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1968-05-21 第58回国会 参議院 外務委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十一日(火曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      菅野 儀作君     佐藤 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         三木與吉郎君     理 事                 木内 四郎君                 増原 恵吉君                 山本  杉君                 森 元治郎君     委 員                 鹿島守之助君                 佐藤 一郎君                 廣瀬 久忠君                 山本 利壽君                 岡田 宗司君                 加藤シヅエ君                 佐多 忠隆君                 羽生 三七君                 大和 与一君                 黒柳  明君    国務大臣        外 務 大 臣  三木 武夫君    政府委員        総理府特別地域        連絡局参事官   加藤 泰守君        防衛庁防衛局長  宍戸 基男君        外務省北米局長  東郷 文彦君        外務省条約局長  佐藤 正二君        水産庁次長    森沢 基吉君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        外務省条約局参        事官       高島 益郎君     —————————————   本日の会議に付した案件日本国ニュー・ジーランドとの間の漁業に関  する協定締結について承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付) ○メキシコ合衆国領海に接続する水域における  日本国船舶による漁業に関する日本国とメキ  シコ合衆国との間の協定締結について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○南方諸島及びその他の諸島に関する日本国とア  メリカ合衆国との間の協定締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る十七日、菅野儀作君が委員を辞任され、その補欠として佐藤一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 日本国ニュー・ジーランドとの間の漁業に関する協定締結について承認を求めるの件  及び  メキシコ合衆国領海に接続する水域における日本国船舶による漁業に関する日本国メキシコ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件  以上二案件を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。外務大臣
  4. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ただいま議題となりました日本国ニュー・ジーランドとの間の漁業に関する協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、ニュー・ジーランド国内法によって昭和四十一年一月一日より領海三海里をこえ沿岸から十二海里までの漁業水域設定したことに対して、沿岸国の一方的な措置による漁業水域設定国際法上認められないとの基本的立場からこれに異議を唱え、この問題の解決についてニュー・ジーランド側交渉を行ないました結果、 ニュー・ジーランドに隣接する水域における日本国船舶による漁業に関して両国間の協定締結することについて最終的合意を見るに至りました。よって、昭和四十二年七月十二日にウェリントンにおいてわがほう竹内大使ニュー・ジーランド側ホリオーク首相外相との間でこの協定署名を行なった次第であります。  この協定は、本文六カ条から成っており、その内容は、日本国政府により正当に許可を受けた日本国船舶が、母船隻数及びトン数に関して両国政府間で合意される規模で、ニュー・ジーランド北島沖合い及び南島の北部の沖合い沿岸六海里から十二海里の部分において、一九七〇年十二月三十一日まで底はえなわ漁業に従事することを認め、ニュー・ジーランド当局は、協定の規定が順守されていることを確かめるため日本国船舶を臨検することはできるが、協定違反処理については、両国政府間の取りきめに従って、両国当局のいずれか一方が行なうことを定めているものであります。  なお、わが国船舶操業規模につきましては、別途の合意により、母船の数は十七隻及びそのトン数については一隻を除いて五百総トン以下と取りきめられておりますが、これは、従来からの操業実績を確保するものであり、また、管轄権の行使については、現在両国政府間に成立を見ている取りきめにおいては、協定違反処理は第一次的に日本国政府の責任であるとされており、したがって、ニュー・ジーランド側日本漁船違反を発見し、通告するにとどまり、違反に対する必要な措置日本側によってとられた上でニュー・ジーランド側に通報されることとなるわけであります。  この協定締結により、わが国漁船は、一九七〇年末までニュー・ジーランドに隣接する水域において従来の実績による規模操業を引き続き行ない得ることとなるので、両国間の漁業関係は安定し、ひいては両国友好関係増進にも寄与するものと考える次第であります。  よって、ここにこの協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、メキシコ合衆国領海に接続する水域における日本国船舶による漁業に関する日本国メキシコ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、メキシコ国内法によって昭和四十二年二月より距岸十二海里までの漁業水域設定したことに対して、沿岸国の一方的な措置による漁業水域設定国際法上認められないとの基本的立場からこれに異議を唱え、この問題の解決についてメキシコ側交渉を行ないました結果、メキシコに隣接する水域における日本国船舶による漁業に関して両国間の協定締結することについて最終的合意を見るに至りました。よって昭和四十三年三月七日にメキシコ・シティにおいて、わがほう石黒駐メキシコ大使メキシコ側ガビーノ・フラガ外相代理との間で、この協定署名を行なった次第であります。  この協定は、本文十一カ条から成っており、その内容は、日本国政府により正当に許可を受けた日本国船舶が、太平洋のメキシコ周辺の九海里と十二海里の間の部分のうち、一定の禁止区域を除いた水域において、一九七二年十二月三十一日までの五年の期間に、はえなわ漁法により、主としてメバチ、キハダ、バショウカジキ、マカジキ及びメカジキを一万五千五百トン漁獲すること等を規定しております。  この協定締結により、わが国漁船は、メキシコ周辺水域において、従来の実績を維持しつつ引き続き漁業に従事することとなるので、両国間の漁業関係は安定し、ひいては両国友好関係増進にも寄与するものと考える次第であります。  よって、ここにこの協定締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  5. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。高島参事官
  6. 高島益郎

    説明員高島益郎君) 以上の二協定につきまして御説明申し上げます。  先般御承認いただきました領海条約におきましては、領海幅員等につきまして定めができませんでした。この経緯は御説明申し上げましたけれども、その過程におきまして、アメリカカナダ両国から、領海を六海里にし、さらにその外側に六海里の漁業水域を設けるという提案をいたしまして、これは多数を得ましたけれども最終的に破れました。その結果、先ほど申し上げましたとおり、領海幅員が成立しなかったわけでございます。この一九六〇年の海洋法会議を契機にいたしまして、その際に提案されました漁業水域という構想がその後の各国慣行に出てまいりまして、自来各国が、条約によりあるいは国内法により、それぞれの沿岸水域に十二海里にわたりましての漁業水域設定するという慣行が成立いたしております。現在までのところ、一方的にそのように国内法によって設定された漁業水域というものは約十七カ国ございます。日本といたしましては、この十七カ国の漁業水域に対しましてはそのつどすべて抗議を申し込みまして、日本はそういう漁業水域の一方的設定は受け入れられない、将来それに伴って何らかの漁業紛争が起きた場合には日本の権利を留保するということを申し入れておりますが、かたがた、この十七カ国のうちで漁業実績のあるものにつきましては、別途日本操業実績を確保するような取りきめをいたしております。そのような取りきめの一番最初のものがこのニュー・ジーランド漁業協定、それからメキシコ漁業協定であります。このほかに、アメリカにつきましても、国会の御承認を得ておりませんが、別途ことしの末で終わります暫定取りきめをいたしております。なお、二十三日からオーストラリアとの間にこのような漁業水域設定に伴う別途漁業協定締結するための交渉を始めることにいたしております。そのように、日本といたしましては、漁業水域を各沿岸国国内法によりまして一方的に設定するということは国際法上認められない、国際法上認められますのは、そのような協定各国間の合意によって設定される場合にのみ、その合意をした関係においてのみ認められるという立場をとっております。現にそのような立場から日本は韓国との間の漁業協定を結んで、十二海里の漁業水域を相互に認め合っておる次第であります。  そのようなことで、現在この両協定につきましては、日本の過去の操業実績を確保する取りきめをした次第でありますが、両協定それぞれその国の立場あるいは日本操業の過去の規模等によりまして若干取りきめの内容が違っております。簡単に両協定を比較して申し上げますと、ニュー・ジーランドの場合を申し上げますと、 ニュー・ジーランドにつきましては一九六六年からこの国内法を施行しております。しかし、日本実績というのは六三年からの実績でございまして、非常に短い期間実績であったわけであります。しかし、それにもかかわらず、この実績をどうしても確保したいということで、その国内法に対する抗議を申し出まして、国際司法裁判所に問題を提起しようということまで運んだわけでありますけれども、結局におきまして、ニュー・ジーランド側はこれを受け入れることができませんで、むしろニュー・ジーランド国内法を改正して日本漁業を認めるということになった次第でございます。したがいまして、この協定締結に伴う新しい国内法ニュー・ジーランドは制定いたしまして、そうして日本操業を一九七〇年の末まで認めるということになったわけであります。  なお、水域につきましては、ニュー・ジーランド日本と同じように、領海を三海里というたてまえでございますので、その外側の九海里がいわゆる漁業水域でございますけれども、操業を認められますのは、その九海里のうちの外側の六海里ということになっております。これは、現在漁業水域設定している国は、国際慣行によって大体外側六海里という範囲で実績のある国の操業を認めるというのが慣行になっているからでございます。  なお、魚種につきましては、ニュー・ジーランドの場合は、タイでございます。過去の実績によりまして、漁船十七隻を免許のもとに毎年継続して七〇年末まで操業できることになっているわけであります。  それからメキシコの場合は、これは昨年の二月から国内法を施行いたしておりますが、日本は六二年からのその実績がございまして、これはマグロでございますけれども、この実績を確保するための取りきめをしたわけでございます。このほうは隻数によりませんで、総漁獲高、過去の五年間の実績が一万五千五百トンということであったのでございまして、この協定によりましても、五年間に一万五千五百トン——七二年末までに一万五千五百トンの操業を認めるという取りきめになっているわけであります。なお、ニュー・ジーランドのほうは、一九七〇年末でもって日本操業はそこで終止し、七一年以降は日本タイ操業はできなくなるわけでありますが、メキシコの場合は今後五年間、七二年末までの操業を一応認めるということになっておりまして、七三年以降の分につきましては、また別途日本メキシコの間の協定締結可能性が残されているわけであります。したがって、協定有効期間は、ニュー・ジーランドの場合は無期限、メキシコの場合は五年間という定めになっている次第であります。  以上、簡単でございますが、補足説明をいたしました。
  7. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 以上をもって説明は終了いたしました。  二案件に対する質疑は後刻に譲ることにいたします。     —————————————
  8. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 南方諸島及びその他の諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  9. 森元治郎

    森元治郎君 本件に入る前に、ちょっと、去る五月六日佐世保港内で起こったアメリカ原子力潜水艦ソードフィッシュ号異常放射能排出の問題について二、三ただしておきたいと思います。  あの結末は、いまの段階はどうなっておるのですか。アメリカから調査団が来た。資料出したとか出さないとか、その結論はどうなっておるのか。その現段階のどこで問題がとまっておるのか、宙に浮いているのか、行くえ不明になっているのかを教えてもらいたいのです。
  10. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 佐世保放射能異常計量につきましては、日本政府担当の部局におきましてその原因調査をむろん行なっておるわけでございますが、事の性質にかんがみまして、アメリカのほうからも日本側調査専門家を派遣してお手伝いする用意があるという話がございまして、これを受け入れることにいたしました。その結果、ウエグナー博士外二名の原子力委員会の最高の権威の人たちが先週半ばに参りまして、自来、きのうまで日本側調査に三回一緒に会合を持ったわけでございます。その結果につきましては、まだ調査進行中でございまして、報告はまだ出ておりません。
  11. 森元治郎

    森元治郎君 その報告はいつごろの予定と言われますか。そうむやみに長いことでもないし、科学上の問題でもあり、政治的配慮をする必要もないし、あるかないかということだけをその原子力の偉い先生方の持っている能力で判定するわけですから、そう長いこともないと思うが。
  12. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) すでにもう三回会合しておられますし、今後、現地調査ということは聞いておりませんので、いまお話しのように、そう長くかかるというふうにはわれわれも思っておりませんが、現在、たとえば今週の半ばとか今週中とか、そこまではっきりしたところは私のところではまだ入手しでおりません。
  13. 森元治郎

    森元治郎君 いまあの問題は何だか行くえ不明になってはなはだあと味が悪いのですが、佐藤総理も、いろいろ言った末、とうとう十六日の衆議院の本会議で、何といいますか、安全性が確保されるまでは原子力艦艇の寄港を差し控えてもらうように善処するというところまでおりてきたわけです。初め、たいしたことはないじゃないか、あんまり騒ぐのじゃないという例の調子であったが、善処するというところまで来た。その善処する段階はどういうところでやるのですか。アメリカ報告書と、異常放射能が出たという疑いがきわめて濃いという日本科学者の判定、二つを基礎に善処の方途をとるのですか。
  14. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) アメリカが、日本調査協力をしてもらおうという立場ですから、やはり調査主体日本専門家が持っておる。これに対してアメリカ協力する。そこで結論がどういう形になりますか。調査の結果というものが何らかの形で出なければならない。そこで、出た場合に、放射能安全性を確保するためにどういうことがなされなければならないという今後の対策も出てくると思います。原因の究明と今後の対策というものが出てこなければならない。そういうふうなことで、将来の安全性を確保していく上において、できるだけの処置政府はとるようにする。そういう処置がとられれば、これは原子力潜水艦というものの入港というものを拒否するという理由はない。それまでの間はやはり入港は差し控えてもらうことが適当であるというふうに考えております。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 入港を差し控えてもらうようというのは、政府方針としてこれは向こう通告をしなければ効果がないのですが、やはり何らかの形で、公式の形で向こう通告をしたのでしょうね。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま向こうのほうへ通告はしていないのでありますけれども、それが国会などで政府がこういうふうにこの問題を重視していることはわかっているし、向こうも来るという予定も何もないし、したがって、もしそういう場合には、いろいろ日本に対して事前に話があるものだと思いますが、向こう自身にも、こういうふうな環境のもとにおいて原子力潜水艦が来ることは適当でないですから、アメリカもいまのような状態の中で原子力潜水艦をよこすということは言ってこないと、こう考えております。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、また来たいというおりに向こう通告するタイミングというのは、そういう原子力艦艇が来るという事前通告があった場合にタイミングを合わして控えてもらう、怪しい場合は控えてもらう、こういうことを通告するが、そうでない、いますぐ原子力艦艇が来るなということは言えないというのですか。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまは原因を究明するのと、また将来の放射能に対する測定体制の整備ということで政府が今後の対策を考えておるわけでありますから、こういう体制というか、安全性に対する確保というものが国民に対して不安を与えないという状態にならないと、こういうときに来る、何も原因がわからなければ対策も出ていないというときに来ることは適当でないので、そういう場合に、もし来るというときには入港を断わりたいと思っております。
  19. 羽生三七

    羽生三七君 関連して。これは新聞報道だけでよくわからないのですが、アメリカのほうでいまの問題が明らかになるまで入港を遠慮すると向こうが言っておるというのに、こちらのほうがそんな態度ではちょっとおかしいと思うのですが、どうなんですか。これは新聞報道が間違いなら別ですが、向こうはしばらく遠慮すると言うのですから。
  20. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは新聞報道ですから、正式にアメリカのほうから何も通告も受けておりませんが、これはだれが考えてみても、こういうさなかにまた来るということは常識上から考えても適当でないですから、おそらくそういう考え方があるでしょう。しかし、正式にわれわれにも来ていないので、われわれとしてもこれはそういうふうに、こういういまいろいろやっておることが多少の目鼻がつかないうちに来るということは適当でないと考えておりますから、それは日米間の常識が合致するものだと考えております。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 もう一回同じことを伺いますが、アメリカ調査がなお続いていて、調査主体日本だがアメリカ協力してくれている。合わせて報告ができ上がるんですかどうですか。
  22. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どういうふうになるかわかりませんけれども、おそらく、やっぱり日本主体ですから、日本報告ができる場合にアメリカのいろいろ専門家意見も参考にはしまして、出るものはやっぱり日本専門家意見だと思います。
  23. 森元治郎

    森元治郎君 それはもちろん結果は公表されるわけですね。きわめて不明瞭でありますから、こういう科学的な問題は、あくまでも科学的にまず決定的にやることが大事だと思うんです。しかも、悪い結果、いわゆるきわめて疑いが濃いというような結論が出た場合いかがいたしますか。これだというのじゃなく、きわめて疑いが濃いという場合、ないという場合、疑いがあるという場合、そうだという場合、いろいろありますが、濃いという場合に、疑いがきわめて濃いというような方向の結論が出た場合は、善処してもらうのではなくして、入港は差し控えるべきであるということをはっきり伝えなければならぬと思うのですが、どうですか。
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いままだ調査をしておる最中ですから、いろいろ調査の場合を、幾つかの場合を仮定でお答えすることは適当でないと思いますが、ただ言えることは、やはりいろいろ調査の結果に徴して放射能被害、これをなくするためにあらゆる方法が講じられなければならぬということであって、いまいろんな場合を想定してここで私がお答えすることは必ずしも時期として適当でない。その結果に対して、放射能被害から国民の人体を守るためにあらゆる方法がとられなければならぬことは当然であるというふうに考えております。
  25. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、その場合にはやっぱり例の三十何年かに口上書というようなものがありましたね。怪しい——疑いの濃いような場合には、やはり今度ははっきりと文書で書かなきゃならぬから、新しい口上書のような形で申し入れをするんだろうと思う。そういう手続は当然とられるのだと思いますが、そう考えてよろしゅうございますか。
  26. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、調査最終結論を見て、口上書にしても必要があれば再検討を加えたいと思っております。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 関連。これは沖繩原子力潜水艦放射能調査の問題ですが、佐世保の問題が起こりましてから、琉球政府から米民政府に対して、沖繩入港する原子力潜水艦放射能合同調査を要求いたしました。これに対して米民政府のほうは、これを受け入れるかのごとき態度でございましたけれども、その後これを拒否したのであります。聞くところによれば、アメリカの軍部のほうが反対をしてそういうことになったといわれておるのでありますが、この点について詳細の報告があるかどうか。これは佐世保の問題と関連してやはり重要な問題でございますのでお伺いしたい。
  28. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) われわれもこの問題に関心を持ちまして、現地の事情をひとつ調べてみたいということで連絡をいたしたのでございます。ところが、まだ民政府と軍との間にいろいろこの問題をめぐって相談が行なわれておるようでありますので、まだここで、こういうことでございますという結論を御報告するような、まだわれわれ自身に対する報告を受けておりません。いま、やはり民政府と軍との間に折衝をしておるという報告だけでございます。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 ところが、琉球政府のほうでは合同調査は行なわれないという、想定かあるいはほかの理由か知りませんけれども、琉球政府自身がその調査を行なうという方針定めて、そして現在の琉球政府の持っておる機材ではとうてい満足な調査が行なえないというので、日本に対して新しい機材供給を求めてきております。政府としてこの問題に重大性を認めておられるならば、そういう機材供給に直ちに応ずべきであり、また、その技術の指導、協力というものもなすべきであると思うのですが、その用意があるのかどうか。この点はあるいは外務省管轄ではないかもしれませんけれども、やはり対米関係の一部でありますのでお伺いいたします。
  30. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 琉球政府自身が自分でもやはり放射能測定をやってみたらしいのですが、いま御指摘のように、いろいろな測定の機械的な設備というものがあまりよくないですから、あんまり高度の調査と言えない。日本としては、将来において琉球政府日本に対して器具などに対して協力を求めてくるならばこれに協力したいという考えでございます。
  31. 羽生三七

    羽生三七君 それで沖繩自身の、琉球政府が海水汚染についての測定をする十分な機材を持っておらないから、今後ともそれに協力して調査等ができるようにしてやることになると思いますが、今度の沖繩に出た放射能はこれは非常に微量なもので、自然放射能とそうたいしたことはないと言われておるけれども、これは、いずれにしても常時測定したことはないのです。ですから、常時と今回との差というものの区別がつかないわけです。そういう問題もあるおりに、先ほど森君から御指摘のような佐世保の問題があるわけですが、たとえば口上書が、現行口上書の場合と新たにつくる口上書と、かりにもしそういう必要が起これば、それは当然冷却水の排出がこれが汚染の原因となったということが明らかになった場合に、口上書の改定ということが起こるわけです。ところが、外務省自身は何らの調査機関も持っていない。そうすると、科学技術庁の調査を基礎としてやると思うのですが、その場合には、科学技術庁の近いうちに一応の結論が出ると思いますが、その場合には、冷却水の汚染と冷却水の排出が汚染の直接の原因だったということが明確になれば、科学技術庁の考え方を尊重して口上書の扱いなり口上書の作成を行なうと、こう理解してよろしいのですか。かりにアメリカ調査団が何と言おうとも、日本科学技術庁がそういう結論を出せばこれを第一義的に尊重すると、こう理解してよろしいですか。
  32. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 冷却水が放射能原因だったということは、これは科学的に調査しなければならぬですから、科学的な調査をはじめ、予定するようなこういうふうなことは、私ここで言いたくない。しかし、尊重するものはやはり日本科学技術庁の調査である。これをわれわれは尊重して、この上に立って、必要があるならばアメリカとの間に対米交渉を行なうという考えでございます。
  33. 大和与一

    ○大和与一君 いまの問題についてちょっとお尋ねしますが、日本主体性があり、その日本調査団についてはオーソリティを認めるということですね。それは尊重するということでなく、選挙制度審議会みたいな言い方をしては困るので、いまの日本では最高のものがそれを調べる場合は二つしかないので、結局、船以外と船と、——船はちょっとあとにして、船以外について徹底的に調べると、そこに結果が出る。その結果は一〇〇が好ましいけれども、あるいは九〇であるかもしれないし、しかし九〇ということは、日本の国のオーソリティとしては断定に近くしていい、国民に堂々と発表していいと、こういうことになると思います。そのときに、問題は船が残っておる。ほんとうは船の正しい資料をもらったほうがもっと的確にもっとわかりやすくなってくる。そのときにアメリカは積極的にむしろ出してこなければいかぬのに、それをいやがったりぐずぐずしておったら、これははっきりとこんなものはけ飛ばすというくらいにしておかぬと、私は、やはりかりにアメリカとの意見が違っても、さっきおっしゃるように、日本調査団結論に対して、最高の権威に対して、自分たちは絶対信頼を持っている、こういうふうにかたく信じていいのですか。そのときに外務大臣が腰を抜かすと、勤務評定になりますから、頼みますよ。
  34. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) アメリカとしても軍事上の機密というものは否定はできぬと思います。そんなものはあるべからざるものであるというふうに否定することはできませんけれども、アメリカ放射能から人体を守るということについては、日本人と同じようにやはり神経過敏であるべきですよね、日本ばかりでないのですから、世界各国の港に寄港するわけでありますから。そういう点で、アメリカ協力を惜しむとは私は思っていないのですよ。放射能のいわゆる調査に対してはアメリカはできるだけ協力をする態勢である。だからこそ、やはり原子力委員会の指定で相当な権威を持った連中がすぐにやってくるということは、それはやはりこの問題に対してアメリカ自身も懸念を持って——懸念といいますか——この問題を重要視している証拠でありますから、アメリカ自身調査をサボタージュするという理由はないですから、アメリカは軍事上の機密はあるでしょうから、全部何もかもデータを出せない場合はこれはやむを得ない。しかし、放射能に対しての調査、これに対してアメリカ協力をしないという理由はないので、私は、アメリカ協力はあるし、またあるのが当然であると考えております。
  35. 大和与一

    ○大和与一君 もう一つ。そうなりますと、やはり場合によっては立ち入り検査というか、ことばはやかましいですけれども、そういうことがあっていいのじゃないか。ほんとうにこっちも何も軍機のきわどいしかけを知ろうと思っていないのだから、結局、世界人類に対して、日本国民に対して、一つの大きな解明をしたいというのだから、やはりそういうことをちゃんとお話をすることはできるのじゃないですか。
  36. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、軍艦というものに対する立ち入り検査は国際的にもちょっと立ち入り検査は——一つの主権を代表するものでしょうし、なかなか国際常識ではできないわけですわね。向こうのほうが承諾すればできぬことはない。だけれども、拒否すれば——これは拒否する権利を軍艦というものは持っていますから——だから、当然にこっちが立ち入り検査というふうなそういう形でなしに、この放射能調査に対してアメリカ協力してもらうということで、無理に、世界の常識にないような軍艦の立ち入り検査まで要求しなくても、やはりこの調査に対してアメリカ協力を求める方法は私はあるのではないか。それは、なぜならば、アメリカ自身もこの問題に対しては日本とやはり共通の関心を持っているに違いないからであります。利害がアメリカ日本が違いはしないのですから、これは、そういう点で私はアメリカ協力するということは、そんなに立ち入り検査というような、そういう法律的な問題に触れなくても、協力をお互いにし合うという方法はあるのではないかと、こう考えております。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっと。いまアメリカのほうでも放射能の問題はこれは重要な問題だとして、冷却水を港の中に出すということは、これはそこの入った港ばかりでなく、アメリカ自身にとっても困る問題だというので、そういうことはないだろう、また、そういうことの調査には協力するだろうというお話でしたけれども、まあ、沖繩の場合を考えてみますというと、軍はこれを非常に渋っておるというような状態です。私どもそこに疑念を持つわけですが、アメリカのほうの規定によると、原子力潜水艦等が港の中で、たとえば原子炉の冷却水を薄めて、ではありますけれども、放出することが許されておるわけです。おそらく、沖繩の港なんかの場合は、これはアメリカの施政権のもとでありますから、日本の港へ入ってきた原子力潜水艦よりも、もっと自由にそういうことができるんじゃないか。これが沖繩側に佐世保事件以来特に大きな刺激を与えているようであります。またそのために沖繩人たちは非常な心配をしておるわけであります。それを、アメリカ側が合同調査を渋っているということは、さらに不安を増しておるんじゃないか。沖繩日本の一体化の問題、沖繩日本復帰についてアメリカ側も協力するという問題、そういう点から見ますと、やはりこの問題は日本としても捨てておけない問題ではないか。外務大臣としては、こういうような問題について沖繩の住民の不安を除くために、アメリカ側に対して何らかの措置をとることを申し入れるかどうか。たとえば、すみやかに琉球政府側の要求に応ずるようにするとか、あるいは、琉球政府の独自の調査アメリカ側が助けるようにするとか、あるいはまた、その調査の結果によっては、日本政府が何らかの形で、諮問委員会を通じてなり、あるいは外務省が直接アメリカに対して何か措置を講ずる、そういうお考えをお持ちかどうか、その点をお伺いしたい。
  38. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま私どもでやっておることは、その事情をひとつつまびらかにしたいということで、どういう事情でこういうことになったかということを調べておる段階でありますので、そのことがはっきりしまして、事情がもっと明らかになりますならば、必要があったならば、外交的なルートを通じてアメリカと話し合う場合がある、こういうふうに考えております。
  39. 羽生三七

    羽生三七君 いまの問題はその程度にして、小笠原の協定……。
  40. 黒柳明

    ○黒柳明君 その前に一問だけ。  海水から核原子が発見されなかった。予期はしていたんですけれども、非常に私たちにはショックだったわけです。海水が、非常に時間を経ておって、薄まっておるというようなことも聞きましたけれども、予期した事態ですけれども、一応第一段階として挫折した、日本調査結果というものはですね。総理も、科学的データというものは要求すると、このような発言もしましたけれども、当然専門家検討会議で何らかの検討がなされ、あるいは科学技術庁のほうから、科学的データを要求するなり、外務省を通して何か話があったかどうか。外務省を通しての科学的データというものはどういうものをアメリカ側に要求したのか。あるいはまだ調査中ですから、全然そういう要求というものは外務省を通して来てないのか。何かやっぱり最終的にはそういう向こうの故障だったということ、故障だったということに関して、一冷却水がたれ流しに普通はしてるんじゃないかと思うんですけれども、佐世保の場合には流さなかった。海水の汚染がない限りは流す可能性があるが、佐世保は流さなかった。だけれども、あの場合には故障だったという、そこに条件あるわけですね。だから、アメリカとしても各国の港に寄港するんですし、当然そういうことについて、わが国の港だって汚染される可能性がある。ただ、佐世保の場合には故障だった、そういう条件があって何かそこにやはり冷却水が出たのか、あるいは、ほかの条件で汚染するような原因があったのか。やはり最終的にはそこらあたりの科学的なデータというものが必要になると思うんですが、外務省を通じてアメリカ側に対して科学的データの要求というものはしたんですか。
  41. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま御承知のように、専門家同士の調査段階ですから、したがって、アメリカ専門家が来て話し合いの段階で、外務省を通じて科学技術庁から資料の提出をアメリカ政府にかけ合ってくれという話はございません。それは専門家同士でやっておるのに違いない。われわれとしては、できる限りこういう機会に徹底的に調査をしまして、国民の不安にこたえるほうがいいというふうに思っておりますので、そういうふうな要請があればこれに協力をしたいと思っております。
  42. 羽生三七

    羽生三七君 小笠原の返還問題で、先日森委員佐藤総理に質問した問題の続きという形で少しお尋ねをしたいと思いますが、これは沖繩に関連することで、小笠原に引き続く沖繩の返還問題ですが、いまから外交の手の内をこまかく説明するわけにはいかないでしょうが、近く第一回の正式協議が開かれる。その場合に、たとえば日本としての望ましい返還方式をアメリカ側に示して協議を始めるのか、あるいは、個々の返還条件を協議する前に、極東全般の情勢というようなものを大局的な立場から検討をするのか、そういう協議のしかたですね。外務大臣とジョンソン大使ですか、で話を始められるにしても、おそらくしょっちゅう大臣がやっているわけじゃない、場合によったら事務当局が当然おやりになると思うんですが、したがって、その問題は、事務的なものでなしに——それが煮詰ってきたときには事務的なものになってきますけれども——技術的問題が多くなるから、最初に協議に臨む場合には、大局的には、日本はこういう形のものが望ましいからこういう形で返還してもらいたいという大局論が出ていく。そうでなければ、極東全般の情勢についての認識というような問題もあるわけですから、第一回の協議に臨むにあたって、どういう基本的な立場で臨むかということが非常に私は重要な問題になると思うので、こまかい外交の技術的なことは別として、これに臨む外相の基本的な考え方というものをお聞かせいただきたいと思います。
  43. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは来週第一回の会合をやろうと思っています。来週のいつになりますか、新聞などでは二十七日と言っておりますが、われわれきめておりませんが、新聞は賢いので、適当な日にちを言っております。おそらくその適当な日にちはそのころになるかと考えているんですが、来週やることにしております。したがって、今週中に総理との間にも、第一回の協議に臨むにあたっての日本政府態度というものを打ち合わせをしたいと思っております。ただしかし、そこで日本の好ましい形、日本政府が考える好ましい形というものをきめまして、そうしてアメリカ側と折衝するというような形に私はならぬと思う。むしろ、いま羽生さんが言われたように、この基地の問題というのは一番重要な問題の一つであるわけですから、そういう基地の問題というものを考える場合に、背景になるいろいろな極東情勢とか、その他いろいろな問題がそれは当然話し合いに出ると思います。そういうことで、何かこう方針をきめて、そうしてそこで外交折衝というような形は、来週行なわれる第一回の会合としては少し時期が早いのではないか、こういうふうに考えております。
  44. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、私自身としては、まあ最初の第一回から大上段に振りかぶってこれだということもむずかしいでしょうけれども、日本自身に基本的な立場というものがなければ、この種の重要な世紀の課題を解決する外交姿勢としては、私少しこれはおかしいと思うし、それから、これは事務的に堕するのではなく、あくまで大局的な外交の高度の次元におけるところから出発すべきだ、こう思いますが、この場合に、いままでは沖繩返還問題については、核抜きかどうかということが中心に議論されていたわけですね。それも重要な課題です。非常な重要な課題であるには違いないけれども、同時に、アメリカがベトナム戦後アジアや極東についてどういう方針をもって臨むのかという、このアメリカの極東戦略体制そのものが重要な検討の対象に私はなると思うのです。これは私がこれ以上申さなくてもおわかりになると思う。それは自然、基地の問題にも関連して出てくると思います。しかし、いずれにしても、ベトナム戦後アメリカがどういう態様でアジア政策を維持しようというのか、この基本的なアメリカの外交姿勢そのものに触れることなくして問題は解決しないと、こう思うわけです。そこで、ベトナム戦後三木外相としてはどういう形でアメリカがアジア政策に臨むことが望ましいとお考えになるか。ずっと前の質問で、ベトナム戦解決後にアメリカがいまのような兵力を極東に維持することは欲しないというお答えがありましたが、それはまあ当然、あたりまえの話でありますけれども、しかし、そうではあっても、私がいつでも申し上げることですけれども、イギリスのアジア——一九七一年ですか、を目標とする英軍の撤退等とも関連して、アメリカはいろいろな考慮をめぐらしているのじゃないかと思います。ですから、そういう意味で、  一体アメリカがアジアに臨む態度としては日本として一番望ましい姿はどういうことか。つまり、全面的な米軍のアジアからの引き揚げということもあるでしょうし、それから、もっと残ることもあるでしょうし、いろいろあるでしょうね。しかし、三木外相としてはどういう姿が望ましいと思うか。これは極東条項と関連して必ず重要な課題となると思うので、これは大局的な考えだけでよろしゅうございますが、どこの地点で幾らの兵力が残るという、そんなばかなことはいまから議論することではないのですから、大局的な外相の判断をお伺いしたい。
  45. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ベトナム戦争がどういう形で収拾されるかということは、まだ第一回で、両方が基本的原則論を言い合っておる段階ですから、どういう形でベトナム戦争が片づくかということは見通しがつきませんが、したがって、その収拾のしかたにも非常に影響があると思いますが、私は大局的に考えておることは、アメリカはアジアに深入りし過ぎたという国内の世論、これは当然ベトナム戦後において一つの大きな世論の流れとして出てくるでしょうけれども、だからといって、アメリカが孤立主義的なアメリカに返るような時代ではないのです。だからアメリカは、そうはいっても、やはりできるだけみなが責任を分担してもらいたい。アメリカだけが背負って、世界の平和維持のためにアメリカだけが世界の憲兵のような役割りはできるものではない。こういうことで、みながやはり責任分担ということが起こってくるでしょうが、アメリカ自身がやはり各国に対して保障を与えておりますね。いろいろな集団安全保障条約、これはアメリカがみんな手を引くということになれば、非常な勢力のバランスを失うわけですから、できるものではない。だから、条約アメリカが負うておるいろいろな義務というものは、アメリカは後退しない。これはあくまでも条約上の義務を果たしていく。しかし、ベトナムに対しては、これは段階的にアメリカの兵力は撤退せざるを得ない。そうでなければ話はつかないから、もうこれはハノイとしても一番ねらいというものは、米軍の撤退ということでしょう、ハノイが最終的にねらっておるものは。それは一ぺんにはできませんよ。段階をおくけれども、最終的にはアメリカの兵力が南ベトナムから撤退されなければならぬ。そうでなければベトナム戦争は片づかない。だから、ベトナムからはこれを撤退して、それに対して何らかの国際的な保障というものを求めるという考え方が起こってくる可能性は私はあると思います。いずれにしても、そういうあとの保障というものとにらみ合わせなければならぬけれども、米軍の撤退というものは起こってくる。そして、全体としては、やはりベトナムに対してはそういう軍事的なものでなくして、戦争による荒廃されたベトナムに対する国内建設ということが、アメリカもまたこれに対して相当な私は寄与をすると思います。それはジョンソン大統領自身が去年のボルチモアの演説で、ハノイも含めて十億ドルの援助をすると言ったのですから、あれは、一大統領があれだけ世界に向かった発言が、それが、何らそういう発言というものがそのときだけのことであったということは許されるとは私は思わない。そういうことで、やはり軍事的な兵力は撤退しても、このあとの国内建設に対してはアメリカは相当力を尽くすに違いない。だから、これは全体とすれば大きな激変が——アメリカ自身がもうすっかりアジアから手を引くというような大きな激変というものがアジアに来ると私は思ってないのです。ただ、いま申したように、できるだけみなが責任を分担してもらいたい。そうしてまた、むしろ経済的な面などにおいては、ベトナムなどに対しては、軍事的にかわって、やはり相当かわって強化されていくというふうに見ているわけでございます。
  46. 羽生三七

    羽生三七君 それでは、いまのベトナム戦後のベトナムに対する見解は、これはもう外相のいま言われたとおりだと思います。私はその以外のアジア全域についてのアメリカの外交姿勢をただしているのですが、この場合、これは私はもう何回も申しましたように、このベトナム戦争が片づいても、この次は中国問題、次に朝鮮問題というようなことで、アメリカの基本的なアジア極東政策というものがあまり変化しないとすれば、それがまた安保に言う極東条項とも関連して、沖繩の返還の時期等にも、このいまの問題がかなり大きく影響するのではないか。核抜きか核つきかというような議論は、私ここではいたしません。いまのような、ベトナム戦争が片づいても、次は中国、次は朝鮮問題というようなことで、沖繩日本返還を渋るようなことは起こらないであろうか。その点については、核問題、基地の自由使用等がただ一つの問題になるだけで、全く総理の言うように——この間森君の質問にもあったが、両三年か一両年かどうか知らないけれども——この点については確たる自信があるのかどうか。その辺をひとつお伺いしたいと思います。
  47. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、しばしばこういう沖繩の問題についてアメリカの首脳部と話をする機会を持ったわけですが、何日にどうするかという約束を取りつけているわけではないわけです。ただ、私が一つだけ信じているものがある。それは何かと言えば、戦後二十三年ですかね、長期間たってきますと、やはりその間、戦争の終わった後には何とも思わなかったことが、二十三年もたってみると、人心の変遷がある。したがって、異民族がよその国を支配するということに対してはある限界を持っている。その限界を越えますといろいろな問題が起こってきて、その施政権を持っていることの目的を十分に果たされないような結果も生まれてくる。沖繩問題はそういうこの限界に近づきつつあるということで、アメリカもこの問題——むろん基地とかその他の問題はありますよ——ただ解決したらいいということではなくして、いろいろな問題はあるけれども、これを解決しなければならぬということをアメリカも感じ始めている。日本はむろんこれはおそ過ぎたくらいですからね。そういう両国沖繩問題に対する認識は、この問題を近い将来において必ず解決するに違いない。これは私の確信ですよ。それ以外に向こうから約束を取りつけておるわけじゃないですよ、そう考えております。
  48. 羽生三七

    羽生三七君 その方針でぜひ進んでいただきたいと思います。  それからもう一つ、第一回会議が近く開かれるわけですが、この会議はどの程度続くのか。ですから、これは何年何月から何年何月に終わるという予測はできるはずがないですから、これはかなり長期にわたるでしょうが、そういうものについての、どのくらいな討議をしたら一応の目安がつくか、そういうことは、何か想定というものはできないのですか。ただ際限なしに、パリ会談がいつまで続くかわからぬと同じように、これは無制限にそういうことになるのか。日本としては一応のめど——どの程度までに会議の一応の成果を——成果というか、ピリオドを打ちたいというような、一応のめどというものはお持ちにならぬのですか、その辺はどうです。
  49. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまのこの段階でめどをつけるのは私は困難だと、この沖繩問題の解決に、現在の時点では沖繩問題の根本的解決を困難にしておる幾つかの要素がある。一つはベトナム問題も私はそうだと思う。これがパリ会談で平和的な解決の話し合いが遅々として進まない感じはしておりますけれども、方向は和平の方向であることは間違いないことですね。また、大統領選挙というものも、これは大統領が自分の任期がじき終わるというようなときには重大な決定は下さないというアメリカの伝統的な政治慣習がありますから、これが十一月の大統領選挙になり、ベトナム戦争というものも何らかのやはり解決に向かって大きく動いていく。新しい四年間のやはり政権を持つ新大統領が生まれてくる。そういうことで、おのずから沖繩問題についても話し合い得る、話し合いをすべき時期が私はあると思う。そういうときにスケジュールを私は立てたらいいので、いまここでいろいろスケジュールを立てるということはむずかしくないかと、こう思っておるわけでございます。
  50. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、この問題に関連して、これで終わりますけれども、あとはこまかい問題に入りますが、今度のベトナム戦争を見ても、ああいう特殊な地域、あるいは民族の独立闘争等には核は意味をなさぬということを今度立証したと思うのですね。ですから、特にアジアのような後進国、あるいは民族的な運動の多い地点に核のおどしは私はあまりきかないと思うのです。ですから、将来のアジア政策を展望しても、やはり沖繩問題を中心に日米会談に臨む基本的な方針としては、やはりそういうものは基本的に排除していく。そしてやはり将来は全力をあげてこうした低開発諸国の経済援助をやる。そして民心が安定し生活が向上すれば、おのずから運動の態様も変わってくる。ですから、基本的にはその姿勢をもって私は臨むべきだと思うので、アメリカがやるからといって、核問題なんかにあまり日本自身が、勢力バランスに何らかの重要な影響があるというような核戦略理論を中心にして国際情勢を判断すべきではない。むしろ、アジアのような地域にはこれがあまり意味をなさぬという基本的な立場に立って、経済援助に重点を置く姿勢にアメリカを切りかえさせるような大局的な姿勢をもって臨むべきではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  51. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 羽生さんの言われるように、核の論理は抑止力の論理だ、だからこれを使って——実際に使うということは、使ってもらっては困るし、使えるものではない。しかし、今日の世界を冷厳に見ますと、やはり核の抑止力というものは平和維持に大きな役割りを果たしているということを否定することはできない。使ってはいけないですよ。しかし、たとえば世界の歴史を見ましても、何十年目かに大きな世界戦争は起こっているのです。戦後二十何年、やはり大戦争はこれまでも起こらなかったし、今後もちょっと世界大戦争というものは考えられないでしょう。核兵器がそういうことに、戦争というものの性格を変えた。ここに世界平和の維持の上に持っている一つの核兵器の抑止力というものは——これがいいとか悪いとか言っているのじゃないですよ——現実の世界政治の上では否定できないのじゃないですか。そういうことで、したがって、将来は、これはもう少しやはり平和というものが維持できる有効な組織ができなければならぬと思うのです。何か核の恐怖の一つのバランスみたいな状態でなしに平和が保たれる事態をわれわれも望んでいるのですけれども、現実にはそういう面もある。したがって、使っちゃいけないし、また使うこともできないでしょう、御指摘のように。しかし、一面において核の持っている抑止力というものは、これはやはり否定できないのではないか。それはアジアばかりではなしに、世界全体、NATOだってそうですね。NATOだってやはり核の抑止力というものを除いてのNATO体制というものはない。ワルシャワ体制もそうです。それだから、やはり羽生さん、お互いに何かもう少し核によらないで、気のきいた平和維持機構というものを生み出さなければならぬ。国連などにおいてもう少し、核の抑止力にかわって世界の平和というものを人類が安心してまかされるような機構を、これはやはり超党派でやるべきだ。そうでなければ、やはりいまのような状態であったら、核の抑止力というだけでは、もっとわれわれ人類というものは知恵を出せないのかという感じは私も持っております。
  52. 羽生三七

    羽生三七君 これは外務当局、どなたか、局長さんでもよろしいのですが、報道によると、一九七一年か二年までにイギリスはもう核兵器を全部放棄するということを伝えていますね。これはかなり詳細に、かなり信憑性のある記事だと思います。これについて外務省としては何らかの情報を得ているのかどうか。これはNATOの加盟国として、西ドイツに対する援助ですか、これも打ち切るし、それから、潜水艦その他ポラリスも廃棄するし、すべて核に関するものは全部やめるということを、かなり信憑性のある報道として伝えているのですが、これは英軍のアジア撤退とも関連した問題だと思うのですが、これはウィルソン内閣における左派の勝利という形で報道されておりますけれども、これは何か情報がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  53. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 外務省に対しては、正式にイギリスの方針としてきめたという、そういう情報はないようですけれども、これはお答えにもならぬと思いますが、マクミラン氏が日本にやってきまして私は最近しばらく話をしたことがございますが、リタイアしておりますが、しかし、やはり保守党の長老としていろいろの影響力も持っておりますが、いまそういうふうに羽生さんが断定されるように、イギリスの核政策というものが、もうこれが超党派的に決定をしたというふうな印象を持って私は話を聞かなかったですが、そういう声も労働党の中に非常に強い声があるということで、イギリスの国の方針として決定をしたと言うのには、少しそれだけの手続を経てないのではないでしょうか。そういうふうにわれわれは見ているわけでございます。
  54. 森元治郎

    森元治郎君 それでは条約の審議、いわゆる羽生さんのこまかいことに入りますが、こまかいことに入る前に一つ、印象ですが、小笠原問題というのは沖繩問題の陰に隠れて従来声は小さかった。そうして十一月にジョンソンと佐藤総理が会った結果、返すことの話が、「協議に入れ」ということになった。この小笠原は今度の会談で取れるなという確信を持ったのはいつごろですか。
  55. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、森さん御承知のように、ときどき出るんですよ。新聞紙上なんかに小笠原問題に対するいろんな記事なんかが出まして、そういうことで沖繩とはやつ。はり軍事的の価値も違いますし、だから、小笠原問題というものを、ひとつこの際一ぺんに小笠原も沖繩もというふうに解決をすれば一番好ましいけれども、一ぺんには沖繩問題はこの際すぐに解決ができぬとすれば小笠原問題だけでも解決をしようと考えて話し合われたのは、去年の九月、日米合同委員会における会議のときにこれは沖繩、小笠原問題を話したのですが、そこにこれが相当この問題を解決しようという決意のもとに日本政府アメリカと話し合いを始めた。それは昨年の九月です。
  56. 森元治郎

    森元治郎君 そこで、これは見込みがあるなと判断したのはいつですか。
  57. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 九月の会議で。
  58. 森元治郎

    森元治郎君 九月に手ごたえがあったと。
  59. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) はい。
  60. 森元治郎

    森元治郎君 ところが、そういうことになったらすぐ宣伝するのに、外務省政府の「返るぞ」というような様子はとうとう出ないんですね。そして十一月になって発表になったコミュニケ。そして三木さんか総理か忘れたが、新聞報道は、一年以内に返る。九月ごろ手ごたえがあったんなら、十、十一月ともう三カ月もあれば大体これは今度の会談で取れるということが出そうなものだが出ない。ここらあたりを見ると、行って、かえってたまげたのではないか、おまえ返してやると言われて。どうも、あの辺の新聞ずっとごらんなさい。下田大使が、はっきり覚えておりませんが、六月ごろの新聞切り抜きで、小笠原もやらなければならぬとのんきなことを言っている、新聞記者の会見で。九月につかんだら、それはあなた、ほんとうにつかんだとすれば、待ってましたとちょっぴりでも大臣の口から出るはずですよ。とうとう出ない。これはつかんでいない証拠だと思いますがどうですか。
  61. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、森さん、口がかたいんです。あなたは、うれしいことがあったらすぐ私が言うように思うけれども、それは私を知らないもので、やはり言ってはいかぬことはなるべく言わぬ。なぜかといいますと、佐藤・ジョンソン会談のやはり話し合いの結果であるべきであって、両国政府の最高首脳部が、この問題はいろいろアメリカ側としても日本政府に対して聞きたいこともあるでしょうし、そういうことで、やはり最高首脳部の会談において小笠原の返還は決定すべきであるというふうに考えておったわけでございます。だから、そのとおりになった。それからまた、一年以内というのは、これは国会承認も受けなければなりませんし、まあ、一年以内と言うておってそれが早くなることはいいですからね。あまり何カ月と、国会もありますから、それだから、もし半年以内と言ったほうがもっと適当であったかもしれないですが、しかし、それはたいした意味はないので、小笠原の問題がうまく解決されそうなんでたまげたのではないかということ、これはわれわれそれほど肝っ玉が小さくない。この点もまたやはり森さんの少し誤解ではないか。小笠原は返してくれるというようなことでこれで腰を抜かしたら、沖繩問題は解決できるものではありません。それほど、こんなことでびっくりしたわけではない。
  62. 森元治郎

    森元治郎君 どうもワシントンからの新聞報道でも、強く、小笠原は取ったぞ、沖繩はうまくいかなかったが、小笠原は取った、沖繩のほうは取れないのだからこれはつらいことだけれども、小笠原は取ったということは、当然あなたか総理か新聞記者の新聞発表あたりから大きく出るべきなんですが、あのころの新聞見てごらんなさい。どこにも出てないですよ。だから一年以内ということを言ったので、九月ごろ協議委員会で見当がついて、十一月の共同声明になり、そして協議に入るとすればもうすぐ来るよということが出るのが当然だと思うのです、あなたが何と言おうと。だから、これはさっぱり交渉のポイントが抜けておったという御注意だけを申し上げて先に進みます。  そこでその小笠原地域の「防衛の責任」、総理は共同コミュニケによれば、日本が「この地域の防衛の責任の多くを徐々に引受けるという日本政府の意図を考慮に入れて」協議に入るわけですね。「地域の防衛」ということはどういうことを意味しておるのですか。
  63. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 小笠原が日本の施政権の中に入って、そうすれば安保条約なり地位協定の適用を受ける。そういう意味において防衛の責任というものは安保条約の地位協定の区域に入ってきて、一つにはやはり施政権が返るから日本の責任がありますね。その上に持ってきて、アメリカとしては安保条約に言う地位協定の適用を受ける範囲になってきて、そういう意味における日米安保条約のいわゆる保障もある。こういうことを意味しておるものでございます。
  64. 森元治郎

    森元治郎君 「防衛の責任の多くを徐々に引受ける」、そうすると、今度適用区域になるが、「多く」というと、どういうものが「多く」ほかにあるのか。これは防衛のうちの、その条約ではなくて、実施部隊のことも聞かなくちゃならぬのですが、自衛隊、陸海空自衛隊が行くのでしょう、多分。行って引き継ぎをやるのでしょう。何か大きな目標があるのですか。何かこれではわからないのです、「防衛の責任の多くを徐々に」というのが。これは専門家じゃないから。
  65. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この区域を持つアメリカの施設というのはロラン局だけです。硫黄島と南鳥島のロラン局だけで、それ以外の軍事的な施設はみなアメリカは撤退するということで、しかし、返ってくるときに一ぺんにやれぬということで「徐々に」ということばを使ったのでしょうが、政府委員からその「徐々」の意味をもう少し説明いたします。
  66. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 防衛庁のほうの具体的な計画を申し上げますとお答えになるかと存じますけれども、われわれのほうとしましては、この協定が発効いたしまして施政権が返りますと、当然わが国の自衛権が発動いたしますので、この地域の防衛に自衛隊を任じなければならない。それで米軍から施設を引き継ぎまして、そしてこの島に適当な部隊を配置する計画でございます。このコミュニケに「防衛の責任を徐々に引受ける」とありますのは、当時まだそう具体的な返還の協定内容まではさまっていなかった時期における表現だと思いますけれども、返還のときにわが国が防衛責任を負うことは当然だけれども、なお当分の間米軍の駐留も当時予想されましたのでこういうコミュニケの表現になったと思います。今度引き続き基地は引き継ぎますけれども、米軍としてはロランのAとCの基地を残しまして、そのほかは具体的に軍の施設は自衛隊が引き継ぐと、こういう計画になっております。
  67. 森元治郎

    森元治郎君 もう少し。それで空白ができるわけだ。そこを自衛隊はどういうふうに埋めることになるのでしょう。陸海空自衛隊が行くのじゃないですか、向こうに。小笠原に駐とんするようになるのでしょう。
  68. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 主として海上自衛隊の部隊を発効後直ちに派遣する計画にしております。そのための連絡員その他の必要な準備は現在進めております。海上自衛隊の部隊を父島、これは主として艦艇の現在基地でございますが、それを引き継ぐために現在連絡員を置いておりますが、発効次第、艦艇の基地を維持するための要員を派遣する計画ができております。とりあえずは四十名前後になろうかと思います。それから硫黄島、南鳥島には飛行場がございますが、これの管理を引き継ぐ予定にしております。飛行場管理に必要な一これは飛行場と申しましても米海軍、わが国で言いますと海上自衛隊の基地でございますので、海上自衛隊の航空要員を派遣する予定にしております。硫黄島、南鳥島合わせまして当座六十名程度のものを派遣いたしたい、こういうふうに考えております。
  69. 森元治郎

    森元治郎君 陸上自衛隊は。
  70. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 陸上自衛隊を基地要員として派遣する計画は現在のところ持っておりません。ただ例外的に、あるいは暫定的にと申し上げたほうがいいのかもしれませんが、不発弾処理の仕事がしばらくの間必要ではないかというふうに考えられます。主として硫黄島でございますけれども、遺骨収集その他の要望もございます。戦後、道路等はできておりますけれども、十分な不発弾処理ができてないようでございますので、この仕事が当分の間必要かと思いますが、その要員は陸上自衛隊を派遣する必要があるのではないかというように考えております。
  71. 森元治郎

    森元治郎君 空軍は。航空自衛隊は。
  72. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 航空自衛隊の要員を派遣する計画は現在のところ立てておりません。
  73. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、これは当分の間だが、将来ここに陸・海・空というちゃんとした兵隊さんを、部隊員を駐とんさせる計画があるのか、これから検討するのか、どうですか。
  74. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 現在のところ考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、主として海上自衛隊の要員を基地要員として派遣する。規模としては分遣隊、派遣隊程度の規模でございます。とりあえず、先ほど申し上げましたように、三つの島合わせまして百名程度、少し落ちつきました二、三年後のかっこうを考えまして大体二百名前後のものになろうかというふうに考えておりますが、これも海上自衛隊の艦艇の基地要員、海上自衛隊の航空の管理要員で二百名前後というふうに考えておりまして、航空自衛隊、陸上自衛隊を恒久的に配置するということは考えておりません。
  75. 森元治郎

    森元治郎君 そこで、現在駐とんしておるアメリカ軍の数。通信関係でロラン局等の通信だとか、陸海空がいるのだと思うが、数。それから撤退するものの数はどうですか。
  76. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 現在駐とんしております米軍のほうの要員でございますが、父島に約九十人、硫黄島に約七十人、南鳥島に約四十人でございますので、合計しますと約二百人程度になります。そのうち、先ほど申しましたような計画でわがほうが引き継ぎますと、この協定発効後百名程度のものを派遣して引き継ぎますが、そうしまして向こうが撤退する予定にしておりますのが、合計しまして約百十数名は直ちに撤退する予定と聞いております。その差がロラン等の要員として当分残る、こういうことになるわけでございます。
  77. 森元治郎

    森元治郎君 その施設、区域などの取りきめはこれからやるのですか。何平方メートルをどこの何とかというこまかい地位協定をやらなくちゃならないのだろうが、その作業はこれは発効してからやるのですか。
  78. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 現在第三条によりまして残す——米軍に引き続き提供すべき地位は、場所の確定その他の準備を進めておりますが、これは協定発効と同時に地位協定二条の手続によって向こうへ提供する形にいたします。
  79. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、人間が二百人から九十人に減ってしまうのだけれども、区域は広さは同じなんですか。数とか、区域の広さ、従来アメリカ軍が持っていたのは減らないのですか。
  80. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) アメリカが引き続き使用することになります地域は、ロランの場所でございまして、その他は全部わがほうが、自衛隊が引き続き使う施設はそのまま使いますし、また、自衛隊として必要なものはどれだけかという点は防衛庁において御決定になるわけでございますが、したがいまして、米軍が返還後残る地域というのは、大幅に縮小されるわけでございます。
  81. 森元治郎

    森元治郎君 一体これは三十くらいの島があるそうですが、先ほど防衛庁の政府委員のお話では、たいへんな人間を、ここ二、三年は送るつもりはないような御答弁でしたが、たとえば爆撃練習場とか——もっとも飛行場のちゃんとしたのもないから、あるいはそこで生活する家も水も食べ物もないからたいへんなことでできないが、何かここで大演習場とかそういう新たな軍事施設、軍事目的でこの三十の島を使うという計画はいまのところないのですか。
  82. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 現在の計画としましては、先ほども申し上げましたように、父島、硫黄島、南鳥島の三つの島に、数年後の落ちついた姿を想定しましても、合計しまして約二百名前後の基地部隊を置くことに、恒久的に置く部隊としましては、そういうことになろうかと考えておりますが、大演習場とか大部隊とかを恒久的に配置するというふうな計画は現在持っておりません。三十幾つの島、それぞれに部隊を置くということももちろん考えておりません。
  83. 森元治郎

    森元治郎君 爆撃演習場は。
  84. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 爆撃演習場の大規模なものを島に建設するというふうなことも考えておりません。われわれの構想全体としまして御説明しますと、領土、領海が返ってまいりますので、その領土、領海、領空を守ることは当然自衛隊の任務でございますけれども、そんな三十幾つかの島に常時部隊を配置しなければならないというふうには考えておりませんで、不時の際には、当然観念的には守らなければいけないわけですけれども、どこの島にも全部配置するだけの余力もございませんし、その必要もない。実際、平素においては艦艇なり、対潜哨戒の航空の訓練なりを当然任務上しなければいけませんが、そのサービス部隊として適当な小規模の基地要員を置けば十分である。したがって、有事の際には、その基地を有効に活用して領土、領海、領空を守ると同時に、船舶の交通安全も確保したい、こういうふうに考えておりますので、常時大規模な部隊を小さな島に展開するということは考えていない、こういうことでございます。
  85. 森元治郎

    森元治郎君 これは大臣に伺いたいのだが、ここでロケットをぶち上げたりなんか——住民はほとんどいないし、まことに何をやってもわからないところですね。これは一千キロも向こうの遠くのことだし、船はないし飛行機はないのだから、何悪いことをやってもわからないところなんですね。だから心配なんですよ。これは、科学技術庁の方いないけれども、あちこちできらわれているわけですね、人がいっぱい住んでいるところで、どかんとぶち上げられては。今度は見えませんから。そんなふうな計画は閣議なんかで聞いたことありますか。
  86. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 全然ございません。やはりそういうことをするのには小笠原は適さないのじゃないでしょうか。だから、何か人目につかないように小笠原でいろいろやる、そういう御心配はございません。
  87. 森元治郎

    森元治郎君 それから三条、四条に、「避けがたい遅延のため」というのがあちこちに出てきます。こっちは盛んに小笠原を返せ返せと言っておいて、いざ返す段になったら、「避けがたい遅延」がある間はアメリカが持っている。おまえのほうが準備ができたらやります。南鳥島の測候所などの運営も、「避けがたい遅延」があった場合には引き渡しが完了するまで現状どおりアメリカで運営される。なぜ、この「避けがたい遅延」というのがあちこちに出てくるのかというのだが、返せ返せと言って、たるんでいると思うんですね。返すと言ったら、その日に取れる体制がどうしてできていないのか。しかも、条約アメリカに寄託したあと三十日で発効するのだから、かりにあすの本会議でこれが上がったとすれば、六月二十二日でもってまだ成立はしないのかどうか。
  88. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) この考え方は、もとより、協定発効までに全部ここに書いてあることは済ますということで、幸いにして現在準備が進んでおりまして、この「避けがたい遅延」というものは起こらないと思いますが、しかし、ここにこういう規定を置きましたのは、やはり人間がやることでございますから、いろいろ手続その他で万一ということもございますので、そのときに、アメリカは入れない、日本も引き継げないという空白ができては困りますので、そういう万一の場合を手当てするためにこういう規定を置いたわけでございます。実際のところ、これがまだ必要になる事態は今日予想しておりません。
  89. 森元治郎

    森元治郎君 やはり、せっかく返せ返せと言うのだから、「避けがたい遅延」などという字句があることがおかしいので、こんなものはすばりと取るくらいの覚悟がないと。そこに私は、さっき言った、小笠原ははたして返ってくるのか返ってこないのか、はっきりつかんでいないというのが、こんなところに出ていると思うのですね。  それから交換公文というのが奄美大島の返還協定にはくっついていますけれども、今度の協定にはない。その違いをちょっと教えてください。
  90. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) 奄美大島の場合においては、先生も御承知のとおり、その後に奄美の中に基地をつくりたいということをアメリカが言い出した場合にこれを考慮するというようなことだったと聞いておりますが、あの場合には、アメリカ自体に、あそこに一種の通信基地でございますか、いわゆる本土と沖繩との間の交通のための、何といいますか、灯台みたいなものをつくりたいというような希望もありましたそうで、そのために実際、問題がございましたためにああいうものを入れたわけでございます。今度の場合には、非常に話が詰まっておりまして、ロラン局などだけしかもう向こうは要らないというお話だったものですから、ああいうものは必要ないので落としました。
  91. 森元治郎

    森元治郎君 そういうところを見ると、この小笠原の場合には、もっと政府が本気になって返還に努力すれば、アメリカ側から見れば、重要性が奄美大島とだいぶ違うので、もう少し早く取り返すことができたのじゃないかという印象を受けますが、いかがですか、外務大臣
  92. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、小笠原の返還というものはいろいろな点で、ちょうどああいう時期が一番両方で——両方というよりも——アメリカ側として解決しやすかった時期だったと思います。だから、もう少し早くいろいろ折衝したらもっと早められたのじゃないかという点は、なかなかアメリカの事情がそこまで許したかどうかということは疑問を持ちますが、これはあるいはそういうこともあったかもしれませんけれども、私が考えれば、あの時期が一番やはり解決の時期としてはアメリカにのましやすい時期だったという感じが、いま、するわけです。
  93. 森元治郎

    森元治郎君 次に、この条約第二条では、日米間の諸条約——安保条約、通商航海条約——などが発効の日から小笠原に適用されるということが確認されておる。奄美協定のほうではちょうどこれに該当するのは第七条で、日本国が当事国である条約及びその他の多数国間の国際協定が適用されるとなっておる。これはやはりこういうことは明示しないが当然同じ適用になるのでしょう。
  94. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) 小笠原が日本国に返ってまいりますものですから、日本国に適用になる協定は当然適用になります。そうして、この二条及び奄美協定の七条、これは確認規定と考えましてよろしいわけでございますが、今度の場合に、いわゆる多数国間条約を入れませんでした理由は、日本アメリカとの協定において多数国間条約に言及することが必ずしも適当じゃないのじゃないかというようなわれわれの本質的な考え方がありましたものですから、多数国間条約の適用に関しては多数国間全体の考え方もあると思いまして、日本国としての適用ということは当然ございますのですけれども、ここで例示するためには適当なものでないと思いましたので落としたわけでございます。
  95. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると奄美の場合は。
  96. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) 奄美の場合には、アメリカも、もう非常に戦後日にちが少なかったものでございますから、日本に対しての適用をはっきりさせたいという気持ちが非常に強かったらしくて、そのためにああいういわゆる多数国間条約まで入れて——平和条約まで入っておりますが、そういうものも全部入れてあそこに規定したものと思われます。ただ今度の場合には、これだけ日本国というものが非常にはっきり——何と申しますか、独立国としてはっきりしておりますので、小笠原が日本国に入ってまいりましたときに、日本国に適用される条約が小笠原に適用になるということは自明の理でございますから、これは落としました。
  97. 大和与一

    ○大和与一君 時間があったらもう少しお尋ねしたいのですが、ないから、たとえばパナマあるいは太平洋にアメリカの施政権が及んでおるところがある、それに対するアメリカとの関係を少し私、準備してあるのですが、きょうは時間がないからやめますが、一つお尋ねしたいことは、沖繩について総理大臣は白紙だと言っておられるけれども、それは、核基地を持つ持たぬということだけが白紙であって、それ以外は一切無条件全面返還であるというふうにいまでも理解しておっていいのかということだけ。
  98. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も大和さん、非常に緻密にその問題を考えてみたことはないのです。それはなぜかといったら、あなたと同じように考えておったから、これは返ってくればほかのものは何も無条件で、結局、基地のあり方等がこれはなかなかいろいろ問題があるので、これは白紙ということで、それ以外はもう日本に施政権が返れば無条件と言えるということであまり検討はしていないが、常識的には私はそう考えておりますが、何かこう問題があればだけれども、どうもやはり常識的に考えてみても、実際問題として考えても、そうじゃないかと思っております。
  99. 大和与一

    ○大和与一君 きょうはいいです。
  100. 森元治郎

    森元治郎君 一番最後に、「硫黄島の記念碑に関する書簡」、これは両方で勇ましく戦ったというわけで、あなたばかりじゃなしにおれもやったと、気持ちはわかるがね。何か二つ合わせて一本にして、それで山の下に博物館でもこしらえて、旗を立てたければ——旗をおっ立てることもけっこうでしょう、博物館に。まん中には日米合同の親善平和の慰霊塔みたいなもの、でっかいのを立てたらもっとよかったと思うんですが、これはアメリカもよっぽどほしかったんだろうが、私も、あそこへ行ってあの記念碑を見たらあまり気持ちがよくないですよね。これはそういうふうにしたほうがいまからでもおそくないと思うんです。少し時間がたてばアメリカもそういつまでも考えていません。一本にするということをひとつぜひさらに考慮してもらいたい。それくらいにしておきます。  ただ一つわからないのは、「記念碑が摺鉢山に存置され、合衆国の関係者がこれに立ち入ることができるようにすることが日本国政府」、どういうふうなんですか、これは。「これに立ち入ることができるようにすることが日本国政府の意図である」。許可のビザをもらって日本の領土に入ってきますと、ここに来てはいけないということは、日本にはないわけでしょう。なぜこんなことを入れるんですか。
  101. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは摺鉢山に記念碑ができるのですね、そこにやはり道をつくって行けるようにするという意味で入れたのです。それ以外にないです。
  102. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、黙っていれば、草ぼうぼうにして、こんなにしておけば、アメリカのお嬢さんがハイヒールではとても来れないわけですね。だから、歩けるようにしてあげるということですか。——はあ、ふしぎな文書だね。何んでこんな書簡を出すのかね。これはおかしなことだ。これは外務大臣がジョンソン大使閣下にやる手紙にしてはお粗末だね。
  103. 羽生三七

    羽生三七君 一つだけ。どなたでもいいですが、この協定発効後の四十三年度予算関係はどうなっているんですか。何か聞くところによると、美濃部知事は、復興には五百億とか千億も要るということを言っておるのですが、その額は別として、これは東京都のことですが、自治省関係でも、行政上のことで何らかの予算上のあれがあるのか。あるいは復興について四十三年度は何らかの予算措置をするのか。それは、もし必要が起これば、補正というか、予備費の流用でやるのか。その辺のことを、わかっていたらひとつ。
  104. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答え申します。返還がおくれた関係で本予算に組むことができなかったので、まず既定経費でできるだけまかなうようにいたしたいと思います。それでもどうしてもまかない切れないときには予備費を使わしていただきたい、そういうふうに考えております。まだ額その他は積算しておりませんので、はっきりいたしません。
  105. 岡田宗司

    岡田宗司君 一点だけお伺いしたいのですが、いままで、小笠原群島、あるいは硫黄島その他の南のほうの島はアメリカの施政権下にある。そうして米韓、米比、米台相互援助条約の適用範囲に入っていたのですね。今度日本にこれが返還されてくるということになると、それがはずれるわけです。日本はその点で肩がわりしないわけですが、この点は、私さきに本会議の質問等でもお伺いしたのですけれども、念のためにもう一ぺんこの問題についての日本政府の考え方を明らかにしていただきたい。
  106. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) 先生御指摘のとおり、いままでは米国の施政権下にございましたので、米韓、米華、米比、ANZUSの条約地域の中に入っておりました。今度日本に返ってまいります場合にどういう返還ができるかと申しますと、米韓、米華につきましては、米国の行政管理下にある領域ということになっておりますから、これははずれます。米比、ANZUSにつきましては、太平洋にある米国の軍隊という形になっておりますので、アメリカの軍隊があすこで攻撃を受けたというような形の場合には依然として入るわけでございます。これは米比とANZUSの場合でございます。これはいままでの日本における駐留米軍においても同じことが言えるわけでございます。したがって、その形のときには米・フィリピン及びANZUSの締約国である豪州、ニュー・ジーランドは、小笠原におりますアメリカ軍隊がこういう攻撃を受けた場合に、これの防衛の責任と義務が出るわけです。それが、豪州の軍隊がそこに入ってまいりまして防衛の責任を負うかどうか、実際問題といたしましては、これは日本の地域でございますから、当然日本の同意も聞いてまいりますでしょうし、実際問題としては起こらない形でございますが、条約的に申しますれば、豪州なりニュー・ジーランド、フィリピンについては、その防衛の義務が発生するわけでございます。
  107. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまその問題をお伺いして、なるほど実際そういうことが起こらないかもしれないけれども、条約上はそういうことになるということは私どもも日本としてこれは許すことはできないと思います。この点については、何か日本側としてフィリピンあるいはニュー・ジーランド、オーストラリアに対して措置をとるべきか、あるいはまた、日本アメリカに対して何か申し入れをしてこのANZUS、米・フィリピンの条約から日本に返った小笠原をはずしてもらうか、何か措置をとらないと、どうもすっきりしないように思うのです。その点の外務大臣のお考えをお伺いしたい。
  108. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 実際問題としては、日本が主権を持っているところへ来るのですから、日本政府の同意がなければ、ANZUSあるいは米比条約によって米軍が攻撃を受けたら守る義務があるといっても、それを守るのは米国本土でないのですから、やっぱり主権を持っておる日本の領土に向かってくるわけですから、政府の同意を必要とするし、これは実際問題としてははずすとかなんとか——これはちょとはずすといっても、なかなか条約からはずすということは実際問題としてはずしにくい。しかし、はずすということはこれは困難だと思いますよ、条約の一つの義務になっていることを。しかし、日本に来る場合に同意を必要とするのですから、実際問題としては御心配のようなことは起こらぬと、こういうふうに考えております。
  109. 岡田宗司

    岡田宗司君 私もそうは思いますけれども、何かすっきりしないものがある。というのは、実は次に問題になるのは沖繩の返還です。沖繩が返還されたときに同じようなケースが起こるわけでしょう。小笠原と違って沖繩の問題については、やはり現在の軍事情勢から言って、あるいはアメリカの極東における戦略的地位から言って、小笠原とは比べものにならぬほど他の諸国との関連もあるわけです。そうすると、この問題が単に条約上の論理だけの問題ではなくなってくるおそれもある。私は、こういう問題をやっぱり何らかの形ではっきりさしておく必要があると思う。日本政府としては、この問題は実際上起こる問題ではないから、だから、そのままにしておいてはいいという問題ではないと思うのです これは日本政府として、それではこの点に関する見解を何か公式に明らかにしておくという必要があるんではないかと思うのですが、どうでしょう。
  110. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私がお答えした基本線はこれは変わらない。第三国の条約ですから、この条約をここで日本自身がいろいろ解釈を加えるということは困難でありますので、いままでお答えしておることを変えるということではありませんが、こういう問題に対してどのように日本政府として考えておくべきかということについては、研究はいたします。
  111. 岡田宗司

    岡田宗司君 研究して何かやはり日本政府としての態度を表明をしていただかないと、沖繩の返還の場合に、さらにこういう疑義が起こると困るので、私はあらかじめこの点については明らかにしておくことを重ねてやっていただきたいとお願いするわけです。
  112. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  南方諸島及びその他の諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  115. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって、全会一致をもって本件は承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  117. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 速記を起こして。     —————————————
  118. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、日本国ニュー・ジーランドとの間の漁業に関する協定締結について承認を求めるの件  及び  メキシコ合衆国領海に接続する水域における日本国船舶による漁業に関する日本国メキシコ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件について御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  119. 森元治郎

    森元治郎君 二つを一つにして御質問するが、ニュー・ジーランドとの漁業関係が問題が多いようですね。これは条約の期限は七〇年までの短いものですね。
  120. 高島益郎

    説明員高島益郎君) ニュー・ジーランドとの協定の有効期限は無期限でございます。ただ、日本操業が認められる期間が七〇年末までということでございます。これはいわゆるフェーズ・アウトと称しまして、実績を尊重する場合、一つの慣行といたしまして、過去の実績に見合うだけの操業の継続を認めるということで、日本操業は七 ○年末まで認めるということになっております。ですから、協定自体は無期限です。
  121. 森元治郎

    森元治郎君 操業は七〇年まで、その後は非常にむずかしい。メキシコの場合には話し合いによっては何かまた協定が更新されていくでしょうが、ニュー・ジーランドの場合七〇年後をどうするのか。
  122. 高島益郎

    説明員高島益郎君) 一九七〇年末まで日本操業継続が認められて、七一年以降については日本操業しないということを約束しておるわけであります。これはむずかしいのではなくて、もう日本操業はあすこでは認められなくなるということでございます。いままで漁業水域設定いたしましてそれに基づいて実績国の操業の継続を認められた過去のいろいろな例に徴しまして、日本の場合にはわずか二年ないし三年くらいの短い過去の実績があったのみでございますので、これに対しましてその後四年ないし五年の操業継続を認められるということは非常に大きな継続を認めたことになりまして、日本としては非常に有利な取りきめであったというふうに考えられます。いままで、漁業水域に関します国際協定では、五年ないし十年の実績が必要であると思うのでありますが、それに基づいてやっと五年ないし十年の継続を認めるというのが慣行でございます。ニュー・ジーランドのように、わずか二年くらいの過去の実績をもとにして四、五年の継続を認められたということは、非常に希有な実は例でございます。
  123. 森元治郎

    森元治郎君 これは操業放棄条約と言うのかな。
  124. 高島益郎

    説明員高島益郎君) 操業放棄ではございませんで、いわゆる技術的用語で申しましてフェーズ・アウト、操業に関するフェーズ・アウト方式というふうにわれわれ称しております。つまり過去の実績に相応する操業の継続を認めて一これ以降は操業の継続を認めない。そういう種類の取りきめは、これは欧州漁業条約、その他各国が欧州諸国間に締結しております漁業条約をもとにする、そのような慣行にならった次第でございます。
  125. 森元治郎

    森元治郎君 とっている魚はタイでしょう。ニュー・ジーランドではタイを食べるんですか。
  126. 森沢基吉

    政府委員(森沢基吉君) ニュー・ジーランドでは底びきを主体といたしまして、やはり八千トンほどのタイを漁獲しております。ですから、タイの消費も国内に当然ございます。
  127. 森元治郎

    森元治郎君 ニュー・ジーランドで八千トンの魚では幾らでもないと思うんだが、何をいやがってタイなんかとるななんと言うのか。何かほかに悪いことやっているのかな。
  128. 森沢基吉

    政府委員(森沢基吉君) いま御指摘のように、ニュー・ジーランド漁業は、タイの底びきだけを見ましても、まだきわめて後進国的なステージでございます。ただ、日本漁船があの近海に操業を開始いたしましてから、ニュー・ジーランド政府といたしましても、近海の豊富な水産資源に目をつけまして、大いにみずから漁業開発をやりたいという意欲がございます。そういう意味において、日本漁船操業上のトラブルを避ける意味でこういう水域設定をお考えになったというふうなことをわれわれ聞いております。
  129. 森元治郎

    森元治郎君 何かさっき補足説明で、国際司法裁判所かどこか出るところへ出て話をしようというのはどういうことでありますか。
  130. 高島益郎

    説明員高島益郎君) これはニュー・ジーランド漁業水域法という法律を制定しまして、その法律によりまして、領海三海里の外側九海里において外国漁船操業を一切禁止するというたてまえの法律を制定したわけであります。これに対しまして日本は、過去二年ほどの実績があったものでございますから、その実績をもとにして、日本操業の継続を認めるべきであるというたてまえで、国際司法裁判所にこの問題を訴えようではないかという提案をしたわけでございますが、その提案内容は、これはニュー・ジーランド国内法によって一方的に漁業水域設定し、そこで日本漁業の継続を禁止するということが可能であるか、そういう問題を国際司法裁判所に提起しようということをニュー・ジーランド側提案した次第でございます。結局、ニュー・ジーランドがその後検討の結果、この提案には応じられないということで、応じないかわりに、日本との間に協定締結し、その協定によって日本操業の継続を認めようということになったわけでございます。したがって、その結果、ニュー・ジーランドはその漁業水域法をさらに改正いたしまして、日本操業継続を認めるための改正をした次第であります。
  131. 森元治郎

    森元治郎君 司法裁判所に持っていくというなら、裁判で勝てるのだろうなあ。勝てると思ったから出したのだろうし、また、向こうが応じなかったというのは、負けると思ったのか、その辺はどうですか。
  132. 高島益郎

    説明員高島益郎君) これは実際に国際司法裁判所の場に出てみなければわからない問題でありますけれども、日本は当然勝つという自信があって出すというわけでございますし、ニュー・ジーランドではとてもこれでは勝ち目がないだろうということで避けたものと私は考えております。
  133. 森元治郎

    森元治郎君 司法裁判所とよく言うが、たまには相手をだまかして引きずり込んで出るところへ出て一ぺんやってみるとおもしろいのだな。ショック療法というのは外交では大事なんです。向こうがおりてしまったのだからどうにもならないが、タイ漁業がこれからできなくなるというとどのくらいの損害になるのですか。
  134. 森沢基吉

    政府委員(森沢基吉君) 日本の全部のタイ漁獲高というものは約二万二千トンちょっとでございます。この水域で従来から、年度によって差はございますけれども、大体六千トンから六千四百トン程度の漁獲をあげております。ただ、ここに出ております漁船は、大部分がマグロのはえなわ漁業の上がり船といいまして、もうかわりの新船をつくりました船でございますが、そういう古い船を使用しております関係上、投下資本もわりに少のうございますので、まだ三年ほどの余裕がございますので、水産庁といたしましては、他の漁場開発等に力を入れましてこの人たちの転換をはかりたいということを考えております。
  135. 森元治郎

    森元治郎君 あっちこっちでこうやって押えられて、これはこれから日本の活発な漁業——少し活発過ぎるようだが、こうやって押えられてくるから、小さいことだけれども、やはり注目しなければならぬ。ほかがこれを利用してくるということも考えなければならぬ。さらにねばり強くニュー・ジーランドを説得して、また別な方法で魚とりをやれるようにひとつ外交努力をしてもらいたいと思うのですが、このどっちですか、数量主義と隻数主義というのは、ニュー・ジーランドが十七隻とか隻数で、メキシコが量で規制するということだったわけですね。メキシコのほうはたいへんな問題ではなくて、今後ともたいへんな波乱がなく漁業を継続される予定ですか。
  136. 高島益郎

    説明員高島益郎君) これはやはりメキシコ国内法に基づきメキシコ側日本交渉するわけでございますが、メキシコ国内法では、一九七二年末までの間、すなわち五年間を限って外国に対して交渉し、したがって、この国は操業を継続させることができるという定めでございますので、現在メキシコといたしましても、七二年以降の問題につきましては、国内法的に見て、政府に外国と交渉する権限はないわけでございます。したがって、七二年過ぎた後のことにつきましては、その前の段階におきまして、日本政府といたしましては、メキシコ政府とさらに交渉した上で、国内法に対する適当な手当をさらにした上で交渉をするということになろうかと思います。
  137. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、二案件に対する質疑は本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十四分散会      —————・—————