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1968-03-14 第58回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十四日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 松浦周太郎君       相川 勝六君    正示啓次郎君       湊  徹郎君    井上  泉君       久保 三郎君    千葉 佳男君       広瀬 秀吉君    福岡 義登君       森本  靖君    渡辺 芳男君    兼務 神門至馬夫君 兼務 島本 虎三君    兼務 内藤 良平君 兼務 楢崎弥之助君    兼務 野間千代三君 兼務 広澤 賢一君    兼務 堀  昌雄君 兼務 内海  清君    兼務 河村  勝君 兼務 玉置 一徳君    兼務 沖本 泰幸君 兼務 松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         防衛施設庁長官 山上 信重君         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸大臣官房長 町田  直君         運輸大臣官房会         計課長     山上 孝史君         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省船員局長 河毛 一郎君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君         運輸省航空局長 澤  雄次君         運輸省観光局長 深草 克巳君         海上保安庁長官 亀山 信郎君         気象庁長官   柴田 淑次君  分科員外出席者         外務省北米局安         全保障課長   松原  進君         大蔵省主計局主         計官      丸山 英人君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         建設省道路局次         長       吉兼 三郎君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道理         事       今村 義夫君         日本国有鉄道理         事       林  武次君         日本国有鉄道理         事       仁杉  巌君         日本国有鉄道理         事       井上 邦之君     ————————————— 三月十四日  分科員久保三郎君、森本靖君及び谷口善太郎君  委員辞任につき、その補欠として井上泉君、福  岡義登君及び田代文久君が委員長指名分科  員に選任された。 同日  分科員井上泉君及び福岡義登委員辞任につき、  その補欠として渡辺芳男君及び佐藤觀次郎君が  委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員佐藤觀次郎君及び渡辺芳男委員辞任に  つき、その補欠として田原春次君及び千葉佳男  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員田原春次君及び千葉佳男委員辞任につ  き、その補欠として西風勲君及び広瀬秀吉君が  委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員西風勲君及び広瀬秀吉委員辞任につき、  その補欠として森本靖君及び久保三郎君が委員  長の指名分科員に選任された。 同日  第一分科員内藤良平君、玉置一徳君、第二分科  員楢崎弥之助君、堀昌雄君、第三分科員神門至  馬夫君島本虎三君、野間千代三君、第四分科  員広沢賢一君、内海清君、河村勝君、沖本泰幸  君及び松本忠助君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十三年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十三年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十三年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十三年度一般会計予算及び昭和四十三年度特別会計予算運輸省所管、並びに昭和四十二年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  まず、昭和四十三年度一般会計予算及び同特別会計予算運輸省、並びに同政府関係機関予算中日本国有鉄道関係について説明を求めます。中曽根運輸大臣
  3. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昭和四十三年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、予算の規模について申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は三十億八千六百四十八万六千円、歳出予算総額他省所管計上分百五十五億九千七百四万二千円を含み一千五百四十七億一千七百五十四万二千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、百九十九億九千八百十四万一千円の増加となっており、一四・八%の増加率を示しております。  この増加額内訳を見ますと、行政費では、百五十億二千四百五十一万五千円、公共事業費では、四十九億七千三百六十二万六千円の増加となっております。  次に特別会計について申し上げます。  まず、木船保険特別会計歳入歳出予算額は、四億一千四百二十万八千円であり、木船鋼船化傾向を反映し、前年度に比較して二千二百八万七千円の減少となっております。  自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予算額は、一千八百四十三億九千三百五十二万五千円であり、車両数増加保険金額引き上げ等により、前年度に比較して六百一億一千八十万一千円の増加となっております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は、七百五十五億六千六百九万八千円であり、前年度に比較して四十八億七千六百三十一万三千円を増加し、新港湾整備五カ年計画の初年度として港湾整備を推進することとしております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は、三十七億六千九百二十一万円であり、車両数増加により、前年度に比較して十二億四千八百七十八万八千円の増加となっております。  このほか、昭和四十三年度財政投融資計画中には当省関係分として五千四百十億円が予定されております。  昭和四十三年度予算におきましては、当省は次の諸施策重点を置いて、運輸行政を推進いたしたいと考えております。  わが国経済をめぐる国際環境は、最近ますますきびしさを加えており、今後の国際収支の悪化が懸念されておりますが、当省におきましては、海運航空観光の各分野において貿易外収支改善をはかるとともに、船舶鉄道車両等の輸出の振興につとめ、国際収支改善に寄与したいと考えております。  次にわが国交通関係社会資本は、数次の長期計画の実施にもかかわらず、なお年々増大する輸送需要に対して不足状態にあり、また、物的流通部門の立ちおくれが、物価の安定及び経済効率化の険路となっております。このため、鉄道港湾空港等輸送基礎施設計画的な整備充実をはかるとともに、物的流通近代化運輸事業基盤強化につとめる考えであります。  さらに海陸空にわたる交通量の激増は交通事故の頻発と死傷者増加を招来しており、当省といたしましては、交通機関基本的使命である交通安全対策を強力に推進することといたしております。また、排気ガス騒音等交通機関の発達に起因する公害の増大を防止するとともに、台風、豪雨等自然災害による被害を最小限にとどめるため、交通公害対策及び防災対策強化につとめる所存であります。  次に日本国有鉄道について申し上げます。昭和四十三年度の予算の編成にあたりましては、まず四十三年度におけるわが国経済の見通し及び国鉄輸送需要の動向を考慮し、損益勘定におきましては、公共負担の是正としての通勤通学定期運賃割引率の改訂、四十三年度から新たに設けられた日本国有鉄道財政再建補助金五十四億円等を含め、収入支出予算九千三百九十七億円を計上し、また、資本勘定におきまして、財政投融資二千六百四十億円を含め、収入支出予算五千百六十八億円を、工事勘定におきまして三千七百八十億円を計上いたしまして、第三次長期計画に基づき、大都市通勤輸送改善主要幹線輸送力増強及び保安対策強化等を推進してまいりたいと考えております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきまして、お手元に配付してあります昭和四十三年度運輸省予算説明及び昭和四十三年度日本国有鉄道予算説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  以上をもちまして昭和四十三年度の運輸省関係予算についての御説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 松浦周太郎

    松浦主査 以上をもちまして説明は終わりました。  質疑に先立ち、念のため申し上げたいと存じますが、質疑者が多数おられますので、持ち時間は、慣例によりまして一応本務員は一時間以内、兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分以内にしていただきたいと存じますので、御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようにお願いいたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  5. 久保三郎

    久保分科員 私は、まず第一に海運問題について二、三お尋ねをしたいのであります。  特にその中でも外航問題でありますが、いわゆる国際海運の問題でございます。再建整備法というか、そういうもとでおよそ六中核体中心集約をしまして、今日聞くところによりますれば、その所期目的をやや達成してきたということであります。もちろんその中には系列会社あるいは専属会社等の中ではまだ当初目的であるところの延滞利子の問題あるいは約定延滞金の問題、そういう問題が片づかぬものもあるようでありますが、言うならば再建の線にまだ所期目的を達成しない専属系列会社の問題は、当初より予想されていたことと私は思います。ついてはいまだその目的を達成し得られない専属並びに系列会社に対しては、大体がオーナーその他が多いと思うのでありますが、そういうものについて新たな対策を持っておられるのかどうか。単に再建方策ということでその終わりを見ていくというだけでいいのかどうか、これをまず第一にお伺いしたい。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 具体的な問題でありますので、海運局長に答弁させます。
  7. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 再建整備計画がおかげさまで順調に進んでおるということは申すことができると思いますが、いま先生おっしゃいましたように、主としてオーナーの面におきましてまだ償却不足、それから延滞金がまだ若干残っております。これらのものも整備期間中には大体償却不足等は解消するというふうに見込んでおります。しかしながら完全にそれぞれの目的を達するには、われわれとしてはオーナー対策と申しまして、できるだけその中核体にいろいろなめんどうを見さす、あるいは用船料等につきましても非常に苦しいようなオーナーに対してはいろいろ配慮をする、あるいはまた計画造船におきましても、有利な船、そしてオーナーが持つにふさわしいようなわりと小柄な船、そういうものをできるだけ保有させるようにというふうな対策をとってきております。今後もそういうような考え方で進んでいきたいと思っております。
  8. 久保三郎

    久保分科員 そうしますと、整備期間中にはオーナー、いわゆる専属系列会社は大体において所期目的を達成できるのだということでありますが、そのほかに中核体用船料めんどうを見させるとかあるいは計画造船で船をつくらせるとかいうことをしていくのだということでありますが、はたしてこの集約をした場合にいまのようなオーナーあり方がそれでいいのかどうか。いわゆる整備期間中に目的は達成し得られるが、将来に向かって日本海運の中でオーナーとしての独自な立場に十分活躍できる体制が、そういう体制の中で今後予想されるのかどうか、中核体の中に専属系列の姿でいてこれはうまくいくのかどうか、そういうことを検討されたことがございますか。
  9. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 オーナーというものは今後どのように生きていくべきか、これは古くて新しい問題でございまして、昔からいろいろ議論をされるわけでございます。オーナーというものに存在意義があるのかということまで議論をされてきております。それでわれわれとしては、オーナーというものは船員費の節減とか非常に血の通った船員管理をするとかいう点にやはりいいところがございますので、また中核体に比較しては中小企業でございますので、一つ中小企業対策というような観点からも考えていかなければならぬ、そして将来につきましてはやはり強いものにしていかなければいけない、そういう意味オーナーもいままでも再建整備期間中にも相当合併等ということも推進してきておりまして、だんだん強いものにしていく、そして日本海運の発展の一翼をになわすというような考え方で一応進んできております。
  10. 久保三郎

    久保分科員 これは再建整備の問題が出たときにも私から意見を申し上げておったと思うのでありますが、いわゆるオーナーというものは特定のオペレーターに雇用されていくのが本筋ではなくて、むしろたくさんのオペレーターを目の前にして、最も有利な条件でチャーターさせてもらうというようなところで、いわゆる海運の波動に乗って成長していこうというのが純粋なオーナーあり方だと、いままでも、いまでも私は思っているのであります。ところが六中核体集約された場合には、これは言うならばオーナーとしては硬直化したオーナーでありまして、これは名実とものオーナーではない。オーナーではないというのはたいへんおかしいのでありますが、融通のきかないオーナーになってしまっておる。最近御案内のとおり国際海運の中で日本の占める地位というものが非常に大きなものになってきている。あなたのほうから出た資料によりましても。言うならば世界海運の中での輸送量は、日本は大体世界全体の三割ないし五割、これはトン海里での計算でありますが、そういう比重を占めている。さらに長期展望に立つと、一九八〇年には日本は大体半分ぐらいにいくだろうという推測を外国でも下している。そういう中において、いわゆる六中核体に縛られた形でのあり方というのは、必ずしも日本海運あるいは日本産業界にとっても有利でないと私は思うのであります。むしろこの際検討してもらいたいのは、オーナーオーナーでの集約考えてみたらどうか。もちろんそれは全部どれもこれもというのじゃなくて、最も活躍し得られるような形でオーナー集約考えてみたらどうか。しかもオーナー種類別にございますから、専用船もあるだろうしあるいはタンカーもございますから、そういうものを含めて一ぺん考えてみたらどうか、こういうふうに思うわけです。  それからいま海運局長計画造船めんどうを見ていくということでありますが、これは別にオーナーばかりじゃございませんが、全体の外航船について考えた場合に、計画造船そのものも検討する時期にきてはいないかと考える。いかがですか。
  11. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 いまの集約体制ではオーナーオペレーターとの結びつきが硬直化しておって、オーナーが有利な用船料を求めて次々に渡って歩けるという体制ではない、これはオーナー対策としてもあまりよくないのじゃないかという御意見だと思います。なるほどオーナーオペレーターというものの関係は、そのような自由な契約でもって有利な場所を求めて移り歩くのが本来の姿ではないかと思います。しかし不況のときにはこれはまた非常に痛い目にあうという場合もあるのであります。そういう意味からしますと、いまオーナーオペレーターとが非常にかたく結びついていることもいい点もあり、よしあしということになりはせぬかと思うのであります。というのは、オーナーとしっかり結びついておりますと、苦しいときに助けてもらえるという点が多々あるのであります。しかし非常に市況のいい場合はいいところにいけないという損な面もあります。そういう点から考えますと、将来は先生のおっしゃるように自由なかっこうにいくべきではないか。しかしまだまだオーナーの体力は弱うございまして、一あらし吹くと非常に苦しい立場におちいるということがある間はやはりある程度オーナーめんどうを見さすということもしばらくの間は必要ではないかと思うわけであります。  それから計画造船やり方については、いま再建整備期間終了後の海運対策ということで全般的に検討をいたしております。それで、いままでどおりの計画造船あり方というものをいろいろな面から再検討しております。おそらくいま全額借り入れ金という形でやっておりますけれども、これは将来自己資金というものをだんだん入れていく、そういう建造方式にしていく必要があるんではないか、かように存じております。
  12. 久保三郎

    久保分科員 いまお話があったように、オーナーの問題はまたあらためて申し上げるにしましても、計画造船でありますが、おっしゃるとおりにまるまる他人資本で船をつくる、しかも、かたがた積み荷保証をとっての造船でありますから、これは言うならば企業的な苦心というか、くふうというか、あまりそんなものが必要のないような形になっている。かたがた積み荷保証船会社の経営を硬直化しているわけです。その上に他人資本だけで船をつくっておりますから、現在自己資本比率は六中核体で公表一三・二%、こういうような産業というのはほかにないだろうと思うのです。いま言うように、一部自己資金でやらせるんだというが、それでは現在のような船会社やり方でそういうものが右から左に出てくるような体制になっているのかどうか、これをお尋ねいたします。
  13. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 自己資金の投入ということをいいましても、そういうことができるのかという御質問でございますが、これは船会社によっていろいろ相違もございましょう。自己資金といいましても、ほんとうに純然たる自己資金と申しますか、ほんとう手金というものを投入できる会社はいまの段階ではおそらく非常に少ないんじゃなかろうかと思います。そこで自己資本比率というものは船会社は非常に少ないんではないか、これはもうそのとおりでございます。なぜそのような自己資本比率になっておるのか、これはやはり戦争によって船腹を失ったという点もございましょうし、それから最近に至っては大量建造ということが重荷になってきているんじゃないかと思います。ここしばらくは自己資金と申しましても、ほんとう手金というものに全部を期待することはなかなかむずかしいかと思いますが、自分で集めてこれる金というものを何ぼか入れさせるというふうにして、漸次その量をふやし、そして収益力のあがるに従ってほんとう手金を投入できる体制に持っていく、こういうふうに考えておるわけでございます。
  14. 久保三郎

    久保分科員 いずれにしても、再建整備法をつくるときには、日本海運に対するサービス、援助はこれでもう終わりであるという考え政府も提案してきて、今日こういう法律ができて、その制度の中で所期目的を達成したということになっているわけなんです。だから今回法律の一年間延長ということを出しておりますから、後ほどお考えを聞かなければなりませんけれども、何らかの定見がないわけではないでしょうが、とりようによっては定見がないような形で一年間さしあたり利子補給を延ばそう。それでその間じっくり考えましょうということであるのか知りません、じっくり考えなければいけないかと思うのでありますが、最近の急テンポに変化してまいります輸送状態でありますから、ここで拙速的にやれとも申し上げかねるのでありますけれども、少なくとも利子補給一年延長で、あとはゆっくりこの際考えますというのでは少しくお粗末ではないかということを一つのわれわれの感情として持っているわけであります。  それからもう一つ自己資金を入れるということでありますが、利子補給その他の制度をそのままにしておく限りは、どうも自己資本を入れるくふうはあまりしなくて済んじゃうということですね。だから、そういう制度から直すのは逆でありますが、先ほど御指摘のように、そういう計画造船というのも変えていったらどうかと私は思うのです。  それからもう一つ政府はあまりにもこまかいところまでいろいろめんどうを見ております。再建なった今日、たとえば計画造船で来年度はタンカー幾ら貨物船幾ら専用船幾らというような内訳までつくって、それで他人資本利子補給をしてということには、少しどうも世話をやき過ぎるんじゃないかと思うのです。同じ運輸省の中で見ても海運ぐらい手厚い指導をしているものはないと思うのですね。指導サービスであります。運輸省サービス省でありますから、その点サービスがあることはけっこうなんであります。しかし、あまりにもサービスしす過ぎては、企業意識なり自主独立の精神が失われると言っては語弊があるのですが、なかなか前向きでないのではなかろうかと私は思うのです。そういう意味で、計画造船はもう今回限りで終わりと宣言をしてもらいたい。海運の問題はもう全部御破算にして、白紙にしてひとつ書きかえようというぐらいの気がまえがあってしかるべきだと思う。いまの日本海運というのは、外的条件からいって非常に恵まれた条件になっております。先ほど申し上げたように、世界でも有数なもので、自分の国に来る荷物がうんとあるのでありますから、よそへ行って出かせぎしなくても、自分荷物を運ぶのにたいへんなのですね。それから船も、金がなくちゃできませんけれども、金さえあれば優秀な船が日本造船業でできてくるのです。しかも、さっき自分のところに来る荷物というお話をしましたが、そればかりじゃなしに、最近は外国のほうでもいろいろ考えている。一つコンテナの問題でありますが、ヨーロッパの同盟のごときは、一部はやはり影響あるんじゃないかと思うのは、山下新日本が最近シベリア横断ヨーロッパへ船、トラック、飛行機あるいは鉄道、こういうものを入れて、まあスピードアップして一週間くらいでヨーロッパの市場に持っていくという構想をしているそうであります。それからもう一つは、アメリカの問題ですが、北米ではもはやパナマ運河を通っていくのはばかばかしい話になりました。いわゆる西海岸からアメリカ大陸横断鉄道に乗せて、これまたアメリカの東海岸あるいはヨーロッパに持っていく。さらにもう一つ構想は、御承知のようにタイのクラ地峡を爆破して、そして中近東の油を日本へもっと短縮して持ってきよう。これまた実現できるかもしれない。さらにもう一つは、ソビエトあたりで提唱している北氷洋砕氷船による船団を組んでの航路、これはいまのところは危険もあろうし、多少砕氷船だけに金がよけいかかりますからなんでありますが、将来もっと進歩すればこれも可能になってくる。だから、まさに日本中心として輸送系絡が変わってくるのですね。単なるコンテナの導入によって変わるというだけじゃなくて、そういう意味で大きく変わってくるわけですよ。そうだとするならば、この際既成観念にとらわれてやっていくことはどうかと思う。  そこで、一つお尋ねしたいのは、いまそれぞれ六中核体は、言うならばデパート方式ですね。何でも海運と名のつくものはやっていく。タンカーもあれば専用船も持っている。不定期もやっている、定期船もやっている。ことしの秋ですか、コンテナもやろう、そういうデパート方式でいいのかどうか、これはどうなんでしょう。
  15. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 再建整備による集約によりまして、六つ中核体集約をしたわけでございます。その結果、いま先生のおっしゃったように、六つデパートができたという形になっております。それでデパートがいいか、専門店方式がいいかというのは、これは海ばかりじゃなしに、おかのほうでもいろいろな論争がある問題でございまして、おのおのやはり一長一短あるのではないかというふうに思っております。  それで世界における有力な船会社というのは、やはり大きなデパート方式と申しますか、ワールドワイドに航路網を張っておるという会社、そういう定期船会社が大をなしております。そういうような定期船会社がだんだん専用船を持つようになってきておりまして、定期船の市況が悪いときには専用船でもうかることもある。有無相通じまして発展をしていっておるということも見のがすことができないのではないかと思います。  一方、いわゆる専門店形式というのにも、先生のおっしゃるように長所が、これはもうはっきりあります。たとえば船員管理等につきまして、非常に行き届いた管理ができるとか、それから非常にエキスパートによる効率的な経営ができる、あるいは過当競争の減少をはかることができるというふうに、いろいろな利点もございます。そこで私たちも先生のような考え方は当然あるということを考えまして、それはデパートも必要であるし、あるいは専門店も必要であるというふうな考え方をいたしております。  それで中核体のうち二社ないし三社というのは、いわゆるデパート方式で強力なライナー会社としてこれを育成していきたい。その他の会社につきましては、その会社の自主的な経営的な判断によりまして、専門店方式がいいとその会社の方方が判断するなら、それはわれわれも力をかして育てていきたい、かように存じております。
  16. 久保三郎

    久保分科員 特にコンテナ導入による海運会社の負担というのは、将来の問題もひっくるめて容易でないと思うのですね。だからそういう問題にしぼって海運対策というのを考えることもあるべきだと私は思うのでありますが、少くともいまの、なるほど六中核体集約しましたから、それぞれの海運会社としては世界的に見てもそう見劣りのするものではございません。しかしながらこれから考えていった場合、日本の国内産業との直結というか、つながりで考えた場合に、これは必ずしもそのデパート方式がいいかというと、六社がそれぞれ、油もやりましょう、あるいは鉄鉱石もやりましょう、あるいは一般の貨物もやりましょうということはいかがかと私は思っている。というのは、それぞれの分野は違うんでありますね。船という共通点はあるけれども、たとえば石油ならこれはヨーロッパには石油はないのですね。中近東を中心に持ってくる。鉄鉱石なら豪州と南米ですか、そういうところを中心に持ってくるでしょう。だからそういう専用船はきまった航路なんです。どこにも行かないのです。お得意さんもちゃんときまっておる。そういうのと定期船あるいはコンテナ、あるいは不定期、これはおのずから違うと思うのですね。だからそういうものを分けて、しかもそれぞれの分野がもっと大きく強くならなければ、いわゆる産業界に対等の立場でものが言えないのではなかろうか、いつも荷主のために圧迫されるというのが海運界の実態でありますが、これまたはねのけられない。いまでも積み荷保証というしがらみがある。だからそういうものを一つ一つとっていくことが日本海運が前向きで発展するゆえんではないかと思うのです。そうしなければ、船腹拡充といったって、もう政府というか、国の財政能力にも限度があります。だからそういう目一ぱいの造船はできません。またそういう危険を政府がしょってまでつくらせることはないと私は思う。やはりそれは企業の責任でやるということになりますと、いまのようにそれぞれの部門がより強固になるということを考えなければならない。タンカー部門、専用船部門、そういうことにならないと、あなたがおっしゃる、危険を分散してというお話でありますが、危険分散というのは最近海運ではあまり通用しないことになったんですね。あまり波動がないんです。そういうことがありますので、私は一ぺん考えてみる必要があると思うのであります。時間でもありますし、意見だけ申し上げておきますが、ただ、何としてもこの計画造船は一ぺん洗い直す必要があると思うのですが、大臣どうでしょう。
  17. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御意見はよく検討し研究を重ねて、御趣旨を生かしていくようにしたいと思います。
  18. 久保三郎

    久保分科員 それからもう一つは、いままでお話し申し上げたように再編成、一ぺん再編成をしてきたのでありますが、オーナー対策、そういうものを含めて、ひとつ再編成による強固な海運を形づくるということも検討の余地があると私は思うのですが、これはどうですか。
  19. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 先生の御趣旨は再々編成という意味じゃないかと思います。それで、いままでやっております再建整備の目標というものは、やはり戦後ぺしゃんこになった海運、非常に弱い海運を抜本的に建て直す、いわゆる文字どおりの再建というのが旗じるしであったわけです。もしこの再建が幸いにしてこの五年間でなし遂げられるとするならば、次は、われわれの目標とするところは、再建段階から今度は積極的に発展するのだという、そういう発展段階へと進まなければならないと思うのであります。そういう観点からすべての海運政策を洗い直すということは、そういう意味からも意義があるのではないか。当然その企業体制というものもその再検討の対象には大きなファクターとして入ってくる。われわれもいま盛んにそれを検討しております。しかしながら、再建整備の場合における集約というものは、言うなれば法律である程度追い込んだという点があります。今後その発展段階に対処するための再編成ということをもしやるにいたしましても、これを法律でもって強制していくということは、これはいかがかというふうに考えております。
  20. 久保三郎

    久保分科員 もちろん私の言う再々編成は、これは指導助言のことでありまして、法律によってやったような再建整備の方法はとるべきじゃない、こういうふうに思っています。  それからもう一つは、三国間輸送に対する助成ですが、これはあまり効果がないようでありまして、同じ金を出すならば別な方法を考えてみたらどうかと思っておる。時間がありませんから言いっぱなしになりますけれども、ただ積み荷保証がある新しい船が、別な方向に、新しい能率のいい船は行きっこないんじゃないですか。そんなところへ補助金を出したってつまらぬと思う。つまらぬと言ったら語弊がありますが、そういうふうにもとれる。これは一ぺん御再考をお願いしたいと私は思うのであります。助成をするなということではありませんけれども、そういうものももう少し惰性的でなくて、もっと効果を点検、追跡しながら政策を変更していったらどうか、こういうふうに思う。  それからコンテナになりますが、そういうものに対しての援助、助言というか、そういうものはもちろん考えなければならぬと思う。いまのようなそれぞれのグループが持つということは必ずしも得策ではなさそうに思う。これまたあわせて御検討をお願いしたい。要望だけ申し上げておきます。  次に、時間もありませんから、都市交通の問題について、少しお尋ねというよりは申し上げたいのであります。  大臣御承知のように、たとえば東京都ひとつとっても、言うなら大衆大量輸送が路面においてはどんどん後退しているわけでありまして、これはすでに大臣もお考えになっていることだと思うのでありますが、当面、地下鉄の高速鉄道というか、そういうものの建設もかたがたはかると同時に、いまある輸送の機能をもっと効率的に発揮させなければならぬ。しかしながら道路の実態あるいは自動車の増加によりまして路面の交通は渋滞をしております。この渋滞を取りさばくのは警察のほうかもしれませんが、あれは取り締まりが重点でありまして、言うならば路面交通、そういう大衆輸送を確保するのはむしろ運輸省方面の役割りあるいは地方自治体であるその都市の市長あるいは知事、そういうものの任務かと思うのでありますが、いずれにしても路面の交通、その中で大衆大量輸送をどう確保していくべきか、これについてお考えはどうでしょうか。
  21. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 都市政策におきまして大衆輸送手段を優先させるということは全く同感であります。そういう意味からも、一面において地下鉄の工事を促進しまして、さらに数本できるだけ短時日の間に建設すると同時に、路面交通におきましても、バスであるとかそのほかの大衆交通手段をできるだけ優先させてスピードアップもできるようにすることが正しいと思います。そういう観点から混雑時における個人自動車の乗り入れあるいはトラックや大型車の乗り入れ等ももう少し規制する必要があると思いますし、そのほかの措置も講じていきたいと思っております。
  22. 久保三郎

    久保分科員 お考えになっているそうでありますが、一つ法律的というかそういう体制をつくる法律、それからそれの運用の面に関する要員の問題あるいは警察との調整の問題、いろいろあろうかと思うのでありますが、それはあまり時間をかけていられない実態だと私は思うのであります。ついては、聞くところによれば、運輸省内に大衆輸送の確保に関する会合というか、会議体のようなものがあるそうでありますが、いまはそういうところでやっているのですか。
  23. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 運輸経済懇談会というのがございまして、そこで都市交通の問題を中心にいろいろ議論し、研究を重ねております。それと同時に、自動車局、鉄監局おのおのにおきまして、私から特命いたしておりまして、いまいろいろ検討いたしております。
  24. 久保三郎

    久保分科員 これにはなかなかむずかしい点があるのかもわかりません。たとえば東京なら警視庁の交通整理というかそういうものと、いまの交通渋滞に対する規制——これはおのずから警察の権限ではないかもしれません。また警察がやってしかるべきものでもないようであります。でありますから、むしろ東京都知事の権限においてこれをやらせる。しかし、そういう根拠法規もいまのところないわけでありますから、この法律をどうするかということを考えていかねばならぬと思いますが、これは少しこまかい点でありますが、民鉄部長、あなたのところの作業はどの程度まで進んでいるのですか。
  25. 山口真弘

    ○山口説明員 大都市におきますところの路面交通の問題は、先ほど大臣も申し上げましたように非常にむずかしい問題が多々ございます。現在東京都におきましても、この路面交通の中の路面電車について財政再建計画に基づきますところの撤去と、これに対応するバスヘの代替という措置を進めておるわけでございます。しかしながら、バスへの代替と申しましても、路面交通の逼迫によりまして、バス自体も相当に運行速度が低下をいたします。そのために能率自体も非常に悪くなっておるわけでございまして、その意味では、バスあるいは路面電車共通の路面大衆交通機関としての運行の確保をはからなければならぬ、こういうことであります。この点について、省内においても主として私どものほうと鉄道監督局並びに官房の三者が寄り集まりまして、どのような方策をとったらよいかということをおりおり検討しておるところでございます。それで結局は、大きなやり方の問題といたしましては、道路交通法に基づきます交通規制の問題あるいは乗用車の立ち入りの制限の問題あるいは自動車の右折禁止等の通行の制限の問題、それから駐車禁止地区の拡大の問題、こういうふうな各種の問題とからんで非常に具体的な問題に入ってくるわけでございまして、私どもとしては三者共同していろいろ具体案をつくり、警察当局ともいろいろと御相談申し上げておるところでございます。
  26. 久保三郎

    久保分科員 すでにこれは急を要することだと思うのです。一日おくれで、もう二、三年待ってからでもだいじょうぶだろうという問題ではなくて、すでにもうそういう問題がある。東京都の交通再建、これは運輸省はもう承認された再建計画かもしれませんが、片っ端から路面電車を撤去していくというやり方ですね。現状のままの路面交通の中で、走るのがおそいのでありますから、これはもう用をなさなくなる。用をなさぬから企業として悪化してくるということでありまして、電車あるいはバスとしての性能を十分発揮できない外的条件をそのままにしておいて公営交通企業再建計画というものができたのだそうでありますが、驚き入ったことだと私は思う。はなはだしいのは高速道路をつくるのに、電車のレールを片方に寄せて、でき上がって今度はまん中に置いた。そしたら今度は撤去だ。こういうことを実は東京のまん中でやっているわけです。こんなばかばかしいことをやらせておくこと自体、運輸省もやはり責任がありはしないか。路面電車を撤去すれば何になるのですか。いまのやり方は、公営交通が赤字なら全部商売をやめれば赤字がなくなるという方針ですよ。大衆輸送をどう確保するか。これは企業防衛のことではなくて、東京都の交通からいって、いまの問題を解決するのが一番先決だと私は思っているのです。そういうことからいって、目安としていつごろまでに大体結論をつけようとしておられるのか、おわかりでしょうか。
  27. 増川遼三

    ○増川政府委員 先ほど部長から御説明いたしましたように、現在われわれのほう、自動車、官房とさらに警察庁並びに東京都も合わせまして、寄り寄り協議をしておるところでございますが、路面電車は仰せのごとく、いまなお大衆の交通機関として重要な役割りを持っておるわけでございまして、これが撤去の計画再建計画の中で定めておりますけれども、これをどういうふうに実施していくかということにつきましては、われわれは交通当局者といたしまして、十分慎重に取り扱ってきておるわけでございまして、あとの対策を講じないままにいたずらに撤去するということは十分避けなければならないことだと存じております。またそれに伴いまして、バス路線の十分なる効用の発揮ということも十分考えておりますし、地下鉄の建設の計画もからみまして、その点は今後時期的にも慎重に取り扱いたいと考えております。また駐車規制あるいは右左折禁止等の通行規制、それから郊外からの都心への流入の抑制というようなことにつきましても、今後十分なる協議を重ねまして、できるだけ早期に実情に即した体制を立ててまいりたいと考えております。
  28. 久保三郎

    久保委員 大臣御承知のように運輸省には都市交通をやっている課もあるのですね。それは鉄監じゃないんだが、どこか官房でしょう。これはどうも何か機構的にもちょっとおかしいんじゃないかと私は思っているのですよ。もちろん運輸大臣は一人でありますから、それは支配は可能でありますが、どうも何か都市交や何かについては非常に立ちおくれているんじゃないかと私は思うのです。この対策が——役人の人を前に置いてたいへん失礼な言い分でありますが、表へ出てこなければそういうふうに思われてもやむを得ないのですね。具体的に政策が出ない。いま増川局長がおっしゃるように、むやみやたらに撤去しておいてはバスを走らせる。電車が走れないのにバスに置きかえたって走れますか。走れないのは同じですよ。だから私はいまになってどうこう言ってももうおそい思うのですが、路面電車の撤去はちょっと待った。きのうかおととい安定推進会議で国鉄の問題が出ましたが、あとから同僚諸君からお話がありますが、基本的な外的条件その他を整えないで中身をいじくったって、それはどうにもならないと私は思うのです。そういう意味で、大臣どうですか。もうちょっとスピードをあげてやっていただきたい。もちろん警察の関係があったり、東京都の関係があったりしますけれども、これはできるだけ早くスピードをあげて意見調整をはかって、できるところからやってみるということが私はいいと思うのです。東京都全体をどうするといったって、これはなかなかむずかしいかもしれないから、ひとつどこか重点的に一ぺんやってみたらどうか。法的な根拠が必要ならそれだけでも法律を出したらどうか。こういうふうに思うわけですが、いかがでしょう。
  29. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 運輸省の都市交通の部局が非常に脆弱だということは同感でありまして、いま運輸行政刷新本部をつくりまして、そういう機構の刷新の問題も手がけております。  それから都内の交通問題についていいと思うことをどしどしやれというお考えも同感でありまして、大いに努力してみたいと思います。
  30. 松浦周太郎

    松浦主査 久保君、時間であります。
  31. 久保三郎

    久保分科員 もう一つ、そこに大きなビルが建ちましたが、足の問題は、これは事前に運輸省なり何なりは相談を受けておったのかどうか。そしてこれができ上がると、何万人か——数万人だそうだけれども、かなりの人数が虎ノ門を中心に朝のラッシュに殺到するわけなんだが、現在の輸送力その他でさばき切れるのか、あるいはこういう高層ビルができたときに、輸送力を増強するときにはどういうふうな財源でやるのか、局長が答弁するなら簡単にやってください。
  32. 増川遼三

    ○増川政府委員 例にあげられました霞が関ビルにつきましては、約一万四千人の人たちがそこで働くということに相なると思います。現在で申しますと銀座線の虎ノ門付近の混雑が相当激しくなるものと予想されるのであります。そこでこの銀座線のほかに九号線につきまして現在途中まで建設いたしております。これの建設を急ぎまして、できるだけ通勤者の分散をはかりますとともに、これに入居する事業所に対しましては積極的に時差通勤ということも働きかけたいと考えておるのであります。今後の対策といたしましては、このような高層ビルの建設にあたりましては、事前に十分当局からの通報をいただきました上で検討の上、調整が整いましてからそういった建設許可もやっていただくということにいたしたいと考えております。
  33. 久保三郎

    久保分科員 国会の中でこのビルの問題が私どもの口から出るなどは、役人としても恥ずかしいだろうと私は思うんですよ。われわれが一々広島のどことか名古屋のどことか大阪のビルはどうだなんということをやっていたんじゃ、それはとんでもない話だと思うんです。これは役人の皆さんがやる仕事ですよ。大体あの建つことは事前におわかりでしょう。おわかりになったら、それぞれしかるべきところに行って、これは足はどうするのだということを積極的におやりになるのがほんとうだと思いますが、大臣、どうでしょう。それが当然でしょう。
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私も就任してあのビルの話を聞きまして、運輸省に相談があったのかと聞きましたら、どうもそうでもないらしいので、これは非常に重大な欠陥だ、もしあのビルをつくるなら、地下鉄をビルが自分でつくってくれ、地下鉄の駅も自分でつくってくれ、まあ冗談でありますけれどもそういうことを建設大臣にも言いまして、今後はそういう交通量関係からも当省に相談するようにやってくれ、そういう申し入れをしてあります。法的欠陥があればこれは是正していきたいと思っております。
  35. 久保三郎

    久保分科員 大臣のお考え、それでけっこうだと思います。法的欠陥はあるようでありますから。大体大臣なら大臣が政治家として逐一目を配っていられないですからね。だからやはり、一番役人を支配できるのは法律をつくることが一番やさしいですね。法律があればそのとおりに忠実に役人はやるようです。なければ気がついても積極的にやらぬ。あまり出しゃばっていって、何か憎まれてもいかぬというのもあるようだし、他人の分野を侵してはいけない、そのかわりに自分の分野も侵してもらいたくないということがあるように、官僚の習癖としてあるのではないかと私は思うし、世間でもよくそういうことを言っています。私ばかりじゃないのですよ。そういう意味でありますから、必要があれば法律をつくって、これはきちっと規制するということが私は一番いいと思うので、要望しておきます。  時間でありますから以上で終わります。ありがとうございました。
  36. 松浦周太郎

    松浦主査 次は森本靖君。
  37. 森本靖

    森本分科員 それでは、私もこの分科会の党の主査をやっておる関係上、時間を厳守してやりたいと思いますので、ひとつ各弁も簡潔に要点を得てお願いしたいと思います。一時間の持ち分がありますけれども、できれば四十分程度でやめたいというふうに考えておりますので、ひとつそういうふうにお願いいたします。  まず最初にしぼってお聞きしたいと思います。実は航空機の事故がこのごろ非常に多いわけでありまして、過日の総括質問で私は質問をする予定でありましたけれども、時間がなくてやらなかったわけでありますが、実は日本におけるILSについてはほとんどまだこれが完成されていないという状況でありますが、現在ILSが置かれている空港はどこどこですか。
  38. 澤雄次

    ○澤政府委員 現在ILSの置かれております空港は東京、名古屋。それから福岡、これは米軍でございます。いまつくっておりますところは、大阪と千歳でございます。
  39. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと、地方空港はILSがほとんどないということになるわけであります。特に私のほうの四国のごときは、松山で大きな事故があった。さらに高松の空港あたりは、付近のいわゆる丘陵その他、そういうものからして、発着陸が非常にむずかしいところでございます。さらに徳島に至っては、これは自衛隊がありますので、その方面のものを使わしていただいておりますので、あそこの空港は誘導装置としては一番安全になっておりますが、これは御承知のとおりだと思います。それから高知空港に至っては、これは山と海とが非常に接近しておりますので、気象の関係で欠航する事項が非常に多い。こういうふうなことで、地方空港にILSを早くつけるということは、きわめて私は重要な事項だと思います。ただしかし、ILSだけをつけるといっても、ILSについては滑走路の拡張その他を行なっていくと同時にやっていかなければならないという何があるわけでありますが、ただ御承知のとおり、ILSについてもローカライザーそれからグライド、マーカー、この三つの装置があるわけでありますが、この三つの装置におきましても、できればこの三つの装置がそろえば一番いいわけでありますけれども、そういう点について、日本の空港としては、ほとんど地方の空港は有視界飛行で行なっておる。これは乗っておる人は知らずに乗っておるわけで、非常に不安定なことでありますが、ひとつこういう点については、運輸省としては強力に大蔵省と折衝して、一日も早く航空機については安全に乗れるように——いまのように、気象が少し悪いとすぐ欠航してしまうということではだめだと私は思う。特に四国では、一般の人は知りませんけれども、同じ気象状況であっても、徳島の空港が使えるときでも高知の空港は使えない。それから高松のごときは、ほとんど欠航だ、こういう実情にあるわけでありまして、たとえばこのILSがあったとするならば、松山の空港の惨事は防げたかもわからぬ。あの場合、あれは無理やり着陸しておって、そのままもう一ぺん上に上がらなければ、あるいは半分くらい助かったかもしらぬということは、これはあとで考えられることでありますが、いずれにいたしましても、これは人命に関することでありますし、運輸大臣としても、この問題についてはしょっちゅう言っておることでありますので、このことについては運輸大臣としても、特に重点的に、将来この施策を進めていただきたい。これは航空機の安全という点からきわめて重要な問題でありますので、ひとつぜひ大臣の御所見を伺っておきたい、こう思うわけです。
  40. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今後空港五カ年計画の一環といたしまして、松山以下第二種空港についても、滑走路の整備と並行いたしまして、ILSを設置していくように努力いたします。
  41. 森本靖

    森本分科員 それでは、次に国鉄の問題に移りたいと思います。国鉄の総裁でなくてけっこうですが、国鉄の食堂車の経営でありますが、これはいま何社程度入っておりますか。
  42. 今村義夫

    ○今村説明員 現在食堂業者といたしましては、新幹線が三社でございます。それから在来線につきましては、そのほかに、あと大きな業者としては、ホテル業者がやっておるのが三社くらいあります。
  43. 森本靖

    森本分科員 そういたしますと新幹線は三社で、地方は三社ですか。それ以外にあるのではないですか。
  44. 今村義夫

    ○今村説明員 食堂業者としては三社程度だと思います。
  45. 森本靖

    森本分科員 どこどこですか。
  46. 今村義夫

    ○今村説明員 日本食堂と大阪ホテル、都ホテル、その三社だと思います。
  47. 森本靖

    森本分科員 これは全部入札でやっておりますか。
  48. 今村義夫

    ○今村説明員 入札ではございません。国鉄との契約でやっております。
  49. 森本靖

    森本分科員 これはどうして入札でやりませんか。
  50. 今村義夫

    ○今村説明員 食堂業者の関係は、これはお客さんの保健の問題も重要な問題でございますし、国鉄として信用の置ける業者でなくてはなりませんので、そういう点から国鉄の指名にしております。
  51. 森本靖

    森本分科員 それでは日本に有力なホテルがこれだけたくさんあって、信用の置けるホテルはたった三つですか。ニューオータニもホテルオークラも信用の置けぬホテルですか。
  52. 今村義夫

    ○今村説明員 業者からそういう申し入れがあった場合に、十分その点を考えてやっておりますが、ホテルオークラというようなところからそういう申し出は受けておりません。
  53. 森本靖

    森本分科員 それではこれ以外に申し出があったところは、どこどこですか。
  54. 今村義夫

    ○今村説明員 現在のところ、ほかから申し出があったことを承知しておりません。
  55. 森本靖

    森本分科員 これは、ほかから申し出があったことはないということはない。四年か五年前に、私が決算委員会でやったときに、たしか申し入れがあったはずなんです。しかし、そのときにいろいろな理由をつけて言われておったわけですが、こういう食堂車の経営については、私は少なくとも公募すべきだと思うのですよ。それからあなたのほうはそういう申し出がないと言うけれども、いわゆる食堂車の経営ということについては、はっきり言ってこれは損をしてまでやるものはだれもおりませんからね。だからたとえばニューオータニでもホテルオークラでも、ヒルトンホテルでも、お前のところ食堂車やってみぬかといえば、やりますと言いますよ。あなたのところが言わぬだけですよ。やはりこういう食堂車、特に新幹線というものについては、あらゆる優秀なホテル業者から希望を募って、その中から一番いいのを採るのがほんとうじゃないですか。特に日本食堂なんかに至っては、はっきり言って国鉄の食堂と同じような格好じゃないですか。ほとんど独占的にやっておるのじゃないですか。こういう食堂車の営業なんというものは、これは少なくともそういう日本の優秀な業者から選定をして、そうしてその中で一番サービスがよくて、安くていいものをよるのがほんとうじゃないですか。私はもう前々からこれを思っておる。食堂車のサービスが非常に悪い。これはもう全くつっけんどんなサービスをする場合がある。それはなぜかというと、独占的にやっておるからだ。こういうものについては、少なくとも一流のホテル業者あるいは一流の料理業者なんかに公募すれば、幾らでも申し出があると私は思う。あなた、ないと言うが、公募してごらんなさい、絶対出てきますよ。総裁、これはどうですか。
  56. 石田禮助

    ○石田説明員 これはどうも私としては非常にむずかしい問題だ。物資の購入と違いまして、やはり公開入札というものにやれない、指定した信用のある人間だけをよって、その中から選ぶ。一たんそこにすでにやらした以上は、これはやはり年年歳々公開入札というようなことはあり得ない。やはりそのサービスが悪ければ、いいように監督するということにして、すでに定着した業者にやっていく。それについては、ただいまあなたのおっしゃったような、よほど厳重に監督してサービスするということに進む以外に方法はないと考えます。
  57. 森本靖

    森本分科員 いまの総裁の言われたことは、国鉄総裁としての常識的なことであって、国民の側からいえば、これは安くてサービスのいい、また品物のよいものが一番いいわけです。そうすると、いまの食堂車と他と比べて、われわれ国民側から見た場合にやっぱり安くていいものがあるのですよ。だからそういう点で、いま総裁が言われたように厳重に監督をして、そしてそういうものについてはっきりすればいいけれども、欠陥がこういうように見えてくると、やはり私が言うような意見が出てくると思う。都ホテルと大阪ホテルは、何か問題があって、あとから都、これが入ったように——たしか七、八年前だったと思いますが、決算委員会で私がやったときにこれが急遽出てきたと思うのですが、この都ホテルがやっているのは少ないでしょう。都ホテルはわずかしかやっていないでしょう。都ホテルは幾らやっていますか。
  58. 今村義夫

    ○今村説明員 都ホテルは大阪から西の特急を二本ぐらいやっておると思います。
  59. 森本靖

    森本分科員 これにはたしかそういう経過があるのですよ。私はそのときに一度言って、そういうことでたしか都ホテルが入ったような気がしますが、それはそれといたしまして、この問題は、総裁がいま言われたことは総裁としての常識としてはもっともだと私は思いますけれども、しかし他によいものがあれば、たとえ既得権益であっても、それがあまりにサービスが悪いとかという場合には、私はやはりそうさすべきだ。確かにそれだけの施設も何もほうり込んだものを一年交代で公開入札をして、いつ変えられるかわからないというような不安定なことでは、なかなか業者としてもやりにくいということは私ははっきり言えると思います。言えると思いますが、それに安住してはならぬということを私は言いたいわけなんです。それに安住されると、迷惑するのは国民であります。たとえば、放送局の免許なんというのは三年ですね。一年じゃない。こういうものも、たとえば二年なら二年、三年なら三年というものにすれば減価償却はおそらくできる。そういう免許期間でも切って、いわゆる営業期間というものを切って、三年したら三年でもう一回公開入札をするというふうな新らしいやり方考えてもいいのじゃないかと思う。そういう点について、食堂車については国鉄として再検討をしてもらいたい、こういうように考えるのですが、総裁はなかなか優秀な総裁でありますから、ひとつどうですか。
  60. 石田禮助

    ○石田説明員 私としては、この方面には経験も知識もありませんのでなんですが、いまあなたのおっしゃったことについては、私は相当部分賛成だ。いずれにしましても、すでに仕事を始めました以上は相当の準備も要りますからして、これを、おまえはだめだからのけというわけにはいきません。厳重な監督をして、いけないところに対してはこっちが命令する。なおかつそれでもうまくいかない場合は、あなたのおっしゃったように、他の優秀なるものをもってくる、こういうようなことにする。いずれにしても、私は永劫未来まで一つの業者にやらせるということは、これはよほど考えものだ。たとえば、アメリカあたりのある大学の教授なんというものは、日本あたりと違って、六年でもって期限が切ってあるというほどなんですが、やはり食堂車なんというものに対しては、ある程度期限を切ってやるということも一つの方法じゃないかというふうに考えております。
  61. 森本靖

    森本分科員 総裁らしくはっきり答弁せられたのでけっこうだと思いますが、これは担当の局長のほうも、私が言ったことを単に聞き流しということではなしに、ひとつ真剣に考慮していただきたい。なお、国鉄の人が調査をし、審査したときにはサービスがよくていいものが食える。ところが一般の国民が行ったときには非常にサービスが悪くて、案外まずいものがあるのですよ、はっきり言うと。たとえばわれわれが乗る宇野線なんかは、もう一ぱいで、とにかくサービスが悪い。つっけんどんな場合が非常に多いというようなことがあって、国民からも非常に声が出ておるので、これは十分に、聞きっぱなしでなしに、真剣に検討願っておきたいと思います。  それから次に、これは大臣にお聞きいたします。たしか去年の十一月だったと思いますが、鉄道建設審議会において、新線建設の一応の審議会としての意向がまとまったことがあるのではないですか。
  62. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私そのときのことはよく存じませんので、局長から答弁をさせます。
  63. 増川遼三

    ○増川政府委員 一昨年の十二月に、新線建設の長期計画につきまして建議がございました。
  64. 森本靖

    森本分科員 この十二月にきまったのは、鉄道建設審議会において正式に議案としてきまったわけでしょう。
  65. 増川遼三

    ○増川政府委員 事務局で検討いたしました資料をもとにいたしまして鉄道建設審議会におきまして審議しました結果、建議の形で出されたわけでございます。
  66. 森本靖

    森本分科員 建議として出されたけれども、正式に鉄道建設審議会としてこれは建議として満場一致できまったわけでしょう。
  67. 増川遼三

    ○増川政府委員 そのとおりであります。
  68. 森本靖

    森本分科員 それは運輸大臣に報告をしてありますか。
  69. 増川遼三

    ○増川政府委員 運輸大臣のみならず、関係各大臣に提出されております。
  70. 森本靖

    森本分科員 せっかくきまった案でありますが、運輸大臣、これは閣議で一応これを了承するという形の線をお出しにならぬですか。
  71. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国鉄はいま非常な赤字ですし、また世論もいろいろございまして、政治路線がとやかく言われておる様子もありますから、私はこれは非常に慎重に取り扱っておるのであります。よく検討してみまして適切な処理をするつもりであります。
  72. 森本靖

    森本分科員 政治路線というものは私はないと思うわけです。これは国民のためにつける鉄道であって、その赤字がどうなる、黒字がどうなるということについては、政府みずからが国鉄と一体となって、その設備投資その他についてはどうするということを考えるべきであって、これを国鉄の赤字、あるいは国鉄の経費に全部負担をかけるとかいうことは絶対すべきではないのであって、国が進めていかなければならぬ事業です。そういう点は私は国鉄によく相談をし、なおかつ鉄道建設公団、運輸省、それから政府全体の財政計画、そういうものとにらみ合わせながらこれは計画していかなければならぬことは、大臣のおっしゃるとおりであります。とおりでありますけれども、これは政治路線であるから云々というふうなことについては、私はないと思います。それは鉄道建設審議会の委員は、あなたのほうのたしか幹事長が出ておりますよ。わが党は書記長と代議士会長が出ております。それだけいわゆる最高幹部が来てきめておる鉄道建設審議会でありますから、これはやはり国会議員の一員でもありますし、それぞれの党の責任者であります。そういう人がきめておる問題については、私は少なくとも閣議においてもこれは了承するにやぶさかでなかろう。ただしその場合に、いまあなたがおっしゃったような予算的な措置、あるいは国鉄の経営、将来の赤字問題、それの資金、こういう点について十分な配慮が要ることは当然であります。しかし、そういう点についてあまり時間をかけておくれておったならば、これは佐藤内閣がどうなるか知りませんけれども、とにかくあるうちにきめてもらわなければ話にならぬわけであって、大臣がいまおっしゃられましたように、あらゆる状況を勘案して慎重に検討しておる、こういう御回答でありますので、私はそれ以上追及いたしませんけれども、できる限りこういう点はあらゆる観点から十分にそれを——私はそれだけすぐ直ちに取り上げろとは言いませんけれども、あらゆる状況を勘案をし、政治家としてそれをはっきり閣議で決定をするという方向に大臣としては持っていってもらいたい、こう思うわけでありますが、重ねて御所見を聞いておきたい。
  73. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政治路線云々は、私がそう言ったのではなくて、そういう世の批判もあるという批判を御紹介したのでありますが、運輸大臣としては批判にもよく耳を傾けなければならぬと思っておるのです。御趣意はよくわかっておりますから、よく前後を見きわめまして善処いたしたいと思います。
  74. 森本靖

    森本分科員 それから、ここから先は私のくにのことでおそれ入りますが、ちょっと一つ聞いておきたいと思います。  それは、県庁所在地の国鉄の駅舎で、いまだに古い駅舎でそのままやっておるというのは、どの程度ありますか。
  75. 今村義夫

    ○今村説明員 ちょっとはっきりした数字は覚えておりませんが、まだ五、六駅は残っておるんじゃないかと思います。
  76. 森本靖

    森本分科員 五つも六つも私は残ってないと思うのですが、いずれにいたしましても、四国で松山、高松、徳島、高知とありますが、残っておるのは高知だけです。高知駅はよく映画のロケーションに使われて、明治時代の駅のロケーションをやるのにわざわざ高知駅に写しに来るというふうな駅舎がいまだ残っておるわけであります。これは貴重な文化財として残されるのは別でありますけれども、全く近代的な国鉄の駅としてはふさわしくないかっこうになっている。これでは高知市の発展、高知県の発展、ひいては四国の発展ということは当然でき得ないわけでありますが、この改修計画というものはないのですか。
  77. 今村義夫

    ○今村説明員 高知の駅舎改良につきましては、地元からもいろいろ要望がございまして、われわれのほうも検討いたしておりますが、まだほんとうの青写真ができているという程度までは至っておりません。検討をいたしておる段階であります。
  78. 森本靖

    森本分科員 全くこれはおそいことであって、君のところの副総裁の磯崎君がまだ施設局長か何か忘れたが、その時分から国鉄にやかましく言っておるのに、そのうちに検討いたしてみます。そのうちに検討いたしてみますということで、もう十年くらいになるわけであって、とにかくこれでは話にならぬと思う。ただ問題は、実際は、貨物駅と客車駅を一緒にするかしないかということで地元の意見がなかなか合わぬわけであります。そのことが一番大きな重点になっておるわけでありますけれども、これも何とか話し合いをすればとにかくまとまると私は思うのです。まとめるという方向において国鉄もひとつ御努力を願いたい。その方向において県、市も協力をする。両方が自分の言い分を言いつのっておったんでは、いつまでたってもできない。だから、国鉄もある程度譲り、地元の県、市当局もある程度譲るという線に持っていかなければ、これは何ぼやったってできっこない。要するに、地元の意見が違っておるということは、貨物駅と客車駅とを一緒にしたいということと別々にしたいということによって意見が違っておるわけです。土地は限られた土地しかないわけであります。そこで国鉄も、国鉄の言い分だけを最後まで言いつのっておったんでは話にならぬ。それから市も県もその言い分を言いつのっておったんでは話にならぬのであって、その辺の折衷案をとにかく考えて、早急にやるという方向で線を出してもらいたい。あなた検討中、検討中と言うけれども、実ははっきり言うと、何回も青写真ができておるんだけれども、その青写真が意見が合わぬわけだ。その意見がかみ合うようにひとつ御努力を願いたい、こういうことです。
  79. 今村義夫

    ○今村説明員 お話しのとおり、貨物駅と旅客駅と分離の問題がございまして、私どもとしては、将来地元にとっても一体どういうかっこうにしたほうがいいのか、その点について十分地元の御意向も聞かなければなりませんし、私どもの輸送上の今後の近代化のことも考えていただいて、そこで折り合いをつけなければならぬと思います。これはもう先生のおっしゃるとおり、双方話し合いの上解決いたしたい、かように考えております。
  80. 森本靖

    森本分科員 双方の意見を一番知っておるのは私が一番よく知っておるので、場合によったら私が仲介の労をとってもいいわけで、ひとつ早急に国鉄のほうも本気になってやるという態度を示してもらいたいということです。  それから次にお聞きしたいのは、これは実は本四架橋の併設橋の問題にも関係があるわけですが、国鉄としてはいま新幹線の計画をやっておるわけですね。岡山までもうすでにでき上がる。岡山から向こうへもずっとつけるという計画を一応立てている。その場合、四国は島ですから新幹線をつけぬつもりですか、それともつけるつもりですか。
  81. 石田禮助

    ○石田説明員 四国に新幹線をつけるということはいま考えておりません。
  82. 森本靖

    森本分科員 しかし、将来これは併設橋ができるという形になれば、私はこの点については当然考えていかなければならぬ問題ではないかと思いますが、いまの段階においては、確かに総裁が言うように、それはなかなか不可能でしょう。しかしながら、併設橋が将来でき上がるということになるとするならば、われわれとしては、十年後の国鉄がどうなるか、そういうビジョンをいま描いたところで、いまの科学技術の進歩からいうと、これは状況がかなり変わってきます。場合によったら、自動車輸送のほうが国鉄に勝つかもわかりません。しかしながら、いまの段階において国鉄が新幹線の計画をずっと本州を全部やっておるということになると、ある程度併設橋というものは——四国と本土を一体にするために併設橋をつけるわけでありますから、そうなると、やはり四国にも新幹線が通っていくということは、私は当然考えていいんじゃないかと思う。
  83. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四国と本州の橋をつくる場合には、われわれといたしましては鉄道との併用橋をつくることがいいと思っています。もしその鉄道との併用橋をつくる場合には、将来新幹線が通れる容量にしておくつもりでありますから、御安心ください。
  84. 森本靖

    森本分科員 一応それでわかりました。  次に、実は高知県の場合は鉄道が非常におくれておりまして、いまだに循環鉄道がないというのは、これは高知県だけなんです。いまだに四国を循環する鉄道がないというので、窪江線、中村線、阿佐線、宿毛線——宿毛線というのは御承知のとおりいまだ着工いたしておりません。そこで、大体この窪江線、中村線、阿佐線、こういうもののいわゆる完成のめどというものを一応どのあたりに置いておるか、この際はっきりしておいてもらいたい、こう思うわけです。
  85. 増川遼三

    ○増川政府委員 現在のテンポでまいりますると、それらの線の完成は一応昭和五十年をめどといたしております。
  86. 森本靖

    森本分科員 昭和五十年ということがあるか。中村線がどうして昭和五十年になるか、君。そんなでたらめな答弁するな。中村線はあと二キロくらいだろう、君。二キロに五十年までかかってたまるか、そんないいかげんな答弁するな。  それじゃ言いますよ。これは間違っておるか間違ってないか返事してもらえばいいんだが、鉄道建設公団が考えているのは、窪江線が四十五年、中村線が四十三年、阿佐線が四十六年、大体このめどで鉄道建設公団はやっておる、こういうことですが、大体この程度で間違いがないかどうか。もっとこれより早くなれば一番いいが、早くなるようにわれわれは圧力はかけないけれども、とにかくいま言ったのが鉄道建設公団の大体のめどなんです。これに間違いがないかどうか聞いておきたい。
  87. 増川遼三

    ○増川政府委員 先ほど申し上げましたのは、各建設線の全般的なめどを申し上げたわけでございまして、ただいまの具体的な線につきましては、先生いまおっしゃいましたようなめどで現在計画は十分進めておるわけでございます。
  88. 森本靖

    森本分科員 以上で、大体答弁が満足な答弁でありましたので、ひとつ時間に協力をいたしまして、私の質問はこれで終わります。
  89. 松浦周太郎

    松浦主査 次は福岡義登君。
  90. 福岡義登

    福岡分科員 私は列車の便所と公衆衛生について聞きたいのであります。あまりきれいな話じゃないのですが、実情が実情なんですから、がまんして聞いていただきたいと思うのです。  時間が三十分しかないので十分のこともできぬと思いますが、一体、いま国鉄の列車がどれだけ便所から排出しておるかということを私なりに考えてみた。もし当局に調査されたものがあればあとで聞きたいのですが、私の試算によれば、東海道線に例をとりますと、一日に大体、大のほうは三十三トンから六十六トンまき散らしておることになっておるのです。それから小のほうは百四十七・五キロリットルから二百二十一キロリットルぐらいまき散らしでおることになっておるわけです。この算出根拠はあとで言うてもいいのですが、時間がありませんからそれは省略をいたします。問題は、これだけ大量なものが線路上に排出をされておるのが、どういうように公衆衛生に関係があるかということなんです。もちろん科学的にいろいろと調査をしてみなければわかりませんが、まず第一に言えることは、おとなの大便の中には大体一〇%なしい二〇%ぐらいの大腸菌もしくはその他の一般細菌が含まれておるといわれておるのであります。そうしますと、排出量が三十三トンから六十六トンでありますから、毎日その大腸菌などの細菌が三トンないし六トン、東海道線にはまき散らされておるということになるわけです。これはたいへんな問題だと思う。それから小のほうは、病人などの場合は特別でありますが、一般的には格別の害があるということはいわれないと思います。しかし、感覚的にはこれはあまりきれいなものじゃない。あの独特な悪臭についても、御承知のとおりであります。そういうものが一日に二百キロリットルも東海道線の線路上にまき散らされておるという、そういう実情なんであります。これも非常に大きな問題だと思うのです。  さらに、これはちょっと資料は古いのですが、名古屋大学の衛生学教室の古川博士が昭和二十八年から二十九年の十二月にかけて、東海道線などについて実態調査をしたデータがここにあるのであります。これも時間がありませんから一々申し上げることはできませんが、その要点だけ申し上げますと、線路上の汚染、これは非常にはなはだしい。一般細菌、大腸菌が非常に多く検出されておる。第二番目には、ホームの汚染についてであります。ホームの汚染を、時速五十五キロで列車が通過する場合を押えて測定しておるのでありますが、大体、ホームの端から五、六メートルぐらいのところまで大腸菌などが飛散をしておる、こういう結果が出ております。それから第三番目には、隧道内の状態を調べております。御承知のようにトンネルは穴でありますから、撹乱気流が発生する。ですから、トンネルの壁面全体的に、申し上げたような菌が付着しておるというように出ております。そのほか、踏切の路上においての測定がなされておるのでありますが、これは列車の側面、便所側なんでありますが、大体二十五メートルぐらいのところまでその細菌が飛散をしておるという調査の結果が出ておる。今度はガードの下で調査を同じくしておるのでありますが、ガードは、まあガードの高さにもよりますけれども、大体四、五メートルぐらいのガードで、三十メートルぐらい細菌が飛散しておるという調査の結果が出ておる。それからもう一つ調査しておりますのは、進行中の列車の座席にどういう影響を及ぼすかという調査の結果が出ております。これも窓の外と内側と相当違うのですが、窓をあければ外も内もそんなに変わってない。最近車両がよくなりましたから、窓から入るのはそうたくさんないと思いますが、これは昭和二十八年から二十九年の調査ですから。しかし、出入り口などから、いわゆるすき間から入ることは想像できる、こういうように調査の結果から影響が考えられるわけです。これは重要な問題じゃないか。  そこで、まず、いろいろ問題点を以下指摘しなければならぬのですが、そのような事実について一体当局ではどういうように考えられておるのか、またそういうことについて実態調査をされたことがあるのかどうか、あればそれを聞きたいのであります。
  91. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 非常に大事な点を御質問していただいたと思います。  私らも正直に申し上げてちょっとうかつであったように思いますが、消毒の問題やそのほか衛生上の大きな問題があるように自分は想像いたします。具体的なことについては局長並びに国鉄から答弁してもらいますが、いまの問題はひとつ本格的に取り組んでみたいと思います。いろいろ施設の問題があるようです。答弁資料を読んでみますと、何億円かかかるとかいろいろ書いてありますが、自分の感じでは、とりあえずは消毒液を一緒にまくとか、何かそういうことはできないものだろうか、そういうことでもなるたけ早くやったらいいんじゃないかと思っております。
  92. 林武次

    ○林説明員 国鉄におきます列車内の汚物処理の現状をちょっと御報告申し上げます。  この問題は先生のおっしゃるように非常に重要な問題でございますので、三十四年以来その汚物処理の方式の技術開発を進めてまいりまして、現在私のところでやっております技術開発として五つの方式を考えたわけであります。それぞれ特徴がございまして、お金の問題その他もございまして、現在やっております実情は、新幹線の車約六百両ありまして、半分に便所がついておるわけでございますが、これにつきましては、最初新製のときはタンク式にいたしまして、全部ためる方式をやったのでありますが、これでは一往復しかもちませんので、その後循環式にかえまして、固形物だけを除いて、水分は循環させる、これは消毒をして、かっ色をつけて排水用に使うという形の方式のほうが数等まさっておりますので、ことしの七月を目標に、新幹線につきましては全部循環式にかえる予定でございます。それから在来線につきましては、いまやっておりますのは粉砕式と称しまして、汚物を粉砕いたしましてそれに消毒液を入れて、実際に車外に排出するときには無害の状態で排出されるという方式を使っておりまして、これは現在約七百両くらいそういう方式をやっております。この粉砕式は汚物は出るのでございますが、それは消毒をしておる。ただ、循環式の場合は車にも相当な金がかかりますと同時に、一番大きな問題は基地設備にタンクが要るということで、全部やりますと、大体現在で車上が百九十億くらい、地上が百十億くらい、両方で三百億くらい金がかかるものですから、実は去年の十月に初めて寝台電車というのをやりましたときに、車上ではいつでも循環式の処理方式がつけられるような方法を考えたのでございますが、車両基地に億のオーダーのタンクが要るということで、現状の投資計画の中ではなかなかそれが入らないということであきらめたのでございますが、車にはいつもつけられるように手配してやっております。それからなお、それ以外の方法といたしましては、汚物が飛散をしませんように、流し管おおいというものをふだんつけまして、全部線路上に落ちるようにしてあります。そういうことも五、六百両の車に実施をいたしております。それから、長い隧道あるいは高架の上などは、便所を鎖錠して使えないようにすることが一番いいと思いますが、それはお客さんのサービス上ぐあいが悪いので、車内放送等によりまして、お客さんの協力を得まして、長い隧道あるいは高架の上というふうなところは、便所の使用をしないように協力を願っておるような状況でございます。  それから、先ほど御質問がございました衛生関係の調査につきましては、もちろん国鉄の労働科学研究所でやっておりますが、いまここにその資料は持ち合わせておりません。詳しい内容は後ほど……。
  93. 福岡義登

    福岡分科員 大体伺ったのですが、ある程度努力をされておるということについては、私ども理解するのですが、その努力が非常に少ない、わずかなものである。その点について、大臣以下関係者の皆さんの今後のお取り組みをお願いしたいのですが、いま説明がありました、現在やっておられる対策の資料を見ますと、国鉄の車両は大体二万五千百十一両ある。その中で便所のついておるのが一万七千六百両。そうして、特急、急行用の列車がその中で八千両、その中で、おっしゃった粉砕式装置が取りつけられておるものが約七百両、いわゆる流し管おおい、これは全然効果がないと思うのですが、それが五百二十五両、合計千二百二十五両。急行列車八千両のうち、わずか千二百二十五両しかついていない。しかも全体の一万七千六百からいえば、ほんとうにやってないにひとしい状態である。確かに新幹線の七百二十両につきましては大体整備されておるか、される見通しのようでありますから、これは問題ありません。しかしその他の車両については、一万七千六百分の千二百二十五なんですから、これは全然やってないとは言いませんけれども、昭和三十四年以来技術開発を云々という御説明があったのですが、もう十年たっておる。十年たっておって一万七千六百分の千二百二十五じゃあまりにもお粗末じゃないか、やっていないにひとしいじゃないか、この点を私は指摘しておる。そして、この問題は公衆衛生に非常に大きな影響がある、これは論を待たないと思う。沿線でおむつを干しておればそれが黄に染まるようなときもあるという話が、幾つか私のところにも例がきております。さらに、ホームで待っておる乗客であるとか、あるいはホームでうどん、そばを売っておりますが、あれなんか非衛生きわまりないと思うのです。さらに線路で、あるいは踏切で職員が作業する、その作業員にしても非常に問題があるのじゃないか。ですから、一刻も猶予することのできない、緊急を要する仕事だと思う。それがいま申しましたように一万七千六百分の千二百二十五というようなことでは、これは許されないのじゃないかと私は思う。ぜひ抜本的な対策考えてもらわなければいけない。その点についてもう一ぺん答えを聞きたい。
  94. 林武次

    ○林説明員 いまお話のとおりでございますが、便所の数から言いますと、約一万九千あるわけです。一万七千六百両で、二つついておるのがありますから約一万九千ありまして、いま一番いいと思います循環式の方式をやりますと、車両関係について一両百万円くらいかかります。そうすると、それが百九十二、三億かかると思います。それから粉砕式のほうは一両当たり約五十万でできますので、約その半分で済みますが、理想的にはもちろん循環式を採用することがいいと思いますが、先ほど申しましたように、循環式にいたしますと、基地に帰りましたときに地上での汚物処理をしなければならぬということもありまして、両方で三百億くらいかかるものですから、私どもはもちろん先生御指摘のように逐次やっていきたいと思うのでございますが、これを一気に全部解消するということは、いまの国鉄の投資規模の中でなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、御趣旨に沿いまして十分努力したい、こう思っております。
  95. 福岡義登

    福岡分科員 投資規模、国鉄財政が今度問題になるのですが、それはあとで少し触れたいと思います。さっき御説明のありました粉砕式というのは、消毒をして放出をしておるのだから、ほとんど無害のような状態で車外に放出をしておるというお話なんですが、私も列車をいろいろ利用してみまして、あのわずかの時間で——消毒液の入っておる容器も備えつけてありますし、この間専務室に行って、どういう装置になっておるか、その実情を聞いてみました。しかし常務がおっしゃるように、あれだけの装置で完全に無害の状態で放出をしておるというようにはわれわれは考えられない。もし粉砕式でやれるなら、またその方法も考えなければならぬと思うのですが、私の見たところでは、粉砕式ではおっしゃるような無害な状態になっていない、こう思うのです。その辺の試験の結果か何かございますか。
  96. 林武次

    ○林説明員 試験の結果はここに持ち合わしておりませんが、粉砕しまして消毒液を入れて、車外に排出する場合にはほとんど無害になっておると私は思いますが、粉砕式の一番大きな問題は、羽根を回転して粉砕するわけです。そうしますと、こういうことを申し上げてはいけないのかもしれませんが、お客さんの中にはビールビンを中に突っ込んだり、げたを落としたり、さいふを落としたり、それで羽根がすぐこわれるということで、確かに五十万円は安いのでございますけれども、この方式はそういう意味から言っても、いろいろ故障がございまして、私どものほうとしては、高くても循環式を採用したほうがいいんじゃないかと実は考えておるのでございます。
  97. 福岡義登

    福岡分科員 粉砕式の効果のほどについては、先ほど申し上げましたようにあまりないんじゃないかという認識を私はしておるのですが、その論争は別にいたしまして、少なくともこの粉砕式は飛散しやすい状態になっておるのです。固形物で出るよりも、ここで粉砕してしまうのですから、飛散しやすい状態になっておる。もしこれが私の認識のように消毒の効果が全然ないとは言いませんが、あまりないとすれば、むしろ飛散しやすい状態にして放出することについては問題があるのじゃないか。角度が違うのですが、あなたのおっしゃったように、いろいろの障害が考えられるから、この粉砕式よりも循環式を将来考えていきたい、その結論には私も同感ですけれども、内容的には現在使用しておるものについて少し異論があると思うのです。  そこで今度は中曽根運輸大臣に聞きたいのですが、いまもお話が常務からありましたように、国鉄のいまの投資規模からいって、こういうことは不可能なんだ、そこまで手が回らないと言っておる。確かに通勤輸送対策も緊急を要するものがある。あるいはその他サービス向上の面で緊急を要する面が幾つかあろうと思うのですが、国鉄財政のいろいろの議論については、私どもも承知しております。運輸大臣も相当御苦労なさったということは承知しておるのでありますが、結果として昭和四十三年度に提案をされておる国鉄の予算というものは十分でないと思うのであります。その点について、いまも私が提起しておる公衆衛生の問題に関連して、一体国鉄財政の将来をどう建て直そうとしておるのか。けさの新聞で、開発利益の問題も、運輸省の案の六方式かを読ましていただきました。これは一つの方向だと思うのでありますが、国鉄の財政について、運輸大臣として、いわゆる国鉄を監督する責任者として、現状がどうで、将来はどうしなければいかぬかという構想を伺いたいのです。
  98. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 具体的には運輸省内部に国鉄財政確立のための委員会を近く発足させまして、総合的にこれを検討してもらうつもりで、その答申を待って来年度予算に間に合うようにいろいろ処理したいと思っております。国鉄納付金の問題とか、あるいは政府利子補給の問題とか、あるいは低利資金の融通の問題であるとかいろいろございますが、大きい方向から見ますと、一つ鉄道債券というようなものをある程度もっと積極的に活用し得る方法はないものか、沿線とか市町村とか、そういうものについての——そういうものであるとか、あるいは国鉄がいまいろいろ制約を受けていることがあります。仕事をやるにしても、土地を処分するにしても、民鉄だとかいろいい自由活発にやっているのに対して、国有鉄道なるがゆえにかなり制約を受けている問題もあると思うのです。そういう問題をもう少しゆるやかにして事業活動を活発にやらすようにしたらどうかということも考えられると思うのです。それから公共負担というようなものもまた、これは当然取り上げられていくべき問題ではないかと思います。そのほか政府がかなりのめんどうを見てやるということも必要であり、納付金のような問題も解決してやる必要がある。そういう大所高所に立った国鉄の存在そのものを根本的にもう一回再検討してやるという措置が必要であると思いまして、そういう方向で委員会が検討してもらうように頼むつもりでおります。  また一方、物価安定推進会議からもこの間献策が出まして、同じように財政確立のための委員会をつくれということもございます。これも内閣全体として取り上げるべき問題であると思いまして、私は所管大臣としてそのことを推進していくつもりでおります。
  99. 福岡義登

    福岡分科員 根本的に再検討しなければいかぬというお話を聞いて、われわれも積極的な大臣の姿勢というものを歓迎するのですが、きょうここで個々の議論をするだけの時間がありませんし、そういう場でもございません。いずれにしてもきょうここで指摘をしておきたいと思いますのは、先ほど申し上げましたようにきわめて重要な問題が、国鉄財政が云々ということで手がつけられていない、最小限しなければいかぬ問題が放置されている。これはもう緊急を要する一つの課題だと思うのです。聞くところによると、来年度予算の中ではこういう問題に回せる予算は一銭もないというふうに聞いている。そういうことで一体問題は済まされるのかどうか。  そこで私は、財政問題についてはいずれまた機会を改めて意見を述べたいと思うのでありますが、端的に申し上げておきたいのは、いろいろな要素があるでしょうが、国鉄財政を非常に圧迫をして、大衆サービスをしなければいかぬ面が放置されておる、この点だけは、もう即座に最小限度のものは回復をしていただきたいということを強く主張しておきたい。  そこで最後に、運輸大臣にこれは質問なんでありますが、見解をただしたいのでありますが、いま申し上げましたのは公衆衛生という列車の便所の関係なんですが、この問題について具体的な調査、どれだけの衛生上の被害があるのか、そういう調査を即座に行なう、同時にその対策というものを立ててもらいたい。さっきも言いましたように、来年度予算を見ましても、この問題に対する対策というのは予算上措置されていないわけです。冷房関係には五十億か七十億かの予算措置があるのでありますが、この問題については全然ない。ですから、少なくとも昭和四十三年度ではある程度の調査費くらいを考えて、三年計画か五年計画か適当な計画を立てていただきたい。この点を大臣から承っておきたいと思います。
  100. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御趣旨に沿って検討してみたいと思います。なお私は、そのほか、地方その他の駅の公衆便所ですね、あれも場所によっては非常に不潔なところがある。ああいうものも総裁に頼んで清潔にしてもらうようにしたいと思っております。
  101. 福岡義登

    福岡分科員 以上で終わります。
  102. 松浦周太郎

    松浦主査 次は内海清君。  内海君に申し上げます。大臣は外出されますので、最初十五分くらいの間に主として大臣に御質問を願いたいと思います。
  103. 内海清

    内海(清)分科員 大臣お忙しいようでございますので、大臣に対しまするお伺いの点を先に申し上げたい。  すでに御承知のように、いま中四国の連絡橋問題これが日本の四大土木工事の一つとして取り上げられて非常にやかましい問題になっておるわけです。この問題は現在建設省段階では明石−鳴門、児島−坂出、尾道−今治の大体三つにしぼられてきたようであります。なお国鉄関係は明石−鳴門、児島−坂出という二つに大体集約されていると思うのであります。そこで、これは昨年の五月の土木学会のこれに対する答申があり、さらに先般運輸省あるいは建設省からそれぞれこれらのルートにつきましての工費、工期の発表があったわけでございまして、いま残されておる問題は主としてそれらに関します経済効果の調査の問題、これで、聞くところによりますならば、本年度内にルートを決定したいというような方向にあるように承っておるのであります。  そこで、いろいろこまかいことはあとからまたそれぞれ担当の方へお伺いしますが、大臣に特にお伺いしておきたいと思いますことは、私はいまこれに対するどのルートというふうな問題でございません。中四国の連絡道路並びに鉄道を通すというふうな問題について、申し上げるまでもございませんが、今日瀬戸内海のベルト地帯、沿岸が非常な開発をされておるということであります。これはごらんになりましてもわかりますように、この沿岸にはいわゆる新産都市あるいは工特地域というものがずいぶん指定されておるわけであります。そういう点から考えまして、もちろん陸をつなぎますものが必要であるということは当然だと思うのであります。しかしこの瀬戸内のベルト地帯が非常に発展する、開発されつつあるということの一番大きな問題は、私は何と申しましてもこの瀬戸内におきます臨海工業地帯というものは、海上輸送力が最大限に利用されるというところにその利点があると考えておるのであります。そういう点から考えますと、これが陸つなぎになりますことは、より一そうこの地帯の発展を促す。そういたしますならば、さらにそれに伴いまして海上輸送量もふえてくるものである、かように考えるのであります。ところが、この瀬戸内海の状況についてはすでに大臣御承知のとおりでありまして、瀬戸内海世界的に見ましてもまれに見まする多島海、しかもわが国におきましては自然の運河といわれているほどに古くから海上交通の要路になっておる、こういうことでございます。しかもこれを道路なり鉄道でつなぐということは、やはり経費その他の関係、工事の関係等から最も通りやすい、経費の少ないということ、いわば狭水道を中心としての問題、架橋ということに相なるだろうと考えるのであります。で、瀬戸内海はきわめて狭水道が多いということ、さらに、これは運輸省関係で、御承知のように特定水域に指定されておる。ことに、この架橋予定の水域というものは、船舶の航行も非常に多いのであります。私は、いま詳しい資料は持っておりませんけれども、これら架橋予定水域の船舶の航行量を調べてみますと、一日に約二千隻かそれ以上ではなかろうか。そういたしますならば、一時間に約六、七十隻は通るのであります。さらに私どもが見のがせませんのは、これら架橋の予定水域がいわゆる航海の難所となっておる、海難が一番多いところであります。瀬戸内海におきます海難の六〇%ないし七〇%もこの水域で起きている、統計によりますれば、七〇%あるいは八〇%の海難が起きている、こういうふうなことがいわれておるのであります。さらにまた問題は、これも大臣十分御承知のように、最近、わが国造船技術の非常な進歩によりまして、船がだんだん高速化する、あるいは大型化する、こういう時代なのであります。なおかつ、瀬戸内海の沿岸は、先ほど申しましたように新産都市あるいは工特地域に指定されたのが多いのでありまして、石油コンビナート、あるいは原油とかLPG、これらの貯蔵基地になっておるところが多いのであります。したがって、これらの船舶は、こういう可燃性の燃料であるとか、あるいはその他の薬品、危険物を多量に積んでおるのであります。航行船舶の大体三分の一程度はそういうふうなタンカー類であるといわれておるのであります。こういう点を考えてまいりますと、はたして中国−四国の連絡橋というもの、道路あるいは鉄道というものが、今日予定されておりますような橋梁のみによってこれをつなぐことはいかがなものであろうか。少なくとも、瀬戸内の状態考える場合には、水陸の両面の交通輸送というものが十分考えられなければならぬのじゃなかろうか。つまり、言いかえますならば、この水陸の交通輸送というものが安全第一主義で行なわれなければならぬであろう。これはあとから申しますけれども、たとえば、将来瀬戸内にどのくらいの船を入れるか、航行制限の問題も出てくるかもしれません。あるいは瀬戸内におきます造船所の船舶の建造もどの程度になるのかというふうなこと、これらも考えられなければなりませんけれども、もしかりに十万トンのタンカーが衝突事故を起こしたとするならば——ここは狭水道で潮流が早い。あるいはLPGのタンカーが爆発事故を起こしたとするならば、その沿岸の被害はきわめて甚大なものがある。こういう点から考えまして、この水陸交通の安全第一主義ということ、これが最も重要な問題になるのじゃなかろうか。  そこでお尋ねいたしたいのは、今日まで架橋問題は、いろいろあるいはこれから運輸省、建設省御協議になるのかもしれませんが、ああいうものが発表になるにつきましては、いままで無関係ではなかったであろう。船舶の航行の安全、その他これによって万一の場合に起きた災害に対して、政府部内で、まあ主として建設省、運輸省でありましょうが、いままでどの程度の話し合いが進められてきたかということであります。最近の状況を見まして、特に海員組合を中心といたしまする船員、いわゆる船に乗ってみずから操船をする者でありますから、それらの諸君にそういう議論が非常に出てまいっております。いずれ運輸省に対しましても陳情の形でこれが伝わると思っております。こういう点を無視して、架橋問題がだんだん結末に近づいておる。もちろんいままでも、あるいはパイロット協会その他海運関係意見を徴せられたこともあると思いますけれども、少なくとも運輸省、建設省がそれらを真剣に議論されたということは私は寡聞にして耳にいたしておらぬのであります。その点についてひとつ大臣の御所見をお伺いしておきたい。
  104. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 内海先生御指摘のとおりの事実があるだろうと思います。瀬戸内海における今後の航行安全の問題というものは、日本としても大問題であると思います。そこで私は、運輸省としては、もし隧道が安く早期に安全にできるならば、やはり隧道が一番いいのじゃないかと思います。これは航行安全に全く無害であるからであります。しかし、いろいろな技術的な調査を見ますと、技術的にあるいは金額的に期間的に隧道には難点があるように聞いておるのであります。といって、この間発表されましたことが確定するという状態でもございません。私はいまお話を承りましたことをよく考えまして、船舶の航行安全という非常に大きな問題もかかえておるのでありますから、今後のこの問題の持ち運び方につきましてはよく参考にして考慮していきたいと思います。
  105. 内海清

    内海(清)分科員 大臣の今後この問題に取り組まれます態度を承りまして、たいへん心強く思うわけでありますが、私ども寡聞にして、いままで架橋問題に関連してそういう問題を真剣に議論されたということを実は承っておりません。あるいはこの面が見のがされたのではなかろうか。瀬戸内海の置かれておる地位から申しまして、少なくとも海運関係が架橋によってマイナスになるということであるならば、陸をつなぐこともまた効果が非常に減殺されるだろう、かように思います。でありますから、先ほど申しましたように、あくまでも海陸の交通輸送というものが安全である、そこで初めて陸をつなぎまする問題も大きな効果をあらわし、瀬戸内の発展も非常に促進されるものである、かように思うのであります。  大臣お急ぎのようでございますから、一応大臣のその御所見を承りまして、あとは関係方面ともう少し掘り下げていたしたいと思います。どうかひとつその点よろしくお願いいたします。
  106. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御趣旨はよく検討いたしまして、今後の審議に際して参考にいたしたいと思います。
  107. 内海清

    内海(清)分科員 それでは海運局長にお尋ねいたしますが、現在瀬戸内にも相当大型の船が航行いたしておるわけです。しかも、先ほど申しましたように、瀬戸内にはいわゆる新産都市あるいは工特地域に指定されたものはずいぶん多いわけです。御承知のとおりです。そこで、船は大型化し高速化してきておる時代でありますが、瀬戸内のそういう大型船の航行を今後野放しにされるのか、あるいは瀬戸内の特質ということも考えて、ある程度の航行制限というものが行なわれるのであるかどうか、ひとつ御意見があればお伺いしておきたい。
  108. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 瀬戸内の航行の安全に関する御質問のようでありますが……(内海(清)分科員「安全より前に船舶航行の規制を考えておられるかおらぬか。」と呼ぶ)航行の規制そのものについては海上保安庁の所管だと思いますが、そういう船をつくらすこと、あるいはそういう航路を認めることに関していかなる所見を持っておるか、このような御質問と理解いたしますが、定期航路が一番ひんぱんに通行いたしますし、そうして定期航路の場合には旅客を運ぶものが多うございますので、まず定期航路につきまして考えるのでありますが、これはやはり経済性ということからいたしますと、大型船で、かつスピードの速い船ということが当然経済的にいいわけであります。だんだんそのような船にかわりつつあるわけでありまして、その点から言えば、いまおっしゃいましたような高速で大型ということは安全の問題というものを非常によく考えなければならぬことになってくるわけでございます。安全のみを主体にして考えますと、いろいろ考え方もございましょうけれども、やはりこういうものの合理化というものはその安全の面からのみこれを押えるべきではないんじゃないか。経済性は経済性としてやはり向上をはかって合理化していく、それに伴って安全性の面を一段といろいろな措置を講じたほうがいいんではないか、かように思っております。  それから、だんだん特にタンカーが大型化してまいりまして、どこまで大きくなるか、まだはっきりした見通しもございませんが、瀬戸内海のような非常にふくそうするところに十万トンくらいの船がいま入っているようでございますが、二十万トンなり三十万トンの船をここへ入れるということにつきましては、私自身非常にばく然たる不安を持っております。この問題は、たとえば十万トン以上は瀬戸内に入れないとかという規制に思い切って踏み切るべきかいなか、これはいろいろな問題が伴ってまいりますので、いろいろな観点から総合的に検討しなければいけない、これは運輸省においても関係各局で十分検討いたしたい、かように思っております。
  109. 内海清

    内海(清)分科員 大体御意向はわかりました。  それでは船舶局長さんにちょっとお尋ねいたしますが、御承知のように瀬戸内にも相当の造船所があるわけでございます。現在の造船所の状況から見ますと、香川県の番ノ州にできまする川崎重工の工場というものが一番大型じゃなかろうかと思います。あるいは日本綱管で福山ということもありました。これもずいぶん大きい計画があったようですが、これは三重県のほうに移るということにきまったようであります。将来瀬戸内沿岸の造船所で建造されるのはどの程度までのものを見込んでおられるか、この点をひとつお伺いいたします。
  110. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 ただいま稼働中のものは、御存じのように瀬戸内海ではつくっておりません。横浜と長崎で、一番大きいので二十七万六千トン、NBCのものをやっております。  それから、われわれのほうで許可をいたしましたもので、これはしばらくはこの姿で進むわけでございますが、これは大体五十万トンぐらいの能力を持つようになるというものでございます。  それで、われわれのほうの考え方としましては、瀬戸内海造船所の今後の能力拡大ということについては、相当需要の動向ということを考える必要がありますが、その際にはやはり瀬戸内海の特殊事情ということも十分頭に入れていきたい、こう考えております。  それで、ただいま御質問にありました川崎重工の建造ドックは、きわめて大きいわけでございまして、ただいま許可しまして、もうつくっておりますが、これは建造能力が三十万トンぐらいでございます。
  111. 内海清

    内海(清)分科員 大体承りまして、瀬戸内の造船所で現在は大体三十万トン、あるいは将来は五十万トンということが考えられるかもしれぬという夢もあるのだ。そういうことは、今回の中国−四国の連絡橋の問題で、これはひとつ次官にお伺いしなければなりませんが、少なくとも運輸省はそういうふうなものを考えて建設省とも御折衝になり、お話しになったことがあるかないかということでございます。したがって、これはあるいはスパンの長さだとか、あるいはけたの高さとか、いろいろな面に関係してくるわけでございますので、その点をちょっとお伺いしておきたい。
  112. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 ただいまの質問にお答えいたしますけれども、現在架橋地点の候補としてあげられておりますところが数カ所ございます。私どもといたしましては、具体的な場所について橋がかかるということになりますれば、それについて、航行の安全面から、架橋のあり方について御意見を申し上げたい、かように考えておりますが、抽象的に申し上げますれば、まず第一に、可航幅を十分とっていただきたいということ、第二点は、御指摘のように船の高さの問題がございまして、その高さから判断した架橋の高さということが問題になると思います。第三点といたしましては、それらの架橋ができます場合に、当然航行の規制ということが強化されなければなりません。そういう架橋に対応した航行援助施設あるいは航行規制を行なうための信号所あるいは航路標識等々の設備を架橋に際しては必ずつくっていただきたい、以上のような点を現在考えておりますが、最近におきまして、架橋の候補地も相当具体的に示されております。若干の調査費をいただきまして、それらについて具体的な通行量あるいは潮流その他の点等の調査を進めたい、かように考えております。
  113. 内海清

    内海(清)分科員 私は、これは運輸省内部におきまする各事務局等の連絡が不十分じゃないかというふうに考える。いまの海上保安庁長官の御説明では、橋がかかったらこういうことをなにするということです。ところが現実にたとえば造船の面ではすでに三十万トンがあれである、これは運輸省がドックは許可されたわけであります。あるいは海運局のほうでは航行制限ということについては慎重にやらなければならぬということであります。そういう点から考えて、橋ができてしまってそれをやるということ、架橋が決定してそれをやるということでは少しどうかということです。少なくとも運輸省立場としては、架橋問題が起こったならば、いわゆるスパン、可航幅は将来を考えればこうあるべきである、あるいは橋の高さというものはこうあるべきであるというふうなこと、それで折衝して、あるいは航行制限の規制ということも出てくるかもしれぬ。それらの点につきましてはどうお考えになりますか。
  114. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 実はすでに建設省並びに鉄道建設公団が土木学会に委託いたしまして調査をされた結果を拝見をしております。それについて私どもは——これはまだ計画と申しますか、一つの調査でございます。しかし、われわれとしては一つの手がかりを得たわけでございまして、それぞれの具体的な場所における具体的な計画について、現在考えられておるものが海上交通の面から適切であるかどうかという点についての御意見を申し上げたい、そのための調査をいたしたい、かように考えております。ただ、ただいま御指摘の大型のタンカーが番ノ州の川重の造船所でできる。これはおそらく来島海峡を通るというふうに考えられますけれども、これは当然空船で出ていく。満載してあの海峡を五十万トンが入るということは全く考えられないと思っております。したがいまして、空船で通る場合における水深、幅、それから高さというものがどうなるか、もし来島海峡に橋をかけるのであれば、この程度は必要であるということを調査の上、意見を申し上げて、計画を練っていただく、かように考えておる次第でございます。
  115. 松浦周太郎

    松浦主査 内海君、時間はあと三分です。
  116. 内海清

    内海(清)分科員 それではもう議論する余地ございません。いずれ機会を得ますので、私はここで一つ問題を提起しておいて御研究願いたいと思うのは、さっき申しましたような瀬戸内の状況からいって、当然主要航路、たとえば明石−鳴門であるならば垂水と岩屋の間、それから児島 坂出であるならば与島−坂出の間、尾道−今治であるならば大島と今治の間、これは少なくとも海底トンネルにすべきではないか、先ほど申しました論点からいたしまして。これであるならば何も問題ありません。海陸両面の交通輸送の面から問題がさらにない。同時に、これは海運業者はひとしく賛成するであろう、さらに沿岸の人々も災害防止の立場から当然賛成されるであろう、これは確信いたしておるのであります。したがって、この橋のためにあるいは狭水道であって前面の見通しがきかない、あるいはレーダーの点はそこに特別な施設をするということもあるかもしれません。もし特別の施設がなければレーダーがきかないという問題、最もレーダーの必要なところである。もしかりに海中に大きな橋脚ができれば、あるいは潮流の変化も起こるかもしれない。大きな鉄橋ができれば、それに部分的に気象の変化あるいは霧が発生する、こういういろいろな問題があると思うのです。でありますから、私はもうやめますけれども、それは少なくとも海底トンネルにすべきである。そうせなければ、せっかくこの連絡橋をかけても、その効果は海運の面においてかなり減殺されるのではないか。万一、もしここでそういう狭水道でタンカーの衝突事故が起きて、たとえば十万トンの油が出たとしますれば、瀬戸内の沿岸はたいへんだ。はかり知れない災害が起きると思う。あるいはLPガスにしましても爆発事故が起きるというと、これまた想像に絶するものがある。そういう面からいたしまして、私は、ひとつ運輸省立場において、この点はことに船の航行安全というものを真剣に取り上げて御研究願いたいと思うのであります。そうせなければ、あとへ悔いを残すことがあっては相ならぬ、かように考えます。  時間が参りましたからやめますが、いずれまた機会を得まして、この点はひとつ十分検討さしていただきたい。ありがとうございました。
  117. 松浦周太郎

    松浦主査 どうも御苦労さまでした。  午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ————◇—————    午後一時二分開議
  118. 湊徹郎

    ○湊主査代理 それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。  この際、分科員各位に申し上げますが、質疑の予定者が非常に多数にのぼっておりますので、お一人二十八分以内に終わるように御協力をひとつお願いを申し上げたいと思います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。野間千代三君。
  119. 野間千代三

    ○野間分科員 大臣が来たらそこはお答えをいただくのですが、今度の定期の割引率を引き下げる、つまり定期運賃を上げるということになっておるわけですが、ずっと見ると、国鉄は二十二年の三月から四十一年の三月まで十三回運賃値上げが行なわれている。大体そのたびに定期の値上げが行なわれていて、四十一年にはダブルパンチになっている。これが国鉄運賃の状況です。そうしてついに四十一年の四月に、いま申しましたように二五%の運賃値上げをして、通勤通学割引率も引き下げて、つまり値上げをして増収をはかったんだが、四十一年の決算は、たしか赤字が、四十年の千二百三十億円から比べれば約半分だけれども、運賃値上げを大幅にしたにもかかわらず六百一億円の赤字になっている。そして利益の積み立て金を取りくずして、ついに五百三十六億円の欠損金を繰り越している、そういう状況であります。つまり、これは周知のところで、建設費を借り入れをしている。ついに返済金が四十三年度予算では千二百九十四億、利子が千三百二十六億、計二千六百二十億の利子並びに返済金をしなければならぬ、こういう実態であります。つまり、いまや国鉄の財政危機というのは行きつくところにきたというふうにいわなければならぬというふうに思います。これは、原因その他いろいろな問題については運輸委員会等で別の機会にやりますけれども、きょうは定期運賃の値上げの問題なんだが、国鉄財政がそういうふうに、天下周知のとおりに赤字、危機的状況にある。したがって、いま、たとえば物価安定推進会議であるとか、あるいは監査委員会であるとか、いろいろなところで問題になってきておるのだけれども、ところで、まず四十二年度は一体決算見込みはどうなのか、赤字の状況はどうなるのか、それから、いま提案をされておる四十三年度でいってみて、これはやってみなければわからぬが、四十三年度、通勤通学定期を上げてもたかだか二百九十九億程度ですね。これでは利子も何も払えない。しかも、政府のほうでくれている四十三年度に対する国の補助としては、あれは五十四億の利子補給では何日間くらいの利子になるのですか。十五、六日くらいの利子にしかすぎないでしょう。そういうことになっておる。  したがって、まず最初に、四十二年度の決算見込みでいくと赤字はどのくらいになるのか、四十三年度、今年度の予算がこのとおりきまったとして、いままでの傾向でいくと決算はどういうふうになり得るのか、だいぶ先の話ですけれども、重要な問題なので、もしできたら四十三年度も含めてお答えをいただきたい。
  120. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 数字の問題でございますので、私からお答えいたします。  四十二年度の収支の見込みは、ただいまお手元に参っております本年度の予算書のとおり千百四十七億でございますが、これに仲裁裁定のものが若干加わりますので、これに多少増加する、それから収入のほうは対国家予算とんとんというふうに考えております。四十三年度の予定は、一応お手元の予算書では千二百二十八億の赤字ということになっております。
  121. 野間千代三

    ○野間分科員 そうすると、これはもうお答えのとおりで、そうすると四十二年、四十三年と、いまお答えのとおりの赤字状況でいくと、そうして、四十三年度には定期運賃の値上げだけでいくということになるというと、四十四年ごろにはこれはまた大幅に運賃を値上げをしないと、いまのようなやり方でいくと四十四年度にはまた値上げをしないとどうにもならないのじゃないか。さっき私が申しましたように、一体、二十年間に十三回も値上げをしているのだが、四十四年度あたりまた値上げをする気なのかどうか、これはいかがですか。
  122. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 多少数字に関係いたしますので、私から御説明いたします。  四十四年度以降どうなるかという問題につきましては、実は、昨日公表されました物価安定推進会議におきましてもずいぶん議論されました。いまのところまだ的確な見通しを持っておりませんが、ことしの秋に、いままでかけました一兆数千億の総決算という意味で、大々的な時刻改正等をやりまして極力増収をまずはかりたい、こういうふうに考えます。この増収がはたして四%か六%かということにつきましては、もう少し景気の動向等も考えなければいけませんが、私どもといたしましては、極力収入の増加につとめる、同時に、経費の削減につとめますが、いまのところそう急激に千二、三百億の赤字がゼロになるというようなことは期待できませんが、私どもといたしましても、極力この赤字を減らすように努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  123. 野間千代三

    ○野間分科員 副総裁の御答弁ですけれども、いままでも、極力増収や経費の節減や合理化はしてきているわけですね。合理化も、これは問題ありますけれども、いま五万人を合理化しようとされておる。これはもう毎年毎年そういうことです。収入の増加をはかり、合理化をはかり、節減をしていくということで、この赤字の状況がまあ横ばいになっていくということであれば、それは危機的状態をそのまま一年繰り越していくということで済みますから、それはそれでいいのでしょうけれども、しかし建設費のほうはそうはいかない、累増していく、物価の値上がりによって人件費も当然上がる、修繕費も上がる、当然工事費も上がってくる。工事費の中で資本勘定に回せる金はたかが知れているということであれば、いま副総裁が言っているようなことでは、四十四年あたりに収支が改善されたり、まあだいじょうぶということにはならぬと思う。そうすると、どうするかということになるのですけれども、まさか、いま直ちに、総裁もあるいは運輸大臣も、四十四年に値上げをしますとは言えないと思います。値上げもできない。推進会議も値上げをしないように言っている。そうすると、一体これはどうするのですか。総裁のできる範囲の権限は、定期旅客を値上げする以外にないのです。ことしもおそらくそういうところから目をつけて、定期の値上げで三百億ばかり何とかしましょうということになった程度だと思うのです。また、考えられるのは、来年も定期の値上げをしよう、それに幾らか利子補給をしようということにしか進まないとすれば、これは総裁、どうするのですか。
  124. 石田禮助

    ○石田説明員 最近における国鉄の決算の収支というのは、はなはだいやな数字が出るのであります。これについては、ひとつお考え願いたいのは、いまやっておる第三次計画に対しては非常な大きな投資をやっている。四十年、四十一年、四十二年でもって一兆五百億やっておる。しかも、この一兆五百億に対しては、遠慮会釈なく利子を払わなければならぬ。そしてまたリクリエーションというものをやっていかなければならぬ、ところが子供というもの、果実の出るのは五、六年あとである、こういうことで、これは四十一年、四十二年、四十三年における赤字の相当大きな部分を占めておると私は思う。  さらに、もう一つ考え願いたいのは、これはすでに国鉄基本問題調査会でも言っておることなんですが、国鉄事業というものは公共性ということで、つまり公共負担というような大きな政府のお荷物をしょわされてきておる。現に、二十四年から四十二年までの間において公共負担は一兆二百億に達している、この点もお考え願わなければいかぬ。さらに、いまわれわれがやっておる第三次計画の中で約七千億というものは通勤輸送改善——これは金ばかりかかって、それに対する収入というものはきわめて少ない。そこにおいて大きなマイナスが出てくる。  この間に、さらに私が申し上げておきたいのは、かくのごとくに国鉄は苦しい経営をやっておるのでありまするが、その間においてもわれわれは理想的な償却をやることは忘れておらぬ。たとえば四十二年度あたりにおきましては約千六百億くらいになるのじゃないですか。  そういうことで、ほんとうに正直な、サウンドな決算をしている、こういうことなんですからして、これはそう悲観することはありませんが、しかし、さっき申し上げたように、考えてもらわなければならぬのは、国鉄というものは独立採算をやっておる以上は、この公共負担なんというものは何とか政府考えてもらわなければいかぬ。その一環として今度は定期運賃の是正をやった、こういうことなんであります。
  125. 野間千代三

    ○野間分科員 総裁はそういうことでしょうね。  そこで大臣がいてもらわないと困るのですけれども、ひとつ政務次官、せっかくいらっしゃるからお願いしたいのだが、公共負担一兆何百億を何とかしなければならぬ、公共負担を何とかすれば、少なくともいまのような赤字はなくなって大体とんとんにいくのではないかというふうにはいえるのですよね。つまり、国鉄の基本を何とかしなければ、私が言うように、毎年値上げをするか、毎年せいぜい定期くらいやる。定期を上げてはたいへんだから、少し利子補給くらいしましょうということで、ここ三、四年過ぎてきておる。これは同じことを毎年毎年国会でも繰り返してきておるのですね。私も繰り返してきておる。だから、国鉄の基本をきちんときめなければ、いつもこういうふうに、定期の値上げだ、値上げだになるのですよ。  次官が考えている間にちょっと申し上げるのですが、通勤を、総裁は目くじら立ててたいへんおこられるのだが、確かに通勤のお客さんは七十何%だ、それから得てくる収入は十何%しかない。七千五十八億を第三次計画に入れる、しかし、入ってくる金はたいしたことないというのだけれども、通勤のお客さんと一般のお客さんとは切り離せないのだ。私も通勤しているが、やはり通勤のお害さんは通勤に乗りながらなお国鉄の大多数の一般のお客様なわけです。そうでない人は大体車に乗っているのだ。ですから、通勤のお客を冷眼視というのも何ですが、あまり冷眼視しないで、通勤の人と一般の人はそう変わらないのだ。たとえば東海道線の電車あるいは山手線あるいは京浜東北線、こういうふうに通勤輸送に乗っている人は確かにそうなんだけれども、そういう人がやはり東海道線に乗ったり旅行したり何かしているのです。実際重なっているのだから、その通勤の人だけはじいて、そのために金がかかっているのだからというわけにはなかなかいかないのですよ。これはまた議論しましょう。議論ですが、私はそういうふうに思うのです。  そこで、次官いかがですか。今度定期の値上げをするのでも、物価安定推進会議のほうでは、基本料金のほうをやっておって、あまり定期のことに触れてありませんけれども、基本の問題を解決しておかないで、つまり総合的な問題ですね、通勤問題を含めた総合的な問題を解決をしておかないで、つまり通勤の問題や値上げの問題だけを論議はできないのです。だから、今度のような定期の問題も、基本運賃を上げるべきでないというふうな基本に立って、そのために何をしたらよいかということを考えていけば、そこから出発していけば、当然定期のほうも上げないでおいて、検討していくというふうにしなければつじつまが合わないと思うのです。いかがですか。
  126. 金子岩三

    ○金子政府委員 野間先生の御意見、まことに適切な点もございます。公共負担の問題などを含めて、基本的な問題、非常に大きな問題でありますが、ひとつ運輸省にも国鉄の基本問題を根本的に検討する委員会をつくりまして、できるだけ早く結論を出していきたいというように考えております。
  127. 野間千代三

    ○野間分科員 政務次官、簡単にそう言われるけれども、そう早急には、簡単には出ないのですよ。出るのならもう片づいているわけです。——まあいいです。早急に基本政策を出そうとおっしゃるのだからけっこうな話です。早急に出してください。また別の機会に取り上げてまいりますが、また大臣が見えたら、大臣なかなか元気がいいから大臣の決意も聞いてみたいと思います。  そこで、その問題の中で、私どものほうではいま言いましたような立場なので、基本的な問題を解決する前には、やはり安定推進会議のいうように、基本料金は上げるべきでない、基本料金を上げないという政策でいくならば、それは通勤通学定期も上げるべきでない、こう思います。ですから、今度の場合にもぜひ思い直してもらいたい。そうして、国鉄のほうでも二百九十九億あるのだから、それは基本料金の問題が片づくときには当然片づくべき問題だろうと思うのですね。したがって、今回の通勤通学定期等は値上げをしないでおくというようにして、基本的なときにきちっと片づけるようにしてもらったほうが、国鉄の態度としてもそのほうが政府側を追い込んでいくのにいいじゃないか、こう思うのですが、これは総裁にそう伺っても、上げる予定でいらっしゃるからどうお答えになるか——一応答えてください。
  128. 石田禮助

    ○石田説明員 私は、定期の割引率を是正するということは、もうとっくにやっておるべきものだったと思うのです。これはどっちかといえば、少しおそい。  御承知のとおり、国鉄の定期運賃なんというものは、平均で八割七分、そのうち最高のものは約九割二分ですよ。ただで乗っているようなものだな。平均して八割七分。それで、通勤のほうは四十一年に是正しましたが、それでもなおかつ六割七分、要するに、五割ということは決してなまやさしい割引じゃないんだな。その上にさらにビックエックスを加えたものなのだ。ことに、これからの通勤輸送の増強ということになれば非常に金がかかる。われわれは七千億以上の金もかかると思うが、その収入支出の状態を見れば非常な大きな穴があくのですよ。というのは、いかにも建設費が高い。それで収入というものは非常に悪い。これに対するにはどうしたらいいかということになると、結局やはり借金をしてやらなければならないのだけれども、その利息をどうするかということが問題になる。そこにおいて結局通勤通学の割引をやる、しかも、通学のほうは全部が学生の負担になるのですからして、これは物価問題というものもありますが、できるだけ遠慮して五%くらいの是正にしよう。しかし、通勤のほうは、これの大部分というものは雇い主負担、要するに企業の負担、企業の負担ということはどういうことかというと、かれらの利益がそれだけ減るということなんです。利益が減るということは、それだけ法人税が減る。この半分は大蔵省の負担ですよ。私は大蔵省から何か文句が出やせぬかと思っていたが、大蔵省は賛成だということだ。物価問題に及ぼす影響というものは結局七十億なんですよ。物価問題に及ぼす影響と、そうして三百億の無利子の、つまり自己資金というものをつくることによって、借金をして、それによって通勤通学の輸送改善するということの重要さといずれが重きや、われわれは問題ないと思う。今日のような交通地獄なんというものは、できるだけ早い機会に解決しなければならないということで、これは野間さんのような鉄道通の人がこういうことに反対するというのは、はなはだ遺憾千万だと思う。
  129. 野間千代三

    ○野間分科員 通勤の増強をしなければならぬということは当然なんです一ぼくも全く賛成なんだ。ただ、今度実に七千五十八億もかかるからこれはでかいというように思うが、それはいままでやっていなかったことだ。いままで当然毎年毎年——通勤は一ぺんにふえたのではないですから、三十年あるいは三十九年にピークがあったが、毎年毎年ふえてきたわけです。これはもう国鉄の予算を見たり何かすれば、いままでで見れば、通勤を大幅に入れたのは今度の第三次長期計画です。第二次は幹線輸送でしょう。第一次は復旧ですね。こういうことですから、いままであまりかけていなかったということがいま急にかかってきたということにもなるし、それから割引率が大きいのは、確かにぼくもそう思います。割引率が多い、これは賛成だ。賛成だが、それはやはり十何年か二十年もの歴史があってそうなっておるのでしょう。これは総裁の責任じゃないのですよ。そういう歴史になってきておる。つまり、国の政策の基本がそうであった。国鉄を運営させる基本としてそういう一つの基本の柱があったからそうなってきたわけだろうと思います。そこでただいま国鉄運営に関する基本の政策を立てなければ、通勤をいじくってもしようがないということです。そこで、その基本の中で五〇%以上の負担をしておる分はどうしなければならぬかということは、当然国鉄の基本の問題として検討して結論を出さなければならぬ問題だというように思うから、推進会議がいっておることをもう少しふえんをして、もう少し拡大をして、基本問題が片づくまでは基本料金だけでなくて、やはり通勤の問題もその基本の一つであると思いますから、それをちゃんと片づけなければ、幾らこの通勤をいじくってもしようがないのではないかという意見が出てくるのだと思うのです。  そこで、その辺はもう一回大臣に伺って——私は国鉄の総裁の責任ということよりも国の責任だろうと思います。したがって、大臣に伺ってみたいと思います。  大百が来る前に、せっかく運輸省おられるからちょっと伺うのですが、最近定期問題は、都市交通であるとか、各方面で値上げをするときにいろいろ社会政策的なことを少しですけれどもやっている傾向がある。最近も何かそういうことを考えているというふうに新聞でちょっと見たことがあるのですが、たとえば通勤通学の割引率を下げるんだけれども、こういうものは従来どおりでおこうということを何か考えておられるということを聞いたのですが、それはどういうものですか。
  130. 増川遼三

    ○増川政府委員 今回値上げ申請の審査をする際におきましてわれわれのほうで考えております事柄は、義務教育であります中学生以下に対しましては、今回はできるだけこれは据え置きたい、それから高校生につきましては、申請額よりも一割ぐらい程度は下に押えていきたい、それから母子家庭その他、社会政策的な制度を適用しておりますそういう家庭に対しましては、これも現状維持で押えてまいりたい、こういった特別な措置をとりたいと考えておる次第でございます。
  131. 野間千代三

    ○野間分科員 これは、いま局長に答えてもらったものはいままでの定期値上げのときにはなかったことなんですが、政務次官、大臣がいないけれども、そういうことは国鉄から申請をした中にはないですね。したがって、これは運輸省のほうで独自の考えでそれを国鉄にやらしめるというふうなわけですね。したがって、これは政務次官、大臣のかわりで、そういうことで国鉄にやらせよう、やらせるということなんですか。
  132. 金子岩三

    ○金子政府委員 ただいま運輸審議会に答申を求めておるのでございますけれども、運輸省のほうで、そういう一つの案を政治的配慮を加えて意見を求めておるわけでございます。
  133. 野間千代三

    ○野間分科員 たいへん失礼ですが、もう一回大きい声で正確に言ってください。
  134. 金子岩三

    ○金子政府委員 運審の答申を得て、そのとおり修正をして、認可いたすような方針でございます。
  135. 野間千代三

    ○野間分科員 そうすると、運審は運審で考えるものでしょう。さきに次官が言われたのは、運輸省考えとしてこういうことを考えているということなんですね。それはどういう関係なんですか。運審のほうにかかっているのは、国鉄から申請した値上げでしょう。別に運輸省からかけたんじゃないんです。だから、運輸省でそういう社会政策的なことをやりたいとすれば、どういう経路でやっていくか。
  136. 増川遼三

    ○増川政府委員 現在、申請そのものを運輸審議会にはかっておりますが、その際に、当局の見解といたしまして、事案の内容を説明するに際しまして、これに対して当局としてはこういうことを考えておるということを披瀝いたしておりまして、そういった社会政策的見地からの配慮ということにつきましても、運審自体でも一応慎重に考慮を払っていただいておる趣でございまして、その結果出てまいります答申を尊重いたしまして、先ほども申し上げました特別措置につきましては、当局としては極力その意図を盛り込んで修正、認可という措置をとりたいと考えております。
  137. 野間千代三

    ○野間分科員 それじゃ、次官、そういうことなら、そういうことだというふうにもう一回きちっとしてください。
  138. 金子岩三

    ○金子政府委員 ただいま鉄監局長の御説明のとおりでございます。
  139. 野間千代三

    ○野間分科員 じゃ、あと二分ばかりで終わります。  最後になりますが、フランスのほうでは、戦後すぐだからもう二十年くらい、ドイツのほうではそれからちょっとたっているから十五、六年くらい前に、政府と国鉄との間に双務的な協定を結んで、この分は国鉄側が負担をする、この分は政策であるからそれは政府が負担をするという、協定にちゃんとなっておるのですよ、次官。たとえば、西独の例を見ると、一般の福祉のため大臣が運賃率の変更を命じた場合……。  大臣が見えましたので、あらためてちょっと……。  ぼくが言ったのは、一つは、毎年毎年ずっと値上げをしてきておる。それで、国鉄が四十一年から財政的に窮迫状態にある、危機にある。そうすると、また千何百億円の赤字が出てくる。これはいま総裁が答えた。四十二年も四十三年もだ。そうすると、ぼくは四十四、五年あたりにまた運賃値上げをしなければならぬじゃないかと思う。もししないのならば、五〇%のままではまた毎年毎年定期値上げをしていくという結果になってしまうのではないかというふうに聞いたのだけれども、大臣、どうですか。
  140. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう危険性もありますので、運輸省内に国鉄の財政確立のための委員会を設けまして、いろんな根本的な再検討をやりたいと思っております。また、内閣の物価安定推進会議におきましてもそういう意見具申を出すということでありまして、そのことをやはり心配しているんだろうと思います。それにはいままでのレベルのことではだめですから、もう少し基本的な根本的な問題について政府も力を入れるようにして努力していきたいと思っております。
  141. 野間千代三

    ○野間分科員 それで、その基本的な問題が当然出てくる。ぼくが言っているのは、基本的な問題の中に定期の割引の問題がある。法律は五〇%。いま総裁が言うように九〇何%通学は割引をしている。これは歴史がある。したがって、そういう歴史を解決するということがやはり一つ基本の問題、だから、基本の問題を解決する一つの柱として通勤通学定期がある。そういう基本の問題を片づけるために基本料金も上げないほうがいいというのだから、したがって、その中の問題として通勤も上げないほうがいい、通学も上げないほうがいい、そこまできているのですね。  そこで、時間がないから基本の問題なんだが、フランスが二十二年ぐらい前、ドイツが十五、六年ぐらい前から政府と国鉄との間に双務協定を結んでやっている。たとえば、その例を申し上げると、一般の福祉のために、大臣が運賃率の変更を命じたり、あるいは運賃率を要求したものより下げろと言った場合には、その分だけ国が補てんをする。いま次官から聞いてみると、今度通勤通学の中で少し社会政策的のことをするが、その分が二十何億か減るわけだが、たとえばこういう場合にはそれは国が負担をするということなんです。  第二番目には、鉄道が運賃率の改正を申請をして、政府がそれは物価上だめだといった場合にも、これは国が負担をする。線区の営業中止を申し出た、つまり、赤字線がある、その赤字線をやめたいというふうに国鉄がいってきたときに、政府がそれは地域格差を是正するのだからだめだといった場合には、その赤字線の赤字を補てんをする。まだありますが、あとは運輸委員会でやります。  そういうふうなことは、当然今度の基本の問題として十分にすべきじゃないかというふうに思うのですが、これは大臣、どうですか。   〔湊主査代理退席、主査着席〕
  142. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう問題も含めまして、根本的にいろいろ洗い直してみたいと思うのであります。
  143. 野間千代三

    ○野間分科員 以上で終わります。
  144. 松浦周太郎

  145. 井上泉

    井上(泉)分科員 大臣は、鉄道監督局が出しておる「中小私鉄の現状と問題点」というものをごらんになったことがありますか。
  146. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 読んだことあります。
  147. 井上泉

    井上(泉)分科員 そして、どういうふうに感じたですか。
  148. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中小私鉄は非常に大きな苦難をかかえて、経営その他においてもなかなか問題点が多いと思います。公共的な分野からくる要望と私企業としての経営維持という面と、そういう部面でなかなか相克摩擦があるように思いまして、運輸省としてもいろいろ考えなければならぬと思っております。
  149. 井上泉

    井上(泉)分科員 確かに、そういうふうにお考えになったということについては同感ですが、それはやはりこれを政策の面であらわしてくるのが大臣としての仕事ではないかと思うのですが、その点は今度の国会にどういう点を政策として出しておりますか。
  150. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 財政投融資、開発銀行その他からの資金のめんどうを見るとか、あるいは、必要な路線でどうしても維持しなければならぬところは欠損補てんをしてやるとか、在来やってきた政策をやっておるのでありますが、私は、着任以来、私鉄というものの大きな社会的使命をもう一回見直して、もう少し基本的な政策をとる段階にきたと思いまして、特別立法を行なって、私鉄の社会的機能をもっと発揮させるようにしたいと思って、いま用意さしておるのであります。
  151. 井上泉

    井上(泉)分科員 そういうふうに私鉄の持っております社会的な役割り、これはほとんどの中小私鉄が、この問題点の中にも書かれてありますとおり、赤字で悩んでおるわけで、赤字だからといって企業統合がそのままできるわけではなし、また、つぶしてしまうということもできるわけではないし、そういう点で中小私鉄に対する新しい立法措置を検討中、こう言われるわけですが、そうすると、やはりその中小私鉄に対する公的な財政援助をかなり大幅に繰り込むような法の立案なりあるいは改正なり等をやらなくてはならないと思うのですが、そういうように理解をしておっていいでしょうか。
  152. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 のんべんだらりと国家が補助するとか助けてやるということでは、これは国費の乱費にもなります。また、やはり原則として私企業としての原則を守っていくのが、自由社会においては正しいやり方であると私は思います。でありますから、いろいろ客観条件の変化に応じて、あるものはスクラップ・アンド・ビルドをやる必要もあるでしょうし、あるものはバスに転換する必要もあるでしょうし、あるものは軌道として維持していくために国が助成しなければならぬものもあるだろう。いろいろ態様によって対策も変わってこなければならぬと思っています。
  153. 井上泉

    井上(泉)分科員 中小私鉄の問題点の中に、国鉄の新線建設に伴うところの並行路線の問題等があるわけですが、こういうような問題については、特別なこれに対する補償措置とかいうようなものは法的にはないように見受けるわけです。  これは、今後こういうようなものに対する独立した立法の必要があると思うが、この点についての大臣の見解を伺いたい。
  154. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう場合はケース・バイ・ケースで、国ないし国鉄がそのような措置をやるのを適当とするものもあるし、あるいはやる必要のないのもあるだろうと思います。
  155. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは、その法的な措置を講じてやる場合もあるし、講じてやる必要のない場合もある、あながち立法的な措置を講ずる必要はない、こういうお考えですか。
  156. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 廃止する場合には廃止の補償が現在ございますが、特別に立法措置をやらぬでも、現在の憲法あるいは法律の体系で、所有権がある一定の拘束を受ける場合には正当な補償を要するということもありますから、特別に何もこの問題に限って必要ないというふうに感じます。
  157. 井上泉

    井上(泉)分科員 しかし、これはなにが違うわけですけれども、たとえば石炭対策で特別立法措置を講じたようなことが必要ではないかと思いますので、それはいろいろ物的な補償をされても、労働権に対する補償は憲法にも何もないわけだから、やはり労働者に対する、労働権に対する補償というようなものは、法的な措置を講じないと労働者はたまったものじゃないと思うのですが、この点に対する運輸大臣の見解を伺いたい。
  158. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 労使関係のほうは、これは経営の問題でありまして、国がそう直接タッチする問題ではないと思うのであります。
  159. 井上泉

    井上(泉)分科員 いや、補償の中で労働権というものをどう見るかということです。
  160. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 つまり、国として対象になるのは法人あるいは企業体である、私鉄自体が対象になるのでありまして、その企業としての内部の問題は、内部の労働関係、労使関係において片づくべき問題であろうと私は思います。
  161. 井上泉

    井上(泉)分科員 企業の内部といいましても、これは国の政策のためにその路線が廃止をされるのでありますし、そうなれば、それは単に企業内における労使の間で問題を解決せよというのは、これは政治としてはあまりに弱い者泣かせじゃないですか。やはりこれは法律ではっきりと、そういう既存の労働権というものを尊重した中で補償の方法も検討すべきじゃないかと思うのですが、この点について大臣の見解をお聞きしたい。
  162. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう場合は、労使関係を勘案した上で、経営者が国家に対して要求すべき場合は要求してくるだろうと思うのであります。
  163. 井上泉

    井上(泉)分科員 その問題につきましては、また具体的な事例が出た場合に委員会等で質問することにいたしまして、次に、海上交通の問題で、今度の予算の重要事項の概要のところでも、海上交通法令の整備励行、こういう項目が載っておりますし、世上、海上交通法案が今国会に提案をされるということをよく聞くわけですが、はたしてこの国会に海上交通法を提案されるかどうか、その点についての御意見を伺いたい。
  164. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 提案する方針であります。
  165. 井上泉

    井上(泉)分科員 海上交通法を提案する場合に——この間瀬戸内海の沿岸の漁民が大会を行なって、その大会で決議をした。このことを大臣は御存じでしょうか。
  166. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点もよく存じておりまして、水産庁及び漁業協同組合等との調整も十分やりまして、納得した上で法案を提出したいと思っております。
  167. 井上泉

    井上(泉)分科員 納得した上において法案を提案されるということなれば、これは納得しない場合においては提案をしない、こう解釈してもいいのですか。
  168. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 納得しないという場合をいろいろ想定されますが、大筋な点でこれでいいという了解が得られればやっていいだろうと私は思います。漁業組合その他の意見は水産庁経由で出てきておりますが、大体水産庁の間では、話が煮詰まりつつあります。その成果を得たら、漁業組合等ともいろいろ意見を徴してみたいと思っております。
  169. 井上泉

    井上(泉)分科員 いままでの国際的な海上交通法である海上衝突予防法には「漁ろうに従事している船舶以外の航行中の船舶は、漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。」こう漁師の漁業権を規定している。ところが、一九六五年には特定水域航行令というものを改正して、船舶のふくそうする狭い水域である備讃瀬戸、来島海峡、釣島水道、こういうところでは「漁ろうに従事している船舶は、漁ろうに従事している船舶以外の航行中の船舶の進路を避けなければならない。」こうして、漁師が逆に避けなくてはならないような規定をしてある。このことは運輸大臣御承知と思うわけです。瀬戸内海——瀬戸内海に限らず、海上交通法がなぜ必要になったかということはここで論議するまでもないことと思うのですが、漁労がふくそうするから海上交通法をつくらなければならないということはないわけです。大型タンカー等。大きな船を中心にして、こうした海峡では非常に船がふくそうするから海上交通法をつくる、その場合に、やはりこれらの船の航行を中心にして考えるのか、あるいはこれらの船の航行によっていかに漁師が迷惑を受けておるのか、そうした漁師を今度はこうした船から守るために海上交通法をつくるのか、そこには海上交通法をつくる姿勢というものが問題になるわけですが、その姿勢はどこに置いているのですか。
  170. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは双方の安全であります。特に狭水道において近ごろ船舶がふくそうし、特に大型タンカー等がひんぱんに入ってまいりますと、両方にとって非常に危険でありますからその間を調整しようというのであります。
  171. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは、漁民の立場を水産庁がほんとうに擁護するという立場から考えて、そして海上交通法に対して、こういう法案ならけっこうだということならば法案を提案する、こう言われるわけですから、漁業者が海上交通法制定反対全国漁民大会を開かれて、政府の示されておる要綱に対して強い反対の姿勢を示しておるので、私はそういう反対の姿勢の中でこれを今国会に提案をするということには問題があろうと思うわけですけれども、その問題の推移によって、これまた国会の本会議あるいは委員会等で質疑をしたいと思いますが、この際、こういうふくそうするところというのはなぜふくそうしたしたか。これはあえて私が言うまでもなく、日本産業の成長に従ってこういう事態が生じたと思うのです。国民は中曽根運輸大臣に期待をしておる。その期待というものは非常に大きいわけで、率直に申して、いままでの日本運輸行政に対してかなり画期的な新風を巻き起こすだろうという期待をしておる向きが多々あるわけです。あなたの首相公選の札は高知県にも立ててあるわけですが、そういうことであなたを知っておる漁民の人たちがそこで期待をしておる。そういう点からも、従来の日本の政治の中で、瀬戸内海の交通がふくそうするから、この交通のふくそうすることを規制するために海上交通法をつくって、そうして大型タンカーの航行等についてその障害が起こらないように、けさもテレビの102でこのタンカーの火災訓練をやっておったのを見たわけですが、そういうふうなことをする場合に、私は今日の日本経済を見た場合に、瀬戸内海の中へこれから大型のタンカーを入らさないようなことを考えるのがほんとうの海上交通法の骨子にならなくてはならない、こう考えるわけですが、やはり大臣としては、いまの佐藤内閣の行なっておる経済政策といいますか、こういう太平洋ベルト地帯、あるいは瀬戸内海、あの狭い港口で、水島の工業地帯あるいは高松、備讃瀬戸のあのふくそうする地帯で両岸にいろんな工場が建設されておることに対して、そういうことをどうお考えになっておるか、この機会に承っておきたいと思います。
  172. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本が戦後これだけ高度経済成長を遂げた一つの理由を考えますと、やはり臨海工業地帯というものが非常に発展したことによるのだろうと私は思います。内外の学者が指摘しておるところでもあります。したがいまして、日本の国土の総合的活用という面から見ますと、臨海工業地帯を育成するということはやむを得ないのではないかと思うのです。しかし、これがために公害が起きたりあるいは交通が錯綜して、漁民その他に著しい迷惑が及ぶということならば、これは国家が乗り出していって調整しなければならぬ、その調整は厳格にこれを行なう必要がある、そのように感じます。
  173. 井上泉

    井上(泉)分科員 今日、都市の過密化ということが問題となっておるわけですが、日本の大きな政治問題になっておるわけです。そうして、過般、新聞で承知したわけですけれども、建設省では大都市周辺にはもう工場の建設を規制する、そういう立法措置まで考えておるということが載っておったわけです。ところが、運輸省のほうでは、港湾の総合開発の計画の中でも、千葉港を大拡張する、あるいは西宮港、東京港、瀬戸内海の水路の拡張、広域港湾構想と、首都圏、近畿圏のほか、中京、九州地区まで含めて、現在もう制限以上のぎりぎりの過密状態を示しておるのに、まだその上に集中、過密をよけい促進するような、そういう港湾の総合開発計画が出されておるわけですが、そういうことについては、建設省の、大工場を都市の周辺には持ってこないという考え方と、そうして大都市の周辺に大きな港をつくるというのと、これは私は非常に矛盾をしたやり方だと考えるのですが、大臣はどういうふうに考えますか。
  174. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通産省で工業立地に関する特定立法を考慮しているようでありますが、私はその趣旨はよく了解できるのであります。ただ、臨海面に関する部分につきましては、これは海上交通との問題とか、いろいろ海との関係がございまして、それを最大限に活用させるために、その面からのある程度の考慮も加わらなければならない。そういう意味で、運輸省でもこの臨海面に関する立法を研究しております。これは両省において調整いたしまして、なるたけ早期に、一本にするかあるいは別々にするか、私は一本にして調整したほうがいいと思っておりますが、そういう形で調整して国会へ出したいと思っております。
  175. 井上泉

    井上(泉)分科員 これは国土の総合開発をする場合に、港湾関係、つまり運輸省と建設省との間で十分一本化した形で行なうということは、これは望ましい姿であろうし、われわれも賛成するわけですが、これが、御承知のように、たとえば川崎市にいたしましても、川崎市の上空は飛行機が飛ぶたびにもういつも注意しておるというのは、下には大きな石油コンビナートがある、四日市でもそう、水島のほうでもそう、それから紀伊水道でもそうですか、そういう点から考えて、これからタンカーは二十万トン、三十万トンという大型化する状態の中で、これをいま運輸省考えられておるような千葉港であるとかあるいは西宮港とか、ああいうところを開発する計画を進めるよりか、なお今日、日本の国でのこういう地点で開発の取り残されておるところ、そういう地点へ大臣としては積極的に目を向けてやるべきではないか。つまり、これはローカルのことになるようですけれども、瀬戸内海のあれだけ狭隘なところで、そうして山陽新幹線——けさの森本委員の質問に対しても、新幹線を四国へ入れるような計画で架橋の問題は考えられる、こう言われておるのでありますが、これはやはりその架橋の問題、道路の問題等を含めましても、太平洋岸に、つまり一番船舶のふくそうしない太平洋岸に適地を求めて大型タンカー等の基地を設定するなり、あるいはそういう地域を求めて新しい工場配置の計画港湾整備を行なうとかというようなことをやるのが、やはり日本の国の将来における政治の姿ではないかと思うのです。そういう点で、私は運輸大臣としての、単に運輸大臣だけではなしに、これは日本指導的な政治家としての中曽根運輸大臣の見解を承りたいと思います。
  176. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私も御趣旨には賛成であります。原油基地であるとかあるいはそういうものから派生してくるいろいろな諸産業とか、そういうものは必ずしも都会周辺にある必要はないのでございまして、日本の国土全体の総合活用という面から見れば、太平洋岸あるいは南西諸島等も活用すべき余地が十分あるだろうと思いまして、今後とも検討いたしてまいりたいと思います。
  177. 井上泉

    井上(泉)分科員 そういう点において、将来そういうことを行なっていく上においては、もう今日から私は段階的に政策を進めていかなくてはならないと思うのです。その点からも、この大都市周辺の港湾整備に力点を入れるというのではなしに、地方の重要港湾整備というものに重点を置くような政策をとるのが、いま大臣の言われた将来の国土開発の構想に合致するものではないか、かように思うわけですが、この地方の重要港湾の開発についてのあまりにも予算的な措置の貧弱なのを嘆くわけですが、その点、今度の新港湾整備五カ年計画の中ではどうお考えになっておられるのか承って、私の質問を終わりたいと思います。
  178. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国家の資金量に限度がありますから、緩急順序はそれぞれまたおのずから出てくると思います。しかし、そういう日本の将来の成長の構造を考えてみまして、そういうためにリザーブしておかなければならぬ地方港湾、あるいは重要港湾に昇格すべき地方港湾、あるいはさっき申し上げたような原油基地その他の新しい目的のために活用すべき港湾、そういう可能性をよく探求いたしまして、おのおのがそういう機能を将来全面的に発揮できるように、行政上、政治上配慮していくつもりであります。
  179. 井上泉

    井上(泉)分科員 この運輸行政というのは、もう御承知のように、イデオロギー問題ではないわけですから、ほんとう運輸行政あり方によって国民の日々の生活に響く問題なので、この点、ひとつ大臣としてはせっかくの御検討をお願いして、私の質問を終わります。
  180. 松浦周太郎

    松浦主査 次は、松本忠助君。
  181. 松本忠助

    松本(忠)分科員 最初に大臣にお尋ねしたいと思います。  去る六日の運輸委員会におきまして、国鉄の職員の招待ゴルフの件でお伺いいたしました。その中の一件で、一月十三日の矢野課長の件についてでございますが、大臣はそのとき、よく調査をして事実があれば国鉄に厳重に注意をしたいという答弁がございました。その後どうなったか、大臣からお伺いしたい。
  182. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あれは事実がありましたので、国鉄の副総裁を呼びまして、自今、厳重に注意するように申し渡しました。国鉄も最近、通達その他の手段によりまして、厳重に麾下の各局、各職場について措置を講じた模様であります。
  183. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣に次に伺いたい点は、この二月末から三月にかけまして国労は国鉄の五万人合理化に反対して順法闘争をいたしました。この間列車、電車のおくれ、運休によって迷惑を受けたのはわれわれ利用者でございます。なぜわれわれが双方の争いの犠牲にならねばならないのか、全く理解に苦しむものでございますが、この行為は組合側が言うようにほんとうに順法の結果なのか、それとも国鉄当局の言うように故意に業務をおくらせるサボタージュなのか、大臣の明確なる判断をお聞かせ願いたい。
  184. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は順法闘争ということばに疑問を持っております。やはり国鉄のダイヤというものは適正に安全率を加味して組まれておるのでありまして、そのきまったダイヤを維持することが順法であり、職務に忠実であるゆえんであると思います。それが故意またはその他の状況によってくずされるということは、これは不正常な状態であると考えます。
  185. 松本忠助

    松本(忠)分科員 総裁にお伺いいたしますが、過密ダイヤとはどういうものかお伺いいたしたいわけです。東京のような大都市の国電区間は確かに列車の本数が高密度に組まれております。運転局の話によりますと、列車のダイヤにはそれぞれ余裕時分が含まれている。また道路交通に例をとりますと、車間距離は信号閉塞で二区間以上あける方法をとっているという説明をお伺いいたしました。そうなると、過密ということばからするところの危険なニュアンスは全くないというふうに私は考えますが、いかがでしょう。
  186. 石田禮助

    ○石田説明員 御承知のとおり、終戦後貨物及び旅客というものはえらい勢いでふえてきた。ところが、国鉄の輸送力というものは資金の関係、要するに、政府なり議会というものが考えてくれなかった。そのために路線の増加というものができなかった。十一年間に旅客において六倍以上ふえておる。貨物は三倍以上ふえておる。それにもかかわらず、路線は一・六倍しかならない。そこにおいて過密ダイヤというものがある。つまり路線の酷使ですね。しかし酷使はするが、別に何も危険をおかして無理なことをやっているというわけじゃない。ほんとうに職員がちゃんとダイヤどおりにやっておれば何らその間に危険はない。しかし何か危険があったときに、過密のために副作用を起こして事故を起こす。最近においては信号その他の施設によりましてその点が非常にふえてきている。これはだいぶ以前とは違ってきている。その証拠には、もう責任事故というものが非常に減ってきているということで、過密は過密であるが、何も過密即危険ということには私はならないと存じます。
  187. 松本忠助

    松本(忠)分科員 そうしますと、高密度の区間であってもダイヤどおり整然と定時運転すれば絶対安全である、こういうことでございますか。
  188. 石田禮助

    ○石田説明員 おっしゃるとおりです。
  189. 松本忠助

    松本(忠)分科員 総裁にさらに伺いたい点は、この過密ダイヤで運転しております。ところが、順法闘争と称する戦略になりますとおくれる、運休が出る、そして多数のお客さんに迷惑をかける、こういう点についてはいま大臣からもお話がございましたけれども、順法、法に従うとダイヤが乱れる、まことにおかしな話であります。それではふだん違法の運転をしているのか、この点はどうでございましょう。
  190. 石田禮助

    ○石田説明員 順法というのは組合がつけた名前で、われわれがつけた名前じゃないのです。要するに、一個のサボタージュ行為である。いわゆる法の面をかぶってごまかしたということを言って私は差しつかえないと思う。ちっとも順法じゃない。これは不法なんですよ、ということを言っても私は差しつかえない。
  191. 松本忠助

    松本(忠)分科員 了解しました。  それでは総裁に伺いますが、今回の順法闘争の原因となりました五万人の合理化、この是非についてでございますが、このことにつきましてわれわれも十分検討すべきであろうとは思いますけれども、きょうは時間もございませんし、その争点のごく一部だけを伺っておきたいのでございますが、機関助士の廃止ということがございます。国鉄当局は合理化による機関助士を廃止しても安全性の低下にはならない、こういうふうに言われております。説明によりますと、いまの電車、気動車はほとんど一人乗務である。それでも事故は起きていない。あるいはまた複線以上の区間の踏切は警報機、遮断機等をつける、自動車の通行禁止をするなりして保安対策を打っている、無防備の踏切はない、また次には、踏切を渡る自動車にふさがれない限り事故は考えられない、このような発表を国鉄の御当局から聞いたことがございます。しかしながら、事故は現実に起きております。また自動車の不注意云々ということは、過去に起きた踏切事故の件数や複線以上の区間の保安設備整備完了後に増加してきたところの踏切事故の数等から考えましても、このような安易な見解は出せないはずであると私は思うわけであります。この点で総裁は、安全性は低下しない、だいじょうぶだとはっきりおっしゃれるかどうか、この点をお伺いしたいと存じます。
  192. 石田禮助

    ○石田説明員 御承知のとおり蒸気機関車におきましては、運転士とかまたきと二人であった。それでスチームロコを電気機関車にするとかあるいはディーゼルロコにするとかいうことになれば、つまり石炭をたく人間はいなくなってしまうということで、そこで一人運転でいいじゃないか、この点につきましてだいぶ組合と折衝しておりますが、組合のほうは運転は危険だというんだが、実際一人運転の場合と二人運転の場合といずれがいままで事故が多かったかということは、これは議論の問題であって、私は、事実のほうが一番強いので、この点から申しますと、少なくとも国鉄の過去における歴史を見れば、百万キロを土台にしてみると、二人運転よりは一人運転のほうが事故は少ない、こういうことだと思う。そこでわれわれとしては、ひとつ一人運転にしよう。現に東京付近にしましても、電車はすべてもう一人運転になっておる。ただこれは距離が長くなるというと変ですが、御承知のとおり国鉄の運転士というものは、ハンドルを握っておる一番責任の重い仕事というものはちゃんと時間が制限されておりまして、昼間は四時間、夜は三時間半ということなので、われわれとしては一人運転にしたって二人運転に比べて事故の数は絶対に少なくなりこそすれ多くならぬ、こういう確信のもとに、今度二人運転を一人にしようということに決定した次第であります。いずれにしても、私は念を押して申しますが、われわれは輸送の安全というものに対しては最も敬意を表して、輸送の安全あって輸送力あり、輸送の安全を犠牲にしてすべてやるということは絶対にせぬということを私は誓ってあなたに申し上げたい。
  193. 松本忠助

    松本(忠)分科員 私も全く同意見で、輸送の安全ということが一番確保されなければならないと思うわけであります。  そこで、こちら側では十分準備をしていても、踏切事故等で渡るほうの自動車に問題がある。これは自動車が悪いんだといえばそれまででございますけれども、数々の踏切事故というものはひんぱんに起きておるわけであります。こういう点について、私のほう、言うならば国鉄のほうは十分やっているからだいじょうぶだというけれども、事故は次から次へと起きております。こういう踏切事故の場合、特に無人踏切、こういうときにはどうする、この点をひとつ伺いたい。  さらに、機関車が実際故障になった場合にはどうなるのか、それから事故に遭遇した場合の対向列車に対する処置はどうなるのか、それから機関士が運転中急病になった場合はどうすのか、または関門トンネルのような特殊線区の中で事故が発生した場合にはどうするのか、以上五点について具体的に機関士がたった一人だったらばどうなるのか、この点をお答え願いたい。
  194. 石田禮助

    ○石田説明員 この問題はテクニカルな問題になりますので、専門家から答弁いたさせます。
  195. 林武次

    ○林説明員 お答え申し上げます。  まず最初の踏切の問題でございますが、先生のおっしゃるように、複線区間については無防備踏切は一つもございません。いま無防備になっておりますのは単線区間でございます。これも逐次交通量の多いところから警報器をつけていきたいと考えております。  それから、いまお話のございました対向列車に対する防護をどうするのかというお話しでございますが、複線区間におきましては先頭に動力車乗務員が一人、それから後方に車掌が一人と、前後に一人ずつ乗るという体制は将来も確保する考えでございます。そして、その前方と後方の乗務員におきまして対向列車の列車防護ができるように、たとえば軌道短絡器というようなものを持たしております。  それから、踏切等におきましては防護スイッチ、そのスイッチを押せば信号が赤になるわけでございます。それから、非常に交通量のひんぱんな踏切においては、その近くに限界支障報知装置というものがございます。これを侵すと反対列車に対し信号が赤になるという方法も講じております。また、動力車は車両用信号煙管という、これは六百メートル以上から見えます赤い光を出す装置でございますが、そういうものもつけてございます。それから手段によりましてずいぶん対向列車の防護ができるというふうに考えております。  それから機関士の応急処置の問題でございますが、いままで機関助士と機関士と二人乗っていた場合と、機関士が一人の場合と、応急処置について何か問題があるかということでございますが、それはやはり二人のほうが多少応急処置の時間は早いということが考えられますが、いままでの経験から申しますと、そのために特におくれるというふうなことはないと思います。また、機関車が実際に故障しまして動かなくなった場合には沿線電話というふうなものもございまして、救援を呼ぶということもできます。したがいまして、そういう機関車の応急処置については、機関士が一人の場合にはこうしなさいというはっきりしたものをつくりたいというふうに考えております。  それからもう一つ、機関士が病気になったらどうかという点でございますが、いままで乗務中に機関士が病気になるというケースはかなりの件数ございますが、大体の場合におきましては突然に失神して倒れるというふうなケースは非常にまれでございまして、ほとんどございません。それで、大体そういう場合には動力車乗務員自身が自分のからだの状態自分で知っておりますので、まず停止手配をとってとまるなり、あるいは次の駅で救援を迎えて交代の機関士を呼ぶなり、そういうことをやっておりまして、いままでそのための事故は一件も起こっておりません。もし、これが不幸にして突然失神したという場合を考えましても、現在では赤信号に対しましては自動列車停止装置をつけておりますので、そういう場合には赤信号のところで自動的にブレーキをかけてとまりますので、赤信号を突破するというような事故は起こらないというふうに考えております。  それから、トンネルの中で列車がとまった場合にどうするかということでございますが、その場合は一般の故障の場合と同じだと私は考えます。
  196. 松本忠助

    松本(忠)分科員 ただいまたいへん確信のあるお答えでございますが、現実には四十二年九月三十日には東海道線で特急あさかぜが踏切を渡ろうとしたトラックに衝突している。このときはあさかぜの機関車は脱線、機関士は即死しております。しかし、同乗の機関助士が反対から来た列車を非常停車させましたために大惨事を防ぐことができました。これは当時新聞にも大きく載ったことで御承知のとおり。また、現在の御答弁でも了解ができます。いろいろと対抗策ができているということでわかります。事故にならないで、外部に発表されなかった小さなことだと言えばそれまでですが、いまお話のあったようなことが現実に起こっている。昨年の八月十九日に鹿児島本線二日市駅におきまして、南福岡電車区の電車運転士の富迫好美君が疲労のために突然失神しております。これも確かにいまお話しのように停車中であったために大事に至らなかったわけでございますが、これが運転中だったらたいへんなことになる。確かに運転中はそういう状態にはならないという保証はできないわけであります。この点を私は一番心配するわけです。  もう一件は、ことしの一月二十三日、日豊線の柳ケ浦駅で同じようなことがありました。それは門司機関区の電気機関士の讃岐到君がやはり疲労のために突然失神しております。このときも幸いに機関助士がおりましたので大事に至らなかったわけでありますが、この御報告なども国鉄御当局に届いているかどうか、小さな事故であったので、おそらく届いていないのではなかろうかと疑問に思います。御調査をいただければわかるわけでございますが、このような事態が今後絶対発生しないとは言い切れない。かくかくしかじかの準備ができているからだいじょうぶだ、こうおっしゃいますけれども、私は絶対だいじょうぶとは言い切れないと思います。この点について総裁はどのように考えておられますか。
  197. 石田禮助

    ○石田説明員 これは林常務から説明いたさせます。
  198. 林武次

    ○林説明員 先ほども失神のことについて御答弁申し上げたわけでございますが、失神の問題で問題がありますのは、失神したがために赤信号を突破するということが一つの問題、もう一つは、失神して速度制限のある個所をきめられた速度より高く走るというような場合、いろいろ考えられます。赤信号に対しましては先ほど申し上げましたように、自動列車停止装置ができておりますので、これを突破することは絶対にございません。それからいままで例がございますが、機関士が病気のために速度を超過しました場合には、先ほど申し上げましたように、車掌が車掌弁というものによって列車をとめた例はたくさんございます。そういうことによって衝突事故を防ぐというようなことで、大体飛行機等と違いまして、国鉄の場合にはとまることが一番安全だということで、何かあった場合にはとまるという方式——特に新幹線等についてはそうでございますが、何か事故があったら必ず列車をとめるということによって安全を確保できますので、航空機の場合とはだいぶ条件が違うというふうに思います。
  199. 松本忠助

    松本(忠)分科員 次に問題を変えまして大臣に伺いたいわけでありますが、地下鉄の路線計画について二つお伺いいたしたい。  その第一は、東京高速鉄道線網の試案にある目黒−岩淵間を結ぶ七号線の着工の見通しについて伺いたいわけであります。
  200. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昨年十一月以来運輸省都市交通審議会において、東京の地下高速鉄道路線網の改定について審議を行なっております。地下鉄七号線についても目下検討中でありますが、路線変更は行なわないで、将来は埼玉方面へ延伸する案が検討されております。
  201. 松本忠助

    松本(忠)分科員 鉄監局長に伺いたいわけでございます。国鉄のほうにも大きに関係があることかと思いますが、現在の御計画によりますと、岩淵で終点になっているが、これを埼玉方面に延長される、たいへんけっこうなことでございます。現在国電の赤羽駅は、一日に五十五万人にのぼる乗降、乗りかえの客がございます。東北線で上野に次いで混雑がひどい駅でございますが、最近は赤羽団地、桐ケ丘団地、これを控えまして、さらに嶋ケ谷にも団地ができた。板橋区の徳丸方面からもバスで運ばれてくる通勤、通学客が非常に多うございます。さらに今後も東北線、高崎線方面からの通勤客が非常に増加する。これの乗りかえで非常に混雑するわけであります。そこで、これらの通勤者の乗りかえのために、赤羽駅は大改修をしていただきました。しかしまだまだ混雑が緩和されておりません。そこで、ただいま大臣からもお話がございましたように、この地下鉄をぜひ埼玉県のほうに延ばしていただいて、川口、浦和、与野、そして大宮まで延長すべきである。特にその中で川口において国電と連絡をさせて、ここで相互に乗りかえをするならば、鳩ケ谷方面のものはこれに吸収されて、赤羽の混雑がだいぶ緩和されます。その点についてぜひとも、ただいまお話があったような埼玉県の方面に線路を延長する、その埼玉方面については具体的にはどこまでどういうふうにするかについて、鉄監局長にお伺いしておきたいわけであります。
  202. 増川遼三

    ○増川政府委員 七号線の埼玉方面への延伸につきましては、目下審議会で検討いただいております。まだ具体的な経路はきまっておりません。ただ、ただいま申し述べられましたような途中の各地域の輸送需要の状況によりまして最も効果的な線を選びたいと考えております。
  203. 松本忠助

    松本(忠)分科員 もう一点伺っておきたい点は、赤羽、要するに岩渕から東北線をクロスして赤羽台団地、これを経由して旧陸軍用地に車庫を設ける、そして埼玉県の大和町のほうまで延長する計画を前にも聞いたことがありますが、これはどのようになっておりますか。
  204. 増川遼三

    ○増川政府委員 大和町方面に参りますのは別の線でございまして、六号線の延長でまかなっておるわけでございます。赤羽台の旧陸軍用地のあと地の利用につきましては、この七号線の現在の計画線の終点をそこへ持ってまいりまして、当該地域を車庫の用地として利用する、こういう考え方を持っておる次第でございます。
  205. 松本忠助

    松本(忠)分科員 私の質問がちょっといけなかったと思いますが、六号線は当然いまのままわかっております。私はただ、陸軍用地に車庫を設け、さらにそれを大和町方面まで延長させていって現在の六号線と結びつける考えがあるかないか、この点を伺いたい。
  206. 増川遼三

    ○増川政府委員 現在のところはその計画はございませんが、もし将来そのような運行系絡の必要性が考えられますならば、その点につきましてはさらに都市交通審議会にもはかりまして、その答申を得た上で実施方を検討したいと考えます。
  207. 松本忠助

    松本(忠)分科員 もう一点大臣に最後に伺いたい点は、札幌市における高速軌道の建設の点でございますが、札幌市は一年のうち約六カ月間、半年というものは積雪寒冷地にございます。ラッシュ時の大量輸送を路面の交通手段によって解決することは、困難な状態でございます。また昭和四十七年には、国際的な行事でありますところの冬期オリンピックが開催される予定になっております。これを成功させるためにも札幌市に高速軌道の建設が必要と思いますが、これに対して大臣のお答えをお伺いしたいわけであります。
  208. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御趣旨には全く同感であります。積雪寒冷地帯でありまして、特に札幌のような場合には地下鉄が有効であると思います。免許申請が出されたばかりでございますが、検討いたしたいと思います。
  209. 松本忠助

    松本(忠)分科員 わかりました。  以上をもって私の質問を終わります。
  210. 松浦周太郎

    松浦主査 次は渡辺芳男君。
  211. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 国鉄の関係についてお伺いをいたしますが、国鉄は、昭和三十二年から始めてまいりました第一次五カ年計画の投資面の関係はさておきまして、これに並行して合理化を進めてまいりましたですね。特に第一に手をつけたのは、経営上の赤字路線の合理化を徹底的にやった。そしてまた三十六年から第二次五カ年計画で進められてまいりましたが、この段階になりますと、国鉄の業務の一部請負化といいますか、そういう傾向にまで発展をしてまいったわけですね。これはつまり人件費を減らすといいますか、ダイヤ改正のつど業務量は増大をする、列車を多く動かすようになりますから、当然のことでありますが、そのために一面では人件費を押えるという立場から、要員不増の方針をとってきた。いまは第三次長期計画を進めておるのですが、もういままでのようにどこの職場で職員の数を減らして請負化をする、あるいは一人減らす、そういうふうなこそくな合理化というものをやらないで、一つの職場を、これはあまり運転に影響はない、この程度の業務ならば請負化をしてもいいというふうに大胆にやってきているわけですね、やり方が。いま進められている五万人の合理化も、聞くところによりますと、六〇%くらい国鉄の業務を請負化をするといわれている。私は国鉄の仕事というのはきわめて人命財産に直接影響をする輸送というものを担当しておるのですから、その合理化を進めていく面において、採算ということだけでなくして、どこまで一体そのお考があるか。私はいままでの状況を聞いておりますると、請負化して財政上の軽減措置を考えて将来展望でいくというふうなやり方も少し限度に来ているんじゃないか。また、国鉄職員ということになれば、一般の請負をした第二会社の諸君とは違って責任感も強いだろうし、そうしてまた希望も持っているだろう、こういうふうに全然質が違うわけですね。でありますから、どうもいまの進行状況を見ておりますと、責任体制を強く要求される国鉄業務の面からすれば、もう合理化が限界に来ているんじゃないか、こういうふうに一般的に一つ考えておるわけでありますが、一体どこまで請負化を中心にした合理化というものを進められるか、きわめて簡単でけっこうでありまするから御回答願いたいと思います。
  212. 石田禮助

    ○石田説明員 この問題はひとつ担当常務の井上常務からお答えいたさせます。
  213. 井上邦之

    井上説明員 まず先生お話の中にありました六割くらいが請負に出されようとしておるというお話でございますけれども、これは何かの誤解ではないかと思います。私どものほうでいま外注に出そうといたしておりますのは、いわゆる五万人の計画の中の大体一割五分見当であるというふうに考えております。六割もそういう膨大な量を請負に出そうという考えは持っておりません。  また、外注いたします場合にどの程度の範囲を考えておるかというお尋ねでありますけれども、これは地方地方によって事情が異なります。私どものほうでこの業務を外注に出そうといたしましても、相手方の会社にその力がなければ外注できないわけでございます。地方地方によって事情が違いますので、これはケース・バイ・ケースでやっていかなくちゃならない。ただ、基本的に言えますことは、まず外注によってこれが安くあがるかどうかということです。外注したために高くなるようでは、これは意味がないのでありますから、そういうばかなことはいたしません。また、これが運転保安上危険を伴うかどうか、これはもう先ほど来私どもの総裁が口をきわめて申しておりますように、安全というものはわれわれの基本的な考えだということでございます。したがいまして、安全を阻害するような業務委託は全然やりません。そういう基本的な考えかというお尋ねでありますれば、そういうことであります。あとは具体的なケース・バイ・ケースによってやっていくよりいたし方がない、かように思います。
  214. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 時間がないから、細部にわたることはいずれまた別の機会にしたいと思うのですが、合理化の中で特に運転施設、電気系統の合理化が進められておりますが、あるいは検修基地の統合、一元化というのは、職員にたいへんな不安を与えているわけです。こんな大規模の合理化というものを国鉄当局がやるとは、ゆめゆめいままでも思っていなかったが、財政危機だということも一つは理由にあるのでしょうが、とにかくいまの合理化の進行状態がどこまで行ってとまるかということについては、職員が非常に不安を感じておるわけです。問題になったと思いますが、いまの中でも無理にやっておって、職安法の四十四条や、あるいは施行規則に抵触すると考えられるようなものが出てきておる。こういうことをやっていきますと、いま労使間でも必ずしもノーマルな状態でないし、むしろ非常に対立をしております。これは無理な合理化をどんどん、どんどんやろうとしておる、あるいは一方的にやってしまおう、こういうふうな強い姿勢でやっているということは、国鉄の運営上私はきわめて遺憾と思います。  総裁が昨年でしたか、国鉄は将来、非採算線区のうち、四千キロから六千キロくらいにわたっての線路をはずして自動車輸送をする、こういうふうなことを考えていきたいというふうな、ショッキングな談話を発表されました。現在の国鉄の営業キロが二万一千キロ程度でしたか、あるのですが、その比率から見るとたいへんなことです。国鉄は、いままで役割りを果たしてきた地域開発なり、あるいは輸送関係についても相当な歴史を持っているわけです。私はこの関係で非常に疑問に思っております。国鉄総裁はそういう発表をするけれども、片方鉄建公団で赤字路線をつくっている。これはよく新聞にも言われていることですが、いままで鉄道建設公団がつくった路線は十線あるけれども、全部赤字です。六十二線が着工もしくは予定線として鉄道建設審議会の議を経てきまっているわけです。これもまた九千七百五十億を予定をして、大体十年ないし十五年間にやっていこう、完成していこうという計画のようですが、片方では赤字路線をはずしたい、片方ではつくりたい、その中にも再検討すべきものがたくさんあるわけです。これは道路の事情のよくなるということもありましょう、あるいは私鉄との競合等の関係もありましょう、いろいろありますが、この関係について大臣に伺いますけれども、これは総合的に再検討すべきではないか、こういうふうに考えます。鉄道線路をはずすなんということは簡単にできる筋合いのものじゃないし、また愛着を持っておりますから、この点のお考えはどうでしょう。
  215. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまあるものをはずすとか、現在工事中のものを途中でやめるということはできないと思いますが、将来建設するものについては、お説のように総合的に検討していきたいと思います。
  216. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 一つ一つあげていきますとすぐ時間がたちますから——いまの回答じゃ少し不満なんです。抽象的にそういうことじゃ誠意が認められない。深刻な問題ですから私は言っておるのです。   〔主査退席、湊主査代理着席〕 私がお尋ねすること自身があるいは抽象的なんですから、そういう御回答かもしれませんけれども、また別の機会に譲ります。  それから、国鉄がいま一兆何千億程度ですか、借金をかかえておる。これは財政上の危機だと盛んに最近は騒がれておるのですが、これに関連して一つの矛盾として、国鉄の市町村納付金の問題があります。この問題について大臣に伺いますが、大蔵省は四十三年度の予算案の内示の際、これを一度廃止をする、こういうふうなことを聞いておるのです。ところが自治省や市町村、自治体の猛烈な巻き返しといいますか、反対運動のために、これがまた復活をした。そういうふうなことを伺っておりますが、そのかわりに、かわりというと何ですが、五十四億を一般会計から国鉄の財政再建補助金として繰り入れることになったのだというふうに私ども解釈をしておるのです。しかしこの納付金自身が、私はきわめて理由があいまいであるというふうに従来から思っておるわけです。地方財政のてこ入れとしてこの制度ができてだいぶになりますが、一面的には国鉄も第一次五カ年計画を進めている過程で、昭和三十九年に赤字決算に初めてなったわけです。以来私どもずっと見ていますと、それぞれ各方面から借金をしておるのです。簡単に借り入れ金を求めているのですが、早晩そういう大規模な輸送力増強なり、近代化計画をするには、赤字が出るだろうと想定はされておったわけです。輸送力増強近代化というのは、特におくれた部面の国鉄の輸送というものを早急にやらなければならないということはわかるのですが、ある意味では至上命令かもしれません。しかし四十年度に、国鉄が市町村に納めておる納付金を調べてみますと、全国の市町村数が三千三百七十三ある。そのうち二千十四の市町村に納めておる。黒字決算の市町村が千七百八十二で、七十八億円納付金を納めた。赤字決算の市町村は二百三十二で、十六億円納めておる。こういう実態から考えると、市町村財政のてこ入れという従来の考え方自体も、赤字決算で借金して四苦八苦、どうにもならぬというところから納めるというふうなことは、理屈に合わないわけです。この根拠をどこに求めようとしても……。納付金制度というものは、ようやくにしてことしの予算案を決定する段階で、大きな問題になってきたけれども、また従来どおり据え置かれたというふうな状態予算案の中ではなりましたね。どうでしょうか、この問題については、廃止をするというふうなお考えはございませんか。
  217. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私もお説に非常に共鳴を覚えるのであります。今度の予算原案をつくる過程におきましては、大蔵省も正当な考えをもちまして、納付金廃止という構想に踏み切ったのでありますが、予算編成の過程におきまして、まことに残念にも、何といっても国鉄の応援団より、市町村の応援団のほうが多うございまして、事実上の力において破れたというのが現状で、非常に遺憾千万であります。そこで何としても赤字の国鉄が、地元からの要望で、跨線橋をつくるとか、プラットホームを長くするとか、操車場をつくるとか、客車をつくるとか、サービスすればするほど税金がよけいかかるという間違ったことが行なわれておるのでありまして、何とかこれは解決するつもりで、最終の閣議におきまして、これは検討しようということになりました。そこで、いま自治省と運輸省の事務当局のベースでその問題をいま検討し始めているわけです。そのうち大蔵省を入れまして、だんだん予算編成までに煮詰めていこうと思います。また一面においては国鉄の財政確立の委員会等もつくり上げまして、そちらの大かたの意見も徴していろいろ政治的にも実現の方向に向かって努力していきたいと思っております。
  218. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 国鉄が現状では制度的に公共性と独算制という相矛盾した制度の中でやられておるのですから、こういうふうになると少し問題になるわけですね。収支とんとんでやっていける間はいいわけです。私はそのワクの中でいまのことは言っているわけですが、長い間自由民主党の政権の中でやられてきたことですけれども、こういうことは率直に言って、やはり一般会計の中から、地方自治体の財政窮之を救うというのはやるべき筋合いのものであろう。これが原則としてだれも考えられることだと思うんですよ。いま大臣が言われましたように、いろいろ最終的に圧力団体のほうが、こちらのほうが引っぱりが強かったからやられたというふうなことなんですが、来年になりますと財政硬直化は一そう浸透してどうにもならぬなんというふうなことになるかどうかはわかりませんが、この問題と、選挙が近づいたらば選挙予算を組むなんというふうなやり方になっていくとまた同じになってしまう。これはやはり予算を組む場合においてそういうふうなことでなくして、実際やはりやるべき筋合いのもの、そして廃止すべきものはそういうふうに廃止をする、こういうきっちりした姿勢を持っていかないと、どうしても人気取り予算になって、それが財政硬直化の原因になるだろう、こういうふうに私は考えているわけです。やはり将来の運輸大臣の決断と政治力がこういう問題には一番必要だと思うのです。幾ら国鉄職員が働いたって、そっちのほうをふやしていけば、それは働け働けと国鉄総裁が言ったってどうにもならぬことなんですね。これは来年の話をしてたいへん恐縮しておりますけれども、いまの予算をどうしても通してしまうというふうにお考えかどうかわかりませんけれども、将来展望としてこの問題は決着を迫られていると思うのですよ。再びお伺いしますがいかがでございましょう。
  219. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、市町村納付金というものはこれは不合理であるからやめたいと思っております。正しい筋道のあることは、必ずしもすぐ実現できないのが世の中でありまして、少し時間をかける必要があるかもしれませんが、その線に向かって努力していくつもりです。ことしから自動車取得税というのが府県市町村に入ることになりますが、これがどれくらいあがりますか、自治省が算段しているよりかなりあがるんじゃないかと思うのです。そういう情勢を見ながら、自動車取得税というものの将来はわれわれが納付金を廃止するために有力な手がかりになるんじゃないかと思って、そういう点もいろいろいま研究しているところであります。
  220. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 一歩譲ってこの制度を認めるにしても、財政上きわめて裕福とは言わぬが、どっちにしても公共投資はおくれているんですから、それは市町村もたいへんですが、まあ黒字決算のところぐらいは遠慮したらどうだ、これはもう次善の策として考える必要があると思うのです。私が言わぬでもわかっておることだと思いますから、その方向でひとつ御努力を願いたいと思うのです。  次に定期運賃の値上げについてちょっとお伺いをします。国鉄は四十一年の四月から旅客貨物を平均して二五%の運賃値上げをいたしましたが、当初予想したとおりの増収にはならなかった。これは国鉄の独占性というものが交通機関の発達によって失われていく、こういう面もあったと思うのです。それからほかのほうに転化をした、こういう関係もあって予想したそろばん勘定だけの増収が期待できなかった。そういうことはもう今後も同じような状況にあると見なければならないと思うのですね。必要以上に増収の見込みをしてやっていったらば、これはもう財政上に大きな蹉跌を来たすことは間違いないことなんです。私は今度の定期運賃の値上げに大義名分として国鉄では受益者負担、いわゆる都市の通勤輸送、通学輸送の増強のために、こういうことを言われておるのであります。この増収分が予算上三百億になっているわけですね。私はこういう生活、物価に影響する公共料金の値上げというものは原則として反対なんです。ただ一番考えなければならぬのは、前回のような切符のほうの運賃値上げと違って、簡単に利用者が逃げるというわけにはいかぬと思うのですね。国鉄を利用した通勤通学の利用者というものはそう逃げないと見ているわけです。ですから深刻だと思うのですね。確かに総裁がいつか新聞で発表されているように通勤の場合は会社負担が多いということもありましょう。しかし通学の場合は自己負担なんですね。率直に言って。こういうことを考えてみますと、私はいまの説明によりますと現行の割引率が二等の定期運賃の場合は、通勤の場合は平均四・七%の引き上げである。通学のほうは現行割引率からいって五・八%の引き上げであるというふうになりますが、実際の引き上げ額はもう五十キロ以上になると、たとえば東京−鎌倉間の二等定期ですと五三%の引き上げになるんですね。あるいは通学の場合でも東京−鎌倉間四三%、これはもうたいへんな引き上げなんだ。私は特に一歩譲って、時間がないから先をお伺いをしますが、通学定期の問題はもうあきらめてもらえぬか。そしてこれほどの大幅の通勤定期の引き上げはもう少し引き上げ幅を引き下げられないか、こういうことはいかがでしょう。
  221. 石田禮助

    ○石田説明員 これは通学は今度は割引はやりますが、是正を今後どうするかということはいま私は何とも申し上げられない。通勤のほうは常に申し上げておるとおり大部分企業の負担になる。長年われわれは大きな割引をやってきたんだからまあこの辺でごしんぼう願ってもいいのではないかと思います。さらに私が申し上げたいのは、定期外の旅客と定期の旅客との運賃の問題ですね。たとえば定期の客というものは数からいえば七割、三割が定期外、これはしかし頭数だけから言うわけにいきませんが、人キロから申しまして定期のほうが四五、定期外が五五です。それであるのに対して運賃はどういうことになっておるかというと、定期が一三、定期外が八七。こういう数字から見ますと、要するに定期客というものは、定期外の犠牲においていままで安い運賃で国鉄を利用しておったわけなんで、私は、公正の意味からいって、この辺はもう是正するところに来ておる、こう考えておりますので、今度われわれが定期の割り引き率を是正したということは、これも一つの大きな理由になっておるのであります。
  222. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 運輸大臣、就任のときに、定期運賃の値上げについては私は賛成できないということを言われたのです。総裁はふところ勘定の中で言われておりますが、これは政策的なものです。国鉄の財政危機の問題であっても、政府がこれを了解をしてやっておることですから、毎年予算を組んでやっておることですから、責任を持たなければいけないですね。特に通学定期の問題について、これは運輸大臣の認可事項でありますが、考え直すお考えはございませんか。
  223. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 定期の値上げはできるだけ回避するようにしたいと私言明してきましたが、本年度予算編成の過程で、非常に硬直化しておりまして、政府利子補給や財投の金が思うように取れず、また納付金も廃止できなかったために、こういうような結果になったのはまことに残念であります。しかしながら、社会政策的要素を加えようと思いまして、義務教育は据え置き、高校生は、国鉄申請に対して、一般の値上げの約一割下げよう、そういう調整も加えまして、そういう方面の思いやりはできるだけ伸ばそうと思ってやったのであります。いまのところはその辺がぎりぎりでありまして、目下のところはその線でいきたいと思っております。
  224. 湊徹郎

    ○湊主査代理 それでは次に神門至馬夫君
  225. 神門至馬夫

    ○神門分科員 私は、主として赤字線、新線の問題に焦点を合わしてお尋ねをしたいと思います。  いままでの質問の中で抜本的な問題についてはすでに質疑応答がなされて、本質が相当明らかにされてきただろうと思います。ところが、きのうきょうの新聞を見ますと、物価対策の国策遂行のために、国鉄運賃を上げない、こういうような問題が一つは出ております。これまで日本国有鉄道が戦前、戦後を通じて国策遂行上の目的を持って今日に及んでおる、そのことは、今日においても、日本国有鉄道という名の示すごとくそれに変わりはあるまいと思うのです。  いま一番問題になっておりますのが、高度成長によりまして、人口の激変、流動によって、片一方に偏在する、片一方は無人化をする。無人化した地域の赤字線の問題、そしてメガロポリスといわれる太平洋ベルト地帯には、過密によって通勤対策が問題になる。しかし、そのいずれにしても、過密地帯の通勤対策に対する投資といえども、それが採算上合わない、もちろんローカル線は赤字線である。ただ新幹線で世界に有名になったようですが、これは過密化への一つの、経済圏の極と極とをつないで一番効率のいいところの、ある一定のロングランをやっておるところにその内容が非常に好成績をあげていると思うのです。こういうように、過密地帯に対するいわゆる都市対策、あるいは人口減少地帯のいわゆる過疎対策、これはいま大きな国の問題として取り上げられております。そうしますと、そういうような都市対策なり過疎対策といわれる国策遂行上の任務を日本国有鉄道はまた負っていると言わなければならぬと思います。そういう公益性と独算制、その中の矛盾がいろいろと表面化して議論されておる、こういうふうに考えます。  ところがいま御承知のように、鉄道建設公団ができまして、全国で六十二の新しい路線が建設途上にあります。工事線としてこれが着工されております。その中には密集地帯の通勤対策としての新線もあるようでありますが、六十二の中で五十九が工事線、三つが調査線になっております。そうして四十一年度から五十年度までの十年間に総額九千七百億円をこれに要するということになっております。これもいわゆる鉄道敷設法あるいは日本鉄道建設公団法のそれぞれの目的に合った新線だろうと思う。あるいは鉄道建設審議会の合理的結論をもって新線を建設するのだ、こういうふうに結論が出ておるものと思うのです。いま全国で調査線、工事線を合わせた六十二の新線については、法律上、敷設法の第一条なり日本鉄道建設公団法第一条の目的に合い、なおかつこの鉄道建設審議会が合理的に結論を出した新線である、こういうように、管理者である大臣はお考えになりますか。
  226. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一応そのように受け取っております。
  227. 神門至馬夫

    ○神門分科員 これは、管理者の大臣なので、けしからぬと言われないのか言わないのか、とにかく合理的であると御回答になった、こういうように受け取ります。ところで総裁のほうはこれについてどういうふうにお考えになりますか。
  228. 石田禮助

    ○石田説明員 御承知のとおりに、国鉄はすでに建設された線のうちで赤字線というものが多い。その赤字に相当に悩んでおります。そこへ持ってきて、さらに建設公団が元気よく建設する。それがまたでき上がり次第われわれのほうへ来て、われわれが経営する。そのしりはわれわれが負担しなければならぬということになると、その赤字を一体どうするか。独立採算で経営しておる国鉄としては、何とかこれは考えてもらわなければならぬ、こういうことに私は考えております。
  229. 神門至馬夫

    ○神門分科員 いま総裁の言われておりますように、四十一年度の赤字線、黒字線の現状を見ますと、二百四十二線のうちで黒字線が十四線、あとは全部赤字線なんです。収入は、先ほど説明があったかどうか知りませんが、この十四線の黒字線で六五%の収入で、あと二百二十八を束にして三五%、こういう割合なんですね。その中で国鉄当局は六つに分類して、あの有名な総裁の、六千キロのレールをはずすという説明が出たわけだ。ですが、現在なおかつ総裁は、この赤字線の中の、六つの分類にして地方通勤線と準ローカル線、合わすと約六千四十キロばかりになるわけですが、これをはずすという御意思がありますか。
  230. 石田禮助

    ○石田説明員 現在の国鉄が経営しております赤字線の問題につきましては、これはすでに敷いた以上は、地方の人たちは相当これを利用している。だからして赤字なるがゆえにレールをはずすということはできぬ。はずす場合には、これにかわる経済性のある輸送機関をもって、それで地方の諸君の納得を得てはずせばはずす、こういうことなのでありますが、いずれにいたしましてもこの赤字線の問題は、現在やっておる赤字線というものは収入は減りこそすれ大体においてふえない、しかも経費は年々非常にふえていく、アンバランスにおいては大きなものになってくる。独立採算制下において経営しておる国鉄としては、この負担をどうするかということは大きな問題だということで、これは慎重にやらなければならぬ。でありますからして、特にこれに対する委員会を結成いたしまして、ただいま慎重に検討中でありまして、その結果が出次第、これは運輸大臣と相談の上で早急に結論を出したい、こういうふうに考えております。
  231. 神門至馬夫

    ○神門分科員 たいへん赤字線は困るが、はずすということは慎重に変わったようでありますので、ある意味においては国民の立場からは非常にけっこうなことだと思います。これはひとつ十分慎重を期してもらいたいと思うのです。ところが、この新線については、どうも大臣はこれは合理的にきめられたものであるとおっしゃるし、経営責任を持つ総裁としてはどうも好ましくない、つくりっぱなしであとのめんどうはこっちが見なければいけない、こういうふうにおっしゃっておるのです。ところが、あの敷設法を見ますと、総裁も新線をきめる鉄道建設審議会の委員になっておるのですね。そうすると、これは新線を建設するときに、総裁は反対だと言うのをあとの二十七名がゴリ押しして新線をつくらすものか、あるいはみんなが賛成するんだから、しかたなしに総裁もこれは満場一致で審議会で新線建設が通ったものか、この辺をひとつお教え願いたいと思うのです。
  232. 石田禮助

    ○石田説明員 私は鉄道審議会に出たのは過去において一回か二回じゃないですか。事実その御想像のとおりだと思いますが、国鉄総裁のヴォイスというものはあの審議会においてはきわめて弱い、大勢に順応ぜざるを得ぬ、こういうことになっておる。ことに国鉄の問題につきましては、政治家のごきげんを損ずるということはたいへんな問題ですから、なかなかできないということで、これはお察しを願いたいと思います。
  233. 神門至馬夫

    ○神門分科員 時間がないから。そういう配慮でわざとなるべく欠席するように努力しておるというようなお話なんですが、しかしこの審議会が新線については決定的な権限を持っているのですね。ここらは総裁がおっしゃったように、いまの六千キロの対象の赤字がありながら、その先にはいわゆる営業係数が三〇〇とか四〇〇とか一〇〇〇くらいになるような新線がつくられておるのですから、そういうところに総裁は遠慮なさらずに、きげんを失ってはたいへんだというようなことでなしにどんどん発言をされぬと、国鉄当局として、いわゆる経営責任者としての総裁にもこれは責任があるのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、今後はこの審議会に出て、そういう点については政治路線をつくらぬような方向に改めるについて何か決意があるのか、この辺は今後の問題として非常に大事な問題ですからお聞かせ願いたいと思う。
  234. 石田禮助

    ○石田説明員 私といたしましては、独立採算のもとに経営しなければならぬ、こういうことで、そういうお荷物をしょうてははなはだ困るのですが、賢明なる政治家諸君の決定せられるのでありますからして、国鉄がしょい切れなかった場合には何とかしてくれる、こういうように善意に考えてしいて反対はしない。これは政治目的ということになれば、国鉄の採算以上のものであるということになると思います。
  235. 神門至馬夫

    ○神門分科員 日本国有鉄道が公営企業だということで、国策遂行上、経営責任者である総裁はがまんにがまんしている、こういうお考えだということを言われたのです。ところが監督者である大臣としては、いま経営の責任者である総裁がこの審議会というものは困ったものだとおっしゃっている。そこで、経営責任者の意思というものを強く主張すれば、これは政治的に非常によからぬことになり、ひいては国鉄経営に及ぼす影響も大きい、こういうことをいまお話しになったのだが、大臣としては、新しく就任をされて、鉄道審議会についても十分御検討になり、経過もお聞きになったと思うので、この審議会そのものの設置あるいは構成——特に鉄道新線の建設に対する小委員会が十五名いる中で九名までが国会議員ですね。きょうの朝日の社説を見ると、新線建設については特に自民党の有力議員が入っているのでなかなかそううまくいくかということが出ております。この鉄道建設審議会について、管理者である大臣としてはどういうふうにお考えになるのか。特にこの新線問題に関連して御意見を承りたい。いわゆる構成、運用というようなこと……。
  236. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 鉄道建設審議会は非常に長い歴史と背景を持っておりまして、われわれごときかよわい大臣が力を及ぼしてもなかなか動くものでないと私は思います。政党政治というものは盤石の力を持っております。またその背景には地方の開発という問題も含まれておるので、必ずしも否定すべき問題ではありません。そういう点から政治家のおつくりになったことはできるだけ尊重して実行するのが行政当局の使命であると思います。ただ鉄道にあまり負担を負わしてはなりませんので、地方開発線あるいは地方幹線のような赤字路線となるものは、政府及び国鉄の出資による無償資金を財源として建設して、建設後は国鉄に対して無償で貸し付けておるのであります。また将来有償で貸し付ける路線につきましても、利子補給等の財政措置によりましてできるだけ鉄建公団からの国鉄に対する貸し付け料を低減して、結果的には国鉄財政に寄与するように努力していくつもりであります。
  237. 神門至馬夫

    ○神門分科員 かよわき大臣ということになると——私は大臣以上にえらい人はいないと思うので、管理者、監督者である大臣がかよわいということになると、いま政治問題になっている国鉄の再建問題というのはとても及びもつかないのじゃないかと思う。これは謙遜しておっしゃったことばと思うので、そのままでなしに、ひとつこの辺から——いまの鉄道建設審議会はとてつもない伏魔殿のような印象を大臣のことばからも受けるし、心臓の強い総裁がなるべく出ないというふうにおっしゃっているし、実はこの辺に国鉄経営問題というふうなものがあるのじゃないか。  もう一つは、それに関連して、大臣はうまく私の質問に対して肩がわりしてしまわれたが、そういうことでなしに、この問題について何か具体案を——きょう考えてこられなかったらまた運輸委員会ででも示してもらいたいと思うのです。  ただここで問題になりますのは、いまのような国鉄経営に負担を少なくしようということで鉄道建設公団ができたのですね。ところが鉄道建設公団のえらい人が言っていることが専門雑誌に出ている。また国鉄の総裁が言っていることが専門雑誌に出ている。これが相対立しているのですよ。片一方はむしろローカル線をつくる。昭和七十年なら昭和七十年を見たときに、この国鉄の赤字で一番負担になるのは、過密地帯の通勤輸送の赤字が建設赤字の重荷になって、ローカル赤字はわずかなものだ、こうおっしゃっている。ところが総裁のほうは、そういう追従的投資であろうとも大きな投資であろうとも、早く投資してローカル線は何とかしなければいけないとおっしゃっている。ここに、経営責任を持つものと、つくればもうかるのと——つくればもうかるというとおかしいのですが、それのみが仕事というのと、仕事が分離しているところにもう一つの問題があるのじゃないか。この辺はもう一ぺん、統合する気はないのか。もう一つは、統合する気がないとするならば、監督者としての大臣がその辺を、いまのような運輸審議会等ともからみ合わせながら何かコントロールされない限り、この問題の解決はつかないと思うが、その辺の関係について大臣から御答弁願いたい。
  238. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 鉄建公団は鉄建公団としての役目を果たしておりますので、建設に精進してもらって、統合する考えはございません。ただ運輸省といたしましては、国鉄の財政力や国民的需要というものとにらみ合わせまして、事実上において寛厳おのずからしかるべき措置をやっておるのであります。あの路線を一ぺんに全部やったらたいへんなことになりますし、やる順序、時間、資本、そういうものはほかの国鉄路線とのにらみ合わせもよくやりまして、一方においては審議会側の御意見を十分尊重すると同時に、現実的には国家的需要というものをよく考えまして、順序、緩急を誤らないように実はやっておるのであります。
  239. 神門至馬夫

    ○神門分科員 順序、緩急は予算の範囲内でやっているということなんで、その範囲内でお考えになっておるだろうとは思うが、そのように鉄道建設公団そのものの存在を合理的と認められて、なおかつやっている新線が国策上必要だ、こういうふうにおっしゃっている。あるいはいま総裁のほうから話があったように、赤字線であろうともレールをはずすというふうなことは地域住民のために望ましいことではない。こうおっしゃっている。そうなってくると、問題は単純化してくるんじゃないかと思う。そのようなことで経営がやれるはずがないとするならば、これは政治責任として政府のほうで解決する以外にないじゃないか。大臣として赤字線をどんどんつくることは認められ、赤字線をはずすことについても、おそらく続きに新線をつくっておるのですから、これをはずすことは国民のためによろしくないとおっしゃるのなら、その営営について、監督者である国が、当然国策遂行上赤字路線、赤字経営をしなければならないという国鉄に——これはここに立った人たちが何回も繰り返したことだと思うが、いまのような具体的な新線の赤字線の問題についても大臣のお考えがある、あるいは鉄道建設審議会のそれもまたやむを得ない、こういうお考えである以上は、その辺についてのお考えがなくてはならないと思う。ことしは五十四億という利子補給がきまりましたが、大臣としてはどのくらいのものを今後とも、もうすぐの問題になってくると思うが、お考えになっておりますか。
  240. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 新線建設の問題は、この分科会におきましても新線建設をやれという議論をさっき拝聴したばかりでありますし、またあなたのように、これはよほど慎重に検討しろという御議論もございます。やはり政治家の意見一つ一つよく拝聴して、聞き分けていかなければならぬという非常に微妙な立場に私はあるのであります。しかし、私らは私らとしての国鉄に対する理想を持っておりまして、最大限にそれらを取捨選択しながら実行していきたいと思っておるのであります。先ほど申し上げましたように国鉄財政確立に関する委員会を早期につくりまして、第三者の意見を大きく出していただきまして、その御意見を参考にしながら御趣旨に沿うように政策を進めてまいりたいと内心考えております。
  241. 神門至馬夫

    ○神門分科員 私の言っているのも、新線を建設するなとかどうとかいうようなことでなしに、いわゆる独算ということが非常に問題になっている。そういうのと無関係に、いまの政治家発言というものは非常に慎重を期さなければならぬというふうに大臣がおっしゃっていることと、これが融合しないわけです。なじまないわけです。そこに問題があるので、私らが考えるのは、新線を開発することが必ずしも採算に合わないとしても、それを経営的に助成する政治的措置がとられるならば、これは問題はないと思うのです。またそうすることが、日本国有鉄道がこれまで歩んできた歴史上正しいのではないか。この問題については私はこういうふうに考えておるわけです。ですから、そういう新線建設はやめろとか、あるいは赤字線はどうするとかいうことよりか、それがいまどんどん進められておるということになれば、その背景として、なるべく早くきちっとしたものにされるべきである。こういうふうに意見を申し上げておるわけです。  先ほどお尋ねして、途中から大臣が答弁をかわされたのだが、鉄道建設審議会そのものの構成なり、あるいは小委員会の構成が災いを起こしている。それに対してどうこうしたいとか、それは全く正しいとか正しくないとか、こういうふうな点についての回答がなかったと思うのです。御回答願いたいと思います。
  242. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 鉄道建設審議会の構成やあるいは小委員会の構成については、私はこれをコメントすることは差し控えたいと思います。国会の意思としてああいう構成ができておると私らは思いますので、それは尊重すべきであると考えております。
  243. 神門至馬夫

    ○神門分科員 重ねて申し上げますが、大臣自身として、先ほど申しました建設公団なり審議会なりの関係がいまいろいろ社会問題化しているような時期に、どうしたいということでなしに、そういう審議会等を中心としてこうあるべきだというようなものを何かお持ちでございますか。
  244. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはり議会政治でありますから、自民党、社会党、民社党、公明党各党内部において公正な議論が支配して、公正な結論が国会から出るように、私は希望しております。
  245. 神門至馬夫

    ○神門分科員 その場合、国鉄総裁はほとんど出たこともないというような——私がいつか運輸委員会で質問したときに総裁が出て、経営責任者として十分意向が反映するような仕組みになっているのだ、こういうことなんですが、先ほど実態論的なお話があったのだが、これが必ずしもそうではない。それはいろいろの配慮が重なり合って、むしろ鉄道建設審議会そのものが政治路線的なものを建設するという方向に進んでおる。こういうような点についてのみ焦点を当てた場合に、これはどうかしなくちゃならぬ、経営者である日本国有鉄道の意思をもう少し強く反映する方向を考えなくてはならぬということを当然お考えになっておると思うのだが、この辺のお考えはどうですか。
  246. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げたとおりであります。国鉄総裁は大人物でありますから、自分の分限や、あるいはいろいな影響もお考えになって進退なすっているだろうと思いまして、私も全幅の信頼をおいている次第であります。
  247. 神門至馬夫

    ○神門分科員 それでは、えらいしり切れトンボになりますが、時間がきたようですから……。
  248. 湊徹郎

    ○湊主査代理 次に内藤良平君。
  249. 内藤良平

    内藤(良)分科員 私は主として国鉄の財政問題にしぼっていろいろお尋ねしたいと思っております。その前に、大臣がおられますので、ひとつだけお伺いしますが、四十三年度の予算のあれを見ますと、重点事項の中に地域格差の解消あるいは地域格差の是正ということばがないのです。全然ないのですね。私は秋田の出身ですから、いなか者でありますけれども、今日の日本の政治経済の中で、地域格差の是正ということが、まだまだ政治の課題から抜くことはできないんじゃないか、こう思っております。この点につきまして運輸大臣に、ひとついかにお考えですか、一言……。
  250. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地域格差の是正というのは、たしか私はあったと思います。あるいは自民党の予算編成方針にあったのかもしれません。かりに文章の上でないといたしましても、予算編成の内容におきましては、そういう点は多分に考慮されていると思います。
  251. 内藤良平

    内藤(良)分科員 大臣、私が言いたいのは、運輸の行政の中で、政府予算説明書にありませんけれども、大臣として地域格差の問題につきましては、解消あるいは是正のためには特段の配慮をいただきたい、こういうことを伺いたいわけなんですけれども、一言御答弁いただきたい。
  252. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点につきましては同感でございます。
  253. 内藤良平

    内藤(良)分科員 それではその点はありがとうございました。  次に国鉄の財政問題。これはなかなかたいへんなことで、群盲探象ということがございますけれども、なかなかどこかちょっとつかめぬわけです。時間も限られておりますけれども、日本国有鉄道監査委員会で出しました昭和四十一年度の監査報告書、これはなかなかよい、りっぱな結論を出しておる。私も拝見いたしておりまするが、これに従って少しお伺いしたい。百十四ページに「財政の健全化」、これからいろいろ説いておられます。適切な御意見が述べられております。これを全部やりますとたいへんな時間でございますから、私百十九ページにしぼって、ここにこういうことが書いてございます。監査委員会としてはいろいろ述べていますが、「現在および将来における国鉄の財政状態にかんがみ、政府出資、利子負担の軽減、非採算線に対する措置、過度の公共負担の是正または補償等、各種の財政的措置ならびにこれを実現するために必要な法制的措置を、国において、すみやかにかつ具体的に講ずることを要望する。」こう書いてございます。「なお、財政的措置の内容としては、次のような事項があると考えられるが、いずれも一時的な対策とは思われないので、これが実施にあたっては、それぞれの目的、必要性、計算区分等を明確にすることが必要である。」こう述べまして、ア、イ、ウ、エオ、カ、キ、までで「政府出資」、「利子負担軽減措置」、「借入金等返還の延期」、「非採算線に対する措置」、「過度の公共負担の是正または補償」、「市町村納付金の減免」、「高架化費用分担の是正」、こういうぐあいに述べております。「以上のような国の財政的措置とともに、国鉄の内部企業努力により、長期財政の安定をはかり、もって国民のひとしく要請する国鉄の国家的輸送使命を達成し、将来、産業経済の発展に」云々というぐあいに書いてあるわけであります。そこで私は、この四十三年度の予算の編成にあたりまして、監査委員会で出しておるこの財政の健全化、いま私の読み上げましたこの内容、これは非常に客観的にも位置づけられるところのりっぱなものだと思っております。一つの結論じゃないかと思うわけでございます。これに対して国、すなわち運輸大臣、国鉄の内部、総裁以下皆さん、どういうぐあいにこの予算編成の中で努力をなさったか、こういう点です。時間もありますから、ア、イ、ウ、エ、オ、カ、キまでここに七項目あるわけでございますが、これを簡単でよろしゅうございますから、それぞれ国ではこうやった、しかし、こうなった、国鉄ではこうやったけれどもこうなった、こういうぐあいに、簡明でよろしゅうございますから御答弁願いたい。
  254. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず「政府出資」でありますが、これは大いに実は努力したのであります。しかし政府出資は遺憾ながら今度は取れませんでした。それから「利子負担軽減措置」は、今度は五十四億円の利子補給のお金を取りまして、これはある程度実現したと思います。「借入金等返還の延期」、これは国鉄内部の問題でありますから、総裁からお答え願いたいと思います。「非採算線に対する措置」、これは、着工の時期とかそういう問題において、事実上私がある程度あんばいをしておるのであります。これはあまり公にすると影響が大きいものですから申しませんが、事実上の行政措置においてやっておるのであります。大体地方開発線、地方幹線に対する予算は、昨年に比べてそうふえてはおらないのであります。それから「過度の公共負担の是正または補償」、この点はある意味において定期券の値上げというのは公共負担の是正の中にも入っておるのであります。しかしこれだけでは不十分でありまして、もっと大きなプランで、国鉄の再建の問題とからんで私たちは考えていきたいと思っております。「市町村納付金の減免」、これは大いに努力をいたしましたが、ついに百二十八億円の納付金は減免できませんでした。ただ、最終の閣議におきまして、ことしは存続するが、四十三年度じゅうに検討する、そういうところまでこぎつけまして、これは大方の世論のバックを得まして、来年度は曲がりなりにも実現していくように努力したいと思います。「高架化費用分担の是正」、これは私よくわかりませんから、関係者に答弁していただきます。
  255. 石田禮助

    ○石田説明員 私から大臣の申されたことについて補足申し上げます。  さっき、国鉄の内部企業努力ということを申されましたが、これは国鉄としても非常に努力している点でございます。ということは、結局内部の企業努力ということは、いわゆる積極的な合理化と消極的な合理化、こういうことであります。積極的な合理化ということは、つまり収入をふやす、投資効果を上げるということでございます。これについては私が監査委員長の時代からだいぶやかましく言いまして、最近における国鉄職員の企業努力は私は相当なものだと思います。それから消極的な合理化でありますが、御承知のとおり国鉄のいまの経費というものは、一年に一割以上上がっております。これは三十九年以来大部分というものが人件費の増によるものであります。これがどうも実に痛い。要するに収入というものはトラックその他との競争によりまして、なかなか思うようにふえぬ。ふえるにはふえるが、その度合いというものが低い、経費というものはえらい勢いでふえていく、これをどうするかということでありまして、今度の合理化なんていうのもつまりその一端でありまして、国鉄が独立採算を維持していくという上からいけば、つまり職員に労働量の負担をふやすとか、あるいは輸送の安全を犠牲にするということは絶対にしないで、その間に近代化、機械化によって合理化してやるということで、これはもう国鉄に対する至上命令です。国鉄が生きんがためには、あるいは発展せんがためには、これ以外に手はないということで、一生懸命になってやっておるのであります。高架費用の分担につきましては、いまだいぶ進んでおります。それで、近き将来において円満な分担方法がきまるということに考えております。
  256. 内藤良平

    内藤(良)分科員 いろいろ御努力をなさっておるという御答弁でありますけれども、ことしの予算を見ましても、また貸借対照表を見ましても、四十三年度のこれは予定でございますけれども、繰り越しの欠損金は約三千億、二千九百十二億円余りあるわけです。   〔湊主査代理退席、主査着席〕 たいへんな赤字であります。こんなことを申して恐縮でありますけれども、もしこれが私企業であったならば、中小企業じゃありませんけれども、相当ひどい状態だということで、倒産まで至るかどうか、それはわかりませんけれども、相当ひどい状態になっておることは確かだと思います。ただ、ここで私、大臣に言いたいのは、いま国鉄の赤字問題、財政問題等にからんで、企業内努力ということで、職員の皆さん、労働組合ともいろいろ話し合いをしておる。しかし話し合いがなかなか進まないでトラブルを起こしておる。いろいろな面で国民の皆さんにも影響を与えておるわけであります。これも企業内努力の一つであろうと思います。しかし、これはあまりことばが過ぎるかもしれませんけれども、こういう状態、今日の赤字の状態ですよ。財政状態というものは、民間企業の場合には、相当の責任的な問題じゃないかと思う。理事者側、経営者側の責任を追及されるような場が出てくるような内容を持っているのじゃないかと思う。ところが、残念といいますか、わが国鉄に関しましては、そういう場があるのかないのか、私もよくわかりませんけれども、国会で私たちのような議員が発言する場、あるいは大臣が監督する立場からお話をされる場合とかいうことで、国民の皆さんから、いろいろ端的な発言をして、御批判をする機会も場所もなかなかないようであります。なぜかといいますと、この間南海電鉄の問題がありました。あれは事故の問題でありました。私は、中曽根大臣が、就任早々非常にりっぱだと思っておりますけれども、期せずして一つの行政的な措置をとられた。やはり引き締まるものがあったと私は思います。そういうことが、運輸省と国鉄の関係の中におきましてもあっていいのじゃないか。国鉄の財政の問題は、これはいまの問題じゃありません。おそらく現総裁が監査委員長をやられた時代から、そのような内容が徐々にあらわれてきつつあったのではないでしょうか。私の調べでは、三十九年ごろから、経費が、いままでと違っていろいろ上昇し、多くかかっております。四十一年ごろから赤字になってきておるわけであります。こういう点につきまして、時間もないのですけれども、大臣から国鉄の皆さんへ、指導、監督の立場で率直に御発言をしておるものかどうか。
  257. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国鉄財政の確立という問題は、政治的にも大きくクローズアップしなければならない段階にきたと思います。そういう意味におきまして、先般物価安定推進会議がああいうものを取り上げてくれたことは、非常にありがたいと思っておりますし、それよりも先に、運輸省自体といたしましても、財政確立の委員会をつくって、第三者の声を大きく入れて、その対策を練ろうとしておるのであります。ここに監査委員会のレポートがありますが、これらもなかなかりっぱなことが書いてありますが、これはどうも政府におぶさっておることが非常に多いように思います。しかし私の私見でありますが、考えようによっては、国鉄は国有鉄道なるがゆえにだいぶ縛られておることも多いので、営利的なこともあまりできない。この間私は九州に行ってみましたが、福岡−小倉間において、もしあれが私鉄が経営しておったなら、相当あの沿線の開発が行なわれておっただろうと思うのです。国鉄なるがゆえに営利事業ができないから、ぺんぺん草がこの間まではえていたという情勢があるだろうと思うのです。そういう意味において国鉄経営自体で縛られておるところを多少離してやって、自分でやれるところも相当やらしてみたらどうかという気も若干しておるのです。それだけの能力は国鉄にあると私は思うのです。それをどの限度にやったらいいか、あるいは鉄道債券の問題なんかも、いま関係者が負担しておるのですが、たとえば国鉄にいろいろ関係しているそういう部門をもっと活用したらどうか。たとえば電話債券なんか、電話を引く人がみな買わされていますね。極端にいえば、定期券を引き下げられている通勤の会社なんかは、債券引き受けてもらったらどうか。会社にはおこられるかもしれないけれども、そういういろいろなことを考えていいと思うのです。国鉄は国家のため、社会のためにやっておるのですから、恩恵を受けている人は、もっと負担してもらう部面も大事だと私は思うのです。そういうこととかそれから国家自体がまためんどう見なければいかぬ。国鉄の内部においても合理化してもらわなくちゃならぬ。そういうあの手この手を考えて、この程度のレベルでない、もっと非常に社会性を持った考え方を、ひとつ確立をしてもらって、それを実行していくように追い込んでいきたい、そう考えております。
  258. 石田禮助

    ○石田説明員 ただいま内藤さんの言われたこと、私としてはこれは十分弁明せなければいかぬ。私はエクスキューズ言うんじゃない。弁明する。要するに国鉄の今日のような状態になった原因は、最近の状態からいえば、四十年から始めて第三次計画を実行する、それがために運賃の値上げをするということで、それは四十年から実行するというのが、国の物価問題の関係からして一年延ばされた。それがために千三百億円つまり収入減を来たした。それからして、かりに四十二年度においては三千億マイナスになったとしても差し引きずるところ千八百億。さらに一体国鉄はどうして今日のような状態になったかということについては、これは十分説明しなければならぬことは、つまりさっき申されたことで私が反駁したいのは、要するに政府が国鉄におんぶしてきたということなんです。つまり公共負担なんというものは、政府の政策を国鉄の犠牲においてやってきたのだ、それが二十四年から四十二年まで一兆二百億ある。さらに国鉄はつまり公業企業体であることのために、終戦後あのインフレーション時代に起こるものは何かというと、物価の問題である。物価の問題となるといつも問題になるのは運賃の問題。国鉄はインフレーションのために経費というものはえらい勢いでふえていく。ところが運賃の値上げを要求するとこれはもういかぬということでもって、無理に運賃を非常に押えつけられておったのだ。そういうことで国鉄の自己資金なんて出やせぬ。そういうことでもって国鉄収入が減ったところに持ってきて、いわゆる公共負担、それがいままでに一兆円をこえる。そうして納付金、こんなものは国が払うべきものですよ。それを国鉄に押しつけてきた。それが今日千億ある。それから赤字線だ。これも公共企業体なるがゆえに国鉄というものが政府の命ずるままに涙をのんで忍んでやってきた。こういうようなことが国鉄の路線というものの拡大ができなかったということだ。何やかやで、結局いま言ったように、すべて政府というものに何ら愛の精神がない。運賃を押えつけて、そうしてめしもろくに食わせないで、やせこけた国鉄におんぶしてきたのは政府です。この点をあなた方は考えてくれなければ困る。今日のような通勤地獄にしましても、過密ダイヤにしましても、帰するところは終戦後における政府というものがおんぶしてきた結果なんだ。こういうことをどうぞひとつ御了解くださるようにお願いしたい。
  259. 内藤良平

    内藤(良)分科員 私はそれはわかるのです。ぼくも昭和二十四年まで鉄道におったのですから。だから鉄道のことはほかの方より知っているのです。ただ、いまの国鉄はなぜそういう状態をもっと対政府なり対国民なりに訴えないか。なぜ運動しないのか。私はそれは真剣味が足りないと言うのですよ。私の感じではそうです。これは、職員の問題でも一言私は言いたいのですが、私は昭和二十四年に十万人首切りの定員法で首切られた一人であります。それ以来国鉄の職員はふえてないのです。これははっきり統計にも出ておるでしょう。二十年近く国鉄職員は、この倍増する輸送力の中で、いま総裁のおっしゃる物価の問題の中で、運賃は上げない中で、内部のやりくりやりくりで、働いて働いて、そうして一生懸命やってきている。全然ふやさないですからね。こういう努力、たいへんな努力ですよ。そういう中で、いまの国鉄の財政云々ということで合理化だとか五万人首切りだ、配転だ、二人乗務を一人にするとか、ある意味では安全度をおかすようなことをする気持ちで職員に強くかかっていっている。しかも二十年間一生懸命にやってきている連中にですよ。私の言いたいのは、それだけの精力、迫力があったなら、なぜ対政府、対国民にいま総裁のおっしゃったようなことを訴える方面に精力を回してがんばらないのかというのですよ。なぜ純朴なるわが国鉄の職員をいじめておるかということなんです。弱い者いじめですよ。ねえ総裁、私はそれは権力を持っておるものと持たないものの——あなたは身をもって感じておらぬかもしらぬが、私のように国鉄職員ということできたものから見れば、しかも、首切られて二十年になりますが、切られたり配転にされたり職場が変わるというみじめな思いをした男は、これはなかなか深刻なものであります。総裁はそういう時期があったかどうか知りません。高級官僚の皆さんはなかなかそういう機会はないでしょう。職員に合理化の名のもとに押しつけるよりも、中曽根大臣も非常に理解があるわけでありますから、大臣と一緒になりまして、対外的に、対政府的にがんばられるならば、監査委員会で書いておりますようなことが実現されるならば、それこそ国鉄は愛される国民の国鉄として、将来は洋々たるものがあるのじゃないか、こう思うのでありますが、その点いかがでございますか。
  260. 石田禮助

    ○石田説明員 内藤さんは私がいままでやってきたことについて十分御理解がないと思うのです。ということは、対政府関係からいえば、政府に対して私ほど強く言った人間はございませんよ。いままでは全くイエスサー、イエスサーでやってきた。それが今日まで大きなからだをしておる政府が国鉄におんぶしてきたゆえんなんですよ。  それから今度の合理化につきまして内藤さんは国鉄の職員をいじめると言った。誤解これよりはなはだしきはない。決して職員をいじめるのではないですよ。これがために職員の労働量はふえるわけでもない。危険がふえるわけでもない。全く人力を機械化する。またやり方をかえる。またほかへ出すというようなことで、職員をいじめるなんていうことを私に言うのは絶対に間違っておる。決して職員をいじめるようなことはしません。また、輸送の安全を犠牲にするということは絶対にございません。その点を誤解のないように……。
  261. 内藤良平

    内藤(良)分科員 国鉄の企業内努力をやっておる、こういう明言でございますから、私は一つの証拠を出します。これは監査委員会のこの中にも書いてありますが、監査委員会の委員長の岡野さんから、昭和四十一年十月二十日に時の運輸大臣の藤枝さんに対して「国鉄に対する市町村納付金の減免について」こういう書面が出ておる。これが、四十三年の今度の予算の編成にあたっても、一年有余の時間をかけても実現できなかったということはどういうことですか。国鉄の総裁のおっしゃる努力が何もあらわれておらぬじゃないですか、こういう問題につきまして。
  262. 石田禮助

    ○石田説明員 内藤さんに申し上げますが、私はいかに努力しても私には決定権はないのです。相当に努力しましたよ。この点については自民党あたりの幹事長なり何なりにお聞きくだされば十分におわかりになることだと思う。この市町村納付金は絶対にいかぬといかにファイトしたか。あなたは実情を知ればそういういまのような御発言はないと私は考えます。
  263. 松浦周太郎

    松浦主査 あと二分ですから、結論に入ってください。
  264. 内藤良平

    内藤(良)分科員 それで総裁の御努力は、やはり客観的にそういうものが国民なりにわかるようなことにしていただきたい。われわれ国会議員でもまだ私のような者にはよくわからない。もっとも新米ですからあれですけれども。そういう意味でやはり公共企業体としての国鉄でございますから、言いかえると、今日の日本の国民に国鉄の現状を理解していただきまして、その力で国鉄が大きく発展して、国民のために、国家のために寄与する、こういうことでなければならぬ、こう思うのです。ところが、そういう意味では総裁のおっしゃるようなぐあいに必ずしも十二分にいってないのではないでしょうか。総裁もお忙しい中でありますから、なかなかできないと思いますが、もしそういう点を強調されるならば、今後国鉄の各分野、いろいろなスタッフもまたおられるわけでしょうから、これを大いにやっていただきたいと思う次第でございます。私も市町村の納付金問題につきましてはやはり非常に矛盾した問題だと思っております。私の住んでおりました秋田県などは鉄道の複線、電化のためにはあらゆる努力を惜しまない。利用債なんかは言うたとおり何十億も出す、こういうような気持ちでありますから、こういうお金、納付金なんかもらいたいというけちな考えでおりません。国鉄で複線、電化を羽越線や奥羽線でやるならば、地元も全力をあげて利用債なんかを負担しよう、こういう気持ちがあるのです。そういう現実も総裁よくおわかり願いまして、地域格差の問題を冒頭に申し上げましたけれども、この是正のためにはやはり国鉄としましても大きな使命があろうと思われますので、どうかそういう点なども十分におわかり願いまして、この減免問題に取り組んでいただくならば私はもっと解決が早かったのではないか、こういうことも言いたいわけであります。  時間もなくなってまいりましたが、財政の問題を一つのあれにしまして合理化問題もちょっとお話しましたけれども、総裁の気持ちは十分に理解いたしました。しかし、財政の問題など前途多端と思いますが、国民の皆さんに率直に訴えて、ひとつ打開していただきますように最後に要望いたしまして終わります。
  265. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて内藤君の質疑は終了いたしました。次は、玉置一徳君。
  266. 玉置一徳

    玉置分科員 国鉄についていろいろお尋ねをしたいと思ったのですが、承りますれば、ずいぶんたくさんの方々から御質問があったように承りますが、私は世界の情勢から見れば、ともすれば国鉄という輸送機関は斜陽の機関であるというように言われておりましたが、新幹線その他の利用度並びに人口の都市集中によります通勤緩和のための努力については、国鉄の当局に敬意を表するものであります。しかしながら国鉄の経営の赤字、悪化というものは、皆さんから御指摘があったと思いますが、ゆるがせにできないことでありまして、このままでは全く利子の支払いに追われるのではないかという懸念すらあるわけです。そこで具体的な問題で一、二、総裁並びに大臣にお伺いを申し上げたいと思います。  国鉄の経営の抜本的な解決策でありますが、四十三年度の資金概計表を見ますと、借り入れ金の残高は約二兆円、その利子支払いだけで千三百二十六億円本年は計上されております。資本勘定への繰り入れはわずかに六百五十五億円でございますので、今年度の減価償却相当分千六百億円といたしますれば、国鉄のことしの実質赤字は約千億円もしくは千百億円と見込まれるわけです。ここまで経営が悪化した原因はいろいろ検討されたと思いますが、そこで私はお伺いをいたしたい。  自己資本ともいうべき損益勘定への受け入れはわずかに五千百六十八億円中の一割台の六百五十五億円であります。その他の九割近くは財政投融資二千六百四十億、利用債、縁故債六百億、政府保証のない特別債千二百三十億、これはみんな借り入れ金でありますが、しかも財政投融資を除きますれば、いずれも利子七分以上、期間は七年間程度のものであります。  そこで、比較にはなり得ないと思いますけれども、御承知の石炭産業におきましては、政府は約八〇%の補給金をもちまして、現在、不良廃山の買い上げを実施しております。なおその上、四十二年度は借り入れ金二千五百億円のうち短期資金を除きまして千六百億円、そのうちの千億円を政府で肩がわりをいたしております。市中からの金融分は利子を五%、政府機関からは六・五%、これをたな上げいたしまして、十年間に均等償還をしておる。そうして政府がこれの利子補給を十年間にわたって全部しよう、こういうことです。片や造船のほうを見てみましょう。昭和三十八年まで十八次造船からの借り入れ金を開銀の分をたな上げいたしまして、二十年間均等返済といたしました。そうして六分五厘の利子を四分にして、その間の利子補給政府がしております。三十八年からの分は政府利子補給をいたしまして、政府機関の開銀が六分五厘を四分に、市中銀行の分は六分を四分にしておるわけです。私は、石炭産業並びに船舶の拡張が世界中の諸国に比してぜひとも必要であることに賛成するにやぶさかではございませんが、私企業におきましても、外国との競争率を維持するためにこれだけのことを政府が手当てをしておることは事実であります。しかるに、ただいま申しました二兆円になんなんとする国鉄の借金、しかもそれは約半分の財政投融資を除きましては、実に七分三厘、七年間あるいは七分、七年間というような短期、高利の借金であります。こういうことをいつまでも続けておったんでは、利子支払いで千三百億円も毎年要るような、あるいはそれを幾らでも積み重ねていくのではないか。こういう点から考えれば、市町村納付金の百二十八億というようなものは、この手当てのいかんによっては、そこまで市町村に国鉄が恨まれる必要もないのではないか、あるいはまたいろいろな定期代その他はどのくらいが相当であるかということは、一応これはこれの一つの理論もありますし是正しなければならぬかと思いますけれども、こういう手を打つべきものをほとんどほっておいて、そうして定期客にのみ持ってこようと思うところに今年の計画の問題がある、こういうように私は思います。先ほども議員からの御質疑がございましたとおり、物価安定推進会議ですかからあんなことを言われぬでも、当然大臣は断固としてこの国鉄の経営の健全化のために手を打つべきであり、国鉄総裁はそのことを国会で堂堂とおっしゃるべきだ、かように思うのですが、決意のほどを承りたいと思います。
  267. 石田禮助

    ○石田説明員 国鉄のいまの赤字、借金は、四十三年度の末においては二兆をこえるということで、これがための利息というものも千四百億近くなる。いわく何々、いわく何々で、実はこれを言うと国鉄の状態はおそろしいような状態になりますが、私はこの借金がかりに二兆になろうが三兆になろうが、これによってやる投資というものがりっぱな投資であるなら何をかいわんや、ちっとも悲観する必要はないと思うのですが、御承知のとおり、この国鉄というものは今日まで非常な公共負担というえらい荷物をしょってきた。これはさっきも私が申し上げたとおりである。そのほかに納付金でもって千億円を出すというようなことで、そういうようなことが今日の国鉄というものを非常な苦しい立場に立たしてきた。これが今日のつまり通勤、交通地獄ですよ。また過密ダイヤである。これは池田さんが総理大臣であった時分に私はよく話しまして、国鉄の事業というものについて根本的にひとつ研究してもらわなければならぬということで、内閣による国鉄基本問題懇談会というものをつくってもらいまして、そこで国鉄の事業を検討していただいた結果、その結論は、つまり今日の国鉄の状態というものは、政府が政策を国鉄の犠牲においてやったということが非常な理由をなしておる、これは是正しなければならぬ。それからまた国鉄のいわゆる工事費や何かにしても、相当に政府のための工事費、もう損益というものを無視して、全く公益というもののためにやったということが非常に多い。結論から言えば、この公共負担というものの是正をやらなければいかぬ。そうして政府は思い切って出資をしなければいかぬ。こういうようなことでもって国鉄に対しては、この経営の合理化というものに対しては大いにやらなければならぬということを申しておりますが、同時に政府に対して国鉄におんぶするのはやめたらいいだろう、こういうことを申しておるのでありまして、この点について政府が是正してくれさえしたら国鉄の状態というものは全く一変するのじゃないか。この点につきましては、私としては総裁になってから以後、ずいぶん思い切ってあらゆる機会において強硬に政府に対して要望なり政府の政策というものを批判しておるのでありまして、どうも私は心臓が弱いほうじゃないが、これ以上にやるということはちょっとむずかしいと存じます。しかし今後とも、幸いに中曽根さんのような強い運輸大臣がおらっしゃるので、この中曽根さんの御援助を得て、相ともにこの問題を解決したい、こういうふうに考えております。
  268. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国鉄につきましては非常に公共的な業務をしょわされておって、その中で安い運賃で非常な御苦労を願っておると思います。それで現在の段階まで来ますと、このまま放置してはもう許せない状態になってきたと思います。そのために運輸省としましても、省内に財政確立の委員会を設け、また物価安定推進国民会議等からも勧告がありましたので、いろいろ基本的条件をわれわれの側としても洗い直してみて、少し構想を大きくして再建策を立ててみたいと思っております。
  269. 玉置一徳

    玉置分科員 答弁ももう少し突っ込んでみたいと思いますが、時間がございませんので、次のことをお伺いしたいと思うのですが、総裁からいま出資の問題がございました。現在、御承知のとおり百八つの公社、公団ができました。それを整理統合を考えておるのが現状であります。その百八つにふえましたものは、それぞれ政府出資金を年々増加いたしまして、たとえば市中銀行から借ります六分五厘の金融に、住宅公団では政府出資を増加することによりまして四分の利子になるようにして計算ができるようにいたしているわけであります。家賃の低下をはかっておるわけです。その他も大体似たり寄ったりと思います。しかるに国鉄におきましては五十億円——今回は違った意味の出資金はございましたが、そのままで据え置かれておるということでは、私はもう一度見直していただきたい。  その次に、四十三年度で九百三十億円の通勤輸送があります。これは都市集中の緩和でありますので、こういうようなものには幾ぶんの公共負担的な要素が含まれておる、こういう点も今後ひとつ十分に検討いただきたい。  なお、割引運賃率でありますが、時間がありませんからお伺いいたしませんけれども、各種の割引運賃率は、たとえば文部省所管の、学校に牛乳を給食いたしておりまして、農林省のほうへ移しかえておるというような点を考えれば、幾多そういった他省所管に振りかえられる分もあるのではないだろうか、かように考えます。  ついでに、鉄道の問題を一緒にやっておきますと、たくさんの方々がこれも御質問がありましたから遠慮いたしますが、こうやって一生懸命に赤字路線を廃止——ということは語弊がございますが、他の輸送機関にかわらしてまで合理化におつとめになっております。あるいは先ほどの御質問にありましたように、国鉄運転士二人を一人制にしておる、その努力は努力といたしまして、片一方では、鉄道建設線の四、五十のうち、過半はA・B線であることも御承知のとおりであります。せっかく努力されておりまして、償却そのものは鉄建が国の補助金で持つのだといいながら、運営の赤字そのものは国鉄が持たざるを得ないわけであります。こういうようなことでは論理が一貫せぬ。しかも働いていただいておる国鉄の職員諸君に総裁はいかに言われても、画竜点睛を欠くと私は思います。こういう点どういうようにお考えになりますか。  なお、もう少し大臣にお聞きしたいのでありますが、鉄道の予定線、調査線、工事着工線はいずれもずっと昔から継承されております。ここに私は一覧表を持っておるわけであります。当時から考えますと、交通機関がずいぶん変わってきておることも事実でありますし、地方開発線と称する近距離輸送の分は、むしろ自動車輸送にほとんどたよりつつあることも御承知のとおりであります。せっかく今度物価安定推進会議からも要求があったようなこういう機会に、もう一度見直されるときに、着工線をとめるということはできないだろうけれども、今後厳にこれをやっていく方法をお考えいただきたいし、在来の三百幾つの予定線の分も一度考え直していいんじゃないか、こういうように思いますが、国鉄総裁並びに大臣の御所見を承っておきます。
  270. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御趣旨に沿うようにできるだけ検討してみたいと思います。
  271. 石田禮助

    ○石田説明員 国鉄に対する政府の出資につきましては、さっき申しましたように、懇談会あたりでも強くうたっておりますことなんで、ことにいま通勤輸送の増強について大きな金を使っておる、これはとても収支償わぬということで政府に出資を要求したのでありますが、大蔵省はいろいろの理由でどうしても承知してくださらぬ。ただし、利子の補給につきましては、さっきお話がありましたように、国鉄ではずいぶん高い金を使っておる、こういう高い金をもってしてはとても鉄道輸送鉄道建設ができるものじゃない、こういうことで、この点は大蔵省も最近だいぶ国鉄の事情を了解してくださいまして、四十三年度からはまず五十四億円の利子補給というようなことに踏み切ってくださったのでございまして、さらにこの点については今後ますます私は大蔵省もふやしてくれるんじゃないかということに期待しております。  それから建設公団のやっておる新線でありまするが、これは鉄道審議会あたりで高い理想のもとにつくられておるのでありますので、これは国鉄としては規則によってでき上がった場合には、われわれはできるだけ経済的にひとつ経営していくということでありまするが、それでもなおかつ私は相当のマイナスが出るのじゃないかと思いますが、この点につきましては、すでに現在持っておる赤字線について何とかしなければならぬというような空気が濃厚になりつつある現状を見ましても、新線建設の公団のつくりました線の経営による損については、政府というものは当然国鉄に対して見てくれるのじゃないか、こういうことに考えておるわけであります。
  272. 玉置一徳

    玉置分科員 最後に、時間がございませんので、一括御質問を申し上げましてお答えをいただきたいと思います。  航空行政でございますが、先般新聞紙上で一時国外は日本航空、国内は日航と日空だというような整理統合を目途としておやりになるように聞いておりましたが、それが新聞で大臣がおかわりになったらまた変わったのじゃないかと思うような印象を与えた発表が一回あったと思うのです。こういう点で重ねて、どういうようにわが国の民間航空を飛躍的に発展さすようなお気持ちであるかどうかが第一点。  それから第二点といたしまして、機種がどんどん更新されます。したがって、乗員養成というものは至難なわざだと思います。これにつきましてどういう手をお打ちになっておるか。  第三番目に近くジャンボジェット、SST、コンコード等の超大型機が就航することになります。各受け入れ態勢をどういうようにお考えになっておるか。  四つ目は観光行政で、近年の収支が渡航のほうが多くて赤字が出ておるように承っております。相願わくば観光日本としてドルをかせぎたいのでありますが、これにつきまして改善策はどうされておるか。これを大臣並びに当局からお伺いすると同時に、最後に、国鉄総裁に御所見を承っておきますが、国鉄の抜本的解決を経営健全化のためにおやりになるときに、国会にどういうことを御希望されるか、最後に一言お伺いしておきたい、かように思います。
  273. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず航空問題でありますが、国内航空の体系については、航空審議会の答申をそのまま実行していくつもりでありまして、変更はございません。  第二に、乗員養成の問題でありますが、これは飛行機の安全問題ともからんで、優秀な乗務員を多量に養成するということは非常に大事であります。特に国際線において、ナショナルキャリアと申しますか、日本人の塔乗員、機長等を養成することは非常に大事であると思いまして、この点に重点を入れたいと思います。  なお、目下のところ、小笠原が返ってきた場合には、硫黄島をできたら訓練飛行場に使いたい、われわれはそういう希望を持っております。  第三に、超大型機の飛来に対する対策でありますが、ジャンボジェット機は羽田で収容できます。SSTになると無理であると思います。そういう意味で羽田の受け入れ施設、スポット等を整備しまして、ジャンボが入りましても、大量の旅客の受け入れに支障のないように努力をし、いま改革を実行しております。  観光につきましては、これだけの資源のある日本観光が赤字であるということは、まことに申しわけない次第でありまして、まず観光行政の一元化ということが大事であると思いまして、行政管理庁長官ともいろいろ話しておりまして、今度の行政改革とでき得べくんば同時に、観光行政の一元化も実行するように、いまいろんな対策を講じております。それと同時に、外客の誘致につきまして、思い切った措置を講じたいと思います。外客の誘致については、海外に対する宣伝、これはオリエントといってアジア一体になってやる必要もあるでありましようし、それから外国からお客を日本に導入したネットのドル収入に対しては、減税、免税等の措置もある程度強化する必要があるだろうし、そのほか諸般の措置を講じまして、観光問題について処理していきたいと思っております。
  274. 石田禮助

    ○石田説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。  国鉄が根本の策を立てました場合には、政府としては、国鉄は公共企業体ではあるが、独立採算制のもとに経営しておるんだということを十分お認めの上で、そうして国鉄が能率的に経営している以上は、これまでのような不必要な荷物は背負わせないでくれ、こういうことを私は希望したいと思います。
  275. 玉置一徳

    玉置分科員 最後に、時間がありましたので、大臣にもう一言お伺いしておきたいのですが、私鉄経営、あるいは私企業の運輸行政に対しまして、運輸省指導する必要性とその限界、非常にむずかしいことになると思いますが、これが一つ。それから陸運汚職その他の綱紀刷新をどういうふうにされるか、この二点をお伺いして終わります。
  276. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私鉄の問題につきましては、公共性、公益性を害する危険が出てきた場合には、できるだけ行政指導によりましてそういう事態を回避あるいは解消するためにいろいろ措置をしたいと思っております。  福島交通の場合は、公共性、公益性に非常に害が出てくるおそれが十分ありましたから、かなり強い指導をやりまして、内部の刷新を行ないました。南海の問題も三回目の事故でありまして、ある程度の行政指導をする必要を私らは感じておりましたが、やはり南海のような場合は、事故を再び起こさせないということが重点であって、その経過期、過渡期において、ごたごたの間に事故を起こすということをわれわれは一番おそれたのであります。したがいまして、できるだけ早期に安全措置を講じて、業態が安定したら首脳部は責任をとるのが適当であろう、そういう考え方で私は個人的にも首脳部とも話しまして、そうしてくれるものと確信しております。
  277. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて玉置君の質問は終わります。  次は千葉佳男君。
  278. 千葉佳男

    千葉(佳)分科員 私は三点、第一番目は私鉄関係でありますが、宮城県を走っておる宮城バスの登米線というのが今度廃止になりました。その問題と、それから新幹線の整備網に関する東北新幹線の問題と、それから第三番目に、長年懸案になっております仙台の駅前の広場計画、この三点について御質問いたしたいと思います。  まず最初に、これは一地方の非常に小さい私鉄の二十八キロのわずかな線路の廃止でありますけれども、非常にあざやかな対照を示しておるので、地方民としては非常に不可解な感情にとらわれております。といいますのは、おそらく今度三陸鉄道の基点になる前谷地−柳津間が盛んに建設を進められておりまして、おそらくはことしの十月一日に開業になるのじゃないかというふうに地元では非常に期待しておるわけですけれども、同じ郡内を走る登米線というのが、柳津からあれしますと約五キロくらいのところから始まっておる二十八キロの非常に短い線ですが、それが廃止になる。同じ郡内で一つは開業、一つは廃止、こういうふうなことになっておりますので、そういう点で地元民としては運輸政策上これはどのようなものだろうという気持ちを持っておるようであります。この点運輸省としてはどのようなお考えであるか。
  279. 増川遼三

    ○増川政府委員 宮城バスが持っております二十八キロの鉄道でございますが、すでに登米線は本年の三月二十五日から廃止される予定となっておるのでございます。その間におきまして、会社といたしましては関係の地元の市町村民との間で円満に話し合いをするというたてまえで、われわれがかねてから指導しておったのでございますが、最後に円満な話し合いが成立いたしましたということで、申請が出てまいったのでございます。この点につきましては、そのあとといたしましても、鉄道線路のあと地の大半を利用いたしまして、専用の自動車道路に改変いたしまして、これを既存の道路とも併用いたしまして代替のバスを運行する、及び路線バス等もここに開設したいという意図を持っております。またこの専用自動車道をつくりますのに約二十日間かかるということでございまして、この間におきましては並行の既存のバスを増配いたしますと同時に、道路条件の悪い区域におきましてはマイクロバスを運行する、そうやって輸送の確保をいたすことにしております。また地元民の運賃負担に関しましては、今後三カ年間に限りまして、廃止地点における定期券所持者に対しまして、鉄道定期運賃と同額のバス特定運賃というものを設定するということになっておりまして、極力地元民に対する影響をなくすように措置をしておるわけでございます。  これに関連いたしまして気仙沼線でございますが、お説のとおり本年の秋ごろに一部開業の見込みでございますが、これは気仙沼線の一部でございまして、幹線の一部を構成するものでございますので、ある地点におきましてはこのほうでの輸送需要を吸収するということにもなろうかと考えております。
  280. 千葉佳男

    千葉(佳)分科員 いまの局長から言われた廃止に伴う代替輸送の確保というそのお答えは私も十分かわりますが、先ほど質問いたしましたように、同じ郡内において、一つは建設、一つは廃止、こういうことになったので、その辺の運輸——一つは国鉄で、一つは私鉄が廃止になるわれですけれども、同じ郡内においてそれが同時に起こっておることですから、その辺をどういうようにお考えになって踏み切られたか。説明のありましたように、労働組合のほうとも協約を結んでおって、部内的にもこれは円満に解決したようでありますし、それから関係町村もそれぞれ議会、町当局とも円満に解決したようでありますから、それはそれで私はけっこうだと思うのですが、それと、いま私が言っておりますように、片や建設、片や廃止という姿が同じ郡内で起きておるという点についてどのようにお考えであるか、こういうことです。
  281. 増川遼三

    ○増川政府委員 宮城バスの瀬峯——登米間の鉄道は、純粋にその地区の住民のための足であったわけでございます。したがいまして、これにかわる輸送機関というものを整備することによって、これにとってかわってもらうということ、こういった状況にあります。小施設のあるいは運命かとも考えるのでございますが、片や将来国鉄となります線の建設につきましては、これは先ほど申し上げましたように地方の幹線を構成します気仙沼線の一部という形で、相当ある程度広域の線を構成するものでございます。同時にそういった廃止と建設が行なわれたということでございますけれども、趣旨といたしましては、私どもこれは別に予盾をして考えたわけではございません。
  282. 千葉佳男

    千葉(佳)分科員 その点、近くにある石巻のところに運輸省の非常なお力によって工業港が建設されたわけです。ことしは、防疫の支所というのですか、あれもできたりして、非常に仙台湾臨海工業、新産の指定の中では石巻は非常に発展しておるわけですが、それと地元から要請のある石柳線、石巻と柳津を結ぶ線なども、これも非常に強い要望があるのですけれども、そういうふうな関連から片や港湾中心として今後非常な発展が見られるであろうというところとそういう一環の行政といいますか、港湾港湾で発達をしていく。それのヒンターランドというか、うしろの地は、これはまさに廃止というところで、典型的にあらわれてきているようなヒンターランドの情勢という、そういう観点から見ても、今回の処置は私はもっと何か策があったんではなかろうか、こういうふうに考えております。その点、石巻などを非常に力を入れておられます大臣がどういうふうにお考えになっているか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  283. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、現地の情勢や民心の情勢をよく知っておりませんので、よく注意して今後も見守っていきたいと思います。
  284. 千葉佳男

    千葉(佳)分科員 それじゃこの問題はこれで終わりたいと思います。  第二番目に御質問をいたしたいのは、新幹線網整備とからんで、昨年十月国鉄が今後二十年ということでビジョンを発表されたようでありますが、この点、私も最近問題になっておる過疎過密の問題、この解消とか、後進地域の開発という点で、今後大きな役割りを新幹線網というのは持つであろう、こういうふうに大いに期待しておる者の一人でありますけれども、その点見通しといいますか、大臣のほうでどのように考えておられるか。
  285. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 とりあえずは山陽新幹線の建設を急ぐというのが当面の方針でございます。東北新幹線につきましては、現在東北線及び常磐線の複線化を実行中でございまして、その複線化が完了するのを待ちまして、その情勢を見ながら検討していきたいと思っております。いずれやる場合でもとりあえず仙台までやるのではないか、そういうふうに思っております。
  286. 千葉佳男

    千葉(佳)分科員 その話を聞いて私非常に安心しておるわけですけれども、一言だけ念を押しておきますが、実は正月の十七日に国鉄総裁は記者会見をされまして、それは新聞にも大きく載ったわけであります。それを見ますと、いまの大臣のお話とは逆に、新幹線の着工順位といいますか、それが首都圏整備が第一だろう。第二が第二東海道新幹線。東北新幹線はその次だというような、そういう趣旨の記者会見をされておるので、その辺、先ほど申し上げましたように新幹線網の整備、それに寄せる地元の空気とまるきり逆なお話がことしの正月、急に出たので、関東から北の東北の人たちは非常な関心を持っておるわけです。その点いま大臣が言われたように、山陽新幹線ができたら次。少なくともできるならば同時着工くらいに、岡山から西のほうにいくときには、ぜひ上野から仙台まではやっていただくという、こういう強い希望があるわけですから、その辺、希望的な観測を抱いて私がすわることができるかどうか、もう一ぺん確かめてみたいと思います。
  287. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私の発言にも希望的観測はあるのでありまして、必ずしもすぐ東北新幹線をやる意味ではないのです。とりあえずは山陽新幹線に力を注ぐ。それ以降はいまの通勤新幹線とかいろんなものはまだ確定した話ではないので、幾つかのデザインができておるわけであります。しかし東北に関しては複線化をいま一生懸命やっておりまして、複線化の結果をよく見て、そうして情勢によって考慮することにもなろう、そういう意味であります。しかし東北というのは日本の非常に大事な背後地でもありますから、これを無視することはできませんし、東北には有力な議員さんもおられますし、また将来の工業性やその他を見てみますと、無視すべき地域ではないので、政治的にもいろいろ考えなければならぬと思っております。
  288. 千葉佳男

    千葉(佳)分科員 これは経済企画庁で出しておる経済審議会の地域部会の報告書を見ましても、それからこの間商工委員会で経済企画庁の宮澤長官からお話がありましたが、今後の総合開発、この秋おそらく出るのじゃないかと思いますが、そういうふうな点でも、今後の地域開発という点では南九州と東北というのは非常に大きな開発の頂点になるだろう、こういうふうに言われておりまして、私どものそれにかける期待というものは非常に大きいわけであります。かてて加えてこれは昨年の末でありますが、東北全体として見ますと、従来までは人口がどんどん減っておったわけでありますが、最近ようやく、青森県と宮城県が、人口の減りがとまりまして、年間五百人という非常に少ない数でありますけれども、わずかながらふえるというところにきたわけなんであります。そういう点から考えましても、首都圏整備に力を注がれるという気持ちも私は十分わかりますけれども、それはあくまでも対症療法である、出たものに対して処置するという対症療法じゃないか。むしろ抜本的に日本の国土の総合的な開発をはかるという点では、前の十河総裁が東海道新幹線をつくって、これは永久に名前が残るでありましょうが、今度の石田総裁が、思い切ってさらにそれを延ばして、日本の背骨をつくることによって後世に名を残していただきたいと実はかねがね考えておったのですが、そういう点、総裁おられなくなったので、ぜひ総裁のほうにもひとつお伝え願って、地域開発を十分考えながら、新幹線の整備という、そういう骨を入れてもらうように特に希望しておきたいわけであります。その点……。
  289. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 全国の新幹線網につきましては、大臣の御指示をいただきまして、その着手の時期等について十分検討いたしますが、御承知のとおり、過般私どもの中にもそれに本格的に取り組む部局をつくりまして、その計画あるいは時期の問題、法律問題等、いろいろな角度から検討することにいたしました。いずれ、私どもといたしましても、東北の重要性については十分認識しておりますので、それらの業務機関を通じまして検討してまいりたいと思っております。
  290. 千葉佳男

    千葉(佳)分科員 私ども後進地域に住んでいる者にとってはたいへん力強い方針が示されまして、この面につきましてはこれで終わりたいと思います。  第三番目に、長年懸案になっておりました、東北の玄関口といわれる仙台駅の駅前広場の問題がかななか実現の運びに至っておりませんが、その点について最近どのようにお考えになっておりますか、一言だけ聞いて質問を終わりたいと思います。
  291. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 仙台の駅前の問題につきましては、去る昭和三十六年に建設省の告示千五百九十五号で一応きまったわけでございます。そのときに、地元から民衆駅の構想がぼつぼつ出てまいったのでございますが、その後、いまお話しの東北新幹線の問題が起きまして、われわれの図面の上から申しますと、どうしても東北新幹線を現在の線路の前へ入れないと非常にぐあいが悪い、新大阪の駅のごとく現在駅と離れると非常に不便でございますので、ぜひ現在駅に入れたいということを考えますと、三十六年の都市計画決定をある程度変更していただかなければいけない、ある程度国鉄の線を前へ出していただきたいということで、いま市とその代替地については貨物のほうの余ったところを差し上げるということで御折衝申し上げておりますが、市のほうは、いろいろいままでのいきさつもあってなかなか簡単には応じられないということで、いまいろいろ具体的に、それじゃ何メートルがいいとかいうことにつきまして折衝中でございます。私どもといたしましても、やはりその場所は、前の御質問の、東北新幹線をどうしたら東北の方に一番よく利用していただけるかという一つの基地として考えたいという角度から、市民の方にも納得いただけるような解決をはかりたいということで、市並びに県当局と十分協議を続けてまいる所存でございます。
  292. 千葉佳男

    千葉(佳)分科員 最後に要望ですが、おそらく全国のおもな都市の中で、仙台の駅前くらい雑然として、実はバスのターミナルも全然なくて、大体三町か四町の道路の中にずっとバスの停留所が散らばっておりまして、仙台市民でありながら、どっちのほうへ行くのかわからぬくらいに、ハスの系統というものは非常に複雑で、駅前にばらまかれておりまして、非常に不便を忍びながらおるわけであります。ぜひひとつ仙台市のほうとも十分お話し合いになって、先ほど非常に見通しの明るい話をお聞かせ願ったので、おそらくこれ以降はそういう気持ちにはならぬと思いますか——ことしの正月あたりは、新幹線は無理だ、仙台の駅前広場も当分見込みないということになりますと、東北は踏んだりけったりじゃないか、そういうふうな気持ちを非常に持っておったのです。その辺いろいろな内部の資金事情なども、おそらく、先ほどから話になりましたように窮屈な点はあるでしょうけれども、これはいま副総裁から言われたように、十年以上の懸案事項でありますので、ひとつ十分御努力を要望しまして、質問を終わりたいと思います。
  293. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて千葉君の質問は終了いたしました。  次に、島本虎三君。
  294. 島本虎三

    島本分科員 四点にわたって大臣に質問を申し上げたいと思います。  第一は、青函トンネルの問題であります。これは日本鉄道建設公団の手によって、現在調査試掘中である、こういうように承っております。現在までの試掘坑での調査の状態から、その見通しについて伺いたいと思います。
  295. 増川遼三

    ○増川政府委員 現在試掘をやっております青函トンネルの件でございますが、青函トンネルの試掘調査は、北海道の吉岡方におきましては昭和三十九年五月、それから本州方の龍飛におきましては昭和四十一年三月に、日本鉄道建設公団の直轄によりまして調査斜坑の試さくに手をつけたわけでございます。吉岡方におきましては、昨年の三月に斜坑底に到達いたしまして、その距離が千二百十メートルでございます。現在は坑底設備及び水平坑の掘さくを施行中でございます。水平坑といたしましては、現在約三百十一メートル掘進をいたしております。  それから龍飛方でございますが、この斜坑の掘さくは、現在約九百十八メートル進行いたしております。  坑内におきましては、火山岩地帯におきます注入止水工法の試験をそれから岩盤試験、前進ボーリング等の施工法の開発研究等を掘進と同時にいたしておるのでございます。昭和四十三年度におきましても、引き続きこの試掘を進めまして、諸試験を行なう予定でございます。順調に参りますれば、今後あと二年くらいで調査段階を終了できるものと見ておるところでございます。
  296. 島本虎三

    島本分科員 そういたしますと、あと一、二年というと、四十四年度までにはこれは大体において調査が完了するものである、こういうように理解できると思いますが、そのとおりですか。
  297. 増川遼三

    ○増川政府委員 試掘の途中にきまして、重大なる問題が起きない限り、すなわちその途中に相当大きな断層は予想されておりますので、こういうところにおきまして、工事が難航すれば別問題でございます。これを克服しつつやる予定にいたしておりまして、おおむね二年ぐらいを要すれば調査段階は一応終了と現在見込んでおります。
  298. 島本虎三

    島本分科員 大体、その場合において大きな断層ということでございまするけれども、その断層に対する手当てと、それを克服して十分に完成させる見通しがあるものである、こういうふうに希望的に思っておるのでございまするけれども、その辺の情勢はいかがでございますか。
  299. 増川遼三

    ○増川政府委員 現在の技術をもちましては十分に可能性を見込めると考えております。
  300. 島本虎三

    島本分科員 そのままでは、完成は年度としては大体いつごろを目途としておりますか。その場合に、工事費の内容は大体どの程度でございましょうか。
  301. 増川遼三

    ○増川政府委員 試掘が完了いたしまして本工事にかかりましてから、なお六、七年はどうしてもかかるのではないかというふうに考えておりますが、さらにその間におきまして大きな難問題に逢着すればその分だけは予定が延びるかと存じますが、おおむねあと十年くらいの間には十分いけるものと確信をいたしております。その間におきまする工費でございますけれども、現在まだ調査段階でございまして、最大断層のところまでぶつかっておりません。したがいまして、いまにわかにこれの経費を算出するわけにはまいりませんけれども、おおむね私どものほうの見込みといたしましては、青函としては約一千億くらいを見込んで現在手当てをしておるわけでございます。
  302. 島本虎三

    島本分科員 その場合の内容的なものでございますけれども、現在の列車幅でこれは計画されておりますか、それともいわゆる新幹線を予想して幅を決定されておられますか、その辺の内容をお漏らし願いたいと思います。
  303. 増川遼三

    ○増川政府委員 まだ試掘段階で、本トンネルの計画までいっておりませんけれども、われわれの構想といたしましては、将来の新幹線全国網の構想に伴いまして、できればこれを新幹線方式の鉄道が通れるような規格で進めてまいりたいと考えております。
  304. 島本虎三

    島本分科員 この際、大臣にお伺いいたしますが、先ほどの千葉委員の質問にもございましたように、東北新幹線にはまさに明るい希望を持って仙台までこれを着々と進めたい意向のようでございますけれども、やはり北海道の場合にはいわゆるこの青函トンネルが新幹線方式で通れるようにしたい、この構想で進めるならば、これは仙台と言わず北海道まで通ずる可能性があるのでございますけれども、こういうような構想の上に立って工事は進めなければならぬ、こう思いますが、大臣、いかがですか。
  305. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いずれ北海道から九州まで新幹線を通すことになるだろうと思います。いろんな効率を考えてみましても、その時代における需要等考えてみましても、新幹線のスケールでやることが正しいと思っております。
  306. 島本虎三

    島本分科員 そういうようにして一日も早く実施されるように望んでやみません。断層があったりして工事がなかなか難航する点もございますが、やはり現在の経済開発、そういうような観点から、北海道開発という点から見ましても重大な幹線でございますから、この工事が一日も早く実施の段階になり、完成を望んでやみません。  それと同時に、きのうもこの場所から松浦主査のもとに建設大臣に相談し、建設大臣としては、それは運輸省関係で、自分らは口を入れる何ものもないという答弁で残念だったのでございますけれども、本州と四国の間のいわゆる夢の大橋ということで、中には関係する議員もおられるかもしれませんが、相当エキサイトしている現状であること、私わかるのでございます。しかしやはりこの際、きれいな外に上がる夢のかけ橋であるから、そうなる。経済効率を考える場合は、やはりあの辺だったら北海道の何分の一かほどの距離しかございませんから、トンネルの構想を、鉄道も一緒にやるならば、この際運輸大臣としても考えてしかるべきじゃなかろうか。トンネルのほうが効率が悪い、維持費も高い、管理上まずいというならば別でございますけれども、当然そういうような構想もあったのじゃなかろうかとも思いますけれども、この辺はいかなるものでございますか。
  307. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私が聞いたところでは、トンネルの場合は経費、期間等において問題があり、また、排気ガス等の問題でいろいろ自動車輸送の場合は問題があるやに聞いておるのです。しかし、けさほどの御質問にもありましたように、船舶、航路のことを考えますと、トンネルがベストであるようにも考えます。この問題はどこにどうするとすでにきまった問題ではございませんので、もう少し弾力を持っていろいろ検討してみたいと思います。
  308. 島本虎三

    島本分科員 検討を望んでやみません。  次に移ります。  この際特に運輸省当局の事務段階を含めまして、大臣に決意とともに推進を願いたいと思うことが一つございます。それは、大臣も御存じのように、今回特に札幌の場合にはオリンピックを一九七二年に控えまして、あの冬の間の黒い雪ということで、これがオリンピックに際して国際的な影響があることでございますので、集中暖房に切りかえ、公害防止事業団からの融資をはかることによってオリンピックまでにこれを取りつけるのであります。しかし、同じような状態で、現在その会場の周辺を見ますと、札幌市の場合には、現在一日に百四万名の輸送が必要である。これが五十年になると百八十五万名、六十年には二百八十九万名、こういう輸送需要の発生が予想されるのでございまして、現在、一九七二年を控えて、この会場付近までの交通に対しては、みな困惑しているような状態でございます。そして、その際に、やはりどうしても高速軌道によるところの輸送が必要である、こういうようなことから、地下による高速軌道を考慮中であり、それは事務段階で進めていると聞いているのでございます。これは開会式場とスケート会場とそれからスキーの回転コースである恵庭岳に至る、真駒内付近までの南北線、これが一番重要なのでございますけれども、これはぜひオリンピックに間に合わせたい、こういうような構想で進んでいるようでございます。私はやはりこれは大臣の配慮と決断によって、間に合わせるように取りつけてやるべきであり、やってほしいと思います。現在までもうすでに申請がなされているかのように聞いてございますけれども、事務ベースにおいてどのように進んでおりますか。ひとつ今後これを急いで間に合わせるようにすべきじゃなかろうかと思いますが、この際大臣の決断もあわせてお願い申し上げたいと思うわけであります。
  309. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 札幌の地下鉄は、申請が出ております。私は、札幌のような雪の多いところは地下鉄はなかなか効率的であるだろうと思います。ただ、採算等の問題もありますので、これはできるだけ協力する方向で至急処理いたして、検討してみたいと思います。
  310. 島本虎三

    島本分科員 大臣の決意はわかりました。間に合うようにやってほしいと思います。  ただ、これは危惧するわけでございますけれども、いろいろと申請に対しての許可並びにその取り運び、こういうものがふくそうしておりますと同時に、時期が切迫しておる。あるいは間に合わないかもしれぬ、こういうような危惧さえ持たれているので、関係者はなかなか一生懸命やっておりますが、この点では十分安心しておらないようです。国家的な行事と申しますか、世界的な行事と申しますか、これは重要でございまするから、皆さんのほうで若干形式にこだわるなと言えば、これは少し言い過ぎかもしれませんが、善意をもってこれを処理してやってほしい。足りないところは補ってやってほしい、こういうふうに思うわけでございますけれども、事務ベースにおいていかがでありますか。
  311. 増川遼三

    ○増川政府委員 札幌市当局からはすでに申請が出ておりまして、運輸審議会のほうも、まだ聴聞会や公聴会の段階には達しておりませんが、この趣旨につきましてはすでに運輸審議会のほうへお話を通じてございます。  ところで、この申請の趣旨でございますが、先生お説のとおり、これはぜひともやらなければならないものと考えております。なお、最近におきまして若干ごたごたいたしましたのは技術的な問題と、それから事務的な問題で若干の修正がございました。このために取り上げ方が若干おくれたわけでございますが、これを早急にわれわれのほうとしては処理をいたしまして、来年度、四十三年度におきましては、地方債の起債等につきましても、われわれも当局といたしまして自治省に対しまして強力に推進方を努力いたすつもりでございます。そのほか技術的にもわれわれの手の及ぶ限りの指導を行ないたいと考えております。
  312. 島本虎三

    島本分科員 特にこの点は事務当局並びにその上に立つ大臣に、今後やはり自治省並びに大蔵省の段階がございますので、現在の状態からして理財局でございましょうか、主計局でございましょうか、そういう方面に対しては大臣も強力なる協力をひとつしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。これはやはりあらゆる観点から見まして、たとえば公害の場合を含めましてのあの集中暖房の問題は日本にも例がないのであります。例がないけれども、やはりこれはやらなければならない。ことに都市公害であるのに産業公害であり、これは第二次産業であるという法制局の解釈、われわれとしては新解釈ですが、そういうような解釈で実施するようになりました。事務的段階においては、高速軌道の場合には進んでおるかのようでございますけれども、なおこれは予算面や起債面や、大蔵省関係に至ってはおなこれは相当の紆余曲折もあろうかと思います。大臣においても、この主管する業務のために、ひとつ格段の指導強化してもらいたい、このことを強く要請したいと思います。よろしゅうございますか。
  313. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 けっこうです。
  314. 島本虎三

    島本分科員 続いてもう一つ質問してみたいと思います。それは、私どもも以前からこの点はだいぶ気にしておったのでございます。それは昭和三十九年三月二十三日に日本鉄道建設公団が発足いたしました。そして、やはり北海道の総合開発的な見地から、その趣旨を含んで昭和三十九年六月二十五日に、現在の本線である函館本線に至る室蘭本線、これを通して、現在特急が通っておりますけれども、長万部から小樽までの間の函館本線でございます。これにかわる岩内−黒松内、この間を事業団によって新たに鉄道を通してつくりあげ、千歳線のほうにもしもの事故がありましても、小樽、岩内、それから黒松内、この方面の線によって完全に運行ができるような体制をとる、こういうような考えもあったかのようでございますけれども、三十九年六月二十五日に工事線に決定されたと承っておるのであります。その後関係者の現地視察が行なわれ、それぞれ測量、設計等が毎年行なわれているのであります。しかしその後あまりはかばかしくないようでございます。やはりこういうような点は、採算の面は当然考えなければならないと思うのでありますけれども、国策の面に沿うた地域開発の面も国鉄である以上十分これを考え、事業団であります以上その趣旨にのっとって着工を急ぐべきじゃなかろうか、こういうように思料しておる次第でありますが、この方面の現状はどのようになっておりますか。ひとつこの点も解明願いたいと思います。
  315. 増川遼三

    ○増川政府委員 岩内線につきましては、これまでに約二千万円の調査費を投じまして航空測量を行ないまして、航空写真の図化を完了いたしました。尻別川の地質調査も一部行なった次第でございます。本四十二年度におきましては、三千万円の予算を持ちまして全線にわたる測量、設計を継続して現在行なっておるのでございまして、四十三年度の事業計画につきましては、これに引き続くものといたしましてどの程度にするか目下検討を加えておる次第でございまして、諸般の事情を勘案いたしまして慎重に処理をいたしたいと考えております。
  316. 島本虎三

    島本分科員 私はこの経過を若干調べましてほんとうにがく然としておるのでございます。と申しますのは、この方面の運動は、明治三十年ごろから行なわれておったようでございます。明治三十年ごろから、いわゆる岩内鉄道同志会というものを結成いたしまして、そのもとに時の政府に対しまして強力なる申請、陳情が行なわれておった、こういうようなことがデータによっていろいろあるのであります。北海道の漁業がニシンによって栄えましたあの当時、やはり必要ではあったのでございますけれども、ひとつの迷信的な行き方がありまして、音を避けていわばニシンが逃げるということで、海岸へ寄せるのに対しては苦慮をしておった面もあったかのように承っております。しかしながら現今の科学の時代には決してそういうようなことはございません。その当時からも、すでにそういう弊風の上に立って海岸を通すべきであるというように主張しておった卓見者もおったわけでございます。明治三十年ごろからの運動の経歴を見ますと、まさに涙なくしては読めないような状態でございます。せっかくこれが工事線に指定されているのであるならば、その方面の地形の状態はもちろん、地下資源の問題や産業状態考えて、小さい採算のみにこだわらないで大きい採算にこだわってもらいたい、こういうふうに思うわけであります。あの辺は決して投げ捨てられる場所でもないし、雪捨て線ではないのでございます。そういうような見地から、皆さんのほうでも十分にお考えおきを願わなければならない問題でもあるし、今後は強力に進めこそすれ手を抜くべきじゃない、こういうように思うわけでございます。この方面に対しましての今後の見通しと決意を承っておきたいと思います。
  317. 増川遼三

    ○増川政府委員 岩内線の経緯につきましては、ただいまお話がございましたが、私もそういった事柄はよく伺っております。その昔の当時と現在とでは相当地域の事情も変わっております。またこの間に第二次世界大戦というものも起こりましたような関係で、非常に延び延びになっていたわけでございます。その間にも非常に地域の事情というものが変わったのでございますが、最近におきまして、これを強力に推進してもらいたいという非常に強い御要請がありまして、これが工事線に格上げになりまして今日に至っておるわけでございますが、本線につきましては、当該地域の開発に資するだけじゃなしに、当初先生のおっしゃいましたような函館本線の代替線ともなり得る線でございますので、その点を勘案いたしまして、この点につきましては、今後積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  318. 島本虎三

    島本分科員 予定の質問はこれで全部終わりました。  それで私としては、最後に大臣に、最近いろいろ問題になっておりますけれども、黒い煙はこれから整理されるようです。しかしながら依然としてまだ、汽車といわれる蒸気機関車は黒い煙を立てて猛烈なスピードで走っている向きがたくさんあります。朝の「旅路」であるならばロマンチックでいいのであります。しかしながら、それ以上現実の面では、公害的な見地からいたしましても早く整理しなければならない問題なんです。大臣はせっかくその方面には卓見を持って整理をされておる、こういうように聞いておるのでございますけれども、今後、自動車のあの排気ガスの問題と、それからいま機関車から黒々と出るあのロマンチックな煙、この問題だけはぜひ決意を持って対処してもらいたい、このことを心からお願い申し上げ、一言だけ決意を伺って、私の時間は余して終わりたいと思います。
  319. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 了承いたしました。大いに努力いたします。
  320. 島本虎三

    島本分科員 終わります。
  321. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて島本君の質疑は終了いたしました。  次は、沖本泰幸君。
  322. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は、現在ふくそうしている大阪の交通事情並びにもう一点についてお伺いしたいと思うのです。  最近大阪は、都心部への昼間の流入人口が非常に激増しております。これは市内地の人口が市外地に住宅を求める。大阪市のほうも、いわゆる周辺都市と提携して——いまは全く大阪市内は過密の限度に達しておるので、その点で市外地に住宅を求めて、夜間人口を市外へ市外へと運んでいっております。そういう関係で、特にラッシュ時になると、全く東京の事情と変わらないくらいに、昼間人口は周辺の乗りものを利用して市内へ流れてくるわけです。この状況は、現在の東京の状況と同じで、全く殺人的な状況を呈しておるわけですけれども、万国博を控えて、いろいろな関連事業をもってこういう面の隘路を解決しようと大阪府や市は努力しております。こういう点に関して運輸省並びに国鉄はどういうふうな対策をお持ちであるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  323. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特に東京、大阪の通勤輸送強化ということは、第三次長期計画の重要な項目でもありまして、そういう点につきまして、東京、大阪ともに、ともども努力してまいりたいと思います。  大阪の外環状線の新設の問題等も、この長期計画とにらみ合わせまして、できるだけ早目にやりたいと考えております。
  324. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま大臣から申し上げましたとおり、大阪の輸送強化につきましては、いま大阪の内環状線、片町線、関西線等についてやっておりますが、これらができ次第、その次の計画に取りかかりたいと思います。
  325. 沖本泰幸

    沖本分科員 でき次第と、こう言うんですが、大体大阪市や府の方は毎月のように月に一回は東京へ出てきて、何らかの人が国鉄やできれば大臣にもお目にかかってお願いする、こういうふうな方法をとってきておるんですが、それについて大阪市長並びに周辺都市の市長さん方が連盟を組んで、何とか万国博までにこの事業の完成をしてほしい、また大阪市内の地下鉄も万博までに間に合わせよう、こういうふうなことで工事をいろいろ急いでもおりますし、また道路の面についても、大型道路を、どんどん万国博の会場を中心にした道路計画を立ててやっておるわけで、東京と離れておるこういう地域は、どうしてもこういうチャンスをつかんでやらなければやる時期がない、こういう観点から、京阪神の都市はみな一斉にそこに集中しておるわけです。そういう事柄から、大阪市とか周辺の阪神の都市は万国博までにこの工事を何とか完成してほしい、こういうふうなことが希望だったわけですけれども、これが関連事業としては今度はずされてしまっておるというところから、全く絶望である、こういうふうな見方をみなしているわけなんですけれども、その絶望に近い状態であれば、これはいつになったら完成されるであろうか、いつごろでき上がるということで国鉄のほうは計画していらっしゃるのであろうか。いろいろなパンフレットを見てみますと、第三次計画の中には入っておりますけれども、ただそれが机上のプランだけで、いつまでたってもなかなか実現ができそうもない、こういうことであったのでは、大臣も先ほどお述べになられたとおり、できるだけ早い機会に外環状線も完成しよう、こういう御意向も述べていらっしゃるわけですから、国鉄のほうもそういう線に合わせて、いつごろと現地の人たちがめどを立てればいいのか、その辺を明らかにしていただきたいのであります。
  326. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 工事の詳細についてはまた担当者から申し上げますけれども、私もこの問題につきましては、関係の市長さんその他が私のところにおいでくださって数回お目にかかっておりますが、現時点の国鉄の財政状態ではとても外環状線の複線、電化を万博までに間に合わすことは無理だということは実ははっきり申し上げております。しからば、いまの先生の御質問のように、一体いつできるのかというお話がございまして、これはしかも昭和三十五年ごろからの話でございます。一体いつできるのか、いつからやってくれるのかというお話がございまして、いま一部、御承知のとおり新大阪の入り口と放出の車庫の一部の土地だけは買って一応手をつけたのでございますけれども、肝心の本線のほうはまだ手がついてない。その話のうちに、御承知のとおり、どうもこれは市街地だから高架にしなければいけない、それに地平のまま複線、電化したのではとてもこれはたいへんだ、踏切が多くて困るという強い地元の御要望がございまして、初め私どものほうは大体百億でもって複線、電化できるつもりだったところが、実際には、現時点では高架を入れまして二百五十億くらい必要だというのが現在の見方でございます。いま御審議願っております四十三年度予算には、主として四十年度から着手いたしました今回の長期計画の前半の締めくくりという意味で、なるべく前半に手をつけたものをことしの秋までにつくり上げてしまいたい、そうして早く稼働したいという趣旨から、ことしの予算は、重点的にいままで手をつけたものに入れまして、新規事項につきましては一件一件非常に慎重に、実は財政の見通しと比べ合わせてやっておるわけでございまして、一方、ことしの予算の中の特別債等につきましては、現在の金融市場の状況から申しまして、非常に資金調達が困難であるというふうな状況もございますので、目下ことしの予算の執行上の問題につきましては、原資の獲得とにらみ合わせまして一件一件審議してまいりたい、こういうふうに思っておりますので、はたして四十三年度じゅうに着工できるといまこの席で申し上げられるかどうかはまだはっきりしません。ことに高架化の問題につきまして、御承知のとおり、建設省と国鉄との最終的な費用分担の話がやや固まりかけてきた段階で、いままで国鉄が五〇%持ったものを、とても五〇%持てないから、せめて受益者の限度にしてほしいという要望に近い筋がだんだん出てきつつありますので、そういったこととにらみ合わせまして、四十三年度内に着工できるかどうかということをなるべく早くきめたい、こう思っている次第でございます。
  327. 沖本泰幸

    沖本分科員 詳細の工事計画、どなたか御説明いただけませんか。
  328. 仁杉巌

    ○仁杉説明員 新大阪から杉本町まで約二十七キロございます。そのうち新大阪−放出十一・二キロ、放出−加美七・五キロ、加美−杉本町八・六キロということになっておりまして、先ほど申し上げましたように、総工事費は二百五十億ということになります。このうち、いま具体的に仕事をしておりますのは、新大阪から大阪市の中の用地買収約六億、これは完了をいたしております。   〔主査退席、湊主査代理着席〕 それから放出の車両基地、これを用地買収だけを今年度から始めているというような状態でございます。それで、この一、二年の間に情勢が変わりまして、この二百五十億のうちどうしても放出—加美の間の線路を高架にしてくれという強い御要望がございます。これは線増に先立ちまして立体化をしなければならないという事情がございまして、いま副総裁から説明がありましたように、その費用分担につきまして、建設省と国鉄との間でどうやら話がまとまってまいりますので、その段階におきまして来年度から着工したいというふうに考えております。その工事費は、放出−加美間で約四十億でございまして、分担の割合は、国鉄が大体一割、道路側が大体九割というようなかっこうになるかと思いますが、大体そういうことで、できますれば、来年度、四十三年度から着工したいということで、鋭意交渉を煮詰めているのが現状でございます。
  329. 沖本泰幸

    沖本分科員 情勢が変わって、地元の強い要望から高架策をとるようになった、こういういまの御発言なんですけれども、ひとつ国鉄のほうから、いろいろ現地はよくおわかりなんですから、現在の交通事情あるいは住宅地の移動とか、そういうものをお考えになって高架にしなくてもいいのですか、その点どうなんですか。
  330. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先ほども御質問ございましたけれども、いわゆる都市鉄道の高架化問題と申しますのは、一昨年ごろから急激に起こってきた問題であります。現在全国で約六十カ所ぐらい、ぜひおれの町の鉄道を高架にしろという強い御要望がございまして、その工事費だけで現在約四千億と推定されております。その中の一つとしてこの橋が出てまいったわけでございまして、各地から非常に要望が強く、ごもっともな御要望でございますので、かといって国鉄だけの力ではどうしてもできない、しかも初めから第三次計画には入れてなかった事柄でございますので、大蔵省、建設省といろいろ御相談いたしました結果、結局、建設省の持ち分をふやしてもらうという以外に解決の方法がないということになりました。そしていまの六十数カ所を、私どもの考えでは、大体十年で実現したい、こういうとかうに思っております。もちろんこれはいろいろ予算の事情がございますが、一応現在の交通事情から申しますれば、十年以内くらいにはどうしても高架化をしなければならない。その個所だけで約六十カ所ございます。その一つが放出−加美間の問題でございます。これはいまの交通事情から申しますと、ほかの地域等の要望から申しましても、やはり高架にしなければならない。それには、国鉄がいままでのように五〇%持ったのではやれないので、その負担の割合を、いま仁杉理事から申しましたとおり、国鉄の受益の限度、大体一〇%から一二、三%までということで、建設省と折衝中でございます。これがきまりませんと国鉄だけの力でやることはとても不可能であります。そういう意味でこの区間につきましては、他の全国六十数カ所と一緒に並べて考えなければならないほどの交通事情のあるところ、こういうふうに考えております。
  331. 沖本泰幸

    沖本分科員 現地のほうの意見では、国鉄や運輸省は——一つのやきもちだと言えば言えるわけですけれども、運輸大臣もあわせてですけれども、東京にばっかり力を入れておる、大阪のほうはほったらかしだ、こういうふうな意見も直接府とか市の各首長から聞くわけです。そういうことで東京もいわゆる通勤の輸送に関しては、非常な問題が起きてきておることは、毎日の新聞紙上にいろいろ出ておるわけですからよくわかるわけですけれども、それに対しても対策をお立てにはなっていらっしゃるものだと思うわけですが、ここの京阪神のほうも現在限界度に来ておる。それから御承知のとおりに、大都市における過密化、どんどん大都市に人口が集中してくる。その反対に大都市以外の土地では、集中度がなくなって過疎化してきておる。こういう現象が起きておるわけです。ですから、いまお話しになったとおり、一昨年くらいから急激にこういう問題が出てきたというのですが、そういうお話では、ちょっと聞いておって、国鉄のほうのお考えが少し甘いのではないかと思います。第三次長期計画というものをお立てになってきたのですけれども、ここで早急に計画変更をしなければならない、これはいまのお話の中からよくわかるわけですけれども、そうなれば早急に長期計画というものを計画変更して、こういうふうな予算がこれくらい見積もられる、全国的に見てこういう個所はこれだけの予算が必要だ、こういうものがちゃんと出てこなければ私はおかしいと思うのです。ただ、状況が変わってきておるのに、いつまでも第三次長期計画にのっとっていっておる。意味は違ったかもわかりませんが、私が伺っておるとそういう意味にとれてくるわけです。それでは何かちぐはぐなものを感じるわけです。この計画変更を早急にしなければならないし、あるいは車の増加、スピードアップ、交通痲痺、こういういろいろな点を考えると、当然いずれの地域においても高架にしていかなければならないような状況が出てきているのですが、そういうものに対して、国鉄のほうの先を見通す計画が少しごずさんではないか、また計画がおそ過ぎるのではないか。そういうことになると、いままでわずかの金額で工事ができておったというものがどんどんふくれ上がりますし、そのことによってどんどんと時期がおくれればおくれるほど問題が大きくなってくる。そうすれば予算もだんだんふくれ上がってきて、とうていできないのじゃないかという点も考えられるわけです。またお話しになっておられました、今後十年間で全国約六十カ所のこういう問題を解決しようということですけれども、はたして十年後には解決しても、次にまた大きな問題が起き上がるのじゃないでしょうか。こういう点、私は非常な危惧を持つわけですけれども、運輸大臣、こういう問題に対してどういうお考えでいらっしゃるでしょうか。
  332. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 お話を聞いておりますと、なるほど大阪のいろいろな人口の移動や、新しい都市構造の問題から考えまして、いままでのレベルで考えていたら非常なそごを来たすような感じもいたします。そういった観点からもよく検討してみたいと思います。
  333. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 確かに先生のおっしゃったとおり、この計画の樹立の当時にこの問題が起こっていれば、もう少し初めから計画に乗ったと思うのでございますけれども、率直に申しますと、三年ほど前から急激に起こってまいりましたので、それまでは踏切を一カ所ずつ単独で立体交差しようという計画だったわけです。それが、どうも単独の立体交差じゃかえって不便になるから、思い切って高架にしてくれ、こういう話に急激に変わってきまして、一、二カ所そういう話が出ますと、おれのところもおれのところもということで、結局現在六十数カ所ということになっているわけでございます。したがって、総額も四千億という膨大な数字になっておりますし、私もさっき申しましたように、国鉄だけではとてもやれませんから、建設省なりあるいは一般会計で持っていただくということで、結局一般会計予算のほうの問題あるいは建設省予算の問題としては、とても急激にそんなことはできないということで、少しずつやっていこうということが現在の段階でございます。その意味で確かに都市交通に対する鉄道のじゃまをどうやったら除けるかということについての見方は、普通の単独の立体交差だけで済むと思ったことに甘かった点があるということは、率直に考えざるを得ないと思います。
  334. 沖本泰幸

    沖本分科員 いま少しお認めにはなったわけですけれども、お話の向きを伺っておりますと、三年ほど前からこういう現象が起きたということで、要望がどんどん出てきたので、そういうお話なのですね。しかしそうではなくて、この問題はもうすでに以前から起こるべくして起きる問題が横たわっておった。ところが、もうどうにもならなくなって表面化してきたものであって、そういうものに対する先の見通しというものが、現在のままの国鉄の経営のあり方、あるいはそういう問題のあり方の中に甘んじておったということに問題がある、私はこういうふうに考えるわけです。そういうことですから、一般会計のほうからもどんどん見てもらわなければならない、こういうことになると、定期を値上げするとかなんとかいう問題ではなくて、国鉄の計画そのものを変えなきゃならないのじゃないでしょうか。ただ新幹線だけを新しくして、そのほかはほってあるということになるわけです。  それでは、いまの問題とあわせて、もう一つ問題点をお伺いしますけれども、はたして関西支社が持っておる路線で黒字はどこなんでしょうか。
  335. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先ほども申しましたとおり、いまのいわゆる都市鉄道の高架化問題と申しますのは、途中から姿が変わってきたわけでございまして、国鉄としてはできるだけ経費が少ないほうがいいということで、いわゆる単独の立体交差で何とか済ませたいという強い気持ちを持っておりましたけれども、地方の方々から、とても単独じゃ困る、ぜひ連続立体にしろ、いわゆる高架鉄道にしろという御要望が強くなってきたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、できれば、いまでもそれは単独のほうが安上がりでございますから、単独でいきたいのですが、それではとても地元が納得されないので、やむを得ず、工事経費もふくらむけれども連続立体にしよう、こういうふうに考えておるわけでございます。  先ほど第三次計画が生きてないとおっしゃいましたけれども、大体通勤輸送関係の高架化を含めまして、千九百億を第三次計画としてふくらませております。二兆九千億だったものを千九百億ふくらませましたのは、いまの高架化の問題が若干これに含まれているわけでございます。これが一点。  それから第二の、大阪付近における黒字線と申しますのは、東海道線、山陽線、それから大阪の環状線はまだあまりよくない。大体償却費、利子等が、最近つくったものですからわりあい高いですが、大体とんとんぐらいのかっこうになっている。あとは全部赤字線でございます。
  336. 沖本泰幸

    沖本分科員 いまおっしゃっているとおりで、ですからこの通勤輸送に関しては真剣にお考えになっていただかなければ、おっしゃっていることと現実とが合わない、こういうことになってくると思うわけです。現実に私鉄と合わせてみても、いわゆる南北とか東西とか、交通の要路が大きくふくそうしていく、あるいは交通停滞を起こさせていく、こういう一番の問題が、みな私鉄とか国鉄の路線が引っかかって問題になるわけです。いろいろな問題を並べてみましても、結局私鉄なり国鉄が動いてもらわなければ交通麻痺とかふくそうとかいうものが片ずかない、こういうものが全国的な現状になっておることは事実なんです。こういう点を考えてみますと、やはり私鉄もよく言われるわけですけれども、これは私のほうの敷地内なんだ、軌道敷の中はわが占有している土地である、こういうふうな国鉄なり私鉄なりのお考えがどうしてもそういう問題を解決させない、こういうことになるんじゃないかと思うのです。踏切の問題一つにしてもそういうことになるわけですけれども、こういう点も早急に計画の変更をしていただき、新しい計画を立て、新しい予算考える、それは国鉄だけの問題でない、こういうふうに考えるわけですけれども、大臣のほうにおかれては、いまよく検討して善処したい、こういうふうにお考えでございますが、最近の私鉄のいろいろな事故とかこういう問題とあわせて、特別立法も考えておる、こういうことでございますが、こういうような交通のじゃまをしておる問題に対して、大臣はどういうふうなお考えでいらっしゃいましょうか。
  337. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 都市の通勤輸送という問題は、政治としも非常に大事な分野であると思います。そういう点におきまして、国鉄、私鉄相総合して、住民の皆さんの御期待に沿うように政策を進めていきたいと思っております。
  338. 沖本泰幸

    沖本分科員 抽象的なお答えでなくて、いろいろな点で問題を考えていただきたいわけですけれども、それはともかくとしまして、一番現地が要望しておる大阪の外環状線も明年度に着工の運びにしよう、こういうことなんですが、その点は大体間違いなく着工できるんでしょうか。
  339. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 結局、問題は原資の問題でございまして、いま御審議願っている予算の中に計上されておりますいわゆる特別債の消化につきましては、いまの金融市場の逼迫との関連で、いまの時点で何月ごろまでにあの特別債が消化できるかということについての確たる見通しが、私ども実際発行する者といたしましてつきませんので、結局原資の獲得等について、相当程度やはり地元に御協力願わなければならないというようなことも考えまして、もう少し具体的に債券の消化状況等をにらみ合わせた上で計画いたしませんと、計画したが金がなくてやめたじゃ、これはたいへんなことになるので、もうしばらくいまの金融逼迫の成り行きを見た上で、なるべく早く実行計画を立てたい、こういうふうに考えております。
  340. 沖本泰幸

    沖本分科員 この問題に関しては、大阪府や市が国鉄の利用債をお互いに分担して、六億ももうすでに払い込んで、先ほど御説明があったとおり、新大阪駅の周辺の用地買収をしていただいて、ひたすら待っているわけです。できますれば吹田の周辺もやっていただきたい、こういうふうに申し込んでおる。しかし国鉄のほうは、何か実現がなかなかむずかしいので、利用債を使うということに関してもなかなか渋っていらっしゃる、こういうような向きも聞いておるわけなんです。そういうことで、少なくとも現在窮迫する地方公共団体の財政事情の中で、六億を寝かすということは非常な苦痛だと思うのです。こういう点もいろいろ横たわってきておりますが、それもがまんして何とかしていこう、こういうふうに考えるのは、早くしてほしい、どうにもならない現状だ、こういうことが現実の問題ですし、地方都市の発展に対して、この問題はずいぶん大きな問題をかかえ込んでいる。またこの外環状線は、つくれば必ず国鉄のほうの黒字になっていくことは間違いない現状になっているわけなんです。そういうものをほうっておいて、言ってみれば変なところに赤字路線をつくっている。こんなのはどうしても素朴な考えで受け取れない、こういうことになるわけです。ですから、この点をどうしても早急に着工していただいて、それで万博目がけてやっていただいたこういうふうな点に熱意を示していただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  あとあまり時間もございませんので、もう一点。これは非常な地元の要望がありますので、特にお願いしたいわけですが、これは東京であります。東京の中央線の吉祥寺の駅ですね。これはすぐ三鷹が近くにあるということで、ここへ特別快速電車がとまらなくなった。とめてくれというのが地元の要望なんです。ところが、三鷹よりも吉祥寺のほうが利用する人が多いわけですし、ここの駅に向かっていろんなバスとか交通機関が集中してきておる。今後はこの駅を中心に発展するであろう、こういうことはもう将来も見通されておる、こういうことなんですが、もうきめてしまったからとめられない、三鷹があるから近過ぎるということなんですか、どうなんですか。
  341. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 東京の中央線の停車問題につきましては、だんだん伺って私もよく事情を存じておりますが、実は快速電車はとまっているわけでございます。ただ、去年の秋から特別快速電車というのが発足をいたしました。この特別快速電車と申しますのは、主として三多摩地区の方々をなるべく早く都心に運びたいというためにやりました。三鷹はただ運転上追い越しのためにとめたということでございますので、その地元の方々にはたいへん御不便ですが、奥地の方々をなるべく早く都心に持っていきたいというためにつくった電車でありますので、御了承願いたいと思います。   〔湊主査代理退席、主査着席〕
  342. 沖本泰幸

    沖本分科員 もう一点でやめますが、地元の人が言っているのですが、この間新聞を読むと、山口県のほうでは急行停車駅のすぐ近くで急行をとめていらっしゃる、こういうことを考えると納得できない、こういうふうにおっしゃっているわけですから、早急に地元の要望が達成されるように実現をはかっていただきたい。こういうことをお願いいたしまして、質問を終わります。
  343. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて沖本君の質疑は終わりました。  次は、堀昌雄君。
  344. 堀昌雄

    ○堀分科員 大体大臣が毎年おかわりになるものですから、毎年こうやって分科会に来ましても、そのつど新しい大臣で、同じ案件を申し上げなければならぬというのはたいへんわれわれは残念なんですが、実は昨年の分科会でも私は伊丹空港の騒音対策の問題と、それから新しく敷かれる予定の山陽新幹線の問題について、同じような公害の角度から論議をいたしました。そのときにかなりいろいろ御答弁をいただいておるわけなんですけれども、まず、だいぶ事情の変わってきた点がありますから、それも申し上げておきたいと思います。  大臣、初めてですからちょっと申し上げておきますが、実は国鉄山陽新幹線というのを大阪から岡山までつけられる。これは大臣御所管ですから御存じだと思います。今度の新幹線というのは速度が二百五十キロくらいも出るだろう、こういうふうにいわれておりますから、その限りでは現在の新幹線以上に騒音その他があるということで、住民はたいへんその公害を心配をしておるわけです。特に、それが西宮北部という非常に閑静な住宅地帯を通って六甲山に入るということになりますので、いまこの地域の住民たちは特に強い関心を持って反対のいろいろな運動をされておるわけですが、私は、地下鉄にするとか、路線を変更するとか、できないことをおっしゃっても、私はそれは協力できない、しかし私の提案として、両サイドにひとつ五十メートルのグリーンベルトをつくる、そうすることによって、そういう公害を防ぐと同時に、都市における緑地化対策、積極的な都市公園としての側面も生かしていこう、そういうことでひとつ住民の皆さんが納得していただけるのならば私もひとつ大いに協力をしたい、こう申しておりましたら、西宮の住民の方々は全部私の案に賛成をしていただいて、西宮市議会もこれに賛成をして、決議をして今日に至っておるというのが現状であります。私も、山陽新幹線をすみやかに通すことが今日の国鉄輸送の、国鉄だけではなく、輸送のいろいろな隘路を打開することになりますから、できるだけ早く通してもらいたいのでありますが、そのためには、やはり昨年もここで申し上げましたけれども、そういう措置が必要だと考えております。一昨日でありますか、分科会で保利建設大臣に対して、私、この問題の提起をいたしまして、もし地方自治体が都市計画をひとつ都市計画審議会に出して、自分たちの手でそのサイドに四十メートルなら四十メートル、三十五メートルなら三十五メートルを都市公園にしようということで手続をとってきたならば、建設省としてはこれに協力をしてもらえるかどうか、こういう問題の提起をいたしましたら、建設大臣は、そういうことなら建設省としても協力しましようと、非常に快く、そういう積極的な面を含めて御理解のいただける答弁をいただいたわけです。そこで、この問題の一つの問題点であった三十五メートルになりますか四十メートルになりますか、そこはわかりませんが、その都市公園の部分についてのめどははっきりこれで立ったわけですが、残っておるのは、その内側にあるところの国鉄にも私は一部の負担をしていただかなければ、これは地方だけでやるというわけにまいらないと思っておりますから、そこできょうはひとつ、十メートルになるか十二メートルになるか十五メートルになるか、そこらは全体の問題とにらみ合わせてよろしいわけですが、少なくとも十メートルくらいの側道を両わきにつけるということを、何とか国鉄の側でも積極的に理解をしてもらいたい、こういうことを実はこの委員会で論議をしたいわけです。昨年磯崎副総裁もこういうふうな答弁をしていらっしゃるが、ちょっと読み上げておきます。「先生のおっしゃったような、ほんとうに人口密集地帯につきましては、十分いままで考えなかった、そういうふうな考え方も取り入れる必要があるのじゃないかというふうに考えておりますが、まだ具体的に実は結論に達しておりませんが、貴重な御意見としてぜひ参考にさしていただきたいと思います。」という答弁。大橋国務大臣は、「ただいま国鉄のほうから、一応グリーンベルトの御意向につきましてお答えを申し上げたところでございますが、私どもといたしましても、今後の都市のあり方というような面から申しましても、これは前向きの施策である、かように存じますので、もう少し具体化いたしましたならば、関係各省に十分協力をお願いして実現に努力をいたしたいと存じます。」こういうふうに大橋さんも実は答えていただいておるわけです。あと残るのは財政上の問題ということに私はなろうかと思います。  そこで、国鉄のほうに最初にお伺いをしたいのは、現在、山陽新幹線の土地買収というのはどの程度進捗をしておるのかをちょっと伺いたいと思います。
  345. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 担当の仁杉理事からお答え申し上げます。
  346. 仁杉巌

    ○仁杉説明員 ただいま山陽新幹線では、工事に着工しておるのはほとんどトンネル並びに橋梁区間でございまして、平地につきましては、いまのところ用地買収が難航をいたしまして、着工の運びに至っておりません。ほとんど着工いたしておりません。それで、この用地買収が進行しない最大の原因は、いま副総裁から申し上げましたように、公害の問題にからむ側道問題ということでございます。この前の国会におきまして、公害基本法ができ、ことしの本国会あるいは次回になりますか、騒音規制法というものもできるように聞いておりますが、その辺の問題がはっきりきまりまして、われわれもこうするんだということになれば、わりあいに簡単でございますが、現在の段階では、公害、騒音等は決して国鉄ばかりでないという問題、あるいは現在線の公害との関連というようなものも考えまして、実はその判断に非常に苦慮をいたしております。しかし、このままではまいりませんので、いま先国会の会議録にもございましたように、人家の密集いたしておりますところでは、何メートルとは申し上げませんが最小限国鉄でとらないと、騒音並びに振動等の問題あるいは工事中の問題等がございますので、何とかしたい。そのほかの地帯、田園地帯等におきましては、大体北側が日陰になりますので、そのほうに工事用の道路をつくるというのを原則にいたしまして、その工事用道路をどういうふうにあとで処理するか、できれば地元の方に買っていただいて、町道なり県道なりに利用していただきたいというふうに考えますが、この辺のところにつきましては、もう少し考えたいということでございます。この辺のことがきまりませんので、この用地買収に難航しておるというのが実情でございます。
  347. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで、これはやはり財政を伴うことなんですが、もし予定が一年おくれますと、国鉄としてはおそらくいろいろな借金の利子の問題もありましょうし、同時に今度は逆に、つくことによって収入が上がってくるという問題と両面の問題がありますから、私は、一年おくれるということによるロスというものは相当な額になるのじゃないかというふうに思いますが、どんなふうに考えておられましょうか。
  348. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 現在の山陽新幹線に使う予定にいたしております工事費等から逆算いたしますと、利子の計算、あるいは得べかりし収入の減等を考えますと、一年おくれて大体三、四十億、二年おくれて——正確な計算じゃありませんが六、七十億、大体そんな程度ではないかと思います。
  349. 堀昌雄

    ○堀分科員 実は私もうちょっと大きいのじゃないかという気がするのです。ということは、山陽新幹線部分についての収益でそろばんを出していらっしゃるのだと思うのですが、実は東京から岡山までの利用度というものがふえるわけですから、その分がプラスアルファするでありましょうし、私はもう少し大きいのじゃないか。これは予測ですからよろしいですが、ですから私は、同じやるのなら、一年おくれると土地代も上がると思うのです。時価もやはり上がります。いろいろな要素から見て、多少財政上には負担がかかることも私もよくわかりますが、やはりそこをひとつ国鉄としても御検討をいただいて、ある程度思い切って、そういう側道をつけて、それによって住民が賛成をして、いま私どもの範囲についていうならば、十メートルくらいの側道を両側につけていただくということになれば、あとの四十メートルくらいのところはひとつ都市公園でいこう、こういうことになっておるわけですから、それがきまればもうたちまちあそこの用地買収ができてしまうわけです。全く簡単なところへきているわけです。ですから、これはもうそれを六メートルに削ったから国鉄がどうなるとか、そんなことではないと私は思いますので、そこらはひとつ国鉄側でも——建設大臣もこの間はっきり、仁杉さんも聞いていただいたように、たいへんいい御答弁をいただいて、私も都市再開発なり公害対策なりで非常にいい御答弁をいただいたと喜んでおるのですが、あわせてここで磯崎さんからも、そういう建設大臣の答弁に合わせて、早く開通させるためには国鉄としても十メートル内外の側道問題についてはひとつ配慮をしていただきたいと思うのですが、これはいかがでしょう。
  350. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いままで非常に難航いたしておりました建設省との話が、おかげさまで少し何か前向きになったような気がいたしますが、私どもとしても、うちの実力だけで、五十メートルくらいずつ買ったのじゃ、これはとてもやり切れないと思いまして、いろいろと建設省との話が難航いたしておりましたが、おかげさまで少し歩み寄ってきたような気がいたしますので、そういうことを踏まえまして、うちの大臣にもいろいろお願いいたしまして、いまここで何メートルということは申し上げられませんが、いわゆる新しい考え方で進めていただきまして、できるだけ早く工事に着工して完成させたいというふうに思っております。新しい大臣にぜひその点も私のほうからも御協力願いたいというふうに考えております。
  351. 堀昌雄

    ○堀分科員 どうでしょうか。いまお聞きのようなことで、建設省もたいへん前向きな答弁をしていただいておるし、費用は確かにそれは予測していないものがかかると思いますけれども、しかしそこに十メートルの道路がずっとできるということは、これはまたそれなりに今後の運輸行政の上から見ましてもプラスになることなんで、ただ単に公害対策だけという消極面だけではないわけでありますから、ひとつ運輸省としてもいま申し上げたことを実行に移していただくことが、いまの山陽新幹線問題の、今日まだ全然土地買収が行なわれていないという問題をかなり大幅に改善できる見通しが立つのではないか、こう思いますので、ひとつ運輸大臣としても御答弁願いたいと思います。
  352. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 道路の問題は、私はいま話を聞いておりまして、あまり国鉄が負担すべきものでないと思いました。それは都市計画とかあるいは市町村、建設省の側において国鉄と協力しておやりになっていただくのが筋であろうと思います。そういうところまで国鉄がいろいろ負担すると、これはとても大きな負担になって、現在も赤字の国鉄がますますむずかしくなるという感じがいたします。しかし、いままでの膠着していた問題が建設省のほうの考えによって多少前進をするともなれば、こちらもやはりある程度話し合いをして、なるたけ打開の道を講ずるように話し合いを進めるようにしたいと思います。
  353. 堀昌雄

    ○堀分科員 道路というふうにお聞きをいただいたようですが、別に道路であろうと何であろうとそれはいいと思うのです。要するに五十メートルのグリーンベルトができることによって、公害対策と緑地化の問題等で住民がそれがなければ絶対売りませんといってがんばっているところを、全部土地収用法で取り上げるというようなことは民主的な国家としてやるべきことではなかろうと思いますので、どうかひとつその点について——そこを道路にしようというのではない。ただ、たまたまさっき側道という表現がありましたから申し上げただけでありますから、その点はひとつそういう角度で御理解いただいて建設省にお話をいただく。これは建設省というよりは、実は地方自治体が先に問題を議会できめて、そうして出してきてということでなければものは運ばないわけです。しかし地方自治体が出すについては、国鉄から起った問題であるから国鉄が何がしかの負担をしてくれということが地方自治体側としての当然の意見でありますから、私はそういう味でこれを考えましたのは、その負担の分散によって、できるだけそれぞれの財政負担を小さくすることによって目的を達していくという方式を考え出したわけでありますので、その点はひとつそういうふうな角度で御検討をいただいて、御協力をいただきたいと思います。その点もう一ぺんひとつ……。
  354. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御趣旨に沿って、できるだけお互いに協力するようにしたいと思います。
  355. 堀昌雄

    ○堀分科員 その次の問題は、これはやはり同じ公害一つである伊丹空港の問題です。実は今度公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というのができまして、その法律に基づいて政令がきめられて、「特定飛行場周辺の指定区域及び除外区域に関する告示」というものが出されたわけであります。これが実は伊丹飛行場の場合には、大体あそこは風向きの関係で北に向いて離陸するのがほとんど大部分です。北に向いて離陸します。その離陸する真下に住宅地帯がずっと昔からある。だからこの住宅地帯における騒音は実にたいへんなものでして、私はその地域にちょいちょい参りますから、これは公害対策委員の皆さんもごらんいただいて、全くひどいということになっておるのですが、今度この政令によって千三百メートルの地点までは要するに移転その他について補償ができる、こうなったわけですが、それがいまの住宅地帯の南の端っこのところで切れちゃう。せっかく皆さんに配慮していただいた千三百メートルがまさに当てつけのようにその住宅の南の端で切れちゃって、その住宅は全然この恩恵に浴しないという問題が実は起きている。ところが、この周辺の横のそういう被害が比較的ない地域が適用になるというのがいまの告示の内容です。どちらかといえば、飛行機が上がりますときには、かなり上がってきたところで一番下に音がいくので、地面をはっている間は実はあまり横へ音は出ないわけです。ですから一番音のひどいところだけが疎外されるような告示に結果としてなっている。皆さんの善意を信じないわけではないのですが、結果としてなっている点はまことに遺憾だと思う。  この千三百メートルが出てきた経過は、時間がありませんから私のほうで申し上げますが、何か自衛隊の関係で出てきた。自衛隊はなぜそれをきめたかというと、自衛隊の飛行機がものを落とす危険がありますから千三百メートルというのがきまったのだ、こういうことのようであります。しかし問題は、ものを落とすということに対する対策ではなくて、騒音としての対策であることは、ここにずっと書かれてある法律の条文から見ればまことに明らかなわけでありまして、その点でまず前段として、この千三百メートルというのは告示でありますから、変更はできないのかどうか。これをあとほかのところを広げろというのじゃない。ともかく一番被害の大きい人のところだけ何か広げるような告示の変更があれば、この問題は非常に簡単に解決がつく、こう思うのですが、運輸省、その点はどうでしょう。
  356. 澤雄次

    ○澤政府委員 この千三百メートルをきめるにつきましては、先生承知のような経緯がございまして、自衛隊は、実は現在千になっておるわけです。それでオーバーランが自衛隊の場合は三百あるものですから、民航の場合は六十でございますので、私のほうが関係省といろいろ折衝いたしまして、やっと千三百になったわけであります。これを変えますと、これがまた自衛隊のほうに反射いたしまして、影響が非常に大きいということで、この千三百を変えることは、現在では非常に困難な状態にあると思います。ただ、先生御指摘のような事情があることは、われわれもよく承知をいたしておりまして、特に伊丹につきましては、飛行機の飛び方を少し変えようじゃないか、現在は御承知のように久代小学校の上で回っておりますのを、もっと遠くまで直線で飛んで、それから回るということにしたらどうかということで、これは今月末から実際にいろいろ飛行機を飛ばしまして、テストをいたしたいと思っております。  それから、千三百より遠いところへ移転をしたいという方々の御事情もよくわかりますが、これは現在の法律ではどうにもなりませんので、建設省それから関係市町村ともいろいろ御相談申し上げまして、これは空港整備予算では何ともなりませんが、市町村あるいは建設省等の御協力を得て、ここに緑地帯をつくる、何とかそういうようなこともできないかということで、地元で関係者の方といろいろ御協議申し上げております。
  357. 堀昌雄

    ○堀分科員 千三百メートル、自衛隊に関係があるというお話なんですが、これはものの考え方が、北側にも千三百、南側も千三百なんですね。しかし確率からいうと、南に上がるときもないとはいえないでしょうけれども、ほとんど北に上がっているような地域でこういうふうになっているものですから、要するに、何か運輸省が非常にいじわるをしたようなふうに住民は受け取っているわけです。そんな、何も南側を使わないなら、そっちはいいじゃないか、こっち側だけうんとふやしてくれたらいいじゃないかという気持ちが住民の側にあることは、私はよくわかるわけです。被害を受けないところがメリットがあって、被害を受けるところがメリットが全然ないというのでは、ぐあいが悪い。確かに財政当局側との関係の問題もありましょうが、実はそうあちこちにある問題ではないのですね。いまから飛行場をつくるのならば、指定地域の関係はないわけです。指定地域になったときに家があったりするということですから、きまったところですね。それは実際は福岡の場合にはもう問題はない。東京の場合にも実際は問題ない。問題は、実は伊丹空港だけにかかっている。それもあの地域だけにかかっておる問題です。それは自衛隊の飛行場との関係というのがあるでしょうけれども、ともかく延ばすのはこっち側だけだというようなかっこうで折衝する余地が絶対ないとは言えないと私は思うのです。これは、きょうは時間がありませんし、財政当局を入れてないからあれですが、一応私もそれなりの検討をしてみたいと思いますが。しかしそれはもう少し努力してもらいたいと思う。  もう一つは、話に聞くと、あの辺を中国縦貫道路でも通れば問題は解決するという、あなたのほうからいえばたいへん虫のいい感じの話が実は出ているわけです。もしいまの財政当局が考え直したとすれば、移転、補償をここに出すわけですね。しかし中国縦貫道路があそこを通るなら、あそこはあそこで費用を出さなければならぬ。二重に費用を出すなら、国の財政の効率化、土地の利用からいっても、一つのところを通るほうが土地の有効利用につながるし、私はこの間建設の分科会で言ったのです。その点について建設大臣は、将来の方向として、運輸省と建設省は大いにひとつ合議して前向けにやっていこう、という非常にいい答弁をいただいたわけです。  そこで道路局の次長の方にお伺いをしたいのですが、私も一体どの辺を中国縦貫道路が通る予定になっておるのかつまびらかにいたしておりませんで、突然の質問ですから、あなたのほうに御準備もないかと思いますが、ひとつ、もし検討の結果可能性が生れるならば、いまの土地の有効利用というような面、財政の負担軽減という面からすれば、該当地域のところを通ってもらうということは、両面から見て非常にロスが少なくなることだと思うのですが、建設省のほうとしてはどういうふうに考えておられるか、ちょっと答弁してください。
  358. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいまの先生の御提案のお話でございますが、現地によく調査をさせませんと、問題の住宅地と私どものほうの縦貫道路線とがどういう関係になっておるか、これがはっきりいたしましてから私お答え申し上げようと思います。一般論としては大臣のお答え申し上げたとおりでありますが、ただここはたしか縦貫道の路線発表をしておると思います。そうなりますと、あそこは都市計画関係、土地利用等勘案して、ずいぶんいろいろと地元と調整に調整をやった上で、都市計画としてルートをきめた個所だと思いますので、そういう点でもしこれを振る、変えるということは、たいへんむずかしいことではないかと思いますが、なおよく調査いたします。
  359. 松浦周太郎

    松浦主査 堀君、あと三分です。
  360. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまのようなことで、私も、すでに路線がきまっておるものを動かすのはたいへんむずかしいと思います。しかしまた地方自治体にというお話ですけれども、ここの該当しておる川西市というのは小さな自治体で、急激な人口増加のために地方自治体は完全に手を上げておるわけです。とてもそんな地方自治体で処理するというような芸当ができるようには実はなっていないわけです。ですから、もし中国縦貫道の問題が解決がつかないのなら、どうしてもやはり運輸省でいまの千三百メートルを何とか延ばす方向で処置をしてもらわなければ、これはそのままほっておけない重要な問題だとわれわれは考えておるわけです。ですからその点について、まあ中国縦貫道というのは、それができれば土地利用、財政効果の上でたいへん便利でありますが、できない場合にはそういうわけにもいきませんから、その点については、一つは千三百メートル問題——特にあちらの地域の方向に向いてだけです。全部というのではないわけですから、その点についてひとつ再検討を進めてもらいたいと思うのです。どうでしょうか。
  361. 澤雄次

    ○澤政府委員 ここだけの問題として、財政当局とも話してみたいと思いますが、これは先ほど申し上げましたように、非常にむずかしい問題でございまして、自衛隊のほうの基地も、さっき先生が言われましたように、飛行機が落下するというような危険の問題も確かにありますが、F86、F104の騒音というものは相当なものでございまして、これがまた全国に及ぶ影響等もございます。非常にむずかしい問題ではないかと思います。
  362. 堀昌雄

    ○堀分科員 問題が非常にむずかしいことはよくわかっております。しかし運輸大臣、非常に住民が困って、家はだんだんがたがたになって、かわらがずれるというほどの状態でおるところに、そのまま千三百メートルで、そのそばまではいいけれども、おまえさんのところはだめなんだというようなことは、政治の問題としてはいかがかと思うのです。私も大蔵に長くおりましたから、財政の諸君とせっかくひとつ論議をしてみたいと思いますが、大臣としてもひとつ政治的な配慮の上に、いまの中国縦貫道路の問題がうまくいかない場合には、財政当局に対しても少し押していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  363. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私も先般あの上を飛んでみまして、その下だということを説明されまして、なるほど気の毒だと非常に同情いたしました。いろいろくふうを加えてみることにいたしましょう。
  364. 堀昌雄

    ○堀分科員 終わります。
  365. 松浦周太郎

    松浦主査 堀君の質疑はこれにして終了いたしました。  次は広沢賢一君。
  366. 広沢賢一

    ○広沢(賢)分科員 私は東京都の交通の問題、特に帝都高速度交通営団と都が経営する交通の問題、地下鉄の問題についてお伺いします。  まず一番初めに、今日の東京都の交通の混乱はたいへんなものですが、その東京都の交通の混乱の解決策として都電が撤去された。この都電の撤去に伴いまして従業員も約八千名ですか、今度東京都が建設する地下鉄にどんどん移行させる、簡単に首切りはできませんから。そういう問題が起きているのは御承知のとおりだと思うのです。そこで美濃部知事が政府に対して、交通営団との関係で路線の確保をいろいろとお願いしているわけですが、その間の事情についてどういうところでどういうふうになったかということについてお答え願いたいと思います。
  367. 増川遼三

    ○増川政府委員 東京都からは、七号線、八号線につきましては免許申請が出たわけでございます。これにつきましては、東京都と交通営団と競願の関係に現在ございます。この路線につきましては、現在着工中の各線の模様を見ました上でこれに対する免許審議を進めたいと考えておりますが、現在、昨年の十二月から始まっております都市交通審議会におきまして、東京都域の地下鉄網の修正につきまして再検討の段階にあるわけでございます。ここで新たに東京都及びその周辺における地下鉄網の新しい構想を出していただきまして、この中でこの七号線、八号線につきましても再検汁を加えてまいりたい、こういうふうに考えておるのでございます。  昨年、美濃部知事からも運輸大臣に対しましてこれが免許の促進方の要望がございましたけれども、これにつきましてはまた先ほどのような事情を考慮いたしまして、十分慎重に取りはからいたいと考えておる次第でございます。
  368. 広沢賢一

    ○広沢(賢)分科員 その交通審査会で再検討します。しますということでずっと延びて、どういう基準でこれが東京都になるのか、交通営団になるのかということをあとでお聞きしますが、まず一番目に路線の問題と許可の問題ですが、認許可について、この問題もいろいろと——衆議院の地方行政委員会四十一年六月二十一日のあれですが、その場合に、「バス事業については、従来から運輸大臣は、東京都の特別区のほか大阪市等七都市の区域内において、路線の免許等に当って長の意見を聞くこととなっているので、自治大臣としては公正妥当な意見については十分尊重されるよう協力致したい。また、バス事業」運営について「運輸大臣と協議のうえ極力努力したい。」この認可の問題ですが、東京、大阪など七大都市の区域内においては運輸大臣が認可する。都知事はやはり施工者になるということで、幾つも幾つもダブっていますが、運輸大臣としてはこの認可で東京都知事のいろいろの意見を聞くという点について、どのくらい尊重されますか。
  369. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地下鉄の認可の問題につきましては、佐藤総理もいろいろ御心配になっておりまして、私に、都知事ともよく相談をしてやってくれ、こういう話もありますから、摩擦を起こさないようによく協力してやるようにいたしたいと思っております。
  370. 広沢賢一

    ○広沢(賢)分科員 佐藤総理も心配してそう言っていただいているそうですけれども、もう一つは佐藤総理がこの前非常にいいお話をしました。それは、地下鉄の建設はこれは非常に重要なことですね。道路と同じ、それ以上です。だから道路が国の費用で大きくやっているならば、地下鉄は一キロ建設するのに五十億かかりますから、そういう地下鉄は十分国がめんどうを見なければならぬ、そういったことを佐藤総理が言われたと思いますが、運輸大臣御存じですか。
  371. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体いままで一割くらいの補助金を出しておるはずです。しかし東京の場合を見ますと、実際は能力やスピードは営団のほうが都より上なんです。しかし手のあきぐあいとか、都のほうも近ごろだいぶ腕前を上げてきましたから、そういう総合的な観点から見まして協力し合うようにしたいと思っております。
  372. 広沢賢一

    ○広沢(賢)分科員 そうすると交通営団とそれから都の地下鉄の競争で腕比べ、相撲だということになりますが、そこで根本的な問題ですが、この交通営団という性格ですが、よく言われているんじゃ間接公営だというんですね。この交通営団の性格について、たとえばいろいろの地方公営企業の性格、基準と申しますか、そういうものにこういうふうに書いております。地方公営企業の第一番目の重要な点は、その大きな固定資産の回転期間はきわめて長いということ、採算がちょっとなかなか追っつかないくらい長い。地下鉄建設が一番その最たるもの。上下水道も同じですが……。第二番目に、固定資産の運営から生まれるサービスが連続的であって、需要のあらゆる変化に対応できないという性格、つまり交通ラッシュで一時にそれをずっと運んでしまって、あとはさっきおっしゃったとおり路線いかんによってはあいてしまう。これは都営地下鉄で働いている人の能力、それからいろいろのことじゃなくて、やはりそういう路線がいいか悪いかによって相当相撲の条件が出てくると思うのですね。それでそういうラッシュアワーの乗客さばきや何かをやらなければならぬとすれば、これは採算もある程度度外視しなければならぬということが一つ。もう一つは、やはりこれは特定の企業、たとえば大企業に工場用水を引くというより以上に国民生活に全部密着している。こういうものは地方公営企業が望ましいですね。民間のほうがいやがるわけです。そうするとなるべくそれは公営企業であってしかるべきであると思いますが、いま交通行政の一元化という問題が非常に問題になっておりますが、運輸大臣としては理想案としては公営企業が一番いいと思っておられるのではないですか、どうですか。
  373. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 営団は官と民のいいところを両方取ろうと思ってつくった半公共企業体的性格を持っていると私は思います。しかし東京都というのもやはり地方公共団体で、そういう大衆路線を担当する適格者でもあると思います。いろいろな歴史的理由もあって両方ができてきているわけでありますが、両方が競って腕前を争うことは非常に都民のサービスになると思いますので、両方が協力してしかも競争原理を使ってやってもらうようにしたら、国としては好ましいやり方じゃないかと思います。
  374. 広沢賢一

    ○広沢(賢)分科員 ところがその公平な土俵の上でやっておるというのではなくて、路線のいろいろ権利を持っている——権利金というか、掘ったりなんかする権利を持っておるのはどちらだと思うのですか。
  375. 増川遼三

    ○増川政府委員 ただいまの、権利と申しますのはどういう意味かちょっと判じかねるのでございますが……。
  376. 広沢賢一

    ○広沢(賢)分科員 つまり、交通営団がいままでいろいろ掘るときに、都市交との関係で、都市交がここのところを認可を得て掘るというときには、営団にどういうことをいたしますか。どういうことを申し入れるのですか。
  377. 山口真弘

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  東京都にいたしましてもあるいは営団にいたしましても、地下鉄を建設いたします場合に、現在運輸省内に都市交通審議会という機関がございまして、この都市交通審議会におきまして、地下鉄網のあるべき姿という問題を検討の上、こういうような路線がいいだろうというような一応の決定をいたしまして、大臣に諮問をする機関がございます。それで、その都市交通審議会の審議に沿いましたその路線の姿に従いまして、各事業者から免許の申請がございます。東京都なり営団から免許の申請がございますと、運輸省内に運輸審議会という機関がございまして、この運輸審議会におきまして審議の上、具体的な路線の決定並びに施行者というものが決定をされまして、免許をされる、そうして、その者がその建設並びに運営の担当者になるというわけでございます。
  378. 広沢賢一

    ○広沢(賢)分科員 そうすると、いろいろ掘るについての権利金——向こうは交通営団が持っておるということはないですね。
  379. 山口真弘

    ○山口説明員 権利金等というような問題はございません。
  380. 広沢賢一

    ○広沢(賢)分科員 それで、この交通営団ですが、これは半ば民と官、民と政府ですね。これと一緒になってやっておるというのですが、そうすると、えてして交通営団の中に私的資本と申しますか、いろいろな交通会社のいろいろの介入、たとえば地下鉄の相互乗り入れ、私鉄が入ってくるとか、その場合に、いろいろとああだこうだと文句が出たり何かすることはお聞きになっていませんか。
  381. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あまり聞いておりません。
  382. 広沢賢一

    ○広沢(賢)分科員 実は、たとえば線路を広くするか狭くするかということは、車体にも影響するし、たいへんな問題だと思うのです。それを去年までごたごたしていたという事実があるのです。こういうことだと思うのです。東京のまん中に私鉄が入ってくる、それから二つの、さっき相撲をとらすと言いましたけれども、こういう形で二つのものの運輸調整が十分つかないということは、交通一元化という点から望ましくないのじゃないですか。たとえばバスの例をいえば、バスが入ってくる、名前を言っては変だから、何々バスというのが入ってくる、都のバスが走っている、いろいろなことがずっとなっていますね。これは暫定的だと思いますが、将来にわたって永久にこんなことを続けるのでしょうか。
  383. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 バスの問題でもその他の問題でも、やはり一元的なことというものは、いまの日通がいい例で、腐敗したり能率が悪くなったりすると思うのです。それで地下鉄の問題もそういう調整をするために、都市交通審議会がありまして、路線の系統とか、そういう点は調整しておるわけです。運輸審議会がその上に立っていろいろ調整しておるわけです。バスの場合でも、そういうような上の調整機関があるわけでございます。したがって、私は、なるたけ多面的に、しかも民力をできるだけ活用しながらやらせるのがうまいやい方でしょうが、しかし、弊害が出たり、都民に不便をかけないという点については、役所がよく監視して、その弊害をためていかなければならないと思っております。
  384. 広沢賢一

    ○広沢(賢)分科員 そのとおりだと思いますが、こういうことがあるのです。いま都の交通事業で働いておる人たちが、都電撤去に伴いまして、今度地下鉄に入りたいといったらば、高速度営団はこれはお断わりというわけです。そこでそれまで長年経験を重ねてきた人たち、交通事業に従事してきた人たちが、いまや清掃事業とかそのほかの都が経営している全然関係のない仕事のところへ行っておる。そのためにそこで働いている人たちが、合理化反対ということで非常に混乱が起きておる。煙突に登ったりなんかするということも起きてくる。その点の調整すら一つもつかない。がんとして聞かないのです。そこで、今度路線の奪い合いが始まっておる。えてして、非常にうまい、利用度の高い、そういうところは、交通営団が優先的に握ってしまう、こういう長年のあれがあるわけです。で、運輸大臣は、総理から言われて、ぴしっとその点承知しておると言われておりましたから、半ば安心ですが、しかし、なかなかもって下のほうへいくと、そのように通らないで、ばたばたっといろいろな言い方がずいぶん出てきて、町の中では、それから交通事業に働いている人たちは、不安にかられ、しかもいろいろのうわさを立てるのです。そういう点について十分考えていただきたいと思うのです。  それからもう一つ、大きな私鉄の会社というのは、大体不動産会社を二つも三つも持っております。デパートを持っておる、それから映画館も経営している。利益になることだったらぱっと手を伸ばす。土地は先取りする。それで運輸省はなかなか賢明に、新聞によると、今度土地開発による利益を吸収していくという案を率先出しました。大蔵省よりずっと先に出した。というのは大蔵省の怠慢だと思うのですが、そういう面を出しましたけれども、私たちが見ていると、私鉄というのは——私鉄を目のかたきにするわけじゃないが、営利会社で、そういうことでずいぶんもうかる。ところが公営企業とかそういう部門になると、何らそういう仕事はできないのですね。もう一つ考えてみると、先ほど一割補助をしておる、何らかの補助をしておるといいますが、この地下鉄というのは一キロ建設すると五十億の赤字といわれる、先ほど言ったとおりの事情ですから、運輸大臣よく御存じだと思うのですが、そうすると、問題は、端的に言えば、造船というか、運輸部門に対して利子補給をしておる、それから輸銀では四分の安い利子で出しておるというようなことを考えると、たとえば交通営団にしても、あれは交通債券というのは大体七分八厘でしょう。協調融資だからいろいろまぜますが、七分八厘の金でまかなわなければならぬ。ところが、利子の負担というものは、固定資本が大きいからばく大なものになると思うのですが、やはり地下鉄というのは、重要な幹線道路というものは、国や地方公共団体がやっているということを考える場合には、抜本的にやらないと、物価は上がってくる昨今ですから、利払いに追われ、それから物価値上がりで料金は固定しているというのじゃ、これは運輸大臣が幾ら賢明でも物理的に不可能です。したがって、今後も物価はずっと上がっていく気配がありますから、そうすると、今後の交通運輸部門についての建設投資、そのあり方、抜本的なやり方についてはどういうやり方があるでしょうか。
  385. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 都市交通の問題で、当面最も緊急で重要な問題としてやらなければならぬ問題は、私は地下鉄だと思っておるのです。一番顕著に効果をあげているだろうと思います。そういう意味において、地下鉄の機能はいままでと違って、もっと大きな重要な使命を持つものでありますから、国としてもいままで以上にいろいろ応援するような体制をつくる必要があります。この点は今後とも検討していきたいと思います。
  386. 広沢賢一

    ○広沢(賢)分科員 これは大事な問題ですから、これは国民だれでもが喜ぶし、毎日のことですから、ひとつよろしくお願いしたいのです。特に東京都政から強い要望があって、どうにもこれ以上引き延ばされては困るので、何とかしていまの、長年交通事業で働いてきた人たちを収容し、それから都としての交通企業をやるためには、暫定的にでも七号線、八号線は何としても確保したい、この点よろしくお願いします。
  387. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて広沢君の質疑は終了いたしました。次は広瀬秀吉君。
  388. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 大臣にまずお伺いしますが、三月十二日に物価安定推進会議が公共料金の安定及び牛乳価格の安定について見解をまとめて、総理大臣にたしかきょう正式に中山会長から答申が出されていると思うのでありますが、その中で非常に重要な問題が指摘されておるわけであります。国鉄経営が今日非常な危機的状態にあるということから、運賃値上げの問題ともからんで、経営再建特別委員会の強力なやつを早くつくるべきだ、こういうものが出ておるわけであります。これについて運輸大臣として、国鉄経営を何とかして改善をしなければならないという見地において、この問題をどう受けとめられ、どう対処されようとされますか。
  389. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あのような建議を出してくれたことを非常に感謝しております。私は着任以来国鉄の問題はもう一回基本的に洗ってみて、根本的な財政確立策を今日やらなければ禍根を残す、そう思いまして、先ほども監査委員会の報告を拝読いたしましたが、このスケールでない、もっと大きなスケールで考えなければいけない、そういう気がいたしまして、省内におきましても近く国鉄財政の確立のための委員会をつくりまして、関係者も入れて討議いたします。来年度予算に間に合わせるようにしたいと思っております。たまたま物価安定推進会議でもそういう建議をしてくださいましたので、われわれ内面的に大いにいろいろ協力しまして、早くつくっていただいて、相こもごも国鉄財政の確立のために協力していきたいと思っております。
  390. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その問題はわかりました。ぜひひとつ積極的な前向きの姿勢で強力に進めていただきたいと思うわけでありますが、その中で、経営を単に合理化して、五万人の合理化だというような、従業員のみにしわ寄せをするような面が今日非常に強く出ておるわけでありますが、そういう面と、国鉄がやはり公共企業体として国民の足をいわば預かっておるといいますか、そういう状況にあるわけでありまして、国鉄当局から、昨年来、非常に大きな赤字路線約六千キロにわたって、だんだんに廃止をしたいんだというような構想が出されて、それぞれ非常な赤字線、営業計数が一〇〇を大きくオーバーしておるような、そういう線を利用しておる人々に大きな不安を与えておるわけであります。しかし、赤字路線であることに間違いはないけれども、地元の人たちにとってはこれは非常に重大な輸送機関であり、また通勤通学の機関である、こういうことから見て、単にああいう形で出されますと、これは不安だけを与えるというようなことで、それぞれの地元で問題になっておるわけであります。そういう点について運輸大臣としてどうお考えでしょうか。
  391. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国鉄当局としては、経済的合理性を追求するというのはまことにやむを得ない態度であると思いますが、政治家といたしましては、全国民の負担の公平あるいは生活の高さの維持というようなことも大事な要件でもありますので、その辺はよく勘案いたしまして処理いたしたいと思っています。ただ、将来つくる線について、必ずしも国鉄のみに執着しないという考えも私は必要だと思うのです。昔は、鉄道の駅もないから、嫁が行くときにどうも気まずいというような気持ちがありました。それは鉄道の駅というものは、一つの文化の入ってくる象徴でもあったように思うのです。そういう社会的な影響もあったと思います。しかし、今日は、バスというものが鉄道以上の効能を持ってきておるので、そういう意味においては社会心理的に、バスのステーションもりっぱにつくって、ちゃんと方向指示までつくって、堂々としたバスステーションでもつくっていけば、心理的に多少変わるところもあるかもしれません。そういう点では、あるいはタイムテーブルの中にバスの時間も入れてやるとか、これはアメリカではよくやっておりますが、そういう意味で社会機能は変わってきておるのだから、何もポッポやる昔の蒸気機関車、ディーゼルを入れることばかりが文明ではない。バスで代替できるところはバスで代替する。それにふさわしいような施設やかっこうをつくってやるということも政治要件だろうと思います。したがって、必ずしも鉄道のみにたよるという方式から、新しい文明の利器を利用するという方式に頭の切りかえもやってもらわなければいかぬと私は思っております。
  392. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 何かもう、赤字路線に対しての、一つのどういう基準を置いて廃止をするというようなことについてのお考え方がいま述べられたと思いますが、赤字路線にも非常にいろいろな形態もございます。営業係数、これは五四〇〇というべらぼうな柚木線から根北線の一七九三とか、三江南線の九六六とか、こういうようなものから一七、八〇あるいは二五、六〇というような、そういうようなものもあるわけでありますが、たしかに大臣のおっしゃるような面も私は当然あるだろうと思います。大体これを全面的に廃止するというような赤字路線の距離が相当な距離にのぼっておることは、今日非常に大きな問題でございますし、大体赤字線が営業キロで一万七千四百五十三キロもある。こういうようなもののうち、六千キロというようなものが一応目安の中に示されたわけでありますが、その中には私の地元である烏山線であるとかあるいは真岡線であるとか、足尾線とか、また大臣の地元である長野原線とか、こういうようなものが対象にのぼっておるということが報道されておるわけなんです。いま、ちなみに、烏山線は営業係数一八二であります。足尾線が二九六、真岡線が二五〇、長野原線が一七四、こういうような状況にあるわけです。これらはいずれもその地域にとってはやはり非常に重大な運輸交通機関としての地位をいまでも持ち続けておるわけであります。そういうような見地から、この沿線の地域の住民の人たちも、そういうものが発表されてから非常に不安に感じて、いつとられるんだろう、とられちゃたいへんだというようなことでおるわけなんでありますが、こういう大臣の近間の問題を、運輸大臣になられてながめて、これが廃止できるものだろうかどうだろうかというような御見解、これはたいへんむずかしい御質問になるかと思いますが、その辺のひとつ御見解を……。
  393. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一たんできたものは地元の了解がなければこれはとても撤去できるものじゃないと私は思います。しかし、地元もだんだん了解がつけば、国鉄バスとかその他で代替できる。場所によっては専用道路をつくって国鉄バスを動かすということも将来は可能になるかもしれません。そういう意味で、あまり無理しないでそういう地元の納得づくめでものを進めるのが正しいと思っております。
  394. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 大臣のいまの話でかなり地元の人たちも安心する面があるだろうと思います。確かに、一方においては多くの、九割以上の赤字線をかかえながら、さらに建設線の中で赤字線をいわば再生産をどんどんやっていく、こういう面もあるわけであります。五十一年度までにまだ六十六線が、全部これは赤字予定だというものができ上がる。二千七百十八キロ、工費七千七百四十八億円、しかもそれが全部開業したら赤字の増加が一千百七十億にものぼるだろう、こういうような状況にあるわけであります。これらの問題について、大臣としてはいま建設中の、あるいは建設予定の問題についてどういうようにお考えでしょうか。
  395. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 たしか、国鉄は二万何千キロの中で一万七千キロ、八四%が赤字路線になっておるとか記憶しております。しかし、赤字だからといって国のためになっていないのではないのであって、その地域地域の人は非常な利便を得ているわけであります。そういう利便を赤字であっても得さしておるというところが国家の国家たるゆえんなのであって、国家が私企業体でないということはそういうところにもあるように私は思うわけであります。だが、しかし、国鉄自体の経営から見るならば、国家のために非常にサービスをしているので、どうしてくれるのかということはまた当然であります。そういう点をよく見きわめながらこの調整をとっていくようにしたいと思いますが、私は現在着工しているもの、あるいは現に動いているものというものは、急激な変化を与えることはよろしくないだろう、ただしこれからつくる場所等につきましては、できるだけ国鉄バスあるいは国鉄専用道路でバスを通すとか、そういうことをちゃんと国鉄バスというものが格式をもって、場所によっては金筋の助役さんが駅長みたいにおってもいいと思うのですが、そういうような新しいムードとパターンを社会につくっていくことが大事だと思うのです。そういう形で国会議員の皆さんにもいろいろ御認識と御協力を得て、国鉄の赤字を将来にわたってはできるだけ減らしながら、現在までのものは維持していく、そういう形が好ましいのではないかと私考えております。
  396. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 大臣のお考えにほぼ同感でございます。  次に、建設線で野岩線があるわけであります。これはすでに着工されて三年目を迎えておるわけでありますが、この中ですでに栃木県側から、ことし約四億の予算がつきまして、建設をやって延びてきておるわけでありますが、これが、国鉄の今市駅に接続するという建設審議会の答申になっておるわけでありますが、いまだに東武鉄道との調整がつかないでおる、こういうことでどんどん工事は進む。その点どういうふうに運輸省としてその問題の決着をつけられるように動いておられるか、その経過についてお聞きをいたしたいと思うのであります。
  397. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その線のことは地元からの陳情も私受けておりまして、よく知っております。具体的なことは鉄監局長から答弁させますが、地元の人たちの気持ちも尊重していきたいと思っております。
  398. 増川遼三

    ○増川政府委員 現在野岩線につきましては、大体北のほうから延長いたしてきておりまして、上三依付近、それから中三依、それから高原付近、この付近につきまして、それぞれ各種の工事を実施中でございます。これをさらに延ばしまして、東武の藤原まで行きます鬼怒川線というのがありますが、この付近を通りまして今市に至る、こういう形になっております。これにつきましては、まだ工事が東武線の藤原駅の近くまできておりません。まだ数年のゆとりがございますので、ここの先のほうは、どこの線を通るか、あるいは東武とぶつけて東武の線を活用するという形にするかということにつきまして、これから慎重に詮議を進めたいと考えておるわけでございます。
  399. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そうしますと、東武との話し合いがもしつかなければ、東部の駅に接続するということもあり得るわけですか。国鉄の今市駅と接続をするというのが当初の計画であったわけです。これはそのとおり告示もされておるわけなんですが、それが変更の可能性もあるのだ、こういうことなんですか。
  400. 増川遼三

    ○増川政府委員 東武との話し合いがつきませんければ、別途東部と並行するかもわかりませんが、今市駅との接続を最終的には考えておるわけでございます。
  401. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 重ねてお伺いいたしますが、そういうことについて、昨年私伺ったところによりますと、なかなか東武との交渉がむずかしいものだから、最近あまり東武との接触を持っていない、こういう御返事だったわけでありますが、その後も進展はちっともないわけでありますか。それが一つと、それから、当初予定された完成の時期というものをお示しいただくことと、そういうことによってそれがずれ込まないか、こういうことについてお伺いしたい。
  402. 増川遼三

    ○増川政府委員 東部との話し合いは、おりおり地元で相互でやっておるわけでございます。今市あるいは日光の町の地元の方々の御意向も非常に強いことでございますし、一番の問題点は、これを東武の線でつないでしまえばそれでいいじゃないかという考え方と、さらに東武の線を使って国鉄の日光線の今市へつなぐ、この二つの意見が対立をしておったわけでございまして、これにつきましては、工事の進捗に伴いまして、東武もある時期には折れてくるのではないか、こういうふうに予測をいたしております。
  403. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 運輸大臣の御決意のほどを、どういうように今後その接触を進められ、予定どおりの完成年次を目ざしてやられるかどうか、この点ひとつ御決意の表明をいただきたい。
  404. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あの辺は東武が自分のなわ張りにしておきたいという、いままでずいぶん自分も開発してきたという東武の気持ちもよくわかりますが、しかし、並行線をつくられたら東武もまた非常に困ると思うので、その辺が話し合いの妙味のあるところだろうと私は思いまして、よくよく話し合いまして、国家的投資全体において損失がないように、むだのないようにすることがいいことだろうと思っております。
  405. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 今度は角度を変えまして、これは国鉄経営の問題とも非常に関係の深い問題でありますが、五万人合理化という問題が出て非常に緊迫した情勢にもあるわけであります。その中で私疑問に思うのは、国鉄に公安職員というのがおるわけであります。これは終戦当時のあの混乱した輸送状態の中で、世相も混迷し、国鉄もその限度をはるかにオーバーしたような輸送を貧弱な輸送設備でやらされたというような、そういう中で警備係というものができて——これはたしか昭和二十四、五年ごろと私記憶しているのですが、そのころからできたわけであります。いま約三千名程度のものが公安職員としておるだろうと思うのです。この制度がつくられるときには、そのときの状態というものがこれを必要としたと思うのです。しかし経済の発展、世相の落ちつきというようなことから、今日列車内における犯罪、争いやあるいはまた鉄道の車両をぶちこわすとかなんとかいうようなこと、ほかにもいろんなことがありますけれども、そういうようなことは非常に少なくなった。そこで運輸大臣が任命権を持っておって、給料だけは国鉄の運賃収入の中から払っていくという制度の中で、あの制度を維持するということはもはや理由はないのじゃないか、納得できるだけの存在の理由はないのじゃないか、こういうように思うわけであります。私は、いま公安職員が何名おって、人件費その他公安関係に費やされる予算というのはどのくらいあるかというようなことも同時にお聞きをし、さらにこの公安官を少なくとも国鉄の負担において給与を見るという姿から大きく削減をして——戦前だってこういう制度はなかったのですし、それで十分に何にも支障なく国鉄の運行というものはやられたわけでありますし、そういう時代にもう来ているのじゃないかと思うのです。そういうような観点から私どもは、もうそろそろ存在理由を失ったものはこれを廃止する——これは当然首を切るというような意味でなくて、これを国鉄本来の輸送の仕事に従事さしていくという段階を迎えているのじゃないか、そういう制度ができたからといって、マンネリ化してどこまでも置くという積極的な理由はもう何もなくなっている、もしどうしても必要最小限度においてやるとするならば、これはいわゆる国の一般的な警察力の中で何ほどかの人間をそのほうにさくということで、一般会計の負担にすべきじゃないか、こういうように思うのですが、その点、この制度について大臣の考え方をお伺いしたい。数字的な問題は事務当局でもけっこうです。
  406. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 全学連みたいな無賃乗車をやる無法者がいる限り、やはり私は公安職員は要るだろうと思います。それから現在の列車を、盗難状況とかいろいろな状況なんかから見ましても、やはり要るのだろうと私は思います。  それから身分等についても、いまのようなやり方がわりあいに賢明だ、非常に特殊な技術的な、専門的な知識も必要としますし、いまの情勢が適当ではないかと思います。人数その他については国鉄当局から答弁させます。
  407. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 現在公安職員は、先生のおっしゃったとおり約三千名おります。経費では大体三十億円くらいかかっております。ただ、これは昭和二十二年に議員立法でできた法律でございますが、三千人が全部戦前に比べてふえたわけじゃなしに、戦前のたとえば貨物駅の守衛とかあるいは旅客駅の案内係とかいうものの定員をこちらに振り向けたものもございまして、純増はあの当時におきましてたしか千か千五百だったと思います。  現在の時点におきましてあれが必要かどうかということにつきましては、いろいろ御見解もあるかとも存じますが、私ども現実に旅客、貨物を運んでいる身といたしまして、たとえばことに多客期における旅客の整理あるいは通勤時における整理、あるいは夜の貨物のヤードあるいは積みおろし駅における整理、警備等につきましては、やはり鉄道事業に精通した しかもある程度用地内における権限を持った人間がいたほうが、ベターじゃないか、また実際に警察官では手の回りかねるこまかいダイヤの面とかあるいは乗り継ぎの問題だとか、こまかい点もございまして、私どもといたしましては、現時点におきましてはあの公安職員は必要だというふうに考えている次第でございます。
  408. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 時間がありませんからこの問題で多く論争をしたいとは思いませんけれども、非常にものわかりのいい運輸大臣が、この問題になると現行体制がいいんだ、こうはっきり言い切っておられるわけであります。全学連の無賃乗車なんというのはほんとうにレアケースに属することであって、そういうことでこの問題の本質を論じられてはたいへん困るわけであります。そういう者がいる限りというようなことじゃなしに、この問題は私が申し上げたような方向で前向きに再検討の段階にきているように私は思うわけでありますが、この点についてはこれ以上論争しましても、もう時間がございませんので、最後の質問に移ります。  大臣、いま通行税が取られておるわけであります。これは私ども大蔵委員会で専門にずっと扱ってきたわけですが、最近ではこの額も昭和四十三年度の予算で七十五億八千万、昨年も大体六十六億といいうことであるわけなんです。国鉄財政はまさにピンチだ、どうにもならないような事態になっている。ことしいろいろな要求をしましたけれども、ばったばったぶった切られて、せっかく中曽根運輸大臣の奮闘にもかかわらず、ようやく利子補給という形で五十数億の金が出た、こういうことでありまして、国鉄が自前で徴収をしている通行税ぐらいは、少なくとも今日国鉄の経営がそういう状態にあり、また国鉄がいろんな意味で、公害の問題だとか安全施設の問題だとかいうものの立ちおくれが指摘され、またその整備を急がなければならないときにこそ、そしてまた非常に実力を持っておられる運輸大臣を迎えたこのチャンスに、あなたの発言権を大いに発揮されて、これを何とかそういう方向で、国鉄の安全施設だとかあるいは国鉄の運行に伴う公害対策とかいうものに振り向けるための目的税化する。これは金額にしても七十五億程度でございますし、そういう積極的なお考え、御構想というものはございませんか。
  409. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御構想は私もいいように思いますが、ちょうどガソリン税が道路の整備に使われると同じように、運輸省においても国鉄においてもそういうことが望ましいように思います。ただ、いままでのいきさつから見ると、大蔵省のがんこ頭はなかなかそれを承知しないだろうと思います。また一つは、現在の国鉄の財政状況を見ると、目的税という程度に限局した政策ではとてもカバーできないようなもっといろいろな総合的政策が必要であると思うのです。たとえば納付金を廃止するとか、あるいは利子補給をもっと大幅に増額するとか、必ずそういうもっと広い政策を必要とする段階にきていると私は思うのです。そういう意味から、目的税のみに限局していると勝負が小さくなってしまうような気もいたしまして、その辺もよく検討してみたいと思います。
  410. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そういうことで運輸大臣、とにかく大蔵省が最後のとりでになって、これは自治省の反対ももちろんありましたけれども、大蔵省が何とか運輸大臣の顔を立てられて、納付金の問題も了承したが、最後の詰めの段階で自治省の反対でつぶれたわけであります。この点も当然今日の状況からいって、少なくとも国鉄の経営が再建されて黒字になるまでくらいは少なくともたな上げすべきだ。この主張もずっと続けていただきたいわけであります。それと同時に、こういう問題も、これは大きいことも必要でありますが、これには相当な時間もかかります。とりあえず臨床的と申しますか、そういう小さな勝負でも一つ一つやはりかちとりながら——そういうものがなければでかい勝負もできないような気もいたすわけであります。そういう点ではひとつ前向きにこれらの問題も、でかい勝負にかけるということは当然正しいことだろうと思いまするけれども、それらの問題についてもひとつ前向きに御努力をいただきたい、こういう御要請を申し上げたいと思います。
  411. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて広瀬君の質疑は終了いたしました。次は河村勝君。
  412. 河村勝

    河村分科員 私が一番最後かと思いましたら、まだあと一人おるそうでありますが、朝から大臣はじめたいへんお疲れでありましょうから、私も国鉄財政の問題をお伺いいたしますけれども、重複を避けてごく簡潔に御質問いたしますから、大臣も率直にお答え願いたいと思います。  先ほどから、ついさきごろ物価安定推進会議から提案をされた国鉄の経営再建特別委員会設置について、大臣も非常に積極的に取り組むという御返事があったようでありますけれども、実はいままでこの数年来、この種の委員会とか審議会とかいうものは幾つか持たれ、そこでもって大体いろいろな材料は出尽くし、対策も出尽くした感があるわけですね。おそらく今度おつくりになっても、そこに参加するメンバーというのはいままでとそう変わった人が出てくるわけではないので、ほとんど結論というものはそうむずかしくなく出てくるだろう。問題は要するに決断の問題、決断したならばそれをどうやって実行するかという問題であります。そういう意味で早急におつくりになるということはたいへんけっこうであるけれども、問題は、始めることが大事なんではなしに、どういうスケジュールで、いつそれを完結をして、どういう形でもって政治的な最終決定をやるかというのが一番大事なわけであろうと思います。そういう点について大臣はどういうふうにお考えになっておるか、それをお聞かせ願いたい。
  413. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国鉄財政再建についてはいろいろな案があります。しかし私は拝見いたしまして、政府に対して金を引っぱり出すというようなことが非常に多いようです。それじゃちょっと狭過ぎるような気もいたします。私ちょっとさっき申し上げましたが、鉄道利用債とか、債券とか、そういうものをもっと均てんさせるという方策も考えられるであろうし、あるいは国鉄なるがゆえにいろいろ縛られておる仕事をもっと解きほぐしてやって、自由に活動させるということも考えられるとも思いますし、そういうあらゆる面について広い見地から検討を加えるということが必要だと私は思っております。そういう視野を持った人を入れたらいいと思います。そういう、やはり物価安定推進会議みたいなバックグラウンドがいろいろな案を出し、権威づけてくれるということは、これは非常に大きな力になると思いますので、われわれとしては国鉄のために非常にプラスになると思います。そういう意味で、大いにこの会議の成果を活用して実現するように努力したいと思います。
  414. 河村勝

    河村分科員 この会議というものは非常に役に立つ、プラスになるだろうということは私も同感でありますし、同時にいま大臣がおっしゃったようないろいろな問題もいままででも出てはおるわけです。たいへんけっこうで大いに幅広く取り組んでいただきたいと思いますけれども、そうだからといっていつまでもぐずぐずやっておったのでは間に合わない。大臣がまたおかわりになってもこれまた困るでありましょうし、大体どういうようなスケジュールでおやりになる覚悟というか、方針であるか、それをひとつお聞かせいただきたい。
  415. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 来年度予算編成に間に合う時期までにできるだけ答申をつくって、あるいは中間報告でもいいからつくって、それを援用して来年度予算編成に突入したい、こう考えております。
  416. 河村勝

    河村分科員 どうも中間報告というのは少し怪しげなることになりまして、非常に心配でありますけれども、とにかく問題は、くどいようでありますけれども、最後は決断でございます。そういう意味で、タイミングの合わないようなことでなしにおやりになることを希望いたします。  あと二点ばかり、さしあたりの問題についてお伺いを申し上げますが、問題の市町村納付金につきまして、大臣も積極的にこれを廃止したいというお考えのようでございます。これはあらためて申すまでもなく、昭和三十一年にできたころは市町村財政というものが極度に窮乏して、それの救済のために暫定的な措置として国鉄が応援の措置を仰せつけられたというかっこうのものでありまして、今日すでに市町村財政の、国鉄納付金の対象になっておる市町村において九〇%以上が実質収支黒字でありますから、いまや赤字に悩んでおる、逆に再建団体みたいになっておる国鉄が出すいわれはないわけで、大臣そうお考えになっているのだろうと思いますが、大臣は、できるのならばいますぐでも、払わないで済むものなら払わないで済ませてやりたいというふうにお考えでしょうか。
  417. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 同感であります。
  418. 河村勝

    河村分科員 それならばお伺いいたしますが、この市町村納付金の趣旨というものは、いま私が申し上げたような趣旨でありますから、国鉄が現在減価償却もできないで、いわばこの納付金を払うということになれば、借金をしなければ払えないという状態であるわけですね。この法律の趣旨というものから考えますと、借金までして払う筋合いのものではないので、したがって、この法律には強制執行の規定もなければ、延納利子についての規定もないわけです。ですから、おそらくことしは、国鉄の財政の収支から言えば払える状態にないと思いますが、払えないから払わないということになりましたならば、一体どういうことになるのでありましょうか。
  419. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは国鉄当局が総裁の決断でやることで、われわれがどうこう言う問題じゃありませんが、われわれのほうは順法闘争というものをあまり歓迎してないほうでありますから、国鉄側もそういう点は自重されたほうがいいと思っています。
  420. 河村勝

    河村分科員 大臣のおっしゃる順法闘争というのは、法律を守ることにかこつけて、それで反対に法律を批判することになる、そういう御趣旨だろうと思いますので、法の趣旨に合致するものであるならばそれは別段差しつかえないのだろうと思いますが、いかがでございますか。
  421. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 すべて国鉄総裁が自分の経理状況を見ておやりになることであると思っています。
  422. 河村勝

    河村分科員 よくわかりました。  次に、鉄道建設公団の問題についてお尋ねをいたしますが、鉄道建設公団ができた精神というものは、国鉄に負担をかけずに地域開発のために金を出して、それで新線をつくっていこう、そういう趣旨のものであろうというふうに了解しておりますが、大臣いかがですか。
  423. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まさにそのとおりで、建設を分離しまして国鉄にできるだけ負担をかけさせないようにという趣旨があったと思います。
  424. 河村勝

    河村分科員 そこでお尋ねをいたしますが、現在建設中のものの中で、できあがってから国鉄がみな経営を引き受けるわけですね。その場合に、現在きまっておるもので十四線が国鉄に有償で、金を取って貸し付けるということに相なっておるわけです。その十四線を見ますると、残らず全部、完成をしても赤字になる線です。見ますると、その中で東京の周辺にある武蔵野線であるとか、あるいは琵琶湖の西を走っておる湖西線であるとか、国鉄としても、自分自分の必要からつくらなければならないであろうと思われるのもございます。しかしそれ以外の線は国鉄としては別段要るものじゃないし、しかもそれが国鉄の意思に基づかずしてつくられていって、それが赤字線であるにもかかわらず金を取って貸し付けられておる。これは私はなはだおかしいと思うのですが、大臣どうお考えになりますか。
  425. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は政府委員をして答弁させます。
  426. 増川遼三

    ○増川政府委員 鉄道建設公団が工事しております線につきましては、御承知かと思いますが、A線、B線、C線、D線、こういうふうに分けておりまして、地方開発線及び地方幹線でありますA、B線につきましては、これを無償で貸し付けるということになっております。したがいまして、これに対しましては無償の資金をもって工事を実施しておるわけでございます。それ以外の、ただいまのお説のように、すでに有償で貸し付けておる線は三線ございます。このほかに十四線有償線があるわけでございますが、これは当初といたしましては一応黒字が見込める線と観念いたしまして、大都市交通線並びに主要幹線、こういう形で選ばれたものでございます。ただこれにつきましては、貸し付けをいたしました際に、国鉄の負担を極力少なくするという関係で、利子補給をして公団のほうに出しておる、こういう手段を講じておるわけでございます。
  427. 河村勝

    河村分科員 何か主要幹線がこの十四線の中に含まれておるというお話でありますけれども、そんなものがあるのですか。
  428. 増川遼三

    ○増川政府委員 十四線の中に含まれます主要幹線は、丸森線、それから武蔵野線、京葉線、湖西線、この四線はD線で大都市交通線でありますが、そのほかはC線でございます。
  429. 河村勝

    河村分科員 そんなことを伺っているんじゃなしに、いまあなたがあげた武蔵野線など四線、これは国鉄としても必要な線であろうと思われるから、そのくらいはよかろうけれども、それ以外の線は、いま主要幹線があるという話だったけれども、そんなものはないはずで、いずれも単線であり赤字線であるはずだが、その点はいかがですか。
  430. 増川遼三

    ○増川政府委員 主要幹線と申しますのは、いわゆる、そういうふうに通称言っておるのでございまして、これにつきましては昭和三十九年の十二月十一日に、公団の総裁と国鉄総裁の間で約束をしておりまして、確認書を取りかわしまして、この十四線につきましては有償でこれを扱うということになった次第でございます。
  431. 河村勝

    河村分科員 そうしますと、黒字線だから有償にしたというさっきの答弁は間違いですね。
  432. 増川遼三

    ○増川政府委員 だいたい有償でもいけるのじゃないかというところでこういう話が出てきたと考えております。したがいまして現実には、実際問題としては黒字の見込みがないものも含まれると存じます。
  433. 河村勝

    河村分科員 そうしますと、この建設公団法が本国会を通った際の議論の中でも、赤字のものはただで貸し付けるけれども、黒字のものだけ金を取るのだという議論が、答弁で政府側からちゃんとあったのです。きょうは議事録を持ってきておりませんけれども、お調べになればわかるはずです。そういうことになっているはずだが、そういう政府側の答弁はいつ、どういう経路で変わったのですか。
  434. 増川遼三

    ○増川政府委員 これは公団ができましてから、国鉄総裁と公団総裁との間で慎重に協議をしました上で、一応われわれとしましてはこれは妥当なものというふうに認めて処理をしたわけでございます。
  435. 河村勝

    河村分科員 黒字にはならないということをお認めになって、それで妥当なものと認めるというのは、一体どういう理由でありますか。
  436. 増川遼三

    ○増川政府委員 予算の配分等のいろいろの問題があったと存じます。その点の詳細については私も承知していない面もございますけれども、こういった面につきましては、有償資金と無償資金との配分の問題ということで、このようなことになったものと考えております。
  437. 河村勝

    河村分科員 答弁にならないですね。資金の配分というのは枝葉末節の問題であって、本質的に赤字か黒字かで判断すべきものを、資金の配分から逆に有償にするか無償にするかということは、理由にならないでしょう。鉄道公団と国鉄との約束できまったというふうに逃げておられるけれども、国鉄があんなところを好きでやるわけがないので、運輸省指導だか圧力だかわかりませんが、そういうものでおやりになったのだろうと思います。そういうものは当然改めらるべきものではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  438. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 おそらく建設の要望は非常に強いし、その要望も達せなければならぬ。しかし鉄建の予算や資金計画については一定のワクがあり、それがうまく筋書きどおりには動かぬ要素もあって、苦労してそういうような話し合いでいったのだろうと私は想像いたします。正直に言ってそうだろうと思います。まあ、あまりうまくできているとは思いませんが、やはり早くつくれという地元の要望等を考えてみると、その辺を生かしていくのが政治ではないかというふうな気もいたします。
  439. 河村勝

    河村分科員 どうも大臣も、いざとなるとだんだんひどく現状維持的精神に燃えてしまって、さっぱり前進の気魄がないので、そういうことではいかに経営改善委員会をこしらえてみても、国民が期待するような結論が出そうにないのですね。このくらい事理が明白なことを、なぜそういうものは改善するという御答弁ができないのですか。
  440. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 来年度はよく検討して、御期待に沿うように努力してみたいと思います。
  441. 河村勝

    河村分科員 時間もありませんから、もう一点だけ伺います。  現在、ことしの予算で、鉄道建設公団に国鉄から七十五億の出資をしておりますね。そういう予算案になっております。現在、国鉄の意思によらずして、昔国鉄でつくったときの十倍ぐらいのスピードでどんどん赤字線ができておるわけであります。そういうものをつくるために、国鉄が七十五億出資している。これを国鉄に出資せしめるということは、これは国鉄が会社であれば、背任罪をお役所が強制しているということになるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  442. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国鉄はやはり国有鉄道であり、公共性を持った団体であるということから、必ずしも経済採算ベースだけを考えないで鉄建公団のような新線建設というような仕事をしょっているところにも投資をして、国鉄としての発言権も考え、総合的に日本鉄道経営あるいは建設というものを調整するという点も考えてあるだろうと思います。国鉄の経済ベース自体を見ましたら、まさにお説のとおりであるとは思いますし、このときに七十五億円を出させるということは非常に無理な話のようにも、実際私も思います。しかし、そういう要素もあったのであろうと私考えますが、国鉄の財政確立の問題につきましては、前から申し上げますように、財政確立の委員会もつくり、今度は物価安定推進会議の委員会をつくりまして、本格的に取り組んでいきたいと思っております。
  443. 河村勝

    河村分科員 大臣も一番最初に、鉄道公団設立の趣旨について、国鉄の負担を軽くして、それで地域開発のために新線をつくらせるのだという趣旨はお認めになったわけですね。そうであれば、これだけ苦しいときに——ふだんの状態でしたらあるいは大臣の言うようにおつき合いということもあるかもしれないけれども、ことしあたり七十五億出資させるというのはやはりおかしいのじゃないかと思うのです。こういったたぐいのものは改めるべきだとお考えにならないかどうか。
  444. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は同感です。
  445. 河村勝

    河村分科員 これ以上言ってもいますぐの結論にならぬでしょうが、ひとつそういういろんな問題があることをよく御検討いただきまして、ほんとうにさっきおっしゃったように積極果敢におやりになって、結論をしっかり出していただくようにお願いをしまして質問を終わります。
  446. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて河村君の質疑は終了いたしました。  次は楢崎弥之助君。一番最後ですから、時間を厳守願います。二十八分です。
  447. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 小笠原諸島が返還されましたら、当然ああいうところですから、民間航空の定期線の可能性あるいは計画について御検討あっておれば明らかにしていただきたいと思います。
  448. 澤雄次

    ○澤政府委員 小笠原諸島には現在硫黄島に三千メートルの滑走路の飛行場がございます。しかし、硫黄島から父島まで約二百キロございます。それで父島には戦時中陸軍が千五百の飛行場をつくったのでありますが、両端が海の中に落ちまして、現在は七百五十くらいしか残っておりません。これを修復するかどうかということを返還の際に検討したいと思います。硫黄島では、これは定期航空の対象になりませんし、あそこは人がおりませんし、父島まで二百キロ離れておりますので、この父島の飛行場を修復することが可能かどうかということを検討した後に、定期の問題につきましても、そういう申請があるかどうかというようなことも検討いたしたいと思っております。
  449. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、当然定期線が開設されることが望ましいと思うのですけれども、もしそういう可能性が出てきた場合に、その飛行場が米軍あるいは自衛隊との共同使用になる可能性というものはないだろうかということをお伺いします。
  450. 澤雄次

    ○澤政府委員 父島の飛行場につきまして、これを修復しまして自衛隊が使用するかどうかということはわかりません。これは相当の金がかかるらしいのでございますが、かりにこれを修復したような場合には、自衛隊との共同使用ということも十分あり得ると思います。
  451. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 せんだっての予算委員会における佐藤総理の御答弁から見ても、日本で受け持つ防衛の範囲は、領土、領空、領海というようなお話がありましたから、その可能性は考えなくちゃいけないと思うのです。そこで、その際にも私は問題になると思いますから、以下いまからお尋ねしたいわけでございますけれども、実は板付は、民間航空があそこに開設されて以来ずっと二十年近く、地位協定の三条によっていわゆるやみの中で使われておったわけですね。ところが大韓航空なりあるいはキャセー・パシフィックが乗り入れするようになって、その問題からキャセーあるいは大韓航空の場合は二条四項によって堂々と共同使用、日本政府がまず借り受けて、そうして又貸しするという公式の形になったわけです。そこで私は、売国ということばはいまいかぬそうですけれども、売国的なやり方ではないかという点を指摘したわけです。日本の国内の民間航空をあと回しにするとは何事だということで、その点取り上げていただきまして、やっと二条四項によって正式に共同使用の形になったわけです。そこで、その共同使用になった日にちを明確にしていただきたい。
  452. 澤雄次

    ○澤政府委員 四十一年の五月十七日に合同委員会で合意ができまして、四十一年の十二月十三日に閣議で共同使用を決定いたしまして、私のほうからは四十二年の四月二十日に各航空会社に通知をいたしております。
  453. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、三条で使用さしてもらっておったときの使用協定の内容を実は知りたいわけなんです。一番最初の使用協定を結ばれた日付と、その協定の当事者をひとつ明らかにしてもらいたい。
  454. 澤雄次

    ○澤政府委員 三条に基づきます使用は、これはもちろん米軍が使用許可の主体でございまして、二十六年の六月十六日でございます。それで、これは現地の基地司令官から日本航空株式会社その他に使用許可が出ております。
  455. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 次に、現在の一番新しい協定の期限、更新の時期はどういうふうになっておりますか。三カ月更新ですか、一年更新なんですか。
  456. 澤雄次

    ○澤政府委員 先生のおっしゃいます協定といいますか、これは具体的には、個々の航空会社あての着陸許可証——ランディングパーミットと申しておりますが、着陸許可証の形で出ておりまして、前は三カ月が多かったのでございますが、最近は大部分のものが一年更新になっております。
  457. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私がお伺いしているのは、こういう協定がありますでしょう。一番新しいやつで四十二年の五月二十七日に福岡航空保安事務所長がサインをし、同年六月二十九日に福岡の防衛庁の施設局長がサインをし、そうして七月の十八日に板付の米軍の司令官がサインをして、私の調べたところでは八月十日になっておりますが、最終的に第五空軍の担当官がサインをしている。この四者がサインをした協定、これはございますね。
  458. 澤雄次

    ○澤政府委員 ございます。
  459. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いまの日付は合っておりますか。——おわかりにならなかったらいいです。大体そういうものであろうと思います。  そこで、この協定が一番新しいことになっておりますね。この協定の名前は板付エアポート使用に関する協定、そういう表題でございますか。
  460. 澤雄次

    ○澤政府委員 表題は、いろいろな文章が入っておりますが、この協定はエプロンの共同使用にかかわります現地の航空局と現地司令官との技術的な協定でございます。
  461. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、いよいよ本題に入りたいと思いますが、プエブロ事件に関連をして朝鮮海峡なり北部九州が非常に緊張したわけです。その際に、板付基地は御承知のとおり、いまはレデュースド・オペレーションという基地になっておるそうですね。何というのでしょうか、非常に機能を縮小した、補給あるいは一時的な訓練あるいは緊急避難等にしか使わない基地ということになっておるのですが、ベトナム戦争がエスカレートして順次米軍の戦闘機が、軍用機がふえてまいりました。特にプエブロ事件が起こってから、ベトナム戦争に参加をしております戦闘機なり輸送機なりの発着が非常に多くなりました。  そこで、まず施設庁の長官にお伺いをしますが、昨年十二月、本年一月、本年二月、そして今月上旬までの米軍用機の発着機数がおわかりでございましたらお願いをします。
  462. 山上信重

    山上(信)政府委員 板付飛行場における軍用機の発着回数でございますが、四十二年十月から十二月までの月平均の離着陸回数は、軍用機で千九百三十二回ということになっておりまして、これにつきましては、自衛隊機との区分についてはいまちょっと明確になっておりませんです。米軍機が大部分であろうということで、ひとつ御了承願いたいと思います。
  463. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 月平均ですね。
  464. 山上信重

    山上(信)政府委員 はい、さようでございます。  なお、四十三年一月以降につきましては、まだ機数を把握しておりませんので、御了承願いたいと思います。
  465. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 実は事件が起こったのは、御承知のとおり一月二十日ごろですか、それからが特に多くなっておるわけですね。それにしても、いまの数でいきましても、板付基地がベトナム戦争と完全に結びついておる事実がこれではっきりするわけです。私はずっとそれ以前の統計もいただいておりますから、それと比べて非常に多くなっておる。そしてプエブロ事件が起こってから、さらにふえておるはずです。実はこれを知りたかったのです。一月、二月を。そして、それと同時に、いまちょっとわかっていないとおっしゃいましたから、いまここではしかたがございませんが、実はキューバ事件のとき、金門、馬祖のとき、それからトンキン湾のときに米軍は、たしか警戒体制、アラートの三、一番高度の警戒体制に入っておったわけですね。そしてそれと同時に、自衛隊は——きょうは防衛庁長官がおられませんからしかたがありませんが、自衛隊は緊急体制を動態という字であらわしておりますね。それがたしか十五段階ぐらい分かれておると思うのです。そこで、今度のプエブロ事件のときには、米軍はおそらくアラートの三、一番高度の準戦体制に入っておった、こう思われます。そこで、自衛隊も当然かつてのキューバ事件のときのように、おそらく防衛出動待戦命令のちょっと前ぐらいの動態に入っておったはずです。そこで、自衛隊の数がこの中に入っておりませんからわかりませんけれども、私は何回も板付に出入りしておりますが、自衛隊の飛行機の出入りも非常にふえておりました。  そこで、きょうは時間がありませんからこの点はこれくらいにしておきますが、一月二十六日に米軍第五空の板付戦闘支援隊ですか、それと現地の福岡航空保安事務所関係の方との定期懇談会が行なわれて、その席上、プエブロ事件がエスカレートした場合には民間機の発着を制限する問題も起こるかもしれないということを米軍が言ったとか言わないとかで、地元の人も非常に心配をしましたし、新聞にも載っておったわけです。そこで、そういう事実が非公式にでも米軍のほうからあったのかどうか、まずその点を明らかにしてもらいたいと思います。これほど新聞に出たのはどういういきさつであったのか。
  466. 澤雄次

    ○澤政府委員 本年一月二十六日に米軍の板付基地司令が、航空局の関係者ではございませんで、新聞記者との懇談会を行なったわけでございます。そして一月二十七日の新聞に、板付基地司令の個人的見解として、最近の国際情勢にかんがみ、事態が悪化すれば板付飛行場の民間機使用が制限される可能性もあるという記事が出たわけでございます。  それでこれを私のほうで確かめましたら、新聞記者が、将来かりに軍の使用が非常に忙しくなったというような場合に民間機が制限されることがあるか、こういう質問に対して基地司令が、そのようなことがあるかもしれないということを回答したのだそうでございます。それが記事に出た。それで、政府におきましては、関係省がそれぞれ米軍のほうにこの件につきまして照会したところ、同飛行場の民間機の使用を制限してくれというようなことを米軍側から要請した事実はない、こういう連絡を受けたわけでございます。
  467. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 実は非公式には述べておるのですよ。そこで、自民党の、与党の基地対策特別委員会の方々が非常に心配をされて、何とか食いとめたいという努力をされたということを聞いております。その際に、米軍は、これは非公式ですよ。コントロールする場合は昭和三十二年ぐらいの発着の状態にしたいという意向を待っておりました。昭和三十二年というとジェット機が板付を発着してないころの時期ですから、発着の回数も非常に少ない。実際にはそういうことがあった。私は、こういう情報の経路は言いませんけれども、それで非常に心配しておったのです。  そこで、私はこういう場合、一方的に——まだ朝鮮がどうなるかわかりませんから、それで心配するのです。こういう場合に何とかチェックする方法はないものであろうか、それで調べてみたのです。この問題について中曽根運輸大臣は、地位協定の二条四項によれば、米軍のほうからそれが一方的にできるけれども、自分としては日本の国益のためにそういうことはお断わりしたい。私はこの見解を支持します。非常に明確な態度を大臣が出されたと思って敬服をしておりますが、間違いございませんね。新聞でしか見ておりませんから……。
  468. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 間違いありません。
  469. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、二条四項は、御承知のとおり合同委員会にかけて、そして米軍の「正規の使用の目的にとつて有害でないことが合同委員会を通じて両政府間に合意された場合に限る。」こうなっておることを裏返して運輸省あるいは大臣の見解が出たのだと思うのですが、もしこれが有害であると認める際には、やはり合同委員会にかけてそれを認めるべきであろうと思うのです。その見解はどうでございましょうか。
  470. 松原進

    ○松原説明員 ただいまの問題でございますが、かつて三条の管理権に基いづて共同使用しておりましたときには、もちろん米側は一方的に民間機の使用を差しとめるということがあったのでございます。その後、先ほど先生御指摘のように、合同委員会におきまして二条四項(a)の手続きに従いまして共同使用ということになりました。したがって、二条四項(a)自体から申し上げますと、合同委員会の合意で共同使用を認めたのでございますから、それを中止するという場合には合同委員会の合意をもう一度必要とするわけでございます。ただ、本件の板付における民間機の使用に関しましては、合同委員会の合意自体の中に、米軍の臨時的必要がある場合には民間機の使用を一時停止または中止せしめることができるということが、同時に合意されております。したがいまして、本件の場合、民間機の一時使用停止おるいは中止を米側がしたいというときには、それを合同委員会を通じます日本側の合意を必要とするというわけにはまいらないと考てます。ただ、この問題の場合には、米側といたしましては、そういう事態が起こった場合には、そういうことを必要とするような事態がおこった場合には、日本側にあらかじめ連絡をしてくるということを言っております。したがいまして、日本政府といたしましては、その連絡を受けました際に、民間機の共同使用について最善を尽くすというつもりでおるわけでございます。
  471. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いまのずいぶん長い御答弁でございましたが、時間がないから要領よくやってもらいたいのですけれども、要するにこの地位協定の二条四項からいけば、そういう場合は合同委員会にもう一ぺんかけて検討するということだけれども、しかし、実際の板付基地の共同使用の合意の内容は、つまりそれは協定になっておるわけですが、合意の内容によると、合同委員会にかけずとも一方的にシャットアウトできるという合意の内容になっておるからなかなかむずかしい。しかし、向こうからあらかじめそういう場合は連絡だけは来る、こういうことですね、いまの御説明は。
  472. 松原進

    ○松原説明員 そのとおりでございます。その際、日本政府としては最善を尽くすということでございます。
  473. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、運輸大臣の非常にデリケートな発言になっていると思うのですよ。そこで私はお伺いしますが、この板付エアポートの使用に関する協定の内容を資料として出せますか。
  474. 澤雄次

    ○澤政府委員 航空局が結んでおります協定は、先ほど御説明申し上げましたように、このランプエリアの共同使用……
  475. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 出せるか出せないかだけでいいです。
  476. 澤雄次

    ○澤政府委員 米軍との協定でございますので、米軍のほうと連絡をいたしましてから御回答申し上げたいと思います。
  477. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、いまの協定書の内容にこういう文句が含まれておりますか。「第五空軍司令官は、事前協議なしに永久的または臨時的にこの協定によって航空局に許可した共同使用を終了させることができる」。
  478. 澤雄次

    ○澤政府委員 そのとおりの条文がございます。
  479. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは簡単に言いますと、何ら事前協議を要せずして一方的にシャットアウトできるのです。そういう協定になっておるのです。ただ、米軍が配慮して連絡するものは別として、協定上はそうなっております。そこでこの協定は、三条時代の協定といまの文句は同じでしょう。
  480. 澤雄次

    ○澤政府委員 いま御指摘の部分は、三条のときと同じでございます。
  481. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで大臣、お急ぎですから結論だけ先に言いますと、結局三条を二条四項に変えた意義は、内容的にはないということなんです。三条時代の協定を二条四項の協定に変えて、共同使用という日の目を見ましたけれども、実際の協定の内容は三条時代と同じだということでは何のために二条四項(a)にしたかということです。実態はそうなんです。だから、たとえば今度朝鮮がまた緊張するような事態が起これば、いつでもこの協定によって米軍は民間機を一方的に締め出すことができることになっているのです。これを私、大臣に聞いていただきたかった。そこでこの協定は、私から言わしむれば、全くごまかしのことであって、私どもが要望しておったことは何も生かされていない。ただ条文が変わっているだけで、実際の協定は三条時代と変わっていないんだから、この点はひとつ実行力を期待されております中曽根運輸大臣に、何らかのこれに対するチェックをしていただかぬと、こういう私に言わせると売国的な協定であれば、いつ板付は民間機が締め出されるかわからない運命にあるのです。大臣の見解を伺いたい。
  482. 松浦周太郎

    松浦主査 楢崎君、時間が来ていますから簡潔に願います。
  483. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この答弁で終わりにいたします。  法的効果は、最終的にはあなたのおっしゃるとおりだろうと思うのです。実質的には前のときと今回と、法的効果は、結果は変わらないだろう、そう言われることは、私は解釈としてそうならざるを得ぬと思います。しかし扱いがいまのように変わってきたということは、向こうはやはり多少地元であなたや皆さんが大いに協力して意思を表示してくだすったので、世論も考えて扱いを少しずつ変えてきたと思うのです。そういう扱いの変化を私も知っていますから、ああいう談話をあえて出したのであります。そういうものを根拠にしまして、日本側の主張を最大限に通すように私は努力しようと思っております。
  484. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大臣はもうよろしゅうございます。  それでいま大臣は、この協定を前提にして考えれば、いまのような答弁が最高の答弁だと思うのです。  そこで、これは契約更改日はいつでございますか。
  485. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは契約更改期は規定されておりませんで、日本政府にこれを全部返還した場合、あるいは日本政府がその契約を破った場合、そういうような、あるいは通告をして六十日たってから、そういうことで、いつこれが契約が更改するということは書いてございません。
  486. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうでしょう。契約更改の期間すらはっきりしてないんです。いいですか。こういう協定というものをどうしてそのままにしておかれるんですか。こういう協定を、じゃ日本のほうからぜひ合同委員会にかけて協議するようにしてもらいたいというふうに、変えるチャンスというのはどういうことになるのですか。私はこの協定は全くごまかしであって、もう話にならぬと思うのですよ。それで、ぜひこの点は、いまのような事前協議なしに一方的に民間機を締め出すことができるなんというような、こういう協定はまさに売国的ですよ。私は懲罰委員会にかかってもいいが、全く売国的です。これを私はまず明らかにして、皆さん方の善処を希望します。そうしてこの点は時を見てずっと聞いていきますから、ひとつサボらないようによろしくお願いいたします。
  487. 松浦周太郎

    松浦主査 それでは楢崎君の質疑は終了いたしました。  明十五日は午前十時より開会し、午前中は引き続き運輸省所管について質疑を行ない、午後は郵政省所管について審査を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時四十四分散会