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1968-05-08 第58回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月八日(水曜日)    午後一時二十五分開会     —————————————    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      片山 武夫君     向井 長年君  五月八日     辞任         補欠選任      高橋雄之助君     近藤英一郎君      宮崎 正義君     北條 雋八君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         光村 甚助君     理 事                 吉武 恵市君                 小野  明君     委 員                 井川 伊平君                 石原幹市郎君                 沢田 一精君                 近藤英一郎君                 徳永 正利君                 西田 信一君                 柳田桃太郎君                 阿部 竹松君                 大河原一次君                 北條 雋八君    政府委員        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君        通商産業省石炭        局長       中川理一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院近付)     —————————————
  2. 光村甚助

    委員長光村甚助君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  去る四月二十四日、片山武夫君が委員辞任され、その補欠として向井長年君が選任され、本日、宮崎正義君及び高橋雄之助君が委員辞任され、その補欠として北條雋八君及び近藤英一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 次に、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、本日はまず、その補足説明を聴取いたします。中川政府委員
  4. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、補足説明をさせていただきます。  鉱害対策につきましては、国土の保全、民生安定の見地から、政府は従来から、一方において鉱害基金を設けて鉱害賠償担保の積み立て及び鉱害賠償資金融資等を行なわせるとともに、他方において鉱害が多発しております九州、山口、東海及び常磐の四地域鉱害復旧事業団を設けまして鉱害復旧事業を行なわせる等、鉱害早期処理につとめてまいりました。本年度予算におきましても、鉱害復旧につきましては、九十五億五千百万円の復旧事業を行なうため六十九億四千八百万円の補助金を要求したほか、鉱害基金復旧資金等融資につきましても出資金一億円、財政融資十九億円等を要求いたしまして三十億円の融資を行なうこととする等、鋭意鉱害対策を推進しております。  しかしながら、御承知のとおり石炭鉱山の相次ぐ閉山とともに、無資力鉱害が激増する等、鉱害問題は一そう深刻化しているのが実情でございまして、今回、総合的かつ強力な鉱害処理体制を確立するとともに、鉱害賠償に関する紛争を迅速かつ円滑に解決するための裁定制度を設けることといたしまして、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案を提案した次第でございます。  改正点の第一は、鉱害基金鉱害復旧事業団を統合いたしまして石炭鉱害事業団とすることとし、新事業団は、現在鉱害基金が行なっております鉱害賠償担保の管理及び鉱害賠償資金等融資業務と、現在鉱害復旧事業団が行なっております鉱害計画的な復旧に関する業務を総合的に行なうことといたしたことでございます。  鉱害基金鉱害復旧事業団とを統合することといたしましたのは、鉱害被害者賠償義務者を中心として構成されている現行の鉱害復旧体制を改めまして、公共的見地から総合的、計画的な鉱害復旧促進をはかるとともに、鉱害基金融資業務鉱害復旧事業団鉱害復旧業務とを統合いたしまして、統一的な鉱害処理をはかる必要があるからでございます。  改正点の第二は、鉱害賠償に関する紛争が生じ、鉱害復旧促進のためその解決が必要な場合等におきましては、通商産業局に置かれております地方鉱業協議会裁定を行なうことができることといたしたいということでございます。  石炭鉱害事業団鉱害復旧事業を行なうためには、復旧費負担区分に関する賠償義務者同意及び復旧工事内容に関する被害者同意を得ることが必要とされておりまして、そのためには当該地域内における鉱害賠償に関する紛争をあらかじめ解決しておくことが必要であります。従来、鉱害賠償に関する紛争につきましては、簡易迅速かつ効果的な方法がなかったため、その解決に長期間を要し、これがため鉱害復旧事業促進見地から、通商産業大臣が指定した地域内等に生じている鉱害賠償に関して地方鉱業協議会による裁定制度を設けた次第であります。  以上、この法律案につきまして補足的に御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  5. 光村甚助

    委員長光村甚助君) なお、本案は、衆議院において修正されておりますので、続いてその修正点説明を承りたいと存じます。中川政府委員
  6. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案に対しまして、衆議院石炭対策特別委員会修正がございます。私から修正趣旨及び理由をお伝えいたしたいと思います。  衆議院石炭対策特別委員会田中委員修正動議提案理由及び要旨から引用させていただきますと、修正要旨は、「今回の改正案により創設される石炭鉱害事業団の役員の中に専務理事を一名置くことになっておりますが、本修正案は、これを副理事長に改めるということであります。」、こうございます。  また、その理由といたしまして、「当該事業団は本部を東京に置くことになっておりますが、御承知のとおり、鉱害の大部分は北九州に発生いたしておりますのが現状であります。かかる実態に照らし、当該事業団業務を円滑に推進するため、理事長と同等に近い責任者九州に置くことが強く要望されますので、専務理事を副理事長に改め、北九州鉱害に対する実務を行ないやすくせしめようというのが、本修正案提出した理由であります。」。  以上、田中委員修正動議のおことばを引用いたしたわけでございます。以上が本改正案修正要旨及び理由であると承知しております。
  7. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 以上で説明を終了いたします。  それではこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 小野明

    小野明君 先ほどの抜本対策が実施をされますときに、鉱害処理につきましても同様な計画が立てられておったと思うのであります。そこで、その際お聞きをいたしておったのでありますが、たしか昭和四十五年までに残存鉱害というものが処理をされる計画であったと思うのであります。そういった計画が今日どのようになっておるのか、それをまず伺っておきたいと思います。
  9. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 昭和四十一年七月二十五日の石炭鉱業審議会答申によりますと、鉱害復旧長期計画の策定という項目がございまして、計画期間昭和四十二年度から昭和四十六年度までの五ヵ年間とし、不安定鉱害の安定を待って処理すべき一部の有資力安定鉱害を除き、その他のすべての安定鉱害はおおむねこの期間内にその処理完了する。なお民生安定の観点から計画期間の前半は終閉山鉱害処理に重点を置く、かように答申をされたわけでございます。通産省といたしましても、この答申を受けまして、先ほど改正補足説明にも申しましたように、鉱害復旧に鋭意努力をいたしてきた状況でございます。昭和三十九年度末の時点におきまして把握しておりました残存鉱害量は、当時の価格で六百七十二億円という額でございます。その後昭和四十年度から昭和四十二年度までに百七十億円の復旧をいたしました。昭和四十三年度におきましては、ただいま申しましたように九十六億円の復旧をすることに計画をいたしておるわけでございます。したがいまして、残りの残存鉱害量をこの答申趣旨からいたしますと、四十六年度までに完成しなければいけない、こういうことに相なるわけでございますが、三十九年度末における残存鉱害量というものを六百七十二億円と申しましたが、これは当時の価格でございまして、現在の時点あるいはこれから先の時点でこの復旧をいたそうといたしますと、物価上昇等がございますので、金額的にはこれよりふくらむことは確実でございます。また他方このとき把握しておりました鉱害量と比べまして、その後新たな鉱害量把握というものをやってまいりますと、この時点で見ましたものよりも別のものがまだあるというようなことも出てきておりまして、これらを正確に把握するためにいま鋭意努力をいたしておりますけれどもかなり残存鉱害量が四十四年以降もまだある、こう理解しなければいけないだろうと考えておるわけでございます。したがいまして、目下のところは早急に残存鉱害量を正確に把握いたしまして、計画的な復旧をはかっていくという気持ちでおります。四十六年度内に完全に処理し得るかどうかということにつきましては、この調査を進める過程において漸次明白になっていくかと思いますが、率直に言わせていただきますと、ある程度の事業の伸びを考え処理をいたしていきましても、かなりのものが、いまのテンポで進みますと残るのではなかろうかという感じがいたしておるのが状況でございます。
  10. 小野明

    小野明君 ことしが大体九十五億ということになっておりますと、やっぱり当初計画をいたしておりました四十六年度ですかね、これにはやはり二百億ばかり足りない、三十九年の調査でもそういう結果になっておるわけですね。そうしますと、いま局長も言われますように、三十九年末に調査をいたしました六百七十二億、この数字に間違いはないか。そうすれば、一、二年おくれて処理されるようになるわけですが、ところが肝心の三十九年度末のこの数字というものが必ずしもやっぱり正確でなかった、鉱害処理がこの数字の範囲内では済み得ない、こういうことになりますと、新たな計画というものが必要になってくるわけであります。今回出されている法案にいたしましても、迅速な鉱害処理体制、こういうことが目標になっておるのでありますが、やはり肝心の鉱害量調査というものが正確でありませんと計画も立たない。どういったいま残存鉱害調査をやられておるのか。先般三十九年度末にやられた鉱害量調査のどこに誤りがあったのか、そういった点についていま少しくお話をいただきたいと思います。
  11. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 小野先生指摘の点は、私もまことにそのとおりだと思います。復旧事業計画的に行なっていくというためには、前提といたしまして残存鉱害量というものを正確に把握しておかなければいけないことは当然でございます。その上に立って毎年度予算をどの程度つけていくかということと相待ちまして、また片方、もう一つ当事者間の紛争のないように話をつけておくということと、この復旧事業をいたします、処理をする機関の能力というようなもの、これらの総合から円滑な鉱害復旧の推進ということができるわけでございますが、いずれにいたしましても、そのもとの鉱害量把握というものがある程度正確に行なわれていなければ計画立てようもないし、予算考えようもないということは御意見のとおりであります。現在、私どもはこの機構統合前の姿では四つの鉱害復旧事業団、この法律改正をおきめいただきますならば、発足いたしまする新しい事業団、この手によりましてこの調査をがっちりやってまいりたいということで考えておりますが、かなり広範かつむつかしい問題が含まれておりますので、時間的にはかなり期間を要するのではなかろうかと、こう考えております。今年度につきましても、鉱害復旧基本調査ということでそれぞれ予算措置を講じております。この予算と、いまの事業団の手によりまして、この鉱害量把握を正確にやりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、三十九年度調査による鉱害量では、先ほど申しました物価変動もございましたし、正確に把握していなかったものもございますので、これと相当違った形のものがその調査の結果把握されることに相なろうというのが私ども推定でございます。三十九年度のときの調査で、先生の御指摘に関して申しますならば、物価変動の面は、まさにその時点のズレで当然やらなければならぬ、その前に鉱害量そのもの把握に何か欠陥がなかったか、こういう御指摘でございますが、主として申告に基づいての調査でございましたので、少な目に出ているという感じがあるかもしれないという気がいたすわけでございます。今回私どもがやろうとしております事業団による調査という点でございますが、これはある程度それらの弊害を消して、客観的なものがつかみ得るのではなかろうかと考える次第でございます。
  12. 小野明

    小野明君 前回は申告による調査であった、それで多少食い違いがあったのではないかというんですが、私どもお聞きしておるところでは六百七十二億円という査定はあまりにも低きに過ぎるので、実際は二千億近くあるのではないか、こういった話まで現地ではなされておるようであります。そういたしますと、物価上昇その他も加味されておるといたしましてもあまりに開きが大きい。二千億が事実であると私申し上げるわけではありませんけれども、臨鉱法によりますと、復旧基本計画、これを立てます際にはやはり事業団の手によってこういったものがなされるようになっておるわけですね。基本計画を立てなければならぬ、こういうことになっておるんですが、その際事業団もやはりタッチをしておると思うんですが、そういったことから考えますと、申告による違いというものがそれほど大きくなってくるものかどうか、どうもその辺が私には理解しかねるところがあるのであります。そうしますと、いままでの鉱害復旧事業団基本計画というものは、まるでめくら判的な、申告されたものをそのまま基本計画にすえておる、こういうふうなことになるのではないかという気がするのですが、その点いかがですか。
  13. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 基本的に申しますと、先ほどお答えいたしましたように、三十九年度末の調査による把握量よりも、今回調査を行なわせました結果は、おそらくこれを上回るものになるだろう、物価上昇の分を除きましても上回るものになるだろうというふうには私どももおおよそ想像をしております。ただし、それが非常に大きなものであるかどうかということに相なりますと、得てして地元側で出てきます話といたしましては、鉱害関係のないもの、あるいはほんとう鉱害であるかもしれないもの、これらの認定がはっきりしていないものについて、何らかのふぐあいのあるものを一応鉱害によるものという推定で入ってきておるという状況がございまして、それらのものを全部合計いたしますと、おそらく相当大きなものになるだろう、その中でほんとう鉱害原因によってこの制度に乗せて復旧すべきものであるかどうかという判定は、またある程度違ってくることもこれは当然のことでございますので、どのくらいの額になるかということにつきましては、おそらくいまの調査作業を待たなければわからないというのが私ども感じではございますけれども感じといたしまして、三十九年度調査よりも、対象そのものとして、物件そのものとして大きなものが出てくるに違いないだろうという予測はいたしております。  それから毎年鉱害復旧事業団がいたしております仕事のもとになっております復旧基本計画は、御承知のように毎年度計画でございまして、当然にそこでは復旧緊要度考えまして順番をつけて、四十三年度にやるもの、四十四年度にやるものというものをおおよそのめどをつけて、そうして当該年度内にやるものを計画として組んでおるということが一つございますことと、それから当該年度内にやろうというためには、当事者間の合意が行なわれておるものでなければこれは処理できない、紛争がある限りにおきましてはまだ手がつけられないと、こういう状況でございますので、年度ごと基本計画を策定する段階におきましては、以上申しましたことを考えましてやっておりますので、残存鉱害が幾らあるかということとは全然無関係ではございませんけれども、そのうち主として緊急度の高いもの、それから当事者合意ができたものというものから着手しておりますことからして、特別のふぐあいはないものと考えております。
  14. 小野明

    小野明君 御説明によりますと、鉱害処理については一年ごと計画しか立てていないんだというふうな御説明ですけれども、それではやっぱり問題があると思います。ですから昨年の抜本策の際にも、五年間で処理をする、こういう計画になったんだと思いますが、そういった一年限りの仕事量をきめていくようなことではなくて、やっぱり残存鉱害計画的に処理をしていく、能率的に処理をしていくということがこの際必要であろうかと思います。そこで、いまの残存鉱害を幾らで押えるか、あるいはここ数年間の中の物価上昇の大体見通しはどうなのか、こういった点をこの際はっきり立てられておく必要があると思うのです。いまおやりになっておる調査はいつごろに完了するのか、そしてその結果処理は大体何年計画ぐらいでおやりになろうとしておるのか、事は石炭抜本策とも関係があるかと思うのですけれども、若干鉱害処理の問題はそれとも触れてくる面もあるかと思います。そういった面で、調査完了時期なりそれから何年計画、いわゆる長期計画をどのようにお考えなのか、お尋ねしておきます。
  15. 大河原一次

    大河原一次君 それと関連してあわせて答弁願います。これはもちろん鉱害復旧ということになれば、地元炭鉱所在地の問題ですから、その鉱害復旧の具体的な対象物対象というものは何と何があるか、それもあわせてひとつ御答弁願いたい。
  16. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 小野先生のおっしゃいました点は、まことにそのとおりでございます。私どもそう考えておりますが、何せ鉱害調査と申しますものは、当事者間によりましても非常に見解の相違が大幅にございますし、これを科学的な根拠のもとに反映していくということになりましても、一つ物件をとりましても、そう簡単にはいかない仕事で、なかなかやりにくい仕事でございますが、大体の残存鉱害量把握のための基本調査計画期間といたしましては、今年度と来年度完了をいたしたいというのがいま私ども考えておることでございます。その上に立ちまして正確な長期的な計画というものをめどをつけたいと、こう考えておりますが、先ほどお答えいたしましたように、法律が時限的になっておりますので、この延長をも含めて何年間にやっていくことにするかということにつきましては、むしろこの調査段階におきまして、おおよそのめどが出始めたときに考えるべきことではなかろうかと。いま直ちに私どもちょっとお答えするだけの勇気がないわけでございますが、あまりそういうことに藉口してずるずる引っぱるという気持ちではございませんで、ことしでも九十数億円の事業規模ということでございますが、これを毎年何がしかのパーセントずつ伸ばしていく処理能力というものを勘案いたしまして、出ました調査結果との間で復旧計画期間というものをきめてまいりたい、こう思うわけでございます。  もう一つの御質問は、鉱害対象物件でございます。正確な数字は別にいたしまして、金額的に復旧事業の面から見て一番大きいのが御承知のように農地でございます。法律面におけるこれの対象物件といたしましては、いま申しました農地、それから農業用施設、これはたとえばかんがい排水施設農業用道路、あるいは農地または農作物の災害を防止するために必要な施設というものも含んだ概念でございます。それから御承知家屋がございます。それからもう一つの分類といたしましては、公共施設というものがございます。これを鉱害復旧法ことばを使いますと、河川、海岸、砂防設備林地荒廃防止施設道路、林道、港湾、漁港、上水道及び下水道、鉄道及び軌道、それから学校並びに公用及び公共用建物、こういうことでございます。大ざっぱにいいますと、農地家屋公共施設、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  17. 小野明

    小野明君 いずれにしてもこの六百七十二億という数字では当てはまらないということが結果的に予想されるのでありますが、先ほど抜本策諮問をされたようでありますが、その中には、もちろんこの鉱害復旧の問題についても入っておるのかどうか、抜本策諮問された事項ですね、特に鉱害問題についてはどのようにされておるのか。あるいはこの復旧費算定について従来の方式があるようでありますけれども、この問題についての検討というのはそういうところではなくて、通産省自体としておやりになるものであるかどうかですね。その辺に甘さがあるから結局六百七十二億でおさまらないのじゃないかという気がするわけですが、その辺もあわせて抜本策鉱害復旧関係、それから諮問されておる事項復旧費算定についての改善等、こういったことをお尋ねしたいと思います。
  18. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 御指摘のように、通産大臣から先般石炭鉱業審議会に、今後の石炭政策はどうあるべきかという形での諮問をいたしたわけでございます。その際に、諮問をいたしました動機と申しますか、趣旨と申しますか、これを大臣から説明をいたしますと同時に、事務局という立場で私のほうから、事務局で少なくとも気のついております審議内容といいますか、事項と申しますか、事項は列記いたしまして御審議の参考ということで提出をいたして、私が説明をいたしております。当然にここでは、鉱害量把握、あるいは今後の鉱害処理考え方というものは審議をお願いしたいという気持ちをその中にあらわしてございます。御承知のように、石炭鉱業審議会の中には幾つかの部会がございまして、その一つ鉱害部会というがあるわけでございまして、このテーマによりまして、この部会で、ひとつ新たな石炭対策考えます上での鉱害面の勉強というものは当然にいたさなければならないと、かように考えておるわけでございます。ただ今後の石炭政策がどのようなものになるかということは、この審議会審議検討の結果の答申を待たないと確定的なものはわからないわけでございます。先ほど来お話しのように、既発生鉱害債務というものが相当な額に上がっておる。三十九年末時点でわかっておるものでもまだ相当なものが残されておる。新たな調査をやればもっと大きくなる可能性かなりあると、こういうことでございます。石炭産業の安定、再建等というものを考えます上にとりまして、これらの鉱害債務というものが相当の資金経理上の負担となる事実はいなめないわけでございますし、またこれを看過して当を得た対策が生まれるわけのものではないというふうには考えております。今後の石炭政策は、石炭産業の安定と再建を目ざすものでございますから、対策全体としてその目的を追求しなければならないものでございます。いま申し上げましたような事情でございますので、その角度から鉱害問題についても検討いたしたいという気持ちでございます。
  19. 小野明

    小野明君 若干この条文の中に入りたいと思いますけれども地方鉱業協議会というのが非常に大きなウエートを持ってくるようになってまいりました。これは今後の構成といいますか、そういったもの並びに運営上の配慮、こういったものについては一体どのようになるものか。新たに裁定委員会なども設けるようになっておるのですが、従来と変わった運営がされるのですけれども、どういったことになるのですか。
  20. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 率直に申しまして、実はこの法律改正考えました最初の気持ちからいいますと、この裁定制度にふさわしい裁定機関をつくりたいというのが私どもの原案と申しますか、もとの考え方でございます。また、かつて鉱業法の全面改正をいたそうというときにもそういう感じが出ておったのでございますが、改正法案を考えております段階で、いろいろ関係省庁との折衝を開始しました段階で、御理解いただけると思いますが、行政組織といろんな審議会式なものを絶対ふやさない、むしろ減らすのだという大きな原則がございまして、そことの調整をいろいろ苦慮いたしました結果、現在もございます鉱業法を根拠として置かれております鉱業協議会を使えばよろしいではないかということに最終的には落着して、いまさような案で御審議をお願いしておるということでございます。そういうもともとの気持ちから申しますと、地方鉱業協議会の性格と私どもが期待しておる裁定の運営というものにおいては、全く一から十までぴったりという性格のものでないことは先生の御指摘のとおりでございます。これは私どもはやはり今度地方鉱業協議会にかような仕事を付加してお願いするという以上、人員につきましても、鉱害問題の処理に適当な方々というものをお入れするような、あるいは若干は差しかえになるかもしれませんが、人選上の配慮は当然のこととして予定をいたしておるわけでございます。それからまた鉱害裁定という趣旨制度から申しまして、これにはどちらかといいますと、鉱害そのものについての学識経験をお持ちになる方を中心にいたしますけれども、その中におきましても、被害者側のサイドという立場を十分に御理解を願って、むしろその立場でものをおっしゃっていただける方々、あるいは逆に賠償義務者の立場に立ってお考え願う方、それと純粋の中立委員という、いままでの鉱害処理で一般的でございます三者構成の形というものは、その地方鉱業協議会の運営に当たっても欠くことのできないものだ、さように構成を考えていきたい、こう考えております。
  21. 小野明

    小野明君 その点はけっこうだと思いますが、地域的な配慮というものはもちろんあるわけでしょうね。
  22. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) これは当然でございますし、またさらには地域と申しましても九州というだけではございませんで、たとえば福岡県にある物件復旧問題、あるいは佐賀県にある問題というものについて適当な知識をお持ちの方、経験をお持ちの方をそのケースごとに、いわば物件ごとに適当な仕組みというものも相なるべくは確保していきたい、こう考えております。
  23. 小野明

    小野明君 次に、役員の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。それで現行法によりますと、役員の欠格条項の中に「国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長」、二として、「政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)」、三に「政党の役員」、これは欠格の条項としてはっきりあげられておるわけですね。ところが、今回の改正では、そのうちの二号だけこれがあげられておって、一号は欠けておるわけですね。ですから、大臣であろうと国会議員であろうと、地方公共団体の議員であろうと、だれでもこの新しい役員にはなれるようになっておるんですね。これは一体いかなる意図なのか、これをひとつ御説明いただきたいと思います。
  24. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 実は、これは今国会もさようでございますし、この前の国会もそうでございますが、通産省の機関だけでなく、全政府機関の法律改正がございましたときに、役員の欠格条項につきましては、統一的にいまのスタイルにするという方針が四十年から定まっております。実はほかの委員会で、私ほかのところへ出ておったのでございますが、中小企業関係の機関でいま小野先生と同じような御質問がございまして、実はそれは法制局——政府からの統一の処理なんだという説明をしておったことを記憶しておりますが、私の場合も全く同じでございまして、国会であったかと思うのでございますが、こういう統一ルールを定めました理由は、あえて国会議員を政府機関の役員にするという意図ではないのだけれども、それは望ましいとは思っていないけれども、国会議員を欠格条項の中に入れるというのは行き過ぎであるという議論が昭和四十年ごろあったのだそうでございまして、これは決議であったのか何であったのか、私理解はちょっとしておりませんけれども、そのとき以来、全部その際一斉に直すということではなくて、改正の機会ごとにこのスタイルに改めるということを政府としてきめたようでございます。趣旨といたしましては、そのような方々を役員にしようという気持ちはございませんので、むしろそういった御意見を受けて統一的に法制局が処理しておることに従ったというだけで、特別の意図はない状況でございます。
  25. 小野明

    小野明君 これは私もほかの委員会でこういうふうに改正されたのを若干見たことがあるのですけれども、これはやっぱりのけているというのは、現職の大臣が役員になったら、ひもつきで悪いことをするということははっきりしているんですね、あるいはわれわれ野党が役員——従来からいえばならない、与党の人が役員になれば悪いことをするとは言いませんけれども、やはりしやすいことになるわけですね、それでなくてもそういうふうに見られる。そうしますと、これはあなたに聞いてもちょっと無理があるかのように思うのですが、大臣でもおられればなんですが、これは次官にお尋ねしたほうがいいかと思いますが、次官でも無理ですかな。これはしないのだ、地方議会の議員も同様なんですが、従来のこういった条項というものは生きているんだ、こういうふうに解釈をしてよろしいのですかね。
  26. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 運用と申しますか、適用としては趣旨どおりと私ども考えております。
  27. 小野明

    小野明君 そうしますと、それではあらためて改正する必要はないと思うんですが、政党の役員というのもやっぱりはずされておるわけですね。この点はあわせて同様の趣旨だと、こう解釈してよろしいのですか。
  28. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 鉱害という事柄の性質上、私この点も同じように考えたいと思います。
  29. 小野明

    小野明君 それから役員に対する配慮、修正案にもあったようでありますが、鉱業協議会の役員の配慮と同様に新しくできる事業団の役員構成に対する配慮、こういうものを最後に伺っておきたいと思うんです。
  30. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 統合前の現在の基金、それから四つの鉱害復旧事業団、これの五つの機関の常勤役員の総数は十二人でございますが、今度の統合によりまして常勤七名、非常勤一名ということに縮小いたすわけでございます。これはまあ機関統合によって能率を上げるという趣旨でございますので、せっかく統合する以上、統合のメリットとして非常勤役員の数もある程度セーブをいたしたいということで考えたわけでございますが、少なくなれば少なくなるほど、これらの役員の方々には鉱害復旧という問題に対しまして十分な識見をお持ちの方、あるいは経験をお持ちの方という方々で従来以上の能率を発揮していただくのが私どもの期待でございます。そこで現在十二人いらっしゃるのでございますので、今度お引き願う方も出てくるわけでございますが、新しい事業団の性格からいたしまして、まあ抽象的に申しますならば、鉱害問題に十分精通した人ということでございますが、当然にまたそれぞれの職務分担によりまして従来の基金の仕事融資業務を中心にした基金の仕事に精通されている方と、それから復旧事業に精通されている方、大ざっぱに言うとそういう構成がまず必要である。それから復旧事業と申しましても、先ほど大河原先生の御質問に答えましたように、農地復旧が非常に大きなウェートでございますので、農地復旧のエキスパートという方は欠くわけにはいけない。それから公共施設その他との関係あるいは地元市町村との関係というようなことで、従来も地方自治体に縁の深かった方で非常勤役員をしていただいておる方があるわけでございます。そういう経歴、識見をお持ちの方という方もはずすわけにはいかぬ。こういった点をいろいろ勘案いたしまして、この人員の中で事業団の任務を遂行する上に適当な方々というものをお選びいたしたい、かように考えております。  また鉱害がきわめて属地的な仕事でございますので、先ほど物件別には農地復旧が一番大きいのだ、こういうことを申し上げましたが、地域的に申しますと、福岡県のウエートが圧倒的に高いわけでございますので、しかも現地である程度処理をしていただく、あるいはある程度どころではなくて大部分片づけていただくということでないと実効が上がらない。一々東京に来て、東京の本団のさしずとチェックを受けながら仕事をするということでは鉱害復旧というものの推進ができないわけでございますので、この七名の役員につきましても、そのうちのかなりの方を少なくとも福岡県に、九州につきましては現地に常駐してもらうことを考えて、そこで処理ができる、場合によっては理事長権限も相当のところまで権限委譲をしてもらってそこで処理をしてもらう、こういう気持ちを持っております。またそのような趣旨で、衆議院でも九州鉱害復旧をほとんど一手で処理できる最終責任者というような意味合いも含めて、副理事長という修正をなすったのでございまして、修正の動機、理由の中には、専務理事というと、どっちかというと東京にしょっちゅういなければならぬという観念が強いから、副理事長ならば理事長にかわって現地処理もできるという感触をお入れになったのだと思っております。
  31. 小野明

    小野明君 そういった九州特に福岡の鉱害というのがきわめて大きいために、そういった地域の実情なりを十分に反映ができる方を役員の中に入れていただきたいというのが質問の趣旨であります。またそのような答弁もありましたので了解をしたいと思うのですが、地方鉱業協議会のメンバーともあわせまして、いま御答弁のような趣旨で役員の人選というものもお願いをしておきたいと思うのであります。以上で私の質問を終わりたいと思います。
  32. 大河原一次

    大河原一次君 この鉱害復旧の安全復旧といいますか、見通しはなかなか容易ではないということも大体わかるわけですが、しかし、だからと言っていつまでも見通しのないままに打っちゃっておくわけにいかないと思いますから、したがって、私はある程度の長期の見通しを立てて、いわゆる安全鉱害と言いますか、鉱害復旧のほうに向かわなければいかぬと思います。そこで先ほど鉱害復旧対象物件等についていろいろ述べてもらったのですが、農地にいたしましても、あるいはまた住宅にいたしましても、道路、河川等についても、いずれもこれは大事な問題ですが、しかしその中でも、これはもちろん地方の要請と言いますか、自治体等の要請等もあると思いますが、復旧にあたっての何か優先順位というようなものを考えておられますか、どうですか。どういうものから先にこれは復旧しなければならぬという地元からの要請もあると思うのですよ。
  33. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 私どものほうとしましては、これに特別の優先順位をつけるということは適当ではあるまいと考えておりますが、いままで予算要求をいたしまして、予算折衝をして、最終的にでき上がりました予算の中身から見ますと、公共施設につきましては大体要求額どおり大蔵もつけてきているというのが実績でございまして、その比較からいたしますと、私有物件については必ずしも要求どおりではなかったというのが経験的にはございます。どちらかと言いますと、やはり私有物件のいわゆる当事者間の話し合い、合意がなかなかつかぬという問題がございますので、それらの点もあろうかと思いますけれども、そして話のきまったものに手をつけていくということでございますれば、むしろほうっておくと言いますか、あと回しにするとどのくらい当事者がお困りになるか、それから国として困るかというやはり緊要度のほうが先に立つのではなかろうか、そこには公的なものと私的なものという区別は若干あるにせよ、むしろそれは基本的な差別の問題ではなくて、緊要度考えていくのが鉱害復旧という意味からいって筋ではなかろうかと、私はさように考えております。
  34. 大河原一次

    大河原一次君 具体的には、これから農家はいわゆる植えつけ時期に入るわけですね、田植え時期に入るわけです。この場合に農地、水田等、全国的にそういうところがあるかないか、実態を私は調べておりませんけれども、そういう水田等は非常に急を要する場合がありますね。ですから、そういうところはもちろん鉱害を受けた本人なり、自治体のほうからも強い要請があると思いますが、当然そういうところは早急に何よりかも先にぼくは鉱害復旧に手を打つべきじゃないかと思うんですが、そういう点は考えておられるわけですね、政府当局としても。
  35. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) いまおっしゃいましたようなことは当然のことでございます。ただ、復旧ということだけから考えますと、鉱害の安定という問題がございまして、採掘による影響ではございますけれども、沈下しつつあるという経過段階と、もう落ちるところまで落ちてしまって、そこで被害は確定したという状況と分けて考えますと、一回復旧事業をやりまして、またさらに手直しが要るということは避けたい。その間の調節として、たとえば年々賠償、その間に金銭賠償でやっていくという制度がございまして、そういうものとの仕組みを考えながら、金を考えながらなるべく被害者サイドに立って、被害者の立場に立って復旧をやっていくというのがいままでのやり方でございます。
  36. 大河原一次

    大河原一次君 それから先ほど局長が四十四年に入ってもまだ鉱害復旧処理はできないだろうというような見通しをされておりますけれども、現状でいえばまさに私はそのとおりだと思うんですね。特にぼくが言いたいのは、今後さらに終閉山鉱害ですか、特に終閉山によるところの無資力鉱害が増大するということも予想されますので、そういった意味では、やはりぼくはある程度の見通しをつけながら早急に復旧をしていかなければならぬと思うんですが、そういう点は私は答弁は要りません。  それからいま一つは、これは関係がありまするが、地方自治体の問題ですね、非常に九州のほうにもあるでしょうし、私のほうの常磐にも一部ありますが、結局無資力鉱害が今後出ることによって受ける自治体の負担ですね、この負担というものはやっぱり相当考えてやらなきゃならぬと思うんですが、自治体に対する負担軽減の問題をどう考えていくかということも私は大事な問題じゃないかと思うんですが、これに対処する何かお考えがありましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  37. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 無資力鉱害復旧に対しましての地方公共団体の負担分というのは、実はこの制度ができましてから以来、この負担軽減を何らかの形ではかるべきだという御意見が従来ずっとあったわけでございます。これからもいまおっしゃる閉山というようなことを考えますと、出てくる議論でございます。実はあれは四十一年度に一回負担軽減の措置をいたしまして、その後、格別のことはないんでございますけれども、われわれもできるならば負担軽減という角度での検討というものは絶えずやり、かつそういう話し合いというものを進めなきゃいかぬと、かようには考えております。
  38. 大河原一次

    大河原一次君 特に中小炭鉱として存続しておって、いままでも終閉山になり、これからもまたそういうことが予想されるところがあります。相当さらに増大するわけですね。ですから自治団体の負担というものは容易なものではないと思うんです。ですからこれからも一そうの自治団体に対する負担軽減の点は特に配慮を願わなければならぬだろう、こういうことでございます。
  39. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 御趣旨に沿った検討を続けてまいりたいと思います。
  40. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 さいぜんの小野委員の質問に関連してお尋ねしますが、前回お尋ねしたときも、石炭審議会答申云々と言うて御答弁がございましたが、まあ石炭抜本政策で三回お願いした。しかし、なかなか石炭鉱業審議会委員の皆さん方も、それは会長の植村さんはじめ円城寺さんにしても土屋さんにしても、からだが二つあっても三つあってもとても足らぬようなお仕事がたくさんあって、重要な要務をやっていなさるものですから、今度また石炭対策抜本対策を頼むといって、これははたしてそういうことで済まされるかどうか。ですから、これから審議会内容、どういうことをやっておるかということをお伺いしたいのですが、私はもう少し政府石炭経営者、炭労の代表ぐらい集まって、あまり審議会審議会といってげたを預けぬで、みずからの力でひとつ根本的に石炭産業はどうあるべきかということを打ち出したらいいんじゃないかという気がするんですけれども、あなたのほうはあなたのほうでこれは審議会、経炭者は国にたよろうとする。そういうことではいつまでたってもだめですよ。これは植村会長にいたしましても、わきいずる泉のような知恵があるわけではないし、それでこのままではなかなか答えもまとまらぬだろうということでアドバルーンを上げてみれば、それをたたき台にして皆さんが論議する、植村さんは何をしているのかということで植村さんのほうにがっぷりかみつくんで、植村さんもいや気がさしているんではないかと思う。まあ私は会ったことないからわからぬけれども、もう少し政府も——石炭経営者も国におぶさるのはけっこうだけれども、あなたのほうで石炭産業はかくあるべきだというお考えはないのですか。われわれがここで言うと、あなたたちはすぐ審議会答申を待ってとすらりとやるから、それ以上詰めてみてもつまらぬので、本日の委員会はこれで終わりということでやるけれども、その辺はどうなんですか、局長
  41. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 阿部先生の御意見は私なりの理解かもしれませんけれども、非常にわかると申しますか、お気持ちはわかる気がいたします。それは公式的にお答えをすれば、いまおっしゃいましたように審議会諮問している状況なんだから答申を受けて考えるのだと、こう言わざるを得ないことになります。おことば、お気持ちが非常によくわかると同時に、少し口がすべりますと、今度は逆に審議会軽視という声がはね返ってくるわけでもございますので、公式的にはいま申したようなことを申し上げるよりしようがない。ただし今回の審議会につきましては、過日開きまして諮問をいたしました総会におきましても、審議会の運営ということに関しましていろんな角度で——必ずしもこれは阿部先生おっしゃるようなお気持ちとぴったり一致しているかどうかわかりませんけれども、従来の審議会の運営方式というものに対するいろんな批判というものがいままでよりも非常にはっきり出たということは事実でございます。私はさように受け取っております。で、全体の委員の数が四十五名という審議会でございますので、どうしても中核になる方々を中心にして詰めてやらないと、具体的な結論が出てこないという性格がございますので、少数メンバーによるいわば作業部会式なもの、検討部会式なものを中心にやっていくという従来の運営方式はそうは変えられないと思いますけれども、四十五人の方々が最初一ぺんお集まり願って、諮問趣旨を中心にした話を聞いて、極端に言うと、一番おしまいの答申の文案ができたときに、いいも悪いも言わないで、そこで了承という、そういうことになりがちな運営ということについての批判というものは相当ございました。  そこで、私どものつもりといたしましても、そう長い期間をかけるつもりでもございませんし、またあまり長い期間では、いまの石炭産業状況からいって許されることになっておらない状況でございます。その短かい期間内ではございますけれども一つ一つ考え方を整理して、何がしかの結論が出たならば、一つ事項について、そのいわば竹の節みたいな状況に応じて総合部会という形のところで皆さんの意見を聞きながら固めていくという形の運営をいたしたい、かように考えているということを当日も申し上げたわけでございまして、経営者、労働組合という方々の御意見なり知恵なりというものは、むしろ私が常時そういう方々と話をして、いまの審議会の中核になる方々に誤りなくその意見を伝えておくという裏の努力をすると同時に、審議会の運営形式としては、そういう節々において、そういう方々が必ず構成メンバーになっている総合部会というようなところで一つ考え方というものを一つずつ固めていくという形式をとりたいというので私の気持ちでございます。ただ残念ながら、経営者と申しましても、大手と中小では考え方は必ずしも一致はいたしておりませんし、大手の中でもまたいろいろな議論がある。それから労働者の中でも、組合の系統によりましてやはりかなり基本的な面においての見解の相違があるという状況でございますので、これらの方たちと私と一緒になって云々ということはなかなか適当でないわけでございますが、それぞれの方と私はできるだけの接触を保ち、あるいは意見が合わないかもしれませんけれども、私の個人的見解も申し述べ、あるいは審議会先生方の気持ちを解説し、それぞれの方々のまた御意見を審議会先生方にも反映させるという努力は、従来にも増してひとつ試みてみたいと思っているのが気持ちでございます。
  42. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まあ局長のお立場で審議会の批判も、速記録に載るからできぬでしょうしね、われわれ国会議員としても、出席もあまりよくないし、本会議も三分の一切れたりする本会議もありますからね。審議会の諸先生方が朝から来ぬからといって、これはけしからぬといってここで批判もできなかろうと思うのですが、仄聞するところによれば、おたくのはうでは、これは通産省のほうで依頼するわけでしょう、大臣のあれで。しかし常時半数出ないと、こういうことを私は聞いている。ですから参考までに出席率を、会議とそのメンバーを書いて、その参考資料として次回の委員会までに出していただきたいということと、それからもう一つ局長に言いたいことは、これは大臣に申し上げるつもりでしたが、おいでになりませんので局長に申し上げることになるのですが、もう少し政府が強力な力を持って御指導なさったらいいのではないかと思うのです。一例をあげると、八幡と富士と一緒になる、これはまあ昔一緒だったから合併しやすいかもしれません、あるいは金持ち同士だから結婚しやすいかもしれませんけれども、やはり企業意欲というものは相当なものですよね。それは八幡ばかりじゃなくて、三菱と日本製鋼と合併とか、あるいは「いすゞ」と三菱と合併とか、大企業は金持ちけんかせず、りこうであるから合併するのが手っ取り早いかもしれませんけれどもね。いままで国の金を使っている点においては炭鉱もその種の産業よりは多く金を出しているのだから、通産省はもう少し強引な力で、行政指導せいということは私も思いませんし、そういうことは申し上げませんけれども、もう少し真剣になってぼくは石炭経営者に行政指導の面で働きかけるべきであると、そうでなければ、あの小さいのがたくさんあって——半月ほど前に労働組合の代表が政府の代表、通産大臣とお会いして、抜本策が出るまで山はつぶしませんとまで言うたかどうかしりませんけれども、そのように努力しますと、こういうお話をなさったのでしょう。それは局長がお立ち合いになっておるはずだ。ところが、そういうお約束をなさった半月間に、九州においては共同石炭とかあるいは大辻炭鉱がもう閉山のやむなきに至っておるわけだ。いくら通産省大臣室で組合の代表、経営者の代表、皆さん方と話し合っても、さいの川原です。もう少し局長、ひとつ勇を持ってやる方法はないのですかな。これはとてもだめですよ。あなたのような抜本策あるいは審議会答申を待ってと、これは歯に衣を着せないで申し上げると、これから審議会がいよいよ植村案とか三社案とか一社案とかから始まるでしょう。これは七月か八月までかかりますよ。参議院選挙で国会議員のやかましいのが全部おらぬから、いまのうちに案を出してしまえということで粗製乱造してしまえばそれまでですが、私の推測では、これは参議院選挙後の臨時会には間に合わぬから、あるいは毎年開かれる十月末、十一月の補正にはかかるだろうと以前の委員会のあの答弁では大体察知できるわけだ、椎名さんの話の裏をたどると。そうすると、来年の通常会でいまごろ同じことを論議し、結論を出さなければならぬということになるわけですよ。それじゃ全然仏つくって魂入れずですね。私の見通しが当たらなければこれは幸いですがね。いままでそういう道を何回もたどってきたのです。ですから八幡と富士とやったように強引にやりなさいとか、あるいは公正取引委員会と正面衝突してまでやりなさいというようなことは言えぬでしょうけれども、もう少しあなた国の金を皆さん方が代弁して応援しておるわけですから、やはりその分を国にお返しをするような方法を講じてもらわなければ困るのですね。それは少しくらい犠牲は出るかもしれませんよ。犠牲出てもやむを得ないのじゃないですか。石炭局長さんの御答弁というか、石炭局長がこう言ったから、この次けしからぬなどというスケールの小さいことは申し上げませんけれどもね、その点どうですか。きょうは大臣がおらぬからあなた言いやすいでしょう、大臣がおると困るけれども
  43. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 実はこの間石炭鉱業審議会で総会を開きまして、諮問をいたしましたあと、きょうの午前を含めまして二回政策懇談会メンバーによる労使との意見交換をやったわけでございますが、いずれもメンバーの方々、それは一、二人の欠席はございますけれども、大多数の方々が御出席になって、時間を超過しても審議をしていただくという状況でございました。きょう私一時にぎりぎりに参りましたのも、十二時までの予定だったところを一時まで議論をしていただいたと、こういう状況でございまして、植村会長もあのお忙しい体で、石炭問題については私のお願いした時間は必ずさいていだだくというくらいのいま取り組み方でございます。審議会先生方は、いずれも意見の相違はございますけれども、熱心かつ真剣に取り組んでおられるということを申し添えておきたいと思います。  なお、通産省がもう少ししっかりしてと、こういう意見でございますが、これはまあいろいろな意味での非力さに対する御指摘だと思いますが、ありがたくおしかりを受けて、ひとつ私なりに先生の御趣旨に合ったように努力をいたしてみたいと思っております。今回の問題は、とにかく何か形とていさいをつくればよろしいというようなことではなくて、先生方御承知のような深刻な状況の中で、先の石炭政策というものを求めようというのでございます。私は会長自身、世上流布されておりましたように、経団連の会長をお引き受けになると審議会の会長をおやめになるのじゃないかという意見もございました。私の承知しているところでは、植村さんに非常に近い方で、好意的な立場で植村さんの立場になって、あなたは経団連の会長におなりになるのだから、ちょうど石炭鉱業審議会の会長をお引きになる理由とタイミングが十分合うのだから、あれはどなたがおやりになっても決してあとでほめられることはなくて、泥をかぶらなければならぬのだから、お引きになったらどうかと、いろいろな方からアドバイスがあったということを私は承知しておりますが、会長と何回もお会いして、人生上の信条の問題として、いままで数回失敗をしてきた石炭政策というものを今回だけは最後までやってみたいというお気持ちで会長は取り組んでおられるわけです。私はその意味からいっても、会長や審議会先生方だけに迷惑をかけて、私どもはのうのうとするというわけにもいきません。私自身相当あちこちから非難を受けましても、石炭の将来のために言うべきことは言い、考えるべきことは考えたいと、かように考えております。まあ力がございませんので、おしかりを受けることがしょっちゅう出てくると思いますが、ひとつ御指導をいただきたいと思っております。
  44. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まあいま論議されている二つの合併ね、これはいいことなんで、われわれから言わせたら、まだまだよくしてくれという強い要望があるのだけれども、これには反対でないわけです。ただ、さいぜん小野委員局長さんの質疑の中で、まあここにも書いてありますが、九十何億の金でやられる。しかし、これはもう局長よく御承知のとおりに、貝島炭鉱一つで九十億、一つの山、貝島のあと始末をしてもこれは九十億で幾らおつりがきますかね。そうだろうとぼくは思うのだが、説明員の鉱害課長が来ているから、鉱害課長詳しいから、九十億でどれだけできるのか、どれだけあそこが平らになるかということを聞きたいのだが、それはあとで聞くことにして、これは九十億でもって、なるほどこれは膨大な金ですよ。しかし、あのとにかく筑豊に九十億の金を持っていって、貝島炭鉱分ともう半分ぐらいよその分ができるぐらいで、ここへ金を持ってくるくらいなら、ほかのほうへ埋め立てるほうがたんぼが多くできるわけですよ。それから大辻とか、俗に言う日吉炭鉱、あそこにも鉱害があるわけですよ。あれは賃金さえ月賦返済ということで取りきめましたね。そうしますと、あの分の鉱害はこれは明年度分かどうか、これはまさか何ぼ石炭局が頭がよくても、予算組むときは去年の十二月ですから、去年から大辻炭鉱、日吉炭鉱がなくなるとは考えたわけでないでしょう。ですから、そういうことでこれは別に具体的にたたみかけるわけじゃないのだが、もう少し掘り下げて、あなた大臣と経営者とやったらどうなんですか。これが一緒になるように、三菱と三井と一緒になりなさい、一千億の肩がわりもだめですよ、六百億の特別会計もこれはぶった切りますよ、それぐらい言わなければびっくりしませんよ。と私は思うのだがね、いかがですか。
  45. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 企業側の大勢についての考え方が、あるいは今度の石炭対策というものに対処します気持ちというようなものが、まだまだ甘いのじゃないかという御指摘はそのとおりだと思います。きょうも実は午前中、審議会の首脳スタッフと経営者の間で、いまの阿部先生のよりもきついような意見等が出てまいりました。まざまざと、そのそれぞれのこの問題の理解のしかたの違いがあると申しますか、こういうものがまだ相当あるという感じは私もいま受けてきたところでございます。これはひとつ私どもも申しますし、審議会先生方も相当きつい話をきょうなさっている状況でございますので、いまの御趣旨を受けてひとつ努力いたしてみたいと思います。  なお、鉱害について申しますと、これから先の石炭政策考えていく上におきまして、鉱害による国民経済的な負担が大きく出るような山の生産を続けることが適当であるかどうかというのは、この際の石炭政策考える上でやはりはっきりしておかなくてはならぬのではなかろうか。いままでの議論が出ておりましたのは残存鉱害の問題で、これから発生する鉱害に対しましては、これはやはり相当鉱害問題というものを念頭に置いて石炭鉱山の運命というものも考えていかなければいかぬというところに私は来ておると思います。まあ幸いなるかな、そう大きなウエートが鉱害問題の残る地域に起こるという形ではございませんで、北海道のウエートが強くなる、あるいは九州においても離島の生産量の中におけるシェアというものが大きくなるという傾向で、私はこれから発生する鉱害問題としては、いままでのものとの比較ではそれほど大きいことはないのではないかと思いますけれども、先ほど来御質疑がございましたように、現在閉山をしていくものの残していく無資力鉱害処理というものは、確かに三十九年度時点考えておったような問題よりも相当大きな問題があるのじゃないか。これについては、やはりできるだけ早い時期にその鉱害量把握して計画的な処理というものをやっていく必要があるのではないかと考えておる次第でございます。
  46. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 膨大な予算の中で九十億出すのですから、国民生活とか国民経済に影響するとは思いません。しかし、こういうものがあることによって、石炭産業がこれから発展しようとするのを阻害しますね。つまり、石油の関税を特別会計ということで六百億取って、まあほとんどの人は、全部石炭産業に使っておると思っておるのですよね。一億の人口の中で、もののわからぬ子供と年寄りを除いてほとんど何十%の人が、この鉱害などを九州の人は知っているでしょうが、それは全部石炭に使っていると思っている。ところが、予算の中身というものは、鉱害であり、産炭地振興であり、もう一つは離職者でありますね。まあそういうことで、六百億の金は全部石炭に使っておってまだ石炭が高いじゃないかと言われておるのだが、そこで鉱害、産炭地振興、離職者、幾つかに分かれてしまうと、石炭産業ということで計画立てても、末端へ行くのは微々たるものだ。ですから、大きな面で言うと、局長のおっしゃるとおりそれは国民経済に影響していくかもしれませんけれども石炭産業企体の中ではえらい迷惑をしているのですよ。昔親が道楽して、むすこが大きくなって、これから発展しようとする石炭産業が親の借金を払っていかなければならぬわけですから、ですから、これはこの前鉱害課長は、これはもう建設省か農林省に預けてしまえ、こういう話をしたら、あまりいい返事を鉱害課長せぬでしたがね。しかしそのくらいまで荒療治をせぬと、これをしょい込んでおっては、もうとうていこれは石炭産業の発展なんて局長あり得ないような気がするわけです。それはだんだん鉱害は減りますよ。しかし、現在掘っておるところでも三年後四年後にあらわれてくるわけですから、八幡地区などは一昨年大問題になったわけですね。ですから、これは大辻にしても日吉にしても、今日あらわれた問題だが、二年や三年後にいまの現状よりもっとひどくなる。その分も責任負わなければならぬわけです。そうすると、これは仏つくって魂入れずということになりはせぬですか。
  47. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 前に石炭特別会計をつくりますときに、ただいまのような御議論があって、鉱害なり産炭地なり離職者対策というものは一般会計で負担して、特別会計はほんとうの意味での石炭産業の前向さの費用を組む会計として考えたらどうかという御議論がむしろ一般的であったことは、私も引き継ぎその他で承知をいたしております。ただし、まあ通産省も相当努力したはずでございますけれども、特別会計としてはああいう形で発足いたしたわけでございます。これはまあおそらく関税収入を見合ったものとして何を入れるかというようなこともございましたでしょうし、あるいはまあそういうものを入れておけば、そう青天井にならないという配慮もあったかもしれませんが、これからの問題を考えていきます上に、いまの鉱害、産炭地その他の費用というものが石炭の安定策の上で非常に重荷になるということは阿部委員のおっしゃるとおりだと思います。さらばと言って、これを切りかえるということもなかなか実際的ではなかろう。世の中の人が一般的に理解しておるように、六百億を全部石炭企業のために使っているのだと思っておるといたしましても、今後石炭政策にどれぐらい、どういう費用を見てやったらばいいかということを相談する相手はわかっておる。あるいは御審議を願う国会の先生方にはそういう誤解はないわけでございますから、要するに安定策にはどれぐらいの金が要ると思うか、鉱害としてはどれぐらいの金が要ると思うか、これを国家的な立場でどう御判断いただくかということが問題であって、特別会計のワクの内外という議論は、まあ俗世間では確かに先生がおっしゃるように、私もいろいろなところでPRいたしておるのでありますが、六百億全部石炭会社に持っていくように理解している人が多いことは事実でございますが、これからの政策をおきめ願う国会にしても、政府の閣僚諸公にしても、その誤解はないはずでございますから、実態的にどう判断していくかということで御議論を願えればよろしいのではないかと考えている次第でございます。
  48. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その特別会計ですが、もう一点、これは熊谷次官に知ってもらいたいのですが、それは特別会計、六百億の中にいまいろいろ論議されているような問題があるわけです。そのほかにこの職員の方の給与までとにかく九億何千万円か払っておるわけです、特別会計の中から。これはもらう人も気持ちよくなかろうと思うのです。一般会計から出ないから特別会計から給与を払っている。別に悪くないからいいという理由ではなしに、私は不穏当だと思うのです。産炭地からもらっている人があなたのところにもいる、もらう人がたくさんいるわけです。これは通産省の一般会計から払うべきであって、もらっておるのはあなたの配下です。配下の方も気味が悪いかもしれませんが、そうしてこれが産炭地振興だというのです。なるほど理屈は通るかもしれませんが、そんなめちゃくちゃな話はございません。食糧の会計というあの特別会計というのも、あれもやはり二重価格になっておる。常に赤字々々で国会でも問題になりますし、農家の人もむしろ旗を立てて、はち巻きをして来るが、あの中にもやはり職員の人があの会計の中に入っている。三年前に私が調べたところでは食糧庁の人が二万三千人おる、食糧から給料をもらっておる人が。もらっている人自身あまりこころよしとせぬわけです。もらわないよりはいいからもらっているのかどうか、とにかく一般会計に入れてほしいと、こういうことです。石炭の特別会計も一般会計に入れるということを次官はどう思いますか。  それから局長、次にお尋ねしますが、炭労の賃金はまだきまっておりませんが、たとえば要求している中に貝島とかあるいは佐賀県にある杵島とか、あるいは三井系ですか高松、これは全部政府の出資を受けておる。管理炭鉱と称してあなたのほうは何%でなければいけない、こう指導しているのです。われわれのほうは指導したおぼえはないとおっしゃるでしょうが、今度はどういうことになりますか。あなたのほうでは指導していなさるでしょう。
  49. 熊谷太三郎

    政府委員熊谷太三郎君) 特にまあ阿部さんから私を指定していろいろお話があったわけでございますが、この人件費の問題の前に、例の六百億円の特別会計の中から産炭地の振興やらあるいは離職者の問題、そういうものも出している、不都合じゃないかということに引き続いて、人件費の問題が問題になったわけでございますが、まあこの場合、私個人としての考えもないではありませんが、いまごもっともでありますとかないとかいうお答えだけは保留させていただきまして、十分おっしゃった御趣旨考えさしていただきたい、このような答えでひとつ御かんべん願いたいと思います。
  50. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 石炭労働者の賃金につきまして、ただいま中労委の調停を労使とも依頼をいたしまして、中労委の調停委員のところでいま双方からの事情聴取をなさっておる状況でございます。ということは、再建整備計画の中に組まれました大手についての年率七%の人件費や、それからその中では、先ほど阿部委員がおっしゃいましたいわゆる管理炭鉱については三・五%ということで組んであったわけでございますが、それぞれの経営者は、組合に対してはその七%と三・五%までの線での回答はいたした上で話がつかないで調停に持ち込まれたと、こういう経緯でございますので、これはどういう調停が出ますか、それに双方で従うかどうかという問題が残されておるのでございまして、したがって調停にゆだねました以上、七%以上のものは絶対出せない、あるいは三・五%以上のものは絶対出せないということでありますと、調停に持ち込むこと自身が矛盾をいたしてくるわけでございます。できればそうしてもらいたいという気持ちはあっても、これだけのものを一歩も譲れないという気持ちであれば、逆に調停に持ち込めないゆえんのものではなかろうかと考えます。経営者といえども、いまの線以外の調停が出たときどういう態度をとるかということについてはまだ未決定であると、こう言わざるを得ないじゃないかと思います。なお、役所の立場から申しますと、賃金の問題は労使間できめるべき事柄でございます。それは石炭産業の上に非常に政策依存度が強くて、結局賃金のきめ方いかんによっても、またツケが政府のほうに回ってきがちな産業は、必ずしも一般の産業の場合と同じだというように実質的にはいえないと思いますけれども、賃金決定というものの性格からいいますと、これはやはり労使間できめるべきものだと私は考えております。したがって、いまわれわれがどういうアップ率がよろしいのかというようなことを通産省として申し上げるのは適当でないと思います。また、事実どの辺がいいのかということにつきましても、私どもは実際の資金調達その他の面からいいますと、現行賃金だって払えないおそれのあるものが山ほどある状況でございますので、これについてとやかく言う気持ちはございません。ただ、国がいままでやりました政策の経緯から見まして、いわゆる管理会社の賃金アップの率というものは、そうでない会社の賃金アップの率に対して低くあってほしいと、あるべきではなかろうかというのは、これはやはり私はそうだろうと思います。そのことは直ちに三・五%を変える意思なしということではないと思いますけれども、格差があってもやむを得ない、むしろ政策の経緯からいってあるべきではなかろうかというのが私ども考え方でございます。それはなぜかと申しますと、あの再建会社に対する処理というものは、いろんな金融協定その他で金融機関その他の譲歩を得てつくった計画でございますから、金融機関等に譲歩を求めながら労働者も経営者も何らの譲歩をしないということはあり得ない、世間的には許されないことではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  51. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこが局長大事なところで、高くあってはならないと、安くあってほしいと、そんなべらぼうな話ありますか。あるいはそれは炭鉱の従業員が高い賃金をもらっておればこれは別ですよ。特に管理炭鉱の従業員でボーナスでも大体二万円か二万五千円ですよ、坑内に入ってですね。ですから、それはあなたのような方針だったら、これは労働省でないからいいわけですが、そんなむちゃくちゃなことでとにかく産業政策成り立ちますか。やはり高賃金払ってやります、そのかわり能率上げて石炭出せという話なら、その金をどこから出すかということが必要なんだから、その点については、あなた方はやはり九億円とったり、産炭地振興で三十億も四十億も出したり、それはその金を石炭産業のいんしんのために使いなさい。  それから熊谷政務次官に申し上げたことは、これはことしは予算が成立してしまったからだめでしょう。しかし、希望として来年抜本策出てきたときに一緒に、せめてこの種の仕事をなさっている方々に対しては、石炭のために使えといった特別会計から使うことでなしに、国の一般会計から——終生つとめておるわけですから、石炭対策が必要でなくなればその人たち企部首切るわけじゃないでしょう。だからこれにたかって、さながら三百億全部使ったと見せかけて中身が半分だったということではないようにお願いしたいということで希望申し上げておるのですから、私はどっちも言いませんというようなことでは困るのです。石炭融資はぜひ予算編成期では最大の努力をしてもらいたいと思う。  それから局長もう少し。あなたの言う話はこう理解していいわけですか。労使双方が交渉しており、中労委の事務局長のところに持ち込んだ問題であるから私のほうでは干渉しません。しかし国でやはり財政を使用しておるわけですから、関心は持っております。しかし、あちらさんで出されることについては政府では干渉しません。こういうことですか。
  52. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) そのとおりでございます。
  53. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、石炭経営者は、出せば出したいのだが、通産省がやかましくてということで、あなたたちを利用しておるかもしれませんよ。そういう答弁をしておる会社がある、経営者がある。そういうことは根も葉もない事実ですね。これはむろんのことですね。
  54. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) それは私どもが直接的に、賃金をこうしなさいということは経営者に言ったことはございません。ただきめられた賃金の支払いを確保するために、いろんなツケを通産省にお持ちになっても、おきめになったものを直ちにこっちがめんどうを見なければならないという筋合いのものではないということを申し上げております。したがって、いまの阿部先生のお話をどう理解したらいいかわかりませんが、経営者が直接的に、自分はやってもいいのだけれども通産省がやかましいから、ということを言うとすれば、それは間違いでございます。それからそうじゃなくて、賃金としてはもう少し高いものを払ってやりたいのだけれども、払う手がない、それからそれを財政に持ち込もうとしても、通産省は必ずしもうんと言わないであろうからということでおっしゃるならば、それは間違いでもなかろうかと思います。
  55. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 こういうことですよ、中川局長さんね、ぼくの言うのは、中労委にいま行っておるわけですね。しかし、中労委は石炭経営者、労働者あるいはあらゆるところを呼んで、やはり結論を出すまでにはそれぞれ諮問し、検討なさると思う。その過程においてはあなたのところにも、石炭産業には国が腐心しておるということを十分理解しているために、あなたのほうにも全然連絡なしに、御意見も聞かんで、結論を労使双方の話だけ聞いて出すとは思っていないので、あなたの話も聞くでしょう、大臣の話も。その場合に、あなたは白紙の立場ですかとこう言うている。
  56. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 実は、すでに中労委の調停委員には会長を含めて私もお呼びを受けまして、過日一ぺん会っております。そのとき私はいまと同じような態度で出ておりました。要するに、賃金について通産省が意見を言うべきではない、そうしていま置かれている石炭産業状況その他、あるいは将来、あるいは当面置かれておる資金繰りというようなことにつきましては、るる御説明をいたしましたが、賃金決定については特別に意見は持っておらない。ただ、もし高い賃金がきまって、それを支払えるかどうかというような観点で経理の内容なり何なりを、これは当然のことですが御質問がございまして、それらの点についてはお答えをいたしております。それで、そう高いものを出すと、中には遅欠配を起こす会社も出てくるかもしれぬし、無理に払えば、あるいはそこで倒産のうき目にあうものも出てこないという保証はないという客観的な情勢としての御説明はいたしております。
  57. 光村甚助

    委員長光村甚助君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時七分散会      —————・—————