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1968-05-22 第58回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十二日(水曜日)    午制十時三十一分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任      北條 雋八君     原田  立君  五月二十二日     辞任         補欠選任      藤田藤太郎君     西村 関一君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         松澤 兼人君     理 事                 山内 一郎君                 横山 フク君                 加藤シヅエ君                 戸田 菊雄君                 原田  立君     委 員                 植木 光教君                 木村 睦男君                 楠  正俊君                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 佐藤  隆君                 菅野 儀作君                 土屋 義彦君                 宮崎 正雄君                 柳田桃太郎君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 成瀬 幡治君                 西村 関一君                 小平 芳平君                 瓜生  清君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        厚 生 大 臣  園田  直君        国 務 大 臣  田中 龍夫君    政府委員        内閣総理大臣官        房陸上交通安全        調査室長     宮崎 清文君        警察庁交通局長  鈴木 光一君        経済企画庁水資        源局長      今泉 一郎君        厚生政務次官   谷垣 專一君        厚生省環境衛生        局長       松尾 正雄君        厚生省環境衛生        局公害部長    武藤一郎君        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君        通商産産省企業        局立地公害部長  矢島 嗣郎君        通商産産省繊維        雑貨部長     金井多喜男君    説明員        厚生省環境衛生        局公害部公害課        長        橋本 道夫君        林野庁指導部長  木村 晴吉君        通商産業省鉱山        局石油業務課長  小幡 八郎君        運輸大臣官房参        事官       内村 信行君        運輸省自動車局        整備部整備課長  景山  久君        自治省財政局地        方債課長     山本 成美君        自治省税務局府        県税課長     森岡  敞君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○大気汚染防止法案内閣提出衆議院送付) ○騒音規制法案内閣提出衆議院送付) ○産産公害及び交通対策樹立に関する調査  (公害対策の強化に関する決議の件)  (交通安全対策に関する決議の件) ○交通事故を未然に防止するための一大国民運動  展開に関する請願(第八二五号) ○交通事故被害者救済措置等に関する請願(第  二八二八号) ○交通事故防止のため自転車に尾灯常備等に関す  る請願(第四七四九号) ○交通安全施設整備促進に関する請願(第四八四  七号) ○練馬グランドハイツ汚水処理場(東京都練馬  区)改善に関する請願(第五一一四号) ○継続調査要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  一昨二十日、北條雋八君委員辞任され、その補欠として原田立君が選任されました。  また、本日、藤田藤太郎君が委員辞任され、西村関一君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、理事補欠互選を行ないます。  委員異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認めます。それでは理事原田立君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 大気汚染防止法案閣法第一〇五号)(衆議院送付)、騒音規制法案閣法第一〇六号)(衆議院送付)、以上両案を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 大倉精一

    大倉精一君 きょうは最終日でもあり、また短い時間に質疑者もたいへん大ぜいおいでのようですから、私は端的に、この法案の疑問とされる点について逐条的にお伺いしたいと思います。よくわかるようにお答えを願いたいと思います。  まず、第一条の目的とそれから第二条第一項との関係ですが、どうも私は何回読んでもこの関連性がわかりません。と申すのは、第一条の目的を読んでみまするというと、規制を必要とする騒音について、事業活動によってその出る騒音規制する必要がある、こういうように受け取れるのです。ところが、第二条の第一項になりまするというと、設置をした施設そのものが音を出す場合に規制対象にするというぐあいに書かれておる。したがって、第一条の目的からいきますというと、施設そのものからは音が出ないが、事業活動によって必然的に騒音を発生する、こういうことが目的にうたってあるのですが、それの矛盾がどうも私わからない。したがって、施設そのものから音が出なければ規制対象にならないのか、あるいは施設そのものから音が出なくても、その施設を使って事業活動を行なうことによって副次的に騒音が起こる、こういうものを規制対象にするのか、この点についてひとつお答えを願いたい。
  7. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) ただいまの御質問はもっともな御質問でございまして、目的では「事業場における事業活動云々と書いてございます。先生の御質問は、第二条で、「この法律において「特定施設」とは、」云々ということで特定施設をとらえていて、第一条では事業活動全体をとらえているじゃないか、こういう御質問でございますが、第二条の二項をごらんになりますと、「「規制基準」とは、特定施設を設置する工場又は事業場において発生する騒音特定工場等敷地境界線における大きさの許容限度をいう。」ということで、この法律で取り締まっております。規制基準と申しますのは、工場全体、つまり工場敷地境界線基準をきめよう、こういう趣旨でございまして、その中で、工場の中でも大きな音を出す施設特定施設として特別押えまして、そうして工場事業場における事業活動全体を境界線のところで基準としてとらえて押えよう。ただ、御指摘のように事業場の中にはこまかい施設もございますけれども、大きいものを音の関係からはとらえれば大体適当でございますので、そういうふうに第一条なり第二条の一項、二項の仕組みを考えたわけでございます。
  8. 大倉精一

    大倉精一君 そういうぐあいに言われますけれども、法律というものは書いてあるものずばりを解釈しなければならぬと思うんですね。したがって、第二条の二項と第一条とはどう考えても矛盾するように思うんです。それで、第二条の二項の「境界線における」云々ということは、あとからまた、お尋ねしようと思いますけれども、どうして私がこういうことを思いつくかといいますと、たとえばプロパンスタンドというものは音を出さないプロパンスタンドを使用して事業活動をすることによって、必然的にそこへ車が集まってきて騒音を発生する、そういう場合があるんですね。したがって、第一条はそれを含んでいると思うんです、事業活動によって発生する騒音となっていますから。第二条第二項になりますると施設そのもの騒音を発生する施設云々と、こうなっていますね。その辺のところが法律をずばっと私読んでみると、どうも矛盾を感ずる。施設そのものが音を出すんだということになればこの法律の書き方を変えなければいけないと思うんですね。すなおに解釈した場合そうなると思うんですが、いかがですか。
  9. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) いま御説明いたしましたように、この法律の第一条の目的では、工場事業場事業活動による騒音を取り締まる。その取り締まる基準は第二条の二項にありますように、敷地境界線における基準をきめよう、こういうことでございますので、事業場全体の騒音を取り締まるということでございます。ただ、工場の中の特定施設を特に届け出をさせまして許可に近いような形で規制をしておりますのは、やはりその事業活動の中で中心あるいはほとんど大部分を占めております騒音発生施設特定施設としてとらえまして、それを届け出をさしていろいろ事前からチェックをしていく、こういうことでございます。  それから、先生設例の……。
  10. 大倉精一

    大倉精一君 ちょっと答弁が違うからもう一ぺん言います。私言っておるのは、事業場において施設をしておるその施設ですね、その施設そのものからワーッという音が出る、これを取り締まりの対象にするということをあなたおっしゃておると思うんですけれども、しかし、施設そのものから音が出ないけれども、その施設を使って事業活動をすることによって必然的にそこに大きな音が出る。事業場全体の音というぐあいにいま答弁がありましたけれども、そうすれば、施設から音が出る出ないにかかわらずその事業場そのものから出る音、そういうぐあいに解決できると思うんですね。その辺がどうもはっきりしない。
  11. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 先生いま御設例の、たとえばガソリンスタンドの事例のような問題でございますが、その問題につきましては、その工場からは、特定施設はないけれども工場が存置することによって音が出るという場合は、当然、規制基準の何ホンというもので、この二項で取り締まるということになっておるわけでございます。ただ、まあ先生設例ガソリンスタンドそのものが音を発するわけではございませんので、そういうものにつきましては地域的な実情に応じまして第二十八条の深夜騒音のところで、条例地方公共団体実情に応じまして営業時間等を制限することによって必要な措置を講ずるということで、二十八条で地方公共団体にいろいろ規制措置をやらせるようにいたしておるわけでございます。
  12. 大倉精一

    大倉精一君 この問題はちょっと保留して、法制局のほうで検討してもらって、法律の不備があれば直さなければならぬと私は思うんです。必ずこの法施行上において問題になると思います。  次に、いま言われた第二条の二項ですけれども、この「騒音特定工場等敷地境界線における大きさの許容限度」というものですね。つまり許容限度というものを特定工場境界線においてはかる、こうなりますけれども、この境界線においてはかるということは、一体どこではかるかということになると思うんですが、こまかく言って、たとえば道路でもって境界線になっている場合、道路のこちら側に工場があり、道路向こう側居住地帯であるといった場合に、工場地帯のほうではなかったんではどうにもならんです。工場地帯許容量居住地域許容量とは違うと思うんです。迷惑するのは居住地域のほうが迷惑するのであって、工場の側のほうは迷惑しないと思うんですね。ですから、はかるとすれば居住地域の側ではからなければならぬと思いますけれども、その点ひとつはっきりしておいてください。
  13. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 工場敷地の内と外とどちらではかるか、たとえばへいがありました場合は、もちろん先生の御心配なさるようにへいの住宅に面したところではかるということでございます。
  14. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、これは確認しますけれども、いまへいという例がありましたが、へいの外ではかるということになれば、へいの外が居住地域である場合においては、居住地域許容基準で測定をするというんですね。――わかりました。わかりましたが、そこで、はかる客体は何であるか。何ホンであると言われると思うんですけれども、一体、何をはかるのだということですね。たとえばそこにたくさんのものがある。そうすると総合してワーッと音が立っておるという場合に、何をはかるのか。たとえば特定施設が音を出しておれば特定施設をはかればいいんですね、特定ワーッというやつをはかればいい。そうでなくて、特定施設というものは音は出しておりますが、たいした音でない、必然的に総合的に騒音を出しているという場合に一体何をはかるのか、何を許容基準とするのか、これが一つの問題である。
  15. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 散地の境界線における音の大きさの許容限度ということで、音の大きさを法の規制基準として考えておりまして、大体いま各府県条例でも行なわれておりますホンというのではかろうと思っております。このホンのはかり方はJISがそれぞれきまっておりまして、こまかくJISのほうではかり方はきまっておりますから、先生の御心配のように、工場のわきの住宅地帯における規制基準がそれによって守られるということは間違いないわけでございます。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 私は、これはまあウナギ問答になりますからこの程度でやめますけれども、大体規制する音、騒音とは何だ、これがはっきりしていないんです。騒音とは何だ。たとえばワーッという機械の施設の音がする、周囲はやかましくてどうにもならぬ。たとえばマイクロホンワーッとやる、やかましくてどうにもならぬ、これは騒音ですね。そうでなくて総合的にワーッと音が出る騒音、これを一体どうやってはかり、どういう基準をつくるか。あとで私は自動車関係でお伺いしたいと思うんですけれども、自動車がずっと走っていく、何ホンだと、あるいは排気ガスがどのくらいと、規制しても、一台の自動車ならいいんですが、何台か走った場合に総合して騒音となる。だから騒音というつかみ方がはっきりしないと思うんです。そういう点はどうお考えですか。どうも騒音というのは、あなたたち考えているのは、何ホンとはかるといっても、工場全体がワーッとした音を発生しておるという場合に何ホンではかれるかどうか、ということですね。
  17. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 現在、音の大きさについては大体ホンということでJISがきまっておりまして、先生のおっしゃる音の大きさというものを、大体この法律では許容限度として考えておるのです。
  18. 大倉精一

    大倉精一君 これでやめますが、私は何ホンという、そういうかたまった頭じゃなくて、実際にその場を見て、それでこういう音の状況であれば、いわゆる住民生活環境を乱す、あるいは健康を害するといった場合には、何ホン、何ホンというしゃくし定木ではなくて、やはり規制対象にしなければならぬと思うんですが、そういう点はお考えになっておるかどうか、最後にひとつ。
  19. 園田直

    国務大臣園田直君) この立法精神は、生活環境を守るということが立法精神でありまするから、御指摘のとおりに、生活環境を守るということを基準にしてやれば、ただいまの御意見のように、一つの音ではなくて、そこに住む人間環境を守るという、こういう意味ですから、いま先生のおっしゃったような御意見だと私考えております。
  20. 大倉精一

    大倉精一君 いまの大臣の御答弁で、固定した一定の音じゃなくて――音の基準ではなくて、あくまでも生活環境を守る、この観点から、そこの工場事業場等におけるところの音の実態からやはり規制していく、こういうぐあいに私は解釈いたします。それでぜひそれはお願いしたいと思う。ですから、そうなってこないで、騒音というものだけとらえていくと、騒音規定が非常にあいまいになるということでありまするから、住民生活環境に影響する音、こういうぐあいに考えてやっていただきたいと思う。  それから、問題は第三条です。これはいかに完全無欠法律であっても、第三条による特定工場において発生する騒音について規制する地域として指定されなければ、この法律というものは全然役に立たぬのですね。ですから、この指定をするということについて公正を期さなければならぬが、指定をするということの公正を期するということについて、どういうぐあいにお考えになっているか、お伺いしたい。
  21. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) この三条で、都道府県知事が市の市街地並びにその周辺住居が集合している地域住民生活環境を保全する必要があると認める地域対象にするわけでございます。したがいまして当然、都道府県知事は、市及びその周辺地域住民生活環境を守る必要があるという地域指定するわけでございまして、当然知事は、その住民生活環境を守ることについては、客観的にその地域実情市町村長から意見をよく聞きまして、地域指定するわけでございますので、心配の点はないと、かように思っております。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 これは心配がないとおっしゃるから、私たちもそう思いたいと思う。思いたいと思うが、いや、これはこの程度住宅の集合ではまだ指定する必要でないとか、あるとかということで必ず問題になる。特にこれは、そういうことは考えたくないんですけれども、工場とか、そういうところからいろいろなやはり働きかけがあると思うんですよ。ですから、そういうものがあって、この指定を公定にされないということになると、この法律全体がだめになってしまう。だから、この指定というものをまずもって公正に行なうということ、これがこの法律のポイントだと私は思うんですね。ですから、大臣、公正に指定されるということについてひとつ格段の御配慮を願いたいと思うのですが、いかがですか。
  23. 園田直

    国務大臣園田直君) この点は十分注意をしなければならぬ問題であると考えまするから、御指摘のような線を正しくそれぞれ地方に指導するつもりでおります。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 次に、第四条関係なんですけれども、第四条の第一項に、夜間、昼間あるいは区域ごと規制基準をつくる、こう言われましたが、これはさっきの大臣の御答弁は、この規制基準の内容についても環境保全をするというこの観点から基準をつくるんだと、こう私は解釈をしてこの項の質問はやめますが、ぜひともそうしてもらいたいと思います。と同時に、この第二項の「指定された地域の全部又は一部について、当該地域の自然的、社会的条件に特別の事情があるため、前項の規定により定められた規制基準によっては当該地域住民生活環境を保全することが十分でないと認めるときは、」云々と、こうあるのですけれども、当該地域の自然的、社会的条件というのは、たとえばどんなのがあるか、一、二の例をあげていただきたい。
  25. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 都道府県知事は、国が示します基準、すなわち住居専用地域あるいは住居地域商業地域工業地域、この地域ごとにそれぞれ朝晩の基準をきめるわけでございますが、その範囲内で都道府県知事当該都道府県内の基準をきめた場合に、ある特別の市町村工業地域で、その地域はほかの地域と違って工員さんの寄宿舎が相当たくさんある、夜はほとんど住居地域と変わらないような状態になっているという場合は、その市町村条例でほかの地域住居地域並みの夜の基準をきめる、そういうような場合が考えられるとすれば、その例じゃなかろうかと、かように思うわけでございます。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 ほかの例はないですか、自然的……。
  27. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 観光地域で旅館が非常に集合している、そこは商業地域ではあるけれども、やはり観光客のために夜は住宅地域と同じような静けさがほしいという場合は、住宅地域並み基準をその市町村できめるということが考えられます。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 じゃ次に、第六条関係ですけれども、これは非常に重要な問題だと思うのですね。要すれば、大臣からお答え願いたいと思うのですけれども、届け出制になっておるんですね、今度の法律は。これは前からいろんな規制があったのですけれども、単なる届け出ではぐあいが悪い、許可制にしなければならぬというのが初めのお考えであったと思うのですね。これが届け出制になったということは、届け出さえすれば何でもやれるんだと、こういうことになって、この法律が非常にやわらかいものになってしまったということになると思うのですが、どういうわけで許可制にしなかったか、届け出だけでとめたか、これは非常に疑問を持つのですけれども、この点についてひとつ御解明を願いたい。
  29. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 届け出制許可制の問題でございますが、現在各府県なり市町村条例を見ますと、ほとんど全部騒音につきましては届け出制をとっております。この法律ごらんになればおわかりになりますように、六条、それから九条の計画変更、それから十二条の改善勧告並びに改善命令というように、届け出制はとっておりますけれども、事前事後の厳重な監督ができるということで許可制に近いような制度にもなっているわけでございまして、当初、一部につきまして許可制考えたこともございましたけれども、この法案の最終的な段階では府県条例と同じように届け出制にしたという実情でございまして、これで少なくとも騒音については十分担保できるというふうに考えております。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 そういう解明は新聞でも見ました。見ましたが、だれが何と言ったって届け出制とそれから許可制とは違うんですよ。改善命令が出されておりましても、これは許可制であって初めてきつい改善命令が出せるんだけれども、届け出制改善命令とは関係が薄いのですね。ですから、許可したにもかかわらず、こうこういう面があるから改善せよということになるのですね。ですから、これは多く言いませんが、私は非常に残念だと思うのです。これは大臣、やってみて、どうしてもぬるいということになれば、やっぱり将来許可制にすべきだ、こういう必要があれば直さなければならぬと思いますが、大臣どうお考えですか。
  31. 園田直

    国務大臣園田直君) 届け出制許可制は、これは文字の上から言っても許可制のほうがきびしいことは当然でありまして、当初原案には許可制考えたわけでありますが、各省との折衝の段階において工業立地規制法と同時に出すべきであるという考えもありましたし、手間取っておると長くなりますので、八条その他のこれを補う事項がありますので、届け出制でお願いすることに妥協したわけでありますから、この点はわれわれとしても十分注意をして、将来の実施の状態を見なければならぬと考えております。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 これは、いろいろ答弁されますけれども、厚生省としては本旨ではないと思うのです。ですから、こういうものができたのですから、不完全であれば将来直す、これくらいのことをやっぱりやってもらわなければ――実際人間の側に立ってやってもらうのは、あなた方のほうなんです。あと事業場のほうに立ちますから、この法律目的から言って人の住む環境を守るというのが本旨ですから、き然としてひとつやってもらいたいと思います。  それから、第九条で届け出のあった場合の勧告規定がありますけれども、第六条の一号から五号まで、この点は都道府県知事届け出をしなければならぬとなっておりますけれども、その間に特に八条のただし書きで、施設を増加してもそれ以上音が大きくならぬのだ、あるいは弊害がないのだと考えるときには届け出はしなくてもいい、こういうふうになっておりますけれども、それ以上音が大きくなるとかならぬとかいうことは、だれがきめるのですか。その施設者が自由に判定をして、これはこの程度のことならば届け出をしなくてもいいだろう、こういうことになるのですか。そういった場合に、届け出て初めて、そういうのがあるのかといって査察に行くのですけれども、届け出がなければ査察にも行かない、そんなのはほうっておいて知らぬ顔になってしまう、こういうおそれがありますけれども、その施設を増加することによって大きな弊害があるとかないとかいう判断は、どこですることになるのですか。
  33. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 第八条のただし書きのところに「主務省令で定める範囲内である場合又は」云々と書いてありまして、省令でどういう場合というふうに基準を大体きめるつもりであります。たとえば、この届け出を受けた機械がもう一台ふえるとか、あるいは二台ふえるとか、そういうふうに機械機械によりまして、機械がふえることによって音の大きさがふえない範囲を省令できめたい、かように考えております。もし先生の御心配のように、万一そういう事態がくずれた場合には当然改善命令等が第十二条でかかることは当然であります。
  34. 大倉精一

    大倉精一君 その改善命令を出すのですけれども、私の言うのは、施設者なり事業者がかってに自分できめ込んで届け出をしなかった場合には、査察もできない、知らぬ顔をして通っていく、改善命令もない、こういうことですね。ですから、いまあなたは省令でそれはきめると言っておりますけれども、その辺がどうも私は、あくまで事業者本位にこの法律ができているような気がして、しかたがないのです。
  35. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) その点につきましては、第八条の届出は第六条の届出と同じように罰則で担保してございますので、事前によく行政指導をいたしておきたい、かように考えております。
  36. 大倉精一

    大倉精一君 これも、そういう抜け穴があるということだけは、一つ指摘しておきましょう。たとえば、ある施設について自分の判断で、これは省令の基準にまでいっていないから届け出をやらないでもいい――届け出しなければ、あるかないか、あなたのほうではわからないはずですから、改善命令もへちまもないです。そういうことで抜けておるということだけを指摘しておきましょう。そういうことのないように十分注意してやってもらいたい。  それから、あと――いろいろ聞いてきまして改善命令とかなんとか言いますけれども、問題になるのは第十三条ですね。改善命令を出したり何かする場合に、「その者の事業活動の遂行に著しい支障を生ずることのないよう当該勧告又は命令の内容について特に配慮しなければならない。」、(小規模の事業者に対する配慮)ですね、この一項目がありますので、みなぱあになってしまう。何を配慮するか。――これをやれば非常に困るだろうとなれば、結局何もできないことになるんじゃないですか。ですから消音機みたいなものです。この法律の消音機みたいなものがあるんですね。
  37. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 先生の御指摘のように、騒音問題は、小規模の事業者がいろいろ実際の問題を起こしている事例が多くあります。しかしながら小規模事業者は、いろいろ財政上の問題で大きい業者とは違って苦しい事情があるわけでございますが、そこで配慮をするというのは、中身を甘くしてやるということではございませんで、たとえば資金等の不足している業者については、そういう点を考慮して改善期間を多少長くするとか、あるいは段階的に改善をさしていくとかいうことで、中身そのものを甘くしようというつもりではありませんで、実施時期とか改善方法を段階的にやっていく、そういうわけでございます。
  38. 大倉精一

    大倉精一君 これもやはり産業と経済の調和ということが出てくるのですね、この場合に。なるほど小規模経営者というものについては配慮しなければなりませんけれども、あくまでもこの小規模経営の事業活動によって周囲の住民生活環境が維持できないという、これを基本に置かなければならない。したがって、これを配慮して改善命令を出すとか、期間を長くするとか、何とかすることになれば、その期間、住民というものは著しい犠牲をがまんしなければならないことになる。ですから、そうなってきたら、一体何のための騒音規制かということになってきて、ここまでくるというと、小規模経営者のための何かここに歯どめができておる。これは一番大事なことですけれども、どちらに重点を置くのですか。小規模経営者が困るということを重点に置くのか、小規模経営者の事業活動によってその地域住民が非常に犠牲をこうむっているのを救うという、ここに重点を置くのか、これはどちらですか。
  39. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) もちろん、この法律は国民の生活環境を守るということが重点でございます。ただ、実施の段階でそういう事業者に――ここにありますような十人以下程度の、いわば生業的な事業者に対する配慮を十三条で書いたということでございます。
  40. 園田直

    国務大臣園田直君) いまの御指摘の点は、きわめて公害に対する基本問題で、重大な問題であると私も考えます。これを実施するにあたってよほど注意を要するが、将来この個条において検討しなければ公害という問題がくずれるおそれがある。これはたとえ、はっきりそれが零細企業であろうと小規模企業であろうと、公害については住民生活環境を守るということが重点であって、その事業の育成ということは他の面でこれは考えるべきであって、それに対する勧告とか、あるいは公害防止の施設等について、これはみるべきではない。こういうことによって事業が支障を来たすなら、ほかの面で国家が金融をしてやるとか、あるいは施設の補助をしてやるとか、育成のことは別に考えるべきであって、公害の場合にその事業がどうこうということは、これは一部の参考事項であると、この点ははっきりしておかなければ、公害というものの性質がくずれてくる。これは将来十分研究していきたいと思います。
  41. 大倉精一

    大倉精一君 大体、大臣の意図はわかりますけれども、端的にひとつ詰めてお伺いしますが、小規模の事業に対する配慮は別の観点から配慮するべきであって、その事業活動によって騒音による公害が発生しておる場合においてはすみやかにその公害を取り除く、こういうぐあいに解釈してよろしゅうございますね。
  42. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) いま大臣からお答えがありましたように、そういう十三条の配慮をしなくてもいいように、ほかの面でまた十分配慮することも一つの方策ではなかろうかと、かように考えます。
  43. 大倉精一

    大倉精一君 私の聞いているのは、そうじゃなくて、その事業活動によって現に騒音によるところの公害があって、生活環境が保持できていないという場合には、すみやかにその公害源である事業活動による公害をすみやかにまず取り除く。その上に立って、事業活動が困るならばほかの面で考慮する、こういうぐあいにやるべきであって、重点はあくまでもすみやかに公害を取り除く、ここにあると思うんですが、いかがですか。
  44. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 趣旨は先生のおっしゃるとおりでございます。
  45. 大倉精一

    大倉精一君 それから次に、深夜営業についてお伺いしますが、二十八条によりますというと、さっき私が質問しましたその事業の中の施設そのものが音を発しないが、ただしその事業があるために、あるいはそれが活動するがために自然的に音が発生する。たとえば、これは飲食店等、こういうぐあいにあげてありますけれども、これは飲食店に限らず、たとえば先ほどプロパンスタンドの例を言いましたけれども、プロパンスタンドばっかりじゃなくて、その他それに類するものがたくさんあると思いますが、「飲食店営業等」というのは、飲食店に限らず、こういうふうなあらゆるケースを含めるのだ、こういうぐあいに解釈して差しつかえありませんか。
  46. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) この二十八条を置きました事情としましては、ある地域の飲食店によっては、その中から音が出るんじゃなくて、それの営業が深夜まで及ぶことによって客の出入りで周囲が非常に迷惑をする、あるいは眠れない、そういう状態がありますので、この条項を入れたわけであります。たとえば、最近はボーリング場とか、あるいは夏になりますとプールとか、あるいは先生の御指摘ガソリンスタンド、そういった周辺で問題が局地的にいろいろ起きておりますが、こういう点について二十八条で対処しようと、かように考えたわけでありまして、この「等」の中には飲食店以外のいろいろの営業を、いまあげましたような例を含めまして考えているわけでございます。
  47. 大倉精一

    大倉精一君 そういうものも含むという御答弁でありまするから、当然これによって飲食店に限らず、これに類する、あるいはプロパンスタンドなり、あるいはその他のものを含むというぐあいに解釈しますが、ここにも「自然的、社会的条件に応じて、」ということばが使ってあるのですが、これはたとえばどういうことなんですか。
  48. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) たとえば、住宅地域にあります飲食店でありますれば、たとえば十二時以後は営業させない、あるいは住宅専用地域であれば、たとえば十一時まででやめさせるとか、そういうように地域的な状況、実態的な住民生活環境がそれぞれ違うわけでございますので、そういう点を考えて、営業時間等をしんしゃくするようなことを考えておるわけでございます。
  49. 大倉精一

    大倉精一君 この法案質疑は、この程度にしておきますが、次に東海道新幹線の騒音と、それから自動車排気ガス並びに騒音、これをチェックする手段というものを今度除外されておりますけれども、そういう点についてはどうなるのですか。自動車排気ガス自動車騒音あるいは新幹線の騒音、こういうものから住民生活環境を守っていく、こういうことはどうやったら守れることになるのですか。
  50. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 騒音規制法を当初考えました際に、いま先生の御指摘の二つの大きな問題についてはいろいろ検討したわけでございますが、新幹線等につきましては、なお行政的にも、技術的にも解明すべき点がありますので、現在運輸省のほうで十分検討しております。それから高速道路につきましても、それに類したようなことがございますので、現在この法案厚生省並びに関係省で検討しておるわけでございまして、決してこの問題を放置しておるわけではございません。詳細は運輸省のほうからお答えをいただきます。
  51. 内村信行

    説明員(内村信行君) 新幹線騒音の問題でございますが、ただいま厚生省から御説明ございましたように、新幹線騒音の問題につきましては、設計とか、そういういろいろの問題ともからみまして、なお技術的に検討すべきことが残っております。現在も厚生省のほうといろいろ話し合いをしておりますし、また今後も続けていくつもりでございますけれども、こういう問題が遺憾ながら残っておるということが一つと、それからもう一つには、現在の騒音対象となりますのは一般の不特定工場対象としておりますけれども、新幹線の場合には、比較的の問題でございますが、その発生源というものが国鉄一社にしぼられており、したがって明確である。それで、それに対する運輸省の指導監督もいたしておりますし、国鉄自体も相当自主的にやっております。こういった関係もございまして、これでいいというわけではございませんが、そういうことで、さしあたりは、これからはずさざるを得ない、こういうことでございます。それでは、これからはずしたから何もしないかというと、決してそうではございませんで、現在におきましてもいろいろ技術的な方法によりまして、たとえばロングレールを採用いたしますとか、あるいは変電所等についての防音工事をやりますとか、あるいはロングスカートをはかせるとか、あるいは床下機器をカバーするとか、特に病院とか学校の付近で防音装置を設置するとか、そういう方向でいまやっているわけでございます。なお今後につきましても技術的にさらにいろいろ研究いたしまして、あるいはゴムでレールをおおってしまって、ある程度防音するとか、あるいは、いま考えておるのはロングスカートでございますけれども、それをさらに全部包み込んでしまって床下機器から発生する騒音を防ぐ、ボディー・マウント方式といっておりますが、そういうことを研究いたしております。あるいは防音壁を使うにいたしましても角度の問題とか、吸音材料を使うとか、そういうことを研究いたしております。今度の山陽新幹線につきましては、鉄げたを使わないでコンクリートの道床を使用する、そうするとだいぶ騒音が少なくなる。そういうことを考えるとか、さらにパンタグラフから出る騒音もございますので、どうしたら小さくなるかということをいろいろ技術的に研究いたしております。そういう対策をいろいろ講じておりますけれども、先ほど厚生省からお話がございましたように、今後十分両省で詰めまして、そうしてしかるべき方法をとりたい、こういうふうに考えております。
  52. 大倉精一

    大倉精一君 まあ技術的でよくわからないが、ロングスカートとか何だとか、それは一体いつごろできるのですか、そういう技術的なものは。
  53. 内村信行

    説明員(内村信行君) ロングスカートなどは現にやっております。それから防音壁も全部やっております。それから変電所その他の防音工事もやっております。それから今後研究いたすものとしては、さらにボディーマウント方式で全部包み込むとか、あるいはパンタグラフの騒音を包むとか、そういうことを目下研究いたしております。
  54. 大倉精一

    大倉精一君 そういう専門用語はよくわかりませんけれども、先ほども厚生大臣が言われましたように、そこに公害があるということになれば、すみやかにこれを取り除いた上でいろいろな技術的なことをやっていく。公害をほうりっぱなしにしておいて、技術達成がいつできるかわからない。それまでには住民は非常に犠牲をこうむらなければならぬということになるわけですね。新幹線あたりは、しょっちゅう来るわけじゃなく、ほんのわずかの時間行くだけだということも言えるでしょうけれども、わずかな時間ワーツと行くのがたいへんなんですね。一定の音がずっと続いている場合には麻痺してしまうが、一瞬ワーツと来るものが一日に何回もあるということが悩みの種だと思うのです。これはあまり深く申し上げませんけれども、先ほどの厚生大臣の御答弁のように、そこに公害がある。そこに公害があるとするならば、その公害を取り除く、あるいは防御する、こういう措置をすみやかにやって、その上に立っていろんな技術的な開発をしてもらうことが順序だと思うのです。  それから、ロングスカートとか、そういうものができるまで待て、こういうことになりますと、公害は依然として継続するということで、この法案の趣旨にももどると思いますので、特にこれは要望しておきます。  もう一つは、さっきの自動車騒音についてはどうやってチェックしますか、あるいは排気ガスは……。
  55. 内村信行

    説明員(内村信行君) 新幹線の問題につきましては御趣旨を体しまして、厚生省とよく連絡をとりましてやります。  それから次に、自動車騒音の問題でございますが、現在、個々の自動車といたしましては、道路運送車両法に基づきます保安基準で、これは走行騒音の場合八十五ホン以下というふうに定めております。現実には八十五ホン以下七十ホン程度になっているかと思います。ただこれも、いまやっておりますのは、一定の速度で動いております走行騒音の場合でございまして、さらに今後車両が稠密化したり、交通がさらに高速化してまいります。そういうことを考えながら加速騒音の問題、あるいは高速騒音の問題、そういうことについて必要な技術的な措置をはかってまいりたい、こういうふうに考えております。  さらに総合的に申し上げますと、これはあるいは私のほうから申し上げるのは適切でないかもしれぬと思いますが、交通騒音というものは、先ほど先生のおっしゃいましたように、いろんなものがまじり合わさって出てくる問題でございます。したがいまして、こういうものにつきましては、個々の自動車騒音の取り締まりだけでは足りないという問題がございます。その問題では、一つ道路構造の問題とか、あるいは道路構造を改良するとか、あるいは交通規制を行なうとか、万般の措置を総合的にとってまいらなければならぬということもございますので、その辺もっと厚生当局とも十分御相談をいたしまして、しかるべき措置をとりたいと思っております。
  56. 大倉精一

    大倉精一君 非常に前途遼遠の理想を持っておられますけれども、これもさっき言いましたように、こういうむずかしいことが達成できるまで、この騒音に悩まされなければならぬ、こういうことが起こるわけですね。何か自動車騒音については道路運送車両法ですか、それによって制限をしているから、あえて法律の中にうたわぬでもいいということであったようですけれども、運輸省の法規で、どういうところで一体これはチェックしているんですか。いまお聞きしますというと、何か車両がどれだけ以上の音を出しちゃいけないということを規制しているとおっしゃるのですけれども、それは一台の車両についていえば、それはその音だけでいいと思うのですよ、しかし騒音というものは一台だけではないのです。たとえば環七に立ってみましても、べらぼうな台数がずっと来るのですよ。ですから一台一台の音の総和がいわゆる公害となってあらわれ、そこに公害が発生する。一台では発生しない、一台で発生するのは若い人がマフラーをとってキューッと走るやつだ。あれなら一台で騒音を発生しますが、そうでなくて、たくさんのものが集まってきて、総合的に公害が生ずる。そういうことで、私は運輸省の法規では自動車騒音というものは規制できないと思うのです。これは厚生省から伺いたいんですけれども、一体どこでできるんですか。これはどこでできると思ってはずしたのか、それを聞きたい。
  57. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 個々の自動車騒音改善については、いま運輸省からお話がありましたけれども、自動車の構造の改善自体に待つわけでございますが、多くの自動車が運行することによって起きます騒音について、あるいは高速道路によって起きます騒音についてはどういうふうに対処するか、こういうお話でございますが、この点につきましては先ほども運輸省が触れられましたように、やはり交通事情の改善、それから道路改善、あるいは外国のハイウエイ等のわきにありますグリーンベルトの設置とか、そういうふうな総合的な交通対策が必要になってくるのではないかと、かように考えますが、現在、建設省のほうでも十分検討されておるようでございます。
  58. 大倉精一

    大倉精一君 時間が超過したという通知が来ましたが、もうちょっと聞きますが、それでは自動車騒音公害を取り除くという配慮は一つもないじゃないですか。道路ができ、グリーンベルトができてから一体どのくらいたってからできるんですか。その間に何も規制するものがないんでしょう。車両法でやるといっても、それは一つの車両から発生する音だけを規制するのであって、そこには公害がない。しかも、これは非常ににむずかしいと思うんですよ。交通量によって音の規制もしなければならぬことになる。そうすると、スピード制限のように、この道路はどれだけだ、この道路はどれだけだということをしないと規制はできない。だから厚生省としては、まず基本的には自動車騒音というものが公害になっておる。こういう御認識がおありになると思いますが、そういう認識があるとすれば、これをどうやって防止するのか、それをはっきり聞かしてください。
  59. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 個々の自動車の問題につきましては、いま運輸省からお話があったとおりでございます。そのほか、いま御設例のマフラーを抜いて走るような問題とか、その他の問題につきましては、現在でも……。
  60. 園田直

    国務大臣園田直君) いま対策だけ言っておりますが、実はこの法律案をお願いするにつきましては、関係各省との連絡で非常に手間どったわけでございます、正直に申し上げまして。そこで手間どった理由というのは、公害に対する政府の基本的な精神というものがなかなか関係各省で違います。私のほうは生命と健康が主であって、それに他のものが従うという意見だし、他の所管の方々はやはり自分の所管のものの育成というものを大事に考えている。それで手間どりました。しかし、いま御指摘自動車高速道路、新幹線、これはこれから省いたというわけではございませずに、たとえば新幹線にいたしますると周辺用地をどの辺までにきめるか、あるいはそこに住居する者からこれを買い取れという要求を受け入れるとか、いろいろ問題がありまして、それをまとめようとすると、まだまだ技術的に困難な点もあります。技術的とは音をなくする技術的ではなくて、自動車高速道路、新幹線の公害基準をきめ、これを防ぐための法律案をお願いすることの技術的な面に非常な困難がございまして、それもまとめて出そうとすると、非常に御審議願うのがおくれますので、とりあえずこの二つは検討を続けることにして、それを除いてできたものだけお願いしたというかっこうで、いまの高速道路、新幹線鉄道というものに早急に、これはいまの検討をそのまま続けてやらなければならないことであって、いま事務当局から言いました技術的な検討というのは、その中のごく一部でございます。
  61. 大倉精一

    大倉精一君 これは、さらに続いて検討するというお話でありまするから、ひとつ大いにがんばってもらわなければならぬと思います。まあこれから戸田君のほうから質問があろうかと思いますが、公害対策本部というのがあって本部長は総理大臣でおいでになる、そんなにえらい人が本部長においでになって、これがきまらないのがふしぎなんですが、これはさっそく公害という認識でもって公害を取り除くという方向に向かって、ぜひともひとつ引き続き御審議を願って、結論を出してもらいたい。  同時に、これは時間がないからお伺いできませんが、排気ガス、これも引き続いて審議をなさると思うのですけれども、これもひとつ御検討を願いたい。これも、おそらく運輸省に言わせますれば排気ガスの量を規制していると言われるでありましょうが、しかしこれも音と同じように、一台の排気ガスによって公害がそこに起こるのではない。一台一台の自動車の吐くガス、それがたくさん集まって、そこに公害が発生するのですね。ですからこれも、運輸省の規制では公害は除くことができない。こう私は思うのですよ。ですからこれも、非常にむずかしい点はあろうかと思いますが、これも大臣どうですか。やはり騒音と一緒に、引き続いて御検討なさるという御決心か。その点をひとつお答え願いたいと思います。
  62. 園田直

    国務大臣園田直君) 自動車排気ガスのほうは大気汚染防止のほうで御審議を願うことにしておりますが、さらにその検討を続けていきたいと思っております。
  63. 大倉精一

    大倉精一君 最後に、時間がないようですから簡単に……。この法律をずっと逐条的に見てみましたが、どうも、どこやら抜けている。そして実際取り除かなければならぬ公害というものが、依然として、これでは尽きないと思うのです。ですから私は、釈然としないものがあるのですけれども、これは各大臣がそれぞれの立場に立って論議されれば、当然こういうかっこうになるだろうと思う。私は公害基本法のときにも言ったが、大体厚生省と通産省とは立場が違う。立場が違うものが大気汚染を共管事項にしているのは、これはおかしいですよ。北ベトナムと南ベトナムが一緒になって相談するというようなもので、これはとても無理なものです。そういうことでありますから、そういうものを克服して、私は厚生大臣に対して、ほんとうに公害を取り除いて国民を守ってもらいたいと思います。これだけ要望しておきます。  最初に、法制局に言った第一条と二条。これは法律ができれば一人歩きしますから、もう解釈は裁判所でかってにしますが、これは矛盾があるとすれば、やっぱり直さなければならぬと思う。
  64. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  65. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をつけて。
  66. 大倉精一

    大倉精一君 いまここに御出席の法制局の方から、大体直さなくてもいいだろうというお話ですから、これはこのままにしておきます。  以上で終わります。
  67. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 なるべく重複しないように質問いたしたいと思いますが、もし聞き漏らした点がございましたならば、これはすでに答弁してあるということで、後日会議録によって研究をいたしますので、簡単にひとつ御答弁を願いたいと思います。  まず最初に、厚生大臣にお伺いいたしますが、公害関係法案は、多少不備の点があるとは言いながら、先に水質保全に関する法律があり、今回大気汚染防止の法律騒音規制に関する法律が提案されてまいりまして、これらが成立するということになりますと、おもな公害の面をカバーして、大いに生活環境改善に資するものがあるということで、私どもは非常に賛成をするものでございます。しかしながら、事実公害として発生しておりながらまだこの規制法ができていない。たとえば悪臭であるとか、あるいは地盤沈下であるとか、あるいは震動の規制であるとかというようなものが残っておりますが、これらをどうするお考えであるかということを、まずお伺いいたしたいと思います。
  68. 園田直

    国務大臣園田直君) 悪臭の規制の問題は、これは非常に大事な問題で、問題が起きておりますが、いまなお、この規制についての設定方法等に関する科学的な研究が不十分な点がございます。そこで、今後必要な調査研究を急いで、規制措置等に対処したいと考えておりまするが、とりあえずは悪臭等に関する対策としては、公害防止事業団の活用等によって問題の起こっておるところを処置していきたい。それから、地盤沈下については現在工業用水法及び建築物用地下水の採取規制法によって地下水の採取の規制を行なっておりますが、この問題についても将来検討していきたいと考えております。
  69. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 震動関係は……。
  70. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 震動の問題は、騒音を取り締まりますと大部分、震動も解決する部分もございます。しかしながら、震動につきましても、いま悪臭と同じようないろいろ技術的な問題がございますので、検討いたしたい、かように考えております。
  71. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 これらについて諸外国において、そういったものを規制した例もあり、また学者の一つの常識になった基準もありますので、これらを基準としてすみやかに成案されるように希望を申し上げておきます。  次に、公害関係法の締めくくりの問題でありますが、今回の法律案を見ましても、和解の仲介の方法が規定されましたことはけっこうでございますが、和解が成立しました場合にも、和解者側に賠償能力のない場合、あるいは発生源の究明が困難な場合等がございます。いわゆる無過失公害と言われておりますが、これらに対する救済の方法が規定されなければ、締めくくりができない法案のように見えますが、これらについて何らか法を整備するお考えはないかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  72. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 紛争処理並びに救済制度についての法案はどうなっておるか、こういうことでございます。現在、中央公害審議会のほうでも御検討をお願いしておりますし、政府部内でもこの問題につきまして何らかの新しい制度をつくりたい、かように考えております。しかしながら、なお既存の制度との問題、いろいろ基本的な問題がございますので、十分検討いたしたいと、かように考えております。
  73. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 次に、公害基本法にも、なお今回提案になりました二法案にも、それぞれ政府の公害に対する監視、測定、試験研究、検査あるいは研究結果の普及等について規定がございますが、事実上現在の試験研究その他の整備状況は十分であるとお考えになっておられるかどうか。まず総括的にお伺いをいたしたいと思います。
  74. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 試験研究機関は各省にそれぞれございまして、たとえば厚生省では公衆衛生院、衛生試験所、通産省では工業技術院、運輸省では気象研究所、労働省では労働衛生研究所、いろいろございますが、それぞれのところで研究を行なっておりますけれども、これら研究機関の体制あるいは研究費等の充実等については、なお努力すべき点がございますので、今後とも充実していきたい、かように考えております。
  75. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 運輸省に一言お伺いいたしますが、騒音関係あるいは大気汚染の関係で交通公害を防止するという点においては、まだ科学的に開発しなければならない、あるいは研究しなければならない点が多々あると思います。現在のところ運輸省においては船舶技術研究所の中に大事な試験研究の問題を取り上げて、わずかに原動機研究室に四名、計測研究室に四名、部長一名、計九名でこの全国的な仕事を担当いたしております。しかも、その予算は一年間約一億ぐらいでございますが、こういうような程度で、はたしてこの法に定める責任が十分に果たせるかどうか。やはりこれは独立した一つの交通安全研究機関をつくって、適当な予算をこれにつけて、ほんとうに本気でこれに取り組まなければならないと思いますが、どういうお考えでおりますか、お伺いいたしておきます。
  76. 内村信行

    説明員(内村信行君) ただいま先生指摘のございましたとおりに自動車関係のあるいは公害、そういったものにつきましては、騒音にいたしましても、排気ガスにいたしましても、世界じゅうでまだほんとうに確定したものがないといいますか、しいて申せば非常に研究開発を要する段階であろうかと思っております。したがって、先生指摘のとおりに、こういった研究開発という部門に対して、もっともっと力を入れるということは私どもかねがね痛感しておるのでございます。そこで、ただいまは船舶技術研究所の一部門でございます交通公害部、ここで担当しておりますが、お説のとおりに確かに陣容も貧弱であると思います。そこで、私ども、この四十三年度の予算におきましては、これを独立させまして、交通安全公害研究所というものをつくりまして、そこで本格的にやりたい、こういうふうに考えておったのでございますが、御承知のとおり今度の財政硬直化に伴いまして、特に機構の新造というものは一切まかりならぬ、こういうふうな強い方針がございまして、残念ながら実現することができなかったわけでございます。しかし、ただいま先生のおっしゃられたことは一々ごもっともでございまして、今後ともその方向に向かって十分努力してまいりたい。このように考えております。
  77. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 運輸省に続いてお伺いしますが、非常に少数精鋭であろうとは思いますけれども、弱体な研究機関を持ちながら自動車排気ガス等に取っ組んでおられますが、アメリカにおいては排気ガスの完全燃焼装置を取りつける方式を採用し、欧州や日本はエンジンの改造型で進んでおるようでございますが、排気ガスの再燃焼装置を別に取りつけてあれば、何となしに取りつけてあるということはわかりますが、エンジンの改造型になっておりますと、はたしてそのエンジンが完全燃焼しておるかどうかということは、運転者も利用者も非常にわかりにくいし、しかも、アイドリングのときと加速のときに、どういうガスが出ておるかということを一々確かめる手段もない。しかも、計測機関が非常に少ないということになれば、これは都道府県がある地点においては検査をしたり、あるいは測定をしたりするであり.ましょうけれども、源泉においてこのエンジンがりっぱであるかどうかということがほとんど検査されなければ、その成果はあがらないと思いますが、はたしてこのいまの方式で自動車排気ガスをもう少し基準を引き上げていくことができるかどうか。どの程度に進歩したか。その点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  78. 内村信行

    説明員(内村信行君) 自動車排気ガス許容限度と申しますか、その中に含む一酸化炭素――たとえば、一酸化炭素になってきますけれども、それの許容限度と申しますと、現在は新車につきまして指定の場合三%と規制してございます。これは現在技術的に可能な限りにおいてできるだけ規制したつもりでございまして、これが早急にもっともっと少なくなるということは、残念ながら直ちには不可能ではないかと考えますが、その点から将来その方向で考えるつもりでおります。  そこで、いまおっしゃいました使用過程の自動車につきましては、新しいときに三%とやっても、使っているうちにだんだん悪くなるのではないか、排気ガスも出るだろう。こういうふうな点ではないかと思います。それにつきましては、大体自動車を使用してまいりますと、その使用時間が長くなりますと、排気ガスも勢い――排気ガスと申しますか、排気ガス中の一酸化炭素がふえてまいります傾向があるのです。しかし、こういった問題もある程度これに対する整備をよくしていけば最小限に防げるということでございまして、そのために私どもといたしましては、いま現在走行中の車につきまして追跡調査ということをいたしまして、新車のときから一体どのくらいの時間走ったらどういうふうになるだろうということを調査いたしまして、それによりまして必要な整備、点検要領というふうなものをいま考えておる段階でございます。現在まだ中間段階でございまして、最終的にその結果はわかっておりませんが、現在までのところでも、ある程度のデータが出ておりますので、それによりまして、こういった個所の整備点検をしろというふうなことを要領として示しまして、現在整備工場であるとか、あるいは自動車の使用者関係、そういったところを指導中でございます。なお今後、そういった調査をさらに進めまして、こういうところをしっかり整備すればいいんだというふうな結論を得ました場合には、それを点検整備基準によりまして――道路運送車両法の点検整備基準によりましてやってまいるというふうな態度をとっているわけでございます。
  79. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 今後の大気汚染防止の問題の上において一番考慮しなければならない点は、亜硫酸ガスの問題であろうと思いますので、通産省にお伺いいたしますが、石油の供給計画によりますと、昭和四十七年には二億トンをこえる原油の輸入が計画されているわけであります。しかも、その輸入の大部分は中東産のものでありますから、少なくとも二・五%から三・五%の間の硫黄分を含むものと思われます。そうしますと平均いたしまして三%としても六百万トンの硫黄そのものが完全回収すればできるわけでありますが、それをどの程度回収する考えであるか、どの程度を空気中に拡散するつもりであるか、まずそのことを、計画のきまっておる限度においてお伺いをしておきたいと思います。
  80. 小幡八郎

    説明員(小幡八郎君) 現在輸入されております原油の平均硫黄分はほぼ二%でございますが、ただいま先生おっしゃいましたように四十七年で約二億キロリッターの原油を輸入することになるわけでございます。したがいましてこれの硫黄分は全体で約四百万トン弱のものになるわけでございますが、このうちどれだけの硫黄を回収するかという問題でございますが、現在各石油会社に対しまして脱硫設備の建設を促進しておるわけでございます。現在のところは重油脱硫設備といたしましては四万バーレルのものが一基しかございませんが、昨年度から石油精製設備の許可に際しましては一般的に重油脱硫設備の設置を条件に付しておるわけでございます。また、設備許可を受けなかった会社につきましても、重油脱硫設備の設置について行政指導を行なっておるわけでございます。その結果、重油脱硫設備は、四十四年度末には――現在四万バーレルのものが、全体で三十四万バーレルに達しまして、また四十五年度末にはこれが四十三万バーレルに達することになっておるわけでございます。これだけの脱硫設備をつくりますと、現在供給されております重油の硫黄分は平均二・七%程度と推定されますが、過密地帯に対しましてはほぼ一・七%程度の重油を供給できるかと思います。したがいまして、硫黄の回収量といたしましては約二割程度のものが回収されることとなるというように考えておるわけでございます。
  81. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 ただいまのお話によりますと、約二割ぐらい回収するということになると、まだ三百トンぐらいの硫黄が亜硫酸ガスとなって拡散されることになりますので、ところによっては、おそるべき公害を発生する危険を感じますので、脱硫装置の早期取りつけを源泉においてやられるように希望をいたしておきます。そうしないと、発電所や大工場は良質の重油を使い、一般中小企業や浴場あるいはビル暖房等は高サルファの石油を使うために非常に被害が多くなることを、私は危険に考えておるものでございます。なお、これは大気汚染のほうの観点からお伺いいたしますが、緊急時には使用燃料の問題について規制をすることができるような法律規制になっておりますが、現在においてはたして上質の重油が緊急時にたくだけの用意があるかどうかということ、それだけの供給力があるかどうかということをまずお聞きしたいのと、それからフランスのように過密地帯における重油の硫黄の制限を設けて、亜硫酸ガスによる害を未然に防止するというようなお考えはないかどうか、そのこともあわせてお伺いをいたしたいと思います。
  82. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 緊急時の措置につきまして、過去の過密地帯その他における緊急時の措置の実例を調べてみますと、一番多い川崎あたりでも年に十回程度、それから継続時間もそれほど多くないわけでございます。そういう実績を前提にいたしますというと、それほどの回数、あるいはそれほどの継続時間にわたって緊急時の措置をしなければならぬということは考えられないので、現在の低硫黄重油の供給力でも緊急時の措置――新しい法案できまる緊急時の措置をやっていくに支障はないと考えております。  なお、緊急時の措置を円滑にやるためには、重油の供給力そのもののほかに、その関係の企業が備蓄するタンクというものがそれぞれ設置されていなければならぬわけでありますが、その点につきましても従来行政指導ベースでやっておるときから、タンクの備蓄というものを奨励しておりまして、この点もほぼ緊急時の措置にたえ得るような備蓄をするためのタンクが設けられておるので、この点も一応問題ないと考えております。
  83. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 緊急時における使用燃料の規制を外国では段階に応じて設けております。第一段階ではこのくらい、第二段階ではこのくらい、第三段階ではこのくらいというふうに設けておりますが、そういうような考慮を払いつつあるかどうか。あなたは非常にのんきなことを言われるが、現在の石油の使用量の倍額、二億トンというものが日本でたかれるようになった場合のスモッグの状態、その中における使用燃料の規制措置というものを、いまから考えておかなければ、これはたいへんなことになると思うから、私は質問いたしておるのであります。非常にむずかしいことでありますから、後日またご返事を承ればけっこうであります。ぜひ、それはやらなければならぬことでありますから、研究をしておいていただきたいと思います。  最後に、厚生大臣にお伺いいたしますが、先般の委員会でも質問がありましたように、ばい煙等の発生装置あるいは特殊施設が、届け出制上りも許可制のほうが発生源に与える影響がはっきりしておるということで望ましいとは思いますけれども、諸般の情勢でいま許可制にすることはできないということは了承をいたします。したがって、これについては罰則の規定もあることであり、行政措置を十分にうまくすることによって、指導よろしきを得て、この成果をあげていただきたいと思いますが、この公害防止の実際の効果をあげる方策について、私は一つ意見を申し上げておきたいと思います。これはばい煙防止法当時におきましても、八幡区において、あるいは宇部市において、非常な成果をあげたのであります。これは八幡区においては八幡製鉄所が七十二億円という集じん装置を取りつけ、宇部市においては十一億円という集じん装置を取りつけて、市民組織と学者グループと企業体とが一緒になってこのばい煙防止に努力をした結果、降下ばいじん量は一時は三分の一ぐらいになったのであります。現在は半分以下になっております。さようなわけで、私はこの諸法案が通過をいたしましても、行政措置の全きを期するためには、下の、末端で受けて立つ組織ができなければ、十分な成果はあげられないと思います。そこで企業者側と、できれば市民組織と、研究グループといいますか、学力グループというものが一緒になった、そういった公害防止対策委員会というものが末端にできて、それが市町村や、あるいは国の機関と一緒になってやることによって非常な前進を見るものだと思います。それのできないところはまた非常に公害発生の危険のあるところですから、濃厚に厚生省としても指導しなければならないところであります。したがって、そういったものを行政指導して末端につくらせるように私はおすすめをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  84. 園田直

    国務大臣園田直君) 地方公共団体等で、いま御指摘のような行政機関と住民と企業家との三者による協議体等がありまするところは非常に効果をあげております。なおまた、この法律案が通りまして実施の段階においても、あるいはまた公害防止につきましても、現在の一部のように企業家側の責任ではないと逃げ、住民はこれを追及し、政府が中に入って裁定をするようなことは、これはごく最悪の場合の事態でありまするから、ぜひ御指摘のような方法で進めていきたいと考えます。
  85. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 先ほどの緊急時のときの状態を外国のようにしたらいかがという点につきましては、現在事務当局のほうで検討いたしている次第でございます。
  86. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  87. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を起こして。   〔委員長退席、理事戸田菊雄君着席〕
  88. 原田立

    原田立君 いろいろと御質問があったわけですが、私は大気汚染防止法のほうを大体中心にしてお伺いしたいと思います。ダブる点があるかもしれませんが、それも含めてお答え願いたいと思います。  一番最初の「目的」のところでありますけれども、公害発生の対策として紛争についての和解の仲介の制度が採用されているですが、被害者の救済制度の紛争処理に関する救済措置のほうの法案と混同しやしないだろうか、あるいはまた、極端な悪いことばを使えば、ごまかしになりはしないかと、こう心配するわけなんですけれども、そこいら辺のところはどうですか。
  89. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 率直に申しますと、大気汚染防止法の和解の仲介制度をそのまま引き継いだわけでございます。御指摘の紛争処理ないしは救済制度の問題につきましては、現在中央公害審議会のほうでも、あるいは政府部内のほうでも、いま検討を続けておることでございまして、決して大気気汚染防止法の和解の仲介制度ですべてをそれにかえるというつもりはございません。しかしながら、紛争処理制度の新しい制度をつくる場合に、現行の和解の仲介制度をどうやってその体系の中に織り込むかということは総合的に考えていきたいと、かように考えております。
  90. 原田立

    原田立君 大臣公害を発生するものに対する規制のことと、それから被害者の救済措置のほうは、明らかに別なことですね。特に救済措置法案については、今国会に提案されていない。大いに不満の感じを持つわけですけれども、前々から何回か、この次の国会へ提案するというような言明はいただいておりますけれども、その点はいかがですか。
  91. 園田直

    国務大臣園田直君) 実は、私はただいまお願いしておりまする二法案と、それから紛争処理、救済の法律案、この三つだだけはぜひ今国会にお願いしようと思って早急に準備をいたしましたし、それから審議会にもお願いするにあたりましては、その結論を待たないで、政府部内でも、これと並行していろいろ検討を進めてまいりました。残念ながら紛争処理については事務的能力のこともありまするし、関係各省との話し合いもなかなかまとまりませんでしたので、残念ながらこれが今国会に間に合いませんでしたが、しかし、御指摘のとおりに、紛争処理救済の問題がそろってこそ、初めて公害に対する実効があるわけで、これは一方の規制のほうをきめただけでありまするから、片手落ちでありまするから、それがそろって初めて一応のかっこうをなすものであると私も考えておりまするから、これは早急にやりまして――早急と、ことばだけではなくて、もうできるだけ早い機会にお願いしたいと、こう考えております。
  92. 原田立

    原田立君 詰めるようなことばになりますけれども、早急にということは、次の国会には出すと、こう解釈していいんですか。
  93. 園田直

    国務大臣園田直君) 相当無理もあると思いまするが、先ほど言いましたとおりに、それがなければ役に立たない問題でありまするから、次の国会には出すように準備してまいりたいと思います。
  94. 原田立

    原田立君 それでは、そのことばを受けて信用して、ぜひとも、そういうような方向に向いていただきたいと、こう思います。  それでは、第二条のばい煙の定義の中において臭気、悪臭、これについては規制措置が講じられていないのですが、これはどうお考えになっているのですか。
  95. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 先ほどの御質問の中にも、臭気の問題をどうしてとり上げないのかという御質問がございましたが、臭気の問題はいろいろ基準のきめ方とか、その他技術的に解決をすべき問題が相当ございますので、今後の問題として考えるわけでございます。
  96. 原田立

    原田立君 たしか基本法の中には悪臭のことが入っていたはずですが、それをことさら、ここで抜かれたのは、技術的にむずかしいからということはあるだろうと思うが、今後検討しますというだけでは基本法の精神にもとるのではないか、こんなふうに思うのです。ですから、もう少しはっきりしていただかなければいけないと思いますが。
  97. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 悪臭の測定の方法とか、あるいは基準でありますとか、そういう問題が現在、世界でまだ確定したことがきめられてないことでございますので、そういう点についても技術的に検討を進めるとともに、先生指摘のように、悪臭が騒音と並んで相当庶民の生活妨害になっておるわけでございますので、たとえば、へい獣処理場等に関する法律あるいは清掃法に関する取り締まり等によりまして、いわゆる発生源対策を十分にやっていくということは、一方ではとっているところでございます。その他、畜舎等の悪臭等につきましては農林省のほうでも技術的にいろいろ研究を進められておるところでございます。
  98. 原田立

    原田立君 研究されているのはけっこうだが、だから、それがどういうふうに、いつごろをめどにしてそれが具体化されてくるのかということを、先ほどからお聞きしているのです。
  99. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) いつから法律規制をするかということについては、その研究成果その他の技術の開発に待たなければいけないのでございますが、発生源対策につきましていろいろの融資対策をしますとか、あるいはいま申し上げましたようないろいろの法律によって、発生源の取り締まりをやっていくということで当面は対策をやりたい、かように考えているわけでございます。
  100. 原田立

    原田立君 よくわからないのですが、そうあまりぼかさないで、しっかりお答え願いたいのですが。
  101. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 悪臭そのものを統一的に測定をします技術的な方法その他の研究が、まだ解明されておりませんので、騒音規制法のように基準をきめて法律をつくるということは困難でございますけれども、いま申しましたような法律その他、たとえば石油化学等におきましては、たとえば排水処理を行なうとか、あるいは生産工程におきますいろいろの改善等を行なうということで、悪臭についての対策をいたすということでございます。
  102. 原田立

    原田立君 私は、その研究開発はもちろん大いにけっこうでありますが、この研究開発の成果が十年先とか十五年先だとかでは、それは意味をなさない。幸い基本法を設置して、いま実施法を検討中なんですから、そんな長い先のことではなしに、この手の届く範囲内のところできめなければならないのではないかということで、時期的なことを聞いているわけです。まあ具体的にまだ研究開発中だからということで、そういうことがはっきり言えないのだろうと思いますけれども、それは基本法の中にも悪臭の一項が入ったのですから、そのことについて鋭意研究を進めて、それこそ早急な、一、二年ぐらいの間には何とか成案が見られるような、そういう方向で進んでもらいたい。こう思うのですが、これは答えられれば答えてもらいたいし、答えられなければ要望だけにしておきます。
  103. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 先生のおっしゃるように、なるべく早急にいたしたいと考えます。ただ一部の府県等につきましては条例によりまして取り締まりを行なっている実情でございます。
  104. 原田立

    原田立君 それでは第三条の規制地域ばい煙排出の規制等における指定地域の問題ですが、第三条の規制地域はばい煙発生施設の集合設置地域というふうに限られているわけですけれども、工場が集合されていない地域でも、特定工場のばい煙による局地汚染が発生するおそれがないかどうか。それからその周辺の都市が汚染されて困るという場合があるのではないか。ですから、そういうような工場が集合していない地域でも、ある程度の行政法上の規制が必要ではないか。こう思うのですが、この点はどうですか。
  105. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 第三条の一項二号をごらんいただきますと、「ばい煙発生施設が集合して設置されることが確実である地域」ということで、新しくばい煙防止法とは違った条項を置きました趣旨は、現在まだ発生施設がないけれども、集合して設置されることが予想されるような地域、たとえば鹿島のような臨海工業地域等につきましては、当初からこれを指定いたしましてやっていきたい、こういうことでございます。  それから御指摘のように、指定地域外でも、たとえば一つ工場がある、そしてその周囲は生活環境等相当汚染しているというような場合につきましては、私どもといたしましては、条例等を制定するように指導してまいりたい。現にまた条例でもって取り締まりを行なっている地域もございます。
  106. 原田立

    原田立君 それでは第四条の排出基準でありますけれども、排出基準環境基準との関連でありますが、環境基準の順守を前提条件として定めることを明記すべきではないか、こう考えるのです。それで環境基準をいつごろまとめられるのか、この点はどうですか。
  107. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 御指摘のように、環境基準公害対策基本法の行政上の総合的な指標でございます。それの確保の手段の重要な要素が環境基準でございますが、現在厚生省で急いでおりますのは、SO2亜硫酸ガスの排出基準でございまして、近くこれにつきましては、審議会から答申がある予定になっております。
  108. 原田立

    原田立君 環境基準については、審議会の答申が近いうちにある。それから手をつけたい、こういうことですか。それで排出基準の中には、当然考慮をされているものとして、環境基準なんか明記する必要はないというような意見をいう人もありました。だけれども、排出基準――工場のほうは出すほうですから、出すほうの基準規制すると同時に、その町なら町、市なら市全体のいわゆる環境基準ですね。そっちのほうを早くやらないと片手落ちになるのじゃないか、こう心配するのです。この点はどうですか。
  109. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 御指摘のとおり、早急に環境基準を制定する必要があると思います。第四条第二項に「政令で定める限度をこえる大気の汚染が生じ」云々とありますが、この限度のことにつきましては、環境基準の設置というものを目安においております。
  110. 原田立

    原田立君 それでは第七条の届け出の問題ですが、事前の防止を眼目として原案では許可制としたのに、それを今回の法律では届け出制と、こうなっているわけですが、事後の措置として、計画の変更または廃止の命令など容易にできるのかどうか。自信はおありですか。いままでの例からいけば、一つのものをつくると、そうするとそれを改善命令を、たとえば出して改善しようとしても、ずいぶん長い時間を要している。この届け出制のみで、事後のそういう行政措置等が講じられる自信がおありですか。    〔理事戸田菊雄君退席、委員長着席〕
  111. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 第十条をごらんになりますと、計画の変更命令というのがございます。したがいまして、届け出がありました場合には、六十日以内に限り計画の廃止までも含めまして事前のチェックができる仕組みになっておりまして、ここでもって先生が御指摘のような事後にいろいろの問題が起こることのないように、十分十条の活用をはかりたい、かように考えております。
  112. 原田立

    原田立君 では結局、先ほど大倉委員のほうからも御質問がございましたけれども、届け出制許可制と比較してみると、そこに届け出制の弱さがあるんじゃないか、まあこういうことが考えられるんです。ですから、弱い届け出制にするというのは、これはもうもちろん厚生省原案からだいぶん後退したものじゃないか、まあこう心配するわけなんです。ですから、事後措置として計画の変更や廃止命令などが容易にできるという自信があるならばけっこうだけれども、おそらく現実にはできないんじゃないかと、こう憂えるんです。心配するわけです。部長のほうと大臣のほうと、いかがでしょうか。
  113. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 事前の場合には十条で計画の廃止命令までもやることになっております。それから事後の場合も十四条で改善命令を出すことになっております。この点の執行につきましては十分担保ができるようにいたしたい、かように考えております。
  114. 園田直

    国務大臣園田直君) きわめて大事な問題でありまするから、事前届け出の場合の計画変更その他をきびしくやって、許可制にしなくとも万一そのようなことがあった場合には、あくまで公害防止の精神にのっとって改善命令を出すようにしたいと考えております。
  115. 原田立

    原田立君 その同じ十四条のところで、第一項ですけれども、「ばい煙の処理の方法の改善を命ずることができる。」と、こうありますけれども、改善命令を、改善を命令するというふうに、「ことができる。」ではなしに、命ずる、こういうふうな強力なものに、これは厚生大臣、とらなければならないんじゃないか、「命ずることができる。」では多少あいまいで非常に法の精神を弱めることになるんじゃないかと、こう心配するんですが、その運用についていかがですか。
  116. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 十四条の表現は前例に従ったわけでございますが、改善内容そのものはそれぞれ都道府県知事が認めるわけでございます。十四条の二行目に「排出基準に適合しないと認めるときは、」というような表現になっておりますし、その排出基準に適合しないぐあいもいろいろ状態が違うわけでございますので、こういう表現になっている。しかしながら先生指摘のように、場合によってはゆるふんになるんではないかというふうな御心配でございますが、そういうふうな点については、排出基準に適合しない場合には当然改善を必ず命ずるというようなことは間違いないと、かように確信しております。
  117. 原田立

    原田立君 いまの言明は非常に重要な内容を含んでいると思う。今後こういうようなことで、実は法律はきまったけれども、運用の面でいわゆるゆるふん的な結果にならないように強く要望しておきたい。  それからまた、同じ十四条の中に「期限を定めて、当該ばい煙発生施設の構造若しくは使用の方法」云々と、こう入っていますけれども、その「期限を定めて」というところですが、これは無期限になる可能性があるんじゃないかと、まあこう心配する。ですからその「期限を定めて」ということは、いろいろな工場とか、ばい煙発生施設、いろんな種類がある、その種類によってこれは大体何年ぐらい、これはどのくらいというようなお考えがあって、こういう「期限を定めて」ということがあるんだろうかと思うんですが、そこのところはいかがですか。
  118. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 要するに、適合しないと認める場合には、いろいろ先生指摘のように、状態が違うだろうと思います。したがいまして、すぐにと申しますか、短期間にでもできる場合には短期間でやらせる。たとえば何日までに直ちに改善しろ、あるいは一週間以内に改善しろ、あるいは少し装置等を取りかえなければいけないような場合には、多少長い期間を与える。そういうふうに実情に合わして、少しでも早く排出基準に適合しない状態を排除しよう、こういうことを考えて期限を定めるということを書いたわけです。
  119. 原田立

    原田立君 それでぐずぐずしていると、いわゆる無期限みたいなことになるおそれはないかと心配しているのです。その点はどうですか。
  120. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) そういうことは絶対にないようにいたしたいと思います。
  121. 原田立

    原田立君 絶対にないようにしたいと言われても、運用の面になったらいろいろと、ああとかこうとか言って抜けられるのじゃないか、こういう心配をするわけなんです。まあ、そういうことはないと言うなら、あまり時間がないから、これくらいで終わりにしたいと思いますが、同じ十四条の第三項の中に猶予期間を二年間とする、二年間は適用しない、ただし、当該地域指定地域になった際はこういう猶予期間を設けられておりますけれども、この二年というのははたして妥当なものであるのかどうか、長過ぎるきらいがありはしないか、この点はどうですか。
  122. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 二年間自体を見ますと、そういう印象をあるいはお受けになると思いますが、大体こういう施設的なものについての経過期間は大体二年が通例になっているので、それに従って二年としたわけでございます。
  123. 原田立

    原田立君 では、十五条の処理施設の能力を検定する都道府県の専門職員の養成計画なんというものも、これは当然設けるべきじゃないだろうか。ここには載っかっていないわけですが、その辺についての教育、養成機関、あるいはまた、それについての国、都道府県地方公共団体からの何らかそれを育成するための財政的措置、こういうものが講じられなければならないと思うのですが、そういう点はどうですか。
  124. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 先生指摘のように、技術者の養成が一番大切なことでございますので、厚生省におきましては、昨年度から公衆衛生院に特別の部を置きまして、そこで養成訓練をやっております。通産省のほうでも技術者の養成については特段の講習会その他の措置がとられているように聞いております。
  125. 原田立

    原田立君 この十五条の中に「ばい煙量又はばい煙濃度を測定し、」云々と、こうありますが、いままでも既設の測定器具等はあるのでありますが、私、専門的によく知らないのですが、その能力の良否と、それを含めて測定器具の型式指定とかいうようなことですね、能力の指定とか、こういうようなことも考えないと、たとえば古いやつでやっていて、あまり検定がまずかったと、もっと新しいのがあるのにそれを使わない、こんなことでは、これは全部抜け穴になってしまうのですが、そういう測定器具の型式指定やら検定等はどういうふうに考慮されますか、その点はどうですか。
  126. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) ばい煙量の測定につきましては、工業規格の中に測定の器具の型式と方法がきまっておりまして、それによって行なわれております。
  127. 原田立

    原田立君 たいていそうだろうと思った。JISを用いるのだろうと、こう思うのですが、だんだんとこういう機械化のほうも前進、推進していると思うのです。前にJISをとった、だんだんやっていって、またこれが古くなった、新しいのができてきたと、こんな場合に、前の測定の器具はJIS規格に合っていたからといったら、またちょっと微妙な変化が生じてくると思うが、その点はどうですか。まず最新の能力のあるもの、それを使用していくんだと、こういうふうになりますか。
  128. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 発生源のサイドのほうにおきましては、従来のばい煙規制法では、一時間当たり四万立米以上のばい煙のところには高度な測定をするということになっておりまして、それ以下のところではこのリンゲルマンチャートというような形で代用できる形になっております。そういうことで、小さいところでは、幾ら言いましても非常に高度の機械をそろえることはとうてい無理でございますが、それについてぜひ測定をしたいというときには、専門団体がございまして、通産省のほうも指導をされて、十分技術的な高度の測定がされるという形になっております。しかしながら新営の大企業におきましては、いま先生指摘になりましたように、排出量、排出状況について常時非常に高度な機械をどんどん導入していくということでございます。  また、これに関連してでございますが、環境濃度の測定ということにつきましては、一部にはJISがございますが、非常に測定技術がまたどんどん進歩しておりますので、あまり固定化せず、新しい技術ができればどしどし導入する。それが安定してくれば、それをJIS規格に持っていくという形をとっておりますので、まだ今後どんどん進む面につきましては、いま先生の御指摘になりましたような注意を払っております。
  129. 原田立

    原田立君 第十六条の四行目あたりに、「ただちに、その事故について応急の措置を講じ、かつ」云々と、こうありますが、ただちに応急の措置ということは、一時停止というような強硬な命令ができるという、そういう内容を含みますか。
  130. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 十六条は、事故時の措置でございますので、当然その事故を防ぐため、あるいは事故を拡大することがないようにということで届け出主に届け出させるわけでございますから、当然万全の措置を含むと私どもは考えております。
  131. 原田立

    原田立君 ですから、一時停止というようなことが含まれるかと聞いているんですよ。
  132. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 含まれると解します。
  133. 原田立

    原田立君 第十九条の許容限度のところでありますが、運輸大臣自動車排気ガスについて許容限度をきめると、こういうふうにあるんですが、その基準になるものは、前回発表した十六項目ですか、そのことですか。違いますか。
  134. 景山久

    説明員(景山久君) 先生お話しの十六項目と申しますのは、先ほど内村参事官が御説明いたしました点検整備要領のことだろうと思います。  それでは許容限度のほうにつきましては、一昨年国会のほうで御決議いただきました新車三%という線、これで現在実施をいたしておる、こういうことでございます。
  135. 原田立

    原田立君 大臣にちょっとお聞きするんですけれども、この自動車排気ガスの決定権は、これは運輸大臣ということになっているわけです。で、そのおのおのの仕事において、運輸大臣がきめたり、あるいは通産大臣がきめたりというようなことがあるんだろうと思うけれども、やっぱり人命を尊重するという厚生省としては、こういう自動車の排気量の基準の決定権者は、まあ意見は聴取するとしても、基準の決定権者は運輸大臣ではなくて厚生大臣であるべきじゃないか、まあこんなふうに思うのですが、その点どういうふうにお考えでしょうか。あるいはまた、運輸大臣がきめることによって厚生省の意思が強く反映してなされる御自信はおありですか。
  136. 園田直

    国務大臣園田直君) これは、委員各位から公害についての行政の一元化が言われておりますが、行政を一元化することはなかなか当面困難かもしれませんが、最終段階の問題だけはやはり厚生省へ一本化するほうが適当であって、この排気ガスなどの基準も、私のほうがきめて運輸大臣意見を聞くほうが一番適当であるとは考えましたが、いろんな折衝でなかなかまとまりませず、法律案を早く出したいということから、こうなったわけでありますが、しかし、こうなるについては、この意見を聞くということは、運輸大臣は必ずそういう生命健康の面からの厚生大臣意見を聞いて決定する、こういうことでございまするから、その効果をあげ得るものと考えております。
  137. 原田立

    原田立君 まあ、そういう心配はないということでございますけれども、もともと親法であるいろいろな法律を出す段階にあっても、各省いろいろ意見がまちまちで、とうとう出せるものまでも出せないで終わったと、こういうふうなことは私たち目の前にまざまざと見ているわけです。今度、実際に排出基準あるいは許容限度をきめるときに、はたしてこれが運輸大臣がきめるということで、ほんとうに国民の健康保持のほうに頭が向いてくれるかどうか、非常に疑問に思うのです。業界からの圧力がありやしないかどうか、あるいは生産コストを下げるというようなことから見て――自動車も商品ですから、そういう面から見て、つまり設備をばカットしたりなんかして、今日考えられている公害対策にはほど遠いものになりやしないかと、非常に心配するわけです。いま大臣は、そういうふうなことは意見を聞いて、厚生省意見を十分反映さしてやるのだから心配ないという仰せなんだけれども、私、心配するわけです。再度、重ねてその点についてお聞きしたいと思います。
  138. 園田直

    国務大臣園田直君) 法律案がこうなっていることは、まことに私ども遺憾でありますが、私は公害に対する世論の認識というものは非常に変わってまいりましたし、政府自体も逐次変わってきております。したがいまして、かりに公害の問題で厚生大臣意見と、生産の面からくる運輸大臣意見が食い違った場合に、それを押し切って人命の問題を無視して許容量をきめるということは、今日の状態では非常に困難になってきたという背景等もあって、厚生省のほうで腹をきめてやれば、私は意見は通せると思う。なおまた、こういう問題は、先ほど大倉委員からも御指摘がありましたが、現実に私のほうで早く法案を出したいと考えてやったわけでありまするから、現実にやっていろいろな問題等が出てくれば、逐次改正をお願いしていかなければならぬと考えております。
  139. 原田立

    原田立君 先ほど、やはり柳田委員から指摘がありました、こういった自動車公害ですね。排気ガスの研究機関が船のほうの関係のところに、ちょこちょことかりにくっついているような形になっているのは、私は非常に遺憾だと思う。その点のもっと充実等をはかっていってもらいたい。これを強く要望するわけです。それから大体もう時間がきましたので、このくらいで終わりにしたいと思うのですが、騒音規制法案、この二十八条をずっと読んでいって、「営業時間を制限すること等により必要な措置を講ずる」という、この「等」ということですけれども、営業時間を制限する、それ以外にどういう内容を含めていますか。
  140. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 施設基準をきめますとか、場合によりましては設置の場所、あるいは、たとえば拡声機等の向け方の問題とか、いろいろそういうこまかい問題が含まれると思います。
  141. 原田立

    原田立君 これで終わりにしたいと思うのですが、この大気汚染防止法案は基本法にのっとって一つの実施法としてできた法律でありますけれども、巷間伝えられるように、非常に後退しているということがいろいろと指摘される点であります。こういうような後退の方向でないように、今後十分はかっていってもらいたい。というのは、この次に紛争処理に関する問題もやらなければいけませんし、もう少しねばり強い強力な推進をしていただきたいと強く要望するのですが、大臣の御決意のほどをお聞きして、私は終わりたいと思います。
  142. 園田直

    国務大臣園田直君) いまのような点には十分注意をして、そのようなことがないように努力をしたいと思いまするし、なおまた、お願いしました法律案につきしても、逐次強化するなり、あるいは是正するなり、適当な措置を講ずるよう方針を固めていきたいと考えております。
  143. 瓜生清

    ○瓜生清君 私、一まとめに質問いたしますから、簡単に、かつ率直な御答弁を願いたいと思います。  まず、大気汚染防止法案について伺います。  その第一は、第一条の目的の中に、生活環境の保全がうたわれております。農林水産、とりわけ農業関係に対する保護がこれで十分できるのかどうか。たとえば水島のイグサであるとか、千葉県市原市のナシなど、農業関係のばい煙公害がいま問題になっておりますので、政府の見解を尋ねたいと思います。  第二点は、十七条に緊急時における都道府県知事措置について規定してあります。すなわち大気汚染が著しく人の健康をそこなうおそれがある場合、ばい煙排出者に対しばい煙排出量の減少について協力を要請し、さらに減少のための措置をとるよう勧告することができる、こういうふうになっておりまけすれども、勧告ぐらいではなまぬるいのではないか、むしろ命令し、罰則で処分できるようにすべきではないかと考えますが、この点についてお答えを願いたいと思うのです。  それから第三点は、これは重複するようでありますが、自動車の排出ガス量の許容限度の決定権というものは運輸大臣が持っているわけです。いま原田委員指摘されましたが、私の知るとこるでは、アメリカ等では厚生省がその権限を持っているように聞いておるわけでありまして、当然厚生大臣がその任務に当たるべきである。それができない場合でも、せめて厚生大臣と運輸大臣が共同して決定するというぐらいのところまで持っていくべきじゃないかというふうに、私は考えるわけです。なぜかと言いますと、たいへん失礼ですけれども、運輸省という役所は業界の利益代表的なそういう面が非常に強い。そういうことから考えますと、はたして実効があがるかどうか、そういうことについて疑問を持つわけでありまして、この点はたいへんくどいようでありますけれども、もう一ぺん厚生大臣じきじきのお答えを願いたいと思います。  その二つは、現在対象がガソリン車だけになっております。そこでプロパンであるとかあるいはディーゼルなどは、いつから実施される計画であるのか。プロパンを燃料としておる車は最近たくさんふえてまいりまして、白いスモッグなどということばさえあるくらいですが、その点についてお伺いをしたいと思います。
  144. 園田直

    国務大臣園田直君) まず自動車排気ガスの問題でございますが、これは率直に言って、運輸省のほうでは自動車の生産構造についてはしろうとの厚生省に口を入れてもらっちゃ困るというような意味もあったようでございますが、これは全然私は違うことであって、生産構造は運輸省のほうで専門にやってもらう、その生産企業家の育成も運輸省でやられる。ただし、そのものから出てくる排気ガスというものが人間の生命、健康に与える影響がどうであるかという点は私の意見でやってもらう、こういうことが中心でありました。法律案はこのようになりましたが、そういうような意味から、高まってまいりました世論等も背景にいたしまして、私は強く意見を述べ、少なくとも厚生大臣と運輸大臣意見が一致しない状態において許容量がきめられる場合には、私は断固として法律案の改正をお願いするほどの決意をきめておりまするから、このようなことのないように十分運輸省と協議をしてやりたいと考えております。  あとの問題は、事務当局からお答えいたします。
  145. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 第一点の農林水産の問題は、この法律目的に入るか入らないかという御質問でございますが、ばい煙規制法と同様、直接のいろいろの取り締まりの対象ないしは規制の問題を十分考えて、直接的には規制しておりませんけれども、生活環境の保全をはかるということで、人の生活環境の中には農林関係の問題も当然入ってまいりますので、間接的ではございますが、これを保護するわけでございます。  なお、和解の仲介制度につきましては、当然先生の御指摘の被害の問題も入ってくるというふうに私どもは考えております。  それから、十七条の勧告程度では手ぬるいではないか、こういう御指摘でございますが、現在の法律では単なる協力要請でございますが、これを一歩進めまして、ばい煙の減小のためのいろいろな計画を企業者にやらせる、それに基づいて勧告制度をやるという、一歩制進の制度でございます。この運用につきましては、先生の御指摘のようなところまで十分確保されるものと、かように考えておるわけでございます。  なお、ガソリン車以外の問題につきましては、運輸省のほうからお答えを願いたいと思います。
  146. 内村信行

    説明員(内村信行君) 先ほど排気ガス許容限度を運輸大臣と厚生大臣が協議する、こういう御趣旨でございますが、それに対しましてちょっと私どもの意見も言わせていただきたいと思います。考え方と申しますか、自動車排気ガスの問題の場合には、自動車排気ガス規制というものはやはりエンジン構造そのものに関連してまいりまして、自動車の安全性の確保ということと密接な関連があるわけでございます。自動車の安全の確保につきましては、車両の構造なり装置なりから、運輸大臣がもっぱらこの安全確保に当たっておるわけでございます。そしてこの安全の確保と申しますのは、自動車を所有する人、あるいは一般第三者を含めまして全般的に安全性を確保するためにその責任を持っておるわけでございます。  それから、先ほど御指摘ございましたけれども、何か、生産行政に携わっておるので、業界から足を引っ張られるのじゃないかというふうな御懸念がだいぶあるようでございますけれども、実情は生産行政というものは、自動車の生産は通産省でおやりになっておるわけでございまして、私どもは生産行政にタッチしておりません。そこで、もっぱら運輸省というものは交通安全を確保するという見地からこの安全行政というものをやっておりますので、これは運輸省の最も重要な行政の一つであるというふうに考えております。したがって、そういうふうな安全行政というものと安全上の基準、それから排気ガス規制公害防止基準、こういったものは相互に密接な関係を持っておりますから、その辺は一体的に考えてやらなければならないことでございます。  で、公害防止も確かに重要なことでございますけれども、人命を守るということは、それよりももっともっと――もっとといいますか、それにまさるとも劣らぬくらい重要な問題でございます。そういったこととあわせてやっていくということが方針でございます。ただ、健康の面につきましては厚生省のほうが専門家でございまして、いろいろ御経験もお持ちでございますから、その御意見も十分伺いまして、その御意見を十分に尊重して、それを公害防止の上に反映する、そういうことにいたしまして安全の確保と公害防止という両面に遺憾なきを期したいと、こういうふうに考えております。  それから、ディーゼル車、プロパン車の問題でございますが、現在排気ガス中に含まれている一酸化炭素、これが問題になっておりますが、これは、ディーゼル車の場合にはほとんど含まれておりません。LPGの場合にはガソリン車のほぼ半分程度でございます。したがいまして現在は、特段の規制をしなくても、現在ガソリン車を規制している程度の中に入ってしまうということで、さしあたり問題はないかと思っております。
  147. 瓜生清

    ○瓜生清君 次に、騒音規制法案についてお伺いいたします。  第一点は、騒音規制は現在条例で各都道府県とも実施しておりますが、たとえば東京では特定施設の設置の場合は認可制になってはおりますが、神奈川では許可制をとっております。今回のこの法案を見ますと、届け出制になっておりまして一そう弱くなっている。在米の地方公共団体条例の効力というものは一体どうなるのか、第二十七条との関連において御説明を願いたいと思います。  第二点は、これも先ほどちょっと類似の質問が出ましたが、工場騒音で問題になるのは、大企業よりもむしろ下町あたりの人家の立て込んだ地域にある中小零細の町工場だと私は判断しておるわけです。こうした工場は資金力も弱く、規制も強められて、企業の存在すら脅やかされかねないわけでありますが、何らか特定措置を別途に考えるという、先ほどの大臣の御答弁でありますけれども、具体的にいえば、来年度の予算の中に、公害防止事業団に対する出資等をふやすとか、あるいは財政措置を講ずるとか、そういうようなことを考えておられるのかどうか。御見解を承りたいと思います。  それから第十五条の第三項で、公共性のある施設や工作物の建設工事については、勧告、命令は工事の円滑な実施について特に配慮して行なう、こういうふうに規定してあるわけです。すなわち、公共性の名のもとに大目に見られる。公共性とは一体具体的にどういうものをさしているのか、また、こういうような規定をつくるまでもなく、公共機関の建設工事等は、みずから率先していわゆる騒音防止につとめるべきじゃないかというふうに、これは常識的に考えられるわけです。そういうふうな点から判断いたしますと、公共性をあまり尊重しすぎて野放しになる危険性がありはしないか。そういう点についてお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
  148. 園田直

    国務大臣園田直君) 公害事業団に対する財政措置及び事業ワクの増等は御指摘のとおり考えております。  それから、もう一つは、先ほど運輸省からの答弁の中で、これは私とあわせて答弁したつもりでしょうが、その本質は公害に対する意見が全く対立している、しかしこれ事務当局でありますから、大臣同士で話をいたします。
  149. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 第一点の条例等の関係でございますが、東京では認可、神奈川では許可でやっておるではないか、こういうことで、この点につきましては先週の国会での委員会でも私がいろいろ御答弁いたしましたが、繰り返して申しますと、私どもの届け出につきましてはほとんど許可制に近い制度というふうに私どもは考えておりますので、実質的には後退にはならない。実際、東京なり神奈川の条例を拝見いたしますと、名前はもちろん許可あるいは認可というふうになっておりますが、前後のいろいろの条文を見ますと、私どものほうの出しました法案と実質的には同じである。したがいまして後退ではない、かように考えております。  それから、十五条の公共性の問題でございますが、この例は、たとえば水道工事をやりますとか、あるいは道路工事をやりますとか、その工事の影響を受ける方々よりもその工事によって恩恵をこうむられる方々のほうが多いような場合のことを考えまして、この点を考えたわけでございますが、先生指摘のように、この点は公共性の名のもとに国民の生活環境が破れる、あるいはこういう条文を置かなくても当然あたりまえではないかという点につきましては、先生指摘のとおりでございます。  なお、中小企業の問題につきましては、通産省のほうから、またお答えがあると思います。
  150. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 中小企業に対する助成措置等でございますが、いまのところはっきりしておるのは、これは中小企業だけに限りませんが、騒音防止施設に対する特別償却――国税の関係でありますが、これはもうすでにはっきりしております。それから地方関係で、この固定資産税の非課税ということもぜひ早急に実現いたしたいと考えております。それから中小企業を中心としまして集団移転の場合の団地についての長期低利の融資は、現在も行なわれているわけですが、こういうような団地、集団の場合だけでなくて一般の個別企業の場合についても、同様な制度あるいは同様な恩典が行なわれるように努力いたしたいと考えております。
  151. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 午後三時まで休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ―――――・―――――    午後三時十九分開会
  152. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいまから産産公害及び交通対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、大気汚染防止法案及び騒音規制法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  153. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 内閣総理大臣に、大気汚染防止法案騒音規制法案、この二法案につきまして、基本的な問題について質問してまいりたいと考えます。  まず、その第一点は、昭和三十九年の三月二十七日でありますか、閣議決定で、公害対策推進連絡会議の設置、こういうことが行なわれまして、今日まで、公害基本法で、そうしてその実施法というような現在の二法というものが目下審議をされている、こういう最終までまいりまして、われわれが審議の途上で痛切に感じてまいりました公害対策の一元化と総合性、こういう問題が非常に欠けているのじゃないか、こういうふうに考えるのでありますけれども、こういう不十分な立法措置の中で、どういった運用の面でそれらに近い一つの効果というものを求めていくのか、この点について総理の所見を承りたいというふうに考えます。
  154. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、公害問題と一口には申しますが、たいへん複雑多岐にわたるものでございますし、また、行政の面から申しましても、それぞれの行政が公害というような面を一部持っている。したがいまして、一まとめにするということは理論的にはわりに考えやすいことでありますが、それこそ一まとめにいたしますと、今度は行政そのものが多元化する、非常に一まとめにすることによりまして能率をあげることが困難になる、そういう欠陥があるわけです。したがいまして、公害だけを抽出して一元化することが困難な実情だ、かように私は思います。ただ、しかし、それぞれの大臣、それぞれの行政官庁において、まちまちな行政をやられても困りますから、私自身がその中心になりまして関係閣僚の会議を開いて、そうして公害問題と取り組んでいく、そこに公害対策の筋の通った、一元性とでも申しますか、そういうものを確立していく、こういう考え方でいま取り組んでいるわけです。したがいまして、今日のこの状況が公害対策として非常に不十分だと、こういうふうな結果を招来すれば、そのときにまた考えなければならぬと思いますけれども、いまの状態のもとにおいては、ただいまのような関係閣僚の公害対策会議を設け、その会長が総理であることによって一元的なくふうができると、かように私は思っております。
  155. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いま総理が答弁なされたように、きわめて複雑多岐であり、各行政機関に関係している、こういう部面が相当あると思います。ですから、それだけに、対応のしかたが悪ければ公害防止の対策というものはその効果があがらないことになる現状であると思いますので、そういうことになりますと、現在、政府でそれらに対する総合的な施策と申しますか、態勢といいますか、そういうものは、この昭和三十九年三月二十七日の公害対策推進連絡会議、これ以外に私はないと思う。それを、さらにこの公害基本法なり、あるいは今回の二法によって若干は前進したような姿を見せておりますけれども、基本は、やはりこれしかないと思うのですね。これで一体完全なものが押し進めることができるかどうかということを非常に心配するのであります。  ことに、一つの例でありまするけれども、これは、自動車と大気汚染に関する報告書というので、自動車排気ガス対策基準について、社団法人日本自動車工業会の安全公安委員委員長家本潔氏の論文の内容でありますが、これによりますと、たとえば大気汚染の自動車排気ガス等によるその部分一つをとらえてみましても、一つとしては、この公害の基礎的調査研究、こういうものがぜひ必要になってきている、その内容としては、大気汚染観測測定点を増加して、汚染状況とその汚染源との関係を明らかにするとともに、自動車交通と大気汚染公害との関係を明確にする必要があると思われる、同時に、環境人間生活、あるいは日本における地形、気象の特殊性、諸外国との比較など、この大気汚染を、その一部から見ましても非常に基本的にかつ広範に、非常に複雑多岐にわたっておる、こういう問題を根本的に解決をしていかなければ真の公害防止というものはなってこない――そういうことでありますから、それに対応する姿勢というものが何としても私は大事だと、そういうものは一番いまの公害防止策の中でおくれておるのではないか。ですから、この点の内容の掘り下げた答弁をぜひ私は総理から願いたいと思う。単に、複雑多岐であって、現象はそういう方向に進んでおるから何とか努力しましょうだけでは、私はどうも納得できかねるのであります。
  156. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 公害対策の一貫性という、それは、ただいま言われるように、総理大臣が会長をやっている関係閣僚会議、これで一貫性を保つようにいたします。そこで、まず法規が整備されなければならない。その意味から、皆さま方の御協力を得まして基本法ができたわけであります。この基本法だけでは、これは不十分であります。今度は、これに基づいての実施法、そういうものができなければならない。その実施法が、ただいま御審議をいただいている大気汚染防止法、同時にまた騒音防止と、こういう二法になっているわけであります。これを実施する場合に、これは法律は二つだけでありますが、それぞれの官庁にそれぞれの関係を持っているわけで、ただいまおあげになりました自動車排気ガスの場合も、これは一体運輸省と厚生省とどういう関係にあるのか、こういうことが問題になると思います。基本的な方針はこの公害対策協議会できまったにいたしましても、具体的な場合に一体どうなるのか。まあ普通考えられるのは、多くの場合に厚生省がこの公害については権限を持つだろう、さように考えられますが、ただ、ただいま言われるような自動車の場合だと、自動車排気ガスに関しては運輸省が専管をしておる。この専管の立場から、自動車排気ガス、これについて運輸省が規制を加えていく。これには厚生省と十分話し合って、そしてその意見を徴しまして、そのもとにおいて間違いのないようにしていく。これはまあ具体的な実施の方法であります。  そこで、いま一番やかましい問題は、お説のように、権限のある官庁を単純化する、これはもう必要なことですね。これも、数省の間に共管されておるという場合だと、その協議だけにも日が暮れる、意見をまとめるのにたいへんだ、できるだけ専管にする、一つの役所だけで処理すると、こういう方向へ持っていきたいと思います。したがって、ただいまのような自動車排気ガスのような問題になりますと、安全の確保について権限を持つ運輸省が、同時に、この自動車の排出するガスの基準も設ける、そうして一省で公害対策を立てる、これが望ましい姿だ、かように思います。ただ、そういう場合に、厚生省、これが人命尊重という立場から、こういうものにどういうように意見を反映さすか、これを共管の形ではないが、運輸大臣が厚生大臣意見を十分聞いて――これは、聞くということは、法律では縛っておりませんけれども、聞く以上においては、当然尊重すべきことはもちろんでございます。これは当然でございます。だから、そういう意味で、その間に十分厚生大臣意見も取り入れられる。それで公害対策がうまくいくと、こういうように私は考えております。まあ、行政の面からとにかく共管は除きたい。そうして、ただいまのような、公害というような各省にまたがる問題でありますから、それが総合性があり一貫性がなければならない、これも御指摘のとおりであります。その場合に、各省大臣がそれぞれの立場においてこの専管事務の処理に迅速効果的な成績があがるように処理する、これが私どもの考え方でございます。
  157. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 結果的に、総理は、共管関係は避けて専管にしていきたい、そういう希望でありますが、公害基本法にいたしましても、あるいは今回の二法案にしても、現実にはそうなっておらない。ですから、それと、もう一つは、公害関係法規を見ますると、公害関係の業務省庁別一覧の表がございますけれども、これによりますと、大気汚染防止関係については、いろいろあります。ばい煙規制法とか、あるいは鉱山保安法とか、いろいろありますが、そのばい煙規制関係だけを見ましても、厚生省、通産省、運輸省、こういう三省がからまっておる。これはそのまま今回の二法案の中にそれぞれ入っておる。そういうところに、厚生省がいい案をつくっても、各省との、――片や通産省は生産本位で事業本位だ、こういうことが生まれてきたり、あるいは運輸省もそういうことに走っていくということになりますと、ほんとうに公害防止という、生活環境、人命保全、こういうための厚生省の正しい主張というものが、えてして抹消されやすい。そういう事態が今回の法案に如実に私たちはあらわれていると思う。ですから、当然当該各省の参考意見というものは聞かなければいけないけれども、そうして総理が言われますように、どうしても専管という体制にいかなければいけませんけれども、現実の仕組みという、そういう状況から、むしろそういう結果になっておらないのですね。逆に言えば、なわ張り争いという、各省庁のそういったものが出まして、一つの案をめぐって、大局的に高所的に判断して正しいものをつくっていく、こういう気持ちになってこない。ですから、こういうものはもう少し高いところから強い規制と申しますか、指導といいますか、調整といいますか、そういうものがなければ私はだめだろうと思う。そういうことが、現行の中では残念ながら推進連絡会議の中でもそれほど強制力を持っておらない、内容によっては。ですから、総理がそう希望しようがしまいが、現状の法案の内容というものはそういう結果になっていっている。そのことによって、さらにその体制の各省の状況を見ますると、これはもう、厚生省には公害部しかない。現在のところ、二十数名幾らの人で非常に複雑多岐にわたる内容というものを苦労してやっておる。それがために、病気発生までやられて苦労しているという状況、通産省あたりにいくと課しかない、そういう状況です。ですから、ほんとうに総理が公害防止対策に基本的に取り組む――総理はずっといままでもそうだったと思いますが、佐藤総理が就任をされまして、自来、人命尊重ということを声高々にうたい上げてきた。最近はあまり言わなくなりましたけれども。そういう状態の中で、ほんとうに総理は公害防止という、人命保全ないし人命尊重、あるいは生活環境の充実、こういうものに向けてやる気があるかどうかということは疑わしいと思うのです。この各省の省庁別業務内容一覧を見ましても、そういうものがはっきりあらわれている。少なくとも、そういうものは、あるいは厚生大臣直轄でもけっこうです。せめて局ぐらいに昇格をさして、そして陣容も全体を充実をさせて、各省も網羅をさせる。こういうものをつくり上げていかなければ、幾ら総理がここで名答弁をされても私は納得しかねる。そういう機構充等の問題については、どうお考えになりますか。
  158. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、私も終戦前までは官庁機構の中で――戸田君もそういう御経験がおありだろうと思いますが、官僚機構と言われるもの、これはなかなか能率のいいところもあります。しかし、一番困りますのは、ただいまの共管事項、これはほんとうに困ります。一省の中でも、各局のとにかく判こをもらう。これがちょっとのつながりがあったから、その局の意見を無視して案件を進めることができない。だから、各省の中におきましても、専管の局にする。なるべく共管の局にしないようにする。また、省が違えばなおさらのこと、専管という方向でものごとをきめていかないと、それこそとてもうまくはできないのです。仕事にならないのです。ましてや、いまのように公害に関する機構だけ大きくしたら、自分たちも何か発言しなければ申しわけないように思う。そうすると、機構が大きいために、それこそ能率があがらない。一体本体はどこにあるのかというようなことになります。これはよほど考えなければならないと思います。私は、いま戸田君の言われるのも、いまのような小さな程度の行政機構のもとでは十分公害防止の目的を達しないだろう、こういうところから、もっと労働強化にならないように、また十分その施策が考えられるように、そういう機構を整備しよう、こういう御意見も一面に立ちますが、同時に、できるだけ専管のものをつくってやる。たとえば、先ほどは自動車の話が出ました。いま一番問題になるのが発電事業だ。そこで亜硫酸ガスを発生するような重油を使っておる。この規制を何とかしなければだめじゃないか。ところが、このほうは、電気事業法、こういうものがあって、これは専管でやっておる。それでは厚生省考え方が非常にぼける。ガスの場合も、ガス事業法、これは専管でやってる。しかし、これをやはり厚生省に相談、協議するような形にすれば一体どうなるのか、こうなりますと、この仕事の功罪、これは簡単には判断がくだせないのです。やはり、公害を防止するためには専管で早く処理しなければならない。ところが、そういうものを最終的にハンドルをとって方向づけるものが一体だれなのかということになる。これではどうもしかたがない。総理大臣は全部の行政の長でございますから、責任を負わざるを得ない。そこで、各省全部一堂に会するようにして、そうして事柄によっては総理自身がみずからその方向をきめる。しかし、そこまでいかなくても、事務的に解決されるものもあります。現在のやり方は、その方法をとっているわけです。私は、これで非常に能率が悪いと、こういうことが御指摘になれば、これは、いま戸田君の御指摘のように、さらにわれわれくふうしなければならぬと思います。しかし、ただいまのところは、いまの専管の方向でなるべく整理して、それからものの考え方は総理自身が指図しまして、そうしてあんばいしていく、それで一貫性は保たれる、かように実は考えております。  今回の二つの実施法をつくるにいたしましても、これはなかなかずいぶん時間がかかりまして、今日御審議をいただくという、こういう法案、もっと早く成案を得て、そうして皆さまの御審議をいただくのが当然だと思います。しかし、やはりこの案をつくるにいたしましても、ただいまのような各省の意見がそれぞれございましたので、それをまとめ上げるのに相当時間がかかった。しかし、私は、民主的な行き方というのはこういうことではないだろうか。これがもうきまってしまった。今度はこの実施法でびしびしやっていく、こういうことであっていいのじゃないか、かように思っております。私、ただいまの状況では、今日の状況がやむを得なかった、かように思っております。しかし、まあ専管の事業法等がないものについては、これは厚生大臣が第一次的に権限ある.官庁として考えられる、かように私は思います。
  159. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間がありませんから先へ進みたいと思いますが、いずれにいたしましても、いま総理の答弁内容というものは、行政関係では専管体制にしていきたい、こういうことでありますし、そうなれば当然、日本の場合は、厚生大臣ということになるだろうと思います。ですから、法の運用としましては、当然、そういうところに運用効率があがるような各省の協力体制、そういう部面での規制、こういうことになっていくだろうと思います。さらに、これは範囲は非常に複雑多岐で広範であります。技術開発等も含めまして、相当奥行きも深いものがあります。そういうところには、権威ある各専門家といいますか、そういうもので構成した、いわば各省の機構充実、こういう問題についても、当然総理のほうといたしましては配慮をして善処してもらいたい、この点をひとつ希望しておきたいと思う。  それから、今回、被害者救済法案、それから工業立地適正化法案、こういうものは流れたわけです。いわば提案できなかったわけでありまするけれども、こういう原因は一体どこにあるのですか。その点について総理のほうのお考えを説明していただきたいと思うのであります。
  160. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 被害者救済、これはもう早くやらなければならぬと思います。ところが、これ、基本法的ないまの民法といたしましても、基本的な損害賠償の問題について、これは法理的にもう少し検討を要するものがございます。したがいまして、そう簡単には結論が出ません。だから、まあ、ただいま、水俣病でとりましたように、公害疾病、その療養については緊急措置はとってありますけれども、もっと基本的な救済処置がまだとられていない。これをいま戸田君が言われるように早くつくれ、これはつくらなければならないと思います。ただいま審議会等にもこれを検討を願っておりますから、審議会ができるだけ早く結論を出されて、そして私どもがその審議会の結論を取り上げて、そうしてこれに救済立法をするということにいたしたいと思います。いずれにいたしましても、これはただいま審議会にかかっている問題であります。  もう一つのほうの法案は、これは、いままでいろいろ関係省におきましても議論しておると思います。しておると思いますが、それぞれが、やっぱり先ほど言われました共管の関係もあって結論を得ておらない。まあ、できるだけ早く結論を出すようにいたします。ことに、私自身が最終的には右だとか左だとか言わざるを得ないのではないか、かように思っておりますが、この立法措置をいたさないと、これは十分でないだろうと思います。しかし、私権の制限に関するような問題でございますから、そう簡単には結論は出ないので、そういう意味におきまして、これはやっぱり理解もいただきたいと思います。しかし、皆さん方からさらに政府を鞭撻していただいて、早く結論を出すようにいたしたい、かように思います。
  161. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間がありませんから、この際、二点の問題について一括質問したいと思うのですが、その第一点は、今回の二法案の中におきまして、これは大気汚染防止法の関係でありますが、鉱山施設と電気、ガス工作物、こういう関係が適用除外になっている。こういう理由は、一体総理はどういうお考えですか。私は、ここにやはり通産省の、言うところの事業優先と、こういうものがあらわれてきて、ほんとうに公害考えていないのではないか。こういうふうに考えるから、その辺の所見をひとつお聞かせを願いたい。  それから次は、国と地方公共団体の機能分配等の問題についてでありますけれども、欧米諸国家の例を見ますると、この点については、欧米諸国家では、基本的立法制定、これは国でやる。しかし、実際の規制措置は公共団体がやっている場合が多い。これは、イギリスとかあるいはフランス、ドイツ、あるいはアメリカの場合もそうであります。しかし、この日本の場合はその辺が明確化されていない。言ってみれば、二重行政、国と地方自治体の中で二重行政で複雑になっておる、こういう形であると思うのでありますが、そういう点について総理の御見解を承っておきたいと思います。
  162. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまの鉱山、電気、ガスは、鉱山保安法とか、それぞれの事業法、これがございますので、その事業法で十分公害防止の実をあげることができる。かように私は思います。ことに、いま御指摘になりましたが、この事業そのものを、最終的には、その利益を国民に還元するといいますか、国民の生活の向上に寄与するという、そういう方向で動かさなければならないのです。まして、公害など出して、そしてその事業が害悪を流すというようなことがあってはならないと思います。事業法の運用にあたりましては、いまきめますところの大気汚染だとか、あるいは騒音防止、これらと矛盾しないようにこれは運用さるべきものだと、かように私は考えております。したがいまして、これはむしろ、先ほど例にあげましたように、専管であることが望ましい形ではないか、かように思います。それにいたしましても、厚生省の、厚生大臣意見を全然無視するような形ではございませんから、必要によりまして厚生大臣がいつでも意見が述べられる、かように私は思っております。  次に、国と地方公共団体との間に権限の配分を考えろという、これはもうお説のとおりであります。ことに、この公害防止の実施法、実際的な対策といたしましては、地域の利益を代表する地方自治体、これが権限を持つのは当然だと。ただ、国と地方との間には財源の分配等の問題もありますし、簡単にまだ配分できておるとは言えませんから、できるだけこれらのものが適正に配分されるようにいたしたいものだと思います。今回の二法、ただいま御審議をいただいております二法では、これらの点が十分考えられて、地方公共団体に大部分の権限が移されると、かように私は理解しております。また、そういう方向であるべきだと、かように考える次第でございます。
  163. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 最後に、基本法ができて今回二法が成立しようという状況でありますけれども、われわれの検討の結果は、いずれにしても、これは、ざる法、こういう考えを持っているわけであります。ことに、総理が先ほどちょっと答弁の中でおっしゃられておりましたけれども、だれがこの責任になるかという話がありましたけれども、イギリスあたりの大気清浄法、こういうものによりますと、国が明確に責任を持って事業主を規制をし、それから地域住民の被害に対しては適切な援助体制をとっておる。言ってみれば、総体的に十分の七を国庫が負担をしている、こういう整備された状況であります。そういうことになりますると、いまの基本法なり二法というものは、全くそういう点はほとんど触れられていない。条文上はあっても、この中身としては何ら具体的に検討されておらないという状況なんです。これではやはり私は、諸外国から見ても十年間はおくれておると思いますね。しかし、一面から見ると、経済成長なり生産体制なりというものがどんどん上がっていっているわけですから、そういう被害のほうでは全然これは比較にならないところまできておる。そういう状態でありますから、いまの問題、国が責任を持つ体制を整備されるよう、これは欠陥だと思いますので、公害問題、そういうことに対してやはり国の責任を明文化して、そうして援助体制も具体的に行なって、内容が名実ともに伴ったものでなければ、効果をあげることはできません。そういう方向に対しての総理の決意を聞きまして、私の質問を終わりたいと思います。
  164. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 公害対策、これは全部政府だけの責任で処理しろ、かように言われても、私は無理だろうと思います。やっぱり事業の経営者、また、その他の地域住民の十分の理解と支援がなければ、こういう問題は解決しないと思います。したがいまして、たとえば、何が公害か、どういうような損害が発生したとか、こういうようなことになれば、これはもちろん地方住民の意向を十分聞くというか、そういうことがまず第一に必要だろう。そうして、結論が出たら、それは、国も、また事業家も、ともどもに、そういうことのないようにこれを処理するということで臨まなければいかぬと思います。今回の二法、これはまだまだ十分でございません。ざる法と言われましたけれども、ざる法というのは、あるいは大気汚染、まあ環境基準等がまだきめてないというようなところから出ておろうかと思いますが、そういうものも、そのうちどんどん整備されますから、そうすると、いわゆるこの公害防止ということがいかに大事なことか、健全なる社会を維持する上において、このことは大事なことだ。それで、事業家も、まず第一に安全、それから公害を発生しないように、その二つを考えて、しかる上に事業の生産にいそしむ、こういうようなことでなければならぬと思いますから、そういうようなことが順次つくられていく。また、そういうことを一日も早くつくるべきではないかと思います。救済処置を政府が処理すると、かように申しましても、政府自身が別なさいふを持っておるわけではありませんし、国民の負担においてそういう処置がなされるのでありますから、そういう意味から見ましても、あまり国民から納めたその金が公害対策に使われる、こういうようなことをやらないで、もう最初から公害を発生しないように事業家自身も計画してもらうし、そうしてこの種の仕事はもう心配がないのだというように、ぜひやりたいものだと、かように私は思います。こういう意味で、この点は、政府ももちろん、こういう問題が起こらないように民間の協力を得るように積極的な姿勢で対処いたしますが、これは国民全般の皆さんからも、事態についての十分の認識を賜わりまして、御叱正、御鞭撻を仰ぎたい、かように思います。
  165. 原田立

    原田立君 総理に若干お伺いしたいと思うのでありますが、あまり時間がありませんので、ごく簡単にお聞きしたいと思います。  基本法審議のときに、総理は、基本法の精神を絶対後退させないようにすると、こう、たしか言明なさったわけでありますが、この具体化された実施法が骨抜きのような状態になっている。これでは、ちょっと、国民はたまったものではないのでありますが、こういう実施法に対する総理の所感はいかがでございますか。
  166. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろ御批判はあろうかと思います。しかし、私は、まず考えられることは、この際、この基本法ができ、その基本法と沿って、まず二つの実施法案をつくった。これはたいへんな前進ではないか、かように思っております。ただいま原田君の御指摘になりましたような点について、さらに私どもはくふうすることには、もちろんやぶさかではございませんが、ただいま総体として見れば、私はたいへんな前進であろう、かように思っております。
  167. 原田立

    原田立君 前進でないという意味合いのことで申し上げたいと思うのですが、工場設置については許可制をとるということになっているのですが、これは一方、大気汚染防止法のほうは届け出制になっておる。また、実際に工場立地法は今回の国会では成立されておりません。ほんとうは、この両方が相まってこそ法律というものの力を発揮するものではないか、いわゆる公害対策に万全を期することができるのではないか、こう思うのです。ところが、片方だけできて、片方はできていない。いわゆるこのままでいけば、現状をこれより悪くしないというだけであって、これはもっとよくするというところまでには行っていないのではないか、かように思うのです。その点いかがですか。
  168. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 原田君の御指摘のとおりに、ただいまなっております。私は、現状で十分だというわけではありません。しかし、これがこれから進んでいく方向、さらに整備される方向、かように向いていることを申し上げるのであります。このままほうっておけげ、いま言われるように、あまりおもしろい状況ではない。ただ悪化させないということで、そういう批判もあるだろうと思います。そこで、まあ工場立地法というか、これがやはり進んでいかなければならないと思います。しこうして、今回の届け出制は、これは不十分には違いありませんけれども、届け出制にしたその背景というものは、これは在来とは少し変わっておりますから、そういう意味で産業界の指導ができるのではないだろうか。また、そういう意味においての規制等の効果もあがるのではなかろうかと、かように思います。しかし、もちろん、ただいまのところでは十分ではございません。お説のとおりでございます。
  169. 原田立

    原田立君 お説のとおり十分でないという御答弁では、私、はなはだ残念に思っているわけでございますが、それと、いま戸田委員のほうからの御質問があったわけでありますが、公害対策会議というのが、日本の国における最高機関、公害問題についての決議機関であり、その会長には総理がなられておやりになっているのですが、この現在のやり方は、いわゆる各省の事務レベルの討議を経て、そうして対策会議で結論を出されると、こういうようになっておるたてまえから、各省対立でまとまらない、あるいはまた円滑に運営されないような面が多々出ております、ばらばら行政で。実施法案審議の過程においては、むしろこれをもっと強力にまとめ上げていくような、そういう方向に持っていくべきではないかと、こう思うのです。それと軌を一にして、公害行政の一元化ということが、これは当然必要になってくるわけですが、先ほどの戸田委員に対するお答えでは、現状とちっとも変わりはないという感を深くするのであります。なお、あらためてお伺いしたいと思います。
  170. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 工業立地適正化法、これは、ただいま現状においてはお説のとおりだと申しましたが、しかし、政府はこれを早急にさらに検討いたしまして、そしてまとめ上げる努力をいたしますから、まあしばらく時間をかしていただきたい、かようにお願いする次第でございます。  そこで、その次の問題についてのお話ですが、いまの事務当局がいろいろなものを進めてまいります。しかし、その事務当局だけにまかして、大臣は事務当局から上がってきたものだけを処理するわけでもございません。ときに、大臣のほうから、どうも問題が非常におそいじゃないか、どういうところに問題があるのだと、こう言って促進を大臣自身が事務当局に聞く場合もございますし、さらに、私どもが、方向、方針を示して、そして事務当局に、その方向で検討しろと、こういう場合もございます。問題は、その公害対策公害防止、これはたいへんな仕事でありますだけに、いままでこういう仕事に専門的な者がいるわけではありません。これは、事務当局も、また大臣も、いずれにとっても新しい分野でありますから、そういう意味では、事務当局だけにまかすものでは絶対にない、さように御了承をいただきまして、私どもがこれを鞭撻していく、また目を向けてもいきたい、かように思います。
  171. 原田立

    原田立君 ちょっと、水のほうの問題になるのですけれども、三十一年の熊本における水俣病、それから三十九年の新潟の阿賀野川流域の水銀中毒、あるいは最近の富山のイタイイタイ病の公害病の認定、こういうふうにずっと続いているわけですが、残念ながら、公害病に認定されたのはイタイイタイ病だけであります。そのほかの熊本県の水俣病は、すでにそのままうやむやになっておりますし、阿賀野川流域の問題については現在裁判中、こういうようなことなんですが、これを前提においてお聞きしたいと思うのは、これらはいずれも、厚生省が研究調査班を派遣して、原因究明を続けてきたものだと思います。ところが、他の省から、すなわち通産省から、そちらのほうから横やりが入って、うやむやになっておるというのが現実なんです。それで、総理にお伺いしたいのですが、こういう他省から横やりの入らない研究調査班を確立すべきじゃないかと、こう思うのですが、いかがですか。
  172. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 阿賀野川の問題は、ただいま科学技術庁が中心になりまして、各省の調査したものを取りまとめ中でございます。したがいまして、私は、厚生省あるいは農林省、通産省等で調査したものが、いずれ近いうちに取りまとめられて発表されると、かように確信しております。ただ、いま言われるように、調査研究機関というものをもっと権威のあるものにしろと、これは確かにそういう必要があるだろうと思います。したがって、いま’元的な調査機関はないので、いろいろくふうしておるようでございます。できるだけ、各省まちまちに研究機関を持つよりも、やはり一本化されて、そして権威のあるもの、そういう調査方向に進むべきだと私も思います。また、そういう方向にいま研究されていることをつけ加えておきます。
  173. 原田立

    原田立君 まあ、総理のしばしばの言明によれ・ば、公害についてたいへん熱意を示しておられると、こういうわけなんでありますが、ここで一つ問題を提起したいと思うのは、熊本の水俣病については、すでに以前、厚生省の食品衛生調査会において、水俣病の原因は工場廃液である、こういうふうな結論になっているんでありますが、通産省が反対意見を表明したため政府の統一見解が出されず今日に至っております。現実に水俣病に苦しんで泣いている患者が現実にいるわけなんです。水銀害によって苦しんでいる。この際、イタイイタイ病の公害認定がされた今日、再度これを調査して取り上げるお考えはないかどうか、その点はいかがですか。
  174. 園田直

    国務大臣園田直君) 私のほうからお答えいたしますが、これは、いままでのいきさつで、水俣病のほうは経済企画庁の費用で調査をやり、それから阿賀野川の問題は、これは科学技術庁の費用で調査をやった関係上、結論を出す場所が変わっておるわけであります。しかしながら、公害がすでにいまのように一つの方向に進められてまいりましたし、総理からもそのようなお指図を受けておりまするから、阿賀野川の問題については、科学技術庁長官と私と相談して、遠からずその結論を出したいと思っております。水俣のほうは、そういうことになっておりますから、御指摘のとおりでありまするから、とりあえず、公害に準じた医療を行なう。賠償等は会社との間に話し合いがついておりまするから、これもやはり阿賀野川と同じ性質の毒性でありまするから、これを機会に、これについては結論を出すべきであるということで、各省の意見をまとめて最後に総理の意見をいただいて、そう遠からず、これが結論を出したいと考えております。
  175. 原田立

    原田立君 そうすると、いま厚生大臣のお話ですと、阿賀野川については近い将来に結論が出ると、こういうことでよろしいわけですね。
  176. 園田直

    国務大臣園田直君) さようでございます。
  177. 原田立

    原田立君 まあ、私、心配するのは、裁判を現在やっている。裁判にまかされている。大体、裁判というのは長くかかるものなんですから、その間に被害者は非常に苦しむわけです。対策がおくれるわけです。そういうことはない、近々結論が出されるというような御答弁と承って、その点了解いたします。  それから最後に一つ……。  基本法には、いろいろときめなきゃならないことがたくさんきまっております。ところが、今回は大気汚染と騒音だけである。工場立地適正化法もできてないし、あるいはまた、被害者の救済措置法もできておりませんし、これらのものを、いわゆる国の責務として、一体法案の提案は、どのぐらいの時間的なズレ等においてお出しなさるのか。その点はどうですか。
  178. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、いろいろ工場立地の問題だとか、あるいは救済処置であるとか、あるいはまた、いろいろの基準を設ける問題がございますが、それらの問題を、それぞれできるだけ早目に整備していかなければならないと思います。おそらく、救済処置については、先ほど申しましたように、公害対策審議会においていま検討中でありますから、その結論が出次第、これは結論を得るだろうと思います。ただ、いろんな環境基準等の問題になりますと、もう少し調べが必要なのかと思いますけれども、しかし、この環境基準を整備しないと、公害のばい煙の排出あたりも、それをとめるわけになかなかいかないので、こういう事柄も早くやらなければならない、かように私思っております。ただいま、事務当局を私は督励する立場ですが、いずれ、どの程度に次の段階で処理されるか、その辺のことはよくわかりませんので…。以上のように、私自身といたしましては督励整備すると、かように御了承いただきます。
  179. 瓜生清

    ○瓜生清君 私は、総理に二つの問題について公害対策の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。  まず第一点ですが、公害審議会の答申の中で、「公害問題は、関係各省の行政にわたる施策を最大限に発揮して対処するのでなければ解決し得ないものであるが、公害施策の総合的な推進をはかるためにはそれぞれの権限を有する各省の施策や調査、研究を調整し、公害行政に関する基本的な方針を最終的に方向づけることのできる国の機関の設置が望ましい。このような機関は、専門的技術的事項についての判断力と種々の利害の調整のための公正かつ健全な良識を必要とするものであるから視野が広く識見の高い各方面の学識経験者により構成される組織とすることが考えられよう。」ただ、屋上屋を重ねないように留意すべきだ。こういう趣旨の答申が出されているわけです。ところが、実際はそうではございません。そこで、総理にお尋ねしたいのは、現在の公害対策推進連絡会議なるものを、こういうような線に沿って改組される御意思があるかどうか、その点をお伺いをしたいと思います。  それから第二点は、公害に対する企業の社会的責任について尋ねたいのであります。率直に言うならば、企業といたしましては、国際競争に耐え得る基盤をりくるとか、あるいはまた公害対策の技術が未開発であるとか、いろいろ理屈をつけておりますけれども、その心底にあるのは、飽くなき利潤の追求であると言っても私は過言ではないと思うのであります。そこで、私は、こういう情勢の中で、特に政府としては、いかに自由経済であるとはいえ、企業が社会に迷惑をかけないという、そういう範囲内でみずからの発展というものをはかっていくという、いわゆる企業の経営倫理、こういうものを確立しないと、どんな法律をつくっても、盲点をつかれて実効があがらないというふうに思われるわけです。総理は公害対策の最高責任者でありますが、こういう問題についてどういう決意で指導されようとしておるのか。その二つ々御答弁いただきたいと思います。  以上で、私の質問を終わりにいたします。
  180. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 公害防止についていろいろ各方面の意見を徴することは、これは必要なことでございます。そこで、ただいま、審議会並びに閣僚でつくっておる公害対策会議、この二つのあることは御承知のとおりであります。私は、これらの運営にあたっては、ただいままで、あまり不都合があったようには実は思いません。しかし、瓜生君からただいまのような御指摘もございますし、答申の線に沿ってないじゃないか、こういうような疑いを持たれた御意見のように聞きましたので、なお、これらの点につきまして誤解のないようにいたしたいと思います。ただいままでのところ、私は、わりに問題なくこれらの会議は運営されているのじゃないか、かように思っておりますが、さらにもう一度検討することにいたします。  次に、企業の社会的責任、これは私も申し上げたいことのように思います。いろいろ技術の進歩の問題もございまして、技術的に非常に困難だ、かようなお話も聞きますけれども、しかし、何よりも、私どもの地域社会が汚染される、汚濁される、こういうようなことには耐えられない。したがいまして、企業の社会的責任として、公害を発生しないようにいたすのが、これは当然だろうと思います。炭鉱経営の場合に、炭鉱の事故発生等が次々に起こる。そういう意味で、保安を強化しろと皆さんから要望される。私はそれに答えて、人命を損傷して何の企業ぞやと言いたいんだと、こういうことまで実は申しております。私は、ちょうど公害の場合も同様なことが言えるんじゃないか。ただ、大気を汚染するにいたしましても、その許容範囲は一体どこまでだ、どこまでは許せるのだ、こういう問題はあろうかと思います。したがって、社会的責任、これを完全に果たす、こういうことを企業家自身考えてもらいたいと思うし、また、そのために必要な技術の開発に努力してもらいたいと思います。しかし、一面に、許容範囲、こういうものも、よほど安全度を取り入れまして考うべきではないだろうか、かように思います。ちょうどだだいまこういう問題に当面している。これは事柄が致命的な問題でありますだけに、私どもも非常に慎重に対策を立てなきゃならぬと思いまするので、いわゆる原潜の寄港問題でありますとか、これは、その放射能の被害というものがたいへんだと思っておりますので、非常な強い態度でこれと取り組んでおりますが、やっぱり企業家自身も、この許容範囲、それがまず満たされているというか、だから社会的責任を果たしていると、こう安易に考えないで、これらの事柄については十二分にみんなが納得のいくように対策を立てるという心組みであってほしい、かように思います。しかし、そのためには、やはり国が許す法律、法規等をやっぱり整備しなきゃならぬと思いますから、今日ただいま基本法に基づきまして処置法等も整備するように努力しておりますが、これをできるだけ早目に、みんなが安心し、国民が安心されるように、できるだけこれの整備に努力するつもりでございます。
  181. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この際、二つの点についてお尋ねしたいと思いますが、その第一は、公害の問題、それから第二は、県条例なり、あるいは市条例等、地方公共団体条例に基づいて、現に公害を出しておるところが立ちのきなりその他いろんなことをやっていく場合に、どのような措置がとられておるか、こういうおもな点二つについてお尋ねしたいと思うんですが、そこで、まず第一に、三興製紙の問題についてお尋ねしたいわけですが、過般、松澤委員長等にも現地を見ていただいたわけでございますが、それと前後いたしまして、各社の新聞に三興製紙の問題につきましていろいろと記事が書かれておったわけです。しかし、その記事はいろいろなニュアンスを含んでおると思います。したがって、ここであらまし三興製紙はどんなふうになるんだというような点について、あなたのほうで知り得ていると申しましょうか、こういうふうになっているんだというものがございましたら、一応ここで示してもらいたい。
  182. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 先生の御質問は、おそらくは、先般新聞紙に、三興製紙が公害によっていろいろ問題があるので施設の一部を地方に移転しようと、こういうような種類の記事が出たことについての御質問だと思いますが、それに至るまでの経緯をまず簡単にお話ししまして、それから先生の御質問の核心に触れることが適当ではないかと思います。  木曾川の水質保全に関しましては、四十二年の十二月以降、水質審議会に木曾川部会を設けまして、水質基準の改訂が鋭意検討されているわけでございますが、通産省としても、佐屋川に関する金魚、ボラ、稲等及び木曾川河口におけるノリの被害防止のためには抜本的な排水処理対策が必要だということで、水質審議会の問題と併行いたしまして、当初最新の技術である濃縮燃焼装置を中心とする排水の水質改善について詳細な検討を行なってきたわけでございます。しかしながら、こういう新しい濃縮燃焼装置を中心とする措置によっては、現地で要望される水質を短期間で実現するということは経済的技術的に限界がある、こういうふうな考えが出てまいりまして、新たに三興製紙工場の主力パルプ部門の移転によって、積極的に木曾川の水質保全に対処していくということも一つ考え方であるということで、そういうことを検討しているわけでございます。そういうことで、先般来新聞紙上に移転問題が出てきたわけでありまして、まず、序論といたしましてその経過を申し上げたわけでございます。
  183. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それで、どうなるのですか、このことは。それから、各社によってそのニュアンスが違うわけです。
  184. 金井多喜男

    政府委員金井多喜男君) ただいま、私どものほうの立地公害部長が総括的に御説明申し上げましたように、私ども三興製紙の排水についての公害問題につきましては、通産省としても、何らかの積極的な抜本的な解決策をはからなければいけないということを痛感しておる次第でございます。  そこで、いま部長から御説明いたしましたように、その一つとして、問題のパルプ廃液のもとになるセミケミカルパルプの部門をどこかに工場疎開するなり、他の会社と合併する、こういうことを積極的に指導しよう、また、三興製紙の側におきましても、何らかそういうようなかっこうによって企業の最低限度の営業が成り立つなら、ひとつよろしくお願いしたいというような話がございまして、私どものほうも、そういった措置につきまして、可及的すみやかに次のような方法によって実現したいという考えを持っておるわけでございます。それは、ただいまお話しになりましたように、セミケミカルパルプの設備が大体百六十トン程度、現に三興製紙にあるわけでございますが、それを秋田県のほうに持っていく。かねがね秋田の地域開発の問題ですから、秋田県が中心になりまして、秋田製紙をぜひ秋田の新産都市の開発に伴ってつくりたい、こういう要望が前々からございましたわけでございますけれども、どうもいまの紙ピルプの設備設置の官民調整の基準からいたしますると、地域開発上非常に重要でございますけれども、日本の国内パルプ材確保なりあるいは――製品は主としてクラフトライナー、すなわち段ボールのおもて紙が秋田製紙は中心でございますけれども、その需給の見通しからすると、単に地域開発という点だけでは、なかなかこれは新規の会社として設置が適当かどうかは関連業界においても非常に問題があって、多少足踏みの状態になっておったわけでございますけれども、私ども、このたび、そういう公害のために三興製紙を行政的に強い要請をもって移転させる、その場合に、やはり企業が成り立つように考えてやらにゃいかぬという要素と、それからもう一つは、そういう秋田の森林を中心といたします資源開発、その点とを加味いたしまして、この両社の合併というようなかっこうにおいて推進いたしたい、こういう考え方を内々まとめまして、紙パルプの業界のほうと目下折衝中でございます。  以上、簡単でございますけれども、そういったようなことが新聞等にいろいろ出ている。根本は、通産省の行政指導によって企業のパルプ部門を移転させる、それが公害によって移転するので、やはり自立できるような体制で秋田製紙というものと結びつけて考えよう、そういうことでございます。
  185. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 一つは秋田県の地域開発、もう一つは企業の問題、この二点を勘案しながらやる、こういうふうに表現されましたが、いつごろ――企業の合併のことですから、われわれも、そう簡単に、きょうかあしたというわけじゃないけれども、しかし、もう話は相当なところまで煮詰まっておるというふうに新聞紙上を通して私たちは了承しているんです。あるいは名古屋通産局長の談話、あるいは三興製紙の剣持社長の言等からも見られますが、その辺はどんなめどになりましょうか。
  186. 金井多喜男

    政府委員金井多喜男君) そういう、ただいま私どもが申しました構想につきましては、率直に申して、幾つかの問題点があるわけでございます。  その第一番の問題といたしましては、秋田製紙は、先ほど申しましたように、従来、秋田県を中心といたしまして、秋田県の関連業者並びに日本の国内における既存の紙パルプメーカーが一緒になって推進をするという構想が前々からあったわけでございますけれども、実際問題といたしまして、出資の内容等につきまして、必ずしも秋田にクラフトライナーのパルプ工場を建設するということでいわゆる発起人会の意見の一致がなかなか見られないわけでございます。そういった点で、三興製紙を、私どものほうの行政指導として突っ込むということに希望があるわけでございますが、実は、先週の末に租田県知事が出て見えましたので、私どものほうといたしましては、そういう公害対策地域開発というものと合わせて一本ということなら通産省としては積極的に協力したいという意思表示をいたしましたところが、発起人会の構成等からいたしまして、租田県は、そういう地域開発はぜひやってもらいたいけれども、実際県の財政等の関係がありまして比率は少ないわけでございます。そういった点で、やはり関連民間企業が主であるので、知事さんのほうとしては、発起人会においてその通産省の意見なり気持ちというものをよく説明いたしまして、秋田県知事さんのほうとしては、そういうかっこうで秋田製紙が日の目を見るのが望ましいので、そういう努力をいたしますと、話はこまかくなりますけれども、今月の下旬に発起人会を開く予定でございますと、そういうお話でございましたので、まず、その発起人会においてどういう人が主要なる出資者として構成されるか、その点は秋田県知事さんのほうに積極的に推進していただくという必要があるわけでございます。  それから第二番目といたしましては、話はやや私どものほうの専門的な問題になって恐縮でございますが、実は、日本の紙パルプの産業というものにつきましては、年々国内の原木の高騰によりまして、おしなべて非常に経営が、既存の業者だけでもなかなかたいへんだそういうようなことでございますので、法律ではございませんけれども、要するに、パルプ並びに製紙メーカーを中心として、広く業界側と生産担当官庁としての通産省との話し合い、これを私どもは官民協調と、こう申しおりますが、そういうことで設備調整を、中小企業が倒産しないように、しかも一方、紙の需要というものは年々一〇%も伸びておりまして、新聞紙をはじめ、私どもの生活文化の上に非常に大事でございますので、国際収支の関連等から、ぜひ国内の企業でもって国民経済のために生産するという方向で設備調整をやっておるわけでございますが、これにかけなければならない。この辺は、私どもの意思につきましては、先ほどから何度か申しましたように、ぜひそういうことで推進いたしたいと思っております。その点、業界側との話し合いは、先ほど私は、そういう方向で業界と話し合いを進めておりますというふうに申しましたが、単に業界の会長さんとだけ話し合ったのじゃけりがつかないわけでございます。この辺は多少時間をかしていただかなければならない、こういうことになるわけであります。  それから、かりにそういったことで民間側も幸いにして公害対策という点から工場を疎開させるのだということで優先度をつけていただいて実現のめどがつきました場合に、今度は迎え入れられる秋田県の立地的な条件が早く整うということが必要でございます。この点、秋田の新産都市の開発に関連いたしまして、いろいろ秋田県のほうとしては、県の努力なりあるいは国の協力ということでいろいろ進められておるわけですが、紙パルプ産業の場合に一つの大きな問題は、工業用水を確保できるということが必要でございます。この辺につきましては、内々秋田県が工業用水道を建設する計画を進めておられるというふうに聞いておりますが、これがどうも、私どもの通産省の所管の局のほうに問いただしましたところでは再来年の夏くらいではなかろうか、そういうことでございます。その辺が、かりに工場移転というものがうまくいった場合、私どものほうもうまくやらなければならない、こう思っておりますけれども、工場として運転できる体制というものから考えますと、最終的には受け入れの立地条件の体制というものを早くやっていただくという必要があるわけでございますが、そういった点で、結論的に申しますと、以上のような三つの問題がございますが、まあ順調にいけば再来年の夏に移転ができるというようなことになろうかと思います。私どもは、そういった方向でもって最善の努力をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  187. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 一般論としてお尋ねしておきたいのですが、かりにあなたのほうが一度水質その他で、つくってもいいわいと許可したが、それがやってみたら、公害が非常に出てきた、そこで今度はかわりなさい、こういうことに対して協力を呼びかけて、何かそれに対して恩典と申しますか、融資なんかがあると思いますが、やはり何かそこらのことを実際考えておるのですか。
  188. 金井多喜男

    政府委員金井多喜男君) 私、先ほど申しましたように、ただ公害という問題を除きまして、秋田の地域開発という点だけを取り上げました場合に、先ほど触れましたように、紙パルプ産産の現状からいきますと、いわゆるニューカマーというか、新規事業者ですね、これを誕生させるということは、何ぶんにも紙パルプ業界は中小企業が非常に多いだけに、いまの既存業者だけでもたいへんでございますので、新規業者を誕生させるということはむずかしい点があるわけでございます。特にだんだんと新聞紙等を中心に輸入をしなければ、国際的に負けてくるというような状態でございますので、新規に営業を開始する場合には、ある程度スケールメリットと申しますか、企業の単位を大きくして、大量生産というものにもっていかなければばいかぬ。そうなると、ほんのちょっとした工場でございませんので、そこにますます新規業者の加入という点に問題があるわけでございます。そういった点から、先ほど来私が申し上げます根本は、公害でもってパルプ施設だけを移転した場合、それではとても採算が常識的に成り立ちいかんと思う。そこで、たまたま秋田の地域開発という問題もあるので、地域開発であっても、紙パルプ業界にとってはニューカマーということが問題になります。これは三興製紙の側にも、私どものほうで、通産省として業界をできるだけ説得して動きなさいということで、もし私どもの要請というものが幸いに関連業界に受け入れられますならば、それは工場移転についてメリットになるというふうに、私どもは考えておるわけでございます。
  189. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大体結論的に、こういうふうになると思うのですね、とにかく技術的には不可能だということですね、被害をなくするということは。とすると、いま二年ということが出ましたが、二年ということは工業用水の問題、秋田県のほうの受け入れ態勢の問題、もしこれができないで逆な結論が出たとするときは、どういうことが出てくるのか。  もう一つは、それと関連して、実は第二濃尾用水の計画があるわけですね。これはもう私が言わなくても着工していなければならぬ、予算が、繰り延べになっておる、ここらあたりから判断すると、とっくにもう、この問題は解決しておらなければならないはずです。ですから二年ずうっといって、秋田の工業用水の問題と、そちらのほうの問題が解決し、それからなんだ、こういうことになると お先まっ暗で、第二濃尾用水等も着工ができない。ましてや農民は二年待ってくれ、これでは、それまで被害があるということになれば、たいへんな問題だと思う。ですから最後の詰めはどういうふうにお考えになっているか。
  190. 金井多喜男

    政府委員金井多喜男君) その詰めばどうなるか、その点、率直に申しまして非常に私ども頭の痛い問題でございます。私のほうがひとつこれは工場疎開ということによって解決するよりやむを得ないのじゃないか、こう私所管局長として決心いたしましたのは、たとえば現地の強い要望ということから申しますと、私はまああまり専門的なことは存じませんけれども、汚水度といいますか、それをCODであろわすことでありますが、四百五十度、こういうことだそうでございますが、会社のほうは五億の資本金に対して八億なり十億の投資をしてまで、何とか五百五十までは汚水度を薄めることができるということで、ある時期まで努力をしたし、通産省としても現在の汚濁度が半減程度になるから、その程度で、企業も相当な犠牲だから地元も御納得いただけないものかと思っておったわけですが、どうもそれでは、私の感ずる限りでは非常にむずかしい。そうすると、それは地元の要求される四百五十ということにいたしますと、ごく大ざっぱな計算からすると、年間二、三億の赤字になる。工場としては成り立ちいかぬ、こういうことでございます。そういった点から、私どものほうとしては、公害については大いに通産省も前向きに考えるという点から、企業のメリットも考えて移転を考えるということにいたしたわけでございますけれども、ただいま先生のおっしゃいましたように、そういうことで二年待て、待てと言って、それがうまくいかなかったら、困るじゃないかということは、もう私も、それは当然おっしゃられることばだと、こう思っておるわけでございますが、私どものほうとしては、とにかく何とかそういうことについて――私ども通産省というものも昔と違いまして、業界との話し合いということになりますと、なかなかたいへんでございますけれども、まあ一応役所がやる場合、調子のいいことばかりは考えておれぬということは万々承知しておるのでございますけれども、何とかそういうことで解決しなければ、これは解決できないのだということで、いまの私の心境といたしましては、それこそ背水の陣と、こういう考え方で最大の努力をいたしてみたい、このように思っておる次第でございます。
  191. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) ちょっと、ただいまの成瀬先生の御質問並びに通産省の局長さんのお答えに関連しまして、ただいま水質のほうの規制に関する法律を当庁で所管しております関係上、一言だけ補足的に御説明申し上げさしていただきたいと思います。  経過、事情はただいま通産省の金井局長より御説明申し上げたとおりでございます。私どもとしましては、去年から水質審議会に特に木曾川部会というものを設けまして、何とかして地元の方々の御要望にもこたえたいということで、強く通産省の方々並びに会社側のほうに御要望申し上げまして、今日まで御努力を願いまして、通産省並びに会社としても非常な努力をしまして、ただいま申し上げるような状況に至ったわけでございます。ただ同時に、今後のわれわれとしましては、したがいまして、ただいま通産省からお答えがあったことがなるべくすみやかに実現しますことを心から期待しておりまして、これがめどがつき次第、水質の規制を行なう、こういうことになろうと思います。同時に、ただいま先生指摘のように、第二濃尾用水の問題等、沿岸の農民の方々、漁民の方々以外に、いろいろな関連問題もございますから、私どもといたしましては水質につきましては、なるべくきれいにしていただきたい。将来木曾川の総合的な利水状況を考慮に入れまして、なるべくきれいに願いたいものだ、こう思って、今後とも通産省のほうと連絡しまして、なるべく早くめどをつけてまいりたい、かように存じております。
  192. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私ちょっと失礼いたしまして、割り当て時間が五分超過しておるそうですから、これでやめなければならないと思いますが、それで私ちょっと予定を狂わせまして……もう少し厚生大臣等にも一般論として承っておきたかったと、そう思うのです。しかもCODの四百五十とか五百五十とかの数字が出てまいりましたから、そのことについても、これを聞きっぱなしでおると、何か私が了承したようなもので、たいへん残念だと思いますが、私はこういうふうに考えております。農林省の中に公害の窓口があるといえばある、ないといえばない――少なくとも、そんなものではございません。一番被害をこうむっておる農林省のほうからも、このくらいの数字でなければやっていけませんよという適切な数字が示されなければならないと思います。それがないのは私は非常に遺憾に思っております。ただ愛知県と通産局と農林局とが相談して四百五十という数字を出しておりますが、実際はこれは農業被害といっても田畑、養魚、金魚などの関係もございますけれども、そういうものからいって、もっともっと掘り下げなければならぬ数字だと思っております。ですから四百五十がいいなどと私は決して思っておりません。そのことだけ申し上げまして、大臣にお尋ねしますが、こういうふうにして公害が出る、技術的に不可能だ、だから疎開しかないのだ、こういう場合には、ある程度強制的な行政指導になって、出ていけということになるわけです。そのときにはやはり企業にも、私は全部企業の責任でやるということも必要だと思いますけれども、若干はめんどう見てやる。特に、従業員等の問題が出てまいりますから、私はそういう立場で雇用の問題なり、あるいはそこに働く人たちの、あるいは企業というもののめんどうをみることが必要じゃなかろうか、こういうことが第一でございます。  それに関連して、地方条例等がございまして、これは、あなたを通して、あるいは関係のほうからお答え願いたいのですが、実は条例に基づきまして、Aの工場騒音なり、あるいはいろいろなことがございますから出ていきます。そうしますと、出ていって新しく土地を買います。そうしますと、しかし、こちらのあと地も売れないわけです。こちらのほうでいうと、新しく土地を買って投資しております。したがって二重投資になりますから、このあと地対策をこの前、予算第四分科会で、自治省はこれを市町村が買い上げるようにしなさい、そうして、それについて値段の問題等いろいろありましょうけれども、買い上げるのを原則として起債でめんどうをみなさい、まずそうやって、あと地対策を考える。  今度は税の問題が一つございます。売ってここにつくりますね。そうしますと、この新しいものに対して取得税がかかるわけです。こちらを売って、そうしてやった場合には、百売れば百だけこちらで引けるわけです。これば事業税の書きかえの問題で時限立法の恩典があるわけです。しかし、そう売れないわけです、現実には。そうして一年以内に売れなければこちらにかかったものに対しては全部税金を払う。いまどうなっているかというと、全部税金を払いなさい。あちらが売れたら、こちらをまた引いてあげますと、こういうような形になってしまっておる。これが一年以内に売れなければ、これはもう全部だめなんです。これじゃあ協力をして出ていった人たちに対して少し片手落ちじゃないか。しかもいま、ここに公害が出ることに対して発生を防ぐための設備をやりますと、二分の一の取得税の免税などをやっておる。そういう条例があることも知っておりますが、こういうものに対して今後どうするかという問題。  もう一つ大事な点は、労働者が――八キロも十キロも遠くのほうに移転をしてまいりますと、そうすると、いまですら雇用の問題は事業者としてはたいへんな問題です。遠くのほうに行ってしまうと、住宅を建てるとか何とかしなくちゃならぬわけです。こういうような問題について何か考えたことがあるのか、ないのか。対策はこうやっておるのだ、行政指導はこうやりなさいといって、地方自治体に向かってやっておるのだというようなことがあれば、この際承っておきたいと思います。
  193. 園田直

    国務大臣園田直君) いまの問題は今後いろいろ出てくる問題だと思います。そこで公害というものは何も犯人を見つけて犯人をたたくためのものではございません。あくまで被害者の人命を守り健康を守るというのが目的でありまするから、私はここではっきりしておかなければいかぬことは、中小企業あるいは零細企業あるいはその他で生産とも見合わないし、施設はなかなかできない、あるいはいまのように強制的に移動する場合にはいろいろ問題が出てまいります。こういう場合には、はっきりしておかなければならぬことは、だからといって公害に対する処置をほうっておくことは、これはとてもできない、あくまでも零細であろうと、あるいはその企業がつらかろうとも人間の生命に対する問題はそれぞれの処置をすべきである、しかしその処置をするために出てくるいまのような土地の問題、住宅の問題あるいは金融の問題等については当然これは国家が責任を持ってこの企業が成立していくように擁護すべきであると、こう二つに割り切って考えておりますが、私のほうでは御相談申し上げました公害防止事業団のワクを将来もっと広げまして公害防止事業団によってなるべくいろんな生産に見合わないもの、あるいはその企業自体でできないもの、こういうものには低利の資金を回しましてその施設をやるとか、あるいはまた通産省のほうではこの企業に対する育成のためにいろいろそういう点をされるとか、あるいは税制につきましても、あるいは住宅等につきましても各省が連絡をしていま御指摘のような方向にやるべきことであって、要するに結論は企業者のほうも自己の責任を果たす、そのかわり果たす責任については国家もこれを援助していく、したがって住民、企業者、政府、この三者が一体になって公害は処理していくんだという点をはっきりきめて、この方向にいくべきだと考えております。  なお、細部についてはそれぞれ所管から言われると思いまするが、関係大臣にもいまの御意見は私責任を持って伝達をいたします。
  194. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 自治省のほうから……。
  195. 森岡敞

    説明員(森岡敞君) 都市の密集いたしております地域から遠くへ工場が移転しますことが公害対策上非常に望ましいというふうな場合、新しく取得されました土地あるいは建物につきまして不動産取得税を軽減することが公害対策上有効だという場合があり得ると思います。かなりあろうと思います。それでいまも御指摘がございましたように、都道府県条例でそういう場合には一定の軽減措置をするというふうにきめておりますところが御承知のようにかなりございます。その場合ただ非常にむずかしい問題は、お話の中にもございましたが、前の土地をそのまま保有しておられます場合に、売りたいんだが売れなくて保有しておられるという場合もありましょうが、しかしまた企業の財産として将来のいろんなことをお考えになって、なお保有しておられるという場合もあり得ましょうし、その辺の具体的な中身を一律には必ずしも律し切れないという場合がありますので、たてまえとしては前の土地を処分なすって新しい土地と前の土地とが振りかわったという場合に前の土地の相当分の不動産取得税相当額を減額する、こういうことになっておる条例が多いわけでございます。具体の事例になりますといろいろございますけれども、いま各企業によりまして事例が違いますので、実情に応じた措置をとることがもちろん必要だろうと存じますけれども、各県の条例はいまのところそういう形のものが多いということに相なっておるわけでございます。
  196. 山本成美

    説明員(山本成美君) 工場あと地の買収の問題につきましての御質問でございますが、昭和四十一、二年の東京都だけの例でございますが、おのおの四、五十億といったような程度のものを、起債を許可いたしまして工場あと地の買収をいたしております。ただ一般的にこの土地を公共団体が保有する政策がいいのかどうかという問題が片やございますし、資金のワクの関係もございますので、現在の段階では公共団体がその土地を積極的に必要とするかどうかといったような点に着眼をいたしまして起債を認めるか認めないかを決定せざるを得ないといったような事情もございますけれども、公害の問題に関連いたしましたものにつきましては、なるべく、ワクの問題もございますけれども、前向きでやりたいと、かように考えておる次第でございます。
  197. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 住宅の問題、ちょっとだれかやってもらえぬかな。これは全然おられませんか。おられなければいいですよ。  それじゃ、これで最後にします。いま森岡さんあるいは山本さんから具体的なお話を承りました。私はそういう立場もわからぬわけじゃないんです。特に税の問題でいえば、しかし税でと申しましても、いま申しましたように公害を除去するために設備をしますと半額免除になっていますね。だから書きかえの場合は百売れば百だけこちらで免除されるわけです。百売って百二十設備しましても、それは公害防止のために設備しましても二十の分についてはやられないわけなんです。そういうアンバランスがあるということと、それからあなたがおっしゃるように売ろうとしても売れないものと財産として残しておこうというその区別ができないから、そんなことはできませんよ、だから一年以内ですよ、こういうことになる。実は売ろうとして売れない人のほうが文句を言うわけなんですね。困っておるわけです。そうでなければ、あと地を売ることを考えてから、こっちへ行かないと、ばかを見ちゃうということで、それじゃもう少し待とう待とうということになってしまって、公害対策を積極的に進めるという政府の方針をやっていることはうしろ向きのことをやっているわけです。どうするかということを今後検討してもらいたい。結論を出してもらいたい。しかも、もう現に行なわれているのですから、税の徴収令状が来ている人がおるのですから、これはどうするかということを考えてもらいたい。  それから山本さんのほうにお願いしたいと思いますことは、地方公共団体が土地を持つのがいいかどうかという議論は、地価対策なり土地の問題としてたいへん大きな問題ですね。私も意見はございますけれども、ここで口にすべき問題ではないと思う。しかし、あなたのおっしゃることが非常に頭にさわるのは、その公共団体が必要とするかいなか、積極的な理由があるかないかで起債を許可するかどうかということは、ちょっとやめてもらいたいと思います。市町村が買いたいと意思表示したものに対しては、あなたのほうはいろいろな条件がございましょう。この面も、それは二〇%という頭打ちの問題もございますから、何かそれは飛び越して、無条件で私は認めてもらいたい。そうでないと地方自治体はなかなかそうやれない。あなたのほうから、これはあかぬと言われたら、全部やめになってしまう。積極的な理由がなければ全部やらぬということですよ。これではうしろ向きの姿勢だと思うから、それはぜひ考え直してもらいたい。  以上のことを強くこれは要望として申し上げておきます。  たいへん時間を超過して申しわけございませんでしたが、私の質問終わりたいと思います。
  198. 西村関一

    西村関一君 私の持ち時間は、お答えの時間を含めて二十分しかございませんから、簡潔にお願いをいたしたいと思います。  問題は、滋賀県坂田郡伊吹村に所在いたします大阪セメント伊吹工場公害問題でございます。  過日来、関係住民約千五百名の署名を得まして、これに対する陳情を受けておったのでございます。その由を本委員会の委員長にお伝えいたしまして、一昨日非公式ではございますけれども、松澤委員長並びに戸田理事、その他の方々がおいでくださいまして、現地で陳情を受けられ、また、被害地並びに工場において親しく調査をしていただいたのでございます。私もこれに参加をいたしました。簡潔に申しますと、工場側としても公害対策については万全の措置を講じているし、また、新しく生産施設を増設するについても、住民の皆さま方の公害に対する不安を除却するように努力をしておる。しかし、そういう言明がございけれども、いまなお関係住民の側からはそういう心配が取り去されているやに見受けられない状態でございます。セメントを生産する工程におきましては、セメントの粉じんが離散する。風向きによりましては、特に稲の開花時期などには非常な被害を受けるというようなこともいわれ、第一私どもに一番手っとり早くわかるのは、屋根のかわらがセメントが付着いたしましてまっ白になっている。白がわらのような状態になっている。こういうようなことが目立っております。そういうようなところがら、やはり生活にも非常に影響を及ぼすし、農産物、林産物にも被害を及ぼすし、また子供のおしめなどを干していると、それに粉じんがついて、そのままおしめを使うと、赤ちゃんに湿しんができるというようなことも聞かされておったわけでございます。そういうようなこまかいことは申しませんし、またお手元に地元からの陳情書の写しが出ておりますから、当局におかれてもごらんをいただきたいと思うのでございますが、そういうような状態に対しまして、三つの点からお伺いをいたしたいと思います。  第一点は、従来からある五基の生産施設――キルンと申しますか、それに対する防じん施設をもっと完備させる。それから新しく増設しようといたしております――これは一時間百トンの生産量を持つといわれております――新しいキルンについては、完全に防じん施設を行なわしめるということによりまして、住民の不安を完全に取り去られるように、通産当局としては行政指導を願いたい。会社側としてはそれをやると、こう言うておられました。ただ、住民としては、その会社側のそういうお話を初めて聞いたということで、なお不安が残っている。そういうことに対する行政指導をお願いしたいということが第一点でございます。  それから第二点は、これは御承知のとおり指定地域になっておりません。滋賀県にはそういうところがどこにもございませんので、どうしても県の条例によって規制しなければならない。県のほうも――県の民生部長も同行しておりましたが――県条例をいま立案中であるということでございますが、すみやかに厚生、通産両省におかれましては、県条例の施行に対する御指導を願いたいということが第二点でございます。  それから第三点は、農産物、林産物――特に稲の開花時における被害もたいへんでございますが、茶とか養蚕の桑、その他――ここは国定公園になっております。伊吹山は滋賀県の国定公園になっておりますが、樹木の枯渇するものが多く、自然の景観をそこなう場合が多い。こういうようなことに対しまして、特にこういう農産物、林産物に対する被害について、農林省当局はこれを把握しておられるかどうか。また、これに対する対策を、通産、厚生両省と連絡をとられて、何らかの措置を講じておられるかどうかという点でございます。  まあ、以上でございますが、第四点といたしましては、補償の問題でございますが、これは地先の関係者からは、現在そういう補償を要求しているということはございません。むしろ、そういう公害がないようにしてもらいたいということでございます。ただ若干の補償は、関係町村において受けているようでございますが、それとても現在の物価高の情勢におきましてはきわめて微々たるものである。ただ私は、たとえば工場は――この施設は地場産業として地元の労働力に依存しておる。また地元もこれによって潤っている。働きに行って給金をもらっているということだけじゃなくて、いろいろな物資を入れるにしても、いろいろな点において会社の恩恵を受けておる。そういう点から、地元が誘致した工場であるという点からも、これはやはり重んじなければならぬ。こういう地場産業を興していくという面の配慮ももちろん必要でございます。だからといって、住民の生命や、財産また生活に公害が及んでくるということは、これは許されないことであると思います。その間、関係当局の御苦心のあるところだと思いますが、以上の諸点につきまして「それぞれの各省各局の責任者の方からお伺いをし、最後に厚生大臣の御所見を承って、予定の時間一ぱいで質問を終わりたいと思いますが、まず、いま申し上げた点についてお答えを願いたい。
  199. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 御指示によりまして簡単に要点だけお答えいたします。私ども、先生の御質問の四点のうちの、第一と第二と第四に関係しておりますので、その順に申し上げます。  第一の問題ですが、現在においても会社としてはロータリーキルンについては電気集じん機、クーラーについてはマルチクロン集じん機を設置しておりますが、御指摘のとおりに現実に被害が出ておる、こういうことは否定できないと思います。これに対して何らかの対策をやらなければならないということは、言うまでもないことでございまして、既存の五基につきましては、もっと捕集率のいい、性能のいいものに改善するなり、それに切りかえるなりということをさせたいと思っておりますし、それからいま言ったロータリーキルン、クーラー以外の途中の過程におきましても、少しずつ粉じんが出ておりますので、そういうところにつきましても、グラスバックフィルターというようなものをつけまして、遺憾なきを期したい。これが既設五基、それから新規に設置する分につきましては、当然のこととして現在の既設の分の集じん機にかんがみまして、捕集率のいい集じん機をつけるのはもとよりのこと、中間段階におきましても、粉じんが出ないように同じくグラスバックフィルター等を設置いたしまして、遺憾なきを期する、こういふうな行政指導をしていきたいと思います。要するに、既設分については集じん機の改善、新設分については、いい集じん機をつけさせる、これが結論でございます。  第二番目には、後ほど厚生省からも答弁があると思いますけれども、この地域は、御指摘のようにばい煙規制法の指定地域になっておらないので、こういうものを法的に規制するとすれば、府県条例を制定するよりしようがないと思いますが、滋賀県と十分に連絡をとり、実効のある公害の防止の条例が制定されるように、厚生省、通産省両省でもって指導してまいりたいと思っております。私どもも、県がそういう条例をつくりたいということは聞いておりますので、その条例の内容は実効があるかどうか、先生の御指摘のような問題点を十分解決するものであるというような条例にするように指導していきたいと考えております。  第四番目の補償につきましては、まず補償の前に、基本的には工場側における先ほど申し上げました今後の改善計画の実施を指導して、それに遺憾なきを期することによって、今後絶対に被害が生じないようにする。そういうことがまず第一番であると私どもは考えておりますが、補償の問題は、無視することはもちろんできないわけでございまして、ただ補償につきましては、一応当事者間の問題でもあるので、原則として当事者間の話し合いによりまして、円満に解決することが望ましいと考えております。  以上、第一の点、第二の点、第四の点についてお答えをいたしました。
  200. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 今回の問題につきましては、厚生省といたしましては、大気汚染防止の見地から、指定地域外で問題を起こしております問題につきましては、条例のないところにつきましては、すみやかに条例を制定する指導をいたしたい。そのほか、特に地場産業等におきましては住民生活環境の保全、この点についてややもすればなかなか表に出てこないというような点もございますので、そういう点につきましては、よく県を指導いたしまして、住民生活の環境の保全に全きを期したい。それからいま通産省からお話がありましたように、事後の対策のみならず、事前にこういう面につきましては、十分事が起こらないように、行政指導の面につきましては関係各省と連絡を取って十分やりたいと、かように考えております。
  201. 木村晴吉

    説明員木村晴吉君) 第三の事項についてお答えいたします。農林関係の被害の実態につきましては、実は現段階におきましてその分布の状況及び被害の度合いについては十分把握いたしておりません。したがいまして、今後県当局と十分連携いたしまして、調査の結果を待ちまして関係当局と十分協議して善処いたしたいと思っております。
  202. 西村関一

    西村関一君 最後に、厚生大臣の御所見を承って私の質問を終わりたいと思いますが、いまお聞き及びのような状態があらわれております。それぞれ関係各省におかれては、私の質問に対して誠意を持ってお答えをいただきました。これらをすみやかに行政指導その他の面において実現できますように御配慮を願いたいと思います。特にお聞き及びのとおり、赤ちゃんの発育にまで公害が及ぶと、これはそう一般的な例でないかもわかりませんけれども、そういうことがいわれておるということも見のがすことはできないと思います。それから地下水の問題にも影響がある。それからまた、これは大臣の御所管ではございませんが、国定公園の景観が害せられる。これはやはり産業の振興という面と、自然の景観を保つという面とは両立しがたい矛盾がございますけれども、あのいわば滋賀県の象徴ともいうべき伊吹山の自然美が破壊されるということに対しても、できるだけこれを防いでいくようなやはり配慮が必要じゃないかと、これもやはり県条例等によって規制をすることもでき得ると思いますが、とにかく国土を保全する、国土の自然を保っていくということと、地場産業を育成するということと、住民の生命と生活を守るという点等の諸問題に対して、大所高所からの政治的配慮が政府としては必要ではないかと思います。私といたしましては、さきに申し上げましたように、あくまでも地場産業を育成するという立場に立ちながら、特に厚生大臣として住民の生命と生活を守るというお立場から、大所高所からの御見解をこの際承っておきたいと思う次第であります。
  203. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまの御意見の中にはとんど尽くされておりますが、地場産業というもので、その企業と住民との間が非常に円満にいっている場所ではこういう公害等もお互いに許し合っているうちにだんだん公害が大きくなってきて、円満なところでも、ついに最後には問題が起きてくるというおそれがあります。したがいまして、いま御指摘のとおりに、まず第一は住民の健康、生命の保全、第二には地場産業の育成、こういう順序にいたしまして、このように円満にいっている地場産業につきましては、みずからわれわれが進んで、あるいは通産省と連絡をとり、いろんな防じん設備、あるいは補償の問題、あるいは企業に対する要望の問題等、私のほうで責任を持って関係各省と話し合って、進めていきたいと考えております。
  204. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 各委員からだいぶ質問が出されまして、重複している点もありますので、簡単に、さらに時間も二十分しかございませんので、その範囲で質問してまいりたいと思います。  その第一の問題は、この前もいろいろと質問してまいったんでありますが、規制対象の拡大問題について.でありますけれども、現在このばい煙規制法による規制対象は伝熱面積が三十平方メートル以上燃焼となっておると思うんです。で、新法による規制対象の規模はいずれも政令で定めてまいると思うんでありますが、その政令の内容は大体現行法どおりでいくのか、それともまた、もっと一歩前進をした形をとられるのか、この辺の内容について説明を願いたいと思います。
  205. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) ばい煙規制法できめられております基準を、大気汚染防止法では大体、一般的に踏襲をするという考え方でございまするが、御指摘施設の拡大については今後の大気汚染の状況等をも検討しつつ、十分検討してまいりたいと、かように考えております。
  206. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 三十平方メートル未満のばい煙発生施設、これはいま非常に多いと思うんでありますが、これもなかなか軽視できない問題だろうと思うんですが、これらに対する対処策はどういうふうにお考えになっておりますか、その辺をひとつ。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
  207. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 三十平米以下の問題につきましては、府県によりましては条例等で規制をやっておりますが、先生指摘のように大気汚染の状況からいたしまして、必要があれば政令の対象――この法律対象にすることについては十分通産省とも検討いたしたいと、かように思っております。
  208. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これは、条件が違うと思うんですけれども、水質規制法による排水量の場合は、五十ないし二百五十立米以上、あるいは海水油濁防止法、この場合はタンカーが百五十トン以上、一般船舶が五百トン以上、まあ比較的小さい規模の事業所まで相当きつく規制をされておると思うんです。そういうところからいくと、前段で質問した内容については若干ゆるいんじゃないか、まあ、こういうふうに考えるんです。したがって、もう少し規制措置というものを強く、拡大していくのが私は当然じゃないかと思うんですけれども、この辺の見解はどうですか。
  209. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 大気汚染に関しましては、結局、たとえば亜硫酸ガスの場合であれば亜硫酸ガスの量というものが大部分です。大部分の亜硫酸ガスの量というものを規制対象にすることができるかどうかというところに問題があるわけでございますが、先ほど厚生省公害部長が説明しましたように、われわれといたしましても現在のままを漫然とそのまま続けておるというわけでございませんが、現在のところといたしましてはその線でもって進むにしても、大部分の亜硫酸ガスの量を規制対象下に置くことができるというふうに存じておるのでございまして、いまの段階ではこの法律ができまして、第一回の政令を出す段階では、特にさらに小さいものまでも対象にすることはないわけでございます。しかし、繰り返すようでございますが、亜硫酸ガスの量もそれぞれ全般にふえてまいりますということも考えられますので、そういう場合においては再検討するにはやぶさかでないわけでございます。
  210. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうしますと、検討はするということですね。結論的に、検討はするということですね。
  211. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 大気汚染防止法施行後、必ず検討はいたします。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
  212. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これは要望でありますけれども、かりにそういう規制拡大を行なっていったという場合に、やはりこの対象は中小零細企業、こういうことが多くなると思うのですね。ですから、そういうものに対しては国からも何らかの援助措置が――検討して拡大規制をはかっていくということと並行して、行なわれていかないと、企業がもたないということになるのですが、その辺の事業規制等の問題については、どういうふうになるのですか。
  213. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 現在におきましても、公害防止施設全般についていろいろの恩典がございますが、このばい煙発生防止施設につきましても国税の関係においては特別償却その他もございますし、それから公害防止事業団における融資の対象にもなっておりますので、それぞれ税制上あるいは金融上の恩典があるわけでございまして、それらが今後継続されることはもちろんのこと、さらに強化するような方向に持っていきたいと思っておるわけで、先生の御指摘の、かりにもう少し対象施設を広げた場合、それが中小企業である、そういうものに対する行政措置は当然行なうわけでございます。
  214. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 環境基準の問題についてでありますけれども、いま生活環境審議会がいろいろと騒音、大気汚染、こういった問題について審議検討という段階だと耳にするのでありますけれども、この環境基準というのは公害防止策の私は行政のよりどころだろうと思います。やはりそれが根拠だと思うのですね。大体どういう審議の内容ですか、その辺についておわかりならば、お聞かせ願いたい。
  215. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 現在の厚生省生活環境審議会――もとの公害審議会でございますが、そこでいま審議を願っておりまして、近く答申がある予定でございます。この答申をまちまして政府としては亜硫酸ガスの環境基準をきめたいと思います。それから自動車関係があります一酸化炭素の問題等も引き続いて早急に検討いたしたい。なお、騒音環境基準につきましても騒音規制法の施行の時期までには間に合わせたい、かように考えております。
  216. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それから亜硫酸ガスについて、その数値の基準ですね、これは大体〇・一PPMということに聞いているんでありますが、大体その辺でしょうか。  それからもう一つは、大気汚染防止法ないし騒音規制法、これが施行に間に合うように答申が得られる見通しがあるのかどうか、この辺の見通しについてお尋ねをしておきたいと思います。
  217. 武藤き一郎

    政府委員武藤一郎君) 先生いま数値をあげられましたが、審議会の専門委員会のほうで一時間値〇・一PPM、二十四時間平均値〇・〇五PPMという数値がいわゆる一つの目安として意見が出されましたので、その点について現在審議会で検討中でございます。この法律の施行は半年以内に施行することになっておりますが、亜流酸ガスにつきましては、それ以前にできるだけ早く政府として決定いたしたいと、かように考えております。
  218. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 関係の面だけ質問してまいりたいと思うんですが、それからもう一つは、この排出基準、現行法では発生施設の種類ごとに規制をされている、それが結局全国一律のかっこうで規制措置がとられるという矛盾があると思うんですが、こういう問題についてはもう少し検討の余地がありやしないかと、こういうふうに考えますし、さらに、すす、粉じん、こういった問題について、ことに大牟田地区とか、蓚酸、亜硫酸ガス及び無水硫酸については、川崎、横浜、四日市、倉敷、こういったところについては特例基準というものを設定していると思うんです。こういうケースは今後産業開発に伴って、ことに新産都市、そういう地域に対してあらかじめ想定のできる問題だと思うんですね。ですから、そういう特例措置というものは、もっと見通しのきいた内容において整備調整ということをはかっていったらどうかと、こういうふうに考えるんでありますが、以上、内容については三つありますが、それらの点について質問しておきたい。
  219. 武藤き一郎

    国務大臣武藤一郎君) いま先生指摘のように、亜硫酸ガスにつきましては、三地域について他よりもきびしい基準をきめておりますが、その地域の状況にかんがみまして、他の地域についても三地域と同様、あるいはその他の事情を勘案しまして一般的な基準以外の基準をきめるということは当然考えなくちゃいけないかと考えます。  なお、四条二項に特別排出基準をきめる条項を新しく規定いたしておりますが、そういう点が、この新しい法律では全国一律に排出基準をきめるんではなくて、特別の地域には必要な排出基準をきびしく適用していくと、こういう一つの例でございます。
  220. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 自動車の排出ガスの許容限度についてお伺いしたいと思うんですが、これは前の質問でも私は指摘したつもりでありますが、まず運輸大臣が当面決定権を持つと、こういうことになるわけでありますが、これは何回か指摘してまいりましたけれども、これで一体うまくいくのかどうか、そういう問題について責任行政官庁のひとつ見解を承っておきたいと思います。
  221. 内村信行

    説明員(内村信行君) この第十九条の許容限度、これを運輸大臣がきめるということにつきましては、たびたび御質問もあったわけでございますけれども、これは先ほど来お答え申し上げておりますように、簡単に申し上げますと、排気ガス規制というものにつきましては、自動車の車両の安全性と密接な関係がある、車両の安全性というものについては運輸大臣が専管でもっぱらその責任に当たっているということ、そういうことによりまして運輸大臣がこれを許容いたすと、ただしこの場合におきましても、いわゆる健康のサイド、こういう面に対しましては厚生大臣意見を十分伺いまして、それを反映させまして、安全性の確保とそれから公害の防止、それらにつきまして万遺憾なきを期したいというふうに考えておりますので、この点につきまして私どもは責任をもっていろいろと考えております。また、従来までも道路運送車両法並びにそれに基づく保安基準というものによりまして、こういったものを規制してまいっておりますので、その実績からかんがみましても遺憾なきを期するというふうに私どもは考えております。
  222. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それから、この現在の許容限度は新型車だけに適用されるということになっている。したがって、中古車等については野放し状態だと思うんですね。しかし、この中古車の台数というものはやはり比較対象からいっても非常に多いと思うんですね。だから、こういうものを野放しにしておったのでは、せっかく許容限度というものを設定してもうまくいかない。だから、こういう部面に対する適用措置というものをどういうふうに考えているか、それを伺いたい。
  223. 内村信行

    説明員(内村信行君) この点につきましては、お説のとおりに現在規制しようと思っております。また規制しているものは新型車だけでございます。ただしこの排気ガスの防止の問題、これは世界的にもまだ新しい問題でございまして、外国でもこういうふうに規制しているのはアメリカ一国であると思います。ヨーロッパ方面でもまだこれに対して研究中でございます。また、アメリカでも新型車に対する規制のみであると聞いております。ただし、お説のとおり、これをほうっておきますと、使用過程の車、これが排気ガスを出しますが、それに対しては何%という規制方法はできませんけれども、それにつきましては、使用過程の自動車につきましては、だんだんと走行キロが増すにつれまして有害なガスの排出ということが増加してまいりますので、これに対しましてはもっぱら点検整備の方法によりましてこれを規制いたしてまいりたい、こういうことでございます。こういったことにつきましても、いままでも調査研究を続けてまいりましたが、ある種の要点要点を点検整備をいたしますと、それによって排出ガスの程度が減ってまいるというような実績がわかってまいりました。そこで現在は、まだ中間段階でございますけれども、いままでのデータによりまして、一応定期点検整備ということについての指導要領をつくりまして、自動車使用者とか、あるいは整備関係者というものをそれによって指導中の段階でございます。さらになお、こういう調査が完了いたしました暁におきましては、こういったものにつきましての点検整備基準というものをつくりまして、それによって整備点検を義務づけてまいりたい、それによって排気ガスの濃度を減らすようにいたしてまいりたいというふうに考えております。
  224. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 点検の面からいけば、確かに整備要領等で、もっと具体的に指導監督ないし点検、こういうことをやられるということで、それでいいと思うのですが、しかし問題は、現在の整備工場は主として中小企業が多いのです。そういうことになっておると思います。そうしますと、それに要する測定機器の問題とか、あるいは整備士の問題、あるいは排気ガスの測定についての知識技能、こういったものを備えるということはなかなか容易でないのではないか。ですから、そういう部面を含めて、いまの指導要領による、そういった指導監督を強めることを同時に考えていかないと、なかなか実際は要領だけ進めていっても実らないものになってくるのではないか、こういうふうにも心配されますので、その辺は一体どう調整をしていきますか、何か名案があったら教えていただきたい。
  225. 内村信行

    説明員(内村信行君) ただいまおっしゃいましたとおりに、測定装置というものをあらゆる整備工場が持つということは非常に困難でございます。ごく特殊の大きな工場は別といたしまして、一般的には無理かと思います。したがって、先ほど申し上げましたような整備点検要領というものでまいらざるを得ないわけでございますが、その際に、実際にそれに従事する人々、これに対してどういうふうにするかということでございますが、整備工場には整備士というものがございまして、その整備士の研修でありますとか、あるいは技能検定、そういった機会にこういった者に対する教育を行なってまいる。それから一方、現在指導中でございますが、先ほど申し上げました点検整備要領というものを配って指導しておりますけれども、その指導の際に、あわせてそういう整備工場で実際の仕事に携わる人、そういう人に対してだんだんと浸透させてまいることによって、こういったことができるようにということを考えております。
  226. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間もありませんので先を急ぎますが、プロパンガス自動車ですね。これに対しては許容限度は適用しない、こういうことです。したがって、これはまあいまのところは大体台数が十一万台程度だろうと思いますし、それが地域的には大都市中心、こういうことになっておるのでありますが、ある学者に言わせますと、プロパンガスが原因になって白いスモッグ等も発生をしておる、こういうところまで学理的には究明をされつつあるわけです。そういうところから言えば見のがし得ない重要問題ではないかというふうに考えるわけです。こういった問題に対する、今後の許容限度そのものに対する処理の問題、それはどういうふうに対処していくわけですか、その点お伺いしたい。
  227. 内村信行

    説明員(内村信行君) 先ほど御説明申し上げたと思いますが、ディーゼルあるいはプロパンガス、こういったものにつきましては、一酸化炭素は非常に少ないと、わりにきれいであるということを申し上げました。それによって規制をしていくのだということを申し上げたわけでありますが、先生指摘のように、かつてLPガスによって、いわゆる白いスモッグと申しますか、そういうことが問題になったのは事実でございます。そこで、私どももごれに対して、どういうふうな理由でこういうことができたのか研究いたしたわけでございますが、その結果わかりましたのは、その場合は自動車用でないものがまざったLPガス、これが一時出回ったことがございました。そういうものを使用したものについて、そういうふうな白いスモッグの現象が出るというふうに承知しております。したがって、規格に合った燃料というものを用いてまいりますれば、こういったような問題は出ないかというふうに考えております。
  228. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 厚生大臣にお伺いしたいと思うのですが、公害基本法というものは、公害の種類として六種類実は掲げられているわけです。ところが、今回のこの両法案については悪臭の問題がどこにもないのですね。これは一体どういうところに理由があるのか、お答え願いたい。
  229. 園田直

    国務大臣園田直君) 悪臭の問題については、現行法の清掃法であるとか、あるいは屠畜条例であるとかその他でやっておりますが、実はこれも非常に大きな問題でありますが、この基準をきめる際の技術的な問題が非常に困難でありまして、とりあえずは公害事業団の事業その他でそれぞれ起こった問題を処理することとして、悪臭に対する法案の成案は非常におくれたわけでございます。
  230. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 基本法で大綱を示しているわけですから、具体的に現在そういう事象があるわけですね。練馬の米軍ハイツ、この間ちょっと調査に行って参りましたけれども、あそこなんか、いま厚生大臣指摘される汚水処理等で実は規制できないのですね、現実に。それで、その地域住民の二百戸ぐらいの住民の皆さんは、ハエがもう何といいますか、集団で、食事をするときにやってくる。こういう状態が実はあるわけですよ。それで非常に困っているような事象が実は発生している。あるいは産業活動とかそういうものによって、どんどん発生をしている。特に漁港あたりに行きますと、各種加工業、こういったものがいっぱい発展してまいりまして、そういうところは悪臭が非常に出ている。こういうものが現在各所で起こりつつある、また起こっているわけです。そういう中で、こういう悪臭問題が基本法で示されている。それが単に汚水処理等の関係法律でもって処理されるということじゃ、公害といった問題から言った場合にはやはり不足しているのじゃないか。こういうふうに考えるのですけれども、それで、はたして厚生大臣が説明されたそれだけで、今後こういった問題について対処できるのでしょうか、その自信はどうですか。
  231. 園田直

    国務大臣園田直君) 御指摘のとおりに各所に問題が起こっておりますし、悪臭がある場合には必ずこれはガスを伴います。したがいまして、この基本法に示します悪臭に関する法律案は――なくてもいいときめたわけではなくして、おくれているのであります。そういう現実の問題を解決しつつ、法律案の成案を急いでやりたいと考えております。
  232. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間がまいりましたから、これでやめますけれども――三日間になりましたけれども、各委員から相当質疑が出されました。御承知のようにだいぶ不足の面があると思う。ですから、そういう面については今後、厚生大臣が口頭でお約束しましたように、そのような点は改廃あるいは改善に向けて大いに努力をしたい、こういうことを申しておったわけでありますから、そういう点については十分ひとつ配慮をしていただきまして、この法律をきっかけにして公害の防止策がとれるように、ぜひひとつお願いして、これで私の質問を終わりたいと思います。
  233. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  235. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、大気汚染防止法案騒音規制法案の両法案に対し、反対の立場から討論を行なうものであります。  まず、両案に共通する反対の理由についてであります。  両法案の審議を通じて明らかなごとく、反対の第一の理由は、依然として公害行政の一元化が成らず、立案の過程における各省の権限の争いが、なまの形で法案にあらわれているのであります。法案に盛られた一つ一つ規制内容の欠点も、一に、この公害行政の乱立、多元化が原因であるといっても過言ではないのであります。  第二の理由は、両案の第一条(目的)には、「生活環境の保全にあたっては産業の健全な発展との調和をはかる」旨の規定がありますが、過ぐる第五十五国会に提案した、わが日本社会党の公害対策基本法の精神に照らしても、このような産業保護の名分のもとに国民の生活環境を犠牲にしかねないような規定には反対せざるを得ないのであります。  第三は、公害発生施設届け出制では、公害発生防止のための事前規制について万全を期しがたい。厚生省試案では許可制をとっていたが、結果的には届け出制となっているのであります。法案質疑の中で、厚生省は、届け出制でも規制の実際の効果においては変わるところがないと答弁しているのでありますが、法理上は許可届け出は性格を異にしているはずであります。したがって、規制の効力も違ってくるはずであります。  次に、大気汚染防止法案についてであります。  電気、ガス事業については、本法案規制措置の重要部分が適用除外となっていることであります。電気事業(現在は火力発電が主力)は、鉄鋼業と並んで大気汚染の元凶の一つであります。すなわち、大気汚染の主要原因たる亜硫酸ガスの排出量は、他産業に比して火力発電所が圧倒的に多いのであります。これが知事規制権限の中でも特に重要な部分であります施設届け出、構造の変更命令、改善命令、事故時の届け出特定有害物質事故時の措置についての知事勧告については本法案の適用が及ばないのであります。さらに、電気事業法の定むるところによりまして通産局長の権限のもとに置かれているのであります。公害行政のように住民の公衆衛生、福祉に密着いたしまする行政の権限は都道府県知事に与えるべきであると思うのであります。電気事業についても知事にすべての権限を与えるべきであると思うのであります。ガス事業法についても同様の考えを持っておるのであります。  反対の第二は、自動車排出ガスの規制の体制が不十分であるということであります。排出ガスの許容限度は「運輸大臣が厚生大臣意見を聞いて定める」と規定しておりまするが、事、人間の健康と生活環境に関することにつきましては、厚生大臣がイニシアチブを持って決定すべきであると思うのであります。「厚生大臣意見を聞かなければならない。」と定めてあっても、それが必ずしも一〇〇%尊重されるかどうかは保証がないのであります。自動車産業の経済的理由によって許容限度が事業者サイドで決定されるおそれがあるからであります。  次に、騒音規制法案についてでありますが、国民が最も悩まされております自動車騒音、新幹線騒音、航空機騒音について、ほとんど規制措置が講じられていないことであります。現在、航空機騒音につきましては、公共飛行場周辺における騒音防止法、日本に駐留する米軍の行為による損失特別補償法によって特定施設――学校、病院や、農業などに対しての損失補償制度はありますが、適用範囲も狭く、適用条件もきびしく、一般住民の生活妨害についてはほとんど対策が講じられておらないのが現状であります。また、新幹線騒音につきましては、軌道や車両の材質、構造の改善を行なっておりまするけれども、沿線住民に対する騒音からの保護措置が講じられていない現状であります。このことにつきましては、目下国鉄当局におきましても努力をしておるという先ほどの答弁でありますので、一応そのことに期待を寄せているのでございますが、さらに、この自動車道の建設につきましても、騒音防止についての配慮もなく、国土を縦横断している現状であります。車両そのものにつきましても、わずかにエンジン、マフラーの構造基準が示されているにすぎないのでありまして、実際には多量の騒音をまき散らしているのが現状でございます。したがって、これらの未規制騒音も取り入れまして、騒音防止の総合立法を行なうべきであると思うのでありますが、騒音規制法案はその機能を十分果たし得ない状況にあると思うのであります。  以上の理由から大気汚染防止法案及び騒音規制法案に反対いたすものであります。
  236. 原田立

    原田立君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております大気汚染防止法案並びに騒音規制法案について反対の意を表明し、以下大事な項目について討論をいたしたいと思います。  わが国の公害対策実施法が第一歩を踏み出すという国民注視の二法案が、厚生省原案より大きく後退し骨抜きとなっていることは、まことに残念なことであります。私は、このことにつき非常に疑義と不安を感ずるのであります。それは、法律はその実効があがることが大切でありますが、本法案がその運用面において許可制より届け出制へと後退したことは、現状よりも悪くしないという消極的な考え方であり、基本法の精神、すなわち国民の健康を保護する精神を軽視するものと言わざるを得ません。  騒音規制法案では、その基準設定を厚生大臣のほか、通産、農林、運輸、各大臣がその責任者として追加されていることは、騒音規制をますます複雑にいたしております。自動車排気ガス規制についての基準も、運輸大臣がきめることになっているが、これらは行政系統の複雑化をきわめるものであります。  また、厚生省騒音規制原案にあった東海道新幹線、高速道路周辺等の騒音対策、空港周辺のジェット機の騒音などが全く除外されて、大きく後退を余儀なくされており、これらの政府の姿勢は納得のいかない点であります。  公明党は、公害行政の統一的、積極的な施策を実施するために、行政の一元化を強く要請しておりますが、これも実現性はなく、失望せざるを得ません。また、被害に現実に苦しんでいる公害患者の一るの望みであった公害救済法案も提案されていないということは、全く政府の公害対策の後退であり、残念なことであります。すみやかなる実現を強く要望するものであります。  以上、数点について反対理由及び要望を申し上げて、この二法案についての反対討論といたします。
  237. 瓜生清

    ○瓜生清君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております公害防止二法案について反対の意を表明いたします。  今回の法案は、通産省、運輸省、建設省など各省が、それにつながる関係業界の声を反映して抵抗し、また従来のなわ張りの維持を強く主張したため、調整に難航し、法案の内容は原案より全く後退し、新規に法案を提出した積極的な理由は失われているのであります。  次に、この法案に流れております基本的な考えでありますが、この種の法案は当然国民の健康を保護することを第一義的に考えるべきだと思うのであります。しかるに今回のこの法案は、企業側の立場を優先的に取り入れておられるのであります。次に、法案の随所に見られるごとく、本来の目的を果たさず、骨抜き同然にされていることであります。交通騒音規制が何ら行なわれず、また騒音やばい煙の公害発生源となる産業施設の建設が、知事許可制から届け出制になるなど、きわめて不満であります。  このようなことでは、公害対策にほとんど前進が見られないと言っても過言ではなく、公害基本法に基づく実施法の制定によって、公害対策の強化を期待した国民に大きな失望を与えるものであります。国民の健康や生活環境を守るためのいろいろな公害対策が各省の権限争いの道具となることは断じて許されません。  最後に、政府は今後特に厚生大臣意見を十分尊重し、より前向きな姿勢で各種の公害対策に取り組むことを強く要望して、私の反対討論を終わります。
  238. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、大気汚染防止法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  240. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  241. 山内一郎

    ○山内一郎君 私は、この際、ただいま可決されました大気汚染防止法案に対する各派共同の附帯決議案を提案いたします。  まず、案文を朗読いたします。    大気汚染防止法案に対する附帯決議(案)   政府は本法施行にあたり、次の事項について  措置を講ずべきである。  一、ばい煙発生施設の届出制について具体的規   制カを失わしめないよう十分な措置をするこ   と。  一、ばい煙の排出基準について常に意を用い子   の強化につとめるとともに、緊急時における   知事の協力要請及び勧告が遵守されるようげ   い煙発生施設の設置者に対し常時啓蒙、指導   にっとめること。  一、環境基準の設定を急ぐとともに、公害対世   基本法第十九条に定める公害防止計画の策定   についてその促進及び援助につとめること。  一、重油脱硫について研究を促進し、燃料の規   制等に対しても特段の配慮をもつて指導につ   とめること。  一、測定網の整備その他広域汚染対策強化のた   め国は進んで必要な措置を講ずること。  一、自動車排出ガスについて   1 許容限度を定めるときは、運輸大臣は厚    生大臣意見を十分尊重すること。   2 エンジン、ガス浄化装置についての技術    研究を促進することによって許容限度の引    下げに資すること。   3 中古車の排出ガスについては定期点検を    励行すること等によって規制の実効を期す    ること。  一、本法適用除外にかかる電気事業法及びガス   事業法に定めるばい煙発生施設又は特定施設   において発生するばい煙又は特定有害物質に   ついては、主務大臣及び都道府県知事は緊急   時のみならず、相互に緊密な連繋の下にその   公害対策に万全を期すること。  一、本法施行の際すでに施行されている条例に   ついては、その地域実情を尊重し、適切な   運営指導を行なうこと。  以上でございます。何とぞ御賛成くださるよう、お願いいたします。
  242. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいま述べられました山内君提出の附帯決議案を議題といたします。  山内君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  243. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 全会一致と認めます。よって、山内君提出の附帯決議案は、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対して、厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。園田厚生大臣
  244. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまの附帯決議の御趣旨につきましては、これを十分尊重し、公害対策の整備、充実、強化に遺憾のないよう、一そう努力してまいる所在でございます。
  245. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。     ―――――――――――――
  247. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、騒音規制法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  248. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  249. 横山フク

    ○横山フク君 私は、この際、ただいま可決されました騒音規制法案に対する各派共同の決議案を提案いたします。  まず、案文を朗読いたします。    騒音規制法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の事項につい  て措置を講ずべきである。一、飛行場騒音について、早急に対策の強化を   はかること。  一、交通機関等の騒音にかかる公害について、   その防止技術に関する研究を促進し、早急に   騒音の防止に必要な措置を講ずること。  一、市街地の交通騒音対策について、これを強   化し、かつ、必要に応じ、関係法の整備をは   かるとともに、深夜騒音について地方公共団   体の指導の強化をはかること。  一、住宅工場の混在地区の工場の移転を促進   するために、工場団地の造成に努めること。  一、本法施行の際、すでに施行されている条例   については、その地域の実状を尊重し、適切   な運営指導を行なうこと。  以上でございます。何とぞ御賛成くださるようお願いいたします。
  250. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいま述べられました横山君提出の附帯決議案を議題といたします。  横山君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  251. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 全会一致と認めます。よって、横山君提出の附帯決議案は本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対して、厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。園田厚生大臣
  252. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいま述べられました附帯決議の御趣旨につきましては、これを十分尊重し、公害対策の整備充実に遺憾のないよう、一そう努力してまいる所存でございます。
  253. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  255. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題といたします。  この際、加藤君から発言を求められておりますので、これを許します。
  256. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 公害対策基本法に基づく公害防止対策の実施については、ただいま可決されました大気汚染防止法案騒音規制法案の両法案によるほか、紛争処理、被害者救済制度の確立、工業立地の規制、水質汚濁の防止対策等がさらに必要でございます。政府は、これらの公害防止対策を確立し、これを推進する必要がありますので、私は、各派共同で次のような決議案を提出いたしたいと存じます。  案文を朗読いたします。  以上でございます。各委員の御賛成をお願いいたします。
  257. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 他に御発言もなければ、ただいまの加藤君提案の決議案の採決をいたします。  本決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  258. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。園田厚生大臣
  259. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまの御決議につきましては、政府としてその御趣旨を十分尊重し、公害対策の強化に一そう努力する所存でございます。     ―――――――――――――
  260. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、大倉君から発言を求められておりますので、これを許します。
  261. 大倉精一

    大倉精一君 当委員会は、昨年の特別国会において、政府に対し交通安全に関する十五項目にわたる要望をいたしましたが、最近交通事故は依然として増加の一途をたどりつつありまして、まことに憂慮にたえないところでございます。私は、この際、政府に対し交通安全対策の一そうの推進を求めるため、当委員会として重ねて次のような決議をするよう、皆さま方のお許しを得まして各派を代表して御提案いたすものであります。  案文を朗読いたします。  以上であります。
  262. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 他に御発言もなければ、ただいまの大倉君提案の決議案の採決をいたします。  本決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  263. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。田中総理府総務長官。
  264. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいま御決議のございましたこれらの事項につきましては、政府といたしまして、その御趣旨に沿いまして十分検討いたし、努力をいたしたいと存ずる次第でございます。     ―――――――――――――
  265. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより請願の審査を行ないます。  第八二五号、交通事故を未然に防止するための一大国民運動展開に関する請願外四件の請願を一括して議題といたします。  これらの請願につきましては、委員長及び理事打ち合わせ会におきまして慎重検討いたしました結果、請願第八二五号、第四七四九号、第四八四七号及び第五一一四号は採択することに意見が一致いたしました。  右理事会一致のとおり、この請願は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  267. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  268. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 継続調査要求についておはかりいたします。  産業公害及び交通対策に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成及び提出の時期等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会      ―――――・―――――