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1968-05-10 第58回国会 参議院 決算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十日(金曜日)    午後一時十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 田村 賢作君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 岡  三郎君                 竹田 現照君                 黒柳  明君     委 員                 久保 勘一君                 黒木 利克君                 佐藤  隆君                 菅野 儀作君                 中村喜四郎君                 小野  明君                 大橋 和孝君                 大森 創造君                 沢田 政治君                 達田 龍彦君    国務大臣        運 輸 大 臣  中曽根康弘君    政府委員        警察庁刑事局長  内海  倫君        外務政務次官   藏内 修治君        外務大臣官房長  齋藤 鎭男君        外務大臣官房会        計課長      山崎 敏夫君        外務省経済協力        局長       上田 常光君        大蔵政務次官   二木 謙吾君        大蔵省主計局次        長        船後 正道君        大蔵省国際金融        局長       柏木 雄介君        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部大臣官房会        計課長      井内慶次郎君        厚生政務次官   谷垣 專一君        農林大臣官房経        理課長      田中 慶二君        食糧庁長官    大口 駿一君        林野庁長官    片山 正英君        通商産業省貿易        振興局長     原田  明君        中小企業庁次長  沖田  守君        運輸大臣官房会        計課長      山上 孝史君        運輸省自動車局        長        鈴木 珊吉君        郵政政務次官   高橋清一郎君        郵政省郵務局長  曾山 克巳君        郵政省経理局長  上原 一郎君        建設省河川局長  坂野 重信君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        大蔵大臣官房財        務調査官     宇佐美 勝君        厚生省社会局保        護課長      曾根田郁夫君        農林省農地局建        設部長      梶木 又三君        会計検査院事務        総局第一局長   斉藤  実君        会計検査院事務        総局第二局長   石川 達郎君        会計検査院事務        総局第四局長   鈴木 治久君        会計検査院事務        総局第五局長   小熊 孝次君        日本国有鉄道理        事        長瀬 恒雄君    参考人        日本住宅公団総        裁        林  敬三君        日本住宅公団理        事        稗田  治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十一年度特別会計歳入歳出決算昭和四十一年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十一  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和四十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は、前回に引き続き、締めくくり総括質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 達田龍彦

    達田龍彦君 時間が非常に短いわけでありますから、ごくかいつまんで、まず、前回の四十三年の三月十三日に、私が当委員会で取り上げました国有林野貸し付けの問題について、さらに質問をしておきたいと思うのであります。  まずお尋ねをしたいのは、当時の委員会状況によりますと、観光業者農地貸し付けた事実はないのか、あるのかという御質問を私はしたわけでありますけれども調査してみないとわからないという長官の御回答であったわけであります。その後調査の結果について、まずお伺いをしたいと思います。
  4. 片山正英

    政府委員片山正英君) 十三日のときにお答え申し上げた中で、観光業者に対する貸し付けの有無ということでございますが、調査いたしましたところ、観光業者に対して一件ございます。場所は高松市の屋島でございます。
  5. 達田龍彦

    達田龍彦君 この高松屋島観光業者貸し付けになっておりますけれども、私も資料をいただきました。その中で問題になるのは農耕用地でございますから、農業者以外に貸し付けることは、まず農地法のたてまえ上できない。法的たてまえがあるわけです。現実貸し付けを受けておるのは、屋島観光株式会社ですか、ドライブウェイ株式会社ですか、に貸し付けてあるわけでありまして、この貸し付けば現行の農地法上に照らして適法な貸し付けになっておるのかどうか。もちろん、道路に貸しておる面と、それから観光地として、観光環境をよくするために使われている面もあると思いますけれども、一体そういう面についてどういうふうな解釈をお持ちになっておるのか、お伺いをしておきたいと思うんです。
  6. 片山正英

    政府委員片山正英君) 御指摘屋島ドライブウェイ株式会社に対しまして貸付をいたしておりますが、一つは、農耕用としての御指摘のとおりの貸付一つは、道路敷としての貸付がございます。道路敷のほうにつきましては、自然公園法に基づきまして許可を受けた、そのことに対する貸付でございます。それからもう一つは、御指摘農耕用地に対してなぜ観光業者に貸しておるか、こういう御指摘でございます。それに対しましては、若干経過を述べさしていただきたいと思います。  御承知のように、昭和二十二年、いわゆる食糧の非常に不足しておる時代緊急開拓事業実施要領というものをつくりまして、地元屋島農業会の会員の方々開墾耕作用ということで貸し付けたのが始まりでございます。その後、昭和二十六年あるいは二十六、七年になりますと、食糧需給状況あるいは食糧事情が比較的緩和された段階になりまして、そこでつくっております農作物等につきまして、必ずしもそういう形が適当でないというようなことから、県と、あるいは専門家によりまするその土地利用というものが考えられたわけでございます。食糧事情関係につきましては成り立たないというようなことから放棄していくというような諸情勢の中で検討が加えられたわけでございまして、その際に、いわゆる特産物としてのオリーブ——これは自然公園の中でございますから、風致との関係から、そういうものを育成したらどうかということになりまして、昭和二十八年に特産物生産ということで、オリーブ植樹敷として貸し付けるに至ったわけでございます。しかしながら、オリーブとして貸し付け段階におきましては、非常に良好に見通しておったわけでございますが、オリーブの需要がなくなりまして、三十二年からまたオリーブ生産も放棄していくというような事態になったわけでございます。御参考までに、二十二年から二十八年までに、二十二年のときに四十二ベタタール貸しておったわけでございますが、だんだん放棄いたしまして、二十八年のときには三十四ヘクタールに減ったわけでございます。七・七ヘクタールほど放棄していったわけであります。さらに三十四年になりますと、それがさらに三十一ヘクタールに減少いたしました。三ヘクタール余をまた放棄していった、こういう諸情勢が中にあったわけでございます。たまたまそのときに——昭和三十四年になりますが、屋島ドライブウェイ株式会社公園事業として、先ほど申しましたドライブウェーの開設の認可を受けたわけでございます。その際に——翌々三十六年でございますが——際に、先ほど申しましたオリーブの敷地を放棄していっておるというような諸情勢の中で、その一部の人が、いわゆる共同借り受け人の一人が会社との話によりまして——共同借り受け人の同意のもとに会社がそのオリーブをつくるということに変わったわけでございます。そのようなことで会社が現在オリーブのやつをやっておる。したがいまして、会社に譲り渡す当時におきましては非常に放置されたような植樹敷が多々あった、その一部を会社が借りたということでございますので、これは農地法違反というふうにはわれわれは解釈をしておらない次第でございます。
  7. 達田龍彦

    達田龍彦君 いまの説明で私はどうしても納得いきません。これは地元ではたいへん問題になった貸し付け内容ですよ。ここの社長大久保さんというのは、これは聞くところによると高知の前の県会議員の方だと承っています。これには政財界が一緒になってこの屋島観光開発をしたときに非常に疑いを持たれた開発経過を持っているために、地元ではたいへんこれは問題になっておるのです。そこで、いまそういう解釈をおとりになっておりますけれども、この貸し付け目的農耕用地として貸し付けられているわけでしょう、どうですか。
  8. 片山正英

    政府委員片山正英君) 御指摘のとおり農耕用として貸し付けておるわけでございます。
  9. 達田龍彦

    達田龍彦君 農耕用として貸し付けられておるならば、今日の農地法のたてまえからいくと、農業者以外には貸してはならぬはずです。どうですか、その点は。
  10. 片山正英

    政府委員片山正英君) その土地が耕作されて農地としてある場合には、御指摘のように農業者以外には貸してはいけないというふうにわれわれも理解しておるわけでございますが、それが未墾地あるいは放置された状態のものを貸して、貸したあとにおいてそういう農耕用に使われるということは違反ではない、このように思っております。
  11. 達田龍彦

    達田龍彦君 ですから、この経過から見ても、また地元の実情からも、私が調べた調査内容によっても、しかも今日使われているのも農耕用地として使われている。農耕用地として使われている限り、農地法上のたてまえからいったら、観光業者に貸すことはできないんですよ。それをいま林野庁のほうでは、農耕用地になってない状態であったから違法ではない、こういう解釈をおとりになっておりますけれども、これは事実と反しますよ。その点どういう御調査をされましたか、お尋ねをします。
  12. 片山正英

    政府委員片山正英君) 私も、古い時代でございますので、現状におきまして調査いたしましたところ、その借りておる林地約四ヘクタールでございますが、そこに植わっておりまするミカンあるいはオリーブ、大体ミカン中心でございますが、それはおおむね七、八年生程度のものが大半を占めておるということでございます。したがいまして、借り受けましたあとでそういうものが植えられたというふうに見られるような次第でございます。したがいまして、先ほど申しましたような解釈をとっております。   〔委員長退席理事岡三郎君着席〕
  13. 達田龍彦

    達田龍彦君 そういう見方をしたということですけれども、これは貸してしまったものだから、そういう見方をして逃げる以外手はないのですよ。現地はそういうものではないということを私に報告をしてきています。あなたのほうの機関ではないけれども現地ではそういうことが言われており、現実にこれが農耕用としてオリーブだとかミカンの栽培がされておるわけでありますし、それからそれ以前の地形状況、地理的な状況、周囲の環境から考えても、これは明らかに農耕用として存在したものに対して、観光業者観光開発のためにこれを借り受けた、こういうことは私は当然であるというふうに理解をするのです。現地の私の調査した範囲でも、そういうことがあがってきておるのでありますが、ただ貸し付け目的が、いま申し上げたように、すでに貸してしまっておるものだから、農林省としてはそれを合理化するために、合法化するために、そういうような解釈をとられている、きわめて私は遺憾だと思うのでありますけれども、その点あいまいな調査になっているのです。あなたのほうの調査は、多分そうではないかというような御判断であります。これは私はそういう意味では国会として納得するわけにいきません。もう一回そこら辺の調査をいただいて、そうしてしかるべき措置をいただきたいと思いますが、どうですか。
  14. 片山正英

    政府委員片山正英君) 御指摘の点、われわれとしましても、現在の調査では確かにミカンの七、八年生というふうに承知いたしておるわけでございますが、御指摘の点については、なおわれわれもさらに、昔のことでございますので調査をいたしてみたいと思っております。
  15. 達田龍彦

    達田龍彦君 ではそれはそういうことにしまして、そこで、今日貸し付けられている総件数の中で、あなたのほうの実態調査の結果、約千五百八十三件というものが改善され、または改善しなければならない総件数になっておるようであります。これはある意味では粗放利用であり、未利用であり、目的外利用であり、その他ということになっておるわけでありますけれども、この問題は、粗放利用あるいは未利用のものに対する改善がなされておりますけれども、私は、一応監査をされ、実態調査をされたからある程度改善をされたのであります。しかし、今日のこの貸し付けられている農地状況考えてまいりますと、そのままにしておきますと、また粗放利用になり未利用になることは必然的な私は内容を持っていると思うのであります。なぜならば、それは兼業農家であり、あるいは内容によってはサラリーマン商店街の人が、農業よりもその収入にたよって農業を兼業的にやっているという状態が多いわけでありますから、そういう意味では生産性の高い農地農耕用地として利用することはきわめて困難な、主体的な条件を私は持っていると思うのであります。したがって、今回林野庁改善を迫ったために改善をされただけであって、将来ともにこれが効率的な農耕地としての利用が保証できるかというと、私は保証するべき主体的な条件はないと思っているのであります。そういう意味でこれをほんとうに農耕用地として生産性の高い、経済効果のあがる農耕用地として使うための施策をひとつ考えていかなければならぬと思います。その点について、どうお考えになっておりますか。
  16. 片山正英

    政府委員片山正英君) 御指摘のように粗放利用、未利用というのが大半でございますが、それらにつきましては、過日も御答弁申し上げたように、大半につきましてはその改善はなされてきておるわけでございます。しかし御指摘のものは、その改善された中でさらにそういうことが起こるのではないかという御指摘だと思います。改善内容としましては、大半——大半と申しますか、過半が解約をいたしたわけでございます。残りが目的どおりのものにお使いなさいということで再度貸付をいたしておるわけでございますが、その目的どおりお使いなさいと言っているその土地が、さらに粗放になるのではないか、こういうことでございます。われわれといたしましても、土地の高度的の利用ということについては、つとめてそれをはからなければならないということになりますので、貸付をしたからといって、そのままにして置くことでなしに、われわれはその管理指導というものは今後十分つとめてまいりたいと思います。その中で未利用あるいは粗放利用ということに相変わらずなるような事情でございましたら、借り受け者と十分相談の上やはり返地してもらう、あるいはやはり基本的にそれを開墾あるいは高度利用するように御相談を申し上げまして、その中でできるものはやっていただくというふうに、つとめて指導しながらそれを善処してまいりたい、現在かように考えております。
  17. 達田龍彦

    達田龍彦君 私はいまの御回答、どうも実は納得いかないのであります。なぜならばこの粗放利用になり未利用になる地帯は、兼業農家中心であるために、これがそういう結果を生んでいるのであります。それは農業生産において生計を立てようという人じゃないわけですから、どうしても高度利用ということはしないという階層なんであります。したがって、これをそのままにすることは、私は高度利用の面からいっても適当ではないんじゃないかという気がいたします。したがって、改善をし、指摘をしてみても、そういう主体的な条件兼業農家人たちが持っているわけでありますから、もう少し根本的な、いわゆるこういう貸し付けされた耕作用地高度利用できるような根本的な対策を持つべきじゃないか、こう思いますが、どうですか。
  18. 片山正英

    政府委員片山正英君) 確かに土地高度利用ということにはわれわれも注意しておるわけでございますが、ただ自作農的のいわゆる農業だけで生計を立てているというのは二〇%程度しかないわけでございます。やはり兼業なり、そういう形で行なわれているのが大半であろうかと思います。したがいまして、そういうような意味でわれわれは貸付しておる土地が全部自作農的に、それだけでというわけにはいきません。したがいまして、兼業者に対してもそういう意味で貸しているわけでございます。そこで、兼業者がその土地をやはり有効に利用していただくことは、兼業者の所得の増大にもなりますし、また、いろいろな食糧自給という意味で、不足している食糧を緩和するという意味も大いにあずかって力があるというふうに思うわけでございます。したがいまして、そのような意味で合理的に利用されているという限りにおいては、やはりそれは維持してやるべきじゃないだろうか。しかし御指摘のように、非常に粗放であるという、おかしいという段階におきましては、その土地利用をどうするかということはあらためて検討いたしたいと思います。ただ非常にばらばらの小さな土地でございますので、それを解約してわれわれのほうになった場合でも、これが林地として適当であるかどうか、あらためて検討の中でそれを判断してまいりたい、かように思う次第であります。
  19. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、いま長官のほうで検討もしたい、そういうことでありますけれども、先ほども申し上げたように、兼業農家方々が非常に多い、しかも、その土地高度利用ができないような地形にある、そういう状況もございますので、やはりどうしても粗放になる、未利用になるような主体的な条件があるわけですから、ひとつ根本的にこの問題については御検討をいただいて、土地高度利用の面から再検討いただきたいと思います。  さらにもう一つは、この前私も指摘しておったのでありますけれども、いま林野庁では兼業農家だ、こう言っております。サラリーマン商店街の者が借りているものがあるのです。実際に収入大半は、サラリーマンやあるいは商店収入でもって生計を立てておりながら、一部農地を借りて野菜や菜園をしておる、こういう状態の者があるのであります。そういうものを兼業農家として貸し付けの対象にされておりますけれども、この兼業農家という今日の状態から考えてまいりまして、そういう人たちは、先ほど指摘したように、どうしても農業専業としないわけですから、本格的な高度利用ということはできないわけです。今日、さらに都市周辺における兼業家増大農業専業家よりも兼業家増大するという今日の状況等考え、さらに農業政策の根本から考えてみても、兼業農家の取り扱いに対してはやはり一つの方針を持って、貸し付けの問題についても対処しなければならぬ時期にあるのではないかという気がしてなりません。これはもう一つは、悪くこれを解釈しますと、特に都市周辺にあるのは将来の土地の値上がりを期待をして借りて、払い下げをしてもらって利益を生むということも、潜在的に起こり得る可能性が十分あるのであります。もちろん時価相場で譲るといっても、商業ベースでやられる場合と国が払い下げる場合とでは、やはり相場において違いがあるのでありますから、そういう点を十分考え対策措置というものを検討していただきたい、こういうふうに考えます。  それからもう一つ目的外使用というのが二百六件、そのうち百二十四件というのは、たとえば畑を田にした、こういう形になっておりますけれども、この目的外使用についても、私は十分監督指導を強化をしていかないと、目的外使用が将来にわたっていろいろ問題を起こす一審重要な問題点をはらんでいるのではないかというふうな考えをいたします。したがって、そういう点についてもさらに監督指導を強化してもらいたいと思いますが、この三十五件の今後改善を要する件数というのは、一体どういう内容でございますか、目的外使用のところの。
  20. 片山正英

    政府委員片山正英君) 御指摘の三十五件のまだ未改善の問題、われわれの現在調査しておりますのは、農業用の細目の変更、いわゆる田が畑にとか、そういうものが二十一件、それから建物敷というふうになっているのが六件、それから植樹敷となっておりますのが八件、その合計で一二十五件。大体以上のようなものであります。
  21. 岡三郎

    理事岡三郎君) それでは林野庁のほうはけっこうだそうです。  郵政関係のほう……。
  22. 達田龍彦

    達田龍彦君 この簡易書簡の問題について、前回委員会で私は取り上げまして、その中で残された問題が数点ございます。あらためてこの委員会でただしておきたいと思うのであります。実は郵政大臣おいでいただかなければ解決しない問題がございます。それは委員会において郵政大臣が言明されている内容に関連する問題があるからであります。したがって、政務次官おいででございますけれども大臣おいでになったところで大臣にあらためてお伺いするということにしまして、とりあえず二、三の問題について、次官並びに関係局長お尋ねをしておきたいと思うのであります。  この前取り上げました結果、大臣の話によりますと、廃棄を含めて処分の問題を考えたいということを言っているのですが、その後郵政省としてこれに対する対策をどういうふうにお持ちになったのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  23. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 省といたしましては、御指摘を受けまして、確かに郵便書簡の売りさばきにつきましての努力が足らないという事実を認めまして、私どもといたしましては、さらに一般利用者へこれを周知するという手を打ったわけでございます。その具体的な手といたしましては、まず利用者への周知策といたしまして、郵便局窓口現品を提示いたしまして、郵便書簡——ミニレターと申しておりますが、その何たるやを御存じない方々が多数おりますので、現品を展示いたしまして周知をはかりました。さらに利用勧奨文をつくりまして、これをあちらこちらに提示するということもいたしました。同時に、ポスター、ビラ等を作成いたしまして、あるいは電車の車内刷りにこれを利用するとか、いろいろな方策を立てた、かつまた実施した次第でございます。さらに部内におきまして、私ども自身が十分これを承知し、また使うことが先決であると考えまして、必ず郵便局窓口あるいは郵便切手類売りさばき所にこれを備えつけさせるようにいたしました。同時に、部内者もできるだけ郵便物利用する際に、この便利なミニレターを使うようにという指導をいたしたわけでございます。次に、これが当時御指摘ありましたように、一般の十五円の郵便切手を食っては意味がございませんので、新しい需要源を開拓するという方途を立てたわけでございます。たとえて申し上げますと、旅行用に非常に便利なミニレターでございますので、旅館とかホテル、あるいは修学旅行の生徒たちにこれを携行してもらうような方策も考えました。同時に、他郷へ働きに出ております、あるいは勉強に出ております労務者その他学生等に対しまして、親元へたよりを送るというような場合に、きわめて簡便なミニレターを使ったらどうかという呼びかけもいたしました。また、雇用者に対しましても、それぞれ雇用しております従業員にこのミニレター利用しまして、それぞれ親元へ連絡をする、いろいろな方面に使うようにという普及の勧奨をいたしております。その他冠婚葬祭の贈答用にこれを使ったらどう、だろうかというようなことも周知いたしました。さらには、大口の利用者方々を開拓いたしまして印刷の便宜をはかってあげるとかいうようなこともいたしております。  大体以上申し上げましたような周知策をもって目下販売につとめておるところでございます。
  24. 達田龍彦

    達田龍彦君 これは大臣がいなければ困るのですがね。実は当時の委員会では大臣は、これはもう廃棄したほうがいいのではないかという意味の御発言があったわけであります。ところが、委員会が終わりました直後に、新聞記者の皆さんに対して、これは廃棄するということを正式に言明をされている。その後翌日の省議か何かで、もう一回ひとつこれは練り直して、できれば周知宣伝をはかってこれを売ろうじゃないか、こういう方向が出たやに聞いておるのであります。私は、大臣がいらっしゃらないので、実は大臣にその真意をただしたいのでありますけれども、国会の場において表明できないようなものを、直ちにその場で報道関係の皆さんに、郵政省の方針と思われるようなことを発表し、翌日はそれを取り消すというような大臣の軽率な行動は、まことにもって私はけしからぬと実は思っておるのであります。この点、大臣の郵政事業に対する熱意と姿勢というものにたいへん私は疑問を持ちます。どういう信念でもって、どういう熱意でもって郵政事業を運用しようとお考えになっておるのか、非常にこれに対して私は不満と、いま申し上げたようにこの信念に対する憤りを感ずるのであります。この点は大臣がおられないので実は弱っておるのでありますけれども、ここら辺の、どういう考えでこういうことをおやりになったのか、どうなんですか。これは次官に言ったって、あなたが言ったわけではないので実は弱っているわけですが、どうなんですか。大臣がいなければ困るのですが。
  25. 岡三郎

    理事岡三郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  26. 岡三郎

    理事岡三郎君) 速記つけて。
  27. 高橋清一郎

    政府委員高橋清一郎君) この前の場面で、いま達田委員からお述べになりましたような事情があったということについては承知いたしております。ただ、省議等におきまして、むしろ遠田委員については非常に私どもといたしましても感謝の念にたえないところがございます。この場でそうしたとうとい場をお持ちいただいたということが動機になりまして、このミニレターというものの啓発の場が出てまいりました。非常な勢いでございます。大臣も決して、正直に申し上げまして、せっかくの心組みでとりました営みが、ある程度の期間がたっても売りさばきが一向にうまくいかないということでもって全部廃棄しようなんという気持ちは実はごうまつもないのであります。ただそれぞれ省議等におきまして、特にある場面でありましたが、あのミニレターの点については売れ行きどうだろうというようなことから話が出てまいりまして、それほどの滞貨がもたらされたということはえらいことだ、どうするかというような、正直申し上げまして、いろいろ検討の場が出てまいりました。いまお話し申し上げましたような、郵務局長が述べたような内容で具体的な積極策をとろう——もちろん動機はあなたがお与えいただいた。それが即新聞報道に出たわけでございますけれども、当委員会におきまする大臣の真意と、新聞記者会見に出てまいりましてそれが翌日報道せられた内容をつぶさに——どの新聞を取り上げてお話のその場が持たれたかわかりませんけれども、真意は決して、ただいま達田委員がお話しになりましたような、当委員会を軽視するというようなそういう内容を実は持ってないのであります。それを私は承知いたしております。ただ、この決算委員会にこうした場が出て、さあ具体的にどうするかということが、二回にわたって省議のこれが検討の場が出てまいりました。反面解釈さしていただきまするならば、郵政大臣はこのミニレターの処置の問題については非常な積極さがある。ひいては郵便物のこうした面について、あれこれの御契約に基づきまして一生懸命かかろうという気がまえにつきましては、決してこれは歴代大臣に劣るものではないと私は承知いたしておりますような次第でございます。正直申し上げまして、津田委員がこの場でミニレターの問題をお取り上げいただいたおかげで、実績はその日から倍の売れ行きを示したような次第でございます。この分でまいりますと、三年間で滞貨を処理するどころか、全部売り切れになるだろうという見込みをつけておる次第でございます。正直申し上げます。
  28. 達田龍彦

    達田龍彦君 私はそれはたいへんに迷惑だと思うんです。実は新聞に載っておりましたよ。郵政省出身だから新聞に取り上げてもらったんじゃないか、だから売れ行きがよくなったんだと。実は私迷惑しているんです。でありますから、私はいずれにしても、いま次官おっしゃられましたように、これが売れ行きが伸びているということは、裏を返せば、いままでの努力がたいへんに足らなかったということを裏づけているんですよ。これは私は十分反省してもらわなければならぬと思う。したがいまして、大臣がいままでおとりになった姿勢というのは、これは逆に言うならば、いま申し上げたように、大臣みずからがこれに対する努力が足りなかったことを裏づけている。であるならば、何であの場合にこれは廃棄したほうがいいと思うと。私は初めからこれはおかしいと思っていたんだと議事録に書いてあるんです。そう言いながら、委員会が終わったとたんに、廃棄をします、こういうことを報道機関の皆さんにこれは公式に発表されておる。きわめて大臣として軽率であり、国会、特に当委員会を軽視したそしりは免れないだろうと私は思います。そういう意味で、次官に反省を求めるわけではありませんけれども大臣に十分反省を求めなければならぬと思うのです。ひとつ十分その意図を大臣にもお話をいただいて反省をいただきたいと思うのであります。  そこで、最後に一つだけお尋ねをしておきたいと思うのでありますけれども、この委員会で私が御指摘をしたことは、物品の無償貸付及び譲与等に関する法律の解釈をめぐって解釈論議をひとつ提起をしておきます。それは、こういう郵便はがきだとか郵便切手をこの物品の無償貸付及び譲与等に関する法律でもって適用をして、これを宣伝周知用にただで配るということは、あまりにも便法過ぎるのではないか、この法律の精神からいって精神をはずしておるものではないかということを私は指摘をいたしました。しかも単なる宣伝用ではなくて、これは物品というよりも、郵政省のはがきや郵便切手というものは商品である。したがって商品を物品だと称して無償貸付及び譲与するということは、法律の便法的解釈をあまりにもし過ぎておるのではないか、こういう提起をいたしておきました。その後、会計検査院からも、私の要請に基づいてこの法律に対する見解が述べられておるのであります。法律の見解によりますと、一応今回の問題については、この法律によって譲渡することは可能であるという判断が示されておるのであります。私はこの解釈に対しては、今回の簡易書簡の発想、いわゆるこの問題の起きた発想から考えてもきわめて便法的であり、不法とは言えないにしても不当ではないかという気がしてなりません。そこで、さらに一歩進んで考えたいのは、もしかりに法規上この解釈が成り立つとするならば、いまの状態でいきますと郵政省考え方は、国鉄等が国鉄の無料パス等を発行するにあたっても制限なしに発行できるという法のたてまえになってしまうのであって、これはまことにもってけしからぬと思います。郵政省の今回の簡易書簡の場合についても、年間七百五十万から八百万程度の売り上げに対して、年賀のいわゆるお年玉としての賞品として三百万ですか、それから青少年に対して愛のはがき運動というんですか、それで百五十万、約四百五十万というものが無償配布されておる、無償譲渡されておる。そうなってまいりますと、年間の売り上げの半分以上のものを無償譲渡するということが法のたてまえ上できるということは、きわめて私は便法であり不当であると思うのであります。そういう面が、しかも今回の場合については、見込み違いと郵政省は言っておりますけれども、見込み違いによって十倍ないしは十一、二倍の発行を今回したわけでありますから、そういう状態の中でこれの消化の方法としていわゆる無償配布をされたというような疑いが非常に濃い状態の中でこれが便法的に使われたとするならば、私はどうしてもこれは納得がいきません。そこで、これに対して一体、配布するにしても譲渡するにしても、一つのワクをきめるべきではないかと思うのであります。そこで、これに対して一体会計検査院はどういう運用といいますか、法上の運用をお考えになっているのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  29. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 法規上の解釈につきましては、これらはまあ販売を目的として作製されたものでございますけれども、その一部を普及または宣伝の用に供するというようなことは可能である、かような解釈をいたしておるわけであります。しかしながら、ただいま先生御指摘のように、これらは本来、ただいまも申し述べましたように、販売を目的としているものでございます。したがいまして、宣伝あるいは普及に用います部数なりあるいは配布先というものにつきまして、おのずからそこに制限はあろうかと考えます。まあこの郵便書簡の問題につきましても、大きく言えば郵政事業の収益にもいろいろ関係することではございまするし、まあ法律の乱用にならないように、他の事例等を、各省庁にわたりましていろいろな実例等もありましょうから、それらの実例等も検討いたしまして今後の対策について考えてみたいと思っております。
  30. 達田龍彦

    達田龍彦君 郵政省はどうですか、いまのことに対して。
  31. 上原一郎

    政府委員(上原一郎君) 御指摘の趣旨を体しまして、関係の方面とそれぞれ協議をいたしまして基準を立てていきたいと、こういうふうに存じております。
  32. 達田龍彦

    達田龍彦君 では時間がないので最後に次官にお尋ねをしておきます。これは大臣が最後まで来なかったことをたいへん私は残念に思います。  そこで、次官にお尋ねをしますけれども、一体これの責任はだれがとるのですか。責任はどこにあってだれがとるのですか、一体。
  33. 高橋清一郎

    政府委員高橋清一郎君) いまのお質問でございますけれども、少なくともミニレターに関する限りは、先ほど私自身が申し述べましたように、三年程度ございますれば何とかなりそうですと、私もはっきり申し上げました。そうした見通しが立っておりまする内容のものでございますだけに、いまお問いでございました責任はだれがとるかというようなことにつきまして、はっきりこの場で御明答申し上げることはできません。しばらく過程を見まして、その場においてあらためて検討すべき内容のものと思います。
  34. 達田龍彦

    達田龍彦君 それが私にはたいへん手ぬるいと思います。現実にこの計画は一年計画の中で消化することを考えておられるわけで、それがこんなふうに残っておるわけでありますから、当然私はその責任の所在を明確にすべきだと思います。そういうことをしなければ、将来こういう怠慢な、ずさんな計画が乗せられ、そうして事業にこういう迷惑をかけていく結果になるのであります。でありますから、私はいまの回答では満足をいたしません。ぜひ前向きで問題は解決しなきゃならぬ問題でございますから、ぜひ所在をはっきりして、そうしてき然たる態度をとってもらいたいということを強く要望をして、私の質問を終わりたいと思います。
  35. 岡三郎

    理事岡三郎君) では郵政関係終わって……。  速記ちょっととめて。   〔速記中止〕
  36. 岡三郎

    理事岡三郎君) それでは速記をつけて。
  37. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 まだ中小企業のほうがおそろいでないようでありますから、先に私は木津川の問題について一、二伺いたいと思います。何でも持ち時間が少ないようでありますから、ごく簡単に聞かしていただきますから、明確にお返事をいただきたいと思います。  実は、木津川の上のほうに高山ダムというものがこしらえられたわけでありまして、そこからは何でも大阪の堺の方面にかなり大量の用水が引かれておる。同時に、その用水のために、その高山ダム以下の河川においては非常にその水の流れる量が減りまして——もっともそれにはいままでの間、その川底の砂利採取が相当強く行なわれておりますために、その河床が非常に下がっておる。それがためにその周囲の農家に対する用水、水の量が、いままでは用水としての引き込み口から水がどんどん取れたのが取れなくなってきた。だからして、その付近の人は、その砂利採取のためにそうなったというので、砂利業者から補償を受けて、そうしてそれでポンプアップをしておるというような現況のようであります。そういうふうなことでポンプアップをいたしましても、なかなかその経費の問題も高くつくし、同時にまた非常にその水が少なくなって困っておる。最近にはその農業の用水路を新設するような計画も立てられて、実はことしぐらいからそれを発足するというふうな形に聞いておるわけでありますが、その問題につきまして、非常に地元負担が多い。特にそういうことになった地元人たちの感情というものは、むしろそうした砂利採取、あるいはまたその高山ダムを建設されて後のそうした運用の面において、そうしたことの弊害が起こってきたものであって、ことに、いままでの状態からいえば、そのポンプアップするのも、砂利業者がそうした川底の低下のためにそうなったのだということを認めながら、その砂利業者でもってそういう補償をしておるわけであります。ところが、国のほうでは何かそれは当然ほかのほうの理由だということでもってこれを認めないで、むしろ、そういう用水路をつくるためにも相当過重な地元負担をしいておる。地元の人にしてみれば、一方ではちゃんと営業をやっておる砂利業者すら補償を認めて、それが原因だといっているにもかかわらず、国のほうではそういうことに一切耳を傾けないで、そうして補償というようなことは何も考えていないというようなことはけしからぬではないかというのが、素朴な感情のようであります。その後、いろいろ話を聞いてみると、また、いろいろな問題はあるかもしれないけれども、こういう問題に対しては、これは素朴な感情を十分にPRするだけのこれは国に責任があろうし、あるいはまた業者ですらその弊害を認めて補償しておるにかかわらず、国のほうがそういうことに対して一顧も考えていないというのは一体どういうことか、そういうふうなことは私自身にもふに落ちないわけであります。その間の事情を一ぺんよく説明してもらいたい。
  38. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) お答えいたします。  高山ダムにつきましては、先生仰せのとおり、いま水資源公団で事業を進めておりまして、目的は洪水調節、それから利水のほうでは都市用水、発電というものがございますが、利水の中に、先生御承知のように、かんがい用水の補給を実はダムで考えておるわけでございまして、木津川沿線の二千三百ヘクタールの農地に対しまして、渇水期にかんがいの補給をしようということで、ダムの容量の中で相当それに対する貯水容量を見ておるわけでございます。四百七十万立方メートルでございます。それだけのかんがいの補給を容量として見ておるわけでございますので、そういう観点からいたしますというと、そういった渇水時の木津川沿線のかんがいに対する用水量はむしろ従来よりもふえてくる、ダムをつくったために従来より平均して——平均といいますか、その時期時期によって、あるいは雨の降り方によって非常にふえたり減ったりしたやつが、ダムをつくったために平均してかんがい期に水を流すことができるために、かんがい期における渇水時にはかなり有効に働くのではないかということで考えております。したがいまして、高山ダムそのものの影響が下流に対して水不足を及ぼすということは私どもはないものと考えております。  それから、先生の御指摘の木津川の河床低下の問題であります。これは私どももよくその辺の問題は存じております。従来からいろいろ問題になっておるわけでございますが、河床低下の原因といたしまして、いろいろ原因がございまして、これは全国的にいまそういう種類の河川が非常に多うございまして、その中にはもちろん砂利の採取に基因するものもございますし、気象的な条件等もございます。それからいろいろまた、確かに上流にダムをつくったり、砂防施設をつくったりすることの影響等も若干あるのではないかということでございますけれども、その中でどれだけがどういう原因によって起きたのだということは、なかなか量的につかみにくいものですから、私どもとしては、できるだけそういう河床の低下の実態をまず全国的に実は調査しておりまして、木津川につきましても、かねてそういった調査をやってまいりまして、そういう河床低下の傾向を踏んまえて、その河川の河道計画はいかにあるべきかということを実は検討を重ねておるわけであります。たまたま、木津川につきましても、河床低下も相当量あるということも私どもわかっておりまして、河川改修の面からできるだけ、そういった河床が下がっても川そのものが非常に危険のないようなことをするのが護岸だというふうに考えております。農林省のほうでお聞きするところによりますと、先生がおっしゃいましたように、農林省でひとつ頭首工を上流のほうに移して、用水路をつくってもっていこうというようなことで、それに対して農民の負担がかなり出ておるということは、私ども十分承知いたしておりまして、実はこの問題につきましては、農林省ともかねがね打ち合わせいたしておりまして、建設省側といたしましては、実際の河川の改修の計画が一定の区間ございまして、その中で水をお取りになるんでしたら、何といいますか、河床低下をこれ以上下げちゃいかぬという、そういう低下防止対策の一環あるいは河道計画というような、そういう河川改修工事の一環としての経費を出せるものですから、そういうようなことでひとつ両方で話をしたら何かうまくいかないかということで、ずいぶん連絡したわけでございますが、農林省農林省で、そういった取水のほうの今度は効率の問題がございます。そういうことで現在のところは、まあ改修計画を離れた上流のほうで取水するということになっておりますので、そうなってまいりますと、なかなか事務的にちょっとこれは河川改修費を振り向けるということは、現段階では非常にむずかしい問題でございます。そういうことでなかなか踏み切りがつかぬわけでございますけれども、なお農林省等ともさらに連絡いたしまして、できるだけの対策検討していきたいと考えております。
  39. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いま、どういう原因でそういうことが影響しているかわからないというようなこと、それはなかなかっかみにくいかもしれません。しかし、実際問題としては、あの高山ダムができるまではそうじゃなかったわけです。ところが、高山ダムというものができたころから、あの辺の河床が下がるのも顕著になったし、それからいま言った砂利採取も一つの原因であったかもしれない。それからまたもう一つは、先ほど申さなかったけれども、加茂とかの両岸では井戸水が出ない、いままではあれは井戸水でやられておって簡易水道もできていないところである。ですから今度は遠方からもらい水をして生活をしなければならないという状態になってきた。こういうところまできておるとすれば、もっぱらそこの流量——水の流れる量が少なくなったということと河床の下がったということが、井戸にも影響するし、同時に取り入れ口から水が入らないという状態になってきた。これは河川の側から見て、もう少し適当なところでせきどめをして、そうしてある程度の水を流して、あなたがおっしゃったように、五百トンというんですか、かんがい用の水が保留してあるわけですから、それをうまく調節をして少しずつ渇水時といえども流すように、あるいはまた都市の用水に持っていく水を調節をするとかして、そうして何とか水の流れるようにすれば、その井戸に対する害もあれだろうし、あるいはまた、ある一定のところでせきどめすれば——取り入れ口の近くでせきどめ五カ所なり七カ所やれば自然に取り口もできるだろう。そういうふうにして改修をしていくほうが——建設省たって当然やる義務があるのではないかと思うのですが、それはどこにできない点があるのか。もっともそれをやるためには非常に金がかかるかもしれないし、その後のそうしたあれをするのにはかかるかもしれない。それは私しろうとだからよくわかりませんけれども、そういうことなんかももう少し検討して、できるだけいままであった川の状態にマイナスをつけないような方法は考えられないものかどうか、その点ひとつ詳しく説明してもらいたい。
  40. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 先ほどお答えいたしましたように、まあ河川の改修費なり河川の事業費から回すためには、いろいろ限界がございまして、先生の御指摘のように、確かに河床が下がっている、これ以上下がっちゃ困るという今度は河川の維持管理の関係がございます。もちろんその中には用水の問題等含めた広い意味の維持管理でございます。そういう立場から河川のほうとしては、そういうような床どめをつくったほうがいいか悪いかということも検討いたしておるわけでございますが、その際に農業のほうの施設とあわせてやるということが理想的だと思いまして、ですから私ども考え方でいけば、何かそういうぐあいに、改修の区域内に何カ所かそういう床どめというようなものをつくりまして、それを利用して用水に兼用するというようなことならば、相当に私どもとしてもつき合いができるんじゃないかということで検討いたしておりますけれども農林省のほうの立場もございますし、農林省としては、できるだけ上流のほうに一挙に一カ所という立場があると思いますので、その辺のことは調整が残っておりまして、私たちとしては、そういうことで今後河川の改修というのが、河川の管理の立場からひとつ検討を進めていきたいというぐあいに考えております。これは建設省だけの問題でもございませんので、ひとつ今後とも農林省等とも打ち合わせをしながら、具体的な対策検討していきたいというぐあいに考えております。
  41. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 ことに建設省の側では、いま検討してもらうという返事でありまして、私もぜひひとつそれを検討してもらいたい。特に河床がもっと下がらないように、それを維持管理する、特に必要なことだろうと思いますけれども、どうかひとつ住民負担にならないように、もっと河川を管理する上で整備することによって、いままでのようなぐあいに取り入れ口からできるようなものであったら、ひとつ配慮してもらいたい。  それから農林省のほう、来ておられると思うのですが、農林省のほうでは、用水路を建設するということを考えておられるようですが、これはほかのほうのいろいろの用水路の問題は、あるいは農業改善事業の一環としては非常に広く行なわれていることであるし、やられたあとはいい場合もあるだろうと思うのですが、その話を聞きますと、取り入れて用水路をつくるのにも、実は四十五億ですか、何かばく大な費用がかかっておる。もっともその中の六割ぐらいは国に負担してもらえるということらしいですから、二割ぐらいしか地元負担がないという話でありますが、二割しかないといっても、農家のほうは自分の田んぼに水が入らなければいかぬわけですから、そこまで割って入ってくるというところまで考えると、非常に負担が重くなる、おもな水路をやってもらうときには、そういう国からの負担も大きいかもしれませんが、自分の一反のところへ水を引く段階になるまでそれをやっていこうと思うと、これはまたいろいろな段階を経て、その施設をしなければならぬ、いままでのものもあったかもしれないけれども、いままでのものは使えないということになれば、非常に反当たりの負担額が多いようですが、ちょっと私もわからなかったから、調べてみましたけれども農林省のほうで計算されると、そのおもだったものをつくるためには、わずか一年間に二千五百円か何ぼぐらいの負担量だと言われておりますけれども、実際本人のほうで聞いてみれば、反当たり二千五百円でなくして、五万円ぐらいの負担になると言うのです。どうも話が合わぬからと思って調べてみると、そういうふうななにで、こまかしく自分の田んぼまで引くためには、また府の段階なり、また農業組合の段階で、そういうものを負担していかなければならないという形でありますから、どんどん負担額はふえてくるわけであります。われわれが農林省のほうで話を聞けば、何ですか、何年かに分けてやれば、年間に二千五百円じゃないか、いまお米何俵とったから、割合にしたら、これだけじゃないですか、こういう話を聞いて、私はなるほどなと思って頭をかしげたのでありますが、どうも話が合わぬので調べてみると、そういうことになっている。私は農林省のそうした態度自身がけしからぬなと思うのですよ。いまの農林省のほうでは、農林白書の中にいっておられるように、農業の非常に苦しい状態はわかっているにもかかわらず、そういうような事柄で軽く処理しているということなんかは、私は非常に情けというか、思いやりの心がなさ過ぎるというような感じを持ったのであります。そういう観点から、用水路を引くにしても、あなたのほうでは一体、先ほどお話しになっておりましたように、建設省のほうで河川のほうを維持するための考え方から、そういうことでいままでに復されるようなことになるならば、そのほうがいいじゃないかと私は思いますが、あなたのほうでは、農林省の立場から見て、こういう状態、この木津川の流域の水を確保する問題を含めて、どうしたら一番いいと思われるのか。どうしてもその用水路にしたほうがいいと思われるのかどうか。こういうような点の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  42. 梶木又三

    説明員(梶木又三君) 先ほど建設省のほうからもお話がございましたが、現在木津川の水量そのものが絶対的に不足しておりまして、今度水資源でこしらえられますダムからもらうと、こういうことでございますので、新しい水が加わる。それで、いままで、御承知のことと思いますが、もう何カ所——百カ所以上の場所でポンプその他で揚げておったわけでございますが、維持管理等に相当な金を出しておる。なるほど、取水の計画という問題もございますが、維持管理に相当金を食っておるということで、今度新しくもらいますダムの水も加えまして、水の有効利用ということをはかるために、どうしても一カ所でもって完全取水いたしまして、無駄な水がないようにということで、上流のほうにせきを設けまして、一カ所で取水する、それで維持管理の節減をはかっていきたい、こういうことでございます。  それから、負担の問題が出ましたが、先生御指摘の五万円何がしというのは、絶対額に対する、総事業費に対する農民の負担だと思うのでございます。それを、金利も加えまして、十五年償還ということにいたしますと、国営分では、ただいまの計画では二千百円、それから先ほど御指摘のございました、末端の水田まで持っていく、個々の農民の水田まで持っていくのは、団体事業まで加えまして、われわれの計算では年々三千三百五十円、こういうことになっております。どういう御説明が先生のほうにあったか存じませんが、一応いまの計画書はこのようになっております。
  43. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 時間がないから、もうちょっといろいろなことでお尋ねしていきたいと思いますが、要約しておきます。  ですから、先ほどからお話ししたように、農民の側に立ってみれば、負担も困る。いまおっしゃったその三千三百円というのですが、そんなことじゃないようですね。まあそこのところはよくわかりません。もう少し私のほうも調べてみようと思いますが、いずれにしても、負担に対して非常に困るわけです。それからまた農民の側は、いま私が申したように、砂利採取の業者にも負担をさせているようでありまして、もう少し国のほうでも考えてもらいたいという気持ちもあるわけですね。そういうことも含めて、もう少しあなたのほうで建設省のほうとよく御相談の上、水路をつくるということが最善なりせば——それがよりベター、最善なりせば、それをしてもらうことにはやぶさかではありませんけれども、その負担額が何とか軽くなるようにする方法があるかないかということも十分検討して、これから進めていただきたいと思います。同時に、また、先ほど話した、井戸水がないという問題、かれてしまって飲料水に困っているという現状ですね、これは非常に深刻な訴えです。ですから、きょうは、ちょっと厚生省のほうの水道課のほうにもお願いしてあったのですが、まだ来てくれないようですから、あとからその話を聞きますけれども、そうしたものは、河川の維持の方面からもう少し水量をふやして地下水も豊かにする方法がありやいなや。それからまた、ないとするならば、用水なら用水をつくって、先ほど話したような簡易水道にするという方向に持っていってもらわなきゃいかぬので、これは三者ともこの問題に対して協議の上、最善のことができて、実際そこに住んでいる人たちに迷惑のかかるようなことが早く解消されるような方法を考えてもらいたい、こういうふうに考えますので、どうかひとつ各省ともそれに大いに力を注いで、実効のあがるようにしてもらいたいと思います。この問題についてはこれで終わります。  次に、海外協力の問題に移らしていただきます。  前に私は海外協力についていろいろお尋ねしたのでありますけれども、総括的という意味で、一、二点だけをちょっと伺いたいと思います。  昨年の十一月に、通産省から経済協力の現況と問題点というのをいただきまして、私よく見せてもらったのでありますが、そこでも指摘されておりますように、わが国の経済協力はいろいろなところで問題点があるわけであります。第一に、一人当たりの国民所得が、このOECD加盟国十五カ国のうちで十四位という低さで、アメリカの四分の一ぐらい、フランス、イギリスの二分の一ぐらいである。こういうふうになっているわけですが、しかも国内の資本蓄積も十分ではない。こういったような状態の中におきましてわが国の海外協力のあり方にというものについては、ひとつ十分に考えなければならないのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、そういうふうな観点から、今後どのような計画を立てて、どういう方向でこれを推し進めていくか。最近の話では海外協力というものは非常に大きく要望されて、額もふえていきそうな現況であります。そういう点で一体いまのこの時点でどういうふうな方向で、どういうふうな計画を持っておられるのか、そこのところをひとつお知らせ願いたいと思います。
  44. 藏内修治

    政府委員(藏内修治君) 御質問の点でございますが、わが国の海外経済協力、技術協力も含めまして、主としてこれは東南アジア、アフリカ等のいわゆる開発途上国に充てられておりますることは御承知のとおりでございます。と申しますることは、結局いわゆる南北問題の解決を通じて世界の繁栄と平和に貢献したいという趣旨でございまして、そういう趣旨で今後ともやはり世界貿易開発会議であるとか、エカフェであるとか、そういう多角的な会議を通じてももちろん協力をしてまいりたいと思いまするし、二カ国間のいわゆる協定によりまする援助をもってもまたこれを推進してまいりたい。それについてはわが国は御指摘のとおり、いまいろいろの問題点を包蔵いたしております。これは現地の先方の要求に全面的に応ずるということは、わが国としてもなかなか財政的にも問題点があるわけでございまするけれども、でき得る限りの範囲内におきまして経済協力の効果をあげるということが、わが国として特にアジアに位置を占めておりまするわが国の立場として必要なところであろう、そういう観点から今後も進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  45. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 国内の政治課題と申しますか、そういう方面ではこの中小企業対策だとか農業対策とか、先ほどからもちょっとお話が出ておりますが、こういうような曲農業対策とか都市問題とか、いろんな国内に向けての政治課題というものがたくさんあって、検討事項があるわけですが、こうした問題と海外協力というようなことをやることとどういうふうに結びつけておるのか。私どもはこの海外協力には、先ほど申したようなぐあいで、相当平和のために、あるいはまたそういうふうなことでもってやる意味はよくわかりますし、効果のあることはわかるわけでありますが、まだまだ国内的な政治課題も非常に大きなものがあって、よそに金をまくほどのまだ余裕を持ってやる時期ではない、そういうふうに考えられる点もあるわけですが、そこらのかね合いをどういうふうに理解されて、そしてこれを取り行なわれるか、私は、これからの海外協力が大きく要望されるときになれば、一応まだ内のほうに目を向けて、こうした問題に対してそうした解明をしながら明確な政府の方針というものを打ち出してもらわなければ、場当たり的なものでは非常に問題ではないか。この間二月か三月かニューデリーでも行なわれたようでありますが、そういうところのあたりでも多少問題が十分解決されずに済んだということは、そこらのところのかね合いがあったとわれわれ想像いたしておりますけれども、それは場当たり的な問題であるということは非常に大きな問題になってくると思いますから、ひとつそういうことについての考え方を伺っておきます。  時間がありませんから、お尋ねしたい点を二つ三つ並べて御返答いただきたいと思いますが、この海外協力の一元化がまた一つ問題になるわけです。先般この委員会でもお尋ねして、一元化について、一本化についていろいろお話を承ったわけでありますが、わが国の海外協力の性格と方針が明確になるし、また行政の簡素化とか企業のむだを防止するということにもなるわけでありますから、この辺につきましても、ひとつもう一度統一した見解と申しますか、そういうものを伺っておきたい。  それからその次は、わが国の経済協力は、この経済協力白書でも指摘されておりますように、非常にわが国の経済協力に対する政策的な意図が明確でない。たとえば発展途上国に対する援助には、発展途上国の立場を理解した上で協力すべきであるのでありますけれども、国がその政治的なあるいはまた経済的な情勢などの調査とか検討というものがもう一つ十分なされていないのではないか。最近の新聞で連載をされておりまして、あるいは御承知かと思いますが、何新聞だったかわかりませんが、それを見ましても、なかなか受け入れるほうの評判は、何かアメリカにしても日本にしても、これによって一ついい目をしているのだ、日本のほうでは、未開発の国に対して何かそうすることが平和を維持し、また国の発展のためにいいのだと言ってやっているけれども、受けるほうの側では、何だ、あれは持ってくる品物は高いし、あるいはまたこんなことをされて、ああいうのは日本にしてもアメリカにしても、何かそれで一ついいことをしているのじゃないか、こういう受け取り方をしているということを報告をされているわけです。そういうことがあるわけでありますが、そういうことに対する調査の不十分さ、また国の情勢の変化ということなんかも十分に把握してないという欠点があるのじゃないかとわれわれ解釈しておりますが、そういうことについては、どういうふうに考えておられるか。この三点についてひとつ。
  46. 藏内修治

    政府委員(藏内修治君) 先生御質問の第一の点と第二の点は十分これは関連をする問題であろうかと思っております。まあそういう経済協力、技術協力をする立場にありまする役所が外務省、通産省、その他関連官庁がたくさんございます。   〔理事岡三郎君退席、委員長着席〕 外務省の立場で申しますと、外交関係、国際関係という点に主眼を置きますために、あるいは見方によっては、外務省はそういう面に片寄り過ぎると言われるかもしれません。通産省から言われますと、貿易の拡大とか振興という点に重点が置かれ過ぎるというきらいがあるかもしれません。そういう観点からいたしますと、やはり海外援助行政の一元化ということが御指摘のとおり必要であろうと思います。この点につきましては、先般当委員会におきましても、外務大臣からも御答弁になりましたように、関係各省の間で、また行政管理庁等も加えまして、十分一元化の機構のあり方につきまして今後慎重に検討さしていただきたいと思っております。  それから第三の御指摘の問題につきましては、やはり援助をやると申しましても、その援助が実際に効果をあげているかどうか、向こうに十分喜ばれているかという点の調査が必要であろうかと思います。これにつきましては、外務省といたしましてすでに調査をいたしました結果も出ておりますので、これは後ほどまた必要によりまして文書等で御報告をいたしますが、まあ一言で申しますならば、やはり向こうの風俗、習慣、あるいは経済基盤、そういう各種の条件によりまして、われわれがこれで非常に効果をあげ得るはずだと思って持っていきましても、必ずしも歓迎されていない面がある。あるいは相当高度の機械器具等持って入りましてもそれが直ちに活用されない。活用されるだけの技術がない。そういうような問題がございまして、その間にいろいろと不平やら、あるいはわれわれとしても失望するような面もございます。そういう点を今後やはり十分調査をいたしました上で、ロスのない、むだのない経済援助を今後もひとつ続けてまいりたいと思っておるのでございます。
  47. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 昭和四十二年以降、政府ベースでの援助が非常に大幅に増大しておるというのでありますけれども、まだ民間ベースと政府ベースとの海外援助の割合の現況というものは、今後どういうふうにあるべきかということも非常に検討を要するものじゃないかと思います。特に民間べースの場合におきましてはいろいろ問題が多くあるわけでありますからして、この選定とかチェックとか、そういう方向に対しましても、相当な度合いをきちっとしていただかなければならぬと思うので、こういう点についてはどういうふうなことを考えておられるか。その問題点、あるいはそのチェックのしかたということもちょっと触れていただきたいと思います。  それから最後に、この海外協力につきまして、アジア諸国に対する重点主義をとると言われておりますけれども、アジアの外交の将来をにらみ合わせてみますと、これをどのように推し進めていくのがよいのか、そういうことに対しても問題があると思います。わが国の海外協力につきましては、どうあるべきかを早急に明確に長期的計画を立てていただいてこれをやらないと、やはりこうした問題があちらこちらであるわけであるし、同時にまた効果の上から申しましても非常に問題があるわけでありますから、国民の税金を処理するという観点からも特に注意していただきたい。特にいろんな問題点があるのも、一、二その問題点は私どもも承知いたしておるわけでありまして、こういう問題点についても、いろいろと個々の問題について聞きたい点もありますけれども、時間がありませんのでそれは今後に持っていって、いままで実際の効果のあらわれてない、間違ったそういう点は一ぺん指摘してみたいと思いますけれども、きょうは、そういうふうな意味でお考え方を聞いて、この問題についての質問を終わって、次の質問に移りたいと思います。
  48. 藏内修治

    政府委員(藏内修治君) 外務省の立場といたしましては、やはり相手、受け入れ側の各国の事情等もございますので、政府ベースの援助も民間ベースの援助も、ともに必要ではないか。ただ、そのバランスにつきましては、これは財政当局、その他通産当局等とも十分相談して、今後是正すべき点があれば是正してまいりたいと思います。それからまた援助行政の長期的、何といいますか、視野に立って計画的にこれを考えてまいりたい。これらの点についても、先生の御指摘のとおりでございまして、今後そういう趣旨に沿いまして努力をしてまいるつもりでございます。
  49. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 中小企業について少し、時間がありませんので、私のお聞きしたいところ、問題点を数点申し述べますからして、それに対して一つ一つ御返事をしていただきたい。  私は、これは委員会においてたびたび中小企業の問題については繰り返し繰り返し御質問いたしておるのでありますけれども、どうも実効があがっておりません。まあ実際の御答弁を聞いておりますと、非常に協力をしていただけるような形が見えておりますけれども、どうも実効があがらないのが私は非常に残念だと思います。ことに、中小企業基本法も出ましてからもう五年ぐらいになっておるわけであります。こういうことから考えまして、中小企業の体型ももう変化をしてきておる状態でありますからして、この問題となっているのは、中小企業の範囲が問題になるだろうと思うのですが、この定義をどう考えておられるのか。もう少し中小企業の範囲について明確なお考えを聞いておきたい。  その次は、中小企業対策費の総額の少なさも問題ではありますけれども、その恩恵を受けられるのはほんとうに一部の業者だけであるということが非常に大きな問題であって、特に零細企業はこの恩恵になかなか浴しないというのが現況じゃないかと思うのであります。そのために、倒産はいつも中小あるいは零細企業ほど非常に多いわけでありまするからして、これを見ておりますと、比較的よい部類に属しておるところの中小企業では、むしろ計画倒産だと言われておるくらいであります。これらのことを考えてみますと、どうもこの点もっと具体的な方向を出していただかないと、実際のものが受けられないところの零細企業が相当あるということは遺憾だと思うわけでありますが、こういう点については、どういうことをお考えになっているか。  それから第三点は、中小企業と零細企業との対策を別々に考える必要があるんだと私は思うのですが、どういうふうにお考えになるんだか一つ。中小企業と一括にしてもだめであって、もっと零細業者に対しては、零細業者としてどう取り扱うんだと、そういうふうな二本立てに考えていくべきじゃないかと思いますが、その点についてはどうお考えになっておりますか。  それから第四点ですが、それにつきましては、三月危機ということが盛んに言われておりまして、注目を引いておりました。そうして倒産の記録も考えてみると非常に今年になってからふえてきている。三月に最高のピークを示しておるというわけでありますが、政府の金融引き締めの政策と、国際経済の激変なんかが原因であろうと、こういうふうに思いますけれども、わが国の中小企業の経済環境は相当きびしさを加えつつあるわけであります。これに対しまして政府の施策の実効が一向にあがらない。これは業者の間ではもうこの辺で抜本対策をしてもらわぬとだめだと、こういうような声も真剣に出ておるようでありますけれども、こういうような現況で抜本的対策というものは一体どういうふうに立てられるのか、こういうふうなことがだいぶ問題だと思うのでありますが、このいまの時期から見て、対策はどうだ、長期的にはそれをどうやるんだ、こういうかまえぐらいはひとつお示しを願いたいと思います。まずその点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  50. 沖田守

    政府委員(沖田守君) お答え申し上げます。  基本法が制定されましてからすでに五年目になるわけでございまして、中小企業対策が通産政策の中では最重点施策の一つといたしまして努力いたしてきたわけでございますが、ただいま御指摘のございますように、まだまだ中小企業対策をさらに強化し拡充していかなければならない面は多々あろうと考えておりまして、目下御質問の御指摘の点につきましても、中小企業政策審議会を中、心といたしまして、きびしい環境の変化、しかも日本経済の健全な発展のために中小企業の近代化がおくれて、その部分がある意味ではひずみになっておるのを、これを是正することによって日本経済全体の大きな飛躍が期待できる。しかも、国際環境あるいは国内の労働事情環境の変化が非常にきびしい中で、中小企業に不利な金融だとか、労働力確保だとか、あるいは取引の面での不利なメカニズムをどう是正していくべきか。こういう点を含めまして、中小企業政策審議会でいままでの施策の再検討及び強化の方法について、いま抜本的な検討をいたしておる最中でございまして、当面来年度の施策には間に合うように、ぜひとも七月くらいまでには中間的な取りまとめなりをまとめたいという努力をいたしておる段階でございます。  中小企業の範囲につきまして、現在非常に問題とされておるわけでございますが、現在製造業におきましては、基本法におきまして、中小企業は従業員三百人以下、そして資本金は五千万円以下ということになっておるわけでございますが、このそれぞれの法律ごとに、施策ごとに、たとえば税制におきましては一億円までというふうな、施策ごとに例外を認めて、窮屈な運用にならないようにいたしておるわけでございます。現在一部の意見といたしましては、たとえば三百人という数字はそのままでいいとしても、いまの製造業五千万円というのは低過ぎるから、たとえば一億円程度まで——この五年間の物価の上昇あるいは経済活動規模の広がりから考えて、その程度まで限度を広げてはどうかという意見もあるわけでございますが、ただ限度だけ上げますと、上の層へ重点が移る、下の層に対する施策が薄くなるというおそれがもしあっては困るという意味で、この点については慎重に、ただいま申し上げました政策審議会で検討いたしておるわけでございますが、この点の、ある分野ごとに金融活動その他の面では若干の補正ということが、このたびでも、いま大蔵委員会で御審議になっております金融二法その他の面で、ケース・バイ・ケースの補正ということを考えておりまして、基本法の抜本的な範囲の拡大をやるかどうかについては、なお慎重に検討をいたしたいと思っております。  次に、中小企業対策費につきましては、今年度の中小企業対策予算につきましては、一般会計予算の伸びよりも伸び率が低かったわけでございますが、内容的に効率的配分という面で、少ない金を生かして使うという面での努力は相当はっきりいたしたと思っておりますので、財政硬直化の中で当面の行政需要に見合う程度の予算は確保されておると考えておるわけでございますが、特に財政投融資の面におきましては、全般の伸び率の平均一三%に対して中小企業関係におきましては、特に商工中金、中小公庫、国民公庫の政府系三機関につきましては、新年度の貸し付け規模は七千五百九十六億円、すなわち貸し付け規模で一九%の伸びを確保して、中小企業対策に対する政府の姿勢を示しておるわけでございますし、特に当面三月危機と言われ、さらに四月——六月の危機ということも言われておりますので、その財政投融資につきましては、第一四半期にはこの三機関が貸し出しをいたします場合に重点的に力を入れておりまして、昨年の第一四半期に比べまして約二八%の伸びというような、例年は非常に四月——六月期の貸し出しは少ないのでございますが、やや重点を初めに置いて運用をいたしておる次第でございます。その意味におきまして、この零細に対する恩典が少なくならないようにという配慮は常にいたしておるわけでございますが、御指摘の中規模対策と零細規模対策とを分けて考えるという点につきましては、確かにやや問題点があるわけでございますが、零細企業がすべて非常に脆弱かと申しますと、たとえば生業的なものの中で小売り業でございますとか、サービスあるいは職人のような職業になりますと、小規模が適正な形、適正規模である。どこの国でもそういう小規模企業で安定した経営が行なわれておるという場合もございますし、それからさらに、家族労働によって立っておりますものと、雇用労働力を使っておる分野とでは、最近人手不足、新規学卒の採用難という点で、むしろ当面の苦しさから申しますと、雇用労働力に依存しておる小規模零細企業のほうが苦しいという点もあろうかと考えられますので、現在考えておりますのは、そういう小規模零細企業は、この環境の変化に対する情報不足であるという点と、あるいは、いろいろ制度がございますけれども、それを活用し、ちゃんと帳面をつけてうまく中小企業に対する制度を活用して利用するという点で十分に行き届かない面もあろうかと考えまして、商工会議所、商工会におきます経営指導員が中心になってそういう面でのサービスをしてはどうかと、こういうことに努力をいたしておるわけでございますが、それ以外、国民金融公庫の貸し出し、あるいは特別小口保険等、借用保証を強化していく面、その他一般指導事業、それから家族専従者控除、その他税負担の軽減、小規模共済事業団によるいわゆる退職金——従業員の退職金のみならず、事業者にも老後の備えをさせる等々の数多くの施策がございますが、これらを十分この零細小規模対策として充実するよう今後とも努力いたしてまいりたいと思っております。で、三月危機と言われ、環境激変の中の対策といたしましては、最初申し上げましたように、長期的な抜本策をただいま政策審議会で検討努力をいたしておりますので、その内容につきましては、もうしばらく御猶予いただきたいと思っております。
  51. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 ちょっと水道の関係を少し聞いておきたいと思うのですが、政務次官がおられるから政務次官にちょっと。  きょう実はほかのほうで、木津川の河床が下がって、加茂あたりで井戸水が出ていないというので、次官よく御存じだと思いますが、非常に大きな問題になっておりますが、木津川河川の問題についていま質問したわけです。ところが、結局簡易水道をつくらなければならぬわけでありますけれども、用水路ができるか、あるいはまた取り入れ口を何かしてもらうかということは、これから考えてもらうようにお願いしておきましたけれども、それができ上がったものに対して、ひとつどうなろうとも、上流からの水の量がなくなる、地下水がなくなるわけで、井戸水が枯渇しておる、飲料水がなくなるということになるわけですから、どうかあそこの簡易水道を国のほうで大きく取り上げて、補助もつけて、非常に早くこの簡易水道ができるように配慮してもらいたいと思いますので、どうかそのほうに次官のほうからとりなしておいていただきたい。こういうふうに思います。
  52. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 御指摘の問題につきましては、上流の高山ダムのほうからの導水の計画もあるようでございます。しかし、それが十分でない、あるいはまたそれが影響しない場所でも問題があろうかと思いますので、厚生省のほうでやりますことは十分にひとつ配慮させていただきたいと考えます。
  53. 小野明

    ○小野明君 会計検査院お見えですか。——四十一年度の決算検査報告を見ますというと、文部省関係でこの「要保護及び準要保護児童生徒就学援助事業の運営について」という意見が出されておるのでありまして、国庫補助金がこれについて四十三億二千七百万円、これだけ出されておるのでありますが、生活保護の増減を見ましても、ここ十年間の間に、そうさしたる増減というものはない。大体横ばいの状態だということになりますと、教育扶助問題についても、あるいは生活扶助、医療扶助等についても、これは減っていくということはないわけであります。そういった立場に立ちますと、この指摘がきわめて問題であると思うのですが、国庫補助金事務の促進、あるいは適切な時期に給与をすべきである、給与を適期に行なうべきである、こういうふうな指摘があるわけです。これは一体どういうことを意味するのか。さらにまた、どういう内容指摘しておるのか。いま少しく説明をしていただきたいと思います。
  54. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 要保護及び準要保護児童生徒就学援助事業の運営につきまして掲記いたしたわけでございますが、そのあらましはここに記述したとおりでございますが、われわれが言わんとするところは、これらの援助事業の実態を調査いたしましたところ、これらがいずれも学年末に一括して給与されている。その間保護者側におきまして立てかえ支払っているというような事実が多数見受けられました関係上、補助金の趣旨が十分に生かされていないのではないか。本来そういう貧困なものを救済するという趣旨で給与しているものが、貧困な家庭の立てかえを、経済的な負担を余儀なくされている、そのような事情が見受けられましたので、これを留意事項として掲記いたしまして、補助金の交付の事務の促進、あるいは市町村におきまして適期にこれを支給するように指導してもらいたい、かような趣旨で掲記をいたしたわけでございます。
  55. 小野明

    ○小野明君 適当な時期に支給をしなければならぬと、あるいは交付事務の促進ということは、結局、この教育扶助なら教育扶助を受ける人のところにいく時期を言っているわけですね。そうすると、そこまでいく交付事務を促進しなければならぬ当事者、あるいは支給を促進しなければならぬ責任のあるところというのは、一体どこであるわけですか。
  56. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) これは、ここの検査報告にも掲記いたしましたように、まず「国庫補助金交付事務の促進」、これは国の側におきましてその促進をはかる、文部省において御留意願いたいということでございます。それと、関係市町村それぞれの、実際の事務を担当しております市町村におきまして事務の促進をはかるような態勢をとってもらう、文部省におきましてもそういった面における指導をはかっていただきたい、かような趣旨で記述いたしておる次第でございます。
  57. 小野明

    ○小野明君 ちょっと聞き漏らしたところがあるのですが、文部省がやらなければならぬわけですか。それとも厚生省がやらなければならぬわけですか。この私は二種類あると思うのですがね、一体どちらなんですか。
  58. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) ここに書きました限りにおきましては、文部省当局につきまして御留意願いたいということを申し上げているわけでございます。
  59. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、このいわゆる厚生省がやるべき教育扶助というものがあるわけですが、これはこの対象の中に入っておらぬと、そういう事務は促進されておるのだと、こういうことですか。
  60. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 厚生省のほうは私担当しておりませんので実情は承知いたしておりませんが、厚生省の検査を担当いたしております局課から特別そういったような事実があるようには聞いてはおりません。ここに記述いたしたものは、あくまでも文部省に関する限りでものを言っているわけでございます。
  61. 小野明

    ○小野明君 厚生省社会局長はお見えですか。
  62. 曾根田郁夫

    説明員曾根田郁夫君) 社会局保護課長でございます。
  63. 小野明

    ○小野明君 しかし保護課長というとあなた説明員でしょう。それは政府委員でなければ責任持った答弁ができないじゃないですか。社会局長は出席を要請しておったのですが、どうなったのですか。
  64. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 政務次官でよろしければどうぞひとつ……。
  65. 小野明

    ○小野明君 それでは政務次官が見えておりますし、お尋ねをしておきたいと思うのですが、それでは保護課長に。教育扶助というのが厚生省関係でやられておるわけですね。この事務で非常に末端で問題があると私は思っておるのであります。一体この教育扶助が末端にいってどういう支給をされており、どういう問題を生じておるのか、もしお気づきの点があればひとつお話をいただきたい。
  66. 曾根田郁夫

    説明員曾根田郁夫君) 教育扶助につきましては、一応生活保護法のたてまえ上、被保護者あるいは学校の長に保護金品を支給するという方法をとっておりますが、実際には府県福祉事務所におきましては、学校長渡しという方法で本人の手元に教育扶助の内容である学用品等が交付される仕組みになっております。それでただいま先生御指摘の、そういうことで何か問題点ということでございますけれども、一応特定の府県、特に被保護世帯の非常に多いような学校等におきましては、やはりこの保護金品の支給ということを事実上学校にお願いしてあるわけでございますので、学校の先生方がそういう事務に追われるというようなことにつきましては私どもの耳にも実は入っております。
  67. 小野明

    ○小野明君 それでいま説明になられました点は、生活保護法の三十二条にあるわけですよね。あくまでも、この学校の長というのは、親権者または後見人、しからざる場合、学校の長と、こういうことになっておるので、教育扶助を受けるのは、やっぱり親権者、これにやるのが私はたてまえではなかろうかと、こう考えておるのですが、この点はどうですか。
  68. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 御指摘の問題は、法文には確かに順序は違いますが、被保護者本人とそれから学校の長と並べて書いてあるわけであります。これはいろいろ運用上の問題も実はございまして、端的に申しますと、教育扶助の目的を逸脱したような形でせっかくの扶助が使われるというおそれも実は運用上出てまいることがあるわけでありまして、それよりもむしろ学校の長を経由してしたほうが、教育扶助としての最終的なあれが出てくるのじゃないか、こういう顧慮を要するような事例も実はございまして、ことに被保護者の児童の多い学校等につきましては、学校のほうにお願いするという形をとっているケースが多いように考えます。
  69. 小野明

    ○小野明君 実際は学校の長と書いてありますけれども、末端の一人一人の教員がこの事務に当たっておるわけですね。ところが校長も、学校の教員も、あるいは事務職員にしましても、特に私が申し上げたいのは、校長並びに教員ですけれども、本務というのは別にあるわけですよ。そうしますと、こういういわば金品を扱わせるという、こういう責任を負わせるということが、本務との関係で一体どうなるのか明らかにしていただきたいと思うのです。
  70. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 厚生省といたしましては、こういう制度でやっておりますから、もしもその事務量等が非常に大きくなりまして、本来の教育の仕事に支障を来たすというようなところにまでまいりますれば、これは私のほうからも、文部省当局なり、それからともどもに財政当局にもお願いいたしまして、そちらのほうの何らかの対策をお願いしなければならぬ筋合いだと思っております。ただ、いろいろやり方に実は御指摘のような問題がございますが、私たちのほうでやっておりますのは、生活保護の家庭に対して考えておるわけでございますが、片一方文部省のほうでは、いわゆる準保護児童と申しますか、そういうところにはやはり同じようなやり方をやっておられるのでございまして、その間に事務の関係から申しますと、あまり違った性格のものではないような性質があろうかと思います。受けるほうは、厚生省のほうでは保護家庭のほうの児童ということになりますし、文部省のほうは、それよりも少し、いわば保護家庭でない、もう少し上位のものということになりますし、大体ボーダーラインのような児童に対しましての対策ということになろうと思いますので、そこらのことも合わせまして考えていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。
  71. 小野明

    ○小野明君 現場で非常に支障があれば考えなければならぬというようなお話でございますが、この点は、これは会計検査院にもお願いをしておきたいと思うのですが、会計検査院が検査をされておるのは、生活保護率、これがあまり低くないところですね。普通の中間くらいのところしか見ておられぬわけです。要保護児童、準要保護児童の教育についてですね。それで政務次官、非常に問題があるわけです。というのは、おたくのほうから資料を出してもらっておりますけれども、生活保護の率が一〇%をこえておる県というのはかなりあります。おまけに福岡、北海道あるいは山口、長崎、佐賀というところは、炭鉱の閉山が相次いでおるわけですね。その関係で非常に生活保護家庭が多い。学校によっては七〇%に及ぶところがあるのです。長崎でも平均は三〇%くらいだと思います。そうしますと、五百人の学校で、三百五十人は教育扶助を受けておる、これだけが。たとえば四十五人の学級で一割、四人ないし五人というなら、教育扶助の事務もさほどの量ではない。ところが、いま申し上げた産炭地八県については、いずれも三〇から四〇%というような保護率なんですよ。そうしますと、一クラスに四十五名で七割も生活保護児童生徒がおるということになりますというと、この受け払いの事務というのはきわめて膨大なものになるわけです。そのための仕事というのは、年度初めの仕事、これを整理するのにかなりの長時間を要する。あるいは毎月の事務にしてもそう。福祉事務所からもらってくる。それを個人別の帳面をつくる。しかも月の途中で受けたら個人別の帳面にそれを記入をする。そして金品を、学用品とか、いろいろなものを買って、月末には父兄の認め印をもらわなければならぬ。先ほど申し上げたように、数が非常に膨大になりますと、何とか問題があればくらいの話じゃないわけです。しかも本務でない。学校長や教員にとっては本務でない厚生省の仕事を引き受けさせられて、しかも多少の損があればそれも補わなければならぬ、こういう実態にあるわけです。これはあくまでも、こういう本務でない仕事を校長や現場の教員がやらされておるということになりますと、当然何らかの措置を講じてもらわなければならぬ。これは福祉事務所の人が全部責任を持って、厚生省関係の仕事だから、学校に押しつけないで、全部これは親権者に支払うべき筋合い  のものではないか、このように考えるわけです。この点についていかがですか。
  72. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 現在の法律に書いておりますように、確かに御指摘のように学校長に渡すだけじゃなくって、直接保護家庭に渡していくべきである。これもいまの法制のもとで当然に考えていかなければならぬやり方なんですが、先ほど申し上げましたように、ただ実際の教育の場合に、おそらく御指摘になりましたようなところでは、要保護家庭と同時に、保護家庭までは落ちてこないけれども、少し上のあれだけれども、やはり準要保護家庭というものもあろうかと思います。これはおそらく文部省のほうとしましても、学校のほうでの扱いになっておると思います。いわばたいへんこれは手の込んだこまかい仕事でございますので、相当なめんどうなお仕事であろうと思いますけれども、そういうものとあわせてという考え方で私たちもやっておるわけでございます。端的に申しまして、保護家庭に直接やるよりも、学校に持っていったほうが仕事の上で便利だというような意味合いではなくて、なかなかこれは要保護家庭なんかに参りますと、それが学用品になるかならぬかというような問題も現実の問題としてございますので、そういうこともあわせて学校のほうにお願いしておるケースが多いだろうと思います。ただ、先生が御指摘になっておりますような特殊な地域におきまして、ことに最近の鉱山の廃業というような問題が起きました地域、これらについては、確かに御指摘のように非常に事務の分量がふえておりまして、御迷惑のかかっておるところが多かろうと思います。これは厚生省の福祉事務所の職員で直接その家庭に持っていかせるというやり方をとる前に、私たちといたしましては、やはり学校関係の事務職員なり何なりの増員を文部省にお願いできないか、あるいはともどもにひとつ大蔵当局とも交渉するような努力をしてみたらどうか、こういう実は考え方を持っておるわけでございます。
  73. 小野明

    ○小野明君 文部省関係の準要保護はやっておるからおれたちもそれに便乗するのだ、こういうふうに受け取られるのであります。文部省は官房長も会計課長もお見えなんですがね、これも大体、校長というのは学校教育法に書いてあるように、ちゃんと別の仕事があります。教諭も教育をつかさどるという本務があるわけです。全くこれはいわば雑務ですね。ですから、こういう教育扶助の仕事というのは、学校がやるのが当然であるという態度をとられますと、厚生省が便乗してくるということになるわけですよ。そのために現場がもう非常に多忙になってしまう。これはもう多忙ということばでは言いあらわせぬくらいの仕事量なんです。ですから、私は、準要保護にいたしましても、これは肝心の厚生省がきめておる生活保護のそのボーダーラインというか、その外側を補っておるわけですからね。この仕事にしても、私は校長や教諭がやるべきではなくて、現地教育委員会がやるべき仕事である、このように考えますが、官房長いかがですか。
  74. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 御指摘のように、まあ学校におきます校長なり教諭につきましては、これは本務があるわけでございますから、本務に支障がない限りにおきまして学校の協力を求めるというのが、これはたてまえであろうと思います。ただいま先生が御指摘になりましたような、非常に事務がふえてまいりますというふうな場合におきましては、これはただいま御指摘のように、やはり事務職員というものも置いてまいりまして、そういう関係の事務をやらせるというのが本筋であろうと、かように考えております。
  75. 小野明

    ○小野明君 いま文部省のほうもああいう見解なんですよ。ちゃんと学校教育法というのがあって、それの仕事をするのが本務なんですよ。だからほんとうは教育委員会がすべき仕事なんです。そうすると厚生省も、何も学校でやるのが当然だというような態度ではなくて、本務でないことですから、別途方法を講ずべきではないか、こう思うわけです。この点について再度お尋ねしておきたい。
  76. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 御趣旨のとおりだと思います。御趣旨のとおりでございますが、ただ実際に実施いたします場合に、生活保護のほうは別個のところで扱う、準要保護のほうは文部省の学校で扱うという形ではなかなかまずいだろうし、私たちのほうといたしましても、できるだけ学童の教育のところに使っていただくというのが趣旨でございますので、したがって、いま言ったような申し上げ方をいたしたわけでございます。したがいまして、もし必要な事務職員等の増員がございまするならば、これはもう非常にありがたいことでございますし、厚生省といたしましても、文部省とともどもにその要求をいたして、そして学校のほうに配属さしていただいて、そこで仕事をしていただければ非常にありがたい、こういうことを申し上げておる次第でございます。
  77. 小野明

    ○小野明君 いまのように厚生省のほうはおっしゃるわけですね。事務職員などを配置をしてもらって、これは増員のことだと思いますがね、そこに仕事をしてもらってはどうか、こういうお話でもありますし、文部省はこの点についてはいろいろお考えになっていままで措置されておる点もあるわけです。けれども、一体そういったこの膨大な事務処理のためにどういうふうな計画をお持ちであるのか、官房長のほうからお答えをいただきたいと思います。
  78. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 先ほど申し上げました中で一つ誤解があるといけませんので追加をさせていただきますが、生活保護につきましても校長の協力を得るということにつきましては、これはむしろ文部省からお願いをしたようないきさつがございまして、先ほどの政務次官からのお話にもありましたように、ほかの用途に使われるというふうな危険がある場合に、校長を通じてやっていただくというほうがむしろ実際的にはよろしいんではないかという意味があったわけであります。しかし、この前も産炭地の不況の場合などはむしろ生活保護の関係者のほうが多くなりまして、準要保護児童と逆転をした。たとえば八〇%ございますと、生活保護が六〇%、準要保護児童生徒が二〇%というふうな逆転した現象がございまして、そのために生活保護の関係の事務が非常にふえた。福祉事務所も手が一ぱいだったとは思いますけれども、学校のほうに一切がっさい事務を託したというふうな実態は確かにあったと思います。そういう場合につきましては、これはまた厚生省のほうでもある程度考えをいただかないと、学校だけで処理をするということはなかなかむずかしいじゃないかというふうな感じもしたわけでございます。まあいきさつから申しますと、学校と緊密な連絡をとってほしいというのが私どもの希望であったわけでございます。  なお、ただいまの事務職員の関係でございますけれども、これは先生もいま御指摘になりましたように、年々計画に従いまして事務職員を従来ふやしてまいりました。特に昭和四十二年度におきましては、こういうふうな準要保護児童生徒の多い学校につきましては、特別な配慮をするというふうな新しい考え方も打ち出したわけでございます。今後この線に沿いまして事務職員の増員につきましては、さらに努力をいたしたいというふうに考えております。
  79. 小野明

    ○小野明君 これは両省とも事務職員増員と、事務職員にこう全部仕事を着せかけるような御答弁で、どうも私はすっきりしないんです。ここに現場の先生がどれぐらいの仕事の量があるのかという記録があるんです。課長、ちょっと来て政務次官に見せてもらいたい。生活保護がこれだけたくさんになりますと、当然ここの図で見ればわかる。厚生省の福祉事務所を増員して、政務次官いいですか、それだけですよ。それが一人の学級担任の仕事ですよ。それは毎日毎日つけていかなければならぬのですよ。それで、これだけ生活保護なり教育扶助がふえますと、学校におんぶするんじゃなくて、やっぱり福祉事務所を充実する、そして教育扶助費にしてもきちんと仕分けをして、そして学校長に持っていき、配分だけを頼む、これぐらいの親切があってほしい。これは文部省も同じですよ。筋は配分先がどうだこうだと言うよりも、学校の校長にしても教員にしても責任のある仕事ですから、現金を扱うという受け払いで全部末端まで配らねばならぬ。その責任はまた現場の校長が問われる、こんなばかなことはないですよ。少なくとも仕分けをしていくぐらいの仕事は福祉事務所で私はやるべきではないか、福祉事務所の増員をはかるべきではないか、こういうふうに考えますが、これはいかがですか。
  80. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 御趣旨ごもっともだと思います。ただ実際の運用上においてどういうふうな配分をしていくか、あるいはどういうふうな実行方法をとっていくか、これを検討させていただきたいと思いますが、御趣旨はごもっともだと思います。
  81. 小野明

    ○小野明君 御趣旨はもっともだと言うが、実際は、どうするかということじゃなくて、あなた方の末端の福祉事務所をもっと増員するなり、きちんとこの仕事は厚生省が責任を持って配分するような仕組みにしてもらいたい、こう思うのですが、再度お伺いいたします。
  82. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 従来は福祉事務所のほうから当該、家庭あるいは学校の長のところへそれぞれの金銭をお渡しして、そうして必要な使い方をしていただく、こういうやり方をやっておったと思います。これをその金で必要な金品にかえてそうして渡す仕事をどちらがやるほうがいいかという問題であろうと思います。一つには教育的な効果のことも考えたり、あるいは先ほどだいぶ数が変わったというお話がございましたけれども、いまの産炭地の状況はそういうことになっているかもしれませんが、一般的に申しますと、準要保護家庭のほうが多いのが現状でございます。そういうことも考え合わせまして、いまの御指摘の点は検討させていただきたいということを申し上げているわけであります。
  83. 小野明

    ○小野明君 校長や教諭はこの仕事を拒否することができるわけですよ。これは厚生省の仕事だからおれたちはせぬと、これはできるわけです。校長や教諭がおれのほうの本務ではないからおれたちはやらぬ、これだけの膨大な事務量があってやれるか、本来の教育の仕事がお留守になると、こう言い出したら、そういう教諭があったら、そういう事態が生じたらどういたしますか、官房長。
  84. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) この問題は貧困家庭の児童生徒が円滑に修学できるようにするための制度でございますから、実際に校長や教員が拒否するということはいままで起こっておりませんからちょっとお答えにくいのでありますが、やはりそういうことになりました場合には、教育委員会あるいは福祉事務所で直接事務をつかさどるということ以外には方法がないのじゃないかと考えております。
  85. 小野明

    ○小野明君 それはそうだと思います、現行の法令からいけば。ですから厚生省もあくまでもこれはお願いするという立場なんでしょう、現場の校長にお願いするという立場なんでしょう。そうしたら、お願いする責任の所在というのは厚生省にあるのだから、やはりお願いするようにきちんと福祉事務所の体制を整えてもらいたい。現実の問題として文部省がやっておられるのは、事務職員の増員ということが四十二年度からやられたわけです。ところが福岡県で十六人、北海道で十七人ですよ。これは一割ぐらいの学校にしかならぬような事務職員です。問題にならぬです。これではあなた方いろいろ言われても、実際の生活保護の事務を、産炭地に三百幾つかの学校があります、福岡県に。これのたった一割ぐらいのものを十何校に配置しても一つも解決にならぬですよ。たった十六人しか増員にならなかった、北海道で十七人しか増員にならなかったというのは、これは官房長なり会計課長も折衝されたと思うのですが、いかなることですか。その経過をひとつお話しいただきたいと思います。
  86. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 御承知と思いますが、ただいま、ことしが最終年度でございますけれども、義務教育諸学校の教職員につきましての年次計画がございまして、五年間に事務職員五千人を増加するというふうな計画に基づきまして、ことしも五百二十名ばかり事務職員をふやしたわけでございますけれども、そういう一連の計画の中で、しかも特殊事情に応じた事務職員の配置をしたいということで、いわばことしの新しい試みとしてワク内でやったわけでございますから、この程度にとどまらざるを得なかったような状態でございますけれども、今後ともこの問題につきましては検討いたしまして、前向きに進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  87. 小野明

    ○小野明君 会計検査院にも、いろいろ生活保護の事務に間違いがあるということをよう指摘をしてあるわけですが、文部省関係の要保護、準要保護関係だけではなくして、厚生省関係の教育扶助、これが中心になっておるわけですから、この周辺に準要保護という問題があるのですから、その辺もひとつ検査をしてもらいたい。末端でどういう問題があるのか、さらに掘り下げた検査をしていただきたいと思うんです。検査院のちょっと御意見を。
  88. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 文部省の所管のところに掲記いたしましたのは、ここにあげます援助事業の予算、これが文部省につけられておるから、われわれもこれについて記述をいたしたわけでございます。厚生省関係につきましても、生活保護法との関連等についても、われわれとしても十分関心を払わなければならないところでございます。ただいまのお話は、厚生省担当の局長にも伝えまして、今後の検査の参考とさしていただきたいと思います。
  89. 小野明

    ○小野明君 大蔵政務次官お見えですが、あなたも産炭地の山口の御出身で、非常に生活保護、準要保護が多い県ですよね。そういうお困りになっておる実態というのを御存じであろうと思います。ところが文部省、厚生省と去年からいろいろ折衝がされた。これは文部省がやれ、いや、これは厚生省がやれと、これはなすり合いみたいになったかどうかしりませんが、一番問題は、やはり大蔵省がこの実態を知らないで押えてしまったというのが私はほんとうじゃなかろうかと思います。それでこういった四十億から、合わせますとやはりことしから見ますと六十三、四億ぐらいになっておるのじゃないかと思いますがね。この金がやはりきちっと組まれた目的に沿って配分できますように、しかも現場の校長や教員の本務を阻害をするようなことがないように事務職員の配置をしてもらわなければならぬと思うのです。この点について、政務次官の御見解を承っておきます。
  90. 二木謙吾

    政府委員(二木謙吾君) いま小野先生おっしゃった生活保護の、あるいはまた保護を要する児童がことに産炭地に多いのは、私も筑豊炭鉱あるいは宇部、美禰の炭鉱等を、また学校等を見てまいりましたから、よく存じておるのでございまして、非常に事務が多くて、そうしてこれが授業に支障を来たすということであれば、あるいは名前は事務職員とつけますか、いまの生活保護の係員とつけますか、そういうものを置いて、やはり事務を処理さして教育に支障のないようにするということが本来であろうかと、かように考えておりますので、この問題につきましては、文部省なり厚生省とよく相談をして、前向きに検討していきたい、かように考えておる次第でございます。
  91. 小野明

    ○小野明君 重ねてですが、政務次官、そういった現場の教育が阻害される状態であればと、こう言われるところが私は気になるわけです。実際に阻害しておるわけですよ。これは保護率もわかっておるし、生活保護、準要保護の子供も非常に多い。検査院からの指摘もあるわけです。そういう実態ですから、ひとつそれが実現するように御努力をお願いをしたいと思うのです。再度ひとつ……。
  92. 二木謙吾

    政府委員(二木謙吾君) 承知いたしました。いまのお説ごもっともと思いますから、前向きに検討したいと、かように考えております。
  93. 黒柳明

    ○黒柳明君 さっそく大臣にお伺いしたいと思います。日通問題で、私質問したいと思います。  運輸省が日通に対して先頭を切って特別監査を行なっている。私たち非常に気強いと思いますし、また国民もその結果というものに大きな期待を寄せていると思うわけですが、現在行なわれている特別監査が、どういうところを対象にして行なわれているか。また新聞においては非常に断片的に、私たちもいままで若干ニュースを読んで承知しておりますが、いままでどのような成果があがったか。岡山、あるいは甲府あたりでは監査も終わった、このように伺っておりますが、成果についてお述べいただくことがあればお願いしたいと思います。
  94. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) たいへんおそくなって失礼いたしました。  日通に対する総合特別監査は今回初めて行なったのでございますが、従来は道路運送法、あるいは倉庫業法あるいは通運事業法というような業法によりまして定期監査等行なったのでございますが、業法によって局部的に監査するという程度では、日通全体の現在の経営の状態を把握することができなかったのでございます。しかるに今回あのような不祥事件が起きまして、関連会社関係、あるいは内部経理の問題、あるいはノルマや、そのほか人事関係に至るまで、総合的にこれを把握して検討する必要があるということを痛感いたしまして、あらかじめ準備をいたしまして、総合監査に踏み切ったわけでございます。その前に、地方の支店を、これはある場所では前の日に通告し、ある場所では抜き打ち的に監査いたしまして、どれくらいのノルマが課せられているのかとか、あるいは法規違反問題点がないかとか、あるいは他の業種を圧迫しているとか、あるいは法令、通達を無視したところはないかとか、そういう点の具体的事項について事前の監査をいたしまして、中央に対するいろいろな資料情報をとったわけでございます。その準備が終わりましたので、八日から正式に中央に対する監査を発動いたしました。  監査の目的につきましては、監査に対するわれわれの方針をつくりまして、まず第一は、会社の組織及び業務処理体制についてこまかく分析してみる。たとえば会社の経営方針の決定方法あるいは事業のやり方、本社と予算割り当て制度、いわゆるノルマ制との関係、あるいは順法精神や顧客に対するサービス精神高揚のためにどういう措置をとってきたか。そういうようなポイントをまず第一に業務処理及び組織の問題として監査をいたします。  第二に、事業及び投融資等についてでございます。たとえば兼業の輸送関係事業に及ぼす影響とか、系列会社に対する投融資の現状とか、その資金の効率並びに作業管理、人事管理等の問題でございます。  第三番目は、予算統制の問題でございますが、ノルマ制の問題、その実態、それから会計経理自体が公明に行なわれているかどうか。粉飾決算の問題も疑問もありますし、リベートの資金がどういうふうにこれが使われているかとか、そういうような背任横領関係といわれる事件、そういう事態がどうして発生してきたか、そういうポイントについてこれを監査いたします。一体そういう事件がどこから出てきてどういう流れで動いたかということも、支店や本店の経理を調べる上に大事なポイントであるからであります。  次に、営業体制全般でございますが、これは特にサービス問題というものを中心考えまして、それと同時に、いままで議論いただきました保険金の問題あるいは運送約款の問題あるいは運賃収受の実態、こういう問題について具体的に地方で監査したところを中央に持ってまいりまして、具体的にどういうふうに指示が行なわれ運用されておるか、こういうことと、それから関連会社というものは実体的にどう関係づけられているか、本来の仕事でないようなものがだいぶありますけれども、一体どういうものが関係がないか、どういうものが必要不可欠のものであるか、また、それに対する投資関係等、あるいは人間の派遣関係等、そういう点につきましてもこれを厳格に監査しようと思っているのであります。  それで実際は、いま帳簿書類が全部検察庁に押収されておりますので、厳密な意味において、自分で的確に帳簿までひっくり返してやるということはむずかしいのでありますが、これは法務当局と連絡いたしまして、許す範囲の情報はこちらに与えていただく、そういう了解が成立しておりまして、そちらのお力もお借りすることにしてあります。  監査の結果につきましては、現在監査中でありますので、ここで中間的、断片的に申し上げることは適当でないと思いますので、その点はお許し願いたいと思います。
  95. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣のその気がまえといいますか、私も十二分に是とするところであり、国民も新聞紙上、マスコミを通じて大きな期待を寄せていると思うのですが、私、こういうことを言うのも失礼かと思うのですが、何かいま行なわれている監査そのものが、国会で取り上げられ、あるいは新聞で取り上げられた範囲について監査の手が伸ばされているというようなことを感ずるのですが、それが一点。  それからもう一点は、その大臣の決意がはたして各部課まで浸透して、そして真剣になって日通に対してメスを入れているか、こういう憂いがあるのですが、というのは、これは私が言うまでもなく、運輸省の通運課は日通の霞ケ関支店であると、こういう悪評判も立てられておりますし、また最近はその通運課から日通の例の富士見ランド、そこに課でレクリエーションをやった——遊びにいっていいか、こういうようなことで電話した、この際、だからやめておこうというようなこともあったというわけです。伊豆方面に何かレクリエーションに行った。それ自体は問題はないと思いますけれども、何かこういう時期にあって、富士見ランドが日通問題の発端でもあるわけです。そういうところに事もあろうにそういう日通の支店であると、こういう悪口を言われていること、不評が立っていることは、みずからも大いに反省もしなければならない。そういうところでまた電話がかかっている。これは特別な動きがあったのではないにしても、そういうことをマスコミの紙上で世間の人がまた知るということ自体が、何か下のほうでは大臣のその気がまえに対して若干欠けるところがあるのじゃないかという心配がするのですが、こういうことがあるとすれば、大臣としてはどのようにお考えになるか、いかがでしょう。
  96. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 富士見ランドのレクリエーションの件は、この事件が起こる前にそういう電話をかけたことはあるそうでございますが、適当でないというのでやめたそうです。やめてよかったと思います。  それから、監査の対象でございますが、監査をやる前に、こちらでも自動車局長中心に各局の中枢部を集めまして、どういう監査をするかという省議をだいぶやったのでございます。そして方針をきめて、いま自動車局の業務部長を監査団長として二十数名を派遣していま的確にやっておるのでございますが、大体日通問題というものが非常に焦点になりまして、あらゆる角度から日通というものは剔抉されておりますので、大体新聞に出ておることがアイテムになっておるわけです。それ以上どういうことがあるかということもいろいろ検討もし、専門的技術的観点から法律との関係やその他の関係もやっておりますけれども、社会的に問題にされるようなことはほとんど新聞にも出てきているような事件が多いのであります。それが具体的にどう動いておるかという事実を把握することが大事なのでありまして、諸般万般の問題にわたって真相を究明するようにいま監査をしているわけでございます。  第二に、決意の問題でございますが、今度の日通の監査につきましては、いままで運輸省が監査をルーズにしていたためにこういう問題が起きたといわれてもこれはやむを得ません。われわれはおわびしなければならぬと思います。しかし、いままで業法に支配されまして総合的に監査するというようなことはちょっと差し控えておったわけなんでございまして、またある程度体系やその他監査するにいたしましても、検察庁とか警察、あるいは国税庁のように権限を持っていないとなかなかこれはできない要素もあるわけです。うっかりそういうものをひっくり返してみて権限もないのにやるというと、かえって資本主義に対する侵犯みたいな、産業に対する干渉みたいにもとられるのでおそらくちゅうちょしておったのだろうとは思います。しかし、こういう問題が出てきたからこれはもう正々堂々とやれるのでありまして、この際に一挙にいままでのうみを出し尽くして国民の皆さんの前にその事実を露呈して、そうしてこれをどうするかということを皆さんの世論を伺い、われわれもわれわれとして専門的にも検討いたしまして改革を加えたいと思っておるのです。そこで、前にちょっと申し上げましたが、一番大事なことは、日通に社会性を持たせるということなのであります。何しろ七〇%の仕事を日本で独占している企業というのはほかにはないわけでございます。この間うち富士、八幡の合併が問題になりましても、あのシェアは三五%くらいですけれども、日通は一社で七〇%くらい独占しているわけです。そういう面から見ると、ほとんど国鉄とか専売に近いぐらいの仕事をやっておるのでありまして、しかも、それが戦争中の企業統合という、やらされたほうは涙をのんでのれんをはずしたという他人の犠牲の上にこれができておるわけであります。そういう点からしても普通の一般のコマーシャルの企業と違った面があるのでありまして、そういう点の社会性、公益性というものをもっと強く会社関係の者に自覚させ、また、それにふさわしい法的措置あるいは行政上の措置考えられれば考える必要もあるだろう、そういうように考えるのが一つの大きなポイントでございます。  それに伴いまして人事の構成等におきましても、社会公益の声を代表する者とか、あるいは大口需要者その他の需要者の声を代表する者とか、そういう社会の声を十分に入れたような形の執行部というものができることが望ましい。そしてガラス張りの経営をするようにしなければならぬ。いままでの体制を見ますと四、五人の人間が密室の中に入ってタバコの煙のもやもやしている中でひそかにものがきめられている、そういう、ややもすれば暗黒的な、誤解を受けるようなやり方はこの際一挙に改革しなければならぬと思いまして、ガラス張り経営が行なえるような執行体制をつくるということが必要、大事であるだろうと思うのです。  それと同時に、会計経理におきましても、いま公認会計士団を入れてやっているそうでございますが、この点も非常に大事な点でございまして、本社内部、本社と支店それから支店と末端、その間における金や業務の分担の問題、そういう問題も明らかにいたしまして無理のないような経営方針をとらせるようにする必要がある。どんぶり勘定みたいな要素もありますし、そういう点もかなりわれわれは考えなければならぬのであります。  それと同時に、今度は関連会社との関係がございますが、ラーメンまでやっているとはよくいわれますけれども、ともかく日通本来の職務にふさわしくないものをやっていることは事実でありまして、そういうような誤解を受けるような、手を出さぬでもいいようなものはもうぶった切ってしまったほうがよろしい、資本的にも人的にもこれはぶった切ってしまったほうがよろしい。そして一番大事な通運業務というものを大事にする、中心にする経営体にしていく必要があるように思うのであります。そういう点につきましては、資本関係、人的関係等も洗ってこの際にそういう改革を打ち出していきたいと思うのであります。  それと同時に、日通がそういうような七〇%のシェアを持っている独占的体制であるならば、国鉄とか専売みたいな性格も事実上あるのでありまして、そういう点からすれば、国鉄には監査委員会があって、社会公益の代表者が国鉄を常時監査しております。そういう点もある点では組織的にも考えていいのではないか。これは法的にはなかなかできない面があるかもしれませんが、事実上の行政指導においてそういうことを会社のほうの一つの自粛のあらわれとしてやってもらうということも考慮してよろしいのではないか、そういうように私らは考えます。  そういう諸般の点につきましては、具体的に的確に実行していこうと思っておりまして、これをやれ、あれをやれということは、運輸省の首脳部が私の指示に基づきまして忠実に実行する予定でありますし、それは私がやる責任があると思いますので、責任をもってやるつもりであります。運輸省の現在の職員諸君は、そういう仕事の重要性をよく認識しておりまして、巷間よくいわれておりますように、日通の霞ケ関支店なんということは毛頭ございません。やはり国家国民の代表者としてこの際目通というものを国民にかわって監査し再建するという非常な使命感に燃えてやっておるのでありまして、その点は私は責任をもって申し上げる次第であります。
  97. 黒柳明

    ○黒柳明君 いま大臣がおっしゃった中に、系列会社も監査すると、あるいは新聞に載っかっているアイテムが大体監査の対象である、このようにおっしゃったわけですが、私はここで、日通の傍系会社一つで、まだ新聞に載っかってない監査のアイテムにしなきゃならないと、私はこういうふうに調査の結果思うわけですが、そういうものがあるということをここで指摘したいと思うんですが、国有財産局長にいろいろ質問しながら、ひとつ大臣もお聞きいただきたいと思います。  国有財産局長お尋ねしますけれども、東京都港区の芝海岸通り六丁目二十三番地、二十四番地目通トラック株式会社というものが、これは前身は日本合同トラック株式会社ですが、国有財産の払い下げを受けました。その経過、年月日、用途、単価、面積、それから用途制限、まあ概要でけっこうですから、お述べ願いたいと思います。
  98. 宇佐美勝

    説明員(宇佐美勝君) お答え申し上げます。  いまお話がございましたように、日通の子会社でございますが、お話の芝の土地を二回にわたりまして売り払っております。その使用の目的を申し上げますと、一般路線貨物自動車運送事業に使用するためでございます。古いほうの事例といたしましては、昭和三十七年の二月でございます。それから新しいほうといたしましては、昭和四十年の三月でございます。  その中身を申し上げますと、第一回目のものは、土地一千七十六坪、それから建物が百三十三坪、それから工作物一式、合わせまして代金は七千九百八十二万六千円余りとなっております。それから四十年三月に売りましたものは、土地が七百八十九坪、一億四千五百六十八万七千円余り、それから工作物一式、それを合わせまして一億四千五百七十一万一千円余になっております。  それでそれぞれの単価を申し上げますと、坪当たりで申し上げますと、古い事例が六万七千九百四十円——これは土地でございます。それから新しい事例が十八万四千八百九十円、こういうことになります。
  99. 黒柳明

    ○黒柳明君 四十年三月一日の要するに第二回の事例ですね、この契約締結者、だれとだれとの間で契約なされたか。
  100. 宇佐美勝

    説明員(宇佐美勝君) 契約担当官といたしましては、関東財務局長の吉村真一でございます。それから買い受け人といたしましては、これは日通運輸株式会社の池田幸人氏でございます。
  101. 黒柳明

    ○黒柳明君 もうこれは前日通の副社長で、せんだって逮捕された人です。当然日通から資本も入っていますし、日通の傍系会社であり、前副社長がこの締結の当事者になっておる、こういうわけですけれどもね。私はここで指摘したいのは、この一回目の事例、二回目の事例ともに非常にその払い下げの単価が安いのじゃないか、こういうふうに私は指摘したいのです。なぜかと申しますと、この辺の土地を調べますと、こういう事例があがってくるわけです。この土地は港区芝海岸通り六丁目二十三帯地、これが一回の事例、坪単価が六万七千九百四十円、第二回の事例が、これは地続きで同じく六丁目二十四番地、これは坪単価十八万四千八百九十円、これは三十七年と四十年で三年の開きがあるわけです。この付近の土地の、用地の取得の実例を見てみますと、これは首都高速道路公団の取得例ですが、しかもなるべく安く買ったところの事例を出してくれ、こういうふうに出してもらった。若干番地は違いますけれども、これは地続きです。たとえばこういう事例が出ています。三十六年十二月、要するにこの第一番目の事例が三十七年二月ですから、その一年前ですらも四丁目五番地、二十七万七千円。同じく三十六年八月、三丁目二番地、二十六万二千円。同じく三十六年十月、二丁目四番地、二十五万六千円。同じく三十六年一月、一丁目十四番地、二十三万七千円。それからさらに一年前、三十五年十二月、同じく一丁目二番地、二十万五千円。これはこの芝海岸通りあたりの一帯を見ていただければ、番地が違って一丁目であり、六丁目であり、四丁目、三丁目、二丁目であっても、地理的条件は全然変わりありません。いま高速道路が通っておりまして、その下を海岸通りに面してずっと当地があるわけです。ですから若干距離的に違います。こちらは一丁目ですし、こちらは四丁目、こちらは六丁目、ですから若干違いはありますけれども、そんなに条件的に違いはない。しかも一年前ですら二十万で買っているのです。首都高速道路公団あたりは安いところと、こういう心がけを払ったのは当然です。でありながら二十万。まだいい例があるのです。これは都営住宅がいま建っているのですけれどもね。東京都の財務局から住宅局へ内部で払い下げた例があるのです。これは芝海岸通り一丁目二十四番地、高速道路をはさんですぐ向かいです。これは六丁目二十三番地と二十四番は地続き、高速道路をはさんですぐ向かいです、一丁目二十四番地。ここは三万一千七百三十五平米、それから全体で一千百五十九万一千五百二十円、坪単価が十万九千五百円、これは東京都の財務局から住宅局への転売なんです。ですから、内部ですから、そんなに高く売るわけはない。それにしても十万円からの値段がついている。三十五年です。その二年後の三十七年、それから三年後の四十年、それがいま言ったように六万七千九百四十円であり、十八、万四千八百九十円、こういうわけですね。ですから、二年前ですらも、東京都の内部で転売したのでも十万するのです、この付近は。それが二年後ですら六万七千九百円。三年後にはすでに十八万になっているわけですよ、三倍に。非常に土地の騰貴が急速です、この一年、二年、三年は。こういう実例がここにある。非常にこの日通トラックに対しての土地の払い下げというものは安過ぎると、こういうふうに思うのですけれども、どうでしょうか。これはお調べになったのでしょうか、こういう事例を。
  102. 宇佐美勝

    説明員(宇佐美勝君) 実はただいまお話の出ました事例につきましては、私存じておらないのでございますけれども、さっそくその様子を調べたいと思います。ただ、いまお話がございましたように、いろいろあるようでございますが、土地といいますものは、その場所の場所柄とか、いろいろの要素を総合されてきまるものでございまして、近くにこういう土地があるといいましても、たとえば同じ品位の土地であるか、あるいは違う品位の土地であるか等によりましてその辺を修正して見ていかなければならないわけでございまして、私どもはこの二つの売り払いの代金の算定は公正にやっておるつもりでございまして、多少詳しく申し上げますと、私どもの中でいろいろはじきました数字のほかに、民間の精通者の意見をとりまして、それと総合して結論を出すというようなことにしております。ただいまお話のございました初めのほうの事例でございますが、これで申し上げますと、民間精通者から——二者、意見をとっております。その、平均が五万九千八百四十円、こういうことになっておりまして、これが結論の六万七千九百四十円というぐあいになりましたにつきましては、これはほかに相続税とか固定資産税の評価から修正しまして出しました評価額、そういうものと総合しておる結果、むしろ民間精通者の評価額よりも高い水準で売り払っておる、こういうことになっておりますので、なお、お話のございました事例は調査いたしてみたいとは存じますが、おそらく品位の差とか、そういうような、そこの土地の特殊性によりましてそういうぐあいになっておるのじゃないか、こういうぐあいに考える次第でございます。
  103. 黒柳明

    ○黒柳明君 私のほうにいただいた一覧にもそういうふうな数種目にわたって調べた、こういうこと出ておりますけれどもね。それからさらに鑑定調書もらっているわけですよ。ここに鑑定人の名前が書いてない。これは故意に削ったわけですね。しかもその鑑定書というものは、これは一人の鑑定人の鑑定しか出ていないわけです。御存じのように土地の鑑定というのは、例の高槻の国有林、共和製糖の土地の払い下げ以来非常に問題があるのです。それで少なくとも二人、三人の鑑定人をつけて鑑定をする、こういうようなことがあたりまえになっているわけでありますけれども、これは一人の鑑定人がやった。また、この鑑定人をなぜブランクにしてこなければならないのか。こういうようにここのところをあけてこなければならないか。住宅公団あたりだったってあれほど土地の評価に関して当委員会においても再三再四問題にされていますけれどもね。鑑定人というものはちゃんと明確にして、そこに疑惑を起こさないように、少しでも疑惑を残さないようにしてくるのですが、この場合には全然鑑定人がだれやらわからない。なぜ故意にこれを消したか。ほかのことはもうみんな明白になっている。何かここに鑑定人の不正があるのじゃないかという疑惑を起こされてもこれはしようがない。いままでの私の経験で見ますとそういうこともここにからんでくる。時間がありませんから、いま言ったようにおたくのほうはこういう二、三出した、こちらはこういう調査をした、こういうことですぐお調べ願いたい。と同時に、この鑑定書についても、いま言いましたように二人、三人の鑑定人をとっていたならば、鑑定人をこういうブランクでしてくるなんということは、これ自体が非常に疑惑を招く、招かなくてもいいような疑いも招く。こういうようなことになるから、この点もまたそんなことはないと思いますけれども、ひとつ注意をしていただきたいと思うのです。  それで、さらにこの土地について一審問題になるのは、ここは現在倉庫に転貸されているわけですね。いかがですか、倉庫に転貸されているわけじゃないんですか。
  104. 宇佐美勝

    説明員(宇佐美勝君) 実はさきにお話のありましたことにつきまして一言申し上げたいと思いますが、あるいは資料の差し上げ方が手落ちがあったのかと存じますが、これは二人からとっております。それで名前のところだけ実は消しましてお手元に差し上げておるわけでございます。この鑑定書、これは国会その他におきましていろいろお取り上げになりまして……。
  105. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間がないので簡単でけっこうです。
  106. 宇佐美勝

    説明員(宇佐美勝君) それはまた別の観点で私どもあえて名を伏せさしていただいておるような次第でございます。  それからもう一つは、転貸の問題でございますが、確かに倉庫の一部をほかの会社に転貸しておる状況でございます。
  107. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは転貸してはいけないことになっておりますね、契約で。契約の第二回目の、要するに日通トラックの池田さんと関東財務局との契約によりますと、十三条、十五条。十三条は、定める期日五年間という期日があって、その十三条を受けて十五条に、「十三条に定める期間満了の日までの間においてその所有権を第三者に移転しまたはその物件を第三者に貸し付けてはならない。」、この五年間というのはこれは四十年三月一日から四十五年の二月の二十八日まではいけない、こういうことですね。
  108. 宇佐美勝

    説明員(宇佐美勝君) 実は、転貸をしてはならないというような条項は現在におきましては例文になっておりまして、大体原則としてこういう条項を入れておるわけでございます。その趣旨としますところは、いわば国有財産の払い下げを受けますにあたりまして、実はほんとうは自分のほうで使うつもりはないんだが、いわば名義を自分の名前にしましてあとで別の者に貸してほんとうの目的を達するというような、いわば脱法的なやり方につきましてこれは非常にいろいろ弊害もございますので、それを押えようという趣旨なのでございます。この事案につきましては、マル通が、その会社の出します品物を全部一手に引き受けましてそれで東京に運んでくるわけでございます。これは先生先刻御承知でございますが、福井のほうの会社でございますが、その製品を東京に運んでまいります。運んでまいりまして、これをまた先のほうに回していく場合に、一時ここにとめておく。その量が非常に多うございますので転貸という形をとっておりますが、仕事の実質的な中身を見てみますと、この会社道路運送の仕事の中身をなしておるような状況でございますので、実質論として私どもが転貸を禁止しております条項には当たらないんじゃないか、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
  109. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、この条文というのはこれはもう無視されてもよろしいと。だったらこれはとったらどうですか。やはりいけないと条文に出ているんですから、契約書に。これじゃ意味がないじゃないですか。関東財務局の権威にかかわるじゃないですか。条文にやっちゃいけないとあるからやっちゃいけないんですよ。実質論においてとかなんとか、何も出ていませんよ、これには。
  110. 宇佐美勝

    説明員(宇佐美勝君) いま転貸という、確かに形式的には転貸ということが言えようかと思いますけれども、私どもこの契約を実際に運用してまいりまする際におきましては、やはり基本的な趣旨にのっとりましてそのことばを解釈していったほうがいいんじゃなかろうか、こういうことを考えておりますので、いまのような中身でございまするので実質的にはこれに当たらない、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
  111. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、実質的に当たらないとか当たるとか言ったって、条文に貸してはいけない、五年間は第三者に貸し付けてはいけない、第三者に移転しまたは物品を貸し付けてはならないとあるわけでしょう。実質的にも何も出ていないじゃないですか。しかも年間四百万近くも使用料払っているんですよ。というならば完全に又貸しじゃないですか。しちゃいけないことをしているというのは、この法の解釈としては実質的な量を見てやるということになるんですか。そういう注釈がまたつけ加えられるんですかね。ちょっとその点おかしいと思うんですけどね。私は、いけないものはいけない。ちゃんと使用料を払ってそして日通は取っているんだから又貸しである。これに対して仕事の内容云々、そういうことは言えない。そういう条文からそういうことは出てこない、こういうふうに私は思うんですけれども、これは健全なる常識をもって判断したらそれよりほかないと思いますよ。ここでまた仕事の内容内容なんておっしゃってもちょっとこれは水かけ論になります。いけないとあるのだからやっちゃいけない。使用料を取っているということは又貸しに違いない。ここにはいけないとはっきりいっているじゃないですか。五年間はやっちゃいけない。だったらやっちゃいけないんです、それに対して仕事の面の解釈ということはちょっとこじつけみたいに聞こえます。もう時間がありませんから、また総括的に大臣にこの問題についてもお答え願うことにして、仕事の内容云々ということはこれはうまくない。  食糧庁長官がお忙しいと思いますので、食糧庁のほうに移りたいと思いますが、米麦輸送について、食糧庁と日通、全通運でいろいろ話し合いしたと思いますが、新聞記事によると、日通独占ほぼ通る、食糧庁と覚え書きをかわした、運賃が日通を経由することは全通運として了承しかねるというようなことを書いてありますけれども食糧庁としては、この米麦輸送に対してどのような姿勢をおとりになるつもりであるのか、いかがでしょう。
  112. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 米麦輸送の問題につきましては、食糧の統制開始以来、日通一社と契約をして今日にまいっておるわけでありますが、その理由といたしまするところは、全国的な規模で食糧を円滑に輸送するという目的に照らしまして、規模並びに能力等を勘案してそのような契約で今日まで至ったわけでありまするが、最近におきましては需給事情も戦後よりだいぶ緩和をいたしまして、いわゆる緊急輸送の必要性というのもだいぶ減っておりまするし、また通運業界におきましては、日本通運のほかに全国通運を育成をするというような政策がとられておるということも念頭に置きまして、昨年の十二月から食糧庁と日本通運と全国通運との三者の実覇者の間で、全国通運を食糧の輸送に参加をさせるとすれば、技術的にどういう問題があり得るかということで研究をし、実務者の検討は一応終わったわけでございます。むしろ実務者としては、技術的な問題だけを詰めたわけでありまするが、今後、私が大臣の御意向も伺いながら最終的な結論を出すという段階でございます。新聞報道では、あたかも最終的な結論が出たかのごとく報道されている向きもございまするが、今後契約をどうするか、運賃の支払い方法をどうするかという問題は、実務者の詰めました技術的な問題を踏まえて大局的な見地から結論を出してまいりたい、かように考えております。
  113. 黒柳明

    ○黒柳明君 要するに、食糧庁としては、また世間の世論としては、日通の独占体制というものはうまくない、当然全通運に対してそのシェアを与えるべきである、こういうようなことが中心になって検討がされてきたと思うわけですけれども、今度は全通運の性格的な問題として、はたしていまの通運免許がない全通運と食糧庁と契約を結べるのか、たとえその契約を結ぶという方向にいった場合、そういう時点においてはたして法的にそういう結べる全通運の性格であるか、この点いかがでしょう。
  114. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) 全国通運株式会社の免許関係につきましては、むしろ運輸省のほうからお答えが後ほどあろうかと思いまするけれども、私の承知しておる範囲では、全国通運の構成員になっておりまする個々の運送業者は、もちろん通運事業法による通運免許を持っておるのでございまするが、全国通運という会社は、通運事業法に基づく通運計算事業の認可を受けておるというふうに承知をいたしております。  そこで、いま黒柳委員が御指摘になりました年間の運送契約を結ぶ場合の相手方が、商法に基づく運送人であることはこれは必要であるわけでありますが、その商法に基づく運送人たる要件は、通運事業法の免許と通運計算事業の認可と法律的にどのような関係があるかという問題をもちろん詰めた上で結論を出すべきものだと思っております。まだ私のところではそこの点を詰め終わっておりませんので、いずれそういう問題も、ただいま御指摘の問題を頭に置きまして最終的な結論に導きたいと思っております。
  115. 黒柳明

    ○黒柳明君 それで結局、日通の、新聞が何か結論出たように書いてある、それは誤りである、こんなことをおっしゃいましたけれども、結局、日通の元取り制度というものをなくしていきませんと、これは全通運との契約というものが成立しない、何か日通の下請みたいな形で全通運が輸送を引き受けるのじゃないだろうか、このようなことが報道されておりますけれども、はたしてこれは公正な競争入札というものをする意図があるのかどうか。それによってまた変わってくると思うのです、全通運と契約を結ぶかどうかという考え方が。全面的にこれを競争入札をするという方向でいくとすると、いまの全通運の性格というものが問題になるし、それを煮詰めた上でといったところで、はたして、商法上の、そういう免許は持っているけれども、輸送の免許は持っていない、商法上の免許はあるけれども、輸送の免許はない、こういう全通運が契約を結べるかということは、これは結べないじゃないか、こういうようなことも考えられるわけです。ですから、その点ひとつよっぽどこれを考えていただかなければならないと思います。日通の独占体制というものをくずさなければ、要するに全通運にシェアを与えるということも、これは無意味になるわけなんですから、そこで大臣、いまこの食糧庁の問題も出たわけですけれども、いま長官がむしろ運輸省のほうでお答えになるべきものである、こういうようにおっしゃったわけですけれども、この全通運の性格ですね、要するに輸送の免許を持っていない、その免許を持っていないものがはたして契約できるかどうか、これが一点、その点食糧庁としては十分に考えなければならぬということなんです。  それから、先ほどのことですけれども、ともかくこの契約には五年間貸しちゃいけないというんです、物件もあるいはその土地も。それがはっきりここにもう三百三十万という年間使用料を取って、又貸ししているわけですよ。これについてどうお考えになるか、その二点。
  116. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 私は、日通の独占というものがボーフラをわかした一つのもとでもありますから、競争原理を導入して公正競争をやらせるようにしたい、こういうことを申し上げて、その努力をしたいと思っておるのでありますが、当面の問題として、施設や人員や組織の問題から見ると、日通でなければほかにやれないという駅も多々ございまして、やはりとりあえずは日通をガラス張りにして再建すると同時に、徐々に対抗力を培養していく、そういうこと以外にはできないように思うところが多いのでございます。  全国通運は、新免業者約二百九十社のために大口荷主と元請契約を締結して、割り当て等の事業を行なうため、昭和三十四年に設立されたものでございますが、従来日通が独占していた政府食糧について、食糧庁が、中小企業育成の見地のもとに、全国通運傘下の新免会社にもその輸送を行なわせるべく、前向きの方向で検討されているということは非常に喜ばしいと思うのであります。われわれといたしましては、今後ともこれらの中小通運業者の積極的育成につとめまして、そういうものを通じて競争原理を導入さして、通運事業の公正競争を行なわせるように努力してまいりたいと思っております。
  117. 黒柳明

    ○黒柳明君 それから、私は日通がいま問題になっていると同時に、全通運も何か問題があるような気がするんです。それは何かというと、国鉄に今度は御答弁願いたいと思うんですけれども、昨年の十一月に四億の出資があったわけですね。この四億の出資に至るまでの過程とその目的を、簡単でけっこうですから、お述べを願いたいと思うんです。
  118. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) お答え申し上げます。  全国通運への投資ということにつきましては、全国通運の資本力というものを充実したい、と同時に、新免の業者に対する近代化、こういうものを考える必要があると考えております。同時に、経営の基盤を向上させる、こういうことが必要じゃないか。それの必要な理由といたしましては、それによって国鉄貨物輸送の利用増進が促進されるというようにも考えたわけです。第三次計画を国鉄が行なっておりますが、通運の近代化というものがなければ、その目的が達成できないと思いますので、全国通運のほうからの出資をぜひしてもらいたいというようなことから、いろいろと検討いたしまして、これが妥当であるということで、出資を昨年四億円いたしたわけであります。
  119. 黒柳明

    ○黒柳明君 それでこれは倉田常務がその出資をするにあたって、この四億円の使い道、これから実施する事業計画の具体的な内容検討するのだ、何か四億円出資増を国鉄から受けた、この使い道について非常にばく然としたこれから検討するのだ、こういうふうなことを発言しているわけですね。  それと同時に、もう一つは、これはここにありますが、第九期の営業報告書、全国通運株式会社四十一年四月一日から四十二年三月三十一日まで、要するに四億出資前の一番最近の営業報告書ですけれども、これを見ますと、受け取り利息が三千四百二十三万四千二百十円、それから支払い利息が一千九百十八万一千五十円。要するに受け取り利息が多いわけですよ。それから国鉄から四億出資前においても資金はだぶついていた。それなのに、なぜまた国鉄から四億全国通運に出したのか。しかも、この出したものは妥当だという非常に抽象的なおことばですけれども、この常務理事のことばを引用すると、これから内容検討するのだ、こういうふうなことで、これは非常にはっきりしない。  さらに時間がないもんですから、つけ加えて言いますと、御存じのように、この全国通運の役員を見ますと、取締役会長が浜野清吾、社長が加賀山さん。元の国鉄総裁、常務取締役が倉田三千世さん、国鉄の出身の方です。取締役が原岡幸吉さん、現貨物営業局長です。監査役の小林正知さん、これが現経理局長ですね。これがいまの役員です。さらに聞くところによると、現在の国鉄の理事の今村義夫さんが専務で全通運に入る。さらに東京駅長の武蔵寿雄さんが入る。さらに聞くところによると、田中廉さん、東鉄の経理部長も全国通運に入る、こうなりますと、全国通運傘下二百数十社のうち十数社の話を私聞きました。こうすると、またも国鉄と日通との関係が、日通が国鉄のみならず、各省庁からの天下り人事を受け入れた、そのことがくさった日通を出現させた一つの原因である。こういうふうに国鉄からどんどんどんどん役員が入ってくる、やがてこの全国通運の性格も日通のようになるのじゃないかと思う。この全通運傘下の各社はこのことを非常に心配している。憂えている。こういうふうなことがあるのです。ということは、また先ほどの時点にさかのぼりますと、国鉄の四億円の融資というものは、目的もあまりはっきりしていない。その時点において全通運の資金はだぶついている。この四億を入れたと同時に、また国鉄からどんどん天下って全通運にいっている。これはうわさかどうかわかりませんけれども、そもそも日通がこういうふうに表にうみが出てきたのは、国鉄と全通運とのこの関係が非常に大きく影響した。国鉄の人事はどんどん日通のほうに受け入れられた、それが受け入れてもらえなくなったというようなことから、国鉄の某幹部あたりが腹を曲げた。こういうふうなことが日通が今日のような状態になって、やり玉に上げられた一つの基因をつくった、こういうふうに言われている。その国鉄がこともあろうに、いま現在は日通というものが、これが悪である。各省庁これに対してメスを入れている。  さらにもう一、二点であります。さらに私に言わせると、もう日通のタヌキがあまりばけ方がうまくなくて、全通運のキツネのほうが何かしっぽが出なかったのじゃないか。しっぽと言っちゃ申しわけないけれども、そんなような感じがするのです。どうでしょう。
  120. 長瀬恒雄

    説明員(長瀬恒雄君) 国鉄が投資いたしました目的でございますが、先ほど申したとおりでありますが、具体的には現在の大都市におきますコンテナ、あるいは小口貨物の集配というような点を効率化するためには、どうしてもデポが要るわけです。共同集配基地が要るわけでありますが、まず集配基地を整備する。これはこう簡単にはできないわけでありますが、予定としましては、十五億程度の投資を計画いたしております。それからさらに現在の通運業者が持っておりますトラックあるいは機械というものにつきましても、これらはいずれも現在の整備が十分でないというような点から、共用の運搬機というものをつくりまして、これを使わせるということによって近代化をはかる。さらに荷役機械にいたしましても、現在のような手でやる、あるいは肩でやるというような状態を近代化する必要があろうと思うのであります。そういうような面で機械化率というものを約八〇%程度にするために、約七億円というような投資計画を持っておるわけでありまして、そのほか、いろいろとこまかい点がございますが、全体で三十七億円の投資をするという計画を目下着々として、その線に沿って現在やっておるわけであります。それらの点につきまして、結局その整備をするというためには、どうしても専門家と申しますか、貨物の輸送あるいは通運業者との関係におきまして専門家がいるということでございまして、先ほどの御指摘のように、国鉄の退職者が懇望されまして、現在そちらにおきまして仕事をしているわけであります。現状の陣容では非常に手薄でございますので、そういう点から会社のほうからの要請があったので、国鉄といたしましてもこれを受け入れたわけでありまして、決して天下りというふうには私ども考えていないわけでございます。
  121. 黒柳明

    ○黒柳明君 それで政令改正が四十二年の十一月、政令改正によって四億の出資がなされた、これは合法的なんです、法的には決して何でもない。それから国鉄の天下り人事で全通運に入る、これも法的には規制されていないんです。  さらに私もう一つ指摘したいのは、これは政治資金、これも法的には合法なんですよ、何らやましいところはない。ところが、政治資金、要するに自治省のあの官報から拾ってきた、四十年、四十一年、四十二年の上半期だけとってみましても、軽く二千万をこえるんですよ。しかも四十年は三百四十二万、四十一年は九百五十万、四十二年は上半期だけで七百万こえる、これがさらに下半期とりますと一千万をこえるんじゃないかということは、しろうと考えで申しわけないんですけれども、四十二年十一月の政令改正、それに向かって相当やっぱり裏面工作がなされたんじゃないか。しかも、ここで一番顕著なのは、この会長である浜野清吾さん、特に傘下二百数十社のあらゆる通運業者、運送業者から浜野清吾と浜野清吾の後援会に金が流れている、政治献金が流れている。当然これは浜野清吾個人で使った、そんなこと私は思いたくない、ないと思います。しかしながら、やっぱりこういう四億もの出資を受ける政令を改正する、そしてやがて全通運を守り上げる、これに対しては、やっぱりこういうものが何かしら裏面において使われたんじゃないか、こういう疑惑が起こる。しかしながら、これもいまの法律で言うと別に非合法じゃない。こういうようなことで、表面上見ますと政令改正、四億の出資、国鉄からの天下り人事、さらには四十二年十一月を目ざして毎年倍々と政治献金というものが傘下の通運、運送業界から集められている。これ自体は、非常に何か、やっぱりこの傘下の業者が言ったように、全通運の性格というものが、国鉄と日通との性格、そういうくされ縁の関係にこれからなる心配が非常にあるんじゃないか。ということは、もう一つは、この四億円の出資が四十二年の十一月、それから日通問題の発端は四十二年の十月、四十二年の十月に初めて日通に手が入れられた。従来から全通運というのは日通の独占体制をくずそうとねらっていた。これは御存じの世間周知の事実ですよ。それで日通関係の議員もいる、全通運関係の議員もいる。そうして火花を散らしたことは、世間周知の事実です。その日通事件が四十二年の十月にあった。十一月にこの政令改正、増資となっておるわけです。国鉄から資金が出ておる。この関連性——そういう日通というものの悪さをたたきながら、今度全通運というものがそこに一枚加わって分け前を横取りしていくのではないか、こういう心配が業者の間に非常に多いんです。非常にではないかもしれないが、わずかかもしれないが、将来そういう方向になる可能性がある、こういう心配がある。だから国鉄総裁は、同じくこの増資にあたって、真に国鉄と一体となって鉄道貨物輸送の進展に貢献したい、こう言っているんです。ところが、真に一体となって鉄道貨物輸送に貢献したい、こう言っても通運免許を持っていないわけです、この全通運。先ほどの長官のお話に類するわけですけれども、こういうことができる可能性がある全通運であるかどうか、あるいはこれから検討しなければならないではないですか。そういう資格もないのに、総裁あたりが、これから一体となってやるなんということを先ばしって言っているわけです。ここらあたりにも全通運の性格が非常に疑問になると思います。  それで最後に大臣に、時間がないので、もう十五分オーバーしておりますのではしょってきましたけれども、こういう全通運、くどいようですけれども、明らかに法的には問題がない。しかしながら、先ほどから大臣がおっしゃったように、道徳的に、あるいはいろいろな面からしてもこれは改善しなければならない点がある、こういうようなこともおっしゃっておりますし、この全通運に対して、食糧庁との米麦の輸送問題がいま問題になっております。さらに、こういう国鉄の出資をめくって政令改正、天下り人事——こう言いたいわけです。——それから政治資金のこの関係性、そういうようなことから見て、業者が心配していく方向に向かったらこれはたいへんなことになると思いますが、ひとつこの全通運に対しても大臣は関心を払われて、日通とのそういうような関係性、また再び第二の日通ということにならないように、これから育てていただきたいということを希望意見としてひとつ大臣の所見を最後にお伺いしたいと思います。
  122. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) いろいろ御助言をいただきまして感謝いたしますが、全国通運も必ずしも完全なものではないと私も認識しております。まあ悪いことばで言えば、やっぱりピンはね機関みたいな性格にならざるを得ない。そういう面から、いかにしてこれをよく育成するかという点に私たちの大きな責任があると思います。そこで、御指摘のとおり、国鉄とは非常に密接なところがございまして、その点も私の気にかかっておる要素なのであります。といって、今日の日通の現状を見ますというと、対抗物を育てなければならないという要請もありまして、その辺のかね合いをどういうふうにしてうまく両者健全な競争関係に育てていくかということが一番頭の痛いところであります。率直なことを申し上げるとそういうことです。そこで、よくその辺を注意いたしまして、健全に両方とも成長するように努力していきたい、このように考えます。
  123. 大森創造

    ○大森創造君 私は、昨年のいまごろからちょうどまる一年にわたって住宅公団の問題について伺ってきました。それで御承知のように大団円が近づきつつありますが、三月八日でございますか、花見川の現地から数人の参考人おいでいただいて参考人の意見を聞きました。結局、私がしばしば申し上げていたように、使途不明金なるものがあるだろう——あるということを断言して、それは第一明和にあるんだということを申し上げました。そこで、そのとき参考人の一人として来ておられた株式会社第一明和の代表取締役福島氏は、三月八日の委員会段階では公表はできないけれども、決算委員長亀田得治氏の指示によって、この使途不明金なるものを、時間をかけてひとつ公表をいたしましょうということになりまして、三月八日から四月二十九日まで準備をして、私の手元に、参議院決算委員長殿として、「使途不明金の内容報告に関する件」なる、この文書がまいっております。これで一切が終わるわけです。この内容を究明することによって、私の主張が正しかったか、それとも住宅公団の言われるような主張が正しかったかということが明らかになるだろうと思います。その意味で私はこの文書は、非常に重大だと思いますが、拝見しますというと、ほとんどでたらめですね、これは。よくもまあこういうものが書けたと思っております。私が一年間主張したことが正しいようなことに相なっております。そこでこの使途不明金ですよ、この不明金の内容一つ、これは皆さんお持ちならばひとつ見ていただきたいと思うのでございますが、支出明細として、たとえば渡辺吉五郎さんいう人に三と百六十七万一千五百円を支払ったということになっておりますが、このことは事実なんです。これは渡辺吉五郎さんの弟さんと係争がございまして、この当該土地を住宅公団に売り渡すについて、この渡辺吉五郎さんの弟さんに八百万円の現金を渡しました。ですけれども、これは住宅公団のほうから渡辺さんに支払いがあった場合に、これはすぐそのまま返してしまいましたから、渡辺吉五郎さんに対する三百六十七万一千五百円というものは、これは全然明和に返済済みであります。したがって、この項目はゼロなんです。いいですか、支出明細として渡辺吉五郎さんに三百六十七万一千五百円支払ったということになっております。だけれども、これは現在では一銭も払ってないということに相なっているんです。このことについて、住宅公団は御存じですか。
  124. 稗田治

    参考人(稗田治君) 第一明和の福島氏から委員長あてに出ました報告書と内容の点についてのお尋ねでございますが、大森委員から御質問がございますというので見せていただたいたわけでございますが、公団は当初からこの委員会におきまして答弁いたしておりまするのは、公団としましては、用地取得価格というのを全体として取りきめて正当な代理人としての委任状を持った川口氏と契約をし代金を払った、そういうことを申し上げておるのでございます。で、ただいま委員長あての報告書は昨日私も拝見いたしましたけれども、これらの内容につきましては、地主側の配分の問題でございますので、これらの支出がどうかということをただいま申し上げることはできないわけでございます。
  125. 大森創造

    ○大森創造君 私が一年間質問したことはどういうことかというと、花見川の団地を住宅公団が買う場合に、それはでこぼこがございますということを何回も申し上げました。それからこういう広さの団地を買う場合に、ここのところはどうしても売りたくないという場合に、見返りの土地も必要であるということも申し上げた。しかし問題は、何億かの金をもって花見川の団地をつくる場合に、結局は地主なり関係者にその金が支払われているということであろう、宙ぶらりんの金はないはずである。第一明和に支払ったならば、第一明和からその金がどこかにいっていなければならないという議論もずっといままでしてきたわけです。そこで三月八日の段階では、一体、住宅公団は地主代表の川口さんに渡したからいい、あとは知らないということではまずいので、結局は住宅公団から出た金が第一明和なりその他の不動産業者のほうにいって、落ちつく先は地主であろう、あるいはその他の関係者であろうということであって、そして第一明和の福島社長から、それならば三月八日の段階では公表できないが、追って公表いたしましょうというのがこの文書なんですから、この文書の内容について、不明である、それから事実と違うということになれば、私の主張が正しかったということになると思うのです。住宅公団、私はここで申し上げますが、林総裁、稗田さんについては何もございませんよ、これは何もないですよ。ただ、第一線で不当に金が支出されているということを私は何回も申し上げている。そこで、この文書は信用できないのです。支出明細のイの項の渡辺吉五郎さんに立てかえしておる三百六十七万一千五百円という事実はないわけです。これはゼロなんです、いいですか。  それからもう一つ、委員の皆さんのほうに、この文書を配りましたけれども、この内容について申し上げます。  全体で二千何百万円からの使途不明金があるといううちで、そのうちで代替地の損失負担金として一千二百八十一万六千六百二十円、こういうことになっておりまして、「公団の土地買収計画発表に伴い指定地区周辺の地価が高騰し、」云々ということがございますが、五人列挙してございますが、そのうち大野源治郎さんという人は、私ども調査に行きましたときに、一昨日です、現地について一人一人当たりました。この人は不在でございましたけれどもあとの小石川米藏さん、大野庸一さん、渡辺竹松さん、渡辺善一郎さん、これは事実と全然違うわけです。これは私のほうから差し上げましたものをお読みいただきたいと思うのですが、渡辺善一郎さんの場合には、ここに書いてございますが、同人は四十一年の三月二十六日に代替地七百五十三坪を第一明和の社員勝本均より坪当たり六千二百円で代替地として第一明和から買ったわけです。四百六十六万八千六百円で購入したわけです、第一明和から。ところがこの土地は、勝又自動車という千葉県の自動車会社の所有地であるものを、それを第一明和のほうが、もっといい土地を世話してやるからということで、ことば巧みに、その勝又自動車から登記の権利書と印鑑などを持ち出して、そして渡辺善一郎さんに売却したわけです。したがってその売却した代金を、これを勝又自動車に支払わなければならぬわけですけれども、勝又自動車には一銭も支払っておりません。いわば詐取した金です。これは去年の秋から千葉県警で調べられておりますので、私が申し上げたことが事実かどうか、警察の方いらっしゃいますか、これはお答えいただきたいと思います。
  126. 内海倫

    政府委員(内海倫君) ただいまお話のございました第一明和という会社に関しまする業務上横領容疑の問題ですけれども、私どものほうでは、昨年の十二月の十六日に業務上横領ということで、関係者を逮捕いたしまして、ただいま検察庁のほうに事件を送致いたしております。したがいまして、現在検察庁で起訴をいたしたと聞いておりますが、公判係属中の事件でありますので、詳細について答弁を私の立場からいたしますことは差し控えたいと思います。  ただ、私どものほうで送致いたしました概要を申し上げますと、先ほどお話のありました株式会社の第一明和ですか、の取締役等の二名が、昭和四十年の十月ごろから昭和四十二年の四月ごろまでの間に、千葉市内のフジ通商株式会社、これは先ほどお話のありました勝又自動車を経営している人のやはり経営する会社のようでございますが、の所有になっておりまする宅地、畑地等約一万坪についての権利書、あるいはその他の土地に関する関係書類を、フジ通商にかわりまして業務上これを保管しておったようでありますが、これを悪用いたしまして、その土地を、自分の権限に属するものでないにかかわらず、十数人の人々にかってに売却して横領をしたものである、こういうことが千葉県警察の捜査として、先ほど申しましたように、検察庁に事件を送致しておる、こういう報告を聞いております。
  127. 大森創造

    ○大森創造君 これは私が申し上げたとおりの事実ですね、警察でお調べになった結果は。渡辺善一郎さんに結局七百五十三坪渡した、坪当たり四千六百円損をして渡した、こういうことですよ。そうしますと、渡辺善一郎さんに売った坪当たりの単価は六千二百円ということを確かめましたから、それなのに四千六百円損をして、坪当たり負担金云々ということは、損をしてという意味でございますから、したがって、六千二百円で渡辺善一郎さんに第一明和が売ったということならば、六千二百円プラス第一明和が損をした四千六百円を加えた、すなわち一万八百円の坪単価でこれは勝又自動車から買ったということの裏づけになります。合計で、坪当たり四千六百円損をしながら売ったので、七百五十三坪だから、みんなで渡辺善一郎さんに買い値よりは三百四十六万三千八百円損をして売ったということです。事実はいま私が申し上げましたように、それから刑事局長が言われましたように、そうでない。勝又自動車には一銭も払っていないのです。一銭も負担をしていないわけです。  それからもう一つは、今度は渡辺竹松という人について言えば、これは三百坪渡辺竹松さんに第一明和が売ったということになっております。これは事実です。そうして坪当たり四千五百円損卒したということになっております。これは渡辺竹松さんに会って事実を確かめてみまするというと、坪当たり六千五百円で売っておりますから、四千五百円損したということですから、今度は旨い値は、第一明和が、これは戸井作治という人から——この人にも会ってまいりました。そうすると、戸井作治さんからの買い値は坪当たり四千五百円プラス六千五百円ですから一万一千円になるわけです。それから事実はどうかというと、こうなんです。戸井作治さんからの買い値は五千五百円であって、そうして渡辺竹松さんへの売り値は六千五百円でございますから、坪当たり千円逆にもうけているわけです。同様に大野庸一さんという人は、五百九十五坪と五百九十二坪ですから合計で千百八十七坪です。これを坪当たり四千三百六十円損をして売ったということでございます。現地において大野さんに聞いてみまするというと、大野さんが第一明和から買った坪当たりの単価は六千円ですから、第一明和がもとの地主から買った値段は、六千円プラス四千三百六十円、すなわち一万三百六十円のはずです。ところがこの報告によりますというと、逆に坪当たり四千三百六十円損をして、合計して五百十七万五千三百二十円損をしたのだ、こういうことの報告がなされております。もう一人小石川米藏さんは百坪でございますが、実際は二百坪の宅地です。これは七千五百円で第一明和から譲り受けたわけです。ところが第一明和の買い値は、戸井重信という人から五千五百円で、昭和四十年の初めですから、逆に幾らもうかっていることになりますかな、坪当たり二千円もうかっているにかかわらず、この報告によりますというと、坪当たり三千二百円の損をして小石川米藏さんに売ったということになっております。  こういうものを合計しますというと、一千二百八十一万六千六百二十円というもの、これは事実無根です。私がこれを問題にしますのは、いままで七回か八回この花見川団地の問題について質疑をしたゆえんのものは、林さんや稗田さんの言われることはわかるわけですが、しかし結局、この金は不動産のほうにいってならない金がいっているのだ。しかし、土地を買収するについてはいろんな事情があるであろう。だからその明細をお出しなさい。極端に言えば、金の行くえはどこかへいくのですから、私は赤坂で使ったっていいと思うのです、明細が出れば。百万円使おうが二百万円使おうが、そんなことは問題じゃない。使った相手がはっきりすれば私は了承するのです。これは事実と違うのですからね。そこで、大野源治郎さんには不在でしたので会えませんでしたが、大体同様だろうと思うのです。合計すると二千二百九十一万六百二十円の使途不明金のうちで、私がいま指摘いたしました一千二百八十一万円というのは事実無根なんです。よくこういうものを私は決算委員長に出したと思うのです、あつかましくも。公団とは直接関係ないとは言いながら、この文章は、結局は公団からいった金が何だかわからないということの証明なんです。必要な金ならば幾ら出してもいいということを私は言っておるわけですよ。ところがこれがわからないのです。そこで福島社長はいろいろ苦労して、五十日ございましたから何とかおっつけようと思ったのですが、これならば納得してもらえるであろうというやや信憑性のあるものが——一千二百八十一万何がしというものをこういうふうに羅列したものが事実無根であるということになれば、これはどうなりますか。さらに言います。今度は、その次の前項付帯の費用として、四十万円かけてあるということになっておりますけれども、これは渡辺竹松という人と、それからもう一人の人に実際に会って聞いてみたところが、こういうものは全部地主が負担していた、第一明和は負担しておりません。司法書士の大岩事務所というところに支払っております、地主自身が、渡辺善一郎さん、渡辺竹松さんに会いましたけれども。全部こういう費用は、四十万円かけてなくて地主が負担しているということが明白なんです。そうすると、これはどうなりますかね。いままで数回にわたって一年間かけて議論したものの最後はこれなんですよ。使途不明金というのは依然としていまもって不明であるということです。どこに使われたのですかわからないということです。これについてどうお考えになりますか。
  128. 稗田治

    参考人(稗田治君) ただいまのお尋ねにつきまして、公団として、公団のほうにこの回答を求めるというのは多少筋違いではなかろうかというふうに感じておるわけでございます。これは前の決算委員会の要求で福島氏が提出したものでございます。公団としてこれを受けたわけではないのでございます。もちろん御質疑がこれに関係するものがあるというので、私昨日拝見いたしましたけれども、それの真偽等について論ずるというまだそれだけのわれわれのほうとしては材料も持っていないわけでございますし、また、この第一明和につきまして、このような使途を一々具体的に公団の職員が指示をしたとか、そういうことはないわけでございます。
  129. 大森創造

    ○大森創造君 いや、そのお答えは理屈としてはわかるのですけれども、一年間議論した内容は、使途不明金というものはあってはならないということです。ところが、私のほうでは使途不明金があるからいままで問題にした。公団は地主代表にやればいいといって、あとのことは知らぬということはしばしば繰り返してきましたけれども、結局は国民の税金なんですから、落ちつく先がわからないと困るということですよ、いままで議論したことは。そこで、数人の参考人を呼んで三月八日まる一日議論したのはこのことです。決して各党代表の立ち合い演説ではなかったわけです。三月八日の委員会は事実を究明するということです。参議院決算委員会というのは、政策の是非をただすということと、もう一つは、金がどこにいったかということです。事実関係について私は申し上げておる。この金がわからなくては困るでしょう。さらに言います。それでは一体、地主代表のほうから八百何十万円か七百何十万円かの宙ぶらりんの金が公団のほうに返されましたが、このことはどうなりますか。このことは知らぬ存ぜぬということにはならぬでしょう。この処置をどうしますかね。
  130. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をとめて。   〔午後四時五十七分速記中止〕   〔午後五時十分速記開始〕
  131. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をつけてください。
  132. 大森創造

    ○大森創造君 この前、地主代表の川口さんという人は、公団にお金を八百万か七百数十万円返したということは違うんじゃないかというお話がございましたね。ところが事実について聞いてみますというと、地主からの委任は受けていないんですね。そうして、公団の職員の方が不動産業者と一緒になって、それぞれ個々の地主から書類をとって、白紙委任状をもらって、それを川口さんのほうに委任状は示しもしないで、したがって、川口さんはその委任状なるものを見ていないんです。それは川口さんを素通りして公団のほうにいっているわけです、いま委任状は。だから、一体川口さんの地主代表という法的な権限があるかどうかということが一つ問題になると思うんです。事実関係について調べてみるというと、そういうことなんです。素通りして公団のほうにいっているわけなんですよ。これはどういうことになるんでしょう。正式の代理権といいますか、地主全体を代表する法的な地位にあるかどうかということは非常に疑問なんです。全然見てないんですよ、その委任状なるものは。地主が白紙で公団の職員に渡して、公団のほうでは川口さんと書いて、そしていまもって全然その書類は見てないわけです、川口さんのほうは。こういうことはどういうことになるんでしょう。
  133. 温水三郎

    ○温水三郎君 ちょっと関連して。川口氏の法的地位に対しては、ぼくが川口氏に質問した結果によって、この委員会の議事録にはっきり載っているとおり、川口氏は地主から委任を受けたということを明言している。法的地位は明確になったと思うんです。
  134. 大森創造

    ○大森創造君 ちょっと待ってください。それは、この前の委員会でそういう議論は温水さんがおっしゃっても、これは明確でない。それがわかればもっと明確になるんだ……。
  135. 温水三郎

    ○温水三郎君 川口氏がそう言っている。
  136. 大森創造

    ○大森創造君 私の言うのは、事実について調べてみるというと、地主のほうから公団職員なり不動産業者が白紙でもらって、それについて今度は川口幹という名前を署名して公団のほうにいっている、素通りしているわけです、川口さんのほうは。
  137. 温水三郎

    ○温水三郎君 本人がそうだと言っているんです。
  138. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 稗田さん、いまの点。
  139. 稗田治

    参考人(稗田治君) いまの委任状でございますけれども、これは契約書についておるものでございます。したがいまして、契約書類は全部そろっております、公団の契約書もございますから。これがいま素通りしてどうのこうのというお話がございましたけれども、地主総代表になられたときに、地区のそれぞれの委員長の方のお集まりのあった席で、川口幹氏はちゃんとあいさつもされておる。委任状につきましては、便宜上公団のほうに——契約書につけるものでございますので、公団のほうに直接届けてもよろしいという内諾の上でやったことでございます。もちろんそういった全体の十一次契約までのときに、全部それは判を押されるときに、御承知のはずでございます。
  140. 大森創造

    ○大森創造君 稗田さん。そうおっしゃいますけれども、なるほど書類は整っているのでございますが、川口さんのほうは知らないわけです。それであとで川口さんに地主代表になってほしいということで不動産業者と二、三の方が行かれたらしいんですが、そのときはもう素通りして公団のほうにちゃんと委任状なるものがいっていたわけです。これが事実なんです。形式は整っているけれども、本人の了解は得ていない。
  141. 稗田治

    参考人(稗田治君) いずれにいたしましても、第一次の契約のときから川口さんが総代表になられて契約した、その契約書についている、こういうことでございます。
  142. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 関連して。いまの委任状の件ですが、私が参考人に聞きましたときに、船越光郎君に聞いたわけですが、二百名の地主のそれぞれの委任状を川口さんはもらったのかどうかということに対して、「まず第一に、川口幹総代表が委任状を受けて、みんなの委任状が出まして、契約した者は全員川口先生に委任状を出しまして、皆さんの総意に基づいて川口先生にお願いして代表になっていただいた次第でございます。公団側も皆さんがお頼みになったように聞いたわけです。」という船越光郎参考人のここでの答弁があるわけです。
  143. 大森創造

    ○大森創造君 川口さんのほうは、全然その委任状なるものを見ていない。
  144. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 その点が非常に疑問だったのに、温水委員の質問に対して答えが不十分であったために、私がさらに船越光郎君に対してこの質問を投げかけましたところが、いまのような答弁がここに出ておるわけです。
  145. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 委員長から発言して何ですが、その委任の形式というのはいろいろな形式があります。多少形式に欠ける場合もある。しかし実際上自分が代理ということを認めて行動しておれば、多少形式的に瑕疵があってもそれは追認されたようにみなされる場合もある。ただいろいろ紛糾すると、正式な委任行為ということをしていなかったじゃないかというようなこともよく出る問題です。だから、その辺のことを問題にするのであれば、私も議事録なりもう少し詳しく調べてどう判断すべきかというふうにしていかなければいかぬと思うんです。だからその点をどうしても明らかにしなきゃならぬということであれば、再度これは関係者を呼んでもいいわけです。
  146. 温水三郎

    ○温水三郎君 それはちゃんと契約書に判を押してあるなら、いまさら何を言ったってだめだと思うのだが、しかし、かりに大森委員がおっしゃるように、公団がかってに委任状を作成して、かってに川口さんの判を押したということであれば、これは重大問題だ。これは徹底的に究明しなければ天下の問題だ。
  147. 亀田得治

    委員長亀田得治君) じゃどうですか、この程度にして、田村委員からちょっと質問があるからそれをやってもらって、それの終了後、なお扱いについて相談する。——じゃ、田村君。
  148. 田村賢作

    ○田村賢作君 花見川の団地の問題が決算委員会の場に登場し始めてちょうど一年経過しています。まことに長期戦、しかも綿密な審議が行なわれて今日に至りましたが、しかし、決算委員のだれもがまだ腹の底からなるほどこうだったのかという結論が出ない。なぜ出ないかということについての疑問がいま大森委員からも出ていますが、私はいま問題になっている大かたの問題というのは、決算委員会の手を離れた問題ではなかろうか、こう考えることが第一点なんです。というのは、前に参考人を呼んで聞いたときの経過と、いままでの論議から総合いたしまして、二十一万坪の土地を二十四億円何がしで公団が買って、登記もして、その間に問題は、公団に不正がある、公団の職員にやましい点があるではないかということから、このつき合いの金も出てきたというようなことでこの審議が続行されているわけですが、この前の三月八日の参考人を呼んだときの問答をもって、公団には何らのやましいところも不正もないということを地主総代表の川口幹さんからも言われているのです。したがって、その金が今度は個々の百七十人の地主にどのようにいったかということについては、まだわれわれにはわからないが、これは総代表の川口さんとそれから売却代表者というのですか、三人いるようでありまするし、取りまとめ人というのが三人いるようでありまするから、この七人の方でよく筋道を分けていくならば必ずこれは話がぴったり合うはずじゃないだろうか、こう思われるのですが、それはこっちのわれわれの関知することではなくて、川口さんやその地元の用地関係者の方々のことではなかろうかとこう思われる。  そこで、この決算委員会の性格と申しますか、何と申しますか、この決算委員会は、いやしくもこれは国会が国権の最高機関だといわれ、しかも、その決算委員会であるから、最も権威があってしかるべき場所であり発言でなければならない。ところが、しさいにここで論議をされている内容を調べてみると、あながちわれわれはほんとうに権威のある内容であり発言であったかということに疑問を持たざるを得ない幾つかのことがあります。それは決して井戸ばた会議の話でもないのだし、こたつをはさんでの茶飲み話でもないのだから、ここでの発言というものは、私は国民の前に明らかにいたすところの権威のある発言でなければならない。その一つ二つの例をお尋ねをするのですが、たとえば昨年の五月十八日のこの決算委員会の発言の中にこういう発言の内容があります。花島地区のある地主の親戚の人がたまたま公団に勤務していたために、買収予定価格が事前にわかっていたのでごね得をきめ込んだ、一万一千円以上で公団に買い取らせたというような発言があります。これを私は、公団側にそういうことがあったのかどうか聞いたのでありまするが、公団側は、そういうことはないと、こう言うのであります。あらためて私はここで、公団側にこういうことが事実あるのかないのかはっきりしてもらいたい。で、そういうことが、ないことがあったるごとく理解をされたり新聞に報道されたり週刊誌の記事になされたりというようなことは、私は政治を歪曲するもはなはだしいと思うから、そういうことを決算委員会の権威のためにお聞きするのです。  あるいは昨年の七月五日の決算委員会のこの席上でこういう発言もありますよ。大野文治郎さんという地主、江口久雄さんという地主及び川口久さんという地主さん、これらの各氏の所有地の買収価格の決定については、東京支所の細井土地第二課長が直接決定をしておる、こういうことであります。ところがこの前ここで聞いたときには、何か取りまとめ人という者がおり、その地区地区の売却代表者という者がいたように思われるので、こういうことも、これは東京支所の細井土地第二課長がそのようなことをやったのかやらないのか、はっきりしてもらいたい。  あるいは、これは昨年の七月五日の決算委員会の記録の内容ですが、川口幹氏の所有の土地の評価は、当時の東京支所の青井土地第一課長が行なっているため、川口氏の土地についての手数料は業者は受け取っていない、こういう発言があるのであります。ところがこの前ここで聞いたときには、何かこれもだれかが、ほかの人かわかりませんが、手数料を受け取っているようなことをこの前言われたのですよ。こういうこともはっきりしてくださいよ。たくさんありますから、いまの三点だけひとつ明らかにしてください。詳しく言わなくてもいいから、簡潔にあるとかないとか、こうだとかああだとかいうことだけを言ってもらえばけっこうです。
  149. 稗田治

    参考人(稗田治君) 最初のお尋ねでございますが、大森委員からこのような質疑がございましたので、公団といたしましては徹底的に調査したわけでございますが、地主の親戚の人で公団に勤務しておるという人間がいないわけでございます。したがいまして、第一のお尋ねは、指摘のような事実はございません。  それから第二の細井土地第二課長が直接価格を決定したということでございますが、細井課長はこれらの地主とは面識がございません。また、課長がそういった個々の価格の決定をしたという事実はございません。  第三の川口幹氏の所有の土地の手数料につきましては、この前参考人を呼ばれたときに、委員の方から御質問を直接秋山氏にされたと思いますけれども、手数料は受け取っております。
  150. 田村賢作

    ○田村賢作君 まあこれに類したことがたくさんありますが、同じようなことですから省略しますが、要するに、こういう誤解を、こうしたことが論議されるというところに、私は、公団側にもこれは注意しなければならない点がある。ことに第一線の用地関係者なり、地主と交渉する人たちのその態度にも反省をしなければならない点があることであろうということと、それからもう一つは、私も幾つか大きな工業団地の買収ということに関係をしたことがありまするし、その団体に関係をしたこともあります。ありますが、花見川団地のような最低価格と最高価格の地価の開きの大きいのは私は初めて聞いた。安い土地は六千円にもならないし、高い土地は一万八千円もこえるというような、それなりの理由があるところは納得ができますが、何かこの間に、第三者から見ると割り切れない、不正ではないかもしらぬけれども、不当のような気がいたします。こういうようなことは、これは公団としても、今後の用地取得について、十分地域の者にも、国民にも、ガラス張りで公表のできるような用地の取得の方法で当たっていただきたいということを私は強く要望をいたしまして、終わります。
  151. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 関連して。私は決算委員会のあり方について、委員長さんにお願いして、今後理事会その他で十分御審議いただいて御検討いただきたいと思うわけでございますが、いまも田村委員から話が出ましたように、花見川団地に関する問題等を取り上げて、私も事の真否性その他について十分いろいろと調査してみたわけでございますけれども、それが真実であるかどうかということは別でございます。私はやはり現実、この証拠の確実性というものをもう少しお互いにきわめた上で発言等をすべきである、追求すべきである。また表現の方法等についても、もう少し検討を要するのではなかろうか。表現、ことばの使い方によって、ある家庭の人を不幸におとしいれているという現実もあるし、学校へ行っている子供さんが学校へ行くことがもういやになったという現実も、この事実の中からさえも生まれているということを私どもは散見するわけでございます。さらに、この資料の集め方についてもそうだと思うわけです。これは決算委員の全体のあり方として私はお考えいただき、特に調査関係についてもお願いするわけでございますけれども調査の際に調査員にお願いする。調査員の方は、これは非常な権限を持った形で、いわばトラの威をかるごとき姿でもって調査されている現実を私どもは発見するわけであります。呼びつける、地方の相当な有力な者、知事あるいは総務部長級を部屋にまで呼びつけて、そして、きびしい、検事のごとき、被告人へのごとき態度で調べている現実も私どもは発見しております。それが調査員であり秘書であるということ。これは少し行き過ぎた行き方ではなかろうか。もちろんこういう資料要求の際には、部屋に連れてきて、どんな御質問なさいますかといって、質問を受ける側からは丁重に聞くことは、これはもう当然のことであります。そこに、資料要求等にあらわれる態度等も、私どもは十分議員として、秘書あるいは調査室等、室員等に対しては厳重な立場で向かわなければならないということを痛切に感ずるわけであります。そして、資料要求する際に、私は、できることなら委員長のところに資料要求をお願いしまして、理事ないしは委員長さんと相談の上資料要求することが当然だと思うわけです。この点を御検討いただきたいと思います。出された資料が質問する前にトップ屋に渡っている、こういう現実も私ども考えざるを得ません。やっぱり、出された資料というものは、十分機密の保持ということも考えなければならないと思うわけでございます。まだまだ幾つかございますけれども、きょうはたくさんの方もいらっしゃいます。公団等に関係ないことでございますから、委員会として取り上げる問題について、まだ幾つかございますが、委員長の手元において——委員長は非常に一年間に三期間にわたる決算をやって、そしてこの決算の姿を予算に反映しようという非常にそのやり方に対して敬意を表します。ただし、方法等については、いまのような問題点もございますので、今後検討いただくように、委員として委員長に特にお願いいたします。
  152. 大森創造

    ○大森創造君 よくわかりますけれども、何だか私は問題をすりかえているような気がするのですよ。私が言うているのは、どなたかおっしゃいましたように、事実関係についてただそうという態度なんですよ、事実関係について。そこで、実際に現地に行ってどうなっているかということを調査した結果が、こういうものが出てきたので、このことについてお尋ねをした。  一体、申し上げますが、皆さん方は現地に行かれたこともないし、ただ公団側のお話を聞いているのでしょう。林さんにしても稗田さんにしても、部下の話をお聞きするのでしょう。それはこの書類に見られるごとく、どっちが真実かということはわかりませんよ。少なくとも、わかっているのはそれだけなんですからね。そこで、こういううそ八百の書類を出して委員長に提出するという態度はおかしいと思うのですよ。何が真実かということは私のほうできわめたいです。これはいろいろあるのでございますが、ひとつ七百数十万円の問題や、この使途不明金の問題もこれは簡単ですからね。現地へ行けば私の言うていることが事実かうそかということがわかりますからね。これはいままでずいぶん長時間私のほうでも調査してきた問題だし、三月八日については、まる一日つぶした問題だから、私に言わせれば、現地へ行って見れば三日でわかりますよ。いや三日どころか一日ぐらいでわかりますよ。そこで、どういう内容のものであって、使途不明金がどうして出たのか。その間に第一線の公団の職員がどういう介入のしかたをしたかということは、林さんや稗田さんや自民党の皆さん方はお知りにならないですよ。現地に行ってみなさい。あたかも私が言いがかりをつけているがごとく言いますけれども、そうでない。現地へ当たって聞いてみてごらんなさいよ。はっきりしているから私は申し上げているのです。こうも思えればこうも思えると、私がこう言えばこうも言えるというような、そういうことじゃないのですよ、事実ははっきりしていますから。  そこで、私の発言については、知事など呼びつけて秘書がどうだ調査室がどうだということは、おそらく私じゃないでしょう。黒柳君らのこと房言っているのでしょうね、中村さんが言っているのは。何か、私がしゃべっているときにそういうことを言われますと、花見川団地について私がいちゃもんつけているような感じがする。それから、この前の三月八日の委員会の雰囲気からして、私が事実関係を淡々と究明しようということで、この使途不明金なるものがあってはまずい。八百何万円か、八百九十万円ですか、七百何万円かというものが宙に現実に浮いているのですから、これは決算委員会として究明するのは当然です、それはあたりまえです。問題をすりかえて、委員会のあり方とか、それから調査室のあり方とか、そういうものに問題をすりかえるということは非常に不愉快です。何か、ためにせんがためにやられるような感じがする。皆さん方の発言は、公団の一方的な発言のような気がする。公団の、青井さんにしても部下にしても総裁も、私の言うようなことを認めたら始まりませんよ、絶対にこれは認めませんよ。しからば事実がどうかと言えば、私どもも十分事実について究明したい。そして、ここのところはこうなっております、ここの使途についてはここのところはこうでございますという事実を言っているのですよ。一般論で、どうだこうだ言われることは私は心外です。
  153. 亀田得治

    委員長亀田得治君) わかりました。
  154. 大森創造

    ○大森創造君 それで、不穏当な発言などということは、衆参両院全部集めて見てごらんなさい。私以上にずいぶん不穏当な発言が随所にあるわけです。何か底意地の悪いものを感じますがな。
  155. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  156. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十三分散会