運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-04-09 第58回国会 参議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月九日(火曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         青柳 秀夫君     理 事                 植木 光教君                 小林  章君                 西田 信一君                 柴谷  要君                 中尾 辰義君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 大竹平八郎君                 大谷 贇雄君                 塩見 俊二君                 田中 茂穂君                 竹中 恒夫君                 徳永 正利君                 林屋亀次郎君                 野溝  勝君                 瓜生  清君                 須藤 五郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君    政府委員        大蔵政務次官   二木 謙吾君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        大蔵大臣官房財        務調査官     細見  卓君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○物品税法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  物品税法等の一部を改正する法律案所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 瓜生清

    瓜生清君 まず最初に、これから一連の増税法案減税法案がこの委員会にかかってきますが、大体大まかに、税制調査会なり大蔵省当局の今年度の税に対する考え方について、わかりやすくひとつ御説明を願いたいと思います。
  4. 細見卓

    説明員細見卓君) お答え申し上げます。  税制調査会答申の骨子から申し上げますと、まず、第一番の認識は、所得税負担が非常に重いということであります。したがいまして、所得税は何とか減税をしなければならない、それは諸控除引き上げ、あるいは税率緩和と、二つがあるわけでありますが、まあ百万円までの免税というようなこともいわれておりますので、とりあえず諸控除引き上げによって所得税負担軽減していかなければならない。一方、間接税のほうにおきましては、所得税がちょうど物価なり賃金なり、あるいは所得なりが増大していくことにつれまして非常に累進的に重くなる、それと逆になりまして、所得水準、あるいは物価の全体がある程度値上がりしている中にありまして、酒税等中心とします間接税は、御承知のように、従量税でございますので、価格にスライドして税が動かない。その結果、小売り価格の中に占める税の負担というものは、相対的に、片や所得税におきまして——こういうことばは適当かどうか知りませんが、意図せざる増税が行なわれているものでありますれば、反面、間接税におきましては意図せざる減税が行なわれている。その辺についてある程度の調整というものを考えなければならないじゃないかということは、この前々の調査会以来課題になっておりまして、物品税等、あるいは酒税等につきましては、三年目ないし五年目に見直すべきではないかというような考え税制調査会の中に一貫して流れているわけでございますが、その一つあらわれといたしまして、今回は酒税及びたばこについてその税率見直しが行なわれたわけでございます。ただ、その場合におきましても、間接税は、何と申しましても、低所得者層所得税のかからない層にも負担がかかるというような点を考えまして、酒におきましては二級酒とかあるいは合成清酒のような、いわゆる大衆銘柄を据え置くと同時に、たばこにおきましても、朝日とか、あるいはゴールデンバットというようなものを据え置きますとともに、一般大衆に四割近く吸われておるというハイライトにつきましては、その値上げ率をなるべく低く、十数%に押えるというようなことを配慮すべきだというようなことがまあ調査会答申でもあり、また、大蔵省が大体踏襲してまいった今回の改正の趣旨でございます。
  5. 瓜生清

    瓜生清君 いま一般の巷間では、いわゆる片一方では増税がある、片一方では減税がある、数字的にいうとプラスマイナスゼロだと、こういうきびしいことが言われておるわけです。そこで、今回のいわゆる税制改正について、政府公約違反ではないかという声があるのですが、それに対する大蔵当局のお考えはどうですか。
  6. 細見卓

    説明員細見卓君) 先ほども申し上げましたように、所得税につきまして減税をしなければならない、このことについては大蔵省は終始一貫同じ認識を持ち続けてまいったと思うわけです。ただ、一方、歳出需要のほうを見てまいりますと、いろいろ硬直化といわれておる現象の打破にとりかかったわけではありますが、その第一年度でもありまして、思うほど歳出も削れないというような要素、そこで、歳出を削るか、たばこなり酒なりの税を上げるかという選択といたしまして、今回は酒、たばこの、特に大衆銘柄だけはある程度配慮しながら酒、たばこ税制としての見直しを行なった、こういうわけで、私どもとしては、所得税負担が、一番やはり勤労意欲とか、あるいは国の経済の運営にその軽減をはかることが重要なことであると、かように感じておりまして、そこだけは貫いたつもりでおるわけでございます。
  7. 瓜生清

    瓜生清君 そこで、まあ端的に言えば、増税というのは、いろいろな理屈はつけても、財源調達必要性からそういうことをおやりになったのだと思うのですが、それなれば、たとえば租税特別措置法だとか、あるいは法人税賦課税だとか、そういうものを上げることによって財源調達をどうしてはからないのか、その点の見解はいかがですか。
  8. 細見卓

    説明員細見卓君) 特別措置につきましては、おっしゃるように、それが創設されましたときは一定の経済目標を達成するための有効な手段であったと思うのでありますが、しかし、それが特権化し、あるいは慢性化して、当初の政策効果が十分に上がっておらないものがあるといたしますれば、それは整理いたすべきであろうと思います。ただ、現行の特別措置をごらん願いますと、その大半は貯蓄奨励というようなものに向けられておりまして、そのほかの部門も、おおむね非常に近代化の要請されておりまする中小企業とか、あるいは日本戦略産業といわれますような企業特別償却というようなものが大宗を占めておりまして、また、問題の利子配当につきましても、長い間の検討の結果、とにかく源泉徴収税率引き上げるというようなことでその増徴をはかって、しかも、根本的再検討明後年に迎えておりますので、今年といたしましては、とりあえず輸出振興等の施策のために必要な財源特別措置のワク内で捻出するということが本年度としてはとり入れた措置であったわけで、根本的な検討はなおわれわれは続けてまいらなければならない、かように感じております。
  9. 瓜生清

    瓜生清君 いまの御答弁の中に明後年根本的改正をやるというお話があったのですが、それに対する税制調査会等答申はほぼいつごろ出てくるのですか。
  10. 細見卓

    説明員細見卓君) 現在の調査会と、この四十二年、四十三年度の税制改正について答申をいただきました調査会は七月末で任期が切れますので、おそらくは新しく構成された調査会をもしも設けるといたしますれば、新しく設けられた調査会に諮問するということになろうかと思います。
  11. 瓜生清

    瓜生清君 私の聞いているのは、新しい調査会が今度任命されるでしょう、再来年根本的な改正をやると言っているわけですから。それがいつごろを目途にそういう考え方が出てくるのか、時期的な問題をお尋ねしているわけです。
  12. 細見卓

    説明員細見卓君) おそくも四十四年には結論が出なければならぬわけであります。
  13. 瓜生清

    瓜生清君 そこで、物品税の問題について伺いますが、税率が上がることによって、それに便乗した値上げというものがいろいろな商品に波及してくる危険性があるわけですね。それに対して、何とかそれを物価安定という見地から、大蔵省としていわば行政的にどういう指導をされるのか、それを一ぺん聞きたいと思うのです。
  14. 細見卓

    説明員細見卓君) 今回、物品税税率が上がりますのは、御案内のように、従来の暫定税率本則へ戻るという過程で、一挙に戻ったものもございますし、段階的に引き上げられたものもございますが、いずれにいたしましても、工場からの引き取り価格に対して五%程度値上がりであります。したがいまして、小売り価格でみますと一%、あるいはそれを若干上回る程度のものでありまして、これらの製品は、いずれも従来の暫定税率による育成段階を終わって、製品として本格的な大量生産段階に入り、また、その市場も確保されておるということを考えますれば、また、どちらかといえばマーケットが買い手市場になりつつある状況を考えますれば、これらのものは十分メーカーなり、あるいは卸、小売り段階で吸収されると思いますが、なお、われわれといたしましては、通産省を通じまして、これらのものが物価にはね返らないように十分指導をしてもらうように強い行政指導を要請するつもりでございます。
  15. 瓜生清

    瓜生清君 今度の物品税本則に返るというねらいはわからぬわけじゃないのですけれどもテレビとか、そういうものは非常に金額の張る品物なんです。したがって、三%ないし五%の物品税が上がること自体、小売り価格に対する影響というものは、そうばかにならないと思うのです。たとえばカラーフィルム等で五円か六円程度しか上がらないでしょうけれども、これはゴールデンウィークを前にして、やはり一般庶民カラーフィルム消費量というものが年々歳々増大しているでしょうから、一つの単位にすればわずかな金額でしょうけれども、使う数量が多くなると、それだけやはり生活にはね返ってくるので、そこらをお聞きしたいのですが、いまカラーフィルムにしても、あるいはトランジスターテレビにしても、相当大量生産が行なわれているわけです。しかも、そのことによって生産コストというものが低下しておる、この事実は否定することはできないと思うのです。そこで、この税率が上がった分を小売り価格に上乗せしないで吸収をするというような措置が、企業収益の中に織り込む可能性があるのではないかと私ども判断しているのですが、その点どう思いますか。
  16. 細見卓

    説明員細見卓君) 私どもも同様に考えております。
  17. 瓜生清

    瓜生清君 その同様に考えておるというのはいいんだけれども現実に私はこの間、そういうテレビ、あるいはラジオ等を売っている小売り店をのぞきますと、すでに価格の書きかえをやっているのです、これを見越して。そこで、それはまあテレビで千円か千五百円くらい上がるのは何だと言われるが、片一方ではこれはダンピングをやっているわけですね、投げ売りをやっております。四万円のテレビを三万円とか、あるいは二万五千円とかということが行なわれておる。それで、片一方では物品税値上がりを見越して小売り価格の訂正をやっておる。そういうことを見ますと、同感ですというのは、それは通り一ぺんのあれであって、いまおっしゃった強力な行政指導小売り価格にはね返ってこないという歯どめの政策というものは行なわれていないわけです。いかがです、その点。
  18. 細見卓

    説明員細見卓君) いずれのものを見ましても、先ほど申しましたように、まあ小売り値段からいたせば大体一%前後のものであります。したがいまして、この点について、もしいま瓜生委員がおっしゃるような事態が町で起こっておるといたしますれば、それは好ましいことではございませんので、私ども、前もって通産省にそういうことのないようにという強い要望をいたしておったわけであります。繰り返しますが、こういう暫定税率を設けまして育成措置をとるのも、いまも申しましたように、暫定的に税率を上げる過程において、それは大量生産コストダウンによって、国民大衆にはその税率の上がる部分が転稼されないで、企業の利益の中で吸収されるようにこういう暫定税率を設け、しかも、それを段階的に引き上げておるわけでありますから、制度の本旨に反することだと思いますので、あらためてなお通産省に強くそういうことのないように申し入れたいと思います。
  19. 瓜生清

    瓜生清君 これはまあ自由企業ですから、それは行政措置で、税率は上がるけれども小売り価格値上げしないようにということを強く通達したり要請したりしても、徹底的にそれを点検するということはできないことだと思うのです。したがって、税率が上がることによって、それを一つの根拠にするから、どうしてもこれは小売り価格が上がってくるのです。ですから、その点を通産省を通じて強い措置をとると言っておられますけれども、これはただ答弁だけではなしに、現実にいま町を歩いてみるとそういう現象が起こっているわけですから、そのことについては強力な措置をとってもらいたい。で、その結果があなたのおっしゃるようなことにならない危険性もありますが、そのときはそのときでまた私ども追及しますけれども、それだけはぜひお願いしたい。  そこで、いわゆる国際競争力という面からそういう特別の処置をとられたことは理解できますけれども、いまテレビとか、あるいはステレオとか、こういうものはほんとうに一種のぜいたく品ではなしに、国民生活の中に入ってきておるものだから、この税率がたとえ三%でも五%でも上がるということは、やはり私は物価政策から見て好ましくないと思います。そのことを私は強く要望しまして、質問を終わります。
  20. 二木謙吾

    政府委員二木謙吾君) ただいまお話がございましたとおりに、今回酒、たばこ値上げをする、一方においては所得減税をやる、これは矛盾をしておらぬかというようなお話もございまして、私ども省議を開いた際も、私は、所得減税もやらずに、たばこ値上げ、酒の値上げもやらぬほうがいいじゃないかという意見をまあ申したのでありますが、いろいろ考えて見ますると、いまの勤労意欲のためにも、また、低所得者のためにも、どうしても所得減税はやらなければいけない。それから、いまの間接税の酒、たばこのことにつきましては、たばこは十六年間も価格を上げずにやってきておりますから、税制調査会も、ほかの物価との均衡上、酒、たばこ値上げをしたらどうかというような答申もございましたので、これは好ましくはありませんけれどもやったわけであります。  それから、いま物品税、また、租税特別措置法によってひとつ考えにゃいけぬじゃないかというような御指摘がございました。もっともな御意見であると思うのでありまして、いま調査官が申し上げましたように、国際収支を改善するとか、輸出振興とか、あるいは貯蓄奨励とか、そういう意味租税特別措置をやったわけでございます。また、この物品税改正によって小売り価格が上がらぬようにせいということは、私どももいまお説のとおり、そうしなければならない、かように考えております。通産省にもよくひとつ申し入れをいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  21. 柴谷要

    柴谷要君 それじゃ第一問、トランジスターテレビ等について軽減税率の適用を認めたのは、新産品で、いわば将励的な意味からくるものと私は考えているのだが、しかし、これらの各種物品については、すでに試販的なものと見るのは少なくて、すでに十分市場性を有し、かつ、収益力も、むしろ関係業界中心的位置を持っていると私は判断をする。そういう意味から、今回の処置がはたして妥当であるかどうか、この点をひとつ説明を願いたいと思う。
  22. 細見卓

    説明員細見卓君) トランジスターテレビ生産推移を申し上げますと、三十七年に八万三千台程度でありましたものが逐年増加いたしてまいりまして、四十二年には百二十二万台ぐらいになり、一方、輸出におきましても、当初三十七年には一万四千台の輸出であったものが五十五万台ぐらいの輸出になっております。そういう意味におきまして生産がふえてまいり、企業としての安定性というか、収益力のある成長品目になっておることはおっしゃるとおりだと思いますが、ただ、これは本来の税率は一五%であるわけでありますが、これを一挙に一五%までいたすことがよいかどうか。なお、このトランジスターテレビにつきましては、いま対米輸出の最も花形になっておりますし、また、国内におきましても、確かに主要な製品として旧来のテレビに置きかわりつつあることも事実と思いますが、まあ全体百二十万台程度生産でございまして、いま少し日本の全需要考えますれば伸びていいものではないかというふうに考えまして、方向といたしましては、収益力の確保とともに、本来の一五%の方向へ三段階ぐらいに分けて戻していくべきだと思いますが、現在としては、とりあえず課税を始めるという段階ではないかと、かように考えておるわけであります。
  23. 柴谷要

    柴谷要君 暫定措置は、意図して国際競争力の点に焦点を合わせて採用されたものだと私は考えております。しかし、これら物品本則を適用せず、あえて軽減税率を適用しなければ国際競争にうち勝てないというのはどうも疑問だと思う。むしろこれは大企業優先政策あらわれではないかと、こう思っておるのですが、この点はいかがですか。
  24. 細見卓

    説明員細見卓君) 国際競争力と申しましても、これは端的に申せば安い物をつくることに尽きるわけでありまして、その意味では大量生産が可能になり、それによってコストを切り下げていくというわけであります。したがって、まず国内におきましてある程度生産需要を見出し、それによって生産を広げていって、その勢いをかって対外的に伸びていくというわけであります。そういう意味で、従来テレビにいたしましても、そのほかのいろいろな耐久消費財にしても、多くまず軽減税率を設けてその生産を軌道に乗せ、それによって国際競争力をつけるという方式をとってまいって、このトランジスターラジオにつきましても例外でございません。で、また、トランジスターテレビメーカーが、おっしゃいますように、中小企業が含まれておらないことは事実でございますが、関連部品等メーカーまで入れますれば日本として代表的な輸出産業であり、また、その雇用する雇用人員、あるいは関連企業ということ全体を考えますれば、ただ単に大企業だけを擁護しておるということではなくて、広い意味日本輸出産業を育成しておるのだと、かようにお考え願いたいと思うわけであります。
  25. 柴谷要

    柴谷要君 物品、酒、たばこのうち、最も奢侈品的な課税の性格の強いのはやっぱり物品税だと思う。その物品税についてはもっときびしい線を出してよいのでは、ないかと考えますけれども、この点はいかがでございますか。
  26. 細見卓

    説明員細見卓君) 確かに小売り課税になっておりまする物品、具体的には宝石でありますとかというようなものはまさに代表的な奢侈品と観念されておるものであります。しかし、同時に、いま瓜生委員からもお話がありましたように、テレビでありますとかラジオでありますとか、あるいは、また、最近の小型の乗用車といったものになりますと、これを奢侈品考えるのか、あるいは便益品考えるのか、あるいは日用品考えるのか、この辺は全体の生活水準、あるいは所得水準推移とともに考えを改めてまいらなければならないものであろうと思います。そういう意味で、物品税の中には、おっしゃるように、奢侈品的なものとして課税を始めておるものもあり、また、課税をされてきておるものもございますが、同時に、だんだん日用化しておるものもございまして、おっしゃることが、もし酒税とかたばこ税に先立って物品税引き上げるべきではないかというようなことでお考えでございますれば、先般も申し上げましたように、大体物品税というのは、やはり相互競争関係にある物品課税いたしておるわけでありますから、大体製造段階で二〇%ないし一五%というところを基本的な税率として、相互競争関係考えながら、ある程度バランスをとった課税をいたしておるわけで、これを引き上げるときに、ある品目だけとらえましてそれを個別に引き上げるというようなことは非常にむずかしくなっておる。そういうわけで、また、一方、財源的にも酒、たばこのある程度増収で歳入が足りました点もありました。今回は物品税一般的増高は見送られておりますが、しかし、先ほども申し上げましたように、社会生活水準の変化とともに、何年かを契機にして見直さなければならない税であることは事実で、そういう意味で私どもは今後も検討を続けてまいらなければならないと、かように考えております。
  27. 柴谷要

    柴谷要君 今回の物品税率改定の真の目的は一体何か、こう考えてきますと、まず第一に、財政硬直化緩和のための一時的措置、あるいは物品税体系の整備を目的とする第一歩。それから、第三は、佐藤総理の言う消費抑制論関係があるように思うのですが、一体この三つのうちのどれなのか、そのほかにまだ目的があるのかどうか、この点についてひとつお聞かせ願いたい。
  28. 細見卓

    説明員細見卓君) 今回の物品税改正は、ごらん願いますように、ほとんどが暫定税率本則税率に一挙に戻すもの、あるいは段階的に引き戻すものという改正でございまして、おっしゃるような意味で特別に大きな物品税体系改正というようなことを考えずに、むしろ先ほど来申し上げておりますように、本来、物品税率として、バランス上の税率としては本則税率があるわけでありますが、それらの品目幼稚産業であり、あるいは市場になじまない商品として、ある程度育成期間を必要とする、その期間暫定税率を設けておった。それが漸次成長してまいって本則税率に近づいていく、あるいは戻していくという過程でございまして、いわば物品税体系そのものには触れない問題で、むしろこれらの関連製品国内市場におきまする成長に見合いまして、本来の体系に戻る過程で、そういう意味では特別な意図もない改正になっております。
  29. 柴谷要

    柴谷要君 何らの意図もない、目的もない、こういうことであるけれども改定されることによって国民影響することが大だと思う。一体その点をどのような影響があるとお考えになっておられるか。消費抑制に役立つとか何とか、いろいろあると思うのですよ。そうなってくれば、佐藤総理の言った消費抑制論に近づいていくわけだ、そういうような一つの刺激というか、効果というものが出てくるのじゃないか、こう思うのですが、この改定によって派生的に生まれてくるものは一体何か、これをひとつ聞かしてもらいたい。
  30. 細見卓

    説明員細見卓君) この改定によりまして確かに五十数億、六十億前後の増収になるわけでありますので、その意味におきましては国民購買力をそれだけ吸い上げることになろうかと思います。しかし、これらの改正は、どちらかと申しますれば、カラーテレビに例をとって申し上げますと、カラーテレビ育成期間であるということで一三%にいたしておったわけでありますが、本来の白黒テレビが一五%の税がかかっておるわけで、それらのものが一五%で、なお引き続きカラーテレビが一三%では両者の公正な競争条件を阻害するというような要素があります。そういう点、あるいは、また、カラーフィルムにいたしましても同様なものでございますが、いずれそういう点、あるいは、また、カラーフィルムにいたしましても同様なものでございますが、いずれにしても、本来の物品税のあるべき体系課税に戻すことによりまして競争製品との間の競争条件をよりフェアなものにしたいというのが、むしろ結果的にこの改正の精神になろうかと思います。と申しますのは、この暫定税率がこれらの製品の育成のための措置であったということの裏側になろうかと思います。
  31. 柴谷要

    柴谷要君 次は、直接税と間接税の比率について伺いたいと思うのですが、現在の比率は一体どうなっているのか。それから、二つ目は、適正比率は一体どうなのか。それから、ガット加盟国の中には直間比率の著しく相違する国がある。間接税の比率が高い国は実は有利な状態になっているが、日本は将来どのように対処していこうと考えているか、この点をひとつ説明願いたい。
  32. 細見卓

    説明員細見卓君) 四十三年度予算で申し上げますと、間接税は四〇・三の割合になっております。戦前は、御案内のように、むしろ間接税が六五・二というふうに、間接税のほうに重点のある税制であったことは御案内のとおりでありますが、この間接税と直接税との割合が幾らでなければならないということは、実はなかなかむずかしい議論でございまして、直接税について、あるいは間接税につきましてそれぞれ個別にその負担考えまして、それらの負担が適正なものになるように改正あるいは改定をいたしまして、その結果が合わさったものが四〇%なり、あるいは四十数%になることがあろうと思いますが、いずれにいたしましても、まずそれを先見的と申しますか、理論的にこれだけのパーセントでなければならないというようなことは、私どもといたしましては従来から考えてまいっておりません。ただ、執行の難易とか、あるいは世界におきまする税体系どれを見ましても、直接税、間接税にほぼ三割から六割ぐらいの差はございますが、いずれの国も若干の間接税と直接税とをまぜて税制ができておりますのは、やはりこれは執行の問題とか、いろいろな点を考えて、税制としては、直接税だけでいく税制というのも必ずしも適当でなく、また、間接税だけでいく税制も適当でない。その間に適当な比率をとりながら税制というのができあがっておるものと考えておりますが、幾らが望ましい姿だということは私どもいま考えたことはございません。なお、外国の制度で申し上げますと、日本先ほど申し上げましたように四〇・三、したがいまして、直接税は五九・七になっておるわけでありますが、若干年度が古くなりますが、四十二年のところで比べてまいりますと、日本は三九・九でございますが、間接税のウエートは、それがアメリカになりますと、御案内のように、直接税中心で、間接税は一三・四%となっております。それから、イギリスにまいりますと四二・七と、ややわが国に近い直接税、間接税の構成になっております。それから、西ドイツにまいりますと、この間接税のウエートが五二・二と、間接税のほうによりウエートがかかっております。さらにそれがフランスへまいりますと六三・五になり、イタリアにまいりますと七二・二と、どちらかといえばラテン諸国のほうが間接税にウエートを置いた税制になっており、アングロサクソンが直接税のウエートが多い税制になっております。したがいまして、ガットにおきまして、間接税は無条件に輸出に際して還付できるということがあるわけで、そうしたものが、わが国、あるいはアメリカとかイギリスのように、直接税によりウエートを置いた税制をとっておる国にとっては輸出上不利ではないかというような点、これはなかなかむずかしい議論で、近くガットの場におきまして、間接税を無条件に輸出に際して控除することがほんとうの意味においてフェアな取りきめであるかどうかということについて基本的な検討が始められることになっており、また、そういう検討を始めることが望ましいということを日本政府意見を表明しておる次第であります。
  33. 柴谷要

    柴谷要君 いまちょっと触れられましたけれども、ガットの定義は、物価上昇の要因の中に直接税は認めないで、間接税をみているということになる。そこで、直間比率の状態を見るというと、大体米国は直接税が八〇で間接税が二〇、ヨーロッパは直接税が三〇で間接税が七〇、日本は大体六〇と四〇、こういうまあ比率になる。そうなってきて、ガットの定義で認めているように、間接税物価上昇の要因の中にみるということになると、ヨーロッパの七〇、三〇というのは非常に有利になってくる、こういう解釈がつくわけです。こういう問題について日本は将来等価交易が不十分ではないかと、こう思われるような情勢の中で、将来日本は直間比率というものを一体どういうふうに考えていこうとしているのか、それをちょっと聞かしてもらいたいと思います。現状でいいのか、それとも逐次改正をしていこうと考えておるのか、この点をひとつ聞かしてもらいたい。
  34. 細見卓

    説明員細見卓君) 現状でかりに適さないということで、それじゃどういう間接税引き上げるかということになりますと、これもなかなかむずかしい問題で、やはり税制というのはそう理論に従って改正するわけにもまいらないと思うわけです。なお、ガットにおきまする、間接税輸出に際して控除して、直接税は控除してはいけないというようなことにからみまして、間接税物価に反映しておる、直接税は反映しておらないというような議論そのものも、だんだんその正当性について疑問を差しはさむ学者がふえてまいりまして、そういうところからガットの考え方そのものも改正していくべきではないかということが行なわれております。ただ、私どもとしては、長い目で見ますれば、間接税をとりましても直接税をとりましても、それは何らかの意味価格に反映しておるわけでございますので、問題は、今度のドイツのように、その間接税を増徴いたしまして、それを輸出の際に還付する、あるいは外国から輸入したものにそういう税をかけるというようなときに、一時的に、あるいは短期的に輸出に対してインセンティブになり、輸入に対して防遏的になると、問題は、これは割合言いやすいことではございますが、一貫的に間接税が有利か直接税が有利かというのはなかなかきめにくいことで、おそらくガットの場でも今後かなり長い期間にわたって議論が行なわれる問題ではないかと思います。その過程におきまして、日本といたしましては、先ほども申しましたように、物品税については、所得、社会生活水準の変遷に応じて、五年とか三年とかの期間を置いて見直すということは絶えず考えてみなければならないと思っておりますが、四〇%程度のウエートになっておる間接税を何%にしなければならないかというようなことまでは考えておらぬわけでございます。
  35. 柴谷要

    柴谷要君 今回の間接税の増徴関係では、酒、たばこのような大衆消費品が大幅の値上げを行なっているのに反して、今日の常識から見て一般の大衆に縁のない三C、いわゆるクーラー、自動車、カラーテレビというようなものは全然問題にされていないということは、税収の確保という点から一般大衆にしわ寄せがくるということになるわけですが、これは非常に問題だと思うのですね。そういう点を一体どのように考えておられるのか、説明をしてもらいたいと思う。
  36. 細見卓

    説明員細見卓君) 先ほど政務次官からもお答え申し上げましたように、たばこにつきましては、専売公社発足以来、定価の大幅な改定というものはいたしておりません。その結果、葉たばこの収納価格その他が値上がりいたしまして原価が上がっておる。また、販売手数料等の値上がりもございましたが、そういうものをのみ込みまして価格を据え置かれました結果、専売益金、あるいは消費税相当部分が漸次低減してまいっておるわけであります。あるいは、また、酒などにつきましても、一級酒、特級酒が非常に伸びておりますが、これらのものは価格もある程度自由になりましたので上がってきておりまして、相対的に税負担は減っておる。先ほども申しましたように、直接税と間接税のウエートがどの程度でなければならないということは、それ自身としては考えておりませんが、しかし、やはり執行の面その他を考え、あるいは伝統的な歴史的な税制の知恵としまして、やはり直接税と間接税とがある程度組み合わさった税制というのが望ましいのではないかということを考えますと、間接税、特に従量税になっておるものについては、ある時期ある時期にやはり見直すべきものだということで、先ほども申し上げましたように、所得税所得なり物価水準なり、あるいは経済成長なりに応じて累進的にふえてまいる、それといわばうらはらで、必ずしも負担が軽いとは申しませんが、相対的に軽くなっておる。これらの負担について見直すべきではないかということで、いわば調整というような考え方で今回の問題を考えておるわけで、ただ、しかし、これらの商品一般大衆に消費されるものであり、収入金額が小さい階層にとってこれらの値上げ負担が大きくなるということは私どもも十分承知いたしまして、これらの点については大衆品は値上げをしない、あるいは、また、特殊なたばこ値上げは見合わせるというようなこと、あるいは、また、ハイライトのような大衆銘柄についての値上げ率をつとめて低くしたというような配慮はいたしたつもりでございますが、しかし、全体として間接税増収するときには、若干の逆進的な要素というのはやはり否定できないことは事実かと思います。ただ、それでは間接税で適当なものがあるかということでございますが、カラーテレビにつきましては、今回、従来の暫定税率を打ち切ることによって一種の増収を行なっております。それから、また、自動車につきましては、御案内のように、地方税におきましてでありますが、自動車取得税を新たに設けることにいたしまして、三%程度税率になるわけでありますが、これによりまして自動車に対する課税が行なわれましたので、物品税のほうは見送られておりますが、これらの問題が、その消費の態様、あるいは消費にあらわれておりまする担税力を考えまして、将来検討を加えていくべき品目であることは事実でございます。
  37. 柴谷要

    柴谷要君 いま自動車の問題について取得税がかかったというようなお答えがありました。これらの問題は、まあ別のある意味から非常に問題がある課税だと思うのですね。これは当委員会法律案でないから議論しなかったのですが、これらの課税方法は、非常に税の取り方としてはまずいと思う。ただ、私どもの言うのは、大衆消費品に少しでもかけることによってあがる税収というものは相当膨大なものだ。ところが、いま言ったように、奢侈品的な、いわゆるまあ三Cのようなものについては量が少ない。ですから、まあ課税をしてもあがる率が少ないというような意味考えながらやっているんだと思うのですけれども、まあとにかく大衆に消費されるものが上がるということは、即、非常に国民生活影響するものであるから、こういう問題については十分慎重にしてもらいたいというふうに考えているわけなんです。  そこで、暫定軽減税率等の適用は、いわば特別処置であるから、本来なら早く本則に戻すべきものと考えられるわけです。一度特別処置の恩典を受けると、なかなか廃止することがむずかしい。また、この減税分が必ずしも消費者に転嫁されずに、むしろ業界が利益を得る結果となっていると私ども考える。そういう点がどうもいままで、たとえば減税をされても、それが消費の面にはあらわれてこない、いわゆる業界の利益となって吸収されていっている、こういう結果になっていると思うのですが、これらの点をどう見ておられるのか、この点をひとつ説明をしてもらいたいと思う。
  38. 細見卓

    説明員細見卓君) 四十一年度の物品税引き下げのときのその小売り価格に対する反映の状況につきましては、先般この委員会でも御説明申し上げましたが、八割から、多いものは一〇〇%その効果が消費者に及んでおります。これらにつきましては、特にわれわれとしましても、そのときにも通産省に非常に強くお願いいたしまして、大体所期の目的を、十分ではございませんが、大体減税が消費者の皆さんにほぼ及んだと、かように考えておりますが、今回はその逆でございまして、いわば税率引き上げられるわけでありますが、先ほど来たびたび申し上げますように、暫定税率というのは、これらの産業を育成するためにとってきた措置でありますので、その育成の政府としての措置にこたえて、今回程度税率引き上げは、そのコストの引き下げその他によって企業の中でのみ込んでもらいたい、かように考えて、また、そういうことを通産省ともよく話合った上で今回の措置をとっておりますので、おそらくは消費者の皆さんにこのわずか五%足らずの税率引き上げがそのまま反映していくというようなことは万ないものと信じておりますし、なお、先ほど瓜生委員の御指摘もございましたので、強く要請してまいりたいと考えております。
  39. 柴谷要

    柴谷要君 いまちょっと聞いていなかったのだけれども、もう一ぺんひとつ、すまんけれども
  40. 細見卓

    説明員細見卓君) 万そういうことはないと思いますし、そうして、そういうことがないように、くれぐれも行政指導に慎重を期してもらうように通産省に申し入れるつもりでございます。
  41. 柴谷要

    柴谷要君 それでは、次はドリンク剤についてお尋ねしてみたいと思うのですが、ドリンク剤は原則として課税対象とするが、厚生省が医薬品と認めたときは非課税とする、こういうことで、その区別を政令に委任しているけれども、政令乱用になるようなことはないか、これが一つ。  それから、なお、ドリンク剤が課税となったという理由についてひとつ説明をしてもらいたい、こう思うのです。
  42. 細見卓

    説明員細見卓君) 順序は逆でありますが、課税になった理由から申し上げますと、ドリンク剤が大量に店頭などに陳列されまして国民に消費されるようになりましたので、これが果実水等の販売に影響いたしまして、同じような売られ方で同じような嗜好飲料であるもの、あるいは薬品であるのかもしれませんが、やや嗜好的な飲料であるものが課税にならないというのは不公平ではないかということからドリンク剤が課税になったわけであります。したがいまして、薬品であるから課税にならないとか、薬品でないから課税しているとかというようなことで、薬品としての性格と関係なく課税の問題が起こったわけでありますが、今後政令で定めますことは、この課税になりました沿革が、普通の果実水などと同じような、競争的な大量販売的な売られ方をしておるそれに対して課税が行なわれたのでありますが、今回以後、厚生省がその点を顧みまして、本来の医薬品として、医薬品らしく、むやみに店頭に陳列するとか、あるいはむやみに大量に服用をあおるような広告をしないとかというようなことを行なって、医薬品らしい扱いとなりましたときには、果実水との競合関係というようなものもおのずから消えてまいるわけでありますから、そういうものについては課税をしないでもいいのではないか、その指導にあたりましては、厚生省が別途厳重な指針を出すことになっておりますので、それを受けて政令にその内容を書き入れたい、かように考えております。
  43. 柴谷要

    柴谷要君 ドリンク剤は医薬品として取り扱うのか、それとも従来のような自由販売の方法をとらせるのか、この点は厚生省との関係もあるけれども、それは一体どちらをとろうとしているのか。同じドリンク剤がふろ屋さんでも売られている、何といいますか、あらゆるところで売られている。ところが、一方、薬局のほうにあるドリンク剤は、これは医薬品だから税がかからない、こういったような片手落ちの行政が行なわれるようになるとこれはたいへんだと思うのですね。一体ドリンク剤というのは医薬品であるのか、それとも嗜好品のようなものであるのか、一体どちらなのか、その点が明確になれば政令に定めるについても非常に楽じゃないかと思うのですが、この点はどうなんですか。
  44. 細見卓

    説明員細見卓君) ドリンク剤が課税になるものもならないものも、医薬品であることには変わりないわけでありまして、物品税の中には、このほか化粧品に薬用化粧品と一般化粧品というようなものがありまして、若干何といいますか、薬用と一般化粧品との区別があいまいなものにわたって課税が行なわれておるというものがあり、ドリンク剤が今後そういうものになるわけでありますが、今後の厚生省が考えておりまする指導方針で申し上げますと非課税になる。いわゆる医薬品としてのドリンク剤は医薬品ということを表示する。それから、清涼飲料水とまぎらわしいような広告だとか、あるいは推奨販売は一切行なわない、あるいはよく薬屋などにございますように、店頭にストッカーを置いて、それに並べて売るというようなことをいたさない、薬局以外では売らせない、この四つばかりの方針を骨子とした行政指導をとることになりますので、この商品課税になりました沿革から申しまして、ゴルフ場で売られているとか“あるいはふろ屋で売られておるとかいうようなことは、非課税のものについては今後なくなるものと信じております。
  45. 柴谷要

    柴谷要君 そうすると、薬品であることには間違いない。しかし、それが薬局で医薬品として売られる場合には非課税だ。しかし、そうでないところで売られる場合には課税するのだ、こういうふうにいまの説明を受け取れるのですが、そういうことですか。
  46. 細見卓

    説明員細見卓君) そのとおりでございます。
  47. 柴谷要

    柴谷要君 そうなると、えらい行政上の、何といいますか、うまくない行政がそこに行なわれるような気がするわけですが、医薬品であるドリンク剤というものは含有する成分の違いがあると思う。確かに医薬品として十分な内容を持っているものであるとか、それから、一般市場で売られておる課税されているドリンク剤というのは、何というか、清涼飲料水のようなものであって、内容的には医薬品として指定されたものとは違うのだ、こういう製品上の相違からくる課税課税、こういうことならば納得できるわけです。ところが、いま言うように、薬品には間違いないけれども、その扱いによっては無税のものもあり、有税のものもある、こういう扱いではどうも納得いかぬのですが、厚生省がそういうばかげたことを考えておられるのか。これに大蔵省が同調をしているということはどうも疑問に思うのだが、どうなんですか。
  48. 細見卓

    説明員細見卓君) 私どももそういうことについて疑問を持たなかったわけではなくて、そういう意味で全部課税ということにしようではないかということも考えたわけです。御案内のように、容器等を制限して、特別なものだけを非課税にしておったわけでありますから、その制限も守られない状況においては、むしろ全部課税にすべきではないかということも申しておったのでありますが、厚生省に限りませず、メーカー、卸、小売りの薬屋の系統の人たちも、もしこうした厚生省の指導方針に違反する事態が起これば、メーカー小売り店の店頭から没収するとか、あるいはその小売り店には自今そういう商品を取り扱わせないとかいうようなことで、的確な指導と責任を持つからこれでやれるというようなことを厚生省が大蔵省に約束いたしまして、それではひとつ厚生省の指導というものが効果があがるであろう、こういうことでこういう措置になったわけであります。
  49. 柴谷要

    柴谷要君 これはたいへんな問題が起きやしないかと思うのですよ。たとえばドリンク剤の非課税の医薬品にはもちろんレッテルを張られていると思うのですが、これはまた千葉県で問題が起きましたね、ああいったような私は問題が起きやしないかと思うのです。医薬品なら医薬品として全部扱う、課税対象にしない、さもなければ全部課税をするというふうに、どちらかにしませんと、それはかりに医薬品だという明示をしてみても、これは外で売られているドリンク剤は課税されているのだから、かなり課税分だけ高く売られているわけですね。それを今度薬局は、あそこでそういう同じドリンク剤が何ぼで売られているから、うちのは医薬品と張ってあっても、非課税だからそれだけ安く売るということにならぬで、やはりある程度の利益を考えるから、他のドリンク剤の売られている価格と同じようなもので売るというようなことになれば、それは無税でありながら高いドリンク剤が多く売られる、こういうような結果が出てくるし、それから、また、無税の、何といいますか、レッテルがやみで横行するということもあるまいが、何というか、ごまかしをするというようなこともここにあらわれてくるのじゃないかというふうに思うので、これは大いに厚生省と大蔵省でもっと研究する必要があると思うのですが、この点はいかがですか。
  50. 細見卓

    説明員細見卓君) おっしゃったような問題が発生しないことを願っておりますが、なかなか微妙な行政になり、あるいは実行の困難な問題が発生することも予想されますので、今後のこの措置の成り行きについては十分注意を払っていかなければならないと私ども考えております。
  51. 柴谷要

    柴谷要君 それでは、私はこの程度で終わっておきます。
  52. 塩見俊二

    ○塩見俊二君 私、きょうの産経新聞に、税調が累進税率の問題を取り上げるという記事が出ておるのを見ました。私はこれは非常にけっこうなことだと思いますので、この問題に関連をして一、二お尋ねをしたいと思います。  ことしは、政府の非常な御努力で、国際収支の問題等も非常にきびしいにかかわらず、とにかく約十万円の課税最低限の引き上げを行なったということにつきましては非常な敬意を表しておるところであります。私は、これが一日も早く、かねがねの公約どおり、百万円程度まで課税最低限を引き上げるという御努力を今後お願いをしたいと思うのでございます。このようにいままで進んでおる問題が、課税最低限の問題に非常な関心が持たれ、また、これが引き上げに努力をしてきたことはもっともだと思いまするが、なお、私は、これと同時に、同じように重要視しなければならぬ問題が残っておったと思うのであります。それは、この課税最低限で免税になるのはけっこうでありますが、その上の段階になりますと急激に累進税率が高くなってくる。したがって、たとえば二百万円程度くらいまでの所得者というものが非常に高率の税負担をしておるというような状況であったと思うわけであります。また、その累進税率の刻み方も、非常にまあ極端とすら言えるような状況でありまして、十万円をこえるといきなり一〇%、これが三十万円以上になると一五%、六十万円以上になると二〇%、百万円以上になると二五%、百五十万円以上になるともう三〇%というような非常に高い税率がかかっておるわけであります。したがって、私どもは、こういったような、ようやく極貧の階級から抜け出して、しかも、日本全体から見ればいわゆるきわめて低所得者層であると思うのですが、そういった低所得者層に対する課税税率が高きに失するのじゃないかということを常々考えておったわけでありまして、課税最低限の引き上げはもちろん必要でございまするが、少なくとも二、三百万円程度所得者というものは、低所得者層か、あるいは中産階級のところくらいというようなところの負担が非常に多いので、これに対してやはり緩和措置を講じなくちゃならぬと思っておったわけであります。ところが、幸いに、きょうの新聞に、累進税率を直す、年二百万円層に恩恵を与えるようなふうに税調でやりたいという新聞記事が出ておるわけでありまして、非常にけっこうなことだと思いまするが、これに対して大蔵省は、何かこういったことに関する情報なり、あるいは計画なりについて御承知せられておるかどうか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  53. 二木謙吾

    政府委員二木謙吾君) ただいま塩見先生からの御質問でございますが、私ども所得税減税を今年十万円を引き上げて八十三万円にしたのでありますが、さらにこれを九十三万円、百万円、こういうふうにしなければいけないと思うのであります。そうして、いま先生のお話がございましたように、累進率が非常に高い。この間も私はあるところへ行きまして、百万円からいま先生がおっしゃられたような率が非常に高い、この時期がちょうど大学へ子供が入るような時期に遭遇しておるので、そういうときに非常に税率が上がっていくということは改正をしてもらわにゃいけない、こういうような意見もございましたので、大蔵省といたしましては、いまお説のような線に基づいて、ひとつ税制調査会ともよく話し合いましてやっていきたい、かように考えております。詳細については調査官から説明させます。
  54. 細見卓

    説明員細見卓君) 政務次官からお答えがありまして、蛇足を加える必要はないのでありますが、私どもも、かつて昭和三十二年に一度根本的な税率改正を行なったのでありますが、それ以来十年間近く本格的な税率改正というものは行なわれておりません。したがいまして、その税率の刻み方につきましても、その後の所得階層のあり方から見まして適当であるかどうかというのは検討を要することだと思っております。ただ、税率改正いたしますときには、かなりの財源がいままで要りますし、また、免税点幾ら引き上げというほどはなやかなスローガンにならないというような面がございまして、税率は比較的等閑に付されてまいったわけでありますが、そういう点を考えまして、そういう欠陥を若干でも補うためということで、本年におきましても給与所得控除の二〇%控除、あるいは一〇%控除が適用になります階層を引き上げるということによりまして、実質的に税率緩和ということを考えてまいったわけで、問題がそこにあることは十分に予測いたしておりますので、先生のいまおっしゃいましたように、税率そのものの改正ができるほどの明年度の財源事情があるかどうかわかりませんので、その辺も考え、さらには、こそくな手段ではありましょうが、一〇%の所得控除というようなものをさらに大幅にするとかというような考え方もあわせ考えまして、御主張の趣旨に沿った改正考えていかなければならない今後の所得税の最大の問題である、さように考えております。
  55. 塩見俊二

    ○塩見俊二君 アメリカの例が私はいきなり参考になるとは思いませんが、アメリカの例を見ましても、五百ドル以下が一四%、千ドル以下が一五%、一千五百ドル以下が一六%、二千ドル以下が一七%、それから六千ドル以下になっても二〇%というふうな、非常な累進のゆるいカーブを描いておるわけでありますが、日本の場合、いきなり一〇%、一五%、二〇%、二五%、三〇%というふうな、非常にきつい累進税率を適用しているわけです。このことは、やはり各階層間の負担の均衡から見ても考慮すべき問題点があるのではないか。やはりカーブというものはゆるいカーブでいって均衡がとれると思うし、日本の場合はがくんと階段を上がるようになっておるのですが、外国のほうはゆるいカーブで上がってまいるということで、ちょっと一つ段階を越えるとがくんと上がってくるというような点ももう少し考慮すべき問題じゃないかと思いますが、その点について意見を承りたいと思います。
  56. 細見卓

    説明員細見卓君) おっしゃること一々私ども考えておるとおりのことでございまして、日本所得税が重い重いといわれるのは、要しますに百万円から三百万円くらいのところが非常に五十万円刻みで五%の累進税率が上がっていく、わずかに所得のふえたところで税率が上がる。それに比べまして、アメリカ等におきましては、二千ドル前後の、いわば国民の中堅的な所得階層の税率というものはほとんどゆるやかな刻みである。したがって、日本のように毎年のごとく所得税改正をしなくても、所得のふえたのに見合ってある程度税がふえていくというかっこうで、国民全体から所得税に対する不満を買わなくても済む。日本の場合は、わずか五十万円ふえれば五%ふえるというようなところに問題があると思っております。
  57. 塩見俊二

    ○塩見俊二君 じゃ最後にもう一つお伺いしたいのであります。アメリカの最高限度の税率が七〇%になっており、ドイツが最高限度の税率が五三%というようなところで、日本の最高限七五%は世界で最高であるということで、この点は最高のほうはどうでもいいのだというお考え方があるかもしれませんが、しかし、最高限が高いために、そのしわ寄せが各階層にいくという点もありまして、したがって、やはり日本の場合は非常に脱税が多いというようなことも、やはりこういった点に若干の関係もあるのではないかと思います。したがって、あわせて、世界で一番高い最高限度についてもこの機会に御検討いただければしあわせかと思います。  以上で私の質問を終わります。
  58. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) これは私ども検討したいと考えておりますが、いままでは何としても課税最低限の引き上げがやはり急務であり、百万円までの引き上げを急いで、そのあとから税率検討をしたいという考えで進んできましたが、おっしゃられるような問題については十分検討したいと思います。
  59. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) それでは、おはかりいたします。  物品税法等の一部を改正する法律案については、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  物品税法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  62. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、本日はこれをもって散会いたします。    午前十一時四十一分散会      —————・—————