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1968-03-28 第58回国会 参議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十八日(木曜日)    午前十時四十分開会     —————————————   委員異動  三月十四日     辞任         補欠選任      近藤英一郎君     杉原 荒太君  三月二十六日     辞任         補欠選任      山本  杉君     大谷藤之助君  三月二十七日     辞任         補欠選任      大谷藤之助君     山本  杉君  三月二十八日     辞任         補欠選任      笹森 順造君     内藤誉三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          三木與吉郎君    理 事                 木内 四郎君                 増原 恵吉君                 山本  杉君                 森 元治郎君    委 員                 杉原 荒太君                 内藤誉三郎君                 廣瀬 久忠君                 山本 利壽君                 岡田 宗司君                 佐多 忠隆君                 羽生 三七君    国務大臣        外 務 大 臣  三木 武夫君    政府委員        外務政務次官   藏内 修治君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        外務大臣官房外        務参事官     内田  宏君        外務省条約局外        務参事官     高島 益郎君        大蔵省主税局国        際租税課長    竹腰 洋一君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選の件 ○日本万国博覧会政府代表設置に関する臨時措  置法案内閣提出衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国政府セイロン政府  との間の条約締結について承認を求めるの件  (内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国デンマーク王国との間の条約の締  結について承認を求めるの件(内閣提出) ○国際情勢等に関する調査  (インドネシアに対する経済援助問題等に関す  る件)     —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ただいまから、外務委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  三月二十六日、山本杉君が委員辞任され、その補欠として大谷藤之助君が選任されました。  また、同月二十七日、大谷藤之助君が委員辞任され、その補欠として山本杉君が選任されました。     —————————————
  3. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 理事補欠互選についてお諮りいたします。  山本杉君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は投票の方法によらず、先例によりまして委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。それでは山本杉君を指名いたします。     —————————————
  5. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、日本万国博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。三木外務大臣
  6. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ただいま議題となりました日本万国博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案提案理由を御説明いたします。  昭和四十五年に大阪で開催される予定の日本万国博覧会につきましては、国際博覧会に関する条約第十五条の規定により、開催国は、政府代表する政府代表または政府委員一人を指名することとなっておりますので、その任務重要性にかんがみまして、今回提案法律案のごとく、外務省に、特別職国家公務員たる日本万国博覧会政府代表一人を置くこととした次第であります。もっとも、すでに早くから前述の条約上の政府代表任務の一部を行なわしめる必要が生じましたので、とりあえず、昭和四十一年九月に外務公務員法規定する政府代表を発令して暫定的にその任務の一部を処理せしめてまいりましたが、これは非常勤かつ無給でありました。最近、ようやく日本万国博覧会開催の時期が近づくにつれまして政府代表任務が次第に増大するに至りまして、条約上の政府代表として全面的な活動を行なわなければならない事態に立ち至りましたので、提案法律案のごとく、政府代表の職を設けることとした次第であります。  今回新たに設置する日本万国博覧会政府代表任務といたしましては、条約及び条約第八条の規定に基づく一般規則の定めるところにより、昭和四十五年の日本万国博覧会に関して日本国政府代表し、かつ、その約束履行を保障することであります。この政府代表任務に関し必要な国内的措置につきましては、わが国内法令並びに国内行政組織事務分担管理のたてまえ上、それぞれの関係各省庁の長がこれを処理することが適当でありますので、法案中にその旨を規定することとした次第であります。  また、政府代表俸給月額を定めるとともに、代表の任免につきましては、外務大臣の申し出により内閣が行ならことといたしております。さらに、代表の職は、昭和四十五年の日本万国博覧会のために臨時に設けるものでありますから、本法律案は、博覧会が終了した後、政府代表が事後の事務処理に必要と予想される一年の期間を経過しますと失効することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
  7. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。内田外務参事官
  8. 内田宏

    説明員内田宏君) ただいまの提案理由説明につきまして若干の補足説明をさしていただきます。  今回の時限単独立法は、昭和三十九年、国会において御承認を得ました国際博覧会条約の十五条に基づきまして、政府代表権限及び給与に関する法律でございます。今回の立法は十五条でございまして、昨年やりましたモントリオールのときには植村甲午郎氏が政府代表になっておるわけでございますが、これは万博条約十六条、これは条文は国会参照法令として御提出してございますけれども、十六条による参加国政府代表でございましたが、今回の十五条は、主催国政府代表任務給与に関することでございます。  これを今回提出いたします理由といたしましては、従来、戦後第二次大戦後、万国博ベルギーのブリュッセルとそれからカナダモントリオールで行なわれておりますけれども、これはいずれも政府直営でございますから、この条約自体は一九二八年から成立しておりますが、大体政府直営でいたしたわけでございますけれども、今般四十五年に大阪でいたします万国博は、万博協会というのを通じてやるという特殊な形になっておりますので、まずこの十五条により、政府代表奥村外務省顧問外務公務員法第二条による政府代表という名称を与えてやってきたわけでございますけれども、いよいよこの仕事も多くなりますし、完全にいわゆるフルタイム状況ということになります。それから、権限についても明確にしておかなければならないという点がございますので、今回の提案となった次第でございます。  ただいま提案理由説明にございましたごとく、任務につきましては、政府代表して参加者に対する約束履行をする、それから国内的には、展示物の損害に対しての必要な措置を講ずる、こういうのを主としたものでございますから全文六カ条になった短いものでございますので、大体これに尽きますけれども、ちなみに万博自体につきましてただいままで外務省のやってきたことを申し上げますと、特使等を出して目下勧誘に当たりまして、現在参加招請をいたしました国は、わが国国交のある国百二十八カ国に対して、正式に各在外公館を通じまして正式招待をいたしております。このほか、わが国の加盟しておる国際機関二十三に対しても正式招待をいたしておりますし、それからEECに対してもいたしております。これに対しまして、ただいままでに正式に参加通報のあった国は、二十八カ国と香港政庁で、結局二十九という単位になりますが、このうち北欧三国、デンマークノルウェースウェーデン等共同参加というような形で来ております。それから州といたしましては、カナダがケベック、ブリティッシュ・コロンビア、オンタリオが州として単独に参加してきております。それから州としては、サンフランシスコ館というのを、サンフランシスコは州としても特別に参加するというのが現在までの正式に参加通報を得た国でございますけれども、今後、各方面に特使を発し、あるいは在外公館を通じて勧誘いたしておりますので、もっと増加してくると存じます。これが現在の万博参加正式申し入れ国現状でございます。  法案自体、それからこの万博現状につきまして簡単に御説明申し上げました。
  9. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 以上をもって説明は終了いたしました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。     —————————————
  10. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) この際、委員異動についてお知らせいたします。  本日、笹森順造君が委員辞任され、その補欠として内藤誉三郎君が選任されました。     —————————————
  11. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府セイロン政府との間の条約締結について承認を求めるの件  及び  所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国デンマーク王国との間の条約締結について承認を求めるの件  以上二案件を便宜一括して議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  12. 森元治郎

    森元治郎君 小さい問題ですがね、これは外務省事務当局の答弁だと思うんだが、国会にいろんなものを出す場合、条約なら条約を出したときに、交換公文とか、あるいは議事録とか、いろんなものが参考文書として出ますね。それが基準がどこにあるんだか、ある場合には出さなかったり、あわててつけ加えて出したり。たとえば、去年のブラジルとの同じく二重課税条約のときには、交換書簡国会参考文書として出さないんですよね。出してない。それで、官報告示のときに、官報の中に入れて出した。今度、まあそのせいか、今度のデンマークの場合には交換書簡をあとへくっつけてきている。そういうふうな出したり引っ込ましたりはどういう基準でやっているんですか。
  13. 高島益郎

    説明員高島益郎君) お答えいたします。国会で御承認をいただく対象となりますのは、いわゆる条約協定と、それからこれに附属して締結されます交換公文その他のものでございますけれども、その交換公文のうちには、国会の御承認対象とならないものと、それから国会の御承認対象になるものと、両種類ございます。現実にこのデンマークとの租税条約の中に添付してございます協定以外の文書といたしましては、協定のほかに議定書というのがございます。この議定書は当然国会の御承認をいただく対象でございます。それから、それ以外に交換公文が二つございますが、この二つの交換公文は、この内容がこの条約実施に関する政府間の取りきめでございまして、当然実施に関しまして行政権範囲内で締結され得べきものというものでございますので、ただ参考として提出いたす次第でございます。ただ、このように、対象となる協定議定書交換公文対象とならない交換公文との差別は、あくまでも行政権範囲内で処理し得るものか処理し得ないものかという観点から判断いたしてそういう区別をいたしております。なお、従来この参考として出します場合にも、必ずしも全部のそういう協定実施に関して締結されました交換公文国会にすべて出しているということではございません。これは、その点若干行政府の、政府の自由な判断に基づいている点がございますが、国会審議に関しましてどうしても参考としてその文書がなければ審議できないというふうなものは必ず出しております。しかし、そうでなくて、われわれの御説明で処理し得るもの等につきましては、必ずしも全部を出しているわけでございません。特に、たとえば会議中にいろいろ合意いたしました議事録等につきましては、大体は出しておらないのがたてまえでございます。なお、官報におきましては、条約とそれから条約効力発生につきまして告示いたしますが、特に参考文書として出しましたものは、大体において全部、いわゆる効力発生と同時に告示いたしております。ちょうど国内法で申しますと、政令とか、省令とかいうものに当たるようなものが条約の公布と同時に告示として公示される次第でございます。
  14. 森元治郎

    森元治郎君 ブラジルの去年の場合なんかは、これはやっぱり参考として出すに値すると思うのだが、どうですか。
  15. 高島益郎

    説明員高島益郎君) いま手元に当時の書類がございませんので、はっきりしたお答えはできませんですが、いずれにいたしましても、先ほど申しましたとおり、行政権範囲内で処理し得るものという観点から締結いたしました交換公文でございまして、われわれの判断で、必ずしも参考文書として添付しなくても説明で十分ではないかという判断で出さなかったものというふうに考えております。
  16. 森元治郎

    森元治郎君 条約協定についてのこういうものは、「行政権範囲内」ということで、あなたの説明でお前らわかるはずだということじゃなく、それがいつもそうならいいが、ときによって出たり引っ込んだりするわけだな。出すんならやっぱり系統的に出すべきだと思うんですよ。その判断だってあなたの判断であって、これから沖縄、小笠原の返還協定だの何だのという重大な問題がたくさん出てくる場合に、そういう「行政権範囲内で」御説明がつくつもりだなんと言って背後に隠して、要求があれば出しますよというのじゃなく、やはり必要なものはつとめて出して審議の促進に当たるということが行政府としては当然だと思うのですね。そうしないと、基準がなくなっちゃってごちゃごちゃすると思う。御注意を申し上げておきます。
  17. 杉原荒太

    杉原荒太君 委員長、関連でお願いします、ちょっと。  いま御質問になったことは、これは非常に憲法問題でもあり、きわめて大事な問題なんですよね。それでいわゆる「行政権範囲」といいますが、一口にそう言ったって、これは問題の解決にならぬ点もあるし。しかし、これはここであまりこの際問い詰めてなにする問題じゃなくして、ひとつ政府部内で法制局長官、あすこともよく相談して、政府部内をひとつ統一して、この問題は非常に大事な問題ですよ、それだからよく政府部内でひとつ統一見解を研究してまとめられて、それを適当な時期にここに報告してもらいたいということを申し上げておきます。これを実は前の旧憲法時代からも、御承知のとおり、枢密院——憲法では国際約束ということばになっておる。枢密院の御諮詢を得べきその対象となるべき国際約束範囲はどれかということが非常にやっぱり問題になりまして、そして結局それについての一種の取りきめみたいなものができておったこともありますがね。しかし、新憲法のもとにおいて、これは「条約締結」と——いわゆる条約締結は、よほどやっぱり政府としていずれこれはしっかりしたものを……。ただ、学者などの説などでも、これは確信を持っておるものは何もないのです。これはきめられないはずなんですが、しかし、いずれにしても、政府部内で統一見解をひとつつくられて適当な時期に報告されたい。これを私は要望しておきますよ。
  18. 森元治郎

    森元治郎君 これから、いま議題になっているこの種条約締結について交渉しつつある国、あるいはしょうと思う国の数はどのくらいありますか。
  19. 竹腰洋一

    説明員竹腰洋一君) これまで締結いたしました国は、先進国が九つ、それから後進国が七つ、合計十六でございます。  国別に申し上げますと、先進国といたしましては、アメリカ、スウェーデンノルウェーデンマーク、オーストリア、英国、カナダ、フランス、西独でございます。それから、後進国で現在までに締結いたしました国は、パキスタン、インド、シンガポール、ニュー・ジーランド、タイ、マレイシア、ブラジル、それに、いま御審議いただいておりますセイロンがございます。これを入れますと十七カ国になるわけでございます。  それで、現在、交渉を終わりまして一応仮調印をいたしましていろいろ条約上の手続を進めております国が幾つかございます。それはベルギーザンビア、それからイタリア、この三国でございます。で、実はベルギーにつきましては、ごく最近調印の運びになります。今国会で御審議をいただくようお願いをするはずでございましたが、ちょっと調印の時間が延びましたので、今国会には間に合わないと存じます。ザンビアも同様でございます。イタリアも同様でございます。  それから現在交渉中の国でございますが、現在交渉にすでに入っております国は、オーストラリア、韓国、フィリピンそれからアラブ連合、スイス、それから第一回の交渉が、これはまだ事前でございまして本格交渉ではございませんが、チリー、ペルー等も現在すでに交渉を開始いたしております。  で、そのほか、これからまだ私どもが条約を結ばねばならぬと考えておる国といたしましては、ビルマ、インドネシア、それから船舶の所得税の免税に関連いたしまして、レバノン、ナイジェリア等から、これは向こう側からオファーを受けておる。現在、そういう状況でございます。
  20. 森元治郎

    森元治郎君 お話はわかりましたが、この種条約相手側が乗ってこない、不調になった、あるいは取りつく島もない、話に乗ってくれないといったような例はありますか、どこか。
  21. 竹腰洋一

    説明員竹腰洋一君) 現在のところ、いずれの国も、相手側が取りつく島もないという形のところはございません。ただ、内容といたしまして、わが国は現在すでにもう後進性を脱しまして先進国の仲間入りをしているわけでございますが、租税条約の特質といたしまして、この条約を結びますと、大体わが国のほうが得をいたすことになります。といいますのは、資本がたくさんわが国のものが出ていくわけでございますから、それに対して軽減税率をかけたりいたします後進国のほうの税収を圧迫することが多いわけでございます。そういう意味で、いままで先進国との間でやってまいりました交渉よりは交渉が非常にむずかしいというふうなことは言えると存じます。
  22. 森元治郎

    森元治郎君 いままでは、大体日本のほうが差し引きもうけ、日本が得する、少なくとも損はしないという傾向だけれども、デンマークの場合はどうなんですか。デンマークの中の技術援助とかいうのがあって、今度は新しいOECDの方式で税率を一五%を一〇%に下げるとかとあるな。今度はああなった場合、日本のほうは向こうから受け取る分が二万五千ドルとか、向こうが二百万ドルとか、こういう場合に税率軽減によってどっちが損得するのですか。
  23. 竹腰洋一

    説明員竹腰洋一君) 御指摘のように、税収におきましては、確かに現在の段階ではわが国のいまの税収が若干減ることになります。ちょっと六年、七年のデータつまびらかでございませんが、六五年ベースで約三千万円の税収減が見込まれております。ただ問題は、これから先のことを考えますと、日本からパテントその他の提供をする、輸出をする場合が非常に多いと思います。それから、今後わが国企業デンマーク進出するという場合もこれからどんどん多くなってこようかと思います。で、これから将来相手国との間の経済交流を増大していくということをベースにして考えてみました場合に、現在若干の税収減を生じましても、長期的に見ました場合には、締結したほうがいいであろうと考えております。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまのお話ですと、韓国交渉中である、こういうことですが、まあ、日本と近くてそして経済関係の多い国ですね、たとえば韓国台湾あるいはインドネシア、こういう国との間のこの種の条約ですが、これはまあ日本の立場からすると、企業進出等の面で非常に必要だと思うんですが、それらの面についてどういうふうになっていますか。
  25. 竹腰洋一

    説明員竹腰洋一君) 私、ちょっと先ほど交渉中の国という形で申し上げましたときに、一国抜かしました。現在、中華民国にも申し入ればいたしております。  先ほど御質問で御指摘のございましたまず韓国についてでございますが、韓国とは三十九年からでございます。三十九年から進出を始めまして、それで、当時はまだ基本的な国交回復ができておりませんでしたために、駐在事務所という形で業務を営んでおりまして、これに対しまして韓国側が税をかけてまいりまして、その税のかけ方が非常に過重でございましたために、あるいは御承知かと存じますが、商社課税の問題に関してトラブルが起こりまして、現在、昨年の八月に開かれました第一回の日韓閣僚会談を契機といたしまして、両国政府の間で租税条約交渉に入るということが共同コミュニケに盛られまして、それ以来現在までに二回の正式交渉を行なっております。で、現在のところ、韓国といたしましては、国内的に実は今年度経済再建計画のために大増税をいたしまして、その法案審議のために余裕がなかった。それから、現在米韓の間の租税条約が進行中でございまして、これらの関係で、実質的な審議にはまだこれから入る段階でございます。ただ、その租税交渉の場を通じまして、商社課税問題等につきましては先方当局といろいろ実質的な話し合いが進みまして、わが商社課税に対するいろいろ不合理な点は徐々に解決の方向に向かっております。今後まだ若干の日にちはかかると存じますけれども、われわれとしては、しんぼう強く交渉を続けていきたいと考えております。  それから、台湾とは現在交渉申し入れをいたしております。基本的には先方はこれを受ける態度でおりますが、現在のところ、向こうからいまの時点で交渉を開始するかということに対する具体的な回答がないのが現状でございます。  それからインドネシアにつきましては、私ども、現在までインドネシア税制が確立いたしておりません、しょっちゅうぐらぐら動いておりましたために、相手国税制が実は不明確でございまして、そんな関係条約交渉に入ることをちゅうちょいたしておりました。かつまた、日本商社がかなりの数進出いたしておりますけれども、現実課税上のトラブルが現在までございませんでした。最近に至りまして、インドネシアにおきましても税制が安定するやに見受けられますので、最近の機会をとらえて租税交渉に入るよう申し入れをしたいと考えております。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまこの三つの国との間のこういう条約をどうするかということをお聞きしたのですが、ほかの国との場合は、大体経済的ないしは技術的なことで片づいているのですが、これらの三国との間にはかなり政治的な問題がからまっていると思うのです。それで私、聞いたんですが、特に韓国との場合は、相当政治的な、何かからまっているんじゃないか。こういう問題は本来、政治的なものはあまりからましてもらうと、これはやりにくいし、また、こちら側としても非常に困るのだと思うのですがね。今後交渉していく場合に、どういう態度で臨むか、これは外務大臣からお伺いしたい。
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはいま説明員からお答えしましたように、日韓閣僚会議日本が取り上げて、向こう約束をしたわけです。その後二回ばかりやったのですが、なかなか進まないので、日本のほうとしては、約束に従って租税条約を早く妥結をしたいということで、しばしば言っておるのですが、先般も朴という副総理が来まして、両方が約束したことは守らなければいかぬということで督促をいたしたのですが、いま言ったように、アメリカとの交渉もいまやっておるし、そういうふうなことで、にらみ合わせでおくれておるが、これはもうできるだけ早く解決しようという方針には変わらぬということを言っていましたが、あまり、政治的にからまして——いろいろ背景には政治的なものがあるかも知れぬが——何らかのものを直接からましてておるという考え方は韓国側にもないようでありますから、これは租税条約の中で日本が一番利害関係を持つわけですから、できるだけ促進をいたしたいと思っております。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 政治的にはからましてきていないというような話ですけれども、どうも私は前々からのいきさつを見ていると、かなりからんでおるんじゃないか。それから、米韓の間で同じような交渉が行なわれておるということで、それが済めばそれをモデルにしてということも考えられるけれども、しかし、それにしても、私はいまの韓国の、まあ日本から有償無償の援助をずいぶん受けることになっているにもかかわりませず、日本の経済進出というものに対する韓国のいろいろな考え方というものが、相当これにからんできておるように思うのですけれども、また、向こう政府も、国内の世論とかそういうものを考慮しつつこの問題についてもやっているように思われるのですが、そういう点はないですか。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり背景にはいろいろあると思います。私どもには直接にからますようなことはしないと言っているのですが、背景にはいろいろなことがあると思います。そういう点は否定できないと思います。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 台湾の場合についてもそうでしょうし、インドネシアの場合についても、今後おそらくインドネシアが財政の立て直しをやるその際、外国企業あるいは外国人に対する課税という問題も提起してくるに違いないと思う。その際、やはりこれらの国々については、それぞれ政治的なものがかなりからんでくるように思われる。したがって、それらの点についてやっぱり確固たる方針を持って対処していくということを望みたいと思います。
  31. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。便宜二案件を一括して行ないます。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に、御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府セイロン政府との間の条約締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  34. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって、全会一致をもって本件は承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国デンマーク王国との間の条約締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  36. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって、全会一致をもって本件は承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  38. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 本日スハルト・インドネシア新大統領が来日されることになりましたが、大体これは、昨年佐藤総理がインドネシアを訪問されたことに対する答礼といったものと、もう一つは、新聞に伝えられているところによりますと、日本の経済援助といいますか、借款といいますか、そういうものが主たる問題だ、こういうふうに伝えられておりますが、やはりスハルト大統領の訪日はそれが実質上の中心なんでしょうか。
  40. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 昨年佐藤総理がインドネシアを訪問して、これに対して答礼があるということも国際慣例上普通ですから、そういう意味でありますが、この機会にインドネシアに対する経済援助等の話も出るものと考えております。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 伝えられるところによりますと、インドネシアの本年度の財政上のなにとして、外国からの援助を三億二千五百万ドル、こういうふうに計上しております。そうすると、まあアメリカが三分の一、日本が三分の一援助することを期待しておる、こういうことになりますというと、日本に一億ドルの援助を求めるであろうということが予想されるわけであります。日本のほうでは、予算で昨年度と同額の六千万ドルを大体計上しておるということでございますが、日本側としてはこの六千万ドルを計上しておって向こうの一億ドルの要求に対処するわけですが、そこらはどういうふうにお考えになっておるんですか。
  42. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、基金を今度の国会に御審議を願っておるわけであります。その海外協力基金の中に六千万ドルは計上されておるわけです。日本政府としては、スハルト大統領がお越しになっても、やっぱりその政府の意図を明らかにするということよりほか、現在のところは私は方法はないと考えております。ただしかし、先方がどういう意向を持っておるのか、これは話をよく聞いてみる必要があると思います。
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、スハルト大統領のほうから、たとえば一億ドルと、こういう要請がありました場合に、こちら側は六千万ドルしか計上していないから出せないということではなくて、これはその後のあるいは折衝によって増額され得る可能性もあるわけですか。
  44. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 現在のところ、政府は六千万ドル以上のコミットを与えるということは私はできないと考えております。
  45. 岡田宗司

    岡田宗司君 予算に六千万ドルしか見込んでないとすると、たとえば首相が政治的裁量を下して増額を約束したというような場合には、予算を追加しなければならぬ問題が起こってくると思うんですが、もしそういう事態があると、やはり予算も追加されることになるんでしょうか。
  46. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 総理もその点はよく心得ていますから、そういう事態に私は立ち至ることはないと考えております。
  47. 岡田宗司

    岡田宗司君 向こう側は三億二千五百万ドルを計上している。日本に要請する点はこれは政府借款でしょうか、それとも、民間の借款をも含めての額でしょうか。
  48. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは政府借款でございます。民間のほうは別になっておるようです。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 それで、たとえば政府借款は六千万ドルだが、民間借款の面で考慮されるということもあり得るわけですね。
  50. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは民間の借款は、インドネシアとのいろんな開発に関して民間で協力しようという機運もありますから、これはある程度の借款というものが六千万ドルのワクの外に行なわれる可能性はございます。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 このインドネシアに対する日本側からの借款ですが、これはスカルノ大統領時代の非常な放漫な経済政策で、ある意味でインドネシアは破産に瀕したような状況になった。普通ならば破産に瀕したようなところに金をどんどん貸すということは、これは非常に危険な話です。また、いままでの借款が全部たな上げされたような形になっておるんですから、普通ではこれは新たに六千万ドルもの巨額のものを出すということは非常な不合理なことだと思うんですが、これを政府があらかじめ予算にも計上しておるということには、やはり日本インドネシアとの、単なる経済関係からでなくて、政治的な背景のもとにこういう新たなる借款が行なわれるんだと、そういうふうに解してよろしいんでしょうか。
  52. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは幾つものやはり要素があると思います。経済的に見ましても、御承知のように、インドネシアは経済的な意味で開発をすれば相当将来発展をしていく潜在的な力を持っている国であります。東南アジアの中でインドネシアだけいろんな資源を持っておる国はないわけであります。いまこそ経済上非常に窮迫しているけれども、これが賢明な指導者を得て地道な経済開発を進めていけば、インドネシアの経済というものは発展する力がある。この経済的な側面もあるし、また、このインドネシア、人口一億一千万ですか、相当立地的にも重要な位置を占めておるし、インドネシアが安定していくということが、これは非常に大きなアジア安定のための要素になるわけでありますから、したがって、政治的な安定というものもこれははかっていくことがアジア全体の安定のために必要であるということもあるし、もう一つは、やはり国際的に協力しよう、インドネシアの経済再建に対して協力しようという国際協力の機運が非常に高まって、そのために、最初日本がイニシアチブをとったような形になりましてアムステルダム、来月の二十二日にはロッテルダムで国際会議が開かれる。こういう側面もあって、いろんなこういう要素を総合的に判断をして、インドネシアの経済協力、いまこそ困っているけれども、日本としてする必要があるということが判断の基礎になっておるものでございます。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 その六千万ドルの借款について、大体利率とか償還の年限とか、そういうものはどれくらいに見通されておるんですか。
  54. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは協定がこれからできるわけですから、いままでの例もありますけれども、これはその協定ができるときにきめられるというたてまえですので、大体まあいままでの前回の例などを見ると、金利三分、二十年というような基準だと考えております。
  55. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、UNCTADの会議なんか、先進国から発展途上国への援助ですね、借款については三分、二十五年というのが一つの基準として示されたのですが、大体これに近いものを与える。もしインドネシアにこういうことが行なわれるとすれば、今後他の国に対してもそういうようなものが基準になっていくと考えられるのですが、大体日本政府としては、他の国に対する援助も、まあこまかい点はそれぞれの国との個別交渉できまるでしょうけれども、基準としてはそこまで、そういうようなものを基準として認めるという方針はすでに立っておるのですか。それとも例外なんですか、今度のが。
  56. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは例外と申し上げたほうが適当だと思います。だんだんと条件は緩和していきたい、いかなければならぬという考え方は持っておりますが、UNCTADなんかできめられるような条件に日本がすぐに応ずるということは、日本の国際収支等の関係から見ましてもこれは困難でありますので、まあ、だんだんと条件を緩和していく。いままでの平均——私の記憶が正確ならば——五分二厘、十四年ぐらいが平均になっていると思っております。そういうことですから、インドネシアはもう破産状態になったので、これはほかの国の前例としない特別のケースであるという判断によったものでございます。
  57. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本側では先例としない特別のケースだと言っても、破産状態に瀕したような、本来ならそういう国に安い利息で長いこと貸すというのは普通ではないわけなのですけれども、そういう例が開かれますと、やはり日本に今後政府借款を要請してくるほうは、インドネシアの例をたてにとってくるに違いないと思うのです。それからまた一面において、UNCTADでああいう基準が示されてくるということになりますと、これは日本としても、前の条件で貫いていくことはほとんどできない。やはり低いほうへ低いほうへと押されていくと、こういうふうに考えられるのですが、もしそうだとすれば、政府としては後進国の援助について安い利子の長期の金を貸すというのにある程度きちっとした基準をつくっておかなければならない、それを発表するしないは別として。そうでないと、借款の問題が起こるたびにごたごたごたすると、要請したほうもあまりおもしろくないし、こっち側もおもしろくない。こういうことになって、せっかく援助するのに何かこうすっきりしないものが残るということになるのではないでしょうかね。
  58. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私もやはり、将来は日本の国力がもう少し余裕ができてくれば、海外の後進国に対する経済協力と言いますか海外援助、大きく言えば、これに対しては機構も基準ももっとやはり整頓する必要があると、私も岡田さんと同意見に考えております。しかし、いま基準をつくると申しましても、これはやはりこういうものはインドネシアの場合は三つのやはり条件があるのですね。国は破産状態になっておる。しかし、潜在的な経済の力は持っておって、開発すればやはり弁済能力を持っており、国際会議というものが行なわれた。そして国際協力という形においてこの借款が行なわれるという、こういうこの条件、こういうふうな三つの条件にかなっておるようなケースで将来借款というものが起こってくれば、これは波及する、波及をしかねないことはあり得ると思います。しかし、こういう条件、ただ困っておるからというのではなくして、幾つかの条件というものが日本政府判断をする場合の一つの基礎になっておりますから、こういう三つの条件がみなそろったようなケースというものがそうひんぱんに起こるとは考えておらないのでございます。
  59. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、国際協力の問題もありますが、どうもこのインドネシアの今度の借款の問題について、私はアメリカのインドネシアに対する経済援助の肩がわりと言うか、あるいはアメリカとの話し合いで相当出すように政府としても腹をきめたんだと、こういうふうに見られるのですが、この前の佐藤・ジョンソン会談、あれからあとのことを考えてみますというと、やはりアメリカから何か申し入れが、あるいは日本側からアメリカに対して、インドネシアの経済援助については、今日非常にドルが危機になってアメリカとしてもドル防衛をやらなければならぬから、日本はその穴埋めをしてやると言うか、あるいはドル防衛に協力する形でインドネシアの借款を他の国よりも多額に、ほぼアメリカと同じくらいのものを出そうということを約束したんじゃないですか。
  60. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは約束はジョンソン大統領との間にはございません。ただ、日米の会議を開く場合に、日本の従来東南アジアに対する経済協力というものを高く評価して、今後とも日本が協力されることを非常に期待しておるという、こういう発言はいつもあるのですよ。そういうことが何かアメリカに要請されてやっておるというような受け取り方ですが、私はそれはあべこべで、これからアメリカを引っぱっていくべきだと思う。日本のほうがイニシアチブを取って、アメリカがアジアのためにもっと金を出すべきだという、こういう形をとるべきだと思っております。事実、アジアとの関係はずっとアメリカより深いですから、そういう形でアジアの国際協力というものを進めていくことが必要だと思いますが、どうも、どう言うんですか、コンプレックスがあるんですかね、何かアメリカに頼まれてアメリカの要求でやったという受け取り方をされる場合が多いのです。もう少しお互いに日本の自主性というものを与党も野党も大事にしていこうではないかという感じよりも、何か、ジョンソン大統領に頼まれたから、要求されたからやるんだろうというふうに見たがるのですが、こういうことはみなやはりお互いに日本の自主性というものは大事にしていこうという気持ちが要るんだろうと、私は率直なそういう感じを持っておるのです。
  61. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも、私もそういう偏見を持って、色めがねをかけておるようですが、こういう見方をするのは、いままでの日本外交が私にそういう見方をさせるようにしたんだろうと思う。それはともかくとして、まあ、いま外務大臣の言われたようなことで、日本がもっと自主的な立場に立って、アジア諸国と日本との特に密接な関係からやっていくということはたいへんけっこうなことだと思うのですけれども、いまドル危機で、アメリカのほうではなかなかアジア諸国に対する援助ができない。そして、まあ日本がそれにかわって大いにやれば、日本がアメリカを引きずっていけるくらいならいいのですけれども、その円なるものはぐらぐらしているので、ドルの上におぶさって一緒にぐらぐらしておるのですから、なかなか三木外務大臣の言うようにうまくいくとは思わないので、やはり相当慎重な態度で借款はやってもらわなければならぬと思う、これは国民の税金になりますから、ということが一つ。  それからもう一つ、この借款の問題について、私どもは、これから心配される、まあUNCTADで国民総所得でなくて、国民総生産の一%という線が示された。もちろん、これはいつまでもそうしろということにはなっておらないけれども、少なくともああいう線が打ち出されて、日本承知したということになりますというと、そういう努力をしなければならぬ。たとえば現在国民総所得の一%というとどれぐらいになりますか。また、総生産との差ですね、現在の差はどれぐらいになるか、どなたか御存じですか。
  62. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 現在は、去年の集計というものがまだ正確には出ていないんですが、六億七千万ドルぐらいになっておるのではないか。そうすると、国民所得で行きました場合に〇・七%、一昨年は〇・六九%、だんだんと上がってはおるんですけれども、条件は、いま言ったように、UNCTADの条件と比べると非常によその国よりも悪い。そういうことで今後、日本は賛成はしましたけれども、厳重な留保条件をつけたわけです。国民総生産の一%ということになると、これはたいへんな数字になりますので、時間を切らないで、各国の事情によって、そうしていつまでということではないということで、大きな方向としては努力をしようという意味で日本は賛成をしたわけでございます。
  63. 岡田宗司

    岡田宗司君 十億ドルぐらいですね。  次にお伺いしたいのは、小笠原返還の協定ですね。これが予想よりだいぶおくれているようです。今度臨時国会外務大臣からこれは至急にやって、そして次の国会にかけて、大体七月一日ぐらいから実施したいと、こういうお話ですが、だいぶおくれておるようですが、そのおくれておる理由は、単なる協定をつくる技術上の問題か、それとも、前の奄美大島返還の際に行なわれたような、たとえばアメリカの西太平洋における防衛の一部を日本が負担するというような問題が起こってそのためにおくれておるのか、その点を一つお聞かせいただきたい。
  64. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはそういう問題はありません、一つも今度の場合は。ただ一つは、住民の権利義務の関係、それから、二十何年もアメリカの秩序の中にあったのが実際に返ってくるというので、こまごました問題で協定の場合にきめておかなければならぬので、おくれると言いますか、いろいろ慎重にやっておるんですけれども、これはまあ基本的には、考えは、両方の意見というものは不一致な点はないので、ただ、ワシントンへ往復しますから、そういうことで少し時間がかかるんですから、これは近く調印ができる運びになっておりますので、大体三月末までにはと、こう言っておったんですが、そうそんなにおくれることにはなりません。そしてまた国会でもこういう協定の御審議は非常に促進をしていただけるもんだと思いますから、最初に私が予定しておったような——六月と言っておったのですが——六月までには返還が実現するだろうということは、大体そういうことで運ぶのじゃないかという期待をいたしておるわけであります。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 やはりこれは早く締結をして、そうして国会へ早く出さないと、国会もまた事実上最後のころになると審議ができないような事態が起こるかもしれないから、できるだけ早く提出されることを希望いたします。  もう一つお伺いいたします。きょうですか、大浜調査団が沖縄へ行きました。これはB52の沖縄の住民に及ぼす不安を調査するのが主だということでございますが、やはりこれが派遣されるようになったのは、前に沖縄の県民大会の代表が来られ、そうして総理に会われてから、これが行なわれることになった。向こう側では、とにかく調査団が来てこのB52の撤去という問題を取り上げてもらいたい、それからまた、調査団に対して不満が起こって、政府自身の調査団を出してくれというようなことも再三要請されたわけでございますが、この調査団がたとえば直接B52の撤去ということについての報告を出さないにしても、B52が住民に及ぼす大きな不安に対して調査報告が出された場合に、政府としては、この百万の沖縄住民の不安を除くためにアメリカ側と何らかの政治交渉をするつもりがあるのかどうかということをお伺いいたします。
  66. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、あしたですか、出発は。現地へ大浜さんその他四名ばかりで行き、そうしてB52の住民に与えておる影響なども調査するということになっておりますから、その報告が出まして、その報告の結果を参考にしながら政府としてもいろいろ考えたいと思っておりますので、どういうことなのかまだ報告が出ておりませんし、いろいろ報告の場合を仮定して申し上げるのは適当でないと私は思うのです。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 特に向こうの要望しておる政府自身の調査団を出すということはいま考えておらないのですね。
  68. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 大浜さんを長とする会は政府——政府と言うか、総理の諮問機関としてできておりますが、そうして大浜さんは非常に御判断も冷静であるし、また、とらわれないでものを判断できる判断力の持ち主でありますので、また、沖縄にも関係あるああいう人が行って、むしろ冷静に客観的にいろいろ住民の不安というものをお調べ願うことが実際的には非常に有効ではないかというように考えております。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう一つお伺いしたいのですが、王子の野戦病院の問題で、これは詳しいことは申しませんが、総理が何か早く移転させるように取り計らいたいということで指示されたということが新聞に見えておりますが、これはほんとうでしょうか。
  70. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、指示と言いますか、指示と言うのはどうかと思うのですが、この病院が都心にあるのでいろいろな伝染病、騒音、風紀、そういう点で土地の住民の人たちが不安に思っておるような点があるようですから、現在の点はそういう点で厳重にアメリカ側にも注意をしてもらいたい。そして、住民への不安の原因というものを除去するためにアメリカ側の協力を求めたい。将来の方針としては、アメリカの施設というものはできるだけ都心からもう少しやはり郊外へ移ってもらいたいという考え方を政府は持っているわけです。都心のやはり施設というものはほとんどなくなっているのですよ。しかし、まだ残っておる。残っておる一つが、やはりあそこの王子の施設などは数少ない一つですから、これはいますぐに撤去とかなんとかいう、そういうようなことも、これは病院でもありますし、すぐにというわけにはいきますまいが、そういう方針のもとで日米合同委員会等において話をしたいと考えております。そういうことを佐藤総理が総理として意見を述べられたものだと考えております。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 ところが、きのうですか、美濃部都知事がジョンソン大使らと会って、王子の野戦病院の開設に反対する陳情をやっておる。ところが、ジョンソン大使のほうでは、あれはアメリカとして数千万ドルかけてつくった近代設備を持った病院であるということで、これをのけるどころか、そういうことについて耳をかすどころか、あれは当然アメリカ側としてあそこへ置いておいて差しつかえないのだと言って、えらい強い態度であったと、こういうことが伝えられている。そうすると、一般論かもしれないけれども、総理が言う、郊外へどこか越してもらいたいというのとだいぶ違ってくるのですが、私どもは、もちろん野戦病院という名前は取りはずしたかもしれないけれども、実際にはベトナムからの傷病兵を入れている。事実上戦争と密接な関係がある。そして、いろいろな不安を住民に与えているというところから、やはりこれはどこかへ行ってもらいたいと言うことがいいと思うのですけれども、政府としても、もし総理がそういう方針であるならば、私はやはりもうそろそろはっきりその態度をさして、そして、その方向に具体的に折衝していくべきじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  72. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 美濃部さん、私、新聞で見たのですけれども、撤去要求ということで、向こうはその場合は安保条約、地位協定というもので、まあ実際そういうふうな、何と言うのですか、条約上のことから言えば当然のことを言っているのでしょう。そういうふうなことばかりで問題を解決しようとすれば、常非にこわばったようなことになるわけですから、われわれとしては、日米両国の理解ある協力関係というものが必要でありますから、そういう形で、条約上の権利とか義務とかということではなくして、やはり日本の国民との間によく理解を得るということが、アメリカの施設を利用するにしても、効果的に使えるゆえんですから、そういう意味で、合同委員会でこの問題を話してみたい。ただしかし、病院のことでありますし、したがって、いますぐちょっとした施設というのじゃなくして、いますぐ右から左というわけにはいきますまいが、そのためには、こちらの提案もやはり合理的な提案であることが必要なので、多少の時間的余裕がなければならぬでしょうが、やはり大きな方針としては、アメリカの施設は、ことにこの住民との間にいろいろな関係の生ずるような施設というものは都心から離れてもらう、こういう方針のもとで政府として話し合いをしていきたいと考えております。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 最後にお伺いしたいのは、水戸の射爆場の問題、まあ、森さんのほうは、これは茨城県だから、早くあれはどいてもらいたいということなんですが、新島へ持ってくるという話がありました。ところが、昨晩、私、テレビで見たら、増田防衛庁長官が、もうこの新島へ引っ越すことは確定的なような話をされている。しかし、新島の住民は猛烈に反対をしている。東京都は、都議会は自民党も含めて設置反対をやっている。こういう状況であるのに、なぜ増田防衛庁長官が移転は確実のような発言をされたのか。それからまた、それは事実で、合同委員会の問題にならないのかどうか。それは防衛庁だけできめられるものなのかどうか。その点は外務大臣としてはどう考えておいでになりますか。
  74. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは森さんなんか選挙区の関係で非常によく御存じだと思いますけれどもね。日本の原子力研究所があって、そうして、そういう点で地元の人が非常にやはりそういう原子力の施設ともからみ合って不安に思って、だいぶ前からこれは問題になっているわけですが、その後の模様につきましては、私も岡田さんと一緒で、テレビをきのう見ましてね、そうして新島の話が出て、地元は反対で、増田防衛庁長官は移転ができるように茨城県知事に話した、こういうことで、きょう増田防衛庁長官にも事情を聞いてみたいと思っておったのですが、そういうまだ機会がございませんでしたので、むろんああいう原子力の日本最大の施設があるのですから、そういうところへいまの射爆場があるということは、それはやはりロケーションとして好ましくないことは明らかで、これはやはり今後交渉していかなければならぬ問題だと思います。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 と、まだ、何ですね、その新島へ引っ越すということについては防衛庁のほうからあなたのほうへは何らその話がないということなんですか。
  76. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 前にそういう話はあったのか、私は防衛庁長官から聞いてないのですが、相当前にそういう話があったのか、私は直接には聞いてはいないのです。
  77. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは、在日アメリカ軍と防衛庁だけできめて、移転ができる問題ですか。それともやはり、これは日米合同委員会等にかかる問題ですか。
  78. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 防衛庁の施設局がございますからね、これでやはりいろいろな施設の使用に関しては施設局との間に接触をしているわけですが、しかし、いろいろこう、移転とかいうものをきめるような場合には窓口は外務省になって、そうしていろいろな通知があって、これを防衛施設庁に取り次ぐということですから、われわれが知らないうちにいろいろなことがきまるというような仕組みにはなっておりません。
  79. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、防衛庁長官の発言が真実であるとしたら、非常な不規則発言だと、こう解釈してよろしいですか。
  80. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いや増田さん、この国会でずいぶんいろいろの問題があって、これ以上また不規則発言などと言って私がここで申し上げることは、これは適当ではございませんが、まだ私は事情を聞いてないので、どういうことでああいう発言があったのか、実際にああいうふうに言われたのか、いろいろな点でもう少し防衛庁長官にも話を聞きまして、また外務省もこの問題に対してそういうことならばタッチしておることに違いございませんから、事情をもっと調べまして次の外務委員会に報告をさせていただきたいと思います。
  81. 森元治郎

    森元治郎君 これは、当然射爆場は施設、区域に関する問題だから、施設庁も入れば、外務省も入れば、合同委員会の一番大きな議題なんですよ。だから、それが一つ。  もう一つは、陳情に行きますと、事務当局は、施設庁でも外務省あたりでも、三月ごろなんと言ったのが少しおくれそうだというような、四月というふうに変わり、また何だか少しおくれそうだと答えておるのだから、外務大臣のところに適当なときにきちっとしたやはりその後の経過を事務当局が報告する義務があるのだが、それをやっていないのだから、ひとつ大臣、ぴしっとやってくださいね。下でかってな返事をして、大臣がわからないなんというのじゃ困るから。
  82. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 非常に御親切な御注意、これから事務当局を督励いたしまして、次の委員会には御報告できるようにいたします。
  83. 木内四郎

    ○木内四郎君 さっき外務大臣は、インドネシアに対する援助を六千万ドル予定してあるというお話で、しかも、これ以上こえれば援助することはできないというようなお話がありました。これは外務大臣としてはごもっともだと思うのですが、私は、あれは協力基金から出るのじゃないかと思うのですが、協力基金から出るとすれば、もし協力基金に余裕金が出るようなことがあれば、また何らかの措置によって余裕が出るようなことができるのなら、六千万ドルというものは、歳出予算じゃないのだから、私は、協力基金に余裕が出たりあるいは出すような方法を講じ得るのなら、それ以上のものを出すことも不可能じゃないんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  84. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは、木内さんが言われておるように、不可能じゃございません。協力基金で、ただ、この協力基金法出ておりますから、国会説明は、この協力基金の中に六千万ドルということは手当てして用意してありますからね。
  85. 木内四郎

    ○木内四郎君 積算の基礎ですね。
  86. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 基礎になっていますから、したがって、現在のところ、やっぱり六千万ドルを用意いたしておりますということであって、これは基金はやっぱり予算のようにきちんと、弾力性のないものではないですけれども、現在のところ政府は六千万ドルということを考えておりますということを申し上げたのでございます。
  87. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会      —————・—————