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1968-04-05 第58回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月五日(金曜日)    午前十一時二十九分開会     —————————————    委員異動  四月四日    辞任        補欠選任      鈴木 一弘君     二宮 文造君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 田村 賢作君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 岡  三郎君                 竹田 現照君                 黒柳  明君     委 員                 楠  正俊君                 黒木 利克君                 佐田 一郎君                 佐藤  隆君                 菅野 儀作君                 高橋文五郎君                 大橋 和孝君                 沢田 政治君                 達田 龍彦君                 岩間 正男君    国務大臣        運輸大臣     中曽根康弘君    政府委員        運輸大臣官房会        計課長      山上 孝史君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        気象庁長官    柴田 淑次君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        会計検査院事務        総局第三局長   増山 辰夫君        会計検査院事務        総局第五局長   小熊 孝次君        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本国有鉄道理        事        仁杉  巖君        日本国有鉄道理        事        井上 邦之君        日本国有鉄道理        事        長瀬 恒雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十一年度特別会計歳入歳出決算昭和四十一年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十一  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  四月四日、鈴木一弘君が委員を辞任され、その補欠として二宮文造君が選任されました。     —————————————
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより昭和四十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 黒木利克

    黒木利克君 運輸大臣に伺いますが、ことしは各地地震発生しておりますが、特に九州のえびの地震の直後と思いますけれども、中曽根大臣閣議で、この一年間のことしの大地震発生確率は五二%だということを発表になり、それが新聞にも出ておりましたけれども、非常にショッキングな記事だと思いましたが、どういう一体根拠があるのか、気象庁としてどういうような研究をなさっておるのか、なぜこういうことを閣議発表なさったのか、その辺のことをまず伺いたいと思います。
  5. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) えびの地震あとの私の発言は、気象庁報告を判断いたしまして、それを発言することが適当であると思いまして発言したのでございます。と申しますのは、何かまた大地震があの辺に頻発して出てくるような印象を地元の方がお持ちでありましたので、地震予知できないけれども、それほど心配なさることはないということをお示しする必要があるように思ったからでございます。ここに気象庁長官がおりますから、科学的なことはあとで御説明いただきますが、私の受けました報告は、実は新潟地震以来大型の地震日本には最近ない。日本地殻構造その他から見ると、やはりかなりエネルギー地下に伏在していると考えなければならぬ、こういう情勢から見て、あそこのえびの地震が起こりました。まあ、それである程度エネルギーが解放されたわけです。したがって、えびの地震以降さらに大きな大地震が連続して起こるというような可能性はないけれども、このエネルギー蓄積状況というものを見ると、気象庁電子計算機を入れてみると、あれは五八%がたしか正確であったと思います。五八%という意味は、五割——五〇%が起こる——フィフティー・フィフティーという意味でありますから、起こり得る可能性というものは八%ということに実際はなるわけです。そういう点からすると、それほど大きな数字ではないように私は思います。もっとも私の閣議発言は、たしかえびの地震の前のときの発言であったように記憶しております。その後えびの地震が起こりまして、また今度は日向灘地震も起こりまして、かなりエネルギーを解放されておるので、いままでのそういう圧縮されたうっせきというものはある程度緩和されたのではないかと、私はそのように考えます。しかし、気象庁長官の話によりますと、まだ地震観測に関する体制というのが不備でありまして、学術会議からの答申、勧告もございまして、地震予知に関する全国組織網を整備する必要があるという要求があるのであります。なかなかしかし予算関係その他で調整ができませんで苦労しておりますが、私はこの段階になったら思い切って地震予知の五ヵ年計画をつくって、あらゆる面の対策の整備をやる必要があると思いまして、関係各省大臣とも話しまして、気象庁が中心になって五ヵ年計画協力のもとにつくって、来年度予算から正式にそれを発足させたいと、そういう考えでおるのでございます。科学的なことは気象庁長官に御答弁をお願いいたします。
  6. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) ただいま大臣からお話がありましたとおりでございまして、私、少しそれに関連しまして追加発言をさしていただきたいと思っております。  ただいま大臣お話で五八%という数字が出ました。この五八%という数字はどういうような根拠かと申しますと、簡単に申しますと、過去の記録を整理いたしまして、大地震が起こる回数をずっと江戸時代から調べてみますと、ここ一年間に大地震と称する地震が起こる確率は五八%であり、二年内に起こる確率は七〇%ちょっとというような値が出るわけでございます。申し上げておきますが、これは純然たる統計的の結果なのでございまするので、多少のあいまいさはございます。しかしいずれにしましても、大臣閣議で御発言されましたのは、えびの地震の前でございます。それから御承知のように、日向灘に七・七という大きな地震が起こりました。新潟地震を上回るものでございまして、新潟地震後の大地震でございます。これはまことに大臣閣議発言が的中したということでございまして、われわれは関係者としましても、大臣の御発言に対して敬意を表し、感服しておる次第でございます。いずれにしましても、そういうことでございまして、たまが的中したということには間違いございません。そういうような現状でございまするので、要するに将来の大地震が起こる可能性というものにつきましては、一つは、統計的の方法でこれを推測するということで、そこに相当の不正確さが生ずるわけでございます。それで、いま大臣お話のように、地震予知に対しての研究あるいは調査をもっと進めなければならないというような現状でございますので、地震予知に関しましては、主として研究的の分野で現在進めておりますけれども、気象庁としましては、これがすぐに現業に使えるように一刻も早くなってほしいというような気象庁は立場でございますので、気象庁としましても、この地震予知研究あるいは調査業務に対しまして、今後は大臣の御指示によりましてうんとこれを推進していきたいというように考えております。  なお、地震予知現状につきましては、あと時間がございましたらもう少し詳しくお話し申し上げたいと思います。
  7. 黒木利克

    黒木利克君 ただいまの気象庁長官発言によると、大臣閣議での御報告予報的中したといって大臣をほめておりますが、ところが、私の郷里のえびの地震のことにつきましては、いささか地方においては、お考えになっておるような事情にないということをひとつ申し上げてみたいと思います。実は二月の十一日ごろから二、三回えびので小地震が続きまして、そこで地元民が心配いたしまして、宮崎気象台に相談をいたしましたら、東大火山観測所のいろいろな診断によると心配がない、ということを十四日に回答をし、それが宮崎日日新聞に大きく出ておるのであります。ところが、二十一日にぐらぐらと大地震が来たというので、実は気象台のこういう発表を信用しないという皮肉な事態が生じておるんでございますが、またそういうようなことがありまして、現在においても民心が不安なのでありますが、これは一体どういう事情なのか、その辺のことをひとつお知らせを願いたい。
  8. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) えびの地震がありましてから、私もこれが松代型の地震のような形になるか、どういう性格のものであるか、気象庁長官にいろいろ教えてもらいましたが、性格は違う。それでこの地震観測の現在の状態からみると、鎮静化する傾向値をたどっておると、これはがたっときたのがしばらく休んでいて、次にがたっとくるけれども、それは力が少し衰えて屋根型に下がってきている。また、がたっとくるけれども、また下がってくる。だんだんだんだん自然に鎮静化してくる、そのラインをわりあい忠実にたどっております、そういう話を聞いておりまして、これは順次鎮静化していくものと思っておりました。この間起きたのもやはりそのラインの上にはあるようなんです。しばらくなかったし、まあだいじょうぶでしょうというので安心されておった向きもあると思いますが、観測傾向から見ると、鎮静化していくラインの上にはあるので、いまの東大報告その他は、そういう親切な、もう少し具体的なお話現地にしてあげれば、それほど油断なさることもなかったんではないか。その点はわれわれも反省しなければならぬと思っております。
  9. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) ただいま黒木先生お話でございますが、確かにおっしゃるとおりの事実がございました。私どもも、二月二十一日の前に、宮崎地方気象台でそういうような話を報道関係方々に申し上げて、それが新聞に載ったということが原因で、現地住民方々に対して若干でも考えそごを来たしたというような現状があったかと思いますが、その点につきましては、気象庁といたしましても、まことに遺憾なことでございまして申しわけないことだと思っております。一般的に申し上げまして、こういうようなある一カ所で、非常に狭い範囲で小さい地震ががたがた数日続くというような現象は、これは大体一年に四回ぐらい日本各地である現象でございまして、そういった震度一とか二とかいうような地震が数日間続く、あるいは十日余り続くという現象、その現象のうちの大部分の現象は続いてそのまま地震がおさまってしまうというのが普通でございまして、そういった微小地震が続いて、それのあとに大きな地震がくるという確率は、まあ過去の経験からいいますと、大体十回に一回ぐらいの確率でございます。これはまあ、これも統計的でございますから多少のあいまいさはございますけれども、確率はまあ十回に一回ぐらいという確率でございます。したがいまして、あの当時、二月二十一日の地震の前に、おっしゃるとおり小さい地震が続きました。で、これに対しまして宮崎気象台のほうで調査に参りましたけれども、まあ何ぶん地震予知というものは、正確にできませんという現状はともかくといたしまして、そういうような状況のときに、まあ大体その確率をとりまして、このままおさまるんじゃないかというような判断をしたのでございます。しかし不幸にして、それは十回に一回の確率ということになりまして、その後大きな地震が続いて起こるということがわからなかったということは、まあ結果論的には非常に残念なことでございます。したがいまして、気象庁といたしましては、さっそく宮崎地方気象台のほうへ注意するようにという指令を出しましたし、また、宮崎のみならず今後はこういうようなことが全国的に起こるかもしれませんので、今後気象庁としては、そごのないように注意していきたいと考えております。御了承願います。
  10. 黒木利克

    黒木利克君 現在えびの地区とか吉松地区では、民心の不安、動揺というのが一番の問題だと思うんです。その意味で私は御質問をしておるわけなんでありますが、特に地元では、大正二年の暮れに霧島火山の大活動をやった。翌大正三年の一月には桜島の大爆発があった、これは私の生まれる以前ですが。地元ではそう言っているんですね。ところが、その前の年に今回のような微小地震がたびたび起こった。したがって、近く霧島なり桜島の大爆発がまたあるんじゃないかという不安を持っておるわけなんですが、いままでの御研究では、これについて関連があるとお考えかどうか、その点をひとつ地元人たちにも明らかにしたいと思いますので質問をいたします。
  11. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 今回のえびの地震霧島あるいは桜島活動なりの関連につきましてでございますが、確かに大正二年、大正三年の霧島桜島爆発の前には小さい地震が連続して続いた記録がございます。したがいまして、今回のえびの地震の経過を十分注意する必要があろうかと存じます。しかし、現在のこの資料にあらわれている震度から判断いたしますと、まだ現在では火山活動に直結するような震動記録針にあらわれていないのでございます。しかし、それは現在の話でございますので、今後、どういうような火山活動関係するような震動があらわれるかもしれないというので、気象庁といたしましても、ほかの研究所の協力を得まして、今後の地震の推移を見守っていきたいということでございます。要するに、一言で申しますと、現在の資料ではそういうような震度はあらわれていないけれども、将来、それがあらわれる可能性考えられるので、注意しなければならないというのが現状でございます。
  12. 黒木利克

    黒木利克君 地震のことについては、気象庁長官最高権威でございますので、その意味ではお互い民心の安定を何とかはかりたいという意味質問をいたしておるのでありますから、いままでの御経験で御答弁願いたいのですが、実はえびの地震に引き続いて、先ほど御報告がありましたように、震度七・七の日向灘地震発生をいたしましたが、このえびの地震日向灘地震関連があるようにも地元では考えておるのですが、その辺の御研究をお伺いしたいのでございます。  なお、津波予報につきまして、これは一言運輸大臣に文句をちょっとつけたいのでありますが、実は私の調査では、津波の第一波が足摺岬に押し寄せてきたのは四月一日の午前九時五十四分、ところが、警報の発令を大阪管区気象台で出したのが、当日の午前十時二分だというのですね。これはたいした被害がなかったからよかったけれども、もし大津波がきたら大問題だと私は心配にたえないのですが、一体、こんなふうになぜおくれたのか、一体津波予報という仕組みが現在どうなっておるのか、将来心配ですから、これは大臣の御所見を伺い、長官にその辺のいきさつをお尋ねしたいと思います。
  13. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのような事実があったようでございまして、まことに申しわけないことであると思います。その間の事情は、気象庁長官から説明していただきます。
  14. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 初めの御質問のほうから先にお答えいたしたいと思います。  えびの地震日向灘地震との間に関係があるかどうかという御質問でございますが、これはいろんな地震学者の話を聞いてみますと、その方面の学者のうちで、関連があるという人と、まあたいした関連がないという人と両方ございます。したがって、現在の地震学知識では、はっきりとこれがどちらかということを申し上げるような段階ではないというように考えられるのでございます。私個人といたしましても、私は実は地震学者ではございませんで、地震専門ではございませんので、私の個人の意見というものはございません。そういうようなことで、現在の地震学知識では、それがほんとうに関連があると断定はできない。また、関連がないということも断定はできないというのが、残念ながら現在の地震学現状のように私は感ずるのでございます。  それから、その次の津波の問題、これは先生おっしゃるように、十時二分に津波警報を出しましたけれども、津波の第一波がきたのは九時五十四分でございます。したがいまして、その間に約八分の警報のおくれというものがある。これはなぜこういうようにおくれたかということにつきましては、現在、津波警報はどういうふうにして出しているかということを申し上げないとおわかりにならないかと思いますので、簡単に申し上げましょう。  現在、気象庁の出先の気象官署におきましてそれぞれ地震計を持っております。地震がありますと、その官署地震記録を測定いたしまして、それを東京の気象庁なり、あるいは大阪でございますと、大阪管区気象台へすぐに報告するようになっております。その報告が数ヵ所から一応集まってまいります。その数ヵ所から報告が集まるのに若干時間がかかる。これは大体地震計コンパスで読み取りまして、それを電文に直して大阪管区気象台電報を打つわけです。電報気象庁専用線でございますので、電文さえできればすぐ電報を打つことはできますが、そういうようなことで、大体地震がありまして、その電報を打ってしまうまでの間にやはり七、八分ぐらいの時間は少なくともかかるわけであります。それを今度は大阪管区気象台電報を受けまして、大体数ヵ所の電報大阪に集まるにはやはり十分ちょっとかかるようでございます。それを今度は大阪管区気象台のほうで整理いたしまして震源地をきめるわけでございます。数ヵ所の電報から震源地がきまるわけでございます。この震源地をきめないと津波警報は出せないんでございまして、これは申すまでもなく、その震源地陸上にございますと、これは津波は起こりません。震源地海底にありますと、これは場合によったら津波が起こる。だから震源地陸上にあるか海底にあるかということをそこできめるわけでございます。  今度次には、海底にあるということがわかった場合に、どの程度の規模の地震であり、海底のどの辺であるか、陸地からどのくらい離れているかというようなことを材料にいたしまして、はたしてその地震津波を伴うかどうかということを判定するわけでございます。そういうような操作をやっておりますので、大体現状としましては十五分ないし二十分の時間がかかるのでございます。したがいまして、たとえば十五分以内にくるような津波につきましては、そういうような津波警報の出し方をやっているその限りこれは間に合わないんでございます。結局どうして間に合わなかったかといいますと、いまも申しましたように、津波警報を出すまでの間のやり方に時間をどうしても食う、少なくとも十五分ぐらいは必要であるということでございます。しかし、これは決していいことではございません。  次には、こちらの問題になりますけれども、できるだけそれを一分でも気象庁として縮めたいという考えで、実はそういった、さっき申しましたように、コンパスではかるとか、あるいは人間が電報を打つとかいうようなことはもうやめまして、機械が自動的にはかってくれて、自動的に電報を打ってくれるというような機械が最近できました。これは電子工学の最近の進歩によりましてそういう機械ができたんでございます。したがいまして、気象庁は昨年からそういう機械を備えつけまして、津波警報を少しでも早く出したいというように考えておりますが、昭和四十二年度では、関東地方にそういう機械を備えつけました。四十三年度には、今度は大阪管区気象台管内にそういう機械を備えつけたい。これを全国的に備えつけるという方向でやっていきたいというように考えております。しかし、これにしましても、たとえば地震がありましてすぐに一分もたたないうちに津波警報が出るというようなことでは決してございませんので、やはりこういう機械を使いましても津波警報を出すためには最低五分か六分か——まあいまの十五分の三分の一くらいの時間に縮まるわけでございます。  話が非常に長くなって恐縮でございますが、ここでひとつ申し上げたいのは、とにかくどんな機械を使いましても、やはり五分とか六分とかという時間がかかる。一方津波は、場合によっては五分以内にくるような津波も将来考えられるのは当然のことでございます。したがいまして、そういう場合には、そういう機械を使っても間に合わないというような状態が将来生ずることが考えられます。そういうようなことで、いずれにいたしましても、幾ら機械を使いましてもやはり間に合わないというような状態が将来起こる可能性がございますので、気象庁は、ずっと前から海岸の沿岸に住んでおられる方々に対しまして、とにかく地震があったら海面の状況を見てくれ、大体沿岸に住んでおられる方は津波に対しての経験を持っておられますので、そういうようなことを申し上げ、そうして一年に一ぺんはいわゆる津波訓練と称しまして、これは気象庁も警察も地元の町も一緒になりまして、一年に一ぺんは大体津波訓練をやっております。その典型的な例が、東北地方三陸沿岸津波訓練であります。これは御承知のように、昭和八年三月三日に大きな三陸津波がまいりまして大きな被害が起こりました。そのにがい経験のもとに、その沿岸住民の方は津波訓練に熱心でございます。したがいまして、その成果が、実はせんだってのチリ地震津波に対しまして非常に効果があったのでございまして、要するに、そういう機械をできるだけ整備するという半面、やはり沿岸方々に対しましてそういうようなお話をし、津波に対するPRを将来とももっと続けていきたいというふうに考えております。
  15. 温水三郎

    温水三郎君 気象庁長官にお尋ねいたしますが、えびの地震震源地飯盛山地下二十キロの地点であることが公表されておりますが、これに対して先般総合調査班が行くときに、もし必要があれば、レーダーを使って原因研究するということを聞いたのでありますが、私は地震原因を探るということが非常に緊急中の急務であると思うのです。総合調査班が行くときに、必要があればレーダーを使って調査するということだったのですが、この辺私は非常に不満を感じたのですが、必要があればとは何事だ、さっそくレーダーがあればはかったらいいのじゃないかと思ったが、それは言わないで黙っておったのですが、質問をしたいのは、レーダーで測定する必要を認めたかどうか、また、レーダーでこれを検討する用意があるかどうか、この点をお答え願いたい。
  16. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) いまレーダー先生おっしゃいましたが、レーダー地震震源あるいは地下構造調査するというのは、何か先生ちょっとお間違いではないかと思うのですが。
  17. 温水三郎

    温水三郎君 飯盛山の地下二十キロの地点に空洞があるという学説がある、それを調べるということだったのです。
  18. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) それはレーダーではございませんで、たとえば磁力計あるいは重力計その他の機械でもってえびの付近の地下構造をはかる、あるいは地質を分析するということじゃないかと思います。この点につきましては、地質関係ということになりますので、この地震予知業務もそうでございますが、通産省に地質調査所がございまして、ここで地質専門方々の地質を調査されております。したがいまして、地質調査所ではいまどういうようなお考えか知りませんけれども、そういうような御計画もあるやに聞いております。ただ、気象庁といたしましては、そういう地質を直接調査するということは従来もやっておりません。これは地質調査所に全部おまかせして、専門家のほうにおまかせしておるわけでございます。
  19. 黒木利克

    黒木利克君 先ほど、地震なり津波の予測について、電子工学を利用したいろいろな測定機械があるというお話を聞きまして、ナマズに聞かぬでも、やはり現代ですからそういうものがあってしかるべきだと思っておりましたが、そういった設備が一体外国ではどうなっておるのか、どう活用されておるのか。また、お話しによると関東とか大阪は四十二年度までにできるというのですが、われわれ九州に住んでおる者とか東北に住んでおる者は、一体いつどうなるのか。そういう地震の予測の予算がどうなっておるのか。なぜ一体、関東とか大阪といって毎年各ブロック別に一つずつしかできないのか。なぜまた、関東から大阪に今度第二回を持っていったのか。大阪地震津波が来たとは聞いたことがないですが、なぜ九州とか東北にまず最初にやらなかったのか。その辺の予算要求は、全国的になぜ違うんですか。その辺のことが、私ども九州に住んでおるだけにいささか不安ですから御質問をするわけでありますが、それとついでに、時間が過ぎましたから申し上げますが、松代地震のいろいろな体験をなさっておる、いわばこの教訓があるわけですね。これがえびの地震にどう生かされておるか。私ども、現地を見まして、さっぱりそれが生かされていないように感じまして、われわれがすすめて現地の者を松代まで視察にやったというようなことがあるのですが、せっかくこういう松代地震経験があるのですから、この教訓をえびのはじめ、今後もまた起こるでありましょうから、生かす必要がやはりあるのじゃないか。そういう点について一体どうお考えか、お伺いしたいと思います。
  20. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 最初の、津波機械、外国はどうかというようなお話でございます。   〔委員長退席、理事竹田現照君着席〕 これは、地震に関して全般的に日本は諸外国の最優位に立っている国でございます。そういうことから、やはり津波につきましても、日本の施設、あるいは今後日本考えている施設というものは、アメリカに決して劣るものではございません。と申しますのは、やはり原因は、日本は非常に小さい島国にたくさんの人が住んでおるので、津波がまいりますと被害が、人的被害も非常に多い。アメリカなんかは、それに比べて比較的少ないというような関係もございますので、まあわれわれとしても、諸外国以上に津波に対しての施設に対して重点を置いているつもりでございます。  それから、なぜ大阪を次にそういう機械を置くようにしたかという御質問でございますが、これはほんとうのところは、正直申しますと、全国同時にそういう機械をぱっと置くことが最も望ましいこと、これは申すまでもないことでございます。しかし、御承知のように、気象庁予算のワクもございますし、いろいろなほかに必要な経費もございますので、これを年次計画を立てまして、できるだけ早く順次に整備していくという年次計画を立てて、その年次計画で次は大阪というようにしたわけで、なぜ九州の前に大阪をしたかという強いあれは、もちろん持っておりません。まあ、大阪周辺というのは非常に人口も稠密で、もしもあったら非常に大きな被害を及ぼすというような、非常にばく然とした考え方でまことに恐縮でございますけれども、一応その年次計画を立てまして、その年次計画によってやったのでございます。  それから最後の、松代地震の成果を生かせという御質問、確かにそのとおりでございます。できるだけわれわれも松代地震経験したその経験を生かさなければならないということを考えておりますけれども、先ほどもちょっとお話がございましたように、松代地震の性質とえびの地震の性質が、現在のところ決して同じではないわけなんでございます。だから松代地震というような、ああいう、いわゆる群発地震のこの経験をそのままえびの地震に適用するのは、現段階においてはやはり危険ではないかというように考えられますので、適用できる部分はできるだけ適用するつもりでおります。そういうことでございますので、松代地震というものにつきましては、まだそのほかに目下研究中だという面もございます。で、適用するにもまだ研究中でできないというようなことがございます。しかし、できるだけ適用できる範囲においては適用したいというようなつもりでおりますので、御了承願いたいと思います。
  21. 黒木利克

    黒木利克君 目下のところ民心安定が一番大事なことだと思いますから、そのためにはそういう観測装置を早急につくるということが急務ではないかというので、九州地区は現実に津波があり、また地震も頻発する現在でありますから、そういう意味で申し上げたのでありますが、それから松代地震の教訓は、これは予報だけでなしに、たとえば、いままでこれは建設省の関係になりますけれども、原形復旧といいますか、やっておったところは次の地震で倒れる。しかし、何というか、補強をして復旧をしたところは次の地震にも耐えたというようないい経験があるわけですね。そういうことで、やはり気象庁としても、単に予報のみならず、各省の施策に皆さんの専門の立場からいろいろな経験を教える必要があるのではないかと思います。  それからもう一つ、えびの地区心配なのは大土砂流というか、シラス地帯なものだから地すべりの心配があるわけです。これについては、新潟地震の直後に例の北蒲原の大地すべりというか、大土砂流がありまして、われわれ決算委員会の同僚の一人がなくなったという悲しい経験をしておるわけであります。この土砂流についても、何か予報があってしかるべきだ。これはつゆのときになりますから、このえびの地区は、宮崎県でも宮崎市の周辺の降雨量の倍ぐらいあるわけです。だから非常に土砂流が心配なんですが、この土砂流についての予報考えておられるか。それから、この近くに農業気象観測所があるわけでございますから、この辺に何か連絡をなさる必要があると思いますけれども、その辺の連絡はどうなっておるのか。大体従来各省との現地における連絡が非常に悪いのでありますが、これは農業にも非常に関係がございますから、その辺の今後の連絡をどうなさるのか。その大土砂流の予報等については、今後どういうふうになさるおつもりなのか、お伺いしておきたいと思います。
  22. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 最初のほうのお話の、現地方々に対して、松代の経験を含めて今後の地震に対処して経験をできるだけ教えてやるべきであるという御意見、確かにそのとおりでございます。気象庁は、現在御承知のように、現地気象庁から専門家を派遣しております。まだしばらく派遣するつもりでおりますけれども、現地で御承知のような総合観測班というものを現地に設立いたしまして、まわりにある大学の研究所と協力いたしまして、そこからいろいろな地震の情報を流したり、あるいは地震に対しての対策を住民方々お話ししたりするようなことをやっております。今後ともこういうことにつきましては強力に、おっしゃるとおりに進めていきたいと思います。   〔理事竹田現照君退席、委員長着席〕  それから、次のがけくずれとか土砂流のお話でございますが、これは気象庁のほうでえびの地震がありました直後、国会のたしか災害対策委員会でございますか、参衆両院の災害対策委員会でもすぐに申し上げておいたように、今後は少しの雨でやはり大きながけくずれが起きたり、あるいは道路がひっくり返ったりするようなことが考えられます。したがって、えびの地区については、今後雨に非常に注意をする必要があるということでございます。それにつきまして気象庁といたしましては、そういう状況ですから、特にその地域は、天気予報を担当しております宮崎地方気象台と鹿児島の地方気象台に対しまして、地震直後指令を出しまして、今後えびの地区の降雨量については特に注意をするように指示を与えております。そして今後、現地に先ほどおっしゃいましたように農業気象観測所というものがございますので、そういうような観測所から毎日、宮崎なら宮崎、あるいは鹿児島なら鹿児島にその雨量を報告するように手配をしておりまして、現在報告されているはずでございます。そういうふうにしまして、現地におきましては、雨の問題につきましてできるだけの対策を立てている現状でございます。
  23. 黒木利克

    黒木利克君 地震津波の問題は、これで質問終わりますが、えびの災害をきっかけに、予算も足りないようですけれども、予算を十分お取りになって、ひとつ今後のモデルを示していただきたい。これは大臣にひとつ信念を伺いたいのでありますが、続いて実は国鉄の関係だと思いますが、一つだけ質問をいたします。  それは、農山村の鉄道の実は踏切の問題でございます。最近の交通事故対策から、都会では踏切立体交差等でだいぶ整備されつつあって、まことにこれはけっこうだと思うのであります。ところがその反面、農山村の踏切はほったらかされておって、現に私も九州の日豊線の関係で現実に現場も見てまいりましたけれども、特に農山漁村の踏切で整備されてないところがある。しかし、踏切であることは間違いないのです。ところが、最近自動耕うん機というようなものが農村に入っております。これを踏切を越すときに、十分な踏切の設備ができていないために、二人がかりで自動耕うん機をかかえて、そして踏切を越しておる。これは非常に危険でもあり、かつ、農業生産を非常に阻害をすると思うのであります。だから、都会の踏切が整備される反面、こういうような農山村の事態というのは非常に不公平な感じもするし、かつ、農業生産も阻害するということになると少し問題ではないかということで、実は日豊線の宮崎県の北川という山村があるのですが、ここの踏切を私見るに見かねて、実は大分の鉄道管理局に参りまして陳情をしたことがあるのです。ところが、親切にその現場を見てくれまして、では踏切の整備をしましょうということで、設計図までできたのですが、中止になってしまった。事情を聞きますと、何か踏切で、どこかで事故があったからもう踏切はふやさぬことにしたのだ、だからストップだというようなことを聞いているのでありますが、一体こういう農山村の踏切が、いま言ったような農業生産を阻害する、あるいは二人がかりで鉄道踏切を耕うん機を運ばなくちゃならない。これは非常に私、危険も伴うと思うのでありますが、これについての国鉄のお考え、対策をお伺いしたいと思います。
  24. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) この問題は仁杉常務からお答えいたさせます。
  25. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) ただいま国鉄といたしまして、踏切全般につきまして、廃止をするとか、統合をするとか、あるいは立体化するとか、いろいろ設備をするというような施策をしているわけでございますが、全般の数もできるだけ圧縮をしていきたいというようなことで、三十六年ごろに四万二千ぐらいございましたものが、現在は三万五千ぐらいになっている。それで、できるだけこういうふうに踏切の数を圧縮しようとする努力をしておりますので、新設はなるべくごかんべんを願いたいというようなたてまえでおります。しかし、実際には、いままでの統計を見ておりますと、三十六年から四十一年度あたりまでに千五百ぐらいの踏切が、いま黒木先生からお話がございましたように、いろいろな事情がある場合に限られると思いますが、ふえるというようなかっこうになっております。これは大部分が四種で、警報機のない踏切、そのかわり車禁をする——自動車等は通さない、ただし、耕うん機ぐらいは通れるというような程度のものをつくっているようでございます。もっともこの千五百のうち約半分は新線建設に伴う踏切でございまして、これはもうやむを得ないものでございますので、約この半数——約八百ばかりが新しく三十六年から六年間ぐらいにふえているということでございます。  問題の北川村でございますが、村長さんからのお話は、四十一年の秋に第一回の申請が出ておりまして、その後現地でもいろいろ調べまして、村長さんとお話ししたのは、いま日豊線全般につきまして現在車禁をいたしております。車両、自動車の通行禁止——歩行者あるいは耕うん機だけ通すというのでございますが——車禁をしている踏切以外は全部警報機がついているということで、この地帯は四囲の情勢から見まして、踏切の新設も必要であろうかというふうに考えまして、実は自動車を通すという御希望が強いならば、これは建設省との関係によりますが、新設の場合は、全額道路側負担ということになりますので、まあ、二百万ぐらいのお金がかかります。警報機をつけるためにそのくらいのお金がかかります。それから位置も少しずらさなければぐあいが悪いのじゃございませんかというようなお話をいたしまして、その後、黒木先生も管理局に見えられたという記録も私のところにまいっておりまして、よく承知をいたしております。その後、最終的には、ことしの三月でございますが、いろいろいままでのいきさつを少し申しまして、位置を少し変えるということと、それから耕うん機だけ通すことにするかあるいは自動車まで通すということにするか、そういうことをおきめ願いまして、もう一度はっきりした御回答を村からちょうだいをしたいという回答をいたしておりまして、いま先生が御指摘がございましたように、全くとめてしまったというかっこうではございません。いまそういうことを最終的に管理局側からお話を村のほうにいたしている。それに対してまだ村から意思表示がはっきりきていないというような状況でございます。
  26. 黒木利克

    黒木利克君 私は、その個々の具体的なケースのこともさることながら、こういう一つの事例から、どうも農業生産との関係で、こういう地区かなりあるのではないか。先ほど警報機の問題等も出ましたが、こういう事故防止の観点だけでなしに、農業の生産阻害という問題からもやはり踏切問題は考えてもらってしかるべきではなかろうか。どうもやはり事故防止という観点からだけ——だけというと語弊がありますが、どうもそれを主体にお考えになっておりますと、こういう山村では交通量も少ないわけなんですから、確かに警報機までつける必要は全然ない。ただ、耕うん機を二人で運ばなければならぬということだと、これは相当農民にとっては支障になると思いますので、そういう事故防止だけでなしに、農業生産の阻害という問題からもこういう農山村の踏切については何とか考慮ができぬものか。もちろん見通しの悪いところに踏切をつくれというわけじゃなしに、板が敷いてある踏切が現実にある、これは踏切としてお認め願っていないかもわかりませんが、しかし、現実にはそこを通らなければたんぼに行けないというところがある。現に北川はそこを通らなければたんぼに行けないわけなんですね。そういう意味で私は質問をいたしておるのでありますが、だから、事故防止のみならず農業生産の観点からも踏切の統廃合について考慮をする、統廃合はこれは合理化はやむを得ないと思いますけれども、そういう考慮の余地があるかどうかをお伺いをして質問を終わりたいと思います。
  27. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) いまお答えいたしましたように、決して全然締めてしまっているというわけではございません。それで、いまの北川村以外にも全国的にぼつぼつと耕うん機の問題あるいは児童の通学路として危険である、実際にはそこを渡っているというような問題もございまして、少しずつ解決をいたしております。いま申し上げましたように、この場所につきましては、いまのような処置で前向きで検討しているということでございますので、われわれも農業生産あるいは児童の通学というようなことで必要な場合には、そういう場合でも全く後を向いて安全ばかりを考えるというわけではございません。その点ひとつ御了解を願いたいと思うわけでございます。
  28. 黒木利克

    黒木利克君 質問を終わります。
  29. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 与えられている時間も非常に短いので数点のことについてお尋ねしたいと思いますから、どうかひとつ明確に御答弁を願いたいと思います。  昨年の十月二十七日の決算委員会でもお尋ねをいたしまして、当時大橋運輸大臣からも御答弁をいただいたわけでありますが、滋賀県の湖西線のことでございますが、まず第一番目に、湖西線のいまの進捗状況はどんなふうになっておるのか。ことにまた江若鉄道の買収の問題、それなんかはどんなふうな状態になっておるか、ちょっとお尋ねしたい。
  30. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 湖西線の進捗状況を申し上げます。湖西線は国鉄の第三次長期計画と密接な関連のあります大都市交通線に入るもので、昭和四十六年度完成を目ざしまして、山科方及び今津方の両方から鋭意工事を進めておるところでございます。この路線の一部が江若鉄道の路線と競合いたすのでございます。江若鉄道の買収問題がこれに関連して起こって、昭和四十年の七月ごろにこの鉄道から買収の交渉の申し入れがあったわけでございまして、公団としましては、別線案とも比較検討しながら精力的に交渉に応じておるというのが現状でございます。先ほど申し上げました完成年度からいたしますれば、少なくとも工事は約三年ばかりかかると思いますが、現在の段階におきましては、国鉄と公団との現地における実質的な具体的な協議によりまして四十七年度に若干かかるのじゃないかというふうに考えられております。したがいまして、今年じゅうあるいは本年度じゅうには、この買収問題も全部妥結をさせなければならないと考えておる次第でございます。  まあ交渉の問題としましては、買収金額の問題あるいは補償の問題がございます。それから従業員の問題、こういった二点の問題があるわけでございますが、それぞれにつきまして、運輸省としましてもしかるべく指導をいたしまして円満にこれが解決されるように望んでおる次第でございます。
  31. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 トンネルのほうの問題は、案外いま進みつつある、工事は進みつつあるようでありますが、用地の買収もまだまだあちらこちらに問題が残っておるように思うわけでありますが、その辺の状況はどんなふうになっているのか。  それからまた、ことに江若鉄道の問題で建設公団と江若鉄道との折衝でやっているようでありますけれども、そこに働いている人たち、労働者、これも国鉄でもって引き受けるかどうかということを含めて話し合っていたようでありますけれども、ここがたいへんな問題であろうと思うわけであります。一方では、いま大きな政治問題にまで発展いたしておりますところの例の五万人の合理化問題が国鉄にあるわけでありまして、これは私も、この前党の調査団として大阪方面あるいはまたその周辺について調査に参ったのでありますけれども、安全性という、人命尊重を第一にすべきという問題等が非常に等閑視されまして、非常にこういう重大問題等を等閑視したところの合理化政策であるというように受け取れるわけでありまして、また一方では、拓殖鉄道とか福島交通、北丹鉄道、井笠鉄道、そしてこの江若鉄道もこれに入るわけでありますが、こういう中小の私鉄が、国鉄の第二次五ヵ年計画を受けまして非常に路線の改廃というような問題が、あるいはまた買収という問題も出てきているわけであります。そしてここに働いている労働者も、同じようにまた地元住民の足を長年の間守ってまいり非常に協力した労働者であるにもかかわらず、これが合理化という線になりますと、この犠牲になってしまいまして生活も脅かされたり、あるいはまた生活に影響を及ぼすような遠いところに配転をされるというような形になって、この国鉄の一方的な考え方によって、これがどんどんと労働者のほうにまでしわ寄せされておるというのがいまの私鉄の状況なんであります。こういう観点につきまして、やはり江若鉄道におきましても、働く人たちの処遇問題は非常に重大な問題でありますが、こういうことを含めていまの用地の買収問題、あるいはまた、この鉄道を買収するにあたっての従業員の問題、これらはどのような状態にいまなっているのか、詳細に知らせていただきたい。
  32. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 建設工事関係現状をやや詳細に申し上げますると、現在北部地区、すなわち近江今津から沓掛間二十二キロメートルでございまして、ここにおきましては城山隧道と峰山隧道を、それから南部地区におきましては、南部地区と申しますのは山科から北大津間の五キロでございます。ここにおきましては、長等山隧道、それぞれ掘さく工事中でございます。また、山科駅の国鉄線との連絡設備につきましても、現在設計その他作業を進めておりまして、一部工事にも着手しておるわけでございます。四十三年度につきましては、これらの工事を継続いたしますとともに、近江今津から北大津間につきましても、江若鉄道と直接関係のない部分につきまして、工事施行の準備を現在いたしております。その残りの点につきましての用地買収につきましても、現地におきまして、それぞれ鋭意交渉を進めつつあるわけでございます。先ほども申し上げましたように、完成のタイミングを失しませんように、ぜひとも完遂できるようにやらしたいと考えております。  次に、従業員の関係でございますけれども、国鉄が、この線ができますれば、当然江若鉄道というものの存在意義がなくなるわけでございまして、また、そういう意味合いから、現在公団がこの線をつくりますにつきまして、必要な部分につきましては、これを譲渡を受けるという形で折衝しておるのでございます。したがいまして、この新しくできます国鉄線が従来私鉄のやっております役割りをも果たすという形になりますので、要すれば、従来の、ここで申しますると、江若鉄道の従業員というものが国鉄の線に移行していただけるということができますならば、きわめて好都合なことだと考えておるのでございますが、何ぶんにも工事期間中といいますのは、どうしても国鉄自体がまだ運行を開始するわけのものでもございませんし、その間に数年のブランクがあるわけでございます。かたがた、国鉄といたしましても、非常に財政上苦しい時期でもございますし、そういうわけでなかなかむずかしい問題だと考えております。しかし、折衝の当事者であります鉄道建設公団といたしましては、やはりこの問題も十分考慮いたしまして、再就職につきまして、関係方面ともいろいろ折衝をしてもらっておるわけでございます。現在、公団自体で採用する見込みがやはり数名ございます。それから関連事業会社へのあっせんを数十名の確約を現在得ておるわけでございます。なお、この人員の処理の問題につきましては、元来この会社が京阪電鉄の系列会社でございますために、この京阪の本社を中心にいたしまして、系列、傍系等も合わせまして、統一いたしました方針のもとに善処してもらうことがまず第一だと考えております。そういうわけで、現在におきましては、江若自体の幹部だけでなしに、本社の京阪電鉄の幹部の方々も、この問題につきまして、本腰を入れて折衝を進めているところでございます。そういったことによりまして、円満にこの人員問題の処理がされることを望んでおります。
  33. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 大の虫を助けるために小の虫を殺すということばがありますが、国鉄の第三次の五ヵ年計画を推進するためには、この江若三百五十名ぐらいの鉄道の従業員をやはり生活不安におとしいれる、こういうようなことは、国鉄は国民の足となるというヒューマニティーの思想からもはずれることになるでありましょうし、これは非常に大問題だと言わざるを得ぬと思うのでありますが、いまお聞きしましても、わずか数名と十数名がその傍系にいくということであって、あとは京阪が適当にこれをやるのが、一つの一貫した方針のもとにこれをやらすんだという。私はやはり私鉄の現在の非常に苦しい状況、最近では先ほども申したように、やはりこの五ヵ年計画を立てられて仕事を進められておる。これもやはり国民の足を確保する上においては当然必要なことであろうと思うが、しかし、そのためにこうした私鉄のほうにしわ寄せされ、しかもその従業員の始末まで、その筋は私鉄にありという形でこれが進められるということについては、やはり円満な解決は望まれないと思うわけであります。そういう点を考えますと、私は今後に、私鉄に対するいわゆる国鉄の重荷と申しますか、国鉄のほうでやはりそうしたいろいろの計画を立てて国民の足を確保し、輸送力を拡大するということに対しては、これはいいことだと思っておりますけれども、それが、そこに働いている人たちとか、あるいは地方住民に対して重圧になったままでこれが行なわれるということに対しては、私は非常に考えなければならぬことではないかと思うわけです。だからして、どこにじゃ問題があるかといえば、やはり赤字だとか国鉄の経済がいま苦しいから、こういうことの名のもとに、これがそういうところに転嫁されていくということになれば、これはどうしても弱い者いじめということにならざるを得ないわけでありますからして、ここで私は特に土地開発の見地からいっても、あるいはまた国民の足を確保するという意味からいっても、もっと国のほうから財政的な措置をする、あるいはまた強力な、そういうものを立てていくということで、国民へのしわ寄せを避けなければいけない、こう思うのでございますけれども、こういう点についてもう少し基本的な考え方をひとつ運輸大臣のほうからも一ぺん聞きたいし、それから国鉄としてももう少し前向きな考え方でこれを処理するということにはっきりしないことには、これは非常にそのような問題をこれから残す、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  34. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御趣旨をよく尊重いたしまして、調和のとれるように前向きに処理していきたいと思っております。
  35. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 私鉄から国鉄にかわるということにつきましては、たとえば、この江若鉄道の場合におきまして、最初から従業員側におきましては三百五十四名の全員をともかくそのまま引き継げ、こういう要望が出ているわけでございます。これを分析いたしますと、やはり相当御老齢の方も中にはあるわけでございますし、私のほうで調べましたところによりますと、九十四名ばかりは退職希望があるやに伺っております。それから社内転換の予定も、これは当該会社がバスヘの転換ということも実際やる予定でございます。こちらのほうへ自社内で転換する、こういう者が約四十名予定されているわけでございます。それから、そのほかに公団のあっせんいたしますのが約五十名、こういった相当数の見込みがわれわれのほうですでについているのでございます。  したがいまして、その残余につきまして国鉄のほうで何とかならぬか、こういう具体的な話にしていただくほうが、当該会社といたしましても国鉄に対して折衝しよいことでございますし、国鉄といたしましても、全く一人もとる気はないというような、木で鼻をくくったような態度にもあるいはならないのじゃないか。いままでは、あまりにも全員そのまま引き継げ、こういったような言い方で、従業員の希望をそのまま会社の幹部が伝えている。伝えているだけで何とかなるであろうというような会社の幹部の甘い考え方が、今日まで会社の中の同士間の悶着のもとになっており、そういうために昨年におきましても、しばしばストだ何だというような問題を起こしたわけでございます。やはり相当もう買収交渉も妥結を早急にやらなければならない時期になっておるのでございますから、もっと具体的な腹案を持ちまして会社側もそれぞれ折衝に応じられたらよろしいのじゃないか、私どものほうとしましても、そのように京阪の本社に対しまして強力な指導をしておるわけでございます。
  36. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 その具体的な方法で云々ということもわからないではないのです。しかし、根本的な考え方が、ある程度そちらにしわ寄せをしてなるべく国鉄のほうにそれを避けようという考え方が非常に多い。特に今度新しく線があそこにできて駅にも人が要るわけでありますからして、あそこに働いている人は、御存じのように少しばかりの農業をやりながらそして鉄道につとめておる。それもほんの二反か三反の百姓であるけれども、それを家族にやらせて主人が働いているという場合が非常に多いわけでして、いま国鉄なんかで示されている方向にしても、配転でえらい大阪の近くまでほうり出されたのでは、もう家庭的にも非常に問題がある。いろんなこまかしい問題がそこの中に腹蔵しているわけでありますけれども、大筋言って、やはりそれは国鉄がそれだけの線をやって、今後は相当合理化された大きな輸送力を持ってそこで経営していこうというわけでありますからして、いままでその手足となって相当付近の住民に対しての輸送あるいはまた産業の発展に対しても相当寄与してきたこの私鉄が、そうした国鉄の大きな使命のもとにやられる大きな事業に対して、そして個人的にそれを負担するのではなくて、私はやはりある程度は国鉄のほうでこれを抱いて、そしてできるだけそれを合理的に処理してやるというたてまえを通さなければ、やはり弱い者にしわ寄せということになるわけです。だからして、私もいまも言って、具体性がないとかあるとかいう話を聞きましたけれども、それ以前の問題のかまえが私は大事だと思うのです。ですから、今度の大体の話をずっと私ども近くで聞いておりまして、ときどき話にも行っておりましたけれども、いまの国鉄の考え方は、非常に一方には合理化の線をきつくして、そしてそのために五万人の合理化とか、いわれているように非常な合理化の線で進んでおるから、切れる者だけは全部切っていこうという行き方であるというふうにしか見られないような条件にあるわけでありますからして、私は、この問題については、あくまでやはりそれは全部その問題は国鉄の責任において始末をしてやろうという気持ちでもってこれは進まなければ、本質としては誤りだ、私はこういうふうに考えるのですが、そういう点を含めて運輸省のほうからも相当強く指導もしてもらいたいし、それから国鉄の側においても腹をきめてこれをひとつやってもらいたい。そんななまはんかな、私鉄に対してのみ押えつけるというような形で、弱い者のほうにしわ寄せをしていくということはもう絶対ないようにやっていただきたい。それがほんとうのかまえであると私は考えるのですが、その辺のところはどうですか、ひとつ。
  37. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほども申し上げましたように、一人一人の生活にみんな関係していることでございますから、よくその人の身になってみて調和がとれるように処理していくようにやっていきたいと思います。
  38. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 先ほど来、先生から国鉄は弱い者いじめをするなというお話がございまして、まことにごもっともだと思いますけれども、国鉄も必ずしも強くないのでございます。国鉄の立場も一応ひとつ釈明さしていただきたい、かように存じます。  国鉄の新線が建設されました場合に、それに近接する従来からありました地方鉄道、この地方鉄道の営業に多大な損失を与えるわけです。経営上の影響を与えるという場合に、これを救済する方法といたしましては、地方鉄道軌道整備法に基づきますところの廃止補償と、それから地方鉄道法による買収と、二つあるわけでございますが、いずれも、買収にいたしましても廃止補償にいたしましても、金銭的な補償でございまして、職員の引き継ぎということは、法律的には義務づけられていないわけでございます。また過去、戦後同様の例が三件ございました。たとえば赤穂線の開通に伴いまして、赤穂鉄道とそれから西大寺鉄道に同様な影響を与えるということで、これもまた廃止補償という金銭的な補償をやりました。それから九州の日南線の開通に伴いまして、宮崎交通の買収をやりましたけれども、これもいずれも金銭的な補償だけで終わっておりまして、いずれも職員の引き継ぎをやっていないんでございます。今後とも建設線が続々と建設される計画になっておりますけれども、そのたびに職員の引き継ぎということが問題になりますと、過去においてそういう前例がなかったということが今後の新しい職員の引き継ぎという新例を開くということになるわけでございまして、私どもといたしましては、法律的な義務がないからどうのこうのと言う気は毛頭ございません。先ほどから先生もおっしゃっておられますように、国鉄の経営に現在余裕がある状態でありますならば、これはやはり私ども地方鉄道でいままで働いておられました職員の立場も十分考えなければならぬ、かように存じます。存じますが、これはもう先生十分御存じだと思いますけれども、現在の国鉄の経営というものは、先生のおっしゃいましたように、五万人の合理化をやらなければならぬという事態にあるのであります。また問題は、国鉄のいまの職員の年齢層を考えますと、高年齢層が非常に多くなってきている。中高年齢層だけで大体五割に達しておる、こういう状態でございます。これが人件費の面で経営費を非常に圧迫しておるということはいなめない事実なんでございます。したがいまして、いままで江若鉄道におつとめになっておられた職員をそのままそっくりこちらへお引き受けするという状態にはないんでございます。この点は、ひとつ、先生にも御了解をいただきたいと、かように存じます。  ただ、それじゃ、国鉄は一人も江若鉄道の人間を採らない気かとおっしゃいますれば、そういうことではないんでございまして、年々やはり国有鉄道も自然退職で一万二千人ぐらいの人間がやめてまいりまして、そのあとの補充といたしましては新規採用をやっておるわけでございます。いま江若鉄道に関係をする局といたしましては、大阪の管理局になると思いますが、大阪の管理局といたしましても、年々七、八百人の人間を新規採用いたしておるわけでございますから、もし御希望の向きがあれば、新規採用の試験を受けていただきたい。新規採用の試験に合格されれば当然国鉄の職員として採る。この新規採用の条件と申しますのは、これは管理局長にまかせておるんでございます。本社は全然タッチいたしておりません。したがって管理局、管理局で労働需給の情勢が違いますから、採用条件もまたおのずから若干の差異があるんでございます。決して一律ではございません。そうかけ離れて違うとは思いませんけれども、多少のニュアンスの差はあるんでございますから、これはひとつ地元でよく御相談をいただきたい、まあ、こういうことで江若鉄道の会社の幹部の方々ともお話をいたしておりますし、それからまたたびたび私のところにも江若鉄道の労働組合の方もお見えになっております。そのたびに同様のことをお話し申し上げておりまして、そういうことで完全に私の言うことに納得しておるとも思いませんけれども、大体その線でいま具体的な話が進められつつあるのではないか、かように私は思っております。
  39. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いま国鉄の話を聞くと、ぼくはちょっと意外に思うわけです。第一番目に、大臣は非常にいろいろな個人の生活もあるんだから十分考えてやろう、こう言っておられる。あなたの言われるのとはどうも食い違っておるわけです。国鉄は困っているから、そんなものを受けられないんだ、私のほうはどんどんと新線をつくって、ほかの私鉄は成り立たぬようになるんだと、従業員は路頭に困ると、しかしそれはもう一ぺん試験を受けなさい、そうしたら採用してあげましょうと、そんな状態であなたのほうはまかり通ったら、それはいいかもしれませんけれども、それはちょっとあまり酷じゃありませんか。ぼくが先ほど述べたように、もう少し国鉄そのものもヒューマニティーを踏んまえた政策を出しながら、やはり国民の足を確保するためにも、あるいは産業の発展のためにも、物を運ぶためにもという、そういう大きな公の使命を持っている国鉄が、その従業員に対しては、そのようなことを切っていかなければならぬというような形は、私はどうも納得ができない。そういうようなことが、もし赤字なりとすれば、それをもっとどうするかということを考えるべきであって、国鉄がまかり通る場合にはもう切られたものは泣き寝入りしなさいということじゃ、これはどうにもならぬじゃないですか。ことに三百五十名の人が江若鉄道にはおるわけですから、これは年寄りもおるんだから、適当に、こんなものは受けられぬよということではならぬわけですから、その根本姿勢というものはもう少し考え直してもらいたい。そんなことで国鉄がもしやるとすれば、今後非常にたいした問題になるわけです。中小私鉄はこの第三次五ヵ年計画のあおりを受けて、非常にもうあっぷあっぷするような小さいところもぼくはあるだろうと思うのです。あるいはまた、同時に、もう少しほんとうに手かげんしなかったらできない問題も起こるでしょう。もう去年あたり見ていましても、私鉄にはかなりの大きな事故が頻発しておるではありませんか。こういうものはどうかといえば、やはり私鉄のほうにしわ寄せされて、私鉄のほうが十分施設あるいはいろんなことができないためにそういうことが起こるわけです。これを監督してもらうためには、やはり運輸省のほうにおいても相当な大きな力を入れなければならない。むしろ私は、これは私鉄あたりに融資をするか、あるいはまた補助をするか、そして国のほうで、たとえば安全を第一にするための装置にしても、あるいはまた先ほどから出ている踏切その他、あるいはまた安全機械の整備にしても、これは全部もっと国のほうからそれを指導して、できない私鉄に対してはそういう補助をしてやるのが当然じゃないかと思うのです。国においてやはり私鉄に対してはそういうことをしなければならぬと同時に、そういう状態にあるところに向かって国鉄は今度は大きな力を持ってきて、ここは採算が合いそうだからずばりとそこに新路線をつくる。そこにあるところの私鉄はへこたれておる。それに対して、従業員のことは関係ないんだ。それは法律にはないし、いままでそういうことであったということでは、これはまかり通らぬと思うのであります。最近も出雲の市バスが私鉄のほうに買収された件についてもいろいろ問題がありました。私も現地にも調査に行きましたが、そういうところを見ましても、やはりその協約というものが労働者の権利を守るというほうが大事であるということで、労働省のほうにおいても、労働大臣もそういうふうな見解を示したし、あるいはまた、そういうことでもってやはり従業員の生活権というものは確保されておるわけであります。これなんかも、それはむしろ国鉄のほうで当然そういうことをして、計画をして新しい路線をつくるからには、必ずやそこに出てくるところの労働者の基本権というものは、あるいはまた生活権というもの、これはもう憲法で定められた大事な問題であります。これをなおざりにしないで、私はいろんなところで協力をして、そうしてこの問題を片づけた上でこの鉄道というものが動き出すのが当然ではなかろうか。その鉄道を新設する前に、あるいはまた運輸省のほうでこれをやられる前にこの問題は解決をして進むべきじゃないかと私は思うのでありますが、なお一点意見を聞いておきたい。そんなことであるなら、私ども今後そうした間違った考え方は正してもらうようなことに対して、相当考えなければならぬと私は考えておるわけであります。
  40. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) おしかりをこうむって恐縮でございますが、江若鉄道の従業員が、江若鉄道の廃止によりまして直ちに路頭に迷うかどうかは、私疑問だと思うのであります。やはり江若鉄道としても、買収金額の中からそれ相当の退職手当を出すはずでございます。したがいまして、それは別といたしまして、先ほど申し上げました新規採用の問題、これには、ことばが足りなかったかもしれませんけれども、相当な幅がある、各管理局で条件が違うと申し上げたのは、相当幅があるということを含めて申し上げたつもりでございます。ただ、形としては、職員の江若鉄道のいままでの勤続年数なり、現在受けておる給与をそっくりそのまま受け継いだような形の引き継ぎはできない、こういうことを申し上げたのでありまして、一応形としては新規採用という試験を受けていただかなくては、国鉄の立場としてはやはりそういうことをやってもらわなければ困る、こういう意味で申し上げておるのでございます。決して血も涙もないというようなつもりで私は申し上げていないつもりでございます。
  41. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いや、そういうふうにして言われれば、涙も血もある。また採用条件も違うて、形だけの試験をして入れてやるということになれば、それはそれでも同じことになるかもしれませんが、あなたの説明では、いまの説明ではそう了解できぬから私はただしたのであって、少なくともそれくらいのことをして、従業員は他にやらぬと、また生活に不安を与えないということを前提にしてもらいたい。これだけを特に私はお願いしておきます。  それから次に、時間がありませんからはしょっていきたいと思いますが、山陰線の複線化の問題でございますが、これをちょっとお伺いしたいと思います。  これは私が本委員会において、昨年にもちょっとお尋ねを申し上げて、そのときにも御回答をいただいたわけでありますが、御承知のように、京都市の中枢部を南北に走っているわけであります。それからして、ここで平面交差をしているわけでありまして、最近では自動車の交通量が非常にふえてまいりました。だからあの道路の改良促進法によって踏切の問題に対しては、踏切をかえるための、立体交差をするための規定があるはずであります。そういうことで、いま全国にもたくさんあります、六十カ所もあるように聞いているわけでありますが、これを高架にしなければならぬ。全国では、こうした踏切に対しましても何か四千億くらいかかるとかなんとかいうように政府の部内でもいろいろ考えられておるようでありますし、また、建設省あるいは自治省、運輸省でもこれはいろいろ問題となっているように聞いておるのでありますが、この京都の市内を通っておる山陰線の高架に対して、あるいはまた、そこに複線電化をいわれて園部までこれを延ばしてくれということでいろいろ国鉄のほうでも御配慮を願っておるようでありますが、その後は一体どうなっておりますか、ちょっと伺いたい。
  42. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) この間は、京都‐園部間で約三十六キロ足らずでございます。線増高架を含めまして大体百二十億くらいということで計画を進めております。これは実は第三次計画を始めます四十年のころから具体化をするつもりで努力をしておったのでありますが、京都市の市会のほうから、一部このルートを全部廃止をいたしまして、もっと南寄りからまっすぐ園部にトンネルを抜いたらどうかという御提案がありました。これらにつきましても相当慎重に検討いたしましたが、工費が二倍から二倍半くらいかかりそうであるというようなことで、いまはこの案が一応やめになりまして、やはり現在の丹波口、二条を経まして花園から亀岡のほうに張りつけ線増をしていくというようなことでございます。  そこで一番いま先生からも御指摘がございました問題になりますのは、京都−丹波口−二条間におきまして、法指定の踏切、七条、五条の通りを含めまして七カ所の平面交差があります。これを何とか抜かなければいけないということで、寄り寄りいろいろと設計の協議はしておるわけであります。ただ、ただいま先生からも御指摘がございましたように、都市内の鉄道の連続立体——まあ高架ということを連続立体と申しておりますが、連続立体の問題につきましては、国鉄の現在の財政状況で現在の建国協定にございますように、二分の一ずつの負担、国鉄側と道路側が二分の一ずつ負担するということではとても国鉄の財政上実現がむずかしいということで、実は一昨年の秋から、建設省等々といろいろ話し合いを進めておるわけであります。その結果、どうやら大体話がまとまりまして、現在最後の詰めをしておる段階でございまして、四十三年度からは、建設省のほうにも、わずかでございますが、予算がついてきたという状況でございますので、できるだけいまの機会にこの協定の改定を詰めまして、これを実現いたしますとともに、全国的に連続立体のいろいろの問題点につきまして、実現をはかっていきたいというふうに考えております。その中でこの京都−二条間につきましては、優先に考える部分であるというふうにわれわれは考えておりますが、いまも申し上げたように、事務がいま煮詰めの段階にございますので、もう少し時間をかしていただきまして、四十三年度になりまして設計をまとめ、負担の割合もきめ、そして一部着工というような段階に持ち込みたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 これは地方自治体のほうで、いわゆる京都市のほうにおいても、非常に大問題である。これはしなければならぬことであるから、進めなければならぬけれども、御承知のように、地方自治体のほうは非常にいま苦しい状態に置かれております。ですからして、まあ負担区分は、建設省のほうとどういうふうになるかしれませんけれども、やはりこれがだんだんと地方自治体にしわ寄せされてくるというところに、私は、非常に大きな問題がまた出てくるんじゃなかろうか、困難な問題が出てくるんじゃなかろうか。どうもこういうようなことを考えてみますと、やはり国鉄は苦しいは苦しいですが、またここの問題につきましても、こういう高架をやらなければならぬ、法律でも平面交差ではいけない、また、これだけの車があったのでは非常に危険だという状態であって、やらなければならぬのが、だいぶ延びております。延びておりまして、国鉄はまたこのごろ苦しくなってきた。だからして、建設省とも話し合いをして、国鉄の負担分を少なくしてもらおうと、こういうようなことになって、だんだんとそれが建設省のほうにいく。建設省はこれを地方自治体にはね返していくということになってくれば、最初の、先ほど申した、働く人たち住民にしわ寄せされると同じように、地方自治体にもしわ寄せされるという危険性が私はあると思うのです。こういうことになって、これを強引にやられていくということは、私は、非常におもしろくない結果ばかりを次から次へと蓄積していくことになる。そういうことを考えますと、この問題についても、私、きょうこういうことを質問さしていただくことからも、そこに真意があるわけでありますが、できるだけもう少し地方自治体なんかに、そういうものにしわ寄せしないで、何とかもっと国のほうの考え方でこれをもっと実現し、それを早めていく。御存じのように、私も京都であります関係で見ておりますが、いま、鉄道の車が通り出したということになって遮断機が落ちましたら、もう二十分も待たされる。鉄道には、あの辺に貨物駅があるために、その出し入れもあって、もうとまっておる自動車は五丁も六丁も一ぱい並んでおる、そういうような状態がいまかもされつつあるわけであります。これはいま輸送能力においても、また産業のいろいろな面に及ぼす影響も非常に私は大きいだろうと思う。こういうような状態のところで、私はいまその区分がいろいろされておるということもちょっと聞いておるのでありますが、そういうことも、どうぞ早く話を進めて、そして少なくとも地方自治体には圧迫にならないという形でひとつこれは処理していただきたい、こういうふうに思うのです。  それから続きまして、電化、複線化の問題。京都−園部間は、ぜひともこれをひとつ早く進めてもらいたいと思うのでありますが、これについての見通しも、大体何年度ぐらい、高架並びにあれがどういう程度ぐらいに進むか、その将来のひとつ見通しについても、もしわかれば知らしていただきたいと思います。  それから次に、小鶴線と申しますか、小浜と舞鶴の殿田の線でございますが、これを結ぶ五十七キロの問題は、もう総工費が六十億か何かでもってこれがされて、昭和三十九年六月には鉄道の建設審議会において、着工線として決定されておると、こう聞いております。それからまた昭和四十一年度に、全線のルート選定と、それから一部の地質調査を行なって、四十二年度は一千万円ぐらいを計上して、ルート選定及び地質の調査をしているということでありますけれども、これは現在一体どのような状態になっておりますか、この線についての状態もひとつ知らしてもらいたい。
  44. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) ただいま先生からの高架化に伴う地元負担が増大するのではないかというお話でございますが、この点につきましては、いま京都だけでございませんで、至るところでこういう問題が起こっております。それで、これにつきましては、実は政府部内の話のときにも、建設、運輸、大蔵のほかに自治省にも御参加を願いまして、いろいろとお話をいたしております。大体国の負担分をよけい出すという方向が一つ。もう一つは、自治体に対します負担につきましては、起債を認めて、それで何年かにならして処理をしていく。都市改造の大きな問題として将来にも非常に影響するものでございますから、単年度あるいは二年くらいのまたがりではたいへんであるというので、起債を認めるという方向で大蔵省も配慮されているようでございます。そういう方向で何とか切り抜けていきたいということで努力をしておるわけでございます。  それから、これを含めまして、園部までの複線あるいは電化というような問題でございますが、電化のほうはちょっと複線ができてから先ということに考えておりますが、複線のほうは、先ほど申しましたように、園部までが百二十億ぐらいかかるということで、これは京都市の負担も多少ございますが、そういうかっこうになっております。これの実現につきましては、一応四十六年度の第三次計画内に仕上げるというつもりで現在やっておりますが、財政事情から申しますと、四十三年度の金が、大体四千五百億くらいの工事経費を投入しなければならぬのが、今度は三千七百八十億程度に切られておる。あるいは四十四年度以降は大体五千億ベースで投資をしなければならないというベースでございますが、これがちょっと来年、再来年——四十四年度以降の資金の見通しが立たないというようなことで、ちょっといまはっきり申しかねまして、二年くらいおくれるのではないかというふうな考えをいたしております。しかし、いま御指摘がございました、二条までの高架につきましては、まず第一に着手をいたしまして、単線だけでも高架にいたしまして、地元の皆さま方の踏切による交通阻害ということをとるというような方向で努力をしていきたい。これらにつきましては、やはり来年度以降の資金事情を見ますが、これが立体化につきましては、できるだけ早く実現をするように努力したいというふうに考えております。
  45. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 小鶴線関係につきましてお答え申し上げます。  小鶴線は、現在御指摘のごとく工事線に指定をされておりますが、しかしながら、四十二年度中にはまだ着工に至っておらないのでございます。現在までに、約一千万円の経費をもちまして測量、設計の段階でございます。四十三年度におきましては、現在予算の配分その他いろいろ検討を重ねておるところでございますが、まだどのくらいつきますか、申し上げる段階ではございません。ともかく、こういった新線につきましては、地元では非常に御要望が強いので、それぞれ必要性というものはございますけれども、現在の国の財政事情からいたしまして、公団に対する予算のつき方も、われわれの要望している線を相当下回るというような状況でございますので、そういった関係で、現在持っております五十九工事指定線につきまして、それにまんべんなくやりますということはなかなか困難でございます。それぞれ重点度を見まして、かつ相当程度に工事が進んでおるものには、余分にかけましても早くこれを完工させるというようなことで、資本の重点使用ということも考えておるわけでございます。そういうあおりを食いまして、この小鶴線につきましては、非常に後順位のかっこうになっておりまして、地元方々の御要望の線になかなか沿い得ない段階でございますけれども、こういった線につきましても、測量、設計その他の関係調査費というのは逐次増加してまいりまして、工事にもいずれ着工できるという段階にこぎつけるものと考えております。
  46. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いまお話を聞いたんでありますが、この湖西線ができ上がって、四十六年の——四十七年になるかしりませんが、そういうふうにされているということでありまして、それとすぐ関連をしているわけでありますから、裏日本側としては、どうかひとつこの湖西線と同じように、少なくともその間にはこれが完成されるような努力をしていただきたいと思うわけであります。  それからもう一つここで伺っておきたいことは、片町線でありますけれども、あれが国鉄奈良線と片町線とを結ぶ広野−長尾間約八キロメートル、この問題も前からいろいろ審議されて第三の工事の着工の中に編入をしてもらうような陳情をされているようでありますが、その後これは一体どういうふうになっているのか、非常に人口も増加されて、非常にあれになっておりますので、特にこのものは配慮してもらわんけりゃならないと思います。特に四条畷−木津間の複線とか電化なんかの問題も、これにあわせて考えていただきたいというふうなことが陳情されているようでありますけれども、ことに、大阪周辺が非常にドーナッツ化しつつあって、非常に人口がふえてまいっております。だからしてこの片町線のそうした拡充ということも、これはまた大阪を中心とするそうした足を確保する意味においては非常に大きな意味があると思うわけでありますから、この点についても、ひとつどのようになっておるか、あるいはまた特にそれを早く計画化して、これの実現をはかってもらいたい、こういう二点についてお話を伺いたい。  時間が非常にオーバーしているそうでありますから、もう一つだけ、それにあわせて聞かしていただいて、まとめて御答弁を願いたいと思うのでありますが、もう一点は、私は、いままで再三、決算委員会においても、あるいはまた社会労働委員会においてもお話を承り、また、いろいろとお願いをしてまいったわけでありますけれども、この非常に合理化された、あるいはまたりっぱになった国鉄に、いまの赤帽制度が非常にまだそのまま取り残されておる。これが一つも改良されてない。いろいろな問題は私も一緒になって調べもいたしましたし、いろんな事情も聴取に参りまして、いままでの関係から、個人契約であって、そしてこれがいままでの古いしきたりがあるもので、なかなかこれが踏み切れないという事情もわからないことはないと思います。けれども、やはりずっと調べてみますと、とどのつまり、どこかと言えば、あの赤帽がやっているのは、上に必ずボスがあって——ボスということばも悪いかもしれませんが、監督者がおって、そしてその人がみんな下へ何名かを集めて、そしてその人の所得につながることまでを関与してやっておる。うまくやられているというところもありますけれども、うまくやられていないところもある。それからまた個人契約であるために、あの人たちは社会保障であるところの健康保険もないわけであります。国民健康保険のほうへしわ寄せされていっておる。非常に雇用関係も不安定であるし、同時にまた非常に収入の面も不安定である、こういうようなことであるからして、少なくともあの合理化されて、新幹線があのわずかな時間で、しかも切符を売る場所ではやはり計算機も入れて合理化されていま運営をされておる、こういうところに、一面あの寒いところにはな水をたらしてすくんでおる赤帽というものも、私はあれはやはりなくしてしまうこともできないだろうし、またああいうサービス業のものもあっていいと思うのでありますが、同時にまた、これは国鉄の中に入れてやるとか、最小限においては弘済会と申しますか、あの方面の中に入れて、雇用関係だけは明確にして、そして働けるような状態にしておかなければ、一方では近代化されて非常にりっぱなシステムに乗って動いているのに、一方では前時代的な労働者がそこにうようよしておる、非常にみじめなかっこうでおるということは、非常に私はアンバランスだと考えますので、この点について、もう少し至急に考えてもらう意向はあるかどうか、具体的な方法についてもひとつ聞かしていただきたい。この三点について御答弁願います。
  47. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 先ほどの片町線の延長の問題でございますけれども、これは現在予定線でございまして、まだ鉄道建設審議会のほうからの御意見も伺っていないのでございます。したがって、まだまだ予算をつけて工事に着手するという段階ではございません。しかしながら、あの地区につきましては、すでにあの近くに大きな団地の開発も相当進んでいるように伺っております。京阪神の大都市圏の中に含まれる地区でございます。こういった地区を都心を中心に結びつけますための都市交通線というものを形成するような性格が持ち得るものと考えられるのでございまして、特にあの付近に、片町線の延長線付近で開発されております団地あたりは、京都へも至便でございますし、また大阪へも出られるというようなことで、これが直通できるならば非常にかっこうのいいものである、こういった面につきましては、地元のほうからしばしば陳情も受けておりまして、私どものほうでいろいろと検討は重ねているわけでございまして、こういった面で国鉄の第三次長期計画中の大阪付近の都市交通線の増強整備等、からみ合わせまして十分今後検討いたしたいと考えております。  それから京都の赤帽の問題でございますけれども、これもかねてからお話伺っているところでございまして、やはりこういった仕事の性質上、なかなか制度の近代化あるいは合理化というものがむずかしいと存じておりますし、また最近におきましては、その必要性も相当減少してきている。あまり荷物を両手にたくさんかかえて、背中にもしょうようなお客さんというのは非常に減っている状況でございます。そういった面から、最小限度の赤帽さんの確保は必要だろうと存じますけれども、これを近代的な組織にいたしましてもなかなかやっていけるものではない、こういう状況にございます。この点につきましては、直接指導していただいております国鉄の現場の駅長さんのほうでも、いろいろと考えていただきまして、その赤帽の専業ということでなしに、兼業的な姿で必要な場合にはそういった仕事をやっていただくというようなことで、解決できないものかどうか、こういったことで検討してもらっているわけでございます。
  48. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いま片町線の問題を非常に聞いたわけでありますけれども、やはりその必要性は認めたということはわかったわけであります。私は、ここで一言つけ加えてお聞きを申しておきたいというか、考えてもらいたいと思うこと、はこの片町線の、いま湖西線と片町線でつなぎますね、こういうものとはひとつ何かのところでジョイントをしてもらえば、この湖西方面も将来は一つのベッドタウンとなるわけでありますが、これがまた大阪のほうまでもつないでいくということになれば、非常に広範囲にベッドタウンとしての発展性が持ち得る。特に申し上げたいのは、いまの草津−大阪間の現在の線路はかなり乗客であふれている。国鉄当局でもよくおわかりのように、満員化して各駅とも大混雑をしている。こういうようなところもひとつの側線としてやはり湖西線と片町線をつなぐという方法を相当真剣にこれは考えてもらったらどうか、これはぜひひとつやってもらいたいことだというふうに考えております。  もう一つ、私落しておったのでありますけれども、関西線の笠置と奈良の間の電化の問題も非常に強い要望として出てくるわけでありますが、こういうような問題も含めて、あのドーナッツ化する交通事情の問題、住宅の問題から含めてひとつ抜本的に考えてもらいたい。  それからもう一つ、最後には、赤帽の問題がですね、何か採算がとれないとか、人が必要ないとか言いますけれども、弘済会というのは相当もうかっているわけですね。相当の所得を計上しているのでありますから、それの中に含めば、赤字の問題は、少々の問題は解決できるのじゃないか、これは常識的に考えられるわけです。この問題についても、私は非常にそこらのところに問題点があるというので、弘済会の状況については、いまちょっと調べつつあるわけでありまして、もうすぐ結果が出てまいります。こういうことから考えて、非常に軽々しくこれを取り扱わないで、利益があがっている面があるから、その中の一環としてやれば、そういう人たちに十分支給もできるし、保障もできると私は考える。そういうことは鉄道のほうで真剣な態度であるかどうかということが問題なのであって、そういうことに対しては、基本的な問題であるからして十分配慮をしてもらいたい。これで私の質問を終わります。
  49. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 第一点の湖西線と片町線を接続するという問題でございます。線形を拝見すれば、御指摘のようなきわめていいかっこうだと私も存じます。しかし、何ぶんにも、この線につきましてはまだ予定線にもあがってない問題でございます。これはきわめて関心を持って今後検討さしていただきたいと考えます。  それから笠置−奈良間の電化の問題につきましては、私ちょっと知識を持っておりませんので、国鉄のほうからお答えをいただきたいと思います。
  50. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 関西線の電化につきましては、前から非常に御要望が強いのでございますが、現在国鉄は、第三次計画の中でたくさんの電化計画がございますが、その中に入れてございません。それで将来の問題は別としまして、とりあえず、ディーゼルカーの増強で対処していくということでございますので、いましばらく時間をかしていただきたいというふうに考えるわけでございます。
  51. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 午後二時二十分まで休憩いたします。    午後一時二十二分休憩      —————・—————    午後二時三十分開会
  52. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和四十一年度決算外二件を議題といたします。  運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  53. 黒柳明

    ○黒柳明君 私は、現在国鉄が東京駅の丸ノ内側ですか、総武線の乗り入れ工事をやっていらっしゃる。五百億という非常に巨額をかけて工事中である。ところがそこに、日東ペガサス株式会社ですか——スタンダードバキュームの代理店、こういうふうに聞いておりますが——のガソリンスタンドがあって、この工事がストップしていると、しかも立ちのき問題で国鉄とペガサスで係争問題になっている、こういうことについてこれからお聞きしたいと思うのですが、ペガサスのほうに行きましていろいろ私自身この状況また向こうの言い分について聞いてまいりましたから、きょうは、総裁はじめ国鉄側の御意見を拝聴したいと思って質問したいと思うのですが、要するに、日東ペガサス株式会社と国鉄との、このガソリンスタンドをつくるにあたっての契約の経過及びその内容についてまず御説明願いたいと思いますが。
  54. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 具体的な事実でありますので、私からかわりましてお答えいたします。  ただいま先生御指摘の問題になっております土地の明け渡しを求めておるところは、ちょうど東京駅の丸ノ内側の北口広場にございますところの国鉄所有地の一部でございまして、広さは五百三十二平米のものでございます。また同時に、撤去を求めております建物その他は、その土地の上につくってありますところの会社所有の鉄筋コンクリートづくりの平屋建ての店舗が一つございまして、それからその下に、地下にガソリンタンクが三基ございます。その他計量器二基というものでございまして、契約の経過につきましては、二十四年の十二月に、スタンダードバキューム石油会社の特定代理店名義をもちまして、駅前の土地使用を認めていただきたいという願書が出てまいりました。当時、国鉄といたしましても、駅前の広場の使用については慎重審議いたしたのでありますが、まあガソリンスタンドぐらいのものであれば差しつかえなかろうということで、二十五年の十二月、約一年の審議を経ましてこれを認めることに決定いたしました。実際の使用を認めたのは二十六年の一月からでございますけれども、決定いたしましたのは二十五年の暮れにそういう態度をきめました。契約の内容といたしましては、まず使用期間でございますが、二十六年の一月一日から二十八年の三月三十一日までと、二年三ヵ月というはんぱな期間になっておりますが、一応これは年度末をめどといたしましたので、三月三十一日までという期間で使用を認めました。それから使用目的をガソリンスタンド設置用ということに限りまして、その目的以外に使用してはいけない。また、その使用権を他に譲渡したりまたは転貸してはならない。それから、当局の承認なくしては建物そのものを変更してもいかぬ、こういう条件をつけました。さらにまた、当局で必要がある場合には、または使用者が使用承認条項に違反したような場合、あるいはまた不都合の行為があったような場合、こういう場合には、直ちに使用承認を取り消されても、こちらから取り消しましても、使用者において何ら異議はないということを条件といたしました。さらにまた、使用期間が満了いたしました場合、あるいはまた、承認取り消しによりまして返還の請求をこちらからいたしました場合、そういう場合は、使用人において直ちにこの施設いたしました物件を使用人の費用をもって撤去する。撤去した上で原状に復して国鉄側に返す。こういうような鉄道用地使用承認書の各条項を厳守するという請書をとりまして、これで異議なくその条項を守りますという請書を出させまして、本件の土地の使用承認をしたと、こういうことでございます。  その後の経過でございますが、二十七年の一月になりまして、使用者名義を日東ペガサス株式会社というふうに変更したからこの変更方を承認してもらいたいという申し出がございまして、会社の実体も変わっておりませんし、また、やっておる事業も変わりがございませんので、そのままその名義の変更は承認をいたしました。自後、一年ないし三年という短期間を限りまして、そのつどそのつど契約を更新して継続してまいった。で、三十九年に至りまして、国鉄の輸送計画並びに工事計画の必要上、いままで使っておった土地は、これ以上その使用承認を継続させるわけにはいかないから、三十九年の三月三十一日の期限切れをもって国鉄はこの契約をやめるといいますか、使用承認を取り消すという旨を、三月三十一日の期限がきます二カ月ほど前に会社側に予告をいたしましてその旨を通知いたしたわけでございます。で、三十九年の三月三十一日、期限が参りまして、直ちに、これ以上承認を続けるわけにはまいらぬので直ちに建造物を撤去して原状回復の上、土地を返してもらいたいということを催告いたしました。ところが会社側といたしましては、これに直ちに応ずる気配が見えませんので、重ねてその後三たび催告をいたしましたが、さらに会社側の態度は変わりがございませんので、ついに四十二年の三月、昨年の三月でございますが、建物撤去並びに土地の返還、こういうことを主体にいたしまして国鉄側から訴訟を提起いたした。こういう状態で、現在裁判係属中でございます。
  55. 黒柳明

    ○黒柳明君 確かに、私の手元にもその東鉄の管理局長とペガサスの代理人との承認書がございますが、使用期間、使用目的、その他満期においての契約、すべてそのとおりになっております。それからまた、これは二年半という契約期間にもかかわらず、いまのお話、また私実際見たのですが、地下に永久構築物であるガソリンの貯蔵タンクがある、これを許可した理由ですね。永久構築物をどうして許可して建築させたか。二年三カ月であるならば、こういう永久的な構築物を許可することに何か私たちは疑問があるのじゃないかと、こう思うのですが、これはいかがでしょう。
  56. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) ガソリンスタンド並びにその下にある地下のタンクでございますけれども、当時の国鉄当局の判断といたしましては、必ずしもこれは永久構造物とも言えない、こちら側の判断に基づいて、これ以上土地使用は認められないという場合は直ちに撤去できる建造物であるという判断のもとに、これを使用承認をいたしました。
  57. 黒柳明

    ○黒柳明君 確かに契約条項には、いつでも撤去すると、こういうふうにもうたってありますですね。現状はそうはいかないと、こういうことになっているわけですが、ここら辺に国鉄当局の見通しの甘さがあったんじゃないかと、このように思うのですけれども、いかがでしょう。
  58. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 確かに問題はただいままで継続いたしておるのでございますが、これは先ほど申しましたとおり、物理的に撤去できないという問題ではございませんし、また国鉄の見通しが甘かったかどうかという問題でも、私は必ずしもないんじゃなかろうかと考えます。問題の本質は、この契約の法律上の性格についての議論の分かれ目ではなかろうか、かように考えるのでございます。国鉄の考えを少し説明さしていただきますならば、国鉄の事業目的並びにその性格にかんがみまして、その所有いたしますところの事業用の固定資産、これは実質的には国の所有に属するものと私どもは考えております。したがって、それは行政法上にいわゆる公物である、また実質的には国有財産法に言うところの行政財産たる性格を持っておる、かように考えるわけでございまして、すでに行政財産であるといたしますならば、国有財産法第十八条によりまして借地法の適用はないというわれわれの確信でございます。したがいまして、国鉄がその所有する土地をその目的及び用途を妨げない範囲におきまして、かなりきびしい制限的な特約、たとえば先ほど来申しておりますように、こちらの必要があれば、公共の目的に供する必要があるという場合には、これを直ちに解約するとか、あるいはまた使用期間をきわめて短年月にこれを限定するとか、そういう特約を設けるということがこれは有効であると私ども考えます。まあ法律的なことを言いますと、この問題は借地法の規定を排除する一種の無名契約ではないか、こういう態度のもとに私どもはやってまいったわけでございます。問題は、この相手方が契約を守るというふうに請書を出して、そうして土地の使用承認を受けておりながら、いまに至ってこれをじゅうりんするというところに私問題があろうと思うのでございます。まあ、しいて言いますならば、契約の相手として人を誤ったと、信頼するに足る人であるか、あるいは信頼すべき会社であるか、こういう判定の面において、相手を選ぶのに多少不明な点があったんではなかろうか、かような気はいたしますけれども、しかし問題は、やはり相手方の態度でございまして、私どもとしてはあくまでこれは公物であり、また行政財産たるこの土地の使用を承認する場合には、何ら間違った態度はとってきていない、かように考えるわけでございます。
  59. 黒柳明

    ○黒柳明君 確かに私もここにある請書を見ますと、いまおっしゃったように、「使用期間中であっても、当局において必要があると認めるとき、または使用者において承認条項の違反、その他不審行為があったと当局で認めたときは、いつでもその使用承認を取り消す。この場合、使用者が被害をこうむることがあっても、当局は何らの責を負わない。」、このような承認事項の取り消し、あるいはその他撤去の問題、損害賠償の問題、いろいろありますけれども、いまおっしゃったとおりだとは思うんですが、また一面、最後のほうに言った、人物を間違ったんじゃないかと、こういうようなことも、相当の国鉄側としてはやはり大きな問題として今後考えなきゃいけないのではないかと思います。またあと質問したいと思うんですけれども、ガード下の使用権も、あるいは借用地も、これは相当な国鉄側としては広範囲にわたって借用させているわけですから、こういう人物の選定ということ、それが誤りがあるということ、こういう誤りがこれからも相当幾多出てくる可能性もあると、こういうふうに思うのですけれども、それはあと質問にして、この裁判提起後の公判の経過について、ちょっとお話し願いたいと思います。   〔委員長退席、理事竹田現照君着席〕
  60. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 昨年の三月に訴訟を提起いたしまして以来、すでに七回の口頭弁論を重ねておりますが、いまだ判決を得るに至っておりません。私どもといたしましては、訴訟には十分な自信を持ってこの訴訟の遂行をいたしておるのでございます。現在のところ直ちに判決が期待できるという段階に至っておりません。
  61. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然和解の話も出たやに聞いておりますけれどもね、和解に持ち込まれるとすると、その条件、あるいは出たとするとその条件はどんな条件があるか、どうでしょうか。
  62. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 国鉄といたしましても、すでに裁判にかける以前にも、内々実質的に話をいたしておりまして、たとえば代替地を提供するがどうだろうかというような話も実はいたしたことがございます。二、三その土地の選定もいたしたのでございますけれども、いずれも相手方の拒否するところとなりまして、場所が悪いとか、いままでのような営業上の利益を期待できない土地であるとか、いろいろな理由で拒否されて今日に至っているわけでございますけれども、しかし私どもといたしましては、あくまで相手方の納得を得るということをあきらめておるわけではございません。また代替地がだめならば、普通の場合でありますと、商業ベースの話でございますれば、金銭的な補償というような問題が出てくるかと思いますけれども、実は国鉄の場合、これを補償金で解決するということは法的にもかなりむずかしい問題がございまして、補償金で解決するということはちょっと困難ではなかろうか、かように考えております。
  63. 黒柳明

    ○黒柳明君 大体過程は伺いましたが、総裁、結局先にも言いましたように、国鉄のガード下の使用許可の問題あるいは用地の借用の問題、こういうようなことに関して、確かにこの書類上は契約あるいは請書その他変更についてのもの、きびしいくらい契約条項はついておるわけです。克明に請書のほうもそれに対して順守しますと、こうなっているわけなんですが、実際問題としてこのようなケース、ひさしを貸しておもやを取られるというような形ですがね。聞くところによると代替地も、四谷のあたりの一等地を見つけた、ところがそこも向こうからいやだと断わられた。このようなことになると、ますます国鉄側としては善意をもって、あるいは便宜を思って貸してやったところが、その契約を守られない。守られないどころか、総武線の乗り入れなんということは、これはもう非常に私たちとしては待たれる、一日も完成が待たれる工事であるし、東京駅なんか通る人は、本社のところに、「この下二十八メートル総武線乗り入れ工事中」ですか、大きく張ってありますし、秋葉原から、あるいはお茶の水から、じかに東京駅に通勤できる。いろいろな面においてこれは急がれる工事ですけれども、しかしながら現実は、この下二十八メートル総武線の乗り入れ工事はいまストップになっている。もしこの場合、無理な和解をするとすると、これはまた国鉄側としても相当な損害をこうむらなければならない。ですから契約上あるいは書類上、幾らきびしい条件をつけても、結局はこういうことになる。これ一つの例じゃなくて、今後もこのガード下の使用とかあるいは国鉄の用地の借用とか、こういう問題について同事例が続々起こる可能性考えられるわけですが、当然総裁としては、国鉄の財産の管理について真剣に考えていらっしゃるし、またこの問題を一つの端緒として、一つの策といいますか、考えをここで改めなきゃならない、こう思うんですけど、いかがでございましょうか。
  64. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 黒柳さんの御意見、ごもっともです。要するにこの問題なんかにしましても、形式はりっぱなもんです、備わっている。問題は一番大事の相手に対する認識がやや欠けておった。これはまあ私は単にこの問題ばかりじゃなくて、高架下問題なんかも同じことだと思うんです。結局国鉄人というものは、物を貸すとか土地を貸すとかいうような貸し家業とか貸し事業とかいうものの訓練を経てない。要するにジェントルマンである。やっぱり相手が相手なんだから、やはりそれにふさわしいタレントを持ってくる必要があるのだが、不幸にして国鉄にはいままでそういう訓練がちっともついておらなかった。これが一番いい例なんです。この問題については、これはひとつ御質問以外だと思いますが、これは重大な問題である。もしこれが一向解決がつかないということになると、せっかく総武線のほうの工事を急いでも、あれを東京駅のほうにもいかない。東海道線のほうにもいかない。これの解決の道はやはりいまのところでは相手方の人物を見るというと、やはり法の力をもってやる以外にやり方はない。だからして普通の裁判上の手続きでなしに、もう少し早く解決するようなドラスティックなステップをとったらどうだというので、私はあまり法律のほうを存じませんけれども、関係者のしりをひっぱたいているのですが、この例にかんがみまして、今後われわれとしてはこれと類似したような問題については、よほど慎重にやらなければならないということで、肝に銘じておるということでございます。
  65. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほど人物の選定を誤ったと、私もそう思うのですね。向こうさんのいろいろ言い分も聞きましたけれども、やはりこういう書類上でこういう明文化されていれば、やはり何と言いますかね、無理に代替地を求めたり、あるいは何かこう補償金でもほしいような、こういう態度で居すわるということは、私もうまくないという感じがしました。これは向こうの言い分も確かにあります。しかしながら人物を誤った。ではその人物を誤らないためにはどうすればよいか。何かこうドラスティックな、とこうおっしゃいますけれども、いまの法秩序下の日本の国にあって、いまの裁判、これ以上のものがはたしてあるかということ。また、人物の選定を誤ったということは、そうすると、これは何千何万という借家人がいるわけですが、いまのガード下の問題、また新橋のあの下などもこの前火事になりましたし、ああいうことから当然こういう問題が出現すると思うのですが、その人物の選定が誤っておる。あるいは何かドラスティックな解決の方法、こういうようなことについて、何かもうちょっと具体策がおありか。あるいはいまのところ全然お手あげであるのだと。で、とにかく向こうが譲歩するか、裁判の結果が出るまで待つよりしようがないのだ。そうなると、いまおっしゃったように、総武線の乗り入れというのがそれまでお預けになると、せっかくの五百億という大工事がストップと、こういうような結果にならざるを得ないのですけれども、その点の考えはいかがでしょうか。
  66. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) この駅前の問題につきまして、われわれのほうの法務課長の意見によりますと、仮処分とかいうような単刀直入に問題を解決するように進むべきだと、それについて十分に確信があると、こういうことを申しておりますので、私はぜひひとつやっていきたいということで進んでおります。それからさらに高架下の問題についてちょっとお話ございましたが、国鉄は在来線の高架下、こういうものについてはすっかり手をあげておったのです。これはだいぶ議会あたりでもこっぴどくやられたのですが、その点にかんがみまして、新しい新幹線の高架下の問題につきましては、もう国鉄人というものは貸し地だとか貸し家というような仕事はとてもできるものではない。だからこれに対しては専門家を持ってきてやるということで、弘済会にあれしまして、弘済会をして専門家を頼んで、あそこの高架下の借し業というものをやらして、国鉄は直接にはやらないということにいたしております。
  67. 黒柳明

    ○黒柳明君 今回の係争で、国鉄側として具体的に支障を来たす点というのはどんな点があるでしょうか。
  68. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 現在国鉄として計画いたしております東京駅の地下駅の計画でございますが、これは丸ノ内側の駅前の広場の下、約三十メートル近くまで掘り下げまして、そこに新しくつくりますところの東海道線とそれからこれまた新しくつくる総武線とを地下で直通させる、こういう計画でございます。この地下駅ができますと旅客の流れも従来以上に複雑になってまいりますし、また量的にも倍増してまいる。したがって地下の連絡通路というものを十分にとらなければならないという問題が起きてまいります。で、もちろん新しく地下通路をつくるという問題もございますが、それと、ほかに既設の地下通路、たとえば現在北口から新丸ビルに通ずる連絡路がございますが、ああいう連絡通路を拡幅する、幅を広げる。現在あれはたしか七・三メートルだと思いますが、これを十メートルぐらいに広げなければならないという問題が一つございます。それからまた国鉄の本社のちょうど前にバスの停留所が——まあバスのターミナルの小型のものがございますが、そこと地下との連絡通路も新しくつくらなければなりません。そこにつくりませんと、一たん地上にあふれました、しかも従来よりも倍くらいにふえるお客さんが、一たん地上に出まして、そして車道を横断してまたバスに乗るというようなかっこうになりますので、どうしても地下からバスのターミナルのところに連絡する通路を設けなければならぬ、こういうことになってまいるのでありますが、いずれもこれが現在問題になっておりますところのガソリンスタンドの地域にひっかかるのでございます。  それからまた現在、いま申しました新丸ビルへの地下通路、これは一日平均約六万六千名以上の旅客、公衆が利用しておりますが、これを地下駅の工事中は閉鎖しなければならぬということになります。東京駅の北口を閉鎖しますので、入り口を閉鎖しますから、ふさがりますから、この地下の連絡通路を閉鎖しなければならぬ。またこの六万六千人以上の人の流れを地上に出して、車道を横断させるということになると、かなりの交通の渋滞を生ずるし、また交通事故のおそれも多分にこれは生じてまいる。したがって東京駅の北口とそれからこれから新しくつくろうとしますところのバスターミナルへの連絡路、これとを結びつける横断歩道橋、これは上でございます。工事中は歩道橋をつくる。これは工事中だけのものですけれども、たとえ工事中といえどもあそこの六万六千以上の人間の流れをさばくためには、やはりそういう歩道橋をつくらなければ地下工事が進まない。こういう緊急性がございます。これは緊急性の問題でございますが、先ほど申しましたのは、将来地下連絡通路の幅を広げる、あるいはまたバスターミナルへの連絡通路をつくらなければならぬ。これは計算上そういうものが必要になってくるということは数字上出てきております。これはどうしてもつくらなければならぬ。こういうものがいずれも現在のガソリンスタンドの問題にひっかかってくる。したがって、このガソリンスタンドを少なくともことしの十一月ごろまでには話をつけてのいてもらいませんと、地下駅の予定は四十六年の十月になっておりますが、この予定どおりの計画が進まない、こういう支障を生ずる次第でございます。
  69. 黒柳明

    ○黒柳明君 総裁、最後に今後このような事態が再び起こらないように国鉄の財産の管理上の何か改善策というものをお持ちでしょうか、あるいは御意見ございますでしょうか。
  70. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) これと同じようなケースが今後起こり得るかもしれませんが、   〔理事竹田現照君退席、委員長着席〕 とにかくわれわれとして一番ああいう国鉄の土地を利用するのは駅ビルの問題です。ああいう問題につきましては、この前国会でもだいぶん御批判がありましたし、それにかんがみまして、国会の希望するような委員会というものをつくりまして、そういう点についてはそういう問題が起こらないような万全の方策をとってやっておりますので、いままでのところ相当に数は多いのですが、非常に順調に進んでおると、こういう結果になっております。
  71. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) ちょっと私先ほどお答えしました中に事実の間違いがございましたので、訂正させていただきます。  四十三年の十一月までにあそこをあけていただかないと工事に支障を来たすとお答えいたしましたが、歩道橋をつくるのが四十三年十一月でございまして、それ以前にやはり話をつけて土地を明け渡してもらわなければならぬという関係上、四十三年の五月までにどうしてもやはり明け渡してもらわなければならぬ。こういう計画でございます。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 国鉄の合理化の問題を主としてお聞きしたいのですが、第一に、この合理化によってどれだけの一体経費が浮き、それから要員が浮いたかという問題ですが、これは三十年の第一次五ヵ年計画以後から調べてみればいいと思うのです。この前の五ヵ年計画では、国鉄当局は要員をふやさないという方針のもとに設備の近代化を進めてきたと思うのです。結局これは、はたして経費の節約になったかどうか、これがねらいであったと思うのですが、この点について私は具体的にお伺いしたいのは、第一に、この合理化によってどれほどの経費が節減できたのか。それから、それによって何人の要員が浮いたのか。それから第二に、民間に相当仕事が委託されたのでありますが、この民間委託によって幾らの経費が節減できたのか。節減できたこの額を金額で示してもらいたいと思うのです。これは年度別に。五ヵ年計画以後の実績があると思いますから、この経営努力のあとを私たち見たいと思いまするので、この点を示していただきたいと思います。
  73. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) お尋ねの、どれだけの人間が浮いたかという実績でございますが、これはもう先生十分御存じであろうと思いますけれども、重ねて申し上げますと、第一次五ヵ年計画以来第二次五ヵ年計画、それから第三次の計画に至りまして、四十一年度までこれを全部総計いたしますと、五万七千六百人ぐらいの人間を浮かした計算になります。これは決して首を切ったわけではございません。計算上それだけの人間を浮かしたということになります。それで、経費でどれだけになったかというお尋ねでございますけれども、大体まあ一人当たり年間百万円というふうに私ども計算いたしておりますので、年々やはりまあ五百億ぐらいの人間が、人間と申しますか、経費の面で、その面では浮いてきた計算になる。ただし、これは計算上でございますから、たとえば外注いたしますと、人間を減らしても外注の経費は出る、こういうことになりますので、必ずしも年々五百億というそのなまの数字が浮いてくるということにはなりませんが、人件費の人の面ではそういう結果になる。こういうことになります。それから今度の計画につきましては、まだ本社、本部間で話をつけましたのは原則的な取りきめでございますので、あとは具体的な地方の交渉に移ります。したがって、その結果を見ませんと計算は出ないのでございまして、今度の近代化計画でどのくらいの人間が浮くかということは、ただいまの時点では直ちに申し上げる段階ではございません。
  74. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま概略のお話がありましたが、これはできましたらこの資料がほしいのですね。第一次五ヵ年計画、第二次五ヵ年計画、それから現在進行中の第三次、こういう中で実際人員、それから経費、こういうものがどういう動向を示しているのか。いま話がありましたが、最初の計画よりもだいぶこれは下回っているのじゃないですか。人員をふやさないと、こういうことでやってきましたが、仕事量はどんどんふえる、そうして職員はふやさない、こういうかっこうで、職種転換、それから配置転換を行なってきましたが、これで、はたして一体どれだけの経費が節約できたのか、こういう点では非常に最初のあなたたちの考えたようにはいかなかったのじゃないですか。実際全体の大体の筋としてはどらですか。
  75. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 先ほど申しましたように、まだ概略な数字しか申し上げられませんけれども、いままでの第一次、第二次、それから第三次の、四十年度、四十一年度を含めまして、これで五万七千六百人の人間を浮かしたということは、もしそれをやらなければ、五万七千六百人に相当する人間をふやさなければならなかったということになるのでございます。これは明らかにそれだけの人件費を、もしこれをやらなければ、人件費はふえたということになるのでございます。したがって、正確な数字はいま資料がございませんので申し上げられませんけれども、これは明らかにそれだけの人間をふやさなければならないところをふやさないで済ましたのでございますから、これは明らかに経費の節減になっておることは事実でございます。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあそう単純にはいかぬわけですね。合理化をやって、機械化をやったでしょう。したがって設備の更新の、そういうやつについている投資と、それからいまの人員との対比をやってみなければ、実際はこれの経済効果はどうであったかということは出ないわけですからね。人員の面から見れば、なるほど一応五万七千六百人のいわば不増のそういう態度をとることはできた。しかしそこのところの計算はできているのですか、こういう問題についてどうなんですか。
  77. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) ですから、ただいまここに資料を持ち合わせておりませんので、正確にどれだけの利益のあったかということは、これはこの場で申し上げるわけにまいりませんけれども、一番いま国鉄の経費の中で大きな比重を占めているのは人件費でございますから、人件費でこれだけのものを浮かしたということは、これはかなりの節約になっているということはこれは確信を持っていえる。したがって正確な数字については、これまた先生御指摘のとおりいわゆる投資の費用も考えなければなりませんし、減価償却も考えなければいけません。いろいろな面と彼此相殺して、結果がどういうことになるかということになりますが、その点の正確な数字はちょっと申し上げられません、こう言っておるわけであります。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは資料を出していただきましてね、資料を出してもらえないと、この論議がなかなか具体的にならないわけですけれども、単に人員を減らすのが目的みたいなかっこうになってはまずいのですがね。  結局は仕事の能率、それから経済効果はどうかという、あなたたちの立場に立って考えたって、それはどう貫かれておるかという問題なんでしょう。したがって、まずその資料を出してもらえるかということを聞きましょう。
  79. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 非常に計算が多岐にわたりますのでむずかしいかと思いますが、研究いたしてみます。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 それを出してもらわなければ——総裁ね、これはやっぱり国鉄の経営の姿というものを、明確にきわめることはできないのじゃないですか。いまの、どうも非常にどんぶり勘定みたいになっていますよ。人員だけはこれだけ浮かした、投資のほうはどう、設備投資のほうはどうか、それとの関連で全体的な検討をしなければ、国鉄の経営というものは明確にならぬわけですからね。したがって合理化、合理化で人員削減にだけ向けられている目というものを、もっと全体の面から、われわれは当然これは決算の立場からも検討しなければならぬ、だから、総裁ひとつ答えてください。
  81. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 国鉄としては、たとえば保線の仕事だ、いままでならまるで人海戦術のような重労働をやっておった、ところが、これを機械化する、それによってとにかく労働を軽くすることができる、そうしてまた合理化になる、そのときには、そのときどきには、決定するときには、プラス・サイドがどのくらい、マイナス・サイドがどのくらい、こういうことにしてやっておるのでありまして、その清算というものは、いままで国鉄としてはやっていない、やってなくてもいいと思う。大体これは常識でわかるんですよ、普通の専門家から見れば。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 いつもの総裁の煙に巻くみたいな答弁が始まったんだけれども、それはそうばかりはいかぬわけですよね。これはとにかく、最初は予定を立てる、その中で実際やってみた、その結果についてこういう結果が出た、これについて比較検討するというのは当然やっているけれども、ここでの答弁で、総裁らしいいまの答弁で煙に巻こうとしているが、そうはいきません。したがって、先ほど資料を出してくれるということでございますから、できるだけ資料を出してもらいたい。なぜそういう心配をしているかというと、実はこういうことがあるわけですよ。昭和四十一年の十一月、国鉄発行の「国有鉄道」というのを見ますと、長瀬経理担当理事は次のように述べている。「今までの合理化というのは主に外注方式なんですね。これは人間の数を押えるだけです。過去において外注することによって職員の数を押えたのですが、経費としてはそう変わらないのです。」これは実際仕事を担当した人の経験談としてこういうことが語られている。そうすると、人員を削減するためにほかにやったが、全体の経費としてはそう変わらないというようなことになって、結局人員削減のために外注に出した、しかしそう大した変わりはない、こういうことになりますというと、これはやっぱり問題じゃないか、こう思うのですがどうなんですか、そこは。
  83. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) ちょっとお尋ねいたしますが、いまのあなたの記録はいつなんですか。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 昭和四十一年十一月、「国有鉄道」。
  85. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) だれがそういうことを申したのですか。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 長瀬経理担当常務理事。
  87. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 座談会の発言は、これは必ずしも正確に伝えていないと私は思うのでありまして、そう変わりはないと言っていることは、全然同じであるということとは違う。実績において、昭和四十一年度の私どもの外注の場合の経費の節減を調べてみますと、大体一三%ぐらいの節減になっております。これは事実でございます。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 これも数字を出してもらいたい。あれだけ長年国鉄を自分の一生の仕事としてやってきた労働者、そういう人たちに対して相当いままで何回にもわたって整理が行なわれてきたわけでしょう。そういう犠牲を出してまで近代化ということでございますけれども、そういう形の中で実際は経済効果があまりなかったということでは、ここはやっぱり検討する必要が出てくるわけでしょう、この点は。だから、そういう点からいうと、私はほかに目的があるような気がするんですね。合理化というのは、結局われわれがここで問題にしなくちゃならないのは、何のために、だれのための合理化かということなんです。合理化合理化といいますけれども、結局これでもうかっているのは輸送機器、建設、一般機械、電気製品などの、そういう大資本の利潤追求はこれでされていますね。これは非常にもうかります、国鉄というのは。とにかくそういう形で外注会社が国鉄自体を食っているということさえ非常に大きな問題になったんでありますけれども、そういう連中はこれでもうかります。しかし、結局このしわというのはどこにいっているかというと、結局整理の対象にされる労働者にいっているのじゃないか。しかもその結果は、あまりたいした経済効果はなかったということになれば、この点については、私は、基本的に国鉄の経理そのものを正確に明らかにすることが必要だというふうに考えるわけですね。その点はいかがでしょう。
  89. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) お答えいたしますが、国鉄が自分でやっておった仕事を、これを外に出すときには、自分でやる時分にはどのくらいかかる、外にやる時分にはどのくらいかかる、そうして、その品質の点においてどうとかといういろいろな条件を勘案してやるのでありますが、そのときに、よほどのマージンがないとやらぬ、こういうことにしておるのであります。中には予想をはずれて経済計算においてマイナスがあったという例があるかもしれぬ。これは私は例外だと思う。しかし、この点はわれわれは相当慎重にやっておるということで、ひとつ岩間さんにも十分頭に入れておいてほしいと思う。何もこれによって、さっきも私が言ったように、労働者の負担になるわけじゃない。何が労働者の負担になるか。つまり、それは君間さんの根本的な誤謬なんです。何もわれわれは五万の人間を合理化したからといって首にするわけじゃない。いいですか。その点はあなた認識を欠いてもらっちゃ困る。それが、アメリカあたりの鉄道で二人運転のやつを一人運転にするというようなときには、それだけ首になっちゃう。国鉄は首にするのじゃない。どういうわけかというと、要するに、われわれはその作業時間を一週間に二時間短縮する。それによって二万人の人を浮かす。さらにまた第三次計画の結果輸送力というものはふえる。それによって人間は三万人になる。この五万人という人間が必要となるならば、いまの四十七万の人間をそのままにしておいて、わきから持ってくるか、これが可能か、あるいは四十七万人のうちから合理化によってしぼり出して、そうして配置転換によって五万の人間をやるか、こういうことなんで、絶対に首にするのじゃないのだ。こういうことはあなたの認識を新たにしてもらわなければ困るのだ。そういうようなことは国鉄はしませんよ。組合あたりは、この合理化によって労働量がふえる、あるいは輸送の安全が危機に瀕するとか、さらにまた国鉄のサービスが悪化するというが、とんでもないことなんだ、これは。一体輸送の安全を犠牲にするなんということをわれわれに向かって言うならば、それは釈迦に説法だ。私は絶対に輸送の安全を犠牲にしてほかのことをやらない。いまのあなたの頭の中にある首ということは絶対いかぬ。アメリカあたりで二人乗りを一人にするということは結局一人を首にするわけだ。国鉄の場合はそうではない。この点はひとつあなたの認識をお変え願いたいと思う。  それから、いまさっき申した、実際に計算してみたらマイナスになる。これはわれわれ神様じゃない。マイナスということがあるかもしれない。しかし、これは全く例外であって、大体において私は間違いなくいっていると思います。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ総裁、そう言われますが、これはお釈迦さまでも御存じあるまいということばもあるんで、実際現実の姿を見ているかというと、そうでもないんですね。なるほどあなたは混雑したラッシュの電車なんかに乗っておられ、その点は私敬意を払っておりますけれども、ほんとうに労働者の姿というものは、われわれはずいぶん触れて見ているのですけれども、そういう点からいきますと、いまのように犠牲がないとかなんとかということ、これはあとで私やりますけれども、そういう点、これは結局合理化の結果がどうなるのか、だれがふとって、だれが一体そのしわを受けているかということは、相対的に見る必要があるわけですね。私は、ここで国鉄が一千億円の投資をした場合、これは業者との需要増がどういうふうになるかというちょっとした資料がありますが、それを見ますというと、この一千億の内容は、木製品が二十一億円、石油が三億円、セメントが五十四億円、鉄鋼が十八億円、それから一般機械が百二十四億、電気製品が百十一億、輸送機器が四百億、建設費が百八十一億、電力費が四億、用地費が四十二億、その他が四十二億、これでまあトータルが一千億というふうになっているわけですけれども、こういうふうに見ていきますと、やはり電機メーカーとか、それから輸送機器会社とか、それから建設会社とか、こういうところが非常にこれは膨大なやはり国鉄の仕事をやることによって利潤を受けている。当決算委員会で一番やはり大きく問題になっているのは、いつでも指摘事項の中でやはりこの外注会社でしょう。外注会社に対して、あるいはまた一部の、国鉄と非常に深い、しかも歴史的な関係を持ってきた石炭とかその他の資材のそういう会社が、実はこれは外注を受ける場合に、やはり市価よりも高い、もうそういうもので受けているという旧弊は改まっていますか。これはいつでも当委員会で指摘されてきているわけでしょう。結局そういう結果において利潤というものは、やはりいま言ったようなところの会社にいきますよ。そしてそれによって合理化、機械化が進められる。機械化は全面的にそれでもって、その立場から機械化そのものが絶対悪いんだと、こういうことを言っているわけじゃありません。しかし、それがいま言ったようにどのような形の合理化かという点ですね、そこのところ私たち非常に大きな問題になると思うので、いまのお話でありますけれども、われわれは肯定することはできない。
  91. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) これは私は電機メーカーとか機械製作会社だとかいうもののために弁ずる必要があると思う。岩間さんの話によるというと、外へ注文しないで、結局自分でつくったらいいじゃないかと、こういうことだと思う。そういうことができますか。一体そんな力は国鉄にありませんよ。また、それだけのものを国鉄がやろうとしたらたいへんなお金がかかる。そしてわれわれが外へ注文するということは、結局自分でやるのに比べて安くつくから、それでいいものが、少なくとも同じものができる、あるいはいいものができると、こういうつまり確信のもとにやっておるんでありまして、その値段やなんかについても、彼らがこう言うから、こういうその値段で受けるという、そんな甘い条件でわれわれはやっているわけじゃない。これは当期にいたしましても、すべてそうなんですが、国鉄というものはちゃんと積算済みのものをつくっている。どのくらいの工事費が一体適切なものであるか。たとえば地方で注文させる場合においても地方で積算をつくらせまして、それを本社へ持ってきて本社の積算委員でそれを検討して、この値段でやれと、それから入札の結果、それが高ければそれをまけさせるんだ。どうしても不可能だという場合にわれわれ考えて、なるほどこれは譲歩してあげなければならぬという場合には譲歩いたしますよ。けれども、向こうの言いなり放題にやるなんという、そんな手ぬるいことは国鉄としてはやっていません。ことに積算ということに対しては、会計検査院が非常にやかましいんだ。そういうことで、これはことに岩間さんに申しておくんだが、たとえば工事やなんかをします工事会社なんかにしても、みんな国鉄におった人間が行っていますよ。そういう点から、国鉄の人間から見れば、工事会社に入って働いている人が先輩なんだ。それだから、先輩と後輩の間であるがゆえに、何か変な話ですが、まとまりやすいのですが、それは、われわれはその状態というものはよく頭に入れておいて、そうして戒めなければならぬ。同時に積算というものを押えるこれが非常に力になるのですよ。決して、国鉄の注文なんというものは、そんな甘い条件でやっているものじゃないということをひとつ御認識を新たにしていただきたい、と私は思うわけであります。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 従来しばしばこれが指摘されて、また改善したあとが著しいものがあるかというと、なかなかそういうことにはなっていないと思うのです。もう依然としてそういう問題は残っている。  私は聞きますけれども、配置転換それから職種転換をする、当然これは労働者に影響が出てくるのですが、その配置転換によって、住宅問題が非常に重大な問題になってくると思うのです。また犠牲を、さっき与えないのだということを言われますけれども、犠牲を与えないならば、たとえばこの住宅問題についてどういった具体的な対策をとるか、伺いたい。
  93. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) その質問、ちょっと痛い質問であります。ということは、まず五万人の配置転換をやるためには、できるだけ苦痛のないようにするというのですが、どうしても、たとえばいままで自分の家から通って仕事をしておった人間が、配置転換をやられたために自分の家を去ってほかに住宅を求めなければならぬ、そういう、いわく何、いわく何で相当なこれは配置転換というものに付随して労務者に気の毒な点があります。それでもそういうことのあれですね、犠牲を受くる人間というものは職員局あたりの計算によると、まず一割だ。それに対しては、われわれとしてはできるだけの緩和をするということを考えなければならぬ。だからまずもって住宅の問題だとかあるいは職種の変更、それに対しては、できるだけ本人の希望を聞いてまいる。そうしてまた、自分の家を去ってほかに転ずるというような場合に、住宅はこっちで世話してやるというようなことで、できるだけ緩和する。これによって全部ができるというわけではございませんが、まあしかし、それくらいのことは職員として忍んでもらいたいということで、これは私は、岩間さんの言われることに対しては全然否定するわけではございません。一部は肯定しても、それに対しては緩和策をできるだけとる、こういうことで善処しておるのであります。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 ぼくたちの立場から言えば、こういうことが先になって、ぴしゃっとそういう対策ができて、その上に立って考えられるというのならこれは違ってきますが、これはあと考えて、先に基本線はこういうふうにやっている、それから起こるいろいろな問題については、あとでどろなわ式でやるというから、いまのような御答弁になる。それではどうですか、たとえば若い労働者だったら技術を修得するということもできます。ところが年をとった人の中には、もう新しい技術を習得することができない人もいる。それに対してそんならどういう対策を考えておられるか、この点についてもさっき犠牲がないと言っていますけれども、実際は引き続きもうほとんど一生を国鉄で送っている人がいるわけです。三十年、四十年、国鉄でただ一筋にその道でやってきている人がいる。そういう人がいま技術を習得するのだということで、結局それに対する対策が十分でない、あるいは間に合わない、この点はどうですか。
  95. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 先ほど総裁が申しましたとおり、配置転換の数は、五万人が配置転換になるわけじゃなくて、詳細に検討してみますと約五千人くらいの者が配置転換になるという計算になっております。この五千人の中で、先生の御指摘のあったような、高齢者が一体どのくらいあるかということになりますと、これはもうきわめてわずかな数になると思います。わずかではありますけれども、お説のとおり確かにそういう老齢といいますか、老齢といいましても、これは五十五歳より若いわけでございますけれども、わりに年をとった者がおるわけであります。そのわりに、年をとった者にいたしましても、必ずしもほかに適職がないわけではございませんので、できるだけ本人の希望も聞きまして、その適職に配置するということを十分考えてまいりますし、また、どうしてもほかの仕事につけようがないという者に対しましては、必ずしも無理やりに強制的に配置転換をするというつもりは当局としては持っておりません。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 一割だから五千人だ、それでその中に老人の方が非常に少ない、こういうトータルの上に立っていけばそういうことになるのですが、いまの答弁のようになるのだが、これはやられる身になって考えてみればどうなりますか。たとえば五千人のうちの三分の一は千七百人ですが、千七百人という人のこれは老後の生活の問題、しかもそれはやはり技術習得といっても、なかなかいままでずっと一筋でやってきているのですから、しかも年齢的にはもうこれはできないような人だってあるわけです。そういう点についてはこれは配慮というものが十分だということは言えないと思うのです。  それから次に、さらにいまの国鉄労働者の中には、自分の家を勤務地にしている人が非常に多いと思うのです。これは私がくどく申し上げる必要がない。結局さっきも話がありましたけれども、奥さんが農業をやって、そして主人が国鉄につとめておるというような、これはあなたたち調査があるかどうか。あったら教えてもらいたいのですが、これは非常に多いのですよ。したがって、これは配転によって通勤距離が非常に長くなる。そうすれば当然そこに起こるのは、これは住宅の問題と、それから教育の問題ですね、子供の。こういう問題についても、これはきめのこまかい対策が一体考えられておるのかどうか、ここのところをお聞きしたいのです。
  97. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) その点も、先ほど総裁がちょっと触れておりましたとおり、勤務地が変わります場合に、これは距離にもよりますけれども、やはり住宅を別にしなければ勤務が無理だというようなところは、これは当方の責任において宿舎をつくっておりますから、現在。したがって、その配置転換の数に見合うだけの宿舎を確保いたします。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは計算できておりますか、そういう問題について。
  99. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) できております。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはちょっと当委員会にも示してもらいたいのですけれども、結局そこのところが十分に労働者を納得させていない面があるのじゃないですか。新しい技術が習得できないために、前より悪条件の職場に移される。そういうことについて納得できる条件がない限り、やはり合理化そのものを労働者は簡単に受け入れるということには、これは自分の生活を守る立場からいけないのですからね。そういうものについての明細な何か出ておりますか、対策、この青写真出ておりますか。
  101. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 青写真が出ておるか出てないかという問題よりも、実は今度の近代化の問題に関しまして、私どもが組合と話し合いしましたのは、初めは十五項目あったわけであります。それで今日に至りまして問題は一つだけ、一人乗務の問題、電気機関車、ディーゼル機関車の一人乗務の問題が残っておりますが、あとは全部解決いたしておるのであります。解決いたしておるということは、組合のほうにおいてもすべてを了承したわけであります。労働条件についても了承いたしたわけであります。一人乗務の問題については、これは配置転換を必ずしも伴う問題ではございません。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはディーゼルの一人乗りというのは、もう少し詳しく説明してください。
  103. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 電気機関車、ディーゼル機関車に、いままで機関士とそれから機関助士と二人乗務いたしております。大体機関車に二人乗務しておるという形態は、これは蒸気機関のなごりでございまして、蒸気機関車の場合は、これは確かに一方において石炭をくべるいわゆるかまたきの仕事をしながら機関士の仕事をする。これは物理的に不可能であります。したがって、二人乗務がこれはもう歴史的に認められておる。しかしながら、電気機関車、ディーゼル機関車になりますと、ほとんど電車、ディーゼルカーと構造的には全然同じでございます。したがいまして、これは運転は一人でできる、助士を必要としないのであります。そこで、この際私は、電気機関車、ディーゼル機関車については、乗務する者は機関士一人にしてもらいたい、こういう提案をしたわけであります。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はしろうとでそこのところ専門家じゃありませんから、よくわかりませんが、いままで二人乗っておる。かりに非常に激しい労働量の中で、それから交通量が非常にふえているのですが、そういう中でこれは事故を起こすということはありませんか。たとえば心臓麻痺を起こすとか、そういうような事態のとき、これについての対策はどういうふうになっているのですか。これは単に労働者だけの問題じゃなくて、安全の問題が伴なう問題です。
  105. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 一人乗りにするか、二人乗りにするか、これはだいぶ問題があるのであります。たとえばいい例をあげますと、総評の岩井君が私のところに来て、総裁、二人乗りを一人乗りになぜするか。いや一人乗りにしたってちっとも安全の点については危惧することがないのだ、国鉄のいままでの事故の統計から見るというと、二人乗りのほうが一人乗りよりは事故が多いのじゃないか。安全運転からいうと変わりはないのだ。岩井君いわく、一つものを二つ目で見るよりは四つ目で見たほうが安全じゃないかと、こう言う。そういう点から言えば、それじゃ六つにしたらどうだ、なお安全だということになるかもしれない。私はその議論には不賛成だ。なぜならば、とにかく健全な目であれば二つ要らぬ、一つでいい。問題はそのうしろにある精神ですよ。精神なんです。だから国鉄は機関士をつまり採用するときには、心理的に見てこれは確かかどうか、こういうことをたんねんに調べるのである。そうして、さらに機関士になってからも、ときどき調べる。要するに問題は、目でなくてそのうしろにある精神だ。それも、とにかく幾ら健全な精神であって幾ら健全な目であっても、これはあまりオーバーワークすると疲れるでしょう。そうすると、せっかくの健全なる精神が健全なる精神でなくなっちゃう。それでどうするかということになる。そこで、つまり国鉄の運転士規則としては、ハンドルを握る時間、これが一番の精神を集中し、精神を使う時間である。これをハンドルを握る時間を長くすることはいかぬ。そこでオーバーワークになる。そこで事故を起こすのだ。そこで、どういうことになっているかというと、国鉄の規則からいえば、とにかくハンドルを握っている時間というものは一日に四時間だ、昼間が。夜は三時間半。しかもそれを一ぺんにやらぬ。途中で休ませる。こういうようなことになっておる。この四時間といい三時間半という時間というものは、私はずっと、この間専門家からの数字を見せてもらいましたが、世界で国鉄が一番短いのだ。そういうことで、何も二人乗りを一人乗りにしたって危険な程度になるわけじゃない。現に電車にしてもあるいはディーゼル車にしても、ちゃんと一人乗りでやっているじゃないか。とにかくあの電車なんというものは、長い距離のやつに対してはいま二人乗りのやつをやっています。けれども、そうじゃないやつに対しては一人乗りだけれども、一日やっぱり四時間、昼間は。夜は三時間半だ。結局それは、いま二人でやっているのは間違っているのだ、一人でいいのだよということで、これは国鉄としては、とにかく輸送上の安全ということを頭で判断した結果、二人乗りを一人乗りにしようということにしているのでありまして、決してこれはいま岩間さんが心配されるようなことはないのです。たとえばアメリカあたりなんて、この問題で非常に大きな問題ありましたよ。たとえば、ニューヨーク・セントラルあたりで、結んで解けざること数年間だ。そこで組合のほうとしては、あれはつまり蒸気機関車ですよ、前は。あれが結んで解けざること数年間、とうとう大統領に相談いたしまして、大統領が国会に命じて仲裁委員というものをつくらして、そうして裁定を下した結果、とにかく蒸気機関車二人のやつが、これはディーゼルですからして、ディーゼルのほうになった場合には運転士は一人、こういうことになった。どうして一体組合がああいうようなことに非常な大声疾呼してざわざわやるかといえば、結局彼らのいわゆる合理化といえば、首になるということなんだ。国鉄はそうじゃないのだ。それはもう決して首にはしないのだ。そういう点から申しまして、はたしてそれが輸送上安全であるかどうかという一点から考えて、私としては一人乗りで足りる、こういうことで一人乗りにするのでありまして、輸送の安全というものに対しては何らのマイナスになるわけじゃないのだ、こういうことを私は申しております。  それから病気の問題につきましては、これは私が説明するよりは井上君が説明したほうが権威あると思いますので、井上君から説明いたします。
  106. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 別に権威はございませんが、少し事務的に御説明申し上げます。  先生心配になるのは、運転士がたとえば突然失神した場合にはどうなるかという御心配ではなかろうかと思いますけれども、たとえ運転士が失神いたしましても、前途の信号が青であれば列車は進行して差しつかえない。前途の信号は赤である場合にこれは危険を生ずるわけであります。前途の信号が赤であれば、ATSを全線に張りめぐらしておりますし、また車両の設備も整っております。事前にこれは自動的に赤の信号に対しては、とまるんであります。決して先生心配になるような事例は起こらないのであります。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 だいぶ技術的な話がありましたが、しかし総裁の話の中には精神でと、そういう説明がありましたね。二つ眼——二つと四つの話があったわけだが、精神主義だけでなくて、いまの問題もう少し検討する必要があくまでもあると思いますが、こういう事例については、いままでに何かあるんでしょうか、そういう調査したというあれが、いままでの長い間に。二人乗っている、一人失神をして交代をやった。そういうことでやった例もあることだろうし、いままで一人で乗ったことはないわけですから、それについての確率というのはどういうものでしょうかな。
  108. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) いままで一人で乗ったことはないとおっしゃいましたけれども、これまた完全な誤解でございまして、現在すでに電車、ディーゼルカー、列車等におきまして、八割は一人でやっております。二割が二人乗務、二人乗務の場合と一人乗務の場合の事故発生率を見ますと、逆に一人乗務のほうが事故発生率は少ないのでございます。これはごくわずかではございますけれども、少ない。したがって、私どもは一人にしたために二人よりも安全だとまでは申しませんが、しかし、二人と一人とは安全度においては変わりがないということは確信を持って言える。したがって、それならば、いまの合理化の段階において二人乗りを一人乗りにしてもらってもいいじゃないかと、こういうことでございます。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは何か科学的に、実際は実験とか、そういうことの実績はあるんですか、いままでの経験の集積からきておるんですか、どうなんですか。特にこれはどこかに科学的な調査を依頼して、その上で結論が出ているんですか、どうですか。
  110. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 国鉄においては事故の統計を、過去鉄道始まって以来年々とっておりますので、その事故の発生の件数から調べれば、そういう数字は出ているということでございます。これは確かな事実でございます。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点われわれの杞憂になればいいわけで、私もこれはしろうとだから、この点あれですが、ただそういう心配を持たれている現実、合理化の中でそういう心配を持っていますからね。これについては慎重に対処する必要があるだろう。とにかくこういう問題で、昭和四十一年度の日本国有鉄道監査報告書を見ますと、こういうことが書いてあります。「業務の近代化の進ちょくの結果として生ずる配置転換については、職員の能力を十分発揮しうるよう積極的に努力するとともに、必要な転換教育の充実、宿舎の整備等職員が意欲に満ちて働けるような態勢の確立についていっそうの配慮が望まれる。」、こういうことを指摘しているわけですね。この監査報告についてどういうふうに見解を持たれ、また、これについての対処をどうしておられるかお伺いいたします。
  112. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) これは私がさっき申したことと、ちっとも変わってない。これはもう職員の配置転換というものに対しては、十分に配慮し、そして職種の変更というものについても、同時に配慮いたしまして、決してなまはんかな人間を違ったところへ移すということは絶対しない。宿舎の問題なんかについても十分に配慮すると、これはさっき申し上げたとおりであります。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 宿舎に対する対策とか、それから子供の教育——教育の場が変わる、それから通勤距離は非常に長くなるとか、こういう対策についての何か当局で出されておる方策はありますか。
  114. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 冒頭に申し上げたと思いますけれども、本社、本部間で団体交渉で取りきめましたことは、原則的な事柄をきめたのでございまして、あと地方の局と地本との間の団体交渉事項に移ってまいるわけでございます。したがって、岩間先生御指摘のような問題は、今後地方において具体的な問題として取りあげてまいる、こういうことでございます。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 さらに、その結果を集積して、やっぱり国鉄の中央としてこれに対する対策のようなものは、はっきり確立する必要があるんじゃないかと思うんですね、地方だけにまかしておるということで、この問題は解決つきません。  ついでに具体的にお聞きしますが、機関助士を今後廃止する、これは各年度別に何人減らし、その職員をどこに配置転換するのか。民間委託によって何人の職員があくのか、その職員はどこに配置転換するのか。こういう合理化に伴うところの人員の配置転換のちゃんと方策はできているわけですね。この資料はもらえますか。
  116. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 先ほど申し上げているとおり、原則的なことを本社、本部間で取りきめているのでございまして、あと地方の団体交渉によって具体的な数が出てまいるのでございます。ここでその数を申し上げたり、またあとで調べるといいましても相当な時間がかかると思いますので、いま数字を申し上げるわけにはまいりません。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 計画は持っているでしょう、各地方におろすといったって。計画はあるでしょう。これはどうですか。
  118. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 計画と申しますのは、たとえば一人乗務の問題であれば、一人乗務を認めるか認めないかということの問題でございます。それで、一人乗務を認めるとすれば、しからば一人乗務の乗務キロをどのくらいにするかという問題でございます。具体的なそれによって出てくる人間をどうするかという数の問題は、地方の対策になると思います。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 みな地方にまかせるというわけですか。方針ははっきり立てておくということじゃないんですか、本社のほうで。
  120. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 具体的に配置転換のやり方なり数については、これは地方の問題であると申し上げているわけでございます。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 本社の方針というものが、大まかでもこれがあって、それが地方でやはり具体化されるということだと思うんですが、そうすると、またケース・バイ・ケースで団体交渉をやって、そこできまった線でこれはやっていくというんですか。最初は大きな見込みはあったんですか。アウトラインでも何でもつくっていなければ、あなたたちの意図するところは出ない。全体として国鉄の予算を年度別に組んでいる。そうして国鉄業務というものは地方に分散して、そこのケース・バイ・ケースでやっていくのだということになれば、これはやはり全体の大もとを握れないじゃないですか。いまそこからいろいろな問題が起こっているんじゃないですかな、矛盾が。
  122. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 私どもは、計画を立てます場合の大体の目安の数字は、それは持っております。しかし、その数字に当てはめてどうこうするというわけではないのでございます、問題は。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、実際実情に合わして大きく計画を変更することもあり得る、こういうわけですね。大体の見込みだと、その見込みをこれは地方におろしてみたら実情に合わなかった、そうすれば、やはりそこにいろいろな条件、あるいは労働者の要求もあるだろうし、実情に合わない、そういうことで、かえって非能率的に国鉄の運営がされる、そういうようなこともあり得るだろうと思うので、それはそういうふうに考えてよろしいですね。あくまでも最初の一応の目安だと、こう考えてよろしいですね。
  124. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 数については目安だと申し上げているのでありまして、近代化の方針なり計画そのものについては、ぐらぐらしているわけではございません。数について目安を立てたというわけでございます。数は変わるかもしれません、多少は。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこのところが分離できるかできないか、ここで議論してもしようがないけれども、分離できませんよ。数が、やはりそういう方針を決定するか、方針をやはり大幅に変更させるか、そういうことになるわけですから。  次にお伺いしますが、こういう問題どうですか、総裁。国鉄では争議権を奪っているわけですな、いままで。ところが民託をやるというと、民間の会社は争議権があるわ。そういうことがあるわけでしょう。そうして同じ仕事をしていても、国鉄労働者の場合は争議権を行なうことができないが、これが民託の場合だと争議権が行なわれる。この間にやはり一つの私は大きな矛盾があると思うんですが、この点についてはお考えになっていますか。
  126. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) それは一見そういうふうに見えますが、事実はそうじゃないんです。つまり国鉄というのは、この業務の性質上ストライキなんぞあった日には、これはいかに多くの人に迷惑をかけるか、そういう点からして法律でもってストライキというものの禁止をしているわけです。争議というと、これは岩間さんの言うお考えだというと、ただ争議権を取られただけだと、こういうような考えがあるんですが、事実はしからず、これに対する救済方法として仲裁裁定というものがあるんですよ。つまり一番争議の大きな問題になるのは毎年相変わらずベースアップの問題、これにつきましては公務員と同じようにちゃんと仲裁裁定というものがありまして、これにはちゃんと労働者のほうもそれからまた国鉄の側、さらに中立側によってきわめて公正な裁断を下しておるのでありまして、この辺に対しては、国鉄はこれはもう不服でもこの仲裁裁定に対しては絶対に服従してそのとおり実行すると、こういうことなんで、私はストライキ権を取った償いということで、仲裁裁定というものでやっている、私はこれは非常にいい制度であると考えております。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点について時間がありませんから論議しません。これは論議がずいぶんあるところで、これはもうほんとに公務員の場合も同じですが、公労協の場合ですね、われわれ最初からこれは議論したところですから。こういうやり方で争議権を奪っておいて、しかもほんとにそういうものにふさわしいだけの反対給付が行なわれているかというと実際はそうじゃないんですから、われわれこれは了承できないんですが、しかし、その他民間の場合は争議権あるわけですね。そうすると、国鉄はどうですか、仕事をやっていくときに、民間で争議がたとえば起こって工事がおくれると、こういう事態に対して民間の争議、たとえば工事を請け負わすときに条件として、これは争議を行なわないというようなそういう条件をつけたりすることがあるんですか、どうですか。
  128. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 確かに国鉄でやっておれば国鉄の職員は争議権はない。ところが、それを外注いたしました場合には、これは民間でありますれば民間は争議権がある。この問題は先生御指摘のとおりでございますが、これは立法論的にはいろいろ問題があるところだと思います。したがって、この問題に対しましては公務員制度審議会で十分論議されることになっておりますので、私は事の是非は申しませんが、現状はそれはそのとおりでございます。そこで、先生御指摘の、しからば外注した場合に民間のほうでストライキをやったらどうするか。民間でやらせるのにストライキをやらせないように何か義務づけるか、あるいは約束させるかというようなお尋ねでございますが、これはもう法律的にできないと思います。しかし、私どもが外注を出します場合は、かりに外注に出しました相手方の会社の職員がストをやりましても、国鉄の本来の輸送に直接支障を与えるような業務は外注に出さないことにいたしておりますので、これは支障は出ないものだと私どもは考えております。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 鉄監局長が急いでおられますから、先にそれじゃお聞きしますが、琵琶湖の西のほうを通る湖西線の拡張で、山科それから大津ですか、あの辺でずいぶん拡張問題で騒いでおりますね。この実情はどうなっているのか。実に私もあそこの実情を聞いて——これはその人たちの意見を聞いたわけですけれども、新幹線で立ちのきを命ぜられた人たちがあそこにずいぶん居住しているわけですね。それがまた今度立ちのきというようなことで、ずいぶんあそこの山科の駅の付近のところで騒いでおるわけですが、これはどういうふうに処置するのか、この点についてお聞きしたいと思います。
  130. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) ただいま御指摘の件につきましては、詳細私どもでまだ報告を受けておりませんので判然といたしませんが、工事の用地買収その他の段階で、あの辺につきましては現在交渉はしておるところでございまして、相当騒いでいるということにつきましては、遺憾ながら私報告はいただいておりません。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 聞いておりませんか、あなた方のところに陳情に来ないですか。私は現地でその実情を見たのですが、これはたいへんな問題を持っておるわけです。ここで詳細をやる時間がありませんが、これはいま言ったようなやり方は、総裁どうですか。新幹線で立ちのきをさせられた人が移っておる所が、そこがまたやられておる。
  132. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) それは新幹線のためじゃないでしょう。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 新幹線のためじゃない。今度は湖西線の拡張ということで、ずっと居住地の所をみなやられる、重ね重ね。こういうことについて、これじゃもうしょうがないのじゃないか、ほかに方法を検討してくれという意見が出ておる。これはどうですか、そういう調査は国鉄のほうではどうですか。
  134. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) これは国鉄は新幹線をつくるにつきまして、ほかに移ってもらうということにつきましては、国鉄はどうしたって工事を遂行しなければならない。それがために私どもも好むと好まざるとにかかわらず、何とかしなければ困るというので、ずいぶんこういう問題についての交渉というものはいやな交渉ですが、とにかく一応納得してもらって移ってもらった。その後不幸にしてそういうようなことが起こったということは、これは実際お気の毒には感じますが、この問題については、やはり新しい責任者に問題を解決していただく以外に方法はないと考えております。
  135. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 岩間君、予定時間がきております。ひとつまとめるようにしてお願いします。
  136. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは現地を調べればそういうことにはならないので、実際何回もそういう国鉄の方針に協力をしてきた、そうして立ちのきをした。それでせっかく移ったのに、また今度は再びそこを立ちのきを命ぜられるという、そういう実情がある。こういう点について十分に実情を調査して、これに対する計画というものも再検討する必要があるのじゃないかと思いますが、これについて、時間がありませんから、その詳細についてはこの次に、しかもこれは運輸委員会のほうでいいですが、報告してもらっていいです。運輸委員会でまたやりますから。ですからこの計画についてはどういうことか、それについてどういうふうに動いておるか、その計画だけは一応何か資料として出してもらいたいと思います。いまの湖西線をめくる、あそこの大津駅と山科駅−滋賀県の境の所、ここで問題が起こっておる。そこで反対の期成同盟ができて、相当下からの動きがあるわけですから、これについての資料をひとつお願いいたします。  もう一つ、昭和四十一年、四十二年の国鉄の運送原価計算書、これは出してもらえますか、これを資料としてほしいのですが、この点いかがですか。
  137. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 山科付近の問題につきましては、さっそく当方で調べまして御報告申し上げます。
  138. 岩間正男

    ○岩間正男君 決算委員会に出してもらえますね、こちらいかがですか。
  139. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 四十二年度の決算がまだできておりませんので、資料はできないと思います。
  140. 岩間正男

    ○岩間正男君 一年はいいですか、四十一年はできているでしょう。
  141. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 現在作製中でございます。
  142. 岩間正男

    ○岩間正男君 なるたけ早くください。いつごろ出ますか、四十一年ですから。出ないですか。
  143. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 井上さん、四十一年はできているだろう、いま四十一年度決算やっているんだから。
  144. 井上邦之

    説明員(井上邦之君) 四十一年度は出すことにいたします。
  145. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 本日の審査はこの程度にとどめ、散会いたします。    午後四時散会      —————・—————