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1968-04-24 第58回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十四日(水曜日)    午後二時三十二分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任      中津井 真君     佐藤  隆君  四月二十四日     辞任         補欠選任      柳岡 秋夫君     木村美智雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         松澤 兼人君     理 事                 山内 一郎君                 戸田 菊雄君     委 員                 植木 光教君                 木村 睦男君                 紅露 みつ君                 菅野 儀作君                 土屋 義彦君                 宮崎 正雄君                 柳田桃太郎君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 小平 芳平君                 瓜生  清君    政府委員        防衛施設庁長官  山上 信重君        通商産業省企業  矢島 嗣郎君        局立地公害部長        運輸省船舶局長  佐藤美津雄君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        水産庁長官官房        調査官      竹原 幸吉君        通商産業省鉱山        局石油計画課長  半沢 治雄君        運輸大臣官房参        事官       内村 信行君        運輸省海運局参        事官       野村 一彦君        海上保安庁警備        救難部長     長野 義男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○産業公害及び交通対策樹立に関する調査  (産業公害対策に関する件)     ―――――――――――――
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  去る十九日、中津井真君が委員辞任され、その補欠として佐藤隆君が選任されました。  また、今二十四日、柳岡秋夫君が委員辞任され、その補欠として木村美智男君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題とし、産業公害対策に関する件について調査を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 木村美智男

    木村美智男君 防衛施設庁にお伺いをしたいわけなんですが、実は、私きょう取り上げる問題は、都内の練馬に米軍の宿舎がございまして、別名グランドハイツと称しておるのですが、あすこに軍の家族を中心にしまして約五千人ぐらいが居住をしております。で、その汚水をパイプによって近くのくぼ地に運んでまいります。そして、これを処理するということになって、処理したものを白子川に流しておるわけであります。この施設ができてもう十数年になるだろうと思うのですけれども、特に最近、この付近住民から非常に強い訴えがございまして、一つは、三月ごろから大体九月ごろまでの間に、いま行なっているいわゆるオープンろ床方式という処理施設から出てくるろ床バエというハエでありますが、非常に小さなハエでありまして、これが小さな網戸、二重窓にしましても中に入ってくる。食卓の上にも、あるいは電灯にもという関係で、これがものすごい数にのぼる。それで、ある家庭では、要するに誘引灯ですか、あれをやりましたら、まず何十億というハエがそこに密集したという実際事実も出ておるので、これはたいへんなハエであります。  それから、もう一つは、風が吹きますと、においがくぼんだ土地一ぱいに漂っておるわけであります。それが周辺の民家に全部きまして、全然戸や何か開けておれぬという、こういう状況であります。したがって、たいへん付近住民が困っているという状況が出てきておるのでありますが、これについて私も現地を見てきたわけでありますけれども、大体六月の入梅時なんというものは、あそこに三十分もおると普通、頭が変になるほど、これはひどい状態なものですから、ぜひこれを解決してほしいという現地要望もありまして、区役所から東京都を通していろいろと施設庁にお世話になりながら、米軍との間に末端のほうで話をしてきた模様でありますが、依然として今日解決をみておらないということなので、こういう状況も私はやはり一つの大きな公害ではないかというふうに判断されるので、いままでの大体の経過を含めて、その改善方についてどういうふうにお考えになっておられるか、その辺をひとつ聞かしていただきたい。
  5. 山上信重

    政府委員山上信重君) グランドハイツ汚水処理場の問題につきましては、ただいま先生からお話がございましたような経過でございまして、これは、ただいまもお話のありましたように、グランドハイツの浄化槽が住宅地区の北西のやや高いところにありまして、その下に汚水タンクあるいはろ床を設置して、浄化された汚水は、きれいになったものを付近白子川に放出するという施設になっておるのでございますが、これは昭和二十二、三年ごろの建設にかかる散水ろ床方式、当時といたしましては東京都も推薦している近代的な施設であったようでございます。そういうものでございますが最近だんだんに付近住宅もふえてまいりまして、この方式による汚水処理場付近から出ます、ただいまのお話にもありましたような小さなハエとか、あるいは臭気というようなものが、いろいろ付近住民に御迷惑をかけているというようなことから、昨年来地元のほうからお話がございまして、これに基づきまして当庁の東京局並び東京都、それから現地当局これら三者が委員会をつくりましてそして、これに対するいろいろな防止方法――臭気が出たりあるいはハエが出たりするのを防止する方法を講じておったような次第でございます。まあ、これにつきましては個別のいろいろな施策もございますが、ただいまさような現状になっておる次第でございます。
  6. 木村美智男

    木村美智男君 それで、その経過として私も、施設庁東京局、それから都、現地が入りまして三者で会議を持って防止方法をいろいろとやってきたけれども、なかなか――その間、都のほうから改善策も出されているが、米軍のほうではそれに対して適当な改善策ではないといった考え方が出たりなぞして、いずれにしても依然として問題はまあ解決の方向へ進んでないという現状にあると聞かされておりまして東京都のほうはもういまの三者構成の小委員会では解決の見通しはまず不可能だこういうふうに実は判断をしておる。そこで防衛施設庁として私も解決に乗り出さなければならない段階にきているのじゃないかというふうに実は判断されますので、そういう立場からどういうふうにお考えになられるか、ちょっと考え方を聞かしていただきたい。
  7. 山上信重

    政府委員山上信重君) いままで現地でいろいろ委員会を催しまして、やってきましたやり方といたしましては、とりあえず当面の施策として、そういったにおいが出たり、あるいはハエが出たりすることを防止するという意味で、塩素とかDDTなどの薬剤を定期的に散布する、それからまた、ろ床の石の洗浄を行なわせる、あるいはろ床周辺に植林を実施させるというような方法をとって、きたわけでございましてこれによって相当の何といいますか、対策にはなっておると思うんですが、まあこれでは先生のいま御指摘のように根本的な施策として十分じゃないんじゃないかというふうなお話もございまするので、さらにもう少し施設そのもの改善していったらどうだというふうな意味合いにおい現地に話しましたところ、まあ現地のほうでは施設改善ということになると、なかなか現地限りでは処理できないというような話もあるようでございますので、今後本庁におきまして、当庁としてもこの問題を取り上げまして、中央におい施設委員会等を通じまして、施設改善方法を提案し、そして実施してもらうような話をしていくのが筋ではないかしらんと、われわれは考えておるような次第でございます。  それにつきましては、どういう方法をもってするかという問題があると思いますが、これらにつきましても特定の改善の、何といいますか、いい方法、たとえばこれに対して屋根を設ける、あるいは臭気を抜くというような施設を講ずる、それによって付近に与える影響を少なくするというような、施設そのもの改善していくというような方法米側に提案をしてみたい、こういうように考えている次第でございます。
  8. 木村美智男

    木村美智男君 これは、いま長官の言われている屋根をつける問題やら、それから臭気をなくすといったような関係のものも、実は根本的な解決策とは考えていなかったのです。なぜかというと、その関係については実は米軍側のほうが、言ってみれば、反対をしている。つまり、おおいをつくることによって――これは酸素を吹き込んで、バクテリアを培養して、そのバクテリアが実は汚水をきれいにしていくという作用をやるわけでありますから、したがって通風のいい状態でなければ、非常に効果が薄くなるということです。そういう意味米軍は、適切な方法だということは考えられないという反論を実はしているわけです。そうなりますと、長官のおつしゃるような屋根を設けるということは、実際問題としてもう話がデッドロックに乗り上げているということになりますし、臭気の問題は、これはまたどういう方法を講じられるかわかりませんが、いまの施設の中で臭気をなくすという関係は非常にむずかしいんじゃないか、というふうに私、聞いているものですから、その点もう一回……。
  9. 山上信重

    政府委員山上信重君) これは技術的にいろいろ問題があるようでございまして、方式そのものを変えるという方法一つ考えられるわけでございますが、これを変える方式活性汚泥方式という別の方式があるようでございまして、これは現在関東村等においても用いているようでございます。そういう方式もあるようでございますが、これについては、同時に発する騒音の問題を並行的に行なうというようなこともございますので、いまこれについて、そちらのほうがいいというわけにも、どうもまいらぬような事情があるやに伺っておりますので、ただいまのところでは、私がただいま申し上げたようなビニール屋根を設ける。そうすれば日光も通す、通風もできるような装置ができる。そうすると臭気も抜けるというので、これも一つ方法ではないかということで、さような方法ではいかがであろうかというふうにいまは考えておりますが、これはさらにもっと検討いたしまして、この方式がいいということでございますれば、そのような方法をまた取り上げてもいいかと思います。いずれにいたしましても、いままでやっておりました当面の方法だけでは十分ではない。施設そのものを何らか改善して、臭気あるいはハエが出て付近の方に迷惑がかからないような方法を、ひとつ十分に中央においてももう一度検討し、提案してみたい。こういうふうに考えている次第でございます。
  10. 木村美智男

    木村美智男君 長官は、施設をある程度この際変えていくという態度を長官のほうで出されたように私は思うのですけれども、そのことが間違いならば、あまり詳しいことを議論する気はないのです。なぜかといいますと、だいぶん水質検査までやって結果も出てきているわけです。その結果やっぱりもう施設そのものに問題があるというところに事態は実はきておるもんですから、ただビニールの話か何かされると、必ずしもこれは施設の根本問題に踏み切ったわけでもないのだなとも感じられるわけです。ビニールじゃやはりこれはしょっちゅう破れるから、たいへん問題なんですよ。したがってやはりこの際、施設そのものを変えるのだという立場にぜひ立ってもらいたいと思うのです。私、実はずっと検査をやった結果が出ておるので、ちょっと御披露します。一月の二十七、二十八の二日間に、大体汚水が一番よけい出るとき、通常のときと区別して、十一時あるいは十二時半、十五時、十七時と四回ぐらいに分けて検査をした。ところが例のPHについては、これはPHというのは飲料水ならば大体五・八から八・六ぐらいが標準だそうであります。この点からいうと、この汚水処理をした結果の水というものは、つまりアルカリが多いのか酸性が多いのかという問題ですね。これについては大体普通六.八二とか、ここら辺が出ていますから、これはまあ問題ないということに一応検査の結果が出ている。ただ透視度の問題は、これは規制値はないけれども、非常に濁っているという関係が出ています。これはどういうやり方をやって、どういうのかという詳しい説明は、きょうは省略しますが、原水を三十センチくらいの管に入れまして、下に字が書いてあって、その字が上から見えるところまで水を抜いていく。そしてその度合いによって、これはきれいになった、きれいにならぬという、こういうはかり方をする透視度というのが、大体五から七ぐらいですから、これはちょっと悪い。つまり五センチぐらいから下に字の書いてあるのは見えない、こういう状況ですから、相当濁っているという結果が一つ出ている。それからサスペンスソリートというのですか、浮遊物ですね、このPPMで申し上げますと、これが大体五三、六一、六三、六五というのですから、七〇がこれは規制値ということになっていますから、大体これはいいだろうという結果が出ている。ところがBOD――生物化学的酸素要求量、これは普通水道水の場合はゼロなんですが、これが非常に悪い。大体これは二〇から三〇ぐらいまでが高級処理をしたときの数値になっておる。ところが、ここの場合は処理水が三〇どころじゃなくて四八が最低、五〇から五九、最高になると七五、これがBOD数値として出ているわけです。問題点は要するに透視度の問題とBDO、この二つからいって、どうもこれは問題じゃないかということになってきまして、私も多少清掃法などをひっくり返して見ましたら、これはやはり清掃法施行規則の九条にあるのですが、「放流水生物化学的酸素要求量は、三〇PPM以下であること」というのが、今日の清掃法の規定なんです。それから推してみましても大体三〇以下でなければならぬのが四八、五七、一番高いのは七五というのですから、これはやはり本来ならばこれは川へあるいは流しちゃいかぬ性質のものだともいえるわけなんです。ただあとのほうで「環境衛生上又は利水上支障を生ずるおそれがない水域に放流する場合には、放流先河川等であるときは六OPPMまでは許容される」ということになっているわけです。ところが、この結果、七五という数字が出ているということは、川へ流してはいけないというものが現実に出ているわけで、この汚水処理自体がよろしくないということを意味していると思うのです。ぜひこの点はビニールとかという話でなくて、根本的にこの際、施設そのものを改革するというところにひとつ施設庁として踏み切っていただきたい。それでないと、実は私、この問題の解決になっていかないような気がするのです。なぜ、そういうふうに申し上げるかというと、実はこれの試験をやった結果、また先ほど長官も言われたように、散水ろ床方式の現在のやつじゃなしに活性汚泥方式、これを使えばまずにおいがある程度消えるに近い状態一つできるということ、それからハエの発生を最近の活性汚泥方式によれば大体防止できるという二つのことが、実際設計者の最近の実績の中から、そういうことが立証できるようになってきた。きわめて進歩している。こういうことを私、実は聞いているものですから、したがってそこまで踏み切っていただかなければ、ちょっとも解決にならぬから、そうしてもらうことがいいじゃないか。長官も言われたように確かに騒音の問題があるのです。しかし、これは施設やり方であって、これを二階建てにして下へ埋めちゃえばいい、地上に出しておけば確かに相当騒音になるけれども、下へ埋めることによってこれはもうほとんど何というか、多少のことはあるが、騒音といわれるような状態にはならないということが、この機械を備えつけた人の実験によって実証されているというところまで私聞いているのです。それは、ひとつあとでまた、その設計者のほうの関係も、施設庁のほうで踏み切られるならば、呼んでいただいて、十分検討をしていただきたい。そういうことで、この際まあ一挙に――実は、この問題はやはり長い問の懸案事項で、区のほうも七十万ぐらいの薬を毎年毎年まいて、またことしも、来年もということでは、やり切れないという。都は都でもう米軍との関係ですから手の打ちようもない、お手上げです。もはや頼りになるのは長官のところしかない。そうすれば、もうここで長官のところでやはり踏み切っていただく以外に手はないというところへきているので、予算その他の関係もありましょうけれども、この際、方針をひとつそういうところに立てていただいて、具体的には金の相談になるだろうと思いますから、それはもうここ半月や一カ月でどうこうということはできぬと思いますけれども、具体的に方針をきめて、施設庁としてこれに取り組んでいただき、ここまでぜひしてほしい。そのためには、いまのもう末端における三者構成会議というのではやはりだめだから、この際、上へ持ち上げて日米合同委員会施設委員会ぐらいでやってみて、どうしてもらちがあかぬということになれば、これはひとつ日本側が国内の公害問題として主張するという、そこへ踏み切ってもらう以外に、これは方法がない。こういうふうに問題が非常に複雑であることもよくわかるのですが、もうこれは、施設庁長官の決断に待つ以外にないような気がするものですから、ひとつ基本的にそういうふうな立場でいかがでしょう。
  11. 山上信重

    政府委員山上信重君) 先ほど私が申し上げましたのは、現地でのいろいろ討議した三者――東京都並びに米軍等との技術的な検討の結果、こういう案がよかろうということで、実は出先ではどうにもならぬから中央でやってほしいというふうにいままで伺っておりましたので、その線でひとつ中央処理をしたいと思っておりましたが、ただいまお伺いしますと、これにもまだまだ十分でないような点も相当あるようでございまするので、はたしてこれでいいかどうか。いまの先生のおっしゃったような根本的な改革でないと、やはり水の質の問題その他からいって致命的な欠陥が残る、この際は基本的なことをやったほうがいいんじゃないかという点も十分感ぜられますので、それらを含めまして、ひとつさらに検討いたしまして、米側とこの施設運用につきましては、当面当然これは米側が管理、運用をしなければならぬ義務がございまするので、中央においてそれらの点を取り上げて、根本的な改善がはかられるように、前向きの措置をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  12. 木村美智男

    木村美智男君 いまの施設庁長官の答えで、原則的には私了解をいたしたいと思います。ぜひこれは時期に差しかかっておりますし、そういう関係で非常に痛切な問題になっておるわけでありますから、できるだけ早い機会米側との折衝の関係等を通して目鼻をつけていただきたい。どうしてもあちらとの関係でうまくないというなら、自主的にひとつ施設根本改善に踏み切ってもらうというようなことまで、この際考えられて、そうしていま長官の言われたような立場で、できるだけ早い機会解決に努力していただきたい。それで、委員長、いま申し上げたようなことで、防衛施設庁長官はきわめてこう前向きの姿勢で改善方に努力するということでありますが、できれば適当な機会理事会で御相談いただいて――実は、これは私が先ほど御紹介をしましたけれども、ほんとうの意味での汚水処理場近辺公害的なひどさというものはちょっとわからないのです。できれば委員会として、私も同行いたしますが、都内でありますので、ぜひ現地調査もしていただいて、この問題の解決にひとつお力添えをいただきたいということをお願いいたします。たいへん貴重な時間をありがとうございました。これで質問を終わります。
  13. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ただいまの木村君の御要望の点につきましては、理事会で御相談いたしまして、御要望におこたえする方途を考えてみたいと思います。  ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止
  14. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて。
  15. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 昨年の六月三十日に油濁防止法制定のときに御質問申し上げまして、その後約一年を経過いたしておりますので、その後の措置の問題につきまして多少お伺いをいたしたいと考えております。  まず、海上保安庁関係と存じますが、まだこの油濁防止法制定はされましたけれども、公営の廃油処理施設も未完成のところが多く、しかも実施面規制も加えられないので、大して実際の効果は出ていないかと存じますが、タンカーその他船舶側自粛の程度に多少の変化は来たしたのではないかと思われますので、その後この一年を振り返りまして、この油濁防止法ができてからの油濁事件状態について概要海上保安庁から御説明を願いたい。
  16. 長野義男

    説明員長野義男君) いわゆる油濁防止法が成立しましたあとの油濁事件概要について御説明申し上げます。  当庁で油濁について検挙いたしました件数が十二件でございます。このうち、十件は港則法等によるものでございまして、油濁防止法に基づくものは二件でございます。なお、現在捜査中のものは二十八件ございます。またさらに、海難、座礁、衝突等によって油の流出を見た件数は、これは違反件数ではございませんが十三件というような数字になっております。以上合計は、昨年の十一月二十一日以降本日に至るまで、五十三件というような数字になっております。
  17. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 その件数は、油濁防止法ができる前と比べて、どういう違反の傾向を持っておりますか。自粛をした形跡が認められますか。ほとんど変わっておりませんか、どうですか。
  18. 長野義男

    説明員長野義男君) 過去三カ年の検挙件数によって比較いたしてみますると、昭和四十年におきましては検挙された件数が七件、四十一年において七件、四十二年で十一件でございます。したがいましてこの過去三カ年の数字に比較いたしますと、検挙件数は上回っております。このことは、従来から海上保安庁といたしましては、油濁防止監視並びに取り締まりについては港則法等に基づいて実施してきたのでございますが、昨年油濁防止法の成立に伴いまして、その監視並びに取り締まりについて特に強化をはかってきた結果、このようなことになっておるというふうに考えられます。
  19. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 その次は、簡単にイエス、ノーとお答え願ってもけっこうですが、この油濁防止法ができますときに、官民一体監視取り締まり体制を確立してはどうかという御意見を申し上げました。  それから第二番目には、航海士機関士にこういう法律があるということを知らしめるために、海技免状試験等の科目にこれを入れるかどうかという問題を質問いたしました。  それから第三番目には、排出基準の一〇〇PPM以下の油性混合物は捨てるとか捨てないとかいうその基準がございますが、この一〇〇PPM検出ということは測定方法が非常に困難で、簡易な実験装置はなかなか見つからないということでありましたが、その後そういうものの検出実験装置はできたかどうか。  それから、海上保安庁関係で毎日こういう巡視を続けている記録が毎日とどめられるようになったかどうか。以前はこういう油濁の記録というものはなかったのでありますか、どうかということ。  そういう点について簡単に総体的な準備体制の問題としてお伺いをいたしたいと思います。
  20. 長野義男

    説明員長野義男君) 第一点の官民の協力体制の確立でございますが、その後私どものほうでとりました措置といたしまして、海上自衛隊、航空自衛隊あるいは水産庁、地方公共団体等の自衛艦、船舶、航空機に対して、油濁防止監視並びにその事実を発見した場合には、通報していただくというような依頼をいたしております。  また、港におきましては、関係機関、海事関係者その他団体等を糾合いたしまして事故対策連絡協議会といったようなものを整備いたしまして、油濁防止思想の普及をはかるとともに、事故があった場合に即応していただくような措置を講じております。  次に第三点でございますが、油分鑑識機材の整備でございますが、お説のとおり完全なものはまだ開発いたされておりません。本年度の予算におきまして、簡易な鑑識機材を整備することにいたして、おります。  第四点でございますが、ちょっと意味がわかりかねたのでございますが、どういうことでございましょうか。
  21. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 それでは申し上げますが、そういった協力体制をお願いするところに巡視日誌というような記録をつけていただいたらば、非常にけっこうだということをお伺いしたのであります。
  22. 長野義男

    説明員長野義男君) 協力を依頼しました先におきましては、この海水油濁の事実を発見した場合には、それを写真にとるとか、あるいは可能な限りのデータを出していただいて、油上保安庁の機関のほうに通報していただくように手配してございます。
  23. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 次に、これは運輸省港湾局並びに通産省に関係する事項と存じますが、まず港湾局にお伺いいたしますが、四十二年には六カ所の廃油処理施設を建設する計画であったと承っておりますが、その後いろいろなことでおくれており、四十三年度に繰り越されておるとも聞いておりまして、公営の廃油処理施設はまだ一カ所もできてないと存じますが、これは公営の廃油処理施設をつくるということについて、地理的に、また経済的にいろいろな難点があることが予想されたのでありまして、私は、この点については船舶の運航上非常に非能率なことができはしないかということを憂慮しておったのでございます。これは、この油濁防止に関する国際条約ができたときにも、この油濁防止法は何人も無理なく順守できるような法律でなければならない。また、船舶を不当におくらせることなく処理ができるようにしなければならない。こういうような条件が、この国際条約批准のときに各国の申し合わせでついていることは、御承知のとおりであります。そこで問題点は、全港湾について廃油処理場を公営でつくらせることが適当かどうかという問題が一つと、なお自家用処理において自家用とみなされない臨用船の船、まあスポット船と申しますか、そういうものも処理されるようにはできないかどうか。まずそういう点について、港湾局のほうから御意見を承りたいと思います。
  24. 内村信行

    説明員(内村信行君) 御説明申し上げます。ただいま先生の御質問におきまして、公共団体のほうで廃油処理施設をつくるということをやっておったのだけれども、まだできておらぬが、その建設状態はどうであろうかということがまず第一点かと存じます。その点につきましては、先ほど御意見のございましたように、まずこの港湾管理者が建設をいたす分といたしましては、主としてバラスト処理の廃油が多い。こういう点に着目いたしまして横浜、川崎、千葉、水島、岡山、神戸、こういう六カ所につきまして、港湾施設としての外郭施設、係留施設、それから用地、こういったものを主体として整備してまいりました。ただ、これは単年度では全部が完了いたしませんで、四十三年度以降におきましてその用地の上に廃油処理施設をつくってまいりたい。大体二カ年度の継続で済むのではないかというふうに考えております。  それから、そのほかに、現状といたしましては、民間で行ないます廃油処理場というものがございます。これは主としてタンク・クリーニング水の処理、そういったものがおもな対象になっておりますが、これは現在横浜であるとか、川崎、清水、常石、因島、壬生川、これは愛媛県でございますが、こういったところで、すでに廃油処理事業というものを民間で経営しております。ただその稼働実績と申しますと、港湾管理者のものは、先ほど御説明いたしましたように、現在これはございません。民営のものについては、まだ稼働実績を取りまとめるまでには至っておりません。  そこで、第二の御質問は、こういうふうなことを港湾管理者がやるということは一つ方法だけれども、それで全国がカバーできるんだろうかというふうな御質問かと思います。で、まあ私どもの考え方といたしましては、いわゆる汚濁防止法、これにおきましての廃油処理施設の体系といたしましては、港湾管理者がつくるもの、それから民営でつくるもの、そのほかに自家用廃油処理施設を設ける、こういう三つの方注が開けておるわけでございます。そこで、その三つの方法で、先ほどおっしゃいましたのは自家用の廃油処理施設、これをどういうふうに運用していったらいいか、こういうふうな問題になるかと存じます。そこで、こういったような三つの方法をどういうふうに運用するかということにつきましては、それぞれの場所の具体的状況に基づきすして、たとえば相当数多くのいろんな事業所が――石油関係会社があるというような場合には、港湾管理者がこれをやる、あるいは一港に一石油関係会社しかないというふうな場合にはあるいは自家用を認めるとか、そのような運営をいかしまして、その場所場所ごとに適切な配置をしでまいりたいというのが、基本的な考え方でございます。  そこで、その次の問題になりますと、それでは自家用というものをつくる場合に、現在のたてまえでは、大体自分の会社の船、用船――これも長期用船、スポットものは自家用とは認めないというふうな考え方が一応あるわけでございますが、それについて、そういう考え方では自家用というものが十分に働かないんじゃないか、こういうふうな御趣旨ではないかと思われます。そこで、この問題についての自家用の問題について、いまございます問題点を申し上げますと、まず第一に港湾管理者と、それから自家用とが一つの港で併存する場合があり得る、こういう場合には、港湾管理者としてせっかく資金をかけて処理施設をつくるわけでございますから、これはやっぱり事業としてペイさせなきゃいかぬ。採算はとんとんでなければいかぬ。こういうことでございますが、これがほかの自家用のほうへ全部吸収されてしまいますと、ほんのわずかなものしか港湾管理者のほうには入ってこないということで、経営が非常に困難になる、こういう問題が一つございます。そこで、こういった問題についての自家用施設と、それから港湾管理者の行なう施設との間の調整――両者が成り立つような調整ということを考えていかなきゃならぬというのが一つ問題点。それから、そのほかに、一港について一つの事業者しかない。ほかはまあ若干あるけれども、ほとんどがその石油事業者の船であるというふうな場合には、スポットものも含めて全部やらせるというふうなことも考え得るわけでございます。ただ、その場合には、ほとんどがそこで自家用としてみなされるといたしましても、そのほかの、全然その石油会社に関係のないものが出てまいる、こういったものを一体どういうふうに吸収したらいいだろうか、それは石油施設整備港として独立するかどうかという問題にもからんでくる。そういうふうな問題がございますので、そういう点について、何とか自家用というものと、そうほかの自家用じゃないものについても、その施設を使って処理さしてもらいたい、こういうふうな問題がございます。こういう問題につきまして、いま業者の方々といろいろ御相談をしておりますが、まだ最終的な決着はつかない。しかし、こういった方向で、この前者につきましては港湾管理者と、それから石油会社との調整の問題、それから後者につきましては全然自家用以外の船の処理の問題、こういったものをどうするかという点につきまして、通産省とも御相談申し上げながら、前向きに検討いたしたい。要は、どうしたら廃油というものの流れることが少なくなるかということから検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  25. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 同時に、これは通産省の鉱山局のほうにお伺いをしなければなりませんが、通産省鉱山局としては、この廃油処理施設ができるときに、廃油の問題は船舶所有者の責に帰すべき問題で、精油所の関係するところでないから、それはもちろん施設を精油所に強制すべきものではないということで、強く反対されたと聞いております。しかし、私が去年の六月、ここで両角鉱山局長に御質問したときには、必ずしもそうばかりも考えられないので、十分ひとつ運輸省と連絡して考えてみましょうという答弁をいたしております。というのは、すでに専門の見地から御存じでしょうが、欧州においては、精油所には原則として廃油処理施設があるわけです。そうして、入港してくる船は自家用であろうと、スポット船であろうと、廃油バラストだけはそこに捨てて、油を積むことになっている。これは御承知のことと思います。これは、当然そうでなければならないと思っておりましたところ、はたせるかな、今年の二月の二十日に館山沖で第十一大東丸という百トンばかりのタンカーが、廃油バラストを積まずに入港しておりまして、これが横波をくって転覆して、しばらくの間生存した人が船底におったという事件が起きました。これと今度同一の問題で、東京湾の港湾管理者が、あるいは千葉の港湾管理者なら管理者が、数カ所廃油処理施設を持てばいいのですが、そういうことは経済的にできません。こういうことになれば、ある一定の港湾管理者の廃油処理場で廃油バラストをおろして、船舶運航の安定のために持っているものを全部はき出して、そうして強い西風なり、北風を受けて、今度は精油所に油を積みに行く間の危険状態というものは、ただこの度油処理施設の公的機関を生かさんがために、そういう危険を船におかさせるということになりますから、実際は励行いたしませんでしょう。実際は励行しないのみならず、そういうことは保険や船運賃にも多大の影響を持ち、船舶の運航をおくらせないという趣旨からみると、非常にこれは非能率なことになるので、いま運輸当局から御説明がありましたが、スポット船であろうと、何であろうとそこに入港した場合には、一番最寄りの廃油処理施設で廃油の混入したバラストを排出できるということにしなければ、実際に合わないわけです。そうすると、今廃は公共施設は非常にひまになって、採算がとれないという事態ができるのは、これはまた別の問題として船舶所有者と公的な港湾管理者との間に、いろいろ協定が結ばるべきものであって、現実には東京湾では、あなたのほうで、自家用船舶のスポット船の廃油処理施設は公的なものでなければならないということで、業者が困ったという訴えを私も聞いておりますから、ぜひひとつ運輸当局はその実情に合うようにこれを運営していただきたいし、さらにまた、鉱山局においては、精油所が廃油処理施設を持たないということは、これは異例なんですよ。よくお調べになればわかると思うのです。したがって、廃油処理場で迅速に船の処理をするために、廃油処理施設を持たせる方向に、これは強制しないまでも、そういうような行政指導を漸次加えていってもらいたいと思いますので、それに対する通産省側の意見を伺っておきたいと思います。
  26. 半沢治雄

    説明員(半沢治雄君) ただいまの公共用として使われます港湾管理者が設置いたします施設と、それから民間の企業が設置しまする施設との間に、それぞれの港湾の条件、あるいは精油所の設置の条件に応じまして御指摘のような問題点があることは、私ども承知いたしましておりますので、先ほど運輸省のほうから御答弁もございましたように、それぞれの港湾条件なり、あるいは企業の施設状況というものに応じて、実態に即した解決がはかれるように、今後運輸省と十分に詰めて、前向きで解決してまいりたいというふうに考えております。
  27. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 それでは次に進みますが、現在におきましても、すでに原油の輸入量は一億トンをオーバーしておりまして、世界的な第一の輸入国と言えますが、さきに三月の末に、通産省の発表いたしました四十三年から四十七年までの新しい石油の供給計画によりますと、四十三年の一億三千九百万トンから四十七年には二億五百万トンという大量の供給計画を立てているわけであります。したがいまして、現在の日本の主要狭水路の通過船舶の数とパーセンテージを私が調べてみますと、やはり通過量の多い浦賀水道であるとか、紀伊水道であるとか、あるいは備讃瀬戸であるとか、そういうようなところに一番多くの衝突事件や乗り上げ事件が起きておりますが、さらにこれが二億五百万トンに倍増したときの態勢を考えますと、これに対する海上交通安全対策というものをどう考えるかということは、非常にこれは公害防止上にも、また日本の工業適地の選定の上にも大きな影響が出てくると思いますが、海上保安庁はすでにこのことを察知されて、何らかの対策考えておられると思いますが、これについて御意見を承りたいと思います。
  28. 長野義男

    説明員長野義男君) 船舶の交通量の増加、あるいはまた、いまおっしゃいましたように油送船の増加、大型化といったようなことから考えますと、これによって起こるところの災害の大きさは、はかり知れないものがあるのでございますが、このような海上交通の現状に対処いたしまして、海上保安庁といたしましては、港湾、航路の水路測量、あるいは航路標識の整備といったような交通環境の整備をまずはかり、一方、港内、狭水道、船舶交通の事故が起こりやすい海域におきましては、航法の指導あるいは取り締まりといったようなことを強化してまいりたいと考えております。同時に、これが指導並びに取り締まりに当たりますところの巡視船艇につきまして、その整備を進めると同時に、一方には関係機関の協力をお願いしなければならないと思っておるのでございます。このような航法の指導、取り締まりをもってしましても、なお、今日の海上交通の現状をもってしますと十全ではないと考えますので、船舶の交通方法、交通管制あるいは危険物搭載船舶に対する規制の強化といったような交通法規の整備を進める必要があると考えまして、海上交通法の準備を進めてまいっているところでございます。また、昨年の三月、英国近海に起きましたタンカー・トリーキャニヨン号の油流出事件、これは大きな災害をもたらしたわけでございますが、これを教訓といたしまして、わが国の沿岸海域において発生するそのような災害に対処するために官民協力一致の態勢を促進しております。関係機関はもとより、民間団体を糾合いたしまして、事故対策連絡協議会というような組織を整備いたしますとともに、それらの機関が一体となって、事故が起きた場合の応急救難訓練を実施してまいっておるところでございます。また、油火災に対処するために海上消防力の強化、あるいは流失油に対する処置、資料の整備、こういった方向にも進んでおるわけでございます。と同時に、特別研究促進調整費をもちまして、引火性の油あるいは流失油の拡散状況オイルフェンス、油除去剤、あるいは消火方法、こういったものについての研究をそれぞれの機関において進めていただいておるのが、これらの大型タンカーの事故に対処する対策でございます。
  29. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 これは港湾局にもお伺いをいたしたいと思いますが、現在発注されている、日本の造船所でつくられているタンカーの平均トン数、これはもう過去三年来十万トンをこえて、非常な大型化している。運賃を軽減するために、これはある程廃大型化するのはもう当然なことと思いますが、それは、現在においても、わが国の狭水路において危険な状態になっておるのに、この数が倍増してくるということを前提として――昭和四十七年には二億トンをこえるという状態ですが、かねてから懸案になっておるCTSの建設について、何らかの準備調査なり、計画なりが進められておるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  30. 内村信行

    説明員(内村信行君) CTSの問題としてお答え申し上げたいと思います。CTSの問題は皆さまよく御承知のように、まず石油の生産量が、あるいは需要が非常に多くなってくる、そうすると非常に大規模の施設が要ってくるであろう、あるいはその大きな貯油施設、備蓄量が増加してくるであろう。そういたしますと、あるいは大きな精製工場なりあるいは備蓄タンクを設けまして、それによって石油の需要増加に伴う石油の安定的供給に資する、こういうふうな意味と、それからもう一つは、非常にそういうふうな大規模なものができた場合には、ただいま御指摘のありましたように、船舶航行の安全というものとからみましてもっと広い、危険性のないところに持っていったらいいじゃないかということ。それからもう一つ、非常にそういうふうに大量な油の需要がございますと、それを持ってくる場合に、もっと大きな、超大型のタンカーを使えば輸送のトン当たりのコストが安くなってくるのじゃないか、こういったようなことから、CTS構想というものが生まれてくるものであると存じます。  そこで、現状を申し上げますと、現在は大体の多くの石油精製基地、そこには大体二十万トン程度のものが一応入港可能であるということ、それからまた、大型タンカーと申しますと、一応五十万トンあたりを想定されておるわけでございますけれども、五十万トンとそれから二十万トンと、この建造価格を比べました場合に、現在の造船技術におきましては、五十万トンにしたほうが非常に採算が有利であるという結論は、現在必ずしも出ておらないということが一つ。それから石油基地につきましても、現在においては、大体現状でもって――現在の基地付近を延長するとかそういうことで、一応足りておるというふうなことから、現実の問題としてはごく一部の会社を除いては、具体的にこうこうしたいというふうなCTS計画は出てまいっておらないというのが現状でございます。しかし、将来を考えますと、先ほど先生の御指摘がございましたように、石油の需要量は大幅に伸びていく、輸入量はふえていくということでございますので、用地の確保というものも困難になるでございましょう。また同時に、大型船につきましても、技術革新によりましてもっと安いタンカーが建造できるというふうな時代が必ずや参るのではないかというふうに考えます。そこにおいて、こういったいわゆるCTS構想というものが、当然将来においては必要になってくるのではあるまいかと、私ども考えております。したがって、運輸省といたしましても、昭和四十二年度におきましては、石油港湾の全国的配置、それから経済性、それから特に船舶の航行の安全性、そういったものを考えまして、こういう観点から原油輸入基地に関する調査というものを実施いたしまして、目下その結果について取りまとめ中という段階でございます。そういうことによりまして、特にわれわれといたしましては、船の安全性の問題、航行の安全性ということに特に慎重に着目いたしまして、そういった検討を今後とも進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  31. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 このCTS問題は、非常に経費もかかる問題であるし、将来の日本の石油輸入方法に対する一つの大きな変革にもなりますので、積極的に通産省と運輸省で事前に予測して調査を進めておきませんと、事態が急迫してやっても急にできるものではないので、特に両省におきまして協調しながら、ひとつお願いをいたしたいと思っております。  次に、CTSにも関係がありますが、必ずしもCTSにならないまでも、港外にシーバースをつくって、そこからパイプ油送をするというような事態も今後必要になってくるんじゃないか。特に東京湾の状態は、水路を四航路にして、大・小型の船舶を分けて航行するというような方法海上保安庁考えておられるといわれておりますが、そのほかに、すでにもうこれ以上、原油の輸入量がふえた場合に、はたして海面が安全に交通できるかどうかという大きな一つ問題に逢着するんじゃないか。したがって、パイプ油送計画というような問題もすでに夢物語でなくて、現実に研究をしていかなきゃならぬ事態になっていると思いますが、どういう御意見ですか、承っておきたい。
  32. 内村信行

    説明員(内村信行君) パイプラインの油送につきましては、ただいまおっしゃいましたように、シーバースをつくりまして、シーバースから陸地までのパイプライン、これが一つ。それから原油が備蓄されました場合に、原油としてどっかの精製所までパイプラインで流すという方法一つ。それから精製できました石油というものを消費地に向けてパイプラインで流す。こういった形態がパイプララインということで考えられるかと存じます。そこで、わが国の現状から申し上げますと、これは幸か不幸か存じませんが、わりにヨーロッパなどと違いまして、海送に非常にたより得るというふうな点が、わが国についてはございましたので、その関係から、現状においてはヨーロッパと比較しましてパイプラインというものはあまり発達しておらないと思います。  しかし将来の問題といたしましては、たとえば新東京国際空港では千葉あたりからパイプラインでジェット用燃料を持ってくるという計画もございますように、いろいろそういったパイプラインの計画というものが出てくると思います。特に、中短距離においては、その需要がまとまってまいりますと、油送コストが非常に安くつく、そういう点、それから陸上を油送する場合に、現在はタンクローリー自動車などで運んでいるわけでありますけれでも、こういったものと比べまして事故率と申しますか、安全性の面においても有利である。それからまた、将来は労働力の需給というものが非常に逼迫してくるというふうに考えられますが、そういった面からも、パイプラインを実現しますと、そういった面から労働力節約にもなりまして、非常に有効であるという考え方からして、当然パイプラインというものは、将来の石油、原油、こういつたものを油送する形態として重要なものであると考えております。そういう見地からパイプインの油送というものも積極的に考えてまいりたいというふうに考えます。
  33. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 以上私は、原油の輸入量の非常な増大に伴います港湾そのものの準備体到は、必ずしも新時代に対処するように現在の第二次五カ年計画が組まれておるかどうかということに対して、心配をいたしておる者の一人でございますので、ぜひ、そのことも考慮に入れながら、ひとつ海上保安庁と通産省とよく連絡をとられまして、港湾計画を進めていただきたいと思うのであります。特に、もし万一大きな事故が起きたといたしました場合に――先般新聞紙上によりますと、四月十六日にわずか五キロリットルの原油を東京湾で燃やして、関係各省が立ち会って消防演習をしたと聞いておりますが、この「危険な東京湾」というパンフレットをいただいて見ますと、実際、東京湾の沿岸線は二百四十キロで、これに接しておる市街地の延長は河川を含めて百五十三キロになっておる。したがって、現有消防艇九隻では非常に心細い、かつまた国の消防基準によれば三十一隻ぐらいが必要になる。しかも科学消防艇や大型消防艇が必要であるということが専門的に研究されておるのでありますから、東京湾が万一の事態になっても、先に御説明がございましたが、消防艇や界面活性剤やオイルフェンスや、その他に遺漏のないように準備体制を整え、相当な予算を計上して、この事態に備えておかねばなりません。すでに、さような事態は、日本でも例の銀光丸といいますか、鉱石船と日本のタンカーとが衝突して大量の油を流した事件もあるし、またトリーキャニョンのような大事件もあるわけでございますので、入港船舶の増加に伴いまして海上保安庁の今後のこの対策要望いたしておきたいと思います。  次に、さように原油の輸入量が増大をいたすに伴いまして、海上交通規制はいずれきびしくならざるを得ないのであります。これは、そういう海上交通に関する規制法令を出す出さぬにかかわらず、現実に沿岸漁業の操業は困難になってまいっておりまして、漁獲量にも、また操業時間にも制限を受けるものと思います。これは、ある程度やむを得ぬ面もあるのでございます。さきに海上保安庁が海上交通法を出そうとして、非常に反対を受けておりますが、やはりそこで操業をしておる漁業については適正な補償を与えながら航路を新設するなり、あるいは危険防止をするという考え方がなければならないと考えますが、海上保安庁はどう考えておられますか。また、水産庁のほうではどう考えておられますか。
  34. 長野義男

    説明員長野義男君) 狭水路その他、一般航路におきましては、これは御説のとおり、船舶の通路であるとともに、漁場でもありますので、航行船舶によって漁労が制限されるというような事態になる場合におきましては、当然その面の補償も考えなければならない、そのように考えておりまして、航路において漁労の制限、禁止をする場合においては、補償をするというたてまえをとっております。今回の海上交通法の立案にあたりまして、この点につきまして水産庁を折衝いたしておりますが、なお現在におきまして未調整の点はこの点でございます。
  35. 竹原幸吉

    説明員(竹原幸吉君) ただいま海上保安庁のほうから御答弁がございましたが、漁業者の立場におきましても適正な操業が制限されるわけでございますので、当然適正な補償があるのがしかるべきであるという主張でございます。
  36. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 原油輸入量の増大に伴いまして、危険防止をやりましても、あるいは油濁防止法をつくりまして公害防止につとめましても、ある程度の油濁事件というものは、これはやむを得ず発生いたすものと考えております。現に、そういう事件がたくさんあるということは説明を受けたばかりでございます。これに対しまして、昨年も私は質問申し上げましたが、第三者に与えた損害を賠償するという制度が海上ではまだ十分に発達をいたしていないことも、御承知のとおりと思います。去年の調べによりますと、一番大きい出光丸が二十万トンで年間の保険料を三百十万円納めておれば、万一この船に損害を及ぼしたときの保険会社の保険金の支払い額は一億二千九百万円までは保証するということになっておる。これが去年の最大でございました。本年は変わっておることと思いますが、日本の大手の自家用船並びに長期の用船にはほとんどPI保険という損害保険が――任意加入でございますし、金額そのものは必ずしも大きくないまでも、ほとんど保険がかけてあるようでございますが、一ぱい船主の小型船、特に国内の沿海及び近海を航行いたしておりますタンカーのほとんど大部分は、このPI保険に加入していないのが実情でございます。したがって、万一事故が起きた場合に、これらの船主の支払い損害賠償能力というものは事実上ないわけでございまして、その賠償交渉は非常に難航するのみならず、事実、漁業者の泣き寝入りする例が多々あるのじゃないか、私はそう考えておりますが、水産庁、そういう事例はございませんか。
  37. 竹原幸吉

    説明員(竹原幸吉君) ただいま先生の御指摘になりましたような事例がございまして、非常に困っているケースがございます。特に大型タンカーでございますと、ほとんどPI保険に入っておるようでございます。小型タンカーは、ただいま御指摘のように加入船が少ないのでございまして、こういう小型船が衝突あるいは座礁その他の事故によりまして油を流出いたしましても、事故の被害者に対しますところの賠償能力がございませんので、業者のほうはほとんど被害に対する補償が受けられないというケースがございます。
  38. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 御承知のとおり、陸上におきましては、自動車の賠償保険制度というものがかなり発達をいたしてまいりました。海上においてはまだ未発達になっており、事実上、沿革漁業者が非常に迷惑するという場合が多いということは、いま御説明のあったとおりでございます。本件については、私は昨年もこれを指摘いたしまして、運輸省の鈴木説明員であったかと思いますが、「十分検討いたしたいと思います」という御回答をいただいておるのでございますが、事柄は非常に複雑であり、非常にむずかしい問題であるために、今日まで何らかの成案を得たという話を聞いておりませんが、水産庁、運輸省あるいは大蔵省とが一緒になりまして、やはりこの海上におきます第三者に与えた損害を賠償する保険制度について真剣に御検討なさる時期がきておるじゃないかと思いますが、それぞれの関係当局の意見を承っておきたいと思います。
  39. 野村一彦

    説明員(野村一彦君) ただいまの柳佃先生から御指摘がございました保険の強化と申しますか、救済措置の問題につきまして、御承知のように私どもは、現在関係各省が共同してやっておりますところの、総理府に置かれました公害対策審議会でございますか、ここでいろいろ基本的な構想を練っておられるようでございます。私どもも、水産庁及び関係の各省と連絡をとりまして、そこにおい考えられるであろうところの基本的な方向についていろいろと資料を集め、研究をいたしておりますが、現在の段階におきまして、いま先生がおっしゃいましたように、まあ運輸省の立場、海運のサイドの立場から申し上げますと、これは水産業界と海運業界との経済的な何というか、損害の補てんの調整の問題でもありますし、また、水産行政と海運行政の調整の問題でもございますので、特に水産庁とは事務的に連絡をとって検討をいたしておりますが、ただ問題は、昨年も申し上げましたかと思いますが、PI保険の強制加入というような点になりますと、いわゆる賠償責任の問題との関連で、いろいろ法理的にもむずかしい問題がございますし、なお、PI保険でカバーできない、たとえばばく然と海運のサイドで油を流したための、ノリの業界の損失というようなことは言えても、具体的にどの船であるかというようなことがわからないものに対して、どういうふうな賠償をさせるかというような問題もございますし、たとえば加害者が明らかな場合あるいは明らかでない場合というような点について、PI保険の及ばない部面について共済制度なりあるいは基金なりというような構想もあるかと思いますが、そういう点は法律上の問題及び企業者の負担力の問題、あるいはこれは国及び都道府県というものがどの程度に関与すべき問題かというような点につきまして、いま法律上の問題並びに事実上の問題をデータをそろえて事務的な段階の検討を進めてまいりたいと思っております。
  40. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 本日は、私の質問はこの程度にとどめたいと思いますが、まだ油濁防止法制定施行以来非常に日も浅いことでありますし、受け入れ体制も十分できない態勢下におきまして、いろいろ御苦心があることと存じますけれども、この成果がますますあがりますように、関係各省当局の注意を喚起いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  41. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ほかに御質疑もなければ、本日の調査はこの程度にいたし、これにて散会いたします。    午後四時十一分散会