○
温水三郎君 第三班について御
報告いたします。
小酒井
委員長と私は、
建設、農林各省の担当官を帯同し、
昭和四十三年二月の
宮崎、
鹿児島地方の
地震と風雪による被害の
実情調査のため、今月四日から六日までの三日間の日程で、
宮崎県及び
鹿児島県を視察いたしました。
最初に
地震災害について
報告します。二月十一日午前三時ごろ、
宮崎県えびの町及び
鹿児島県吉松町付近に人体に感ずる
地震が数回にわたって起こっております。二月二十一日午前八時五十一分、えびの町真幸地区及び吉松町付近に、マグニチュード五・六の強震があり、地割れ、ブロックべいの倒壊を生じ、引き続き、震度一程度の余震があり、同日午前十時四十五分ごろ、両地区にマグニチュード六・三の激震があったのであります。これがため当該地域は一瞬のうちに阿修羅と化し、人的害、物的被害は言語に絶するものとなったわけであります。なお、現在においても、現住民は、まだいつ強震がくるかと恐怖におののいている状態であります。
また、
気象庁のデータから見ますと、このような激震は、当
地方としては大正二年以来の最大のものであり、三十九年六月の新潟
地震に比較すべき強震であったのであります。
気象庁は、二月二十二日本
地震をえびの
地震と命名する旨発表しました。
次に、
調査過程について申し上げます。五日午前九時
宮崎市をたち約二時間後えびの町
災害対策本部に立ち寄り、えびの町長等から
災害救助法発動後の
復旧措置等、詳細な
説明を聞き次の順序で現地
調査に出かけました。まず、えびの町京町にある真砂、黒松両旅館の損壊状況を見たのですが、古い歴史を持つ温泉旅館でありますため、建築材料は堅固なものを使用しているにもかかわらず、急角度に傾き、柱が折れ、またはひびが入り、再び
地震があれば完全に地にはう状態でした。
建設省の
関係者もこれは全壊と同様ですと言っておりました。次に、真幸小学校の壊滅的な被害を見たのですが、授業中でなかったのは不幸中しあわせであります。当地の
説明によりますと、小、中、高の校舎の被害額は七千七百八十七万円にのぼるとのことでした。途中応急仮設住宅のたんぼの中のテント生活を見ながら、農業用水路、
橋梁等の被害
調査を行ないました。当地の被害は甚大にのぼり、罹災世帯三千二百十七、住家全半壊千八十七戸、
道路、橋梁鉄道等の損壊、耕地埋没、林地
崩壊等随所にあり、
施設被害四十七億円、生産物被害一億六千万円に達する状況であります。
真幸地区の視察を終わり直ちに隣町の
鹿児島県吉松町に入ったのであります。吉松町役場で、町長から
説明を聞いた後、鶴丸、原口、中津川、川添の各地区の被害を
調査いたしました。当地域は全壊、半壊合わせて百九十四戸もあり、いずれもえびの町と同じく、その惨状は目をおおうものがありました。仮設住宅に入居している者はよいとして、テント、ビニール・ハウスに住居している被災者については、早急に安住の地を提供する必要ありと痛感しました。また岩石の落下のため、三人の死者を出したとの
報告に接しました。しかし、
災害救助法適用後の
措置がよく、すでに復興のきざしが見られました。また山林の
崩壊、橋梁、校舎の破損等は、いずれも緊急なる
復旧が待たれるところであり、特に急傾斜地にある住家移転等、重大な問題が残されております。当地においても被災者に対するプレハブ住宅の完全実施が切なる要望でした。
以上が大体のえびの
地震調査の
概要でありますが、実際に現地を見た結果は新聞、ニュースで感じ取ったものよりはるかにその惨状が大であることであります。また
気象庁の発表は、今後一進一退しつつ次第におさまっていくだろうと言っておりますが、これは過去のデータからの推量であり、現地の
観測所及び東京大学の
報告によって、
地震学の未発達のため、たよりにならぬ感をいだきました。幸いにして両県の
災害対策は精力的に発揮されておりますが、地元民の生活を一日も早く回復するためには、国が緊急かつ思い切った援護
措置を講ずべきだと考えます。えびの、吉松両町はもちろん、
宮崎、
鹿児島両県ともその財政力はきわめて弱く、被害
金額の少ない理由をもって万一
激甚災害法の適用を見送ることがあれば被災民の多数の人々は、要援護家庭に転落するものと思われます。また
地震に対する今後の
研究、
調査は絶対に完備すべきものであり、これなくしては地元の民生安定は不可能になるものと思います。
次に、両県の被害の概況と要望を申し上げて本件の
報告を終わります。
宮崎県、二月二十九日現在、人的被害、負傷者三十二人、罹災世帯数三千二百十七世帯、罹災者数一万二千六百八十一人、
建築物被害、住家、全壊四百十二戸、半壊六百七十五戸一部損壊二千百三戸、非住家九百二十八戸、交通被害、鉄道不通個所二カ所、
道路九十カ所、橋梁九カ所、耕地の埋没五十三・三ヘクタール、村地
崩壊六十・一二ヘクタール、
鹿児島県、三月二日現在、人的被害、死者三人、重傷者二人、軽傷者七人、
建築物被害、住家全壊三十五戸、半壊二百四十八戸、一部損壊千四百十五一尺非住家全壊七十三一尺半壊七百十六戸、公共建物、一部破損三十四戸、でございますが、この他、農林、水産、商工等の被害を含めた
総額を両県について申し上げますと、
宮崎県四十八億七千二百七十七万円、
鹿児島県十七億七千七百四十四万円。
次に
宮崎県の要望事項について申し上げます。
(1)
激甚災害特別
財政援助法の適用
(2) 公共学校
施設災害復旧の国庫補助
(3) 公民館
災害復旧補助
(4)
災害時における赤痢
予防投薬に要する費用
の国庫補助
(5) 水道
施設災害復旧に対する国庫補助率引き
上げ
(6) 環境衛生金融公庫
融資の拡大
(7)
災害救助法適用にかかる国庫補助
(8) 農林漁業
金融措置
(9)
農地及び農業用
施設災害の早急
復旧
(10) 林地及び林用
施設災害の早期
復旧
(11) 住宅等の
復旧に要する
国有林材の払い下げ
(12)
公共土木施設災害の早期
復旧
(13) 住宅等
建設災害の早期
復旧
(14) 中小企業に対する特別
措置
(15) 特別交付税及び起債の増額
(16)
地震観測の強化存続
次に、
鹿児島県の要望事項について申し上げます。
(1)
激甚災害特別
財政援助法の適用または特別
立法
措置
(2) 公共
施設災害に対する緊急査定の実施
(3) 特別交付税及び起債の特別
措置
(4) 消防
施設の国庫負担率の引き上げ
(5) 水道
災害復旧工事に対する国庫補助率の引
き上げ
(6) 環境衛生金融公庫
融資の拡大
(7) 伝染病
予防法に定める町費負担の軽減
(8) 自作農維持資金の追加割り当て
(9) 農林水産業共同利用
施設の
災害復旧
(10)
天災融資法の適用
(11)
災害復旧用材として
国有林材の払い下げ
(12) 緊急
治山事業の採択方と補助率引き上げ
(13) 中小企業信用保険法の
災害関係保証適用
(14) 被災者用の避難所
設置助成
(15) 危険校舎等の改築特別
措置並びに応急仮設
校舎の全額国庫負担
次に両県における
降雪等による
災害について
報告します。
まず
宮崎県について
報告します。
一、
災害時の
気象概況。二月中旬に異常発達した低気圧の通過に伴い十五日午前一時から約十一時間にわたり、雨、雪を伴う強風が吹き荒れ、瞬間最大風速は、三十二・五メートルに達したのであります。そのため、本県の
海岸線における農作物及び造林について多大の被害が発生した次第であります。
一、
調査。私どもは、四日県庁において知事等から被害概況を聞いた後、直ちに、本
災害について最もひどかった地域であります延岡
地方の東海地区を視察したのでありますが、農業構造改善で多額の投資を行ない、ようやく完成したばかりの、キウリ、トマト等の促成栽培
施設、すなわちビニール・ハウスが、強靱な鉄骨とともに破損し、出荷を前にしたこれらのトマト、キウリ等は、立ち枯れている現状でありました。特に零細農家の多い当地域にとりましては、死活問題でもあると考えました。当
地方は大体温暖の地帯に属し、寒気、雪等に対する抵抗力きわめて薄く、かつ、八、九月の
台風は常習なるも、この時期の強風は、きわめてまれなる所でありますため、想像外の
災害が発生したものであります。延岡市の
報告によりますと、当地域の
施設災害が一千四百六十六万円余、作物
災害が四千八百九十七万円余にのぼるとのことでありました。当地の声を聞いてみますと、せっかく農業構造改善
事業の一環として、積極的に進め、かつ将来を楽しみにしていたとたんの惨事で、手の施しようもない現状であり、将来も不安であるけれども、たとえ二十年かかってでも、
災害を克服して立ち直りたいと言っておりました。
約五時間の行程を経て痛感しましたことは、緊急にこれら被害に対する国の
対策が必要であるということでした。
〔理事武内五郎退席、
委員長着席〕
次に、被害の
概要と県の要望について述べます。
一、被害
概要。
施設物被害額、五億六千四百五十五万一千円、生産物被害額四億八千三百十六万九千円、
総計十億四千七百七十二万
一、要望。
(1)
天災融資法の適用と同法第二条第五項に
よる特別被害地区の指定
(2) 自作農
災害資金の
融資ワクの拡大
(3) 主務大臣指定
施設(
災害)資金の
融資ワ
クの増額と限度額引き上げ
(4) 既往借り入れ金の条件緩和
(5) 農業構造改善
事業費補助金にかかる
施設
の
災害復旧工事等の補助
次に、
鹿児島県について
報告します。
一、
災害時の
気象概況。二月十日から十三日までの四日間、温暖で知られる当県に異常低温、降霜(最低気温マイナス五・九度)があり、また追い打ちをかけるように二月十五日早朝、台湾沖に発達した低気圧が急速に発達し、小型
台風並みの暴風が吹きすさび、さらに二十日から二十一日にかけ、
降雪があり、
施設園芸や、サトウキビ等に多大の被害を与えたのであります。当県におけるこのような寒害は、
鹿児島気象台開設以来三番目の異変であるとのことでした。
一、
調査。私どもは、五日、県において知事等から、被害の
実情を聴取、六日早朝から、
施設園芸、野菜、果樹等の被害
調査のため、国分市広瀬地区、垂水市、今川原地区、柊原地区を視察いたしました。
ここにおいても、
宮崎県延岡市の被害と同様に、ビニール・ハウスの破損によるトマト等の被害が著しく、地元民の話によれば、三月五日、トマトの出荷をすべく、意気込んでいた、やさきのことだけに、手のつけようもなく、農業改善
事業も、一からやり直しですと、悲運を嘆いておりました。また、
気象観測施設を増加し、少しでも早く
気象予報が流れるよう
措置してもらいたいと訴えておりました。九州農政局の査定によれば、国分
地方の
施設園芸と熊毛
地方の降霜による被害は、約十一億二千万円であると発表しております。
以上、当県の農業被害を現実に
調査したのでありますが、火山灰土という特殊条件に加え、
台風常
襲地帯でもある本県にあっては、通常も
災害が多く、農民経済は著しく困難をきわめておりますので、これが緊急
措置を国で考慮すべきであると確信した次第であります。
最後に、被害
概要と県の要望を申し述べます。
一、被害
概要。
施設物被害額一億百五十万円、
生産物被害額十一億一千百五十六万二千円、
総計十四億七千五百二十四万九千円。
一、要 望。
(1) 異常低温降霜、暴風、
降雪等の
災害に、
天災融資法の適用
(2) 自作農維持資金の追加割り当て一億円
(3) 熊毛
地方のサトウキビ苗の購入費助成
(4) 熊毛
地方のサトウキビの原料価格は、降
雪害によってブリックスが低下したものに
ついても、最低五千三百五十円の確保
措置。
以上をもって、本
報告を終わります。