○
中村(重)
委員 先ほど来広沢
委員から再販の問題について
質問をいたしておりましたが、公取
委員長以下各
大臣の
答弁を聞いていると、全く説得力がない。むしろ、この制度というのは、弊害があるのだということを認めておる。ただ、最小限度におとり販売ということを、
委員長、
宮澤長官、
通産大臣申し合わせをしたように、そのことを盛んに強調しておられる。あなた方もよくお考えになってみなければならぬことは、この再販というものが非常に物価引き上げの温床になっている。大
企業の利益を守るための制度だという強い
国民的な批判があるわけです。それに対して、先ほどの
答弁によって
国民が納得するだろうか。あなた方は何とかして大
企業の利益を守るために、この制度を温存していきたいという以外の何ものでもないと私は考えていたし、広沢
委員の
質問に対する
答弁を聞いても、その感を強くしたわけです。
御承知のとおり、北島前
委員長が、ともかくこの再販制度というものはこのままではいけない、何とかこれを改善していくということでなければならぬ、そして小売り店の利益を守り、消費者の利益を守っていきたい、そのために、コストの公開であるとかあるいはその他の契約の内容等をここではっきりしていく必要がある、明らかにしていく必要がある、そういうことで改正を企図した。あなたも御承知のとおりでしょう。ところが、これはまずメーカーが大反撃を試みてきた。これによって
各省も反対の意向を固めてきた。ついに提案の運びに至らなかった。そこで、北島前
委員長としても、その職にとどまってまた再選されると五年になるわけですから、その五年の間には何としても改正案を出さなければならぬ。しかし、出してみたところで、これを改正するということはなかなかむずかしい。そういうことから、北島さんは自信をなくして退くということになったのでしょう。その
あとあなたが受けた。そしてあなたは、ともかくかつて提案の準備をした改正案の内容というのは、大きい魚を逃がして、ざこだけがかかってくるという結果になるのだ、そういう改正案は適当ではないのであって、むしろ現行法でやれるのだから、これを洗い直していくのだということをおっしゃった。私は全く不可解千万だと思っている。なるほどあなたは、公取の
委員になられてからそう長くはなかったのだから……。しかし、ほかの
委員の
人たちは、北島
委員長当時からおられた
委員であって、そしてこの提案に対しては、合議制なんだから、
責任を持って改正案を出さなければならぬということで、五人の
委員の
意見が一致して、そして作業に取りかかり、提案の準備をして、先ほど私が申し上げたような了解運動に入ったのでしょう。そして、あなたが
委員長になるや、とたんにまるでもう忘れたかのように、あんなでたらめな、内容の乏しいものは適当じゃないのだと言うのはおかしいじゃありませんか。大体改正をしなければならぬということはわかっておるけれども、どうしても改正をするということはむずかしい、できないことだ。そこで、無理してつけた理屈が、現行法でやれる、これを洗い直すのだということになってきた。いろいろとあなたは私の
質問に対して、 いや、そうではございませんと言って御
答弁なさるだろう。だがしかし、私は押しつけるわけではないのだけれども、真相は申し上げたとおりだと思う。あなたもお考えになってみなければならないですよ。
昭和二十八年九月一日からこの制度が実施された。十五年間どういう働きをこの法律がしてきたのだろうか。先ほどあなたは広沢
委員の
質問に答えて、消費者の利益は絶対に守ります、私の
責任において必ずそれを守りますとお約束になった。大体この法律は、この制度というものは、消費者ということは提案
理由の中に一つも書いてない。いわゆる小売り業者の利益を守っていくのだ、メーカーと小売り業者の
関係というようなことが提案
理由になっている。だがしかし、十五年間たつと情勢が大きく変化してきた。
経済構造が変わってきたし、生活環境も変わってきた。だから、これはもうどうにもならないのだ。だからして、これを改正することにするか、それからまた廃止するということ以外にない。
いま一つ、私が非常にふしぎに思ったことは、これほどたいへんな問題になっている、閣内でもおそらく議論もされただろうと思うのだけれども、先ほど水田大蔵
大臣が、これが必要がないということであればやめなければならないのだから、各部局において相談をしたいというお答えがあったでしょう。ずっと並んでいる
大臣は、これを置くというために適当な
答弁をされてきたんだが、水田大蔵
大臣は、私がいま申し上げたような意味の
答弁をなさった。このこと一つとらえても、きわめてこの問題に対しては閣僚諸公においても問題を感じておられるということのあらわれだろうと私は思う。だから、どうしてもこの制度というものを存続していかなければならぬという積極的な
理由がどこにあるのか。先ほどお答えになったおとり販売といったようなことでは
国民は納得しないんだから、重ねてそういう
答弁を二番せんじみたいに私は聞こうとは思わない。いままでこの制度というものが、小売り店の利益を守るために、あるいは品質をよくするために、あるいは消費者の利益を守るためにどういう働きをしてきたのか、それらの点に対して、ひとつ確信のある
答弁をされて
国民を納得させる、そういう形でお答えを願いたい。