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1968-03-08 第58回国会 参議院 沖縄問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月八日(金曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員異動  二月二十八日     辞任         補欠選任      瓜生  清君     向井 長年君  三月八日     辞任         補欠選任      井川 伊平君     北畠 教真君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 五郎君     理 事                 増原 恵吉君                 山本茂一郎君                 岡田 宗司君                 黒柳  明君     委 員                 内田 芳郎君                 大谷 贇雄君                 北畠 教真君                 小柳 牧衞君                 田中 茂穂君                 平泉  渉君                 山本 利壽君                 春日 正一君     国務大臣         国務大臣    田中 龍夫君     政府委員         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君     事務局側         常任委員会専門         員       瓜生 復男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩その他の固有領土に関しての対策樹立に関  する調査  (沖繩その他の固有領土に関する件)     —————————————
  2. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまから沖縄問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月二十八日瓜生清君が委員辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。     —————————————
  3. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 次に、沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査中、沖縄その他の固有領土に関する件を議題といたします。  まず、政府より説明を求めます。田中総理府総務長官
  4. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 政府考え方を御説明を申し上げます。  この際、政府といたしまして沖縄小笠原等に対しましてとってまいりました施策の大要につきまして御説明申し上げますとともに、沖縄問題等につきましての私の考え方の一端を申し述べさせていただきたいと存じます。  まず、沖縄に対しまする政府施策基本方針につきましては、昨年十一月の佐藤総理ジョンソン大統領共同声明におきまして述べられているところでございまして、同供同声明は、「日米両国政府が、沖縄施政権日本返還するとの方針の下に、かつ、沖縄問題に関する両首脳の討議を考慮しつつ、沖縄の地位について共同かつ継続的な検討を行なうこと」に両首脳合意したことを明らかにしておる次第でございます。  申すまでもなく、沖縄祖国復帰は百万沖縄住民はもとよりのこと、一億日本国民の強い念願でございます。そして、佐藤総理大臣施政方針演説におきましても明らかにいたしておりまするとおり、政府は、沖縄施政権返還の問題につきまして、両三年内に返還の時期についてめどをつけるために、日米間の外交折衝を進め、まず返還を実現することに全力を傾ける決意であることは言うまでもございませんが、当面、沖縄施政権日本返還される際の摩擦を最小限にいたしまするために、沖縄住民とその制度本土との一体化を進め、沖縄住民経済的、社会的福祉を増進するための措置を強く推進していく所存でございます。  これまで政府は、本土沖縄一体化をはかるための措置といたしまして、沖縄援助費を逐年増大してまいっておりまして、特に明年度におきましては、一部昭和四十四年度計上予定のものを含めまして、百五十三億円余と、前年度の百三億円余に比べまして大幅増額を予定いたしておる次第でございます。これらの概要等につきましては、後刻御説明いたしたいと存じますが、このほか、沖縄籍船舶日の丸相当旗の併揚でありますとか、沖縄住民本土及び海外渡航の際の渡航文書日本政府が発給することとされたことでありますとか、また、海外におきまする沖縄住民保護及び海外移住事務責任日本政府が第一義的に行なうこととされましたこと、沖縄及び本土間の渡航手続簡素化輸出入手続改善失業保険金の相互給付等いろいろの施策をとってまいったところでございます。特に、前に述べましたごとく、日米首脳会談を契機といたしまして、沖縄をめぐっての日米協力体制が新段階に入りました現段階におきましては、沖縄施政権返還に備えまして、本土沖縄との間に横たわる諸種の障壁を着実に取り除くためのきめのこまかい財政上、制度上の施策を実行に移しながら、沖縄住民とその制度日本本土との一体化を進め、沖縄住民教育社会福祉経済文化等分野におきまする格差解消のための施策を講じていく所存でございます。私は、これら施策推進にあたりまして、昨年十一月の佐藤総理ジョンソン大統領との合意に基づき設置されました琉球列島高等弁務官に対する日米琉諮問委員会の活動に大きな期待を寄せているものでございます。  なお、近くこの諮問委員会日本国政府代表の任務、給与等を規定いたしまする「沖縄那覇に駐在する諮問委員会委員となる日本国政府代表の設置に関する暫定措置法案」を国会に提案いたしまして御審議をお願いすることにいたしたいと思います。また、政府といたしましては、さしあたり、以上申し述べてまいりました本土沖縄一体化施策を進めるにあたりまして、できるだけ早い機会政府内各省職員をもって構成する調査団を派遣することといたしまして、その調査結果をもとに総合的計画的な一体化施策策定を行なってまいる所存でございます。  次に、小笠原問題について申し上げます。政府といたしましては、小笠原復帰を円滑に行ないますために、目下外務省を通じ、小笠原返還協定の作成を取り進めておりますが、本年一月十八日から十日間、政府調査団現地に派遣いたしまして、総合的な調査を行ない、返還に支障のないよう万全の準備を進める一方、二月二十三日に、「小笠原諸島復帰に伴う同諸島の行政区域所属等について」閣議決定をもって、小笠原諸島行政区域所属は東京都とすること、小笠原諸島復帰に伴い、同島住民及び同地域について国内法令の適用に関する暫定措置を講ずること、小笠原諸島復興に関する事務または事業につき、国がとるべき必要な措置については、同地域特殊事情を十分考慮し、今後の専門的技術的調査に基づき関係各省協議決定すること、小笠原諸島復興事業の所管は自治省とし、総合調整を必要とする場合は総理府が当たることをきめました。これがために所要の立法準備を進めておりますが、成案を得次第国会の御審議を仰ぎたいと思っております。  また、北方問題につきましては、わが国の国家利益立場から、領土問題の解決のために、引き続き忍耐強く努力する所存でございます。  以上、沖縄問題を中心政府の諸施策について申し述べましたが、当特別委員会が設置されましたのを機会に、当特別委員会を通じまして各位の御意見を承り、これを政府施策の上に反映してまいりたいと存じますので、各位の御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。  引き続きまして、沖縄問題等に関する特別委員会におきますこの御説明の中に、先般私が一月二十二日から二十五日まで沖縄現地視察に参りましたので、これの御報告を申し上げたいと存じます。  短かい日程で宮古島及び石垣島に参りましたので、沖縄各地の実情を的確に把握して沖縄住民各界各層意見要望を聴取するには時間的には十分でなかったと存じまするが、しかしながら、私の今回の沖縄視察目的は、沖縄問題処理の当面の責任者といたしまして沖縄現地事情を直接見聞することでございまして、かつまた、佐藤ジョンソン会談後の新段階を迎えましたといわれる沖縄におきまして、琉球政府及び沖縄住民が主として本土沖縄との一体化の諸問題についてどのように考えているかを知りまするとともに、アンガー高等弁務官と当面いたしまする諸問題について忌憚のない意見交換を行なうことでございました。  このような私の今回の視察目的にかんがみまするときに、おおむね私は所期の目的を達し得たものと考えますし、また、私の沖縄に関しまする知識と経験を広めるのに役立ったと思っております。  まず、琉球政府ほか幹部との会談におきましては、日本政府の来年度援助費が百五十三億円に予定され、多くの一体化施策が予定されていることに対して満足の意を表明しておりましたし、また、一体化施策推進については琉球政府部内に研究会をつくって積極的に取り組み、具体策検討を始めているようでございます。  次に、アンガー高等弁務官との会談におきましては、会談中心本土沖縄との一体化施策でありましたが、高等弁務官は、佐藤ジョンソン会談以後沖縄日米協力の新段階を迎えたという認識のもとに、新設されまする日米琉諮問委員会に非常な期待を寄せており、私も、今後一体化を進めるためには日米協力して一体化総合的計画を樹立する必要があり、これがため日本政府としては、総理府中心として各省協力によって調査団を派遣する用意がある旨を伝えたところが、高等弁務官も、今度発足する諮問委員会決定の上実施してほしいと言っておりました。  また私は、一体化施策の例といたしまして、琉球政府会計年度予算編成方法等についての改善すべき点について指摘いたしました後に、教育一体化の見地から現行教育制度について再検討してほしいということ等について意見交換を行なった次第でございます。そうして、いずれにいたしましても、これらの諸問題は、近く発足を予定されている日米琉諮問委員会中心となって検討を加え、その結果の助言または勧告を待って善処していきたいというのが高等弁務官意見であったのであります。私も原則的にはこの意見には賛成でございます。  なお、去る二月一日にアンガー高等弁務官は「立法院における年頭メッセージ」の中で、琉球列島の管理に関する行政命令が改正され、琉球政府行政主席沖縄住民の直接選挙によって選ばれることに相なったことを明らかにしたのでございますが、これは沖縄住民のかねてからの念願が実現されたものでございまして、自治権拡大のために大いに歓迎すべき措置と存じます。  次に私は、政党関係社会福祉団体経済団体教職員会祖国復帰協議会等代表者ともできる限り懇談をいたしました。もちろん、これらの団体の中には、沖縄問題の処理について私と基本的に違った立場方々もございましたが、祖国復帰の一日も早いことを念願する一致した要請に対しましては、私は深く感銘をいたした次第でございます。  そうして祖国復帰実現の日に備えて本土との一体化施策を強力に推進し、教育民生福祉産業経済等分野におきまする本土との格差を解消することが最も肝要であることを痛感いたしました。  また、先島視察におきましては、宮古、八重山ともテレビ放送の開始につきまして住民が心から喜んでいるさまが手に取るように感ぜられました。  先島地区は、住民生活程度行政水準とも本島に比べて比較的低いことを実感いたしましたが、八重山では、主として離島問題、畜産振興漁港問題等中心であり、宮古島では、畑地かんがい、平良港開発畜産問題等中心でありましたが、両島とも砂糖、パインについての保護政策が維持拡充されることを強く要望しております。  以上、簡単でございますが、私の今回の沖縄視察の御報告といたしたいと存じます。     —————————————
  5. 伊藤五郎

  6. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私から昭和四十三年度の対沖縄援助費につきまして、その概要を御説明いたします。去る一月十一日開催されました日米協議委員会におきまして合意された昭和四十三年度における日本政府の対沖縄援助費総額は、百五十三億七千余万円でございまして、一般会計分が百二十五億七千余万円、財政投融資分が二十八億円でございます。で、今回の日本政府の対沖縄援助費に関する日米間の合意にあたりましては、両政府事務当局間の非常に緊密なかつ円滑な事前協議が行なわれまして琉球政府意向を勘案しつつ日本政府意向が十分反映されたものと私どもは考えております。また、日本政府明年度財政事情はきわめてきびしいものがあるにもかかわらず、前年度の百三億余円の援助費を大きく上回る額とされたのでありますが、これは佐藤ジョンソン会談後の本土沖縄との一体化施策を強力に進めるための当然の措置と考えるのでございます。また、明年度の対沖縄援助費策定にあたりましては、政府として、あらかじめ沖縄民生福祉の増進と経済発展のために必要な効果的な施策について真剣な検討を加えたことはもちろん、琉球政府及び沖縄住民要望並びに昨年の当委員会の貴重な現地視察報告等に対しましても十分な考慮を払ったつもりでございます。  今回の援助費重点施策といたしましては、教育文化充実向上社会保障拡充医療水準向上産業発達のための金融対策産業基盤整備の促進、市町村財政充実強化等をあげることが、できます。  その内容のおもなるものについて逐次簡単に御説明申し上げます。  まず、国土保全及び開発関係援助といたしましては、土地改良農業施設、道路、港湾漁港森林開発治山治水、護岸について前年度に引き続きそれらの整備を促進することとし、特に那覇、沖両港の港湾機能限界に達している現状に対処しまして那覇市安謝に那覇新港建設に着手することにいたし、また、那覇空港の民間航空機用施設拡充、西表島の林道開設及び沖縄本島天然ガス試掘調査に必要な経費について援助を行なうことといたしております。  社会福祉及び医療関係援助につきましては、社会保護に対する援助を従来の生活扶助に限らず、教育住宅医療等扶助もすべて援助対象といたし、福祉年金についても、従来の老齢福祉年金のほか、障害福祉母子福祉の両年金制度を新たに発足し得るように援助することといたしております。また、那覇市に新那覇病院を、規模四百床三カ年計画建設し、両病院琉球大学保健学部教育病院地域医療センター医師教育の機関としての機能を十分果し得るよう整備することといたし、さらに、那覇中央保健所新設及び老人福祉施設建設を行なうほか、身体障害者巡回相談事業について援助をすることといたしております。  次に、沖縄における住宅事情にかんがみまして、従来に引き続き公営住宅建設戸数を増加するとともに、来年度新たに住宅建設を促進するための低利長期資金融資方途を講ずることといたしました。  これら新規事業とともに前年度に引き続きまして、児童福祉対策医師歯科医師の派遣、結核患者本土収容結核集団検診ハンセン氏病、精神病、原爆被爆者対策等を実施し沖縄医療事情改善をはかってまいりたいと考えます。  文教関係援助におきましては、まず、教育充実向上をはかるため、来年度において義務教育学校施設備品整備を一そう促進するとともに、新たに琉球大学医学研究及び医療公衆衛生要員の養成のため保健学部新設することとし、さらに来年度は、私立学校に対する助成モデル幼稚園建設、青年の家体育館建設援助することとしております。また、前年度に引き続きまして教職員給与半額援助教科書無償給与国費沖縄学生の招致、育英資金充実教育技術研修等各般にわたって教育文化面における本土との一体化を一段と推し進めることといたしております。  産業開発関係及び財政投融資関係援助におきましては、農林漁業及び中小企業に対する金融上の援助を、従来の出資金援助のほかに新たに長期低利資金融通方途を講じ、さらに、沖縄における産業長期資金逼迫状況を緩和し産業開発を促進するための資金として出資金援助長期低利資金融通方途を講ずることといたしております。このうち、琉球政府に対する長期低利資金融通につきましては目下法律案準備中であります。  このほか、肉牛生産中心とする畜産振興沖縄経済発展のための諸施策を総合的、継続的に研究するための経済開発研究所開設糖業振興についても増額助成を行なうことといたしております。  次に、本年度においては沖縄市町村行政水準向上させるための援助を新たに行なうことといたしたいと存じます。  これらの援助のほか、那覇市民センター建設海員学校新設警察学校移転改築援助を行なうこととし、前年度からの継続事業でありますUHF、電話回線建設裁判所庁舎那覇清掃施設建設を完成するための援助が含まれており、さらに、琉球政府行政事務及び職員資質改善向上のための技術援助気象業務、灯台、移住振興南方同胞援護会を通ずる社会福祉関係援助についても前年度に引き続き援助を行なうことといたしております。  以上御説明いたしました明年度沖縄援助費総額百五十三億七千余万円の予算計上等につきましては、日本政府琉球政府との会計年度相違等を考慮しまして、昭和四十三年度一般会計分九十二億八千余万円、同年度財政投融資計画分二十億円合計百十二億八千余万円と昭和四十四年度一般会計計上予定分三十二億九千余万円、同年度財政投融資計画予定分八億円合計四十億九千余万円とにそれぞれ区分計上、または、予定いたしております。  なお、昭和四十三年度一般会計の対沖縄援助費総額は、さきに述べました九十二億八千余万円に前年度分二十一億三千余万円を含めた百十四億一千余万円と相なっております。  以上をもちまして私の説明を終わります。
  7. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 以上で田中総務長官及び山野特連局長からの説明聴取は終了いたしました。  本件に関し質疑のある方は、順次御発言願います。
  8. 岡田宗司

    岡田宗司君 田中総務長官にお伺いいたします。が、総務長官が御視察おいでになったのはいつからいつまででございましたか。
  9. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 一月の二十二日から二十五日まででございます。
  10. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま、沖縄ではB52があすこに来ておって、そうしてベトナム戦争に出撃しておるというので、沖縄人たちに非常な大きな不安を与えています。総務長官おいでになったときには、まだそれが来ておらなかったので、あるいはそれをごらんにならなかったかもしれぬ、その不安についての話は聞かれなかったかもしれませんけれども、その後、琉球立法院代表が来られて、総理をはじめ総務長官にもお会いになって、B52問題についていろいろ陳情があった。また、数日前には、沖縄からやはり県民の大会の代表が来られまして、そして同じようなこのB52の撤去問題についての陳情があったわけでございますが、総務長官は、このB52がいま沖縄におってそうしてこれがベトナム戦争に直接行っておるようでありますが、そのために起こっておる住民の不安というものをどういうふうにお考えになっておりますか。
  11. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御質問のB52の問題は、お話しのごとくに、私が本土に帰りましてから後のことでございますが、立法院方々も私のところにお越しになり、また、一両日前原水協の方々もお見えになって、現地におきまする非常な不安というものにつきまして詳細に拝聴をいたしました。  このB52の問題は、沖縄方々にとりましては、特にいろいろの前回の大戦におきまする深刻な体験もございまして、ほんとうに不安があり、また心配しておられるということも十分拝察いたしておりますので、私も、先般も閣議におきまして外務大臣からアメリカ政府のほうにも申し入れをいたしておるというようなことでございまして、一日も早くこういうような不安が取り除かれることを念願いたしておる次第でございます。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、ただいまの総務長官の御答弁ですと、この問題は現在沖縄におけるやはり重大な問題であるというふうに御認識になっておるように思われるのですが、そうでございましょうか。
  13. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) さようでございます。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいま総務長官は、一日も早くB52が去ってもらいたいという意味の御発言がございました。で、きのう代表の人々が総理にお目にかかった際にも、琉球政府外交権を持っていないし、また、沖縄住民はどうにもアメリカ政府に訴えようがないから、日本政府からひとつアメリカ側に話してB52の撤去を実現してもらいたい、こういうことだったのです。で総理は、いますぐにはどうもそういうわけにいかぬが、しかし、この新聞によりますというと、「首相は、施政権がない現在では、とるべき処置に限界があるとして、いまそのような要求をする気持はないことを明らかにしたが」、B52の「駐留が長びけば、米側に対する配慮要請を再び行う用意があるという趣旨を答えた」、まあこういうことも言っておられるわけなんです。で、これはどうも私に言わせれば、これから先いつになっておやりになるかわからないということが沖縄側で不満であることはわかり切ったことでありますけれども、どうでしょう、非常に重大な問題だとあなたがお認めになるならば、やはりもう一度アメリカ側に向かって話をすることを早くやってもらうようにあなたから総理要請される意思はありますかどうか、それをまずお伺いしたい。
  15. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この問題は、総理に御要望するしないというような問題ではなく、まあ、政府側といたしまして、また閣僚といたしまして、閣議におきましても外務大臣から要請をいたしましたり、あるいはまた、沖縄方々おいでになったことを外務大臣総理も私もみんな一同聞いて知っておりますので、まあ、総務長官としてあらためて総理要請をするとか、なんとかというような問題ではないと存じます。なおまた、総理沖縄方々にお会いになられて、一般住民の不安な気持ちについて非常に心配もされておるわけでございますから、かような次第で、われわれは、まあ安全保障体制のもとにあります現時点でございますので、その点はそれといたしましても、さらにまた、住民方々の特に不安、あるいはまた、それに伴います動揺というものがありませんように、私といたしましてもあらゆる努力をいたさなきゃならぬ、かように考えております。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま総務長官のお話ですと、あらためて総理B5撤去の問題についてアメリカ側と交渉することを要請することはないと言われておる。しかし、あなたは閣僚一員ですから、しかも、沖縄の問題を所管する閣僚一員ですから、閣議においてあなたはこの問題について、沖縄住民が非常な不安を持っている、そしてまた、それを除いてくれという意向が強いということ、それに対処する方法としてB5撤去についてアメリカ側と交渉してもらいたいということを、閣議の席であなたが言うことはできるはずだと思うのです。それはおやりになるつもりがあるかどうか、それが第一点。それから、なるほど、いまあなたもちょっと触れられましたけれども、日米安全保障条約がある、また沖縄にはアメリカ施政権がある、そういうようなことから、日本側としては条約に基づいてこのアメリカ側撤去を要求することはできないのだという法理論に基づく御意見はあるかもしれませんけれども、これは政治問題なんです。日米間における政治問題として取り上げるならば、私はそれができると思うのですが、その点について総務長官はどういう御見解であるかお伺いしたい。
  17. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この問題は高度の政治的な問題でございますと同時に、沖縄の問題は、御案内のとおり、あるいは基地の問題もございましょう。あるいはまた、防衛上の問題もあり外交上の問題もございます。まあ御案内のとおり、私は総務長官といたしまして日琉の一体化を一日も早く促進しなきゃならぬ、施政権返還準備をしなけりゃならぬということから、この一本化の問題につきましてひたむきに取り組んでいる次第でございまして、ただいまの外交問題、防衛問題等々は、国会でも御議論の中でおわかりのとおり、あるいは外務大臣、あるいは防衛庁長官、あるいはそれをただいま総理がお取り組みになっておる次第でございます。なお、私ども閣僚は、総理を御補佐申し上げるという立場から、いつもいつも御一緒に御相談を申し上げておるような次第でございまして、総理も琉球代表方々とお会いになりまして、そのことについて非常に心配をせられ、同時にまた、当然あるいは外交ルートを通じ、あるいはその他の機関を通じましても、このB52の問題につきましては、一日も早く不安を取り除くようにあらゆる努力をなさる。これは当然なことであろうと存じます。まあ私が、一体化の問題の中におきましても、あるいは人権の問題やらその他いろいろの問題とも関連を持ちますので、総理並びに外務大臣には常日ごろから会いまする場合に、かような当面の問題につきまして御相談を申し上げ、お願いも申し上げておる次第でございます。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 たいへん長い御答弁だったんですが、私の質問したことには直接お答えになっていないのです。まあ、あなたは閣僚一員として、単に所管事項ばかりでなく、やはり国政全般にも御発言になる立場にあると思う。したがって、このB52の問題を重大問題としてお認めになるならば、閣議でこの処置についてあなたの御発言というものがあってしかるべきだと思うから私はお伺いした。その問題について重ねてお伺いいたしますが、沖縄の県民の非常な不安、これを重大な問題と認めて、これの撤去方について総理大臣その他と御相談をなすって、早くB52の撤去ができるようにアメリカ側と再度話をするように、あなたはその御発言をなさるかどうか、その点、イエス、ノーでけっこうです。
  19. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) もちろん、重大な関心事でございますから、御相談は申し上げてまいります。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 さらにB52の問題についてお伺いしたいんですが、昨日総理調査団に対しまして、政府調査団沖縄に出すということを言われておることが新聞に出ておるのであります。これは朝日新聞によりますと「「B52の駐留が住民に不安を与えている点について、政府調査団を派遣する考えはないか」との直訴団の質問に対して、首相は「総理府検討中だが、派遣することになろう」と答えた。しかし総理府事務当局によると、これまでのところ総理府が派遣を検討している調査団は、沖縄本土との一体化促進のためのものであってとくにB52駐留問題だけについての調査団はまだ考えていない」、こう出ておるのです。これはいままでそういうような総理の発言というものはなかったわけです。私はやはり重大な問題だと思うのですが、これについて総務長官は、総理がこの代表と会った後に、調査団の発言について考えるということについてのお話をお受けになった、これについて検討されましたか。その検討の結果が、ここにあるような特別の調査団を出す必要がないということにきまったんでしょうか。それをお伺いしたいんです。
  21. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 昨晩のことでございまして、調査団を派遣をしようということは官房長官の記者会見にも申しておられます。かような次第で、私のほうにまだ御相談は正式にはございませんが、私のほうも、どういう形で出しますか相談をいたしたいと、かように思っております。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま私の読み上げました中に、事務当局はこういう考え方だと出ているんだが、もうこの話がわかって、事務当局じゃ検討してこういう結論を出したんだと思うのですが、事務当局責任者である山野さん、これはどういうことなんです。
  23. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 実は、きのうの代表団と総理との会合のあとの新聞発表その他につきましては、私どもは何ら連絡を受けておりません。したがいまして、従来総理府で考えております、近く——ただいまの総務長官の所信表明にもありましたような調査団の派遣の問題は、主として一体化の関係から調査団を派遣したいということを考えていまして、このB52の問題と結びつけた調査団ではなかったわけでございまして、したがいまして、いま長官から御答弁ございましたように、いまの時点におきましては何らその内容については承知しておりません。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 私、たいへん怠慢だと思うんですよ。これは総理のほうも怠慢だと思うが、田中さんのほうも怠慢だと思う。というのは、総理が向こうの代表に会って、いままで言ったことなり、調査団を出すというようなことを答弁されたらば、これは総理みずから、あるいは官房長官を通してなり、あなたのほうにすぐに通達するのがあたりまえだし、それからあなたのほうも、きのう沖縄代表団が総理に会われたことも知っておられるわけだし、おそらくその会見の内容等もあなた何らかの形でお知りになっていると思う。そうすれば、あなただって、総理がそういう発言をされたら、これは何か考えなきゃならぬというのはあたりまえじゃないですか。どうなんですか。
  25. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  26. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記を始めて。
  27. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 何ぶんにも昨夜の今朝でございまして、きょうは閣議が開かれましてすぐこちらのほうに飛んでまいったような次第で、まだ御相談を申し上げる時間もなかったわけでございます。ただいまお答え申し上げましたように、この問題につきまして、昨夜の新聞発表もございますから、御相談をさっそくいたさなくちゃならぬ、かように考えながらこの委員会に入った次第でございます。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 閣議でお会いになって話が出なかったというのも、これは私はおかしな話だと思うのですが、あるいは軽んじて、その場のがれの答弁であったのじゃないかとも疑われるのですが、私はそう疑うことは失礼だと思いますから、これはやはり総理がまじめに考えられて言われたんだといたしましょう。そうすると、あなたとしてこのB52の問題についての調査団の派遣ということをどうお考えになりますか。沖縄の問題を主管する総務長官としての御意見はどうでございましょうか。
  29. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御質問の中にございました、一体化の行政調査団とはこれは性格が非常に違いますから、また、総理からそういうふうなお話もございますれば別途考えてまいらなきゃならぬ、かように考えております。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 別途考えられるということでございますが、その考えられるということは、大体送ると解釈してよろしゅうございましょうか。あるいは、送らないということもその解釈のうちに入るのですか。送るというほうが主なのか。その別途考えるといううちには、送らないことが考えられておるのか、ちょっとその点はっきりしていただきたい。
  31. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 派遣いたしますることにつきましてひとつ御相談をいたさなくちゃならぬ、かように考えております。
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、あまりしつこく言うのはやめておきましょう。ここらで……派遣することについてというのですから、まあ大体派遣するということのほうがおもだというふうに私は受け取っておきます。まあ、そういうふうにひとつしていただきたいと思うのですが、もし、これが一般のいわゆる一体化のための調査団ということになりますというと、これは、あなたのほうでは国会が済んだ後を予定されておるようでございますが、B52の問題は、いま非常な不安を与えておる問題なんですね。といたしますと、これは早急でなければならぬと思うのですが、もし、いまあなたの言われたように、送るというお考え方に立つとすれば、早くなきゃならぬと思うのですが、その点はどうお考えになりましょうか。
  33. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまお答え申し上げましたように、この行政調査団——行政問題についての調査団——とは本質を異にする次第でございますから、これは別途な考え方で進めてまいらなくちゃならぬ。で、早急に総理並びに官房長官とも十分お話し合いをいたしたい、かように考えております。
  34. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、B52がどういう不安を与えているかということは、私はいまここで申し上げませんけれども、B52というのは毎日十数機、とにかく大型爆弾をたくさん積んで発着しております。で、爆弾もあの海岸に野積みで集積されている。それをほとんどむき出しのまま積んでいるという状態です。よくあることでありますけれども、その際、飛行機が墜落をする、あるいは野積みをした爆弾の蓄積所で爆発が起こったというようなことになりますというと、これはたいへんなことになります。そこいらで、やはりもしも調査団を派遣するということでありますならば、早く政府として実情を調査して対策を立てていただきたいのです。私はそれをひとつ田中総務長官にお約束を願いたいと思います。
  35. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御意思を体しまして十分検討いたしたい。さっそく御相談にかかります。
  36. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、日米琉のあの諮問委員会ですね、あのことについて少しお伺いしたいと思います。  この間、アンガー同等弁務官が諮問委員会の第一回の会合で、諮問委員会の地位と言いますか、諮問委員会の権限と言いますか、それについて見解を述べられておる。おそらくこれはそのまま諮問委員会の地位と権限につながるものだと思うのですが、これによりますと、まあ、政治的な問題とか軍事的な問題は一切触れられないことになっておるのですが、そう解釈してよろしいのでしょうな。
  37. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは共同声明にもうたってございまするように、一体化にあたりまして支障をすみやかに除去しなくちゃならぬということで、経済的、社会的その他の関連のある事項について、高等弁務官の権限内の所掌におきましてこの諮問委員会がつくられ、同時に、諮問委員会高等弁務官に対して意見を述べ、勧告をいたす、こういう性格のものでございます。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 あれじゃ、はっきり政治の問題は除外するということですね。それを言っておりましたね。そういたしますとね、たとえば今度主席公選の問題が出てきます。主席の公選の問題というのは、やはり政治問題だと思うのですが、高等弁務官は主席は公選にさせるということを声明したが、新たに公選されて出てくる主席の権限等について、これは従来のままというようなことだったと思うのですが、そうだったと思いますが、そうでなかったでしょうか、あるいはそうだったでしょうか。
  39. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 御指摘のとおりでございまして、現在の主席の権限のままで公選にするということでございます。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 現在のままの権限で公選ということだったら、形式が変わるだけですね。主席公選ということを沖縄の県民の人たち期待しているのも、あるいはまたわれわれが期待しているのも、公選によって従来の権限が拡大されていく、そういうことでなければこれはもうただ空なものにすぎないと思うのです。この問題は諮問委員会では問題にならないわけですね。政治の問題ですから、問題にならぬ。諮問委員会というのはそのくらいの権限しかないものなんでしょうか。
  41. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) まあ、かりに現在の権限のままで公選になりましても、これは岡田委員十分御承知のとおり、最近琉球政府に対しまして民政府はいろんな権限を委譲してきておりますので、非常に琉球政府の権限自体も従来とは非常に拡大されてきている。しかも、その主席が、住民の意思を十分体した主席が選ばれるということ自体に私どもは非常に大きい意義を感ずるわけでございますが、将来、いま長官が政治問題は議題にならないとおっしゃいましたのは、それはもうストレートに、まっすぐ政治問題を諮問委員会の問題にしないということでございまして、将来、琉球政府の主席の権限が日本制度との一体化の面から間接的な形で議題になることは私はあり得るんじゃないかというぐあいに考えております。それが政治の問題であるかどうかは別でございますが、そういう機能の問題としては対象になり得るんじゃないかと思います。
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、高等弁務官もわざわざああいうふうに断わっておる、どっちの問題についても。だから、これはやはりなかなかアメリカが全面的に施政権を握っているというたてまえとの関連において、あなたの言われるようにそう簡単な問題ではないと思うのです。おそらくこれは諮問委員会の問題でもないし、また、高等弁務官のそういうことでもない。単に高等弁務官だけの考え方ではなくて、その背後にあるアメリカ国防省の考え方あるいは政府考え方であるとすれば、これはやはり外交交渉の問題で、日米両国間の問題として取り扱わなければならぬ問題でしょう。それだけに非常にむずかしい問題であると私は思っておりますけれども、しかし、日本側として、いま山野局長の言われたように、いままでだんだんに権限が委譲されてきたから、今後もこうなるでしょうなんという、ただ期待感だけで処理できる問題ではない。やはり日本側として、これは公選にするならばこれだけの権限をまず委譲してもらわなければならぬ、そしてまた、それによって一体化を進める上にこうしてもらわなければいけないのだということの方針をはっきり打ち出して、そしてこれをアメリカ側と交渉すべきだと思うのですが、先ほど総務長官は、沖縄一体化の問題についての基本的方針説明されましたが、そのうちでもこういうことは特に強調されてしかるべき問題だと思うのですが、どうお考えになりますか。
  43. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 今回の諮問委員会の性格が、いわゆる答申にそのままこたえるというような性格のものではなく、国際機関的な機能を持っております。で、日本代表たる諮問委員は、同時に意見も述べることができるわけでございます。さような場合に、もし諮問委員会高等弁務官の権限外の事項でございますれば、当然日本政府のほうにも連絡がございます。かような際には、日米協議委員会なり、さらにまた、必要に応じては外交交渉に移して、わが方の主張をするということもあり得るわけでございます。かような意味では、ただいま申し上げましたように、非常に固定した小さな権限だけに局限されるものでもございません。本国を通じ、また機関を通じて、常時現地において起こってまいりまする問題をわれわれのほうにキャッチして、そうして適宜な処置をとってまいりたい、かように考えております。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 日米琉諮問委員会日本側から高瀬公使が派遣されているわけでありますけれども、この高瀬さんはどこの管轄に属するのですか。この派遣された日本側委員というのは、外務省のもとに置かれているのか、それとも総務長官の、つまり総理府に置かれているのか、それはどこですか。
  45. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま設置法の改正の法案を出しておりまするが、その法案が通りまするまでは外務省の人事でございまして、それが通りますると、諮問委員会総理府の所管に相なります。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 田中さんの直属の人になるわけですが、田中さんが指揮命令できるわけです。ひとつこういう問題についてやはり田中さんのほうでもって確固たる方針を示される、それが諮問委員会にあらわれるわけですから、ひとつ、これはその際には田中さんとしては確固たる方針を与えて、諮問委員会が、何と言いますか、諮問委員会に終わってしまって、高等弁務官に対して日米間の重要な問題、あるいは沖縄住民にとっての重要な問題について何も発言ができないとか、あるいは意見が述べられないとかいうようなことのないようにしていただきたい。それには、やはり直属の上官であるあなたの態度にもよることなんですから、どうかその点はひとつしっかりお願いしたいと思います。  それから第三の問題は、これまた当面の問題とも関連するのですが、嘉手納の飛行場のそばの井戸にガソリンが流れ込んで、そして井戸水がガソリンで汚染されて、その井戸水を飲むことができない。マッチをすればすぐ引火する。たいへん危険なことで、住民は非常に騒いでいる。それから、それによる被害の補償を訴えておった。まあ、なかなかそれができなかった。この間アメリカ側で、何と言うんですか、見舞い金と言うんでしょうか、何かお金を払うことになった。それは大体住民側の要求の十分の一程度の額だったと記憶しておりますが、山野さん、ちょっとその点、きまったことについての御説明を願います。
  47. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 御案内のように、昭和四十二年の五月ごろから十月にかけまして航空燃料が噴出していろいろ問題を起こしたのでありますが、米側としてもこれを詳細に調査した結果、これはやはり嘉手納基地の航空用の油であるということを認めまして、それぞれ被害者に対しまして補償をしたい、補償をすると。そして将来このようなことがないように所要の修復工事その他を含めまして対策を講ずる、なお農民に対してそういう迷惑をかけたことは非常に遺憾であったというようなことが正式に発表されまして、その後、実はこの被災者のほうから合計十二万四千ドル余の賠償金を米軍に提案しまして、いろいろ内訳はこまかくございますが、約十二万四千ドルの補償の要求を出したわけであります。これに対しまして、米側はその補償の内容をいろいろ精査いたしまして、ただいまお話しがありましたような補償の要求額とは相当差のある額が米側から提示されて、現在話はまだまとまっていないようでございます。この米側から提案されましたそれぞれの補償の額につきましては、私どもまだ公式にその内容を聞いておりません。新聞で拝見した程度でございまして、至急私どもはこの数字を取り寄せてみたいと思っておりますが、まだ御指摘のように相当大幅な差のあることは聞いております。私どもは関係者の話し合いによりまして円満にこれが解決することを期待いたしておるような次第でございます。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはその一々の額も非常に問題だと思うんですけれども、私、いまこの問題をここで取り上げたのは、その被害額と補償額の差が大きいとか、そういう問題ももちろんですけれども、それ以外に根本の問題があると思うんですよ。つまり、沖縄におけるアメリカ軍というものは、住民に被害を与えようが何しようが、沖縄の人々はこの被害に対して法律で損害賠償、補償を請求することができないというのです。これは、いま言った嘉手納周辺の井戸の問題ばかりじゃありません。たとえばアメリカの軍人、軍属その家族が車でもって人をひき殺した場合に、日本の国内ならばこれは損害賠償請求ができるわけです。法律に基づいて損害賠償請求ができるわけです。アメリカ軍の軍人軍属、その家族がやったことに対して、沖縄では結局何も法律的にそういうものを要求することはできない。これじゃ一体化も何もないと思うんです。あるいはこれは施政権に触れる問題でしょう。しかし、こういう切り捨てごめんですね。まあ、補償すると言うけれども、それは法律に基づかないで、いわば見舞い金、あるいは何と言いますか、涙金でもって追っ払うということを、こういうことをそのままにしておくことは一体化に一番大きな障害になると思うんですよ。この点について田中総務長官はどうお考えになるか。そういうことをなくなすために何かあなたとしてお考えを持っていらっしゃいますか。
  49. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その問題につきましては、先般アンガー高等弁務官のほうに交渉に参りました際にも、この人権の問題につきましては私のほうから強く要望いたしております。なお、いまお話しの嘉手納の油の問題も、これもその際にも強く主張してまいったのでございますが、沖縄方々の人権ということから、沖縄方々に関係いたしましたことは琉球政府の裁判に基づいてやってまいりたいというのが、これは当然の要望でございます。私どももその点を強く主張いたしております。
  50. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま、アンガー高等弁務官に会われたときにそれを主張されたと言うんですがね、アンガー高等弁務官はどうお考えになっているか。これは単にアンガー局等弁務官だけの問題ではなくて、大統領の行政命令に基づいて行なわれている沖縄アメリカの施政に関する問題なんですが、これはやはり日米間の問題として取り上げられるものじゃないかと思うのです。その点はどうお考えになりますか。まず、アンガー高等弁務官がこれに対してどういうお考えを持っておられたかということを。
  51. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは私どもが高等弁務官に会いましたのは約二時間でございまして、その間に、たくさんいろいろな問題を当方から持って行ったわけでございます。さような関係で、二日前からそのいまの内容を向こうの民政府のほうへ出しまして、ケース・バイ・ケースで、山野特連局長説明もし、また詳細に事前主張もいたしてまいりました。私との会見の際には、日本側の主張もよく了承している、なおまた、これらの問題については愛情を持って処置したい、こういうふうな回答でございました。
  52. 岡田宗司

    岡田宗司君 愛情を持って処置するというのは、やっぱり涙金式のことなんで、その根本の問題に触れてないわけですね。それはアンガー同等弁務官の権限内の問題ではないと思うんですが、全然その根本問題に触れていない。私はやっぱり根本問題の解決は日米間で解決されなければならないと思うのですが、総務長官はその問題について、やはりこれは日米間の問題として、もちろんあなたが直接交渉するわけではないけれども、日米間の問題として取り上げる、そういう方針でございますかどうか。
  53. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまのお話の中で、軍の直接の施設、行動等に基づきますものは、御承知の外国人損害賠償請求法——これは司令官の権限でいたす分がございますが、それ以外に、ただいま後段おっしゃいましたように、ひき殺されたりなにかしたような場合、向こうの軍人軍属の関係の裁判権、これは御案内のとおり、民政府の裁判制度のもとに行なわれているところが問題の存するところだろうと存じます。なおまた、琉球政府の裁判に属しておりまする管轄権の問題と、また、それを民政府の管轄権から琉球政府にどう移すかということになりますと、ただいま御指摘のとおり、高等弁務官の権限では処理できない制度上の問題に相なります。こういう点は、あるいは外交交渉、あるいは委員会を通じて果たさなくてはなりませんが、まあ、問題は、われわれといたしましては一日も早く施政権が返ってまいりまするように、その間はいろいろなそういうふうなケース・バイ・ケースで解決し、ほどいてまいる、こういうふうな考え方でやっております。
  54. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、どうもあまり方針が明らかでないので、ケース・バイ・ケースというのは、いまのガソリン事件みたいなことを個々に金額で片づけるというようなやり方になるかと思うのですけれども、そんなことではなくて、やはり当面そういう問題について住民側の要求に沿うように解決してやることも必要ですけれども、その根本の問題についての政府の態度というものをやはりきめておかなければならぬと思うのですが、それはどういうふうにお考えになっておりますか。
  55. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの御質問は、嘉手納やなにかのそういうような軍司令官権限の賠償の問題ではなくて、もっと根本の裁判制度の問題であろうと存じますが、これは先ほどお答えいたしましたように、アンガー高等弁務官の権限ではできない問題であろうと存じます。こういうふうな問題につきましても、われわれはあるいは外交ルートを通ずるなり、あるいはまた、日米間の交渉によって一日も早く沖縄の裁判管轄権に移れるように要求いたし続けております。
  56. 岡田宗司

    岡田宗司君 次の問題に移りますが、けさの新聞あるいはテレビでもって見たのですけれども、沖縄のこれからの経済発展に対する日米経済調査というのが、この大綱が発表されている。これを見てみますと、沖縄の今後の高度の経済成長を維持していくにはどうしても外資の流入が非常に必要だということが強調されているのです。現段階ではそういうことも考えられる。しかし、日本復帰したときに、沖縄に特に外資を必要とするかどうか、日本全体の問題の一部として解決さるべきじゃないか、一体化の問題、しかも早期返還という問題として考えると、どうもあの調査の結果には私は納得できないのですが、それはそれとして、いま問題になっております、アメリカ側沖縄に石油精製の基地を設ける、これもずいぶん問題になっておりますが、これに対する政府方針、そしてその政府方針琉球政府で受け入れられている、あるいはアメリカ側でそれを受け入れられているかどうか、そうして円満に片づいたのかどうか。私ども心配するのは、アメリカの巨大な石油資本があすこに石油基地を設けて、沖縄日本返還されたときに、そっくりそのまま日本の国内にすべり込む、そうしてそこでアメリカの石油資本が非常な力をふるう、こういうおそれがあるのですが、そこいらはどうお考えになっておりますか。
  57. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私が二十二日に出発いたしまする四日前の十八日の日に、総理にお目にかかりまして沖縄に行ってまいりますことのごあいさつをいたしました際に、私のほうから、ただいま御指摘がございました石油の進出の問題について、これは将来非常に重大な問題になりかねないということもお話を申し上げました。また総理も、それにつきましては非常に重要視されておられまして、先方に行った際にこの問題については特に注意を喚起しておくようにというようなお話もございました。私は向こうへ参りまして松岡主席にも会い、琉球政府方々にも会いました際に、この石油企業体の進出という問題が将来日本への本土復帰の際に非常に障害になるようなことがあっては相ならぬ、そういうことから、将来日本復帰いたしました際におきましては、日本の石油業法が当然適用せられなければなりませんし、また、資本比率の問題につきましても、当然日本制度に従わなければならぬ、また、現在あそこに入ってまいりまする油の会社の中で、日本に取引のない会社もございます。そういうふうなものから、対日輸出というふうなことで日本の国内のシェアの混乱も来たしてはならないということから、重々その問題につきまして日本の主張を述べました。私が沖縄に参りまする前々日だと心得まするが、琉球政府のほうでは認可をいたしたわけでございます。それに対しては遺憾の意も表してまいったのでございますが、しかし、同時にまた琉球政府といたしましては、日本側の主張に対しまして、その点については自分たちもよく考えております、シェアを乱さないということ、さらにまた、日本復帰の際におきましては当然日本の石油政策に従わなければならぬということも、その後の会社との契約におきまして十分述べられたはずでございます。また日本政府におきましても、通産省が関係各社を招きまして、会社側のほうに対しましても通産省から十分に話はいたしたようでございます。何ぶんにも今日施政権がございませんということ、それからもう一つは、沖縄自体が非常に土着資本が少ないということ、そういうふうなことも合わせまして、この問題は、今後十分に復帰後のことにつきましては指導もいたしてまいらなくっちゃならぬ、かように考えております。
  58. 岡田宗司

    岡田宗司君 あなたが行かれる直前に許可がされたということは、これはまあ琉球政府日本政府を無視してやったとは思われないのです。あの外資の進出の許可を実際に許したのは、高等弁務官、民政府だと思う。民政府が許して、琉球政府はまあ形式的に許可をした、こう私は見ているのです。いまあなたが、施政権アメリカにある云々と言われたが、まさしくそのとおりだと思うのですよ。しかし、佐藤ジョンソン会談以来、アメリカ側でも日本沖縄経済一体化を進めると言っている。それだのにあなたが、政府代表としてのあなたが行かれる二日前に、日本政府に平手打ちを食わせるような許可をさせるということは、一体どういうことか。アメリカは一体ほんとうにあのジョイント・コミュニケを尊重しているのかどうか、本気になって一体化を進めるつもりがあるのかどうか疑わざるを得ない。今後私はやはりアメリカ側がそういうことをするのじゃないかという疑いを持つ。あなたは信じられるかもしれませんけれども、私どもは疑いを持っております。こういう問題について今後どういう方針をおとりになるか、また、これらを日米委員会で問題にして、こういうようなことについてもアメリカ側のかってな進出を許さないようにされるつもりがあるのかどうか、そこをお伺いしたいと思います。
  59. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) かってな進出を許さないようにするかと言われましても、いまの時点におきましては、これはなかなか経済関係の面ではむずかしい問題でございます。私どもは、日本本土復帰いたします際に支障さえなければそれでよろしい。でありますから、その間の安全装置と申しますか、それは十分に沖縄琉球政府を指導いたしまして、連絡をとりながらやってまいりたいと、かように考えております。また、沖縄経済構造から申しまして、第二次産業というものが、非常にございません。そういう点から、日本企業の沖縄進出ということも、これも沖縄経済の構造改善の上から申しましても、積極的にありたいものだと、こうも考えております。まあ大体復帰の際に、外資によりますそういうふうなものが支障がないようにぜひいたしたい、かように考えて、今後一体化を進めてまいりたい、かように考えております。
  60. 岡田宗司

    岡田宗司君 なおいろいろ質問がございますけれども、いずれいろいろな法案等がこの委員会にかかりますから、その際にまた御質問申し上げることにし、きょうはこれで私の質問を打ち切りたいと、かように考えております。
  61. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  62. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、井川伊平君が委員辞任され、その補欠として北畠教真君が選任されました。次回の委員会は三月十五日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午前十一時四十一分散会