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1968-05-17 第58回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十七日(金曜日)    午後三時六分開会     —————————————    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      原田  立君     小平 芳平君      矢追 秀彦君     北條 雋八君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松澤 兼人君     理 事                 横山 フク君                 戸田 菊雄君     委 員                 植木 光教君                 木村 睦男君                 楠  正俊君                 紅露 みつ君                 佐藤  隆君                 土屋 義彦君                 宮崎 正雄君                 柳田桃太郎君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 小平 芳平君                 北條 雋八君    国務大臣        厚 生 大 臣  園田  直君    政府委員        内閣総理大臣官        房陸上交通安全        調査室長     宮崎 清文君        防衛施設庁長官  山上 重信君        防衛施設庁施設        部長       鐘江 士郎君        厚生政務次官   谷垣 專一君        厚生省環境衛生        局公害部長    武藤き一郎君        通商産業政務次        官        藤井 勝志君        通商産業省企業        局立地公害部長  矢島 嗣郎君        運輸省自動車局        長        鈴木 珊吉君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        警察庁交通局運        転免許課長    西川 芳雄君        文部省管理局振        興課長      高橋 恒三君        厚生省環境衛生        局公害部公害課        長        橋本 道夫君        建設省都市局技        術参事官     葛生 新一君        建設省道路局日        本道路公団監理        官        森  一衛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業公害及び交通対策樹立に関する調査  (交通対策に関する件)  (産業公害対策に関する件) ○大気汚染防止法案内閣提出衆議院送付) ○騒音規制法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  本日、原田立君が委員を辞任され、その補欠として小平芳平君が選任されました。     —————————————
  3. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 小平芳平

    小平芳平君 きょう私が初めに御質問しますことは、自動車教習所についての問題であります。  普通、文部省学校という場合は、いろいろ文部省のほうで学校に対するいろんな意味での指導なり監督がなされていると思うんですが、文部省のほうではこの自動車教習所に対してはどういうような面を指導しておられますか。
  5. 高橋恒三

    説明員高橋恒三君) 学校の中に、幼稚園から大学までの、いわゆる学校教育法で申します一条学校と、そのほかの学校教育に準ずる教育を行なう施設といたしまして、学校教育法の八十三条に各種学校というのがございます。その各種学校につきましては、御承知のように、私立学校でございますと、都道府県知事認可——つまり所管になっております。で、自動車教習所につきましては、いわゆる一条学校ではございませんで、後者の各種学校として認可され、学校教育運営にあたっているというのが実態でございまして、各種学校というのは、名のごとく洋裁学校からもろもろの、職業教育一般教育を含めまして全国で約八千ほどございますが、その中で自動車教習所につきましても、各種学校として認可を受けているものもございます。そういうものにつきましては、ただいま申し上げましたように、都道府県知事所管でございますので、都道府県において運営指導すべき点があれば指導いたしておるものと存じますけれども、やはり自動車教習所につきましては、指導者その他の点につきまして聞いておりますと、道路交通法関係が多いようでございまして、おそらくその関係の省からも指導がなされているものと考えております。
  6. 小平芳平

    小平芳平君 概括的に言うと、そういうことになると思いますが、いま振興課長さんの御説明で、自動車教習所の場合は、道路交通法関係もあるので、そちらのほうの省から指導がなされているだろうと言われますが、いかがでしょうか、警察庁のほうは。
  7. 西川芳雄

    説明員西川芳雄君) お答えいたします。  各県の公安委員会が、教習所指定運営全般について絶えず指導監督いたしておりますが、特に指導員の問題につきましても、たとえば指定自動車教習所連合会主催指導員講習が、年間、大体六回程度行なわれておりますが、これに対しまして、警察庁、あるいは地元の警察本部が中心になりまして、外来講師ども入れて指導員の教養をはかっておりますし、それから各府県の公安委員会が、各県の教習所協会連絡をとりながら、随時、指導員講習などを行なっている次第でございます。
  8. 小平芳平

    小平芳平君 実際は、指導員、それから検定員というのもあるのですね。この指導員検定員資格基準はどのようになっているか。そのことをひとつ御説明願いたいのと、それからもう一つは、こうした指導員については技術的な実技の面、あるいは法令の面での指導が行なわれているということはわかりますけれども、この教習所自体経営あり方、そうした問題について警察庁のほうでおやりになるかどうか。実際に学校教育法第一条の学校の場合でしたら、大体認可のときから、それからふだんの学校運営教育面についても、相当文部省がタッチされているわけですけれども、この自動車教習所の場合は、警察のほうではそうした実技とか、法令の面の指導訓練というものだけであって、なかなか学校自体経営なり、運営なりについてはタッチしておられないのじゃないかというような感じがしますが、いかがでしょう。
  9. 西川芳雄

    説明員西川芳雄君) 第一の、指導員等資格基準について説明せよということでございますが、これにつきましては、道路交通法施行令第三十五条に詳しく資格基準が定められておるわけでございます。  で、一例を申し上げますと、技能指導員につきましては、二十一歳以上の者であるということ、それからその者が技能指導をするわけでございますから、指導をするという自動車についての免許を持っておるということ、それからやはり何といっても教えることでございますから、技能を教えるということについての知識、あるいはその技術について公安委員会の行なう審査に合格した者であること、こういう要件などがきめられております。法令教習指導員、あるいは構造教習指導員、それから技能検定指導員につきましても、施行令三十五条に詳細の規定があるわけでございます。  それから第二番目の、経営あり方などについて警察はタッチしておるのか、おらないのかということでございますが、警察庁といたしましては、指定自動車教習所全国連合会と常時密接な連絡を保っておるわけでございます。で、その具体的な問題といたしましては、両者の間で、制度研究会というものを設けまして、単に法令技能というふうな教習の問題のみならず、教習所あり方ということにつきましても、随時研究会を開催して、いろいろ研究を重ねているという状況でございますし、それから各県の警察本部におきましても、その県の教習所協会とこれまた随時会合を持って、いろいろ打ち合わせをしているということがございます。
  10. 小平芳平

    小平芳平君 ちょっとまあ抽象的な表現でありましたが、私はまあ全然しろうとですから、よくわからないのですけれども自動車教習所のそういう経営面指導なり監督警察がやるということが、そうした道交法規定によってきまっているわけでしょうか。
  11. 西川芳雄

    説明員西川芳雄君) 法律上は経営につきましてどうこうというような規定はございません。一般的な教習がよいドライバーを育成するという面について、どうであるかという権限があるわけでございます。しかしながら、やはり実質的には、私ども先ほど申しましたように、制度研究会をもちまして、自動車教習所の要望なり意見も聞いて、私どもの手でできることについては考えていくということをやっておるということでございます。
  12. 小平芳平

    小平芳平君 で、文部省振興課長さんにもう一ぺんお尋ねしますが、まあ各種学校ですから、そういう法令——道交法にははっきりした規定はない、ただよいドライバーを養成するという目標の上から間接的に警察経営面にも指導監督をする。指導監督というほどのことは実際はできていないんじゃないかという気もしますけれども、まあ都道府県においてある程度のことはやっているらしい、まあやっているように思うと。だから、そういうような限度でよろしいものかどうか、要するに、各種学校に全部入っているわけでしょうか、教習所は、一体。
  13. 高橋恒三

    説明員高橋恒三君) 教習所が全部で何カ所あるか存じませんけれども、私どものほうの統計でとっておりますのは、教習所の数ではなくて、自動車操縦課程を置いておるものの数をとっております。でございますので、教習所の中で一教習所が二課程ないし三課程を持っているということを伺いますと、それを基礎にいたしまして約六百二十余り課程がございます。したがいまして、教習所の数としては各種学校になっておりますのはその二分の一ないし三分の一になろうかと思いますけれども、約六百余り課程各種学校として認可されていると、こういう状況でございます。まあ各種学校は非常に多うございますし、課程もまちまちでございますので、小平先生のおっしゃるように、行き届かない面はあろうかとも思いますけれども、主として各種学校としての経営全体については都道府県知事のほうで指導いたしておるものと考えておる次第でございます。
  14. 小平芳平

    小平芳平君 警察庁の方に伺いますが、教習所は全部各種学校になっておるのでしょうか。
  15. 西川芳雄

    説明員西川芳雄君) ただいま文部省のほうからお話がございましたように、現在自動車教習所は千百八十五校ございますが、半分ぐらいが各種学校であろうかと、こういうふうに考えております。
  16. 小平芳平

    小平芳平君 何かそういう点すっきりしないのですけれども自動車教習所というものがあると、その自動車教習所は非常に重要な任務を持っているということは、これははっきりしておりますね。その自動車教習所というものは——運転免許に対しては各公安委員会でこれはもう責任をもっておやりになっているということはわかるのですが、じゃその学校経営方針なり、あるいはその指導員資格基準にしましても、免許を持っていること、それから教える知識を持っていること、審査に合格したこと、まあそういう点はわかりますが、もう一歩、各種学校とは言いながら、やはり教育をする場所ですから、そこでもって人間人間関係において問題が起きやしないか、技術はりっぱだけれども、人格の面において問題を起こすような人がいやしないか、そういうような点に対する指導なり監督責任はどこかということが、ぼくはわからないんですけれども、それで文部省にお尋ねしたら、それは各種学校一つであると言われる。しかしそれは、半分ほどしか各種学校になっていないというこの現状のままでいいものかどうかですね。これはどこへお聞きしたらいいですか。
  17. 西川芳雄

    説明員西川芳雄君) 指導員の質の問題に関連して若干お話がございましたが、公安委員会審査に合格しておることという要件がございますが、この中には単に法令知識と、それから技能について一定の技術を持っているということだけではなくて、教習に関する知識ということも必要なわけでございます。そこで審査をいたします場合に、私どものほうでは基礎的な教育心理についての知識筆記試験で課するということにいたしておりまするし、それからこの審査筆記試験面接と両方含んでおりまして、面接という過程で、できる範囲内でよく人というものについて見ていくということになっているわけでございます。それから経営の問題につきましては、先ほど申し上げましたけれども教習所自体経営については、これは自分たちの問題でございますので、非常に熱心でございまして、たとえば全国指定自動車教習所全国連合会の中に、経営問題を研究する委員会というものも最近設置されまして、いろいろ今後教習所自体も考えていくと、そういうことでいろいろ教習所自体研究されて、一つの考え方を持った場合には、先ほど申し上げましたように、警察との間に随時制度研究会がございますので、そこで反映されるであろうし、私どもも、そういう場合に、できるものはバックアップするし、それから自分たちでできないものについてはごあっせんの努力などをしていきたいと、こういうふうに考えております。
  18. 小平芳平

    小平芳平君 先ほど来の御説明の中に、全国連合会が自主的にいろいろな運動をしておられるということが再三出てまいりますが、その点についてはわかりますが、私がいまここで問題として提起していることは、この自動車教習所というこの任務重要性から見て、いまのように、半分は各種学校だけれども、半分はそうではないと、警察庁では言われるし、文部省ではまあ半分かどうかもよくわからないというふうな程度で、国の行政としてはその程度しかできないものかどうか。この問題については、私はまた別の機会にもっとはっきりしたいと思っているんですが、現在の、今日の段階ではもう一度、振興課長さんから、文部省としてはそういう点について、半分かどうかもわからないというような各種学校になっているが、そういう程度の入り方しかできないものかどうか、それ以上の必要はないものかどうか、いかがですか。
  19. 高橋恒三

    説明員高橋恒三君) 数の点につきましては、調査のしかたがいわゆる教習所というとらえ方の単位にしないで、課程単位でとらえているものですから、ちょっとあいまいのようにお聞きになったのではないかと存じますけれども、まあ各種学校になっている教習所の数という単位でとらえてみた場合に、全国各種学校連合統計によりますと、三百五十カ所というふうに出ております。しかしこれは、私どものとりました調査の数字ではございませんので、はっきりいたしませんけれども、私どもとしては課程数でとっております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、課程数六百二十カ所の約半分くらいではなかろうかと、こういうふうに申し上げたわけでございます。また、いわゆる教習所教育内容面そのものにつきましては、私どものほうの中で職業教育課関係あろうかと思いますので、省内でまた連絡をとり、また警察庁のほうにも御連絡申し上げて、この教習所重要性というものはもちろん申すまでもないことでございますので、さらに注意を喚起してまいりたい、こういうふうに考えております。
  20. 宮崎清文

    政府委員宮崎清文君) 先生の御指摘の点を伺っておりますと、指定自動車教習所は、実質的にはそこで運転に関する教育を行なっているから一種の学校ではないか、それにもかかわらず各種学校としてすべてが認可されていないのは、その間に矛盾があるのではないか。あるいはその問題について将来どうするつもりかという御質問の趣旨であろうと拝察するわけでございますが、率直に申しまして、経過から申しますと、指定自動車教習所と申しますものは、もっぱら、交通安全と申しますか、よきドライバーを世の中に送り出すと、こういう観点からできた施設でございまして、したがいまして、これに対する監督も、一次的には道路交通法を取り扱っております警察庁、具体的には都道府県公安委員会でございますが、この所管で従来行なわれたというのが実情でございます。したがいまして、交通安全という点だけに限定して考えますと、警察のサイドで、施設がはたして基準どおり十分なものであるかどうか、そこにおいて法令なり技能講習基準どおり行なわれているかどうか。さらには、最近問題になっておりますが、運転手のマナーというようなものも、あわせて教育が行なわれておるかどうか。こういうことを監督すれば事足りるというたてまえになっているわけでございます。ただ、それと別個に、たまたま指定自動車教習所といたしまして指定を受けました施設設置者が、同時に各種学校認可を受けた場合——これは受けているものもございます。これは、先ほどから文部省のほうでお答えいたしております課程と申しますのは、そういうコースという意味だと思いますが、それが六百幾つある、学校の数にいたしますともう少し下回るのではないかと思います、施設として。これは道路交通法では必ずしも予想していなかったことでございます。その点で、現実状況としては指定自動車教習所でありながら各種学校認可を受けているものと、そうでないものがある。そういう結果になっております。この点につきましては、まだ政府全体といたしましてその調整等は実は考えたことはございません。しかしながら、もし現実にそういう点でいろいろ問題があるといたしますれば、今後私のほうで連絡をとりまして、警察庁文部省、いろいろ関係者が集まりまして検討を加えたい、このように思っております。
  21. 小平芳平

    小平芳平君 それは、ひとつぜひ検討を加えていただきたいと思います。私も、各種学校へ入っていないというのがけしからぬと言っているわけでもないんですよ。私が申し上げていることは、何回も申し上げますように、はっきりしないというのは、やはり文部省のいう学校学校としてのはっきりしたものがあるわけですから、それが自動車教習所の場合は、指導なり監督なりは運輸省がやっているかもしれないみたいに思っている人もあるわけですよ、実際問題として交通問題だから。かといって、学校だから文部省がやっていると思っている人もあるかもしれない。そういう点がはっきりしないで、こうした重要な問題がはっきりしない状態にあるのは問題だといっているわけです。ですから、いまおっしゃるように、関係者検討していただけばけっこうだと思います。  それから次に、この自動車教習所のやり方について、二、三お伺いしますが、あの教習所時速三十キロ以上のスピードは出せないようなところで練習をしているわけですね。それではちょっと実際の免許を取って、外を走る場合の後に立たないじゃないかということ。それから簡単なことですから重ねて申し上げますが、たとえばいろいろな技能教習細目というのがあって、交差点の通り方とか、いろいろあるわけですが、そういうことは、あの狭いところでぐるぐる回っているだけでは、実際活用できないということを言っている人があるわけですがね。そういう実情にあるのじゃないかということを——。それから高速道路に対する訓練というものが全然ないわけですね、現在は。それからアメリカではハイスクール大学運転技術を教科として取り入れているというのですが、日本ではそういうことは全然ありませんが、そういうようなことについてはいかがですか。それから教習所におけるカリキュラムについても、最近の交通事情からして、再検討することが必要ではないか。それから、いまの教習所では指導員が一緒に乗ってやっているのですが、これは、一人で運転させておいて無線指導するというような方法も外国では例があるようですが、日本ではいかがですか。大体、教習所内容について、そういうような点をいま問題としておりますが、そうした技術的な面について、簡単でけっこうですから、御答弁いただきたいと思います。
  22. 西川芳雄

    説明員西川芳雄君) お答え申し上げます。  第一点の自動車教習所では時速三十キロぐらいの速度の教習をやっておる、そういうことでは実際の運転にはまあ役に立たないのではないかというお話でございましたが、もちろん初めて車を運転するという人に教えるわけでございますので、どうしてもそういう意味ではスピードという問題については三十キロ程度ということであろうかと思います。しかしもちろん、それでいいというわけではございませんので、現在の法令でも路上教習——実際に路上に出て、指導員と乗って、運転をしてみるという路上教習を必ずやるように、基準の中にそういう意味で入れておるわけでございます。それからさらに、この教習所で教えて、そして最後に卒業をさせるときに、路上検定というものを行ないまして、この路上検定に合格をしなければ、さらに補習授業をやる、こういうことになっておるわけでございます。この路上検定というのは、一般の各県警察本部がいたしております試験場での試験と全く同じ内容で行なうように定めておるわけでございます。そこで問題は、ここで卒業した者が、しからば実際の運転に役に立たないかどうかという問題でございますけれども、教わったことを教わったとおり慎重に行なえば十分足りるものと、こういうふうに私どもは感じておるわけでございます。  それから第二は、高速道路がたくさんできてきた。そこで道路がそういう実情にあるときに、高速道路で走るまあ高速走行といいますか、それの訓練が行なわれておらないということでございますが、これは確かに、そういう早いスピードで走る訓練は行なっておりません。これは、やろうと思いましても膨大な施設が必要であるということもございますけれども、現在の時点におきましては、まだこれをやり得る実情にはないということでございます。しかしながら、日本ハイウェー時代に入りましたので、私ども現状でいいとはもちろん思っておりません。そういう意味で、ことしの二月及び五月の二回にわたりまして、高速道路事故実態を分析してみますと、高速で走ることについての知識を十分身につけておるならば、大部分の事故は防げる、こういうことを感じまして、ことしの二月には全国教習所に、高速走行についての知識教習中に行なえということを示達いたしましたし、また五月には私どものほうと、指定自動車教習所全国連合会と協力してつくりました「安全運転知識」という教科書的な本をつくりましたが、この「安全運転知識」という教科書の中にも、高速走行に関する必要最小限度知識について明記をいたしまして、そうしてこれを全国教習所が必ずこの条項について、教習中教えるようにということの指示もいたしまして、高速道路時代に即応した教習内容にするべく措置をとった次第でございます。  それから、第三番目のアメリカハイスクールなどにおける運転訓練の問題につきましては、後ほど陸上交通安全室長のほうからお答えがあると思いますので、私のほうでは省略いたします。  それから第四番目の、最近の交通事情にかんがみて、教習所でのカリキュラムの再検討をしてはという御意見につきましては、私どもも、そういうふうに感じまして、私ども自体今年度の重要な作業の一つとして、カリキュラムを再検討いたしたい、さように思っている次第でございます。  それから第五番目の、指導員が一人で一人の教習生を教えているという現状に対して、無線でもってやることはどうかということでございますが、この問題につきましては、交通安全の見地からよく検討をしていきたい、特に指定自動車教習所連合会におきましても、この問題に関心を持ちまして、いわゆる教習内容の改善あるいは科学化ということで専門委員会も組織をして、研究を始めるということでもございますので、こことも連係をとりながら将来検討していきたい、かように考えております。
  23. 宮崎清文

    政府委員宮崎清文君) 高等学校大学等でドライバー教育をすべきではないかという御意見でございますが、全く御指摘のとおりであると思います。  現在、御承知のように運転免許人口は大体二千四百万程度でございますが、これはおそらく数年で三千万をこえると思われます。老人と子供を除きますと、おそらく成年の男子のほとんどは免許を取ることになるのではないか。一方、高校を卒業いたしまして特に中小企業等につとめます場合には、運転免許を持っているということが非常に有利な条件になっている現状でございます。そういった点を考えますと、これは将来の問題といたしましては先生御指摘のように、でき得れば高等学校等におきまして——現在高等学校等でございますと十六歳がやっとでございますから、二輪と原付きの免許しか取れませんが、いずれにいたしましても、そういうモーターがついております車を動かす技術を十分に学校で教えまして、正しいドライバーとして社会に送り出すということが、非常にいいことではないかと思っております。ただ現実の問題といたしましては、施設の面でございますとか、あるいはそれを教える人が必ずしも十分でないというふうな、いろいろなネックがございますので、これらの点は長期的に考えてまいりたい、このように考えます。
  24. 小平芳平

    小平芳平君 ちょっと私、説明を落としましたので、たいへん失礼しましたが、初めのうちは三十キロでも十キロでも、とにかく車を動かすこと自体、そこから練習するわけですから、まあそれがいけないというわけじゃないのですが、これは施設が限られた施設でございますから、どうしてもその施設内で練習している限りでは、スピードに対する訓練というのは無理だと思うのですね。これはまあ仮免許のまま外を走る、その場合でもいまは五、六時間しかやらないというのですが、それは少なくとも十時間ぐらいは外を走る必要があるのではないかという、まあ一つ意見なんですが、それに対するお考えを……。  それから、室長さんにお伺いしますことは、先ほどもちょっと触れましたが、いま御説明してくださったように、このドライバーの人口がもう急激にふえている。男子のみならず女子が多いんですね。そこでもってここに一つの問題が——この指導員と学びに来ている女子なんですが、その人対人の関係でおもしろくないようなことがあったということを、まあ私は聞いたわけですけれども、それは現在ある教習所に軒並みにそういうことが起きているということじゃもちろんありませんけれども、これからますますそういう点が——いずれにしてもこの技術を覚え、法令を覚えるということが主眼ではありますけれども、やはり片方は習いに行く、片方は教えるという立場ですから、そこでもって指導する人の人格面というものが問題になると思うのですが、先ほどの、この教習所関係者が集まって検討する際に、ぜひともその一項目を入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。以上二点について。
  25. 宮崎清文

    政府委員宮崎清文君) ただいま御指摘の点は、実態をよく調査いたしまして、十分検討させていただきます。
  26. 西川芳雄

    説明員西川芳雄君) 第一点の路上教習の時間をいまよりも倍にしたらどうかという点につきましては、教習時間を長くするということは、もちろんそれ自体はたいへんけっこうなことだと思います。しかし反面、時間を長くするということは、受講者といいますか生徒がそれだけまた経済的な負担がかかるという問題等もございますので、十分そこら辺を検討いたしていきたいと、かように思う次第でございます。
  27. 小平芳平

    小平芳平君 じゃ、教習所についてはそのくらいにして、あと、この交通事故についてです。毎日もう新聞は大きな見出しで交通事故の報道をしている。特にこの高速道路——東名高速道路事故ですね、これはもう極端にあ然とするような事故がもう次々と報道されている。で、休日でも続けば死者何人というのが必ずというふうに報道される。こういう現状について、まあここに問題があるわけですが、私が教習所のことを問題にしたのも結局は、もう少し基本的にこの事故を防止していく対策というものがないかどうか。それはまあ警察としてその取り締まりという点が一つはあるわけですが、これはこのスピード違反を認めて検挙するというそれ以前に、もっとこうした目に余る無謀運転とか、若者が追い抜きレースをやって、その事後処理のため大混乱になったとか、そういう点についてもう少し根本的な対策が必要だと思いますがいかがですか。
  28. 西川芳雄

    説明員西川芳雄君) ただいまの問題は、技術よりも、あるいは知識よりもドライバーとしての心がまえというふうなことが非常に影響があろうかと思うわけでございます。そこで警察といたしましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、最近「安全運転知識」という教科書をつくり、そうしてこれを全国教習所で、必修科目として教習することにいたしておりますが、この中にも安全運転の心がまえということで、一般的な人命のとうとさ等の問題、あるいは運転マナーの問題、こういうことを教習中にみっちり教えていただくように、全国的に指示をいたしました。それと同時に、御承知のように全運転者は三年に一ぺん免許証の更新を受けるわけでございますので、警察といたしましては、この更新の機会に、やはり講習を行なうことがいいであろうということで、その際にもこの教科書に基づきまして、いまのマナーという問題も十分教育していきたい。かように考えておる次第でございます。
  29. 小平芳平

    小平芳平君 最後に、いまの高速道路についてですが、新聞の記事では、高速道路の構造自体にも問題がありはしないですか。事故を防止するという観点からすれば、高速道路の構造自体にもっと研究すべき点があると、新聞では幾つか具体的に指摘をしておられますが、別にぼくはできませんから、実際にどうかということはわからないですが、そういう点、建設省としては高速道路の構造について検討すべき点があるとお考えかどうか。警察のほうでは事故防止の点から言って、現在の高速道路の構造なり施設についての欠陥を感じておられるかどうか。また、そういう点をお互いに検討し合うというような機会は、お互いにあるのか、ないのか。その点について伺っておきたい。
  30. 森一衛

    説明員(森一衛君) 東名高速道路が開通いたしまして、開通当初管理上の若干の不手ぎわがあったかと思うのでございますが、非常に重大な事故を引き起こしまして世間を騒がせましたことは、非常に申しわけないと思っておるわけでございますが、まあ東名高速道路につきましては、名神高速道路の経験に徴しまして、なお一そう公団といたしましても、私どもといたしましても検討いたしまして、改善した数点がございまして、これ以上のことはなかなか考えられないのではないかというところまで一応考えたわけでございます。  その数点をここで簡単に申し上げますが、まず走行のしやすいように照明を明るくいたしまして、そうして大体照明のあるところにおきましては、路面が平均十ルクスくらいになるように照明をいたしました。照明は大体インターチェンジとか、あるいはサービスエリアとか、あるいはバスストップとか、駐車場もございます。そういう駐車場等の前後におきましては、十分照明をいたしておるわけでございます。特にトンネル等における照明が問題でございますので、東名高速道路におきましては照明度を一そう上げまして、大体内部は六十ルクスくらいにしておるわけですが、運転をする場合にトンネルの入口で急に照明の関係でちょっと目がくらむような場合もあるわけでございますので、特に配慮いたしまして、千ルクス以上の照明をするというような配慮もいたしまして、そういう目のくらむことのないような配慮をいたしております。そういうことで、照明につきまして相当の配慮をいたしておるわけでございます。  それから安全、事故防止という点から中央分離帯における防護さくをできる限り配慮いたしまして設置をしたということ。これは名神におきましては、分離帯に植樹をいたしまして、防眩措置と申しますか、夜間、対向車の照明によります目のくらみを防ぐために植樹をしてございますが、東名高速道路におきましては若干植樹の高さを高くしたこと。それから植樹と同時に分離帯の中央に防護さくを設けまして、まあ非常にハイスピードで走りますと、衝突などをいたしましたり、あるいは横転などをいたしまして、ショックで分離帯を越えてとんでいく、そういう場合があるわけでございますから、そういう経験に徴しまして、防護さくを設けることにいたしたわけでございます。  それからさらに、標識等につきましても、なるべく、これは標識令というのがございまして、規格はきまっておるわけでございますけれども高速道路におきます標識は、スピードも出ている関係がございますので、字を大きく書くとか、あるいは標識の大きさを大きくするとか、そういうような配慮もいたしますし、また高速道路の入口に対する誘導標識等も、できる限り十キロの範囲内には設けまして、入りやすいように、そういう配慮をするというような措置もとっておるわけでございます。それからさらに、もう一つ、安全の点から配慮いたしましたことは、路肩を名神高速道路よりも広くいたしました。路肩と申しますのは、走行車線の左のほうに相当幅広くできておりますが、それが二・七メートルというのが名神の幅でございますけれども、五十センチ広くいたしました。かりに事故が起こりましても、その路肩に自動車を寄せまして、故障の修理なり、あるいは修理のできない車はレッカー車等によって排除する、そういうようなための一時的な置き場としての効用を果たせるように、そして走行車線のじゃまにならないように、そういう配慮をいたしました。そういうような数点の配慮をいたしまして、改善を加えたと、こういうつもりでございます。大体以上でございます。
  31. 小平芳平

    小平芳平君 協議をしているかどうか。
  32. 西川芳雄

    説明員西川芳雄君) 高速道路につきましては、事前にも事後にも、よく建設省と連絡をとってやっております。     —————————————
  33. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) この際、委員異動について報告いたします。  本日、矢追秀彦君が委員を辞任され、その補欠として北條窩八君が選任されました。     —————————————
  34. 木村美智男

    木村美智男君 質問に入る前に委員会の皆さまにお礼を申し上げたいと思います。五月十三日には大へんお忙しいところを、松澤委員長をはじめ各先生方には、わざわざ現地までおいでになり、グランドハイツの汚水処理場の施設を視察いただきまして、まことにありがとうございました。  防衛施設庁長官にお伺いしたいわけですけれども、園田さん、いい機会に来ておられますので、こういう実情もあるという意味で、ちょっと大臣にも聞いていただきたいのですが、きょう実はお伺いする問題は、東京の練馬にグランドハイツというのがありまして、アメリカの駐留軍の兵士の家族を主体にして、約五千人ばかり、従業員も含めて居住をしておるわけであります。これらの便所の関係やら、洗濯やらの汚水の処理場がその近くにあるわけであります。その処理の施設が非常に老朽化してまいりまして、それは二十二年当時できたものでありますが、散布ろ床方式と申しまして、散水式にあの汚水が処理されるものですから、まず悪臭がある。それから、ろ床から当然こまかなハエが何万何億と数多く発生をして、きわめて大きな実は公害問題になっておりまして、本委員会でおとりあげをいただいたわけですが、十三日に松澤委員長をはじめ、先生方に現地を視察していただきましたので、実情についてはできるだけ省略をしていただきたいと思いますが、視察の段階で米側のあのグランドハイツの責任者、それから立川基地の施設関係責任者の代理——双方とも少佐で、陸軍少佐、航空少佐でありますが、これを相手に私ども懇談をいたしまして、いろいろお話をしましたが、ハエや悪臭については、米側も当然責任は感じておるということではあります。どうしたら食いとめられるかということで苦慮しておって、まあ周辺に木も植えたのだ、こう言っておりますが、実際見ましたら、このくらいのヒノキでありまして、まだ苗木です。全然用はなさないのですが、気持ちはわかるような気はしますけれども……そういうことであります。で、施設改善についてむしろわれわれのほうの意見を聞かしてほしいという、そういう態度でありまして、要するに、あそこの現地としては、あれを処理する権限というものを持ち合わしていないというのが、どうも実態であります。したがいまして、こちらからもざっくばらんに申し上げましたら、向こうも同意されたことは、日米合同委員会にひとつ持ち出してくれということでありましたので、まあそういう懇談で一応帰りました。その後、現地を視察して、住民の皆さんの声も聞いてまいりましたが、とにかくハエをなくしてほしい、何とかできたらこのにおいのほうも消してほしいというような、強い要望でありましたので、そういう点からひとつ——防衛施設関係も同行されましたので、その後若干の検討はされたと思いますから、一、二お伺いして、できればこの際方向づけをお願いしたいというふうに思うわけであります。  まず第一番に——あの日は、皆さんが行かれるというので、ちょうどうまいこと消毒をして、たいへんきれいにされておったものですが、ほんとうは、私が行ったときのほうがはるかに実情はひどかったのですけれども、それでもやはり先生方も、これはこのままではうまくないという皆さんの御意見でございました。まず第一に、いま月に二回ぐらいハエをなくすために水をはったり、あるいは薬をまいたりということをやっているようですが、これではやはり回数が足りないので、どれくらいの回数がいいのか、それはひとつ実際問題として御検討いただいてけっこうだと思うのですが、もっとひんぱんにひとつハエを駆除するための、水をはったり、あるいは薬をまいたりということをやってもらうことができないかどうか。これは区その他の予算の関係ではできないと言う。七十万程度の予算を組んであるようですが、それでは間に合わないということでありますので、この点が一つ技術的には週に何回やったらいいのかということは、ハエが出ないような限度の中で、ひとつそういう措置をとっていただければいいわけでありますから、これはおまかせしたいと思う。  それから二番目には、やはりあそこにおおいをかける必要があるのじゃないかという点も、これはまた委員の皆さんのほうからも伺っているわけであります。そうして、ときには、やはり風を入れなければなりませんから、そういう意味で、ある程度はずしたり、あるいは閉じたりすることを可能にする関係で、鉄さくか何かつくってビニールのおおいをすることをひとつ検討してみてもらえぬだろうか、これが当面の対策の二つ目。米側も権限がないと言われておりますので、ぜひひとつ日米合同委員会の議題に持ち上げていただきたい。その中でやはりどうも、いまの散布ろ床方式では旧式な施設なんでありますから、これをやはり活性汚泥方式という新しいものにかえることを、ひとつ御検討をいただきたい。それで、これは相手のあることでありますから、合同委員会で考慮をしていただいて、最終的に米側がだめだというのなら、これはやはり一つの大きな公害問題として、防衛施設庁として腹をきめていただきたい。みずからの手でこれをやり遂げるということを——この際、費用にしましても、大体基礎工事を除けば、機械設備は約五千万前後じゃなかろうかというふうに言われておりますし、あるいは基礎工事を含めても、まず七、八千万円で何とかなるのじゃないかというふうに言われておりますから、具体的なことは私、専門家でございませんのでわかりませんが、その辺で何かひとつ腹をきめていただいて、とにかく近い将来に、施設改善の問題を具体的に検討するという立場に立っていただけないかということが、二番目であります。  三番目は、きょうせっかく建設省のほうから見えられておりますから、お伺いをしたいのでありますが、あの地域は、いま上水道の幹のほうだけがようやくここ二、三カ月前にできたばかりで、そういう環境の悪いところでありながら、まだ上水道すら完備してないのですから、下水道という問題は現実的な問題としては多少問題はあろうと思うのですけれども、下水道を通すことによって、たとえば、あそこで汚水処理場の施設をくぐらずに流していっても、これは一般の東京都内における家庭と同じだから、私問題ないと思うのですが、その点は問題があるのかないのか。ないとすれば、大体あそこは下水道を早く敷くことについて、特殊な事情でありますから、関係の東京都とも、ひとつ具体的な協議をしていただく、そういう措置がとれないかどうか。こういう三点をお伺いしたいわけであります。施設庁長官のほうからひとつ。
  35. 山上重信

    政府委員(山上重信君) グランドハイツの汚水処理場の問題につきまして、当委員会委員の諸先生方が、わざわざ現地を御視察いただきまして、いろいろ御指導をいただきましたことにつきまして、この機会をかりまして、お礼を申し上げたいと思います。  ただいま御質問のございました点につきましては、先般の委員会でもお答え申し上げたわけでございまするが、当面の措置といたしまして、現在までにとってきました改善策、それだけでは不十分ではないかということでございまするが、いまの殺虫回数をもう少しひんぱんにするということにつきましても、これはお話にもありましたが、やはりそれによって今度は汚水処理のほうに影響があってはいけませんので、検討した上において必要な回数をふやすというようなことも含めまして、調査をいたすように話をしたいと、かように考えております。  また、ビニールもしくはその他の方法によって、おおいをかける、これはまあハエの散布を防止するというような意味合いから、これまた一つの方法であろうと思われますので、こういう方法も考えなきゃいかぬかとも思います。同時に、あの改善策の方法としては、その他にもいろいろ散水時間をもう少し連続方式によってハエの発生を防止するというようなことも考えられるようでございまするし、また、ろ床を、ハエの発生状況から見まして適宜満水するという方法もあるようでございます。これは、ある程度時間を持続しておくことによってハエの幼虫を殺すというような方法もあるようでございます。それに加えて、ただいまおっしゃったような散布回数をふやす方法とか、あるいはビニールもしくはその他の方法により網を張る方法、いろいろあると思います。これについて予算が伴うという問題もあろうかと思いますが、これら現在の施設を前提として応急の——当面のと申しますか、改善策についても早急に処置を願うように申し入れるつもりでございます。  もう一つの問題といたしましては、根本的にただいまの施設ではいろいろ不備があるのではなかろうかということでございますが、これはいまの方式がすでに二十二年ころのものでございまするので、相当前の方式であり、かつまた、古くなっておるということもございますので、活性汚泥方式というような方法、あるいはただいまお話のございました将来に向かっての問題でございますので、地元における下水処理の方式と組み合わせて方法がないかということも考えなければいけないかと思います。いずれにいたしましても、ただいまのものに応急の措置をする一方、根本的な改善策——活性汚泥方式あるいは下水処理の地元との協力態勢によるところの改善というようなことも含まれると思いますが、これらにつきましても米側の善処を求めるように、中央段階において交渉するつもりでおります。  なお、これに伴って、交渉の結果いろいろ問題が起きた場合にどうするかということでございまするが、これはもちろん米側の善処を求めるわけでございますので、その結果によりまして、これがうまくいかないというようなことのないように、その際におきましてはもちろん当方といたしましても、関係機関と十分相談いたしまして、この問題が前向きの形で処理できるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  36. 葛生新一

    説明員(葛生新一君) 公共下水道の件でございますが、第一点といたしまして、公共下水道が幹線につながったならば、現在の散水ろ床をやっております処理施設を通らなくてもよいかというお話でございますが、私ども現在持っております東京都の公共下水道の計画といたしましては、新河岸の処理場に結ぼう、こういうことでございますので、このグランドハイツの中の散水ろ床の処理施設を通らないで、直結して処理いたします。そういうふうに考えております。なお、この公共下水道につきましては、いろいろと予算その他につきまして御配慮を願ったわけでございますけれども、現在の段階におきましては、一応このグランドハイツのほうにまで公共下水道として幹線がまいりますのは、いまのところ四十八年ごろの見通しでございます。そういうことでございますので、またさらに東京都とよく打ち合わせをいたしまして、少しでも早く直結できるような方向で検討してまいりたいというふうに考えております。
  37. 木村美智男

    木村美智男君 大体原則的な考え方はわかりましたが、いかんせん、もうすでに発生を現にしている問題でございます。したがって、応急措置の問題については特に時間的に急いでいただくという問題と、それから幾つかを取り上げられましたが、私もお伺いをした際には、いろいろ併用することを含めて実は申し上げておりますので、そういう立場でひとつこの点は御検討をいただくということで、最初のほうは了解したいと思うんです。それから二番目の関係は、まあ交渉がどうなるか、相手のある問題ですから、おっしゃることはよくわかるわけですが、いずれにしても前向きの姿勢でというところに信頼をいたしておりますので、交渉したらだめだから防衛施設庁が投げちゃうということでは、これはどうも困る問題であります。そう私は考えているわけじゃないんで、必ずやってくれるというふうに考えておるわけですが、あとはひとつやっていただいた結果を見て、また委員会にできれば御報告いただくということにして——いずれにしましても、ひとつこの当面の解決をまず急ぎ、将来の解決についてもひとつ展望を持っていただく。もちろん下水道の関係について四十八年と言われている予定との関連が一つ出てきますけれども、そこのところは次の機会に十分ひとつ御意見も申し上げたいし、お伺いもしたいと思うんです。こういう状態でありますから、大臣にもお願いしておきますが、ひとつこれは公害問題としてたいへんな——実は申し上げ方が適当かどうかわかりませんが、アメリカさんのふん尿によって被害を受けているという関係で、いきさつからいうと、いろいろあるんですけれども、しかし、現にこうむっている火の粉はやっぱり払わなきゃならぬというこの立場を、やはり原則的にとっていただいて、ぜひ防衛施設庁のほうとしても早急に改善策をとっていただくようにお願いをしまして、私はきょうの関係としては了解をしておきまして、的確にやはり御報告をいただきながら、早急解決をはかっていただくように重ねてお願い申し上げまして、終わりたいと思います。
  38. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  39. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めてください。  本日の調査は、この程度にとどめます。     —————————————
  40. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 次に、大気汚染防止法案(閣法第一〇五号)(衆議院送付)及び騒音規制法案(閣法第一〇六号)(衆議院送付)、以上両案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  41. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 大気汚染防止法案騒音規制法案の両案に対しまして質問をいたしてまいりたいと思いますけれども、まず最初に欧米諸国における公害規制法について質問いたしておきたいと思います。ことにイギリス、アメリカ、西ドイツ、フランス、この四カ国における公害防止法に対する法体系、この問題が一つと、それからその特長ですね、これをひとつ公害部長のほうから説明を願いたい。
  42. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) まずアメリカでございますが、アメリカの大気汚染防止法は、最近やっぱり連邦政府が非常に乗り出しておりまして、大体厚生省が中心となっていろいろの援助措置を各州に対しましてやりながら、法体系が漸次改善されているような状況でございます。  それからイギリスでございますが、イギリスでは主として厚生省当局が中心となりまして、クリーンエア・アクトというものができて取り締まりが行なわれている状況でございます。  それからドイツは、やはり厚生省……
  43. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 答弁中ですが、たとえばイギリスでどういう法律があって、その特徴は三つか四つあると思う、その辺までひとつ説明していただけませんか。アメリカの連邦政府のは大体内容的にどういうものが代表的な……。
  44. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) アメリカでは、クリーンエア・アクトという大気汚染防止法がございまして、連邦政府基準をきめまして、地方各州はそれにのっとりまして具体的な規制基準をきめてやっております。  それからイギリスでは、厚生省が中心となりましてやはりクリーンエア・アクトというものがございまして、細部は各市等でも、こまかいいわば日本で言いますと、条例に相当するものが各地方政府できめられておりまして、それによって保健所等が実施しております。  それからドイツでは、厚生省がいろいろの基準を中央できめておりまして、第一線は日本でいいますと、ちょうど労働基準監督署のようなところで、具体的な取り締まりが行なわれております。  フランスでは、あらゆる公害——たとえば大気汚染、その他ネズミの害に至るまでの公害について、いわば基本法的な考え方で公害の総合的な法律がございまして、大体日本で言いますと戦前の衛生警察的な取り締まりが警察署を中心として行なわれております。なお新しい基準等につきましては、もちろん厚生省がいろいろ基準をきめているようでございます。  概略でございますが、詳細は公害課長のほうからお答えいたします。
  45. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 法律の仕組みのある程度詳細な点になりますと、イギリスにつきましては、一つは、大気清浄化法という法律がございまして、その大気清浄化法は、保健省と、もう一つはローカル・ガバメント・アンド・ハウジングでございますから、建設省と自治省に当たる——この二省が担当いたしておりまして、それによりまして無煙地区というものを設定いたしまして、無煙地区の中の家庭で使います燃料には無煙炭を供給しまして、黒煙を追放するという策を行なっております。この無煙地区を順次拡大していっております。  それから、もう一つは、化学工業に対しましてアルカリ事業等規制法というものを百年くらい昔からやっております。一つ一つの化学工場の工程を毎年登録制にいたしておりまして、これは国が直轄いたしておりまして、二十数人の専門のインスペクターを置き、地方に分所を置きまして、化学工業のばい煙関係を取り締まっております。現在、イギリスにおきます大気汚染の関係はこの二法でございます。  次は、西ドイツにおきましては、一つは連邦政府でやっております営業規制法というのと、もう一つ日本の民法に当たるもの、この二つのものがございまして、営業規制法の中で大気汚染に関連した人間の権利侵害というものを規制する一般の原則をきめております。  それから民法の関係でしんぼうすべき義務の範囲というものをきめております。実際の実施は、州政府に入っておりまして、国のレベルで専門家によって制定されました基準を、州が一つ一つ州法によって採用いたしまして、州がその実施に当たるという形をとっております。その末端の官署につきましては、先ほど公害部長が申し上げましたように、社会保障及び労働関係の省がこれに当たっております。一九六五年に新しい、大気の測定関係の法律ができまして、これはドイツの保健省が所管をしております。それによりまして州の段階におきまして測定の網の目を張りまして、州におきまして日本の緊急時の措置と同様な形の措置がとれるような形態をとっております。一部の州では、こういう緊急時の措置の条項等をアメリカの例にならっていたしております。  それからアメリカでございますが、アメリカは大気清浄化法という法律を新たに制定いたしまして、この大気清浄化法では連邦政府がどの地域を一体コントロール地域として規制するかということをきめます。同じ空の空気の流れの下にある地域ということで、アメリカの大陸を幾つかの大気圏に分けまして、そうしてそこの中で幾つかの自治体が一つの防止区域を結成するということをいたしまして、防止区域の中で広域的な防止委員会を設ける、あるいは州単独の場合もございますが、その防止委員会が、州が連邦政府のほうからの指示によりまして示されました基準を採用するかいなかという点を、自分らの州あるいは州連合の形の防止委員会検討いたしまして、そうして議会の議決を経てその基準を採用し、それを連邦政府に出して防止計画をつくり、それを連邦政府が承認して、それに対して補助金を出すという仕組みをとっております。もしも自治体でやらない場合には、連邦政府が直接介入するという、形式の新しい法律になっております。  フランスにつきましては、先ほど部長が申しましたように、公害関係人間の健康を妨害するようなもの、あるいは危険なようなものにつきまして全部合わせました生活妨害及び生活に危険を及ぼすものについての規制法というものを国が持っておりまして、実際の行政は州単位警察行政が単位となって行なわれております。  一点申し落としましたが、自動車の排気ガスの処理につきましては、アメリカの場合には連邦政府の新たな空気清浄化法の中の一環に設けられており、保健所がこの基準をきめますが、それらの実際の取り締まりになりますと、別の道路車両運送法と類似の法律がございまして、それによって規制されております。そのほかの国におきましては、日本と同様、道路運送車両法の体系というようなものによって保安基準で取り上げるというような形態をとっております。
  46. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そこで、厚生大臣にお伺いするのですけれども、いま一応欧米諸国家のうち四カ国の実例というものをお伺いしたわけですけれども、第一点は、その公害対策の総合性についてなんです。たとえば、イギリスあたりでは、日本で言うと厚生大臣に該当する人が一括これを掌握している、あるいはアメリカにおいても連邦関係でございまするが、この保健関係省がそれを掌握する。こういうことになっていると思う。そういうことからみますと、今回の二法案の内容というものは、一面にこの厚生大臣がおり、一面において通産大臣がいる。いわば二人が頂点に据えられておる。こういう姿であります。そういうことでは今後の運営上、ことに実施法と言われている二法案については、うまい運用というものができていかないのじゃないか。こういうふうに考えるのですけれども、その辺の総合性について厚生大臣の見解をひとつ伺いたい。
  47. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) まず公害対策上、行政の一元化ということをしばしば言われておりますが、現在の立場で行政の一元化をすることはなかなか実際問題としては困難でございまするし、今後も複雑になっていく、行政上相当困難な面があると思いまするが、少なくとも最終面における問題だけは、やはり厚生大臣が一本にしぼるという立場で公害対策をやっていかなければ、なかなか困難ではないか。ただいまお願いしました二つの法律案につきましても御指摘のような点がありまして、それが二つにまたがっているというよりも、むしろ、いままでのままで厚生大臣がやや発言ができるようになったという点もなきにしもあらずでございます。この点は将来の問題として検討もしなきゃならぬし、行政運営上もよほど注意していかなきゃならぬ。ただし、この折衝をやります際に、窓口だけは厚生省一本というふうに各省の話し合いがなっているわけでございます。なおまた、法律案のいろんな問題の調整の場合には、それぞれ目的は達するように話し合いはいたしまするが、法体系としては御指摘のとおりだと考えております。
  48. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 具体的な内容については逐一質問してまいりたいと思うのでありますが、たとえば、このアメリカあたりで、州の水汚染規制、こういう場合には水試験委員会というものが設置されておりまして、州の保健局なり農業及び市場局、あるいは管理局、商務局、あるいは公共土木局、こういうところからそれぞれこの委員を選定をいたしまして、いわば行政とは違った独立機関としてそういう公害関係の規制措置をぴしっとやっているのですね。これは一つの例だと思うのでありますが、そういうことでないと、これはあとからいろいろ出てきますけれども、たとえば、運輸大臣が排気ガスの問題について認可承認を与える。こういったような問題がございますけれども、そういったことでないと、これはうまい運用が出てこない。許可を与える者と同じ者が監査をしていくということでは、どうも徹底を欠くおそれがないか。そういう問題については一体どういうふうにお考えですか。
  49. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) そういう各省の問題について、公害に対するいろんな処置をする場合には、十分公害の責任者である厚生省の意見を聞いてやるということになっておりまするので、その点でカバーしていきたいと思いまするが、やはり御指摘のように、将来にわたる検討問題としては、最終部門においてはこれを一元化する方向にするか、あるいはそういう別なものをつくるか、こういうことを考えていかなければならぬのじゃないかと考えております。
  50. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 基本的な問題についてあと二、三点お伺いをしておきたいと思います。まず、国と地方公共団体の機能配分ということであります。いまの日本の場合は、いわば地方行政を含めた二重行政をとっていると思いますが、こういうものが一体今後の運営上妥当だと考えられるのかどうか、その辺の見解はどうですか。
  51. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 電気、ガス等は従来のままでございまするが、その他の問題につきましては、今度の法律案に盛られた基本方針は、基準とかその他は国がきめますが、あとは地方の公共団体に移して、そこで実施をすると、こういうふうになっております。
  52. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 諸外国の場合は、公害に関する基本的な立法措置は国でやりますけれども、具体的な公害の規制ないしそういう権限といいますか、そういうものは地方自治体におろしている。日本の場合はそうじやなくて二面性を持っているのだと思うのです。そういう意味合いでの私は質問をしているのであります。その点はどうですか。
  53. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 御指摘の点につきましては、国の段階では基準等をきめまして、実施は都道府県ないしは市町村におろすという方針でこの二法案は貫いておりますし、特別の電気、ガス等につきましては従来から通産省のほうでやっておられますが、これにつきましては、今回は特別の場合には都道府県知事もタッチできるように体制を考えておる次第でございます。
  54. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 次に、公聴会及び公開調査制度、こういう問題については今後どうお考えになっておりますか、厚生大臣どうですか。
  55. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 事務当局より答弁させます。
  56. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) ただいま御指摘の公開制の問題でございますが、失礼でございますけれども、その公開性という意味がちょっといまわからないのでございますが、どういう意味でございましょうか。
  57. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 諸外国の場合は、原則的に利害関係者意見というものが公開させて、たとえば一定の工場をつくる等の場合、そういうものについて監査、事情調査、こういうものをやって、それを直接地域住民の関係する者に公開していくわけです。それに対して意見を求める、こういういわば公開調査制度というものができているようでありますが、そういう問題について一体どういうふうにお考えになりますか。
  58. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) この二法案につきましては、公開制という問題については直接そういう規定はございません。ただ紛争処理の問題としては和解の仲介制度をとっておりまして、住民からそういう苦情の申し出がございますと、仲介人がそれぞれ処理をするということで、直接的には公開制の原則とは結びつきませんけれども、いわゆる民主的な一つの解決方法として考えております。ただ事実問題としまして、いろいろ問題が起こりますと、地方公共団体なりあるいは中央政府におきましては、いろいろの調査の結果等はできるだけ公表いたしまして、住民の御納得をいただくように指導もし、かつ厚生省や通産省当局もそういう事情はそのつど十分説明をいたしているつもりでございます。
  59. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 次に、諸外国の場合は、もう第一義的に地域住民の福祉向上、生活環境の整備、健康保持、こういうところに重点を置いてやっているわけですけれども、今回の原案はそういうものとはほど遠いと思いますね。衆議院で一端の修正が行なわれましたけれども、それでもまだその焦点というものがぼけているように感じますが、そういう点については厚生大臣はどうお考えですか。今後の方向について、将来の見通しも含めて、どういう方向でこういう法案はいかなければいけないだろうかという見通しを含めて、ひとつ質問したい。
  60. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいまお願いしておりまする法律案は、目的の表現は別といたしまして、その内容が地域住民の生命と健康を守るという点から立てられずに、やはりいままでの惰性といいますか、いろいろな取り締まりあるいはワクを設けるという程度にとどまっておるということは、私も内々そう考えます。そこで将来は、やはり地域住民の福祉という目的のためにすべてが総合されていくように検討していかなければならぬとは、私も考えております。
  61. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 先ほどのことについて——いろいろの問題が起きますと、なるべくデータその他につきましてはできるだけ公開するように努めておりますけれども、各地方公共団体あるいは厚生省等でいろいろ現在測定等を行なっておりますが、こういう点につきましてもほとんど公開をいたしている状況でございますし、公害対策基本法におきましても、公害の状況につきまして国会その他に状況を報告するような義務を課せられておりますので、御趣旨の点につきましては、なるべくこの公害問題はガラス張りの中で行なうようにしていきたいと、かように考えております。
  62. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) お許しを得て、この際簡単に、地震のことについて御報告申し上げたいのでありますが、本会議で北里大学で培養した細菌が川に流れたかもわからぬという報告をちょっと申し上げておきましたが、その後現地に派遣されました県の職員三名から無電の報告並びに同試験所の星教授が直接県庁においでになりまして事実が判明をいたしました。  同大学畜産学部の付属寄宿舎が一棟軽微の破損、試験室のガラス器具が震動で若干破損したが細菌の散乱はなかった。念のため職員は引き続いて試験室に消毒の実施をやった。こういうことで、心配しましたことは事実でなかったということでございますから、御報告申し上げておきます。  なお、世帯更生資金でとりあえず北海道に六千万円、青森に三千三百万円、岩手に一千七百万円割り当てましたので、御報告申し上げておきます。
  63. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それでは具体的な問題について質問してまいりたいと思うんですが、現在地方自治体で届出制でなくて許可制をとっている都府県がありましたら教えていただきたい。
  64. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 騒音条例の中で東京都、神奈川県でそれぞれ許可ないしは認可という制度をとっておりますが、罰則等の関係につきまして比較いたしますと、実際上は、今度の騒音規制法の届出制と実体的にはほとんど同じでございます。
  65. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私の理解する限りでは、いま指摘をされた東京、神奈川、この両県については公害防止条例、こういうもので工場の設置については許可制をとっておる、こういうように理解している。ところが国会に出された二法案につきましては、全体が届出制になっているわけですね。そういうことだとすれば、従来の理解ですと、法律はそういう各種条例よりも優位にある。こういうことになりますから、自動的に、東京都、神奈川県でやっておる条例というものは解消されるのではないか、こういう心配が実はあるわけです。そういうことだとすれば、一体、法律と条例の関係についてどういうことをするのか。あるいは具体的にどのような措置をとって、これの結合性をはかっていくのか。あるいは欧米諸国家などにおいては、先ほど説明はなかったようでありますけれども、大体、許可性ですね。ある国においては一定の基準に違反をしたような場合には、工場の操業停止までやる、こういうことになっておると思うのです。そういうところからいけば、届け出制そのものは非常に緩和してやられる、そういう心配がある。そういうことも含めまして、私は、結論的には三点程度でありますが、内容についてひとつ御説明願いたいと思います。
  66. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 先生御指摘のように、東京都、神奈川県につきましては許可ないし認可ということばは使っておりますけれども、条例をよく見ますと、実際は届け出制と同じでございまして、名称だけの違いというふうに私どもは考えております。
  67. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうしますと、今回出されました大気汚染防止法案と、それから騒音規制法案、このものと東京、神奈川にある条例というものとは違反しない、同一のものだということで確認していいですか。
  68. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 今回の私どもの提案いたしております法律と実質的に同じでございますので、先生の御心配のように、いわゆる後退したというようなことにはならないんじゃないかと、私どもはかように考えております。  なお、許可制、届け出制の問題につきましては、大気汚染防止法の点につきましては、政府部内で先生御承知のように、工業立地適正化法との関係で許可制をとるという問題もございました。ただ、この問題は、通産省の工業立地適正化法案がなお政府部内で調整を要する問題として今後の研究課題となっておりますので、大気汚染に関しまする届け出制ないしは許可制の問題につきましては、今後の研究課題として私どもは考えておる次第でございます。
  69. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 研究課題というのは立地規制法、こういうものからいって検討の余地があるということですか。いまの二法案と都条例あるいは神奈川県の条例、こういうものとの間でもやはり検討の余地がある。こういう解釈ですか、その辺どうなんですか。
  70. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) この法案自体としまして、大気汚染防止法の許可制の問題は、土地利用規制との関係もございますので、一応、なお政府部内で検討を進めていると、こういうことでございます。
  71. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 次に、鉱山施設ないし電気工作物、ガス工作物等、これを大気汚染物の適用除外としてあるのは、一体どういうところにあるのか。
  72. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 御承知のとおりに、電気事業法、ガス事業法というものがございまして、従来から電気工作物、ガス工作物からばい煙が発生しております、たとえば発電所のボイラーなり煙突、そういうものにつきましては、電気事業法、ガス事業法の特殊性にかんがみまして、ばい煙規制法の規制と並行して、それぞれ電気事業法なりガス事業法によりまして一貫した規制を行なっているわけであります。その結果、使用燃料にかかわる行政指導とも相まって、電気工作物、ガス工作物から排出しているばい煙濃度は、実質を見ますと、ばい煙規制法の排出規準よりはるかに低い濃度だ、いわば、ほかのものに比べまして結果的には非常に良好な公害防止方法が行なわれておるわけでございます。したがいまして、この大気汚染防止法においても、電気工作物、ガス工作物であるばい煙発生施設についての規制は、従来と同一の規制方法によったわけでございます。
  73. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうすると、結局、鉱山施設については鉱山保安法、電気工作物等については電気事業法、ガス工作物等についてはガス事業法、こういうものによって公害規制というものが行なわれるから適用除外してもよろしいと、こういう理解ですか。  それからもう一つは、こういうことになりますと、結果的にはばい煙発生施設の設置の届け出ないし施設の改善命令、こういうことに関する知事の権限というものは、私は及ばないことになると思うのですね。これは、やはり今後の公害防止の徹底化からいっても非常にまずい点ではないかと思います。そういう点はどう御理解になりますか。
  74. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 先ほど電気とガスにつきまして御説明いたしましたが、電気、ガスにつきまして知事との関係ですが、全然知事との関連がないわけではないのでございまして、新たに設けられた、緊急時におけるばい煙の発生量の減少のための措置に関する計画の届け出と、これに基づく知事の監督規定は、電気事業法による電気工作物あるいはガス事業法に基づくガス工作物についても適用されるわけでございまして、これに伴いまして、従来、電気事業、ガス事業に適用されていなかった報告徴収権とか立ち入り検査権というような規定も、その限りにおきましては必要な限度において知事に認められるわけでございまして、そこにおいて知事のほかの産業等に対する一般的な監督権との何といいますか、連絡調整というものを十分はかっておるわけでございます。
  75. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 もっとすっきりした形で権限を付与していったら、もっと今後の公害規制にはいいのじゃないですか。いま説明なされたように、報告徴収権とか、そういうものを持っているよりも、こういうものにも総体的な権限を全体として付与していく、こういうことのほうが私はいいものができるのじゃないかと考えるのですが、どうもその辺、明確でないようですが……。
  76. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 私いま、ややしゃくし定木的に御説明申し上げたので、十分御理解いただけなかったと思いますが、簡単に申し上げますと、電気を例にとってみますというと、電気事業については発電所なら発電所の設置の計画の段階から電気事業法によりまして非常に厳重なチェックが行なわれておるわけでございます。発電所をつくる段取りになりますと、その詳細な計画を全部提出させて、図面の段階から、全部チェックする。この間において、当然公害防止施設関係をチェックして、それによりましてこの発電事業がこのような公害に対してどういう影響があるかということを、できる前からチェックする。それから、できる段階において当然これを委員会にかけ、そうしてできましてからも電気事業法に基づきまして非常に厳密な監督が行なわれる。そういうふうに法的な手当てが十分行なわれているだけでなくて、実際、結果から見ましてもいろいろたくさん亜硫酸ガスを出す施設がございまして、あるいは石油化学、鉄鋼その他ございますが、そういう中で比較いたしますと、結果的に見まして発電所はいわば優等生のようになっておりまして、何ら公害防止の関係から問題がないわけでございます。したがいまして、この大気汚染防止法案検討されて新しい法律としてできる際においても、その点は十分検討いたしたわけでございますが、現在の段階で十分やっておるし、いわば優等生であるので、特にこの法体系をくずしてやる必要は認めない。もしそういうことをやりますと、電気の関係で、電気については公害だけを見ているわけじゃなくて、電気の保安あるいは供給義務、その他いろいろな面を見ておりますものですから、そちらのほうの関係が二重行政になる。こういう関係でいま申し上げましたように、大部分の規定について適用を除外した。ただ全部適用を除外しては電気、ガスについてないわけでございまして、緊急時の措置というようなものにつきましては、これは従来もそうでしたが、新たに強化された緊急時の措置につきましては、これは従来の線に沿いまして都道府県知事の権限にまかしているわけでございます。
  77. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 主として電気施設関係について説明をなされたのでございますが、それじゃ全国的にいま火力発電所はどのくらいありますか。
  78. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 正確な数字を調べておりましたので、お答えがおくれて申しわけありませんが、現在電気事業者の持っておりますものは——だいぶ大きいものが六十二あります。それから次に、非常にこまかいのがたくさんありまして、これは主として自家発でございまして、これが二百八十七。このこまかいのを入れまして合計いたしますと、三百四十九となるわけでございます。
  79. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 あるいは所管外ですから、数に若干の間違いがあるかもしれませんが、もしあとで正確な資料があれば提出をしていただきたいと思います。  いまのように火力発電所が全国で約三百四十九と、こういうことになっているのですね。いま少なくとも大気汚染の元凶といわれるものは、私は火力発電所じゃないかと思うんです。そういうことからいけば、この影響は非常に大きいと思う。先ほど来電気事業法によって十分そういった公害対策については規制をしている、心配要らないというような回答でありましたが、私の理解からいけば決してそうじゃないわけです。ですから、そういうことだとすれば、当然それらを徹底させるためには、地方長官のやはり立ち入り検査とか、そういういわば権限というものを付与していくことによって、政府が考えるような徹底した公害防止施策ができるだろうと思う。どうも私は、その辺少し緩衝地帯になっているという気がしますけれども、それはどうですか。いまの法案のすなおな法制定の内容からいって、どういうふうに感じられますか。
  80. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 私、先ほど数字を申し上げます際に、あえて二つに分けて申し上げたのでありますが、適用除外になっているのは、電気事業者の持っている六十二でございまして、自家用の二百八十七は……ちょっと数字の点は、いまの数字そのものは間違いはございませんが、ただいま私が説明しようと思っていた点は取り消させていただきます。いずれにいたしましても、先ほど申し上げました事業用の六十二と自家用の二百八十七、合計三百四十九は、大気汚染防止法の関係からは適用除外になっているわけでございますが、数からいうと非常に——三百四十九となっておりますが、全国のばい煙発生施設の数からいえば、これはそう多くない数字でございまして、現在の通産省の地方支局である通産局に公益事業部というのがございまして、そこでたくさんの監督官がほかのものと一緒に監督しておりますものですから、監督体制には遺憾はないものと私は思っております。
  81. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 都道府県の公害防止条例の制定状況を見ますと、いろいろ項目があるわけでございますが、ばい煙という関係では、ほかの県でも制定をみているわけです。そういう中で、いま私が指摘したようないわゆる火力発電所というものは、そういうばい煙防止、こういう関係に相当織り込まれているように理解しているのですが、こういうところからいけば、三百何十カ所は数からいってもそう大したことはないといわれますが、決して実情はそうではないと私は思うのです。その辺は具体的に調査ないし県条例と比較いたしまして、当たってみたことがありますか、どうですか。
  82. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 通産省のほうから、公益事業と法律の関連はお話があるかと思いますが、従来のばい煙規制法と条例及び発電所との関係という中で、どういうふうに都道府県知事が介入してきたか、あるいは市長がどういうふうに介入してきたかという点について、若干きびしいという根拠を申し上げます。  現在新しい火力発電所を設置いたしますときには、これは必ず経済企画庁にございます電源開発審議会という審議会にはかるわけでございます。その審議会にはかる段階におきましては、初め基本計画の段階ではかりまして、その基本計画の段階ではかりますときに、関係各省が——幹事会の下のグループがございまして、厚生省の公害のほうからもこの中に入っておりまして、そこにおきまして、計画審査を非常にこまかくしております。排出基準の濃度からいきますと、一例を申し上げますと、微粉炭だきボイラーはばい煙規制法の規制措置で最もきびしいもので、一・二グラム・パー・立米でございますが、実際最近新設されるものは〇・五ないし〇・二グラム・パー・立米であるというような、法の排出基準よりも半分あるいはその五分の一くらいの、きびしいもので押えられているという状態でございます。  それから亜硫酸ガスの濃度にいたしましても、現在の亜硫酸ガスの濃度の一番きついものは〇・一八というところでございます。しかしながら、現在新設されます重油専焼火力の問題のスポットにおきましては、実際の亜硫酸ガス濃度は〇・一四以下くらいに押えられております。これは、そのような条件に同意しなければなかなか発電所が建設できないということでございまして、権限的に押えていることではございませんが、実際上の公害防止対策というところにおきまして、都道府県知事あるいは市長と発電所というものが話し合いをいたしまして、私どもがその間に入りまして、非常にきびしい規制がケース・バイ・ケースで、実体的に行なわれているということが実情でございます。煙突の高さ等につきましても、従来の規制法では一切触れることができませんでしたが、この点につきましても、やはり非常にこまかい資料の提示を受けまして、それによりまして最高の二百メートル煙突あるいは百五十メートル煙突というふうなことも行なわれておりますし、非常に燃料を画期的によく燃やすような発電所等もあらわれているというような状態でございまして、条例ではとうていそこまでの規制はできません。そういうことで、現在の法体系の中におきましても、実際上火力発電所の増設、新設に際しての規制は、おそらく世界で最もきびしいと言われても、これは過言ではないくらいだというぐあいに感じております。
  83. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は、責任ある法律を制定していくのですから、そういう意味合いにおいて、いま指摘されたように現地のほうでは、知事なり市長なり、あるいはその業者なり、そういった三者が合い寄って、いろいろなそういった問題についてもいろいろ検討を重ねられておるということならいいのですけれども、そういうことに対して厚生省なり関係各省——国として十分な理解と調査、こういうものの資料に基づいて本法案というものがつくられておるかどうか。そういう意味合いにおいてその調査とか、現地の実情、こういうものの掌握、理解というものがどの辺までいっているのか。その辺を確かめたかったのです。その辺について、ひとつ明確にお答えをいただきたい。
  84. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いまおっしゃいました点につきましては、従来、開発地域整備の事前調査というものを厚生省で実施しております。また、その調査は、通産省も実施しておられますし、産業公害防止のための事前調査というものと深い関連がございまして、両省で十分調整をいたした上で調査地域をきめ、調査対象をきめまして、詳細な発生源データを私どもも入手しながら調査いたしております。それによりまして、煙突の高さをどれくらいにするか、あるいは燃料をどのように調整するか、はき出すスピードをどのくらいにするか、集じんの効率をどのくらいにするか。そうすればどの地点でどのくらいの濃度になるかということは、少なくとも大規模火力につきましては、ほとんどすべてのものが詳細にチェックされておるというのが実際上の実態でございます。  で、そのような考え方が、実は、今回の法律におきましては、第四条の排出基準のたて方の中にかなり影響を及ぼしてまいっておりまして、従来のばい煙規制法では、排出濃度だけで規制するということでございますから、排出濃度が法律の基準に合っておれば、煙突が高かろうが低かろうが、一切何ら法律上は文句を言えない。実態上は言えるようなことをしておりましたが、法律上は何ら手が出ないということでございましたが、今回の大気汚染防止法の第四条におきましては、そのようないろいろな煙突の高さや、いろいろな条件を考慮した上で、この排出濃度の基準をきめていくというようなケース・バイ・ケースの締め方が中に入っておりますし、また、この政令で定めるような環境基準をオーバーするような程度も考えられると、こうされておりますが、それをこえるようなところでは、非常に、特別にきびしい基準をこの新増設に対して課することができるような形になっておりますので、従来数年間にわたる両省の事前調査の結果が、今回の法律の体系の中にはほとんど完全に織り込まれているというように、私どもは考えております。
  85. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ただいまの点について厚生大臣としては自信がございますか。完ぺきだと自信を持って説明ができますか、どうですか。
  86. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) まあ完ぺきということばを使いましたが、この法律案をつくるについて、第一は法律が全部そろっていないこと、これは公害が非常に大きな問題でありまするから、意見がととのい、成案ができたものから出しましたので、あとの紛争処理であるとか、あるいは基準の設定であるとか、あるいはその他の問題は、それはいろいろあるわけでございますが、もう一つは、やはり正直に言って、この案をつくりまして、各省との折衝をしてまとめる段階においていろいろ意見が出てきた。もっと率直に言いますと、通産省のほうでは公害の問題、鉱山その他の害の問題でいろいろ御理解もありますが、ただ意見がどうしても食い違うところはどこかというと、私のほうではやはり公害というものは人命に影響するものであるから、最終のものだけは私のほうで責任を持たしてもらいたいということであるし、通産省のほうではまあ煙突やその他にしろうとが出てきて、汚染や電気に口を出されては困るということがあるのじゃないか。われわれはそういう専門的なことに口を出すつもりではなくて、公害の問題だけワクだけを持たしていただいて、そのワクの中で専門的ないろいろな配慮が願いたい。また運輸省のほうでは自動車の構造等についてしろうとに口を出されては困るということがあるのじゃないか。自動車の構造その他は運輸省責任であって、ただ出てくるガスの問題についてはわれわれが責任を持ちたいということで、そういうことの食い違いからこの法律案の中にいろいろな問題が出てきております。そこで、そういう問題をどうやってカバーしていくかということが今日の段階のいろいろな問題でございまして、そういう点からなるべく抜け目がないように、こぼれがないようにいろいろな手を打ってありますという意味のことであって、これが完ぺきなものだとは考えませんので、先ほど申し上げましたような方向で各省ともさらに話を詰めて、検討しなきゃならぬと思っておりまするが、とりあえず、できました法律を今日の事態において、これでお願いしたいというのが率直な気持ちでございます。
  87. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 鉱山施設あるいは電気工作施設、あるいはガス工作施設、こういったものは公益性あるいは公共性、こういうことからいって非常に高度なものであることは、私も理解をいたします。ですから、そういう意味合いにおいて、現状は何らかの形で国も一応監督指導の、そういう立場で介入することはあると思います。だから、そういう意味合いで私も、一面理解はするのでありますけれども、しかし、どうもこの三事業についてそれぞれ適用除外をしたということは、いま厚生大臣が非常に熱意をもって人命保全なりあるいは健康保持なり、いわば地域住民の社会福祉に向けて努力をしようという、そういうものが押し切られつつあるのじゃないかという気がするのですね。いろいろまあ苦労なさって、ここまでもってきたという経過措置等もあるかもしれませんが、もう少しその辺は、事業本位ではなくて、本来のこの立法趣旨に落ち着く——終着駅ですね、そこへもっていくわけですから、そういう意味合いにおいて多分にまだ不足があるのではなかろうか、こういうふうに理解をしますので、そういう点についてはひとつ今後とも厚生大臣の御努力を要望しておきたいと思うのです。  そこで、具体的な問題について質問をしてまいりたいと思うのでありますが、この施設の届け出、あるいは計画変更命令、あるいは改善命令、事故の届け出、特定有害物質の事故など、こういう問題については勧告条項になっていると理解をするのです。電気事業なりガス事業については「相当規定の定めるところによる」、こういうふうになっていると思うのでありますが、この内容ないし規定、あるいは事業法及び省令の中で具体的にはどういうふうに定められているのか、その内容についてひとつ御説明を願いたい。
  88. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) それでは御質問に答えまして、相当規定というものを電気事業法に即して申し上げます。  第一番目に、指定地域内においてばい煙発生施設を設置しようとするものは知事に届け出なければならぬという点は、電気事業法の第三条及び第八条で措置することになっております。  それから次に、これは直接関係ございませんけれども、電気工作物につきましては設置の許可、変更の許可は別途に規定されておりますが、その点は電気事業法第三条及び第八条にあります。  それから次に、個々の電気工作物については、その工事計画について通産大臣の認可を受けなければならないことになっております。これは第四十一条でございます。  次に、改善命令でございます。排出基準に適合しない施設の改善を命令するにつきましては、電気事業法の第四十九条でございます。  それから次に、基準に適合しないという場合に、基準に適合する命令、あるいは一時使用停止命令、そういうものをやるにつきましては電気事業法第四十九条にあります。  それから、事故の際における応急措置の内容あるいは復旧工事の完了の届け出、そういうものは電気事業法百六条にございます。  大体、相当規定を電気事業法に即して申し上げますと、以上のとおりでございますが、私いま、大気汚染防止法にない設置の許可その他についてまでも、あわせて説明申し上げたわけでございます。
  89. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 冒頭に、電気事業法の第三条及び第八条と、こう説明願ったように記憶するんですが、第八条は……。
  90. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 第八条は、変更の際の許可について規定しておるのでございます。   〔委員長退席、理事横山フク君着席〕
  91. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ただいまの内容等については、ちょっといま私もあれですから、あとで再質問したいと思います。  きょう時間もあまりありませんで、あと十五分程度のようでありまするから、大ざっぱなことを若干聞いておきたいと思いますが、その前に、冒頭にお願いしました騒音規制法第二十七条と、条例との関係についてでありますけれども、第一項の「この法律とは別の見地から」、これは一体どういうことなんですか。  もう一点は、規制法にある届け出制、これを許可制に変えるのを許すことまで、さっきの答弁は含まれておるのかどうか。東京や神奈川のこういう条例と、今回の場合の届け出制は実質的に変わりない、こういう御説明であったのですけれども、そういうことは結局、結果的に許可制ということを含んでおるのかどうか、そういう理解でいいのかどうか、その点についてひとつ。
  92. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 条例との関係で、二十七条についての御質問でございますが、第一点の「別の見地から」ということの御説明でございますが、騒音規制法の第二条の規制基準のところをごらんいただきますと、規制基準とは「敷地の境界線における大きさの許容限度をいう。」ということで、規制基準を音の大きさできめようと、こういうふうに考えておるわけでございまして、具体的には現在各都道府県の行なっております何ホンということで規制基準をきめようと思っております。ただ、府県によりますと、非常に不愉快な音を取り締まるというような条例の規定がございます。この法律では音の大きさから規制されているのでございますが、条例によっては音色、非常に不愉快な音を取り締まるというような条例がございますので、その点は入念規定になっておりまして、私どもとしては、二十七条でそうきめてある場合には条例で必要な規制を定めることを妨げるものではない、ということをきめたわけでございます。  それから、先生の御質問の、東京、神奈川等の許可制の問題につきましては、先ほども御説明いたしましたように、実質的には届け出制であるというふうに考えておりますので、私どもの御提案申し上げています法律と実質的に何ら変わるところはないので、別に後退ではない。したがいまして、条例がこの騒音規制法の届け出制に乗り移っても何ら後退するものではない、かように考えておるわけでございます。
  93. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっと公害部長の後段の説明はちょっと私には理解できにくい。端的に聞きますが、届け出制、許可制という、この二つの語句について国語上の解釈はどういうふうに解釈するのですか。法律上の解釈はどういうふうにされるのですか、この二とおりについて。
  94. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 届け出制は届け出をする。それから、それによりまして、私どものほうの法律では一定の基準がございますので、それで計画変更命令、その他をやるようになっております。東京都の条例、神奈川県の条例は、名前は許可制をとっておりますけれども、実質上は制度として見ますと、届け出制と変わらない、ただ、許可制の問題は、一般的に禁止の解除を許可と行政法上は申しておりますが、許可という名前を東京、神奈川では使っておりますが、実際上は届け出制と変わらない運用がされているし、条例自体を見ますと届け出制と変わらないようないわゆる条項になっていると、こういうことでございます。
  95. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その実態ではなくて、私の聞いているのは、法律用語上どういう解釈をとるのか、許可制、届け出制について、この内容について端的に教えてください。
  96. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 許可制といいますのは、一般的に禁止をしております場合に、それを許可によって解除するということが、いわゆる許可制の行政法上の意味でございます。ただ、神奈川県、東京都の条例を見ますと、名前は許可というふうになっておりますけれども、実際上は私どもが考えております届け出制と条例の仕組みは大体同じである、こういうことを申し上げておるわけでございまして、名前だけが許可というふうになっていると、こういうことを申し上げたわけでございます。
  97. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ぼくの聞いているのは、許可制と届け出制の法律用語なんです。内容です。端的に、どういうものか。いま公害部長は許可制については禁止の解除、端的にいうと、こういうことが含まれておると。じゃあ一体、届け出制というのはどういうことなのか。この法律用語の解釈の点、解釈上どういうふうにとったらいいのか。法律にちゃんと用語として使われているのですからね。
  98. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 届け出制と申しますのは、行政法上はいわゆる届け出をして、それによって行政庁のほうでいろいろの行政措置をやる、たとえば一定の要件にあえば届け出を受理する。ただ届け出をしない場合には罰則も法律上いろいろきめるというようなことが、届け出制度の一つの仕組みでございます。許可は一般的に禁止をしておりまして、その場合に、許可があった場合にそれを許すということで行政法上は運用が行なわれているわけでございます。ただ先生は再三、東京と神奈川の許可の問題にお触れになりましたが、私が先ほどから申しますように、東京と神奈川の条例を見ますと、名前は許可という名前を使っておりますけれども、それに対する罰則の問題あるいは仕組みの問題を見ますと、届け出制と同じ——ちょっとまあ同じ制度になっているということを申し上げているのでございまして、要するに名前が単に許可というふうになっておるだけだ、ということを申し上げておるわけでございます。
  99. 横山フク

    ○理事(横山フク君) 委員長からも武藤公害部長に注意します。委員から質問されたことだけをお答えになって、余分な同じことを何回も答弁しないように願いたいと思います、議事進行上。
  100. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それじゃもう一点だけ、くどいようですけれども……。それじゃ有権解釈上から、この法律用語の影響といいますか、効果といいますか、これは許可制とそれから届け出制とでは違いますか、同一ですか、どうですか。
  101. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 一般的には違います。
  102. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そういうことになると、先ほど言ったように、運用面で実質的に持っていくのだかどうだかわかりませんけれども、同じ効果を何といいますか、考えておるのだから——それは片方は許可制である、片方は届け出制である、実質的には変わらない、こういう答弁をなされたのですが、その点については、どう一体理解します。
  103. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 再三申し上げておりますように、神奈川県と東京都の条例の許可制を見ますと、それは仕組みとして届け出制と同じ状態になっておる。したがいまして名前が許可になっておるということだけを申し上げておるわけでございます。
  104. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 法律案を提案しておるのでありまするから、いろいろな経過等の問題は別として、事務当局としては苦しいところでございますので、私から申し上げますが、御指摘のとおりに、許可制と届け出制は相違があるし、届け出よりも許可のほうがきびしいことは当然であります。神奈川と東京では、許可制であったが罰則やその他の点で弱かったから、あまり効果がなかったということは別問題であって、やはり届け出と許可では、許可のほうが強い。そこで、われわれも最初は許可の案を立てておったのでありますが、実はこの法律案は通産省で準備しております立地規制法、これも同時に出せるものという状態のもとでやったのでありまするが、残念ながら間際になりまして、この案ができて国会に出す手はずをつけましてから、立地規制法は話がととのわなくて、できなかった。そこで、そういうことがございまするから、実際はおっしゃるとおりに後退に間違いございません。ただ、その点をそれまでほうっておいてはたいへんでありますから、計画の変更であるとか、あるいは公害に対するいろいろなあれがある場合にはこれを停止するとか、そういうことでこれをカバーしていこうと考えたことであって、これが完ぺきな、許可と同様なものであるとは私も考えておりません。今後は、その点は十分注意していきたいと思います。
  105. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 大事な点でありますから、もう一度確認をしておきたいと思うのであります。いま厚生大臣が説明されたことで私は理解をしたいと思う。いわゆる許可制ならいわば許可取り消し、そういう強制力を一つ持つと思います。ですから、たとえば法律に違反をしたというような場合は、明らかに操業停止とか、廃止をさせる、こういう権限を私は含んでいるのだと思う。ところが届け出制は私はそこまでいかないと思います。やはりあくまでも届け出制だと思う。そういう拘束上の点については多分に違うと思います。ですから結果的に、ここでの理解は、先ほど言ったように、実質的にはそういうものと相反しないような形でやっていきたい、変わらないものとみてよろしい、こういうことなんでありますから、当然届け出制というものは許可制にかえることを許す意味だ、こういうことで確認をしていいですね。いまの厚生大臣の答弁からいっても、それでよろしいですね。
  106. 武藤き一郎

    政府委員(武藤き一郎君) 私の答弁が非常に未熟でございましたので、御理解いただけなかったことにつきましては、おわび申し上げますが、重ねて申し上げますが、私どもが提案いたしております届け出制は、事前審査、それから監督、命令というような制度もとっておりますので、私どもとしては名前は届け出制をとっておりますけれども、許可制に近いもの、かように考えておる次第でございます。
  107. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 どうも歯切れ悪いですね、近いものというのと、含まれるというのとでは、だいぶ違うと思う。私がいま最終確認をした表現でいいのかどうか、厚生大臣ひとつ。
  108. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) その表現でけっこうでございます。近いものというのは、近づけようと努力をしたという意味に御了解いただけばけっこうでございます。
  109. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それで、まあ前に公害基本法——これが制定をされまして、現在いわば実施法ということになったと思いますが、そういうことで地方公共団体の公害防止体制というものも非常に固まってきたと思うのですね。そういうことで、行政担当のこういうものも逐一整理されつつある、こういう状況だと思うのでありますが、したがって、いまの除外のこの通産局、鉱山保安局、こういうものに対しての権限処理というものは、私はなくてもいいのじゃないか、当然これらの問題については地方長官に委任をしていいのではないか、こういうふうに考えるのですけれども、この辺はどうですか、厚生大臣。
  110. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 厚生大臣のほうから御指名がございましたので御説明申し上げますが、先ほどから、るる申し上げておりますように、たとえば電気につきましては長い監督の歴史もございますし、それから十分なスタッフを持ちまして、計画の段階から最後の操業に至るまで一貫して厳重なる監督をやっておるので、現在の体制で十分だと確信しております。  なお、私が先ほど説明した際に抜かしておった点を補足して申し上げますと、電気、ガスについて適用除外と申しましても、大体排出基準そのものは一般基準と同じでございまして、特に電気について甘くするということはないわけで、むしろ逆でございまして、現在のばい煙規制法でもそうですし、今度の大気汚染防止法でもそうでございますが、排出の規制は指定地域に限って行なわれるわけでございますが、電気、ガスにつきましては指定地域でなくても、その排出基準にのっとる排出規制をやっているわけでございまして、先ほど申し上げました三百四十九というのは、これは全国指定地域であろうが指定地域でなかろうが、すべての地域にあるもの全部でございまして、こういうものについて全部排出規制をやるということでございます。しかも、その基準は甘いより、まあ辛いということでございまして、御承知のとおり現在排出基準は二千二百PPM、千八百PPMでやっているわけでございます。そういう点いろいろやっておりますので、現在の体制で十分だと思っております。
  111. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間が五時半までということでありますので、きょうは問題はまだありますけれども、これは次回にいたしたいと思います。運輸大臣官房参事官、あるいは建設省関係の方や、あるいは自動車局長、非常に忙しいところを時間の関係で申し上げなかったんですけれども、おわびを申し上げまして、次回にひとつ質問してまいりたいと思います。そのようにひとつ。
  112. 横山フク

    ○理事(横山フク君) 両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十一分散会