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1968-02-28 第58回国会 参議院 沖縄問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年二月二十八日(水曜日)    午前十時十八分開会     —————————————    委員異動  二月十四日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     吉田忠三郎君  二月二十七日     辞任         補欠選任      向井 長年君     瓜生  清君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 五郎君     理 事                 増原 恵吉君                 山本茂一郎君                 岡田 宗司君                 黒柳  明君     委 員                 井川 伊平君                 植木 光教君                 大谷 贇雄君                 小柳 牧衛君                 平泉  渉君                 安井  謙君                 山本 利壽君                 川村 清一君                 瓜生  清君                 春日 正一君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    参考人        琉球政府立法院        議長       山川 泰邦君        琉球政府立法院        議員       浜端 春栄君        琉球政府立法院        議員       友寄 喜弘君        琉球政府立法院        議員       大田 昌知君        琉球政府立法院        議員       大浜 国浩君        琉球政府立法院        議員       知花 英夫君        琉球政府立法院        議員       崎浜 盛永君        琉球政府立法院        議員       古堅 実吉君        琉球政府立法院        議員       久高 将憲君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関  する調査  (沖縄問題に関する件)     —————————————
  2. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまから沖縄問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月十四日鶴園哲夫君が委員辞任され、その補欠として吉田忠三郎君が選任されました。  また、昨二十七日向井長年君が委員辞任され、その補欠として瓜生清君が選任されました。  以上でございます。     —————————————
  3. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査中、沖縄問題に関する件について、ただいま沖縄から上京中の琉球政府立法院議長山川泰邦君、琉球政府立法院議員浜端春栄君、同友寄喜弘君、同大田昌知君、同大浜国浩君、同知花英夫君、同崎浜盛永君、同古堅実吉君、同久高将憲君、以上九名の方々に本日参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査中、沖縄問題に関する件を議題といたします。  これより参考人の方から御意見を承ることとなりますが、この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  今回、沖縄より上京されて御多忙な日程の中を本特別委員会参考人として御出席をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。  本日は沖縄問題に関する件につきまして御意見をお述べいただきたいと存じます。なお、全部の参考人から御意見を聴取するのがたてまえでございますが、時間等の都合によりまして、全員の方から御意見を聴取することができませんので、代表といたしまして、三名の方に、一人約十五分程度御意見を述べていただき、その後委員からの質疑の際、残りの方も含めてお答えをお願いいたしたいと思います。また、御発言順序等につきましては私のほうから順次指名させていただきます。  まず山川参考人からお願いをいたします。
  6. 山川泰邦

    参考人山川泰邦君) 山川参考人でございます。  本日は、皆さまたいへん御多忙の中を、われわれ沖縄立法院から派遣されました代表たち参考人としてお呼びくださいまして意見を申し述べる機会を与えられまして、たいへんありがたく感謝申し上げております。  参考意見を申し上げる前に、簡潔にお願いいたしたいと思っております。目下国会におきましては予算委員会が開かれ、これから予算についての御審議があると思います。沖縄関係予算につきましては、格別の御配慮をこれまでもいただいておりますが、今回もまた格別の御配慮をいただきたいと思っております。御承知のとおり、二十有余年の間に、本土各県を沖縄とは大きな格差ができておりますので、この格差を埋め、本土並みに引き上げるために皆さんの御配慮をいただきたいと思う次第でございます。  御承知のとおり、私は昨年六月、施政権返還問題をはじめ沖縄の重要な諸問題を、衆参両院沖縄問題等に関する特別委員会において要請いたしました。その節、沖縄現地調査をお願いいたしましたところ、衆参両院から公式の派遣団が御訪問くださいまして、直接沖縄人々の声に接してくださいまして、厚く御礼申し上げます。  今回は、施政権返還B5爆撃機撤去国政参加三つ決議について直接要請するために参りました。  初めに施政権返還決議について申し上げます。施政権返還については、昨年十一月に行なわれた日米会談に大きな期待を寄せておりましたが、会談の結果は、返還の時期さえ明示されず、県民は失望しております。しかし、共同声明にある、沖縄施政権返還するとの方針のもとに沖縄地位について日米両国共同かつ継続的な検討を行なうこと及び一体化を推進するとの合意に対しましては、次善の策として大方の人々期待をかけている次第でございます。しかし、いずれにしても、返還時期を明らかにすることが大切だと思います。それによって県民希望を与え、復帰の際の摩擦を少なくすることも、また本土との格差是正も、計画的に、より効果的に推進できると思います。御承知のとおり、沖縄は、戦後二十有余年にわたる不自然な地位のために、本土各県と大きな格差が生じております。その是正には県民のなみなみならぬ努力が必要であります。また、これを計画的に推進して効果をおさめるためには、一日も早く施政権返還の時期を明示することが最も肝要であると考えるのであります。返還時期の明示により、百万県民祖国へ帰る希望を抱き、その希望に基づいて、復帰の際の摩擦を少なくすることも、本土との格差是正も精力的に推進することでしょう。この機会に強調いたしたいことは、われわれの最大願望は、われわれ自身とわれわれの子孫のために祖国復帰することであると私はあえて申し上げたい。  次に、B5爆撃機に関する決議についてその趣旨を申し上げます。  去る二月五日以来、沖縄木島中部にある嘉手納空軍基地駐留しているB5爆撃部隊沖縄住民を不安におとしいれています。このB52十数機は、連日作戦行動をしていると見られる状況にあるといわれています。県民の間では、これまでグアム島を基地として作戦行動をしてきたB52が沖縄に進駐してきたのは、ベトナム戦争の激化と朝鮮半島の緊張と密接な関連があると見ています。そこで、沖縄を恒久的な作戦基地にするためではないか、あるいは出撃基地になったらどうなるかという、戦争に巻き込まれるということで急速に不安が高まっています。沖縄の二つの日刊紙は、B52の動きについてこう言っております。二月五日午後五時過ぎから七時までの間に、嘉手納飛行場におよそ十機のB52が飛来してきた、このため飛行場近くの一号線道路に米軍。パトカーが数台待機し、厳重な警戒をしたと報道しています。また、十八日午後十時ごろから、爆弾を積んだ大型トレーラーB52の駐機しているエプロン内を往復し、翌十九日午前六時から九時までに十機が発進したと報道しています。私たちは一昨日三木外相と会見いたしました。その際、われわれの要請に対して、B52の撤去要求はしない、なぜなら、米国がはっきり沖縄を。パーマネントな基地にしないと言っているから、またこの問題は、条約上の問題、軍事上の問題、政治上の問題の三つの側面から検討しなければならないと国会における答弁を繰り返され、さらに、沖縄人々の不安に対しては政府は重大な関心を持って今後も引き続き協議を重ねていくと答えておられました。私は、日米間の条約政府がどんな立場にあるか、できるだけ理解したいと思います。日本の安全についても私は重大な関心を持っております。しかし、住民の不安の解消は政治の要締の一つと信じています。第二次大戦で悲惨な戦禍を体験した沖縄県民が不安にかられるのはきわめて当然であり、B52がICBM、ポラリス潜水艦とともに現在アメリカ核戦力主力とされている点から、撤去を訴えるのもまた当然だと思います。恐怖や不安から解放される自由、この自由は沖縄を含めて全国民がひとしく享受すべきものであると信じています。もし沖縄基地日本を含む極東の安全に重要だからB52の駐留で緊迫した状態にあってもやむを得ないということでは、沖縄県民は決して納得しないと思います。このような沖縄現状を念頭に置かれて、本問題の解決皆さまをはじめ国会が最善を尽くしてくださいますよう要請いたします。  なお立法院は、議長与野党代表三名で、去る二月十七日フォート・バグナー軍司令部沖縄最高施政権者であるアンガー高等弁務官と会見、施政権返還B52の撤去に関する両決議文を手渡すとともに、住民の不安を解消するために、一日も早くB52を撤去してほしいと強く要請いたしました。われわれの要請に対し高等弁務官は次のように答えていました。「立法院がこれを決議した気持ちはよく理解している。しかし、これについて自由に話し合うことができないのを残念に思う。また新聞報道についても言及する自由を持っていない。なぜなら軍の機密に関することであり、日本を含む極東の安全の問題であるので、この問題について自由に話し合うことができない」と、われわれの決議趣旨には答えてくれませんでした。このような答えでありますので、現地における解決はきわめて困難であります。むしろ不可能でございます。重ねて皆さまの善処をお願いいたしたいと存じます。  次に、国政参加決議につきましては、昨年六月にも本委員会要請いたしております。本問題に対する沖縄県民基本的考え方は、日本国民である沖縄県民国政参加することは当然の権利であり、その権利を押えることは人類普遍原理基調とする憲法の精神にも反するということであります。また、憲法で与えられた権利本土国民だけが享受していいというものではないと信じています。さらに、政府本土沖縄一体化を推進する方針を発表しております。一体化を進めるというのに沖縄代表国政参加させないでは筋が通らないではないかと、こう考えております。沖縄意思国会に反映させてこそ真の一体化であり、成果期待できると信じております。ゆえに、一体化国政参加実現から始めるべきであると存じます。幸いに本委員会皆さまにはかねてより御理解を寄せておられると承り、大いに期待いたしております。どうぞ沖縄県民意思国政に反映させる上から沖縄代表国政参加実現について格別の御配慮を賜わりたいと存じます。  これで、施政権返還B5爆撃機撤去及び国政参加に関する立法院三つ決議について趣旨を説明いたしました。  日本は戦後奇跡的といわれる復興をなし遂げ、世界有数先進工業国発展したといわれています。しかし、日本の戦後は終わっていません。佐藤首相は先年沖縄を訪問されたとき、「沖縄祖国復帰実現しない限りわが国にとって日本の戦後は終わっていない」と名言を残されました。まさにそのとおりであります。それゆえに日本の戦後は終わっておりませんので、沖縄問題特別委員会皆さまの果たすべき役割りはきわめて大きくかつ重要であります。百万沖縄県民のためにも、また日本国民にとっても、皆さまの責務はきわめて重大であります。何とぞ日米間に横たわる沖縄問題解決のために、言いかえますれば、日本の戦後処理のために百万沖縄同胞期待にこたえていただきたいと心から要請いたしまして私の参考意見を終わります。  ありがとうございました。
  7. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 次に大田参考人にお願いいたします。
  8. 大田昌知

    参考人大田昌知君) ただいま御指名いただきました大田でございます。  ただいま山川議長から御説明申し上げました三件につきまして、ふえんいたしまして御説明申し上げたいと思います。よろしく御審議をお願いいたします。  まず施政権返還要請についてでございますが、私たち沖縄百万県民最大願望は、沖縄施政権日本返還され、真の主権国民としての権利義務を行使できる健全な日本国民に立ち返るということでございます。私たちは昨年の十一月、佐藤総理が訪米されるその際に、本土政府並びに各党にお伺いしてお願いしたわけでございます。  それは、まず第一に、施政権返還の時期を明確にしていただきたい。第二に、施政権返還全面返還であり、沖縄が他の府県と異なる特殊の負担や制約を受けるものであってはならない。第三に、施政権返還に際しては新たな条件が付されることがないように願いたい。この三つ基本線に立って、対米折衝にあたり、国家の名誉と佐藤総理政治生命にかけて沖縄施政権返還実現するよう強く要請いたしたのであります。そうして、その成果を大きく期待しておったのでございますけれども、その結果が、私たち沖縄の者にとって、要請したその施政権返還の時期が明示されなかったということについて大きな不満と失望を持っているわけでございます。  先ほど議長からも御説明申し上げましたように、沖縄現状は、御承知のように、日米政府並びに本土国民の御援助がありまして、急テンポで経済面発展してきております。また社会環境におきましても近代化してきているわけでございますが、しかし、真に国民政治を、国民のために、国民みずから行なうという、この民主国家国民に保障されている基本権利を制約されている中で、長年にわたる行政分離によって生じたひずみが年を追うて大きくなっているのであります。そうして祖国への復帰めどがつかないために、われわれ沖縄県民はそこにしっかりしたビジョンを持てない焦燥感でこの二十三年間過ごしてきているわけでございます。これに引きかえまして、祖国日本近代文化国家への発展が目ざましく、特に経済面においては世界第三位か第四位といわれるところまで高度な成長を遂げました。一大先進工業国としての発展を遂げてきておられるわけでございます。この状態をつくり出した要因と申しますと、民主憲法下の自由な諸制度のもとで国民全体が創造力を十分に発揮して努力を重ねてきたおかげによることも大きな要因となっておるとわれわれは確信しておるのでございますが、しかしそれと同時に、日米安全保障体制がここに確立されまして、国の安全保障の方途が講ぜられたことにまた大きな要因がある、こういうことを本土国会におきましても、また政府の責任ある人たちがたびたび表明しておるわけでございます。本土のこうした経済的発展、また近代国家としての、独立国家としての発展につきましては、われわれ心から喜びを表明し、将来の発展も大きく期待するわけでございますけれども、しかし、何と申しましても、独立国の一部である沖縄、そして独立国民である、主権国民の一部である沖縄にいろいろなしわ寄せがあっては、真の独立した社会ということがここに確立はできないんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。先ほど議長から申し上げましたように、佐藤総理が先年沖縄を訪問された際、「沖縄復帰なくしては日本の戦後処理は終わらない」と表明されました。まさしくこのおことばもこの状態を表明されておると私は思っておるわけでございます。  今次の日米会談成果につきましてはいろいろ評価がございますけれども、私たち返還の時期が明確にされなかったことについてはたいへん不満を持っておるわけでございます。しかしながら、日米両国政府が両三年のうちに返還の時期につき合意すべきであるとの佐藤総理主張をもとにいたしまして討議が続けられ、将来、日米政府が、沖縄施政権日本返還するとの方針のもとに、沖縄地位について共同かつ継続的にこれから討議をなされる。その間、復帰までの間に、本土との一体化を進めて、そして沖縄社会福祉並びに経済の向上をはかって、復帰の際の混乱を可能な限り排除しようとする、この一体化策が進められるということにつきまして、すでに諮問委員会の設置がきまって、いよいよこれが発足されることになり、その一体化策が強力に進められるということについては、われわれ大きく期待をしておるわけでございますけれども、しかし、何と申しましても、その復帰めどがなくしてはこの一体化策の具体的な計画もまた執行も、ややもすれば抽象的になりはしないか、こういうふうに思うわけでございます。そういう立場からいたしましても、この復帰めどは必ず早期に明確にしていただきたい、こういうふうにお願い申し上げる次第でございます。  国政参加の問題につきまして、一言ふえんいたします。何と申しましても、私たち最大願望は、本土復帰する、祖国復帰するということでございます。施政権返還され、復帰しますと、何もわれわれの基本的問題はそこに介在せず、すべて解消することとわれわれは思うのでございますけれども、しかし、現段階におきましては、復帰は近き将来実現するという一つめどはあるにしても、まだまだその期間が残されておるわけでございます。その復帰がたとえすみやかに行なわれないにいたしましても、私たちは、可能な限り国民との一体化をここに具現いたしまして、可能な限り国民としての基本権を回復し、実質的復帰体制実現することが当面の大きな願望であるわけでございます。これが本土政府としても当然とっていただける処置だと、こういうふうに考えるわけでございますが、その最大要求はやはり国政への参加でございます。日本国憲法は、主権国民に存すること、また、国政国民の厳粛な信託によるものであること、国政の権威は国民に由来し、その権力は国民代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受するという統治の基本原理を宣言しておるのでございます。この基本原理の上に立ちましても、われわれ沖縄県民日本国民である以上、沖縄県民もまた日本主権者の一部として当然国政参加する基本的権利があり義務があると、われわれはこう確信しておるわけでございます。しかし、施政権アメリカにあるがために、日本憲法並びにその他の諸法沖縄に及ばない、そして憲法の保護が沖縄には及ばないということからいたしまして、施政権が排他的に沖縄を管轄しているという理由からいたしまして参政権沖縄県民には与えられず、正式メンバーとして国政に参画することが困難視されている向きがあるわけでございますけれども、しかし私たちといたしましては、沖縄県というこの日本国固有の地方自治体がそのまま残っておる、そしてわれわれは、あくまでも沖縄県民日本国民の一部であるというそういう立場からいたしまして、この憲法以下の諸法は原則的に沖縄にも及ぶのだというふうに、こう考えておるわけでございます。まあ、施政権分離ということでそこに一つの適用がはばまれているにいたしましても、それは絶対的ではない、それはあくまでも施政権者本土政府が十分に話し合って、そこに同意を取りつけることによってこれが実現可能だというふうに確信しておるわけであります。いまの施政権返還につきましても、日米双方理解と信頼を基調とする外交取りきめによってこれが解決するのだという主張がありますように、この施政権返還につきましても、両国合意ということが前提になりましてこれは可能であると私たちはこう信じて訴えておるわけでございます。それと同時に、われわれが思い起こすのもたいへん悲しいことでございますけれども、対日平和条約を締結しましたその当時、その対日平和条約によってわれわれがこの悲しい立場に置かれたその当時においても、沖縄住民意思というものが一つも反映されずに沖縄運命というものが決定された。こういうことを考えますと、われわれはたいへんここに大きな不満を抱くわけであります。いま共同声明を受けてそして一体化が進められ、そして近き将来復帰するであろうという一つの目標に向かって両国はここに沖縄地位について討議を進められるというこの重要な時期、いわゆる沖縄にとっては沖縄の将来の運命を決する重大な時期であるとわれわれは受けておるわけでございます。こういった時期に沖縄現地のわれわれの意思が反映しない、要するに、沖縄県民不在国政がここに策定されるということについては、われわれはいささかこれに承服するわけにはいかない気持ちであるわけであります。そういう立場からいたしましても、どうしても国政参加し、たとえそれが法的にあらゆる問題、客観的にむずかしい問題があるにしても、この発言の場を与えていただくように御配慮いただきたい、こういうふうにお願い申し上げる次第でございます。  B5爆撃機の問題につきましては、先ほど議長からるる御説明申し上げましたが、沖縄実情を御視察された方々はよく御承知かと思います。この沖縄軍事基地アメリカの東洋における重要な軍事基地であって、そして日本極東の安全のためにたいへん重要な役割りを果たしておるということはわれわれもこれは理解できる点もあるわけでございますけれども、しかし、それに引きかえまして、現地沖縄におきましては、国民基本権が抑圧されておるのみならず、軍事基地があるために、絶えず軍用土地の問題とか、または黙認耕作地の撤収問題、または対軍人関係の問題などが次々と惹起されまして、それに悩まされ通しで、まあ住民としては心の休まる日がないといったのが実情であります。最近に至りまして、軍基地からまたガソリンが流失してそうして多くの損害を与えるとか、また、飲料水農作物等にも相当の被害を与えております。こういった背景もありまして、それに加えて、最近北朝鮮の緊張、またエンタープライズ号の出動、またベトナム緊張、こういった国際情勢緊張が、かてて加えて沖縄住民の不安をかき立てておるわけであります。そこで二月五日に、アメリカ核攻撃力主力といわれるB52が十数機嘉手納基地に飛来し、そうして作戦行動に移っておるという状態であります。またこれと同時に、西太平洋にアメリカは従来の五十機から七十五機にB52の配置を増強しその十五機は沖縄にすでに到着したというような、こういう報道もありまして、いよいよ沖縄といたしましては、このB52の駐留基地、さらにベトナム戦争または朝鮮での緊張に備えての基地化するのではないかという一つ恐怖にとらわれてきたわけであります。そういう背景に立ちまして、われわれといたしましてはどうしても、核装備のできるといわれているこのB52を沖縄から早目に撤去してもらいたいということを強く訴えたい、こういうふうに考えております。さらに、この核の問題につきまして、本土におきましては、核を製造しない、核を持たない、核を持ち込まないというこの核禁止三原則を掲げて、この軍事的目的のための核の保有を禁止しようという政策に出ておるわけでございます。またさらに国際的には、核拡散防止条約を締結して核の新たな保有を押え、核軍縮を行なうことによって、やがては核兵器が人類社会からなくなるように努力している、こういう時点に立たされている。こういうことがらして、沖縄B52が駐留するということによって、この核に対する恐怖がひしひしと身に迫るものを感ずるわけでございます。そういうことで、たとえ沖縄アメリカの自由使用基地であるにしても、やはりここで核兵器を装備するこのB52が常駐してそうして作戦行動に移るという体制にあるということは、われわれとしてはがまんができない。まあ、それは先ほど議長から申し上ましたように、われわれ沖縄県民ほどこの大東亜戦争の悲惨な目を見たものはいないと思うわけであります。それであるだけに、われわれは、この世界から、もう二度と戦争というこの罪悪はなくしたい、こういうふうなことを念願し、そうして訴えてきておる沖縄県民であるだけに、こういった状態に置かれるということはたいへん耐えがたいことであるわけであります。ここで申し上げますことは、沖縄県民国民でありそうして沖縄日本国の一部である、だから、日本の考えておる政策はすべて沖縄も同様にこれが取り扱われるように、そうして沖縄の安全と保護については政府が責任を持って、国会が責任を持って配慮していただきますよう心からお願い申し上げる次第でございます。  以上ふえんいたします。
  9. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 次に知花参考人にお願いいたします。
  10. 知花英夫

    参考人知花英夫君) 参考人知花英夫でございます。  委員長、ちょっと休憩お願いいたします。
  11. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止〕
  12. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記始めて。
  13. 知花英夫

    参考人知花英夫君) われわれが要請に持ってまいりました三件はいずれも重要な問題でございまして、施政権返還の問題は沖縄の基本的問題でございます。国政参加の問題は国民としての当然の権利獲得の問題でございます。そうしてB52の撤収の問題は、これはいま沖縄に振りかかっているところの最も緊迫したところの問題でございます。  それで本員は、参考人は、まずB52の撤収の問題から先に取り上げていきたいと思うのでございます。  御承知のとおりに、B52が核兵器の三Bと申されまして、そうして万人から非常にこわがられているものでございます。これが去る五日、沖縄嘉手納基地に約十五機——  これは報道によって明らかでございますが——駐留いたしまして、連日県民の目の前で作戦行動を展開しておるような状況でございます。核に対する恐怖と不安というものは、これは万人みな同じであろうと思うのでございます。佐藤総理が非核三原則を打ち出されましたのも、また、かつてソ連がキューバに核を持ち込んだときに米国人があれだけ大騒ぎをしたのも、やはり核に対する不安と恐怖からだと思うのでございます。沖縄県民が現実の問題として強度の不安と恐怖にかられておりますのも、このB52の性格、性能からでございまして、われわれは、立法院におきまして全会一致をもってB52の即時撤収を強く要請いたしておる次第でございます。アメリカベトナム戦争には核は使用しないと言っておるということでございます。これは、昨日まで政府方々にお願いをいたしましたときにいろいろと政府方々から申されたことでございます。ところが、そのような論議ではわれわれ沖縄代表団といたしましては不安が解消されないのでございます。現に沖縄には核があるわけでございます。いつでもB52は搭載することができるわけでございます。また、B52の行動はひとりベトナム爆撃だけであるとは何ぴとも断言できないことであると思うのでございます。哨戒飛行もあるはずでございます。B52の駐留は抑止のためだということでありまするならば、なおさらわれわれはB52から核を分離しては考えられない、このように考えるわけでございます。B52の事故墜落がないということも断言できないのであります。すでに事実といたしましては、グリーンランドやスペインその他にその例があることは御承知のとおりであります。B52が毎日県民の頭上を飛んでいる沖縄の状況でありまして、何ぴとも不安と恐怖に追い込まれることは、これは当然のことであろうと思うのであります。たとえ総理大臣であられようとも、このような状況に置かれましたときには、いまのようなお考えでは済まされぬと、私たちはこのように思うわけでございます。総理大臣の、「住民の不安や恐怖をかき立てないでくれ」とのわれわれに対するおことばでございましたけれども、われわれとしては実に心外なおことばであったとしか考えておりません。県民は、B52の駐留によりまして戦争に巻き込まれはしないかというふうな不安にかられております。それには次のような要素がございます。ベトナム戦争があのように激化してまいりました。朝鮮半島はあのように緊張を続けております。アメリカのアジア戦略の拠点として沖縄基地の自由使用が非常に強化されております。なお、このように、沖縄をめぐる客観情勢とB52を中心としたところの航空機の作戦行動は日増しに激増の一途をたどっておるわけでございます。なおまた、基地の状況といたしましては、兵員の移動あるいは爆弾や軍需物資の輸送が非常にひんぱんに行なわれておるというような状況でございます。なお、基地周辺におきましては、従来と異なりまして、軍用犬を引っぱって武装兵が立哨いたしております。MPの。パトロールが非常にひんぱんに行なわれており、非常に厳重な警戒が行なわれておるような状況でございます。なお、新聞等の報道によりますると、パイロットは、投宿するのに。パイロット服を着たまま投宿して、いつでも出動できるような態勢にある。なおまた、基地内におきましては避難訓練が実施されておるということが、マスコミの報道によって明らかでありまして、県民はこのような状況下に置かれまして、そして飛行機による爆音やあるいは弾薬輸送、これは主として夜間行なわれておりますが、このような騒音によりまして、安眠が妨害され、そしてそれを目撃しながら、不安と怒りの絶頂に達し、そして夜を明かすような現状でございます。全く戦場同様だと県民は言っております。この極度の不安にかられておりまして、特に沖縄県民戦争の悲惨を身をもって知らされておるのでございまして、なおさらその不安を感じておるような状況でございます。三木外務大臣にお会いいたしましたときに、大臣はわれわれに対しまして、B52の問題については三つの側面がある。一つ条約上から、二つは軍事上から、三つ政治上からである。すなわち、沖縄アメリカ施政権下にあるので自由に使用する権利がある。沖縄軍事日本及び極東安全保障役割りを果たしている。したがって、B52を撤収せよとは言えない。それで、政治面から基地を有効に使用するために住民理解と協力が必要だということを言われた。そして、米国はB52を沖縄に常駐しないと言っているから、撤収せよとは申し入れないというおことばでございましたけれども、実に、この問題につきましてわれわれは一時間二十分にわたりますいろいろと大臣とのやりとりの中に、沖縄のこの切実な実情を強く訴えまして、その再度の折衝を強く要請いたした次第でございます。昨日外務大臣とのお話におきましては、まことに残念でございましたけれども、われわれは十分な理解を得ることができなかったのでございます。施政権をまかしてあるからという理由で自国民を不安と恐怖の中に置いていいということであるのかということをわれわれは反問せざるを得ないのであります。外務省の局長から大使館に申し入れられたと言っておられますが、現地では事態はますます悪化の傾向をたどっているわけでございます。現地の不安と恐怖の除去はB52の撤収以外にはないとわれわれは考えております。これはすでに事実が証明いたしておりまして、米国が経験しているあのキューバの問題も、核を撤収してこそ米国民は平静に戻っておるような状況でございます。また、米国が沖縄戦略基地を持ち作戦行為をする根拠は一体どこにあるのか。戦略基地として保持するのであるならば、国連にはそのルールがあるはずでございます。しかし、それが現在なされておらないのは御承知のとおりであります。また、それができるはずはないと思うのでございます。明らかに違法行為をし、不法不当の沖縄支配をしておるものだとわれわれは考えております。また、これを佐藤政府は許しておられるということでありますならば、まことにわれわれ県民といたしましては残念であり、理解に苦しむ次第でございます。すでに一ヵ月にならんとしております。ベトナム戦争が終わるまでとか、あるいは北鮮の緊張がなくなったら引き揚げる、だから常駐はしないというようなことであると聞いておりますが、それが政府のお考え方の、常駐はしないということであるとするならば、沖縄県民の緊迫感を、切実感を、そうして深刻な不安と恐怖を十分に理解しておられないものであると私たちは受け取らざるを得ないのでございます。外務大臣は、われわれとの話し合いで、二十六日アメリカから通告があったことを言っておられました。これでわれわれは、結局、政府合意の上でこれがなされておるということがわかり、撤収を要求しないという理由がここでわれわれにつかめたわけでございます。このようなことでありますことに対しましては、まことに現地代表といたしまして、残念でならない次第でございます。B52の駐留は決して偶然とは私たちは考えておりません。昨年末、B52が自由に発着できるところの滑走路が嘉手納飛行場に整備されました。そうしてベトナム戦は御承知のとおりあのような状態を続けております。グアムからのべトナムヘの出撃は四時間かかるといわれております。沖縄からの出撃は二時間で済むといわれております。このような状況からいたしましたときに、あのようなベトナム戦争の遂行は沖縄基地を使用したことによってアメリカにいかに有利であるかということもこれで明らかになろうかと思うことでございます。  なおまた、共同声明の中にベトナムあるいは中共に対する政策の支持があらわれております。このようなことから、沖縄基地がバイタル・ロールであるという表現をいたして声明せられておることも、私たちは決して無縁ではないと考えておるわけでございます。  私たちは、ここで十分考えていただきたいと思いますのは、佐藤・ジョンソン会談——第一回の会議、六五年でございました——あの後に沖縄におきましてどのようなことが起こったか。いままでベトナムに対しての基地としての活動はあまりなかったのでございますけれども、その直後から第一線補給基地として活発な動きを見せ、重要な基地としての役割りを果たしておるようになったことでございます。このために、第二回の会談の結果は、申し上げておりますように、B52が沖縄駐留するという結果になった。このような事実は、われわれは、総理が国民の——われわれ国民のいわゆる総理であるというようにわれわれは非常にたよりにいたしております。ところが、その会談された結果は、御承知のとおりの、沖縄基地戦争へと結びつけられる結果をたどっておるということは、これは先生方も決してお見のがしにならないようにお願いを申し上げる次第でございます。また、このような結果は決して沖縄だけじゃなくして、沖縄基地から関係いたしまして、本土の安全のためにも対岸の火事祝するわけにはいかないようになっておるものと私たちは考えておるわけでございます。私はここで特に申し添えておきたいと思いますことは、沖縄県民日本国民の一人として無差別に考えていただきたい。と申しますことは、核三原則を佐藤総理は打ち出されておりますけれども、残念ながら、われわれがお聞きするところによりますと、これは沖縄が除外されておるというようなことも承り、まことに残念でなりません。  さらにまた、共同声明の冒頭に、「日米両国が、個人の尊厳と自由という民主主義の諸原則を指針として、世界の平和と繁栄をもたらすため、緊密の協力をする」と言っておられるわけでございます。沖縄を異民族の支配に置き、軍事優先的な政策によりまして個人の尊厳や自由は侵害せられ、そして民主主義の諸原則に反するところの施政が現在行なわれておるような状況でございます。そして、いま申し上げましたような戦争に対する不安、恐怖の中にわれわれは生活をさせられておるような現状でございます。たいへん失礼な申し方かと思いますけれども、私はこれを考えましたときに、冒頭のこの基調に照らしまして沖縄実情を見ましたときに、まことに羊頭狗肉の施政ではないかと申し上げたいくらいでございます。それで、私は重ねて申し上げますが、どうぞ沖縄日本の一県として、ことばだけじゃなくして、実践面におきましてもそのように取り扱って、無差別にやっていただきたいと特に御要望を申し上げる次第でございます。  最後に、政府はそういったようなお考え方に立たれまして、どうぞ沖縄の緊迫化したところのこの情勢、これは単に施政権の問題といったようなゆうちょうな問題ではないと思うのでございます。何とか沖縄県民のこの不安を、政治の要諦は県民の不安を払うということにしかないと思うのでございますので、どうしてもこのわれわれの不安を一掃していただきますように、そのためにわれわれの要請いたしておりますB52を撤収いたしていただきますように特にお願いを申し上げる次第でございます。  国政参加の問題につきましては、さっき代表の団長が申しましたように、あくまでもわれわれは国民の当然の権利を付与してもらいたい。そして、これは国会のお仕事であると考えております。また、二十余年の今日、主席の公選を許した今日、アメリカは決して了解しないとは考えておりません。それで、これも決してほかと差別のあるようなものじゃなくして、これこそ無差別な方法でやっていただきたいと、このようにお願いを申し上げる次第でございます。  それから施政権返還の問題につきましては、これはいま団長から言われましたように、要請一つになっております。ところが、先生方もまたいろいろと問題につきましても関係があろうと思いますので、実情を申し上げておいたほうがよろしいかと思いまして、少しくふえんをいたしたいと思いますが、施政権返還の問題につきましては、最も重要な問題でございまして、われわれ立法院におきましては、あくまでも全会一致をもってこれを要請していく、これこそ、政策ではなくしてむしろ民族の問題として取り上げていかなければならぬ、このように考えてまいったのでございますけれども、そのような考え方に立ちましてそのように努力をいたしてまいったんでございますけれども、残念ながら、この問題が佐藤・ジョンソン共同声明を中心といたしましてこれが持たれたために、残念ながら全会一致を見ることができず、野党はいまの決議案に賛成することができないで退場いたしまして、自民党だけによる全会一致になっているということを申し添えておきたいと思うのでございます。内容につきましてのことは、時間も足らないようでございますので、申し上げることはあとの参考人のほうからいろいろと質問にお答えしたいと考えておりますが、どうぞ、いま申し上げました三つの点につきましては先生方の十分なる御検討をしていただきまして、このいずれもすみやかなる明るい解決をしていただきますように切にお願いを申し上げまして参考人の陳述といたしたいと思うのでございます。たいへん失礼いたしました。
  14. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまの参考人の御意見に対し質疑のある方は、順次御発言願います。
  15. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 ただいま琉球政府立法院代表なされ、日本に対する沖縄県民国政参加に関する要請その他の要請と、それについて切々たる御説明を承りまして、私どもは御趣旨の存するところを十分に理解いたしまして、また同時に、私どもの特別委員会としての責務の重大さにつきまして、あらためて感ずるところが深いわけでございます。私どもは、今後これらの御要請の精神を尊重いたしまして、これらの問題の解決努力、善処する考えを持っておることをここに申し上げたいと思います。しかし、これが実践の前途にはなお多くの努力と協力並びに相当の時間が必要である場合があるかもしれぬと存ずるのであります。  以上のような情勢を踏んまえまして、本日は時間的の制限もございますので、私は一、二の点につきまして、意を尽くしませんが、簡単に御質問を申し上げたいと思うのであります。  第一点は、国政参加要請についてでございますが、この要請決議にございますように、日本国憲法沖縄に適用され、日本国政参加するのは当然の権利であるというところの県民のお気持ちは了といたしますが、現状において、この問題はいろいろと検討すべき問題が存すると思うのであります。そこで、この考えの以外におきまして、国政参加というような趣旨に基づきまして沖縄県民希望を満たし得る現実的にして、しかも有効な問題はどういうものであるかということについていろいろとお考えになっていると存じますので、それについてのお考えを承りたい、こう考えるのであります。  時間の関係がございますので、次の御質問も一緒にいたしたいと、こう思います。第二は、施政権返還についてでございますが、ただいまの御説明その他要請決議によりますと、施政権返還の準備のために、返還時期が不明ではいろいろ差しつかえがあり非能率であるということから、この時期の明示を早くやるように、こういう御要請でございます。この時期の明示をすみやかにするということの望ましいということは言うまでもございません。また、それに努力する必要も明瞭でありますが、明示をされておらぬ現実のこの姿におきまして、経済的、社会的福祉増進、制度の一体化返還時における摩擦を最小限にする等のいろいろ準備すべき事項、または準備のできる事項があると私は考えるのでございます。そこで立法院といたしまして現在考えておられる具体的のものはどんなものであるかというところのお示しをいただきたい、こう思うのであります。  第三には、B52の問題でございますが、この御要請に基づきまして、日本政府はすでにアメリカ政府に対しまして県民意思を伝えまして、また日本政府としての希望を開陳しておると承っております。また、二月の二十六日の国会においてもこの問題について政府は説明をいたしております。したがって、私はここにこの問題について触れることを省略をいたしたいと、こう考えるのであります。  そこで総括的な所見といたしまして、沖縄にあるアメリカ基地をどうするか、いわゆる処理の問題、並びに今回要請されました諸事項等の解決のためには、私は県民の御意見が一致することはもとよりむずかしい問題ではあると思いますけれども、これが問題をすみやかに解決をし、また解決の結果が希望に沿われるためには、県民のお考えをできる限り一致をさすようにはかっていかれることは重要な問題の一つであろうと、こう考えておる次第でございます。この点につきまして立法院の御考慮、御善処を特にお願いいたします。これはお答えをいただくつもりはございませんが、以上の点をもちまして私の質問を終わりたいと思います。
  16. 大田昌知

    参考人大田昌知君) ただいまの山本先生の御質問にお答え申し上げます。  まず、国政参加の問題でございますけれども、われわれ院といたしましては、当然沖縄県民が保有すべき基本権実現してもらいたい、これが最大願望であるわけでございます。しかし、国といたしましては、これの取りきめが単に国だけの立場でできないということもわれわれは承知しております。また、アメリカ施政権者との話し合いということが必要であるということも理解しております。そういう立場からいたしまして、この問題が簡単に解決されるとは思っておりません。そこで、本土政府並びに国会といたしましては、可能な限りこのわれわれの要望が実現できる方向に御検討していただきたい、それだけしか申し上げられません。  それから施政権返還についてでございますが、先ほども知花参考人からお話を申し上げたように、多少の見解の相違はあるわけでございます。われわれは、共同声明の示している両三年にめどがつくということを一つの基準点として沖縄復帰体制を整えることに全力をあげたいと、こういうふうに考えております。これは沖縄の日刊新聞の世論調査の結果でございますけれども、三年以内が二八・九%、三年から五年が三〇・七%ということになっております。やはり三年から五年の間の準備期間というものは、沖縄があまりにもひずみが大きい。これは経済社会、あらゆる面でひずみが大きいし、また、整えなければならない基礎問題がある。そういうことは、奄美の復帰といった前例からいたしましても、沖縄としては万全の策をとって、そしてすみやかな時期に復帰したいという気持ちがあらわれているのじゃないかと思いまして、まあ、われわれといたしましては、この両三年に復帰めどがつくということをめどにいたしまして、この復帰体制を準備していく所存であります。  以上でございます。
  17. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私どもの属する社会党といたしましては、この琉球立法院決議、これは沖縄県民の要望を、代表するものとして高く評価し、また同意をし、支持をしたいと思うのでございます。しかし、この決議につきましてなお立法院の各党のの間にいろいろ意見の違いもあるやに聞いております。先ほど知花参考人のほうから、施政権返還決議につきましては野党はこれに参加しなかったということを言われておりましたが、そういうふうに意見の違っておるものもございます。また、決議には満場一致の賛成が得られましても、それぞれ違った根拠から賛成された面もあろうかと思うのであります。  ただいままで議長が全体を代表して意見を述べられ、自民党、社会大衆党のほうからも意見を述べられましたが、社会党、人民党及び無所属の方もおいでになっておりますので、それぞれの党の考え方——これは共通点は別といたしまして——それぞれの党の独自の見解の点について御意見を伺わしていただきたいと思うのであります。  それに先立ちまして、まず昨日皆さん方と佐藤総理との会見におきまして起こりましたことについてお伺いをしたいのでございます。  それは何かと申しますと、本日の各新聞紙は、この会見の際に起こりましたできごとを伝えておるのでございます。  それは、古堅議員のほうから総理に対しまして一つの抗議がなされましたのについて総理は、抗議をするような人とは会う必要はない、帰ってもらいたいというようなことを言ったと伝えておるのでございます。もしこれが事実だとするならば、これは私は重大な問題であろうと思うのであります。皆さん方は沖縄県民意思代表して来られておる方々でございます。そして、満場一致の決議を持ってこられたにいたしましても、それぞれの見解の違いはあるわけでございまして、それを述べられたのに対しまして、一国の総理ともあろうものがそういうことを言ったといたしますならば、これは皆さん方に対する侮辱であり、同時に、沖縄県民に対する侮辱であると言わなければならぬのであります。私はこの点について、その会見の際に総理からそういうことばを受けた古堅議員からまずその実情をお伺いしたい。その後において各党の方々の御意見を伺い、さらに若干の質問を続けたいと存ずるのであります。
  18. 古堅実吉

    参考人古堅実吉君) ただいま岡田委員から御質問がありました昨日の佐藤総理との会見の模様について特に私のほうに指名がございますので、私のほうから、その部分を中心とした模様をお答えしたいと思います。  きのう六時から七時ごろまで約一時間、立法院代表佐藤総理と会見いたしました。主として先ほど来、山川大田知花参考人から述べられましたような趣旨について話している途中、特にB52の問題に関しまして、私たちは一昨旦三木外務大臣ともお会いしましていろいろ話してありましたこととの関連において話がかわされまして、三木外相からも、B52が沖縄に移駐されたからといって戦争が起こることはない、不安はないのだ、あなた方は沖縄へ帰って不安を抱かないように県民を説得すべきだということを言われましたので、三木外相に対しても私は、重大な発言なんで厳重に抗議するということをきつく一昨日も申しました。佐藤総理から再び同じようなことを私たちが聞かされるとはゆめにも思っていませんでしたけれども、同じようなことが佐藤総理の口からも出ました。私はこれに対して、私たちは、現実に沖縄アメリカのあのようなB52をはじめとする核基地がある、その核基地を中心として作戦が展開されているという現実の中から体験として戦争に対する不安感、脅威感というものをひしひしと感じ、立法院において全会一致の決議をもってこのように要請に上がった、それに対して、沖縄へ帰って不安がないとみんなで説得しろということはとうていできるはずはない、われわれにはできない、佐藤総理ならそういうことをやる自信があるのかということを私はお聞きしました。佐藤総理はそれに対して、自信があるということをおっしゃいました。私は重ねて、それでは佐藤総理沖縄へいらっしゃって佐藤総理みずからが説得してみたらどうかということを申し上げました。佐藤総理は、いまは行くつもりはないということをおっしゃいました。そういう話の後に、私は三木外相に対して抗議をしたと同じ立場から、沖縄県民の名において、ただいまの沖縄へ帰って説得しなさいということに対して厳重に抗議するということをきつく申し上げました。それに対して佐藤総理はいすにかけたまま、抗議に来たのか、出ていけということをおっしゃいまして、その後も引き続き、ただいまの発言を取り消せということを言いました。私は、絶対取り消さないということを強く言いました。それに対して佐藤総理は席を立って五、六歩歩いてこられて私を指さし、私のところにまっすぐ歩いてこられる中で、抗議に来たのか、出ていけということを重ねて言いながら私のところに歩んでこられたわけであります。私はじっとすわっておりましたけれども、官房長官が佐藤総理の肩をとるようにして席につかせられるということがありました。  大体簡略に申し上げてこのようなことでございますけれども、ついでにこれに対する意見を少しばかり申し上げますというと、岡田委員のほうから御発言がありましたように、私たちに対する重大な侮辱であるし、沖縄県民に対する許しがたい侮辱だと思います。戦後二十三年、私たちアメリカ帝国主義の野蛮な支配のもとに苦しめられてまいりました。これは占領支配を通じて私たちの体験として申し上げられる否定することのできない現実でございます。しかも、一九五一年に結ばれた対日平和条約においては、時の吉田総理のもとにおいて現在の佐藤総理はあの平和条約が結ばれたいきさつについて最もよく知っているところの政治家であります。この佐藤総理が一九六五年八月十九日沖縄にいらっしゃいました。その中で、先ほど他の参考人から引用がありましたように、沖縄祖国復帰なしに日本の戦後は終わらないというきれいごとをおっしゃいました。しかしながら、沖縄から追い返されるように帰ってきた佐藤総理は、九月七日第二回沖縄問題閣僚協議会を開いて、その中で、沖縄の法的地位に関する政府の統一見解をまとめ、それについては新聞の報道にも出され、私たち承知しております。それによりますというと、日本は平和条約第三条を締結したことによって沖縄に対する領土主権を放棄したのだという見解が示されております。まさしく領土を売り渡す売国的な政策であります。私たちはそのような政策に甘んずることはできないし、日本国民の名においてもそれを糾弾しなくちゃいけないと思います。そういう立場からアメリカに向かって沖縄を返せということを言うならともかく、このように、国民主権を回復する、日本の独立を回復する、アジアに戦争をなくし、平和を打ち立てるという立場から来ているわれわれに対して出ていけと言うのは何事か。私たちはこのような立場から怒りを込めてここで皆さんに申し上げたい。国会においても、この問題について重大な問題として取り上げ、追及していただきたいということを要望いたします。
  19. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ただいまお伺いいたしましたことについて、私どももこれを非常に重大視をしております。本来なら、本日この委員会佐藤総理出席をしていただきましてただしたいのでございますけれども、今日の委員会でそれをするということはかないません。本日衆議院において予算委員会が開かれております。この予算委員会において社会党の川崎寛治君がこの問題を取り上げて佐藤総理を追及することになるでありましょう。そこで私は、これに関連する問題について崎浜君にお伺いしたいのでございますが、総理は、このB52についての沖縄県民の不安のあることはわかるが、その不安をかき立てるようなことをしてもらっては困る、こういうことを言われておったわけです。しかし、不安のあることはこれは現実なんです。かき立てる、かき立てないの問題じゃな思う。この不安をなくすることが私は日本国政府代表としての佐藤総理の任務である。それを、いま申し上げましたように、不安をかき立ててもらっては困る、あなた方がその不安のないように沖縄県民を説得しろと言うことは、これは大末転倒もはなはだしいと思うのであります。一体この不安がかき立てられて起こったものであるか、また、あなた方が、今日佐藤総理のそのことばによってこの不安を押えるために、B52の存在、沖縄駐留することに対してこれを承認せよということであなた方は説得できることであるかどうか、その点を崎浜君にお伺いしたいと思うのでございます。
  20. 崎浜盛永

    参考人崎浜盛永君) ただいまの岡田委員の御質問は、沖縄県民がこのB52にどのような不安を持っておるか、しかも、それがつくられた不安であるかというような意味を含めての御質問のようだと承っております。決してこれは私たちが意図して不安をかき立てたものではございません。B52が飛来しました二月五日、まっ先にこの問題に対しまして強く不安を表明しましたのは嘉手納村民でございます。目の前の基地B52が来まして、しかも、毎日数回にわたって飛び立ち、明らかにベトナムその他の地域へ爆撃に行っておるという状況を目の前に見せられて不安を伴わない人はいないと思います。このような県民の不安を率直に受けまして私たちはこれを立法院で取り上げ、全会一致の議決をもって本土政府要請に上がったわけでございます。しかも、私たちがこの要請決議を持ってくるまでには、沖縄嘉手納村、北谷村その他多くの市町村議会におきましてもB52の即時撤去要求する決議がなされております。また、きのうの県民大会までに三回もの抗議大会が持たれております。そして、やはり沖縄県民代表するところの民主団体を中心とする方々日本政府国会にその撤去要請するためにやってくる状態となっております。このように、沖縄状態というものは、B52という核爆撃機の飛来によって、駐留によって大きな不安をかき立てられております。しかしながら、この不安というものは、単にB52が来たというだけのものではないと思います。今日まで二十三年間の間に多くの飛行機が沖縄において落ちて人命を損傷しております。これと同じようなことがないということは、このB52についても、こういうような核爆弾を搭載するところの飛行機が落ちないという保障はないわけであります。そういう面も非常に不安である。しかもこのB52の駐留に対しまして、アメリカは決して臨時的に沖縄へ来たものだというふうには私たちは考えておりません。去った一九六五年、B52が三十機飛来いたしました。暴風雨のための待避だということでやってきました。そして、それが嘉手納基地に来まして、そこからベトナム攻撃に参りました。そのときも私たちは同様な抗議決議をやってまいました。そのときの試験的飛来によりまして、B52が十分に発進できるように嘉手納飛行場は去年までにつくりかえられております。滑走路の拡大その他基地の整備がなされそれが完成して、沖縄に今度常駐体制で来ているということは間違いない事実だと思います。日本政府は、決して常駐ではない、アメリカから通告が来ているのでだいじょうぶだというふうに三木外相も私たちに答えております。しかしながら、じゃあ、いつまでおるのだということに対しては、ベトナム戦争の激化がなくなるまでではないだろうかというような意に解される御返事もいただいております。はたしてベトナム戦争はいつ終わるのか、ベトナム戦争が終わるまで沖縄B52が駐留することが常駐でないとする考え方には私たちは同意できないわけでございます。  さらにふえんしますというと、さきに知花委員から復帰決議につきまして、意見を異にした私たち野党が参加しなくて与党のみの決議になったということを申し述べたわけでございますが、いわゆる中共をアメリカ日本の敵性国とするということに同意して、アメリカベトナム戦争を支持するという立場を確認し合って、その上に立って沖縄基地の必要性を認める、そういうような合意の上に立って沖縄施政権返還を将来考えようという立場から共同声明沖縄問題に関して発表されております。そして、その具体的な施策として一体化がなされるということでございます。しかしながら、沖縄が現実に苦しんでいるのは基地があるためでございます。基地がなければ、おそらく施政権アメリカは持たなかったであろうし、また、今日のように占領支配が続いておったとは考えられません。基地があったために沖縄がこのように苦しみを与えられておりますにもかかわらず、そういうような基地が、しかも核基地を含めて沖縄にあることが必要だという立場から沖縄の問題を処理しようとするところの日本政府のあり方に対しましては、沖縄をほんとうに自国の国土だという立場から考えておられるようには受け取れないいろいろな発言があったわけでございます。といいますのは、核三原則にいたしましても、たとえ施政権返還時においても、現実に沖縄に核基地がある以上、核基地がない日本と同等に考えることはできないということを三木外相は私たちに述べております。といいますのは、施政権返還時におきましても、沖縄の核基地についてはそのまま日本基地つきで返すこともあり得るのだという意味の御返事でございます。この考え方は、日本本土には核は持ち込まない、しかしながら沖縄には持ち込むこともあり得るということでございます。明らかに沖縄を差別し疎外する立場から問題を解決しようとする立場だと思います。そうして、それが日本の安全のために必要だということでございます。なぜ本土の安全の必要のために、同じ日本の国土である、同じ県民であるところの沖縄には核基地を必要とするのか。このような考え方に対して私たち県民は非常な不満を持ち、そのような発想から出てくるところの一体化政策であるがために私たち共同声明を評価することができませんでした。その意味において一体化を評価し、それを前進と受け取ってその推進をしていくのだという立場からの沖縄自民党の施政権返還決議に賛成できなかったわけでございます。  以上簡易に御説明いたします。
  21. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 久高参考人にお伺いしたいのですが、国政参加の問題につきまして、たとえばオブザーバーというような意味で、あるいはまあ常時国会参考人を出して、それによって国政参加の実をあげようということ、あるいはまた、潜在議席というような意見もございます。しかし、私どもは、やはり国政参加と言うならば、当然本土における国民と同じ権利義務を持った国政参加実現しなければならぬと思っております。これはもちろん施政権が今日アメリカにあります以上、直ちに実現することはできない。その前に日本政府アメリカとの問の交渉がされなければならぬことはもちろんであります。その交渉を政府が積極的に始めて、そうしてこの国政参加実現をはかるべきであると考えております。久高委員はこの問題についていかなる見解を持って国政参加実現されようとするのか、まず第一点お伺いしたい。  第二点は、今回アンガー高等弁務官のもとに日米琉三国の代表から成る諮問委員会ができました。私どもは、この諮問委員会のできた過程、あるいはまたその諮問委員会が持つ権限、さらにその諮問委員会が何をなすだろうかということについて多くの疑問を持っておるわけでございますが、久高委員はこれらの点についていかなる見解をお持ちになっておるかお伺いしたいのであります。
  22. 久高将憲

    参考人久高将憲君) 沖縄国政参加の問題もう一点について意見を申し述べてみたいと思います。  国政参加については、繰り返しいままで決議がなされてまいっております。ところが、いつも、どの決議でも私たちは、オブザーバー方式とかあるいは参考人、あるいは潜在、こういうような立場においての国政参加は考えておりません。そういうような非公式な、法に基づかないところの私たち国政に対する参加でありますならば、現存でも私たちはやれる。委員会に来て、このように私たち意見を皆さんに申し上げることもできております。私たち要求することは、やはり選挙法に基づくところの完全な権限を持った国政参加を毎度要請決議してまいっております。  それから、国政参加アメリカとの関係について私はこう考えております。アメリカは、沖縄県民国政参加については、できるだけその権利を狭めようとする立場に立つことは当然であります。私は、施政権返還とこの国政参加の問題は切り離して考えることはできないと、こう考えます。もしアメリカが口で言っているように、近いうちに祖国復帰させると、こういうような真意がありますならば、この国政参加についても日本国内の皆さんと同じような権利を持つところの国政に対する権利沖縄人民に与えることにやぶさかではないと、こう考えます。ところが、アメリカ沖縄施政権、それから基地を永久に維持しようとするような立場でありますならば、この国政参加の問題についても非常に消極的な、真に沖縄県民意思を十分に反映することができないような立場国政参加を打ち出すと、こう考えます。そういう点で、国政参加の問題については、やはり日本政府が施設権返還の問題と密接な関係づけを持ってアメリカと折衝して、アメリカの真意を私たちはきわめることが大切だと、こう考えております。  それから、もう一点の諮問委の件についてでありますが、これは多く期待されておりますけれども、やはり一番働くところの力はアメリカ側にいつでも握られる状態になる。アメリカが自分たち権利を強く主張しているいまのあの状態から見ましても、私たちはこの諮問委についてはあまり大きな期待はできないのじゃないか、こういうふうな立場をとっております。
  23. 黒柳明

    ○黒柳明君 私も皆さま方が島民を代表されて今回いらっしゃって、復帰あるいはB52、施政権国政参加問題についていろいろ政府当局各位と折衝された労に対して多大の感謝をいたしたいと思います。  時間がございませんので、質問を三点にしぼってお伺いしたいと思います。  初めに、知花さんと自民党の方だれか一人にお答えいただきたいと思いますが、もう言うまでもなく、佐藤内閣の態度は、沖縄は核つきの返還はしないと、こういうことの明言もございませんし、また、非核三原則も通用されない。あるいは核つき返還を示唆するような答弁も発言もされております。このような佐藤内閣の沖縄返還に対する態度、核にからまっての態度、これについてどのようにお感じになるか、これが一点。  第二点、三点は議長からお答え願いたいと思います。  一点は、施政権返還の問題ですが、残念ながらまだ時期がかかるんじゃないかと、こう思います。日本に対しての施政権返還があれば、これは全面的けっこうなわけですが、まず当面、主席公選に見られたような琉球政府に対する施政権の委譲、こういう面が当面どんどん促進される必要があるんじゃないか、こういうふうに考えられますが、この点いかがでございますか。  それから三点目は、いま問題になっておりますB52の撤去の問題ですが、今回、三木外務大臣あるいは佐藤総理大臣に対する陳情、要望も、日米安保問題あるいは日本政府の対米外交における軟弱外交、このような手かせ足かせのために思うような答えが得られなかった。このようなことに関して、琉球政府としては、やっぱり直接アメリカに、ジョンソン大統領に皆さん方の意思を、島民の不安の現状というものを訴えて、当面のB52の撤去の問題を含めての施政権問題、その他の問題について直接アメリカ政府と折衝なされるような考えを今後持っていくのかどうか、この三点についてお伺いしたいと思います。
  24. 知花英夫

    参考人知花英夫君) ただいまの黒柳先生からの御質問は、沖縄施政権返還のときにおいて特に核つき返還、核とからめての問題についてどのように考えておるかという御質問であろうと思うのでございますので、御答弁を申し上げたいと思うのでございます。  さきにB52の撤去要請のときにも申し上げましたのでございますが、核に対する否定ということは、私はどちらの国民も同じだろうと思いますが、特に沖縄におきましては、戦争という悲惨な状況を十分に味わっておりまして、それで、この核がついての返還ということは、総理が核原則を本土で打ち出されております。これをいろいろとお伺いいたしましたときに、直接総理からではございませんで、たしか外務大臣であられたかとちょっと記憶しておりますが、その核の三原則で、核を絶滅するということを打ち出されておりますが、しからばお伺いいたします。沖縄には現在核があるということはすべてが認めておるところであり、核を絶滅するという総理のお考えであるならば、沖縄の核をすみやかに絶滅していただきたいということを申し上げた次第でございます。ところが、そのときに、施政権返還とからめてそのときはそのときの問題として考えるといったような意味の御答弁をいただいたわけであります。私たちは、いま申し上げましたように、核つきの返還というようなことは絶対に否定をいたしたい。私たち要請をいたしておりますのは、さきに総理が訪米されるときにあたりまして、決議を携行して当委員会にも御要請いたしましたように、あくまでも条件のつかない、いわゆる日本国憲法のもとにおいて復帰できる、条件のつかないところの返還、これを訴えております。それで、われわれといたしましては無条件全面返還を打ち出しておるような状況でございます。おそらく沖縄県民におきまして核をつけてでもいいから早く返してくれというような県民はおらないと思うのでございますが、どうぞ国会におかれましてもそのようなお考えに立たれまして、ほんとうに無差別の、無条件な返還をさせていただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。
  25. 大田昌知

    参考人大田昌知君) 黒柳先生の御質問にお答、えいたします。  総理の核つき返還の問題につきましての考え方でございますが、私たちは、日米安全保障体制がいまの国際情勢並びに国連憲章第五十一条の精神からしてこれは現在必要であるというお考えを理解しておるものでございます。それと同時に、すみやかに沖縄返還させたいという考え方にも理解を持っております。この返還につきましては、あくまでも一日も早く返還してもらう。そして、基地の問題等につきましては、全国民立場でこれを解決してもらいたいという考え方に立ちまして、基地本土並みにということを要請してございます。現在、非核三原則並びに核拡散防止条約等々により、国際的にも、また本土日本におきましても、この核に対する国政、国策というものがこれから打ち立てられようとしておることをわれわれは理解しておりまして、この国策が沖縄にも同じように適用される、同じような考え方で沖縄住民安全保障を考えてもらいたいということが切なる要望であります。したがいまして、この返還のときにはやはり本土並みになるという一つの原則に立って本土政府国会が検討していただくことを強く要望いたします。
  26. 山川泰邦

    参考人山川泰邦君) 施政権返還の現実的な方法の問題かと承っております。お答えするためには、今度の決議の要点を述べまして、次に、総理の訪米前の立法院の全会一致の決議に触れて御説明申し上げたいと思います。  今度の決議は、日米会談めどをつけることができなかった、すなわち、返還時期の明示が丸かったことは不満である。しかし、日米会談での共同声明の発表によると、日米共同で継続して沖縄地位について協議し、そして施政権返還の暁に摩擦を最小限にするために一体化を進めていくんだという日米の取りきめに対しては、一歩前進である、したがって、一体化期待する。しかしながら、一体化は、返還時期の明示があって、その目標に向かって計画的に一体化の施策を進めていくことによって、より効果的に真の一体化が得られる。やはり時期の明示は住民希望を与えるためにも必要である。今度の決議も、時期の明示を、めどをつけていただきたいということになっております。その前の、佐藤総理の訪米前の決議も、返還時期の明示をしてもらいたい、めどをつけてもらいたい、それから、返るにあたって本土並みの形で、基地ももちろんでございます。基地のあり方もその形で返還してもらいたい、返還にあたって将来に禍根を残すようなことのないような方法で返還してもらいたいというのが佐藤総理の訪米前の決議でございました。そのときの決議も今回の決議も、返還時期を明示してもらいたいということでは一致しております。ただ、一体化を一歩前進と受け取ってこれを推進して、返還にあたって支障のないようにしようというのが沖縄の自由民主党の立場、まあ、一体化——格差是正する——  この一体化に別に異論はないが、しかし共同声明日米はアジアの防衛体制に共同の責任を持ってやっているんじゃないか、これはいわゆる戦争への歩みでないか、こういう大きな目標のために一体化を持ってきているんだという立場が野党の立場かと考えております。簡略に申し上げたらそういうことでしょう。そこで、まあ意見の一致が見られないで、与党だけの決議になってまいっております。したがいまして、これは与党だけと申しましても、立法院決議でございます。この決議の上から申し上げますと、返還の時期を明示してほしい。で、一体化もその目標に向かって、そのめどがあって、その間に計画的に、より合理的に、効果的に進めていくことが好ましいということでございます。この点からいたしますと、黒柳先生のおっしゃる、まあ段階的に一体化を進めていくということは、別にこの決議異議を唱えていないと私は考えております。しかしながら、この決議の底を流れているものは、野党も与党も同じだと思いますが、すみやかに返還してもらいたい。おそらく、少々の摩擦があっても返還して、返還から、一体化格差是正も進めていいんじゃないかというのが決議の精神ではないかと思っております。  ちょっと私、この機会に申し上げたいと思いますことは、これは休憩しなければ言えないかどうかも私はちょっと判断に苦しんでおりますが、お願いいたしたいと思いますことは、南米ボリビアで洪水が起こっております。それは、ボリビアの高地には、沖縄の移民が二百五十戸、三千人がこの洪水にあいまして、非常に、八〇%以上の被害を受けまして、避難、罹災者になって、高地から保護されまして、サンタ・クルスに移っております。住宅の問題、食糧の問題、すべて、罹災しておりましてたいへん苦しんでいると思っております。この点について、救済に御関心を持ってくださいまして、対策について御配慮いただければ幸いだと思っております。
  27. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  28. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記をつけて。  政府と協議いたしまして、委員会としても全力をあげて救済のために善処いたしたいと思います。
  29. 山川泰邦

    参考人山川泰邦君) ちょっとここで私に申し述べるようにという追加の意見もございます。その前に私、お聞きいたしたいのでございますが、先ほどから非核三原則、まあ四原則の話も出ております。これは本土日本国土に適用される原則と思っております。したがいまして、沖縄施政権返還される場合に大きな問題になることは当然のことと存じます。返還されますれば、アメリカ施政権はございません。このときに当然三原則が適用されるわけでございます。そのときに、沖縄だけには特別な条約現状のままにするとかいうことがはたしてできるかどうか。国民がそれを納得するだろうか。したがいまして、返還はもう日本国内同様であるということは当然であると私たち承知いたしております。沖縄だけは特別な地域としてそのままにするということは、はたして国民がこれを承知するだろうか、また政府方針がこれをいれることができるかどうかというふうに考えております。  なお、52の問題につきまして、われわれは現地高等弁務官に対しましても要請いたしましたが、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。本日はまた米国大使館にも要請いたしますが、おそらく私たち期待する返事を得ることは困難かと思っております。総理、外務大臣にお会いしましていただいている御返事は、撤去要求はしないが、沖縄住民は同胞であるので、同胞の心配は重大な関心を持ってこれを重ねて要請していくとおっしゃっておりますが、本委員会といたしましてもアメリカ側にこれを政府を通しまして要請要求していただきたいと思いますし、われわれの実情を内閣にも反映してくださいまして、御方針を再検討していただきたいと考えております。  先ほどの答弁で、私漏らしているようでございますが、琉球政府は、施政権返還及びB52の問題を含めて直接アメリカ政府と交渉することを考えているかという御質問、これは直接琉球政府高等弁務官要請しましても、また直接アメリカに当たっていきましても、やはりこれは日米間の外交の交渉の問題でありまして、琉球政府には布令によりまして権限も与えられておりませんし、これは行きましても、非常に本土政府の交渉のように効果はございません。ただわれわれの立場を同情してもらうということになるのではないかと思っております。決議はもちろんワシントン政府、上下両院に対しまして送ってあります。こういう決議を送ってありますので、本土政府でバックアップしてもらいたいというのが私たちの願いの中心になっているわけであります。  主席公選、自治拡大をどう考えているかという問題でございますが、主席公選は長年のわれわれの願望でございました。主席公選もこのように長い年月を要し、毎年繰り返し叫び訴えることによりまして実現いたしましたが、これも本土政府の御推進のおかげであり、また、この特別委員会国会におきまして沖縄問題が論議されていることが反映したためだと思って、われわれ感謝申し上げております。現地におきましても、主席公選に対しましては、みんなやっとおくればせながら実現いたしましたので喜んでいる次第でございます。
  30. 瓜生清

    瓜生清君 私の党も、御承知のように、沖縄問題につきまして重大な関心を寄せております。したがいまして、西村委員長みずから沖縄を訪問しましてその対策に腐心しておりますが、今後も皆さんの御要望をすみやかに実現するために努力したいと思います。  そこで、きょうは時間がございませんので、一点だけきわめて素朴な質問をしたいと思います。それは、先ほど参考人のどなたか申されましたが、施政権返還の問題につきましてはある程度の調整の時間というものが必要だと考えますが、B5爆撃機基地化と、それから即時撤収の問題につきましては急を要する事項ではないかと考えるわけですが、いままでの日本アメリカのいわゆる日米関係、それから政府が従来とってきました態度等々から判断いたしまして、はなはだ即断的に申し上げるようですが、この問題を処理するのには、なかなか結果的には、皆さんのお考えどおりになるということは、困難じゃないかということが予測されるわけです。そういたしますと、必然的に第二段、第三段の弱い手段をおとりになると思うわけでありますが、少なくともこのB52の問題につきましては、与野党とも一致結束して当たられる御決意があるのか、あるいはそういう態勢というものに対して御自信をお持ちになっているのか、そのお考え方をひとつ簡単に議長山川さんからお聞きをしておきたいと思います。  以上です。
  31. 山川泰邦

    参考人山川泰邦君) 山川でございます。お手元に差し上げてあります立法院決議、これを額面どおり受け取っていいと思います。そこで、つけ加えますが、先ほども私は申し上げましたが、政府のこの問題解決の苦しい立場を、われわれは涙的な面、いろいろな面で一応政府立場にもなってこの問題を考えてみたいという気持ちも起こります。しかしながら、これは政府のみではなくて本土皆さまは、現地の状況をはだ身に感ずることは、千波万波離れておりますので、私たちのように受け取ることはむずかしいと思っております。われわれのところでは、幾ら政府方々が、戦争に巻き込まれる心配はないとおっしゃいましても、何しろ二十有余年前に直接あれだけの悲惨な戦争をいたしまして、この戦争を体験したのがいっぱいおりますし、そこに持ってきて、ベトナム戦争の感じ方も本土方々とはまた相違する点があると思います。朝鮮半島の緊張は、おそらく本土沖縄も同じような感じ方はあると思いますが、しかし、いずれにしましても、いま極東で起きている問題に対する感じ方は、われわれのほうがひしひしと迫るものがあると考えております。したがいまして、この問題は、立法院決議のとおり、みんながこの問題解決のために邁進しなければいけないと考えております。
  32. 春日正一

    ○春日正一君 私、共産党の春日ですが、沖縄の問題については、私ども、やはり本土と一体のものだ、沖縄の皆さんが脅威にさらされる、戦争の危険にさらされるというような事態になれば、日本本土も同じようにさらされるだろう、そういう意味では一体だというふうに思っております。いろいろお聞きしまして、私の聞きたいことも、だいぶほかの委員から質問がありましたので、私も二つだけ質問したいと思うのですが、一つ基地の問題、ここの国会でも基地の問題は非常に論議されております。核基地つき、あるいは自由使用というような、こういう条件を許すのかどうするのかという問題は論議されておりますし、きょうの参考人発言でも、核の持ち込みというようなことは、これは本土の三原則とも違うということも言われました。しかし、もう一つ突っ込んで通常基地ということを考えてみましても、沖縄の場合は、理屈は同じであるかもしれないけれども、実情としては本土基地と量も違うし質も違う、私どもそう見ておるわけです。量で言えば、ちょうど神奈川県くらいの面積に日本本土にある全部の基地を集めたよりもっと大きな基地があるというような状況ですね。そこから、先ほど参考人の言われたように、いろいろな米軍人の関係、あるいは基地の関係での被害というようなもの、人権問題というようなものも起こっておるということになりますと、沖縄県民の悲願として戦争の危険からのがれたい、異民族の支配、無権利状態からのがれたいというこの要望が、核兵器がなくなれば、あるいは自由出撃の危険がなくなればそれが満たされるのかどうか。本土の私たちが、とにかく核兵器と自由出撃がなくなって、それで本土並みなんだからといって、いまの沖縄基地現状をそのまま認めるというような形で、それで返ってくればいいんだという態度を本土の私たちがとった場合、沖縄の皆さんどう考えるか。その点、特に野党の古堅君、それから崎浜参考人から御意見を聞かせていただきたいのです。  それともう一つ一体化の問題です。先ほど御説明もありましたけれども、一体化については自民党の皆さんは賛成している、野党のほうはそれに賛成ができないというようなことも言われましたけれども、現実に一体化というようなことが進められておるし、私たちは、いまの状況のもとでも何としてでも本土沖縄が一体だという実績をつくり上げていくということは大事なことだというふうに考えておりますけれども、その場合、一体化ということをやっていく場合、いま何をおいてもこれとこれとこれは県民立場からどうしても必要だというものはどんなものがあるか、その点を聞かせていただきたいと、こう思います。
  33. 古堅実吉

    参考人古堅実吉君) それじゃ基地の問題について私からお答えしたいと思います。  御存じのように、基地の問題については、沖縄の問題にかかわらず、日本全体の問題について政治を考える場合に、最も各党派が見解を異にする重大な問題であります。沖縄においても全く同じ立場から基地に対する考え方というものが各党派意見を異にしております。ただ、撤去要求するということにつきましては、少なくとも人民党、社会党、ここに見えておられる無所属の久高議員、その範囲においては、アメリカに対して強く要求する、日本政府はそれを撤去していくようにすべきであるという考え方においては一致しておると私は理解しております。  それで先ほど御質問があった趣旨について御答弁申し上げたいのですが、私たちは二十三年前のあのいくさの体験から、日本全体があの大東亜戦争、第二次世界大戦のおそろしい深い体験の中から日本国憲法をつくりました。日本国憲法の前文にもはっきり示しておりますように、日本は再びあのような戦争行為を政府の手によってやるということがあってはならないという立場からの強い決意を持った憲法をつくったはずであります。もちろん、その憲法がすべてにわたって満足すべきものであるなどということは私は考えておりませんけれども、少なくとも、そういう立場において戦争の悲惨な体験を持ったところの日本国民立場から、この平和の面について強くあらわしておるところの日本憲法のこの条項は、憲法の条文のとおりにしっかりと守らなくてはいけないというふうに考えております。しかしながら、日本政府は、歴代の現在の自由民主党の流れをくむところの日本政府は、この憲法の条項を踏みにじって、警察予備隊とかあるいは保安隊、現在では自衛隊という形の軍隊をつくり上げ、憲法をなしくずしに完全に踏みにじる行為をやってきていると理解しているのが私たち立場であります。少くとも私の立場であります。そういうことは断じて許してはならない、許されてはならないと考えます。こういう同じ考えから、一九五一年に平和条約が結ばれました。その前に、日本戦争行為に対する連合国の糾弾の立場戦争処理の問題について幾つかの外交的な条文や声明、宣言などが出ております。降伏文書においても、カイロ宣言などが引用されまして、日本に対する民主的な措置についてはっきりせられております。日本の責任ある民主的な体制というものが確立されたならば、連合国軍隊はすべて日本から撤退しなくちゃいけないようにみずから声明したものがございます。降伏文書もそれを受け継いではっきりしております。疑問の余地がない。それにかかわらず、平和条約第六条は、アメリカ帝国主義の要求に基づいて、日本独占との合作の上で、アメリカ軍隊を引き続き日本駐留させるということを認めてしまいました。型式的に日本は独立したかのごとく見せかけながら、実際には現在の百数十にわたるところの基地を、事実上において、戦争に一たんなった場合にはアメリカ軍がかってに使えるような内容の基地にさせておいた。事前協議などというようなことがあるけれども、一瞬を争うところの現在の戦争立場から見るならば、事前協議などというものは、実際の場合において私は無意味に近いというふうに理解します。そういうことがあったということにしかならないんじゃないかというふうに考える立場から、事前協議などという形ではごまかされてはならないというふうに考えますし、そういう形から突き詰めていきますと、日本には百数十あったところの外国の基地が、アメリカ帝国主義の基地が、自由に使えるような形で置かれていると言っても過言でないような状態がある。治外法権的な立場で置かれておる。しかも沖縄は、全面的なアメリカ軍の占領状態から、なるほど形式的には平和条約第三条に基づくところのアメリカ施政権というものに基づいて統治されている形になっておりますけれども、事実は、軍事占領支配をただ形式的にそう言ったにすぎない。そういう、日本本土においても百数十にわたる基地沖縄を、全面的にアメリカがアジア侵略政策、戦争政策を展開していく極東における最大基地として置いているというこの状態のもとで、はたして日本は真に独立したと言えるのかどうかということが沖縄県民からの率直な見方だと思います。したがって、沖縄県民は単に祖国復帰を叫んでいるのではない。日本の真の独立をかちとるためには沖縄祖国復帰がぜひ必要だ、日本の独立を完全ならしめるためには沖縄祖国復帰なしには考えられないことだということを結びつけて、しかも、沖縄基地は、常に示されてきたように、アジアにおけるところの緊張最大の根源地となっているし、現実にはベトナム侵略戦争、朝鮮民主主義人民共和国に対する軍事的な許しがたい挑発行為、そういうことなどを中心として示されているように、アジアにおけるところの戦争最大の根源地である。そういう意味からも、沖縄基地を全面的に撤去するということは、アジアに、世界に平和を打ち立てるという意味からは、どうしても実現されなくちゃいけないことだと考えます。そういう意味合いにおいて、平和条約第三条は、先ほども最初に申し上げましたように、吉田内閣において結ばれたけれども、最初から、沖縄県民を信託統治に置くという考え方に基づいてなされ、国連憲章を踏みにじり、その他……。
  34. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  35. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記を始めて。
  36. 古堅実吉

    参考人古堅実吉君) それについて結論を申し上げるための前提条件として申し上げたつもりなんですが、そういう意味において、沖縄施政権を持っておるところの根拠となっている平和条約第三条、それから平和条約第六条というものは、日本の真の独立を侵し、沖縄をあのようにしておるものと認めるだけに、私たちは、核兵器の撤去はもちろんのことながら、いわゆる通常基地もこれは置かれるべきではない。ということは、日本の独立を侵しているところの平和条約第六条に基づく安保条約のその体制、これについて認めるという立場から、通常基地ならいいということに通ずるものであるだけに、また、それを認める立場からは沖縄祖国復帰というものを真にかちとる方向に向かっての前進はあり得ないというふうに考える立場から、ひとしく核基地を含めてすべての基地沖縄から撤去し、すべての軍隊を沖縄から、全日本から、アジアから撤退するという方向に持っていかなくちゃ沖縄祖国復帰というのはかちとれないのだ、その道は開けないのだという立場を考えて、通常基地についても、私たちはひとしくその撤去要求して戦いを進めているわけであります。  それから一体化との関連についてお聞きでございましたが、そのこまかい点については申し上げませんけれども、決議との関連において、ただ国政参加の問題についてだけ申し上げたいと思います。  先ほど来いろいろ説明がありましたが、一体化政策というものはほんとうは沖縄祖国に返すという立場から打ち出されてきた政策ではない、基本的にはそうではないと私は考えます。沖縄の現在の状態というものを、県民不満をながめながら、何らかの形で返すような見せかけをしなくちゃいけないという立場に立って、実際に沖縄返還を、その一体化政策を推し進めることによって、それが頂上に達したときに祖国復帰実現しておったというふうな形での一体化政策ではないかと考えます。ところで、真に一体化政策というものを、そういう立場からではなしに理解するということならば、まず国政参加の問題について解決しなくちゃいけないんじゃないかと思います。先ほど久高さんから話がございましたが、国政参加ということは、単に国民としての権利を回復するというだけじゃなしに、これは、近代民主主義国家においては国民から奪ってはならない権利を奪われている問題について、私たちが真剣に論じている問題だと思います。平和条約を結ぶにあたっては、沖縄県民意思をじゅうりんして、沖縄アメリカの施政下に置くことになりましたけれども、戦後二十三年たった今日においてその問題について論議しておるのだ、二十三年たった今日において論議しておるのだということをしっかりつかんでいただきたいと思います。二、三年たって論議しているという時点ではない。そういう立場から、真に日本政府国会日本政治の方向について責任ある立場の機関が沖縄問題について論議する場合には、そういう立場から、ほんとうに沖縄の問題について日本人民の立場に立った解決がなされるように心から要望したいと思います。  いろいろ具体的な問題についてございますけれども、それについてはまたあらためて申し上げる機会があると思いますので、時間がございませんし、それらについては特に触れないことにいたします。
  37. 崎浜盛永

    参考人崎浜盛永君) ただいまの御質問は、施政権返還についての基地の取り扱いと、本土との間を県民立場から一体化すべきじゃないかという二点の質問だと思います。  私たち社会党としましても、基地撤去すべ寺だということで一貫して今日まで戦ってきております。これは社会党や人民党のみが基地撤去を要望しているということではございません。現に沖縄では、沖縄祖国復帰する運動の母体として復帰協がございます。この復帰協の運動方針の中にも基地撤去というものが掲げられております。したがいまして、祖国復帰のみならず核基地撤去を含めて、沖縄県民祖国復帰の問題は基地撤去と一体であるという立場から運動を進めているということを、そして、それが県民の要望であるということを申し上げておきたいと思います。  それから、本土との一体化、これは私たちはさきにも申し上げましたが、共同声明後に出されたところの、日本自由民主党政府の出されましたところの一体化政策に対しては反対の意を表明したわけでございます。それは、私たちは、いわゆる復帰というものは、日本憲法の中で同じような立場県民権利が保障されるものでなければいけないという立場であると同時に、それが平和と完全に結びつかなければいけないという立場でございまして、そのために復帰運動は基地撤去運動と一体のものであるということで県民復帰協の中でやっております。ところが、いま出されておりますところの政府一体化政策というものは、その基地の必要性を認め、その上に立っての一体化政策だということにおいて、私たちは、現在沖縄基地があるがゆえに苦しめられているという実態をこの一体化によって除去し得るものではないという立場から、この一体化には反対してきたわけでございますが、現実に私たちはそれではほんとうに一体化とは何を望むか、それはもちろん施政権返還実現することであります。しかしながら、それが実現されない時点においては何もやらなくていいというのではございません。そのために国政参加を要望し、そして日本国民国会におきましても、沖縄基地を取り除くための努力、これを一緒になってやっていただきたい。と同時に、日本国民本土において憲法で保障されているところの諸法律を沖縄県民にも一つ一つ及ぼしていくという措置を国会において講じてもらいたい。このように申し上げてお答えにかえたいと思います。
  38. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) それでは、沖縄問題に関する件につきましての参考人からの意見聴取はこの程度にいたします。  参考人各位には、御多忙中にもかかわらず長時間にわたり御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。お述べいただきました御意見は、今後委員会審議にきわめて有益な参考になることと存じます。ここに厚くお礼を申し上げます。  次回の委員会は三月八日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十八分散会      —————・—————