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1968-03-15 第58回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十五日(金曜日)    午前十一時十七分開会     —————————————    委員異動  三月十四日     辞任         補欠選任      片山 武夫君     瓜生  清君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀田 得治君     理 事                 田村 賢作君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 岡  三郎君     委 員                 木内 四郎君                 黒木 利克君                 佐田 一郎君                 佐藤  隆君                 菅野 儀作君                 高橋雄之助君                 中村喜四郎君                 小野  明君                 大橋 和孝君                 大森 創造君                 沢田 政治君                 瓜生  清君    国務大臣        通商産業大臣   椎名悦三郎君    政府委員        警察庁保安局長  今竹 義一君        防衛庁長官官房        長        島田  豊君        防衛庁人事局長  麻生  茂君        防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君        防衛庁経理局長  佐々木達夫君        通商産業政務次        官        熊谷太三郎君        通商産業大臣官        房長       大慈嘉久君        通商産業大臣官        房会計課長    井上  保君        通商産業省企業        局長       熊谷 典文君        通商産業省化学        工業局長     吉光  久君        通商産業省鉱山        局長       両角 良彦君        通商産業省石炭        局長       中川理一郎君        中小企業庁次長  沖田  守君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        大蔵省主計局司        計課長      北田 栄作君        大蔵省関税局監        視課長      鈴木 邦一君        大蔵省国際金融        局企画課長    熊田淳一郎君        通商産業省重工        業局次長     本田 早苗君    参考人        中小企業金融公        庫総裁      佐久  洋君        中小企業金融公        庫理事      新井 真一君        日本開発銀行総        裁        石原 周夫君        日本輸出入銀行        副総裁      藤澤徳三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十一年度特別会計歳入歳出決算昭和四十一年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十一  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和四十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  三月十四日、片山武夫君が委員を辞任され、その補欠として瓜生清君が選任されました。     —————————————
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) これより昭和四十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は、通産省中小企業金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行ないます。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 沢田政治

    沢田政治君 去る二月二十日に、JISマーク表示許可審査を受けておって、通産省管内に不正、汚職が発生して司直の手が入ったようでありますが、その経過ですね、大体新聞等承知はしておりますものの、その発端と経過を簡単にここでお述べを願いたいと思うのです。
  5. 大慈彌嘉久

    政府委員大慈嘉久君) お答えいたします。  JISマークに関しまして、はなはだ遺憾な事件でございまして、申しわけなく存じますが、JISマークは、御承知のことと思いますが、日本工業規格という制度でございまして、鉱工業品につきましてJISの指定を受けた品目があるわけですが、そういう品目につきまして、JISマーク製品に打ちたいという製造業者許可を申請いたしまして許可を受けますと、その製造業者製品JISマークを打つことができる、こういう制度でございます。そのようなJISマークを打つことを認める場合の工場の審査の際に供応を受けた、それから金品の提供を受けたのではないかということで、御指摘のような司直の手が入った、こういう事情にございます。  本年の二月五日に大阪で収賄の疑いで大阪通産局関係係官取り調べを受けまして、その後、本省のほうからも取り調べを受ける係官が出た、こういう事情にございます。現在のところ、逮捕されましたものが四名、そのうち三名が起訴されたという状況にございます。
  6. 沢田政治

    沢田政治君 私は、こういう不正、汚職が出た、その点についても問題があります。また、その制度のあり方についても問題があります。それにも問題がありますけれども、それ以上に重要なことは、二月の二十日に、この件をめぐってかどうかわかりませんが新聞記者会見でたまたま綱紀粛正について質問があったようでございます。その際にいろいろなやりとりが、応答があったようでありますが、通産大臣が、問題はこまかいとか小さいとか、こういう発言をしたということは、全国に中央紙が一斉に報道しているわけであります。表現の違いがあっても非常に問題を過小視しておる、こういうことはもうはっきりしておるわけであります。その後にどういう心境の変化かわかりませんが、弁解はしておるようでありますが、弁解したとしても、しかし、行政責任者である通産大臣が、汚職、不正、腐敗、こういうものに対して小さいとか、こまかいとかと言った事実は、私は消えるものじゃないと思うわけであります。そういうことを言ってあれは本心と違うと言ったとしても、その事実は私は消えないと思うわけであります。以下、これからたくさんの方方が通産行政に対して質問があると思いますが、特に綱紀粛正に対する大臣のこの発言というものは、今後の質問に対しても重要な影響を持つと思うわけであります。したがって、当時どういうことを言ったのか、どういう本心で言ったのか、どういう心境で言ったのか、当時の状況をここで再現してもらいたいと思うんです。国民は非常に注目しておると思うんです。
  7. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 記者会見のほとんど終わりごろでございました、この問題について、ある記者から質問がありまして、まことに残念なことであるがと、こう言って、金額はどうせたいしたことはないだろうと思うと言ったところが、何かそれに対して一つ反応が、その場の空気によってちょっと誤解を生ずるような反応感じられたので、しかし、少ないからということが問題の軽重には関係ない、そういうことをちょっと話した。そうしてその場は終わったわけです。  それで私の真意は、JISマークやなんかに関して多額の金品が提供されるというようなことは、これは常識上からいってもそう一たまにはあるかもしれませんが、わずかの金で非常な、一生を棒に振るようなことになる、そういったような意味を込めて私は話したつもりでございます。それがいかにも少しばかりじゃないか、どうでもいいじゃないかというような態度のようにもし伝わったとすれば、これは私の真意を伝えたものじゃない、そのことだけははっきり申し上げたいと思います。
  8. 沢田政治

    沢田政治君 どうもあなたの言っていることは、私はわからぬですよ。私も東北人だからはっきり言えませんが、あなたもおとぼけの名人ということですが、一体真意はどこにあるんですか。最初あなたの答弁を聞くと、何か金額が小さいと思って言った。それが変な空気にふくらんで誤解されると困ると思ったとか、何かわけのわからぬことを言っていると思うんですよ。不正、腐敗汚職というものは、金額の小さい大きいに関した問題じゃないんですよ。たとえば、比較することは悪いと思いますけれども、二人殺人をしたからこれは悪人だが、一人だからいいということにはならぬと思うんですよ。特に国民政治をやる立場にあって、行政をやる立場にあって、金額が小さいからたいしたことじゃないと思ったとかですね。そういう感覚自体が私は重要な問題だと思うんですよ。はっきりですね、金額多寡は別としても、自分行政管内にこういう不正、腐敗汚職があったならば国民にわびなくちゃならぬという気持ちがあるならば、ここに明確にすべきだと思うんですよ。抽象的なことじゃ、私納得できません。もう一回答弁願います。
  9. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) よく私の話を聞いていただきたい。私は、金額が小さいからたいしたことじゃないと、そういうことを言ったわけじゃないです。わずかの金ですね、というようなことで私はことばを切ったつもりなんです。ところが、そのときの反応が、何かちょっと誤解を皆しておるなというような感じをしたものだから、金額多寡じゃないと、問題は。不正はあくまで不正、そういうことをつけ加えて私は話をした。それがどうも新聞には載ってなかったようです。そういうことで、金額が小さいんだからたいしたことにはならない、問題にする必要はないという気持ちを持って私は話したんじゃない。妙な誤解を受ける可能性がちょっと空気でわかったものだから、それですぐあとことばを足して、金額多寡によって問題が評価さるべきものじゃないということをはっきり言っておるんです。それがどうも伝わらなかったのは、まことに私としては残念でございますが、そういう意味でございます。
  10. 沢田政治

    沢田政治君 JISマークはですね、この品物は非常にいいものである、政府もこれを保証しますという、いうなれば、あの三日月の顔というのは政府の顔ですよ、これは。それが金によって左右されておるということになると、国民に対する私は詐欺行為だと思うんですよ。これはりっぱなものですよ、政府も保証します、安心して買いなさい、こういう保証をしておりながら、それが事実は逆であった、金によって取引されておったということになったならば、結果的には、消費者である国民に対して、政府自体一つ詐欺をしておった、こういうことに私は相なることはもう当然だと思うんですよ。それであなたとこれ以上この問題について私はやりとりする気はありませんが、率直に悪かったなら悪かったと、こういうことを、ここで明確にこの場からやはり国民に対して、あなたの心境というものを、立場というものを、基本的な考え方を明らかにしてもらいたいと思うんです。
  11. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私のことばが十分に伝わってなくて誤解を受けた点をさして御質問があったから、その点だけを申し上げました。  この問題に関する私の考え方は、まことに遺憾な事実である、事柄の全体は目下司直の手によって調べられておりますから、その結論によってはっきりすると思いますが、いずれにいたしましても、かような事態の発生はまことに遺憾である。その行政の衝に立っている私としてはまことに申しわけない。以後かようなことが再び発生しないように十分に部内の粛正と規律の厳正を保つように心がけてまいりたいと思います。問題は、要するに官吏たるものの心がまえの問題だと思うんであります。それからまた、具体的にこういう仕事に関する現行制度というものに何かゆるみがもしあって、そのゆるみによって非常に誤りを起こしやすいというようなことがありますれば、これはすみやかに改正したいと思っております。
  12. 沢田政治

    沢田政治君 まあこの件については、これで一応終わりましょう。  次に、私、質問したいのは、硝安油剤爆薬のことです。決算委員会硝安油剤爆薬のことを聞きますというと、ちょっとちぐはぐな感じを受けると思いますが、国の予算の効率的な使用、こういう面では非常に重要な関連を持つから、私あえて聞きたいと思うわけであります。従来、たとえば国の直轄工事であれ、国がこれを請け負いさせる場合、契約をする場合でも、ほとんどの建設あるいは運輸各省にわたる工事には火薬が必要であることは、これは事実であります。おそらく、従来の火薬といいますと、常識的にダイナマイト、カーリットというのが常識じゃないかと思うわけであります。ところが、ここ数年前から硝安油剤爆薬というような、ノーベルがダイナマイトを発見して以来非常にいろいろな変遷をたどってきたわけでありますが、画期的な火薬爆薬が誕生しておるわけであります。これを使用すると、いま現在の値段から考えましても、約半分ぐらいの値段爆薬使用ができるわけであります。膨大な国の予算の私は節減になると思うわけであります。おそらく、私の調査では、いまアメリカ、カナダ特にアメリカ等では七〇%が従来の火薬にかえて硝安油剤爆薬に切りかえておるんじゃないか、こういうように私としては考えます。ところが、日本にも数年前からこれが開発されておるわけでありますが、既存火薬業者、まあ大体大手が四社ですね、四社か三社です。四社か三社で九〇%以上のシェアを握っておると思うわけであります。この既存火薬業者産業火薬界と申しますか、こういう業者自分利益が減ってくるので、極力革命的なこの硝安油剤爆薬を押えようとしてきた傾向があるわけであります。私は、まあここで議論になると思いますけれども、これに対して通産省も極力火薬業界利益をおもんぱかって、急速に硝安油剤爆薬略称アンホといいますが、アンホを押えよう、こういう傾向をたどってきたんじゃないかと思うんであります。したがって、いまアンホ使用するならば、もちろん民間土木あるいは採石、石灰、金属鉱山、至る分野において非常にコストダウンになる。そういう爆薬がいまあるんだという事実をお認めになるかどうか、この点を御答弁願いたいと思うんです。
  13. 吉光久

    政府委員吉光久君) 御指摘いただきましたように、従来のダイナマイト火薬に比べまして、硝安油剤アンホと略称いたしますけれども、アンホがきわめて安いものであり、同時にまた、この普及が望ましいことがあるという点につきましては、いま御指摘を受けたとおりでございます。過去の事例でございますけれども、これは先生すでに御存じのとおりに、昭和の三十八年ごろから試験的な製作が始まったわけでございますけれども、その後、年を追いまして爆薬の中に占めますアンホの地位も大きくなっておりまして、昭和四十年で一〇・七%、四十一年で一一・四%、昨年の昭和四十二年に至りましては、爆薬の中の二二・四%がアンホで占められておるというふうに、相当大きな伸び率を示してまいっております。また、需要部門で申し上げますと、いまの——昭和四十二年でございますけれども、いま御指摘ございましたように、石灰石鉱山関係が一番大きゅうございまして、全体の四五%はアンホを使っておる。また、それに続きましては鉱山関係の三五%、それから一般土木工事関係が二〇%程度というふうな状況になっておるわけでございまして、このアンホ普及というものは、急速に普及してまいっておるというふうな状況ではないかと思っておるのでございます。
  14. 沢田政治

    沢田政治君 あなたは非常に急速に普及してきておると言いますけれども、私としては非常に緩慢だと思うのです。もっともっと普及率が早くてもいいと思うのです。といいますのは、あなたもしろうとではありませんので、私はあえて聞くわけでありますが、従来の火薬と違って、膨大な先行投資なり、設備投資なりをしなくちゃならぬものではありません。非常に原始的に、ある意味で言うならば、手工業的につくれるわけです。硝安と軽油を、硝安九四に対して軽油を六%混合させることによってそれが爆薬になるわけです。すぐこれは置きかえることができるわけです。特にあなたも、何か政府委員かなんかで前に、昭和四十一年三月四日の商工委員会に来ておったわけであります。そのときも私あえて申し上げたわけでありますが、当時の局長に対して、これは決して鉱山とか石炭とか、そういう問題だけじゃない。国の事業に対して相当予算というものを効率的に使用させる意味において大きな影響を持つものであるから、ただ単に火薬業界利益を守るというだけが通産行政のすべてではないだろう。つまり、技術革新、そういう産業の発展に伴って、やはり国の利益というものにこれを還元させなければならぬと。だから、これを急速に普及することにつとめなさい。こういうことを私言ったわけであります。全くそのとおりだと、努力します、と言っておりますけれども、いま述べたくらいの数字では、努力あとというものは見られないと思うのです。努力したとするならば、どこにこれを努力したかということです。私、過般建設委員会で、こういう爆薬があるんだが知っておりますか、こういうことを建設省にお聞きしました。ところが建設省では、そういうものがあるということはかいもくわからぬ、こういうことなわけであります。同じ政府部内でもわからぬわけです。ましてや、他の民間業者請負業者にどういう普及をしましたか。同じ政府部内でもわからぬのだから、具体的にこれを普及させるための努力をしたならば、具体的な証拠をあげてもらいたいと思うのです。
  15. 吉光久

    政府委員吉光久君) 政府といたしまして、アンホ普及という意味での宣伝はいたしておりません。これはいま御指摘がありましたとおりでございまして、政府が旗を振ってアンホというふうな宣伝はいたしておりませんけれども、実際の問題といたしまして、火薬業界ではアンホが非常に安いものであるということについての努力はいたしておるのではないかと思うわけでございます。なお、政府といたしましては、実はこのアンホ自身につきましても、さらに安く製造できるということが望ましいと考えておりましたので、先般来自治省と相談いたしておりまして、先ほどお話しございましたような、この原料で使います軽油につきまして、軽油引取税を免税していただくということにつきまして、自治省とも内々話がきまっておりまして、おそらくこの四月一日から実施されるというふうな見通しになっておるわけでございまして、やはりこういう基礎原料でございますので、できるだけ安いほうがいいという意味で、いまは、先ほども申し上げましたような軽油引取税についての免税措置というふうなものについて、具体的な措置をとってもらうよう、現に話が進んでおるわけでございます。
  16. 沢田政治

    沢田政治君 化学工業局という役所は一体どういう役所ですか。所管する産業利益を守る、そういうことだけじゃないでしょう。やはり最近の技術革新によって、科学の発達によって非常に安価なもので安全に供給でき、しかも危険度の少ないそういうものが日本に輸入されつつある、開発されつつある、そういうものをやはり関連産業に教えて、そうしてものを安くつくり、そうして国際経済競争力に力をつけるためにそれを培養する、これは当然じゃないですか。そういうことを政府は何も、何というか宣伝したことはないし、その必要がないというようなことを言っておられるわけですが、ちょっと私は役所の存在を疑うわけですがね。特に国の金でたくさんの事業をやっているでしょう、直接の予算であるなしは別として。開銀融資でたくさんの公社、公団がそういう土木事業なり建設事業をやっている。そういう場合、やはり予算を合理的に、効率的に使うためには、こういうものがありますよ、ということをやはり普及するなり教えるなり、それを使わせるようにするのが、あなたのほうのお役所のこれは任務じゃないですか。
  17. 吉光久

    政府委員吉光久君) まさに御指摘のとおりでございまして、私どもも、いわゆる安いものがあるということについての、あるいは危険度から申しましても、従来のダイナマイトに比べまして危険度は少し低いのでございますけれども、そういうふうなものがあるというふうなことについて、さらに積極的にそれぞれの関係方面に御連絡するということは当然やるべきことであるというふうに、まさに御指摘いただきましたとおりでございます。したがいまして、さらに今後こういう問題につきまして、機会あるごとにアンホ使用につきまして努力してまいりたいと考えます。
  18. 沢田政治

    沢田政治君 大臣、まあ最近政府が口を開くと財政の硬直化と盛んに言っておりますが、これは国民責任じゃない。歴代の自民党の政府責任であることはこれは明らかです。そういう場合において、いま私申し上げているような、爆薬について、建設行政あるいは運輸行政あるいは通産関係電発関係でも非常に安くできるわけですよ、そういう爆薬を使ったならば予算の節約ができるわけですよ。そういうものをやはり普及し、予算の面でもそれを置きかえていく、こういうお気持ちはおありですか。もちろん、これは産業火薬のほうから相当抵抗があることは事実です。はっきりした名前はあげることができませんけれども、これは私これを言い出すたびに、火薬会社の、政治家に顔がきくといわれる大物の方々がちらちら顔を出すようでありますが、やはりこれを使わせる気があるのかどうかですね。その点、大臣から御所見をお伺いしたいと思うのです。
  19. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 通産省は、こういう製造基礎あるいは技術の向上、そういったような点を培養、育成いたしまして、そうしてこういうものが現実に世の中に普及して国民利益を一そう高めるということを目的にして生産のほうを、主として生産を担当してきているわけであります。でありますから、これを広く宣伝するという行政機能はございません。ございませんけれども、その基本の生産について、できるだけの便宜を計らい、少しでも安い、少しでもいいものをつくらせるようにいま指導する、そこに重点を置いておりますが、その結果、非常にりっぱなものができれば、これは役所として、機会あるごとにそういう点を周知させるようなことはもちろんやるべきだと思っております。これは決して悪いことじゃない、非常にいいことなんでございますが、しかし、そのために特別に普及宣伝するというような機能は、化学工業局にも、そういう機能を特別に高めよという意図で予算を取るとか、そういうことはしておりません。
  20. 沢田政治

    沢田政治君 まあ火薬使用するすべての産業に対して、これを使うことによって非常にコストが下がる、こういうことは、やはり政府としても、宣伝するかどうかは別としても、それを奨励していく立場がなければこれはいかぬと思うわけであります。ところが、奨励とか宣伝じゃなく、これを押えておるわけなんですよ、現実に。やはり民間のほうは、お役所が日の丸じゃないから、いかにコストを安くするかということは知っておるわけですよ。そういうことで金属鉱山等でも、最近こういうものをどんどん使用しつつあるわけです。ところが、今日金属鉱山に大部分が——三五%くらいですか——使っておるわけじゃないのです、相当抵抗があったわけです。昭和三十八年に、金属鉱山のある会社が集まって協同アンホというような、それぞれ投資して、硝安油剤爆薬をつくる会社を設立したわけでありますが、その際も無条件で通産省がそれを認めたわけじゃないわけです。念書というものをとって、これを使ってもいいけれども、外には決して売らぬでくれよと、あなた方だけこっそりそれを使ってくれよと、こういう念書をとって認めたことは、これは事実なわけであります。これは通産省産業火薬利益を守るために強引にとったのか、協同アンホが自発的に出したのか、水かけ論になりましょう。しかし、私の関係者から聞く限りにおいては、既存火薬業者の強い利益の圧迫によってそういうものがなされたというように私は聞いております。理解しております。今日においても、当時より若干は、もうやはり石油と石炭関係のように押えても押え切れないという気にもなっておるようです。当時よりはきびしくないようでありますが、しかし、今日といえどもやはり化学工業局は若干それを押えておるのですよ、これを。たとえば日鉄鉱業——といいますと岩手県にありますが——の釜石鉱山で自家消費用にこれをつくっていますね。ところが、同じ福島県にも鉱山があるわけです。そこの鉱山は使ってはいかぬと、同じ企業内でありながら、岩手県の釜石鉱山以外は使っちゃいかぬというワクをはめておるわけです。これは土木工事でもそうですよ。非常にまだまだこれをぐっと使わせないようにしておるということは、これは一体どういうことですか。どんなに善意に理解しても安いもの、安定度の高いもの、安全度のあるもの、それをやはり押えておるということは、還元して言うならば、既存産業火薬利益を守るという以外にないのじゃないですか。
  21. 吉光久

    政府委員吉光久君) いまの岩手県の日鉄鉱業の釜石鉱業にございますアンホ工場でございますけれども、現状におきましては、釜石だけではなくて、八茎のほうにも現在出しておるわけでございまして、私どもといたしましても、このアンホが安い——先ほどお話しございましたように爆薬でございますので、この普及を妨げるというふうな方法で問題を処理するということは正しくない、こういうふうな観点の上でそれぞれのケースにつきまして処理してまいりたい、このように考えます。
  22. 沢田政治

    沢田政治君 じゃ、日鉄釜石の件は、それでわかりました。まだ例があるのですよ、大館の協同アンホが、去年ですか、当時ミトンであった日産許可量を五トンにしてくれぬかと、こういうまあ許可を申請したわけですね。その場合になぜか、結果的には四トンの許可をしていますね。一トンを削っています。なぜこれを一トン減じたのか、業者が適法な手続によってこれだけつくりたいというものであるならば、火薬取締法違反、その他の関連法規において合法性があるならば、私企業をなぜそういうように押えるかということです。やはりその意図というものは、産業火薬利益というものが背後にちらちらしておるからにほかならぬと思うのであります。かてて加えて、協同アンホに対しては、鉱山以外に売ってはいかぬというワクはまだ取り払っておらぬようですね。鉱山であろうが、採石であろうが、土木であろうが、安い材料を使ってコストを安くさせたいというのは当然だと思うのですよ、企業の努力として。なぜ鉱山だけにそれを制限しておるのか、その理由はどういうことですか。
  23. 吉光久

    政府委員吉光久君) いま御指摘いただきました会社につきましては、先ほど御質問の中にございました設立当初におきまして、ある程度のいざこざがあったという点、まことにそのとおりでございまして、念書問題等もあったわけでございますが、実は昨年の段階におきまして、さらにこれを操業いたしますという時間において、この念書問題につきましては、これを全部先方のほうに返しまして——役所で預かっておりました念書につきましては、これは会社のほうにお返しいたしました。したがって、その関係につきましては、役所としてはもうタッチしないというふうな態度を表明いたしたわけでございます。で、いまの四トン、五トンの問題でございますけれども、この協同アンホ株式会社の経営基盤というふうなところから見ましても、従前のミトンでは少ないというふうなことで、私どもも積極的にこれをふやすという方向でものの考え方をいたしたわけでございます。先ほど先生のお話しございましたように、現実の、現在の産業火薬業界というものがいま非常に大きく動きつつある状況でございます。一方におきまして、従来の爆薬の主たる消費者でございました石炭産業が、いまのように生産量がずっと落ちておりますので、それに伴いまして需要がずっと落ちておるというふうなことでございまして、私ども、一方におきましてアンホ普及体制をとりますと同時に、他方におきまして、爆薬業界におきますスクナップ・ビルドとでも申しますか、従前のような生産のあり方、流通機構のあり方というふうなものについて、抜本的な改善を加えなければならないというふうに感じておるわけでございまして、決して産業火薬業界を保護するためと申しますよりか、産業火薬業界自身の新しい構造改善というものが円滑に進むということをも一方念頭に置きまして、アンホ普及も同時に並行的にはかっていかなければならないのでなかろうか。一方において、爆薬業界の爆薬生産数量はだんだんと落ちておるわけでございますが、それによりましてあるいは企業閉鎖等がどんどん出てまいるということも好ましくないというふうに考えておるわけでございまして、生産行政といたしましては、やはりいいものが普及していきますと同時に、悪いものがだんだんと戦線を後退いたしますが、摩擦をできるだけ少なくしてやりながら合理化への方向に進んでまいるというふうな場合をも念頭に置いたわけでございまして、私ども実は強制的に、この会社につきまして生産量を拡充するということが好ましくないという態度ではなくて、むしろ徐々に生産量を上げていってもらうほうが好ましいことではないか、このように判断いたしたわけでございます。
  24. 沢田政治

    沢田政治君 大手の——日本カーリットは大手に入るかどうかわかりませんが、その他の三社ですね、この三社は体質改善をしようと思えばできるわけですね。火薬のみをつくっている会社ではないのですよ。日本火薬にしても、火薬利益というのは非常に部分的にすぎないのですよ。火薬だけであるならば、すぐアンホ爆薬、つまり硝安油剤爆薬に切りかえるということになると相当問題が起こってきますよ。だけれども、やろうと思えばこれはできるのですよ。たとえば企業の操業の中に占める火薬の部分というのは非常に小さいですよね。やろうと思えばできるのですよ。ところが、火薬を四社、三社でシェアの九〇%も独占しておったという過去の夢を追うて、夢よもう一度、ということでなかなかふん切りがつかぬのですよ。そのためには何といっても協同アンホ等でどんどんこれをつくっておるならば、これの製造にワクを加えるべきじゃない。また、他の鉱山会社あるいは土木会社でも、大量に使うので自己消費のためにこれをつくりたいといったならば、適法な手続があるならば、どんどんこれを認めていくべきだと思うのですよ。そこにおいて初めて既存火薬業界も夢よもう一度、全く独占の味をいつまでも忘れないという、そういう古い考え方から脱皮できると思うのですよ。そういう方向をとってもらいたいと思うのです。ところが、たくさんひっかかるところがあるわけです。何かある業界の新聞に東邦亜鉛の対馬鉱山というのがありますが、ここで九州本土から離れ、むしろ釜山のほうに近いところなわけですよ。厳原のあるところの、そこの鉱山で、爆薬の輸送代というのはこれはばく大なものです。普通の荷物を送るのと違います。倍の輸送賃、運賃がかかるわけです。とても耐えられないから現地でつくりたい、対馬でつくりたい、こういう申請があるやに聞いております。これに対して鉱山局は、やはり鉱山の合理化、国際競争にうちかつ、そういう力をつけるという立場から、鉱山局は、いいだろうとこう言っておるらしいけれども、化学工業局は、保安上問題があるとか治安上問題があるとかいって渋っているやに聞いております。そう書いておりました。これは一体どういうことなんですか。
  25. 吉光久

    政府委員吉光久君) いまお示しいただきました新聞は私も拝見いたしました。実は新聞に記載いたしてありますような事実はないわけでございます。まだ申請も出ておりません。したがいまして、もしこの会社のほうから申請がございますれば、保安上の措置が十分にできているかどうかという点についての審査をいたしました上で、それがいまの保安の規則に該当いたしておるということであれば、その方針に沿って処分いたしてまいりたいというふうに考えております。
  26. 沢田政治

    沢田政治君 そのとおりにしてくださいよ。そうでない傾向がいままであまりに多いのですよ。ぼくは、結局どっちの肩を持つとか、そういう意味ではなくて、安い材料を使って物を安く仕上げ国民に安く供給する、そういう立場から私これを聞いているわけですからね。  そこでもう一つ、私は技術的な問題でお聞きしたいことは、硝安油剤爆薬という名前になっているけれども、私は、これは爆薬ではない、爆薬の定義に入らぬと思うわけであります。爆剤ではあるけれども、補助剤であるけれども爆薬ではないと思うわけです。ところが、化学工業局は、これを爆薬と同じような扱いをしているわけですね。硝安油剤爆剤だと思うのです。たとえばアンホ硝安油剤爆薬か爆剤か別として、これはそのものだけでは爆発しないわけですよ。相当高いところから投げつけても、踏みつけても爆発しないわけですよ。つまりダイナマイトなんかの起爆剤を置いて初めて爆発するわけですね。だから私は、安全度からいって、これだけ鈍感な、敏感でない鈍感な爆剤はない、補助剤はないと思うわけです。たとえば最近金嬉老という朝鮮の方がダイナマイトとライフル銃で非常にショッキングな事件を起こしたわけでありますが、むしろ私は、あの際にアンホであったならばあんなに驚きふためく必要はないわけであります。硝安油剤爆薬、そのほかに起爆剤のダイナマイトも手に入れなくちゃならぬ、雷管、導火線。こういうことになると、簡単にこれは、何というか、できないのですね。なぜこれを爆剤とアメリカ並みに扱わないのか。ここにも何か産業火薬利益が出てくると思うわけですよ。爆剤ということになると、これはだれでもつくれるようになるわけです。そうなると、既存火薬業界が困るわけです。そういうことでやったのかどうかわかりませんが、そういう既存火薬利益というものを考えて、あえて、アメリカではこれを爆薬扱いにしないものを、爆薬にしたのか。その化学的な根拠をちょっとお聞きしたいと思うのです。
  27. 吉光久

    政府委員吉光久君) いまのアメリカのお話でございますけれども、アメリカにつきましては、国として強制力のございます火薬関係の法規がないわけでございまして、州ごとにそれぞれの州の事情に応じまして、規制の強弱のある、強いのもあれば弱いのもあるというような規制が火薬全体について行なわれ、また州によりましては、火薬につきまして全然規制のない州もあるわけでございます。また同じように、大量に使用をいたしておりますカナダにおきましては、これは一般の火薬類と同じに爆薬として取り締りを受けておるようでございます。私どもも、この爆発性、危険性という点からいきますと、従来のダイナマイト等よりは落ちるわけでございますけれども、先ほどお話しございましたように、起爆剤を用いるとか、あるいはいろいろな補助手段と申しますか、そういうものが合わさって初めて危険性が出てくるという面もあるわけでございますけれども、ただ硝安だけでも、全然危険がないというわけのものでもございませんので、したがいまして実際の保安、取り締まりの設備基準でございますとか、あるいはいろいろの規制の様式等につきましては、一般の爆薬より簡素な形での規制を加えておるわけでございまして、話聞きますと、実はアメリカでも、このアンホ爆剤が運搬中にあるいは製造中に爆発事故を起こした例はあるというふうに伺っておるわけでございまして、性格的に硝安自身が、爆発度の問題はございますけれども、やはり爆発性物資であるということでございますので、いまの火薬類取締法の規制の中で危険物として取り扱ってまいるという方向はこのまま存続していく必要があるのではないであろうか、このように考えておるわけでございます。
  28. 沢田政治

    沢田政治君 この問題であまり時間をとりたくないと思いますので、この程度でとどめます。ただ、この爆薬か爆剤かということについては、技術的に私も相当問題が残っておると思いますが、この程度で終わりますが、最後にこの問題に関連して、大蔵省の主計局の方、参っておりますね。私先ほどの論議の中で明らかにしたように、アメリカ、カナダ、フィリピンとたくさん使っているのですよ、これをね。そして、政府が直接契約するものもあるし、それ以外の公社、公団ですね、開銀融資等によるそういう工事等についても、こういう安いものがある、半分で済むものがある、こういうことだけ知っていただきたいと思うのです。    〔委員長退席、理事岡三郎君着席〕 たとえば、先ほど日鉄鉱業という例が出ましたが、従業員わずか千名内外のところで、昭和四十二年度の爆薬代が五千万円節減できたそうです。あそこの株主配当金一割くらいですかな、非常なものですよ。これは国の予算でもこういうことを考えて、やはり工事をやる場合には極力それを使用させると、こういう方向にいったならば、私は関連工事建設事業費の大きな節減になると思うので、これを理解願いたいと思うのです。特に皆さんのほうは予算をつくる原局ですから。まあ何か所見があったら一言言ってください。
  29. 北田栄作

    説明員(北田栄作君) ただいまお話のございましたアンホ爆薬につきましては、建設省関係で行なっております工事につきましても、たとえば関東地方の矢木沢ダムの採石場の工事とか、あるいは東北地方の三陸国道トンネルの工事等におきましては、試験的部分的に使用しておるということを聞いております。専門的な詳細の点については私存じませんが、この爆薬は、いまおっしゃいましたように、いろいろ利点もある一方、たとえば吸湿性が高いために、水分、湿気の多いところでは使用に適しないとか、あるいは爆発後のあとガスの発生が多いというようないろいろ問題もあって、建設省としては、まだ全面的にこれを採用する確信を持つまでには至っていない、こういうようなことを聞いております。ただ、建設省といたしましても、いろいろ今後データを集め積極的に研究をしていきたい、こういうような意向のようでございます。もしそういった問題が解決し、保安上もいろいろ問題がないということであれば、そういったような低廉な価格のものが使用できるとすれば、そういうものについても採用することが適当だと、こういうように思います。いまの先生の発言の趣旨は、十分上司にも伝えたい、こういうふうに存じます。
  30. 沢田政治

    沢田政治君 いろいろ難点があると言いますけれども、民間が現に使っておるわけですよ。建設省のある幹部も非常にこれは常識的にしか知っておらぬですよ、私考えると。もうすでに——吸湿性に富むということはあります、これはそういう弊害があります。ありますけれども、すでにいまダイナマイトのように、チーズのようにして、石油化学のポリエチレンか何かで包装して、全然防湿できるような方法でどんどん使っているのです、これは。ただ、産業火薬のほうでこれはいろいろ普及したくないもので、吸湿性とかあとガスとか——あとガスといっても、鮮度が高いならば、混合した当日使えば問題がないのですよ。五カ月も六カ月も経過したあとで使うから問題があるのであってね。そういうことはここで言っても始まりませんでしょう。そういうことは別にしてお伺いしたいと思うわけであります。  三月九日の各中央新聞に、金の密輸、たくさん年じゅう出ておるわけでありますが、社会面をにぎわしておるわけでありますが、特に私は重要だと思うのは、日本鉱業株式会社日本で産銅で言いますとトップメーカです、一番大きいこれは会社、産銅メーカーであります、産銅会社です。この会社が、報道はまちまちでありますが、一トンといっているし、またその下の報道をしておるところもありますが、いずれにいたしましても、大量の密輸金を——金メッキの原料に使うために密輸金を仕入れた、こういうことが新聞に出ておるわけであります。もちろんこのことが事実であるならば、これは関税法違反です。特に私は、関税の問題だけではなく、金管理法に基づいて大蔵省、通産省行政責任もあると思うわけであります。零細な町工場の、金の加工業の零細業者が、やみ金がなければ仕事ができないために、悪いと思いながら買っている、これも悪いのですよ。それと非常に比重が違うわけですよ。年間十億も二十億ものような利潤をあげているような会社が、国法を犯してこういうやみ取引をするということは、これはもう重大な問題だと思うわけであります。  最初に私は、事件の概要よくわかりませんので、警察の取り締まりのほうの関係の方が来ておられると思いますから、もちろんいま捜査の段階でありますから、私は重ねてこれをどうなっているこうなっている、聞きません。いままでの差しつかえない範囲、やはり事件の端緒、経過、こういうものをかいつまんでお知らせ願いたいと思うのです。
  31. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) ただいまお話のありました件は、昨年の十月ごろ大阪府警で密輸金ブローカーを、いろいろと密輸金を取り扱っているという事件を捜査しておりましたところ、その一つとして、御指摘会社課長が密輸金を買っておったことが判明いたしたのでございます。御指摘会社の新製品開発課長昭和四十一年の七月ごろから四十二年の五月ごろまでにかけまして、利谷金属という会社から、いままでの警察の捜査によりますと、大体七百三十七キログラムぐらいの密輸金を買っておる、こういう事件でございます。
  32. 沢田政治

    沢田政治君 なぜ金がこういうように密輸をされるか、いろいろな議論もあるでしょう。日本鉱業の問題は別としても、非常に加工業者が多いわけです。その加工業者が生計を維持するためには、やみ金を使わなければ、これは仕事ができぬ。仕事の継続ができぬというのは常識になっておるわけであります。やみ金を使っておるだろうということは、公然たる秘密になっているわけであります。なぜこういう状態が出てくるのか、私は結果を責めることも必要です。しかし、日本鉱業の場合は論外ですよ、トップメーカーがこういうことをするんだから。零細企業、零細加工業については、罪は罪として憎むとしても、そういう結果が招来する、こういう情緒において私はわかるものがあるわけであります。したがって、なぜこういうやみ金というものが出てくるのか。需要供給の関係、価格の関係、こういう点があると思いますので、結果のみを責める前に、私はやはりその動機なり、動機というか、動機をつくる原因、こういうものもやはり追及しなくちゃならぬと思いますので、大蔵省の国際金融局からちょっと御所見を伺いたいと思います。
  33. 熊田淳一郎

    説明員熊田淳一郎君) 密輸が行なわれます原因につきましてはいろいろあると思いますが、一つは、従来国内における金の量が足りなかったということ、それから一つは、国内の金の価格と国際価格との間に相当な開きがございます。密輸をすれば、相当利益が出るというふうに考えられておる。こういう二つの理由があるのではないかと思っております。この密輸が非常に顕在化してまいりましたのが昭和四十年ごろでございます。そこで政府といたしましては、できるだけ供給をふやしていかなければならぬということで、ます最初に、終戦時に連合軍によって接収されました接収金でございましたが、これを解除されました場合に民間に払い下げるということを四十年からいたしました。四十年から四十二年の三月にかけまして約五トンを払い下げたわけでございます。しかしながら、これでも需給関係を緩和するのには十分でないというふうに考えられましたので、昭和四十二年度からは、貴金属特別会計が外国から金を輸入をいたしまして、そうしてこれを民間に放出をする、こういうことにいたしました。四十二年度には十トンの金を海外市場から買いまして、そうして八トンを民間に払い下げる、それから来年度は、現在御審議をいただいております予算におきまして十四トンを輸入いたしまして十トンを民間に払い下げる、こういうような予定にいたしておるわけでございます。こういうふうに政府の輸入によりまして需給を緩和していけば、密輸というものはある程度防げる。もう一方では、やはり取り締まりの厳格化といいますか、こういうようなことをやらざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  34. 沢田政治

    沢田政治君 金の密輸が行なわれるということは、やはり需要と供給の関係、さらには価格差の関係、この二つが要素になっておることは、これは事実でありますが、いずれにしても、そういう措置をとっておられるかもわかりませんけれども、まだ供給のほうが需要に追いつかない、こういうところから出てきていると思うのです。これに対してやはり手を打たなくちゃいかぬと思うのですね。それと同時に、けさの新聞ではオール金のことばかりでありますが、そう簡単に金がこれはもう手に入らなくなってきていることは事実です。アメリカでも金の売却阻止をすることは明らかでしょう。これはもう時間の問題でしょう。したがって、日本では外貨準備のために金の保有量じゃない、ドル防衛に協力して、金じゃないドルで持っているわけですね。それは通貨政策のほうになりますのでよそ道に入りますのでこれには入りませんが いずれにしても、やはりそういう結果が起こっておる原因というものは、私はやはり社会秩序の上からいっても、やはりこれは何らかの措置をしなくちゃならぬと思うわけであります。それと同時に、外国からどんどんいつでも金を買えるということがそう手放しで楽観を許されぬと思うわけであります。そういうことで、やはり国内の産金政策というものもこれは必要であると思うわけであります。国内でできる限り金を掘る。南アあたりでも経済的にはペイしないのを掘っておるらしいですから、まあ南アと日本とは違うかもわかりませんが、そういう意味で、産金政策についてどう考えますか、鉱山局長
  35. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) ただいま御指摘のとおり、わが国の産金は、現在わが国の需要に対しまして不十分な事態でございまするが、各産金を行なっております鉱業会社の経営もきわめて困難な状態でございまして、これを将来の事態に即応いたしまして、何とか合理的な生産を維持してまいるというために努力を払うべきものと考えております。さような見地から、ただいま御審議をいただいておりまする四十三年度予算におきましては、産金の探鉱投資を推進をいたす基礎といたしまして、基本的な基礎調査費を計上いたしますとともに、あわせて金属鉱物探鉱促進事業団並びに探鉱補助金等を金の業界に重点的に活用していく等々の方策を講じまして、わが国の産金を今後とも維持育成をしていきたいと考えております。
  36. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 沢田君、時間が来ましたので質問をまとめてください。
  37. 沢田政治

    沢田政治君 これで終わりますが、結局、日本鉱業、しかもトップメーカーですね、中小企業、零細企業じゃないんですよ。この企業が金の密輸を公然とやったということはこれは事実です。それを首脳部が知っているか知っていないか、これはまあ司直の手によって明らかにされると思いますが、私の聞くところでは、あれだけの大量の金を、やみ金を買って、首脳部は知らぬということは常識ではないんですよ。金というのは管理は非常に厳重ですから、どれだけの金を買ってどれだけの製品が出てくるということはわかるわけだ、常識的には。これは国の資源になりますけれども、常識的に首脳部も知っておるということはこれは当然なようです。  そこで私は最後の締めくくりに態度を明らかにしてもらいたいと思うのは、決してこれは関税法違反だから司直にまかせればいいというだけの問題じゃないのです。やはり金管理法によって、大蔵省、通産省の立ち入り検査等をして、その所在等を明らかにしておくという義務があるわけですよ、金管理法に。そういう犯罪を予測してときどき調べることは不可能だという反論もあると思いますが、やはり責任があると思うわけです。どういう責任感じていますか。  さらに私はもう一つ締めくくりに申し上げますが、日本鉱業あるいは金属鉱山等に、金属鉱物探鉱促進事業団法によって、政府事業団から相当の探鉱融資をし、中小企業に対しては、新鉱床探査補助金というお金も出しているわけであります。日本鉱業並びに日本鉱業の関連会社にも融資並びに補助金が出されているわけであります。そこで、こういうような巨大な大企業が公然と法を犯してやみ金を取得した、こういうことに対して、はたして政府が補助金なり探鉱融資なりすべきかどうか、これについて私は言いません。するのはほんとうだと思うか、やはりそれを差しとめるのがほんとうかどうか、その点をお聞きしたいと思います。終わります。
  38. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それは大臣ですか。
  39. 沢田政治

    沢田政治君 大臣です、最後ですから。
  40. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 産金企業のトップに位する日鉱が、そのように密輸による金を多量に買い入れてそれを使用するということはいかがなことかと思っております。監督は強化してまいりたいと思います。  それから探鉱融資の問題は、これはまたそれとは別の問題でありまして、日本の産金政策上、中小のメーカーには、業者には補助金、それから大企業には融資と、そういうことで金鉱業の探鉱に努力をさせるというたてまえをとっておりますが、この点は、また別にこれと切り離して考えなければならない問題だと考えております。
  41. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連して。ちょうど大蔵省から来ているので一点だけ簡単にお伺いしたいのですが、その一点は、金の加工製品ですね、これを沖縄から輸入する場合において、最近において免税にするという方向がきまったのですか、どうですか。いわゆる沖縄から日本に輸入してくる場合において、金の加工製品についての免税の問題ですがね、これはだれかいませんか。
  42. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) 金の加工製品を輸入する話が出ておりますが、証紙を張りまして、沖縄の原産品であるかどうかを証明するという点につきまして、なお検討中でございまして、結論を得ておりません。
  43. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、いまの方向は、沖縄の製品であるという証紙を張るということによって、四月からこれを免税措置にするということなのですか。
  44. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) まだ具体的にいつからどうするという段階ではございません。
  45. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、端的に言って、いま言われた中で、いわゆる沖縄において加工された品であるということが証紙によってはっきりするというふうないわゆる行政上の措置ですね、そういうものが明確になった場合において免税措置をするということの方向はきまっているのですか。
  46. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) 沖縄の原産品であるかどうかということが明瞭に証明されることが必要でございますが、いつごろから具体的にどうするかということはまだきまっていない段階でございます。
  47. 岡三郎

    ○岡三郎君 きまっていない——。それも聞くところによれば、たとえば広島とか岡山等において港に揚げる場合においては、すでに免税措置が一部とられているような話があるのです。そういう点はどうなっているのですか。
  48. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) 金でございますか、金製品でございますか。
  49. 岡三郎

    ○岡三郎君 金製品です。
  50. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) そういうことは承知いたしておりません。
  51. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは、時間がありませんのでなんですが、私のほうで聞いているところによると、国内においては、すでに先を見越して沖縄の製品であるという証明があるならば、これを黙認であるかどうですか、いわゆるタックスを取らないで入れているという話を聞いているわけですが、これはお取り調べ願いたいと思うのです。そして、いままあそういうふうな話があるというと、いろいろなあの手この手で、日本の金製品というものが非常に混乱してくるのではないか。そういうふうな点で金の密輸と関連して、沖縄の金製品の輸入というものについて税を免ずるというと、御存じのように、沖縄において金を取得するのにおいては非常に安いわけですね。そうするというと、一部の商売人がこれを利用して、やはり国内におけるところの金製品というものを混乱させる心配があるのではないかと思うのです。そういうふうな点で、これはいろいろな関連があるにしても、そういうふうなことが片方において行なわれていることになるというと、金の輸入というものとか、そういうものをどういうふうに抜本的に考えていくのかということを考えていかないと、いまは金製品というものについては、ネコもしゃくしも目の色を変えているという状態ですからね。しかも、それは宝石類とか、そういうものを加工の中に入れた場合についてどういうふうになるのか、こういうふうな問題についても、いろいろ検討されているようですけれども、私の言っているのは、金の加工製品についての免税の問題について、沖縄の産であるという証紙がつけば、これを免税にするということについて、こういうものが沖縄では、いま言ったように国際的にいって、非常に国内とは比べものにならない国際的な価格で入手できる。それが証紙を一つ張っただけで、国内に免税で入ってくるという場合に、一体これはどういうことになるのか。これは最終的な方針が出ておらないようですが、そういうような行政的な結論がきまっておるということで、これはこの問題に触れたのです。これは追って大蔵省なり、大蔵省関税局にお尋ねしたいと思いますが、御検討願いたいと思います。
  52. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) 私の説明が不十分でございまして、方針がきまっておるということではございませんで、そういう問題が出ておるので、役所として検討しておるという段階でございます。
  53. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、そういう方針というものを検討されておるというその原因はどこにあるのですか。沖縄からそういうふうに免税措置をとってもらいたいと言っておるのですか。国内のある方面からそういうことを言っておるのですか。
  54. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) 制度的な問題といたしましては、関税定率法によりまして、沖縄原産品は無税であるという制度になっておるわけでございます。したがいまして、その物が沖縄産品であるならば免税になるわけでありますから、はたして沖縄でつくられたものかどうかということをはっきり証明させる必要がある、こういう問題でございます。
  55. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、現状においてもそういう措置がとられておるわけですか、現在でも。
  56. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) 現在は、金製品につきましては、沖縄原産品であるかどうかという証明がはっきりいたしませんので、そういう措置はとられておりません。
  57. 岡三郎

    ○岡三郎君 だから、私が先ほど言っておるのは、沖縄の生産品であるということが現状においてもはっきりすれば、それは免税なんですか。どうもそこら辺はっきりしないな。
  58. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) 現在はワニ皮製品、なめし皮製品等については、証紙を張って沖縄製品として免税扱いにいたしております。
  59. 岡三郎

    ○岡三郎君 金は。
  60. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) 金はそういう扱いはしておりません。
  61. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、沖縄政府なり政府が一定の指導のもとに金製品にそれを張りつけると、現行法においても免税措置はとられておるわけですね。
  62. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) 制度的に申しますと、沖縄で確実にできたものであるならば、制度的にはそういうことでございます。
  63. 岡三郎

    ○岡三郎君 だから、私がさっき言ったように、沖縄のほうで、沖縄でできたというただ証紙であるかどうか知りませんが、現状においてすでにそういう免税措置をとられておる場所があるということを聞いておるわけです。それは広島なり岡山という話を出しましたが、それは私のほうで十分調査が行き届いておりませんので、確言できませんが、お取り調べを願いたいと思います。あなたの言うことを聞いておると、証紙の問題が明確でないからやっていないと言うが、現状においても、証紙の問題が明確になれば、現行法でもできるということになっておるのですね。そうすると、沖縄のほうで沖縄の官庁が、これは明確に沖縄生産品であるということの証紙なり、そういう証明がつけば、現行法においても関税は免除される、こういうことですな。
  64. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) そうでございます。御趣旨の線に沿いまして勉強させていただきます。
  65. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それは大事な問題ですから、きちっと正確に答えてください。
  66. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは金の密輸以上の膨大なものになるのですよ。
  67. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 原産品という意味も、沖縄でできた、産出したという意味なのか、沖縄にほかから持ってきてそれに加工したものも入るのか、そういう点もはっきりしてください。  それからその広島なり岡山等にある、すでに実行されていること、それは調べるとおっしゃっているのだから、至急に調べて正確なことをひとつ報告してください。よろしいな。
  68. 鈴木邦一

    説明員(鈴木邦一君) 調査いたします。
  69. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、午後一時半まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時四十五分開会
  70. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き昭和四十一年度決算外二件を議題といたします。  通産省中小企業金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行ないます。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  71. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 本日私は、前に本会議のところで中小企業の問題についてお尋ねをしたわけでありますが、特に、それに続きまして二、三点お伺いしたいと思うわけでありますが、私は最近の状態をみておりまして、いわゆる通産行政の中で政府の側から見られますと、この年初からいろいろなところで発表されているように、日本はとにかく非常に生産が上がって、二十一世紀になれば日本の世紀だと、非常な経済の発展、あるいはまた工業生産、あるいはまた、そういうような方面では世界で一位を獲得するであろうというふうなことがいわれて、非常に大きく飛躍したことは事実だと私も思うわけでありますが、一面、国民の側から見てみますと、非常に多数を占めておるところの中小企業者はこのような景気、何といいますか、産業の発展に対して、非常な大きなパーセントを占めているところの中小企業者がいまもってどんどんと倒産をしていく。そしてその倒産のために非常に社会的には大きなショッキングな状態が起こりつつあるのだ。こういう状態を目の前に見て、私はいかに予算国民のために正しく効率的に使われておるかという観点からみて、私はそのような伸びに対して、一方でそういうような非常にみじめな状態が起こっておるということを一体だれが歯どめをして、だれがそれに対しての処理をしていくのかということに対して私は非常に疑義を持って予算をながめると同時に、予算の施行にあたって特にそうした中小企業を育成する立場にあるところの通産省においてどういうようなことが行なわれているかということに私は非常に悩みを感ずるわけであります。これをお尋ねすればかくかくでしかじかでたくさんの措置はなされておるわけでありますけれども、私は、それだけでそうした人たちがとまらないのがおかしいではないか、だれが一体そういう苦しい状態の人を助けるのだということを非常に煩悶するわけであります。そういう観点からして予算の施行を見て、もっとそういう方面にどう考えられるべきかという根本の問題が十分でなければ、これはいかに一方では大企業がどんどん大きな生産をあげて企業が発展しても、一方では非常にそれで泣いている階層が相当あるということは、私はゆるがせにならぬと思うのであります。そういう観点についてひとつ根本的な問題をもう少し、通産省でどう把握しているかということを明確にしておいていただかぬと、どうも私は心が納得いかぬわけですが、その点をまず第一点にお尋ねしたいと思います。
  72. 沖田守

    政府委員(沖田守君) 先生の御指摘になりましたような現象といたしまして、最近におきましての中小企業業界の倒産という形で非常に倒産の件数、金額ともに大きくなっておるのでございますが、特に目立ちますのが建設業界それから繊維の製造関係及び販売関係、それからごく最近になりまして一部問屋筋と、こういうふうな感じ相当出ておるわけでございまして、昨年来の倒産のたいへんふえてまいりました状態を見てまいりますと、昨年九月からの景気の引き締めの影響によるものと、もっと根本的な構造的要因によるものと二つが混在しておるのではないかと思っておるわけでございまして、少なくとも景気指標、実態の動きを見てまいりますと、この経済の実勢は好況下にもかかわらず倒産ということが非常に続いておるという点から見まして、やはり当面、金融引き締めの中でそのしわ寄せが中小企業にくることを防ぐという問題と、もっと基本的に、人手不足になった日本の経済の構造変革を円滑にしていくための中小企業の体質の改善あるいは業界をあげての構造改革構造改善、こういうふうなことに重点を注いで根本的治療ということを同時にやりながら、当面の景気のしわ寄せを防ぐという、この二面の措置が必要であろうと、こう考えておる次第でございます。
  73. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 四十一年度の通産省と大蔵省、労働省の三省の中小企業対策費というのは合計が二百九十三億でありますので、予算総額に比べるとわずか〇・七%というようなのが出ているわけであります。それで、先ほどもそうしたことで十分配慮しているという通り文句はいままでも何べんも聞いております。それから金融の引き締めだとか、あるいはまた協業化とか、いろんなことを考えておると言われておりますけれども、実際この対策費自身も非常に私は少ないのじゃないかと、こういうふうに思うわけですね。  それから同時にまた、もう一つ考えられるのは、四十一年度の通産省の中小企業対策費というのを見てみますと、八十九億であって、そしてその十一億円というのが不用額になっているわけです。このわずかしかない金が、しかも不用額になって、そして中小企業対策というのが配慮されておりますと言っておったって、どうも私は納得ができないわけです。あるいはまた、この中に、説明を聞けば、これは何かほかに充ててあったのが行なわれなかったから、それで不用額になったんだと、こういうわけでありますが、ならば、実際倒産にあたっている人たちの、あるいはまた中小企業の対策としては、それよりも、八十九億のうち十何億を差っ引いたものということにもなるわけでありますし、またこれを不用額にするのなら何かそのほかに手当てできないのか、何か答弁を聞いているのと実際にこういうものを見てみるのとわれわれは納得がいかぬわけですね。その辺のところなんかはどうなんですか。
  74. 沖田守

    政府委員(沖田守君) 先生の御指摘の点、まさに私どもも予算をふやし、いかにじょうずに予算を使い、それで効果をあげるかということに常々努力いたしておるわけでございますが、本年度の予算におきましては、全般的な財政硬直化の中でございましたために、予算の伸びといたしましては、御指摘のような点もございまして、ただ内容的配分という点ではことしはかなり改善されまして、いわゆる構造改善のための資金、あるいは技術開発のための資金と、こういうふうな内容の組み方におきましては相当効果的配分にことしは組みかえてきておるという努力をいたしております。さらに予算の面で十分でなかった点も補うということも含めまして財政投融資の面におきましては、特にこれからの中小企業の体質改善と不況しわ寄せという点からは商工中金、中小公庫、国民金融公庫、政府系金融機関の貸し付けを充実いたしたいということで、財政硬直化にもかかわらず貸し付けベースで一九%の伸びを本年度は確保いたしておるわけでございますので、政府の中小企業に対する予算、財投面の姿勢はそういう金融面をもあわせてごらんいただければ相当努力はこの苦しい中でしておるということをお感じいただけるのではないかと思っておる次第でございます。  それから、御指摘ございました四十一年度でも、中小企業対策費の中で相当の不用額を出しているではないか、そういう不用額が出るくらいならば、それをじょうずに使っていろいろな対策をしっかりやれば、こういう中小企業の倒産その他も防げるという、こういう御指摘でございますが、この点につきましては予算の目的といろいろ費目との関係もございまして、予算で計上いたしましたときには、その目的で使うというつもりでやっておるわけでございますので、全く好きなようにこの費目を流用するわけにも、この国会で御審議いただいたワクがございますので、そういう問題もございますので、むしろいいワクの組み方をして効率的に使うということが大切だと思う次第でございます。たまたま昭和四十一年度におきまして、設備近代化資金におきまして約十億近い不用額が出ておりました。これはちょうどその年生鮮小売り業の冷凍施設という、いわゆるコールドチェーンを充実したいと、こういうことで計画いたしておりました。それから液化石油ガスの保安設備というものを充実したい、こういうことで相当予算を組んでおりましたものが、初年度でございますことと、コールドチェーン全般の、野菜類を産地から冷凍して積み出していくという大きな基本的なコールドチェーンの流れが十分動きませんために、PR不足と相まって、そういう目的に使えなかったということがございました。ただ、それがかりに、そういう生鮮小売り業のコールドチェーンの施設が申し出が割りに少なかった、あるいは液化石油ガス保安設備についての県の窓口での貸し付けが進まなかったといたしましても、それをほかの近代化設備資金に流用するということは可能なのでございますが、現在では設備近代化資金の対象というものをやはり近代化目的でしぼっておりまして、しかも設備近代化資金は二分の一無利子貸し付けという特別の扱いでございますので、非常に金融ベースで借りられる程度の大きな中堅の企業にまでは貸し出すわけにもいかないと、こういうことから、ある程度の限定がございまして、また、ある府県におきましてはある程度需要があっても県のほうの予算増加が思うにまかせない、こういう事情もあってそういう不用額が生じたものでございまして、こういう点については今後十分留意して改善の努力をいたしたいと思っております。  それから、高度化資金と称しまして、工場団地、あるいは共同工場というような形で助成するものがあるわけでございますが、これも従来昨年の八月から中小企業振興事業団におきまして新しい制度に切りかえたわけでございますが、四十一年度までは中小企業高度化資金は形式上五〇%の、県と国との金を合わせまして形式上五〇%貸し付でございますが、土地の単価の査定とか、いろいろな基準がございまして、実質的には三五%しか貸し付けができない、そのために業界が協業化いたしまして団地づくりをしようといたします場合に三五%では十分でない、こういう点から予定どおりの進捗が見られなかったわけでございますが、こういう点につきましては、昨年八月の事業団発足以来情勢が相当変わっておりまして、最近では非常に申し込みが殺到しておる、と申しますのは、今度は六五%まで国と県との金で貸し付けるようにしたという制度面の改善によって、完全にこれまで、従来四十年度につきましても、今度の四十一年度につきましても、先生の御指摘の点があったわけでございますが、そういう点については今後は十分改善できると考えておる次第でございます。
  75. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 きのう私は公害防止事業団のメッキ工場のアパートを、でき上がったのを見せてもらいに行きました。私はあれを見て非常にいろいろなことを考えさせられたわけですけれども、いま答弁の中にもありましたように、だんだんそれは改良しておりますということでありますけれども、やはりそのやりやすいことをどういうふうにしてそれじゃ行なわれて、おっしゃるとおりに大企業はどんどんと経営合理化をして、わりあい安い金を相当たくさん投入することによって設備投資をしてできておるのですが、中小企業というのは小さくてなかなかできない、したがって、いまおっしゃっているような協同化というか、協業化ということで、そういうことで設備をよくしなければならぬというので、私はメッキのアパートを見に行ってつくづくそういうことを考えさせられたわけですが、あれを聞いてみたら公害事業団で全部やっちゃって、二十年か何かの比較的安い利子で売るわけです。まあいわばごく軽く、何カ年間か据え置きにして、それから払っていくわけですから非常に払いやすい、やりやすいわけです。しかし、よくいろいろな話を聞いてみると、そういういい条件があるにもかかわらずなかなかそれができていない、初めてのあれが公害防止事業団ではやられた実績で、それは将来日本傾向を示すものであって非常にいいと思うのですが、これなんかも三〇何%しか借りられない、しかもよくしてもらっても六〇何%だということで 自己資金がたくさん要るわけですが、だからして小さなところでいまつぶれかかっておる人たちが、自己資金を、集めて持っておるものがなかったらそれをやらないということで、それだけの自己資金を持っておればつぶれないわけです、つぶれない人に対しての治療をしているだけで、私が言うのは、つぶれる人にどうするのだということを言っておるわけで、だからして通産省のやっていることは私は一つもかみ合わないと思うのですね、そういう人たちに対してやることが、それでもってまだ不用額が出ているだの、あるいはまた制度がどうこうだのということを言っておって、一方では何千件とつぶれているでしょう。そんなことをやっておって、一体だれが、あなたたちがやらなかったら、ほかにやる人がおればいいのですが、それがおらなかったらだれがやるのかと問いただしていったら、責任はあなたたちにあるのじゃないか。それがいま制度上の問題がどうとか、あれがどうとかということを言って、つぶれていく人たちを放っておいていいのかということを言っているのですよ。それらに対してあなたたちはどうするのかということをもっと明確に考えてもらわなかったら、そういう人たちのために責任をとってやらなかったらかわいそうじゃありませんか。私は理屈は何にもわからないのですよ、その実態を見て、そういうことに対して一体あなたたちはどうしてひくのだということを、言ってもらわなければ、国民の側に立つところの通産行政ではないということを私は指摘しているのです。どうですか、その点は。
  76. 沖田守

    政府委員(沖田守君) 人手不足で賃金が上昇いたしまして、しかもものによりましては需要の伸びが十分でない、そうしますと、経営としては、人手は不足する、賃金は上昇する、そういう中で売り値を上げることはできない、こういう中での近代化、合理化ということは非常にきびしい時代の波と申しますか、経済成長に伴って所得水準が高まっていけば、要するに伸びる事業でございますと、非常に賃金がどんどん上がってもどんどん払って、売り上げも伸びるわけでございますが、たとえば繊維の安物の対米輸出商品、こういう種類のものであれば、中小企業が集まってつくっておりますような地域では、輸出しようと思っても、後進国、発展途上国の低賃金との競争で思うにまかせない。しかも近代化して高級化しようと思っても技術的にはそこまでいかない、こういう非常に構造的な問題がそういう業種についてはあるわけでございまして、そういう最も顕著な例が先ほど申し上げましたたとえば繊維産業などはその典型的な御指摘の例だと思うのでございますが、こういう点につきましてはいまの普通の金融引き締めで、なるべく金融ベースで親切に金融をつけていくということだけでは解決しかねるのではないか、こういうことで織布をまず対象といたしまして、織布の構造改善事業ということで、国及び県の資金で七割まで二分六厘の資金をつけまして、その裏金につきましても商工中金その他で一生懸命やるということを努力いたしておるわけでございまして、現在織布対策として業界ぐるみ地域ぐるみでやっておるようなことを根本的に進めていく必要があるのではないかと、こう考えておりまして、ことしはいろいろ予算面の苦しい中を織布対策の織布の構造改善につきましては、昨年の二倍の事業規模に、苦しい中で割愛してやっておるわけでございますので、そういう努力を今後いたすことによって先生の御指摘の点にはこたえなきゃいかぬと私ども考えるのでございますが、当面、昨年九月からの引き締めがさらにことしの一月からは一段とまた強化されるという情勢でございますので、近代化あるいは構造改善の努力の途中に金融面での引き締めが行なわれる、その点の措置が同時に必要であろうというようなことから、倒産対策として何をやっておるかという御指摘になりますと、極力個々の中小企業の近代化や体質改善、ただいま申しましたような繊維のような、業界あるいは地域をあげての構造改善、それからさらに当面の対策といたしまして、たとえば年末にはいわゆる財政投融資を追加いたしまして、政府系三機関の金融貸し出しのワクを広げる、さらに、新年度におきましては貸し出しを一九%広げる、あるいはいわゆる担保力のない、保証人も十分でない小規模企業に対しましては、各県にございます信用保証協会で保証を充実していく必要があるということから、たとえば特別小口の保険というような形で保証料をなるべく、極力安くして国がそれを再保険する、こういう努力をいたしておるわけでございます。末端で中堅規模の、最近やや中堅の倒産というのがふえてまいっておりますので、そういう企業がつぶれますと、それを救済するということがまず第一でございますが、どうしても経済的に成り立たない——もうその辺になりますと大企業もあるわけでございますが、どうしても経済的に成り立たない、まるまる補助してその企業を続けていくわけにはいかないという場合もございますので、そういう場合はその中堅企業に売り掛け金を持っております中小企業が一緒に倒産しないように関連倒産の保証ということを特に留意いたしますし、それから、そういう場合には政府系金融機関はもちろん地元の金融機関を動員して連鎖倒産を防ぐための手を打たなければいかぬ、そういうことが起こりそうな場合に、未然に現地ごとに政策を講じたいということで、日銀総裁も非常に熱心でございますので、各地に、全国九ブロックに分けまして、日銀の支店長、財務局長、通産局長の三者が集まりまして、そういう新しい、現在いろいろ問題がございますが、たとえば名古屋の近辺で毛織物の関係がいま非常に苦しい状態にあるだとか、あるいは対米の安物を輸出しております、たとえばいま構造改善をやっておりますギンガムの輸出というのが、構造改善やらないと非常に苦しいだとか、そういう、問題がありそうなところをどうやって対策を講じていくかということ、あるいはそのときどきの新しい中堅規模の倒産に対する善後措置、こういうことを現地で相談して実情に応じた措置をとっていきたい、こういう努力をいたしておる次第でございます。
  77. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 御説明を聞いて、なるほどいろいろやっておって、むずかしい問題だとよく私もわかりますが、しかし、私の一番ポイントは、それだけ骨折ってもらっているのですから、何とか倒産が減っていくという数字を、ここで出るほど何か顕著な方法がしてもらえないものか、そうするためには一体どうしたらいいのかということを聞きたいわけです。地域に対していろいろそういう調査をしたり指導したりする機関をもってやったというけれども、それをもっと何とか拡充をして、そしてもっともっとそれを、そうした何といいますか、相談員の拡充とか、あるいはまたそういう経営の指導者の拡充とかいうものをもって倒産になりかかっているような人を早く統合するなり何なりするということをして、たとえばあるいはメッキ工場でやったようなことを、もし個人の負担がなくてもある程度金融をするなり、いまおっしゃるようなぐあいに、七割なら七割、そういうふうにして、またあと別なワクから金を貸しつけるというような形でそういうようなものを先行していく、そうしたらそれがとまっていくのだと、何とかそういう道を開いてもらえないものか、私はそういったものを、何とか具体策を入れなければ非常にこの倒産は減らないだろう、特にいま盛んに言われている、三月危機だとか六月危機だと言われております、これはいまお話のように、三金融機関からも融資の道を開いておる、こう言われております、また私も話を聞いておるのには、先日金融確保について日銀も大蔵省も相当手を入れていろいろな約束ができておるというような話を聞いておりますが、それじゃ一体この三月危機あるいはまた六月危機と言われておるときに、もっといまよりふえていくようではいけない。それらに対してどういうふうな手を打って——いま言われたような金を回すばかりがいい手ではありません。企業によってはまるがかえをして金を出しても出しても赤字になっていくような企業もあるでしょう。あるいはまた、人がやられてから、関連を防止するといっても、その中に巻き込まれていく経営もあるでしょう。いろいろなことがあるでしょうし、いろいろなケースがあるから、この問題はむずかしいと思いますけれども、そういうむずかしいのを、一般については三月危機だ、六月危機だと言われて、非常な不安に追い込まれている状態を、いま二月あるいは三月の時点で六月に対してはどう対応するんだ、それはどういうふうになっていくんだという、ある程度の明かるい方向をいま、少し手をつけてみると。これだけのものはしようがないけど、これだけのものは助かるんだとか、あるいはこういうふうなものは助かるんだ、それに対してはどうしていこうという、もう少しあたたかいものはないのか。いまやっておられるのが最大であって、もうそれ以上は一歩も出られないものか、いまのように何千件と倒産していくのも、ある程度つぶれてしまって、そして淘汰されなければやむを得ないというのか、そこらも見きわめつけて、ああしてます、こうしてますという一通りの答弁を聞くだけじゃなしに、もっとそうした具体的なことを聞かしてもらえませんか。
  78. 沖田守

    政府委員(沖田守君) 当面、三月危機と言われさらに六月危機と言われております金融情勢にあるわけでございますが、国際収支の関係もあって、当面景気調整の基調はこのまま続くということになるわけだと思うわけでございますので、やはり、現段階で非常に先行き明かるくなるから安心して伸び伸びと、というふうな指導のしかたはできないわけでございまして、全体の需要があまり強くならない形で輸出が伸びる必要がございますので、やはり大企業が節度のある経済運営に協力いたしまして、いわゆる金融機関と大企業との間のしわが中小企業に寄らないように、と申しますのは、金融機関の手元が苦しくなりますと大企業も手元が苦しくなりまして、やはり設備投資を自粛せざるを得なくなる。しかもそれが輸出に伸びれば一番いいわけでございますが、その努力が実る過程におきましては大企業のほうが中小企業に対して支払いが悪くなってくると、こういう点と、現在銀行は非常に大蔵省、日銀の指導もございまして中小企業向けの貸し出しの割合を減らさないようにという努力をいたしておりますが、全体を押えます関係で、どうしても大企業にも中小企業にも金は潤沢には回らない。そういうことになります関係上、金融機関からのしわ寄せと大企業からのしわ寄せと二つの問題がございますので、まず金融機関と大企業に協力を求めるための、たとえば下請代金支払い遅延防止、こういうふうな問題からの努力、あるいは金融機関が歩積み、両建てだとか、そういうことで中小企業の金利負担を重くしないような配慮だとか、こういう両面の努力をするわけでございますが、やはり企業に対しては、先行き景気調整がまだしばらく続くというつもりでそれぞれの商売の運営をやっていただくよりほかにしかたがないのではないか。そういう意味で注文の伸びあるいは金融の、資金調達のぐあいを見ながら、早期に通産局の不況対策相談室なり、あるいは金融機関の窓口、あるいは県の総合指導所、そういうふうなところに早目にそれぞれ悩みを打ち明けて相談をして、私のところはいまこういう状態にある、先行きまだとてもこの数カ月は見込みは明かるくならない、むしろ景気が悪くなる動きにあるんじゃないかと、そうすればどうすればいいかという形で早目に、早期診断、早期治療と称しているのでございますが、そういう努力を中小企業の側にもお願いせざるを得ないと考えております。ただ、先生のおっしゃいましたたとえば公害防止事業団は、全額負担いたしまして、あとは長期に返していけばいいと、こういう制度になれば非常に近代化もやりやすくなるわけでございますので、そういう努力はいろんな施策の面で現在の予算あるいは政府のいろんな制度の中で極力努力いたしたいと思っておりまして、やはりメッキ工場の場合は、公害の事業団でやったわけでございますが、あれと同じタイプの共同工場、メッキはちょうど公害と一緒になってできたわけでございますが、公害でなくても共同工場をつくろうと決心されます場合には、県の窓口で診断して、これはやれるという判断ができましたら八〇%の無利子貸し付けをする、こういう制度が公害防止事業団に次ぐ事業として現在ございまして、四十一年度には新規二十一件、四十二年度十三件と、逐次ふえてまいっておりますので、いろいろな施策をあわせまして、先生のおっしゃいますような努力を続けてまいりたいと思っております。
  79. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 大体それで私も安心をいたしました。しかし、私はここでもう一つ、中小企業というのがばらばらになっておるわけでありますから、これに対するPR、これはもう少し積極的に、県単位、あるいはまた地方単位なりでそうしたことをPRすることによって非常に私は防げるのではないか。それじゃあいま通産省としてはどういうふうな政策をおろして、このPRなりあるいはそういうものに対してはやっておられるのか、そこらのところが私は非常に大きなポイントになると思います。先ほども、金融なんかの歩積み、両建てがあって困るのだ、そういうものに対しては指導しているのだとおっしゃっていますが、そうおっしゃっても、実際借りにいく人はまだそれをやられているわけです。まだ現在とれていない。いまおことばを聞いて、私どもそういうことは非常に考慮してもらえるからいいと私も受け取れますけれども、実際に受けである人たちはどうかといえば、それがネックになって金が借りられない場合があるわけです。そのために倒産している人がおるわけです。私もたくさんの例を持っていますからいまでも発表できますが、しかし、そういうことを言っておられるけれども、実際において何とか救済する道をやらなければ倒産するでしょう。だからして私は、そういうことに対して指導はしておられるけれども、それが具体的にいっていないというところに問題があるのです。それをPRしてよく知らせると同時に、またそういうものに対してはこういうふうにしなさいということが各出先のほうに徹底していなければ私はだめだと思うのです。そういうことを含めて、ほんとうにやってもらわなければ、六月危機この問題に対しては、あっぷあっぷしているのが、いつ命が切れるかという人がたくさんおるわけですから、これに対してのほんとうの頓服薬なり、ほんとうにきき目のある薬を処方してもらわなければ、当然死んでしまう重症患者です。こういう重症患者が日本に一ぱいおるところで、いまその名医である通産省のほうで、その名医の腕のふるい方によってはそれが助かりもし、死んでもいくわけですから、私は責任の大きいことだと思うのです。だからして大企業がどんどん伸びていくこともうれしいことだと思います。それに対しては非常にありがたいことだと思いますけれども、一方、そういうものに対しても処置もしてやらなければならないわけで、いろいろお話を聞けばあるのですよ。いろいろやっていることは私も聞いておりますし、非常にいいことだと思いますけれども、何とか即効するような手当てをしなければならない。私も医者ですけれども、患者を見ておって、あなたはこういう経過ですよと言ってばかりでは死んでしまうのですよ。そのためには夜寝なくても何かメスでも入れることによってその人間が助かるわけですよ。そのメスの入れ方はどうするのかということがいま問題ですから、そこのところをひとつ十分考えていただいて、寝ずに看病もしなければならないだろうし、少々高い薬でも打たなければ助からぬわけだから、そこでひとつ考慮していただくということが、ほんとうにこういう決算を見ておりまして非常に大事なことではないか。またやってはおられるし、むずかしいことだから効果はあらわれないにしても、もう少し、そういうことを言い出してからずいぶん日にちがなるのにどんどん死ぬ人がふえていくのだから、私は死ぬ人が減ったという少々効果のあらわれるようなことをひとつ考えていただきたい。歩積みの問題にしてもそうでしょう、お金の出し方にしてもそうでしょう。どうかそういうことを御配慮願いたいと思うので、こういうことについてはひとつ通産大臣のほうにもよく話を伝えてもらって、私は本腰を入れてやってもらいたいという切なる望みで、こんなわかり切ったことをまだ質問しおると笑われるかもしれませんけれども、私は国民の側に立っては一言言わざるを得ないという気持ちになって私はここで発言をいたしておるので、その点を十分考慮に受けとめてもらいたい、こう思うわけです。
  80. 熊谷太三郎

    政府委員熊谷太三郎君) ただいま先生の御意見、御熱意のあふれる御意見につきましては、大臣に十分に申し伝えまして、その旨が少しでも御期待に沿うように努力するようにいたしたいと思います。
  81. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 山砂利公害のことについてちょっとお尋ねいたしたいと思います。  これは京都の問題でありますが、非常にいままでも公害のほうでも十分配慮していただいて、この山砂利の公害に対していろいろ配慮していただいて、特に今度は基本法もこしらえていこうということでいま踏み切っていただいているようでありますが、その後、私も地元であの城陽町やら、あるいはまた田辺、あの付近の全体の川の砂利を使わないために山の砂利を取る。そのやり方を見まして、非常にひどいことになっております。特に私がいまここでこの問題を取り上げたいというのは、万国博覧会が大阪で開かれるというので、あの付近から砂利あるいはまた砂というものの需要量が非常に増しております。だからして、好むと好まざるとにかかわらずある一定のものは要るわけでありますから、私はあそこら辺の山砂利採取を見ておりますと、そうした方面へ、大阪方面にどんどん運ばれる量が日増しにふえている、こういう状態でありますので、通産省としては、私も、通産省立場から、そういう業者を、あるいはまた砂利採取の業者とは限りませんけれども、そういういろんな業態を保護していくという立場からはわからぬことはないのですが、しかし、あの公害があって、一つの目的のためには周囲の人の迷惑はある程度がまんせよというわけにはいかないわけでありますからして、そこのところを十分に踏み分けて、これに対して対処してもらわなければならない重大な時期だと思うのです。先ほど、六月危機で非常に困っているという話もしていたのですが、これは万国博覧会を目ざして非常な公害がより一そう展開されようとしておるわけであります。だからして、この基本法については、どのようにいまされつつあるのか、あるいはまた、この公害に対してはいまどういうふうなところにいって、いま、通産省のほうではこれを受けとめて、これを施策にどういうふうに反映さしていられるのか。この基本法をつくられる内容も、あるいはまたその時期も、あるいはまた、それによってこの公害というものがどういうふうになってくるかという見通しであるかということをひとつ聞いておきたいと思います。
  82. 吉光久

    政府委員吉光久君) お話ございましたように、最近の砂利を中心にいたしました骨材の需要は大幅に伸びておるわけであります。他面、従来、主として河川砂利で供給されておったわけでございますけれども、だんだんと河川の砂利が枯渇化してまいりました。あるいはまた河川砂利を乱掘いたすことによりまして、橋梁、堤防等の公共施設に損害を与えるというふうな事態にもなってまいりましたので、河川砂利に対する取り締まりの規制が非常にきびしくなってまいっております。それに伴いまして、他面、山砂利あるいは丘砂利、そういう方面の採掘が非常に盛んになってまいったわけでございます。したがいまして、現在、砂利採取法という法律があるわけでございますけれども、ちょうど約十年前に制定されたわけでございまして、当時の河川砂利を中心として供給いたしておりましたそういう実態に対応して制定されました法律でございますだけに、現在の山砂利、丘砂利を中心に供給が相当量動いておること、また、山砂利、丘砂利を中心にして、そういう形から出てまいります災害あるいは公害、こういうものに現行法では十分には対処し得ないというのが現状ではないかと思うわけでございます。したがいまして、いま御指摘ございましたように、こういう現状に立脚いたしまして、従前砂利採取業者につきましては、採取に着手いたした後に届け出をすればよろしいということになっておったわけでございますけれども、まず第一に、この砂利採取事業者につきましては、登録制を実施いたすということにいたしたわけでございまして、いわゆる自由営業という制度から登録が要るということを前提にいたしたわけでございます。  第二は、個別具体的にどこかの土地で砂利の採取に着手するわけでございますけれども、その着手いたします前に、採取計画等をつくりまして、地元の都道府県知事の認可を要するという、採取行為について認可制を採用いたすことといたしたわけでございます。これによりまして事前に公害の発生を予防してまいろう、事前にチェックしてまいろう、こういう趣旨でございます。  そして第三でございますけれども、やはりこういう公害等に関しまする監督制度と申しますか、そういうことを確立いたす必要があるわけでございますが、まず企業の内部におきましては、業務主任者というものを設けてもらいまして、これは国家試験に合格することが必要であるという資格のある人を置いてもらいまして、それに現場において実際上の公害防止あるいは災害防止等についての監督的な地位を持たせるというふなことを採用いたしたいと思っておるわけでございます。  と同時に、第四でございますけれども、従前のいわゆる事業監督命令と申しますか、非常に不備な点が多いわけでございますので、ここらにつきましても現状に合うような形に——たとえば事業の停止命令でございますとか、あるいはまた現実のいろいろな処分の発動態様が現実の公害態様に適応いたしますように、そういう点での命令規定をさらに完備いたしたいというふうなことを考えておるわけでございまして、以上が大体の新しい採取法の骨格でございますけれども、実際問題といたしまして、こういうふうなことになりますと、都道府県知事認可といいましても、やはり地元市町村長等の意見も十分反映さしてもらう必要があるんじゃなかろうかというふうな意味から、そういうふうな規定を置きますことでございますとか、あるいはまた、工事現場等におきまして責任をもって、だれが工事するというふうなことを、何と申しますか、作業主任者の氏名——だれがいま掘っておりますということがよくわかるような、そういうふうな標識を表示させるということも必要ではないだろうか。大体以上のようなことを骨格にいたしまして立案いたしたわけでございます。  で、御質問の第二の、進捗状況の問題でございますが、大体現在各省庁との折衝をほとんど終わりました段階でございまして、最後の成案を急いでおる状況でございまして、私どもといたしましては、一日も早くこの国会に御提出申し上げまして、御審議いただきたいというふうに考えておるわけでございます。  第三の御質問の、効果の問題でございますけれども、先ほどから申し上げましたように、野放し営業から登録営業へ、あるいはまた事前チェック制というふうなものを採用いたしましたので、しかもこういうふうな事項につきましては特に山砂利、丘砂利等の掘採の方法に適応させるような意味でのいろいろの監督命令等も準備いたしましたので、従前のように掘りっぱなし、流しっぱなしということはこれで相当部分防げるのではないだろうか、私どもはそのように考えております。
  83. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 もう少しいろいろなこまかしいことを聞きたいと思って、質問要項をたくさん持っておるんですが、まあ時間もありませんから、まとめて聞きたいと思いますが、特に私はここでこれを取り上げてお聞きしておきたいと思った根本は、もう非常な需要のために、非常に砂、砂利が要望されておりまして、だんだんと競争が激しくて、毎日の取り方が非常にきついと、また一面には、その洗った水なんかも処理をするひまがなくて、これが行なわれておるという状態で、私はこの博覧会を介して、そうでなくても住宅の問題があるのに、それにひとつ博覧会をするということで、非常に大きな問題になっている。また一面からすれば、その間の不正な問題もいろいろ起きておるというように聞いておりますので、それについて私は調査もしておるわけですが、そういう観点から申しましても、この山砂利の規制というものが相当根本的にやられなければ、私は非常なまた悪い結果を及ぼしてくる、そういうものを、一、二私は耳にいたしておるわけであります。そういう観点からここで私はこれを取り上げて特に通産省のほうでこの規制をきびしくしていただいて、しかも正しく運営をしていただいて、そうして公害がさらに起こらないような歯どめをしていただきたいという気持ちで申し上げたわけでありまして、まだ私これに関連してすでにいろいろなまずい点を一、二耳にいたしておりますので、いま調査をいたしておりますけれども、そういう点からしても私はここで特にそのことを声を大にして取り上げて、そうして通産省としてはその問題に対して相当真剣な態度で取り組んでいただかないと、この万博の工事中に変なものが出てくるということを私は予測してこの問題をお聞きしておるわけでありますので、そういう意味で十分な歯どめと、あとに害を及ぼさないようなしかたを十分していただきたい。その上で私はその効果があらわれるかどうかを見て、おってまた質問を続けたいと思いますので、その点について大臣のほうにも十分通じて、この基本法を早く出してもらうと同時に、その効果が十分あがるように特に配慮をしていただきたいと思いますので、その点をひとつ御所見を聞いて私の質問を終わります。
  84. 熊谷太三郎

    政府委員熊谷太三郎君) ただいまお話のような点につきましては、十分内容を検討いたしまして、その提案につきましても極力急いでおりますので、その旨また大臣にもよく申し伝えておきたいと思います。
  85. 小野明

    ○小野明君 私は初めに大日本炭鉱の倒産の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年、石炭鉱業に対しましては抜本的な対策ということで一千億の肩がわり措置がきめられて、国が私企業に与える限界だ、こういったことまで言われておったのであります。そのやさきに大手であります大日本炭鉱の閉山というきわめてショッキングな事態が起こってまいったのでありまして、こういったようなことではいわゆる抜本対策の先行きもきわめてあぶない、こういう推測をせざるを得ないのであります。そこでこの肩がわり措置がなされまして、最初に起こりました事件でありましただけに、通産省といたしましても十分な倒産事情、こういうものについて御検討をなさっておるだろうと思っておるわけであります。そこで第一にお尋ねをいたしたいのは、大日本炭鉱の倒産の原因をお尋ねしたいと思います。
  86. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) ただいま御指摘のございましたように、肩がわり直後に再建整備会社一つである大日本炭鉱が閉山のやむなきに至ったわけであります。その若干の事情を御説明いたしたいと思います。  大日本炭鉱は従来勿来と磯原という二つの鉱業所を持っておりまして、年産四十万トンくらいの生産をやっておりまして、経営的には非常に安定した黒字経営を続けておったわけでありますが、勿来の炭鉱のほうの鉱量がほとんど尽きまして、昭和四十年の十月に勿来鉱を閉めるということになりました。その後磯原鉱に生産を集中いたすということで計画をいたしまして、勿来炭鉱からの労務者の磯原への配置転換というような事柄が非常に順調に進みつつあったのでございますが、この主力でございます磯原炭鉱におきまして、実は三十九年の八月に坑内火災が発生いたしまして、磯原鉱に主力を置いたこの強化策というものにそごを来たしたわけでございます。そこで三十九年の火災以降北部区域に鉱区を転出いたしまして、四十一年八月から採炭を開始してまいったわけでございます。このような一連の状況のために、かつて非常に経営が安定しておりました会社ではございましたけれども、その後の経営は必ずしも楽ではございません。肩がわり前の状況でございましても、総体を見渡しましてもかなり苦しい経営状態であったことは確かでございます。ただこの北部区域につきまして水平坑道を展開いたしまして、これによって生産増強をはかるということを中心といたしました将来計画、再建整備計画を組みまして仕事を進めておったわけでございますが、この区域の盤圧が予想外に強く出てまいりました。私どもが再建整備計画を審査しましたとき、あるいは会社側がその前の段階で計画を立案しましたとき、このときに想定しておりましたような坑道維持の状況というものとはたいへん違った盤圧が出てまいったわけでございます。しかもこれが採掘を進めながらこの水平坑道を掘進していくということでございましたために、採掘の進展につれましてこの盤圧がまた一段と増加をいたしまして、坑道維持に非常な困難を来たしたのでございます。このために生産ももちろん停滞いたしますし、坑道展開も大幅におくれを見せるというようなことで、経営がもともとさほど体質的によい状況ではございませんのが一段と著しく悪化してきたというのが昨年来の状況でございます。  そこで、通常坑道維持と申しますものは、新しい坑道を掘進いたしました場合に、どんなに悪い状況でございましても、二回なり三回の補修で済むということでございますが、ここは私どものほうから何回も現場に視察にもやらしたのでございますけれども、何回仕繰りをいたしましても、鉄骨があめのようにねじ曲がるほどの盤圧が加わりまして、何回やってもうまくいかない、収縮するというようなことでございまして、人員、資材、資金の投入というものはもうたいへんな程度まで行ない、自後それが非常に企業経営の経理状況を圧迫したわけでございます。同時に、これはまた生産もその問阻害されておりますために、現実に出る炭も少ない。したがって代金として入ってくる炭代も入らない、費用としてはこの仕繰りにどんどん金がかかるというようなことが続きまして、肩がわり直後におきましても私どもたいへん憂慮すべき状態だと考え、昨年の九月でございますが、この主力銀行でございます常陽銀行と東邦銀行に、私、直接緊急融資を願いまして、いろいろ困難な点があったのでございますけれども、両行で四千五百万円の緊急融資を御承知願って、これでおそらく去年の十一月ぐらいまではもっと、そうであれば、その状況で坑道もある程度の安定さを持ち、そしてまた出炭もぼつぼつ出てくるということによって、たいへんなおくれを見せましたけれども、再建整備計画に乗った進行が将来期待できるんじゃないか、こう考えたのでございますが、私どもの思っておりました以上にこの状況が悪かったということと、ここまでくるのに再建整備計画を考えました状態と違いまして、この状態で非常にたくさんの資金を投じてかつ採算が悪くなってきておったということからいたしまして、この緊急融資にもかかわらず、その直後に不渡り必至という状況が出てまいりました。この上重ねての融資ということも、関係銀行といろいろ話をし合ったのでございますけれども、もう事ここにくると、金融機関の判断としてもかえって負債を増すばかりと、赤字をふやすだけと、債権者の立場から見ても、従業員の立場から見ても、いずれにしても好ましい状態に好転するとは思えないと、こういう状況に相なりまして、十月の中旬に閉山の発表をいたしたわけでございます。その後整理に入っておりまして、十月の二十三日に、石炭鉱山の整理交付金の申請をいたしまして、われわれのほうも閉山交付金の決定を三月八日、ことしになりましていたしました。いま着々として清算を進めておると、こういうことでございます。一言にして申しまして、当初考えましたよりも、悪い自然条件に遭遇し、それが経営状態を非常に悪くいたしまして、計画当初考えました事態と全く違った、残念な形に相なったということでございます。
  87. 小野明

    ○小野明君 かなり手を尽くされたという事情については私も了解をいたしたいと思うのであります。盤圧が、当初の審査をした場合と異って非常に強力なものであった、こういうふうに言われる、それがかなりの原因を占めているようでありますけれども、こういった状態が発見をされたのは昨年の何月ごろでございますか。
  88. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 四、五月ごろからそういう状況がぼつぼつあらわれておりました。ただ、通常の状態からいいますと、新しい坑道には必ず盤圧がかかって、維持のための仕繰り、その他が必要になるわけでございます。そのころではまだそれは相当条件が悪いけれども、二、三回の補修等によって安定するものという判断をしておりました。この会社が閉山のやむなきに至る状態まで、ずっと先に可能性を持って努力しながら、一向に坑道維持についての改善が見られないという状況で推移し終わったのでございます。
  89. 小野明

    ○小野明君 この会社は再建整備法による肩がわり措置を受けておりますね。それでこの対象額と、第一回の交付金、それと、その交付をきめられた日時——月日といいますか、どういうふうになりますか。
  90. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 大手十三社、中小十四社、計二十七社に対しまして、向こう十カ年ないし十二カ年ということで、総額一千億円の肩がわりを昨年きめたわけでございます。その中で、当大日本炭鉱につきましては肩がわり額といたしまして三億六千七百万円でございます。で、第一回の元利補給金の交付をいたしましたのが九月の三十日でございまして、その金額は千二百万円でございました。ちなみに、肩がわりの対象になりました債務の残高について申し上げますと、開発銀行に——これはこの千二百万円を除きました残りの残額の肩がわり対象額でございますが、開発銀行が一億六千五百万円、それから合理化事業団が三千九百万円、常陽銀行が六千五百万円、東邦銀行が八千五百万円、こういうことに相なっております。  なお、先ほどの第一回元利補給金の交付を九月三十日に交付いたしましたが、この前の手続きといたしましては、再建整備計画の申請が八月の五日、これの再建整備計画を通産大臣の名において申請いたしましたのが八月の十九日、元利補給契約を締結いたしましたのが九月の八日、実際に金を交付したのは九月の三十日と、こういうことになっております。
  91. 小野明

    ○小野明君 第一回の交付金は、私の石炭局からの資料によりますと、対象額が五億六百四十五万何がし、第一回交付金二千二百七十七万と、こういう資料になっておるのですが、間違いではございませんか。
  92. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 何か間違った御報告をかつてしておったかとも思いますが、肩がわり額の総額は三億六千七百万円、今回の第一回の交付——まあこれきりになったわけでございますが、これが千二百万円と、ただいま私申しました数字は間違いございませんので、前何かございましたら、御訂正させていただきたいと思います。
  93. 小野明

    ○小野明君 この会社は、石炭鉱業経理規制法による指定会社ではございませんか。
  94. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 再建整備法をつくりましたときに、再建整備計画による肩がわり対象会社は、すべて経理規制を受けることにいたしております。
  95. 小野明

    ○小野明君 そうですね。
  96. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) それから、この法律をつくります前からございました経理規制法は、国から一定の財政資金を借りておるものは、一定の規準によりまして規制の対象になることになっております。その段階でなっておったかどうかは、ちょっと資料を確かめさせていただきます。——対象になっておりました。
  97. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、大体この坑道の状況が非常によろしくないというのが発見をされたのが四月ないし五月ごろ、この再建整備法によります審査、この指定会社ですと、毎年一回、事業計画並びに資金計画は監査をするようになっておりますね。で、この再建整備法の肩がわり措置を受けるときも、八月に審査を受けておるわけですね。この条件としては、掘採の状況あるいは金融機関の協力の見通し云々、こういった状況が良好なる場合に限って、良好な場合は肩がわり措置をしてもよろしいんだ、こういうふうに再建整備法ではなっておると思うのであります。決定をしたのが九月の八日、その後不渡りを発行したのが十月七日、あるいはこの閉山交付金の申請が十月の二十三日、閉山が十一月十一日と、引き続いて閉山のいわば手続がとられておるわけであります。いわば再建整備法による肩がわり資金の申請、その審査の際にすでにこの山は見通しがないということが明らかであったのではないか。しかもそれがもし明らかであったとすればたいへんなんですが、その審査でわからなかったかどうかお尋ねしたいと思います。
  98. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 小野先生御指摘のとおり、再建整備臨時措置法におきましては、再建整備計画を申請することができる条件といたしまして、石炭鉱業を営む会社であって、その財務の状況及び掘採可能鉱員が通産省令で定められる基準に該当するものということに相なっております。そこで財務の状況と申しますのは、この法律の目的にございますように、「急激かつ大規模な合理化が行なわれたことにより生じた石炭鉱業の過重な負担を軽減するための措置」だということでございますので、相当の合理化を行なっておりましても、経営状況が非常によろしい、つまり黒字であるというような会社にはこの肩がわりを認めない、適用しない、こういう考え方でございますので、この経理状況というのはむしろ悪いということが要件でございまして、欠損を出しておるということが要件でございます。そしてそれはこのような国の助成と申しますか、救済をする立場での一つの基準でございますが、ただ悪いからこれを救済するというのじゃなくて、その山が将来にわたって石炭鉱業として十分成り立っていくべき筋のものである、計画どおりに仕事が進んでいけば相当長期的に残り得へき山である。この判断が一つの鉱量その他に目安を置きまして判断をしておるわけでございます。悪いという点は、これはこのあとでも急速に悪くなったわけでございますけれども、その当時も悪かったのでございますが、炭の量等の将来性から考えますと、先ほど御説明いたしました非常に維持に困難を来たして、最終的にはそれが致命傷に相なった。坑道がそのようなことではなくって、北部区域で炭層に着炭して、そこで炭が採掘されるならばその会社はものになるという判断をいたしておったわけでございます。したがいまして二十数社の再建整備計画を実際上は相当期間時間をかけて審査をしてきておったわけでございますが、その当時としては十分やっていける、こういう判断のもとに計画を認めたわけでございます。先ほど来申しておりますように、その後の事情として安定するはずだと信じておりました坑道がどうにも安定しないということがつまづきの原因になったわけでございます。これは私どももそう考えておりましたし、会社側もそう考えておりましたし、もう一つは、労働組合のほうも少なくとも水平坑道によって北部区域の開発をやっていくというために会社自身かなり経営が苦しい、必ずしも楽でないという状況でございましたので、いろいろな労働条件のいわば引き下げのようなこともやりながら続けてきておった。努力をしてきておった。その努力にもかかわらずうまくいかなかったという状況でございます。
  99. 小野明

    ○小野明君 坑道の状況というのが一番原因であるかのようにお聞きをするのですが、先ほどの御説明によりますと、四、五月ごろにはすでにそういった徴候があらわれておった。これが九月の十七日、八月の審査の段階の結論が出るころにはそういった状況というものはさらに明らかではなかったか。これがいまの法の精神である立ち直り可能なりやどうだと、この辺の判断はこれは通産省責任であると思うのですね。その辺のひとつ関係を再度御説明いただきたいと思います。
  100. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 小野先生おっしゃいますとおり、私どもの判断が甘かったということがあるいは結果的には言えるのではなかろうかと思うわけでございますが、当時といたしましては四、五月ごろはこれは一種の通常どのような場合でも出てきます状況が少し強く出ておるかなというくらいの感じでございます。それからいま先生おっしゃいました八月ごろ、つまり再建整備計画を認定する時点、この七月から八月の上旬にかけての状況ということ正直に申しましてなかなかやっかいな坑道であるという感じは持っておったわけでございます。しかしこれはまあ遠からず安定するものというふうに考えておったわけでございまして、これも結果論に相なりますけれども、もし企業の体質がそんなに弱うございませんで、要するに資金繰りが十分つくというようなことで、暮れぐらいまでこの坑道維持に努力をしておれば、あるいは安定したかもしれないという感じがするわけでございますが、当時われわれはかなり苦しい状態ではあるけれども、経営としてもそれくらいの期間この坑道維持に努力を払う能力ありと、こう思っておりましたし、その努力をいたしますならば安定する時期も案外早いのではないか。こういう感じでおりましたのですが、その辺のところが、まあ企業というものは一たん悪くなりだしますと、非常に急カーブをとって、急傾斜をとって悪くなるのでございまして、私どもの予想なり判断なりというものを越えた苦しさが急激に出てまいってというふうにしか私どもは言えないわけでございます。
  101. 小野明

    ○小野明君 この経理規制法によりまして指定会社については事業計画や資金計画等についても毎年一回監査を行なうようになっておる、あるいは改善のための勧告を行なうようになっておりますね。同時に、借金があればみな肩がわりしてやるのだということでなくて、それにはやはり銀行の協力、あるいは立ち直り可能という判断がきわめて重要な要素になっておるわけですね。その辺しっかりした見通しなくして措置を受けたとたんに、いまは閉山と、この辺に非常に若干私は疑念を感ぜざるを得ない点があるわけであります。再度その点を御答弁いただきたいと思います。
  102. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 小野先生おっしゃるとおり、肩がわり対象にするかどうかという審査につきましては、石炭鉱業審議会の経理審査会で金融のエキスパートも含めまして、たんねんに議論して、かつ通産省でもまたこれに審査を加えましてやったわけでございます。それらの状況から申しますと、十分先が読めていなかったではないかという御指摘に対しては、結果としてまことに残念ではございますけれども、そういうことに相なったわけでございます。当時は二十七社の再建整備計画をずっと時間をかけてやってきたわけでございまして、率直に言いますと、冒頭に申しましたような会社の経理でございますので、大手十三社の肩がわりをしておりますが、十三社の中でも経営的には弱い会社一つとして関係者みんな心得ておったわけでございます。それだけにこれが将来についての可能性ありと判断するかしないかという問題は、ほかの会社にもまして慎重な議論があったようでございます。にもかかわらず、やはり鉱量その他の点と会社側の努力というものを期待いたしまして、これにはやはり先に可能性を期待するのが至当であるということで判断をいたしたわけでございます。まことに残念ながら、結果として先生御指摘のように、関係者、われわれ含めまして判断が甘かったではなかろうかと、こうおっしゃれば、そのとおりだと申し上げるような結果に相なったわけでございます。
  103. 小野明

    ○小野明君 これはただ単に大日本炭鉱だけの問題ではないと思うんですね。肩がわり措置というのは、抜本策とは言われておりますけれども、やっぱり重点は個別企業の救済にあるわけでね。それが重点になっておるわけです。いま大日本炭鉱が倒産をしたんだけれども、他の大手炭鉱もこれに大同小異の経理の内容なり、あるいは事業計画を持っておるのではなかろうか。この点を私は非常に危惧をいたしておるのであります。いま石炭産業の再編云々といろんな構想が町をにぎわしておりますけれども、この昨年立てられました抜本策の延長である限り、私企業である限り、これはもたなくなりゃ倒産させるとか、立ち行かなくなればもうばったりやって、会社は助かるけれども、地域経済に与える影響というのはきわめて大きくなるわけですからね。それで、他の炭鉱の、特に大手の問題でありますが、そういった問題についてどういった実情にあり、あるいはどういった把握をされておるのか、簡略にひとつ御説明をいただきたいと思うんであります。
  104. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 小野先生御心配いただいておりますように、実は大なり小なり少し暗い予想をいたしますと、いずれの時点であるかは別といたしまして、大日本的な事象が出ないという保障がないというのが、率直に申しましていまの石炭鉱業の状況でございます。実は再建整備計画を組みましたときは、御承知のように五千万トンの規模の位置づけをいたしまして、それを支える力としてのビルド鉱を中心にいたしまして石炭の再建をはかっていくんだと、そのためには過去の急激かつ大幅な合理化負担の重荷をとってやろうというのが、肩がわりの趣旨であったわけです。しかし、再建整備計画自身がそうなっておりますように、あの措置をとりましても、四十二年度からすぐ黒字に転換するという計画ではございません。大手だけについて申しますと、四十二年度では、トン当たり平均赤字が二百八十三円くらいのものに落ちつくはずだ、計画をそのままとりますと。それが四十三年、四十四年と漸次幅が薄まってまいりまして、平均額で、四十五年時点くらいになると大体収支均衡する。赤字という状態から脱却できるというのが再建整備計画の大手についての平均的な数字でございます。ところが、四十二年度におきまして、やはり大日本炭鉱の磯原が逢着しましたような、これは盤圧でございますけれども、断層その他いろんな自然条件の悪化ということが、あるいはもう一つには、最近の労働力需給の問題から必要な労働者が確保できないという労務の不足現象。二つがかみ合いまして、四十二年度再建整備計画で考えました大手、中小込めまして五千三十万トンという計画に対しまして、ただいまの時点での私どもの推定では、おそらく四千七百万トン弱くらいに落ちつくのではなかろうかという実績になりつつあるわけでございます。このために手取りが悪く相なっておりまして、ことしの大手の平均赤字というのは、おそらく予想の上ではトン当たり五百円くらいのものに相なるのではなかろうかと、先ほどの二百八十三円という数字と対比していただくわけでございます。そういう状況でございまして、再建整備計画の念頭に置いておった姿というものとは、たいへんかけ離れた現実になりつつあるわけでございます。社会党のほうでもいろいろ御心配なさって、一つの案を御検討中のようでございますが、私どももやはりこの状態では放置しておくわけにはいかぬのではなかろうかという感じで、世上いろいろ議論がございますけれども、通産省といたしましても、計画の見直しを前提にして、ほんとうの意味での安定策というものを求めるべくいま検討を開始している状況でございます。
  105. 小野明

    ○小野明君 次に、私は、日鉄有明の問題を尋ねてみたいと思うのであります。この一月の二十六日に、日鉄鉱業が湧水量が多いという問題と、それから石炭政策の方向がわからぬと、こういうようなことから工事を中止したわけです。この有明の内容を見てみますと、間違っておれば御指摘をいただきたいと思うのでありますが、四十一年度で開発資金八億三千万を使っておる。そのうち財政資金によるものが四億一千五百万、これだけが投入されておるわけです。四十二年度におきましても、累積いたしますと、新鉱開発として八億九千万になっておりますね、四十一、四十二の合計をいたしますと。そのほか会社自体、鉱業自体、鉱業自体としても約八十億の設備投資をやって行なっておるわけです。これが突然に工事中止。こういう大きな措置をとられた。これについて新聞その他の報道でもかなりわかるのでありますが、一体これは何が原因なのか。この点についても御説明をいただきたいと思うのです。
  106. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 日鉄有明鉱は、御承知のように、いま三菱が北海道でやっておりますところの南大夕張と並びまして、原料炭の新鉱開発が非常に大きな分野を占めておる計画でございます。もともとの計画によりますと、昭和四十五年くらいから生産を開始するということで、昭和三十三年十一月に開坑いたしまして、本格的に立て坑を開さくいたしまして、それから水平主要坑道の展開に着手したという状況がいまの状況でございます。先生先ほどおっしゃいましたように、昭和三十三年以降日鉄鉱業がこの有明炭鉱の開発に投じました金は大体七十七億でございまして、われわれのほうも原料炭確保ということを念頭に置きまして、昭和四十一年から振興開発資金制度というものを設けまして、無利子十二年という非常に有利な条件で融資をいたしております。その額が先ほど先生おっしゃいましたように、昭和四十一年度四億一千五百万円、四十二年度四億四千万円ということで、ざっと八億五千万円ほど財政資金の融資をいたしております。これを含めて七十七億という投資をしておるという状況でございます。なお、全体の工事のこの計画の全貌から申し上げますと、おそらくまだ今後に投ずべき金というものは、いままでの投資額と大体同じくらいか、あるいはそれを上回るものが必要だと、こういう状況が残っておるわけでございます。  そこで、当面日鉄が工事を中止したという直接の理由でございますが、御承知のような海底炭鉱でございますので、この立て坑を開さくし、水平坑道を展開しております状況におきまして湧水量が大幅に増してまいりまして、現状は毎分約九・五トンという状況でございます。昭和四十五年時点で約四十万トンぐらいの炭を出すという計画で、最終的に展開されるべき坑道の全貌から申しますと、いまの水平坑道はその一割をやったかやらぬかという状況でございまして、この状況で出ております水が、この四十五年時点で坑道展開を終わりました状況で予想しております水の量と大体イコールになってしまっておる。したがって、四十五年度の生産に合わせたものとして設備を考えました排水能力、これはポンプの能力でございますが、これにもう坑道一割ぐらい掘ったところで、その能力の限界に達してしまったという状況でございます。この後もしこの坑道を掘り続けて、四十五年時点の坑道展開が終わったと仮定いたしまして、そのときにいまと同じような割合で水がわいとるということになりますと、ちょっと現在の計画で設計しております排水能力では力が十分の一しかない、こういう状況に相なっておるわけでございます。しかも立て坑を開さくいたしまして直下に水平坑道を少し展開しかかったところというのがいまの時点でございますので、ここで排水能力をこえる水が出てまいりますと、坑道展開そのものについて保安上、人命上の心配もあるという状況でございまして、この水の対策をどう乗り切るかということが当面の技術的な問題でございます。これについて見きわめがつくまで、技術的な見きわめがつくまで、ただ坑道掘進にかかったのではあぶないという判断を会社側はいたしまして、いま工事を中止し、これの対策を検討しておる、こういう状況でございます。ただ、計画を放棄したわけではございませんので、いまの排水能力をもちましていま出ております水を全部くみ上げておる、こういうことで坑道維持はいたしておるわけでございます。これ以上工事を進めることが非常に危険だという判断でこれを技術的に乗り切る対策を見出すまで一時中止というかまえをとっておるのが現状でございます。
  107. 小野明

    ○小野明君 これだけの財政資金、あるいは日鉄鉱業としても金を投入いたしておりますが、会社自体としては、この局面打開のためのいろんな調査研究をおやりになっているでありましょうが、国といたしましてもこれだけの問題でありますから、早急に技術調査団なりそういったものを派遣をする計画、国としての助成の計画というものはないのかどうかですね、お尋ねしておきます。
  108. 中川理一郎

    政府委員中川理一郎君) 全く私ども同じような気持ちでおりまして、日鉄のいまの持っております技術でございますと、海底炭田に対して十分日本石炭工業界の中の第一人者と言い切るほどの状況ではございません。これは水で苦労した山がほかにたくさんあるわけでございまして、たとえばお隣の三池もそうでございますし、宇部もそうでございます。それから石炭鉱山を除きましても、たとえば国鉄の関門隧道あるいは青函隧道というもののやっておりますのと同じようなことでございまして、こういった水の処理についての技術的な権威という方々の日本のトップ水準の技術をひとつ利用して、この有明の技術問題をどう解決するかということを私どもも進めなければいかぬと思っております。この春、私福岡に参りましたときにも、熊本大学の兼重先生あたりも先生と同じようなことで、石炭局長、ひとつ調査団つくったらどうだ、自分も十分協力するというようなことをおっしゃっていただきました。先ほど申し上げましたように、日本に残されたこれから開発さるべき原料炭の鉱区としては非常に大事なところでございますので、採算的な問題はいずれまた後になお残るかと思いますけれども、技術問題だけでもせめて目鼻をつけたいという感じで私どももいま検討準備を進めておる状態でございます。
  109. 小野明

    ○小野明君 次官にお尋ねをしておきます。いま局長の御答弁でおわかり願ったと思いますが、早急にこの有明の工事に対しまして、国としても技術調査団を派遣するなり、その他必要な措置を早急にとっていただきたい。この点についてお尋ねしておきます。
  110. 熊谷太三郎

    政府委員熊谷太三郎君) ただいまの小野先生の御意見につきまして、十分に考慮さしていただきたいと存じます。
  111. 小野明

    ○小野明君 それからさらに次官にお尋ねしておきますが、この石炭産業というものが非常に現在、先ほどから述べますように一つの転換点に立ってまいりました。三十七年から二回も抜本策と称してこの答申をされ、実施をされてまいりましたけれども、一向に抜本策ではなかった。二回も一体抜本策なんというものはないのでありまして、ほんとうに石炭企業が救済できる策をこの際策定をしていただくということ、さらにいま一つの問題は、エネルギー資源としてはわが国では石炭だけであります。しかも、ちょっと国際紛争でもあれば石油がもうああいうふうで高くなっていく、ほとんどエネルギーというのは九割まで国内に仰がなければならぬようになるわけであります。そうした際に、やはり国内エネルギー源である石炭をこの際やはり手厚く庇護をしていく、こういうことが最も望まれる対策であると私は考えるわけです。そういったことで、企業ベースでいきますと採算がとれるところでいく、そうしますと縮小均衡という策もできるわけでありますけれども、わが国のエネルギー資源を庇護するということになりますと、決して植村さんの言うような三千万トンでおさめい、こういうことにはならぬと思います。これは企業ベースの考え方だと思います。わが国のエネルギー資源を保護することになりますと、現行計画出炭量を維持し、あるいは拡大をしていくという立場を、国としては当然とらなければならないのではないかと、このように私は考えるわけであります。そういった立場で考えましたときに、いろいろな手違い等はありましても、大日本炭鉱の閉山というのは非常に悲しむべき事実ではあるわけであります。しかしこれが私企業でなかったら一切救済できたのではないか、こういう気もいたすわけであります。そういった立場でわが国のエネルギー資源の保護、こういった面にさらに政府においても大きい考慮を払っていく、そして石炭政策を、ほんとうに抜本的なものを、もう三回目、四回目でありましょうが、ほんとうの抜本策を策定をしていただきたいと思うのであります。この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  112. 熊谷太三郎

    政府委員熊谷太三郎君) ただいま二つ御意見がございまして、一つ石炭事業を単に企業として考えずに、日本の大きなエネルギー源として国家的な立場から今後とも考えていくべきじゃないかという意意見でございますが、これは通産省としても同じ考えであると存じます。  それから、抜本策の問題につきましては、いままで二度も抜本策が行なわれて、それが見通しがつかないという状態では、抜本策が抜本策ではないのではないかというような御意見、これもごもっともでございまして、この点はまことに残念な次第でございます。十分ひとつあらゆる角度から検討いたしまして、またむだになってしまわないような、ほんとうの意味の抜本策を早急にひとつ立て直すということに努力いたしたいと考えます。
  113. 小野明

    ○小野明君 終わります。
  114. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは大森君に移ります。
  115. 大森創造

    ○大森創造君 私の質問は、通産省と、それから防衛産業の問題について防衛庁のほうにお尋ねいたしますが、次回の委員会で防衛庁の審査がありますから、きょうの質問は当然移行いたしますが、申し上げるまでもありませんけれども、私のほうでなるべく簡明に質問を申し上げますから、お答えになるほうもわかりやすく、さればといって肝心のところを抜かさないように、要領よくお答えいただきたいと思うのであります。  まず、バッジの問題について御質問いたします。これは衆議院の予算委員会で楢崎弥之助君や大出俊君が、防衛庁長官や装備局長などを相手にして質疑応答しましたことをしさいに検討いたしました。どうしても私は納得できないのです。予算委員会の性格からいうて、この問題の究明は徹底的にはできないであろうとは思うのでありますけれども、われわれは参議院の決算委員会でございますから、あくまでこの問題を究明して、問題の所在がどこにあるかということを国民の前にただしたいと思います。  そこでヒューズ社と、リットン社と、GE社と三つございます。これについて、ヒューズ社がバッジの価格が百三十億であって、リットン社が百八十億、GE社が二百三億ということでございます。そこで、一番安い百三十億を提示したヒューズ社にきまったということであります。結果的に見ると、百二十三億の追加があって二百五十三億ということになっておる。約倍近くの価格になっておる。装備局長の御答弁を検討しますると、それらしい理由はございますが、私は、きょうは時間がありませんので、この点については詰めて問答はいたしませんが、私は増田長官とともに納得いたしません。増田長官とともにまことに不愉快な話だと思っております。長官になられてからどのくらいになりますか、増田さんは、部内においてずいぶん議論をして、そうしてバッジはいつでき上がるのか、いつ引き取りができるのだろうか、値段がだんだん上がっていくという説明が、部内において、ずいぶん長時間、何回も何回もなされたに違いないということを想像いたします。それがこの間の予算委員会でもって大出俊君との問答で、全く珍妙な問答に終始しております。珍妙な問答は問答でけっこうでございますが問題の所在が明らかになればそれでよろしい。私は、問題の所在が明らかになっておりません。そこでどういうことかというと、この三社が同じベースでバッジを日本政府、防衛庁から受注を受ける場合に、これほどの値段の開きがあるということについて、これは私の想像では、完成品としての値段ならば、ヒューズ社も、リットン社も、GE社も同じ完成品としての値段を防衛庁に提示したであろう。装備局長お答えのように、本体のみの値段がヒューズ社は百三十億円であったけれども、リットンとGEのほうも、だいぶ値段の開きはあるけれども、高いけれども、これはやっぱりヒューズ社と同じように本体の値段を提示したものであるというふうに、大出俊君との問答では、答弁の中に出ておりまするけれども、私の推測では、そうでなかろう。ヒューズ社も、リットン社も、GE社も完成品なら完成品、本体のみなら本体のみの価格を提示したに違いない。そうしてその価格が、ヒェーズ社が百三十億円という価格を提示されて、これが一番安い。ところが、結果的に見ると、倍近くになって二百五十三億円になったんだから、この問にいま問題になっているような川崎一佐や為我井氏云々という黒い霧のいきさつができ上がっている。百三十億、これが一番安いからこれにいたしましょうといったところが、結果的に見ると、納期もおくれる、いつでき上がるのかわからない、値段は二百五十三億、こうなっている。そこで私は、想像だが、おそらくリットン社も、GE社もでき上がり、完成品としての値段をヒューズ社と同じように提示したに違いないと思う。これは断言いたしません。装備局長のお答えが正しいならば、烱眼な増田長官との間にあれほど露骨な食い違いはないし、不愉快であるという表現を、社会党、野党側の質問においてするという、ああいう委員会の場面になるはずはなかったであろう。委員長から二回も審議中断をされて、そして防衛庁内部の意思統一をしてごらんなさいというふうなことまで注意を受けている。そういう醜いところが露呈するであろうと私は推察する。そこで、装備局長の答弁されるようなことがほんとうであるのか。ヒューズ社は百三十億であるが、当初からこれは本体の価格である。それからリットン社もGE社も二百三億などということをいうてだいぶ高いが、これは同じ本体のみの価格であるという、そういう前提に立ったということを、私は信用できないのであります。まあ、あとでこの点について御答弁があれば承ってもけっこうでございますが、衆議院の予算委員会で相当長時間質疑応答がありましたし、それから、私がきょういまから三十分間この問題について議論をしても解決がつかない問題であると思います。衆議院の予算委員会の問題は、問題の提起と質疑応答に終始していて、しからば真実は那辺にあるかということは、いまもって解明されておりません。しかし、きょうは参議院の決算委員会でございますから、どうしても真実を求めたいと思う。そこで、私はお尋ねいたしますけれども、このヒューズ社に決定をしたということについて、これは皆さん方つとに御存じのように、日本電気の合弁会社であるところの日本アビオトロニクスですね、ここと防衛庁との問に購入契約が行なわれた。そして、当初契約が百三十億であった。現在は、いろんなしさい、事情があって二百五十三億にふくれ上がっている。そこでお伺いしたいのは、一体防衛庁に納入される時期はいつか。それから配備される時期はいつなのか。契約上はどういうふうにその内容ができていたものか。試運転の時期はいつなのか。期限、納期はいつなのか。これをひとつまず最初にお答えいただきたいと思います。
  116. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 初めの先生のお申しになりました問題につきましては、後ほど、もし御必要でありましたら御説明しますけれども、いま、最後の御質問だけにお答えいたします。納入時期は、この四十三年度の三月三十一日でございます。で、契約は三十九年の十二月の五日いたしまして、アビオと本体につきまして契約しておりますが、その契約のときに、納入時期は昭和四十三年三月三十一日となっております。それから、現在品物が入りまして試験しておりますが、試験もいろいろな試験がございますが、最終的に最も大きな試験は、第二の技術試験という試験と、最後の総合組織納入試験がございます。で、その一番むずかしい技術試験は、一月末−二月三日にかかっておりますが、終わっておりまして、非常によい成績をおさめております。それに基づきまして、いま、このバッジの組織の三つのグループ、北部、中部、西部とございますが、北部の総合領収試験は二月末に、雪の中ですが非常に好成績で終わっておりまして、現在中部と西部をいたしておりますが、中部は実は先ほど申しました根本的な技術試験に成功しております。われわれは予定時期の、契約どおりの納入時期に納まる——先生は先ほど非常におくれている、非常に悪いということを申されましたけれども、われわれの現在の試験の結果では、予定の納入時期に納まるし、その内容もわれわれの要求を十分満たしているというふうに考えております。
  117. 大森創造

    ○大森創造君 私はいまの御説明の点について、先ほど申し上げたように、きょうの委員会で突き詰めて議論はしたくございませんけれども、あのいままでの質疑応答を、衆議院の予算委員会のやつを検討しますというと、私は納得がいかぬということです。リットン社、GE社などは、バッジについて開発をして、現実アメリカ使用されているという事情にかんがみて、絶対私は完成品の値段を、セットとしての値段をヒューズ社も、その他の二社も提示したに違いないと思うのです。しかし、これについてはあなたのほうから反駁がございます。衆議院の大出俊君の質問に対して、私がいま言うのと違うような意味での答弁がなされておりますから、私はそれは信用できない。それならばそのように、リットン社とGE社に当たって聞いて見なければわかりませんから、防衛庁の統一見解をもわかりませんからね。その点についての議論は、時間がありませんから、きょうはずっとやりませんよ。  それならば私はお伺いしますが、一番簡単な話、これはいままで問題にされておりませんが、ひとつ契約書を私に示してください。これは示せますね。ヒューズ社と防衛庁の間で百三十億、これが本体についての契約であって、そして衆議院の予算委員会でるる答弁されましたように、アメリカ側が機密のゆえをもってこちらに事前に情報を流さなかった、部品であるとか、いろいろなことがありまして、二百五十三億円にふくれ上がったという説明がなされておりますが、一体、当初ヒューズ社と防衛庁のほうで契約したに違いございませんから、この契約書の写しをお示しいただきたいと思うのです、いかがでしょう。
  118. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 契約書につきましては、こまかい性能に属するものにつきましては問題ございますので、全般的なところで、しかもそういうような両者の、先生が疑問を持たれるようなところにつきましての要点を書きましたものは、お出しできます。ヒューズ社と防衛庁とは正式な契約はございません。アビオと防衛庁が先ほど申しましたように三十九年十二月五日に契約しました内容につきましては、ここにございますのでごらんに入れますが、その正式な金額を参考に申しますと、九十七億七千三百四十七万一千円というのを三十九年の十二月五日に正式に契約いたしまして、そのとおりになっております。
  119. 大森創造

    ○大森創造君 性能だとかあるいはその仕様書だとか、技術的な面について秘密を要するような付属書類は私は必要としませんが、金額や納期などを書いた百三十億なら百三十億、そういうものを、どこと言われましたか、防衛庁とヒューズ社でなくて、どこですか。
  120. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 日本アビオトロニクスでございます。
  121. 大森創造

    ○大森創造君 その間の契約書の写しはお出しになれますね。
  122. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それはできますね。
  123. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 出します。
  124. 大森創造

    ○大森創造君 日本アビオトロニクスと防衛庁との契約書の写しはお出しくださいますね。いつまでに出してくれますか。
  125. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 先生にお上げいたしますものでしたら、私持っているものをお上げいたします。
  126. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 委員会に出してください、みんな。
  127. 大森創造

    ○大森創造君 それからもう一つ、百三十億の契約ということであって、それが本体のみの価格であるという問答が従来なされております、衆議院の予算委員会で。私はその点については非常に疑問に思うわけですよ。二百三億円がGE社で、リットン社が百八十億円で、ヒューズ社が百三十億円であるということ。そこでいま私が要求しました資料は、ヒューズ社と百三十億円の契約ができたというその内容について、ここでお出しいただきたいということですが、さらに、それならば結果的に見ますと二百五十三億円にふくらんでいるんですから、その差額の百二十三億円の追加予算、追加された金額、これについては当然この契約書があるだろうと思うのです、追加の契約書が。その内容についてはいろいろな御説明がございましたが、そういう追加契約をしたその契約書のコピーをひとつお出しいただけますか。
  128. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) いまの先生の御質問の中で、このバッジのシステムは二百五十三億というたいへんな大きなものでございまして、いま本体の百三十億は日本のアビオと防衛庁の契約分が九十七億七千万円、まあ九十八億といっておりますが、それに対しまして、ヒューズ社の分担します三十二億分は米国政府が援助金として支出しております。話は横のほうにいきましたけれども、このバッジの大きな組織の契約相手は、おもなものだけでも五十社ございます。たとえばECCMは東京計器とか、あるいはシミュレーターは富士通信とか、そういうことで非常に大きな数の会社とやっておりますので、その関係で全部の契約書をつくりますのはたいへんでございます。大体総額と納期のところ以外はほとんど——たとえば損害賠償とか、あるいは納期とか、瑕疵担保の問題とか、ほとんど防衛庁がやっております契約でございますので、いまのアビオとの契約はわかると思います。おもなる契約会社につきましては、必要ならばそれは納期と会社名を出すということはよろしゅうございますけれども、おもなるものだけでも五十何社でございますので、たいへんな数でございますので、その点は、できましたら先生のおわかりになる程度でごかんべんいただければと思います。
  129. 大森創造

    ○大森創造君 私は、増田長官が防衛庁の責任者として、バッジの問題について装備局長やその他の方々からしさいに資料を求められて、納期はどうだ、それが普通の社会常識上考えられないような取引であるということで、まことに不愉快千万だということを予算委員会の席上で言うたのですから、増田長官もわからないような問題は、まして私はわからないと思うので、その点の究明が先ほど申し上げましたように、ここの場所で時間が限られているところで、いかに質疑応答しても始まらないが、すっきりしたとなれば増田長官もおわかりになっているに違いないのですよ。あの問答を見まするというと、全然すっきりしていないですよ、その問題についての防衛庁の態度は。それからヒューズ社といまのアビオとの関係などはすっきりしていないですよ。おそらく私が検討してみて、速記を読んでみてもすっきりしないんですから、頭の中で……。増田長官すらわからないんだから日本国民だれもわかりません、これは。だからひとつ、くどいことは申し上げませんが、いま言いましたようなことを委員会に提出すると同時に、私のほうに……。ここでは膨大に過ぎる、機密に属する部分もあるでしょうが、私はわかるだろうと思う。相手が商業会社ですからね、これは機密に属するはずはないから。その性能やあるいは技術上の機密に属するような問題は、しいてとは申し上げませんが、筋道がわかるように、増田長官も私もわかるような資料をひとつ私のほう並びに委員会のほうに御提示いただきたいということです。たとえばリットン社とそれからGE社がございますけれども、その最初出した非常に食い違った値段というもの、このいきさつが、あなたのほうのお答えが正しいのか、それとも私が前段申し上げたように、ヒューズ社のみが本体である、リットン社は、あるいはGE社は二百三億ということを言っているが、これはこうだという区分けをした値段を提示するはずがないと思うので、だから防衛庁のほうにアビオを通じてか出されました見積もり書みたいなものがあるはずです。そういうようなものを、ひとつ私どもが納得のいくように資料を一切出してほしいということです。そうでなければ決算審査はできませんから。もう一回だめ押しに御質問しましたからお答え願いたい。
  130. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) いまのわれわれが契約しましたあとの三十九年以降につきましては、もちろんわれわれも全部資料を持っておりますが、その前の問題につきましての資料につきましては、いま先生の御疑問に当然お答えするために、必要な資料を出す必要があると思いますが、もう数年前でございまして、それを全部整理しますのはたいへんでございますので、ひとつ先生とお話をさせていただきまして、どの程度の資料で御納得いただけるか、お話をしてと思います。その当時の膨大な資料、三十六年から三十八年までの三年間に二回調査団を派遣いたしまして、そのほかに一回研修団が行っておりますので、その問に何回も検討しておりますが、あの大きな世間の監視の中で、われわれの先輩諸士といいますとなんでございますけれども、当時の担当の方々が非常に苦労したものでございますので、その関係の資料は膨大でございます。その中で、先生が御疑問を持っている問題につきまして、御納得いただくように努力いたしますけれども、どういう資料をどういうふうにするかということにつきましては、ひとつお話をお聞かせ願ってと思いますが……。
  131. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと待ってください。装備局長、こういうふうにしてください。二百五十三億、これが最終の値段ですね、全体の。いまの御答弁から推測すると、この二百五十三億というものが、おもなものだけでも五十数社にばらまかれておるわけですね。だからその一覧表を出してください、合計二百五十三億になるように。そうして、小さいところまでも入れないでもいいから、おもなものが五十数社あるというから、五十数社は名前を出してもらって、そうしてその他は合計でよろしい、何社と、あとは数だけでよろしいですから。そうして名前を並べて、その下に金額ですね、おのおのの社の。合計だけでいいです、これは。その下に納期と、その下に品物の名前、これはおもなものだけでいいでしょう、いろいろむずかしいことをたくさん書かぬでもいいから。そうすると、紙二枚ぐらいで一覧表ができますから、しろうとは大体それを見るといろいろ全貌がつかみやすい。そういうものをひとつつくって、これは委員各位が関心を持っていることですから、委員会に出してください。そうしてその中で、これとこれというのを質問者のほうからさらに突っ込んで拝見したいという場合には、そこをひとつ質問者と検討してください。そういうふうに、いいですね、大森君しておきますが、よろしいな、簡単な表で……。
  132. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) いまの委員長のお話の資料はつくります。一つだけちょっとお断わりさせていただきたいのは、全容が出てまいります。そこで全部の姿が出てまいります。会社名とその会社の納期、これは全部金額ですね、これは書いてけっこうなんですが、そのほかには、ほかの一表でアビオ会社以外の会社とはこういう契約があったと、品目ですね。と申しますのは、この会社の名前とか金額があって、その項があがりますと、そのバッジなるもののあらゆる性能を分析できることになるわけでございます。その意味で、契約しました各会社と、その納期と、その金額と、それはお出ししまして、それからアビオ以外の会社と契約した品物はこういうようなものである、それは一括表を出さしていただきます。こういうことでいまの資料を出させていただくことをお願いいたします。
  133. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 一応そういう立場でつくってみてください。
  134. 大森創造

    ○大森創造君 予算委員会の問答では納得しないので、われわれは参議院の決算委員会でございますから、それほどむずかしいあれはないと思いますから、きっと本委員会の委員の皆さんなどが納得するような資料はきっと出るはずです。これは委員長が言われましたような意味で、そしてあなたがお答えになったような意味でお出しをいただきたいということにして次に進みます。  それで官房長かどなたかにお伺いしますが、いま為我井氏だとか川崎一佐ということが問題になっておりますけれども、この名前知っておりますか、駒沢年三君、かつて防衛庁に勤務していた人。この人の防衛庁内部のポスト、それからいつからいつまでつとめられて、いつおやめになったか、こういうことをおわかりの方はお答えいただきたいと思います。
  135. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 御質問の、元自衛隊員でありました駒沢という人の自衛隊におきます経歴等につきまして、私いま承知しておりませんので、調査いたしまして御報告申し上げます。
  136. 大森創造

    ○大森創造君 駒沢年三ですね、年は四十五歳、そしてこの人の住まいは、私の調査では西宮市高木西町六の十五です。高い樹木の「モク」、高木西町六の十五です。現在スーパーマーケットの取締役総務部長をやっておられます。元空幕二等空佐です。で、「コマ」は馬の「駒」です。「トシ」は年齢の「年」で、「ゾウ」は「三」です。年齢は四十五歳。これどなたかおわかりになりませんか。わからないはずがないんですがな。
  137. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 至急調べまして御報告申し上げます。
  138. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 調査中ですから続けて質問してください。
  139. 大森創造

    ○大森創造君 そこで次にお伺いしますけれども、しばしば川崎一佐に伊藤忠に行った為我井忠敬氏が供応したということでありますけれども、その為我井氏は、いつからいつまで防衛庁に勤務をされて、どういうポストであったか、おやめになった時期はいつで、どういう理由でおやめになったか、これをひとつお答え願います。
  140. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 元為我井二等空佐の空幕におきますところのポストは調査課でなかったかと私記憶しております。  そこで、その間の在任中のいつからいつまでの経歴あるいはその退職しました理由等につきまして、私まだここに資料もございませんし、もし不正確なことを申し上げてもぐあいが悪いと思いますので、これも至急調べまして御報告申し上げます。元二等空佐であったことは私も十分承知をいたしておりますけれども、その経歴等につきましては、いま手元に資料ございませんので、さっそく調査いたします。
  141. 大森創造

    ○大森創造君 私このことは必要なのでお伺いしているのでございますし、それから問題は、為我井氏という人はいまでは有名人ですから、これはおそらく日本国民ほとんどの人が知っているので、防衛庁の方は二等空佐以上の人は知っているに違いないですよ、きょうお見えになっている方は。ですから、あと五分か六分のうちに、いま私が御質問申し上げたような事情がきっと御説明願えると思うのです。為我井さんについては防衛庁の中で警務隊ができていろいろマークされているのだから、そのことをお知りにならないはずはない。いつやめたか、どういう事情、これはおわかりになりますよ。ちょっと待ちます、問題の人ですから。
  142. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと島田さん、先ほどのやついま調べに行ったというのだから、一緒にそれも継ぎ足して答弁できるように調べてください。
  143. 大森創造

    ○大森創造君 そこで、その問題は数分後に保留いたしますけれども、私のほうの調査では、この為我井さんは各国の軍用機などの空軍兵器事情などを集めておられた。そのころに空幕が所持する機密事項を保全するポストにいま申し上げました駒沢年三なる人物はあったわけですよ。これはきっとそういう御回答が返ってくるだろうと思うのです。この人よく伊藤忠とか、それからジョー沖本だとか、それからいろんな機密の問題について一番知っているはずですよ。この方が警務隊のほうでお調べになったことがあるかどうか、これもあわせてお伺いしたいと思う、この人物について。
  144. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 現在、これは今度の機密漏洩問題につきましては、昨年来自衛隊といたしましてもいろんな情報を入手しておりましたので、警務隊が捜査をいたしましてだんだんと内容が明らかにされるにつれまして、ことしに至りまして検察庁に告発をし、また川崎一佐を逮捕したということでございますので、その中身につきましては、警務隊のほうは十分承知をいたしております。さらにまた、現在検察庁において引き続き捜査中でございますので、私どもはその捜査の内容については十分聞いておりませんので、その辺、私どもの推測で申し上げるということは適当でないというふうに考えるのでございます。
  145. 大森創造

    ○大森創造君 私のほうの調査では、ここがかぎの一つなんですよね。為我井氏は決して川崎一佐のみを供応したわけではないのですよ。為我井氏と同じポストにいて為我井氏と同じように事情を知っているいま言いました駒沢年三なる人物も供応しているはずですよ。その供応した場所はいろいろございますが、築地の丸田とか銀座のバー黒馬だとか、そういうところでずいぶんしばしばひんぱんに同席しているわけです。この人はずいぶん事情詳しいわけです。  そこでもう一つ、この名前は御存じだと思います。為我井氏の部下であった庄司春男さんという方、この人はいつまで防衛庁のどういうポストに勤務されていたのか、いつおやめになったのか。
  146. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 私の記憶いたしておりますところでは、為我井二佐と同じころ同じ課で勤務しておったというふうに承知しております。
  147. 大森創造

    ○大森創造君 庄司春男という人元一等空尉ですね。おわかりになりますか、一等空尉。この人がまあいま世間でいわれておる黒い霧という問題がございましたが、その問いろんな事情があって、為我井氏と問が悪くなって反感を持ってしまって、そしてその庄司春男という人が某団体の某理事あるいは某週刊紙の某記者に思い切った情報を流していたようですね。それが衆議院のほうにいって各方面に飛んだようです。これはおわかりにならなければそういうふうに御理解いただきたいと思います。  そこで、バッジ計画をめぐるところの疑惑について、いまの庄司春男さんという人、これもかぎだということです。先ほど私が申し上げましたスーパーマーケットの取締役総務部長をやっている駒沢年三という人も同様です。で、私は、この問題は、先ほど委員長が言われたように、二百五十三億の内訳はどうだということ、多少時間をかければこれはわかるはずだと思うのです。このことを説明されてわからないものならば、増田防衛庁長官にしても佐藤総理にしてもわかりはしませんよ。だから、必ずわかるに違いないから、そして私が先日問題にした花見川団地以上に、これは断然大きいですから、広がりのある問題らしいから、私は本委員会としてどうしてもこの庄司春男という人と、あとからお答えいただきます駒沢年三という人に、この委員会にお出でいただいて、いろいろその問の事情をお話していただきたいと考えております。そしてついでに資料を装備局長のほうに委員長のほうから要求いたしましたけれども、私どもは予算委員会でございませんから、決算委員会ですから、決算を正しく検討する立場からいっても、断然規模が大きいのだから、いまのままでいきますというと衆議院の予算委員会で丁々発止と議論をしてふかしぎなままに終わってしまいます。しかも予算委員会は自民党と社会党の事情がありまして、これはすっとあしたあたり徹夜して終わる可能性がございますから、そうすると、依然としてこれはクエスチョンマークになりますよ、この問題については。差額が百二十三億、あるいは二百五十三億という、この間の事情は、決算委員の私ですら、委員長ですらわからないままにこの国会が終わるということは残念だから、私は小委員会を設けてほしいと思うのです。これは決算委員会として当然のあり方だろうと思うのです。幸いに装備局長のほうからわかりやすい資料を一覧表にして出していただく、ここの委員会の方々に、質問者である私のほうには納得のいく資料を出していただけるという御答弁でございますから、これを私が見る、見る以上に、いま新しい人物を二人申し上げましたが、そのことをくるめて、本委員会でもって参考人としてお話をお聞きするということより以上に、この問題の究明のために私は小委員会を設ける必要があると思うのです。これは国家の大事であるし、決算委員会として究明しなければならぬと思いますので、これは防衛庁のほうにあれはしません、私は委員長のほうにひとつこれはお願いを申し上げたいと思うのです。その問題についていかほど私は問答したって、衆議院の予算委員会と同じように、いずれが真か、いずれがなにかわからなくなってしまいますから、私は、資料をお出し願うと同時に、この問題について解明するような小委員会を決算委員会として持ちたいと思います。これは私の希望意見です。  そこで、おわかりになりましたか、先ほどの駒沢年三なる人物について。
  148. 島田豊

    政府委員(島田豊君) まだ参りませんので、もうしばらくお待ち願いたいと思います。
  149. 大森創造

    ○大森創造君 それでは次に移ります。まずお伺いしますけれども、昭和四十三年の二月十五日に——今度はTXにいきます——超音速練翌機ですか、その機体のプライムが決定したのは、なくなった森田装備局長の時代、昨年の八月でございますけれども、そのTXのエンジンの機種がきまったのは、ことしの昭和四十三年の二月何日かと覚えておりますけれども、その日にちと、それからそのきまったいきさつと内容をお答えいただきたいと思います。
  150. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) TXに用いますエンジンにつきましては、二月十五日にきめております。結果を申しますと、実はTX用のエンジンとしまして、いまのわれわれの開発時期と考えましてそれに適当なエンジンとしましては、アメリカのGE社のGE1というエンジンと、ロールスロイス社とフランスのツルボメカ社との共同で開発しましたADOURエンジンが候補にのぼりまして、結論的に申しまして、両エンジンともわれわれの要求する性能を満たしておりましたけれども、われわれとしましては開発の関係で、どうしても二月十五日が契約から考えました最終時期であるということで、それまでに必要な資料をとってまいりました結論としましては、GE社のGE1エンジンにつきましてはわれわれの開発に問に合うような時期で入手できるという確信が持てなかったという問題と、もう一つは、GE社のエンジンにつきましては、現在開発中で、その価格についてわれわれの確定した見通しが持てなかったという二点がございまして、結論としましては、いまのロールスロイス社のADOURエンジンを採用するというふうに決定したわけでございます。
  151. 大森創造

    ○大森創造君 そのロールスロイス社、これはイギリスですね、イングランドですね、そのロールスロイス社のADOURというものに決定しようというそういう雰囲気は、昨年の秋ごろすでに防衛庁の中にあったでしょう、率直にお答え願います。
  152. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 超音速の練習機の開発を考えまして、そのエンジンを調査しました当時は、いまのロールスロイス社のADOURエンジンがその要求性を満たすという考えで調査しておりました。もちろんGE社のGE1エンジンがあるということはわかっておりましたけれども、そのこまかい性能につきましては、向こうの軍事機密の関係で、われわれが知ることができなかったわけでございます。それが九月に入りまして手に入りましたので、その両者についてやはり検討する必要があるということで検討を始めたわけですが、結果的に申しまして、われわれの開発計画から考えて、いまのGE社は間に合わないということで、ADOURにきめたわけであります。
  153. 大森創造

    ○大森創造君 まあ私は、多少推測があるかもわかりませんが、ロールスロイス社のADOURというエンジンに決定、そういう機種に決定をするというのがノーマルな考え方で、それになるところを、少し雑音的にGE1というのが入ってきたのじゃなかろうか。これは片方のロールスロイス社はイングランド、それからGE1というのはアメリカであります。ドル防衛の立場があった、そこでお伺いしますが、これは総理大臣にお伺いしたいと思うのだが、おられませんから、こういう事情はいかがでしょう、私はいまお答えのように、ロールスロイス社のADOURという機種、これにきめるのが常識的であった、ところがわきから、ドル防衛の立場から入ってきたのがGE1というものであった。いまお答えのような事情は初めから防衛庁の中ではわかっていたのではなかろうか。私は、オーソドックスな線から見るというと、イングランドのロールスロイス社のADOURというものにきめるべきものであるところ、わきのほうから圧力がきて、そっちのほうを向く必要がないのを向いてしまった時期が相当あった、で、ことしの二月十五日になってやっと、ADOUR、イングランドのロールスロイス社のADOURなるものにきまったのではなかろうかと思う。そこでお伺いしますけれども、ロストウ氏は、これは申すまでもなくアメリカ国務省の国務次官補、ロストウ氏が来たのは昭和四十三年の一月、この間の一月においでになったわけで、ドル防衛の立場からGE1のほうを採用してくれという申し込みがあったのではありませんか、それからさらに今度はイングランドの方が一月の初旬に来ましたね、ブラウン外務大臣が。この方から防衛庁のほうでオーソドックスに考えているイングランドのロールスロイス社のADOURというほうをひとつ採用してくれというお話があったのではないか。それからさらに一月末にハワイの日米貿易予備会議でもってそのアメリカのGE1を採用してくれたらいかがなものでございましょうかなどという一連のいきさつがあったのと違いますか。そのために、本来ならばイングランドのロールスロイスのADOURが採用されるところ、少しゆれておくれたという事情と違いますか。これはあなたのほうでお知りにならないかもしれませんが、総理大臣なり官房長官なり防衛庁長官なり通産大臣なりに、次回あたりにひとつこの点はお聞きしたいと思いますが、何かあったらお答えいただきたい。
  154. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) いまの先生の御質問、総理への御質問でございますので、私が答えるのはかえって問題かと思いますけれども、われわれ事務当局では、いまの先生のお話の三点につきまして、特にロストウ氏の来た場合、あるいはブラウン外相が来た場合、それについてどういう話があったということは聞いておりませんし、われわれの耳にもさわっておりません。ハワイでもこの問題出ておりません。いま先生のその根本であります御質問でございますけれども、われわれは当然最もいい、最も優秀な飛行機をつくるという関係から、できます情報の中で、許す範囲で検討する必要がございます。GE1エンジンは、あることがわかっておりましたけれども、残念ながら資料がなくて、初めは検討できなかったのでございますが、資料が入った以上は検討するということは当然でございまして、しかもそれが御存じのように、予算と年度がございますので、その関係で、許す範囲で検討するというのが当然われわれの義務でございます。そういう意味で検討しまして、先ほど申し上げた結果になったわけでございます。
  155. 大森創造

    ○大森創造君 通産省お待たせしましたけれども、お伺いします。日本における航空機の大型エンジンのメーカーというものは三社ですね。通産省の方、どなたでもいいからお答えいただきたいと思います。
  156. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) お答えいたします。大型のジェットエンジンを生産するものは一社でございます。
  157. 大森創造

    ○大森創造君 その一社はどこですか。
  158. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 石川島播磨重工業会社でございます。
  159. 大森創造

    ○大森創造君 わかりました。私のほうの調査でもそうですね。ただ、小型の航空機のエンジンを扱うメーカーは、川崎航空機と、それから三菱重工とありますね。それであわせて三社ということですね。
  160. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) そのとおりでございます。
  161. 大森創造

    ○大森創造君 そこでお伺いしたいのは、問題はここですよ。この点は次回の委員会であとを聞きますけれども、ロールス・ロイス社のADOURというものに昭和四十三年の二月の十五日にきまった、こういう機種のエンジンにきまった。そこで、機体のメーカーは昨年の八月に三菱重工であるということを決定をした。そこで、その次の作業は機体の基本設計契約をせにゃならぬ。三菱重工が機体のプライム・メーカーに昨年の森田装備局長のときにきまった。そこで、今度は契約を防衛庁と三菱重工の問にきめにゃならぬ、それは予定した日にちはいつですか。
  162. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 今年度内に契約を済ますという作業を進めております。
  163. 大森創造

    ○大森創造君 予定の月日はいつですか。今年度内ではないでしょう。
  164. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 現在、私のほうの関係の調達実施本部でこまかい打ち合わせをしておりますので、予定日ということまではないと思いますが、少なくとも今年度内には当然契約する、三月三十一日までには契約を済ますということだと思います。
  165. 大森創造

    ○大森創造君 あれではないですか、機体のボデーですね、機体のプライム・メーカーがきまったのが昨年の八月で、その商社は三菱重工である。したがって、防衛庁と三菱重工の問に機体の基本設計契約というものを結ばなければならぬ予定の月日は、きょうではありませんか。昭和四十三年の三月十五日、そうでしょう。そのことはおわかりでしょう。きょうの日ですよね。
  166. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) そういうふうに私は聞いておりません。
  167. 大森創造

    ○大森創造君 そうですか。——これは次回に譲ります。きょうはどうしても私の質問はワンセットになりませんから。  そこでお伺いしますけれども、この機体の基本設計契約というものを、いずれにせよ三菱重工と防衛庁のほうで結ばにゃならぬ。そうして今度は機体の基本設計という作業にかかりますが、その期間はどれくらいかかると思いますか。専門家ですからおわかりでしょう。
  168. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 実はこのTXという超音速高等練習機につきましては、機体ということではなくて、そのエンジンを積みましたすべての飛行機の開発を、開発プランとして三菱重工と契約しまして、試作機をつくって飛ばすまでの契約をいたします。その中で、いま予定しておりますものは、大体基本設計が四十三年度の後半までかかるというような予定をしております。
  169. 大森創造

    ○大森創造君 機体のプライム・メーカーは三菱重工というのはこれは決定。変更なしですね。
  170. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 変更ございません。
  171. 大森創造

    ○大森創造君 よし、これは三菱重工ですね。  そうすると、今度は通産省に移りますが、通産省は今度はTXのエンジンはどこのメーカーになるのが筋でしょうか、さっきのお話からいって。三社がある。どこのメーカーになるのが筋でしょうか。
  172. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) TXのエンジンというよりは、先ほど申し上げましたジェットエンジン・メーカーの決定につきましての基本的な考え方といたしまして、一昨年、小型のエンジンにつきまして川崎航空機と三菱重工を認めました。そしてそのほかの大型エンジンについては石川島播磨重工に生産させるということを一般的な、原則的考え方として現在も持っております。それで、TXのエンジンの決定につきましては、TXエンジンを調達する時期との関係で決定するわけでございますが、現在のところ、一般的な原則的考え方を特に変更する必要はなかろうと現在のところ考えております。
  173. 大森創造

    ○大森創造君 通産省の態度は、そうするといまのお話のように三菱重工とそれから川崎航空機については小型のエンジンであって、今度のTXのエンジンのように大型のエンジンについては、もう既定の事実として、石川島播磨ということになっているのだが、その点については防衛庁はいかがお考えですか。
  174. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) いまの航空機製造法で、機体、エンジンとも通産省のほうで許可権を持っておりますし、また、通産省としましては大きな航空機業界の指導方針を持っておりますので、通産省の意見をもちろんわれわれは尊重する必要がございますが、われわれも最も大きい装備品を使いますので、われわれの希望も意見も通産省に申し上げて通産省のほうで御決定願うという考えております。
  175. 大森創造

    ○大森創造君 そこらがちょっと食い違っているね、通産省と。私が予期したごとく食い違っている。そういうお答えになることを十分に私は予期した。これは次回に譲るけれども、そう出るはずだ、防衛庁は、そう出なければならぬ立場に置かれているようですね。これは装備局長とは関係ないけれども。  そこで私は、防衛庁お聞きください。この肝心のエンジンの国産メーカーといえば石川島播磨ということに相なるのですよ。これは業界の申し合わせが一昨年の十一月の十日の日にあって、そして、その業界というのは三社——石川島播磨とそれから川崎航空機と三菱重工との間に申し合わせがあって、過剰投資をさせないために、そして業界が一致して防衛庁に協力をする。国防産業というものをスムーズに発展させるためにこの業界の申し合わせがあって、これが昭和四十一年の十一月の十日ごろです。それから一週間たった十一月の十七日にそれを受けて、ここに持ってきておりまするけれども、重工業局長——高島さんとおっしゃいますね、高島さんが、その業界の申し合わせを尊重して、現在の重工業局長が先ほどお答えになりましたように、小型の航空機エンジンについては三菱重工や川崎航空機にまかせるけれども、大型の航空機のエンジンについては石川島播磨ということに相なっている、こういう趣旨の御答弁をさっきやっている。社名まで石川島播磨ということを現に重工業局長はお答えになった。そうすると、すなおに防衛庁のほうは、これらの業界の申し合わせがいまもって生きているのですから、一片の通告ではないのですよ。押しつけの通告ではないのですよ。通産省の重工業局長は、これは国家的な立場に立って過剰投資はいけないから、国防産業をスムーズに発展させるために、小型のほうは川崎航空機と三菱重工だが、TXのエンジンのようなものは、このメーカーは石川島播磨が適当である、重工業局長は石川島播磨でございますと、こう言うた。ところがそういうふうに、石川島播磨というようにすなおにさっとお答えが出ないんでしょう、防衛庁は。なるほどいまは理由をおっしゃいました。その理由以上のものがあるんじゃありませんか、上のほうに。何かがある。それで、お聞きください、あとで御答弁があれば——時間がありませんからこの次に申し上げます。これは次回もこの問題にからんでここをずっと問答してまいりますから。
  176. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 先生の誤解があるといけませんので一言申し上げます。  私のほうは、いま一般的なことを申し上げたんで、この際このエンジンがどこということで言ったのではございません。一般的に、われわれは通産省のいまの法律上の権限なり、あるいは業界の育成という立場考え方に対して、われわれ一般論としましてユーザーとしての意見を申し上げると申し上げたので、いまの問題についてどうのこうのという言い方ではございませんので、一言だけ申し上げておきます。
  177. 大森創造

    ○大森創造君 その点を詰めていきますというと、私は逆に一般論であろうが、実際論であろうが、私は石川島播磨ということになるだろうと思うんです。それが国家のためになるし、通産行政立場からいっても、防衛産業の発展からいっても、私は石川島播磨という名前がぱっと飛び出すのがノーマルな考え方だろうと思います。しかしいろいろありましょう。その点は次回に譲ります。  そこでお伺いしますけれども、それでは一体基本設計というもの、基本設計を三菱重工がやる場合にはことしの年末までかかるだろうということになれば、今度は細部設計と申しますか、そういうものを、実質決定と申しますか、そういうものをやるのは昭和四十四年に相なりますな。
  178. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) いまの予定では、四十三年の後半から入って四十五年の初頭までかかるのではないか……。
  179. 大森創造

    ○大森創造君 基本設計がですか。
  180. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 細部設計が、そういう考えでおります。
  181. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますと、いずれにせよ細部設計——基本設計が今年もかかるんだから、細部設計にかかるのは昭和四十四年と断定していいでしょう。
  182. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 期日的には多少ラップもしますが、四十三年度後半に細部設計には取りかかる。四十三年度の後半から四十五年度の初頭というふうに考えております。
  183. 大森創造

    ○大森創造君 時期は多少ずれてもいいですわ。そのときに細部設計というものがなされるんだが、そのときにエンジンのプライム・メーカーが石川島播磨になるであろうと私は思うんです。これが一番常識的な考え方である。そこで、そのとき、ロールスロイス社のほうから試作機を二機、そうしてエンジンのモデル品を六個輸入しなければなりませんね、双発だから。この事情はわかるでしょう。双発ですから二機で四基要るわけです。試作機が二機だから四つ要る。あとの二つは予備としてとっておく。一個大体価格は九千万円前後と聞いておりますけれども、その輸入商社はどこでしょうか、通産省
  184. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 従来、ロールスロイル社のエンジンの輸入は伊藤忠商事がやっておりました。ただ今度の場合のは、どういうことであるか、私のほうは全然承知いたしておりません。
  185. 大森創造

    ○大森創造君 従来の例では、ロールスロイス社の代理店みたいなもの、そして防衛庁のほうに働きかけた伊藤忠、ずいぶん働きかけたんですよ、伊藤忠は。この伊藤忠になるんでしょうか、防衛庁。
  186. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) いま重工業局次長がお答えしておりましたが、ロールスロイス社の日本の代理店は伊藤忠と承知しております。今度のわれわれが手に入れますTXエンジンのADOURというエンジンは、ロールスロイス社とフランスのツルボメカと二つが共同で試作をします。そのエンジンを扱う向こうの特別な機関がございまして、それはロールスロイス、ツルボメカという会社でございます。その会社日本のエージェントがどこになるかはわれわれもまだ現在承知しておりません。
  187. 大森創造

    ○大森創造君 どうも私はその点がすっきりいたしませんので、次回に譲りまするけれども、通産省のお答えのように、ロールスロイス社のエージェント代理店みたいな役割りをしてきたのは伊藤忠であって、これは厳然たる事実だ。だから、川崎一等空佐は供応を受けたのだ。そして為我井氏や、先ほど私が二人の名前をあげたようないきさつが出てきたのだから、これはいままでの関係からいうと、この輸入商社というのは伊藤忠ということに割り切られてよさそうだね。これはどうでしょうか。
  188. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) われわれもまだその点につきましては承知いたしておりませんし、何とも申し上げようもないのでございます。
  189. 大森創造

    ○大森創造君 何とも申しようがないということに相なるであろうということも、私はちゃんと予想しておりましたけれども、しかし、あの伊藤忠ということにスムーズにきまりそうなの、が、まあまあことしの三月の近ごろ、その際に、今度は伊藤忠がもっぱら警務隊、検察庁でもって、実際、伊藤忠はほんとうに悪い会社です。ほかにも悪いところはありますよ。徹底的なダメージを受けたのは、伊藤忠が当然インポーターとして輸入商社になるであろう、こういうことを決定されるであろうこの時期に、御承知のようなこういう伊藤忠を中心にしたスキャンダル——スキャンダルでない、内容のあるいろんな問題が出てきたということが私は何とも疑惑を感ずるわけです。伊藤忠でない場合もあり得るのですか、それでは、防衛庁。
  190. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) その点は私たちもまだ申しようございませんが、われわれとしましては、ADOURのエンジンがわれわれの開発計画に間に合うように支障なく手に入るというルートがあればけっこうなんでして、別に商社はどうでなければならぬということは当然ないのでございますから、いまのところ申しようもございません。
  191. 大森創造

    ○大森創造君 それはそういうお答えになるでしょうが、伊藤忠とそれから機体のプライム・メーカーということになった三菱重工との関係は、これは御存じですか。これは系列じゃないのですよ、三菱重工の系列外であるというもの、それが伊藤忠、丸紅であるということはおわかりですね。防衛庁の方はよく御了解のはずですよ、そうでしょう。  それから、伊藤忠でなかりせばどこの商社が飛び出してまいりますか。これはもう防衛庁の皆さん方よくおわかりでしょう。
  192. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 実はある意味で、私、防衛庁に日が浅い人間でございまして、その点の関係はまだ存じておりませんです。
  193. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 大森君、予定の時間がきておりますので集約してください。
  194. 大森創造

    ○大森創造君 それでは、きょうは集約いたします。  それでは、防衛庁、エンジンのメーカーを決定するのはいつごろになりますか。このTXのエンジンの国内のメーカーを決定する時期はいつごろになりますか。したがって、輸入商社の決定をする時期はいつごろになりますか。
  195. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) 現在、いまのTXの開発計画では、四十五年に入りましたら、試作機を開発したいという考えでおりますので、先ほど先生がお話の試作機を二機つくるためには六基のエンジンが要るじゃないか。そのお話の中で、われわれは六基全部を輸入するのか、あるいは最初の一機分だけ輸入してあとは国産に持っていくのかということの検討もいたしております。そういうふうな関係で、もし国産をするのであれば、相当に時期も早まらなければいかぬという関係で、四十三年度中かあるいは四十四年の初頭というぐらいには少なくとも決定をしなければならぬ時期じゃないかというふうに考えております。
  196. 大森創造

    ○大森創造君 いまのお答え、私は私なりにぴんときた。やはり四十四年か四十五年のころにエンジンのメーカーを決定していいものを、ある実情があって、早目に決定しなければならぬ事情も発生するかもしれぬというお答えになりました。これは速記に書いてございますから、そこの議論はあとにいたします。そうすると、いまあれですね、TXの航空機の大型エンジンのメーカーは先ほど重工業局次長がお答えのように、石川島播磨一つですね。
  197. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 現在のところは、石川島播磨一社でございます。
  198. 大森創造

    ○大森創造君 そこで重工業局次長、続いてお伺いしますけれども、やはりエコノミカルに、そして過剰投資を避ける意味において将来ともに一社、石川島播磨なら石川島播磨にいたしたいというのが通産省立場ですね。
  199. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 先ほどお答え申し上げましたように、一般的原則的な考え方からはそうであるべきだという考え方で、ああした考え方をとったわけでございます。現在のところは、その考え方でいいというふうに考えておる次第でございます。
  200. 大森創造

    ○大森創造君 時間がありませんから申し上げますけれども、それでは第四次防——第三次防でなくて、第四次防の防衛庁で使うエンジンの予算額はどのくらいですか。
  201. 蒲谷友芳

    政府委員(蒲谷友芳君) まだ四次防という考えで作業をしておりませんので、わかりません。申し上げる数字を持っておりません。
  202. 大森創造

    ○大森創造君 相当金額になります。それで現在はないけれども、民需というのも出てまいりますから、だからエンジンのメーカーというものは、いまのところは一社、石川島播磨。だけれども、このTXのエンジンのメーカーということになることによって、一系列が二系列になるということになる。相当商社はねらうでしょうな。防衛庁もずいぶん働きかけられる危険性もあるし、よっぽど用心しないといかぬですな。すでに働きかけがあるんではないかと思う。だから、これは私の一方的な独断であればおそれ入りますけれども、原則的に言っているのは通産省立場であって、その間多少の食い違いがあるということは私は予想しているんです。これは装備局長がどうのこうの、官房長がどうのこうのということではございません。どうもここらに陰があるような気がいたします。どうもこのことは詰めて議論する時間がございません。  それで、先ほどの駒沢年三なる人物はわかりましたか。
  203. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 駒沢、為我井元二等空佐のおもな退職理由等については、人事局長からお答えいたさせます。
  204. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 駒沢年三という元自衛官についての経歴についてのお尋ねでございますが、神戸高等商業出身の人でございます。昭和三十年五月二十五日航空自衛隊に一等空尉で入隊をいたしております。最初に防衛部の調査課におりました。三十二年の八月十六日、三等空佐になりました。そして三十四年の六月一日航空幕僚監部の防衛部調査課計画班長をやっております。それから昭和三十五年八月十六日資料作業隊レーダー資料班長をやっております。三十六年の八月一日に航空幕僚監部の装備部の装備課に勤務しております。三十七年四月一日二等空佐になりまして、航空幕僚監部の防衛部の防衛課に勤務いたしております。三十九年の十二月一日に退職をいたしております。書類によりまする退職の理由は、一身上の都合により退職ということでございます。
  205. 大森創造

    ○大森創造君 庄司春男は。
  206. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 庄司春男という元航空自衛官のおもな経歴を申しますと、彼は中央大学経済学部の出身でございます。三十年の四月十六日に三等空曹として入隊をいたしております。それからずっと昇進をいたしまして、途中三十一年の四月十六日に三等空尉になり、補給処の調達課につとめております。それから、三十二年の二月十六日に二等空尉になりまして北部訓練警戒群につとめております。それから、三十六年の七月一日に一等空尉になっておりまして、三十七年の三月一日に航空幕僚監部の防衛部運用課に勤務いたしております。昭和三十八年の七月一日に退職をいたしております。退職の理由は依願退職でございます。
  207. 大森創造

    ○大森創造君 時間がありませんからこれだけで終わります。そうすると、一身上の都合でいまの駒沢年三なる人物がやめたということは、通常一身上の理由ということになりますが、内容は例のポマークの問題についてやめたことになるはずです。これはお調べいただいたらわかる。そこで、警務隊のほうではわかっているんでしょうね。川崎一佐を為我井が供応しただけじゃないですよ、同時に先ほど申し上げましたように駒沢年三なる者を供応しております。そして、防衛部の防衛課か調査課にいて、一番機密の情報を保全する立場にあって、間諜みたいなことをやっていたんですよ。ここのところをどうして警務隊のほうはメスをあてないのかと思うし、先ほど申し上げたような理由で二百五十三億円の金がバッジシステムの受注について出たんだから、その詳細を究明するためにはいまのような方々を呼んで、いまの二人の人物を呼んで事情をお聞きしたいということ、そして金額の差額というもの、百三十億というものが二百五十三億にふえたその事情などを本委員会としては特別に究明をいたしたい。それが予算委員会の使命であると思います。  TXのエンジンの問題については、私は通産省のほう、防衛庁のほうにお伺いいたしましたけれども、ある面については不明、ある面についてはお答えいただきましたけれども、私は防衛庁と通産省のほうが微妙な相違点が出てくるであろうということは予想いたしました。この点については、次回の委員会で煮詰めたいと思います。以上で終わります。
  208. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは田村君。
  209. 田村賢作

    ○田村賢作君 もう時間も数分しかありませんし、きわめて簡単に……。  万国博覧会を二年後に迎えるにあたって、いろいろ憂慮すべき問題点が多いようなことが新聞紙上に報道をされております。たまたま私が本日の新聞をちょっと目を通しただけでも、朝日新聞、産経新聞、この二つの新聞だけを見ただけでも、おのおの二ページ、三ページのスペースを使ってこの問題を取り扱っておりますが、なぜ本日このようなことが記事としてとられているかと申しますと、御承知のようにあと二年後の本日です、二年後の三月十五日から、日本における画期的な祭典でもあり、行事でもあるところの万国博が開催される記念すべき日でもあり、しかも本日は万国博施設、建設のための立柱式と申しますか、これが本日行なわれることになっているのだそうであります。われわれはそこでかって四年前になりますか、例のオリンピック大会をわが国に持ったわけでありますが、オリンピック大会をアジアに誘致をし、日本で開催をいたしまして、施設や設備の点においてもあるいはその大会の運営の点においても非常な成果をおさめて、ある意味において国際的に日本の成果というものを、あるいは国際間における信用というものを非常に高く評価せしめた実績があると私は思うのでありますが、二年後に万国博覧会を迎えるにあたりまして、何か新聞報道等によりますと、われわれも非常に不安を感ずる幾つかの問題があります。  詳しく申し上げまするとたいへんな時間がかかりますが、時間がありませんので四つ、五つの問題にしぼってお尋ねをするのでありますが、まず第一に、今度の万国博に対しまして国際間の反響はどうか、あるいは国内における万国博に対するこれを迎えようとする心がまえ、準備の点について非常にムードが盛り上がらない、万国博を迎える気運が醸成できていない、こういうことを新聞では非常に憂えておるのであります。特にそのことを朝日新聞は全紙面を使って書いておるのであります。一体世紀の祭典ともいうべき、あのテーマを見ましても「人類の進歩と調和」というまことにふさわしいテーマのもとに開かれようとするこの万国博がかってオリンピックを迎えるときには四年前、三年前、二年前という事前にすでにオリンピックを迎えようとする国民の世論というか、気魄というか、みなぎっておったのであるが、今度の万国博を迎える国内の世論なり気運というものは盛り上がらないのである。国際的にもそうである。外国通信の中から出たものを見ても、そのようなことが報ぜられておるのですが、これは一体こうした盛り上がらないという原因というものはどこにあるのか。政府のこれを迎えるための陣容が不足しておるのか、あるいはPRが行き届かないのか、あるいはこれは政府のPRが行き届かないのか、あるいは協会のPRが行き届かないのか、その辺のところについてひとつお答えを願いたいと思います。
  210. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 盛り上がらないという御指摘でございますが、国際的な問題と国内的な問題と両面あろうと思います。国際的な観点から申し上げますと、御承知のように、モントリオールであれだけの成功をみたわけでありますが、日本の万博はその三年後になる、非常に期間が短い。それと同時に最近ようやく各国も日本の万博を理解してくれておりますが、外貨の不足の事情もございまして、なかなか出展をするところまで至っていないわけであります。しかし最近非常に海外的にはPRが行き届きまして、小さな国まで日本の万博を考えておる、こういう段階になってまいったのでございます。  それから問題は国内的なムードの問題でございますが、万博はオリンピックと違ってどうして盛り上がらないかという問題でございますが、これは一言で申し上げますと、おそらく万博というのはまだ相当誤解がある。何か産業界がやるよう問題である、国際見本市を大きくしたようなものというような感じが、日本では万博がはじめてでございますので、まだあろうかと思います。これが非常にオリンピックと違うところでございます。そういう意味合いにおきまして、より一そうのPRをする必要があるということも一面言えようかと思います。これがためには、私どもとしましては、やはり万博というものが、こういう内容のものであるということをもう少しより具体的に国民に知っていただく必要があろうかと思います。  御承知のように、今度の予算措置におきまして、全体の資金計画もようやくきまりました。したがいまして、全体の構想というのが具体的にまとまる段階にきております。そうしますと、具体的なPRがわれわれもできる。秋ごろまでを目標にいたしまして国民的なムードを盛り上げてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  211. 田村賢作

    ○田村賢作君 朝日新聞の報ずるところによりますと、記事そのまま読みますと、「万国博協会の仕事ぶりについて、各国の在日大使館から外務省に苦情が寄せられている。するべき事務がなされていない、」というような記事が出ておるわけであります。ということは、在日大公使から、この万博についての協会がなすべき仕事でもっと大きな期待を持っているんだが、協会がそれを果たしてくれていないんじゃないかという、こういう意味だと思うのでありますが、これについての所見を述べていただきたいと思うのであります。  それから低調ムードと申しますか、これは主として国内における万博を迎えるについての問題でありますが、今度の万博を迎えるについての会場の施設経費と申しますか、これにつきまして、大阪千里につくりますにつきましていわゆる地元負担金というものが百六十億ある。それは大体近畿各県、大阪をはじめとして負担するのでありましょうが、これと地方館というものができて、私は詳しいことはわからないが、その地方館の施設も各都道府県の分担をする金もあるという、そういうような、地元の負担する負担金あるいは地方館を設置するについてのその分担金というようなものがありますが、それについての出展計画と申しますか、どういうものをどういうふうに陳列をするというような出展の計画について、具体的にこのことが明らかになっておらないというようなことのために、国内においてもこれを迎える機運が醸成できないのではないかということが言われておるのでありますが、これについて御意見をお伺いをいたします。
  212. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 外国から、いろいろな批判がきておるという問題でございますが、これは大きく言いまして二つございまして、一つはそれぞれ各国から参加いたします場合に、できるだけ有利なといいますか、見ばえのする地域を割り当ててもらいたいというのが当然でございます。この割り当ては、よほど各国の不平を起こさないようにやらなきゃいかぬわけですが、どうも日本館といいますか、日本の企業に有利に割り当てて、外国政府の館に不利になってくるのじゃないかという誤解があるわけでございます。この点は万国協会のほうで先方にもいろいろなお話をし、また日本館で譲るべき点は、全体の構想からみて、譲れるものは譲るというようなことで、現在解決がついております。  それからもう一つ大きな、外国から見ての非難といいまするのは、日本の万国博が商業主義に堕しはしなかろうかという問題だろうと思います。モントリオールのときにとやかくいわれたわけでございます。しかし、万国博といいますのは、文化の祭典でございます。そういう形にならないと意義がないわけでございますので、われわれといたしましては、できるだけ業界サイドに対しましても、できるだけ商品のいたずらな陳列にならないように、一つのテーマに沿った文化的な出展をしていただくように要請いたしておるわけでございます。われわれの観点は、そういう方向に進んでおる、こういうふうに考えております。多少外国の誤解もあろうかと思いますが、これは最近パリでこの万国博の理事会が開かれまするので、協会のほうから副会長がまいりまして、日本の実情を説明する、こういうことになります。  それからもう一つの国内の低調ムードは、やはり出品物といいますか、展示の内容が明らかでないからムードが出てこないんじゃないか、こういう御指摘でございますが、私先ほど申し上げましたがそのとおりだろうと思います。やはり万博がどういう内容のものが行なわれるかということがはっきりいたしませんと、ムードがわいてこないわけであります。いままでは抽象論でございます。それがだんだん詰まってくる段階になってきましたので、今後はそういうPRが非常にやりやすくなる、かように考えておるわけでございます。  地方展のお話がございましたが、現在知事会におきまして準備委員会をつくりまして、鋭意その出展内容を検討していただいておるわけでございますが、大体展示の内容といたしましては、地方館を「ふるさと」というような、ちょっと古めかしい名前でございますが、名をつけまして、各地の風土なり、あるいは生活等の特色のあるものを展示していくということにいたしております。総経費は約十五億かかるわけでございます。この十五億は全国の各府県が負担していただく。それから協会内の、協会がやります施設の地元負担、地方館以外のものにつきましての地元負担がございますが、これは近畿の各府県がそれぞれ応分の御負担を願う、こういうことになっておるわけでございます。
  213. 田村賢作

    ○田村賢作君 いまの近畿各府県が負担をする約百五十億か、百六十億ですか、それから「ふるさと」をつくる十五億、これが、出展内容なり運営がよくPRされていないから、それらの府県が腰が入らない、こういうことをいわれておるので、もっとこれに参加をするすべての日本人の腰が入るようにするためには、これは通産省なり、協会なりがそれぞれのかまえでいかなければならないのじゃないかと思う。そのかまえができないのはどういうわけなのかということを新聞は憂えているのです。そこのところの見解をもう一回お伺いをいたします。
  214. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) あと二年に迫まりましたので、御承知のように外国館、国内館もこの秋口からぼつぼつやはり工事に着工せざるを得ないと思います。現在までのところ、御承知のように大きなものとしましては、外国館を別にしますと、政府館がございます。政府一つの大きな館をつくる。それから地方館がございます。そのほか万博がやります美術館とか、テーマ館、いろいろなものがあるわけでございます。政府館につきましては、これは現在大体の基本構想が固まりまして、それを具体的に総合プロデューサーのもとで、設計に入っておるという段階でございます。これも早晩出てまいろうかと思います。  それから、地方館もこの政府館とあまりダブらないように調整しながら構想を描くということになっておりまして、相当準備委員会の事務局のほうでは準備が進んでおります。これも早晩その具体的構想が示せる、かように考えております。  それから民間の館も、これは全部ではございませんが、こういう構想でいくのだということがぼつぼつ示せる段階になっております。非常に時間がかかりましたのは、御承知のように、単に商品の陳列でなしに、「人類の進歩と調和」というものをいかにあらわすかということを各専門家がそれぞれ非常に苦労をして積み上げておられる段階でございます。そういう意味で時間はかかっておりますが、早晩この内容がはっきりなろう、こういうようににわれわれは大いに期待しておるわけでございます。
  215. 田村賢作

    ○田村賢作君 わかりました。  次は、この万博を準備すべきこの過程において、それぞれ事業の内容によって、それぞれの省庁が関係すると思うのであります。建設省であるとか、あるいのは外国窓口である外務省であるとか、あるいは輸送機関を担当する運輸省であるとか、こういういろんな関係で省庁が関係するでありましょうが、要するに、この政府と、これを担当する——ここのところよくわかりませんから教えていただきたいんですが、万国博協会ですね、万国博協会との関係がどうなのか、あるいは万国博協会が十分にその機能が発揮できないのか、あるいは政府が万国博協会に対して、政府と万国博協会の問が不十分なのか、その辺のところをひとつお願いをいたしたい。
  216. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) この会場準備といいますか、万博の準備を進めてまいります上に、大きい問題が二つございます。  一つは会場内の施設、いわゆる展示場とかそういう施設をつくる、こういう事業でございます。これは御承知のように万国博協会が通産大臣の監督のもとに——これは民法法人でございますので、監督のもとに、その業務をやっておる。それに対して政府は補助している、こういうことになっております。それが一つの大きな筋でございますが、もう一つは、御指摘のようにこの万博を成功させますためには、付近の道路をよくしなければならない、入場者のための道路をつくらなければならない、あるいは港湾の整備をしなければならない、いろんな環境整備、関連事業の問題がございます。この関連事業につきましては、道路につきましては建設省、港については運輸省、労働対策については労働省、各省が関係いたしております。その各省が関係しておる問題、これが会場計画と一体でなければいかぬわけですが、それを調整するのが万博担当大臣でございます。各省の調整をはかりながら、各省の分野で一体的に仕事を進めておる、こういう関係に相なっておるわけでございます。
  217. 田村賢作

    ○田村賢作君 書類で見ますると、万国博についての資金が、建設資金として五百二十三億六千四百万円、運営資金として二百三億八千八百万ということが予定されておるようでありますが、なおこの建設資金には、外国の各国から施設をする建設の資金、あるいは民間企業家等が行なうところの建設の資金等がありまするから、これを合わせると約一千億程度の建設資金になる。それらの仕事は、いろいろ先ほどお話のありました各省庁の関係もございましょうが、なお、これを迎えるについての準備の事業と申しますか、道路とか、港湾とか、通信とか、こういうような関連事業、公共事業になりましょうか、こういうものが、六千五百二億四千六百六十万円というような数字が出ておるのであります。この膨大な関連工事等も伴ってできるこれらの施設が万博が終わったあと、直ちにこれが、国民のあるいは地域住民のために有効適切に利用される、使用される計画が立っておるのかどうか、その辺をお伺いいたします。
  218. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御質問の趣旨は、あと地利用計画の問題であろうかと思います。民間の企業者が建てる館あるいは外国の政府が建てる館は、これは大体、モントリオール博でもそうでございますが、取りこわすのが通常になっております。そのほか、御指摘のように、政府館とか、あるいは協会自体が建てます美術館あるいはテーマ館、いろいろな館がございますが、私どもといたしましては、そういう館の中で、将来国民全般のために使える施設については、初めの設計から残すような設計にいたしまして、それを残していきたい、こういう考え方を持っております。  なおそのほか、非常にあの土地は広大な土地でございますので、この万博が済んだ場合に、あと地をどういうように利用するかという問題がございますが、御承知のように、あの中の百万坪ばかりございますが、四十万坪につきましては、公園にするという決定を大阪府がすでにいたしております。残りのものにつきましては、今後検討していきたいと思いますが、大阪府としては、あすこにそれぞれの学校集団——学校を入れたい、あるいは一部は流通センター的なものにしたいという案も持っておるようでございますが、そういう問題につきましては、今後、中央と大阪府と十分連絡を取りながらきめてまいりたい、かように考えております。
  219. 田村賢作

    ○田村賢作君 せっかくのこれだけの企画を持つ万博ですから、日本と国交を持っておる国が百二十カ国ぐらいあるのだと思うのですが、少なくとも、わが国と国交を持っておる国にはくまなく参加していただくというような御努力が願いたいと思うのですが、大体、いまのところ参加できるであろうと思われるような国が幾つぐらいありまするか。それから、ぜひ参加してもらいたいと思うが、参加できそうもないのだというような国がもしありますか。その辺をひとつお尋ねをいたします。
  220. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 現在の状況を申し上げますと、すでに参加を申し込んできておる国が二十八カ国、それから一政庁——香港でございますが、一政庁ございます。このほかまだ正式な意思の表示はございませんが、ほぼ国内的には内定しておるという国が数カ国ございます。したがって現在のところ三十四、五確実になっておる、こういうように見ていいと思います。将来これをどの程度に持っていくかという問題でございますが、御承知のように、モントリオール博は六十一カ国の参加を得ておるわけでございます。われわれとしてはこのモントリオールに負けない、現在のところ七十カ国程度の参加を確保したいということを考えておるわけであります。特にアジアで開かれます万博でございますので、そういうアジアに関係のある国にぜひ参加していただきたい、こういう意味で、むしろ小さい国々が参加していただくためには、共同の館を建てるというようなことも便利であろう、かように考えまして、そういう構想も持って先方と今後交渉していく、こういう構想を持っているわけであります。
  221. 田村賢作

    ○田村賢作君 時間がありませんから、最後に一括して二つ、三つお尋ねいたします。  その一つは、わが国でもこれだけの財政投資をして開く万博でありまするから、これが商業主義オンリーにいくならばいろんな批判も起きるでありましょうが、しかし日本の最近における発達した産業の実態を把握していただくということのためにも、あるいはこれからの日本の貿易を拡充していくという意味からも、貿易振興の経費として政府から一億四千百九十九万円という金が出るわけでありまするから、日本の貿易振興のためにもこれは十分留意していただきたい、それに対する考え方が一点、それから次に、実は大臣からお答えを願いたいと思ったんですが、大臣がいらっしゃいませんから、通産次官に、大臣にかわってお願いしたいんですが、この万博を迎えるについての関連工事だけを見ましても、道路に支出される金が六百三十六億、空港に百十億、それから港湾——港に二十九億、並びに国際電話あるいは国内電話、こういう通信関係に百二十三億というような予算が使われるわけであります。そこで新聞が伝えるところによりますると、現実にはきょう立柱式をやって、七月ごろには本格的な工事に入るんでありましょうが、すでに万博ブームというものをためにすることかとも思うのでありまするが、これらの工事を短期間に遂行をいたしまする公共事業完遂のために問題になるのは労務者、技術者が著しく不足をするであろう。一体これの充足が完全にできるかどうか、それがためにもうすでに新聞で見ると、この工事のために労務者にしわ寄せしているのは三%くらいであるということを報じていますが、各種の労務者の賃金が実質的にどんどんと値上げをされている。実質的にはまだしわ寄せはいっていないわけだ、にもかかわらずどんどんと値上げをされている。これが本格的に工事がすべり出した暁においてはもっともっとはかり知れない、労務者の賃金の値上げ、あるいは労務者の不足ということが起こり得るであろう。それが一般市民の生活にも非常な悪影響を持っている。今後ももっともっと深刻な影響をもたらすであろうということを報じているわけでありますが、これに対する政府の対策について、これは通産次官の熊谷先生からひとつお答えを願いたい。  以上で、私の質問を終わります。
  222. 熊谷太三郎

    政府委員熊谷太三郎君) 大臣が出席できませんので、たいへん失礼でございますが、お答えを簡単にいたします。いまお話しのように一時に建設工事が集中いたしますので、やはり現在の状況から推しますと五万人くらいの労務者が不足ではないかというようなことが言われているわけでございます。したがって労務者が非常に不足してまいります。不足してまいりますと、それを集めますために、やはり賃金も高くしなければということで、高くならざるを得ない。あるいはまた宿舎その他の宿泊の設備等も必要だということになってくるわけでありまして、これはやはり役所といたしましては、労働省その他各官庁と十分に協力を求めまして、そういう弊害がなるべく少なくなるようにしてまいらねばならぬと思っております。そういうことにつきましていろいろ対策を進めておりますが、具体的なことにつきましては政府委員からお答えをいたしたいと存じます。
  223. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 貿易振興のお話が出ましたが、御指摘のように、この万博というのは、商業主義と見られる形になっては万博の意味がないと思います。そういうことは十分注意いたしますが、それと同時に、やはり日本技術レベルというものをやはり世界各国に認識していただくということは、これまた非常に大事な問題だろうと思います。そういうことを通じまして、長い目で見て、日本の貿易というものが拡大し、日本がそれによって世界に貢献できるというような展示にいたしてみたい、かように考えております。  なお、労賃、物価の問題が出ましたが、政務次官の答弁のとおり、事務当局といたしましても、万博をやるために、それによって国民生活に圧迫がくるということは最も避くべき問題であろう、かように考えております。  食料品対策は農林省、労務の問題は労働省に全力をあげてやっていただくことになっておりますが、事務的にも十分連絡をとって間違いのないように努力をいたしたい、かように考えます。
  224. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 本日の審査はこの程度にとどめ、散会いたします。    午後五時二十分散会      —————・—————