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国務大臣(
三木武夫君) ベトナム戦争がどういう形で収拾されるかということは、まだ第一回で、両方が基本的原則論を言い合っておる
段階ですから、どういう形でベトナム戦争が片づくかということは見通しがつきませんが、したがって、その収拾のしかたにも非常に影響があると思いますが、私は大局的に考えておることは、
アメリカはアジアに深入りし過ぎたという国内の世論、これは当然ベトナム戦後において一つの大きな世論の流れとして出てくるでしょうけれども、だからといって、
アメリカが孤立主義的な
アメリカに返るような時代ではないのです。だから
アメリカは、そうはいっても、やはりできるだけみなが責任を分担してもらいたい。
アメリカだけが背負って、世界の平和維持のために
アメリカだけが世界の憲兵のような役割りはできるものではない。こういうことで、みながやはり責任分担ということが起こってくるでしょうが、
アメリカ自身がやはり
各国に対して保障を与えておりますね。いろいろな集団安全保障
条約、これは
アメリカがみんな手を引くということになれば、非常な勢力のバランスを失うわけですから、できるものではない。だから、
条約上
アメリカが負うておるいろいろな義務というものは、
アメリカは後退しない。これはあくまでも
条約上の義務を果たしていく。しかし、ベトナムに対しては、これは
段階的に
アメリカの兵力は撤退せざるを得ない。そうでなければ話はつかないから、もうこれはハノイとしても一番ねらいというものは、米軍の撤退ということでしょう、ハノイが最終的にねらっておるものは。それは一ぺんにはできませんよ。
段階をおくけれども、最終的には
アメリカの兵力が南ベトナムから撤退されなければならぬ。そうでなければベトナム戦争は片づかない。だから、ベトナムからはこれを撤退して、それに対して何らかの国際的な保障というものを求めるという考え方が起こってくる
可能性は私はあると思います。いずれにしても、そういうあとの保障というものとにらみ合わせなければならぬけれども、米軍の撤退というものは起こってくる。そして、全体としては、やはりベトナムに対してはそういう軍事的なものでなくして、戦争による荒廃されたベトナムに対する国内建設ということが、
アメリカもまたこれに対して相当な私は寄与をすると思います。それはジョンソン大統領
自身が去年のボルチモアの演説で、ハノイも含めて十億ドルの援助をすると言ったのですから、あれは、一大統領があれだけ世界に向かった発言が、それが、何らそういう発言というものがそのときだけのことであったということは許されるとは私は思わない。そういうことで、やはり軍事的な兵力は撤退しても、このあとの国内建設に対しては
アメリカは相当力を尽くすに違いない。だから、これは全体とすれば大きな激変が
——アメリカ自身がもうすっかりアジアから手を引くというような大きな激変というものがアジアに来ると私は思ってないのです。ただ、いま申したように、できるだけみなが責任を分担してもらいたい。そうしてまた、むしろ経済的な面などにおいては、ベトナムなどに対しては、軍事的にかわって、やはり相当かわって強化されていくというふうに見ているわけでございます。