うんですが、こういう点については、特段のやはり今後健康管理というものを強めていっていただかなければいけないんじゃないか。それから、女子職員は全体でどのくらいおられますか。
  86. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 女子職員は、五万一千の職員のうち、五千九百九十五人でございます。そのうち、六五%、三千八百九十六人が既婚者でございます。残りの二千九十九人が未婚者でございます。
  87. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 生休の消化ぐあいはどうなっていますか。
  88. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 生理休暇につきましては、実は全職員を対象として毎年調べるようなことはいたしておらないのでございますが、昭和四十一年につきましてサンプル調査をいたしまして、その事績を申し上げますと、生理休暇は大体とっておりまして、月に一・九日とっております。これは許されておりますのが月に二日ということになっておりますが、ほとんどがとっておるといってよろしいかと思います。
  89. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 だいぶ生休消化については上司の圧力がかかっているような話を聞くのですが、そういう実態はございませんか。
  90. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 私も国税庁の労働組合の方からそういう話を聞くのでありますが、しかし、まあむしろ女子職員のほうから恥ずかしくて言いにくいというようなことがあるいはあるかもしれませんけれども、上司のほうで押えるとかいうようなことは一切いたしておらないはずでございます。ただ、あるとき私注意したことがあるのですが、若い女子職員に係長がちょっとからかったようなことがあったようでございます。そのために生理休暇を非常にとりずらかったというような訴えが私のところまでまいっておりまして、そういうことから、上司の者は、そういう若い女子職員は非常にそういう生理休暇についてなかなか恥ずかしい思いをしながらとろうとしているのだから、いやしくも上司たる者はそういうからかうことは一切してはならぬということを言い聞かせた事例があります。全然事例がないとは申し上げかねますけれども、そういう点は十分注意をいたしておるつもりでございます。
  91. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その具体的な実例は幾らもあるのですが、税務署関係もあるから、きょうは言いませんけれども、問題は、非常に申告時期や繁忙時期になりますと、たとえば既婚者の方が妊娠をして子供を生む、そういう者に対して、ある上司は、繁忙時期に子供を生んじゃいけないとか、そういうふうなところまで関与している、実際。これはもううそじゃないのです。そういうことになれば、これはまさしく私は基本的人権の問題、そういう干渉というものが職場の中に相当数あることを私は知っており、記憶しておるわけでありますが、十分ひとつ長官、そういう内容について調査を願って、それで検討されて改善策をこれは具体的にやってもらわなければいけないと思います。その点はひとつ要望しておきたいと思うのであります。だいぶいま徴税体制の問題で国民のひんしゅくをかうようないろんな調査、あるいは差し押え、そういう問題が数多くあるようであります。ある税務署長は、行ったら必ず増差額を持ってこい、何か割り当てみたいになって職員に対しまして強制をしている、こういう内容があるようであります。そういうことはまさしく私は不当なことだと思うのですね。やはり定められた法律に従って職員は行動するのがあたりまえであって、その領域を越えて——それは確かに世の中には例外として脱税や滞納を意識的にやっている人もあるでありましょう。しかし、そういうのを、また、国民に対する見方として、納税者と見たら、しつこく、一回失敗しても、二回目に行ったら必ず何かを発見して来い、こういうことを言っているというのですね。そういうことで国民を見、納税者を対象としていたのでは、納税者と税務署との相互の間がますます感情的になり、業務遂行上思わしくないと思うんです。そういう事実を長官は聞いたり、あるいは聞いた場合に何かの対策をとったことがありますか。
  92. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) そういった点につきましては、会合の席などでよく承ることがございまして、確かに税務署員としましては、仕事をしたという実績が表にあらわれてくるのは、たとえば徴税職員であれば、その調査によって納税増差税額が出てきたということが一つの仕事をやったということの結果になることになりがちであるのでありますから、どうしても職員の間にも、そういうことで増差税額を多く出そうという傾向があり、また、そういうお話のようなことを言う管理者はいないと思いますけれども、しかし、とかくそういうことにおちいりがちでございますので、私どものほうとしましては、増差税額についてはあまり重点を置いていかない。そして、むしろ納税者に協力を求めて、納税者がみずから正しい申告納税をすることによって初めて税務行政はよくなってまいるわけでありますから、そういう納税者の協力を得るような方向に仕事を持っていくということで指導いたしております。ただ、御承知のとおり、査察であるとか、あるいは特別調査ということになりますと、これは初めから脱税を意図している者には刑事訴追まで求めるということをやっておりますが、これは結果的に増差税額が出てくるということは、これは当然でございますが、そのほかの場合には、できるだけ納税者を指導して、そしていい自主申告が出てくるように、こういう気持ちで仕事をやっていくようにと指導をいたしているのでございます。ただ、この考え方が、なかなか第一線になりますと、仕事の成績をあげた、その増差税額が幾ら出たからだということになりがちでございますが、私どものほうとしては、従来は四半期ごとに増差税額の統計を出させたりなどいたしておりましたが、そういうことをいたしますと、つい上からそういう指示をする形が出てまいるものですから、そういう増差税額の報告は年一回だけにとどめて、四半期ごとに報告することはやめる、こういったような措置まで講じまして、できるだけそういう増差税額を多くするということの競争が起きないように配意いたしているつもりでございます。
  93. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 現地の職員は、私は、やはり上から言っている方針がおろされるから一生懸命やろうということで、その辺は善意だと思う。しかし、それが受ける側の納税者側に立ってみれば、全くどろぼう扱いか何かにされているという印象が非常に強いと思う。たとえばある床屋ですけれども、床屋さんに税務署員が、いわば税務署員でないふりをして床屋さんにかかった、朝早く。床屋さんが終わりまして、料金を払うときに五千円やったということですね。当然金庫をあけておつりをやらなければならない。ところが、それを見はからって査察員が三名ほどぽっと入って金庫を点検した、こういう具体的な事実まであるわけです。一体そこまで納税者に対してやる必要があるのかどうか、あるいは増差税額の問題で、何か拾ってこい、こう言われるものであるから、何にもなくてもしょうがないから、石油ストーブまで押収してきたという。一体そういうことまでやって弱い者をいじめるという、これは現地にいる職員の立場からいけば、当然そういうところへ追い込まれていると思う。それはもう各種通達を出している。国税庁から納税事務の、何といいますか、協力要請文であるとか、あるいは部内にもいろいろな通達がいっているが、そういう通達の出し方についても、私はもっとやはり考えていくときじゃないか。確かに一面において例外として脱税とか、そういうことについては私はたくさん知っております。そういうものを摘発したり、あるいは適切に法に基づいて処理するということはあります。ありますけれども、一面においてそういう無理押しの徴収体制というものがやられる、こういうことでは、私は、ほんとうに国税庁がいろいろ考え、また、自主申告に基づいて、法のもとに平等、そういうことで納税意識を高揚しよう、こういうものと大かた現在やっておられることと違っているじゃないか、こういうふうに考えるのですが、そういう事実行為について、長官、どうですか。
  94. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) お話をお聞きしまして、私ども承知いたしているところではそれほどひどいことはないように思っておりますが、おそらく非常にひどいケースがお耳に達したことかと思うのでございます。しかし、いかにひどいケースにいたしましても、納税者の人権を侵害するおそれがあるとか、あるいは納税者に非常に悪感情を持たれて、そのあとの納税状況が悪くなる、こういったようなことは、結局税務行政全体のためにはマイナスになりますので、そういうことは、非常に脱税をいたしているものは、これはまた格別でありますけれども、そうでない普通の中小企業者の場合には、できるだけ指導によって申告の成績が向上するように持っていくべきものだ、このように思っております。  なお、いま理髪店で金庫を押えたというようなお話でございますが、これはいわゆる現況調査というのがございまして、ある日現在におきまする現金を確認いたしまして、そこからその人のつけている帳簿についてさかのぼって調べていく、それによって帳簿の記帳が正しく行なわれているかどうかということを確認する一つの手段として現況調査というのがございます。おそらくそれの一つではなかったかと思うのでございます。
  95. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いま私が申し上げたようなことでもいいのですか。不意打ちに金庫をあけたところをねらって押えつける……。
  96. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) あけたところをねらうというのはいささかあれでございますが、営業を開始いたしまして、そしてある時間たったところで、その日の取引が幾らであって、現金が幾ら入っているかどうか、こういう現況調査をすることはままございます。しかし、これは金庫をあけさせてすぐそこを押えるといったようなものでございませんで、店へ行って、いまの現金収入が幾らになっていますかということを聞くというやり方でやっておるはずでございます。いずれにいたしましても、繰り返して申し上げることになりますけれども、脱税を大きくいたしておるもの以外の普通の納税者の場合には、できるだけ納税者の協力を得て申告納税の成績がうまくよくなるような方向に持っていくべきものでございます。そういう方向で今後とも努力いたしたい、こう思っております。
  97. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いろいろな具体的ケースはたくさんございますけれども、これはぜひひとつ長官のほうでも真剣に取り組んで、現地職員の指導といいますか、一つの善導ですね、少なくとも、やっている行為がすべて国民の反撃を食っているというようなことでは、苦しむのはやっぱり現地で働いている第一線の職員ですよ。ですから、そういう問題については非常に重要な問題ですから、長官のほうとしても、そういう実態についてぜひひとつ調査をして、そういう事態については善処をしていただきたいと思う。  それから、もう一つは、配置転換が一体どのように行なわれているのか、その内容について説明をしていただきたいと思います。
  98. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 国税庁におきましては、大体毎年七月一日を期しまして、いわゆる指定官職と申しておりますが、税務署の署長、副署長、それから国税局の課長につきまして定期的な異動を実施いたしております。これは一つには、いずれ参議院のほうにもお願いすることになると思いますが、税務署が毎年若干設置されたり廃止されるものがある。そういうことで、新しく設置される場合には新しく税務署長を任命する。従来あった税務署を廃止する場合には、そこの署長なり課長を他のほうへ転任させる、こういう必要がございますし、そのほかに、毎年の予算で、課長、あるいは係長、専門官の数が若干ふえてまいりますので、それに応ずる異動を行なう必要があります。また、一般の職員につきましては、税務の仕事の性質上、あまり長く同じ職場に勤務しておるということは、なかなか仕事の遂行上、いろいろ問題も起きますので、そう長く同じ場所には勤務させないということから、まあ三年、あるいは四年ないし五年ぐらいで転勤すると、こういったことをいたしております。そのために、たとえば昨年の七月から七月末ごろまでの間の定期異動の状況を申し上げますと、異動総数が一万三千三百四十七人となっておりまして、約二九%の職員が異動いたしておることになっております。
  99. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ただいま四十二年の異動が一万三千三百四十七人、二九%、約三〇%に近いわけですね。この四十年の定期異動状況を見ますると、東京は当時九千七百八十七人、それが三千十七人、三〇・八%、関東が三千八百八十七人中、九百二十七人、二三・八%、大阪が七千百三十三人のうち、二千八十二人、二九・二%、札幌が千八百五十人で、六百七人、三二・八%、仙台が二千六百十八人で、五百九十六人、二二・八%、大体二〇%をオーバーした定期異動というものが行なわれている。こういうふうに大量異動をやられるのは、一つは税務行政という特殊性からくるのだろうと思いますけれども、それはそれとして、この配置転換のときに職員に対する内示というものはやっているのかどうか、その辺はどうですか。
  100. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) この異動のときにおきましては、離島へ行くような場合は内示をいたしておりますが、原則として内示をいたしておりません。
  101. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まあ確かに一般の公務員の場合には、各労働者には団結権しかないですから、団体交渉権、団体行動権というものはございませんから、それは一応法律上は一方的にやれるようになっておりますけれども、しかし、ILO条約の勧告、この精神からいけば、明確に、労働者の異動等については、労働条件、いわば団体交渉の対象事項だと思うのです。ですから、そういう問題について、それぞれ労働者には生活設計があるわけですから、家族もおれば子供さんもおる、本人のこともそうです。だから、少なくとも、いまの近代社会状況下においては、本人に言って意見を聞くくらいの姿があってもいいのじゃないかと思うのですが、これはどうですか、長官。
  102. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) この点につきましては、労働組合のほうから内示をいろいろ要求されておるのでございます。一つには、いま申し上げましたように、異動対象人員が相当多いものでございますので、技術的になかなか内示ということが非常にできにくいという事情にございます。それと、一つは、私どものほうでは、毎年そういう異動を行ないます関係上、職員から身上申告書というのを四月に入りますとすぐ徴取いたしまして、そうしていま職員の家族の状況、あるいは病人がいるかいないか、あるいはその職員はどういう方向異動を希望しているか、あるいはその署にとどまりたいと思っているのか、異動するとすればどの方向異動を希望しておるのか、どの署が希望なのか、こういうこと、あるいは仕事をかわりたい気持ちがあるのかどうか、その課を、たとえば徴収から所得にかわりたい、あるいは所得から法人にかわりたい、こういった希望があるかどうか、こういったことを全部申告書を出させまして、その身上申告書を見ながら異動を組むわけであります。もっとも、税務署にはいろいろ格がございまして、御承知かと思いますが、やはり職員はいい格の税務署へ行きたいし、また、仕事も、法人税の仕事がなかなかはなばなしいから、法人税の多い署へかわりたい、こういう要望が強い面がございまして、なかなか職員の希望をそのまま認めることは非常にむずかしい状況にありますけれども、できるだけ職員の希望に沿った異動をすると、そういうことによって実施いたしておるわけでございます。現在のところ、これだけ多量の人員について事前に予告するということは技術的に非常に困難であると、こう思っております。
  103. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私のところにも五通くらい配置転換の問題でいろいろな希望がきておりますけれども、実際ひどいのですね。たとえば大阪のある税務署の例ですけれども、だんなさんが建設省につとめておられて、そうして本人が妊婦です。これは奥さんですけれども、税務署へつとめておられる。間もなく子供さんを生むというような状況があったのですね。その人を、この身上申告書では、でき得るだけだんなさんの官舎のあるところの税務署に近いところにひとつやってくれ、こういうことで出しておったのですけれども、当該税務署長は、それはいいでしょうと、ところが、国税局長がそれをけったという話です。それで、逆に、転勤のときに通勤一時間、それもバスで来て電車に乗って、さらに国電か何かに乗って、そうしてまたバスに乗って行く、四回くらい実は乗りかえなければいけない。妊婦ですから、非常に苦痛を感ずる、こういう事態まであるんです。ですから、そういうことを一体上司が、人間を非常に苦境な方向、むしろ逆な方向に追いやっているのではないかと思うのですが、こういう事実があるんですから、配転については、やはりいま言ったように、大量異動だから、技術的にむずかしいからやれないという性格のものじゃないと思います。そんなことをいったら、徴税第一のほうがもっと複雑で非常に困難な作業だと思うのですよ。それを現地の労働者は全部消化しているんですから、それくらい管理の立場に立つ長官なり管理局長なり、そういった人たちは、やっぱりもう少し近代性の伴った管理政策をやったらどうか、こういうふうに考えておるわけですけれども、そういう問題について、身上申告書は一定のやはり方法があるんですから、ぜひこれらの問題について善処してもらいたい。ことに警察官だっていま内示制でやっているんですよ。転勤をさせるときは、あらかじめ本人の希望、あるいは上司の言い分を言って、それで、でき得るだけ生活設計が成り立つように、行ってもらう人は、確かにそれは税務署によって格があったり、いろいろあるでしょう。ありましょうけれども、その中でも公平妥当な人事異動をやることは非常に大事だ、そういう気がしますので、その辺についての今後の運用について長官のひとつ見解を承っておきたいと思います。
  104. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 先ほど具体的な事例のお話のございましたのは大阪の事例だと思います。これは本人が子供を分娩して、その後休んでおる間に措置をいたしまして、出勤と同時に本人の希望する税務署に配置転換をいたさせております。そのほかにもあるいはお耳に達しておる事案が若干おありになろうかと思います。私どもとしましては、できるだけ本人の事情をよく調べまして、その個別のケースに応じたそれぞれの処置をはかるつもりでおりますが、ただ、何ぶん職員の数も相当多いわけでございますので、必ずしも全部の要望どおりにいかない場合がございますけれども、いまお話のような点は、今後十分われわれのほうで検討いたしてまいりたい、このように思います。
  105. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それから、昇格ストップの問題が非常に大きくなっていると思うんですけれども、いま国税庁の職員の平均賃金はどのぐらいですか。
  106. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 国税庁の職員の平均給与は四万五千円程度でございまして、これは御承知かと思いますが、国税庁の職員は、大部分の者が税務職の俸給表の適用を受けております。その等級によりまして若干違いますけれども、おおむね税務一等級、二等級は税務署長、あるいは副署長でございます。課長以下の税務三等級から七等級までの平均でいきますと、一般職の職員に比べまして約五千円、正確に申し上げますと四千九百七十円程度給与がいいことになっております。  それから、昇級ストップというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、税務職の場合におきましては、一等級、二等級は署長または副署長、それから三等級が課長、課長補佐、あるいは専門職の上の者、四等級が専門職、係長といったポストになっております。したがって、税務職四等級になりますためには、一般職員ではなれないことになっておりまして、少なくとも、税務署の調査主任、あるいは税務署主任という制度がございますが、そういったものに任命されておらないと税務職の四等級にはなれないということでございますので、したがって、人事院規則によりますと、税務の事務に勤務いたしまして一定年数があり、五等級の職に一定年限以上おれば四等級に昇格する資格があるということになっておりますが、これはいわば最低の資格でございまして、そのほかに、いま申し上げましたような職務についておるということ、同時に、勤務の成績が優秀で、四等級に昇格させることが適当である、こういう者が四等級になれる、こういう仕組みになっておるのでございます。したがって、特に昇給ストップをいたしておるということではございませんが、ただ、たとえば現在五等級で、四等級になれるかどうかという人の問題で考えてみますと、調査主任、あるいは税務署主任の資格を持っておる者につきましては、大体三千人ほどありますので、私どものほうの考えでは、この程度のものは本年度中には四等級に昇格できる、このように思っております。ただ、先ほども申し上げましたように、一般職員の者は四等級になかなか昇格できません。したがって、そういう者としましては、約男子職員で九百名、女子職員で千九百名、合わせて二千八百名ばかりの者は一般職員でありますために四等級に昇格できにくい。まあ今後税務署主任、あるいは調査主任のポストがふえますとそういった者が昇格できる、こういうことになってくるわけであります。したがいまして、私どもは年々人事院等にお願いしまして、そういったポストを増加していただくようにいたしておるわけでございます。  それから、三等級になりますと、先ほど申し上げましたように、係長のままでは三等級になれませんので、三等級は原則として課長、または私どもが専門官と申しておりますが、局の実査官、あるいは調査官、査察官、税務署の調査官、徴収官、こういった専門官職の場合に初めて三等級になれるわけであります。これにつきましては、まあだんだん上にいくに従ってポストの数がそうふえませんので、現在のところ、まあ約四千九百名ほどそういうポストにおる者がおりますけれども、そのうち、三等級に本年中に昇格できる見込みの者は約千七百名になっております。
  107. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 結局私の調査によりますと、現在この昇格ストップになっておる対象人員は二人に一人という割合になっておると思う、極端だと思うのですけれどもね。これは四十一年ですけれども、そういうことになっておると思うのです。そういうところから非常に内部的に不平不満というものが多いんですね。ですから、私は制度的に欠陥があるのではないか。もちろん、いまの賃金体系というものは職務給態様だと思いますけれども、その中でも、この等級の位置づけ等について再検討の意はないだろうか、その辺が一つ。これはもう人事院の局長にも考えてもらいたいのですけれども、一体人事院ではそういう国税庁の賃金体系について検討されたときがあるのかどうか、あるとすれば、一体どういうところに欠陥があるのか、その辺をひとつ説明していただきたいと思いますが、私の調査ですと膨大にこの数がのぼっておる、こういう不公平なやり方ではいけないと思う。  それから、もう一つは、少なくとも、国税庁職員は、この業務の特殊性からいって、一般公務員より二五%実は高かった。ところが、現在は一二%で、落ちていると思うのですね。一般公務員だってこれは高いことはないのですよ。いま国税長官の発表じゃ四万五千程度と、こういうことを言っておるわけですから、四万五千の年間収入がどのくらいかといったら、これは五十四万何がしですよ。各種手当を入れたってこれは七、八十万いったら最高だと思うのです。平均がそうでしょう。免税点にほぼ近いとそういう非常に低賃金ですね。こういう状態において非常な困難な仕事をやっておる、こういう状態ですから、そういう問題についても、人事院等では、おそらく一般公務員の賃金勧告が近くなされる。いま人事院でも検討されていると思うんですが、そういう内容について検討されておるのかどうか、ひとつ説明を願いたい。
  108. 岡田勝二

    政府委員(岡田勝二君) 現在の税務職俸給表の状況、それの具体的な国税庁における適用状況は先ほど長官がお述べになったとおりでございます。この一等級から七等級までをどういうふうにそれぞれ位置づけていくかという問題でございますが、これは人事院といたしましては、毎年各省庁におきまして、それぞれの俸給表の等級別定数について御相談があるわけでございます。その御相談に基づきまして、そのお話を承りまして毎年若干ずつ改定していっておる。まあ等級内の定数はそのようにして毎年決定いたしておるところでございます。ところで、税務職俸給表について今後どのように考えるのかというお話でございますが、御指摘のような税務職特有の問題もございますし、また、われわれといたしましては、他に十幾つの数多くの俸給表を持っておるわけでございますが、これら全体を総じて申しますなれば、いまのああいう俸給表体系になりましたのが三十二年でございます。自来すでに十一年経過しておりまして、いろいろな問題をそれぞれの俸給表に、はらみつつあるわけであります。それぞれの俸給表につきましては、諸外国のこういう公務員の給与体系、そういうものも常時人事院で調査研究もいたしております。そういう調査結果などをも念頭に置きつつ、毎年の給与の勧告時期がくるわけでございますが、その間におきまして公務員給与実態も調べ、かつは、同時に、民間給与一般企業等の民間給与も調べまして、その辺を見合わせつつ給与のレベルを考え、また、先ほど申しました、一体、給与表の体系としていかにあるべきかということを絶えず検討しておる次第でございます。で、今年の公務員給与についての報告、それに続いての勧告が具体的にどうなるかということは、現在公務員給与、それから民間給与を調査中でございます。その辺の集計を待ちまして、また、別途外国制度等を頭に置いてものを考えて、いずれ夏ごろになって最終結論が出る、こういう段取りでございまして、まだこの四月に入りましたばかりの段階でそういった人事院の給与調査、あるいは勧告の内容をどうこうするというふうなことを申し上げる時点には現在ございません。
  109. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 あなたの答弁ですと、改定をしたと言うんですけれども、改定した結果は、当初出発点においては一般公務員より二五%高かったと言うんですよ、私はね。現行は、私の調査ですと一二%と下がっている。したがって、そういうものが、改定ではなくて、改悪されているんじゃないですか、この点が一つなんです。それから、もう一つは、具体的に公務員の勧告をするわけですから、賃金の、公務員のですね。そういうところに国税庁給与体系の問題なり、それから官庁のアップの勧告の問題なり、こういうものが検討されておるかどうかということなんです。
  110. 岡田勝二

    政府委員(岡田勝二君) 行政職俸給表のことと税務職俸給表との格差、この問題は、正確なパーセントはちょっと私も所管外に属しますので記憶しておりませんが、そういう御指摘のような問題があるということは承知しております。なお、格差の問題につきましては、先般も御質問がありまして、給与局長からもお答え申し上げておりましたところでございまして、そういう問題は、勧告する前には、例といたしまして、それぞれの組合からもいろいろな御要求がありますし、また、人事管理をあずかっておられる側からもいろいろ御要望が出てくるわけで、その中には、むろん国税庁からも税務職俸給表につきましてのいろいろなお話が出てまいるわけでございます。そういったものを総合勘案して勧告のときに最終的に判断する、こういうことにいたしておる次第でございます。
  111. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 一つは、長官にお尋ねをしますけれども、今後のこの昇格ストップの解消見通しですね。これはどういうふうにお考えになっているのか。それから、人事院関係では、給与体系がこれは三十二年以降職務給を採用されて、当初の出発は二五%格差ということで出発したわけです。現行は私の調査では一二%下がっている。このまま推移するならばもっと下がっていくと思うのです。そういうことになれば、国税庁の労働者の賃金というものはそのくらい冷遇されているということに通ずると思うのです。だから、人事院関係としては、当然いまこれらの問題について検討されていなければならないと思うのですが、これは単にいまおっしゃられたのでは、組合とか、そういう要求は出ている、何か検討の下資料ぐらいは出ているけれども、取り上げるのか取り上げないのかということについてはここで触れておらないのですが、そういう問題について今回は検討していく気がまえというものがあるのかないのか、その辺をひとつお聞かせ願いたい。
  112. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 先ほど申し上げましたように、私どものほうでは、人事院の規則にきめられておる年月税務の仕事をやっているからすぐ昇格の資格があるというわけにはまいりませんので、やはり官職と同時に、その等級別定員のほうがないとなかなか昇格はできないわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、私どものほうでは、最初高等学校を卒業いたしまして、税務大学普通科へ通りますときには、行政職の八の二号で採用するわけであります。一年教育いたしまして税務職の七の二号に任命いたしまして、その後七等級から六等級、六等級から五等級へまいりますときには、大体所定の年数だけでそのまま昇格いたしてまいります。ただ、先ほど申し上げましたように、五等級から四等級になりますときには、調査主任、あるいは税務署主任というポストについておらないと、いわゆる平の職員のままでは四等級に昇格できない、こういうことになっておりますので、したがって、できるだけそういった調査主任なり署主任の定数を確保することによって五等級から四等級に昇格し得る人員をふやしていくことになるわけであります。先ほど申し上げましたように、現在調査主任、あるいは署主任になっております者は、大体本年中には四等級に昇格できて解消できると思っております。ただ、先ほど申し上げましたように、一般職員のまま残っているものがまだ男子職員で九百名、女子職員で千九百名おりますが、これは調査主任なり署主任のポストがふえてまいりませんと、あるいは異動によってそのポストがあくのでないとなかなか解消しない、こういうことになるわけであります。しかし、従来の実績から見ますと、大体四等級になれる者は年々三千名をこえておりまして、ことにまあ勤務年数からいいまして四等級になれるというか、四等級にする必要の多かったのは実は昨年なのでございます。現在それだけ勤務年数のたっている者は——昨年四千人ほど四等級にいたしました。本年は、むしろ四等級になれる資格のある者は全員四等級になれる。ただ、先ほど申し上げました一般職員だけがなれない、このポストが回転することによって、そういった取り残された一般職員が調査主任、あるいは署主任に任命されることによって昇格できる、こういうことになろうかと思います。  それから、三等級のほうになりますと、これは先ほども申し上げましたように、課長、課長補佐、あるいは事務監査官、調査官、徴収官、査察官、こういった人たちでございますので、このポストはなかなかそう簡単にふえません。したがって、先ほども申し上げましたように、四千九百人のうちで、本年昇格できるのは千七百名。これはひとつ御理解いただきたいのは、実は国税庁の職員は、戦後昭和二十二年から二十四年度にかけまして、約三年間ほどの間に、それまで徴収事務は市町村がやってくれておったのでありますが、地方自治で、市町村は国の税金の徴収事務をしないことになりました。そのために国税庁で全部徴収するということになりました。同時に、昭和二十二年に、所得税法人税、相続税につきまして申告納税制度が導入されました。そのときに急に定員がふえまして、その約三年間に二万八千人の職員を採用いたしております。その職員がだいぶんやめたりなどいたしましたが、現在でもなおかつ二万四千名余りおるわけでございます。その職員がちょうどいま四等級から三等級のところに非常に多数おることになるわけでございます。その関係で、四等級にするのに非常に毎年苦労しながら四等級にし、今後はおそらく三等級にするのに非常に骨が折れる事態が生じてくるのではないかというふうに感じておるわけであります。そういうことに対しまして、先ほど申し上げましたように、従来、税務署の機構は、署長、課長、係長一般職員ということであったのでありますが、本来、税務の仕事は、そういう組織も必要でございますけれども、一人一人の職員が納税者と接して、そしてその調査をし、あるいは徴収をするということでありますので、専門的な仕事としては専門職に該当することになります。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、調査官、徴収官、実査官、あるいは特殊な職務でありますけれども、査察官、こういった形の任命を行ないまして、それによって上級に昇格しやすいような制度にいたしておる次第でございます。
  113. 岡田勝二

    政府委員(岡田勝二君) 行(一)の俸給表と税務俸給表との給与格差のお話でございますが、これにつきましては、御指摘もございますし、また、いずれ夏が近づいてまいりますれば組合からもいろいろお話もありましょうが、また、各省庁のほうからもお話が出てまいります。その中で、いずれ国税庁からもこのお話が出てくることだろうと思いますが、そういう出てまいりました問題、あるいは人事院自身で各俸給表を運用しております間にみずから発見したいろいろな問題点もあるわけでございます。そういった問題を洗いざらい持ち上げまして、で、片や、先ほど申しました、現在行なっております公務員給与実態と民間給与実態、その辺をにらみつつ、そうして一般行(一)と税務俸給表との格差をどの辺に持っていくのが最も適当であるかということはその後の段階で判断するわけでございます。で、必要があると認めればそれが勧告の中にあらわれてまいりましょうしということでございまして、問題点の所在は、この給与勧告をするにあたりまして、最終的にそれが勧告に出てくるかどうかは別といたしまして、現在の時点ではそういう問題点を洗いざらい検討しつつある、こういう段階でございます。
  114. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 どうもその答弁を聞いていると、すべて受動的で、積極性が全然ないのですね。人事院の性格からいって、もっと私は積極的にそういう問題について検討していいんじゃないかと思うのですがね。いまのあれですと、そういうケースもあるでしょう、組合からもいろいろ要請される、各団体から要請をされると、そういうケースもあることはあるでしょうが、人事院の性格からいって、私は、少なくとも、労働者からストライキ権を剥奪をして、そういう代償として人事院が発足したのですから、それは当然労働者なり、そういう働く勤労者の立場に立って人事院というものは生活改善策というものをとっていかなくちゃいけないのだと思う。いまの話ですと、実際出てこなければ検討の対象にもならないというような答弁ですね。だから、もう少し人事院としての機能を発揮していく、もっと積極的に。これはいま一般公務員を見たって、あるいは公共企業体の労働者を見たって民間を見たって、これは満足だなんて言う者はない。だから、そういう中でも、ことさら国税庁のいまの職員というものは、大体三十二年以降というのは不当な扱いを受けておると思うのです、私の検討した範囲内では。だから言うのであって、そういうものを積極的に取り上げてやる意思はあるのですか、その点はどうですか。
  115. 岡田勝二

    政府委員(岡田勝二君) 御指摘の、検討する意思があるかという御質問が、ことし勧告するといたしました場合に、勧告の内容に必ず盛るかというふうな御趣旨でありますれば、それにつきましては……。
  116. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうじゃないのです。積極的に検討する意思があるか、こう言っているのです。何もその勧告まで言っていない。
  117. 岡田勝二

    政府委員(岡田勝二君) お話のような筋でございますれば、先ほど私も、何も組合なり各省庁から要求があったものについてだけ検討していくと申し上げたわけではございません。それとともに、人事院みずからが、各俸給表の運用をいたしております間にみずからが発見した問題点というものも検討するということを申し上げたわけでございますが、そういう意味におきまして検討をいたすということで、決して受け身一本やりでこの仕事をやっていこうというつもりでは私どもございません。
  118. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 じゃ、その検討するということで、積極的とは言わないけれども、検討いたしますと、こういうことで確認していいわけですね。
  119. 岡田勝二

    政府委員(岡田勝二君) けっこうでございます。
  120. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 最近、徴税体制に、いわゆる電子計算機徴税体制というものを積極的に進めていこう、各種機械化をはかっていく、こういうことで国税庁方向を定めているようですが、そうですか。
  121. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 電子計算機徴税体制とおっしゃいましたが、私どものほうで電子計算機を利用いたしましてやっている仕事は、先ほど申し上げましたように、内部事務をできるだけ迅速に処理して、人手は、できるだけ人間でないとできない外部調査に向けていくと、こういう点からいたしまして、内部事務、たとえば俸給の計算、源泉徴収税額の差し引きの計算、こういったものはどこの会社でもやっていると思いますが、電子計算機でやるようにいたしております。まだ電子計算機は東京にしかございませんので、東京国税庁及び東京国税局、関東信越国税局の、東京に近いほうだけしかまだ実施しておりません。いずれ本年の十月になりますと大阪に電子計算センターができますが、そういたしますと、今度は大阪局、名古屋局などまでそういうことで給与計算は電子計算機でやる。それから、もう一ついま実施いたしておりますのは、法人税の調査をいたしましたあと、法人税の税額を算出する計算過程がございます。これは一定の数字を導入いたしますと、電子計算機が自分で計算いたしまして、納税者に通知する要納税額の計算、プリントまで全部電子計算機でできることになっております。これを開発いたしまして、現在これも東京国税局の調査部と、それから、法人税についてはいま都内の税務署、それから、関東信越の東京に近い税務署、これがいまそういったことをやっております。それから、そのほかに、法人の統計につきましては、これはもう電子計算機で全部処理することにいたしております。さらに、今後開発予定のものといたしましては、所得税の税額計算ども電子計算機でやるようにしていきたい、こう思っておりますし、さらに、できますれば債権管理、つまりある納税者について幾らの納税所要額があって、幾ら税金が納められて、幾ら滞納になっているか、こういうことを電子計算機によりまして債権管理をしていく、こういうこともやっていきたいと思っておるわけでございます。何ぶんにも税法が相当複雑なものでございますので、電子計算機を利用して計算させるにつきましてもかなり手数がかかるのでございます。しかし、将来の方向といたしましては、電子計算機を十分利用いたしまして、内部事務はできるだけ人手を加えないようにしていきたい、こう思っている次第でございます。
  122. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いまの話ですと、東京近辺だけは実施をしているというふうに伺ったのですけれども、大阪でも実施をしたと思いますと、そのことによって大阪では百名程度降格しているんですね。こういうことになると、さっき国税庁長官が、今後昇格ストップはできるだけ解消していきたい、こういうことで年度別に具体的に数字をあげられたんですけれども、どうも電子計算機導入体制によって、逆にそういうものが阻害をされていくんじゃないか、こういう心配が一つございます。  それから、もう一つは、現在公務員に定年制というものはないはずなんですけれども、これは過日、長官も御存じだろうと思いますが、東京で約七、八名の高年齢者の方が不当に退職勧告を受けた、こういう事態があったと思うのでありますが、衆議院でもそれらの問題について若干問題になりまして、一応解決をみたようであります。そういう一面は、いわゆる定年退職慫慂という、こういう部面で何か人員を整理していこう、一面は電子計算機等の機械化等によって合理化をはかっていこう、こういう面があるようであります。内容としては、具体的に降格制度、そういうものをひとつやっていく、こういうことにあるようでありますが、その辺はどうなんですか。
  123. 泉美之松

    政府委員(泉美之松君) 大阪でも電子計算センターができ上がって活動を開始いたしますのは本年十月でございますが、現在他の官庁の電子計算機をそのひまなときにお借りいたしまして、そして電子計算機に職員を慣らせるという仕事をやっております。昨年そのために百名の降格をしたというようなことは全然ございません。それはあるいは徴収の職員を直税のほうに百名動かしたのでありますが、おそらくそのことではないかと思いますが、これは降格ではございませんで、むしろ徴収担当の職員を、直税担当の仕事が忙しいから、大阪局管内全体で百名直税部門に配置がえをしたことがございます。しかし、それは降格ではございません。  なお、電子計算機を導入するといっても、先ほども申し上げましたように、人手不足で困っておるような状況でございますので、できるだけ内部事務を電子計算機で処理するために電子計算機を導入しておるのでございまして、これによって確かに人手がすく場合はございますけれども、それによって人員を削減し得る余地というのはないのであります。むしろ人手がまだまだ足りない、こういった状況でございますので、職員の昇格等に支障を来たすということは毛頭ございません。ただ、東京国税局で退職勧告云々というのがございましたが、これは東京国税局管内で、たとえば協議官のポストについておる者がございますが、最近の協議官は、現地に出向いて一々納税者から不服申し立ての理由を聞き、その営業の実態などを調査いたしまして協議決定をすることになっておりますが、もう五十七、八歳ということになりますと、なかなかかばんを持って第一線に出て行くというのには適しませんので、したがって、協議官でないポストについてもらう、こういうことをいたしたことはございます。それから、まあ税務署長など、指定官職になりますと、やはり同じ人がいつまでも同じポストを占めておるというわけにもまいりませんので、後進に道を開くという意味で、長く税務署長をしている人たちに、一定の年齢になった場合には、もうそろそろ後進に道を譲ってやったらどうか、こういうことは言っております。これはまあ全体の職員の回転をよくして、あとから職場に入った者が喜んでやっていけるような回転を行なうためであります。この点で無理を生じておるようなことはないと思います。ただ、先ほど申し上げました協議官の場合には、そういう仕事の性質上やむを得ないことではあったのでありますが、協議官のポストを奪われるということで非常な抵抗を生じて問題が生じたような次第でございます。
  124. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 税務署の体制等の問題については、あとは政策上の問題に関与をしますので、行政管理庁長官なり大蔵大臣が出席のときに再度またやっていきたいと思います。  それで、所得税の問題について若干質問をしてまいりたいと思いますが、まず、主税局長に、階層別、所得納税人員と納税額の納税割合、このことについてお伺いしたいと思います。
  125. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 階層別の納税者数、税額につきましては、これは御承知のとおり、私どもの統計は、給与所得者につきましては給与控除関係があるものでございますから、収入階級別につくっておりますので、全体の合計というのがちょっと出ないのでございます。申告納税者のほうは所得別になっております。そこで、区別して申し上げますけれども給与所得者四十一年分の統計がございますが、五十万円以下の納税人員が八百二十六万二千人、パーセンテージにいたしまして四四・九%、それから、百万円以下五十万円超、これが七百八十二万九千人、四二・五%でございます。三百万から百万の間が二百二十四万人、一二二%、五百万以下三百万までが六万一千人、〇・三%、五百万から千万の間が一万二千人で、〇・一%、一千万円超の収入金額のある者が千人ということになっておりまして、税額で申し上げますと、これはもう税額をパーセンテージで申し上げますが、五十万円以下は、納税人員にいたしまして四四・九%の相当する税額が一〇・三%、五十万円から百万までの四四二・五%の納税人員に対する税額が二八・二%、百万から三百万までの一二二%の納税人員に対する税額が四七・四%、三百万から五百万の間〇・三%の納税人員に対する税額が八・六%、五百万から千万までの〇・一%に対する税額は四・五%、千万円超のものが一・〇%、かようになっております。これが給与所得の階級別でございます。  それに対して、申告所得者のものは、これは収入階級別ではございませんで、所得階級別になっておりますが、これも全体の人員は三百二十四万人でございますが、五十万円以下の所得者が三三・九%、五十万円から百万円までが三九%、百万円から三百万までが二二・六%、三百万から五百万までが二・九%、五百万から千万までは一・三%、千万円超が〇・三%ということになっております。税額にいたしますと、五十万以下が三・三%、五十万から百万円までが一一・九%、百万円から三百万円までが三一・七%、三百万から五百万までが一八・七%、千万円までが一六%、千万円超の部分が一八・四%となっております。
  126. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いまの説明のように、納税額でまいりますと五十万以下というのが一番多いのですね。
  127. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) これは納税人員でございます。
  128. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 納税人員ですか。
  129. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) はい。
  130. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 納税人員でいっても五十万以下が一番多いですね。
  131. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) はい。
  132. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 大臣がいないからちょっとやりづらいのですけれども、全体の租税収入を見てみますと、昨年の四十二年は六兆一千五百十六億一千万円、こういうことになっておるわけでございますが、四十三年度、これは国税、地方税合わせてでございますが、四十三年で見ますと七兆四千百八十四億円、ことしはもちろん減税ゼロという状況でございますが、しかし、昨年は一千百八十九億ですか、この程度の減税措置をとった、こういうことでございますけれども、対四十一年と比較すれば、これもまた相当増徴体制をとっている。こういうふうに、年々、政府は、昨年までは大減税大減税でやっておるのでありますけれども、国税、地方税総体を合わせますと、いずれにしても相当増額されている、こういうのが現状であろうと思いますが、この原因は一体どこにあると思うのですか。
  133. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) これは経済伸び所得がふえておりますので、それを課税標準とする税、額は、減税をいたしましても、当然伸びてまいります。大体日本では二五%前後ずつ税額がふえ、それに対して減税をいたしまして、大体二〇%以下に実は押えているというのが実情でございます。
  134. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 だんだんと聞いてまいりますけれども、四十三年度国民一人当たりの税金、市町村税、都道府県税、国税、これを合わせて標準世帯でどのくらいの負担になりますか。
  135. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 四十三年の一人当たり税負担額は七万三千三百六円ということが計算上出てまいります。
  136. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 七万三千三百六円ですか。
  137. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) はい。いまのは地方税を含んでおります。
  138. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうしますと、四十二年度は六万百六十八円だと思いますが、そうしますと、国民一人当たり負担率というものも七万三千三百六円ですから、一万三千二百円見当高くなっていると思いますが、それはどういうことなんですか。
  139. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) それは、当初の予算で申しますと、先生御指摘のとおり、六万百六十八円でございますが、補正後で申しますと六万四千二百五十二円ということになっております。
  140. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 今年度のこの自然増収総額見積りは幾らですか。
  141. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 減税前にいたしまして九千四百七十六億円ということになっております。
  142. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 この使い方は、具体的にどういう方向に使っておりますか。
  143. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) これは私の所管ではないのでございますけれども、そのうちで、増減税の、たばこの益金は租税歳入になっておりませんので、国税として形式上申し上げますと、五百五十億円の減税に充てておりますのと、それから国債を減額する対象として千六百億というものが充てられて、あとはいわゆる歳出の増加に充てられているという形になっているわけでございます。
  144. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうすると、ほとんど新規政策に盛り込まれるものはないですね。確かにきょうは担当官がいないから、これは言ってもちょっと効果がないと思いますから、これはやめましょう。そうしますと、結局この九千四百七十六億の自然増収がある、減税はゼロだ、こういうことになりますと、国民一人当たり約九千五百円見当の実は増税ということになりはしないか、これはどうですか、見解は。
  145. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) 税の負担というものは所得その他の課税標準との比較で見るべきだと思います。したがいまして、増税ということは、制度としての課税標準に対する課税率の増加というところで初めて増税ということでございまして、所得がふえたために税が増収になるというのは、これは増税とは言えないと思います、所得のほうも同じように伸びておりますので。また、所得伸び関係で累進税率をとっております所得税は、当然所得伸びよりもふえます。したがいまして、所得がふえるときにはそれ以上税がふえますけれども、これは増税とは私ども考えていないわけでございます。
  146. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その所得の、じゃ名目成長、それから実質成長と、これはどういうふうに分けますか。それから、物価の上昇があります。これは比較はないですか。所管はだれですか。
  147. 吉國二郎

    政府委員吉國二郎君) これは税収の見積もりをいたします際にはそれを使っておりますから申し上げますと、ことしの税収見積もりをいたしましたもとになります経済指標は、御承知のように、国民総生産は実質で七・六、形式で一二・一の伸びということになっておるわけでございます。
  148. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  149. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 速記を始めて。  三法案に対する質疑は、本日はこの程度として、これにて散会いたします。    午後三時四十六分散会      —————・—————