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1968-02-07 第58回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年二月七日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 小川 半次君 理事 北澤 直吉君    理事 正示啓次郎君 理事 二階堂 進君    理事 藤枝 泉介君 理事 加藤 清二君    理事 中澤 茂一君 理事 小平  忠君    理事 広沢 直樹君       相川 勝六君    荒舩清十郎君       愛知 揆一君    荒木萬壽夫君       上村千一郎君    植木庚子郎君       小沢 辰男君    上林山榮吉君       川崎 秀二君    坂田 英一君       鈴木 善幸君    田中 正巳君       登坂重次郎君    中野 四郎君       西村 直己君    野田 卯一君       野原 正勝君    福田  一君       松浦周太郎君    松澤 雄藏君       松野 頼三君    森山 欽司君       山崎  巖君    大原  亨君       川崎 寛治君    北山 愛郎君       久保 三郎君    阪上安太郎君       田中 武夫君    楢崎弥之助君       畑   和君    森本  靖君       柳田 秀一君    山内  広君       山中 吾郎君    横山 利秋君       麻生 良方君    佐々木良作君       塚本 三郎君    浅井 美幸君       正木 良明君    松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 赤間 文三君         外 務 大 臣 三木 武夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         厚 生 大 臣 園田  直君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         運 輸 大 臣 中曽根康弘君         郵 政 大 臣 小林 武治君         労 働 大 臣 小川 平二君         建 設 大 臣 保利  茂君         自 治 大 臣         国家公安委員長 赤澤 正道君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      木村 俊夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官北海道開発庁         長官)     木村 武雄君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君         通商産業大臣         臨時代理         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      鍋島 直紹君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         経済企画庁調整         局長      赤澤 璋一君         外務省経済局長 鶴見 清彦君         外務省条約局長 佐藤 正二君         大蔵省主計局長 村上孝太郎君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         大蔵省国際金融         局長      柏木 雄介君         農林大臣官房長 檜垣徳太郎君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         食糧庁長官   大口 駿一君         水産庁長官   久宗  高君         通商産業省通商         局長      宮澤 鉄蔵君         通商産業省繊維         雑貨局長    金井多喜男君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君         建設省計画局長 川島  博君         建設省河川局長 板野 重信君  委員外出席者         国民金融公庫総         裁       河野 通一君         中小企業金融公         庫総裁     佐久  洋君         日本輸出入銀行         総裁      石田  正君         参  考  人         (日本銀行総         裁)      宇佐美 洵君         参  考  人         (全国銀行協会         会長)     田實  渉君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事長)  高木  元君         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 二月七日  委員松澤雄藏君、山内広君及び塚本三郎辞任  につき、その補欠として荒舩清十郎君、柳田秀  一君及び佐々木良作君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員荒舩清十郎君及び佐々木良作辞任につ  き、その補欠として松澤雄藏君及び塚本三郎君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十三年度一般会計予算  昭和四十三年度特別会計予算  昭和四十三年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  昭和四十三年度一般会計予算昭和四十三年度特別会計予算昭和四十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  これより加藤清二君の総括質疑に入るわけでありますが、この際、柳田秀一君、佐々木良作君、正木良明君よりそれぞれ発言申し出がありましたので、理事間の協議の結果、一人十分以内としてこれを許すことにいたしましたので、順次これを許します。柳田秀一君。
  3. 柳田秀一

    柳田委員 私は、日本社会党を代表して、佐藤内閣政治に対する根本姿勢に対して疑いをたださんとするものであります。  佐藤総理大臣、あなたは、この国会開会以来、再三にわたって、非核原則はあなたの政治生命をかけて守ると言明されましたが、その言明に間違いはございますまいか、確かめておきます。
  4. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、核政策に対して、本会議の席上におきましても、私の態度をはっきり明確にいたしました。また昨日も核政策に対するわが内閣態度をはっきりいたさせました。それは四つの柱でございます。そのうちの一つにこの核兵器に対する三原則がある、かように御了承いただきます。
  5. 柳田秀一

    柳田委員 倉石農林大臣、あなたは、昨日の閣議のあとで、院内記者会見を行なわれましたか、行なわれた事実がございますか。行なわれたか行なわれないか、それだけを……。
  6. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 記者会見いたしました。
  7. 柳田秀一

    柳田委員 昨日、倉石農林大臣は、閣議終了後、午前九時半から約三十分にわたって、院内農林省記者会見を行なわれました。その席での倉石農林大臣発言は、おおむね次のようでございます。これは本日の日刊紙に載っておるのを、私は、事、重大でありますから、全文読み上げます。  見出しは、「日本はメカケ同然」次の見出しは「原爆・30万の軍隊を」こういうことになっています。  “プエブロ事件”以来の緊張で日本海西方海域で出漁する漁船の安全が脅かされるようになったため、政府は六日までに米ソ両国に対して「日本漁船安全操業について留意してほしい」注意を喚起した。倉石農相は六日閣議後の記者会見で、この問題に触れ「土足庭さきにふみ込まれているのに水産庁長官からおそるおそる申し入れなどやっているようでは話にならない。軍備大砲を持たなければだめだ」と強硬な軍備拡張論をぶって注目を集めた。  これがニュースであります。  「同農相発言要旨次の通り。」——これからが農林大臣発言要旨であります。   一、日本海での漁船安全操業についてはきょうの閣議発言する時間はなかったが、なにしろ軍艦大砲背景に持たなければだめだ。他国の誠意と信義に信頼している憲法他力本願だ。右のほおを打たれたら左のほおも出してやるということではいまの世界では生きてゆけない。   一、土足で庭先に踏み込まれているのに水産庁長官からおそるおそる申し入れなんかやっているようではだめだ。佐藤首相も”平和憲法”をいっているけれど腹のなかではくすぐったいだろう。こんなばかばかしい憲法を持っている日本はメカケみたいなもので自立する根拠がない。自分の国は守っていかねばならない。他人のお情で生きている。われわれはよいとしてあとからくる若い人のためいまのうちに立て直さなければいけない。   同農相はあっけにとられる記者団に「これに比べれば米価審議会なんて吹けば飛ぶようなケチなものだ」と気勢をあげ、最後に「日本原爆を持って三十万人の軍隊でもあったら……」といいかけて開会の迫った衆院予算委員会出席のため席を立った。  以上が日刊紙の伝うるところによる倉石農林大臣発言要旨であります。事は重大でありまするがゆえに、私ほこれから二、三農林大臣にただしたいと思います。  この新聞記事は、ひとりこの日刊紙のみならず、昨夜のTBSテレビもこれを取り上げております。また大同小異のことは本日の各紙もこれを取り上げております。農林大臣、この発言に対して責任を持たれますか。
  8. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 お答えいたします。  事柄が昨日のことでありますから、私はきわめて記憶は明らかだと思いますが、ただいまお読み聞けの中には、だいぶ誇張と粉飾があるようでありまして、私の真意を伝えておりません。  昨日、内閣閣議が済みましてから、衆議院の食堂において行なわれておりました記者会見に臨みましたが、私の所管の農林関係事項がありませんでしたので、きょうは何にもありませんでしたと……。しかし、いつもあの食堂でやる記者会見には、ミカンコーヒーも出ておりますので、まだ時計を見たら予算委員会の始まる前でありましたので、例によって雑談をいたしておったわけであります。  そこへ水産庁長官が、報告の事項がありまして、ちょっと顔を出したのを見て、ある一人の記者が、日本海のことについてはどうなりましたかということでしたから、農林省は、外交ルートを通じて、ロシアアメリカそれから韓国、この三カ国に向かって申し入れをいたしておる、こういうことを申したのでありますが、そのときに私はこういうことを申しました。  大体私は農林大臣になる前からたいへんふがいなく思っておりますのは——終戦後のわが国においては、昔はかってなかったような、北方においても南方においても、あるいは李承晩ラインというようなものをきめられて、そうしてその中に入るものは、わが国漁船がどんどん拿捕されるというような、国益を侵害されておるようなことについて、軍事力を伴わない国の外交というものには限度があるんだなあと私は思っておりました。そのときに私が——柳田さんも御承知のように、われわれが青年時代に、国際連盟というものがありました時代に、チェコスロバキアのベネシュという有名な外務大臣がありまして、かなり大国を手玉にはとりましたけれども、やっぱりそのバックがチェコという国であるので、彼の手腕にも限界があった。したがって、いま国際連合の中でも、大国といわれるのはアメリカであり、ソビエトロシアであり、そういう国々が大国と常にいわれておるのだ、われわれはそういうことを考えてみると、いま申しましたように、軍事力の伴わない国家外交というものは世界歴史の上においてやっぱり限界があるんだなあと、こういうふうにも思い、そのようにも話しました。  しかし、そこで、いまお話の中にありました憲法でございますが、たとえば、日本憲法でも、先ほど柳田さんのお話しのございましたように、憲法の前文には、「平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と、こう書いてあります。つまり、このわれわれの持っておる憲法を守ってまいりますためには、その前段において、諸外国の公正と信義が守られるということが前提である。そこで私は申したのでありますが、たとえば親鸞上人の言われるような他力本願、またはキリストの教えのあるように、右のほおを打つ者あらば左のほおを打たせよという、そういうやり方も、人間としての人生哲学にはあるいはそういう考え方も成り立つかもしれないけれども国家の存立のためには、私どもは十分考えなければならないのではないだろうかと、こういうことを申しました。  そこで、いまの世の中は、私どもが働く、われわれのしかばねを越えて将来日本民族の発展のために日本をリードされるのは、あなた方若いインテリゲンチアなんだから、しっかり勉強してくれよ、こういうことを言って食堂を退出したわけでありまして、私は原爆云々とか三十万とかなんとか、そういうことを申したわけではありませんが、いまのような大事な国政審議の途中で、内閣に席を持っております者が、たとえ会見後の雑談でお茶飲み話でありましても、とかく物議をかもすような御心配をおかけいたしましたことは、私はまことに恐縮に存じておる次第でございます。それが私の真意でございます。
  9. 柳田秀一

    柳田委員 私は国会議員として、この予算委員会の席上で、あえて宗教論哲学を論じようとするものではありません。われわれは憲法に基づいて、憲法のもとで予算案を審議し、法律案を審議するためにこの国会に出てきておるのであります。たとえその席にコーヒーが出ようと、お茶が出ようと、ミカンが出ようと、いやしくも国会議事堂の中の発言であり、同時に、一倉石忠雄でなしに、農林大臣としての発言であり、また公式な記者会見発言であります。私が、たとえ質問に名をかりても、もし倉石農林大臣発言を曲げて真実でないことをここで発言するならば、私は私の政治生命をかけましょう。あなたも男ならば、あなたも政治家ならば、あなたも閣僚ならば、義のあるところ火をも踏み、名のあるところ、男ならば、その名を惜しむならば、真実を語りなさい、ここでいまから。  この倉石農林大臣発言には重大なる点があります。第一に、ただいまの軍事力を伴わない外交には限度があると言われましたが、これは明らかに憲法否定精神です。日本憲法には、外交軍事力を伴ってはならぬとはっきり書いてある。軍艦大砲背景に持たなければだめだ、これは明らかに憲法第九条の否定であります。こんなばかばかしい憲法を持っておる日本はめかけみたいなものだ、これはまさに日本憲法否定し、日本国家を侮辱し、日本民族を侮辱するものであります。  また日本国憲法九十九条によれば、天皇、摂政、閣僚国会議員、裁判官その他の一般公務員は、憲法を順守し、これを守る義務がはっきり明記されてある。九十九条の違反でもあります。しかも、佐藤総理生命をかけてでもと言った非核原則を踏みにじって、原爆を持ち、三十万人の軍隊を持たなければならぬとは何事ですか。このようなことが、かりそめにもお茶飲み話であったにしろ、あなたの私邸でやったのではない。サロンでやったのでもない。雑談でもない。公式の記者会見でなさるとは私はあなたの常識を疑い、むしろ正気のさたでないと言いたいのであります。しかし、国会ではそれだけでは済まされない。このような農林大臣は当然私は国会責任を負うべきだと思いますが、あなたは自分の言動に対する責任をどうお考えになるか、ここで率直に明らかにしていただきたい。
  10. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、私が記者会見後の雑談のときに申しましたことに全く記憶のないことがたくさん書かれておるのでありまして、私が申しました趣旨先ほど申し上げましたとおりであります。したがって、そういうことで物議をかもしましたことについてはまことに遺憾でございます。   〔「雑談じゃないよ」と呼び、その他発言する者あり〕
  11. 柳田秀一

    柳田委員 先ほど私が申しましたように、あなたは昨日の閣議後の農林大臣としての資格においての発言であります。しかも、そこには水産庁長官以下、政府の役人も同席しておりました。雑談サロンのお茶飲み話では済まされない問題であります。あなたがこのような発言をされたのを私は昨日の夕刻、立ち会った、そのとき取材した記者から正確にここに筆記をいたしました。この筆記といま読み上げた新聞記事とはほとんど同じ字句でつづられております。一人の新聞記者ではありません。そのときは農林省記者クラブが同席しております。私が言いましたように、もし私が真実でないことをあなたに言うならば、私を懲罰委員会にかけなさい。あなたの言は昨日のことだが、もう忘れたとか真実でないと言うなら、どことどこが真実でないか、いまここではっきりとおっしゃってください。
  12. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私が申したいと思って申しましたことは、先ほど申し上げましたとおりでありまして、私の記憶にはそのほかにはございませんです。   〔発言する者あり〕
  13. 柳田秀一

    柳田委員 私も自分政治家としての良識と信念と良心に従ってここで発言しております。したがって、私が読み上げたこの記事、これが誤りあるならば、どこが真実でなかったか、あなたはここではっきりとおっしゃってください、こう言っているんです。
  14. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いろいろなことが出たようでありますけれども、私が覚えておりますことは、先ほど申し上げましたのが私の真意で申し上げましたことでありまして、そのほかには記憶はないわけでございます。
  15. 柳田秀一

    柳田委員 いま私がここで読み上げたことに対して、一々具体的に、この点は真実でないと反論もできずに、ただ、いまのような抽象的なことばでこれを過ごすほどこの問題はそのような単純な問題ではありません。日本国憲法基本精神に触れる重大な問題です。ただいまの倉石農林大臣の、ただこの場を糊塗すればいいというような、その場のがれの言辞、あるいはまた、きのうの記者会見、何たる不見識、何たる不謹慎ですか。私はこのような閣僚佐藤内閣の中におることに対して憤りと悲しみを感じます。佐藤内閣の綱紀が弛緩しておる。閣内が不統一である。佐藤総理、この責任はどうとりますか。
  16. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 柳田君からいろいろただいまの事件についてお話がございました。私は先ほど来、倉石農林大臣お答えしたことを実は信じておりますが、しかしこの問題につきましては、いまこの席でどうこうという問題ではない、かように私思いますので、ただいまお話のありました点については、なお私が十分調べてみることにいたします。   〔発言する者あり〕
  17. 柳田秀一

    柳田委員 天皇治下帝国憲法のときならば、このような問題が起こったならば直ちに閣議を開いて、いわゆる闕下に骸骨を請うというのが憲政の常道であったと思う。今日、主権者天皇から国民に移っても、私は責任ある内閣のとるべき態度は同じだと思うのであります。いま総理大臣は、いま直ちに結論が出せないとおっしゃるならば、すみやかに臨時閣議を開いて、内閣統一見解を出してきなさい。少なくともその統一見解が出るまで、また、このような不謹慎な、このような憲法否定するような大臣の同席するところでは、憲法のもとにおけるところの重大なる予算審議は、とうていわれわれは続行するわけにはまいりません。(拍手)至急に佐藤総理臨時閣議を開き、本問題に対する統一見解を出し、同時に、あわせて倉石農林大臣責任国会に明らかにざれたいと思います。でなければ、われわれはこのようなふまじめな、不謹慎なもとにおけるところの国政審議にはとうてい良心を持って続けることはできぬことを、私はここにはっきり日本社会党の名においてあなたに申し上げておきます。(拍手
  18. 井出一太郎

    井出委員長 次に、佐々木良作君。
  19. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 ただいまの同僚の柳田君の質問に関連をいたしながら、民社党を代表いたしまして、私も一、二同じ問題について質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、きわめて簡単にお答えを願いたいと思いますが、官房長官にお伺いをいたします。  昨日の閣議におきまして、農林大臣からこの問題について、特に日本海における漁船の安全の操業を脅かされることがないようにするために、アメリカソ連に対して外務省を通じて申し入れをすべきである、こういう提案がなされたと聞いておりますが、そのような事実がありましたかいなか、お答えをいただきたいと思います。
  20. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 当日の閣議ではそういうことはございません。
  21. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 昨日私は同様な問題に対しまして、御承知のように、いま日本海問題の一番中心が香住という港でございます。そことの連絡をとりながら、農林省中心機関でありますところの水産庁長官並びに海上保安の任に当たっておられますところの海上保安庁長官、両方に内容の措置を確かめました。その際に、水産庁からの趣旨では、農林大臣を通じてこの問題について外務省からソ連アメリカ両国に対して、日本漁船操業を脅かすことがないように厳重な申し入れをする、こういう措置をとろう、こういうことであったようでございますが、そのような相談はなかったということですか。重ねてお答えをいただきたいと思います。
  22. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 私から水産庁長官に、日本海における漁船安全操業についてどういう措置をとっておるかという質問をいたしました。その際、すでに農林大臣の指示を受けまして水産庁におきましては外務省を通じて米、ソ、韓、三国に対して漁船保護に対して十分な措置をとってくれるように申し出をしておりました。その事実があるわけです。
  23. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 申し出は厳重に行なわれておるとそれでは了解をいたします。  そこで、次いで今度は海上保安庁長官関係であります運輸大臣にお伺いをいたしたいと思います。  保安庁長官の私への説明によりますと、全力をあげてパトロールを行なっておるということでございますが、これで十分であるとお考えになっておるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 海上保安庁では、先週の半ばアメリカ航空母艦日本海へ入りまして網を切りました。そのときから直ちに指令を出しまして、日本漁船保護するということ、漁業権保護するということ、それから紛争には介入しない、それから海上衝突予防法における日本側の指示すべき事項、たとえばあかりをつけるとか、そういう問題についても漁船その他に注意を喚起して手配をいたす、と同時に水産庁及び関係各省相談をして、アメリカその他の関係各国日本側の権益を守るように至急相談しろ、そういうふうに指示いたしまして、それから直ちに約三隻の海上保安庁の船をもって日本漁船保護その他に当たっておるわけであります。第七管区、第八管区を総動員いたしまして現在やっておりますが、現在の情勢では、海上保安庁の力のかげんからいたしまして、現状程度でやむを得ないと考えております。
  25. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 重ねて運輸大臣に一言だけお答えいただきたいと思いますが、そのような巡視船による保護だけで十分だとお考えになっておりますか、相当不安を感じておられますか。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 現状ではそれほど不安を感ずる状態ではないと思います。
  27. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 必ずしも十分ではないけれども、やむを得ざる措置としてこの辺でやむなかろうというふうに私は判断をいたしますが、そこで農林大臣お答えをいただきたいと思います。  農林大臣は、先ほど来の柳田君との発言の中においてもわかりまするように、いまの日本海の中における日本漁船操業に対しては、巡視船数隻の保護だけでは不安を感じておられるから私は発言されたのであろうと思いますが、御所見を簡単にひとつお答えいただきたいと思います。いまでだいじょうぶか、だいじょぶでないか。
  28. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 調査いたしますと隻数が非常に多いのでありまして、それを全体が、どの海域でどういうものが作業しておるかということを、実はなかなか水産庁においても把握しがたいのであります。そこでおびえて出ないようなことがあってはなりませんので、外務省を通じて注意を喚起いたしておるわけでありますが、はたして海上保安庁の準備だけで十分であるかどうかということについては、なかなか事実を把握することは困難な模様でございます。
  29. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 御承知のようにいまあの日本海域はカニ漁のまつ最中であります。したがって、漁民は不安を感じながらも堂々に全出漁の体制を整えております。したがいまして、水産庁をはじめといたしまして、農林当局は必ず私は相当な不安を禁じ得ない状態でなかろうかと思います。したがって、その農民あるいは漁民に対する愛情が、つい倉石さんのほんとうの腹からの話になって出たような気がするわけであります。  したがいまして、私は重ねて今度は総理大臣にお伺いをいたします。いまお聞きのように、巡視船によっての安全のための保護は力一ぱいやっておる、そしてそれに対する不安は決して解消をいたしておらない、農林当局自身はなお不安を最も強く感じておる、こういう状況だと存じます。しかし、それはそれといたしまして、そこで今度は先ほど柳田君の意見に私は戻るわけでありますが、その状態に際しまして、先ほど倉石さんは憲法の前文を参照にされまして、公正と信義が国際間に守られることが前提になって初めて日本国の、言うならば戦争放棄の憲法ができておるのだ、ところが守られないような状況ではという、いまの次の話がつい口を出た、こういうことだろうと私は思います。  そこで私は重ねてお伺いいたしたいのでありまするが、それに対する所見をお伺いする前に、いま漁民に対して不安を与えており、農林大臣自身が不安に感じておられる原因になっておりまするものは、アメリカ第七艦隊でございます。アメリカ第七艦隊でございます。アメリカ第七艦隊の渦巻きの中でいま安全操業が不安にさらされておることは御存じのとおりでございます。国際的な信義とそれから公正が保たれることが前提としての憲法法規という考え方に立った場合に、あなたは御承知のように、私も同様でございますけれども、日米友好関係は続けたいと思うが、その一番根底がゆり動かされておる、この状態についての御所見をお伺いいたしたいと思います。
  30. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 御承知のように公海上の問題でございます。そこで、それぞれの国がそれぞれの権利を行使しておる、こういうことであります。したがって、私、ただいまプエブロ号事件が起きたこと自身が、ただいまのような緊張感を惹起さしておるのであります。一日も早くこれが平和的に解決されること、これに最善を尽くしておるというのが日本政府態度でございます。この点はもうしばしば申し上げましたので、いま重ねては申し上げませんが、まあ最近におきましてこれが激発しないような方向でただいま解決の努力がされておること、その点では私は非常に喜んでおる、期待をかけておる。そこで、ただいま海上保安庁、その責任者である運輸大臣はとにかく最善を尽くし、現状においてはまあこれでというような感じを持っておるということであります。ただ、まだ農林大臣のほうから見れば多数の漁船が出ておる、そしてその地域も非常に広い範囲になっておる、したがって、私は漁民のことも考えるとたいへん心配にたえないのだ、こういうようなことでございます。私はそのいずれもの大臣がそれぞれの職場において最善を尽くしておる、かように考えております。ただいま憲法論議が出ておりますが、事柄はやはり公海上の問題でございますから、それぞれの国がそれぞれの権利のあること、これは前提として認めざるを得ない、かように思っております。
  31. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 農林大臣に重ねてお伺いいたしたいと思いますが、先ほど柳田君にお答えいただきましたように、公正と信義が守られておることが前提である、いまその不安を与えておるものが第七艦隊であることは御否定できないだろうと思いますが、お変わりありませんか。
  32. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私が、憲法の話が出ましたのは、現実の問題について連想しながら申したわけではありませんで、つまり若い記者諸君がわれわれのあとを継いでこれから日本をしょって立つのだ、あなた方にかかっていく大きな問題だからしっかり勉強しなさいよというような意味で憲法論が出たわけでありまして、この日本海のただいまの案件を念頭に置きながら申したわけではありませんので、それとあまり関係を持っておらないわけであります。
  33. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 御承知のように同僚の中でもソ連艦隊がどうのこうのという話がありますけれども、香住の漁港を中心とした日本海においていま漁業の安全操業を脅かされておるものは、第七艦隊であります。その第七艦隊にくっついてソ連がおるかおらないか知ったことではない。現実にひっかかっておるのはアメリカ艦隊でありますから、その点ははっきりと了承していただきたいと思います。  それからあわせて、今度はひとつ自衛隊の大将さん、増田さんにお伺いいたします。  御承知のように、いまのように農林大臣ははなはだ不安を感じておられますけれども、あなたは不安を感じておられますか、おられませんか。
  34. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 私どもは、自衛隊本然の仕事を一生懸命やっておるわけでございまして、自衛隊といたしましては、舞鶴に御承知のとおり地方隊がございまするが、何ら出動はいたしておりません。漁業方面が不安を感じておるということは、これは事実でございましょうが、自衛隊自身といたしましては、いまのところ一生懸命訓練をいたしておる、こういうわけでございます。
  35. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 総理にお伺いをいたします。   〔発言する者あり〕
  36. 井出一太郎

    井出委員長 静粛に願います。
  37. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 総理にお伺いをいたします。  自衛隊関係は訓練中でありまして、日本海の荒波に対しては無関心のようでございます。巡視船関係運輸大臣は、全力をあげて、この安全のために、保とうとしておるけれども、力不足を訴えておられるようであります。農林大臣は相当に業を煮やして、これではとてもだめだから、憲法をじゅうりんしても、何とか措置をとらなければならないと強弁をされておるようであります。総理大臣、まさに内閣は完全不一致だと私は考えます。完全不一致だと考えます。自衛隊関係は訓練でもって、日本海関係はわしは知らぬ。当然の一番責任者でありますところの農林大臣は、不安この上ない。そしていま一生懸命保とうとしている、安全操業をしようとしておるところの運輸省は手一ぱいだ。それで、閣議でも相談をしておるのかおらないのかわけのわからぬ状態である。私はそのような状態で、この問題は、日本の国が一本になって、基本的に日本の国を守ったり、安全操業したりという状態には決してなり得ないと思います。先ほど柳田君の質問に対しまして、総理はそのような農林大臣発言に対する措置については、十分調査をした上で云々というお話がございました。私はいま申し上げましたように、おのおのいま答弁をいただいた各閣僚の意見が完全に違っておることは事実だと思います。この違っておることを、はっきりとみんなの前で発言されたのでございまするから、御所見をいただきたいと思います。私は、必要があるならば、先ほど柳田君がお話ししたと同じように、なるべくすみやかなときに、はっきりと閣議をまとめて、そして国民に対して、はっきりとした措置をとられんことを要望するものであります。
  38. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 内閣統一だとかいうようなお話が出ておりますが、そういうことはございません。基本……(発言する者あり)ちょっと静かに聞いてください。基本的な態度は、私が申しましたように、日本海が波静かな海であるように、かように思っているのです。ただいまのプエブロ号事件、これが平和的に解決されることを心から願い、そうして努力をしておるというのが現状でございます。しかし私どもの仕事を見ますると、それぞれ、この日本海におきまして漁業をし、あるいはその他いろいろ航行もしている、こういうような実情でございます。したがいまして、これが漁業が平和のうちに操業できる、あるいはまた航行が安全である、こういうようなことも私どものねらいでありますから、そういう意味で、運輸大臣といたしましては航行の安全や、さらに操業の安全について最善の努力をするというたてまえでありますし、また農林大臣自身は、多数の漁船が出ている、その漁船が、全部が安全に操業ができるだろうか、万一事故が起こらないだろうかと、すでにエンタープライズがその網綱を切った、こういうような事件も起きておるから、さぞ漁民が困っているだろう、こう言って農林大臣が心配するのは、これは当然であります。私はこういうことがあってしかるべきことだと思います。また、ただいま言われますように、防衛庁長官が自衛隊を飛ばしてそこまで守れというような、そういうお話ではないと思いますけれども、何かそういうような意見もあるように聞けますが、私は、こういう際こそ、日本の自衛隊は静かにしていないと、こういろ問題に巻き込まれたらたいへんだと思う。そういうことを考えますと、それぞれの大臣がそれぞれの立場において、自分たちのやっておること並びに自分たちの関心事をそのまま率直に申すこと、これは私、内閣統一でも全然ない。これこそよく理解していただいて、佐藤内閣ほんとにびっしり一本だ、かように御理解をいただきまして、御安心いただくように、国民の皆さんにお願いをしておきます。
  39. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 時間がございませんから、これで終わりにいたしますが、佐藤総理の強弁にもかかわらず、私は、私だけでなしに、この委員会をテレビ等を通じて聞いておられる国民の各位は、決して安心をされておらないと思います。決して安心はされておらないと思います。現に、いまお話がありましたように、農林大臣自身不安で不安でしょうがないことは、漁民の不安でしょうがないことをまたそのまま如実にあらわしておるものでもあります。しかもそれにもかかわらず、巡視船の問題はいまの手一ぱいの問題である。したがって、私は先ほど申し上げましたような意味で、決していま自衛隊に出ろとかいうようなことを言っておるのじゃございませんですよ。そうではなくて、この問題をごまかさずに、閣議の中で十分相談をして、そして閣内を統一した形で措置をとらるべきだと私は思う。内閣一致した措置をとらるべきだと思います。巡視船巡視船で、だいじょうぶだと言う、農林大臣は、心配でしょうがないと言う、それからいまの自衛隊のほうは、おれは知らぬと言って、巻き添え食わぬように逃げ回っているという、総理大臣だけがそれを継ぎはぎをされましても、決して国民はそれで安心なと、こうは感ぜられないと思います。私は繰り返して、内閣におきまして、この問題に対して、先ほど倉石さんの発言措置も含め、この問題に対する基本的な内閣の方針を直ちに立てて、内閣一致してこの問題に当たられることを要望いたしまして、質問を終わります。
  40. 井出一太郎

  41. 正木良明

    正木委員 国家の基本に属する憲法の問題について、それをじゅうりんするような発言があった、こういう報道がございましたので、私は公明党を代表して、総理以下、閣僚の皆さん方に御質問を申し上げたいと思います。  最初、柳田委員が、新聞に報道ざれた記事を取り上げて、その真偽を確かめましたが、倉石農林大臣は、これを記憶がないというような、まことに、私がかねて倉石農林大臣に抱いておる尊敬、そのイメージをこわすようなお話がございましたので、私はここで重ねて、非常に重要な問題でありますので、柳田委員が読み上げましたその新聞記事をもう一度読み上げてみます。  「“プエブロ事件”以来の緊張で日本海西方海域で出漁する漁船の安全が脅かされるようになったため、政府は六日までに米ソ両国に対して「日本漁船安全操業について留意してほしい」と注意を喚起した。倉石農相は六日閣議後の記者会見で、この問題に触れ「土足庭さきにふみ込まれているのに水産庁長官からおそるおそる申し入れなどやっているようでは話にならない。軍備大砲を持たなければだめだ」と強硬な軍備拡張論をぶって注目を集めた。そうしてその次に、「同農相発言要旨次の通り。」といたしまして、「一、日本海での漁船安全操業についてはきょうの閣議発言する時間はなかったが、なにしろ軍艦大砲背景に持たなければだめだ。他国の誠意と信義に信頼している憲法他力本願だ。右のほおを打たれたら左のほおも出してやるということではいまの世界では生きてゆけない。一、土足で庭先に踏み込まれているのに水産庁長官からおそるおそる申し入れなんかやっているようではだめだ。佐藤首相も“平和憲法”をいっているけれど腹のなかではくすぐったいだろう。こんなばかばかしい憲法を持っている」——いいですか、「こんなばかばかしい憲法を持っている日本はメカケみたいなもので自立する根拠がない。自分の国は守っていかねばならない。他人のお情で生きている。われわれはよいとしてあとからくる若い人のためいまのうちに立て直さなければいけない。同農相はあっけにとられる記者団に「これに比べれば米価審議会なんて吹けば飛ぶようなケチなものだ」と気勢をあげ、最後に「日本原爆を持って三十万人の軍隊でもあったら……」といいかけて開会の迫った衆院予算委員会出席のため席を立った。」——先ほど質問で、御記憶が薄れておるような印象を私は受けましたので、再びこの新聞記事を読み上げて、御記憶をさましていただくようにしたわけでありますが、重ねて倉石農林大臣にお尋ねをいたしますが、このことについて何ら御記憶はありませんか。言った覚えはありませんか。これはこの新聞社一紙ではなくて、各社が同様趣旨のものを報道をいたしておりますが、あなたの記憶をもう一度呼びさまして、ここで、この予算委員会ではっきりとあなたの記者会見におけるところのお話をおっしゃっていただきたいと思います。
  42. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 記者会見ではありませんで、記者会見後の雑談であるということを先ほど申し上げました。もう一つは、私が申しましたことは、先ほど私がここで柳田さんの御質問お答えいたしましたとおりでありまして、だいぶそれには尾ひれがついているのではないかと存じます。私が申しました気持ちも、先ほどここで申し上げましたとおりであります。
  43. 正木良明

    正木委員 重ねてお伺いをいたしますが、ただいまの答弁の中で、だいぶ尾ひれがついて報道されているようだというお話でございましたが、しからば、あなたがおっしゃったのは、どういうことをおっしゃって、新聞報道にはどのような尾ひれがついたのか、はっきりしていただきたい。
  44. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私が申しましたのは、先ほどここで柳田さんに申し上げましたとおりであります。
  45. 正木良明

    正木委員 重ねてお伺いいたします。  先ほど柳田委員にあなたはお答えになったとおっしゃったが、柳田委員がお尋ねになったことと私が尋ねたこととは違います。どこに尾ひれがついておるのかということを私は聞いている。それをはっきりしていただきましょう。
  46. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私が記者会見のあとで申しましたことは、先ほど柳田さんにお答えいたしたとおりでございます。その他いろいろなことは、これは私は記憶がございません、こういうふうにお答えいたしたわけであります。
  47. 正木良明

    正木委員 私は、一カ月も二カ月も前の記者会見後の話であるならば、そのような記憶間違いというか、いわゆる記憶がないというようなことも通るかもわからないが、きのうのことです。それが、あなたの記憶がないなんということは、私はどうしても考えられない。  そこで、私は外務大臣にお聞きしたいが、あなたはかねがね平和外交ということを主張なさっております。ところが、倉石農林大臣考え方によると、これはもう明らかにどうかつ外交をやらなければ日本の国の自立は保てないし、またひいては安全操業さえ確保することができない。いわゆる大砲軍艦や爆弾を背後にしなければ、日本の自立を全うする外交は展開できないというような言辞が出されているのでありますが、この点について、三木外務大臣、あなたの外交の方針について、ここではっきりとしていただきたいと思います。
  48. 三木武夫

    ○三木国務大臣 倉石君の発言、そういうことは言ったとも思えませんが、とにかく現在の世界で、軍事力が一つの力の要素になっておることは否定できません。しかし、日本はそういう軍事力によらないで国を立てていこうというのが平和憲法精神ですから、やはりそういう一つの力による、力の外交でなくして、道義とかその他、力でない面から日本の国の今後の方針を立てていこうということが、日本のこれからの道だと私は確信をいたしております。
  49. 正木良明

    正木委員 このように、外務大臣はどうかつ外交はやらない、平和外交をやろうというような御趣旨のような答弁があった。しかし私たちが新聞承知した倉石農林大臣お話というものは、それと全く逆のことであります。したがいまして、これはどうしても倉石農林大臣発言について、先ほどあなたが尾ひれだとおっしゃったが、尾ひれがついて報道されたとおっしゃったが、このことについて、一つ一つ尾ひれについて確かめますから、答えてください。  この新聞によりますと、「日本海での漁船安全操業についてはきょうの閣議発言する時間はなかったが、なにしろ軍艦大砲背景に持たなければだめだ。」これはどうかつ外交をあなたは是認しておる。この点について、あなたはこのように思ったことがあるのか、発言したことがあるのか、はっきりとしていただきたい。
  50. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまお読み聞けのようなことばづかいで私は申しておりません。私が申しましたことは、古来歴史を見れば、やはり軍事力というものが外交のうしろだてになければどうもうまくいかぬもんだなと、つまりそこでチェコスロバキアのベネシュの活躍のことについて私は思いながら、話しておったということを、先ほど御報告いたしました。したがって、これからわが国がどうするとかなんとかいうことじゃなくて、私の感触によれば、やはり外交というものはそういうものじゃないだろうかという意味のことでございます。   〔発言する者あり〕
  51. 井出一太郎

    井出委員長 発言が明瞭に聴取できませんので、静粛に願います。
  52. 正木良明

    正木委員 私はそういうことも万事承知の上で、われわれはあの大なる損害を受けた、また日本を暗黒の底に突き落とした戦争の経験から、再び銃をとるまい、再び戦争に巻き込まれまいというので、私たちは平和憲法を支持している。あなたはいまだに昔の夢を追って、そのような力を背景とした外交でなければならないというような考え方がやっぱりあなたの腹の底にある。そういうところが明らかに問題であって、三木外務大臣はそのようなことはないとおっしゃっておりますが、そういう点についての閣内におけるところの考え方の違い、こういうものが日本を危うくするのではないかと私は思うのであります。総理大臣非核原則を誇らかに国民の前に訴えられた。これは私はまことにけっこうなことであるし、尊敬に値することであると思います。同時にまた、しかしその反面、あなたは核アレルギー解消論や国防教育等において、何かしら私たちが直接はだに感じるのは、あなたの右傾化という問題であります。そういう再軍備への道ということが私たちに感じられるのと軌を同じくして、倉石農林大臣のこのような発言があったことは、私たちは決して偶然ではないと、このように考えておるわけであります。  したがいまして、あまり時間がありませんのでこまかくは申し上げられませんが、最後に、内閣総理大臣がどのように考えておられるのか、この倉石農林大臣発言についてあなたはどのように考えていらっしゃるのか、ここではっきりとあなたのお考えを承りたいと思います。
  53. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 農林大臣がどういう考え方を持っておるか、いずれ先ほど申しますようによく伺うつもりでおりますが、多数の漁民の世話をしなければならない、こういう立場にある農林大臣安全操業についてたいへん心配しておる、このことは私は当然のことだと思います。これは私、農林大臣が心配しておることを高く評価してしかるべきじゃないかと思います。  その他の発言等につきましては、私はこの機会にこの席で申し上げることを差し控えさせていただきます。
  54. 正木良明

    正木委員 なるほど、漁船安全操業について御心配なさるのは、むしろ倉石農林大臣の職分であります。それは全うしなければならぬ。しかし、それをやるのに、背後に軍事力がなければ、力を持った形でなければそのあなたの職分を果たすことができない、このようにあなたはおっしゃっておる。そのことについてわれわれは、憲法をじゅうりんし、再軍備を進めていこうとするあなたの考え方に非常な危険なものを感じるから、わざわざ貴重な予算委員会の時間をさいてこのように質問をしているのです。私は、この問題を、単なるそういう記憶が薄れております。忘れておりますというような、あなたの便々たる答弁で満足するわけにはいきません。したがいまして、先ほど柳田委員も主張いたしましたように、佐藤総理大臣は、どうかこの問題について臨時閣議を開いて、そうしてすべからく閣内の意見を統一して、統一された見解をはっきりと国民の前に発表していただきたいと思うのであります。(拍手)私どもは、憲法第九十九条におけるところの憲法擁護の義務を負っているがゆえに、このことをあなたに強調するわけであります。  以上をもって私の質問を終わりたいと思います。
  55. 井出一太郎

    井出委員長 この際、中澤茂一君から発言を求められております。これを許します。中澤君。
  56. 中澤茂一

    ○中澤委員 本問題は、重大な政府政治問題であるがゆえに、総理も三党の意思を尊重し、善処されたい。  同時に、委員長におかれては、委員会を休憩し、直ちに理事会を招集されんことを望みます。
  57. 井出一太郎

    井出委員長 この際、暫時休憩いたします。    午前十一時三十五分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕