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1968-03-15 第58回国会 参議院 沖縄問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十五日(金曜日)    午後二時十二分開会     —————————————    委員異動  三月十二日     辞任         補欠選任      北畠 教真君     井川 伊平君  三月十四日     辞任         補欠選任      向井 長年君     瓜生  清君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 五郎君     理 事                 増原 恵吉君                 山本茂一郎君                 岡田 宗司君                 黒柳  明君     委 員                 井川 伊平君                 内田 芳郎君                 小柳 牧衞君                 平泉  渉君                 川村 清一君                 山田 徹一君                 瓜生  清君                 春日 正一君     国務大臣         外務大臣    三木 武夫君     政府委員         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         外務政務次官  蔵内 修治君         外務省北米局長 東郷 文彦君         外務省欧亜局長 北原 秀雄君         外務省条約局長 佐藤 正二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        瓜生 復男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩その他の固有領土に関しての対策樹立に関  する調査  (沖繩その他の固有領土に関する件)     —————————————
  2. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまから沖縄問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月十二日北畠教真君が委員辞任され、その補欠として井川伊平君が選任されました。また、昨十四日向井長年君が委員辞任され、その補欠として瓜生清君が選任されました。     —————————————
  3. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 次に、沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査中、沖縄その他の固有領土に関する件を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 岡田宗司

    岡田宗司君 沖縄におけるB52の撤去問題についてお伺いをいたします。  過日、B5撤去要求沖縄県民大会代表が上京されまして、総理並びに外務大臣その他の方々に会いまして、B52を沖縄から撤去するようアメリカ要求をしてもらいたいということを要請いたしました。これに対しまして政府は、要請できないというような回答をされておりましたが、結局総理は、大浜信泉さんのやっております沖縄問題懇談会ですか、あれを調査団にして、そして実情調査させるということになったようでございますが、この調査団を出すということは、私は単に沖縄におけるB52の現在の活動状況、あるいはそれが沖縄県民に与えておる不安、そういうものを調査して総理報告するだけの任務のものではないと思う。B5撤去要求の問題が起こりましてからのいきさつを考えてみますというと、調査団を出して何かその調査の結果が報告されましたならば政府としてどういう態度をとるかということを前提として出されるものと思うのでございますが、この点三木外務大臣はどうお考えになっておるのか、まずお伺いしたいのであります。
  5. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) B52の問題は、岡田さんも御承知のように、これは非常に複雑な側面を持っている問題でございます。日本政府が一番この問題について注目しているのは、現地人たちが非常に不安に思っているという側面であります。したがって、今回大浜沖縄問題懇談会方々沖縄に行かれるという予定もあったので、この問題も現地事情を調べてきてほしいということを委嘱したことは事実でございます。その結果によってどうするかということは、大浜氏が帰ってきていろいろ報告を受けての結果であって、いまはどうこうしようという考え方を持って行くのではない。政府実情をよく知っておきたいというために調査を委嘱するものでございます。
  6. 岡田宗司

    岡田宗司君 もしそうであるとすれば、現地側は、これは自由民主党沖縄支部をも含めまして失望するに違いないのであります。政府がああいう事態のもとにおいて調査団を出すという以上は、これはやはりその結果に基づいて何らかの行動をとるということが予定されてなければならぬと思うのであります。まあ、政府がいままで、これ以上B52の撤去の問題についてアメリカ側撤去を要請しない、こういうふうに態度をおきめになったことは、おそらく日米安保条約とかあるいは平和条約第三条に基づいてアメリカ沖縄に全部の施政権を持ってそうして沖縄基地を自由に使用していることに対して、日本としてはくちばしを差しはさむ余地はないのだという条約論あるいは法理論的解釈から出ているものだろうと思うのであります。しかし私どもは、このB52が与えております不安というものは、これは単に条約解釈論でもって、あるいは法理論的な解釈をもって処理できる問題ではないと思います。この沖縄という日本民族百万の人々のおりますところでこういうような事態が起こったということ、しかも、そこにはアメリカ軍事基地があって戦争に使用されているということ、そういうことを考え合わせますと、これはやはり日米間の微妙な政治的問題になっていると思うのであります。そういたしますなら、外務大臣といたしましては、日本アメリカとの関係が非常に良好であるというのでありますれば、よけいにこの問題について条約論とかあるいは法理論的な問題として取り上げるのではなくて、政治問題としてアメリカ側と何らかの話し合いをしてしかるべきではないかと思うのですが、外務大臣はその点どうお考えになりますか。
  7. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 最初に私がこれはいろいろ複雑な側面を持っているということを申し上げた理由は、条約上の問題もございます。安全保障上の問題もございます。しかし、そればかりでは解決はしない。いわゆる沖縄人たちの人心の動向などもこれは考慮しなければならぬ。しかし、だからといって、条約上の義務というものは全然考慮しなくていいというわけのものではない。したがって、いろいろな側面を持っている問題を、これをどのようにしてこの問題というものを政府アメリカと話し合っていくかということが問題点である。どのことだけに重点を置いて、ほかのことは全部考慮を払うべきものではないということで国際問題は処理できるとは思わない。したがって、私どもとしては、大浜氏などが現地に参りまして、沖縄から立法院の人たちやその他地元の人たちの話をよく聞いているのですが、さらに大浜氏などが現地事情を見て、そうしていろいろなその話も聞き、今後のアメリカと話し合うときの参考にしたいということでございまして、いまこの段階で、どういう考えを持っているから大浜氏に沖縄に行って事情を調べてもらうのだという前提のものではない。しかし、沖縄人たちの不安に思っているということについては、政府はこれは関心を持ち、注目せざるを得ない。こういう点で事情はよく調べてもらいたいということでございます。
  8. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすれば、大浜さんたち向こうへ参られまして実情調査されて、それが報告をされれば、それに基づいて、まあこの問題一つではないけれども、いろいろ他の問題とも関連させ含ませて、B52の問題については政治問題としてアメリカ側とも話し合いをすると、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  9. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 大浜氏が帰ってきていろいろの報告を受ければ参考にしたいということで、これを政治問題なりと断定をするということは、いま言ったように、この問題は複雑な側面を持っておる。これを単に政治問題なりと断定をして、大浜氏の報告を聞けば直ちに、まあほかの問題もあるけれども、対米交渉のこれを議題にする、こういうふうには考えていない。政府アメリカとも絶えずいろんな点で協議をしておりますし、また、B52の問題についてもしばしば話をしたことがあるのですから、そういう場合の参考にするということは間違いがない。しかし、あなたのように、いま言われるこれは政治問題なりということで、これを対米交渉議題として大浜調査団が帰朝した後に取り扱うのだというふうに、そのように断定した目的を持って大浜氏に調査を委嘱するものではない。
  10. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまの御答弁を聞いておりますというと、全然これからこの問題についてアメリカ側交渉をしないのだと、そう言い切っておられるようにも思われないわけであります。大浜氏の報告があればそれを参考にするということは、あるいは何らかの機会に、他の問題等もあるから、その際に話し合いをするという可能性がある、可能性が含まれておる、そういうふうに受け取れるのですが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  11. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) われわれはアメリカとの間に安保条約を結んでおりますし、これは単に条約だけということでなくして、国民理解支持を受けなければ安保条約目的を十分に達する上において障害になることはこれは明らかであります。絶えずアメリカとの間には協議をいたしておるので、B52でも、これは恒久的な基地にせないという、こういうアメリカからの意思表示があった。B52については、アメリカ側と話し合ったときに、アメリカ側意思表示としてそういうことがわれわれに伝えられたわけであります。今後もこの問題が一つの問題になってくることは、これは明らかでございますから、必要に応じてアメリカとも話し合いをするということは、これは当然のことでございます。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は、この際この話し合いはなるたけ早くやってもらいたいと思うのであります。と申しますのは、まあ、B52が水爆を積んでおるとか積んでないとかいう問題は私問題にしませんけれども、現在、沖縄において爆弾を積んでベトナム戦争に直接出撃をしておることは、これは明瞭な事実でございます。おそらく大浜調査団もその報告はされるでありましょう。しかも、爆弾野積みにされておる。ずいぶん危険な方法がとられておるわけでございます。もしB52が沖縄へ落ちたとしたら、あるいはその野積みにしてある爆弾が破裂でもしたら一体どういうことになりますか。これは重大な問題だろうと思うのであります。落ちないという保証はございません。グリーンランドの上に落っこっておりますし、ほかでも落っこっております。また、野積みにした爆弾が自然発火しないとも限らない。そういうような事態考えますと、やはり沖縄国民の不安というものを考えますときに、やはり日本側としてはこの問題についてはアメリカ側と早く話し合いをしておくことが必要ではないか、こう考えております。  それから次にお伺いしたいのは、やはりこの問題に関連してでありますが、日米琉諮問委員会高瀬大使が今回アメリカへ行かれる。ある新聞は、その際にアメリカがあるいは下田大使B52の問題も話し合うらしいということを伝えてきております。私は高瀬氏がどういう任務を持って行くか知りませんけれどもアメリカ側との話し合いにこの問題を出すことになるのかどうか、所管大臣としての三木外務大臣にお伺いしたいのであります。
  13. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 高瀬日本政府代表——日米琉諮問委員会政府代表、これが近く東京に帰ってくる予定でありますから、その話をよく聞いて、必要があればアメリカに行くことを認めます。必要がなければ認めません。東京へ帰ってきてから高瀬代表からいろいろ話を聞いてみて、その必要に応じて、アメリカに行くかどうかきめたいと思っております。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 もうすでに新聞等には、高瀬代表東京打ち合わせをして向こうへ行くということを発表されております。おそらく沖縄で発表されたのだろうと思うのであります。そういたしますと、こういう問題についても日米琉諮問委員会日本代表としてあるいは話し合いをするということはあると思うのですけれども、もしその際、行かれることが決定される際には、外務大臣としては、向こうで話をする際に、このB52の問題についても話をするように高瀬氏に命令をされるかどうか、その点をお伺いしたい。
  15. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 高瀬代表外務大臣とも打ち合わせをしておるという前提で話をしておりますから……。私は問題は、日米琉諮問委員会職務事項と関連をして渡米をしたいという意向を持っているのだろうと思います。よく話を聞いてから、渡米を許可するかしないかをきめたいと思っておるので、高瀬君の話をよく聞いておりませんから、いま岡田さんにお答えを申し上げるのは適当でないと思っております。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほどのお話で、とにかくアメリカ側B5撤去問題の話し合いをこれからしないということはないわけであります。また、調査団報告をもとにして話し合いをするということが排除されておらないのでありますから、あり得ると、また、必要があればすると、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますね。
  17. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはいま撤去問題と言ったのですが、そういうふうに私は限定して考えていない。日米間の安保条約にしても、両国民理解支持が要る。だから日米の間に琉球自身外交権を持っているわけでもございませんし、そういうので、いろいろ沖縄人たちが不安に思っているということは、これは一つ、われわれとしても注目しなければなりませんので、いろいろなそういう問題については、絶えず、日米間で話をする必要があればいつでもいたす考えである。一般的な問題としてお答えをしておるわけであります。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 一般的であろうがなかろうが、その日米間にあるいろいろの問題、特に安保条約の運用の問題もあるでしょうし、それから、両国間の友好関係から見ての問題もありましょう。そういう問題に含まれるといたしますならば、これは随時話をされる可能性もあるし、また、そうでなければならぬと思いますので、私は、いま三木外務大臣が言明されたようなことで、ぜひいろいろの懸案、あるいはまた、いろいろな両国間の問題の一つとして取り上げていただくことを切望いたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
  19. 川村清一

    川村清一君 私は北方領土の問題について外務大臣にお伺いしたい。  与えられた時間がごくわずかでございますので、問題をしぼってお尋ねしますが、第一にお尋ね申し上げたいのは、昨年七月に外務大臣が訪ソされまして、北方領土の問題についてコスイギン首相会談をし、その際コスイギン首相から、平和条約に至る中間的なものを何か考えたらどうかとの提案があった。このことから北方領土問題解決の道が急に開けたのではないかということで、明るい希望北海道現地人々に大きく持たせたのでございます。その後十二月になりまして、中川大使ソ連当局交渉に当たりましたが、その結果は一体どうなっているのか、さっぱり明らかにされないのであります。外務大臣の訪ソによって与えられた希望は、単なる幻想にすぎなかったのか、あるいは北海道人々が喜んだその喜びというものは、何ら実のない単なるぬか喜びにすぎなかったのではないのか、こういうような問題が現地にほうはいとして起きておるわけでございます。そこで、この際まずお聞きいたしたいのは、コスイギン首相提案された中間的というのは一体何を言っておるのか、今後の見通しはどういうことになるのか、中川大使は、今後ともこの交渉を継続していくのかどうか、その場合に、どういう方針を持ってこの交渉に当たっていかれるのか、この点をこの際ひとつ明らかに御説明を願いたいと、こう思うわけであります。
  20. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 日ソ間の関係は、共同宣言が発せられて以来、十年以上経過したわけであります。その間、領土関係というものも非常に進展を見たわけでありますが、しかし、日本から申せば、領土問題が未解決のために平和条約というものの締結ができない。日本択捉国後歯舞色丹、これは固有領土である、したがって、日本に返してもらいたいという立場を終始堅持してまいっておるわけであります。ところがソ連は、解決済みであるという基本的な立場を今日までくずしていないわけであります。そこで、私とコスイギン首相との昨年の七月のモスコーにおける会談において、平和条約締結に至らなくても何か中間的な措置というものは考えられぬであろうか、こういう提案コスイギン首相から出されて、私も、それはけっこうである、外交ルートによって日ソ間で交渉を始めようじゃありませんかということで、昨年以来数回にわたって中川大使ソ連当局との間に話し合いを始めておるわけであります。これは単に領土問題に限らず、領土問題を含めて、日ソ間の関係を長期に安定し発展させていくために、問題の総ざらいをやっておるわけでございます。したがって、まだ今日までのところ、ソ連領土問題に対する態度変更という、態度変更されたという徴候はありません。それで、しかし、日ソ間の交渉が始まったという、この交渉を始めておるということは、これは一つの厳然たる事実でございます。だから、北海道方々がああいうことで非常に領土問題に対して大きな期待をお持ちになるということはあり得べきことだと思いますが、領土問題、日ソ間の領土問題の解決というものは、そう右から左へ行くものではない。これは忍耐強い日ソ間の外交交渉を必要とするんだ。これはお考えになってもわかりますように、いろんな問題点を含んでおりますから、したがって、日本から言えば、簡単に割り切れる問題でありますが、またソ連ソ連としての立場があって、この交渉を、私が七月にコスイギン首相と話し合って、すぐにこの問題が解決できるという期待は、やはりソ連北方領土問題についてはなかなかそういう簡単なものではない。しかし、日本外交外務当局としては、これは忍耐強く問題の解決をはかりたい。また国民の側としましても、この問題というものは右から左へ行くものではない、忍耐強く交渉しなければ解決できない問題だという、問題の本質に対する理解をお願いいたしておく次第でございます。
  21. 川村清一

    川村清一君 次にお尋ねいたしたいのは、北方領土返還要求につきましては、これは国内においてはほとんど何ぴとにも異論はないと思うのであります。国論も統一されておるように私は考えておりますけれども、それじゃ、返還要求する北方領土とはどこか、その範囲はどこだ、千島列島全体をさすのか、それとも南千島、すなわち国後択捉両島に限定するのかということにつきましては、必ずしも国論は統一されておらないのではないか、かように考えておるわけでございますが、政府は、この返還要求する北方領土とは、その範囲はどこをさしているのか、どこに限定しているのか、これを明らかにしていただきたいということと、その根拠、これもひとつ明らかにしていただきたいと、こう考えます。
  22. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 日本政府要求する北方領土とは、歯舞色丹択捉国後、である。その根拠は、この四つの島は、今日まで日本固有領土であって、戦争などによってこの領土といをものの変更をもたらした歴史はない。日本固有領土である。そういうことで、日本政府は、この四つの島を北方領土返還の対象にするものでございます。
  23. 川村清一

    川村清一君 歯舞色丹択捉国後固有領土であるということで返還要求される。こういうような御説明でありますが、すなわち返還要求根拠固有領土であるということになりますれば、私ども見解といたしましては、何も国後択捉両島だけが固有領土ではない。もしも固有領土とい根拠に立って返還要求するならば、当然ウルップ島以北の十八島、すなわち、北千島もわが国の固有領土である。かように私ども考えておるわけであります。これは歴史的に考えてみましても、あるいはカイロ宣言ポツダム宣言、こういう条項に照らしても何ら抵触しない固有領土である。かような見解を持っております。で、もしサンフランシスコ条約のいわゆる第二条C項で放棄したからという御見解であればこれは別といたしまして、固有領土であるという根拠であるならば、国後択捉両島と限定することについては私どもは疑義を持っておるのでございますが、この点はいかがお考えでありますか、明らかにしていただきたい。
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) サンフランシスコ平和条約日本国との平和条約の中に、第二条C項の中に、日本請求権を放棄した地域について、千島列島も放棄した中に入っているのですが、政府見解は、その千島列島の中に択捉国後は入らないという見解でございます。これが一つ。根本においてはやはりカイロ宣言など——大西洋宣言もそうでありますが、今度の第二次世界大戦において連合諸国の意図というものは、やはり固有領土と言いますか、領土の拡張を意味しないというしばしば宣言をしておりますから、これもまた大きな、やはりわれわれが固有領土に対しては領土を放棄する理由はないという、第二次世界大戦に関し連合国の声明による一般原則、それから、サンフランシスコ平和条約における二条C項の放棄した千島列島の中に入らず、こういうことが根拠になるわけでございます。
  25. 川村清一

    川村清一君 いまの大臣の御答弁を承っておりますというと、固有領土という、この根拠は非常にあいまいではないか。やはりこれを国後択捉——歯舞色丹はこれは問題でないと思うのであります。これはもう北海道の行政区にあった附属島嶼であって、これを問題にするならば、北海道における利尻、礼文、天売、奥尻なんていう島もこれは同じような島なんですから、問題でないと思いますが——国後、択捉、これはいまのお話で、サンフランシスコ条約第二条C項によってといったような御説明になりますれば、これは一つ意味がここに当然出てくると思うわけであります。しかしながら、私もいろいろサンフランシスコ条約批准国会あたりの記録を勉強してみましたら、この平和条約審議国会で、一九五一年十月十九日、衆議院特別委員会におきまして、当時の外務省西村条約局長はこのような答弁をしておるわけであります。「平和条約は一九五一年九月に調印いたされたものであります。従ってこの条約にいう千島がいずれの地域をさすかという判定は、現在に立って判定すべきだと考えます。従って先刻申し上げましたように、この条約千島とあるのは、北千島及び南千島を含む意味であると解釈しております。但し両地域について、歴史的に全然違った事態にあるという政府考え方は将来もかえません」と、こう言っておるのでございまして、したがって、前段におけるこのサンフランシスコ条約という立場から言えば、これは南千島も当然放棄した千島列島に入っておる、こういうふうに答弁されておる。「但し両地域について、歴史的に全然違った事態」というのは、いわゆる固有領土だと思う。これは日本固有領土だから当然これは放棄しておらない、こう言うんであります。したがって、これは吉田全権もこの条約会議においてこういうことを発言されておるわけでございますが、私どもは、固有領土とい立場でこの問題を議論するならば、当然得撫島以北の十八島、北千島全部が包含されるべきであり、そして要求する。こういう北方領土というものを何で南千島、いわゆる国後択捉に限定したのかという意味がよくわからないのですが、この点をもう一度はっきりしていただきたい。
  26. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはやはり固有領土というものに対しての領土権の主張というものが、一般的に見てこれは正しい主張であることは当然であります、国際的に。その上、平和条約において第二条C項において、こういう日本は約束をしておる。この両方を今日の国際的な概念と第二条C項、これを結びつけて、その上に立って政府領土の請求をすることが政府立場としては私はこれが妥当であるということで、いま言ったような四つの島の返還を求めるという態度をとっておるものでございます。
  27. 川村清一

    川村清一君 いろいろ議論をしている時間がございませんので、一応政府の御見解を承って、問題を次に移したいと思うわけでございます。佐藤総理は昭和四十二年十二月八日の参議院本会議において、自民党の代表質問者であります安井謙議員の質問に答えて次のように答弁されております。「この南の沖縄、小笠原問題は、いわゆるサンフランシスコ条約第三条によって一応その根拠があるのでございますけれども北方領土は遺憾ながら何ら条約上の根拠はございません。これは実力によって占領されておる」、このように申されているのでございます。すなわち、不法に占領されている、こういうふうに言われているのでございますが、私はこれは重大な発言だと思うのでございます。一国の総理がこのような発言を国会においてなされるということは、この北方領土返還という問題の解決のために有益であるとはどうも考えられないのでございますが、総理の言ったことを外務大臣に御見解を尋ねるのもおかしい話でございますが、外務大臣としては、いわゆる外交折衝に当たられる当面の責任者である外務大臣としてはどう思われますか。御見解をひとつお伺いしたい。
  28. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私が総理の真意を答えるというわけにもいきますまい。それは総理見解を答えているのですが、しかし、おそらく、沖縄アメリカの軍隊がいることは平和条約第三条によって認められている、しかし、北方においては何らそういうふうな条約上の根拠アメリカが、あるいはいま言ったように、平和条約三条によって明白にアメリカ施政権を持っているということが規定されている、北方領土に対してはそういう条約上の根拠はないということを言われたものだと私は解しています。私も、まあそういうふうな根拠というものは、沖縄あるいは小笠原に対してアメリカ施政権を持っているような、そういう意味条約上の根拠というものは、北方領土にはないということは、そのとおりだと思います。
  29. 川村清一

    川村清一君 私ども見解としては、沖縄につきましては平和条約第三条の効力はもう失効している、したがって、あすこに、アメリカが現在施政権を行使することは、これはもう条約違反である、こういう見解に立っているわけであります。しかしながら、この北方領土につきましては、平和条約第二条C項という、すなわち日本が放棄したところのこの千島列島の中に国後択捉が入っているのか、入っておらないのかというのは、これはやはり問題があると思うのであります。したがって、その条約解釈上の問題はもちろん議論されると思いますが、何ら条約上の根拠がないということは、しかも、総理がこういうことをおっしゃるということは問題である。もしも事実これは不法占拠であり、サンフランシスコ条約違反であるとするならば、当然このサンフランシスコ平和条約の調印国、特にアメリカあたりからソ連当局に対して抗議がなされなければならないと思うのでございますけれども、私は不幸にしてまだ一度もアメリカ及び調印国、どの国からもソ連に対して抗議がなされたということは聞いておらない。したがって、この点非常に問題がありますので、もう一度外務大臣の責任あるお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  30. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 第一、条約違反であるという見解は、われわれと全く見解を異にします。平和条約第三条によってアメリカ施政権を今日持っておるということは、条約違反だとは考えません。北方領土については、確かに、最初にも申したように、日本ソ連との間に見解の相違がある。このことは事実です。向こうは、解決済みと言って、こっちは、そうじゃないと言う。だから、日ソ間の外交交渉が始まっておるのであります。しかし、沖縄の場合は明白にもう何ら疑念を差しはさむ余地のない、明白な規定をもってアメリカが施設権を持っている。おそらく、まあここで議論をなさろうという意味ではないでしょうが、信託統治のことを言われるに違いないが、とにかく、明白な施政権を保有することが平和条約によって明白に規定されていますね。ところが、北方領土の問題については両国の意見が違って外交交渉を今日いたしておるということは、沖縄のごとく明確にこの島の名前もさしてというような規定がないということであって、そこに多少現実の事態というものに差があることは明らかだと、まあ、そういう意図だと思います、総理の言われたことは。
  31. 川村清一

    川村清一君 次に問題を発展させますが、これは新聞の報道によって私が知ったことでございますが、中川大使の中間的なものに関する第一回の日ソ交渉の際に、最大の懸案である領土問題について中川大使からこのような提案がされた、こう新聞に出ておるわけであります。  第一は、歯舞色丹両島は中間的なものの取りきめが行なわれたときは即時日本返還する。第二に、国後択捉両島については、ある条件が満たされたとき日ソ平和条約締結する。ある条件とは、ベトナム情勢の変化、あるいは沖縄問題などをさす。これは口頭で説明した。第三番目に、国後択捉日本返還されるときは、ソ連が両島に投下した施設費を日本が補償する用意がある。また、両島は武装しないことを考慮する。このような提案をしたと伝えておるのでございますが、このことは一体事実かどうか。事実とすれば政府考えている北方領土返還要求というのは二段方式をとる。一ぺんに解決するんじゃなくて二段階の方式をとってする。こういう方向で進めているのかという考え方を持つわけでございますが、この点はどうなんですか。これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  32. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 川村さんも御承知のように、外交交渉というものは交渉の途中で両国とも、こちらがこう言った、あららはこう言ったと言わないことが国際的な慣習になっておりますので、新聞記事、必ずしも正確に外交交渉内容などは発表しないわけですから、相当推測がはさまるわけですから、正確を期されない場合も多々あると思います。その交渉の途中において内容を申し上げることは、これは国益にも反しますし、また、国際的な慣習にも反しますので、これは適当な機会があったらむろん申し上げなきゃなりませんが、そういうことで御了承を願いたいと思います。
  33. 川村清一

    川村清一君 国益に反するというのならお聞きしませんけれども新聞に出ておったので、これは事実かどうかということをお尋ねしておるわけでありまして、これは私は秘密文書としてどっかから受け取ったものでなくて、堂々と発行されている商業新聞から受けたものでございます。  そこで、私はもう一つこの際明らかにしておきたいのは、われわれの見解としてはなかなかむずかしいんではないか。外務大臣も非常にむずかしいことをおっしゃっておる。非常にむずかしいんじゃないかと思います。したがって、一気にすべて解決は困難ではないか。日ソ共同宣言歯舞色丹というものは返還すると、こう言っているんですから、それをひとつ返還してもらって、そうして領土以外のいろんな文化問題、経済問題、友好関係を深め、平和条約を結び、そしてもろもろの問題、ここにもありますようなある条件が満たされる、こういうような事態において、国後択捉の全面的な返還を求めると、こういう方式が私どもとしては一番いい方式ではないか、いわゆる外交交渉の主要のものでございますから。こう考えるのでありますが、これは実現性のある行き方ではないかと思いますが、外務大臣としてはどうか。この点もお答えできませんか。
  34. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 川村さんの御意見としてよく承らせていただきたいと思います。
  35. 川村清一

    川村清一君 それでは大臣にひとつ私お願いするわけですが、大臣、おそらく北海道の根室あたりに行かれて、そうして歯舞色丹とか、国後択捉とか、すぐ目の前にある島、しかも、その島に住んでおり、その島に先祖の墓を持っておる人がこちらにたくさんおるわけですが、そういう方々のなまの声を聞いたことということは、まあ、ないと思います。もちろん、熱心にこの問題を解決するために努力されておる労は多とし、敬意を表しますが、しかし、一度行かれて現地を見られれば、ますますこうしてはおられないと、これはがんばらなければならぬという気持ちが私はもう猛然として大臣の胸中に燃えてくると思いますね。そういう立場から、ぜひひとつ外務大臣、一回北海道の根室あたりに行って、島を見、島を引き揚げた方々のなまの声を聞いていただきたいと思うんでございますが、行かれる御意思ございませんか。
  36. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 機会があったら、そういう機会を持っていいと思っておりますが、たくさん見えるんですよ、実際子供の方々なんかも見えて——私は行かないから燃えていないのではございません。行かなくてもこの問題はやっぱり解決しなければならぬ問題だなあということで、そのことの熱意は持っておるということを申し上げておきます。
  37. 川村清一

    川村清一君 それじゃ、ぜひそれを実現をしていただきたいということをお願いをし、総務長官が来ておりませんので、ちょっと特連局長にお尋ねしたいのですが、これは最後の質問になるわけですが、昨年八日本委員会を代表して北方領土問題及びそれに付随する諸問題の実情調査するために派遣された委員の詳細な報告書が国会に出され、国会を通して内閣のほうに配付されておると思うんでございますが、総務長官並びに特連局の責任者はその調査報告書をお読みになったかどうか、これをまずお聞きしたい。
  38. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) 私のほうで十分読みまして、いろいろ内容について本検討をしております。
  39. 川村清一

    川村清一君 それでは、お読みになって内容をよく知ったならば、あれには現地関係住民の切々たる訴え、願望を非常に詳しく述べてあるわけでありますが、それらの問題を解決、実現するために、四十三年度予算編成にあたってどのような措置なり努力をされたか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。たとえば予算面においてどういうふうにこれがあらわれておるか。最後にこれだけお尋ねいたします。
  40. 山野幸吉

    政府要員(山野幸吉君) いろいろ問題がたくさんございますけれども、いまの北方協会を中心とします資金の運用等についても、私どものほうとしては、総理府としてはいろいろ考え方を持っておりますけれども、明年度の予算の中では、そのいわゆる十億の資金を中心とする運用問題の内容については従来どおりの方針で行くというくとに相なったのでありまして、むしろ、これは内容的にひとつ運用、利用面のほうでくふうを加えていこうということでいま検討しております。  それから、この根室にございますいろいろ北方から引き揚げられました方々の宿泊、研修、技能訓練等の施設として置かれております千島会館の増設の問題がございまして、これにつきましては政府として八百万円の予算を計上して増設をする。なおこの八百万円は北海道庁その他地元市等の応援を得まして、実質的には千五百万程度の増築をするということに相なって、地元から非常に喜ばれておるわけでございます。なお、その他北方関係調査費とか、あるいは若干従来になかったものも認められておりまして、これらは当委員会で北海道を視察された際にも、それぞれ関係方面から要望のあった事柄でございます。
  41. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 まず、ボリビアにおける沖縄移住民の災害の問題についてお伺いいたしたいと思います。  このボリビアの沖縄移住地は三つあるのでございまして、そのうちの一つが最近水害を受けまして相当な被害を受けたわけですが、これに対しまして、外務省関係のほうの非常な御努力によりまして、とりあえず緊急処置としまして、緊急の食糧とか、あるいは薬品の補給をやっていただきました。また、このほかに三千ドルの金を出していただきまして、また、現地における移住事業団のほうからの千ドル、合計四千ドルを出しております。また、日本政府としてボリビア政府に対して同じく三千ドルの金を出していただくというような、きわめて適切な処置を迅速にやっていただきましたことに対しては、この効果は、両国のみならず、沖縄との関係におきましても非常に大きな結果を得たと思うのでありますが、お尋ねいたしたいのは、これは緊急な処置でございまして、いろいろと災害のあと始末その他につきましては、まだ今後政府当局からいろいろと特別な御配慮をいただかなければならぬと思うのであります。いま言いましたように、この問題は、両国とともに沖縄の問題とも関連する問題でございまして、小さな問題でございますが、どういうようにお考えになっておりますか、お答えをいただきたい。
  42. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) いまお話しのごとく、最近水害を受けましたのは、米国側のあっせんで沖縄方々のつくられました移住地でございますけれどもお話しのように、緊急のとりあえずの措置をとりました。問題は今後災害からの復旧でございますが、これにつきましては、とりあえず問題になりますのは復旧のための融資であるかと思いますが、その点につきましては、移住事業団のほうとも外務省関係のほうからいろいろ連絡をとりまして、いま対策を進めておるところと承知しております。
  43. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 次は、沖縄問題の内地との一体化の問題でお尋ねいたしたいと思うのでありますが、この問題につきましては、いろいろな御処置をとられようとし、また、現実にとられつつあることは承知しておるのでございますが、かつて、当委員会の関係の個人と言いますか、代表と言いますか、沖縄の弁務官とのお話があったのでございます。それは、日本沖縄における役人と言いますか、公務員を相互に交換をいたしまして、何人かここに協力をせしめるという問題を、意見を出したように承っておるわけであります。その際の弁務官のお考えは、これは外交問題だ、自分の権限外であるというような御回答のあったように承りました。そういたしますというと、この問題は将来外交問題として措置をしていただかなければならぬ問題じゃなかろうか、こういうように考えるわけであります。  次に、これに関連いたしました問題で、両方の一体化を進める上において、日本において立法されました事項で沖縄にも適用したらいいだろうと思われます問題を、沖縄でも何らかの方法で同じような法律を運用する、これをつくる、こういうような意見も出ておるような問題であります。これは両方とも一つ考え方で実現していただいたならば非常に効果のある問題ではなかろうかと私は存ずるのでございますが、これに対します大臣のお考えを承りたい、こう思います。
  44. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま御指摘のように、これは外交問題とは申しましても、アメリカ施政権を持っているわけですから、どうしても日本アメリカ、琉球の政府の間でお話し合いがっかなければこれは解決をしない。一体化に伴って、いま御指摘になった以外にも、二十数年にわたってアメリカ施政権アメリカの秩序の中にあったものが、これがやはり日本と一体になるということになれば、もうそういう公務員ばかりでなしに、行政、財政あるいは裁判権の問題もありましょうし、幾多の経済問題、たくさんあるわけですね。こういうことで諮問委員会というものが今後一体化の——問題は限られてはおりますけれども——一体化の問題というものを取り扱うわけで、中によったならば、長期計画を立てて、一ぺんにはできなくても、何年間にこういうことをやっていくとかいう計画が策定されるはずになっておりますので、いま御指摘のような問題というものは確かに一つ問題点だと思います。こういう問題を今後諮問委員会等を通じて十分検討いたしてまいりたいと思っております。
  45. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 それと関連する問題でございますが、実は四十三年度予算におきまして日本から産業開発資金等の融資という問題で約二十八億円の予定をしておられるように承っておるわけであります。その措置は非常に必要なものと思いますが、同様な意味におきまして、別に考えていただかれたほうがいいのじゃないかという問題があるわけであります。それは琉球開発金融公社の問題でございます。これはガリオア、エロアの資金を民政府から琉球の政府に渡されました一つの公社でございますが、この資金が非常に不十分なものでありまして、十分な活躍ができないということであります。したがって、これを日米両国からこれに対してこの資金をふやしていただくというようなことが、先ほど言いました本年度考えておるものと相伴う効果をあらわす一つの措置でないか、こういうように考えるわけであります、これは小さな問題かもしれませんが、大きな方針のもとの一つの措置ではないか、こう考えるのであります。
  46. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) お答えいたします。  ただいま御指摘がございましたように、二十八億円融資するのに伴いまして、現在琉球政府はこの琉球開発金融公社の琉球政府への移管を要請しております。これはなかなかむずかしいと思いますが、かりに移管が実現いたしましたら、そこへ二十八億円の中の産業資金の部分をここへ持っていこうと考えております。しかし、これはただいま御指摘になりましたような経緯をもってできた金融機関でございまして、なかなか簡単には琉球政府に移管ができないというようなことも予想されますので、もしそういう場合には、産業開発の資金はさしあたり大衆金融公庫というところへ、これは琉球政府の機関でございますから、中小企業の融資機関でございますから、そちらを通じて融資をしよう。しかしながら、琉球政府がいま要請しています開発金融公社の琉球政府への移管はぜひ促進したい。いま御指摘になりましたように、日米双方でこの資金を出して開発金融公社を中心に運用しようというのも一つ考えでございますが、むしろ開発金融公社を琉球政府に移してもらいまして、そしてそこへ日本政府の資金を持っていきたいというのが、ただいま琉球政府あるいは日本政府等で検討しておる問題でございます。
  47. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 次に、小笠原の問題でお伺いいたしたいのでございます。この小笠原のうちの硫黄島の山にアメリカの国旗が現在立っておるわけでございますが、うわさによりますと、この国旗が、日本返還された後においても、これを掲揚したいという希望があるような報道を承っておるわけであります。この気持ちは、いわゆる向こうとしては激戦地である関係上、もっともの感じとも思いますし、また、ヨーロッパ各地においては、記念碑を建てるとか、同様な事柄がところどころにおいて設置をされておることは私はあると思うのでございますが、しかし、この考え方沖縄返還された後においても星条旗がひるがえるという事柄は、沖縄返還される基本的な根本的な日米両国考えとしては、私は国民感情上一致しないものと考えるのでございます。当然これについてはいろいろとお話が起こっておるのではないかと思いますが、その進みぐあいそのほかについて、お差しつかえなければ承りたい、こう思います。
  48. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、硫黄島摺鉢山の上空に星条旗が掲げられておることは事実であります。アメリカも小笠原の返還という新しい事態に備えて自発的にいろいろいま検討を加えておるようでございます。われわれは、この問題が両方の民族感情を刺激することのないような形で解決することを期待いたしておるものでございます。
  49. 黒柳明

    ○黒柳明君 B52の移駐についてですけれども、外務省の見解ですと、これは抑止力としての効用を発揮していると、このような見解の発表があったのですけれども、ある面においては、プエブロ事件の朝鮮問題、あるいは当然ベトナム問題、またこの両者であるとも——抑止力の効用、これについて外務大臣はどのような見解をお持ちでしょうかo
  50. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 初めB52の移駐をアメリカがまた考えているということを通知してきたことは事実です。そのときには朝鮮半島にいろいろゲリラ部隊の韓国に対する侵入事件とかプエブロなどあって、そういうことで、抑止力ということが、一番B52の役割りとしては端的にそういうことが言えたと思うのです。その後は、このB52の軍事行動に対して、われわれも何も、どういうことになっておるかということは承知してないわけであります。したがって、いまこのB52、あるいは黒柳さんもいま言われたように、ベトナムに行っておるのではないかというようなことを言われる人もあるが、ベトナムに行っておるというわれわれは何らの報告を受けてないわけです。したがって、もしベトナムに行くということになれば、これはまあ抑止力とは言えない。爆撃、それは抑止力というのではなくして戦力ということになるのですが、そういうのは、われわれは少しもそういう報告も受けておりませんしするから、いまB52というものがどういう軍事活動をしておるかということは申し上げられないのですけれども、最初B52が移駐してきたという動機はこういうことがあって、外務省としても文書で申し入れてはないのです。東郷君自身が、人心が非常に不安に思っておるからアメリカも善処してもらいたいということを話したので、そのときにいろいろ話した中にそういうことばも出たのでしょうが、文書でないですから——それが新聞にも報道されたということで、それに重点があるわけではないのです。結局、善処してもらいたいというアメリカに対する申し入れの中に申し入れの重点があった、こういうふうに御承知おき願いたいのでございます。
  51. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然、何回も大臣がおっしゃるように、施政権アメリカにありますから、沖縄については知る由もないと思いますけれども、また、ベトナムに行っているかどうかも、申し入れがないから、それは厳密にはわからないと思いますけれども、常識として、先日もアメリカの軍事専門の記者が、沖縄から北爆を敢行していると、こういうふうな事実を三つか四つぐらい指摘していましたね。機がカムフラージュをしてあり、通常のB52というのはああいうふうな色彩ではないとか、爆弾沖縄の嘉手納の基地から積んでいく、方向が南だと、これはちょっと何となくばく然としたあれですけれども、こういったこと、また、ここにいらっしゃる、そういう七十人、八十人の方が嘉手納の飛行場からベトナムの爆撃に行っているということは、これはまあ常識的に大体わかるのじゃないか。大臣立場ですから、常識をもって断定することは避けなきゃならない重要な責任ある立場ですけれども、これは北爆をやっている、ベトナムの爆撃をやっているということは、これは間違いないのじゃないか。また、ある筋によりますと、これはいま言いましたように、プエブロの関係で、それから四機編隊で三機はベトナムに行って、一機は巡回している、帰りには、四機編隊で行ったものが三機戻ってきて、また一機は別に戻ってくる。これはほんのうわさにすぎないものか、その点はっきり確認したわけでないですけれども、とにかく爆撃をやっている。ベトナムを攻撃している。このことは大体常識じゃないかと思うのです。けさの新聞は、北側の発表ですが、こういう日米間の行動に関しては重大なる責任をとらざるを得ないと、どんな処置をされても文句は言えない、こんなことを言ったわけですけれども、今度は当然、仮定や事実ですけれども、報復爆撃なんていうようなことは、もし考えられるとすると、これはもうたいへんなことだと思うのですね。住民の不安というものがはたしてここまで結びついているかということは、これは私ははっきりしませんけれども、いま一時的な、しかも嘉手納周辺の人だけであり、全島にそれが不安であるかどうかも、私は行ったわけじゃないし、わかりませんし、少なくとも相当の人は、この報復爆撃までのことを考えての不安ということも当然考えているのじゃないか。それがけさの北側の発表で、日米はこういう処置に対して重大なる責任も考えなければならない。要するに、報復爆撃を暗に示唆していると、このようにも私は受け取る。ぼくはそんなばかなことはやらないと思いますけれども、こういうことについて外務大臣どのようにお考えになりましょう。
  52. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も新聞で読みましたけれども、それはベトナムに行っているということは、それはそういうふうに考えられるということも言われますけれども、確証はないわけです。しかし、日本で、行っておる、行っておると、こういわれることも、ハノイの一つの材料になっているのかもしれません。ハノイ自身、そういうことで、ハノイとすれば、ああいう発言になったと思いますが、しかし、現在沖縄アメリカ施政権下にあって、アメリカからすれば、基地は自由に使用できるという考えでしょう。われわれはしかし政治的な側面というものも考えざるを得ないということで、アメリカとも話し合っておるわけであります。そういうふうなこと、また、報復爆撃を受けてそうして沖縄戦争に巻き込まれるというようなことは、実際問題として私どもはもう考えていないのでございます。この点は、まあいろんなことを考え合わせてみて、そういうことは考えられない、こう考えておるわけでございます。
  53. 黒柳明

    ○黒柳明君 北に行っているかどうか、北爆に行っているかどうかわからないでは寝ざめが悪いと思いますから、今度調査団が行かれたときに、要するに、外から見えるのです、爆弾を積んでおるところが。爆弾を積んでいって、その帰りには爆弾を積んでいない。爆弾を積んでいったとしたら、その爆弾をどっかに落っことしてきたか。まさか、海かなんかに落っことすわけじゃないでしょうし、どっかに売ってくるとは考えられない。これはベトナムに落っことしてきた。ここらあたりもひとつ、冗談じゃなくして、そのための調査団ですから、軍事的な面に対しては調査ができないし、政治的な関与もできないでしょうが、やはり住民の不安を除くということは、私は決して考えられないことではあるけれども、地元の住民はそういうことが、ましてこういうふうに新聞報道があり、地元の琉球新聞、タイムスなんかは拡大されて報道される。こういう北側の報復手段、報復攻撃を示唆するような記事を、これは相当のスペースで取り上げておるわけですから、ひとつ調査団に、こういうところを見て来い。それから、どこへ行くのだ、何で落っことすのだと、ここまでは質問しても向こうはノーコメントだ。こんなことはやらなくても、積んでいるところは見られる。私は現にグアムに行って積んでいるところを見て来ましたし、それから、発進するところも十分に見せてくれました。政府調査団であるならば、そんなことは十二分に見られると思うのです。この一点だけでも見てきなさい。爆弾を帰りに積んでいるか、落っことしてきたか見てこい。その次に出て行くときに積んだか見てこい。そうすれば北爆やっておるかどうかということも、この一点だけでも大臣として確証得られますし、また、それを根底としての住民の不安というものに対しても、考える角度というものはまたそこから道が一つできていくのじゃないですか。これは冗談じゃないです。どうでしょう。
  54. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 行かれる方々はおとなの人ばかりですから、(笑声)いろいろ見てこられると思います。
  55. 黒柳明

    ○黒柳明君 私もそう思います。ひとつ大臣、そのくらいのことを教えてやってくださいよ。  それから、常駐化の問題ですが、アメリカとしても常駐はさせない。こういうことですし、極東の緊張が続く間ということですが、問題になってからもう二週間たつわけでしょう。外務省のほうとしても、しばらくしたらもう一回申し入れる、このような発言もあったのですけれども、時期を見てですか、そういう用意もある、こういう発言もあったのですけれども、はたして時期的に、期間的にどういう時点があらわれれば、あるいはいつごろ、また再度、沖縄の住民の不安を除くためにまた日本国民のそういう総意というものを反映して、アメリカに対してさらに申し入れ、考慮を促すのか、この点はいかがですか。
  56. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、私からは予告的なことは言ってないのです。あまり外交で予告をすることはよくないことだと私は思っております。いろいろな情勢の変化がありますから、やはり予告をしないで、絶えず注目をしているのが外交の姿、どうなったらああする、何日にはどうするという、そういうことはやはり外交としていい形ではないと思いますので、いまもう二週間たったから、幾らたったらやるのかという、そういうふうには考えておりませんが、やはり沖縄人たちがいろいろ不安に思っておるということは、外務省としても注目をしておるということしか申し上げられません。いろいろ前もって予告をするということは私はよくない、こういう考えでございます。
  57. 黒柳明

    ○黒柳明君 別にいつどうという予告じゃなくしても、もう一回そういうことを考慮するという発言がちゃんと出ておるじゃないですか。書いてありますよ、この新聞に。委員会で発言しておりますよ、再度あれすると考えていると。だから、予告というのは、いつ、何月どういうふうにやるとか、どういう事態が発生したらやるとか、こういうことじゃないけれども、さらに考慮はするということは発言されておる。だから私は、それをとらえて言ったのです。それが一週間たったらやるかとか、あるいは二週間たったらやるかとか、こういうことじゃなくして、何かやはり一つの新らしい事件というものが発生するか、何か新らしい時期というものが経過するか、そういうことがなければ、また一つの再度の申し入れという機会にならないのじゃないか、こう思うのです。  話はまた飛躍するようですけれども、メースB、あれは非常に旧式になってきて、つい一週間前くらいですか、ある新聞では、メースBの撤去、新兵器の輸入なんということも考えられる、このようなことがありましたけれども、当然これもアメリカ施政権下にある。日本はどうしようもできない。こういうことになるのでしょうけれども、これは相当重大問題だと思うのですけれども、新しい核兵器でも今度沖縄に入る、そういう可能性、そういうときには、日本にあらかじめ何らかの通知でもいただけるかどうか、どうでしょう。
  58. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまは小笠原の返還協定を私やっておるわけであります。これが片づきますならば、佐藤・ジョンソン共同声明に従って沖縄施政権返還に対する継続的共同の協議に入るわけであります。そうなれば、基地の問題というものも当然その間に話に出てくるわけであります。したがって、いろいろ突っ込んだ話もあると思います。われわれもよく事情アメリカ基地についても話も聞きたいと思うのですよ。いまメースBの話がいろいろありましたけれども、そういうふうにあるだろうといわれておりますが、もう少し日本自身もアメリカ沖縄における基地の実態というものをよく知らなければならぬ。いろいろな問題が日米協議の場合には話し合いされると思います。
  59. 瓜生清

    瓜生清君 大臣一つだけ、たいへんしつこいようですが、B52の問題についてお伺いしたいと思います。  当初からの政府側の答弁を聞いておりますと、B52が沖縄にやってきて、これは常駐化するものではない、したがって、わずかな期間、当時のあれから言えば、朝鮮半島のいわゆる緊張とか、そういう背景があったので、そう長引かないだろうという想定のもとに、まあアメリカに対して強硬な、困るじゃないかという申し入れをしなくても、大事に至らずして再びアメリカのほうから自発的に撤去するのじゃないかというような、そういうふうに受け取れるようなお答えがあったのです。ところが、いま黒柳委員も指摘されましたように、どうも、私ども先のことはわかりませんけれども、これが延びていく、常駐化していく危険性というようなものが感じ取られるわけです。そこで実は、先般この委員会に沖縄方々が陳情に来られまして、各委員の質問に対して、少なくともB52を沖縄から一日も早く撤去してもらいたいということについては、いわゆる沖縄の与野党を通じて大体意見が一致しておる、こういうふうにわれわれはもう認識を深めたわけです。そこで、確かにいまの日米安保条約というような問題、それから沖縄施政権というような問題、そういうものを街後にかかえておりまして、日本政府としてはいろいろな制約があることは十分わかりますけれども沖縄B52が十何機か二十何機かおって、それがベトナムへ行っておるのか、あるいは朝鮮海域へ出動しておるのか、先方からの通告が何もないので政府として情勢というものはつかみにくいと、確かに外交慣例からいけばそういうふうな御答弁しか外務大臣としてはできないと思いますけれども、私は、三木外務大臣にしては、この問題に限って、きわめて何と言いますか、歯切れの悪いお答えをしておられるように感じるわけです。  そこで、常駐化という問題について、それは時期は明示できないと言いますけれども、こういうふうなことがかりに三カ月も四カ月も続くということになると、さっき言いましたようなさまざまな制約があろうとも、日本政府としては、何らかのやっぱり意思表示アメリカ側に対してする必要があるのじゃないかというふうな気がするわけですが、そういう点について、私は外務大臣の意向というものを承りたいというふうに思うのです。  それから、先ほどから大臣は、沖縄方々の不安があるので、何とかそういうものを政治的な側面から善処しなければならないという御発言がございました。私は、ただ単に沖縄百万の島民だけではなしに、日本の本土におきましても、やはりそれに似たような、何と言いますか、緊張感なりあるいは焦燥感なり、どうなるんであろうかという、そういう心配というものはあると思うんです。そういう点も御考慮の上ひとつお答えをいただきたいと思うんです。それからもう一つは、特連局長にあとで質問します。
  60. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 瓜生さん、非常に政府に御理解のある発言を感謝いたします。実際この問題は、私も歯切れよく言えれば言いたいと思うのです。まあ、できるだけ答弁は歯切れよいほうがいいと思うのですが、一つは、恒久の基地にしないというときにアメリカとしても極東情勢がもっと平静化すればということを言っておるわけですね。そういうことで、極東情勢という背景にも関連をしておるわけです。しかし、恒久的な基地にしないと言うのですから、常識的に考えて、そう長期に私はB52がおるとは思っていないんです。まあ、普通の常識、普通の常識は幾らかというと、いま言ったような極東情勢などもございますから、これは幾らかということは言いにくいですけれども、そういうことで、いつごろということを予測することはできませんけれどもアメリカも、いつまでもB52がおる必要はないと言っておるので、私は、この問題は極東情勢もありますけれども、そういつまでも解決できない問題であるとは思っていない。また、日本本土の人も非常に不安に思っている。やっぱり本土の人は、おそらくベトナムという問題に関連していろいろ不安に思っていることは事実でございます。そういうことで、根本から言えば、ベトナム戦争というものを早く終結させるということが——日本の本土の場合には、直接やはり沖縄の人のようなB52の感じ方が違うと思います。日本の本土の人が持っておる不安というものは、ベトナム戦争の拡大ということだと思うんです。この点は御質問でもございませんが、実際われわれ外交をやってみて、もうどの問題にもベトナム問題というのが外交問題の障害になる。こういう点で、ベトナム戦争があるから日本外交でやりやすいというものは一つもありません。全部やはり外交問題の障害になっている。こういう問題で、われわれとしてもできるだけ各国とも協力してベトナム戦争というものを早く終わらす、このことがやはり日本国民の不安に大きくこたえることであるというふうに考えております。
  61. 瓜生清

    瓜生清君 ほかの方に御迷惑かけますから、大臣とこれ以上やりとりしませんが、次に特連局長にお伺いしたいんですが、今度調査団向こうへ行きまして、いわゆる本土と沖縄の一体化についていろんな制度上の問題、あるいは経済開発の問題、その他沖縄日本へ返ってきた場合のいわゆる事前準備的な諸政策について調査をされ、それを調整してひとつの青写真というものができると思うんですが、そこで私ども一番心配するのは、何ぶん二十数年間というもの離れておりまして、それからまた、アメリカ施政権下にあるという特殊事情等から考えますと、この間特連局長も当委員会で指摘されておりましたが、その格差というものを狭めるのにいろいろなやっぱり苦労があろうと思うんです。特にそういう背景なり事情というものが大きく違っておるので、ややもすれば、本土のやっておることをいろいろ現地に押し当てるというような色彩が強くなってくるんじゃないかと、そういう懸念を持っておるわけですが、したがって、そういうようなものをなくするために今度調査団というものが行かれるんでしょうけれども総理お話によると、両三年をめどにして沖縄返還というものを解決したいということがあるわけであります。ですから、三年という、表現は悪いですが、時期的な問題が片方にあるわけです。そこで、いま申しました各般にわたる諸政策の最終的な、何と言いますか、プログラムの作成というものを今後三年間のどの辺に置いておられるのか、大まかでけっこうでございますから、考え方があればお聞かせいただきたいと思う。  以上で私は質問を終わります。
  62. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) 近く諮問委員会の要請に応じまして政府から調査団を出すことになると思いますが、この調査団は、いま御指摘ございましたように、本土と沖縄の各方面の行財政を含めました一体化施策について具体的に検討していきたい。これはなかなかむずかしいと思いますけれども、できれば、それがある一定の年次的な計画になれば非常に幸いだと、私どもはそういう方向で検討しております。しかし、それを具体的に、どれとどれを一体第一年次にやって、第二年次にどういうものをやるかという構想でありますが、こういうスケジュール的なものは現在まだ持っておりません。沖縄問題懇談会等でも一体化の問題を検討されておりますので、したがって、懇談会の御意見等も尊重いたしまして、全体の調査の結果をどのように具体的に実現するか、順序立てて、あるいは一定年数を想定して計画化していくか、そういうことは調査が終わってからまとめたい、かように考えております。
  63. 春日正一

    ○春日正一君 私もB52の撤去の問題もこれにだけ限って質問しますけれども、御承知のように、この委員会でも琉球立法院の全員一致の決議をもって撤去の陳情があったのですが、あれで見ると、「県民の生命と財産を守り、その安寧を図るため、B五十二爆撃機の飛来に抗議し、同機の即時撤収を要求するとともに沖縄の出撃基地化に反対し、沖縄戦争に巻き込む一切の戦争行為を即時取り止めることを強く要求する」、こうなっておる。そこで、立法院のわれわれに対して、日本政府に対して望んでおる、このB52が入ってきたこと自体大問題だと言っておる。常駐であろうが臨時であろうが、とにかくB52が入って来た、これはたいへんなことだと言っておる。それからまた、ここが出撃の基地にされたらもっとたいへんだ。そういう戦争行為を即時やめてほしいし、撤去してほしいというのだから、気長な、先に行ってどうこうという問題じゃなく、もう来て、出ていっておるという問題について非常な不安を持ってそれを要求し、国会にも陳情しておる、政府にも陳情しておるということだと思います。そうして、これは琉球新報の世論調査でも御存じだと思いますが、八六%が、このB52が来ておることに対しては不安を感じておる、反対だという意思表示をしたということになっております。そうすると、沖縄県民全体が非常な不安を持って一日も早く何とかしてくれということを望んでおる。私どももそういう点を受けとめて共産党、社会党、公明党、この三党で共同して、政府撤去のために努力するようにということを要請してきておる。そういう立場から見ますと、どうもいまの大臣答弁というのはきわめて煮え切らぬと言うか何と言うか、そういう感じがするわけです。そこで第一番に、こういう県民の要求、こういうものに対して政府はどういうふうにこれを受け取めて、どう対処しようとしておるのか。また、現在までにどれだけのことをそれにこたえるためにやっておいでになったのか。この点を説明してほしいと思います。
  64. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) こういう民主主義と申しますか、こういう事態に世論というものは重視せざるを得ない。しかしまた、その世論に対して、それはそういうふうに考えるけれども、こういう点でそういうふうな心配はないのではないかというようなことも、ただ世論というばかりでなしに、こちらも事実の解明に努力はしなければならない。お互いに、世論に対して、またこちらも事情の解明に素朴な努力する。こういうことで、そういう前提の上に立った世論というものは尊重せざるを得ないわけであります。  そこで立法院の決議等も——われわれはきわめて長時間に会ったのです。これもやはり立法院というああいう機関で決議をされて、代表者が来られて非常に話を詳しく聞いたわけであります。私の見解も申し述べたその中で、心配されておるそういう心配はないのではないかということを申し上げ、帰っていかれての発言は、新聞でごらんになっておるように、いろいろ各党によってニュアンスがちょっと違っておりますが、しかし、そういうことで、政府としてもこれは世論というものはきわめて注目すべきことが当然であって、ただ、これをいま、決議をしたから、それですぐにその決議を受けて政府アメリカに対して撤去要求をするとか、そういうものでは私はないと思う。政府政府としてのやはり判断があって、しかし、その判断をする場合に沖縄の世論ということも頭に入れなければならぬ。政府政府の判断があっていい。こういうことで、私どもとすれば、アメリカに対してもB52の問題についても申し入れもいたしましたし、その後アメリカと話し合う機会もありました。その場合に、アメリカがこれは恒久的な基地にする意図はないということも、その場合にアメリカが意思を明らかにしたわけでございます。したがって、今後の極東情勢にもよりますけれども、そういつまでもこの問題が解決されないとも思っていないわけでございます。ただ、いまここでいつごろという将来の予定を立てることは困難でありますけれども、永久の基地ではないと言うのですから、そう長期にわたってというふうにも考えていないものでございます。
  65. 春日正一

    ○春日正一君 それで、常駐する意思がないということを言ってきたと言いますけれども、先ほどの立法院の決議の中にもありますけれども、やはりそれが飛んでくること自体に不安も持っているし、反対もしているわけです。というのは、御承知のように、B52というのはアメリカの核戦略体制の中での非常に重要な兵器の一つになっている。核兵器と切り離せないものとして一般に考えられているし、同時に、現にB52が出ていっている。出撃していっている。これは現地の人が見ればわかることですね。この間の「赤旗」の報道によりますと、沖縄の立法院の野党の議員十一名が嘉手納に行って役場に泊まり込んで、あそこの火の見やぐらに交代で立って二十四時間監視した。そうしたら、六機編隊で爆弾を積んでいって、帰りは、一機が帰ってきて、あとから五機が帰ってきた。そのときは爆弾を持っていない。ということになれば、これはほかにそういうものを落とす場所というのは極東でいま考えられないわけですから、当然ベトナムに行っておるというふうに判断せざるを得ない。だから、国会でも問題になっておる核兵器の持ち込みの問題あるいは自由出撃の問題、そういう見地からも、これが入ってきて現に出て行っているということが、これが大問題だし、不安の種である。だから、これが常時駐留して年じゅう出て行くか出て行かんという問題じゃなしに、そこに問題を持っていくのじゃなくて、いま来て、いまそれをやっておる。それが県民の非常な不安をかき立てておるし、先ほど大臣も言われたように、本土の人々もベトナムとの関連で非常に不安を持っている。これは当然政府として、アメリカに対して、それは困るから何とかしてくれということを強く要求する立場があるはずだし、それをやらなければならぬ。ところが、その点で、どうも政府態度を見ていますと、先ほどの調査団の問題でも、事実を調べてみなければ——政府調査団をやったらよろしい。あるいは南連というものがあるのだから、そこで調査さしたってすぐわかるはずだ。それを大浜委員会に頼んで、ほかのことと一緒に、行って見てくるという形にしているということを見ますと、非常に手ぬるい。ほんとうに沖縄人たちの不安というものを身に感じて何とか早く解決してやろうという、先ほどの大臣の、燃えているという感じがちっとも感じ取れないような気がするのですけれども、そういうことを政府はやる気があるのか、それとも、そうたいしたことはないという判断に立って、むしろ、まあ心配するなというふうにして押えるという立場にあるのか。つまり、みんなが言ってくるのはもっともだから、アメリカと一緒になってこれは希望どおり触決しようという立場にあるのか、まあまあと言って押える立場にあるのか、その辺が一番、いままでのあれを見ておっても何かはっきりしない。そこをはっきりしてほしいというのが国民一般の希望だと思うのですけれども、その点どうですか。
  66. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 最初に申し上げたように、B52というものは実際、春日さんがお考えになっておるよりも非常に複雑な問題です。条約上、安全保障上あるいはまたいわゆる政治上と言いますか、人心の問題。したがって、この問題はわれわれとしても春日さんとは意見が違うわけですけれども安保条約というものを肯定し、そうしてそれに果たしておる沖縄基地の役割りというものをわれわれは重視しておりますので、したがって、春日さんの立場というものは非常にお楽だと思うのですね、割り切っていられますから。しかし、われわれはいろいろそういう点が、この問題、やはり複雑な側面を持っておるので、アメリカに対しても、何か、撤去要求とか、こっちのほうでそういう形でこの問題を解決するというだけでなくして、人心が非常に不安に思っておるということは、やはり基地を有効に利用するためにも住民の理解支持が要りますから、そういう角度からだったら、これは確かにわれわれとしても、日米間で話すべきことでありますから、そういう角度から取り上げてアメリカ側と話をしておるわけであります。それを、日米間というものはきわめて友好な関係にありますから、そんなに腕まくって要求などと言わなくても、お互いに信頼の上に結びついておるし、また、お互い、世論を前にして日米両国とも政治をやっておるのです。われわれが世論を前にして政治をやっておるということは厳然たる事実ですから。これは日本ばかりじゃない。アメリカもまたそうです。ということで、何か歯切れが悪いとおっしゃるのだけれども、今後この問題については日本政府としては非常に注目してまいりたい。これ以上に歯切れよくお答えすることはできないということを御了承願います。
  67. 春日正一

    ○春日正一君 それでは、これで私終わりますけれども、いま大臣の言われた条約上、軍事上、政治上の考慮ということ、これもいつでも言われるんですけれども、まあ条約上——これは大臣立場、佐藤内閣の立場ということで言えば、これは条約があって向こう施政権があるのだから、何を持ってこようと、いまのところ、こちらから何とも言う筋でないということになってしまうし、軍事上の必要ということになれば、極東の安全のために必要なんだという立場に立てば、B52があそこに来て、いま言ったように、爆弾を積んで出ていくことも軍事上の必要なんだ、これを認めなければならぬという大前提に立てば、もう言うことは何もなくなってしまう。そうすると結局、その条約上、軍事上の必要を満たすために政治上の不安をなだめるというようなところへ、この論理から言えば、落ち着かざるを得ない。だから、そういう意味で言えば、やはり条約は結んでおるとしても——私ども安保条約反対で早く破棄しなければならぬと言っているけれども——政府立場として、条約は現に結んでおるし、認めておるとしても、その条約のもとにおいて日本国民が非常な不安にさらされる、そしてこれは困るということが大きな世論になっているとすれば、当然それをひっさげてその条約のワクの中でも談判できるはずだ。そのためには強い態度をとらなければならぬ。お願いします、もみ手をしながらお願いしますと言ったら、倉石さんに怒られると思いますが、倉石さんはそんなことでは困ると言っておるから、そういうことじゃ困る。もっと強い態度で出るべきだと思うが、どうも政府態度を見ると、おそるおそる、何とかなりませんか。それでアンガーが、あるいは向こう政府のほうから、必要がなくなったら撤去します。それは違いない。それは必要がなくなれば撤去するに違いない。撤去しますと言いました、だから常駐じゃないと言いましたと言ったって、これは国民は納得できない。だからそういう点で、もっとこの問題については、切迫した問題だし、野党も、民社党がさっき質問されたように、一致してこの撤去要求しているわけでありますから、そういう立場を踏んまえて、もっとはっきり国民の納得するような談判をやるということでなければ、これはアメリカ撤去する気持ちになるまでは撤去させる見込みはなくなるということになるのじゃないか。そこのところを、一番問題なんだから十分腹に入れて、もう少し強くやってほしいと思うのですね。
  68. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 日米間の関係というのは、もみ手の関係ではないということ、これははっきり言っておきます。われわれは、もみ手をしたことはございません。これはやはり、われわれ日本外務大臣は、日本国民の利益を中心にして外交をやるのですから、ただ談判という——談判と言ったら、日露戦争のような談判というような形から来る雰囲気でないかもしれませんが、やはりアメリカとの間に日本国民の——沖縄人たち日本国民ですが、日本国民の不安というものは考慮せざるを得ない。条約上、軍事上そういうものがあっても申し入れをするというようなことは、また一つ側面である政治上の側面政府が重視しておるということの証拠でありますから、どうか、そういう点では大いに対米外交を常に自主性を持っておるということは、春日さん自身も自信を持っていただかぬと、国民の中から、対米的にいつももみ手でないかということは、みずからやはりコンプレックスを持つことはやはりよくない。常にやはりアメリカに対して自主的な態度日本外交は堅持しておるということで、日本国民のいろいろな気持ちというものは率直にアメリカに伝えて善処をするという意図は変わらないものであることをひとつお認めを願いたいと思います。
  69. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。  次会の委員会は三月二十二日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会