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1968-03-13 第58回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十三日(水曜日)     午前十時五分開議  出席分科員    主査 松浦周太郎君       相川 勝六君    北澤 直吉君       正示啓次郎君    湊  徹郎君       金丸 徳重君    久保 三郎君       後藤 俊男君    神門至馬夫君       中村 重光君    野間千代三君       長谷川正三君    帆足  計君       森本  靖君    兼務 大原  亨君 兼務 太田 一夫君    兼務 島本 虎三君 兼務 武部  文君    兼務 内藤 良平君 兼務 八木 一男君    兼務 渡辺 芳男君 兼務 稲富 稜人君    兼務 中野  明君 兼務 広沢 直樹君  出席国務大臣         建 設 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         中部圏開発整備         本部次長    国宗 正義君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         首都圏整備委員         会事務局長   鶴海良一郎君         経済企画庁水資         源局長     今泉 一郎君         通商産業省鉱山         保安局長    西家 正起君         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設大臣官房会         計課長     高橋 弘篤君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君         建設省営繕局長 横山 正彦君  分科員外出席者         経済企画庁水資         源局水質保全課         長       井上 幸夫君         大蔵省主計局主         計官      出井 弘一君     ————————————— 三月十三日  分科員久保三郎君、森本靖君及び松本善明君委  員辞任につき、その補欠として野間千代三君、  後藤俊男君及び谷口善太郎君が委員長指名で  委員に選任された。 同日  分科員後藤俊男君及び野間千代三君委員辞任に  つき、その補欠として神門至馬夫君及び金丸徳  重君が委員長指名委員に選任された。 同日  分科員金丸徳重君及び神門至馬夫君委員辞任に  つき、その補欠として長谷川正三君及び中村重  光君が委員長指名委員に選任された。 同日  分科員中村重光君及び長谷川正三委員辞任に  つき、その補欠として森本靖君及び帆足計君が  委員長指名委員に選任された。 同日  分科員帆足計委員辞任につき、その補欠とし  て久保三郎君が委員長指名委員に選任され  た。 同日  第一分科員太田一夫君、武部文君、八木一男君、  第二分科員内藤良平君、広沢直樹君、第三分科  員大原亨君、島本虎三君、渡辺芳男君、第四分  科員稲富稜人君及び中野明君が本分科兼務とな  った。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十三年度一般会計予算建設省所管  昭和四十三年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十三年度一般会計予算及び昭和四十三年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  質疑に先立ち、念のため申し上げたいと存じますが、質疑者が多数おられますので、持ち時間は、慣例によりまして、一応本務員は一時間以内、兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分以内としていただきたいと存じますので、あらかじめ御了承願い、御協力を願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれるようお願いいたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。野間千代三君。
  3. 野間千代三

    野間分科員 時間がありませんので簡単にしますけれども河川改修の問題なんですが、建設省のほうでは、四十年からたしか治水事業五カ年計画を進めていると思いますが、その中で、最近は異常なはんらんが多い傾向にあって、しかもそれが降雨のとき、しかも、かつてはたいした事故になりそうもないような降雨の際に大溢水はんらんが起きている。そのために、建設省の資料によると、年間に七千五百五十九人平均の死者を含めた行くえ不明、負傷者がある。物的には二千七百四十一億、年間にこのくらいの犠牲があるというくらいにいわれておるのです。  そこで、最近特に問題になるのは、未開発地域といいますか、開発途上にある地域、そういうところにある河川、したがって、一級河川でもいわば中小の小、あるいは地方中小河川、こういう方面に非常に事故が多いといわれておる。そういうような実態であると思うのです。したがって、そういう方面治水事業五カ年計画での力点の置き方であるとか、あるいは事業進行状況であるとか、そういう点について、まずお伺いをいたします。
  4. 保利茂

    保利国務大臣 野間委員の御指摘のように、特に昨年西日本方面を襲いました集中豪雨被害等は、いろいろな最近の都市現象に見られますように、都市河川改修がたいへん立ちおくれておる、中小河川都市河川というものの被害が非常に大きくなってきておることにかんがみまして、建設省としましては、現行治水五カ年計画をもってしてはどうも間尺に合わないところがあるのではないか。そこで、中小河川都市河川改修重点を置いた新しい五カ年計画をスタートする必要があるということで、四十三年度から治水五カ年計画を一ぺん立て直して、中小河川都市河川改修重点を置いた計画を持ってまいりたいということで、ただいま具体的に関係当局相談を進めておるのでございます。近く結論を得ると思いますが、ねらいは都市河川中小河川重点的な改修を行なってまいるというところに置いておる、お説のとおりであります。
  5. 野間千代三

    野間分科員 大臣の御答弁たいへんけっこうなんで、そうすると、いま四十年からやっている五カ年計画一兆一千億円と、それからこの中小重点にしようとしておる四十三年度から始めようという国家の計画とは、どういう関係になりますか。
  6. 保利茂

    保利国務大臣 現行計画はもちろんそれは含んでまいります。それで、少なくとも四十三年度から五カ年間で二兆円を下らない、まあぎりぎり二兆円となりますか、二兆円を下らない規模の五カ年計画、その中でとにかく中小河川都市河川重点を置いてまいりたい、こういう考え方でございます。
  7. 野間千代三

    野間分科員 そうすると、四十年からやっている五カ年計画を含めて、金額的には四十三年から新しく二兆円を下らない五カ年計画をつくる、こう考えてよろしいですね。
  8. 保利茂

    保利国務大臣 さようでございます。
  9. 野間千代三

    野間分科員 そうすると、中小河川重点にするわけですから、四十年から五カ年計画の内容は、いま大臣が言っているように、必ずしも中小重点ではない。したがって、いま考えておられる新五カ年計画では中小重点を置くのでしょうけれども、それは具体的にはどういうふうなぐあいに考えますか。
  10. 坂野重信

    坂野政府委員 先ほど大臣がお答えになられましたように、総額はまだきまりません、二兆円になるか二兆幾らになるか知りませんが、大体現行の五カ年でいきますと一兆一千億でございますので、倍率からいきますと約二倍くらいになるわけでございますけれども中小河川改修は大体三倍くらいを一応見込んでおるというわけでございます。もちろんこの中身も今後大蔵省当局と詰めるわけでございますけれども、一応の私どもの目算では、全体は二倍でも中小のほうは三倍以上伸ばしたい、こういうぐあいに考えております。
  11. 野間千代三

    野間分科員 そうすると、現行中小の分よりも約三倍くらいですからだいぶ進捗すると思います。  それで、実は中小河川の典型的な例があるのですが、その問題はいま言いましたように、流域のほうは都市化をする。ところが河川のほうは改修がおくれる。しかも都市化のほうの進み方はきわめて早いわけですね。たとえば例を一つ申し上げると、これは私の選挙区でたいへん申しわけありませんが、鶴見川河口のほうが先年一級河川に指定をされた。あそこは、昭和四十年ごろは一平方キロ当たりの人口の密度がたしか二千人だったわけです。それが四十三年、四十四年ごろには、大体これが三千人から四千人くらいになる。これは港北区といって未開発地域なんです。急速に東京のベッドタウンと化してくる。また市や県も大きな公団住宅街をつくっている。こういう状況です。それで、市と飛鳥田市長などと相談をして推定をしていくと、昭和七十年には七千人、いわばぎりぎりですね。満ぱいの七千人をこえるのじゃないか、こう見ておるわけです。そういう土地状況であります。  一方鶴見川はここ十年ばかりの間に実に十一回はんらんをしておる。建設省の文書によると、この鶴見川というのはきわめて不良で、流路迂回曲折をしている、堤防規模は矮小である、のり線は不整である、河積は不十分である、一度豪雨に見舞われると溢水はんらんをして、いわばきわめて性の悪い川だ、こうなっておるわけですね。それでいま工事事務所で鋭意やってもらっておりますけれども、この計画基本になっておりますのは、河口における毎秒の流量を九百トンに考えて、しかし、とりあえずそのうちの七百トンくらいの緊急整備をしようというのでいま整備が行なわれているのですが、数字をあげるのは省略いたしますけれども、この計画が九百トンのほうの、つまり基本的な計画は百三十億です。そのうちの緊急整備といわれている毎秒の流量七百トンの計画はその百三十億のうちの六十億であります。この六十億が四十一年から始めておるんだが、年間工事をやっておりますのが大体六億から七億くらいですね。こういう状況でいくとあと七、八年はかかる。七百トンのやつだけでも七、八年かかる。これが基本計画である九百トンのやつでいくと、緊急整備が終わったあとあと十年くらいかかる、こうなるわけです。そうすると、横浜市が推定をしておる昭和七十年の一キロ平方メートルに七千人ということになる時限、年数順に追ってまいりますと、そのころでないと計画が終わらない、こういうわけですね。これではとても——たとえばいま言いますように、四十年で一平方キロメートルに二千人であったのがすでに四千人になりつつある。五千人近くですね。五十年には五千人になる、こういうことになっている。都市化のスピードと現在の工事基本的な改修計画緊急計画ですね、それでは十年間もかかってとても追いついていかない、こういうように考えられるので、そこで四十三年から三倍ということになってくるから、したがって、この鶴見川の場合にも該当するとすれば、十年かかるものなら三年に短縮できるというように考えていいのかどうか。
  12. 坂野重信

    坂野政府委員 御指摘のとおりでございまして、鶴見川上流のほうに宅地開発が非常に進んでまいりました。特に港北ニュータウンの問題もございまして東京周辺都市河川の中でもそういった面では非常に条件の悪いところでございます。ただ水の出方が急流河川と非常に違いまして、川がはんらんするということでなくてじんわり出てきてじんわりひくというような状態があるわけでございます。昭和四十一年の四号台風のときも相当な浸水を見ました。四号台風のあくる日に前建設大臣瀬戸山大臣現地を御視察になったわけでございまして、できるだけ私ども重点的に力を入れておるわけでございます。先ほどの中小河川が三倍になるから明年から直ちに三倍の予算がつくというわけでございませんで、全体のトータルの一応の目標が三倍くらいということでありまして、年々一定の伸び率で伸ばしていくわけでございますので、トータルでは三倍くらいという規模に見ておりますけれども伸び率のほうはなかなかそう簡単にはまいりませんけれども大臣の御決裁をいただいてそのうち予算の配分もきめる予定にしておりますけれども、できるだけそういうことで進捗を早めたいということには考えておりますけれども、なかなかそうぴったり人口の増とタイミングを合わせることは、努力はいたしますけれども、そうぴったりいくということは非常に困難な状態になっております。これは河川全般情勢がそういう情勢にあるわけでございまして、そのためにも新五カ年計画をいろいろごめんどう願っておるわけでございます。
  13. 野間千代三

    野間分科員 その辺はちょっと歯切れが悪いのですが、中小河川が問題があるということで、いま大臣の言われるように、中小河川を中心に新五カ年計画ができ上がる。ぼくは全国にこういう中小河川の特徴的なやつがまだあると思うのですが、とりあえずこの例を申し上げたのですが、もしいま局長さんの言われるようなぐあいでまいりますと、これは資金的には確かに問題があるでしょうから、私も直ちに三倍だから三分の一というふうに申したわけではないのだけれども、総体の取れた予算の中で問題のある中小河川のほうへ重点を向けていくとすれば、たとえば鶴見川の場合にもいまの十七、八年かかるというやつは相当ピッチを上げていかなければならぬのじゃないか、こう思うのです。
  14. 保利茂

    保利国務大臣 野間さんに御理解をいただいておきたいと思いますけれども、来年度の全体予算は、御案内のように財政硬直化というようなことから、さらに内外の経済情勢に応じて締めた予算になっている。ですから来年度からの五カ年計画では、全体規模としては二兆円を下ってはいかぬという計画をいま立てておるわけです。それでは新五カ年計画の初年度はその二兆円の五分の一になっておるかというと、そうなっていないのです。しかし五年のうちにはこの二兆円以上のものをこなさなければならない。そのこなしていく方法は、中小河川都市河川、いま局長が申しておりますように、そっちへとにかく目を向けてやっていく。したがいまして、来年新五カ年計画だから、来年から鶴見川のやつがぽっとふくれるというわけにはいきませんけれども、少なくも五カ年の全体計画では、さっき局長が申しておりますようなことは十分期待できると思います。なお、しかし、実際の事情鶴見川流域開発状況からしましてゆるがせにできない状態でございますから、最善の努力を払っていくつもりでございます。
  15. 野間千代三

    野間分科員 それは事情はわかります。四十三年度の予算は旧の五カ年計画の中の一つだからいいです。ただ、新年度は始まったのだから、新五カ年計画は四十三年から始まっておるわけだ。したがって予算は旧のやつだが、重点の書き方は、目のつけどころは新しいほうでいくということでしょう。そうですね。したがって、金額の問題はあるけれども、目の向け方は中小のほうに向いていく、こう考えていいですね。その点四十三年から出発していく、それはひとつそういうふうにお願いをしたいというふうに思います。  それで鶴見川の場合あるいは他の河川の場合でも、流域が急速に都市化をしておるところは特に重点を向けないと問題がある。負傷者事故が多い、こうなりますから、これはひとつお願いをいたします。  そこでもう一つ、旧五カ年計画の中で、たとえば私が言った鶴見川の場合には毎秒九百トン、この河口流量基本計画は立っておる。そうすると、これはいわば一平方キロメートル二千人の場合の都市化基本にしてやってある。したがって、これが四千人になり七千人になってくると、すでに九百トンでは足りなくて、事務所の話でも、おそらく相当ふえなければならぬのじゃないか——ぼくはしろうとなりに考えてみて、千五百トンくらいまでにふやした河口流量考え計画立て直す。これは川幅は広げられないから、深く掘ったり堤防を高くしたりする以外にない。したがって、いまの九百トンの計画でもあとは掘るとか上へ積むとかということになるのじゃないかというふうに思われるのだが、基本的な考え方はやはり九百トンを千トンなり千五百トンなりに考えて、あらためてこの計画をもう一回練り直してみるということが必要じゃないか、こう思うのですが、それはどうですか。
  16. 坂野重信

    坂野政府委員 御指摘のとおりでございまして、流域開発がどんどん進んでまいりますと、現在、御説のとおり九百トンを考えておりますけれども、その九百トンではとてもカバーしきれないと思います。将来の構想といたしましては、御承知のとおりに千五百トンとかあるいは二千トンというような数字になるかと思いますが、御案内のように、下流のほうは非常に人家が密集しておりますし、川底を掘るといいましても、川底を掘っても限度がございます。水がなかなか流れないということがございますので、別個の観点からあるいは放水路を別個につくるとかいろいろな長期的な構想をいま立案中でございまして、とりあえずここ数年間は、いずれにしても現行計画のままでやりましても手戻りというようなことがございませんので、その範囲内でできるだけ現行計画を推進するということでやっていきたいと思います。
  17. 野間千代三

    野間分科員 私も少し調べてみたら、いまの九百トンの基本計画はちゃんと促進をしていけばあとはそう手戻りはないというふうに思いますが、しかし基本的な考えとして九百トンをもう一回練り直した上でやってもらうというふうにひとつお願いをいたします。  それから、それに付随をして、河口に約三百世帯ばかりの不法占拠河川敷あるいは土手にあるわけですね。これをすみやかに改修をしないとほんとうの河口ができ上がらない。それからもう少し上流のほうには川の中に民有地があるという状態なんですね。したがって、そういう方面整備をするということがきわめて重要な問題になっているというふうになるわけで、そこでこの民有地のほうの問題はあらためてまた別の機会に建設委員会等で申し上げますが、とりあえずいま問題なのは、この不法占拠をしている河口人たちを移していく。移す場所はもうできておるのですが、移していく場合に、いま不良住宅改良法というのですか、それに基づいてやっていこうとしているのですが、それで考えていくと総額として二億六千万円ですか、二億六千万円ばかりかかるのだけれども、そのうちの一億二千万円が国で、県が四千万円で市が一億、こういう分担になっていて市に協力してもらいたいというふうに言っておるのですが、実は御承知のように、横浜市は必ずしも財政のいいほうじゃない。それからこれは基本的には市の整備の問題もあるが、一級河川改修、そうしてそのための事業なので、論理的に言っても国のほうが主体になるわけで一億二千万なんでしょうけれども、それはひとつ別に——ぼくは市のほうのあれで質問しておるのじゃないですけれども、まあ河川改修をするということを重点にして考えて、やがて中小のほうに重点予算も置かれるというふうに承りますので、この際ひとつ国のほうに持っていただける負担分を増額をして市のほう——実はこの市のほうでは、そこの部分よりもほかにも不法占拠がありあるいは住宅をかえなければならぬところがたくさんあって、ここだけをというわけにはなかなかいかない事情もあるわけですね。まあそういうことなので、もう少し国のほうの負担部分考えてもらわなければならない。きょうは直ちにお考えをどうこうとは申しませんが、局長考えとして考慮するぐらいのことはどうでしょうか。
  18. 坂野重信

    坂野政府委員 御指摘のお考えはわからぬことはございませんが、これはもとはと言いますと、状態不法占拠状態であったわけでございまして、本来ならばあるべきでないところに家が建っているということで不法ですから、その者は立ちのいていただくのが当然でございますけれども、そうもいかない社会問題でございますので、できるだけ許し得る範囲内で、河川改修に伴うという解釈をもちまして国のほうも補助を一億幾らということで持とうとしておるわけでございますので、現在のところ、これはもう最大限ぎりぎりの線じゃないかと思っております。横浜市あるいは県のほうといま折衝を進めておりますし、県のほうもだいぶ心配してくれまして市のほうとも当たっておるわけでございます。むしろ県と市のほうの分担あたりを、もう少し何か県のほうで持てないかという考え方もあるわけでございますが、一応は検討してみますけれども事情事情でございますので、なかなかこれ以上出すということはむずかしいのじゃないかと思いますけれども、一応検討させていただきます。
  19. 野間千代三

    野間分科員 県のほうの問題もあるのですが、不良住宅改良法とかいう法律、この法律だけで考えれば、こういうたてまえみたいなものは市のほうが重点になるわけですね。しかし、いま局長さんも言われたように、国のほうの河川改修という方針といいますか、これを基本にしてやっていただくことでございますので、この問題が早くきまりがつかないと、せっかく用地もできており、建物の準備もできておって、移転をする者との話が進行中でございますので、実は私もそれをお手伝いしたりしておって、早く解決をして、再び前のような悲惨な状況にならないように早くしたいというふうに考えておるわけですが、これが大問題になっておるものですから、これはひとつ局長さん、いろいろむずかしい多少の事情があるでしょうけれども、ひとつ奮発していただいて、国のほうが責任を負うというところに力点を置いていただいて、十分に検討する、そうして促進ができるようにお答えいただけませんか。ちょっともう一回、それで終わりますから……。
  20. 坂野重信

    坂野政府委員 できるだけ努力はいたしますけれども、その見通しとしては先ほど申し述べましたとおりでございます。
  21. 野間千代三

    野間分科員 それでは御検討をいただいて、御努力をいただくということをひとつ確認させていただいて、以上で終わります。ありがとうございました。
  22. 松浦周太郎

    松浦主査 次は金丸徳重君。
  23. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 非常に制約されておる時間の中に、ことに私はきょう割り込ましていただいたわけでございまして、申しわけないことでございますが、当面たいへん大事なことと思いますることが一、二ありまするので、それだけに制約してお尋ねをさせていただきます。  今度、大臣は新治水五カ年計画をお立てになられました。それから、従来からの道路計画の強い施策の実現と相まちまして産業経済の上に新時代といいますか、国土保全開発の上に新時代を画されることになったのでありますが、こうした大事業を遂行する上において、やはり一番ガンになりますのは用地の取得であろう。ことにこうして地価がどんどん上がってきますと、地方における土地というものに対する執着心というものがますます強くなってきておるというようなこのときにおきまして、この用地の買収のために工事がおくれるとか、計画をあるいは変えなければならぬという場合が再々起こるのじゃないか、こう思います。せっかくの計画がそのようなことのためにおくれてはたいへん残念です、したがって何とかこれについての方法考えなければならぬ。現地においていろいろそういう問題にぶつかってみますと、しきりにそういうことにあせりの感じを持ちます。そこで、私は河川堤防——これはそのものずばりにお伺いするのでありますが、河川堤防道路に使う、併用するというようなことについて、この新時代を迎えたという立場からいままでの考え方を改めて、何か新しい方策なり方針なりをお立てになられておるのか、これからのお見込みなどをまず承らしていただきたい。
  24. 保利茂

    保利国務大臣 この時代の要請にこたえて新しい国づくりという大事業を遂行するにあたりまして、特に公共投資の大きな部分を受け持っております建設省としましては、お話のように道路河川というものは二つの大きな事業になるわけであります。せっかく大きな投資をいたすわけでございますから、できるだけ二重投資にならないようにということは第一番に心がけなければならぬところだ。お説のように、お互い地元を持って関係しておるものからしますと、せっかくこれだけの堤防をつくるんだから、この上に道路を組み合わせればずいぶん経済的にいくなあということはあちこちで見かけるわけでございます。そういう点で道路局、河川局の事業を進めるに当たりましては、できるだけそういうことを利用していくように、両局が総合性を出してくれることがやはり大きな国益につながるわけでございまして、そういうことを河川局、道路局におきましても心がけて、その方向でやっていかなければならぬ、基本的にはそう思っております。
  25. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 最近現地で見ますと、あちこちに堤防を利用した道路というものがりっぱにでき上がって、現地のものばかりではありませんで、これを利用する各方面から非常に喜ばれておるところを見受けます。ただしかしながらそれはほかに用地がなかなか入手しにくいから、やむを得ず堤防を使ったのではないかというように思われる節もあるのでありますが、やむを得ず使うのではなくて、ただいま大臣はそういう方向で強く進めるのだとおっしゃいました。したがってやむを得ず使うということでなくて、基本的にできる限り二重投資にならないような方向に持っていくほうがよろしいのではないか、こう思うのであります。ただ従来どうもとかくその辺がうまくいかなかったやの心配を持つ例もあるものですから、河川局長道路局長両者からこの辺についてのお考えを承っておきたいと思います。
  26. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの河川堤防道路をということ、そういうものはできるだけ一緒にできるものはしたい、その趣旨は私も非常にけっこうだと思います。私たちいままで道路をやってきました経験から申しますと、これがなかなかうまくいかない。その一つの原因は、これは一般道路の問題でもございますが、一般に道路にバイパスをつける場合、なるべく河川堤防につけるということで計画したこともございます。なぜそれができなかったかということは、結局川というのは左右の堤防がありまして、一方の堤防だけに道路がついて非常に強固になるのは困るというような、私いままで考えたこともないような反対を強く受けまして、結局堤防からおろさざるを得なかった次第でございます。またいまの一般道路についてはやはりそういうこともございますが、なるべくそういう耕地をつぶすことを少ないようにするためには堤防を利用したほうがいいかと思います。ただ一般道路だと堤防みたいに高く上がってしまうと、道路が非常に使いにくくなるということの反対もございます。また今度幹線自動車道みたいな大事業になりますと、非常にこれはスピードを要求するということもございまして、河川堤防自身を全面的に使うということはなかなか困難な事情もあろうかと思いますが、御趣旨には賛成でございますので、そういう方向で一般道路、その他の場合も考えていきたいと思います。
  27. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えいたします。  河川の側からいいますと、堤防を兼用することは全然まかりならぬということじゃございませんので、治水上あるいはその堤防の保全上支障がない場合には、兼用するということは認めておるわけであります。特に堤防の裏側等で利用できるものは、アスファルトで舗装していくことを認めておりますけれども、ただ問題は、いろいろな河川堤防の保全上、特に水防活動等のような場合に、一般の交通をやっているのと水防自体等において錯綜する場合がございますし、それから使い方によっては、堤防をこわしたりということもございます。この辺十分気をつけて、差しつかえない場合にはそういうことを認めるということにいたしたいと思います。
  28. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 確かに現実の面では、車があるために堤防がこわされていくという心配の個所も私どもは見受けます。しかしこれは堤防としてしっかりつくってやって、そして舗装するなりしておくことが堤防をこわさない、道路の利用効率をあげるという意味においてよろしい。中途はんぱでおくものですから、堤防としてもおかしくなるし、道路としてもまことにどうも使いにくいというような面が多々あるのです。さっき道路局長は、対岸において問題が起こりそうだ。確かにその心配もあると思います。私は対岸の堤防も心配のないように河川局のほうでやるべきである。それが対岸の堤防が強くなったから向こう岸が心配になるというのは、その堤防河川局のほうでしっかり直していないからじゃないか、こういうことも言えるのではないか。それから確かに堤防に登っていってというような実情なものですから、使いにくいということはあると思います。ただいま問題になっておりますのは、そのバイパス的な通行車両がどんどん多くなってきている。その通行車両にとっては、登りおりする必要はないのであります。特に近在の町に用事があるという場合は、町のほうの旧来の道路を通ればいいわけであります。そういう例が全国的にはずいぶんあるのではないか、こう思います。ことにこれは大臣の国のほうにもおありのように思うのですが、扇状地帯における天井川の堤防というのは、非常に高くて壮大です。自然に大きなものになってしまって、そしてこれをまた中途はんぱにしておくことがかえって水害のおそれを来たす。これをしっかり、道路にも使えるのだというふうに改修しておくことのほうが、両面的にいってよろしいのではないかと思います。大体扇状地帯における天井川は、平地における川とは違って、蛇行しておりません。平地におけるものは自然に蛇行する。それで、それに沿って堤防をつくるものですから、これは道路としてはあるいは効率が落ちるかもしれない。天井川というものはまっすぐに流れている。まるでだれかが見れば、たいへんりっぱな道路ができているのではないかと思われるくらいにできておるのです。こういうのを私はむしろ道路に使うということに力を入れておかれることが、これからの交通問題解決の一つの大きなかぎになるんじゃないか、こう思うのですが、いかがでありますか。そういう地帯については積極的に、多少最初は金がかかるかもしれない。しかしその金のかかることは、将来の洪水を除くという意味においても事足りるわけです。  もう一つは、これは河川局長にお聞きを願っておきたいのですが、だんだん大きな治水事業が進んでまいります。二兆四千億という計画で進んできますると、山が安定する。したがって川も安定いたします。従来のような広い河川敷を持つ必要がなくなるんじゃないか。そうでなければならないわけであります。山が荒れた時代河川と山が治まってくるときの河川とは、多少どころか、大いに変わっていいのじゃないか。そうしますと、いまあるところのあの天井川の堤防というものは、むしろこの際道路に使う方向へ、まあ洪水を予防する堤防を従と言っては河川局長に対してはいけないかもしれませんけれども、それくらいの思い切った考え方であの堤防の利用方法考えることは、いまのように土地で大きな問題を起こしている現代においては非常に賢明な策ではないか、こう思うのでありますが、いかがでありましょうか。この点もう一度お答え願いたい。
  29. 保利茂

    保利国務大臣 私はもう全然同感でございます。したがって、道路局長が申します非常にスピードを重視しなければならない幹線道路等につきましては、問題があろうかと思いますけれども地域の交通を整備していきます上において、わずかな金を乗っければりっぱな道路として利用ができるということであれば、これはやはり各知事さんの——主としては知事さんの頭の持っていき方だと思うのでございますけれども、そういうふうに利用されていくことは望ましいことじゃないか、私はそういうふうに感ずるわけであります。御同様でございます。これはぜひひとつそれぞれの地元のそういう御理解の上に立って御計画立ててもらうということは、また私ども仕事をしやすくなる面もございます。そういう考え方は私は全面的に取り上げたい、こういう考えを持っております。
  30. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 大臣からたいへん力強い御答弁をちょうだいしてありがたいのであります。もちろん県におきましても市町村におきましても、これはもう切実な問題ですから、そういう方向で計画も進めると思います。ただ本省のほうにおける指導方針が、できれば別々のところで通ったほうがより都合がいい、保守上も道路の利用上もよろしいというような従来の考え方を固執して、もしもまだそれに拘泥しておるとしますれば、せっかく県なり市町村のほうで望んでも実現困難のことのように思います。この点はひとつ大臣から強力に御指導を願いたいと思うのであります。  そこで、いま大臣のおことばの中に、高速道路などについては必ずしもというおことばがございました。高速道路といいますれば、私は山梨県でありますが、中央高速道路計画されておりまして、すでに東京−富士吉田間は工事が完成間近にまでいっておりまするし、それから甲府以西、諏訪を通って中津川方面への路線も決定し、すでに用地の買収にも取りかかるというような段階になっておるのでありますが、一番大事な甲府盆地における路線の決定がなかなかむずかしいようであります。これは道路局のほうでもいろいろ御苦心なさっているように聞いております。確かにむずかしい問題もあるようでありまして、現地におきましては、甲府をはさんで北を通るか南を通るかというようなことのために、口さがなき報道人などは南北戦争と称していろいろとやっておるのであります。そこで、それらの南がいい、北を推すという人たちの意見の中には、あの高い高架の道路、土手などで通す高架の道路によっては風致を害する、観光面にも害になるというようなことも原因であります。しかしまたもっと強い難点は、やはり用地にあろうと思うのです。盆地でありますだけに非常に土地に対する執着といいますか、利用度も高いのでありますけれども、執着が非常に強い。高速道路によって土地をつぶされることは、中央道が通ってもらうことそれ自体は賛成だけれども、困るというような意見があるのであります。それらを勘案してやはり思いつきますのは、あそこを通っておる大きな笛吹川それから釜無川、これはいわゆる日本三大急流のうちの一つに数えられるくらいの天井川であります。したがって、大きな堤防なんです。この堤防はまあ全く一見高速道路のためにできてきているように思われる。これを全部利用するというようなことにつきましては、高速道路でありますだけになかなか困難だとも思えるのでありますが、ある程度これを利用することによって用地買収に伴う困難などは緩和されるんじゃないか、こう思うのでありますが、これは道路局長、どの程度にお進めになり、また検討が進められておりまするか、伺っておきたい。
  31. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまのお話の堤防の上にこういうものを通しまして、それをいたしますと盆地の用地が、つぶれ畑が非常に少ないということだと思います。実は、高速道路になりますと、ほかの道路との交差を全部立体にしなければならないということでございまして、現在甲府盆地は天井川は非常に多いのでございます。それの堤防を使いましてもやはりそこの橋を越えるときには立体にしなければいかぬ。さらにいまの橋より高くしなければならぬ。高くするということになりますと、なかなか堤防自身が土盛りでかなり高くなっておりますので、それ以上に土を盛るということはなかなか問題がある。そうなりますと、やはりくいを打って橋梁のタイプにしなければならぬ。橋梁のタイプということになりますと、やはりいまの土の堤防の中にそういうようなくいを打つこと、これはその堤防が非常によく管理されればいいのですが、非常にこれは水が堤防から漏水する原因になるおそれもあります。なるべく堤防をはずすということになりますと、やはりその線全部がはずれてきてしまうということにもなりかねないわけでございます。やはりその辺は、もう一つは高速道路はかなりスピードを出します道路になりますと、道路の曲がり方、いわゆる線形を相当大きく取っていかなければならぬ。そういうことで一部は堤防を利用することもあるいは可能かと思いますが、全体として、なかなか取りつけその他のことで大きな半径を取るということになりますと、全面的に堤防の上を通すということも困難ではないかというように考えます。
  32. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 私も全面的に堤防——高速道路でありますから、それは困難だと思います。しかし、部分的に使うことによってかなりの用地の取得の困難さは緩和できる。ことに、大臣も地図をごらんになりますように、釜無川の堤防のごときは橋は三本きりない。実際にまたぐのは二本きりない。その川の外側面を利用するとか、それの一部を利用するとかということによって、ずいぶん、あの間何キロになりますか、その間の用地買収が要らなくなる。工事費もうんと楽になるんじゃないか。ことに盛り土などは川にたまっておるところの土砂によって何らよそから運んでくる必要もなくていけるのではないか。もう一つ、今度の治水計画進行によりまして、あの川はもう少し川幅が平水面におきまして狭まってもいい、そういう計算にならざるを得ないわけですから。これは理屈上そうならざるを得ない。川も狭まってくる。戦後において荒れる時代にこそああいうふうな大きな堤防をつくって広い川幅を利用しておった。それが上のほうにダムができる。ことに笛吹川におきましては、これは大臣の御英断で現地は非常に喜んでおりますが、上流に多目的ダムをつくった。ちょうど多摩川において奥多摩湖ができたということによって多摩川の下流はずいぶん河心も整理されて、そうして下流における河川敷はあるいは公園に使われあるいは道路に使われるというような例がある。同じようなことがあの川にも起きていい。こう思うものですから、そういうことも勘案して、あの堤防を利用されるということは私は一応も二応も計画の中に入れて考えていただいていいのじゃないか、こう思うのであります。ただ問題は、トンネルをどういうふうに通してくるかによりまして、どの程度その堤防が使えるかということになると思いますが、相当部分が使えるのではないか。吹笛川の堤防において、先ほどの多目的ダムの計画が進んできますると、これもまただれかが言うように、むしろ川の中にそれくらいの道路をつくる余地は出てくるはずだ。確かに私もそう計算をしたのであります。としますれば、耕地を使わず宅地を使わずして、いままで荒れた川の河川敷を使うことによって、あるいは堤防の外測面をも利用するようなことによって、この計画が楽にいく。もう一つは取りつけ道路にこれまた相当の用地を要する。ところが、あるそういうものを勘案しながらインターチェンジをこしらえることによって、あそこに集中するところの川の堤防をこれまた取りつけ道路に使い得るというようなことをも考えますると、私はせっかく大臣が、堤防道路に使いたい、二重投資はなるべく避けるというような大方針に立つ限りにおいては、これはどうかして検討してもらわなければならない、こう思うのでありますが、いかがでありますか。いまここでは私はそれについての、よしきたというお返事をちょうだいすることもいかがかと思います。いずれまたもう下し掘り下げてお伺いすることといたします。  ただ、中央道の路線決定においてもう一点お伺いしておきたいと思いますことは、北陸・関東産業開発道路計画が進んでまいりまして、調査費がたしか昨年からことしにかけて載っておるように聞いております。そういたしますと、あの中央道は当初の計画とはまた変わってくるのではないかと思われる。中央道は東京と関西とを短絡するという目的に出たのでありますから、もし富山から北アルプスを抜けて松本附近と諏訪、甲府に出るという計画が進みますと、中央道の使命は東京と関西をつなぐという前に関東地方、ことに駿河湾、相模湾、富山湾をつなぐ、いままで夢にも考えなかったような日本のどまん中を短絡するたいへん重要な使命を帯びるところの道路になってきます。そうするとそれを受けまして甲府盆地、諏訪盆地における産業計画もだいぶ変わってくるのではないか。片や日本海北陸方面と片や駿河湾、相模湾をにらみ合わして、その要衝を占めるという意味において、南信部と甲府盆地両者の産業経済の様相はかなり変わってくる。としますると今度はそういう意味においてインターチェンジの面もそれをにらみながら考えていかなければならない。したがって、当初の中央道の北回りとは変わった形で構想を練っておく必要があろうじゃないかとこう思いますが、いかがですか。
  33. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 最初の、いまの甲府の中央道のルートにつきまして、なるべく堤防を使えということでございますが、これをいまの北回りと南回りといろいろ現在比較しておる状況でございます。北を回る場合は、ほとんどもうそういうような堤防を使う余地はないと思います。何といいましても、現在、やはり勝沼付近にインターチェンジを設けて、それから甲府の盆地にインターチェンジを設けるようになりますと、いまの勝沼からずっと笛吹川に至ります間に非常にすばらしいブドウ園がたくさんあるわけです。その辺を全部つぶすような形にもなりかねないわけです。勝沼から山手を通っていくというのも一応比較線として考えておりますが、山手を通しますと、なかなか笛吹川には乗らないような形になってしまうわけでございます。  それから釜無川につきましても、釜無川の堤防を使うか使わないか、これはまだ検討の余地があると思いますが、甲府の盆地にインターチェンジを設けますと、やはりそのインターチェンジの位置がまずルートをきめる一番大きな要素になるのじゃないかと考えております。この辺はまた今後もよく検討したいと思います。  次は、北陸、関東の産業道路及び駿河湾との接続ということは、私たちも十分考えておる次第でございます。  まず、北陸と関東の接続道路は、北アルプスにトンネルを抜いて、あれから中央道に乗せるようにする、それから甲府に行きまして、甲府からさらに駿河湾に抜ける、これはやはり何らかの自動車道路が将来必要になってくると思います。そういう意味からいいましても、甲府の南のほうのインターというのは、そのための非常に大きな役割りを果たすのではないかというふうに考えております。
  34. 松浦周太郎

    松浦主査 時間が参りましたから、結論に入ってください。
  35. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 あとはまた別の機会にお伺いすることにいたしまして、きょうはこれで終わります。
  36. 松浦周太郎

    松浦主査 大原亨君。
  37. 大原亨

    大原分科員 いままでの質問と若干ダブるところもあるかと思うのですが、ひとつ簡潔に御答弁願いたいと思います。  最初、河川敷の利用の問題ですが、これは、御承知のように数年前から非常に社会問題、政治問題になってきたところですが、しかし、その中からおのずから結論が出てきたわけです。  それで、全国の河川の中で河川敷をゴルフ場に利用されておる面積はわかっていますか。お答えをいただきたい。
  38. 坂野重信

    坂野政府委員 ちょっといま手元に持ち合わせておりませんので、あとで御報告したいと思います。   〔主査退席、湊主査代理着席〕
  39. 大原亨

    大原分科員 それから、契約期間が満了したもので、なお処理されていないというものがありますか。
  40. 坂野重信

    坂野政府委員 河川敷の占用の手続等は、適確にそれぞれのケースにおいてやっておると思います。別に放任状態にやっておるというようなことはございません。
  41. 大原亨

    大原分科員 つまり、期間が満了して、ゴルフ場その他に使うことが利権化しているということで問題になっておりました。そして建設省だけじゃないが、関係者がフリーパスの入場券を持って、これを利用したりしている、こういうことがいろいろ問題になったことがあるわけです。これはきちっとしようということになったわけですが、期間が来ておるのになお処理されていない、こういうのがありますか。
  42. 坂野重信

    坂野政府委員 そういう事例はないものと思っております。ただ、東京周辺で、開放しようというような問題は、いま折衝中の段階にあるところはございますが、それ以外のもので、そういった手続が切れて放任しておるというような事態はございません。
  43. 大原亨

    大原分科員 それから建設省が昨年の十二月にそういう方針を出されたと思うのですが、河川敷などを開放して児童公園などをふやしていく、建設省としては、前向きの政策だと思うのですが、そういう方針をおきめになって、これだけじゃありませんが、実施をされておる、こういうことがありますか。
  44. 坂野重信

    坂野政府委員 そのとおりでございまして、東京周辺は現実にいま開放中でございまして、その他の都市周辺の、大阪等につきましてもいま準備をいたしております。
  45. 大原亨

    大原分科員 一つの例を申し上げるのですが、これはまだ問題になっておるということではありませんが、私ども、あらかじめ議論をしておいて、これが円滑に進捗することを期待するという意味においてやるわけですが、太田川、これは一級河川ですが、太田川にゴルフ場その他があるわけですが、どのくらいございますか。
  46. 坂野重信

    坂野政府委員 ゴルフ場は一件だけでございます。
  47. 大原亨

    大原分科員 面積はどのくらいありますか。
  48. 坂野重信

    坂野政府委員 三十二万平方メートルでございます。
  49. 大原亨

    大原分科員 三十二万平方メートル、これはかなりの河川敷だ、最近急速度に、特に広島もそうですか、広島並びに広島周辺は百万都市に実際上なっておるわけですが、非常にたくさんの人が集まり、交通も煩瑣になり、公害も出てくる、こういうことです。したがって、やはり児童公園その他遊び場がほしい、レクリエーションの場所がほしいという要求が急速度に盛り上がっておるわけです。その広島のゴルフ場の契約関係について、私は地建その他を通じて調べたこともあるのですが、契約期間の満了は大体いつですか。
  50. 坂野重信

    坂野政府委員 現在の占用の期間は四十一年の四月一日から三カ年でございますので、四十四年の三月三十一日まででございます。
  51. 大原亨

    大原分科員 太田川のゴルフ場は有限会社太田川ゴルフ場というようになっておるかと思うのですが、そのゴルフ場は四十四年の三月で期間が満了する、そういうことになりまして、これはこのまま放任しておきますと、四十四年三月三十一日の期間が来ましてまた契約を更新するということになりますと、またいろいろな紛争やトラブルやあるいは投資その他の既成事実ができますから、問題が起きてくると思う。したがって、私は、そういうふうなゴルフ場その他に対しましては、建設省が一定の方針を持っておられると思うのですが、その方針と一緒に、自治体その他公共団体の要請があれば当然開放すべきであると思いますが、それについての建設省の見解、この二つの点についてお答え願いたい。
  52. 坂野重信

    坂野政府委員 まだ現在のところ広島のゴルフ場については、地元市等から要望が出ておりませんが、要望が出てまいりますと、その契約といいますか、許可の切れる時点におきまして検討いたしたいと思います。もちろん基本的な考え方といたしましては、都市周辺の河川敷地はできるだけ一般公衆の利用に供するという基本方針がございますので、その基本方針に照らしまして、その時点において検討いたしたいと思います。
  53. 大原亨

    大原分科員 これはもうすでに非公式には意思表示がしてあるわけです。そのゴルフ場の川下のほうの河川敷も相当あるわけですが、非常に幅が狭いわけです。ボール投げその他をいたしましても、川の中へ飛んで入ったのではならぬわけですから。ゴルフ場がいま三十二万平方メートルと言われましたが、非常に広い地域があるわけですから、これをぜひ開放してもらいたい、こういう要望が強いわけです。したがって、そういう要望が出れば、当然建設省のいまお話しのようなそういう方針に従って処理さるべきものである、こういうように考えてよろしいかどうかということ、それが一つと、その契約の内容にそういう公共使用を拘束するような内容があるかどうか。ある場合には、それについてはどういうふうに処理するのかということですね。  第三に、たとえばゴルフ場でしたら、相当金をかけて手入れをして、河川敷の保存ということからも意味があるということでゴルフ場に使わせたという一つの理屈も当時あったわけです。この芝生の保全にも非常に力を入れておるわけです。そういう既成の事実があるわけですけれども、それはしかし芝生は持っていけばいいじゃないか、よその地へ、奥地へ芝生を持っていけばいいじゃないか、こういう議論もあるわけです。そうすれば、あとは市やその他公共団体が整備をして公共の用に供することができるではないか、こういうことがあるわけです。東京周辺でもしばしば起きておると思うのですが、そういう補償金の問題とか、そういう問題に関連をいたしまして、契約内容について、やはり公共性という立場からきちっと指導方針を確立する必要があるのではないか。こういう点につきまして、ひとつ見解を明らかにしてもらいたい。
  54. 坂野重信

    坂野政府委員 最初の点でございますが、先ほど申し上げましたように、現在のところまだ正式にそういった開放の申し入れがございませんので、その申し入れがございましたら、私どもできめております開放の方針にのっとって、その時点において検討します。  内容は、先ほどちょっと御説明いたしましたように、公園、緑地等が特に不足している都市周辺の河川敷地については、公園、緑地等の開放計画を樹立して一般の公共の利用に供したいというのが基本的な方針でございます。  それから、その次の補償の問題でございますが、これはすでに東京周辺でもやっておりまして、ゴルフ場の開放の場合には補償はいたしておりません。ですから、太田川のゴルフ場の場合でも、開放するということになりましても、そういった補償はいたさないことに相なります。
  55. 大原亨

    大原分科員 それでは関係市町村やその他公共団体からそういう使用計画について一つの建設的な計画が提案された場合には、この問題もそういう方針に従って処理される、そういうふうに理解をしてよろしいですか。どたんばになってやりましたらこれは混乱するから、事前にこの議論をしておいて、そうしてお互い心がまえをつくって、それに対処することがよろしいと私は思うわけです。建設大臣のほうからひとつ……。
  56. 保利茂

    保利国務大臣 四十年の十二月でございますか、当時の世論の動向等にかんがみまして、建設省としてただいまお話しのことについては基本方針をとって、その方針にのっとって処理してまいっております。これは率直に申して、こういう東京であるとか、広島であるとかというような大都市周辺の河川敷は、そういう限られた用途に提供することなく、広く市民、都民のために利用せられるようにならなければならない。そのために、たとえばゴルフ場のごとき、大原さんおっしゃいますようにかなりの投資もしておる。芝生とか、とにかく荒れ地のところからりっぱなゴルフ場にするまでには相当の投資があるわけですけれども、それを補償するということは必ずしもどうも今日の事態では適当でない。したがって、貸し付け条件に照らして、とにかく開放してもらうときは無償であるというその原則は打ち立てられておって、すでに実施しておりますから、実際の問題としては相当えげつないな、どうかなという感じも実際しないわけではありませんけれども、しかしこれは貸し付け条件に照らして、貸し付け条件のとおりに実施してまいるということでないと、いろいろな紛議も生ずるおそれがありますから、そういうことで処理してまいる。ただいまの太田川の事案につきましても同様の処理をさしていただきたいと思います。
  57. 大原亨

    大原分科員 私もその点は、トラブルを避けて円滑に、しかも、たとえば市あるいは町村がそういう広場、児童公園その他に使うという場合も、一定の河川敷地の制約があると思うのですが、やはり若干計画立てて、そして年次的にやっていくという必要もあるでしょうから、そういう点であらかじめ申し上げておいたので、特にこの点を、都市近郊のそういう健全なレクリエーションの場所を確保する問題といたしまして、ひとつ建設省においても留意願いたい、こういうふうに要望いたしておきます。  それから第二の問題ですが、水をめぐる紛争の問題です。  一級河川、二級河川等の問題は、建設大臣が直接権限があり、その他県その他が管理しているものは、第一次的に知事がやり、最終的には建設大臣であると思うのですが、御承知のように、川の上を流れておる表流水、それからそれと密接な関係がある伏流水、あるいは関係があるかないかという議論のある地下水、あるいは農業用の水利権、こういった問題等、水をめぐる問題は非常に多いわけであります。それをめぐる紛争事件を、一つ具体的な例をあげながら私は質問していきたいと思うのですが、河川法の第二十九条によりますと、「河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の禁止、制限又は許可」こういう見出しで、第二十九条の条文があるわけですね。「第二十三条から前条までに規定するものを除くほか、河川の流水の方向、清潔、流量、幅員又は深浅等について、河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為については、政令で、これを禁止し、若しくは制限し、又は河川管理者の許可を受けさせることができる。」というふうにあるわけです。これが第一項です。第二項は、「二級河川については、前項に規定する行為で政令で定めるものについて、都道府県の規則で、これを禁止し、若しくは制限し、又は河川管理者の許可を受けさせることができる。」ここで、政令でこれを禁止し、もしくは制限しとあり、また、第二項で、政令で定めるものについて、都道府県の規則でこれを禁止し、もしくは制限し云々とあるわけです。つまり、政令あるいは府県の規則で、制限をしあるいは禁止をしというふうに規制を加えることについて、河川管理上の手続をきめておるわけですが、この第二十九条による政令ができておるのですか、できていないのですか。また、できていないとすれば、どこに原因があってできていないのですか、こういうことであります。
  58. 坂野重信

    坂野政府委員 二十九条の政令につきましては、まだできておりません。この政令の制定につきましては、関係各省といろいろ協議して、できるだけ早い機会に政令をつくらなければいかぬというふうに努力しておるわけでございますが、水質保全法等いろいろな関係もございますし、なお各省との見解の調整が必ずしも現在のところできておりません。私ども考えとしては、できるだけ河川の流水の基準というようなものをつくって、河川に出てきた水流の水質というものをよくチェックして、それによりまして、汚濁源になるということがはっきりした場合には、何とかその汚濁源のほうについても規制できるようにしたいというようなことを考えておるわけでございます。河川法の制定の時代からのいろいろないきさつ、関係等ございまして、現在も努力いたしております。政令もできるように目下努力いたしておりますので、そのうち各省の調整もできるものと期待しておりますが、現在のところそういういろいろな関係でまだ政令ができるまでに至っておりません。
  59. 大原亨

    大原分科員 これはむずかしい問題だと思うのです。しかし、これは法律には政令でということになっておるし、規則でということになっておるわけです。だから、その基準がないために紛争が起きているのです。私があと指摘する問題が起きているわけです。これは経済企画庁の水資源局も関係があるでしょうし、きょうは厚生省が見えておりませんが、厚生省も関係あるでしょうし、農林省の関係もあるでしょう。水利権の問題その他であるでしょう。だから、これは関係各省が早急に集まってやるべきじゃないか。たとえばイタイイタイ病の工場廃液の問題もあるでしょう。あるいは汚物を投げる問題もあるでしょう。ある場合には豚の集団飼育のふん尿を流し込んだということで、私は三年前に農林の分科会でやって、いろいろな問題を検討したことがありますが、そういう公害の問題があるし、汚濁の問題があるでしょう。しかし、それと一緒に、水を工業用水として利用する、あるいは地下水として利用する、あるいはポンプが非帯に発達いたしましたからポンプで水をとる、あるいは川の土手っぱらに穴をあけて水を持っていくというわけにもいかぬでしょうけれども、最近は技術の開発情勢の変化あるいは工場の建設その他住宅街の拡大等とも関連して、そういう問題が非常にたくさんあるのです。だから、それらの問題を調整をして政令や規則——規則は政令を基礎にしてやるのですから、やはり政令をきちっとつくってもらう必要があるのではないか。経済企画庁、どう思っておられますか。
  60. 今泉一郎

    ○今泉政府委員 先ほど建設省河川局長さんからのお話にもありましたように、河川法の二十九条に基づく政令の取り扱いについては、いろいろ建設省から私どもも御相談を受けておるわけでございますが、さしあたり水の汚濁防止あるいは規制というほうにつきましては、先生御承知のように、現在公共用水域の水質の保全に関する法律というものがございますが、それによりまして、全国各地の川をそれぞれ調査をいたし、必要があれば、これに水質の基準を設定いたしまして規制を加える、こういうふうなことをやっておるわけでございます。  その他の点につきましてはよそのお役所の関係でございますので、私どもの所管とは異なるような気がいたします。
  61. 大原亨

    大原分科員 ただ所管が異なると言われるが、水資源の問題については、総合官庁は経済企画庁でしょう。農林省や厚生省や建設省といろいろあるが……。たとえば第二十九条は申し上げたように、流水の方向を変えるような問題あるいは清潔、これは公害の問題、流量を変更させるような問題、幅員または深浅の問題——私がいま申し上げるのは広島県と山口県の県境にある小瀬川の問題ですが、この問題は非常に紛争が起きた。それは大竹紙業という会社がその川のそばに井戸を掘って、そこへポンプを突っ込んだ。これはまた必要があればあとで申し上げますが、紙業ですから相当大量の水をそこからとっていくわけです。その問題をめぐって付近の農民と一般住民と下流の既得権を持っておる工場、それとの関係——去年は非常な渇水期で紛争を起こしました。それで、大竹紙業の社長さんというのは、市議会その他地方の有力者でありまして、それが去年の統一地方選挙のときに、これを有利に展開するために、大竹市議会の議員に対しまして十万円ずつ金を出した。それからこの票はあなたというふうに票を分けまして、名前を持って陣中見舞をしたというのは珍しい。これは全く人権じゅうりんだと思います。そういう問題をめぐりまして多数の人々が逮捕されまして、市議会が全く麻痺状態になりまして、これは再選挙があるかもしれません。これは何かというと、渇水という問題もあるのですが、小瀬川の水の利用について表流水、伏流水、地下水の関係についていろいろ論争があったからであります。今度は小瀬川は一級河川になるのですね。一級河川になれば、この紛争その他については建設大臣が直接タッチすることになるのですか。これをまずお聞きしたい。
  62. 坂野重信

    坂野政府委員 そのとおりでございます。
  63. 大原亨

    大原分科員 そうすると、今度は新しく一級河川に指定されるわけですから、直接建設大臣の管轄になる。  それで、いままで新しく水をとろうとする大竹紙業のほうは、山口大学の工学部に委託をいたしましてやりましたところが、これは表流水、伏流水には関係なく、地下水であるから権利がある、合法である。広島大学の工学部に大竹市と広島県知事が委託して調査いたしますと、そうではない、伏流水であって表流水と密接な関係がある。伏流水であって、流れている水と一身同体であって、伏流水をとれば表流水も減ってくるんだから、近くの農民や住民やあるいは下の工場を持っている人々は既得権が侵害され、非常にたいへんなことになるという二つの論争があるわけです。やはり新しく工場をつくろうとか利用しようというものが全然利用されないということもおかしいでしょう。それはおかしいでしょうが、横やりを入れたかっこうで強引にボーリングをして、そして水をとっていくということもおかしいでしょう。その間に一定の秩序が要るはずでございます。私は、建設省の怠慢がこういうことになっているんじゃないかと思うのです。経済企画庁かもわからぬけれども、むずかしい、むずかしいということで逃げておるから、結局こういうことになっているんじゃないかと思うわけです。私は、この問題は今度は直接建設大臣が処理されるわけですけれども、従来は直接的ではなかった、市、県がやるのを国が監督、指導してきておったわけですが、これについて指導の経過と、見解があればこの際ひとつ明らかにしておいていただきたい。
  64. 坂野重信

    坂野政府委員 御指摘のように、従来取水の問題につきまして紛争が起きているようでございます。その間に、大体県が仲に立ちまして、県が調整しようということで努力しているようでございますが、問題は物理的また水利的に非常にむずかしい問題であると私どもは思っておるわけでございまして、私どももこういった話が耳に入りましたのはごく最近でございますが、いろいろな報告等によりますと、問題が非常にむずかしいために、県と市が共同調査を行ないまして、広島大学の工学部にこの問題の調査委託契約を結びまして、一応中間報告は出ているようでございますが、最終的な結論は四十三年の、この三月末日ごろまでに出るという見込みのようでございます。  調査の内容は、先ほどお話がございましたように、これをとった場合に一体下流のほうにどういう影響があるかということが一番ポイントになると思うのでございます。その辺が現在までの状態ではまだ明確ではない。そのために、地下水あるいは表流水等の関係を明確にするために、今後のいろいろな水の調査というものをさらにやってみる必要がある。それからポンプで実際に揚げてみる、その揚水試験をやってみる必要がある、あるいはいろいろな流量の観測を行なって上流と下流との水の関係がどうなるか、あるいは地下構造等についてもいろいろさらに調査する必要があるというようなことで、はたして四十三年の三月末日までに的確な量的なものまで出るかどうか、私どもの観測ではなかなか困難ではないかというような気がするわけでございますが、そういうようなことで、問題はその河川区域のすぐそばで取水したいというようなことでございますが、それが現実に下流の河川に影響をして、そして下流の既存の水利に影響を来たす、取水することによって下流にそういった悪影響を及ぼすというようなことになってまいりますと、その辺が問題になるわけでございまして、どの程度影響があるのか影響がないのか、同じ伏流水にいたしましても、伏流水でもって下流の流量に相当の影響があるということがはっきりいたしますと、これは河川法の範囲内で、明らかに私ども河川法によって措置する必要があるのでございますけれども河川のそばであっても下流の河川には影響がない、単なる地下水で、そこで水を取ってもその地下水が横のほうに流れていってしまうような性質のものならば、下流のほうの河川流量には影響がないわけでございます。その場合には河川法の範囲外でございます。その辺が今後の調査の進行状況によりまして私どもが技術的に判断しなければならぬわけでございます。その調査の報告をまって、私どもはどういうぐあいに、事務的にどうすべきか、あるいは技術的にどう考えるかというのを今後判定いたしたいと思うわけでございます。場合によっては、私どもがまた独自にいろいろ現地で、あるいは建設省みずから何か調査しなければいかぬという事態が起こるかもしれませんけれども、現在のところはそういう状態でございます。
  65. 大原亨

    大原分科員 ちょっとその前に聞いておきますが、これはとんち教室のような質問だけれども、あの川の名前はどっちがほんとうなんですか。小瀬川というのですか、木野川というのですか。広島県のほうは木野川というのですが、山口県のほうは小瀬川といっている。
  66. 坂野重信

    坂野政府委員 これは小瀬川でございます。
  67. 大原亨

    大原分科員 広島県はおこりますよ、そういうことを言ったら。  その小瀬川か木野川か知らぬけれども、ぐるっと回っているところへ大竹紙業がボーリングをして、表流水が停滞しておるところへ、その近くでボーリングをして一日二万五千トン工場用水を取る。そうしたら下流に影響があることは当然だという議論が、一般市民や農民から常識上出てきている。だから広島側のほうは、県知事と市のほうは、これは表流水を侵しているものだと、こういう議論になる。伏流水である、地下水ではない、こう言う。それから山口のほうは、反対するための反対かどうかは別ですけれども、これは明らかに地下水である、大竹紙業のとった行為は妥当である、こう言っているのです。だから私は、一級河川になるときだから、県のほうはこれほど大きな問題になっているのだから、名前だって別々に言いよるくらいだから、それはやはり建設省がひとつ積極的に乗り出して、そしてだれもが納得できるようなそういう調整をやるべきじゃないか。この一番根本の原因は、建設省が二十九条によってそういう政令、規定をきめて、禁止や規制の措置をとっていない、こういうことに問題があると私は思うのです。だから具体的な問題の処理をもう少し建設省が責任を持って積極的にやらなければいけないのじゃないかということと、第二十九条のそういう政令の制定について、大臣ははっきり指導性を持って努力してもらうべきではないか、この二つの問題について最後に大臣の見解をお聞きいたします。
  68. 保利茂

    保利国務大臣 政令の制定がおくれておるようでございますけれども、ひとつ検討を急いで、政令を持つように督励いたしたいと思います。  なお、小瀬川は今度から一級河川になりまして、建設省が直接責任を負うことになります。ただいまだんだんお話を伺ってみますと、両県で争いになって、両県がそれぞれ都合のいいような——都合のいいということはございませんでしょうけれども、両県それぞれ独自で調査をされている。それをまたもとにしていさかいがあるということは、これは憂慮すべきことだと思いますから、河川局を督励しまして、できるだけひとつ建設省が両県にこだわらずして正しい調査を進めまして、適正な措置をとってまいるというようにひとつやりたいと思います。よろしく御援助いただきたいと思います。
  69. 湊徹郎

    ○湊主査代理 次に武部文君。   〔湊主査代理退席、主査着席〕
  70. 武部文

    武部分科員 きょうは非常に時間が短いので、私は全建設省労働組合に対する不当労働行為の問題について、若干建設省の見解をこの際求めたいと思います。  私が具体的にあげる対象は、鳥取県の倉吉、広島県国道事務所、この二つでありますが、最初にお伺いいたしたいのは、この二つで労使間において紛争が起きておるということを建設省は御存じでございましょうか。
  71. 志村清一

    ○志村政府委員 両方の事件について、組合側からいろいろお話のあることは承知いたしております。
  72. 武部文

    武部分科員 当該の所長なりその他から具体的な報告が建設省にございましたか。
  73. 志村清一

    ○志村政府委員 中国地建からこういう問題が生じたという報告は受けております。
  74. 武部文

    武部分科員 この問題が人事院に提訴されたということを御承知でしょうか。
  75. 志村清一

    ○志村政府委員 承知いたしております。
  76. 武部文

    武部分科員 それではまず最初にお伺いをしたいのは、建設省は勤務評定というものについていまどういう具体的な指導をされておりますか。
  77. 志村清一

    ○志村政府委員 勤務評定につきましては、人事院規則等においても定められておることでございまして、仕事のできばえ、勤勉さ、規律というようなことにつきまして、勤務の評定をいたしておるわけでございます。
  78. 武部文

    武部分科員 そうすると、勤務評定については大体わかりましたが、特別昇給制度というのが建設省にございますね。その際に特別昇給の権限は当核の所長等の権限としてまかせてあるのかどうか。
  79. 志村清一

    ○志村政府委員 事務所長の上申に基づきまして、地建の局長が特昇を行なうというように承知いたしております。
  80. 武部文

    武部分科員 わかりました。所長の上申に基づいて地建の責任者がやる。しかし現実にはそのいわゆる所長の上申どおり今日まで慣行として行なわれておるという事実は、そのように認識しておられますか。
  81. 志村清一

    ○志村政府委員 特異な事例のない限り、おおむね事務所長の上申を尊重いたしておるように承知いたしております。
  82. 武部文

    武部分科員 それでは具体的にこれから内容を説明申し上げますが、倉吉事務所の職員は約二百名、そのうち全建設省労働組合組合員百四十三名。去る四十二年の十月九日に特別昇給が例年どおりされたわけであります。その人数は十七人ですから、大体職員の一割弱が今日まで特別昇給制度の恩恵を受けておる。これは例年のとおりだそうであります。ところが、ここでいろいろ労使間に紛争がこの勤評をめぐって起きておった。それも特にどこの労働組合でも見られるようにリボンをつけておった。これはどこでもそういうことがありますが、胸にリボンをつけておった。これをめぐっていろいろやりとり、紛争があった直後に、この特別昇給が十七名発令をされたわけであります。私がこれから問題にしようとするのは、今日までの慣行を無視して特別昇給というものが行なわれた。これは大体平均千円から千百、二百円になると思うのです、一号俸上がるわけですから。これは労働者にとってはたいへん重要なものであります。いままでの慣行をずっと調べてみると、大体今度はだれが特別昇給だろう——順番があるわけですね。一応の慣行、何年か前からずっと見ておると、年令、勤続年数、そういうものから見て、大体順番というものは慣行上定まっておって、何らふしぎはなかった。したがって、それについて紛争が起きていなかったわけですから、特別昇給というものは、そういうものとしてずっといままでそういう事務所ではきておった。ところが今回に限って非常に不可解なことが起きた。これが労使が対立をして、いまだに紛争が解けない原因になっておるのでありますが、この特別昇給の発令の約一週間ほど前に、いろいろ労働組合内部にも働きかけがあって、脱退者が出たわけであります。全建設省労働組合を八人脱退をした。その八人のうち五人がこの特別昇給の対象になった。残りの十二人は全部これは全建設省労働組合の組合員でない。したがって、特別昇給を発令された十七人は、全員全建設省労働組合の人間じゃないといういまだかつてない現象が起きた。こういう事実を御存じでございましょうか。
  83. 志村清一

    ○志村政府委員 結果的にそういうふうになったように承知いたしております。
  84. 武部文

    武部分科員 結果的にそうなったという報告を受けられたからそうおっしゃったと思うのであります。それでは私は具体的に次の質問をいたしますが、全建設省の労務対策上、リボンというものをつけておるということについて、皆さんのほうから、傘下の出先機関に対して何か指示をされておりますか。
  85. 志村清一

    ○志村政府委員 リボンの着用につきましては、先生も御承知のことかと存じますが、建設省の四国地建の土佐工事事務所におきまして、やはりリボンの着用につきまして問題が起きまして、人事院に裁定を求めたわけでございます。その人事院の裁定の中におきましても、リボンの着用というようなことにつきましては、これが勤務時間中における一種の組合活動であることは疑いないが、しかしリボンの形とか表示の内容等から判断して、それがいかに問題があるかというようなことを判断すべきである。そして警告を発する。それは勤務時間中の問題であるから、当局から警告を発するということは差しつかえないが、そのリボンの形状その他等から判断して、これを業務命令で取りはずせというようなことについては、ケース・バイ・ケースで考えるべきであり、リボンの形状及び表示の内容等からさして職員の勤務状態に影響が及ぼされないときには、業務命令を発するというようなことは適当ではないというような裁定が出たことは、先生御承知のとおりかと存じます。われわれのほうもそのような方向で指導いたしておるわけでございます。
  86. 武部文

    武部分科員 リボンが勤務時間中の組合活動であるかないかということについては、いろいろ論争があります。これは私もたくさん事例を持っておるから、具体的にやれば何時間もかかるわけですが、そういうことはやりたくないのです。それで申し上げたいのは、このリボンをつけるということは勤務評定への対象になるか、こういう質問をしたところが、当然なる。リボンをここにつけたことが勤務評定の対象になるということを、あなた方の出先機関の責任者は言っておるわけですが、建設省もそういうふうにお考えですか。
  87. 志村清一

    ○志村政府委員 先ほど申し上げましたように、リボンにつきましていろいろ論争があることは事実でありますが、これは取りはずすようにという業務命令を発して、はずさなかったというような場合とか、そういったようなときには、当然一種の勤務評定の対象になろうかと存じます。
  88. 武部文

    武部分科員 そうすると建設省は、リボンをつけることについて、それをはずせと言ってはずさない、したがってそれが勤務評定の対象になるといまでもお考えでございますか。
  89. 志村清一

    ○志村政府委員 不当不法の疑いありということでございまして、その限りにおきましては適当でない、かように考えるわけでございます。
  90. 武部文

    武部分科員 あなた方の出先の責任者はこういうことを言っておるんですよ。リボンをつけておるということは特別昇給にも反対だということに解釈するのだ。これはちょっと論理の飛躍もいいところです。ここにリボンをつけたということは特別昇給をしてもらわぬでもいいということだ、特別昇給反対だという意思表示だ、こういうことを言うのですが、あなたはどうですか。そういうふうにお考えですか。
  91. 志村清一

    ○志村政府委員 特別昇給をいたしますのは、これは人事院規則にもございますように、勤務の成績が良好であるかないかというふうなことによって特別昇給を行なうわけでございますから、勤務の成績が良好であるかないかということを判定するためには、やはり勤務評定が必要である。したがって勤務評定はいやだ——たまたま倉吉の場合には、勤務評定反対というようなリボンをおつけになっておったようでございますが、そうすると勤務評定ができない。そうすると勤務の成績の判定も非常にむずかしい。そうなると特昇もやりにくくなるというような趣旨のことを言ったように承知いたしております。
  92. 武部文

    武部分科員 それはそんなこじつけじゃないですよ。勤務評定反対とここに書いてあったら勤務評定ができぬということは何のことですか。勤務評定をするというのは、現場の管理者が、自分の責任において本人の仕事ぶりをずっと見ておってするのだから、ここにつけようが、はち巻きしようが何しようが、そんなことは関係ないですよ。関係なく、あなたのほうの管理者としての責任において勤務評定をするんでしょう。ここにつけておったからできないんだ、そんなばかな説明はありません。それは特にここで取り上げませんが、それじゃこういうことを言っているのはどうですか。管理者が、リボン闘争をした組合員に、恒例の十月の特別昇給をストップすると組合に通告した、これは労働組合法第七条の不当労働行為になると思うのですが、そこらはどうですか。
  93. 志村清一

    ○志村政府委員 私ども承知しておりますところでは、勤評反対のリボンをつけた者は特昇をやらないというふうに明言したというようなことは聞いていないわけでございまして、もしそういう明言をしたとすれば問題があろうかと存じますが、私ども承知いたしました範囲内では、先ほど申し上げましたように、勤評反対というふうなことをいたしまして、実は過去にもそういう例がございまして、勤評反対で勤評がとうとうできなくなって、したがって特別昇給もできなくなったという事例が建設省にかつてあったわけでございます。そういうふうな問題等もございますので、勤評反対としてやって、結局勤評ができなくなった場合には、特昇もおのずからできなくなるであろうという趣旨のことは申し上げたように承知いたしております。
  94. 武部文

    武部分科員 勤評反対というリボンをつけたのは、倉吉や広島の国道事務所だけではないのですよ。私が調べたところでは、あなた方の関係する全建設省労働組合の中でみんなつけてますよ。これはほかのところもたくさんつけておる。そこではいままでの慣行どおりの昇給がなされて、何ら紛争が起きておらないのに、倉吉と広島の国道事務所だけにこういう紛争が起きたというのは、これは特殊の例でしょう。みんなつけておるのですよ。つけておるにもかかわらず、そこで紛争が起きておるということは、従来の慣行から逸脱した行為があったから、そこの職員がおかしいじゃないかといって、紛争が起きておるのです。ですから、リボンをつけたからどうだ、勤評をつけることに支障があるとかないとか、そういうことは当たらないのであります。そこで、私は具体的な例をいま申し上げたわけでありますが、十七人の中に一人も全建設省労働組合の組合員が入っていない。しかも二百三人中百四十三名もおるのですよ。そうすると、あと六十名ばかりでしょう。五十数名です。その中から十七人だけが特にピックアップされて、特別昇給を受けるということは一体どうですか。あなたはさっきたまたま一致したということをおっしゃられた。私はちょうど国に帰っておったときにこの紛争が起きたので、そのときにわいわい騒いでおるがどういうことかと思ってちょっと聞きに行きました。そうしたら所長さんがなかなか口が固くてものを言わない。御想像にまかせますとか、言いたくないということをおっしゃられたから、私は別に詰問に来たわけでも何でもないから、事情を知りたいからお聞かせ願いたい。こういうことを申し上げたのです。いま言うように、絶対多数を占める人間が一人も特別昇給の対象にされず、そうしてまたその勤務評定で特別昇給をする一週間ほど前にいろいろな手で退脱をさせられた組合員中、八名のうち五名までが今回の特別昇給の十七人の中に入っておる。一体過去の慣例からいって、今度は自分が特別昇給だと思って待っておる連中にとってはたいへんなことなんですよ。おかしい、こう思うわけで、それが紛争のもとになっておるわけですが、一体どういう理由でそういうことになったというふうにお考えですか。
  95. 志村清一

    ○志村政府委員 先ほど申し上げましたように、特別昇給は、勤務成績を勘案いたしまして、特に優秀である者につきまして特別昇給を認めるわけでございまして、年功序列等によりましてやるものではないわけでございます。さような意味におきまして、事務所におきましても厳正に勤務の評定をいたした上で、特別昇給の候補者を本局に上申したように承知いたしております。なお、これは日付の問題でたいへんこまかいことで恐縮でございますが、事務所長から本局に上申いたしましたのは、リボン闘争の始まる前の日でございまして、リボン闘争、リボン着用の前にすでに上申を終わっておるというように承知いたしております。
  96. 武部文

    武部分科員 その日付は私の調査と違います。ですから、そんなことはあり得るはずがないんで、これはもうもっとお調べになっていただけばわかると思いますが、そうなってくると若干問題が違ってきますね、私が言っておることと。あなたがおっしゃった最後のことが事実とするならば、これはちょっと問題がほかのほうへいきますから、そんなことはあり得ないんです。これはまたあらためて——あなたの言われたことが正しければ、この問題は振り出しに戻ります。これは社労の委員会等でやってもいいと思います。  リボン問題について裁判判決が出たという事実は知っておられますか。
  97. 志村清一

    ○志村政府委員 郵便局のリボン闘争の問題につきまして、何らかの判決が出たように承知いたしておりますが、具体の内容は承知いたしておりません。
  98. 武部文

    武部分科員 私は、この建設省の労働組合と、それから建設省側との間にこのリボン等をめぐっていろいろ紛争が起き、そして現地で非常に管理者の皆さんと職員との間にこんなことで仲たがいをして非常におもしろくない空気がある。これは非常に残念だと私は思うのです。リボンについては、あなた方のほうの出先機関の責任者は、やれこれは組合活動だとかやあどうだとか、はずせ、はずさぬということで、わあわあやっておるという。ところが、こういう判例が出ておるのですよ。おっしゃるように、神戸の灘の郵便局、百十四名の組合員がここにリボンをつけておった。その内容はたしか賃上げだと思うのですがね。その内容は別にしても、それがいわゆる就業規則に違反をするとか、正規の服装に違反をするとかとんでもないことをいって処分をしたわけですよ。百十四名訓告処分なるものをやった。これはおかしいじゃないかというので、この問題について裁判で争われたわけですね。これは参考までにぜひ聞いていただきたい。裁判の一審判決が出たわけですけれども、どういう判決かといえば、その処分は不当だという判決が出たのです。不当だ。同時に郵政省は百十四名に対して慰謝料として一人千円ずつ支払えという命令が出たんですよ。はっきり言うとこれが労働運動ですよ。そんなリボンをつけたからといって処分する、そんな前近代的な労務対策というものはあり得ないんです。もう一審の判決が出たのです、慰謝料を払えということが出た。こういうことがあなた方の出先機関の所長等の権限で労使紛争の最大の原因になっておるということは、これは建設省の労務政策として私は誤りだと思う。たまたま二つだけ広島等の例を私は申し上げたわけですが、実はこの問題は、冒頭に言うように、人事院に提訴されて救済を申請をする、あるいはまた国会でも、こういうばかなことはないというので社労でも取り上げるというような、こういうことはお互いにやりたくないと思うのです。ですから所長の言うように、これは偶然の一致で、たまたま百四十三名中一人も特別昇給の該当者がありませんでした。脱退をした八人のうち五人、たまたま偶然の一致でそれが特別昇給の対象になった。これは常識からいって通らぬのですよ。私が行ったときに新聞記者がたくさん来ておりましたが、新聞記者の諸君が質問したって、所長は答弁できないんですよ。こういうことを、特にいなかで紛争が起きるというようなことについて、少なくともあなた方責任者の側から厳重にそういうあやまちのないように、これから先もひとつ注意をしていただかなければならぬ。私は時間もありませんからこれ以上追及いたしませんが、この際たまたま倉吉で起きておることについてはいまだに解決いたしません。したがってだれが考えても、私も具体的にいろいろ全部調べてみたが職員も納得いたしません。したがって過去の慣例に従って特別昇給というようなものはわずかの人間の数しかないわけですから、一割にも足らぬのですけれども、今度はおそらくこの人だろう、それも何らのふしぎもなしに行なわれてきたというこの現実が、たまたま昨年の秋、とんでもない方向に向かっていった。そのことによって建設省の業務に大きな支障が起きておる。したがってこの際、倉吉の問題については本省としては前向きな形で解決するように、何も人事院の裁定を待って、やあ負けたからメンツがないとか、勝ったからどうだとかいうことでなしに、こうした問題を建設省の責任において解決をする、そういう努力を皆さんのほうでおやりになる意思があるかどうか、それをお聞きしたい。
  99. 志村清一

    ○志村政府委員 リボン着用の問題につきましては先生から判例等の御提示がございました。私どもも十分判例の研究をさしていただきたいと存じます。  先ほど来申し上げましたように、リボンにつきましては、人事院の裁定がたまたま建設省関係する問題につきございましたので、先ほどお答え申し上げたような線で指導をしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。  なお特別昇給につきましては先生のおっしゃられるように、勤務成績の非常によろしい者は、仲間うちでも大体この人は非常によく働くから、そうして業績も非常にあげているから当然この方が特別昇給になるであろうというようなこともあろうかと存じます。さような意味におきましても、管理者といたしましても十分勤務の状況等を把握いたしまして、勤務成績良好で特昇に値する者を推薦するということで従来も指導いたしております。さらにその指導を徹底さしていきたいと存じております。
  100. 武部文

    武部分科員 これで終わります。
  101. 松浦周太郎

  102. 太田一夫

    太田分科員 最初に建設省道路関係についてお尋ねをいたします。大臣もいらっしゃいますけれども、この間の二月二十七日の予算委員会で、私ども社会党の阪上委員が、これは保利建設大臣並びに佐藤総理に対しまして、都市化現象につきまして、地域開発問題と関連をいたしまして、非  常に突っ込んだ質問をいたしました。その際に佐藤総理が、都市化の本質と申しますか、都市化現象についてどう考えておるかということに対しての御意見の御表明がありました。それはこういうことです。「ただいまの都市化現象で一番私どもが困りますものは、一つは、交通問題、もう一つは、公害問題、この二つは目に見えて、今日ほうっておくわけにいかない問題だ、かように思っております。」と答えられました。それから保利建設大臣も同じように、市街地の高度利用とか、あるいは超高層ビル等ができ上がる今日の事態に対しまして、これは悪いことじゃないですが、「しかし現状はどうなっているか。現在の交通状況はどうであるか、あるいは消防等の施設がどうなっているかというようなことを考えずに、ただ高度利用さえすればいいんだという考え方には、私はくみするものではありません。」こういうようにおっしゃいまして、阪上委員も、それは非常にけっこうなことだというような相づちを打ったような問答がかわされておるわけです。  私はこれに関係をいたしまして、特に東京都を一つのモデルとして、建設省道路計画というものについてお尋ねをしたいのでありますが、現在、一日に死ぬ人が三十六人からある、けがする人が毎日千七百人、これは自動車事故でありますが、負傷者が千七百人もある、こういう状態というものは、これはもう非常に重大問題になっておりまして、交通安全対策という名前でいわれておりますが、安全対策といって、橋をかけたり、あるいは交通信号機をつけたり、防護さくをつけるというような、そういうようなことだけでなくて、もっと基本的な交通対策がなくてはならぬと私は思うのです。一年前の予算委員会におきまして、やはりその当時の西村建設大臣に、私はお尋ねをいたしましたことがあるのですが、大都市の交通過密と申しますか、交通難という、何ともならない都市を、ある程度の区域を限って交通安全都市宣言をする、そうしたならば、その区域の中というのは絶対に交通安全であるという、模範的な都市をつくることに踏み切ってみたらどうだろうか、こういうことを申し上げたことがあるのですが、そういうことは、何ですか、どうもなかなか考え及ばないというようなお話であったわけです。しかしことし一月一日現在の貨物車、乗用車、バス等の登録台数を見ますると、千百四十五万台有余、これはたいへんな自動車の数になりまして、やがて五、六年先になりましたときには、これが倍以上になることは確実でありますから、したがって、東京都の交通もあるいは大阪の交通も、どうにもならないという状態になるわけです。そこで何とかこれを解決する抜本的な対策がないだろうか。それは交通安全都市というようなことをいろいろ言うけれども、それは教育だとか、申し合わせであるとか、陸橋をつくるだとかいうことではないのだ。一つ道路というものをもっと有機的につくりまして、その道路というものの機能を十分に果たすことだ。人も安心して歩けるが、自動車も安んじて通ることができるという、こういう道路でなければならない。これをつくるためには、何か思い切った革命的な道路行政が要るのだと思うのですが、何かそういう自動車の洪水に対処する都市の道路網についての基本的なお考えがおありなら、この際御発表をいただきたい。
  103. 保利茂

    保利国務大臣 太田さんの御認識、御提案、全くそういうことを考えなければならぬところにきておるのじゃないか。これだけ道路整備はじめ公共投資を急いでおるにもかかわりませず、自動車、車両の激増、これは非常な勢いでふえておる。どうしてもウサギとカメの競争みたいになって、だんだん、だんだん格差がひどくなってくるという現状、その現状の中に都市交通、特に過密都市の交通をどう確保してまいるかということは、お説のように、これはとにかく通る以上は——防護さくや横断歩道橋がつくられますのは、歩行者優先、人命尊重という上にのっとって施策を進めておるわけでございますけれども、これはおのずから限りのあることでございまするし、そういうことで御提案のようなことが——しかし道路というものはとにかくだれでも自由に利用できる、円滑に利用できるという使命を持っておる上からいきますと、やはりみながある程度は不便であっても、それを極端に制限していくというようなことはいかがか。道路の本質からいいまして、もはや自動車も入れないような道路道路にならぬということにもなるわけでございますから、その辺は考えていかなければなりませんけれども、しかし御提案のように、とにかく交通禍から都民を守るという考え方の上に立って、交通取り締まり当局とも連絡をいたしまして、抜本的に考えなければならぬところにきておるのじゃないかという感じがいたします。
  104. 太田一夫

    太田分科員 大臣のおっしゃるように、確かにひとつ考えなくちゃならぬところにきておる。しかもこのごろどこにいきましても、追突防止の立て看板というものがたくさんありまして、ドライバーは全部の方々がほとんど安全まくらをやっておられる。これがいいか悪いかわからないけれども、しかし安全まくらなんていうものはお守りと同じなんで、気は心という程度で、追突したらしまいですわ。ですから追突するというのはいいか悪いかということは、お互い走っておれば追突をするのだ、確かに自動車が走っておるという証拠でございます。とまっておるわけでもないのだから、これは別にとやかく言うわけではない。しかし何ですね、昨年からことしにかけて、とにかく日本の自動車の四分の一というのは、東京都並びにその周辺三県くらいの間に集まっておるのでありますから、東京都の交通が麻痺しておるというのはあたりまえの話でありまして、いまは自動車というものに対する時間的な信頼感はゼロになってしまった。急がば地下鉄、国電ということに相なってきた。だから地下鉄と国電が認識されたということは、私は悪いことではないと思うし、けっこうなことだ。自然に人間は、住民は、自分の知恵によって交通秩序、体系を編み出していっておるわけです。しかしそんなことにまかせておるというのでは能のない話だから、セーフティーゾーンということばを使うか、交通安全都市ということばを使うか知りませんが、とにかくその中では大衆的な交通機関というものには優先通行を確保していくということが一番大事な問題であろうと思うのです。そのために道路をどうする、そのために鉄道をどうするということです。ただ自然に、オリンピックで道をつくってみたら、初めのうちは通らなかったが、最近はよけい利用するのだからだいぶ調子がいいなんということじゃない。何か大衆交通機関の優先通行というものに対する確保の方策というものが建設省にないと、道路はこれだけだけれどもあとのことはそちらでやってくれでは、鈴木さん、交通局長いらっしゃるけれども、手が出ないだろうと私は思う。現状以上にあまり大きく道路が変革できない、改良できないということであるならば、何とかひとつ、この際ことしあたりから交通の規制を始めて一これは前向きの規制ですね。後向きではない、前向きの規制を始めて、大衆交通機関の優先通行を確保していく、こういうことにならなければいけないと思うのですね。そこまで徹底すれば、交通というものは安全になっていく。ネコもしゃくしもといってはおかしいが、あらゆる車がうようよしておる中で、東京都というものは埋没してしまって、自動車が通れないから、この間、車で三キロ通過するのに一時間かかったということを訴えておりましたタクシーの運転手がありましたが、まさに車の洪水ですね。ですから、十五キロ以下のスピードなんというのはスピードじゃない。そうでしょう。いま都電はかなり優先通過になっておるようなものだが、あれは大体十二キロでございまして、十二キロの平均スピードなんというのはやはりのろのろ運転というものでありまして、これはスピードじゃない。マラソンのアベベだって三十六キロも走っているのだから、電車の十二キロはその三分の一。そんなことで東京都の市民生活とかあるいは経済、文化的な社会活動というものが全うされる道理はない。だから、大衆交通機関の優先確保ということはどうですかね、建設大臣道路を多く提供することによってそれをやるのか、あまり多く道路提供はできないから、現状において最大限度のそのことの可能性を考える、方策を編み出すべきであるのか、御見解はどんなものでございますか。
  105. 保利茂

    保利国務大臣 お話のように、建設省としましては、とにかく、よしカメの足であろうとも、全力をあげて道路の提供をする、そして改善をはかっていくということ。これはしかし、東京に例をとってみますというと、たいへんな資金を要することでございますし、その資金は結局は国民の負担、国民の蓄積を利用する以外にないわけでございますから、おのずから限りがある。したがってどのように努力をいたしましても、その面からすれば限りがあるわけでございます。限りない交通需要に対してどう調整、安全をはかっていくか。これは今日におきましては、やはり交通の安全を確保するということが第一でございますから、これはひとつ警察庁でも非常に苦労をされ——ロンドンでもパリでもローマでも、御案内のようにどこの国でもたいへんな苦労をしておる。ひとり東京だけでございませんで、それらの国々のやり方等も勉強されて苦労されておるわけでございますから、御提案のような趣意ではもちろん検討されていると思いますけれども、何らか処置を講じていただくことについては、私どもも少しも異論を差しはさむものではございません。ただ、私どもとしましては、とにかくできる限り、この苦しい条件の中ではありますけれども幾らかでも道路条件を改善してまいるというところにひたむきにまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  106. 太田一夫

    太田分科員 大臣のおっしゃるように、ひたむきにそういう情熱を注入されるということは非常にいいことでありまして、そういうことを具体的な施策の中に織り込まれて実現することを望みたい。東京都が現在貨物車並びに乗用車、バス等を登録して持っておりますのが、最近の統計によりますと百四十一万六千台、神奈川県が四十七万二千台、埼玉が三十万一千台、千葉県が二十五万八千台、合わせて二百四十五万台ということになっておるのですが、とにかくそれ以外に各県の車が流入しておるのですから、東京都の中で自動車が思うように動けないというのは、しごくあたりまえの話です。道路をそれによってしかるべく比率を設定して、その道路開発しようとしても、これはいまおっしゃったとおりに無限になってしまう、際限がありません。したがって、道路は一ぱいできたけれども、家もなければなんにもない、会社もないということになってくる。それは、アメリカのネバダなんかに道をつくってみれば開発になるでしょうが、ちょっと東京ではあまりにも問題にならぬ話であります。したがって、何とか都市の機能をさらに旺盛にさせることのできる自動車交通ということを考えていただく。そのための用具としての道路行政というものを考えていただきたい。これがほんとうだと思うのですね。  そこで、非常に大事な片棒をかついでいらっしゃる警察庁の局長さんにお尋ねしたいのでありまするが、いま私が申しましたような考え方で、現在の道交法を用いて東京都の中に不要な車がうろうろしないようにするということができますか。
  107. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 お尋ねの件につきまして、道路交通法の立場から不要な車をうろうろさせないということにつきましては、なかなかむずかしい問題でございまして、いま不要な車とは一体何だ、かりにできるということを前提にいたしましても何だということになりますと、いろいろ意見がございますけれども、たとえば五トン以上のトラックはどうか、これは何とかできないか、それから自家用車は都心に乗り入れの規制はできないかというような意見がございます。しかし、これはいずれも道交法の立場ではこれを規制するということは困難でございまして、結局車を間引きするわけでございまして、いかなる車種を間引きするかということになりますと、道交法の立場では至難であるということを申し上げたいと思います。
  108. 太田一夫

    太田分科員 それは現行道交法では至難であるかもしれませんが、やる気があればできるじゃありませんか。そこは建設省相談だと思う。建設省はいまの道路の上に二階建て、三階建ての道路をすぐつくる、六兆六千億全部で東京の空に道路をつくるとおっしゃるなら、いまの道交法を守って、左折違反だ、右折違反だといっておればそれでいいと思うのです。ところが、いま無限だとおっしゃいましたように、そういうわけにはいかぬ。今度、安全対策予算が発表されておりますけれども、それはまさに焼け石に水の対策じゃないかと見ておる。そこで都民はあきらめて、いま自衛しておるだけでありますが、それじゃ困るので、うろうろということばはいささか問題があるし、不要な車ということも、用もないのに走っておるということはないでしょう。本人に言わせれば、ぼくは遊びに行くのが用事だ、車が好きだから運転する、飛ばすのが好きなんだ、レクリエーションでやつておるんだ、いろいろあるでしょう。ですから不要な車ということは問題でありますが、大衆交通機関の優先通行に重点を置いておやりになればいいのじゃないか。これをやれないということはどういうことだろうか。やれないということは、何かそれをやることはいまの憲法何条かに違反するのですか。何か根拠があるのでしょう。そこはどうですか。
  109. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 いまの道路交通法のたてまえで申し上げますと、道路の具体的な危険性がこの車種につきましてはあるということでありませんと、規制の発動ということもできにくいわけでございます。先生のおっしゃられるように、かりに間引きをする、特定の車種について都心に入れない、あるいは通過交通に対して都心を通過させないようにするといったようなことが考えられております。このような規制につきましては、現在の道交法の規制とは別の立場で行なう規制を考えなければいかぬと思います。なお、その場合にも、おっしゃられますように、地下鉄等の大量輸送機関の整備、それから都市の周辺部におきますところの駐車場の整備等の施策を含みますところの、大都市交通政策といいますか、そういうものの一環として考慮されなければならないというふうに考えられるわけでございます。
  110. 太田一夫

    太田分科員 建設大臣、いかがですか、いまの警察庁のお話では、そのようなことで、現在の道交法を使っては、いわば間引き統制であるとか、あるいは用途別の規制というものはなかなかできにくいんだ、新たな立法を必要とするという御回答と承りましたが、しかし、そうなりますと、いまの東京都の道路交通というものはいまの道のままでは何ともならないし、増勢に対処するだけのあなたのほうに建設の御用意もないということになれば、しばらくの間お手あげ状態が続くと見ざるを得ませんが、そのお手あげ状態を何年続かせる御予定でございますか、プログラムをちょっとお聞かせをいただきたい。
  111. 保利茂

    保利国務大臣 太田さんから御提案になっておりますセーフティゾーンでございますか、そういうことは積極的に考えていただかなければいかぬじゃないか。交通局でも非常に苦慮されておられるわけでございますが、それが現行法制上困難であれば、国会の御理解をいただいて、そういう立法措置を講じなければならぬ。いずれにしましてもこのままだらだらと放置すれば、現状はまだあるいはいいかもしれませんけれども、やがてそういうふうになるのじゃないか。それに備えての用意はしなければならぬのじゃないかと考えております。
  112. 太田一夫

    太田分科員 建設大臣は新しい法律をつくってでも交通の秩序と安全とを確保すべきだということをおっしゃたので、私はそれでいいと思うのです。鈴木さん、警察庁のほうは道交法でやらなかったら、ほかの法律をおつくりなさいよ。今度の国会にあなたのほうは何にも法律を出さないで、それから交通安全施設も何も建設省、大蔵省が——大蔵省はきょういらっしゃらないかもしらんが、お出しになっただけの予算で、これで何とかなるだろうというような話ではあまりにも消極的だから、鈴木時代にはこういうものをつくったのだという、あなた、一時代をつくりなさいよ。私はそれが必要だと思うのです。道交法の第一条には、道交法の目的があるでしょう。これは道路交通の円滑をはかることを目的とする。円滑とは何だといえば、混雑や混乱がなく、スムーズに行なわれるように秩序づけることだ。その大事なことはやめてしまって、あとのスピード違反だとか駐車違反だとか枝葉末節に力を入れて、反則金だなんということ——これは悪いことじゃありませんけれども、指導性がないと思いますね。第一条の目的を実現できるように、新法をつくってでも交通の安全と秩序の確立をはかる、円滑なる輸送が行なわれるように、これは抜本的な何か体系をつくる、こういうようなことにひとつ努力してもらいたいと思うのです。  そこで最初鈴木局長は、五トン以上のトラックを制限したらどうかというような意見が出ておるということと、自家用車をあまり犠牲にさせてはいかぬという——意見があるとおっしゃったか、トラックというのは現在、四十一年度の統計を見ても鉄道の十倍くらい輸送しているのですね。四十一年のトラックによる物資輸送が二十六億五千万トン、鉄道は二億五千万トン、船が一億八千万トン、こういうことになっている。それから人間のほうは鉄道が百六十億人、バスのほうが百億人として、これは鉄道のほうがはるかに優位でありますが、トラック輸送というのは物資の輸送では鉄道の十倍もあることを考えると、五トン以上の車を制限してしまうということはたいへんなことなんですね。ですから、そういう市民生活、経済活動とかそういう近代都市生活、都市の使命ということも考えて、そんなことを制限することじゃない、もっと大事な点はスムーズに運送ができるように、交通ができるように、道路の現状とあなたのほうの規制のやり方とが適当にもっと密接にマッチすることが必要だと思います。そういうことには異存はないですか、そういう方向には何か御意見ございますか。
  113. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 おっしゃられるとおりでございまして、私は一例としてトラックの規制の問題があるということを申し上げたわけでございます。おっしゃられるとおり、トラックを規制するということになりますと、非常に経済上の問題、産業経済等の関係も出てまいりますし、また流通機構との関連も出てまいりますので、警察的な規制というのであったら非常にむずかしいということになると思います。したがってそういう考え方の規制というものは、将来考えなくちゃいかぬというふうに私ども考えております。しかもその規制は、私どものほうでまだ十分検討しておりませんけれども、公安委員会の規制ということではなくて、たとえば東京都のような場合には東京都の知事が、いろいろな背後の流通機構とか産業経済の問題も考えた規制——その規制をやる場合には、おそらくいろいろな審議会等も設けたものでやるということになろうかと思いますが、道交法とは違った規制というようなことを実はばく然と考えておるわけでございまして、そういう意味で、道交法で言う規制とは違うのではなかろうかという気がいたすわけでございます。
  114. 太田一夫

    太田分科員 道交法でないほかの方法でもけっこうですから、交通の安全と円滑化をはかるという使命を警察庁として持っているわけですから、それは十分他の方面と連絡の上、この精神の顕現をはかっていただきたいと思います。  それから保利建設大臣に重ねてこのことに関連してお尋ねします。  先ほどだれかへの回答にありましたが、都心に乗り入れてくる自家用車というのが目について、皆さんからとやかく言われておるわけです。あの自家用車を規制したらよかろうということがすぐ言われるのですけれども、自家用車もせっかく買った車ですよ。これを使うなというのは残酷な話でありますし、自動車そのものが人間社会に与えた福祉というものに対してわれわれは過小に評価してはいけない。将来ともわれわれの進歩に役立つものですから、これを押えるという政策は誤りだと思うのです。  そこでパーク・アンド・ライド方式とか申しまして、地方の適当なターミナルの駅なら駅に大きな公共の駐車場をつくって、近くの住宅からそこまでは自分の車に乗ってくる、そこからこちらは鉄道に乗ってくる、あるいは、バス、地下鉄等を利用するというようなことについてはいかがでございますか。
  115. 保利茂

    保利国務大臣 好む好まざるにかかわらず、だんだん遠距離通勤が増大しておるいまの状態からいたしまして、いま御提案のことは緊急に施策していかなければならぬことじゃないかと、私は同様に考えております。
  116. 太田一夫

    太田分科員 その問題については以上で打ち切りまして、あと一つ道路局長さんにお尋ねをいたします。  国道一号線その他主要道路に対するバイパス計画の進捗度の問題でございますが、国道一号線も十年先にならなければバイパスは完成しない。第二東海道は完成しないという話ですし、どうも主要バイパスはほとんど五十五年度完成といわれておるそうですか、どんな計画でございますか。
  117. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 国道バイパスのうち特に一号線に例をとってみますと、一号線の現在行なっておりますバイパスといたしましては、神奈川県の大磯から小田原までのいわゆる西湘バイパスと呼んでおるものがございます。これにつきましては延長二十二キロのうち、いま六キロメートルを供用開始をしておりますが、四十三年にさらに六キロ、四十六年には全区間を完成する予定でございます。  次に、静岡県の沼津のバイパスでございますが、これは用地の問題でなかなか工事が進まないのでありまして、四十三年度、東名高速道路の沼津インター関連工事は完成いたし、引き続きその前後の高架構造に着手する予定でございます。  一番問題になっております。静岡県の富士から清水の興津まででございますが、これは昨年も波浪で災害を受けました薩た地区の拡幅をして、これは四十三年には主要な部分はほぼ完成できると思います。さらに、蒲原地区の高架及び新富士川橋に四十三年から着工したい。全線につきましては、四十六年に少なくとも二車線の供用開始はしたいと思っております。  次に、島田−金谷間のバイパスでございます。これは例の大井川をはさんでおりますが、これも四十二年からトンネル工事に着工いたしまして四十六年には大井川の橋を含めまして西側の部分は供用を開始する予定でございます。  浜松のバイパスについては、これは大体四十五年までに全線を開通したいと思います。  次に愛知県の名四国道、これは豊明町から四日市の追分までであります。延長五十キロのうち、約三十五キロはすでに供用開始しておりますが、四十三年度で大体市内の竜宮町の一部を除きましては改良が完成し、四十四年には舗装を全部完成させたいというふうに考えております。さらに大阪の寝屋川のバイパス、これは枚方から守口に至るバイパスでございます。これは万博の関連事業といたしまして、四十五年までに完成したいというふうに考えております。そのほかにまだいろいろ東海道の各地のバイパスを計画しておりますが、これについてはまだはっきり着工年度を言えるような段階になっておりません。
  118. 太田一夫

    太田分科員 蓑輪さん、この前交通安全対策特別委員会でも富士等を見まして、たいへんなことだということになった。五回、六回、七回、八回くらい自動車に突っ込まれた民家というものは被害軽微なほうでありまして、十何回、二けたにならなければ一人前でないといわれておる。そんなように非常な交通ラッシュが一号線各地に出ておるわけでございますから、この予算を押えられて困難なときかと思いますけれども、できるだけ早くこの供用開始ができますように、バイパスを図上計画でなしにやってほしいと思います。名四国道は豊明までは行きますが、豊明から豊橋、浜松というのはどうなっちゃいますか、やめちゃうのですか。いつごろの見通しですか。五十五年ですか。
  119. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 豊明町から東のほうについては、名古屋から豊橋に至る大規模なバイパスの計画を調査しております。これもまだ毎年毎年の予算の問題もございまして、いつ着工していつ完成するかなかなか言えないのでございますが、五十五年ということにはならない、もっと早い時期にできると思います。
  120. 松浦周太郎

    松浦主査 太田君に申し上げます。時間がきておりますから、結論を急いでください。
  121. 太田一夫

    太田分科員 それではこれでやめますが、最後に大臣の所信をひとつ伺いたいと思います。  一号線のバイパスがそのような規模で断続的にはある程度、四十三年、四十四年、四十五年、四十六年とありますが、全体としては十年近いものを考えざるを得ないような事態にある。その時分になったら、自動車はどれだけになっているか。何ともならない。しかたがないからお守りさんをふところに入れて自動車を運転しているとか、神頼みで、あなたまかせでドライバーは走らなければならぬというような情けない世の中になっております。そういうあやふやな方針でなくて、もっとここは何年、ここは何年と強力に計画をきめたら着工されて、供用開始ということになるように、主要な道路のバイパス計画等についてはもうちょっと力を入れていただきたい。高速道路もさることながら、これも非常に大事なことだと思いますが、いかがでございますか。
  122. 保利茂

    保利国務大臣 全くお説のとおりでございます。東海道線の現状も切実にそう感じます。これは関西と関東だけの間でございますれば、そこに全力投球ができるわけですからよろしゅうございますが、とにかくこの状態はいまや全国的な現象なものでございますから、かなりの財政の犠牲を払ってもらっておりますけれども、依然としてあなたの言われるような感じを抜けることができないことは、はなはだ遺憾に思っておるわけであります。しかし、さらに一そう努力いたしてまいりたいと思っております。
  123. 松浦周太郎

    松浦主査 午後一時五分より再開することといたし、暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————    午後一時七分開議
  124. 湊徹郎

    ○湊主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。渡辺芳男君。
  125. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 第二東海道バイパスの関係について、まずお伺いいたします。  沼津−清水間の国道一号線の交通渋滞が、前々から非常に目に余るものがあって、これはたいへんなことであるから、早くバイパスをつくってくれという要求がございました。大体現在でもそうですか、午前中とそれから午後五時前後、これはのろのろ運転という状況にあるわけです。だから交通事故が発生をしますと、たちまち交通障害になってストップをしてしまう。特に静岡県下の交通事故が非常に多いのですが、その中で国道一号線で発生する事故というものが非常に多いわけです。人身事故にしても、道路事情があまりよくないので、全国的にも五番目の事故が発生をしておる。あるいは物件の損害事故にしても、全国的に見て四番目である。死者に至っては実に多くて、第一位の東京都が七百九十四人で、四番目の静岡県が七百十六人という状況にあるのです。  このバイパスは、特に清水−富士間については、最近ようやく土地買収や物件の移転の交渉も成立したと聞いていますが、どうも一カ月間の交通渋滞といいますか、ストップといいますか、そういうのが最近でもそうですけれども、大体十日から十二、三日くらいかかっておるのですね。この点の早期完工を、何べんとなく沿線の自治体でも陳情があると思うのです。これはいつごろになりますか。  それから沼津の上椎路から清水町、三島バイパスまで、これも最近土地買収がようやく成立をしたようですね。このバイパス関係も、西の関係とそれから東の関係、この関係が、大体着工もずっとされておるのですから、同じようにできると思いますが、この予定はどんなものになっておるのでしょうか。この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  126. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 富士−由比のバイパス、これは、私たちは富士から清水市の興津までを考えておりますが、この中で、昨年も波浪のためにいろいろ交通どめになった区間が薩た地区にございます。これについては、昨年からさらに道路を四車線に広げることと消波堤をつくることを実施しております。今年度中には消波堤は全部完了するかと思います。できるだけ四十三年度中に四車線をやりたいと思っておりますが、一部多少残るようでございます。  それからさらに東に行きまして、蒲原につきましては、いま御指摘のように、昨年の十二月に用地の交渉が成立いたしまして、この辺は鋭意工事をしたいと思います。  さらに、その先の富士川に橋をかけて、富士のほうに渡るわけでございますが、これも、実は四十三年から着工したいというふうに考えております。全線少なくとも二車線で通すのは、この富士川の橋も考えますと、ちょっと四十六年くらいにはなるのじゃないかというふうに考えております。  次に、沼津のバイパスのほうでございますが、沼津のバイパスは、清水町から沼津の間でございます。その間について、特に東名高速道路の沼津インター関連といたしまして、沼津インターから出てきた道路を三島バイパスにつなげる東の半分を急いでやっていきたいというふうに考えております。これはまだ用地の問題がちょっと残っておりますので、いつできるかとなりますと、はっきりした日にちは申し上げられませんが、東名の関連工事でもございますし、できるだけこの二年くらいの間には仕上げていきたいというふうに考えております。
  127. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 そこで、富士市から沼津に至るバイパスの建設は、もう測量などをやっておりますが、あの間はまだ路線の決定も見ていないようですね。先ほどの路線から見れば、土地買収などについても、物件の移転などについても、そう困難な路線じゃないわけですね。国道一号線のすぐ北側を通るか、あるいは新幹線沿いに、浮島村の南側というか新幹線の南側を通るか、どちらかの路線なんですね。この点、路線が早くきまらないと、東名高速道路関係でインターチェンジもあって、将来この工事がおくれていきますと、富士市地域はきわめて混雑をするわけでして、当然わかっておると思うのです。そこで、できますれば、清水から沼津に至るいまの上椎路からの三島バイパスの関係もございますが、同じようなスピードで、この間のあいているところは私はそう困難なところじゃないと思いますからできると思うのですが、この点の計画と見通しはどうなんでしょうか。
  128. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 これは、沼津といまの富士の間でございます。いま先生のおっしゃいましたように、現在の一号線よりかなり山へ持っていくという案がございます。また、あすこの地域は非常に地質も悪いためにいま調査をしておるのでございますが、これは用地の買収ということになりますと、ほかの地区と違って、というのは、沼津とか蒲原地区と違いまして、かなり土地の余裕もございますし、そう困難をするところではないと考えておりますので、この辺はやはり沼津バイパスと富士−由比のバイパスとつなげるために、いまの国道の二車線ではとても間に合いませんので、この辺はなるべく早くルートをきめていきたいと思っております。道路投資のほうからいいますと、四十三年度の予算も非常に窮屈でございますが、幸い県のほうが公共用地の先行投資を非常に熱心に積極的にやってくれるようなこともございますので、ルートをきめましたら、そういうもので用地の買収をしていただいて、早く用地の確保にかかっていきたいと考えております。
  129. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 去年は十億、県でも先行投資を組んだわけでございますね。これがきまらないとなかなかうまくいかないので、ひとつことしは早急にきめていただいて取り組んでいただきたいと思うのです。  次に、東名高速道路部分開通が、この五月ですか、吉原−静岡間が開通しますね。それに関連してちょっとお尋ねしますが、この沿線の自治体が建設大臣にもあるいは道路公団にも陳情されておられると思いますが、国道一号線が非常に渋滞をしているために無料開放してもらいたいという要望書が出ておると思うのです。私、この点はどう考えておるか御回答願いたいと思いますが、一歩下がって、自然災害は、いまの薩た峠の国道一号線のあそこはいつも崩壊ですね。少し台風らしい波が来るともうだめだという状況ですね。実際は通れないですな。こわれなくても波で通れない。こういう時期になった場合、これは当然考えなければいけないのじゃないか。いまのバイパス関係を早急につくらなければいけない必要性がもう前前からいわれておることですが、それまでの間この東海道関係の交通の渋滞を救済するというか、この点の考え方はどんなものですか、ひとつお伺いをします。  それからついでですが、そこで来年の五月ですか、東名高速道路が全通をする。前々からいわれておると思いますが、中部建設局で昨年の十月十七日から十八日にわたって二十四時間、富士市で交通量調査を行なったのですが、上り下りほぼ同じような交通量で、合計すると二万八千四百台の自動車が通っておる。そのうち普通の貨物自動車、大型の貨物自動車を含めて、ちょうど半数の一万四千二百五十台ばかり通っておる、こういうことが統計にあらわれています。私は、国道一号線の渋滞は、簡単に言えば、これらが東名高速道路のほうに転化して走っていくということになれば非常に楽になるのです。しかし、これはなかなか路線トラックでも商売柄そうはいかないかもしれません。しかも、これは業界からも要望されておると思いますが、通行料金を全通に伴って、あるいは部分開通でもそうでありますが、検討されておると思うのですね。名神と同じようにするとかいううわさも聞いておりますが、この単価の引き下げはできないだろうか、あるいは、国鉄の運賃ではないけれども遠距離逓減制の採用という方法はないだろうか。あまり償却を急ぐような考えばかりが能じゃないと私は思うのです。この点をひとつ再検討を願えたらどうだろうか。まあ幾つかお尋ねいたしましたが、一つ一つのおもなことについては大臣のほうからお答えを願いたいと思います。
  130. 保利茂

    保利国務大臣 御指摘のように、東名道路は富士−静岡間がこの五月に一部開通、大体来年の五月に全線開通の予定にいたしております。そこでだんだん皆さんから御指摘の国道一号線、特に静岡県内における一号線の混雑ぶりというものはもう目に余る状態になってきておる。そこでバイパスの建設を当局としてもできるだけ力を入れて急ぐようにいたしておるが、間に合っていない。そこへ静岡−富士間の高速道路が一部開通になる。したがって、そのバイパスができ上がるまで特段の利用方法を講じなければいかぬじゃないかというお説につきましては、地元のほうからも強い陳情を受けておる。実情、まさにそのとおりだと思うわけです。渡辺さんよく御存じのように、有料道路は有料道路のたてまえがあるのでございますから、地元の強い要請であります無料開放ということは、なかなかこれは言うべくして行ないがたいところがあると思うわけであります。それにしましても、とにかく来年五月には全線開通になるわけですから、その料金の設定のしかたは、ただいま御指摘になりましたような、あるいは基本料金の立て方、あるいは遠距離逓減が考えられないかどうかというようなことを含めまして、来年の五月開通前までに適正な料金を算定いたすべく、いま道路審議会の料金部会で御審議をいただいておるわけでございます。そういう御意見のようなことは重々、審議の内容に大事に織り込まれて審議をされておるわけであります。ただ、一部開通の富士−静岡間につきましては何とか実情からくる地元の強い要請に対してもこたえなければならぬじゃないかということで検討いたしておりますけれども、たてまえをくずさず、どの程度に考慮できるかという結論にはまだ至っておりませんけれども、そういうことで検討をいたしておりますので、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
  131. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 この点についてはまだ申し上げたいことがありますが、どう考えてもいまの東名高速道の通行料金は、汽車の運賃などと比較してみて少し検討する必要があるんじゃないか。ちょっと高いということはもうよく世論的にも言われることです。再検討を願います。  時間の関係もございますから、次に富士山の大沢くずれの対策について伺います。建設省内に設けられた大沢くずれの対策懇談会ですかで話し合われた内容について、私も書面で伺っておりますが、昨年この関係の省庁の係官が現地調査をやっております。それに基づいていろいろな検討をやられたようでありますが、本年度の予算案を見ると、防災対策費を積極的に計上しておる、こういうふうなことが見られないわけです。これは建設省、農林省にも関係をすることですが、いままでの継続事業でやられている調査費を組もうじゃないか、こういうふうなことなんですが、この大沢くずれの関係は、明治百年というけれども、明治以来いろいろ現地ではいわれておったことなんですね。昭和の初めになってからこの三、四十年来急速に崩壊が激しくなってきた。これが取り上げられなかったというのは、これは残念なことですが、いずれにしても、おそまきながらこの対策をやらなければならぬ。ことしはどういうふうに考えられているか。また、この対策費は、懇談会などによりますと、当面概算五十三億ぐらい投じてやらなければ、抜本的とはいわぬけれども、とにかくいまのような状態ではだめなんだから、やろうというふうな方向にあるようですね。この点をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
  132. 坂野重信

    坂野政府委員 大沢くずれにつきましては、従来静岡県で補助砂防事業として砂防堰堤を一部やっておりますが、本格的には、なかなかその実態がつかみにくいということで、将来大沢くずれがどういうぐあいに移行していくか、その辺の見きわめがなかなかむずかしい問題がございまして、先ほど先生お話がございましたように、富士大沢崩対策懇談会というものが昨年の六月から十一月にかけて開催されまして、この対策について種々検討が進められたわけでございます。いろいろな考え方はございますけれども建設省の立場としては、できるだけ防災上の立場から砂防の基本的な将来計画を樹立する必要があるということで、四十三年度からはとりあえず実地の調査を進めるようにいたしたいということで、その調査の結果によりまして、またその調査の方向等につきましても、四十三年度の調査のいかんによって、今後どういう問題をまた調査すべきであるかというような問題も出てくるわけでございまして、対策をやるにいたしましても、なかなか相手が大きな問題でございますので、どういうような対策を実施すべきか、どの辺に重点を置いて、しぼってそういった砂防事業を行なうべきかというような基本的な問題がございますので、まずそういった基本的な問題について、できるだけひとつ詰めてまいりたい。その結果事業を実施するようになってまいりますと、県のほうではおそらく問題が大き過ぎますので、将来の構想といたしましては、直轄事業として事業を実施するというような考え方でおるわけでございます。
  133. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 専門家ですから、建設省のあなた方は事情は十分御存じだと思うのです。私自身はそういうことについてはしろうとですから、別にとやかく言う必要はないと思うのですが、現実に頂上、剣ケ峰からずっと下に至るまでこれはくずれておる。これを抜本的にやるといっても、それはたいへんなことは十分承知をしている。ただしかし、そのくずれておるものが長年ずっと山ろくのほうに押し流されてきている。現状は、御存じだと思うのですけれども、富士宮市の上井出部落まで土砂がずっと流れてきているのですね。推定によると、一年間十万立方メートルぐらいくずれてきているんだ、こういわれていますね。六トントラックにしても三千二、三百台分くらいあるでしょう。これは大量なものですね。しかも潤井川に暴風雨などによりますと流れ込むわけです。これが田子浦港あたりまで、下のほうへ港をつくりましたから土砂が流れ込んでいくということはつくってからずっとあるわけです。ですからいずれにしても放置はできませんね。そしてまた年間二、三千万円の金ではどうにもならぬことでしょう。だから専門的に検討してもらって早急に、やっておると思いますが、この問題は取り組んでもらいたいのです。去年も大臣、閣議か何かでこれも取り上げられたですね。新聞にも出ました。地方では簡単にいえば、静岡県、山梨県当局も非常に喜んで、国でも取り上げてくれたのか、こういうわけで当時何回となく陳情もしているし、懇談会にも両県の知事は出ておるわけですね。ですから、ひとつ大臣の手腕に期待をするけれども、この点は放置をしないように線香花火にならぬようにやってもらわないと、富士山のあの周辺はますます開発されていきますから、あれがガンになると思うのですね。ひとつお考えを伺いたいと思うのです。
  134. 保利茂

    保利国務大臣 ただいま局長からも申し上げておりますように、とにかく大事な資源、これは資源というより日本を象徴する大事なものでございますから、政府としても放置することはできないわけでございます。御意見のように最善を尽くしてまいるようにいたしたいと考えております。
  135. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 それから富士川の砂利採取が、最近少し出てまいりましたが、これは前々から数年来問題になっておるわけですね。一昨年の九月二十五日ですか、台風二十六号が駿河湾に上陸をしたあとで、私どもしろうとでもわかるのですが、富士川の左岸、要するに東京寄りの三四軒屋部落の海岸は、あのたいへんな災害があって防潮堤なども全然だめになりました。防風林といいますか松林などもまばらだった点もありますが、海岸が非常に侵食をされている、それが最大の原因でしょう。これは富士川の砂利などが海に流れ出ないようにということからではないかといわれておるわけですね。新幹線の橋脚も七メートル掘り下げられているので非常に危険だから、こんなことではたいへんなことになるので、砂利の採取をやめたらどうだということになって、建設省でこれは取り上げて禁止することになりました。これは上流のほうの関係もそうでありますが、私は富士川の砂利採取についてはある面では限度にきているのじゃないかと思うのですよ。この点は十分検討されていると思いますが、建設省の所管になったからいいようなものの、あれは厳重な管理をしてもらわぬと、どうしても将来とも工業地域になるところですから、海岸が幾ら防潮堤をずっと沼津までやり直しても、これはたいへんなことになると思うのですよ。この点はひとつ要望しておきますけれども、十分管理を徹底してもらいたいと思うのです。  終わります。
  136. 湊徹郎

    ○湊主査代理 後藤俊男君。
  137. 後藤俊男

    後藤分科員 昨年の十月十一日でございますか、運輸委員会において名神高速道路の料金の問題を強く要望しておいたわけですが、御承知のように去年の秋ですか、交通事故防止の月間が行なわれました。特に国道八号線につきましては事故が多い。昭和四十一年度の統計を見ましても、死傷事故につきましては全国最高であるといわれるほど国道八号線の事故は多い。この事故を防止するために名神高速道路を一般にもっと利用する方向に国として指導したらどうだろうか。その場合第一番に考えられますのは通行料金です。通行料金をせめて半額くらいにダウンしてはどうかという問題に対しまして、建設省道路局次長は、ことしの夏までに検討してみる、料金部会で真剣に考えてみようという回答をしております。  さらにことしの一月の収入等を調べてみますと、約七億四千万円あるということになりますから、年間大体八十億から九十億くらいの収入があるのではないか。しかもこれは二十五カ年償還となっておるだろうと思う次第でありますが、当初の予定よりかは一割ないし二割くらい利用率も多いというような関係もある。さらに通行料金をダウンいたしましても、使用料収入については、道路の利用がふえますので現行以上にふえるのではないか。こういうふうな見通しもございますので、地元なりその他業者関係からも、名神高速道路の通行料金については再検討していただく時期にきておるのではないかという強い要望もありまして、昨年の十月十一日に強く私は要望をしておいたわけでございます。今日、この問題はどうなっておるかを簡潔にお答え願いたいと思います。
  138. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 名神の料金につきましては、これは今後できます幹線自動車道、特に四十四年、来年名神に次いで東名高速道路ができますと、東京から大阪まで五百三十キロぐらいの高速道路ができるわけでございます。こうなりますと、いまの料金ではたしていいかどうか。先ほど御質問に出ました遠距離逓減がいいかどうか、こういういろいろな問題が出てくると思います。そのために東名ができます前に、この秋くらいまでに現在道路審議会の料金部会で料金についてのいろいろの問題点を出しまして、高速道路の料金がどうあるべきかを結論をつけてもらうように御審議を願っている次第でございまして、まだ結論が出ておりません。  次に、非常に名神高速道路の交通量も伸びておりまして、四十二年で言いますと、一年を平均した一日の数字が、乗用車が約五千八百台、貨物が約五千九百台、バスが五百台というような数字になっております。料金の収入もそれによって非常にふえてまいっておりますし、いま言いましたように料金をこの際安くするかというような問題につきましては、今後料金部会の結論を待ちまして検討していきたいというふうに考えております。
  139. 後藤俊男

    後藤分科員 いま言われましたこともわかるのですが、特に国道八号線の交通事故を防止するという面から考えてみましても、名神高速道路の利用率を高める、こういう点から考えると、やはり第一番に問題になりますのは料金の問題でございますので、去年もその点で強く運輸委員会で要望したようなわけでございます。ぜひひとつこの問題につきましては、秋までと言わずに、去年も約束されましたように、できるだけ早く交通事故を防止するというたてまえに立っても、この名神高速道路の料金について検討されるようにお願いをいたしたいと思います。最後の一言お答え願いたいと思います。
  140. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 できるだけ早くそういうものをつくりたいと思います。いま言いましたように、道路審議会にかけております問題には、高速道路の料金のあり方とか、遠距離逓減とか、今度は、青森、鹿児島、そういうものの、高速道路開発的要素が非常に強いところの高速道路の料金をどうするか、いろいろ問題が山積しておりまして、またこういうものが全部一つの有料道路としての料金の体系の問題になってまいりますので、できるだけ早く結論を出していただくようにいたしたいと思います。
  141. 後藤俊男

    後藤分科員 それじゃいまの問題、お願いします。  次には、琵琶湖の総合開発の問題でございますが、これは特に地元の滋賀県だけの問題ではなしに、近畿地方でも非常に関心の深い問題でございます。いままで建設省といたしましても、締め切り案であるとかいろいろな案が出されましていろいろと検討をされておる、この点につきましては承知をいたしておるような次第でございますが、三十六年以来かなり琵琶湖総合開発の問題については地元なり近畿地方で問題になっておるということですが、特にこの琵琶湖の総合開発につきましては、琵琶湖周辺の治水対策、さらには県内の利水対策あるいは阪神方面における水の利用の対策、これらを大体三本の柱として考えていかなければいけないし、特に滋賀県内におきましては、御承知のように昭和四十年の台風でございますか、約三千町歩からのたんぼが浸水しておるというようないろいろな問題もございますので、できるだけ早くこの琵琶湖の総合開発の問題につきましても、国が中心になってやらなければいけないと考えておるような次第でございます。そこで昭和四十三年度の予算を見ますと、一億三千万円でございますか、大体これだけ見てあると思います。この予算については一体どういうふうに使われようとするところの予算であるか。さらにもう一つの問題といたしましては、いま申し上げました琵琶湖の総合開発に対しまして、現在あるところの水資源開発関係法では不十分であるので、地元の意見を十分尊重をして特別立法しようというような考え方があるかないか、この二点についてお答えを願いたいと思います。
  142. 保利茂

    保利国務大臣 いずれ河川局長からもお答えいたしますけれども、御指摘のように、琵琶湖の水資源というもの、また琵琶湖周辺の治水というもの、両面から琵琶湖の開発を今後どうはかってまいるかということは、もうだいぶ長い間建設省でも調査を進めてまいっておりまして、実施調査の段階に入ってきておるようでございます。いろいろ意見があるようでございます。これはまた地元滋賀県としても非常に重大な問題でございますから、建設省のほうでこうだと思いましても、それが地元の方々の御理解をいただかなければできないことでございますし、どっちにしても、建設省としましても、滋賀県並びに琵琶湖周辺の方々の立場になってこれを開発していくとすればどうしたらいいかというような見地から検討をいたしておるわけであります。いずれできるだけ早い機会に、あらかたの案がととのいましたならば、一ぺん私自身も地元へ出かけてよく御懇談申し上げ、お話も伺いたい、こういうことでひとつ円滑に開発を進めてまいらなければなるまい、こういうふうに考えております。
  143. 坂野重信

    坂野政府委員 四十三年度の調査の内容でございますが、これは四十二年度に引き続きましてまだいろいろな調査が残っておりまして、たとえば湖面を変動した場合に地下水がどういうぐあいに変動するであろうかとか、あるいは利水上のいろいろな計算もまだずいぶんいろいろ残っておりますし、湖岸堤をつくるような場合にどういう構造にしたらいいのだろうかというような具体的な問題、特にこの琵琶湖を中心とする地域開発的な計画の内容はいかにあるべきか、こういう問題に重点をしぼりまして今後調査を進めていきたいと考える次第でございます。
  144. 後藤俊男

    後藤分科員 この一億三千万の予算、これはいわゆる周辺で低いところの防波堤の建設というようなことも考えられた予算であるというふうに仄聞しておるのですが、その点、簡単でけっこうですからちょっと……。
  145. 坂野重信

    坂野政府委員 もちろん琵琶湖の開発は、これは水資源の開発だけではなくて、重要な問題は治水の問題でございますので、そういった周辺の低地域治水はどうあるべきか、そういった低地域の排水問題等もあわせて検討するようにいたしたいと思います。
  146. 後藤俊男

    後藤分科員 それでは、大臣も言われましたように、特に地元といたしましてもたいへんな問題でございますし、重大な関心事でございますし、さらに近畿方面といたしましても大切な水の問題でございますから大事な問題でございます。建設省といたしましてもできるだけ早く案をつくって、地元の人と十分話をして、それからこれらの問題について手をつけていく方向へできるだけ早くやっていこう、こういう回答であったと思いますので、その方向で強くお願いをいたしたいと思う次第でございます。  それから、その次は北陸縦貫自動車道の問題でございます。これは滋賀県とかあるいは福井県だけの問題ではなしに、かなり広範囲にわたっておる問題でございますが、現在のところ、昨年のいつでしたか、名神高速道路につなぐ米原までの線は許可になっておるわけですけれども、現在一体この北陸縦貫自動車道の問題についてどういうふうになっておるのか。さらに来年度については一体どれくらいの予算が組まれておるのか。御承知のように、昭和四十五年には万国博覧会があるというような関係もありまして、できるだけ北陸縦貫自動車道の促進については進めてもらいたい、こういう強い要望も重なっておりますので、いま申し上げましたところの見通しなり来年度の予算なり、その辺のところをひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。
  147. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 北陸縦貫自動車道につきましては、御承知のように四十一年七月に富山−武生間の整備計画立てられて、昨年の十一月に武生−米原間八十三キロの整備計画を決定したわけでございます。これにつきましては四十三年の七月からいよいよ公団で実施の調査に入るわけでございます。調査といたしましては、やはり路線の発表、それから中心ぐいを打ちまして、御協力を得られれば、それから幅ぐいを打って用地の買収ということになろうかと思います。現在のところ、この武生−米原間についてはこの四月からこの公団が本格的な調査を始めるようなことになりますので、われわれの推測では武生−米原間については、まず一年は路線についていろいろ地元の意見も聞き、こちらの話もして納得してもらう期間ではないかと考えておりますし、そういうことでございますので、四十三年にはまだちょっと用地の買収はむずかしいのではないかというような観測でございます。  高速道路の四十三年度の予算につきましては東北、北陸、中央、中国、九州のいわゆる五道、そのほかの緊急を要する万国博関連その他のものを入れまして、百七十億を予定しております。そのほかに債務負担行為として二百億及び四十二年度の繰り延べの分が約九十億ございます。
  148. 後藤俊男

    後藤分科員 そうすると、大体武生−米原間につきましては施行命令は建設省としていつ出されるのでしょうか。
  149. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 四十三年の四月には出したいと思います。
  150. 後藤俊男

    後藤分科員 この北陸自動車道の問題につきましても、特に地元のほうにおきましてはいろいろな意見があろうと思いますけれども、やはり開発という面から考えて、促進という声が非常に大きゅうございますので、四月になりましたら早々施行命令が出る、それから土地の買収にかかる、こういう順序になっていこうと思うのです。地元の要望等も十分間き入れていただいて、早く、先ほど言われました武生−米原間の着工等についても進めていただくように、ぜひお願いいたしたいと考えております。  それからその次は、日本の中部運河の問題でございますけれども、これも長い間建設省といたしましても調査をされてきた問題であろうと思います。さらに考え方につきましても、一つなり二つなりいろいろな考え方があろうと思う次第でございますが、ことしの予算を見ましても大体調査費として一千万円ぐらい組まれておる、こう見ておるわけでございます。昨年も調査費、ことしも調査というようなかっこうになっております。しかしながら聞くところによりますと、これらの調査につきましても、運輸省関係なり建設省関係としては大体調査も終了した、いまいわば総合的に調査の結果を集約しておられるように聞いておるわけです。さらに中部圏といたしましても、物資の流動なり経済効果等の問題につきましても調査が終わりまして、一応集約の段階、こういうふうなことを聞いておるわけでございますけれども昭和四十三年度、これからにつきましては横断運河の問題についてどういう方向で話が進められていくのか、この点を簡潔にお答え願いたいと思います。   〔湊主査代理退席、主査着席〕
  151. 国宗正義

    国宗政府委員 日本横断運河の基本的な調査につきましては、昭和三十八年度から四十年度まで、さらに来年度と計上いたしております予算約一千万円を加えましておおむね一億円の基礎調査を行なったところでございまして、昭和四十一年までは建設省及び運輸省におきましてそれぞれの基本調査を行なったところでございます。昭和四十三年につきましては南北、すなわち太平洋岸と日本海側の経済、物資等の交流を中心といたします経済調査をまず第一といたしまして六百万円強でございます。なおそれにつけ加えまして、物資流動調査、沿岸地域開発計画調査等、それぞれ四百万及び二百万を予定いたすところでございます。したがいまして、具体の運河そのものの施設の建設に関する調査と申しますよりも、それに達しますところの基本調査でございまして、南北の物資流動及び経済、文化の交流等の根幹としての運河構想をはじめといたします南北交通関係の調査でございまして、将来もまだ引き続き実施する必要があると考える次第でございます。
  152. 後藤俊男

    後藤分科員 いまの説明は、一応いま集約はいたしておるけれども昭和四十三年にどうこうということにはならない、さらに引き続いて調査をしなければ最終的には批判をしていただくような材料が整備しない、そういうふうに解釈していいのですか。
  153. 国宗正義

    国宗政府委員 最終的な結論を得ますにはまだ基本的な調査を必要とする、こういうことでございまして、いままで行ないました基礎調査の集約につきましては、それぞれの関係省と相談しつつまとめておりますが、物資流動、南北問題は中部圏におきます基本的な問題でございます関係上、引き続き調査を続行いたしましてその成果を得たいと考える次第でございます。
  154. 後藤俊男

    後藤分科員 その問題はそれだけにしておきます。  最後に国道百六十一号線関係の問題でございますが、実は御承知のように琵琶湖の西のほうを走っております湖西線、これが国鉄に買収される。現在は江若ということで動いておりますが、これが買収されまして、おそくとも四十四年の初めには着工しなければ予定のとおり進んでいくまい、こういうような情勢でございます。ところが、それに沿って国道百六十一号線があるわけです。こまかいことは申し上げませんが、御承知のように琵琶湖の西側の観光地帯でありまして、夏等になりますと、近畿方面の観光客がたいへんなことだ。道路の利用率等を見ましても、三倍から四倍、五倍というかっこうになっておりますのが、今日の百六十一号線の状態でございます。そこで、前に申しました江若鉄道の国鉄買収によってこれの工事が始まったとなったら、通勤バスを四十台、五十台、大津方面へ動かすのだという予定は聞いておりますけれども、何を申しましても現在のところ国道百六十一号線はいま言ったような情勢でございまして、現在でももう何ともいたし方がない。こういう情勢のところへ工事のトラックがどんどん動き出すというようなことになりますと、これはたいへんな問題であります。特にこの百六十一号線については地元の県会においても一番大きな県の課題であるということで、いま問題になっておるわけでございます。これらの情勢建設省で十分把握しておられると思いますけれども、一体、これから向こう、湖西線着工にあたりましてどのような方向でこの道路問題を解決していこうと考えられておるのか、お答え願いたいと思います。
  155. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 百六十一号線については、御承知のように昭和三十九年に全線の舗装は完了しております。しかしいま先生のおっしゃいますように、夏の観光の車が非常に多い。かつ、百六十一号は一応改良舗装を終わったのでございますが、鉄道との平面交差が非常に多い。また五メートルくらいしかないところもございます。そういうことで、この再改築をいま計画しております。  まずその初めといたしまして、京都から来て百六十一号に入りますときに、大津の市内を通ります。これを市内を通らないような西大津バイパスというのを四十二年から着工しております。四十二年は実施調査の段階でございます。これを早急にやりたいということと、さらにその先の湖西の道路をどうするかという点について、四十三年も道路の調査をつけまして、現在の国鉄の湖西線との調整をはかって、将来の百六十一号の計画をきめていきたいと思います。またいまの御質問の湖西線の始まったときの工事費の問題ということになりますと、やはりその中で、これも道路全線をやるにはなかなか時間も、また金もかかりますので、とりあえずどこから始めていくか、どこが一番ネックになるか、そういうものを鉄道とよく打ち合わせいたしまして、そのネックのところからまず解消をはかっていきたいというふうに考えております。
  156. 後藤俊男

    後藤分科員 いま申されましたのは、結局、私はいろいろ考えてみますると、建設公団があれを買収するんだ、そうして建設公団で工事をして、でき上がったものを国鉄で買収する。その工事をするためには、いま申しましたところの国道百六十一号線の改修整備というのは、これはたいへんなことでございますけれども、それらの工事のためにこういうことをしなければいけないという道路関係の経費については、一体どのくらいどこが、分担というとおかしいのですが、どこが負担すべきであろうか。もし建設省が負担する、こういうことになりますならば、少なくとも昭和四十三年度にこの問題を解決しなければ四十四年に着工できない、こういう順番になりますので、それじゃ昭和四十三年度にこの関係予算は、一体建設省としてどれくらい見ておるのか、この点も説明願いたいと思います。
  157. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの国鉄の湖西線を実施いたしますときのいろいろな工事用の道路、これについてどういうような負担をしていくのかという第一点でございます。これはいままでの慣例といたしましては、やはり工事用の仮の施設については、これは国鉄が負担すべきものだと思います。またそれに伴いまして道路を広げる必要があるというような計画がございました場合に、それが道路の本来の計画に合うようなものは、これは道路管理者のほうが持つべきものではないかというように考えております。また、四十三年に、ではそういうようなもの、湖西線を始めます際の工事もやっていかなければならないんじゃないかという御質問でございます。現在まだそこまで鉄道と——どこが一番ネックになるか、全線全部一度にやれといわれてもこれはなかなかたいへんでございますので、やはりネックになるところを早く協議いたしていきたいと思っております。四十三年にそれを予算化するというところまでにはまだ行ってないわけでございます。
  158. 後藤俊男

    後藤分科員 そうすると、いま説明されましたけれども、先ほど言いましたように、地元の県そのものは、この問題についてはもう頭を悩ましておるわけです。地元でたいして負担するわけにもいかない。一体どうするのだろうか。四十四年になるともう着工しなければいかぬ。四十三年度の予算では建設省に組まれておらぬ、そうなってまいりますと、だんだん向こうへ延ばされていってしまう。こういうふうな形になって、最後にはそのしわ寄せが地元のほうにくるんではないか、こういうふうな心配もあるわけでございますので、いまあなたが言われましたことは、それじゃ早急に、この国道百六十一号線の問題につきましては、交通がひんぱんであるという点と、もう一つは湖西線関係工事関係の点、この二つの点につきましては、国鉄なり建設公団なり、さらには地元の県と十分話し合いをして、少なくとも地元に住んでおる通勤者、通学者等には迷惑をかけない方向で早急に相談を始める、そういうふうに解釈していいかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
  159. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 湖西線の工事との関係は、早急に鉄建公団と話し合いを始めたいと思います。
  160. 後藤俊男

    後藤分科員 それじゃ百六十一号線の工事関係の分については、早急にやる。本来これは去年やおととしに始めた話ではなしに、滋賀県としましても、だいぶ前からこの百六十一号線の問題についてはひとつ何とかならぬかという声が非常に強いわけです。その点についてはどうなんですか。
  161. 松浦周太郎

    松浦主査 後藤君、時間がきておりますから、適当に結論を願います。
  162. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 百六十一号線を全面的に再改築してくれということは、前から聞いております。これは私たちもこういう再改築を始めたいのでございますが、全国的な予算の問題、全国的な再改築の問題がございまして、いままでまだ西大津バイパス以外は着工しない状態でございます。いまの湖西線の問題になりますと、やはり交通量だけではないという点もございますので、その辺は鉄建公団によく打ち合わせをして、できるだけの促進をはかっていきたいというふうに考えております。
  163. 後藤俊男

    後藤分科員 そうすると、いま申し上げましたこの二つの問題につきましては、早急に地元並びに関係官庁と打ち合わせをして、ひとつ話を早急に進める、こういうことでございますね。ありがとうございました。
  164. 松浦周太郎

  165. 神門至馬夫

    ○神門分科員 私は主として水利権の問題について建設省のほうにお尋ねしたいと思います。  特にこの川は、広島から島根県に流れております江川であります。せんだっての参議院の決算委員会において、浮戸問題が天災説あるいは人災説で非常に問題になりましたこの川であります。この川の浮戸問題をめぐりましたときにも、水利権の問題、その原因等の問題で、まだ結論を見ないまま、いまこの紛争が継続しております。その川にかかわる問題であり、また地域が、ちょうど浮戸事件によりまして被害を受けました地域と重なるわけであります。でありますから、具体的なこの例を一つ申し上げて、きっちりとした法律的な解釈、取り扱いというふうなものを示しておいていただきたい、こういうのが主たる趣旨であります。  まず第一に、時間がありませんから具体的な問題から入りますが、この江川の上流の広島県高田郡下土師に下土師ダムを建設するという計画がなされている、こういうふうに聞いておるが、その事実についてひとつお答え願いたい。
  166. 坂野重信

    坂野政府委員 事実でございます。
  167. 神門至馬夫

    ○神門分科員 その下土師ダムの目的について、これは長く話してもらうと時間がなくなるので、概要をかいつまんで御説明願いたい。
  168. 坂野重信

    坂野政府委員 洪水調節に合わせまして、農業の不特定のかんがい、それから広島方面に対する都市用水の供給、それから将来は発電も含めてやりたいということでございます。
  169. 神門至馬夫

    ○神門分科員 その場合に、この川は先ほど申し上げましたように、二百六キロという非常に長い川です。そして広島県と島根県を大体半々くらいの長さで流れている、こういう川であります。非常に多くの関係公共団体を通って日本海に注いでおります。こういうような条件にあることを考えて次に質問してみますが、河川法の第二十三条によって、河川の流水を占用しようとする者は、河川管理者の許可を受けなければならないという趣旨があります。この場合、この下土師ダムにかかわる流水占用者、いわゆる許可申請者はだれになるのか、またこの許可申請というのはいつの時点において行なわれるのか。予算決定がなされてから、あるいはなされる前の、基本計画の作成直後に行なわれるのか、その前に行なわれるのか、この二十三条の解釈についてお聞きしたい。  もう一つは、同法の十六条の四項ですが、「基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、河川審議会の意見をきかなければならない。」とあります。このあらかじめという時期はいつに相当するのか、説明してもらいたい。
  170. 坂野重信

    坂野政府委員 このダムは、いわゆる特定多目的ダム法に基づく直轄工事によるものでございまして、いずれ基本計画立てまして、それに基づきまして関係の府県と協議が行なわれるわけでございます。これは大臣の直轄工事でございますので、大臣から関係府県に協議いたしまして、その結果この基本計画というものを最終的にきめるわけでございます。できればひとつそういったものを本年中にきめていきたいということでございます。直接はこれは建設大臣みずからの事業でございますので、そういった協議が済んだ後に、二十三条のように手続を行なうわけでございます。現在のところまだはっきりした水の配分等につきましても、今後の問題でございますので、そういうものが確定いたしました段階において、いろいろな河川法上の手続を行なうわけでございます。
  171. 神門至馬夫

    ○神門分科員 そうしますと、いまの基本計画の作成を完了するのが、今年中に完了したい、こういうふうにいま局長のほうから答弁があったのですか、今年中に基本計画を終わる、こういうことですか。
  172. 坂野重信

    坂野政府委員 そういう方針で進めております。本年中にきめたい。
  173. 神門至馬夫

    ○神門分科員 今年度予算の中にこの下土師ダムに関係する建設予算として、総額幾ら予算が計上されておりますか。
  174. 坂野重信

    坂野政府委員 これはまだ最終的にはこの国会で承認をいただかなければ確定しないわけでございます。大体六億程度は見込んであります。
  175. 神門至馬夫

    ○神門分科員 基本計画をことしじゅうに終わって——ことしじゅうということになると十二月までということになるだろうと思う。年度内で六億の金を使うということは、どういうような工事計画、調査計画、こういう段階は日程的にどういうふうに考えておられるのか。
  176. 坂野重信

    坂野政府委員 まず地元の補償の問題等片づけまして、できればひとつ工事用の道路だとか仮設の準備、そういった仮設的な工事に着工したいというわけでございます。ダムの本体そのものは明年度以降になると思います。
  177. 神門至馬夫

    ○神門分科員 用地買収とか仮設工事、これに必要な経費がいまお話になった六億の計上経費だ、こういうことですね。
  178. 坂野重信

    坂野政府委員 そのとおりでございます。
  179. 神門至馬夫

    ○神門分科員 やはり同法の三十五条に、関係行政機関の長との協議を行なう、こういう趣旨の義務づけがあります。この場合、関係行政機関とはどのようなものが対象になるのか、広島県からずっと島根県まで出ております川として対象行政機関を例示してください。
  180. 坂野重信

    坂野政府委員 まず両県の知事さん、都市用水でございますので、厚生省、あるいは場合によりましては、通産省、それから経済企画庁、大蔵省等でございます。
  181. 神門至馬夫

    ○神門分科員 この協議の時期というのはいつになりますか。
  182. 坂野重信

    坂野政府委員 それもできるだけひとつ本年じゅうにやっていきたいと考えております。
  183. 神門至馬夫

    ○神門分科員 いや、本年じゅうというけれども基本計画が終わって、そして両県知事の意向を聞くというようなお話があったのですが、その基本計画が終わって、順番としてはどういう段階にこれが入るのですか。
  184. 坂野重信

    坂野政府委員 事務的な仕事としますれば、関係各省並びに各県と下協議いたしまして、そして基本計画の原案ができますと、今度はそれを正式にまず関係各省と協議いたしまして、大体この辺でよかろうということになりますと、それにつきまして今度は各知事さんの意見を求めるということになります。もちろん事務的にはそういう段階でございますけれども、一番問題は、やっぱり島根県に影響するところがあるわけでございますので、特に島根県の県御当局、島根県民の御了解を十分得ませんと、なかなかこの問題はむずかしい問題でございますので、その辺に対して特に力を入れて御協力方を要請したいというふうに考えておるわけでございまして、またそのように努力いたしております。
  185. 神門至馬夫

    ○神門分科員 この場合、先ほど話された両県知事の了解を得る、こういうこと、及び行政機関の長との協議をする、こういうことですが、その中で、両県知事の完全なる了解が成立をしなかったら、この場合工事は行なわれないものかどうか。
  186. 坂野重信

    坂野政府委員 やはり関係県、特に下流の島根県御当局の完全な了解がなければ、なかなか建設工事の実施ということはむずかしいと思っております。
  187. 神門至馬夫

    ○神門分科員 むずかしいということですが、この辺がどうもいつの水利権の問題、ダムの問題についてもいろいろもつれるところなんです。非常に困難であるということなんですが、いま直接の局長としては、完全なる了解を得なかったらこの工事は行なわない、こういうふうにはっきり言えますか。
  188. 坂野重信

    坂野政府委員 御承知のようにこの計画治水上からいいましても、また広島県にとっては利水上、非常に重要な問題でございますので、私どもといたしましては極力下流関係県の御了解を得るように最大の努力をいたしまして、そういう先生の御指摘のようなことのないようにやっていきたいと思います。そういう成果があがるということを確信いたしますので、その点御了承を願いたいと思います。
  189. 神門至馬夫

    ○神門分科員 この問題についてはひとつそういうような一方的強行がされるということがないように、こういうように考えておられる、こういうふうに解釈をして、次にいきたいと思います。  この河川法の第三十八条にいうところのいわゆる水利権を有する者に通知しなければならない。そして同意をした者には通知をしなくてもよろしい、異議のある者についてはどうこうというのが四十条、四十一条に載っております。この場合に権利を有する者とは、この江川の場合具体的にどういうような者が対象とされていると考えられるか、お答え願いたい。
  190. 坂野重信

    坂野政府委員 これは先ほど申し上げましたように、まだ水の配分なり水の供給先というものは、これは今後の問題でございまして、今後基本計画というものが確定いたしまして、それによってどこどこに幾らの水の配分をする、水を供給するということが決定いたしましたその段階において、これが確定するわけでございます。
  191. 神門至馬夫

    ○神門分科員 確定は、水利権者がすでに存在しているわけですから、これは問題にならぬと思うのだが、建設省のほうとしてはどのような水利権を取得しているものがあるかということをまだ把握していない、そういう段階に入っていないということなんですか。
  192. 坂野重信

    坂野政府委員 今度開発されるダムによって新しく生み出す水を利用するほうの問題、それ以外の現在すでに水利使用を行なっている既得の水利権者につきましては、もう台帳がはっきりしておるわけでございますので、江川全体についてのはっきりした水利権者というものが全部一目でわかっておるわけでございます。もちろんその場合に慣行の水利権も含んでいると思います。
  193. 神門至馬夫

    ○神門分科員 慣行の水利権あるいは漁業権あるいは砂利取得をしているそういう権利者、こういうようなもの、もういろいろな多様にわたるすべての者を対象にしている、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  194. 坂野重信

    坂野政府委員 そのとおりでございます。
  195. 神門至馬夫

    ○神門分科員 特定多目的ダム法の第四条の三項に建設大臣は、基本計画を作成し、変更し、または廃止しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、関係都道府県知事の意見を聞かなければならない。とこうあります。  先ほどのお話のように、基本計画予算決定後に行なうものだという順番はわかりました。しかしすでに予算が計上されてあるということは、建設省としても一つ計画があるということに基づいての予算計上になるわけです。そうすると、この特定多目的ダム法の第四条三項にいうところの基本計画にそれはならないのか、また、しかしそういう基本計画にならないとしても、そういう計画を作成しようとするときには、あらかじめ関係の知事等の相談を必要としないのか、予算を決定し基本計画を作成するまでは全く相談というものは第四条三項にいうものずばりでなくとも必要としないのか、またこれまでなされてこなかったのか、御答弁お願いしたい。
  196. 坂野重信

    坂野政府委員 これは先ほど申し上げましたように、もうすでに基本計画の原案はできております。基本計画の原案につきましていろいろな関係県あるいは関係各省ともぼつぼつ話し合いを始めているわけでございまして、特に大蔵省とはもうすでにそういった協議をいたしております。ただ正式の基本計画の作成の段階におきましては、完全なといいますか、地元の了解がなければなかなかむずかしい問題でございますので、もちろん先生のおっしゃるようなことで事前の協議というものはすでにやっておるわけでございます。できるだけひとつ正式の基本計画ができる段階までに地元の了解を得ておきたいということで努力いたしております。
  197. 神門至馬夫

    ○神門分科員 局長基本計画はことしじゅうに作成すると先ほどおっしゃった。だがいまになったら、基本計画はできておるけれども予算が通らないからまだ表面に出せない、こういうふうにおっしゃっているのですが、その食い違いはどっちがほんとうですか。
  198. 坂野重信

    坂野政府委員 さっき申しましたのは、基本計画は今年度中に決定いたしたいというのは正式な決定でございまして……。(神門分科員「今年度ですか」と呼ぶ)今年度中にきめたい。おそくとも今年度中にきめたい。しかしそれは今年度中——理想的に言いますと、建設工事に着工するまでの段階において基本計画が決定されているのが当然でございますので、われわれは今年度中といいますけれども、おそくとも年内くらいまでにその基本計画というものを正式のものを決定したい。しかしその基本計画に盛られる内容が問題でございますので、それについて関係県なり各省にもうすでに内部協議を始めているという段階であります。いま申し上げたとおりであります。私は建設大臣が決定するのをできれば年内、おそくとも年度内には決定したいというふうに思っております。
  199. 神門至馬夫

    ○神門分科員 さっき年内に作成するとおっしゃったが、年度内ということですか。年度内と年内と相当違うのですが……。
  200. 坂野重信

    坂野政府委員 年内でございます。
  201. 神門至馬夫

    ○神門分科員 年内に基本計画を作成する。しかし基本計画は年内に作成するけれども建設省の何かの計画というものはすでにあるわけですね。それに基づいて準備折衝をしておる、こういうことでしたか。
  202. 坂野重信

    坂野政府委員 そのとおりです。
  203. 神門至馬夫

    ○神門分科員 そのダム建設の目的に沿ってさらに西条川上流の下金田地点あるいは馬洗川上流の灰塚地点にダム建設の計画があるように聞いておるのです。それはどのような計画があるのか、また具体的にどのようないまの準備折衝等の中でその話が出ているのか。
  204. 坂野重信

    坂野政府委員 それはまだ構想の段階でございまして、ダムサイトの可能地点についてそれぞれ調節可能量を調査しようということのほんとうの予備的な調査でございます。
  205. 神門至馬夫

    ○神門分科員 そういう建設省としての正式案としてではなく、そういう計画があるのかないのか、あるならある、ないならないということをお示し願いたい。
  206. 坂野重信

    坂野政府委員 構想として持っております。
  207. 神門至馬夫

    ○神門分科員 先ほどお話があったように、第一の目的に洪水時の調整ということを、利水問題の対象としてのダム建設ということをおっしゃっているが、はたしてこのような下土師ダムが一日に三十万トンですか、分水によっていままで起きた江川の洪水に貢献し得るというふうにお考えになりますか。
  208. 坂野重信

    坂野政府委員 貢献できます。
  209. 神門至馬夫

    ○神門分科員 四十年の浮戸事件の水害の実態は、すでに決算委員会で局長も再々出られて問題の渦中に入って御存じのとおりだと思います。あのときの流水量はどの程度の流水量であったか、御承知でありますか。
  210. 坂野重信

    坂野政府委員 約五千立方メートル、毎秒でございます。
  211. 神門至馬夫

    ○神門分科員 あのときは毎秒五千八百立方メートルだったと思いますが、そういうときに、この下土師ダムが調節機能としてどれくらいのものを果たしますか。
  212. 坂野重信

    坂野政府委員 ダムサイトで約千百トン切りますので、下流にまいりますと五、六百トンくらいになるかと思います。はっきりしたデータをここに持っておりません。
  213. 神門至馬夫

    ○神門分科員 あのとき水量は五千八百立米のものが流れている。そのときに五百トン程度のものをカットしましてもてんで問題にならぬのですよ。だから、その辺はここで議論しようとは思わないが、実は一級河川になりましたときに——この江川水系そのものは洪水の常襲河川です。大体二年半に一回くらいは四十年災害程度のものによって住民が被害を受けている。だから一級水系に指定を受けたときに、関係町村はのぼりを立てて村長さんや町長さんは迎えたものです。そのときには治水対策をしてくれると思って、沿岸市町村なり住民はこれを歓迎したのだが、建設省一級河川に指定したことは治水対策という住民奉仕のためではなしに、工業用水をぶんどるための目的であった。こういうふうにいま問題になっておる。全国的にも一級河川の指定になっても治水問題はやらずに、必ず工業用水の流水占用のための目的があるといわれるのが一般の傾向なんです。いまお話があったように、あの四十年災害にしても、五千八百立米の中から五百トンをとったところで災害の足しにならないということは、専門家である局長はよく御承知だと思うのです。この水量が減ることによって河口においてば砂がたまる、あるいは海水が逆流する、あるいは地下水が減って飲み水が直ちになくなるだろう。三十万トンをとれば渇水期においては下流においてはたいへんなことになるのです。これは中国地健がすでに出しているデータの中に載っているはずなんです。そういうふうに分水そのものというものは、一級河川になっても下流住民は何ら恩恵に浴さないにかかわらず、一級河川になったからというので河川管理者である建設大臣は分水を強行しようとする。また治水対節としていろいろ護岸要求を県なり公共団体が出しております。私は現地調査をずっとしたのですけれども、川本町において、四十一年の四月に一級河川の指定を受けているのですね。この堤防がつくられるということ以外には一級河川によって何ら報いられたものは一つもないわけなんです。むしろこういう分水によって地域住民の利益というものは奪われるという状態になっておる。こういうことに対して下土師ダムというものが、具体的な数字からいえば、洪水時の調節機能というものは微々たるものでほとんど用をなさないとするならば、将来の治水対策として一体どのようにお考えになっておるのですか。下土師ダムを洪水時の調節機能として果たさせようという目的であるならば、すでに慢性的な洪水に悩んでおる下流に対するプランも当然建設省としてなければならぬと思う。これについての計画をひとつお聞かせ願いたい。
  214. 坂野重信

    坂野政府委員 治水の問題でございますが、先ほど先生の御指摘で五千幾らに対して非常に少ないのじゃないかとおっしゃったわけでございます。この江川のはんらんを防止する、この点はいろいろございまして、従来の考え方からいいますと、一番はんらんの可能性のあるところは、同じ広島県内でございますけれども三次盆地一帯が一番従来の被害が多く、はんらんの回数も多かったのでございます。その辺に対しましてはたとい五、六百トンにいたしましてもこれは堤防と比較いたしますと、非常に大きなプラスがあるわけでございます。そういうことで江川全体として、下流のほうに対してはなるほど今度は流域面積が広がってまいりますから、下流に行くと六千トン近くになるので、それに対しては洪水カットの比率が非常に少ないのではないかということは御指摘のとおりでございますけれども、防護する面積なり位置によっていろいろ効果が違いますので、これをひとつお考え願いたい。特に中流部、下流につきましては確かに昭和二十年の例の浮戸事件のような非常に大きな災害があったわけであります。そういうことにかんがみまして、その中流部につきましては県のいわゆる指定区間でございますので、県のほうに対してできるだけ補助工事でやっていきたい、下流につきましてはできればひとつ直轄の改修工事を起こしたいということで、度から予備調査を実施したい、そういうようなことで下流のほうに対しましてもできるだけ何らかのそういった治水上あるいは利水上の手厚い施策をやっていきたい、そうして広島県の水不足というものをカバーしていきたいというのが私ども考えでございます。ですから下流のほうに対してもできるだけいろいろな施策をやっていきたい。  下流に対する影響の度合いでございますけれども、下土師ダムからの取水、分水ということを考えましても江川の下流の流出量に対してどのくらい影響があるかと申しますと、大体五%程度でございまして、御承知のように江川は全国的に見ましても非常に水が多い川でございます。そういう関係で確かに五%とっても何らかの影響は出てくると思いますけれども、下流の少なくとも既得の水利権等については影響は考えられない。その他塩分の濃度であるとか河口に与える影響等につきましてもいま詳細に分析中でございまして、それらの結果が出てまいりましたならば、それらによってできるだけ私どもとしても下流の方々の御了解を得るように最大の努力を払いたいということで考えております。  治水工事等につきましてはできれば直轄の工事を起こしたいというぐあいに考えております。
  215. 神門至馬夫

    ○神門分科員 時間が来ましたから……。ただ、いま最も洪水調節の対象になっておる三次地区の盆地というものは、すでにずっと二十年ごろから一級河川の指定になって、治水対策がなされておる。下流は四十一年の四月になった。こういう関係があるのと、上流治水工事、護岸工事が完全に行なわれれば、鉄砲水になって、下流の洪水というものはまた被害が甚大なんです。こういうような点も十分考えられて、一つ要望しておきたいことは、関係市町村とも十分話してもらいたい。  それから水利権者に影響はないということをいま局長はおっしゃったと思うのですが、これはそういうような考え方ではおさまらないので、いろいろ水利権を持っておる者はそれぞれ影響があるということで主張しておるのですから、そういうような点についても十分配慮をし、何らかの方法で最善を尽くして相談等を行なう、こういうような点についてはどうでしょうか。
  216. 坂野重信

    坂野政府委員 できるだけ御趣旨に沿って努力いたしたいと思います。
  217. 松浦周太郎

    松浦主査 次は中村重光君。
  218. 中村重光

    中村(重)分科員 時間が食い込んでおるようですが……。分科会の質問は多分に質問がダブってくるだろうと思うのでございますが、環境整備の問題について大臣にお尋ねしたい。  まず第一に環境整備といいますと、下水道事業が一番関心の的になるわけですが、御承知のとおりかつて厚生省と建設省がこの問題で、いま厚生省が持っているところの終末処理施設の管理について、計画面あるいは認可を受けるという場合に同じようなことを両省でやる、こういうことではいけないじゃないかということで、行管が勧告をして、建設省にこれはまとめたといういきさつがあるわけです。ところが、この下水道事業というのは伸び悩みの状態であるということがよくいわれている。先般も東京都でこの下水道の問題をめぐって「下水道行政“ゼロ地帯”都道下のつまったパイプ「管轄外」とたらい回し、都内の七割が同じ心配」ということが書いてあるのです。建設大臣は下水道事業に対しましては熱意を持ってこれに対処しておるということがいわれておるわけですけれども、現実はいま私が申し上げたようになかなか計画どおりこれが進んでいないという状態にあるのだろうと思うわけですが、本年度の予算はどういうことになっているのか。それから前年度との伸び率はどうなっているか。東京全体の三〇%という状態は、全国的にこういう傾向がさらに強いものがあるだろう。これを早急に解消していくための建設省考え方をひとつ伺っておきたいと思います。
  219. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 四十三年度の下水道事業は国費で三百七億、前年度二百七十億に対しまして一四%の伸びでございます。これは流域下水道の補助率アップということもございましたが、事業費といたしましては七%の伸びということに相なっております。私どもといたしましては、特に水質汚濁関係河川を持っておりますような地域、あるいは浸水に悩んでおるような地域、あるいは新しく市街地を開発するような地域、そういう地域重点を置きまして下水道事業を推進してまいりたいと考えておるわけでございます。
  220. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣いまお聞きのとおり一四%の伸びだけれども、実際は事業費の伸びとしては七%の伸びだ。非常に伸び率が低いわけです。特にいま局長よりお答えがございましたように、郊外に住宅が非常に伸びていくことになってまいりますと、勢い汚物処理という問題が伴っていく、それによって河川等の水質が汚濁する、こういうことになってまいりまして、環境整備の上においてそれこそ重大な問題であると考えるわけであります。このような環境整備の取り組み方ではしようがないのじゃないかと思うわけですが、この点に対してひとつ大臣考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  221. 保利茂

    保利国務大臣 下水道の問題は、河川道路住宅、そういうものとあわせまして最も身近な、市民生活、国民生活の生活環境の上に与えている影響が非常に大きいものです。ところが残念ながらこれに力が入るようになってまいりましたのも戦後になってからで、そこまでは戦前力が及んでいなかったということが申されます。しかし一番切実な、園児生活の中のいわば恥部でございますから、そこには目につかないだけにまた努力をしなければならぬ。特にそういう意味で、まちまちばらばらでなしに、強力に推進するようにということで、行政の一元化も行なわれているわけでございます。下水道の整備ということは、中央、地方を通じて力を入れていかなければならぬ、そういう考えで、今度の予算でも公共事業全体が非常に窮屈であることは御案内のとおりでございますけれども、とにかく下水道は差し迫っておりますので、それぞれそういう事柄については格段の配慮をしていきたい、また社会情勢の推移に応じまして、流域下水道というような考え方を取り上げて整備を急いでいかなければいくまいということで、来年度から手始めに始める。いずれにいたしましても御指摘のように環境整備の上に大事な下水道整備に力を入れていかなければならぬというように考えている次第でございます。   〔主査退席、森本主査代理着席〕
  222. 中村重光

    中村(重)分科員 計画の進捗率はどれくらいになっておりますか。
  223. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 下水道は御承知のように昭和四十二年度から第二次五カ年計画全体といたしまして二千三百億、これは単独事業費も含んでおりますけれども、この事業費で下水道を整備しようという考え方でございます。四十二年度から四十六年度まででございますが、四十六年度末におきまして排水面積、つまり普及率と申しておりますけれども、面積のほうの普及率を大体市街地面積に対しまして三二・五%にしようという計画でございます。四十三年度末におきましては大体二三%ぐらいになるというふうに見込まれますので、四十二年度二一%から三二%の差が一一%でございますが、それが二%ぐらい普及率がふえる、こういう形になるわけでございます。
  224. 中村重光

    中村(重)分科員 たとえば東京都の場合、私が申し上げたように現在でもって三〇%程度、計画年次でどの程度の伸びになることになりますか。
  225. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 東京都区部は先生おっしゃっておりますように四十一年度末で三〇%の普及率でございます。五カ年計画期間中に、これは正確には申せませんけれども、大体五四%ぐらいに持っていきたいということで考えておるわけでございます。
  226. 中村重光

    中村(重)分科員 東京都がそういうことですから、地方都市になってまいりますと伸び率が非常に低くなるであろうと思うわけです。これは私は計画のあり方、計画の更新といったようなこと等についていろいろ問題を感じているのです。時間の関係がございますから、きょうはその点を省略いたしますが、こうした公共下水道というようなこと、あるいは水道なんかにいたしましても、なかなか引き込んでもらえないというので、自己負担でもってやることが多いわけですね。ところがその後道路等が整備されていく、下水道が詰まった、あるいは水道管が腐食した、これを取りかえなくちゃならぬということが起こってくる。これを取りかえてもらいたいと言うと、これは初め自分でやったのだから自分で直しなさい、こういうことになるのですね。たいへんな負担になるわけです。新聞にあります東京都の下水道行政ゼロ地帯というのもその例だろうと思う。公共下水道がなかなかつくってもらえぬものだから自分でつくった。この道路整備された。下水道はその下になっているわけです。それは公共下水道でないのだから都はやれない。自分でやりなさい。これを自分で修理をするということになっておることはたいへんな負担です。こういう責任の所在というのは大体どこにあるのですか。水道もあるのですよ。大臣は非常に庶民生活に通じておられるから特に感じられると思うのだけれども……。
  227. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 先生御指摘の点は、おそらく私道に布設してある下水道のものじゃないかと思います。その点は私もあまりよく聞いておりませんが、都道の下でございますと当然公共下水道でやるべきものじゃないか、私どもはそういうふうに考えております。ただ配管がそこまでまだいってないとか、いろいろ網として下水道をつくるものでございますので、そこまで及ばないというようなことでできないという場合はあると思いますけれども、公道の下でありますれば公共下水道でやるべきものじゃないか、私はそう考えております。
  228. 中村重光

    中村(重)分科員 いま私の下水道だと言うけれども、それが詰まった。ところが、詰まったものだから、床なんかが水浸しになるわけですよ、それを直してもらいたいと都に行って申し上げたら相手にならない。ですから、下水道をだれがつくるかということは問題じゃないのであって、いまつくっている下水道が悪くなった、これを修理しなければならない。そこでたまたまそれは都の道路の下にあるのだが、都は相手にならないのです。自分が初めつくったのだから自分で直せ。その当時だったら問題じゃないですよ。ところが道路がきちっと整備されていて、その負担というものはとうてい個人がしょいきれるものじゃないのです。だから、そういうことを個人の負担という形で片づけていいのかどうかということに私は疑問を感じておるのです。
  229. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 私人の設置したものでございますので、いわば私の営造物になるんじゃないかと思います。したがいまして、それを直接公費で修理するということは若干問題もあろうかと思いますが、事情を調べて研究してみたいと思います。
  230. 中村重光

    中村(重)分科員 時間がありませんからやむを得ませんが、公営企業の水道なんかにずいぶんそういう例が多いのです。
  231. 保利茂

    保利国務大臣 これはちょっと問題ですね。よく調べてみます。
  232. 中村重光

    中村(重)分科員 それから、同じ環境整備の問題で、都市の過密状態というものが非常に強くなってきた。その結果どういうことになってくるかというと、ビルディングがたくさんできることになる。この伸び率はどの程度なのか。たとえば私の持っている資料で昭和三十三年度があるのですが、東京都だけじゃなく、そうしたビルディングがどの程度ふえておるのか、その結果どういう現象が起こっておるのか、それをひとつ伺っておきたいと思います。
  233. 三橋信一

    ○三橋政府委員 建築の伸びがどのくらいあるかということでお答え申し上げますと、実は手元に東京のものがございませんので、ちょっとお尋ねと違うかもしれませんが、全国のもので平方メートルで申し上げますと、四十年度は一億二百三十万平方メートルでございます。四十一年度におきましてこれが一億九百七十四万平方メートル、そういうふうに着工されております。着工量でございます。
  234. 中村重光

    中村(重)分科員 わかりやすく私が持っている資料で申し上げると、これは自治省の固定資産調書による調査ですが、昭和三十三年当時は全国の建物が三千三十二万棟のうち住宅以外の鉄筋コンクリートづくりが五万棟である。これが昭和四十年度の総数は三千七百五万棟、二二%の伸びであるけれども住宅以外の鉄筋コンクリートづくりが五万棟であったのが十四万棟、一八〇%増加、こういうことであります。驚くような増加になっておる。  そこで問題が出てくると思うのですよ。ビルディングになってまいりますと、環境整備の問題というのが非常に重要になってくる。先般も地下火災が起こったことがあった。そういうことだけでなくて、ほとんど冷暖房の設備があるわけですから、その冷暖房によってもろもろの障害というものが起こってくる。たとえば高年齢者の高血圧等というのが起こってくるとか、あるいは呼吸疾患が起こってくる。もろもろのこうした障害が起こってくる。そこで先般厚生大臣に公害審議会が答申をした。これによって環境整備に対するところの法的措置というものが当然考えられなければいけないのではないか、この点に対して建設省はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、そうした法的整備ということをお考えになっておられるとするならば、どういうところまで進んでいるのか伺ってみたいと思います。
  235. 保利茂

    保利国務大臣 たとえば東京に例をとって申しますと、東京はほとんどスモッグの中に生活を営んでおる。そこで、都市環境を整備していきますためには、ある程度の高度利用をして、同時にそれによって空地をできるだけ確保してきれいな町をつくっていく、そしてできるだけ緑をふやしてきれいな町をつくっていって、全体の都市環境を整備しなければならぬ。一建物ごとにどういうむずかしい条件をつけてみましても、私は全体としてみれば、やはり全体の環境を整備していくという方向で考えていかなければならぬのじゃないか、そういうことであるいは都市計画法とか都市再開発法とかいうものを期待をいたしておるわけでございます。
  236. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣がおっしゃることはわかるのです。ところが、公害審議会から答申が行なわれておるわけですね。ですから、これに対する答えを出さなくちゃいけないんじゃないですか。確かにそうしたビルディングからもろもろの障害というものが現実に起こってきている。個々の建物云々ということじゃなくて、すべてのビルディングに同じような形でそうした障害が出てくるわけでしょう。そこでその中で長時間にわたって事務をとっておられる方、あるいはそこに住んでおられる人たち、そういう人の健康というものは十分管理していかなければならないわけですね。この前、厚生省が建築物衛生管理法案要綱というものを準備していました。そしてこれが特別国会に提案されるだろうといわれた。ところが建設省との間に何か話がつかないでそこまでいかなかったのかどうかわかりませんが、私はこれの資料を持っているのです。特別国会における提案には至らなかったが、今度の国会にもこうした提案をされるような動きはいまのところ伺っていない。これも建設省と厚生省の何かなわ張り争いみたいな形でこうなっているのか。だとすれば、これは私は問題だと思う。保利建設大臣のもとに答申もあったことだし、確かにこういうことは十分配慮していかなければならぬ問題である。必要なことは積極的にこれを進めていくという態度であるべきではないかと思う。
  237. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  確かに建築物衛生管理法案というのを厚生省が準備いたしまして、私どものほうへ相談がございました。いろいろ相談しておりまして、これは決して役所の権限争いはいたしておりません。物内における衛生管理、これは当然厚生省がやるべき問題であると思っております。しかしながら、建築構造の問題については従来から建築基準法があるわけでございます。そこでお互いに分野を分けてやろうではないかということで話し合いはついております。しかしながら厚生省のほうは、私はこれは正式に聞いてはおりませんけれども、政府提出で出そうというところには今回はいっておらぬようでございます。
  238. 中村重光

    中村(重)分科員 話がついている、その厚生省のほうでは政府提出で出すということではないというのはどういう意味なのか。これは議員提案とかいう形の動きがあったわけではない。これは厚生省が出そうというのであなたのほうに相談をされたんだから、政府提出でないということになってくると、どういう形で出そうというのですか。
  239. 三橋信一

    ○三橋政府委員 前のときには厚生省は確かに政府提出で準備をしておりました。しかし今回私どもが厚生省から聞いておりますところでは、提案で準備をされておるようでございます。
  240. 中村重光

    中村(重)分科員 議員が法律案を提案するということは、それはそれなりの議員としての権限でもあるし、ある意味においては好ましいことだと思います。しかし事の性質上というのですかね、この種のものは政府が提案するほうが日本の場合はいいのじゃないか。私は議員提案を否定することで申し上げておるわけではないのです。この種のものを議員提案というのはいままであまりないですね。ですから厚生省がお出しになるのか、あるいは建設省がお出しになるのか、あなた方が何かそこで、なわ張り争いはないとおっしゃったけれども、何かそこにあって、これは厚生省ではだめなんだから議員提案という形でやろうということになったんじゃないですか。どうもいまのお答えの中から判断に苦しみますね。
  241. 保利茂

    保利国務大臣 私もあなたと同じように、なわ張り争いとか権限争いとかいうのは大きらいで、そういうことはもう大所高所から見まして、しょせんはこれは行政サービスですから、相手は国民でございますから、国民の利益のためにやるべきことはやらなければいかぬじゃないか。これはもう国会で主体的に立法されるときもあるだろうし、その形は私は、あなたと同じようにどちらでもいいと思うのです。どこでひっかかっておるのか。別に建設省のほうでどうこうということはないようでございますから、それは厚生省のほうでやられることだろうと思います。
  242. 中村重光

    中村(重)分科員 それでは大臣に御希望を申し上げておきますが、これは必要なことなんです。これはすみやかにやらなければならぬことですから、何回も申し上げたように、答申もすでになされておるわけです。だからさっそく調査をされて、ひっかかっておるところを打開して、すみやかにこうした整備ができるようにされる考え方があるかどうか。
  243. 保利茂

    保利国務大臣 私は基本的には、私も身近な者がビルディングでどういう健康状態であるかということを見ておりますから、いかぬなという感じは強く持っておるわけであります。その保健、保全の上からいって、どの程度に一体建築物を持つ人に義務づけをするかということはむずかしいことだろうと思うのでございます。早い話が、ゴキブリ退治までどうとかしなければならぬというようなことまで義務づけられて、それは実際全体の環境がそういうふうになっておればよろしゅうございますけれども、そこだけそういうことをしいるということが、これはできればけっこうなことですから、その内容については私はとやかく申しませんけれども、そういうことでおくれておるんじゃないでしょうか。とにかく努力をするように私からもお伝えしておきます。
  244. 中村重光

    中村(重)分科員 確かにおっしゃるようになかなかむずかしいものだろうと思うのです。いろいろと権利関係なんというものも出てまいりましょうし、そしてこれをやった結果がどういう効果があらわれてくるのかという問題もあると思います。かといっていろいろな障害があることは事実なんだから、これもまた何とかやらなければいけない、こういうことになるわけですね。  最後に、一つ一つ問題をあげてお尋ねしたいと思っておりましたが、時間がございませんから、私から申し上げて、大臣基本的な考え方を聞かしていただきたいと思うのです。  縦割り行政の弊害と、こう申し上げたほうがいいのではないかと思いますが、各省でいろいろなことを計画されるのですが、もう少しこれを総合的におやりになったならばよろしいのではないか、むだが省けるのではないかと思うことがたくさんあります。  その一、二を申し上げると、干拓なんかの場合でも、これは農林省であるけれども、それが多目的になる場合には、建設省関係が、ダムなんかの場合にも出てくることになる。ところが干拓は、漁業者から漁業権を取り上げて干拓をやるのだけれども、せっかくやった干拓が他の目的に転用されて、遊ばせておるという全く国費のむだがある。かといって、今度はまた新たなところに次から次に干拓が進められていく。大臣承知のとおり、長崎干拓の場合でも、これは佐賀県では、得るものは何もないというようなことを佐賀県なんかの県民の方々も言っておる方が多い。それは国内農業を発展させるという立場からは干拓も必要であろうと私は思う。しかし総合的にやはり見なければならないのじゃないだろうか。国民のたん白源を確保するという立場からやはり漁業も必要である。有望な漁場であるという場合においては、たとえ経済性に若干まさっておったにしても、やはりもっと適当なところがあるのではないかというようなことで、目を広く向けなければならないのではないかというような感じがいたします。ですからこれらのことも、ただ農林省、大蔵省と予算折衝という形においてこれを処理するのではなくて、やはりもっと総合的な国土開発という観点から問題に取り組む必要があるのではないかと私は思う。  それから地方におきましても、都道府県あるいは市町村なんかで、市町村の場合は規模が小さいでしょうが、都道府県なんかが地域開発という形において、私のほうの県で申し上げるならば、外港計画というので相当土地を埋め立てをする。ところが企業を誘致しなければならないが、どういう企業が来るかさっぱり頭にないんですね。話し合いというものも進められていない。ところが政府もこれに関心を特別持っておるというわけではない。いつの日にほんとうに企業を誘致するのか実はわからない。こういうことも計画性に欠けておるのではないかと思う。  大臣特に関心にあられる産炭地の問題もそうじゃないですか。初めは離職者対策という形でやったのだが、事情は相当変貌してきておると思う。どんどん土地は造成されてきている。ところが、その造成した土地が高い。したがって企業はなかなか出てこない。また水の問題。そこでどうしても国の基幹産業が出てきて魅力あるものにしなければ、産炭地振興という形でせっかく相当な金を投じても、造成された土地の活用ということもあり得ないのではないか。いく進められておる行政に総合性がないためにそれらのことに相当むだがあるような感じがいたします。直接的には建設省関係でないものも申し上げましたが、大臣は国務大臣として、この点どう考えられるかということと、それからこれらの点は、いろいろな関係からやはり建設省と不可分の関係にあると私は思う。まず大臣考え方を伺ってみたいと思います。
  245. 保利茂

    保利国務大臣 干拓、埋め立て等、とにかく狭隘な国土でございますから、干拓適地等があればこれを干拓する、あるいは工業立地上適地があればこれを埋め立てするというようにして、この狭小な国土を幾らかでも造成をして国の発展をはかってまいるという基本的な上からいって——おそらく中村さんも、そういう必要があるから総合計画立てて、その総合計画に合わしてやるようにしなければむだが多過ぎるじゃないか。また一面、比較的後進地帯といいますか、そういういかにもむだをやっているようなところがありますけれども、そういうものは一つの先行投資になっている。先行投資となってそれが活用されるようになることを望むわけです。そこらの調整は、各県、地方公団共体等でも十分考えてやっておると思いますけれども、本来はやはりそういうものでありたいものだ、私もそう感じております。
  246. 中村重光

    中村(重)分科員 土地利用についても、もっと建設省考えてもらわなければならぬ。戦後建った木造住宅、公営住宅等の場合でも、市街の平たん地に二月建ての木造住宅がたくさん建っている。ところが、これをどうするのか。払い下げるかのごとく払い下げざるかのごとく、これもわからぬ。だからして、居住している人は払い下げをしてもらって自分の持ち家にしたいという気持ちがある。それはよくわかる。かといって、土地の高度利用という立場からいえば、高層建築物をそこに建てていくことのほうが好ましい住宅行政にもなる。そこらあたりも方針があるのかもしれぬけれども、徹底していない。居住している人から、払い下げてもらえるのだろうか払い下げてもらえないのだろうかはっきりしてもらいたいということを、よく私どもは言われる。だから建設省方針がそこらもどうもきちっとしたものがないのではないか。あるとすれば、それを周知徹底さして、居住者にこういうものだということをわからせるようにする必要があるのではないかと思います。どうでしょうか。
  247. 保利茂

    保利国務大臣 その点、私も考えております。払い下げるものは払い下げる。払い下げられないものはかくかくで払い下げられないというようにはっきりした方針をとらないと、住民の方々に非常な不安と迷いを与えることになりますから、ひとつ督励をしまして、そういうふうに割り切っていきたい、こう考えております。
  248. 森本靖

    森本主査代理 次に、内藤良平君。
  249. 内藤良平

    内藤(良)分科員 大臣もおられますので、冒頭に簡単にお尋ねしたいと思います。  四十三年度の予算編成にあたりまして施策の重点ということを説明書に書いてございますけれども、この中を拝見しますと、地域格差の解消、地域格差の是正という文字が全然入っていないわけでありまして、非常に残念に思うわけであります。建設関係地域格差の解消につきましてはいろいろな面で影響の多い事業を持っておられるのでありますが、この方針どおり、全然御念頭にないのかどうか、一言だけ伺っておきたい。   〔森本主査代理退席、主査着席〕
  250. 保利茂

    保利国務大臣 全国的に都市化の現象が著しいために、論議がそういう方面にどうしても向っておるということはあると思います。しかし、これはまた同時に、強い反省の材料になるのであります。要するに、国土の均衡ある開発、発展、この狭い国土に片ちんばな国をつくらないようにということは、だれしも念願するところであります。私もいなか者でございますから、いなかのほうに奉仕したい。それは手がないのかというと、ないわけじゃないのだ。ただしかし、いかにも近年の経済成長というか、産業発展というものが著しく波を打って、とにかく人口、産業が集中したということで、そこから起こっておる諸現象に応待するのに追いまくられておるような状態でございます。そこで、国土縦貫自動車道でありますとか、そういうものの整備を急いで、地方の発展の基盤をつくり上げていく、いわゆる格差是正ということは、私は国策の基本方向としてやはり堅持してまいらなければならぬ、こういうふうに考えております。
  251. 内藤良平

    内藤(良)分科員 大臣からいま非常に喜ばしい御発言をいただきました。建設大臣としましても、地域格差の是正あるいは解消、これだけはぜひ強く貫いていただきまして、今後いろいろな面でお進め願いたいと思っております。  次に、私はこの建設関係で五つの質問を用意してございます。一番目は、主要な地方道路の国道昇格の問題。二番目は、街路整備事業について。三番目は、ダムの事業について。四番目は、河川改修事業について。最後に港の合同庁舎の問題、この五つでございます。  第一番目の主要地方道の国道昇格の問題でございますが、これはざっくばらんに申し上げまして、私の秋田の大鰐−小坂−十和田−盛岡線、大曲−本荘線、本荘−雄勝線、こういう線がございますが、毎年重要度を加えておりまして、多年にわたって関係の市町村からは、どうかして国道に昇格を願いたいという強い要望がございます。ところが、なかなか実現を見ないで今日に至っておりますけれども、ただいま大臣のあたたかい御答弁もありましたとおり、地域格差の是正のためにも、地域の住民の強い要望の実現のためにも、生活及び産業経済の発展に影響するところ大きゅうございますから、ぜひひとつこれを要望に沿うて実現をしていただきたい、かように思っております。そこで、取り上げ方につきましてとその経過について、あるいはまた今後の見通し、こういうぐあいにでも整理して御答弁願えれば幸いと思う次第でございます。まずこれをひとつお伺いします。
  252. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 国道の昇格の問題につきましては、御承知のように、最近自動車の台数が非常にふえてまいりました。交通の需要がふえてまいりました。それに伴って、現在の一般国道二万七千キロございますが、これも逐次ふやしていくべきだと思います。それで、国道にいたしますには、やはり補助率も上がりますことだし、財政事情考えまして、差しあたり現在の道路法にあります国道の基準、それをもちまして、現在の国道網の修正をはかっていきたい。それから、国土開発幹線自動車道の予定路線が制定されておりますので、こういうものとの関連において、国道の昇格等、検討したい、こういうふうに考えております。  今後の見通しでございますが、ただいま言いましたように、財政状況とも非常に関連ありますものですから、そういうもの等も勘案して現在作業しております。おそくてもこの期間中にはある程度の国道昇格をやっていきたいというように考えております。
  253. 内藤良平

    内藤(良)分科員 ぼくのほうでもざっくばらんに聞いておるわけですから……。いま申し上げましたように、秋田県内の三路線でございますけれども、取り上げておるわけですか。そして見通しも立つ、こういうぐあいにはっきり言えるかどうかわかりませんけれども、もう少し具体的な御答弁を願いたいと思います。
  254. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 もう少し具体的に申しますと、実は現在いろいろ要望の路線について検討しておるのでございますが、現在要望路線を全国集めますと、約一万キロくらいございます。なかなか一度に一万キロ国道昇格はちょっといまの時点では無理かと思います。端的に言えば、各県一本程度じゃないかという感じでございます。
  255. 内藤良平

    内藤(良)分科員 その点、大臣もお話しありましたように、人間の動きが過密になってきておる。どうにもしようがないために、これに手が一ぱいだ、こういうお話しでございましたが、そのとおりだと思います。ところが、国の施策につきましては、でき得るならば、人間の動きに左右されないで、一つ方針を持ちまして、平均された地域開発ということ、いわゆる地域格差の解消ということを考えるならば、平均して一本なんてそんなことでは、これはある意味では不平等になるのじゃないか。地方にこそ数多く取り上げて、強力にどしどし施策をしまして、自然に人間がそっちのほうにそのたびに回っていくようなことくらいは必要じゃないかと思うのですけれども、どんなものでしょう。一言御答弁願いたい。
  256. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 先ほど言いましたように、国道というのは、いま二万七千キロございますが、これは全国の幹線の道路が将来どうあるべきかということから言いますと、やはり国道は二万七千キロの約二倍くらいあってもいいのじゃないかというような考えを持っております。しかし、これを一度に昇格すると言いましても、非常に財政の問題もございますので、逐次やっていきたいというような考えでございます。現在の一般国道の中の、もとの二級国道の進捗率でございますが、これが四十二年の三月、改良は約五五%しか済んでないような状況でございます。そういうことも考え合わせまして、あまり大きな昇格をしても、せっかく国道になって、地元の要望される方々は、早く国道になったんだから早く整備できるというような期待が相当あると思いますが、あまり多く昇格いたしまして、地元の期待どおり整備できなくなっても問題が起こりますので、どうしても今後の財政状況も見通しまして、やっていきたいというように考えます。
  257. 内藤良平

    内藤(良)分科員 それでは次にまいります。  街路の整備事業でございますが、これも最近交通が非常に、それこそ過密になってまいりまして、地方都市におきましても、既存の道路が交通関係ではたいへんな状態になっております。これは御存じと思いますが、秋田の駅から八橋の線、これは新産都市の関係でございますけれども関係当局には出ておると思います。新規の事業で、四十三年度からこれを実現したい、こういう強い地元の率直な要望があったことと思います。この点につきまして建設御当局としての取り上げ方、それから経過について、あるいは今後の見通し等、これをひとつお答え願えれば幸いだと思う次第であります。
  258. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 実は秋田市の都市計画街路は、ただいま先生おっしゃった路線以外に、もう一本新規事業として四十二年度からやるものと二つございまして、現在検討中の段階でございます。
  259. 内藤良平

    内藤(良)分科員 検討中、検討中というのは、本会議でもよく聞くのでありますけれども、あまり検討中と言うと、検討大臣とあだ名がつくのであります。建設大臣にはそういうことがない、きわめて実行力に富む大臣というふうに伺っておりますので、局長におかれても、検討中と言うだけでは、それこそ検討局長になるのじゃないかと思います。もう少しお答え願えないでしょうか。
  260. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 何しろ、街路全体についての予算配分の作業を現在作業中でございますので、現在のところ、これをどうするということは申し上げかねる段階でございます。
  261. 内藤良平

    内藤(良)分科員 これは無理かもしれませんが、見通しは明るい、こういうぐあいに受け取ってよろしいですか。
  262. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 新規路線は非常に本数が限られておりますので、一つの市に二本つけるということは、なかなかむずかしいのじゃないかと思います。
  263. 内藤良平

    内藤(良)分科員 大浜線は、私、省略して申し上げませんでしたけれども、それはおのずからぼくの気持ちをあらわしておるというくらいに御理解願えると思います。二つはできないというお答えでございましたが、一つという場合には、いま私発言いたしましたけれども、この路線は見通しは明るい、こういうぐあいに私解釈して一応終わりたいと思います。  次はダムの事業でございます。秋田市内に旭川という川がございます。この周辺は東北でも有名な花街、はなやかな町がございます。これは余談でありますけれども……。このダムにつきまして、これは四十二年度に調査費がつきまして、この改修がいよいよ軌道に乗った、われわれこう思っておる次第であります。ところがことしの予算書を見ますと、治水関係の特別会計、これの中に河川総合開発事業費、治水、ダムの建設事業に必要な経費、これは私数字の見間違いかと思います。三億七百万くらいしか計上されていないと見ましたが、これは間違いないですか、これだけですか。
  264. 坂野重信

    坂野政府委員 そのとおりでございます。
  265. 内藤良平

    内藤(良)分科員 そうしますと、旭川の治水ダムだけにつきましても、四十三年度に事業費は三億円ぐらい。このうち国からは二億二千五百万ぐらいを期待しておるわけでありますけれども、全体の予算が三億七百万ですか、これはあまりに少ない予算ではないかと思うのです。間違いじゃないでしょうか。
  266. 坂野重信

    坂野政府委員 御承知のように治水ダムは四十二年度から調査が始まりまして、四十三年度から一応建設に着工するわけでございまして、秋田県のダムも建設工事の着工の中に入っております。まあ、各ダムとも初年度はなかなか予算を消化できませんので、だんだんやっているうちにピークになって事業をあげるということで、工程的に考えてその程度で間に合うという予算を組んでおるわけでございます。
  267. 内藤良平

    内藤(良)分科員 四十五年までにはこれをでかして、そしていつでも浸水のおそれがある家屋二万五千六百戸、これはたいへんな人家でございます。あるいは農地が百四十ヘクタール、こういう秋田市の中心部をこのダムによって治水の効果をあげようというわけでありますが、四十五年を一応完成に考えて進めておりますが、この三億七百万程度の予算でこの事業あるいは地元の要望にこたえて、国として適切なる指導なり助成が行ない得る、こういうぐあいにお考えになるのですか。
  268. 坂野重信

    坂野政府委員 そのとおりでございます。
  269. 内藤良平

    内藤(良)分科員 そういう御返事を了解して、これもそれでは終わりたいと思います。  次は河川改修事業ですが、秋田の新城川という川が秋田港の北方に流れておりますが、これをつけかえいたしまして、新産都市の港をつくっていこう、こういう計画でございまして、これも御当局ではすでに十分お話が出ておるものと思います。ただ、この点も河川事業予算を拝見しますと、六百六億円、この程度の計上のようでありまして、そして一級河川が九十五カ所、二級が一カ所、中小河川が四百五十五カ所、合わせて五百五十一カ所、これが対象の河川になるようでありますがそういたしますと、大体一カ所一億円程度の予算になってしまうじゃないか、こういう程度のことでこれらの河川改修が円満にあるいは迅速に遂行できるものなのかどうか、これを私、非常に危ぶんだのでありますけれども、この点につきまして一言御答弁を願いたいと思っております。
  270. 坂野重信

    坂野政府委員 御承知のように、建設省といたしましては四十三年度から新規に五カ年計画を発足させるということで、ただいま大蔵省と事務的に折衝をいたしておるわけでございますが、それによりますと、中小河川は思い切って重点的に伸ばしたいというように考えておるわけでございます。総額幾らになるかでございますが、たまたまいろいろな関係で、先生御承知のように、なかなか四十三年度予算は伸び悩みでございますので、四十三年度につきましては、なかなか思うとおりに進捗しないのでございますけれども、それにつきましても中小河川をその範囲内でできるだけ伸ばしたいということで、いませいぜいがんばった予算が、先生おっしゃるその予算でございます。しかし、直轄河川伸び率を申し上げますと、大体対前年が七%ぐらいの伸び率しかございませんが、中小河川のほうは一七%ぐらい伸ばしたいということで、それでもずいぶんがんばっているわけでございますので、本新城川につきましてもそういった観点から、これは港湾との関係がございますので、港湾関係ともいろいろ協議する必要があると思いますが、ひとつできれば四十三年度から中小河川ということで採択するかどうか、ただいま検討中でございます。
  271. 内藤良平

    内藤(良)分科員 御発言よくわかりました。  次にまいります。これは港の合同庁舎の建設の問題でございます。これは、端的に申し上げまして、秋田港の発展に伴いまして、いろいろ港に関係しました官庁がたくさんございますけれども、どうもあちこちに分散しておりまして、住民の皆さんもいろいろ不便が多いということで合同庁舎を建設したいという強い要望がございます。これはもちろん港の利用者も含めてでございます。そこで新しい事業として、秋田の港に合同の庁舎をつくってもらいたいという強い要望がございました。一億五千万程度の予算内容で、これは四十三年度から四十四年度、二年ぐらいで実現したい、こういう内容でございましたが、これにつきましては建設省御当局の取り上げ方なり、あるいは経過なり今後の見通し等、これもひとつざっくばらんなところをお話願えれば幸いと思う次第でございます。
  272. 横山正彦

    ○横山政府委員 お答え申し上げます。  本庁舎は四十三年度予算に調査費八十万円が計上されております。実は現在まだ設置がされておりません機関が一つございまして、来年度設置予定でございますので、それと歩調を合わせる意味において、四十三年度は調査費を計上することにいたしまして、一年間地質その他の調査をいたしまして、四十四年度に工事費を要求して工事を実施する。こういう予定でございます。金額から考えまして、順調にいきますと四十四年度内に完成が可能ではないかと考えるのでありまして、事務当局といたしましてはその予定でおります。
  273. 内藤良平

    内藤(良)分科員 それでは、率直なあれですけれども、大体この地元の要望といいますか、これはまずまず見通しがある、こういうぐあいに受け取ってよろしゅうございますか。——それでは私の予定しました質問を全部終わりましたので、時間は少々ありますけれども、時間短縮の意味で終わりたいと思います。
  274. 松浦周太郎

    松浦主査 次は広沢直樹君。
  275. 広沢直樹

    広沢(直)分科員 大臣にお伺いいたしますが、私も四国の連絡橋の問題を端的に聞こうと思ったのですが、その前に基本的な問題として一つ聞いておきたいと思います。  この間建設省が、今後二十年間の年齢別地域人口の推計をまとめられて、土地問題懇談会に資料として提出されております。それによりますと、これは推計でございますが、社会的な移動の分析ができたというのは建設省としては初めてである。「二十年年後の地域人口は、これからの前半十年間の社会移動によって、決定的な影響を受けることになる」、ずっとこまかいことが出ておりますが、これに対して保利建設大臣は、「都市集中を押えるのにはある程度限界のあることを認めながらも、これからの都市対策を考えるにあたって、都市への人口集中を極力抑制する方向で問題と取組みたい、」こうおっしゃっていらっしゃるわけです。そこで、そういう意向のことをおっしゃったんだろうと思いますが、これは当然一般的に言えはこうあるべきだと思います。そういう具体的な何かお考えを持っていらっしゃるのか、その点第一点として簡単にお願いしたいと思います。
  276. 保利茂

    保利国務大臣 御案内のように、今日の都市対策について基本的に大きな論議があります。大都市論でいくのか分散論でいくのかという議論は、これは国際的な議論のようになっておりますが、私はとにかく今日の東京や大阪の現状等を実際見まして、どうでも都心部にいなければその目的を達することができないという、いわゆる官民を通じての中枢管理機能といいますか、こうしたものを幾ら押えようとしても、押えることが国益に反するということになってまいりますから、その勢いというものは相当強いと思います。そうかといって、また必ずしも都市部になくても十分その目的は——特に教育のこときはもっと落ちついた静かな環境の中で営まれていくということはたいへん大事なことだろうと思います。また工場等にいたしましても、いたずらに公害を発生するような工場が都市部にいるということはいかがであろうか。そういうものはできるだけなにしていただくということを考える、したがって各地方がそれぞれ地方都市を整備して、ある程度、東京、大阪、名古屋の三大都市圏に集中していく勢いを何とか防ぎとめるという手は考えなければいかぬのじゃないかと思います。
  277. 広沢直樹

    広沢(直)分科員 集中か分散かという問題もありますが、先日も総理は、基本的にはやはり分散の方向へ持っていくべきだ、それはそうだと思うのです。全国総合開発計画というものができた。これもやはり拠点分散方式をとっておりますから、当然これは新産都市や工特地域なんかを設けておりますし、これも分散傾向にあるということはいいと思うのです。しかしそれだけの結果では、いま申したとおり、いままでの実績が示しているとおり、人口集中を食いとめていくことはできない。もう少しさかのぼって国土総合開発法に基づいて全国にブロック開発促進地域別のブロック開発促進法というものができておりますし、四国なら四国開発促進法、そういうわけで、どうしても今後の地域開発考えていく上においては、これはブロック的な地域開発というものに力を入れていかなければいけないのじゃないか。ところが開発促進法というものは、これはブロック別にできておりますけれども、たとえば四国においては四国開発審議会というものが法に基づいてあるわけです。しかし実際の計画とそれから実施というものは、これは一体化されていないわけです。例をあげれば北海道です。具体的ないろいろな問題はありますが、やはり国土開発法の当初の趣旨というものが資源開発であった。これに基づいて、北海道はもちろん未利用資源が多いということで、北海道開発というものが強力に進められてきているわけです。しかし今日考えてみれば、非常にその成果をあげてきているのじゃないか。したがってどうしても部分的な新産都市をつくる、これもけっこうだ、これも進めていかなければならない、あるいは工業特別地域、これも当然必要だと思うのです。しかしやはりいまの日本全体がメガロポリス化していこうとしていく中にあっては、これはやはりブロック地域開発というものを強く進めていかなければならない。そういうことを考えてみますと、いま地域開発の最大のガンになっているのは、各省の縦割り行政というものが一つあげられると思うのです。その当該地域開発計画を進めていく上においても統一的基本方針、それに従っていろいろ作成されていっておりますが、実施の過程において産業政策だとか、あるいは農業政策だとか、あるいは交通政策だとか、あるいは都市政策だとか、住宅政策だとか、あるいは河川、公害問題、各省の所管行政の区分がなわ張りといっていいでしょうが、非常にばらばらな行政が行なわれているということが一点あげられると思います。その中央の縦割り行政がまた補助金政策と連なっておりまして、都道府県の段階に持ち込まれて、都道府県の中でもやはりその地域開発について統一性が欠けている。そういったことから開発計画あるいは企画の機関と実施機関との間に、権限と責任あるいは有機的な関係、また開発行政の実施結果においての評価、監督すべき明確な権限と責任の機関が存在しない。  そこで、私は意見として申し上げたいのですが、その開発計画の策定と実施を担当する関係行政機関をここで一元化すべきじゃないか、たとえば国土省というような新機構を新設をする必要があると思うわけでありますが、この点についての大臣の見解を承っておきたいと思います。
  278. 保利茂

    保利国務大臣 国土総合開発計画というものができるだけ完全なものが持たれて、そして各ブロックがこの総合開発計画にのっとって適合するようなそれぞれの実施計画を持っていくというような考え方構想はたいへんよくいっていると思うのですが、私は大体あなたの考えに賛成でございますが、もう一点、一体縦もさることだけれども、横の何というか、いわゆる今日の行政区域というものを乗り越えて、そういうブロック開発計画等が持たれるゆえんというものも、やはり広域経済、広域行政ということが実際に生かされていかなければならない時期にきておるのじゃないか。でないと、同じ県にしましても、こっちはりっぱな工業地帯になる、こっちは閑静なベッド地帯になるというようなことが、いまのままですと、こっちも産業開発をやらなければいかぬ、おくれる、無用なところへ煙突を立てるというようなことが起きていくのが現状じゃないかという反省も、私自身はいたしておりますが、たいへん大きな問題でございます。うっかりこれは発言もできないわけでございますが、そこで、ちょうどお話しのように、大体中期計画をとっておるが、そういうものじゃいかぬと思う。むしろ国土総合開発計画を総論から各論までおろすように国土省的考えを持てという御提案でございます。構想としては私はたいへん魅力を感じますけれども、実際責任ある立場におる者といたしまして、さようでございますと申し上げることは……。ただ構想としては私も賛成であります。
  279. 広沢直樹

    広沢(直)分科員 それはいま建設大臣の所管ばかりじゃありませんから、ここできめろとかそういう意味じゃありませんが、大臣の御意見を承ったわけであります。  そういった見地から見た場合、四国の総合開発ということを取り上げて具体的にお聞きしたいと思っておりますが、御承知のように四国四県に分かれておりますが、これはやはり地理的な関係もありますし、社会的な関係もあり、経済的な関係もあるわけで、四国開発審議会というのがあって、鋭意努力はしているようでありますが、現実にいま言った、先ほど指摘した問題がありまして、具体的に進んでいっていない。特に地域開発、何といっても幹線道路というものを整備していかなければ——もちろん鉄道もそうでありますし、通信もそうでありますが、やはり一番基本的なものは道路だと思うのです。四国全体を見てみた場合において非常に道路がおくれている。改良あるいは舗装ですね。そういったものがやはり全国平均から下回っているわけです。今年度でようやく三十二号線と三十三号線がほとんど完成している。ところが五十五号線にしてもあるいは五十六にしても、まだこれは端緒についたようなところであって、具体的に計画というものが進んでいってないところがある。現在の状況からすると二、三年おくれるんではないか、こういうふうにも懸念されているわけでありますが、特に五十五号線についてどういうふうになっておりますか、ひとつ説明願いたいと思います。簡単でけっこうです。
  280. 保利茂

    保利国務大臣 具体的には局長からなにしますが、私の基本的な考えは、私は四国はあの県この県ということでなしに、四国一体という考え方で力を入れてみたい、私自身はそう思っております。したがって、先ほど申しますような広域的な見地からやらなければならぬ。私のたまたま担当いたしておりまする道路のごときはその最も好例でございますから、あの県だけよくなればいいというわけのものでもございません。四国全体が有機的に動いていくように一日も早く持っていきたいということで考えております。そういう考え方でひとつ……。
  281. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 五十五号については四十三年以降、残事業百十三億がございます。四十二年は二十五億でやっております。ただ非常に工事がむずかしいところもございます。かなり規模の高い改良工事をやっておる関係もございまして、できるだけこれを進めたいというふうに考えておりますが、いまの予想では四十五年くらいには全部完成するんではないかというように考えております。
  282. 広沢直樹

    広沢(直)分科員 それをひとつおくれないように進めていただきたいと思うわけであります。  そこで、その循環道路、それが全部できますと、四国は一とおり沿岸の循環ができるわけでありますが、やはり何といってもこの四国の開発というのは、四国山脈があるしあるいは讃岐山脈もあって、一つの壁ができているわけです。しかしいま建設大臣がおっしゃったように、総合的な開発を進めていくということになりますと、やはり道路網を拡充していくには、いま調査を進めております縦貫道路と横断道路、これを早く進めていかなければならない。これがひとつおくれているといいますか、まだ基本計画の策定の中に入ってない理由を簡単にお願いしたいと思います。
  283. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 四国の縦貫自動車道及び横断自動車道につきましては、昭和四十一年七月に国土開発の縦貫自動車道建設法の改正に伴いまして、予定路線を一部変更してきたわけでございます。その後、いろいろ調査を続けております。何ぶん四国中央部の山岳地帯には地形が急峻であるというほかに地すべりその他もございまして、その地形、地質の精査を現在実施しておるわけでございます。全部こういうむずかしいところばかりでもございませんので、できるだけ早く、全部と言わずに一部できておるところの基本計画を早く出したいというふうに考えております。
  284. 広沢直樹

    広沢(直)分科員 これは県の道路整備計画あるいはいまの縦貫道路あるいは横断道路の問題については、やはり来年度四十三年度にその基本計画に組み入れられる、こういうように考えておったわけであります。そうすると四十四年度から整備計画の中に入ってくるんじゃないか。当然延長になった分はありますが、第一期に考えたその線の調査が終われば、ひとつその次元においてそれに入っていく。延長になった分はいろいろあります。新産都市の関係がありまして、徳島を起点としているのを阿南を起点にしてくれという問題もございます。また大州市だったのを松山に延ばす、これが入っていると思うのです。しかし基本計画、最初の計画ができた段階において、これはすぐに基本計画に組み入れて進めていってもらえないものであるか、その点について。  それから本年度はどうしてもいま入ってないわけでございますが、四十四年度においてはこれが基本計画に組み入れられていく、こういう見通しについてもどうであるかひとつ伺っておきたい。
  285. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 先ほどお答えいたしましたように、いま調査を急いでおるのでございますが、縦貫道すべてそうでございますが、まず基本計画をつくりまして、それから整備計画を出すという順序になるわけでございます。基本計画につきましては、徳島から松山まで行く場合にやはり吉野川の右岸を通るか左岸を通るかというようないろいろの問題もあります。そういうようなことで大体の計画がきめられれば、基本計画をつくるということになると思います。整備計画はこれはすぐ工事の着手につながるものでございます。やはり国の財政その他を見まして逐次整備計画をふやしていくという段取りになろうかと思います。先ほどの基本計画につきましては、これは先ほど言いましたように、四国の縦貫、横断全部につきましてはまだ山のどっちを通るかという問題で相当調査を要する点もございますが、そういうものがないところ、比較的はっきりしているようなところについては、実はなるべく早く、早い期間に基本計画だけは策定してまいりたいというふうに考えております。
  286. 広沢直樹

    広沢(直)分科員 早い期間というのは、大体予定から考えてみますと、ここに一応当初の計画のなにがあるのですが、四十三年度は基本計画に組み入れられる、こういう予測であったのがちょっと延びているわけです、いまおっしゃったような理由で。ですから四十四年度、これは一応計画に組み入れて具体的にそれが進められる、こういうふうな積極的な見通しについてひとつお伺いしておきたいと思うのですがね。
  287. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 基本計画につきましては、一部については私はっきり申しますと、いま非常に調査を急がせておりますが、その調査ができますれば四十三年度中には一部でも入れたいというふうに考えております。
  288. 広沢直樹

    広沢(直)分科員 四国の架橋の問題に入ってまいりますが、一応架橋地点の問題等でいろいろ陳情があったり、政府のほうとしてもいろいろ考えていらっしゃると思うのです。それこそばく大な費用をかけて国がすべてやるべきでありますが、各県においてもこれが進められてきた。それが将来りっぱな橋ができるということになれば、何も決してむだ使いでもないわけでありましょうが、やはりこの点についてはいま徳島にしても兵庫にしてもあるいは香川にしても岡山にしても、あるいはまた松山、広島とありますが、そういうところが、これの架橋地点のことでいろいろ問題を起こしております。しかもここ十年くらいの間この問題がずっと続けられてきた。この一番の問題点は、やはりいま言った四国の開発がおくれてきたということが端的にしのぎを削るような問題になったのではないか。縦貫道路の問題あるいは横断道路の問題、一番四国の開発の基幹をなしているのは道路だろうと考えるわけですが、ようやくにして循環のほうもいま徐々に入っているというような状況でありまして、一回橋がかかったらすぐ地域開発が進むという問題ではなくて、やはり四国内の道路網、基幹道路というもの、あるいは交通というものが整備されていって、橋の問題ももっと具体化するのではないかと思うわけです。そういう意味合いにおいてもこの横断あるいは縦貫道路はぜひとも急いでいただきたいし、またそれにつながる高速道路あるいはバイパスの問題にしても、今後はひとつ力を入れて推進していただきたい。先ほど建設大臣も四国は一つということで進めてまいりたい、こういうことでありますから、その点は強く御要望申し上げておきたいと思います。  もう時間がありませんので、最後になりますが、この橋の問題については、やはり十年先、二十年先の経済効果ということが、これは常識論として論じられております。先日も工費あるいは工期の発表があったときに、建設大臣は、経済効果あるいはまた工費の問題、それから航路の問題等、種々の問題を検討して、これは適切に考えていきたい、こういうお話がありました。  そこで、やはり経済効果というものは、十年、二十年という国土総合開発計画の上から考えていけば、これは重点考えていくべきじゃないか。少々工期がかかったとしても、工費が要ったとしても、経済効果ということは重点考えていかなければならない。それは、長期的に考えた場合に経済効果が十二分に出てくる問題であるならば、工費が少々高くかかっておろうとも、工期が少しぐらい延びておろうともこれは当然じゃないか、こう考えるのですが、その点について簡単にお答えいただきたいと思います。
  289. 保利茂

    保利国務大臣 お説のとおりだと思います。要は、十年後、二十年後の四国の道路網がどこまで達成されておるか。まあ、そのころは達成されておらなければならぬと思うわけですが、そういうときに、四国というか、そのときは、四国というのは本土だと思うのでございますけれども、本土における四国の経済的役割り、地位、そういうものを考えて、当然違算のないように、そうして近ごろは進んでおりますから、いろいろのデータをもとにしてコンピューターにでもかけまして、こういう資料、データをのっければこうなる、こういうデータをのっければこうなるというような電子計算機等の活用によって、おさまるところへおさまっていくようにしなければならないと思います。(広沢(直)分科員重点はやはり経済効果を重点考えるということですね。」と呼ぶ)それはまあ、いろいろ関係閣僚懇談会でも設けますならば非常にやかましい議論になるところで、あなたと同じような御議論が盛んに行なわれるであろうということは、私も当然想定いたしております。
  290. 広沢直樹

    広沢(直)分科員 時間がありませんから、最後にもう一点だけお伺いしておきますけれども、いまの経済の問題、当然これは重点考えられるべきだと私は考えますが、ただ、先日もやはり都市化の問題が、都市集中という、近畿圏に対する、あるいは首都圏に対するそういう問題が起こって、過密、過疎という問題が起こってきておるわけです。それを、いま五本のルートがありますから、まあAルートといわれるルートに結べば、これは近畿圏のほうにかえって逆流していくんじゃないか、こういう話もあるわけです。しかしながら、これは全体的に新幹線もでき、広島までついていっても一時間四十分ぐらいで行くんだし、やはりこれは全体としては、将来を考えていけばいろいろ議論は分かれるかもわかりませんけれども東京を中心とした一つの大きなメガロポリスというのですか、そういうような一つの中心的な考え方もある。しかし、やはり近畿圏を中心とした都市化というものは、当然将来も考えていかなければならないということになる。ということになると、四国はどちらに——そういうことがあるから人口が集中するのだということではなくて、いままでの形態から見ましても、やはり大阪を中心とした近畿経済圏の中に中国あるいはまた四国というものが含まれていく、単にそこへ橋をつけたからということだけで、それがかえってつけ方によって違ってくるという異論というのは、私、どうも大きな見地からいった場合、合点がいかない。その点に関して、これは時間がありませんから一言だけ意見を聞かせてください。
  291. 保利茂

    保利国務大臣 いろいろな角度からデータがそろいましたならば、関係閣僚懇談会において討議を尽くされると思いますが、ただいまの御意見は、重要な御意見として伺っておきます。   〔主査退席、湊主査代理着席〕
  292. 広沢直樹

    広沢(直)分科員 もう一点だけお伺いします。  そうすると、四国と九州とを結ぶ橋、これはまだあまり具体的に聞いておりませんが、将来の幹線道路構想、あるいは運輸の関係はここで聞いてもわかりませんが、将来そういう構想は、まあ十年、二十年先ということを建設大臣もおっしゃっておるわけでありますから、そういう構想はあるのかないのか、ちょっとお伺いしたい。
  293. 保利茂

    保利国務大臣 ただいまのところ、私はその九州、四国の間に橋をかけるという話は、どこからもまだ伺っておりません。したがって私の頭にもありません。
  294. 湊徹郎

    ○湊主査代理 それでは、八木一男君。
  295. 八木一男

    八木(一)分科員 保利建設大臣はじめ建設省関係の皆さま方に、また大蔵省から来ておられる主計官の方々に御質問を申し上げたいと思います。建設省関係で御質問を申し上げたいことはたくさんあるわけでございますが、本日は同和問題にしぼって御質問を申し上げたいというふうに考えているわけでございます。  先日、予算委員会の一般質問で、佐藤内閣総理大臣はじめ関係閣僚の方々に同和問題についての御質問を申し上げました。総理大臣は、同対審の答申の急速な完全実施の問題について、ぜひ完全にやりたいという決意を披瀝されましたし、また、その中の中心的な課題でございます同和対策特別措置法についても、二年のおくれを取り返して、今国会に必ず成立するような時期に十二分の内容を含んだ法律案を出すことをお約束をいただいたわけでございます。その後、各大臣に、国務大臣として、それから各行政官庁を主管をなさる方として、御決意をお一人お一人伺いたかったわけでございますが、時間が切れまして、有力閣僚でございます保利さんに御質問ができなくて、非常に残念に、かつ失礼に存じておったわけでございます。   〔湊主査代理退席、主査着席〕  その点で、この分科会で特に保利建設大臣に、政界の先輩として、ことに、内閣総理大臣の非常にお親しい先輩であり、協力者である保利さんに、総理大臣より以上の御決意でこの問題をあらゆる意味で推進していただく前向の御熱意のある御答弁を賜わりたいというふうに思うわけでございます。
  296. 保利茂

    保利国務大臣 過去長い間の国会において、また先日の予算委員会において、八木委員がきわめて御熱心にこの問題を取り上げられてやってこられておることに対して、私も敬意を表しております。総理大臣とのやりとりも一々拝聴をいたしておりました。どうか、あなたと総理大臣のやりとりが実を結びますようにと、私も陰ながらそう思っておるわけでございます。  建設省の所管するところ、主として住宅の問題が中心になるわけでございます。ずいぶん手ぬるいというお感じはございましょうけれども建設省としましては、優先的に考えるというようなことで、年来配慮をいたしてまいってきておりますことを御了承いただきたいと思います。
  297. 八木一男

    八木(一)分科員 建設省のおもに住宅を中心とした問題については、質問の後半にまた申し上げたいと思いますが、実は、同和問題全体の推進について、私ども昭和三十二年ごろから十年間ぐらい取り組んでおりますが、それと取り組まれた諸先輩も、最近取り組んでまいりました私も、共通した悩みがあるわけでございます。また、それに熱意を持っておられる総理大臣もそういう悩みをお持ちではないかと思うわけであります。  と申しますのは、この問題の認識は地域的に非常に差がございます。非常にりっぱな政治家であっても、りっぱな公務員であっても、たとえば青森県、北海道の方には、事象をじかに御存じありませんから、ぴんとこられないわけであります、その他についてはいかに優秀な方であっても。そういうことであり、また、関西と関東では認識の度合いにおいて大きく違います。これは各大臣、各政治家、それから各省の公務員の方、あるいは報道陣の方も、すべてに通じて、関西における認識と関東における認識では非常な差があるわけであります。その問題が問題の根本解決を非常にゆるやかに、まあ進めることのブレーキになっておるわけです。私ども一生懸命に私どもなりに努力してまいりましたところ、たとえ東の地区の方であっても、熱心に申し上げますと、それを理解しようとつとめられまして、それで御努力になりますけれども、それまでに一両年かかりますし、その方々が熱意を持っておわかりになったころにかわってしまわれまして、またその事象の薄い地区出身の方がおなりになりますと、その方方が熱意を持たれるまでに一、二年かかる。そういうようなことで、いつもスピードが鈍くなるわけであります。ことに、実はこれは佐藤内閣総理大臣も苦心をしておられると思いますが、岸内閣のときに、昭和三十三年三月十二日の日に、質疑を通じまして内閣と国会との約束になりまして、それで国会を通じて国民との約束になった基本的な原則がきまったわけであります。この問題については日本全国民の責任であって、当該の同和地区の人たちの責任では一切ない。それから、この問題が起こったのは徳川時代以来のあらゆる政府の責任であって、これを解決するためには、今後すべての内閣、何党の内閣であろうとも、どなたが総理大臣になられようとも、どなたが閣僚になられようとも、これを完全に強力に推進して解決をせねばならぬ、そういうことについて政党利己心はお互いに一切排除して、政府の責任でやっていかなければならないということについてお約束ができまして、それを進めるために強力な審議会を置いて、根本的に調査をし、審議をし、方針を出す、その結論を出すまでは、各省でやっておったことで有効と思われることをどんどん進めていく、その審議会の結論が出たならば、結論を完全に、十二分に、急速にやってもらって解決に当たろうというふうに約束ができまして、その経過をたどってまいりました。  ところが、各般のところで担当される方が、昭和三十三年からの約束の事態を御存じない方もありますし、聞いても、そんなことはたいしたことはないと思われる方があるわけであります。でございますから、ちょっとした認識でその問題についての認識を変えられる方があるわけであります。たとえば、この問題の事象の少ない方々のときには、そう差別も貧乏もなさそうだからそれほど取り組まなくてもよかろうと、たとえば岩手県なり山形県出身の政治家なり公務員の方々は思われがちであります。それからまた、九州でも福岡の方はかなり思い詰めておられましても、そのほかの府県では少し事象が量的に少のうございますから、重要性についての認識が少し違うわけでございます。そこで、そういう事態であとからこの問題に幾ぶん関心を持たれた方が、眠った子を起こすなという非常に間違った考え方のもとに、そんなに強力にしなくてもいいのじゃないか、法律は必要ないのじゃないかということを、その方としては悪意を持っておられないかもしれませんが、思う方がございます。それが非常にブレーキになるわけであります。というのは、事象の少ない人の場合はわかるのですが、近畿なり中国なり四国なり北九州なり、事象の多いところの方でもそういうことを言われる方がなきにしもあらずです。そういう方々を、私が一生懸命考えて分析をいたしますと、同和地区出身の方々にそういう方方が意見を聞かれる。それで、意見を聞かれる相手の方は、各級議員になっている同和地区出身の人とか会社の社長になっている人とか、部落出身の、同和地区出身の出世をした人たちとつき合いが多い、また、積極的に話しに来られる人もその地区から出て出世した人で、したがって、そういう方々は自分みずからの努力と連のよさと両方ですでに社会から先生と呼ばれ、社長と呼ばれ、差別からは大体解消された人たち、それから本来出世をいたしておりますから、極端な貧困をもう脱却をしておられるわけです。同和地区出身のそういう差別と貧乏から脱却をした人たちの意見を聞かれますので、もうだんだん解消をしかけている。だから、そんなに大きく取り上げなくてもいいのだ、あるいは、極端な人になると、取り上げられると昔を思い起こすからかえって迷惑だというようなことを言われる方がたまたまございます。同和地区出身の方の意見を聞いてそういう判断をされると、ちょっと興味を持った方は、それじゃしないほうがいいのかというような誤認をされることがしばしばあるわけでございます。それが問題の解決をとめていると思うわけでございます。その同和地区出身の方で政治家や何かとつき合われる方は九牛の一毛でありまして、百人のうち一人もいない、千人のうちの一人しかいない人、差別と貧乏を脱却したと思われる人の意見は、これはほんとうに苦しんでいる人たちの意見ではございませんで、ほうとうに苦しんでいる人たち状態は、すでに差別が現存しているから、そういうものを眠った子を起こすなと言ってそっとするのじゃなしに、その事象について徹底的に政治がこれを解明をして、それを直すための根本的な強力な政策を急速に打ち出すということによって、消えやらない差別を消えやる方向に持っていっていただきたいというのが熱望でございます。  そういう間違った、眠った子を起こすなというような意見がちょっとずつ反映しまして、そういうことが各省においても政党においてもブレーキになりますので、どうかこの問題について一生懸命に考えて、政府といろいろ私もやってまいりましたし、ほかの同僚もやってこられましたし、特に佐藤内閣総理大臣が深く理解をされて、そういう私ども考えと同じで、抜本的に早くやりたいというのを何か足を引っぱる声が少しあるということで、佐藤さんはこの一、二年、その点については苦しんでおられたと思うのです。どうか、有力閣僚でおありになります保利さんは、そういうことがなければよろしゅうございますけれども、そういう事態が閣内において、あるいは政党内において、その他のところでそういうことがございましたら、そうではないんだということで説得をしていただきまして、それで政府と国会の約束が完全に早く実現するように、その中で同和対策特別措置法の完全な、十二分な内容のものが今国会に必ず成立するように、先生の非常に、強力な御熱意のある政治力を、建設省だけではなしに、政治全体でひとつ動かしていただきましてこの問題を進めていただきたいということにつきまして、ぜひ前向きの御熱意のある御答弁をいただきたいと思います。
  298. 松浦周太郎

    松浦主査 八木さんに申し上げます。  専門的な所管事項じゃないのですが、本分科会は所管事項がまだたくさんありまして、貴重な御意見でございますけれども、そういう御意見は皆さんの御意見が済んでからお願いしたいと思います。本分科会は質問通告者がまだ六人もあるのです。所管事項で一ぱいなんです。非常に御貴重な御意見でございますけれども、それはひとつあとで……。
  299. 八木一男

    八木(一)分科員 これから建設省自体の問題に入りますので、いま申し上げましたことについて建設大臣から御答弁を願いたいと思います。
  300. 保利茂

    保利国務大臣 私も、この間予算総会でそういう心配をされておる御存意をよく伺いまして、承知しております。  実は、私の地域にも相当のことがあるわけでございます。私も多くの友人を持っております。また、つき合いもいたしておるわけでございます。しかし、ただいま御指摘になりました点はそのとおりだと実は思うのでございます。幸い、閣内に当面最大に関係の深い厚生大臣もその問題には非常に深い理解を持っておると思っておりますし、私どもも総理大臣が心配されている線でできるだけの協力を、これはもう当然のことでございますから、いたしてまいりたいと考えております。
  301. 松浦周太郎

    松浦主査 所管事項に限ってお願いいたします。ほかの方、まだ六人も残っておられますから……。
  302. 八木一男

    八木(一)分科員 時間内でやりますから……。
  303. 松浦周太郎

    松浦主査 時間内であっても、所管内にお願いいたします。これは第五分科ですから……。
  304. 八木一男

    八木(一)分科員 主査、そうおっしゃいましたけれども、そういう観点で建設省の問題を申し上げますので、主査も時間内で御協力いただきたいと思います。  実は、建設省の同和関係予算で本年度要求されたものがやや削減をされているわけであります。御要求は五十億四千五百十三万円、本年度の予算案に盛られたのは四十二億八千五日四十万円ということになっておると思いますが、そのとおりか、簡単にひとつ、政府委員の方でけっこうですから……。
  305. 三橋信一

    ○三橋政府委員 住宅関係だけ申し上げます。  住宅関係につきましては、先生御存じのとおり、公営住宅あるいは改良住宅、それぞれのワクの中でやっております。それから、そのほかに住宅改修資金の問題がございます。これらはすべてそのワクの中でやっておりますので、これが削られたということは、住宅関係につきましては一般的にはいえないと思います。ただし、改修融資につきまして二千件というのが千四百件ということになりまして、これだけは先生のおっしゃるとおり若干内輪になっております。あとはワクの中ですることになっております。
  306. 保利茂

    保利国務大臣 同和対策関係事業建設省としては住宅局、都市局を通じまして四十二年度が三十三億三千余万円でございます。四十三年度は四十二億八千五百万円というように、かなりの伸びを示しております。
  307. 八木一男

    八木(一)分科員 これは同和対策全体について総理府からいただいた資料でございますが、それでは公営住宅建設について、それから住宅地区改良事業住宅改修資金貸付事業、これは住宅局ですね。それからあと街路事業、区画整理事業、下水道事業ということで、そのおのおのの第一次要求といまの予算案の決定額の差が出ている資料でございます。そこで総計で見ますと、予算案では要求額が五十億四千五百万円で、決定額が四十二億八千五百万円という数字がございます。多少の入り込みについては、時間がありませんからいいですが、削減をされた事実、第一次要求よりも決定が少なくなった事実について伺っておきたいと思います。
  308. 三橋信一

    ○三橋政府委員 住宅局につきましては、削減をされましたのは、ただいま申し上げた改修融資の件数だけでございます。
  309. 八木一男

    八木(一)分科員 街路事業については、都市局の関係ですけれども、どうでしょう。
  310. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 街路事業につきましては、四十三年度は四十二年度より伸びております。ただ、先生のお手元にある要求の資料というのは、ちょっと私ただいま数字を持ち合わせておりませんから……。
  311. 八木一男

    八木(一)分科員 はっきり聞いてください。四十二年度から四十三年度に伸びたという数字を伺っているのじゃないのです。時間がありませんから耳をほじって聞いてください。  あなた方の各部局が要求された金額より決定額が少なくなった事実について伺っているわけです。
  312. 保利茂

    保利国務大臣 これは八木さんのおしかりをいただくところでございますが、とにかく、同和対策関係事業につきましては、冒頭申し上げましたように、建設省としては優先的にこれを扱うというたてまえでやってきておりますけれども、来年度の予算編成の事情からいたしまして全体が非常な圧縮を受けたものでございますから、比較的優先の意思は通っておりますけれども、額がそのとおりにあらわれていないというおしかりはあえて甘受しなければならぬところだろうと思うのでございます。しかし、ために優先的な扱いをしなかったということではございませんことだけは御了解をいただきたい。
  313. 八木一男

    八木(一)分科員 建設省関係の同和予算が、ほかの省に比べて実額も多いし、伸びていることは私わかりますけれども、問題の重要性から考えたら、ほかの省に比べて努力が見えても、それだけでそのままにしておける問題ではないわけです。  特に、大蔵省の主計官がいますので、ちょっとこっちへ来て聞いてください。大蔵省にはほんとうに一言残らず聞いておいていただきたいのですが、この建設省関係はじめ、大蔵大臣にいろいろな問題について伺いました。そこでしばしば財政硬直化ということばを言われる。財政硬直化というのは、この二、三年の現象の問題であります。硬直化ということば自体にも問題がありますけれども、たとえば租税特別措置法をもっと大きく改廃をすれば歳入の硬直化はないという問題もあります。ありますけれども、とにかく、そういう問題も含めて二、三年の現象の問題でありますが、同和問題の解決という問題は、数百年の問題、明治以来百年の問題、政治の課題となってから十数年の問題を解決する問題であって、この二、三年の財政事情等でブレーキをかけられるべき筋のものではないのであります。この点、大蔵省は全員同和対策審議会の答申を一字一句残らず読んで、しっかり認識をし直さなければ、国会と政府との約束、そして総理大臣の熱意をあなた方が裏切るということになるわけであります。それは大蔵省全体に伝えておいていただきたいと思います。答弁は要りません。  そこで、建設大臣とされては、いままで予算の実額はほかの省より多い、それから、その中のパーセンテージも多いということはわかります。しかし、問題はこの程度ではいけない問題でありまして、実は明治時代に秩禄公債というものが武士に支給されました。その金額は二億一千万円、現価にすると、卸売り物価と消費者物価でこれは計算は違いますけれども、二千七百億円ないし五千億円に当たる金額であります。その後年率三%でそれを拡大していきましたらどのくらいになるかと計算すれば、何兆という数字であります。それから開発途上国が先進国に対して国民所得の一%の援助、協力を要求しておられる。そういうことが当然であるとするならば、国内における後進地帯に対して当然日本国政府がそういうことについて対処しなければならない。そうなったときに、国民所得の一%、年間何千億というものが毎年支出をされなければならないということも言い得るわけであります。  そこで、大蔵省は全部で六十一億五千万円、その中で建設省予算の比率が一番多いわけでありまするけれども、そういうようなもので三一%ふやしたから多いのだというようなことを大蔵省はよく言う。建設省がその中でも歩どまりがよかったからということでは、本格的にこの問題をやることにはならない。同対審の答申が出ているから、その問題を完全に、十二分に果たすということは、特にその中の重要な問題である住宅問題をかかえておる建設省の方々はじめ、本格的に対処するには、いままでの予算率を、予算に対して何%かけるという考え方は絶対に排除をして、本格的にかかるときにはそういう率などは一切顧慮しないで必要なものを計画をし、要求し、大蔵省はびた一文も削減をしないということが必要であります。六十一億五千万円のような削減をしたり、七十七億円というような、この問題に関しては少額な要求で、ただの一文も削減をすることは、憲法の十一条、十四条あるいは二十四条、二十五条、二十六条、そういう基本的な違反の問題を解決しようとする、憲法を重視しなければならない国の姿勢に対して大蔵省がブレーキをかけていることになり、そしてまた、大蔵省の削減を許された建設省もそれにブレーキをかける役割りを果たされたことになろうと思う。そういう点について、大蔵省は聞いておいていただくだけでけっこうでございまするが、どうかそういう気持ちで対処をしていただくことについて、建設大臣からひとつ明快な御答弁を願いたいと思います。
  314. 保利茂

    保利国務大臣 極力明るい社会をつくり上げなければならない。いろいろな苦労はありますけれども、とにかく、一日も早く八木委員の描かれております明るい社会をつくり上げることに全力をあげてまいりたいと思います。
  315. 八木一男

    八木(一)分科員 そこで、具体的な問題を申し上げますが、たとえば住宅の建設がその中の一番大きな部門を占めます。環境改善も就職の対策も零細農業、零細企業に対する対策も必要でありますが、具体的には、住宅が非常に狭く、老朽化しまして、人間らしい生活をすることに非常に欠けておりますので、住宅問題は具体的な問題としては非常に重要な問題になります。建設省がいろいろそういうことについて政策をなされました。建設省の補助率はほかの省よりはましであります。しかしながら、その補助裏といいますか、各地方公共団体がその補助裏についての負担という問題が起こるわけであります。ここでしばしば超過負担という問題が、ほかの問題でも政治の重要な課題でございますが、特に同和対策については、その地区の方々にそういうものを負担させることは一切許されない状態でありますし、同和地区は集中した府県は集中している。集中した市町村は集中している。したがって、しなければならないことが多いけれども、そこに超過負担があり、補助裏があればそれだけ市町村が苦しむということになります。苦しめば、それをなまけるか、なまけないでそれをやった場合に、ほかの人たち、市町村民に対する施策がそれでブレーキがかかりますから、そういうことで、そこで差別の再生産をするおそれがございます。したがって、そこで一切のそういうような市町村の超過負担になるようなことをしないように、たとえば高率補助が必要である。たとえば補助対象が建物だけに限らず、その他すべての補助対象に対して補助をすることが必要である。たとえば実質単価が絶対貫かれなければならない。たとえば、それ以外の地方負担について特別交付税が完全に支給をされなければならないという問題がございます。そういう問題について、この間大蔵大臣は、それについて原則的に——原則的というか、そういうことを考えてやるということの答弁をいただきました。しかしながらその問題は、ほんとうに住宅の問題をはじめ、建設省の方々をはじめ、一切のそういう同和対策を解決するための指導をやる主体官庁が、それを大蔵省その他自治省、そういうところに強く要求をせられて初めてこの問題が具体化すると思うわけであります。その点について、ぜひ建設省が各省を引き連れて、補助裏、地方の自治体の負担によってその問題がブレーキがかからないように、大蔵省、自治省も思い切ってこの問題の本質をわきまえて、高率補助あるいは補助対象の完全、それから実質単価、同和対策特別交付税の完全な支給をされるように、建設省として、また国務大臣としてぜひ強力に推進していただきたいと思いますが、国務大臣の前向きな御決意を伺わしていただきたいと思います。
  316. 保利茂

    保利国務大臣 問題の本質を見失わないように、ひとつ全力をあげてやるようにいたしたいと思います。
  317. 八木一男

    八木(一)分科員 いまの前向きな御答弁でございますが、私の申し上げたことに御賛成で——具体的なことをいろいろ申し上げました。そういうことについて、全面的に御推進になる御決意だと私は理解さしていただきたいと思いますが、その点、もう一回明確にひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  318. 保利茂

    保利国務大臣 大蔵省に要求いたすものをびた一文まけないというようなかまえではやらなければならぬのですけれども、お説の、住宅の問題にいたしましても、現在の東京都の実情からしましてもこのようでございますから、全体の中において、そして、いまのあなたのおっしゃるような気持ちを失わぬで扱ってまいるようにいたしたい、こういう考えでございます。
  319. 松浦周太郎

    松浦主査 八木委員に申し上げます。  あと、時間がありませんから結論に入っていただきます。
  320. 八木一男

    八木(一)分科員 時間がありませんから繰り返す時間がございませんけれども、先ほど私の申し上げたこと、それ全部について十二分に御理解をいただいて、そのようなことでやっていただく御決意だと理解をさせていただきますが、そういう点でひとつそのとおりだとおっしゃっていただければ非常にけっこうだと思います。
  321. 保利茂

    保利国務大臣 私は八木委員のお考えは一〇〇%理解いたしております。
  322. 八木一男

    八木(一)分科員 その点で強力に実行していただけますか。——それでは……。
  323. 松浦周太郎

    松浦主査 次は、中野明君。
  324. 中野明

    中野(明)分科員 私も、今国会を通しまして、本州と四国の架橋の問題でいろいろ議論がかわされまして、四国というものが非常に大きく浮かび上がってまいったような感じを受けているわけですが、先ほども広沢委員のほうからも話がありまして、そのとき大臣からも、四国は一つとして考えていこう、そういうふうなお話がございましたが、私たちも四国のことを見てみまして、非常に地域開発がおくれて、後進性を絶えずいわれているわけでございます。この後進性を打破するためには、何といいましても、鉄道と道路、こういうことが優先していくことは常識でございますが、きょうは鉄道のことはさておきまして、四国の島内を循環しておりますこの道路のことにつきまして、国道十一号と五十五、五十六号が四国を一周しているわけですけれども、十一号はやっと完成したようでございますが、五十五号と五十六号がおくれまして、非常な発展の阻害になっているようにも私たちは思うわけであります。そこで、この五十五号、五十六号の工事の進捗状況を簡単にお聞かせ願いたい。
  325. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 五十五号につきましては、ただいまの現況を申しますと、二百十五キロありまして、そのうち改良済みが五五%、舗装済みが四二%になっております。五十六号につきましては、これは実延長が二百九十四キロございまして、改良済みが六〇%、舗装済みが四二%という状況になっております。
  326. 中野明

    中野(明)分科員 大体完成は、五十五、五十六に分けていつごろですか。
  327. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 これはできるだけ早く完成したいと思っております。いま、この数年、四十三年も重点的に予算を配分したいと思っております。ただ、五十五号について言いますと、四十三年以降百十三億の事業が残っております。五十六号について言いますと、四十三年以降約二百四億ばかり事業が残っております。非常に工事が大規模になりまして、長い隧道とか、そういうものをやっておる関係で、私たち四十四年くらいまでには完成したいということでいままで計画しておったのでございますが、四十五年には十分完成できるようないまの見込みでございます。
  328. 中野明

    中野(明)分科員 両方ともですね。
  329. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 五十五、五十六、両方ともについてでございます。
  330. 中野明

    中野(明)分科員 これは当初の計画よりずれてきておりますので、私たちとしましても早く完成してもらいたい。これよりもう早くならないか、そういう声が非常にあります。現実の問題として、キロ数でいきますと百二十キロとしますと、完全な道路になりますと、時速六十キロで二時間、こういうふうに考えられるわけです。最近完成しましたVルート、高松から高知、松山から高知のVルート、これがいままでの四国のわれわれの常識として五時間と見ておったわけです。それが頭の中に入っているわけです。ところが、このVルートが完成しますと二時間半から三時間、こういうふうになってきたわけです。人間の行動というものは、頭の中でまず所要時間というものを考えて、それからその日の行動がきまる、そういうふうにも言えるのじゃないかと思います。そういう点で、この道路の完成がそのまま開発促進になることは、これは当然のことでして、そういう意味からも、ぜひとも当初の予定どおりに馬力をかけていただきたい。これは私たちの四国を見たときの要望でございます。  その点、大臣のほうからひとつ将来の構想を推進さす意味でお答え願いたいと思います。
  331. 保利茂

    保利国務大臣 四国のことかという印象を解消して、いわば四国の本土化をはかるべき連絡橋も具体的な日程にのぼってきておる段階でございますから、まず四国一体化という考え方道路網の整備を急ぐ、そして橋がかかりましたときには、どこにかかりましても四国が十分経済発展が期待せられますようにやっていかなければならぬのじゃないか。まあひとつ、うんと力を入れてやってみましょう。
  332. 中野明

    中野(明)分科員 もう一言大臣お願いしたいのですが、橋が相当長期間の建設計画になります。ですから、橋ができるまでにちゃんとできておればいいというのではなしに、橋はもちろんつくらなければならぬことは議論の余地はないわけですけれども、四国の島内の開発ということは、島内の事情を見たときに急を要する、私どもこう思いますので、その促進大臣に特に力を入れていただくことをお願いしたいと思います。
  333. 保利茂

    保利国務大臣 とにかく橋が現実の日程にのぼってくるようなことでございますから、四国内の交流が有機的に十分活動できるような状態に一日も早く持っていくために、力を入れられるだけ力を入れたいと思っております。
  334. 中野明

    中野(明)分科員 道路の問題で、先ほど四国の縦貫と横断道路の話も出ました。これについても、早期着工を私からもお願いしたいと思います。  なお、ここで道路の話をしておりますので、地方道の国道への昇格、これはもう全国的な要望だと思います。これにつきまして、道路局長のほうから、どのような計画をもってこたえようとしているのか、御答弁願いたい。
  335. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 地方道の国道昇格につきましては、全国からかなり多くの要望を聞いております。私たちの基本的な考えといたしましては、将来、二十年あとのことを考えまして、そのときの自動車の保有台数その他を考えまして、そのときに幹線になるような国道がどのくらい必要かという試算をしております。それで見ますと、現在は一般国道という形で二万七千キロございますが、その倍近くのものが必要ではないかという考えを持っております。地方道を国道に昇格いたしますと財政負担も国にかかってまいりますので、そういう面も考えまして、やはり将来のビジョンに合わせて逐次昇格をしていきたいと考えております。それには、現在の国道の中のもとの二級国道の改良率が五五%くらいでございます。また主要地方道も五三%くらい、いまのところ主要地方道と二級国道の改良率の差はあまりないのでございます。こういう状態で、主要地方道を国道に上げても——国道昇格のほんとうの皆さんの要望は、国道に昇格して早く道路をよくしてくれということだと思いますので、そういう点は、国の財政状況、今後の見通しも考えまして、逐次重要なものから国道に昇格していきたいと考えております。
  336. 中野明

    中野(明)分科員 この問題については全国的な要望でございますし、早急に実現するように骨を折っていただきたいと思いますが、一言、大臣から……。
  337. 保利茂

    保利国務大臣 十分努力いたします。
  338. 中野明

    中野(明)分科員 次に、これは昨年一千二百万の調査費を組みまして工事計画をしております浦戸大橋のことでございますが、この将来の計画について教えてもらいたいと思います。
  339. 保利茂

    保利国務大臣 浦戸大橋は四十五年度には完成をいたします。あらゆる準備を進めまして必ず完成することにいたします。
  340. 中野明

    中野(明)分科員 ことしはちょうど明治百年でございますし、大臣土地状況をよく御存じでございます。万国博覧会が四十五年に持たれる、そういうふうな状況とにらみ合わせましていまのお話をお伺いしたわけでございますが、少しでも早くそれが完成できれば、あらゆる面でこの橋の意義が深まってくるのじゃないか、このように思いますので、今後ともの努力お願いしたい、このように思っております。  次に、お伺いしたいことは、四国を流れております有名な四国三郎といわれる吉野川、それから愛媛から高知に流れております仁淀川、この両河川に地すべりが非常に多く発生しておりまして、特に台風時期になりますと、四国が二分されまして南と北の交通が途絶する。そういうことで、人の輸送ももちろんのことですが、農作物の輸送あるいはその他の物資の輸送に非常に影響がございまして、甚大な損害を受けておるわけであります。この地すべりの対策について、現在、吉野川関係と仁淀川関係の地すべり個所はどの程度まで掌握していらっしゃいますか、おわかりになれば……。
  341. 坂野重信

    坂野政府委員 吉野川と仁淀川、いずれも地すべりのはなはだしいところでございます。その両方とも破砕帯の地すべりでございまして、その対策に鋭意努力しているわけであります。高知県の関係だけ申し上げますと、吉野川関係で五カ年で四十カ所ばかり見ております。そのうち、四十二年度では十一カ所工事をやっております。仁淀川の関係におきましては、五カ年で二十三カ所ばかり見込んでおりまして、このうち、四十二年度は現在四カ所の事業をやっております。
  342. 中野明

    中野(明)分科員 この地すべりは非常に被害も大きゅうございますし、場合によれば人命にもかかわるようなことになります。この点については、法律もございますが、現状から見ますと、この対策に対する予算のとり方が非常に少ないということで、地元もあらゆる面でこの窮状を訴えているわけでございます。いまのお話によりますと、現在地すべりが起こっておるところについては三〇%程度しか手当てができておりません。この地すべりの問題は、四国の開発を阻害している大きな原因の一つでございますので、今後そういう点についてさらに強力な推進をお願いしたいと思うわけですが、大臣のほうからお願いしたいと思います。
  343. 保利茂

    保利国務大臣 吉野川、仁淀川の流域地帯の地すべり対策につきましては、ただいま河川局長から申し上げましたように、力を入れてきておりますけれども、どうも御要望に沿うていないようですから、さらにひとつ力を入れるようにいたします。
  344. 中野明

    中野(明)分科員 最後にお願いしたいのですが、先ほど広沢議員の質問に対して、大臣からも、四国の開発行政の一本化ということについてお話があった。各県、横の連絡は非常にうまくいっているところもありますが、なかなかスムーズにいってない。そういう面で四国の開発が阻害されているということも言えますので、開発行政の一元化ということの例をあげますと、北海道がそうなっております。そういう点については、大臣構想には賛成であるというようなお話もございましたが、ぜひとも四国を総合的に開発して、そして、橋ができたときには本土と何ら遜色がない、そういうような四国にするためには、どうしても一元化した開発行政の機関が必要だ、私どもはこのように考えているわけです。  そこで、名称はどうあってもと思いますが、かりに言いますならば、四国開発庁のようなものをつくっていただいて、そして将来に備える、そういうふうに私たちは要望を持っているわけです。この点について、大臣の立場で将来努力をしていただきたい。構想に賛成であるということをお伺いしましたものですから、それに対して、今後そういう方向に努力してもらいたい、こう要望したいわけですが、大臣のほうから……。
  345. 保利茂

    保利国務大臣 多少誤解があるかもしれませんけれども、大体御趣意は、四国の開発、たとえば建設省で受け持っております河川道路等を中心にする公共事業等の推進というものは、私が力説いたしておりますのは、とにかく四国一体という見地に立ってやっていきたい。四国開発庁なんというようなものをつくるというのは、これはどうもたいして意義があるようには私は感じておりません。この狭小な国土でございますから、できるだけ公平に、バランスを失しないように、また、私ども地方よりも四国のほうが後進だとは思っておりません。それでも四国は一体として、たとえば橋の問題をとるにしましても、それぞれ各県が別々に運動だか心配ごとをされるというようなことは、実際おろかなことじゃないか。それこそ四国一体として推進をされるというような体制が持たれるということが、開発庁をつくるよりもはるかに有意義だと私は思う。しかし、御趣意の点はよくわかっておりますから、建設省として行政を進めてまいります上に御趣意が十分生かされるようにやっていきたいと思います。
  346. 中野明

    中野(明)分科員 最後に、橋のことになりますが、このことにつきましては、それぞれの立場からいろいろと御質問があったようでありますが、いずれにしましても、ここまでまいりました以上、あとは最終的に諸般の状況と資料をもとにして、ルートの決定、こうなる段取りであると思います。一日も早くその最終決定をしていただいて、そして現在、いろいろとそういう面でそれぞれの立場で運動をなさっておるようでありますが、決定が長引けば長引くほど、やはりそういうことが大きくなってくるという心配もございます。そういうことのために、四国の島内でいろいろと摩擦が起こるようなことになったのでは、せっかく四国一本とおっしゃっておる大臣の気持ちも、地元のほうで摩擦が起こるようなことでは相なりませんのでルートの決定は急を要する、私たちはこう思うわけであります。これが長引けば長引くほど、将来長い目で見た場合には大きな禍根を残すのではないか、このような心配を私、一人しております。そういう点で早期決定をお願いしたい、これを要望しておきたいと思うのですが、最後に大臣から一言おっしゃっていただいて、終わります。
  347. 保利茂

    保利国務大臣 この架橋は、おそらくは世界で最もむずかしい、重要な工事になると思います。したがって、国内のみならず、世界注視の中で行なわれる。でき上がれば、まさしく世界に誇り得るものでなくてはならないわけで、そうしてまた、ことに一番大きい関係を持つものは四国でございますから、そういう点を十分考えまして、慎重に、かつ、いまだんだんお話しのようなこともございますから、あまり決定についてじんぜん日を送るようなことをさせちゃならない、こう思っております。
  348. 中野明

    中野(明)分科員 以上で終わります。
  349. 松浦周太郎

    松浦主査 次は、島本虎三君。
  350. 島本虎三

    島本分科員 ただいまいろいろと前委員の方の質疑を聞いておりまして、私も打たれるものがあるわけでございまして、後進地域である北海道、この方面にも思いをはせまして、なお富山県の神通川の管理の問題、ことに鉱害の関係等の問題がございますので、この方面に触れて、与えられた時間の間だけ的確に質疑を繰り返したいと思いますので、大臣はじめ御協力をお願い申し上げたいと思います。  まず、いまはなばなしく架橋の問題が議論の焦点になっております。なるほど、世界一のりっぱなものが世界注視のうちに行なわれるわけであります。これはいずれにきまりましても、その成功を望んでやみません。私は、こういうようにして何本かで争う、その態勢の中で国土開発をする、こういうような見地から、ほんとうに必要であるならば、この地下をトンネルでいく方法などは考えられたのかどうか。ことに、難工事といわれておる北海道と青森の間でさえもいま試掘中であります。まして、瀬戸内海をはさんではわりあいにやさしい工事じゃないか、こういうように予想されるわけでございます。世界一の架橋は一般的に私どももこれを望んでやまないわけでございますけれども、しかし、経済の効率をあげ、交通の便をはかる、こういうような点を考えたら、地下をもぐる、いわゆるトンネル方式というものは全然とるに足らぬ計画なものでございましょうか。この点等について大臣の御高見を承っておきたいと思うわけでございます。
  351. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 橋のかわりに地下のトンネルをつくれということかと思います。  道路につきましては、やはり自動車が通ることになりますと、非常に車の排気ガスの点で、トンネルの場合はかなり換気をやりましても中が曇るということがございまして、大量の輸送にはもう適さないと思います。現に、下関−門司の間にトンネルを抜いたのでございますが、これも、とにかくもう限界がきておるように見られます。やはり二万台以上の車の交通を考えるためには、あの場合橋梁以外にはないというように考えております。
  352. 島本虎三

    島本分科員 参考になりますので、あらためてまたお伺いいたしますが、そうすると、距離的にも長く、今後北海道開発のためにぜひ必要だ、連絡船では時代おくれである、こういうような発想でトンネルがいま試掘されている最中でございますが、門司と下関との間よりも、それから瀬戸内海を通しての連絡よりも、この距離は一番長いわけでございます。そうなりますと、これは換気上からしても実際は利用不可能であるというように、いまの御答弁によりますとちょっと考えられて不安にたえないわけでございまするけれども、そういうものでございますか。
  353. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 いま青函につきましては、これは鉄道でございますので、そういう排気の害はないと思います。自動車のトンネルにつきましては、ガソリンを燃料としている関係で非常に排気の問題が出てくるということでございます。
  354. 島本虎三

    島本分科員 大事なんでございます。と申しますのは、あそこは人も車も通るのでございまするから。汽車と申しましても列車は当然考えられておる、まあ総合的なトンネルであるというふうにわれわれは理解し、また、そうでなければそういうふうに進めたいと思っている最中なんでございます。いまのことばは将来のわれわれの構想にブレーキになるか、潤滑油になるか、まことに貴重な資料になるのでありまするけれども、これはだめなんでございますか、大臣
  355. 保利茂

    保利国務大臣 誤解があるようでございますが、青函連絡は大体鉄道が計画をいたしております。鉄道が計画をいたしておりますと、そこを通ります列車の動力源は電気だということであります。ところが関門国道は国道、自動車が通るわけでございます。燃料がガソリンでございますから、ガソリンから生ずる排気ガス、それが非常にむずかしい問題である。したがって、青函連絡のほうにはそういう心配は全然ないわけでございますから、さらばこそ、その計画を非常な困難を排して何とかやり上げようということで努力をしておるのは、そういうことでございますから、これはもう絶対に心配はないことでございます。どうぞ誤解のないようにお願いをいたしたい。
  356. 島本虎三

    島本分科員 誤解はしておりません。私は公害のほうでは特別委員会の理事をしておりまして、運輸省その他の計画等を承っております。今後排気ガスその他については十分な規制を加える。新車に対してはもうとっておる。将来は全然無害の車を走らせたいという計画でやっておるわけでございます。もしそうだとすれば当然、トンネルの中を自由に通れるというような、こういうような構想になりますと、経済効率をあげる一つのやり方として、今後やはりいろいろそういうような方法が取り入れられる。日本の世界でも一、二、三番目の生産をあげている工業力に対して方法の一助にもなるんじゃないかという発想から聞いているわけでございます。あぶなくなければ、私は安心して次のほうに進みたいと思います。それは大臣も誤解が若干ありますが、私も誤解がありました。これはこれで氷解いたしまして、次に進まさしてもらいます。  国道の点について伺います。これはかつて二級国道といわれた国道二百二十九号線というのがございます。これはかつて北海道では小樽—江差線といわれ、いまは余市—江差線ともいわれる、それが二百二十九号線ということばでいまいわれておるのでございます。完通が四十七年ころまでの計画で、これが実施されておったと承っております。ところが行く手には断崖絶壁がございまして、持田岬からこれを抜くのにもうすでに技術者はそれだけでも四、五年かかるんじゃないかといわれておる。そうすると、四十七年ころ、六年度までには全部終わらせたいというようなこの計画は、やはり二百二十九号に限ってはこれはできないということになる。これは北海道開発でございまするけれども建設省事業でございます。したがって、皆さんのほうが主宰しておられますから、これは具体的に承るのですが、向こうでは冬は工事できないことになっております。しかし、トンネルだけは雪が入りませんから自由にできることになります。そうすると、敵前上陸をして機材を整える。そして冬の間でもやったら予定どおりにいけるのじゃないか、こういうふうに思っているのでございますが、依然そういうようなやり方はとられていないようでございまするけれども、これはかつての二級国道、現在の二百二十九号線、これだけ何かのけものにされているような理由がおありなのかどうか、この点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  357. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 御指摘の二百二十九号線、小樽−江差線でございますが、これはいまお話ありましたように断崖絶壁の、現在国道の中で数少ない不通区間の一つでございます。もう一つは、やはり札幌から西海岸を通りまして留萌というところに不通区間がございます。私たち第五次の四十二年からの道路整備五カ年計画の策定に伴いまして、二級国道はできるだけ四十七年までには完成したいというように考えております。いま先生のおっしゃったように、不通区間を両方から押していったのでは、なかなか距離が長くて数年かかる。いま先生のおっしゃったように、途中に敵前上陸をしてやっていかないと、なかなか工事は進まないのじゃないかというような地形のところでございます。開発庁ともよく連絡いたしまして、そういう方法も講じまして、できるだけ早い期間にトンネルを抜くなり道路をつくるなり、そういう施工の方法もあわせまして検討していきたいというように考えております。
  358. 島本虎三

    島本分科員 それは検討してもらいたいと存じます。その理由として、いままで私が述べたのは一部でございます。これは前北海道開発庁事務次官もこの問題に対しては胸を張って、それまでは完成させると、こう断言しておったことなのでございます。ところが、現在もうやめております。やめた人に対して責任の追及はできません。しかしながらやはり依然としてその主管省は建設省でございますから、建設省のほうで、いかに開発庁の事務次官がやめましてもやはりそのころに言った言質がございますので、言質といっても悪い意味じゃございませんが、その約束がございますので、それはやはり今後は強引にでも計画どおりにやるべきだと思うのです。というのはあの辺は、道路が通じないために一番の僻村になっております。一たん道路が通じたならば、これまた一番有望な土地になるのであります。そういうような情勢にありながら、地下資源も数知れず、こう言われておるところなんでございますが、いまだにそれは通じないままにおるわけです。しかし計画はやはり四十六年度までにできる、こういうような計画であったわけでございます。しかし依然として、行ってみましてもそれもやっていない。それからいわゆる敵前上陸によってでも冬の間の工事は可能なはずなのに——主査の松浦先生も知っていますが、北海道では普通の状態では雪が降って工事ができない。しかし、トンネルだけはできるのです。最もいい条件でできるのです。これをやらせないでいるということは、怠慢のそしりを免れないと思うのです。これはやはりあまり——金の点や何かにこだわらないで計画どおりに進めてやる、これがいわゆる道路行政の一つの行き方だと思います。私はこの点を一つ例をとって言ったのは、あまり遅々として進まない。その辺の住民がかわいそうである。しかし、これは早く抜いてやらなければならない。方法はある。こういうような見地から、一つの素材として提供したわけなんでございます。今後はまあ蓑輪局長の行政手腕にまつわけでございます。当然大臣はそれをやってもいいと、いまにこにこ笑っておりますから、今後ひとつ十分これをやりこなしておいてもらいたいと思います。決意はよろしゅうございますか。
  359. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 第五次の五カ年計画の中で、できるだけこういうものを進めていきたいというふうに考えております。そういう決心でございます。
  360. 島本虎三

    島本分科員 最近やはり同じバイパスの問題で、札樽バイパスが現在いろいろな点で苦難に逢着しておるということを聞いておりますけれども、これはどういうような点で——解決の方法はないのですか。お知りでしたらひとつ……。
  361. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 札樽のバイパスにつきましては、実はこれは道路公団の一般有料道路で、現在四十二年から着工しておる次第でございます。まだ用地の買収その他に入りませんが、四十三年にはかなり大きな予算用地の買収を大々的に展開できると思います。これの完成につきましては、四十六年の十二月、札幌の冬季オリンピックまでには完成させたいと考えております。
  362. 島本虎三

    島本分科員 それを聞いて安心して、次へ移ります。  先ほど、前者といろいろ質疑をかわされておりましたその中で、道路の問題では、やはり都道府県道から国道になる、その国道になった道路の問題点がいろいろ指摘されてございました。国道に昇格するということはなかなかむずかしいことであろう、こうは存じます。しかしながら、その必要がある場合には、遠慮なしにこれをやってやってほしいし、またやらなければならないと思います。ことに開発のまだおくれている北海道には、そういう地点が多いのです。ここには国鉄の人はおりませんけれども、国鉄はいわば国の鉄道、国の鉄道でも採算の合わないところは走らない、こういうようなことで、依然として採算を重んじて走っておるような状態。そうなりますと、積雪地帯であり、そしてあまりにも交通の便の悪いところは、いつでも取り残されておる。そういう地帯が、後志の一帯にいまあるわけです。風景は、これはニセコといい、あるいは羊蹄山といい明媚なところでございますが、いまだに積雪は二メートル以上ございます。そういうようなところでは、依然として開発がおくれるのであります。そういうような方面から、国道の昇格について、支庁の所在地である倶知安町から苫小牧へ通ずる道道、これを国道に昇格してもらいたい、こういうようなことを要請してあるかのように承っております。しかし、審議会の開催がどうなっているのか、こういうのは依然として日の目を見ておらない。しかし、そのかぎを握るのは建設省道路局である、その人は蓑輪局長だ、こういうことになるようでございます。そうなりますと、なぜこの審議会のほうで早く取り上げ、こういうような恵まれない、開発のおくれている、その方面道路に日を当ててやらないのか。これは私としては、北海道の開発の問題からしてもやはりゆゆしい問題じゃないか、こう思うのであります。それと同時に、同じ札幌から走っている道路網は、観光地帯はりっぱにできます。中山峠を越えて支笏湖まで、あれはもうりっぱな国際観光道路にもなり、もうすでに世界でも——瀬戸内海から四国に通ずる幾つかのあの大橋が有名でも、やはり依然として北海道の、この札幌から洞爺のほうへ行くあの国際観光道路は有名でございます。またりっぱでございます。しかしながら、やはり温泉ばかりでは困るのではないかと思うのです。定山渓から豊羽鉱山を通って京極を経て倶知安のほうへ抜けていくような、こういうような一つ道路のプランもあると聞いておるのです。これはこれからの開発で、あと残すところ七キロくらいやると全通だというのです。国のほうではやはり恩恵を浴せしめておらないようでございます。この開発の面からしましても、この倶知安町から苫小牧に通ずる道道の昇格と、それから京極から定山渓を通じて札幌まで行く、この道路の件は、これはもう十分、調査し、これを完了させる価値のあるものであり、開発に通ずる道路であり、北海道のほうからも強い要請があると思っておりますが、これは建設省いかがでございますか。
  363. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまのお話の、倶知安から苫小牧に通ずる道道の国道昇格でございます。これは全国的に、内地、北海道を問わず、国道の昇格の要望が非常に多いわけでございます。私たちも、将来の国道のあり方その他を考えまして、逐次昇格を実施していきたいというふうに考えております。何ぶん、これは国の財政負担が多くなるということでございます。そういう意味から、やはり将来の財政状況考えて逐次やっていきたいと思います。ただ、皆さんの地元の要望も聞くのでございますが、国道にすれば早くよくなるという希望が非常に多いと思います。確かにいまのままではなかなか整備もできないから、国道に昇格して早く整備してくれというような要望があるので、国道に昇格するからには、やはり早くできるようなことにならないと、単に国道に昇格して、工事はいままでとちっとも変わらないということでも、人を欺くようなことにもなりかねないことでございます。その辺も考えあわせまして、できるだけ早い機会をとらえまして、国道の昇格をしていきたいと思います。  次に京極−定山渓線でございますが、これは将来の開発道路となるものと思いますが、四十三年まず調査をいたしたいというふうに考えております。大体航空写真の撮影、図化、そういうものを実施していきたいというふうに考えております。
  364. 島本虎三

    島本分科員 次に、川に移らしてもらいたいと思います。  これは富山県の神通川でございます。この流域で多発しているイタイイタイ病が最近顕著になってまいっておるのでございまして、病患者九名、死者五名の遺族十九名とで、いまや、三月の九日ですか、三井金属鉱業所を相手どって六千一百万円の損害賠償、これを鉱業法百九条によって行なったという報道があるのであります。私はこれを見まして、発生した場所は神通川であります。神通川の管理は、これは当然国であろうと思うのでありますけれども、これに対してはどのように管理をなすっておったのか、この管理の状況についてお知らせ願いたいと思います。
  365. 坂野重信

    坂野政府委員 神通川は現在のところ二級河川でありまして、富山県が管理いたしております。したがいまして、こういったイタイイタイ病のような問題、河川の立場からいいますと、確かに河川の清潔を保つということで、河川の流水の保全上非常に重要なことでございます。こういった問題は、県が河川管理者の立場でいままでどの程度タッチし、どの程度調査しているのか、実は二級河川でございますので、現在のところ、私どもはっきりした情報を持ち合わせないのははなはだ残念でございます。
  366. 島本虎三

    島本分科員 ほんとに私としては不勉強でございました。これは当然国だと思っておりました。しかし県だとするならば、私はここでほんとに不勉強だったことを皆さんにおわびしなければなりません。しかしながら、こういうような全国を風靡すると申しましても差しつかえないほど有名になりましたイタイイタイ病が発生しているわけなんです。そうなりますと、国とてもやはりこれはほっておかれないのではないか、こういうふうに思っておるわけです。これは鉱業法百九条によってやったとすると、県管理の河川であっても、やはり通産省の監督不行き届きということになりはせぬかと思いますが、この水質汚濁のカドミウムを原因とするところのイタイイタイ病、これに対して通産省はどのような措置をとっておったのですか。
  367. 西家正起

    ○西家政府委員 神通川の水につきまして、鉱山から出る水につきましての監督は、通産省といたしましては明治年代から監督はやってきておるわけでございます。ただ、昔の監督のやり方につきましては、川の水が酸性度になるかどうかといった点、それから鉱山から出ますいろいろな廃滓物でございますが、それを堆積場にためておくわけでございますが、この堆積場がくずれやしないか、こういった点に重点を置きまして、それぞれそういう水を処理する施設及び堆積物の堆積場につきまして、認可によりましてこれをつくらしておる、こういうことでございます。実は、当イタイイタイ病につきましては、こういう病気はずいぶん前からあったようでございますが、このイタイイタイ病が現在、カドミウムと関係がある、こういうふうにいわれておるわけでございますが、カドミウムが嫌疑か非常に濃厚であるというふうにわれわれ聞きましたのが昭和三十六年ごろで、その後急遽鉱山保安局といたしましては、現在鉱山が出しておる水がカドミウムを多量に含んでおるといたしますれば、これは非常に問題であるということで、さっそくその水を、鉱山から下流に至るまで水質調査をやったわけでございます。三十八年と四十一年と四十二年と、三回にわたりまして検査をいたしたのでございますが、その結果、鉱山からは微量なカドミウムが若干出ておりますが、少し下がりましたあたりから、完全に、最近の原子吸光分析をもちましても検出されない、すなわちトレースということでございましたので、一応現在の水はだいじょうぶである、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。  なお、しかしながら、堆積場の管理並びに坑廃水処理施設の管理につきましては、戦前はただいま申しましたような監督をやっておったわけでございますが、戦後、鉱山保安法というものが昭和二十四年にできまして、それ以来こういうものに対する設置基準等を強化いたしまして、非常にきびしい基準で逐次やってまいっておりまして、現在は、そういうことで心配ない水が流れておるということでございますが、過去の水がどうであったか、こういう点につきまして、われわれといたしましては、これは戦時中のデータがなくて非常にむずかしいのでございますが、現在いろいろ調査をやっております。また、厚生省のほうとも連絡いたしまして、厚生省といたしましても、特別な研究班をつくられまして、過去の水がどうであったか、どこからカドミウムが出たかという調査を現在やっておりまして、大体四月ごろに結論が出るのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。それらの結論が出た結果、通産省といたしましては今後の問題を処置したい、かように考えておる次第でございます。
  368. 島本虎三

    島本分科員 なお、この水の件についてでございますが、これは私としては意外なんです。と申しますのは、経済企画庁でもこの問題については、河川の汚濁を将来改めさせるために公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案を検討中だ、こういうような話があります。これは、発生源を規制して、そして今後きれいな川、きれいな水を流す、こういうような趣旨だと聞いておるのであります。しかし、実施の段階では、通産、農林両方面から、生産、生活の手段たる水資源の利用規制だという意味で反対の意向もあるということを漏れ承るわけであります。私は、それであってはいけないと思うのです。これは、河川管理が県であろうと国であろうと、またあわせてその利用者がどうであろうと、いつでもきれいな水を流しておかなければならない。公害が、もし水質汚濁によって今後水俣病やイタイイタイ病やまたそれに類するものがどんどん発見されるような状態になったならば、いかに日本が生産力では世界一、二の座を誇っても、これは何にもならないのです。この基本的な点については、もっと各省歩み寄って、そうして経済企画庁なりまたは建設省を中心にして、これはやはり一本のスタイルで川を愛する、こういうようなことにならなければいけないと思うのです。農林省は来ておらないかもしれませんが、おりましたら、通産ともに、川の水をきれいにするために協力しなければならない、ここで各省の権限争いをすべきではないと思うわけでありますけれども、この点いかがでございますか。
  369. 西家正起

    ○西家政府委員 ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、通産省といたしましても極力そういうふうに努力をいたしたいと考えております。
  370. 出井弘一

    ○出井説明員 経済企画庁といたしましても、現在水質保全法の改正につきまして、前進の形で検討を進めておるわけでございます。
  371. 坂野重信

    坂野政府委員 建設省といたしましても、この水質保全法の改正に非常な関心を持っておりまして、これは河川法の二十九条にも関係がございますので、それとタイアップいたしまして、実は強力な改正をひとつ前向きでお願いしたいということで、むしろ各省が協力されることを私どもは期待いたしたい。その際二十九条の政令もひとつ各省の協力を得てやっていきたいというふうに考えております。
  372. 島本虎三

    島本分科員 ではこれで終わります。この委員会では答弁が他に見られないほどまことに的確でありますから、あとは行政上それに実のあるような処置をしてもらいたいということをお願いして、これで終わります。
  373. 松浦周太郎

    松浦主査 次は、稲富稜人君
  374. 稲富稜人

    稲富分科員 時間があまりありませんので、簡単に二、三点だけお尋ねしたいと思います。  まず、最初に、建設大臣にお聞きしたいと思いますが、最近中小企業の倒産が非常に多いことは御承知のとおりであります。その中におきましても、建設業の倒産は非常に数をふやしておるのであります。ここ二、三年の傾向を見ましても、昭和四十一年におきましては全産業の倒産が六千百八十七件の中に、建設業の倒産は千二百四十三件、パーセンテージを見ますと、全産業の二〇%を占めておる状態でございます。四十二年を見ますと、全産業の倒産件数八千百九十二件に対しまして、建設業の倒産は千七百九十九件、これは二一・九%に当たっております。さらに、本年に至りまして、四十三年の一月においては、全産業の倒産件数が七百五件であるのに、建設業の倒産は百六十一件に及んでおります。パーセンテージを見ますと、全産業の二二・八%に建設業の倒産は達しておるということであります。しかも、四十三年の一月の百六十一件というものを見ますと、四十一年の一月には七十五件であったのが、四十二年の一月は百件、ことしは百六十一件というように、建設業の倒産が非常にふえておるという状態であるのであります。こういうように建設業の倒産が非常にふえ、しかもいま申しましたように、本年におきましては二二・八%を占めておるというような、こういう結果を生んでいる原因はどこにあるかということを建設省で検討されておるかどうか、これに対する指導をどういうようにお考えになっておるのであるか、承りたいと思います。
  375. 保利茂

    保利国務大臣 ただいま稲富君御指摘のとおりでございます。中小企業の倒産が相次いでおりますことは、お互いまことに憂慮すべき事態だと思うのでございますが、その中に二〇%を上回る中小建設業の割合が占めておるということ、先日も閣議でこのことが問題になって私どもとしましても、いろいろ理屈、言いのがれはございましょうけれども、一体実態がどういうふうであるか、これだけ倒産していくのだから、それでは建設業は減っていくのかというと、逐年一万ずつくらいふえていっておる。ここに、実際の実態をつかむのに困難を感じておるのじゃないか。何とかこの状態を的確につかんで、そうして対症療法を講じていくようにしなければいかぬじゃないかということで、事務当局にそういうことを命じておるわけでございます。
  376. 稲富稜人

    稲富分科員 それじゃ、事務当局でその具体的な対策等をお考えになっておりますなら、この機会に承りたいと思います。
  377. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘になりましたように、中小企業の倒産が非常に多い、その中でも建設業関係の率が二割を上回るということは、はなはだ遺憾なことでございます。これに対する対策といたしましては、まず、なぜ建設業にこのように倒産が多いかという原因の分析から始めていかなければならぬと思いますが、基本的に申しまして、建設業は受注産業といわれております。官庁工事でございますと、前払い金の三割の支払いを受けますし、また出来高に応じて部分払いを受けるということで、たいした資本がなくても簡単に開業できる。この影響でもありましょうか、先ほど大臣もお触れになりましたように、近年の建設業の新規登録開店は年間二万件も新規開店しております。そのうち八千件ぐらいが蒸発していっておるわけです。差し引き一万二千件くらい、登録業者の数が年々ふえております。これは最近十二万七千余でございますので、一割近い。このように非常に倒産が多いという業況にもかかわりませず、新規登録が一割も実質上ふえている。このために業界は非常な過当競争になるわけでございまして、そのために非常に無理な工事も受注するということで、そういう業界の過当競争がお互い足を引っぱり合って経営を悪化させ、また倒産件数を多くしている。基本的にはそういうことでございますが、そのほかに、最近労働力が非常に減ってまいった。特に若年労働力が全産業を通じて手に入れることが非常に困難になっておりますが、特に建設業は、現場が転々といたしまして労働環境が他の業種に比較いたしまして悪い、安定しておらないということから、賃金も相当出さないと人が集まらないというようなことで、建設業自体の経営内容が悪化をしているわけです。これに加えて無理な仕事をとるということで、他産業に見られない高率の倒産が出ておるわけです。  このように倒産が多いのは、当然に中小企業が多いわけでございますから、まあほかの産業もそうでございますが、やはり中小の建設業に対して経営の健全化をはかるような施策が必要なわけでございます。御承知のように、こういった中小企業の経営の近代化、合理化をはかりますためには、中小企業基本法をはじめ相当数の立法がなされておるわけでございますが、建設業について申しますと、まず業界全体といたしまして、相当将来を見通した近代化計画というものを立てる必要があると思います。建設業に関しましては、すでに土木工事業については近代化計画の策定を見ておるわけでございますが、現在建築工事業及びさく井工事業について近代化計画を策定中でございます。  それから、弱い中小企業が大きな業者に伍して競争にうちかっていくためには、どうしても共同化と申しますか、事業協同組合なり協業組合なりをつくりまして、機械の共同保有、金融の円滑化というようなことをお互いに力を合わせてやるという、いわゆる組織化を推進しなければならぬ。  それから第三番目には、やはり中小の業者に仕事を与えるということが必要でございますので、公共工事につきましては、受注請負業者の選定にあたりまして、中小の業者の受注機会を確保するという意味におきまして、受注分野の確立をして、ランクをつけて該当業者でないと指名しないという指示をしておりますし、また、ジョイントベンチャー等の共同請負というやり方を指示いたしまして、受注機会と施工能力の両方を高めていくという指導をいたしております。  それからもう一つ大きな問題は、やはり労働力の確保でございますが、今後の若年労働力の供給量を考えますと、これは当然に減ってまいります。これを各産業で取り合うわけでございますから、どうしても質のよい労働力を確保するということが必要でございます。これには公共職業訓練あるいは事業内の職業訓練、それから、私どものほうではささやかでございますけれども、産業開発青年隊というような事業で若干の若い技能労務者を養成しておりますけれども、こういった労働力の質を高めるという施策についても、現に力を入れておりますし、今後一そう力を入れていきたいと考えておるわけでございます。  こういったことでいろいろと施策をやっておりますが、こういう激しい業界の過当競争の中でございますので、倒産がなくなるということは、当面期待できないのじゃないかというふうに考えております。
  378. 稲富稜人

    稲富分科員 この倒産の原因には、いま局長のお話のありましたように、いろいろ事情があると思うのでございます。ところが、この原因の中で一つの大きな問題は、建設工業の入札制度の合理化というものをもっとはかって、そして中央の大業者が地方中小企業を非常に圧迫しているというような事実も相当にあるので、こういう点に対してもやはり考えなければいけないのじゃないかという問題、たとえばいま局長が言われたように、建設省では建設業者にランクをつけられまして、A級からE級までの五階級をつくられております。ところが、A級の人はB級からE級までやれるがE級やD級の人は上のほうをやれないというようなことで、ここに非常に大きなところに集中するという趨勢がある。それで、小さい業者はそういう大企業の下請をするとか、あるいは仕事が少ないがために無理な工事までやる、こういうような問題が非常にあると思うのです。少なくともA級業者はA級、B級、C級ぐらいで、あまりD級、E級ぐらいまではいかないような、何かこういうような方法をとるような指導なりあるいは規制なりできないものであろうか。こういうことによって地方中小企業者のやっていけるような、立ち行くような指導をやることが必要じゃないか、こう思うのでございますが、これに対してはどういうことをお考えでございますか、承りたい。
  379. 川島博

    ○川島(博)政府委員 中小企業に対する受注機会の確保につきましては、等級別の発注標準を設けまして、このワク内で指名をするようにということを指導しておることは、先ほど申しましたとおりでございます。  ただいま御指摘のありましたA級業者、これはゼネコンにつきましては一億五千万円以上の工事をするということになっておりますが、A級の業者がC、D、Eというような小さな工事をとるということは、現在認めておりませんで、直近上位と直近下位の範囲内でしか選べない。しかし過半数は該当クラスから選ぶということになっておりますので、先生の御心配になるような、大手が零細な仕事までとってしまうという御心配はないのじゃないかと思っております。
  380. 稲富稜人

    稲富分科員 それは事実はやはり、大手業者が地方業者の仕事までとっている例がたくさんあるのでございますよ。こういうために地方中小企業者が非常に圧迫されている、こういう事実はたくさんあるのです。もしもこういうことをあなたのほうできめていないと言われるならば、法をくぐってやっておるのか、そういう事実はたくさんあります。そこに地方中小企業者の悩みがあるわけです。仕事がないからついそういう下請をする、あるいは無理な入札をやる、こういうようなことがよく行なわれている。そして下請であるがゆえに、しかも最近仕事がないから、もう昔のような利益もありません。大手筋が一割のもうけがあると、それを自分がはねて下へやるのですから、下請業者は五分しか利益がないというような、実にみじめな状態に置かれている。その実態に即してもっと中小企業を、しかも地方中小企業者を育成し得るような指導なり対策というものが必要じゃないか。もちろん、ただいまもお話がありましたように、ジョイントをやるとか協業をするとか、いろいろな方法の指導をやっていらっしゃるかわからぬけれども、事実はそういう指導の体制はできておりません。そのために次々に中小企業者は倒産するような現状であるのですから、こういうものに対してはもっと地方中小企業者を育成するという立場から、何とかして建設省として考えるべきである、かように私は考えるのでありますが、いかがでありますか。
  381. 川島博

    ○川島(博)政府委員 御指摘でございますけれども、少なくとも建設省の直轄工事につきましては、この等級別の発注標準並びにこの運営につきましては、私どもの指導が徹底しておりますので、A級の業者がC、D、Eの工事をとるということはまず考えられない実情でございます。ただ、規模の小さい工事でございましても特殊な技術を要する工事で、だれにでもできない、ある特定の業者でないとできないというようなものは例外はあるかもしれませんが、原則として少なくとも直轄工事については、そういう方式を無視して大手が小さなほうに入っていくということはないと思います。ただ補助工事等につきましては、結局県にこの標準を示しまして指示しておりますけれども、場合によっては目の届かないところでそういうことが行なわれることが絶無とは保証できないと思いますので、あるいはそういうケースがまれにはあるかもわかりませんが、そういうことがかりにございましたら、今後も厳重に県のほうを指導監督してまいりたいと考えております。
  382. 稲富稜人

    稲富分科員 それで結論ですが、地方の建設業の中小企業者を育成するというようなことで、もちろんそれはその会社の性格であるとか実力であるとか、こういうことは十分相手方に対しての選定は必要でありますけれども工事を施工し得る実力のあるものは、地方の小業者も育成するというような立場で建設省は処していただくということが非常に必要じゃないかというふうに考えるので、地方中小業者に対する育成の対策をひとつ十分考えてもらいたい、こう考えるわけでありますが、この点に対する結論的な御答弁をひとつお願いしたいと思います。
  383. 保利茂

    保利国務大臣 中小企業者の受注機会を確保するということが非常に大事だ、これは稲富さん同様私もそう考えて、たとえば県の工事をやる、せめて県工事は地元業者を育成してもらいたいということで、県庁等にだいぶんお願いをしてやってもらう。やってもらうと、やった結果が非常に格段の見劣りをするようなことがしばしばあるわけでございます。そこで育成の第一の基本的な要件は、工事能力といいますか、経営能力がしっかりした者にしなければ、これはなかなかいかぬのじゃないか。そこが一番の大事なところです。そうすれば県庁はじめ各地元でも、安心してそれがやれるようになるわけですから、そういうふうに指導していただくことが大事だろう、それからいまやっておりますランクごとに工事の量に応じてやっていくということが、あまりもぐりが行なわれないように監督を厳重にしてまいることが大事じゃないか、こういうふうに思うわけでございます。とにかく大事な建設事業という国益につながる大事業に携わる方々でございます。大事な業界でございますから、こういった現状を何とか改善しなければならぬということです。ひとつやってみましょう。
  384. 稲富稜人

    稲富分科員 この問題につきましては、建設省といたしましても地方中小建設業者を育成するという立場で、もちろんいま大臣の言われたように資質の悪い者、施工力のないような者を育てよというわけじゃありませんけれども、まじめであり実力を持った者に対しては育成をするという立場で将来御努力を願いたい。こういうことを強くお願い申し上げたいと思うわけでございます。  さらにいま一つお尋ねしたいことは、今回政府といたしましては、建設業法の改正案を国会に提出されるということを承っているのでございますが、いかがでございますか。この点ちょっと承りたい。
  385. 保利茂

    保利国務大臣 ざっくばらんに申し上げますと、実は都市計画法と都市再開発法という、いまの土地問題に取り組むための大事な法案を私どもお願いをしておるものですから、そのほうをとにかく優先さしていただきたいということで、建設業法も改正の声があり、ほとんど検討は進んでいると思うのでございますけれども、この国会の御審議にかけ得るかどうかということは実はまだきめていないのでございまして、そちらのほうの進捗の度合いをはかってひとつ考えさせていただきたいと思っております。
  386. 稲富稜人

    稲富分科員 私ども聞くところによりますと、建設業法の改正をやろうという意思があったけれども、どうも建設大臣がちょっと待てということでブレーキをかけられているというふうに聞き及んでおります。これはどうせ近い将来において建設業法の改正が当然行なわれるものと考えて期待をいたしますので、この機会に建設業法の改正に対して特にお願いを申し上げたい点があるのです。  それは何かといいますと、建設業法の第二条に、「この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表に掲げるものをいい、」ということになっております。ところがその別表を見ますと、造園工事というのが入ってないのです。最近の造園というものは昔と非常に違うのでありまして、昔は庭づくりとか造園だとかいうのは、御隠居の庭づくりというようなことでやられたものでございますけれども、最近における造園というものは、あるいは団地ができましても団地の緑化であり、道路ができましても道路の緑化であり、工場ができましても工場の緑化であるというように、非常に造園工事というものが広範にわたると同時に、国民生活と密着するような状態になってきている。ところがこの造園工事というものが、それほど大きな工事でありながらも、いま言うように法的には建設業法の別表の中に認められていないということがある。これは事実に非常におくれた状態に置かれていると、私は思うのでございます。現に私は、一昨年でございましたが、山口議長と同道いたしまして各国を回ったのであります。たまたまイランに行きまして、イランの総理大臣に会いましたところが、そのとき総理大臣が言うことには、日本の庭園は非常に優秀である、ぜひ自分の国においても日本のような公園をつくり、ああいう造園をしたいと思うから、しばしば日本政府に対していい技師を送ってもらうように要請している。けれどもナシのつぶてでもって、まだ一つもこれに対して日本政府は応じてくれないと言っておりました。そのときに大使が同道しておりましたので、私は大使に聞いたところが、その大使も、そのとおりでございます。総理大臣と会うたびにしばしば、日本のような庭園、公園をつくりたいから、日本から技師をよこしてもらいたいということを要求されましたけれども、どうも外務省に言ってもこの問題は実現いたさないので困っておりますと言っておった。こういうように日本の造園というものは世界的に認められている。こういうような大きな工事であるにもかかわらず、建設業法の中においては造園工事というものが置かれていないということは、これは私は非常に遺憾だと思うのであります。現に、建設業法の改正に関する諮問に対する答申案が出ておりながら、この答申案を拝見いたしましても、この中には職別業者の専門化を促進する等の建設業の近代化をはかることが必要であるということも言っております。しかも、現在の造園業というものは、土木工事の中の下請関係に置かれておるというような例が非常に多いわけであります。こういうようなことから、その中間に非常に利益を占められて、実際の造園業者というものはそんなに恩恵をこうむらないという状態に置かれておる。こういうことに対しましても、下請業者の保護、育成をはかるための業界の実情を考慮して何とかやるべきであるということが答申書に出ております。この点から見ましても、私は当然これは考慮が必要なものである、かように考えますので、この際、ひとつ建設業法の改正をやると同時に、この別表の中に造園工事というものを挿入していただく、こういうことにひとつ政府としても考えていただきたいということを強く要望いたしまして、これに対する政府の考え方をひとつ承りたいと思うのであります。
  387. 保利茂

    保利国務大臣 お話しのように、日本の造園技術というものが非常に進んでおることは、もう申すまでもないわけであります。その分野というものは非常に大事になってきておる。都市美あるいは環境整備等、いよいよこの需要は大きくなってくると思うわけでございます。ひとつ十分検討しまして、積極的な気持ちを持って、大体御趣意に沿うような気持ちを持って検討さしていただきたいと思います。
  388. 稲富稜人

    稲富分科員 では、この問題はそういうことにいたしまして、時間がありませんので、一言だけ河川関係で……。  一級河川堤防を県道に使用しておるところがあります。これは当然国が管理している堤防でございますが、県が使用しておる。こういうことがありますが、これに対する県と、それから国との義務関係はどういうふうな契約になっておるのか、この点承りたいと思います。
  389. 坂野重信

    坂野政府委員 それは大体河川のほうの管理者の立場と、それから県道のほうの県の管理者の立場と、大体協定をいたしまして、一定の取りきめをして、補修費をどうしよう、管理をどうしようというようなことで、できるだけ取りきめをするような方向に行っております。しかし県道として使っている場合にはできるだけ県道、道路の側からその道路の補修のほうは見てもらうというのが大体原則になっておると思います。
  390. 稲富稜人

    稲富分科員 いや、このことを私が聞きますのは、堤防の管理は国がやっておる、ところが使用しておる県道は県がやっておる。ところがその道路の修理を県のほうに言うと、これの管理は国がやっているのです、こう言う。たまたま今度は建設省の出先に言いますと、県が使用しているのだから、それは県のほうに言うてくださいというわけで、いつまでも改修ができないという例がたくさんあるわけであります。こういう問題に対して、やはりこの管理の責任と同時に、これに対する復旧の義務というものをはっきりと負わしておかなければ、しかも堤防というものがそれがために決壊するというような場合も生ずるわけなんですから、ただ、管理は国のほうでしておるけれども、県のほうで県道として使用しておるから県のほうにその責任はあるのだということでは、私はこういう問題は解決できないと思うのでございます。これに対するいわゆる補修義務の問題をはっきりする必要があるのではないか。しばしばこういう例が起こりますので、この機会に承りたい、こう考えるわけであります。
  391. 坂野重信

    坂野政府委員 確かに御指摘のとおりでございまして、今後管理協定ができた場合には、できるだけ早急に全国的にそういうトラブルが起きないようにやっていきたいと思います。
  392. 稲富稜人

    稲富分科員 いま一つ大臣に。私たちは、この日本の産業の発展上当然起こってくる問題は、河川の総合開発の問題が起こってくると思うのでございます。この総合開発において一番考えなくてはいけないことは、やはり河川の総合開発のためにかつてその地方人たちが持っておった既得権並びにその地方地域優先という問題は、基本的に考え河川の総合開発を当然やらなければいけない、こういうふうに考えておるのでございますが、この点に対する大臣考え方を、結論だけを伺っておきたい。
  393. 保利茂

    保利国務大臣 端的に申し上げまして、たとえば琵琶湖であれば琵琶湖の所在地である滋賀県の方々が優先的に考えられるということと同じことだと思います。私は、そうでなくちゃならぬと思います。
  394. 稲富稜人

    稲富分科員 はい、わかりました。それでは、これをもって私の質問は終わります。
  395. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて稲富君の質疑は終わりました。  次に長谷川正三君。
  396. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 私は、今日、国民生活で最も切実な問題の一つである住宅問題のうち、特に公団住宅の運営等に関しまして御質問を申し上げたいと思います。  私の地元は東京の三多摩でございますが、最近そちらへ参りますと、各種の住宅がどんどん建っております。公団住宅もたくさんございます。ところがそこの居住者からいろいろな不満を聞くわけであります。そこで、短い時間でありますので、特に私は建設大臣の監督下にあり、日本住宅公団法に基づいて運営されております日本住宅公団の問題について、特にそこで家賃のほかに居住者が公団に納めている共益金の問題について質問いたしたいと思います。  その前に、私、全般的な公団の性格等についてちょっと若干冒頭に質問申し上げたいと思いますが、日本住宅公団が法律に基づいて昭和三十年に発足してから十三年目を迎えておるわけだと思いますが、設立当時の法の趣旨と現在の状況とは、何かだいぶずれてきているのではないかという、こういう感じが率直にいたすのであります。と申しますのは、最近新聞等で、せっかくりっぱな公団住宅を建てたけれども、どうもなかなか入居者がそろわない、こんなに住宅難であるのにそういうことがあるということが新聞等にちょっと出ておりますけれども、そのような状況がごく一部にせよ、あるのかないのか、その点をちょっとお尋ねいたします。
  397. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまのお尋ねのように、ごく一部に、募集いたしまして応募者が戸数に足りないという事態が出ております。これは、大体土地の高いところに建てました住宅、いわゆる面開発されておりますそのような住宅におきましてこういう傾向が出つつございます。  それからもう一つの傾向といたしましては……(保利国務大臣「それはどこだということを端的に言ったらいい。」と呼ぶ)大阪の住吉でございます。最近の例でそういう例がございます。
  398. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 これは公団住宅を建てる場合に、日本住宅公団としても、現在の社会情勢の中で土地代の問題、交通の問題いろいろ御苦心はあると思う。しかしこんなに住宅困窮をいたしておるにかかわらず、せっかく建てたものが、しかも私がいまさら申し上げるまでもなく、その設立の目的として、これは住宅に困窮する勤労者のために耐火性云々というわけでありまして、決して金持ちのために建てているのじゃなくて、勤労者のために建てるという目的から見まして、いま勤労者で困ってない者はいないし、大阪の地帯は住宅困窮者が少ないんだということは考えられない。にもかかわらず、そういう状況が起こるのは、一つは家賃がもう勤労者の負担に比べて、つまり、土地の高いところへ建てたということをいまおっしゃいましたけれども、高過ぎて入れないということもあるでしょうし、また交通等の関係でどうしてもそこへ無理がくる、交通費も非常に上がっている段階で採算が合わないということもあるでしょうし、いろいろあると思うのですが、私はこの目的にあります快的な市街地をつくっていく、そして勤労者の住宅難を解消するという方針に徹して、計画がもう少し適切に行なわれなければならないのじゃないかということを考えるわけです。  それからもう一つは、今度は入ってしまった方が、その後の都市計画進行に伴って、そこに道がないはずだったのに大きな道が通ることになった、びっくりしてまた次のところに引っ越さなければならぬとか、あるいは学童が通学に生命の危険を感ずるとか、こういうようなことがあとから起こって非常に困っている。こういうような例等を見ますと、せっかく御苦心でありましょうけれども、まだその建設計画において日本住宅公団法第一条の大目的に沿っていない計画のまずさがあるんじゃないか。  それからもう一つは、家賃が高くなるということは土地の値段がということをおっしゃいましたけれども、現在と発足当時と事業資金の出資の内訳と申しますか、それは一体どうなっていますか。これもまた家賃などが高くなる一つの大きな原因であり、当初の目的である公共性というものからだんだんずれていく、原因をなしているんじゃないかというふうに考えられますが、その点をお尋ねをいたします。
  399. 三橋信一

    ○三橋政府委員 結局いまのお尋ねは、資金のコストの問題であると思われます。資金のコストは、発足当時は四分一厘でございました。これが四十一年から五分になっております。そこいらも若干影響している点があるかと思われます。
  400. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 私あまりこのほうの専門家でないのでよくわかりませんが、無利子の政府資金が土台になって建てた場合と、相当な利子を払わなければならない資金で事業が進められる場合と、だんだん変わってくるんじゃないか。たとえば最近では一体それがどういう状態になっているか。つまり、政府資金あるいは借り入れ金、民間資金、そういったものの割合は相当変化してきているんじゃありませんか。
  401. 三橋信一

    ○三橋政府委員 確かにおっしゃるとおりに変化してきております。ただそれが先ほど申し上げましたように、総合的な資金コストになってあらわれてくるわけでございます。それは結局利子補給その他で補給いたしましたりすることによって、民間から借りました資金の利子を薄めまして、先ほど申し上げましたような五分の金利に総合的にいたしまして、それでやっておるのが現状でございます。
  402. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 利子補給等によって民間からの資金のためにコストが上がるのを防いでおるというお話で、またそれはそのとおりの施策が行なわれておると思いますが、しかし発足当時よりは高くなっているということはいまおっしゃったとおりです。そういう点について、住宅難を解消する目的で日本住宅公団が発足した精神から見て、建設大臣どうお考えになりますか。
  403. 保利茂

    保利国務大臣 住宅公団が日本住宅公団法に基づいて設立され、そして日本の住宅事情に照らしまして今日までかなりの貢献をしてきておることは、これは認めなければならぬと思うのであります。先ほど御指摘になりました大阪の住吉の団地が応募者が少なかったということは、私も承知いたしております。それは住宅難が解消されて応募者がなかったといえばたいへんうれしいことですけれども、実はそうじゃない。住宅難は依然としてきびしい条件の中にあるにかかわらず、そういう事態が起こった。これは多少立地的な事情もあるようでございます。やはりあそこに地下鉄等が入っていきますと、通勤者等の利便がぐっとふえてまいりましょうし、必ずこれはまたふさがらなくちゃならぬ。しかし、大阪でそういう一つの特異の事例があらわれておりますけれども東京状態を見ますと、必ずしもいい条件じゃないにかかわらず、希望者が殺到されるという状態が依然として続いておるわけでございますから、それだけに住宅公団としましても、住宅公団で受け持っておる部分につきましても非常な苦労をしてくれておるようで、それは察するに余りあるものがあるわけです。何とかお小言をいただかないような方法努力をいたして御期待にこたえていかなければならぬと思います。また公営住宅の問題は、先ほど来のお話を伺っておりましても、公営住宅のほうは公営住宅のほうでさらに需要度が高いということを見て、これからそういう方向でやっていく、公営住宅に力を入れつつ住宅公団の持っている役割りというものをまたそれで果たしていかなければ非常にむずかしい、困難な事情がございますから、お小言をいただくようなことばかりだと思いますけれども、しかしもう少しひとつこの努力を続けてまいりますれば、そう長くないうちに——私はこの住宅難から解放される日を一日も早く迎えなければならぬ、こう思っております。
  404. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 大臣に重ねて伺います。  いまの大臣のおことばはそれでよくわかりますが、私が伺いましたのは、そういう中で政府資金というものが、無利子であったものがだんだん少なくなってきた。いまほとんどないのですか。それで民間資金になる。そうすると、利子が高い。それは利子補給でもってまかなって幾らかでも低めている、こういうお話ですね。そこでその点はそれで適切と思うかどうかと伺ったのです。
  405. 保利茂

    保利国務大臣 無利子の政府資金とおっしゃるのは、要するに、政府出資のものだろうと思います。政府出資をもって、そしてあっちからこっちからいろいろ融資を受けて、融通を受けたものを五分に地ならしをするように薄めるために、それを五分に薄められる限界まで政府出資をしておる。それが、五分は低いじゃないか高いじゃないかという御議論は、これはもういろいろあると思いますけれども、しかし、この種の扱い方としては、四分一厘といったものを五分としたのは、全体のこの種の施設についての公正を保つためにやってきておるわけですから、したがって、私は五分というものをくずさないでいき得ればもういいところじゃないか、こう考えております。
  406. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 私は冒頭申し上げたとおり、この第一条の目的から遠ざかっているのではないかというのは、だんだん企業性というものが公団に強くなって国家の公共事業という性格が薄れるようなことになって、政府の利子補給というようなこともだんだんこれを打ち切るような方向が出て、そして家賃はますます高くなるというようなことは絶対ありませんか。
  407. 保利茂

    保利国務大臣 さようなことは絶対にあるべきものじゃございませんし、また住宅公団が営利団体になるというようなことはあってはならないわけであります。
  408. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そこで、ちょっと住宅公団の管理しております住宅の家賃のきめ方について、ごく簡潔でけっこうですからお示しを願いたい。
  409. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  住宅公団の家賃につきましては、簡単に申し上げますと、まず工事費につきましては、これは用地費を除きまして、償却費を七十年均等償却、年五%という金利で勘定いたします。それから地代相当額を年率五%、修繕費が工事費の一・二%、管理事務費が工事費の〇・五%、損害保険が工事費の〇・〇七二%、その他公租公課、これは実費でございます。そのほかに、これら先に申しましたいろいろの費目の合計額、これの一%を引き当て金といたしまして、これらの合計をもちまして家賃としております。
  410. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そうすると、一度きめた家賃はそれでずっといきますか。
  411. 三橋信一

    ○三橋政府委員 入っておられる間はそのままでいっておりますが、あき家になりましたときに家賃を上げるということをいたしております。
  412. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 それはどういう理由ですか。
  413. 三橋信一

    ○三橋政府委員 それはやはり私どもいま申し上げましたように、建設費を返すと申しますか、そういうかっこうで家賃をきめておるわけでございますけれども、本来ならば先に建ちましたものと、あとに建ちましたものとのバランスが実は狂ってくるわけでございます。これをならしたいのが気持ちの中にあるわけでございますが、これは一気になかなかそうは参りません。そこで、あき家になりました場合に、新たに入られました方につきましては前の方よりは若干上げて家賃をいただく、そういうふうな仕組みを公団がとれるようにいたしております。
  414. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そうすると、本来はいまの計算の基礎でやれば、その建てた公団住宅については、ずっとそれでやっていって別に支障がないわけですね。ところが、新たに建てるやつは物価が上昇したり、あるいはその他内容をよりよくして近代生活にできるだけ適合するように、あるいは国民の生活水準の向上に適合するようにということがあって費用がかかるようになる。それはそれで、またこれでやると高い家賃になるから、旧のと新のとのバランスといいますか、平均化するために、入れかえるときには、あいたところにあとから入るときには高い家賃にする。そうすると、それが新しく建設されたほうの家賃を低める役をちゃんとしておりますか。
  415. 三橋信一

    ○三橋政府委員 一部低める方向にも働いておりますし、また、自己資金としてそれが再投資のほうに向かっております。
  416. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そうすると、一つの公団住宅の中に二種類の家賃が起こってきますね。あるいは場合によると、将来三種類の家賃が起こってくるかもしれませんね、同じ建物の中に、それはそのままで置くつもりですか。
  417. 三橋信一

    ○三橋政府委員 確かにおっしゃるように家賃の種類が幾つかになってまいりますが、これは私どもも実は悩んでおるところでございますが、はたして何が平等であるか。同じ大きさのうちに、古さは少し違いますけれども、それに住んでおります者が、十年違うと家賃がだいぶ違ってまいります。それがはたして平等であろうかどうかという点を私ども悩んでおりまして、現状におきましては、ただいま申し上げたような姿になっておりますが、これらにつきましては、入居資格と家賃との関係と申しますか、所得と家賃の関係と申しますか、そういう関係で公営住宅から一切の公共施策住宅を含めまして、そういう家賃のあり方というものはただいま検討しております。したがいまして現在ではそういう何種類かの家賃になっておるということでございます。
  418. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 この点はあまり時間をかけておられませんのでこの程度にとどめますが、私が最初申し上げたとおり、どうも企業性が高くなってくる、あるいは事業をより拡張しようとするようなことから、ついあせって、なるべく収入を多くするという意味で、なるべく安い家賃の住宅を勤労者に提供するという本旨からはずれて、高いところを安くするほうにならしていく努力ならわかるのですけれども、そういうように段がついてきたら、必然的に高いほうへ高いほうへとある時期を見て合わせていこう、こういうような方向にいくような気がしてなりませんし、居住者はそれを非常に心配しておるようです。そしてそれは居住者同士の間にみぞをつくって、だんだん低い家賃でいることが肩身が狭いような方向に追い込んで、いつかどこかで上げられるのではないか、半数以上になってきたようなときには、そういうようなことが起こるのではないかということを非常に心配しています。ですけれども、これは簡単に悩んでおるとおっしゃいますけれども、それはほんとうは一つの同じ住宅なんですから、そしてちゃんと建設費から何から全部含めての計画立ててきめた家賃ですから、それがずっと続くということは居住者というか、利用者からいえば一番望ましいということは無理からぬことだと思います。それが高いほうへ高いほうへと合わせていかれる、こういう運営については十分ひとつ慎重に御検討願いたい。そして居住者に不安を与えないようにしていただきたい。しかし家賃の問題は一応さっきおっしゃったような算定基礎が明確でありますし、それでいいのですが、私がきょう問題にしたいのは、共益金というのをみんな家賃と同じように同時に取られておるようです。この共益金というものはどういう法の根拠に基づいたものであり、どういう性格のものであるのか、それはどういうふうに運営されておるのか、その点をひとつお尋ねをいたしたいと思います。   〔主査退席、湊主査代理着席〕
  419. 三橋信一

    ○三橋政府委員 共益費を取り得る根拠につきましては、住宅公団法の三十二条から発しまして、住宅公団法の施行規則の十一条に、その共益費というものを取り得るということがございます。これは省令に委任してございます。そしてその十一条に共益費が取れるという規定がございます。この共益費といいますものの中身を申し上げますと性格がはっきりすると思いますが、大体集団で団地を形成しておりまして、これは大体がアパートでございます。その場合に、団地内の電気、水道、ガスの使用に伴う諸費用、それからごみの処理に要します諸費用、それから給水施設あるいは汚水処理の施設その他の排水施設あるいは遊戯場がございます。それから種々の建物、雑建物がございます。そういうものの維持に要します費用、それから団地内の道路あるいは樹木それから芝生等もございます。そういうものの清掃なり消毒なりあるいは手入れに要します費用、その他大体いま申し上げましたようなことがその共益費の中身でございまして、これを実際にはじきまして、団地の住宅に住んでおられる方から毎月いただいておるということでございます。
  420. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 その共益金はどういう形でその金額がきめられるのか。それからそれは団地ごとに別なのか、全国一律なのか、その辺はどうですか。
  421. 三橋信一

    ○三橋政府委員 これは団地ごとに別でございます。それでいただきました額を、結局いま申しましたようなところへ使っておるわけでございまして、大体四、五百円というのが平均でございます。団地によりまして若干の差異がございます。
  422. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 これは団地ごとに値段も別別になっておるし、そうしますと、当然運営も団地ごとということですか。
  423. 三橋信一

    ○三橋政府委員 経理は別になっております。団地ごとに別になっております。ただその間におきまして、どこかを一度に修繕するというような場合に、資金の面では彼此流用はございますが、経理としてはそれぞれ団地ごとに別個に経理をしております。
  424. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 先ほど申し上げた家賃の問題についても住民がいろいろな心配を持っておるわけですけれども、あるいは不満もあるわけですけれども、この共益費について、どこの団地を歩いても、私が建設大臣か公団の総裁みたいに非常に食いつかれるんです。一体何だ。というのは、これが全く一方的にきめられて、この共益費というものを——いまお話を聞いていますと、大体平たいことばで、住宅公団を大家さんとすれば、家を貸しておれば、その家の一応の施設は大家さんがいためば直す、そういうことでしょう。あとそこで住んでおる者が自前で使っておる光熱費であるとか、清掃のあれとか、それはわかりますね。その境目というのはたいへんむずかしいと思うのですね。団地はちゃんと緑地も持てば樹木も持つ。本来から考えますと、さっきの算定基礎には入ってないかもしれぬけれども、大体大家さんがこれは見るのが当然だというような考えもあります。百歩譲りまして、一応そういう生活環境整備費はそこの団地居住者が共益費を出してまかなうにいたしましても、団地ごとでありますれば、これは当然家賃ではないはずですから、何か政令によってきめられる、そういうことだということでありますけれども、さっきおっしゃったのは規則ですか——借りるときには居住者というのは弱いですから、一生懸命になってくじに当たってやっと入ったわけですから、いろいろな契約条件を突きつけられても、さようしからばで全部それは唯々諾々と契約をするかもしれません。ですから、その中に、共益費についてもおっしゃるとおりお払いいたします、そういう一札は入れているかもしれません。だからといって、これがそこの管理者の自由な判断で、かってな金額がまちまちにきめられて、その運用内容についても納得がいかないというようなことが居住者にあれば、ゆゆしいことだと思います。大体これは家賃ではありませんね。
  425. 三橋信一

    ○三橋政府委員 家賃ではございません。それで、あの中身が不明確だ、一方的にきめられるということですが、確かに賃貸住宅に入りますときの契約の中に、甲がきめる、つまり公団がきめるということが書いてございます。そういう意味では一方的でございますけれども、しかし経理内容はオープンにしております。したがいまして、使いましたものを示しておるわけでございますから、そういう意味で、余ったらばまた次へ繰り越していくわけでございます。そういうことになっております。
  426. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 そこで、何か共益費の第七条というのがあるそうでして、これを見ると全く一方的で、居住者が泣く泣くでも判を押させられているんじゃないかというような内容で、何でもきめられることになっている。しかしその経理内容は明らかにしているとおっしゃるのですが、それがまた団地を回って聞いてみますと、たとえば芝刈りは五回、六回やったとなっている。ところがどうもせいぜい年に二回くらいしか来ていないんじゃないかというような話が出るわけですね。それじゃ、そういうことについての詳しい会計の報告なんかあるかというと、それは非常に大ざっぱであって、ずさんである。それから団地の自治会なんかでうるさいことがあると値上げが最初言い出したより少し下がるとか、そういうことを団地の居住者が、自治会等があってそれぞれ連絡をとってみると、これは率直に、ますます乱脈だ、むちゃくちゃだという印象を持っておりますね。そうして、たとえば私の地元の調布地区の神代団地なんかでも、現にこの一つの団地ですでに千五百万円も、幾ら使っても使い切れない共益費が残っているというのです。それでもなお共益費を取っている。それだったら当分の間そういうのは取らなくてもいいんじゃないか。そうしてそういう金については、もう居住者の感覚からいえば、まあ各団地でばらばらにやっては不経済だから、まあ公団でお世話してくれるということは必ずしも悪いことではなかろうけれども、団地ごとの経理でもあれば、その運用は、自分たちで出した金なんだから、家賃ではないんだから、生活を快適にするために一応公団でお世話してくださるというので出すお金なんだから、その運用等についてはその居住者に十分発言権も持たせ、またその会計の監査といいますか、それがどういう規則に基づくかは別として、そういうことについて疑義のないようなシステムを確立して、そうして喜んで出して、それがほんとうに自分たちの生活を快適にするためにむだなく使われているのだ、こういうふうにいくべきだ。だから、千五百万円も余っているけれども、その利子や何かは全然その住民に返ってくるわけではないのだ。これは要するに全部住宅公団が管理してしまって、その利子なんかは団地に全然戻ってこない、そういうシステムになっているということは、これはまことに納得いかない、こういうことなんです。ですからそういう点については一体現状を把握されているのかどうか、いかがです。
  427. 三橋信一

    ○三橋政府委員 いまおっしゃいました千五百万円という数字は私ちょっと存じませんけれども、神代の団地につきましては、九百三十円でございましたものを七百五十円に下げております。したがいまして、そういう点やはり余りが出たと申しますか、蓄積が出たと申しますか、そういうことからこういう措置をとったものと思われますが、そういう点については調べまして御報告申し上げたいと思います。
  428. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 特にその大事な点は……
  429. 湊徹郎

    ○湊主査代理 長谷川君、時間ですから結論をお急ぎください。
  430. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 それで、いま私が申し上げた居住者の、つまり自治会等があるわけですから、そういうところの希望に沿った使い方をし、そしてその会計も詳細に明朗な報告ができて、いわば居住者から見れば、これは預けてやっていただくお金だ、こういう感覚でいるわけですよ。ですからその点はいまのような方法では、これは必ずいろいろな問題が起こると思うのです。その点についてそういう居住者の意思というものをもっと組み入れるシステムを確保するというお考えはありますか。
  431. 三橋信一

    ○三橋政府委員 従前から自治会の御意向などを伺いましていろいろこういう仕事をやっておる、こういうはずでございます。しかしこういうものはあるいは行き届かない点があったかと思います。そういう点は十分に注意いたしたいと思います。
  432. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 自治会の意向を聞くについても聞き方にはいろいろの方法があるので、聞いたんだ、聞きおいた、だけれどもそれはできないということもあるので、私はむしろ共益費については、機構上そういうものが何かちゃんとタッチできるようなことを考えたらどうかと思う。  この点は、時間がありませんから宿題としてひとつ御検討を願うことにして、もう一つだけ質問いたします。  この共益費を使うのに、伺うところによると、団地サービス株式会社というのですか、株式会社ができておって、その会社の幹部には全部住宅公団の元職員ですか役員ですか、そういう方々が天下っておる。また無給ではあるけれども、現に住宅公団の相当な地位にある方がその団地サービスの役員もしておる、こういうようなことで、しかもこれが全国一本で、独占といいますか、そうしてあと、個々の団地についてその団地サービスが全部やる。しかし実際はその下請機関に全部出して下請がやるわけですけれども、ここにまた非常に不明朗なものを居住者は感じておるのです。住宅公団の天下り役員がすわって相当な高給をはんで、トンネル会社のようなものをつくっておって、そこを通って、実際芝を刈っておるおじさんたちは一生懸命やっているのだけれども、どうも自分たちの出した共益金がほんとうにまともに、そういう団地のために働いている人たちに十分いっているとも思えない。そしてそこの途中に団地サービス株式会社というものが、全国一本の独占企業と申しますか、そういう形で一切これを握って引き受けておるのだ、こういう構造を聞きますと、これはやはり非常に問題で、これは住宅公団としてもあるいは建設大臣としても、こういうことについては十分なる検討をしていただかなければならぬと思いますが、それについてひとつお答えをいただきたいと思います。
  433. 保利茂

    保利国務大臣 住宅公団の管理のあり方等については、これは住宅公団として非常に責任があるわけでございますから、だんだんお話を伺っておりましても、いろいろ考えなければならぬところがあるように思います。しかし、何とかサービス会社ですか、といったようなものが不当に、あるべき管理方式を妨げておるとか、あるいは、これはおそらく住宅公団としては住宅公団の住居環境等を整備していかなければならぬ義務があるし、そのために住居者の協力をいただいて共益金等をいただく、そして今度は共益金を十二分にその目的のように達するための一つ方法として考えられたものだと思うわけでございます。私はどうも長谷川さんのおっしゃるような、妙な、トンネル的といえば、まあそれはなるほど芝を刈る人は実際の芝刈る人ですから、そういう意味ではトンネルということは言えるかもしれませんけれども、そういう人を雇い、そして実際作業をしてもらう、そういう世話万端するには、やはり住宅公団の別の、住宅公団としてはやはりそういうことを便宜上考えたのだろうと思います。ただ問題は、住居者が拠出されておる共益費が十分その共益の目的を達していくように管理をやっていくということが大事だろうと思いますから、その点につきましては、さらに十分現状も分析しまして、最善の方途を尽くしていくように——何さま、どうも話を聞きますと、入るまでは皆さん住宅難ですからたいへんでございますけれども、入れば、入った日から小言が出るというのが大体この種の性質のものだろうと思いますし、十分気をつけて、そういう点は少しでも誤りのないように、気をつける上にも気をつけてやるようにいたしたいと思います。
  434. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 じゃ、終わります。
  435. 湊徹郎

    ○湊主査代理 次に帆足計君。
  436. 帆足計

    帆足分科員 建設省には各種の請願が参っておりますが、請願書というものは議会に対して国民大衆の声を反映する性質のものでございますから、請願されましたそのすべてを委員会で通過するものではございません。理事会で慎重に取捨選択いたしまして委員会にかけまして採択ということになるのでございますから、審議の重要な参考にこれを資しなければならぬと私は確信いたしておりますが、建設省のお仕事は道路とか都市計画とか河川計画とか、それぞれ多少のゲバルト、強制力を使わなければならぬ仕事がやむなく多いものでございますから、とかく建設省の仕事はやむを得ざる事情であろうけれども、上から強制するというような習慣が多少強いようにわれわれは皮膚に感じております。したがいまして、請願書を軽々しく取り扱うことのないように、まず大臣並びに幹部の各位に希望いたしたいと思います。  御承知のように、東京郊外一周いたします外郭高速度環状線が計画されました。これにつきまして、十分な審議のないうちに計画が実施されようといたしましたので、私どもは大いに驚きまして、その後検討を重ねまして、また建設委員会においても委員長みずから現地を視察してもらいまして、たびたび検討をいたしました。この件につきまして、高速道路が必要なことはだれしも承知いたしておりますけれども、どの場所が適当かということは、その地域の住民の声のみでなくして、大局から見てまずまず合理的である、また五年、十年の先も見越しまして、まずまずこれならば実際的であり、合理的であるというような案を採用しなければならぬと思いますが、私は首都圏整備に関する委員会の顔ぶれを見まして、これは道路計画を審議する機関でなくて、連絡の機関にすぎないということを発見して驚いたのでございます。大部分委員の方は都庁に対して積極的発言権のないような立場に置かれている方々が委員になっておりまして、この委員会にかけられたものに対して学問的に実際的に異議を差しはさむことは困難でございまして、独自の意見を述べ得る立場を持たれておる委員はごくわずかにすぎないということを痛感いたしておるものの一人でございます。  そこで、とにかく形の上では首都圏整備委員会、その下部機関の委員会等を通過いたしましたものの、反対が油然として起こりまして、論理において私どもを説得する力がなかったということが事実でありまして、その証拠には単に地元の被害者の関係の各級議員諸君だけでなくて、すなわち杉並の一番端の高級、最もすぐれた住宅地、すなわち立教女学院から女子大の横を通って善福寺に至り、石神井公園に至る線でございますが、そこの住民ばかりでなくして、またそこの代表の各級議員ばかりでなくて、遠く三多摩の各級議員の方方も検討いたしまして、それぞれの自分の立場からでなくて、東京都全体の将来の見通しから見まして、七環、八環あるいは九環というのがあるかどうか存じませんけれども、七環、八環との関係から見ましても少し近過ぎるし、もうすでに非常に固まった住宅地でございますから、非常に困難であるし、ここに排気ガスや騒音をもたらすことも忍び得ざるところであり、もう少し郊外の、国有地もあり、草原も森もあり、地価も安く、代替地も近所にあり、またその高速道路ができるために未開発な場所がむしろ活用され、ある程度歓迎されるというようなことも考慮し、また高速道路の幅の広さ、美観、それから一酸化炭素の吸収等のために郊外高速道路の両側にはイチョウの並み木でも植えて一種の風致をつくることも考えられるし、たまたまそこに当たりました住宅に対しましては近所にかえ地が非常に豊富であるような場所をもう一度検討してみたらどうであろうというのが三多摩地区及び杉並地区、両方の議員の共通の意見でございまして、請願書は通ったわけでございます。  この際お尋ねいたしたいことは、これに対して美濃部都知事も再検討を公約しておられますし、請願書も再検討を約束した請願書が通過いたしておりますので、当局におきましては再検討ということをどういう手順でいまいたしておりますか、今後またいたしていきますか。再検討とは、調査をさらに慎重にし、各方面の意見を聞き——もちろんある程度は調査は秘密を要する部分もあるでございましょうが、再検討ということはただ原案をページを繰ることだけではなくて、いろいろな角度から検討を重ねてみることであろうと思います。従来建設委員会におきまして私どもが質問いたしたのに対する御答弁は資料も十分でなく、納得させるだけの十分な御答弁が開けなかったのでございますから、このような請願が通過いたしたのでございます。  道路の問題、都市計画の問題は国家百年の計でございますから、個々の犠牲者のことのみ配慮するわけにまいらぬことは当然でございます。したがいまして、これは大局的見地から検討せねばならぬことは申すまでもないことでございますが、大局的に見ましても、ただいま私が申し上げましたような現在の時点では、計画自身が小さく、視野が狭く、時と所を得ていないという感をいよいよ深くいたしておるのでございます。  したがいましてお尋ねいたしたいのは、三月初めごろの読売新聞に国土開発幹線道路に関する審議会の大綱と予算の説明が出ておりましたが、この中にただいまの高速道路のこともすでに織り込んでおられるのかどうか。とかくお役所仕事で、よくわからないうちに審議会をぱっと通すとか閣議決定とかということになりますと、私どもの納得しないうちに問題が通過してしまうということも従来あり得たことでございます。せっかく請願も通過し、前建設委員長もみずからお出ましになって現地の視察もして、共同の結論になっておるものでございますから、再検討ならば、科学的、実際的に再検討していただき、その再検討の段取り等をどのようにお考えになっておられるか。こまかなことをお尋ねする段階ではないと思いますけれども、お心組みのほどを私ども請願責任者として伺っておきたいと思う次第でございます。これにつきまして御答弁お願いいたします。
  437. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 帆足先生も御承知のように、この路線の位置で一番問題になっておりますのは環状八号線に近いではないか、もっと遠くのところを通ったらどうか、こういう御指摘、それ以外に騒音でございますとかあるいは公園の水鳥の問題とかいろいろございますが、そういうようなことが問題になったわけでございます。私どももその後事務的な検討をいたしておりますけれども、現在から東京都の交通状況の将来を考えますと、都心の中で二倍くらい、周辺部で四倍くらいの交通量が出てまいりますので、それをさばくためにはどうしても環状線が必要でございます。環状線は現在環状八号線まで施行されております。さらに環状九号線ともいうべき外郭環状線の位置でございますが、あそこに交通量の配分から見ましてどうしても環状線が必要なわけでございます。こういう環状方向の交通量を円滑に処理するために東京都の区部に接した地点、都心から十五キロくらいのところにどうしても環状線が必要であるというような結論でございます。それをさらに遠くへ持っていくということになりますと、先生御承知のように、中央線の沿線の市街地は相当の厚みをもって西のほうに伸びております。したがって、それをはるか遠く迂回して環状線をつくるということになりますと、環状線の形が、西側の中央線の沿線のところが非常に飛び出した形になります。そういたしますと、南や北から参ります交通が非常に遠回りになりまして、地方から入ってまいります各種の道路を都心の中に分散導入させるというこの外郭環状線の効果が薄れてくるわけでございます。  さらにまた、環状線を遠くへやりますと、都心から放射形に伸びてまいります幹線道路なり、あるいは都市高速道路なりの延長が長くなりまして、現在都心部でございますと、現に放射線は進捗状況でいろいろ問題はございますけれども、すでに着工いたしておりますので、それを環状線につなげるという意味からいいましても、あの辺の地点に環状線が必要なわけでございます。  先般御説明申し上げましたように、あの辺が必要だということから、さらに具体的ルートをどう選ぶかということにつきましては、学校や公園を避けまして、さらにできる限りあいている土地をさがしまして、道路としての機能を発揮できるようなことも考えつつ、慎重に検討、選定したわけでございます。以上のようでございまして、その研究はいたしましたけれども、現在のところ、既定計画を変更する要素は見当たらないという状況でございます。
  438. 帆足計

    帆足分科員 驚くべき御答弁に接しまして、ただいまの御説明では私ども納得することができません。第八環状線に近いだけではなくて、あそこは密集的な緑地、住宅地帯になっておるところでございまして、いまから十年前になさるならば、そういうことも考えられたでしょう。それとしても計画が小さ過ぎて、道の幅、距離、住宅の密度等から考えまして、私は困難であると思って、それには委員長みずからが現場をごらんになって、そして、こういうところにかくも近く、かくも無理なところに計画立てたものかなと、大いに驚いたのが建設委員の偽らざる現状でありました。したがって、あれからわずかな日数しかたちませんが、一体どういうふうに御検討なされたか。飛行機で鳥瞰図もおとりになったであろうと思いますが、きまったものとしたこの請願を軽々しく取り扱われたのでは、とうてい各議員とも納得しないと思います。  と申しますのは、われわれの請願が公平であることの証拠に、三多摩では山花議員も、小山議員も、また長谷川議員も賛成しておりますし、また杉並では私どもも賛成しております。これが特に片寄っているものならば、私どもだけが不賛成を唱えて、他の議員はボイコットする。他の各級議員は、われ関せずえん、こうすると思いますけれども、全体の状況考えまして再検討する必要があるということにみな意見が一致したのでございますから、ただいまのお考えでは、あまりにも過去のいきさつにとらわれ過ぎておる。私どもを納得させる力はございません。その上、当時説明した説明の図面、説明のしかたはまことにずさんでありましてはなはだしきに至っては私をだまくらかしまして、自動車から健康を害するガスが出るなどということは、合理主義者をもって任ずる帆足さん時代おくれなことを言う、もうそういうことは過去のことになってしまったなどという話がありましたが、これは過去のことではございませんで、まだまだ未解決な問題でございます。こういう次第でありますから、再検討なさるならば再検討して、十分納得し得るだけの再検討でなくてはなりませんから、ただいまのような御答弁では断じて納得できません。したがいましていずれ正規の建設委員会におきまして、私どもともども出席いたしまして、御説明を伺った後にお考えのほどを進めていただきたいことを強くこの席で要望いたします。各大臣におかれましても、私どもの陳情、また委員長の助言を取り入れられまして、慎重に再検討するという約束をいままでしていただいたのがいきさつでございますけれども大臣の交代があまりに早いものですから、せっかくこの大臣を御説得申し上げて御研究願ったと思ったら、たちまちにしてまた他の大臣にお移りになるというようなこともありまして、直接大臣のお目をわずらわす機会が乏しいことを残念に思っておりますので、この請願が通っておること、党派を離れて両地区の議員が一致して陳情いたしておることなどを御考慮なさいまして、そしてただいまのような簡単な御議論ではわれわれ承知いたしません。また東京都の山田整備局長時代にできた案でありますが、山田さんは山田天皇という名前で呼ばれておりまして、もちろん都市計画の困難さにたびたびあっておるうちには、だれしも仁徳天皇ではやっていけなくて、雄略天皇になってくるのは、これは人情でありましょう。雄略天皇のようになりましてついにおやめになりましたけれども、私は、こいねがわくは雄略天皇の繰り返しをなさらないように、合理主義的仁徳天皇、こういうことでやっていただきたい。すなわち理と情においてわれわれを納得させ得る計画案にしてもらいたいというのが請願の趣旨でございますから、ひとつ大臣よくお心にとめていただきたい。歴代の大臣、いつもよくわかったというてくださっておりますが、今度はだいじょうぶかどうか。ひとつ否定的な答えをなさるならば、なさらないほうがいいのでありまして、とにかく実際をよく検討する、われわれは地元だけの利益代表ではありません。地元の利益代表ならば区会議員さんにまかしておきます。国会議員というものは遠く沖繩のことも考え、北方領土のことも考えるのが国会議員でございますから、ささたる地元のことだけでやろうとするものではありません。ましていわんや私のごときは労働組合だけから出ているものでもなく、また、とうふ屋さんだけの代表でもなく、パーマネント代表でもございません。市民全体を代表すると同時に、国の運命全体を引き受けておるという考えで発言いたしておりますから、あだおろそかにお聞き取りくださったならば、雄略天皇の二の舞いになりますから、ひとつ学問的にも科学的にも実際的にも統計的にもわれわれを納得させ得る案に、虚心たんかいに再検討願いたいということを切に要求する次第でございます。御答弁はなるべく前向きの御答弁を、御研究なさるということだけでも……。
  439. 保利茂

    保利国務大臣 都市局長からお答えいたしましたような、東京都の将来を考えてみましても、もっともな理由があると思いますけれども、私が伺っておりましても、どうもこれでは沿線のみなさんを納得できるだろうかという疑問を、私は実は持っております。しかしまあきょうは時間もないことでございますから、おそらく都市局長もつぶさに御説明を申し上げることをいたさなかったと思いますけれども、実は私もこの陳情を直接伺いました。写真も拝見しました。はて無理だなという感じを、ありていに言って持っておるわけでございますが、しかし同様に先ほどお話しのように、お互いに日本の国政に携わる者として、同様の見地からいけるものかどうか、慎重に検討してみたいと思います。
  440. 帆足計

    帆足分科員 もう時間がございませんから、議員と申しますのは質問するだけが能でございませんから、国民にかわって御要望だけをさらに申し上げておきます。  皆さんとともどもに、また東京の議員でなくても東京にお住みの方が多く、御子息も東京でお育ちになった方が多い共同の都でございます。この都が荒廃をいたしております。ベルリンの町に参りましても、ニューヨークに参っても、東中野ぐらいのところに行けばウサギ狩りもできるという風景でありますのに、明治の鹿鳴館時代以来何百、何万、何十万、何百万という人が外国に行きながら、都市計画について学ぶことがなかったということは、何という情けない、あさましいことであろう。私は涙が流れるような思いがするのでございます。その点は党派を越えて美濃部さんがいま一生懸命になっておりますことに、私も何とか成功させたい、与党であるからそう思っておるわけじゃありません。一市民としてそう思っておりますが、オリンピックの予算のとき、東さんがほんとうに努力してくださって、やればやれるという一つの突破口を開いたことは、私は東さんの功績であったと思います。オリンピック予算はどのくらいかかったのでしょうか、あとでちょっと説明を願いたいと思います。皆さんと共同の首都東京でございますから、これを恥ずかしくない町にするために、東京対策特別委員会でも国会の中につくって、そうして首都をどうすればよいか、これは外から注射しなければ、東京都でいま動かし得る予算というものは百億くらいなものでございまして、太郎さんが知事になろうと花子さんがなろうと、ほとんど動かす余地はないというのが実は東京都政の実情でございます。したがいまして、オリンピックをやったときと同じような新しい構想をもちまして、首都東京をどうするかということを共同の課題といたしたい。これは党派心で申すのではございません。  さらに、東京には草もなくなり、林もなくなり、赤トンボも見えず、子供に赤トンボの歌を聞かせるためには、赤トンボの標本を持ってきて、これが赤トンボだよと言って見せねばならぬ、こういう情けない状況でございます。こういうことでございまして、さらに現在東京郊外では宅地の造成といって、これも再検討を必要とするのですが、どんどん山を切りまして、私の近所の吉祥寺、武蔵野、三鷹においてすら幹まわり一尺くらいのケヤキがいまだに切られている状況でございます。戦後私はベルリンに参りました。総領事館の庭に枯れ木が一本ありますから、あれはどうして置いておるのですかと聞きますと、あれは緑の木に取りかえる許可がおりるまでは、枯れ木一本といえども切ることを許可されないのです。まわりは一尺にも満たない中くらいの木でございましたけれども、それくらい樹木を大事にしているのでございます。東京郊外の荒れ果てていく姿を見ることはほんとうに耐えられないことです。やがて虫もすだかなくなり、小鳥も来なくなるでしょう。井之頭公園などの風景も、昔に比べれば惨たんたるものです。私は多摩川によくアユの網打ちに参りました。子供たちにお父さんと行ごうと言うと、みな行こう行こうと走ってきて、一緒に網を打って楽しみました。いまでは網を打つとかかるのはオタマジャクシばかり。あとはルーデサックとごみがかかる。そこで相模川まで今度は足を延ばしまして、わずか五年前にはピチピチとしたアユが四、五匹はかかりました。いまはかかるのがドンコばかり。このような状況で、一体人の心が美しくなるか。一体文部大臣は人の心に向かって、あたたかいことばを、愛国心を語りたいと思うなら、まず山と水について語れ、私はそう申したいのでございます。日本の空と日本の水と山と風のそよぎについて語れ、それが愛国心の源でございまして、文部大臣の心がけはちょっと間違っておるように思います。特にきょうは郵政関係委員会に私は出たいと思っておりましたが、ラジオ、テレビ、特にあのようなテレビの状況で子供がよくなるはずもありません。悲劇ハムレットの最中にインスタントラーメンとはこれいかに。悲劇を見ているときにはナイアガラの瀑布ほどの頭の電流が流れておるところに、そこへ突然インスタントラーメン。これは文部大臣の所管ではないかもしれませんけれども、半分所管ですけれども、私はそういうことをほったらかしておいて、そして愛国心を説くなどおこがましい。文部大臣のうちの玄関に行ってテレビをたたきこわすからそのつもりでおれ、こう申しつけておきましたが、しかしやろうと思えばプログラムを変えることはできるのです。先日「想い出のチェーホフ」という民芸の舞台が中継放送になりまして、私は黙って見ておりましたが、これはテレビで見ても舞台で見たと同じくらいの効果に写されておりまして、世の中に深く人生を考えさせるいい映画、いい芝居もあるものだな、こういうものを拾い上げて、美しい景色、美しい踊り、たえなる日本の音楽、世界の音楽、その他よきものを取り上げてやれば、決して番組に困らないはずなのに情けないと思いました。たまたま話は横に移りましたけれども、同じようにこの建設大臣の責任ということは非常に大きいと思うのです。先日、「白魚」という文化映画がございまして、白魚が隅田川に群がるようになるのはいつの日のことか。これは単に東京都知事にまかしておいてできることでは絶対にありません。したがいまして、日本の国土の荒廃を防止するために建設大臣後藤新平のような心境におなりになって、ひとつ奮起をしていただきたい。そうして党派を越えて首都東京の町の建設のために美濃部さんが努力するならば、党派、イデオロギーは別としてその努力だけには互いに報いたい、こう思う次第でございます。東京都民として思い余っておる心境を申し上げて建設大臣を御激励したわけでございますから、よろしくひとつおくみ取りのほど願いたいと思います。
  441. 保利茂

    保利国務大臣 帆足さんの段々の御説は傾聴いたしておりました。私は、このたくましい日本のわれわれ民族があの廃墟の中から、とにかく今日をつくり上げたたくましいこのエネルギー、されば今日の建設はあるわけでございます。しかしながら、現状はまことに憂慮にたえない状態でございます。これを何とか住みよいお互いの共通の都として建設をしていかなければならぬ。その中に特に考えていかなければならないことは、いかにしてその困難の中を克服しつつ自然環境を保存していくかということは最も大事な配慮を要するところだろうと、私も心がけております。そうして私は、この今日の東京のような中で、われわれの時代はよろしゅうございますけれども次の時代を思いますと、やっぱりときにはお母さんたちをてこずらせるような、ほんとうにどろんこになって帰ってこられるような、子供たちをたくましく育て上げ得るような状態に持っていかないと、次の時代というものは非常に心配だという感じを持っておるような状態でございます。努力をしてまいりたいと思います。
  442. 松浦周太郎

    松浦主査 それでは、明十四日は午前十時より開会し、運輸省所管について審査を行なうこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時五分散会