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1968-04-19 第58回国会 参議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十九日(金曜日)    午後零時七分開会     —————————————    委員の異動   四月十七日      辞任        補欠選任       北條 雋八君    黒柳  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 田村 賢作君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 岡  三郎君                 黒柳  明君     委 員                 楠  正俊君                 佐藤  隆君                 菅野 儀作君                 高橋文五郎君                 高橋雄之助君                 小野  明君                 大橋 和孝君                 沢田 政治君                 柴谷  要君    国務大臣        外 務 大 臣  三木 武夫君        文 部 大 臣  灘尾 弘吉君    政府委員        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        行政管理庁行政        監察局長     諸永  直君        経済企画庁調整        局長       赤澤 璋一君        外務政務次官   藏内 修治君        外務大臣官房長  斎藤 鎭男君        外務大臣官房会        計課長      山崎 敏夫君        外務省経済協力        局長       上田 常光君        文部政務次官   久保田円次君        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部大臣官房会        計課長      井内慶次郎君        文部省初等中等        教育局長     天城  勲君        文部省大学学術        局長       宮地  茂君        文部省社会教育        局長       木田  宏君        文部省体育局長  赤石 清悦君        文部省管理局長  村山 松雄君        農林大臣官房経        理課長      田中 慶二君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君        食糧庁次長    田中  勉君        通商産業省貿易        振興局長     原田  明君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        大蔵省主計局主        計官       小幡 琢也君        会計検査院事務        総局第一局長   斉藤  実君        会計検査院事務        総局第二局長   石川 達郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十一年度特別会計歳入歳出決算昭和四十一年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十一  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和四十一年度決算外二件を議題といたします。  文部省決算について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 岡三郎

    岡三郎君 十二時も過ぎて時間がかなり経過しておりまするので、さしあたって文部省行管のほうにお伺いいたします。  昨年以来、行管のほうとしては、臨調の答申を経て、各省における行政機構の改革、それに伴って一省一局削減とか、いろいろな問題が出ているのですが、その過程の中において、日本給食会について、これは特殊法人というものをやめるべきである、こういうふうな指導というものがなされておって、その後文部省ないし日本給食会から、やはり脱脂粉乳を取り扱っていることから、漸次生乳に切りかえていくというふうなことで、いろいろこの間における問題点があるということから、これを存置するというような話し合いができて、昭和四十五年まで、一応話し合いの中からこれを認めるということになっているようですが、行政管理庁としては、この間について、脱脂粉乳ないし生乳に対する切りかえとか、そういう問題を総合的に踏まえて、どういうふうにこの日本給食会廃止というものを考えておるのか、御答弁願いたい。
  4. 諸永直

    政府委員(諸永直君) お答えいたします。  脱脂粉乳生乳への切りかえが、文部省との協議によりまして、昭和四十五年度を目途にほとんど全部が牛乳に切りかえられるということでございますので、この学校給食会は、学校給食用脱脂粉乳を供給する以外には従来見るべき実績がございませんので、四十五年度をもって廃止をすると、こういう結論を出したわけでございます。ただ切りかえ終了後におきましても、僻地離島等に対します飲料用脱脂粉乳需要が約三千トン見込まれております。なお、そのほかに、牛乳に切りかえましてもカルシウム、たん白質等栄養補てん用としましてそれに脱脂粉乳を使用されるという、こういう要望がございます。したがいまして、全部脱脂粉乳学校給食用配給がなくなるという、こういう情勢ではございませんが、しかしながら、文部省の予測、あるいはわれわれの調査結果によりましても、この栄養補てん用の使用される脱脂粉乳の量というものは、大体年間一万二千トン程度ではなかろうか、そういたしますというと、先ほど申し上げました僻地離島に対する飲用の需要量三千トン、合わせまして一万五千トン程度脱脂粉乳の今後の学校給食配給が見込まれる。ちょうど一万五千トンと申しますのは、日本学校給食会が、財団法人から特殊法人に切りかわりましたときの脱脂粉乳取り扱い量でございます。つまり財団法人をもってしても、一万五千トンぐらいの学校給食配給は、低廉にしかも円滑に配給できると、こういう量でございますので、一応四十五年度をもって廃止しても、学校給食の円滑な脱脂粉乳配給にはこと欠かないと、こういうことを考えまして、四十五年度をもって廃止する、こういう結論を出しておるわけでございます。
  5. 岡三郎

    岡三郎君 文部省に伺いますが、いまの答弁にあるようにですね、学校給食会としては、当然取り扱い量が漸次減ってくる、そういう過程の中で四十五年度に学校給食会特殊法人をやめるべきである、こういうふうな答弁であったわけですが、その切りかえの問題について、一応そういうふうな話し合いがなされておるというふうに言われたわけですが、文部省はどういうふうに考えますか。明確に簡単にやってください、時間が制限されているから。
  6. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) ただいま行管局長の言われましたように、一応政府のたてまえといたしましては、文部省も含め、いまの切りかえの率をもってすれば四十五年度で切りかえが完了する、こういうたてまえでございます以上やむを得ない、こういう態度をとっております。ただ、いまちょっとお触れにならなかったのですが、閣議の了解事項におきまして、ただこの学校給食会は、脱脂粉乳配給のみを行なうために存置されたものではございません。学校給食用基本物資の全般について責任を持ってもらいたいというのが、文部省の考えておるたてまえでございます。ただ現状においては、脱脂粉乳のみを取り扱っておりますので、現状をもってすれば、やむを得ない、しかし、ここにただし書きがございますが、ただし、今後取り扱う基本物資変動により、その業務内容に重大な変更の必要が生じた場合には、あらためて検討することとする——いまの予定ではやむを得ないけれども、昭和四十五年度までの間に、たとえば生乳等取り扱いをも学校給食会をして行なわしめる、こういうふうな重大な変更が生じた場合には、ぜひ学校給食会は存続させていただきたいという文部省のまあ希望もある程度含めまして、今後検討する、こういうことに相なったのではなかろうかと考えております。
  7. 岡三郎

    岡三郎君 そこでですね、先般日本給食会については、一応汚職関係が発生して、これは新聞に発表され、また、先般の参議院の予算委員会の第四分科会においては、この問題がすでに質疑をされておりまするので、重ねて詳しく時間がありませんので申し上げませんが、いまの学校給食会日本給食会というものの運営自体について、いろいろと指摘を受けておりますが、まず、この給食会関係の構成ですね、それから最近天下り天下りというふうにいわれておりまするが、役員出身省別について、お答え願いたいと思う。
  8. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 役員について申しますと、理事長一理事が、常勤二、非常勤三でございます。それから監事が、常勤一、非常勤一でございます。特に常勤について申せば、理事長清水康平文部省出身でございます。常任理事の一人は、深見吉之助文部省出身でございます。他は、常勤理事亀田喜美治、これは農林省出身でございます。それから常任監事、枝広幹造経済企画庁出身でございます。  その他非常勤は、学校給食会性質上、教育委員会あるいは学校長等をもって組織いたしております。  一般職員は、いま確実に数字はございませんが、大体ただいま申しました役員のように文部省出身者農林省系統出身者、それともう一つは、特殊な物資を扱う特殊法人でございますので、なれました一般民間出身者、大体三者をもって構成しておると申し上げてよいかと思います。
  9. 岡三郎

    岡三郎君 答弁があったように、私の調査によっても、これは文部省農林省出先機関になっておるんではないか。端的に言って、文部省関係外郭団体になっておるが、仕事性質農林省がこれに加わって、両省のこれは一つ天下り機関になっておる。こういうふうな点について、やはり問題が指摘されておると思うのですが、そういうふうな形の中で機構が固着しているんではないかというふうな指摘があります。しかし、この問題はいま特別にここでは触れません。ただ問題は、いま行管が言いましたように、この脱脂粉乳をいま取り扱っておるこの点について、今後基本的な物資取り扱い変動があった場合については云々とここに書いてありますが、この点は行管は、簡単に言ってどういうふうに考えております。
  10. 諸永直

    政府委員(諸永直君) これは念のための記述というふうに考えておりまして、おそらく牛乳、小麦を農林省関係から離しまして、文部省のほうに移管をいたしまして——学校給食に関するだけは移管をいたしまして、それで学校給食会にその取り扱いをさせる、こういうような事情になった場合、ということであろうと思います。
  11. 岡三郎

    岡三郎君 で、現実にですね、現在学校給食会において取り扱っている物資は、直接的であろうと間接的であろうとですね、脱脂粉乳だけではなくして、聞くところによれば、チーズかかん詰めとかビタミンCとか、そういうふうな物資をすでに直接ないしは間接的に取り扱っているというふうにいわれておるが、この点、文部省どうです。
  12. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 御指摘のように、主たるものは脱脂粉乳でございますが、さらに法律にもございますように、よき学校給食用物資あっせん、普及をはかるという任務もございますので、現状におきましてチーズ小麦粉製品水産かん詰めビタミンC果汁等供給業務をもあわせ行なっております。
  13. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、この取り扱い方式というのはどうなっておりますか。その他の物資についての取り扱い方式。つまりチーズかかん詰めとかビタミンCとかいうものを、やはりいろいろと談合をして、あっせんをするなり購入するなりしていると思うんですが、一体これはどういうところと契約ないし取引をしているか、その点の内容を具体的に説明を願いたい。
  14. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 若干不正確になろうかとも思いますが、脱脂粉乳以外のものにつきましては、大体原則あっせんでございます。各府県の学校給食会等、これはまあ学校等希望をいれましてでございますが、あっせんをいたします。したがって、その中には、地方からの希望をいれて、共同購入をして希望に応じてあっせんをする、配給をする、こういったものをも含めております。
  15. 岡三郎

    岡三郎君 そのあっせん——原則としてあっせんをしていると言いますが、あっせんないしは直接購入をして下へこれを配給をしている、こういうことになると思うんですが、その相手の会社はどうなっていますか。
  16. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 不備な点はまたあとで補足させていただきますが、たとえばチーズで申しますと、乳製品協会取引相手でございます。果汁につきましては果汁協会、こうした統一的な団体取引相手でございます。なお、その他こまかい点につきましては、ちょっといま資料を持ち合わせておりませんものですから、あとで答えさせていただきたいと思います。
  17. 岡三郎

    岡三郎君 その末端にいって、いろいろと物資購入について、日本学校統食会自体は、政府補助金ないしは直接学童からこれを徴収して、あるいは要保護児童とかあるいは準要保護児童、いろいろとありまするが、これも政府補助をしている。したがって、現金回転が非常によろしい。いわゆる取り立てにいろいろと都合よくできている。そういうふうな点で業者が非常にこれに関心を持っているということを聞いているわけですが、要するに、普通の商行為の取引ならば、手形で二カ月なり三カ月なり早くてもかかるのを、非常に学校統食会関係資金回転がよろしい、そういうことで業者関係としては、上部から末端にまで、どうしてこれに食い込むかということについてはかなり熾烈なものがあるというふうに聞いておりますが、この点について、文部省自体監督官庁として、その状態がいま現実にどうなっているのかということがわからぬでは、私は監督責任にはならぬと思う。そういう点で学校統食会監督にある文部省として、乳製品協会なりあるいは果汁協会なり、かん詰め類については水産物を取り扱っている業界、あるいはビタミンCについては特定業者、あるいはそういう業界なりというものからこれが納入されておると思うんですがね、あっせんした場合についてのあっせん手数料というものが入っておりませんか。
  18. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 前段のいろいろ業者学校統食用物資について、学校統食会に非常な関心を示しておるということは、あるいは御指摘のとおりではなかろうかと思います。それでございますので、どのようなものを取り上げるかにつきましては、実は慎重であらねばならぬ、こういうたてまえでございます。つまり、非常に類似ないろんなものがございます。何を取り上げるかにつきましては、やはり相当権威ある機関によって吟味した上でなければなかなか取り上げられない問題であろうかと存じます。したがいまして、取り上げてる数量は、実は一般の見方からすればもっと取り上げてもいいじゃないかと思われるくらい、むしろ取り上げていないのではないかという、一方において指摘をも受けております。  それはさておきまして、あっせん料は現在取っておりません。これは特殊法人でございますし、父兄負担軽減のために設けられた特殊法人でございますから、取っておりません。
  19. 岡三郎

    岡三郎君 一応この点についてはあとで、後刻詳細に調査して報告するということですから、こまかくは触れません、時間がありませんから。私は、現在この末端で行なわれている給食実態というものを、文部省はかなりよく把握していると思うのですが、まあたとえば例をとるというと、最近において非常に給食費値上がりが報道されております。諸物価の高騰ということからこれは質を落とさないためには、やむを得ずそういう値上がりということが起こってくるということもよくわかります。ただし、まあ一つの例でいえば、七百円を八百円にするとか、大体学童が非常に多いので相当の現金というものが、これが各都道府県で取り扱われている。そうするというと、この金というものについて、まあ品物の購入とか、そういうものについて、都道府県ないしは市町村自体において、これを、それぞれいろいろと運営をやられておるようですが、その中の第一点は、たとえば給食用に使う肉とか野菜とか、そういうものについて、一体どういうふうな程度指導がなされておるのか、また、各市なり県の給食会というもの、特に直接関係している市町村学校給食会、こういうものがどういうふうに運営されているかという点が、私は直接的に関心があるわけです、親のほうもあるわけです。それで、給食会実態の中から、万やむを得ず給食費を上げるということは、先ほど言ったように、諸物価の問題としてわかるんだが、もう少しこの内容を吟味していって、極力この給食費値上がりというものを防いでいかなきゃならぬということも、これは重要なる関心の問題ではないかというふうに考えるわけです。ところが実態を見るというと、やはり特定業者との結びつきの中で、物資あっせん購入というものが行なわれている。一例を言うと、大阪などの例でいえば、中央市場等給食の問題についていまのやり方は反対だというふうな声があるというと、その人たちを連れていって、中央市場を見て、帰りにはマグロを背負わして帰るというふうな報告も実はあるわけで、業者物品納入というものについて、どの程度文部省地方のそういう学校給食会、これは財団法人ですね、こういうものを指導しているのか、その点をお伺いしたいと思う。
  20. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 先ほどから先生の御質問と私の答えが、少し一点でちょっと食い違っているのがあるのを発見いたしましたので、それからお答えいたしますが、学校給食会地方に支部は持っておらないわけでございます。地方は……。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 学校給食会じゃなくて学校給食について。
  22. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) そこで、お話は、都道府県には全部ございます。それから市町村ごとにございます。大体財団法人になっておるはずでございますが、それらの学校給食会の話にいつのまにかいっておるように……。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 それは切りかえて、もうさっきの話はね……。
  24. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) そこで、そうした全体の学校給食用物資を取り扱う機関に対して、文部省がどのような指導をしているかと、こういうふうにとらしていただきたいと思いますが、御承知のように、今日はかなり自由競争の時代でございます。したがいまして、文部省一般業界の思惑を全然顧慮せずに、一方的にこれをやるというようなことは、なかなか至難のことでございます。しかし一方において、御指摘のように、父兄負担をできるだけ減じたい、特に一般物価も高騰しているときでもございますから、どうかして父兄負担を減じてあげたい。そのためには国費補助の増額をはかるということは、一方においてございますが、しかし、同時に、副食物に対しての国庫補助がございませんので、こうしたおかずに要する費用等につきましては、たとえば共同購入をおやんなさいとか、最近また共同購入一つ方式であるかと存じますが、衛生的な食品を迅速に提供するためにコールドチェーン——科学技術庁あたりが奨励しておりますコールドチェーン方式をおとりなさいとか、あるいはまた、買い手とか、そういうものの窓口を一つにして混乱することのないようにするとか、そういうふうな一般的な指導はいたしておるところでございます。これらを受けまして、都道府県学校給食会、これはかなり県によって差がございます。たいへん熱心な県の学校給食会、また、それはど熱心でない学校給食会によって、若干の相違はございますが、かなりの程度、こうした方式にのっとって父兄負担軽減をはかろうと努力している県が、あるいはまた市町村があるように見受けられます。また一方、しかしながら、学校給食会があまりこういうふうな物資取引に、学校給食物資に入り込むことは、他の従来の学校給食物資を供給しております一般業者既得権を侵害するといったような若干のあつれき等々がございまして、必ずしも一律には申し上げられないのでございますが、一般的に申せば、大多数の関係者の御同意を得て、こうした学校給食費負担軽減されるような方式をぜひ推進をしてほしいというものは、一般的に文部省指導しているところでございます。
  25. 岡三郎

    岡三郎君 学校内部において金銭を徴収しておりますね。この徴収しておるということは、どういう規則に基づいてこれは学校内部において金銭を徴収さしておるのですか。
  26. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 大多数の場合は、公金と同じ取り扱いをするように指導しておりますし、また、現状においてさように取り扱っている例が多いと思います。ただ、若干の学校におきましては、必ずしも公金としての取り扱いをしてない例も間々あるように聞いております。
  27. 岡三郎

    岡三郎君 交付金取り扱いってどういうことですか。児童から金を集めるという交付金取り扱いと同様というのはどういうことですか。
  28. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 公金と申し上げました。公の金と申し上げました。学校予算を組んで学校予算をくぐっていく公の金という取り扱いとして扱うようにという指導でございます。
  29. 岡三郎

    岡三郎君 その公金として取り扱うところの根拠は何でかす。つまり、この点については、時間がないから要約して言うと、金銭取り扱い上において、幼い子供ですからね、これをなくなしてしまったり、または家庭事情においてボーダーライン層というものが相当ある、そういうふうなことによって金銭を徴収している先生側にしていえば、非常にこれはたいへんな仕事なんですよ。ところが一方においては、巷間、学校給食会手数料を出しておるという話を伺っているわけです。ところが、現場の先生のほうには、手数料というものは、一銭も還付されてない。一体、その手数料を出しておるのかおらないのか。それから学校先生に取り扱わせる場合、たとえば四十五人の学童の中において、五人なら五人というものが要保護児童なり準要保護児童なりであったとすると、あとやはり二、三名とか、四、五名、学区によってはかなり貧困家庭学区があると思うが、そういうところで、なけなしの金を持っていったけれども、幼い子供が使ってしまったか、なくなしてしまったかわからないようなものが出てきたり、あるいはボーダーライン層によっては、相当給食費値上がりしているので持っていけない、そういうような形の中で、先生が立てかえをするというような場合も出てくるし、立てかえない場合に、未納として四十人ないしは三十五人で四十五人の給食費をまかなっているという形で、実質的にはその金を納めた者がまるまるそれが対象として返ってこないというふうなことが指摘されておるわけなんですが、一体いま言っていることで、金を集めさせているということについても、取り扱い上においての問題がここに一つは残っておると思うのですが、私が聞きたいのは、集金をさせている先生方に迷惑をかけるような形で給食会運営されてはならぬと思う。  それからもう一つは、手数料が出ておるのか、出ておらないのか。われわれが聞いているところでは、手数料が出て、それが末端先生には配付されておらぬ。それがあるならば、それによって穴埋めさせるということもできるというふうに言われているのですが、一体その間の事情がどうなっているのか。もう少し徹底した指導文部省がそういう面においてもやられてしかるべきじゃないか。でなかったならば、学校先生給食の金を集めるということについては反対であるという声も一部にはあるわけです。その点については、どう考えるのですか。
  30. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) かなり私、平生勉強していない点がございますので、的確を欠くかもしれません。後ほどまた訂正さしていただきますが、手数料はやはり公金のたてまえ上、先生にやるという指導はしておらないはずでございます。
  31. 岡三郎

    岡三郎君 出ておらぬということですか。
  32. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) はい。  それから御指摘のように、教員にかような事務を扱わせることがどうかという問題は、これは学校給食全般、もし学校給食以外でもあるかと思いますが、特に学校給食におきまして、学校給食が教育上の位置づけが何であるかというような関連におきまして、かなり大きな問題のあることは御指摘のとおりでございます。そこで、さようないろいろな点を含めまして、学校給食学校教育全体の中においてどう位置づけるかといったような基本問題もございますので、現在、学校給食の将来のあり方について、保健体育審議会において扱っているところでございます。したがって、学校先生にできるだけ負担をかけないで学校給食を推進するためにどうしたらいいかといったような問題も含めまして、たとえば共同学校給食センターとか、いろいろな発想がそこにいま生じているところでございます。しかし、やはり学校給食を行ないます以上、どうしてもやはり先生に若干の負担のかかることはどうもいなめない事実でございます。それが教育上どのような位置を占めるか、これを今後十分検討してまいりたいと考えております。
  33. 岡三郎

    岡三郎君 十分検討はいいけれども、指導をしていく場合について、一番根本問題は、末端のそういう取り扱いがどうなっているかをやっぱり把握してもらわにゃ困ると思うのです、実際問題として。私の聞いているところでは、手数料を払っているところがあります。そういうような報告を受けています。これが一体どうなっているのか、これが疑問である。これは報告を受けています。これは横浜市の中においてそういう話を聞いておりますが、一部全国的において料金徴収という問題とあわせて、一体これが根拠がないと、実際問題として。全国の学校がひとしく全部給食をやっているわけでなくして、学校給食をやっているところだけに限って、先生が非常な苦労をしている。だから端的に言うと、学校給食をやりながら、副食物やなんかのいろんな関係でもう一ぺんうちへ帰って食事をとらにゃならぬ、こういう手数がまた行なわれているというふうないろんな関係で、この問題については、ひどいところは、相当、もう何百円、何千円という金が先生のポケットからときにおいては出ていかざるを得ない。どうしようもないから、どうしても払わにゃいかぬ、こういうふうな形で、学校指導自体も、先生に迷惑をかけないというふうにたてまえがなっていても、現実において料金徴収ができなければ、その問題について責任を持たされるのが学校先生である。その先生自体が、要保護児童とか準要保護児童というものについて、絶えずやはり景気の変動とかいろんな問題点などから、納入というものが確定されてこない面が相当ある。これは学校の就学地域の問題とも関連があるわけです。かなり貧困層を控えた学校においては、こういう面については非常な苦労をしている。そういうふうな点について、もう少し的確なる指導をもって、学校の現場にそういうふうな問題の負担をかけないというふうな形をもう少し徹底してやらないというと、これは私は問題が解決しないんじゃないか。  それから給食施設の問題等においても、各地にいままでもいろいろと腐敗したもの、あるいはいろんな事故が起こってきておりますが、全体的な指導として、やはり学校給食というものの内容について、文部省自体としても、各都道府県教育委員会なり市町村教育委員会なりと連絡をとって、設備の改善とか、そういうものをすると同時に、そこに携わる人々についても、十分なることをやらぬというと、学校先生は、いまの教育実態の中において、もう非常な過重の中にこういうことをやらされている。したがって、給食という仕事というものが絶えず学校内部において大きなウエートを持ってきて、これに酷使されているという現状が一面においてはうかがえます。そういう点について——時間がありませんので、こういう点についても、やっぱり実態調査してもらいたいというふうに考えます。  今度は小麦となま麦についてちょっとお伺いしますが、小麦の輸入量というものはいまどのくらいになっております、食糧庁。それぞれ学校給食に使われる小麦は、一体どのくらいになっているのか、お答え願いたい、食糧庁。
  34. 田中勉

    政府委員田中勉君) 食管特別会計で輸入食糧の勘定で、小麦の輸入量は、大体三百二十万トンぐらいになっておりますが、学校給食の原麦は二十九万トンでございますので、約一割弱のような比率になっております。
  35. 岡三郎

    岡三郎君 すると、この二十九万トンという学校給食用の小麦ですね、これが委託加工をされて現場にいくことになると思っておるんですが、この二十九万トンを食糧庁としてはどこの会社に委託加工させておりますか。その数量と会社の名前を明確に答えてください、簡単に。
  36. 田中勉

    政府委員田中勉君) 工場の名前を一々申し上げるのはいかがかと思いますが、工場の数から申し上げますと、百二十八工場でございます。
  37. 岡三郎

    岡三郎君 会社の名前。
  38. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それ百二十八……。
  39. 田中勉

    政府委員田中勉君) はい、百二十八工場。
  40. 岡三郎

    岡三郎君 それで……。
  41. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 名前はあとから資料で出してもらいましょうか。
  42. 岡三郎

    岡三郎君 日清、白粉……。
  43. 田中勉

    政府委員田中勉君) 日清、日粉、ああいう四大製粉はもちろんでございますが、中型の製粉工場と各県の主要な製粉工場は、大体全部網羅されているわけであります。
  44. 岡三郎

    岡三郎君 先般、ことしの四月から漂白した粉はだめだ、やはり自然色に近い無漂白にしろということになって、ようやくこの問題が指摘されてきたが、いままでそのままずっと漂白されたパンです、これはアメリカと日本だけしかやっていない。ほかの国はやっていない。そういう点で漂白粉を使うということは、どうも体位向上によくないのじゃないかということになってきたのですが、私の聞きたいのは、輸入する小麦の価格は幾らですか、それからこれを売っている価格、学童用に売っている価格、これは市中と同じように聞いているのですが、その点ちょっと伺いたい。一トンでも何トンでもかまいません。
  45. 田中勉

    政府委員田中勉君) 現在、ことしの予算で予定しております価格、小麦の輸入価格は、トン当たり三万四百九十六円、こういうことでございます。実際にこれを政府が売っている価格は、トン当たり三万五千五百四十八円、こういうことになっております。
  46. 岡三郎

    岡三郎君 これは給食用にする価格は、一般市中に出す価格と同じですか。
  47. 田中勉

    政府委員田中勉君) 先ほどお尋ねございましたように、私のほうは給食用に売る場合におきましては、原麦を委託加工をいたしまして小麦粉の形で府県の教育委員会のほうに売っているわけです。その場合の原料の小麦の評価は、やはり先ほど申し上げましたように、一般の私のほうの売却価格で評価いたしておるわけでございます。それから小麦粉の価格は、現在これはトン当たり四万一千二百七十円でございまして、これは強力小麦粉になるわけでございますが、二十二キロ当たりに換算いたしますと、九百八円ということで教育委員会等に売っております。
  48. 岡三郎

    岡三郎君 やはりここでひとつ問題があるのは、やはり食糧庁自体として児童給食用に配る小麦、それを小麦粉にして一般市中と同じように差益金を取って売っているこのこと自体、これは非常に問題があると思う。一般業者に売る場合においては、やっぱり国内生産品との価格とのつり合いがあるから、それはわかるにしても、学童用に売るのに一般の市中に売る価格で小麦粉を売ること自体、これは間違いじゃないか。根本的にこれはひとつ検討してもらわぬと、学童給食というものについては、一方において小麦自体について大蔵省から補助金が出ている。その補助金が食管会計に十八億ですか入っている。補助金を片方で取りながら、片方では市中と同じように、学童の小麦粉を市中価格において販売している、こんな片手落ちの行政は私はないと思う。少なくとも学童給食用については、利ざやを取らないでやっぱりその問題については、農林省、食糧庁がもうけないでこれはやるべきなんです。これをどう考えますか。  もう一つ、それから二十九万トンの小麦を委託加工させる、そうするとどのくらいのあれが出てくる、小麦粉になるのですか、量、その二点答えてもらいたい。
  49. 田中勉

    政府委員田中勉君) 最初の点について申し上げさせていただきます。  先ほど政府自身は原麦で売っているわけではございませんが、その原麦を委託加工して小麦粉という形で売却をいたしておるのでございます。  学校給食用につきましては、その場合の原麦の評価といたしましては、一般の製粉会社に食糧庁が売っております。三万五千五百四十八円ということで評価をいたしておるわけでございます。その場合に学校給食用の原麦の評価をする場合におきましては、先生の御指摘、私はっきりよくわかりませんけれども、おそらく輸入価格を反映した形でそういうものを評価するべきである、こういうお話だと承っておるわけでございます。もしそうだということでございますると、私のほうといたしましては、輸入食糧勘定を含めまして、この食管特別会計の運営にあたりましては、やはりその国内の小麦、それから輸入の小麦合わせて食糧管理をいたしておるわけでございます。したがいまして、これらの取り扱いにつきましては、すべてやはり食管特別会計の中におきましての食糧管理の目的に即した価格でこれを考えていくのが、私ども食管の運営上の基本的な考え方に立っておるわけでございます。
  50. 岡三郎

    岡三郎君 簡潔に言ってくれませんかな。
  51. 田中勉

    政府委員田中勉君) したがって、学校給食用のものだけを切り離してそのものにつきましてだけ輸入価格でもって取り扱うということは適当ではないという考え方に立っておるわけでございます。  それから第二点の二十九万トンの原麦からどの程度の小麦粉ができるか、こういうお尋ねでございますが、ちょっと正確に申し上げますと、二十九万八千トンというものを、ことしは予算で組んでおるわけでございますが、それから生産されまするところの小麦粉は、七六・五%——委託加工責任歩どまり七六・五ということにいたしておりますので、これが十九万八千トンの小麦粉が生産される、こういうことでございます。
  52. 岡三郎

    岡三郎君 私は、だから、農林省学童給食用の小麦を取り扱っていること自体が、これは間違いである。あなたのほうは一般の市中に流す価格でやる。だから、したがって、生産者との関連において学童から差益を取っているわけですよ、端的に言って。要するに、学童用の小麦に対しても、食管会計はもうけなければいけないという形で、それが一番いいのだ——それは私は間違いだと思う。少なくとも、政府補助金を出して、いままずいまずいといわれているパンを何とかいいパンにしようとするには、輸入した小麦まで学童用に配るのに差益を取って、もうけを取って食管会計は売るのがあたりまえだという認識。だから私は、小麦粉の取り扱いは、食糧庁が輸入してそれをやはりきちっと学校給食に分けてやる。そうして、それは利益を取らないで原価でやはり学校給食用に配って、いいパンをつくるべきだというふうに私は信じて疑いません。この点は、これ以上時間がありませんから……、二十九万八千トン、大体三十万トン、これは歩どまりが七六・五%というと、あとでふすまが一体どうなるか。私の聞くところでは——時間がありませんから、ふすまはひとつ製粉委託加工業が全部これをやっているところが、現下における動物なり、鳥類の飼料というものはたいへんな問題になっている。いいですか、そういう点で大体七六・五%の歩どまりで言うと、あとの相当量のふすまというものの処理が一体どうなっているか、これを明らかにしてもらいたい。これの代価を食糧庁取っているのか。
  53. 田中勉

    政府委員田中勉君) さっき私が七六・五%と申し上げたということでございますが、ちょっと私の言い違いでございまして、六六・五%という歩どまりでございます。  そこで、先ほど御指摘ございました副産物が当出然てくるわけでございます。ふすまとか、すその粉とか、こういうものがございます。そこで、本来ならば委託加工賃は委託加工賃として支払わなければならないわけでございますが、その委託加工賃の実費の加工費と、それから副産物収入を相殺いたしまして、マイナス加工賃ということばは適当かどうかわかりませんが、マイナス加工賃ということで製粉工場から食糧庁がこれを徴収いたしております。
  54. 岡三郎

    岡三郎君 マイナス加工賃というのは何ですか。
  55. 田中勉

    政府委員田中勉君) 本来ならば加工賃を支払わなければならぬわけでございますが、副産物はその製造した製粉工場の所得と、所有と、そういうことでございますので、その評価と相殺いたしますると、マイナス加工賃に——加工賃がプラスになるはずが、マイナス加工賃になるわけです。
  56. 岡三郎

    岡三郎君 そのマイナス加工賃というのはどのくらい取っておるのか。私の聞きたいのは、ふすまの量とふすまの大体の価格、それから、マイナス加工賃という内容をはっきりしてもらいたい。
  57. 田中勉

    政府委員田中勉君) ふすまのほうは、一〇〇から、先ほどの六六・五差し引いたものの中にふすまが入っております。それからすそ粉も入っておるわけでございます。それから、マイナス加工賃……。
  58. 岡三郎

    岡三郎君 その量どのくらいになりますか。すそ粉と、それから、ふすまとの量、三三・五%の内訳。
  59. 田中勉

    政府委員田中勉君) 内訳でございますか、内訳は三三・五がふすまと、それからすそ粉でございますので、そのうちの、三三・五の中におきまして二二%がふすまでございまして、その残りがすそ粉あるいは三等粉、こういうことになるわけでございます。
  60. 岡三郎

    岡三郎君 それから、マイナスの加工賃。
  61. 田中勉

    政府委員田中勉君) 六千トンで、トン当たり五十八円ということでございます。
  62. 岡三郎

    岡三郎君 これはふすまもすそ粉も同じですか。
  63. 田中勉

    政府委員田中勉君) トン当たり、原麦を一トン当たり加工いたしますと、その副産物収入が業者の所得になるわけでございます。それから、加工賃は払わなきゃならぬということでございますが、その間を相殺いたしますと、製品トン当たりで六千五十八円を政府が製粉業者から徴収をいたしております。
  64. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、その総額はどのくらいになります。だから、私は、ここでもう時間がないから言いますがね。政府が、業者に委託加工だけれども、加工賃を出して、当然そうしてふすまとすそ粉を取る。これは市場価格というものが変動しているわけですからね。いいですか。それをまた適正な値段で、これきちっと売却するというならばわかりますよ。しかし、いまの段階において、給食用にいったものを、これを食管会計にまた取り上げちゃっているじゃないですか。その出たところの加工費はいいのです。マイナスの加工費というものは、これは学童に返還されるべきものじゃないですか。これ何億になります。ピンはねですよ。
  65. 田中勉

    政府委員田中勉君) 十一億六千万円でございます。
  66. 岡三郎

    岡三郎君 私はそれだから、いま言ったように、この問題について、この十一億何がしというものは、これはまた食管会計へ返ってしまうわけです。そうすると、実際問題として、というのは、加工費が幾らになるのかということについては、これはどんぶり勘定でわかぬわけですよ、加工費は幾らか。それで、それに伴ってふすまとかすそ粉というものについては幾ら、だから、その勘定が幾らになって出てくると、こう思うのですがね。いまの計算方法でいくというと、加工費というものはどういうふうになっているのか、その内訳というものはわからぬし、ふすまというもの、あるいはすそ粉というものはどういうふうに売却されているか。要するに、どんぶり勘定の中から、トン六千幾ら、十一億何がしというものを、食管会計がもらっておりますと、しかし、ふすまとか、そういうすそ粉というものを売り払っている価格というものが一体どれくらいになるのか。こういう点について、時間がないから、聞きたいけれども、私はそこら辺に一つのからくりがあると思うのですよ。少なくとも、一般市場に向けて小麦粉の払い下げ、それに伴って製粉会社が、それを粉にひいて、そうして、これをどのくらいの価格で売却するかについては、一応市場価格というものがあるからいいでしょう。少なくとも学童給食用に回すものについて差益を取って、しかも、その中においてふすまとかすそ粉とか、そういうものについては、どんぶり勘定で十一億食管会計にもらっているのだ。それでは私は済まされぬと思うのです、現実の問題としては。この点については、時間がありませんから、なお次に追及しますが、私は、少なくとも農林省自体というものが小麦粉を取り扱う場合において、学童給食用というものがはっきりしているのだから、学童給食用ということについては大蔵省も補助金を出して十八億食管会計に入れている。そういうふうな形の中において運営されているのだから、私はそういうものを切り離してやっていけば、もう少し何とかなる、パンが下のほうでできてくるんじゃないかという気がするのです。いまの状態では、とにかくまずいパンを食わせているということの現実を深く認識してもらわぬというと、製粉会社をもうけさせているだけじゃないですか。製粉会社にもうけさせて、食糧庁がもうけて、泣いているのは子供だと、こういうばかげたことを給食としてやってもらったのでは私は困ると思う。少なくとも給食という学童に配る問題については、輸入したものをその価格で渡して、そうしてそれについてしっかりしたところでそれを製粉させて売っていくと、一貫作業にならないというわけがわからぬ。粉で売るとかなんとかいっておりますが、私はやっぱり麦で売って麦から出てきたものについて、粉は粉、ふすまはふすまとして、それからすそ粉はすそ粉としてそれをまたきちっと会計処理上において明確にして、そうしてそれをそろばんをはじいて、そしてむだを省いて、できるだけ安いいい粉を末端配給して出して、それによってパンをつくるということになれば、いまよりもまずいパンが少しは私は改善されるのではないかというふうに私は考えるわけです。このどんぶり勘定的なやり方について、時間がありませんので……。
  67. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 岡君、どうですか。
  68. 岡三郎

    岡三郎君 ようやく佳境に入ったところなんだが、また追って適当なときに、きょう一日では済まぬと思いますから。  やはり給食の問題は給食費値上がりとか、まずいパンとか、こう言われておる時期ですから一つ私自体もこの問題を真剣にやっていきたいと思うし、文部省自体も、学校学童給食という問題をはっきり認識しておられるわけですから、こういう点については明確に、いいパンができるだけ安くつくられるように、こういう点については、率直に問題を提起してもらわなければ私は困ると思う。その結果として、行管指摘しているように、いまの脱脂粉乳を取り扱うところだけでなくて、もしも文部省自体学校としての給食という場においてそういうものを処理していく場合において、いまの状況よりも、同じ価格でいまの給食費をやっていくということになるならば、もっといいパンがつくれるという確信が出てくると私は思うのだ。そうならば私は文部省自体として責任を持って、輸入小麦の中から学童用として引き渡しを願って、そうしてそれの手数料とか、そういうものは取らないで、そうしてそのまま処理していくというふうな方向というものが出れば非常に明朗になってくると私は思う。そういう点についてもしもやるならば、文部省学校給食について小麦を取り扱うということは、私は必ずしも不当なことではないというふうに考えている。しかし、その問題はその問題として、給食費値上がりとまずいパンという関係でもう少しこの問題については質疑をしたいのですが、時間がありませんので、きょうはこれで終わります。
  69. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは午後一時二十五分まで休憩いたします。    午後一時五分休憩      —————・—————    午後一時四十分開会
  70. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和四十一年度決算外二件を議題といたします。  外務省及び文部省の決算について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  71. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 私は、前の国会におきましても、ちょっと海外協力について質問を行なったわけでありますが、きょうは、時間が非常にありませんので、かいつまんでお話をして、特に少し資料をいただきたい、こういうふうに考えております。  最近、この海外協力につきましては、経済協力であれ、あるいはまた技術協力であれ、国民の間にはいろいろ取りざたされておるのでありますけれども、国民が疑惑を持つような海外協力というのはあってはならないと思うわけであります。  第一には、海外協力の窓口が大蔵省だとか経済企画庁、通産省、あるいはまた外務省というようなぐあいに、この四省にわたっておりまして、きわめてまあそのために歯切れの悪いようなものもあるということになるわけでありまして、海外協力省の新設なんということなんかもいろいろ言われているようでありますが、この問題につきまして、外務省はどういうふうに考えておられるか。一本化、一元化についてどういうふうに考えておられるか。これはあとひとつ大臣が来られたときに尋ねてみたいと思います。そうして同時にまたこの四省が問題別に何段かの段階を経て連絡会議を持っておるわけでありますが、これが非常に効率がよくない。また、一元化したほうが、利権とかそういうような問題についても非常にないだろうと、こう思われるわけでありますが、現在のままでは、各省庁がばらばらな見解を持ってお互いの主張を譲らなかったり、あるいはまた妥協していろいろ話を進めるというような一貫性のないような姿が非常に出ておるわけであります。こういうものに対しての批判も非常にあるわけでありますからして、こういうものに対して、やっぱり外務省としても一つの見解を持ってもらわなければならないと思います。これも先ほどの問題と一緒に、また大臣にも御所見を伺うつもりであります。  同時にまた、この経済協力は年々非常にふえてまいりますからして、この財政硬直化のおりでありますけれども、そういう観点から一部では非常に注目もされるわけであります。国民にとりましては、海外協力の大きな問題点がいろいろ取りざたされておるわけでありますから、ことに一九六六年の援助総額が五億三千八百八十万ドル、このうち政府ベースの援助は二億八千五百三十万ドル、民間ベースの援助は二億五千三百五十万ドルというようなふうになっておるわけでありまして、一九六四年の総額二億九千百二十万ドルと比較してみますと、ほぼ倍になっておるわけであります。それで六十五年に比べて一〇・八%増となっておるわけでありますが、このうち特に政治ベースの海外協力の伸びは非常に著しいように見られます。  また外務省は、昨年の八月、昭和四十六年度までの経済援助額について一つの試案をつくったと、私は聞いておるわけでありますが、これは経済企画庁が発表した経済社会開発計画の終期、四十六年に、経済援助額が国民所得の一%に達するようになっておると聞いております。これを計算してみるならば、四十六年度には実に十三億六千三百六十万ドルというようなばく大な金額になる、またふくれ上がっていくことになると思うわけでありますが、こうした伸びについて、外務省のほうでは一体どう見ておられるのか、さきの問題を含めて、ちょっと御見解を伺いたいと思います。
  72. 藏内修治

    政府委員(藏内修治君) 第一点の御質問でございますが、いわゆる経済協力、技術協力も機構を一元化したらどうだという御趣旨であろうと思います。これはまさに御指摘のような面がございましても関係各省がそのつど協議をして決定をしておるという形でございまして、その間には効率的でない面も、確かに御指摘のとおりあろうかと思っております。その他の先進国の例等を見ましても、やはり複雑な機構をとっておるところが多いと思います。それだから日本がそれでいいということではもちろんございません。行政機構に関する審議会の御指摘もございますので、できるだけ効率的な形にしてまいりたいと思いますが、やはり相手があり、また当面する相手国の事情もいろいろに違っておりまして、なかなか一元化が微妙な問題を含んでおるだけに、まだ進んでおらないというのが現実でございます。これらの将来の持って行き方については、ひとつ大臣が後刻こちらに参りますので、お聞き取りを願っておきたいと思います。  それからあとの第二段目の御質問の経済協力の額が近年非常に伸びておる、こういう点も非常に伸びておるとうい点は、そのとおりでございまして、それだけ伸びておるだけの、しかも政府ベースでやっておるこれらの経済援助等が効率的に動いておるかどうか、これを的確に把握するということがなかなか困難でございます。困難でもございまするし、中には政府が予期した効果をあげていない面、それが相手国の政治的あるいは社会的な経済的な問題等によりまして、必ずしも私どもの期待どおりの成果をあげていない問題も一、二ございますことは事実でございます。しかしながら、全体といたしましては相当な効果をあげており、相手国の経済基盤の整備とともに、この経済協力は将来ロングレンジで見て行く場合は、非常に日本経済の将来のためにも寄与する面が多いと私どもは感じておるわけであります。  第三の御質問につきましては、経済協力局長より御答弁いたします。
  73. 上田常光

    政府委員(上田常光君) 先ほど先生から御指摘がございます、いわゆる経済協力五カ年計画というのを外務省でつくったではないかという、しかも、これによりますと非常に、たとえば四十六年にはばく大な金額にのぼるのでございますが、これはごくほんとうに外務省の経済協力局内部での一応の試案といいますか、作業でございまして、決してこれはまだ外務省として固まったものでもございませんし、いわんや、日本政府としてこういう案で今後経済協力をやっていくというふうに決定したものでももちろんございません。われわれといたしましては、ただ一方におきまして、御承知のとおりに、DACその他で国民所得の一%を海外経済協力に充てるというそのぐらい、いわゆる南北問題には真剣に取り組んで後進国援助に努力するというそういう趣旨には、国際会議でも賛成いたしておりますので、なるべくそういう方向に向かって努力いたすつもりでおりますけれども、他面また、これは、われわれ日本といたしましては一応賛成はいたしましたけれども、いつまでという期限を切ったわけでもございませんので、もちろん国内のいろんな事情をよく考慮いたしましてやっていくつもりでございまして、先生の御指摘になりました、この試案五カ年計画の数字と申しますのは、ほんとうの部内の一部の試案にすぎないとひとつ御了承いただきたいと存じます。
  74. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それだったら私非常にいいと思うのですが、現在の日本の情勢を見ても、国内でまだ取り残されていることが非常にたくさんある。しかし、先進国が所得の一%ぐらいやっておるから無理にそれに上げていこうということ自身も、非常に私は日本の置かれておる状態、急激に経済が伸びておりますけれども、その間にはまだアンバランスもあるわけでありますからして、国内的には相当目を見張らなければならない現段階で、この計画を見て私はちょっと実はびっくりしているわけであります。ですがしかし、おそらく外国のほうでもそうした会議によってこれが議せられておるとすれば、そういう方向にはいくものだと思うわけでありますから、そういう観点に立って私はここで考えてもらわなければならない問題点を二、三質問いたしておる次第です。特に昭和三十九年の春、ジュネーブで開催されました国連貿易開発会議において、いわゆる発展途上国に対する援助の問題、これがいまおそらくお話しになっておったものだと思うのでありますが、この重要性が話し合われたようであります。この所得の一%を低開発国援助に回そうとして申し合わせられた、同時にまた、そのようなことがきめられたと聞いておりますが、先ほど述べたような数字の状態を見て、急増してまいっている海外援助も、非常に国内では種々にこのまま取り残されている問題、これが非常にあるわけでありますからして、これに対しては十分な考え方を持っていかなければならない、こういうふうにいま申しておる点があると思うのであります。また、インドネシアの緊急経済援助要請をきっかけといたしまして、わが国の東南アジアを中心とする途上国に対して非常に国民の注目を浴びながらも、技術援助あるいはまた資本協力が行なわれております。これには大体、国の食糧危機、インフレ、国際収支の慢性的な赤字といった不安定な中にあって、これらの諸国の経済安定に役立つような見解があったわけでありますけれども、実際はこの経済安定には役立っていない、こういうようなふうなことも聞いておるわけでありますけれども、こういうことに対してはどんなふうになっておるのか。この政府の行なっておる経済援助というものの効果はどういうふうに受け取っておられるのか、ひとつお聞きしたいと思います。  それからまた、援助の形態といたしまして、現在どのようなものがあるのか、私、よくわからないんでありますが、これについてもひとつお聞かせ願いたいと思います。そしてまた、その形成の中で、どういうところにいま国は重点を置いておられるのか。特に相手国はどんなふうの国々に援助をしておられるのかということも、ひとつ私は伺いたいと思うのであります。  これはちょっとあとから私、資料を要求する中でお願いしたいと思いますが、アメリカとかフランス、西ドイツなんかに比べますと、国民所得対比というのは、いま現在私ども日本ではどうなっておるのか、その点もちょっと聞かしていただきたい。
  75. 藏内修治

    政府委員(藏内修治君) 先生指摘の第一の点でございますが、これにつきましては、三木外務大臣も、最も慎重と申しまするか重大な関心を持っておるところでございまして、御承知のとおり、世界各国からは日本の経済成長に伴いまして非常に大きな期待を寄せられて、日本の経済力が非常に高く評価されておるのにかかわらず、わが国におきましては、まだ未解決な、先生指摘のような社会福祉の面等、重大な問題をかかえておる。国内における評価と国際的評価とは非常に格差があるわけでございます。こういう格差を是正することが、やはり一つの外務省の大きな使命であるということを、大臣も、ことしの年頭にあたりまして強調いたしております。この点は、今後も十分な配慮をもって対処してまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、インドネシアの経済協力、技術協力について、効果をあげていない面があるのではないかという御指摘がございましたが、インドネシアという国の政治的あるいは経済的な不安定のゆえに、日本から行ないました経済協力が必ずしも成果をあげなかった例が、一、二ございます。これはもう御指摘のとおりでございます。したがいまして、それらの点を十分配慮いたしまして、今後もインドネシア経済協力につきましては、十分先方と意思疎通をしてできるだけ向こうの確定ないし安定いたしましたプロジェクトに従って日本の経済協力を進めてまいる。また、この間スハルト大統領が参りましたときには、御承知のとおり確定するまでに至りませんでしたが、できるだけ早い時期に、これらの確定した案をひとつつくり上げたいということが政府の努力をいたしておるところでございます。  それから、こまかい国民所得との経済援助の比率につきましては、局長から御説明をいたします。
  76. 上田常光

    政府委員(上田常光君) 各国の国民所得と援助の比率を申し上げますと、これは一九六六年における各国の比率でございますが、DACの年次審査用の統計表によって申し上げますと、フランスが一・七%、オランダが一・三一%、イタリアが一・二八%、ベルギーが一・二四%、英国が一一・六%、ポルトガルが一・一四%、ドイツが〇・八一%、米国が〇・七四%、オーストラリアが〇・七一%、日本が〇・六九%となっております。
  77. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 なかなかいまの状態でも、私はちょっと話を聞けば、日本はかなりいいところまでいっているのじゃないかと、こういうふうに思われるのですが、そういうことを含めてこの今後の計画に対して、日本は日本なりの独自なものを持って考えてもらいたい。特に最近のようにアメリカに追随するというか、そういうふうなところが国民の間では云々されておるわけでありますからして、特にそういう点は考慮しないといけないんじゃないかと、こう思うわけであります。それからまた、この効果といたしまして、経済援助がその国の経済復興に役立つものでなくてはならないことはもちろんでありますけれども、このフィリピンのマリキナダムとか、カガヤン鉄道なんかでは、まだやはり中途で工事をストップして多大な資材が野積みにされているということも報告されておるのでありますが、その後一体その問題はどんなになっているのか、こういう問題に対して、もう少し十分なチェックはできないのか、先ほどちょっと次官のお話の中にもありましたけれども、こういう問題はむだだったとか、効果のないものは何とか救うような方法は考えられないものか。一たんそういうことをやったからには、外国との協定もあることでありましょうけれども、実際そうしたものがそういうことをされておること自身がやはり効率からいって非常に問題であるし、国民のそうしたいろいろな要望もある中でこういうことが行なわれているということは非常におもしろくないと思うのでありますが、この問題について、ちょっと最近の情勢を聞かしてもらいたい。
  78. 上田常光

    政府委員(上田常光君) ただいま先生のおっしゃいましたフィリピンの例でございますが、野積みになっておるとおっしゃいました点、これは確かに多少一時そういう時期もございましたのでございますが、現在においては、もうそういう状態にはございません。それからまた、カガヤン鉄道の問題はまだやっておりませんのですが、こういう問題につきましては、まあ一つは、相手の国の政権の交代等によりまして、先方の方針が変わったというふうな事情もございまして、当初の予定を途中において変更せざるを得なかったような事情もあるのでございます。いずれにいたしましても、われわれといたしましては、なるたけ有効に賠償が行なわれますように努力はしておりますのでございますが、何ぶんにも間々相手側の事情で、ときにわれわれの完全に思うように行かない点もあるのでございます。しかし、できるだけ先方ともよく折衝いたしまして、むだのないようにいたしたいと、今後とも努力をするつもりでございます。
  79. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 また昨年四月のエカフェの第二十三回の総会におきましても、各国の主張にも見られましたように、援助より貿易の拡大ということが主張されておったわけであります。日本との貿易の拡大を伴わないところの借款と延べ払い輸出によるところの援助は、債務の累積と、それからまた援助流入額を減少させるという点で、非常に低開発国から反発もあるように聞いておりますが、この点は一体どういうふうになっているのか。それからまた、従来政府は、外国の高官が来られると、案外経済協力に対して、比較的安易というか、そのことばは少しいけないかもしれませんが、という形でも非常に行なわれるというような向きがあるように思いますけれども、こういうものに対しては、やはり五カ年計画もあるから、そこでできているのだろうと私は想像しますけれども、もっと一貫した海外協力の体制がなければいかぬと思うのですが、これはいま現在では、相当長期な、先ほど五カ年の何かつくっておられるように聞いておりますけれども、もう少し具体的な長期計画というものは何かおありであるかどうか、このところもちょっと一緒に聞いておきたいと思います。
  80. 上田常光

    政府委員(上田常光君) 最後の問題からまずお答えしたいと思います。  経済協力の問題について、もう少し計画性を持たせるべきだという先生の御意見かと存じますが、これは私どもまことに同感でございまして、実はこの経済協力という問題がいわば比較的新しい問題と申しますか、わりあいに最近になって世界の注目を集めてきたような問題でございまして、確かに当初におきましては、それほどしっかりした計画がなかった点はございます。しかし、これではいけないのでございまして、私どもといたしましても、なるたけ計画を立てまして、その一定の方針に沿ってやっていきたいと考えておる次第でございます。ただ、まだいま現在ここで具体的にこまかい点まではっきり計画が立っておりませんのでございますけれども、なるたけ早くこの点も詰めたいと考えておる次第でございます。  それからなお、失礼でございますが、初めの御質問はエカフェの援助よりも貿易という問題でございますか。
  81. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 大体そういう傾向でその援助に力を入れるよりも貿易のほうにあれしようということがいわれるのですが。
  82. 上田常光

    政府委員(上田常光君) これは、援助より貿易という傾向、確かにこれは後進国の中に強い傾向でございますけれども、これは私の私見でございますけれども、後進国といたしましては、その両方、援助といわば貿易というのは、私は車の両輪のようなものだと思うのでございます。根本的に申しますと、後進国は要するに経済的に独立したいということだと思うのでございますが、独立するためには、やはりこの外国から資本も要る、それからまた技術的な援助もほしい。しかし、外国からたとえば投資があって工場ができたといたしましても、それからまた技術を教えてもらって工場は動いたとしても、今度はでき上がったものが売れなければ結局は長続きをしない。長い目で自分の国が経済的に独立していけるというためには、そのつくった品物に対する市場というものを確保しなければならぬ。そういう意味でいきますと、やはり買ってくれということになります。それからまた、後進国、特に一次産品の多い国々といたしましては、自分の国の経済計画を立てます場合に、外貨がどのくらい入るかという問題がもちろんでございます。その場合に、一次産品が売れなければこれは困るし、また売れたとしても価格が下がっていけば収入が減る。したがって、価格の安定をしていく、そういう問題、したがって、そういうふうに考えていきますと、貿易はもちろんでございますけれども、貿易だけでもなく、やはり一方では延べ払いで機械設備、その他を入れてくれといいますし、まだ自分たちの技術がそこまでいってないから先進国の技術も教えてほしい。いわばこれは両方一緒に車の両輪のようになって、そして早く自分たちが経済的にも独立していきたいのだということだと私は思うのでございます。ですから、どちらに片寄るというわけにもいかないんじゃないかと思います。
  83. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 全くそのとおりだと思うのですが、いましかしやっぱりこの低開発国のほうでは、その延べ払い援助というものが相当大きくウエートを持ってきますと——まだきましても、実際純粋に入る額がそういうものでもって減殺されていくという状況であって、やはりいまおっしゃっているような貿易の方面でもう少し伸びていくということができていいんじゃないか。私はそういう大体援助計画の中に貿易拡大を入れて考えなさやならぬと思うわけです。ですから私の根本的な考え方はどこにあるかと申しますと、結局は、むやみにその元首が来たり、あるいはそういう使節団との話し合いでは、そういう契約だけをしてどんどんやっていくことは、逆に金を大量に出して相当大きく日本の経済を圧迫しながら、実際はまだ向こうのほうに十分消化し切れない形でそれをやっていくということになれば、実際そういうことが生まれてこないから、やってあげた低開発国でも、そういう反発はあるし、日本のほうとしても、むだなところへ金を入れてやっていくということは、こういうふうな問題に対しては、もっと慎重に長期計画あるいはまたそういうものを持っていかなければ、これはうまいこと達成できないのじゃないか。だから、安易に先進国がこういう状態で低開発国に援助をしておるのだから、日本もそれに合わせていこうというだけが問題ではないということが、私は特に強調したい点なんであります。そういう観点からいって、これはもう少し長期的展望に立ったものをどういうふうに持っておられるかということを特に私は聞きたい、こういうふうに思っているわけです。これはまあ大臣が来られましたらまとめて聞かしていただきたいと思います。  それから現在この経済協力特別委員会というものを経済同友会で持っておられるということは御存じだろうと思いますが、この委員会でいろんな基本的な工作を提言されておると、こういうふうに聞いておりますけれども、それはどういうふうになっておるのかということもちょっとお伺いしておきたいと思います。  それから同時にまた、経済協力費というものを一本化して予算に計上して、そして私は国会の審議を受けるほうがいいと、これはわが党の主張なんでありますけれども、こういう問題の点をどんなふうにこれに対しお考えになっておるのか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  84. 上田常光

    政府委員(上田常光君) いま経済同友会の委員会のお話がございましたけれども、それだけお答え申し上げますが、これは御承知のとおり、民間のものではございますし、私どもの経済同友会などとも連絡はとっておりますけれども、いままでのところは、全般の機構の問題に対する提案のあることは承知しておりますが、それ以上に特にそう聞いておりません。
  85. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 大橋君、ちょっと時間の都合がありますので、大臣に対する質問を集約的にやってください。
  86. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 じゃ、大臣にお伺いする前に、私いままでちょっと述べた中で、資料をひとつ要求しておきたいと思います。  アジアにおける低開発国にわが国が経済協力をしておる。その四十三年度までの過去三カ年間くらいの間の年度別の実績に関する資料を出していただきたいわけです。そこの中では、まず国ごとに分けていただいて、そしてこれが二国間の政府ベース、まあ贈与とか貸し付け、それから二国間の民間ベース、直接投資とか輸出信用を通しての、こういうものの別をやっていただいて、しかも、各国ごとにそうしたベースの分けたものの中で、第三には贈与、貸し付けあるいはまた融資、輸出信用について具体的な内容、たとえばダムに持っていったとか、あるいは農業のなににやったとか、そうした内容の区分をしていただきたい。そしてどこにそれを出したか、どういうふうな目的にそれがついておるかということを分けていただきたい。  それからもう一つは、具体的な内容をもとに、どういうところの協力機関に対してこれをしたかという機関も明らかにしておいていただきたい。  それからその後の経過は、いままではどういうふうな状態のところに三カ年にどういうふうにしたという形でその経過、それから効果、そういうものについてもひとつ具体的な資料を出してもらいたいと思いますが、これはいかがですか。
  87. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 大橋さんの御指摘の資料、そういうのは整備できれば便利だと思います。なるべく御趣旨に沿うように、しかし時間をいただかないと、これはたいへんな資料の要求でありますから、少し時間をいただきますれば、そういうのはまとめておけば便利だと思います。努力いたします。
  88. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 じゃ、大臣が来られましたので、ちょっといままでの質問の中をまとめてお考え方を聞きたいと思いますが、第一は、先ほどもちょっと申し上げたんでありますけれども、非常に四省、大蔵省とか経済企画庁、通産省あるいはまた外務省というのが、ばらばらになっておるのを一本化、一元化されるということは、お考えになっていないかどうか。それからまた、そういうことをされることが、私はある意味で能率もあがるし、あるいはまたいろいろな誤解を招くこともなかろうし、非常にそうしたことがいいと思いますからして、外務省の見解をお伺いしておきたい。  それからまた、非常にこのごろは海外援助というものが増大していく傾向にあります。ですからして、これに対して長期計画を立ててやってもらう必要があるんではないか、そういうことでもって外務省としては、こういう問題に対して長期計画あるいはまた長期展望に立っての段階的な進め方、こういうものに対して非常に考えてもらう時期ではないか、こういうふうに思いますけれども、この点はどうかということ。  それからまた最近は、先進国あたりが所得の一%くらいは海外協力費に充てておるということで、日本もおそらくこの五カ年か何かの期間でもって、これに上げようと、四十六年くらいまでには何とかしょうというお考えがあるやに聞いておりますけれども、私は、それが実態に即しておるかどうか、こういう問題についても、相当詳しくデータを集めてやっておられるかどうか。私は、まだ国内的にもやらなければならぬものが残っておる、たとえば社会保障なんかも残っておるという段階で外国並みに、先進国並みにこれをそろえていくようなこと自身に一つ疑義があるので、こういった点についてひとつお聞かせを願いたい。  それからもう一つ聞きたいのは、経済協力費というもののやり方を一本化してこれを予算に組んでそして国会の審議を経てやっていくような形に経済協力の立て方を変えてやってもらう考え方があるかどうかということがお聞きしたい。  それからまた、いまのようにいろいろな問題に対して、海外協力については、現在の時点で一体政府はどの辺の程度を考えておられるのか。その一%ということは将来の計画かもしれませんが、現時点でどういうふうに考えておられるのか。ことに私は、いろいろ後進国に対しては、現在のやり方に対して、むしろ貿易の方向に行かなければ自主ができないという反発もあるというようなことを聞いているわけであります。たとえば援助をしましても、援助のものが十分消化し切れない場合には、実際入ってくる金がそのほうでまた償還に充てれば実際に入る金が少なくなる、そういうような意味でも反発もあるやに聞いておるわけでありますから、その将来の援助より貿易という考え方にも低開発国自身がいろいろ問題を持っておるようでありますからして、そういう観点で現在いま日本の立場では、外務省では、一体こういう問題に対して、援助あるいは低開発国に対する問題に対して、どういうふうに取り組んでいかれるかという、現時点のお考えをひとつ聞いておきたい。  これで私の質問を終わります。
  89. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 大橋さんの御質問は、いずれもやはり重要な問題に触れていると思います。  第一点の機構の問題については、先進国も日本のようにばらばらにやっておったのですね。やってみて、どうもうまくいかないということで機構を一元化したような経緯を持っています。日本の場合も、いま各省緊密に連絡はとっておりますが、将来は私は機構は一元化すべきものだと考えています。昭和三十九年でしたか、臨時行政調査会においても、そういう趣旨の答申をもらっておるわけです。なかなかしかし、これには各省関連といっても非常に深く関連しますからね、時間はかかりますし、各省間の調整をしますのには時間がかかるけれども、方向としては、海外経済協力の機構は一元化の方向に向かって検討を加えるべきものである、こういう考えでございます。  それから第二の援助の長期計画ということでありますが、これはまあいろんな情勢があって、こう長期の五カ年とかいうような援助計画というものは、実際問題として相手国のいろいろな事情もあって、そういう長期のものは実際に適するかどうかについて疑問がありますが、やはり計画的に考えなければならぬことは事実だと思います。毎年海外援助とか、あるいは協力とかいうものをどのくらいの計画でやるということがちゃんと計画がきめられて、そのワクの中でやる必要があって、いまは計画性が足りないと思っています。だから外務省が、大蔵省あるいは通産省と、外交よりも内交のために時間を費やしておるというのが現状であって、これはやはり計画性を持たさなければならぬという必要を感じておる次第でございます。  それから、どの程度までやるのかということでございますが、これはやはりいまの国際的な大きな潮流というものは、南北問題、このことが、だんだんと先進国と低開発国との格差が縮まらなければ、この面から世界の平和はくずされていく。だから南北問題というものは、世界の平和あるいは繁栄という問題に非常に関連を持ってきておる、こういうまあ認識のもとに、いろんな国際問題の底流には、すべて南北問題がある、こう言ってもいいくらいの比重を国際政治の上に持ってきたわけであります。したがって、世界的な潮流としては、国民所得の一%といっておったのが、UNCTADのニューデリーにおける会議などにおいては、GNPの一%というような目標まで掲げられてきたわけであります。そして、しかもその援助の条件が、金利三%以下、期間は二十五年以上。それ以上のものはちょっと商売とまぎらわしい。援助ならばそういうソフトな条件でやるべきであるというのが世界的な一つの大きな潮流になってきておる。しばしば国際会議に出ると、その会議に決議案が採択されて、日本もいろいろ留保条件を付しますけれども、趣旨においては賛成であるという、まあ態度を示してきておるわけであります。もちろん大橋さんの御指摘のように、国力に不相応なことを日本もやるわけにいかないし、国内にもたくさんやらなきゃならない問題をかかえておるのですが、ただ困ることは、国内にたくさんの問題をかかえて、よその国を助けるほど手が回らないという国内的な日本の国力に対する評価と、日本の国際的責務、国際的に見た日本の経済実力、これに大きな、やっぱり一つのギャップがあるということです。日本はいろいろ困難な事情はあるけれども、国際的なスタンダードにおける義務を果たしてないというのが、世界のやっぱり評価であります、日本の。そこで、やはり国内の問題もこれはむろん国内優先に考えることは当然のことでありますが、それをやはり国内ということを最優先に考えて、まあそれが済むまでは援助はほどほどにというのか、世界の中の日本という自覚の上に立って、国内の問題も大事だけれども、日本はその国内の問題と引き続いて海外の低開発国に対する援助をやっていくという、そういう腹をきめるかというところへきていると思いますね。国内のことをいったらやれる余地はないですわね、一ぱいある。しかし長い目で見れば、日本の安全のため、日本の繁栄のためにも、それは決してマイナスな援助ではないですね。協力でもなければ援助でもない。二、三年というところでそろばんが合うような国はないわけで、長期に見れば日本の国益にも合致する、そういう点で、いまは国内に問題をかかえておるけれども、同じような重要さを持って海外の援助にも国際的な日本はまだ国民所得の一%というのが目標ですからね。こういうのに向かって将来はGNPでいいですけれども、こういうのに向かってできるだけ前向きに努力するという態度でいくべきだと私は思います。現在は御承知のように、ことしは〇・七をこえるんじゃないでしょうか。六億六千万ドル、昨年度。一昨年度は〇・六九、五億四千万ドルというのが、いわゆる海外援助になっておるわけで、まだこれは国民所得ですから、GNPではない。これでも一%といえば相当なやっぱり努力が要る。  それから予算との関連において、一つ一つ海外の援助は国会の御承認を受けるべきではないかと、まあ協定のような形ですね。これは少し繁雑にすぎると思うのですよ。やはり輸銀あるいは基金、こういう点で資金というものが、これは一般会計などからもつぎ込まれるわけでありますし、あるいは財投を通じて国会の御承認を仰ぐわけでありますので、一々国会の承認を受けるといえば、タイミングもあるのです。したがって、できるだけ相手国に対し有効な援助である必要がありますので、一々というわけには私はまいらぬ。やはり基金とかあるいは輸銀の資金というような場合に、この御審議を通じて御検討を願うことが実際的だと思います。  それから低開発国が貿易というものに重点を置いてきておるではないか、お説のとおりでして、みなわれわれが人の援助ばかり当てにしたらだめだ。自分でやはり自己努力というものが中心にならなければいかぬ。それなら自己努力の一環として貿易拡大に協力してくれ、こういうことになってくるわけであります。先般のシンガポールの会議においても、貿易の拡大ということに対して、第一次産品の価格の安定とか、輸入の促進に対して先進国の協力、あの場合は、先進国といっても日本だけでありますから、協力を強く要請されたわけです。ただ援助には限度があるのですから、やはり自分の外貨をかせぐためには、貿易を拡大しなければならない。御指摘のとおり、貿易の拡大という点が非常に目に向けられてきておる。それが特恵関税などに対する強い低開発国の要請となってあらわれておる。これはやはり日本の場合は、一番困難な第一次産品といえば、一番国内の産業と競合しますから。しかし、これは一ぺんにはいかぬけれども、そういう可能な範囲で、たとえば飼料作物などに対しては、開発輸入をするとか、第一次産品の輸入促進について、日本は協力する非常に責任もあるという感じをいたしたのでございます。
  90. 平泉渉

    ○平泉渉君 大臣のおられる時間が非常に限られておりますので、私は初めは、事実を一つ一つ積み上げまして、こまかい、具体的なところから質問を申し上げようと思っておったのでありますが、大臣がおられる期間にまず取りまとめまして、重要な点を特にお伺いしておきたいと思います。  先ほどから〇・七%という数字が国民所得と援助の関係でしばしば出ておりますが、外務省というところの予算は日本の国家予算の中では大体〇・七%くらいの割合になっておる。予算という観点いくと、非常に小規模な官庁でありますけれども、それだけに国民の実際の行政というものとの関係からいきますと、非常に特殊であって一般の民間人とのつき合い、行政面との接触がほとんどないような特殊な官庁である。そういう点で、ことに現在のように非常に国際情勢が緊迫しておる、あるいは日本の防衛の問題について、これが今度の参議院選挙の一番大きな議題であるというような時代になりますと、外務省というものについて非常に関心が強まってくる。ところが、実態はあまり日常は知られる機会が少ない、こういう矛盾があるのじゃないかと思ったわけであります。そういう中でどうもこの外務省というのは一種のベールに閉ざされた存在である、非常に伝説の多い官庁である、こういう印象を私ども受けるのでございまして、そういう意味から、今回は外務省の知られていないいろいろな面について、やはり国会を通じて明らかにしていただくとともに、また、国民がそういうことで知りたいということがいろいろあるのじゃないか。また、外務省を誤解されておる面があるのじゃないか。そういう点をわれわれとしてはこの際明らかにしたいと思いまして、質問をいたしておるわけでございます。  第一には、大臣は政党大臣として、外相として非常に期待を持っているのは、外相は、おそらく従来長年にわたって、日本の国内とのそういう関係の弱さ、国内において十分に影響力を行使できないという点について非常に煩悶しておった時期が長かったのじゃないか。ことに戦時外交の時代、あるいは戦後外交の時代において非常にそういう観念が強かった、そういう面で非常に三木大臣に期待するところが多いのでありまして、外務省は、帝国議会の最後の時期に、この際外務省を廃止したらどうだという質問が行なわれたことを、私記憶しておるのでありますが、そういう時期から比べますと、現在与野党を通じて、とにかく外交を通じて日本の防衛を確保していかなければならぬということについては、超党派的な一致した観念が非常に期待されておる、こう感ずるのであります。そういう意味で、現在における外交の一番中心に置かれる点はどこにあるか。戦後のある時期において、経済外交ということが重視されたことがあります。在外の大使などはもっぱらマーチャントのような心がまえでやってもらいたい、そういうことを言われた時期がありますが、三木大臣は、現在の時点において外務省が一番重点を置いてやらなければならない外交活動というものをどこに置いてお考えになっておるか、それをまず伺っておきます。
  91. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 外務省、これはどんな国においても、省が少ない国もたくさんあります、各省と言われておる省が少ない……。外務省のない国はない、どこの国にも。これは国政の基本になるわけであります。外交というものは孤立してやっていけない、国際関係というものがないという国はないわけですから。外務省廃止論のごときものは、それは正気のさたではないということ、これは第一になければならない役所である、こういうふうに考えております。ただ、いわゆる外務省の仕事、いわゆる外交の仕事というものは一体何かというと、これ非常に多面的になったのですね。経済外交もそれはそうだと思いますよ。しかしそればかりではない。したがって多面である。だから外交というものが、日本の国の安全あるいは経済的発展、これを踏まえて、しかもそれを国際協調の中でその目的を達成していこうということが外交のやっぱりねらいであるわけでしょうが、そこで安全の問題というものにも関連して、もうたくさんにあるのですね。何としたところで、再び全面的に核戦争が起こるといえば、これはまあ何もかもおしまいになる危険性がありますから、そういう核戦争の防止に始まって、ただ演説だけでは達成できない、平和を達成するための諸条件というものを整備していかなければならない。いま大橋君が御指摘になってきた低開発国に対する援助なども——これはそこから平和がくずれてくるのですから、平和をくずしていく条件を一つ一つなくしていこうという努力も、これもまた平和安全に関連する重要な問題、しかし日本に援助してくれといっても、日本の国力が伴わなければだめですから、貿易あるいはまた投資、こういうものを通して日本の経済発展をしていかなければならぬのですから、そういう日本の経済活動が海外に拡大できるような、そういう諸条件をつくるのも外交の仕事であって、一がいに何だと、こう言われると非常にむずかしいのですが、多面的に国際協調の中で日本の安全、繁栄、そういう角度から国益というものを増進するために、あらゆる方法を講じなければならぬ。一口に言うと、外交はもう経済外交だと、こういうふうに断定してしまうことは、外交の一面を説くにすぎない、こう思っております。
  92. 平泉渉

    ○平泉渉君 そういう非常に多面的な意味で日本の国際社会における行き方全体としての、日本の国家の全体としての利益というものを増進していかなければならない、こういうお話でございますが、この際ちょっと私感じられますのは、国際的な感覚というか、関係を持つ仕事というのは非常にふえてきておる。たとえば大蔵省などでも非常にそういうものがふえてきておる。今度のいわゆるスペッシャル・ドローイング・ライト、SDRの問題にしましても、各国の蔵相が集まる会議、こういうふうな時代でございますし、他面商品関係につきましては、それぞれの専門家がまた集まるという機会がある、そういうふうに会合が非常に専門化している面が一面国際関係によってあるわけでありまして、そういう点で、従来外務省というと、外務、内務という一つの大きな分け方のようになっておりますが、特に外務省としては、今後、私の感じますところでは、やはり経済関係はそれぞれの各省が相当能力をふやしてきたのではないか、そういうものを統括した全体的なものというと、つまりそれは政治的な問題、相手の国の政治情勢あるいは国際情勢全体の大きな政治的な流れという点に重点を置くということが、限られた予算と人員という中では中心的なものではないかという感じがいたしますが、いかがでしょう。
  93. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私は、やはり分析と総合の時代だと思うんですよ。あんまり分析して、そして、全体としての大局的な判断を見失ったら、その分析というものが有効に生きてこない場合もある。時代はやはり分析重視、分析の時代でもあるが、また総合の時代でもある。外交に必要なことは、分析と同時に総合的な判断というものが必要である、こう考えておるわけでございます。そういう意味でいろいろ、平泉君は外務省においでになって理解もあるんですが、外務省のいろんな仕組みに対して気に入らぬ点が私あるんです。在外公館などを考えてみても、いま御指摘になったように、各省から行っているでしょう、あれがもう少し有機的に——いわゆる分析と総合というものが有機的に働き得るような仕組み、これはやっぱり人間の採り方にも問題があるのかもしれない。各省がセクショナリズムみたいな形で人間を採っていることにも問題があるのかもしれぬが、そういう点のやはりくふうも要ると。もう本省においても、いろいろ部分部分に専門的に知らなきゃならぬけれども、それを総合して——その分析の上に立って総合的判断を加えるような部局というのは外務省に欠けていますから、そういう点でいろいろと機構の上においても、いまの時代の大きな方向というものとにらみ合わして、外務省の行政機構というのをいま検討を加えているところです。やはりやらなければならぬという感を強くいたしておる次第でございます。
  94. 平泉渉

    ○平泉渉君 大臣がおられる間に、はしょりまして少し先のほうを伺っておきますが、従来、日本の外交の中で、情報文化活動というものがわりあいに手薄である。戦時中に情報局を特につくって拡充した時代がございますが、どうもこの情報文化活動というのが、従来の外務省のやり方の中ではわりあいに弱体だったんじゃないかというふうな印象を持つわけです。だんだん世の中が世論を非常に重視する時代になってきて、相手の国がそういう時代になってきておるわけでありますので、こういう点、特に日本の国というものが世界の中でいい印象を持たれておるということは、これは安全保障の上において非常に大きな価値がある。その国が好かれておるかきらわれておるかという、まあ俗に言えば、幾ら実力があっても、どうもあいつはいやなやつだと思われる国柄になっておってもいかぬので、やはり日本という国をできる限り国際社会で床の間に置きたいという印象を与えるような活動、それからやはり、私は常に感じますのは、日本語ということばをもう少し世界的に広めていかないと、これは世界のほかの主要な、日本に匹敵する国力を持った国、たとえば英、米であるとかあるいはソビエトとかフランスとかドイツとか、そういう国と比べて極端に日本語ということばが知られていないというような非常なアンバランスがあるような気がいたすんです。その点につきまして、私は大臣は特に御見解をお持ちであると思いますので、御見解を伺っておきます。
  95. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 情報文化活動というのは、私は御指摘のとおりに思います。やはり外交の中で比重を持ってきておる。文化外交ということばもある。これはもう少し、予算の点についても、あるいは人間という点でも重視しなければならぬ時代が来ているということは、全く同感でございます。  日本語の点につきましては、日本語を世界語にするということはなかなかむずかしいことだと思います。しかし、近時、日本語を勉強しようという、そういう気分というものは各国にふえておるわけですね。したがって、たとえば諸外国の大学院の中に日本語科を置くという大学が世界で非常にふえてきておる。ほとんど主要なる国では、各国ともあるという現状です。これに対してできるだけの日本も協力するという形で日本語の普及をはかる。私は一番日本語というものについて深い関心を持っておるのは、韓国とか台湾とか、実際会議に出ても非常に公式的なことは、お互いのみな国語でやりますけれども、話をするときには、みな日本語でやるのですから、この持っておる一つの親近感というものは、たいへんなものがあります。これが若い人がだんだんと日本語を話す人が少なくなっていく——両国とも日本と関係が深い、経済的に関係が深い地域にある国ですから、だから日本語を習われることによって実益もあるのですね。そういうことでこれは何とか日本語を勉強したいという人もあるに違いない。施設があればたくさんあるに違いない。こういうことが何か政府でそういうことをやるということに対しては誤解も生じますが、何か有力な民間団体があって、両国で話し合って日本語の普及ができるということができれば、両国のために非常に好ましいのではないか。平泉君など非常にそういうほうに関心をお持ちになっているのですから、どうかこういう方面で少しひとついい方法を考えていただきたいと思うのでございます。
  96. 平泉渉

    ○平泉渉君 もう時間で大臣は帰られるらしいので、最後に一問、アメリカの国務省ですね、あるいはアメリカの大統領がアメリカの外交政策を決定する上に非常な権力を持っておるようでありますが、こういうところでは思いがけないような人事が行なわれる。たとえば国連の代表なんかいきなり民間人が来たり、あるいは国会議員が来たり、あるいは国務省自体の一番トップの国務次官、国務次官補等政務関係の中心人物とか、あるいは大統領の特別な外交関係の顧問というものに学者の先生が出てくる、こういうことがしばしば行なわれてきている。あるいはハリマンのようなかつて大統領候補だったものが、アジア局担当の国務次官補になるということもある。そういう点が非常に人事が自由と言いますか、アメリカはそういう国柄が感じられるのでありまして、日本の場合にそういうことが直接にすぐ行なわれるとは感じられませんが、やはり全体としての国民の外交に対する感覚から申しまして、何かあるいは国際会議の代表というような形でも、そういうことをだんだん推し進められるというお考えが大臣にありますかどうか、伺っておきます。
  97. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私も、御指摘のように、国民、社会というものがみなタコつぼに入ったようになって、学者もタコつぼから出てこないで、ちょっと首を出していろいろなことを言っている。実業家あるいはまた国会議員もそうじゃないかという非難も私はあると思いますよ。これはやっぱりその非難を受けるに値するような面もあるので、みなタコつぼに入ってちょっと顔を出して、いろいろお互い批判し合っている、こういうひとつの社会の実態がどれほど日本の総合的なエネルギーを出す意味においてマイナスかということは、はかりしれぬものがあると思う。だからそういう社会の人間というものは、大統領候補であっても、おまえ外務次官やらぬか、よろしい、こう言って、国家、社会のために全力投球をやるという何か若さ、清新さを感じて、そういう点でいずれの日か日本もこのタコつぼを破らにゃいかぬ。外務省だって、ここに居並んでいる諸君はいやがるでしょうが、ほかから入れたほうがいい刺激を与える。民間から入ってきてそうしてやるという、そういう交流がないと、何かこう惰性の上に安住する結果になる。これはしかし、なかなか長い慣習ですけれども、どうもやはり日本の社会でそういう学者でも、実際に大使なら大使をやってみれば、それはまた象牙の塔にこもっておるときとよほど違って、それが大使を終えてまた教壇に立てば、大学の講義の中においても非常に幅の広さができてくるでしょう。お互いにそのほうが社会全体のために有用なことと思うのであります。これは一党の力ではなかなかできぬが、どうか皆さんもひとつタコつぼを破るよう、それがやはり日本の新しい出発点になるのではないか。そういうことでないと何かいまのような、皆が固定したような形でこれだけの力をみな出し切っていない。国全体の。そういう感じがいたして、全くあなたの言われることには同感であります。いろいろ実際そういうふうに感じておる次第でございます。
  98. 平泉渉

    ○平泉渉君 少しこまかく具体的問題に入りまして伺ってまいりますが、外務省は全体として大きく考えるときに、本省と在外公館とに分けて考える。外務省は従来一般的に有名なのはどちらかというと、在外公館が有名である。外務省としては大使館というものが非常に有名なんでありますが、一体外務省というところは、本省と在外公館にどういう人を分けておられるのか。定員の総数で比べますと大体どういう割合に分けておられますか。その辺ちょっとこまかい質問でありますが、伺っておきます。
  99. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) 現在外務省の本省と在外公館を合わせまして二千七百四十六名でございますが、うち本省が千五百三十五名、在外が大使を含めまして一千二百十一名でございまして、本省のほうが割合は大きくなっております。
  100. 平泉渉

    ○平泉渉君 大体全体で、あまりたいして大きな世帯でございませんが、それほど大きな違いはない。パーセントで言うと、五五対四五くらいの割合と了解されるわけです。そこで、外務省の中で特にいわゆる外交官として特別に外務省が試験をされたりしてやっておられる、いわゆる外務省の幹部の人たち、そういう人たちを本省と在外とに分けますと、どういうふうな配置でやっておられるか。
  101. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) 本省にいわゆる上級試験を受けて合格してきた者というのが二百二十名ございます。そのほかに、他省から同じ待遇で入っております者が三十名、合わせて二百五十名がいわゆる上級職員というふうにお考えになってよいと思います。他方、在外公館につきましては、外務省関係が四百四十名、他省から在外公館に入りました者が百七十名、合わせまして六百十名というのが現状でございます。
  102. 平泉渉

    ○平泉渉君 先ほど全体の数でいうと本省のほうが数が少し多い。今度は特に上級職の方に限りますと、外のほうが多いということがわかるわけでございます。ことに他省から来られる方が非常に多いわけでございますから、それを考えますと、比率はもっと大きくなる。ただ外務省自体のいわゆる持ちごまという観点からいいますと、ちょうど先ほどの比率は逆転したような感じになる印象もあるわけでございます。そこで、外務省の従来の構成のやり方からいいますと、相当上級の長い訓練を受けた方が多数外国に出ておられるという点がちょっとほかの省と違った組織になっておる。ほかの省でいいますと、かりに大蔵省で、国税局長、そういう人たちが本省の次官、局長よりも先輩であるということはまず考えられないと思うのでありますが、外務省の場合には、次官よりもあるいは上級ぐらいの方が在外に出ておられることが多い。あるいは本省の局長よりは上であるというような方が相当在外に出ておるという感じでありますから、外務省全体としてみますと、大きな力が外国に向かって流出しておるということは否定できないのじゃないか。ことに質的に見た場合に、そういう感じがいたすのでありますが、つまり、その点で具体的な例を一つお伺いいたしますが、外務省のアジア局に南東アジア課という課がございます。この課はどのくらいの国の政治情勢を調査しておられるところでありますか。
  103. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) 五カ国でございます。
  104. 平泉渉

    ○平泉渉君 その五カ国をひとつ言っていただきたい。
  105. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) 旧仏印三国——ラオス、ベトナム、カンボジアの三国、それにインドネシア、フィリピンの五カ国でございます。
  106. 平泉渉

    ○平泉渉君 ベトナム、ラオス、カンボジア、フィリピン、インドネシアと申しますと、非常に日本のいわゆるアジア外交の中では中心的な、いわゆる東南アジアといわれる地方のほとんど大宗を占めているところでございますが、ここに上級職の職員はどのくらい配置しておりますか。
  107. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) 南東アジア課に配置されておりますのが、四名でございます。
  108. 平泉渉

    ○平泉渉君 つまりベトナム、ラオス、カンボジア、インドネシア、フィリピン、この国の大使館にそれぞれ相当な上級職の方がおられると思うわけでありまして、その数と対比しますと、それ全体を統括しておる——政治情報という点では統括しておる南東アジア課がむしろ非常に数が少ない。おそらく四人のうち一人が課長であって、あとの最後の一人、これはわりと若い方じゃないかと想像されるわけです。そういたしますと、現在における在外公館と本省との関係をある程度図示するわけでありますが、むしろ在外からくる情報というものが相当在外でそしゃくされませんといかぬ。むしろ本省というのは、そういうものをまとめるところであるというかなり伝統的な思想がやはりまだ色濃く残っておるような気がいたすのであります。相当有力なものは現地で処理をいたしまして、本省というところはもう処理された、ほんとうのクリームのようなものを詰めてきて分析するのだという感じがいたすのでありますが、現在の私は世界情勢から見まして、また現在の日本の国内における外交世論というものを非常に啓発していかなきゃならぬ、あるいは新聞雑誌その他のいろいろな記者が送ってくる情報というものは、常に本省において政治的にいろいろにディスカスされる、討論されるという場合におきまして、やはりもう少しセントラリゼーションといいますか、仕事実態をもう少し、ことに南東アジア課というのは、日本にとって最も重要な地点をカバーしているわけでありますから、そういうところについてはもう少し本省が強化されなければならぬ、こういう感じがいたすのであります。従来の外務省のやり方は、どうも在外中心に考える。在外が逆ピラミッドのような、上が大きくなって、非常に優秀なのを各公使館にばらまいておられる。本省へ行きますと、今度はピラミッド型であって、むしろ上級職の方がわりあい少なくて大きな本格的機構になっておるわけであります。これがはたして現在の通信交通の関係で、どの程度までいまだにそういうことがほんとうに合理的なことなのかどうか。その点で、私は特に伺いたいと思いますのは、現在、その在外公館あるいは外国から日本に入ってくる通信の速さ、これが相当戦前と比べますと変わっているということは簡単に想像ができるわけです。かりに昭和十五年、ちょうどいまから三十年近く前でありますが、その時分において、公信でワシントン大使館から外務省に向かって情報を打った場合に、どのくらい日数がかかったのでありますか。現在だったらどのくらい日数がかかるかという点の説明をひとつしていただきたい。
  109. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) いろいろ通信機関がございますが、御指摘の文書につきましては、現在では最短三日、長くて七日でございますが、戦前は一カ月近くかかったのではないかというふうに考えます。
  110. 平泉渉

    ○平泉渉君 通信、交通の発達ということが、戦後の二十年間における世界をあらゆる面で変えてまいっておると思います。ことに国際関係の部面においては想像もできない速さになっておるということをただいま答弁いただいたわけです。一カ月ではこれは全く話にならないのでありますから、おそらくその時分においては、在外でできるだけの力を集めて情報をとって本省に対しては電報で、ほんのクリームの、結論だけを送ってくるということにならざるを得ないという状態であった。現在では相当詳しい材料を、そのまま、原料のままの形で本省に送ってきて、もう三日くらいしかかからないという感じであることがわかるわけであります。そういう点からいいますと、いろいろ情報の分析に当たりましても、いわゆる特別の人間に会って情報をとられるという経路でない、いわゆる新聞の論調であるとか、あるいは一般的な雑誌の論調、そのほかの統計類、そういったものの基礎的なデータというものがかなり迅速に入ってくるのじゃないかと思うわけであります。そういう点で、私といたしましては、これは通信交通の時代を加味いたしますと、外務省の機構というものは、もう少し本省中心で考えられてもいいんじゃないかという感じがいたすのであります。その点については、どういうふうにお考えでしょうか。
  111. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) 御指摘のとおり、本省の任務というものが逐次重要性を増してきたということは、御説のとおりでございまして、外務省の機構改革にあたりましても、その点はできるだけ生かしてまいりたいというように考えております。ただ、在外公館におきましては、これも御承知のとおりに、非常に弱小公館がございまして、大使を含めて三名というような公館もございます。それを充実するだけでもなお人を必要としておりますので、ある一定限度以上は減らせない、ないしはある一定限度はどうしても確保しなければならないという線がございます。特に在外公館におきましては、政務だけでなくて経済あるいは御指摘の情報、文化もございますので、本省重点には異存がございませんが、しかし、それにはある限度があるということだけ申し上げさしていただきます。
  112. 平泉渉

    ○平泉渉君 そこで、在外公館についてでありますが、在外公館が非常に逐年ふえるわけであります。毎年外務省の予算の審議の場合には、新たな公館の要求が出てくるわけでありますが、この在外公館というものは、国がふえるに従って絶えずふえていかなければならないものであるのかどうか。在外公館設置についての大体の御方針、そういう点を、限られた予算でありますし、それから非常に幾ら予算がとれましても人間は簡単に育たないわけでありますから、その人間をあまり薄く広く、バターをパンに塗るようにちらばしてしまったのでは、あるいはほんとうに眼目になるところができないおそれがある。そういう点については、もちろん御苦心のあるところだと思いますので、お伺いいたします。
  113. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) 在外公館の増設につきましては、数については、大体、所期の目的に近づいておるということが言えると思います。まさに、昨年までは五館程度が増設になっておりますが、ことし四十三年度には、チュニジア一館でございます。大使館のほかに経済活動のために領事館、総領事館の必要がございますが、国との関係におきましては、大体目的に達しておりますので、今後、国交を開くことによって当然増設をしていくというようには考えておりません。  なお、御参考までに申し上げさしていただきますが、これは実館のほかにも、兼館で実館のない大使館が、外交関係があるにもかかわらずかなりの数があるということでございます。
  114. 平泉渉

    ○平泉渉君 私の感じますところでは、できる限り兼館方式を活用していただくのがいいんではないか。ことに、全体として旅行が非常に容易になってまいったわけでありまして、その点も実は先ほどの通信の問題の中に、通信、交通と申しておりますのは、たしか私どもの記憶しておりますのは、過去では、昭和十六年の日米交渉のときに、来栖大使をアメリカに特派するというときに、一番当時速いクリッパー機を香港から来るやつをつかまえてそれで乗り継いで行って四日くらいかかった。それと比べますと、現在は世界のどんな遠隔の土地でも二日くらいで行く。そういう感じでありますから、たとえばスイスの国内にたくさんの公館を持たせる、かりにチューリッヒとジュネーブ、ベルンと、こういう地域の相互間を汽車に乗った場合に、何時間で行けるかというような問題も考えますと、私はかなりの程度まで、むしろ大きな中心になるところを強化して、あまり形骸化した館というものはむしろ望ましくないのじゃないかという感じがいたしますが、そういう点いかがでございますか。
  115. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) 兼設公館の数を御紹介申し上げますが、大使館にしまして実館が八十三館でございますが、三十一館で、合計の百十四館から見ますと、大体二七%近くが兼設公館になっております。これはできれば国費の節約のために兼設公館が望ましいと思いますが、公館を設置する場合には、これは単に日本の国益ないしは希望だけではまいりませんので、相手側の希望もございますし、大体両方で協定して設けることが多いので、そういう点は今後とも考慮せざるを得ませんが、兼設公館につきましては、できればそういうことが望ましいというように考えております。
  116. 平泉渉

    ○平泉渉君 在外公館が、現在こういう時代になさなければならない仕事の中で、私としては、情報活動が非常に大事ではないか、現実に肉体がそこにいなければできない仕事というものをよく考えてみますと、やはり人間の接触でありますし、ことに人間がその場に出てきてしゃべる、あるいはあらわれるということが非常に重要だという観点からいいますと、かなり情報活動が重視されると思いますが、同時に、やはり専門的な仕事について現地で情報をとらなければならぬという問題がある。そういう点では各省の出向き者というものが非常に重要ではないか、私は、外務省が何から何まで対外面は全部やるのだということは、現実の科学技術の進歩とか、それぞれの専門領域の知識の進歩からいいますと不可能なことでありますし、そういう点からいいますと、在外公館はすでに従来からも相当活用しておられるということを先ほど伺ったのでありますが、現在現実には、各省からどのくらいの数出ておられるか伺いたい。
  117. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) 総計にいたしまして百七十二名でございます。
  118. 平泉渉

    ○平泉渉君 できれば、各省庁の名前と各省庁からそれぞれ何人くらいずつ出しておられるか、それから出しておられる地域ですね、大きく地域別にしていただいてもよろしゅうございますし、また特に代表的な館の名前を言っていただいて、数の内訳について言っていただきたい。
  119. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) 数字を申し上げますが、地域別に申し上げますと、欧州地域が七十名、これは各省合わせまして七十名、アジア地域が四十六名、北米地域が三十五名、中南米八名、中近東五名、アフリカ四名、大洋州  豪州、ニュージーランドが四名、計百七十二名でございます。  省庁別にいたしますと、これは地域を分けませんで総計で申し上げますが、通産省四十九名、大蔵三十五、農林二十、防衛十七、運輸十一、警察九、科学技術八、労働五、建設四、法務三、経済企画庁三、文部二、郵政二、厚生二、自治一、国鉄一ということになっております。
  120. 平泉渉

    ○平泉渉君 それぞれ非常に必要があって出ておられる。おそらくまあ在外公館は現実には、向こうへ行きますと、日本政府の公式な唯一の機関となるのでありますから、私はできるだけ各省が出られるのが望ましいんじゃないかと思います。つとめて行っていただいて、各省がそれぞれの仕事において国際的な仕事をやっていない官庁というのはございませんので、日本のような国においてはぜひ行っていただきたい、こう思うのでありますが、このいまの数字を拝見いたしますと、欧州が七十名で、アメリカが三十五名。この二つだけで百五。百七十のうちの百五というと、過半以上が欧米におる。中南米とか近東は少ないし、アジアはわりあいにございますが、それでも欧米に比べると半分以下であるということで、非常にちょっとわれわれ見て意外に感ずるわけです。わが国の貿易の構造からいいますと、三分の一以上東南アジアに行っておる。そういう構造からいいますと、いわゆるアジア地域が大事でありますし、わが国の鉄鋼資源あるいは石油資源なんかの現状関係から見ますと、やはりアジア、太洋州、中南米が非常に多いということを考えますと、少し配置がおかしいという感じを受けるのでありますが、この何か基準を置いておられるのでありましょうか。どういう基準で各省からの出向き者というものを受け入れ、また配属しておられるのか。
  121. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) この各省から外務省に出向していただく方につきましては、歴史がございまして、各省の希望が非常に強く生きております。また、外務省といたしましても、外務省の希望も勘案してまいりましたが、一応現在の姿を見ますと、御指摘のように少し片寄っているという感じがいたしまして、昨年再配置のために適正配置計画というものを策定することにきめまして、大体その結論によって今後運営していきたいというふうに考えております。  その基準と申しますのは、一つは、わが国の貿易及び情報収集等、日本の外交推進上必要なものについては、現在配置してない場合でも外務省としても積極的に配置をしていく、それから従来配置してあります国につきましても、必要がないというように考えられましたものについては、これはすでにもう失効しておりますので、ほかに配置転換をする、それから今後配置転換も必要ないというものにつきましては、今後はその地域にはとらないという、大体三つの方針で進んでおりまして、御指摘のように、あるいは第三者から見ると不適正であるというところがあるかと存じます。
  122. 平泉渉

    ○平泉渉君 そこで今度は、本省に移りますが、私は、やはり在外公館に比べて本省を非常に強化して、全体としてむしろ現在情報の海に取り囲まれているといっていい時代でありまして、非常に情報が多いのであります。民間の会社、企業などにおきましても、あるいは電子計算機を使って情報を管理しなければできないというように、いわゆる中央のヘッド・クオーターズというか、中央の部分につきましてたくさんの情報を持っておって、むしろそれを十分に処理するだけの能力が生かし切れない恨みがあるという感じがいたしますので、本省をぜひ強化していただきたい。そのためには、むしろ在外公館に人間を長い間配置してしまうよりも、本省から飛んで行くほうがいいのではないか。機動的な飛んで行く外交ということがいわれた時期がございます。もっぱら政治家についていわれておりますが、私は外務省自身がもう少し各地を飛び歩いていったほうが、あるところに長い間くぎづけになっておっては、先ほど三木大臣の言われたタコつぼになってしまう。どこどこばかりにおるというような外交官ができても困るのじゃないか。むしろやはり東京中心で日本の内政上の考慮というものを十分に、そのときの日本の政治情勢において非常に必要なものをそういう観点から確保していく、情報を処理していくという、いわば出張外交を提唱いたしたいと思うのでありますが、そういう点ではどうお考えでしょうか。
  123. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) これも御指摘の点、外務省といたしましても、そういうことを痛感いたしまして、これは旅費は大蔵省の好意で最近はかなり十分についてまいりました。二国間交渉のほかに、情報収集並びに現地との血の通った外交の推進という意味で出張を非常に多くしております。これは昨年、一昨年に比較してことしはなおそういう御趣旨に沿えるようにできるというように考えております。
  124. 平泉渉

    ○平泉渉君 次に、まあできるだけ出張というものを重視していただきまして、所管の課長というようなものは、つとめて最近のその国の情勢というものを熟知しておるという状態でいただくことのほうが、私は結局において、日本の国内において国際情勢を明らかに理解させるという意味において、非常に必要である。ぜひそういうことを、むしろ在外公館のほうよりもこちらのほうに重点を置いて考えていただきたいという感じがいたすのであります。こういう場合の機動的な人員の配置ですね、外務省全体として限られた人間を非常にうまく使っていかなきゃならぬ、そういう機動的な配置という点では、私は今度定員法が改正になり、定員の考え方が政令で全体を管理していくということになりまして、従来ほど動きがとれないことがないということが今度国会に提案されておるところの改正案の趣旨であると思いますが、現実におきましては、こういう外務省内のいろいろなポストの中の人員の割り振りについては、行管が相当大きな発言権を持っておる。そこで行政管理庁としてこういう点について、単に形式的に大きな意味での人間のワクを押えるとか、あるいは長い間定員を押えていくということに非常に形式的にされると、私は現実には行政の実態にそぐわない事態が起こるんじゃないか。やはり一番必要なところは伸ばして、要らないところは絶えず削るというような内面に対する分析をやって行政監察及び管理の実をあげていただきたいと思うのでありますが、そういう点は行管としてはどうお考えですか。
  125. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 私どものほうは定員と機構をやっておるわけでございますが、現在の政府の行政改革の姿勢といたしましては、社会、経済の急激な変動にかんがみまして、変動する行政需要に即応する簡素にしてかつ合理的な行政の体制を整えるということを主眼としておるわけでございます。単に何でもかんでも機構を減らし、人員を削減するというのが目的ではないわけであります。真に必要なところは充実し、そのかわり需要の薄れたところは削減すると、こういう方式でやってまいっておるわけでございまして、先ほどお話がございました新しい定員法の考えにおきましても、その配置転換を十分機動的にスムーズに実現するというのを大きなねらいとしておるわけでございます。
  126. 平泉渉

    ○平泉渉君 外務省の能力を発揮していただくためには、私は非常に外国語の知識というものが必要である、その中でもことにやはりたとえば最近日本に来ております各国の高官を見ておりますと、みな大使で相当日本語のできる人を多く配置するようになってきております。日本語は、先ほど大臣との質疑でも出たわけでありますが、かなり困難なことばである、あるいは習得する機会がなかなか少ないことばとされておりますが、それでもイギリス、アメリカの大使はいずれも日本語の相当の知識を持っておる人を大使に持ってきておる。日本のやはり外交もアジア諸国のことについては、ことにまあアジアのことばは非常に研究していただく必要があると思うのでありますが、現実に、いまの状態においてはタイ語とか韓国語、マラヤあるいはヒンズー語、こういうふうなアジアの主要な言語について、どういうふうな研修計画というか、を持っておられるか、いかがでございますか。
  127. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) まさに御指摘の語学につきましては、外務省の生命ともいうべきものでございますので、この研修には特に重点を注いでおります。従来特殊語学の研修ということで、語学研修生というものの制度を設けまして、現在まで三十四カ国語につきまして、その専門家として三百三十八名を起用しております。ただこれは中級職員でございまして、上級職員につきましても、特殊語学は数はそんなにたくさん選べませんが、おもな、おもなというのはおかしいのでございますが、特殊語学のうちでも非常に需要の多いことばにつきましては、上級職員にもこれを習得せしめるという方針で、数年来これを実施してまいりまして、中国語、ロシア語、スペイン語、アラビア語等につきまして、上級職員の研修をさせております。現在、研修を終了した者が、ロシヤ語につきましては十二、スペイン語については十五、中国語について十、アラビア語について六、合計四十三名、なお研修中の者が、合わせまして十四名ございます。さらにこれは外務省の一つの欠点でございましたが、この上級者と語学研修生の中間といいますか、中級職員というのがございますが、この中級職員につきましては、在外勤務するほかに特に研修がございませんでしたので、昨年末、制度を新しくつくりまして、中級職員にも、期間は短いけれども、語学研修をやらせるということで、大体制度としては整ったのではないかというように考えております。
  128. 平泉渉

    ○平泉渉君 もう大体私の予定の時間がまいりましたので質問をそろそろ終了いたしますが、まあ従来巷間でいわれておりますことの中に、外務省の大公使館がいろいろな便宜供与をして非常に日本人が参っておるというのがあるのでありますが、一体どのくらい日本人に便宜供与しておられるのですか。非常に代表的なかりに私どもが想像いたしますと、ロスアンゼルスであるとか、香港であるとかあるいはローマ、こういうふうなところは非常に便宜供与が多いのではないだろうか。私は便宜供与ということにつきましては、ことに日本の国においてはなかなか外国へ旅行する機会が少ない国柄であります。外国に旅行し始めてから、わずかに百年であります。つとめて便宜供与はしてやっていただかなければならぬと思うのでありますが、仕事の量は相当な分量になると、これは在外公館でも相当な問題が起こるだろう、やはりその実態を一応ここでわれわれも承知しておきたいのであります。
  129. 斎藤鎭男

    政府委員(斎藤鎭男君) これはまさに御指摘のように、外務省といたしましても、便宜供与というものの重要性を深く考えまして、特にこの民間を通ずる親善関係の増進及び民間の方の在外経験の増進という意味で非常に重要だと考えまして、特に必要なものについては、本省から訓令を出しております。  この便宜供与の件数を申し上げますと、昭和四十一年度に六万四千六十八件でございます。この便宜供与の訓令の出たものを含めて便宜供与をいたしました延べ人数を四十一年度について申し上げますと、三十二万九千七百十名でございます。この中で、お示しのロスアンゼルスについてはちょっと数字を持っておりませんが、ローマにつきましては、便宜供与の件数が千四百五十件、実際に便宜を供与しました数は延べ人数にしまして六千三百七十二名ございました。それから香港につきましては二千六百八十四の便宜供与件数、延べ人数にしまして九千六百九十名でございます。
  130. 平泉渉

    ○平泉渉君 香港で年間一万名近い便宜供与ということになりますと、一日当たり相当な人数になる、こういうことが想像されるわけです。相当たいへんだろうと思います。こういう点は相当苦労してやっていただいているのだということがわかるのでありますが、あまり極端な便宜供与をされると、これは外交の本来の仕事ができなくなるということにならないようにしていただかなければならないという感じがいたします。  まあ最後に、私はせっかく政務次官が出ておられますので、やはりこれは似たような問題でございますが、私が常々感じておりますのは、国会は現在百五十日間の定期ということになっておりますが、実際には常時国会が開かれております。本日も外務大臣の御出席はほんのわずかな時間しか出られない。それも国会関係の行事が詰まっておるのでありますが、これは大臣は当然だろうと思います。やはり国会において責任をとられるのは大臣でありますから、大臣が非常に国会で時間をとられるのは当然であると思いますが、どうも現在の日本のこの間も行管のほうからそういう意見が出たということが新聞に載っておりました。現在、国会に高級公務員が非常に多数多くの時間くぎづけになるということがあまり起こりますと、朝からあるいは担当の局長が出っぱなし、ようやく六時ごろになって外務省に帰って、そこで重要な日本のアジア政策に関する書類の決裁がそれから一、二時間の間でできるかできないか。あるいは夜になっていろいろな会合が行なわれる。そうしますと、ほんの書類の表面見ただけで決裁が行なわれるという危険が国民の側から想像される。そういう点、私は、もちろん戦後の国会と行政府との関係全体において、将来長い目においてかなり問題があるのじゃないか。やはり政務官同士の間で——政務官同士というとおかしいですが、政務関係の方がつとめて国会においては中心になっていただいて、むしろ一般の公務員が、ことに高級な重要な職をやっておられる方があまり長い間国会におられるということは、相当これは問題があるのじゃないか、そういう点、政務次官としてのお考えを承って私の質問を終わります。  外務省は全般的に国民との関係がわりあい希薄であるという点があって、ややもするとオーバーな批判を受けたり、あるいは全然無知なところに基づいた批判がある。全体的にそういうきらいがあるのでありますから、国会なんかを通じてできる限り説明をしていただくことが非常にいいのでありますが、他面国際関係の重要な仕事を国会のために非常に時間を取られておるという面もあるようでありますが、国会におる者がそういうことを言うのははなはだ普通では行なわれないわけでありますけれども、私は、むしろ、本来のあるべき姿は、イギリスの国会のように政務職、政務次官、そういう方が中心になって答弁していただくという形の国会運営が望ましいのではないかという感じを実は持っておるわけであります。政務次官にひとつ御答弁をしていただきたいと思います。
  131. 藏内修治

    政府委員(藏内修治君) 国会が国権のとにかく最高機関でございまするから、国会活動に大臣以下各省の事務官が担当——当たらなければならない、相当の時間、これに費やさなければならないことはいたし方のない点もあろうかと存じます。しかしながら、先生指摘のとおり、非常に国会が長期にわたりますし、ほとんど年間を通じて行なわれておる。しかも、行政事務も非常に繁雑になってまいりまして、そのために各省の高級幹部が非常に長時間にわたって国会にくぎづけにされるということは、やはり行政事務の全体の渋滞になることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、いま平泉委員の御指摘のとおり、政務次官等をもっと活用していただく面があればいいということは、私どもも、実は、政務次官の立場で念願するところでございます。むしろ、政務次官をもっと国会で活用していただくことが、政務次官そのものの資質と申しまするか、も向上いたしまするし、重要性も、もちろん、これは向上していくことであろうと思います。ところが、長年の日本の国会の慣習と申しますか、そういうことからいたしまして、従来もやはり政務次官あるいは参事官というような制度があったわけでございますけれども、この比重というものが、もう著しく大臣の答弁あるいは活動に比較いたしますと、軽視されておった。こういうことから、政務次官の存在を国会議員の中で認めておりながら、政務次官のいわゆるウエートというものを軽からしめてきた、そういうことがやはり国会活動渋滞といいまするか、そういうひとつの要素にもなっておるかと思います。私どもも、ぜひ今後、進んで国会の御審議には協力させていただきたいと存じておりますので、委員会におきましても、委員会の日程の重複してまいりました時期におきましては、つとめて政務次官で御審議を進めていただくように切望する次第でございます。
  132. 亀田得治

    委員長亀田得治君) じゃ、外務省関係、済みましたから……。  速記をとめて。  〔速記中止〕
  133. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。
  134. 田村賢作

    ○田村賢作君 私は、社会教育に関する問題と、大学の管理に関する問題と、私学の運営に関する問題と学校公害、交通事故の問題等についてお尋ねをしたいのであります。  最初に、社会教育の問題についてお尋ねをしますが、わが国では学校教育の制度が制度化をされ、その運営もきわめて充実した長い歴史を持っておりますが、社会教育については、これが法律上制定をされたのは戦後が初めてであります。したがって、その歴史的経過もきわめて浅いし、それだけにこれから開拓をしなければならないたくさんの問題があるように私は思うのでありますが、そのうちでも特に本日、この公民館という、いうならば社会教育のセンターとしての公民館のあり方並びにその運営等につきましてお尋ねをいたすものであります。  最初に、社会教育の中における公民館の位置と申しますか、役割りと申しますか、この問題につきまして、局長から御答弁を願います。
  135. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 一口に社会教育と申しましても、社会教育の考えられます場というのは、非常に多岐にわたっておるのでございます。私どもはこれをいろいろな角度からつかまえてその振興をはかろうといたしておるわけでございますが、やはり社会教育は、市民としての立場で日々の生活の中で、あるいは職場の中で学習をしてまいるというところに、その社会教育の一番基本の立場があろうかと思うのでございます。したがいまして、それぞれ市民一人一人の生活条件の違いその他によりまして、この学習の形態、規模その他がまことに多岐多端にわたるわけでございます。したがって、社会教育の活動を何らか一つの形でまとめて推進していくということが、事柄の性質上非常にむずかしゅうございまして、社会教育の市民の必要に即した学習の形態を進めるために一番大事なことは、市民の生活の場の近くにその学習を進めていくよりどころがある、場所があるということだと思うのでございます。そういう点から、社会教育の中では、特に社会教育法が制定されました際に、その市民の日常の身近なところに学習の場を設定するという意味合いをもちまして公民館という施設を特に法の中にも規定して、市民の日常生活に結びつけた学習の場としてこれを奨励していくという措置がとられたのと理解をしておるところでございます。したがいまして、公民館は、いろいろな要求を持っております社会教育の学習活動のその個々の要素を卑近なところで満たしていく一番身近な学習の場である、そうして社会教育のまあ発端と申しますか、専門にいろいろと発展をすれば分化していくわけでございますけれども、その専門に分化する前の総合的な学習の場としてこれを位置づけてまいりたい、このように公民館を理解し、その普及を考えていきたいと思っておるところでございます。
  136. 田村賢作

    ○田村賢作君 公民館の位置づけにつきましては、いまのことでよくわかりましたが、前の有田文部大臣のときに、よりよい社会、よりよい教育を建設するためには、学校教育と社会教育と、これは成人教育を主としてさしたかもしれませんが、家庭の教育とこの三つがよく結びあって、一つの広場をつくることだと、こういうので、学校教育と社会教育と家庭教育が三つのコンビで一つの広場をつくるということを、キャッチフレーズで出したことを私は記憶しておりますが、このことは、社会教育というものが、いま局長の言う成人の教育の場としての公民館、社会教育というものが非常に大きなよりよい社会をつくる要素であるというふうに解釈できるのでありますが、一体この公民館というものは、突きつめて言うならば、必ずあってしかるべきものか、あるいはまあなければなくてもいいものか、この辺のところの感覚をひとつお尋ねします。
  137. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 先ほどお答え申し上げましたように、公民館は社会教育活動、日常の身近かなところで推進をしてまいります一つの場でございます。学校教育を離れました後にも、これは卒業後の意味も、あるいは学校での教育期間を終わりましたあとの日常の生活時間におきましても、市民がそれぞれの立場で学習をしていくということはぜひ期待をいたしたいところでございます。その意味で社会教育の活動を一人一人がそれぞれに進めていくということを私どもは強く希望もし、期待もしておるところでございます。その学習の進め方にはいろいろな形態がございます。いろいろな場があるわけでございます。私どもは、その中で図書館のような専門的な図書を頼りにして学習する場もあれば、博物館のような資料をもとにして勉強する場もございますが、最も卑近な語り合いの場としての公民館というものを、できるだけ数多く市民の生活の場に近づけていきたいということを考えるわけでございますが、学習の場が公民館だけである、それ以外にないというわけにもまいりかねます。したがいまして、公民館という呼称をとらないでも、これにかわり得るような機能がいろいろなところで行なわれておるという現実もまた考えていかなければなりません。そういう他の施設との関連ということを考慮に入れながらも、一番卑近な総合的な施設として公民館ができるだけ地域単位に市民の生活の区域に近いところに設置されていくということを期待しておるところでございます。
  138. 田村賢作

    ○田村賢作君 そこまではわかったんですが、最後に私がお尋ねをした、公民館というものが必ずあってほしいものか、あるいはなければなくてもこと足りるというふうにお考えなのか、そこのところをはっきりお答えを願います。このことは、私単独の意見で聞いているんではなくて、全国のこういうことに関係をしている団体から、そういうことをぜひ国会で明らかにしてほしいんだという強い要望があります。したがって本日、文部省が出す見解というものは、全国のこの関係者が注目をして見ているわけなのでありまするから、まあなければなくても済むじゃないかと、公民館にかわるべき何かはかのものがあればそれでもいいじゃないか、こういう考えなのか、あるいは公民館というものをぜひ設置もし、これをりっぱな運営をすることによって地域社会の改善に役立てたいということになるか、その辺のところについての局長の考えをひとつお答え願います。
  139. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっとお答えですが、時間が少し足りなくなっておりますし、まだあと一人おりますので、できるだけ内容をはっきりさせて簡潔にお答え願うようにお願いしておきます。
  140. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 公民館の持っております機能、市民の学習の役に立つという機能そのものは、すべての市民生活の近くにあるべきもの、あってほしいものと思っておるわけでございます。それを果たす一番大事な施設が公民館であるというふうに理解いたしますが、公民館以外の施設におきましても類似の機能が果たし得ます場合に、公民館という呼称のものをすべて置かなければならぬというふうに言うことが適切であるかどうかについては、まだ検討すべき余地があろうと思っておる次第でございます。
  141. 田村賢作

    ○田村賢作君 これを逆に言うならば、まあなければなくてもこと足りると、こういうふうに解釈できるように私にはとれるのでありますが、そのように考えていいのかどうか。  それから公民館の数が非常にふえてまいっております。ことに市町村長の公民館に対する熱意というものはたいへんなものがあるように私は思うのですが、この公民館の設置状況というものが、これは統計のとり方によっていろいろになるかもしれませんが、とにかく公民館がある、こういう設置状況がどのぐらいにいっておりますか、端的に、簡単に答えてください。
  142. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 公民館の果たします機能は、すべての地域にありたいもの、あるべきであるもの、このように考えるわけでございます。現在公民館と称しておりますものが、全国で八千六百五館ほどございます。市町村単位でとりました設置率は、九二%になってございます。
  143. 田村賢作

    ○田村賢作君 公民館と称するものというものですが、そういうものというものの中には、公民館らしくないが公民館と称しているものがあるのだ、こういうふうにもとれるのですが、このうちで独立した公民館、いわゆる公民館のためにつくった公民館、これはどのくらいありますか。
  144. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 八千六百五館の中で、独立館として設置を見ておりますものが、その五六%ばかりに当たります四千八百館ほどございます。あと他の施設に併置をされました公民館というのがその残余のものでございます。なお、このほか部落ごとの小さな施設を分館のような施設として使っておるものは数多くございますが、これは先ほど申し上げました八千六百五館という、あるまとまった公民館としての館数には加えてございません。
  145. 田村賢作

    ○田村賢作君 独立した公民館が四千八百館で比率にすると五六%であると、この四千八百の公民館は、文部省が出しておりまする公民館の設置基準に合ったものなのか合わないものなのか、もし合わないものもこの中に含むとすれば、設置基準に合致した公民館というものはどのくらいなのか、数とその率を。
  146. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 独立の公民館は、施設がその公民館専用としての施設を持っておるものでございます。法令の規定によりまして、一応文部省として公民館は最低百坪ということを基準にいたして、独立館の設置を推進しておるわけでございますが、この全部がこの基準に合致しておるというわけではございません。現在持っております、言われております公民館の規模というものは、地域によってかなり異なるわけでございますが、それぞれの必要に応じてつくられ、また現状によって維持されておりますために、この基準によって一律に合致している、合致していないということは言いにくい事情にございます。しかし、総じて市民の身近なところにあるという立場から、必ずしも坪数その他で考えてまいりました場合に、十分な大きさのものである、こういうことには相なっておらないところでございます。
  147. 田村賢作

    ○田村賢作君 これは、いますぐその数と率が出なければ、あと文部省に調べていただきたいのですが、大体文部省は、年々補助金を出しまして、この基準に合った公民館の設置を奨励しているわけなんだから、いままでにそういうことによって設置された公民館が幾つあるのか。これは、独立した公民館が四千八百あるというが、この中には公民館があってほしいけれども、全然設置してない市町村もある。社会教育法には、公民館というものは義務づけはしていないが、非常に強い意思をもって市町村は公民館を持つべきであるということを、法律上主張しているのです。だから、あってもなくても間に合うなんということは、これはちょっと理解ができないので、かかるがゆえに年々歳々補助金で助成いたしまして設置を奨励しているのですから、これがどのくらいの数がこれによってできて、それは必要な公民館数の何%になっているのかということは、文部省おわかりだと思いますから、あとでこれは出していただきたい。  このような形で公民館が年々非常にりっぱなものができて、こういうものを新設したところ、私もずいぶん数多く歩きましたが、非常にこの利用率が多いというか、たいへん活用されているわけです。したがって、公民館ができたんでよかったというような、その地域の若妻にしろあるいは婦人会にしろ、青年団にしろ老人クラブのようなものにしろ、産業団体、文化団体、あらゆるものが多種多様の活用をいたしまして、その地域づくり、町づくり、村づくりというものに励んでいるわけです。したがって、これについては社会教育法に主張しているごとく、あまねく市町村に早く普及していかなければならない。あたかも義務教育の教育施設がすべての村に、すべての町に普及しているがごとく公民館も普及してほしい、ということを私は願うのですが、しかしながら、これは文部省も御承知のように、地方財政というものが非常に枯渇されておるわけであります。そのために市町村は、これを設置したいということの一つの何と申しますか呼び水と申しますか何と申しますか、要するに文部省が、設置する場合にはこれだけの補助をやるぞというような呼びかけ、姿勢、こういうものがあるならば、もっと早く公民館というものが整備され普及されるというふうに考えるのですが、文部省もその必要も感じ、その努力もしておりますが、なかなかこのことが政府の財政の上から意のごとくいっていない。大体この伸びようとする芽は、予算の査定のときに大蔵省で芽をちょっとつまれてしまうというようなかっこうで、いままで毎年々々同じことを繰り返しております。そこでこれは、あながち文教行政ばかりではないが、主務官庁でこういうことはぜひこういう線まで伸ばしたいという一つの政策を持っているが、それが主務官庁の意のごとくならないで、他の官庁で左右されてしまうというようなかっこうのいまの日本の行政の組織に、私は問題があると思いますが、このことに関係をいたしまする大蔵省の査定、主計官の方のひとつお考えを聞かしていただきます。
  148. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 公民館が市町村の地域住民の社会教育のいわばセンターといたしまして、なかなか重要な役割りを果たしているということは、言うまでもないことでありますので、やはりその整備を促進するため、毎年施設設備の助成を行なっているわけでございますが、年々これは関係予算につきましては、かなりの増額をしているわけでありますが、ただ四十三年度は、財政全般が非常に困難な事情でございましたので、前年度に対しまして六%増の三億五千二百万の予算を計上しているわけでございまして、決して公民館につきまして、これが重要でないと考えているものでは毛頭ございません。
  149. 田村賢作

    ○田村賢作君 六%という数が不満なんです。というのは、少なくともそれが大事だというならば、財政の平均の伸び率くらいは伸びるはずなんです。それがつまれるというところに、私は公民館というものに対する軽視の観念のあらわれじゃないか、こういうふうに見ているので、公民館というものを重要視していない、認めていない、認識していないというところにこういう結果が出てくるというふうに考える。幸いに年ごとに予算の実額だけはふえてまいったのです。ふえてまいりましたが、実需要というか、この要望する線からははるかに遠い。そこで当初出発したときは、これは一つの公民館建てれば百万の補助だというふうなことで大きかろうが小さかろうが百万の補助をやる、それだけでも市町村長は、補助を出すということは、政府が奨励していることの裏づけなんだからというので、だんだんとできてきたのですが、これじゃ困るというので、これは義務教育のごとく二分の一の定率の補助というまではいかないにしても、定額補助ということでなしに定率補助でいけないか、こういうので、これはこれに関係する団体は何年も長い間大会を開いては決議をしたり、陳情したりしておりますが、いまもって実現していない。幸いにここ三、四年非常に改善されまして、この定額というものもたいへん弾力性ができまして、段階別の定額補助になったのです。一昨年からですか、最高が五百万円までですかというようなことで、五百万から百万ぐらい刻みに段階をつけたわけですが、実際は公民館をつくるのに二千万とか二千五百万とか三千万とかいうような金をかけているわけなんです。したがってかりに二千五百万の金をかけて公民館をつくっても、五百万の補助というと、まことにりょうりょうたるものであります。これをですね、まあ今後は少なくとも三分の一ぐらいの定率補助ができるようにする考えはないかどうか。かといってですね、必要のないべらぼうに大きなものやぜいたくなものをつくる必要もない。したがって必要最小限度の基準をつくりまして、その範囲内において三分の一程度の定率補助へ持っていくというような努力があってほしいと思いまするが、これに対する文部省と大蔵省の御意見をお聞かせ願います。
  150. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 補助実態につきましては、いまお尋ねの中にも御説明がございましたように、まあ最近わずかではございますが、補助の額を予算の上でも、また実際の配分にあたりましても、増額する措置をとってまいりまして、当初の百二十万から百八十万、二百五十万、さらに三百万、そして五百万という段階別の補助の体制をとるところまで進んでまいりました。私どもも努力をいたしておるところでございますけれども、一つには一カ所に多額を出すということが数多くの要求を満たし得ないことになるというような事情等もございまして、そしてまた実際には一気に飛躍的な増額をはかるということも市町村財政との関係等、あるいは国のほうの事情もございまして、運びが急速にはまいっておりませんけれども、しかし県の市町村等の状況ににらみ合わせまして、館数とともに補助単価の増をはかってきております。ただ御指摘の点がございましたように、現在工事の実額に対しまして約一五%になっておる次第でございまして、私どもは実際に公民館の重要性を考えて、市町村当局が設置をいたします場合に、この補助の割合がもう少し高まるように、また施設の規模に対応できるような一段と努力をいたしたいと思っておるところでございます。
  151. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) この補助金は実は奨励的な補助金でございまして、この公民館の整備を促進するというところにねらいがあるのでございますので、やはり従来の定額補助でやっていいんではないか。それで内容につきましては、やはり段階ごとの単価その他につきまして、いろいろ実態に即しない点がありますれば、それは予算の金額の範囲内におきまして、これを年々改善していく、そういうことで効率的に運営できるのではないか、こういうふうに考えております。
  152. 田村賢作

    ○田村賢作君 いろいろこの施設についてもまだ問題がありますが、時間がありませんからとばします。  次には、公民館の職員の問題ですが、これがまた公民館があったりなかったり、職員がいたりいなかったりというような状態であります。まあ最近非常に改善されまして公民館もない、職員もいないというようなのは、きわめて少なくはなりましたが、ところがその職員たるや、役場の職員が兼務でいっているというような、形ばかり職員があるというようなことがあるわけであります。これは文部省もよく統計によって承知しているわけです。そこで、現在この一公民館当たりにどのくらいの職員が配置されているかというと、専任職員というものは一人平均いってないです。一館当たりの平均で言うと、〇・五六人という数字が出ています。これは四十一年度の統計。兼任の職員を加えて一・五七人という数字なんでありますが、ここでまた非常に大きな問題がありまして、公民館主事というものを、少なくともどこの公民館にも常勤として常置できるようなことにしていかないと、公民館の機能というものが発揮できないので、この専任の職員を義務的に必置するような考えについて、文部省の考えをお聞かせ願います。
  153. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 公民館が建物だけで十分な機能を発揮するわけではございませんので、職員の点につきましては十分努力をしなければいけないと思っております。事柄の性質上、こうした財源措置につきましては、市町村一般財源で見るということになってございまして、地方交付税の配分につきましても、その前提で所要の計数はあがっておるわけでございます。しかし問題は、結局公民館の勤務の実態と、そこにどういう施設のものをどの程度置いておけるかという現実の課題がございまして、私ども公民館にいい職員がしっかり勤務をしてもらうということをいたしますために、公民館の職員の人事が、ある村の一つの公民館の人事ということだけでなくて、少し広い立場で職員の士気を鼓舞し、その交流をはかってまいる、このような交流をいたしませんと、公民館の勤務は夜業が多いことでございますので、なかなか長期にわたりまして、特定の人の熱意だけを期待するというわけにまいらないと思うのでございます。そういう点に現実の問題として、専任職員を配置していくというようなことの困難さもあるように聞いておるところでございますので、人事管理全体の問題として、まあ御指摘の点については努力をしてまいりたいと思っております。
  154. 田村賢作

    ○田村賢作君 私はですね、公民館の職員というものを、義務教育の学校の教職員と同じような財政措置をいたしまして、公民館の職員の給与に関する単独の補助をする立法をするべきではないかと、こういうふうに思うのですが、これは設置の問題ともからむことでありまして、設置も少なくともこれは義務設置にすべきである、職員も義務設置を立法化することによって、この職員の身分も給与も勤務の態様も意義づけていくべきだと、こう考えるのでありますが、これについての文部省の一括した御意見をあとでお聞かせ願います。  それからもう一つは、この公民館に優秀な公民館の主事というものが必要なんですが、公民館の主事を養成する適切な機関がない。これも一つの隘路であろうと私は思うのですが、少なくともこの国立大学あるいは公立大学等には社会教育に関係する職員を養成する課程を持った学部を設ける必要があるであろうということが一点。  〔委員長退席、理事岡三郎君着席〕  それからもう一つは、公民館の公民館主事というものは、小学校の教職員のごとく、ある意味において一つの専門職でありますから、これが小中学校の教職員と自由に交流のできる組織にするならば、人材を広く求めることもできることになるであろう。こういうような考えを持っているわけです。またこういうことを、全国の団体の諸君の要望であります。これについての文部省のお考えをお尋ねをいたします。
  155. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 冒頭にもお答えしたところでございますが、現在の段階で公民館という施設そのものを、義務というところまではまだちょっと過程があるように考えておるのでございます。公民館がそれぞれの地域の必要に応じて、地域の住民の学習の場として広がっていく、そのためにはある地域におきましては、小学校単位ということで公民館の整備をし、ある地区によりましては、全町村を一つとして考えていくというような考えがございまして、これはそれぞれに意味のあることでございます。そのようにいたしまして、市町村の設置率といたしますならば九二%まできているわけでございますが、どの単位にどういうふうに義務づけるか等の問題は、現在の実態等を考えました場合に、いまにわかにその結論を出すべき時期ではないと考えております。そういう点と、もう一つ職員の問題につきまして、義務にすればほんとうにいわゆるいい職員が置けるかという現実の問題がございます。それは御指摘がありましたように、養成の問題でございまして、この養成のためには各教員養成の大学に社会教育関係の講座はあることはございますけれども、必ずしも十分ではございません。国立の社会教育研修所もつくっていただきまして、社会教育関係者の養成をいま力を入れておりますけれども、それらとも見合って職員の問題の義務のことも考えなければなるまいと思っております。
  156. 田村賢作

    ○田村賢作君 次は大学の問題につきましてお尋ねをいたしますが、せんだって予算のときに大学の管理についてお尋ねをしたんですが、主として人事管理というものを中心としてお尋ねをしたのですが、毎日毎日、テレビも新聞も大学の問題が報道されない日はない。それほどいま大学が紊乱をしており、また世人の注目の的になっているわけですが、きょうはその大学の施設の管理等についてお伺いをしたいのであります。大きく分けて二つになるかと思いますが、先ほど申し上げましたように、最近どこの大学でも学生自治会あるいは大学の自治、学問の自由ということからいうならば、この範疇を逸脱しまして学生寮あるいは学生会館等の施設を、学生自身による自主管理を非常に強く主張をしておる。そのために大学当局とたいへんトラブルを起こしているところが多いのであります。ことに学生寮について寮生の入寮あるいは退寮というようなことまで学生の手にゆだねられておる。そのために学寮の一部は学生運動家のあるいは拠点になっておるというようなことがあるはずであります。そのようなことが現実に起こっておるのですが、国立大学というものは、この施設というものが、これは国有財産であるはずでありまするから、学生寮でもあるいは学生会館でも、その管理は適正に行なわれなければ、国民に対して申しわけないことだろうと思うのであります。これら国立大学の施設の管理の現状と、文部省のこれについての考え方、方針というものを、大学学術局長からお答え願います。
  157. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) お尋ねの学寮の管理運営の問題でございますが、申し上げるまでもなく、学寮は学生たちの共同生活を通じまして、学生の自立性の涵養あるいは社会性の陶冶、さらに学生相互の啓発等の教育的な意義を持っておりますし、あわせて学生の経済生活への効果を考慮して設置しておるものでございます。したがいまして、こういう目的が達成できるように管理運営する必要があることは申し上げるまでもございません。またこの国立大学のこういう学寮は、もちろん入寮者には、きわめて低額ではございますが、寮費は徴収いたしておりますものの、国の予算も相当多額に出されておるものでございます。こういったようなことで、施設面におきましては、国有財産として適正に管理されなければいけませんし、また教育的な施設であるということで、運営も適正に行なわれる必要があろうかと思います。こういうことで、直接のこの学寮の管理責任者は、まあ私どものほうといたしましては、その大学の学生部長を管理運営責任者ということにいたしておりまして、実際の運営につきましては、学寮の学寮委員会といったようなものを設けさせるように指導いたしておりますが、学生部長とかあるいは部課長、さらに教養部等の寮でございますれば、教養部長とか分校主事、そういったような方、それから各学部の教授、さらに事務局の職員その他大学が適当と認めた教職員というような者で学寮委員会をつくりまして、入寮とか退寮という場合には、こういう学寮委員会がその入退寮を決定する。それからまたその施設管理につきましても直接の管理責任者であります学生部長は、いまの学寮委員会等にいろいろ議しまして事を運ぶという形になっておるわけでございます。ところで、最近のいろいろな学生運動——逸脱した学生運動にも見られますような、ああいう学内、学外でいろいろな事件が起こっておりますが、往々にいたしまして、そういう寮が一部のそういった逸脱した学生に適正な手続で利用されないで、あるいは十分な責任者の了解もなく、そこに寝泊まりするとか、あるいはそこを会議場にして会議をするとか、場合によれば外で事件を起こしたものがそういうところを一時占拠したような形になるようなことで、まことに遺憾な事態が往々にして起こっておるわけでございますが、以上申しました考えのもとに、大学といたしましては、できる限りそういった不法な学生に対しましては、話し合いを通じまして処置いたしているところでございますが、まあ御指摘のように十分な効果もあがっていない状況でございます。ただこの入退寮の問題等につきましていろいろ大学当局、直接にはこういった会館の責任者でございますが、学寮の責任者と学生とがいわゆる団交といったような形式でいろいろ無理を言っておりますが、まあ国立大学といたしましては、形式的にも学生の言うままにそれではお前たちの好きなように管理せよといった形は絶対にとらせておりませんで、実際問題としては御指摘のようないろいろな面もございますが、大学としましては筋を通すべく努力をいたしているというのが現状であろうかと存じます。
  158. 田村賢作

    ○田村賢作君 実情、筋を通すとすれば、まことにけっこうなんですが、その筋が通らないので困っておるわけであります。先ほどの佐世保事件のときにも、九州大学の教養学部というのは、御承知のように三派全学連の拠点になった。ところが、その後あすこの学生会館でこの全学連の学生同士でえらいなぐり合いを始めて乱闘事件をやった。負傷者も出る、器物も破壊するというようなことですね。まるでやくざの集まり場所のような状態であります。これが国立大学の学生会館なんです。こういうようなことによって、まあ九州大学の学生会館というものは筋の通った管理になったとは思えない、もう何回もやっておる。こういうようなことに対して九州大学はどんな責任を負ったのか、負おうとしておるのか、この点をお尋ねをいたします。
  159. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 九州大学の学生会館の問題でございますが、この学生会館につきましては、先ほどの寮と多分に似たような性格のものでございますが、寝泊まりをするということではなくて、設置目的といたしましては、学生相互、または学生、教職員間の日常的な人間関係を緊密にするとか、あるいは教養を高め社会性の発達を助長するための課外教育活動を盛んにする、あるいは学生の厚生福祉を増進するといったような目的でこの会館を文部省といたしましては国立大学に設置し、その整備をはかっているところでございます。ところで、お尋ねのような九州大学のこれは教養部にございます学生会館でございますが、去る一月十五日から二十日にかけまして、他大学の暴力学生によりまして不法占拠されまして、もちろん大学当局といたしましても、他校の学生が外部から、しかも不法に入ってくるということに対しまして防止する計画を立て、侵入学生に対しましてはいろいろ退去を勧告したり説得を繰り返しましたが、御指摘のように結果的には数日間占拠が続けられ、学内の秩序が乱されたという遺憾な事態が起こりました。またその後、たしか二月の十二日夜から十三日の明け方にかけてであったと思いますが、学生会館の中に数十名の学生が集まりまして、そこで乱闘事件が起こった。これも学生会館の使用願いのほうはそういうことではなくて、文化的なサークル活動としての集会のように届けられておったわけですが、実はいわゆる三派系の学生の集まりで、派閥的な争いと申しますか、そういう関係で乱闘事件が起こりまして数人が負傷いたしました。金額といたしましてはそれほど大きい金額ではございませんけれども、窓ガラスその他施設、備品に被害が生じたわけでございます。これにつきましては、警察の調査等もございましたが、大学といたしましては、こうした学生への、自分の大学の学生であっても、そのような集まりには絶対に貸さない、あるいはその責任者は厳重な処罰をするという決意を固めまして、前の「エンタプライズ」号入港に関連しての会館占拠並びに二月十二日のこの乱闘事件、まあこれらをあわせまして、その責任者といたしまして停学五名、譴責三名という懲戒処分を行なった次第でございます。それからまあ若干、これは大学として責任をとるということではございませんが、教養部長、学生部長らが個人的に責任を感じられて職を退かれたということはございますが、ただこれだけをもって大学はその会館の管理の問題は済んだともちろん考えておるわけじゃございませんで、形としては以上申しましたような処置をいたしましたが、問題はその会館を二度と再びこういうことが起こらないように適正に管理をしていくということが問題でございますので、学内の会館の管理運営についてのいろいろな研究も進めておりますし、教官の関心も強めておるという状況でございます。
  160. 田村賢作

    ○田村賢作君 まあ大体の考え方はわかったのですが、そのことをびしびしとやるかやらないかという一点に帰着すると思うのですが、どうもこれは大学ばかりでなしに、何か日本の社会全体がねじがゆるんできたような、モラルの低下したような現象が見られるわけであります。役所の建物というものは、役所に勤務する職員のものでもないのだし、レールの上を走っておる国鉄の車両というものは、国鉄の職員のものではない。もちろん大学の施設は学生のものではない。ところが至るところにかってなビラが張られたりあるいは使われたり、とにかく管理が非常に乱れておる。これは大学に例を一つとってみても、私は大学に対する姿勢の問題に尽きると思うのであります。せんだって灘尾文部大臣からこれについての見解が披瀝されたのでありますが、私はまだまだ大学の管理というものをいまの自主的なよりよき慣行と大学の自治という良識にまかせて、このままでよろしいというわけにはいかない。やっぱりこれは何らかの措置によって、規制すべきものは規制をするということにやっていかなければ、将来ますますこの傾向が強くなるばかりであろう、こういうふうに思いまするので、施設等の管理を含めて、この大学の管理というもののあり方について、もう一回灘尾文部大臣の見解をお聞かせ願います。
  161. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいまのお尋ねの問題につきましては、過日お尋ねがございまして、私の見解を申し上げたわけでございますが、現在の大学の状態をごらんになりました場合に、いかにも秩序が乱れておる、あるいはまた、もののけじめが十分についていないと、こういう御感想をお持ちになることは、私は残念ながらそのとおりだと思うのでございます。これに対してどういうふうに対処していくかの問題でございますが、現在各大学におきましても、今日のような状態につきまして、もっとも大学によっていろいろ事情は違うと思いますけれども、それぞれ事態の改善のためにいろいろ努力をいたしておるところでございます。私は、いまのような事態につきまして、やはり大学としましては、そのみずからの力によりまして、もののけじめをつけていくとか、あるいは秩序を保っていくとかというようなことについてなし得る余地があると思うのであります。現在の大学の規則にいたしましても、あるいはまた、将来また必要に応じては大学でそれぞれ必要なルールを設けることも可能であろうと思うのであります。そういうふうな、まずみずからの努力をするということが問題の解決のためには一番だいじなことではないかと存じます。せっかく、各大学におきましても、いまいろいろ努力もし、また検討もいたしておるところでございます。私としましては、そのような方向における善処、そのような方向における努力をぜひ継続してやってもらいたいという立場をもって、大学にいろいろ要請をいたしておるようなわけでございます。何か国のほうで特別な法律、制度というようなものを設けるということも、決して無意義とは思いませんけれども、やはり、まずもって大学側がみずからの努力でもって事態の改善をはかる、それは現在の制度の中において可能であると、こういうふうに私は判断いたしますので、政府の側から特殊の制度等を設けることについては、いま直ちにそのようなことをする段階でもないと、こういうふうに存じております。大学側におきましても、この事態を決して放任しておるとは思いません。それぞれ一生懸命苦労し、努力をしておるものと信じております。またそのように認めております。したがって、それをぜひ鼓舞し激励いたしまして、自己の力によって問題の解決に前進してもらいたい。またその間におきまして、現在の大学の力をもってしましては、いわば自主的にいろいろなルールをつくり、あるいはまた制度を設けて問題の改善をはかっていくということがむずかしい、何かそこに国の制度的な面から手を加える必要があるという場合におきましては、大学側と私どもとが十分協力いたしまして、そういうふうなことの改善につとめていく、こういう姿勢でもって私は進んでまいりたいと考えておるような次第でございます。
  162. 田村賢作

    ○田村賢作君 最後に一つ。まことに局長答弁も大臣のお話もそのとおりなんですが、私は、この趨勢でいきますと、大学は外からの力でくずれるのじゃなく、みずからの力でみずからの大学をこわしていく結果になるのではないかというふうに思うのです。この憂うべき問題をどのようにして収拾するか。実はこの間、文部大臣が国立大学の教養学部長会議をやって話し合いをしたのも、やはりこうしたことが憂えられたからであると思うのでありますが、お互いに大学が同じ憂いを持つならば、そうした会議がわざわざ持たれているのに、それを断わった幾つかの大学があるわけです。こういうところに私は問題があると思うので、やっぱり、ともにこのことを憂えているならば、会議にも出てきて所見も述べてもらうべきだし、協議もしてもらうべきであろう、こう思うのでございまするが、何か文部省の会議を拒否したということを新聞が伝えている。これは問答無用の形であります。こういうところに、文部省の権威が失墜しているというか、庶民のことばで言うと、なめられているというふうに思うのですね。こういうことでは、私は決して大学は立ち直れない。しかしながら、その大学の学長なり学部長なり教授の皆様が、他の力をかりずとも自分の力でりっぱにこれを立ち直らしてみせるという決意のほどがあるならばいざ知らず、新聞等で見ると、何か具体的な例をあげれば、あの三派全学連の行動といえども、これを容認し、あるいは聞きようによっては煽動するような感じの発言をする教授すらおるのであります。まことに心寒々とする問題であります。もう二カ月ぐらい前になるかもしれませんが、韓国人か朝鮮人かわかりませんが、金嬉老という凶悪無類の殺人犯がいましたが、あの殺人犯に向かっても、まことにわれわれから聞くと解釈に苦しむような呼びかけをしている大学の先生もいる。いずれ金嬉老も裁判になるのでありましょうから、裁判のときは十分おまえの弁護に立って擁護してやるぞということを申した教授たちですから、今度どのような態度に出るかわかりませんが、とにかく大学内自身にそういう考えがある以上は、大学自身が、私はこれをみずからの手によって立ち直らせると言っても、容易なことではないというふうに思われるのですが、この点について大臣からもう一度お考えをお聞かせ願います。
  163. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 大学の現状に対しまして深い御心配からの御発言でございますし、その御心配も必ずしも御無理とは私は思いません。ただ、大学を、大学とわれわれの間でどういうふうに、この事態の改善のためにやっていくかということは、決して私は簡単なことではないと思うのでございます。大学の現状というものについてもお互いによく認識もしなければなりませんし、またその現状というものを踏まえて改善の策というふうなことも考えていかなければならないと思うのでありまして、いかにもどうも不統一ではないか、いかにも秩序がとれていないではないか、妙な先生もおるじゃないか、ということはごもっともであります。しかし、それが全部の教授であるというわけでもないのであります。すべての人がそういう状態であるというわけでもないわけであります。しかも、大学の教授は御承知のように特にまた学問研究の自由を認められている人たちのことでありますから、いろいろな言論が出てくるということも、これまた大学としては当然あり得ることでございます。そういうような大学と私どもとが事態の改善をはかっていこうというわけでございますので、御趣旨はよくわかるのでありますけれども、問題の取り扱い方というものにつきましては、十分にわれわれのほうも考えまして、そうしてやっていかなければならない性質のものではないか、そういうように思うのでありまして、外部から何か制度をつくるとか、あるいは命令を出すとかいうようなことで片づくのなら、きわめて事態は簡単であると申さなくちゃならないのであります。そうなかなか簡単にいくものではない。しかも大ぜいの教授が全部みなが御心配になるような先生ばかりではないので、また学生にしましても、一部の、ごく一部の学生が矯激な運動に走っておる。全体の学生がみんなそうであるというわけでもないわけであります。ただ、これに対しまして政府が処置を誤るということがありますというと、ますます事態は悪化する、こういうことも予想せられることでございますので、この取り扱い方については十分慎重にやってまいりたいと思うのであります。  なお、先般の文部省で招集しました会議についての御心配でございます。私どもも、われわれの気持ちが実は十分に徹底していなかった、われわれの取り扱いの上にあるいは粗漏な点もあったのじゃなかろうかと存じますけれども、一、二の大学におきましてこの会議に参加するということを積極的に拒んだ、こういう事例が起こりましたことは、いかにも残念なことでありますけれども、いま申しましたように、大学の学部長等を文部省が招集して会議を開いたという例はこれまでないのでありまして、そこで十分にこちらの気持ちが徹底しておれば、ああいうことにもならなかったのではなかろうかと思いますけれども、残念ながらあのようなことになってしまいましたが、私どもの心持ちは、何もかた苦しい会議を開くつもりでも何でもなかったのであります。いわば大学と文部省との間には、まだ何と申しましても縁遠いものがあるような感じがいたすのでありまして、何か文部省が言えば政府から圧力がかかったとか、あるいは干渉が始まったとかいうふうにとるという気分も、いまだに大学の中には私は一部残っておると思うのであります。そういうふうなことで、文部省がいままで例のない招集をしたということだけで何か急に固くなったという人たちもおったんじゃないかと思いますが、私どもは申すまでもなくそういうふうな疎縁なような関係をまずひとつ改善をしていく必要があるんじゃないか。近ごろのことばで言えば、いわゆる対話を大いに促進する必要があるんじゃないか、こういうことで実は集まってもらったのでありますが、実はそこが十分徹底しなかったために、われわれとしても遺憾な点が発生いたしましたが、こういうことは、われわれもなおよく注意をいたしまして、大学側とも話し合いをしたいと思いますし、問題としてはそう根深い問題とは思いません。解決をし得る問題だと、このように考えております。お互いに遠慮なしにものを話し合う、遠慮なしに考え、ともどもに考えるということが、文部省と大学との関係においては一番大切なことじゃなかろうか、というふうなつもりで努力をしていくつもりであります。いかにもなまぬるい、あるいはまどろっこしい点があろうかと思いますけれども、この種の問題につきましては、大局的に考えねばならぬ問題もございますと同時に、きわめてまたきめこまかい配慮をしなければならぬ点もあろうと思います。慎重な態度で進んでまいる。大学としての自発的な努力、それに対する文部省の協力、こういう関係をなるべく早くひとつできあがるようにしたい、かように考えておる次第でございます。御了承をいただきたいと思います。
  164. 田村賢作

    ○田村賢作君 私立大学の問題がありますが、時間がございませんから、あとの機会に譲りまして、本日は以上で終わります。
  165. 岡三郎

    理事岡三郎君) 本日の審査は、この程度にとどめ、散会いたします。    午後四時三十五分散会      —————・—————