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国務大臣(
園田直君)
運輸省その他はないそうでございますから、私から申し上げます。
五つの御質問でございますが、この二つの
法案で完全に
公害が防げるか。私は完全に防げるとは、残念ながら考えておりません。したがいまして急いで
基準の設定、
大気、
騒音、水等に対する
基準を設け、次には先般来から御報告申し上げておりまする
各種の
法律案を整備をして、なるべく早く十分なる成果があげられるようにしたいと考えております。
なお、全般的な問題でございまするが、第一に、私が
公害に対して考えておりますことは、いいたとえかどうかわかりませんが、野球のゴロみたいなものであって、たまを追っかけておってはなかなか追いつくことは困難でありまして、
公害を救うということよりも、やはり
公害を防ぐということが
公害の第一の問題点でなければならぬと思います。それからすると、率直に私の
意見を申し上げますると、やはり
公害に対しては、ほかの
法律案と違いまして、企業の
計画を立てられるなり
工場の
設置をされる際に、まず人命と健康というワク内でそういうものをされるように、企業も第一に、生産よりも先に生命と健康、そのワク内で生産を立てるんだというふうに考えていただかなければいかぬのであって、だとするならば、やはり
公害関係の
法律案というものは、ただいま御
指摘のとおりに、少し強めにやらなければ、抜け穴があるというようなことではいけないのではないか、こう考えておるわけでございまするが、ただいまのところは
許可制ではなく、
届け出制でそれぞれやっておりまするが、これはそれぞれ
命令の変更であるとか、あるいは
許可の取り消しであるとか、その他の方法を考えて、十分配慮していかなければならぬと考えております。
次には、さらにそれができましたら、一番大事なことは、一つの
公害の
防止計画というものを早く策定しなければならぬので、これは逐次必要なものからつくっておりまする
関係上、この策定がおくれております。ほんとうをいうと、
計画を策定して、それに基づいて
法律案をお願いするのが当然であると私は反省はいたしておりまするが、
現実の社会の要求、
現実の
各省の要求が並行してやることを余儀なくさしておりますので、これはひとつ早急に策定をして御報告をしたい、こう考えております。
次に、企業の
公害防止のための投資についてでございまするが、これは非常に御貴重な
意見であって、私はこの点について考えたいと思いますことは、
各省が
関係をいたしまして――大私国務臣でございまするから、個々の問題については申し上げるわけにまいりませんけれ
ども、やはり一番大事なことは、
一元化ということよりも、
公害に対する
政府の姿勢というものがまちまちであるということを
政府みずからが反省しなければならぬ。ということは、やはり
通産省のお方は企業の自山育成ということを重点に考えられ、そしてその付随物として
公害を考えられておる。たとえば、しろうとに煙突のことがわかるかということを、おっしゃらないけれ
ども、そういう気持ちがあるのじゃないか。
運輸省のほうはまた運輸
行政の中から、
公害というものを考えられておる。たとえて言えば、私から推測すれば、
自動車の
排気ガスの
規制を
厚生大臣がやるということは、
自動車の構造については運輸
大臣が
責任を持っているのだし、そういうことに口を出してはいけないということでございますが、私は、
自動車の構造に口を入れたり、あるいは煙突の数に口を入れたりしたいという考えがあるのではなくて、ただ
人間の生命と健康のために一切の企業があるのでありますから――一切の
行政もあるのでありますから、やはり生命と健康を守るという一つのワクだけは、私持たしていただいて、そのワク内で企業の自由がある、あるいは
行政の自由があるというふうに、
政府の
公害に対する姿勢をもう少し統一をして、徹底してきめる。それが一番大事な問題であると私は考えておるわけであります。率直に申し上げます。
そこで、この
防止問題でございますが、今度私がイタイイタイ病に対して、
公害病と認定をいたしましたが、これについて率直に、中小企業、零細企業の方は、ああいうふうに川から何から一切やられると、われわれは商売できないじゃないかという不安があるようであり、私のところにも手紙が参っております。私は、中小企業や零細企業はどうなってもいいと、こう考えているわけでは決してございません。やはり第一に企業の繁栄、中小企業の繁栄というものは、やはり間接には
公害が十分
防止できるかどうか、救済ができるかということにつながっておる。しかしながら、この点をはっきり分けて考えないと、いかなる
理由にもかかわらず、生命と健康を守り、
公害防止だけはきちっとやる。その中で生産に
関係のない
公害の
防止の
施設をすることは、これはまあ企業側から言えば大事なことではあるが、生産に
関係のない余分なことである、あるいはまた、
公害病の認定をされたならば、小さい企業というものは痛手を受ける。そういう方面については、企業の育成
強化の
責任を持っておられる通産
大臣が
責任を持って国家から低利長期の資金をやる、中小企業、零細企業に
公害防止の
施設をしてやるとか、あるいは倒れそうな企業には何らか便法を講じてやるとか、こういうふうにはっきり分担を分けてやらなければならぬことであって、したがって、そういう面から、先般
公害防止事業団法の一部改正をお願いしまして、かっこうだけはつけたわけでありまするが、私は、なわ張り等は考えておりませんので、そのような
公害の
防止の
施設であるとか、あるいはその他事故の問題については、これは
通産省のほうに、私のほうからむしろ業務はお願いしてもよろしい、譲ってもよろしい、こう考えておるわけでございまして、この
公害の
防止施策に対する投資、これに対してはやはり
政府が通産
行政あるいは運輸
行政のほうからお考えいただき、私は生命を守るほうからいく。そこで、やはり生命が第一で、企業は二番目である、こういうふうに考えるべきである。このように
各省とも話し合い、逐次
委員各位の御
指摘に従ってやっていく考えでございます。
次に、企業
責任の追及ということばが出ましたが、中には非常に紳士的な企業もおられるし、それから事件が起こったらすぐ浄水
設備等をやっていただく企業家もございまするが、中にはおれの
責任じゃないと、ほうりっぱなしでおられる企業家もおられるわけでありまして、この点はやはり企業の繁栄というものはやはり
人間のしあわせのために貢献するのだ。しかも企業というものは、人々から喜ばれるような企業をやって、はじめて繁栄するのだという、企業道徳といいますか、企業の倫理というもの、こういうものをやはり
政府はそれぞれお願いをし、指導していかなきゃならぬのであって、その歯どめというものは――お聞きにならなければという一本の公権の発動――そうおっしゃいましたが、そういうものは今後
先生のおっしゃったように考えていくべきであると、私は個人としては考えているわけでございます。
最後に、
一元化の問題でございますが、この
行政の
一元化ということは
委員各位からしばしば御
指摘を受けて大事なことではございまするが、実際問題としては今後社会機構なり企業というものは相当複雑になってまいりますので、これを一本にまとめることは実際にはなかなか、おしかりを受けますが、困難であると思いまするが、御
意見のとおりに
公害の最終的な問題だけはやはり一本化しなきゃならぬと、私もさように考えております。