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1968-03-15 第58回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十五日(金曜日)    午後一時十五分開会     ―――――――――――――    委員異動  二月二十七日     辞任         補欠選任      平島 敏夫君     温水 三郎君  三月十五日     辞任         補欠選任      奥村 悦造君     堀本 宜実君      矢山 有作君     前川  旦君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         小酒井義男君     理 事                 青田源太郎君                 佐藤  隆君                 武内 五郎君                 矢追 秀彦君     委 員                 稲浦 鹿藏君                 近藤英一郎君                 土屋 義彦君                 温水 三郎君                 堀本 宜実君                 山崎  斉君                 山内 一郎君                 中村 波男君                 前川  旦君                 高山 恒雄君    政府委員        総理府総務副長        官        八木 徹雄君        経済企画政務次        官        山下 春江君        経済企画庁総合        開発局長     宮崎  仁君        農林政務次官   日高 広為君        建設政務次官   仮谷 忠男君    説明員        防衛庁防衛局第        一課長      今泉 正隆君        科学技術庁研究        調整局調整課長  藍原 義郎君        文部省管理局教        育施設部指導課        長        大串不二雄君        厚生省社会局施        設課長      大和田 潔君        農林大臣官房参        事官       太田 康二君        農林大臣官房予        算課長     大河原太一郎君        農林省農地局参        事官       佐々木四郎君        林野庁指導部長  木村 晴吉君        通商産業省大臣        官房地方管理官  原山 義史君        中小企業庁計画        部長       井土 武久君        運輸省大臣官房        参事官      内村 信行君        運輸省大臣官房        開発課専門官   島津 久義君        建設省河川局次        長        多治見高雄君        建設省河川局防        災課長      坂井 秀正君        建設省道路局企        画課長      豊田 栄一君        建設省住宅局住        宅総務課長    角田 正経君        自治省財務局財        政課長      首藤  堯君        消防庁防災救急        課長       中沖  豊君        日本専売公社生        産部長      大塚 孝良君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (昭和四十三年度災害関係予算に関する件及び  昭和四十三年度災害復旧事業計画に関する件)  (昭和四十三年二月の降雪並びに宮崎鹿児島  地方地震による災害対策に関する件) ○派遣委員報告     ―――――――――――――
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  二月二十七日、平島敏夫君が委員辞任され、その補欠として温水三郎君が選任されました。  また、本日、奥村悦造君、矢山有作君が委員辞任され、その補欠として、堀本宜実君、前川旦君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に、本日の理事会の結果について御報告いたします。  本日の議事につきましては、昭和四十三年度災害関係予算概要並びに同年度災害復旧事業計画について、総理府から一般説明を聴取した後、関係各省庁からその補足説明を聴取し、引き続き、先般本委員会が行ないました委員派遣について派遣委員から報告を聴取した後、昭和四十三年二月の降雪並びに宮崎鹿児島地方地震による災害に関する件について、関係政府当局に質疑を行なうことになりましたので、御了承願います。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  昭和四十三年度災害関係予算概要並びに同年度災害復旧事業計画について、政府当局から説明を聴取いたします。  まず、総理府から説明を願います。八木総理府総務長官
  5. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) 昭和四十三年度における防災関係予算概要について、簡単に御説明申し上げます。  詳しい内容につきましては、お手元に配付しております資料によりまして御承知いただきますと同時に、関係各省が来ておりますので、引き続いて詳細な点は御報告いたしたいと思います。  防災に関して必要な一般的行政指導等は、関係省庁が常に行なうものでありますが、特に災害が発生した場合には、実情に応じまして迅速かつ適切な対策を講ずることにいたしておりまして、このために必要な経費は、既定予算流用あるいは予備費支出等、適宜な措置を講じていきたいと考えている次第でございます。  以下、予算の大要について申し上げますと、まず科学技術研究についてでありますが、防災科学技術研究は引き続き関係省庁研究機関強化充実をはかるとともに、地震地すべり冷害産業災害等防止のための研究及び各種構造物安全性等に関する研究推進することとしており、総額二十二億三千万円の予算措置を講じております。  次に、災害予防につきましては、災害予防に関する教育訓練関係各省庁が引き続き実施することとし、防災施設及び設備につきましても、気象観測、通信、運輸、防火、水防等について整備充実をはかるとともに、災害防止するための指導につとめることといたしまして、総額五百四十七億三千七百万円の予算を計上しております。  さらに、国土保全につきましては、国土保全防災の基本であることにかんがみ、東京・大阪等重要地帯台風襲地帯砂防地すべり地域主要海岸地域開発等で急速に発展する地域等における災害防除重点を置き、治山治水海岸保全農地防災等各種事業推進事業内容充実をはかることとし、総額二千五十五億八千万円を用意しております。  災害が発生した場合においては、迅速かつ適切な救助活動が実施されるよう関係機関との協力体制を確立し、災害実情に応じた必要な応急対策を講ずることとしており、総額三億四千二百万円の予算を計上しておりますが、このほか、必要に応じて既定予算流用予備費支出等適宜の措置を講じてまいりたいと考えております。  最後に、災害復旧につきましては、昭和四十年から昭和四十二年までに発生した災害のうち激甚なものについては、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づいて特別の財政援助または助成を行なうとともに、昭和四十年災害復旧事業はこれを完了させ、四十一年災害及び四十二年災害は、直轄事業については北海道の一部の事業を除いてほぼ完了させ、補助事業についても工事の進捗をはかってまいりたいと考えております。  なお、災害融資等必要な金融措置も講じ、復旧資金等円滑化をはかり、災害復旧推進に努力してまいりたいと考えておりまして、総額一千八百五十七億三百万円を計上しております。  以上、昭和四十三年度における防災関係予算概要について御説明いたしましたが、もとより災害予防重点を置きまして、その総合的対策を講ずるとともに、災害が発生した場合にも、迅速かつ適切な応急対策をとりつつ、災害復旧に万全を期してまいりたい所存でございます。
  6. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に、農林省にお願いいたします。大河原予算課長
  7. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お手元資料に即しまして、四十三年度におきます農林関係防災予算について御説明を申し上げます。  一ページの中ごろにございますように、農林省関係は千二百九十五億一千八百万円になっております。前年度は一千四十八億五千三百万円でございますので、前年比といたしまして、一二三・五%になっております。  以下内訳に入りますと、二ページをあけていただきますと、中ごろに農林省科学技術研究関係がございます。一億五百万円でございますが、水稲その他の作物に関する冷害、凍霜害に関する研究農地の侵食、地すべり等農業用施設等保全に関する研究、及び防災林の造成なり、治山工法確立等に関します研究、及び森林自然災害及び火災防除に関する研究、及び小型漁船安全操業に関する研究等々を含めまして、一億五百万円を計上しております。  次に、災害予防関係でございますが、三ページの一番下にございますように七千万円でございますが、これは漁船事故防止といたしまして、漁船機関検針員設置とかあるいは事故防止の奨励の経費とか、あるいは小型漁船安全基準の設定のため等の諸経費、及び森林国営保険におきまして、森林火災防止のため巡視員望楼携帯無線等設置につきまして、経費を計上しております。  また、災害対策用につきましては、食糧管理特別会計国内向け管理勘定におきまして、二百二十五万食分の乾パンの備蓄をいたしております。  なお、災害が起きました場合の緊急対策用雑穀種子といたしましてそば、大小豆等につきましては、国営馬鈴薯原種農場予備貯蔵を行なっております。以上合わせまして七千万円でございますが、なお国有林野事業特別会計におきましては、応急仮設住宅用復旧用材といたしまして、五万立米を備蓄しております。  次に、国土保全関係経費でございますが、五ページをあけていただきますと、その冒頭に農林省関係といたしまして、四百四十三億二千四百万円という金額を計上しております。これにつきましては、現行治山五カ年計画に基づきます治山事業費といたしまして、一般民有林及び国有林を対象といたしまして、二百七十億二千万円の経費を計上しております。なお、これにつきましては御案内のとおり、現在災害多発国土開発進展等に対応いたしまして、治水計画と合わせまして、治山計画についても改定を準備中でございまして、治山治水緊急措置法改正案の提案を用意しております。  次に、森林法に基づきます保安森整備管理事業につきましては、保安森指定解除、台帳の整備その他の関係で一億九千八百万円、それから海岸法に基づきます海岸保全事業につきましては、当省関係では、農地海岸漁港海岸がございますが、合わせて四十億三千四百万円を計上しております。また、地すべり対策事業といたしまして、農地及び林野関係事業がございますが、約二十八億の経費をこの関係に計上しております。そのほか、災害復旧と関連いたします農業施設等災害関連事業につきましては、農業用施設なり、林地荒廃施設なり、漁港施設等について災害関連経費を九億四千六百万円計上しておるわけでございます。以上、四百四十三億二千四百万円が国土保全関係農林省関係経費でございます。  次に、災害復旧関係経費でございますが、六ページをあけていただきますと、八百五十億一千九百万円の経費が計上してございます。これにつきましては、その原則的な考え方は、先ほど総務長官の御説明にもございました復旧進度を確保するわけでございまして、総額二百九十四億二千二百万円の予算をこれら農地海岸治山、林道、漁港等災害復旧経費に計上しております。なお、一般会計歳出予算以外におきましても、四十二災及び四十一災の復旧進度を高めるために、別途国庫債務負担行為といたしまして五十三億二千万円を今回要求しております。  次に、災害関係融資に関する経費といたしましては、天災融資法に基づきます災害融資利子補給及び損失補償金といたしまして十八億円を計上いたすとともに、開拓者につきましても開拓者対策用災害資金として一億円、そのほか農林漁業金融公庫貸し付け金額といたしましても、農地等災害施設復旧及び自作農維持創設資金、これらを合わせまして百八十三億円の予算を計上しておるわけでございます。  なお、最後保険関係についての経費でございますが、農業災害補償法に基づく経費四百三十二億四千八百万円、森林保険関係の十八億一千九百万円、漁業災害補償制度の七億五千五百万円、漁船損害補償制度関係の七十八億六千一百万円という保険関係を計上しておるわけでございます。  以上、簡単でございますが、農林関係説明を終わります。
  8. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に、科学技術庁にお願いいたします。藍原調整課長
  9. 藍原義郎

    説明員藍原義郎君) 科学技術庁関係予算を御説明申し上げます。一ページを見ていただきますと、四段目に科学技術研究が約九億円と災害予防が一億八千二百万円、合計十億八千二百万円を計上しております。そこで二ページをあけていただきますと、科学技術研究関係でございますけれども、総額九億円でございまして、その内訳は、特別研究促進調整費の活用を通じまして、国立防災科学技術センター中心として風水害、あるいは雪害冷害地すべり地震等に対する防災科学技術に関する試験研究推進するということとあわせまして、霧によって生じます交通災害等防止するための霧濃度の稀釈、あるいは霧の拡散、消滅等に関します研究を民間に委託して実施いたします経費、合わせまして一億六千七百万円を一応計上しております。それから次に、国立防災科学技術センターにおきましては、大型耐震実験装置整備を四十二年度に引き続きまして進めることにいたします。これとあわせまして新たに基礎工事並びに実験屋家等建設に着手する予定にしております。そのほかに、気象調節に関します研究に新しく着手することにいたしまして、その活動体制整備しまして、防災研究の強力な推進をはかることといたしております。この経費が四億四千九百万円でございます。それから原子力施設安全基準原子力施設安全評価放射性廃棄物の処理、放射線障害防止及び放射線の人体に与える影響の解明などに関する試験研究を例年のとおり推進いたします経費といたしまして二億八千四百万円を計上いたしております。総計で九億円でございます。  次に、三ページをあけていただきますと、三ページは災害予防でございますけれども、総額一億八千二百万円を計上しておりまして、内訳といたしましては、核爆発実験に伴います放射性降下物調査などの一般環境放射能水準調査を行なうために一億五千八百万円を計上してございます。それから原子力施設安全審査検査などを行なうほか、原子力施設周辺放射能監視を行なうために一千八百万円を計上しております。そのほか、河川変遷機構地盤沈下防災基本問題と自然保護治山治水一般方策に関する調査などを行ないますために六百万円を計上いたしまして、総計一億八千二百万円になっております。以上でございます。
  10. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  11. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を起こしてください。  次に、建設省にお願いいたします。河川局次長
  12. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) お手元に御記付申し上げております資料に基づきまして、建設省関係昭和四十三年度防災関係予算概要を御説明申し上げます。  最初に、科学技術研究のほうでございますが、三ページにございますが、建設省関係といたしましては八千二百万円でございますが、その内容といたしましては、ここにございますように洪水予知崩壊防止地すべり防止等各種の安全をはかるための研究、それから建築物関係の安全をはかるための研究等でございまして、内訳を申し上げますと、それぞれ所管事務につきまして土木研究所土木関係安全施設研究に四千万円、建築研究所建築関係安全研究につきまして二千五百万円、国土地理院で千七百万円という内訳になっております。  次に、災害予防経費でございますが、お手元資料の五ページにございますが、建設省関係といたしましては百二十五億八千三百万円でございまして、この経費によりまして水防用無線局あるいは無線電話機等整備いたしますとともに水防倉庫整備する。そのほか除雪防雪、凍雪害防止等施設整備し、また除雪に要する機械整備をする、あるいは道路崩壊防止するための事業を行なう等の内容にいたしております。内訳を申し上げますと、河川関係水防に関する経費で九千百万円、道路関係除雪防雪、凍雪害防止等関係で百二十一億二百万円。それから防災建築街区の造成といたしまして、住宅関係災害予防経費といたしまして三億九千万円という内訳にいたしてございます。そのほかにそこにございます建設省所管ではございませんが、住宅金融公庫融資といたしまして、防災建築街区の防災建築物建設する場合に、その促進をはかるために融資いたします経費といたしまして、四十億三千三百万円を計上いたしております。  次に、国土保全経費でございますが、お手元資料の六ページにございますが、建設省関係といたしましては千五百三十六億六千五百万円、それによりまして河川改修あるいは治水効果の大きいダムの建設、それから重要水系都市周辺水系等砂防事業、さらに地すべり防止対策事業、急傾斜地崩壊対策事業等を実施いたしますとともに、これに要します建設機械整備を行ない、さらに災害に伴いまして国土保全として災害に関連して行ないます公共土木施設関連事業、あるいは海岸保全事業等をこの経費によって行なう計画になっております。  次に、災害復旧事業でございますが、お手元資料の七ページにございますが、建設省所管といたしましては五百二十八億四百万円でございまして、これによりまして河川海岸砂防道路都市施設等公共土木施設災害復旧をいたしますとともに、災害の際の公営住宅建設をいたす計画になっております。そのほかに住宅金融公庫に十億円を計上いたしまして、災害の際の復興住宅融資を行なうという計画になっております。以上でございます。
  13. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に、自治省にお願いいたします。首藤財政課長
  14. 首藤堯

    説明員首藤堯君) 自治省関係は、お手元資料の七ページの一番下に書いてございます。総額で二百六十九億余りでございますが、このうちの下にカッコ書きをしてございますが、二百四十九億は災害復旧関係地方債でございます。この二百四十九億のうち百九十四億が過年度発生災害、三十五億が現年発生災害予定分でございます。それから二十億は火災復旧に充てるものでございます。残余の二十億一千九百万円は公共土木施設等の小災害にかかわります地方債元利補給に充てる費用でございます。以上でございます。
  15. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に、運輸省にお願いいたします。内村参事官
  16. 内村信行

    説明員内村信行君) まず二ページの科学技術研究から御説明申し上げます。これにつきましては運輸省といたしましては四千万円を計上しておりますが、そのおもな内容といたしましては、港湾構造物、これの強度を測定いたしますために現場実験模型実験をやって測定方法研究いたしております。あるいは耐震設計方法等研究、それから沿岸の波浪の特性の研究というものを行なうことにしております。それから海上保安庁の千四万円でございますが、これは地震多発海域におきます重力あるいは地磁気等精密反復測定をいたしまして、これは地震予知基礎資料を得るものであります。それから海難防止のための洋上波浪実態測定計器に関する研究を行なうこととしております。それから気象庁といたしましては一億四千六百万円を計上しておりますが、これは気象、地象、水象に関する観測技術等研究であるとか、あるいは台風集中豪雨地震等についての機構解明いたし、またその予知等に関する研究を行なうものであります。この中にはレーダーによる気象観測も入っております。  次に四ページにまいりまして災害予防でございますが、八億八千九百万円を運輸省としては計上しております。これの内容タンクローリー等危険物運送事業災害防止するための事業の監査並びに運行管理者の研修ということ、あるいは豪雪地帯における地方鉄道、軌道の災害防止するための措置、あるいは航空路管制施設及び航空保安施設等整備によって航空災害を防ごうということでございます。あるいは空港の消防体制除雪体制を強化するということをいたしております。海上保安庁の三十四億二百万円でありますが、これは航路標識であるとか、あるいは巡視船艇であるとか、そういった海上保安体制整備というのがおもな内容でございますが、特に注目されますのは、タンカー火災等にかんがみまして化学消防船の建造が入っております。  次に気象庁の四十一億六千九百万円でございますが、これは予報精度の向上をはかるための諸般措置、あるいは台風雪害地震、そういったものの構造解明、あるいは航空気象業務整備強化農業気象業務整備ということが内容となっております。なお日本国有鉄道におきましては百九億九千三百万円を計上しておりますが、これは橋梁等改良であるとか、あるいは降雪多量地における防除雪設備整備、あるいは主要幹線における水害、地すべり等防止対策、老朽隧道の改修等が含まれております。  その次に三番目の国土保全、五ページでございますが、これにつきましては海岸保全事業であるとか、あるいはそれに必要な諸般調査、あるいは港湾施設災害復旧に関連いたしまして行なわれます改良増強工事、こういったものがおもな内容であります。  次の最後の七ページにまいりまして、災害復旧といたしましては、港湾施設災害復旧といたしまして、直轄及び補助事業を含めまして十五億百万円を計上しております。  以上、運輸省といたしましては海上保安庁気象庁を含めまして百六十三億三千百万円を計上しております。なお国鉄は百九億九千三百万円でございます。以上簡単でございますが、運輸省でございます。
  17. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に、通産省にお願いいたします。原山地方管理官
  18. 原山義史

    説明員原山義史君) 通産省の四十三年度の予算について御説明申し上げます。  第一ページにございますように、通産省総額三十二億一千九百万円の予算をもちまして防災関係研究行政に充てる所存であります。  内訳について申し上げますと、第二ページでございますが、科学技術研究でございますが、鉱山の、炭鉱爆発坑内火災防止等保安技術に関しまして一億一千七百万円、火薬、高圧ガス及び可燃性天然ガスによる災害防止研究で四千万円、そのほか地震予知等のための研究地すべり等のための防災地質研究新潟地区地盤沈下に関する観測調査等で一千五百万円を計上し、工業技術院傘下試験研究所中心に、総額一億七千二百万円をもって推進する所存でございます。  次に第四ページの災害予防に関連いたしましては、鉱山保安技術職員の再教育鉱山保安センター建設等鉱山労務者に対する保安教育及び液化石油ガスによる災害防止のための販売従業員教育一般消費者保安啓蒙等教育訓練関係で一億六千八百万円、中小炭鉱保安専用機器整備炭鉱保安施設整備のために一億六千八百万円、そのほか火薬類、高圧ガス等の災害予防検査、電気工作物の検査、鉱山災害防止のための保安検査を強化いたすために一億七千九百万円を計上し、総額十六億二千六百万円をもって推進する所存でございます。  第三の国土保全に関連しましては、総額十四億二千百万円をもって、地盤沈下防止のための地下水の代替としての工業用水道の整備地すべり地における危険ボタ山の実態調査防災工事促進をいたす所存でございます。  なお、災害復旧に関連しまして、災害の発生にあたって罹災中小企業の再建に資するため、政府関係機関、政府の中小三機関におきまして必要資金の確保につきまして十分配慮するとともに、貸付条件を緩和し、復旧資金の融資措置を講じ、また信用保険面におきましても、必要に応じ中小企業信用保険公庫から各県の中小企業信用保証協会に対し特別貸付を行なうこととしております。  以上をもって説明を終わります。
  19. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に、文部省にお願いいたします。大串指導課長
  20. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) 文部省関係は、科学技術研究六億二千九百万円、災害予防一億一千八百万円と、文化財保護委員会の九億一千百万、それから災害復旧といたしまして一億三千万円計上されております。その内容につきまして御説明申し上げます。  二ページに、まず科学技術研究として文部省の概要がございますが、それを少し御説明申し上げますと、地震予知研究計画推進といたしまして、東京大学地震研究所に新たに柏崎地震観測所を新設いたしますとともに、年次計画に従いまして同研究所の地震予知観測センター及び無線地震観測設備整備することといたしております。それから地すべり雪害、流氷等に関する防災科学研究推進いたしますために、京都大学の防災研究所に徳島地すべり観測所を新設いたしますほか、北海道大学の低温科学研究所に流氷観測用レーダーを年次計画によりまして整備しますとともに風洞装置を整備することにいたしております。それから科学研究費の補助金の特定研究費の中に災害科学の分野を選定しまして、自然災害予防し、軽減するための基礎的な研究を補助するなど、年次計画的に研究推進する計画でおります。  それから災害予防関係は三ページにございますが、文部省関係では、学校の防災指導、講習会を開催いたしますとか、指導書を刊行いたしますとか、防災指導、それから国立学校施設の防火施設整備計画しております。  それから文化財保護委員会関係では、指定文化財の防火施設設備整備するための補助金を計上いたしております。  それからその次に、災害復旧関係では、六ページにございますが、これは過年度災害の国立及び公立学校の災害復旧事業、それから私立学校振興会の災害融資関係といたしまして一億三千万を計上いたしております。  以上でございます。
  21. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に、厚生省にお願いします。大和田施設課長
  22. 大和田潔

    説明員(大和田潔君) 厚生省の防災関係予算概要を御説明申し上げます。  まず第一ページでございますが、災害予防関係といたしまして三百万、災害応急対策といたしまして一億三千万の計上がなされておるわけであります。これにつきましては、三ページをごらんいただきたいと思いますが、災害予防関係といたしまして三百万でございます。これは日本赤十字が災害予防のために機械器具を整備いたします際に、日赤法第三十三条の規定によりまして、これに対する補助金が義務づけられておるわけでございますが、その経費といたしまして三百万計上されておるわけであります。内容は、救急自動車、医きゅう、これは大きな救急箱でございますが、それと、ろ水器の整備でございます。  次に六ページをおあけいただきたいのでございますが、災害応急対策といたしまして一億三千万の経費が計上されております。これは災害救助法が適用されました際に、都道府県の支弁いたしますところの費用を補てんいたしますための災害救助費補助金として計上されておるものでございます。  以上でございます。
  23. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に、消防庁にお願いいたします。中沖救急課長
  24. 中沖豊

    説明員(中沖豊君) 消防庁の昭和四十三年度における防災関係予算概要につきまして御説明申し上げます。  一ページをお開きいただきますと、科学技術研究として四千九百万、災害予防関係に十四億七千八百万、計十五億二千七百万ということになっております。  科学技術研究につきましては、三ページをお開きいただきたいのでございますが、消防庁は四千九百万円が計上されておりますが、これは消防研究所の経常研究及び特別研究でございまして、ここにございますように、火災感知方式、泡消火剤、消防用機器の改良研究、航空機による消火法の研究等がおもなものでございます。  それから災害予防内容につきましては、五ページをお開きいただきたいのでございますが、十四億七千八百万が計上されております。このおもなるものは、ここにあります消防ポンプ自動車等の消防施設整備、それから、科学車、はしご車、消防艇等の近代的科学消防力の充実、それから無線通信施設整備、消防吏員の待機宿舎の整備、救急指令センターの整備等がおもなるものでございますけれども、そのほか、火災予防指導普及のための事務費、消防職団員の指導等の経費を含んでおります。  以上でございます。
  25. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 以上で説明聴取は終わりました。  質疑は後日に譲りたいと存じます。     ―――――――――――――
  26. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般、当委員会で行ないました昭和四十三年二月の豪雪並びに宮崎鹿児島地方地震による被害状況の調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から報告を願います。  まず第一班の報告を願います。武内五郎君。
  27. 武内五郎

    ○武内五郎君 先般、本委員会におきまして決定されました災害調査の一班として、私は佐藤隆理事とともに新潟・福島両県における豪雪の災害状況を調査してまいりました。  まず日程の概略から申し上げます。三月一日、東京を出発いたしまして、上越線にて新潟県に入り、北魚沼郡小出町に下車し、同町を調査し、陳情を受け、小千谷市、十日町市をそれぞれ調査し、長岡市に至りました。翌二日は、栃尾市に入り、再び長岡市へ戻り、長岡市をはじめ豪雪地帯の市町村の陳情等を受けましたが、陳情団の中には、はるばる福井県、石川県からも来ておられました。私たちは長岡市をたち、新潟市に入り、県庁において県知事はじめ関係市町村からの状況説明を受けました。次いで三日は磐越西線を経て福島県に入ったのであります。福島県におきましては、主として会津地方調査いたしました。まず野沢駅に下車し、西会津町の状況を調査し、喜多方市に入り、福島県喜多方事務所において関係市町村からの状況の説明及び陳情等を受けて、翌四日帰京したのであります。  今回私たちが調査いたしました新潟.福島両県は、気象条件もよく似ており、昨年十一月から降り続いた雪の状態も、ほとんど同じ状態でありました。本年の降雪の状況は、十一月中旬に初雪があり、その後十二月八日に降り出した雪は、十日には根雪となりました。例年なら十二月上旬の雪は一たん消えるのが普通の状態であります。その上に中旬から下旬に降り続き、特に一月に入ってからは上旬、中旬の大雪が、新潟県では平地で一日に一メートル近く降り、山地においては二メートルにも達する降雪量を記録したのであります。また福島県におきましても、雪の多い会津地方とはいえ、二メートル近い一日の降雪量を見たのであります。そこには停電事故、列車の不通、遅延、道路交通の途絶等、住民の日常生活に大きな障害をもたらしたのでありました。さらに一月末から二月上旬にかけて毎日降り続き、各地における積雪量は平年を大幅に上回り、昭和三十八年の豪雪災害時の積雪量をもしのぐ地点が多く出たのであります。参考までに一例を申し述べますると、新潟県北魚沼郡小出町におきましては、町の中で約三メートル五十センチから四メートル、例年では約二メートル五十センチ程度のものでありまするが、栃尾市におきましては市内で約二メートル七十センチ、農村部落で最高が五メートル五十センチとあり、記録できない山間部では推定七メートルという状態でありました。私たちが調査に入りましたときでさえ、主要国道はどうやら交通の確保はされておりましたが、両側にそびえ立つ雪の壁が連なり、県道も市町村道も谷間の細道を行くごとく、一車線が町の中心部を走るのみで、他の市町村との交通は至るところで渋滞し、途絶しておったのであります。中には今日いまだ孤立状態になっている村々があることを聞かされました。町の中心部の交通はおおむね保たれておりまするが、一歩横道に入りますると、四メートルもの雪がそのまま除雪もできず、通行は山岳の尾根を行くごとき思いをいたしました。ときには電線を踏み越えたり、雪の階段を登りおりしなければならず、夜間の通行は全く危険であります。  このような状態のもとに、町や村の経済活動はたとえ一時であっても停滞することは地域住民にとっては真に重大な痛手といわなければなりません。ことに山間部におきましては二カ月近い孤立状態が続き、生鮮食料品の不足が目立ち始めております。新潟古志郡山古志村では交通確保に必死の努力を尽くしたのでありまするが、ついに人力による荷運びさえ不可能となり生活物資は欠乏し、部落民の健康状態は最悪の事態を迎えるに至ったのであります。村ではやむを得ずヘリコプターの貸与を申請し、ようやく二月二十六日猛ふぶきの中を、自衛隊のヘリコプターによって生鮮食料品を空輸して急場をしのぐという状態であったのであります。このような孤立状態にある村は、新潟県において南魚沼郡、北魚沼郡、中魚沼郡、東頚城郡その他に数十カ所あると承りました。  私たちが調査に参りました地域で異口同音に聞きましたことは、先祖代々雪深いこの土地に住み、雪に対する心がまえはそれ相応にできているがら、例年並みの雪の量には決しておそれはしないが、本年のような大雪ともなれば、もはや雪そのものが災害であります。」、「せめて連絡のとれる程度の交通ができるようにお願いしたい。」、「火災に対しては十分気をつけてはいるが、考えるとぞっとする。」ということであり、事実雪に埋もれた人家の火災は、消防隊の活動はほとんど不可能になり、消火することも応援にかけつけることもできず、雪に埋もれたままあたかも炭焼きがまのように蒸し焼きになってしまうそうであります。人々は家の玄関先と裏口に避難用のトンネルや雪の階段を設けて、からだ一つで逃げ出そうとしているありさまであります。  雪に埋もれた住みかの不安な生活ばかりではありません。新潟県十日町市では、小中学校生徒三十六人が集団登校の途中、幅二十五メートルの大なだれにあい、九名は巻き込まれ、十二名はがけ下に押し落とされたが、部落民の適切な救助作業によって、幸い全員無事に救出されることができました。学童の通学の際の危険を避けるために授業を休んでいる学校は、十日町市をはじめ小学校二十九、中学校八校あると承りました。  静かに降る雪が人命を脅かし、学童から通学の喜びを奪っているのであります。真に重大なことと感じてまいりました。  積雪は、農林産業に加える被害はまた甚大なものがありました。果樹、樹木の雪折れ、立ち割れ等の害は至るところで見られたのであります。十年前後の立ち木が折れたり立ち割られたりしております。ことに私たちは福島県会津地方において、その地方の特産として名高いカキ、桃、リンゴなどの果樹やキリ、桑等がその災害を受けているばかりではなく、雪のために飢えた野ウサギや野鼠による被害は、実に痛ましいものがありました。いまだ深い雪に埋もれておりまするので、その災害の実態を把握することは困難でありまするが、融雪後その被害を調査するときは、予想以上の甚大な被害が出てくると考えられるのであります。樹勢旺盛な七、八年の桃、十年くらいのキリが野ウサギや野鼠に食い荒らされて、一冬で枯れてしまうことは、農民にとって身を切られる思いがするだろうと痛切に感じたのであります。  しかしながら、このような状況の中で地域住民はただ手をこまねいて雪の消えるのを待っているのではありません。連日降り続ける雪に対して、積極的に取り組んでおりました。町ぐるみ、村ぐるみ総出で除雪作業に打ち込んでおり、例年なら屋根の雪おろしは三回か四回くらいで済むのが、今年はすでに七回も雪おろしを行なったが、なお屋根には、その後の積雪が一メートル近くも積もっているありさまでありました。  道路除雪にしましても、ブルドーザーの使用はもちろんのことでありまするが、多くの人力によって行なわれますることは、その費用も多大なものとなってまいります。私たちは長岡市の道路消雪パイプの視察をしました。道路消雪パイプはその威力を十分発揮しておりました。消雪パイプの設置費はメートル当たり大体六千円から七千円程度であるそうでありまするが、この施設は多年の用に耐えることができるのであり、今年のような豪雪がありますると、ブルドーザー等の機械力の費用から人力による除雪の費用の合計が、メートル当たり二千八百円から三千円はかかるそうでありまするので、消雪パイプの効用は高く評価されてよいと存じます。また、小出町その他一部の市や町の中心部にある流雪溝も十分その効果をあげており、雪国の道路計画は、必ず側溝を十分とり、流雪溝をも兼ねるようにくふうすべきであると痛感した次第であります。また、十日町市で見た一例を申し上げますると、個々の人家の玄関先に水道からホースで水を引き、シャワーの放水口をつけまして、四六時中水を流し、入り口が雪で閉ざされるのを防いでおりました。十日町市における水道の使用水量は夏場で約八千トンであり、冬になって約一万トンの使用水量にはね上がり、昼なお暗い家の中で電灯をつけ四六時中水道の放水を行ないますると、その費用だけで月々一万円をこえるということであります。たいへんな出費であると考えざるを得ないのであります。  次に、国鉄飯山線が五日以上不通となり、沿線二十万人の足を奪われ、輸送が停滞したことは、関係市町村の経済に重大な支障をもたらしたことであります。今後防雪体制の強化と輸送の確保のために十分検討されるよう強く要請を受けたのであります。  今回調査にあたりまして各地で受けた要望、陳情を取りまとめまするとおおむね次のようなことになります。  まず自治省関係においては、第一に、豪雪地における地方交付税は、基準財政需要額算定の場合、道路除雪費用に関する測定単位を新しく設けて、積雪寒冷補正の適正化をはかられたいこと。  第二に、積雪の差による地域区分の級地別を実情に合致するよう再検討されたいこと。  第三に、豪雪地帯における固定資産の耐用年数を短縮される処置を講ぜられたいということでありました。  建設省関係については、当面道路交通の確保に重点を置いて、第一に、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づく雪寒指定路線の追加と除雪経費の増額。  第二に、消雪、流雪等の施設の完備をした無雪道路の早期実現をはかるための特別施策を講じること。  第三に、融雪期におけるなだれ、地すべり、洪水等、融雪災害防止災害発生の場合、その対策に格別の配慮をなされたい等でありました。  農林省関係においては、今回の調査の時点では、いまだ雪深く埋もれており、その災害の実態を正確に把握することは困難でありました。過去の豪雪の記録から見ましても、今年の融雪はおおむね五月以降になり冷害、病虫害等の発生も考えられ、現地の実情に目を向けた対策に遅滞なきよう強く要請されたのであります。すなわち天災融資法の発動並びに自作農維持資金等の融資ワクの拡大をはかる等の特別施策を講じ、カーボンブラックの撒布、撒土消雪等に対する助成措置、損傷果樹の改植、ビニールハウス等被災園芸施設の改修に対する助成、雪折れ、立ち割れ等、樹木の被害、林道の潰壊等に対する救済等の特段の措置の要望がありました。  文部省関係においては、降雪のために多くの小中学校が休校したり、また校舎の損壊、なだれ等の危険の発生した事実にかんがみて、校舎の除雪、通学道路保全並びに危険校舎の整備・補修について万全な対策を講ずるよう要請がありました。  通産省関係については、年間四分の一は雪に埋もれることを考慮して、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中央金庫等の貸し付けワクを拡大するとともに、金利、期限、担保等の貸し付け条件の緩和をはかる等、庶民金融の機能を発揮できるように最善の配慮を求める声がありました。  なお、陳情者が最後に述べられましたことは「豪雪に際して地方公共団体が行う公共の施設除雪事業に要する費用の補助に関する特別措置法」について立法の趣旨が十分生かされるよう、実効ある施行について再検討されたい旨の強い要望がありました。  以上は調査に参りました概要でありまするが、特に現時点で強く申し上げたいことは、融雪時を迎えてのなだれ対策並びに融雪洪水等に対する対策は、実に緊急重大な問題であります。これは事人命に関するものでありますから、関係各省におかれましては、十分その対策を講ずべきであると思うものであります。  最後に今回の調査にあたって、自治省建設省、企画庁、農林省等が専門係官を同行させていただき、御協力をくださいましたことをお礼を申し上げまして報告を終わる次第であります。
  28. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に、第二班の御報告をお願いいたします。近藤英一郎君。
  29. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 御報告いたします。  中村委員と私は、去る三月四日から五日間にわたって四国地方四県の風雪害被害調査をいたしてまいりました。  まず被害調査地区について申し上げます。  愛媛県では玉川町の林業、今治市、西条市、壬生川町の施設園芸、土居町の夏柑を、香川県では、仁尾町の温州ミカン、丸亀市の施設園芸、白鳥町のタバコ共同育苗施設、引田町の林業、高松市商店街のアーケードを、徳島県では鳴門市の八朔柑、小松島市、阿南市、鴨島町、北島町の施設園芸を、高知県では、安田町、安芸市の施設園芸をそれぞれ視察し、被害概況を聴取するとともに要望、陳情等を承ったのであります。さらに県当局からも説明と陳情を受けました。  今回の災害の原因は、二月十五日に西日本の南岸を通過した異常低気圧、いわゆる台湾坊主が湿度の高い重い雪と暴風をもたらしたためでありまして、ビニールハウス等の破損、倒壊、それに伴う野菜、花卉の被害、造林木の折損、倒伏等の被害のほとんどが農林水産関係に集中したのであります。  これら農林水産関係の被害総額は、各県の報告を集計しますと実に二百五十五億円という巨額に達しているのであります。このうち農業関係は百八十一億円余、林業関係は七十三億円でありますが、積雪が大きかった山村地帯の被害になお未報告のものがあり、今後もかなりの額が追加されるものと思われます。このほか商店街のアーケードの破損、停電、交通機関の混乱等による被害も出ております。  今回の災害の特徴としては、次のような点をあげることができると思います。  まず第一に、六十一年ぶりというまれに見る風雪害だったことであります。四国の農業は、二戸当たり耕地面積が比較的小さいこともあって第二種兼業化が進行しており、農業人口の流出も大きいのであります。しかし一方では、阪神、瀬戸内工業地帯の大市場を間近に控え、温暖な気候に恵まれているという有利な条件を農業経営に結びつけて、狭い耕地でも高収入をあげ得るキュウリ、ナス、ピーマン、花卉等の施設園芸と、温州ミカン、八朔柑、夏柑等の果樹栽培が近年急速に発展してきたのであります。  ビニールハウス等の施設は、今回の被害を受けるまでは温暖な気候に助けられて、資材や構造上の耐風雪性を、それほど厳重に考慮する必要もなくやってこられたのであります。言うまでもなく、農家も風雪害に対する防災の経験を積む機会に乏しかったのであります。そこに突如として風雪害が襲い、加えて停電とその復旧のおくれが、ハウス内の加温装置の働きをとめ、一週間も続いた異常低温と相まって雪害を免れた一部の野菜、花卉を凍害に追いやり、被害額を増大させる結果となったのであります。施設園芸は施設そのものに資本を要するだけでなく、その中で栽培する野菜、花卉等も普通の露地栽培のものより高級品が多いため、両方を同時に失うことで被害額が累積し、農家の痛手を深くしたのであります。  果樹も強い需要にささえられて急激に普及した昨日であります。気象通報による寒波襲来の予報で、農家は大切な果樹を守るためにビニールなどで上からおおっておいたところに降雪を見たので、かえって雪を積もりやすくした結果になってしまったのであります。こうして樹齢十四年から十五年の温州ミカン、夏柑、樹齢四十年から五十年の八朔等が枝折れ、主幹のまた裂け等の樹体被害を出したのであります。特に夏柑は出荷最中であったため、樹体被害に加えて落実が起こり、木に残った実も苦ずっぱくなって捨て値でジュース原料に売るしかないといった損害をこうむったのであります。  これら被害を受けた果樹は、被害程度の重いものは切り取って改植し、比較的軽いものは手入れをして樹勢の回復を待つのでありますが、八朔柑などの場合は、樹勢の回復までの四、五年間は実をならせないようにしなければならないので、その間は無収入になるということでありました。  山林の被害も甚大でありました。樹齢十四、五年の間もなく売りに出せそうな杉やヒノキ、あるいは二十年から三十年もたった松などが技や葉に積もった雪の重みで、まるで青竹を刀でたたき切ったように、中途からまっ二つに折れているありさまは、見ていてはだ寒いものを覚えました。四国の温暖な気候は樹木の成育を早めますが、そのため年輪の間隔が広く材質がやわらかいために、このような結果を招いたものと思われます。折れないで倒伏したものもきわめて多く、その雪起こしをどうするかが現地で重大な問題となっておりました。途中から折れたものは木材としては使えず、安いチップ原料としての用途しかないため、これまた被害額が大きくなっております。  有線放送も被害を受けておりました。  商店街のアーケードも、これまで耐雪性の構造を考える必要がなかったためかなりの被害を出しておりました。  第二の特徴は、人手不足が防災活動を制約し、復旧をおくらせている点であります。ビニールハウスの屋根や果樹の枝からの雪おろしに人手が足りず、被害を大きくしたということでしたし、被災後のビニールハウスの取り片づけ、果樹の手入れ、山林の雪起こし等も手が回らないため、二十日以上もたっているのにほとんど進展しておりませんでした。  このような事態に対して、地元の方々から多くの要望や陳情を受けました。その主要なものは、天災融資法、激甚法の早期発動と融資限度額の大幅引き上げ、農林漁業金融公庫資金、自作農維持資金の災害融資ワクの確保、制度資金既借り入れ農家に対する償還期限延期等の条件緩和、果樹、野菜等の共同育苗施設への助成、倒伏木の雪起こしへの助成、農林漁業金融公庫造林資金の樹齢八年をこえるものへの融資、特別交付税の増額配分、所得税の減免、アーケード復旧のための中小企業振興事業団による融資のワクの拡大等であります。  次に、今回の調査を通して私たちが必要と感じた今後の対策と問題点について申し上げます。  第一に、天災融資法、激甚法の早期発動をはじめとする災害関連融資の早期実施であります。各県当局は、つなぎ資金対策を実施あるいは計画しておりますが、国としても一日も早く被災者の方々の手元に届くよう力を入れていただきたいと思います。まだビニールハウスは、これまで耐用年数の長いものは天災融資法の貸し付け対象に入っておりませんでしたが、今回の被害の実態にかんがみ、ぜひ加えていただきたいと思います。  さらに、果樹や林業収入に大きく依存していた農林家で打撃の大きかったものには、当面の生活資金の融資や減免税等の措置をとる必要があります。  第二は、各種融資の限度額の引き上げと条件の緩和であります。現在ビニールハウスをつくるとすると、十アール当たり、竹、木の骨組みで四十万から五十万円、鉄骨のものだと六十万から百万円はかかるといわれ、今回の教訓を生かして、今後つくるものは、いままでよりも堅牢なものになる傾向が見られるのでますます大きな額が必要になっていくことと考えなければならないのであります。  さらに、それに先立って、こわれたハウスの取り片づけをしなければなりませんが、これまた多くの人手と費用を食うということであります。果樹の手入れ、改植、林木の雪起こし、改植等はこれ以上に資金を必要とする場合も多い上に、果樹や林業は資本の回転がきわめておそく、収入をあげるまでに数年から数十年もかかるのであります。  このような事実に照らしてみますと、天災融資資金の限度額二十万円あるいは五十万円、期限六年をはじめとして他の制度融資のそれも融資条件については大いに考えなければならない点が多いと思われます。  第三に、労働力合理化対策であります。さきにも述べたように、人手不足が防災復旧の制約条件になっている現状からして、強力な労働力合理化対策が必要とされる段階にきているのであります。また、施設園芸や果樹を手がけている農家は、比較的若手が多いということでありますが、今回の大災害で挫折感に見舞われ離農していく者も出るのではないかと、現地では心配しておりました。特に子供たちは鋭敏な反応を示し、学校などでは、農業はやはりだめだと話し合ったりしているそうであります。このままでは今回の災害を契機に、離農、兼業化、後継者難はひときわ深刻化しかねまじき現地の空気でありました。このためにも天災融資法の早期発動や、災害関連融資の適切な運用によってこうした動揺を静め、あわせて協業化の推進により労働力の合理化をはかる等の対策を講ずる必要があると思った次第であります。  第四に、技術対策であります。施設園芸では、一たび災害が起こればその損害が莫大な上に、立ち直りにも巨額の資金を必要とするので、まず防災体制を強化すべきであると思います。そのために、耐風雪性を十分に備えた資材や構造の研究推進する必要があります。また、施設を堅牢にする結果、施設費がかさんで経営に負担となったり、小規模層の復旧を困難にしたりすることのないよう、融資面からの措置が考えられなければならないことは申すまでもありません。果樹、造林木、アーケード等の風雪害対策についても、技術上の考慮を十分に払うべきであります。  第五に、災害補償制度の拡充があげられます。現在は国営森林保険があり、果樹保険も四十三年度から実施されることになっておりますが、今後は加入の促進内容充実によって、災害補償を強力なものにしていく必要があります。同時に、まだ制度のない施設園芸等についても、困難な問題はあるようですが、調査研究を進めるべき段階にきているのではないかと感じました。  第六に、国として現地でとり得る措置は、こまやかにやってもらいたいと思った次第です。たとえばビニールハウス用木材を現地の国有林から払い下げる等のことはやってよいことだと思われます。  以上、いずれにしましても、今回の災害は、四国の農林業が急激な構造変化を遂げつつあるさなかに起こった点で特徴があり、したがって災害復旧対策も、こうした事態に適切に対応したものである必要性を強く感じた次第であります。同時に、適切な措置さえ講じられるならば、何十年に一度の災害も、災いを転じて福となし得るであろうということを私たちも感じて帰ってまいりました。  以上、御報告といたします。     ―――――――――――――
  30. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 派遣報告の途中でございますが、堀本委員から、このたびの風雪災害についての質疑の通告がございますので、これを許します。堀本君。
  31. 堀本宜実

    堀本宜実君 本委員会は三班に分かれまして、いち早く派遣委員を出して調査をされ、適切な御報告がございまして、敬意を表する次第でございます。なお、まだ報告がありまする中で私にお許しをいただきまして若干御質問を申し上げたいと存じますが、実は二時四十分に、ここを出なければなりませんので、時間がたいへん短いのでございます。したがいまして、御答弁もきわめて簡潔に誠意ある御答弁をお願い申し上げ、かつ、私も質問はきわめて簡単に申し上げなければならぬと思うのでございます。  そこで、二月の中下旬に起こりました豪雪あるいは風雪等によりまする被害が五百四十九億と報告が出ているようでございます。したがいまして、速急に天災融資法並びに激甚災害の御指定があるものと承知をいたしておりますが、いつごろ発動をされますのか、お答えを願いたいと思います。
  32. 太田康二

    説明員(太田康二君) 本日、お手元に二月中下旬の暴風雪の被害についての資料をお配りいたしておるのでございますが、かねて調査をいたしておりました統計調査部の被害調査の結果もわかったのでございます。御承知のとおり統計調査部が農作物関係をやっておりますので、林野、水産関係は県報告によっておるのでございまして、実は林野被害につきましてなお若干調整を要する点がございます。これにつきましても、大体十五、六日ごろ全部取りまとめましてすみやかに財政当局と折衝をいたしまして、少なくともわれわれは天災融資法の発動並びにこの天災融資法の激甚災の適用というごとについて折衝をいたしたい。したがいまして、大体三月の下旬そういったことの見通しがつくのではないかというふうに考えております。
  33. 堀本宜実

    堀本宜実君 三月の終わりといいますと、まあお役所仕事でございますから、大体は長いであろうと踏んでおりましたが、あまりにも緩慢である。したがいまして、樹木の被害等はいまのうちにやらないと、樹勢を吸収しておりまする木は、樹勢を吸収して後に雪起こし等をやりますると、木の材質に損害を与えますので、つなぎ資金等の用意をいたしまして早急に実施をされますようお願いを申し上げます。  続いて、今度の九州、四国、この報告書によりますと、九州、四国は特にその被害が激甚であるというふうに述べております。これは温暖な地方に対しまして雪が降ったということで、この被害がもたらされたのではございますが、先ほど近藤議員の報告にもよりましたように、材質が温暖なために軟弱であるということも一つの原因であろうという御報告がございましたが、それが一つの原因ではございましょうが、林業試験場で調査をいたしてみますると、四百メートルから六百メートル――標高でございますが――その間の雪の一立方センチメートルの雪を水に換算いたしますと百ccであった――若干単位に違いがあるかとも思いますが――二百程度のところでの同じ容積の雪をとって水に換算いたしますと四百ccあった。それが林業試験場で約三十メーター近くのところでは四百五十ccの水がとれた、こういうのであります。したがいまして、これは特殊現象でございまして、たいへんあったかい雪が雪として木にかかったのではなくて、氷のような形で、水分を多分に含有しながら樹枝にくっついて、その重みで倒れたということが大きい原因であるというふうに思います。これについても伺いたいのでございますが、ただ私はそう聞いておりますので、まことにそのとおりである、こういうふうに考えるのであります。したがいまして、従来ヒノキが折れた、あるいは松の木が折れたということは非常に少ないのでございますが、今回はヒノキも松も同様に倒木をいたしておるのでございます。  そこで、一番最初に伺いたいと思いますることは、この山林の被害等は、きわめて大きい被害でありまするし、もう古老の人でもいまだかつて見たことがないと言われておるこの被害のために、もう山林を持っておる者は、次に植林をいたしましても、またこのように被害を受けるであろうと、今度被害を受けておりまする一番大きいものは、幼齢木でなくて二十年ないし三十年くらいの木が一番大きい被害を受けておるのでございます。したがいまして、二十年、三十年と育てた木があのようにむざんに折れてしまうということなら、もう再び植えるという意欲を失います。したがいまして、この造林意欲というものを阻害しないように、育成をしてやるというようなあたたかい援助をしなければ、私は地域に限っていろいろなこういう問題のありましたところでは、もう次に植林を行なわないであろうというふうに思うのでございます。したがいまして、これらには特別な手段を講じるがよいと、こう思います。この方法を伺いたいのでございますが、私のほうから申し上げます。たとえば七、八年ぐらいの幼齢木が釣りざおのように下を向いて倒れたやつは、これはひもを使って起こし得ると思うのでございます。ところが途中から木のうらが折れてしまったものは、もう伐採をしなければならないと思うのでございますが、それに対しまする融資の据え置きなりあるいは支払いの期限というものがきわめて短いのではないか、こういうふうに思いますが、何年くらいにお考えになっておりますか。
  34. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) お答え申し上げます。いま先生のお尋ねの対策融資資金は、造林の場合は年三分五厘で三十年間の償還期間でございます。
  35. 堀本宜実

    堀本宜実君 それは造林補助でしょう。
  36. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 造林の融資の場合でございますが、農林漁業金融公庫の造林融資は、年三分五厘で三十年間の償還期間でございます。
  37. 堀本宜実

    堀本宜実君 公庫の貸し付けであるとかあるいは造林地の改植補助というようなものがございますが、その補助のほうは別といたしまして、公庫の貸し付けが三十年で払えばいい……。
  38. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 二十年据え置きの三十年でございます。
  39. 堀本宜実

    堀本宜実君 それで私はもう少し長くはならないかと思いますが、たとえばいま造林をしたものは二十年、三十年で伐期にはなりません。伐期にはなりませんが、木を切って払えるというような形にはならないものかどうかと思いますが、そういうことをお考えになったことがございませんか。
  40. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) いまの三十年間の償還期間につきましては、やはり自己資金等の勘案の関係から、大体現行でやっていけるのじゃないだろうかということで事務当局では考えております。
  41. 堀本宜実

    堀本宜実君 これはないだろうかということで――ないと私は思います。せっかく――もう寝込んで、頭が上がらない農家が相当おる。もうあの山を見に行くのがいやだという農家がおる。実に悲惨なものですよ。それが、私はもっと短いと思っておったのですが、非常に、三十年間で貸してやろうと思えば、もう土地のいいとこちでは三十年間ぐらいで伐採になるかと思います。しかし杉、ヒノキで三十年で伐採するのにはあまりにも小さ過ぎるのではないか。施業案等をあなたのほうでおきめになった場合に、三十年ぐらいで伐採の、伐期がくるような計画は立てておらないはずでございます。したがいまして、切って払うのだというように年限を持たしてやるべきではないかというふうに私は思います。これはここで答弁をいただこうとしても答弁にはなりますまい。ですから、これはひとつ大蔵当局とも、あるいは農林大臣ともよく御相談の上、こういう災害のあと地に植えたものは、今後伐期が来てそれによって払うのだ、払えるようにするのだというようなあたたかい考え方で指導してやるべきである、こういうふうに思います。  それから、もういまは御承知のように木材はわが国の輸入品目の中で、第三位にあるといわれるくらい盛んな輸入が年とともに増加しておる。造林意欲をなくするということは、私は治山治水関係からも、あるいは木材の需給関係からも、わが国の外貨保有の関係からも至大な関係があると思うのであります。したがいまして、あたたかい気持ちで山を育ててやるんだという考え方が、あなたらこそ同情しなければならない、一番それに心を寄せて、心をくだいて処置をしなければならない役職でございます。ですから、十分にこの点は御研究になって、低利長期の金を貸してやるように。  それから、いま国営保険というのがありますがね、国営保険というのは――もう私は結論から申し上げますが、あまり人が喜ばないのですね、それはお認めになりますか。
  42. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 実は御指摘の林業共済対策の一環としての国営保険は、先生御指摘のように、現在造林者の加入率も二八%程度に相なっておりまして、現状に沿わない点も多々ございますので、四十一年から実は国営保険の制度を改正のための調査を実施いたしておりまして、今後四十三年から二カ年程度、さらにこの調査を続行して、現状に沿うような、林業経営者が安定して経営し得るような、ひとつの災害対策の補償制度的な制度に変えたいと思います。
  43. 堀本宜実

    堀本宜実君 わかりました。もっと短くやってください、もう二分しかないんだから。  そこで私はお願いをしたいのは一それについても議論をいたしたい。これは二八%しか入っていないということをずっと知りながら、そのままうっちゃっている。変えようと思う心持ちがございまして――その心持ちはいつ持ったかわからぬが、現実にその施策を施しておらない、それは怠慢ですよ。それは農作物、家畜共済というものがございます。これらは何といいましても相当数加入をいたしまして、もし災害があったときには、それに対する見合いの救済をしてもらうということで喜んで入る。しかも、それも満度に一〇〇%入ったとは私は申し上げませんが、それでも非常な多数の加入者があるわけです。私はこれは災害補償法に基づいて、なぜ山を育てる人――このごろ肥料を持って行って――私らも被害者でございますが、肥料を持って行って杉の木を育てておった。それがいま倒れて、ほんとうに一本もありません。それは小さい山ですけど、二十何年ぐらいな山でございますが、その中でたった七本しか残っておりません。三百五十ぐらいのところでたった七本しか残っておらない。そういうようなことですから、成木も、つまり補償という形で、あの補償法、農作物の補償法、いわゆる共済組合といいますか、あの制度に似たような制度で森林に対しまする共済保障というものをやっていって、こういう天災が起こったときに救済のできるようなことをすることが、造林意欲を強固にするものではなかろうか、こういうふうに私は思う。それについてはどうですか。
  44. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 共済制度の基本的な問題かと存ずるのでございますが、林業経営の場合は、農業、漁業と違いまして、個人の財産造成に補助金があるという、非常にひとつの特殊な形態、それからまた大森林所有者の形態と、なかなか一般の生業的な漁業、農業の場合と違いまして、兼業的なものがむしろ多いというような特殊事情もございまするので、そういう点も勘案いたしまして、林業経営の安定化に真剣にひとつ現在取り組んで調査中でございます。ひとつよろしく御了解得たいと思います。
  45. 堀本宜実

    堀本宜実君 もうこれそうですがと言って帰る以外にないが、きわめて通念的な御答弁ですが、ほんとうにこれはあなたたちはそれに職を得て、日本のわが国の林業を指導しようという大切なポストにおいでになる。よそごとのように言わないで、ほんとうにあの被害を受けて、もう何年したらあの山が切れる、あれが、もう何年したらこの山が切れるだろうというようなことで楽しみにして、わが子と同じように育林をしてきたわけです。それがこういう被害にあって全く目もあてられぬような形で、山を見に行くだけの気もなさそうな被害を受けている。地方の農政局からは派遣をされたと思いますが、あなたたち農林省はごらんになりましたか、現地をごらんになりましたか。私は見ておられぬと思いますが、いつ行かれましたか。
  46. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 二月の二十六日、七日にかけまして、それぞれ中部地区と、九州地区を一本化してしておりますし、それから現在目黒の林業試験場の技術者を九州に派遣いたしておりますし、さらに治山課長をこの間の三月上旬の調査団の中に入れさしていただきまして、現地を見さしております。よろしくひとつ……。
  47. 堀本宜実

    堀本宜実君 愛媛県の山林が一番被害が大きいと先ほども御報告があったようでございますが、その地方の実地踏査をされたということは聞いておりません。私はそれをいまさらここで重ねてお伺いをする時間がないことを残念に思いますが、水産と林業の被害の調査は、統計事務所、あなたのところのうちまの人が調査をするのでなくて、県が調査をして報告をする。それに対するいわゆる信憑性といいますか信用性といいますか、そういうものが、自分の中の組織あるいは行政の中で調査をするのと違って、県が調査をして報告をするということでございますから、これはまことにそういうことをうがって申し上げて恐縮でございますが、あるいは疑いの目をもってごらんになるのではなかろうかと思うような節がないではないのであります。またその報告書の帰一するところ、この程度に痛んでおったならば、これは幾らに被害を換算するのかという指導もきわめてあいまいでございます。私はそのことも申し上げたかったのでございますが、申し上げられません。そこで見に行っておらなければ、ぜひとも見に行って認識を新たにされるようにしなければ、県の報告を間違いないと是認する受け方ができないのであります。これはいずれ調査官が出ましたら、その報告を受けて重ねて質問をすることにいたします。  私はまことにしり切れトンボで残念でございますが、これは自分のかってでございますので申されませんが、十分にひとつ御調査をして、あたたかい施策をせられますようお願いを申し上げます。どなたもたいへんどうもありがとうございました。     ―――――――――――――
  48. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 引き続き派遣委員報告を聴取します。第三班の報告をお願いします。温水三郎君。   〔委員長退席、理事武内五郎君着席〕
  49. 温水三郎

    温水三郎君 第三班について御報告いたします。  小酒井委員長と私は、建設、農林各省の担当官を帯同し、昭和四十三年二月の宮崎鹿児島地方地震と風雪による被害の実情調査のため、今月四日から六日までの三日間の日程で、宮崎県及び鹿児島県を視察いたしました。  最初に地震災害について報告します。二月十一日午前三時ごろ、宮崎県えびの町及び鹿児島県吉松町付近に人体に感ずる地震が数回にわたって起こっております。二月二十一日午前八時五十一分、えびの町真幸地区及び吉松町付近に、マグニチュード五・六の強震があり、地割れ、ブロックべいの倒壊を生じ、引き続き、震度一程度の余震があり、同日午前十時四十五分ごろ、両地区にマグニチュード六・三の激震があったのであります。これがため当該地域は一瞬のうちに阿修羅と化し、人的害、物的被害は言語に絶するものとなったわけであります。なお、現在においても、現住民は、まだいつ強震がくるかと恐怖におののいている状態であります。  また、気象庁のデータから見ますと、このような激震は、当地方としては大正二年以来の最大のものであり、三十九年六月の新潟地震に比較すべき強震であったのであります。気象庁は、二月二十二日本地震をえびの地震と命名する旨発表しました。  次に、調査過程について申し上げます。五日午前九時宮崎市をたち約二時間後えびの町災害対策本部に立ち寄り、えびの町長等から災害救助法発動後の復旧措置等、詳細な説明を聞き次の順序で現地調査に出かけました。まず、えびの町京町にある真砂、黒松両旅館の損壊状況を見たのですが、古い歴史を持つ温泉旅館でありますため、建築材料は堅固なものを使用しているにもかかわらず、急角度に傾き、柱が折れ、またはひびが入り、再び地震があれば完全に地にはう状態でした。建設省関係者もこれは全壊と同様ですと言っておりました。次に、真幸小学校の壊滅的な被害を見たのですが、授業中でなかったのは不幸中しあわせであります。当地の説明によりますと、小、中、高の校舎の被害額は七千七百八十七万円にのぼるとのことでした。途中応急仮設住宅のたんぼの中のテント生活を見ながら、農業用水路、橋梁等の被害調査を行ないました。当地の被害は甚大にのぼり、罹災世帯三千二百十七、住家全半壊千八十七戸、道路、橋梁鉄道等の損壊、耕地埋没、林地崩壊等随所にあり、施設被害四十七億円、生産物被害一億六千万円に達する状況であります。  真幸地区の視察を終わり直ちに隣町の鹿児島県吉松町に入ったのであります。吉松町役場で、町長から説明を聞いた後、鶴丸、原口、中津川、川添の各地区の被害を調査いたしました。当地域は全壊、半壊合わせて百九十四戸もあり、いずれもえびの町と同じく、その惨状は目をおおうものがありました。仮設住宅に入居している者はよいとして、テント、ビニール・ハウスに住居している被災者については、早急に安住の地を提供する必要ありと痛感しました。また岩石の落下のため、三人の死者を出したとの報告に接しました。しかし、災害救助法適用後の措置がよく、すでに復興のきざしが見られました。また山林の崩壊、橋梁、校舎の破損等は、いずれも緊急なる復旧が待たれるところであり、特に急傾斜地にある住家移転等、重大な問題が残されております。当地においても被災者に対するプレハブ住宅の完全実施が切なる要望でした。  以上が大体のえびの地震調査概要でありますが、実際に現地を見た結果は新聞、ニュースで感じ取ったものよりはるかにその惨状が大であることであります。また気象庁の発表は、今後一進一退しつつ次第におさまっていくだろうと言っておりますが、これは過去のデータからの推量であり、現地の観測所及び東京大学の報告によって、地震学の未発達のため、たよりにならぬ感をいだきました。幸いにして両県の災害対策は精力的に発揮されておりますが、地元民の生活を一日も早く回復するためには、国が緊急かつ思い切った援護措置を講ずべきだと考えます。えびの、吉松両町はもちろん、宮崎鹿児島両県ともその財政力はきわめて弱く、被害金額の少ない理由をもって万一激甚災害法の適用を見送ることがあれば被災民の多数の人々は、要援護家庭に転落するものと思われます。また地震に対する今後の研究調査は絶対に完備すべきものであり、これなくしては地元の民生安定は不可能になるものと思います。  次に、両県の被害の概況と要望を申し上げて本件の報告を終わります。宮崎県、二月二十九日現在、人的被害、負傷者三十二人、罹災世帯数三千二百十七世帯、罹災者数一万二千六百八十一人、建築物被害、住家、全壊四百十二戸、半壊六百七十五戸一部損壊二千百三戸、非住家九百二十八戸、交通被害、鉄道不通個所二カ所、道路九十カ所、橋梁九カ所、耕地の埋没五十三・三ヘクタール、村地崩壊六十・一二ヘクタール、鹿児島県、三月二日現在、人的被害、死者三人、重傷者二人、軽傷者七人、建築物被害、住家全壊三十五戸、半壊二百四十八戸、一部損壊千四百十五一尺非住家全壊七十三一尺半壊七百十六戸、公共建物、一部破損三十四戸、でございますが、この他、農林、水産、商工等の被害を含めた総額を両県について申し上げますと、宮崎県四十八億七千二百七十七万円、鹿児島県十七億七千七百四十四万円。  次に宮崎県の要望事項について申し上げます。  (1) 激甚災害特別財政援助法の適用  (2) 公共学校施設災害復旧の国庫補助  (3) 公民館災害復旧補助  (4) 災害時における赤痢予防投薬に要する費用     の国庫補助  (5) 水道施設災害復旧に対する国庫補助率引き     上げ  (6) 環境衛生金融公庫融資の拡大  (7) 災害救助法適用にかかる国庫補助  (8) 農林漁業金融措置  (9) 農地及び農業用施設災害の早急復旧  (10) 林地及び林用施設災害の早期復旧  (11) 住宅等の復旧に要する国有林材の払い下げ  (12) 公共土木施設災害の早期復旧  (13) 住宅等建設災害の早期復旧  (14) 中小企業に対する特別措置  (15) 特別交付税及び起債の増額  (16) 地震観測の強化存続  次に、鹿児島県の要望事項について申し上げます。  (1) 激甚災害特別財政援助法の適用または特別     立法措置  (2) 公共施設災害に対する緊急査定の実施  (3) 特別交付税及び起債の特別措置  (4) 消防施設の国庫負担率の引き上げ  (5) 水道災害復旧工事に対する国庫補助率の引     き上げ  (6) 環境衛生金融公庫融資の拡大  (7) 伝染病予防法に定める町費負担の軽減  (8) 自作農維持資金の追加割り当て  (9) 農林水産業共同利用施設災害復旧  (10) 天災融資法の適用  (11) 災害復旧用材として国有林材の払い下げ  (12) 緊急治山事業の採択方と補助率引き上げ  (13) 中小企業信用保険法の災害関係保証適用  (14) 被災者用の避難所設置助成  (15) 危険校舎等の改築特別措置並びに応急仮設   校舎の全額国庫負担  次に両県における降雪等による災害について報告します。  まず宮崎県について報告します。  一、災害時の気象概況。二月中旬に異常発達した低気圧の通過に伴い十五日午前一時から約十一時間にわたり、雨、雪を伴う強風が吹き荒れ、瞬間最大風速は、三十二・五メートルに達したのであります。そのため、本県の海岸線における農作物及び造林について多大の被害が発生した次第であります。  一、調査。私どもは、四日県庁において知事等から被害概況を聞いた後、直ちに、本災害について最もひどかった地域であります延岡地方の東海地区を視察したのでありますが、農業構造改善で多額の投資を行ない、ようやく完成したばかりの、キウリ、トマト等の促成栽培施設、すなわちビニール・ハウスが、強靱な鉄骨とともに破損し、出荷を前にしたこれらのトマト、キウリ等は、立ち枯れている現状でありました。特に零細農家の多い当地域にとりましては、死活問題でもあると考えました。当地方は大体温暖の地帯に属し、寒気、雪等に対する抵抗力きわめて薄く、かつ、八、九月の台風は常習なるも、この時期の強風は、きわめてまれなる所でありますため、想像外の災害が発生したものであります。延岡市の報告によりますと、当地域の施設災害が一千四百六十六万円余、作物災害が四千八百九十七万円余にのぼるとのことでありました。当地の声を聞いてみますと、せっかく農業構造改善事業の一環として、積極的に進め、かつ将来を楽しみにしていたとたんの惨事で、手の施しようもない現状であり、将来も不安であるけれども、たとえ二十年かかってでも、災害を克服して立ち直りたいと言っておりました。  約五時間の行程を経て痛感しましたことは、緊急にこれら被害に対する国の対策が必要であるということでした。   〔理事武内五郎退席、委員長着席〕  次に、被害の概要と県の要望について述べます。  一、被害概要施設物被害額、五億六千四百五十五万一千円、生産物被害額四億八千三百十六万九千円、総計十億四千七百七十二万  一、要望。   (1) 天災融資法の適用と同法第二条第五項に      よる特別被害地区の指定   (2) 自作農災害資金の融資ワクの拡大   (3) 主務大臣指定施設災害)資金の融資ワ      クの増額と限度額引き上げ   (4) 既往借り入れ金の条件緩和   (5) 農業構造改善事業費補助金にかかる施設      の災害復旧工事等の補助  次に、鹿児島県について報告します。  一、災害時の気象概況。二月十日から十三日までの四日間、温暖で知られる当県に異常低温、降霜(最低気温マイナス五・九度)があり、また追い打ちをかけるように二月十五日早朝、台湾沖に発達した低気圧が急速に発達し、小型台風並みの暴風が吹きすさび、さらに二十日から二十一日にかけ、降雪があり、施設園芸や、サトウキビ等に多大の被害を与えたのであります。当県におけるこのような寒害は、鹿児島気象台開設以来三番目の異変であるとのことでした。  一、調査。私どもは、五日、県において知事等から、被害の実情を聴取、六日早朝から、施設園芸、野菜、果樹等の被害調査のため、国分市広瀬地区、垂水市、今川原地区、柊原地区を視察いたしました。  ここにおいても、宮崎県延岡市の被害と同様に、ビニール・ハウスの破損によるトマト等の被害が著しく、地元民の話によれば、三月五日、トマトの出荷をすべく、意気込んでいた、やさきのことだけに、手のつけようもなく、農業改善事業も、一からやり直しですと、悲運を嘆いておりました。また、気象観測施設を増加し、少しでも早く気象予報が流れるよう措置してもらいたいと訴えておりました。九州農政局の査定によれば、国分地方施設園芸と熊毛地方の降霜による被害は、約十一億二千万円であると発表しております。  以上、当県の農業被害を現実に調査したのでありますが、火山灰土という特殊条件に加え、台風襲地帯でもある本県にあっては、通常も災害が多く、農民経済は著しく困難をきわめておりますので、これが緊急措置を国で考慮すべきであると確信した次第であります。  最後に、被害概要と県の要望を申し述べます。  一、被害概要施設物被害額一億百五十万円、   生産物被害額十一億一千百五十六万二千円、   総計十四億七千五百二十四万九千円。  一、要 望。   (1) 異常低温降霜、暴風、降雪等の災害に、      天災融資法の適用   (2) 自作農維持資金の追加割り当て一億円   (3) 熊毛地方のサトウキビ苗の購入費助成   (4) 熊毛地方のサトウキビの原料価格は、降    雪害によってブリックスが低下したものに    ついても、最低五千三百五十円の確保措置。  以上をもって、本報告を終わります。
  50. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御苦労さんでした。  以上で、派遣委員報告を終わります。     ―――――――――――――
  51. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それではこれより昭和四十三年二月の豪雪並びに宮崎鹿児島地方地震による災害に対する質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  52. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 新潟、福島のこのたびの調査につきましては、先ほど武内さんから御報告をいただいたとおりでございますが、私は災害対策基本法の第二条に「豪雪」これも災害であるということに定義されておるのでございます。ところが、この豪雪というのは一体どの程度なのか、どの程度からを豪雪というのかということになりますと、いろいろ異論のあるところでございます。先般、衆議院においても、この議論につきましては、だいぶ時間をとってやられたようでございます。また当局におかれても検討中ということも聞いておりますので、このことについてはここで触れませんが、少なくとも自然に降って自然に消えるこの雪の災害というもの、豪雪というものは、これは災害意識が非常に少ない、低調である。こう私は思うのです。したがいまして、関係各省におかれましては、豪雪に対しましてもやはり災害であるという認識のもとに、すぐ手を打つ行政の実現ということを、私はこの際強調いたしたい。地震のほうには、どんどん本省から派遣されたようでございますが、雪害のほうはさっぱり本省からも現地の調査をしておられなかった。幸いにも私どもが調査班を編成して行く段になって、お忙しかったでしょうが、御同道いただきましたので、ありがたく思っておりますが、そういうことで災害意識の高揚という点を強く私は申し上げたい。  そこで、具体的に一つ一つ申し上げますが、まず総理府にひとつお尋ねいたしたいと思います。  私は調査の結果一番頭に残っておるものは、印象づけられたのは、緊急対策としてなだれに対する対策をどうするか。この点でございます。たとえばスノーセッドをつくるとか危険個所であるから迂回道路をつくるとか、新潟県だけでも危険個所が四百カ所ある、こういわれております。もちろん福島県にもございます。そこでスノーセッドをつくるとか、迂回道路をつくるというようなことは、恒久対策として、これはもう建設当局からお考えいただかなければなりませんが、このなだれだというのは、大体昼間起てるのです。朝や夜中に起こるものではないのです。昼間起こるものですから、子供たちの登校、児童の登校、通園、そういう場合に起こり得る可能性が大きい。したがって、新潟県においても集団登校、下校、こういうような手が打たれているやに聞いておりまするけれども、私ども、現地を調査した私どもの感じでは、非常に危険な個所にはたしてそういう手が適切に打たれているかどうか、行き届いているかどうかということについて、はなはだ疑問に思うのです。そこで私はこうした問題は人命尊重にかかわる問題でございますので、人命尊重をスローガンとしておられる政府、内閣におかれてはこの際ころばぬ先のつえとしてひとつ、いままで例はないかもしれませんが、いまが、ほんとうのいまが時期です。ここで異例の通達になるかと思いまするが、なだれ防止対策について関係各県はひとつ、警察当局あいるは建設当局、さらに自治体との連携を保って、そうして万遺漏なきを期するよう異例の通達ぐらいを出されてしかるべきではないか、もちろんなだれ対策にあわせて融雪洪水、これともあわせてそうした通達を出されてしかるべきではないか、こう私は思うのですがいかがでございましょうか。
  53. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) 御指摘のとおり、たいへんな降雪のあとのいわゆる雪どけの時期でございますので、十分注意しなければならないことだと思います。もちろんこの警報につきましては、気象庁と十分なる連絡をもって気象庁にその適切なる指示ができるような、そういう配慮はすでにさしておりますけれども、本年は特別な降雪のことでございますので、気象庁のみでなく警察、消防、もちろん児童のために文部省、またいまおっしゃった融雪のためには建設省並びに運輸省、それぞれに、ちょうどまさにそのときでないかと思いますので、総理府のほうから注意を喚起いたしまして――災害のないことを期待しますけれども、そのなだれのないことを期待いたしますが、起こった場合にも被害を最小限度に食いとめるような措置を当然さすことにいたします。
  54. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 これは、まあ気象庁には徹底した指導をなさっている、こういうことでございますが、気象庁では、たいして期待のできないことなんです。これはやはりパトロールをしなければいかぬのです。しょっちゅう危険個所というものは、地元ではわかっている。そこにはたして亀裂があるかどうか、そういうことをパトロールしてみる必要がある、こういうようなことなんでございます。そこで、いま申し上げましたように、もう時期的にはいまが一番いい時期です。いま注意しなければいかぬ、こういう時期でございますので、ひとつ私の意向をくんでいただいて、さっそくそういう手を、異例ではございましょうけれども打っていただきたいということを、重ねてお願いをしておきます。  それから建設省にお尋ねをいたしますが、融雪水害というととが、非常に懸念されております。特に新潟県におきましては胎内川、荒川、加治川というところの融雪水害というものが心配されております。福島県におきましても阿賀野川の上流、これも融雪水害というものが心配されております。そこでこの地帯は、いま申し上げましたこの川の周辺は、昨年の八・二八水害を受けたところでございます。したがいまして、この八・二八水害の復旧状況との関連におきまして、融雪水害が起こるような状態にあるのではないか、あったら困る、こう私は懸念するのです。八・二八の復旧状況とあわせてその辺のことにつきまして、建設省のほうから御意見を承りたいわけです。
  55. 坂井秀正

    説明員(坂井秀正君) ただいまの融雪の問題でございますが、昨年の水害の際に一番被害のございました加治川と荒川の話でお話をいたしますと、加治川のほうば融雪の量が例年非常に少なうございます。というのは、やはり裏の山の関係だと思いますが、荒川に比べますと非常に少なくなっておる。復旧の状況から申しましても、加治川のほうは四十一年災が出ましてすぐ工事をやっておりますので、加治川のほうにつきましては、まず心配はないのじゃないか、それから荒川のほうにつきましては、昨年の災害でございまして、現在のところまだその工事のままのところもだいぶ残っおります。融雪の実績から申しましても、かなりございます。したがいまして、現地の事務所にはよくこのことを注意をいたしまして、万全の策をとるように連絡はいたしております。今後四月から五月にかけまして融雪が出ると思います。その点につきましても、十分注意をいたしてまいりたいと考えております。
  56. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 それから先ほど新潟県側からの陳情もございましたが、一番大きな豪雪地帯における関心事は、市町村道の除雪費用の補助をしてくれ、金をくれ、こういうことでございます。積寒道路として指定されているものもございまするが、主要道について指定をしておるということになっておりまするけれども、主要道そのものの、指定道路そのもののきめ方にも若干問題があるのじゃないか。私は、要約すれば、積寒道路指定の拡大をお願いしたい、こう思うのでございまするけれども、私は豪雪地帯の積寒指定道路をきめる場合は、その町村――町なり村なりの住民側から見て、この辺を除雪してもらわなければ困るのだと、この道が主要道路なんだと、すなわち住民から見た主要道路、これに対して適用すべきだと思う。したがって、雪の降るたびに降る場所も違います。若干片寄りますので、去年指定したからことしも指定するというようなやり方ではなしに、もう少し弾力的な、機動性をみた、そういうやり方ができないものかどうか。特に私は、この指定地域というもの、豪雪地帯におけるところの積寒指定道路、これらを含む指定地域というものを国がおきめになって、弾力的な運営をするために地域を指定なさって、そしてその中での指定道路というのは県知事あたりにおまかせになったらどうか。そうすればもっと適切な措置ができるのじゃないか、こう私は考えるわけです。その点について建設省の御意見をお伺いしたい。
  57. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) お答えいたします。  まず最初には、除雪費の補助の問題でございますが、現在私ども除雪事業という中には、除雪機械の補助という項目が入っております。特にお尋ねの市町村道につきましては、この除雪機械の補助という形で現在やっております。これは御案内のように、積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する特別措置法という法律に基づいてやっておるわけでございます。これは御案内のように、私ども道路については五カ年計画が逐次移動しておりますが、その五カ年計画の改定のたびに、積寒の五カ年計画が設定されまして、それに従っていまの工事が行なわれておるわけでございます。除雪事業の中で一番お困りになるのは、やはり集中する場面のいまの一番何かと申しますと、一番機械費が最重点でございます。まずそれの普及化をはかりたいということで、市町村に関しては除雪機械費補助三分の二の形でやっておるのが現状でございます。参考までにいままでの除雪機械の台数を申し上げますと、これは市町村も全部含めましてあれでございますが、昭和三十二年から四十一年までのこういう除雪機械の数が二千三百二十七台という数字でございます。その後積寒事業が非常に拡大されてまいりまして、現在、昭和四十二年まで入れますと、これが、昭和四十二年だけで五百五十二台、非常にいままでの事業の量から申しますと拡大姿勢になっておるわけでございます。こういう形でいま機械の普及、機械になれての何と申しますか、処理能力ですか、そういうものの向上を待っておるというのが現状でございます。  それからお尋ねの第二点の指定路線の問題でございますが、これは法律に基づきまして積寒地帯というものが指定されますから、その中で指定路線というものは、これはやはり基準がございまして、それにやはり定められております。現況での指定路線の延長を申し上げますと、四十二年現在でもって三万五千三百十キロの路線が指定されております。この路線が指定された中で、その指定路線に対して除雪事業あるいは防雪事業あるいは凍雪害防除という事業が行なわれております。ちなみに積寒地域内での、要するに指定率と申しますか、要するに積寒地域内にありますいまの御案内の道路の指定率は、現在で一般の地方道以上でもって五四%の指定率になっております。御案内のように道路整備事業もいま進んでおりますけれども、いま現在全国平均で申しますならば、ただいま申し上げました一般地方道以上での改良率と申しますか、これは現在で約四一%でございます。そういう点で、かなり積寒地域のそういうパーセントが高い。そういう中でいまのような事業を行なっておるということで現在進んでおるわけでございますが、御案内のように、現在私ども六兆六千億の正式な決定を近く控えて、現在作業中でございますが、その中で、こういう積寒地帯のやはり事業の量を拡大していくという姿勢で臨んでおります。まあ御要望の点は、私もよく理解するつもりでおりますが、事業の現在の状況というものは、そういう状況で進んでおるということを御説明してお答えにかえたいと思います。
  58. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 そこで、現状はそうであるということですから、まあもう少し前向きに、たとえば知事にその権限をおろすとか、そういうようなことをひとつ、別にここできまる問題ではございませんけれども、そういう計画について、ひとつこの際提案をしているわけですから、そのことについて御意見を伺いたい。
  59. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) 指定路線のいま追加の問題でございますが、ただいま申し上げましたように、五カ年の改定作業が終わりますと、その段階で指定路線の拡張と申しますか、量の拡大をやるわけでございます。それを具体的に今度現地におろす作業の中では、御趣旨の点をよく検討いたしまして、入れ込みたいと、かように考えております。
  60. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 それからもう一つ、無雪道路計画について、先ほど調査報告にもありましたが、消雪パイプだとか融雪溝だとか、スノーセッドとかその設備はいろいろあるわけでございます。まあ、そういうものをひとつ、消雪パイプについては特に効果があるようです。ですから、それをやはり国の助成において施策が講ぜらるようなことを、ひとつぜひお考えいただきたいと、こう思うのです。特に融雪溝については、積雪地においては側溝兼用の幅員をとって、それから用地買収をするときからもうそれを頭に置いてやるべきである、こう私ども特に現地を見てそう思うわけですが、その点についていかがでございますか。
  61. 豊田栄一

    説明員(豊田栄一君) お答えいたします。  いま御指摘の消雪パイプ並びに融雪溝、これはかなりまあ実験的な段階を経まして、いますでに現在の試作で判断いたしますと、非常に何と申しますか、イニシアルコストに比べて非常にあとの維持費がかからないので有効であるという判断が、一般的につきます。ただこれは気象条件と申しますか、主として水の問題でございますが、水の、やはり地下水の温度差のあるところ、そして、ある量以上の供給が可能でなければなかなか成り立たない。そういう地域的な設定条件というものがそれにくっついてまいりますので、私どもとしてみますれば、やはりそういうものがもっとふえていくのは、これは大賛成でございます。ただ設計がそういうことが不可能な場所もございますので、そういう場合には、無雪の関係としては私どもはいま試験的ではございますが、ロード・ヒーティングの問題なんかも研究いたしております。そういう点あたりがもう少し一般化するには、まだ時間が要するかと思いますが、いずれにしろ、方向としてはそういうふうにいたしたいものだ。で、特にそういう設計が可能なところには、そういうパイプなり融雪溝の設計の可能なところには、逐次採用していくように現在検討中でございます。
  62. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 もうじき終わりますから。あと三十分ぐらいで。それから農林省にお尋ねをいたしたいと思います。まあ新潟県でも福島県でも、被害額というのがまだ判明しないわけです。したがってこれが、被害額がわかったときの時点において、はたして三十億以上の被害があるかどうか。これ天災融資法との問題、天災融資法の適用基準それ自体にも私ども意見は持っておりますが、しかし、これはなかなか議論をしなければならないことであります。しかし、三十億にたとえば満たないからといって、それらに対する措置が極端に不利になるということでもいけないではないか。そこで被害額がわかり次第、天災融資法の適用を受けられるということであれば、相当地域を広げるなり、いろいろあると思うのです。そういうことでひとつぜひ、これはまあ事務的に多少できる面もあるいはあるかと思うのです。ですから、それは被害額がわかっていないのだからと言われればそれっきりなんで、これはここで議論できないわけです。ひとつ、天災融資法が適用できなければ、主務大臣指定施設災害復旧資金の適用も受けられない。そうすると、果樹地帯も困る、桑園地帯も困る、そういうようなことになりますので、その辺特に御配慮を願いたい。たとえば適用を受けられないときは、自作農創設維持資金の特別ワクを適用するとか、既往融資分の条件緩和の問題、そういうことについては抜かりはないと思いますけれども、十分ひとつ考えていただきたい、こう思うわけです。  そこで福島県に行って特に驚いたわけですが、野鼠、野兎対策の問題、もう雪の中の部分はとにかくネズミに食われておる。上の部分はウサギに食われて、芽をみんなつまれて、もう全然だめです。こうしたことについて、先ほど四十三年度の予算説明にも、そうしたことについての調査研究費というか、そういうことも盛られておるやに聞いたんですが、これは相当いろいろ技術的にこれの防止対策というものは考えなければならぬと思うのです。そこでそういうことについて、まあ農林省では福島県、特に福島県のこれは大きな問題ですから、野鼠、野兎対策について具体的にどう考えられておられるか、これをお聞きしたい、これが第一点。  第二点は、八・二八災害農地災害復旧工事、農業用施設災害復旧工事個所におけるところの降雪、そこに雪がたまっておるわけです。雪を除かなければ工事が進まないという場合に、はたしてどうした措置をとられるか、農林省にお伺いしたいわけです。
  63. 太田康二

    説明員(太田康二君) 先ほどお尋ねの天災融資法の発動の問題でございますが、先ほど武内先生の派遣報告にもございましたように、現在豪雪の下に農作物がございますので、融雪を待たないと被害の結果がわからないわけでございます。従来ともああいった積雪地帯の被害については、大体三月末から四月初めにかけての融雪時を待って農作物被害調査をして、その結果、先ほど先生の申されたような額に達すれば天災融資法の発動、それに基づきまして必要とあれば、自作農創設維持資金の災害ワクの特別ワクの設定ということをやっておりまして、いましばらく待っていただきたいと思います。  野鼠等の対策につきましては、その担当の部長がお見えになっておりますので、そちらからお答えをいただきたいと思います。
  64. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 野鼠対策についてお答え申し上げますが、フラノールを主体とする薬剤駆除とそれから防そ溝による防衛措置を現在実施いたしておりまして、四十二年度は約五千八百万円程度実施いたしておりまして、今度お認めをいただく四十三年度予算案では六千六百万程度見込んでおりまして、以上がこれの内容でございます。
  65. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 ついででございますので農林省に、これはお願いでございますが、八・二八の話が出ましたのでこの際要望申し上げておきますが、八・二八の被災地であった、激甚地であった関川村、荒川町、あるいは新発田市、こういうところにおいて、実は河川改修等で耕地が相当つぶれる。そうすると代替地はあるかというと、これはないんです。代替地はなかなかありません。そこで、たまたま一昨年から酪農振興という形で奥地において、まあ上流のほうですが、これは和牛の増殖指定地だとか酪農近代化計画指定地だとか、こういう形で和牛、乳牛の導入を一昨年から進めております。ところが七・一七あるいは去年の八・二八で水害を、重複災害を受けておる。ますますもうこれは米だけというわけにまいらぬということで酪農に非常に大きな希望を持ち、家畜導入について非常に大きな期待もしているわけです。ところが家畜導入については、いろいろ方々から要望が多くあって、なかなかたいへんなんだということを私ども聞くわけでございます。私はいたずらに力ずくでこうした家畜導入の配分が行なわれるということであれば、これは問題だと思います。私は、災害地であるこの地帯について特別の配慮を先般農林大臣にもお願いをしておきましたけれども、特に畜産局長にも参事官のほうからお願いしていただきたいと、これはっけ加えておきます、要望でございますので。   〔委員長退席、理事武内五郎君着席〕
  66. 太田康二

    説明員(太田康二君) そういった要望が新潟県から出ておるということも私承知いたしておりまして、本日出がけに畜産局にも聞いてまいったのでございますが、畜産局も当然そういう御要望も十分考慮の上配分をいたすということを申し上げていただいてけっこうだと言っておりますので、十分御趣旨に沿えると思います。
  67. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 次に厚生省に、これは簡単な問題でございますが、だいぶ時間もかかりますので簡単に申し上げます。  厚生省にお聞きしたいんですが、辺地豪雪地におけるところの医療対策、これについて従来こういう考え方で当たってきておる、あるいは来年度はこういう考え方でもって対処したいんだということがありましたら、ひとつお聞かせ願いたい。とお聞きする理由は、実はこのたびの豪雪で新潟県の安塚町においては、お医者さんがいないために病気になった人が、お医者さんが来てくれないということで自殺をしております。これはもう大問題でございます。そこで、特にこの際辺地におけるところの、辺地の中でも特に豪雪地におけるところの医療対策について、ああした事例もあったものですから、いままでこうやってきた、これからはこうしたいというお考えをひとつ聞かしていただきたい。
  68. 大和田潔

    説明員(大和田潔君) ただいまの問題は、これは医務局の所管でございまして、私ども所管が違いますので、ただいまの御趣旨につきましては、十分所管の局に伝えてまいりたいと思います。
  69. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 それから先ほどの報告にもありましたが、飯山線が五日間とまってしまったということにつきまして、運輸省にお尋ねをいたしたいと思います。  磐越西線、飯山線は豪雪路線なわけです。これの保線管理というか、そのことについて、はたして適切な措置が打たれているか、私は、先ほど武内さんからの報告にもありましたように、五日間ストップしてしまって、十八万から二十万の足をとめてしまった。去年もとまっているのです。ことしはまたなおさら長くとまってしまった。こういうことで、はたしてこれは一体、どういう理由でそういうことになるのだろうか。だいぶ機械化されて、相当除雪車もりっぱなものがあるように聞いておりますけれども、一体どうなんだろうということを、実は新潟県の調査に参りましたとき、十日町でも聞きましたところが、飯山線の管理は、長野でやっておられる。除雪については、もう長岡から除雪車をさっと持って行けばすぐこれは処置できるのです。ところが、それは横の連絡、飯山線の管理は長野だということで、どうもその辺がうまくいかない。豪雪地帯の保線がうまくいかない、こういうことを実は聞いたのでございます。そのことにつきましては、新潟県庁であの調査の際にも、国鉄の新潟支社長さんからもお聞きをいたしました。そうして、いや、実は適切な措置をとったけれども、何しろ急に降ったものだから多少、なにもあったけれども、適切にやっているつもりでございます、こういうお話が実はあったわけでございます。その後、私どもいろいろ聞いてみますと、やはり、どうも長野と新潟との横の連絡がうまくいかないでいる。これは簡単なことなんです、解決策は。降雪時だけ、雪の降る時期だけでも、飯山線、新潟県の側の除雪作業、保線の管理という問題については、ひとつ長野から新潟にお願いする、新潟も長野から言われれば引き受ける、ということが――これは毎年のことですから、特にことしはひどかったけれども、毎年のことでございますので、そういう配慮がなされてしかるべきだと、こう私は思うのですが、このことについて、国鉄が来ていらっしゃらないので、お聞きするのもどうかと思いますが、これはここでお答えいただかなくてもけっこうでございますが、国鉄に運輸省からしかるべくひとつぜひお伝えをいただきたい、こう思うのです。運輸省からどなたか来ておりますか。
  70. 島津久義

    説明員(島津久義君) 佐藤先生のお尋ねの件につきましては、直接担当の者がおりませんので、直ちに答弁いたしかねます。後日、日本国有鉄道の者に答弁いたさせることにいたします。
  71. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 では次に、防衛庁にお尋ねをいたします。  実は、あらゆる災害に自衛隊の活躍というものは目ざましいし、その功を多としております。喜んでおりまするが、一体、新潟県にもこのたびは山古志村でもって、ヘリコプターで生鮮食料品を送る、そういうような事態もあったわけです。ところが、ヘリの要請をしても、一週間たってもやって来ない、一週間くらいかかった、こういうことなんですね。そこでいろいろ聞いてみると、気象条件が悪い、ヘリを飛ばすのに気象条件が悪いと言う・それじゃ、これは天に聞かなければわからないと思ったところが、二十時間も飛ばせばオーバーホールでもしなければならぬヘリコプターだと言う。それでは気象条件にその難を求めるのはちょっとおかしいじゃないか、ヘリ自体がポンコツなんです。そんなことで災害対策ができるかどうか。私は防衛庁が災害対策に専門に当たるべきであるというようなことについては、いろいろなにがあると思います。消防庁でそういうことをやるべきだとか、消防庁もヘリを持つべきだとか、いろいろなまた意見があると思いますが、せっかく私どもは喜んでいるわけですから、防衛庁におかれても、高性能のヘリコプターを数多くやはり備えつけていただきたい。  それから結局私どもは、新潟県は特にいろいろ災害がたび重なっているわけでございますが、松本にヘリ基地、ヘリポートがあって、これは山岳の遭難用の基地だというんですな。ところが高田には、高田市は自衛隊の駐とん部隊があそこにおりますが、災害用のやつはないそうですな。私は山岳地帯の、山岳の遭難に充てるために、遭難防止のためにヘリコプターを用意する松本の駐とんヘリポート、これをやめろと言うんじゃないんです。レクリエーションで山登りする人のためにあるのに、なぜ高田に置かないんだということです。その辺の感覚が、ちょっとこれは私にはふに落ちない。そこで私は高性能のものを多く、特に高田なりあるいは新発田、特に融雪水害を予想されておる下越、羽越地方、その辺において新発田の部隊があるのですから、その辺にも置くとか、そうした配慮がこれは必要だろうと思うのです。特に高性能ということを私は申し上げましたけれども、ジェット・ヘリ、もうジェット・ヘリでないものはだめです。ジェット・ヘリをぜひ備えつけてもらいたい、こう私は思うのです。そこで、防衛庁におかれては、災害のために、従来ともこういう活躍をしてきた点はわかります。だけれども、今後、こうしたいということ、残念ながら、四十二年度のこの予算説明の中には防衛庁ないんです。私は、実は非常に残念に思う。その点についてちょっとお聞かせいただきたい。これには載ってないけれども、こういう措置をとっているということがあれば、私も安心でございます。
  72. 今泉正隆

    説明員(今泉正隆君) お答えいたします。いろいろとお尋ねがありましたが、まず最初の、ヘリコプターがもっと高性能であるべきではないかというお尋ねにつきましては、まことにもっともでございまして、私たちも漸次第三次防衛力整備計画あるいは今後における防衛力整備におきまして、高性能のヘリコプターの整備につとめてまいりたいと思います。  山古志村の例をおあげになってのお尋ねでございましたが、実は新潟地方における救難の頻度の高いことに着目いたしまして、昨年十月新潟基地に救難のためのヘリコプター二機と、救難をやる際には、まず捜索も必要でございまして、捜索機を二機配置いたしました。員数百五人、整備、操縦を含めて百五人を配置いたしました。そして、今回の雪害に対しましても、重病人の空輸や、先ほど先生のおあげになりました食糧の輸送をやりました。ただ、おっしゃいますとおり、一週間――これは新潟から長岡まで前進待機をしておりましたが、天候のために一週間待機したままで食糧を投下できませんでしたが、この点はヘリコプターの性能を今後高くしていくことにつとめてまいりたいと思います。  なお、松本の例をおあげになりましたが、確かに松本には第十三連隊を置いておりますが、そこに特にヘリコプターの常時的な基地を置いておるわけではございません。ヘリコプターは御承知のとおり、非常に狭いところに着陸できるという利点、他面天候に左右されるという短所がありますけれども、そういうことで第十三連隊の営舎内に七月、八月の山岳遭難の多いときに臨時にヘリコプターを持っていくことはありますけれども、新潟のように常時ヘリコプターや捜索機を置くということはいたしておりません。  それから、四十三年度の予算についてのお尋ねでございますが、自衛隊は自衛隊法八十三条によって、災害が起きました場合に、人命または財産の保護のために、原則として県知事の要請によって救援をいたすわけでございます。と同時に、それはまた自衛隊自身にとっては訓練、演習にもなるわけでございます。そういったことで予算上、科目としては災害派遣のための予算というのは、先ほど御指摘のありましたとおり、組まれておりません。最も多く出動いたします陸上自衛隊に例をとりますと、こういった場合の災害派遣の費用は、予算上は訓練演習費を流用することによって派遣をやっております。またその点につきまして、四十三年度につきましては、もしも四十三年度の予算案が現在のままで通過いたしました場合には、訓練演習費の中から内部的に一千三百万円程度を災害派遣のためのものとして一応準備をするということはいたしますが、科目としてはそういったものはありません。大体この程度でございます。
  73. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 まあひとつ、せっかく皆さんが災害時の自衛隊の活躍というものを喜んでいるんですから、積極的に取り組んでいただきたいと、こう思います。  それから厚生省にさっきちょっと言い忘れましたので……。雪上車のこと、これは予算ありますね。これは救急用として非常に喜ばれておりますですね、ひとつこれも前向きの形でぜひ取り組んでいただきたい。私は四十三年度の予算は、まあこれからもうじききまるという状態ですが、四十四年度の予算要求等にも関連して、強く私ども要望するつもりでございますから、ひとつ含んでいただきたい。  それから自治省にひとつお尋ねをいたしたいと思います。普通交付税の積雪寒冷級地区分、これが実情に合っているかどうかということなのでございます。実は、これはまあ具体的な例を申し上げて、これは新潟の者でなきやわからぬと思いますが、柏崎市と先ほど報告にありました栃尾市、これと同じ級地なんです。まあそんなことはおかしいじゃないかと、これは異口同音にみんな言っておることです。したがって、これは一例でございますが、級地区分が実情に合っていない。これをひとっさっそく御調査いただいて、この間、自治省でも同道していただきましたから、調査官が。よくおわかりになっていると思いますが、早急にひとつ検討をされて、柏崎市はそのままでいいですから、栃尾市をひとつ上げていただきたい。これはまたいろいろな点に波及をするものですから、ぜひお願いをしたいと思います。なお、栃尾市だけの例じゃなくて、全般的にひとつお調べをいただきたい、こう思うのです。  それから豪雪について特交の充当率ですね、これがちょっと低いのじゃないかと、まあ普通交付税で豪雪の雪害関係は見てやるんだと、これにはみ出る分は特交で見ているんだということはわかります。わかりますが、ちょっと豪雪の場合、あまりにも充当率が低いのじゃないかというような声も、非常にあちこちからあがっていると思う。ひとつこの点についても特にお考えいただきたい。特交の交付はまあ配付済みということになりましたから、本年度はもうこれで終わりでございますが、本年度配付直前までの分、それ以後の分について、これはもう来年度の特交に当然組み入れてもらわなければならぬということになるわけですが、これはぜひお忘れなく組み入れていただきたい、こう思うのです。  それから消防庁にお尋ねをいたしたいのですが、豪雪地の消火栓ですね、これは私ども実際歩いてみて、現行の消火栓設備は高さ九十センチの砲弾型が補助対象になっている、こういうことなんです。そこで、ところが九十センチぐらいじゃどうにもならぬわけです。二メーターも三メーターもということになるわけです。そこで、これについていままで九十センチでずっと今日まで運営してきたこと自体が、私ははなはだ疑問に思う。実はこういう考え方を持っているんだ、こうしたいのだということがあったら、ひとつこの際お聞かせいただきたい、こう思う。
  74. 首藤堯

    説明員首藤堯君) お尋ね、三点ございましたが、第一点の積雪の級地のことでございますが、御案内のように、これは昭和八年から三十七年までの三十年間の統計に基づいて一応指定をいたしております。最近、気象の状況等の若干の変化があったり何かということももちろんあろうかと思いますが、なおそういった点は、気象庁とも十分連絡をさしていただきまして、改定を要する点があれば改定をするように検討を進めたいと、こう考えます。  それから第二点の除雪費につきましての特交の総額でございますが、ことしは御案内のように、総額で二十億七千万余り一応配分をいたしたわけでございます。このやり方は、ただいま御指摘ございましたように、普通交付税の中で積雪度によります各種の補正をいたしております。この補正の総額が、道路分やその他の公共の建物分等全部入れまして九十五億ほどに相なるわけでございますが、それだけで今回のような豪雪では足りないという判断のもとに交付をしたものでございます。この総額が十分なものであるかどうかにつきましては、いろいろ御意見もあると思います。今後とも十分実態を検討しながら、できる限りの措置を、増額につとめたい、このように考えております。  それから第三点の二月末に特交配分を了しまして、そのときに積算をいたしました時期以降の除雪費につきましては、御承知のように、ことしは配分に間に合わなかったわけでございます。その分の所要額につきましては、明年度の所要額に加算をいたしまして、配分の基礎にすると、これはそのようにしたいと思っております。
  75. 中沖豊

    説明員(中沖豊君) 消火栓の高さにつきましては、消化活動上支障のないように、日ごろから除雪につとめておるわけでございますけれども、なおその高さの研究等につきまして、十分調査してまいりたいと思います。
  76. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 それからこれは大蔵、文部、厚生に関係のある法律でございますが、豪雪に際して地方公共団体が行なう公共の施設除雪事業に要する費用の補助に関する特別措置法、これでございますが、この非常に長ったらしい、これの施行令、これは先ほどの報告にも触れてありますが、施行令の二条というのが、これがあるから、この法律はザル法になっている。全然意味がないんです。これは私は、特にこのことについては、もう与党であろうと、野党であろうと、こんな法律はないということはみんなが思っていると思うんです。そこで、この第二条というのはどういうのかというと、平年に要する費用の二倍をこえ、しかもそのこえる額が当該豪雪の発生した年度における標準収入額の百分の四をこえる場合、初めて適用されるんだと、こういうことなんです。こんなことはないんです。これはいままで一体適用された例があるのかどうか、それをひとつお聞きいたしたい。
  77. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) ただいまのことにつきましてお答えいたします。  最初に、この法律の成立の経過につきましてちょっと簡単に申し上げまして、それからお答えいたしたいと思いますけれども、この法律が成立いたします経過につきまして、実はこれは三十八年度の豪雪によりまして、この法律が必要とされまして、提案されたわけでございますけれども、その際に激甚法に準ずるという考え方で、最初は激甚法に織り込むという考え方もございましたけれども、これはむしろ予防措置だということで単独法になったというような経過もございますが、そのような成立のいきさつがございまして、この法律にはそこにございますように、「除雪事業に要する費用が平年に比し著しく多額である場合において」、こうございまして、それからさらに「当該地方公共団体の財政事情等を勘案して特に必要があると認めるときは」と、こういうことがございまして、そのような趣旨に基づきましてこの政令の二条のような規定が生まれてまいりましたようなわけでございます。したがいまして、これは三十八年度のような豪雪、それから激甚法に準ずるような考え方というものがございまして、かなり広域に――激甚法もそうでございますけれども、広域に豪雪が発生した場合というような考え方がございました。そういうようなことがございまして、したがって三十八年度の豪雪のいろんな指導に基づきましてこの規定が生まれてまいりましたので、したがって三十八年度以降まだあれに近い大きな豪雪が起こっておりませんので、まだこの法律は適用された例がございません。
  78. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 非常にもう歯切れが悪くて、聞いてておかしいでしょう。もっとすぱっと言ってください、すぱっと。これはもう適用した事実はまずないとこう承知してよろしいですね。ないですよ。
  79. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) 適用された例はございません。
  80. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 そこでですね。私は大蔵、文部、厚生、これは関係省がひとつ、これは政令ですから、三者でひとつ集まっていただいて、さっそく検討してください。第二条を削除すると。施行令の第二条があるために法律の精神が生かされていない。豪雪がたまたまいままでなかったから適用されないんじゃないのですよ。あったって頼めないのですよ、第二条があるために。これはひとつ近いうちに第二条、削除してもらいたい。これはもう強くここで申し上げておきます。  それからついでに、これはひとつ期限を切るというと、非常にきつい言い方になりますけれども、次の委員会まで、この災害対策委員の次の委員会までというと非常にきびしい言い方になりますから、次の次か、次の次の次くらいまで、委員長、ひとつおぼえておいてください。それくらいまでの間には何がしかの結論を出してください、それをお願いしておきます。  次に、引き続いて文部省にお尋ねいたしますが、豪雪地帯の学校の校舎、校舎の建築について――これは校舎の建築ということになると、住宅の建築等については建設省が、これはもう専門でやっていらっしゃいますからあれですが、文部省ではそういう建設について、ちょっとまあ研究不足というと非常にきめつけた言い方になりますが、もう少し考えていただきたい。たとえば豪雪地帯においては、まあ校舎から次の校舎へ行く渡り廊下、これもただ屋根だけかけたのではだめなんだ、吹雪くから。そうするとほんとうの意味の渡り廊下でなければだめだ。これが基礎の問題。雪が多く積もりますから、土台の問題、柱の問題、いろいろ出てくるわけです。そこで基準、規模、基準単価、これについては、おのずから豪雪地帯については別な基準があっていいはずだ、こう私は思う。また現地の要望もそうでございます。そこでいまそれはそうは言っても、日本全国広いからそうばまいらぬのだ、日本全国平均してみての基準でまあまあ、その辺は運用でと言われるかもしれませんけれども、時間もあれですから先に申し上げますが、建設省公営住宅建設については、積雪地の基準というのは別に配慮されているのです。なぜ文部省だけがそういう校舎について配慮がなされていないのか。そこで前のことばに戻りますが、ちょっと研究不足ではないですかとこういうことです。このことについて御意見をひとつ……。
  81. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) 前段の除雪費のことに関しましては関係省がございますので、関係省と相談いたしまして検討いたしたいと思います。  それからただいまの校舎の建設につきましては、たいへん御質問の要旨がもっともだと存じておりますが、この点につきまして、基準面積につきましては、かねて多雪地につきましては寒冷補正を施すことになっておりまして、通常地の場合よりも面積はよけい見るたてまえになっております。それから単価につきましても、平常地の場合よりも、運用におきまして多少よく見るということをやっておりますけれども、この点につきまして、なお実情に即しない点がございましたら、なお検討いたしたいと存じております。
  82. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 それから文部省にもう一点ですが、危険校舎に対する整備維持費というのがありますね。危険校舎に対する整備維持費、もうつぶれそうだ、あぶないというその危険校舎に対する整備維持費というのが、その県の全校舎に対する危険校舎の割合によってきめられていると思うのです。これは、危険校舎というのはそういうやり方できめられていいのかどうか、私は疑問に思っているのです。危険校舎が一むねでもあったら、それを即刻手をつけるということでなければいかぬと思うのですが、そのことを簡単でいいですから……。
  83. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) 危険校舎の改築費のことだと思いますけれども、危険校舎の改築につきましては一定の基準がございまして、つまり、危険度を鑑定いたします方式がございまして、これに基づきまして全国の学校の危険度の診断をいたしまして、これに基づきまして、これは、できたばかりのものは一万点、それから、年数がたちまして、だんだん校舎が弱くなっていくにつれまして点数が減っていくということで、ただいまは四千五百点以下のものにつきまして、年次計画で改築を進めていくということをいたしておりますが、これにつきましても多雪地のような地域につきましては、実際の運用につきまして、優先的に改築を進めていくということを進めておるわけでございます。
  84. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 危険度によって判定をしておる、基準はそうであるということは、まことにそれならけっこうでございますが、私の聞いておるのでは、全校舎に対する危険校舎の割合によってきめられておるという話を聞いておるのですけれども、ぜひ危険度に応じて適切な手を打つということにしていただきたいと思います。  次に、労働省は来ておられないようですが、総理府のほうでひとつお聞きとめいただいて、労働省にひとつお伝えいただきたいと思います。  豪雪地に対しての失業保険適用強化の問題でございます。御存じのように、まあ出かせぎ対策とも関連するわけですが、とにかく豪雪だということで、東京だとかそういうところへ出かせぎに行った連中が、急に雪おろしをしなければ家がつぶれてしまうということで帰ってまいります。そういうときの失業保険で、一人親方の場合ですね、五人以上の事業所につとめておる人間じゃなくて、一人親方の場合に、それに対する措置として、これは通達によって――恩恵的な制度だということによって、法律じゃなくて通達によって辞職率五〇%、失業日数九十日として実は取り扱われておる。ところが、五〇%ということで、そのものについて五割の半分の金が出るということなんです。ところが、半分しか金が出ないということで、どうも不正が行なわれておるように思われるのです。そこに水増しの問題もいろいろ出てくるでしょうし、大きな事業所につとめておるようなことをつくろうて、擬制の適用を受けておる者もふえてくる。そういう不正受給者がふえる可能性がある。したがって、そういう一人親方的な人に対しては一〇〇%適用ということにしていただければ、これは出かせぎ対策とも関連しておりますが、ぜひひとつ一〇〇%の適用を認めていただきたいという要望でございます。これはひとつ労働省にお伝えおきいただきたいと思います。  それから、企画庁にお尋ねをいたします。これで最後でございます。  第一点に、雪上車の予算、これはぜひうんと取ってがんばっていただきたいと、こう思うのですが、豪雪地における辺地対策予算、これは一体どうなっているのか。特に豪雪地帯におけるところの国土総合開発事業調整費の増額とも関連して、一体そういう豪雪地帯の開発ということについて調整費をどういうふうに使うとか、これは企画庁というのはプランメーカー的なウエートが非常に高いわけですから、ひとつ辺地、特に豪雪地におけるところの辺地対策、それについてどうお考えになっているのか、国土総合開発事業調整費との関連において、これは直接結びつくかどうかわかりませんが、その関連においてひとつお聞かせ願いたい。
  85. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) ただいま御指摘の豪雪地帯に対する対策でございますが、御承知のとおり、豪雪地帯対策特別措置法という法律によりまして基本計画がつくられておりまして、ただいまも御質問のありました道路の問題あるいは農業関係その他厚生省の僻地医療対策、いろいろのことが計画に盛り込まれまして、実施をされているわけでございます。経済企画庁といたしましては、こういった各省の予算にそれぞれ計上せられます事業が、この計画に基づいて円滑に行なわれるように調整をし、あるいは促進をするという立場でございますが、さらに国土総合開発事業調整費によりまして、こういった各省予算によりまして推進が円滑にいかない場合に、調整費を追加支出する予定になっているわけでございます。豪雪地帯につきましては、一般の地域と異なりまして、採択基準等も比較的小規模のものが取り上げられるということにいたしまして、できるだけ地域の実情に沿うように運用をいたしております。  予算的には、四十二年度におきましては、調整費の総額は、全体で五十八億五千万円でございますが、このうち豪雪地帯として十六億五千万円を使用いたしております。
  86. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 四十三年度はどういうことになっておりますか。   〔理事武内五郎君退席、委員長着席〕
  87. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) 御承知のとおり、調整費は各省の事業予算が配分決定をいたしましてなお足りないと、こういうものについて配分をいたすわけでございますので、四十三年度分の決定は、大体七月ないし八月になると思います。なお、調整費の予算総額につきましては、四十三年度は六十二億円になっておりまするので、比率的に見れば若干の増額はできるのじゃないかと思っております。
  88. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 そこで、いままでずっといろいろお尋ねをしてまいりましたが、結局雪に対する認識、豪雪をそのまま災害としてまともに対策を講ずる、そういうことについての配慮が適切であるかどうか、私は当初申し上げたように疑問に思っている。そこでなぜそうなっているか。これはやはり雪そのものについての窓口がさだかではないということです。雪のことについて一体どこが担当しておられるか。で、私は、いまほど局長からもちょっと触れられましたが、豪雪についての法律もあります。基本的な計画についての、基本的な考え方についての法律はあります。私どもが漏れ聞いているところでは、豪雪についての恒久措置等を織り込んだ法律をひとつつくろうということで、検討は進められているということを、私ども漏れ聞いているわけです。もしそういうことで進められているものであれば、これをつくるに際しては、いままで私どもがお話ししましたことをよくひとつかんで含んでいただいて、ぜひつくっていただきたい。また相談もひとつしていただきたい、こう思うと同時に、雪の窓口というものを、この際特別地域開発課に一係がおるという雪の窓口で、はなはだ心もとないです。したがって、恒久措置を織り込んだ豪雪についての立法措置をされるのを機会に、まあ、企画庁、雪の問題をかかえ込んでしまうのは迷惑だということかもしれませんが、ひとつぜひ、一つの課ぐらいをつくっていただきたい。これは行管との問題がいろいろ出てくると思いますが、こういう豪雪の時期に強く訴えないと、なかなかわかっていただけないから、特にこの際お願いをしておきます。そのことについての見通しを、お話ししていただける範囲内においてお聞きしたいと思います。
  89. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) 確かに御指摘のとおり、この豪雪地帯に対する対策は、一応特別措置法もあり、基本計画もできて進んでいるわけでございますけれども、ほんとうの意味で豪雪地帯のいわゆる産業の振興なり、民生の安定という点から見ますると、非常に足らざる点が多いことは私ども認めるにやぶさかでございません。結局こういった対策として考えてまいります場合には、非常に広い分野にわたりまして各種対策が必要になるわけでありまして、私どもといたしまして、現在、いわゆる地域開発という見地から、三十七年に策定をいたしました全国総合開発計画、これを今回再検討して新しくつくり直そうと、こういう考え方をもちまして現在作業を進めております。今年秋ごろには策定をしたいと思っておりますが、こういった全国的な計画において、豪雪地帯というような地域、あるいは過疎地域等につきまして、どのような構想を持ち、そしてそのためにどういう施策を打ち出していくかということを、ぜひひとつ方向を出してみたいと、このように考えております。なお、機構的な問題につきましては、こういった地域開発の問題につきまして、ただいまの全国総合開発計画の作業とあわせまして地域開発制度調査会議というものを政府部内につくりまして、大体全国総合開発計画と同様に作業を進めておりますが、いろいろ地域開発立法等たくさんにありまして、だいぶ重複あるいは錯雑している面もございますし、また整備を要する面もございます。制度の問題、機構の問題等も含めまして、その辺でひとつ検討してまいりたいと考えております。
  90. 前川旦

    前川旦君 先ほどから雪国の豪雪地帯のお話いろいろ承っておりまして、西日本のいわゆる南国での雪害というのは、ちょっと常識的に言いまして考えられないとお考えになる方がいらっしゃるかもしれませんが、先ほどから堀本さんもおっしゃいましたように、こういった自然災害――雪害に対する抵抗力がなかったということもございますが、一つどうしても考えていただきたいことは、雪の重さ――比重がたいへん違ったということです。この比重は〇・〇六というのが普通だそうでございますが、西日本に降りました雪は〇・二という比重でございまして、約三倍の重さがあったということを、こういう実態をまず御認識いただきたいと思います。  そこで、先ほど激甚災害の指定、それから天災融資法の発動の問題でお尋ねありましたが、ちょっと政府委員の方のお答えが明確でございませんでしたので、政府としてはこの二つを前提にしてこれは三月下旬というような御返事だったと思いますが、下旬にはこの二つをやるんだと、この方向で考えているんだと、こういうことでございましたか、お尋ねいたします。
  91. 太田康二

    説明員(太田康二君) 先ほども申し上げましたように、農産物被害は最終的な統計調査の数字が出ましたので、これをもとにいたしまして、それ以外に先生もただいまお話が出ましたような山の被害があるわけでございます。この被害の報告は、一応三月四日現在で県報告の数字はいただいておるわけでございますが、これにつきましては若干の精査を要するということで、いま最終的な調整をしておるわけでございまして、大体今月の十六日にはこれがまとまると言っておりますので、この両者を合わせまして、われわれとしては財政当局と折衝をいたしまして、天災融資法の発動をぜひやりたい。なお、天災融資法につきましての激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の第八条の適用につきましても、従来中央防災会議できめております基準に該当するとわれわれは考えますので、この点も含めまして大蔵省と折衝いたしまして、三月下旬には両者を決定いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  92. 前川旦

    前川旦君 それではこの二つが適用されるということを前提にして二、三お尋ねいたしますが、今度のこの雪害で特徴的なのは、被害というものが、果樹特に樹体被害ですね。森林の折損それから園芸、あるいは花卉園芸等を含めまして農業施設、それから商店街のアーケードに対する損害、こういうふうに大体集中をしているのが特徴的だと思います。  そこで一つずつ伺っていきたいのですが、特にまず果樹ですが、果樹の被害について、この樹勢回復について農林省としてはどういうこれに対する対策を具体的にお考えになっていらっしゃいますか。
  93. 太田康二

    説明員(太田康二君) 今回の災害は、確かに特徴的なことは果樹が相当やられたということでございます。そこで、今後果樹の樹体に対する技術対策をどうするかということにつきましては、二月十九日付の官房長名をもちまして各地方農政局長あて、今後こういった措置を講じてもらいたいという具体的な指導通達をいたしたのでございます。なお、果樹等の樹体回復のために、従来肥料、農薬等の補助をいたした事例も過去にはあったのでありますが、最近におきましては、御承知のとおり、天災融資法が発動になりますと、経営資金として当然そういったものの対策ができること、さらには肥料、農薬等は、いわゆる消耗的な資材でございまして、これを補助をいたした場合に、その執行の確認が非常に困難であるというようなことで、補助ではなしに融資で見るということにいたしておりますので、天災融資法が発動になりますれば、これらによってそういったものの措置はできるであろうというふうに考えておるのでございます。
  94. 前川旦

    前川旦君 天災融資法にはいろいろ問題点がございますので、あとで御質問申し上げますが、この際、たとえば、各県から強く要望が出ております災害関係以外のいろいろな金融の道がございます。たとえば自作農維持資金あるいは農業改良資金あるいは農業近代化資金、こういったものを災害に加味をされない、あるいはそれにはずれるという人のために、この際ワクを拡大する、あるいは配分を早期にする、こういうお考えはございますかどうか。
  95. 太田康二

    説明員(太田康二君) 自作農維持資金につきましては、先ほども申し上げたのでございますが、天災融資法が発動になりますれば、これとの関連におきまして、自作農維持資金の災害ワクというものを特別に設定をいたしまして、被害の実情に応じて各県に配分をいたしたいというふうに考えております。それ以外に、先生御指摘のいろいろな金融措置があるわけでございますが、たとえば野菜作等の場合のビニール・ハウス等でございまして、固定的なものにつきましては、農林漁業金融公庫の主務大臣指定施設がございますし、農業近代化資金等の手当てもできるのでございます。これらの配分の問題でございますが、当然配分にあたりましては、被害のありました県の資金需要等も当然ふえることも予想されますので、当然そういったことを考慮に置いて配分するということになろうかというふうに考えます。
  96. 前川旦

    前川旦君 たとえばもうたいへんな被害を受けてショックを受けていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいますが、自作農維持資金、これで連続災害を受けられた場合に、前の維持資金の上に上積みをしてお貸しになる御予定なのか、あるいはときと場合によっては、三年連続という場合があろうかと思いますが、その点については、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  97. 太田康二

    説明員(太田康二君) 自作農維持資金の貸し付け限度額は、公庫の業務方法書できまっておりまして、災害の場合は大体五十万円ということになっておるのでございます。従来の例を申し上げますと、昭和三十九年新潟地震で被害を受けられて、さらに四十一年、四十二年と引き続き加治川、胎内川等の堤防決壊によりまして被害を受けられた農家が、多々あるわけでございます。そこで四十二年度におきまして、そういった三回連続被害を受けられたという農家の方で、自作農維持資金の貸し付け限度額が実は二年連続いたしましたときに七十万まで上げたのでございますが、さらに、その限度一ぱい借りておられる、したがって限度を引き上げないと自作農維持資金が借りられないという農家の実情調査いたしまして、四十二年度は百万まで三年連続の方には引き上げたという事例があるわけでございます。で、二度やられた方には七十万という事例があるわけでございまして、今回の場合も確かに昨年の干ばつで自作農維持資金を借りられたという方もあろうかと思います。したがいまして、これらの方々がさらに今回また被害を受けたという場合に、一体自作農維持資金の貸し付け残高がどうなっているかというような点も調べまして、限度一ぱい借りておられて、しかも被害を二度受けられているという方につきましては、当然従来の例も参酌いたしまして検討してまいらなければならないだろうというふうに考えております。
  98. 前川旦

    前川旦君 まあいろいろ金融の道はございますが、時間がなくなりますので省略して、被害者でいままで借りている既借り入れ分、この分については償還期限の延長をしてもらいたいという強い要望がございます。これはいままでにいろいろ例があったと思いますが、このたびも、この償還期限の延長を行なう計画を持っていらっしゃるかどうかお尋ねをします。
  99. 太田康二

    説明員(太田康二君) この点につきましては、災害の発生のつど、それぞれ関係金融機関に依頼をいたしまして、既往貸し付け金の償還に支障を来たすことも考えられますので、依頼の通達をいたしておるわけでございますが、お手元にお配りしてございます資料の二ページの(二)にも書いてございますように、今回の場合も三月一日付で農林経済局長名をもちまして各金融機関に対しまして、既往貸し付け金の条件緩和につきましての依頼を行なったのでございまして、これによりまして、各金融機関が被災者の実情に応じましてケースバイケースで償還の延期等の条件緩和をとっていただけるというふうに考えております。
  100. 前川旦

    前川旦君 その場合に償還がおくれますが、延滞利息といいますか、どういうことばになりましょうか、利息ですね。これについて利子補給をすると、こういう考え方があってしかるべきだと思いますが、この点についてはいかがですか。
  101. 太田康二

    説明員(太田康二君) 必要に応じてそれぞれ金融機関で措置をいたしておるのでございますが、たとえば農林漁業金融公庫の場合等におきましては、やはり暫定的な据え置き期間を設けまして、これによって被災者の実情に応じて条件緩和をはかるというようなことをやっておるのでございます。
  102. 前川旦

    前川旦君 ただいまの、よくわかりませんが、こういうことですか。据え置きをして、その間の利息はいまどうなるとおっしゃるのですか。利息のことよく聞こえませんでした。それから、いまのは公庫の資金ですが、そのほかに政府資金のいろいろなのがございますね。その場合の利息補給の何といいますか、償還期限を延長した場合の利子補給についてどうお考えですか。
  103. 太田康二

    説明員(太田康二君) 一般的に申し上げますれば、利子補給等につきましては、特に条件緩和に伴っての措置というのはいたしていないのでございます。
  104. 前川旦

    前川旦君 これはやはり現在はしていらっしゃらないと思いますが、借りている者にとっては非常にこれ大事な問題であると思います。期間が延びる、これはいいのですが、その間に利子がふえていくというのでは、やはり片手落ちだと思う。私、いろいろ災害地回ってみまして、一番気になりますのは、農業に対する意欲を失うという傾向が出ているのと、それがもう少し極端に言いますと、政治不信という形にもつながってくるように思います。これはもうわずかのことなんですが、そこまでやはりたんねんに、あったかみのある政策を私は考えてもらいたいというふうに思います。いま政府委員の方は、やっていないとおっしゃいましたが、これ将来の問題としてこれを検討していくという姿勢がほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  105. 太田康二

    説明員(太田康二君) まあ一般的に申し上げまして、農林金融につきましては、他のものと違いまして相当長期、低利の資金になっておるのでございまして、金利部分だけであれば、それほど多額ではないだろうというふうに考えるのでございますが、なお将来の問題として検討いたしたいと思います。
  106. 前川旦

    前川旦君 この天災融資の問題でございますが、いろいろ矛盾があると思いますが、たとえばその一つ、今度の被害で第二番目に大きな被害を受けましたのは、例の園芸施設、特にビニール・ハウスです。ビニール・ハウスをかなり皆さん金をかけまして、資本投下をして、償却もまだ済まないうちにがしゃんとやられている。そこでビニール・ハウスについて天災資金の適用があるのかないのか、この点についてまずお答えいただきます。
  107. 太田康二

    説明員(太田康二君) まあビニール・ハウスと一口に申しましても、実はいろいろなハウスがあるのでございまして、われわれは、いわゆるトンネル栽培といわれているように、竹とビニールのみでやっているような野菜作の場合の施設につきましては、これは天災融資法上言いますところの経営資金として、当然そのめんどうが見られるというふうに考えていますし、もうちょっと固定施設的なものにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、農林漁業金融公庫の主務大臣指定施設資金なり、あるいは農業近代化資金等で、温室施設として対処ができるというふうに考えております。
  108. 前川旦

    前川旦君 問題はやはり三分という安い金利が非常に魅力でございます。これは御承知のとおりでございます。そこで一体この天災融資法ができましたときには、ハウスによって園芸をやるという実例もあまりなかったし、そういう考え方がなかったと思うのです、わりあいに。ところがその後、これは非常に普及しまして、特に西日本の場合には耕地面積が一戸当たり少ないものですから、非常に高度の農業をやるということで非常に普及しております。急激に最近普及しておるわけです。そこで私は調べましたところが、やはりそういう趨勢から、三年未満の耐用年数については、これは経営資金のうちに含めていいのじゃないかというお考えがあるように聞いております。しかし三年未満というのは、どこでその判断をするか、判断のこれの基準もむずかしいところでありますし、それからたとえ鉄骨でやってみましても、これはやっぱり今度の雪害であめのように曲がって落ちる、恒久的なこれは施設だとはなかなか言いがたい面がございます。そこで、この天災資金の対象の中にこの鉄骨を一部使っているようなハウスも、これは運用の面で何とかもう少し、表向きはなかなか正式には言えないかもしれないけれども、運用の面であったかい、何といいますか考えをとっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  109. 太田康二

    説明員(太田康二君) 確かに先生のおっしゃいますとおり、天災融資法によります経営資金でございますと、特別被害地域の特別被害農林漁業者の場合には三分資金ということになりますし、公庫の主務大臣指定施設、あるいは農業近代化資金に比べて金利の面で非常に有利だということもございます。したがいまして、できる限りお尋ねのように、現地では確かに弾力的な運用ということが言われると思うのでございますが、まあそこらは、地域の実情に応じまして適切な措置を講じてまいりたい、かように考えています。
  110. 前川旦

    前川旦君 しゃくし定木の当てはめ方ではなくて、地域の実情に応じて弾力的な措置を講じていくというお答えをいただきましたので、その点について皆さん期待をするだろうと思います。私もたいへん期待をし――それ以上申し上げるとかえってやぶへびになりそうですから、これでやめておきますが、このビニール・ハウスの問題は、実はたばこの問題がございます。これはあとにいたしまして、次に林業の被害でございますが、この立ち木の雪起こしに対して助成措置というものを今度考えていらっしゃいますかどうか、お答えいただきたいと思います。
  111. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) いまのお尋ねの件につきましては、過去におきまして雪起こしの補助金を一回だけ実施した事例はあるのでございますが、今回の雪起こしの対策といたしましては、農林漁業金融公庫の造林資金で対処いたしたいと考えております。
  112. 前川旦

    前川旦君 過去において一度やったことがあるとおっしゃいましたが、これはおそらく昭和三十八年におやりになったウインチに対するごくわずかな――と言えば失礼ですけれども、わずかな助成措置だったと思う。しかし、わずかでもこれはたいへんありがたい問題でございますが、この前おやりになったなら、今度もひとつお考えになったらいかがでしょう。
  113. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 当時、たしかヘクタール当たり二千百円程度ぐらい、まあなわ代、いま言われた針金、簡易ウインチだけで、ヘクタールに換算いたしますと二千百円程度の零細補助金だということと、確認等におきまして、実は事務当局としては困惑した事例もございますので、今回は四十一年度の雪害の事例もございますので、まあ先ほど申し上げました融資対策で善処いたしたいと思っております。
  114. 前川旦

    前川旦君 融資ということになりますと、やはり金利の問題がからんでくるわけでございますが、一度やったことがあるのですから、この前ウインチの単価を二千円とごらんになるのであれば、いまは四千円に上がっております。それにしても総額でこの前幾らでしたか、四千万円ぐらいじゃなかったでしょうか、ごくわずかな、まるでわずかな金額で非常にあったか味を感じるという面がございますので、やはりこれは今度もこの雪起こしの何といいますか、補助ですね、一度あるんですから、今度も検討してやはりおやりになってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  115. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) あの当時の非常に困惑した事例から見まして、何回も繰り返すようでございますが、融資対策で善処いたしたい。金利の問題が出ましたが、金利は三分五厘でございます。その点ひとつ御了解いただきたいと思います。
  116. 前川旦

    前川旦君 あなたは三分五厘とおっしゃいましたけれども、三分五厘は林齢八年以下の、これは造林資金融資のことをおっしゃったんであろうと思います。林齢が八年以下ということと、三分五厘でしかも五百ヘクタール以下という強い条件がございますが、今度の雪害でやはり八年以下、これも被害でありますが、やはり実際に被害が起きておるのは八年から二十年ぐらい、それから三十年ぐらい。むしろ八年以上の木が折損をしている。ですから、そっちのほうが、これは八年をこえましたからこれは公庫の育林資金で五分のものがあるようですけれども、やはり魅力あるのは三分五厘、こういうことになるのですね。したがって、林齢の八年というやつをやはり十五年程度まで引き上げるのが妥当ではないかというのが常識論として出ております、各地元に。この点について皆さんいかがでございましょう。
  117. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 保育期間の保育資金の適用年限は、連年支出している年次が限度になっております。従来は五年でございましたが、これが四十一年度から八年に緩和したという事態もございますので、三分五厘という低利という面から非常に年限は限定されているのでございますが、しかし、いま先生おっしゃいますように、雪起こしの現象は私らも十分承知いたしておりますので、十分財政当局とも協議いたしまして、造林者の造林意欲を低下しないように、できるだけ努力してまいりたいと思います。
  118. 前川旦

    前川旦君 それではいまのお答えは、林齢八年というものを、これは五年であったけれども八年に上げた。さらにまたこれを上へ上げていくという方向で、今後林業者の気持ちを自分の気持ちとして努力していくというふうにお答えになりましたのでしょうか。そう受け取ってよろしゅうございますか。
  119. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) くどいようでございますが、原則として八年でございますが、雪起こしのような特殊な災害の事例でございますので、財政当局と十分協議いたしまして善処いたしたいと思います。
  120. 前川旦

    前川旦君 いまのは造林資金の融資でございますが、それとは別に造林補助というのがございます。この造林補助のいろいろの基準がございます。たとえば造林補助は再造林の場合には国が十分の三を持つということになっているようでありますが、この査定係数が、たとえば災害の場合には一〇〇点という査定係数をしているようです。ところが同じ補助の査定係数でも、拡大造林の場合には一二〇点という係数を使っていらっしゃる。やはり私はこれはたださえ査定の、特に大蔵省の査定の標準単価というのが極端に低い。実際の半分ぐらいだと思います。その上さらにこの査定係数をかけるのであれば、やはり拡大造林と同じ程度まで引き上げてしかるべきではないか。これが常識ではないか。いま一〇〇まできているんでしょう。一〇〇点を一二〇点に上げたって、総額ではたいしたことはないと思います。それだけの、たいしたことでないことで、やはり受け取る側の感じが非常に違うということなんです。その点についていかがですか、その方向に向かって努力なさいますか。
  121. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) いま先生のお尋ねは、天然林の切られたあとの造林をする場合と、それから杉、ヒノキのような人工林を切ったあとの造林の場合とで、前者の場合には歩がかり関係が非常に経費がかさむのでございますが、それで造林の補助率は県費を継ぎ足しまして四割なんですが、四割に対しまして、先ほどの天然林の場合は一二〇点の係数、杉、ヒノキの人工林を切られたあとを植える場合は六〇点、だから人工林が被害を受けて改植をする場合におきましては、やはり人工林が切られたあとの造林の係数を使うことに相なっておりまして、本来から六〇点でございます。しかし、災害等というような非常に特殊事情もございますので、四〇点を加算しているという点は、やはり現行の制度を今後とも維持していきたいというふうに考えております。
  122. 前川旦

    前川旦君 現行の制度を維持していきたいとおっしゃいますが、実際災害は一〇〇点で、そうして拡大造林の査定係数は一二〇点、まことにわずかな上積み、ほんとうにわずかな上積みです。総額はほんとうにわずかだろうと思いますが、それがなぜその方向で考えるというふうになりませんか、わずかの差、わずかの金額でどれくらい実際被害を受けた人にとりまして受ける印象といいますか、信頼感といいますか、あったかさというものが違うかということは、実際その人になってみなければ、皆さん方はどっちかというと出すほうですから、受け取るほうの側から言いますと、ちょっとした思いやりというものが非常に大きな心理的な影響を及ぼす。そうして山なんか二度ともうしない、もうこりごりだというような、どっちかといったら絶望的な気持ちに一時おちいっている人がたくさんおりました。それが心理的にも立ち直る契機になるだろうというふうに思います。これはやはり前向きに、現に一二〇点というあれがあるのですから、そこまで持ち上げるという方向でひとつ検討してみる、そういう気概があってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  123. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 先生のおっしゃる気持は、私は事務当局として十分理解いたしておりますし、林野庁といたしましては、森林経営者の側に立ってそれぞれ配慮いたしているわけでございますが、いま二〇点の差じゃないか、もう一息じゃないかと言われますが、造林奨励指導上、この拡大造林を拡大推進していくという立場から、この一二〇点と六〇点の姿はやはり堅持し、その中において災害対策というものが出てくるのじゃないだろうかというふうに考えておりますが。
  124. 前川旦

    前川旦君 これはあなたお譲りになりませんから、いつまでたっても平行線になるかもしれませんが、保留しまして、またあとの話にいたしましよう。  そこで、実際にたいへんな山林被害を受けまして、あとどうするかというと、これはまあ松なんかはパルプといいますか、チップの原料として売却する以外に手がないと思います。ところが、実際に現在もう出ているのは、一度にどんと被害がありましたから、その足元を見て非常に買いたたかれているわけです。極端な例で、従来の三割程度までひどく買いたたかれている例もございますが、三割から五割まで買いたたかれている。手間賃も出ない。しかも、これはやはり切らなければあとが困るということで、泣くにも泣けないような状況です。そこで一体、これはもう売買契約はもちろん私契約ですから、全然これはもう個人同士の契約でどうにもならないかもしれないけれども、そこを何とか行政指導といいますか、何かそこに打つ手をお考えになって、あまりひどい買いたたきを業者がして泣き寝入りにならないように、何か実効のある方法は考えられませんか。
  125. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) いまの御指摘の点は、実は紙パルプ連合会に対しまして、林産行政所管の林産課が窓口になりまして、文書をすでに出しているわけでございますが、いわゆる多量に被害木が出た、その利用促進について資源愛存の立場から協力方を、各県知事あてに文書を出す段階になっておりますので、御了解いただきたいと思います。
  126. 前川旦

    前川旦君 文書を一応出していただいたのはそれはありがたいんですが、やはり実効が伴わないと意味がありませんので、文書のあと、やはり追跡していくという、そういうひとつ心がまえで、その点ひとつたんねんに林業者の危機というものを救っていただきたい、このように思います。  それでは、この天災融資法の適用になると思われますので、ちょっと天災融資法そのものについてお尋ねしたいんですが、天災融資法の中には三分と六分五厘との非常に大きな開きがございます、被害農業者なり被害林業者なりで。そこで、三分の資金を借りられるためには、被害についても大きな被害でなければいけない、これは法律に出ておりますが、同時に特別被害地域という地域指定が要件になっておりますね。この地域指定というやつは、一体何のためにこれがなされるのだろうか。たとえば私の香川県の例をあげますと、一つの地域では、これは二十八年現在の区画でいくようですが、一つの地域では同じ被害があって三分の金が借りられる、ところがちょっとはずれると、同じ被害がありながら、地域からはずれたために六分五厘だと、三分の金が借りられないと、こういう矛盾が非常に出てくる心配があると思います。一体この特別被害地域を指定する必要がどこにあるか、これは法律改正という方向へやはり持っていくべきではないか、方向として、こう思いますがいかがでしょうか。
  127. 太田康二

    説明員(太田康二君) 先生のおっしゃいますように、天災融資法上は、一般被害者と特別被害者とに分けておりまして、いま御指摘の特別被害地域の特別被害農林漁業者が三分の資金を借りられるということになっているのでございます。そこで、特別被害地域の考え方でございますが、一応現在の制度におきましては、まず特別被害地域を指定できる県を天災融資法の政令できめまして、県知事が、具体的に法律で定められておりますように、被害者数の中で特別被害者が一割以上をこえる地域を特別被害地域として指定をいたしておる。そしてこれは農林大臣の承認を受けて市町村をきめておるのでございまして、一応天災融資法上、金利の面で三分の資金と六分五厘の資金ということの区別がございます以上、やはり特別被害地域の特別被害農林漁業者に限って三分ということになっておりますので、制度上これを直ちに撤廃するということにつきましては、なお検討を要するかと思うのでございます。ただ、現実に天災融資法上資金の借り入れ残高を見てまいりますと、約九〇%は三分資金が借りられておるというような実情でございまして、財政運用上支障がないのではないかというふうに考えております。
  128. 前川旦

    前川旦君 あなた、たいていそういう御答弁なさると思いましたのですが、九〇%じゃなくて、一番新しい実績は八八%です。そこで一体これ、三分が八八%と、一二%が六分五厘だから、ほとんど三分が借りられているじゃないかとおっしゃいますけれども、ところが実態は逆なんです。六分六厘を借りても高い。もっとほかに金融制度がありますから、六分五厘が高いから申請しない。県のほうでも六分五厘は魅力ありませんが、農民のほうも申請しないし、県のほうも不熱心。結局その三分の分だけが上がってきますから、結果としてそういうふうになってくるのであって、それによって大まかに大体まかなえるというのは、だいぶこれは事実と違うと思いますがいかがですか。
  129. 太田康二

    説明員(太田康二君) 被害の実は態様によりまして、天災融資法の政令を出しますときに、被害額等を参酌いたしまして融資総額をきめておるのでございまして、まあ過去の実例を見てまいりますと、実は確かに三分資金と六分五厘資金との関係もございましょう。十分消化されなくて融資ワクが余ったというような事例もございますが、まあ最近におきましては、被害の度合いも相当高まっておるというようなこともございまして、大体消化されておるというような実情でございます。まさに先生のおっしゃいましたように正確には融資残高が八八%ということで、三分資金の融資残高がそうなっておるのでございますが、まあ一般の資金は、御承知のとおり農協の運転資金は九分でございまして、これにつきまして国と県、市町村で利子補給をして、まあ一般の被害者には六分五厘ということで、少なくとも系統のプロパー資金よりは有利な資金にいたしておるのでございまして、まあ現在の段階におきましてこれをまあ天災融資法上全体をどう考えるかということについては、さらに検討をしなければいかぬと思いますが、そう運用上支障がないのではないかというふうに考えております。
  130. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  131. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を起こしてください。
  132. 温水三郎

    温水三郎君 時間がありませんから簡単に質問したいと思いますが、まず簡単な問題ですが、科学技術庁に質問したいのですが、宮崎鹿児島地震を視察いたしました際に、地震の原因は何かと言いましたら、わからない、今後研究して測定しなければわからないと、こういうわけでございまして、それでは今後長期間にわたって測定したら原因はわかるのかということを聞きましたところが、長期にわたって測定した場合に原因がわかるかわからないかわかると、こういうことであります。宇宙開発も非常に大事なことでございますけれども、わが日本の国土は非常に地震が多い。したがって、地震に対してもっと突っ込んで真剣な研究をしなければならない国土であると思うのでございますが、新潟、松代、さらに宮崎鹿児島、最近だけでもこういう地震があるのですが、まあしぼって質問をいたしますると、宮崎鹿児島地震に対して、今後いままでと同様、それ以上に突っ込んだ調査をしてもらいたいのですけれども、そういう用意があるかどうか、その点をまず伺いたい。
  133. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) 私がかわって。先般衆議院の場合にも同様の御趣旨の質問がございまして、日本の科学技術というのは、相当世界に向かって誇るべきものがあるといいながら、地震の常襲地帯でありながら、それの的確な予報ができないということは、まだ不十分ではないか。それはやはり予算というもののつけ方が少ないのではないか、こういうような御質問がございました。  私は、世界的に見て日本の地震科学というものが、いわゆる最高水準にあるというふうに聞いておるのでございますけれども、またそれがために世界各国から日本の地震科学研究ということについて相当期待をしておるという実態もありますが、しかし現在の研究の結果、予報についてあるいは防災について絶対だいじょうぶだというところまでいっていないということは、御指摘のとおりでございまして、なおなおこの分野についての研究の必要性というのは、十分に総理府としても痛感をいたしておるわけでございます。先ほど防災ということが、これが今後の災害対策の中の一番大きなポイントであると申し上げて、ことしも防災関係予算をかなり伸ばしたというふうに申し上げましたが、仄聞するところによりますと、今後科学技術基本法というものがこの国会に提出されるかのごとく聞いておりますが、あるいはその中でひとつ十分――自然科学を中心にこれは基本法ができるようでございますから、そこらのところで十分にいわゆる基本計画というものを樹立していただいて、そうして現在の水準が世界で一番だということを自負することなしに、一そうひとつ積極的にさらにさらに世界に誇るだけの水準が維持できるように努力をさせていかなければならぬのではないか。このことにつきましては、文部省と科学技術庁のほうに対しまして、温水先生御質問の真意を十分伝えまして推進させるようにしてまいりたいと、こういうふうに思います。
  134. 温水三郎

    温水三郎君 科学技術庁に聞いた後に副長官にお尋ねしようと思ったんですが、いま御答弁いただきましたが、被災地の人たちは、もうここには住めない、どこかよそに移らなければならない、こういうふうに考えているわけなんです。  それで地震の原因については、火山活動ではなさそうだということしかわかっていない、それから地下二十キロの地点であるということしかわかっていない。こういうようなことでは非常に困るので、ぜひとも地震に対しては十分な予算をつけて、そうして徹底的にこれを調べて、そうしてもう少し何とか早くわかるようなことができるところまで、国力を傾むけてでもひとつ地震の原因を探究してもらいたい。  時間がありませんのでごく簡単に質問いたしますけれども、その次には地震災害にあったものは全くもうどうにもならないんですね。火災保険も生命保険もない。したがって新潟地震の場合に新聞でちょっと見たんですけれども、田中前幹事長がこれはどうも震災保険を考えなければいかぬだろう、こういう談話をやられていたのを見たんですが、どうしても私はこの震災保険とでもいうような性質のものを考える必要があるのではないか、この点に対する総理府のお考えを承わりたい。
  135. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) これも衆議院のほうで御質問があったわけでございますが、確かに日本の災害対策の中で、地震というものは一つの盲点だと思います。防災関係もそうでありますし、いま申しましたように、災害応急対策はともかくとして恒久対策についても、必ずしも完ぺきとは言えません。特に保険制度においてそういうところが顕著にあらわれておると思うのでありますが、今後このことにつきましては大蔵省とも十分にひとつ、いわゆる地震襲地帯でございますから、保険制度についても、それにふさわしい保険制度であってしかるべきだと思いますので、前向きにこれを検討さすようにいたしたいと、こう思います。
  136. 温水三郎

    温水三郎君 次にもう一つ肝心なことを質問いたしますけれども、激甚災害法の指定なんですが、これは現在の激甚災害法によると、被害の総額が大きくなければかからないということなんです。ところが、質においては新潟の地震に匹敵するぐらいの地震であって、全く個人的には壊滅的打撃を受けておる。しかるに一方、新潟の地震については激甚法の適用がある。今度の場合は合併をしてえびの町につい最近なったんですけれども、その前は真幸町でございましたが、これの九〇%以上、九七・八%まで罹災者である。こういうようなことがあったけれども、合併もあったしするから、いろいろな激甚法の規定を見るというと、どうも十分指定するわけにいかないというふうに見受けられるわけです。同じ日本人であって同じ地震にあって、片方は激甚災害法の指定を受けて非常に手厚い救助の手を差し伸べられて、片方はちょっと範囲が狭いだけでそういう激甚法を受けられないということは、これはどうも私は非常に不合理だと思う。まあ小災害の場合は市町村で見るだろう、あるいは県で見るだろう、こういうような考え方で立法されたかもしれませんけれども、今日の地方財政の状態からいうと、これは地震災害のごときに対しては、全く応急措置しか県あるいは市町村の財政はやる能力はない。だからして、これはどうしても激甚災害の適用をやってもらう、あるいはこれが現行法律でできなければ、法律を改正してやってもらう。もしくはそれがどうしてもできないということであれば、地方公共団体に対して財政的な援助をして、これをしてやらしめるというようにやってもらわなければ私は不公平だと思う。試みに農業倉庫の例を一つとりますというと、これは三棟ともほとんど全壊で、二千四、五百万の金がなければ復旧できない。激甚法の指定を受けると九割の補助がある。これを受けないと二割の補助しかないんです。これは単なる一例ですけれども、こういうような格差が、全く天災でもって全然人為的な、自分で悪いことをしたわけでも何でもないのにかかわらず、日本の国民の中でかような国の保護の格差があるということは、これは私はおかしいと思う。これは何とか激甚災害法の適用をあるようにするとか、あるいは法の改正をするとか、もしくはそれができなければ、かような格差がつかないような救済の手を伸べるとかいうようなお考えが総理府にありますか、ないですか。
  137. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私もいまの問題で関連して申し上げたいんですが、現地のいろいろ心配しておりますのは、激甚の取り扱いにならないんではないかという不安があるんです。それはいまの災害地域というものが一応全体から見て非常に狭い、こういうことが一つの原因になっておるわけです。しかし温水さんのおっしゃったとおりに、これはたまたま鹿児島県、宮崎県にまたがっておるというこの事態、これがもし一県にあった場合は、やはり問題になるんだろうと思う。現状の法律からいけばそういうふうにとられてもやむを得ないと思います。けれども、たまたま県境であった。こういう点から見ても、当然私は激甚の取り扱いをすべきだと、こういうふうに思うわけです。特に今日の災害補償については、個人は何ら補償を受けるという制度はない。そのために立ち上がることすら非常に困難な情勢にある。こういう面に対して、政府はやっぱり特別の処置をこの際私はとるべきだ、こう思うのです。
  138. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) 先ほど来御指摘のありましたように、今回のえびのの地震につきましては、局地的に見れば激甚の最たるものである、しかし全体的に被害総額から見ると、いわゆる基準に到達しないという一つの矛盾がございます。そういう意味でいまのような御心配の御提言があったのだと思うのでございますが、特に今回の災害は、住宅を中心に個人災害的色彩の強い、まあ農業倉庫その他もありますけれども、個人的災害の色彩の強いものでございますので、政府といたしましても、基準に到達しないから、もうしかたがないのだと言うて済ますことのできない課題だと思います。いま激甚災害の基準改定をするということがいいかどうかということは別でございますけれども、われわれといたしましては、個人が受けた激甚な災害に対する何らかのあたたかい配慮を講ずるような施策というものを、部内においてもひとつ検討さすべきだと、こういう気持ちでございます。激甚災害の基準改定まで、いまここでお約束するということはできかねるのでございますけれども、何はともあれ、この問題に対する配慮というものは、十分愛情の届いた施策をするように、関係各省ともひとつ協議をさせるような方向で今後努力してまいりたい、こう思っております。
  139. 温水三郎

    温水三郎君 それではくどいようですが、重ねて簡単にお伺いしますが、激甚災害法の適用にならない場合には、これとあまり格差のつかないような援護措置を講ずるお考えありますかどうですか、簡単にひとつ。
  140. 八木徹雄

    政府委員八木徹雄君) 私はその約束をするというわけにはまいりません、まだ検討しておる課題でございますから。どちらにいたしましても、最終的にそれらに対する結論を得るように努力をいたしたい、こう思っております。現状ではなかなかむずかしいように、事務当局は言っておりますけれども、事務的に片づけることではないと思いますので、内閣全体の責任あるいは国会の意というものをしんしゃくしながら、問題の解決のために誠意を持って努力してまいりたい、こう思っ  ております。
  141. 温水三郎

    温水三郎君 私もこの問題は、激甚法の法律を改正するならばいざ知らず、そうでなければ事務的には非常にむずかしいと思いますので、総理に実は質問しお願いしたいところなんですが、総理府長官に特にお残りを願って質問申し上げたわけでございますので、十分ひとつ調査をして、被災者がありがたがるような十分な援護の手を差し伸べていただくことをお願いいたしたい。  次に、農林省に伺いますけれども、災害を受けた地域で用水路がやられております。そこでこの用水路は早く復旧しないというと、田植えに間に合わない。したがってこれを絶対に間に合わせるというつもりで農林省指導援助をしてもらいたいと思うのでございますが、この点について一点だけ質問いたしますので、お答え願いたい。
  142. 佐々木四郎

    説明員(佐々木四郎君) 今回のことしの植えつけに間に合うべく、ただいま準備を進めております。それで万一間に合わないような事態が予測される場合は、応急復旧工事等やりまして、とりあえず水だけは水田にかかって田植えができるように、ひとつ進めていきたいと思っております。
  143. 温水三郎

    温水三郎君 終わります。
  144. 前川旦

    前川旦君 先ほど政府委員のほうから、三分が圧倒的に多いことは、間に合っていると思うとおっしゃいましたが、これは事実と違うということを私申し上げます。六分五厘が魅力ないから借りないので、そういう比率になっているのだ、私は認識をこの際あらためていただきたい、このように思います。これでまかなえているのだということじゃなくて、三分五厘の適用地域で指定されるものですから、はずれるところがたくさん出てきますので、ほかに農林金融にはもっと安いのがありますね、五分とか、あるいは農業改良資金なんか要りませんね。そういうので、受け取る側から見ますと、無利子のものだとか五分とか六分とかがあるのに、天災が六分五厘とは高いじゃないか、これはごく自然な感情ですよ、ほんとうに素朴な感情です。そういう意味で地域指定というのは、これはあまり意味がないのじゃないか。同じ仕事、同じ被害を受けながら、たまたま道一つでこっちの村とこっちの村とはずれておっただけで、ここは三分は適用しないというような矛盾が出てくると、私はちょっとおかしいと思う。したがって、これはやはりその点を考慮した方向に改正するというほうへ前向きで検討すべき段階ではないか、こういうように思いますが、いかがですか。
  145. 太田康二

    説明員(太田康二君) 実は天災融資法は、くどいようでございますが、金利の点につきましては、特別被害地域の特別被害農林漁業者という制度を設けておりまして、これによって一般の被害者と特別被害農林漁業者との差等を設けておるのでございます。こういった基準をつくりますと、いま先生が御指摘になりましたように、確かに非常に酷な結果が出てくるというようなこともあり得るのでございますが、実は先ほど総務長官もお答えになりましたように、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律におきましても、指定基準というものを中央防災会議できめておるのでございまして、これによりまして、先ほど温水先生のお尋ねのように、新潟地震の場合には激甚災害になって、たとえば農業倉庫等が九割の補助が得られたのに、今回のえびの地震の場合には二割の補助しか得られない。激甚災害の指定にならないために、そういう結果になるということもあり得るのでございます。そこでわれわれといたしましてどうするかという問題でございますが、天災融資法自体につきましての検討は日々これは重ねておるのでございますが、その中の一環といたしまして、そういった点をどう対処したらいいかということにつきましては、もちろんこれ検討の課題かと思いますが、一応現在の制度のもとにおいては、ある程度やむを得ないのではないかというふうに考えております。
  146. 前川旦

    前川旦君 法改正をしなければやれない問題ですから、今日いますぐというわけじゃありませんが、そういう方向でやはり考えていただきたいということを重ねて要望しておきます。  ついでにお尋ねしておきますが、金額の上限の二十万円、これは激甚災害に指定されますと二十五万円になりますね。それから樹体被害五十万円一ですか、これが六十万円になります。この額がやはり実効が伴わない。やはり被害を受けた農家にとりましては、これはかなり大きな被害なんですね。被害の額が上がっています。そこで、これは昭和三十年におきめになった額だろうと思うのです、おそらく。実は皆さん方御承知のように、総理府の統計局が出した物価指数でさえ、昭和三十年から今日までに約六割物価が上がっております。したがって、かりに昭和四十年を一〇〇として見た場合は、昭和三十年は六八くらいですから、大体六割くらいの値打ちしかなくなっている。やはりこの金額を増額するという方向で検討すべき時期ではないか。いますぐ、きょうあすではないかもしれないけれども、もしできればこの災害に間に合うように、これを金額をふやすように検討する時期ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  147. 太田康二

    説明員(太田康二君) 御承知のとおり、現在の一般被害者に対する貸し付け限度額というのは、全農家の現金経営費の平均をもとといたしまして昭和三十九年に定められたのでございまして、その後四十年の法律改正の際に、御承知のとおり現金経営費を多額に要する果樹とか畜産につきましては、政令で定める資金ということで、五十万円まで貸し付け限度額を引き上げたのでございます。そこで、最近におきます農家経済調査等の数字を当たってみますと、まあまあ対処できるのではないかというふうに考えておるのでございますが、いま御指摘のとおり、経営費も年々増高しておるということもございます。そこでわれわれといたしましては、今後の農家経済の動向あるいは農家経済調査の結果等を配慮して検討をしてまいりたい。特に今回の被害の場合、われわれが一番考えなければならわいのは、ビニール・ハウスの被害を受けた農家の方々でございまして、現在の制度では二十万円ということになるわけでございますが、実際に経営費を当たってみますと、これでは多少不足するのではないか。先ほど申し上げましたように、政令で定める資金という制度もございますので、現在われわれは数字をつくりまして財政当局に折衝いたしておる段階でございまして、われわれとしては、できればこれを引き上げたいというふうに考えておるのでございます。
  148. 前川旦

    前川旦君 それでは同じく天災融資法で林業の場合ですが、「被害林業者」という規定がございますね。この被害林業者は「林業をおもな業務とする者」ということになっておりますが、林業をおもな業務とする者という基準は、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  149. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 林業をおもな者とする経営者というのは、一年間の収入の中で林業の占めるウエートが五〇%以上の場合でございます。
  150. 前川旦

    前川旦君 林業家は毎年木を切る人もいますけれども、四十廣に一ぺん木を切る人もおりますね。その辺は技術的にどういうふうにやっていらっしゃいますか。
  151. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) どうも失札いたしました。林業はおっしゃるように間断的な収入でございますので、零細所有者の場合で、たとえば四十年に一回しか収入がないという場合には伐採年次で割っておりまして、四十分の一というような形で出しております。
  152. 前川旦

    前川旦君 林業による収入が五〇%以上とおっしゃいましたが、五〇%以上ということになると、これはかなり大規模な林業家でなければ該当しないというふうに思います。特に西日本の場合は、零細な山持ちが非常に多うございます。たいていは農家が自分のところで農業しながら、一方山を三町歩持っておる、五町歩持っておる、こういう人が多いわけです。そこでそういうところへ行きますと、山も全滅したと、青い顔をして非常に暗い表情で困惑をしておる状態なんですが、そうなりますと被害林業者そのものの規定もきびしくなるし、特に特別被害林業者として天災融資法で特別被害地域という指定を受けるということも非常に困難になるということなんです。したがって、その辺の被害林業者を判断する基準というものを、やはりもう少しあたたか味のある弾力性のあるものにすべきではないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  153. 太田康二

    説明員(太田康二君) 特別被害林業者の認定は、御承知のとおり、先ほど申し上げましたような特別被害地域内において林業を営む者で、天災による林産物の損失額がその者の平年における林業による総収入額の五〇%以上の者、あるいは炭がまとか、シイタケほだ木とか樹苗育成施設とかの施設の損失額が被害時における価額の七〇%以上のものということで、これを市町村長が認定をすることになっておるのでございまして、従来の実効ではあまり支障はなかったのではないかというふうに考えております。
  154. 前川旦

    前川旦君 それはお答えが少しすれ違っておると思います。私が質問申し上げましたのは、被害林業者というものの規定で先ほど林業収入が生計の五〇%以上ということをおっしゃいました。まずその資格が先にあるわけですね。いまあなたのおっしゃることはそのあとの問題で、まず前段の資格が非常にきびしさがあるから、そこをもう少し基準を考えなければ、特に零細な山持ちが多いところもございます西日本の場合は。で、実効がないではないか、やはり特別被害地域に指定をして、特に山の被害がひどいですから、できるだけ三分の金を融資するのが当然じゃないか、私は、皆さん方ができるだけ三分で貸す範囲を狭く狭くしょうと考えているとは思いませんから、できるだけ広げる広げるという前向きの考えで、その辺検討なさったらいいと思うのですがいかがですか。
  155. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 先生御指摘のように、林業家は、統計資料によりますと三百万戸、その中で五ヘクタール以下の林業家は約九〇%でございます。そういうような事態に対しての実情は、私らのほうもよく承知いたしておりますが、現在天災融資法は、御案内のように、農業経営者、漁業経営者、林業経営者というふうに縦割り的なものになっておりますので、法のたてまえ上現行制度でいかざるを得ない、いま直ちにこの問題についてどうこうと私のほうでも答えられるすべもないのでございますが、現状に沿うように、十分関係省とも従来の林業経営の促進という面から、真剣にひとつ取り組みたいと思っております。
  156. 前川旦

    前川旦君 毎年天災融資法の問題でやはり同じことが繰り返されているように思います。やはりもうこれも検討すべき段階ではないか、このように思います。それから、この融資の限度額は林業の場合はやはり二十万だったのでしょうね。
  157. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) そうでございます。
  158. 前川旦

    前川旦君 この二十万というワクも農業二十万、それから樹体被害、これは果樹のあれですが五十万ということ、林業は二十万、これももっと科学的に私は検討をしてワクを少し上げるべきではないかという考えを持っております。そういうことを含めてやはりこれはもうこの法律できてから先ほど言った物価の値上がり非常にひどいですから、やはり前向きにこの際検討するということにしていただかないと、毎年これはやはり問題が出ろと思いますから、その辺をもう一度ひとつおっしゃってください。
  159. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) この問題は参事官も話しましたように、林業の場合も同様でございますが、若干特殊事情がございます。と申し上げますのは、林業経営で一番金のかかりますのは造林費、あるいは搬出施設関係でございますが、これは低利の農林漁業金融公庫融資がございますので、天災融資の対象になる経営関係の資金は、現在林業経営実態調査にしましても二十万オーバーしていない。これは四十一年度の統計資料でございますし、この問題については農業、漁業の場合と違いまして、二十万限定金額でもって十分にひとつ対処できるのではないだろうかというふうに考えております。
  160. 前川旦

    前川旦君 実際の実態と統計とまたいろいろ違う面がございますので、なおそこのところを慎重にひとつ御検討願いたいと思います。  そこで、先ほど雪起こしの問題でちょっと保留しておきましたが、皆さん方にきょうお配りいただいた「二月中下旬の暴風雪による被害について」という四十三年三月十五日の説明書の中を見ますと、「被災造林地における雪起し等に要する資金については、農林漁業金融公庫からの貸付けを図るとともに、造林地改植についての国庫補助等の措置について検討する。」とありますが、これとさつきのあれとの関連はどうなんでしょうか、皆さん方の文書との関連はいかがでしょうか。
  161. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) いまお尋ねの点は、雪起こしの場合は、農林漁業金融公庫融資資金、それから改植される場合におきましては、災害復旧造林補助金を対象にいたしております。そういう意味でございます。
  162. 中村波男

    ○中村波男君 関連。そのとおりだと思いますが、現在の制度は。そこで雪起こしの問題ですが、私も今度四国の災害調査に参加をしまして、従来の積雪寒冷地帯の雪起こしと違いまして、違うとは言いませんけれども、特にひどく実態としてありますのは、十年、十五年、二十年というような杉等が主でありますが、雪起こしをしなきゃならぬものはたくさんあるわけです。私のいままで承知しておるのは、この適用を八年までというふうに聞いておりますが、八年まででは不十分でありまして、十年、十五年というものにも適用する必要があるんではないかと思いますが、八年までというのは、私の承知しておるのは間違っておるかどうか、確認をしておきたいと思うんですが。
  163. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) いまのお尋ねの件は、四十一年の雪害の場合におきましては、雪起こしのための造林資金は十五年までを原則として実施いたしております。今回も財政当局とはまだ話が煮詰まっておりませんが、被害の激甚の現況にかんがみまして、造林者の経営意欲を落とさないように、従来の例にのっとって何とかひとつ善処していきたいという気持でおります。
  164. 中村波男

    ○中村波男君 そこで、おそらくそれは専門家でないからわかりませんが、二十年、二十五年というようなものの雪起こしというのは、実際問題としては不可能ではないか。十五年であれば適切な事例を押えておられるのではないかと思いますが、そこでそのまま事業量といいますか、雪起こしをするために要する費用の算定ですね。これはどの程度に見ておられますか。
  165. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) どうも失礼いたしました。造林者のかかった実勢単価でいっておるわけでございます。
  166. 中村波男

    ○中村波男君 それならば問題はないと思いますが、現地の営林局の係官の説明では、大体三万から五万ぐらいが林野庁における調査の結果である。そういう単価でこれの適用を基礎にされますと、実際に地元の皆さんの御要望としては、とてもとても幼齢木なら三万か五万でできるですけれども、十年、十五年というのは三万、五万、八万では起こせない。したがって実際にその適用を受けても、事業量が三分の一か四分の一という結果になる。したがってこれは適正な費用というものをひとつ算定をした上でこれの適用をしてもらいたい。こういう強い要望がありましたし、もっともな御要望だと思いますので、重ねて質問を申し上げるわけです。
  167. 木村晴吉

    説明員(木村晴吉君) 申しわけございませんが、私も実態をよくつかんでない。具体的な話をされますと、具体的につかんでない点もございますので、御趣旨を体しまして、よく実態をつかませまして検討させますから、ひとつよろしくどうぞ。
  168. 中村波男

    ○中村波男君 関連にならないのでありますが、せっかく発言を許していただきましたから、資料の要求を委員長にお願いしたいと思うんですが、きょうここに出されました総括表は総括表でありますが、できましたら県別のひとつ被害額表をお出しいただけないか。  それからもう一つはわれわれ参考にするために被害額の見積もり方法といいますか、算定基礎と申しますか、たとえて言うならば、野菜等はどれだけの被害があるという算定をされます場合に、四国等の実態から言いますと、もうすでに収獲が始まっている、これからものになるというのを被害額として押える場合に、その生産されるものを予想してそれを被害額とするのか。今日まで育てた投下労力あるいは生産資材等があるいは被害額にされているのか。具体的に言うと、そういう算定基礎をひとつ表にして果樹、樹体、森林等についてもできるだけひとつ示していただきたい。このことが県の被害額と農林省調査との大きな食い違いにもなってきていると思いますし、これはもちろんそういう行政指導がなされていると思いますが、それを示された上で、私は私なりに御質問もしたいような問題があるようにも思いますので、各県別の被害額と算定基礎を、できたらひとつ官庁でおつくりをいただいて、委員会にお示しをいただくように、委員長のほうでお取り計らいを願いたい。以上であります。
  169. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 資料よろしいですか。
  170. 太田康二

    説明員(太田康二君) まことに恐縮でございますが、先生がお聞きになられればその参考として、たとえば岐阜県が幾らだというような場合にはお答えを申し上げられると思いますが、実は各県別には統計調査部はいままで公表いたしておりませんので、そこはひとつかんべんをしていただきたいと思います。林野とか水産とか、県報告のものにつきましては、これは各県別に調製いたしましてお出しいたします。  それからもう一つお尋ねの、どういう基準で被害を査定したかという被害の見方の点につきましての各作物別の考え方につきましては、提出をいたしたいと思います。
  171. 前川旦

    前川旦君 自治省見えておりますか。――自治省いなければ、それはあと回しにいたします。  それでは次に専売公社見えておりますでしょうか。――それでは専売公社にお尋ねいたしますが、今度の被害の中には、たばこに対する被害がかなりございます。実際にまず一つは、共同でたばこの育苗施設を耕作組合で持っておられるのだろうと思いますが、それが倒壊をした。現地に参りますと、ビニールのハウスの倒壊、親床の倒壊は、こわれたのはどこからも援助がもらえないのだということで、非常に苦しんでおられるようでした。そこで一体公社はああいうふうに共同で育苗するということを、いろいろおすすめになってきたのだろうと思いますが、これにどう対処してどのような対策をお打ちになるのかお伺いしたいと思います。
  172. 大塚孝良

    説明員(大塚孝良君) ただいま先生がおっしゃいましたとおり、四国におきましては、ことに香川県におきましては、共同ハウスで苗を育成いたしております。その共同ハウスの全体の棟数は本年の場合四百棟ございまして、今回の雪害で被害を受けた棟数は七十二棟でございまして、その内訳は六十一棟が倒伏でございますし、鉄骨が歪曲いたしましたのが四棟、それからビニールが破損いたしましたのが七棟でございまして、その被害総金額は約二千万円でございます。しかし、これに関係している耕作者の数は非常に多いのでございますが、専売公社におきましては、そういう場合に――今回の場合でございますが、たばこそのものに被害がございますと、たとえば昨年の香川県の収納代金は六十億円をこえておりますので、たばこそれ自体に被害がございますと、非常に被害が甚大になると存じましたので、指導も徹底いたしまして、現在のところ苗には異常ないようにいたしておりますので、たばこの被害はないと考えております。したがいまして施設の二千万円の被害ということになるわけでございますが、われわれのほうは金融制度を持っておりませんし、それからたばこそのものが、やはり農産物でございますし、農家がつくっておりますので、まことに他人のふんどしみたいなことを申し上げますが、すべて施設関係農林省の制度金融にお願いしてございますので、今回の場合も先ほど来いろいろ御質問の中にございましたように、わわわれといたしましては県並びに農林省に対しまして近代化資金のたとえば融資条件の緩和ですとか、そういうことをお願いしてまいったわけでございます。
  173. 前川旦

    前川旦君 たばこの苗そのものの被害もございますから。いまないと判断されているようでございますが、もう一度ひとつ御調査願いたいと思います。実は私が見ました範囲では、倒壊をいたしましたので、外の冷たいところへはみ出たやつが全然だめになっているような状況がだいぶございます。したがって、いまのお答えは私ちょっとふに落ちませんから、もう一度それは御検討願いたいと思います。いずれにせよ専売公社としては、みずからはこれに対しての対策というものは何も持っていない。ただ農林省におんぶしてお願いをすると、これだけしか考えていないんでしょうか。
  174. 大塚孝良

    説明員(大塚孝良君) たばこそのものに対する被害に対しましては、災害補償等いろいろ専売公社も手段を持っておりますが、施設に関しては、残念ながらそういう手段は持っておりませんのでございます。
  175. 前川旦

    前川旦君 専売公社のほうが、すべて農林省のほうにおまかせするということでございます。そこで農林省の特に私は日高政務次官にお尋ねしたいんですが、政務次官は被害がありましてすぐ現地をごらんになりまして、なまなましい農民の声をお聞きになっていらっしゃると思います。たいへん農民の身になって御視察いただいたということを、現地の耕作者がみんな喜んでおりますので感謝を申し上げておきますが、農林省といたしましては一体これにどう対処するのか。たとえばたばこは移植をいたしますが、いわゆる子床というのがあります。この子床に対しましては、これは何とか農業技術改良資金でこれに対して融資をするということを、昨年でしたか、一昨年でしたか、たいへん日高さんが努力なさいまして実現していると思うんです。この子床、親床の実際の差というものは一体あるんでしょうかないんでしょうか。私ども考えてあるように思いません。そこで、やはり親床に対しましても同じような考えを持つべきではないかというふうに私ども考えておりますが、これは日高さんの、日ごろつき合っております非常に政治力のある日高政務次官にお願いをいたしまして、何かそれを解決する方法はないものでしょうか。もしあれば、お考えのことがあればおっしゃっていただきたいと思います。お願いいたします。
  176. 日高広為

    政府委員(日高広為君) 本件につきましては、農業改良資金の中で技術導入資金を無利子で貸与しておる例があるわけでございますが、御承知のように、たばこの場合におきましては、本来ならば専売公社の生産部で所管すべき問題でございますけれども、先ほど生産部長が申し上げましたように、そういう金融制度を持っておりません。したがいまして、この技術導入資金の要綱の中の都道府県が農林大臣の承認を受けて指定する資金というものがございまして、その中に幸いにいたしましてたばこの場合におきまして、被覆栽培とかあるいは苗床の場合におきまして子床の栽培に対しましても、子床の育成に対しましても、この資金を使っておるわけであります。ところが、香川県におきましては被覆栽培と子床についてはこれを指定を受けておりますけれども、不幸にいたしまして親床の場合におきましては、その対象になっておらない。そこで、御指摘の質問でございますが、私の常識からいたしますと親床、子床、いずれにいたしましても、これは同じようなやはり栽培技術であると考えております。したがいまして、今回香川県の実態を私も見てまいりましたが、不幸にいたしましてあの場合に、雪でもって被害を受けるというような対策は、おそらく親床の場合におきましては考えておらなかった。したがいまして四十年に一回か、何十年に一回かわかりませんが、あのような雪というものによりまして香川県の親床の被害を受けたということを考えますと、やはりこの資金の本来の趣旨から申し上げまして技術導入の改良のための資金ということになりまするので、この要綱からいたしますと、都道府県が農林大臣に申請をいたしまして、そうして親床の場合におきましても指定するというようなことが、当該都道府県から農林省のほうに出されますと、農林大臣といたしましてはそれに御協議申し上げる。実は先般地元から直接陳情がございまして、私も農林省の係官とこの問題につきまして専売公社も交えましてすぐ協議をいたしました。したがいまして、四十二年度の場合におきましても、直ちに災害が起こったからということでこの資金を利用することは、本来その趣旨に合致いたしておりませんので、昭和四十三年度以降におきまして、もし親床におきましてそのような無利子で利用できる資金が効果的であるといたしますれば、今後ひとつ検討さしていただきたい。したがいまして、専売公社と農林省の係官のほうで前向きの姿勢で検討をいたしております。  ここで申し上げておきたいことは、この改良資金というものは、あくまでも災害が起こったから利用するのではなくて、今回の災害がやはりいままでみたいな親床のビニールのハウスでは、ああいう場合におきましては適切でなかった。したがいましてもう少し技術的に改良することによって、そういうようなことの資金を利用することが好ましいのではなかろうか、こういろ考え方に従って検討をいたしたいと考えております。
  177. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をとめて。   〔速記中止
  178. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を起こして。
  179. 前川旦

    前川旦君 たいへん前向きで、かつ実効のある御答弁をいまいただいたと思います。これはたいへん耕作者にとって大きな影響があると思います。ぜひ、ただいまの御答弁のようにお願いをしたい、このように存じます。  それでは最後に中小企業庁にお尋ねをしたいと思います。  今度の災害最後の特徴は、商店街が非常に痛めつけられたということなんです。御承知のように最近おもな商店街はみんなアーケードになっております。このアーケードの倒壊が非常な数にのぼっております。これに対して、中小企業庁としてはどう対処、資金的な面で、援助ですね、どういうふうに指導され、どう対処される御予定でしょうか。
  180. 井土武久

    説明員(井土武久君) 商店街のアーケードにつきましては、中小企業振興事業団の資金がございまして、事業協同組合または商店街振興組合が設置をいたしますアーケード等の共同施設につきましては、県がこれを診断をいたしまして、適当な高度化事業でございますれば、県が低利長期の融資をいたします。その際に、中小企業振興事業団が県に対して資金の貸し付けをいたす程度でございます。したがいまして、この制度を活用いたしまして対処いたしたいと考えております。
  181. 前川旦

    前川旦君 この被害のありました各県とも、これは県のほうの出資というんでしょうか、無利子の金をですね。県として出すわけなんですから、かなり腹を引き締めた計画を各県とも立てているように思います。そこでお尋ねしたいのは、この中小企業振興事業団の貸し付けワクというものは一体どう、いまの場合ですね、この場合に限って――一般論じゃありません。現状で一体どうなっているのか。どの程度までこれに貸し出しできる予定なのか。どういうふうにまあ指導されるのかですね。たとえば各県の要望に対して、上限を聞くとこれは縛られますから、上限でなくて下限を聞きたいのです。どの程度以上をやりたいというそういう指導方針をお持ちですか、お尋ねいたします。
  182. 井土武久

    説明員(井土武久君) 四十二年度の事業計画につきましては、すでに決定済みでございますので、四十三年度の事業計画に繰り入れられることになると思います。四十三年度の事業計画は、県からの申請を待ちましてきめるわけでございまして、したがいまして、なお県からの申請がこれから出る段階でございます。なお、事業計画は現在のところ決定をいたしておりません。個別案件の金額につきましては、県のほうが主体性を持ちまして、県で主として考えるわけでございまして、特に上限、下限の制限はいたしておりません。
  183. 前川旦

    前川旦君 これは特に災害のためという筋ではないかもしれませんが、しかし実際上の運営としてこのアーケードがなくなったために、大体五割近くの売り上げ減を実は来たしております。非常に大きな問題になっております。そこで、やはりこの災害を優先的にお考えになっていただいて、県が主体だとおっしゃいましたが、県がそれじゃやると、これだけは県が出すと、出す額がきまれば、これは逆算していけば振興事業団のほうのあれも出てまいるわけですから、県の考えどおりに、いまのお話を聞きますと県が主体だからそれにつれてというように聞きました。同時に、県のほうでもってこれは全部やるというようなニュアンスもあるように聞こえましたが、非常に好意的に。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  184. 井土武久

    説明員(井土武久君) 全体の予算がございますので、県の申請があれば、全部それは充足できるというわけにはまいらないと思います。現在まだ県の申請が出ておりませんので、県の申請が予算の全体のワクとどの程度の割合になるかということで、具体的にはきまるわけでございますが、今回の場合には災害という特別の事情もございますので、この点も考慮してワクの配分を考えたいと思います。
  185. 前川旦

    前川旦君 その点を考慮してといういまのおことばですが、やはり災害のアーケードの復興ということを優先的な立場で考えてやりましょうと、こういうふうにお尋ねしましたが、そのように受け取ってよろしゅうございますね。
  186. 井土武久

    説明員(井土武久君) 先ほどもお答え申しましたように、全体のワクとの関係がございますので、どの程度充足できるか、この場所でお約束をいたすわけにはまいらないわけでございますが、できるだけの配慮をいたしたいと考えております。
  187. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 建設省にお聞きしたいと思うのですが、これはえびの町の震災の問題ですが、現地の状況から見ますとまだ毎日二度ないし三度の地震が現実にある。こういう事態から非常に危険度のある家屋がまだ多数あるのじゃないか、こう思うのです。県当局としても応急住宅のプレハブ住宅というのを建てておりますが、二月一ぱい大体四十戸ぐらい建てたということを言っておりますが、現地の状態から見ますと、かなりその危険性があるにもかかわらず、なかなかそうした応急対策がまだできていない。そのためにテントの中で日常生活をしておびえておるという状態が各所に見られるのですが、これはもっとこういうまあ震災に対しては特別の応急策を講ずるべきではないかということを、私は痛感しておるわけです。これはどうしてこんなにおくれておるのか。もうすでに今日では二十日以上を要しております。それにもかかわらずまだそういう状態である。これは一体どこに隘路があるのか、この点ひとつ説明願いたいと思います。
  188. 角田正経

    説明員(角田正経君) ただいま先生から御指摘がございましたように、この地域の建築物につきまして、耐震性の問題で非常に問題があるように感じましたので、私どもの担当者、それから建築研究所部長を派遣いたしまして、具体的にいろいろ調査をいたしました。その結果いろいろ報告がまいっておりますが、一般的にこの地方の建物が柱が細く、それから壁が少なくて筋かいが少ない、それから布回しをしておりませんで、ぐり石の上に柱を乗っけているというふうなことで、非常に地震に対して弱い構造になっております。これにつきましては、今後は新しく建てます際には、当然そういうふうな点につきまして問題が起きないように指導しなければいけないと思います。現在ありますものにつきまして、やはり御心配のような点があるようでありますので、県のほうとも相談をいたしまして家屋の診断班というふうなものをつくりまして、御希望に応じてそれぞれ全部診断をしてまいりまして、この建物はこうしたらいい、応急にはこういうふうな筋かいその他を入れたらいいというような指導をいたしまして、当面の措置を講じていきたいというふうに考えているわけであります。
  189. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そういう処理がとられて、今日ある程度臨時の処置としていろいろジャッキで傾いた家を起こすとか、そういう処置がとられておりますけれども、それがなかなかあれだけの戸数をやるのには、相当な期間を要すると思うのです。そこで一部百軒だけのプレハブ住宅をやりたい、こういう県当局の意見だったと思うのですが、それが現在においてまだあすどうなるやわからぬという危険があるのに、依然としてそのプレハブ住宅も建っていない。そうしてテントの中でむしろを敷いて寝ている。こういう事態はもっと急速に、たとえば百軒は十日間なら十日間でやっちゃうのだ、こういう処置はどうしてとれないものか。その後に現存しておる、しかも半分はもう十日に真近いような状態におきまして、それを起こすような可能性があるのかないのかという問題は別にして、それはそれとして進めてもらってもいいが、現在の災害対策は手ぬるいのじゃないか、もっと罹災者に対する手厚い保護を講じてやるべきじゃないか、こういうふうに考えるのです。どうしてそんなにおくれているのかということを聞きたいのです。
  190. 大和田潔

    説明員(大和田潔君) ただいまの御質問の中で百戸の応急架設住宅につきまして、どうなっているかという問題でございますが、私ども、えびの町、宮崎県からの報告によりますと、三月九日で百戸の応急架設住宅が全部完了したと、こういう報告を受け取っております。したがいまして、この応急架設住宅の進捗状況につきましては、順調に推移しておるというふうに私ども考えております。
  191. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうしますと、百戸の問題は、大体臨時の処置がとられたと、こういう話ですが、それでも全部を調査して、先ほどの恒久対策としての処置をとられる、その恒久対策はなかなかいかんと思うのですね。ところが、その家に入っておっては、耐用年数からいってももう三十年以上なっておるんだ、すでにもう屋根が傾いておると、こういう中におれない人がありますね。それは、いま言うとおりに恒久対策の一つとして、たとえばはりを入れるとか、あるいはかすがいを入れるとかして、これなら相当の地震がきてもだいじょうぶだ、こういう施設はなかなか間に合わないと思うのです。そうしますと、その百戸の戸数では足らないんだということになるわけですね。そういう点はどうなっているのかですね。現在やはりテントの中に寝ておるのです。それがどうなっておるのか。
  192. 大和田潔

    説明員(大和田潔君) 実は、えびの町につきましては、避難所の関係につきましても、つまりテントの中に寝ております避難所の関係につきましても、三月十日で終了したと、こういう報告を受け取っておりますので、一応えびの町におきますテント生活者はなくなりまして、それぞれしかるべきところにおさまられたというふうに私どもは了解しております。
  193. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は現地を見てきての質問ですから。私はどうしてそういう危険性があるのに、テントの中に暮らしているのだ、プレハブ住宅をもっと早急申請して建てるべきじゃないか、こう私はある区長に話をしたのです。そうしましたところが、これはまあ第三次の中の計画に入るので、なかなかそこまでいきません、こういう答弁でした、向こうの。そこで私は、少なくともテント生活をしておるものに、早急にやっぱり臨時処置を講じてやるべきじゃないかということで、いま質問しているのですが、それがまあ全然ないとこうおっしゃるなら、その点は私も了解します。実際はしかし寝ていることは事実であります。その点はあとでまた調べたいと私も思っております。  それから文部省にお聞きしたいのですが、先ほどもこの校舎の危険度に対する調査をしておられるようですが、こうした地震地域における校舎ですね、現在鹿児島宮崎災害地において、危険校舎として指定されておるのかどうか、あるいはまた危険校舎でなかったのかどうか。両方から申請が出ておりますが、それに対する対策の要請が出ておるようですが、これはどうなっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。えびのと鹿児島の吉松。いままでの調査の中で危険校舎に入っているのかどうか。
  194. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) それは被害を受けた学校でございますか。
  195. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうです、そうです。
  196. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) えびの吉松町の小学校、中学校はこれまでの危険度の調査によりますと、危険校舎と判定されております。  それからえびの町の真幸小学校のほうは、これはこれまでの危険度の調査では、危険校舎にはなっておりません。
  197. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 危険校舎になっていないということですが、それはそれとしてですね、この真幸の場合のまあ学校の災害としては、かなり危険度に加わったと私は思っております。そこでいま学童としては、おちおちこの授業を受けるということすらもうできないような情勢がある。さらにまた父兄は毎日やっぱりある程度の地震があるんですから、その学校で授業を受けるということは非常におそろしい。そういうことで、この児童の勉学に対して非常に不安な状態じゃないかと私は思うのです。こういう問題の対策に対して、何か特別の処置を講じられたのか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
  198. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) ただいまの真幸小学校の場合には、まあ震災を受ける前には、ただいま申し上げましたように、危険校舎ではありませんでしたけれども、今回の震災を受けまして、危険校舎に判定されております。  それからこれは一般的な問題でございますけれども、この学校の校舎の災害復旧にあたりまして、全壊、半壊と判定を受けましたものは、新築されることになりますけれども、大破までの判定を受けましたものは、これは補強することによりまして危険なく使えるということで、これは新築する対象にはなりません。それでこの大破以下のものにつきましては、直ちに現地調査をいたしまして、補強するように指示をいたしております。半壊以上のものにつきましては、これは新築をしなければならないわけですけれども、その新築をするためには、校舎ができ上がるまでにはかなりの時日がかかりますので、その間はこれはそれぞれのケースによりまして、その善後処置は違ってまいりますけれども、たとえば学校の校舎全体が全壊、半壊の被害を受けていない。たとえば特別教室がそのまま使えるという場合には、特別教室を使ったり、それからすぐ近くに何か公民館など使えるものがあります場合には、それを使ってやっていきます場合もございます。あるいはそういうものがない場合には、校舎の中に仮校舎を建てるということによりまして、急場をしのぐという必要が、ある場合にはありまするし、そういうような仮校舎をどうしてもつくらなければならないというような場合には、それに対しましても国庫補助がなされることになっております。
  199. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 かって松代の場合は、これはもう非常に危険だというので、プレハブ校舎を建てたということは、御承知のとおりです。それはみな国庫負担であったと思うのです。で、したがって吉松においてはそういう応急策を、やっぱり国庫の負担によって、この仮校舎を建てるべきだ、私はこう思うのです。それを地方自治体にまかせて、地方自治体の負担で二分の一か三分の一しか文部省としてはめんどう見ないんだと、そういうことでなくて、そういう問題を早急に、やっぱりやってやるべきじゃないかと思うのですね。これは特にその集団の教室でありますから、いま現に授業を受けておる校舎ですね、そうして、これが地震で危険性が出てきたと、かりにそういう場合ですよ、まあ豪雪とか、あるいはまた豪雨とか、こういう場合に危険性が出たというのならば、一時それで、次にいつ来るかはわかりませんけれども、何カ月間かありますね、何カ月間かの安定期間がありますね、けれども地震の場合はいまも地震がしておるわけですな。そういう危険校舎の中に入って勉強するということは、私たいへんだと思うのですよ。だから先ほどいろいろ手はあるとおっしゃったけれども、私、地震の場合は特別の処置が必要じゃないか、特にそういう地震のために校舎が傾斜したとか、そういう場合ならば特別の処置を考えてやらないと、なかなかおちおちとして勉強もできないと思うのですね、学童は。むろん集団しておる場所でありますから父兄も心配で、学校にもやりたくない、こういう私は状態も生れてくるんじゃないかと思うのです。これは適切なる処置をとってもらいたいと思うのです。  それからもう一つは、そういう災害の場合でも、危険校舎の場合は政府が調査して、危険校舎、三十年以上の耐用でもうやらなくちゃいかんという場合にも、文部省として三分の一しかこの負担を見ていませんね。今度の災害の場合は一体どうするのか、災害の場合に一体どういう見方をしていくのか、全額負担をするのか、三分の二は政府が補償しようとするのかどうかですね、これをひとつ。
  200. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) 初めのほうの御質問でございますけれども、たしかに震災を受けておられます地元では、いろいろ御心配のことと存じますけれども、松代地震の場合には、地震の期限が長期化するということで、長期にわたりましてかなり強い地震が頻発するということでございますので、従来前例がありませんでしたけれども、そういう起こるであろう地震からの子供の危険を防ぐために、プレハブの校舎をつくりまして、それに収容するという措置を講じたわけでございます。それで今回のえびの地震が、松代地震と同じように長期にわたりまして、強い地震多発するということが予想されるのでございますれば、やはり松代地震と同じような措置を講じなければならないのでございます。ただいまのところ、まだ松代地震と同じような長期化するかどうかということについては、まだ結論が出ておりませんので、何でございますけれども。  それからその次の御質問でございますけれども、もちろん地震によりまして被害をこおむりました校舎につきましては、災害復旧費の国庫負担法によりまして、三分の二の補助がなされるわけでございますけれども、ただ、そこで災害を受けないで、地震によります災害を受けないで、ただ通常の危険校舎だということだけでは、そして、地震が起こったならば倒れるかもしれない、大きな被害を受けるかもしれないということだけでは、災害復旧費と同じ取り扱いをすることができないというたてまえになっておりますので、その辺のところは御了承お願いしたいと思います。
  201. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いまのあなたの御答弁の前段の分ですが、私はその問題については、例の松代の問題ですね、と比較しておっしゃっておられますけれども、先ほど温水委員から質問がありましたように、震源の原因さえわからぬというのでしょう。さっきもわからぬとおっしゃっておるのですよ。現地ではいま地震は起こっているんですよ、毎日。震度三くらいの地震はあるんです。それを松代と比較して御答弁なさいますけれども、私は震源地の原因を探求すると同時に、継続的なまだ余震があるのかどうか、これで完全なのかどうかということをやはり定めてそうして、事後処置をとっていかないと、松代は二カ月も三カ月もそういう危険性があったから国庫負担でやったんだ、こうおっしゃるけれども、いつ大きなものが来るかわからぬ。今日まだ余震がやっておるというような場合に、私はこれをしからばもっと、震源地の実態というものを探求して、そうして善後処置を講じないと、災害が起こってからではもう問題にならないのですよ。これをひとつ皆さんのほうで大いにやってもらいたいと思いますな。ぜひそれはやってもらいたい。これは間違いがあったらたいへんなんですよ。この点は松代と比較をしないで、松代は長期に、しかもまた今後の震度率からどういう状態になるということまで相当の研究者が寄って研究したのだが、宮崎県の場合はそれがまだそこまでいっていないのですよ。けれども、いまやっぱり毎日あるのですよ、震度二や三の地震があるのですよ。こういう面を一つ一つの例に沿うというのじゃなくて、特別の処置として、早くそれを追及すべきものは追及して、どういう応急策をやるかという点を、私はこの点をお願いしておきます。  それから後段のなんですがね、災害の場合ということを言われますが、それは現行の法律でそうだという御答弁をしておられると思うのですよ。しかし、私はあの京町の実態を見まして、ほんとうに集団でここに入れば安全だという建物がないですわね。ないのですよ。震度六以上の地震が来れば、なかなか私はないと見ましたね。だからそういう災害地域は特別の地域として考えてもらう。特別の地域として考えてもらって、そうして三分の二なら三分の二のやっぱり国家の助成をやってやるんだと、こういう道を私は開くべきじゃないかと、地震は忘れたころにくるんですよ。これはまた台風と違うんですね、台風とは違うんです。非常に長期にわたってそういう災害のない時期があります、二十年、三十年。だからそういう災害地でそういう歴史的なものがあるとするならば、そういう点は私はやっぱり県だけに、地方自治体だけに――それでなくても災害のために財政的に相当苦しんでおるのに、私は特別の措置としてやっぱり文部省としては、政府に十分相談していただいて、早急にそういう災害地域には退避の一環にもなるというたてまえから、三分の二のやっぱり国家の補助をすべきだと、こういうふうに私は考えるんです。そういう点、ひとつそういう考え方で私は努力をしてもらいたいと思うんです。
  202. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) ただいまの最初の御質問に関しましては、これはやはりある程度科学的な根拠も必要でございますので、科学技術庁なり気象庁なりに早急にその見解をまとめていただきまして、それによりまして結論を出したいと思っております。  それから後段の点につきましては、これはもう現行法を変えるという大きな問題がございまして、これはもう文部省だけの見解ではまいりませんので、なお関係方面とも研究さしていただきたい問題だと思っております。
  203. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう時間がありませんから、簡単に申し上げますが、先ほど農地の被害ですね、この問題についての御質問にお答えになりましたが、あまり時間もないこの田植えの時期に、復旧が間に合うよう臨時水路等については処置を講ずるのだ、こういうふうに御答弁がございましたが、私はその場合お聞きしたいのは、少なくともやはり、水路を変更しなければならない、こういうような地域がかなりあるのじゃないかという見方をしてきたのです。こういう場合ですね、災害にあっております農民の負担ですね、これは絶対かけないでやれるのかどうか。私は、かけるべきじゃないという意見を持っているのですが、当然、特別の処置としてこれはやるべきだと考えるが、どういうふうにお考えになるか、この点ひとつ。
  204. 佐々木四郎

    説明員(佐々木四郎君) 先ほど、この点についてお答え申し上げましたが、実はあと四、五日中に現地に入って現地査定をやる予定でございます。路線の位置等は変えるべきであるというようなことは、その時点におきましてわかると思いますけれども、そういう場合には原形復旧だけではございませんで、改良復旧もやれるようにいたします。それから現在の制度では農地復旧は五割、それから施設復旧工事については六割五分の国の補助金が出ます。その残余の問題につきましては、現行の制度では農家の負担と、こういうことになっておりますけれども、さらにそれらの点については融資の方法とか、それからまた場合によっては市町村とかというようなところが、農民の負担をなるべく軽減するような方法で措置しております。特に被害が激甚になった場合には、また激甚災の方式がございますけれども、これには一定の基準もございますので、通常の場合は、いま申し上げたような国の助成の制度でやっていきたいと思います。
  205. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは次官にお聞きしたいのですがね、非常にこれは農村としては大きな問題だと思うのです。いまの現行法では御説明のとおりです。ところが、これは融資を受けても、受けるほうは資格もないような現実だと思う。しかも零細農家ですわ。それに特別の融資をして、その融資の中から水路その他の復興のために三五%なり四〇%なりの農民負担を持っていくということは、非常に酷だと思うのです。これこそ私は、特別の処置あるいは交付金か何かの処置で考えるべきだと思うのですよ。それでなければ、現地の農民はそれに協力しないと私は思いますな。全く零細農家が自己負担を出して、そうして水路の位置の変更のためにやらんならぬということは、労務提供どころじゃないのじゃないかというような感じさえ受け取っておるのです。こういう面に対して、次官はどうお考えになるか。
  206. 日高広為

    政府委員(日高広為君) 私も現地を拝見しまして、特に農林省関係におきましては農地復旧、さらにまた用水路の復旧というものが緊急な事態であると考えております。したがいまして、私自身まあ鹿児島県人でもございますし、あの特殊な災害というものが、地域が狭いために激甚災害法を受けられない、こういうような諸般の状況等を考えまして、高山先生の御意見のとおり、何とかして農民が直接負担する負担率を少なくしたいというようなことを、今後検討さしていただきたいと思います。  ただ、私が直観的に考えますのは、現在特別交付税はすでに二月に四十二年度が終わっておるわけでございますけれども、先ほど自治省のほうからも御議論がありましたように、今後、県あるいは市町村が災害のために支出いたしました経費につきましては、次年度でこれを算定することになっておりますので、今後県並びに市町村を、そのようなことでできるだけひとつ市町村、地方公共団体がそれをカバーしていくような処置をいたしますとともに、さらにまた、今後激甚災害の指定の問題につきましては、現段階につきましては非常に困難であるということでございますが、そういうことを配慮に入れまして、できるだけ前向きの形でこれを指導してまいりたいと、かように考えております。
  207. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 次官もえらい力を入れていただいておるというその答弁を伺いまして、非常に感謝したいと思いますが、私はえびの一円の農村としては、他の地域に見ることのできない山村農業だと思っておるのです。しかも零細農業が多いです。そういう地域の災害で、いままでにもかなりの農協からの借金を背負っておる、その返済すらむずかしい状態の今日の立ちおくれの農村、そこへ持ってきて災害ときております。農民の負担にこれをかけて今後復興をやるなんということを考えたんでは、全く地方の農民は収入を得るものは何かというと、出かせぎしかないのですよ。出かせぎに行って収入を得る以外にないのですよ。むしろそれに拍車をかけるような事態が起こってくるのじゃないか。私は、この埋没しておる農地さらに水路、これらの問題はもう何かの特別の処置で私は見るべきだ、特に先ほど温水氏も言われたように、新潟の場合は激甚取り扱いをして、たまたま山村が合併しておったから、そのために被害の地域が非常に面積的にも少ない、それで激甚の取り扱いができない、こういうことになりますと、問題は、同じ国民でありながら、同じ震災を受けて、そして現状困っておるにもかかわらず優遇処置はないということは、私はほんとうに国民の立場からあまりにも不公平で、この不公平の是正は、政府が特別の処置をやっぱり講ずる必要がある、こういうふうに考えるわけです。どうか、次官もこの鹿児島宮崎両県にわたる被害の度合いはもう視察もされておるのでありますから、今後各省に十分働きかけていただいて、激甚、または激甚がどうしても無理とするならば、それにひとしい処置をとっていただきたいことを希望して、私の質問を終わります。
  208. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十三分散会