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1968-03-12 第58回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十三年三月九日(土曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月十一日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       荒木萬壽夫君    上村千一郎君       小川 半次君    小坂善太郎君       野田 卯一君    森山 欽司君       中澤 茂一君    山内  広君       山中 吾郎君    塚本 三郎君 三月十一日  森山欽司君が委員長指名で、主査選任され  た。     ————————————— 昭和四十三年三月十二日(火曜日)    午前十時十八分開議  出席分科員    主査 森山 欽司君       荒木萬壽夫君    上村千一郎君       小川 半次君    加藤 六月君       小坂善太郎君    野田 卯一君       中澤 茂一君    中村 重光君       広沢 賢一君    山内  広君       山中 吾郎君    池田 禎治君       塚本 三郎君    兼務 石田 宥全君 兼務 大原  亨君    兼務 田中 武夫君 兼務 受田 新吉君    兼務 伊藤惣助丸君  出席国務大臣         法 務 大 臣 赤間 文三君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      木村 武雄君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      鍋島 直紹君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      田中 康民君         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         総理府人事局長 栗山 廉平君         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         宮内庁次長   瓜生 順良君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         行政管理庁行政         監察局長    諸永  直君         科学技術政務次         官       天野 光晴君         科学技術庁資源         局長      鈴木 春夫君         中小企業庁次長 沖田  守君  分科員外出席者         衆議院事務総長 知野 虎雄君         衆議院庶務部長 三樹 秀夫君         参議院事務総長 宮坂 完孝君         参議院管理部長 二見 次夫君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   内田 喜一君         裁判官訴追委員         会事務局長   中川  衛君         国立国会図書館         長       河野 義克君         国立国会図書館         副館長     岡部 史郎君         公正取引委員会         事務局取引部取         引課長     長谷川 古君         警察庁交通局交         通規制課長   玉田 茂芳君         法務省刑事局刑         事課長     石原 一彦君         大蔵大臣官房財         務調査官    宇佐美 勝君         大蔵省主計局給         与課長     津吉 伊定君         大蔵省主計局主         計官      高橋  元君         厚生省薬務局企         業課長     信沢  清君         建設省国土地理         院院長     安芸 元清君         最高裁判所事務         総長      岸  盛一君     ————————————— 三月十二日  分科員野田卯一君及び山内広委員辞任につき、  その補欠として加藤六月君及び広沢賢一君が委  員長指名分科員選任された。 同日  分科員加藤六月君及び広沢賢一委員辞任につ  き、その補欠として野田卯一君及び山内広君が  委員長指名分科員選任された。 同日  分科員山中吾郎委員辞任につき、その補欠と  して中村重光君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員中村重光委員辞任につき、その補欠と  して美濃政市君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員美濃政市委員辞任につき、その補欠と  して山中吾郎君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員塚本三郎委員辞任につき、その補欠と  して池田禎治君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員池田禎治委員辞任につき、その補欠と  して玉置一徳君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員玉置一徳委員辞任につき、その補欠と  して折小野良一君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員折小野良一委員辞任につき、その補欠  として塚本三郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  第二分科員石田宥全君、第三分科員大原亨君、  第四分科員田中武夫君、受田新吉君及び伊藤惣  助丸君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十三年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所内閣総理府防衛庁及び経済企画庁  を除く)、法務省及び文部省所管  昭和四十三年度特別会計予算文部省所管      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査をつとめることになりましたので、よろしく御協力をお願い申し上げます。  本分科会は、皇室費国会裁判所内閣防衛庁及び経済企画庁を除く総理府法務省及び文部省所管並びに他の分科会所管以外の事項について審査を行なうことになっております。  本分科会審査日程は、一応分科員各位のお手元にお配りいたしてあるとおりでございます。  それでは、昭和四十三年度一般会計予算中、皇室費国会裁判所内閣防衛庁及び経済企画庁を除く総理府法務省及び文部省所管昭和四十三年度特別会計予算文部省所管を議題といたします。  順次関係当局より説明を求めます。  まず、皇室費説明を求めます。瓜生宮内庁次長
  3. 瓜生順良

    瓜生政府委員 昭和四十三年度における皇室費歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和四十三年度における歳出予算要求額は、四十二億一千四百十六万五千円でありまして、これを前年度歳出予算額四十三億六千百二十五万二千円に比較いたしますと、一億四千七百八万七千円の減少となっております。  皇室費歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費八千四百万円、宮廷に必要な経費四十億八千四百八十万五千円、皇族に必要な経費四千五百三十六万円であります。  次に、その概要を御説明いたしますと、内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上いたすことになっておりますが本年度は、前年度に比較して、一千六百万円の増加となっております。  これは、内廷費定額六千八百万円を、本年度において八千四百万円に増額改定することを予定いたしていることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  宮廷に必要な経費は、内廷諸費以外の宮廷に必要な経費を計上いたしたものでありまして、その内容といたしましては、皇室公的活動に必要な経費一億九千二十九万九千円、宮殿新営に必要な経費十九億三千五十七万六千円、皇居東側地区整備に必要な経費二億七千百七十万一千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費十六億九千二百二十二万九千円でありまして、前年度に比較して一億七千四十二万円の減少となっております。なお、皇室用財産維持管理等に必要な経費には、御用邸を新設するために必要な不動産購入費及び移転補償金計七億六千六百万円が計上されております。  このほかに、国庫債務負担行為として御料牧場施設取得二十二億円を再度計上いたしております。これは、昭和四十二年度予算に計上いたしました国庫債務負担行為御料牧場施設取得にかかる契約を同年度中に結ぶことができなかった場合においては、当該国庫債務負担行為の金額を限り、昭和四十四年度国庫負担となる契約を、本年度において結ぶ心要があるからであります。  皇族心要経費は、皇室経済法第六条の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上いたすことになっておりますが、本年度は、前年度に比較して七百三十三万三千円の増加となっております。これは、内廷費と同様に、年額算定の基礎となる定額六百二十万円を、本年度において七百二十万円に増額改定することを予定いたしていることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  以上をもちまして、昭和四十三年度皇室費歳出予算計上額説明を終わります。よろしく御審議くださるようお願いいたします。     —————————————
  4. 森山欽司

    森山主査 次に、衆議院予算説明を求めます。知野衆議院事務総長
  5. 知野虎雄

    知野事務総長 昭和四十三年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十三年国会所管衆議院関係歳出予算要求額は、九十二億九千三百二十七万二千円でありまして、これを前年度予算額八十三億七千四十九万九千円に比較いたしますと、九億二千二百七十七万三千円の増加となっております。  要求額事項別概略説明申し上げますと、その第一は、国会運営に必要な経費でありまして、八十一億五千六百二十一万二千円を計上いたしております。この経費議員議員秘書及び職員給与に関する経費旅費庁費議案類印刷費光熱水料通信費等事務費及び庁舎等維持管理に必要な経費でありまして、前年度に比し六億四千百六十万三千円の増加となっております。  そのうちおもなものについて申し上げますと、議員通信交通費につきまして月額十五万円を十八万円とし、また、立法事務費月額五万円を六万円に改め、さらに、第一秘書給料月額につきましては、調整手当相当額を加算した額に増額改定することとし、これらに必要な経費を計上いたしております。  次に、委員派遣旅費につきましては、必要に応じ航空機を利用することができるようにするため、百十五万四千円を増額計上いたしております。  次に、外国議員団招待に必要な経費につきましては、千九百八十四万円を計上いたしております。  次に、海外派遣に必要な外国旅費として、列国議会同盟年次大会班及び議長外訪班増員等を含め八千百三十三万三千円を計上いたしております。  第二は、営繕工事に必要な経費といたしまして十一億三千六万円を計上いたしておりますが、このうちおもなものは、委員会庁舎新営費五億五千四百六十六万五千円、国会記者事務所新営費二億八千四百九十五万七千円、本館門囲障等改設費一億七千百九十三万八千円及び本館等空気調和施設整備費五千百万円等でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費として、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でございますが衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどお願いいたします。
  6. 森山欽司

    森山主査 次に、参議院予算説明を求めます。宮坂参議院事務総長
  7. 宮坂完孝

    宮坂参議院事務総長 昭和四十三年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和四十三年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、五十四億六千八百十六万八千円でありまして、これを前年度予算額四十七億九千百五十九万六千円に比較いたしますと、六億七千六百五十七万二千円の増加と相なっております。  要求額事項別に御説明申し上げますと、その第一は、国会運営に必要な経費でありまして、四十八億三千六百五十四万九千円を計上いたしております。この経費議員議員秘書及び職員給与に関する経費旅費庁費議案類刷費光熱水料費通信費等事務費及び庁舎等維持管理に必要な経費でありまして、前年度に比し、三億六千三百八十一万二千円の増加と相なっております。  そのうちおもなものについて申し上げますと、議員通信交通費につきましては、月額十五万円を十八万円に、立法事務費月額五万円を六万円に改め、さらに、第一秘書給料月額につきましては、調整手当相当額を加算した額に増額改訂することとし、これらに必要な経費を計上いたしております。  また、委員派遣旅費につきましては、必要に応じ航空機を利用することができるようにするため、六十九万二千円を増額計上いたしております。  なお、外国議員団招待に必要な経費として、一千五十五万六千円、海外派遣に必要な外国旅費として、五千二十四万五千万円を計上いたしております。  第二は、営繕工事に必要な経費といたしまして六億二千六百六十一万九千円を計上いたしておりますが、このうちおもなものは委員会庁舎新営費三億二千七百七十一万八千円、議員宿舎改築費一億一千百五十七万六千円、本館門囲障等改設費八千二百三十二万五千円、本館等空気調和施設整備費五千百万円等でございます。  第三に、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上簡単でございますが、参議院関係歳出予算概略を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  8. 森山欽司

    森山主査 次に、法務大臣の御都合によりまして順序を変更し、法務省所管予算説明を求めます。赤間法務大臣
  9. 赤間文三

    赤間国務大臣 昭和四十三年度法務省所管予定経費要求内容につきまして、大要を御説明申し上げます。  昭和四十三年度予定経費要求額は七百三十四億二千二百三十一万六千円でございます。  前年度補正予算額六百九十億六千三百二十八万三千円と比較いたしますと、法務省所管分は、四十三億五千九百三万三千円の増額となっております。  増減の詳細は、別途の資料により御承知願いたいのでございまするが、増減額分内訳を大別して御説明いたしますと、第一に、人件費関係の三十五億六千九百十六万六千円の増額であります。これは、昇給原資としての職員俸給等増額分がおもなものでありますが、そのほかに増員に伴う所要人件費が含まれております。  増員数検事、副検事法務事務官等をあわせて四百六十八人でありまするが、その内容について申し上げますと、一、公判審理公安労働事件審理を含む。)を迅速適正化するため検事十人、検察事務官十人、二、自動車による事務過失致死傷事件処理適正迅速化するため副検事二十人、三、告訴告発事件等処理を迅速化するため検察事務官四十八人、四、暴力団関係収容者増加に対処して刑務所における保安警備を充実するとともに適正な勤務体制の実現をはかるため看守百人、五、非行青少年対策を充実強化するため合計五十人、その内訳は、1、少年院教化活動を充実するため教官二十人、2、少年鑑別所観護活動を充実するため教官十人、3、保護観察所機能を充実するため保護観察官二十人、六、登記事件増加に対処してその事務処理を円滑適正化するため事務官二百人、七、出入国審査業務適正迅速化をはかるため入国審査官二十七人、入国警備官三人となっております。他方交通反則通告制度実施に伴い、検察事務官七十八人が減員となり、また、昨年十二月の閣議決定に基づく計画定員削減により二百八十九人が減員となっておりますので、これらを差し引きいたしますると、百一人の定員増加となっております。  第二に、一般事務費としての九億一千三百七十二万円の増額であります。これは事務量増加に伴い増額されたもののほか、積算単価の是正、職員等執務環境整備改善及び矯正関係等収容者の処遇の改善に伴う増額分等であります。  なお、この中には、1、本年実施を予定されている参議院議員の選挙につき、適正な検察を行なう必要がありますので、これに要する経費として八千七百八万九千円、2、昭和四十三年度は、外国人登録法に基づく在日外国人登録証明書の大量切りかえを行なう年度にあたりますので、これに要する経費として九千三十八万七千円が計上されております。  第三に、営繕施設費として一億四千四百三十七万七千円が減額となっておりまするが、これは、来年度におきまして官庁施設費を圧縮しようとする政府の方針に基づくものであります。  次に、おもな事項経費について、概略を御説明申し上げます。  第一に、外国人登録法に基づき、在日外国人登録及び指紋採取事務処理するために要する経費として一億七千二百七十八万二千円、第二に、法務局地方法務局において登記、台帳、供託、戸籍等事務処理するために要する経費として十一億七千五百八十九万九千円、第三に、検察庁において刑事事件処理するための直接検察活動に要する経費として七億九千五百六十五万一千円、第四に、拘置所刑務所少年刑務所少年院少年鑑別所及び婦人補導院昭和四十三年度一日平均収容予定人員七万六千九百二十人の衣食、医療及び就労等に要する経費として七十二億一千八十二万七千円、第五に、保護観察に付された少年、いわゆる刑余者及び執行猶予者等を補導監督し、これを更生させるための補導援護に要する経費として十一億四千二百万一千円、第六に、出入国者審査在日外国人在留資格審査事務処理し、不法入国者等の護送、収容、送還を行なうに要する経費として九千五百四十万円、第七に、公安調査庁において処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として十億二千二百九十七万八千円、第八に、法務局検察庁等庁舎及び刑務所少年院等収容施設の新営、整備に要する経費として四十四億六百九十八万九千円が計上されております。  以上が法務省所管歳出予算予定経費要求大要でありまするが、このほか、金沢刑務所施設を処分し、新たに同施設を取得しようとするための総額八億五千七百万円の国庫債務負担行為要求いたしております。  最後に、当省主管歳入予算について一言御説明を申し上げます。  昭和四十三年度法務省主管歳入予算額は、二百八十八億七千十四万二千円でありまして、新年度補正予算額三百六十七億七千四百七十七万六千円に比較しますと、七十九億四百六十三万四千円の減額となっております。これは、刑務作業収入等において二億五千七百十九万二千円の増額となっておりまするが、他方交通反則通告制度実施に伴い、検察庁で取り扱う罰金及び科料が八十一億六千百八十二万六千円減額となることによるものであります。  以上、法務省関係昭和四十三年度予算及び予定経費要求について、その概要を御説明申し上げました。よろしく御審議を賜わりまするようお願い申し上げます。
  10. 森山欽司

  11. 河野義克

    河野国立国会図書館長 昭和四十三年度国会所管国立国会図書館歳出予算要求について御説明申し上げます。  まず、昭和四十三年度歳出予算要求総額は二十三億七百八十五万五千円でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと三億七千一百八十一万三千円の増加となっております。  次に、要求のおもな事項について御説明申し上げます。  第一に、国立国会図書館維持管理に必要な経費といたしまして、十億九千五十七万七千円を計上いたしております。これは人件費及び一般事務処理庁舎維持等に要する経費並びに庁舎の第二期工事完成に伴う経費でございます。  第二に、業務運営に必要な経費といたしまして、二億五千六百二十四万三千円を計上いたしております。これは、図書館資料を購入するための経費一億五千八百十六万六千円をはじめ、立法調査業務図書館資料の収集・整理・利用、目録・書誌の作成製本業務写真複製業務印刷カード作成業務図書館間協力業務科学技術関係資料整備等に要する経費でございます。  第三に、営繕工事に必要な経費として、九億大千一百三万五千円を計上いたしております。これは国立国会図書館庁舎第二期工事の第三年度に必要な経費でございますが、これによりまして、昭和四十一年度より三年にわたる経費総額は二十三億一千三百七十七万三千円となり、多年の懸案でありました全館の工事は、昭和四十三年秋を目途として完了することとなります。  以上は、はなはだ簡単な説明でございますが、よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。     —————————————
  12. 森山欽司

  13. 中川衛

    中川裁判官訴追委員会参事 昭和四十三年度裁判官訴追委員会関係歳出予算につきまして御説明申し上げます。  昭和四十三年度における裁判官訴追委員会歳出予算要求額は、二千六十七万五千円でありまして、これを前年度予算額千九百七万八千円に比較いたしますと、百五十九円七千円の増加となっております。  この経費は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち、おもなものは、職員俸給等増加によるものであります。  何とぞよろしく御審議いただきたいと存じます。     —————————————
  14. 森山欽司

  15. 内田喜一

    内田裁判官弾劾裁判所参事 昭和四十三年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の御説明を申し上げます。  昭和四十三年度裁判官弾劾裁判所予定経費要求額は二千百八十万二千円でありまして、これを前年度予算額二千四十七万二千円に比較いたしますと、百三十三万円の増加となっております。  次に、この要求額事項別に御説明申し上げます。  まず、裁判官弾劾裁判所運営に必要な経費として、二千百五十四万六千円を計上いたしております。これは裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費事務処理費等でありまして、増加のおもなものは職員給与改定等によるものであります。  次に、裁判に必要な経費として二十五万六千円を計上いたしております。これは裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費であります。  以上簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係概要でございます。よろしく御審議のほど、お願いいたします。     —————————————
  16. 森山欽司

  17. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 昭和四十三年度裁判所所管予定経費要求額総額は、三百七十七億八千百九十五万四千円でありまして、これを前年度予算額三百六十億四千六百四十二万三千円に比較いたしますと、差し引き十七億三千五百五十三万一千円の増加になっております。  これは、人件費において十七億七千九百万円、その他司法行政事務を行なうために必要な旅費庁費等において九千三十五万一千円増加したのに対し、営繕費において一億三百二十三万八千円、裁判費において三千五十八万二千円減少した結果であります。  次に、昭和四十三年度予定経費要求額のうちおもな事項について説明申し上げます。  まず裁判事務の迅速適正化に必要な経費、高等裁判所の事件を迅速に処理するため、判事九人、裁判所書記官九人の増員に要する人件費として二千二百五十九万九千円、借地非訟事件を適正に処理するため、判事三人、簡易裁判所判事二人、裁判所書記官六人の増員に要する人件費として一千九十四万八千円、交通事件を迅速適正に処理するため、簡易裁判所における交通事件すなわち略式事件の処理体制の強化に要する経費として、簡易裁判所判事五人、裁判所書記官五人の増員に要する人件費七百三十九万八千円、裁判官、家庭裁判所調査官、調停委員の交通問題に関する研究に要する経費として四百五十七万三千円、家庭裁判所の調査機能を充実するため、家庭裁判所調査官二十人の増員に要する人件費として一千百六十四万二千円、合計五千七百十六万円が計上されました。  次に、執行官法の趣旨に即した強制執行の機構を確立するに必要な経費として、会計機構の充実に要する経費裁判所事務官すなわち歳入歳出外現金出納官吏補助職員二十人の増員に要する人件費五百三十五万五千円、執行関係事務査察旅費二百四十三万二千円、帳簿、調書の作成等に要する経費二百一万六千円、執行官旅費三百九十万四千円、合計一千三百七十万七千円が計上されました。  次に裁判運営の近代化及び職場環境の整備充実に必要な経費として、下級裁判所裁判官研究庁費一億七千六十二万九千円、裁判資料整備に要する経費一億一千二百九十三万六千円、裁判及び司法行政の運営に必要な器具等の整備に要する経費七千三百四十三万三千円、庁舎の管理及び維持等に必要な経費として、庁舎管理等要員三十人の増員に要する人件費七百二十二万五千円、庁舎維持費七百九十六万三千円、合計三億七千二百十八万六千円が計上されました。  次は営繕費でありますが、まず最高裁判所庁舎新営に要する経費として、設計の公募に要する経費を含む営繕事務費七百七十一万八千円、敷地買収のための不動産購入費六億五千万円、さらに下級裁判所庁舎新営、増築等に要する経費として、裁判所庁舎の継続工事十六庁舎、新規工事十五庁舎の新営工事費及び営繕事務費二十七億一千四百六十一万五千円、執務体制確立に伴う施設整備等に要する経費五億三千五百十万八千円、合計三十九億七百四十四万一千円が計上されました。  最後に裁判費でありますが、国選弁護人の報酬、証人、調停委員等の日当、その他裁判に直接必要な旅費庁費等として二十二億九千三百八十九万六千円が計上されました。  なお、この経費には、国選弁護人の報酬を約七・九%増額するに必要な経費として、二千七百三万二千円、国選弁護人等の日当の現行の単価七百円を八百円に、証人等の日当の現行の単価五百五十円を六百円に、それぞれ増額するに必要な経費として一千三百六万八千円、刑事補償金を約四〇パーセント増額するに必要な経費として百七十七万六千円、計四千百八十七万六千円が含まれております。  以上が昭和四十三年度裁判所所管予定経費要求額大要であります。よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  18. 森山欽司

    森山主査 次に、内閣及び総理府所管予算説明を求めます。八木総理府総務副長官。
  19. 八木徹雄

    ○八木政府委員 昭和四十三年度における内閣及び総理府所管歳出予算案について、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和四十三年度における歳出予算要求額は三十億一千二百六十二万一千円でありまして、これを前年度歳出予算額二十四億六百六十四万七千円に比較いたしますと、六億五百九十七万四千円の増額となっております。  内閣所管歳出予算に計上いたしましたものは、内閣官房、内閣法制局、人事院及び国防会議の事務の執行に必要な経費であります。  次に、総理府所管昭和四十三年度における歳出予算要求額は九千百四十三億四千二百三万八千円でありまして、これを前年度歳出予算額八千一百三十二億一千九百九十五万一千円に比較いたしますと、九百十一億二千二百八万七千円の増額となっております。  総理府所管歳出予算に計上いたしましたものは、総理本府内部部局、付属機関及び青少年対策本部、日本学術会議、近畿圏整備本部、中部圏開発整備本部の機関のほかに、公正取引委員会、国家公安委員会、土地調整委員会、首都圏整備委員会、宮内庁、行政管理庁、北海道開発庁、防衛庁経済企画庁及び科学技術庁の外局に関するものでありますが、このうち防衛庁に関する歳出予算計上額四千二百二十億三千九百五十一万二千円、経済企画庁に関する歳出予算計上額三百三十五億百八十三万三千円につきましては、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外のおもなる経費について、以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、総理本府に必要な経費二千五百十七億七十九万四千円、青少年対策本部に必要な経費七億百二十七万五千円、警察行政に必要な経費三百四十二億六千七百十万一千円、行政管理庁に必要な経費四十一億五千三百五十一万六千円、北海道の開発事業に必要な経費一千三百三十六億五千百八十一万六千円、科学技術庁に必要な経費三百十八億三千七百二十九万九千円等であります。  なお、総理本府に必要な経費は、総理本府一般行政等に必要な経費七十億三百二十三万三千万、恩給支給に必要な経費二千三百三十億三千二百七十四万八千円、沖繩援助等に必要な経費百十六億六千六百八十一万三千円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  総理本府一般行政等に必要な経費は、行政施策に関する広報活動の積極的推進、生存者及び戦没者等の叙勲、陸上交通安全調査、明治百年記念行事等、新生活運動の助成及び各種統計調査等のための経費でありまして、前年度に比較して六千九十万七千円の増額となっております。  恩給の支給に必要な経費は、恩給法等に基づいて、退職した文官、旧軍人及びその遺族等に対して年金または恩給を支給するための経費でありまして、昭和四十三年度におきましては、新規裁定、失権等に伴う増減がありますほか、新たに恩給増額措置のための経費を計上しておりますために、前年度に比較して三百二十三億九千四百三万一千円の増額となっております。  沖繩援助等に必要な経費は沖繩における義務教育教職員給与費に対する半額負担、学校施設整備等の教育関係、社会福祉及び医療関係、産業開発関係、技術関係の援助及び南方同胞援護会に対する補助等のための経費でありまして、前年度に比較して三十二億四千七百九十四万七千円の増額となっております。  なお、教育、医療等の援助経費につきましては、その執行にあたって必要に応じ、それぞれ関係各省の所管に移しかえて使用されるものであります。  青少年対策本部に必要な経費は、青少年対策本部(仮称)の一般事務、青少年健全育成対策及び国民健康体力増強等のための経費でありまして、前年度に比較して九千百八十七万九千円の増額となっております。  警察行所に必要な経費は、警察庁及びその付属機関並びに地方機関の経費及び都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して二十五億一千八百七十四万円の増額となっております。  行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁及びその付属機関並びに地方機関の経費、都道府県に配置されている統計専任職員費及び国連アジア統計研修の実施協力のだめの経費でありまして、前年度に比較して八千五百三十七万五千円の増額となっております。  北海道の開発事業に必要な経費は、北海道における土地改良、農用地開発、漁港、住宅、林道及び造林事業等の経費と治山、治水、道路整備及び港湾整備事業等の経費に充てるための財源の各特別会計への繰り入れ金等の経費でありまして、前年度に比較して八十三億百七十六万五千円の増額となっております。  なお、事業費につきましては、その執行にあたって、必要に応じ、それぞれ関係各省の所管に移しかえて使用されるものであります。  科学技術庁に必要な経費は、原子力平和利用の促進、宇宙開発の推進、科学技術の重要総合研究の推進、試験研究機関の整備充実等のための経費でありまして、前年度に比較して七十六億四千百四十七万七千円の増額となっております。なお、試験研究費につきましては、その執行にあたって、必要に応じ、それぞれ関係各省の所管に移しかえて使用されるものであります。また、以上のほかに、国庫債務負担行為として、総理本府におきまして、光学式読み取り装置借り入れ等について二千二十六万七千六百四十三円、警察庁におきまして、警察機動隊隊舎施設整備について十一億七千万円、北海道開発庁におきまして、国営かんがい排水事業及び千歳飛行場整備について二十二億三千三百七十万円、科学技術庁におきまして、動力炉・核燃料開発事業団出資、日本原子力研究所出資、宇宙開発研究施設整備及び航空宇宙研究施設整備等につきまして百二十八億七千三百五十九万九千円を計上いたしております。  以上をもちまして、昭和四十三年度内閣及び総理府所管歳出予算計上額説明を終わります。  なお、詳細につきましては、御質問に応じまして、関係各政府委員からお答えいたすことにいたします。よろしく御審議くださるようお願いいたします。     —————————————
  20. 森山欽司

    森山主査 次に、科学技術庁予算の補足説明を求めます。天野科学技術庁政務次官。
  21. 天野光晴

    ○天野政府委員 昭和四十三年度における科学技術庁の予算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十三年度総理府所管一般会計予算のうち科学技術庁の予算要求額歳出予算額三百十八億三千七百二十九万九千円、国庫債務負担行為額百二十八億七千三百五十九万九千円でありまして、これを前年度予算額歳出予算額二百四十一億九千五百八十二万二千円、国庫債務負担行為額七十三億百百円に比較いたしますと、歳出予算額七十六億四千百四十七万七千円、国庫債務負担行為額五十五億七千二百五十九万九千円のそれぞれ増額となっております。  次に、予算要求のうち、おもな経費についてその大略を御説明申し上げます。  第一に科学技術振興の基盤の強化といたしまして、歳出予算額八億八千九百六十七万一千円、国庫債務負担行為額一億四千八百二十万円を計上いたしました。これはわが国における科学技術を、長期的な観点に立って、計画的かつ総合的に推進するための国の基本施策を明らかにする科学技術基本法を制定するべく、今国会に同法案を提出、御審議いただきますが、これに伴う科学技術に関する総合的かつ長期的な基本計画を策定するため必要な調査を行ないますほか、試験研究機関の研究公務員の人材養成をはかるための内外への留学研究、科学技術の普及啓発活動の強化並びに研究学園都市建設のための共同利用施設の調査及び無機材質研究所実験棟の建設の着手及び科学技術情報の流通の促進をはかるための必要であります。  第二に、原子力開発の推進といたしまして歳出予算額二百五億六千九百八十一万六千円、国庫債務負担行為額百五億四千四百八十九万五千円を計上いたしました。これは、将来の電力供給の本命と目される高速増殖炉及び新型転換炉の研究開発を、動力炉・核燃料開発事業団が中核となり、強力に推進いたしますため必要な経費と、昭和四十六年度に原子力第一船の完成を目標に、同船体の起工、搭載原子炉の詳細設計等を行ないますため必要な経費、日本原子力研究所におきまして動力試験炉の出力上昇、材料試験炉の運転、放射線化学、の研究等を行ないますために心要経費のほか、放射線医学総合研究所等国立試験研究機関及び民間企業等が行ないます原子力関係の試験研究に必要な研究費及び助成費、外国の核爆発実験による放射性物質の降下に対処するための調査研究費等であります。  第三に、宇宙開発の推進につきましては、昭和四十八年度に静止実用実験衛星を打ち上げることを目標といたしまして、前年度に比べ、大幅な予算増額をはかり、歳出予算額三十二億五千九百四十三万一千円、国庫債務負担行為額十八億七千四百五万円を計上いたしました。これは国として総力をあげて宇宙開発を推進するため、従来の宇宙開発審議会にかえ、宇宙開発委員会を総理府に設置し、宇宙開発の基本的方策の企画、審議等を行ないますとともに、事業の実施を促進するため、宇宙開発推進本部の強化をはかり、鹿児島県下種子島支所に建設いたしますロケットの発射施設、地上燃焼試験施設等の整備、人工衛星及び大型ロケットの開発研究、誘導制御技術の開発研究、並びにロケットの試作等に必要な経費のほか、航空宇宙技術研究所におきまして、ロケットの燃焼特性等の研究を行ないますため必要な経費などであります。  第四に、海洋科学技術の推進といたしまして、わが国の沿岸海域及び大陸だな周辺の調査研究を行なうための潜水調査船を完成させるほか、海洋科学技術の推進に必要な調査等を行なうため、一億六千五十三万七千円を計上いたしました。  第五に特別研究促進調整費といたしまして六億一千五百万円を計上いたしました。これは防災科学技術、公害防止技術、海洋科学技術等の各省庁の所管にかかる総合的研究を弾力的かつ有機的に推進いたしますとともに、不測の事態に備えて緊急に行なうべき研究の円滑な実施をはかることといたしております。  第六に、新技術開発の促進といたしまして六億二千九十八万円を計上いたしましたが、これは資本取引の自由化等に伴い、国産新技術の開発の重要性がとりわけ大きいことにかんがみ、特に民間の自主技術開発力の強化を目途といたしまして、新技術開発事業団の開発委託契約限度額の拡大等に要する政府出資金五億八千八百万円のほか、個人または中小企業等に交付する発明実施化促進のための補助金三千二百九十八万円とであります。  第七に、国際交流の促進といたしまして、欧州原子力機関の実施する共同研究事業への参加、経済協力開発機構の活動に対する協力及び外国の科学技術者を招聘し、技術交流をはかるための経費など四千八百九十二万五千円を計上いたしました。  第八に、資源の総合利用方策の推進といたしまして一億一千五百八十一万一千円を計上いたしました。これは、将来の資源問題を究明する調査及び水資源の需要の変動調査等を継続実施いたしますとともに、新たに食品加工技術の近代化に関する調査等を実施いたしますほか、コールドチェーンの推進につきましては、ここ二年間実施してまいりました事例的実験調査の成果を農林省等関係行政機関の施策に反映させ、その具体的な推進につとめることといたしております。  第九に、試験研究機関等の整備といたしまして四十八億七千三十九万八千円を計上いたしました。これは、航空宇宙技術研究所の研究設備等を整備するための経費十二億三千三百六十五万五千円、金属材料技術研究所における材料試験設備の整備等に必要な経費十億八千九百八十万円、国立防災科学技術センターが筑波地区に設置する大型耐震実験装置の整備等のための経費四億四千九百四十八万四千円、及び無機材質研究所の研究態勢の強化をはかるため二億五千五百三万九千円、並びに理化学研究所における研究施設整備等に必要な政府出資金十八億四千二百四十二万円であります。  以上簡単でありますが、昭和四十三年度予算要求額のうち重要項目についてその大略を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  22. 森山欽司

    森山主査 次に、文部省所管予算説明を求めます。灘尾文部大臣。
  23. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 昭和四十三年度文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、文部省所管一般会計予算額は、六千五百二十四億九千六百三十三万七千円、国立学校特別会計の予算額は二千五百四億三千八百六十九万六千円でありまして、その純計は、六千九百八十三億六千七百二万五千円となっております。  この純計額を前年度当初予算と比較いたしますと、およそ七百五十四億円の増額となり、その増加率は一二・一%となっております。  以下、昭和四十三年度予算案におきまして特に重点として取り上げました施策について御説明申し上げます。  まず第一は、教育費の負担軽減であります。  このことにつきましては、かねてから努力を重ねてまいったところでありますが、明年度は特に父兄負担の軽減に留意し、教材整備の促進、教科書無償の推進、就学援助の強化、遠距離通学費補助の拡充、学校給食の普及充実につとめましたほか、地方公共団体の超過負担の解消を促進する等の施策を進めることといたしました。  そのうち、まず教材整備の促進につきましては、昭和四十二年に設定いたしました教材基準の充実を十カ年計画で行なうことといたし、その第二年目の整備充足をすることといたしました。また、教科書無償につきましては、国、公、私立学校を通じて、中学校及び特殊教育諸学校の中学部の第三学年までの児童、生徒に対して教科書の無償給与の措置を講じ、義務教育の教科書無償給与が完成することになりました。  次に、就学援助の強化につきましては、要保護、準要保護児童生徒の就学奨励として、生徒の特別教育活動費を新たに中学校の支給対象品目に加えるとともに、修学旅行費の補助単価の改訂を行なうことにいたしております。  次に、遠距離通学費につきましては、対象人員を一万人増加いたしまして、その拡充につとめました。  次に、地方公共団体の超過負担の解消の促進につきましては、公立文教施設の単価の引き上げ及び構造比率の改善に特に配慮し、また、義務教育費国庫負担金の給与費のうち、政令都府県の給料定額の是正をはかることといたしました。  また、学校給食の普及充実につきましては、完全給食の実施を目途として、引き続き単独校及び共同調理場の給食施設、設備の充実をはかるほか、栄養職員増員等の施策を行なっております。さらに小麦粉及び脱脂粉乳につきましては、従来のとおり補助を継続することとし、所要補助金を計上いたしております。  第二は、私学の振興であります。  私立学校の助成方策については、昨年臨時私立学校振興方策調査会の答申により、基本的な方向が示されましたので、その趣旨を十分勘案いたしまして、具体的助成方策について慎重に検討を加え、従来行なってきた助成の拡充整備を行なうほか、新たに、経常的教育研究費について助成を行なうことといたしました。  まず、私立学校振興会に対する政府出資金及び財政投融資資金からの融資につきましては、あわせて二百七十億円に拡大し、私学全般の施設改善充実に充てることといたしました。  また、新たに私立大学の教育研究の充実向上をはかるとともに、経営の健全化に寄与するため経常的教育研究の助成を行なうこととし、三十億円を計上いたしました。  次に、私立大学理科等教育設備整備費助成及び私立大学研究設備整備費助成につきましてもあわせて四十五億円を計上いたしましたほか、私立幼稚園に対する施設費の補助の拡充等の施策を講じております。  第三は、教職員の資質向上と初等中等教育の充実であります。  まず、教職員の資質の向上と勤務条件の改善につきましては、学級編制の標準を原則として、小中学校いずれも最高四十五人に改めるとともに、特殊学級の増設、充て指導主事の充実等のための増員をはかるほか、新たに給与改善費として十五億円を計上いたしております。  次に、僻地教育の振興につきましては、僻地の教育環境の改善等のため、引き続き各種の施設、設備の充実をはかりましたほか、僻地派遣医の内容の充実等を加えて総合的かつ重点的に施策を推進することといたしております。  次に、特殊教育の振興につきましては、養護学校及び特殊学級の計画的な普及と就学奨励費の内容改善のため必要な経費増額いたしますとともに、新たにろう学校の聴能訓練設備及び特殊教育学校寄宿舎設備に必要な経費を計上しております。  次に、後期中等教育の拡充整備につきましては、定時制通信制併置高等学校の設置に要する経費の補助を行なう等引き続き定時制教育及び通信教育の振興をはかるとともに、新たに高等学校の理数科教育に対する設備費の補助等、高等学校教育の多様化に対処するための施設及び設備等に必要な経費を計上しております。  次に、理科教育設備及び産業教育の施設設備の充実につきましては、引き続き新基準による計画的な改善充実を行なうことといたしております。  次に、幼児教育の重要性にかんがみ、父兄の要望にこたえて、引き続き幼稚園の普及整備のために必要な助成を強化いたしますとともに、所要の教員を確保するため、私立の大学及び短期大学の教員養成課程に対する設備の補助を行なうことにいたしております。  また、公立文教施設につきましては、引き続き既定計画の線に沿ってその整備を進め、特に建築単価の引き上げ、構造比率の改善、公害対策等に留意することとし、公立文教施設整備費三百十五億円を計上いたしました。  このほか、前年度に引き続き、教育課程の改善、道徳教育及び生徒指導の充実並びに教職員の研修及び研究活動の推進に必要な諸経貸を計上いたしております。  第四は、高等教育の整備充実と育英奨学事業の拡充であります。  国立学校特別会計予算につきましては、前年度の当初予算額と比較して二百三十二億円の増額を行ない、約二千五日四億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの繰り入れ二千四十六億円、借入金二十二億円、付属病院収入二百九十九億円、授業料及び検定料五十八億円、学校財産処分収入五十億円、その他雑収入二十九億円であります。歳出予定額内訳は、国立学校運営費千九百六十六億円、施設整備費五百三十八億円などであります。  国立大学の拡充整備につきましては、まず、大学入学志願者の急激な増加に対処するための既定計画に沿って、大学及び短期大学の入学定員の増加をはかり、二千七百一人の増募を行なうことにいたしました。このため大学について、一大学の創設、三文理学部の改組、十五学科の新設及び九学科の拡充等を行なうことにいたしました。  次に、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費等各大学共通の基準的経費につきましても、引き続きその増額をはかっております。  また、新制大学における大学院修士課程の拡充、付属病院、付置研究所の整備につきましても配慮をいたしておりますが、特に付属病院につきましては、看護業務整備についての増員を行なうほか、病院教官増員等臨床研修に心要な措置を講じております。  次に、専門的技術者育成のため既設の工業高等専門学校六校に各一学科を新設することにいたしました。  次に、国立学校施設整備につきましては、財政投融資資金及びその他の収入を財源の一部に含めて予算額を五百三十八億円に増額し、一段とその整備の促進をはかることといたしておりますが、なお、施設整備の円滑な実施をはかるため、後年度分について、百七十二億円の国庫債務負担行為を行なうことができることといたしております。  また、育英奨学事業の拡充につきましては、大学院奨学生及び高等学校特別奨学生の増員を中心として引き続き事業を拡充し、また、私立大学特別奨学生に関する特別な配慮を加える等、全体で十二億円余を増額いたしております。  第五は、研究費の拡大と学術の振興であります。  わが国の学術の水準を高め、ひいては国民生活の向上に寄与するため、学術研究の推進につきましては、引き続き努力をいたしております。  昭和四十三年度予算につきましては、まず、科学研究費を一段と増額いたしますほか、引き続き研究所の整備を行ない、また、ロケット観測、南極地域観測等につきましても、それぞれの目的に応じて心要経費を計上いたしました。  なお、在外研究員の派遣のための経費についても増額計上いたしております。  第六は、青少年の健全育成と社会教育の振興であります。  青少年の教育問題は、近時ますますその重要性を加えており、これに対処するためには、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く意を用いるべきところであると存じます。  まず、社会教育は、国民の一般的、職業的教養の向上に大きな役割を果たすものであり、その普及振興は、学校教育の充実とともに、きわめて重要なものであります。このため引き続き社会教育指導者の養成確保に一段と意を用い、社会教育主事等の講習会のほか、各般の指導事業の充実強化につとめております。  また、特に青少年健全育成及び家庭教育を重視し、学校外における少年の健全指導事業の拡充、家庭教育学級の充実強化等必要な措置を講じました。  なお、青少年の研修、訓練の場としての国、公立青年の家等、青少年教育施設整備するとともに、青少年団体等の育成も強化したいと考えております。  このほか、青少年に対する映画、テレビの影響力にかんがみ、積極的に優良な映画、テレビ番組の製作の奨励及び普及を促進することといたしました。  また、社会教育の施設につきましては、青少年教育施設のほか、公民館、博物館等の施設、設備の整備を一そう推進することといたしております。  第七は、芸術文化の振興であります。  わが国芸術文化の振興をはかるとともに、すぐれた芸術文化を広く国民に普及し、また、わが国の伝統的な文化財を保存いたしますことは、国民生活の向上の上からもきわめて必要なことであります。  このため、引き続き芸術の創作活動の助成、地方芸術文化の振興並びに芸術関係団体に対する助成を行なうほか、歌舞伎、文楽等のすぐれたわが国の伝統芸術の保存とその振興をはかるため国立劇場の助成を行ない、さらに国立の美術館、博物館の整備及び公立文化施設整備費の補助を進めるほか、新たに明治百年記念芸術特別公演等を行なうため必要な予算を計上いたしております。  また、文化財保護事業につきましては、文化財の修理、防災施設整備等を一そう充実することといたしておりますが、特に最近、国土開発の急速な進展に伴ってその必要性を痛感されております史跡、埋蔵文化財の保護につきましては、特別の配慮、を加え、平城宮趾の買い上げ及び発掘調査につきましても、必要な予算を計上することといたしました。  第八は、体育、スポーツの振興であります。  体育は、心身ともに健全な国民の育成をはかる上にきわめて重要な意義を持つものであります。  このため、体育、スポーツの普及につきましては、広く青少年一般にスポーツを普及奨励し、その体力の向上をはかるため、水泳プール、体育館、運動場及び柔剣道場等の整備を促進し、また、スポーツテストの普及、スポーツ教室等の実施、スポーツ団体、行事の助成、指導者養成等について、引き続き必要な経費を計上いたしております。このほか、第十九回オリンピック競技大会への選手団派遣に必要な経費を補助するほか、札幌オリンピック冬季大会の実施準備経費増額計上して、競技施設の建設、設備に一段と力を注ぐことにいたしました。  第九は、国際交流の推進と教育援助の拡大であります。  まず、外国人留学生教育につきましては、その受け入れ体制の強化をはかるとともに留学生の増員及びその給与改善を行なうことといたしております。  また、国際学術文化の交流を促進するため、引き続き、教授、研究者の交流を推進するとともに、新たに日独間の文化教育に関する人物交流の促進をはかることといたしました。  なお、最近、特にアジア、アフリカ諸国に対する教育援助の要請が高まってまいりましたおりから、教育指導者の招致、理科設備の供与及び指導者の派遣を実施するほか、新たに、アジア諸国への留学生の派遣及び産業教育のための協力に必要な経費を計上いたしております。  さらに、ユネスコ国際協力につきましては、ユネスコ事業への参加体制の強化、日本文化研究国際会議の開催、国際大学院コースの継続等、一段とその事業の推進をはかることといたしました。  以上のほか、沖繩の教育に対する協力援助費につきましては、これを増額し、別途総理府所管として計上いたしております。  以上文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
  24. 森山欽司

    森山主査 以上をもちまして、本分科会所管予算説明は全部終了いたしました。     —————————————
  25. 森山欽司

    森山主査 これより、昭和四十三年度一般会計予算中、本分科会所管のうち、皇室費及び国会所管予算の質疑に入ります。  なお念のため、出席を求められておる方以外は、御退席をいただきましてけっこうでございます。  質疑時間につきましては、理事会の協議によりまして、原則として、質疑に対する答弁を含め、本務員一時間、兼務員もしくは交代で分科会委員になられた方は三十分となっております。多数の質疑希望の委員がございまして、できる限り御要望に沿いたいと存じますので、まことに恐縮ながら、質疑時間の順守、質疑及び答弁はできる限り簡潔を旨とする等、各位の格別の御協力をお願いをいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  26. 加藤六月

    加藤(六)分科員 私は、昭和四十三年度皇室費歳出予算関係について、若干質問させていただきたい、こう思います。  ただいま次長から御説明がありました御用邸新設の件を中心に承りたい、こう思う次第でございます。事が皇室に関することでありますので、不敬等にわたることとがないよう十分注意いたしたい、こう考えておりますが、もし変なことがございましたら、先輩各位から御注意いただきたいと、こう思う次第でございます。  大蔵省の国有財産局関係の方、おいでになっておられるでしょうか。——大蔵省の国有財産局関係の方にお伺いいたしますが、昭和三十九年十一月十四日の国有財産関東地方審議会、これにおきまして、その中の第六諮問の中に、「旧高輪南町御用邸と京浜急行電鉄株式会社所有地との交換について」という項目がございます。その項目を調べてみますと、「国が交換に供する財産」「沿革」等がございまして、二に「国が交換により取得する財産」としまして、「(1)所在、数量」というのがございまして、イロハニホヘとございまして、ヘの項目に「静岡県加茂郡下田町吉佐美土地森林一二七、六九〇・〇〇坪」、このように書いてございます。そうして「交換する理由」という項目の中に、「国としては、国家公務員宿舎建設敷地の不足に伴い、適当と認められる宿舎用地の確保、航空局所管空港敷地、および御用邸候補地として必要があるため、本国有地と当該候補地とを交換しようとするものである。」ということで、五の「利用計画」がございまして、八の「参考事項」の中に、「交換渡財産については、東久邇稔彦氏が居住しており、昭和三十七年六月二十七日、同氏から国を相手方とする所有権確認ならびに所有権移転登記を求める訴訟が提起されていたが、昭和三十九年二月十八日訴訟取り下げによって、解決し、近く移転の見込みである。」ということが出ておりまして、最後に、先ほど申し上げましたへの交換用地の場所としての静岡県の下田町の地図が付載してございますが、このことは間違いないかどうか、一番に承りたいと思います。
  27. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 お答え申し上げます。  そのとおりでございます。
  28. 加藤六月

    加藤(六)分科員 次に、宮内庁の方にお伺いしますが、この三十九年十一月十四日の決定の前に、一、二の侍従さんが下田町方面を視察され、当時の助役さんと、須崎地区あるいは狼煙崎地区を視察されておりますが、この報告書というものが宮内庁にございますでしょうか。
  29. 瓜生順良

    瓜生政府委員 詳しく書いた報告書というのではございませんが、図面とか、それに基づいて、口頭でいろいろ報告を受けた事実はございますので、それは記憶いたしております。
  30. 加藤六月

    加藤(六)分科員 また大蔵省の方にお伺いしますが、この三十九年十一月二十五日の審議会の写しを下田町当局に御送付されておるようでございますが、このことについては御存じでしょうか。
  31. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 お答え申し上げます。  私、実はその辺はっきりわきまえておりません。
  32. 加藤六月

    加藤(六)分科員 それでは、大蔵省あるいは宮内庁、どちらからでもよろしいのでございますが、下田町におきまして、昭和四十年の四月から同七月末まで、いろいろな問題が当時起きております。ここにも新聞の切り抜き記事がたくさんございますが、町当局と京浜急行との無償譲渡契約に対する町議会の監査請求とか、あるいは同年七月三十一日の暁の採決として、下田町としては珍しい荒れようがあった。こういったことについては御存じであるかどうか、承りたいと思います。
  33. 瓜生順良

    瓜生政府委員 そのこまかい点は存じませんが、そういうような問題があったことは聞いております。
  34. 加藤六月

    加藤(六)分科員 次に、本年の二月二十七日の第七十二回国有財産関東地方審議会の報告事項の中に、「旧高輪南町御用邸敷地と京浜急行電鉄株式会社所有地との交換について」という御報告をされております。これを見ますと、先ほど申し上げましたイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、のヘの静岡県加茂郡下田町吉佐美七の二の二の外、森林十二万七千六百九十坪というものが、御用邸候補地とするということが取りやめ、こういうように変更欄に出ておるわけでございますが、この間の理由について承りたいと思います。
  35. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 お答え申し上げます。お話しのように、三十九年の審議会におきましては、交換の受け財産といたしまして狼煙崎を含んでおりましたのですが、その後、宮内庁のほうでいろいろ御検討を進められました結果、須崎が御用邸の用地として適当であるということを決定なさいましたので、それに基づきまして受け財産からはずすことにいたしたわけでございます。これは二月の二十七日の国有財産関東地方審議会で、そういう報告をしております。
  36. 加藤六月

    加藤(六)分科員 宮内庁の方に、須崎のほうが適当であるとおっしゃった理由について承りたいと思います。
  37. 瓜生順良

    瓜生政府委員 私も部下の報告のみならず、私自身も見ましたのですが、この狼煙崎のほうは切り立った約百メートルぐらいの断崖の上の台地をなしているところでございまして、その上に御用邸をつくりますと、海へ出る場合に、おりたり登ったりされるのに非常に難点がある。不可能ではありませんけれども、相当お骨が折れるという点がある。それからこの狼煙崎の用地内には砂浜はありませんので、そこで海水浴をなさるというようなところはございません。横にはその西のほうに広い海水浴場がございますが、これは一般の海水浴場でございまして、相当人が来られるところであります。それからこの狼煙崎の東のほうはずっと入り込んだ湾でありますが、ここは静かなところでありますけれども、その岸には東急のホテルですとか、いろいろそういう施設がございまして、その湾では夏ですと何か水上スキーなんかもされたり、相当にぎやかなところのようでございます。御用邸としてはなべく環境の静かで静養されるのにいい場所で、しかも海へ採集にお出になる御趣味がございますから、それも御静養の一つでございますが、そういう場合の磯の採集というのはちょっと狼煙崎ではむずかしい点がございます。沖のほうへお出になるという場合に、これは湾のところは静かでございますが、沖へ出ますと、冬は西風が相当強いというように聞いておりました。一方須崎のほうは、これは旧三井別邸の敷地を中心とし、なおそのところはずっとくぼ地、低い土地でありますが、そこですと、横のほうの高い台地のところも買収いたしませんと、上のほうにホテルでもできますと見おろされますから、そういう周辺の高いところもずっと含めまして用地にしようということで考えておるわけでありますが、そのところでありますと、海へ出られる場合にはそんなに骨を折られなくて、すぐその先に用地内に砂浜もございます。そこで磯の採集もなされまするし、場合によっては海水浴もなされます。そこから船を出していかれる場合も狼煙崎の沖よりも風が静かなようであります。  これは比較論になりますけれども、いろいろそういうことを総合して考えますと、やはり須崎地区がよろしい。三井さんがそこに別邸をつくられた場合もいろいろそこを調べられて、結局そこを選ばれたのだということも聞いております。三井さんのほうが御当主が先年なくなられて、それを売られるということになったものですから、数年前に調査したころは、それは手放されないというようなことで、それを購入するのはそう簡単にできないような事情にございましたけれども、御当主がなくなられ、相続税のような関係でそれを売りものにお出しになっていた。それをそういう事情になりましたものですから、これは環境その他のいろいろな条件もいいし、これを取得する見通しもはっきりつくというようなことで、須崎のほうを決定したわけであります。
  38. 加藤六月

    加藤(六)分科員 私は、私事にわたって恐縮ですが、過去八年ほど毎夏家族全部で下田で過ごしております。したがいまして、下田のことについては第二の郷里というほど詳しく、子供を連れて下田周辺、あの方面は山野をくまなく散策いたしておるものでございまして、場所がどうのこうのと言うわけではございませんが、また下田町の皆さんにもそういう意味から非常に懇意に願っておるわけでございます。いま次長がいろいろ変わった理由というか、あるいは須崎にされた条件、こういうものをおっしゃったわけでございますが、私が御用邸はどういうところかいいか——非常に喜ばしいことでございまして、戦後初めて公害のない緑と太陽と海に恵まれた御用邸ができるということは、国民の一人として非常にうれしく思うものでございますが、ただ、いまおっしゃった条件から私自身が考えました条件というのは、御用邸は東京から近距離でなくちゃならぬ、なるべく風光明媚なところがいい、さらに気候温暖でなくちゃならない、また御用邸の敷地というものはなるべく独立しておりまして、下瞰できない地帯がいいんではないか。あるいはいま申し上げました海に面しておるとか、あるいは警衛が容易であるとか、環境その他が非常に自然的であり、皇室の皆さん、特に陛下の科学的な日常生活がさらに満足されるものでなくてはならない。こういったもの等が考えられる、こう思うのでございます。ただいま次長が御説明になりました風が強いということについては若干私自身は異議があるわけでございまして、もちろん将来御用邸の計画が——どういう時期にお使いになるかということ等にもよると思いますが、具体的には、昭和四十年の十七号台風がありましたときに一番被害が激しかったのは、いま次長がおっしゃった須崎地区が一番被害が激しゅうございまして、もう一つの狼煙崎方面はこれといったたいした被害はなかったということを御記憶の上にとどめておいていただきたい。さらに風が強い弱いというのは、測候所の調査資料というもの等もあるわけでございますけれども、これは非常に主観というものがまじりますし、またシーズンというものが、どういう御用、計画があるかということによってずいぶん変わってくる、こう思うわけでございます。  次に、いまおっしゃいました御用邸を決定した、こうおっしゃっておられる三井邸の件についてお伺いしたい、こう思います。  いま次長が御説明になりましたように、昭和四十三年度予算で下田における御用邸を決定したい、用地をきめたいというようなお話であったように思うわけでありますが、まず一番に伺っておきたいのは、数年前は三井さんがまだ生存されておって、売るという意思がなかった。なくなられて、御遺族三名の所有になっておった。その用地を二十五・五三ヘクタール前後を一括して買いたい、こういう御計画でございますか。
  39. 瓜生順良

    瓜生政府委員 現在旧三井別邸の土地については、住友不動産がすでに買い取っておるわけです。これは相続税を納められる関係で、現金化を急がれたのだと思います。住友不動産から適正価格でまたこちらに国のほうが買うということでございます。  なお、いま二十五・何ヘクタールとかというふうにおっしゃいましたが、坪でいきますと、旧三井別邸の分がたしか六万数千坪、それがあるいはそうなるかと思いますが、そういうことでございます。
  40. 加藤六月

    加藤(六)分科員 現在所有は住友信託銀行不動産部になっておるわけでございますね。
  41. 瓜生順良

    瓜生政府委員 住友不動産という特別のまた別会社になっておるようです。信託会社が実際はあっせんしておりますが、住友不動産という会社だそうです。
  42. 加藤六月

    加藤(六)分科員 次に私がお尋ねしたいのは、部落区有林の山林二十一・二ヘクタール、次長さんの表現を借りますと、約六万何千坪、この問題でございます。この問題については地元とどの程度の話し合いが進められておるわけでございましょうか。
  43. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この区との関係は、静岡県の知事がその方面の人とよく話をして内相談をするからということにされまして、現地には商工部長が主になっていろいろ現地の人と当たって話をしておられます。その買収の区域とか買収の価格をどうするかというようなそういう下相談をやっていただいておりまして、現在はその見通しとしてはそうむずかしくない見通しでございます。
  44. 加藤六月

    加藤(六)分科員 地元の須崎財産区では、いま次長が御説明になりましたような県の商工部長あるいは知事さん、こういう方々のごあっせんでいろいろぜひ御協力申し上げたい、いいものができるのは歓迎だというようなことも言っておるようでございますが、実際この区有林あるいは漁業組合の間ではいま相当議論が戦わされておるようでございます。そして財産区のほうとしては用地譲渡条件十項目というものをつくり上げまして、これを県のほうを通じて、宮内庁、大蔵省にもあるいは関係各当局にお願いいたしたい、こう言っております。まず第一は、名称は下田須崎御用邸とすること、二は漁業補償について相当大幅に見ててくれること。三は学童通学路。四は周遊道路の整備。五は農道の促進。六は先ほど次長が説明されました海水浴場関係ということに関連しましてプールの設置。それからその次は部落への温泉を引き湯させるようにしてほしい。あるいは熱帯植物園の設置というような相当大きい要望が出ておりますが、これらはすでに宮内庁のお耳に入っておりますかどうですか、承わりたいと思います。
  45. 瓜生順良

    瓜生政府委員 概略は入っております。私もそのこまかい、詳しい点はまだ知らない点がございます。
  46. 加藤六月

    加藤(六)分科員 それでは、この御用邸は何年で——本年度は七億五千五百七十万円の計上でございますね。
  47. 瓜生順良

    瓜生政府委員 さようでございます。
  48. 加藤六月

    加藤(六)分科員 そうしますと、これは本年度全部完成するような計画でございますか。それとも二年計画ぐらいで完成される御予定でございますか。
  49. 瓜生順良

    瓜生政府委員 四十三年度はその土地を購入するということとか、あるいは必要な補償をするとかいうことだけでございます。
  50. 加藤六月

    加藤(六)分科員 われわれ国民感情からいたしまして、財閥の別荘のあと地というものがはたして御用邸としていいものかどうかという点には若干疑念が残るわけでございますが、観点を少し変えまして、この須崎を決定されるときに、高輪の御用邸の解決問題あるいは交換問題等がずいぶん激しくあったわけでございます。この交換問題の際にあったいろいろの問題、あるいは先ほど申し上げました昭和三十九年十一月の関東審議会の決定、こういうものをどの程度考慮されて決定されたかということについて承りたい、こう思います。
  51. 瓜生順良

    瓜生政府委員 三十九年の国有財産審議会のそういう議題が出る際に、宮内庁も連絡を受けました。その際は、要するにこの御用邸候補地の一つとして用意をしておくというようなことでございました。候補地の一つというならばやむを得ないということで、その当時もすでに調査しておりまして、心ずしも適当という強い意向は持っておりませんので、もっとほかにないだろうか、いろいろ、伊豆の海岸は三井別邸のほかにも調べております。  そういうようなことでございましたので、その後この須崎のところが取得が可能になってきまして、候補地の一つという場合は、その当時もこちらのほうはそう積極的なことは言っておりませんものでございますから、大蔵省のほうでもいろいろ御事情がございましたと思いますので、その点を一応は聞いて認めたようなかっこうになっております点がございますけれども、その当時の事情は事情として御承知の方があるわけでございますので、大蔵省としてもより適当ないいところがあるならば、やはりそのほうがよろしいという御意見でございましたので、それで長く残る御用邸についてよりいいところがきまるということであればそのほうがいいということで、決定に踏み切ったわけでございます。
  52. 加藤六月

    加藤(六)分科員 いま次長が御説明になりましたが、それでは三十九年より前に、私が最初に質問申し上げました待従——名前を申し上げてもよろしいわけですが、待従が二名そろって、三井別邸あるいは狼煙崎、そのほか三、四カ所査察されておりますがそのときにもうすでに三井別邸を候補地に入れておられたというように解釈してよろしいわけですか。
  53. 瓜生順良

    瓜生政府委員 その当時の報告によりますと、三井別邸は三井さんがどうも手放しそうにないという難点がある、しかし取得できるならばいいというような含みを持っておったことは事実でございます。
  54. 加藤六月

    加藤(六)分科員 あまり時間がございませんので簡単に済ましたいと思いますが、そうしますと、首脳部の長官、次長という方々は下田町へお行きになって、具体的にお調べになったことがございますか、どうですか。
  55. 瓜生順良

    瓜生政府委員 最近になって私は行っております。長官はまだ行っておりませんが、土地の買収というものはなかなか微妙な問題も出るものですから、なるべく話がある程度うまくいくという固まったところで、しかも政府の方針としても、そこにするという内閣のほうのはらもおきめになってからにしたほうがいいというので、その前は部長ですとか待従ですとか課長ですとか、そういう人が何度も行って調べてみたというのが事実でございます。
  56. 加藤六月

    加藤(六)分科員 大蔵省の方にお伺いしますが、いまの三十九年の決定から、本年の二月二十七日の審議会における報告で、交換の部分の下田町の関係部分がとりやめということになっておりますが、これについては京浜急行とどういう話し合いをされておるか、承りたいと思います。
  57. 宇佐美勝

    ○宇佐美説明員 お答え申し上げます。  さきに申し上げましたように、三十九年の時期におきましては、宮内庁としても、まだ御用邸をどこにするかという最終的な決定をなさっておらなかったわけでございますが、その後、宮内庁のお話をいろいろ承っておりますと、須崎のほうにおきめになった、こういうことでございます。そういうこともございまして、私どもとしては、もうすでにはっきりした御用邸の場所が宮内庁として決定された以上、これはお受けするわけにはいかぬのだということをお話し申し上げまして、京浜のほうも了解されたわけでございます。
  58. 加藤六月

    加藤(六)分科員 ただいまの件につきましては、いずれ決算委員会で、時間をいただきまして、十分議論さしていただきたい、こう思うわけでございます。  私がいま質問しましたことにつきまして、若干答弁がはずれておりますが、私がいま大蔵省に質問いたしましたのは、この表にもありますように、高輪の御用邸全部、土地にしまして一万六百六十六・五八坪と、先ほど申し上げましたイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、三田四国町の土地、あるいは羽田の空港敷地になっておる土地、あるいは公務員宿舎にされる老松町の土地、あるいはやはり公務員宿舎にされる日野町の土地、横浜の金沢区の泥亀町の公務員宿舎にされる土地、これと下田町吉佐美の土地、これだけをもって交換されるようになっておったわけございますが、それをイ、ロ、ハ、ニ、ホまでをやって、ヘだけを残した場合の交換のしかた、あり方ということを尋ねたかったわけでありますが、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、また別の機会に質問さしていただきたい、こう思うわけでございます。  なぜ、私がこういう質問をさしていただいたかと申し上げますと、用地の取得その他につきまして、須崎あるいは狼煙崎、どちらも一長一短あると思いますが、こういった交換分合で、国費をわざわざ計上しなくてもできるのではないかという感じを持っておりましたところ、今回七億五千万の計上が出てきたというところに、一つの疑問を持った次第でございます。  われわれは、先ほど申し上げましたように、一日も早く御用邸が完成し、縁と太陽と海に恵まれた新鮮な御用邸ができ上がり、皇室が御繁栄され、御健康を心よりこいねがうものでございますが、また、ただいま二、三質問申し上げましたような点に疑義がございましたので、質問さしていただいたわけでございまして、けちをつけるとか、どうとかいう点ではございません。要は、下田町の地元の町民が喜んで御用邸を歓迎し、そうして毎年皇室の方々がおいでになるのを楽しみにお迎え申し上げるといった空気と申しますか、ムードと申しますか、雰囲気ができることをこいねがって質問いたした次第でございます。どうぞ関係当局におかれましては、いま私が二、三申し上げましたことばの裏をおくみとり願いまして、慎重に、そして地元にいろいろなごたごたを巻き起こさないような方法で、この御用邸の建設の一日も早からんことをこいねがって、私の質問を終るものでございます。どうもありがとうございました。
  59. 森山欽司

    森山主査 次に池田禎治君。  なお池田君に申し上げますが、質疑持ち時間は三十分となっておりますので、あらかじめお含みの上、御質疑をお願いいたします。
  60. 池田禎治

    池田(禎)分科員 交通関係の方、来ておりましょうか。  東京の交通事情というものをどういうふうに見ておるか。それはもっと具体的に申しますれば、たいへん交通事情は悪化しておると思います。その状態をどういうふうに緩和されようとする考えを持っておるか、そういうことを中心にして、まずお伺いをしたい、こう思っておるわけでございます。
  61. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 お答え申し上げます。東京都の交通状況は、御指摘のように、いまたいへん困難な状況にございます。と申しますのは、大体、現在全国で自動車の台数は約一千百万台でございますが、そのうち百五十万台程度が東京都に登録されておりまして、これらの自動車が東京を走り回っておる。そういった関係で、東京都の交通渋滞は御指摘のとおり非常にむずかしい問題になっております。これらの問題につきましては、基本的には、都市の過密化をどうするかという過密化対策の問題、あるいは都市の再開発の問題があるわけでございますが、現在、総理府といたしましては、交通安全とうらはらの交通渋滞解消という見地から、関係省庁と連絡をとりまして、当面現象面におきまする交通渋滞の解消、これに伴います交通事故の防止に全力をあげて、諸施策を推進しておるところであります。具体的に申し上げますと、道路環境の整備、これが一つの大きな柱でございまして、御承知のように、東京都は、世界の主要都市に比べましても、まだ道路率が低うございますので、道路の開発、特に高速道路の開発、それから具体的な交通渋滞が非常にはなはだしい場所におきましては、道路の立体交差化、あるいは交差点の踏切拡幅ということを鋭意実施しておるところであります。  それからもう一つの柱といたしましては、交通規制の合理化という問題がございまして、これは、御承知のように、交差点におきまする信号機を自動感応系統式信号機にして、それによって交通の容量増加をはかる、あるいは一定の大型自動車の通行の禁止制限を行なう、あるいは非常に混雑いたします道路の一方通行化をはかる、駐車禁止の徹底をはかる、こういうような諸対策を、係省庁と連絡を密にしながら、現在推進しておるところでございます。
  62. 池田禎治

    池田(禎)分科員 その、おおよそのことを言えばわかりませんが、世界の主要都市というか、そういう都市と比べて、東京はどの程度のものか、そういうことをお考えになったことがありますか。
  63. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 この交通渋滞につきましては、これをたとえば数字をもってあらわすということがなかなか困難でありまして、具体的にたとえばロンドンと比べてどうであるか、あるいはパリと比べてどうであるかということはなかなかむずかしい問題でございますが、非常に大ざっぱに言いますと、東京の交通渋滞は、世界の主要都市に比べましても、相当渋滞度が高いのではないかと考えております。   〔森山主査退席、塚本主査代理着席〕
  64. 池田禎治

    池田(禎)分科員 もっともだと思いますが、そこで将来の展望ですね。どういうふうにいまあなたのおっしゃったものの中にも、いろいろとどうしたいという希望は申し上げたようでございますが、将来への展望として、何か抜本的なことをお考えになっておることがありますか。口では言えますが、なかなか困難なことであることをむろん承知の上でありますが、そういうこともお考えになっておられるであろうかどうかということをお伺いしたいと思います。
  65. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 都市問題の基本につきましては、あるいは先生御承知かと存じますが、昭和三十九年の三月末に内閣総理大臣の諮問機関でございます交通基本問題調査会が答申をいたしております。この答申は三編に分かれておりまして、第一編が交通の体系につきまして答申いたしております。それから第二編が大都市交通、第三編が交通安全につきましてそれぞれ答申をいたしておるわけでございます。特に大都市交通問題につきましては、この基本問題調査会の答申の第二編がいわば政府のとるべき施策の一つの筋道となっているわけでございまして、この答申におきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、基本的には国土総合開発、それから中心都市の改造というようなものを掲げておりまして、それに関連いたしまして、先ほど私がるる申し上げました道路の整備でございますとか、あるいは交通規制の合理化ということをうたっているわけでございます。  この国土総合開発あるいは都市再開発の問題は非常に大きな問題でございますし、また経済政策とも密接に関連いたしておりますので、実は率直に申し上げまして、総理府の交通担当部門でございます私のところで必ずしもこれを全部やっていけるというものではございません。それぞれ首都圏整備委員会でありますとか経済企画庁、こういう役所が、これらの問題を、政府の他の機関と連絡をとって、総合的に施策を考えていくべきものかと考えております。ただ、私のほうといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、主として交通安全、交通渋滞解消の見地から、これらの関係機関に対しまして今後も積極的にいろいろ意見を申し述べてまいりたい、このように考えております。
  66. 池田禎治

    池田(禎)分科員 国会も交通安全対策特別委員会などという委員会を設置して、交通事故の絶滅を期そう、あるいは交通規制を強化するとか、いろんなことを考えておりまするが、年々交通災害というものはふえる一方でありまして、少しも減ってない、こういう状態だと思いまする。そういう点から、私は決して責めるだけではないので、統計的にはどうなんですか、やっぱり交通災害というものがふえておりますか。
  67. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 これは暦年でございますが、昭和四十二年の交通事故によります死者数は一万三千六百十八名でございまして、この点は幸い史上最高といわれました昭和四十一年の一万三千九百四名より多少減っておりますが、半面負傷者が非常に増加いたしております。昨年一年間で約六十五万の負傷者が出ております。こういった傾向から見ますと、非常に残念なことでございますが、交通事故による死傷者の数は年々増加の傾向にございます。
  68. 池田禎治

    池田(禎)分科員 私はここで宮内庁のほうにお尋ねをいたします。  いまの皇居というものは、このままずっといまのままで置いておくつもりですか、あるいは将来どこかへ持っていくというお考えがありましょうやいなや。
  69. 瓜生順良

    瓜生政府委員 現在の皇居に関しまして、新しい宮殿をつくる、あるいは皇居の全体を整備するという問題を審議するために昭和三十四年に皇居造営審議会というのが設けられまして、国会の各政党それから言論機関それからいろいろ専門家の方二十五名で審議をされました。その審議の結果、皇居はやはりいままでの位置がよろしいというふうに結論を出されましたので、われわれはその結論を尊重して考えております。
  70. 池田禎治

    池田(禎)分科員 それは十年前のことですが、だからその方針を踏襲するとしても、いま現実的に将来の見通しというものの上に立って、やはりこのままでいいかどうかという点でございますが、いまは別に変更するお考えはないわけですか、ごうなんですか。
  71. 瓜生順良

    瓜生政府委員 現在ございませんです。
  72. 池田禎治

    池田(禎)分科員 これは主観でございますから、人おのおので、今日のような都市の過密化だとか公害の激しくなった状態において、皇居を東京に置いておくことが一番いいかということになれば、これはやはり議論のあるべきところではないでしょうか。それは全然考える余地のないものでございましょうか。
  73. 瓜生順良

    瓜生政府委員 先般申しました審議会でもいろいろ議論されたことでございまするし、これはいろいろ考える余地のある問題だとは思いますが、その審議会で問題になりました際に、皇居だけをどこかへ移すというのではいけない。やはり象徴としての天皇陛下の御公務がおありで、その関係で政府機関からいろいろ書類を持ってまいられます。それからまた外国の大公使館との関係のものもいろいろあります。ですから、政府機関とか大公使館とかそういうのも一緒にどこかに移る、そうすればいいが、皇居だけどこかへ行ったのでは、これはやはり感心しないということでございます。
  74. 池田禎治

    池田(禎)分科員 そういうことであればなんでございますが、ぼくは外国の使臣との、公館との関係というものはあまりたいしてウエートを置かなくともいいのじゃないかと思うわけです。たとえば、外国だって首府というものは必ずしも大都市だけじゃない。いろいろな実例があるわけだから、それは私は、答弁としては少し、何というか幼稚な答弁じゃなかろうかと思う。もっとほんとうに——私は皇居を変えろという意味だけでなくて、もっと将来にわたって、都市の混雑、過密化を防ぐとかそういうような問題から考えて、そういう意味で私はお尋ねしているのであって、あなたのように全然その考えがないということになれば、これはもういたしかたがないと思います。  次いでは、さっき私は交通の事情をお尋ねいたしましたが、いま東京都の交通の国際的な一つの困難な状態が来ておるものの中に、一番大きなものとして皇居がある、こういうことをお考えになったことがありましょうか、どうでしょうか。
  75. 瓜生順良

    瓜生政府委員 その問題も、十年前ではございまするが、皇居造営審議会で皆さんがいろいろ考えられまして、検討された事実がございます。しかし結論としては、いまのままでよろしいという結論になり、われわれもそれを尊重して考えております。
  76. 池田禎治

    池田(禎)分科員 あなた方、町の車を拾ったことがありますか。おそらくないと思います。東京の自動車の運転手さんのほとんどの人が、皇居の下に東西南北に二つの道路ができたならば、少なくとも三割から四割交通事情は緩和されると言いますね。そういう声をお聞きになったことがありましょうか、どうでしょうか。
  77. 瓜生順良

    瓜生政府委員 私もタクシーにはしょちゅう乗っておりますから、市内の混雑しておる状況は知っております。しかし、私直接運転手からそういう話を聞いたことはございません。
  78. 池田禎治

    池田(禎)分科員 なければお聞きになるくらいのお気持ちがあってもいいのじゃないかと私は思う。たとえば、そういう人たちの中で、やはり皇居だからそんなことをしてはいけないのでしょうかとか、あるいは天皇陛下はそういう都民が困っておるといえば喜んでおやりなさるだろうけれども、おつきの者が悪いので言わないのじゃないだろうか、言うならばこういう悪口すらあるが、私もずばり言って、天皇陛下が、運転手はこんなに困っておるのだ、東京都の交通事情がこんなに悪化しておるのだということをお知りになるならば、天皇陛下は喜んで、それは国民のためにやりなさい、こういうことをおっしゃるだろう、こういつも私どもは言うておるわけですが、実際問題としてあなた方はそういうことを考えたことはありませんか。
  79. 瓜生順良

    瓜生政府委員 そういう問題を考えたことはございます。先ほどから審議会と盛んに申しますが、その審議会の際にもそういうことを一緒になって考えたことはございます。ただそのときの問題は、皆さんの御意見としては、あの皇居の下をずっと地下道を通すことは、これは相当経費もかかるものらしいのですが、あそこはお堀もございますし、たとえば祝田橋あたりが非常に込んでいる。あそこを緩和するためにというので、あそこの中を地下道をつくりまして、地下道を出て、また先でちゃんと普通の道路まで行っちまうわけです。ちょうど走っておる間は込まないが、先では一緒にぽんと込んだところでその車が落ち合ってしまうので、そこに地下道をつくっただけでは混雑は緩和できない。それよりも全体の道路計画、高速道路の道路計画というものをずっと整備していかなければいけないということでいろいろ考えてみても、皇居の下に地下道をつくる、経費をよけいかけてもそれほど効果はない、それよりもそれだけのお金があるならば、もっと他の道路のほうをずっと整備したほうがいいというように聞いたように記憶しております。
  80. 池田禎治

    池田(禎)分科員 これはちょっとその答弁は了承いたしかねますね。あの中に地下道を掘ったからといって、出るところは一緒だ、それならオリンピック道路なんかつくる必要はない。そういう詭弁をあなた方が持っている限り、皇室というものと国民との間というものは密接しないのです。私はそれは詭弁だと思っておる。そういうことを別に取り消しは求めはしませんけれども、そういう小さな量見でもってこの東京都の交通禍を防ごうなんて——困難を緩和しよう、新しい構想かあるならお出しなさい。それもなくして、ただ地下道をつくったって、出るところは一緒なんだから、それは何にもならぬ、金がかかるという、金がかからぬで世の中ができるなら、何も金をかけてやりません。金がかかっても、国民のためにそれが幸福になることであるならば、喜んで金を使いなさい。あなた方は何のために皇室予算を取りますか。必要とあらば国民は喜んで税金を出すのです。そういうまことに詭弁きわまるような答弁というものに私は了承いたしかねますが、あなたはしからば新しく皇居のあり方、道路の緩和の新しい構想をお持ちであるなら、その所見をここで、たとえ片鱗であっても、お伺いいたしたいと思っています。
  81. 瓜生順良

    瓜生政府委員 先ほど私申しましたのは、私の私見を申したわけじゃなくて、審議会でそういう御意見があったということを申しておるわけでございます。私は、そういう面の専門家じゃございませんものですから、私の意見を申したわけではございません。  なお、道路の交通の緩和の関係でおことばを返しておそれ入りますが、そのオリンピック道路ののようなものとまた違って、こういうことも聞いたような記憶をしております。地下道をつくって、ずっと築地のあたりまで行っちまうというようなものをすれば、あるいは場合によっては効果があるかもしれぬというようなそういうことを聞いた記憶もございますが、それは相当大がかりなことにもなるらしいのでございます。  なお、皇居の周辺並びに一般の高速道路の整備ということが、やはりこれは先決であって、場合によると、皇居のまわりをぐるぐると回りますけれども、これも場合によってはロータリーのような役をなしておるような場合もあるというようなことを聞いたこともございます。これは私の意見として申し上げているわけじゃございませんけれども、それで交通問題は非常に重要な問題ですから、宮内庁におる者として、皇居の下は一歩も通さぬぞという、そういうがんこな気持ちを持っておるわけではございませんが、効果的なものでなければ、やはりそういう無理なことは、一般の方もなさらないことと思っておるわけでございます。
  82. 池田禎治

    池田(禎)分科員 皇居が国民の利便のためには別に通さないことはないと言うけれども、これはけっこうなことですから、あなた方自身が別に発案をして、皇居の下に東西の道をつくろうというお考えがもしなくとも、それは国として、あるいは政府として、あるいは立法府として、あるいは東京都としていろいろな角度からこれは考えてしかるべきじゃないか。私も正直に申しまして、土木建築の経験はございません。けれども、大まかにいって、多くの人の考え方の中に、あの祝田橋の混雑というものを見たときに、この宮城の下を東西に一本、二本道路を通したら、これは三割から四割の交通事情の緩和ということは大体私はもっともではないか、こういうことを考えておりますが、あなた方がそういうことは考えられないというならば、私と所見が違いますが、道跡に金をかけるのは私はけっこうなことだと思います。  総理府の方にお聞きしたいのですが、私はいまから十数年前にニューヨークへ行ったときに、ニューヨークは大体十年先を考えた交通整備をいたしておりますと、こういうことをニューヨークの市の関係者から承りましたが、東京都はどの程度を考えられてあなた方は将来の展望に立って道路をおつくりになっておりましょうか。そういうのもがありますか、ありませんか。
  83. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 東京都につきましての具体的な計画につきましては、たいへん申しわけございませんが、私、的確に承知いたしておりません。ただ、国全体の道路政策といたしましては、建設省におきまして、おおむね昭和六十年をめどとして、長期的な展望に立った道路計画を考えておるようでございます。
  84. 池田禎治

    池田(禎)分科員 それは政府でなくて自治体の問題でもありましょうが、昭和六十年といえば二十年先を考えている。日本の役人もなかなかえらいもので、その実道路は進まぬが、計画だけはペーパープランをおやりになっておるか知らぬが、そこで私思うことは、東京都の場合に一番交通の混雑を来たしておるものは、中央にでんとして皇居があるためである。その皇居を天皇陛下や皇居の方々にのけというわけじゃないんだから、その地下道ぐらいは私はお許しになって、交通事情の緩和あるいは交通災害の絶滅を期するということは、これは国民の多数の願いであり、ほんとうに心の底から交通に関係しておる人々の熱願しておるものではなかろうか、私はこう思うのですが、宮内庁の次長は、先ほど来、皇居何とか審議会というものばかりを中心にしてお答えになっておるようですが、あなた方自身がすなおに一東京都民として、国民の一人としてお考えになったことがありましょうやいなやという、こういうことをまずお尋ねしてみたいと思います。
  85. 瓜生順良

    瓜生政府委員 私も東京都民の一人ですから、都民としていろいろ問題を考えまするが、しかしいまの道路問題については、専門ではございませんものですから、やはり専門家の意見を尊重して東京都がいまよりもよりよくなることを常に期待しておる次第でございます。
  86. 池田禎治

    池田(禎)分科員 何かことばじりをとられたくないというような考え方の上に立ってお答えになっておるように見受けられますが、私も先ほど申したように専門家じゃありません。けれども、もしそれがお役に立つというなら、天皇陛下は喜んでお許しになるだろうと私はかってな想像をしますが、あなたはその場合どう思いますか。
  87. 瓜生順良

    瓜生政府委員 専門家の権威のある意見てこういうふうにしたらいいということで、それがもっともである場合において、皇居の下の地下道、これは絶対いけないというように申すわけじゃございません。
  88. 池田禎治

    池田(禎)分科員 私が一番感ずることは、先ほど来申しておることであって、これはあなたが専門家でないということで答弁をお避けになるならば、私もひとつ専門家に調査をしてもらって、そうして皇居というものの地下道を掘ることが交通緩和のために、あるいは交通事情をよりよくするために可能かいなやということをひとつ私どもも調査研究をしてみたいと思います。同時に、これは私一個の問題でなくして、国として、あるいは東京都として、あるいは立法府としても考えてもらわなければならぬがその前に、そんな公式論の前に、私はほんとうにごく素朴に考えて、あなた方自身がそういう気持ちにならぬかということがどうも私には解しがたいことであって、依然として古い憲法のもとにおける天皇は神聖にして侵すべからず、そのもとにおけるただひたすら恐懼してお仕えしておるあなた方の頭をまず開発しなきゃならぬじゃないかとさえ、私は個人的には思います。そういうことを何とか審議会というものだけでなくて、やはり皇室なりあるいは宮中というとおかしいが、宮内庁あたりで公式なものでなくてもお話し合い、議論というか、そんなことをなさったことはございませんでしょうか、どうでしょうか。
  89. 瓜生順良

    瓜生政府委員 この地下道問題について特別にいろいろ議論したことはございませんが、先ほど申したように、その皇居の地下道をつける部分によっては、ちょうどいま宮殿の下とかなんとかという場所は困る、ずっと地下室まできますから。部分によっては差しつかえないと考えるというようなことを話し合ったことはございます。しかし、問題は、こういう道路計画というのは、建設省とか東京都とかまたその他その専門のほうでいろいろ考えられてくる問題なものでございまして、われわれはどうもその面がわかりかねるわけであります。
  90. 池田禎治

    池田(禎)分科員 それは建設省とか何とか、もちろんそういうところが一番先に考えることも大脚なことですけれども、やはりあなた方自身の頭がそうなるかならぬかということも、私は一番大事だと思っておる。また私がこんな質問をするということも実は考えたのです。昔なら大ごとですよ。不敬の臣ということになるかもしれませんが、しかし、民安かれと祈るなりと昔の歌にあるのだけれども、天皇陛下は、国民が喜ぶことならお喜びになってお許しになるだろう。しかし、金の点に至っては、あなたが出すわけじゃない。金もかかり過ぎるとかなんとかいうことはあなたが言うことでなくして、それは国民として、金はかかっても国がそれがために富み、災害を防ぎ、交通事故が安全化されていくというならば、これは私は金かけても当然だと思う。そういうことはあなた、別に宮内庁の金の中から出してくれなんて決してわれわれは言わぬと思うのです。当然これは国費をもってやるべきことであり、あるいは地方自治体も協力して出すべきものだ、こう思っておりますが、まずあなた方自身がそういう頭の切りかえをなさらぬと——ごく素朴な一般の交通に従事しておる人々は、宮城なるがゆえに、そんなことは口に出すこともおそれ多いと思ったり、あるいはそんなことを言ったらたいへんなことになりはせぬか、まずもってこういう気持ちの人が非常に多いのですね。そういう状態では国民と皇室というか、そんなものは、つながりといったってずいぶん縁の薄いものになります。もっともっと国民と皇室の血のつながりの濃くなるようなことを、これはことばや年頭のあいさつでなくて、国民の生活の中に直結をするようになさらないと、私は、せっかくの憲法の精神も、天皇のお考えになっておることも、国民の中には浸透しないのじゃないか、こういうことを憂えて、実は私は、これはもうかねがね長年にわたりまして、東京に来るたびに、あるいはまた東京に住まうようになってから、もうずっと昔から常に念頭に置いておったことであり、また、ほとんどの交通従事者からは、そういう意見をほとんど漏れなく聞いたことであります。したがって、あなた方のお感じになるものと私どもの感じというものも、またたいへんほど遠いものだということをいまさらながら私は感じておりますが、これ以上は、これは議論になるおそれもあります。少なくとも私は、まず宮内庁みずからが国民の中に、あるいは国民というのが言い過ぎならば都民の中に、あるいは交通関係者の中に、謙虚な耳を傾ける態度が望ましい、こういうことを私は一言付言いたしまして、私の質問を終わります。
  91. 塚本三郎

    塚本主査代理 次に、広沢賢一君。  皇室関係の方は御退席いただいてけっこうでございます。どうもありがとうございました。
  92. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 国会予算についてお聞きいたします。  国会は国の最高の機関です。したがって、行政府の介入を許さない取りきめになっています。そういう憲法上で一番大切な国会ですから、したがって、ここでもって働く、仕事をする職員の方々は特別職になっておるわけです。  まず第一番目にお伺いしますが、国会はこれから非常に忙しくなるのですね。委員会庁舎その他も拡充して、ますますその仕事が重要になると思うのです。まず第一番目に定員削減の問題について、総理は一省一局削減を出しておりますが、それは私は、国会は独立の府であるということから見て、その一般的な行政方針に国会は拘束されないと思いますが、いかがでしょうか。
  93. 知野虎雄

    知野事務総長 お答えいたします。  ただいま広沢先生がお話しになりましたとおり、閣議で一省一局削減あるいは定員削減等のことがきまりましたようでございますけれども、国会はあくまで立法府の自主性をもって内部規律をやるたてまえに憲法上なっております。   〔塚本主査代理退席、主査着席〕  したがいまして、この閣議決定の拘束はわれわれのほうでは受けないものと考えておりますし、閣議決定の中身を見ましても、国会等はその中には含まれておりません。  まず第一の、ただいまの一局削減の問題でございますが、衆議院におきましては、昭和三十五年に列国議会同盟の東京大会というのがございまして、その後各国との議員団の交流その他議員外交というふうな面で渉外部という特殊なものはつくりましたけれども、昭和三十年以降、各省の局に当たります部の新設は一つもいたしておりません。その後各省庁を私調べてみましたが、相当そういうものはふえておりますけれども、私のほうではそういうものはふえておりませんので、その一局削減というふうなことは、衆議院につきましては全然考えておりませんのみならず、いろいろな施設等の拡充に伴いまして、将来にわたりましてむしろ必要なものはお願いをしなければならないかと思っております。  なおまた、定員の問題につきましては、先ほどお話しいたしましたように、衆議院衆議院の定員規程というものを別に持っておりまして、閣議決定に拘束されて一律に削減されるということはないと考えております。
  94. 森山欽司

    森山主査 念のために広沢君に申し上げますが、質疑時間は三十分となっておりますので、あらかじめお含みの上御質疑をお願いいたします。
  95. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 時間が惜しいですから次に進みますが、衆議院職員の定員問題について、先ほど私が申しましたとおり多党化の現象とか、その他施設も拡張しなければなりませんから、それで人員不足の状況が出ているという、いろいろ現象がございます。例をあげますと、警務の職場では、勤務を要しない日の取り消しが恒常化しているということ。議院警察の警備体制は、本会議開会の状態を基準として配置しなければなりませんが、これに要する人員が確保されていないため、本会議開会が予定される場合には、他の部課の職員の日曜日にも当たる勤務を要しない日が取り消されておるという例があります。また、記録でも人員の絶対数の不足が非常に大きい。記録の勤務は、本来一日三回の本会議あるいは委員会勤務、一回が十分の速記時間につき平均二時間半の反訳の時間が適正な労働量とされてきました。ところが、勤務の実態は、一日三回の執務が、各委員会が一斉かつ長時間にわたり開会される場合には六回から八回に及ぶ、そういうようになってきております。加えて最近の国会審議が非常に緻密になり、数字をあげ、専門化をしてまいりますと、反訳町間が前と違って、時間内に非常に早くやらなければならぬというような重要な仕事が要求されております。そういう場合に、以上の警務、記録のほかその他の部門もやはりそれに波及されて不足になると思いますが、こういう実態についてどういうように認識しているか。  また、大蔵当局に聞きますが、大蔵省としてはこういう問題について特別のケースとしてお認めになるかどうか、お聞きしたいと思います。
  96. 知野虎雄

    知野事務総長 ただいまお話がございました速記並びに警務の職でございますが、速記は百五十六名、それから警務職は二百六十二名でございます。私たちは、先ほど申しましたように閣議の定員削減等には拘束はされませんけれども、やはり国会といたしましては、自主的に職場における配置転換でございますとかあるいは事務能率の向上でございますとか、そういうふうなことを考えまして、むしろ各省庁の模範になるような考え方でやっていくのが、われわれとしても当然のことであろうと思っております。  速記につきましては、今度四名増加をいたしましたのは、四十三年度中に委員会庁舎が完成いたしますと、委員会が同時に開かれる回数が若干ふえようかと思いますので、そういう点につきましては、速記者の養成計画等もございまして、なかなか簡単に人を得ることがむずかしい事情がございます。そういうことでまあ手を打ってまいりました。  警務につきましては、過去十年ぐらいの間にかなり実は人数を増員いたしまして、そして第一議員会館、第二議員会館の完成とともに警備要員というものもふやしております。ただいま御指摘のようななかなか苦しい面もございますけれども、なお将来委員会庁舎が完成いたしますような場合には、それらに伴いまして警備個所、ことに委員会を開くということになりますとこれは議事堂そのものでございますので、そういう場合には衛視の増員もはかってまいりたいと考えております。
  97. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 大蔵当局はどうですか。
  98. 高橋元

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいま事務総長からお答えのありましたことを、私ども予算の査定につきまして念頭に置いておるわけでございまして、国会のお仕事の特殊性ということは私ども十分わかっておるつもりでございますし、いろいろの施設増加事務増加等によって増員要素があるということもよく承知しておるつもりでございますが、国会の中で事務の繁閑を見て能率をあげていただくと申しますか、そういった配置で処理していただくということで本年は定員の増加をしないということにしたわけでございます。明年度以降、本格的に増員要素が出てまいりました場合にどういたしますかは、また四十四年度以降の問題として検討させていただきたいと思います。
  99. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 次に委員会庁舎と定員増ですが、いま委員会庁舎の建設が進められています。四十四年度から、いま仰せられたとおり委員会室は現在の十室から八室増加するほか、各種の施設が設けられる。現在、印刷関係とかそれから自動車の車庫とか非常に手狭で、屋根裏みたいな一番下の地下室のほうに入っていますから、そういう問題で新委員会庁舎はどうしても必要だということがいわれておりますが、その落成によって人員が相当量、先ほど言われたとおり必要となりますが、第一に警務について、立番個所をどのように想定して必要人員をどういうふうに増加するかという、少し先ほどのお答えの具体的な問題に入ります。  第二番目にお聞きしたいことは、記録についても、委員会室の大幅な増加によって必然的に会議時間が多くなる、必要な人員、これは増加しなければならぬということになりますが、四十三年度の四人の増加程度ではどうにもなりません。先ほど言われたとおり速記者養成ですね、その生徒を集めなければなりませんが、その際、やはり人手不足の時代ですから、生徒手当の引き上げ等、そういうことを考慮しなければならぬじゃないか。  それから第三番目に、庁舎の保守関係についても、やはり必要な人員を増加しなければならぬ。  第四番目に、委員会の室の増加に伴い同時開催をずっとやりますが、そういう場合に、委員部の職員兼務が事実上困難となってくると思うのです。  具体的にあげれば以上のとおりですが、特に大蔵当局に対して、こういう必要欠くべからざるものに対してはいろいろ考慮すると先ほど言われましたことについて、もうちょっと具体的にお伺いしたいと思います。
  100. 知野虎雄

    知野事務総長 委員会庁舎ができ上がりますと、まず、広沢先生が御指摘になりましたようにこれは議事堂そのものでございます。したがいまして、院内の警察と申しますか、議長警察権の範囲に入るわけでございまして、立番、それから委員会、それから傍聴、そういったものが議事堂上同様の扱いをいたします関係で、警備要員がかなり要るだろうと思います。なお、どういう場所に立番をさぜるかという問題につきましては、これからの建築の進捗状況を見まして具体的に検討いたしまして、その人数は要求することになると思います。  それから速記につきましては、とりあえず四名の増員をはかったわけでございますが、委員会室がふえまして実際動き始めますのは来年度でございます。その委員会の動き方、現在土曜、月曜日は委員会はわりに開かれておりませんけれども、それらがどういうふうになりますかも見守りながら、さらに次年度の速記の増員ということを考えていきたいと思っておりますが、速記者というのは非常にむずかしい研修を経てまいります。それで、ただいまお話しのような速記生徒手当の増額の問題もございますが、ことに地方から優秀な人が来るための宿舎の設備というのがございませんでしたものですから、この間私、十月ごろでございましたけれども、宿舎をつくりまして、地方から来られる方の宿舎の設備があるということで広告を出しまして、そういうためにございましょうか、ことしは地方からの応募もあるようでございます。  それから、委員部のこともやはり同様でございますが、委員部は現在大体各委員会の担当というものがきまっておりまして、委員室が足りませんために一週間に二回ぐらいしかその担当の人がやらないというふうなこともございまして、これは委員室がふえましたからといって当然にどんどんふえていくということとは若干違いますけれども、やはり審議の充実に伴いましてはそういう問題も出てこようかと存じております。  それらは前向きに、いまおっしゃられたような線で努力してまいりたいと思っております。
  101. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 速記者の問題のお答えでも一つわかるのですが、結局これは宿舎を用意しなければならぬし、それから養成所で養成の期間がかかるから、来年度から動き始めるとすればいまからやはり十分対策を考えないと、こういう特別の仕事は、これはたいへんだと思います。  次に、今度はここで働いている、仕事をしている方々、職員の人たちの給与内容でございますが、去年私は行(二)職撤廃の問題についていろいろ御質問しました。そのときに非常に前向きの御答弁がございました。国会当局はこの問題について数年来与野党とも努力を重ねて、事務当局もこの問題について行(二)職は撤廃すべきである、これはよその行政官庁と違うのじゃないか、この前の年の御答弁で大蔵当局、それから内閣、それから人事院、それぞれ国会は特別の場所であるから、したがって国会がきめれば、それについて私たちも承認するという御答弁がありました。この基本方針に立って、四十一年度、四十二年度と相当数行(一)職に、約二百名ぐらいの移行が実現しましたが、昨年の予算分科会においてはっきりと明言したにもかかわらず、ただ遺憾な点が一つございます。それは、今度の行(二)撤廃に伴う予算が昨年の時点では一千万円ということを明らかにされましたが、四十三年度予算においては、衆参、それから国会図書館ともに後退している。その数は御承知だと思いますが、やはり行(二)撤廃の方向に向かって努力すべきではないか、そういう点をお聞きしたいと思います。
  102. 知野虎雄

    知野事務総長 お答えいたします。  行(二)の行(一)に移行する問題につきましては、昨年も広沢先生からたいへん御理解を示していただきまして御尽力をいただいたわけでございます。私たちは、この衆議院の職場というのは、やはり非常に特殊な職場であると考えております。まず国権の最高機関と申しますか、立法府の職場でありますし、それから職場が一体となって動かなければどうしてもうまくいかない。たとえば本会議でございますとか委員会があります場合に、議事部の職員委員部の職員、それから速記の人々、それから警務の人々というふうに一般の人たちの目につく職場の人たちだけでなくて、実は地下室には、一つ機械がとまれば全部がとまるというふうな人たちもございます。それから会館、宿舎等におられる人たちも、きょうの本会議やきょうの委員会はどういうことがあるんだということの認識がございませんと、議員さんにサービスすると申しますか、連絡もできない。自動車の運転をする人でも、全部そういうことが頭の中に入っておりまして、そして委員会とか本会議ということに目を向けた上で、それぞれの職場でみんながそういうつもりでそれぞれの努力を積み上げていくというような形でないと、なかなかうまくいかないというのが私どもの認識でございます。そういう意味で、行政(二)から行政(一)のほうに大幅に移行していくといいますか、行(二)のほうをなくしていくという方針を原則として今日までとってまいりました。この点につきましては、やはり衆議院の特殊性というものを大蔵省においても認識されまして、過去三カ年の間にかなり大幅に、大体五十名ずつ、厳密に言いますと、四十一年度では四十八名、昨年が五十名、ことしは行(二)から行(一)に移した数は五十名でございますけれども、速記を四名ふやしたため結局は四十六名というふうに、ほぼ五十名ずつ大幅に移行してまいりました。私たちは、こういう方向につきましては、今後もいま先生のおっしゃられたような方向で進んでいきたいと思っておるわけでございます。  ただ最近、人事院勧告その他の給与法の改正によりまして行(二)表の給与改善というものがかなり行なわれ、それから初任給是正ということも実は相当行なわれてまいりました。現在私のほうで残っておりますのは、相当大幅に移行はいたしましたけれども、なお百九十名ばかり行(二)職が残っております。そういう方たちにつきまして、実は初任給その他の問題で現実的な考え方と申しますか、かえって不利を来たすというふうな問題が起こりましては一これはやはり現実の給与を考える上で、職員に不利があってはいけないという点の配慮をしなければならない問題があるわけでございます。それらの点につきましては、私は行(二)をなくするという方向を堅持しながら、やはり給与の低下というふうなことを現実的に起こさないように、職員の諸君ともよく話し合いをして進んでまいりたいというふうに考えております。
  103. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 行(二)職の行(一)職移行者は、先ほど言われましたが、約五十名、ことしは四十六名ですが、この七等級、六等級、五等級にそれぞれランクされ、特に五等級については頭打ちの状態になっているという。それを四等級へ昇格させることは困難になっていますが、それについてどういうように今後解決するつもりであるか、その対策、見通しをお伺いしたいと思います。
  104. 知野虎雄

    知野事務総長 ただいまの点は、昨年も御心配をいただいた点でございますが、現在五等級ないし七等級にランクされておりまして、この技術職員を四等級に持っていくという問題には、いろいろ職制の上でなかなかむずかしい問題もございます。現状におきましては、まだ私のほうでは五等級で若干の余裕を持っておるといいますか、頭打ちというところにはもう少しあれがあるわけでございます。しかし、やがてそれも頭打ちを来たすという場合が出てこようかと思いますので、そういう場合には職員の諸君が不利を来たさないように、そうしてせっかく行(一)に移行した諸君が明るい気持ちで将来に向かって職務に精励できるような方法で、何とかそれらの問題を解決していかなければならないだろうと考えております。
  105. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 次に、今度は速記者は、先ほど言われたとおり非常に特別の技能を要して、それから夜おそくまで仕事をしなければならぬ。だから、この速記者の給料表については、人事院の調査対象になっていないし、それから特別の別表になっていることは御承知のとおりです。その別表について、三十九年に人事院は、行政職(一)表の運用面の行き詰まりから、新三等級を設けて具体的に矛盾の解決策をいろいろ講じてきましたけれども、速記職の表にはそれがほとんど影響されていなかったのではないか。少しは影響されているかもわかりませんが、例年職場から、全面的改定を早急に実施するようにいろいろ要求をされていると思いますが、この速記職の給料表自体の行き詰まりについて、たとえば新三等級を速記では二等級にすればいいというような考え方はございませんか。
  106. 知野虎雄

    知野事務総長 速記職は国会だけの給料表でございまして、ただいま先生がお話しになりましたように、独特の給料表をつくりますということは、実は非常にむずかしい問題がございます。それで、一般職の給料表を中心にいたしまして、速記者が過去において持っておりました実績等を加味しまして、給料表自体としましては実はかなり有利なものをつくっておるわけでございます。ただ、速記者のほうは、現在全員で百五十六名おりますけれども、そのうちで一等級に相当いたします速記監督が二十八名でございます。それから二等級に相当いたします速記副監督が五十名でございまして、それらの人たちが速記者の約半数を占めておるという状況でございまして、これは昭和三十七年ころから四十二年度まで——ことしは四名ふやしましたけれども、四十二年までの間というのは速記者は約百五十名というふうに、総数においては変わっておりません。それで、当時三十七年におきましては速記監督が二十名、速記副監督は四十名でございました。総数はふえておりませんけれども、その間に監督ないしは副監督の数というものを相当ふやしてまいりまして、今日までそういう点の改善をはかったわけでございます。なお、昨年給与改定がございましたときにも、給料表そのものの多少上積みをしますとか、あるいは給料の上げ幅につきまして考慮するとか、それからまた、一等級の上の方には行(一)の課長定数と申しますか、そういうふうなものを適用するとか、そういうことをやってまいりました。それにもかかわらず、なお現在速記者の古い方につきましてはやや行き詰まりの状況を来たしておるわけでございまして、これらの問題は、一般職の給与体系につきましてもようやく行き詰まりが来つつあるのではないかと思うのでございますが、それらともあわせまして、前向きにわれわれは努力をしてまいらなければならぬと考えております。
  107. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 この問題についてももっとお聞きしたいのですが、時間がないので先に進みます。  議警職の給料表の問題点ですが、議警職についても改定作業が行なわれたことがあります。それの作業を進めるにあたって、大体私どもこう考えております。現行表が不合理なものであるという認識のもとに改定作業が行なわれたのであるならば、実現しなかった事務処理として、現行表で効果的な運営がとられてしかるべきの問題があると思うのです。具体的な例をひとつ示していただきたいのですが、同時に、給料表の改定問題に対する今後の方針についてお伺いしたいと思います。
  108. 知野虎雄

    知野事務総長 警務の給料表は、先ほど申しました速記職とは違いまして、一応同種のもので公安職給料表というのがあるわけでございます。私たちは、公安職の給料表というものをもとにいたしまして、さらにこれよりはかなり各等級の上にその号俸の幅を延ばしてまいりました。その点では公安職よりもこちらのほうが有利になりまして、むしろ公安職が、その後こちらの議警職に準じた改善をやっておるというふうなことでございます。昨年の給料表改定の場合にも、やはりその点は改善を若干いたしました。なお、速記職の場合には、ただいま申しましたようなむずかしい状況で、級別定数につきましてもなかなかむずかしい事情がありましたけれども、警務職につきましては、ことしも一等級、三等級、それぞれ級別定数につきまして、これは大蔵省も理解を示してくださいまして若干改善をすることができました。今後もそういう点は、いま御指摘のとおり、やはり前向きで前進してまいりたいと考えております。
  109. 広沢賢一

    広沢分科員 現行の給料表は一等級から四等級まであります。一、二等級は間差の大きい号俸で、しかし実際にはこの部分に適用者がいないということですが、これは現行表の行き詰まりと運用のまずさに基因しているのではないか。それから三等級では、四号俸から十八号俸までの広範な部分を適用して、そのために間差の急激な落ち込みに直面している人もございます。かりに三等級の上部の号俸者が二等級に昇格したとしても、すでに間差のダウンと号俸に位置づけられて、適用者には相当に不利な運用となっているのではないか、二等級にスムーズに移行できない隘路となっているものは何であるか、現行表でもある程度の期待の持てる効果的な運用がないものか、いろいろお聞きしたいと思います。
  110. 知野虎雄

    知野事務総長 ただいまの御質問でございますが、御承知のとおり、警務職というのはやはり警察指揮系統というものでございまして、その編成のたてまえから言いますと、やはり衛視長のもとに衛視副長があり、衛視班長があり、それから衛視がいるというふう、ピラミッド型に編成されていくのが大体編成のたてまえであろうと思います。ただ、そういうことをやっておきますと、まあ班長なり衛視、三等級、四等級の号俸の幅というものをうんと広げませんことには、そういう問題の片がつきません。衛視の諸君もやはりそれだけでは満足できないということで、実は現在、その衛視班長なり衛視副長なりというところは、ほんとうの警備体制の編成からいいますと中ぶくれと申しますか、そういうふうな形になるまで実は上げてまいりました。それで、ことしも、そういう意味で号俸を若干去年の暮れ改定しましたほかに、定員はふえませんけれども、衛視長、班長というふうに級別でもってとることによりまして、やはりそういう意味の改善もはかりませんと、ただ号俸だけ増しただけでは満足がいかないということも考えまして、そういう措置をとっておる次第でございます。
  111. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 時間が過ぎてしまったのですが、あと二点だけお伺いしてよろしゅうございますか。
  112. 森山欽司

    森山主査 お約束の時間が参っておりますが、できるだけ簡潔にお願いします。
  113. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 簡潔にいたします。全部あとの点は省きまして、二点だけ特別昇格、昇給について。  特別昇給制度の運用については、人事管理の適正化ということが非常に重要だと思います。国会は公平でなければならない。職員間における各種のアンバランス是正の問題ですが、従来特別昇格、昇給の運用におけるそういう考え方について、中だるみ是正を中心としたアンバランスの是正に運用全体を持っていくべきではないか。その具体的実施にあたっては、職員の代表である組合と十分に協議してやらなければならない。特に人事の公平というのは去年もお聞きしました。狭い中で特別に大切な職場ですから、円滑な、喜んで働く、いろいろ不満とか不平とか、それから組合運動をやったからどうということでは絶対にないように、特に私は去年念を押しましたが、その中で特に遠隔地ですね。宿舎とか会館で、目が届かないところでいろいろ働いている人たちに対しても昇格、昇給の原資を回すとか、その他公平な運営をしていただきたいと思いますが、この点はどうでございましょうか。
  114. 知野虎雄

    知野事務総長 お答えいたします。  人事の公正ということは、やはり職員がほんとうに気持ちよく、そして一生懸命働くというために、私はこれが行政の基本であろうと思います点で、先生のおっしゃるとおりだと存じております。  ただいまお話がありましたように、特別昇給の問題につきましては、私のほうは昨年も先生の御説に答弁をいたしておりますけれども、その点の公平につきましては特に注意をいたしております。御理解をいただくために、ある程度実情を申し上げますと、全部の職員——これは上から下と言っては悪うございますけれども、あらゆる職員全部につきまして、私のほうでは部長会議というものにかけます。それで、各部長がもちろん原案を出しますけれども、ここの各部長はそれぞれかなり古い経歴を持っておりますし、われわれも多年おりますので、ここの職場の人たちというものはよく知っておりますものですから、そういうふうな特定のところの恣意によりまして、不公平が起こるなどということは全くないように、全部の人につきまして、その会議でもって全部の検討をしましてやっておりますので、十分公平を期しておるつもりでございますけれども、今後もそういう方針で十分公平にやってまいりたいと思います。それから、特に組合運動をしたからといって不利益な取り扱いをするということは、従来も決していたしておりませんし、今後も毛頭いたすつもりはございません。
  115. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 時間がないですから、この問題については、もう少し具体的にお聞きしてはっきりしていただきたい点があるのですが、それについては前向きにきちっとした御答弁ですから、今後をお約束しまして、今度は級別定数の問題についてお聞きいたします。  衆議院事務局の職員の構成は、先ほど言われたとおり、ちょうちん型を形成して、中堅層以上の職員にあっては、各等級の上位号俸が多くて、昇格の有資格者がなかなか昇格し得ない状態です。人事管理上、各部課とも等級の定数拡大が重要な課題となっていますが、四十三年度の級別定数の改善程度では、これはむずかしいのではないかということで、とりわけ速記職の級別定数の増加ゼロとなっていますが、そういう点、いかに今後いたしますか。  それから、国会職員業務議員に接触をして非常に苦労が多い仕事ですから、そういう点で普通の官庁並みの級別定数では、これは業務の実態に合わないと思うのです。その点について十分御考慮なさって今後やっていただきたいという点を、国会当局と大蔵当局にお聞きいたします。  同時に、あと田中委員が申されますが、特に要望したいことは、今後国会周辺の整備計画の一つとして、先ほど言った事務局の庁舎の構想、これはとても大事だと思うのです。電話の交換台は古くなるし、それから印刷その他の設備が劣悪であるという点、これは田中委員もお聞きになると思いますが、特に大蔵当局に、この問題についてはお聞きしたいと思います。以上でございます。
  116. 津吉伊定

    ○津吉説明員 お答えいたします。  級別定数につきましては、先生御承知のとおり、国家公務員法に職階制を定めるべき規定がございますけれども、職階制は、ただいまのところ、その実態との関連、その他問題があるようでありまして、職務評価の問題は、非常に困難をきわめておるようでございます。したがいまして、目下のところ職階制はございません。反面、一般職給与法におきまして、職務と責任に応ずる給与ということがございますし、また、級別定数につきましては、われわれ一般職で申し上げますと、一般職給与法八条に、「人事院は、国家行政組織に関する法令の趣旨に従い、及び第六条第三項の規定に基く分類の基準に適合するように、且つ、予算の範困内で、職務の等級の定数を設定し、又は改訂することができる。」、反面、人事管理の実態面を考慮いたしまして、それとともに、職務と責任の推移、これは、日を経るにつれまして、職員の能力の向上という点もございますし、また、職務内容の複雑、困難化ということも明らかにあるわけでございます。そういう推移に応じまして、適正な級別定数の改訂をはかっていきたいというふうに考えております。
  117. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それじゃ事務庁舎の問題について、大蔵当局の答弁を……。
  118. 高橋元

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問の事務庁舎でございますが、全体の国会関係の予算の中で、四十三年度はたとえば委員会庁舎とか、それから国会記者事務所、本館門囲障の改設、これは中央官衙計画と関係がございますが、そういった関係で、非常に営繕費がふえてきております。したがって、こういった営繕計画が逐次完成をしてまいりまして、国会事務整備というものが一段と進んでまいりました段階で考えてまいりたいというふうに思うわけでございますが、実は、私ども、まだ国会事務当局のほうから、事務庁舎の問題につきまして具体的なお話を承っておりませんので、この場で、それがいいとか悪いとか、どのくらいの規模であるとか、お答えする資料がないわけでございます。
  119. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それじゃ、あと田中さんから……  以上で終わります。
  120. 森山欽司

    森山主査 次に、広沢君の質疑に関連し、田中武夫君の発言を許します。  まことに恐縮でございますが、昼食時間抜きの審議でございますので、できるだけ簡潔にお願いいたします。
  121. 田中武夫

    田中(武)分科員 時間の制約がありますから、簡単に御質問いたします。したがって、答弁も簡潔にお願いします。  まず第一に、事務総長にお伺いしたいのですけれども、国会という職場は、これは特殊な一つの職場であると思うわけです。それだけに、職員の勤務状況の環境の改善ということ、これは重要であろうと思うのです。  そこで、まず第一点といたしまして、この国会という特殊な職場に働く職員にとって、職場環境の改善は重要であるが、根本的にどのように考えておられるか。  第二点、本館等の冷房施設整備されることになっているが、その具体的な構想。第三点、本館地下には、警務の衛視さんの寝室、電気、営繕の技術員の控え室、営繕工作等の職場がございますが、その実態は、とうてい人間的にいい職場であるとは、あるいはいい環境とは言えない劣悪なものであります。したがって、これらについて、どのように改善しようと考えておられるのか。あるいは、地下にあるそれらをどこかへ移すというような考え方はないか、お伺いします。
  122. 知野虎雄

    知野事務総長 お答えいたします。  ただいま田中先生から申されましたとおり、国会は確かに特殊な職場でございまして、まず、第一点の職員給与関係につきましては、先ほど広沢先生の御質問にお答えいたしましたことで、御了承いただきたいと思います。  それから、第二の環境でございますが、いま、御承知のとおり、本館は、二階と三階の冷房ができておるわけでございますけれども、一階には冷房がございません。それから地下にも冷房がございません。これは、ことし、大蔵当局も理解を示してくれまして、五千百万の予算を計上しておりますが、なお、冷房関係としまして、国庫債務負担行為で二億三千万ばかりのものを計上しておるわけでございます。これでいま一階の事務室におります諸君が、非常に暑いといいますか、環境が悪いわけでございますが、これの冷房と、それから地下にあります——先ほど先生がおっしゃられましたが、地下にはいろいろな機械関係の部屋、工作室、衛視諸国の宿泊所、それから傍聴人の携帯品預かり所、非常に環境が悪いわけでございまして、そういうふうなところは、この国庫債務負担行為とことしの予算によりまして、冷房を完成いたしたいと思っております。この冷房につきましては、実際の工事が、実は国会が終わりましたところで、いろいろと、風洞でございますとか、そういうぶち抜いたりするような工事がございます。それから、委員会庁舎の上といまの別館の上に空気冷房の塔をつくりまして、そうして、いまの状況でいきますならば、四十四年の夏、来年の夏でございますが、その時期には冷房ができ上がるということでやってまいりたいと考えております。  それから、もう一つ、職員の健康管理と申しますか、そういう意味でのお尋ねでございましたが、やはりこういう職場でございますから、職員の健康ということにつきましては、算別に配慮しなければなりません。それで、現在、第二議員会館のところにプールがございますし、それから会館の中に体育室等もございます。それから速記者養成所というのが世田谷の用賀にございますが、そこに運動場がございまして、そこではテニスとかバレー等ができるようになっております。なお、現在整備中の図書館の横、尾崎記念会館の前あたりに、現在工事関係者に使わしておりますけれども、それらが周辺整備の途中に、やはりテニスコートでございますとか、そういうものを暫定的につくりまして、職員の健康管理についても十分に考えてやっていきたいと思っております。  それから、ちょっと長くなりますが、お尋ねがございました事務庁舎の問題について、概要を申し上げさしていただきたいと思います。実は、現在、道路の周辺整備、それから正門、南門並びに囲障等が、今年度予算にすでに入っておりまして、これは実行中でございます。それに新聞記者会館ができ上がるということで、大体そういった国会関係の営繕の主要なものが終わってまいったわけでございますが、衆議院別館と申しますか、事務庁舎といいますか、名称は別でございますけれども、どうしてもやらなければならない問題があるわけでございます。その理由はいろいろ斬るのでございますが、順序は不同でございますけれども、まず第一に、自動車の車庫の問題がございます。現在、衆議院で約百八十台、乗用車、トラック、バス等の自動車がございますが、現在のところでは、第二議員会館のところにあります車庫と、それから現在かりにもとの第三議員会館のところにつくりました車庫にこれを収容しております。ところが、昭和四十六、七年になりますと、戦後第一回、第二回の選挙で当選されまして連続されておられる先生方で、二十五年の表彰を受けられる方の数が二、三十名にのぼる見込みでございまして、そうなりますと、衆議院の官用車が約二百台を突破するという事態になります。それと、第一、第二議員会館の車庫は、議員の自家用車の駐車場に使わなければならないというふうなことで、どうしても、二百台ばかりの官用車を収容するために、地下三層くらいの駐車場を設けなければなりません。それに伴う整備工場等がございます。次に、衆議院参議院の地下にまたがるところに大蔵省の印刷工場、国会工場があるわけでございますが、まことに環境の悪いところで、国会の公報その他重要な議案類の印刷が行なわれておるわけでございまして、健康管理から見ましても、文字どおり日の当たらない場所におるわけでございまして、これは大蔵省の印刷局長からも私どものほうに、ぜひこの印刷工場の移転と申しますか、そういうものを考えてほしいという申し入れもございます。それと衆議院が持っております印刷課の工場を合わせまして、どうしても国会自身の印刷工場というものを整備しなければならぬという必要がございます。それからもう一つは電話の交換所でございますが、何万という人口に匹敵する電話を衆議院が持っておるわけでございますけれども、その電話交換所が、すでに現在では設備が古くて、小さくて、もう需要に応じ切れないという問題がございまして、これもそれに合わせてしなければならない。それからもう一つ、非常に大事なことで順番はあとになったのでございますけれども、議員の医療健康センターと申しますか、それを考えなければならない。と申しますのは、本会議とか委員会とか、それから党務、いろいろな関係で、国会議員は非常に忙しい状況でございます。それで、現在、大学病院にでも参りますと、われわれが参りましてもそうでございますけれども、これはもう半日か一日は実はつぶれてしまいます。そういうことで、われわれが現在の衆議院の医務室における実態というものを見ておりますと、当然これは検査をしていただきたいと思われるような先生方も、とてもそんなひまがないから、注射で間に合わしておけというふうなことで、実は薄氷を踏むような感じでございます。過去三年間、夏の議会というものをやりまして、そのあとの医務室における状況を見ますと、事務総長としては、これは重大な関心を払わなければならない問題でございまして、そういうふうな意味で、その衆議院別館の中に、一階を充当しまして、議員の健康及び検査のセンターといいますか、そういうふうなものを置いていかなければならないという事情がございます。そのほかに、御承知のとおり、第一回帝国議会からすでに約八十年を経過しようとしておりまして、膨大な会議録、それから各種の記録、参考書類、そういったものが、これは永久保存をしなければならないものがありまして、書庫、そういうふうなものの設備が要るわけでございます。そのほかに若干、徹夜議会等あります場合の職員の宿泊の設備がございませんで、いまそれぞれ、もう机の横にごろ寝をするというふうなこともありますので、そういうふうなものをどうしても整備をいたしますために、衆議院別館といいますか、まだこれは大蔵省にもこれからでございますが、われわれは、地下四階、地上六階くらいのものを整備いたしまして、そして何とかそういうものを実現していかなければならない。たまたま四十三年度で、委員会庁舎、それから記者会館、そういった衆議院の大きい営繕関係が終わります。それから国会図書館もことしでもって本建築が終わるということで、国会営繕費というものが大きく落ちる際に、われわれはこれをぜひ四十四年度要求いたしまして、これには民有地の問題も若干ございますものですから、むずかしい問題はあろうかと思いますけれども、先生方の御協力もいただきまして、私どもは、それを整備することによりまして、大体国会周辺の整備を終わる、そして国会がそういう意味で全機能を発揮できるような整備をやっていきたいというのが私たちの念願でございまして、これが衆議院別館と申しますか、事務庁舎の大体の構想でございます。
  123. 田中武夫

    田中(武)分科員 ただいまいろいろ説明をしていただいたのですが、その計画ができ上がるのは、大体いつのころをめどにしておられますか。  それともう一つは、職員のレクリエーションの場として、現在赤坂グラウンドを使っておりますが、あれは総理府に移管したので、将来使えなくなると思います。そういった体育といいますか保健といったような点についてはどのように考えておられるか。  それから、もう時間がないので続けてやります。  さらにもう一つ問題なのは、先ほどもちょっと総長、そう言っておったが、国会傍聴者が地下道から入っていくということ、そしてあの携帯品の預かり所というのは、どうもあれはよくないですね。ことに身体検査というか所持品検査等で、そういういやな感じを受けた、こういうような印象をよく聞くわけなんです。これはあえて言うわけではないですが、主権者たる国民が国会を傍聴しようとしてきたときに、まず身体検査を受ける、そしてあの穴倉のようなところから入っていく、こういうことはあまり感心したものでもなく、傍聴者が、感想としてはいつもいやな感じを受けた、こう言っておりますので、そういうような点についての改革の方針、計画等をお伺いします。
  124. 知野虎雄

    知野事務総長 お答えいたします。  まず第一は、先ほど申しました衆議院別館ないし事務庁舎の完成の時期でございますが、これはこれから、来年から大蔵省と交渉を始めるわけでございますけれども、われわれといたしましては、大体昭和四十六、七年くらいまでには完成に持っていきたいというつもりで、努力をしてまいりたいと思います。  それから、旧赤坂離宮の総理府移管に伴いましてでございますが、あそこにありました運動場を利用しておったわけでございますけれども、これは移管にあたりまして、総理府があそこにどういうふうなものをつくりますか、それとの関連もございますけれども、利用できる限り、移管をいたしましても、運動場が利用できる状況であれば、利用させてもらいたいということを申し入れてございます。ただ、これがもし何年か後に完全に使用できないというふうな場合のことも考えまして、先ほど申しましたように、尾崎会館の前に、参議院並びに図書館とも相談いたしまして、テニスコートとかあるいはバレーのコートとか、そういうふうなものを途中でつくってまいりたい。なお、衆議院には速記者養成所というのがかなり大きい運動場を持っておりますので、これはちょっと遠うございますけれども、閉会中なんかは、これを効率的に利用しますために、職員のために、バスその他のことで便宜をはかってあげたいというふうに考えております。なお、秋なんかに職員の運動会等がございますが、そういうふうな場合には、しかるべき運動場を借りてでも、これはやはりやるような考えでいきたいと思っております。  それから、先ほどの傍聴人のところの改善でございますが、確かにいろいろとこれは批判がございまして、傍聴人の方々も暗い感じの思いをされますし、あそこに勤務しておる人たちも非常に実は悪い環境でございます。それで、今度議会が終わりましたら、さっそくこれには手をつけまして、場所を明るくするほかに、あそこにロッカーを置きまして、それを傍聴人の方が——たとえばやれ荷物を調べたとかハンドバッグを調べたとかというふうなこともございますが、実際には人のハンドバッグをあけるような事実はないのでございますけれども、そういうことのためにロッカーを置きまして、傍聴人の方が自分でそのロッカーにものを入れまして、そしてかぎを持っていくというふうな改善と同時に、来年は、先ほど申しましたように、あそこは冷房等もできますので、そういう点は早急に手をつけて改善をしていきたいと考えております。
  125. 田中武夫

    田中(武)分科員 次に、国会図書館の問題についてお伺いします。  まず、第一点といたしまして、第二期工事、新館といいますか、これができ上がることによって、仕事の量も、業務量もふえると思うのです。そこで、図書館勤務の職員の数をふやさなければならぬ。聞くところによると、八十五名要求して二十三名しかふえていないそうですが、これで十分やっていけるのかどうか。さらに、座席数がふえることによって、やはりそれだけ人が要るわけなんです。この人員に見合うところの座席数というように考えなくてはならぬと思うのです。今度四百幾らふえるのでしょう。そういうことの、いわゆる座席数と人員の関係ですね、こういうような点についてどう考えておられるか。そして、その新館ができ上がることによって、合理化という名で労働強化が行なわれるのではなかろうか、こういうようにも考えられるので、そういうような問題については、職員組合があるはずですが、これと十分話し合いをしなければならぬと思うのですが、それらの点についてどうお考えですか。
  126. 河野義克

    河野国立国会図書館長 皆さんの御支援を得まして、この十月末ごろには国立国会図書館の第二期工事も完成をいたす予定でございます。そういたしますと、いま御指摘のございましたように、図書館の業務としても非常に充実をしてまいりますし、したがいまして、これに従事する職員の数もふえなければならないわけでございます。ただいまそういうことに関連して人間の増員を八十数名要求して二十三名云々というお話がございましたが、要求といたしましては八十三名を要求いたしました。このうち五十九名が第二期工事の完成に伴う職員でございます。他の二十四名でございすか、これは第二期工事完成と直接の関連はございませんが、第二期工事完成を期としてさらに図書館業務を充実してまいりたい、そのための要求でございました。御承知のような国家財政の現状、そういうことから、第二期工事と直接関連のない定員増につきましては、これを後年度に期することにせざるを得なくなりまして、第二期工事に直接関係ある分につきましては、ぜひこれを認めてもらわねばならないということで鋭意折衝いたした次第でございます。その結果、御指摘もございましたが、当年度といたしましては二十三名の常任の職員及び賃金形態の二名の者が認められております。これにつきましては、私どもといたしましては本来的に不本意でございまして、いろいろなお折衝いたしまして、昭和四十四年、昭和四十五年の両年度にかけまして五十名内外の定員を増すように、どうしてもしなければならないと思っております。しこうして、この数字につきましては、折衝の経緯に照らしまして、現実的な数字であると信じております。それが定員関係でございます。  なお、このたびの第二期工事の完成に伴いまして、閲覧席も相当に増しますし、本の収蔵能力というものも二百四十万から四百五十万に飛躍的に増します。建物も約七割を増すわけでございますが、そういった際に閲覧席の拡大が人員の増と密接不可分に結び合うのではなかろうか、その際の考え方はどうかと、そういうふうに伺いました。むろん密接な関連があるわけでありますが、比例的に、どれだけふえたから直ちにどうであるというふうには考えませんが、とにかくそれだけ閲覧席もふえることでございますから、定員の問題については十分手当てをしなければならない。それについては三年計画の考えをもって事を処してまいりたいと存じております。またそういうことにつきまして、いわゆる合理化云々ということで労働強化にならぬようにと、職員組合等とも十分話を進めることを希望するという意味の仰せがあったと思いますが、私ども平生から毎週定例的に総務部長が交渉し、私もおりに触れて最近においても二、三度組合と会談をいたしております。第二期工事ができた後の図書館の体制といたしまして、世界の趨勢でもございますし、やはり機械力を導入してやっていくとか、あるいはその他各方面に事務の能率をはかる等のことは、当然いたさなければならないと思いますが、いたずらに労働を強化する、強い労働をしいるというようなことにはならないように、職員とも十分その意見を聴取しながら進めてまいりたいと思っております。
  127. 田中武夫

    田中(武)分科員 新館ができることによって閲覧席が四百九十三ふえるのですね。したがって人員は正比例しないとしても、あまり労働強化とか、神経を使い過ぎるというような状態にならないように申し上げておるわけなんです。それから今度は図書の収容能力が四百五十万冊になるのですね。現在蔵書はどのくらいありますか。それから、この四百五十万冊と現在の蔵書、そして国立国会図書館法の二十四条、二十五条等によって、だんだん納入せられる図書があるわけです。また新たな図書の購入もある。こう考えてくると、この四百五十万冊でも、十年あるいは十二、三年程度でもう収容できなくなるのではなかろうか。そこで別棟の書庫なんかが必要ではなかろうかと思う。そういうような点について、どのように考えておられますか、お伺いいたします。
  128. 河野義克

    河野国立国会図書館長 御指摘の図書の現在の収蔵量につきましては、大約二百三十万と承知しております。それで第二期工事ができた後の新しい書庫の収蔵能力は四百五十万冊でございます。現在毎年七、八万、図書その他の資料増加してまいりますが、これは年を追ってその増加の勢いというものは激しくなるであろうと思いますので、約十四、五年後には、この四百五十万の書庫も満ぱいになるであろうと存じます。したがいまして、その後のことにつきましても考え方を持たなければならないということは仰せのとおりでございまして、それにつきましては、国会図書館前庭と申しますか、前の参議院議員会館のあと地でございますが、一応緑地として国会周辺整備計画の上では出ておりますが、そこに十数年後には国立国会図書館の付属図書館をつくるということになっておりまして、これは国会周辺整備計画策定の上において、両院の議院運営委員会におきましても正式に決定せられ、認められておるところでございます。そこへ現在の考え方といたしましては、六百万の図書収蔵能力を持つ書庫を中心としたアネックスと申しますか、付属図書館をつくりたい、かように存じております。
  129. 田中武夫

    田中(武)分科員 蔵書の保管あるいは点検、これはどういうことになっておるか、お伺いしたいのです。  そこで、図書館には相当貴重な資料、あるいは後世に残さなければならぬようなものもたくさんあると思います。そういうものの保管をどういうようにやるのか、それが長い間点検もせられずにほってあると聞いておるのですが、その点検の方法はどういうようにしておられますか。私は常時点検と定時点検と申しますか、そういうような方法で、常時点検するものを何名か職員がこれにかかる、そして年に一回ぐらいは定時点検を行なう。そのためには、長い間図書館を休館することはできないとしても、二、三日ぐらいなら図書館を休館してでも点検をする必要があるのではないか、このように思いますが、蔵書の保管と点検についてお伺いします。
  130. 河野義克

    河野国立国会図書館長 御承知のように、図書は閲覧せられ、あるいは製本に出され、あるいは複写に利用せられ、そういうことでしょっちゅう動いておりますので、図書が書架上のあるべきところに常にあるように保つということは大切なことであると存じております。それで、そういった点検についてどうしているかということでございまするが、現在の国会図書館の地に移ります前に、赤坂のときに、一斉の全面的な点検をしたことがございますし、昔、上野の帝国図書館時代には、そういうこともございました。その後現在におきましては、いまもおっしゃいましたような、継続的、恒常的にやっていく、いわゆる常時点検という姿で、主としてやっておるのでございます。それで、図書の数が先ほど申し上げましたように二百万をこえる、あるいは数百万というようなことになりますると、一斉にある時期に点検を行ないますといたしましても、実際は一年近くもかかるようなことになり、大幅に休館をしなければならなくなりまして、その間社会公衆に非常に迷惑をかけまするので、現実問題としては、言いやすくして行ないがたいと思うのであります。そのある部分部分をある時期に相当長期に、たとえば一カ月ぐらい休んでやっていくという方法は、中間的にまた考えられると思いますが、それにいたしましても、現在社会的な機能を営み、社会的な需要が現実に相当起きている、そういうことを受けている国立国会図書館といたしましては、一カ月これを休むということも、社会公衆に対して迷惑の度合いがはなはだしいのではないかと存じます。そういうことから、現在は学者等におきましても、大図書館においては一斉の点検は無理であって、常時点検を行なっていくほうがよろしいという考え方が多いようでありますし、私が昨年ヨーロッパ、アメリカ等の大図書館を視察したときも、各国とも計画的に常時の点検を行なっておるのが趨勢でございます。それで、現在私どもは三名の常時点検の要員を持ちまして、毎日、図書の出納の要求がございまして現実に出なかった図書等につきましては、それがどういう原因で出なかったか、その原因追求を十分やっておりますが、それだけではもちろん不十分でございますので、今回の予算におきましても、正職員二名、それから賃金形態の者二名、それと従来の者三名、合わして七名をもって常時点検の班を作成しまして、常時点検を強化し、組織的、計画的にこれを行なってまいりたいと思います。来年以降のことをいいますと、さらに数名これに加えまして、十名あるいは十名をこえる数をもって、常時点検を強力に行なって、出納ができないというようなことが現実において起こらないように、何としてもつとめたいと思っております。
  131. 田中武夫

    田中(武)分科員 蔵書の保管と点検ということは重要だと思いますので、これは常時点検——あるいは一斉点検がそんなに長くかかるようだったら、部門的にでも行なうというようにして、十分に気をつけてもらいたいと思います。  それから、国会周辺は相当交通量が多いわけでございまして、本館から職員国会図書館なんかに行くような場合に、交通事故の心配もあるわけなんです。現に四十一年十一月ですか、参議院の正門で、国会職員が交通事故で瀕死の重傷を負ったという事実もあるので、国会図書館に行くのに地下道を通っていくというような、地下道計画があるのかないのか、もしあるとするならば、それがいつごろまでにでき上がるような計画を持っておられるのか、それをお伺いします。  それから、最後に申し上げたいことは、この国会図書館法の冒頭に「国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立って、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される。」とうたってある。冒頭のこの高道な理想と使命を達成するために、十分にひとつやっていただくことを希望いたします。
  132. 河野義克

    河野国立国会図書館長 国会国立国会図書館との間の交通は、実は現在特に注意を要するものがあるのでございます。と申しますのは、あそこの道路がいろいろ直されまして、国立国会図書館の前にバスストップがありますが、そこに別に横断路もなくて、まあ早く来ようと思えば、横断路のないところを横切らなければならないというような関係で、はなはだ困りますので、私どもは、警視庁のほうに、信号をつけるなり横断路をはっきりつけるなり、しかるべくやってもらいたいということを強く要請をいたしております。根本の問題といたしましては、われわれの側はもちろんでございますが、議員各位のお立場からいきましても、交通の安全あるいは便利というような意味からいって、地下道が設けられることが望ましいことはおっしゃるまでもないことであろうと存じます。それで、本年までは、私どもはこの多年の念願であった第二期工事を何としても計画どおりりっぱにやろうということで、全力を傾けてまいりました。これが本年の秋、おかげをもって完成をいたすのでございまするから、その後においては、それ以外のいろいろな点にも十分意を用いたいと存じております。地下道の問題につきましては、私ども部内ではいろいろ話し合ったこともございますが、何年からどうという明確な計画を持つところまでは至っておりません。今後十分そういう計画を練って、実現をいたしたいと思います。  それから、御質問にはなかったのですが、そういう意味合いからいきまして、国会周辺の整備ということからいいますと、国立国会図書館の三宅坂寄りのほうに、なお民有地が少しございます。これは国会周辺の整備ということからいいましても、国立国会図書館の利用者の便益ということからいいましても、一日も早く買収をしまして、国有地とする必要があろうと存じます。これも国立国会図書館の第二期工事ができる過程においては、金がかかり過ぎるということで押えておりましたけれども、これも明年以降ぜひ実現をいたしたいと存じております。  最後に、国立国会図書館法の前文を引かれまして、図書館創設の際の雄渾な文化的使命に満ちた気持ちを持って十分やれというお話は、まことに同感にたえないところでございます。本年は第二期工事が完成されるだけではなく、国立国会図書館が創設されましてちょうど二十周年になります。そういう意義あるときでありまするから、私ども、これを機として意を新たにいたしまして、十分使命の達成につとめようと思いますが、そういう際にも、国立国会図書館法の前文に示された精神を常に振りかえりながら、前進をいたしたいと思っております。今後とも御支援をいただきたいと思います。
  133. 田中武夫

    田中(武)分科員 大蔵省の国会予算の関係の方おられますか——先ほど、事務総長なりあるいは国会図書館長から、いろいろ話を聞きました、計画を聞きました。そういうことに対して、これは衆議院としてあるいは国会として、意思をきめて予算要求をすることになろうと思いますが、そういうときの大蔵省としての心がまえだけを一言聞いておきます。
  134. 森山欽司

    森山主査 なるべく簡潔に御答弁願います。
  135. 高橋元

    ○高橋説明員 お答えいたします。  私ども大蔵省といたしましては、国会関係の予算の御要求につきましては、国会審議、それから国会職員事務の能率の向上ということを念頭に置きまして、処理してまいりたいというふうに考えております。
  136. 森山欽司

    森山主査 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  137. 森山欽司

    森山主査 速記を始めてください。  これにて、皇室費及び国会所管予算の質疑は終了いたしました。  午後は、本会議散会後再開し、内閣所管及び総理府所管予算の質疑に入ることとし、この際、暫時休憩いたします。   午後一時四十二分休憩      ————◇—————   午後三時二十六分開議
  138. 森山欽司

    森山主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十三年度一般会計予算中、内閣所管、及び、防衛庁及び経済企画庁を除く総理府所管予算の質疑に入ります。  この際、念のために申し上げます。  質疑時間につきましては、理事会の協議により、原則として質疑に対する答弁も含め、本務員一時間、兼務もしくは交代で分科員になられた方は三十分となっております。できる限り御希望に沿いたいと存じますが、多数の質疑希望者がございますので、恐縮でございますが、質疑時間を厳守いただき、質疑及び答弁はできる限り簡潔を旨とする等、各位の格別の御協力をお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。石田宥全君
  139. 石田宥全

    石田(宥)分科員 私は、公害としての地盤沈下問題について御質疑を申し上げたいと思うのでありますが、これは全国にございまして、かなり広範なものでもございますので、これは別の機会に譲るといたしまして、本日は時間の関係もございますので、新潟市を中心とする地盤沈下の問題について二、三御質問を申し上げたいと思います。  新潟市を中心とする地盤沈下は、最近ややその速度が緩慢になったようでありますが、いまの沈下があと十年続くと、砂丘地帯を除く全新潟市がゼロメートル地帯になると推定されております。科学技術庁ではどのように把握されておりますか。さらにまたゼロメートルからマイナス五十センチ程度の面積はどれくらいになるか、お伺いをしたいと思います。あわせて最近の沈下の状況がどの程度であるか、これをお聞かせを願いたいと思います。
  140. 鈴木春夫

    ○鈴木(春)政府委員 お答え申し上げます。  新潟周辺の地盤沈下の状況でございますが、ただいま御質問の五十センチメートル標高の地域の広さにつきましては、これは国土地理院の専門のほうのお方でないと詳細資料が出ませんので、その点は御容赦願いたいと思います。  沈下量の最近の状況について申し上げます。一番新しい資料といたしましては、国土地理院の調査によります昭和四十一年の九月一日から四十二年の九月一日、この一年間における沈下量、この状況の報告がございます。それによりますと、新潟市内に観測井戸がございます。山の下観測井戸でございますが、これの状況を見ますと、深さによって沈下速度はいろいろでございますが、二百六十メートル井戸で一日の下がり高が〇・〇二ミリでございます。四百九十メートル井戸によりますと〇・〇七四ミリでございます。六百十メートル井戸では〇・〇九二ミリでございます。千二百メートル井戸では〇・〇九五ミリでございます。この状況は、それ以前のものと比べますと次第に好転しているというのがこの新潟の山の下の調査でございます。それから周辺につきましては……
  141. 石田宥全

    石田(宥)分科員 いいです。時間がないから……。国土地理院。
  142. 安芸元清

    ○安芸説明員 国土地理院は、新潟地方におきまして、年に一回水準測量をやっておるわけでございますが、うちでやっております水準測量は一等水準測量と二等水準測量というのがございます。
  143. 石田宥全

    石田(宥)分科員 それはわかっておるのだが、大体ゼロからマイナス五十センチぐらいの面積が十年たったらどれくらいになるかということを伺いたい……。
  144. 安芸元清

    ○安芸説明員 現在うちではかっておりますのは一等水準、二等水準、それから他機関、県、市、運輸省等がはかりました全部の点が大体五百点余りございますが、その点の高さを現在はかっておるわけでございます。この中でマイナス五十センチ以下の点と申しますのは、国土地理院が設置しました水準点にはございません。他の機関の設置いたしました点に四カ所ございます。小針の地区に一カ所と河口部に三カ所ということで、全部で四点、マイナス五十センチ以下の点が現在あるわけでございます。この測量のやり方は密度が非常に荒いものでございますので、この資料だけからは五十センチ以下の区域が何平方メートルあるかということはちょっと計算するのが困難ではないか。もう少し、百メートルとか二百メートルというふうな非常に目のこまかい水準測量をやらないとわからない、かように考えるわけでございます。  今後沈下量は幾らになるかということでございますが、最近の調査によりますと、沈下量はだんだん減っておりまして、昨年におきましては最高七センチくらいの値になっております。それは過去の資料から見ますと非常に減っておるわけでございまして、そういう意味から、今後十年したらどれくらいになるかということにつきましても、現在ちょっと推定するのが非常にむずかしいのじゃないか、かように考えておるわけでございます。  以上でございます。
  145. 石田宥全

    石田(宥)分科員 要点だけを答弁してもらうと簡単に終わるのですけれども、まあその程度で大体わかるわけですが、問題は水溶性ガスのくみ上げに伴う排水量と地盤沈下というものがほぼ並行しておるのですね。そういう点ですでに明らかになっておるのでありますが、新潟地区における一日の排水量は大体どのぐらいであるか、これも数字だけを、工業用と自家用というぐらいに分けてひとつ答弁をいただきたいと思います。
  146. 鍋島直紹

    ○鍋島国務大臣 私知っておりましたので、簡単に申し上げます。  工業用として一日に十八万立米ですか、それから自家用のほうが約十万というふうに報告を受けております。
  147. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そこで、先ほど申し上げたように、ガスの採掘に伴う排水量と地盤沈下とがほぼ並行をしておるということはこれはすでに常識になっており、かつて科学技術庁長官が、現在の総理大臣が長官の時代に何回にもわたってガスの採掘の規制が行なわれておったわけであります。最近若干緩和したものの、やはりここ三年間ぐらいでは、多いところは七・五センチくらい年間沈下をしております。もっとひどいところも部分的にはありますけれども、そういたしますと、十年たつとやはり約一メートルの沈下というものが予想されるわけでございますので、これに対して、科学技術庁としてかつて規制をされた、これをもう一歩進めて、被害の大きいのではないかと予想される地域のガスの採掘を禁止すべきである。これはもう市民大かたの意見であります。科学技術庁長官は、国土の保全という面もあり、あるいは住民の福祉という面から見てもこれは断行すべきだ、こう思うのです。三十九年の新潟地震の際に、マイナス一メートル以上の地域に海水が浸水しまして、その海水の上を石油が流れてきて三百何十戸の火災を起こしておるのです。そういう事実を経て、いままだ沈下が進んでおる状況のもとにおいて、勇断をもって禁止すべきだと考えるのでありますが、長官の御意見を伺いたいと思います。
  148. 鍋島直紹

    ○鍋島国務大臣 いま石田分科員が言われましたように、科学技術庁におきましては、資源調査会の中の新潟地盤沈下特別委員会で調査いたしましたその結果は、やはり地盤沈下のおもな原因は水溶性天然ガスのくみ上げである、大体そういうわけになっております。したがいまして、政府といたしましては、通産省の関係になりますので、通産省が、御承知のとおり、地元、新潟市等と協議をして、三段階にわたるいろいろな規制をしておることも御承知のとおりでございます。ただ、現状におきましては、わりあいに限られたといいましょうか、地区においていわば年間十センチぐらい下がる。まだその被害は決してとまっておりません。したがって、採掘といいますか、くみ上げを禁止すればとまるのではないかということは容易に想像されるかと思います。ただ問題は、やはり鉱業権との問題、工場等の問題等がありまして、自主規制という形でやってようやくこのところに来た。したがいまして、これはさらに通産省とも相談をし、あるいは科学技術庁独自の立場の調査と通産省との関連におきまして自主規制を法的規制に直すべきものか、あるいはそのほかの手段をよほど今後考慮すべき問題であろうと考えます。  なお、一方において、この復旧といいましょうか、その対策としての港湾とか道路とか堤防とかいろいろございましょうけれども、このほうもやっていかなければならぬ。しかし、全面禁止というところまで思い切っていけるものであるかどうか、これはもうしばらく通産省と相談をさしていただきたいと思います。
  149. 石田宥全

    石田(宥)分科員 通産省さんのほうは鉱業権その他の関係でやはり企業利潤を擁護するという立場にお立ちになると思うのです。しかし、地域の住民のほうには数カ町村がすでに禁止をやっておる。町村条例などで禁止をしておる。大企業に対して禁止ができないということは私はないと思うのです。今後ゼロメートル地帯がどんどん拡大していく。新潟の旧市街全域がゼロメートル地帯になるということが予想されるのに、なおこれを放置しておくということは、私は政府として許すべきではない、こう思うのです。そこで、今日までの十年間に、公共事業の対策としてどれくらい投資をされておるか、あわせて天然ガスの販売料金は一体どれくらいであるか、おわかりであるならば、お答えを願いたい。
  150. 鈴木春夫

    ○鈴木(春)政府委員 新潟地域の地盤没下に対する対策費でございますが、これのとりまとめは、正式には各担当官庁あるいは経済企画庁かと思いますが、私どものところでも参考に調べたものがございますので、申し上げたいと思います。  これに関係している省としましては、農林省、通産省、運輸省、建設省がございます。トータルを申し上げますと、三十五年まで一括して申し上げますと、約十六億でございます。三十六年度は二十一億でございます。三十七年度は二十三億、三十八年度は二十四億、三十九年度は十七億、四十年度は三十六億、四十一年度は二十八億、四十二年度は三十四億でございます。トータル、約百九十九億でございます。この中には、当初予算並びに予備費として支出されました災害復旧費なども込めて、一応私どものところで参考にとったものでございます。
  151. 石田宥全

    石田(宥)分科員 公共事業費は大体百九十九億、二百億程度です。ところが、ここから一これはまあ時間がかかりますから、政府の御答弁をいただかなくとも、私は計算をいたしておりますが、ここ十年間で約百四十億くらいです。百四十億の資源を採掘するために、防潮堤、防波堤、農地の地盤没下対策等で約二百億使っておるのです。そこで、沈下する、対策費を使う、これを繰り返しておるわけです。一体国家的に——きょうは大蔵省を呼んでおりませんけれども、一体どういうことか、都市ガス用としてうんと高く見積もって約二百億、かりに二百億の資源を採掘するのに二百億の公共事業費を使って、そうして地盤が沈下してゼロメートル地帯がどんどんできて、マイナス五十センチというような地域がどんどん拡大していく。地震とか集中豪雨とかということになると、もう非常に深刻激甚な被害を起こすわけです。これに対する政府の態度というものは、先ほど長官はなかなかむずかしいようなお話ですけれども、もう計算すれば、当然すぐわかることなんですね。そうしてその犠牲になるのは市民であって、利益を得るのはほんの一部の資本家だけなんです。数えるほどのガス産業資本で、そうして市民がことごとく犠牲になるのです。   〔主査退席、塚本主査代理着席〕  こういうことを、私は数字の上で明確にいたしたわけでありますが、これは公害基本法に基づいて、地盤沈下というものを取り扱うことになったわけでありますので、ぜひもっと積極的に対策を考えて、全面的な禁止というものが困難ならば、まだいまでも年間九センチも沈下しているような地域があるのですから、そういう地域に影響を及ぼすであろうところのガス井戸の採掘は、やはり規制をするなり、あるいは禁止をするなり、これはやはりもっと積極的な態度をお示し願いたいと思うのでありますが、重ねて伺いたいと思います。
  152. 鍋島直紹

    ○鍋島国務大臣 ただいまの御質問でございますが、御承知のとおり、現在相当量規制はされております。工業用として約十八万立米でございますか、それから自家用として約十万立米、そのように規制されておりますので、ただいまのお話、よくわかるわけであります。したがって、他の都市ガス的なものに置きかえることができれば、できるだけ、科学技術庁の調査の結果から見て、規制していくことが、沈下を防ぐ唯一の、また今日まで実証された方法であろうと思います。ただ問題は、私もよく事情をつまびらかにいたしませんが、やはりそのガス企業の内容において、それをどういうようにされておるか、これは通産省と十分話し合ってみて——通産省は通産省の立場がございましょうけれども、科学技術庁は科学技術庁としての立場から、これは主張すべきところは主張しなければならぬと考えているわけでございます。なお、自家用等におきましても、でき得る限りこれを他のガスに置きかえることができるように、やはりすべきでございましょうし、さらに今後における対策におきましては、公害基法にのっとり、この対策が講ぜられるわけでございますから、技術庁は技術庁なりの主張をいたしたいというふうに考えております。
  153. 石田宥全

    石田(宥)分科員 大体、私ども考えているような方向のお考えもあるようでありますから、ただこれは放置することなく、積極的にひとつ長官から取り組みを願いたいのです。私、第二区でありますから、私の選挙区はそれほどではございませんけれども、それでも国道の舗装したところが、こういうふうに隆起する、こっちはどんと下がっています。そうしますと、国道の舗装道路の工事を年々やらなければならぬ。たんぼは沈下しますから、土地改良で、災害復旧で六〇%、国の負担をいただいておるものの、やはり農民は二〇%負担をしなければなりません。そして年々工事をやらなければならぬ。一体、国家的見地から見て、こんな不経済なことがいつまでも許されていいのかどうか、非常に疑問を持つ。私は、その地区へ入るごとに疑問を持っておる。ただしかし、それが道路やあるいは農地である限り、それほど深刻な感じを持ちませんけれども、ことに新潟市に入りますと、ずっとマイナス一メートル以上というところがあるのですから、実に危険千万なんですね。それが沈下がとまっていないのですから、幾らか緩慢になったとはいうものの、まだなかなかとまるところまでいかない。それでも通産省の主張で、鉱業権を守らなければならないという主張というものは通らないと思うのです。ぜひひとつ、この点は大所高所から、一ガス会社の利潤という問題だけにとらわれることなしに、通産省に対しても反省を促し、そうして万全の措置を早急に立てられますように御要望を申し上げまして、いずれこれは決算委員会などで、全国的な問題をひとつ全部そろえて、よく究明をしなければならないと思いますけれども、きょうのところは時間もございませんし、肝心なところは御答弁をいただきましたので、ぜひひとつ、そのようにお進めを願いたいと思います。
  154. 塚本三郎

    塚本主査代理 次に、中村重光。この際、まことに恐縮ながら、念のため申し上げます。質疑持ち時間は三十分となっておりますので、あらかじめお含みの上御質疑をお願いいたします。
  155. 中村重光

    中村(重)分科員 長官にお尋ねしますが、最近汚職が続発しているわけですね。運輸省の関係、最近また通産省に汚職事件が出ているわけです。その他郵政省関係も、どの省というのでなくて、その大小の差はありますが、全般的にどうも汚職があるわけです。これは機構上に問題があるのか、運営上の問題か。これは汚職をやる人の心がまえだという形で済まされないものがあるような気がするわけです。許認可事項のあるところ汚職はつきものだといわれています。確かにそういった傾向があらわれているように思われます。そうかというと、今度は郵政省関係の汚職を見てみると、小さい特定郵便局なんかに抜き取り事件なんというのが非常に多いわけです。わずかの職員しかいないような、そういう特定局ですね。局長その他の管理者の目が届くと思うのです。ところがどうも決算の報告なんか見てみましても相当多いというわけですね。どこに原因があるのか。行管としてもそれらの点に対して十分な関心を持って監察もし、それらの対策を講ずるように勧告をしておられるのだろうと思うのですが、長官としてお考えになっておられる点はどういうことでしょう。
  156. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 この問題は非常に困ったことだと思っております。私、戦前の政治経験も持っておりますが、戦前にも汚職はありましたけれども、大体官吏の汚職というものは上のほうであって、末端にはあまりなかったものだったのであります。ところが戦後になりまして、特に昨今そうでありまするけれども、非常に大衆化してしまった。非常におそるべきことじゃないかと私は思っております。やはりこれはいろいろな点で考えさせられる問題があると思いまするが、機構も直さなければならないと思います。それから、運用も思い切って変えなければならないのじゃないかと思っております。特に末端の国家公務員、地方公務員なんかの汚職事件を見ておりますと、収賄、それから地方公務員なんかは横領が非常に多くなってきておるのであります。どういう点か大体私のほうで調べたところによりますると、現行制度の欠陥なんでありまするが、学歴とか職歴とかそういうものが中心で、前途に望みがなくなった人々がそういう方面に走る傾向が非常にあるのでありまするから、昇給制度の問題についても根本的に考えなければならないと、自分のほうではこういうように考えております。運用の面なんかで見ておりますると、上級の管理監督をしなければならない立場の者とその下の者との間の意思の疎通が非常にない、そういう点なんかももっと話し合いのできるような時間をたくさんつくってみて、そして運用の面でも改善をしていかなければならないものがあるのじゃないか。特に私が考えておりますのは、何とか管理監督の立場にある人に下の人々と接触する時間を数多く与えてやりたい、こういうことを私は行政管理庁におりまして痛切に感じておりまするから、制度の面でも、運用の面でも、そういうものをなくすようにこれから努力していかなければならないと考えております。まだ具体的なものは持っておりませんけれども、いまどうしたならば対策に資することができるか、研究はいたしております。
  157. 中村重光

    中村(重)分科員 この間本会議で、長官は、汚職というのは上がしっかりしておったらいいのだ、出ないとのだいうことをおっしゃった。確かに責任者が、各省であります場合はその省の大臣がきちっとした態度をとっていくということが、やはり汚職を最小限度にとどめていくことになるだろうと私は思う。ところが先般の運輸省の汚職の場合に、中曽根運輸大臣が綱紀粛正の立場から、職員に対しても、特に高級官僚に対してきびしく戒め、いろいろな注意事項を示された。また業界に対しても汚職事件が起こらないようにということでそれぞれ協力を求めるという態度をとられた。私先ほど申し上げましたように、運輸省というところは汚職の温床であるということがよくいわれてきた。確かに目に余るものがあるように感じられるのですが、その他の省にも許認可事項はあるし、またそれがなかったにしても、相当な汚職があるわけです。ところがほかの省で、運輸省であったような綱紀粛正についての積極的な取り組みをやっておるのかというと、まあ私の調べた範囲では、どうもそれほど熱意を持って汚職撲滅のための積極的な対策を講じたというようには感じられないのですね。大臣が、上がしっかりしておったらばよろしいということをおっしゃった、確かに私も共感を覚えたわけです。あのような汚職の続発に対して、行管としても、機構上の問題も、あるいは業務運営上の問題もありましょう。それなりに、各省に対して、十分そうした汚職が発生しないように注意をされたのではないかと私は思ったわけです。さらにまた、どういう点に問題があるのかということに対しましても、いろいろいまお話を伺いましたけれども、単に長官の考え方だけでなくて、閣内においてもそういったことが議論されて、十分それが徹底していくということでなければならないのではないか、それらの点に対して非常におくれておるような感じがいたしますが、長官、どのようにお考えになりますか。
  158. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 ごもっともでありまして、私はいままでのやり方が非常に手ぬるかったと思います。そしてやはり制度も大切でありまするし、運用も大切でありまするけれども、一番大切なことは、上に立つ者の態度である、私はこれは確信をもってこう言っておきたいのであります。もとを正さずして水が清らかになるなんということはありませんから、やっぱりもとを正すことが一番大切であると考えまして、各省庁の大臣はえりを正して、真剣な態度でこの問題と取り組んでいくことが一番大切だ、こう考えております。その所信で、これからも汚職をなくするために、一生懸命になって取り組むつもりでおります。  それから許認可の問題なのでありまするが、これと汚職が非常に関連しておる。したがって、長い期間そういう同一の場所におりますところに汚職事件が非常に発生しやすいものですから、これなども制度の上で訂正するように、いま考慮中であります。
  159. 中村重光

    中村(重)分科員 何といっても、きょうは時間に三十分の制約がありますので、いろいろ突っ込んでお尋ねしたいこともありますけれども、適当な機会にまたお尋ねいたします。  私どもが、各省の行政のあり方について非常に問題を感じるのは、縦割り行政が弊害が非常に大きいということですね。そのために、国費が非常にむだになっておるという感じがいたします。取り上げてみますとたくさん問題を感じるわけですが、たとえば地域開発の問題にしても、あるいは干拓行政のあり方という問題を取り上げてみましても、あるいは産炭地振興の土地造成の問題を取り上げてみましても、一つ一つ取り上げてみると、もうこれは尽きるところがありません。産炭地振興は、当初離職者対策ということも大きな柱ではあったわけです。ところが、産炭地に中高年層の離職者というものがまだ滞留しているという事実はありますけれども、それはどうしてもその地域を離れたくないという考え方で、そこへ滞留している、こういうことですね。だから、それが移動するということになってまいりますと、適当な就職の道も全然ないではないということなんです。そういうことで、離職者対策としての土地造成というものは、私は若干変わってきていると思う。ところが、土地造成をいたしておりますけれども、その土地が全く利用されていないということですね。産炭地振興事業団によって、強力に土地造成その他産炭地振興の事業というのが進められておる体制にはなっておるけれども、それだけ、土地造成なら土地造成をすればいいのだというような形になってしまって、いかにその土地を活用していくかということに対する取り組みが弱い。しかしそれは産炭地振興事業団に期待をしても、私は無理だと思う。大体、土地の造成というものを、産炭地振興事業団の運営経費を全部それにかぶせてしまっておる。したがって非常に地価が高いのです。だからメリットがないから、なかなか企業というものも出てこようとはしない。また出てまいりましても、なかなか経営上に問題がある。どうしても基幹産業が必要になってくるのですよ。国がそこへ基幹産業を興していくということも、当然考えなければなりますまいし、みずから興さない場合も、やはり国が積極的な取り組みをやって、企業を誘致していくということでなければならないのではないかと思うわけです。これは通産省なら通産省だけではどうにもならない問題ではないか、やはり関係各省というものが、地域開発、産炭地振興ということで、総合的にこれに対処していく必要があるのではないかと感じられる。あるいはまた干拓行政の問題でもしかり、漁民から漁業権を取り上げ、農民から土地を取り上げて——農民からというが、農民のために干拓をやるわけでございますけれども、多目的の場合におきましてはまた変わった形が出てくるわけですが、干拓を主として漁業権を取り上げてやるという形になってまいります。ところが、そうした相当な犠牲をしいてやりました干拓がどのように活用されておるかというと、三分の一ぐらいは他の目的に転用されてみたり、あるいは遊ばしておるということです。このくらいむだなことはないと私は思いますね。そうして今度はまた新たなところに干拓をやる。干拓をやることは、たとえば漁業をやっておるところを干拓をいたします場合に、漁業も国民のたん白資源を確保するという立場から相当に重要なのですけれども、ところが、それを取り上げて干拓をやるということになっていくわけです。そうすると、干拓行政がずさんですから、非常な不信感というものが出てくるわけですね。こういうことも、私はもっと総合的に考えていかなければならないのではないかというように思います。  一方、今度は建設省なんかのやり方はどうかといいますと、戦後、御承知のとおり、木造の平家の公営住宅をどんどんつくってきたわけです。土地が非常に狭い。ところがその建物を払い下げる方針でもあるようだけれども、また、これは土地利用という立場から適当でないといって、払い下げを必ずしも積極的に進めるでもない。これもやはり問題があると私は思う。やはり高層建築というような形で土地利用を考えていくのでなければ、公営住宅というものを積極的にふやしていくということにもならないのではないか。地価が非常に高いということです。一つ一つこれらの問題を取り上げてみると、どうもいまの行政の縦割り方式というものは、これは改めていかなければならない。もっと総合的な対策というものを講じていく必要があるように私は感じるわけです。  さらにまた、私は商工委員会に所属いたしておるのでございますが、いま工場立地の法律案を出そうというので、話し合いをいたしております。なかなか話しがつかない。この前の特別国会のときもそうだった。提案するであろうといって、なかなか関係各省と話がつかない。過密都市対策と  いうことで、非常に重要であるということは申し上げるまでもない。やはりその一環として工場疎開等が考えられておるのでございますけれども、各省のなわ張りのために、小さい問題にひっかかって、そうした政府の方針というものが実を結ばない、もたもたするというようなことであってはならないのではないか、そういった点は私は行管としても重大な関心を持って対処される必要があるのではないかと思いますが、長官は非常に情熱を傾けて、行管としての職責を果たしていこうという意欲に燃えているように私は感じる。ですから、それらの点に対する長官としての構想がありましたならばお聞かせ願いたいと思います。
  160. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 どうも中村さんの御意見と私の考えが一致するものですから、何もかにも御賛成するような形になりまして、うそのような形になって申しわけありませんけれども、私もそういうように実は感じておるのであります。この縦割り行政の弊害というものが露骨にあらわれておりまして、それが国民生活と密着していない、そこに現在の行政に対する不平不満というものが国民からそれ相当に出ておることは争えないことだと思っております。そうでありまするから、やはりいまの行政というものを、やったことに対してはもっと責任を持つというような行政に改めなければならないということは切実に私も感じております。そうでありまするから、それを果たし得られるような行政機構の改革をやってみたいというのが、今後三カ年間に行なおうといたしておりまする行政改革の内容になっております。ぜひこの問題だけはほんとうに片づけてみたい、こういう考えでおります。
  161. 中村重光

    中村(重)分科員 経済企画庁、これをもう少し強力な機関にする必要があるようにも私は感ずる。一つの例を申し上げるのですが、離島振興、これはお互い議員提案立法というのはあまりよく働かぬと、こういわれるのですが、この離島振興法というのは実によく働いている法律なんですね。従来はこの離島振興法が公共事業中心であったわけです。それではいけない。やはり離島の総合的な振興策を講ずるためには、文教、厚生関係その他航路あるいは金融、続いては離島の特殊な産業である農業、漁業というもの、そういう総合政策というものが必要になってくるということになるわけですが、同時に、一つの省にこれの予算を一括計上して総合的にこれを推進していく必要があるというわけで、実は経済企画庁予算の一括計上をやっているのですね。ところが、それは全く形式だけなんですよ。実際はもう建設省あるいは農林省、文部省あるいは厚生省と、それぞれの省がそうした一括計上のうまみというものも生かすことなくやっているということです。こういうことは厳に反省をしなければならないのだと思うのであります。  同時に私は、追跡調査をいつもやるように言っているのですが、離島振興の場合は高率補助になってまいります。都道府県の負担というものが非常に軽減されてくる。国が高率補助をいたしますから、それをいいことにして、都道府県は、国がそれだけ高率補助したのだから、高率補助がなかった場合のことを考えて、都道府県が出すものはやはり出していくということにならなければ離島振興にはならないのですね。ところが、国が高率補助をしたということをいいことにして、県が出さなければならないものをほかへ持っていくということになってくる。こういうことに対する追跡調査等をやってない。こういったでたらめなことがあってはならないのではないかというように私は思う。  それからこの際大臣に、今度はこの国会に海外協力法律案が実は出ることになっています。いまの海外協力、技術協力のあり方、それから協力基金、実に私はでたらめだと思うのです。外務省が一応窓口になる、実施官庁は大蔵省であり、それから通産省であり、あるいは農林省であり、経企庁といとように、それぞれの省が実施機関に実はなっておるわけですね。この相互の間の連絡が全然ないのですよ。そのために、この低開発諸国の日本に対する不信感というもの、金は出した上に不信感を買うというような形が実はある。だから、こういうこともこの官庁間の割拠主義ということの弊害が露骨に私はあらわれておるからだと思うのです。だから、政府が海外協力というものを強力に進めていこうとするならば、ただ金をたくさん出すということだけであってはならない。ほんとうに効率ある協力でなければならぬと私は思う。それから多額の金を出して協力隊であるとか、あるいは農業研究であるとか、いろいろな人を海外に出しているんですよ。ところが、一年であるとか二年であるとかということで帰ってまいります。帰ってきたら帰ってきただけでしょう。それに対して、海外へ行って得た経験というものを生かすための組織化というものを全然やっていないということです。こういうでたらめなことであっては私はならないと思うのです。だから一局削減、これもやらなければなりますまい。また、そういうことであってはなりません。三カ年計画の中身をこの後どういうあなたの努力によって充実さしていくのか、これが、いま出されておる閣議決定でも抽象的でございますから、全く具体性がございませんからわかりません。ですけれども、私はこのことだけでもってあなたをいまここで非難しようとは思わない。いかに実りあるものにするかということがあなたの双肩にかかってきておる。だから、いま私が申し上げましたことを十分検討されて、そうした盲点をなくしていくということでなければならぬと思いますが、長官のお考え方はどうでしょう。
  162. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 離島振興の問題でありまするが、私、山国に生まれた関係上、実感が伴いませんので、何とお答え申し上げげてよいか、わかりません。ただ、経済企画庁をもっと強力なものにしてみたらどうかというお話ですが、私も行政管理庁の長官をつとめまして切に感じましたことは、行政管理庁も経済企画庁総理府の本庁も、これは総理の知能になるべきものである、そして、ほんとうに総理をして全体の行政に君臨せしめて万全を期する大きな役割りを果たすべきものであるということを、その地位について痛切に感じたのであります。機構そのものの拡大云々ということでなしに、総理の知能となって総理の行政の万全を期する役目を果たすべきものであるということを切に感じておりますので、その役割りを果たすようなものにしたいと、こういうように考えております。  それから経済協力基金の問題でありまするが、全くお説のとおりでありまして、私もこれは非常に苦々しく思っております。現在の役人のやっておりますことを見ておりますると、かりに金を貸すのであれば、金を貸す手続が済めばそれで満足しておる。自後、貸した金が回収されようが回収されまいが、それがどのように使われようが使われまいが、全く他人行儀というような態度をとっておる。このような金の貸し方は私はないと思っております。  それから、経済協力にいたしましても、技術協力にいたしましても、相手を見ないで、そうしてえてかってな行き方をしておる。たとえば、東南アジア地帯における林野行政に資するというような名目でアジア各地に出かけていって、そして何らなすことなくじんぜん日をむなしゅうしておるというようなことがありまするが、私は顧みて全く間違った行政をやっておる、こう考えておりますので、その点は非常に同感であります。こんなことであったならば、アジア各国から、日本はアジアの先輩だなどといわれても、何らほめられる結果というものは出てこないのでありまして、日本をアジア各国がほめておりまするのは、現在の日本をほめておるのじゃない。明治維新前後の日本をほめておるのでありまして、現在の日本なんかあまりほめられていないのであります。そういう点でほんとうに反省して、今日この際は、やっぱりりっぱなアジアに対する協力体制を確立し得られる日本にすることが何よりも大切だ、こういうように自分は考えておりまするから、その点で、私も、そういうような内容を持ち得られるものにしたい、こういうふうに自分は努力する考えであります。
  163. 中村重光

    中村(重)分科員 まあ時間がありませんが、ともかく経済協力の問題は相当重要な問題で、特定のイデオロギーにとらわれた形の協力であってもこれはならない、こういうことになるわけですが、しかしこれを議論しておりますときりがございません。あらためてまた御質問申し上げたいと思います。まあいずれにいたしましても、私は、総合性がない、割拠主義であるということを申し上げる。  少年対策の問題は、ここにおられる上村さんが総理府副長官をされて、非常に情熱を傾けて取り組んでおられた。非常に成果があがりつつあったときに退かれたというので、私も非常に残念に思っておるわけですが、ともかくそうした経験を十分集めて、強力にやってもらいたいと思う。  さらに、この一局削減の問題あるいは定員のこと等につきましては、きょう法律案の趣旨説明がなされたわけです。いろいろ問題を同僚議員諸公が質問の中で申し上げたとおりに、問題があるわけです。この後、委員会において十分審議が進められてくるであろうと思うのです。一局削減の問題にたしましても、非常に大臣はこれを評価しておられる。局長はなくなったが部長がまたかわって出た、ただ名目だけというような一局削減ではどうにもならぬと思います。その削減というものが、ほんとうに大臣が答弁されたような実りあるものになるかどうかということに対して、私どもは重大な関心を持つわけであります。また、三年間で五%減す、これは一年おきでございましょうから、まあ事務量が少なくなったところは定員を削減する、重要なところにはこれをまたふやしていくというような弾力的な運営をされるということ、私が当予算委員会の一般質問で申し上げました公取の問題、公正取引委員会の人員が非常に不足しているという問題、あるいはまた、申し上げたいのございますか、血液行政——いま、御承知のとおり、献血というものは、これは重大な問題なんです。私は、どうして政府がこの献血の問題に対してこんな消極的な態度をとるのだろうかと驚いた。御承知のとおり、交通事故がある、あるいはガンその他、輸血を必要とするところのそうした疾患が非常に多いわけでしょう。それで血液が足りないのですよ。売血がなくなった、なくなったといいますけれども、いまは預血の名による売血というものがどんどん横行しているのです。献血手帳を持っていってごらんなさい。預血手帳を持っていってごらんなさい。二倍、三倍でいまその手帳は取引されているのですよ。それほどこの血液の問題は重要です。ところがこの献血ということが、厚生省の設置法の中にどこにありますか。長官、設置法の中にないのですよ。そして薬務局の細菌製剤課とかいうところに、係長と係が二人おるだけですよ。私は非常に関心を持って、この献血、血液の問題は勉強いたしております。二、三時間をかりてみっちり実はこの問題についてやりたいと思っております。一局削減であるとかあるいは定員をふやさないというような形の取り組みも、いろいろ問題は出てまいります。私どもは私どもの考え方から、これはあなたと考え方を異にする点もあるのであります。ただあなたに私が申し上げたいのは、こういう減すという形に力を注ぐということもあなたの立場としてはそういうことでありましょうが、私がいま指摘しました公正取引委員会の問題はどうなのか、いまの重要な献血問題に対してどういう姿勢を政府はとっておるのか、そういうところにひとつ目を向けてもらわなければならぬと私は思う。それでなければ、ただ減すのだ、減すのだ、そこにばかりあなたが力を入れることによって、あなたの任務、責任というものは全うできないと私は考える。行政効果を十分発揮していくために、この後どういう態度で取り組んでいかれようとするのか、最後にあなたの決意を伺って、私の質問を終わります。
  164. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 私も一生懸命になってやってはおりまするけれども、何せ人間が凡庸でありまするものですから、目が届かない点がたくさんにあります。御指摘になりましたことが正しかったならば、これを採用するにはやぶさかでありませんです。直すものはどしどし直していきたいと考えております。行政管理庁の役人の人々も、一生懸命になってやっておりまするけれども、やっぱりこれも目の届かないところがたくさんにありまするし、私に言おうと思って忘れておることもたくさんあるようであります。そういう点は、やっぱり中村さんのような方々から御指摘をお願い申し上げますると、ああ忘れておったといって、すぐ私に話をしてくれるようになりまするので、そういう点でも、私はぜひあなた方の御意見を聞かしてもらいたいと存じております。意見をお聞きいたしますることは、委員会が一番適当でありまするけれども、やっぱり委員会では時間が制約されておりまするので、私もお聞きすることができないかもしれませんが、個人的にお目にかかりまして、そしていろいろな御意見を私はお聞きいたしまして、行政の改革だけはほんとうに万全を期して、国民から、なるほど改革してよかったという喜びの声が上がってもらうようにしてみたい、こういう考えで取り組むつもりであります。そういう点では、ただ単に指摘するというだけでなく、行政改革の中に自分も飛び込んで一緒にやるのだという気持ちになって、どうか御協力くださるようにお願いを申し上げます。
  165. 塚本三郎

    塚本主査代理 次は受田新吉君。  この際、まことに恐縮ながら、受田議員に念のため申し上げます。質疑持ち時間は三十分となっておりますので、あらかじめお含みの上、御質疑をお願いいたします。
  166. 受田新吉

    ○受田分科員 私は、国家行政組織体系上の基本的な問題に関連する事項をまず指摘して、お尋ねをしたいと思うのです。  私たちの生活の中に行政機関の果たす役割りが非常に大きくて、国民全体の奉仕者たる公務員が、住民のために奉仕するという形で、行政機関が民衆に接しているわけです。それに関連して大切な問題は、その職務執行者である公務員が、国家公務員法の第七節にありまする服務規律上の問題その他の公務員としての正しいあり方について道をあやまって、いま中村委員も指摘されたような収賄事件等が起こっておる。このことは、信用を失墜してはならないという国家公務員法上の大きな公務員の責任違反であるのでございますが、このことにつきまして、まず数字を示していただきたいのです。公務員の、特に国家公務員及び三公社五現業の職員の、最近の適当な時期における数字でけっこうですけれども、収賄事件等で検挙され、あるいは送検、判決等で処分をされたという形の中で、検挙件数でよろしゅうございますが、類別的に数字を示していただきたい。
  167. 石原一彦

    ○石原説明員 お答え申し上げます。  実は私どもの統計で国家公務員と地方公務員にしか分けておりませんので、国家公務員の中の区別はちょっといたしかねるのでございますが、国家公務員と地方公務員に分けまして、実は最近昭和四十年度以来の統計を先般つくりましたものでございますので、それについて御説明申し上げたいと思います。  昭和四十年度におきまして収賄罪で検察庁で受理いたしました人間の数、被疑者の数でございますが。昭和四年十度は一千四十四人となっております。そのうち、国家公務員が四百四十七人。地方公務員が五百九十八名でございます、次に昭和四十一年度でございますが。合計いたしまして九百三十二人でございます。そのうち。国家公務員が三百十二人。地方公務員が六百二十人となっております。昭和四十二年度におきましては、総計が七百四十四人でございまして、そのうち。国家公務員が百六十七人、地方公務員が五百七十七人となっております。  以上でございます。
  168. 受田新吉

    ○受田分科員 これだけの数字が被疑者として取り上げられておるわけです。これは公務員の生活を償うような給与その他の処遇が十分でないという理由もありましょう。しかし、大半の公務員が誠実にその職務を執行しておるときに、この千名前後の公務員は堂々と罪を犯して被疑者として検挙されている。このことはまことに残念でございまして、国家の行政行為を執行する上において国民の信用を失墜すること著しいことを嘆いております。そこで、この国家公務員が真に国民全体の奉仕者としてこの職務の執行ができるように、これらの事件の絶無を期するためにどのような措置をとっておられるか、関係機関からそれぞれの立場で御説明を願いたい。
  169. 八木徹雄

    ○八木政府委員 御指摘のとおり、りっぱな行政をやっていくために、公務員が全体の奉仕者として自覚を持ってそういうことのないようにしなければならぬことは当然のことでございます。総理府といたしましては、人事局においてそういうことの徹底をはかるための努力を重ねておりますけれども、いま御指摘のありましたように、まだまだそのあとを断っていないことはまことに遺憾でございます。このことは単に総理府の問題でなくて、内閣全体の問題でもあるわけでございますので、先般二月の初旬にも総理から特別に御指示がございまして、それぞれの各省が各省大臣の責任においてそれらの絶滅を期すことの徹底を期することは当然であるが、同時に総理府からも、総理大臣の命によってこれが徹底をはかるようにということで、総務長官命によるところの通達を出しております。しかし、一片の通達だけで問題が解決することでございませんので、やはり公務員一人一人の自覚にまって、全体の奉仕者としての責任というものを感じてもらうような、そういう風習が全体の中に起こってくるということが絶対必要でございます。われわれは、その意味において、一片の通達で問題が解決すると思っておりませんので、絶えず今後とも十分に監視をし、それが徹底をはかるための努力を重ねてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  170. 受田新吉

    ○受田分科員 ほかに答弁をいただく責任者はありませんか。——私は、この一片の通達でこれか実行できると思っておりません。そこで問題は、その責任の所在がどこにあるか。たとえば部下の職員が著しい収賄事件等の汚職事件を起こしてきた、そういうときに、どこまでか——たとえば課長局長あるいは次官、大臣と、その類別にもよりましょうし、その犯罪の性格にもよりましょうけれども、責任の所在というものはどこにあるのか、はっきり御答弁をいただきたい。これは人事局長でけっこうです。
  171. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の責任の問題の点でございますが、本人に責任があることは、これはもちろんでございますけれども、しからば指揮監督者にどの程度の責任があるのかという問題につきましては、各監督の責任にある者が平常部下の職員に対してどのような指導上の措置をとっておるか、また、監督をしてきておったかということによりまして、責任の程度あるいはその所在が異なってくると考えられるわけでございます。  そこで具体的な事案が起きました場合に、どのところに、あるいはどの程度にそういう責任が発生するかという点につきましては、やはりこれは具体的な事案をよく勘案いたしました上でその責任を明らかに、あるいは単数あるいは複数というふうに異なってくるべきものではないかということでございますので、にわかに断定的には申し上げられないというふうに存じております。
  172. 受田新吉

    ○受田分科員 部下職員の被疑事件によって国務大臣みずからが責任を負うという事件があるかないか、あるいは次官、局長あたりに責任がかけられた事件はある程度あると思いますが、そういう件数がわかればひとつお示しを願いたい。私は公務員大衆がそうした事件を起こす背景には、やはりその官庁の堕落した風習というのが、上は大臣から局長課長等、どこかのだれた気分が影響することも、これは絶無ではないと思うのです。これは政治資金規正法等の背景からくる、政治家たちにどこかに抜け穴をつくった、金銭の獲得、名誉欲、そういうものがどこかにひそんで、それが下級公務員に波及するということもあると思うのです。そういう意味では、上に立つ人が常にえりを正して、き然たる態度で公務員全体の規律の中心になるような、そういう風習をつくっていけば、これはおのずから解決する問題でもあると思うのでございますが、これについて責任の所在が大臣、次官、局長に及んだ——件数はけっこうでございますが、事例をお示し願いたい。
  173. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 御指摘の点でございますが、ただいま実はそれの資料を持っておりませんので、たいへん恐縮でございます。  懲戒の点につきましては、人事院のほうですべての報告をとっておられまして、私のほうももちろんそれの報告をいただけばよかったわけでございますが、ただいま手持ちに持っておりませんので、御了承をお願い申し上げます。
  174. 受田新吉

    ○受田分科員 やはり国務大臣でも懲戒処分というものがあってけっこうだと思います。また、次官、局長にもその累が及ぶべきである。私も少数の事例のあることを記憶はしておりますけれども、これははなはだりょうりょうたるものである。結局、大臣の責任を追及するということはゆるめられ、次官、局長に及ぶことをゆるめて、担当課長程度でこれを適当に処理しておるというような行き方では根本的な改革はできません。私はこの意味におきまして、総理府が、特に人事局が中心になって官紀、綱紀の粛正の陣頭に立つべきだと思うのでございまするけれども、いま局長から、まださだかなる数字を用意してないということでございまするので、あえてお問いいたしませんけれども、この問題の絶無を期するためにはよほど勇気をふるって、上から率先垂範するという気風を持っていかなければならぬ。私がしばしば指摘している出勤時間のだらしなさ、勤務時間中のだらしなさ、こういうことは、どこか、大臣、局長次官級にとぼけた存在があって、上行なうところ下これにならうというまことにまずいところが、いま日本の官界に伝染病のごとく流れておるのじゃないかと思うのです。大臣、次官の出勤は十時を過ぎて行なわれるということ、これまた自然に問題が波及する。自動車で通うので自然にラッシュアワーで思うように車が進めないというような理由は成り立たない。私はその意味で、エリート的存在意識だけでなくして、そうした行政官庁の最高の責任者たちがこの機会にえりを正して、この官界に伝染病のごとく流れておるこうしたまことに腐敗した風習を一掃するために努力してもらいたい、よろしゅうございますか。きょうは総務長官がおかぜだというので副長官でけっこうですが、ひとつ……。
  175. 八木徹雄

    ○八木政府委員 全くおっしゃるとおりだと思うのであります。綱紀の粛正につきましては、一つはやはり各自が服務規律を厳守するという風習をつくる、これが大事なことでございます。そのためには、上に立つ人が範を示すということが必要なことは御指摘のとおりでございます。また、部内監察制度を強化するとか、あるいは御指摘にございましたように、責任体制というものを明確にして規律の保持をはかっていくというような一連のことが総合的になされて初めて実効があがると思いますが、最後のかなめは、やはりおっしゃるとおり、一人一人がそれを垂範できるように上に立つ人が実行するということが大事でございますので、いままでもこれらのことにつきましては、閣議決定等で徹底をはかっておりますけれども、まだ十分でないところがあると思いますので、さらにそれが行なえるように努力してまいりたい。こう考えております。
  176. 受田新吉

    ○受田分科員 人事局長、この公務員の職務執行上のある程度の基準というようなものが、国家公務員法に示された事項の具体的な規定というようなものが、何らかの形で官庁に流されておるのかどうか、お答え願いたいのです。
  177. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 お答え申します。  先生のおっしゃいます具体的ということでございますが、たとえば昭和三十二年の閣議決定で官庁綱紀の粛正ということで通達が出ておりまするけれども、ただいま副長官からおっしゃいましたように、責任体制の整備等につきましては、各級の職員、特に班長、係長、それから課長補佐、そういう第一次監督の者の所掌事務をきちっとして、これに関する権限の範囲と責任を明確にする、そうしてお互いの責任のあり方をはっきりするというようなことをまず第一にあげております。それからさらに、職務権限を配分するにあたりましては、お互いにチェックするというチェックシステムを活用するといったようなことを行ないまして、不正行為の発生を未然に防止するのに十分慎重な措置をとるというようなこと、さらに決裁事項等につきましても、必ず実質的な責任が伴うように書類の運びをするように、こういうようなこと、ごく簡単でございますが、責任体制の整備につきまして申し上げますと、そういうことを詳しく通達いたしておるのでございます。  それからなお、服務規律の確保につきましては、日常の執務について徹底的な執務体制の刷新をはかって、服務規定、これは先生よく御承知でいらっしゃいますが、公務員法に基づきまして人事院のほうで規則をきめておられます。それを徹底的に守るというようなこと、それから職員の行動につきましても、常に公私の別を明らかにするように指導し、職務上の利害関係のあるものとの会食等で疑惑を招くような行為は厳に慎むというようなこと、おもな点をあげますと、そういうような服務規律の確保の点でございますが、さらに人事管理の適正な実施、それから先ほど副長官が仰さられましたように、内部監察の適正化、強化というような点を詳しく申し上げておるのでございます。
  178. 受田新吉

    ○受田分科員 先般の運輸省疑獄事件、汚職事件につきましては、運輸大臣がたとえばせんべつの扱いなどについてきびしい訓示をたれておる。そういうのが各省に全部行なわるべきであって、運輸省だけが事件が起こったからやるということであってはならないと思う。こういうことについて三十万円のせんべつをもらって平然としておるというような、これは完全にりっぱな汚職と私は判断するのでございますが、こういうものを各省に流して全公務員——国家公務員その他地方公務員等にすかっとしたものが流されておるのかどうか。一部局だけの問題か全体の問題かという観点から、全体の問題として総理大臣が陣頭に立って範を示す。また、そういうきびしい規律を下に指示するということをやっておるのかどうか、お答え願いたいのです。
  179. 八木徹雄

    ○八木政府委員 二月六日付の総務長官の通達というのは運輸大臣からの発議でございまして、運輸省はこれこれのことをやっておる、しかしこれは一省だけで効果のあることではないから、内閣全体としてこれの徹底をはかるべきである、こういう閣議における話によって出発をいたしました。その結果として、会食、贈答、遊戯その他いろいろ国民の疑惑を招くような行為は絶対に慎まなければならぬということになりまして、(受田分科員「せんべつも入れてもらいたい」と呼ぶ)せんべつも同様でございます。発端がそこから出ておりますので、あの通達は、そういうところから、内閣全体として責任官庁であります総理府の総務長官から出した、こういうことであります。
  180. 受田新吉

    ○受田分科員 私、いまの問題に関連して出勤時間の厳守、こういうものを入れてもらいたい。勤務時間中に私事を一切やめるというようなきびしいものがあっていいと思う。出勤時間について何らいま御指示がないようです。だらだらと出勤しておることについての御注意というものは何らされてないのかどうか、お答えを願います。
  181. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 お答え申し上げます。  出勤時間の厳守につきましては、定例的な各省の人事課長会議におきまして厳に要望をし、かつ申し合わせをしておりまして、われわれのところで常時いろいろ情報と申しますと何でございますが、その状態につきまして監察をし、御注意を申し上げておるということでございます。
  182. 受田新吉

    ○受田分科員 次の問題に移ります。  私が知っておるだけでも、旧憲法下の法律の中にまことに難解なことばを用いた法律がたくさんある。また、刑法、民法、商法等を中心としたこの法律の整理をして近代的なやさしい文章にかえるというための審議会等の設置を多年要望して、やっとそれに踏み切っておられるようでございますけれども、たとえば刑法で賭博の罪ということばなどはまことにおかしなむずかしいことばが使ってある。「偶然ノ輸贏二関シ財物ヲ以テ博戯又ハ賭事ヲ為シタル者ハ千円以下ノ罰金」、これはちょっと一般市民はわけがわからぬ。こういうものを近代的なことばにかえ、また常用漢字をはっきり使って国民に理解させるような法律にしておかなければ、これに拘束される国民の側から見ても、これは非常に不愉快な法律だと思うのです。こういう点について、政府としてはすみやかにこれに対し改正の手続をすべきであるのを、逃げ回ってきておるわけです。このあたりで、国民に接触する安易なことばで、常用文字を使って、そして国民に理解せしめる法律として切りかえる用意はどういうところにあるか。これは単なる審議会のようなものだけでなくて、政府自身が手をつけていかなければいかぬ。お答え願います。
  183. 田中康民

    田中(康)政府委員 先生が仰せられましたように、法令の民主化にとりましては、法令用語を最も簡素化いたしまして、よくわかりやすいものにするということが必要でありますことは、もう申すまでもございません。私たちもその線に沿いまして日夜相つとめておりますが、その中でも、旧憲法と申しますか、昭和二十二年以前に制定されました法律につきましては、なおかたかな書きであり、かつ、中には非常にむずかしいことばが使ってありますことは、御指摘のとおりでございます。そこで私たちも、この古い難解な法律を新しい事態に即応するよう改正いたすように努力いたしておりますが、ただ、ただいま先生御指摘の商法でありますとか、刑法、民法につきましては、これは長年の法解釈というものもございまして、実は一朝一夕にまいるものではございません。そこでいまやっておりますのは、たとえば刑法でございますが、刑法につきましては、法務省でも特別の委員会を設けまして、この改正の手続を目下進めておるわけでございます。私たちも、そういうものの成案を得まして、一日も早くこの難解な古い法律を新しいものに切りかえたい、かように思っておりますので、もうしばらく時間をおかしいただきたいと思います。
  184. 受田新吉

    ○受田分科員 民法などは、一編から三編までは、旧憲法下の文語体のまことに難解な文章で書いてあり、四編と五編は新型に切りかえられた。つまり両棲動物のようなかっこうの法律もある。これははなはだ奇怪なことなんで、このことはいま部長が仰せられたように、いま調べるとかいうようなことでなくて、戦後二十三年たって、明治二十年代にできたような法律が、きわめてむずかしいことばで、国民が理解できないようなことばで、しかも国民はそれに服従しなければならぬ、こういうタイプの存在というのは許されないと私は思うのです。戦後二十三年たっておるのですからね。これはおそきに失しておる。もっと根本的な国民への愛情を考えるならば、この法律を書きかえるくらいのことはそうむずかしい問題じゃないのです。きわめて大切な問題を、いま準備しておられると言うが、もう少し前向きの、もっと具体的な計画というものはないのか、お答え願いたい。
  185. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいま御指摘のように、目下計画があるかと言われますと、作成されました計画はございません。ただ、法務省におきまして、いま刑法を法制審議会においてやっております。それ以外に、商法につきましても、一部につきましては改正をやっておりますが、ただ、これは形式的なものまでを含めました意味でやっておるのではないと思います。しかしながら、私たちも、いま御指摘のように、一日も早くこれを新しいものにしたいという念願におきましては変わりございませんので、御指摘のように、必ず前向きに、先生の御意思に沿うように努力をいたします。
  186. 受田新吉

    ○受田分科員 私、このポツダム政令という政令が、法律の効力を持つのが幾つか残っておるわけですけれども、このこともあわせて指摘したい。ポツダム政令という、占領のいまわしい印象を与えるような政令が、法律と同じ効力を持っていま出ておる。地代家賃統制令のようなものも、そのとおりです。こういうものをりっぱな法律として、近代的な法律として、早く切りかえなければならない。これも法務省で、出入国管理法という形で準備を進めようとしておられるけれども、なおまだこれは答えが出ておらぬ。そのほかの関係ポ政令をすみやかに民主的な日本の法律として切りかえる用意は、どういうふうにされておるのか、これもあわせてお答えを願いたい。
  187. 田中康民

    田中(康)政府委員 ポツダム政令につきましては、御指摘のように、まだ数十件と申しますか、件数にいたしますと相当の数が残っております。目下、御指摘のように、出入国管理令につきましては、これが新しい態勢に即応するように、また形式におきましても新しいものとするように、準備をいたしておりますが、それ以外のものにつきましても、こういう旧占領下の法令でもございますし、努力して新しいものにいたしたいと思います。ただ、そのポツ政につきましては、御指摘のように、内容が口語体でありまして、難解であるという点につきましては、いわゆる旧憲法のもにおける旧法とは違います。そこで、運用上その他の問題から申しますと、国民にもある程度わかりやすくなっておりますが。そういう点をおきまして、この改正につきましては、前向きで検討いたすようにいたします。   〔塚本主査代理退席、主査着席〕
  188. 受田新吉

    ○受田分科員 最後に、この総理府所管で——厚生省おられる、それから大蔵省おられるね。——これは時間がないので、答弁で終わることになるのですが、あと何分ありますか。(「もう一分だ」と呼ぶ者あり)それでは、これはあと一分しかないので、あと回しにし、一分で答えられるものをお尋ねいたします。これはこの次の機会にいたします。政府委員の方は恐縮でございました。  私は、もう一つ最後に、国家行政組織上の問題としてお尋ねをさせていただきたいことがあります。  昨年、吉田さんがなくなられたときに、政府は国葬の礼をもってされた。かつて国葬令という勅令があって、国葬を行なう場合における該当者その他の儀式上の規定があった。それはいまはもう効力を失っておるというので、かってに政府の行政措置で、国葬という行事を行なわれたわけです。吉田さんのその功績に対する報い方として、私、国葬というやり方にあえて反対するわけではございません。しかしこういうものを政府がかってにやるような制度というものに、私は疑義がある。きちっとした法律をつくり、そうして公式的ないろいろな、たとえば元号もそうです、それから儀仗関係、国賓等の賓客の扱い方、こういう公式的なものをすみやかに制度化して、そこで国民が納得するように、国民の名における法律で、これがきちっとされるのが私は好ましいのであって、政府の行政措置で、こういう大事な組織上の、行政上の基本問題をいいかげんに処理されて、そして得々としておられることは許されないと思います。この問題について、最後に御答弁を願いたい。
  189. 八木徹雄

    ○八木政府委員 国葬の問題につきましては、その時点でも同様の御質疑がございまして、あのときは閣議決定という措置でやったと思うのでありますけれども、受田先生御指摘のとおり、いま御指摘のあった、かくかくの問題につきましては、ただ便宜的に措置するということは適当でないと思いますので、それが明文化できるように、上司に対して十分にひとつおぼしめしのほどを伝えて、善処してまいりたいと思います。
  190. 受田新吉

    ○受田分科員 いまよく聞こえなかったが、大体了解いたします。  それでは、これで時間が来たから、失礼いたします。
  191. 森山欽司

    森山主査 次に、田中武夫君。  この際、まことに恐縮ながら、田中君に念のため申し上げますが、質疑時間は三十分となっておりますので、あらかじめお含みの上、御質疑をお願いいたします。
  192. 田中武夫

    田中(武)分科員 まず中小企業庁にお伺いしますが、金融の引き締めの浸透によって、中小企業の倒産は金繰りの面からますます出てくると思います。現在の中小企業の倒産の実態、ことにその原因が金詰まりからきたものはどれほどありますか、お答え願います。
  193. 沖田守

    ○沖田政府委員 お答え申し上げます。  金融引き締めによりまして、中小企業へ若干の影響が次第にあらわれつつあるということは事実でございまして、倒産その他相当ふえておりますが、現在、何割までが引き締めの影響であり、何割までが構造的要因であるかという点については明確にいたしておらないわけでございますが、現在、政府系中小企業金融三機関でいろいろ調査いたしておる段階で、金融引き締めのために融資申し込みに来た、こういう例は、国民公庫の場合には約三割が理由の中に、引き締めの影響ということで、しわ寄せだといって申し出ておるものがございます。
  194. 田中武夫

    田中(武)分科員 金融の引き締めによって、中小企業が、三月危機だとか六月危機だといわれておることは御承知のとおりであります。またそのことが、親企業の下請代金の支払いという面にあらわれてくると思います。今日、この金融引き締めにおいて、親企業の下請代金の支払い状況はどうなっておりますか、公取委員長
  195. 山田精一

    ○山田政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、最近の経済金融状況にかんがみまして、下請代金の支払い促進につきましては、私ども最重点施策の一つとして取り組んでおります次第でございます。現に、昨年の十二月には、年末金融繁忙時に備えますために、中小企業庁長官と連名で、主要親企業者団体九十五に対しまして、下請代金の支払い促進を要請いたしました。それから本年一月十一日に、上請取引改善協力者会議、これは協力者が五十名おりますが、その会議を開きました。さらに本月の五日には、下請法協力団体、これは十八ございますが、これとの会議を開きまして、下請取引の実態を直接聞き取りましたわけでございます。現に、多少支払いが遅延いたす傾向が出ておるように話を聞きましたので、厳重に監視をいたしておる次第でございます。
  196. 田中武夫

    田中(武)分科員 現に影響が出てきておるようでございますというような、なまやさしいものじゃないと思います。下請の代金を法律的に保護しておるのは、この法律だけなんです。下請代金支払遅延等防止法だけなんです。民法その他の債権、債務の関係は別として、どんぴしゃり下請代金を保護し、その支払いの改善を行なうのは、この法律だけなんです。そこで、この下請代金支払遅延等防止法の実施に対する予算と、人員は何名ですか。
  197. 山田精一

    ○山田政府委員 お答え申し上げます。  下請関係の施行経費は、昨年度予算額は七百八十万五千円でございましたが、本年度政府案におきましては、八百四十三万八千円と相なっております。なお、下請関係の人員は、本局におきまして二十名でございます。それから地方支部におきましては、これは地方支部の定員がないものでございますから、ほとんど全部が手分けをして、下請にかかっておると申し上げてよろしいかと思います。
  198. 田中武夫

    田中(武)分科員 対象事業所の数は。
  199. 山田精一

    ○山田政府委員 対象事業者は、現在約二万ございます。
  200. 田中武夫

    田中(武)分科員 総務長官、いまお聞きのように、二万以上の対象事業に対して、下請代金支払遅延等防止法の実施の監督等々を行なうのはわずか二百人、それに地方の局の出張所の者だ、そういう程度ですがね。総務長官、どう思いますか。それで法律の目的が十分達せられると思いますか。何でしたら、下請代金支払遅延等防止法の目的をお読みいたしましょうか、いかがです。
  201. 八木徹雄

    ○八木政府委員 下請代金支払遅延等防止法の完璧を期するために、実は公正取引委員会のほうでは、人員の増の要求、それに伴うところの経費の増というものの要請があったわけでございますが、いまお話がありましたように、昨年と比べまして、予算全体の伸び率が八・一%ということでざいます。非常に不十分だというおしかりを受けると思うのでございますが、御案内のとおり、本年度の国の予算を編成する基本的方針の中に、定員増というものに対措置が非常にきびしく圧縮をされるという状況であったわけでございまして、それがために、公正取引委員会全体で定員増がわずかに五名にしか過ぎなかった、こういう結果になっております。御指摘のとおり、これで完ぺきが期せられる体制だという人的配置だとは必ずしもいえないわけでございますけれども、いま委員長からお話のありましたように、それぞれの地方支部の方々は全員が協力をして、そして少ない人員の力を最高度に発揮をして、本来の目的達成のために努力をするという心がまえで、いま推進しておるところでございますので、これからひとつ御心配のないようにするために、全力をあげて努力することをお誓い申し上げまして、御了承をいただきたいと思うわけでございます。
  202. 田中武夫

    田中(武)分科員 時間がありませんから、お互いに簡単にやりましょう。  政府は、弱い者を保護する関係の予算というものをあまりつけない。もちろん、そのためには、公正取引委員会の姿勢がしゃんとすることが前提であります。消費者だとかあるいは下請業者、こういう経済的に弱い者を守るのが、公取委員会の一つの任務であります。人員の削減にいたしましても、私はやはり必要なところにはふやすべきだと思います。きょうは時間の関係で、議論はいたしません。  そこで、公取委員長にお伺いいたしますが、下請代金支払遅延等防止法は、修理と製造、加工を含む、これだけしか適用にならないわけです。前に商工委員会等で、何回も、この対象事業に、たとえば建設業あるいは運送業、あるいは流通産業等々にまで対象をふやす必要がある、そういうことを決議してまいったわけですが、その後どのように検討し、どう考えておるのか。現在法律があっても守られていないのですが、この法律の対象にならない建設土建等がものすごく悪いのですよ。そういう実態を御承知と思いますが、この法律の対象の拡大についてどう考えておられますか。
  203. 山田精一

    ○山田政府委員 お答え申し上げます。  まず建設関係でございますが、建設関係の下請取引につきましては、主務官庁でございますところの建設省に、取引実態の調査につきまして協力を要請いたしましたところ、たまたま建設省の中央建設業審議会におかれまして登録制度を中心といたしました建設業法の大幅改正を企図しておられましたので、本件もその柱の一つとして検討されることになりました。本年の一月に答申されました建設業法改正試案に土建関係の下請取引の規制強化として盛り込まれたわけでございます。建設省では、同答申に基づきまして、改正法案の作成作業中でございますので、当委員会といたしましては、十分連絡をとりましてその内容を十分検討してまいりたい、かような覚悟でおります。  運送関係につきましては、運輸省の協力を得ながらその実態の調査を進めておる段階でございまして、調査結果の出次第に、法改正を必要といたしまするか、あるいは他の方策によるべきかを検討いたしまして、早急に結論を出したい、かように存じております。
  204. 田中武夫

    山中(武)分科員 建設業については建設業法に、運輸業については運輸省の審議会等で検討しておる、その考え方は、あなたは間違っていると思うのです。あなた、公正取引委員会の本旨というものを十分にわきまえなくては困ると思うのです。公正取引委員会はいわゆる行政委員会であって——建設省だとか運輸省だとか——そうならば、製造あるいは修理、加工にいたしましても、通産省なり中小企業庁が監督しておるからいいじゃないかということになるわけです。そうでなくて、あなたのほうは、半分司分的な立場を持っているわけなんです。行政指導とは別なんですよ。その点ははっきりと公正取引委員会の性格というものを認識される必要があると思います。もちろん関係の各省庁との連絡は必要でありましょう。しかし、行政庁がそういうような行政指導をするから私のほうはよろしいということではありません。少なくとも下請代金支払遅延等防止法は私的独占禁止法の補完法でしょう。私的独占禁止法は一般行政法じゃありませんよ。そういう感覚が間違っておると思うのです。したがって、私は商工委員会等で何回か決議した線に沿って、直ちに本国会に改正案を出すよう要求します。いかがです。
  205. 山田精一

    ○山田政府委員 建設業なり土建業なりの下請問題につきましては、先生の御指摘のとおり、私どもは、主管官庁とはおのずから別の角度で検討しなければならないと存じます。ただこの下請法は、先生がよく御承知のとおり、独禁法の本則を、手続その他において簡便化し、あるいは類型化した規定でございますので、私どもは建設業なり土建業なりについて目を離しているというわけではございません。その事態のはなはだしきものにつきましては、これは独禁法の本則に戻りまして、優越した地位の乱用として処理をいたしてまいる道がございますので、それをもって運用をいたしてまいりたいと存じます。この簡便法と申しますか、一つの類型化をはかりますためには、やはり主務官庁と十分協力をいたさないといけないのではないか、かように考えております。
  206. 田中武夫

    田中(武)分科員 関係の行政省庁と連絡をとることはいいですよ。あなたのいまの論法でいくならば、私的独占禁止法の不公正取引としてできるからいいんだということになれば、下請代金支払遅延等防止法も要らないということになる。そうでなくて、下請代金支払遅延等防止法は、独禁法の補完法としてその手続をきめたものである、したがって、そういう事態については早く処理ができるようにというのでしょう。だから建設業法にそういうことが盛られるからとか、あるいは審議会において検討せられておるからということによって、この法律の改正をおくらすことの理由にはならない。もう一度要求します。本国会に改正案を出すか出さぬか。
  207. 山田精一

    ○山田政府委員 十分に検討をいたしたいと存じます。
  208. 田中武夫

    田中(武)分科員 この下請代金支払遅延等防止法がいろいろと規定しておっても、それが十分守られていないということは山田さんも御承知のとおりです。だからといって、下請からこういう事実がありますよということは、匿名の投書くらいはともかくとして、堂々といえないところに弱みがあると思うのです。へたにそんなことを公正取引委員会にいうていくと、あすからあなたは出入り禁止だと、こうやられるわけです。それをどういうようにカバーしていくかということが、一つの運営だと思うのです。そこで公正取引委員会としてはどういうように考えるかということが一つ。  それから中小企業庁に対しては、私はこういうことを提案したいのです。と申しますのは、下請協同組合をつくる、これはできております。下請協同組合が組合交渉をやる、これは現行法でできます。しかしそれで終わりなんです。そこで下請協同組合から組合交渉を申し込まれたときに、その内容について応諾するかどうか、それは別として、その交渉に親企業は応諾する義務がある、すなわち労働組合法による団体交渉の応諾義務、そしてそれでうまく話ができなかった場合は、労働組合法による労働委員会のあっせん、調停、仲裁ができるような、そういったような機関を持つべきではなかろうかと思う。少なくとも応諾義務、労働組合法では不当労働行為となって罰則まであるわけです。親企業に応諾義務くらいをつけるような法改正が必要だと思いますが、いかがです。
  209. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいまのお尋ねの前段について私からお答えを申し上げます。  なるほど下請業者から私どもの役所に申告いたしてまいります件数は、遺憾ながら少のうございます。四十二年度におきまして十件とか、四十一年度十五件、四十年度二十三件程度でございますので、私どもといたしましては、少ない人手ではございますが、親企業に対しまして定期の調査を行ない、必要に応じて立ち入り検査を行ないまして、これを捕捉することにつとめておる次第でございます。
  210. 沖田守

    ○沖田政府委員 現在下請協同組合につきましては、逐次結成を助長いたしまして、数もふえてきておるのでございますが、現段階におきましては、親企業の指導でむしろ下請協同組合がつくられておるもののほうが、実情から申しますと多いようなのが実情でございまして、当面協同組合の活動というものをいろいろの形で助成いたしてまいりたいと思っておりますが、親企業の交渉に応ずる義務を法定するかどうかにつきましては、十分検討いたしたいと存じます。
  211. 田中武夫

    田中(武)分科員 親企業の指導によって組合をつくられているような実情でございますじゃ、中小企業庁としては答弁にならぬ。そういう親企業のための下請協同組合であってはならないわけなんです。もっと自主的な下請協同組合ができるような指導をすべきなんです。同時に、これはあなた、次長としても直ちにここで約束は無理かと思います。少なくとも組合交渉まで法律で規定しておるのでしょう。しかし、あとが抜けておるのですよ。だから労働組合法と同じように、応諾義務さらに調整の機関、これを設けるように提案をいたします。長官あるいは大臣と十分連絡をとってやりますかどうですか。
  212. 沖田守

    ○沖田政府委員 十分連絡をとって、検討いたしたいと存じます。
  213. 田中武夫

    田中(武)分科員 時間がありまんので、次に行きます。  再販売価格維持契約の制限に関しては、これは何回か予算委員会その他でも問題になっております。そこで再びそれを繰り返そうとは私は思いませんが、再販規制法を出すと言いながら出さなかったところに、やはり私は何かあるよう思う。それが一つ。それにかわるものとして現在の指定を全部洗いかえる、こういう方針だというように公取は言っておるわけなんです。  そこでお伺いいたしますが、この再販指定には二十四条の二、この一項でいわゆる指定における形式的要件、二項において実質的要件がきめられておると思うのです。現在数多くの指定がありますが、これはかって昭和二十七年から二十九年あたりに指定せられたものが多いのですが、たとえばドリンクというようなものはありませんね。ビタミン剤とかあるいはホルモン剤とかということになっておるが、今日では間に合わないわけです。そこで私は一つ一つ、まず形式的要件と実質的要件——一々読みませんが、この品質が一様であり容易に識別ができるということ。それからそれが正当な行為であって一般の消費者の利益を不当に害しないということが形式要件なんです。実質的要件とすれば、一般の消費者により日常使用せられておるもの、それから当該商品が自由競争にあるもの、これだと思うのです。この上に立って現在の指定を全部洗いかえるならば、私はほとんど残らないんじゃないかと思う。そこでこの洗いかえにあたっては、どういう態度をもってやられるおつもりなんですか。
  214. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいまお読み上げになりました積極、消極要件、この四つに照らしまして洗い直しの作業をただいま鋭意いたしております。全然残らないということはございません。ある程度は、これは一般消費者が日常使用に供するものでありまして、それから自由な競争が行なわれておるという中に、いわゆるおとり廉売を防ぐ、あるいはもよりの小さな零細な小売り店で、その当該商品を扱わなくなるようなことがございますと、ひいては一般消費者の利益を害することになる、かような商品もあると思われますので、そういうものを残し、それ以外のもの、ただいま御指摘の特に消費者の利益を著しく害するようなものはこれを排除する。こういう方針で洗い直しをいたしております。
  215. 田中武夫

    田中(武)分科員 再販規制の一番の原因といいますか、うま味といいますか、それはリベート制だと思うのです。そこでまずこのリベートにメスを入れる必要があると思うのです。  おそらく御承知と思いますが、−厚生省からは見えておりますね、大阪のある薬局主が丁製薬のことに対して実情をばらしたことがあります。これはメーカーがすでにリベートは払ったというほうをとって、別に預金をするのです。それがT製薬では二円億出ているそうです。これは一種の脱税です。そうしておいて、この二百億の金を年末に、守った場合には販売高に応じて戻してやろう、こういうのです。それが全部戻らないのです。ところが薬局に対しては、それはすでに税務署は収入とみなして課税するというのです。こういう不合理が存在するわけなんです。したがって、洗い直すと同時に、新たに指定をする場合に、このリベート制についてどのようにするか、これが問題だと思います。  それからもう一つは指定の要件として原価、卸売りの価格、小売り価格、これを公正取引委員会登録せしめる。そういうような要件が必要ではなかろうかと思うわけなんです。この件につきまして、公正取引委員会と丁製薬の問題につきましてのリベートの問題を知っておるのか知っていないのか、今後どうするか、そのことについては薬事局長からお伺いします。
  216. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま御指摘のございましたリベートそれから小売り価格、マージン、これは現在指定してございます商品につきましては、報告を聴取いたしております。
  217. 田中武夫

    田中(武)分科員 登録公表です。
  218. 山田精一

    ○山田政府委員 これにつきましては、十分検討いたしたいと思います。さしあたりは届け出書を審査いたしまして、消費者の利益を著しく害するようなものは、これは指定からはずすようにいたしたい、かように考えております。
  219. 信沢清

    ○信沢説明員 ただいま先生の御指摘のT製薬というのは、私が考えておりますのと全く同一かどうか存じませんけれども、全く同じような事例を私ども存じております。この問題は私ども自身の、いわばメーカーあるいは販売業者の販売規制の問題としても問題がございまするが、特にいまお話しの再販価格維持制度をとっておる場合におきましては、再販の中身の問題として大いに改善を要すべき問題だ、このように考えております。
  220. 田中武夫

    田中(武)分科員 そこで山田さん、このリベートの禁止と、先ほど私は登録だけ言ったが、マージンの公表ですね、これを条件として再販指定を行なうということではどうです。
  221. 山田精一

    ○山田政府委員 私どもがただいままで検討いたしましたところによりますると、リベートには非常に各種のものがございまして、不当性を帯びたものも確かに現存しておりまするが、ある程度正当なやむを得ざるものもあるというふうに私どもは認識いたしておりますので、これを全面的に禁止をいたすということは、いましばらく検討をいたした後にいたしたい、こういう考えでございます。  なお登録につきましては、外国で登録制を実施をいたしております国がございますので、その実際の運用を調査いたしましたところが、その登録内容は必ずしも新しくいつも現状に近いものが登録されておるようでもございませんし、またそれを閲覧をする公衆の数も少ないような結果が出ておりますので、ただいまのところさしあたりは届け出をとって、これを役所で処理をいたす、こういう方針でまいりたい、こう考えております。
  222. 田中武夫

    田中(武)分科員 重ねて申します。正当なリベートなら、こういうことですが、それなら初めから卸売り価格なり、メーカーから卸へ持っていく、卸から小売りに持っていくときに値引きすべきなんです。これで売ったならこれだけリベートで返してやるというのはおかしいのです。それから一方のマージンのほうですが、これも適正なものなら一般に公表していいじゃないか。したがって、私はあくまでリベートの禁止とマージンの公表ということを提案をいたします。  それからもう時間がありませんので、あと一問だけお伺いしますが、外資審議会は、近く技術導入について答申を行なう、こういう情報が出ております。これは五月一日から技術導入の自由化を行なう、そういうことのようなんです。そういたしますと、それに関連をいたまして、これから資本自由化等々、この技術の自由化も入れて、独禁法の六条、国際契約の問題ですね。これが事後届け出制になっておりますが、これを事前にチェックをする、あるいは一つの基準を設ける、こういった必要があると思うのですが、この資本自由化あるいは技術導入の自由化、これと関連いたしまして、独禁法六条の国際協定または契約の制限という条項との関連を、私は事後届け出を事前にやらすべきである、それから、ある一定のチェックをするところの基準を公正取引委員会で持つべきじゃなかろうかと思うが、この点についてお伺いいたします。
  223. 山田精一

    ○山田政府委員 認定の基準につきましては、なるべくはっきりしたものをこしらえまして、適宜の方法で周知せしめるようにいたしたいと考えております。  なお、事前届け出、事後届け出の問題でございますが、これはおそらく、ちょうど今日、外資審議会の小委員会で討議されておることと思いますが、いろいろな御意見があるようでございまして、私どもも十分慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  224. 田中武夫

    田中(武)分科員 ちょうど時間のようですが、外資審議会がいろいろ検討しておるからということでなくて、そうなった場合に、公正取引委員会は独自の立場から、言うならば独禁法の番人として、六条がいかにあるべきかをきめるべきです。そうじゃないですか。そういうことを一言申し上げておきます。外資審議会がこう答申したからこうしなければいかぬというようなものじゃない。あなた、もっとしゃんとしなければいかぬですよ。少ななくとも、公正取引委員会内閣からも独立しておるのですよ。その姿勢がくずれるから、前の公取委員長に比べて今度はどうなるかなどといわれるのですよ。私は必ずしもそうではないと思いますが、今後あなたのやり方、公正取引委員会の行動をわれわれは監視をします。同時に、わが社会党といたしましては、公正取引委員会に対しましては常に協力的であることを申し添えまして、終わります。
  225. 森山欽司

    森山主査 次は、大原亨君。
  226. 大原亨

    大原分科員 いまの田中委員の再販売価格維持契約に関する制度について、若干ダブるかもしれませんが、質問いたします。  洗い直すということですが、これから一カ月ということですが、いつごろまでにやるのですか。
  227. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま鋭意作業を急いでおりまして、今月末かおそくも来月上旬くらいにはこれを完了いたすつもりでおります。
  228. 大原亨

    大原分科員 何品目の中でどのくらいを指定から削除するわけですか。
  229. 山田精一

    ○山田政府委員 現在四千数百品目ございますが、まだ、どの程度削除いたすかということは、案を検討いたしておりますので、申し上げる段階に至っておりません。
  230. 大原亨

    大原分科員 半分くらいあるというのですけれども、それは新聞その他にも出ておるわけですが、大体どのくらいですか。
  231. 山田精一

    ○山田政府委員 まだ、どの程度になりますか、作業を終わりませんと、ちょっと見当がつきかねます次第でございます。
  232. 大原亨

    大原分科員 いわゆる再販の指定品による小売り販売価格は、全小売り販売価格の幾らくらいですか。
  233. 山田精一

    ○山田政府委員 お答え申し上げます。  全小売り価格が十兆でございまして、そのうちの五千五百億見当ということでございます。
  234. 大原亨

    大原分科員 いままで指定をしたのを洗い直すというのですが、指定をしたのは、届け出があったものについては、これは無条件にやったわけですか。
  235. 山田精一

    ○山田政府委員 指定は、公正取引委員会独自の立場において検討いたしまして、指定を適当と認めましたものについて、指定の告示をいたしたわけでございます。その品目の範囲内に入りますものから一々届け出がございまして、それを審査して、受理をいたすわけでございます。
  236. 大原亨

    大原分科員 普通世上いわれているし、あなたも別なところで答弁しているのは大体半分くらいの数、四千品目を半分くらいに落とす、こういうふうにいわれておるわけです。しかし、いままでの届け出について、いろいろ審査をしながら指定をしていった、こういうのですが、それは、いままでの指定がでたらめであったということじゃないのですか。
  237. 山田精一

    ○山田政府委員 指定をいたしました当時においては、法律の定めました条件を的確に備えておったものでございますが、その後何ぶんにも年数がたちまして、経済情勢も変化いたしました。これをこの際徹底的に洗い直しをいたす、こういう考えでおります。
  238. 大原亨

    大原分科員 指定した当時は適法であった、こういうのですが、しかし適法でなくなったならば随時洗い直す、こういう法律の運営であるべきではないのですか。
  239. 山田精一

    ○山田政府委員 おっしゃるとおりでございまして、今後はそのようにいたしてまいりたい、かように存じております。
  240. 大原亨

    大原分科員 それならば、いままででたらめをやっているということはないが、実際にやはり法律の精神に沿うた指定が行なわれていないことを認めて、洗い直すのだと思うのです。あなたも日銀から見えたわけですが、ずっと委員の一人としてやっておられたわけですから、よく知っておられるし、責任もあると思うのですが、それを今回あらためてやるという場合に、なぜ、全部洗い直して初めからやり改める、こういうことをしないのでか。
  241. 山田精一

    ○山田政府委員 全品目につきまして、洗い直しの作業を現在いたしております。
  242. 大原亨

    大原分科員 それでは、どのような基準で洗い直しをやっているのですか。
  243. 山田精一

    ○山田政府委員 法律に定められました積極、消極要件、すなわち銘柄品であること、それから消費者の利益を著しく害さない正当な行為であること、また一般消費者の日常使用に供するものであること、自由な競争が行なわれておること、この四つの柱で、厳密に洗い直しをいたしておるわけでございます。
  244. 大原亨

    大原分科員 世上伝えられるところによるとかなり、四千数百品目の中において洗い直す基準について、こういうものが落ちるだろう、こういうふうに、いわれておるわけですが、洗い直しの方針の中で、指定の再検討をやっておるその中身、内容についてもう少し——これはあまりにも抽象的だから、医薬品、化粧品、洗剤その他ずっとあるわけですが、そういうものについて、具体的にはどういうふうになるのか、こういうことについてひとつお答えいただきたい。
  245. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま検討中で、事務局におきまして検討の作業中でございまして、これを委員会にかけまして議決をいたしませんと、いかが相なりますか、私といたしましてもわからない立場にございますので、申し上げることはできませんわけでございますので御了承いただきたいと存じます。
  246. 大原亨

    大原分科員 あなたは八日の衆議院予算委員会中村委員広沢委員の質問に答えて、著しく高価な商品は除外することになろう、こういうふうに言っておるわけですが、これは事実ですか。
  247. 山田精一

    ○山田政府委員 お尋ねがございましたので、著しく高価なものは、一般消費者が日常使用する、この条件には当てはまらないであろうということを申し上げた次第でございます。
  248. 大原亨

    大原分科員 著しく高価なもの、こういうのは、どういうことを基準にして、公取は判断するのですか。
  249. 山田精一

    ○山田政府委員 金額的にこれという線を引きますことはなかなかむずかしいわけでございますが、それをただいま検討を、作業をいたしておりまして、結局は一般消費者の日常の用に供する、この線で引きたい、かように考えております。
  250. 大原亨

    大原分科員 医薬品が非常に範囲が広いわけです。たとえば著しく高価なものといいますと、私は会社の商品名は言わないが、ドリンクですね。あなたは、ドリンクは医薬品だと思っていますか。
  251. 山田精一

    ○山田政府委員 大部分は一応医薬品の中に入っておるということでございますが、中には、医薬品に入らないものもあるということでございまして、これらにつきましても、十分洗い直しをいたしてまいりたい、かように考えております。
  252. 大原亨

    大原分科員 いわゆるドリンク剤の中の、医薬品でないというものは何ですか。
  253. 山田精一

    ○山田政府委員 商品名、ただいまつまびらかにいたしておりせんが、若干ありますということでございます。
  254. 大原亨

    大原分科員 厚生省が医薬品として許可したドリンク剤の中に、医薬品でないものがあるのですか。
  255. 山田精一

    ○山田政府委員 それはございませんようでございます。
  256. 大原亨

    大原分科員 それで、ドリンクとして売っておるあの一びん、一びん百cc、あるいは大きいのも小さいのもあるが、百cc、あの原価について調査したことがありますか。つまり、著しく高価なもの、とこういうふうにあなたは言われるのだが、その概念は、高級品だという概念も一つあると思うのです。しかし実際原価は非常に安くても非常に高く売っているというものもあるわけです。それを再販売価格の価格指定をして、そうして、それをもとにしてたくさん利潤が浮いてくるわけです。それをもとにしてリベートを出すと言っておいて、実際には出さない。そうして宣伝、広告もやるし、温泉地へも連れていく、あるいはほかの薬を抱き合わせをする、こういうことで、再販売価格の維持制度が行なわれておるのが実態なんですよ。そうすると、あなたは、私はちょうどよく聞いていなかったが、田中委員の質問に対して、コストの計算をしない、適正なマージンについてそういう表示もしないということを言われたらしいように私は記憶をいたしておるのですが、たとえばドリンク剤というのは、大体あれは百円ぐらいで売っているのですよ。私は専門家に計算してもらいましたけれども、びん代を入れまして、あなたは幾らだと思いますか。事務当局、知っていますか。事務当局でもいいから、答弁してください。
  257. 長谷川古

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  原価計算をしたことはございませんので、正確なことは存じませんけれどわれわれ承知しておりますリベート規定その他から考えまして、最もそれをうまく使ったら相当低い価格で返ってくるということがわかりますので、それから想像しますと、かなり低い水準じゃないかというふうに思います。
  258. 大原亨

    大原分科員 百円の有名なメーカー品のドリンク剤で、計算を専門家がしたのがあるのですが、五円二十銭ぐらい。ビタミンB1とか、エタノールというのはアルコール、あれは少し入れておけばいいわけだから。すっと飲めばやっぱりすっとするから、意識への覚せいにもなるから。カフェイン、ハチみつ。これはハチみつだって、カフェインだって、ビタミンB1だけだって、牛乳だって、何だって、みないまごろは入っているのだから。だからどれが薬なのか、どれがどういうふうにきくのかといったら、カフェインは覚せい剤だから、意識がもうろうとしていれば意識は回復する。あるいは疲れているときには元気になったと思う。それが、たとえば有名な俳優が出てきたり、あるいは有名な野球の選手がホームランを打つと、ホームランを打てばたくさんみんなが買って飲む、こういう仕組みなわけだ。あなたらそういう事実を知っているのかどうかというのだよ。著しく高いと、こうあなたは言っているけれども、その原価について原価と比べて高いということを知っているかどうか。それが再販の制度の中で、不当に誇大宣伝やあるいは巨大な利潤のもとになっているということ、そのからくりを知っているか。知っていて、洗い直しであるとか規制法をつくらないとかというような、そういう偉そうなことを言っているのか、こういうことを私は言っているのですよ。原価についてあなたら知っていますか。そういうことを調査しなかったら、ほんとに消費者を保護するとか、それを基礎としてでなければ、自由な競争というものはないですよ。これは全くさか立ちをした制度ですよ。全くさか立ちだ。それはジュースだってコカコーラだって、いろんなものはあるけれども、駅とかいろんなところで売っているのもやっぱり同じようなものですよ。何で再販のそういう制度で、独禁法の二十四条の二で保護するのかというのです。そのことについて、あなたら検討したかどうか。コストを検討したことがあるか。コストを専門的に検討したことがあるか。それを、コストに比較をして著しく高いと、こういうことを言っているのか。私は新聞や事録を見て、そういうことを知っておって公取は言っているのか。それならば、消費者の立場に立つ、今度はぼつぼつ腹をきめて消費者の立場に立たぬと非常に批判が激しいから、ひとつやり変えよう、こういうことになっているのかどうか、こういうことを言っている。
  259. 山田精一

    ○山田政府委員 お答え申し上げます。  高いと申しますのは、二つに分けて申し上げたほうがよろしいかと存じます。たとえば五千円とかなんとか申します化粧品、これはコストのいかんにかかわらず、一般消費者の日常の用に供するものとは言えないと存じます。それから、ただいま御指摘のございました百円のドリンク剤、これは百円というもの自体は決して高価なものではないと存じまするけれども、ただいま御指摘のように、著しくコストが安くて、その間に不当な利益、すなわち逆に法律の用語で申し上げまするならば、消費者の利益を不当に害しておるようなもの、これは別に指摘をいたしまして、はずすということをいたしたいと考えております。
  260. 大原亨

    大原分科員 私がちょっと長くしゃべったから、長くしゃべっているうちに考えて答弁したのだろうと思うのですが、これは全部やり直して、そしてほんとうに何のために再販指定で保護することが必要なのかということをやらなければだめですよ。だからそうでなければ、そういう宣伝をしておいて、それを目玉商品にして、目玉薬品にして、そうして一定の抱き合わせでノルマを課しておいて、第一線の薬剤師、小売り商は、このほうを売ったほうが胃の薬や目の薬にはいいんだと思っても、抱き合わせされたその会社の薬、ノルマがあるから、それをやらないとリベートをくれない。そこでそれを抱き合わせて売っていくわけだ。これは、あなたが言われた四項目からいったって、どれにも適用しない。そういうことを知っていますか。
  261. 山田精一

    ○山田政府委員 そういうからくりがございますことはうすうす聞いておりますので、そういう点も十分考慮に入れまして作業をいたしてまいりたいと存じます。
  262. 大原亨

    大原分科員 時間がないですが、あなたの別の場合の答弁を開きましたら、つまり医家向けの——これはやかましくぼくらも議論して、ずいぶんここでも議論いたしましたが、医家向けの医薬品についてはこれは再販の指定からはずす。ただしいわゆるるビタミン剤、保健剤その他大衆薬、これは医者の処方せんその他なしに自由に売買できる薬、そういうものについてはこれははずさない、こういう目安でやっておるというふうに世上常識的に言われているわけです。そうすると、あなたのほうはそれの実態を知っているかどうかということなんです。そういう私が言ったような基準でやっているですか。
  263. 山田精一

    ○山田政府委員 私どもといたしましては、第一次的には一般消費者がふだん使うところのいわゆる、俗なことばで申しますれば売薬ということで線を引きまして、そしてそこに残りました中から、今度はただいま御指摘のございましたような不当に消費者の利益を害するようなもの、これを除外していく、こういう方針でおるわけでございます。
  264. 大原亨

    大原分科員 じゃ私が言ったような医家向けと大衆薬は分けて、医家向けははずしていく、こういうことですか。
  265. 山田精一

    ○山田政府委員 医家向けはむろんはずすつもりでおります。
  266. 大原亨

    大原分科員 大衆薬は……。
  267. 山田精一

    ○山田政府委員 大衆薬の中で、ただいま申し上げました法律の、一般消費者が日常その用に供する、この基準で選んでまいりたい、かように考えております。
  268. 大原亨

    大原分科員 あなたは一般消費者が日常消費するという基準でと、こう言うのだけれども、日常消費する基準——あのドリンク剤なんか飲まなくてもいいのです。あれなんかよりは、卵を一つ食べるとか牛乳を一本飲むほうがいいんだ。それからマージャンを徹夜でやっておいてドリンク剤を飲む、カフェインが入っているからすうっとする、エタノールが入っているからです。これはえらそうに薬みたいに書いてあるが、アルコールのことじゃないですか。そういうことですから、日常使用されておる不可欠な薬品であるというふうな、そういう考え方でやるのは間違いだ、それは認識不足だ。この薬に対する間違っている考え方というものが薬の乱用になり、そして日本人のガンをふやしたり——化学合成品その他不必要なものがたくさんあるから、ガンをふやしたり、日本人の健康を害す、あるいは医療保険の非常な混乱を来たしている、薬に対する考え方が間違っている。厚生省は逐次その点については改正しようとしているけれども、私は何も独禁法の除外例として二十四条の二項を適用してやるべき根拠というものは、そんなものはない。あんなものは、百円あるいは百五十円のものを、私は五円二十銭というコスト計算をしたけれども、びん代まで入っている、人件費も全部入っている、そういう計算をしたけれども、そういうものを再販制度で保護しておいて、そして、これで利潤が拡大したのを、リベートを出す、あるいはいろいろな宣伝やあるいは遊覧その他に案内をしていくという、ひもをつけておいて、消費者や小売り商の立場でなしに、さか立ちをした結果になっているという、そういうことです。  また一つの例は、私のところに投書がきているのですが、こういうことについてあなたは御承知ですか。リベートを出します、これだけ売ったならば何割はリベートをいたします、百円売ったならば二十円リベートをしましょう、そういうやつをずっと積み立てる。けれども、抱き合わせ、ノルマを果たしていないからあなたのところにはリベートをやりませんよといって、会社へ積み立てておく。会社からは支出になっておる、出ておるが、税金の対象にならぬわけです、ちゃんと合法的に落としてあるから。その金が百億円、二百億円というふうにたまっておるのです。これは税金の対象にも何にもならない。しかも、リベートとして小売り商にもいかない。抱き合わせやノルマやいろいろな条件があるから、返品禁止の条件があるから。だから送ったものは全部売れということになっている。それをやらなかったならばリベートをあげませんよ、こういうことだから、これは永遠に馬の先へニンジンをぶら下げておいて、そしてしりをひっぱたいて、ニンジンを馬に見させておいてこき使うと同じように、決して小売り商のためになっていない。そういう投書が私のところにきているのです。リベートをやるといって、それをくれない、それがたまっておるのが二百億円ある、こういうのがきているのですよ。そういうのがある。そういうことで、しかも再販の制度で価格を保持する、あなたらが保障するということはおかしいじゃないか、こういうことになる。そういうことをあなたは知ってますか。
  269. 山田精一

    ○山田政府委員 ときにさようなことがあるということは聞いております。
  270. 大原亨

    大原分科員 だから再販指定にする場合には、コストとか適正マージンをやるというのが国際常識ですよ。コストを届けさせる、それでこれは専門的にある程度検討する、そしてマージンについても相当のマージンでいいはずですよ、こういうものについては。それは、それを表面に出しておいて、そしてメーカーの価格指示を保護する、こういう立場になって初めて、これは消費者の立場でもあるし、小売り商の立場でもあるし、あるいはメーカーのそういう自由競争の立場も出てくるのじゃないか。いま四千何ぼも一方的にあなたのほうがでたらめやっているということになるのだ。それを洗い直すといっているのだから、それをやっておいて、届けたやつは全部この制度でやっておいて——洗剤の例も私は時間がないから申し上げないが、洗剤だってでたらめですよ。これは中小メーカーではできない、大きなメーカーでなければできないのです。全国的な販路を持っているものでなければできない。有効な規制はできないわけです。化粧品にしても、そうですよ。この間NHKがやっていたけれども、百円の化粧品と千円の化粧品と並べて、レッテルを全部取って、そして婦人にどっちがいいかといって使ってもらったところが、百円のほうがいいというのが五〇%、千円のほうがいいというのが四〇%くらいだった。高いからいいだろう、顔がきれいになるだろう、こういう非常にみじめなというか、さもしいというか、残酷な精神で、千円とか二千円に飛びつくということを利用して、そして誇大宣伝をやるというふうな場合が多い。だから私は、宣伝広告するのはある程度化粧品や洗剤等はある程度自由だと思う。薬については外国ではこれを規制している。日本でもぼつぼつやり出したけれども、外国ではテレビや新聞に報道する薬は、きかないからこれは宣伝するのだ。たとえば梅毒の薬で六〇六号というのがある。これは梅毒にきくから、絶対に広告する必要はないのです。これは、きく薬というのは広告する必要はないのだ。抗生物質でもそうですよ。あんなものは広告しないのだ。おぼれる者はわらをもつかむ、四十歳になったならば精力減退、五十歳でまたあぶなくなって、あなたはこれを飲んでおかないとあぶないですよ、こういって盛んに人を脅迫しておいて、広告宣伝でそれを毎日飲ませる。疲れるのは当然だから、それは休めばいいのです。だから、そういうふうなかっこうでつっていくというのは、これは、そういう宣伝というのはきかない証拠なんだ。人の不安につけ込んでやる。ほんとうにきく薬というのはそれは広告する必要はないわけだ。抗生物質だってそうですよ。結核の薬だってもう宣伝しなくなった。きかないときに宣伝するのです。いろいろと学説が分かれたり、いろいろなことがあって、その裏をかいてやるわけですよ。ですから、これはもうそういう特殊な品物やそういう実態がわかっているものについては、全部洗い画せ、洗剤とか化粧品とか医薬品というものは全部洗い直せ。全部初めからやり直せ。それならば規制法をつくらぬまでも——山田委員長がふやけたとか、公正取引委員会がどうもおかしいとか、やっぱり委員長がだめだから法律も規制法も出ぬので、あれは腹をきめれば出るのだ、こう言う人もある。どうも最近公取は、ゴルフまではやっておらぬかもしらぬが、勤務時間中にあやしいという、こういうような議論になるのだ。全部洗い直せ。規制法を出さぬのだったら、全部洗い直して始めからやり直しなさい。一つ一つやりなさい。あるいは原価の届け出制やリベート等の表示ということを一緒にやらなければ、ほんとうに国民の立場に立った、健康やその他を考え、あるいは経済を考え、そういう立場に立ったことができないのではないか。これが私の結論です。あなたはどうお考えになりますか。
  271. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま全品目につきまして洗い直しの作業をいたしておりますので、十分御趣旨に従って作業をいたしたいと存じます。なお、洗い直しは今回だけで打ち切りいたすわけではございませんで、品目の数が減りました後におきまして、きめこまかく常に管理をいたしてまいりたい、こういう考えでおります。
  272. 大原亨

    大原分科員 時間がきましたが、もう一カ月、本月末か来月初めになれば、どういうことかということがわかりますから、そのときにはまた議論をしたいと思うのです。したいと思うのですが、やはり公取は、予算もないし人もないと思うのですが、相当期待をされているわけですよ。かりそめにもふやけたとかなんとかというふうないかがわしいうわさが出ぬように、ひとつしっかりしてやってもらいたい。これはみんなの希望ですから。しかも事実というものはいろいろ議論の中ではっきりしているのですよ。しっかりした気持ちでやっていただきたい、これを強く要望いたしまして私の質問を終わります。
  273. 森山欽司

    森山主査 次に、伊藤惣助丸君。  この際まことに恐縮でございますが、伊藤君に念のために申し上げます。質疑持ち時間は三十分となっておりますので、あらかじめお含みの上御質疑をお願いいたします。
  274. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 時間がないそうですから、率直にむだのない答弁をまたお願いします。  去る九日、三木外務大臣は、今日中に小笠原返還協定の調印が終わる、そして今国会で批准をし、六月ごろ実際の返還になる見通しである、こういう答弁をなさいました。そこで、ほんとうは総務長官に伺いたいのですが、きょうは病気のようで非常に残念でございますけれども、副長官であるあなたにしっかり伺っておきたいのですが、これは旧島民また原住民等が非常に心配もし、また現在は不安の中にいるわけであります。そこで、なるべく明瞭に答弁願いたいと思います。  そこで伺いたいわけですが、第二次専門調査団を近く派遣する、こういう答弁がございました。第一次調査団についてはよく知っております。それでは、第二次専門調査団とはどんな調査の内容で、調査団のしてくる目的ですね、そういう概要をお示し願いたいと思います。
  275. 八木徹雄

    ○八木政府委員 御承知のとおり、ただいま第一次調査団の報告を取りまとめ中でございます。近々にできるわけでございますが、これはもう概括的な調査をやってきたわけでございます。具体的問題について、さらに調査を必要とする事項が出てくると思います。その意味で、具体的、技術的、専門的な調査というものの必要性が生まれたときに第二次調査をひとつやろうということでございますが、まだ報告取りまとめ中でございますので、これこれのことについて第二次調査団をいつ派遣するというところまでは、まだきめておりません。ただ取り急ぎ、通信の問題、気象の問題、輸送の問題、こういうことにつきましては、緊急を要することでありますので、これらのことについて急ぎ行く必要ができるかと思いますけれども、まだ具体的スケジュールをきめておるというところではございません。
  276. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 次に質問しますが、私はこの調査団の派遣を非常に重要視しているわけです。なぜかといいますと、実際に返還が六月ごろなされるわけですね。そうなりますと、もう旧島民はその時点から帰りたいわけです。したがって、政府は第一次調査団の資料に基づいて、第二次調査団の目的をきめ、さらにその調査の終わったあとに行く、こういうことになりますと非常に時期がおくれるわけです。私は、ここではっきりしておきたいことは、実質返還の六月ぐらいまでに第二次調査団が派遣されて帰ってくる。その時点においては、農業問題についてはこう、漁業問題についてはこう、港湾の整備についてはこのぐらいの予算が必要である、このぐらいまでに具体的に、実質返還の六月ぐらいまでにそれを完了すべきである、こういうように私は思うわけですが伺いたい。
  277. 八木徹雄

    ○八木政府委員 ただいま申し上げました専門的調査につきましては、御指摘のとおり、六月のほんとうの復帰までに当然やらなければならぬと思っております。ただ後段でおっしゃられました、われわれが復興計画と申しております事項につきましては、それまでにその結論を得るということはできません。かなり長期にわたって復興計画というものは策定をし、完ぺきを期さなければならぬと思いますので、これにはかなり時間がかかるのではなかろうか、こう思っております。
  278. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 あなたは先に話を進めましたが、どうか長官にその旨をしっかりとお伝え願いたいと思っております。  この間私は、小笠原開発にあたっては、仮称小笠原開発協議会というものを設置すべきではないか、その理由は、各省がばらばらに調査するのでは、その調整や、また経費の点で非常に問題がある。たとえば、現在は、自治省がその復興計画を立て、そして総理府が総合調整をする、こういうふうに閣議で決定しております、しかし私はここであくまでも総合調整、すなわち現在総理府がやろうとしていることを、最初から、いま申し上げました仮称小笠原復興協議会というようなものをつくりまして、各省がその中に入って総合計画を立てて、そこからそれぞれの部門の調査並びに合同の調査資料に基づいて、復興計画を立てることが一番よいのではないか、こういうふうに思うわけです。それに対して副長官の所見を伺っておきたいと思います。
  279. 八木徹雄

    ○八木政府委員 復興計画の責任官庁が自治省であって、総合調整の役割りを総理府がやるということでございますが、おっしゃるとおり総合調整の責任を持っておる当方といたしましては、御心配のようなことのないように、責任官庁である自治省にまかせきりということではなくて、十分に各省の調整をはかって、自治省の復興計画というものが完全なものになるように当然措置しなければならぬと考えております。
  280. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 私は、そのことを強く要望する理由はあるのです。それはこの間も申し上げましたが、自治省と思われるようなところで復興計画を立てた、自治省大臣に聞いたら、いやわからぬ、総理府だ、総理府に行ったら、いや自治省だ、こう言うのです。私たちはそういう点については、どちらが計画しようとも、島民や国民は早く知りたいわけですから、どちらでもかまわないわけです。しかし、その中にある計画というのが、何を根拠にし、何を基準にして調査したかわからないような、むしろ帰りたがっている人たちにブレーキをかけるような、そういうまずい草案であったわけです。たとえば、昨年、返還があの日米共同声明できまったときに、東京都の美濃部知事は、復興には大体五百億を考えておる、こう言っておったわけです。それでも、その基準の算定はどこから出したのだろうかとか、それでわれわれは生活が保障されるんだろうかというような声が旧島民にあったわけです。ところが、その自治省案ともいわれる復興計画案にはどのようなことがあったかといえば、一つは帰島予定者を二千人と見積もっておる。しかも予算は、五年ないし十年間で百億及び百五十億円である。帰島者にとって、こういう予算の面と帰島する年限が出ておったわけです。けれを見た人たちは非常に心配したわけです。こんな少ない予算で、しかも五年から十年にわたってそのようなことを考えるのであるならば、いまは苦しいけれども、いまの生活のほうがいいかもしれない、そういうようなことを言う旧島民もいたわけです。そこで私は、そんなことのないように、計画を立てるについてはやはり最初から各省が入って、その中に旧島民、また開発に行く技術専門家、そういったものも入っていろいろ討議をして、そして小笠原を平和の島にしていこう、平和の島として今後こうやっていこうという小笠原百年の計をそこで立てるベきだ、このように私は考えておるから、そう申し上げておるわけです。あなたじゃわからないと思いますから、先に進みます。  昨年の十一月の日米共同声明以来、小笠原の返還が決定したわけですけれども、公明党は直ちに小笠原対策協議会をつくりまして、そして、すぐに調査を始めました。私、誤解を招くといけませんが、ここは決して選挙区じゃありません。それでも私はやっておるわけです、国民のためですから。  そこで、調べてまいりますと、いろんな問題があります。特に一番多くいるといわれる八丈島に行ってまいりました。私も三日間おりまして、朝から晩まで、寝ている家を起こしながらも、旧島民に会いましていろいろな話をしてまいりました。アンケートもとってまいりましたし、生活の実態もそこで調べてまいりました。  そこで伺いたいわけでありますけれども、旧島民は父島、母島に帰ることについて、私は農業をやりたい、また漁業をやりたい、こういうような、開発の基本線ともいうべきことをみんな話しておりました。しかしながら、そこで問題になることは、現在はジャングルになっているらしい。さらに硫黄高等においては不発弾やネムの木がいっぱいで開発には数年ぐらいかかるかもしれない。こういうことから、たとえ帰島が許されたとしても、何カ月もその開発に日にちを要するならば、その生活を政府で見てもらえないだろうか、こういうことを真剣に言っているわけであります。当然復興計画を考える上について、小笠原のジャングルを開発するときにかかる経費、または島民が少なくとも生活を維持できるまでのその補償の問題を具体的にどのように考えているか、伺っておきたいと思うのです。
  281. 八木徹雄

    ○八木政府委員 とりあえず、帰島される方々の帰島意思並びにそれに対する期待、希望、要請というものを把握するということが大事であろうと思いますので、それは総理府において、いまそれをやる準備を進めておるところでございます。その帰島意思というものが明らかになって、それに伴う復興計画というものがなされるわけでございます。おっしゃるような点につきましては、復興計画の中で当然考えていかなければならない課題でございますので、復興計画の万全を期することにおいて御要請にこたえるようにしなければならぬと考えております。
  282. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 硫黄島に住んでいた島民は、いままで政府の墓参団に参加して、硫黄島に視察に行ってきているわけです。視察というか、硫黄島に渡っているわけでありますけれども、そこに参加している人たちは、硫黄島はまるっきり変形しておって、自分の住んでおったところさえも確認することができなかった、こう申しておりました。私も去る二月七日、機会を得まして小笠原に行ってまいりました。私もこの目で見てまいりましたが、確かに古い地図には山もあり、温泉もあり、町もあったはずです。しかし現在の硫黄島は、摺鉢山が半分欠けて、元山という山であったところは、そんな山なんかありません。そのくらい、考えてみればすごい戦いのあった島であります。  そこで、私はあなたに伺いたいのですが、この硫黄島には一平方メートルに一発以上の砲弾が打ち込まれた。したがって、現在でも道路以外のところに入ることは危険だ。われわれも入ろうと思ったら制止されました。そうして、道路の隣には古ぼけた日本軍の機関砲だとか、また戦車の残骸だとか、そんなものが山のようにありました。全体がネムの木でおおわれておりますから、全景はよくわかりませんでしたけれども、また、東海岸のほうには十数隻の、昔の日本の沈没した船がありました。そこで私は、あの硫黄島を開発するときには、まずもって中にある不発弾、さらに一万数千、島民を含めて二万人以上玉砕してなくなったと聞いておりますけれども、それらの遺骨が、一部を除いては、まだそのままになっているわけです。したがって、硫黄島開発にあたっては、遺骨の収集と残骸の整理と不発弾の処理が必要であります。私はこの現実を見てまいりまして、どんな方法で開発するのかということを伺っておきたいと思うのです。
  283. 八木徹雄

    ○八木政府委員 私も実は一月に硫黄島の現地を見てまいりまして、御指摘のとおり、まだ不発弾も残っておる、遺骨の収集も完ぺきが期せられていないという実情を見てまいっております。今後の復興計画を策定するにいたしましても、現地のそういうことの処置を進めていくということは大事な課題であろうと思います。その不発砲弾のごときは、内地でも行ないましたように、当然防衛庁でやってもらうということになると思いますが、ひとつ防衛庁にお願いをいたしまして、安全性を確保するということにつとめてまいたいと思います。また、遺骨の収集につきましては、過去何回か行なっておりますけれども、まだほんの一部しかできておりません。御指摘のとおり、洞窟の中もまだそのままだということでございますので、遺骨収集につきましても、関係各省にこれが収集について万全を期するように当然要請し、実施してまいるようにいたしたい、こう思っております。
  284. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 ただいま、その処理については自衛隊にお願いする、こういうお話がございました。私がここで、硫黄島の旧島民が心配していることについて言っておきたいことは、その島民が戻ったとしても、不発弾の処理はしろうとにはできない。また、遺骨の収集もかってにできない。そうして、その不発弾処理が、自衛隊との関係でうまくいかないようなことがあった場合には、ただ戻っても餓死するだけである。さらに政府の生活保障がなければとうてい帰ることはできない、このように言っておるわけです。米軍の話によれば、道路を整備し、基地を拡張し、いままで二十何年かやってきたけれども、年平均不発弾は四百発以上処理しているようであります。したがって非常にたいへんなことだと思うのですが、この点防衛庁に聞きたかったわけですけれども、きょう来ておりませんので、また次回にあらためて伺っていきたいと思います。  また、そこで伺いたいことは、この硫黄島というのは父島、母島と違って、いわゆるそういう鳥であるということから、すぐには帰島できないと思います。そこで旧島民が言うことには、硫黄島に帰れなければ母島でも父島でもよい、そちらのほうに帰りたいと思うがどうなんだ、こういう島民の声を聞きました。そこで、そういったことを考えておるかどうか伺っておきたいと思います。
  285. 八木徹雄

    ○八木政府委員 伊藤先生も御調査で御存じのとおり、一般の方々がおるのは父島の大村地区だけで、硫黄島に限らず母島におきましても、ただいま直ちにこの帰島ができるような体制でございません。そういう意味で復興計画を早期に策定をし、それをひとつ実施することによって、帰島体制というものを確立していくということが大事であろうと思います。いまおっしゃったように、硫黄島から父島、母島に移すことを考えておるかというお話でございますが、これから帰島者の意思というもの、それから復興計画の進捗というものの中で万全を期していくようにしてまいりたいと考えております。
  286. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 そのように希望があれば受け付けるということで了解してよろしゅうございますね。  それで次に移りますが、いわゆる農業についてであります。父島は漁業が中心であるならば、母島は非常に農業が中心になるのではないかという島であります。そこでこれはその土地のことでありますが、島の約八〇%は国有地である、こう聞いております。また、そのような現状を見てまいりました。そこで私は思うわけでありますが、農業開発といっても、やはり土地がなければ開発はできないわけです。そこで、旧島民の多くは国有地であっても、昔無断で使わしてもらったところもある。さらにまた、島全体が農地に向くところもある。たとえば母島列島の向島なんというところは全島が平らで、しかもその土地が非常に肥沃度が高い。昔そこを牧場に使ったり、または野菜の促成栽培をしたところだそうです。しかし、そういったところは残念ながら国有地になっております。そういうような国有地の開放を積極的に考えているかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  287. 八木徹雄

    ○八木政府委員 復興計画の中で、いまおっしゃったようなことがまず第一に議せられることだと思います。いま直ちにこれこれの土地を開放しますといったようなことが言える段階ではございませんけれども、戦前生活をしておった方々が帰島して生活できるようにするということが、それが復興計画だと思いますので、御指摘のようなことをひとつ想定をしながら復興計画を策定をし、完ぺきを期するようにしてまいりたいと思います。
  288. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 時間がありませんので少し急ぎますが、父島には現在欧米系原住民が四十四世帯、二百七名住んでおります。今度の日本復帰については、一応は喜んでおるようでありますが、しかし日本に戻ることによってまた多くの不安も持っているようであります。そういった不安また補償問題、米海軍との職業の問題等については第一次政府調査団に訴えてある。しかしながらその返事が返ってこないので、現在また非常にその不安があります、こういう話でございました。  そこで伺いたいわけですが、現在の旧島民の大半は、その仕事をアメリカの海軍に求めております。たとえば魚をとっても、野菜をつくっても、売るところがない。したがって、現在では米海軍の軍属のまたその下について働いているわけです。しかも彼らは一カ月百五十ドルから多い人で二百ドルぐらいの収入を得ているわけであります。しかし返還がきまればその海軍は撤退をする、こういうふうになっております。そうしますと、その後すぐに生活に困るわけでありますが、そういう点の保障をはっきりと、だいじょうぶだよとこう言ってもらいたい、こういうふうに原住民は言っているわけでありますが、そういう点について伺っておきたいと思うわけであります。
  289. 八木徹雄

    ○八木政府委員 先般総務長官が飛行機で参りましたときにも、そのことは原住民の方々にお約束をいたしておることでございますけれども、現在の生活というものが崩壊をしないような配慮の届いた施策というものをやる、こう申しております。また、先般総務長官の招請で現地から代表者が三名参りまして、その方々にも申し上げたのでありますが、おっしゃるとおり、二百七名の方々の大半というのがアメリカ海軍のいわゆる雇用者という立場において生活を維持しておるという実態でございますので、それらのことにつきましては、当方の暫定措置法をつくる過程の中でまた政府機関というものが現地にできるわけでありますから、できるだけそこに収容をする、その原住民の方々に対する生活不安というものの除去につきましては、これまた帰島者と同様に十分配慮をして、暫定措置法で対処していくようにいたしたい、こう考えております。
  290. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 私は父島に行ってこの目で見てまいりましたが、この二十年間、父島の歌米系原住民は非常に仲よく生活をしております。この二十年間というものはほとんど犯罪がなかった、夜はどこの家でも戸もあけておりますし、どこに何を置いても盗難なんかない。私も自転車を借りても何をしてもかぎなんというものは見ることができませんでした。住民の人たちは、あなた方は非常にいい生活をやっているではないか、こういう私の質問に対して、現在はそうであるけれども、私たちはこの二十年間ほんとうに苦労をした、私たちの顔を見てください。まあ見れば、確かに、年を聞けば驚くように、十年間ぐらいはふけて見えます。もう四十代で頭に白いものが見える人も多かった、その現状を見たわけでありますが、その中で原住民は、私たちは戦争で日本に強制送還された、向こうで苦労して、さらにこっちに来て、戻ってきてまた苦労をした。そうして日本に復帰されてまた苦労するのはいやだ。そうして私たちは二十年間アメリカの管理の中にあり、ある程度不自由はしたけれども、しかしいまの地位を築いた。あなたが言うように、ほんとうに小笠原を平和な島にするのならば、この社会をそのまま大きくするように考えてほしい。政府のほうも十二分に、平和な島、また平和なこのままの社会を大きくするように配慮してほしい、こういう声が非常に大きかったわけであります。そういう点についての所見を伺いたいと思います。
  291. 八木徹雄

    ○八木政府委員 先ほど来申し上げておりますように、暫定措置法は、現在の二百七名の原住民の方々にそういう不安をなくすることが暫定措置法だと思います。そういう意味で、アメリカと同じやり方をやるというわけにはまいらぬと思いますけれども、しかし、いわれなき不安を醸成しないような配慮というものは当然考えてまいらなければならぬことでございますので、御心配のないように対策を立ててまいりたいと考えております。
  292. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 そこで伺いたいのですが、実際、返還から帰島者が島に渡れるまでの具体的プログラムの大体の概要はできておりますか。
  293. 八木徹雄

    ○八木政府委員 概括的に先ほど申し上げましたように、取り急ぎ、帰島の意思の有無並びに帰島に対する期待、要望というものの調査が先行いたします。これを総理府のほうで行ないます。そういうものを基礎にいたしまして、復興計画というものを策定して、その復興計画の進行途上において帰島していただく、こういうことになるかと思うのであります。  それでは、御指摘のように、具体的に完全なスケジュールができておるかというと、まだ調査が終わっていないことでございます。しかし、これはいたずらに日を過ごすというわけにまいりませんから、できるだけすみやかに帰島者の方々の調査を済まして、そして、復興計画というものをできるだけすみやかに立てるようなことで考えてまいりたい、こう思っております。
  294. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 できれば、予算の規模とか帰島の条件とか、また、どのくらいの計画があるかということを聞きたかったわけでありますが、大臣がおりませんので、これはまた次回にしたいと思います。  ただ、申し上げておきたいことは、旧島民は開発にあたっての予算規模を非常に気にしているわけであります。そして、内地や八丈島に住む旧島民の方々は二十年間苦労しながら、何とか生活できるところに来ております。したがって、政府予算措置、また、帰島に対するプログラムが非常に長いものであれば、断念する者が多いのではないかと思うのです。そこで、小笠原の人たちは、日本人の中にあっても、内地に住むわれわれより以上に国の犠牲になってきております。そういう意味からも、どうかあたたかい、また予算規模も百億とか百五十億とかいう少ないものではなくて、十分考えて、しっかりした予算規模で計画を立ててもらいたい、このように要望するわけです。  最後に、これは私のところに参ったわけでありますが、旧島風でなくても、小笠原に行きたい、小笠原の開発を一緒にやって、小笠原に住みたい、こういう人がいるわけでありますが、こういう人たちに対して、公式な場所でありますので、行けるのか、行けないのか、その点を伺っておきたいと思います。
  295. 八木徹雄

    ○八木政府委員 とりあえずは、原住民の方々に対する対策、それから帰島者に対する対策というのが当然優先すると思います。いま直ちに一般の方々の渡航というもの、あるいは移住というものを考えるという段階ではまだないと思います。しかし、その帰島者の方々の生活が一応の安定をするという、そういう状況の中で当然考えていかなければならぬことだと思いますので、そういうことも想定をしながら将来対策というものをひとつ考えてまいるようにいたしたいと思います。
  296. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 それでは、これで終わります。
  297. 森山欽司

    森山主査 内閣及び総理府所管に関する残余の質疑は、来たる十五日に行なうことといたします。  明日は、正午前十時より開会し、裁判所及び法務省所管の質疑に入ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十五分散会