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1968-03-13 第58回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十三日(水曜日)    午前十時二分開議  出席分科員    主査 野原 正勝君       愛知 揆一君    小沢 辰男君       川崎 秀二君    藤枝 泉介君       大出  俊君    川崎 寛治君       只松 祐治君    楢崎弥之助君       福岡 義登君    兼務 金丸 徳重君 兼務 加藤 清二君    兼務 畑   和君 兼務 森本  靖君    兼務 山中 吾郎君 兼務 吉田 之久君    兼務 伊藤惣助丸君 兼務 鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君  出席政府委員         警察庁警備局長 川島 広守君         防衛政務次官  三原 朝雄君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁教育局長 中井 亮一君         防衛庁人事局長 麻生  茂君         防衛庁衛生局長 浜田  彪君         防衛庁経理局長 佐々木達夫君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛庁参事官  鈴木  昇君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁総務         部長      財満  功君         防衛施設庁総務         部会計課長   春日敬太郎君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         防衛施設庁建設         部長      竹内 政樹君         防衛施設庁労務         部長      江藤 淳雄君  分科員外出席者         農林省農地局管         理部農地課長  小山 義夫君         建設省住宅局建         築指導課長   前川 喜寛君     ————————————— 三月十三日  分科員川崎寛治君及び北山愛郎委員辞任につ  き、その補欠として内藤良平君及び福岡義登君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員内藤良平君及び福岡義登委員辞任につ  き、その補欠として大出俊君及び川崎寛治君が  委員長指名分科員選任された。 同日  分科員大出俊委員辞任につき、その補欠とし  て只松裕治君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員松裕治委員辞任につき、その補欠と  して北山愛郎君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第一分科員山中吾郎君、第三分科員畑和君、伊  藤惣助丸君、鈴切康雄君、第四分科員加藤清二  君、吉田文久君、第五分科員金丸徳重君及び森  本靖君は本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十三年度一般会計予算防衛庁所管      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和四十三年度一般会計予算中、防衛庁所管を議題とし、説明を求めます。増田防衛庁長官
  3. 増田甲子七

    増田国務大臣 昭和四十三年度防衛庁予算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず防衛本庁について申し上げます。  昭和四十三年度の防衛本庁歳出予算総額は、三千九百六十九億三千九百三十九万五千円でございまして、これを昭和四十二年度の歳出予算額三千六百三十四億七千三百九十万三千円に比べますと、三百三十四億六千五百四十九万二千円の増加となっております。  このほか、国庫債務負担行為として、航空機購入について二百二億一千五百四十一万三千円、器材の整備について一千三百十一億五千六百九十二万五千円、弾薬購入について四十七億四千六百九十二万円、艦船建造について十九億三千六百八十一万四千円、計一千五百八十億五千六百七万二千円を計上し、さらに継続費として、昭和四十三年度甲III型警備艦建造費について九十一億九百七十一万円、昭和四十三年度乙型警備艦建造費について六十四億五千二百七十四万六千円、昭和四十三年度潜水艦建造費六十億六千四百二十万七千円、計二百十六億二千六百六十六万三千円を新たに計上いたしております。  また、防衛本庁昭和四十三年度の職員定員につきましては、自衛官二十五万一千二百二人、自衛官以外の職員二万五千八百六十四人、計二十七万七千六十六人でございまして、これを昭和四十二年度の定員に比べますと、自衛官において八百二十人の増、自衛官以外の職員において一千二百十八人の減、計三百八十八人の減と相なっております。  このほかに四百七十一人の調整定員がございます。  次に防衛本庁予算案内容について申し上げます。  昭和四十三年度予算は、内外のきびしい経済環境のもとに、硬直化しつつあるわが国財政体質改善の第一歩を踏み出すことを目途に編成されましたが、防衛庁予算につきましてもこの目的に協力しつつ、昭和四十三年度はさきに閣議決定を見た第三次防衛力整備計画の第二年度にあたり、わが国自主防衛体制の確立を目ざし計画を着実に実施する必要がございますので、予算全体のきびしさの中におきましても、第三次防衛力整備計画基本はできる限り維持することを目標に編成いたしまして、特に次の諸点に重点を置いております。  すなわち、まず、防衛意識の高揚をはかり、自衛隊に対する国民一般の理解を深めるとともに隊員の士気を高揚し、かつ、自衛官充足対策強化をはかるため、広報活動強化募集施策推進環境整備、宿舎の増設及び隊員処遇改善を強力に推進することといたしております。  次に、第三次防衛力整備計画にのっとり自衛隊装備更新充実近代化を促進することとし、陸上部隊装備充実艦船建造推進航空機増強弾薬の確保、ナイキホーク関係部隊整備等に必要な経費を計上することといたしております。  また、研究開発につきましても重点事項一つとして特にその推進をはかることとし、前年度に引き続き対潜飛行艇中型輸送機及び高等練習機等開発を行なうことといたしております。  以下機関別内容を申し上げます。  陸上自衛隊につきましては、歳出予算におきまして一千八百七十七億九千八百十四万三千円、国庫債務負担行為におきまして六百六十五億九十四万三千円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、まず、職員定員につきましては、自衛官については前年度と同じく十七万三千人であり、自衛官以外の職員については航空機増加等により百十七人を増員するとともに、定員削減措置により六百九十一人の減で一万三千五十四人、計十八万六千五十四人となります。  また、予備自衛官の員数は前年度と同じく三万人でございます。  次に、装備品につきましは、戦車、装甲車その他の部隊装備品更新充実近代化ヘリコプター等航空機購入による機動力増強ホーク部隊整備等により防衛力内容充実を一段と推進することといたしております。  また、航空機につきましては、新たに大型ヘリコプター六機、中型ヘリコプター十一機、小型ヘリコプター九機、計二十六機の購入を予定いたしており、これにより陸上自衛隊昭和四十三年度末における保有機数は三百三十八機となる見込みでございます。  海上自衛隊につきましては、歳出予算におきまして九百七十三億六千六百六十八万五千円、国庫債務負担行為におきまして二百四十八億四千三百二十三万二千円、継続費におきましは冒頭に申し上げたとおりでございます。  その主要な内容について申し上げますと、まず、職員定員につきましては、艦船航空機就役等に伴いまして自衛官八百三十人を増員することとし、これにより職員定数は、自衛官三万七千四百二十一人、自衛官以外の職員については定員削減措置により二百四十九人の減で四千七百八十六人、計四万二千二百七人となります。  次に艦船につきましては、新たに警備艦四千七百トン型一隻、同一千四百五十トン型二隻、潜水艦一千八百トン型一隻、掃海艇二隻、支援船六隻計十二隻約一万一千トンの建造を予定いたしております。これにより、昭和四十三年度末の保有艦船は、五百三十五隻約十八万四千トンとなる見込みでございます。  また、航空機につきましては、新たに対潜飛行艇二機、機上作業練習機二機、固定翼練習機五機、対潜ヘリコプター七機及び救難用ヘリコプター三機、計十九機の購入を予定しており、これにより海上自衛隊昭和四十三年度末の保有機数は二百六十七機となる見込みでございます。  航空自衛隊につきましては、歳出予算におきまして九百八十二億三千九百八万二千円、国庫債務負担行為におきまして五百七十四億七千九百二十万三千円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、まず、職員定員につきましては、自衛官については前年度と同じく四万七百三人、自衛官以外の職員については定員削減措置により二百六十八人の減で五千八十八人、計四万五千七百九十一人と相なります。  次にナイキ部隊整備自動警戒管制組織の円滑な運用など防空能力の一そうの強化をはかることといたしております。  また、航空機につきましは、新たに輸送機三機、救難用捜索機四機、固定翼練習機三機及び救難用ヘリコプター四機計十四機の購入を予定いたしておりますので、これにより航空自衛隊昭和四十三年度末保有機数は九百四十六機となる見込みでございます。  内部部局統合幕僚会議及び付属機関につきましては、歳出予算におきまして百三十五億三千五百四十八万五千円、国庫債務負担行為におきまして九十二億三千二百六十九万四千円となっております。職員定員におきましては、自衛官については前年度と同じく七十八人、自衛官以外の職員については二十一人の増員をはかるとともに定員削減措置により百四十八人の減で二千九百三十六人、計三千十四人と相なります。  次に、防衛施設庁について申し上げます。  昭和四十三年度防衛施設庁歳出予算総額は、二百五十一億十一万七千円で、これを昭和四十二年度の歳出予算額二百三十五億三千九百十八万五千円に比べますと、十五億六千九十三万二千円の増加と相なっております。  また、防衛施設庁昭和四十三年度の職員定員につきましては、定員削減措置により百五十九人減で三千二百二十八人であります。  このほかに八十九人の調整定員がございます。  次に、防衛施設庁予算案内容について申し上げます。  昭和四十三年度の予算案重点といたしましては、まず防衛施設安定的使用を確保し、基地周辺住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与するため、前年度に引き続き障害防止措置騒音防止措置飛行場周辺安全措置、特に施設周辺整備助成措置を積極的にきめこまやかに実施する等の諸施策推進をはかるとともに、駐留軍施設集約的移転を促進するための基地対策関連経費充実をはかることといたしております。  次に駐留軍要員の適正な労務管理をはかるため、離職対策強化健康保険組合財政健全化等措置を講ずることといたしております。以下、各項別内容を申し上げます。  施設運営等関連諸費につきましては、自衛隊及び駐留軍基地対策関連経費百六十九億千九十八万四千円を含めて百九十四億五千六百十六万八千円となっております。  調達労務管理事務費につきましては、離職対策費八千五百八十三万四千円及び駐留軍要員健康保険組合臨時補助金六千万円を含めて十一億三千四百九十万円三千円となっております。  その他相互防衛援助協定交付金三億七千七百万円、防衛施設庁費四十一億三千二百四万六千円を計上いたしております。  以上をもちまして防衛本庁及び防衛施設庁予算案の概略の説明を終わります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛成くださるようお願い申し上げます。
  4. 野原正勝

    野原主査 以上をもちまして防衛庁長官予算説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 野原正勝

    野原主査 この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員となられる方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたと存じます。  なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に要領よく簡潔に行なうよう、特に御注意申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤清二君。
  6. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ただいま長官から詳細に四十三年度の防衛庁予算を承りました。  まず長官に承りたいのでありまするが、この予算長官は満足をしていらっしゃいまするか。それともこれは非常に足りない予算であるとお考えでございましょうか。
  7. 増田甲子七

    増田国務大臣 第三次防衛整備五カ年計画といえば五年のものでございまして、そこで昨年は三千八百五億円でございました。本年は四千二百二十一億円でございまするが、一応二兆三千四百億、上下幅二百五十億という閣議決定があるわけでございまして、その閣議決定の線から見ますと、物件費関係はこれ以上ふえません。人件費関係ベースアップとともに毎年々々ふえますけれども、おそらく二兆六千億を上回らないと私どもは考えております。そこで物件関係調達関係装備関係は一切ふえないわけであります。そういう関係から見ますと、本年はどうしても四千五古億円というところが比例のとれたカーブで上昇していく線である、正比例の線である、こう考えております。四千二百二十一億というのはちょっと比例として悪うございます。昨年は、正確に申し上げますと七・六九%が総予算に対する比例であります。本年は七・二五%に相なっております。そこで昨年くらいの七・六九%にいたしたいところでございますけれども財政硬直化の打開に協力することがなくてはいけないというところで、進んで、調整費等が四百七十億円ございましたが、私ども最初大蔵省から提示されました四千二百二十一徳の線でとどまったわけでございます。また財政が許すならば、二兆三千四百億、上下幅二百五十億という線に、比例のとれるような線にまたしていただきたい。あくまでも目標は二兆三千四百億と押えられておりますので、その線で私どもはよろしい、こう考えておる次第でございます。
  8. 加藤清二

    加藤(清)分科員 委員長からの御指図もございましたのですが、時間が初めから限られておりまするから、簡潔に質問にお答え願いたい。いまお読み上げになりました予算は、あなたの満足していらっしゃる予算ですか。それとも足りない予算ですか。
  9. 増田甲子七

    増田国務大臣 いまのところはこれでよろしいと思っております。
  10. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ところが、それは違うでしょう。あなたは、この予算では海上自衛隊飛行機だけをもってしても二百六十七機、本年度十九機買えるといまそこでは言うておる。ところが、きのうの発言では、この予算では飛行機一台も買えないお粗末な予算ですと言うていらっしゃる。いずれがほんとうでございますか。
  11. 増田甲子七

    増田国務大臣 飛行機一台も買えないというような発言をしたことはございません。
  12. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ありますよ。きのうの郷友会であなたは堂々とそれをお述べになっていらっしゃる。
  13. 増田甲子七

    増田国務大臣 飛行機一台も買えないということは絶対に申してはおりません。
  14. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは記録を取り寄せておりますから、本件は関係の深い川崎君に譲りましょう。
  15. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 防衛庁長官にお尋ねします。  昨日の一時半、九段会館の「芙蓉の間」での日本郷友連盟総会出席をされて、防衛庁長官としてごあいさつになられましたか、どうですか。
  16. 増田甲子七

    増田国務大臣 出席しております。
  17. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 それではお尋ねいたします。  きのうテレビでもいろいろ報道がございましたし、また私は、出席した者からもいろいろ聞いたのでございますが、幾つかの問題点があって、これは見のがせない、こう思います。  一つは、ただいま加藤分科員から質問がございました予算関係並びにそれからくる防衛庁長官国家建設方向根本問題、これが一つです。  まず、予算の点については、昭和の平時では国家予算の半分だった、だから、そういう比率からいくならば、ことしは当然二兆九千億でなければならぬのだ、そういうふうなことを言われておりますね。
  18. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、昭和時代お話はいたしましたが、現在のところは八%から七%の間で満足いたしておりますということをはっきりと申しております。
  19. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 大砲飛行機はふやせない、これではだめなんだということを、あなたはちゃんと言っておるのです。  そこで問題は、国防根本だ、こういうことで、国の基本あり方についても、昭和時代予算あり方から関連をして言っておる。この長官発言を検討いたしますならば、その根本にあるのは、ちょうど日独伊防共協定が結ばれ、そしてあの当時国防国家論というのが論じられておったが、あなたはそういう考え方で日本国家建設方向を考えておられるのですか。
  20. 増田甲子七

    増田国務大臣 昭和五年以前には、そんな話は一つもないのです。昭和六年の九・一八以後からそういう話があるのでございまして、そんなことは一つも申しておりませんし、大砲の一門も買えないとか飛行機の一台も買えないとかいうようなことは、絶対に言っておりませんし、とんでもないことでございます。
  21. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 それでははっきり申しましょう。  国を守ってもらう費用をなるべく少なくして、アメリカにおんぶするとは、こうおっしゃっています。そして一割くらい持つ覚悟をしてほしい——その辺は前後はっきりいたしませんか、おそらく国家予算の一割といういまの点だろうと思います。しかし、いまあなたは、満足していると言われた。少しも満足していないのではありませんか。
  22. 増田甲子七

    増田国務大臣 一割とは言っておりません。八%くらいの程度閣議決定も済んだし、国防会議も済んでおるから、この程度で私はけっこうであります。それ以上のことを要望しておりません。予算の実体は、従来のことと比べればこうである、すなわち、昭和六年以後のこととはもう比べものにならない。  それから川崎さんのおっしゃる防共協定なんというものは、昭和十年以後に起きた問題でございまして、私の言及しない問題です。私は、平和国家として昭和五年以前の問題を参考に申しただけでございまして、いまは違う。日米安保条約その他の関係でやっておるから、八%程度で二兆三千四百億くらい——プラスマイナス二百五十億だけということは言いませんでした。二兆三千四百億のこの線、それに給与のベースアップがございましょう。この線で私は防衛庁長官として——皆さまは意図するかもしれませんが、満足しておるものでございますということを申しております。
  23. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 ロシアがよいならシベリアで骨を埋める希望者三木外相に取り次ぐよと、そういうふうなことも言われたのですか。
  24. 増田甲子七

    増田国務大臣 それはレクチュアの関係各国のことのお話はしておりますが、軍事費関係したことでは絶対にございません。
  25. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 そうして遠慮して国防費が安いから世の中が狂っているのではないかと、こう言っている。防衛予算費用については水かけ論になるから、少し先に進めましょう。  しかし、ここで根本国防だということで、アメリカだけにたよっている日本のことについて非常にあなたは憤慨しておられる。そうして次には、日本を含む極東の安全を革命勢力からいかに守るか、こう言っておりますが、それは具体的にはどういうことですか。
  26. 増田甲子七

    増田国務大臣 そういうことは言っておりません。
  27. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 それは、ちゃんと出席した者から明確にメモをもらって見ているのです。言わないといえば、それは水かけ論になるでしょう。それは言った者の責任だとあなたは言うかもしれない。しかし、あなたは国会の予算委員会総括質問なり一般質問なりで非常に痛めつけられたというか、相当追及をされた、ついつい気がゆるんだと思うのです。水ぬるむころですから、出て行って春の風に吹かれてあなたは言われたのだと思う。ドゴールばかだとあなたは言われましたね。
  28. 増田甲子七

    増田国務大臣 そういうことは全然言っておりません。  それから革命勢力からということも言っておりません。日本侵略がないように、自衛隊はその存立訓練をすることによって侵略を防ぐのである、戦争がないように防ぐことであると私は明瞭に言っております。私は前に対象国ということばすら私の発意で削らしたわけでございまして、侵略者ということばにかえました。そこで侵略がないようにわれわれの国を守る、これが自衛隊存立目標であるということを明確にいたしております。  それから、水がゆるんだというような、そういうことはおっしゃらないようにしていただきたいと思います。
  29. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 その極東の安全を革命勢力からいかに守るか腐心しているのだ、こういうことをあなたは非常に強調していると思うんですよ。あなたはいま言わないと言う。しかし、そこに出席した者は言っているのだと明確に言っております。私はメモをもらって見ている。自衛隊基本の問題についても、あなたはそういうふうには言っていないんですよ。あなたは、少なくとも防衛庁長官として、国務大臣として出ておられる。そういう一般の公開の席上において、ドゴールばかだということを言う防衛庁長官心理状態は私はわからぬですね。あなたは言わないのだと言うけれども、こういうことは明確に言っておるんですよ。何人からも聞いている。どういう点がばかなんですか。
  30. 増田甲子七

    増田国務大臣 まず第一に、革命勢力なんていうことは言ったことはございまん。私はアグレッサーという字を特に使って言っておるのでございまして、そのアグレッサーということには四種あるということもしぱしば衆参両院で申し上げております。川崎さんもお聞きのはずでございます。それ以上のことは、自分の発言というものについて私は始終研究しておるのでございまして、従来使っているかもしれない侵略可能勢力というものもやめまして、そして対象国という字もやめさせているわけでございます。次に、革命勢力だけがアグレッサーになる可能性があるわけではないのでございまして、海賊も侵略する可能性があるということを私は明瞭に言っております。戦時国際法上認められました交戦団体アグレッサーになる可能性がある。またオーソリティーというものもアグレッサーになる可能性がある。最後にステーツ、国家、これも対象国という字を、かりに訓練の際といえども、めったに使ってはいけないということを衆参両院において明瞭にいたしております。  それからドゴールばかだなんていうことは絶対に言ったことはございません。ただ、その点が——私がただし書きで言うのではありませんよ。私の言わんとすることをこの際積極的に明瞭にいたします。各国国力のことは研究をいたしておるものでございます。東洋のことは、 エカフェと連絡を取りまして研究をいたしております。それから、中共の国力のこともいささか研究しております。各国のことを研究いたしまして、日本が世界で三番目になった、その数はこういうものである、アメリカGNPにおいて八千二百億ドルである、日本は千三百三十億ドルである、ソ連は二千六百億ドルである、そこで、ソ連を除けば、自由国においては日本は二番目である、二番目ではあるけれどもアメリカに比べれば六分の一くらいである。こういう話をだんだんしてきまして、イギリスはおそらく本年は一千百五十億ドルくらいであろう。一昨年、イギリスGNPを追い抜いたわけです。それから昨年はフランスを追い抜いて、フランスはおそらく千二百億ドルくらいであろう。ドイツは、GNPが一時一%下がったことがございます。ですけれどもドイツもなかなか盛んなものでございまして、ことしは千二百六十億ドルくらいでございましょう。日本はそれよりも七十億ドル増加いたしました千三百三十億ドルくらいでございますから、日本を代表する佐藤榮作さんも交渉する際に、ドイツを代表するキージンガーとか、あるいは英国を代表するウィルソンとか、あるいはフランスを代表するドゴール等とかいう方にはコンプレックスを感じないで堂々と対処できる。日本人種というものは劣等の人種ではないのである。これは何も作藤榮作さんではない。全日本一億国民がりっぱであるから、そこまできたのである、という誇りを持たせるために、私が自衛隊の教育隊とか、あるいは郷友連盟というところへ行ってレクチュア的に話をするのは当然の責務である。こう考えておる次第でございます。どうか、こういう話をしたからといって、言論の封圧をしないようにお願いいたします。
  31. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 言論の封圧をしているんじゃないのです。あなたは、ドゴールばかだと言い、そしてさらに、こう言っている。といっても、頭がばかだということではない、と念を押しているのですよ。かつてある雑誌で、ドゴールをひやかした表紙を描いて、在日フランス大使館から抗議を申し入れられたこともあります。少なくとも一国の国務大臣が一国の大統領に対して、ばかだ、頭はばかではないけれども、こういう言い方をしている。佐藤総理は、外務委員会では、ドゴールを愛国者だと、今度はこう言っている。佐藤総理は愛国者だと言う。そしてまた防衛庁長官は、今度はフランスの大統領に対してばかだと言う。私は言ったと言うのだが、あなたは言わなかった、言わなかったと言い切るでしょう。しかし、証人はたくさんおるのですよ。ばかだと言われたんでしょう。
  32. 増田甲子七

    増田国務大臣 そんなことは絶対言っておりませんから、どうぞ誤解を起こしやすい発言——私はもう明瞭にお答えいたします。絶対に言っておりません。ただ、フランス——ただということばを言ってはなんですが、それと別に、フランスGNP日本より低くなったんだ、そこで、フランス人を代表するドゴールに対してもコンプレックスを感じて、劣等感を感じて対処する必要はなくなったんだ。これは、民族の誇りというものを高揚してどうして悪いでしょうか。私は、日本人が劣等民族だなんて言って歩いている人がもしあるとするならば、そういう人は非愛国者だと思っております、日本人は優秀民族なんですから。ただし、私は言っている。あの機会には言っておりませんが、八紘一宇なんということはとんでもないことで、これは困りますということを、あの旧軍人の団体に対しても、私は言っているのです。八紘一宇なんということはとんでもないことである、絶対反対であるということを言っております。きのうはその時間がございませんでしたが、時間がございましたらば、私は旧軍時代の間違った思想をいつも改めております。そういうわけで、私の言っていることを、どうか、誤解じゃなくて、言わないことまでも引き合いに出さないでいただきたい。
  33. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 私はそう信じたい。言わなかったというふうに信じたいのだが、残念ながら、そういうふうにいろいろとあるので、この点はよく注意してもらいたい、こう思います。  では、次に沖繩の問題について発言をしておられる点に触れたいと思います。沖繩が、アメリカから切り離して返還されたとき、翌日よその国から侵略されれば元も子もない、シベリアみたいになっちゃう、アメリカと切り離さずに返還されるのが一番よい、これは防衛庁長官としての発言ですね。——そういうふうに受け取ってよろしいですね。また言わなかったと言うのですか。
  34. 増田甲子七

    増田国務大臣 沖繩が返還されるときの態様は白紙でございます。そして、核関係について一は、国際情勢の変化、それから武器の関係の科学技術の進歩、総理のおっしゃっていることは、おそらく武器関係のことだと思います。それから、世論の動向等と照して慎重に対処する、それまでは白紙であるという態度に少しも変わりはないわけでございまして、私が言ったのは、沖繩が返還されたときは、日米安保体制のもとでないと不安だ、日米安保体制のもとに、沖繩以外の本土があるように沖繩もあるのだ、そうなくちゃならぬということは、これは私どもの考えでございます。自民党なり政府は共通にそういう考えを持っているのでございます。
  35. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 それは総理がいつも繰り返して言っていることなんですね。そうじゃなくて、その翌日よその国から侵略されれば元も子もない、返還されたときに、アメリカとの関係が切れたら侵略される、そういう意味のことをあなたは言われているのですね。そして、アメリカと切り離さずに返還されるのが一番よいということは、つまり、現状のまま、核つき基地自由使用、そのままの返還を防衛庁長官としては考えておられる、そういうふうに受け取ってよろしいのですね。
  36. 増田甲子七

    増田国務大臣 そういうふうに受け取ってもらっては困ります。アメリカ軍がエバキュエイトする、撤退するというようなことは困る、つまり、四万五千のものが帰ってしまうというようなことは困る。日米共同防衛体制のもとになくては困る。これはもう天下の常識でございます。われわれはそういうふうに考えております。これに反対する方もございますけれども、われわれは日本独自で沖繩を守り、沖繩から米兵が一兵も残さず帰るというようなことは困る、こういうことを言っておるわけでございますから、川崎さんも御了解を願いたい御了解ということは、悪いことを言っての御了解じゃありませんよ。理解を願いたいということです。
  37. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 そうじゃない。いまは白紙だ、こう言っておる。政府の正式見解は、基地の扱いについては白紙だと言う。ところが、あなたが言われているのは、共同防衛だ、そしてそれは現在の米軍の実態というものをそのままにして、切り離さずに、つまり、そのままに返還されなくちゃならぬのだ、それでなければ侵略されて元も子もなくなる、こう言っておられるでしょう。どこが侵略してくるのですか。
  38. 増田甲子七

    増田国務大臣 現在の基地そのままでなくてはいけない。したがって、現在核ありということは私は明瞭にしたのですから、メースBが核であるとか、あるいはナイキハーキュリーズが、核非核両用であるということは、私は、前に国会において衆参両院において明白に申し上げております。その状態ということじゃない。切り離してということは、アメリカがこの防衛の責任を一つもとらずに、ということでございますから、あなたがいろいろなことを御親切に考えて、そして論理の飛躍をされて私に質問されても答えかねます。アメリカ日本との共同防衛であるということは、日本本土と同じでなくちゃいかぬ、こういう意味でございまして、あと、基地のあり方等については白紙でございまして、特に、基地というものを撤去するということを白紙だと言っているのじゃない。基地が核基地になっている場合に、その基地の取り扱いが白紙だということなんで、普通の基地、横田、厚木等のような基地であるならば、これはもうほとんどの国民は無条件に賛成なんです。そこで、返すか返さぬかが問題だということで総理も苦しんでいるわけでございますが、昨日はそんなことを言っているのじゃない。アメリカ軍が全然無縁の立場で、もう撤退してしまう、切り離されたというような場合では困るということを言っておるのでございまして、日米安保体制ということは当然である、これが私はほとんど世論の常識であると思っております。
  39. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 それじゃお尋ねします。メースBが配備をされたのはいつで、中国の核実験が行なわれたのはいつでありますか。あなたは何でも知っているでしょう。沖繩の核をおれが説明したと力んでいるんだから、はっきり言ってくださいよ。
  40. 増田甲子七

    増田国務大臣 お答えいたします。  ナイキハーキュリーズが核、非核両用であるということは、これはもう御質問の前からお答えしております。メースBは一九六二年に配置されております。そこでその後、一九六八年から七二年の五カ年間というマクナマラの証言がございましたが、その後数年はあったほうがいいということでございまするから、一九七二年がまずまず最頂点ではないかというふうにマクナマラの証言から私どもは考えております。配置されたのは六二年でございます。
  41. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 中国の第一回の核開発、核実験は……。
  42. 増田甲子七

    増田国務大臣 みんなで七回ございまして、最初は三十九年でございます。
  43. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 六四年ですね。そうしますと、六一年にメースBの配備を決定して、六二年に配備された。中国の核実験が行なわれたのは六四年。そうしますと、あなたはよその国から侵略されれば元も子もない、こういうふうに言われている。しかし、現実にアメリカが施政権の自由を持っておる沖繩にメースBを配備をして、中国の土手っ腹に向けたのは六二年でしょう。方針を決定したのは六一年、六二年にメースBを配備をした。それでおどかしておるわけです。どちらがおどかしているんだ。土手っ腹に二千二百キロの射程を持ったメースBを突きつけた。このことは脅威ではありませんか、相手に対しては。
  44. 増田甲子七

    増田国務大臣 メースBというのは射程が二千キロでございまして、私が前に国会で申し上げたことを繰り返しますと、北のほうでは青函の海峡、北海道と青森……。
  45. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 そんなことは聞いていない。時間がなくなるじゃありませんか。
  46. 増田甲子七

    増田国務大臣 簡潔に申し上げるために……。
  47. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 それは知っていますよ。
  48. 増田甲子七

    増田国務大臣 そういうわけで、戦略戦術兵器と言われております。でございまするから、まずまず日本から見まして、日本はそういう武器は備えないということだけは明確でございまして…。
  49. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 対中国の関係を聞いているのです。
  50. 増田甲子七

    増田国務大臣 対中国の関係あるいはその他の関係においては、とにかく二千キロの範囲内においては、一つの核兵器としての威力はあるということだけは認めます。
  51. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 そうしたら、中国が核開発、核実験をやる前に、すでに六二年にメースBを据えた。二千キロでしょう。二千二百キロともいうが、あなたは二千キロと言う。これならば北京も入り、朝鮮半島は全部入ります。そういう射程の中で、土手っ腹に突きつけた。それが、その方向に向けられている国にとっては脅威ではありませんか、こういうのです。
  52. 増田甲子七

    増田国務大臣 まあ、脅威だと思います。
  53. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 それならばおかしいじゃないですか。佐藤総理が昨年の十一月、中国の核開発の脅威を言っておるけれども、そもそも最初に脅威を与えたのはアメリカである。そのことはお認めになりますね。
  54. 増田甲子七

    増田国務大臣 その点はなかなか明瞭にはいたしかねるのでございまして、私はアメリカソ連、中共等に聞いてみないと、一九六四年に突然出てきたようなものとは思いません。その前から、一九五〇年代のうちの五五年あるいは五四年ごろから一生懸命研究しないと、突然世の中に核兵器が出るものでないということは申し上げておきます。
  55. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 これは戦後の核戦略全体をとってみても、常にアメリカが先なんですね。アメリカが先に核を持った、核独占をしておった。そのことが、ソビエトがそれに応ずる態勢をとらざるを得ないということになってきた。そうして、今日核使用の協定にいたしましても、日本はそれに参加をしないし、そういう意味でいくならば——話がまたわきに行くと、防衛庁長官はすご話をわきのほうにそらせますから、限定をいたしますけれども、今日沖繩が、現実には、核をとってみても、中国にとっては、沖繩に核を配備したことが脅威だということは、明確にいま防衛庁長官はお認めになったわけです。このことは、今日のB52の問題にいたしましても、常に緊張の原因は、沖繩にアメリカ側か置いておる——抑止力といいながらも、現実にはこれは戦力になっておる。抑止力が毎日戦力として行動しておるわけです。ですから、その点については、防衛庁長官も明確にお認めになったと思います。いかがですか。
  56. 増田甲子七

    増田国務大臣 まあ、アメリカや中共に私がかわって答弁することもないと思いまするが、メースBが存在いたしておって、その射程は二千キロである、これはいまではごくコンベンショナルなものであるけれども、核兵器であるということだけを私は認めたい。  それから中共の核開発というものは、なるほど実験されたのは六四年でございまするが、その前から、一九五〇年代から研究開発しておるという情報はわれわれのところにも来ておりまするし、アメリカにも英国にも来ておるのじゃないかと知は考えております。
  57. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 時間ですから終わります。
  58. 野原正勝

  59. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 十一日の総括再質問で、だいぶん私、問題を残しました。そこで分科会で自余の問題はできるだけ明らかにしてまいりたい、こういうお約束をいたしておきましたから、許された時間の範囲内でお伺いをいたしたいと思います。  そこでまず第一番に、あなたはASM空対地外すね、これは研究をさしておるけれども、全然装備する気持ちはないのだとおっしゃいました。労れを確認しておきます。
  60. 増田甲子七

    増田国務大臣 研究昭和四十六年度からいたす、こういうわけで、その前は予算をとっておりません。そこで研究しているかいないかというと、昭和四十六年度から始まりましても、研究をしないとは言わぬわけでございまして、研究はいたしておりまするが、われわれは、空対地のミサイル、それに対しては相当の照準器も要ります、そういうようなことで、ブルパップのごときものは備える気持ちは毛頭ございませんということは申し上げておりますが、繰り返して同じことを申し上げるわけでございます。
  61. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、いまブルパップのことは言っていないのです。空対地、つまり飛行機に地上攻撃のミサイルを備えるという構想はないのだというふうに私はあなたの答弁でこの前理解したのです。違うのですか。
  62. 増田甲子七

    増田国務大臣 ASMは昭和四十六年から研究いたしますが、備えるというような気持ちはいまのところございません。
  63. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 もう少し総括のときは強く言われたのですよ、いまの御答弁は。ということは、攻撃的な武器は持たないという印象を与えるために、あなたはそのようなことをおっしゃったのではなかろうか、私はそのように理解したのですよ。しかし、備えるあれはないとおっしゃるのだから、よろしゅうございます。  そこで私は、あなたはこの技術研究開発計画の選定方針に違反をしておられると思うのですよ。どうしてかというと、この防衛庁から出されましたこの資料、これは私が持っておる資料といまから申し上げる点は一致します。選定方針のところに何と書いてあるかというと、「新規ざん新な構想に基づき、かつ、装備可能性の大なるもの」これは研究させておるということになっておるのです。装備可能性のないものをどうして研究させるのですか。だから、私はたびたび申し上げるように、その一時一時の、その場その場の御答弁をされては困るということを私は再三申し上げておる。やはり率直におっしゃったほうがいいんじゃないかと思うのですよ。
  64. 増田甲子七

    増田国務大臣 速記録を調べませんと私も明確にはわかりませんが、ASMの研究昭和四十六年からいたしまして、私がいま明確に記憶があるのは、ブルパップのごときものは備えない。これはASMでございます。これは明確に今日でも言えます。これから四年たって開発するかもしれないものを将来備えるとか備えないとかいうことは、今日明確にコミットできないというのが、やはり正直な態度ではないかと私は考えております。  それから自衛隊が外国の脅威となるような武器を備えないということは、もう包括的にすべての自衛隊について言えることでございます。
  65. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あなたはきょう答弁を変えられたのですよ。いいですか、わかりますか。あなたはこの前総括質問のときには声を大にして、ASMは絶対に——あれを持ってきてもいいが、私はきょう速記録は持ってきませんでしたけれども、あなたは声を大にして言われたのですよ。絶対に備える気持ちはありません、研究はさせますけれどもと、こうおっしゃっておるのです。あなた方そばにおられて、そう聞かれましたでしょう。そうなんですよ。それをいまの御答弁は、備えるか備えぬかということはいまからそうコミットするわけにいかないというのは、答弁を変えられたのです。困りますよ、総括でやられたときと、いまそう答弁を変えられますと。
  66. 増田甲子七

    増田国務大臣 楢崎さん、これは予言者じゃないのですから、昭和四十六年から研究しようというものが——しかもブルパップというものは十何キロ行くというのでしょう。それでASMは一キロくらい行く照準器を持った、しかも地上に侵略者が来た場合に——研究はするけれども使わないというようなことは、予言者じゃないから、そこまで私があらゆる場合を想定して、将来の十年先のことが見えるわけじゃありませんし、将来の防衛庁や防衛庁長官を縛るというような発言をしてあるとすれば、むしろそこを修正しなければなりませんが、ぺん速記録を見てからにしていただきたいと思うのです。どんなASMの研究をするか、昭和四十六年になってみなければ——しかも研究昭和四十六年から昭和五十年くらいまでするかもしれません。しかもブルパップごときものは備えないということは明確です。あんな威力のあるものはいけない。十何キロも行くのです。たとえ空対地であってもいけないということだけは明瞭でございまするから、つまりブルパップ類似のものはいけないと言ったことを、あなたは拡張解釈してもらってもけっこうです。ただ、われわれがこれから研究せんとする、四年後に研究ぜんとする、しかも研究というものは五年くらいかかりますでしょう、昭和五十年も後のことを、昭和四十三年度の防衛庁長官が縛ってしまって、絶対に昭和五十年の防衛庁長官には備えさせない、そういうことを言うはずはありませんし、言ったとすれば、将来の十年先の防衛庁長官に対して悪いですから、修正する必要があると思っております。
  67. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 長官、あなたは誤解されたら困りますよ。私は、あなたがおっしゃっていないことは言っていないのです。あなたがおっしゃっておることを言っておるのですから、あなたのことばを鏡に映して言ってください。私がいかにもつくりごとをして、将来のあれをあれするようなことを私が言うはずはない。それならあなた変えられればいいですよ。ほんとうに長官ことばはおかしいと思うのですよ。それでもし違っておったら、今度総括の総締めくくりのときに訂正してください。いいですか。この選定方針には、「装備可能性の大なるもの」しか選定しない、研究開発しないと、おたくからもらったのには書いてある。だから、装備可能性の不明なものは選定に入れない、こういうことでしょう。こうなるのですよ。この文章はおたくが書かれたのですから、あなたの文章で言っているのです。私はつくりごとを言っているんじゃないのだからね。
  68. 増田甲子七

    増田国務大臣 私がはっきりいたしておるのは、ブルパップは備えませんと言っておりまするから、あなたが拡張して、ブルパップ級のものは日本アメリカの力を借りずに独自に開発しても、それは備えないということになるでしょう。しかし、ASM全体が昭和四十六年から研究が始まるのでございまして、その研究の結果一キロぐらい行くのや二キロぐらい行くのがあるかもしれません、空対地のミサイルで。十一キロ、十二キロというような、そういう飛び道具は備えません。これは私が長官である間は備えさせません。すなわち、ブルパップを借りてきて、いまブルパップは現に開発されてあるのですから、それを日本の要撃戦闘機等に備えない、こういう意味でございます。  あとは総括質問のときに、さらに明確にしてもけっこうでございます。
  69. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 川崎君も言っておりましたが、少し答弁がまともでない。答弁を長くおっしゃられるのは、時間が限られておりますから困るのです。それでいまのことは、私が言うのじゃなしにあなたは自分のおっしゃったことを速記録で見られて、そして返答してください。私がつくりごとを言っているように言われたら困ります。  それじゃ次に進みます。時間がありませんから、要領よくひとつお答えいただきたいと思います。SAMそれからASM、ロケットターゲット、ロケットエンジン、二十九日に出されなくて三月五日に出してこられたこの四つの項目について、四十三年度予算に含まれておるものがあったら、その金額を言ってください。時間がありませんから、お調べになってあとでけっこうです。局長さん、それじゃ一緒に言っておきます。  それから技術研究本部、四十三年度予算は八十四億になっておりますね。そのうちに研究開発費が七十一億、端数を抜きますと、この八十四億の中に七十一億は含まれておるわけだと思います。そこで八十四億と七十一億差額の具体的な説明、それが二番目です。  それから十一日の日に申し上げました七十一億と、今度はおたくの資料で出してこられました五十六億との差額の具体的な説明、これをお願いしておきます。一緒にそれを出していただきたいと思います。そして一括して私質問しますから、用意ができたらおっしゃってください。時間がありませんから、その間ほかの点の質問をいたしたいと思います。  それでは、自衛隊法を見ますと、適用を除外される国内法についてはずっとあげてあります。たとえば火薬類取締法あるいは銃砲等の何とかとか、適用除外が全部されてあります。いいですか。したがって、自衛隊法に適用除外をされていないものは、当然自衛隊といえどもその法律の適用を受ける、このように解釈してよろしゅうございますね。長官さえ責任を持ってもらえば、だれでもけっこうです。
  70. 麻生茂

    ○麻生政府委員 大体お説のとおりだと思います。
  71. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのとおりだと思いますね。したがって、毒劇物取締法の週刊は、自衛隊といえども受けますね。
  72. 麻生茂

    ○麻生政府委員 適用されるものと考えております。
  73. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは自衛隊が現在治安行動に出られる場合に準備をされておる化学兵器のうち、防護でないもの、つまり攻撃的なものは、どういう種類のものを持っておられるか、明らかにしていただきたい。
  74. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 治安出動に関します兵器に必要とします装備の中で、攻撃用の装備というものは、現在自衛隊は持っておりません。
  75. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 攻撃ということばが悪うございましたら、制圧ということばに変えてもよろしい。たとえばガス類、そういったものを私は言っておるのです。
  76. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 相手の行為を制圧するといいますか、いわゆる制止する必要があるものは、これは持っておるわけでございます。
  77. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや、だからそのうち化学兵器の分について、どういうものを持っておるのか。ケミカルです。
  78. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 催涙ガスでございます。
  79. 楢崎弥之助

    ○楢崎政府委員 催涙ガスのほかはお持ちでありませんか。
  80. 中井亮一

    ○中井政府委員 いまお尋ねの化学兵器という名前につきましては、自衛隊の中で使っております定義がございますが、それからいきますと、ただいま申し上げました催涙ガスというのは、一昨日お手元にお出ししました教範の中にもありますけれども、化学兵器という中には入っておりません。
  81. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは化学兵器とはどういうやつですか、自衛隊の方が用意されておる制圧に使う化学兵器というのは。
  82. 中井亮一

    ○中井政府委員 催涙ガスというのはございますけれども、化学兵器としては、化学武器という名前で扱っているものではございません。
  83. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私の質問がよくわかりませんか。化学兵器として催涙ガスが……。そう言っているではありませんか。催涙ガスとあなたはおっしゃるが、それはしばらくこっちへ置きます。それでは、催涙ガス以外で制圧用の化学兵器というのは、どういうものを持っておりますかということを言っているのです。お答えになれないならなれないでいいのです。
  84. 中井亮一

    ○中井政府委員 持っておりません。
  85. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 制圧用の化学兵器は持っておられない。そうすると、催涙ガスは化学兵器ではない。では催涙ガスは何の兵器ですか。
  86. 中井亮一

    ○中井政府委員 催涙ガスは、化学防護のために必要な訓練資材として私のほうでは扱っております。
  87. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私はここで議論したくないのです。あなたは私をしろうとと思ったらいけませんよ。それならあなた時間をかけてやりますよ。私はここで時間が限られておるから、たくさんの問題はやれません。十一日の日にも問題になりました治安行動計画、この中に、ガスをどのように使用するか、あなた方は制圧用に使うことを書いてあるではありませんか。それから同じく増田長官は、突如として、教範はつくらせないとおっしゃったが、皆さん方のお手元にございます教範の草案には、制圧方法がちゃんと書いてあります。私ここに全部持っております。治安行動教範なるものはありますよ。読んでもよろしゅうございますよ。抜き書きしてみましょうか。そんなにおっしゃるのだったら、言わざるを得ませんよ。いいですか。この教範の草案にどう書いてありますか。おもなところをちょっと言ってみましょうか。催涙ガスを使う場合です。「状況に応じてヘリコプターなどをもってガスを広範に使用」、それから、「催涙ガスなどの濃密なものを大量かつ急襲的に集中使用する。」と書いてあるじゃありませんか。それから治安出動計画にはどういうことが書いてあるかというと、これは主として陸幕の四部の任務であります。陸幕の四部というのは、御承知のとおり、資材とか補給とか施設とかを担当しておるのですが、そうですね。どう書いてあるかというと「デモ鎮圧に使用する催涙弾数の算出とその確保」それから「催涙弾を操作する化学部隊の編成」それから「出動部隊に対するそれらの催涙ガスの補給」と書いてあるのですよ。防護だけに使っているということはないではありませんか。いいですか。
  88. 中井亮一

    ○中井政府委員 化学兵器ということで御質問がございましたので、私は化学兵器ではなくて防護用のものだと申し上げたわけでございますが、いまの暴動の治安出動時に際して制圧用に使う一つの資材としての催涙ガスというものはございます。それはただいまお話がございましたように、使うような手はずでやっておることはございます。
  89. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 さっきの答弁と違いますね。さっきは、催涙ガスは制圧に使うのじゃなしに防護に使うと言ったじゃないですか、言ったでしょう。だから、私は言ったでしょうが、あまりなめられちゃ困りますよと言って。時間を食って私は読み上げたのです。どうしてそういううそをおっしゃるのですか。そういううそをおっしゃられたら、私は全部やりますよ。あるのでしょう、催涙ガスをデモに使用するために用意をしておるのでしょう、増田長官が言われるように、いざというときには、条件が整ったときには。
  90. 中井亮一

    ○中井政府委員 ただいま先生がデモとおっしゃられましたけれども、デモには大臣も……。
  91. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そういうことばであなたはこの問題をずらしちゃいけませんよ。大衆運動と言ってもよろしゅうございます。あなた方の条件でいけば、暴徒ということを言われます。つまり制圧用に使うということには変わりありませんですね。そうですね、そうでしょう。
  92. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま保有トン数、これは申し上げてもよろしいのですけれども、それが教育用に半分ばかり便ってしまって、驚くほど少ない額であります。その額は一匁といえども許さぬといえば、それはそういうことも言えましょうが、いま三トンございます。そのうち一年に消費するのが一トン半余でございます。でございますから、いつもそれくらいは使ってやっておるわけで、要するに教育用に使っておる。しかし、その目的は、治安出動時というきわめてまれな場合における制圧用にもなるでしょう。その制圧と防護とは違うということをあなたがどこで定義されたかわかりませんが、制圧と防護とは私は大体同じものである、こう考えております。
  93. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ことばのやりとりはしたくないのです。それは不毛の論議ですよ。(増田国務大臣「それはあなたが使っておる」と呼ぶ)実態を言っておる。あなた方は制圧ということばを使っているから出しておるのですよ、そんなことを言われるのだったら。あなたが使っておる、何を言うのですか。いつもそんなことばかり……(増田国務大臣「それは認めない。」と呼ぶ)認めないと言ったって、教範草案に使ってあるから言っておるのです。あなた方の用語で言っておるんですよ。それじゃ、いま現実に自衛隊はそういった治安出動とか行動に出られていないから、おそらく消費されているのは教育用だと思います。それは長官のおっしゃるとおりだと思います。  そこで、催涙手りゅう弾というものをあなた方用意されておるんでしょう。装備局長でけっこうです。ただし局長さん方が答弁されるときには、長官は責任持っておってくださいね、あれは局長だから知らないと言われないように。
  94. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 催涙筒を持っております。
  95. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私はあっちこっちへ行ってよく調べているんですよ。あなた方は催涙筒をどこからお買いになりますか。
  96. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 催涙筒は細谷火工でございます。
  97. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は細谷火工に行ったんです。いいですか。そして細谷火工のいろんな書類を見せてもらいました。説明も聞きました。警察に売っておるのは催涙筒と、私が行ったときには細谷火工は言いませんでしたけれども、そのほかにいわゆる佐世保で、成田で使った催涙原液、ガスの筒だけではなしに原液、これもつくって警察に渡しておるんですよ。自衛隊のほうは何かと言うと、催涙手りゅう弾、こうはっきり言っておるんです。どうして催涙筒とおっしゃるのですか。
  98. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 いま自衛隊が持っておりまするものは、手りゅう弾という名前でございませんで、催涙筒、もう少し小さなもので催涙球というものがございますけれども、手りゅう弾という名前では使用しておりません。
  99. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 会社のほうは催涙手りゅう弾として書類に書いてあるのですよ。その程度のことをどうしてそんなに固執されるのですか。
  100. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 弁解するわけではございませんが、いま手りゅう弾ということばを初めて聞きまして、あわててさがしたわけであります。私どものほうは筒と球ということで使用しておりますので、その点は誤解のないように——わびるわけではございません。
  101. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは四十三年度の、その前に技術研究本部、技研本部はこの催涙液を買っていますか。
  102. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 買っておりません。
  103. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これも細谷火工では、技術研究本部にも納めておることになっておるんですよ。なっておるんです。
  104. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 いま調べましたけれども、現在のところ買っている事実はないと考えておりますけれども、先生のことでございますので、調べまして至急お答えいたします。
  105. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、細谷火工は、資本金は五千万で、従業員が百十名、小さな会社です、この会社に迷惑をかけたくはありません。だから、会社の問題じゃないのです。なぜそういうことを言ったかなんということはおっしゃらないでくださいね。おたくのほうをごまかすために、そういう会社をいじめちゃいかぬですよ。ちゃんと取引先になっているんですから、これは明確にしてください。  そこで、もし買っておるとすれば、技研本部の四十三年度の予算に幾ら組んであるか、それを知りたいわけです。
  106. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 四十三年度の予算案の事項には、そういう購入経費はついておりません。(加藤(清)分科員「どんぶり勘定で買っているのか」と呼ぶ)技術研究本部の研究には人当的な研究費がございますので、それはそのつどいわゆる実験用の器材を買ったりいろいろできる、人当でついている経費がございます。これは使途は指定されておりませんけれども、その間いわゆる予算項目としてはそういうものがございます。
  107. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、買っておると言われたっていいと思うのですよ。おたくから出された項目にちゃんと書いてありますからね。別に隠される必要はないでしょう。つまり化学防護をいまやっているから、防護をするにはそのものがなくては防護できないから、当然技研本部は買っておるはずですよ。そうしなければ、防護器材はつくれないじゃないですか。おたくからいただいたこの三月五日の資料には、ちゃんと書いてあります。CBR用の防護器材、防毒ガスマスクとかなんとか書いてあるではありませんか。だから、当然それに対して実験しているはずだから、持たないはずはないのですよ。それをどうしてそんなに隠されるのですか。科目は研究器材の費というのがあるから、それで買われている、私はそれでいいと思うのです。何も私は責めていないのですよ。事実をはっきりしたいだけの話ですよ。——それじゃすぐ調べてください。もう私の時間はあと二十分ほどしかありませんから。  それじゃ次に進みたいと思いますが、自衛隊は細谷火工から昭和何年ごろから買い始められましたですか。——それじゃ調べて御報告してください、しかし質問が終わるまで。あと二十分ほどしかありませんから、時間がありませんから先に進みます。  川島さんお見えですか。いよいよあなたに初めて質問するわけです。佐世保のエンプラ入港問題に関連して、警備に関して自衛隊の協力を求められましたですね。どういう協力をお求めになりましたか。
  108. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 お答えいたします。  今回の佐世保の事件の警備につきましては、自衛隊から多大の御協力を得たわけでございます。御協力を得ました内容を申し上げますと、宿舎の提供をいただきました。さらにまた、毛布三万一千四百五十四枚、マットが九千二百八十枚、まくらが四千七百六十個、いわゆる寝袋、スリーピングバッグでございますが、これが千個、乾パン四千八百個御協力を得たというのが、協力を得ました内容でございます。
  109. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 自衛隊の施設のほうの協力関係はどうでございましたか。
  110. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、宿舎の提供を得たわけでございますが、陸上自衛隊の相浦駐とん部隊、海上自衛隊の佐世保の教育隊及び海上自衛隊の第三海上訓練指導隊にそれぞれ宿泊をさせていただいたわけでございます。相浦の駐とん部隊につきましては、九日間で総計六千八十六名、佐世保教育隊につきましては、九日間通じまして六千百八十六名、同様訓練指導隊には九百四十四名、延べ一万三千二百十六人の宿泊の協力を得た次第でございます。
  111. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは宿泊だけに使われたのですか。何か訓練をされたのですか。
  112. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 宿泊だけでございます。
  113. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのほかには使われておりませんか。
  114. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 そのほかには協力を得ておりません。
  115. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 絶対にありませんか。再度念を押しておきます。
  116. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 宿泊の協力につきましては、これ以外にないはずでございます。
  117. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ないはずでございますとは、どういうことですか。
  118. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 現地から報告を受けておりますものによりますれば、この三つの部隊から宿泊の協力を得たというだけでございますので、そのように考えております。
  119. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 陸上自衛隊の竹松部隊というのはどこに属するのですか。
  120. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 竹松部隊は施設大隊でございます。
  121. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どこに所属するかと聞いているのです。
  122. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 西部方面隊に入っております。
  123. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どこにあるのですか。
  124. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 西部方面総監部は熊本にございます。
  125. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この竹松部隊はどこにあるのですかと聞いておるのです。
  126. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 竹松部隊は大村市でございます。
  127. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大村にありますね。——これは佐世保の市長さんが出しておるのです。私がどこからか機密文書を持ってきたんじゃないんです。これはみんな配ってあるんです。いいですか。川島さんお持ちですか。
  128. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 持っておりません。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 持ってないですか、こういう重要書類を、私が佐世保事件で質問するというのに。そうですが、お持ちでないですか。それほど自信があるんなら答弁してください。これの二の十五というところに、こう書いてあります。一月十二日、日誌がずっと書いてあるのです。「長崎県警察本部は機動隊員約六百名を集めて大村市にある陸上自衛隊竹松部隊グラウソードでデモ隊排除の綜合訓練を行った。」これは事実ですか。
  130. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 その問題とちょっと離れますけれども、ちょっと説明しておきたいと思うのですが、機動隊の訓練は、通常の場合には県の警察学校の校庭でやるのが普通でございますけれども、ただいま御指摘ございましたように、五百名という大量になりました場合には、訓練をいたします場所が警察自身のほうにはございませんものですから、そういうように付近の自衛隊のグラウンドを借りて訓練をするということは、各地においてやっておるわけでございます。いま先生御指摘の問題につきましては、佐世保事件の警備そのものについてでございましたので、宿舎の提供というふうにお答えしたわけでございますが、そのことは事実あったと思います。
  131. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だから、もうエンプラ入港に関して現地でどういう訓練をするか、ずっと前からしているのですよ。十二日の段階だから、あなたは私にそう言わなかったのですか。そういう不親切な答弁がありますか。いまあなたが私に答弁されました三つの自衛隊の施設の使用は、ではいつから始まりましたか。
  132. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 自衛隊の施設の宿泊は、一月の十五日からでございます。
  133. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それ見てごらんなさい。十五日から使った分は報告をして、十二日のものはどうして報告しないのです。
  134. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 今回の佐世保の警備につきましては、佐世保に警備本部を設けましたのは一月の十四日でございます。それでございましたので、十四日からの問題についてお答えをしたわけでございまして、それ以前の自衛隊からの協力は、長崎県だけではなく、各県におきましても、あるいはいま申しましたグラウンドの使用、借用というようなことは、多くの県でやっておったと私は思います。
  135. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、警察はあるいは機動隊は、しょっちゅうかどの程度か知らないけれども、常にデモ隊を、われわれのことばからいえば弾圧する訓練を、自衛隊の隊舎を借りてやっておった、そういうことですね、いいですか。いまの点は。
  136. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 先ほどもちょっとお答えいたしましたように、通常府県の機動隊と申しますのは、小さなところは五十名程度から大体百名程度が普通でございます。その程度訓練を行ないます場合には、いわゆる県の警察学校の校庭で十分間に合うわけでございます。しかしながら、先ほどもお答えいたしましたが、たとえば三百名とか四百名とかという数になりました場合には、場所がございませんので、付近の自衛隊のグラウンドをお借りをして訓練をするということは、各地においてやっているわけでございます。
  137. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 こういう使用は、随時使用さしてくださいという口頭の申し入れだけでできるのですか、長官
  138. 増田甲子七

    増田国務大臣 警察庁のほうから要望がございますならば、地元の自衛隊がそれぞれやってもよろしい。国有財産法、物品管理法等の法令の定むるところに従って行なっておるわけでございます。
  139. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや、口頭でいいのですかと聞いているのです。
  140. 鈴木昇

    ○鈴木(昇)政府委員 文書をもって処理をいたしております。
  141. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 警察は、いま川島局長は随時やっているという話ですが、そのつどそういう届け出を出して許可をもらってなさっていますか。
  142. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいま防衛庁のほうからお答えがございましたように、書面をもって借用の申し込みをしてやっておると思います。
  143. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 思いますじゃ困るのですよ。不正確です。それじゃ具体的に聞きますが、この竹松部隊のグラウンドの使用については、いつ出されて、いつ許可がおりましたか。
  144. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 何月何日に申し込んで許可を得たか、調べてみてお答えいたしたいと思います。
  145. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは至急調べてくださいね。これは重大なんです。何か新聞を見ると、自衛隊と警察の佐世保事件に対する協力関係はないみたいなおことばが載っておりましたから。この種の大衆運動に対する警察の制圧は、常に自衛隊の協力を得てやられておる、私はこれを指摘したいのです。だからすぐ調べてください。  引き続いて、いま川島局長からお話のありました三つの施設の許可は、いつおりましたか。
  146. 鈴木昇

    ○鈴木(昇)政府委員 昭和四十三年一月十二日付でございます。
  147. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この許可とかなんとかいう書類は、自衛隊では何扱いになっておりますか。
  148. 鈴木昇

    ○鈴木(昇)政府委員 使用承認の書類を何扱いにするという指定はございませんが、佐世保の場合には、長崎県警本部長からの文書が秘という指定をしてまいりましたので、防衛庁の秘密保全に関する訓令に基づきまして、先方の意思を尊重して秘ということにいたしました。その後、長崎県警からの秘解除の通報がございましたので、その後解除いたしております。
  149. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いつ解除されましたか。
  150. 鈴木昇

    ○鈴木(昇)政府委員 警察からの連絡は三月二日にございました。そこでそのような取り扱いにいたしました。
  151. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 本庁に連絡があっておると思いますが、私が福岡の施設局にお伺いしたのは、私忘れましたが、何日でしたかね。
  152. 鈴木昇

    ○鈴木(昇)政府委員 三月四日と記憶しております。
  153. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 では、四日の段階では解除されておるではありませんか。施設局はマル秘ということで私に見せませんでしたよ。どういうことになっておるのですか。
  154. 鈴木昇

    ○鈴木(昇)政府委員 マル秘の解除を三月二日に通知をいたしましたので、ちょうど土曜日だったので、そのようなことになったのではないかと思います。
  155. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 先ほどお願いしました予算のあれは出ましたか。
  156. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 当初御質問になりました点について、お答え申し上げます。  四十三年度空対空の誘導弾の経費が二千六百万円、ASM、SAMの地対空……。
  157. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私の言ったことを言ってください、時間がないのだから。すでに出されておる二項目じゃなしに、四項目を言ったでしょう。SAMとASMとそれからロケットターゲット、 ロケットニンジン、その四つのことを言っているのです。
  158. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 計上されておりますのは、高性能ロケットエンジンの五百万円だけでございます。  続けて第二点の御質問にお答えいたします。先ほどの五十六億二百三千万円、七十一億二千三百五十万円及び技術研究本部の約八十四億七千七百万円、この三つの相違でございますが、お手元に予算書があると思いますから、予算書についてお答え申し上げます。七十一億二千四百万円は予算書の二三一ページに載っております。二三一ページに研究開発費七十一億二千三百五十五万四千円とございます。これが七十一億二千四百万円の数字でございます。そのうち五十六億二千三百万円について申し上げます。9の番号の試作品費というのがあります。十二億七千九十万円、それからその次の対潜飛行艇試作費、それからその次の中型輸送機試作費、それから二つ飛ばしまして技術調査研究委託費、それからその次の中型輸送機設計研究委託費、その次の高等練習機設計研究委託費、この合計が五十六億二千三百万円になります。   〔主査退席、小沢(辰)主査代理着席〕 したがいまして、この項目から除かれたものがその差額でございます。  さらに八十四億七千七百万円の技術研究本部との関係でございますが、ただいま申し上げました七十一億二千四百万円のほかに、施設整備費という項が次のページにございます。この施設整備費の中に、公務員宿舎あるいは研究所の施設改善等の経費が二億七千三百万円含まれております。それからさらに二三三ページに、附帯事務費等がここに載っております。この事務費が四百万円、それからさらに二三〇ページに戻りますけれども、二二九ページから三二〇ページにかけて人件費等がございます。これが九億七千百万円となっております。及びそれに伴う管理運営費、これが一億五百万円。これらを合わせまして八十四億七千七百万円となるわけでございます。
  159. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 四十三年度の技研本部の研究所の定員は、何名ですか。
  160. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 技術研究所の四十二年度末の定員は、千三十人でございます。さらに四十三年度の要求におきまして十四名の増加と、それから定員削減による減四十六名がございます。それを要求しております。
  161. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 研究職ですよ。
  162. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 研究職の定員は、四百七十四名でございます。
  163. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 このほかに、自衛隊から研究職として来ておるでしょう。
  164. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 自衛官から、技術研究本部の研究所かどうかわかりませんけれども、行っている人数は二百三十四名でございます。
  165. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これらの人たちには特定の金額が渡されておりますね。
  166. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 人当研究費は一人当たり五十三万円と記憶しておりますけれども予算上計上されております。
  167. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その金額はさっき言われた人件費に含まれるのですか。正式にはいまのは何という名前ですか。
  168. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 人当研究費でございます。
  169. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 人当研究費というのは何ですか。
  170. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 ほかの政府関係機関の研究機関もございますし、それから大学の試験研究、いわゆる教官研究室的なものでございますとか、それからほかの技術研究機関におきましては、人当的な技術研究費ということで、いろいろなものをいろいろ研究するという経費でございます。
  171. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは給与のほかに出るのですね。
  172. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 給与のほかでございます。ただし、個人支給ではございませんので、一応庁費の扱いでございますので、全部一括して計上してございます。
  173. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 研究費は研究費として別に組んであるでしょう。この人当研究費というのを、もう少しわかりやすく説明してくれませんか。
  174. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 人当研究費というのは、いろいろ研究科目によって違います。また各部署等も違いますし、いろいろ実験する器具等も違いますので、そういうものを一括いたしまして、一人当たり幾らというような経費を計上しておるわけでございます。それから特別なものにつきましては、特別研究費というようなものがそれぞれ科目、事項によってきまっておるわけでございます。
  175. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 何に使うのですか。
  176. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 その研究官の研究費に使う経費でございます。
  177. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どうも私どもしろうとから見ますと、ダブっておるような気がするんですね、どうもこの辺が。一人一年間に給料のほかに五十三万円も出る。しろうと考えからいけば、国民はそう考えるんですがね。
  178. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 わかりやすくお話しいたしますと、二月二十九日にお渡ししました資料の中で、開発項目費というのがございます。これは各項目ごとに、試作とかあるいは開発等の関係でつきます。そのほかに、試験研究費という項目がございます。これはいま申しました各研究所に、その研究職の方々に五十三万という予算の出しかた計算の方法として出しまして、それを所内研究に便っております。それは所長がこういう基礎研究をしたいということで長官に届け出まして、私のほうで見まして、それの研究費となっております。そのほかに開発試験費というのがありまして、さっき申しました項目費の試験をするために使う費用というんで、われわれは三つに分けて考えておりまして、この間の資料にもこの三つの方式で分けて出してございます。
  179. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 わかりました。非常にこの辺が、私どもとしてここまで聞かぬと中身がわからないんです。長官、くどいようですけれども、これは私は非常にわからない。金額としてはっきりさしたかったんです。  そこで、警察のほうにお伺いします。十一日も指摘しましたように、あなた方は——長官もそうでした。クロルアセトフェノンが劇物指定になっていないからということを、えらい鬼の首でも取ったようにおっしゃっておるんですね。しかし、あの毒劇物指定をなぜするかというと、あの品物を使えば人体に影響があるから、それで注意をするために劇物指定をやるんですよ。だから、そのものを使って人体にぶっかけるというようなことは予想してないものなんです、クロルアセトフェノンというのは。指定するはずがないじゃありませんか。人体がそういうものに影響をされないために、害を受けないために指定をしておるんですからね。それを人体そのものにぶっかけて害を与えるなんということを、取り締まり法が想定するわけないんです。長官、それをあなた方は、鬼の首でも取ったように、毒劇物指定じゃないから毒ガスじゃないんだというような、使ってもいいんだというようなことを、あまりおっしゃらないほうがいいと思うんです。いずれ厚生省は、クロルピクリソは劇物指定になっていますから、これを劇物指定しますよ。そこでこれはいいです。理由はともかくとして、現実には指定されておりませんから。  そこで、その四塩化エチレンですね。川島さん、四塩化エチレンは、労働基準法の四十二条に触れるわけですね。どうですか。
  180. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 御指摘のとおりに、有機溶剤中毒予防規則というのがございまして、これには先生も御案内のとおりに、一定の許容度というものがございます。特にこの四塩化エチレンにつきましても、いわゆる屋内でいろいろな作業をいたしますような場合、そういうふうな場合のように多量にこれを取り扱う場合には、それぞれ必要なる予防措置でありますとか、あるいは取り扱い上のいろいろな注意が必要であるということが、規則にあるわけでございます。したがって、警察が催涙溶液を取り扱いますのは、御案内のように屋外で使用いたしますので、ただいま申しました予防規則というものが規定しております内容とは違ったものである、こういうようにわれわれは考えおります。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あなたはそういうことをおっしゃっちゃいけませんよ。法律というものの精神を考えてもらわなくちゃいけません。なぜ予防規則をつくっておるかというと、身体に害を与えないためにつくっておるんです。それで、この四塩化エチレンは、あなた方は呉羽から買っておられるでしょう。呉羽のこの四塩化エチレンは、クレハパークロルエチレンとしてちゃんと書いてある。私は呉羽へ行ってパンフレットをもらってきたのですよ。このパンフレットにも、いかに害があるか、これに注意するためにこれこれ、これだけしなければならないと、親切丁寧に書いてあるのです。それがあなた、からだにぶっつけるなんということは、呉羽に行きましたら、たまがっておりましたよ。まさかこういうものに使われるとは思わなかったと、技術者は言っております。これほど注意書きをして、からだに影響がないようにといってやっている品物を、それを人間にぶっかけるなんというようなことは、とても私どもは考えられませんでしたと言っているのですよ。いいですか。あまりこの法律に触れないから、法律に触れないからというようなことで、この種のものを使っちゃいけませんですよ。川島さん、せんだって十一日の質問のあとで総理大臣は、個人的に、これはやめさせるとおっしゃいました。公式のあれでは、中止も含めて慎重に検討するとおっしゃいましたが、総理は終わって私のところに来て、これはいかぬなということをおっしゃいましたよ、やめさせると。だから、それは川島さん、私はほんとうに静かに言っておるのです、これだけはひとつ……。相手が悪いからといって、何でも使っていいということにはならぬのですからね。相手のことを私は言っているのではないのですよ、対象物については。これは、あなた方の規制を過剰にしておるものだと言われても、しようがないと思うのです。ガスの場合は、私は理論があると思うのです、一時的にあれはすっといくから。これは液で、ぬれておるから問題があるのです。それでガスは、四塩化エチレンだって蒸発しますから、これをあなた方は使われておる。原液では、そのCNが五%で四塩化エチレンが九五%なんですね。これがいけないと私は言っておるのです。それでよくこれは考えていただきたいと思いますが、いまの御心境はどうでございますか。
  182. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいま楢崎議員のほうからも御指摘がございましたように、警察といたしましては、ガスの使用につきましては、溶液も含めまして、きわめて慎重に実は使っておるわけでございます。したがって、将来におきましても、ガスの使用については在来どおりにきわめて慎重に使う、こういう方針でございます。
  183. 小沢辰男

    ○小沢(辰)主査代理 楢崎君、時間でございますから……。
  184. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 さっき向こうの答弁があんなに長引いておるのに、一、二分いいではありませんか。
  185. 小沢辰男

    ○小沢(辰)主査代理 だから、最後にしていただきたい。もう四十八分を過ぎております。
  186. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 簡単に、じゃありません。二問あります。一問は、私が社会党の調査団で市民病院へ参りましたら、一月十七日、大量に患者が来たそうです。七百人以上来たそうです。中央病院でもそうでした。お医者さんとしては、この被害を見て、これは一体何が原因であるか——長官、聞いておってくださいね、原因を知らなくては適切な治療ができないのです、常識で考えて。それですぐ、何でありましょうかと言って病院長が警備本部に聞かれたら、東京から連絡があるまで言えない。結局県警本部から連絡があったのは、二十四日なんです、一週間後なんです。こういうことは、いかにあなた方が権力を持っておっても、許せないことであると思うのです。お医者さんから何の成分であるかと聞いてきてそれを教えないなんというようなことは、私はこれは全く人道に反するやり方であると思うのですよ。これも私は総括でやりたかったのです、厚生大臣、法務大臣おられるところで。自衛隊もこれは用意されておるそうですから、なるたけ使わぬにこしたことはないと思っていらっしゃるでしょうけれども、いざというときは使わなければならぬものですから、ですからやっぱり一緒に考えていただきたいと思うのです。一週間もおくれたことについて、川島さん、どんなにお考えになっていらっしゃいますか。
  187. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいまお尋ねの件でございますが、院長先生から直接問い合わせがあったことは聞いておらないわけでございますが、実は御案内のとおりに、初めてガス液を使ったものでございますので、新聞社の方あるいはその他から大ぜい、実はどんなものであるかという声がたくさんあったわけでございます。したがいまして、この問題につきましてある段階においてその成分その他について一切のことを外部に発表することは、今後の問題もございますので、差し控えたわけでございます。したがいまして、いまお話のとおりに、病院のほうに性質、成分その他をお知らせ申し上げましたのは一月二十四日、そのとおりでございます。しかしながら、連絡がありましたときには、そのまま洗眼あるいは洗い落としていただけますればけっこうですということについての処方につきましては、電話で御回答申し上げたわけであります。
  188. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いかに警備のためとはいえ、だからといって、あれほどの治療をする人に対してその成分を言わないというような権利は、あなた方にはないです。これは反省してもらわなくちゃいけぬと思うのです。完全失明の人が二名おるのですよ、局長。二名おるのです。警察のほうも三名やけどを負われましたね、原液をひっくり返してかぶって。これは警察の方であろうと、あるいは対象とされるデモのほうであろうと、これはひとしく被害を受けるものです。人間としてこの問題を考えてもらいたいと思うのです。  それで私は最後に、この取り締まり規則と申しますか、取り扱い規定というか、どういうふうになっているか知りませんが、それをひとつ資料として出していただきたいと思います。もし資料が公表されないならば、何らかの形でわれわれに知らされるような手段を講じていただきたいと思うのです。というのは、私も一週間ここに被害を受けたのです。私はすぐ洗いましたから、一週間でケロイドみたいなやつはなおりました、まだ黒くなってはおりますけれども。それで、私どもはこれからやはり国民運動の戦列に加わるのです。これは自分の問題として必死になって考えておるのです。だから私は、これは執念をもって徹底的にこれからも追及していくつもりですから、どうぞこの取り扱い規則については、早急にわれわれにわかるようにひとつお示しをいただきたい。最後にその御答弁だけお願いします。
  189. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 取り扱い規程につきましては、他の委員会でもお答え申し上げたわけでございますが、内容そのものには、いま先生のお尋ねのような成分でございますとか、そういうことは全然規定してありません。ただ、御理解を得られると思いますけれども、取り扱いの手段、方法等書いたものでございますので、これに対して防御手段を講ぜられますれば、全然ガスを使っても効果がございませんので、そういう意味で——内容が秘密であるという意味ではございませんが、そういう意味合いで公表を差し控えさせていただきたい、こういうふうにお答え申し上げたわけでございます。
  190. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは公表はよろしゅうございますから、何かひとつそこに便法を講じていただいて、われわれにわかるように、公表しない方法で何らか考えていただきたいと言っておるのです。
  191. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 委員長にも相談した上で、御希望に沿うようにいたしたいと思います。
  192. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 本来だったら、私はここで粘るところです。何で公表されないのか。私も被害を受けておるのですよ。これほど私が真剣に言っておるのですから、われわれの希望はひとつかなえてあげてください。最近、きのうでしたか、学生がクロルピクリンを使っているという記事を読みました。私は非常に心配しております。といいますのは、この種の問題は、どちらもエスカレートするのです。片方がある種のものを使えば、片方ではそれに対抗するものを使う。私は非常に心配しております。ですから、少なくとも警察のほうはその点を十分考えて、これからの警備に当っていただきたい、以上で終わります。  それから先ほどの予算内容は、文書にして私にいただきたいのでございますが、お願いいたします。
  193. 小沢辰男

    ○小沢(辰)主査代理 森本靖君。
  194. 森本靖

    ○森本分科員 私は、予算委員会分科会でありますから、予算関連をして質問をしていきたいと思いますが、時間が制約されておりますので、答弁のほうでもひとつ簡潔に要を得てお願いをしたいと思います。  予算書の二三〇ページにありますところの、この弾薬費百八億円でありますか、この内容についてひとつ御説明願いたいと思います。
  195. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 弾薬費の内容について申し上げます。陸上自衛隊関係弾薬費が六十億四千九百万円、海上自衛隊関係弾薬費が二十六億三百万円、それから航空自衛隊関係弾薬費が十六億四千九百万円。
  196. 森本靖

    ○森本分科員 それでこの百何ぼに合いますか、数字が。
  197. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 そのほか、この弾薬費の中には、弾薬をいろいろ整備する経費、それからそれを修理する経費も入っております。
  198. 森本靖

    ○森本分科員 陸上、海上、航空合わせて百三億で、その残りの五億円程度がその装備ですか。
  199. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 さようでございます。
  200. 森本靖

    ○森本分科員 それで、この陸上自衛隊弾薬のおもなるものは、どういうものですか。
  201. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 六一式戦車用砲弾、一〇五ミリ迫撃砲砲弾、六二式機関銃弾、その他七・六二ミリ弾等、それらが内訳になっております。
  202. 森本靖

    ○森本分科員 その内訳は、どれが一番多いのですか。
  203. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 小銃弾が一番多いと思います。
  204. 森本靖

    ○森本分科員 その小銃弾は、全部で何発ですか。
  205. 佐々木達夫

    ○佐々木政府委員 ちょっといま調査中でございますから。
  206. 森本靖

    ○森本分科員 調査中なんて、それはすぐわかるはずですよ。弾薬が一発でも減ったら、陸軍はどうなるかわからぬじゃないか、昔は切腹だよ、一発なくなったら。
  207. 小沢辰男

    ○小沢(辰)主査代理 森本先生、調べておる間に別の質問を……。
  208. 森本靖

    ○森本分科員 それでは次に移りますが、海上自衛隊の二十六億の弾薬のおもなるものを言っていただきたいのです。
  209. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 どうもすみません。資料を持っておりませんので、至急調べてお答えいたしますから、お待ち願います。
  210. 森本靖

    ○森本分科員 昔の陸海空軍でしたら、このくらいのことは、はっきり言って、さっさと答弁できますよ。  それから次に、航空自衛隊のおもなる弾薬はどういうものですか。
  211. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 それもいま三自衛隊とも同時に調べてお答えいたします。
  212. 森本靖

    ○森本分科員 予算審議の際にそういうことでは、実際予算審議になりませんよ。長官どうですか。予算委員会分科会というものは、こういう数字を明らかにするのが分科会ですよ。それでは長官の見解だけ聞いたら先に進みますから……。
  213. 増田甲子七

    増田国務大臣 弾薬の細部に至るまでわかっているのが、当然だと思います。
  214. 森本靖

    ○森本分科員 海上自衛隊陸上自衛隊航空自衛隊の本年の弾薬購入費は、総額百八億ということはわかっておるけれども、その細部についてもすぐ答えができない、こういうことでありますが、現在海上自衛隊は別として、陸上自衛隊が常備弾薬として持っておる弾薬は、どの程度ありますか。
  215. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 昭和四十二年の九月末現在の数字で、陸上自衛隊が七万トンでございます。海上自衛隊が七千五百トン、航空自衛隊が二千九百トンでございます。
  216. 森本靖

    ○森本分科員 陸上自衛隊の七万トンの弾薬というのは、戦闘経過によっても違うけれども、大体どの程度の交戦ができますか。
  217. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 戦闘状況の様相がございますのではっきり申し上げられませんが、大体一カ月程度をめどにして考えております。
  218. 森本靖

    ○森本分科員 一カ月程度ということでありますが、そこで今度陸上自衛隊で買うところの本年度の弾薬は、七万トンで一カ月ということになりますから、四十三年度に購入する自衛隊弾薬は何トンになりますか。
  219. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 いま資料を繰っておりますので、ちょっとお待ちください。
  220. 森本靖

    ○森本分科員 こういうことでは実際にこれはならぬですよ。私は、最終的に一つ目標があってこれを聞いておるわけでありますが、そこで七万トンということになりますと約一カ月、それで四十三年度に買うものを合わせてどの程度になるかということを考えれば、陸上自衛隊としてのいわゆる防備計画というものが、一応わかるわけであります。  そこで、次に聞いておきたいと思いますことは、この弾薬についての最末端の管理者は、だれがやっておりますか。いわゆる搬出入の最末端の管理者、指揮命令権。
  221. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 弾薬は各部隊にそれぞれ配置されておりますので、各部隊のそれぞれの責任者が持っておるわけであります。
  222. 森本靖

    ○森本分科員 各部隊のそれぞれの責任者が指揮命令系統を持っておるということでありますが、各部隊の指揮者というのは、最高は位はどの程度になりますか。これは各部隊によって違うと思いますが、通常はどの程度のクラスになりますか。
  223. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは各師団にあります部隊が管理しておりますので、階級でありますと一尉くらいの階級の者が管理しておると思います。
  224. 森本靖

    ○森本分科員 一尉が管理しておるということでありますが、そういたしますと、非常緊急という場合に、一尉以外でこれを搬出入することができますか。これは平生から、この弾薬の搬出入についてはちゃんとした規定があってきまっておると思いますが、それ以外に緊急の場合に特別の例外がありますか。
  225. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは部隊からそれぞれ各地区補給所なり、あるいは弾薬の場合には中央に武器補給所がございますので、武器補給所に補給を申請いたしまして、それぞれのルートを通じてそれが補給せられるという形になっております。これは平時の訓練の場合においても、有事の場合においても、大体同じでございます。
  226. 森本靖

    ○森本分科員 そういたしますと、各部隊に常時弾薬は置いてあるわけじゃないのですか。
  227. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 小銃弾、機銃弾等につきましては、各連隊ごとにそれぞれ訓練用としても持っておるわけでございます。大きな砲弾等につきましては、補給所で保管しております。たとえば特科連隊なら特科連隊はもちろん大砲を持っておるわけでございますが、大量のものは補給所で備蓄しております。
  228. 森本靖

    ○森本分科員 各連隊に一応常備弾薬というものは置いておりますか。
  229. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 訓練に必要な弾薬を貯蔵いたしておるわけであります。
  230. 森本靖

    ○森本分科員 そうすると、その訓練に必要な常備弾薬というものは、一連隊にどの程度置いておりますか。
  231. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 いまどの程度の保有基準で各連隊等が保有しておるか、ちょっと私はわかりませんが、しかし、当面の教育訓練に必要な弾薬類は、当然保有しているというぐあいに考えます。
  232. 森本靖

    ○森本分科員 その弾薬については、実射訓練については何回やる、それからどの時期に実射訓練をやる、こういうふうな内規があるわけでありますから、常時実弾として各連隊に常備するところの弾薬は、一応の基準があると思います。これは訓練用の弾薬であっても、実戦用になるわけですね。その訓練用の弾薬は、連隊ごとにどの程度常備しておるか、これを聞いておるわけです。
  233. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 それぞれの師団あるいは適隊におきます教育訓練計画というのがきまっております。そういう弾薬の発射訓練等につきましても計画があるわけでございますので、その計画稼行に必要な弾薬は保管をしておるということは考えられるわけでございますが、一銃につきましてどれくらい、年間で何百発という基準につきましては、私いま資料を持ち合わせておりません。
  234. 森本靖

    ○森本分科員 では歩兵についてはどの程度ありますか。普通の歩兵連隊でどの程度ありますか。各連隊に常備の弾薬がどの程度あるかということを幹部が知らないで一体どうなります。実弾ですよ、これは。実弾射撃に使うところの実弾であろうと、これは実戦訓練に使いますから、そういうところの弾薬が各連隊、特に歩兵連隊等についてはその常備弾薬がどの程度あるか、こういうことですよ。
  235. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 いまの御質問は、つまり発数ということでございますか、あるいはトン数、そういう意味でございますか。
  236. 森本靖

    ○森本分科員 トン数でもどちらでもけっこうです。
  237. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ではさっそく調べます。
  238. 森本靖

    ○森本分科員 これを私がしつこく聞いておるのは、最後に長官に聞こうと思っておるけれども、とにかく実弾を持っておるわけですから二・二六事件のように、警視庁を占拠しようと思えば——はっきり言って、わずか一個小隊で占拠をしておるわけですから。だからこの実弾の保管整備、これは昔から非常に厳重なんです。だれがこれを指揮命令するかということもきわめて重要なんです。最末端の一尉がやっておる、こういうことでありますが、この一尉はどういう職名についておるわけですか。たとえば、位は一尉ですけれども、その隊の中における地位はどういう地位についておりますか。
  239. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 各所属部隊と申しますか、駐とん部隊の武器係の幹部でございます。
  240. 森本靖

    ○森本分科員 これは夜、週番みたいなものがおりますか。
  241. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 おります。
  242. 森本靖

    ○森本分科員 その週番の位は何ですか。
  243. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 幹部でございまして、二尉あるいは三尉、そういう階級の人がなっています。
  244. 森本靖

    ○森本分科員 そうすると週番のときには、この一尉の権限を委譲されておるわけでしょう。
  245. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 昼間の場合におきましては、これは武器係の幹部でございます。夜は当直将校、幹部です。
  246. 森本靖

    ○森本分科員 だから、夜はこの一尉だけに限らず、週番を行なうところの二尉、三尉ですか、私は昔は兵隊だから言いにくいが、二尉、三尉に夜間は一応権限が委譲されるでしょう、どうですか。
  247. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そういうことになっておると思います。
  248. 森本靖

    ○森本分科員 ここで防衛庁長官に私はひとつよく聞いておきたいと思いますが、いま私が特に弾薬の問題を聞いたのは、いまの弾薬の保管整備というものは、大体旧陸軍と同じような弾薬の保管整備をやっておると思います。いまお話がありましたように、これは法を無視して使おうと思えば、二、三尉が使えるということは、現実にあり縁るわけですね、むちゃくちゃに使おうとすれば。どうですか、長官
  249. 増田甲子七

    増田国務大臣 そういうことはあり得ないと思います。
  250. 森本靖

    ○森本分科員 法的にはこれはあり得ないということははっきり言えるわけですね。しかし、命令椛はあるわけです。週番司令が権限は持っておるわけですね。
  251. 増田甲子七

    増田国務大臣 訓練として実弾射撃等に出るというようなことは、おそらく、陸で申しますと連隊長の命令でございます。連隊長がいないのに、武器を保管しているだけの一尉とか二尉とか三尉なんというものが、かってに——連隊長の命令を受けなければあり得ない、こう思います。それから防衛出動時には必ず内閣総理大臣の命令というものがあるわけです。ですからこういうことはきわめて厳重に、あり得るとかなんとか、そういう御質問が非常に困るのでございまして、絶対あり得ない、こういうことでございます。
  252. 森本靖

    ○森本分科員 法律的には絶対にあり得ないということですね。制度としても絶対にそういうことはあり得ないということは、これははっきり防衛庁長官が言ったとおりです。ただ、私が非常に心配するのは、いま言ったように、幹部が全体的な弾薬の数もあまり知らない。これは制服組じゃないからそういうことは言えるとは思いますけれども弾薬の貯蔵、保管という問題については、長官はそういうふうに言うけれども、かぎは現実に末端が握っておるわけであります。そこで、法的には連隊長の指令がなければ出せないけれども、現実にただいまから実射訓練をやるということにおいて、これをあけろと言えば、いまあけることはでき得るわけです。現に二・二六事件はそういうことで起こったわけであります。だから長官が言うように、そういうことは絶対に起こってはならぬということは、これは全く長官の言うとおりであります。それはもう私は全く長官の言うとおり賛成であります。しかしながら、いまのように防衛庁が新聞、雑誌、週刊誌、こういうものにあれだけいろいろ書き立てられて、風評が立った場合には、社会党はけしからぬなんということを言うより前に、防衛庁の幹部がけしからぬというふうな意向が、若き隊員の中に起こらぬとも限らぬ。そういう点で私は非常に心配をしておるわけであります。時間もだんだんありませんので、長官に特に聞いておきたいと思いますが、自衛隊のいわゆる教育方針の基本ですね。自衛隊はいかにあるべきかということは、これは自衛隊法にはっきり載っておるわけでありますが、要するに自衛隊基本というものについては、憲法によって政権ができ上がっておる、そうしていわゆる民主的な政権が、これは自民党であれ社会党であれ政権ができる、その政権のもとにそれぞれの機構ができ上がって、そうして民主的な政府のもとにいわゆる自衛隊なら自衛隊というものがある、その民主的にでき上がった、いわゆる多数の国民によって選挙された政権以外のものの、その他の理由によってこの自衛隊を使うということは絶対あってはならぬ。この根本思想というものを自衛隊に対しては、上から下まで徹底的に教育をしておく必要があるというふうに私は考える。国を守るということも大切でしょう。そういうことも大切でありますけれども、もとは、私はやっぱり自衛隊というものの基本あり方については、そういう点を上から下まで自衛隊員には徹底をさしてもらいたい。あなたは名長官でありますから、それは言わぬでも十分わかっておる、こう言われるかもわからぬけれども、どうもそういう点で私は心配がある。へたして、二・二六事件の二の舞いのようなことがあっては、これは絶対ならぬわけであります。私はないと確信をいたしておりますけれども、いまのような政界の状況、防衛庁の上部の状況からすると、若い隊員は、新聞を見て憤激を覚えるという点は非常に多いと思います。だから私は自衛隊基本的な考え方としての教育について、これはみずからの国をみずから守るというような総理の言い方、こういう点も大切だろうと思いまするけれども、この自衛隊の指揮命令系統は一体どこにあるか、その指揮命令系統ははっきり言えば国民にある。その国民から成規に選択をせられた、委託をせられた政権にあるということを、はっきりと上から下まで教育をする必要がある。そういう点の教育を自衛隊ではやっておりますか。
  253. 増田甲子七

    増田国務大臣 御指摘の点は私はうなずき得るわけであります。  そこで、時間の制約がございますから簡単に申し上げまするが、自衛隊国家、国民の自衛隊である。しこうして自衛隊というものは、防衛庁を含めて行政官庁であります。昔のような統帥的性格のものではございません。行政官庁としての隊員がおる、こういうわけでございます。そこでその行政官庁の最高の役人は内閣総理大臣でございます。それから私が総理大臣の指揮を受けて隊務を統括いたします。幕僚長が最南の自衛隊員ではないのでございます。その点を明確にしなければいかぬわけでございます。それから行政官庁たる防衛庁、自衛隊というものは国権の最高機関たる国会の監督を受ける、このことも明確にしておるつもりでございます。  それからいろいろなことがございまするが、自衛隊の大多数の者、圧倒的多数の者は、りっぱに正しく勤務をいたしております。そこでこのりっぱに正しく——一年に二百名もの訓練上病気になったり殉職する人が出るわけでございまして、心安らかに勤務ができる、すなわち士気を振興するためにも、上の人が、あるいは物資調達関係の人がいささかも、一銭一厘の不正があってはいけない。それだとやはり、月給だけで有事には命を投げ出す、身命を国家のために投げ出すという気分にはなれない。その点は森本さんのおっしゃるとおりであります。そこで上命下従の関係は徹底しなければいけない。ことに私は、昔からいままでずっと長いこと見ております。そこで大尉なら大尉が——大尉というのは昔のことはですが、一尉なら一尉あるいは一佐なら一佐というものが、自分の自衛隊だと思っては大間違いです。国家、国民の自衛隊だ。そこのところをわきまえなければ承知せぬぞということを、私が参りましてから特に強く教育をいたしております。そうなれば、伝えられるような何が起きやせぬかということはないわけでございまして、前の昭和十一年のときも、豊橋の武器庫を預かっておった一尉は、当時は大尉でありますが、上の命令がないのにどうしてこの武器庫をあけることができるかといって峻拒いたしております。それがさむらいの道である、当時の軍人の道であると思っております。今日の自衛隊員もそうでございまして、武器庫を預かる者があければいいじゃないか、そんなことはとんでもないことでございまして、まず最小限度において連隊長の命令、一佐の命令がなければ武器庫をあけるということはない。あけ得るということの御質問は困るわけでございまして、あけ得ないという御質問を願いたい。あけ得ないわけでございます。上命下従の関係が徹底しておる。曹は尉の言うことを聞き、尉は佐の言うことを聞き、佐は将の言うことを聞くという上命下従の関係が徹底していないと、とんだ自衛隊になりかねないと思います。それにつけましても、物質調達に関係ある者、これは武器の調達からFXあるいはホークから始まりまして、みそ、しょうゆの調達に至るまで、連隊の調達関係の人が何かもやもやしているということになりますと、二十五万人の隊員がおりますが、二十四万九千九百九十九人の者は正しい、清い、りっぱな、国家、国民のためには、有事には身命を投げうとう、こういう覚悟でおるのに、その覚悟が、つまり心安らかな気持ちで訓練に励むことができないわけでございますから、私は自衛隊の最大の名誉のために、多少の不名誉は忍んでもうみを出そう、こういう積極的な立場をとっておるわけでございますから、武器の使用関係でも、武器庫を預かる関係でも、その他一切のことを含めて、ぜひ森本さんの御了解をいただきたい、こう考える次第でございます。
  254. 森本靖

    ○森本分科員 これはいまの防衛庁長官発言どおりでありまして、私はその点については長官の言うとおりだと思います。ただわれわれが非常に心配することは、こういうふうないろいろなうわさ、あるいは週刊誌、新聞紙、そういうものにいろいろなことが流されておこった場合に、一体自衛隊の下部の隊員がどういうことを批評しておるかということをやはり幹部は十分に考えていかなければならない。それが重大な事件に発展するということになりかねないと私は思う。なってから言ったのではこれはおそい。だからそういう点の教育というものを私は下部、末端までひとつ十分に徹底をさせてもらいたい。いやしくも昔あったような、みずからの自衛隊であるというふうなおこった考え方をするようなことがあっては絶対ならぬ、そういう心配がいまのような状況からするとある。防衛庁長官は、絶対にない、こういうふうに言われますから、私は一応安心をいたしておりますが、ただここで長官にもう少し聞いておきたいと思います。これは二・二六事件のときもそうでありますが、自衛隊の将校あるいは一部の人たちがいろいろの会合をしておるわけですね。もう二、三年前からそういうふうな動向を早くつかんでおればいろいろの手も打てたと思うけれども、そういうふうな動向というものを防衛庁長官としても——これは隊員を疑うわけではありません。はっきり言って疑うわけではありませんけれども、少なくともこれだけの武器を持ち、二十数万の兵力を持っておるものについては、そういうものについてもやはり相当の注意と、それからふだんからそういうものに対するところの考え方、こういうところの準備も必要ではないかと私は思う。そういう面の、これは素行調査とかなんとかいう意味ではありません。思想調査とかいう意味ではありませんけれども、隊内のそういうところの動きというものについては、敏感にこれを把握しておかなければならぬと思う。そういう点の措置は一体どういうふうにしておられるのか、これを聞いておきたいと思う。
  255. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、現在の自衛隊は二・二六直前のようなことで、警務隊、昔で言えば憲兵ですが、そういうものが動向を把握しなければならぬといったような状態では全然ない。いまの自衛隊の気持ちというものは、憲法違反なんということをときどき言われまして、非常に肩身の狭い思いをいたしております。それで昨年一カ年、私は憲法にかなった存在であるということを衆参両院において強く申し上げたつもりでございます。これがまず士気をふるい起こす第一の原因である。第二には、ごく少数の者であっても規律を乱すという者があれば、大多数の者が腐ってしまいますから、その点を気をつける。それで自衛隊員は、ほとんど大多数の者はりっぱな自衛隊員でございます。防衛庁もそうでございます。そうして真価を発揮して、国民に頼もしい存在だ、清い正しい、清潔な存在だ、そうしてある程度の実力団体でございますから、力強い存在だということを国民から信頼されるように、頼もしがられるように育成しておるつもりでございます。また隊員の動向を側面からMP的に把握せねばならぬということは、私は考えておりません。
  256. 森本靖

    ○森本分科員 私は警務隊あるいはMPを使ってそういうことをやれと言っておるわけではありません。しかしこれは上官と部下、こういう関係があるわけでりますから、これは一つの、軍隊ではない、自衛隊としてやるときには、上官、部下というものは自衛隊法によって指揮命令系統がはっきりとしておるわけでありますから、きちんとしなければならないけれども、それ以外に、やはり防衛庁長官以下ずっと部下まで心の通ったやり方をしなければならぬ。そのことがこういうこと庁とめ得るところの私は一番の大きな条件である。何も警務隊とかMPを使って素行調査、思想調査をやれというのではありません。要するに長官以下みんなが一体となって、やはり自衛隊あり方というもの、任務というもの、こういうことはやってはいかぬならいかぬということを徹底をさす、同時に、そういうところの心と心のつながりを上から下まで持て、そのことがそういうことをとめるところの最大の要件であるということを私は言いたいわけであります。いま言いましたように、防衛庁長官はそういうクーデターというようなことは心配ない、こういうように言われましたけれども、しかしこれは万が一ということを考えなければなりませんので、やはりその点については万全の措置を、あなたは名長官でありますから、そういう点もひとつ十分に考えてもらいたい、こういう私の言い分であります。私の言い分は、何も思想を調査せいとか憲兵隊みたいなことをやれというのではありません。ですから、再度長官の答弁を聞いて私の質問を終わりにしたいと思います。再度見解を聞いておきたい。
  257. 増田甲子七

    増田国務大臣 規律のきびしい精強なる部隊に育成していくということが、私が最も重点を入れておるところでございます。また、自衛隊の幹部もその線で進んでおります。そこで、上命下従ということが絶対必要でございまして、自分の部隊であるというような考えがあれば、これはおそろしいことになります。これは私兵ではございませんから。でございまするから、一尉は。一尉の部下が自分の部下であるというふうに考えたら、これはとんでもないことになりますから、そこで、上命下従の関係、規律の関係は非常にきびしいのでございます。しかしそれにつけましても、心から納得して服従できるような上官が、総理大臣をはじめ、私、それからその他の幹部が自粛自戒いたしまして、なるほど指揮者として自分たちが頭が下がる、こういうふうに、一尉、曹にいたるまでなくてはならない。修養につとめ、研さんにつとめ、指導者としての人格養成につとめるということをもって臨んでおるつもりでございまして、森本先生の御心配はごもっともと思っております。その線に向かって、私は相当の圧力がございましょうとも自衛隊の規律を振粛してまいる、こういう所存でございます。
  258. 森本靖

    ○森本分科員 これで終わりますが、先ほど答弁ができなかった分については、ひとつあとで資料でお出しを願います。
  259. 小沢辰男

    ○小沢(辰)主査代理 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ————◇—————    午後一時六分開議
  260. 野原正勝

    野原主査 休憩前に引き続き会議を開きます。防衛庁長官に対する質疑を続行いたします。  吉田之久君。
  261. 吉田之久

    吉田(之)分科員 先ほど森本委員の質問でも述べられておりましたけれども、私はこの際に自衛隊法の改正を一部すべきではないか、特に防衛庁長官の責任の明確化についてさらに法的に再検討すべき時期ではないかということにつきまして質問をいたしたいと思うのであります。  自衛隊法の第二章では、指揮監督について各条項がしるされておりますけれども、特に長官の場合、「長官は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、自衛隊の隊務を統括する。ただし、陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長の監督を受ける部隊及び機関に対する長官の指揮監督は それぞれ当該幕僚長を通じて行うものとする」。しかも、もちろん最初には「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」。こういうことになっておりますけれども、この法律から見て、防衛庁長官の責任規定というものが比較的弱いものになっておりはしないかという感じを、最近の起こっているいろいろの事例から感ずるわけでございますが、この点につきまして長官はどのようにお考えになっておりますか。
  262. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田さんの御質問は、貴重なる御意見を含んだ御質問というふうに拝聴いたしました。そこで現行法でございますが、私は現行法につきまして、先ほどもお答えを他の委員に申し上げましたとおり、最高指揮監督者は内閣総理大臣である。その次に総理大臣の指揮監督を受けて隊務を統括するのが防衛庁長官である。これは官庁の構成上当然自然人をさすわけでございます。自然人でないただ長官とか総理大臣というのはあり得ないわけでありまして、今度幕僚長がありますが、幕僚長を私が指揮監督するわけでございます。その線がいわゆるシビルコントロールである。すなわちせびろを着ておる内閣総理大臣、せびろを着ておる防衛庁長官が制服を着ておる幕僚長を指揮監督する、こういうわけでございまして、その部隊を指揮監督する場合は、三幕僚長を通じて監督する、こういうことに相なっておるのでございまして、自衛隊員に対して、特に上級幹部に対して、間違えてはいかぬということをよく言っておるのでございます。すなわち、制服のトップが幕僚長というわけではないのだ、自衛隊というものは一つ自衛隊であって、それは内閣総理大臣であって、それが海上、航空、陸上ということに分かれておるが、いずれの幕僚長も内閣総理大臣の補佐機関であるのである。その制服のトップはなるほど幕僚長かもしれないが、陸上自衛隊についても海上自衛隊についても航空自衛隊についても、そのトップは内閣総理大臣であるのである。これは法から見れば、自衛隊員とは、内閣総理大臣並びに防衛庁長官は、いっていないのであります。しかし指揮監督するという意味において、これは防衛庁の最高の指揮監督者は総理大臣であり、これを受けた長官が隊務を統括する。それから、万一の場合に、防衛出動するといったような場合でも、治安出動するといったような場合でも、指揮監督をするという場合には、総理の命を受けて私が幕僚長を通じてそれぞれの部隊を動かす、ここがシビリアンコントロールである。であるからして、隊は幕僚長が最高ではないのだぞということを強く申しておるわけでございます。
  263. 吉田之久

    吉田(之)分科員 そうすると、責任あるシビリアンというのは総理と長官ですね、そういうことになりますね。そうすると部下の過失、特に不当な行為があった場合等についても、長官——上に総理はおるとして、最終指揮命令権に近いものを持っているというふうに私は判断したいと思うのです。それであるならば、最近起こっている一連の不祥事件にしても、長官自身が大きな責任を負うべきであろうと考えますけれども、この点についての御見解はいかがですか。
  264. 増田甲子七

    増田国務大臣 最高の責任者は総理大臣であり、常務は防衛庁長官であるという点については、私は同感の意を表します。それで、あらゆる不祥事件、あらゆる事故等がございました場合におきましても、交通事故によって死んだというような場合でも、長官が常務はやりますから、責任を積極的に負って、たとえば横須賀の場合でも、内外人のいずれたるとを問わず、被害者を積極的に見てやるようにということも下命しておるわけでございますし、規律違反の問題、涜職の問題等がございましたならば、これを積極的に監督して、そして引き締めてまいるという責任が私にあると感じておる次第でございます。
  265. 吉田之久

    吉田(之)分科員 それでは、最近山口空将補が玉川上水で服毒自殺をいたましたときに、参議院におきまして増田防衛庁長官がいろいろとその説明、答弁をいたしておられますけれども、他の官庁よりその性質上秘密を守るべき点が非常に多い、国民の怒りはこうした際にはきわめて大きいと信念として思っている、他の官庁より一そうきびしく正しかるべき官庁だから、きびしく仕立てて、国民の信頼のある清らかな自衛隊にする責任を果たさなければならないというふうに、一応お述べになっておりますけれども、いまおっしゃったように、こういう大きな問題について積極的に責任を負おうとするお気持ちが全然われわれには感じられないわけなのであります。同時に、同日木村官房長官が、この問題では防衛庁長官の責任問題に発展するようなことはないと言明いたしておりますけれども、これは木村官房長官が総理々完全に代弁してそういうことを申しているのでありますかどうか、そういう点、まずお聞きいたします。
  266. 増田甲子七

    増田国務大臣 お答え申し上げます。  私といたしましては、責任の遂行というものは積極的に遂行しなくてはならない。そこで、かねて、六カ月ほど前から自衛隊の警察である警務隊を動かしまして内面捜査をいたしておったわけでございます。偶然にも新聞記事等と前後した関係はございますけれども自衛隊は厳重な規律が生命であるからというわけで内偵させた。私がいわゆる責任の主体的立場をとっておるわけであります。それでこそ初めて出たうみではないか。このうみを積極的に出して自衛隊をきれいにすることが、自衛隊が国民から信頼されるゆえんであり、また大多数の自衛隊員が喜んで勤務に服するゆえんである、こう考えておる次第でございます。いませっかく捜査中の問題でありますから、その捜査の結果を見まして、今度は消極的責任と申しますか、だれが責任をとってやめるかということにつきましては考えさせていただきたい。いまは積極的の責任を果たしておる途中でございまして、ことに私が、不肖ではございますが、主軸になって、機密漏洩なりあるいはその他の涜職がありはせぬかということの捜査を警務隊にさせておりました。それから、検察庁にも最後には告発をいたしまして、いま検事勾留の立場にございます。そういうわけでございますから、どうぞ吉田さんの御了承を得たいと思っております。
  267. 吉田之久

    吉田(之)分科員 いま長官のおことばにもありましたように、こういう不祥事件を再び起こさせない対策としては、きわめて積極的に措置しようと努力しておられることは認めるにやぶさかではございません。しかしながら、いまもお述べになりましたように、あくまでも積極的に出すべきうみは出し切るのだ、ともかく、こういう問題が起こるたびごとに、防衛庁の内部の部下はまことにけしからぬ、きびしく処分するということを長官はしばしば述べられておるわけでございますけれども、こういう長官ことばが、一般自衛隊員の中にはどう映っているか、どういう心理的な影響を与えているかということにつきましては、いま長官のお考えになっていることとむしろ逆の方向の影響を強く与えておるようにわれわれは感ずるわけなのであります。いわば、最終的にはわれわれだけが責任をとらされ、あるいはまた、相当上層部の人たちが自殺までしておるけれども長官はただ下を向いておこりっぱなしだけではないかというふうな感じが、自衛隊内に非常に強くにじみ出かかっているのではないか、そういう懸念をわれわれは持つわけなのでございますけれども、そういう点まで長官はお考えになったことがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  268. 増田甲子七

    増田国務大臣 自衛隊の内部のことについて御心配ありがとうございます。私は、先ほども申しましたとおり、自衛隊の圧倒的多数の者は正しく清くやっておるのでございます。月給だけで自分の身体あるいは健康等をささげておるわけでございまして、私は正しいと思っております。そういう正しい清い者が心配をし、動揺をするはずはないのです。率直に申して、悪い者は動揺すると思います。ごく一部の、まあ十人かそこらでございましょうが、そういう者は動揺しましょう。また、人を動揺させるかもしれないです、元来悪いのですから。しかしながら、正しい者は、非常に不明朗なことがないように、自衛隊が世間から誤解を受けるようなことがないようにいたしたい、自分たちがこれほど苦労しておるのに、とかく不明朗なことをマスコミ等でいわれることは不本意である、残念であるという気持ちのほうが多いと思います。動揺して、くさいものにふたをせよというような気持ちの者が多数であるとは絶対考えないのでございます。
  269. 吉田之久

    吉田(之)分科員 この間の大出さんの質問に対して、長官は、防衛庁は伏魔殿であるといわれているがというふうなことばをみずから使っておられる。あるいは山口空将補が自殺したということを聞かれたちょうど直前直後に行なわれておりました記者会見のとぎでも、やはり出たかというようなことばを漏らされたという記事も見たわけなのでございますけれども、しかも、同時に、木村官房長官などが、防衛庁長官にはこの問題では責任はありませんというような裏打ちを直ちに発表するということであるならば、長官の責任は絶えず不問に付されるだけではないかということになる。結局は、シビリアンコントロールというものはこの程度のものなのかというような意識が、自衛隊員の中にこうした問題のたびごとに起こってきはしないかという点を私は一番心配するわけなのでございますけれども、私のこういう考え方に対して、それは全くの杞憂であると断じて言い切られるでございましょうか。
  270. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま吉田さんは、各般の御質問をなさいましたが、長官の責任というものは私は感じております。私の在任中にもし不祥事故があり、規律違反があり、あるいは涜職等があるならば、私は責任をとります。その点がいま司直の線で厳重に調べられておるわけでございます。どうぞしばらくかすに時日をもってしていただきたい、こう思っておるわけでございます。無限大に過去に向かって責任を負うとか、無限大に将来に向かって責任を負うとかいうことはないということは、賢明なる吉田さんもおわかりのとおりでございます。  そこで、あと責任のとり方でございますが、まず直属上司等は監督の責任を問われるのは当然である。これも社会常識でございますということを申し上げておきます。  それから、長官がいろいろ大出さんの質問に対して答えたということはないのでございまして、大出さんのほうが新聞記事をいろいろ読まれましたが、私は黙って聞いておっただけでございまして、その新聞記記事に責任を負うか負わぬかと言われれば、私はその線は、必ずしもそういうことばは当たらないということを、これは追加答弁みたいになりますが、先に申し上げておきます。
  271. 吉田之久

    吉田(之)分科員 もちろん、事件の推移を見て、その上で長官のとるべき責任があればとられるべきであろうとは思いますけれども、私はシビリアンも問題によっては断じて責任をとるというけじめを、あるいはき然たるシビリアンの監督指揮の責任を、ときによっては明確にされるべきではないかということを、特にこの機会に長官に申し添えておきたいと思う次第でございます。  さらに最近、米軍人の夫人マラリンの事件について折小野委興の質問が法務省と外務省に対しなてされたわけでございます。この事件に関しまして、法務省と外務省は、地位協定には触れない問題であるというような統一見解を発表いたしておまりすけれども防衛庁長官もこの婦人の立場は地位協定に適用されておらないものであるという考え方に異存はございませんですか。
  272. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田さんのおっしゃるとおりでございます。そういうふうに考えております。
  273. 吉田之久

    吉田(之)分科員 次にお伺いいたしますけれども、この婦人が運転していた車は、軍の車であったのか、個人の車であったのか伺います。
  274. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 お答え申し上げます。  この婦人が運転しておりました車は私用庫でございまして、軍の車ではございません。
  275. 吉田之久

    吉田(之)分科員 この婦人の運転免許は外国人の運転免許であったのか、日本の運転免許であったのか。
  276. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 日本の普通乗用車免許でございます。
  277. 吉田之久

    吉田(之)分科員 その車はアメリカに登録されておる車であったのか、日本に登録されてあった車であるのか。
  278. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 横浜の3K一五六五というものでございます。
  279. 吉田之久

    吉田(之)分科員 そうすると、保険も強制と任意の二種類の保険があるわけでございますけれども、それは日本の保険でございますね。
  280. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 強制保険は、キャピタル保険会社という保険に強制保険で入っております。それから任意保険はハノーバーという保険会社、これはAIUが代理店となっておりますが、これの保険に入っておるのでございます。御参考までに申し上げますと、強制保険は死亡の場合三百万円、任意保険につきましては千八百万円の保険に入っておることが判明いたしました。
  281. 吉田之久

    吉田(之)分科員 要するに、日本の自動車で、日本の運転免許を持っておる一外国婦人が、外国の保険に入って、酔っぱらい運転をしておった、こういう事件になるわけでございますか。
  282. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 強制保険のほうは日本の保険会社でございまして、任意保険のほうは外国の保険会社でございます。
  283. 吉田之久

    吉田(之)分科員 それでは、外国の保険であっても、その保障の場合の権限は、全く同様に及ぶと申しますか、請求できるわけでございますね。
  284. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 請求できると思っております。
  285. 吉田之久

    吉田(之)分科員 この問題は基地内で起こった問題ではない。それから、もとより公務中ではない。その婦人は軍人軍属でもない。しかも乗っておった車あるいは保険のたぐいはいまお聞きしたとおりでございます。そういたしますと、これは純粋に一個人の行為として、日本の法律によって終始さばかれるべきものであるというふうに、われわれは一方で判断をするわけなんです。しかしながら、同時に、この婦人は、出入国管理令に基づく手続を踏んで日本におる外人ではない。ベトナム出兵中の一兵士の妻である。しかもそれは、地位協定によって規定されている地位の立場の人ではない。いわばまあ幽霊外人というようなことになるわけなのでございますけれども、こういう点でこれから責任をいろいろ追及していく場合に、防衛庁としては、日本に起こった一外人の純粋な交通事故事件として扱うだけなのかどうか、こういう問題を少しお伺いいたしたいと思います。
  286. 麻生茂

    ○麻生政府委員 今回の事件は、いま先生から御質問ありましたように、合衆国軍隊の構成員の妻として地位協定に基づいて入ってきておるわけでございます。したがいまして、入ってくるときにおきましては市位協定によって処理されておるわけでございまするが、この妻の行ないました行為につきましては、特に地位協定に規定がされておらないわけでございます。したがいまして、一般国際司法の原則なりに従って解決すべき事柄であるわけでございます。日本の国内法に基づきまして、日本における一つの不法行為の損害賠償請求というようなことによりまして請求をするというよりほかはないのではないかというふうに考えております。
  287. 吉田之久

    吉田(之)分科員 長官にお聞きいたしたいのですが、いまお聞きのとおり、入ってきたときは一米軍人の妻として地位協定に基づいて入ってきております。ところが、その夫である兵士がベトナムに出兵したとたんに、この婦人は全くの無籍者にひとしい状態であります。こういう婦人が、しかも酔っぱらい運転をしておって、訓練中のわが国自衛隊員を殺傷した。しかもそれは、一個人の問題にすぎないというようなことになるならば、死亡した二人の自衛隊員も、あるいは重軽傷を負った十数名の自衛隊員も浮かばれないのではないか。まことに残念ではないか。めったに起こってはならない不愉快千万な事件でありますけれども、今後の例になる事件でもございますから、先ほど申し上げておりますように、自衛隊の士気そのものに関するきわめて重要な一つの事件であると考えますので、この問題は地位協定にそのまま従わないとはいっても、事の経過から見て、また、政治的な問題から見て、地位協定に半ば準ずる扱いをなさらなければならないのではないか、その配慮がなされるべきであると思いますけれども、被害者側である自衛隊の最高責任者である長官のお考え方はいかがでございますか。
  288. 増田甲子七

    増田国務大臣 私はこの加害者が非常な責任があると思っております。被害者は無過失でございます。しかも隊伍を組んで歩いておるわけでございまして、それぞれの班長の指揮のもとに行進しておったわけでございます。そこへ突っ込んできて人を殺して、そうして十数人も重傷者を出すなんということはとんでもないことでございまして、出入国の関係の法律とか地位協定とかということの詳細は政府委員のほうからお答え申し上げさせますが、内外人の区別なく、加害者は厳重に処置し、それから民事上の責任も刑事上の責任もひとしく問うべきである、こう考えております。
  289. 吉田之久

    吉田(之)分科員 いまも長官がお答えになりましたように、自衛隊員が隊列を組んで行進中であった。しかもそういう事態の中でひき殺された。これは殉職になりますね。
  290. 麻生茂

    ○麻生政府委員 訓練中に起きました事故でありますので、公務災害補償の対象になるものと考えております。
  291. 吉田之久

    吉田(之)分科員 そういう場合には、防衛庁自身として、どのような別個の措置、補償、見舞い等をなさるのか、例もあろうと思いますし、まだ決定になっておらないかもしれませんけれども、いろいろお考え中であろうと思いますので、お聞かせいただきたい。
  292. 麻生茂

    ○麻生政府委員 大体の概数で申し上げますけれども、一人の海曹につきましては、遺族補償年金といたしまして十二万円近くのものが出ようかと思います。また、共済組合からの遺族年金として、年額四万五千九百円ばかりのもの、合計いたしまして十六万三千数百円の年金が支給されるかっこうになります。それから、葬祭補償といたしまして、給与日額の六十日分、六万四千五百六十円ばかりのものが一時金として支給されます。また、もう一人の海曹につきましては、遺族年金といたしまして年額十七万二千五十円、それから共済組合から遺族年金として年額四万八千七百円余、合計いたしまして二十二万余のものが支給されると一応見込まれております。なお、葬祭補償といたしまして、給与日額の六十日分、六万八百数十円のものが一時金として支給されることになっております。なお、これに関連しまして、公務上の死亡でございますが、退職手当が支給されるわけございます。さらに共済組合からの弔慰金が出されます。退職手当といたしまして、先ほど申しましたAのほうにつきましては、七万二千九十円ばかり、それからBのほうにつきましては七万五千六百円、共済組合の弔慰金といたしまして二万三千七百円、Bの被害者に対しましては二万五千六百円ばかりが支払われることになっております。なお、このほか、防衛弘済会の弔慰金として、それぞれに四十五万ずつ支給する予定でございます。なお、団体生命保険等にも入っておりますので、二百五十万あるいは二百万程度の生命保険の給付があろうかと考えております。
  293. 吉田之久

    吉田(之)分科員 いろいろ詳しくお聞きいたしましたが、特に私は、国防の任に当たる者は何よりも名誉を重んずると思うのですが、その点この葬儀はどういう形で行なわれましたか。
  294. 麻生茂

    ○麻生政府委員 公務によりまして死亡されたわけでございまして、部隊葬を四日の午後横須賀の教育隊ですでに施行しております。
  295. 吉田之久

    吉田(之)分科員 特に防衛庁長官に申しておきたいと思うのですが、今度の加害者に対する防衛庁の態度、あるいは、ひいては直接間接等論議はあるとしても、米駐留軍に対するわが国の防衛庁の態度という問題が、この例の解決のいかんによっては、今後大きく影響される問題でもございますし、同時に、自衛隊員が士気阻喪をしたり、あるいは屈辱感を感じたり、挫折感を感じたりするようなことがあってはならないと思いますので、特に留意をしていただきたいと思うのです。  同時に、最後に一点だけ御質問をいたしたいのでございますが、こういうもろもろの自衛隊員の悩みの中に、いま一つの不安があります。それは何かと申しますと、定年制の問題であります。防衛庁では二佐の場合で五十歳が停年、それから一佐以上については五十五歳で停年、幕僚長以上は五十八歳で停年であると聞いておりますけれども、普通防衛大学を卒業した人たちの、まあ俗なことばで言えば終着駅は二佐ぐらいではないかと思うのです。まだ卒業いたしておりませんし、これからのいろいろな経過を見なければなりませんが、与えられているポジションというのは大体きまっておりますから、出ていく数なんかを比べてみますと、大体二佐あたり、したがって五十歳で停年になる人たちが今後非常に多く出てくるのではないか。五十歳で停年になって社会にほうり出されるというようなときに、この人たちが、いまの状態であるならば、大手を振って堂々と再就職できるであろうかどうかという問題を、私は心から案ずる次第であります。先ほど来申し上げましたように、長官は事あるごとにどうもしかりつけることのほうが前に出て、みずからの責任問題については、きわめて消極的なきらいを一般の国民には与えております。さらにまた、世間からは、しばしば憲法違反の落とし子である自衛隊ということで、一般的に白眼視されることが多い。ましてや最近は、防衛庁は伏魔殿ではないかというようなことさえいわれておる。しかも最近、幽霊外人にひとしい一酔っぱらい婦人によって自衛隊員が殺されておる。また、五十歳に達すれば直ちに首になってしまうというふうなことでは、自衛隊隊員の人たちは、まことに将来に向かって空虚なものしか感じないではないか。こういう二十七万の集団、しかも武器を持っておる二十七万の自衛隊という集団が、いま申しましたような一連の現象の中で、社会疎外をいよいよされていった場合には、将来容易ならぬ事態が起こらないとも限らないということを、私は先ほどの森本委員がおっしゃいましたとおり、二・二六事件の例を引用するまでもなく、このままの自衛隊の将来、防衛庁の将来については、一まつの不安を感ぜざるを得ない状態でございます。そういう点の一つといたしまして、停年問題について長官はいまどのようにお考えになっているか、お聞きいたしたいと思います。
  296. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田先生の御意見は複雑多岐にわたっておりまするが、私のしかりつけることのほうが多いという印象が国民にあるならば、むしろ幸いでございます。私は、悪いものにふたをしやせぬかというふうに民衆から疑われていやせぬか、こう思っておったぐらいでございまして、きわめて少数ではございましょうとも、これをしかるなんということをせずに、警務隊を発動さしたり検察権を発動さしてもらって、調べてうみを出すべきだと思うのです。それが二十四万九千九百九十人の、えらい数を申しましたのは、これはたとえて申すわけでございまして、圧倒的多数の方々を愛するゆえんである。永久的に大なる名誉を自衛隊はになっておるわけでございますから、一時的に小なる名誉は傷つけられても、くさいものにふたをすべからず、こういうことでございまして、まだ私はあんまりしかったということはないのでございまして、国会には私も相当いろいろ御批評を受けるような自衛隊を愛するがゆえの言明もございまするが、昨年の、自衛隊は合憲であるという私の意見は、私の確信に基づいておりまして、これは自衛隊を愛するゆえんだと思っております。また本年、規律を引き締めるというのも、最大多数の方々はりっぱに勤務しておるのでございまするから、ごく少数でございましょうとも、悪い人間があればこれは腐ります。腐らせないために、愛するために私がやっておることでございまして、自衛隊を最も愛しておるのは増田甲子七である、また、国民の皆さまから愛されるようにならなくちゃならぬと考えておるということだけは、ぜひ吉田さん御理解をいただきたいと思っております。しかるほうが前面に出ているのも、明治以来空前とも申すべき、現役の制服の部隊が機密を漏洩したなんということはとても想像できないのです。これに対しては厳重なる処置をとるのが当然である。これにふたを着せるようなことはとんでもないことでございまして、従来とかくの、私のところへ情報も参っております。その情報なんかを基礎にして、だんだん調べを六カ月いたした結果、ようやく出てきたうみでございまして、このうみをふさいでおけば大多数の自衛隊員は喜ぶだろうか、私は喜ばないと思う。大多数の自衛隊員は、正しく清く月給だけで一生懸命勤務にはげんで、ある場合には殉職して命を落として、大体において八十名ぐらいは市ヶ谷の殉職記念碑というところへ祭られております。あと健康に耐えなくて退職するという者が百二十名ぐらいあるんじゃないかとおおむね私は承知しておりますが、一生廃人になれば生命を失したようなものです。そういう方でも自衛隊の上層部の方が清く正しくやっているのだということを聞けば、自分の健康を国にささげ、あるいは生命を国家国民のためにささげて訓練をしておりましても、心安らかなる気持ちで、すなわち士気が振興された状態で勤務できる、士気の振興にこそ一生懸命配慮しておるのでございますから、あなたの御意見のうちで、そうでないような御印象はぜひ御払拭を願いたいと思います。  それから、あなたの防大生の心配でございまして、非常にごもっともでございますが、まだ三佐が少し出ただけでございます。大体一尉だけでございまして、この防大卒業生の行くえはどのくらいであるか、私は将と将補くらいであろうと思っております。一佐ぐらいでとどまる者はきわめて少ない、こういうふうに考えておるわけでございます。しかしながら、二佐は御指摘のとおり五十歳でございます。一佐は五十三歳でございます。将補は五十五歳でございます。将は五十八歳でございます。かくのごとく制限いたしてありますゆえんのものは、自衛隊が若くて実力部隊でございまするから、実力を発揮できないといけないのですから、頭脳の力ではございませんから、もちろん頭脳も伴わないといけませんが、やはり生理的な力がなくてはいけぜんから、そこでどうしても平均年齢二十三歳というところに標準を置いておるわけでございます。そこで、自分の終生の仕事として没頭した仕事から、人生の途中で離れなくてはならぬということがございます。自衛隊を終生の目標として選んで五十歳で離職するということは実に気の毒なことでございます。そういう方に対する離職者対策ということにつきましては、将ぐらいは私自身が配慮したいと思っております。それから、将補ぐらいになりますと、次官クラスで考えてまいりたい。一佐ぐらいになりますと人事局長、それぞれの職業補導所もありますが、やはりこちらで気合いをかけるとかけないとでは違いますから、離職者が心安らかに勤務ができるようにいたしたい。しかし、自衛隊そのものは、停年を延ばすということはいまのところ考えておりません。精強なる部隊として国民から信頼される部隊になるために訓練をさしておる、こういう状態でございます。
  297. 吉田之久

    吉田(之)分科員 長官の御答弁を聞きまして、私も誤解されておると困りますので、一言だけ申し上げておきたいと思うのです。  私どもは、不詳事件が自衛隊において起こった場合に、これをきびしく処置すべきであるという点についてはもとよりやぶさかではございません。ただ昔の軍隊と違って、昔の軍隊ならばしかるべき責任者が責任をとればそれで隊員はついていったわけですね。ところが、いまの自衛隊というのは、自衛隊ではあるけれども、その上にシビリアンがおるわけですね。しかもこのシビリアンが一切の指揮権限を持っておる。長官が権限を持っておる。最終的な責任を負う立場の人たちである。こういう変化の中で、ただ空将補が責任をとって自殺をしたりいろいろなことがあったとしても、それだけでは自衛隊員の規律というものがほんとうのものにはならないのではないか。われわれも処分されよう、しかしシビリアンも責任をとるんだ、こういう道を開かない限り、月給だけでは死ねないと思う。月給だけで死ねない今日の仕組みになっておる自衛隊国防の任に当たってもらうべき自衛隊が、断じてその責任を果たそうとするならば、シビリアン自身がその責任を回避しない、こういう例を開いていかない限り、私は日本自衛隊の将来にいろいろと心配すべき点が出てくると思いますので、そういう点をたって先刻来申し上げた次第でございます。特に念のために申し添えておきたいと思います。
  298. 野原正勝

  299. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 私は自衛隊の存在について、憲法論とかそういうものはここでは論議しないで、自衛隊の教育方法の立法から純粋に憲法の線に沿うたいわゆる使命感を持った自衛隊が養成されるのかどうかということを非常に疑問を持っておるので、その点について一点にしぼってお聞きいたしたいと思うのです。  自衛隊の教育の操典の中に各個戦闘訓練という操典がございますか。
  300. 中井亮一

    ○中井政府委員 先生の仰せられた各個戦闘訓練という教範はございます。
  301. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 その戦闘訓練の二二六ページか七ページですか、銃剣を使用する場合の要領についての一節があるのですが、それを局長ここで読んでもらえますか。
  302. 中井亮一

    ○中井政府委員 先生の仰せられておるのは一二四ページから一二六ページだと思いますが、いまの先生言われました該当のページは本にはございませんから、武器の使用ということの書いてある夜間の戦闘における隊員各個の武器の使用について述べてある部分だと私は思いますが、夜間の戦闘に際しては昼間の戦闘とは違いますので、その行動の企図を秘匿をして奇襲効果をおさめるということが非常に大切である、そういうことのために、敵に接近する場合にもひそかに接近をする。それから、そのために火力を発揮するための射撃にしましても、できるだけ相手に察知されないようにやる必要がある、あるいはまた、音を立てたいで敵を殺傷できるようにしたい、あるいは捕虜にするようなことができるほうが望ましいというようなことから、武器の使用について特別な点を書いてある部分ではないかと拝察いたします。その部分につきましては、先生からのいろいろな御意見もおありかと思いますけれども、現在表現その他についていろいろ再検討を命じ、させておりますので、ここで読むのは遠慮させていただきたいと思います。
  303. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 長官、こういう機会でなければお読みになることはないと思いますので、私が読みますから、それについていま局長も検討しておられるというのですから、実感を持っていただきたいと思う。  (A) 背後から襲うには、静かに敵に近づく。銃剣は右手に持ち、左手で素早くあごをつかみ、口をふさぎ、頭を後に引き戻して声をたてないようにし、銃剣をろっ骨の一番下に深く突刺して、静かに相手を地面に倒す。  (B) 正面から襲うには、前と同じように銃剣を握り、腹部を突刺してえぐる。もし腹部をねらえないときは、のどを突き刺すか、顔面を切りつけるか、または銃剣の握りのほうでこめかみを強打する。   2手おので殺傷するときは、敵の背後にしのびより、肩又は背を切りつげる。   3こん棒、円ぴ、銃の床尾を用いて……殺すばあいは、こめかみや首のつけねを強打する。   4蛮刀を用いて敵を殺傷する場合は、通常背骨を切りつける。   5首を絞めるには、約一メートルの綱の両端に棒をつけ、両手をもって輪をつくり、これで絞める。敵の背後から近接するときは、綱を頭上から首に掛け、ひざを相手の背に当て、徐々に締める。急激に強く絞めると、けい動脈を切断して殺すことができる。  これが自衛隊の格闘の教育操典なんです。私は応召になりまして、初年兵の教育係を一年やりました経験を持っておるのです。日本の昔の軍隊にこんな殺し屋みたいな操典はどこにもありませんよ。ここから自衛のために日本の国民を守る使命感を持つ自衛隊は絶対に生まれてこない。こういう操典は一体だれがつくったのか。日本のいわゆる武士道なら武士道という土質の中から、こういう格闘の方針は出るはずはないと思って、私はこれを見たときに驚愕をしたのです。これで自衛隊で何が出るだろうということを私は思ったのです。戦前の軍隊の場合でも、銃剣術操典というものがあるが、基本姿勢、その中に礼儀とか礼節とかというふうな一つの道義も含めて、うしろから敵を締め殺すとか、逃げていく敵を追っかけるような、そういう非人間的な訓練を予想するような操典はどこにもなかった。私は補充兵の教育に応召将校として担当したことがあるが、そういう殺し屋のような操典は私は見なかったのです。私はこれを見て、一体どんな自衛隊ができるか、日本人の一人として自衛隊が憲法違反であるかいなかという憲法論は別です。事実存在しておる日本人の国を守る使命感を持った人間育成の一つの方法の操典として、これは想像もつかないものである。これは日本人には合いません。長官はどう思いますか。
  304. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは市販にも供しておるものでございますが、別段秘というものではございません。でございますから、あなたのお読みになった点は存在しておるということはまずもって肯定いたします。ではございますが、いま教育局長が申し上げましたとおり、必ずしも日本人の魂を教育し、日本自衛隊を教育する上にふさわしからぬ線があるならばということで再検討を私がさしておるわけでございます。そこで、一応これは出ておりますが、しかし、これは対敵訓練でございますから、つまり侵略者に対する訓練でございます。そういうわけでございまするから、同胞その他に対するものでは絶対ない、侵略者に対する戦闘、防御戦闘訓練でございます。このことを誤解されてはいけませんから繰り返し二度ばかり申すわけでございますが、それにいたしましても、これは残虐であって武士道に反するというような山中さんの御指摘は、貴重なる御意見として承りまして、私が再検討をいたしていく過程において考慮を十分払いたい、こう考えております。
  305. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 おそらくアメリカの操典をそのまま翻訳をして教育にあてておるのだ、そういうずさんな操典でよくも教育をされているなと思う。これはおそらくアメリカ人が土人をみな殺しをするときに出てきたという歴史を持った格闘方式だと思うのです。大体ヨーロッパ人は狩猟民族ですからね。食糧を獲得するのにけものを襲って、それをもって生きてきたのです。だからこういうものがあるのです。われわれ農耕民族ですからね。襲われたときに、人間を守り、穀物を守るという農耕民族というものは、初めから防衛的である。そういった防衛手段として日本の武道というものが発達をしたのであるから、どこか防衛的で、逃げる者をうしろから切ってはならない、ひきょう未練なことはしてはならない、正々堂々と戦うのだということから、道義がどこかに入ってきて、狩猟民族とは違ってそういうことはできないのです。うしろから突き刺して殺すというような、ここに書いてあるようなことは、何ぼ読んでも日本人には合わない。こういう教育をしてそうして自衛隊日本の国を守るなんということは、実際情けない。これで実際の訓練をしておるのは、昔の陸士を出、陸大を出て、武士道という中で、ほんとうの魂というものを持って——国家方向は別ですよ、出ておる人々が何の疑問も持たないで訓練をされておる中に、日本陸上自衛隊アメリカの庸兵的精神でしかない。こういうもので国会の中で論議をするのは情けないと思うのですね。これは真剣に検討していただきたい。  それからもう一つ防衛庁長官は常識的におっしゃっておられますね。これはたいへんな間違いであると思います。自衛隊法第三条の「自衛隊の任務」に「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」ということなどは、その当時の支配体制に相反するイデオロギーの相違があって、ある問題が出たときには、同胞に立ち向かう自衛隊であるということが任務に書いてあるじゃないですか。自衛隊は必要に応じて命令が出たときには同じ日本の同胞を殺す自衛隊ですよこれは。こんな方法で同胞を殺せますか。あなたはいま、侵略に対するだけのことであってとおっしゃっておられますが、自衛隊の任務はそうではないのですよ。間違っていませんか、いまのお答えは。
  306. 増田甲子七

    増田国務大臣 三条一項のところを山中さんおっしゃったと思いますが、三条一項はそのとおりでございます。書いてあるとおりでございます。しかしながら、これがまた、同じ自衛隊法の中で制約がございまして、治安出動という場合は七十八条、府県知事の要請による治安出動は八十一条ということになっておりまして、それ以外の公共の秩序を維持する自衛隊が実力部隊として動く場合はないわけでございまして、これも予算委員会の総括ないし一般質問等で申し上げましたとおり、きわめてまれである、こういうことを申し上げておるわけでございまして、これはいま巷間に——よそでも言っておりますから事実でございますが、これは戦闘行動でございまして、治安維持のために、公共の秩序を維持するためという七十八条ないし八十一条に基づいて出動した場合なるものは、これに載っておらないことはきわめて明瞭でございます。
  307. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 それは、命令が出れば命令に基づいて自衛隊が行動するので、まれであるのにしても、ないにしても、国内の治安を維持する必要があれば、あるいは学生に対して立ち向かうことができる。そのときに、人を殺す技術としてこれを身につけておるのですから、こういうやり方をしますよ。昔から軍隊教育というのは一種の反射条件教育なんです。昔は上官の命令は天皇陛下の命令と考えよ、あるいは殺せといったら反射的に殺すように訓練されてしまう。そのときに判断の余地を与えていないで、技術が先にあるのです。首を締めて、あとで突き刺してえぐるとかという訓練があれば、そのとおりこれはやるのですよ、軍隊教育というものは。私は、もう少し人間の命を守る一だから灘尾文部大臣が、国というものはいかなる国であるかということも確定しないままに、憲法軽視の思想の中にあって、国を守るのは当然だと言ったときに、増田さんが、ああ、いいことだからと言って、大いに応援するとおっしゃった。そんな単純にお考えになって、一方、こういう教育をされておる。これはお互いに日本国民としては実に情けないことを知らず知らずにやっていることだと思うので、いまおっしゃられたことは、それはおかしいじゃないですか。これは、この任務があるので、まれでも、命令が出たならば、やはり同胞に立ち向かう自衛隊になる。そのときの技術はこれなんです。そんなばかなこと。そううだから、私は、この間の警察隊の行き方も、逃げる学生、もう戦闘力も何もない者まで打ちなぐっていくような、しりから逃げる者を襲っていく、日本のいわゆる土質から生まれた武士道精神にまっこうから反するような行動が平気で行なわれておる。一連の何か訓練の方法、狩猟民族のつくった、アメリカ人の戦闘が入っています。精神的植民地化している。私は、おそるべきものだと思うので、そういう変な答弁のしかたはしていただきたくないのです。任務ができておるんじゃないですか。まれでもあり得ると思うのです。そういうことを考えないで、やはりこの教育方法というものは、日本の国を守る、ときには、日本の同胞に立ち向かうという規定があるのであるから、やはりまず第一に、人間を尊重し、同胞を大事にするという精神が確立されて、それに応じた方法——武道とか、剣道とかいう中には、こんな精神、やり方は絶対出ませんよ。明確にその辺、変な理屈なしにおっしゃっていただかないと、論議が素通りしてしまいます。それで、やはりこれは、日本の伝統の中から生まれてくる、こういう人間を守る立場において、命を大切にする精神を持っておるがゆえに、命を軽視するものをわれわれは正義感を持って、それに対して立ち向かうんだという精神を含んで、教育をする方法を検討すべきだと思うのです。もう一度、そういうことがあり得ないということをおっしゃったということについて、私は疑義があるので、お答え願いたいと思うのです。
  308. 増田甲子七

    増田国務大臣 お互いに立法府の議員でありますから、これはやはり理屈を通して、明確にしたほうがいいのです。  そこで、この教範は、防衛ではございますが、戦闘のときの訓練でございます。それから、治安関係において七十八条で出動する——それは、三条一項の後段にございますよ。後段にございますけれども、それはまた、七十八条と八十一条で縛っております。その場合、これはきわめて希有な場合でございますが、そのときの武器の使用関係は、警察官職務執行法を準用しておるのでございまして、こんなことには関連ない。これはひとつ、山中さんも立法府の議員でございますから、やはり理論をとうとばなくちゃいかぬと思うのです。お互いの共通の認識として、世の中全体の方々にわかっていただくためにも、これは戦闘訓練でございます。一方は、治安行動のときには、教範をつくるとかつくらぬとかいう問題はございますが、いずれにいたしたところで、警察官職務執行法の範囲を出ないということが、これまた、法の九十三条以下にきわめて明確に書いてございますから、どうぞ立法府の議員として、お互いに勉強し合うということにいたしたいと思います。
  309. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 勉強し合いしておるのですが、同じ自衛隊で、治安維持のために出動する場合も、何する場合も、結局、お互いに敵対関係に入れば、自衛隊は、この身につけた技術を使うのですよ。だから、やはり戦闘のためにといって、その操典は、その人の身につける技術なんですよ。目的が違うからおれは使わない、こっちのときは使うという、そんな使い分けを人間はできるもんじゃないでしょう。したがって、そういうお考えで、こういう操典はいいんだというもし解釈をされるならば、これは間違いなんで、私は、そういう点、立法府の一員として言っているわけです。使い分けはできるわけのものじゃありませんよ。同胞の場合は何の場合と別だ。それは格闘の技術の操典じゃないですか。だから私は申し上げているのです。これは私の間違いですか。
  310. 増田甲子七

    増田国務大臣 山中さんのおっしゃることは、その点はお間違いでございます。それは七十八条ないし八十一条に基づいて、きわめてまれであるけれども、治安出動した場合には、八十九条以下、警察官職務執行法に従う、また、九十三条等にも書いてあります。そういうふうに、海上における警備行動等に出た場合でも、警察官職務執行法の範囲内において、警察官の使うような武器を使う、これだけのことでございまして、いろいろ当該部隊の指揮官の命によって武器を使う場合もあり得るけれども一般論としては、私が予算委員会において総括質問一般質問の際に申し上げましたとおり、まず、自衛隊が出た場合には、協定がございまして、後拠支援をする。その次は、説得にこれつとめる。その次に、やむを得ない場合は逮捕する。逮捕した場合にはすぐ警察官に身柄を引き渡す、これだけのことでございまして、ここに教範があるから、これが治安活動に応用されるんだなんていうこと、その危険があるということはとんでもないお間違いでございますから、この際に明確にしておきませんと、国民が惑いますから、明確にいたすわけでございます。
  311. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 ここに実際その訓練をされておる方おるのですか。——いないと思うのですね。法律論みたいになってしまったのですが、軍隊教育をした者の体験からいえば、そんなことにはならないで、教わったとおりやるのですよ。だから、私は、使い分けができるようなものではなくて、肉体的に身につけた格闘の技術ですから、うしろから襲うときどうだこうだ、首を締めるなんかというようなことは、それはもう身を守るときに本能的に出るのですから、そういう法律論で、この操典をやっても心配ないという論理は私は現実にできないのだ、これは教育ですから。  そこで、まず、大臣が、この教育方法は日本人に合わないということを一応認識されて検討さしておるというのですから、私は、その考えに期待して、やはりできる限り日本の武士道精神に基づいた操典、アメリカの翻訳によらないでもらいたい。そうでなければ、おそらく殺し合いになりますよ。  なぜに私はこういうことを申し上げますかというと、この自衛隊は、やはり安保条約の関係、朝鮮事変のときに、アメリカのほうから出発点において強要されてできておる。国民の合意を得てから出発した自衛隊ではないのである。したがって、いまでも、自衛隊が違憲であるかいなかという論議をされて、自衛隊自身の心理からは、日陰者の心理がある。そういう一つの精神の中にあって、同時に、こういう殺し合いのような、日本人に合わないような個人の格闘訓練、操典に基づいた場合には、どんな人間になるか。誇り高き一つの位置というものを持たないままに、私は、平気で、必要な場合には、日本人でもだれでもかれでも逃げるやつを襲って殺すというような精神になる危険が非常にあると思うので、心配をして申し上げているのです。ことに、私は、私の国防論から言うと、海上自衛隊その他は別にしましても、陸上自衛隊はほんとうに要るのかどうかということを疑問に思っておるのです。これは憲法論ではなしにですね。  私は、二回目の応召のときに、内地で応召になった。仙台の付近でおりましたが、敵前上陸に備えて最後の動員であった。そうして部隊を編成をして、ある小学校にたむろしておる。そのとき、毎日、非武装都市が襲撃をされ、爆撃をされて死んでおるわけです。一番安全なのは部隊なんです。何を訓練しているか。空襲があったときに防空壕に早く逃げる訓練だけしておるのですよ、あの当時は。だから、私は、国土を襲撃されたときの陸上自衛隊というものは、いまのようにいわゆる非武装都市を爆撃する総国力戦の場合については、犠牲になる、攻撃目標になるのは非武装都市ばかりなんです。そして部隊が最も安全な位置におる。何を訓練するか。すみやかに防空壕に入る訓練だけが出てくる。そうすると、そのときには自己保存本能だけが発達をして、自分らを守ることが先になってまいります。よほど崇高なる使命感を持っておる、そうして守るに足る、愛するに足るりっぱな国、政治がない限りにおいては、ほんとうの自衛隊として陸上自衛隊が敵の襲撃、外からの侵略に対してどういう役割りを果たすかというときには、同じ同胞の非武装の都市が爆撃をされたときに、そういう防衛隊というのは一番安全な位置で最後まで残り、そしてむしろ自己保存本能が先になる。戦場は全国土なんです。そうして部隊というものは一番安全なところにおる。私はあの戦争の二回目の応召部隊としておったときのそういう実感をまだ持っております。二十万、三十万あれば何とかなるという倉石さんのような、そんな単純な観念論でお考えになってはとんでもない。防衛庁長官がその点お考えになるについては、やはり現実の戦争の場合に陸上自衛隊がどういう姿になるかということもお考えになって、国防について真剣に考え直すべき問題があると思うのですが、いかがです。それは長官でなくても、だれか経験者があったら答えてみてください。自衛隊はどういう状況になるのですか、国土襲撃されたときに。
  312. 増田甲子七

    増田国務大臣 お互いに太平洋戦争のときには非常に苦しんだわけでございますし、被害者でもございます。そういうわけで、あの悪夢はもう二度と繰り返したくない、再び繰り返さずというのが、私ども憲法第九条に教わっている精神ではないかと私は確信いたしております。お互い太平洋戦争みたいな悪夢はもう二度と繰り返したくない、こういうつもりでございます。  そのときの軍隊がどういう行動をとった、ああいう行動をとったということは、参考にはなりますが、またあまり参考として悪い点もあるのじゃないかと私は考えるのでございます。一番先に逃げてしまったというのは参考にならないわけでございまして、もしそういうものがあるとすれば、それは忌憚なく弾劾すべきことである。  われわれいま十七万何千の陸上自衛隊がございます。海上自衛隊は約四万でございます。航空自衛隊も約四万でございまするが、侵略がないように率先国民を守る、侵略があった場合にはこれを率先して排除する、そういうことに挺身すべきである。太平洋戦争のとぎにこうだったからこうだというようなことは、ほんとうに言いたくないのでございまして、太平洋戦争が一体どういう戦争であったかというようなことも、これは後世史家の判断にゆだねているわけでございます。われわれお互いに太平洋戦争の判断はいたしております。価値判断と申しますか、あるいは歴史的評価と申しますか、そういうものはございまするが、そういうこととは離れまして、もし悪い点があったならば——率先して逃げたりなんということはとんでもないことでございまして、率先して国民を守る、こういうふうに陸上自衛隊はいきたい、またいかせるように訓練をいたしているところでございます。なお詳細の御質問がございましたならば、政府委員からお答え申し上げます。心がまえとしては、そういうふうな心がまえで訓練いたしておるつもりでございます。
  313. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 太平洋戦争観を私は一つも行っていないのです。太平洋戦争がいいとか悪いとか言っていないのです。国土防衛、これはほんとうに純粋の自衛ですから、自衛隊がほんとうに戦闘行動に出るときには、ある外敵の不正急迫なる侵略日本の国土に来たときしか動くはずがないでしょう。そういう羽目にあの太平洋戦争の際もあったのです。私は応召になっているのです。逃げることはない。逃げることはないが、その攻撃の対象は、外から来る場合には、非武装都市がみな攻撃対象なんです。だからいわゆる職業的というのか、一つの部隊というものは、一番安全なところにおるのですよ。そうして国民というものが毎日のように殺されておりながら、一番安全な状態におる。したがって、いまは戦場はないので、そういう場合にはほんとうは全国民防衛体制以外にはないのです。それならば、自衛のために交通、通信その他のゼネストをして、全国民が抵抗組織を持つ以外にもう守る手はない、私はそう思っている。だから、陸上自衛隊はなぜあるのだろうかということが私の深刻な疑問なんです。自衛隊そのものは日本の平和と安全を守ると書いてあるが、安保条約は極東に拡大されて、極東日本の平和と安全にあるのであるから、アメリカの戦略部隊における戦術部隊として、陸上自衛隊は外に持っていくときを予想しておると私は考える。そういうことはない、海外派兵はないというならば、今度は、国内において、敵が実際に日本を空襲したとき使うことになれば、私はもう全国民防衛以外にないのだ。だからスイスにおいては、あそこには軍制はあるけれども、常備部隊は持っていないでしょう。軍制はあります。参謀総長も置き、防衛省もある。しかし部隊は全国民で、一定の期間だけ兵器を使う、操作をする、一般の平和国民なのです。いわゆる常備兵隊はないはずである。そのとおりですよ。いまのようなときに、そういう二十万、三十万あるいは五十万というふうな、守る人と守られる人が別々のような体制の中で、一体日本の国土を守るような構想が出るはずはないのです。海上自衛隊航空自衛隊は別論です。陸上自衛隊はなぜ必要なのかわからない。しかも、そういうときに、この教育操典を見たときに、私はおそるべきものになると思う。国民の税金で——自衛隊諸君自身も気の毒だと思うのです。こういう操典で訓練をされておるものが一番いやなのは、毎晩人殺しの訓練をされることだという感想を述べておるそうです。そういうことを考えてみたときに、まず何としても日本で一番必要なことは、やはり生命尊重の教育がまず確立される、平和憲法教育ができて、命が大切だという精神から発して、命を襲う人間は黙っておれないという正義感からそれに立ち向かうエネルギーがあって初めて私は使命感を持った国防意識になると思うのですが、そういう前提をお考えにならないで、アメリカの要請があって安保条約のためにこういう傭兵のようなものをつくるということは、これは自衛隊自身が気の毒だ。義務教育を終えるまでは平和憲法で教育を受けて、今度は自衛隊に、農村の次三男が自分の職業を得るということを含んで入ったとたんに、こんな人殺しの教育をされて、人間がどうなるんです。
  314. 野原正勝

    野原主査 山中君、時間ですから……。
  315. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 時間のようですからこれで終わりますが、長官があまり日本の土質に合わない翻訳操典というものを検討されるとおっしゃったので、期待をいたしますが、それはもういわゆる道義というものを前提とした。いま私が申し上げたようなことを——これは私の体験からの予想なのです。そういうことを含んで、こういう教育方法については再検討されることをおっしゃったそうですから、これはうそでないと思って期待をいたしております。  質問を終わります。
  316. 野原正勝

  317. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 長官、きょうは私は自衛隊員の行くえ不明、すなわち蒸発の実態についてお伺いをしたいと思います。  昨年十一月、米航空母艦イントレピット号の水兵四人が横須賀に停泊中脱走、ソ連定期客船バイカル号で国外に脱出したことは記憶に新しいことであり、大きな社会問題を提起しましたが、わが国では自衛隊員の行くえ不明の実情はどうか、お伺いします。
  318. 麻生茂

    ○麻生政府委員 ただいま手持ちの資料で申し上げますと、これは二十日以上の所在不明でございますが、昭和四十一年度におきまして……。
  319. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 ちょっと待ってください。要領の得ない話をされても困りますので、時間が非常に短いので、私のほうから申し上げます。  自衛隊の発足したのは昭和二十九年、それ以来自衛隊員が今日まで二十日間以上行くえ不明になった数の累計、発見された数、未発見の数、所在不明隊員の原因不明は何人か、その点について。
  320. 麻生茂

    ○麻生政府委員 私のほうの統計としましては、いま申しました表示によりましてとっておりますので、最近の実情を申し上げたいと思います。——現在、警察予備隊からの手持ちを持っておりません……。
  321. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 長官、あなたは過日、私に対する答弁の中で、いまここにいても、二十四時間じゅう勤務している自衛官のことを思うと感謝の気持ちで一ぱいですとこの間言われました。また、なお吉田さんの質問に対して、自衛隊を愛する私でありますがゆえに、増田は、というお話もありました。それでいて、自衛隊の長であるあなたが、自隊隊発足以来の行くえ不明の実態が全然わからないで済みますか。
  322. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま人事局長が申し上げんとした途中で鈴切さんの御発言があったわけでありまして、調べております。  そこで、昭和四十年度には、二十日以上行くえ不明になった者は二百一人、四十一年度は百九十五人、昭和四十二年度の十二月末までに百六十六人でございます。そのことの原因等は種々調査をいたしておりまするが、規律ある生活に耐え得ないというようなことが主たる原因でございます。
  323. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 私が聞いているほうから申してもらいたいと思うのですが、具体的に昭和四十一年度、四十二年度に発生したいろいろの件数、原因、陸海空の別にその点は明らかにしてもらいたいと思うわけです。  なお、いま私が申し上げました自衛隊発足以来の累計の件数は、資料をあとで提出してください。  詳しく言ってください。
  324. 麻生茂

    ○麻生政府委員 四十一年度は、陸上の行くえ不明が百六十八人でございます。海上が十八人。空が九人であります。それを原因別に見ますと、でき心、隊務倦怠、孤独感、借財、異性関係、習癖、その他不明ということになるわけであります。  今年度、十二月末の統計によりますと、陸上自衛隊が百四十人、海が十六人、空が十人でございます。原因は、でき心、隊務倦怠、それから孤独感、借財、異性関係、習癖、その他というようなことになっております。
  325. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そのうちで発見数、未発見数について。
  326. 麻生茂

    ○麻生政府委員 昭和四十一年度には六十七名が発見になっております。それから昭和四十二年度には五十人が発見になっております。  なお、この点についてちょっと御説明を申し上げたいと思うのでございますが、このいま申し上げました行くえ不明の未発見と申します中には、行くえ不明のまま任期が参りまして除隊の扱いをした者も入っております。また、行くえ不明のまま、明らかにこれは規律違反であるという点が客観的に判明する事由によりまして懲戒免職にした者も入っておるわけでございまして、現在自衛官の籍を持って行くえ不明になっております者は、いま申しました行くえ不明者のうちの約九%程度でございます。あとは人事上の処置が行なわれてしまった者になるわけでございます。
  327. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 あなた、私に提出したこの資料の中に、原因が不明でそして行くえ不明になっているのが、昭和四十一年度においては百十七名、そして昭和四十二年度においては八十名という、そういう資料が出ているじゃないですか。これについて。
  328. 麻生茂

    ○麻生政府委員 これは動機が原因不明ということで資料を提出申し上げたわけであります。
  329. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いまあなたが言われたことを要約してみますと、昭和四十一年度においては、行くえ不明者、ただし二十日以上の不明ということですね、百九十五名中未発見が百二十八名、四十二年度は百六十六名中百十六名が未発見になっているわけです。そして四十一年度では原因不明が百十七、四十二年度においては十二月までで八十名が原因がわからないままに行くえ不明になっているわけです。すなわち、殺されたのか、自殺したのか、機密を持ち出したのか、自衛隊にいや気がさしたのか、いずれも原因不明のままにこれだけ多くの自衛隊員がこつ然と蒸発しているということはどういうことなんですか。
  330. 麻生茂

    ○麻生政府委員 先生にお出ししました資料の説明が不足でありましたので、先ほど補足的に御説明したわけでございますが、いま先生が申されました昭和四十一年度の百二十八名、それから昭和四十二年度の百十六名という中には、先ほど申しましたように、行くえ不明のまま任期が来て除隊処分にした者、それから行くえ不明のまま明らかに懲戒処分に値するという点が客観的に明白で懲戒処分にした者も含めておるわけでございまして、自衛隊員として在籍しておって行くえ不明の者は、いま先生が申されました数字のうちの約九%程度でございます。たとえば陸で申しますと、私本日ここへ出てまいりますとき聞きましたのでは、現在在籍して行くえ不明の者は五名ということになっております。
  331. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いずれにしても、そうやって行くえ不明になって除隊をしたにしても、少なくとも自衛隊員として籍があったわけです。それに対して、増田さん、あなたは、たとえば家族が一人自分の家から行くえ不明になった場合においてはどのような御心境でしょうか。おそらく、少なくとも自衛隊に信頼を置いて家族の者がやったにもかかわらず、また自分の意思でそのように行ったにもかかわらず、このようにして行くえ不明を出すということに対して、あなたはどう思っていますか。
  332. 増田甲子七

    増田国務大臣 これはもう心痛いたすのは当然でございまして、いま一生懸命追跡いたしております。本人の身をあやまっても、大切な父親母親もございましょうし、大切な家族の一員でもございまするし、人の命は地球よりも重いというふうに私は考えておりまして、そういうわけでございますから、たとえ五名でございましょうとも、全然行くえ不明ということがないように、なお捜査を継続いたす所存でございます。
  333. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いまの資料は昭和四十二年度は十二月までだったと思いますが、そうすると昨年よりは行くえ不明がふえているという見込みだと思うのですが、その点どうですか。
  334. 麻生茂

    ○麻生政府委員 大体同じぐらいの傾向ではないかという感じがいたします。特にはなはだしくふえたという感じはいたしておりません。
  335. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 この行くえ不明の中におけるところの原因については、どういう傾向ですか。
  336. 麻生茂

    ○麻生政府委員 原因につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、このうち一番比率の高いものは、借財というのが比率を高く占めておるのでございます。
  337. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いまここに出ている資料ですが、でき心、隊務倦怠、孤独感、借財、異性関係、習癖、そして原因不明とこうあるわけですが、これについて、どういうことが原因でそういうふうな自衛隊員自体が主として行くえ不明になるのかということについて……。どういう傾向ですか。
  338. 麻生茂

    ○麻生政府委員 その借財の点について申し上げますと、これは終戦後月賦販売というものが非常に流行されるようになったわけでございますが、隊員が月賦によって、せびろとかラジオとかカメラとか時計というようなものを買う。そうすると、その月賦の代金だけで、あと使うものがだんだんなくなってくるというようなことから外に借財、不明になるというような傾向が見られるわけでございます。要するに客観的に見ますると、行くえ不明者の意思の薄弱というところに本人の原因というものはあろうか、大部分はあるのではなかろうかというふうに感ずるわけであります。要するに規律厳正な自衛隊の隊務になかなかなじみにくいという点に原因はあるように思います。
  339. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 あなたはいま原因をただ意思薄弱に基因して、休暇、外出等の際に隊外へ出たまま帰隊しないのがほとんどであるというふうにここにも書いてありますし、そのような意味を言われたわけですが、その根拠はどこなんですか。
  340. 麻生茂

    ○麻生政府委員 根拠は、これは本人が行くえ不明になりました場合、この本人と接触をしておった者について、その最近の動向というようなものを調べるわけです。あるいはその残していった持ちものの中に最近の動き、それから出ていった原因というものが見受けられるわけでございますが、そういうところから判断いたしまして、本人の意思薄弱というものに基因しているのが大部分ではないかという推定をしているわけでございます。
  341. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 これだけ多くの行くえ不明を出して、その中で原因がわかったのはごくわずかであります。昭和四十一年では百九十五名のうち七十八名で四〇%、四十二年度では十二月までに百六十六名のうち八十六名が行くえ不明だ。これは五〇%。あとは原因不明。そういう状態からすると、意思薄弱だと一がいにきめられるものではないと私は思うのですがね。原因が不明だというのですから。それをあながた意思薄弱だと、かようにきめつける論拠はないと私は思うのですが、この点はどうですか。
  342. 麻生茂

    ○麻生政府委員 私が申し上げておりますのは、本人が行くえ不明になりました前後の事情、その後発見されたときの事情によって判明したところから申し上げておるわけでございまして、本人がついに発見できず、本人と接触することができず、当時の事情から原因がどうも不明な者につきましては何とも推測いたしかねるわけでございます。客観的に見ますならば、大部分その行くえ不明というのは新入隊員が多いわけでございますから、外部から入ってまいりまして、規律厳正な自衛隊の隊務になじまないというふうに推測するのが非常に常識的な推測ではないかというふうに私は考えるわけでございます。
  343. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 少なくとも自衛隊を志願した隊員がこのように大ぜい原因不明でいなくなっていくということは、これは私は社会問題だと思います。なお、世間で原因不明でこつ然と蒸発した場合には、たとえ一人であってもたいへんな問題として取り上げられ、また捜索されるわけですが、防衛庁ではどのような捜査方法をとっているのか簡単に言っていただきたい。
  344. 麻生茂

    ○麻生政府委員 まず、行くえ不明が明らかになりました場合は、所在部隊の長は直ちに所在の警務隊長と協力いたしまして、すみやかにその発見につとめることになっております。そうしてまた、そうした事実がありましたならば直ちに任命権者に通報する、連絡をするということになっております。  そこで捜査の方法でございますが、まず上司、同僚から当該隊員の最近の動静、平素の性向、勤務状態、家庭状況等について調査をいたします。そうしてそれが行くえ不明が本人の意思によるものであるか、あるいは偶発的な事故によるものであるか、あるいは犯罪に基因するものであるか、あるいは自殺等の意図を持って出ておるのかどうかというような、そういう動機、原因の究明にまずつとめるわけでございます。そうして部内外を問わず、行くえ不明になった時点におきまして、最後に接触したと思われる人々に当たりまして具体的に調査をいたしまして、本人の動静の把握に極力つとめるわけでございます。そうしてふだん外出する場合よく立ち寄るところ、あるいは下宿先とか部隊が平素立ち寄るところ等についても、手がかりになるようなところは調査をいたしまして、いっときも早くこれを調査するという態度をもって臨んでおるわけでございます。また、もより駅の交通機関の発着するような場所につきましては、隊員を派遣いたしまして、そこで調査に当たらせるというようなこともいたしております。また所在の警務隊に通報いたしまして捜査の協力を求めますとともに、その行くえ不明が犯罪に基因すると認められまする場合におきましては、直ちに捜査に着手するとともに、警察その他の捜査機関にも御依頼をするというようなことをしております。特に自殺のおそがあるというような場合には警察にお願いをいたすわけでございます。行くえ不明隊員のさらに留守家族のほうにもよく連絡をいたしまして、その部隊あるいは行くえ不明の事情あるいは部隊のとった事情等につきまして電報その他の方法によって連絡をいたしまして、その後常時留守家族の方々とも密接な連絡をとりまして、いっときも早く行くえ不明者をさがし出すということに極力努力いたしている次第でございます。
  345. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いま人事局長からるる述べられましたけれども、それでいて実績があがらないというのですね。実績があがらないというのは捜査の方法に欠点があるのか、それとも防衛庁の穏密主義が原因になっているのか、その点、長官どう思いますか。
  346. 麻生茂

    ○麻生政府委員 私から具体的な事情を申し上げます。  昔、私、軍隊の経験がございますが、脱落者があると部隊全員がこれの捜査に当たったものでございます。ところが現在は志願兵制度でありまして、せびろも持っておるわけでございます。したがいまして、昔は軍服のまま外に出ておるということで捜査も楽であったわけでございますが、最近は私服で出る、しかも交通機関も非常に発達しているというような状況にありますので、なかなか行くえ不明者の発見が手おくれになっておるというのが実情ではなかろうかというふうに思っております。
  347. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いまここにあるのは、現実に蒸発した何人かの所在不明の隊員保護依頼の電報訳文であります。その中で緩急区分というのがありますね。その仕分けが六通りになっているのですが、その六通りの状態を言っていただきたいのです。
  348. 麻生茂

    ○麻生政府委員 この電報には特別緊急、緊急、特別至急、至急、普通、緩送、こういう六つのものがございます。
  349. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 緩送というのはどういうのですか。
  350. 麻生茂

    ○麻生政府委員 通信系が閑散なときに送信するものであって、通常受け付けたときより二十四時間以内に送信するものを申します。
  351. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 長官、これは要するに通信網の一番ひまなときで、早く言うならばいつでもよかろうというような、緩送というところにマルがふってある。いま人事局長が、要するにいま交通機関が発達し、そうして非常に緊急を要さなければならないような捜査であるにもかかわらず、この電報を出すのに緩送というような、そういうようなところにマルをやっていて、どうして捜査がスムーズに行くかということについて、長官はどうお考えになりますか。
  352. 増田甲子七

    増田国務大臣 それは御指摘のとおり至急でないといけないと思います。緩送という、非常にひまなときに、相当の時間がかかってもいいような電報はいけないと思っております。私が根本的に申し上げたいのは、自衛隊は志願者制度でございまして、応召しているわけではないのであります。そこで隊から、俗称でございますが、逃げたと申しましても、昔の兵営から逃げたのと違いまして、それに対する根拠法規は、防衛出動時と治安出動時において隊命令が出たとき以外にはないわけでございます。したがいまして、何か悪いことをしていった者を捜索するといったような捜索はできないわけでございまして、うちの娘がどこかへ逃げたから、困るから警察に頼んで調べてもらう、こういう程度のものでございます。帰ってきても、別段それを処罰するということもない。これが私は民主主義下における日本自衛隊あり方でございまして、それでよろしいと思っております。したがいまして、すぐ手の届くような捜査はできませんけれども、いまの緩送といったようなことはちょっとおもしろくない。でございますから、急送の電報にいたしまして、方々に依頼して、そうしてなるべく所在を発見して身柄の処置を、父親母親となって連隊長等はとるべきである、こう考えておる次第でございます。
  353. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いま増田さんが、自衛隊は応募だから、そういう意味において云々というお話があったのですが、少なくとも自衛隊へ入ったということは、その自衛隊の一員として、その長官である増田さんが一切をお預かりしていると私は思うのです。あなたも自衛隊をこよなく愛するとまで言われ、また自衛隊員に対しては二十四時間の勤務中涙の出るような思いがするとまで言われたあなたが、実際に自衛隊員がそのようにして、たとえどういう理由であろうとも行くえ不明になり、原因がわからずして行ってしまったということに対して、あなたが言われたような緩送の電報なんという、そういうところでさがそうというような自衛隊の態度自体に私は問題があると思うのです。その点いかがですか。
  354. 増田甲子七

    増田国務大臣 繰り返して申し上げますが、緩送なんということはよくないのでありまして、やはり急送で、そうして自殺のおそれ等もないわけではございませんから、早く身柄をさがして保護してやる。それから借金なら借金の片をつけるとか、その他ノイローゼになっているならノイローゼの衛生関係について配慮をするとか、そういうことをすべきである。これから緩送ということは改めさせます。
  355. 麻生茂

    ○麻生政府委員 ちょっとただいまの大臣の答弁を補足さしていただきますと、現在でも、自殺のおそれがある、あるいは犯罪のおそれがあるというときは至急報でやっておりますので、その点御了承願いたいと思います。
  356. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 原因が不明な場合においては、どういう状態になるかわからないわけです。自殺をするか、あるいは秘密を持っていったか、何かわからないわけですから、そういう点で、こういう問題に対しては少なくとも防衛庁長官が言われたような態度をとらなくちゃならぬ、私はそう思うのですがどうですか。
  357. 麻生茂

    ○麻生政府委員 ただいま大臣から御答弁いたしました線に沿って善処いたしたいと思います。
  358. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 行くえ不明自衛官と機密の保護との関係はどうなっておりますか。
  359. 麻生茂

    ○麻生政府委員 先ほど行くえ不明者につきまして申しましたように、行くえ不明者は大体士クラスの者であるわけでございます。したがいましてその職務の性質上、機密に接するというような立場にはないわけでございます。したがいまして、先生が御心配になりましたような、行くえ不明者が出たから自衛隊の機密の保持が十分にいかないという心配はまずないのではないかというふうに私は考えております。
  360. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 あなたは、行くえ不明の自衛官は必ず非常に低い階級の層であるというふうに断言をされておりますけれども、万が一にも機密を持ったそういう自衛官が行くえ不明になって、国外へ行った場合、そのときにはどうするのですか。
  361. 麻生茂

    ○麻生政府委員 私は、自衛隊の幹部自衛官にそのような不心得の者はないと確信をいたしております。
  362. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 何を言っているのですか。要するに、この間あった防衛庁の機密の取り扱いのルーズなことは、技術研究開発計画の秘密漏洩でもわかるように、昭和四十一年から今日までわからなかったんじゃないですか。こういうことは氷山の一角かもしれないんだ。それであるならば、どうしてあなたが絶対ないということが言えるのですか。そういう態度は何ですか。少なくともそれに対しては、行くえ不明になった場合においては、一刻も早く手を打つとか、あるいはそのことについては万全をもって処しますという話ならわかります。その点どうです。
  363. 麻生茂

    ○麻生政府委員 もちろん先生が言われるように、万が一ということがもしあったといたしました場合においては、迅速な処置をとりまして、国外に出るというようなことは絶対に生じないように措置いたしたいというふうに考えております。
  364. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 十一月十四日に新関情文局長が入国管理の問題で、例の米兵の四人が逃亡した問題で、あのときは第三国へは絶対に出国は考えられないと言っているのです。それがどうですか。十一月二十一日に日本を脱出して、そしてその報道がなされたじゃないですか。絶対にあり得ないなんということは、実際いってこれはあり得ないんですよ。それに対して、あなたたちはどういうふうにやるのかということです。
  365. 増田甲子七

    増田国務大臣 機密もある程度漏洩した事実もあるわけでございまするし、これはいま調査を進めておる段階でございます。それから、機密を持った幹部が逃げてしまうことは絶対あり得ないということは、まず常識から政府委員が申し上げたわけでございまするが、そういうことはなきを保しがたいわけでございまして、監督者としては私は十一、分に気をつけてまいりたい、こう考えております。
  366. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いま防衛庁長官からその点について前向きのお話がありましたから、それでは最後に申し上げます。  いずれにしても、このところ自衛隊幹部の綱紀が非常に乱れているということ、それから最近現職の幹部が機密文書を商社に流したということも伝えられているし、F104の機密に関して秘密保護法違反に問われた問題、また防衛庁幹部の天下り人事の規制が甘いという問題、自粛通達をよそにして勤務中のゴルフ等、全く不届き千万の問題が起こっているわけでございますが、自衛官の蒸発事件と何らかの関係がないとは私はいえないわけです。そこで長官は、今後どのような処置をとるか、最後にお伺いしたいと思います。
  367. 増田甲子七

    増田国務大臣 綱紀粛正につきましては、私が主体的立場で責任を感じておりまするから、この半年以来捜査して線に浮かんできたのが川崎一等空佐の事件でございます。そのことは検事にまかしております。厳正にうみを出すべきものは出していただきたい、こういうことを何べんも何べんもお願いいたしております。この捜査のことは、捜査の結果をどうぞお待ち願いたいと思います。  それからゴルフの関係でございまするが、ゴルフはよく調べてみました。私のところへもなるほどカードは来ております。来ておりますが、私はゴルフはいたしませんから、どこかすみのほうにほったらかしてあるようでございますが、これを利用して週日に行ったという人は、調べてみましたところがないわけでございます。ただ週日に行ったといいましても、本人が、自衛隊員は二十日間の休暇をとり得ますから、その二十日間の休暇をとって参ったという事案が出てまいりました。これは口頭で注意を加えたわけでございます。昨年の箱根山のゴルフの関係は、これは不届きでございましたから訓戒処分にいたしております。しかしこれらの問題を含めまして、将来とも規律ある自衛隊にして、そうして愛される自衛隊——何でもかんでもほっかぶりをした自衛隊にして、そして愛される自衛隊になりっこないのです。信頼されるということでございます。ネコかわいがりの自衛隊ではないのですから、信頼される自衛隊になるように、私あるいは幹部においても、いま一生懸命努力をいたしておりますこと左鈴切さんもぜひ御了解いただきたいと思います。
  368. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 行くえ不明については……。
  369. 増田甲子七

    増田国務大臣 行くえ不明につきましても、一年に二百名前後の者がある。あとはだんだんわかってまいりまして、純粋の行くえ不明は数が少ないわけでございます。できるだけ少ないように、規律のある生活に耐えがたいという点もございましょうが、愛の精神をもって臨みまして、ノイローゼとか、あるいは借財とか、あるいは放浪癖というのもあるようでございますが、そういうようなものも、できるだけ隊内において訓育をしていく、そしてりっぱな自衛隊に育ててまいりたい、こう考えている次第でございます。
  370. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 以上で終わります。
  371. 野原正勝

    野原主査 畑君。
  372. 畑和

    ○畑分科員 私は、この間サンデー毎日の三月三日号に記載されております「団地に来た米軍命令」という記事とか、あるいはその後、朝日新聞の記事に「米軍の電波がお通り」「基地周辺の“生活”を規制」そういう報道がなされておるので似りますけれども、最近ベトナム戦争が非常に熾烈をきわめると同時に、こうした日本にある米軍の通信基地周辺の、いわゆる電波妨害規制の問題が大きくクローズアップされつつあるわけであります。この問題は、周辺の市民の生活と非常に重大な関係がございますので、この点については、いままでほかの委員会等において質問もあったようであります。私は、たまたま私が住んでおりまする近くに当該の大和田通信所がございまして、そういう関係から、従来地区民の陳情等も聞いておりますので、その辺を中心としてこの問題を少し堀り下げて、防衛庁あるいは防衛施設庁等に聞いてみたいと思うのであります。  この間のサンデー毎日あるいは朝日の記事を見てみますると、上瀬谷地区での規制が一番ひどいようであります。この点について、第一ゾーン、第二ゾーン、第三ゾーン、第四ゾーン等と、段階的に規制が変わってきて、外へ行くほど緩和される、こういう規制になっておるようでありますけれども、これは、上瀬谷におきましては初めからこうなのか、あるいは途中で区域が拡大されて、もともとは第一だけであったやつが第二、第三、第四と拡大して規制が強められたものか、その辺をまずお伺いいたします。
  373. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 上瀬谷の通信施設におきます電波障害制限地域につきましては、これは昭和三十七年に合同委員会において合意されまして、そして、それに基づいて第一から第四までのゾーンをきめ、そして、地元との間にはA地区、B地区というような区域で、民事契約でやっております。最初から区域は同じでございまして、特に、だんだんとふえたというようなことにはなっておりません。
  374. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、現在のいわゆる第四ゾーン、第四地区までがもともとから規制の範囲内に入っておって、住民との間で民事契約で契約をしておる。ただ、それが段階的に住民との契約の条件が少しずつ違うことに途中からなった、こういうことですか。
  375. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 最初からそういうふうになっておるわけでございます。
  376. 畑和

    ○畑分科員 そうしますと、いまさら始まったことじゃない、前々からそうだったということになるわけですが、特に、新聞記事等によりますると、この上瀬谷地区だけがそうした規制が強くなって、いろいろ段階的に、一・六キロですかの半径の間そうなっている。ほかの関係のほうについても、それと同じようにやってもらいたいというような米軍の希望があって、その関係を折衝している。こういうふうに新聞記事等に報道はされておりますが、そうしますと、初めからそういった規制の区域は同じだった、事あらためて規制がやかましくなったというのではないというのか、あるいは、その区域内における第一ゾーンなら第一ゾーンのほうが特にやかましくなったというのか、どういうのですか。
  377. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 これは三十七年以来同じ区域であったわけでございまして、その当時からA地区、B地区に分けて、そして民事契約を締結し、A地区においては不作為の義務を中心とする、家を建てないという義務を中心とする契約をいたしている。B地区においては、何か建てようとするときには、まず届け出て、そして承認を受けてやっていくという義務を中心とする契約をやっておったのでございます。ただ、最近やかましくなりましたのは、先生御承知だと思いますが、米軍からその後、昭和四十年ごろから、他の地域についての電波障害の要求が出てまいった。それが昨年の暮れごろに公になりましたために、特に上瀬谷においていろいろ論議されているのではなかろうか、その点は想像でございますが、私はそういうふうに存ずるわけでございます。   〔主査退席、小沢(辰)主査代理着席〕
  378. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、事あらためて上瀬谷だけが規制の範囲が広くなったり、あるいは規制が強くなったりということではないというような返事になると思うのです。  ところで、ほかにいろいろ基地があるようでありますが、その中で、大和田通信所の場合は、いまいろいろ民事契約でやっておる地域でありますけれども、この区域は——まあ、大和田に限らぬのだけれども、地位協定や、その前の安全保障条約ですか、この条約における施設並びに区域という区域に入るわけですか。
  379. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいま大和田で制限をされておりまする地域というのは、先生がおっしゃいましたように「施設及び区域」として提供されてある区域であって、それは民有地である。その民有地を当方が昂事契約によって借り上げておる。その借り上げておる土地について、念のため建物の制限等の事項を覚え書きで交換しておりまするので、その地域は、すでに施設区域として提供されておる区域がそういうふうな実情にあるということでございます。
  380. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、大和田の場合においても、ほかの地域においても、これから先さらにその地域が、いわゆる提供される区域というか、電波障害等でまた規制される区域とも一致するけれども、その区域が広げられる、第二、第三と広げられるというようなことはありませんか、米軍の要求で。
  381. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 大和田の現状について私は御説明申し上げたのでございまして、米側が要求しておりまするのは、大和田を含めまする電波施設の周辺に障害の原因となるような建物を建てたり、あるいはそういったような施設をつくってもらっては困るので、制限してほしいという希望が新たに出ておる。この問題について、ただいま委員会をつくっていろいろ検討しておるということでございます。これは、だんだんに広げるというのではなくて、大和田についても同じですけれども、現在提供施設とされている周辺にそういう地域を設けてほしいという希望でございます。
  382. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、やはりそういう危険性はあるわけだ。いま米軍のほうから申し出があるのは、いまの区域は、電波制限をいま民事契約でやっている、それをさらに広げた地域でも同じように電波障害を防止する区域として規制区域に入れてもらいたいという希望が米軍からあると、こういうふうに伺ってよろしゅうございますか。
  383. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 そのとおりでございます。
  384. 畑和

    ○畑分科員 そうしますと、上瀬谷の場合は、それがすでに第四区域までが前からの区域だった、さらに重ねて広がることはないのだ、特に新聞記事等にあるように、上瀬谷地区が広げられたというのではなくて、もともとからそうなのであって、内容的的に少し変わってきただけなんだ、大和田の場合その他の場合は、いまの区域のほかに広げてもらいたいという米軍の要請がある、こういうことですね。
  385. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 提供施設区域を広げてくれという要求ではございませんが、電波障害となるようなものを制限する地域を設けてほしいというだけでございます。
  386. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、上瀬谷地区でも、いま第四ゾーンまであるけれども、その第四ゾーンまであるうちに、いわゆる提供区域というのは第何ゾーンまでが提供区域なんですか、上瀬谷の場合。
  387. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 私の説明がどうもあまりじょうずでないせいかもしれませんが、提供施設と、いまの制限区域とは上瀬谷の場合全然別個でございます。提供施設はすでにあって、そのまわりに第一から第四ゾーンまでのそういった制限地帯を設けておるというのが上瀬谷の実情でございます。大和田とそこが違うのでございます。大和田は、提供区域自身が民有地でございまするので、現実に、現在においてもそういうことをあわせて行なっておる。上瀬谷は提供施設の外にそういった制限地帯を三十七年以来設けておる、こういうことでございます。
  388. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、三十七年以後設けたのが第何ゾーンなんですか。
  389. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 第一から第四までです。
  390. 畑和

    ○畑分科員 わかりました。それではその次の質問に移ります。  ところで、大和田の地区でありますけれども、これは民事契約はどういう契約でやっていますか。ほかの地区も同じですか。
  391. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 同じでございます。
  392. 畑和

    ○畑分科員 私の手元にその基本契約なるもの等もあるのでありますが、ほかの地区でもほとんど同じフォームでやっていますか。
  393. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 同じフォームでやっております。ただ、この地区については、提供された地域について所有者が建築物その他を建てるようなときに制限する内容について覚え書きを交換しておる、こういうことがほかの地区と違うところでございます。
  394. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、ほかの地区では提供区域になっておらないところがそういった制限を受けて、しかも、それは民事契約でやっておる、この大和田の場合は、提供地区であるけれども、農民が所有権を持っておる、それが同時に、いま制限区域だ、だから、それを広げて提供区域になってないところまでも制限してもらいたい、そういう希望がある、こういうことで承知してよろしゅうございますな。  それだと、その次ですが、大和田の地区で基本契約という契約があります。これは一年更新で、契約は一年間ということになっておる。しかも、契約が切れたときには、それを双方の間で協議をして延長することができる、こういう契約になっておるようです。そこで、私たまたま、実は私弁護士だものだから、うちの事務所で扱った事件があるのであります。そのことで実は知り得たのでありますけれども、これは当事者が別に秘密を守ってもらいたいというあれはなくて、けっこうですという話ですから、弁護士の業務に関する秘密というようなことに触れないから申すのでありますけれども、私が扱った件というのは、実は第五条による農地の転用の許可があって、代金も全部授受をして、そして登記まで済ました。ところがその後になりまして、買い取った人が建物の建築確認申請をしたところが、そこでチェックをされた。そこで結局建てられないということになって、しかたがないから、やむを得ず防衛施設庁にその土地を買ってもらった。そうすると、よそへ土地を取得しなければならぬ。取得をするということになるとその倍くらい金がかかる、目的物に隠れた瑕疵があったからそれで損害を受けたということで、売り渡し人のほうに対して買い取り人のほうから瑕疵担保責任の民事訴訟の損害賠償を請求している。それを、うちのほうでは売り渡し人から委任を受けて現在やっておるのであります。別にこの問題をここでどうして、どうこうという理由にしようという気は全然ないのでありますけれども、そういう問題が実はありまして、はしなくも、その関係で私はその基本契約あるいはそれに付随する覚え書きというものの作成過程等、情事をいろいろ調査をしたのであります。その結果、実はその件のほうは、もうそれでわかったのでありますけれども基本契約の第十条に、目的物の形質を変更したり、駐留軍の使用の妨げになるようなことがあってはいかぬと、こういう条項があるのでありますが、それがあとで、期限が終わってから、無契約状態みたいになっておるときに、防衛施設庁のほうでいろいろ来まして、その結果覚え書きというのができた。その覚え書きによると、われわれから見ましても、農民がとうてい予想してないような拡大解釈というか、それが実はなされておりまして、それに半強制的に判を押させられた、そういう事実を発見した。しかも、その契約をした日と、判こを押した日と、それから覚え書きの日付が一年ずれておる、こういう事実があるのであります。それで、覚え書きに判こをしぶしぶ最後に押させられたのが昭和四十年の三月二十九日。ところで日付は三十九年というふうになっておる。日は書いてないが、年だけは三十九年になっておる、そういうことがあるのです。しかもその中に、形質の変更といったものの説明みたいなもので「甲は、賃貸物件たる土地の上において、電気機器の設置を伴う建物および工作物の建設を行なわないものとする。2 甲は、賃貸物件たる土地の上において、電気機器の設置を伴わない建物および工作物の建設を行なうときは、予め乙の承諾をうけるものとする。3 甲は、賃貸物件たる土地の上に、乙の承諾がなければガソリンエンジン、発電機、乾燥機、電気鋸、工業用モーター、赤外線発生装置、X線発生装置、ネオン管等電波障害雑音の発生源となる器具、機械を持ち込まないものとする。」こういうような解釈に関する覚え書きというものに判こを押させられたのであります。これは非常に農民が無知であって、しかも半ば強制的にやられたのではないか、こういうふうで、非常に私自身は承服できないのです。こういう事実があった。それは訴訟関係をやっていてわかったわけです。それは日付をさかのぼってやったということがわかったのですが、それで、はしなくも判こを押したときには自分が無権利者であった、権利者じゃなかった。それで、名簿に載っているからというので判こを押させられたということで、しかも、そのときにはもう登記が済んで権利者じゃなくなっていた、こういうことがわかってきたのでございますけれども、非常にこういう点で農民は困っている。非常に狭い。四十万坪であります。ほかに土地を持っている人ならば分家を出したりなんかするときにはいいけれども、そこだけにかたまっているものだから困っちゃっているし、しかも、次にお百姓をするような人もいなくなっている。そうなると、土地を処分してほかへ職業を転換しなければならない。ところが、売ろうと思っても売れない。防衛庁に買ってもらおうとすると半分の値段です。こういうようなことで非常に困っている。道路一つつけようと思っても、自動車が通るからだめだ。ところが、その施設のすぐわきをたくさん自動車が通っている。そこから引き込みのあれをつけようと道路の設置願いを出そうとしても、それが許可にならない。こういうようなことでありますけれども、こういうような契約を、覚え書きという形で、無知な農民をだましたような形で、一種のぺてんだと思うのでありますが、この点はあなたは承知していますか。朝霞の防衛施設事務所がやったのです。
  395. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 大和田通信所の提供地域について、さような覚え書きを交換しているということを、私案は昨年の十二月に施設庁長官になったばかりでございまして、これを知りましたのは、お話しを伺って、きょう実は初めて知ったような状態でございまして、もとからは承知いたしておりませんが、現在においてはそういう覚え書きを交換しておるということを承知いたしております。  ただ、どうしてそういう覚え書きをやったかということでございますが、先生御承知のように、大和田の通信所は昭和二十七年に契約しておりまして、その当時、人口が少なかったのですが、最近ふえてきたというようなことで、昭和三十九年の契約更新の際に、そういった内容を伴うものを基本契約十条の解釈として、こういったような本のをつくっては困るのだよというような趣旨の覚え書きを解釈として用いたというふうに承知いたしております。
  396. 畑和

    ○畑分科員 私は、非常にそのやり方はインチキだと思うのだ。これは不明朗で、大体そういうことになるかどうかわからないのだ。それと、電波障害なんてちっとも書いてないのだよ。それが、みんな電波障害のことばかりだ。大体初めからそれほどまでのことは予想されていないのだ。それを途中からすりかえた、こうとしか思えない。  あまり時間がないから、次に、せっかく来ておられる建設省それから農林省に聞きたいのだが、大体これは民事契約ですよ、いまの賃貸借契約は。というよりも不作為義務の契約だ。これは民法上から言うと対抗力がない。しかも、幾ら国との契約だからといって、民事契約だから、それ々強制するわけにいかない。民法よりは優先するわけにいかぬ。そういうことで質問したいのだが、第五条の農地の転用の許可、こうした場合に、許可申請があると、それをどうやっていますか。それを許可するほかの条件が整っておった場合、単に電波障害のことだけについてちゃんとしてないということの理由で第五条の許可を拒否することができますか。できるとすればその根拠、それを時間がないから簡単に、まず農林省から……。
  397. 小山義夫

    ○小山説明員 農地法に基づきます転用の許可では、一般の農地転用の許可基準に該当して許可すべきものはする、しないものはしないということでございまして、それ以外の基準によってどうこうということはございません。
  398. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、結局、幾ら防衛庁とこういうことがあっても、それによって災いされてチェックするということはない、ほかの許可条件に合えばよろしい、こういうことですね。
  399. 小山義夫

    ○小山説明員 そのとおりでございます。
  400. 畑和

    ○畑分科員 その次に、今度は建設省のほうへお願いします。  確認申請の場合に、やはり同じようにこれを拒否する事由になるか。もし、たとえば宅地の一部を第三者に分筆で譲った、そうしてそれを登記した、登記はできる、農地じゃないから許可は要らぬ、それで今度は家を建てようというので確認申請を出す、そうした場合に、こういうあれがあるからといって確認の申請が拒否できるか。私はできないと思う、民事上から言うと対抗力がないから。これが地役権とか地上権とかいうもので、しかも登記されておる、あるいは賃貸借でも登記されていれば対抗力はあるけれども、これは対抗力がない、どうですか。
  401. 前川喜寛

    ○前川説明員 仰せのとおりでございます。建築基準法上は、この権利関係のことだけで拒む理由にはならないと思います。
  402. 畑和

    ○畑分科員 そうすると、もしそういうのが出たときは、拒否できないという趣旨だと思ってよろしゅうございますね。
  403. 前川喜寛

    ○前川説明員 はい。
  404. 畑和

    ○畑分科員 もう一つ、それじゃ最後に、時間がないようですから結論的なことを伺います。  いま承ったところによりまして、上瀬谷地区と大和田地区はだいぶ趣が違うようであります。ただ、大和田地区におきましては、さらに、これが提供する地域という形ではなくて、もっと広がるおそれがある、広げようとしている。いわゆる提供地域を広げるのじゃなくて、電波障害の防止をするために何とかそういうことの処置をしよう、こういうことのようでありますが、 これはしかし、いまの法規上からいってできるかできないか、地位協定の第三条の一番後段の「日本国政府は、合衆国軍隊が必要とする電気通信用電子装置に対する妨害を防止し又は除去するためのすべての合理的な措置関係法令の範囲内で執るものとする。」こういうことになっている。この「関係法令」というと電波法その他だと思うのだが、電波法にはそういう規定はない。これを改正すればともかくも、これがない以上は、そういうことを強制的に——任意に承諾するなら別だけれども、任意でなければそれができない、かように私は思うのです。それには地位協定の実施に伴う特別措置法によって強制収容に似たようなことができるこういう法律がございますが、これを発動するならともかくも、そうでない以上はできないと思いますが、どうですか。それと同時に、こうした電波法の改正あるいは特別措置法の適用をやる考えがあるかどうかということについて、防衛施設庁のほうと、それから防衛庁長官のほうに、ひとつその点を確かめておきたい。
  405. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいま先生のお読み上げになったとおり、第三条にそういう規定がございまして、「関係法令の範囲内」ということでございまするので、われわれのほうでは、ただいま大和田を含む各地におきましてそういう要求のありまする問題につきましては、日米合同委員会のもとにありまするところの電波障害の特別分科会で十分に検討して実情に沿うように考えてまいりたいと思っておりまするが、この際、特に強制法規をつくるとかあるいは土地収用法を発動するとかいうことはいま考えておりません。そういうような検討の結果が、第一どういうふうに出るかということもまだわかりませんし、かりに万が一その結果何らかの制限措置を必要とするということになりましても、その際は地元の方とよく御相談して、かつまた、納得のいくような方法でやっていくのが至当ではなかろうかというふうに考えております。
  406. 畑和

    ○畑分科員 防衛庁長官、ひとつ……。
  407. 増田甲子七

    増田国務大臣 畑さんにお答え申し上げます。  この「関係法令の範囲内で」というのは、新しき立法ということを考えていないわけでございます。
  408. 畑和

    ○畑分科員 そうすると特別措置法、これも発動するということはない、こういうことですか。関係法令——電波法等の改正を行なわないのはもちろんのこと、土地収用法に似たようなことが、地位協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法でやろうとすればできるんだろうと思うが、これを発動する考えはないかどうか。この前、防衛庁長官は、内閣委員会でそういう考えはないと言ったというような記録があると思いますが、いかがでございますか。
  409. 増田甲子七

    増田国務大臣 「関係法令の範囲内で」ということにこの協定はなっております。適用し得る法律や規則の範囲内においてというふうに英文もなっておりまするが、私は、現存する法令の範囲内ということでございまして、土地収用法等は、絶対とは申しませんが、相なるべくは適用したくない、こういうことは前と同じ態度でございます。
  410. 畑和

    ○畑分科員 けっこうです。
  411. 小沢辰男

    ○小沢(辰)主査代理 次に金丸君。
  412. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 私は、富士岳麓に横たわっております東富士演習場、北富士演習場に関連いたしまして、従来米軍が使っておったのを、もう御用済みとでもいいますか、返還するという意向が伝えられ、そして国のほうでは、これを自衛隊に引き継いで自衛隊で使うという意向が漏らされておるのに対しまして、現地におきましては、これをこの際平和利用といいますか、文化利用といいますか、演習場というようなものでなく使いたいという意向が日に日に熾烈になってまいりました。その要望が盛んになってまいりました。そらした両者の意向の食い違いからいたしまして、今日までたびたび思わざる事故などを起こしておるのでありますが、防衛庁におきましては、いまも同じように使用転換というような方向で進まれるのか、それとも、現地の強い要望に従って何とかそれに沿うような方法をとろうとなさっている意向がおありかどうか、まず承っておきたい。  実は、この問題をこうお尋ねいたす前に、いま盛んになっております憲法問題だとか、あるいは防衛論争だとかいうような、自衛隊あり方から掘り下げてこの問題に入っていけばよろしいのでありますが、いかにも制限された時間でありますので、いきなり問題の核心に触れて直截簡明にお伺いいたすのであります。やはり自衛隊にいままでのような形において、演習場としてお使いなさる強い方向にあるのか、まず承りたい。
  413. 増田甲子七

    増田国務大臣 私からお答え申し上げまして、細部の点は施設庁長官からお答え申し上げます。  まず第一に、金丸さんの御質問の点につきましては、われわれも非常な関心を払っておるわけでございます。そこで地元の田辺知事さんとはしばしばお話をしておりますが、田辺知事さんが、県民の意向を代表する発言としては、地元にすぐ仮してほしい、その後に防衛庁のほうで使おうと本米軍で使おうとも、とにかく地元に返してほしい、こういう意向を代表されて私とお話し合いをいただいておる次第でございます。金丸さんの御意見もおそらくそうではないかと思いますが、これはやはり政府の所管で米軍に提供しておるものでございまして、国有財産関係から申しましても、また自衛隊の必要から申しましても、一応所管転換をアメリカに迫りまして、アメリカに返していただき、そして地元の田辺知事さん、金丸さん等の御意向にできるだけ沿いたい。平和利用ということばは少し語弊がございますが、観光方面にでき得る限り開放いたして、自衛隊は最小限度にいたしたい。そのときでも、米軍の演習地として共用することは同じでありますが、管理はわれわれがいたす、それからでき得る限り観光用として開放いたしたい、知事さんの御意向、したがって県民の皆さまの御意向にできるだけ沿いたい、これが根本の原則でございまして、金丸さんの御意向に大体において沿い得るのではないか、こう考えておる次第でございます。
  414. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 施設庁のほう何か……。
  415. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 特につけ加えることはございません。
  416. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 御承知のように、あそこは非常に広いのです。したがって、いままで米軍が使っておったときでも、あれを全面的に使ったという例はほとんど私どもの記憶にない。東富土、北富士両方を一緒に使ったのは、三十年以降におきましては、たしかオネストジョンの発射実験、それからリトルジョンの発射実験、時間にいたしますと、この十何年間の間に一時間か二時間くらい、詰めてみますと、それくらいの使い方であった。もちろん東富士のほうには富士学校がありますし、北冨土にも小さな駐とん隊、駐とん兵舎がありまして、常駐して使うといえば使う。しかし、あれだけの広い土地を演習場として常時持っていなければならないかどうかにつきましては、現地の人々は毎日それを見ておるだけに首をかしげておるのでありますが、これにつきましては施設庁長官はどういうお考えでありますか。
  417. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいま防衛庁長官からお答え申し上げましたように、この演習場は現在米軍に提供しておるものでございますが、これを日本政府に返還してもらって、そして有効に利用したいという考えであることは変わりございません。ただ、いま申しましたとおり、返還された場合に、自衛隊で使用する部分は、あれを一つ残らず完全に使わなければいかぬというふうに必ずしも考えているわけではございませんで、必要な限度において使ってまいる。ただし、先ほど大臣がおっしゃいましたように、米軍もこれを使用するということを返還の一種の条件のようにいたしておりますので、そういうことも考えなければいけないというふうに考えておるような次第でございます。
  418. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 もちろん米軍が使用することも考えておかなければいけないということについては、わからぬわけじゃございません。しかし、いま申し上げましたように、これまでの経験からいたしまして、ほとんど使ってないのです。軍というようなものは、万一の場合を考えて用意しておくということかもしれませんけれども、それとしてはあそこはあまりにも惜しいような気がしてならない。あらためて申し上げるまでもございませんが、富士というものを前景として、あるいは後景といたしまして、北富士におきましては山中湖という絶好な観光地を備えておるのであります。そうしてあそこにはもう日に月に、演習場にすぐ沿うてあるいはホテルが建ち、あるいはゴルフ場ができ、あるいは学校の寮ができ、別荘ができ、その他の娯楽施設、文化施設がもう毎日建っておるところであります。現地の人々はそういう一面を見て、こうべをひるがえせば左に演習場という、まことにむくつけきものがあるわけであります。それも従前にしょっちゅう使っておるということでもあれば、またあきらめる、がまんするということにもなろうかとも思うのですけれども、ほとんど使っていないのです。といたしますと、一体これはそれまでがまんしなければならないかどうかについては、私は現地の人ならずとも首をかしげるところじゃないかと思うのです。幸いに自衛隊がもう要らないからでありましょうが、あるいは使い方を考えるというようなことにおいて国に返還しようというような意向が漏らされてくる以上は、このときこそあそこの特殊事情を考えて、長い将来の国の政策にも沿うような形において、別の使用方法を考えてもいいのじゃないか、こう思うのであります。ことにあそこは観光地として一番東京に近い、京浜地区に近い、あるいはもっと言いますならば、東海道メガロポリスに近いものですから、年々倍もしくは三倍というふうな観光客が夏といわず冬といわず入ってくるのであります。そうしていま土地の非常に大事なときに、これだけの広い、これだけのりっぱな土地をなぜこうしてあけておくのかということを、行く人たちも言っておるのです。こういうことを聞いた現地の人々が非常にそれに刺激をされて強い要望を持つのは、私は無理からぬことだと思うのであります。そういう点について、いかがでありましょうか、米軍のほうでそういう条件で返すとするならば、その条件を変えてもらうために政府のほうでは少なくとも誠意を持った努力を払うべきではないかとも思うのであります。いままでの米軍との間の交渉過程、交渉内容というものはどうなっておるのか。   〔小沢(辰)主査代理退席、主査着席〕
  419. 山上信重

    ○山上政府委員 あの演習場の使用につきましては、先生御承知のように、米軍の使用頻度はだいぶ下がっております。使用頻度、回数でございますが、これは北富士については少なくなっておりますが、自衛隊の使用の頻度は非常に多くなっております。と申しますのは、この演習場は北富土、東富土合わせまして、中部地方における唯一の大演習場であるということからいたしまして、自衛隊の使用頻度が非常に多いわけでございます。したがいまして、これを全然ほかのものにしてしまうということは、自衛隊としても耐えられないところでございまして、この中心として自衛隊も使わなければならない、しかしいま米軍の提供施設でございますから、これをまず返してもらう。米軍は比較的使用頻度が少ない。したがって日本側に返してもらう。そしてその上で自衛隊の施設を中心的に持っていく、米側もこれに対して共同使用的に使わぜるということでございまして、米軍の使用を主にするという意味ではございません。  それからもう一つ、ほかの方面に使わせるということにつきましては、先ほど大臣から御答弁になりましたように、あの地域を演習場として使用することにつきましては、自衛隊としてもでき得る限りは他に御迷惑をかけぬようにしたいという気持ちにおいてはいささかも変わりはないわけでございますから、必要最小限度という意味で考えておることと思うのでございますが、ただ、さらばといって大きな部分を開放するということも、これまたなかなかむずかしいのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  420. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 その限度が非常に問題だと私は思うのであります。これを沿革的に見ますと、旧陸軍でさえもあれだけの広い演習場は使ってなかったのですね。昭和十二、三年ごろ、例の高度国防計画が進んできましたころに若干広げたようでありますけれども、いまほどの広さは使ってなかった。米軍が進駐し、そしてあそこを強制接収したときに、かなり広い国有地、県有地、民有地を押えたことはありました。その後若干返還をして、そしていまのような状況になったのであります。その返還した後におきましても、旧陸軍の演習場というものは、私ここの地図を見たのでありますが、半分くらいだ。旧陸軍でさえも半分くらいの演習場で間に合っておった、私どもしろうとにはそう思われる。いま自衛隊の使用頻度はそう少ないものではない、こう言われるのでありますが、少なくとも北富士に関する限りは、私どもあまり使ったのを見たことがおりません。私は山梨県の出身でありまして、あそこにはたびたび旅行もいたしておりまするし、現地にも入って見ておるのでありますが、演習場としてというよりも、むしろ野放しのほったらかした地域のように思われるほどに使っておりません。私はこの使い方があまりひんぱんではないということについてはゆえあることと思うのでありますが、わが国自衛隊は、根本的なことは別といたしまして、まあ外国に攻め込むことを目的として演習されておるものではないことはもう申すまでもありません。そしていまやたびたび総括質問などで問題になっておりますように、防衛の方法としても科学兵器を使う、精密機械を使うというようなことから、その演練の実況も旧陸軍時代とは全く変わってきておるはずなんですね。歩、騎、砲、工、軽重といったような、自分で馬を使い足をもって匍匐前進というようなことが演練の中心であったような時代とは違ってきておる。そのような全くの原始時代の組織の演習であってもそれだけの広いところは必要としなかったのが、近代兵器を使ってやるところの近代的な自衛隊というものがああいう原野で、ああいうところで演習しなければならないかどうかについては、私どもにはよくわからない。今後といえどもあれをほんとうに必要とするのかどうか。ただ米軍からそういう条件で返すということであるから、返してもらうためにはやむを得ずそういう広さをもって一応受け取るということであるのかどうか、その点をもう一度はっきりしておきたいのであります。
  421. 増田甲子七

    増田国務大臣 私の原則は先ほど申し上げましたが、いま施設庁長官からの補足的説明を総合いたしますとこういうことになります。日本自衛隊は演習場があまりたくさんないのでございまして、そこで東富士、北富士を合わせました両演習場が、これは米軍の演習場でございますが、日本自衛隊が演習場として使っている場合が多々ございます。私の地元の連隊等も、ほんとうの演習をするときは、あなたの県をずっと汽車に乗りまして、そうして東富士、北富士まで行って演習をしているわけでございます。それで、この演習の必要ということは、ある限度において必要だということはどうぞ金丸さんも御理解願いたいと思います。ただ、しかしながら北富士、東富士、両方とも米軍から管理転換を自衛隊に願いまして、羊、の際には米軍の演習場にも共用させますけれども、しかし山中湖の辺は御指摘のとおり——私は山中湖は非常に好きでございまして、山中湖のことはわりあいと知っておりまするが、観光地としてでき得る限り、演習に妨げのない範囲内で県へ戻すといいますか、田辺知事さんやあなた方の御期待に沿うということを考慮すべきであると私は考えております。もし施設庁で狭い考えを持っておりましたならば、米軍のほうと私が交渉いたしましてでも、でき得る限り観光地として相当開放できるように、地元の皆さまの御要望に沿うようにしたい。山中湖の辺は河口湖や精進湖や西湖や本栖湖と同様に観光地帯でございますから、そこが制約されているということはやはりおもしろくございませんから、演習地と観光地帯とが調和がとれるように、前向きで私は解決してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  422. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 増田長官からたいへんありがたいお答えをちょうだいいたしました。長官がそういうような御意向のもとに、この根本的解決に御努力くださるということであります。  私はなお一つお願いをいたしたいのでありますが、あそこはわれわれの目から見るとそう頻度も多くない、それからしてそう広いところを使う必要もないのじゃないかということで、先ほどは、そういう方向ではあるけれども、ある限度はやはり必要とするかもしれぬという御意向のようでありましたが、さらに一歩を進めまして、きわめてやむを得ない小部分に限って、ふもとの上のほうについてはそう人が行くわけでもありませんから、部分的にはあるいはそういう要請にこたえられるかもしれませんが、全体で見まするというと、あそこを演習場として将来に向かってはこれを解消していく、できるだけ早く地元の要望に沿うようになさることが国の方針でもあろう、こう思うのでありますが、現地の要望もさることながら、国の国土開発、国土の利用の効率を上げるという意味においてもいいのではないか、こう思います。長官も御存じのように、あそこへは東名高速道路と中央高速道路が入っていきまして、そこで両者の連絡道路ができることになっておりますし、いままでより相当画期的な状況の変化があると思うのであります。そういう変化に対応するための国の施策というものは、早目にこれを現地にもお示しになり、全体計画の上において進められることが、現地としてはもとよりでありますが、国としてもとるべき方策ではないか。そして、そういうことについて、どうもそうはいうもののやっぱり演習場としていつまでも押えておくんじゃないかということに対する心配、疑念というものが、あそこの人々を非常に刺激するというか、あるいは欲求不満というような気持ちにおちいらせてしまって、強い要請となってたびたびあらわれるということであります。そういう意味におきまして、できる限りその方針を早目に、また的確にお示しおきが願いたい。現地に直接でもいい、あるいは県を通じてでもよろしいと思うのでありますが、そうされることが最善の策のように思うのであります。具体的にはどういうことになるのでありましょうか。
  423. 増田甲子七

    増田国務大臣 私が申し上げた原則は、もう金丸さんも御了解でございまして、私が建設省におりましたときも、最初見返り資金で山中湖から御殿場まで、人のいないところを舗装道路にしたのが始まりでございます。そういうわけで、観光には私は特に力を入れておるわけでございまして、観光地として使い得る部分はなるべく開放したいというのが私の考えでございます。しかしながら、演習地としてもあそこは不可欠な線でございまして、東富士並びに北富士で、相当量が演習地として、いまほかに演習地を持っていない連隊なんかたくさんございまして、そこで便っているわけでございまするから、両者の調和のとれる線を苦心いたしておる。調和のとれる線でないと、頻度は少なくございましても、米軍も使うわけでございますから。そこで観光においては私はきわめて熱心であるということを金丸さんも御考慮の中に入れていただきまして、増田甲子七は山中湖の付近のことも非常によく存じておりますから、私がこの足で歩いておりますから、最初に観光用の舗装道路を見返り資金でつくったわけでございますから、力を入れておる、前向きである、こういうことを御理解願いまして、ただし演習地として全然なくするというようなことは、やっぱり大砲なんかの演習もありますから、距離なんかも相当長いわけでございます。でございますから、ある程度必要である。その調和関係のことについて苦心をいたしておるということを御考慮の上、御協力を願いたい、こういうわけでございます。
  424. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 これで終わりますけれども長官があそこの道のために御尽力くださった、そしてその道によってあそこは夜明けを迎えたということは私も認めます。感謝をいたします。それだけに、その夜明けを開いた増田長官だけに、私はこの機会にやっぱり根本的な解決の場をつかんでいただきたいと思うのです。申し上げるまでもありませんけれども、観光地、観光事業と演習場というものとは、これはまるで相背馳するといいますか、くそとみそといいますか、白と黒といいますか、全くうらはらのような感がいたすのです。ですから、他にかわるべきものがないとすれば、これはやむを得ないことかもしれません。しかし私は、あれだけ広いところということであればあるいはそうかもしれない、そうでなくて限定されたところとすれば、幾らも他にあるのではないか、こう思われる。あそこのような大事なところを、わずかの面でも演習場として使うことによって、せっかく力を入れておられる観光地、長官の大きなねらいの観光事業のために、九仭の功を一簀に欠くようなことがあってはいけないのではないか、こう思います。と同時に、長官があそこに道をおつくりになったときとは、いまはまた非常に違ってきておる。先ほども申し上げましたようないろいろな施設がどんどん集中してきている。ですからいまは第二の夜明けを待っているときだと私は思う。せっかく第一の夜明けを迎えられた長官が、いまのような御熱心さにおいて、第二の夜明けをあそこにもたらしていただきたい。これは地元の者ばかりじゃございません。また山梨県知事をはじめ、山梨県全体の県民の熱願ばかりではございませんで、私は日本全国岳麓を目がけて寄ってくる人々のみんなの強い念願だと思うものですから、どうかひとつこの際、ちょうどいい時期を迎えてきておりますから、そういりような前向きな、根本的な解決を前提としての前向きということで、御尽力が願いたいのであります。いかがでございますか。私の時間がまいりましたから、お答えだけを聞かしていただきたい。
  425. 増田甲子七

    増田国務大臣 御趣旨にはなるべく沿いたいと思いますが、演習地としてもあそこは日本唯一といったようなところでございまして、観光には増田甲子七も相当力を入れておる。これは過去の実績をお認め願ったようでございます。しかし、演習地としても広範な地域が必要でございますから、転換、配置になったときに、まるきり違ったような、つまり演習地でなくなるといったようなことは、これはとても私はお答えしにくいのでございまして、相当観光地として開放する部面がある。そして地元の御要望にできるだけ沿いたい、こういうことで、演習地としてのさようなこともお認め願う。そこが御協力を金丸さんにお願いするゆえんでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  426. 野原正勝

  427. 大出俊

    大出分科員 たいへん時間がございませんので、簡単にお答えをいただきたいわけでございますが、前二回、私、長官に御質問申し上げております駐留軍職員の方々の退職手当の問題がございまして、日米合同委員会のときに、早川労働大臣がおいでになったときに、アメリカの労働長官に側面的に援助要請をいたしてまいられまして、昨年何とか解決に御努力いただける、こういうことでございました。またストライキ回避という問題とあわせまして、長官にも、マッキー司令官にも御会見をいただいたりしまして、また私のほうも神奈川県知事に御要請申し上げまして、ウイルキンソン参謀長にも会いましたところが、三月ということで期間を設けて延ばしておるわけでございますが、どうもまた明日あたりからストライキという声を聞きます。これをやられますと、実は横浜の安善というところ、あるいは相模、こういうところは、ベトナム戦争で米軍の主たる石油貯蔵所等が爆破をされておりまして、足りない。したがって最近はここから大量に石油を運んでおるわけでありますが、そこらの荷役もみんなとまってしまうから、おそらく大きな問題になってしまうわけでありまして、何とかして、これは世上騒然とする前に回避をしなければならぬというふうに考えておりますが、どうも、相手方のいろいろな言い分はどうでもいいのでありますけれども、どういうふうに長官として御解決をいただくのか、その辺のところをひとつ御回答いただきたいわけであります。
  428. 増田甲子七

    増田国務大臣 普年のたしか十一月でございます。私が駐日米軍司令官並びに参謀長と会見をいたしまして、ぜひとも二割増という線を考慮して、それぞれのアメリカの政府に要求してくださいということを強く要求してあるわけでございます。三月末ということを目途として解決してもらうようにということを申し入れをいたしておりまするが、あす、あさって、まだ交渉の過程におきまして——交渉の相手方はここにおる長官てございます。それから一方の団体の相手は駐留軍労務者労働組合でございますが、交渉中に争議行為に突入するということは、まことに私は残念でございます。ぜひともやめていただきたいと思っております。いろいろ私も駐留軍労務者労働組合の幹部とも会見をいたしまして、あす、あさっての争議行為はやめていただきたいということを申し入れましたが、スケジュールの関係でやめられないという立場もあるようであります。私は十七日の日曜、その次の十八日、十九日にマッキー司令官並びにウイルキンソン参謀長と会見をいたしまして、三月末を目途としてぜひ解決するように、その次のストがないように一生懸命努力をいたす所存でございます。
  429. 大出俊

    大出分科員 あした、あさっては、これは万やむを得ない時期にきていると私は思いますし、全駐労の諸君はストライキ権を持っておる組織でありますから、そういう意味で、これは万やむを得ないと考える。ただ御説にありましたように二十五、二十六、二十七、二十八、二十九日の百二十時間のストライキをやられますと、これはやはり相当な問題になると思うわけであります。したがって、いま御回答がございましたように、どうしても今回は片づけていただきたい、実は私こう考えているわけであります。  そこで、いままでの経過を踏まえまして、長官の現在頭に置いておられる情勢の分析等からいたしまして——実は私もいろいろな中身を知っております。知っておりますけれども、こまかく申し上げてもいたし方がありませんが、何とかひとつ片をつけられる、あるいは解決に持ち込める、こういうふうな見通しをお持ちでございますか。
  430. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 大臣がただいま御答弁になりましたように、当方としては最大の努力をもってこの問題の解決をはかりたいという考えでおるのでございまするが、何ぶんこの退職手当の問題は非常にむずかしく、困難なものでございます。したがいまして、いま直ちにどういう見通しということを申し上げるのは非常に困難と思いまするが、極力これが解決をはかりまするように、大臣以下われわれ全力を尽くしてやりたい、こういうふうに思っております。
  431. 大出俊

    大出分科員 いま防衛庁長官並びに施設庁の長官から御答弁がありましたように、きょうもおそらく委員会が行なわれているのだろうと思うのでありますが、沼尻さんとデンゲル参謀次長との間だと思うのでありますけれども、それらも一つの伏線にしていただきまして、何としても、この百二十時間のストライキに至る問に、いまの御回答にありましたような全力をあげた解決を——どうもどんぶりばちの中のこっちをひっちぎって、こっちへ持ってくるというようなことは、正直なところ、これは解決にならぬと思うのであります。組合側としても、長年の歴史的なこの問題の要求を取り下げはしないと思う。昨年二〇%というところに引かれたのは政府案でございまして、別に組合案ではない。防衛庁がお認めになって、日本政府という立場で交渉をされておるわけでありますから、そういう意味でひとつ全力をあげていただきたい。この点について、念のために最後につけ加えまして、この問題を終わりたいと思いますが、御努力をいただきたいと思います。  それから次の問題でございますが、これは実はいまここで御回答をいただけないとすれば、後ほど別な機会にさらに御質問を続けたい、こう思っているわけでありますが、昨年十二月の十四日に私の委員会、内閣委員会で楢崎同僚と私と二人で質問をいたしました。電波の例の規制区域の拡大、全国十二ヵ所の問題であります。再三質問が出ておるようでありますが、私が聞きたい点は、いかなる目的でこれを拡大しようとするかという点、この点についてひとつ承っておきたいと思っておりますが、いろいろ私のほうでも調べてみました。またものを書いておる専門的な方々ともいろいろお話を聞かしていただいたりしてまいりました。ここで一つ問題になっておりますのは、どうもこれはABMにからみます問題、こういった分析のしかたが最近煮詰まってまいりまして、いろいろ中身を検討し、読ませていただいておりますが、まずそれに間違いないのではないかというところまで実は考えているわけであります。  そこで、ひとつPARといわれるものについて、ABM体系の一つでありますが、これは大気圏外の遠距離防御ミサイルスパルタン——ナイキジュースの改良型でありますが、これがICBMをさがして、測定して、その目標にこのスパルタンを誘導する、このためには、どうしてもこの種の体系が必要になってくる筋合いであります。そういった関係がある、こういうふうに私どもは見ておるわけでありますが、この件について、あなた方のほうでも、委員会で米国相手にやり取りをするのでありましょうから、そういった意味で、何で一体こんなに拡大が必要なのかということが国民一般の疑問なわけですから、ひとついま例をあげて、そうではないかということを申し上げているわけで、どう見ておられるか、御回答をいただきたい。
  432. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 米軍の通信施設につきまして、電波障害の制限地域を設けてほしいということは、通信施設そのものの内容が、ICBMとか、そういったようなことで起きているとは私どもは必ずしも考えておりません。(「知らないだけだ」と呼ぶ者あり)知らないということもあります。正直申しまして、そういうようなことではなくて、従来は非常に田園的な環境の中にあった施設が多いのでございます。ところが最近になって、いろいろ都市計画の進歩とか、あるいはその他の原因で、回りにいろいろな施設がたくさんできてきた。そして、そのために電波障害を起こすような原因のほうがたくさんふえてきたということが原因であろうと私ども思っております。しかしながら、これは、ただいま先生もおっしゃいましたように、日米の両方の間で特別委員会をつくりまして、さらに技術的な面等をよく調べてもらいまして、どういうわけで、どうして、なぜというようなことも含めまして、これから十分検討さしていただきたい。その暁でないと、正確なことは私申し上げられませんが、大体のところは、そういうふうに私どもは考えております。
  433. 大出俊

    大出分科員 どうもいまの山上さんのお話は少し違うのでありまして、私のほうから指摘を申し上げたいのでありますが、私は、御存じのとおり横浜でございますから、上瀬谷の通信基地は知り過ぎております。また、年じゅう通っております。ここに、おたくのほうで出しておられます防衛施設庁の広報がございまます。この広報に「主要基地の問題点を探る」ナンバー四というのがございます。この中に、ずっと解説しておりました経過がついておりますが、上瀬谷の通信基地は、皆さんが御存じのように、昭和二十六年から始まっているんですね。いまおっしゃるように、人口は密集していない、うちがないところ、そこで始まりまして——これは、農林省か開拓財産という形で押えていたところだ。これを、一般財産、普通財産に切りかえようとしているところに接収命令が出てきた。ここから始まりまして、これが地元との間で補償金を含む不作為行為に関する契約が結ばれるところまでいったのは何と三十七年なんですね。十一年、十年以上かかっているのです。いいですか。何にもないところでありながらも十一年かかって、やっとこれができ上がった。そうすると、いま横須賀のどまん中、相模原、キャンプ淵野辺なんというところをやろうと思ったって、これは、そんな不作為契約なんというものは結べる筋合いうのものではない。いまあなたは、障害が強くなったからそうなったんだろうとおっしゃるけれども、何にもない野っ原で十一年間かかるのに——民事契約ですから、十一年間かかる。だとすると、いま全国十二カ所出てきているところに、そんなに簡単にできるなんて考えようもない。にもかかわらず広げるということを相当強く米軍側が言っているということは、アメリカ極東戦略に大きな変更がなければそんなことを言うはずはない。あなたはこの経過を御存じないからそうおっしゃる。話は逆です。そこで、戸塚のドリームランドのすぐ近くに、戸塚区深谷の通信基地がある。ここへ行ってみると、御存じのようにそこにいま、非常に高い、黒い塔が立っている。四本足の新しい塔をどんどん立てつつある。横須賀のベースに行ってごらんなさい。あそこにはすでに、ものすごい高いものができている。すでに施設をしてしまっている。そうでしょう。あれだけのものがなぜ要るか。専門家が見れば、あれは何の塔かということがすぐわかる。現在あるもののままで制限区域を拡大しようというのではない。新しいものをすでに建設してしまっていて、あるいはし始めていて、そして制限区域の拡大ということを強く日本側に要求してきている。これが現実ですよ。あなたが知らな過ぎる。だから、もしわからなければ私が継続的に質問しますと申し上げているのです。そこらのことを、いま私が指摘した事実がある。新しいものが、たいへんなものができている。旧来のさら型の受信施設じゃないものもつくっている。そこに区域の拡大を求めているという現実をどういうふうにあなたはごらんになっていますか。いまの御答弁では、変わっていない。従来のままだ。ただ町がにぎやかになって、障害が強くなったから広げるのだ。そんなものじゃない。
  434. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 私が申し上げましたのは、そういうものが主であろうということを申したのでございまして、それだけという意味では必ずしもございません。新たな施設が建設されるということも当然またあり得ると思います。いま先生がおっしゃいましたABM云々が原因でできているのではないでありましょうということを申し上げたのでございまして、これはさらに委員会等で調べましてから私どもは正確なことを申し上げるしかないわけでございまして、ただいまは十分な資料を持ち合わせておりませんから、その点は御了承願いたいと思います。
  435. 大出俊

    大出分科員 長官は非常に識見のお広い方でありますから承りたいのでありますが、私がいま指摘をいたしましたスパルタン、したがって、つまりこれを誘導するための体系、PARといっておりますものは、大体どんなものだというふうにお考えになっておりますか。簡単でけっこうでございますが、お答えをいただきたいと思います。
  436. 増田甲子七

    増田国務大臣 PARなるものは、正確なことは私は存じません。あとで調べた結果お答え申し上げます。  ただ、アメリカが薄いABMを展開しようとしている。これはマクナマラの発言だけを引用しますが、すなわち、中共の、将来開発せんとするICBMに対抗するものである、こういうことでございまして、展開する場所はアメリカ本土ではないかと考えております。しかしながら、その間、途中で通信なんかでキャッチしなきゃいけませんから、途中が全然めくらで、アメリカの本土へ近づいてから初めてキャッチするということでは、これはおそきに失するでしょうし、何らかのものが必要かとは思いますが、そういう線で、いま、山上施設庁長官も正確なるお答えはできかねるわけでございますけれども、まだこれから展開しようとするものでございまして、方々に電波塔等が立ちましても、おそらくそれは、ABMの関係で、スプリントやスパルタンを使用するに際しての前提であるICBMをキャッチする、そういうような意味の電波を、アメリカ本土自身に展開していないのに、外地において電波塔なんかを建てるということはまだ早きに失している。これはある程度わかればお答え申し上げますが、私は、常識から見て、アメリカ本土に展開せんとしている五十億ドル——密なるABMは五百億トルかかると言われておりますが、五百億ドルのほうはとても経済的に見合わないからやめて、そこで核の抑止力だけにアメリカはたよっているわけでございます。そこで、これはマクナマラの言っていることで、私の言っていることではありませんが、中共のほうの核のICBMが開発されたときに、アメリカ本土を守るためのアンチバリスティックミサイルをつくる。そのためにある程度キャッチしなければならぬということだけはわかります。しかし、日本の横須賀その他ドリームランドの近くに、従来ない、さらの形でない、ほかのレーダーがいまできているといたしましても、これはABMの薄い網のその前提として、ICBMをキャッチするための電波装置ではないと考えるのが常識ではないかと私は考えておるわけでございます。
  437. 大出俊

    大出分科員 長官、御勉強いただきたいのでありますが、いま、スパルタンなるもの、あるいはABMなるもの、つまりこの関係で、PARというものについて、実は関係のある各企業の側が相当突っ込んだ研究をされている。しかもこれは企業秘密ということで表に出さない。厳重な機密体制をとって、しかも相当突っ込んだ中身まで検討されている。旧来でも、楢崎委員から指摘をいたしました防衛庁にございます技術関係開発計画なんかの関連でやっております技研なんかも、企業の研究から見ればきわめてお粗末なものでありまして、だからどうしても資料というものは企業にたよらなきゃならない。そういうところに、もともと企業から出てきたプランなんだから企業に持っていったってどうということはないという意識等々が現にある。企業は金を使ってやっているのですから、企業のほうが進んでいるのはあたりまえで、現にそうなっている。そちらのほうが研究をされて指摘している中身、企業の側が今回の電波規制区域の拡大というものをめぐってこれを一体どう見ているかということ、そこまで皆さんも御研究を願わなきゃいけませんよ。そうでしょう。私どもの手に入るものが皆さんの手に入らないということはない。資料はある。この中身をいろいろ見てみますと、企業の側のどこということは申し上げませんが、今回のこの電波規制区域の拡大というものはそれに明確につながりがある、こういう見方をしております。いま長官は、アメリカのほうではやっていないと言うけれども、沖繩には、日本より以上に新しい通信施設がどんどんといま建設をされているのですよ。ちょっと御勉強いただけばこれはわかる。そういうことになると、いまは御存じないとおっしゃるのですけれども、この企業の出しておるものを読んでみますというと、薄いABMであればあるほど、相手方から発射されるであろうICBMというものをどこでどう早くとらえるかということがどうしても必要になる。そうしてみると、捜索キロ数からいって、千キロから四千キロまでを捜索範囲に入れなきゃならぬ。グアム島から中国大陸までは三千五百キロです。そうすると日本のほうが近いのです。沖繩のほうがはるかに近い。どうしてもそれだけの捜索能力を持たなければならないわけだ。だから、その意味では旧来の、いま、さら型とおっしゃいましたが、あの種の受信装置ではどうにもならない。逆にこちらから電波を発する形における捜索、そこまでいかなきゃならぬ。だから、制限区域というものは、離れれば離れるほど距離が高くなるという形になっている。それは何かというと、受けるんじゃなくてこっちから発信する。ここに現在の探知能力というものを極東戦略の大きな変更の中で変えていかなきゃならぬ原因が出てきている。ここに、いま私が指摘を申し上げているPARという体系、スパルタンを使って誘導するという形のものがどうしても必要になる。薄くなればなるほど早く見つけなければならぬわけであります。だから、マクナマラの言うABM網というのは薄いからとおっしゃるけれども、薄いからこそよけいこれは必要なんだ。そこのところを全く御存じないということでは、国民全体が心配をし、全国十二カ所もできるということはどういうことなんだということが巷間問題になっているにもかかわらず、相手から申し入れを受けているあなた方は——中身については秘密であってもいいけれども、問題なんだということはおおむね言ってもらわぬと、あなた方の責任が果たせないじゃないですか。長官、いかがですか。
  438. 増田甲子七

    増田国務大臣 PARというのはペリメーター・アクイジション・レーダー、こういうものでございまして、ペリメーターというのは周囲、アクイジションというのはとらえるであります。そのレーダーでございますが、これはABMの一つの体系であることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、日本には設けなくても——これはマクナマラの言うことでありまして私が申しておるわけではございませんから誤解が生じては困りますが、つまり中共が開発せんとするICBMを捕捉するレーダーとしてのPARというものはございましょうが、日本には設けなくてもABMは役に立つ、こういう見解で日本以外のところに設けているというのが現状らしゅうございます。らしゅうございますというのは、正確にまだ申しかねるわけであって、要するにPAR、ペリメーター・アクィジション・レーダーというものはほかの土地に設ければいいということに米軍側の見解がなっている模様でございます。正確にはなお勉強してからお答え申し上げます。
  439. 大出俊

    大出分科員 これは日本流に訳すと、正確なところは周辺測定用レーダーといえばいいそらでありまして、周辺測定用レーダーというふうに企業の側では名前をつけております。大体そういうことだろうと思います。そこで、旧来使っておるものは日本に設けなくてもいいとおっしゃるが、企業の側の研究内容によりますと、大体秒速四キロから五キロで飛来するICBM、こうなっておるわけです。秒速四キロから五キロで飛んでくる、こういう見方だ。そうなりますと、現在のところ、ABM用レーダーとして考えられておるのは、いまおっしゃっておるものでありますが、MSRとかMARとかいうふうな形のもの、極超短波を使った形のものです。ところが、これがここまで進んでくると、こういうものでは役に立たない状態になってきておるというところに、先ほど申し上げております受ける形ではなくこちら側から発信をするという形の方向に変わってきて、PARというものが前面に出てきたということです。だからエンタープライズなどの持っているレーダーがあるわけであります。ビームというものがあるが、これもすでに古いのです。  そこでもう一つの問題は、ソビエトが軌道ロケット云々と言っておりますけれども、こちらのほうではFOBS、衛星軟道核爆弾網、この実戦配備をソ連は一九六八年に行なうことを明らかにしておる。そうすると、いまの米軍の対ICBM迎撃組織はある意味ではスクラップになってしまっておる。そうすると、これに対処するのには一体どうするかというと、現在の迎撃体制では全くスクラップで役に立たない。急速新しいものに変えなければならない。ここのところに、企業の側がいま研究を一生懸命に始めて、極秘でやっておる中身というものがあるわけだ。それがさっき私のほうで申し上げておるPAR体系、こういうふうになってきておるわけです。したがって、さっき申しましたように、旧来のものと違ってこちら側から発信をする。比較的波長の長いものだそうですが、発信をする。だから、こちらから向こうに行くに従って規制範囲は高くなっていく性格を持っておる。そうなりますと、いま沖繩でつくっているもの、あるいは横須賀あるいは横浜の戸塚でつくっているものも、みな思い当たる節がたくさん出てくる。体系の変更であります。だから、これはいまここで回答を求めても無理だろうと思いますけれども、そこまであなた方のほうで研究をしていただきたい。あなたのほうは交渉相手ですから、国民が持っている疑惑をどういうふうにするかという問題について責任があるわけですから、政府という立場でお調べになればわからぬことはない。それをいま山上さんが言われるようなことを簡単に言っていたのでは、どういう形になるにしろ国民の皆さんは納得しません。  それからもう一つ皆さんの出しておられますものによりますと、これに何と書いてあるかというと、現在制限契約に応じない人たちがおるので、これらの人たちに対する契約を勧奨する必要があるというのが一つと、それから法人所有土地について買い上げ要求が非常に強いから、この予算措置の問題、それから地元契約者は、土地価格の上昇の激しい制限地域外土地と比較して補償代金が低額である、したがって、その増額について強い要求があり、これに応じない場合は契約破棄という場合も当然予想されると書いてある。あなた方は契約破棄を予想しておる。畑和先生のほうで何か訴訟の話をされたそうですが、これはあなたのほうの広報ですから、あなた方はすでに予想されておる。以上のようなことから、すでに行政措置としての限界に来ているような感もあり、何らかの立法措置を望む声も出てきておるとあなた方は書いておる。そうしてここで質問が出れば、そんなことはいたしませんとだけ言っておる。これはどういうことになるんですか。先ほどここでどういう質問がありましたかと聞いたら、何らかの法的措置なんて考えないと言っている。そういう答弁だった。あなた方から出している広報ですよ。これは防衛施設庁の広報です。広報の一番末尾の結論は何かというと、以上のようなことなどから行政措置としてはもう限界なんだ、何らかの立法措置が必要だと、あなた方は書いているじゃありませんか。書いておいて、そらぞらしくここで、そんなことは考えてないなんということを何でおっしゃるのですか。長官答えてください。あなたのところの広報ですよこれは。
  440. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 契約者がある問題、それから買い上げを希望する問題、あるいは補償代金等につきましてそれぞれ問題があることは事実でございます。私どもは、先ほど来御答弁いたしましたように、この制限を上瀬谷においては民事契約によって実施いたしておるのでございます。ただ、こういうようなむずかしい問題があるということを、その書いた人が指摘しておるのであろうと思っております。私どもが強制措置をしようと考えておるという意味にはおとりくださらないようにお願いしたいと思います。
  441. 野原正勝

    野原主査 大出君、時間がまいりました。結論を急いでください。
  442. 大出俊

    大出分科員 最後に二つだけ聞きますから、簡単に答えてください。それでおしまいです。  長々説明は要らないと思いますが、この一括書類、契約書から全部あります。この覚え書きによりますと、本契約は上瀬谷米海軍通信施設にかかる電波障害を防止するため、現行安保条約の有効期間中継続的に締結するものである、こうなっている。安保の有効期限と申しますのは昭和四十五年六月二十三日まででございます、十年というのは。十年というのは、皆さん方は自動延長だ云々だと言っておりますけれども、地元の人の解釈では、この覚え書きを結んだときにはそういう解釈なんです。そうなりますと、その改定期とからみまして、皆さんは自動延長ということで声明を出すのかもしれませんけれども、この契約の有効期間というものは、この条項と照らしましてどういうことになるのですか。それが一つ。  もう一つPX−S、第三次防の艦船建造計画の中にありますPX−S、対潜水艦飛行艇、この問題と関連をいたしまして、AEW機、つまりこれは機種でありましょう。このAEWは技研でいろいろあなたのほうは検討されておる。これは一体どういう性能でどういうものですか。  その二つだけお答えください。あとは他の機会に譲ります。
  443. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 現在この上瀬谷の電波障害防止にあたりまして、地元の皆さまと契約を締結しておるわけでございますが、その三条によりまして、電波障害を防止する措置を必要とする間は自動的にこの契約が更新するということに相なっておりますので、しかもこの契約は、昭和三十七年四月一日から三十八年三月三十一日までの契約を基礎にしまして年々更新している次第でございます。したがいまして、自動的に更新するという考え方から、かりに安保条約がさらに延長されるといった場合にも、そういった措置で契約をそのまま継続してお願いしたい、かように希望しております。
  444. 大出俊

    大出分科員 それはわからぬな。それはどういう意味なのかを最後だけちょっと言ってください。希望しておりますというと、契約が切れると解釈していいのですか。契約はそこで切れるだろうが、ただあなたのほうは、それを続けてくれと希望する、こういうわけですか。切れた場合は一年間の有効期限がついておりますがね、どうですか。
  445. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 この覚え書きの趣旨は、上瀬谷の皆さまと横浜の防衛施設局長との間で結びました契約に関する疑問点、これを明らかにするために覚え書きを交換したわけでございまして、上瀬谷通信施設にかかるところの電波障害の防止をするために、現行安保条約の有効期間中継続的に締結されるというふうに解釈しております。
  446. 野原正勝

    野原主査 大出君、時間がきました。
  447. 大出俊

    大出分科員 あなた、はっきりしてくださいよ。いま言っていることではわからぬじゃないですか。私が具体的に聞いているのですから一言答えたらいいのだ。切れると解釈していいのか、それともどうなんだと聞いている。それだけですよ。そんなに回りくどくおっしゃらぬでもいい。切れると解釈するのかしないのかということです。どっちですか。安保条約の期限なんていったら、安保条約十条の前段、後段に分けて、将来国連が安全保障措置を講じてアメリカ日本が完全だと思ったときと書いてあるから、いつだかわからない。後段のほうは、破棄通告があってそれが一年たったときと書いてある。二つしかないのだから、あなたのいまの意味はわからぬじゃないか。疑問点を解明した覚え書きだからこそ聞いているのです。
  448. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 安保条約の有効期間中は契約を更新していくということでございます。
  449. 大出俊

    大出分科員 そうすると、それは続くというのですか、もし自動延長という場合は。
  450. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 そのとおりでございます。
  451. 大出俊

    大出分科員 もう一つをお答えください。
  452. 蒲谷友芳

    ○蒲谷政府委員 AEWというのは、レーダーを搭載いたしました警戒機を考えたいということで現在検討中でございます。場合によってはPX—Sを母機にいたしまして、それに載せるレーダーの開発も進めておりますので、三次防の後半から研究に入りたいといま検討中でございます。
  453. 野原正勝

    野原主査 大出君の質問関連して楢崎君から質問の申し出がありますから許します。
  454. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いま電波緩衝地帯の問題、それからPARの問題は、私が出した点でございますから一問だけ聞きます。続けて質問しておきますから答えてください。  十二の緩衝地帯申し入れのうち、海軍基地が約五つほどあるわけですね。われわれの常識としては、電波通信基地でなしになぜ海軍基地がこれに入っておるのかという疑問が出てまいります。なぜかというと、これが自衛隊のいまおっしゃったPX−S、これを土台にしてつくるであろうAEW機、いま答弁なさったとおりです。土台につくるであろうAEW機、これと基地との関係があるのではないか。したがって、PX−Sの基地はいまできていません。六月に第一番機ができますから、基地はまだないはずです。どこに基地をつくられようとしているのか、それが第一問です。  それから、いま大出君も言いましたけれども、なぜこの超低空用レーダー、これは性能から考えるとアメリカのPARに匹敵するものである。それは私が指摘しました技術研究開発計画の中に入っておるのですが、アメリカのABM体系と関連して日本に置かれるかもしない。なぜそう思うかというと、PARは超短波なのです。そして、このほかにABM体系のレーダーはMSR、それからもう一つMARと二つあるのです。これは極超短波なのです。PARに関しては超短波、そして日本のテレビ放送帯が超短波です。つまり日本における人工雑音にちょうど匹敵するわけですよ。だからこのPARは日本アメリカのABM体系のレーダー網のうち、PAR関係日本に置かれる可能性ありとわれわれが推理するのはそこなんです。そして、それとの関連においてこの電波緩衝地帯が浮かび上がってくる、こういうことなんです。質問わかりましたでしょうか。
  455. 増田甲子七

    増田国務大臣 大出さんの御質問のときには、まだしかとはっきりは申し上げかねるけれども、大体において日本はABM体系のうちに入っていないということを申し上げましたが、いまわかりましたから申し上げます。  これは国民の間に疑惑を起こすといけませんから申し上げるわけであります。日米安全保障関係で協議委員会が持たれていることは御承知のとおりでございます。その下の段階で、別段専門委員会なんという名はつけませんけれども、しょっちゅう打ち合わせばいたしております。先般アメリカ側からも来まして、日本側からも打ち合わせの人数が参加いたしました。その機会において、日本にはPARというものは設けない、すなわち、ABM体系の中に日本は入らないという確言を得ております。得ておりまするから、この会議録等は公表しかねますけれども、その範囲は……。(楢崎分科員「日にちを言ってください」と呼ぶ)これは一月でございます。一月でございまするが、ABM体系の中に日本は入っていない。アメリカの展開せんとする……。(楢崎分科員「日にちと会議の名前を言ってください」と呼ぶ)それはよくちょいちょいやる会議でございます、ということを参議院で申しました。これは専門委員会ではない。日本の外務大臣と、私と、それからシャープ大将と、それからジョンソン大使との間において定期的に安保条約上設けられる会議がございます。(楢崎分科員「それは日米安保協議委員会のことですね」と呼ぶ)その下の打ち合わせ会といったようなもの、つまり専門委員会ではございませんが、打ち合わせ会というものはときどき開くわけです。(楢崎分科員「メンバーは一緒です」と呼ぶ)私は参加いたしておりませんし、外務大臣も参加いたしておりません。  そこで、そのときに、アメリカ側からABMについて、PARとかその他各種の網の中に日本を入れることは考慮の外である、全然入れてないということを確言を得ております。その範囲のことは申し上げられます。会議録全体については申し上げにくいのでございまするが、国民の皆さまの疑惑を解くために、不安なからしめるために、PARは日本に設けられていない。これはあくまでも、周辺測定レーダーということを大出さんがおっしゃいましたが、そのとおりでよろしゅうございましょう。ほんとうはアクイジションというのは捕捉という字でありまして、周辺の異物を捕捉するということでございますが、おそらくICBMなんかは、これはマクナマラが言っておることですけれども、これは地球の高いところを通っているわけでありますから、上瀬谷とか、ドリームランドとか、横須賀ということでなしに、何百キロも上を通りまして、それが人工衛星にならないのはスピードがおそいからであります。早ければ人工衛星になってしまうのですが、そういうわけでございまして、何百キロも高いところを通るのです。すべてこれは可能性という意味において言っておるのでございまするから、どうぞその前提はあくまで前提としておいてお答えを申し上げるというのは、これは国民の皆さまに御理解を願い、不安がないように願うために、楢崎さんや大出さんの御質問に対する回答として申し上げるわけでございます。  それから、AEWというのはPX−Sに設けたいと思っておりますが、これは動くレーダーでございまして、普通の国際法に違反して侵入ぜんとするような飛行機をとらえる。それをPX−Sでとらえるものを備えようというのを昭和四十四年、四十五年ころから研究しようというわけでありまして、PX−Sは、楢崎さん御指摘のとおり、本年二機取得できることは事実でございます。その基地をどこに置くかということはまだ研究中でございます。(楢崎分科員「全然研究中でございますか」と呼ぶ)まだ研究中でございます。これは私の知っている範囲のことでございまして、また、政府委員から知識を得られたならば、私が責任ある回答を申し上げます。(楢崎分科員「岩国じゃないですか」と呼ぶ)PX−Sを取得した場合には、岩国に設けようとしているそうでございまするが、そのPX−Sの基地としての整備はまだ全然できていない、こういう状態でございます、ということでございます。
  456. 野原正勝

    野原主査 伊藤惣助丸君。
  457. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 私は防衛施設庁長官にまず最初にお伺いいたします。  朝霞の米軍基地の汚水処理場の件でございますが、この汚水処理場には現在何らの措置がなされていない。したがって、その汚水のにおいとうんかのようなハエの発生、付近一帯の住民は、そのハエの発生に困り切っている、こういう問題でございますが、御存じかどうか、伺いたいと思います。風が吹くたびに、何らの処置がなされていないので、その付近の人たちの洗たくものや、また一切のものに汚水が飛び散る、こういうありさまでございます。御存じであるかどうか伺いたい。
  458. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 東京都の練馬区にあるグランドハイツの住宅地区にあります地上散布濾床方式の汚水処理場については、一昨年、周辺住民から臭気とハエの発生の防止について改善の申し入れが東京都を通じてございました。それで当庁から米側に改善を申し入れました結果、その改善の措置を検討するため、米軍、東京都、当庁の三者で小委員会を設置して、いま検討いたしておるところでございまして、なるべくすみやかに措置をとりたい。現在までに米側といたしましてとりました措置は、殺虫剤であるとか、そういうようなものの散布、あるいは処理場のコンクリート壁の洗浄であるとか、処理場周辺に植木を植えるというようなことをいたしておりますが、さらにこれは根本的な問題もあるようでございまするから、検討した結果に基づいて改善提案をいたしたい、こういうふうに考えております。
  459. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 この汚水処理場は二つあるわけでございます。それで、夏などは窓をあけているわけにいかない。うんかのようにハエが家の中に入ってくる、こういうところであります。ただいま植木を植えたり消毒をしておるというお話がございましたが、私、行ってまいりました。確かに消毒したのでしょう、付近の木はみな枯れております。しかし、植木といっても大きな木を数本植えたらしいということでありますが、そんな状態では何にもならないわけです。そうして、最近では、そのハエはその付近一帯でなくて、東京都、埼玉県、両方にまたがって非常に多く発生している。冬であっても、その勢いが最近では衰えない、このようなことがいわれているわけです。小委員会等をつくって検討すると言いましたけれども、これはいま始まったことではない、だいぶ長い期間であるがゆえに、われわれもこの際、この場ではっきりその措置、方法を伺っておきたいと思うわけです。長官の答弁をお願いします。
  460. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ただいま申し上げた委員会をつくっておりまするが、早急に結論を出して、強く米側にも改善方を申し入れるつもりでおりますので、御了承願いたいと思います。
  461. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 参考までに申し上げますが、付近の住民は、非常な臭気と、さらにハエが多いので、補償があれば、また自分自身の経済が許すならば他に移りたい、こういう希望もございます。そこで、いまあなたが善処するとおっしゃいましたから、これ以上申し上げませんけれども、付近の住民は、まずあの汚水処理場にふたができないかということです。それから、消毒するにしても、もっとちょいちょいできないかということです。さらにまた、立ちのく場合にはその補償を考えてくれるか、こういう問題をいま真剣に住民の方々は考えて、そのことを要求しようとしております。長官の御答弁を伺いたい。
  462. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 消毒については週に一回ぐらいやるようにいたしておるようでございます。実情によりましてさらにひんぱんにやるようなことが必要であれば、そういう改善を申し入れるようにいたしたいと思います。ふた等のことにつきましては、若干技術的で、私、具体的な場所についてまだ見ておりませんので、ちょっとただいまお答えいたしかねますので、他の政府委員から説明いたさせます。
  463. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 何ぶんこの施設は米軍施設及び区域内の施設でございますので、日本政府の予算をもってその工事をやるというわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、先ほど長官から申し上げましたとおり、非常に非衛生的な面から、米側に対しまして早急に施設の改善、具体的にはふたをしてもらいたいというようなことを申し入れたい、かように考えております。
  464. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 長官、もし見たければ、いつでも写真がございますから、あとで見てもらいたいと思います。  同じようなことでありますが、これはそこの麻布のハーディ・バラックスのことでございます。いわゆる米軍のヘリコプター基地のことでございますが、この東京のどまん中にある麻布のヘリコプター基地は、隣に東大の生産技術研究所、また物理研究所というのがあります。この基地に、多いときには一日十五、六回ヘリコプターが飛んできます。ヘリコプターといっても、バートル107といいましてベトナムで使っている、あの両方にプロペラのあるヘリコプターであります。この地形は、横田あるいは立川から十数分で来ますし、また、米大使館とか霞ヶ関、防衛庁、永田町、いろいろこの近所にございますので、その利用度は高いと思うのですけれども、しかし、その東京のどまん中にありますヘリコプター基地の騒音というのが非常に大きい。地下鉄と同じ九十五ホン以上ある。そして、行ってまいりましたけれども、その隣に東大生産技術研究所というのがあるのですけれども、その着陸、発進のときには全然研究ができない、このようにいわれております。また、地域住民もその騒音に非常に迷惑を受けている。たとえば墜落事故等が起きた場合には、たいへんな事故が起きるのではないか。あの研究所には液体水素ボンベ等があります。したがって、非常に危険である、このようにも申しておるわけです。長官はどのように考えておるか。また、そういうことをどのように今後なさいますか、伺いたいと思います。
  465. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 旧ハーディ・バラックスのところにありますヘリコプターの発着基地につきましては、米軍が東京都内との連絡用にこれを設けておるのでございまして、いろいろ都内との緊急な連絡その他にはぜひこれが必要であるということで前から提供しておる次第でございます。したがって、これをよそに持っていくというようなことも、かわりの施設がなければいかぬとか、いろいろむずかしい問題もございましょうし、直ちにどうするということは困難かと思います。騒音等の場合につきましては、これは御承知のように、騒音の処理といたしましては、防衛施設周辺整備関係の法律もございまして、その基準に照らして学校防音等について必要な措置ということはできるように考えおります。ただ、御指摘のございましたのは、国立のものでございまするので、これについてはこの法を直ちに適用できるかどうか検討を要するのではないかと思いまするので、いろいろ研究させていただきたいと思います。
  466. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 この米軍ヘリコプター基地というのは、元麻布の第三連隊のあとになっているわけですね。戦後その一部を東大が払い下げを受けたわけでありますけれども、その理由もあってか、ヘリコプターでおりた米軍人がその構内を車で抜けるわけですよ。学生たちは、大学の自治という面からいっても、米軍のそれらの車が東大の構内を通るとはとんでもないとその点では非常に反対もしておるわけです。しかし、依然として現在でも通っている。こういう状況があって、いま学生の間においては、大学の自治を守るということで大きな闘争を展開しようとしております。そういう点についての長官の見解を承りたい。
  467. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 このヘリポートの近隣地域、ただいま生産研究所が使っておりまする地域につきましては、ヘリポートができましたのは二十八年以来ですが、その付近の地域のうち生産研がいま使用しておる地域は三十三年に返還になったのでございまするが、その返還のときに、米軍がヘリポート用にここを通行するという通行権を留保して返還されておるのでございます。したがいまして、米軍がここを通るのはヘリポート使用上やむを得ない必要なことであるとわれわれは考えております。
  468. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 それはそのときの契約かもしれませんが、現場に行ってまいりますと、何も構内を通らずとも道があるわけです。ある星条旗新聞社というのがございますが、そのほうから入れば幾らでも通れるわけです。そしてまた、構内を通っていくことによって学生を刺激し、また、米軍と日本人との間にいさかいも起こっておるわけです。そういうことを起こしながらも、なお条約上そのような約束があるからといって、それをいつまでも認めて、それこそ学生が反対運動を展開し、そして日米間が気まずくなるような関係になってもやむを得ないという考え方には、私は問題があると思います。長官の見解を伺いたい。
  469. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 ヘリポートに通ずる道としては、現在使用しておる通路が最も近い便利な場所になっておりますが、あるいはほかの地域から行ける方法があるといたしましても、現在のところが最も便利なところでもあり、そういった実情でもございますので、むしろあとからできた学校等が直ちにこれをいけないと言うのは、問題がこんがらがってくるのじゃないかと思います。しかしながら、そういう御希望がございますれば、十分また私どもも具体的に検討はいたしてみたい、こういうふうに考えております。
  470. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 検討すると言うから私お願いするわけでありますが、こういうところに政府のこまかい配慮が必要じゃないかと思うわけです。たとえば、あの地域住民がその反対運動に参加し、そして現在では港区議会あげて、自民党、社会党、公明党、共産党、全部含めてあの基地を撤去すべきであるということを区議会が採択している現状です。そういう点も考慮に入れた上でこの問題をきちっと解決していただきたい。このように要望いたします。  さらに、最近ベトナム戦争が激しくなってからヘリポートに非常にヘリコプターがおりる、こういわれます。そして彼らは、聞けばベトナムの帰休兵である。そして必ず六木木あたりに遊びにいく。また、過去においても、米兵相手の売春組織があげられておる。こんなことも報道されております。そういう面からいっても、そのような区議会において地域住民が基地を撤去してもらいたい、こういうことがあれば、施設庁さらに防衛庁は日米合同委員会等においてそのことを言って、いままでのそういういさかいの起こらないように、どうかしっかりした措置をはかっていただきたいと私は思います。長官の所見を伺いたいと思います。
  471. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 最初に申し上げましたように、連絡用のヘリポートというものはどうしても必要でございますので、この点からいって、そういった返還という問題をもし考えるとすれば、かわりのヘリポートというものを提供しなければならぬという問題もあわせて検討しなければならぬということになるかと思います。したがいまして、この問題は簡単にいく筋合いのものではないんじゃなかろうかということでございます。しかしながら、そういう地域住民の御決議なり御希望があるということはただいまも伺いましたとおりでございますので、この点につきましては、どういう方法があるかというようなことも含めて検討いたしてみたい、こういうふうに考えております。
  472. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 防衛庁長官に伺いたい。  午前中に社会党の川崎委員からいろいろあなたの三月十二日の郷友会での発言について質問があり、あなたはまっ向から否定されたというお話を聞いたわけでありますが、実は私の友人もそこに参加しておりまして、速記をとってきております。そこで、これがもし間違いであればたいへんなことになりますので、私は何回も念を押したわけですが、私はこのように間違いなく聞いてきた、間違いない、こういう者がありますので、私読んでみますから、どうかそれを聞いて、ほんとうにそうであればまた質問もしたいと思います。  これは四十三年三月十二日午後一時二十分、於日本郷友連盟総会席上、九段会館芙蓉の間、これは要点筆記でありますので、簡単に申し上げます。「昨年十一月二十五日留任、この一年間何をしてきたか。三年間たな上げだった防衛二法を、さらに自衛隊員四千五百人増員を通した。三次防を通過成立せしめた。一次防は三十三年から三十五年の三カ年計画、三十六年は単年度、三十七年から四十一年は第二次防で五年間、四十二年から四十七年の三次防も五年の計画である。二兆三千四百億円、五で割れば五百億足らずである。これでは飛行機もつくれない。郷友会国防に関心のある方に申し上げれば、この数字は五カ年計画である。国全体の伸びから見れば財政硬直の折りから遠慮申し上げている数であり、大砲飛行機はふやせない額である金額は大きいように見えるが、五年という数に注意していただきたい。昭和六年から国防費は増大している。平素の日本国防費を申し上げれば、平時の昭和五年、六年と比べて昭和の平素は国家予算の半分が防衛費であり、半分が内政費であった。昭和六年以降は国防費はふえた。平時は半額、それから計算するといまは二兆九千億になる。これが国防費に見合う。この二兆九千億の額が五年間の三次防の予算より多い。防衛費は聖域であると国会でされている。昨年七・六九%、本年七・二五%、〇・四%つまり硬面した財政に遠慮申し上げている。数字を基礎に議論してほしい。私は長野県の出身(メモできず)でありますが、松本市、長野県に防衛費がない。それに対し松本、長野県には社会福祉費がある。もちろん社会福祉費がふえることはよいことで、この中には遺族年金も含まれていることだから、国の九兆円から見て防衛費(メモできず)自分を守ってもらう費用をなるべく少なくしてアメリカにおんぶするとは。一割ぐらい持つ覚悟をしてほしい。生産の日本は西ドイツを追い越した。七十億ドルである。アメリカに次いで二番目である。アメリカは八千五百億ドル、ロシアは六千二百億ドル、日本は千三百三十億ドル、もっとも共産圏は話半分だ。ロシアがよいならシベリアへ骨を埋める希望者三木外相に取り次ぐよ。ロシアは飛び道具はよくなっているが、民生はよくない。それに比べて、遠慮して国防費は安いが、世の中は狂っているのではないか。そのためにも皆さんの意識を、アメリカばかりに寄りかかっていてよいのか。自由圏では二度目の日本が偉大な国になりながら、国防アメリカにお願いする、これは恥ずかしい。国防があってこそ教育も社会福祉もある。国の生存、存立、あすが脅かされて国があろうか。根本国防である。郷友連盟の皆さんが私をしかり激励してくださるよう、国を守ることには信念があります。(この間、自衛隊について国土建設とか言論にずいぶん脅かされているという者がありますよの発言。)小笠原と琉球等にお参りしてまいりましたが、十分間お祈りしました。米軍の指揮官が、ずいぶんお祈りしましたねと申しました。やはり日本も戦後二十三年、防衛関係の大臣がお参りに来てくれたということで、戦士もうれしかったと思います。ゆえなきにあらずと感じました。日本を含め、極東の安全を革命勢力からいかに守るか。みな腐心している。沖繩がアメリカから切り離して返還されたとき、翌日よその国から侵略されれば元も子もない。シベリアみたいになっちゃう。アメリカと切り離さずに返還されるのが一番よい。」この辺問題ですね。「中共と日本とどちらが国力があるか。中共の富は日本の半分、中共の人口は七億五千万人ということは一人当たり十五分の一、飛び道具は持っていても、食うや食わずの中共がアメリカと対することはあり得ない。米中戦争などあり得ない。米中対立を材料に日本を赤化させる材料にしては困る。中共などおそれて赤化することはとんでもないことです。中共の国民は食うや食わずの、国民生産では日本は二番目の国です。佐藤総理は一生懸命です。西ドイツを追い越した。イギリスフランスも。ドゴールばかだといっても、頭がばかだというのではなく、佐藤総理に率いられた日本は伸びた。ドゴールフランスより上だ。佐藤総理は一生懸命だ。日本の自由をとうとぶこの民主憲法第一条から百三条をとうとぶ。二十九条の私有財産は厚く尊重する。これをきらいな政党があるが、私有財産をとうとぶから働く励みになる。二十九条なしでは励みがなくなる。憲法調査会の報告はわれわれにはおもしろくない。自衛隊は私生児ではない。上を向いて胸を張って歩け。そのためには五兆円を強く主張する。昨年は五兆円論争でありました。月給だけでまさかのときに命を投げ出す。また米ソの有事に備え猛訓練しています。」この辺問題ですね。「士気を鼓舞するためには、規律の引き締め、信用される自衛隊に、隊の名誉、国民から信用される実力を持った団体にしたい。上はナイキ、ホークの武器はもちろん、米、みそなど物資調達の者まで機密を守ること。一人でも出れば国民の信用を失うことになる。存在の訓練ということでも、郷友連の発展は自衛隊のささえであります。以上。」これがあいさつの筆記でありますが、長官に伺いたい。このことは事実でございますか。
  473. 増田甲子七

    増田国務大臣 いまの伊藤さんの引用された文章は支離滅裂でございまして、私はそういう趣旨のことは申しておりません。一つ一つお聞きになればまたお答えをいたしますが、特にドゴールばかだとか言った事実はございませんから、この際はっきりと申し上げておきます。
  474. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 これはなぜ申し上げたかといいますと、たぶんそうであろうという前提に私は立ったから申し上げたわけです。聞いた人が一人ではありません。何人もおります。そしてまた、私はこれは全部が問題だと言うわけではありませんが、少なくともこの中に、国民が長官の本心はこれなのか、あなたの防衛構想は実はこういうことにあるのではないかということを杞憂するのではないか。私も実際最近の長官の答弁、またあなたの態度については、数多く疑義を抱いている一人であります。したがって、私はこの際あなたにこういったことをもう一回聞いてみて、それを否定するようだったならば、これは大問題である、このように私は思っているわけです。全部これはテープでもとってくればあなたはどうにもならなかったのだと思いますが、私もそういうことがあってはいけないと思って何人かにやらしたわけでありますけれども、それではこの中から一つ一つ聞いてまいりますので、率直に、時間がございませんので、答弁願いたいと思います。  あなたは、防衛費というものは、まず昭和五年、六年ごろにあった状態と同じでいい。平時であっても内政費が半分、防衛費が半分、こういうことを引用したわけです。このことについて、あなたの本心はそこまで防衛費を上げるべきだ、このように解釈してよろしいでしょうか。
  475. 増田甲子七

    増田国務大臣 昭和五年以前といえば、昭和六年からは一種の非常事態になったわけでございまして、非常に防衛費がかかっております。昭和五年以前というのはいわゆる平和国家の時代でございまして、けさほども質問がございまたが、防共協定だとかそんなことも何にもないときでございます。満州事変もなければ、シナ事変もないし、いわんや太平洋戦争もない、普通の平和国家時代のいわゆる完全自主防衛のときでございます。そのときがこうなっているという話はいたしましたが、いまは日米安保体制のもと、日本の自主防衛の線をできるだけふやしたい、こういうことであるということをくどく話をしておるわけであります。そこで、よく二兆三千四百億といわれて、普通予算の半分のような印象を得られておるが、この際、昔でいえば在郷軍人の団体である郷友連の方々は、指導者でございますから御理解を願いたい、二兆三千四百億というのは、五カ年計画でございます。でございますから、一カ年間には五千億円でございます。そこで教育費はどうなっているか。教育費は九千億でございます。社会福祉は八千百億円でございます。そこへプラスの都道府県、市町村の教育費が入ります。そういたしますと、大体倍くらいになります。そこで教育費は約二兆円くらいになり、社会福祉の費用は一兆六千億くらいになります。しかるところ、都道府県の国防費というものはございません。市町村の国防費というものはないのです。それでございまするから、国で計上いたしました五千億くらいの平均になりましょうけれども、これはベースアップ関係でなるだけでございまして、武器調達、物資調達関係は、二兆三千四百億のときに約半額でございます。その半額は増加していないのでございますということも申し上げておるわけでございます。そこで、二兆三千四百億という一つ閣議決定がございまして、昭和四十六年度末、すなわち昭和四十七年三月三十一日まででございます、こういうことをお話しいたしまして、御了解を得て、なるほど五年間に二兆三千四百億かということを、そのときわかった方が相当あるわけでございます。そこで、大体総予算に比べまして、昨年は七・六九%でございました。本年度は七・二五%でございまするが、私はこれでよいと思っております。というのは、財政硬直化の打開のために非常に政府も苦しんでおりまするから、それに協力するために、〇・五%ばかり減っておりまするが、それでよいと思っております、こういうことを申しておるのでございまして、飛行機が一機も買えないなんて、とんでもないことを申しておるわけじゃございません。きょうの予算説明にも申し上げましたとおり、相当の飛行機購入するわけでございますから、話が、だいぶあなたの文章もていをなしていない支離滅裂の状態であると、私は感じております。だんだんお聞きになれば、だんだんお答え申し上げます。
  476. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 私は、この際長官の答弁を信じていきますから、それでは誤解を解いてください。あなたの発言はどこで発言しようとも、いまはもうどこからでも聞かれている、このように考えて、もう軽はずみなことは言ってもらいたくない。  次に言いますけれども、沖繩がアメリカから切り離して返還されたときに、翌日よその国から侵略をされたならば元も子もない、シベリアみたいになっちゃう、アメリカと切り離さずに返還されるほうが一番よい、こう言ったわけでありますが、この点について長官の所見を伺います。
  477. 増田甲子七

    増田国務大臣 シベリアみたいになっちゃうということは言いやしません。そういうところが困るのです。いろいろうそばかり言って困るのでございます。そのノートをとったという人に、私は対面したいのです。シベリアみたいになっちまうなんてとんでもないことでございまして、シベリア開発ソ連に頼まれて日本がやろうとしているときでございます。またソ連のほうでも、シベリア開発日本の経済力なり日本の技術力を大いにたよりにいたしておるときでございまして、積極的にシベリア開発をしたいというときでございます。ですから、シベリアなんかをたとえて言うわけではございませんで、われわれ政府一丸となってシベリア開発ソ連政府に頼まれてやろうというときであることは、伊藤さんもおわかりのとおりでございます。  そこで問題は、ソ連のことでなしに、沖繩の形態だと思います。沖繩から米軍が全然いないという状態で返されたでは困るでしょうということを私は申したわけでございまして、それも革命勢力なんということは私は使わないのです、いつも。いつもアグレッサーという字を使っております。それからアグレッシブパワーズという字を使っております。そういう字をまた日本語に翻訳してみたら、それが一番いいのだから。それでアグレッサーの中には、まず第一にパイレーツがある。海賊がある。それから国際公法上認められた交戦団体がある。それから世の中で通常オーソリティと言っているものがある。たとえば西ドイツは東ドイツのことをオーソリティと言っております。南ベトナムは北ベトナムのことをオーソリティと言っております。そのオーソリティも侵略可能勢力である。オーソリティといっても、アブストラクトに言っているのですよ。それから最後に国が来る。であるから、自衛隊が各種の演習をせんとするときに、対象国というようなことばを使って誤解を起こしてもいけません。対象国という、国という字はやめたまえというわけで、侵略可能勢力、こういう字で、だいぶ長くなりますが、そういう字を特にことばの感じ、語感というものを私はとうとびまして——ことばの国民に与える感じでございます、そういうことをとうとびまして、革命勢力なんということは言っておりません。侵略勢力からもし侵略でも受けようとすることがないように、自衛隊というものはその存立訓練とによってわれわれは日本の国民を守り、一億国民を守り、国家を守っているのである、こういうことを言っておるのでございます。そこで、オーソリティという字はほかには翻訳のしようがないのでございまして、やはりオーソリティと言っておるのでございますから、これを権威と訳したではちょっとおかしな字になると思います。とにかく国際法上オーソリティという字はございますから、そのことも言っておりまするが、この郷友連盟ではそこまで言ってはおりませんが、ただ侵略勢力から侵略がないように自衛隊存立し、訓練をいたして、一億国民をお守り申しておるのでございますということを申しておりまするし、また現在の予算は八%ないし七%の、この範囲でよろしいということも、私は強く申しております。要するに二兆三千四百億というものは、五年で割ってみて国民にPRをしてくださいということを申して、コンセンサスを得るために私は郷友連盟に呼びかけたわけでございまして、これはレクチャー的に話は長くなりましたけれども、そういう意味でございまするから、あと国の力というようなことは、各国の力は申し上げました。これは御質問があればお答え申し上げます。
  478. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 きょうは限られた時間で非常に短いので、私もいろいろ言いたいわけですが、時間がございませんので、あと二つだけ伺っておきます。  その一つは、憲法調査会の報告はわれわれはおもしろくない、これはどういう意味なのか、ちょっと私たち判断しかねるわけです。さらにまた自衛隊は私生児ではなく、上を向いて胸を張って歩け、そのためには五兆円を強く主張する、これはどういう考えからおっしゃったのか、ちょっと伺います。
  479. 増田甲子七

    増田国務大臣 憲法調査会の結果をおもしろくないと言っておりません。憲法一条から百三条すべて厚くこれを順守し、これを擁護すべきものであるということを私は昔から申しておるのでございまして、私の言動等は、あなたのほうにも会議がございましょうから、長野県の第四区に聞いてもらいたいと思います。私は初めから、自民党の綱領にああいうふうにございましても、憲法は厚くこれを守っていかなければならない、三分の二を得てもなおかつ国民の総意か——われわれそのときは三分の二というのですから、おそらく与党でございましょうが、与党に対してこれを改正せよと迫ってくるときまではわれわれは反対である、そういうふうに、慎重に、故吉田先生と私は話が一番合っております。また故吉田先生が故池田勇人さん、佐藤榮作さんに話をされたと思うのです。でありますから、自民党の綱領として、別に政府の処する態度というものは、私が吉田さんと長い間検討してきたそのことばどおりに佐藤榮作先生もお使いでございまするし、故池田勇人先金もお使いでございます。私は、そういうふうな意味のことを、どんな機会においても申しております。国会報告演説会におきましても、あるいは選挙の立ち会い演説会におきましても、憲法というものは統一ある全体である。どの個条はおもしろくない、どの個条は好きだから尊重する、そういうものではない。一条から百三条まで有機的なものであって、すべてこれを尊重しなくてはならない、このことも郷友連盟において私は申しておりまするが、そういう肝心なところをあなたはノートにとってないのです。でございますから困るのでございます。
  480. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 もう一つありますね。五兆円を強く主張するということがありますけれども……。
  481. 増田甲子七

    増田国務大臣 どういうところで五兆円を強く主張するのかわかりませんが、昭和四十六年の年度末、すなわち昭和四十七年の三月三十一日までは、もう二兆三千四百億ときまっておるのですから、あとは給与ベースアップだけのことでございます。これでよろしいといっているのに、取ってつけたように五兆円を主張するということは、私は意味がないと考えております。そんなことは絶対ございません。
  482. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 時間がありませんので、最後に一言申し上げますが、いずれにしても長官はきわどい発言を何回もしております。そして必死になっていつもあなたは否定をしております。私は一回、二回ならともかくも、いままで数回、あるいはそれを上回ってあなたは自分の発言について追及され、そして証拠がないからといって逃げております。一国の防衛庁長官が、国務大臣が、そのような国民に誤解を与えるような発言をたびたびするなんということは、これは大問題であります。  そこで、私は申し上げたいことは、たとえどこであっても、いつもあなたは大臣といういわゆるその見識に立って、そして国民に対し堂々と、自分の持論があるならばあるように、私の本心はこうなんだ。またこういう公式な場においても、私はこうしたいのだ、しかしながらコンセンサスがいかないからここであれだれけども、どうだろうか——何でも秘密です。あるいはその点は言っておりませんとかということのないように、今後そういう大臣としての姿勢をしっかり正して、国政を担当してもらいたいと思います。  以上、要望しまして終わります。
  483. 増田甲子七

    増田国務大臣 私も一言いたしますが、私はリベラリストでございます。戦前から今日までのキャリアを調べてもらえばわかります。リベラリトスというものは、私は強くなくちゃいかぬと思います。強いという字は、剛毅濶達の毅の字でございます。そうでないとへんてこりんなことになってしまう。私は自由主義者として、リベラリストとして、昔は迫害を受けたこともございまするが、そんなことはもう太平洋戦争に突入してからは人にいばる必要はございませんし、よく追放解除の申請をする人がいろいろなことを書いてございましたけれども、そんなことは申さないのでございます。ただ、自由主義者というものは、近代文明は個の発見にあるというところから始まっておる。その個というものをほんとうに尊重するためには、自由主義者というものは強くなくてはいけない、こういう感じを持っております。ところと場所によって発言が違うということはございませんから、伊藤さんも私の発言等がしょっちゅうあぶないということをおっしゃいましたが、そんなことはございませんから、どうぞお調べを願いまして……。ただ秘ということはございますよ、防衛庁には、秘ということはございまするが、私はわりあいに勇ましいかもしれませんが、勇み足をしたことはございませんから……。ただ、強くなくてはいかぬということが、私の考えでございます。そうでないと、右か左の独裁国家があらわれてくる。そうすれば、もうこの個の尊厳や人権を尊重するという時代は、なくなってしまうのです。そういうことを私は考えておりますから、この際信念の一端を申し上げたわけでございます。
  484. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 私も言いたいことがありますが、時間がございませんから……。
  485. 野原正勝

    野原主査 只松君。
  486. 只松祐治

    ○只松分科員 多くの都民、国民の要望にかかわらず、米軍も強行しようといたし、防衛庁の施設関係も返還にそれほど熱を入れない、しかし王子のキャンプ、米軍の病院に予定されておったところが無期延期になった、こういうことを増田長官お知りでございますか。   〔主査退席、小沢(辰)主査代理着席〕
  487. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 王子の米軍の病院につきましては、三月に開設するという予定でおるということを聞いております。無期延期になったかどうかということは、承知いたしておりません。
  488. 只松祐治

    ○只松分科員 これはお確かめいただけばいいですが、先ほど無期延期にしたというような何か、米軍側は発表したようであります。ひとつお確かめをいただきたいと思います。  そこで、なったということを前提にして話を進めますが、私も砂川闘争や何か多くの闘争、基地の問題に参加をしてきたわけですけれども、これは基本的な日米安保条約その他から発しますから、そういうものを論議する時間はありませんが、とにかくこうやって都会のどまん中、特に首都、こういうところに、先ほどから通信施設とかいろいろな話をやっておりましたが、基地が依然として残っておる。というのは、増田さん、さっきからいろいろおっしゃっておりますが、人間個人も個ですけれども日本国家の独立性を守る、そういう意味からはたいへんに悲しいことだと私は思っております。そういうふうに、これは皆さん方が知らぬくらいですから、皆さん方が働いて——私も前、基地闘争をやっておったときには、防衛庁の施設庁の方々の腰のかまえ方いかんによっては、アメリカ軍も相当言うことを聞いたわけであります。この都市のどまん中にある基地というものは、日米安保条約を認めるという皆さん方の立場に立っても、これは私はぜひ撤去していただきたい。あるいは特に準野戦病院になるようなこういう問題、これも私は前国会で論議したのですが、防疫の検査、伝染病の検査その他、そういうものは事後報告を受けるだけで、事前にはほとんど日本側には通告がない。あるいは立ち入り権がこういったものではないわけです。そういう状態のもとにおいて、東京のどまん中にこういう野戦病院的なものをつくるというのは、たいへんにけしからぬ。今後も、これは私のほうから見ればたいへんにいい結果が出たわけでございますから、努力のしかたによってはこういうことになるわけですから、防衛庁の中にある施設庁なり米軍関係の方々は、今後こういう方向に努力する、こういうことをひとつお約束いただきたい。いかがですか。
  489. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 病院を王子に開設するということにつきましては、四十年の末ごろにそういった予定の通告があったわけでございまして、それに基づいて現在建設中と聞いておる次第でございます。この地区が東京都の相当密集地域にあるということから、これがどういうふうな影響を与えるかということにつきまして、これはわれわれとしても考えなけりゃならぬ問題もあると存じますが、米軍提供施設の中でどういうふうに施設をつくるかというふうなことは、これまた米軍の管理権に基づいて、いろいろ施設を変更したりすることはできることになっておりますので、この点については米側に自主性があるというふうに私ども考えておる次第でございます。  なお先ほど、ただいまの状況で無期延期になったというようなお話でございますが、私どもが聞いておりますのでは、十五日と予定しておったジョンソン基地からの従業員の移動時期が無期延期になったということだけは聞いておりますが、病院そのものをどうするかということについては聞いておりません。
  490. 只松祐治

    ○只松委員 私はいまほかの問題を論議しようと思ってきておるわけですから、この問題はこれ以上追及いたしませんけれども、いまも口の端に出ましたように、アメリカ側に管理権があるんだからと、こういうお話ですが、ここは日本ですよ。だから、アメリカに一応貸与はしておっても、日本国本土ですよ、これは。したがって、日本側の防衛庁の米側と折衝する関係者がどういう衷情を吐露するかということは、アメリカ側を大きく動かすのです。私たくさん経験があります。いまからこういう経験を話してもしようがないけれども、前に山田君が施設本部長をやっておったときには、年じゅう山田君のところに行って話して、いろんな問題を解決しております。だから、そういうことを通じて、そういうことをしてほしいと皆さん方に要望しておるわけです。きょうはその問題は本題じゃありませんから、本題に入ります。  防衛庁は軍の機密を扱うということで、秘密事項についてはとかく問題が多い。敏感であるし、いろんなことがある。少し前にも人が死んだり逮捕されたりしております。防衛庁の秘密とは一体何であるか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  491. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 防衛庁におきます秘密は、一般論として申し上げますと、防衛庁の業務に関します知識、あるいは文書とか物件、こういうもので、公にされていない、しかもそれを公にすることによりまして、国の安全あるいは利益が損害を受ける、あるいは防衛庁の業務の遂行に支障がある、こういうものを私どもは秘密と考えるわけでございます。
  492. 只松祐治

    ○只松委員 これはあとで聞きますが、逆説的に言いますと、人が死んだり、川崎一佐が引っぱられたりしたみたいに、きわめてこれはシビアーなものすでね。いまみたいなお話で、人がひょこっと引っぱられたり、首をつったりしたらかなわない。そこで私が聞くわけですが、もう少し具体的に——何段階かあるでしょう。いろいろあるでしょう。それはどうなっているか、ちゃんと話してください。
  493. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 防衛庁が扱っておる秘密は、分類すると二つに分かれるわけでございますが、一つがいわゆる防衛秘密、二つ目が防衛秘密以外の秘密、こういうことでございます。  防衛秘密は、御承知のとおりに、日米相互防衛援助協定等に基づきまして米軍から供与を受けております装備品等に関する秘密でございます。これは、それに関連するところの秘密保護法というものでございまして、防衛庁はその秘密保護法を守りますために、防衛秘密の保護に関する訓令を内部的に制定しておりまして、そこで防衛秘密の扱いを適切にしていくという手続をとっておるわけでございます。それ以外の秘密につきましては、これは秘密保全に関する訓令を同じように制定しまして、その訓令に基づきまして秘密文書の取り扱いをやっておるわけでございます。  そこで、両者につきまして共通の問題でございますけれども、いずれも秘密を区分いたしまして、防衛庁の場合におきましては、機密、極秘及び、秘、この三段階に分けておるわけでございます。  そこで、機密と申しますのは、秘密保全を最高度に必要とするものである。それを漏らすことによりまして国の安全あるいは利益に著しい損害を与えるというものが、機密でございます。  極秘及び秘につきましては、その程度はおのずから差がございますが、考え方としましては同じようなもので、その中身は、そういう重要度合いの程度によりまして三段階に区分しておる、こういうことでございます。
  494. 只松祐治

    ○只松分科員 そのほかに部外秘とか取り扱い秘とか、いろいろあれがあるんじゃないですか。
  495. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは訓令上の秘密でございませんけれども、次官通達によりまして、関係職員以外にはこれを取り扱わせないという趣旨で取り扱い注意、これは文書とか物件等でございますが、取り扱い注意という取り扱いをしておるものもございます。
  496. 只松祐治

    ○只松分科員 こういう秘密は、さっきから言いますように、人身に関係する問題で、法律が、そのきめ方いかんによって適用される。ところで、機密であるか、極秘であるか、秘であるか、だれがどういう方法で決定をするのか。
  497. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 秘密につきましては、防衛庁の場合には指定権者を設けまして、その者が指定する。さらに確認権者というものがその指定につきましてさらに確認をするという慎重な手続をとっておるわけでございますが、防衛秘密につきましては、幕僚長あるいは各局長がその指定につきまして長官に申請をいたしまして、長官の決裁を経て、それぞれの秘密区分に応じます秘密の指定をする、こういうことでございます。それ以外の秘密につきましては、内局の場合におきましては課長、幕僚監部の場合におきましては部長または課長が指定をいたしまして、これを局長あるいは幕僚長等が確認をするという手続をとっておるわけでございます。
  498. 只松祐治

    ○只松分科員 その判定は、長官が最後決裁をするんですか。これは法律の犯罪構成要件になるんですね。その判定というのはきわめて重要な面を持っておりますね。その防衛庁のきめたものは絶対的なものだ、川崎一佐を逮捕することもできるわけです、その機密を漏らせば。したがって、これは絶対的なものですか。その防衛庁のきめ方は絶対的なもので、一つも誤りはないんだ、こういうふりにお考えですか、どうですか。
  499. 増田甲子七

    増田国務大臣 秘の扱いについては、きわめて慎重にやっております。それから何が何でも秘であるということがないように、きわめて局限しで、秘というものの指定を長官決裁でいたしておるわけでございます。そこで、その秘という扱いを受けた以上はどうなるか。それはやはり議論を突き詰めていけば、これはみだりに漏洩すると、五十九条違反になる、こう考えております。ただしかし、あくまでも只松さんに御理解願いたいのは、秘の扱いをむやみに広げてはいけないということについて、私はきびしくいたしております。
  500. 只松祐治

    ○只松分科員 いや、その内容が絶対的なものか、一つも誤りはありませんか、こう聞いているわけですね。機密ときめたり、極秘ときめたり、秘ときめたり、その内容というものは、皆さん方は誤りがありませんか。これは法律の構成要件になるから、ぼくは聞いているわけですよ。たとえば、先に聞きますが、どれ以上を、皆さん方が、さっきおっしゃった部外秘あるいは取り扱い注意、これを犯せば、五十九条に言う秘密事項を犯したことになるのですかならないのですか。五十九条を犯すというのは、秘密事項ですか、どういうことですか。
  501. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 そのとおりでございます。
  502. 只松祐治

    ○只松分科員 その秘を部外秘とそれから秘密とこう分けまして、秘密に入っているのを漏らした場合には、五十九条にひっかかるし、あるいは公務員法にもひっかかるし、部外秘であったらひっかからない。この判定をするのは、さっき言ったように課長さんがするわけですね。その課長さんのしかたによって、とにかく刑罰なり何なり、国民が処刑を食ったり食わなかったりする。課長の判施で——法律じゃないですよ。法律は別個にありますよ。五十九条があり、公務員法がある。しかし、その法律の犯罪の構成要件をなすものは、課長の恣意的な判断によるわけでございます。これはきわめて重要な立法上の問題を残しておるわけです。したがって、その秘であるか部外秘であるかということは、たいへんな問題になってくるわけですね。一課長によってそれを適用するか適用されないかということになる。だから、そのきめたことが絶対に過去にも誤りはないし、将来にも誤りはないか、こう聞いているのです。
  503. 増田甲子七

    増田国務大臣 只松さんの御質問にお答え申し上げます。  人間のすることですから、絶対あやまちなきは保しがたいのでございます。そこで、むやみに秘ということはしないように、部外に対する取り扱い注意というものは秘じゃないということは、いま政府委員から答弁申し上げましたから、おわかりでございましょう。そこで、秘以上のものは五十九条に触れます。それで、この秘の扱いについて、まず起案をするのは課長でございます。それから局長のところでその取り扱いをしてきて、長官に聞いて、長官決裁によって秘になるわけでございますが、私が秘にするときには、人間のすることですから、あやまちなきを保しがたい。むやみに秘の文書をつくっていいわけではございませんし、ことに近代民主主義の世の中におきましては、コンセンサスを得ることが大切でございます。そのコンセンサスはまずもって国会において得ることが大切でございますから、われわれはむやみに秘をつくらない、こういう方針で厳重に臨んでおる次第でございます。
  504. 只松祐治

    ○只松分科員 それじゃ私がここに例を少し話しますが、私も昔戦闘機、ゼロ戦に乗っておったのです。ゼロ戦の中で軍機に属するものは、照準器などしかない。大東亜戦争のさなかでも、ゼロ戦の解説というものは相当出ておったのです。このゼロ戦全体を極秘なり軍機として扱って、それを書けば処断されるということになったら、これは当時でもたいへんなことになるのですよ。そこでいま、たとえば皆さん方がFXを購入しようとされる。この次期戦闘機がどういうことで決定されるか。これはくろうとのあなたたちにお説教みたいなことを言うようだが、あなた方のところにこれがいいでしょうと言ってくるわけですね。A社、B社、C社がロッキードやグラマンを持ってきて、大体この内容はこうでございますといって持ってきますね。あなたたちがきめる側面もあるけれども、商社側は商社側でこれがいいですよ、これなら値段は安いですよといって持ってくる。持ってくるときに、中身が何もわからない、ただ模型みたいな、中身の何もないものを持ってきたって、あなたたちは信用しないでしょう。値段が安いからといっても、この中に機銃が何がついているか、馬力は何馬力か、昇降舵の角度はどうなっているか、そういうことが全然わからなければ、信用しないでしょう。ある意味では操従テストもしなければならぬでしょう。だから、商社は知っているわけですよ。売り込みに来る商社は、すでに知っているわけです。それを持って防衛庁にお伺いに来る、売り込みに来るわけです。そうすると、今度は防衛庁が、そうだかなといって調査団を派遣する。そしてこの辺から大体機密というものが起こってくる。次期はおよそこれだということをきめてくれは——きちっときめれば軍機になるし、きめかけているときには皆さん方秘密扱いにするわけです。それで、今度それを業者に発注をする。もうこのときには完全に軍機になっていると思いますよ。それで、それを川崎一佐や皆さん方自衛官が扱うときには、もう完全な軍機です。しかし、一番根源の皆さん方のところに持ってくるときには、すでに国民の一部の人は、売り込みに来る人は知っているのです。だから、皆さん方がこれを秘密だといって指定をすれば、自衛官には五十九条が適用になりますよ。それから民間人がどういうふうに適用になるかという問題もあります。それで、いろいろなバッジシステムでもそうでしょう。とにかく何でもないバッジをあなた方に売り込みに来ることはない。注文をとりに来るときは、商社側では綿密に調べてから来るわけです。だから、これをとらえて、とにかく秘密にした瞬間から皆さん方はこの秘密法を適用いたしますけれども、これは公務員の場合は公務員法、自衛隊員の場合は五十九条に引っかかるわけですが、このことはあとで聞きますけれども、機密保護法を制定するということを皆さん方が軽々しく考える場合にも、これはそういうことを考えればたいへんなことが起こりますよと言うのです。いいですか。あなたたちが開発し、あなたたちが発明をし、それを自衛隊だけが持っているものを外部に知らせた、あるいは外部の者が知ったということで機密保護法違反だということなら、これはまた別の問題ですけれども、とにかくこれは民間人が知っていることを皆さん方に持ってきて、それで秘密にするわけです。これは一つの扱い方——私はいま戦時中のゼロ戦の取り扱い方を言いましたけれども、そういうことを軽々しく秘密である秘密であると言っておるが、秘密というのはどこの段階で秘密にするか。だから、私山が言う秘密というのは、絶対的なものではない。ある人にとっては絶対秘密である、部内の者には軍機であるかもしれないが、しかし、ある人にとっては、売り込みに来たところの前もって知っておる者には、秘密でも何でもない。それを軍機だといって、機密保護法を制定して、その秘密漏洩を取り締まるということになったら、たいへんなことになるのです。こういう点についてどうです。私が言っているように、防衛庁の言っておる秘密というのは、絶対的なものですか、こうお聞きしているのです。どうです、私の言っていることは誤りではないでしょう。
  505. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 先ほど長官から御答弁がございましたように、防衛庁としましては、秘密の指定をいたします場合には、非常に慎重に検討をいたして指定をいたしておるわけでございまして、現にこの訓令にも、そういう秘密の範囲につきましては最小限もののにすべきであるということが、規定せられておるわけでございます。それで、一つの兵器なら兵器につきましても、その中のある部分につきまして指定をするということがあるわけでございまして、それはあるいは商社なり業者の場合におきましては、それ以外の部分につきましては一般的に知識として持っていることはあるかもしれませんけれども、たとえば航空機の搭載装備品、こういうものにつきましては、これがたとえばアメリカからわが国が技術導入をしたものだという場合におきましては、そういう特定の装備品につきましては、アメリカといえども秘にしておる。したがいまして、わが国も当然そういう意味では秘である。これは根底にはそういう航空機の性能試験等に関する問題でございますので、これを公にすることはやはり防衛上考えがあるというようなことで、一つの備品につきましても、非常に限定をした指定をしているわけでございます。しかも、その限定をした秘密につきましては、たとえば防衛秘密の場合は、この装備品のこれこれの事項が防衛秘密であるということは、部隊には周知をせられているわけでございますし、現にまたそういう装備品を取り扱います、たとえばオペレーターなりあるいは整備士というものは、その取り扱い者ということで指定をせられておりまして、部外にも漏らしてはならないということは十分認識をいたしておるわけでございますので、そういう意味におきまして、秘密の指定そのものについても最小限で行なうと同時に、それが秘密であるということを部内に周知いたしまして、その漏洩を防止する、こういうことを考えて処置をいたしておるわけでございます。したがいまして、課長なら課長がやたらに一つの文書なり物件というものは秘密に指定いたしまして、それで部内を縛るというようなことはないのでございまして、その点は非常に厳密にやっておるということを御了承いただきたいと思います。
  506. 只松祐治

    ○只松分科員 時間がありませんから多くは申しませんが、私は、民間と防衛庁、一般公務員、そういうものに分けて論議をしておらないのです。しかし、秘密保護というものを一つ考えたら、あるいはいまのように分けて、防衛庁なら防衛庁だけの内部の秘密取り扱い、それから商社のほうはいわゆるあなたが言うように、これは道義上の秘密ですから、法律ではない。法律としては、いま日本には機密保護法というものはないのです。しかし、商社のほうはもう幾らでも知っているわけです。それを外にばらすことをやれば、あなた方のほうは次期購入はしないぞとおっしゃるかもしれぬけれども、実はこれは法律上の違反行為は、何にも出てこないのです。しかし、自衛官が扱えば、これは五十九条違反になる、こういうことになるわけです。そういう意味で、厳密に法律を解釈する場合に、ぼくは絶対的なものがないと言っているのです。だから、自衛官の場合には、これは確かに五十九条でやられますね。しかし、一般商社。たとえば、時間がありませんからあれですが、たくさんの人々が商社に天下っていっておる。その場合、防衛庁から天下った人は自衛隊の服務規定によって退官後も秘密を守る義務がありますが、長官の許可がなければ裁判所その他にも派遣できない、こういうことになっておる。しかし、その場合には、防衛庁から天下った社員はしゃべらなくても、ほかの社員がしゃべっても、それは一つも問題にならない。取り締まり規定はないのです。あれば、あなた方はえらい越権行為です、秘密保護法も何もないわけですから。時間がありませんから、そういうものを全部論議しょうとは思わないのです。あなたたちはあちこち逃げられるけれども、また別の機械に論じてもいいけれども、防衛庁の秘密保護というのは、絶対的なものはないと言っておるわけですね。ある意味では相対的なものでしょう。主観的なものでしょう。あなたたちの恣意的な判断によって決定づけられるものじゃないのですか、こう言っているのです。さらについでに言っておきますけれども、それはさきにも総理にも言ったみたいに、停年制が五十五ですから、防衛官が五十五になってほかに天下ると、首になっていった場合には安く買われるから、四十幾つ、五十二、三歳で行く。そのとき、ただ行ったって向こうは重く見ないから、ちょっとは手みやげの一つもさげていく、こういうことになる。こういうことがいままであった一般的な事件です。それが人情の機微のしからしめるところでしょう。だから、その天下ったその人が言ったんでは自衛隊法に違反になるから問題になりますけれども、ほかの人が知った形にしてやれば問題にならない。こういうことで、絶対的な防衛庁の秘密というものは絶対に守れないのですよ。だから、そういう意味では、川崎一佐などは金をもらったことはいいとは思いませんけれども、それは別な意味の、そういう法の解釈の犠牲的な面を負っておるとも私は思うのです。だから、ここで私が結論的に言おうとすることは、この秘と秘密扱いは、そういう防衛庁の問題一つとりましても、秘密の絶対というものはなかなかないわけですから、きわめて慎重にしていただきたい。ここにも九日付の防衛庁の次官通達がございますが、これは各庁が出して、防衛庁がお出しになっております。時間があれば、これの内容、文言についても私はお尋ねしようと思ったのですが、なくなりましたからしませんが、まして、そういうことですから、秘密保護法を制定するというような——あまり秘密がばれたんではたいへんだから、何とか秘密をもっと強化したい。この通達は、調査すると同時に、やはり全体としては秘密体制を強化したいということがここに書いてあるねらいだと思います。そういうことで、結局秘密というものは、国民に対して防衛庁をベールでおおって、秘密で隠していく、その秘密の根源になる。いまの法律問題というのはきわめてあいまいだ、実態としてもきわめてあいまいな面がある、こういうことをひとつよく考えて、いやしくも秘密保護法をつくる、こういうことはひとつ考えないようにしていただきたいというのが、私のきょうの質問の要旨です。ひとつ増田長官のほうからそういうことは絶対しないというお答えをいただきたいと思います。  その前に、慎重にとおっしゃっておりますけれども、これを見たって、防衛庁は秘密事項は非常に多いわけであります。防衛庁が一番多いけれども、うちのほうもうちのほうもと各庁が競争してふやしますから、あまり秘密、秘密と黒い霧に包まれるような形の防衛庁内の軍機の扱いというものをできるだけ避けるように、ひとつ御考慮をいただきたいと思います。
  507. 増田甲子七

    増田国務大臣 まず、恣意によって秘をきめるということは、私どもはいたしません。ほしいままに秘はきめません。お説のごとく、きわめて慎重に秘をきめたいと、こう考えております。それから防衛秘密というのは、米軍から供与された装備品、武器等に関する秘密でございまして、これは重く罰せられておることは、国会を通りましたこの法律によっておわかりのとおりでございます。それから、その他のものは、自衛隊法で申しますと五十九条違反でございまして、五十九条に関する限り、国家機密というものはあると考えております。ただ、国会議員の皆さまは、国権の最高機関でございまして、予算委員会総括質問の際にも他の委員にお答え申し上げましたとおり、御審議を願う上からでき得る限り申し上げる、そういうときには、長官も総理大臣も許可をするということが必要である。また証言法という法律もございます。それに従いまして、でき得る限り秘密会等にしていただきまして申し上げるということが、御審議を願う上に必要であるということを、この前は楢崎さんの御質問に対してお答えをいたしたと思います。そこで、恣意的に秘はきめない、このことだけはぜひ御了解を願いたいと思います。  それから将来秘というものをどうするか。私は五十九条の範囲内でよろしいと思っております。国家公務員法の中にもございまするから、それでよろしい。そこで制服を着た防衛関係の役人、すなわち自衛官、それから私服を着ておりましても、役人が秘と知っておって漏らすというようなことは——将来の第二生命のために、第二の人生を送るためにおみやげとしてやむを得なかろうという御同情的なおことばもございますけれども、これはひとつお考え直しを願いたいと思います。私は、まだ将来将補にもなり将にもなるといったような者が、五年先、十年先を考えておみやげ的に持っていくというようなことがありますれば、バッジなんというものはほとんど効用をなくしてしまう。そのバッジのECCMというのが、もう一つCのついたMをつくらなければならぬことになりますから、これはたいへんな国費の乱費になります。意味ないことになりますから、役人は何か嫁入り道具としてしかたがなかろうといったような御発言は、非常に御理解はございますが、只松さん、やはり困るというふうにおっしゃっていただきたいというふうに私は思います。
  508. 只松祐治

    ○只松分科員 ことばのやりとりをしようと思いませんが、私のことばが足りなかったのですが、いまの手みやげという話ですが、私がけさ言ったことは、議事録をお読みいただけばおわかりいただけると思いますが、停年制は五十五歳で非常に短いわけです。日本人の寿命は男が六十八、女で七十三をこえている。しかし、昔と同じように五十五歳で停年制だ。国家公務員には定年制はございませんが、しかし、実際上は勧奨退職が行なわれておる。これは当然停年制を延長しないことには、こういう諸問題——これは私これだけ言いましたけれども、公社、公団の設立、その他高級公務員が横すべりしていくというような問題を全部含んで、五十五というような若年定年制というものは、世界で例がないわけです。こういうことを含んで言っておるわけです。ことばが足りませんでしたが、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。  恣意的ということも、私はそれも話しませんでしたが、同じ防衛庁で、軍機なり極秘、こういうことになっておりまして、防衛庁の人があるいは退職防衛官が外部に漏らせば、五十九条適用違反になる。ところが、民間人の、たとえば私が商社の人から知ってそれをばらしても、何の法律違反にもならないわけですね。そういうことを言っているのです。いわゆることばの表現が正しくないわけですけれども、同じゼロ戦ならゼロ戦のグラマンならグラマンの秘密事項を、防衛官が漏らせば秘密になるけれども、私が漏らしても秘密にならない、こういう意味で絶対的な極秘なり機密というものはないじゃないか、こういうことを私が立論をしたわけです。したがって、恣意専横という意味の恣意ではなくて、これは裏を返せば絶対的な一足す一は二とか、あるいはH2Oは水になるという、こういう意味の科学的な機密というものはないじゃないか、こういうことを言っておるわけです。それだけに秘密の取り扱いなりあるいはそういう秘密の法律をつくることについては慎重にしていただきたい、こう言っておるわけです。
  509. 増田甲子七

    増田国務大臣 五十九条違反でも、教唆扇動等がございましたならば、民間の方といえどもこれは罪になります。それから財物である場合には、窃盗にもなるわけでございます。しかしながら、現行法だけで私は十分であると考えております。それから防衛秘密のほうの米軍供与にかかるものは、民間の方でもどなたでも、この法律全体に触れるわけでございます。そういうわけで、五十九条は、国家公務員だけである、自衛隊員だけであるということについては、良識ある只松さんにおいて御理解を願って、やはり全体として国家の機密を保持するように御協力を願いたい。ことに、あなたはゼロ戦等についてはお詳しいわけでございますから、ある程度武器の性能なり諸元なりが相手にわかれば、その上を行きますから、結局、侵略者侵略するということにもなります。やはり自衛隊の作用というものを、侵略を防止し、これを排撃するという方面に高めていただくように御協力をいただきたい、こういうわけでございます。
  510. 小沢辰男

    ○小沢(辰)主査代理 以上をもちまして、昭和四十三年度一般会計予算中、防衛庁所管に対する質疑は終了いたしました。  明十四日は、午前十時より開会し、大蔵省所管について審査を行なうことといたしまして、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十二分散会