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1968-04-02 第58回国会 参議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二日(火曜日)    午後一時二十九分開会     —————————————    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      内田 芳郎君     谷村 貞治君      大森 久司君     園田 清充君      山内 一郎君     堀本 宜実君      瀬谷 英行君     椿  繁夫君  三月二十九日     辞任         補欠選任      船田  譲君     奥村 悦造君      谷村 貞治君     内田 芳郎君      園田 清充君     大森 久司君      堀本 宜実君     山内 一郎君  四月一日     辞任         補欠選任      椿  繁夫君     瀬谷 英行君      浅井  亨君     鈴木 一弘君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田  進君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 内田 芳郎君                 山内 一郎君     委 員                 石井  桂君                 大森 久司君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 村上 春藏君                 沢田 政治君                 瀬谷 英行君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  保利  茂君    政府委員        建設政務次官   仮谷 忠男君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省計画局長  川島  博君        建設省都市局長  竹内 藤男君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選の件 ○都市開発法案(第五十五回国会内閣提出)(継  続案件)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまから、建設委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  三月二十八日、瀬谷英行君、内田芳郎君、大森久司君及び山内一郎君が委員辞任され、その補欠として椿繁夫君、谷村貞治君、園田清充君及び堀本宜実君が選任され、翌二十九日、船田譲君、谷村貞治君、園田清充君及び堀本宜実君が委員辞任され、その補欠として奥村悦造君、内田芳郎君、大森久司君及び山内一郎君が選任されました。また昨一日、椿繁夫君及び浅井亨君が委員辞任され、その補欠として瀬谷英行君及び鈴木一弘君が選任されました。     —————————————
  3. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  先ほど報告いたしました委員異動に伴い、理事が二名欠員となっております。この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは理事内田芳郎君及び山内一郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 藤田進

    委員長藤田進君) 都市開発法案議題といたします。  本案につきましては、第五十五回国会において提案理由説明を聴取いたしておりますので、これよりその補足説明を聴取いたします。竹内都市局長
  6. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) ただいま議題となりました都市開発法案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。  第一条は、この法律目的を定めたものであります。この法律は、市街地の計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用都市機能更新とをはかり、もって公共の福祉に寄与することを目的といたしております。  第二条は、この法律において使用されております特別の用語定義を定めたものであります。  第一号では、市街地開発事業について定めておりまして、その内容は、市街地土地の合理的かつ健全な高度利用都市機能更新とをはかるため、この法律で定めるところに従って行なわれる建築物及び建築敷地整備並びに公共施設整備に関する事業並びにこれに付帯する事業をいうものといたしております。  第二号から第十三号までは、施行者公共施設施設建築物等この法律で用いるその他の特別な用語定義を定めております。  第三条は、市街地開発事業に関する都市計画決定する場合における土地区域要件を定めたものであります。  第一号では、この法律附則第十二条により改正いたします建築基準法第五十九条の二第七項の規定により建築物延べ面積敷地面積に対する割合、すなわちいわゆる容積率最低限度及び建築物建築面積最低限度が定められた容積地区内にあることを要件としております。  第二号では、区域内の建築物建築面積の三分の二以上が耐火建築物以外の建築物平家建てまたは二階建てのものであることを要件といたしております。  第三号では、区域内に十分な公共施設がないこと、土地利用が細分されていること等によって、土地利用状況が著しく不健全であることを要件といたしております。  第四号では、その区域内の土地高度利用をはかることが、その都市機能回復に著しく貢献することを要件といたしております。  以上の四つ要件をすべて満たす区域において、市街地開発事業施行することにいたしております。  第四条は、市街地開発事業に関する都市計画決定する場合における基準を定めたものであります。  第一号では、道路公園等施設に関してすでに都市計画決定されている場合には、その都市計画に適合するように定めることを、第二号では、必要な公共施設を備えた良好な都市環境となるように定めることを、第三号では、建築物が健全な高度利用形態となるうらに定めることを、第四号では、高度利用形態に適合した適正な街区が形成されるように定めることを、それぞれ規定いたしております。  第五条は、市街地開発事業は、都市計画事業として施行することを定めたものであります。  第六条は、市街地開発事業施行者について定めたものでありまして、市街地開発組合または地方公共団体のほか、住宅建設とあわせて市街地開発事業施行する必要がある場合には、日本住宅公団施行することができることにいたしております。  第七条から第十条までは、組合を法人とすること、定款で定めるべき事項組合名称等について定めたものであります。  第十一条は、組合設立には都道府県知事認可を要することを、第十二条は、事業計画内容を、第十三条は、事業計画について公共施設管理者等同意を要することを、それぞれ定めたものであります。  第十四条は、組合設立について、施行地区となるべき区域内の宅地所有権者及び借地権者のそれぞれの三分の二以上の同意を必要とし、かつ、その同意をした者の宅地借地地積合計宅地借地の総地積合計の三分の二以上でなければならない旨を定めたものであります。  第十五条から第十九条は、借地権の申告、事業計画縦覧認可基準認可公告等について定めたものであります。  第二十条は、施行地区内の宅地について所有権または借地権を有する者はすべて組合員となる旨を、第二十一条は、不動産賃貸業者商店街振興組合等定款で定められた者は参加組合員として組合員となる旨を、第二十二条は、組合員変更に伴う権利義務の移転を、それぞれ定めたものであります。  第二十三条から第二十八条までは、役員役員の資格、役員の任期、役員職務等について定めたものであります。  第二十九条から第三十七条までは、総会決議事項総会の招集、総会議事総代会総代議決権及び選挙権等について定めたものであります。  第三十八条は、定款または事業計画変更手続を定めたものであります。  第三十九条から第四十四条までは、賦課金賦課徴収参加組合員負担金の納付、審査委員等について定めたものであります。  第四十五条から第五十条までの規定は、解散、清算人決算報告等について定めたものであります。  第五十一条から第五十七条までは、地方公共団体市街地開発事業施行しようとする場合の手続事業計画縦覧等について定めたものであります。  第五十八条及び第五十九条は、日本住宅公団市街地開発事業施行しようとする場合の手続その他の事項について定めたものであります。  第六十条から第六十五条までは、測量及び調査のための土地の立ち入り、障害物の伐除及び土地の試掘、土地立ち入り等に伴う損失補償等について定めたものであります。  第六十六条は、組合設立認可公告事業計画認可公告等があった後における施行地区内における建築行為等の制限について定めたものであります。  第六十七条は、施行地区内の関係権利者事業の概要を周知させ、協力が得られるようにすべきことを定めたものであります。  第六十八条及び第六十九条は、土地調書及び物件調書作成義務及び仮住居等のために必要な土地施行地区外において使用できることを定めたものであります。  第七十条は、権利変換手続を開始する場合におけるその旨の登記について、第七十一条は組合設立認可公告等があった日から一定の申し出期間における権利変換を希望せず金銭の給付等を希望する旨の申し出等について、それぞれ定めたものであります。  第七十二条は、前条申し出期間経過後、遅滞なく権利変換計画を定めるべきこと、及びその際建設大臣または都道府県知事認可を要することを定めたものであります。  第七十三条は、権利変換計画内容を定めたものであります。  第一項では、権利変換計画記載事項を定めておりまして、配置設計施行地区内に宅地借地権または建築物を有する者が有する宅地等とその価額、これらの者が有する宅地等に対応して与えられることとなる施設建築敷地共有持ち分または施設建築物の一部等の明細及びその価額等事項を定めることにいたしております。  第二項では、宅地借地権または建築物担保権等登記がある場合における権利変換計画の定め方を、第三項では、登記のある借地権に関する請求権を保全するための仮登記がある場合における権利変換計画の定め方を、第四項では宅地または建築物に関する権利について争いがある場合における権利変換計画の定め方を、それぞれ規定いたしております。  第七十四条から第八十二条までは、権利変換計画決定基準規定いたしておりますが、第七十四条は一般的、抽象的な基準として、災害を防止し、衛生を向上し、その他居住条件を改善するとともに建築物及び土地合理的利用をはかり、かつ、関係権利者間の利害の公平に十分の考慮を払って定めることにいたしております。  第七十五条及び第七十六条は、施設建築敷地決定基準規定したものでありまして、まず第七十五条では、一個の施設建築物敷地は一筆の土地となるものとして定め、かつ、施設建築敷地には施設建築物のための地上権が設定されるものとして定めることにいたしております。  次に第七十六条では、施行地区内に宅地を有する者に対しては、施設建築敷地所有権が与えられるように定めることとし、その者が二人以上あるときは、これらの者の共有に属することにいたしております。  第七十七条及び第七十八条は、施設建築物の一部等の決定基準規定したものであります。ここで施設建築物の一部等とは、第二条第九号に規定いたしておりますように、施設建築物の一部とその施設建築物のための地上権共有持ち分をいうものであります。  まず第七十七条では、原則として、施行地区内に借地権または建築物を有する者に対しては、施設建築物の一部等が与えられるように定めることとし、その際、従前面積環境利用状況等と新たに与えられる施設建築物の一部の面積環境等とを勘案して、権利者相互間に不均衡が生じないように、かつ、従前価額と新たに与えられるものの価額との間に著しい差額が生じないように定めることにいたしております。また、宅地所有者に対しては、地上権が設定されることによる損失補償として施設建築物の一部等が与えられるように定めることにいたしております。なお、以上によって与えられる施設建築物の一部等以外の部分は、施行者に帰属するように定めることにいたしております。  次に第七十八条では、原則として、借家権者に対しては、その家主に与えられる施設建築物の一部について借家権が与えられるように定めることにいたしておりますが、家主権利変換を希望しない場合には、前条規定により施行者に帰属することとなる施設建築物の一部について借家権が与えられるように定めることにいたしております。  第七十九条は、床面積が過小となる施設建築物の一部の処理方法について定めたものであります。  第八十条及び第八十一条は、従前価額と新たに取得するものの価額算定基準を定めたものでありまして、従前価額については、近傍類似等取引価格等を考慮して、また、新たに取得するものの価額については、事業に要する費用近傍類似等取引価格等とを考慮してそれぞれ相当の価額を定めることといたしておりますが、評価の時点はいずれも第七十一条の申出期間を経過した日といたしております。  第八十二条は、公共施設用地の帰属について定めたものであります。  第八十三条は、権利変換計画縦覧手続を、第八十四条は、審査委員または市街地開発審査会の議を経て権利変換計画を定めるべきことを、それぞれ定めて関係権利者権利保護をはかるほか、第八十五条では、縦覧の際権利変換計画に定められた従前価額について意見書提出し、その意見書を採択しない旨の通知を受けた者は、収用委員会にその価額の裁決を申請することができることにいたしております。  第八十六条は、権利変換計画認可を受けた旨を関係権利者に通知すべきことを、第八十七条及び第八十八条は権利変換期日において権利変換計画の定めるところに従い権利変換することを、第八十九条は従前宅地等担保権等登記がある場合におけるその登記にかかる権利が新たに与えられる権利の上に移行することを、第九十条は権利変換に伴って必要となる登記について、それぞれ定めたものであります。  第九十一条から第九十四条までは、従前関係権利者権利変換期日において権利を失う者に対する補償金等の支払い、補償金等の供託、差押えまたは仮差押えがある場合における補償金の払い渡し等について定めたものであります。  第九十五条から第九十七条までは、市街地開発事業に関する工事のため従前関係権利者土地明け渡しを求める手続等を定めたものでありまして、権利変換期日から明け渡し期限までの間における占有の継続土地明け渡し及びこれに伴う通常損失補償について規定いたしております。  第九十八条及び第九十九条は、明け渡し期限までに明け渡し義務を履行しない場合における明け渡し等代行及び代執行並びにその費用徴収について定めたものであります。  第百条から第百九条までは、建築工事完了公告施設建築物登記施設建築物の一部等を取得するように定められた者とそこに借家権を取得するように定められた者との間における借家条件の協議及び裁定、施設建築物の一部等の価額等の確定、清算市街地開発事業により施行者が取得した施設建築物の一部等の管理処分等について定めたものであります。  第百十条は、組合権利の変動について関係権利者の全員の同意を得た場合における権利変換手続特則を定めたものであります。  第百十一条は、施行者地方公共団体又は公団である場合において特別の事情があるときは、施設建築敷地地上権が設定されないものとして権利変換計画を定めることができることを定めたものであります。  第百十二条から第百十八条までは、組合事業現況等により、組合事業継続が困難となるおそれがある場合で監督処分によっては組合事業の遂行の確保をはかることができないときにおける地方公共団体による事業代行の制度を定めたものでありまして、事業代行開始手続事業代行者事業代行効果等規定いたしております。  第百十九条は、市街地開発事業に要する費用は、施行者負担することを定めたものであります。  第百二十条は、日本住宅公団施行する市街地開発事業により利益を受ける地方公共団体に対し、同公団費用の一部の負担を求めることができるものとするとともに、その手続について定めたものであります。  第百二十一条は、施行者市街地開発事業によって、整備される重要な公共施設管理者に対し、その整備に要する費用負担を求めることができるものとし、その手続について定めたものであります。  第百二十二条は、地方公共団体市街地開発組合に対して費用の一部を補助することができる旨、及び国がその地方公共団体または事業施行者である地方公共団体に対して費用の一部を補助することができる旨を定めたものであります。  第百二十三条は、国及び地方公共団体施行者に対して資金の融通等援助につとめるべきことを定めたものであります。  第百二十四条は、地方公共団体の補助にかかる施設建築物に対する固定資産税については、公益上の理由により不均一の課税をすることができる旨を定めたものであります。  第百二十五条から第百二十七条までは、市街地開発組合及び市街地開発事業施行者である地方公共団体に対する監督措置について定めたものであります。  第百二十八条から第百三十条までは、施行者がした処分に対する不服申し立て及び技術援助請求について定めたものであります。  第百三十一条は、事業施行中に関係権利者変更があった場合における従前関係権利者がした手続等、あるいは従前関係権利者に対してなされた処分手続等の効力について定めたものであります。  第百三十二条は、施行者に対し、土地所有者に代位して土地の分割または合併の手続を行なう権限を与え、及びその義務を課したものであります。  第百三十三条は、施行地区内の土地及び建物について、政令で、不動産登記法特例を定めることができる旨を規定いたしております。  第百三十四条は、建物区分所有等に関する法律特例として、施行者建設大臣または都道府県知事認可を受けて、区分所有者相互間の管理規約を定めることができる旨を規定いたしております。  第百三十五条から第百三十七条までは、関係簿書の備えつけ義務及びその閲覧請求権、書類の送付にかわる公告意見書等提出期間計算等について定めたものであります。  第百三十八条は、地方自治法上の指定都市においては、都道府県知事権限に属する市街地開発事業に関する事務を、指定都市の長に行なわせることを定めたものであります。  第百三十九条は、この法律の実施のため必要な事項政令に委任したものであります。  第百四十条から第百四十八条までは、所要の罰則について規定したものであります。  附則第一条は、この法律施行時期を公布の日から起算して三カ月をこえない範囲内において政令で定める日からとすること、及び附則第十五条の規定による租税特別措置法の一部改正規定施行期日を定めたものであります。  附則第二条から附則第二十三条までは、公共施設整備に関連する市街地の改造に関する法律及び防災建築街造成法の廃止、建築基準法の一部改正租税特別措置法の一部改正等、この法律の制定に伴い必要となる措置を定めたものであります。  以上であります。
  7. 藤田進

    委員長藤田進君) これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  8. 石井桂

    石井桂君 まず第一に、次の機会に質疑をする必要がありまして、資料提出をお願いいたします。  それは、建築関係国会に上程せられた法律名前提案理由、簡単なものをつけて、今日から十年間さかのぼってひとつ表にして出していただきたい。それが一つ。  それから二番目は、建設、通産、労働各省局長名で出された告示、通達筆で、建築、労務及び契約についてのものが、わかっているだけでいいですから、集めて出してください。これが二番目です。いずれもそれはいまから十年ばかりの間さかのぼったものです。  それから三番目は、建築審議会議事録がいただければ出していただきたい。  それから四番目は、建築基準法に基づく容積地区がいろいろ規定されております。で、東京都で二十三区別に敷地面積容積地区つまり比較表、三多摩地方にあればそれもつけていただければけっこうです。その四つを次回の、もしできないものがあればできないと言ってくだされば、それでよろしゅうございます。
  9. 志村清一

    政府委員志村清一君) ただいまお申し越しの資料につきましては、できるだけつくりまして間に合わせたいと思います。ただ、審議会議事録等につきましては、原則として非公開でやっておりまして、これは先生方個々のお名前の入った記録でございますので、この辺はさらに検討さしていただきたいと存じますが、御提出できないかと存じますので、よろしく御配慮願いたいと思います。
  10. 石井桂

    石井桂君 提出できない事情にあるものはやむを得ませんが、できるだけ要求をいれるように、もしできましたら、できたらこの次の委員会でそれを資料に質問したいものですから、私のところへお届け願いたいと思います。  それでは、本日の議題の、都市開発法内容について、二、三お伺いしたいと思うのですが、まず第一に、その都市開発ということばは、字引を引いても出てこない。それで、この法律案定義の中にもない。ないけれども、何となくこういうものだということはまあ感じておるのですが、どうもここの法律都市開発法に盛り込まれている再開発意味と、われわれが感じている都市の再開発意味は、非常に違っているように思うのです。そこで、都市開発ということば定義がありませんから、当局ではどういうふうなお考えでこの法律を立法されたか、根本的な質問ですが、ちょっとお答え願っておきたいと思います。
  11. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) おっしゃられますように、都市開発ということばは、いろいろ使われておりますが、人によりまして内容が若干違う、あるいはイメージが違うということがございますが、私どもとしましては、都市の構築というのは都市計画に従ってつくらるべきで、その場合に既成市街地におきましては、そこにいろんな過密現象といわれるような状況がございますので、まず公共施設につきましては、適正な配置規模道路公園、広場というような公共施設を備えた良好な都市環境をつくり出すと同時に、都市計画上その地区にふさわしい高さなり、用途構成なり、あるいは有効空地を備えたような健全な建築物をつくっていって、健全な市街地にするということを、われわれといたしましては都市の再開発というふうに考えておるわけでございまして、この法律におきましては、先生御指摘のように、あとで市街地開発事業というのが出ております。そういうような市街地開発事業をいたしますことによって、事業施行することによって、ただいま申し上げましたような、公共施設建築物が一体になった健全な市街地をつくり出していきたい。そういうような考え方でこの法律名前都市開発法というふうに言っておるわけでございます。
  12. 石井桂

    石井桂君 従来からある都市計画町づくりをやっていって、そしてその結果——都市計画法というのは大正八年ですから、ずいぶん古いことです。四十七、八年前です。ずっとやってきて、一生懸命やっているんですけれども、東京都はとてもどうにもならぬ都市になってしまった。だからこれをもう少し経済活動なり、われわれ住む人のほんとうに安んじて住める安住の町につくりかえたいという大きなものが都市開発であるので、少しぐらい手を加えているぐらいな都市開発では、どうもわれわれが望んでいるような改造ができないんじゃないか。むしろそれならば、都市計画事業をしっかりやってもらえば非常にいいんじゃないかと、こういう気がするんだが、都市開発法というもののねらいと、都市計画法のねらいと、どこが違うんですか。
  13. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 都市計画法と都市開発法は、最終的なねらいはもちろん健全な都市をつくっていくということにあると思います。都市計画法はいわば総合計画、それを実行いたしますためのいろんな事業なり、規制なりというものをきめておりますけれども、都市開発法は、主として都市開発をどういう地区で行なうか、市街地開発事業をどういう地区で行なうか、それから市街地開発事業につきましてのやり方、それに伴います各種の手続あるいは費用負担というふうな一つの手法を、再開発法では主として規定しております。こういう関係でございます。
  14. 石井桂

    石井桂君 四十七、八年も使われた都市計画法を今度改めるわけですが、それでさんざん使い古して、ものにたとえるとさんざん使い古してどっかいたんできた、そのいたんできたところだけを修理するようなものが都市開発法だとすると、われわれが期待したものよりも非常に遠いものになるんですね、その程度のものでしょうか。
  15. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) もちろん、都市開発事業をやってまいります場合に前提になりますのは、都市計画でございますので、現在施行されております都市計画がもちろん完全なものでもございませんし、いろんな点で不備があるということはわかります。したがいまして、都市につきましてやはり都市計画を再検討して、りっぱな都市計画のもとに再開発事業をやっていくという考え方をせざるを得ないのじゃないかと、私はそう考えております。
  16. 石井桂

    石井桂君 もう一つ、しつこいですが、つまり都市計画法というだけではどうも足りないところがあるので、これをつくらなきゃいけないということになったのでしょうか。それとも、二つあればもっと効力があるということで、つまり都市計画法が完全であれば、それだけでもいいように思うのだけれども、足りないところがあるから、さらに都市開発法をつくった、こういうことであるのかどうか、その点はどうですか。
  17. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 都市計画法におきましては、土地利用計画、それから公共施設整備計画、それともう一つ、市街地の各種の開発事業というものの施行について都市計画法にきめておりますけれども、そのうちの市街地開発事業、これは区画整理事業とか、あるいは住宅地開発事業というような、いわば面的な開発事業につきましては、都市計画法に全部それを包含せしめるということも、一つの考え方でございますけれども、それぞれの事業の手法につきましては——都市計画法におきましては、手続とか計画の内容をきめておりますけれども、それぞれの事業の手法につきましては、各単行法に譲っているわけでございます。したがいまして、土地区画整理法とか、新住宅市街地開発法と並べまして、都市開発法というのは、一つの事業の手法をきめる法律として、都市計画法との関係はそういうふうに御理解願いたいと思います。
  18. 石井桂

    石井桂君 わかりました。  それでは先へ進めまして、この再開発法案の三条に、再開発事業がと書いて——三条を読みますと、事業が市街のどこでもまんべんなく行なわれて、そして——まあ読んだ感じですね、耐火構造の家ばかりになるような印象を与えているわけです。それはなぜかというと、その三条の第一号にそういうことを思わせるようなことが書いてあります。それは最後のほうに、「容積地区内にあること」と、こういうのが一つ。それから二号のほうに、まあ一かまたりの街区をにらんで、そしてその三分の二以上が耐火構造でないような、そういうことを二つあわせて考えると、そうすると大体のところはそういう気がするのですよ。そうすると、東京じゅうどこでも再開発事業が起こる印象を与える。そこで今度は都内の無数の建築大工が自分の生活を奪われてしまうのじゃないかと、こういう叫びを上げているわけです。で、そういうことが起こり得るかどうかという判断ですね、それをひとつしていただきたい。
  19. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 三条は、市街地開発事業をどういうような地区で行なうか、つまり、どんなようなところでも市街地開発事業はできるというのでは、市街地開発事業公共性がございませんので、こういうような地区で行なうということで三条をきめてありまして、一号はまあいわばその特に高度利用をはかるべき地区と、こういうような意味であろうかと思います。そういうような地区におきまして、まあ建物が大体木造で、低い建物で、十分高度利用がはかられていないものを、三号にまいりまして、しかもその土地利用状況が著しく不健全である、しかもそういうところで再開発事業を行なうことが、都市機能の回復にとって著しく貢献する、こういうような要件四つをそろえましたそういう場所に、市街地開発事業という非常に公益性の高い事業ができるということを規定いたしております。したがいまして、これは事業がこういうところでやれるということでございまして、こういう地域は全部耐火建築にしなきゃいかぬ、こういう規定ではございません。
  20. 石井桂

    石井桂君 あなたの御説明はわかるのですがね。しかし、たとえば大工さんにかわって私が考えるとすると、東京都内はみんな容積地区が一ぱい指定されているのですよ。これが一つね。それから、木造で、平屋か、二階建のもので、三分の二をこえているというところは、もうほとんど全部なんですよね。そうすると、東京じゅう全部とにかく都市開発事業をやる適地か候補地があるという、そうすると、そこで仕事する大工さんは、それはたまらぬ、仕事を取られてしまうのではないか、私個人は違った意見を持っているのですが、そういう心配をしているのですよ。そこで都市開発事業というのは、いわゆる住居地区でない業務地で、どうしても能率をよくするために高くするとか、そうしてしかも他人に迷惑を及ぼさないというところを区域的に広いところから拾って、一番都市の弱点であるところを改造して仕事をするんだと、住居地域なんかに手を入れて木造がいっぱいあるからといってみんなかたっぱしから耐火構造にするというのじゃないというのなら、はっきりわかるのです。私どもは、実は東京都の盛り場あたりに行って見ると、ほとんど木造で、高いビルがところどころに建っている、ここは改造したらいいだろうと思うところがかなりあるのです。そういうところをまず都市開発の候補地にするのはいいけれども、この書き方だったら——あなたの御主張はよくわかるのです、私はわかるのですよ。わかるけれども、今度は大工さんや何かになると、これを読んでいくと、どこでも都市開発事業の候補地になるんだから、みんな仕事がなくなるんだといって心配しているわけです。それで私のところにずいぶん陳情がくるから、そうじゃありませんと、都内でいえば渋谷だとか池袋だとか、あの近所の、あの周辺地でごちゃごちゃ家が建っている木造を改造して、そして上には住宅があるでしょうが、業務地を主としてやるのがまず常識でしょうと言うと、安心して帰って行くのですがね。御答弁はもう先ほどしていただいたからいいですけれども、そういう誤解を解くのに、大工さんが心配するような事態が起こらないんだと、こう言っていただければいいのですよ。
  21. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 第三条の第十一号は、実は附則の十二条に建築基準法の一部改正、そこのところで五十九条の二第七項というのを追加しているのです。それを読みますと、「枢要な商業地、業務地その他の市街地都市計画上特に土地高度利用を図る必要がある」、こういっておりますので、一号はその容積地区をひっぱってきておりますので、一般の容積地区じゃない特別の容積地区、こういうことでございます。
  22. 石井桂

    石井桂君 それではその同じ条文ですがね。第三号の中に「当該区域内に十分な公共施設がないこと」という条件があるんですが、この意味がよくわからないんだけれども、「十分な公共施設」とは何ですか。
  23. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) たとえば非常に道路面積が狭いとか、道路の交通がうまくいかないとか、あるいは公園、緑地が少ないとか、あるいは駐車場、駐車地が少ないとか、そういうような意味でございます。
  24. 石井桂

    石井桂君 それでは、その次に第四条に関することですけれども、何か四条を読みますと、「前条都市計画は、次の各号に規定するところに従って決定しなければならない。」と書いてあって、一号が「道路公園、下水道その他の施設に関して都市計画決定されている場合においては、その都市計画に適合するように定めること。」、これを普通なだらかに読みますと、前に都市計画であっても完全なものができてない。それで今度は都市開発をしてもっと完全なものにしようと思ったら——逆に前のあまりうまくないような都市計画、そう言うと語弊があるかもしれませんけれども、それに盲従しろ、こういうふうにも読めないことはないんです、意地悪く読めば、都市計画を。だからそういうふうじゃ困るので、都市計画とか、都市開発法とか、建築基準法とかというのは、指導精神をまず持っていなければいかぬと思うのですよ。これは悪いから将来はこういういい方針でやってもらいたいのだという指導性が発揮されたらいいのじゃないかと思ったやさきに、これを読むと逆に読めるものだから、その真意はどういうふうに読んだらいいのですか。
  25. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) たとえば東京都内でも現在は十二メートルぐらいしか街路がない、計画決定としては四十メートルの幅員があるというようなところでも、もし都市計画をやるといたしますと、現在の十二メートルに合わせて再開発をやるのではなくて、新しい現在都市計画できまっている四十メートルの幅員に合わせて開発をやる。それは下水と公園についても同じことで、先生おっしゃいますように、確かに既成の都市計画が非常に不十分で不備な都市計画をもとにいたしますと、おっしゃられるようなことが出てまいると思いますが、その場合は先に都市計画を直して、そして市街地開発都市計画決定をする。実際上のやり方としてはそう進まなければいけない。こういうふうに私は考えます。
  26. 石井桂

    石井桂君 東京都下でマンモス団地がずいぶんできるのですよ。たとえば久留米だとかあっちのほうに大きな団地が、何十万戸という大きな団地ができますね。そうすると、もとの町なり市が小さい市なんですね。そこのもとの都市計画による道路というものは狭いわけですよ。団地の中だけが猛烈にでかくて、そして今度はもとの人口はマンモス団地の二分の一か三分の一しかないでしょう。そういうところの都市計画に合わせてやるのですか。それとももとの都市計画を改めてこれとマッチするようなものをつくるのか。どっちなんですか。
  27. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 実際にやっておりますのは非常に大きな団地等の場合にはその団地の中の都市計画、それからそれに関連します、接続いたします道路等の都市計画というものはきめますけれども、すでに既存市街地と申しますか、従来の町がございましたところまで都市計画として直さないでやる場合も相当あるかと思います。まあそれは実際にはそういうことはあるかと思いますけれども、やはり接続しますような道路、あるいはそれと関連しますような道路網というようなものは、本来であればやはり変更して、それに基づいて団地計画も都市計画するというのがほんとうの姿だと思います。実際の場合には、そこまでやらないでやっている例もあるかと思います。
  28. 石井桂

    石井桂君 これは参考までにお聞きしておきたいのですが、いまのようなマンモス団地は、たとえもとの町が小さくてマンモス団地の非常に大きなものであっても、それは都市開発法による事業でなくて、別の都市計画事業ですか。
  29. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) マンモス団地は二つございまして、一つは区画整理のやり方でやっているところが一つございます。もう一つは新住宅市街地開発法というのがあって、住宅地開発事業でやっているものと二通りあります。
  30. 石井桂

    石井桂君 もう少しですが、それでは次に四条の第三号にある規定がどうもよくわからないのですが、「建築物整備に関する計画は、市街地の空間の有効な利用、」、これはよくわかります。「建築物相互間の解放性の確保」というのは何ですかね。「解放性の確保」、人民の解放とか何とかいうことばはわかるけれども、空間地の解放というのは……。
  31. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) これは建物が数棟建つ場合を考えますと、その間に適当な距離なりあき地がなければいけないということをこういう形で表現したわけです。
  32. 石井桂

    石井桂君 ずいぶんわざとむずかしいことばを……。建物の間の距離のことですか。
  33. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 主としてそうだと思います。
  34. 石井桂

    石井桂君 ずいぶんむずかしく書くもんだな、これは。よけい法律がわからなくなってしまう。
  35. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  36. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起こしてください。
  37. 石井桂

    石井桂君 それではその点はよくわかりましたが、この四条の三号を見ますと、私は建築技術屋だから、そう感じるのかもしれないけれども、まるで建築の設計のほうの方面の自由を全く束縛するような感じが与えられるのですよ。この中で要らない文句があるのじゃないかと思うのは、たとえば建築物の容積だとか建築面積だとか高さだとかはいいのですが、配列だなんということになると、ずいぶんとやかましくなってしまって、身動きができなくなるような気がしますね。それから、そういうことで、高度利用に関する計画を加味することはいいのですが、高さで押え、広さで押え、用途で押え、構造で押え、配列まで押えてしまって身動きができなくなる設計がもうできちゃったのだな。そういうことや何か、ずいぶんお考えくださったのでしょうが、配列なんというのは必要ですか。
  38. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) この条文は実は市街地改造法にも同様な条文がございまして、ほとんど表現のしかたが変わってないわけでございますが、やはり都市の中でかなり大きい再開発事業をやるという場合には、建物の配列までやはり考えて、再開発事業を計画決定すべきじゃないか。これはもう事業をやる段階になっての計画でございますから、まあ外国なんかにおきましても、石井先生御存じのように、北欧あたりでは都市計画でもむしろこまかい点まできめてしまうというようなことで、日本ではまだそこまでいかないのでありますが、市街地開発事業をやるということも必要でございますので、やはりここまできめる必要があるわけでございます。
  39. 石井桂

    石井桂君 この点に関しては、いささかまだ疑問が私にはありますが、次の機会に譲ることにいたします。  最後に、都市開発法をずっと読んだり研究したりしていきますと、何かもうちょっと大きな規模でものを考えないでいなきゃならぬじゃないかという疑問が残るのですね。それを補うのには、予算をどっさり出し合って再開発事業を盛んに起こすよりほかに手がないと思うのです。これを読むと、都市計画の——まずい都市計画と言っては、私も都市計画関係の仕事をしておりましたから責任がありますが、これはさんざん大正八年からだから四十八年か七年です。その間にせっかく法律施行してきてちっともよくならない。それをところどころいたんだところを少しずつ手を入れてややよくなるという程度の感じしか受けないのですね。それをするのにはやはりいま一番必要としている——あなたのおっしゃっておることは、ぼくは必要だと思うのですが、それを広くやって、そうして一番都市のネックになっておるところを手術して大きくやるよりほかないという感じがいたします。そういう点については、特に賢明な大臣がおいでになっておるのだから、もし将来のお考えをお示し願えたら非常に幸いだと思っております。
  40. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 現在非常に鉄骨化と申しますか、不燃化あるいは高層化がばらばらの形で行なわれておりますが、私ども何とかできる限りまとめたいという、計画的には再開発に持っていきたいということで、この法律を出しておるわけであります。私どもといたしましても、予算的裏づけがやはり必要だと思うのです。今後そういう方面で私どもといたしましてもできるだけ力を尽くしていきたい、こういうふうに考えております。
  41. 石井桂

    石井桂君 もう一つ。大臣からひとつ、いま局長の言うように考えてよろしいかどうか、一言お漏らし願えませんか。
  42. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これは専門家の石井さんに教えていただかなければならぬのですけれども、またお教えもちょうだいいたしたいと思うので、現在のこの都市並びに都市周辺の状況をどういうふうに考えてまいるかということから考えなければならぬと思うわけでございます。かりに東京を例にとってみますると、いまおあげになりましたような地域、繁華地帯のみならず、予定いたしております、別途御審議をお願いいたします都市計画法に予定いたしております市街化区域の指定という、市街化区域を設定いたしました暁には、どういう地域を住居地域として利用していくか、どういう地域を商業地域として利用してまいるかという基本的な東京都内における土地利用計画というものが打ち立てられる、で、その利用計画に沿うて、できる限りその土地が効率的に利用せられるようにしむけてまいるということ以外には、私はないだろと考えます。そういたしますと、かりに住居地域を指定いたしました場合に、住居地域としてできるだけその土地を効率的に利用させていただかなければ、これだけ狭いところにこれだけ多くの人口が集中してまいっておる。しかもそれが日本の経済、社会を動かしていく大きな作用を持っておるわけでございますから、非常に公共的と申しますか、これはおれの土地だからおれが自由に使うのだというのでは、もう済まされない時代になっておるのじゃないだろうか。住居地域とすれば、おのずからそこに住居面積に個人が占め得る、利用し得る限度というものが、これはあってしかるべき時代にきておるのじゃないか。そこで非常に多くの問題が、そうなってきますというと重なり合ってくるわけです。それじゃまあ一方において市街化調整区域、これから当分市街化しなくっちゃいかぬ、積み立てなくっちゃいかぬという地域、こっちのほうは公共施設をどんどんやると、そうなってくれば、さなきだに当面の最大の課題である地価抑制という問題——こっちは下水道もやります、道路もやります、公園も置きますというようなことになって、非常に住居利用価値というものが高くなる。したがって地価の上昇ということはある程度やむを得ない状態が起きる。それをどういうふうにして押えるか、上げっぱなしになってそれを見送るわけにはまいらぬでしょうが、これはまたいろいろ別途の方途も講じなければならぬ。そこでまあそういう上からいたしますと、現在の所有者が、何も所有権の移動じゃなしに、現在の所有者が、土地を持っておられる人たちが、住居地域に土地を持っておられる人たちが住居の用に供し得るように、たとえば畑を五反歩持っておられる、そうすると市街化区域公共施設もいく、それを手放されぬで、その五反歩なら五反歩の所有者がそのままそこに住居利用のために提供していただく、畑五反歩つくっておるよりも、そこで何棟かのアパートでも建てられるということになれば、その方の経済的な、ないしはその土地利用の、まあ私益追求とはいきませんけれども、一面私権の保護をしつつ公共の用途に供していただけるというようなことになるのではないか。そういうふうに誘導していく、そのためには、そうそのアパートを建てるたって金がない、それはこういうことで御融通いたしましょう、公的資金の融通というものはそこにある。そこで一定の家賃の制限等もそこに行なわれるというようなことが、また行なわれやすいように持っていく以外にはないんじゃないだろうか、まあ私はいまそういうようなことを頭に置いておりますが、これはいろいろ委員会の皆様方にもお知恵をいただいて、とにかくもう現状をこのままあれよあれよと見送っておるわけにはまいらない。多少人間のやることですから、完全にはいかぬでしょうけれども、とにかく一歩踏み込んで事態の処理に当たっていこうじゃないかと。内容につきましては、いろいろお話を伺っておるだけで、なるほどなるほどと思うようなことばかりで、内容につきましては十分またお教えをいただいて、直すべきところは直してひとつやっていきたい、こういうふうに考えております。
  43. 沢田政治

    ○沢田政治君 都市開発法案についてお聞きするわけでありますが、実は、私最初に、建設委員をやっていますが、実はきょう三十分ほど前にこれを出して読んだわけで、内容については非常に詳しくありません。したがって、理解のないままにお聞きするので、非常に珍問、愚問が続出すると思いますが、きょうは質問ということじゃなしに、質かつ問うということでなしに、主として勉強のために問いたいと思います。  法案の内容というよりも、それもそうですが、それより前に、建設省で一つの官庁の機構といいますか、行政の姿勢といいますか、こういうものもやはり熟知する必要があると思いますので、若干私疑問に思っておる点をお尋ねしたいと思います。建設省に建設専門委員というものがあるそうですが、これは何をやっているのですか。詳しくわかりませんけれどもどういうことをやっていますか。
  44. 志村清一

    政府委員志村清一君) 建設省の専門委員は、専門の事項を調査審議していただくために置いてあるものでございまして、非常勤の職員でございます。ただいま、たとえば万博におきまして日本庭園を設計するということが出ております。そういった設計に関する調査審議のために、大学の先生なども七人ほどお願いしてございますが、そういった例が多いわけでございます。
  45. 沢田政治

    ○沢田政治君 まあこれは誤解があるかもわかりませんが、ある新聞によりますと、ほとんど自民党の衆議院等の落選議員が非常に多い、こういうことが言われておるわけであります。少なくともやはり国民の官庁ですから、何か自民党の選挙対策のように、そういう印象を、ないとしてもそういう印象を与えることだけでも、これは非常に重要なことだと思うのですね。たとえば自民党の前回の衆議院を落選した人が五名とか秘書が一名とか、しかも昭和二十七年以来、この専門委員というものに大臣のほうから全然諮問したこともないと、何もやっておらぬと、大体これに顔出さぬのも非常に多いと、こういうように言われておるわけですが、一体そうなると、何のためにこういう専門委員というものを設けるかと疑いたくはないけれども、何か選挙に利用させるというような印象を強く与えると思うのですね。特にぼくは、この何というか建設行政の公益行政ですか、非常に国民が疑惑を持っておるわけですね、いい意味でも悪い意味でもですね。こういう要らぬようなこういう制度であるならば、非常勤で無給だからと言われればそうですけれども、少なくともやっぱり疑惑を持たれるようなものはおやめになったほうがいいのじゃないかと思うのですけれども、大臣どうですか。
  46. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 昭和二十七年から専門委員の方を委嘱いたしておるようでございます。実は私昨年十一月に就任しまして私が委嘱いたした方が二人あります。それは、内務省史の編さんを政府部内でいたしたいと。旧内務省が、関係の建設省、厚生省、労働省等に分かれておる。そこで、建設省に長くつとめておった適当のお方が一人あるというので、それじゃその方をひとつ専門委員に御委嘱してやっていただいたらどうだろうかということで一人、それからもう一人は建設大学校長をしておられた上條という方です。いま当面建設行政を推進してまいりますのに、特にこの技能労務者の不足というものは非常に急を告げてきておる。そういうことで特段のこれはひとつ研究を促進をしなければいかぬじゃないだろうか、たまたまこういう方がけっこうじゃないかということで御委嘱をいたしておる。なるほど、それぞれの方々について時の建設大臣がどういう必要を感じてこれらの方々を御委嘱せられておったか、つまびらかにいたしませんけれども、私は基本的にこの専門委員を積極的に利用いたしたいと願いますのは、御承知のように日本の官庁組織といいますか、公務員の優秀性というものは、これは世界に誇り得る優秀な公務員だと思います。それだけに、非常に行政上注意を要しますことは、庶民といいますか、大衆の行政、政治に対する期待というものは、非常に優秀な人たちが考えられることとちぐはぐになるおそれがありはしないかということが、私は基本的な行政、政治の上で抱いておる心配ごとの一つであります。何をいたすにいたしましても、たとえばいろいろな公共事業をする、あるいはダムの建設をやる。地元の情勢、民心がどうであるとかそういうふうなことについては、一体、そのいわゆる役人の目でなしに庶民の目で、感覚でとらえて、そうしてやっぱりやるべきならやるべき、いやそうでないならそうでないというようにこれを利用していくことに価値があるのじゃないか。これはもちろん人の問題でございます。私はそういういとまがございませんので、個々の方々に私自身がまだ特段の御委嘱をいたしているようなことはございませんけれども、しかしさき申しました二人の方は、そういうようなことで私が御委嘱をいたしておる。しかし、せっかく委嘱しておりますから、それぞれの方々の、私の見ますところに従いまして、大いにその特色を発揮していただいて、とにかく国民と行政がちぐはぐにならぬように、血の通った行政が行なわれるようにするためには、私は非常に大事な存在じゃないか。これはもう要するに運用の問題で、ただ飾りっぱなしでおいておくならば必要ないというふうに感じますが、そういうふうに行政と国民のつながりというものを、できるだけ円滑にはかってまいるという上からいけば、なくしてしまうということもないじゃないか。むしろ活用すべきじゃないか、そういうふうに考えております。
  47. 沢田政治

    ○沢田政治君 いま大臣から聞く限りでは、非常にりっぱな高邁な考え方だと思うのです。行政と国民の介添え役になれば、民意を反映させるということになれば。ところが、現実にはそういう必要性があるのかどうか。必要性があるのだったら昭和二十七年の規程以来、これを設けてから何回も開いたと思うのです。まだ一度も会議が開かれないし、具体的な諮問、こういうものを検討してくれということも一つもないのですよ。しかも、ぼくが先ほど言ったように、その内容を見ますと、前議員が五人、それからこの前の衆議院の選挙で立候補して落選した者ですね、新しく立候補して落選した者とか、あるいはまた六月の参院選挙に立候補予定者ですね。さらにまた参議院の立候補をねらったが公認を得られない者。さらには落選した落選議員、こうなっているわけです。もう一人あるけれどもね。こういう顔ぶれを見たならば、ぼくは落選議員が国民の代表じゃないとか、民意を反映できないとか、そういうことは言いませんけれども、何か意図的に肩書きをつけて、そうしておれはもう建設省の専門委員をやっているのだと、こういう売り込みでやはり選挙を有利にしようというような、何か一つの意図があるように私としては感じられてならないのですよ。特に土木建築の仕事というのは、非常に一般選挙民に対しても利益誘導的になりやすい可能性を持っているわけですよ。事実かどうかわかりませんけれども、道路と橋で、おれがやったということだけで当選しているあっぱれな人もあるそうですから、したがって、意図はよくわかりますよ。まあ民意を行政に反映させる。だけれども、全然一回も開かれておらぬ。しかも委嘱する内容はみんな政治に色気のある人だと、こういうことになったらば、国民の行政機関をある一党の政治的な立場で利用しておるように疑われてもしようがない要素がこの中にあると思うのですが、これはどうですかね。
  48. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 全部が全部そうであれば、これは何も言うところはございません。それから、私が承知しておるところでは、この専門委員というのは合議体の諮問機関ではない。したがって特定の人にこういうことをお願いします、こういうことをひとつ見てくれませんか、というようなことを、それぞれ特定の人に、おそらく各局ではそれは利用しているでしょうが、私はまだ、正直に申しますけれども、先ほどのお二人の方以外の方については、特命的な御諮問をいたしておりませんが、しかし、役所としてはそれをやってくれていることだろうと思うのですけれども、しかし専門委員は——私どもも、農林省の顧問だか農林大臣の顧問だか何だか、そういうものをいただいておったわけですけれども——それは落選しておるそうでございますが、別に会議を開かれたようにも思わないのですが、この場合は、私は、したがって合議体では一緒になって、一緒に会議を開いて、諮問して悪いということはございませんでしょうけれども、本来はやはり個々別々の機能を持っていただけるのだと、私はそういうふうに理解をいたして、そういうふうに利用と言っては悪うございますけれども、運営をしてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ非常にお目ざわりの方が数人おられ、いずれも自民党の党歴を持った方である、たまたままあ建設行政といいますか、国会において建設関係、あるいは行政府において建設関係等に寄与せられてきておるし、目も肥えておられる、そういう方をそのときの委嘱された大臣が適切だと思って、まあ御委嘱をせられたのだろうと思うわけでございます。まあ少しひとつやらしていただきまして、ただいま御指摘のようなことのないように、そういう誤解を生じないように十分気をつけてまいりたいと思いますから、しばらく——二十七年から続いている制度でもございますから続けさせていただいて、自後専門委員というものを委嘱する場合において非常に注意してまいるようにいたしたい、かように考えております。
  49. 沢田政治

    ○沢田政治君 この問題については、これ以上押し問答しませんが、やはりこの顔ぶれを見たならば、相当誤解を招く面もあるわけですよ。やはり行政的な立場から、専門的な立場からお聞きしたいということもあるわけですよ、制度があるなしにかかわらず。そういう必要性はわかりますけれども、顔ぶれを見ますと何か痛い腹か痛くない腹かわかりませんが、こういう点はやはり留意すべきだと思うのですよ。これはたとえば自民党の前議員ばかりではないのでございまして、建設問題のベテランは、これは野党でもこういう人はあると思うのですけれども、結果的にこうなったのかどうかしらぬけれども、そういう誤解を招く印象は強いと思うので、これは留意をしていただきたいと思うのです。  それと今度いま議題となっておる都市開発法都市計画法、やはりこの前提になるのが何といっても土地宅地を含めて土地建物ですね。土地が前提になる。土地に始まって土地に終わると思う。そういうことから、やはりこういう法律をつくったら土地がどんどん再開発されるということでないと思う。ひとりで法律が動いていって都市環境が非常に整備されるということは、役所のほうでも考えておらぬと思う。いろいろな障害があると思う。なかんずく一番大きな問題は、地価の問題だと思うのです。したがって非常に抽象的な言い方だと思うのですけれども、土地というものは一体、初歩的な聞き方でありますけれども、重要なものだと思うので、行政の府のある人の考え方は、商品であるのか、あるいはまた特殊な商品であるのか、あるいは公共性、土地は売るものではない、商品ではない、利用するところに価値があるのだ、こういうところの前提に立つのか。過去三代の大臣もいろいろな言い方をして行政の表面には出しておりますけれども、この点に対する理解というものを、ちょっとお示しを願いたいと思うのですね。
  50. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これはどうなんでしょうかね、沢田さん。お互いの考え方だろうと思うのですが、土地が商品であるとか商品でないとか、どちらにしても憲法上保障されるところの私有財産の財政権の対象となるものであるということだけは間違いのないことでございましょう。しかし、その財産権である私有財産であるからといって、それは地域によります。山の中の土地をどう使われようと、それはだれもその地域の公共性をそこなうということさえなければよろしゅうございましょうけれども、しかし、こうとにかく国民のエネルギーが集中してまいっておる地帯におけるその土地というものは、なるほど私有財産の対象である、私有財産である。しかし、その私有財産というものは、全体の国もしくは国民のために利用せらるべき私有財産であるという私は考えをとるべきじゃないだろうか。そうとっていただかないと、とにかく土地のさまざまな利用計画等立てましても、いやおれのものだからおれが自由にするんだと、こういうことでは、今日の日本の経済ないしは国民生活を安定さしていくということは困難であろうと思いますから、そういう意味においてまあそれは商品と言われようと、商品でないと言われようと、それは人さまざま御自由だと私は思いますけれども、私はまあとにかく公共性の非常に高い、そして公共のために大いに利用してもらわなければならない私有財産の対象である、そういうふうに私は考えております。
  51. 沢田政治

    ○沢田政治君 まあその考え方は私も正しいだろうと思うんですね。これはまあ商品であるないは別としても、もう私有権というものはありますから、それをどう利用するか、させるかというところに問題がかかってくるので、その点については見解の相違はないと思うんです。ただ、やはり土地というものは限られておると、しかも高く売れる、値段が上がっていくというところに、ひとつの商品性というのか、そういう面がひとつの作用として出てくると思うんですね。  そこで、三月の九日だったと思いますが、衆議院で大臣が——水田大蔵大臣も答弁なさっておるようでありますが、民社党の方の質問に対して、土地の価格の公示制を、何というか、建設省も明確にさせろと、こういうことに関連した答弁をしておるわけですが、あれの真意はどこなんですか。地価の公示制ですね、制度。
  52. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 折小野議員さんの地価の公示制をとるかとらないかという……。
  53. 沢田政治

    ○沢田政治君 ええ、そういうことです。
  54. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 三十九年から東京、大阪にそういう準備作業をやっているわけです。それはまあ名古屋にも今度始めることにしまして、四十五年度、おそくも四十六年度ぐらいにはこの三大都市圏だけにはその公示制をとりたい、実行したいということで準備を部内的に進めておるわけです。
  55. 沢田政治

    ○沢田政治君 そうなると地価の公示制、それが明確になって、この地価は大体どれだけだということになったならば、やっぱり地価の抑制に対してどういう効果を持ちますか、それは。
  56. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) それは、その公示価格の扱い方についてまたいろいろ御意見があるだろうと思うんです。それをまあいわゆる標準価格でなしに、法的に裏づけのある価格としていわゆる公定価格のように扱っていくべきだという意見もあるだろうと思うんですけれども、私のほうが考えておりますのは、ひとつの取引上の目安価格といいますか、したがって公共用地等の取得にあたりましては、少なくともその公示価格をもととしてきめてまいるという、その公示価格から著しくけたはずれなようなことにならないように、できれば公示価格のそれで公共用地の取得をはかってまいるということにして、したがって押えの役というか、抑制作用はかなりあるんじゃないかと思っております。
  57. 沢田政治

    ○沢田政治君 やはり都市近郊の土地がどんどんどんどん上がるということは、絶対的に需要と供給の関係もありますよ。それと同時にやはり、公共事業というものは一つの地価をつり上げる、意図が那辺にあったとしても。やはり、公共事業というものは地価をはね上げる元凶、元凶というとことばは悪いけれども、原因になっておると思うのです。やはり、水道とかガスとか学校とかそういうものを整備されてきますね、それだけやはり、住宅地としての価値というものがどんどんふえていくわけですね。したがって、その地価というものは高くなっていく。そこで開発利益というものが上がって、主としてその開発利益は地主のみに還元されておるような現状になっているわけですね。したがって、この際、漫然としておったんでは、需要と供給の関係からいって、地価というものは絶対下がることはないのですよ。下がらぬものです、このままでいくと。だから何か地価を抑制する一つの方法をとらなくちゃならぬということで、いろいろな、税制の問題いろいろたくさん出ておるようでありますけれども、たとえばイギリスなんかではやはり、開発利益というものを吸収しているわけですね。そういうふうにどんどん開発効果によって土地の価値というものが上がってきた場合、地価が上がった場合、イギリスの場合は去年からですか、四〇%ですか、売却した場合それを取るわけですが、イタリアも若干やっておるようですが、そういうふうにやはり、土地というものは、値上がりを待っておって温存してももうけにならぬ、こういう点をぼくはやはり、抜本的に制度として明確にとるべきだと思うのですよ。これは反対も強いかもわかりません、抵抗が多いかもわかりませんが、そうしなければぼくはやはり、地価の抑制というものは、永久にとめることはできないと思う。そういう方法をとる気がありますか。
  58. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 問題の都市開発法にしましても、都市計画法にしましても、問題の焦点はそこだと思うのです。考えなければならない問題の焦点はそこじゃないか。たとえば下水道、道路、続いて住宅地域としてたいへんよくなったからそこが値上がりする、まだこれならいいと思うのですが、そうでなしに、だんだん値上がりするものですから、畑の一軒家みたいな、道路もなければ下水道もない、電気もつかないというようなところにわあわあ来て、どうにも手のつけようのない市街地が形成されつつあるというのが、現在の状態であろうと思うのです。ですから、この状態をもうどなたがおやりになっても、ほうっておくわけにいかぬことはわかり切っておるわけですから、何とかひとつ皆さんの衆知を集めていただいて、これの改善をはかっていかなきゃならぬ。それにはやはり土地利用計画というものを持って、そうしていまお話にありますような開発利益等の取り扱いにしましても、結局、都市計画法や再開発法でダイレクトに地価の問題に処するわけにはまいりませんので、どうしてもこれに見合った補完的といいますか。誘導的な前提を考えてもらわなくちゃならない。たまたま政府の税制調査会でも昨年来、土地部会というものを持っていただいて、もうあらゆる、いまお話になりました点等を主体に討議が行なわれておるわけです。討議が行なわれておりますけれども、とにかく、土地利用計画自体すら持っていないというような形においては、税だけですべてを片づけるというわけにはまいらぬことは、もう当然のことだろうと思うのであります。それで私といたしましては、非常にかってでございますけれども、ひとつ何とか都市計画法、再開発法をものにさしていただいて、そうしていまの土地利用計画を立て、その利用促進を促していくような税制措置を講じ、しかも、市街化調整区域、市街化区域の境界を異にすることによって著しく個人の不当所得といいますか、そういう目にあまるようなことのないように、税制方策を講じてもらいたいということは、強く税制調査会にもお願いをいたし、私はこの夏ころまでには税制調査会でも、私どもの期待し得るような結論を持ち得るんじゃないか、こういうふうに期待いたしておるわけでございますけれども、しかしながら、それもやはり前提として都市計画法に基づく土地利用計画というものを持ち得なければ、なかなか税制調査会のほうにお荷物だけしょわせるというわけにはまいらぬのだろう、こういう状態に現在のところはあるわけでございます。
  59. 沢田政治

    ○沢田政治君 いずれにしても、持っておると得する、金の価値は下がりますけれども、土地を持っておれば得するというところにやはり問題があると思うんですね。したがって、持っておっても価値は下がらぬけれども、上がることはない。上がったとしても、やはり開発利益か何かのかっこうで、これは空閑地税になるか未利用地税になるか、いずれにしても売った場合でもぼろもうけにはならぬというような制度というものは、私はやはり私権制限とか、税の問題としてとられなければ、これはやはり地価政策というものはぼくは成り立たぬと思うんですね。そういう点は一応強調しただけにとどめましょう。
  60. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) ただいまの点は、私はぜひそうやってもらわなければならないと私も考えております。したがって、単に沢田委員の御発言だけじゃなしに、それはそういうふうな結果をもたらすように努力も払ってまいるつもりでございますから、その点は御了承いただいておきたいと思います。
  61. 沢田政治

    ○沢田政治君 それで、たとえば都市開発法も、ある程度の私権の制限になるわけですね。しかし、権利移譲も非常にすなおにいかぬと思うんです、ノーマルにはいかぬと思うんです。いろいろな点で紆余曲折があると思うんですね。案外何か期待したほどの効果があがるかどうかもここでは断言できないと思うんですね。そこで、これはぼくの私見なんだけれども、思いつきの私見でおそれいるわけですけれども、一応政府がモデルをつくってみたらどうかと思うんですよ。たとえば民間の宅地を取り上げるとか、収用するとかじゃなしに、たとえば官公地を——これは地方公共団体も含めて持っておる土地というものがありますね。これはやはり役所もあるだろうし、学校もあるだろうし、国鉄の駅もあるだろうし、そういう土地利用して、東京駅の八重州口でもいいですし、広場でもいいですし——あそこは交通が不便になった、車が動けなくなるようにしちゃだめですよ。ああいうところを利用して、土地というものは高度に利用したならば、こんなにすばらしく利用価値のあるものだという点を、やっぱり政府なり公共団体が率先躬行して、こういうものだということを、ぼくはやってみる必要があるんじゃないか。それが非常に呼び水になる、というとことばは悪いけれども、ぼくはそうやらなければ非常に何か私権を制限されるような、またこれは何というか、組合方式というようなのは、不動産業者が入ってきてひともうけしようとか、いろんな面も出てくると思うし、たとえば三人、四人で一部屋借りておるものの権利をどうするとか、たくさんのいろいろな問題が出ましてね。実際には協定を結んで暗黙裏に入っておるものも例外として出てくると思うんですね。そういういろいろな権利がやはり錯綜するというか、争いというものはなきにしもあらずだと思うから、なかなかこれは端緒をつくるには相当の時間がかかるような気もしますけれども、そういうことだから政府、公共団体が持っている土地利用して、そうして高層な、何か四十何メーターという、ああいう高層なものをつくってみるとか、そういうことを思い切ってやってみたほうがいいんじゃないかと思うんですけれども、これはどうですか、これは空想ですか。
  62. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 沢田さんの御提案は決して空想じゃないと思うのでございます。私は就任いたしましてから、特に東京、大阪、大都市住宅事情というものの話をだんだん聞いてみましてびっくりいたしたわけなんです。何とかとにかく都民といいますか、市民といいますか、手足を十分伸ばして休めるような状態にならないと、これだけの国になってお恥ずかしいことじゃないかということで、とりあえずとにかく住宅に予算をお願いしましたのも、はなはだ微々たるもので申しわけないことですけれども、そういう結果にはなっておりますけれども、そこでいまお話のように、東京について申し上げますと、一体国有地でもって都内に利用し得る、そういう用途に利用し得る、住宅用地に利用し得るような余地がどのくらいあるものかということで、たいへん無理な注文をいただいたわけでございますけれども、これは残念ながらほとんどもうそういう余地が、あまり期待するような余地がない。そこで、総理も予算委員会でございますか、本会議でございますか、申しておりますように、やはりその第一は、国や公共団体が、こういうふうな土地事情になってまいりますというと、よけいそうでございますが、とにかく公的保有地をある程度持っているということが、すべての施策を円滑に進めていく上において非常に大事なことじゃないか。したがって、機会あるごとに今後はわずか残っている国有地の払い下げはしない、そうしてできるだけ公的保有地を機会あるごとに得ていきたいということは総理も言明いたしているように、そういうふうに私どもも心がけてまいりたいと思っているわけであります。  そこで、私は、先ほど石井さんにもちょっと申し上げたわけでございますけれども、このべらぼうな値段で売れる、だから大事な土地を放さない。そうして今度土地を放された結果、放した人が必ずしもしあわせであるかというとそうではない。札びらになっていけばすぐ消えちまうわけでございますから、そういうときにやはり持っている方ができるだけ財産を大事に使われる、そうして高度に利用される、その所有関係はそのままとして利用していただくというように施策を考えていくべきじゃないだろうか。それで少なくともいまお話しになりましたように、いわゆる土地の売り買いで金もうけができるというようなことを考えられないように——そういう時代は私は過ぎていると思うのでございます。もう今日の日本の状態を見まして、この都市並びに都市周辺の土地の売り買いで金もうけしようなどというようなことは、これはどうも少し心得が違う。心得が違ってもそのほうが得だということになればそうなりますから、それは得にはならないという施策がやはり必要になってきているんじゃないだろうか。先ほどお話の要点等は、どうしてもやっていただかなければならぬというのは、そういう意味でございます、その所有者土地を手放さずしてたとえば畑を持っておられ、市街地になった、住居地域に指定を受けている、それで住居としてアパートなり何なり建てられる、畑で農作物を収穫するよりもアパートを建てられて利用していただくことがその方の安定、しあわせのためにもなるんじゃないか。私はそんなことを言ったって、アパートを建てる金がありはしないということでございますから、それじゃ住宅金融公庫とか、そういうふうな資金を、公的資金を放出して、そうして相ともに利用ができるように相当力を入れてまいらなければ、とてもいまのこの状態を改善してまいるということは不可能だ、かように考えております。御提案の点は、これはもうたいへんけっこうなことでございますから、十分内部で検討してみましよう。
  63. 沢田政治

    ○沢田政治君 ぼくが地価の問題を言っているのは、もちろん建設行政もありますよ、これは建設行政の問題ばかりじゃなく、やはり将来の国の経済政策に非常に影響するわけですね、宅地ばかりじゃなく。たとえば工業用地でも、高ければそれだけ減価償却が高くなって、コストが高くなるでしょう。将来の国際競争力に対しても非常に、何というか、競争力は弱くなるわけですね。そういう面から私は非常にこの地価問題、地価政策というのは広範な意味を持っておると思うので、それと、いまぼくは何といいますか、都市開発ということで、民間の土地を高度に利用するということも一つの方法だけれども、しかし、それが定着するまでに相当の時間がかかるじゃないか、抵抗もあるんじゃないか、こういう点を指摘したわけですね。したがって、政府なら政府が持っておる土地なり既存の建設物、それをさらに高度に利用するというようなお手本を一回示したらどうかと、そのほうが非常に促進の意味になるのじゃないかということを、ぼくはひとつ軽い気持ちで提案したわけですけれども、どうですか。
  64. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) それは御提案でございますから、十分検討してみます。
  65. 沢田政治

    ○沢田政治君 非常に抽象的なことばかりお聞きするようで恐縮ですが、一応、非常に都市にどんどん入口が集中してくる。過密状態になってくる。だから新都市計画で、郊外にもどんどん何というか、伸びなくちゃならない。しかもこれは無秩序じゃいかぬ。計画的に伸びなくちゃいかぬ。あわせて既存の都市内部も、これは再開発しなければならぬ。理屈ではそうなるわけですけれども、それもぼくは一つの方法だと思いますよ。ただ、これだけでいいのかという心配もあるわけですね。たとえば、何というか、そこに山があるから登るということばがありますけれども、人が集まるから、何か人の集まる所をつくらなくちゃならぬということでは、非常に対症的な療法だと思うのですね、療法としてはね。だから、もう少し計画的に都市なら都市、東京、大阪なら大阪のみに人口が集中しないように、工場の再配置とか、官庁街の再配置とか、そういうように片一方においては集まっているものをやはり使用しなきゃならぬ。片方においては、あまり極端に人口が密集しないような施策というものをあわせ考えなければ、一つの政策としては意味がないと思うのですね。もう集まってきたんだから、何とかしなくちゃならぬということだけじゃいかぬと思うので、その点に対するお考え、いかがですか。
  66. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これはいまあなたのほうのお話しのように、たとえば東北開発とか、北海道開発とか、九州開発とか、四国開発とか、中国開発とか、それぞれブロック開発法を持ち、開発計画を持って、かなり長いこと何してきておるがちっともそれがそういうふうになっていない。それは要するに狭い国土でございますから、この狭い国土が、できるだけバランスのとれた開発、発展が行なわれていくようにという願いから、ああいう地域立法が行なわれて、地域開発立法というのが行なわれておるにもかかわらず、この三大都市圏に集中して、どんなに排除しても排除し切れない。つまり、これはどうも——まあイギリスでも産業革命があってから何年でございますか、百年以上でございましょうが、それで今日まで、都市化現象に対しては長い経験と苦労を重ねてきて、いまだにこれならばという——いまもやっておるようですけれども、なかなかむずかしい問題でありますように、日本でも、戦後わずか二十数年のことでございますから、その間において、とにかく異常な経済成長というか、それが一つの産業革命だと思うんですけれども、そういう急速な過程で都市化現象を起こしている。そこで、ただ御承知のように、これはたいへんじゃないか。東京都ということで、たとえば東京の問題を考えるにしても、東京都という問題では、もはや考えられないのじゃないか。少なくとも首都圏という七、八県のブロック、個々のブロックの全体の調整をとりつつ、東京都のあり方というものをきめていかなきゃいかぬじゃないか。それには、どうしても東京都内にこれ以上工場を持ってきてもらっちゃ困る。ある工場も、できるだけ東京都内にいなくてもいい工場は、外へ出ていってもらいたい。もとは非常な教育環境であった東京も、今日は教育環境もよろしくない。そういう教育施設等も、できるだけ教育の場にふさわしい環境のところに移ってもらいたいというようなことで、あるいは研究学園都市等の計画を持ち、あるいは関東においても十五・六カ所の工業都市を指定しましてそれぞれ、あるいはまた、大きくは新産都市あるいは工業整備地域というような、全国的にできるだけ均衡のある国土の開発をはかっていくために、そういうような——ところがなるほど新産都市あるいは工業開発地域にしましても、それ自体は、目的はそれはまだいま進行中でございますから、結論は申し上げられませんでしょうけれども、生産力それ自体は、新産都市なり工業整備地域において相当育ってきている。しかしながら、予定しておった、それだけの生産が上がればこれだけの人が行くであろうと予想しておったところが、どうも少し当てが違う。それはだんだん合理化する、施設が近代化する、人をそれぞれ要しなくなる。むしろ大きな企業体を動かしていくために中枢管理といいますか、そういう機構がむしろ東京とか大阪とか中心のところに行くことのほうが力が強いために、過度の集中状態を起こしてきている。これは一ぺんどうしても全国——これが根本でございますから、国土の全体計画というものをもう一ぺん見直してみなければいかぬじゃないか。そうして総合開発計画というものを、国土の全体の総合開発計画というものを見直していただいて、それで関東はどうだ、東京首都圏はどうだ、中部圏はどうだ、近畿県はどうだ、東北はどうだというように、それぞれの中位計画を全国上位計画ににらみ合わせて立てる。それで末端の東京都はどうする、横浜市はどうするというようなことは、それに適応して全体の国土総合計画、この秋ごろには、その作業をいま経済企画庁で行なわれておるようでございます。この秋ごろまでには、その総合開発計画というものが一応改定、見直しをされるようでございますから、したがって今後の都市計画のありようというもの、それと適応するようにもう一ぺん見直しをしていかなければならぬじゃないか。したがって、今回御審議をいただいております都市計画法でありますとか、都市開発法とかというものは、その全体の総合国土開発計画の最前線計画としてやっていくという大体かまえが必要じゃないだろうか。そういうふうにしてもう一ぺんこれは全体の国土計画から見直していく時期に来ているのじゃないか。こういうふうに認識をいたしておる次第であります。
  67. 沢田政治

    ○沢田政治君 そうあるべきだと思うのですね。ところがどうもぼく考えてみて、現実はそうじゃなくその場当たり、場当たりのような印象を受けるわけですね。たとえば、今度国会に出されておる各省の土地利用に関する法律ですね。各省からばらばら出されておりますね。これは出されていいとか悪いとか、これはここで論議するわけじゃないけれども、たとえば運輸省では臨海工業地帯整備法案ですか、それとまあ通産省からは工業立地適正化法案、農林省からは農業振興地域法案、さらには厚生省から大気汚染防止法案、こっちのほうでは新都市計画法案ですか、再開発というように、非常に花盛りなわけですね。花盛りなのが悪いということじゃないけれども、こういう関連法規ですね、土地利用の。こういう関連法規との調整というものは、はたしてこれはついていますか。  たとえばきょうは都市計画法案が議題じゃありませんけれども、これは再開発計画と裏腹の問題でありますから、私触れたいと思うんだけれども、たとえば都市開発法案では、まあ市街化区域を設けると、まあ抑制区域というんですか、調整区域を設けると。そうすると片一方は今度は農業振興地域ですね、こういうものが出てくるわけだ。まあ常識的にぼくら考えてみたら、ほとんどの都市は農村と接点を持っていますね。そういう関係でダブる面がありはしまいかと、こういうように考えられるわけです。と同時に、たとえば常識的に考えてみても、市街化地域はいいとして、調整地域だね。調整地域というのは、これは何というか、たんぼであるかもわかりませんね。畑であるかもわかりませんね。ところがそこは住宅地域にもならぬ、市街地地域にもならぬ、農業地域にもならぬ、宙ぶらりんなわけだね、調整地域は。そうなった場合、農業のいろいろな政策面の法的な保護ですね、そういうものは一体どうなるか。道路一本離れて片一方は市街化地域で、しかも非常に高く評価される。片一方は、これはもう何というか、同じ道路一本離れた土地が、これは調整地域だね。そうして農地でもなければ宅地でもないというような、こういう中間的なものはこれはどうなるのか。非常に農業団体等でも心配していますね。そういう面はどうなりますか。
  68. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) まさに御指摘のとおりですよ。このクモの巣を張ったように地域立法が——これはお互いの責任もあるわけなんです、議員立法の面に属するものもかなりありますから。それでまあ地域立法というものは、とにかくもうこうなっているわけです。これは一ぺんもう政府を待つまでもなく、国会の側においても、一ぺんこの地域立法というものは見直してみる必要があるんじゃないかと思う。それに持ってきて、いまお話しのように農業どうだ、臨海工業どうだ、工業立地云々だというような、まあいずれも地域立法になるわけです。で、工業立地適正法はまだどうするかということは、これは不確定でございます。各省間にいろいろ考えもあるようでございますし、なかなか意見の一致を見ることは困難なような実情にあるようであります。私あまり魅力を感じておりません、もう正直た申し上げまして。ただ問題は、農業地域振興法案というものは、これは私は都市計画法とこの二つが一番最重要だと考えておる。したがってこの都市計画区域と農業振興地域、区域というものはほんとうに相接点である、お話のとおりであります。で、これの調整というものは、これは農林大臣と建設大臣の非常に大きな責任事項になっている。日本の、さなきだに急を告げておりますこの農村の実情というものを、どういうふうに今後振興してまいるかという非常に大きな面がありますから、私は自分の直接の所管ではございませんけれども、都市計画法同様の強い関心を持っている。したがって、この都市計画法と農業振興地域法案というものは、非常に大事に扱って考えていかなければならない。お話しのごとく都市計画区域内の市街化区域と調整区域、この調整区域の現在農地というものは、これは農地法上の保護を受けてまいるわけでございますから、いつの日か市街化区域を拡張しなければならないというような場合になったときに、市街化区域にまた新たな指定を受けますというと、農地法上の取り扱いも変わってまいりますけれども、それまでの調整区域の間は、これはそこに、もう都市計画区域としては推定をするけれども、当面、ここ当分は現状のまま利用していただくという、したがって農地であれば十分農地として利用されていくように、いろいろな農政上の保護というものは当然計画してまいるところでございます。市街化区域内にある農地、ここだけがいまの農地転用等について自由化をする、それでここを宅地変更しようとしても、その農地転換の諸々の手続をとることなしに、宅地にどんどん直していくというようなふうにするわけでございますから、当面その調整区域として残されるところに農政上の保護が受けられないという心配はごうまつもない。それよりもむしろ市街化区域の中に相当優良農地があり、優良農業が経営されておる。そういうのをどうするのだということは、当座非常に注意を要するところだろう。そういう点については、これは農林省と相談をして扱い方をきめていかなければいかぬじゃないか。こっちのほうはさして問題じゃないじゃないかという考え方をいたしております。
  69. 沢田政治

    ○沢田政治君 これで終わりますが、法案の内容見ておりませんので、非常に回りくどい抽象的なことになりましたが、きょうのところは、本格的な質問をするための予備質問ということで、これにとどめておきます。
  70. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時十八分散会      —————・—————