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1968-05-15 第58回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十五日(水曜日)    午後一時十八分開会     —————————————    委員異動 五月十一日     辞任         補欠選任      内田 芳郎君     小林 篤一君      北條 雋八君     鬼木 勝利君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         光村 甚助君     理 事                 高橋雄之助君                 吉武 恵市君                 小野  明君     委 員                 井川 伊平君                 沢田 一精君                 徳永 正利君                 柳田桃太郎君                 阿部 竹松君                 宮崎 正義君    政府委員        通商産業政務次        官        藤井 勝志君        通商産業省石炭        局長       中川理一郎君        通商産業省鉱山        保安局長     西家 正起君        労働省安全衛生        局長       大野雄二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (美唄炭礦災害に関する件) ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  去る十一日、内田芳郎君及び北條雋八君委員を辞任され、その補欠として小林篤一君及び鬼木勝利君が選任されました。     —————————————
  3. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 異動によってただいま理事一名が欠員となっておりますので、その補欠選挙を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議ないと認め、理事鬼木勝利君を指名いたします。     —————————————
  5. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。  去る十二日に発生いたしました美唄炭礦災害によりまして、悲しき犠牲者が出ましたことは、まことに痛ましい限りでございます。ここに、なくなられました方々の御冥福をお祈りいたし、黙祷をささげたいと存じますので、御起立をお願いいたします。  黙祷。    〔総員起立黙祷
  6. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 黙祷を終わります。御着席を願います。  藤井政務次官から発言を求められております。これを許します。藤井政務次官
  7. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 御報告を申し上げます。  五月十二日夜、北海道美唄炭礦坑内火災が起こり、入坑中であった労働者のうち六名死亡、七名行くえ不明という悲惨な災害発生いたしました。美唄炭礦は、去る一月にもガス爆発事故により十六名の死亡者を出しており、たび重なる災害発生を見ましたことは、まことに遺憾にたえない次第でございます。  私は、去る十二日夕刻大臣の命を受けまして、北海道美唄市にある美唄炭礦において発生した災害について、その状況調査及び諸対策推進をはかるため、同日設置された美唄炭礦調査団団長として、鉱山保安局石炭課長を同行して十三日現地におもむき、すでに現地に先行していた鉱山保安局所属鉱務監督官と合流し調査を行ないました。その状況を御報告申し上げます。  調査団は、十三日午後美唄炭礦に到着いたしまして、直ちに炭鉱事務所において札幌鉱山保安監督局長より災害状況を聴取、引き続いて会社労働組合及び職員組合よりそれぞれ事情を聴取いたしましたが、災害状況は、十二日は公休作業として二坑区域に二十七名が入坑し、主として坑道の仕繰り作業に従事しておりましたが、十七時五十分ごろ二坑区域下六番層左四片坑道において突然山はね現象推定される事故が突発し、引き続いて起こった坑内火災により、火災現場風下において作業をしておりました十三名が行くえ不明となったものであります。災害発生後直ちに鉱山救護隊を招集し、行くえ不明者救出作業に当たりましたが、坑内ガス状況等条件悪化がありまして、二次災害発生危険性が考慮される状態となりましたため、行くえ不明者等救出作業がきわめて困難となり、調査時においては、ちょうど風雨のため低気圧という悪条件もございまして、非常に調査に困難をきわめてまいりました。当時は十三名の行くえ不明者確認すらできない状況でありました。  以上が調査時点での災害の概要でありますが、詳細は後刻鉱山保安局長より御報告させますが、そのような事情調査を終えまして、私は二坑坑区において行くえ不明となっておられる十三名の方々の無事を祈願いたしましたあと集会所に集まっておられる家族約三十名ばかりの方々救出作業かたずをのんで待っておられる家族方々に対して、ねんごろなお見舞と御激励を申し上げ、救出作業全力を尽くすことを約してお別れをいたしました。  翌十四日調査団は、札幌市において関係官公庁と今次災害に関する合同会議を開催し、種々検討いたしました結果、札幌通産局長世話役として、関係官公庁よりなる美唄炭礦災害対策連絡会議札幌市に設置し、今次災害による入院者及び行くえ不明者家族に対する医療並びに援護等の諸施策の連絡推進に当たらせることといたしましたが、会議終了後、行くえ不明者救出作業の指導に当たらせるため、同行いたしました鉱山保安局石炭課長を残留させて、私は昨夕帰京いたしました。以上簡単でございますが、調査結果の御報告をいたします。  なお、十五日五時、行くえ不明者中六名の方の遺体坑口に収容したとの報告がありましたので、あわせて御報告をいたします。
  8. 光村甚助

    委員長光村甚助君) それでは美唄炭礦災害に関する件について、政府委員より説明を聴取いたします。西家鉱山保安局長
  9. 西家正起

    政府委員西家正起君) 続きまして、災害状況につきまして報告をさせていただきます。恐縮でございますが、はなはだ粗末な資料でございますが、お手元資料に基づきまして御報告をさせていただきます。  今災害は、昭和四十三年五月十二日午後五時五十分ごろに美唄市の美唄にございます美唄炭礦常盤坑発生をいたしました。鉱業権者美唄炭礦株式会社でございまして、社長近角真観災害の起こりました場所は、常盤坑の二坑区域下六番層左四片坑道でございます。災害の種類は坑内火災でございます。鉱山労働者の数は美唄礦全体で二千六百二十九名おります。出炭量美唄礦全体で月に八万四千トンを出しております。ただいままでのわかっておりまする罹災者は、死亡者六名、行くえ不明七名、入院者四名でございます。  災害状況の中で、操業の概況でございますが、同常盤坑には鉱山労働者が約千三百名おりまして、月産四万二千三百トンを出炭いたしております甲種炭坑でございます。坑内の構造は、新坑と二坑の二つの部内に大別をされておりまして、今回災害発生いたしましたのは二坑部内でございます。一月の二十日にガス爆発がございましたのも、二坑は広うございますが、同じ二坑部内でございます。鉱山労働者は二坑部内では五百名でございまして、月産二万一千トンを出炭いたしております。通気は、後ほど、うしろのほうの図面で御説明をいたしますが、二坑立ち入り坑道、新坑、これは四片連絡坑と二片連絡坑とあって、それぞれこれは千二百立方メートル、千四百立方メートルと五百立方メートル、計千九百立方メートルの風が毎分入っておりまして、坑内の各作業個所を回りまして、一番端の人車卸を通りまして、主要扇風機により排気をされております。  災害状況でございますが、災害当日は公休作業といたしまして、二番方に三十一名の方が配番されておりました。そのうち坑内には二十七名の方が配番をされておりました。主としてやっておりました作業は、坑道の仕操り作業でございますが、この当日十七時五十分ごろ二坑坑口から千五百メートル入りましたところの二坑下六番層の左四片坑道におきまして、大きな音とともに、いわゆる山はね現象がございまして、その直後に坑内火災発生をいたしたというふうに目下推定されております。入坑者の二十七名のうち十四名の方たち自力で脱出したのでございますが、坑内火災発生いたしましたところから風下に当たります個所作業に従事をいたしておりました十三名の方々が行くえ不明となったのでございまして、また脱出者のうち四名の方が入院をいたしたわけでございます。災害発生鉱山救護隊を直ちに招集いたしまして、行くえ不明者救出作業鉱山のほうで当たったのでございますが、途中ガスの量がふえたりいたしまして、ガス爆発危険等が出てきたために、翌日の十三日の十三時に一時救護隊全員を退避をさしております。その後同じ日の夜の八時に、また救護隊を再派をいたしまして、その結果十四日の午後九時三十分ごろ、左五片の坑底におきまして六名の方の遺体を発見をいたしておりまして、十五日の朝五時に坑外に収容をいたしたのでございます。なお、残りの七名の方々につきましては、引き続き捜索中でございます。  災害原因でございますが、目下札幌鉱山保安監督局におきまして、行くえ不明者救出作業と並行いたしまして、調査をいたしておりますが、現在までに大体推定される事項は、先ほどのようなことでございまして、詳しいことにつきましては、何ぶん現場監督官が入っていけないという状態でございますので、現在調査中でございます。  政府のとった処置でございますが、災害発生と同時に、札幌鉱山保安監督局長以下十四名の監督官現地に急行させまして、行くえ不明者救出作業の指揮に当たるとともに、並行して災害原因究明に当たっておるような次第でございます。  通産省本省といたしましては、先ほど藤井政務次官の御報告のとおりでございます。  そのほか、災害当時の入坑者に対しましては、災害後直ちに一酸化炭素中毒に対する検診を行なっておりまして、四名の入院患者は出たのでございますが、現在中毒はないと、こういうような模様でございます。  一番最後図面災害個所の見取り図が書いてございます。はなはだ略図でございまして、見にくいわけでございますが、中央に採掘跡と書いてございます上のところに斜線をいたしまして、三名とこう書いてございますが、この三名のおられたと推定されるところの坑道が、今回災害発生いたしました左四片坑道でございます。この坑道には、左のほうの上から二番目に四片連絡坑道と書いてございますが、新坑のほうからこの四片連絡坑道を通りまして空気が入ってまいりまして、先ほどの左四片坑道を左から右のほうに通りまして、これはずっと右のほうにまいります。それからもう一つ右のほうの二坑のほうから入ってくる風が第二卸というところを通りまして、右のほうの上から左下のほうに入ってくる空気と合流をいたしまして、今度は採掘跡と書いてございます下の下六番層の左五片を右のほうから左へ通って空気が入るわけでございます。空気が入りまして、これが採掘跡の一番左側の新しい採掘面を通りまして、これはその面に沿ってのぼりまして、採掘跡の上のほうの点線のところをまた右のほうに通りまして排気されておる、こういう状況でございます。斜線で三名と四名と書いてございますが、これはそれぞれ配番をされました位置でございまして、三名と四名の方がこの辺に配番をされていまして、現在なお行くえ不明となっているわけでございます。それから一番下の六番層左五片の左のほうに六つのペケじるしがついておりますが、ここが昨夜六名の方の遺体を発見いたしました位置でございます。ちょうど火災発生したと考えられますのが、その上の左四片の三名と書いてございます個所の少し左のほうでございまして、そのあたりから火が出たということのようでございまして、これが先ほどの通気経路を通りまして、ずっと風下におる方々のほうに回って排気をされておる、こういうような状態でございます。簡単でございますが、災害の御報告をさせていただきました。
  10. 大野雄二郎

    政府委員大野雄二郎君) 簡単に御説明をいたします。  災害状況につきましては、ただいま鉱山保安局長のほうから詳細御説明申し上げたとおりでございます。労働省のとった措置につきましては、お手元資料に概略書いてございますとおりでありますので、これに沿って御説明いたします。  今回の災害におきまして、火災発生いたしておりますので、一酸化炭素中毒症発生するおそれがありましたので、その地元の監督署北海道労働基準局よりそれぞれ担当官を急行させまして、その対策に当たらせました。自力脱出をいたしました十四名につきまして、坑口において法規どおり検診を行ないました。その中で最も重要な一酸化炭素ヘモグロビンの検査を労災病院でいたしましたところ、二枚目のうしろに出ているような結果でございます。すなわち一酸化炭素ヘモグロビンが一〇%前後の者が四名ございまして、軽度の一酸化炭素中毒症疑いが生じたわけでございます。そこで十四名のうち、その四名を含めた六名が頭痛を訴えておりますので、炭礦病院入院いたし、手当てを受けております。で、一名を除きまして、今明日中に退院の見込みでありましたが、四名は本日退院するという連絡でございます。残り八名は一酸化炭素ヘモグロビンの量が二%のものが四名、ゼロが四名ということになって、自宅で療養中でございますが、心配はないものと思われます。また、救護隊員が総計百二十三名入っておりますが、これにつきましても検診を行ないましたが、中毒疑いはございません。また、坑内に閉じ込められました方の救出に備えまして、坑口医師看護婦を待機させるとともに、近くの美唄労災病院において高圧酸素タンクの整備、医師等の待機を行なっております。なお、六名の死亡原因は、いまのところ、うち五名が外傷性の即死という報告でございます。  それから、先ほども御報告ありましたように、昨日の関係機関対策会議では、本省労働衛生課長北海道労働基準局長を出席いたさせまして、検診医療体制、あるいは救護活動努力するという態度をとっております。また、不幸にしてなくなられました六名の方々遺族補償については、早急にこれが行なえるよう準備を進めておるところでございます。
  11. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまの説明に対する質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 阿部竹松

    阿部竹松君 政務多端のおりから、職責上当然と言えばそれまでですが、はるばる災害現場まで藤井政務次官には団長としておいで願いまして、たいへん御苦労さまでございました。  労働省保安局の両局長さんから御説明をいただきましたが、何といってもこの席には現地を見られた方は政務次官藤井さん以外におられませんので、一、二点この際お尋ねしておきたいと思うわけです。  なお、本会議において、わが党の大矢君の緊急質問とか、後ほど委員長手元調査団派遣ということもあるようでありますから、詳細の質問は後刻に譲ることといたしまして、まず政務次官にお尋ねしたい点は、政務次官現地に行かれて、美唄炭礦のこの災害にかんがみまして、春の例もあることですし、美唄炭礦の将来に対し、休山閉山等の問題も含めて発言しておられる。したがって、従業員家族を含めて美唄鉱山に働く者の人心はきわめて動揺しておるわけです。私は次官がほんとうにそのような将来美唄炭礦が云々というような、休山閉山を含めての御発言であればこれは妥当でないというように考えるわけですが、その点はいかがでございましょうか。
  13. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 御指摘の点、先刻の衆議院の石特においても御質問がございまして、私もそれを聞きまして驚いたわけでございまして、そのような報道もされておるという事実に対しては、私もまことに遺憾に存じ、申しわけなく思います。しかしながら、事柄はひとつ皆さん方に率直に御報告さしていただきますが、十四日、関係諸官庁の連絡会議最後の取りまとめのときにも、私はまず第一に、当面は行方不明者救出作業全力をあげてもらいたい、それの救出が終わったら、原因究明をひとつしてもらって、保安対策の万全を期してもらいたい、そういったことを強く主張いたしますと同時に、特に先ほど御報告いたしましたように、また局長からも御報告をいたしましたように、坑内に火元がある、火災を起こしておるということ、また当時ちょうど低気圧でたいへんに自然条件も悪いということで、いつガス爆発を誘発するかもわからないという二次災害のおそれが多分にあること、しかし、家族かたずをのんで救出を待っておる、こういうことでございまして、一線に立っておる監督官十四名、現場経営者労働組合、一体となって最善努力をしておったわけでございまして、特に美唄炭礦が御承知のごとく一月二十日に十六名の犠牲者を出し、また二月に一人犠牲者を出しておる。また今度のような事故であり、しかも推定のところ、山はね現象というこういったきわめて困難な原因によって事故が起こった、こういったことをあれこれ考えまして、私はやはり生産第一主義という考え方でなくして、あくまで人命尊重保安第一主義という基本的なかまえを貫くべきである、こういったことを言ったわけでございまして、まさに石炭業界は転機に立っておるときでございますから、そういったことを申したようなことが、いかにも閉山というふうなことに結びつけて誤解を生んだ、こういったことではないかと推定をするわけでございまして、現在の時点において、救出作業最善という時点において、閉山などという非常識なことを言うべき筋合いのものではさらさらない、このように深く私も考えて発言をしたわけでございまして、以上のような状態でございますから、そのような誤解を生じておることは、この席を通じてはっきりとそうでないということを確認をしていただきたい、このように思います。
  14. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいまの御答弁のような内容であれば、どなたが発表し、どなたがニュースソースとして流したかは別として、いかにあわてた新聞記者であろうと放送記者であろうと、いまのような内容は、そのままにもし出なかったとしても、誤解を招かれるようなことは全然ないじゃありませんか。そうすると、美唄の将来について云云、閉山休山、廃鉱、どういう表現を用いたかわかりませんけれども、そういうことについては一切事実無根である、記事にしたり放送したほうが誤りであったと断定してもよろしいわけですね。
  15. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) そのとおりでございます。
  16. 阿部竹松

    阿部竹松君 重ねてお尋ねいたしますが、突然という災害現象藤井政務次官はおっしゃったようですね。ところが、報告書にもございますとおり、当日は山のお祭りで三日くらい休んでいるわけです。そうしますと、保安要員として、こんなに三十名も四十名も入る筋合いのものではないのです。明治から大正、昭和の例をとってもない。しかし、そういうときに一つ現場に三十名もそれ以上も入っておったということは、相当危険なために対策を講ずるために入坑しておったと断定しても差しつかえなかろうと思う。こういう点について、おそらく現場保安責任者、あるいは社長である近角真観さんともお会いになって十分お聞きになってこられたと思うのですが、その点どうですか。
  17. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) その点につきましては、私あまり専門的な質問をする知識がないと同時に、関係者救出作業に一生懸命になっておりましたので、いわゆる仕繰り作業をやっておった。で、まあ保安あるいはまた仕事のスムーズな、休み後の職場の体制を整える、こういう点で二十七名が入坑しておったように聞き、それが特に危険があったから予備的にやっておったというような話は職員組合労働組合経営者側、一切そのようなことは話が表に出ない、こういう状況でございました。私もすなおに、仕繰り作業でその程度の人間が要ったのであろう、こういうふうに理解いたしたわけでございます。
  18. 阿部竹松

    阿部竹松君 劈頭申し上げましたとおり、私も十分理解のいかぬ点がございまするので、後刻の委員会委員長の許しをいただいて十分お尋ねしたいわけですが、最後にもう一点だけお尋ねいたします。  山はねというような災害事故がそう簡単に、これは九州から北海道まで含めてもいいと思うわけですが、起きません。完全に充てんしてあれば、もし山はねの状態になったとしても、きわめて僅少な災害で終わるのですよ。にもかかわらずこういう事故が起きたということは、私どもしろうとが判断しても、これは完全に充てんしておらなかったと断定してもよろしい。しかし、現場を見ずしてあまり断定的な発言もできませんから、これ以上お尋ねしませんけれども、私はそう思っております。  それからもう一つお伺いして質問を終わりたいわけですが、坑内火災が起きて、藤井政務次官から報告をいただいた中にございましたとおり、坑内に入っておる人が死亡しているか生存しているかわからないにもかかわらず、密閉遮断空気を入れない。これは生きておってもなくなりますね。それをだれが指令を出したのですか。あなたがいって団長の権限で出したのですか。それとも札幌鉱山保安監督局長が出したのですか。人間が生きておる、あるいは十七名のうち半分死んでおるかもしれないが、これを密閉するのですから、生きている人のところに空気を入れない、こういうような非人道的な指令をだれが出したのですか。
  19. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 私が参りましたのは十三日の午後、現地に着きましたのが五時前後でございましたが、それからあくる日の十四日は密閉いたしておりません。いかにして三人を無事に救出するかということに最善を尽くす、そうしなければあとの四名、六名という者の救出作業が、これが二次災害のおそれがあるのでやっていけない、とりあえず三人救出して、そして密閉をして、そして爆発を防いでそれから次の救出作業に移ろうということで最善努力をしており、三名の人命尊重ということをまず優先的に考えて処置しているということでありまして、密閉は私のおった時間は一切しないで、風のかげんを外の気圧との関係で苦心さんたん調整をしておった、こういう状態でございます。
  20. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま阿部委員のほうからもお話がありましたように、確かに完全充てんしておれば、山はねの現象は予知もし予防もできるわけです。現地入坑者の、従事している人たちの話を私はこの際よく聞かなければいけない。いまお話がありましたように、労働組合あるいは会社側の人の話を聞いたけれども、そういうふうな過去において現象がないようだったというようなことも、私の聞いた範囲におきましては、二月の七日にもこういう現象があった、それから四月二十七日にもこういう現象があったという者も中にいるわけです。したがいまして、その入坑者の一人一人の声というもの、それが将来に対する災害の大きな防策になる、こう考える上から、こういう点も十分に考慮していただきたい。これは私の意見のようなことになりますけれども、阿部委員のおっしゃったとおりに、山はねならば、ある程度見受けることができる。しかもこれが御存じのように、常盤坑のところは非常にくずれやすい。上盤もたれ下がりがちである、下盤も盛り上がりがちである。もうすでに背をかがめないと入れなかったようなことも漏れ聞いているわけですが、これはうそかほんとうか知りませんけれども、いずれにいたしましてもそういうような現況にあるということを聞いておるわけです。したがいまして、くどく申し上げるのは、坑内に入っている鉱夫の人の意見というもの、それをよく尊重して対策を立ててもらいたい。これが私の一点でございます。しかも、ここは新坑とそれから常盤二坑の連絡坑坑道になっておりまして、非常に何というんですか、大事なところで事故が起きているわけですが、したがいまして、火災等の問題も広範に広がってきているという形にもなると思うのです。  それからもう一点は、大体三百人程度の人がここで働いているということを聞いております。したがいまして、ここはもしすぐに操業しましても、前回の一月から二月にかけてやっと一カ月半経過して、やれやれといって操業にかかった矢先でありますし、しかも新鉱なり立て坑なりにこういう人たちを配置ができるものかどうなのか、そういうようなところも私は伺っておきたいと思います。
  21. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 保安の専門的なことについては局長から補足して答弁してもらうことにいたしまして、いまの原因究明、これは私が参りました時点においては、もう人の救出ということにすべてを集中しておる。したがって一応山はね現象であるということは大体想定できますが、なぜ火災が起こったかという火災原因については、まだ推測の域を出ておりません。電線がちぎれてスパークしたのではないかというような意見もありますし、そこら辺は救出作業が終わって、そうして本格的な原因調査ということで解明されなければならないということでございまして、御指摘の点は全くこれからの問題でございますし、まあ調査団もまた別途あちらにお出になるということも承っておりますし、総力をあげてこれが原因究明する。そして山はねそのものは、学問的にも究明されがたきいろいろな事情があるやに聞いております。その起こった山はねに対して防ぐ対策という、こういう面は別途とりあえず急いで具体策を検討すべきじゃないか。根本的に山はねに対する保安対策対策として、それが起きても火災を起こさないということ、こういったことに対しての応急措置が今後できるのではないか。このようにも考えますので、御趣旨の点は十分関係出先と通産省と緊密な連絡をとって善処いたしたい。このように考えます。
  22. 西家正起

    政府委員西家正起君) ただいま先生のお話ございました山はねにつきましてのお話でございますが、確かに両先生の御指摘のとおり、充てんでこれを防ぐという場合もございます。それからいろいろな、これはもともと岩盤の強度よりも強く圧力が上にかかりまして、それがそういうアンバランスの状態で保たれておりますときに、何らかのショックによりまして、小さなショックでもこれは一気に上下から圧出をしてくるという現象でございまして、なかなかこれの予知方法等につきましては非常にむずかしい問題が残されているわけでございます。御指摘のように、確かに同炭鉱で二月二十七日に山はねという現象が四片坑道の先のほうで起こっておりまして、一名の死亡者を出しておるわけでございますが、この際も、この災害直後に大学の先生、この山はねについて若干造詣の深い先生に北大から来ていただきまして、調査なり今後の対策につきまして、炭鉱のほうで実施をいたしておるようでございますが、結論といたしまして、なかなかむずかしいことであるようでございます。それで今後の問題につきましては、従来は確かに現象としては、ほかの災害に比べますと少なかったものでございますので、これを専門的に突っ込んだ対策という点につきましては、ほかの災害よりもおくれておったかと思うのですが、従来は、したがってそういう災害があるたびに個別に学識経験者の御指導を仰いでおったというのが実情であったかと思いますが、今後はこれを全国的に十分造詣の深い先生方に集まっていただきまして、委員会等をつくって、早急にこういう究明をいたしたいと考えている次第でございます。しかしながら今回の災害は、その山はねのほかに坑内火災発生したということで、先ほど政務次官お話にもございましたように、直接には坑内火災がたくさんの犠牲者を出したということにつながるものでございますので、推定される山はね等からどうして坑内火災が起こったか、この辺十分現地のほうで原因究明をしまして、かりに山はねという現象が起こっても、坑内火災の起こらないような方法につきまして十分研究する必要がある。かように考えているわけでございます。  なお、先生御指摘のように労働者一人一人の声を十分反映するという点につきましては、十分そういうふうにわれわれといたしましても努力をいたしたい。かように考えている次第でございます。  また三百人働いておられますが、こういう災害により、その後の配置をどうするかという問題につきましては、実はまだ現在災害原因調査等も終わっていない、罹災者もまだ救出されておらない状態でございますので、その点につきましては、われわれといたしましてもまだめどが立っていないという現状でございます。
  23. 宮崎正義

    宮崎正義君 目下のところ調査中であり、また救出作業のまつ最中でありますので、これ以上私が申し上げてもしようのないことでありますからこれでやめますが、いずれにいたしましても、十二日からもう臨時休業をして、次への仕事にかかるのにどうしたらいいだろうかという現地人たちの気持ちを考えられて、一時も早く生活の保障体制等もはっきりしてあげて、こうしていかなければならない、こうしてあげるよということをはっきり言ってあげることが次への希望を持っていけるのではないか。こう思うわけですから、この点についても十分に留意されて善処していただきたいと思います。
  24. 藤井勝志

    政府委員藤井勝志君) 御指摘の点は全くそのとおりでございまして、御趣旨に沿うて最善の措置をいたしたいと、このように考えております。
  25. 光村甚助

    委員長光村甚助君) なお、本件に対する質疑は、災害状況等一そう明確になった時点で再度質疑いたしたいと存じます。     —————————————
  26. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  美唄炭礦災害の実情調査のため委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時一分散会