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1968-03-15 第58回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十五日(金曜日)     午前十時二分開議  出席分科員    主査 松浦周太郎君       相川 勝六君    北澤 直吉君       正示啓次郎君    湊  徹郎君       久保 三郎君    森本  靖君    兼務 板川 正吾君 兼務 大原  亨君    兼務 太田 一夫君 兼務 兒玉 末男君    兼務 後藤 俊男君 兼務 佐野  進君    兼務 島本 虎三君 兼務 田邊  誠君    兼務 西風  勲君 兼務 堀  昌雄君    兼務 小沢 貞孝君 兼務 吉田 賢一君    兼務 中野  明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君         郵 政 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      角田礼次郎君         水産庁長官   久宗  高君         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸大臣官房長 町田  直君         運輸大臣官房会         計課長     山上 孝史君         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省船員局長 河毛 一郎君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君         運輸省航空局長 澤  雄次君         運輸省観光局長 深草 克已君         気象庁長官   柴田 淑次君         郵政政務次官  高橋清一郎君         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浦川 親直君         郵政省監察局長 西原林之助君         郵政省郵務局長 曾山 克已君         郵政省貯金局長 鶴岡  寛君         郵政省簡易保険         局長      竹下 一記君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君         郵政省人事局長 山本  博君         郵政省経理局長 上原 一郎君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      丸山 英人君         大蔵省主税局税         制第一課長   大倉 真隆君         大蔵省銀行局特         別金融課長   小宮  保君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         郵政大臣官房郵         政参事官    西谷  馨君         自治省税務局固         定資産税課長  山下  稔君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道理         事       仁杉  巌君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社厚生局長   今井 一郎君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         日本電信電話公         社計画局長   井上 俊雄君         日本電信電話公         社施設局長   北原 安定君         日本電信電話公         社経理局長   中山 公平君     ————————————— 三月十五日  分科員久保三郎君、森本靖君及び田代文久君委  員辞任につき、その補欠として神門至馬夫君、  広瀬秀吉君及び林百郎君が委員長指名分科  員に選任された。 同日  分科員神門至馬夫君及び広瀬秀吉委員辞任に  つき、その補欠として久保三郎君及び安宅常彦  君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員安宅常彦委員辞任につき、その補欠と  して阿部昭吾君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員阿部昭吾委員辞任につき、その補欠と  して森本靖君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  第一分科員兒玉末男君、西風勲君、第三分科員  大原亨君、太田一夫君、後藤俊男君、佐野進君、  島本虎三君、田邊誠君、堀昌雄君、第四分科員  板川正吾君、小沢貞孝君、吉田賢一君及び中野  明君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十三年度一般会計予算運輸省及び郵政  省所管  昭和四十三年度特別会計予算運輸省及び郵政  省所管  昭和四十三年度政府関係機関予算運輸省及び  郵政省所管      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  昭和四十三年度一般会計予算及び昭和四十三年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十三年度政府関係機関予算中、日本国有鉄道関係を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川分科員 国鉄運賃問題で一、二伺いたいと思います。  まず運輸大臣に伺いますが、今回国鉄では大幅な定期運賃値上げを申請をして、運輸大臣権限でこれを認可するようであります。しかしこれは、財政法三条の、国家の独占的な企業に属する料金等の決定については国会議決をすべしというたてまえがありますが、この趣旨から見れば、国会議決を経ないで大臣がやるということは、どうも財政法趣旨に沿わないんじゃないか、こう思うのでありますが、大臣はいかに考えておりますか。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 税の問題あるいは国民一般に対して負担がかかるような、国が債務を引き受けるとか、そういう問題は、国会権限であるのは当然のことであると思いますが、料金の問題、使用料問題等は、必ずしも国会権限というよりも行政権の範囲内にあるように思いまして、国鉄運賃等行政権でやっても差しつかえないものであろうと思います。
  5. 板川正吾

    板川分科員 法制局に伺いますが、国鉄運賃法によれば、大臣認可権限のようにあるわけです。しかしこれは、国鉄運賃法自体が、財政法のたてまえからいうと矛盾しておるんじゃないか、こういう感じを持つのですが、法制局はこの点どうお考えですか。
  6. 角田礼次郎

    角田政府委員 お答えいたします。  財政法には御指摘のとおり第三条規定がございますが、同時に財政法三条特例に関する法律というものもございます。両者をかね合わせてみますと、現在の法制のたてまえとしては、ただいま御指摘のようなことが直ちに財政法違反というふうにはなっていないと考えます。
  7. 板川正吾

    板川分科員 私は財政法違反と言ってない。少なくとも財政法趣旨に反する規定ではないか、こういうふうに考えておるわけです。国鉄運賃法ができましたのは昭和二十三年でしょう。当時の状況からいえば、定期旅客というのはごくわずかしか乗っておらなかった。だからそのときは、国民全体に対する影響力が小さいから、軽微なるものとして大臣認可権限にゆだねるということであったと私は思うのです。しかし今日においては、国鉄乗客の七割以上が定期券利用者である、こういうことを考えれば、財政法のたてまえからいって、国鉄運賃法というものが趣旨に合わなくなってきておるんじゃないだろうか。大臣は、税金とかそういうものは国会できめるが、国鉄の場合はそうじゃなくていいと言いますが、これは財政法三条に書いてありますとおりに、独占的な国家の事業については原則として国会の承認を得るというたてまえに立っておるのです。そういう意味で、財政法違反だとは私は言っていない。少なくとも財政法のたてまえからいうと、いまの国鉄運賃法が事情に即さなくなった。二十三年当時は別としまして、今日においてはこの財政法のたてまえに沿わなくなったのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
  8. 角田礼次郎

    角田政府委員 たてまえに反しているという御質問でございますけれども、財政法三条特例に関する法律は、あくまで財政法三条特例定めたものでございますから、原則的なたてまえに対する例外をきめたという意味では、確かにたてまえに反しておるといわざるを得ないと思います。しかし同時に、同じ法律でございますし、財政法三条に対してある限定した条件のもとにおいて特例定めるということが、財政法三条違反になるということにはならない。そういう意味では、たてまえに反しないといわざるを得ないと思います。
  9. 板川正吾

    板川分科員 例外というのは、いわばたてまえはこうであるが軽微なるものは例外として扱うということであったと思うのです。昭和二十三年当時は軽微な扱いでよかったかもしれない。しかし今日においては、国鉄乗客の七割以上が定期券所持者だとするならば、私は、本来の財政法三条のたてまえにはやはり反することになったのではないか、こう思うわけです。しかしこれは、そういう主張があるということを一応知ってもらえば、この点についてはまたしかるべき機会議論をいたしたいと思います。  大臣、今度の国鉄運賃値上げに対して、大臣はこれを認めるという方針のようであります。予算等にすでに盛り込んでありますから。しかし国鉄運賃法には、御承知のように第一条に四つ原則があるのです。「公正妥当なものであること。」「原価を償うものであること。」「産業の発達に資すること。」「賃金及び物価の安定に寄与すること。」この四つ原則の上に立って国鉄運賃料金等はきめなくてはいけない、こういうたてまえに立っておりますが、一体今度の定期運賃値上げに対して、この原則をどういうふうに理解して値上げを認められようとされるのですか。この点を伺っておきたい。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはりいまお述べになった諸原則全般を考慮しまして、その上の総合判断に立ってやむなしという結論に達したのであります。
  11. 板川正吾

    板川分科員 四原則といっても、公正妥当とか、産業の発展とかいう点は、非常に抽象的な原則であります。私は、今度の定期料金値上げは、賃金及び物価の安定に資することにはならない、その反対だと思う。しかし、第二の原則である、原価を償うという原価主義、このたてまえからいえば、値上げはせざるを得ないということになったのではないかと思うのです。  そこで、国鉄でよく宣伝をされて、法律で五割まで割引きしているのだから、いまの七、八割という割引率は法定に反する、法律の規則に反するから、五割まで割引率を将来引き下げるのだ、こう言っておるのでありますが、五割ということは運賃原価主義のたてまえからいえば一体妥当なものであるのかどうか、これを大臣はどういうふうにお考えですか。一般お客から言えば、定期券の朝晩の通勤通学の場合には、普通の三倍からの乗車密度であろうと思います。前金を払って三倍の乗車密度で押し込まれているとすれば、三分の一でもいいじゃないか、こういう単純な議論もあるわけであります。三分の一でもいいではないか、三倍も乗っているのだから、しかも前金ではないか、こういう議論もあるのであって、五割までに当然するのだ、法律にあるのだから当然するのだという考え方は、一体五割というのが原価主義のたてまえから証明できるものかどうか、これを伺っておきたいと思います。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま通勤ラッシュ時に二・八倍とか、そういうような数字が出ているのは異常な状態であると私は思います。五割割引くというのは、国有鉄道という特殊の存在でありますので、国策にも協力する社会政策的意味も考慮してやってもらう、そういう大きな政治目的も加味されていて、国鉄に対してそのようなある程度の犠牲をしいられておるものであると思います。外国の場合は、そういう場合には国が補助金補給金を出して保障している向きもありますが、それはよくその精神を表明しているものであろうと思います。日本の場合、いままではそういうような保障制度というようなものはございませんけれども、国有鉄道財政が非常に危機に瀕するような場合には、やはり国家がそういう部分はめんどうを見ていくのがしかるべきであると考えております。
  13. 板川正吾

    板川分科員 私が伺っているのは、国鉄運賃法には原則四つあるが、その中心をなすものは、原価を償えというたてまえが大きな具体的な規定だと思うのです。そういう規定がありながら、国鉄のほうでは五割まで割引率を引き下げる、五割というのは法律にきまっているではないか、当然ではないか、こういう考え方に立っておるから、しからば五割というのは原価計算した上で、はたして妥当な基準であろうか、こういうことを伺っておるのであります。これまた大臣あまり検討してないようでありますが、どうも国鉄宣伝が当然五割なんだというたてまえに立っておる。しかし、一般乗客の中には、三倍近くもすし詰めされて、前金払っているではないか、だから三分の一だっていいはずだ、こう思っている人がある。これに対して納得ある答弁、解明を与えなければ、運賃値上げに対する世論の批判運輸行政に対する国民批判というのが高まってくる、こう思うのです。いかがですか。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私が申し上げたいことは、国有鉄道というものは普通の私企業体と違って、いわゆる国有という名前がついておるように、多分に公共性を持っておる存在である。そういう面から、社会政策的仕事も一部負担していただく、そういう面から割引という問題が出てきておるのであります。その割引の部面に関しては、原価を償わない要素があるかもしれませんが、それは国有鉄道という公共性にからんで、ある程度犠牲を負担してもらっておるのだろうと思います。ラッシュ時の混雑とか、あるいはいまのように前払いをしているとか、いろいろな問題がございますが、混雑の問題は、これは異常な問題であると考えなければなりません。前払いの問題は、それでも原価をオーバーして国鉄のほうでもうけているかというと、私は、計算してみればそうではないだろうと思うのであります。結局は定期旅客に大きなサービスをしておることになるだろうと思います。
  15. 板川正吾

    板川分科員 大体質問予告をしましても、運輸省でどういう点を質問するんだということを前もって連絡には来やしないんだから、大臣の話と私の話は常に食い違っておる。だから大臣運輸省全面改革をしろなどと言ったって、実際官僚が協力していないわけです。しかし時間がないから私はその程度にとどめて、次の問題を指摘したいと思います。  一月二十四日の新聞にこういう記事があります。「営団地下鉄九号線の常磐線乗り入れにともない複々線工事で、二月一日から常磐線綾瀬駅が二百九十メートル松戸方向移転することになった。ところが国鉄台帳には日暮里——綾瀬間の距離がまちがって記入されていたため、国鉄移転機会にこれを訂正、台帳の上では「四百メートル」移転することになった。このため目黒、鶴見、高田馬場、荻窪など東鉄管内二十六駅から綾瀬駅までの運賃が十円高くなり、松戸取手、東我孫子からは逆に十円安くなる。綾瀬駅は昭和十八年四月一日に開業、その時の鉄道省告示では「日暮里から七・三キロ」となっておりこれによって運賃計算をしていた。ところが常磐線複々線工事綾瀬移転にともない測量しなおしたところ、同駅は日暮里から七・三九キロあり営業キロ計算では「七・四キロ」としなければならないことがわかった。つまり四捨五入するところを切り捨ててしまっていたわけ。定期代値上げなどではこまかい計算をたちどころにやって「数字に強い」はずの国鉄にはめずらしいエラーだが、これによって綾瀬から都心部へ通う人たちは長い間十円ずつ得をしていたわけ。逆に松戸取手などから綾瀬へ来る人は十円損をしていたことになる。綾瀬から東京方面へ来る旅客松戸方面へ行く旅客は九対一ぐらいの比率。したがって国鉄は同駅開業以来二十五年間に約八百万円損をしたことになるという。国鉄は駅の掲示などで「綾瀬からの運賃が変わります」とあわててPRを始めたが、綾瀬駅から国電で都心へ通勤する人たち定期代は、四月一日からの定期運賃値上げ分の上に、「営業キロ変更」にともなう値上げ分が上積みされることになった。」こういうことでありますが、これは実際の距離よりも間違って多く取っていた分は、民法七百三条法理から言いまして不当利得、これは返還する義務があるんじゃないか。国鉄がよけい取っておったお客返還する義務があるんじゃないか、こう思うのであります。また少なく取っておったのは、これは民法七百五条の非債弁済法理からいいまして、これは弁済を要求することができない。だから少なく取っておったものは追徴するわけにいかないが、よけい取っておった方には、私は弁済する義務があるのじゃないか、こう思うのであります。しかし民法百七十四条の三号で、過去二十五年間払えというわけにいきません。これは運賃等の場合には一年間の短期消滅事項になっておりますから、少なくともこの一年間よけい取っておった、高くしておったお客に対して——定期券の客は住所氏名もわかっておるでしょう。その他一般の客にもそれを証明して請求があれば、私は当然国鉄は支払いをしなくてはならぬ、こう思うのでありますが、運輸大臣この点はどうお考えですか。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 常磐線綾瀬駅の現行営業キロ程は、昭和十八年に設定されて以来約二十五年にわたって実施されてきたものであり、制度的、社会的に見て、ほとんど定着してきたものということができます。しかし当時における営業キロ設定については、端数整理処理方において適切でなかったことが最近発見されまして、今後はこれを本来の処理方によって修正するとともに、営業キロ設定について再びこのような過失のないよう十分注意させたいと思います。  なお、この国鉄旅客運賃は、国有鉄道運賃法三条によって営業キロキロメートルごとに所定の賃率を乗じて計算した額とされています。一方営業キロ国鉄総裁が十キロ基準として定めることとなっているが、営業法三条により公示すれば、それが有効となるもので、運賃法に規制されるところではありません。したがって、国鉄総裁が公示した営業キロによって収受した運賃は、法律的には有効であり、返還の必要ないものと考えております。
  17. 板川正吾

    板川分科員 いま読み上げたように、国鉄総裁なり国鉄責任者は、実際のキロを告示するということになっておるのですよ。ところが実際のキロと告示されたキロ数が違っておるのでしょう。だから実際のキロに従って運賃を取るというのがたてまえになっておる。実キロ中心とする。ところが実キロと公示されたキロ数が違っておるのです。だから、多く取っておった分には本来そういう債権がなかった、実キロ中心として考えた場合、そういうよけい取るだけの権利がなかった。そういうことになっておるのです。だから私は、よけい取っておった分は受益者返還義務として当然返還すべきではないか、こういうたてまえをとっておるのですが、この点法制局の理解はどうです。
  18. 角田礼次郎

    角田政府委員 ちょっと実態問題を詳しく存じていないわけですが、一応運賃法規定の上から議論を進めさしていただきたいと思いますが、運賃法には御承知のように三条普通旅客運賃について「営業キロキロメートルごとに、」云々という規定が設けられているわけです。しかしこの規定は、運賃法自体もこの規定だけで具体的な旅客運賃がきまってくるというふうには考えていないと思います。と申しますのは、第九条に委任規定を置きまして、この法律定め運賃の適用に関する細目は、日本国有鉄道がこれを定めるというふうに書いてある。したがいまして、具体的な運賃法律どおりにきめられているかどうかということについては、非常に大幅に国鉄にまかされていると申しますか、弾力的な処理が許されているのだと思います。したがって、ここにいう営業キロというものが何をさすかというようなこと、さらにまた実キロとの関係において営業キロというものを出す場合に、それをどんなふうな四捨五入をするとか、あるいはいろいろ特定の場合に、何と申しますか、五キロごとくらいにまとめるとか、そういうふうなことは全部国鉄のほうにまかされてあるわけです。  そこで具体的ないまの綾瀬のケースでございますが、運賃法三条規定違反しているかどうかといいますと、いま申し上げましたように、三条規定というのはきわめて基本的なことしか書いてございませんから、直接三条規定には違反していないということになります。しかしそれでは何に違反しているかといいますと、結局いまのお読みになりました規定から申し上げますと、九条に基づく国鉄自体定め違反している可能性が十分ある。国鉄がまかされているから、自分のきめたものだから、自分はかってに破っていいということはむろんあり得ないわけであります。九条で、いまの場合綾瀬の駅の営業キロと申しますか、日暮里を起点とする営業キロというものを出す、それから運賃を出す場合に、実キロに対してある程度修正といいますか、合理的な限度修正というものは全国全部できると思いますけれども、そういう合理的な修正限度をこえて、何か誤った数字を出したとすれば、それはおそらく九条の規定に基づく国鉄定め違反している、こういうことになると思います。その国鉄定めたに違反していることが、ひるがえって運賃法三条定め違反するかどうかというのは、ちょっともう少し具体的な事実を調べてみないとわかりませんけれども、三条規定違反するかどうかは、私はいまここで断定できませんけれども、おそらく九条の国鉄定めには違反しているのじゃないか、そういうことは言えると思います。
  19. 板川正吾

    板川分科員 いま法制局でも言いましたように、それは四捨五入の説をとるのか切り捨てをとるのか切り上げをとるのか、そういった細目は、それは国鉄できめることができる。しかしそれは対キロ運賃であるから、キロ数四捨五入方式をとっておって、そのキロ数の実際が、実キロが違っておった。だから本来高く取っておったところは取るべき運賃じゃなかった、国鉄が間違った、取るべき運賃でなかったものをよけい取っておるのだから、過去一年間の、少なくとも定期旅客運賃には住所氏名もわかっておるのだから、よけいな分は払い戻しをするのが当然だ。この国有鉄道は御承知のように国家が経営する鉄道です。国家法律をつくる。法律を守らなければいけない。法治国家です。その国有鉄道がみずから法律規定を破って、そうして間違って取っておった。何か総裁がきめることができるのだから、間違っておったきめ方でも、よけい取っても総裁がきめられるのだからそれでいいのだという解釈はおかしいじゃないですか。私は、どういう方法かは別としまして、よけい取った分をこの際国がきちんと乗客に返す、それは値上げしてもまた別問題です。きちんと法律に基づいた処置をとるのが当然ではないか、こう思うのでありますが、これに対する御意見を、大臣いかがですか。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 板川委員のお説はたぶんにごもっとものように思うところがあるとしろうとの私は思います。しかし長い間にわたってある程度定着しているようなことを現実問題としてお説のとおり処理し得るかどうか、なかなか実際の処理の問題になると問題があると思いますので、その点は国鉄とよく相談してみたいと思います。
  21. 板川正吾

    板川分科員 これで終わりますが、国鉄は組合が順法闘争をやるのはけしからぬと言っておって、自分のほうじゃ——だから法律を守らないのかもしれませんが、私はこの点はひとつ法律規定国鉄も守ってもらいたい。民間の会社ならどうか知りません。裁判やって負ければ払いますという言い方があるかもしれませんが、法律を守るべき国有鉄道法律を守らないという考え方はいけないと思うのであります。そういう意味でひとつ大臣、この点は法律に基づいた解決を指導していただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  22. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて板川君の質疑は終了いたしました。次は吉田賢一君。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 私は海上交通と漁労の安全の関係について若干お伺いいたします。時間もありませんので、ひとつ簡潔にお願いいたします。  第一、海上交通法案は、この国会で出す予定でありますかどうか。その辺の見通しについて大体説明していただきたい。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 提案する方針でいろいろ準備しております。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 会期もだんだんと進行しておりますが、本国会に成立を目途として出すのならば、いつごろお出しになる目算ですか。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 内閣で、今度成立する法案を出す日を督促しております。私の記憶に間違いなければ、来週中くらいに法案を出すように、たしか督促されておると思います。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 事務の方でいいのですが、大体、この法案のねらい、それから範囲と申しますか、その辺の概況だけでよろしい、内容には触れぬでよろしいですが、お願いします。
  28. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 今回の法律のねらいの第一点は、最近激増してまいりました大型船等の港へ入る狭水道等における交通の規制並びに原油、LPG等の危険物積載船舶の港内における危険の防止、あるいはそれに基づく大きな災害の防止ということがねらいでございます。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 現行の海上衝突予防法、港則法並びに政令である特定水域航行令など、これの運命はどうなりますか。
  30. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 海上衝突予防法は、内水、領海、公海、世界至るところの海上で適用される国際的なルールでございますから、これは変更する意思は全然ございません。特定水域航行令は、海上衝突予防法の特別規定として、一定の狭い水域に適用される法律でありますが、ただいま申し上げました最近における大型船あるいは危険物積載船、交通量の激増、そういう点に対しては不十分であるというふうに考えております。   〔主査退席、湊主査代理着席〕  また港則法は、港内における交通の安全と整とんを目的とするわけでございますが、同様に、最近の港湾内における船舶の込みぐあい、危険物の増大という点から見て不十分の点が多いので、これを改正いたしたい。したがいまして、結論としては、特定水域航行令、港則法、この二つを発展的に解消して、新しい法律案にいたしたい、かように考えておる、こういうことであります。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 海上交通のふくそうに関しまして、ただいまの狭水道における交通のふくそうの状況、それからこれら海域における交通事故、海上事故などの状況、またこの事故の原因、結果。大体この辺を、ごく簡単でよろしゅうございますから、概況だけ御説明願いたい。
  32. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 典型的な狭水道といたしましては、浦賀水道、明石海峡、備讃瀬戸、来島海峡等でございますが、これらの水道における交通量は、だんだんふえてまいっておりまして、現在浦賀水道におきましては、一日約六百二十隻、明石海峡におきましては約千四百隻、備讃瀬戸は東部、西部とございますが、東部のほうで千四百隻、西部のほうで約八百隻、来島海峡が同じく八百隻程度の交通量を持っております。最近目立ちますことは、これらを通る通峡船舶の数がふえるだけでなくて、型が大きくなっているということでございます。  なお狭水道における交通の事故は、昭和四十一年におきまして百七十四件でございます。これは主として小型機船、機帆船が主でございますけれども、大体港内と狭水道、あるいは狭水道に至らざるまでも、領海の近辺における三海里未満の事故を合わせますと、全体の海上事故の七二%が、そういうところに集中しておる、こういうことでございます。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 衝突その他事故の結果、特徴的に申しましたら、どういうような被害もしくは結果があらわれているでしょうか。
  34. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 港内を含めて狭い水域における事故の大部分は、乗り上げがまず第一であります。次に衝突、あとは一般的に機関故障あるいは転覆等々の事故でございますが、それによって最近目立ちますことは、小型の機船の事故が非常に多くなっておる。さらにその中にはタンカーが含まれておるのでございます。幸いにしてごく最近には小型タンカーの大事故は起こっておりませんけれども、かって京浜運河において大きな事故があって、三十数名がなくなりました。また室蘭港において大型タンカーの火災事故が発生いたしまして、二十八日間にわたって燃え続けたというふうなこともございます。瀬戸内海等における大型タンカーの事故は、幸いにして起こっておりませんが、小型のタンカーの事故でも、それによって生ずる水産関係に及ぼす影響と申しますか、被害というものは相当憂慮されております。現在までも小型タンカーの事故で私どものほうで多数の船艇を動員して、油の中和、拡散防止というようなことをやったことも、相当多いわけでございまして、要するに狭水道あるいは港内等における油その他の危険物の事故は、船だけの事故にとどまらないで、水産あるいは沿岸の工場その他に大きな災害をもたらす可能性をひそめておるという点が、一番問題であろうかと思います。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 これは社会経済の発展等に伴いまして、新しく起こってまいりました公害のあらわれかと思います。交通戦争ともいわれる時代に入っておりますので、行政的に申しましても、行政需要の最も緊切な課題であろうかと考えます。陸上における交通の安全ないしは円滑、敏速化、合理化等も必要でありますけれども、同時に海上におきましては、一そう陸上よりも注意こまかくしていく面があるのではないか、こう考えるのです。  ことに狭水道につきまして、これから本論に入りまして内容を伺ってみるのでありますが、特に瀬戸内は、あの瀬戸内というものが漁業者の立場にとりましたら、一つの生活の場であります。それからまた生産の資源の場であります。こういうふうで昔から往古以来の一つの世界を形成しております。そこへもってきて最近の文明によりまして新しい航路、新しい大きなタンカーその他交通事故等々頻発しております。  そこで漁業との関係になってくるのですが、この辺は相当微妙な問題でございますので、だんだん伺ってみたいのですが、第一、航路は、特定の水域における航路、一定の航路というものは、法律の内容として設定をするのでございましょうか。この点いかがでしょうか。
  36. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 従来の特定水域航行令は、特定水域といういわば一つの面をきめておるので、今回の法律案で考えておりますことは、そういう水域内において一定の幅と長さを持ったほんとうの航路、帯状の水域を明確に定めたい、かように考えております。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 場所を指定し、幅員を指定し、ないしは方位を指定する、こういうことはかなり厳格におやりになるお考えですか。
  38. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 今回の法律案の中で具体的な場所まできめるのはなかなかむずかしいと思いますので、政令にこれをゆだねておりますが、従来の特定水域のきめ方とは異なりまして、たとえば備讃瀬戸でございますと、幅は七百メートルというふうにはっきりきめて、しかも物的標示、すなわちブイ等でその場所を明らかにするということを考えております。  また、政令できめます前段階の手続といたしましては、関係者の意見を正式に聞く場を持って、航海関係の方、あるいは漁業関係の方、さらにはそれに関連ある都道府県等の意見を十分聞いた上で、さらに、もちろん政令でございますので、水産庁とも話し合いのついたものについて指定をしていく、かように考えております。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 政令にゆだねられる水域、航路の特定の件ですが、これは従来も、特定水域航行令によって、備讃、来島、釣島などが指定されておりますが、運輸大臣告示によりまして播磨航路とかその他があるようでございますが、この瀬戸内は、船舶のふくそうがかなり激しいようでございます。日本じゅうで明石海峡が最高のようでございます。明石海峡は一日の平均が千三百八十一隻ということになっておるようでございますが、急流であるし、また漁業地区でもあるし、あるいはまた漁業権の設定されておる地域でもありますから、この辺はかなり微妙であると思いますが、漁業権の存在する地域と航路を設定する地域のクロスするような面ができましたときは、それはどうなりますか。
  40. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 現在私どもが事務的に検討しておりまする、一定の幅と長さを持った航路は、現在瀬戸内海等で設定をしております漁業権の水域とひっかかる面はほとんどないというふうに考えております。従来の特定水域では、漁業権を設定しておる場所と重なっておるところが若干ございましたが、今回の一定の幅と長さを前提といたしますれば、ほとんどないように記憶をいたしております。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 漁業権というのは、広義の意味でなくして、つまり物権を設定し得るようなあの漁業権です。だから、県庁内で、免許漁業と申しますか、そういうものはどうかと思いますが、少なくとも特定した地域に幅を制限しまして、場所的に区域をきめました漁業権というものはかなり重宝なものであると考えます。その辺は、それを侵さないような範囲内において航路を設定するという目標で検討を続けていく、こういうことになるのですか。
  42. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 私どもは、まず第一に、狭い水域におきまして、ある程度の大きさの船がひんぱんに通らなければならない、ほかは通れないという場所について、限定した場所を航路として設定をいたしまして、ある一定以上の大きさの船はこの航路しか歩いてはいけない、かってに外を歩いてはならない、あるいはその航路の中は中央で左右に分離をいたしまして、右側航行を厳格に守らせるということで一定の流れをつくっていくというのが目的でございまして、漁業との関係におきましては、幸いにして、先ほど申し上げましたように、いわゆる定置網その他のいわゆる漁業権漁業というものは現在のところほとんどひっかかっておりません。と申しますのは、数年前から水産庁とお打ち合わせをいたしておりまして、漁業権の免許の更新その他の場合には、海上交通の事情をよく考えていこうということでそういう処置がとられております。漁業権につきましては大きな問題はない、かように考えております。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 水産庁にお尋ねするのですが、播磨灘に東西十二キロ、南北広いところで約八キロ、通称鹿ノ瀬といっておりますが、非常に広域な漁業権の存在する地域がございます。あの辺の数千家族がこれによって漁労を営んでおるという重宝な漁場でございますが、あなたのほうでは、本法案によりまして、これが侵害されるとかあるいはそれと接触するとか、何かその辺については研究された事実がございましょうか。
  44. 久宗高

    ○久宗政府委員 海上交通法案の問題につきましては、海上保安庁のほうでも非常に慎重に御検討なさいまして、具体的な、先ほど申されました交通の路線につきましての案をごく最近にいただいたわけでございます。  そこでただいま御質問は漁業権との関連であるわけでございますが、漁業権は漁業内部の一つの形でございますので、一般的にそこで漁民が生活をいたしておるわけでございます。さようなものと、現在保安庁でお考えのような形のものとどう調整するかという問題につきまして、具体的な水路が指定されるにつれまして、私どものほうの検討も進めておるわけでございますが、いまその点を詰めておるわけでございます。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 やはり新しいこういう法律でございまするし、また海上が交通路を設定せられまして非常に規制されるということになりますし、また大型船舶、危険物の登載、災害等々が今後いろいろ想定されることを思いますと、一そうその辺につきまして調整は綿密に実地に即しましてお互いにやっていただくことが今日の紛争を少なくするゆえんであろう、こう考えるのであります。もし将来航路設定の際に、航行につきまして漁業権が侵害されるというようなことになりました際、これは救済法規、たとえば陸上における自動車損害賠償保険のごとく、すぐ損害を査定いたしまして、補償していく等々、いろいろな法律ができておりますが、そういう事故、災害に備える準備でもあるのでしょうか。その点いかがですか。
  46. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 海上交通に伴いまして、一般的に漁業に損害を与えるということは、私どもは一応民事上の問題というふうに考えております。いま準備をしております海上交通法案は、申すまでもないことでございますが、道路交通法同様、公法の分野でございます。損害賠償等についての当事者同士のことを規制するものではございません。ただお話は、たとえばタンカーがある種の事故を起こし、それによって生じた油が相当広範囲にわたって漁業等に損害を与える、しかも、そのタンカーの所有者と申しますか、責任者がさして資力のない場合に、この大きな損害をどう処置するかというふうな問題であろうと思います。この問題につきましては、運輸省の内部におきましてある種の保険的な制度によってそれをカバーしていくというふうな考え方を現在検討しておる状況でございます。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 これは御検討いただきまして、将来に過誤なき制度としてぜひとも実現させることが私は必要だと思うのです。これは一種の公害現象と見るべきなんです。公害現象と見ましたならば、たとえば陸上におきまして砂利トラが人をひき殺して逃げてしまい、資力がなくて賠償する手がない、いたずらに被害者だけ泣かしておるというようなことやら、最近のむち打ちなんかによりまして深刻な被害があちらこちらで悲劇を起こしております。こういうことを考えますと、海上におきましてもそういうことは将来は絶無とは言えないと思います。したがいまして、民法にゆだねるという緩慢なことでは新しい事態に即応するところの法制ではないと私は思います。やはり公害現象というものを、新たに起こってきたこの交通戦争といわれるようなそういう激甚ないろいろな世界に向かって、法制的準備というものは、いまおっしゃるように十分御検討願って、保険なら保険とか共済なら共済とか、何らか即応の態勢で法律制度を整備していく、こういうふうでなければ私はなるまいと思いますが、その辺につきましては今後の問題として十分検討してもらいたい。そしてまた、法律がもうすぐ、来週出るということであれば、法律に間に合わなければ、臨時に政令によりまして、何らか経過的な規定でも設けまして、将来また法律改正する、こういうふうにお進めになって、いずれにいたしましても、その辺の問題は将来ありますから、十分に御研さんになってしかるべきだと思います。これは希望だけ申し上げておきます。  それから、この法律につきましては罰則の規定はあるのでしょうか。
  48. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 今回この法律に吸収さるべき港則法について、ある部分については罰則がございます。それらの点は当然新しい法律に引き継がれますけれども、いわゆる航法、航海する方法に属する部分、と申しますことは、海上衝突予防法等に船舶がお互いに衝突するような見合い関係、横切り関係になった場合の船の操縦のしかた、あるいは漁船を避くべきこと、あるいは特水令によると漁船のほうから船舶を避くべきこと等の規定があります。これらを一括して私ども航法規定と言っております。これについては、海上の特殊事情にかんがみて、罰則を設けることは考えておりません。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 交通の規制につきましては、そうすると、横断とか一方通行とかあるいは右折とか左折とか、その辺はかなりこまかく法律できめるのですか、政令ですか。
  50. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 法律の中に、一方通行、右折、左折ということをきめることができる、その場所は政令あるいは省令できめるというふうに考えております。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 新規の工作物の問題ですね、港外の工作物設置の問題ですが、これはどういう範囲のものを制限するのですか、もしくは禁止するのですか。
  52. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 私どもは工作物一般考えております。しかし、漁業関係につきましては、真珠いかだ、ノリしびその他いわゆる定置的な漁業については、いろいろな漁具を設定いたしまして、これはほとんどすべて漁業権漁業でございますが、そちらのほうで措置されますので、工作物の中から漁具は除くというふうにいたしたいと考えております。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 最近の漁業につきましては、栽培漁業というものが発達しつつあると思うのです。したがいまして、例の魚礁のほうもかなり大じかけなものをつくるわけでございますが、この辺もやはり漁具の一種として認定する、こういうことになるのでしょうか。
  54. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 工作物という定義でございますけれども、やはり一つの建物とか土地とかあるいは試錐やぐらとかそういうものを考えておりまして、魚礁等が直ちに工作物になるかどうかはっきりいたしませんけれども、いずれにいたしましても、港の外でそういう場所について魚礁等を設置するのは、それによって水路が全く狭められるとかいうことでない限り、航行に支障のない限り、そういうものは問題にいたさない、かように考えております。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 積載物等の制限などをいろいろとされるようでございますが、その制限につきましては、船長とか船主とか、そういった方面にかなり直接の義務とか扱いの責任とかいうものが強化されていくとか、そういう辺の規定法律化するのですか。
  56. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 現在危険物の取り扱いにつきましては、船長あるいは船舶所有者にいろいろな義務が課されております。また行政指導で相当なこともやらしておりますが、現在の危険物のふえた状況から見ますと、まだ非常に不十分であると考えますので、船長、船舶所有者に対して相当な義務を強化すると同時に、それに関連する、たとえば石油産業等についても、協力義務——直接な義務はなかなか困難でございますけれども、事故が起こった場合にこれを食いとめるための協力の義務等も規定していきたい、かように考えております。
  57. 湊徹郎

    ○湊主査代理 あと三分ですから、結論をお急ぎ願います。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 この一問で終わります。  長官に伺いまして、なお最後に大臣からもちょっと聞いておきたいのでありますが、私のいろいろ御質問いたしました根拠並びに目標は、漁業権、漁労と交通安全と、両全を期して調整をはかっていく、事前にいずれもがそれぞれあやまちをおかさないような法制であっていただきたい、もし漁業権が侵害されるような結果が生ずるならば完全に補償されていかなければならぬ、かような角度から伺っておるわけでございます。したがいまして、これはまだ国会にも出ておりませんので、農林省といたしましては、運輸省と十分に連絡をおとりになりまして、漁業権、漁労権を守るという線をくずさないように、ぜひとも両者提携をいたしまして法律を作成するというふうに協力をしてもらいたいと思います。この点はひとつ運輸大臣も、各省大臣一致の態勢でないと法律になるまいと思いますから、その点特に御配慮をいただきたいと思いますが、御所見を両方から伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいまの御趣旨は厳に肝に銘じまして順守してまいりたいと思います。
  60. 久宗高

    ○久宗政府委員 水産庁といたしましても全く同感でございまして、御趣旨のような形で十分御協議をいたしたいと思います。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)分科員 終わりました。
  62. 湊徹郎

    ○湊主査代理 これにて吉田賢一君の質疑は終了いたしました。  次に太田一夫君。
  63. 太田一夫

    太田分科員 運輸省関係の予算についてお尋ねをいたしたいと思いますが、その中で、特に私は重点を予算の説明の鉄道関係の第四にしぼってみます。  第四には、中小私鉄の振興に必要な経費として七千九百六十六万七千円が計上されております。これは地方鉄道軌道の欠損等に対して補助金として交付されるものであり、目的は地方住民のための交通を確保し、民生の安定に寄与することとしておられるのであります。私は、これは振興整備の法律に基づきますところの具体的な措置として逐年行なわれておることでありますから、非常にいいことだと思うのでありますが、まあこの金額の多い少ないということを議論するところに結論がきますけれども、私はそれは抜きまして、最初一つ具体的な例として大臣にお尋ねをしたいのであります。  日本国有鉄道であるとか、私鉄の大手十何社というところになりますと、だれでもよく知っておるわけです。国鉄はこういう規模であり、こういう内容だ、あるいは東急、東武、西日本、名古屋鉄道ということになれば、およそどういうことをやっておるかわかっておる。これは私鉄ということによって代表されておりますけれども、日本にはそういう大手だけじゃないので、実はどえらい百幾つの中小私鉄がありまして、百をこえる中小私鉄というものは、どちらかというとあえぎあえぎ経営をしておるわけです。その中に、北海道に北海道拓殖鉄道というのがございます。帯広の近くの新得という町から出ておりまして、これは従業員も百人以下、六、七十人の会社でありまして、まことに小さな鉄道であります。営業キロは約三十キロくらい、三千万円の資本金をもちまして創立された会社、そうして一年間の運収が六千万円ちょこっと、そしてこれは一割くらい経費のほうが多うございまして、何百万円という欠損を出しておるのでありますが、この鉄道がこのほど札幌陸運局から、監査の結果、その橋とトンネルが営業用として不適格だからこれを改修する必要がある、改修をしなければ営業してはならない。しかたがありませんから、二月の十一日の祭日を記念といたしまして、それからしばらく営業を休止するということに相なった。三十キロの中の二十キロは営業休止である、あと十キロだけでやるということでありますが、それじゃ営業が成り立たない。早晩これは廃止、倒産の運命に際会するわけでありますが、こういう私鉄を一つの宿命としてごらんになるのか、いまの助成の精神からいって地方住民のための足として確保するということが必要だが、このわずかの金の中で少しでも回して、それを救ってやろうという気持ちになるのか、倒れるものならしかたがないというところでありましょうか、この辺の御所見をひとつ承りたい。
  64. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地方の中小私鉄の苦衷は、われわれも非常に同情しておるのであります。しかし、これは業態別、企業別にいろいろ適切な処理をしなければならぬということでございまして、一般的に申せば、社会的にも非常に重大なものは交付金、欠損交付等をやりまして維持させますが、多少そういう重要性が人数やその他の面で少ないものは、これは廃休止もやむを得ない。そのかわり、地元民の足を確保するためにバスで代替輸送をするとか、そのほかの措置を講じまして、地元民の便益をはかるようにしていきたいと思っております。その具体的な問題については鉄監局長から答弁させます。
  65. 増川遼三

    ○増川政府委員 北海道拓殖鉄道の件につきましては、本省といたしましても、先般陸運局から連絡を受けまして承知をいたしております。とりあえず一部休止をしたいという申請のようでございますが、これにつきましては、前にございました監査の結果、これを改修し得るかどうか、そのための資金が確保できるかどうか、並びに今後の経営の収支の実態、こういうものをよく掌握いたしまして、これに対する適切なる処置をとりたいと考えておりますが、現在出てきておりますとりあえずの休止措置につきましても、慎重に取り扱いまして、その際における休止しましたあとのバスあるいはトラックによる代行輸送の可能性、こういったものも十分考慮してまいりたいと思います。  また、当該会社の経営能力、すなわち経営者の能力というところにもいろいろ問題があるやに陸運局のほうから伺っております。この点につきましても十分なる指導をいたしまして、できることならばこの会社を存続させまして地元民の便益をはかってまいりたいと思います。  また、当該会社の従業員の措置の問題等もございまして、非常に複雑な措置が必要になってまいるのでございます。したがいまして、今後の慎重な措置によりまして、われわれ本省としてもこれの措置をとりたいと思いますが、できるだけ休止も避け、かつ将来におきまして、雪の深いところでもございますし、道路交通よりも鉄道輸送というものの要求される場所でもございますので、極力廃止ということは避けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  66. 太田一夫

    太田分科員 運輸大臣、若さと情熱にあふれた運輸大臣ということで、最も日の当たらない中小私鉄というのはあなたの政策というものを非常に関心を持って見ておるわけです。私も最初申し上げましたが、百幾つの中小私鉄というものは大体において赤字でありまして、七割が赤字なんですね。で、人数の少ないところはまあ休廃止になってもやむを得ぬとおっしゃったが、一番最初に承ることばとしてはいささか胸に刺さるのでありまして、いま増川鉄監局長のおっしゃったことばのほうは、現地の実情も御承知であるから、定期バスじゃなかなかいかないから鉄道を存続させなければならぬ、だから何か考えましょう、それが地方住民のためになる、民生安定のためになろう、こうおっしゃったんですが、これは私は縦から見ても横から見てもいいと思うのですよね。大臣、どうでしょう。そんな小さなことは考えておるひまはないぞと、こうおっしゃれば、どうもまことに小さいところの話をして恐縮でありますけれども、しかし日本全国これをまとめてみて、中小私鉄百八社といえども、六億四千八百万人の定期旅客を輸送し、三億九千五百万のその他の定期外旅客を輸送し、貨物は四千二百二十七万トンを輸送しておる、職員は鉄軌道全体で三万一千人、これだけの人がおるわけです。まあ北海道拓殖というのは七十人ほどでありますから、そう大きいことじゃないけれども、これが日本の国のいままでの地域開発のためにになった使命というものを考えてみると、今後も必要であるし、これはあまり必要でないというところは少ないと思う。少ないところは代行、かえるということは、時代の進歩とともに鉄軌道をバスにかえるということをわれわれは別に反対するわけじゃありませんけれども、人数の小さいところは何がどうなってもかまわぬというふうにそろっとおっしゃられると、ちょっとその辺こたえますが、その辺いかがですか。
  67. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中小私鉄に対して同情がないということではないのでありまして、私も現在の苦衷に対しては非常に同情申し上げるということを最初に申し上げたわけであります。できるだけ住民の輸送のために存続して、利便をはかっていただくように私どもも指導するのがわれわれの責任だろうと思っております。しかし、全国の百幾つに及ぶ中小私鉄の全部の経営を国がめんどうを見てやるというわけにもまたまいらないわけでありますから、もとは住民の便益ということが中心でありまして、やむを得ないものはバスで代替する。こういう地帯に対しましては、必ずしも軌道によるものでなくてもいいのではないか、そういう指導も私鉄やあるいは住民にもいたしまして、できるだけ地元の住民の便益本位ということで事を処していきたいというのが私たちの考え方なのであります。
  68. 太田一夫

    太田分科員 そういうことですね。そういうことでおっしゃっていただければ理解できます。そこで、いま鉄監局長がおっしゃったようなぐあいに、廃止ということは望ましくないし、ああいう雪国で鉄道を必要とするところであるからというので、鉄道を存続したほうがよかろうとおっしゃった、これも私は具体的に事実を御存じになる卓見だと思いますが、北海道拓殖というのはバスも経営しておりますが、これまた年間同じくらいの赤字を出しておるのでありまして、どっちみちそれ以外にたよる交通機関を持たない地域住民、これは交通需要というものは少ないのでありますから、非常に経営としては経営能力に問題があるかもしれませんが、なかなか私は立地的に大問題だと思うのです。  そこで、きょうは大蔵省の小宮特別金融課長においでになっていただいておりますから、大蔵省の金融課長さんから御意見を承りたいと思いますが、こういう少さいところ、たとえば年間六千三百万円の収入に対して、改良費が、陸運局のいうように改良しようとすると、鉄橋、トンネルで約六千万円要る。その六千万円が払えない、調達できないからやめてしまおう、こういうわけでございますが、いかがでございますか。これは何とか貸す方法、金融の措置を講ずる道はございますか。
  69. 小宮保

    ○小宮説明員 地方中小鉄道につきましては、従来から開発銀行、あるいは北海道の場合でありますと北海道東北開発公庫、ないしはそれ以外の地域でありますと中小企業金融公庫といったような機関からかなり財政資金を流しております。現在の数字を見ましても相当な額にのぼっておると私ども判断しております。  それで、先生ただいま御指摘の個別の鉄道の問題につきましては、実は私よく事情を存じません。また、政府関係機関につきましても、金融機関の場合には、できるだけ自主的な運営をさせまして金融判断を尊重する、そういうたてまえになっておりますので、私どものほうから格別何か指示とか命令とか、そういうものに類したようなことはできないたてまえになっておりますけれども、私考えますところ、いま申し上げましたように、たとえば地方の場合であれば、地方開発といったような見地から十分取り上げられる対象施設であれば、従来でもやっておりますし、今後もやっていくということになっておりますので、その方向で当然取り上げられる可能性もあるというふうにお答えしておきます。  なお、若干補足いたしますと、政府関係機関の場合には、やはり国民の税金ないしは非常に小零細の貯金等、そういう財政資金を原資にしておりますので、回収が確実と申しますか、そういうようなことについてはやはりたてまえはくずさない、そういう面があることをちょっと補足して申し上げておきます。
  70. 太田一夫

    太田分科員 北海道の一つの具体的な例からいまの現状というものを、特にこれは極端な例でありますけれども、申し上げて、皆さんのお考えを承ったわけであります。しかし、こういう鉄道のここがああだとか、和歌山の何々鉄道がどうだとか、あるいは裏日本のどこどこはどうだというようなことを言っていたのでは、これは次から次と出てきますから、何かハエを追うような感じになるのです。そこで私は、抜本的な何か対策はなかろうかと思うのです。運輸省におきまして、基幹的には国鉄あり、そしてまた大都市周辺にはこれを補完する意味においての大手私鉄あり、こういうもののほかに、ローカルには、いまの百幾つの会社の半分くらいが赤字だという、こういう弱小会社が地域の交通機関の使命をになっておる、こういうところあり、三段階になっておるわけです。これを将来どうしていったら地域住民の要望にこたえ、それぞれ交通機関としての使命を発揮させることができるかを考えるべきで、何とかお茶を濁したのではかわいそうだと思うのです。それではあまりにも定見がなさ過ぎると思いますので、私は将来の何かがないのだろうか、この点をひとつお尋ねしたいと思うのです。  時間の関係上、ちょっと私見を申し上げて恐縮でありますけれども、たとえばいま日本に陸運局というのが九つある。九つの陸運局というものによって、一つの陸運局を単位にして統合するということはいかがなものであろうか、分割ではなく統合するということはいかがなものであろうか。中小の私鉄を対象とするもので、大手とか国鉄とかいうものは抜きにしております。この場合には中小私鉄だけでなくて、場合によってはバス事業もあわせて統合するということにしまして、有機的な交通網の発展をはかりながら地域住民の要望にこたえていく。そしてまたそれが企業としても事業としても成り立っていくように考えることができるならば、あまり大きくめんどうを多くの方におかけすることなくして、これがうまく運営されることができるのではなかろうかという気がする。そういうことについてお考えになったことがあるでしょうか。これは大臣、あなたから……。
  71. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は考えたことはございませんが、いまお話を承りまして、一つの検討すべき御提案であろうと思います。ただ、中小私鉄はみな私的資本から出発して、経営内容とか人的構成とか、非常に複雑な要素がありますので、陸運局ごとにそういう統合をやるということが自由主義社会においてはたして適当であろうかどうか。昔、企業整備をやって、ずいぶん国民に御迷惑をおかけいたしましたが、そういうことも考えてみますと、慎重にならざるを得ぬと私は思います。しかし私鉄あるいはバスの相互の連携とか、あるいはある場合には協業とか、そういうことによってお客さんの利便を促進するということは十分考えられることであると思います。
  72. 太田一夫

    太田分科員 協業という思想でもいいと思いますが、私は、大蔵省の税制第一課長さんがおいでになりますから、税の立場からもちょっとお尋ねしたいのでありますが、これだけ相当苦心をして、施設も荒廃しておるにかかわらず、法人税を年間どれくらい徴収されておるかというと、大体三十二億円、それでこれらの企業が払っておるところの借金の利子というのがすべて合わせて百五十五億円、そういう状態でありながら法人税を約三十二億円払っておるのであります。統合いたしまして、ある程度の黒字を出しておるところもあるでしょうが、赤字のところも経営の合理化等ができますし、あるいは不当な競争というものもなくなってまいりますから、相当合理化されてきて、経理の内容も改善されていくと思うのでありますが、法人税を、こういうまさに倒れんとするところからはあまり取るべきでないと思うけれども、これは税法のたてまえから自然取らざるを得ないことになっておるわけですね、内容はどうだとかこうだということなしに。そこで、かりに陸運局管内ごとにまとめて、たとえば北海道なら北海道の十四社がまとまってくると、いま法人税はこれはわずか五千五百万くらいしか払っておりませんけれども、これは一緒にしますと払えなくなってまいりますが、払えないということでなしに、私的資本に公的な資本を入れて——公的資本というのは道であるとかあるいは市町村であるというような地方公共団体の出資などを加えて、何か公益法人のごときものにしまして法人税を免除する、こういうことをしたならばおもしろいのじゃないかと思うのです。大蔵省の税の体系から考えていただいた場合には、これはいかがなものでしょうね。
  73. 大倉真隆

    ○大倉説明員 お答え申し上げます。ただいまの太田先生の御提案、非常に興味深く伺いましたのですが、そういう政府出資なりあるいは公的資本をもちます公益法人というものがこの運送事業をやることを一般的にどう考えていくか、これは運輸省のほうで御方針をお立て願う問題であろうかと思います。そうなりました場合に税をどういたしますか、それは従来のいろいろのものの考え方から、十分均衡のとれるように扱いながら、かりに公益法人課税をするとすれば、これは収益事業についての課税を行なう、非収益事業については行なわない、収益事業の収益から非収益事業に資本提供をした場合にはある程度損金勘定を認めるというような、いろいろの考え方が出てまいるかと思います。ただ、運輸事業というもの自体をそういう連携の場合に収益事業からはずすということ、これは非常にむずかしい、これをいろいろ非収益事業とすることはむずかしいと思いますけれども、いずれにしましても、運輸省のほうでもしそういうお考えを今後発展さしていかれるということでございますれば、私どももまたそのようにいろいろ検討はさしていただきたいと思います。
  74. 太田一夫

    太田分科員 自治省の固定資産税課長さんおいでになっておっていただきますが、かりに地方自治体が出資をする公益法人として、地方の中小私鉄が大同団結をいたしました際、固定資産税の特例ということは考えられるでしょうか、どうでしょうか。
  75. 山下稔

    ○山下説明員 私鉄の固定資産につきましては、現行法におきましても、輸送力強化あるいは事故防止の見地から、非課税もしくは課税標準の特例を設けることによりまして、かなり広範な軽減措置を講じております。ただいま先生の御提案になりましたような形で企業が統合された場合に、固定資産税を軽減するという考え方につきましては、固定資産税という税の性格から慎重に検討をしなければならない点が多々あると存じます。しかし御趣旨はよくわかりますので、もしそういう御提案が具体化する段階になりました場合におきましては、貴重な御意見として十分慎重に検討さしていただきたいと思います。
  76. 太田一夫

    太田分科員 鉄監局長、いまの私鉄は、私鉄なんというのは昔からいなかのバスはおんぼろ車といわれるごとくに、おんぼろ私鉄が非常に多うございまして、はたから見ておると、もうちょっと新陳代謝を強化いたしまして、輸送の使命に沿うように何かやらなければいかぬということを思うのです。ところが、運輸省の方針も収益中心ですね。たとえばバス路線の認可を申請いたしましても、その路線がバランスが合うかどうか、赤字ということになったら認可されないわけですね。これは妙な方針ですが、黒字にならなければいけないというので、無理したバランスシートをつくるわけでございます。そんなことを言っていいか悪いか存じませんが、そんなふうな傾向にあるわけです。そこで、利潤追求などということに重点を置いたのじゃまずいので、公共的な使命を果たすというところに交通機関を置くということが一番大事だ、こう考えるわけです。そうすると、いまの課税体系、税金の体系においては、ずいぶん苦心さんたんしておる私鉄の中小企業というものに対しては、何ら特典がなしに何でもかかるのですね。法人税もかかれば、事業税もかかれば、県民税も市民税もあるいはまた固定資産税も、場合によっては、地方によっては水利地益税などというものまでかかってくるということでございますが、何か東京都の高速度交通営団を例にするというでもなし、国鉄を例にするというわけでもありませんが、新しい時代の新しい事業体として、そういう立場から地方自治体も地域住民のためにしっかりやってくれというような意味において出資をされて、経営に参加してくるというような事業体には、相当程度税金の特典を与えていったらどうか、こういう気がするんですね。いまの状態では非常にバランスを失しておるような気がしますが、課税ということに対して何か御所見はありませんか。
  77. 増川遼三

    ○増川政府委員 従来は税制上の措置といたしましては、踏切道、それから踏切保安設備に対しまして固定資産税の非課税というようなことをやっておりました。そのほかある程度の優遇措置は講じてもらっておるわけでございます。他の産業に比較いたしますと相当の優遇が行なわれておるわけでございます。しかし現状から見まして、非常にその公共性からいいましても、なお一そうの税制上の優遇措置はあってしかるべきものと考えるのでございまして、先ほどの統合の考え方ということも、非常にわれわれ啓発されるところでございます。今後こういった面につきましても十分検討さしていただきたいと思います。ただ、鉄道だけの統合では非常にむずかしくて、接続もいたしておりませんので、鉄道だけではメリットも考えられませんので、バスその他も含めましたもので、かっこういった中小鉄道といいますのは、やはり地域的な輸送というものが大部分でございますので、当該関係地方公共団体のほうからの出資とか、そういった考え方を十分に取り入れまして、真に公共的な性格を持たしたものということが必要だと考えます。そういう際には一般の私企業とは違いますので、しかるべき優遇措置というものは考えていただいてよろしいのじゃないかというふうに存じます。
  78. 太田一夫

    太田分科員 最後に運輸大臣からひとつ御所見を重ねて賜わりたいのでありますが、この中小私鉄百八社、三万一千人の平均給与は、臨給その他すべて時間外まで含めまして、四万八千円でございます。そういう低賃金でがんばっておるのでありますけれども、   〔湊主査代理退席、主査着席〕 これは、あなたのところはもうからぬから安くてよろしいとか、あなたのところは不便なところだから賃金は少なくてよろしいというわけでは相ならぬという気がいたします。なるべく人間並みの生活ができるようにしてやりたい、こう考えます。赤字で現在苦しんでいる会社につとめている従業員は三万一千人の中の二万一千人なんです。これくらいの人が全部赤字の会社につとめております。前途まことに暗たんとしておりますが、こういう危機に臨んでおる私鉄を運輸省としては見殺しにすることはしない、こういうことを一口言っていただけますか。
  79. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 給与の問題は労使の関係の問題でございまして、運輸省が直接どうこうするということはできませんが、しかし、いままでのお話のように、地方の中小私鉄が地方の一般住民のために相当便益をはかり、社会性を果たしておるということにかんがみまして、経営内容の改善等についてできるだけ協力してまいりたいと思います。
  80. 太田一夫

    太田分科員 終わります。
  81. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて太田君の質疑は終了いたしました。  次は、後藤俊男君。
  82. 後藤俊男

    後藤分科員 まず第一に、去年の国会で成立いたしましたあのダンプの規制法の問題でございますが、御承知のように、ダンプの規制法につきましては、現在日本全国で大体十三万台のいわば一匹オオカミがおる。これらの事故を防止するためにダンプの規制法ができたものだ、こういうように私解釈しておるわけですけれども、この十三万台のうち、約八割から九割くらいは同和地区の所有者が多い。考えてみますると、このことが同和対策の具体的な一つの問題でもあるというふうに考えておる次第でございます。ところが、この法律を具体化する場合に、今日かなり大きな問題があちらこちらにできておるようなわけでございます。といいます点は、いま言いましたように、十三万台のうち八割くらいが運送業の無免許である。しかもダンプにつきましても規制法に基づいて表示しなければいけない、こういうことになってまいりますので、まず第一番には運送業の免許をとらなければいけない。その場合に、大体七台以上ないことは運送業の免許を与えることができないんだ、こういうような方向になっております。ところが事実を調べてみると、一匹オオカミといわれるこの白ダンプは、各一人一人がかってな仕事をいたしておりまして、しかもその収入によって毎日生活をいたしておる。これが七台一緒になりまして、企業組合をつくるとか、そういうふうなことはどうしても実態に合わないわけなんです。そこで、たとえば一台か二台くらいでこの運送業の免許ということにならぬものだろうかというような声もいま起きておるようなわけでございますけれども、事実は事実の問題として、さらに先ほど申し上げましたように、同和対策の一環として、八割から九割を占めておるこの白ダンプを、交通事故から防止するため昨年せっかくできました規制法の法律を生かすためにも、実情に沿うよう、早急にひとつ方法を検討なり決定なりをしていただかなければ、せっかくの法律が無意味に終わってしまうのではないか、こういうような心配もございますので、ぜひひとついま申し上げました点につきまして、おわかりの点があればお答えいただきたいと思います。
  83. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 せっかくの御提案でございますので、よく検討してみたいと思います。
  84. 後藤俊男

    後藤分科員 さっそく検討をしていただくということでございますので、特に強調いたします点は、いまも言いましたように、十三万台のうち八割ないし九割というのが無免許でダンプを動かしておる、この点でございます。ところが、七人以上寄れば運送業の免許がとれる、こういうことになっておるわけですけれども、ところがその七台のダンプが一つの会社をつくるなり企業組合をつくるということについては、その実情から考えて、そういうことにはどうしてもできないわけなんです。各自かってな仕事を毎日やっておるものですから。だからできぬのなら、これを一台あるいは二台でも免許を渡す、そのかわり、昨年の年末にできましたところの法律に基づいて、協業化の方向へ尽して、交通事故防止の方向へ進める、こういうような前提の場合は、特別に昨年の法律考えて配慮される方向へ御検討をぜひひとつお願いをいたしたいと思う次第でございます。
  85. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 現に一匹オオカミのダンプがあるということは事実でありまして、それがまた交通上危険を持っているということも事実でありますから、実態をよく調査いたしまして、御趣旨をよく検討さしていただきたいと思います。
  86. 後藤俊男

    後藤分科員 いまの問題は、そういうことでぜひひとつお願いをいたしたいと思います。  それから、その次の問題としまして、国道一六一号線に関連する問題でございます。これはもう鉄監局長も十分御承知の問題ですが、湖西線の問題でございます。そこで、湖西線自体の問題につきましては、別にここでさわろうとは考えておりませんけれども、聞くところによりますと、来年早々には湖西線を着工しなければ予定の期限内に完成することがむずかしい、こういうふうに仄聞をいたしておる次第です。ところがこの湖西線の着工を始めますと、国道一六一号線の混雑でございます。現在二ヵ所におきましてバイパスの計画が立てられ、あるいは着工をされておりますけれども、現在においても、湖西線の着工が全然なくとも、激しいところでは四倍ないし五倍の交通量があるわけでございます。御承知のように、琴琶湖の西のほうにおきましては、近畿方面から多くの人が、夏になりますと観光地でございますので出入りをするというような関係で、まことに交通関係は複雑であり、しかも交通事故が非常に多いわけでございます。昨年の統計を見ましても、国道一六一号線の交通事故というものは驚くほどの件数になっております。これはもう私が申し上げる必要もなかろうと思います。そうなってまいりますと、湖西線の着工後さらに国道一六一号線が、それでなくともそれくらい混雑をいたしますのに、さて着工となってバスで代行輸送を行なうということになりますと、さらに国道一六一号線はたいへんなことになろうと思う次第でございます。これらの点は地元におきましてもたいへんな問題であり、特に滋賀県といたしましても県下における最大の課題であるというくらいに、今日非常に心配をいたしておる次第でございます。いま申し上げました点につきましては、先日建設省のほうにも強く要望をいたしておいた次第でございますが、建設省が中心であろうとは思いますけれども、特に運輸省等も御協力いただいて、いま申し上げました点につきましては、私が言うまでもなく十分御承知だろうと思いますが、運輸省としてどうお考えになっておるのだろうか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  87. 増川遼三

    ○増川政府委員 仰せのごとく、湖西線の着工は来年早々にもという計画でございます。その際に、当然江若鉄道の買収というようなことが具体化してまいります。ただ当初におきましては、なるべく平坦地の既存路線の使えるような部分につきましてはあと回しにいたしまして、山地等のむずかしいところから工事を始めてまいります。それにいたしましても、現在の江若線は部分的には着工することにも相なろうかと存じますので、そういたしますると、その部分につきましてはバス代行ということが行なわれることに相なります。この点につきましては現在でも相当混雑しておる模様と伺いますが、この鉄道にかわります代行バスの頻度等も考えまして、しかもこれが公共輸送を担当する地元民の足でもございますので、これは絶対に確保しなければならぬ、かつ円滑な交通の確保がせられなければならぬということでございますので、道路の関係の建設当局、それから警察当局、それから運輸関係といたしましては自動車のほうとも十分にその点につきましては打ち合わせをいたしました上で、極力そういった道路交通のふくそうというものが避けられるような手段をとって対処いたしたいと考えます。
  88. 後藤俊男

    後藤分科員 それで、いま言われましたことは大体趣旨としてはわかるわけでございますけれども、来年早々に着工しなければいけない、こういうようなことがもう目の前にきておるわけなんです。もう現在三月、さらに四月あるいは五月、こうなってまいりますと、せっかく政府のほうでも心配していただいておるやに聞いておりますけれども、間に合わないようなことになるのではないだろうか。しかも地元の県といたしましても、この問題につきましては、そのことを非常に心配しておるわけなんです。バスが四十台、五十台ですね。しかも大津なり京都方面へ通勤、通学する人を時間をきめて定期バスを運行させる、そういうことになってまいりますと、現在でも一六一号線は三倍、四倍、五倍と三十分、一時間も自動車がじゅずつなぎになりまして困るようなことも、夏になりますと往々にしてあるわけなんです。こういう現実の中から、いま局長が言われましたように、来年には心配をかけないようにしたい、こう言っておられますけれども、もう今日の段階においては、これはもっとこういうふうにして、こういう方針で進めるというくらいな考え方があって私はしかるべきではないかというふうに考える次第でございますけれども、いま鉄監局長が言われました抽象的な説明ではなしに、それなら一体これからどう考えていく、そういう具体的な方針があろうと思いますので、それがあれば、ひとつもう少し具体的な面で御説明をいただきたいと思います。
  89. 増川遼三

    ○増川政府委員 実情よく調査いたしまして善処をするよう、現地をより督励いたしたいと存じますけれども、やはりバス交通の円滑を期するためには、やはり所要のバスターミナルの整備とかあるいは道路の拡幅等につきまして、相当の措置が必要だと考えられます。こういった面につきまして建設当局ともよく相談をして協力を得たいと思います。
  90. 後藤俊男

    後藤分科員 それできのうおとといですか、建設省のほうにも私、強く要望をしておいたのですが、そのときには、非常にこの問題としては急を要する問題でもあるしということで、関係官庁なり地元の代表も集めて早急にひとつ具体的な検討に入る、こういうかたい約束をいただきまして、ぜひひとついま申し上げました問題解決のために全力を尽くしてもらいたい、こういう要請をいたしたような次第でございますので、ぜひひとつ交通関係の監督省として運輸省におかれましても、いま建設省が言われましたような方向でお互いに力を合わして解決する、しかも余裕のある問題ではございませんので、早急に解決をしていただく方向へ、地元も含めて十分なる御相談をぜひしていただきますようにお願いをいたしたいと存じます。
  91. 増川遼三

    ○増川政府委員 御趣旨に沿って対処いたしたいと思います。
  92. 後藤俊男

    後藤分科員 次には国鉄関係の問題を一、二お尋ねいたしたいと思う次第でございますが、現在東海道線で滋賀県方面におきましては草津まで複々線化されておると思いますが、御承知ごとく大阪なり京都なり、こういう方面に対する通勤者も非常に多うございますし、さらに地元といたしましても早急にひとつ米原まで複々線化をしてもらえぬだろうかと、強い要望が今日出ておるわけでございますが、現在どういうふうな計画になっており、見通しは一体どのようになっておるのか。この御説明をお願いいたします。
  93. 仁杉巌

    ○仁杉説明員 ただいま先生のお話のように、草津−京都間の二二・三キロにつきましては、四十五年三月をめどにいたしまして複々線の工事を進めております。それから草津から米原、これは東海道本線と北陸線が合流をいたしますので列車数はかなり多いのでございます。これは四十六年、五十年というような時点につきまして検討をいたしますると、四十六年時点で湖西線ができるというような事態を考え、またその時期には岡山までの新幹線も開通をするというような考え方をいたしまして列車本数を調べますと、まあかつかつもてるというふうに考えております。それから、しかし五十年時点になりますとなかなかむずかしいのでございますが、この時点では、現在の計画では山陽新幹線が博多まで延びている。したがいまして、東海道線を走る優等列車がかなり減るという問題、と同時に貨物等がふえてくるという問題がございます。そこで五十年時点においてどういうふうにこれを増強をするかというやり方でございますが、比較といたしましては、米原ー草津を複々線にするという考え方、これには一方名古屋から米原までの複々線をどうするかという問題もございます。と同時に比較線といたしまして関西線を通しまして、柘植から草津線を通して草津に出してくるという考え方、この二つがございますが、これらの工費等もいろいろ検討いたしておりまして、現在の段階では関西線、草津線回しのほうが多少安いのではないかというような工費が出ておりますが、これらにつきまして、先ほど申しました運転回数の問題と工費等を考えまして、どちらかに手をつけなければなるまいというふうに考えておりますが、現在の第三次計画を遂行している段階におきましては、いままだ検討中でございまして、四十六年以降に着工するというような考え方にまとめてございます。
  94. 後藤俊男

    後藤分科員 そうしますと、いまの説明で、米原−草津間を複々線化するか、あるいは草津−柘植間、こちらの複線化をするか、どちらにするかというような方向も現在の時点においてはまだ最終決定をしておらない。これからのいろいろな情勢を見ながら米原−草津間なりさらに草津−柘植間の複線化につい−も最終決定したい、こういうような話と私聞いておるわけでございますが、そうなってまいりますと、これだけ要望いたしております東海道線の複々線化の問題につきましては、おそらく地元通勤者のほうなり地元代表、地元県のほうからもかなり激しい陳情が行なわれておるのではないかというふうに想像をいたしておる次第でございますが、さらにこの問題とあわせて、いま問題が出されましたが、草津−柘植間、この複線化の問題でございます。これらの問題につきましても、ぜひひとつ通勤輸送緩和と申しますか、国鉄財政事情から考えてたいへんだとは思いますけれども、促進をしていただくようにお願いしたいと思うわけでございますけれども、いまの説明をできればもう少し具体的に話をしていただき、さらに現在野洲の電車基地が大体工事がほとんど完了しておるのではないかというふうにも私考えておる次第でございますが、ぜひひとついま申し上げました米原−草津間、草津−柘植間、野洲の電車基地、この辺の関連、現状、さらに三つの今後の方針、これは簡潔でけっこうでございますので、重ねてひとつ御回答をお願いいたします。
  95. 仁杉巌

    ○仁杉説明員 いま御説明申し上げましたように、当面湖東線京都−米原間の増強につきましては、京都ー草津間の複々線化並びに湖西線の完成並びにいまお話のありました野洲の電留線というようなもので対処していくというのが第三次計画の中に入っている計画でございますが、いまお話がございました通勤輸送も兼ねまして、京都−米原間あるいは京都−柘植間、これには輸送力増強を考えますと、柘植−名古屋間あるいは米原−名古屋間という東海道本線、これの複々線化の問題が俎上に上がってまいりますが、これらを含めまして第三次の遂行の終わる段階におきまして、国鉄財政の全般を考えながら決定をしていくということでよく検討をいたしてまいりたいというふうに考えております。  それから野洲の電車区の問題でございますが、現在地元のほうから非常に強い御要望がございますのは、野洲と草津の間の電車の出入りのための線路をつくれというお話でございます。これは先ほど申しました湖東線の草津から米原までの、電車の出入りのための非常に大きなネックになっているということでございまして、これらも至急やるべきであるという考え方でございますが、現在四十三年度の工事経費の段階では、どういうふうに考えていくかということを実行予算の段階ではまだ話が煮詰まってまいりません。ただ聞くところによりますと、地元の方は利用債も持つから用地買収をせないか、これらに基づいてあの辺の都市計画あるいは地域開発を進めたいというようなお話もあったようでございますので、ただいま現地の管理局、工事局等を督励いたしまして、それらの関係を調査させておりますので、前向きに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  96. 後藤俊男

    後藤分科員 いま言われました野洲基地の問題につきましては、特に、御説明もありましたように、地元からも強く要望もされ、さらに大事なところであろうと思いますので、促進をお願いしたいと思います。  さらに先ほど申し上げました米原−草津間なりさらには草津−柘植間、いろいろな情勢の中で最終決定をされると思いますけれども、特に滋賀県方面から大阪、京都への通勤、その他いろいろの関係がございますので、できるだけ早くひとつ地元の要望に沿える方向へ検討していただきますようお願いをいたしたいと思います。  終わります。
  97. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。  次は、西風勲君。
  98. 西風勲

    西風分科員 それではただいまから質問いたしますけれども、私の質問します問題はきわめて簡単な問題であります。しかも中曽根運輸大臣、石田国鉄総裁というような即決果断をもって鳴る人ですから、わかったということになれば一分か二分で終わるような内容の問題ですから、そのつもりでお答えをいただきたいと思います。  といいますのは、現在非常な不幸なことではありますけれども、交通事故その他も加わりまして身体障害者という人たちがふえてきているわけであります。ましてや身体障害児、ことに重度の子供を持っておる親たちは、列車その他に乗ります場合にもたいへん気がねをして、日陰者の思いで非常につらい思いで汽車に乗らなければならないというような状況になっておるのであります。これらの人々がほんとうに生きる希望を持って、ほかの子供たちと同じように旅行ができるというようにしていただくためには、国鉄の列車の中に車いすを持ち込むという問題について、もっと積極的な手だてをできましたら講じていただきたいというふうに思うわけであります。現在も確かに持ち込むことは可能なんでありますけれども、しかし非常に重複した手続が要りますし、おまけに費用が要るわけですね。車いすを持ち込む上で非常に複雑な手続が要るわけです。そういう点でそういう手続をなくし、さらにできましたら、車いすの持ち込みについて、これを無料にするというような処置をとっていただければたいへんありがたいわけであります。しかもこれらの人々は、自分たちの社会的責任というのを明らかにしまして、車いすの持ち込みを許していただく場合には三つのことを守ります。まず第一は、車いすを扱い得る体力と常識のある介添え者を必ず同伴いたしますというのが第一であります。第二は、ラッシュのときや季節で行事の多い混雑した時間は旅行するようなことをいたしませんというのが第二番目でございます。第三番目には、身体障害者それ自身が、社会人として車内で公徳心を厳守するようにいたします。こういう三項の、ただ乗せてくれというだけではなくて、みずから社会的な責任において、そういう自覚においてできれば車いすの持ち込みを許していただきたい。車いすといいましても一列車に何十も持ち込まれるわけではありませんし、一つの列車に一つか二つ持ち込まれれば多いほうであります。しかも、いま申し上げました三つの条件で国鉄の運行あるいは乗客に迷惑をかけないように十分な配慮をしてやりたい、こういう陳情がおそらく運輸大臣その他のところにもきているのじゃないか、きていなければ間もなくくるのじゃないかと思いますけれども、こういう点について、できましたら特別な配慮をいただくことをお願いしたいと思います。この点であります。
  99. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまのお話は、無料手回り品をオーバーして有料手回り品の規格に入っているそうでありますが、身体障害者等に対する政府の措置としては、できたらやはり無料にしてあげたい、自分の手足と同じことですからね。そういう意味で、これは国鉄の問題でありますが、ある一定の条件下に無料になるように国鉄と話し合って相談してみたいと思います。
  100. 石田禮助

    ○石田説明員 国鉄のほうにおきましても、ただいま運輸大臣がお話しになったと同じような精神であります。よく打ち合わせて今後検討してまいりたいと思います。
  101. 西風勲

    西風分科員 たいへんありがたい御答弁をいただきましたので感謝したいと思うのですけれども、これは大体月末ごろに身障者自身が運輸大臣並びに国鉄総裁に会って直接陳情したいというような趣旨もありますから、いま申されましたような内容に従って、会って、力づけてやっていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。  以上です。
  102. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて西風君の質疑は終了いたしました。  次は、見玉末男君。
  103. 兒玉末男

    兒玉分科員 国鉄当局にお伺いしたいのでございますが、昨日の新聞にも発表になりましたとおりに、物価会議が、公共料金安定ということについて、特に国鉄運賃に対して、簡単に値上げするな、こういうきわめてきびしい提言がなされておるわけですけれども、国鉄は、現在たくさんの赤字をかかえて、借金を返すために人を運んでいるという現況にあるわけですが、現在そういう状況にあっても、なお、国の政策上たくさんの公共割引、さらにまた貨物等につきましては暫定割引制度がすでに十年以上も継続しているわけですが、こういう情勢に対して、この際当局としても、国からの出資なりその他の方法を積極的に講ずるべきだと思うのですが、公共負担等貨物の暫定割引についてどういうふうな考えを持っておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  104. 石田禮助

    ○石田説明員 今度われわれが定期割引率の是正をするということは、つまり御趣旨に沿うた一端に入ったわけなんでありまして、今後の情勢によっては、国庫負担の問題、その他の、小荷物はできるだけ政府のほうにもお願いしたいという気持ちは変わりありません。
  105. 兒玉末男

    兒玉分科員 今回また、農林水産委員会のほうには、特に農林水産関係のいわゆる割引継続の要請がなされておるようでございますけれども、これに対しては国鉄としてはどういうふうに対処される御方針か、お聞かせいただきたい。
  106. 石田禮助

    ○石田説明員 ただいまの御質問でありまするが、この際におきましては、定期割引運賃の是正ということでわれわれは申し入れておるのでありまして、その他のことについてはまだ検討しておりません。しかし、今後そういうことも出ると思います。
  107. 兒玉末男

    兒玉分科員 特にいま焦点を合わせております定期の改定でございますけれども、約七千億の投資によってこの混雑緩和をはかりたいという御趣旨でございますけれども、大体七千億の投資によって、現行のダイヤというものをどの程度緩和をし、あるいは通勤、通学に対して緩和措置が期待できるのか、その辺の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
  108. 石田禮助

    ○石田説明員 ただいま七千億の投資によりまして通勤輸送の緩和をやっておるのでありますが、これは根本的の解決じゃないのです。ただいま、ひどいところは、ラッシュ時におきまして三〇〇%の乗車率になっておるのでありまするが、第三次計画によりまして、七千億の投資で達し得るところはまず二四〇%ということに考えておりますが、これも今後における都市の通勤、通学の輸送客の増によっては、私は、二四〇%に達することそのことがむずかしいのじゃないかというふうに考えております。
  109. 兒玉末男

    兒玉分科員 この際、運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、ただいま国鉄総裁の御答弁にもありますとおり、七千億という投資をしてもせいぜい二五〇%がぎりぎりだ、こういうふうな御答弁でございますが、少なくとも現在の非常なラッシュ時における混雑というのは、私は、やはり政府にも重大な責任があろうかと思うのであります。しかも、このことは、国鉄だけの企業努力によっては解決し得ない問題じゃないか。やはり通勤、通学の緩和というのは、国家的見地から、総合的な輸送対策というものにもう少し積極的な施策をとるべきだと思うのですが、大臣として、このような処置についてどういうふうな御見解をお持ちか、承りたいと思います。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通勤輸送の過度の混雑は、まことにお客さんに申しわけがない状態でございますが、政府といたしまして、交通政策の重点政策の中にこれを織り込みまして力を入れており、また将来とも入れていきたいと思っております。  一面においては、あの部分は、国鉄が国のため、社会のために奉仕しているような要素が非常に多いのでありますから、国が相当資金においてもあるいはその他においてもめんどうを見なければならぬ分野であろうと思うのでありまして、利子負担であるとか、あるいはできたら利子のかからない資金をそのために国鉄にめんどうを見るとか、そういう点について今後大いに努力しなければならぬと思っております。また一面において、利用者側におかれましても、時差通勤とかそういうことをできるだけ励行して、三〇〇%をすみやかに二四〇%程度まで解消する方向に御協力を願いたいと思っております。
  111. 兒玉末男

    兒玉分科員 それから、特に、現在国鉄が輸送しておる量というのが、並行的に走っている高速道路等に比較しますと、少なくとも二十倍以上の輸送力を発揮して通勤、通学に対処している、こういう情勢から考えますと、私は、もう少し国鉄に対するところの政府出資というものが、道路の効率というものに比較してはるかに高いわけでございますので、その辺の関係についても、昨年のこの分科会においても、前大橋大臣もやはり善処する旨のことを答弁されておりますが、本年度はわずかに利子補給ということが若干の善処を見たけれども、やはりばく大な借金をかかえ、国鉄としてはどうしても政府出資ということに積極的に取り組んでいくべきではなかろうか。これは、特に道路等に使う財源に比較した場合に、その効率というものは数倍の効力を発揮できるものではなかろうかと私は思うのですが、その辺の見解についてお伺いしたいと思います。
  112. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御趣旨には同感でありまして、その線で努力したいと思います。
  113. 兒玉末男

    兒玉分科員 この点は、大臣も本会議の席上でも表明されたわけでございますが、特に今回の定期運賃の改定の中において、通学の場合、最近私学等においては授業料も非常に高くなるし、父兄の負担というものは相当言語に絶するものがあるわけですが、特に国鉄の都内等におけるあるいは都会地域における輸送の大多数は通勤客であり、しかも、私は、非常に公共性の強いお客さんだと思うわけです。そういう点から考えますならば、もちろん諸外国の運賃例等と比較すれば、まだ国鉄も安いということが言えるわけでございますけれども、やはり国民の足であります。そういう点等から考えますならば、昨日の公共料金改定に対する提唱等がなされておる点から判断します場合に、再検討の余地はないのかどうか、また今回の運賃改定をいたしたとしても近き将来、私は、さらに再改定ということが、当然予想されるのじゃないか、こういう点について、大臣としてどういうふうなお考えをお持ちか、お聞かせをいただきたい。
  114. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大学生につきましても、学業中の身で父兄負担でありますから、できるだけめんどうを見るようにしたいと思っておりましたが、国鉄財政上大学生まで手を伸ばすことができなかったことはまことに遺憾であります。そのほかの点につきましては、御趣旨に同感でありまして、努力いたしたいと思います。
  115. 兒玉末男

    兒玉分科員 次に、採算のとれない線区はこれを廃線にしろという御意見も出ております。私は、やはり国鉄が、明治初期以来果たしてきたローカル線の役割りというのは、単に原価主義に基づくところの採算だけでこの問題が云々されることは間違いじゃないかと思うわけです。やはり長年にわたりその地域における政治、経済、文化面でいわゆる地域住民が受けた効果というものは、単に独立採算だけではかり知れない貢献がなされていると私は思うのです。いま言われたところの不採算線区の廃止ということについては、私どもは一がいにこれを論ぜられない。やはりそのような公共性ということも十分考慮して対処すべきだと思うのですが、大臣の御所見を承りたい。
  116. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 現に運行しているものを廃止するということは地元の住民に対する影響も非常に多い問題でございまして、その点は慎重にやらなければならぬと思っております。ただ自動車輸送、国鉄バスというもので代替できるものがありましたら、順次そちらのほうへ地元の人によく御納得願って転換していくということも一策であると思います。ただ最初申し上げましたように、こういうことは慎重にやったほうがいいと思います。
  117. 兒玉末男

    兒玉分科員 国鉄関係はあと一件ですが、特に現在鉄道建設公団が行なっているところの新線建設でございますが、これはほとんど黒字が予想される路線というのがないわけでありまして、地域の要請、また国の施策上この新線建設が行なわれておりまして、これが完成すれば当然国鉄がこれを引き継いで営業しなければいけないという、いわゆる赤字ということはわかっておっても経営をしなくてはいけないという宿命的な立場に置かされているのであります。このような今後の新線建設への投資ということは、やはり私は相当慎重な配慮がなされなければいけないと思うのですけれども、はっきりと赤字が予定される今後の新線建設に対してどういうふうな指導をされていく御所見なのかお伺いしたいと思います。
  118. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は同感であります。ただ国家全体を考えますと、地方開発とか地方住民の生活レベルの向上とかそういう問題もからんでおりますので、一がいに否定すべき問題でもないように思いますが、原則的には私は御趣旨に同感であります。
  119. 兒玉末男

    兒玉分科員 次に、交通安全に関する点についてお伺いしたいと存じますが、御承知のとおり昨年の統計によりますと、大体自動車等による陸上交通事故によって死者が一万三千六百十七名、負傷者は六十四万二千二百七十七人を数えており、死者数は若干減っておるけれども、負傷者は膨大にふえている。こういうふうに交通事故というものが激増の一途をたどっているわけでございますが、この点は単に陸上交通ということだけでなくして空、海と三位一体のこの情勢から判断しましても、先国会以来社会党が主張しているこの交通安全基本法に対して政府としても積極的に取り組んでいくべきだと思うのですが、今後の交通安全対策の基本について、特にたくさんの死傷者を出している現況に対して、どういうふうな御措置をとろうとするのかお伺いしたいと存じます。
  120. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御趣旨は全く同感であります。単に陸上のみならず空海にわたって整合した交通費全対策を進めていく必要があるように思います。ただ官庁の権限問題やあるいは事務の統一等の問題もございまして、その実施についてはいろいろ配慮しなければならぬ点があると思います。しかし今日の日本の当面する大きな課題の交通安全というものに政治が勇敢に取っ組んでいかなければならぬのでありまして、そういう基本法の制定には全く同感でございます。
  121. 兒玉末男

    兒玉分科員 大臣にお伺いしたいのですが、現在の道路整備の状況から見ておりますと、激増する路線トラックなり一般自動車に道路整備が追いついていかない状況にあることは十分御承知だと思うのですが、この辺の関係について、今後の輸送の緩和には道路整備にもう少し重点を置かなければいけない。さらには現在の自動車産業界は非常に目ざましい進出を示しておりますけれども、現在の自動車業界というのは、価格面における過当競争あるいはコスト無視の過当競争、こういう点が非常に前面に出されて、技術開発という点が非常におくれているように私たちは見受けるわけでございます。混雑する道路交通の安全を期するためには、こういう製造部面におけるある種の規制なりそういう点等の考慮を払うべきではないか。また道路財源にいたしましても、これ以上の揮発油税等の増税ということも困難な情勢にあるわけですが、道路行政、それから激増する自動車産業界がもたらす交通混雑、この辺の関連について大臣の御所見を承りたいと思います。
  122. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昨年初めて貨物輸送が国鉄輸送をオーバーいたしまして、日本も一つの転期に参りましたが、私は日本の現在の道路事情、当分の道路事情等から考えてみますと、やはり鉄道あるいは海運に相当部分を持ってくるのがいいと思うのです。政策としてはそういう方向に誘導して道路のラッシュを緩和することが大事であると思いますし、またいずれ趨勢はそういうふうに変わるだろうと私は思います。ただ道路に対する国家の措置と鉄道や地下鉄に対する国家の措置等を見ますと、いままでは道路に非常に手厚いようでありまして、この点については鉄道や地下鉄等に対する措置もある程度均衡を回復するように努力する必要があると思っております。  なお、自動車が非常にラッシュするから、自動車のメーカーに対して生産制限をするという考え方も一部にはございますが、今日の日本の状態ではまだそれをやるべきではない状態で、北海道とか九州とかまだ自動車の需要の多いところもあるのでございます。東京で混雑して困っているところは、行政措置によって、ある時間の乗り入れを禁止するとか、あるいは左右の曲がり方を規制するとか、駐車場を規制するとか、そういういろいろな点で規制を行なうべき段階であると考えております。
  123. 兒玉末男

    兒玉分科員 国鉄当局にお伺いしたいのですが、いま大臣も御答弁されましたとおりにいわゆる自動車輸送による貨物輸送の限界というものが、だんだんと道路整備の状況と相まって、来ると思うのです。そういう情勢下において、国鉄当局としてはこれからの貨物輸送に対して、もう少し近代的な輸送に対応するところの措置を私は講ずべきだと思う。たとえば冷凍輸送車だとかあるいは輸送時間の短縮だとかいう面への積極的な取り組みによって、鉄道輸送が今後の激増する陸上輸送のいわゆる代行しての役割りというか、主役としての役割りが——こういう点に私は積極的に取り組んでいくべきだと思うのですが、これに対する当局の御見解をお伺いしたい。
  124. 石田禮助

    ○石田説明員 国鉄輸送の貨物輸送の近代化の問題、スピード化の問題その他につきまして、私は正直に申して国鉄の努力が少し足らぬところがあると思う。さらに第三次計画によりまして国鉄の輸送力もふえてくるのでありまして、その輸送力を十分に生かして使うためには、どうしたって近代化、スピード化というような方面にせいぜい努力しなければならぬ、こういうふうに考えまして、国鉄としてはいまその点について非常に積極的に検討しておる、また実際において実行しつつあるということを申し上げておきます。
  125. 兒玉末男

    兒玉分科員 終わります。
  126. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて兒玉君の質疑は終了いたしました。  次は、佐野進君。
  127. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は、地下鉄の建設の問題を中心にして質問をしたいと思うのですが、まず最初に、今日東京都内の交通渋滞は非常に激しいものを示しておるわけですが、これが毎年の自動車量の増加等から見ると、その混雑は数年を経ずしてまさに麻痺状態になる。道路建設はそれに対応することは絶対にできませんから、非常にむずかしい状態になるのではないかということが予想されるのです。そこで、いわゆる一般乗用車の都心乗り入れ等については、その規制を行なうべきであるという世論も非常に強いわけでございます。その点についてどの程度具体化しておるかということについて大臣にお答えを願いたい。
  128. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 混雑時における都市交通の緩和をはかるために、トラックそのほかの一定の車両の乗り入れ禁止または制限をしておる、あるいは右折、左折を統制いたしまして、あるいは駐車場の設置等によりましてできるだけ交通の混雑を防ぐように努力しております。現在の状況を見ておりますと、もう少し混雑時におけるトラックそのほかの通行を制限または禁止する必要があると思いまして、いまその準備をさせております。
  129. 佐野進

    佐野(進)分科員 そうすると、その範囲はいまいわゆる都心地域と称するきわめて限られた地域が重点でありますが、たとえば本年度中にこの範囲をどの程度に広げるお考えかどうか、そういう検討がなされているかどうか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  130. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点については政府委員に答弁させたいと思います。
  131. 町田直

    ○町田政府委員 ただいま大臣からちょっと御説明いたしましたように、具体的な問題といたしましてはバスの右折禁止とか、あるいは路面電車の軌条内の自動車の乗り入れ禁止とか、そういう点で警察庁等とよく連絡をして具体的な施策をやっておるわけでございます。ただ、なお問題といたしましては、道路の中にバスの専用道路をつくる問題、あるいは一番大きな問題としては都内へ乗用車の乗り入れを禁止するという問題がございますが、こういう問題についてはそれぞれ別のまた難点が非常にございまして、いまのところ警察庁その他との連絡をいたしておりますけれども、最終的な結論は出るに至っておりません。
  132. 佐野進

    佐野(進)分科員 いまお話しの点について、たとえば都内なら都内の例をとってもいいのですが、交通行政上の中心的なセンターというか、省がどこにあるのか、われわれ非常に迷う場合がたいへんあるのですが、東京都内における交通規制の責任官庁は一体どこなのか、この際ひとつ御答弁願いたいと思います。
  133. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり交通取り締まりという面は警視庁が中心で、そのほか陸運局、陸運事務所等がいろいろまた規制をしております。  それで、お尋ねのいわゆる都心というものを中心混雑を緩和するようにやっておるわけですが、その場所の産業あるいは自動車の移動の必要性ですね、江東地区なんかにはかなり工場もありましたり、商店があったりして、あまりきびしくやり過ぎると商売のじゃまをするといに面もありますし、といって、また一般の通行人はきわめて迷惑するという点もありまして、そういう利害関係の調和という問題はかなりむずかしい問題がございます。しかし、ある限度に達した場合にはやはりやらなければ一般大衆が迷惑いたしますから、その辺の緩急の度合いを調べてみたいと思います。
  134. 佐野進

    佐野(進)分科員 この前分科会かどこかで大臣が答弁された中で、東京における都心地域の交通難を打開いたしますために特別の駐車場を設置する、この渋滞を解除するための具体的な対策を持っておる、こういうぐあいに言われたということを聞いておるのですが、そういうような面についてどの程度具体化しておるのか、たとえば先ほど来言われておるような、そういう点について、もっと具体的な構想があればお示しを願いたいと思います。
  135. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは国会で答弁したのではなくして、新聞の投書に答えたことがあります。それは主として銀座中心の乗車拒否の問題ともからみまして、警視庁とも相談していまやっていますことは、マツダビルのうしろのほうですね。あそこを乗り入れ制限いたしましてそれをいま実行しております。それからでき得べくんば特定の駐車場だけをつくって、ああいう繁華街みたいなところには自動車を乗り入れさせまい、そういうことも考えましたけれども、これはなかなかむずかしいいろいろな問題が起こりまして、おりる人のために考えなくてはならぬことがあったりいろいろしまして、それはちょっと無理なようですから、いまはマツダビルのうしろの通りに関する規制をやっておる状態です。
  136. 佐野進

    佐野(進)分科員 そうすると、交通規制の問題については警視庁その他があるということですが、交通渋滞を解消する主たる責任官庁は運輸省である。いわゆる交通の規則その他が決定したあとにおける取り締まりは警視庁にあるけれども、そういう行政上の責任は主として運輸省にある、こういうぐあいに理解したいと思うのですが、よろしいですか。
  137. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体そうです。
  138. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで私は今日の大都市交通行政の中における最大の混雑、特にこれが数年を経ずしてまさに麻痺的な状況になろうとすることを解除し、国民の足を守るということについては、まず路上交通においては交通渋滞を解消するために大衆輸送機関の充実、優先、こういう政策をとる必要があると思うのですが、これについては考えておるかどうか。
  139. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 お説のとおりであります。
  140. 佐野進

    佐野(進)分科員 そういう大衆輸送機関の充実について、いま言われた程度では非常に手ぬるいと思うのです。たとえばマツダビルのうしろとかどこにつくるとかどうとかということではなくて、もっと具体的な地域を決定し、その地域から都心へ入る場合においてはいわゆる大衆機関にたよるとか、そういうような近代的な大都市においては相当程度採用されておる状況でありますので、東京の道路事情、自動車増加の状況等々において現在最も混雑する時点においては、そういうような点をひとつ考えられたらどうかと思うのですが、その点について御答弁を願いたいと思います。
  141. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 とりあえずは地下鉄を増設して、地下鉄に非常に大きな仕事をやっていただくということが焦眉の問題と思いまして、いま都市交通審議会に諮問して、答申が出ましたら運輸審議会にかけて早く免許して突貫工事をやらせようかと思っております。  それからもう一つは、やはり大衆用のバスの優先性ですね、やはりこれもある程度考えてやらなければならぬと思う。あまり個人の自動車がはんらんをしてそれがためにバスの運行が停滞するということになると、これも考えなければならぬポイントである、いまのところは大体その二つくらいを考えております。
  142. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでバスの問題についてはもう少し具体的に、路上交通の渋滞を回避するという面で対策の点があったら御答弁を願いたいと思うのです。これは政府委員でもけっこうです。  それからその次に、最も緊急な事業として地下鉄建設計画がある、こういうことでございますが、この地下鉄建設計画については、いま諮問されておるということでございますが、これも当面の対策であり、これから先、さらに時間的な経過を見るならば、東京を取り巻く都市問題の将来の展望というものはいろいろの方面から発表されておりますけれども、それに対応する首都における人口、特に交通輸送の問題を考えたとき、この現在の四路線の計画をさらにどの程度発展さしていかれる考えであるか、この点二つ、御答弁を願います。
  143. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四路線は昭和五十年目途で一応できた案なんですが、そんなのろまなことを言っておれぬので、早く促進して繰り上げてやらしておるものなんであります。昭和六十年目途というのもございますが、それも繰り上げて第二次、第三次の増線工事、増設工事をやる必要があると思います。私は、東京の問題を考えますと、何と言っても地下鉄が一番手っとり早いいいもので、クモの巣を張るように東京の中心街等に地下鉄を張りめぐらすという考えでおります。
  144. 佐野進

    佐野(進)分科員 そうすると、現在諮問しつつある四路線というのは、昭和五十年が目途であるが、これを早期に完成し、さらにもっと具体的な路線を増設して、路上交通難、交通渋滞の解消のために取り組むのだということでありますが、その案については、もうすでに四案については諮問され実施の段階に入っておりますが、第二の段階における取り組みについてはどのように進捗しておるか、まだ単なる構想だということか、いま少し具体的に地域別に発展させる計画を立案中なのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  145. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四路線につきましては、大体運輸省考え方、路線経路の構想を入れまして、大体都市交通審議会は運輸省考え方でいいだろうという方向にいま動きつつありまして、いずれ早晩これはきめてくれると思います。きめましたら運輸審議会にもかけて即刻着工するように促進していこうと思っております。
  146. 増川遼三

    ○増川政府委員 以前から都市交通審議会の答申に基づいて持っております計画の中で、六路線はすでにでき上がって、あとの四路線が免許審議中の段階でございます。それからそれを含めまして、新たに昨年の暮れから都市交通審議会に諮問いたしまして、具体的に申しますると、池袋及び新宿、渋谷等から都心へ向かいまして、これが江東地区へ抜けるような形、こういったもの、それからすでに一応都市計画にもなっております線の郊外への延長というようなものを含めまして、在来の計画の修正と新しいものの追加というものを総合した諮問をいたしておりました。これが近々のうちに答申がなされると考えます。これの答申を尊重いたしまして、これに基づいた具体的な案を早急に検討いたしまして、施行者等も選びまして、なるべく早期にこれを実行に移せるように促進をいたしたいと思います。
  147. 佐野進

    佐野(進)分科員 その四路線についてはすでに作成されつつあるといういまの鉄監局長の答弁ですから、それについては私もいささか知っておるつもりでありますが、さらにその後の五十年の完成目途をできる限り早くこれを建設するということであれば、もう次への段階の構想が展開されていなければならぬと思うのですが、その次への段階における構想について着手したかどうか、あるいはまたその重点はどこに置かれておるのかという点をお聞きしたいと思うのです。
  148. 増川遼三

    ○増川政府委員 現在都市交通審議会に諮問いたしておりますものは、当面とるべき措置並びに昭和六十年度を目途としたもの、この長期のビジョンをあわせて諮問しておるのでございまして、現在のところでは当面の五十年目途並びにそれに続くものとしての追加路線というものを計画審議をいただいておるわけでございます。そのあとにおいては、六十年度ごろを目途にいわゆる新幹線方式のような高速郊外鉄道、こういったものの敷設ということが必要ではなかろうかということで、現在の二十キロ圏あるいは三十キロ圏という構想を五十キロ圏あるいは百キロ圏ということで首都圏の高速鉄道による交通体系というものの網を完成させたいという意図のもとに構想を練っておるわけでございます。
  149. 佐野進

    佐野(進)分科員 そうしますと、この建設計画の中において当面五十年ないし六十年ということでありますから、もちろん現状を基礎に将来の膨張への展望の中でこのような案が出されておると思うのですが、この案をしさいに検討すると、いわゆる東京都二十三区の中においても二百万以上の入口を有する隅田川以東の方面についてはかろうじて東西線一本、さらに今度の新線計画による八号線の廃止に伴う線が江東方面へ一本延びるというだけで、いわゆる隅田川以遠の交通渋滞の最も激しいと思われる、あるいは路上交通機関が最も脆弱と思われる地域に対して相変わらずこの地下鉄建設計画というものは放置されておる。特に荒川以東の面については、私鉄をはじめあらゆる交通機関の中においてかろうじて東西線が一本通るというそういう状況のまま放置されておるということは、東京における交通難解消への施策としてはあまりにも片寄り過ぎるのではないか、こう考えられるわけですが、これらの面における計画が、これが六十年度の計画だ、ということになると、きわめて計画としてはずさんという評価の中で決定せざるを得ないと思うのですが、どうしてこういうような結論を出したのか、この点ひとつ具体的な答弁をしてもらいたいと思います。
  150. 山口真弘

    ○山口説明員 私からお答え申し上げます。  先ほど大臣局長から申しましたように、現在都市交通審議会で東京の路線網の再改定を検討中でございます。それで、その東京の路線網の再改定と申しますのは、第一には現在の地下鉄網によりまして、現在の都心部等の輸送というものが非常に混乱を来たしておりますところのものを早急に解決をするための路線というものはどうあるべきかというのが第一点でございまして、第二点はさらにそれをも含めまして、もっと広い区域、広域的な性格の範囲の中において、どういうふうに路線網を定めていくかというのが第二点でございます。それで、現在その第一点の問題につきまして早急に御答申をいただきたいということで、審議を進めていただいておりまして、これが終わって次には広いほうの問題につきまして御討議をいただく、こういう段階になっております。  そこで第一点の問題につきまして、路線網でございますが、先ほど大臣からもお話がございましたように、若干の追加をいたしまして、新たに路線網の書き直しをやろうということでございます。その際に江東地区の問題でございますが、先生おっしゃいますように、現在江東地区は、路面電車を中心といたしまするところの路面交通が非常にいままでふくそうをしております。輸送量も非常に多いわけでございます。その江東地区の輸送につきまして、現在では営団の五号線と称します。また東西線と通常言っておりますが、その線が、都心から東陽町のほうまで開通をいたしております。さらにこれが西船橋のほうまで延長工事を現在着々進めておる状況でございまして、大体四十三年度末に開通の見込みでございます。なお、国鉄の総武線の線増計画というものが着々と進がでおるような状況でございます。そのほかに、今回の改定計画におきましては、とりあえずの建設すべき路線として提案されておりますものにつきまして、新宿方面から都心に向かう線を江東方面に延長をするという案が現在提案をされております。それから、これは前から若干点線のような形で引かれておる線でございますが、東京の循環線的な性格を持った路線というものをも取り上げて、これが江東地区を経過するわけでございますが、そういったような面も現在中間段階の案で取り上げておりまして、御審議がなされておるところでございます。とりあえず現在の江東地区の輸送の状況からいきますと、この程度のもので大体いいのではないだろうかというような空気でございます。しかし将来の問題といたしましては、港湾の埋め立てによりまするところの江東地区の発展というよなものをも考慮いたしまして、それらをも含めた姿の改定というものをあとの審議の段階で取り上げるべきではないか、このような取り運びになっております。
  151. 佐野進

    佐野(進)分科員 たくさん聞きたいのですが、時間がないので次に進みたいと思います。  いまの問題については、先ほど大臣が言っておるように、ひとつ地下鉄網の整備を、首都交通渋滞の将来展望の中においても最優先に考えなければならぬということですから、東京の江東地区、地盤が悪いとか、あるいは未開発の地域が多いということでなく、いまのうちに計画を立て、早期に長期展望の中で工事に着手する、非常に安く速くできる条件等もあるので、積極的に取り組んでもらいたいということを要望しておきます。そこで、そういうような形でいま計画が進められつつあるわけですが、先ほど説明のあった既存の路線、またいま建設に着手する路線については全体的にいつごろ終了する予定であるか、簡単でよろしいですから、ひとつお示しを願いたい。
  152. 山口真弘

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  現在着工しております既存の線といたしましては、江東方面に比較的関係がございますものは五号線でございます。この五号線につきましては、現在東陽町まですでに開通をいたしておりまして、さらにこの線区が西船橋までに延長いたします。大体来年、四十三年度の終わりには開通するという見込みでございます。さらに東のほうにつきましては、地下鉄九号線といいますものがございまして、これは綾瀬まで延びる線でございます。これも建設中でございますが、これはもう一年おくれまして、四十四年度末には綾瀬方面まで開通するだろうというふうに考えております。それから、ただいま私が申しました、新宿方面から都心を通りまして、さらに江東へ延ばす新線がいま検討中でございますが、もしこれが現在審議会に提案されております姿で答申がなされるということになりますと、この線は非常に早期に着工する必要がございます。でき得べくんば四十四年度からでも着工いたしまして、新宿並びに江東方面を結ぶ交通の便を早く得させたい、このように考えております。
  153. 佐野進

    佐野(進)分科員 大体いまのお話では、既存の計画については、工事が順調に進んでおるということでありますが、しかしこの中で計画にありながら、なお着工せず、計画の早期完成が見込まれない路線で玉川線、いわゆる旧三号線というのですか、こういうものがあるわけですが、これらの路線については、私鉄関係の免許という関係になっております。これらが進捗しない事情についてはどう対処しておるか、この際お聞かせ願いたいと思います。
  154. 山口真弘

    ○山口説明員 ただいま江東方面だけ申し上げましたが、そのほかにただいまお話しがございました玉川線がございます。これは東京急行が建設すべきものとして、免許を受けておりますが、現在の銀座線と称しますものの輸送力の関係とか、それから当該地区におきまする道路工事の関係とか、各種の関係がございますので、若干おくれたわけでございます。ただ、この玉川線につきましては、首都高速道路三号線と申しますのが四十三年度から着工をいたしまして、現実に工事に入ります。したがいましてこの首都高速道路がつくられますと、この場合地下鉄工事を同時に着工いたさなければ、将来とも物理的に建設が困難になるということになりますので、四十三年度からこの高速道路の工事と並行いたしまして工事にかかるという運びになっております。
  155. 佐野進

    佐野(進)分科員 地下鉄工事は比較的順調に進んでおりますが、いわゆる私鉄が関連すると、地下鉄工事というものが非常に渋滞をする例がこの東急線に見られておるようです。たとえば六号線の延長問題にしても、一号線から六号線へという問題の関連の中で、工事のおくれを来たした原因があるようですが、将来いま計画中のこの四線については、主として営団並びに都営、この両者にやらせるということになると思うのですが、その点はどうなんですか。
  156. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は慎重に検討しておりまして、両方の工事の手あきの状況とか、あるいは能力であるとか、いろいろな情勢も考慮しながらやっていきたいと思っております。
  157. 佐野進

    佐野(進)分科員 この新線四線計画は、いわゆる私鉄との関連は相互乗り入れという形の中で対処することになるわけですが、これについては相互乗り入れのそれぞれの路線との調整はすでに終っておるのかどうか。この点をひとつ民鉄部長からお答え願いたい。
  158. 山口真弘

    ○山口説明員 お答え申し上げます。ただいま都市交通審議会で審議中でございますから、私どもまだ結論的なことを申し上げかねるのですが、一応進んでおりまする審議の段階について申し上げますと、現在非常に地下鉄路線で困っております問題は、丸ノ内線と称します池袋から新宿まで行っておりまする路線が非常に混雑をいたしまして、すでにパンク寸前でございます。この線の救済が非常に急がれております。そこで池袋から都心方面へ向かいまする一線というものがまず建設をされなければならぬわけでございまして、この線につきましては現在提案されておりまする案ではそのまま成増方面へ延長をいたしていく。その中途から西武鉄道のほうへ連絡をするという形で乗り入れを考えております。  それから第二は、いまの丸ノ内線の救済の一つのポイントでございまする新宿方面から都心へ入り、さらに江東方面へ抜ける線でございますが、この線につきましては京王電鉄の京王線と相互直通をいたすということに相なります。  それからいま一つ、先ほどお話がございました新玉川線でございますが、新玉川線の渋谷の駅と、それからさらに都心部分を結ぶところの地下鉄路線の建設でございまして、これは当然東急の新玉川線と直通運転をする、こういうことになります。その場合にこの三線の全部、都心の部分というものはすべて、先ほど大臣から申し上げましたように営団または東京都が建設をいたしまして、乗り入れ部分だけが私鉄がこれに乗り入れをするということに相なります。それで、いま都市交通審議会ではその点も非常に御議論がございまして、この乗り入れについてよほどうまくやらないと、先生御心配のようなことが起こるということで、そういった点もいろいろ検討いたしまして、審査をしていただいておるような状態でございます。
  159. 松浦周太郎

    ○松浦主査 あともう一分です。
  160. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで、大臣に御質問をしたいのですが、いわゆる手あきの状況等を見ながら建設について免許を与えていきたいというお話ですが、いま民鉄部長の説明にもありますように、現在建設中の路線についてはほぼ同時期に工事を終了するというような見通しのようであります。したがって私は、どこがどうだということを申し上げるのではないのですが、首都の交通問題についてはこの交通一元化の問題について御質問したいと思ったのですが、どうも時間がないのでやめましたけれども、いわゆるお互いに善意に基づく競争の中で都民、住民に対する交通のサービスが行われることが最大の目的でありますから、しかも早くりっぱにつくり上げるということでなければならぬと思うのでありますから、大臣もいろいろな政治的な圧力その他があろうかと思うのですが、公平な立場に立って早期に完成するという目的でこの四線建設については取り組んでもらいたいと思うのですが、いままでの経過等もあることと思いますので、この際、大臣の所見をひとつ伺っておきたいと思います。
  161. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 圧力なんかはありません。東京都の立場もよく考えまして、何しろ東京は地元のことでありますから、地元の立場を考えるということは当然のことでありまして、よく調和がとれるようにやっていきたいと思います。
  162. 佐野進

    佐野(進)分科員 たいへん長い時間御質問申し上げたわけですが、最後に私は、地下鉄建設が今日の路面交通の渋滞を解消し、交通事情をよくするという意味において非常に大切なことだろうと思うので、運輸省当局の取り組んでおることに対して敬意を表しておるわけであります。  政治的圧力がない云々ということもございますが、都営交通の現状においては、路面電車の撤去ということが歴史的な必然の中でそれぞれ協力しながら、非常に困難な事情に逢着しながらこの事業がいま勇敢に進められつつあるわけです。したがってそういう面からくる従業員の不安あるいはまたその線を利用した人たち、都民の愛惜、こういうような面でいろいろな問題もあるわけでございますけれども、将来の交通行政は地下鉄行政にあるのだという、そういう一つの願いの中で事業がいま進捗しつつある状況でございますので、大臣並びに運輸当局におかれては、それらの事情をも十分配慮せられて早期に結論をつけ、地下鉄建設をひとつ強力に推進されることをお願いいたして私の質問を終わります。
  163. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて佐野君の質問は終了いたしました。  諸君の御協力を感謝いたします。  午後二時より再開し、郵政省所管に対する審査を行なうこととし、暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————    午後二時四分開議
  164. 松浦周太郎

    ○松浦主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十三年度一般会計予算及び昭和四十三年度特別会計予算郵政省所管並びに昭和四十三年度政府関係機関予算日本電信電話公関係を議題といたします。  まず、昭和四十三年度一般会計予算及び同特別会計予算中、郵政省所管及び同政府関係機関予算日本電信電話公関係につきまして説明を求めます。小林郵政大臣
  165. 小林武治

    ○小林国務大臣 郵政省所管各会計の昭和四十三年度予算案につきまして、その概略を御説明申し上げます。  まず、一般会計の予算でありますが、歳出予定額は、五十三億二千四百万円で、前年度予算額四十八億四千二百万円に比較しまして、四億八千二百万円、一〇%の増加となっております。  この予算には、人工衛星研究開発のための試験及び測定機器並びに、衛星開発実験庁舎の新営に必要な諸施設費として、国庫債務負担行為四億九千八百万円を含めて十億九千七百万円を計上いたしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、この会計の歳入予定額は、五千七百四十二億八千五百万円で、前年度予算額四千八百七十九億七千四百万円に比較しますと八百六十三億一千百万円、一八%の増加であります。  この予算には、収入印紙収入等で一般会計へ繰り入れる、いわゆる通り抜けとなる業務外収入が一千六百六億七千九百万円ありますので、これを差し引いた実体予算、すなわち郵政事業運営に必要な経費の財源となる歳入は、四千百三十六億六百万円でありまして、これは前年度予算額に比較しまして四百六億一千万円、一一%の増加であります。  この収入の内訳は、郵便、郵便為替、郵便振替等の業務収入が、一千九百五億二千二百万円、他会計等から委託された業務の運営に必要な経費の財源に充てるための受託業務収入が一千九百九十七億九千七百万円、雑収入が八十一億七千九百万円、郵便局舎等建設財源のための借り入れ金七十二億円、設備負担金七十九億八百万円となっております。  次に、歳出予定額は、歳入予定額と同額の五千七百四十二億八千五百万円であります。したがいまして、業務外支出を除いた実体予算も歳入と同額の四千百三十六億六百万円となっております。  この予算の中には、四十三年度予算の重要施策としておりますところの、郵便送達の安定向上のための経費、事業近代化のための、郵便局舎等の整備と作業の機械化等に要する経費、貯蓄増強に伴う経費、及び簡易郵便局手数料と切手類売さばき手数料の引き上げに要する経費などが含まれております。  なお、四十三年度の建設勘定予算は、二百五億八百万円でありまして、前年度予算額に比較しますと、三億四百万円の増加であります。この予算には、郵便局舎の新増築、職員宿舎の建設のほか郵便貯金会館設置などの経費も含まれております。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、この会計の歳入予定額は、三千二百九十七億一千百万円で、前年度予算額二千五百九十七億二千四百万円に比較しますと、六百九十九億八千七百万円の増加であります。  歳出予定額は、二千七百十六億二百万円で、前年度予算額二千百七十五億八千五百万円に比較しまして五百四十億一千七百万円の増加であります。  次に、簡易生命保険及郵便年金特別会計でありますが、歳入予定額は、四千八百三十三億円で、前年度予算額の四千百二十三億九千五百万円に比較して七百九億五百万円の増加であります。  歳出予定額は、二千六百四十六億六千五百万円で、前年度予算額二千五百三十七億三百万円に比較して百九億六千二百万円の増加であります。  なお、この予算には、昭和二十二年以前の郵便年金契約に対する特別措置に必要な経費十九億九千七百万円が含まれております。  最後に、日本電信電話公社の予算案について御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入予定額は、七千七百十九億八千三百万円で、前年度予算額に比較しまして、一千百九十九億四千三百万円の増加となっております。  また、支出予定額は収入予定額と同額の七千七百十九億八千三百万円でありまして、施設及び人件費の増加等により、前年度予算に比較しまして千二百九億八千百万円の増加となっており、また、事業収支差額である資本勘定へ繰り入れ額は六十一億五百万円で、前年度予算額に比較して、十億三千八百万円の減少となっております。  資本勘定におきましては、内部資金三千百一億二千五百万円、外部資金二千五百五十一億九百万円、総額五千六百五十二億三千四百万円を計上いたしております。  外部資金の内訳は、加入者債券、設備料で二千二百八十一億九百万円、公募債券で百五十億円、縁故債券で百二十億円を予定いたしております。  なお、設備料につきましては、四十三年五月から現行一万円を三万円に引き上げることを予定いたしまして、目下、公衆電気通信法の改正案を提案いたしておりますので、よろしくお願い申し上げます。  また、支出予定額は、債務償還等に四百三十二億三千四百万円、建設勘定繰り入れに五千二百二十億円を計上いたしておりますが、建設勘定繰り入れ額は前年度予算額に比較して三百十四億円の増加となっております。  建設勘定におきましては、五千二百二十億円をもって、一般加入電話百四十七万個、農村集団自動電話二十五万個の増設のほか、同一市町村内の市内通話区域の統合等を主要工程とする、建設計画を実施することといたしております。  以上をもちまして、わたくしの説明を終わりますが、なお、詳細の点につきましては、御質問をいただきましてお答えいたします。
  166. 松浦周太郎

    ○松浦主査 以上で説明は終了いたしました。
  167. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これより質疑に入るのでありますが、質疑に先立ち、念のため申し上げたいと存じます。  質疑者が多数おられますので、持ち時間は、慣例によりまして、一応本務員は一時間以内、兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分以内としていただきたいと存じますので、御協力をお願い申し上げたいのでございます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に、要領よく、簡潔に行なわれんことをお願いいたします。  それでは、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。森本靖君。
  168. 森本靖

    森本分科員 たくさん質問がありますけれども、私も当分科会の党の主査をやっておりますので、この持ち時間については協力をして、今晩じゅうにこれは全部終わりたいというふうに考えておりますので、ひとつ政府のほうも的確に要領よく答弁をお願いしたいと思います。  それでは、まず私は簡単なほうから入ってまいりたいと存じますが、電電公社の関係の予算を聞いておきたいと思います。予算書の九〇ページの雑収入でありますが、この雑収入については、大体おもなるものはどういうものがありますか。
  169. 中山公平

    ○中山説明員 同じ予算書の一〇一ページに、各勘定の経理、損益勘定というのがありますけれども、そこをごらん願いますと、右方の貸方欄の終わりのほうに、雑収入二百七十七億円のうち、受託業務収入が三十億円、それから広告収入、これが一番大きいものでありますが百六十億円、病院等収入二十四億円、物件貸付料八億円、物件売払代十一億円、その他の雑収四十二億円、こういう内訳になっております。
  170. 森本靖

    森本分科員 そのうちの広告料ですが、これはいま質問をいたしておりますと長くなりますので、その広告料の内訳を詳細にあとで資料でひとつ早急にお出しを願いたいというふうに考えます。  それからもう一点は、電電公社の本年度の広報宣伝費は幾らになっておりますか。
  171. 中山公平

    ○中山説明員 ちょっと、すぐ取り調べてお答えいたします。
  172. 森本靖

    森本分科員 これは予算ですから、予算の数字がわからぬでは話しにならぬのでありますが、それでは時間の関係上、これもあとでひとつ詳細に資料として内容を詳しくお出しを願いたい、こう思います。  それから、この予算書全体の問題については、公衆電気通信法の改正によりまして設備料が三万円に上がりますので、その際に十分に本委員会で討議をするということにいたしますが、ただ、ここで聞いておきたいと思いますことは、公社の総裁が、来年度は料金値上げをしたいということをよく言っておられるわけでありますので、その点についてひとつ明確に聞いておきたい、こう思っておるわけです。
  173. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、佐藤喜一郎氏を会長といたします電信電話調査会の答申を受け、また、木川田氏を会長といたします経済審議会の経済社会発展計画を受けまして、第四次五ヵ年計画の大綱というものを立てております。  この大綱の目標は、もし御質問があれば、詳しくはまたお答えいたしますけれども、四つございまして、経済の効率化をはかっていくこと、第二が、地域開発と、その格差の是正をするということ、第三は、生活の向上と近代化を行なう。大体三世帯に一つの電話をつけることを予想するわけでございます。第四は、同一市町村内の市内通話区域の統合拡大による地域社会の発展、この四つの目標を実現することを考えておる次第でありまして、これに所要な経費といたしまして五ヵ年間に約三兆五千億を予定しておる次第でございます。この際に現在加入電話の積滞が一体どのくらいあるかと申しますと……。
  174. 森本靖

    森本分科員 私の聞いておるのは、上げるのか上げないのかです。
  175. 米澤滋

    ○米澤説明員 こまかいことはまたあれいたしまして、私どもといたしまして、四十三年度の概算要求のときに、設備料を一万円から三万円にするということと、料金修正二二%をお願いしたのでありますが、四十三年度で実現しなかった料金修正は、四十四年度においてぜひ上げるように要請したいと思っております。
  176. 森本靖

    森本分科員 その場合にその二二%という数字は狂ってくるわけですか。
  177. 米澤滋

    ○米澤説明員 この四十三年度予算が国会議決されたあとにおきまして、たとえば初年度等において私たちが予想したものと違っておりますので若干変わってくるということは考えられるわけであります。しかし、第四次五ヵ年計画できめた目標は変えておりません。
  178. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと、そのパーセンテージは変わってくるかわからぬけれども、四十四年度については電信電話料金については値上げをしたいということは、公社としては考えておる、こういうわけですね。
  179. 米澤滋

    ○米澤説明員 そのように考えております。
  180. 森本靖

    森本分科員 わが党としては、これに対しましては絶対反対をし、また、反対の理由もいろいろありますけれども、そういう点については別の機会に譲ることにいたします。  それから次に、予算書の簡単なことでありますが、郵政事業特別会計の六二九ぺ−ジに、道路整備特別会計より百五十五万円の繰り入れが入っておりますが、この内容はどうなっておりますか。
  181. 上原一郎

    ○上原政府委員 道路整備特別会計におきましては、昨年までは歳出、支払いのほうだけを扱っておりましたが、今度は歳入を扱うことになりました。それで金額がふえております。
  182. 森本靖

    森本分科員 だから、どういう内容ですかと聞いておるのです。
  183. 上原一郎

    ○上原政府委員 道路の占用料でございます。
  184. 森本靖

    森本分科員 どこの道路の占用料ですか。
  185. 上原一郎

    ○上原政府委員 一般国有の道路の……。
  186. 森本靖

    森本分科員 一般国有道路というのは、全日本一般国有道か。
  187. 上原一郎

    ○上原政府委員 具体的の問題についてはまだわかっておりません。
  188. 森本靖

    森本分科員 これはわからぬ。——わかぬで予算書にちゃんと百五十五万円載るはずがないじゃないか。そんな答弁があるか。
  189. 上原一郎

    ○上原政府委員 建設省の予算の歳出のほうにあがっておりまして、それを私のほうで取り扱いますので、それを歳入として整理したものであります。
  190. 森本靖

    森本分科員 だから、建設省のほうからこちらのほうに受け入れるというようになっておるから、建設省のどこからそれが入ってくることになっておるかということを聞いておるわけです。それはちゃんと大蔵省できまっておるはずだ。
  191. 上原一郎

    ○上原政府委員 道路整備特別会計からということだけでございます。
  192. 森本靖

    森本分科員 道路整備特別会計の中のどこの道路から入ってくるのかと聞いておる。
  193. 上原一郎

    ○上原政府委員 存じておりません。
  194. 森本靖

    森本分科員 これは北海道の国道の占用料として国庫に納入する場合だけなんだ。  この項目を一つずつやっていくと、これは三時間くらいかかるのでやめますが、いかにあなた方が大きなことを言っても、予算のこまかいことについてずさんだということを、一例を示しただけだ。これは大臣、よく聞いておいてもらいたいと思う。これははっきりいって、内地の問題じゃない。北海道の国道の占用料をこれに入れる、こういうことになっているわけです。それで百五十五万円、こういうことになっているわけなんです。  ひとつ、予算審議のときには、わずか半日だと思って、あまり不勉強で来ないように。予算書に書いてあることは、どこを聞かれてもすぐ答弁ができるようになっておるのが官僚の諸君の任務なんだから。私はその点ひとつよく言っておきたいと思う。  あとは政策的な問題でありますが、大臣にお聞きしたいと思います。実は、中共と日本との間において通信協定が御承知のとおり国際電電と中共との間においてできております。ただ、郵便協定、これは小坂氏が外務大臣の当時からいろいろ内部折衝はやっておりましたけれども、できなかったということでありますが、この日中郵便協定について、現在の郵政大臣としてはどうお考えですか。
  195. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは前にさような折衝をしたことのあることも御承知のとおりでありますが、そのままいま中断しておる、こういうことでありますが、郵便協定などは、私はできることを希望いたしております。
  196. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと、中共側が郵便協定をやりたいという——いままでは大体日本側はやってもいいということでありましたが、向こう側が逆にやりたくないという意向があったようであります。しかし、これが情勢の変化によって中共側もやりたいということになればやり得る、こういうふうに考えていいのですか。
  197. 小林武治

    ○小林国務大臣 そういう時期が来れば、こちら側もぜひそういうことを実現させたい。
  198. 森本靖

    森本分科員 それから、次に郵便貯金の問題について聞いておきたいと思いますが、今年度は郵便貯金の目標がかなり大幅に増額されておるわけであります。昨年から見ますと相当増額されておるわけでありますが、この貯金の中で一番多いのは、一体どの種類が多いのです。
  199. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 定額貯金でございます。
  200. 森本靖

    森本分科員 定額貯金で窓口で行なわれる定額貯金はどの程度ですか、四十一年を例にとって。
  201. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 私どものほうでは六二%を手当の対象といたしておりまして、そのうち三〇%ほどが窓口——失礼しました。ちょっと資料を見ますから……。
  202. 森本靖

    森本分科員 四十二年はまだはっきりいたしませんので、四十一年の定額が、たしか三千四百六十二億円になっておると思います。その三千四百六十二億円のうちの窓口とそれから募集、その内訳はどうなっておりますか。
  203. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 そのうちの七五%が窓口でございます。
  204. 森本靖

    森本分科員 七五%が窓口ですか。
  205. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 そうでございます。
  206. 森本靖

    森本分科員 それは逆ではないのですか。それは間違いじゃないですか。七五%が窓口で、二五%が募集ですか。
  207. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 そのとおりでございます。
  208. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと、四十三年度の目標の五千六十一億円というものも大体そういうふうなことになる、こういうことですか。
  209. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 大体そのようなことでございます。
  210. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと、四十一年度の定額の募集の手当は総額で幾らになっておりますか。——時間に協力いたしまして、それはあとでひとつ資料で……。
  211. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 二十八億であります。
  212. 森本靖

    森本分科員 その二十八億の手当の中で、窓口募集と外務募集とはどうなっておりますか。——わからなければ、これはあとで資料で出していただきたい。そのときに十分に説明を聞きます。  これは七五%と二五%は間違いだと思います。この手当からいったらよくわかりますので、二十八億円の内訳についてはあとでお出しを願いたいと思います。  次に、島根県の鳥上郵便局という郵便局の貯金目標についての事故を御承知ですか。
  213. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 承知しております。
  214. 森本靖

    森本分科員 経過を説明してください。
  215. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 鳥上郵便局におきまして、昨年度の末に純増目標額に対しまして達成率が七二%でございました。一たんそのような報告を郵政局に対していたしたわけでございますが、これを貯蓄の推進を担当しております特推連の幹部が、それではいけないということで、これに対しまして、いわば年度を経過しましてから、別に他の金融機関から三百万ほどの金を借り入れて、あたかもさかのぼりまして年度末に預入あったがごとくに書類等を作成して、ようやくに目標額の一〇二%程度だったかと思いますが、そのように事実を偽装した事件でございます。
  216. 森本靖

    森本分科員 これによる処分を受けた人はだれだれですか。
  217. 山本博

    ○山本(博)政府委員 あとで調べてお答えいたします。
  218. 森本靖

    森本分科員 全部あとで調べておったのでは質問にならぬので、これは明らかに公文書偽造であるし、しかも、最も悪質なやり方なんです。一度郵便局で一類証拠書類というものを調査課に送っておるわけです。それを調査課まで行って、調査課でその書類を直して、そうして農協から金を借りてきて入れた。これは一日だけは公金横領がある。それからもう一つは、調査課の人間も調査課長も、それからそれを持っていった局長も公文書偽造になる。だから、その処分はあとからということでは困るので、御回答願いたい。
  219. 山本博

    ○山本(博)政府委員 ただいますぐ調べましてお答えいたします。
  220. 森本靖

    森本分科員 大臣、これは特に申し上げておきたいと思いますことは、これははっきり言いますと、氷山の一角なんです。都会地は郵便貯金は比較的いまのところ——これは貯金局長も御承知だろうと思いますが、案外できやすいのです。逆に、いなかのほうが非常にむずかしい場合が多いのです。そうすると、特定郵便局に無理やりに貯金の目標を課するものですから、局長は成績をあげなければならぬから、中には局長自分の山を売って貯金をした。ところが、百万円しか貯金ができぬので、貯金通帳を十枚も二十枚もこしらえてやったというふうな例が至るところにあるわけです。これは犯罪じゃないですから、その場合出てこないだけです。  これは今後貯金の目標額の設定ということについて、さらに貯金の募集のしかたということについては相当考えてみなければならぬ点が多いのではないか。要するに、大蔵省の要求をそのまま受け入れて、去年できたから今年もこうだということで無理をしてやっておるわけです。その上にさらに水増しをせられたのでは貯金局もたまったものじゃないけれども、第一線の従業員と第一線の管理者が一番うるさい。私はこういう実情というものを大臣がよく把握をしていただきたいと思う。もっとも、あなたにはいい報告ばかりいっておると思いますのであなたはこういうことを知らぬと思いますが、この島上の局のことは聞いておりますか。
  221. 小林武治

    ○小林国務大臣 ただいまの具体的事例は聞いておりませんが、前からも、年度末になるといわゆる粉飾決算に類することをやっておるといううわさを聞いておりますので、そういうことのないように、そういう無理をせぬでもいいようなことをぜひしてもらいたいということを注意しておりますし、また、国全体の目標額は、これをわれわれが無理をして分けたというふうな状態はいまありません。その分け方に多少無理があるんじゃないかというふうに私は考えておりますし、いまのような無理を将来しないように、ぜひこれは考え直さなければならぬだろうというように思っております。
  222. 山本博

    ○山本(博)政府委員 ただいま調べました。  結果は、発覚しましたのがことしの一月だそうでございまして、現在監察で内容を調査中でございまして、その結果を待ちまして、私のほうで適正な処置をいたしたいと思います。
  223. 森本靖

    森本分科員 それでは監察局長にお聞きいたしますが、この調査の結果、犯罪に類するような人々は、大体どういう人々ですか。
  224. 西原林之助

    ○西原政府委員 実は、私たいへん申しわけないのですが、この具体的な問題をまだ承知しておりませんので、いまここで申し上げることができないのはたいへんに申しわけなく思っております。
  225. 森本靖

    森本分科員 これだけの大事件を監察局長が報告を受けておらぬということがあるか。そんな監察局長はやめてしまったらいい。これだけの大きな事件を大臣が知らぬというなら、それは局長から報告がないから一応やむを得ぬとしても、監察局長ともあろう者がこれくらいの事件を知らぬということはないはずです。それは監察局長が知らぬから大臣が知らぬのはあたりまえですよ、大臣。もっとも、今度は監察局長がなくなるんだから、どこへ行くか知らぬけれども、とにかくこういうことだから郵政省の犯罪事件がなくならぬ。これはきょうの新聞にも書いてあるように、一日十件の割りで郵政犯罪があるということで、われわれ郵政関係の者としては、外部に対して非常に申しわけないと思っておるところです。  こういう点について、ひとつ、十分に大臣は部下に対してはよく督励をしてもらいたいと思います。大臣の所見を聞いておきたいと思います。
  226. 小林武治

    ○小林国務大臣 これはもう御意見のとおりと思います。そういう処置をいたします。
  227. 森本靖

    森本分科員 それから、これはこまかい問題に入りますが、今年度の予算で特定郵便局の小破修理費と大破修理費というものが大体どの程度になっておりますか。
  228. 上原一郎

    ○上原政府委員 小破修理費の渡し切り費は九千三百万円計上しております。
  229. 森本靖

    森本分科員 この九千三百万円というのは、渡し切りの費用ですか。
  230. 上原一郎

    ○上原政府委員 そうでございます。
  231. 森本靖

    森本分科員 そうすると、これが通常いわれるところの小破修理費ですか。
  232. 上原一郎

    ○上原政府委員 そうでございます。
  233. 森本靖

    森本分科員 これ以外に大破修理費というものはないですか。
  234. 上原一郎

    ○上原政府委員 特定局にはございません。
  235. 森本靖

    森本分科員 そうすると、いま特定郵便局は集配局が幾つで、無集配局が幾つですか。
  236. 上原一郎

    ○上原政府委員 集配局は約五千でございます。無集配局は七千でございます。
  237. 森本靖

    森本分科員 そうすると、この九千三百万円を大体のところどういうように配分されますか。
  238. 西谷馨

    ○西谷説明員 お答えします。  これは各郵便局から年度当初幾ら修繕費が要るかという一応希望調書をとりまして、それによって配分しております。
  239. 森本靖

    森本分科員 希望調査をやるけれども、一応集配局はどの程度、無集配局はどの程度という基準でやるのか、定員を何名による基準にするのか、どういう分け方をしておるか、こういうことです。
  240. 西谷馨

    ○西谷説明員 お答えします。  そういうことではございません。基準というものは、郵政局から実情を調査いたしまして、今年度は大体幾らくらい要るということの要求をとりまして、それによって配算しておるわけであります。
  241. 森本靖

    森本分科員 そうすると、うんと不公平が出てくるのではありませんか。実力局長のところはたくさんいって、実力のない局長のところには非常に少ないという実例が多いんだ。そういう予算の配算をすべきではないでしょう。局舎の建築年数、局舎の広さ、定員、それから老朽の度合い、そういうものによって一応配分をするのがほんとうでしょう。
  242. 西谷馨

    ○西谷説明員 お答えします。  郵政局におきましては、一応本省から流したものを、さらにそれらのものによって個々の局にまた流していくという方法をとっておるわけでございます。  それから、もともと、修繕につきましては、一応その家主でやりますものと、役所のほうから出すものと二通りに分けておりまして、その区分によってやることになっておりますから、こまかい個々の局にいきますものについては、郵政局で配分しております。
  243. 森本靖

    森本分科員 そうすると、原則としては、この九千三百万円の小破修理費は、局長自分で持っておるものに対しては出さないわけだな。
  244. 西谷馨

    ○西谷説明員 お答えします。  本省としては一応算定の中に入っておりません。その区分によって、局長のやる部分に対しては、という意味でございます。
  245. 森本靖

    森本分科員 局長のやる部分というのは、家は全部局長の分だろうが……。
  246. 西谷馨

    ○西谷説明員 お答えします。  一応家主という意味における局長という意味に解釈いたします。家主がやりますところは、大体構造上のものについては家主がやる、それ以外のものは郵政当局、省のほうでやる、こういう区分をいたしておるわけでございます。
  247. 森本靖

    森本分科員 そういう契約はどこの契約に載っておる。
  248. 西谷馨

    ○西谷説明員 お答えします。  これは互助会投資のものにつきましては互助会、それ以外のものにつきましては、おのおののものとの協約になっております。
  249. 森本靖

    森本分科員 そういう小破修理費を出すということが協約に載っておるか。
  250. 西谷馨

    ○西谷説明員 お答えします。  これは郵便局舎の賃貸に関する協約書というものがございまして、その中の一部に、こういう分野については家主がやりますということが一応はっきり明示してございます。
  251. 森本靖

    森本分科員 家主がやりますということは明示してあるけれども、それ以外のことを郵政省が見ますということはどこに書いてあるかということを聞いているんだよ。
  252. 西谷馨

    ○西谷説明員 郵政省がやるということは、協約書の中に書いてあります。家主のやる部分はこれだけだということを……。
  253. 森本靖

    森本分科員 一般の民間で家を借りるときに、こういうようなやり方をするところの民間契約がありますか。普通の民間で家を借りた場合には、家を直すときには全部家主が直すでしょう。どうですか。だから、その契約の中に、家主が直すものはこれこれ、郵政省が直すものはこれこれと載っておれば出せばいい。国営のものは当然郵政省が出さなければいけませんよ。しかし、自営のものについてそういうものを出すということは、法的にもおかしいでしょう、今日の民法上。そういう契約はないんだ。契約は、家主が直すところは家主が直すという契約だけであって、それ以外のところを郵政省が直すという契約はないはずだ。そんな契約は、いまの民法上できないはずだよ。  ここではっきり言いたいことは、だけれども、実際は強欲な家主がおって、ひとつも直さぬ。だから、真冬になったら、ガラスが破れたら破れっぱなし、障子が破れたら破れっぱなし、畳が破れたら破れっぱなし、それで家賃は十分取っておる。やむを得ぬから、郵政省が局員のために、この小破修理費というものを出して小破修繕というものをやっておるのがほんとうでしょうが。ところが、実際にはあなたがいま言ったような配算の方法をするものだから、特定郵便局長会の実力者のところには多くそれが配算をされて、何もものを言わぬような局長のところにはほとんど金がいかぬ、こういう実情に現実はなっておる。  その例をあげれば、私は幾らでもあげる実例を持っておる。だから、この特定局のいわゆる小破修理の修繕費というものの配算のしかたについては、ひとつ再検討願いたい。一つの基準をつくってもらいたい。私も、はっきり言って、一切やるなとは言いませんよ。国営については全部やるんだ。互助会については、互助会がどの程度見て、郵政省がどの程度見る。それから、一般の家主の局舎については、その老朽の度合い、その定員、その局舎の構造、規模、平米、そういうものを全部総合して平均単価というものを出して、大体これを公平に分けていくというのが筋じゃないかと思う。いまのようなやり方をやると、一方は相当もらって、一方はたったの二千円しかもらわぬという局がある。これは非常に私は不公平だと思う。
  254. 西谷馨

    ○西谷説明員 実は、さような非常に不公平があることは存じませんけれども、予算事情等の関係もありまして、ある程度経費に操作ができるような見通しもつきましたので、ことしから本格的に、そういうものは一応本省で調査をいたしまして、おっしゃるとおり基準等もできるだけ確立するつもりで調査をやろうというふうに進めております。
  255. 森本靖

    森本分科員 それでは、時間がありませんので、昭和四十一年と四十二年の小破修理費の各郵政局に対する配算の方法、末端までどういうふうに配算をしたかという資料を、これは予算委員会が終了するまででなくてもかまいません。あとでけっこうでありますから、この小破修理費の予算の使い方について、四十一年、四十二年、この二年間の分を詳細にひとつお出しを願いたいということです。それでよければ、次に進みます。
  256. 西谷馨

    ○西谷説明員 できるだけそういたします。
  257. 森本靖

    森本分科員 できるだけでなしに、それはひとつ出すようにお願いをいたします。
  258. 西谷馨

    ○西谷説明員 出しますけれども、全く詳細に……どの程度ということは、またよく相談をいたしましてから……。
  259. 森本靖

    森本分科員 次に進みます。  それから、いま一番問題になっておりますのは、実はこれは大臣にもよく聞いていていただきたいと思うことは、都会地の無集配局の設置が実は一番困っておるわけであります。というのは、御承知のとおり、東京あたりになりますと、土地が坪八十万円も百万円もする。そういうところで局舎をつくって、局長自分でやっておったんではなかなかもう採算がとれないということで、なかなかむずかしくなってきておるわけであります。そういうことで、東京、大阪、あるいは県庁所在地というようなところの無集配局の設置については、今後原則としてこれは国費でやるべきだというふうに考えるのですが、大臣、どうですか。
  260. 小林武治

    ○小林国務大臣 これはもう前から問題になっておりまして、私もそういう方法によるべきだ、こういうふうに思っております。
  261. 森本靖

    森本分科員 まことにけっこうな答弁で、名大臣であります。  そこで、具体的にちょっと五つばかり聞いておきたいと思います。  これはこの間私はちょっと見てきたのですが、たとえば神田の三崎町の郵便局が、実はこれは定員その他からいきますと、百三十平方メートルぐらいなければならぬ局舎です。ところが、現実にこれが三十八平方メートルぐらいしかありません。それでここらあたりの坪単価はおそらく九十万円すると思います。それからもう一つ例をあげますと、神田の神保町、これも土地が坪当たり五十万円ぐらいでございます。これがこの定員算出基準でいきますと百八平方メートルなければならぬのが、半分の六十四平方メートルしかない。もう少し聞いてもらいたいと思いますが、小石川の窪町、これも私はちょっと見ておりますが、これが八十九平方メートルなければならぬのが、四十八平方メートルしかない。ところが土地の坪単価が百万円もする。それから小石川の初音町、これが九十一平方メートルなければならぬところが、四十三平方メートルしかない。これも土地が坪単価百万円程度する。それからさらに、これはちょっと遠いですから単価は下がりますが、三多摩の小金井という局であります。これなんかも百二十平方メートルぐらいなければならぬのが、八十五平方メートルぐらいしか実際にはない。  この五つの例をとったわけでありますが、ひとつ早急にこういう局舎の改善については御努力を願いたい。それで、これは国営において御努力を願いたい、こういうふうに考えるわけでありますが、大臣の御答弁を伺っておきたいと思います。
  262. 小林武治

    ○小林国務大臣 さっそく調査いたします。
  263. 森本靖

    森本分科員 調査をいたしまして、なかなか自営でむずかしいということになれば、できる限り国営でやるという方向でひとつ御善処を大臣にお願いしたい、こう思うわけであります。
  264. 小林武治

    ○小林国務大臣 承知しました。
  265. 森本靖

    森本分科員 ほかに質問がたくさんありますけれども、私も党の責任者でありますから、本日はこの程度で、次の質問者に譲りたいと思います。
  266. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて森本靖君の質疑は終了いたしました。  次は、田邊誠君。
  267. 田邊誠

    田邊分科員 郵政事業は年々伸展をいたしておるわけでございますが、何といってもその中で人の占める割合というのが非常に大きい事業でございます。ところが、近年この郵政事業に機械化を導入するという計画を郵政当局が持ちまして、逐年この計画を実施しつつある、こういうことをお聞きいたしておるわけでございます。  その中で、郵便の機械化についてお伺いいたしたいと思います。来年度の機械化計画の中で、具体的にはどのような機械を導入をしてこれを実施するか、お伺いをいたしたいと思います。
  268. 曾山克已

    ○曾山政府委員 特に来年度の機械化の中で重点的に考えておりますのは、郵便の自動選別機、自動取りそろえ押印機、自動区分機、書留査数記録機、そのほか窓口の機械等々でございます。
  269. 田邊誠

    田邊分科員 その機械化と軌を一にいたしまして郵便番号簿制度というのを設けると聞いておりますが、これは具体的には、いつから、どのような形で実施をする予定ですか。
  270. 曾山克已

    ○曾山政府委員 ことしの七月一日から、全国的わたりまして実施いたします。
  271. 田邊誠

    田邊分科員 全国的に七月一日から実施をして、これが完全な普及、実施ができる準備が整っておいででございますか。
  272. 曾山克已

    ○曾山政府委員 整っておるつもりでございます。
  273. 田邊誠

    田邊分科員 郵便番号簿制度の持つ意味、その目的、意図は、簡潔に言って何でございますか。
  274. 曾山克已

    ○曾山政府委員 簡潔に申し上げますと、郵便作業の人力に代替しますところの機械化によりますところの人件費の節減、つまり作業の合理化ということでございます。
  275. 田邊誠

    田邊分科員 いま準備は整っているというお話でございますけれども、七月一日にこの番号簿制度の実施に伴うところのいわゆる機械としては、自動区分機が当然それに付随してあると思いますが、その区分機はどの程度整う予定でございますか。
  276. 曾山克已

    ○曾山政府委員 四十二年度におきまして二台調達いたしました。並びに四十三年度の本予算案におきましては三台調製をすることにいたしております。
  277. 田邊誠

    田邊分科員 そういたしますると、この番号簿制度というのは、機械化、それによるところの迅速化、合理化をねらいとしておるというお話でありまするが、七月一日実施によって実験機二台でもって発足をするということはその趣旨に合わないじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  278. 曾山克已

    ○曾山政府委員 七月一日実施の際に、私ども国民にできるだけPRいたしますが、一〇〇%記載率があるということになってまいりますとただいま御指摘になったとおりだと思いますが、各国の例を見ましても、さようにまいりませんので、私どもといたしましては、記載率の高まりを追いまして機械の準備をいたしたいと思います。  なお、先ほどあまり簡潔に申しましたので、ちょっと足りませんでしたが、単に作業の合理化ということは、機械化だけではございません。人力作業におきましても能率的な作業ということがあるわけでございます。番号による区分というものは、人力による作業を大いに助けると思います。
  279. 田邊誠

    田邊分科員 大体どのくらいの計画で、まあ一〇〇%といいませんけれども、大体その目標であるところの、いわば合格率九〇%なり九五%に達するわけでございますか。
  280. 曾山克已

    ○曾山政府委員 ただいま目途としておりますものは、初年度におきまして六〇%、次年度におきまして七五%ないし八〇%、第三年目におきまして九〇%ということを目標にいたしております。
  281. 田邊誠

    田邊分科員 大体この価格は一台八千万円といわれておるのでありますが、これを大体何年後にはどのくらいの局に配置するという形になりましょうか。
  282. 曾山克已

    ○曾山政府委員 四十三年度、本年実施を最初の年といたしまして、向こう十年間に私どもの計画といたしましては百六十三台予想しております。そうして、その配備先につきましては、大体郵便物数が十万通ぐらいあるところというぐあいに考えております。
  283. 田邊誠

    田邊分科員 一体、いわば経営のバランスシートから見て、この機械の導入あるいは番号簿制度の実施、こういったものと、それから郵政職員の人的配置のいろいろな今後の計画、こういったものがどのようなぐあいになるかという見通しは、五年なり十年の計画というものはおありでございますか。
  284. 曾山克已

    ○曾山政府委員 私どもとしては持っておるつもりでございます。
  285. 田邊誠

    田邊分科員 それでは、それは時間の関係で、ひとつ後ほどその計画の概要でけっこうでございますからお出しをいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  286. 曾山克已

    ○曾山政府委員 人力の算定はなかなかむずかしいものでございますので、きわめてラフではございますけれども、ラフでよろしければ差し上げたいと思います。
  287. 田邊誠

    田邊分科員 もちろん、そういった人員配置との関係というものがこの問題の一つのポイントでありまするから、あなた方の計画というのが、やはり世論を納得させ、国民の理解を得るような形でなければならぬと思うのであります。しかし、ラフでよろしいという話にはなりませんが、できるだけひとつ、概要でけっこうでございますからお出しをいただくようにお願いをいたします。  そういたしますと、とりあえずはことしの七月一日から実施をいたしまして、二台というのですから、これは試験的なものでございます。当座はこれは——当座というのはおそらく三年、五年先に至りましても、百六十三局というのでありまするから、人力にたよることが非常に多いという形には間違いないと思うのであります。そういたしますると、従業員の手によって区分をするいまの能率と比べてどのくらいの能率化がはかれるのですか。
  288. 曾山克已

    ○曾山政府委員 人力と人力の比較という点においてですか、機械と人力ですか。
  289. 田邊誠

    田邊分科員 人力と人力。
  290. 曾山克已

    ○曾山政府委員 人力と人力の比較ということになってまいりますと、まだ実施いたしておりませんので的確には申し上げられませんが、私どもの現在の能率算定のラフな見どころといたしましては、相当能率が上がるというぐあいに考えております。
  291. 田邊誠

    田邊分科員 こういう新しい制度を実施するにあたっては、かなりやはりそれに対する見通しがなければ私はいかぬと思うのです。ただ単に、こちらのほうが数字を読むんだから幾らか早くなるだろう、幾らか作業が能率化されるだろうという、そういう感じ方だけでこの問題を処理することはいかがかと思うのです。どうですか。
  292. 曾山克已

    ○曾山政府委員 局限的に申し上げますと、すでに御案内のように、郵便物の配達局区分ということが現在非常にむずかしいわけでございます。この配達局区分は、現在東京中央郵便局等におきましては職員が暗記しておるわけでございますが、その暗記を、一見して数字で区分するということになってまいりますと、能率は最低二割はあがるというぐあいに考えております。
  293. 田邊誠

    田邊分科員 郵便番号簿というのがございますけれども、これはかなり局数も多いせいでございますが、何といっても、数字をたくさん並べておりまして、一見したところではなかなかたいへんなんでございます。郵便事業は、御承知のとおり長い伝統の上に立って築かれたのでありまして、現場の郵便局につとめる職員もかなり長い間の習練というものでだんだんと作業の能率化を促進しているという状態でございますから、いわば、いままでの区分をかなり敏速にやってきたその習慣というものがこの番号簿の実施によって切りかえをするということの、いわば精神的な、肉体的な労力というものはたいへんなものであります。そういった点から見て、はたしてこれが能率的に運営されるにはどのくらいの期間がかかるかというと、たいへんな期間がかかるのではないかと考えるのでありますけれども、あなたのほうはそのいうふうに考えませんか。
  294. 曾山克已

    ○曾山政府委員 具体的な例を引いて恐縮でございますが、たとえば東京中央郵便局の区内と麹町の区内と神田の区内をもって現在千代田区を配達しているわけでございます。それぞれ東京中央郵便局が一〇〇、神田が一〇一、麹町を一〇二といたしますと、一〇〇が東京中央郵便局である、神田が一〇一であると覚えますことは、私といたしましてはそうむずかしいことではないと思います。また、現にさような能率の比較も実験いたしておりますが、特に、ただいま御指摘のような困難があるとか、あるいは能率が低下するとかいうことはないようでございます。
  295. 田邊誠

    田邊分科員 この制度の実施は、問題は国民の側の協力と実際の業務運行とが一体とならなければならぬ。そういたしますと、国民の側は、自分の相手なり自分の親戚なりというものがどこの町に住んでいる、どこの市に住んでおる、こういうことですぐ書けるのでありますけれども、これを実施する場合には一々番号簿を引きまして、それで自分の出すところは八一二の何番、こういうふうに読み取らなくちゃならない、こういう形でございます。これは当初はたいへん煩瑣なものであろうと私は思うのですが、一体、そういった面で業務のピッチと合わせて国民の理解が高まるものかどうか、この点、たいへん不安が残ると思うのですが、いかがですか。
  296. 曾山克已

    ○曾山政府委員 国民に負担を負わすということに対しましては、ただいまおっしゃるとおりだと思います。私どもといたしては、その負担にかわるに、できるだけ郵便物を早く確実に送達する、遅配欠配等をなからしむるような職員、管理者ともどもによります努力で、今後国民の負担感に対する代替措置をしたいと思っております。
  297. 田邊誠

    田邊分科員 これはいわば政令実施ですか、郵便の規定で実施をせられるのですか。
  298. 曾山克已

    ○曾山政府委員 省令で規定をいたします。
  299. 田邊誠

    田邊分科員 そうしますと、法律的な拘束力を持っておるわけでございませんから、あくまで国民にこれをPRをし、理解を得、協力を求めるという形だろうと思うのであります。そうすると、郵便番号簿を利用いたしましてあて先の番号を書いた人と、もちろん書かなくても過誤あるわけではございませんけれども、書かない人と、一体郵便物の送達は違ってまいりますか。
  300. 曾山克已

    ○曾山政府委員 送達の順序につきましては特別違いません。ただ、東京につきまして先ほど千代田区の例を申し上げましたが、番号で区分いたしましたものは直接配達局に参りますので、その分だけは早くなるということになるわけでございます。
  301. 田邊誠

    田邊分科員 そうしますと、法律の拘束力を持っていない、いわば国民の理解を求めるという形の中で、たまたまこれを書かなかったものは書いたものよりもおくれるという結果でありますと、これは国民に対して、いわば一つの差別をする、事業上そういった差ができるというふうに思うのですが、こういったことが、一体国家独占事業としての郵便事業の中で、公に許されていいものかどうか、どうでしょうか。
  302. 曾山克已

    ○曾山政府委員 御指摘のように、あまねくかつ公正にサービスすることが郵便の本旨であることは変わりございません。ただ郵便を出される国民大衆、公衆の方が積極的に協力されるものにつきましては、現在の法制下におきましても、協力しないと言っては語弊がありますけれども、そうでないものに比べますと、迅速な送達をはかっておりますので、特に不公平なサービスとは思っておりません。
  303. 田邊誠

    田邊分科員 やはりこの問題は、これから先の郵便事業の一番のネックでありましたいわば区分から逓送、配達に至る一つの道程というものを基本的に変える問題であります。そういたしますならば、やはり国民が公平にこれに対する利便を受けるという状態というものを、まずもって考えなければならぬ。最初から差ができてくるような、そういう状態で実施することは、私はいかがかと思う。ましてや、この最終的な目標は、何といっても自動区分機の活用によるところの機械化だろうと思う。それが現在、七月一日ではわずか二台数年後においても大体統轄局程度の配置しかできない、こういう状態であれば、何を急いでこの制度を実施しなければならぬか。何か日本の官庁は、郵政事業もそうですか、機械化といいますとすぐそれに飛びつく、こういう安易性が私はあるのではないかと思うのですけれども、こういった点で、この時期が適切かどうか再検討を願わなければならぬと思うのですが、どうでございましょう。
  304. 曾山克已

    ○曾山政府委員 郵便番号制度の採用につきましては、単にわが国だけではなくて、世界主要国のかなりの国でやっております。それぞれの国の事情につきましては、すでに田邉委員も御存じと思いますが、やはり人力の枯渇ということが一番大きな原因でございます。わが国におきましても、人力、なかんずく熟練した若年労働力を得るということが非常に困難になってまいっておりますので、このまま放置しておきますと、いつの日か、オーバーな表現でございますが、郵便事業は破壊する、かように考えます。そういった意味におきまして、私どもは、諸外国の例にならいまして、かつまた先生御指摘のように、国民の協力を得ながら、積極的にこの番号制度を推進したいと考えております。
  305. 田邊誠

    田邊分科員 私はこのよしあしを言っているのではありません。やる以上は郵便事業の本旨にかんがみて、これが国民に対する利便が不公平にならないように、そういう形でもってやるべきだ、こういうふうに私は思っている。それは大臣、苦い経験があるのです。戦後、郵便事業の業務の中で、何々局区内、こういう区内を表示すれば郵便は早く着きます。ぜひひとつそういうふうに書いてください。これは一般国民はなかなか理解しがたかったのであります。しかも、一つの行政区域の中ででも、幾つかの郵便局の配達区内が分かれておる、あるいはわたっておる、こういう実情でありまするから、この郵便局区内というのは、非常に評判が悪かったのであります。一体どのくらい実際行なわれましたか。
  306. 曾山克已

    ○曾山政府委員 昭和二十三年から実施いたしましたが、最高いきましたときが二五%、一部の地区では五〇%いったところがございますが、平均して、最高になったのが二五%であります。
  307. 田邊誠

    田邊分科員 これは廃止になったのですか。
  308. 曾山克已

    ○曾山政府委員 ことばは悪うございますが、自然解消という形であります。ただ現在非常に便宜を得ております大口の郵便物を受けますところだけ、たとえば放送局とか新聞社等につきましては実施をいたしております。
  309. 田邊誠

    田邊分科員 やはり郵便は独占事業といわれておるけれども、いわば国民の、小さな一個人であっても、その利用が簡便である、安心してできる、こういうところにいわば価値があるだろうと私は思うのです。そういう点からいきまして〇〇局区内というものが約二十年にわたって行なわれてきたというのでありますけれども、いま言われたような実際の状態である。私は前車の轍を踏まないという形でもってこのことを考えたときに、やはり郵政事業の機械化なり新しい制度の実施というものについては、過去のはなはだ苦い経験に照らして、より慎重でより公平が期せられるという立場からやるべきではないか、こういうふうに思うのですが、この基本方針は大臣としてもお認めいただけると思う。いかがですか。
  310. 小林武治

    ○小林国務大臣 私はいま田邉委員の御意見をお聞きしておりまして、非常に共鳴しておる。私は就任以来その議論郵政部内で大いに戦わしてまいっておりまして、これは要するに国民に新しい非常な負担をかける、その負担をかけるからには、その負担に対して還元するところがなければならぬ。具体的に一体どういうことを一たとえばこれで何時間、何日というふうな時間が早くなるか、こういうふうなことを言われますから、そういうふうなこともいろいろ検討してもらったのでありまして、たとえばいまおっしゃるように時期が少し早いじゃないか、こういう議論も十分いたしたのでございます。ただこれはもう長い計画によってまいっておるのでありまして、これをこの際時期的の変更はできない、こういうことを関係者がみな言うから、私もそれに応じた、こういうことでありますし、いまおっしゃるように郵便の機械化などということは、これは万能ではありません。これはもう限度がある。一番の郵便のネックは外勤職員で、配達というものが一番のネックでありまして、いまこれによって救われるものは何かといったら局内作業だけの話である。しかもいまお話しのようにことしは二台しかない。将来百六十五なんてできるはずはないと私も思っておる。これが郵便が十万内外で、こんな高い機械が一体使われることが企業として成り立つかどうか、こういう疑問も持っております。しかし機械化については限度があるが、局内作業としても、やはり番号によることによって相当に能率があがる、こういうことでありまするし、局内作業の機械化がそう大きな期待がなくとも、とにかく手作業であっても、番号にすることが非常な大きな能率化である、こういうことで私はこれを認めたということでございます。機械化なども百六十何台なんか、一体ほんとうにできるかということについても、私は疑問を持っておるのであります。何だかこれでもってもう郵便事業は片づいたというふうな印象を持つとすれば、これは非常な誤まりである。やはり郵便事業というものはあくまでほとんど大部分のものは人の力にたよらなければならぬ。したがってそれに対する対策を考えなければならぬ。ことに外勤職員などはむしろ幾ら機械化しても絶対解決にはなりません。配達の役には立たない。こういうことも事実でありまするから、これらもやはりいろいろ比較検討して進めることはいたさなければならぬと思っておるのでありまするし、いま申すように番号書いたものは早くて、書かぬものはおそいなんというのは、郵便制度の上からいってもこれは邪道である。したがってそういうことはよろしくないということも、私は田邉委員と同じように考えておるのであります。そういうことのないように、ひとつぜひ何とかくふうをすべし、こういうふうに言うておるのであります。
  311. 田邊誠

    田邊分科員 そこで私はいろいろ意見がありまするが、最終的に国民がより利用しやすい形でこれは実施しなさい。たとえばしろうとですから全く素朴な意見でございますけれども、いま電話のほうは自動化になっておりまして、たとえば地域別に見ますと、北海道は〇一とか東北は〇二、東京は〇三とか、こういうかっこうでございますね。郵政事業と電電公社の事業は昔から非常に表裏一体でございますね。何かくふうをして一やはり電話の自動回しを国民は一生懸命覚えたのですね。今度は郵便のほうも覚えなければならない。違うものがあればまた違ったものを覚えなければならない。何か統一できないか。それはそんなぐあいにうまくいかないのだとおっしゃるだろうと思いますが、これをずっと見せてもらいまして、どこから始まってずっと全国回るというようなことになっておるのですけれども、やはりそういったところの有機的な連携というものもほしいのではないかと思うのです。これは電電公社の総裁もおいでになるが、もう少しそういったくふうもこらして、やはり国民が簡便に利用できるという形がとり得ないものか、私は実はこういうふうに思っておるわけであります。何も番号の自動化と一緒にしようというのではございませんが、そういった方向も考えながら慎重に取り扱うべきではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでございますか。
  312. 小林武治

    ○小林国務大臣 これももうまことにごもっともな御意見で、中には郵便の番号と電話の番号を一緒にしたらいいじゃないかという議論も前々からあって、いろいろ検討してもらったのでありますが、これもできなかった。こういうのであります。なお同じ郵便局で、郵便の番号と為替の番号と書留の番号、みな違うのはどうか、これらにつきまして当然統一すべきじゃないかというような御意見も出ておるのでありまして、こういうことも私どもは検討しなければならぬ。お説のようにできればまことにけっこうでございますが、いままでのところは遺憾ながらそこまでいかなかった、こういうことでございます。
  313. 田邊誠

    田邊分科員 国民が利用するのに頭を使わなければならぬ、何かこういう番号を備え置いて郵便を出さなければならぬ。こういうことは、たとえば旅行先でもちょっとうちへ手紙をかける、こういうところに意味があるので、そういう意味合いからこれが普及なり実施については、もうちょっと慎重に、もうちょっとPRが行き届いた時点というものが必要じゃないか。実施をする以上は、近代化とか機械化とか歩調をそろえる中でやっていくという形がほしいんじゃないか、こういうふうに思っておるのでありまして、何といっても必要なことは省令でやるよりも、やはり国民に全体的にこれを知らしめるという意味からいえば、これが法制化をしてその上に立ってやることが最も望ましかったのではないかと私は思うのですが、この点はいかがでございますか。
  314. 小林武治

    ○小林国務大臣 これはお話しのとおりじゃないかと思います。ただこれだけの大きな負担をかけるのに、初めから法律でこれを強制するなんということはもっと無理じゃないかというふうな考え方もしたわけでありまして、要するに、いまの機械もまだろくにそろわぬうちにどうだ、時期尚早じゃないか、こういう御意見は、私はごもっともだと存じますが、長い間の計画によってここまで歩んできたのだ、ぜひともこの辺で踏み切りたい、将来、これが進めばまた法律化というようなことも考えられますが、いまのこの程度においてそういうことを画一的に強制することはかえって混乱を来たすのじゃないか、こういう御意見もあったわけであります。
  315. 田邊誠

    田邊分科員 もう時間がございませんから、この問題はさらに実施の面においていま私が申し上げたような点も含めて大臣の答弁も含めて、慎重に公正に実施ができるように十分に御配慮をいただいて、国民の側も、それに携わる従事員の側も不安のない措置をお願いしたいと思うのであります。こまかい問題はあとでまた質問をいたしたいと思います。  もう一つの質問は、保険の募集目標額は今年度六十三億である。昨年に比べて増加率はどのくらいですか。
  316. 竹下一記

    ○竹下政府委員 昨年の四十八億に対しまして三一%の増でございます。
  317. 田邊誠

    田邊分科員 一昨年に比べて昨年はどのくらいの増加率ですか。
  318. 竹下一記

    ○竹下政府委員 一昨年が四十六億でございますから、これはきわめてわずかでございます。
  319. 田邊誠

    田邊分科員 それではなぜ今年度三一%の急激な増加をはからなければならぬのですか。
  320. 竹下一記

    ○竹下政府委員 簡易保険の現在の業績の伸びはきわめて順調でございます。それともう一つは、この四月以降、全種類の保険の最高限度額がただいまの百万円から百五十万円に底上げになる。これはたいへんいい材料でございまして、そういうことを考えますと、この目標額も達成できるというふうに踏み切ったわけでございます。
  321. 田邊誠

    田邊分科員 それに対する増員はどのくらいですか。
  322. 竹下一記

    ○竹下政府委員 七十五名でございます。
  323. 田邊誠

    田邊分科員 一体三一%の増に比べて七十五名というわずかの増員では、実際に募集をする職員の労働過重というようことは考えられませんか。
  324. 竹下一記

    ○竹下政府委員 目標額が保険料建てになっておりますが、目標額が上がるということによって必ずしも件数の増加にならない。と申しますことは、一件当たりの保険料額が上がるというわけでございますから、必ずしも件数の増を来たさないということが第一点でございます。  それから、こういう総契約件数はここ数年四千百万件という数字は動かない、横ばいの状況でございます。それに伴います集金件数というものも大体横ばいでございまして、四十三年度におきましても同じように横ばい、そういうことを考えますと、ただいまの七十五名の増でもってやっていける、かように考えます。
  325. 田邊誠

    田邊分科員 私はそれに対しては一つの意見があります。件数主義というものが必ずしも当たるものではないというふうに思っておりますが、労働過重や特別な募集の強制等はしませんね。
  326. 竹下一記

    ○竹下政府委員 募集の強制にわたることは全然ないと考えます。
  327. 田邊誠

    田邊分科員 某郵政局保険部で資料「募集の手引き」というのを出しておりますが、これを拝見をいたしますと、名刺募集、名刺にいろいろなことを書いて募集を盛んにしろ、こういうのであります。その名刺に書く一つの例として、簡易保険の御相談は夜間でもどうぞと自宅の電話番号を入れる。夜間募集というのはいいんですか。
  328. 竹下一記

    ○竹下政府委員 夜間募集も間々あると思うのでございます。これは先ほど申しましたように、強制をしてやらしておるというたぐいのものではございません。
  329. 田邊誠

    田邊分科員 郵政局でもってそういうものを奨励しておるのか。あなたの側から言えば強制ではないが、こういったことを入れるというようなことを従事員に指導すれば、そのようにせざるを得ないでしょう。
  330. 竹下一記

    ○竹下政府委員 保険募集のやり方はいろいろな手があると思うのでございますが、いまおっしゃいました夜間に相手方に呼びかけをするということは、いろいろのやり方の中の一つだろうと思います。
  331. 田邊誠

    田邊分科員 そんなことはあなたのほうの側でもって指導すべきことですか。そんなことが許されますか。それは従業員がたまたま自発的に夜間にわたって自分の自発的な行為としてやるようなことがあるかもしれない。しかし郵政局の指導の中でそういったことが許されますか。どこにそういうことが許されることになっている。
  332. 竹下一記

    ○竹下政府委員 私その内容を詳細に存じておりませんので、あるいは的がはずれたことを申し上げておるかもしれませんが、大体推量をいたして申し上げておるわけでございますが、繰り返しになりますけれどもそういうこともある。また実情によりましては農村あたりでは……。
  333. 田邊誠

    田邊分科員 許されるか許されないかということを聞いているのだ。
  334. 竹下一記

    ○竹下政府委員 強制はいたさないが、そういうこともある……。
  335. 田邊誠

    田邊分科員 こういう指導が許されるか許されないかということを聞いている。
  336. 竹下一記

    ○竹下政府委員 ちょっとお答えに的はずれをするといけませんので、後ほど詳細にそれを見せていただきまして、それから御回答申し上げたいと思います。
  337. 松浦周太郎

    ○松浦主査 田邊君に申し上げます。持ち時間がまいりましたので簡潔に願います。
  338. 田邊誠

    田邊分科員 それでは、いま今後の事業運営上一つの大きな問題ではないかと思って例を申し上げたのでありますが、ひとつ詳細に御調査をいただきまして御報告をいただくようにお願いをいたします。
  339. 竹下一記

    ○竹下政府委員 承知しました。
  340. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて田邊君の質疑は終了いたしました。  次は堀昌雄君。
  341. 堀昌雄

    ○堀分科員 本日は郵政省の問題、電電公社の予算の問題についてお尋ねをいたします。  最初に郵政省の問題でお尋ねをいたしたいのですが、実はいま郵政省の指導方針がそうなっておるとは私は思いませんけれども、下部のほうでは、全逓信労働組合という組合があるところで第二組合をつくると、それをつくることに努力をした人が次々と栄転をしていく、そういうことをあまりされていない人は普通の状態というふうな実情を私の周辺でしばしば見かけておるわけですが、私は、労務管理というものは、労働者の諸君が組合をつくっていて、それがどうも極端にむちゃなことを行なうというならばこれはまた話が別でありますけれども、私どもの常識から見て、全逓信労働組合というのはまことに非常識な労働組合だというふうには実は感じておらないのでありますが、そのためにたいへんなエネルギーを使って実は第二組合をつくっている。このことは労務管理の考え方からすると、そのことがいいと思ってやっておられることが決してよくないのじゃないか。その例の一つは、国税庁がかつて全国税労働組合というものを何とか押えつけようと思って、一生懸命そんなことばかりやっておるものですから、大口脱税事件をちっともきちんとしていない。今日に至るまでこの間の日通の問題でも、それほどの大きな脱税をするものをきちんと捕捉をしないで、ようやく最近になってそれがわかるというようなことになっておるのは、それは私どもに言わせれば、つまらぬことにエネルギーをかけて本来の仕事がおろそかになるからだと思うのでありますが、大臣は、いま私の申し上げた、そんなに業務上のいろいろな圧力をかけながらそういうことをすることが、はたしてほんとうに郵政事業の前進のために役に立つと思われるのかどうか、ちょっと最初にお答えをいただきたいと思います。
  342. 小林武治

    ○小林国務大臣 私の知る限りにおいては、さような事実もない、またそれによって人事上の差別などもすべきでないということはもう当然のことであります。
  343. 堀昌雄

    ○堀分科員 いま大臣は私が考えておりますと同じようなお答えをいただいたのでありますが、きょうはちょっと具体的な事実をあげて、ひとつそういう責任の所在を明らかにしていただきたいと思います。  大阪郵政局建築部管理課庶務係長岡井万之介という人は、昭和四十二年五月十二日の金曜日、十三日土曜日、十四日日曜日、滋賀県八日市局、同多賀局へ新築工事事務打ち合わせの名目で出張命令が出ておる、こういうことでございます。ところが五月十二日には兵庫県西脇市の松鶴旅館におりまして、この地域においてそういう第二組合の問題について動いておる事実があります。同五月十二日の午後四時四十分に西脇市の隣の羽安駅を通ってその夜から十三日の朝にかけて西脇モーテルでまた会合をし、大体午前一時二十分ごろまでその会合が続いておる。五月十三日には杉原谷の局長と会って、その後遠藤という人の宅を訪問しておる。夜六時三十分から遠藤、寺尾、長田という人たちと、これはみな郵政職員でありますが、旅館で会合しておる。こうやってわざわざどこかへ出張をしたことにして、方向が全然違う滋賀県へ行ったことにして、兵庫県へ来て、第二組合づくりを現実にやっておる。これはただ一つの例でありますけれども、実は相当こういう例があるのです。具体的に非常にはっきりしているのだけ私は指摘をしておるわけですが、こういうことをやった。これはその上司が黙認をしてやらしておるわけです。私に言わせれば、大阪郵政局長は責任があると思う。どうでしょう。
  344. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは調べてみなければわかりませんが、事実とすれば適当でないと思います。
  345. 堀昌雄

    ○堀分科員 私これは一つの例を申し上げておるのですが、これは単に一つの例にとどまらないわけであります。どうかこういう件を厳重に一回御調査をいただいて、責任の所在だけは明らかにしていただかないと、私は郵政事業に対して禍根を残すと思うのです。  もう一つの事例は、これは民間の問題でありますから名前は伏せておきますが、大阪にあるもの——神戸その他に二、三あるのでありますけれども、そこで郵政省の関係の旅館というか、食事のできるようなところを利用して、事実そこで費消していないにもかかわらず費消したかのごとき請求書を出させて、金券を発行して、架空の支払いをして、その金はもちろん架空の請求書をつくっているわけでありますから、それを引き取って、これがまた第二組合のいろいろなそういうことをするための原資に充てられておるという、実は確実な証拠を三点私は持っております。私どももいろいろな事情を調査いたしております中で、たとえば菓子折りを持っていく、あるいは数人の者を集めて供応して処理しておるという事実を、その中にいた組合員が私どもに証言をしておるので承知をしているわけです。一体その金はどこから出てくるのか、非常に不審でありましたが、ずっと調査を続けておる中でそういう事実が明らかになり、私のほうに証人もあるわけです。これはまことに重大なことであって、この前会計検査院に要求をいたしましたけれども、会計検査院としても表の処理ではそれは実際に会合したか会合しなかったかということはわかりませんから、正規な書類の面だけから見れば、何ら瑕疵のあるようには見えませんけれども、実態は飲食をしないのに飲食をした請求書をつくらせて、金券を払い込んでその金を持っていく。だから帳面上は何もありませんけれども、実態としては金が動いている。これは国の資金が不正常な状態に行使されておるわけであって、まことに遺憾であると私は思うのでありますが、これも後ほど委員会が終わりましてから、当該の名前だけは直接に大臣に申し上げるつもりでおりますけれども、公開の席でそういう民間の業者の方に迷惑をかけてはいけませんから申し上げません。こういう事実について大臣はどういうふうにお考えになりましょうか。
  346. 小林武治

    ○小林国務大臣 そういうようなことはよろしくない。したがって厳重に調査いたします。
  347. 堀昌雄

    ○堀分科員 要するに問題は、第二組合をつくることが何か仕事のすべてであるかのように考えておる職員が相当にあるということですね。労働組合ですから、組合員の自発的な発意によって第二組合ができることについては何ら私どもの容喙するところではありません。しかし現実には職階制の、言うなれば権力を利用をしてそれがやられておる事実を私自身も目撃をしておるわけでありますから、どうかひとつ郵政大臣におかれましては——私は過般来当委員会でいろいろ論議をいたします中で、小林郵政大臣は責任を持って綱紀の粛正のために努力をしていただいておりますので、その点については敬意を表しておるわけでありますが、この際ひとつそういうような職階制の力を利用して第二組合をつくるようなことをする者については、厳重な反省を促したいと思うのであります。その点についての大臣のお考えをひとつ。
  348. 小林武治

    ○小林国務大臣 これはもうお話しのようにそういうことのないように、反省を促したいと思います。
  349. 堀昌雄

    ○堀分科員 ぜひきちっとした処理大臣在職中にお願いをいたしたいと思います。(「処分を要求します」と呼ぶ者あり)処分は当然大臣の範囲内でおやりになるだろうということを期待しておりますから、別にそこまで言わぬでも、小林郵政大臣は非常に責任はきちんととられますから安心しております。  次は、電電公社の予算の問題を少し伺いたいと思います。  私どもこれまで電電公社の値上げ問題が出ますたびによく聞いておりますのは、電話をつけるとだんだん収入が減るというようなお話です。事業用電話だけふやせばそうもならないのでありましょうが、部分的に事業用電話と住宅用電話がふえていく、そのふえていく比率にもよるのでありましょうが、どうも全体としては収入は減る傾向にあると承っておるのですが、どうでございましょうか。
  350. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  一般の加入電話を分けますと、いわゆるビジネスに使われておる電話とそれから住宅に使われておる電話とに分けられる次第でございます。ところでビジネスに使われておる電話あるいは住宅電話というのは、現在加重平均いたしますと月約五千円の収入がありまして、それで現在の企業が成り立っているわけでございます。ところで、たとえば東京あたりの例を引きますと、四十一年、四十二年、約十九万ないし二十万の電話をつけておりますが、そのうちの約半分は住宅電話、あるいはその他地方におきましても、農村方面におきまして電話を引きますと、月千五百円とか二千円くらいの収入しかないところが多いわけであります。たとえば東京あたりで十九万とか二十万つけましたうちの半分は大体住宅電話で、したがって、一般のビジネス電話自身はやはり全体の国の経済が伸びれば若干増収にはなると思いますけれども、いま申しあげましたいわゆる住宅電話なり、農村電話がふえて、そのパーセンテージが全体として高まってまいりますと、全体的な収入は減ってくる、こういう傾向があるということをお話ししている次第でございます。
  351. 堀昌雄

    ○堀分科員 実は私もさように心得ておったわけでありますが、今度少し資料をこまかく分析をしてみますと、これまでそういうふうにおっしゃっておったこと、必ずしもどうも事実ではないような感じがいたすわけであります。実は、今度の予算の概算要求との関係をあとで触れますけれども、今度の予算で電話料収入——使用料、度数料、市外電話料を含めたものを電話料収入と一応置きまして、それの対前年の伸び率、予算上における伸び率を調べてみますと、四十年と四十一年は一四・二七%の増加、四十一年と四十二年は一七・八二%の増加、四十二年と四十三年は一八・三一%の増加、実は年を追うごとに増加率はふえる、収入増加率はふえておるわけですね。前年に比べてだんだんふえてきておる。  それでは今度は、開通した電話数というのは一体どういうことになっておるのかというのを調べてみますと、四十年と四十一年の間は一六・一九%の伸び、四十一年と四十二年は一六・四九%の伸び、四十二年から四十三年には一四・八六%の伸び、電話を開通させるほうの伸びは減ってきて、収入のほうはふえていくということですから、これは同じにつければもっとふえるわけでして、どうもこれまでのお話を聞いていて、電話をつけるとだんだん収入が減るとおっしゃっていたから、私もそうかなと思っていたのですが、ちょっとこまかく分析をしてみると、そうなっていないのですね。これは一体どういうわけでしょうか。ことしの予算に関係がありますから。四十二年、四十三年のところでは、開通電話数の伸びは一四・八六%、こうなっているわけです。
  352. 井上俊雄

    ○井上説明員 お答えを申し上げます。  住宅電話の伸び率が、第三次計画の後半から、いわゆる四十四年度から始まります第四次計画の期間にかけまして非常に従来よりも高くなってくることが予想されておるのでございます。その面からいろいろ分析をいたしますと、当然総合の収入は加入電話の伸び率に対しまして寝てくるということは明らかであると信じておるわけでございます。ただ問題は、四十一年度、四十二年度、この時点といいますものは、異常なほどに景気が過熱をしていると申しますか、経済活動が旺盛でございました。たとえば四十年度に対します四十一年度の経済指標の伸びの状況を見ますと、民間設備投資では、前年度におきましては、あるいは前年度以前におきましてはほぼ一〇%程度の伸びであったものが、四十年、四十一年では一七・三%伸びております。また四十二年度におきましては、これは未曽有にも近い、対前年度では二七・六%伸びるであろう、こういう経済見通しがなされておるわけでございます。  また鉱工業生産指数におきましても……。(堀分科員「できるだけ簡単に、時間がございませんから」と呼ぶ)そのように、いろいろな経済活動をあらわすバロメーターから見まして、異常なまでに日本の景気が高揚しておるということの影響で事務用電話の利用度がふえまして、それが収入増となってあらわれておる、こういうことでございます。
  353. 堀昌雄

    ○堀分科員 四十一年、四十二年はいまおっしゃるとおりです。四十三年度は民間設備投資の伸びを九・八%しか見てないんですね。ですから、そうすると、いまのお話の四十二年の伸びに比べたら三分の一くらいの伸びしか見てないわけですね。その三分の一しか見てないのにもかかわらず、一八・三一%というのは、四十一年と四十二年の一七・八二より伸び率が高いんですよ。それじゃあなたのおっしゃるように、景気がいい悪いであったら、三分の一に見ているのなら、少し伸び率が逆に下がって計算が合いますね。さらに上なんです。そうして、さっき申し上げたように、開通電話数のほうは伸び率一六%台が今度一四%台に落ちてくる。だから、どうもあなたのおっしゃることをすなおに——私も経済のほうは本職ですからあれですが、すなおに聞かれないんですよ。だから、このことが私はどうも、これまで何回か電話料の値上げの話が出ながら現実に電話料の値上げに至らなかった一つの大きな原因じゃないかと思うのです。  最近の状態をちょっと伺いたいのですが、四十二年の収入合計の大体予算に対する増加分、決算ベースにおける増加分の見込みは一体どのくらいになりますか。
  354. 中山公平

    ○中山説明員 四十二年度は年度がまだ中途でございますが、一番新しい決算の出ておる数字で申し上げますと、事業収入全体といたしまして、予算のつけ割り額を比較いたしまして、これは一月現在でございますが、三・九%の実績は増収になっております。
  355. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまの三・九%、あと二月、三日まあ横ばいと見れば、私はちょっと試算してみたら二百五十二億円ぐらいふえますね、予算ベースに対して。そんなものでしょう。
  356. 中山公平

    ○中山説明員 そのまま延ばしますと、大体そういう数字に相なろうと思っております。
  357. 堀昌雄

    ○堀分科員 四十一年度は収入合計で幾ら予算ベースよりふえたわけでございましょうか。
  358. 中山公平

    ○中山説明員 二百三十億の増収になっております。
  359. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまお聞きのように、実は予算べースで見たものよりも、四十一年もまあ確かに景気はよかったわけですが、四十二年ほどではないわけです。しかし、四十二年ほどではなくても二百三十億円実は伸びておる。この伸び率は、土台が小さいですから伸び率としては大きいわけです。この二百三十億の収入全体に占める比率というのは大きいわけです。四十二年もそういうこと、四十三年がこうなりますと、どうも私は依然として、電話というものが国民生活の上昇とともに使用の度合いというのはだんだんとレベルアップをしてきて、どうも公社がおっしゃっておるように、必ずしも住宅電話をつけたから収入が減るという方向に今日まではなっていない。この点を総裁は、もういまの計数で、皆さんもお聞きになったと思うのですが、さらに四十四年度にはどうしても上げたいというお話があると思います。私どもも、ペイしないものなら上げなければいけません。しかし、どうも現実に決算を見ると、ペイしてくるものをこの際、この間の物懇の答申にもありますけれども、必ずしもそう簡単に上げられるべきでないと思うのですが、この大数観察的な方向で総裁どうお考えになりますか。
  360. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  実は私もこの収入の動向につきましては、私ながらいろいろしさいに検討しております。たとえば佐藤調査会といいますか、佐藤喜一郎氏の調査会から出ております収入の四十三年の見込みと、それから四十三年度、今回提出されます予算案の収入と比較してみますと、確かに四十二年度の予算案のほうがふえております。このふえておる原因の一つは、これは第三次五ヵ年計画で——佐藤調査会はちょうど第三次五ヵ年計画の末期に予定した時点でありますが、五百万の電話をつけるという予定でありましたのが、農村集団自動電話を加えますと、五百五十万になった。それが一つである。それからもう一つは、電話の建設を最近少し早めまして、電話の稼働月数というものが確かに早くなったということが一つ、もう一つは、ただいま議論に出ました、経済の伸び率が大体八%ぐらい、実質経済成長率十二%もいった、こういうものが総合されて、確かに住宅電話の、われわれの実際払っている金を調べてみますと、月二千円くらいしか払っていないのでありますけれども、いわゆるビジネス電話の架設がふえたということ、それから年内における稼働がふえたということ、もう一つは、三次計画でつけた電話の絶対数がふえた、こういうようなことが総合された。もう一つは、ことしの予算におきましても、支出の面につきましては節約をかなりやかましく言っております。私たちも、いわゆる料金修正問題をかかえておるからといって、絶対にむだ使いをしてはならぬのです。料金修正のためには赤字にしたらいいのだ、むだ使いをしたらいいということになりますと、これはその損というものは十年くらい取り返しがつかないことになります。そういう増収意欲と節約問題をやかましく言っておりまして、全体的に、確かに佐藤調査会の答申の時点よりは四十三年度はふえておるというのが実態でございます。今後とも、この修正につきましては、私も非常に慎重に考えなければならぬと思いますけれども、四十四年におきましては、ぜひ料金修正をお願いしたい。同時に、経済社会発展計画でも述べられておりますような、料金体系の合理化ということもぜひやりたい。ですから、ただ何%ということではなくて、四十四年度の場合には、いわゆる日本の電話の料金制度というものは、いまは自動が非常に普及しておりますけれども、たとえば昔の手動式の時代は、市内におきましても、あるいは市外においても、手動式の料金というものを倍数でやってきたというのが主なのでありまして、そういう近代化、合理化の要素をぜひ加味していきたいというふうに考えております。
  361. 堀昌雄

    ○堀分科員 実はことしの四十三年度予算と四十二年度予算の伸びを、伸び率で各項目別に見てみますと、電話料の収入の中で一番伸びておるのは、度数料が二〇・二〇%伸びておるわけです。雑収入なんというのは二五・七九%伸びておりますが、こんなものは別であります。利益も小さいですから……。  そこで、支出のほうを見ますと、一番伸び率の高いのは、減価償却費が二八・五四%、これが一番高い。それで、これの寄与率は四九・五八%、伸びたものの約半分というのは減価償却で持っていった。その次が利子の支払いで二七・〇三%、人件費なんというのは十三・八六%しか伸びていない。こういう姿をずっと見てみますと——時間がありませんから、いずれ逓信委員会で減価償却問題を少し論議さしていただきたいと思いますけれども、やはり収入、支出の中には、特に電電公社の場合、原価計算というのはたいへん大きな比重を占めておる。ですから、この前指摘をしましたように、今度の予算の中には退職金の引き当てのようなものはなくなりました。私は、当然こういうものは新たに計上すべきでないと思いましたけれども、ここらを考えてみますと、どうも、もう一年くらいは値上げをしないでもペイできるのではないかという感じがいたします。  もう時間がありませんからこれはおきまして、もう一つ私が非常に奇異に感じておりますことは、たいへん大きな要員要求が出ておりまして、その要員要求がまた予算では急激に減っているわけです。  ちょっとこれを資料的に見ますと、昭和四十年に公社は一万三千七百三十五人要求されて、政府が予算できめたのが九千百六十一人で、この査定率は三三・三%、ところが四十二年にきますと、一万四千八百五十二人要求されて九千二百八十八人認められて、査定率が三七・四%、今度四十三年は一万四千九百九十二人要求されて、八千五百二十二人ということになって、査定率四三・二%、日本の予算制度はいろいろ問題があるのですが、概算要求して出したのが、大かた半分近くちょん切られて、それで依然として収入が予算より二百五十億も出てくるというこの予算要求のしかたというものは、常識的なあれじゃないような気がするのですが、小林さん、あなた所管大臣ですが、こんな予算要求の慣行は少し改めたらどうかと思うのですが、どうでしょうか。
  362. 小林武治

    ○小林国務大臣 まことに長いそういう悪習があって、私もお話しのとおり直さなければならぬ、こう思っております。
  363. 堀昌雄

    ○堀分科員 こんなことになりますと、ほんとううにいい要員というものはどうなのか、皆さんは、労働組合はともかく一万円も要求してけしからぬという話がよく出るわけです。私はこれを見ると、公社の管理者の側も、あまり労働組合に大幅賃上げなどけしからぬと言うことは言えないなという気がする。こういうのは大幅賃上げというのじゃなくて、ちょうど大幅要求というのですか……。どうもその点はすっきりしないのですが、総裁どうでしょうか、こういうのは少し改めたらどうですか。
  364. 中山公平

    ○中山説明員 四十三年度の予算案におきます要求と、予算案の数字との差異でございますが、御指摘のとおり一万四千九百九十二名の要求に対しまして八千五百二十二名の増員でございますので、その差は六千四百七十名でございますけれども、これにつきましては建設勘定の要員を一千八百八十九名要求をいたしておりましたけれども、これは四十三年度におきまする定員の自粛という政府の方針によりまして、建設勘定についてはゼロでがまんをするということをいたしました。  なおそのほかに、四十二年度末、定員の二十五万五千名に対する一%の削減というのをいたしました。そこでまた二千五百五十名ばかりが落ちておる。そういった関係で、これらを合計いたしますと大体四千数百名ということになりまして、先ほどの六千四百七十名と比較いたしますと、純粋のいわゆる査定は二千数百名ということになるわけでございまして、それにつきましては、四十三年度電話の新増設百九十万個を、農村集団自動電話を含めまして要求しておりましたのが、設備投資の規制という方針によりまして、百七十二万個に相なった。こういう業務量の減少等々の事情で、二千数百名が落ちた。こういう次第であります。
  365. 松浦周太郎

    ○松浦主査 堀君に申し上げます。あと時間は一分半です。
  366. 堀昌雄

    ○堀分科員 時間がありませんから、いろいろこまかいことを詰められませんけれども、私、実は概算要求を土台にして、大蔵委員会で論議をさしていただきました。今度の予算案を見まして、どうもずいぶん概算要求と予算の中身が違う。それだけではなくて、さっき申し上げたように、つける個数は少なくなって収入はふえてくるということになったのでは、これは国民に対する説得力の点で、そう簡単に電話料金値上げということを言っていただいては、適切でないのではないかという感じがいたしてなりません。あと時間がありませんから、逓信委員会のほうに伺って、今後も電電問題の経理上、予算上の分析を、もう少し事こまかにやらしていただいて、私ども納得ができれば——それは経済の原則でありますからやむを得ないと思いますが、どうも現状では納得ができないということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  367. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて堀君の質疑を終了いたしました。  次は、小沢貞孝君。
  368. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 いま堀さんが広範にちょっと触れられたのですが、私も電電公社の概算要求の資料とそれから決定されて審議をしなければいけない資料との間に非常に大きな矛盾ですか、そういうものを感じたわけです。  そこで私は最初に郵政大臣にお尋ねしなければなりませんが、それはことしの二二%の値上げ要求というものを押えて、来年度は値上げさせよう、こういうような内諾か何かを与えられてあるわけですか。その辺をまず最初に大臣にお尋ねをしたいと思います。   〔主査退席、湊主査代理着席〕
  369. 小林武治

    ○小林国務大臣 四十三年度の概算要求につきましては、政府自民党でも値上げが適当であるかどうか、こういうことに結論を得なかった。したがって、これは一応佐藤調査会の結果による値上げというものを電電公社側がお出しになったから、これを阻止する、あるいはこれを修正するということになると、われわれも政府としてどれだけの値上げが必要か、あるいは値上げをしなくてもよい、こういうふうな結論を出さない限りは、公社の概算というものに対して郵政省としては結論を出すことができなかった。したがって、これは公社の言うとおりに私はただ取り次いだ、そして大蔵省の段階で政府の態度をきめよう、こういうことで概算の提出だけを認めた。したがって、結果的には非常に大きな差が出てきた、こういうことでありまするし、それで結果的にはとにかく設備負担金のほかは値上げは認められない、こういうことで予算ができた。来年度については別段そういう約束はいたしておりません。
  370. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 これは電電公社の総裁にお尋ねしたいのですが、ことしから始まる第四次五ヵ年計画の中には、当然ことしから値上げ、こういうことを目途につくってあると思うのです。だから、これが来年度もいま大臣の言うようにわからぬわけでありまして、そんなになったときに五ヵ年計画にどういう影響を与えるであろうか、その問題について……。
  371. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては昨年の八月の時点におきまして、経営委員会において第四次五ヵ年計画の大綱というものをきめたのであります。これはその目標といたしますところは経済の効率化、地域開発と格差の是正、生活の向上と近代化、同一市町村内の市内通話の統合拡大による地域社会の発展、この四つの目標を掲げたのであります。この目標につきましては、私たちはぜひ実現したいというふうに考えております。  ただ問題は、これにおきまして約九百三十万の加入電話をつける予定にしておったのでありますが、その初年度であります四十三年度が実際に概算要求で考えました百六十万個に対しまして、この予算案では百四十七万の加入電話である、その差が出ております。したがって、私たちはこの予算案が国会議決になったあとにおきまして、この全体の目標は変えておりませんけれども、あと全体をどういうふうに調整するかということは、これをきめた時点においえ考えたいと思っております。
  372. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 私いつも、午前中にやったNHKの予算の審議のときもそう感じました。また電電公社の予算のときも、私たちはこういうものを見るのは、いまの堀さんと違って専門家じゃありませんから、たいへんしろうとなんです。われわれしろうとが見ても、一体企業の中でいかほど値上げを防ぐように努力をしたか、こういうあとがわれわれには見られてないわけです。少しぐあいが悪くなってくれば値上げという安易な政治的な方法に依存しよう、こういう風潮のように見えてしょうがないわけなんです。たとえば先ほど指摘のありましたように、やはり支出の中の大きなウエートというものは私はたくさんあると思うのです。一つは、やはり人件費が出された予算の中では大体二七%、それから償却費が大体三五%、これが概算要求のときには確かに人件費が二八・五%、それから償却費が三七・五%、この二つを合わせて六割六分、約七割ですね。だから問題は、この二つのものにやはり何らかのメスを加える、何らかの方法を講ずる、これは大きな項目からいえばそういうことではなかろうか、こういうように考えるわけです。もう一つはもう少しもうかることに、——これはそういうことを言うと不便なところにも電話を入れて大いに大衆に利便を与えろ、これは一つの政策としての方向だと思いますが、しかしいま企業的にピンチだ、こういうことになれば、もうかるところに大いに先に入れて、もうからぬところは若干あと回しにしてピンチを乗り越えたらやろう、こういう三つのところに私は要約されるのではなかろうか、こういうように考えるわけです。  ところがこの数字が私に語っているところは、私は説明もあまり詳しく聞いておりませんが、先ほどはからずも指摘しておりましたけれども、料金値上げ二二%を織り込んだときの人件費増は一万五千人の増を要求しているわけです。今度出された予算では八千五百二十二人、こういうことなんですね。これほどいとも簡単に、予算で値上げを認められれば一万五千人だ、これは八千五百人だ、ちょっと渋いな——大体人をこんな簡単にふやしたり減したりやっていくということなんでしょうか。  この人の問題について私は考えるのだけれども、これは時間がないのではしょっていきますけれども、どうも諸外国の労働の生産性なんかと比べてみて、たとえば昭和四十年ごろの比較でしょうが、アメリカであったら一人当たり百二十一口、西ドイツが六十四口、こういう中で日本は四十六口、こういうわけですね。しからばうんと金をつぎ込んで電電公社が先般出されたような第四次五カ年計画の後にはどういう状況になるだろうかといってみると、昭和四十七年のときには七十二口、こういうことだと、まだアメリカの本年度あたりの百二十口にも及ばない、こういう状況ではなかろうか、こう思います。だからもう少し労働の生産性を上げる、だから人間を安易にふやすな、こういう問題についてもっと真剣に取り組んでまいらなければならぬのじゃないか。私はいまから五年か六年前くらいだったらいいと思います。しかしいまは人をいかにして余すかということが日本経済にとって最高の問題だと思うのです。私たちのいなかに行ったって、このごろ中小企業がたくさんつぶれるけれども、つぶれても一つも労働問題が起きないのは、つぶれるといううわさが起こればわれ先にと飛んでいって、早くこっちに来ないか、つぶれるおまえの会社よりこっちのほうがたくさん給料くれるぞ、こういうことでやっているからそういう中で上向移動が行なわれているわけです。だから昔の感覚と同じ感覚でやっておられるのではないか、これは経営の姿勢にも私は関係すると思う。いとも簡単に人間がこういうふうにふえていく。しかも前に井上計画局長から聞くと、第四次五ヵ年計画の終わる時分には三十何万になります。こう言いますから、われわれ民間企業の感覚からいえば、民間企業は生産が、売り上げが倍になっても人員は減らす。そのかわり資本の効率もよくなるだろうし労働の効率もよくなるだろうからいいけれども、こういうように安易に計画されているのを見て実は私にとってショックだったのです。その辺どうでしょうか。人件費がかくも安易にふやされていくということは非常に憂うべき現象だ、こう私は思います。
  373. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  私井上計画局長がどういうお答えをしたか聞いていないのでありますが、全般的に申しまして、いまの加入電話の数とそれから公社にいる電話従業員の数との比をとってみますと、大体この数年毎年一二から一三%生産性が上がっている。結局自働化が進みあるいは自働即時化が進むのに伴いまして物的生産性というものが一二から一三%上がっている、こういう事実があります。ただ、電報につきましては人件費が七七%占めておりまして、電報のほうは大体二万人くらい人が要ると思うのでありますが、そっちのほうの生産性は上がっておりません。しかし、電話につきましては、一人が持つ負担加入電話数というものは大体ここ数年、毎年一二から一三%上がっている。もっと上げればいいじゃないかというお話でありますが、これは、結局、自動化なりあるいは技術革新に即時に関係がありますので、やはりこの程度で来たわけであります。  ただいま外国との比較が出ましたが、数字はあとで主管局長から説明させますが、四十七年度末にまいりまして、私は、アメリカあたりには若干おくれますけれども、ヨーロッパ並みにはある程度いけるのじゃないかというふうに考えております。  なお、数字につきましては計画局長から……。
  374. 井上俊雄

    ○井上説明員 ただいま公社の生産性が欧米諸国に比して低いじゃないかというお話でございましたけれども、これは自動化率と密接な関係がございまして、自動化が進めば生産性は上がる、上げるように努力する、こういうことでございます。  それで、わが国の四十一年度末の自動化率は、八八・八%でございます。イギリスが、それに近い八七%が昭和三十七年の一月でございます。それが四七でございます。やはり日本のほうが自動化率がその時点で比べれば若干いいわけですから、日本のほうが生産性が上がっておる。あるいは、同じく四十七年度末を考えてみますと、四十七年度末におきましては、先般発表いたしました大綱では、自動化率九六%、こういうことであります。この時点には何とかアメリカ並みにいかぬかということで、いろいろ検討いたしまして、その時点では、電話につきましては一〇二ということは、いま先生御指摘のとおりでございます。これは、ちょうどアメリカの三十五年度のベルシステムでの自動化率が九七・〇%、このときが一〇三でございます。日本では九六%で一〇二というところでございまして、できるだけ欧米並みの生産性を自動化を促進しながら進めていこう、こういうことでございます。  なお、四十七年度末で三十何万というお話でございましたが、これとの見合いにおいて大体三十一万くらいのところに大綱では整理してある、こういうふうに御説明いたしてあるはずでございます。
  375. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 人間の数のことだけでそうこだわっていても、時間がありませんから。たとえばこれはおたくから出してもらったあれなんですが、昭和三十三年の平均稼動有形固定資産額が約四千億。ところが、四十三年度末になると、その五倍の二兆になるわけです。これだけの投資をしているわけです。資本のほうだって効率を考えていかなければいけないですよ。ところが、その設備投資の効率ときたら、逆に三三から三〇に落ちてしまっている、こういうことです。確かに労働の生産性は上がる、口数はふえる、それはいいけれども、それと同時に、資本の効率だってやはり上げるようにしなければいけないと思います。そういうことをいろいろ分析していけば、この中において人員が十八万から二十七万近くふえている、私はここに題題があって資本の効率を悪くしているのじゃないか、こういうように考えます。それと同じことで今後延ばしていけば、五ヵ年計画の中にも、安易に三十二万人も採用しようじゃないか、こういう計画をつくっているわけです。だから、私はこれについていろいろ論争しようとは思いませんけれども、少なくとも、先ほど申し上げたように、いま民間企業なんか、売り上げが倍になって、そのかわり投資はしますよ、しかし人員は少なくなるということがあたりまえのように行なわれているが、電電公社のこの予算を見ると、売り上げも上がりましょうが、そのかわり人員もうんとふえましょう、こんな経営の理念というものは、私はいまの民間企業と比べてないと思う。それは電電公社というのは国際競争場裏に巻き込まれていないから、こういう安易な経営をやっておるのだ、こういうふうに考えるのです。一つの意見としてこれから検討していただきたい。これは来年の料金値上げ問題に関係があると思いますから、申し上げておきます。  それから、いま一つは、大きな要因である償却です。先ほど堀さんも指摘しておりましたけれども、ことしのウェートは原価の中で三五%占めているわけです。これは設備がふえれば償却もふやさなければいけないことは、私はわかるわけです。ただ、これは定率で安易にやっておっていいかどうか、こういう問題も私は考えるわけです。というのは、これも民間企業でほうぼうでやっておる例を見ると、ことしは不景気でどうしようもないから、ときに定率でやってきたのだけれども、定額でやろうじゃないか、そしてその波を乗り越えてまた元の定率に戻そう、こういうことを非常に苦労してやっておるわけですね。おたくのほうは定率なんですね。そうすると、定率を、あるピンチにあっては三ヵ年とか四ヵ年は定額に直して、三五%も六%もの償却費をある程度押える、こういうことをやってしかるべきじゃないか、そういう努力があってしかるべきじゃないか、こう思います。どうしても定額に直せない理由がありますか。
  376. 中山公平

    ○中山説明員 ただいまの御指摘でございますが、三十六年度から定率法に改正してまいったわけでございますが、これをまた定額法にかえるということになりますと、会計の継続性の原則という面から問題があろうかと私どもは思っております。
  377. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 会計の継続性の原則みたいなむずかしいことを言ってもよくわからないが、電電公社は弾力係数とか弾力条項というものがあって、非常にうまくかえているけれども、こういうものだけなかなか動かせないものなんですね。それはいい、それはいいから、ひとつそういうことも企業努力として考えていただくよう、これはまた来年値上げの問題のときに問題にしなければならない重要な問題だと思いますので、要望しておきます。  もう一つは、これは私前にも言っておることなんですが、酷な話かもしれませんけれども、電話の種類に応じて、もうかるものをたくさんつけるというようなこともときに努力してもいいのじゃないか、こう思います。営業用、住宅用、農集、公衆電話あるいは電報、こういうものに対する収支率、それを発行していただきたいわけです。
  378. 武田輝雄

    ○武田説明員 いま収支率といいましても、なかなか計算がむずかしいわけでございますが、私ども、大体、市内と市外と比較しますと、市内電話のほうが収支率が悪いわけでございます。現在時点におきまして収支率が大体平均して一二〇くらいと考えております。と申しますのは、収入一〇〇に対して支出は一二〇、これが毎年一〇%くらいずつ悪くなっていくのではないかと考えております。  なお、個々の電話についてでございますが、加入電話につきましては、級局によって非常に料金に差がございます。したがいまして、収支率も違っておるわけですが、いま御指摘のありました、たとえば農村集団自動電話について見ますと、大体四級局で二三五%、農集は八級局までつけることにしておりますので、全体を考えてみますと、平均で一九七%くらいの収支率でございます。これに対しまして、加入電話の、たとえば住宅用二共同に例をとってみますと、四級局で六〇三%、入級局まで平均いたしまして四二六というふうな収支率になっておるというふうにわれわれ計算をいたしております。
  379. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 営業用七五か八〇、住宅用一八〇か九〇、農集二五〇、こういうようにわれわれ前に聞いたのだが、それは大きい違いがありますか、いまの発表と違うようだが。
  380. 武田輝雄

    ○武田説明員 私、一二〇と申し上げましたのは、事務、住宅含めまして市内関係の収支率を申し上げました。それから農集とかあるいは二共同電話につきましては、農集との関係で下のほうの級局の数字を申し上げたいわけであります。
  381. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 時間がないので急ぎます。私は、それだから、営業用なんかもうかる、農集なんか赤字でなかなかもうからない、こういうことになれば、今度の設備料の値上げとも関係があるのだから——設備料は一般加入は三万円にするわけでしょう。二共同二万円にするわけでしょう。農集は一万円、こういうわけだ。だから、設備料の値上げについても、この赤字の要因の高い農集なんかを少しも上げていない。逆のことをやっているのじゃないですか。私がそんなことを言うのは——逓信委員会でまたこの問題については追及しなければいけないのだけれども、やってもけっこうだと思うのです。ほかのほうと問題を起こしたりしなければいいのを、わざわざ問題を起こすようなところへ割り込んで、設備料は現状維持のまま、農集の収支率は最悪のもの、それを去年より五万個もふやしている。こういうようなやり方をしておったのでは、ピンチだから赤字の危機を乗り越えてやっていこうというときにとっては、まるで逆なことを営業政策としてやっている、こういうふうにしか理解できないわけです。どうでしょうか、総裁。もう一回繰り返す。わかるでしょうね。赤字で赤字でしょうがないものを去年より五万もふやして二十五万も取りつけた、その設備料は一万でもとどおり、もうかるぼうの設備料は三倍にも上げてやっている。こういうことで、何とか企業努力によって赤字を克服しようという政策とはまるで逆のことを営業政策でやっているのじゃないですか。
  382. 米澤滋

    ○米澤説明員 設備料の問題につきまして、一般の加入電話は三万円にする、農集について一万円にするというその理屈につきましては、またあらためて——あるいは時間があれはここで御説明してもいいのでありますが、これは要するに受益者負担ということ、もう一つは受益者負担のいわゆる専用部分、加入電話が局から各家庭まで引かれておるあるいは事務所まで引かれておる、その実態に徴しまして受益者負担の点からきておるわけでございます。たとえば二共同につきましては、これを二万円にするというふうに、その受益者の状態とその性質からきておる次第であります。  もう一つ農集の問題につきましては、前にたしか小沢委員から逓信委員会でも御質問があったのでありますが、私たちといたしまして、農集が出た時点におきまして、その営業政策において多少問題があったと思うのでありますが、その後これははっきりさせまして、有放と競争するというようなことを考えておりません。結局電話の普及していないところに農集をやる。これはもともと農集が生まれましたのは、衆参の逓信委員会で、農村方面へ安い電話をつけられないかという決議を受けて、これを開発した次第でありまして、そういう点につきましては、一時たしかそういうトラブルが、ある地域によってはあったかと思いますけれども、そういうことがないようにいま指導しておる次第であります。
  383. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 総裁のそういう話はけっこうですが、私いま資料をどこかへ入れてしまったのだけれども、新聞に大きく出ているわけです。有放のあるところへ簡単にいえばなぐり込みをかけたみたいに新聞に出ているから、相も変わらずそういうことをやっているのだというように私たちは感ずるわけです。この間も有放問題に関して郵政審議会が答申をしたはずです。これは電電公社も承知していると思います。その中には、有放もやはり育成強化をしろ、こういうように出ているわけです。私は、考えようによれば平和共存みたいになるはずだと思うのです。だから、有放をつけたいものはっけさしておいてかまわないと思うのです。そこへわざわざ、現場の局の成績にかかわるぞというようなことで、設備の関係から赤字、収入の関係から赤字、そして電話の料金値上げしなければならないようなトラブルを起こしてなぜやらなければならないか、こういうことなんですよ。
  384. 小林武治

    ○小林国務大臣 これはもう小沢委員の申されるとおりでありますから、いまのような事態は起こさせないように、平和共存と申されましたが、そういうことでやるように私も強く指導いたすつもりであります。
  385. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま御指摘がありましたし、郵政大臣から御答弁もありましたが、平和共存ということですけれども、とにかくすでに有放のあるところに進出するというようなことは戒めていくように、なお徹底させたいと思います。
  386. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 私はいつも電電公社なんかの機構について見るのですが、本社があって、通信局があって、通信部があって、現場の局がある。この四段階なければうまくいかぬかどうかということなんです。おたくの努力によって電話も発達したし、国鉄は赤字を覚悟で新幹線だか何だかができる。これだけの時代になって、本社あり、通信局あり、通信部あり、現場の局がある。この四段階なければならないのかということですね。こういう機構について、一部はどっちかの局なら局へ、通信部なら通信部へ移してしまう、あるいはどっちか一方をなくする、こういうふうに機構を簡素化して、さっきいう五ヵ年計画をやるには三十二万にもなろうというのだから、配置転換なり何なりを考えれば完全雇用の中でやっていけるのじゃないかと思います。その点はどうでしょう。
  387. 米澤滋

    ○米澤説明員 現在の時点を考えますと、十数年前に通信部をつくりましたときとだいぶ仕事の状態が違っておりまして、いわゆる分権といいますか、相当の仕事を通信部あるいは取り扱い局へ移していくということをやっております。また将来の問題について、機構につきましては経営調査室等において抜本的に考えさせたいと思いますが、いまの時点では、本社、通信局、通信部、取り扱い局は変えないつもりでおります。将来については、たとえばコンピューターを使うデータ通信のビジネスに及ぼす影響というような問題も考えなければならぬと思います。私どものほうでも事務近代化準備室というものを設けてやっておりますから、いろいろ研究をいたしましてやりたいと思いますが、その辺御了解願いたいと思いますちょっと時間がかかると思います。
  388. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 みずから一生懸命でやっているような近代科学の粋を尽くしてやれば、おたく自身の機構の改革ができる、合理化ができるこういうように私は考えるわけです。  たとえば、私がここへ来て、ちょっと説明を聞いて異様に感じたのは、電話機の修理なんかを通信局の何とか電気工作所あたりでやっているのですね。全国に何カ所あるか知らないが、二、三千人いるというように聞きました。——数なんか要らない。大体そのくらいある。民間企業の常識をもってするならば、電話の修理なんというものをどうして請負なり民間企業に契約をしてやらせないかと私は思う。大正時代にできたか明治時代にできたか知らないが、そのときの機構そのままでやっている。電気通信工作所がいまだにあるというから、あまりに古いことじゃないかというふうに感じるわけです。こういうものはちゃんと独立さして、そこで契約を結んで修理なら修理をやらせるようにすればもっと簡素化できるのじゃないかと思うわけです。
  389. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ただいま小沢委員の御指摘になったいわゆる工作所の問題につきましては、いまから約十年前に御指摘のような意見が部内にもありまして、終戦後の姿を少し整理しようということでやったのですが、志なかばで完全な整理はできませんでした。現在ありますところの工作工場は、御指摘のようにほとんど電話機の修繕が主体でございますが、ただいまのところ各工作所とも加入者の非常な増加と電話の使用量が多くなりましたので、フルに活動しております。したがって各地の業者にそれぞれ工場を持たして分散させるのも不可能なことではないと思いますが、ある程度のリペアショツプというようなもの、公社自体の特別な工場を置くか、あるいは現場などに相当なマシンを置いて小破修繕をするとかいうことはやらないと、一々これを東京、大阪のメーカーに持っていってやることも不便ではなかろうかと思います。ただ現在の姿が完璧であってもう改善の余地は全然ないというわけではございませんので、今後もう少し推移を見て、おことばのように検討はしなければならぬ問題であると思っております。
  390. 湊徹郎

    ○湊主査代理 小沢君、時間があと一分ですから、
  391. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 民間のものと比べれば全然答弁にならない。その工作所そのものを払い下げて、だれかに請け負わしてやる、こういうことだって幾らでもできる。何も遠くへ持っていかなくたっていいのです。そんなことは朝めし前だと思う。いまのたとえば化学工業なんか見ても、東洋高圧は北海道にあったんだけれども、もうだめだから大阪に行きましょうということで、ばっと転勤して喜んで飛んでくるわけであります。窒素かなんか水俣にあったんだけれども、今度千葉に工場をつくるということで、さっそくぱっと喜んで飛んでくるのですから、だから人員の整理とかそんな問題はないと思うのです。転勤しさえすればいい。こういうところを人員ごと民間に払い下げするかしないか、そういうことは別として、こういうもの自身をお役所にも似た電電公社あたりが持っていることが私はおかしいと思う。そういうことと関連して、これは郵政大臣関係があるが、逓信病院というものも郵政省でも十幾つ持っている。電電公社も十幾つ持っていて、その企業形態、経理形態というものがおかしいんじゃないかと私は感じるわけです。これはやはりそこならそこで努力をしなければならないんだというぐあいにしむけなければならないんじゃないか、こういうぐあいに考えるわけです。これはもう時間がないので、検討事項として後ほど検討してもらえばいいと思いますが、以上申し上げまして、質問時間がありませんから終わりたいと思います。
  392. 湊徹郎

    ○湊主査代理 以上で小沢君の質疑は終わりました。  次は、大原亨君。
  393. 大原亨

    大原分科員 私は、きょうは昔の逓信省、昭和二十年当時は逓信省で電電公社も一緒だったわけですが、当時の原爆による広島、長崎の被害者の処理の問題についてひとつ質問いたしたいと思うのです。  最初に、電信電話局は長崎では直接原爆の下になかったわけですが、広島は御承知のとおりあったわけで、たくさんの人が死亡したわけです。その中にいろいろな身分の人があったわけですけれども、その被害の実態について把握されているところを、御答弁を最初にいただきたい。だれでもよろしい。
  394. 今井一郎

    ○今井説明員 残存しております資料によりますと、その当時の死亡者数は五百七十七名、こういうふうになっております。官吏が百四名、雇用人が二百三十四名、学徒などが百二十九名、その他十名でございます。
  395. 大原亨

    大原分科員 その資料は、原爆が広島、長崎に六日、九日とそれぞれ落ちたときに、瞬間的に死亡した人だけですか。その後も原爆の影響によって、今日見れば、はっきり原爆の結果だ、因果関係があるというふうに推定できるような、そういうその後の死没者なども含んでおりますか。障害者なども含んでおりますか。
  396. 今井一郎

    ○今井説明員 これはその当時の死亡者というふうに聞いております。
  397. 大原亨

    大原分科員 大臣、こういうことが一つあるわけです。これは大臣も厚生大臣をしておられたし、厚生省にも関係があるのですが、あとで逐次申し上げますが、原爆で瞬間的に死んだ、当時の逓信局長は自転車に乗っておって死なれたわけですね。ここの名簿には吉田さんという人が、当時八時十五分ですから、自転車で自宅へ帰るときか来る途中でなくなられたわけですね。これは殉職に扱っております。それで原爆を受けて脱毛や出血や吐血やいろいろな現象を繰り返して二、三月で死んだ人が非常に多いわけです。その後も、現象的な病気は、疫痢であるとかいろいろなことで死んだりされた人もあるわけですが、実際にはこれは原爆の放射能の影響で死んだ人がある。そういう点を私はぜひ調査をしてもらいたいということが一つ。殉職扱いの場合に、漏れがないように調査をしてもらいたいということが一つ。  それからもう一つ、これは要望しておきますが、これはあとで一緒にお答えいただけばよろしいのですが、それと、いまお答えがありました官吏と雇用人と学徒ですが、その殉職者に対する、あるいは身体障害者に対するそういう措置をどういううふにされておるか、これをお答え願いたい。
  398. 今井一郎

    ○今井説明員 お答えいたします。こういう方の遺族に対しまして、官吏の方の遺族につきましては、恩給法によりまして扶助料をお出ししております。それから学徒などは、昭和二十七年に制定されました戦傷病者戦没者遺族等援護法によりまして遺族年金が出ております。それから雇用人につきましては、逓信共済組合戦時災害特別給付規程というものによりまして、殉職年金または障害年金が支給されておりますが、この三者につきまして、若干その遺族の範囲が異なっております。官吏並びに学徒動員、そういった方々の遺家族につきましては、その者と生計を一にしておるということか、またはその者の収入によって生計を維持していた、こういった区別がございませんで、両方とも、どちらか満足すれば遺家族の範囲に入っておりますが、逓信共災組合戦時災害特別給付規程によります場合には、死亡当時その組合員の収入によって主として生計を維持していた者のみが遺族の範囲になっております。
  399. 大原亨

    大原分科員 そこで、大臣こういうことが起きておるわけです。この雇用人というのは、電信電話局は当時ほとんど雇用人であったわけです。外勤もその他電信電話も雇用人です。判任官はほんとうに少なかったわけです。これは、これを見ますと相当な年齢の人もあります。そこで、当時同じ職場で動員学徒、国家総動員法による動員学徒、それでなくなった女学生などは、同じ職場におりましたけれども、全部これはいまお話しのように戦傷病者戦没者等遺族援護法の規定を受けて、そうして遺族に対しては、いまお話しのように、一定の条件に達しましたならば、給与金といって、一年間に七万円以上の、いわゆる判任官の七割相当の給与金が、年金が出ているわけです。年金化したわけです。しかし同じ職場で、やはり夜昼なしに、当時命令を受けて、そして通信業務、逓信業務はこれは国の神経なんだ、血管なんだというような、そういう至上命令で、総動員法と同じような位置づけで、同じような職場でなくなった人や傷ついた人に対しましては、これをもらっておる人ともらってない人が出てきたわけであります。その区分けは大体どうなっておりますか。自分が扶養義務者である場合、扶養義務を持っておる人がいる場合、扶養家族がある場合、それがある場合とない場合はどういうふうになっておりますか。
  400. 今井一郎

    ○今井説明員 お答えいたします。雇用人の場合は、先ほど申し上げました三百三十四名のうち、四十六名の方が殉職年金の裁定を受けまして、現在なお受給している方は二十八名でございます。その他は年金を支給いたしておりません。一時金で終っているわけであります。
  401. 大原亨

    大原分科員 一時金は幾らになりましたか。
  402. 今井一郎

    ○今井説明員 金額はちょっとわかりかねます。
  403. 大原亨

    大原分科員 大臣、いまお話しのとおりなんです。  郵政関係はどうなんですか。
  404. 山本博

    ○山本(博)政府委員 いま公社が説明を申し上げましたのと全く事情は同じでございます。
  405. 大原亨

    大原分科員 ただ広島でいえば、逓信局は白島町にあるわけです。逓信局長は白島町へ行っている途中で赤い自転車で倒れて死んでおったというわけです。電信電話局は中心部にあるわけです。爆心地に近いところにあるわけです。だからたくさん死ぬのは当然です。しかしこれは雇員でも判任官でもそうですか、通勤途上の人は殉職に該当すべきだと思う。逓信局は駅とは違う。駅の前は全部焼けたのだから…。国鉄関係もあるのです。近いところを下りの線路が通っていますからね。だから死んだ人がある。国鉄のほうは、調べた範囲では雇用人については全部もらっているのです。殉職年金をもらっているのです。郵政省と電電公社の関係処理されていないのは問題ではないか、こういうことですね。
  406. 山本博

    ○山本(博)政府委員 ただいま公社からも御説明がありましたが、私のほうは旧法が現在国家公務員共済組合法の中に吸収されておりますので、遺族の範囲の規定というのは法律によってきめられておるわけであります。したがいまして、法律の改正がございませんと、遺族の適用は広がらないという問題がございます。
  407. 大原亨

    大原分科員 つまり勅令じゃないですか。
  408. 山本博

    ○山本(博)政府委員 もとの勅令でございますが、現在は国家公務員共済組合法という中に吸収されております。
  409. 大原亨

    大原分科員 それで、その共済組合法を変えてやることはできないかどうか。当時は扶養義務者でなくとも、兄が死ぬあるいはだれかが年をとって死ねば、扶養義務者になるわけです。ですから、たとえば総動員法によって動員学徒として出てきた同じ職場の人は、勲等等について——われわれはいろいろ疑義を持っているけれども、勲等の扱いにおいても殉職の扱いにおいても、弔慰金として一時金を出した上に今度は給与金を年金化したのです。あなたはよく知っておられる。その観点からいっても、雇用人であるがゆえに、判任官やあるいは動員学徒との間に差別があるのはおかしいじゃないか。やはりお国のためだ、何だというようなことで、全部夜昼なしに行っているわけです。そういう中でなくなった人は、たとえ自宅であっても、かってに疎開していいというようなことがないわけです。かなり年配の人もあるわけです。そのときにはたまたま扶養義務者でない、勅令に該当しないけれども、しばらく時間がたてばそういう状況の人もあるし、すべてそういう状況の人ばかりじゃないが、こういうことも言い得るし、均衡上からもほっておくわけにいかないのじゃないか。名簿はかなり出ております。そこは法律を改正するなりして、やはり均衡のとれた措置をとるべきじゃないか。大臣どうですか。
  410. 小林武治

    ○小林国務大臣 お話がよくわかりましたから、再検討いたします。
  411. 大原亨

    大原分科員 これで終わります。
  412. 湊徹郎

    ○湊主査代理 以上で大原君の質疑は終了いたしました。  次に、中野明君
  413. 中野明

    中野(明)分科員 先日の委員会でも少しお話ししたのですが、公衆電気通信法によりまして東京都の二十三区の電話の自動値上がりが問題になったわけです。最初にお尋ねしたいのは、きょう現在で——もしきょう現在がわかりませんでしたら、一番近い分で東京都内の契約数を教えていただきたい。
  414. 武田輝雄

    ○武田説明員 先日、四十二年の十二月末の数字を申し上げましたが、現在、四十二年の一月末の数字で申し上げさしていただきますと、百九十七万二千でございます。
  415. 中野明

    中野(明)分科員 もっと近くのはございませんか。
  416. 武田輝雄

    ○武田説明員 私、いま手元に持っております正確な数字は、一月末の数字でございます。
  417. 中野明

    中野(明)分科員 推定でもよろしいですが、最近は非常に電子計算機も発達しているのですから、刻々つかんではおられると思うのですが、大体、きょう現在の推定……。
  418. 武田輝雄

    ○武田説明員 大体、一ヵ月に一万四千くらいふえていると思います。
  419. 中野明

    中野(明)分科員 そうしますと、合計……。
  420. 武田輝雄

    ○武田説明員 二月末で百九十八万六千くらいでないかと思います。これは推定でございます。
  421. 中野明

    中野(明)分科員 大臣お尋ねいたします。電電公社の四十三年度の予算を御検討なさったときに、この問題が当然お話に出たと思うのですが、先日私が大臣に御質問申し上げたときに、あんまり差し迫った問題じゃないというような御答弁をいただいたわけです。時間がありませんでしたので私は次の問題に入ったわけですが、おそらく公社の予算を検討したときに、相当慎重にこの話が出ておったと思います。それにもかかわらず、そんなにあわてた問題じゃないのだというようなお話があったわけで、私、非常に遺憾に思っているわけです。いまの数字をお聞きになっても、もうそれこそ差し迫った問題になっております。その点について大臣としてどういうお考えでいらっしゃるか、お尋ねします。
  422. 小林武治

    ○小林国務大臣 この問題は、この予算計上の際にも若干これを予想した収入が計上されておる、こういうことでありまして、これは上げるのではなくて、法律規定上当然上がるのだ、こういう考え方をしておりましたから、これを特に今年押えよう、こういう考え方はなかったのであります。法律にまかせておこう、こういうことでありました。しかし先般中野委員からも、こういう時勢であるから上がらない方法がないか、こういうお考えでもありますし、また経済企画庁におきましても、上げないじゃない、上がらないようにする方法はないかというお話もあったのでありますが、現状においては、やはり特例法律をつくる以外にはない、こういう結論になったのでありまして、これを公示を延ばすとか、そういう小手先ではできないということで、私もこの前のお話のあとすぐに、とにかくこれを、たとえば特例法あるいはこの例によらない、こういうふうな法律はできないものかということを事務当局に検討してもらっておるのでありますが、なかなか電電公社におきましても、一応予算に計上もしてあるからさような手段をとることは必ずしも賛成できない、こういうことであります。この問題は、実はやってできないことはありません。特例法をつくればいいので、これは皆さんも御賛成だから、そう時間がかからぬで、みな通るだろうと思いますので、私もいま検討を指示しておる、こういうことでございます。このことはまた、これを出しても予算の歳入上大きな影響を及ぼすような問題でもなさそうでありますから、そういうようなことを至急研究してもらいたい、こういうことを言っておるわけであります。
  423. 中野明

    中野(明)分科員 公社の総裁にお尋ねしますが、四十三年度の予算にこの自動値上がり分はどれくらい計上なさっているのですか。
  424. 米澤滋

    ○米澤説明員 十九億三千万円でございます。
  425. 中野明

    中野(明)分科員 それは東京だけの問題のようですが、ほかにもそういう地点があると思うのですが、それも含めて幾らですか。
  426. 山下稔

    ○山下説明員 四十三年度におきましても級局の改定が行なわれる局がかなりあるものと予想いたしておりますけれども、予算案作成の時点におきましては、どこの局がいつごろ級局の改定になるかということが、局の建設等にからんで改定になる部分が多いものでございますから、積算が困難であるということで、特に積算はいたさなかった、そういう次第でございます。
  427. 中野明

    中野(明)分科員 そういうような状態であるのでしたら、いまそういう意見も出ていますが、差し迫って名古屋が何かそういうことがあるように聞いていますが、それは含まれているのですか、どうですか。
  428. 中山公平

    ○中山説明員 名古屋につきまして御指摘のようなことも予想されるわけでございますけれども、加入区域合併等のこともからんでおりまして、級局改定の時期がはっきりといつになるかということが、予算案の作成の時点におきましてはきまりませんので、やはり積算が困難でございましたので、これは計上いたしておりません。
  429. 中野明

    中野(明)分科員 いまいろいろ答弁があったわけですが、先日来私が主張しております趣旨は、大臣もよくわかっていただいていると思うわけですが、私が申し上げているのは、現状から推して、すべての問題が値上がりをしている最中です。大臣のことばをかりれば、値上げですか、そのときにこの分は上げるのではなしに上がる、こういうお話なんです。そういうふうな性質のものてすから、何とかこれを押えて——承知のとおり連日の新聞を見ておりましても、非常に殺伐としております。あらゆる記事が殺伐とした記事ばかりで、私たちも息の詰まるような思いでございますが、そういう中にあって、こういう手続の上で公共料金ともいうべき性質、特に東京都内は非常に大きな影響がございます。まして最近の電話のふえ方というのは住宅用が非常にたくさんふえているというのも時代の流れであります。そういうことを考えますと、ぜひこれは大臣のほうで、いまのこの殺伐とした世の中に一服の清涼剤というのですか、そういう意味からも、こういうふうな考え方でやっていくんだというはっきりした決意があれば、私はこの問題はできる、そのように思っているわけです。そういう点について、先ほど大臣からも話が出ておりましたが、まあ同じ閣僚の宮澤長官もそういう意向を持っておられるようですし、大臣のほうがその決意になられたら、何とか達成できるんじゃないか。この際、物の値上げを賛成する人は私ははないと思います。そういう点で何とか決意を固めていただいて、そして時期は非常に差し迫っております。そういうことについての大臣の決意をもう一度お伺いしたいのです。
  430. 小林武治

    ○小林国務大臣 私は、いま申し上げたように、中野委員のお話のあととすぐに省議でもってこの問題を出しまして、至急結論を出すように検討をしてもらいもらいたい、こういうことを言っておりますが、要は電電公社との関係でありまして、公社に納得をしてもらわなければこれはできない、こういうことでございますから、もう一度ひとつ相談をしてみる、まだ私が決意を申し上げるのは少し早い、こういうことでございますが、さような取り扱いをいたしたい、かように考えます。
  431. 中野明

    中野(明)分科員 これは、今回設備料の値上げ法律も出ておりますから、その気になれば、一緒にやれば簡単にできるわけです。これはおそらく反対する人はないと私は確信を持っているわけです。その点で、もちろん公社側の都合もございましょうけれでも、要は大臣の決心で、これは非常に大事だと思うのです。あなたが、私はこれはやりたいんだ、やるんだ、こう腹をきめられれば話はつくと私は思います。その点ひとつはっきりした腹がまえを私はお伺いしたいわけでして、大臣がいまここでおっしゃるのは、電電公社との話し合いのことをおっしゃるのでしょうけれども、ものごとの交渉というのは、やはり向こうにどうだろうかというような相談じゃなくて、こちらは交渉する腹がなければいかぬと思うのです。そういう腹を持っていれば、もうおれはこう腹をきめたから、ここから考え直せというような話し合いをなさる決意があるかどうかということ。これは非常に関心が高まっているわけです。先日も申しましたように、現在の閣僚である宮澤長官がそういうことをやっぱり漏らしたわけですから、それが報道されて流れているわけです。そうしてまた、先ほどから話も出ておりますように、総裁のほうからも、意向としては来年あたりどうしても電信電話の値上げ、これもお願いしたようなニュアンスでございます。そうなりますと、ますます時期的にもタイミングも悪いですし、先日の大臣の答弁でも現行法の不備を認めておられます。何とか改正したい、こういうお気持ちもお聞きしました。ですから同じやられるのならば一番効果のあるとき、一番みんなが喜ぶとき、納得するときに決断を下されることが大切じゃなかろうか。せっかくいいことをなさっても、時期が過ぎてしまったらあんまり喜びもしませんし、何だあたりまえじゃないかというようなことになるわけです。時期として私はいまが最適の時期ではないか、このように考えるから申し上げるわけです。同じ大臣が決心なさっても、これがことしの秋なり来年なりに決心なさるのと、いまなさるのと全然意味が変わってまいりますし、大衆の受ける感じ、大臣をはじめ政治のあり方に対して受ける感じというものはずいぶん変わってくると思います。最近の政治に対する不信ということが巷間いわれておるわけでありますが、そういう点からも、一つ一つタイミングというものを考えていただいて、そうしてあとから振り返ってみて、やはり最もいい時期に最も効果のある手を打たれた、そのように言れるような手を打ってもらいたい。これはどこまでも私の希望でございますが、そのように考えておるから、しつこいようですが、重ねてきょうお尋ねしたわけであります。その点を含んでいただいて、私はきょうはほかのことも聞こうと思いましたが、その点だけ大臣のほうから希望のある答弁がございましたならばと思ってお尋ねしておるわけです。最後に……。
  432. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは、御意見は私も十分了承いたしました。電電公社もよくお聞きいただいたと思います。この前のお話のあと、私はすぐ省議でこういう特例をつくらなければいかぬ、こういう指示をいたしたことからも、私の気持ちはお察しいただけると思います。重ねてまた、そういうふうなできるだけ積極的な前向きの姿勢でこれを検討する、こういうことをこの時点においては申し上げておきます。
  433. 中野明

    中野(明)分科員 最後に、法的な解釈ですが、これは蛇足になるかもしれませんが、ちょっとお尋ねしておきたいのですが、これは法律では公示をしてはじめて効果が出るということになっておるようであります。公示をしなかった場合、これは何か罰則でもございますのでしょうか。
  434. 武田輝雄

    ○武田説明員 法律では公衆法の四十四条で、公社は、「電話取扱局の種類を区別し、これを公示しなければならない。」ということになっております。したがいまして、この数に達しましたのに公示をしなければ、公社として義務違反だということになると思います。義務違反ということになりますれば、公衆法によりまして罰則を受けることになると思います。  それからもう一つ、この数には若干——カッコが二つございますが、後段のカッコの中で郵政大臣認可を受けて、あるアローアンスの幅をきめることになっております。この認可を受けるべきものを受けなかった場合には公衆法の百十四条に「公社又は会社の役員がこの法律規定により郵政大臣認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったときは、その役員は、十万円以下の罰金に処する。」ということになっておりまして、認可を受けるべきものを受けなかったということで、公衆法でその罰則の適用を受ける。もう一つは、公社法の罰則の適用、両方があると考えます。
  435. 中野明

    中野(明)分科員 まあ罰則もあるようでありますが、時と場合によればそのくらいのことも私は考えてみたのですが、最後に、総裁に、この問題について総裁としてどうお考えになっているか。いまこれは総裁としては法の上できまっているんだからやむを得ないという考え方は基本的にお持ちになったことは認めます。しかし、いま私が申し上げているように、公社の都合ももちろんあるでしょうけれども、世の中の推移と、事態がそういう事態で、設備料の値上げ、それから今度は自動値上がり、そうしてあなたが先日もおっしゃったように、来年あたりはそろそろ電信の値上げもしてもらわぬとどうも五カ年計画がうまくいかないようだというような状況、こういう状況のときにいま出くわしているわけですから、この点についていま大臣にも私は申し上げ、大臣も前向きの姿勢で検討する、こうおっしゃつたのですが、総裁として、いま申し上げた基本的な法を守るということはもうわかり過ぎるくらいわかっているわけですから、なんですが、この問題についてどういう姿勢で——今後郵政大臣ともお話し合いが当然なされると思いますが、あなたの決心を伺っておきたいと思います。
  436. 米澤滋

    ○米澤説明員 公社といたしまして一番大事なことは、やはりこの公社法なり公衆法できめられた法律を執行する立場にありますので、これが第一でありまして、やはりその線に沿ってやらなければならない義務があるというふうに考えております。ただ、この問題につきまして、こういったたとえば東京で電話が二百万をこえたような場合になぜやらなければならぬのだというようなことがよく世間では言われるのでありますが、大量生産というようなことによって、本来なら上がるのはおかしいじゃないかというような素朴な議論があると思います。そういうことに対しましては、要するに電話というのは、いわゆる組合わせによって、たとえばいままで百万であった場合には百万の二乗の組合わせがあるわけでございまして、それから二百万になりました場合には二百万の二乗の組み合わせが出てくる。なるほど個々の電話機なりあるいはケーブルというものは大量生産で、よけい買えばもちろん安くなります。しかし、電話の場合は組み合わせがふえまして、結局うまくいかない。そういう点の納得というものを私は今後十分やることが必要だというふうに考えております。   〔湊主査代理退席、主査着席〕
  437. 中野明

    中野(明)分科員 いまお答えいただきましたが、それじゃなしに、私の申し上げているのは、時期としてこういう時期に差し迫っている。ですから電電公社のほうではそれはいろいろと都合があって、また予算も組まれておることはわかりますが、こういう事態で、加入者と公社というのはこれは永久につき合いとしていかなければならない間柄です。そういうときにおいて、私は、そこまで考えて、そうして大臣のほうにも交渉されるときに、話し合いのときに、何とかやっていけそうですという、そういうようなやり繰りというのですか、こういうことがどれだけ今後の公社運営に影響するかしれないというふうな気持ちがするわけです。やはり公社といえばどうしても官庁のような感じをみな持っているわけですけれども、いかに法で生きているといえども、やはりそこに血も流れていなければならない。だからいまなら時期的にも間に合うわけですから、たまたまこういう時期にぶつかったというのは、まあ公社側に言わしたら運が悪いということも言えるわけです。それを私は、その時期が時期だから大きな問題になってわあわあ騒ぎ出すんじゃないかと心配しているわけです。事実、きょうこのごろ、値上げを喜ぶ人はだれもおらぬわけです。だからそこで大臣にも先ほどから私が申し上げているように、政治に携わる者、そうしてまたそれだけのことをいろいろ決定できる者が何とか英知を集めて、そうしてあとから振り返ってみても適切な処置であった、そのように納得できるような一いずれはそれは公平の原則からいけば、加入者がふえれば基本料金も少したくさんもらわなければならないという原則は私はわかります。決して絶対にこれはいかぬと言っているのじゃないのです。ただタイミングが非常に悪いじゃないか、時期的に。だからこれを何とかここで、ただの一年でも延ばしてでも合理的な法の改正をまず待って、それまでは特例法でもいいから、一年でも延ばすというくらいの状況があってしかるべきじゃないか。それが私はいまの政治に欠けているのじゃないかという気がするわけです。それで先ほどからくどく申し上げているわけでして、そこら辺の総裁としての——総裁はそういうことを総裁の立場から言いにくいかもしれぬが、あなた個人の気持ちはどうなんですか。
  438. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま中野議員のお話、たいへんごもっともな点もある次第であります。しかし何といいましてもこの問題は、たとえば昨年においても静岡とか神戸とか、そういうところをこの法律によって実際執行しておる次第であります。ことしにおきましてもやはり名古屋とかその他の局、昨年でいいますと、たとえば四十二年度には三百三十八の直轄局、それから委託局が四百九局と七百四十二局をやっておるわけでありまして、東京だけを特別に扱うという点において、われわれとして非常に苦しい点があるわけでございます。ただいまの中野議員のお考えはよくわかりますが、先ほど申し上げましたように、私どもといたしまして十分事情を、電話を使っている国民の皆さん方に納得していただいてやる必要があるのじゃないかというふうに考えております。
  439. 中野明

    中野(明)分科員 総裁がいま過去のことをおっしゃいました。それも私はわかります。しかし、いつまでも過去がこうだったから未来もそうしなければいけないんだ、そういう規則はないので、そのためにお互いに知恵を出し合って、そのときそのときに適応した一番納得のできる線を出していくのが政治の重要性だ。昔こうだったのだから永久に、昔の人に悪いんだからということになれば、これは発展はないと思います。そういう点の反論は私はできると思うわけです。またその納得も説明も、お互いにきめてしまえばつくと思います。ただ大事なのは、先ほどから申し上げているように、総裁なりそうしてまた大臣なりの決意が問題になってくる、私はこういうように思うわけです。そして総裁自身は積極的な姿勢ではないでしょう。どこまでも、法できめられている以上受け身の立場でしょうけれども、しかしながら、やはり受け入れ態勢というものが、あなたになければ、幾ら大臣が積極的になられても、困ります。困りますと言われたのでは、やはり法が生きている以上どうもならぬでしょう。そういう点で、特例法というものを、ぜひこの際つくっていただいて、そして公社の将来を考えても、そしてまた国民感情を考えましても、ここで手を打っていただくことが一番適切じゃないかな、私たちはそう思うわけです。もちろん、いつの場合でも値上げは、私たちは反対の気持ちが非常に強いですけれども、しかし全然内容実情を無視して、絶対反対というような筋が通らない話は、あとから考えてみたら、おのずと批判は受けることでございますから、決してそんな、べらぼうな考えは、私は持っておりません。ただ、いま申し上げているように、タイミングの問題、これはよく考えていただいて、大臣並びに総裁、これはいま焦点に立っておられるわけですから、納得のいく、みんなが得心のいく結論をお出し願いたい、このように要望を申し上げているわけです。その点、先ほどからの御答弁でけっこうだと思います。  ではあとは、逓信委員会でお話し申し上げて、いろいろ質問したいと思いますので、大臣に、早急に結論をお出しになって、そして一日も早くこのことについて万人が納得できるような、そういう線を出していただきたいということを、最後に要望いたして、私の質問を終わりたいと思います。
  440. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて中野君の質疑は終了いたしました。  次は島本虎三君。
  441. 島本虎三

    島本分科員 郵政関係と電電公社関係の予算審議にあたりまして、若干の点について大臣にお伺いしたいと思います。  まず第一番に、時間が制限されて、この分科会はまことに厳格でございまするから、個条書きによって質問をさしてもらいたいと思いますが、この点よろしくお願いしたいと思います。  小笠原諸島が返還されたあとの通信計画については、これは万遺漏なきを期しておかなければならない、こういうふうに思いますが、計画その他御発表を賜わりたいと思います。
  442. 小林武治

    ○小林国務大臣 これはごもっともなお話でありまして、われわれのほうからも調査団に参加いたしておりまするし、まず何はおいても通信を復活させなければならぬということは、よく心得ております。したがいまして、返還になりますれば、直ちに短波の移動無線機、こういうものを持ってまいりまして、そして内地と小笠原の電信回線をすぐに開設する。おそらくその次には、三、四ヵ月以内に固定無線局ができ、これによって内地との間に電信回線と模写電信回線ができ上がる。それから、長くても一年以内には短波の無線電話局をつくりまして、内地との電話連絡も復活させる。こういうふうな用意を、すでにいたしております。郵便関係につきましては、復帰後すぐに、父島には直轄の郵便局を配置する。そのほかの母島等については、電信あるいは郵便局等も、復興に従って順次設備をいたしたい、かように考えておりまして、十分心得えて用意をいたしております。
  443. 島本虎三

    島本分科員 その際一つ懸念されることがございます。最近の傾向として、独立採算で、収支が採算に合わないことはなるべく手をつけないような傾向がございます。そういうような場合には、ことに通信——郵便はもちろんそうでございますけれども、国策上、採算を度外視してもこれはやるべきであり、そういう計画を進めなければならない。あわせて、やはりテレビの計画も考えておらなければならないはずだ、こう思うわけですけれども、いまの考え方並びにテレビの準備はいかがでございますか。
  444. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは電電公社の大きな経済の中でいたしまするから、小笠原問題については、もう採算などということは一切考えません。いま聞くところによると、これらの施設をするにも二億数千万円要るそうでございますが、さようなことは顧慮いたさない、こういうことでございますし、またテレビの問題は、これはちょっと当分見通しがつかない、こういうことでございます。
  445. 島本虎三

    島本分科員 これは電電公社は、これだけする設備費と収入予定とやはり相当合わないのではないかと思われますが、いま大臣言った線に沿うて、これは国策の一端でもあるし、当然やらなければならないと思います。なおテレビはこれは不規則発言もございますが、できるはずだし、やろうと思えばできるのですから、ひとつここでできる、やるということをはっきり言っておいてもらいたい。
  446. 小林武治

    ○小林国務大臣 いろいろ調べたのでありますが、ここでできるということは私も断言しませんが、十分ひとつ検討をしたいと思います。
  447. 島本虎三

    島本分科員 次はことに郵便関係と電電公社関係と両方になりますけれど、都心地区の最近の高層ビル化に対する対策が十分かどうかということでございます。郵便の場合でも携行難、輸送難、電波の場合も電波障害その他いろいろ考えられるわけであります。それと電電公社の場合構内用ケーブル、こういうようなものも初めからやっておかないと、これはとんでもないことになるのではないかという心配もあるわけであります。そういうようなことをしないと、あとからいたずらに従業員にのみ労務強化がもたらされるおそれがあるわけであります。今後高層ビル化に対しては、初めから専門にこれに当たらなければならないような状態にもうきているのじゃないか、こう思います。郵便の面並びに電波の面並びに電電公社、これは構内用ケーブル配線と申しますか、こういうような点万遺漏なく計画され、この予算の中に盛られておるものだ、こういうふうに思っておりますが、この辺の準備はいかがでありますか。
  448. 曾山克已

    ○曾山政府委員 郵便について申し上げます。  郵便につきましては島本委員御指摘のとおりでありまして、私ども最大の苦心を払っております。昭和三十六年に法律改正をいたしました際にも、エレベーターのない三階以上の建物につきましては、強制的に受け箱をつけるという法律をつくりました。さらにエレべーターのあるものについても、最近は高層ビルができますので、これにつきましては強い勧奨をもちまして、受け箱の設置を勧奨しておる次第であります。成績もかなりあがっております。なお御発言がちょっとありましたが、最近霞ケ関ビル、三十六階のビルができつつありますが、これにつきましては、郵便局を設置いたしまして、その郵便局に私書箱を付設し、その私書箱の使用は無料で行なうというようにして、御指摘の配達難を緩和いたしたいと存じます。
  449. 石川忠夫

    ○石川政府委員 最近御指摘のとおりビルの高層建築物が非常に多くなりまして、その陰になった場所で、テレビが見にくくなっておるという現象がだいぶふえてまいっております。いわゆる私どもビル陰障害、こういうふうに称しておるわけでありますが、この障害に対しまして、具体的にはNHKが個々に被害申告を受け付けまして、技術指導を行なっているわけでございますが、最近どのくらいの件数があったかと申しますと、被害世帯にいたしまして三十九年度が二千三百世帯、四十年度が六千二百世帯、四十一年度が七千八百世帯というふうに、だいぶふえてまいっております。そしてこの改善対策といたしましてはアンテナの位置を上下する、あるいはその位置を動かすというような対策が一つ、それからもう一つは共同アンテナを上に立てるという対策、この二つの対策がおもな対策でございます。そうしてこうした経費の分担がどのような状況になっておるかと過去の実績を見ますと、四十一年度について見ますと、大体半分が受信者の負担、それから三〇%が建築者の負担、それからあと六%が両者が分け合っているというような状況になっております。
  450. 北原安定

    ○北原説明員 電電公社のほうから御説明申し上げますと、都市の再開発に伴いまして当然のことながらビルが高層化してまいりました。私どものほうは従来から三十メートルあるいは四十五メートルというビルに対する技術を開発してすでに実行いたしておるわけでございます。今回の霞が関の百五十メートルというビルにつきましても、これは将来の一つの試金石と考えまして、私どもの直営工事といたしましてあの中のすべての工事をやっております。百五十メートルをまっすぐにつり上げてまいりますとケーブルにかかる力、こういうものがたいへん問題になります。かつまたビルの不燃性ということから、絶縁の材料の問題の研究、軽さ並びに材料の研究というものに重点を置いてただいまほぼ完成しつつあるわけでございます。
  451. 島本虎三

    島本分科員 この問題は、他の官庁は承るところによりますとあまり横の連絡がとれておらないようであります。ことにこの通信関係はよくやっておかないと悔いを千載に残すおそれのあるものでございまして、いまそのための準備状況を聞きましたところが、わりあい——わりあいということばは悪いでございましょうか、まずよくできているようでございます。しかしながら国電浜松町駅あたりにはまた三十八階か何かの貿易センター、こういうようなものも計画されておると聞いておるのです。そうなりますと、こういうようなビルが過密、過疎の関係でやはり都市に集まってくるこの影響でだんだんできてきます。できてくると、これに対する対策というものは緊急な問題になってまいりますので、これだけは万遺漏なきを期していかなければならないはずであります。この点等もいいようでございますからこれは安心して次に移ります。  次に、これは同じ郵便関係になります。これは大臣の決断を要する問題になります。それは今度郵便番号制の実施、これが計画されてもうすでに終点に来ているということをいわれておるのであります。不敏にして私その内容を十分わかっておりません。ただこの業界誌によってこれを知った程度でございます。一応これは全部当たってみ、私自身調べてきたわけでございます。しかし、将来は番号制にする、そして原則として変更はしない、法的にも極力規制はやらない、こういう方針だ、こういうふうに承っておるわけでございます。もしそういたしますと、今後はやはり一般国民に対して影響も相当大きいものもあろうかと思いますが、この郵便番号制の実施、何というのですか、近代郵便制度上の何とか申しましたけれども、この内容について時間を三分に限ってひとつ説明をお願いしたいと思います。
  452. 曾山克已

    ○曾山政府委員 先ほど田邉委員からも御質問がございましたので、そのとき詳細にお答えいたしましたが、ただいま重ねての先生の御質問でございますので申し上げます。  郵便番号制度はすでに先進諸国においてはこの実施を見ておりまして、これは主として人力の節約が第一点、それから第二点といたしましては機械の開発に伴いまして、手分けによりましたものをアドレス読み取り機によるという画期的な開発発団ができましたもので、これを利用することによって郵便のコスト引き下げ、かつまたかなりの個数につきましてスピードアップを画するというようなこの二つの柱から成り立っておるわけであります。なお実施するにあたりましては全国的に実施するということにいたしております。時期につきましては七月一日から実施する。その周知方法につきましてはただいま不十分であるというような御意見がございましたけれども、私どもといたしましては、目下この三月を中心にいたしまして、大口に利用される方々に徹底的に番号簿を配りまして周知をしておるところでありますし、また五月、六月には一般家庭等にも番号簿を配りまして、その際にも新聞、ラジオ、あらゆる報道機関等を通じて周知しようというふうに考えておる次第でございます。
  453. 島本虎三

    島本分科員 同じ構想のもとに、前には何々局区内というのがございましたけれども、それがいつの間にか消え去ったようです。これは大臣に特にこの点で——私も前に田邉委員とも相談しておったのでございますけれども、私しんがりになってしまいましたからこの決意だけは聞いておきますが、私のところにはこの内容を知らない、十分わからないという投書が来るのであります。というのは、電話の番号と郵便局のこれを一緒にしておいてくれたら便利なんだ。北海道のほうは〇一、九州は〇九、東京は〇三、大阪が〇六、大体こういうふうにして中にいろいろ入りますけれども、こういうふうな数字を逆にしたりあいまいにされたら、まことに困難になってくる。ことに将来も変更しないということだった場合にはことさらこの郵便だ、電話だ、日常必要なものはこういうようなあまり単位になる数字を変えないようにしてやったほうがいいじゃないか。これは国会議員の名においてぜひとも実現すべきであるという激励、抗議——抗議というとなんでございますけれども、こういうものが投書が来るのであります。これは大臣の決断によらなければならない問題ですが、電話その他のものを統一してこの数字をきめるような方法をぜひ科学的に研究してやってもらえませんですか。御検討願いたいと思います。
  454. 小林武治

    ○小林国務大臣 この問題はもう前からいまお話しのような希望が利用者の間から出て、郵政当局としても非常な検討をしたのでありますが、結局においてこれはできないということでいまのような形になった。私ども非常に残念でございますが、どうも実情できなかった、こういうことでございます。
  455. 島本虎三

    島本分科員 できないと言うんならばこれ以上しようがありませんが、しかし人がやることにできないということはないんですよ。〇一から〇九までつくったのも人間ですよ。頭脳ですよ。だから郵便のほうは複雑だけれどもどこが一のほうなら一を中心にするとか九のほうなら九を中心にするとか、東京なら三を中心にするとか何か表番号を、小林郵政大臣の顔はこれだ、この顔を持っていくと選挙に通用するかのように、この顔を持っていったらその地域内では全部通用する表面番号の指定ぐらいは、できないということにはならない。できないということは研究が足りない、こう思うわけですが、国民的な立場からこの利便に供するために不可能を可能にして考えてもらいたい。そういうようなことをひとつ十分今後考えてもらいたいと思いますが、考える意思おありですか。
  456. 小林武治

    ○小林国務大臣 実はこの問題については私自身もいろいろな意見を持っておったので、少し就任がおそかった。もう少し早ければ何か考えることができたのではないかと思うほど、この問題については皆さんと同じような疑問を私も持ったのでございますが、結局どうも今日になればこのまま進める以外にはないということで私も負けてしまった。事務当局が事実上できないということで、こういうことでやむを得ずこれに賛成をしておる、こういうわけでございます。
  457. 島本虎三

    島本分科員 まああなたのような人ができないというならばそれはしかたがない。できないかもしれませんが、なお実施の段階まで希望を捨てないで検討をお願いいたしたいと思います。  次には犬の害について伺いたいと思います。最近のいろいろな情報によりますと、交通の害がひんぱんにあるわけであります。交通公害といわれるほど都市では車によるところの被害が多いのであります。郵便の場合には、調べましたところが郵便配達夫の三分の一程度の人が犬にかまれているというのでございます。これは、私は犬が好きだから言うわけじゃございませんけれども、そこまでかまれなければならない宿命をしょったポストマンは気の毒だと思います。それで、この実態はどうなのか、それに対する手当てや処置はどうなのか。この点について発表を願いたいと思います。
  458. 曾山克已

    ○曾山政府委員 この犬害、犬によります咬害というものは、私どもにとりましては真剣な問題でございます。私どもも一生懸命になってこの対策を考えておりますが、まず実態から申し上げますと、去年の十月に全国におきまして詳細な統計をとりましたが、十月だけで犬の被害を受けました者が千七百件ございました。そのうち身体に傷害を及ぼしました、つまりかまれた害が約六百ございました。これは放し飼いによるものでございます。  それで、対策といたしまして、郵便規則によりまして咬癖のあります犬を放し飼いをしておりますうちにつきましては、郵便を配達しなくてもいい。これは局にとめ置きまして、局にとりに来てもらうという制度がございます。非常にひどい、こちらの言うことを聞かない配達先につきましては、さようなこともしばしばやっております。それから、これはある外国に例をとりまして、犬のきらいな薬がございます。エアゾールという分子でできておるそうでございますが、サンダーポケットという文字どおりふるえあがるような薬であります。それを利用いたしまして、年間約三千本を従業員に支給いたしまして、非常に効果をあげております。犬の害につきましては以上でございます。
  459. 島本虎三

    島本分科員 そのほか、都市の場合には、いわゆる交通機関によるところの傷害が多いのではございませんか。
  460. 曾山克已

    ○曾山政府委員 交通事故につきましては、公務災害と認定されましたものが昭和四十年度におきましては九百件ございます。四十一年度におきましては千百件ということで、これもだんだんふえております。もちろん、私どもこれに対しましては、監督者の指導並びに本人の自覚等にまちまして、かかる事故の発生をできるだけ防止したいのでございますが、具体的にはヘルメットを全員に支給するとか、あるいは講習会をたびたび持つとか、そのほか安全運転の責めに当たります管理者等につきましては、しばしば具体的な講習会、打ち合わせ会等を開きまして指導に当たっておるわけでございます。
  461. 島本虎三

    島本分科員 二つの点が疑問です。それは犬の害が千七百をこえている。それに対して、いまりっぱな薬があるということを聞いたのですが、そのりっぱな、なんとかいうふるえあがるような薬を使っても、なお千七百も犬害があるということは、これはふるえあがるような薬じゃないということになるのじゃございませんか。私はその点が疑問でございます。  それと、それよりも自動車のほうの害が少ない。しかしながら、自動車、交通機関による害は——犬にかまれてもこれは段階がございます。自動車はやったならば必ず人間の生命の被害があるほどの傷になるわけであります。私は、こういうようなことからして、この被害の防止のためには万全を期してもらわなければならない。(「それはそのとおりだ」と呼ぶ者あり)いま不規則発言がございましたが、これは不規則ではございません。これはりっぱな発言でございます。ヘルメットをなぜ支給せぬのでございますか。
  462. 曾山克已

    ○曾山政府委員 私の発言が不十分でございました。繰り返しますが、ヘルメットは全員に支給しております。
  463. 島本虎三

    島本分科員 それはよくわかりました。しかし薬を使っているのに、なおこれだけの害があるというのはどういうわけなんですか。
  464. 曾山克已

    ○曾山政府委員 犬がかみます害の発生する分布を見てみますと、いわゆる市街地よりいなかのほうが多いのでございます。つまり、いなかのほうが畜犬を放し飼いにする例が多いことを示すわけでございます。まさかと思っておりますところで追っかけてきてかまれるということでございます。そういうわけで、もちろん私どもといたしましては、極力犬の咬害のないように今後とも努力いたしたいと思います。
  465. 島本虎三

    島本分科員 それはわかるのですよ。しかしいなかであろうとどこであろうと何であろうと、そのふるえあがるような薬をやっていたら、犬は来ないはずだのに、かまれるというのはおかしいですよ。それは何といったっておかしいですよ。もう一回。
  466. 曾山克已

    ○曾山政府委員 先ほど申し上げました三千本のエアゾール式サンダーポケットというものをさらに増備いたしまして、ただいま御指摘のような点につきましては今後とも一切公害のないように努力いたしたいと思います。
  467. 島本虎三

    島本分科員 だから結局準備したというだけで、全員に行き渡っておらないというのが真相なんですか。これじゃやはりいけませんね。  それからちょっとありましたけれども、ヘルメットは全員に支給するようにすべきです。命のほうが大事ですから。
  468. 曾山克已

    ○曾山政府委員 外勤員は全国で約六万一千人くらいおります。それに対しまして三千本では少ないのではないかという御意見かと思いますが、さらに増強いたします。  それから交通安全対策につきましては全く御指摘のとおりでございますので、私ども真剣に取り組んでおるつもりでございますが、さらに今後とも対策を積極的に補強してまいりたいと思います。
  469. 島本虎三

    島本分科員 これでスリークッション置いてその答弁が出たわけです。一回でやめておったら、そこまでいかないうちにごまかそうとした。いけません。  大臣、これはこういう話を聞いたので、いま思い出して質問したのです。あれは札幌におりましたある郵便局長がやはり犬害を何とか防ぎたい、そのふるえあがるような薬が発見される前でございます。動物園通いをいたしまして、そうしてトラの尿とライオンの尿、こういうものを持ってきて実験してみたのだそうであります。相当な威力があったかのように聞いておりましたが、それはもう成功したということは寡聞にして聞きません。こういうようなことは何も検討の中に入っていませんでしたか。聞きませんでしたか。
  470. 小林武治

    ○小林国務大臣 私も聞いておりませんが、とらまえる方法がなかなか困難だ、それを得ることがきわめて困難だと思います。
  471. 島本虎三

    島本分科員 では次に移ります。  私はここではっきり聞いておきたいと思いますのは、これは同じ郵便でございますが、配達でございます。どうも配達ばかりで済みません。最近の状態は豪雪が多いのです。ある場合には、ほとんどないところに一夜にして一メートル、二メートルという例さえあるわけです。それが郊外なりまたいなかのほうに行くほど多くなるわけであります。ことに雪の場合は信越、東北、北海道にわたってずっと多くなっておる。配達する人たちの苦労を思う場合に、依然として昔と同じ飛脚と同じような足にたよる、この行き方をやって近代化した郵便、こういうようなことは考えられないのです。少なくとも何か雪の上でも、最近では樺太犬でやるやつを南極でも廃止して、りっぱな何ですか、やっていますね。今度スノーラぐらい準備させて、完備させて、そうしてこれによって配達の完ぺきを期するということをもっと考えるほうがよほど郵便の機械化じゃないかと思っておる。この実験段階に入っておるというのですが、これはやはり犬と同じようにちょっぴりやっておるだけで、さっぱり効果があがらぬのですか。この実相をお聞かせ願いたいと思います。
  472. 曾山克已

    ○曾山政府委員 ちょっぴりということでおしかりを受けるかもしれませんが、実はただいま福島県におきまして御指摘の新しい新鋭の機械を実験中であります。その結果を見まして、たぶんいいと思いますので、さらに増備してまいりたいと考えます。
  473. 島本虎三

    島本分科員 まだこれは実験の段階ですか。私はもう実験の段階を通り越してすでにこれが配車になったと聞いておるのですが、まだそういう事態じゃないのですか。
  474. 曾山克已

    ○曾山政府委員 ただいまのところは試用の段階でございます。その機械自身が最近発明されたということでございますので、私どもといたしましては試用結果を待ちましてできるだけ四十三年度にはこれを早く取り入れたいと考えております。
  475. 島本虎三

    島本分科員 札幌付近でことに雪が多いのは倶知安方面です。向こうは徒歩ではもうほとんど行けなくて、スキーで行かなければならないような、こういうようなところ。いまでもまだ雪は一メートル以上ある。こういうような中でこれがまだ実験の段階であるということは私はわからない。ほんとうにこれを近代化し、いまあなたのおしゃったように郵便の番号制をさえ考慮してこれによって機械化しようとしておるが、これは区分だけのそれであって、配達するほうが非能率的に神代この方、足で歩いておるようなやり方では、これは近代的だという人はないと思うのです。そういうようなものは予算が足りないなんて言わせないで、その方面では小林郵政大臣はこれを十分配慮するはずだと私は思うのです。あなた、これは予算を要求しないのですか。
  476. 曾山克已

    ○曾山政府委員 積雪地帯につきましていろいろと御指摘のありましたことは、私も十分そのとおりだという認識をいたしまして懸命にやっておるつもりでございますが、なお足らぬところがございますので、その点につきましてはもちろん御指摘のような点も考えながら、しっかりとした増備を今後していきたいと思います。  なお、先ほど大臣からもお話がありましたが、市街地、特に積雪地等におきましては、傾斜等の関係もございまして、必ずしも全部機械が使えるとは限らぬと思います。そういうところにつきましては、御承知と思いますが、どうしても人間を使う増役という形で、冬期増役などを使いましてできるだけ負担を少なくしていくつもりでございます。
  477. 島本虎三

    島本分科員 そのための予算の配賦は、大臣も十分考えてやってほしいと思います。
  478. 小林武治

    ○小林国務大臣 いまは、四十三年度はもう実行でもやる、こういうことでございますから、私も督励してさようなことにしたいと思います。
  479. 島本虎三

    島本分科員 時間がないのでほんとうにすみませんが、ポケットベル業務の内容について私は若干聞いてみたいと思うわけでありますけれども、これは電電公社、東京だけの使用ですか、全国にこれをやろうとしておるのですか、これはいかがでございますか。
  480. 武田輝雄

    ○武田説明員 無線呼び出し業務につきましては、かねてから郵政省のほうへ使用電波のお願いをいたしておったわけでございますが、最近郵政省のほうから周波数の内示をいただきましたので、いま公社といたしまして、この六月か七月に業務開始できるように準備を進めております。まず東京において実施をいたしまして、その実施の結果を見まして、逐次大阪、名古屋等大都市からやっていくというふうに考えたいと思っております。
  481. 松浦周太郎

    ○松浦主査 島本君、時間が過ぎましたけれども、森本君の残した時間が少しありますから、それをお恵みいたします。
  482. 島本虎三

    島本分科員 ありがとうございます。それでただ単に信号で呼び出す、時計がちょっと鳴るようにピーッと呼び出す程度でこれが大いに利用価値あるものでしょうか。この点の見通しについて、総裁いかがでありますか。
  483. 米澤滋

    ○米澤説明員 いままでいろいろ開発の実験をやりました。やってみますと、地下室とかあるいはまたビルディングとかのまん中のほうに行ったときには問題があると思いますが、そうでないときには相当有効じゃないか。それからまたアメリカとかあるいはまたオランダ、ベルギーあたりでもこういうことを外国でもすでにやっておりますから、ある程度基礎的なことは完成しているのじゃないかと思っております。
  484. 島本虎三

    島本分科員 どこから来たのかわからぬけれども、ベルが鳴るだけでございましょう。相手がわからぬでただ鳴るだけ、鳴らす人はどなたかきめてあるからわかる、こういうようなことになるのですが、どこから来たのかわかる方法がつけられないのか。そういうようになったら、これはもう現在以上に世界に有数なる機械を開発したことになると思うのです。ただ鳴るだけであっても自分のきめた方が行っているからいい。しかしABCとあって、どっちから来たのかわかるということなら、もっと有望だと思うのです。通話できないまでも、それなら多目的に利用できると思うのです。一人だけに愛情を通ずるかのように、ただ呼べばわかる、わかっただけで——わかったらこっちから電話をかけるだけなのでございましょうから、私はこんなものが広く広がって有望だと考えるのはどうかと思っておったのですけれども、いま聞いてみたら有望だそうでございますね。これより技術開発できないものですか。
  485. 北原安定

    ○北原説明員 お答えいたします。  一万からのポケットベルを持つ方々に、どこから呼んできたか全部識別できるようなシステムをつくることは経済的という面から見たらまず不可能ではないかと思うのでございまして、そこまでいきますとほとんど電話の機能を持つのと近いようなことになり、移動式の電話ということになるのじゃないかと思います。
  486. 島本虎三

    島本分科員 せっかく全国ダイヤル化してどこからでもすぐ話せるようになったというのに、これだけは呼んできたものに一つに限るというようなむちゃくちゃなことはありません。私はこの辺の技術開発は皆さんの力によってできるものであるということを聞きたかったのですが、聞けない以上、今後逓信委員会においてこの問題をひっさげて大いにやることを期待して、私の質問を終わります。
  487. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて島本君の質疑は終了をいたしました。     —————————————
  488. 松浦周太郎

    ○松浦主査 以上をもちまして、本分科会所属の運輸省所管郵政省所管及び建設省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  489. 松浦周太郎

    ○松浦主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十三年度一般会計予算及び昭和四十三年度特別会計予算中、運輸省郵政省及び建設省所管並びに昭和四十三年度政府関係機関予算日本国有鉄道及び日本電信電話公関係に対する討論採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  490. 松浦周太郎

    ○松浦主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位には連日長時間にわたり御協力を賜わりまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。  これにて第五分科会を散会いたします。    午後五時三十九分散会