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政府委員(沖田守君) お答え申し上げます。
基本法が制定されましてからすでに五年目になるわけでございまして、中小企業
対策が通産政策の中では最重点施策の
一つといたしまして努力いたしてきたわけでございますが、ただいま御
指摘のございますように、まだまだ中小企業
対策をさらに強化し拡充していかなければならない面は多々あろうと
考えておりまして、目下御
質問の御
指摘の点につきましても、中小企業政策審議会を中、心といたしまして、きびしい
環境の変化、しかも日本経済の健全な発展のために中小企業の近代化がおくれて、その部分がある
意味ではひずみになっておるのを、これを是正することによって日本経済全体の大きな飛躍が期待できる。しかも、国際
環境あるいは国内の労働
事情等
環境の変化が非常にきびしい中で、中小企業に不利な金融だとか、労働力確保だとか、あるいは取引の面での不利なメカニズムをどう是正していくべきか。こういう点を含めまして、中小企業政策審議会でいままでの施策の再
検討及び強化の方法について、いま抜本的な
検討をいたしておる最中でございまして、当面来年度の施策には間に合うように、ぜひとも七月くらいまでには中間的な取りまとめなりをまとめたいという努力をいたしておる
段階でございます。
中小企業の範囲につきまして、現在非常に問題とされておるわけでございますが、現在製造業におきましては、基本法におきまして、中小企業は従業員三百人以下、そして資本金は五千万円以下ということになっておるわけでございますが、このそれぞれの法律ごとに、施策ごとに、たとえば税制におきましては一億円までというふうな、施策ごとに例外を認めて、窮屈な運用にならないようにいたしておるわけでございます。現在一部の意見といたしましては、たとえば三百人という数字はそのままでいいとしても、いまの製造業五千万円というのは低過ぎるから、たとえば一億円
程度まで——この五年間の物価の上昇あるいは経済活動規模の広がりから
考えて、その
程度まで限度を広げてはどうかという意見もあるわけでございますが、ただ限度だけ上げますと、上の層へ重点が移る、下の層に対する施策が薄くなるというおそれがもしあっては困るという
意味で、この点については慎重に、ただいま申し上げました政策審議会で
検討いたしておるわけでございますが、この点の、ある分野ごとに金融活動その他の面では若干の補正ということが、このたびでも、いま大蔵
委員会で御審議になっております金融二法その他の面で、ケース・バイ・ケースの補正ということを
考えておりまして、基本法の抜本的な範囲の拡大をやるかどうかについては、なお慎重に
検討をいたしたいと思っております。
次に、中小企業
対策費につきましては、今年度の中小企業
対策予算につきましては、
一般会計予算の伸びよりも伸び率が低かったわけでございますが、
内容的に効率的配分という面で、少ない金を生かして使うという面での努力は相当はっきりいたしたと思っておりますので、財政硬直化の中で当面の行政需要に見合う
程度の予算は確保されておると
考えておるわけでございますが、特に財政投融資の面におきましては、全般の伸び率の平均一三%に対して中小企業
関係におきましては、特に商工中金、中小公庫、国民公庫の政府系三
機関につきましては、新年度の
貸し付け規模は七千五百九十六億円、すなわち
貸し付け規模で一九%の伸びを確保して、中小企業
対策に対する政府の姿勢を示しておるわけでございますし、特に当面三月危機と言われ、さらに四月——六月の危機ということも言われておりますので、その財政投融資につきましては、第一四半期にはこの三
機関が貸し出しをいたします場合に重点的に力を入れておりまして、昨年の第一四半期に比べまして約二八%の伸びというような、例年は非常に四月——六月期の貸し出しは少ないのでございますが、やや重点を初めに置いて運用をいたしておる次第でございます。その
意味におきまして、この零細に対する恩典が少なくならないようにという配慮は常にいたしておるわけでございますが、御
指摘の中規模
対策と零細規模
対策とを分けて
考えるという点につきましては、確かにやや
問題点があるわけでございますが、零細企業がすべて非常に脆弱かと申しますと、たとえば生業的なものの中で小売り業でございますとか、サービスあるいは職人のような職業になりますと、小規模が適正な形、適正規模である。どこの国でもそういう小規模企業で安定した経営が行なわれておるという場合もございますし、それからさらに、家族労働によって立っておりますものと、雇用労働力を使っておる分野とでは、最近人手不足、新規学卒の採用難という点で、むしろ当面の苦しさから申しますと、雇用労働力に依存しておる小規模零細企業のほうが苦しいという点もあろうかと
考えられますので、現在
考えておりますのは、そういう小規模零細企業は、この
環境の変化に対する情報不足であるという点と、あるいは、いろいろ制度がございますけれ
ども、それを活用し、ちゃんと帳面をつけてうまく中小企業に対する制度を活用して
利用するという点で十分に行き届かない面もあろうかと
考えまして、商工
会議所、商工会におきます経営
指導員が
中心になってそういう面でのサービスをしてはどうかと、こういうことに努力をいたしておるわけでございますが、それ以外、国民金融公庫の貸し出し、あるいは特別小口保険等、借用保証を強化していく面、その他
一般の
指導事業、それから家族専従者控除、その他税負担の軽減、小規模共済事業団によるいわゆる退職金——従業員の退職金のみならず、事業者にも老後の備えをさせる等々の数多くの施策がございますが、これらを十分この零細小規模
対策として充実するよう今後とも努力いたしてまいりたいと思っております。で、三月危機と言われ、
環境激変の中の
対策といたしましては、最初申し上げましたように、長期的な抜本策をただいま政策審議会で
検討努力をいたしておりますので、その
内容につきましては、もうしばらく御猶予いただきたいと思っております。