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1968-05-16 第58回国会 衆議院 本会議 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十六日(木曜日)     —————————————  議事日程 第二十五号   昭和四十三年五月十六日     午後二時開議  第一 日本国ニュー・ジーランドとの間の漁   業に関する協定締結について承認を求める   の件  第二 メキシコ合衆国領海に接続する水域に   おける日本国船舶による漁業に関する日本   国とメキシコ合衆国との間の協定締結につ   いて承認を求めるの件  第三 農林省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第四 砂利採取法案内閣提出)  第五 電気用品取締法の一部を改正する法律案   (内閣提出参議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  田中国務大臣昭和四十三年十勝沖地震被害   状況についての発言  鍋島国務大臣原子力潜水艦佐世保入港に伴   う放射能調査についての発言及び質疑  田中国務大臣の去る四月二十五日の本会議にお   ける答弁に関して訂正の発言  日程第一 日本国ニュー・ジーランドとの間   の漁業に関する協定締結について承認を求   めるの件  日程第二 メキシコ合衆国領海に接続する水   域における日本国船舶による漁業に関する   日本国メキシコ合衆国との聞の協定締結   について承認を求めるの件  日程第三 農林省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第四 砂利採取法案内閣提出)  日程第五 電気用品取締法の一部を改正する法   律案内閣提出参議院送付)  理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案   (社会労働委員長提出)  原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律   案(内閣提出)  社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案   (内閣提出参議院送付)  小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置   等に関する法律案内閣提出)    午後四時六分開議
  2. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  田中国務大臣昭和四十三年十勝沖地震被害状況についての発言
  3. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 田中国務大臣から、昭和四十三年十勝沖地震被害状況について発言を求められております。これを許します。国務大臣田中龍夫君。   〔国務大臣田中龍夫登壇
  4. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 昭和四十三年十勝沖地震被害状況につきまして、御報告を申し上げます。  まず最初に、今回の震災によりまして、不幸にもおなくなりになられました多数の方々に対しまして、つつしんで哀悼の意を表しますとともに、お気の毒にも罹災されました方々には、政府といたしましてでき得る限りのことをいたし、一日も早く立ち直っていただけまするように努力をいたす所存でございます。  まず、被害状況とそれに対する政府対策につきまして御説明を申し上げます。  昭和四十三年五月十六日午前九時四十九分ごろ、北海道東北地方を中心に中国地方にまで感じたほどのかなりの地震がありました。  震源地は、十勝沖で、海底の深さ四十キロメートルと推定せられ、そのマグニチュードは七・八でありました。各地の震度は、苫小牧で六の烈震、浦河、函館、広尾、八戸、盛岡で五の強震でございます。  この地震によりまして、津波の発生が心配されまして、厳重な警戒を行なったのでありまするが、現在までに、宮古で二メートル以上、八戸で一メートル二十六センチ、大船渡で一メートル四センチ、函館で七十二センチ等の観測をいたしております。  この地震によりまする被害は、北海道、青森県、岩手県、宮城県に及びまして、通信線の故障などのためにまだ全貌は明らかにせられておりませんが、現在までのところ、死者十四人、行くえ不明十人、負傷二十三名、家屋全壊八十三棟、半壊十七棟と相なっております。  政府といたしましては、この十勝沖地震非常災害対策本部を設置いたしまするとともに、至急政府調査団現地に派遣することといたしておるような次第でございます。  以上、御報告をいたします。(拍手)      ————◇—————  鍋島国務大臣原子力潜水艦佐世保入港に   伴う放射能調査についての発言
  5. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 鍋島国務大臣から、原子力潜水艦佐世保入港に伴う放射能調査について発言を求められております。これを許します。国務大臣鍋島直紹君。   〔国務大臣鍋島直紹君登壇
  6. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 米国原子力潜水艦ソードフィッシュ号佐世保寄港時におきまする放射能調査問題につきまして御報告申し上げます。  同潜水艦は、五月二日朝、佐世保港に入港し、十一日、同港を出港いたしました。  五月二日の同艦入港直後に、通例により、モニタリングボートにより港内放射能調査を実施いたしましたが、平常時に変わらない測定値を得た次第でございます。五月六日朝、同じくモニタリングボートにより港内放射能調査を行なったところ、数個地点におきまして、平常時の十ないし二十倍の数値測定されました。  これに対しまして、科学技術庁は、直ちに再度の放射能調査を行なうよう現地に指示いたしますとともに、測定されました異常値原因調査するため、五月九日以降、専門家会議を開催し、現地から送られてきました記録データ検討を行ないましたが、その原因を分析するためには疑問の要素が多かったので、さらに詳細な調査を行なうため、三人の専門家から成る調査団を五月十日、現地に派遣いたしました。  十三日、専門家会議から中間報告を受けましたところによりますと、その後の放射能測定値には何ら異常なく、また測定機器も正常に作動し、その操作も正しいことが確認せられた次第でございます。また、放射能以外の電気的な原因によります影響可能性につきましても調査を行ないましたところ、これらがその測定器には影響を与えないということが判明した由であります。したがって、専門家会議の現段階の意見より見れば、今回の異常値放射能以外の原因によるものと見ることは困難であると考えられておるのが現状であります。  一方、米国側に対しましては、十三日、三木外務大臣から、安全保障協議委員会においてジョンソン日米国大使に対し、原因調査協力するよう要望し、アメリカ側もこれに対しその用意ある旨を答えておる次第でございます。  また、原子力委員会は、十四日臨時委員会を開きまして同委員会見解を取りまとめ、これを政府提出いたしました。これによりますと、今回の異常値人体実害を及ぼすものではないが、次のような三つの措置をとる必要があることを示しております。  第一は、原因究明はさらに調査検討すべきであり、その際、アメリカ側にも資料提供等を求めるなどの方法をとる必要があること。  第二に、原子力軍艦寄港時におきます放射能調査体制整備強化をはかる必要があること。  第三に、現在、異常値原因調査中であり、また調査体制整備強化をはかる必要がありますので、その間、原子力軍艦寄港が行なわれないよう善処すべきと考えること。以上三項目になっております。  今回の異常値は、いずれにいたしましても、人体実害を与えるほどのものではございませんが、政府といたしましては、この原子力委員会見解を尊重して、今後その原因究明放射能調査体制整備強化アメリカ側に対する所要の要請を行ないい安全性確保をはかり、国民の不安の除去につとめたいと考える次第でございます。  わが国の将来にとりまして、原子力平和利用は不可欠の要件でありまして、国をあげてこれにつとめなければなりませんが、安全性確保国民の正しい理解なくしては、とうていその推進は望み得ないものでありまして、政府としましては、これらの点に関しまして万遺憾なきを期したいと考えております。  以上、御報告を申し上げます。(拍手)      ————◇—————  原子力潜水艦佐世保入港に伴う放射能調査   についての発言に対する質疑
  7. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小宮山重四郎君。   〔小宮山重四郎登壇
  8. 小宮山重四郎

    小宮山重四郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま発言のありました米国原子力潜水艦佐世保寄港に伴う放射能調査について、総理をはじめ関係大臣質問をいたしたいと思います。  今回の事件は、国民の間で大きな関心事になっているのであります。さきに総理は、ジョンソン大使及びシャープ米太平洋軍司令官に対し、原因原子力潜水艦によるものでないということであれば、確証を示してほしいと発言されたそうでありますが、この問題が国民全体に大きな不安を巻き起こしている以上、総理米側に示したき然たる態度を受け継いで、私の質問に対しても、明快率直な答弁をもって、国民疑惑を一掃していただきたいと存ずる次第であります。(拍手)また、本件問題点を明らかにし、かつ、これに対する処理のしかたを明確にしておきませんと、今後のわが国米国との関係並びにわが国における原子力平和利用推進に関して大きな影響を及ぼすものと思います。私は、このため、以下本件問題点の所在を解明し、処理のしかた、今後の対策等について、二、三の質問を試みんとするものであります。  まず第一に、今回の調査においてあらわれた異常値は、ただいまの科学技術庁長官の御報告によりますと、専門家報告では、何らかの放射能以外の原因によるものと考えることは困難であるということでございますが、かりにこれが何らかの放射能によるものであるとした場合、たとえば、過去において起こりました、中共核爆発実験による放射性降下物人体に及ぼす影響等に比べますと、どの程度のものか、科学技術庁長官に伺いたい。  次に、本異常値が、はたして米国原子力潜水艦からの放射能によるものであるかどうかについては、十分なる調査が行なわれなければならないと思います。政府としては、いままでどのような調査を行なっておられるのか、承りたいと思います。私として考えますのに、相手が米国軍艦であることから、日本側資料、情報だけでは調査に限界がありはしないか。もしそうだといたしますと、米国側に対しまして、資料提供など、できるだけの協力を求めることが必要であると考えますが、この点についてはどのようになっておりますか。外務大臣及び科学技術庁長官に伺いたいのであります。  次に、米国原子力軍艦寄港につきましては、日米間の安全保障条約に基づいて、日本寄港が認められているものと承知いたしておりますが、しかし、一方、米国側においても、寄港に際して十分な安全性確保した上で、寄港するたてまえになっていると思います。したがって、安保体制によって日本の安全が確保されているのだということと、寄港する米国原子力軍艦安全性の問題とは、明確に区分して考える筋合いのものだと思います。すなわち、この観点からすれば、安全性云々をもって、安保体制そのものを否定するような議論は、筋違いのものであると考えます。(拍手)この点をはっきりさせた上で、次の点を総理にお伺いいたします。  すなわち、本異常値についての調査の期間中は、原子力潜水艦寄港については、米国側の慎重な配慮を望むべきだと思います。また、調査の結果、万一原子力潜水艦放射能によるものであるということが判明いたした場合には、今後の米国原子力艦船寄港について、日本政府としていかなる姿勢で臨むつもりであるか、明快な御所見を承りたいのであります。  次に、本異常値が発見されて以来、その発表のしかた、あるいは放射能測定監視体制等について、いろいろな不備、不手ぎわがあったのではないかということが、各方面から指摘されておりますが、これに対して政府の御所見、もし不備があった場合、いかなる対策考えていられるのか、伺いたい。また、伝えられるところによりますと、過去においても異常な測定値があったのではないか、さらにそれがうやむやにされたのではないかといわれておりますが、その点についていかがでありますか。あわせてお伺いいたしたいのであります。  最後に、冒頭にも申し上げましたように、本件処理いかんは、わが国における原子力平和利用推進にとって大きな影響を与える問題でありますとともに、国際的にも、この処理のしかたが波及するところが少なくないと思うのであります。本問題の解明にあたり、慎重に慎重を期すべきであると強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  9. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 小宮山君にただいまの質問に対してお答えする前に、私は、まず、田中大臣から御報告いたしました十勝沖地震被害につきまして、今回多大の被害を生じ、また犠牲者の出られたことに対しまして、心からお見舞いを申し上げます。  被害状況等につきましては、先ほどの総務長官から報告があったとおりでありますが、被害規模等にかんがみ、政府としても万全の措置を講じてまいる考えでございます。(拍手)  次に、ただいまの小宮山君の質問に対し、私に対する一点だけなお答えをいたします。  佐世保異常放射能が検出されましたこと。この原因は何によるものか、さらにさらに検討を必要といたします。これを十分究明いたしまして、国民の前にその原因を明らかにし、そうして国民の不安を除かなければならないと思います。これらの点については、科学技術庁長官や、さらにまた外務大臣等からお答えすることにいたしますが、ただいまお話のありました点について、原子力委員会におきましても、さっそく会議を開き、そうして政府に対して、とるべき措置について意見上申がございました。  この委員会見解といたしましては、すでに御承知のように、日本側におきまして原因究明いたしますが、同時に、その際には米国側資料提供を求める、そうして適切な方策をすみやかに講ずる必要がある。また、第二点といたしましては、放射能調査体制整備強化をはかる必要があるということでありますが、最も大事なのは第三点、異常値原因究明のため調査中であり、また放射能調査体制整備強化をはかる必要があるので、この間、原子力軍艦寄港が行なわれないよう善処すべきである。かような意見上申でございます。  政府といたしましては、この見解を尊重いたしまして、原因究明放射能調査体制整備をはかることはもちろんでありますが、米国側協力も得まして、そうして安全性確保をはかり、国民の不安の除去につとめてまいる考えであります。特に、第三項につきましては、安全性確保がなされるまでは原子力軍艦寄港は差し控えてもらうよう善処する考えでございます。  以上、お答えをいたします。(拍手)   〔国務大臣三木武夫登壇
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 小宮山君の私に対する質問は、原因を徹底的に究明するためには、日本データだけではやはり不十分なので、アメリカからも調査に対しての資料を求めて、徹底的に究明をすべきであるという御意見に対して、これに見解を求められたわけでございます。われわれとしても、日本だけでは不十分でありますので、アメリカからそういう資料提出のみならず、専門家の派遣を求めて、日本調査に対してアメリカ協力を求めまして、今回の事件を徹底的に究明をして、原因を明らかにすることに努力いたしたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣鍋島直紹君登壇
  11. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 第一点でございますが、今回の異常に測定された数値のものは、中共核爆発のものとどうであるかということにつきましては、われわれの得ております資料によりますと、中共核爆発の際に出ました異常数値は非常に大きいものでございまして、一万カウントに近いものもございますし、数千カウントに近いものもございます。今回のは大体空中の千四百ないし千五百というカウントでございますので、まず人間に実害はないものと考えております。  第二点でございますが、調査方法につきまして、ただいま外務大臣よりお話がございましたが、直ちに専門家会議をつくりまして現地に派遣し、現在におきましては、十人の専門家会議によりまして、本日もその検討をいたしております。しかし、何ぶん、アメリカ軍事機密といわれる軍艦調査等にもかかってまいりますので、この点につきましては、アメリカ側資料そのほかを、その専門家会議によって要求すべきものは要求し、あるいは討論すべきものは討論し、でき得る限りの調査を今後進めてまいりたいというふうに考えております。  次に、五月六日、事件が起きましたときの措置につきまして、今日反省をいたしますと、やはりとった措置、あるいはそれの発表等につきまして、反省すべき点がございます。それは、当初異常値を発見いたしましたときに、異常値の出方に、あるいは水中、空中とが同様に出たとか、いろいろございますが、ちょっとしたいわば疑問の点を、測定員が感じまして、科学技術庁技術屋も感じまして、第二回の調査をする、それまで発表を待とうというような点におきまして、かえって発表がおくれたために非常に市民の方々に不安を与えたというような点がございます。今後におきましては、私としましては、体制整備強化いたしまして、係官の相当な権限のある人を現地に置き、あるいは佐世保当局県当局、あるいは現地米軍との連絡等をよくいたしまして、こういったことのないように措置いたしたいと考えております。  次に、過去におきまする異常値があったのではないか。現在、過去の資料を調べてみますと、数年前、昭和四十一年前後に、横須賀において異常値が発見されたことがあると聞いております。しかし、その点につきましては、当時の調査によりますと、レーダーによるものが原因であったということで、私は、この際におきましては、放射能による異常値ではなかったというふうに伺っておる次第でございます。(拍手
  12. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 石川次夫君。   〔石川次夫登壇
  13. 石川次夫

    石川次夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、佐世保入港原子力潜水艦による汚染問題の調査報告に対し、若干の質問をせんとするものであります。  佐藤総理は、本国会の施政方針演説にあたりまして、現代核時代と規定し、まず第一に、「平和利用科学技術の面における貢献によって、核時代におけるわが国威信を高める」と申しておりますけれども、わが国先進国に追いつき追い越して、国民繁栄をもたらすためには、科学技術振興が何よりも重要であるということは言うまでもないのであります。しかし、われわれは現代原子力時代と名づけてきたのでありますけれども、それをことさらに核時代と言いかえておるということは、原子力ということばは、原子力平和利用と密接に関連をするものであります。核時代ということばは、核装備核武装につながるものであります。したがって、この核という字句に、国民になれさせるという意図を持つものでありまして、佐藤総理が、いかに平和利用を強調しようとも、衣の下によろいがむき出しに見えておるといっても過言ではないのであります。(拍手)さらに、科学技術振興によって国民繁栄をもたらすのだとは言わないで、国の威信を高めるということばは、小学生程度の子供じみた国威宣揚意識のあらわれであります。科学技術振興に何より大切なことは、基礎研究の充実であります。そうして、国民のしあわせと安全をほんとうに願うという信念であります。  たとえば、原子力科学についていいますと、基礎的な研究原子力研究所に集約されておるというのが現実でありますけれども、従業員思想傾向が気に入らない、こういうことで、原子力研究所は極端に冷遇され、極端に弾圧を受けておる。そうしておいて、一方では国威宣揚のための動力炉・核燃料開発事業団において、事業の促進をはかっておるのでありますけれども、かくのごときは、いたずらに砂上に楼閣を築こうとする以外の何ものでもないのであります。(拍手)  また六万件からのテーマを持った基礎的な科学研究費予算が、本年度予算はわずかに五十億円であります。未開国以下であります。これはF104のジェット機十機分に相当するにすぎないのでありますけれども、一方では防衛庁の軍事研究開発費は幾らでありますか。実に七十一億円であります。ここに、この内閣の平和よりも軍事を愛好する性格というものを露骨に知らされて、りつ然とすると同時に、この内閣にはたして国民のための科学技術振興を呼号するだけの資格があるかどうか、はなはだ疑わしいといわなければなりません。(拍手)  このような事実に目をおおいまして、巨大科学推進を通じて、大企業、特に軍事産業に奉仕しようとする意図が、はしなくも施政方針演説にあらわれておるわけであります。そして軍事産業では特に多くの利潤を得させることができます。そうして大骨も小骨も抜かれて、かまぼこに調理をされた政治資金規正法によって、多くの献金が期待できる道理であります。  もともと原子力潜水艦原子力兵器でありますけれども、その議論は一応おくといたしましても、この軍艦に核弾頭の魚雷、サブロックを搭載しておることは、世界周知の事実であります。アメリカが搭載しないといっておるから、搭載しないと信じておるというのは、世界中で日本自民党政府だけであります。さらに戦闘用あるいは作戦上の必要から、この原子炉操作はきわめて簡易化されておりまして、構造上に非常な手抜きと危険性があります。そのため安全性の上で多くの問題があるということは、専門家がひとしく指摘しておるところであるにかかわらず、政府はわれわれの質問に対してどう答えておりますか。それだけ簡便化できたというのは、それだけアメリカ技術がすぐれている証拠であると答えたのであります。こういう開き直り方をするというのは、あきれ果てた詭弁というよりは、ほんとうにそう思っているとすれば、政府の知能指数は白痴同様であるといわざるを得ません。(拍手)  そもそも日本原子力基本法は、厳然として平和目的に限るということを明らかにいたしておりますけれども、軍事目的の明らかな軍艦であってしかも原子力推進機関を持つところの原子力潜水艦寄港を認めるということは、どう強弁いたしましても、原子力基本法の明らかな違反であります。一体、原子力基本法の存在を佐藤総理大臣は御存じなんでありましょうか。この点についての佐藤総理見解を伺いたいと思うのであります。  今回佐世保入港した原潜による汚染国民関心を集めておりますが、いまの監視体制測定方法では、ただ単にガンマ線とべータ線測定するだけで、まことに通り一ぺんのものであります。そうして、ただ国民に安心しろという目的だけの測定にすぎないのであります。さらに結局は、汚染原因は不明であって、アメリカ原潜原因ではないんだという弁明に便乗し、同調して、またぞろ、アメリカ原潜原因でないと言うから、決して原潜原因ではないんだと言うことができるような監視体制をあらかじめ準備しておいたといっても過言ではないのであります。異常値が発見されますというと、あわてふためいて再調査をしながら、一方では湾内の風波が高くて本日は測定できなかった、こういって科学技術庁は事の隠蔽をはかったのでありますけれども、さらにそのことが暴露されますと、アメリカ側の言い分に従って、レーダー影響だと言い始めました。ところがレーダー影響ではないということがわかりますと、今度は、アメリカ側工作艦溶接器原因ではないかと言っておるから、その裏づけをしようと思って、懸命に狂奔をいたしました。そうしてますます国民疑惑を深めただけであります。異常値が発見されたら、まず原子力潜水艦影響ではないかということを疑ってかかるのが最初になすべきことであるにもかかわらず、他の原因を無理に見出そうとすること自体、本末転倒であります。国民の安全を守る立場を全く忘れたアメリカ代弁者としての立場であるといわなければならないのは、まことに遺憾であります。(拍手測定器というものは、元来国民の安全を守るために、放射能測定する器具なんであります。それが現実には、アメリカのかわりに、原子力潜水艦寄港させる裏づけをするための道具になっておる。まことに遺憾といわなければなりません。(拍手)  いまになってアメリカに対し調査団の派遣を要求しておるようでありますけれども、一体何のために要請をしておるのですか。日本はただ一つの被爆国であるという関係もありますけれども、放射能汚染研究については、日本学界の実績は世界で一頭地を抜いておるのです。これはだれでもが知っております。それなのに、いまになって、時期はずれでもう原因究明が不可能になった時点で、一体何をアメリカ調査をさせようとするのでありましょうか。思うに、アメリカのおえらい方々の御意見なるものに耳を傾けて、時間をかせいで、原因をあいまいにして、結局のところ、原子力潜水艦の放出水ではないと言うための証拠固めに御協力を申し上げようとするところの政府意図以外の何ものでもないと断言せざるを得ないことは、まことに遺憾であるといわなければなりません。(拍手)  わが国が必要なことは、調査資料として、冷却水がいつどの地点でどのくらい放出されたか、放出前の原子力潜水艦内におけるところの放射能のチェックの状態は一体どうなっておったか、こういう正しい資料を要求することが必要であります。また、ソードフィッシュ号の出港がおくれたというその事故の原因が一体何であったか、その点、納得のいくような説明を求めなければならぬと思うのであります。さらには、原子力潜水艦原子炉の構造をわれわれは知らなければ、原因の探求には不十分であります。これらについて明らかにする交渉をする気持ちが一体あるのかどうか、科学技術庁長官並びに外務大臣に伺いたいと思うのであります。  さらに、ここでも説明されましたが、一昨年五月の末に、横須賀におきましてスヌーク号が寄港いたしました際にも異常値が検出されましたけれども、これはレーダー影響であったというふうにただいまも報告されております。しかし、これに携わった学者は、そのような断定はしてはおらなかったと私は伝え聞いておるのであります。いつ、どこで、このように結論がレーダーというふうに変わったのか、どこですりかえられたのかを伺いたい。そして、同時に、本件の再調査を強く要望せざるを得ないのであります。  外務大臣は、さきに施政方針演説におきまして、「アメリカ関係の深い国であってしかも軍事的に圏外に立っている日本こそは、アメリカに率直に勧告できる立場にある」と言っております。国民はこのことに心から期待をつないだと思うのでありますけれども、実体ははたしてどうだったでありましょうか。完全に裏切られたわけであります。  一例をあげてみましょう。先般審議されました日米原子力協定におきましても、日本の態度は、無担保で銀行に金を借りに行くようなまことに卑屈な態度であります。なぜなら、現在の部分核停条約においてすらも、査察を受ける側、その国に拒否権があるのでありますけれども、この協定では日本の拒否権というものは認められません。また、査察の対象が、この協定のもとでは、核防条約で予定される査察の対象よりもはるかに広がって、ほとんど無制限に近い状態になっておるのであります。また日本に輸入されたアメリカの濃縮ウラン、原子炉あるいはその他の関連器具の故障などについては、アメリカは一切責任を持たないということになっております。さらに重要なことは、この屈辱的な片務協定の改定は、いまから論議されようとするところの核拡散防止条約に賛成するということが前提で初めて行なわれる約束になっておるわけであります。こんなことで、これから国際間に大いに議論を戦わそうとしておりますところの核防条約、なかんずく問題の多い査察の問題について、堂々の主張を日本ができるかどうか、はなはだ疑わしいといわざるを得ないのであります。これではたして自主独立外交といえるでありましょうか、外務大臣所見を伺いたいと思うのであります。(拍手)  佐藤総理は、この事件の起こりました以後の決算委員会におきまして、わが党議員の質問に対して、原因が不明であれば、原潜を二度、三度と入港させてみればよいと答弁しております。国民の不安に対しては、核アレルギーであるとあざ笑ったのであります。われわれは、このことば日本総理大臣ことばとはどうしても信ずることはできません。(拍手アメリカ政府の代弁としか受け取ることができないのでありますけれども、いまも同じ意見でありますか。事はきわめて重大であります。はっきりとした御答弁を伺わなければなりません。(拍手)  われわれは、科学技術推進を心から念願し、また将来のエネルギー源であるところの原子力科学の自主的な開発の一日も早からんことを心から念願いたしておるわけであります。そのためには、単に経済性にとらわれないで、あくまでも安全性を確立することを通じて、積極的な国民協力を得ることが不可欠の条件であることは言うまでもございません。今度政府が、ことさらに事を隠蔽したり、結論を他に転嫁しようとするような態度は、いたずらに国民に不安を増大させ、原子力平和利用科学推進に大きな障害を与えた。その責任はきわめて重大だといわなければなりません。(拍手)  私は、今度の件で、非常に多くの、世界のレベルを越えた公正な学者の意見をいろいろと聞いてまいりました。そして、その原因原子力潜水艦以外には考えられないというのが、学者全部の一致した見解であったことを報告しなければなりません。(拍手アメリカとの合同調査に名をかりまして時間をかせぎ、原因をあいまいにして、その原因原子力潜水艦とは断定できないとするようなことは、断じて許すことはできません。(拍手アメリカ政府の口上書に、「測定し得る程度の増加をもたらすようなことはない」と言い切っている以上、今後の寄港は、約束違反でありますから、断固として拒否することこそが、国民の期待にこたえるところの唯一の道であると信じてやまないのであります。(拍手調査が済むまでは寄港をやめてもらいましょうという卑屈な態度であったのでは、国民は絶対に納得できません。すべて、このような混乱と、国民の不安が醸成されたことは、国民の意思に反して、原子力空母、潜水艦寄港させるところから出てきておるわけであります。日本総理大臣である以上は、拒否するのが当然である、こういう立場に立って善処をしなければならぬと考えるのでありますけれども、総理大臣はどうお考えであるか、伺いたいのであります。  佐藤総理は、沖縄の核つき返還の実現のために、公然と核兵器搭載の原子力潜水艦、空母を寄港させて、その地ならしをはかり、原子力基本法の精神を明らかにじゅうりんしてまいりました。そのことによって、日本国民は、戦争と安全性に対する二重の不安におびえておるわけであります。一体、日本には、ほんとう国民の生命と安全を守るための政府が存在しているのであろうか、あるのはただアメリカ合衆国日本領事館ではないのか。国民の心から憤激をし、下僕のようにアメリカに卑屈な態度をとり続け、国民に対してはいたけだかの態度をとっておるところの現内閣の退陣を望む声は、今回の問題を契機として、ほうはいとして高まりつつあることは事実であります。(拍手)  私は、佐藤内閣に猛反省を促して、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  14. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  原子力基本法は、御承知のように、自主、公開、平和の利用、こういうことでなければならない。また、私どもは施政演説でもはっきりいたしましたように、核兵器は持たない、持ち込みも許さない、製造もしない、こういうはっきりした態度を堅持しております。  そこで、ただいま原子力潜水艦、あるいは原子力軍艦、こういうものは核兵器だ、こういうような断定を下しておられます。しかし、これは原子力推進力にしておる軍艦であり、潜水艦である、かように理解すべきものでありまして、いわゆるわが国原子力基本法に矛盾するものではございません。ただいま、原潜は必ずサブロックを搭載しておる、かような断定でございますが、もしも核兵器を持ち込むならば、それこそ事前協議の対象となるのでありまして、さようなことは絶対にございません。したがいまして、かような事柄において、国民を迷わすようなことは慎んでいただきたいと思います。(拍手)  第二の問題で、決算委員会における私の答弁をいろいろ御批判になりましたが、先ほども申しましたように、原子力潜水艦入港する場合には、その安全性を確認した上でこの入港を許すのでございます。したがいまして、私は、これを入港さして、それによってひとつ研究する、こういうような考え方ではございません。私は、政府が許しておる場合には安全性確保されている、かような確信のもとでございます。ことに国民の感情を無視することはよろしくございません。先ほど申しましたように、原子力委員会の申し出もございますから、その意見を十分尊重いたしまして、この原潜等の入港につきまして私は善処するということは、先ほど小宮山君にお答えしたとおりでございます。  それから、その次の問題で、いまの佐世保港において異常放射能が出た、こういうところから日米安全保障体制、これ自身も基本的にあぶないのだ、かようなお話をされますが、私は、わが国の安全を確保するために日米安全保障体制は絶対に必要だ、かように思っておりますし、また、わが国があらゆる攻撃からわが国を守るためにもアメリカの核抑止力にたよる、この体制は続けてまいるつもりでございます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫登壇
  15. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 石川君の私に対する質問は、日米原子力協定は非常に不平等な協定ではないかというのが一点でございます。  御承知のように、日本がエネルギー源を原子力発電に重点を置きかえていかなければならぬ。その場合に、濃縮ウランを輸入しなければならぬわけでありますが、しかし、これは現在アメリカがけしか供給できないわけでありますので、この協定の中には一方的と見られるような条項も確かにありますけれども、しかし、一方において、三十カ年という長きにわたって、アメリカが燃料の供給の義務を持っておると考えたならば、この条約というものが、日本の必要によって燃料を輸入するものである、アメリカは供給の義務を負うておるものであると考えたときに、この協定それ自体が非常な不平等なものとはいえないと考えるものでございます。また、もし燃料の開発ができて輸入を必要としなければ、日本は輸入する必要はないのであります。アメリカから押しつけられて燃料を買うという性質のものではないのです。日本の必要から輸入するのでありますから、必要がなければ、供給の義務は負っても、それだけを日本は買う必要がないのでありますから、そんなにこの協定が非常に不平等なものであるという、この協定に対する批判は私は当たらないと思うのでございます。(拍手)  それから第二点は、この日米間の原子力協定に対しての査察が、これは非常に厳格ではないかということでございますが、もしこの査察が、国際原子力機構の査察に比べて非常に厳格であるならば、国際原子力機構の査察の基準に従って協定の改正も行なう考えでございます。特に日米間の協定で、国際的な査察以上に厳格な査察をわれわれが実施していく考えは持っておりません。国際的な基準に従って日本は査察を受ける考えでおりますので、この点は、われわれとしても、今後ともこの査察がこの協定によって非常な厳格な査察を受けることのないように注意をいたしてまいりたいと考えております。  第三点は、核拡散防止条約に賛成をしなければ、燃料は日本が入手できないのではないかというような御懸念でありますが、核拡散防止条約とこの協定というものは、そういう関係は持っておりません。この条約に賛成をしなければ、この協定に規定されたアメリカからの核燃料を輸入できないというような、そういう因果関係はないのであります。まだ核拡散防止条約は成立もしてない条約であります。協定は国会の御承認を得ておるのでありますから、できてもない条約が前提になって、この原子力協定の効力が発生するという性質のものでないことは明らかでございます。  また、こういう御質問の背景の中に、日本の外交が自主的な外交でないのではないか、自主独立の外交ではないのではないかという御懸念でありますが、そういうことは断じてありません。外交の自主性というものは、何も反発をすることが外交の自主性ではない。(拍手)常に国の利益を考えて、日本の国益というものの上に立って外交をやる態度こそが、自主外交であるということを申し上げておきます。(拍手)   〔国務大臣鍋島直紹君登壇
  16. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 私に質問がございました点につきまして御答弁申し上げます。  初めでございますが、科学技術庁の今回の原因究明が、何かしらアメリカに追随するような意図があって、というようなお話がございましたが、私は、現在そういう気持ちは全然ございません。日本科学技術陣をもって自主的にこれを最後まで究明していく、その基本的態度をくずさないつもりでございます。  次に、冷却水の問題、あるいは出港がおくれた原因の問題、原子炉の構造等について、これを調査し、資料提供する意思があるか。今日、実は初めて、日本におきまする科学技術庁調査団アメリカから来た三人の専門家との接触が午後行なわれております。したがいまして、今後におきまして、これらのことももちろん資料提供を要求するかと思います。ただ問題は、軍事機密という問題が一方にございますので、おのずからそこに限度がございましょうけれども、日本側日本の態度をもって、資料の要求すべきものは要求して調査を進めてまいりたい。ただ、アメリカ側は、これを軍事機密に関して提供するかどうか、この点はアメリカ側協力に基づいておるものでございます。  次に、スヌーク号の問題につきましては、小宮山議員の御質問にお答えを申し上げましたが、確かに異常数値が出たことは記録に残っております。当時科学技術庁等において総合判断をした結果、レーダーによるものであろうということで決着がついておる次第でございます。  以上でございます。(拍手)     —————————————
  17. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 内海清君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔内海清君登壇
  18. 内海清

    ○内海清君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま報告されました佐世保港の異常放射能発生事件に関しまして、総理並びに関係大臣の所信をたださんとするものであります。  まず、冒頭に、政府の怠慢と無責任によって今回のこのような不祥事が起こったことに対し、強い遺憾の意を表したいと存じます。(拍手)ことに、今回の事件は、全く偶然起こった予測不可能の事件ではなく、昭和三十九年十一月に、米原子力潜水艦寄港が始まって以来、国民が常に不安を感じ、懸念していた事柄であります。したがって、われわれも、その安全性が十分確認されない以上は、米原子力潜水艦寄港は認めるべきでないと、政府に対し、再三再四にわたって警告してきたのであります。しかるに政府は、こうしたわれわれの警告をも無視し、全くアメリカ側の主張をうのみにし、みずから十分なる確認を怠り、このような不祥事件を引き起こしたことは、まことに遺憾にたえません。  ただいまこの事件に関し、科学技術庁長官より報告がありましたが、しかし、その原因がはたして米原潜によるものかいなか、きわめてあいまいであるといわなければなりません。これでは、ますます国民疑惑は深まるばかりと申さなければなりません。したがってこの際、政府はこの事件の根本原因を何と判断しているのか、政府の統一見解を端的に明らかにしていただきたいと存じます。  われわれは、このような不祥事件を引き起こした根本原因は、二点にあると考えます。  すなわち、その第一点は、原潜入港に対する政府の基本姿勢そのものであります。つまり、アメリカからの一片の口上書を受け取っただけで、自主的な判断を怠り、アメリカの説明を全くうのみにしている態度がそれであります。これが、われわれの常日ごろ指摘している自主性なき対米追随でなくして、一体何でありましょうか。(拍手)これまで、原潜入港に対する国民の不安を無視し、われわれの再三にわたる警告に耳をかさず、まさに一方的にアメリカ側の言い分に追随し、その結果、このような事件を引き起こした政府の責任は、まことに重大であります。(拍手政府はこの責任をどのように感じ取られているのか、また、これまでとってきた政府措置に手落ちはなかったというのか。この点をまず伺いたいと存じます。(拍手)  その第二点は、安全性確認に対するずさんな態度であります。安全性確認に対するこれまでの政府の態度を見るとき、政府として最低限なさなければならない措置すらも怠ってきたというのが偽らざる実情であります。つまり、アメリカに対して国民を説得し得る安全性確認の資料を要求すること、さらに、専門家による安全性確認の体制を確立することなどについて政府のとってきた態度は、まことに無責任かつ怠慢であったと申さなければなりません。こうした措置は、米国原潜入港に対処して当然とらなければならない最低限の措置であります。しかも、原子力委員会の中にある放射能専門部会は、原潜入港以来、ただの一度も開かれていないという現状は、安全性確認に対する政府の怠慢を示すものでなくて一体何でありましょうか。  また、三十九年八月、原子力委員会が初めて米原潜寄港を認めるのに先立って、科学者側から、いま考えている放射能監視体制ではだめだという原子力委員会への申し入れがあったわけでありますが、政府はこうした科学者の忠告にも耳をかさなかったのであります。しかも、実際の放射能測定にあたっては海上保安庁にまかせるだけで、全くずさんな監視体制のまま今日まで放置してきたのであります。まさに政府の責任は免れ得ないものがあると断ぜざるを得ません。しかも、今回佐世保において探知された放射能異常値は、さきに横須賀においても探知されたということでありますが、これを放置して今日に至った政府の怠慢は、断じて許すわけにはまいらないと存じます。  放射能監視体制を確立するという問題は、単に原潜寄港問題のみならず、今後わが国としても積極的に取り組まねばならない原子力商船の建造など、原子力平和利用推進していく上で重要な課題であります。したがって、政府として今後この放射能監視体制を具体的にどのように改善し、国民の不安を取り除いていくのか、お伺いいたしたいと存じます。  また、われわれとしては、原潜寄港に際し、アメリカ側に対して何ら気がねすることなく、最低限の措置として関係資料の要求を行なうべきと考えるが、どうか。また同時に、国内におけるこの面の体制整備するため、専門家による安全性確認の体制を確立すべきと考えますが、いかがでございますか。この点について政府の所信を伺いたいと存じます。  次に、この事件原因究明に関して、先ほども触れましたように、今回の報告はあまりにも不明な点が多く、しかも、肝心な点で逃げていることは、はなはだ遺憾にたえません。(拍手)これでは国民疑惑は決して晴れるどころか、むしろ深まることは明らかであります。御承知のとおり、さきに原子力委員会がこの事件について見解をおくればせながら総理に申し入れましたが、それは次の三点であります。  すなわち、第一に、原因究明については、米国側資料提供を求めるなどの方法をすみやかにとること。第二に、放射能調査体制整備強化をはかること。第三に、原因調査期間と放射能調査体制整備強化が行なわれるまでの間、原子力軍艦寄港を認めないこと。この三点であります。  われわれとしても、この原子力委員会の申し入れば、わが国としてはまずなさねばならぬ最低限の措置であると存じます。したがって、政府としてもこの申し入れを十分尊重し、その実現につとめるべきであると考えます。しかるに、政府は、一たんは佐藤総理が十四日「ジョンソン大使らに、佐世保港の異常放射能原因が明確になるまで、またその安全性が保障されない以上は、直ちに寄港してもらうわけにはいかないと申し入れた。」と発言したものの、すぐそのあとで官房長官が「米側が艦艇の安全性を保障する措置をとれば寄港を認めねばならない。」と発言し、さきの総理発言を取り消してしまったのであります。  これはアメリカに対する配慮からだと伝えられておりますが、全く不見識きわまりないものといわなければなりません。何ゆえ、日本側が納得できないような状態のもとで寄港を認めなければならないのか、そんなことが日米安保条約の一体どこから出てくるのか、お伺いいたしたいのであります。ついこの間の三月末、ジョンソン声明でわが国の対米追随路線が大きなショックを受けたことにもこりず、再びこのような自主性なき姿勢をとり続けていることは、全く遺憾にたえません。この点で政府が再考し、原子力委員会の申し入れを尊重して対処すべきであると考えますが、いかがでございますか。  最後にお伺いいたしたい点は、今後の抜本的な解決策についてであります。  さきに指摘したとおり、今回の不祥事が発生した根本原因は、わが国の自主性なき対米追随にあることは言うまでもありません。われわれは、こうした現状を打開し、わが国の自主性を回復するためには、特に対米追随の根幹となっている現在の日米安保条約を、一九七〇年の改定期を機に改定することが必要であると考えます。特に、今回の事件に関連しては、安保条約の事前協議における拒否権の確立、並びに事前協議へのわが国の発議権の確立が不可欠であると確信いたします。こうした日米安保条約の改定にまでさかのぼらねば、今回のような不祥事を回避することは、結局不可能であるといわなければなりません。(拍手政府はこの点をどう考えるのか、お伺いいたします。  また同時に、政府の姿勢そのものに問題があることも、国民周知のところであります。原潜安全性に対する国民の不安には目もくれず、アメリカの言い分のみを信じてきた、ひとりよがりの姿勢がそれであります。総理が最近よく口にされますいわゆる国民の核アレルギー解消論も、それを裏づける合理的な説得の材料を国民の前にまず提供することがそむそも前提であります。しかるに、そうした措置も何らとらず、ただアメリカ側の主張をオウム返しにして、国民は心配するな、核アレルギーを克服せよと言ってみても、何らの効果はないのであります。しかもこのような不祥事の発生を見たのであります。大多数の国民の不安のほうが正しかったのであります。したがって、政府は、こうした事件の発生にかんがみて、これまでの態度を真剣に反省し、そのひとりよがりの姿勢を改めるべきであると考えますが、政府の所信を伺いまして私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  19. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  このたびの異常放射能につきましては、その原因究明しなければならないと思います。関係の各機関を動員いたしまして、ただいま究明中でございます。また、それにつきましては、日本委員会がこれを究明するのでございますが、アメリカ側協力も必要といたしますから、アメリカ側から資料等の提供につきましても協力を求めておるような次第であります。  また、先ほどお読みになりました原子力委員会意見の申し出がございます。これは先ほど私が申しましたように、この意見を尊重すると、かように申しましたので、この尊重の一言で、今後の入港等につきましても慎重なる態度をとるものだ、善処するものだと、かように御了承をいただきます。  また、その次に、安保の事前協議の問題について言及されました。——その前に、官房長官と私との間に食い違いがあるということを御指摘になりましたが、ただいまこの席ではっきり申し上げますように、原子力委員会意見を尊重するということが、政府のはっきりした意見でございますから、御了承いただきます。  そうして、ただいまの事前協議の問題あるいは発議権の問題等、いろいろ安保体制を続けていくについてのお尋ねがございました。私は、安全保障体制を守ること、これがわが国の安全につながるゆえんだと、かように思っておりますが、ただいまその形態はいかにすべきか、まだ検討中でございますので、それらの態度、いかにするかという、そのことにつきまして、ただいま御指摘になりましたような点をも含めて十分検討してまいる考えでございます。  その次に、核アレルギーの問題でございますが、私ども政治家は、何と申しましても国民感情を無視しては政治はできません。したがいまして、ただいまのような点につきましても、ひとりよがりというようなことにならないように、国民感情を十分尊重する考えでございます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫登壇
  20. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 内海君にお答えいたします。  放射能に対して人体を守るということは、これはもう政府の責任であります。したがって、原子力委員会政府に対する申し出は、これはやはりおおむね妥当な申し出である。政府はこの申し出に従って善処をすべきものと判断いたしておる次第でございます。  また、外交について、内海君いろいろと御批判がありました。自主性がなくてアメリカ追従外交であるという、石川君と同じような御批判がありましたが、外交の自主性というものは一体何だ、これは、国の利益というものを冷静に、忠実に守っておる外交をやっておるかいないかということがやはり自主外交の基準でありまして、そういう意味においては、われわれの外交が日本の国の利益を守ることに忠実であり、またアメリカの利益に追従する必要などは毛頭ございませんし、またそういう考え方も全然持っていないということを明らかにいたしておきます。(拍手)   〔国務大臣鍋島直紹君登壇
  21. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 総理及び外務大臣からお答えになりましたので、観測体制につきましてお答えをいたします。  従来、科学技術庁におきましての観測体制は、常時、モニタリングボートによりまして、あるいはモニタリングポストによりまして、空中、海中の放射能のこれは一年じゅうやっておったのであります。その別に、定期的に年四回あるいは海水、海底のどろ、魚介類、プランクトンというものの調査もいたしておりました。また、入港時、出港時におきましては、モニタリングボートを回してその周辺を十分調査いたしておったのであります。その結果、今回の異常値が出たわけでございますが、今度、反省をいたしますと、そういった異常値が出たときに、やはり的確に判断し得る技術屋の養成、責任をもってこれを発表し得る責任体制の確立、あるいは海上保安庁、そのほか佐世保市長との連絡体制、あるいはその計器におきましても、やはり最新の計器をさらに多く備えるというようなことがいろいろ反省させられたわけでございまして、それらの点を今回十分確立して、国民の方に安心していただくように、ひとつ措置をいたしたいと考える次第でございます。(拍手)     —————————————
  22. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 近江巳記夫君。   〔近江巳記夫君登壇
  23. 近江巳記夫

    ○近江巳記夫君 私は、公明党を代表いたしまして、このたびの、アメリカ原子力潜水艦ソードフィッシュ号寄港中の佐世保港で起こりました異常放射能事件に関しまして、総理並びに関係大臣質問を行ないます。  去る二日よりアメリカ原子力潜水艦ソードフィッシュ号入港していた長崎県佐世保港におきまして、放射能測定に異常な数値が検出された今回の事態は、きわめて重大であります。わが国に対するアメリカ原子力潜水艦寄港は、昭和三十九年十一月十二日の佐世保へのシードラゴン号以来、今回で実に二十四回を数えております。この間わが党は、アメリカ原子力寄港反対の理由の一つとして、その安全性が保障されないことを指摘してまいりました。しかるに、政府は、単にアメリカ政府から寄せられた口上書や覚え書きを全く無批判に受け入れ、わが党の主張には耳をかそうともしなかったばかりか、あたかもアメリカ政府代弁者のごとく、アメリカ側が安全であると言うから安全なのだという強弁を繰り返してきたのであります。これは、意味もわからないオウムが覚えたことばを口にしていると同じもので、全く責任あるもののとるべき態度ではないのであります。今回の事件は、政府が、アメリカの一方的な言い分をうのみにして、原潜入港は安全であると言っていたことが全く根拠のないものであり、国民の危惧が現実となったことを示す以外の何ものでもないのであります。  今回、佐世保で記録された異常放射能問題につきましては、その原因究明に全力を尽くすことは当然として、その結果、原因アメリカ原子力艦ソードフィッシュ号にあると判明したならば、明らかに口上書に違反するわけであります。したがって、政府アメリカに対し、アメリカ原子力潜水艦日本寄港を断固拒否するのが当然でありますが、この点、総理の明確なる考えを伺いたいのであります。  さらに、この事件原因が解明されるまで原潜寄港を一時中止するよう、政府アメリカに申し入れるのが当然の措置でありましょう。先ほど総理は、その原因がはっきりするまでは、入港については善処すると答弁されたが、善処とは、寄港の中止を申し入れることか、承りたい。すみやかにアメリカ原潜寄港の中止を申し入れるべきだと思うのでありますが、その点を明確に伺いたいのであります。(拍手)  たとえば、コレラなどの伝染病の疑いのある患者が発生した場合、病名が明らかになるまでは隔離し、外出を禁止するのが当然の処置とされております。ましてや、この問題は、全世界の人々のおそれている死の放射能の疑いに対してであります。佐藤総理は、過日の衆議院決算委員会におきまして、「断わろうと思えば断われる。しかしこの程度のものならば断わらずに、入港させてみるのも研究のいい材料になると思う。」と放言したのであります。これはまさに、総理科学的知識の無知と政治的無責任をみずから示すものであり、国民の深刻なる不安を無視するのはなはだしいものとして、強く反省を求めるものであります。(拍手)それでは、総理は、国民犠牲者が出なければ、事の本質を究明することなく、ずるずると寄港を許すというのでしょうか。放射能汚染のおそろしさにつきましては、かつての第五福竜丸事件で実証済みであり、専門家研究でも明らかとなっているのであります。総理発言は、放射能研究検討という名目で佐世保市民を実験に使おうとするものであるといわれてもしかたがないのであります。総理の真意を伺いたいのであります。  かつて、日本学術会議は「原潜入港は一時的な原子炉設置と同じように考えるべきものであって、特に周辺住民に対する潜在的危険性から、公式に安全性検討と確認を行ないたい」と勧告し、専門家によるきびしい安全審査を要求したのであります。しかし、政府は、今日に至るまでこの勧告を無視し、手放しの状態で、実に二十四回にもわたる寄港を認め続け、今年一月十九日には、エンタープライズの寄港さえも認めたのでありますが、なぜこの勧告を受け入れなかったのか、その理由を承りたいのであります。  また、一九五七年八月五日に、アメリカ原子炉安全諮問委員会委員長は、アメリカ原子力委員会委員長に書簡を送り、その中で「原子力艦艇が公衆への危険を起こす可能性は全くないとはいえない点を指摘しておきたい。放射能放出のおそれは低い水準であっても絶えず存在する。」と述べております。有名な水爆の父といわれておりますE・テラー博士も、「どれだけ配慮を払っても、これら艦艇を人口の集中した港で運航させるのは、それが絶対に必要でない限り間違いだと確信する。」とアメリカ原子力委員会に伝えております。これらの権威ある見解に対し、政府は一体どう考えているのでありましょうか。  また、原潜はすべて戦闘第一主義につくられ、安全性は第二義的になっていることは、周知の事実であります。この点につきましても、政府は口上書や覚え書きを無批判に信頼しておりますが、このたびの事件で、その信頼がいかに当てにならないかが明らかになったのであります。この点を今後どう考えていくのか、お伺いしたいのであります。  さらに、従来、原潜原子炉については、厳重な科学的査察の必要があるにもかかわらず、軍事上の機密という理由のもとに資料は全く提供されず、自主的な査察は不可能であったのでありますが、この際、政府アメリカに立ち入り査察の要求をする意思があるかいなか、明確に答弁願いたい。  次に、科学技術庁専門家会議意見は「今回の異常値放射能以外の原因によるものと見ることは困難である。」としており、この意味をソードフィッシュ号の放射能汚染によるものと見るのは最も常識的であります。しかるに、一方、アメリカ国務省とわが外務省は、原潜によるものではないというような見解をもって、科学技術庁見解に対立しているのであります。よって、外務大臣にお尋ねいたします。外務省は、何を根拠にアメリカ国務省と同じ見解を支持しておるのでありますか。  今回明らかにされたところによると、これまでも数回にわたり異常放射能問題がうやむやに済まされてしまったということでありますが、今後、こういう事態についてはどう対処していくのか、明確な姿勢をお伺いいたします。  従来、政府は、原潜安全性については、アメリカ側ことばを信用する以外にないとし、安保条約上拒否できないとの立場から、寄港を認めてきたわけであります。そして、原子力潜水艦入港のつど放射能測定して、安全性を確かめるという措置をとると言ってきたのであります。しかし、このたびの事件によりまして、政府放射能測定がきわめてずさんであり、かつ、おざなりなものにすぎなかったということが判明いたしました。さらには、異常な放射能測定されたにもかかわらず、その実体を緊急に究明しようともしなかったというのが真相のようであります。このことはきわめて重大な問題であります。あまつさえ、科学技術庁においては、異常放射能測定報告を受けながらも、その真相を隠そうとし、発表をおくらせたのであります。なぜそのような不可解な政治行動をとられたのか、いかなる意図のもとにそのような行動をおとりになったのかを明らかにされたい。このことは単なる政府の怠慢というようなものではなく、責任に対する重大なるサボタージュとして、厳格に責められるべきものであると思うのであります。また、測定に際しても海上保安庁にまかせたままになっていることが明らかになり、放射能監視体制が全くなっていないという醜態を示したのであります。これらの点につきまして、科学技術庁長官の詳細な御説明と責任体制を承りたい。  今回の事件は、海水採取、必要な潮流調査などの基本的な作業さえろくに行なわれておらず、原子力委員会が指摘した停泊水域及び原子力潜水艦の停泊中においてその近傍における放射能のモニタリングを行なうことが全く実行されていないことをはしなくも実証したのであります。政府が国会での質疑においてその安全性をいかに強弁しようとも、監視方法がいかにルーズであったかの責任は免れないのであります。この点をどうするのか、具体的に伺いたいのであります。  次に、今回の事件に関し、政府放射能汚染に対する監視体制の強化を表明しております。しかしこれは当然のことであって、これによって問題の核心をすりかえてはならないのであります。要は、安全性がいかに明快に国民の前に立証されるか、また立証不能の場合は、寄港拒否の態度を示すべきでありますが、この総理の所信を伺いたいと思います。  最後に、今回の事件は、単なる政府の行政上のミスあるいは怠慢といったものではなく、実に、国民生活を政治の根本に置き、生活を守り、死の不安を取り除くという政治の基本に対しての欠陥、すなわち国民不在の政治を暴露したものであります。いまこそ歴代内閣の宿痾である対米追随姿勢を改め、真に国民的基盤に基づいた政治姿勢を確立すべきことが肝要であることを主張いたしまして、私の質疑を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  24. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 近江君にお答えいたします。  このたびのソードフィッシュ号の入港中に異常放射能が検出された。これは御指摘のとおりきわめて重大な事柄でございます。過去二十四回入港した、そういう場合におきましてはかような事態がなかった。今回二十五回目において、そういうことが佐世保においてあったのでございます。ただいま御指摘のとおりであります。これは、私は、そういうことがたまに起きたと申しましても、重大であるのには違いない。だから私はこれが重大だ、かように申しておるのであります。しかしこの点について、これは原因がどうも明確でない。私はシャープ提督と会いました際も、米海軍はさような責任がとれない、さようなことは絶対にない、かように申しましたが、ただそういう断言だけでは私は信頼するわけにいかぬ、もっと科学的にこれは調査して、しかる上でその原因を明確にする問題だ、でなければ国民が納得しない、かように申しまして、アメリカ側資料提出その他において善処されることを実は望んだのでございます。しかし今回、その許容量から見ますと、これはたいへん小さなものでございます。この点は近江君も、御指摘ではございませんでしたが、そのことはよくおわかりだろうと思います。しかし、私はそれによってこの放射能を軽視するとかあるいは無視するとか、こういうのではございません。これが許容量から比べてたいへん小さなものでありましても、原因を明確にしないと、国民の感情、これを尊重したということにはならない、かように思います。したがいまして、これは十分検討するつもりであります。  また、このことは米側の口上書等に違反するものではないか、それを理由にしてはっきり断わったらどうだ、こういうお話でございますが、ただいま、御承知のように日米安全保障条約のもとでございます。わが国の施設を米軍も使う、またこれを提供する義務がございます。したがいまして、私どもは、わが国国民に支障がない限り、安全をそこなわない限り、やはり協力をするという、これは安全保障条約の当然のことでございます。義務は果たさなければならぬ、かように思っております。しかしこの問題につきまして、原子力委員会がその意見政府提出しております。これを尊重するということは、先ほどもたびたび明言をいたしましたから、その点では国民の皆さまは誤解はないと思います。  また、それにつきまして、私は、この入港は、ただいまのような状態のもとにおいては、入港を許すことについて善処します、かように申したのであります。近江君は、一体善処とは何だ、もっと明確にしろ、かように言われますが、大体政治家におきましては、この場合に善処、これは何を意味するか、よくわかっていただける、かように思います。どうかその意味におきまして御了承をいただきたいと思います。(拍手)とにかく国民の感情を無視して政治が行なえないことは、先ほども答えたとおりでありますから、私も、幾ら総理だ、またいかに暴言を吐くと申しましても、国民の感情を無視する、かようなことはいたしません。この点では十分御信頼をいただきたいと思います。  その他の点につきましては、それぞれの大臣からお答えいたします。(拍手)   〔国務大臣三木武夫登壇
  25. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 近江君にお答えをいたしますが、外務省がアメリカと同じような見解発表した、すなわち、今回の放射能の増加が原子力潜水艦によるものではないという見解発表したのはおかしいではないかという御質問でございます。  外務省は調査の手足を持っておりませんし、そういうことを外務省が言う必要はないのであります。外務省は事前にそういうことを発表した事実はありません。そういうことを言わなければならぬ必要は外務省はありません。したがって、そういう事実はないのであります。われわれが守ろうとしておるのは日本人の身体であります。アメリカに対してこのことで何の遠慮もいたすものではないのですから、どうか御安心を願いたいと思うのでございます。(拍手)また、今回の事件を契機にして、安全性確保について徹底して原因究明をやり、体制整備する必要は、国民の不安を解消する意味においても、当然のことであると考えております。(拍手)   〔国務大臣鍋島直紹君登壇
  26. 鍋島直紹

    国務大臣鍋島直紹君) 科学技術庁といたしまして、第一点の安全性確保につきましては、ただいま原因究明中でございます。したがいまして、もしその結論によりますれば、現在の声明あるいは口上書そのほか質問等のほかに、補足してでもその安全性アメリカ側確保させて、その結着をつけてまいりたいと考えております。  第二点の観測体制につきましては、先ほど申し上げましたように、常時からモニタリングポストあるいはボートあるいは海底、あるいは海中、プランクトン、魚介類等の調査をいたしております。それらのことをさらに強化する点につきましても、先ほど申し上げましたように、あらゆる面にこれを強化して、今日の技術水準の最高を行く観測を行ないたいと思います。  第三点の発表経過におきましても、小宮山議員の御質問にお答えいたしましたように、これは経過から考えれば、私も反省をいたしております。率直に言って、当初異常値が出ました。そのときに、いろいろその数値技術的に疑問があるというようなことから、技術者の立場として直ちに発表していいかどうかにちゅうちょして、再調査をすぐやって発表したのが、時間がおくれた原因でございます。いま考えれば、そのときに異常値異常値として発表し、疑問を持つなら持つとして公表しておったほうがよかったかとも考えます。今後十分反省をいたしまして、これらの点は改めてまいりたいと思います。(拍手
  27. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  田中国務大臣の去る四月二十五日の本会議に   おける答弁に関して訂正の発言
  28. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) この際、田中国務大臣から、去る四月二十五日の本会議における答弁に関し、発言を求められております。これを許します。国務大臣田中龍夫君。   〔国務大臣田中龍夫登壇
  29. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 去る四月二十五日の当本会議におきまする山口鶴男君の質疑に対する私の答弁中、「社会保障制度審議会におきましても定年制ということにつきましては賛成であるということになっております。」と申しましたのは、「社会保障制度審議会の答申では、定年制には触れないということになっております。」との誤りでありまして、ここにこれを訂正させていただきます。      ————◇—————  日程第一 日本国ニュー・ジーランドとの   間の漁業に関する協定締結について承認   を求めるの件  日程第二 メキシコ合衆国領海に接続する   水域における日本国船舶による漁業に関   する日本国メキシコ合衆国との間の協定   の締結について承認を求めるの件
  30. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 日程第一、日本国ニュー・ジーランドとの間の漁業に関する協定締結について承認を求めるの件、日程第二、メキシコ合衆国領海に接続する水域における日本国船舶による漁業に関する日本国メキシコ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。     —————————————
  31. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。外務委員長秋田大助君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔秋田大助君登壇
  32. 秋田大助

    ○秋田大助君 ただいま議題となりました二案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  わが国は、ニュー・ジーランドが一九六六年一月から、メキシコが一九六七年二月から、それぞれ国内法により、沿岸から十二海里までの漁業水域を設定したことに対して、沿岸国の一方的な措置による漁業水域の設定は国際法上認められないとの立場から異議を唱え、この問題につき、ニュー・ジーランド及びメキシコとの間に交渉を行ないました結果、合意が成立したので、ニュー・ジーランドとの間には昨年七月十二日ウエリントンで、また、メキシコとの間には本年三月七日メキシコ・シティにおいて、それぞれ署名したのであります。  ニュー・ジーランドとの協定の内容は、同国の領海測定される基線から十二海里以内においては、日本船舶漁業に従事しないが、一九七〇年末まではニュー・ジーランド北島の沖合い及び南島の北部の沖合いの沿岸六海里から十二海里の部分において、両国政府間で合意される規模で、底はえなわ漁業に従事することを認め、ニュー・ジーランド当局は、協定の規定順守のために日本船舶を臨検することができるが、協定違反の処理については、両国政府間の取りきめに従って、両国の当局のいずれか一方が行なうことができる等について規定しております。  次に、メキシコとの協定の内容は、メキシコの領海測定される基線から十二海里以内においては、日本船舶漁業に従事しないが、日本政府により正当に許可を受けた日本船舶が、メキシコの太平洋側の領海測定される基線から九海里と十二海里との間にある一定水域において、一九七二年末までの五年間の期間に、はえなわ漁法により、主としてメバチ、キハダ等を一万五千五百トシ漁獲すること等を規定しております。  この二案件は、三月二十三日本委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、五月十五日、質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、本二案件は全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  33. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 両件を一括して採決いたします。  両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、両件は委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  日程第三 農林省設置法の一部を改正する法   律案内閣提出
  35. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 日程第三、農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  36. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長三池信君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔三池信君登壇
  37. 三池信

    ○三池信君 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案の要旨は、本省の附属機関として農業者大学校を設置すること、地方農政局を地方農林局に改組し、新たに民有林野に関する事務を所掌させることとするとともに、統計調査事務所の組織を吸収統合すること等であります。  本案は、二月二十四日本委員会に付託、五月九日提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、五月十五日、質疑を終了いたしましたところ、浦野委員より、施行期日のうち「四月一日」を「公布の日」に改めることとする修正案が提出され、趣旨説明の後、討論もなく、採決の結果、多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  38. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  39. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第四 砂利採取法案内閣提出)  日程第五 電気用品取締法の一部を改正する   法律案内閣提出参議院送付
  40. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 日程第四、砂利採取法案日程第五、電気用品取締法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  41. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。商工委員長小峯柳多君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔小峯柳多君登壇
  42. 小峯柳多

    ○小峯柳多君 ただいま議題となりました二法案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、砂利採取法案について申し上げます。  わが国の砂利の生産は、近年土木建築工事の急速な拡大とともに年々増加してまいっておりますが、特に最近におきましては、いわゆる山砂利、おか砂利の採取が急増しており、その反面、砂利の採取に伴う災害が各地に頻発し、大きな社会問題となっております。  本案は、このような実情に対処するため、新法を制定し、砂利の採取に対する規制を抜本的に強化して、災害の防止をはかろうとするものであります。  本案の内容の第一は、砂利採取業者の登録制でありまして、登録を受けるにあたっては、一定の資格を有する砂利採取業務主任者を置かなければならないこととしております。  第二は、砂利採取計画の認可制でありまして、当該計画による砂利採取が、災害を発生せしめるおそれがあると認めるときは、都道府県知事または河川管理者は、その計画を認可してはならないこととしております。  第三は、砂利採取業者に対する監督の強化でありまして、災害の発生に対処するため、採取計画の変更命令、緊急措置命令、事業の一時停止命令、採取あとの埋め戻し命令等の規定、及びこれらについて関係市町村長の意見を反映させる規定等を設けております。  本案は、去る四月九日当委員会に付託され、翌十日提案理由の説明を聴取し、五月十四日より質疑に入り、翌十五日に質疑を終了して、引き続き採決に付しましたところ、全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案による附帯決議を付しましたが、その骨子は、砂利採取計画の認可等に関する適確な運用基準の設定、農地転用の規制及び無断転用取り締まりの強化、並びに骨材の需給安定対策の確立であります。  次に、電気用品取締法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近における家庭用電気製品の普及の状況にかんがみ、粗悪な電気用品による災害の発生を防止するため、規制対象電気用品の範囲を拡大し、あわせて規制措置整備をはかろうとするものであります。  その主たる内容の第一は、現行の電気用品を甲種電気用品とし、その他の電気用品を新たに乙種電気用品として追加し、これについて軽易な規制を課するものとすることであります。  第二は、輸入事業者の販売する甲種電気用品は、省令で定める技術基準に適合していなければならないこととし、輸入事業者に対する改善命令の規定を追加することであります。  第三は、型式認可の有効期間、登録及び型式認可の手数料等について所要の改正を加えることであります。  本案は、去る三月三十日参議院より送付され、同日当委員会に付託、四月一日提案理由の説明を聴取し、五月十四日より審議を行ない、翌十五日、質疑を終了、引き続き採決いたしましたところ、全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案による附帯決議を付しましたが、その骨子は、電気用品の使用者に対する取り扱い方法の指導徹底及び製造事業者等の保安責任の明確化、立ち入り検査及び実態調査の実施による不良品の出回り防止等であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  43. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  45. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 委員長の趣旨弁明及び報告を求めます。社会労働委員長八田貞義君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔八田貞義君登壇
  46. 八田貞義

    ○八田貞義君 ただいま議題となりました理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案の趣旨弁明を申し上げますとともに、他の二法案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案について申し上げます。  近年、わが国の消費生活水準の高まりは目ざましいものがあり、理美容業もまた保健衛生の向上とともに高度な理論と知識とを要するようになってまいりました。  このため、これら理美容所の経営には、相当な業務経験と知識を有する管理に当たる者を必要といたしておりますので、本案は、管理者制度を新たに設けようとするものであります。  そのおもな内容は、  第一に、常時二人以上の理美容師が従事する理美容所の開設者は、その理美容所に、免許を受けた後三年以上業務に従事し、かつ、厚生大臣の定める基準に従い、都道府県知事が指定した講習会の課程を終了した者を管理者として置かなければならないものとすること  第二に、管理美容師の氏名等については、届け出を要するものとすること  第三に、経過措置として、理美容所に置かなければならない管理理美容師は、昭和四十六年十二月三十一日までは、理美容師の資格のみで足りるとと等であります。  何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案について申し上げます。  本案は、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の傷害作用の影響を受け、いまなお特別の状態にある被爆者に対し、特別手当の支給等の措置を講ずることにより、被爆者の福祉をはかろうとするもので、その要旨は、  第一に、被爆者の負傷または疾病が原子爆弾の傷害作用に基因する旨を厚生大臣より認定された者であって、その認定にかかる負傷または疾病の状態にある者に対し、月額一万円の特別手当を支給すること  第二に、造血機能障害、肝臓機能障害その他厚生省令で定める障害を伴う疾病にかかっている特別被爆者のうち、六十五歳以上の者、厚生省令で定める範囲の身体上の障害がある者、または母子世帯の母もしくはこれに準ずる者に対し、月額三千円の健康管理手当を支給すること  第三に、厚生省令で定める範囲の精神上または身体上の障害により介護を必要とする状態にある特別被爆者であって、介護のための費用を支出している者に対し、介護手当を支給すること  第四に、国は、特別手当、健康管理手当及び医療手当にかかる事務の処理及びその支給に要する費用を交付することとし、また、介護手当の支給に要する費用についてはその十分の八を、その事務の処理に要する費用についてはその二分の一を負担すること等であります。  本案は、去る四月二日本会議において趣旨の説明が行なわれ、同日本委員会に付託となり、本日の委員会において、質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  次に、社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、社会福祉法人の設置する老朽の著しい社会福祉事業施設の改造を促進するため、社会福祉事業振興会が利子を徴しないで貸し付ける期間を昭和四十三年度から昭和四十五年度まで延長しようとするものであります。  本案は、去る四月二十四日本委員会に付託となり、本日の委員会において、質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  47. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) これより採決に入ります。  まず、理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  48. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。  次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案、及び社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。  両案を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措   置等に関する法律案内閣提出
  50. 山村新治郎

    ○山村新治郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  この際、内閣提出、小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  51. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 山村新治郎君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律案を議題といたします。     —————————————
  53. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 委員長の報告を求めます。沖縄及び北方問題等に関する特別委員長床次徳二君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔床次徳二君登壇
  54. 床次徳二

    ○床次徳二君 ただいま議題となりました小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律案につきまして、沖縄及び北方問題等に関する特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、南方諸島及びその他の諸島に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定に基づく小笠原諸島の復帰に伴い法令の適用についての暫定措置を定めるとともに、小笠原諸島の旧島民及び現島民の小笠原諸島における権利または利益の保護並びにこれらの者の生活の安定をはかるため特別の措置を講じ、あわせて小笠原諸島をその区域とする村の設置及び現地における行政機関の設置等について、所要の事項を定めようとするものであります。  その要旨は、  まず第一に、国及び地方公共団体は、旧島民の帰島及び生活の再建並びに現島民の生活の安定に努力すべきこと。  第二に、現島民に対する措置として、住宅等の敷地を法定賃借権の設定により保護し、漁業操業の保護並びに失業、離職、就業等につき、所要の生活安定の措置をとること。  第三は丁旧島民に対しては、本土引き揚げ当時存しておった耕作権、漁業権等の実態に即し、適切な保護をすること。また、帰島者の住宅用地が、現住民使用中の場合は、その保護措置をとること。  第四は、行政組織として、東京都に属する小笠原村の設置、現地行政機関として、小笠原総合事務所を設置すること。  第五は、小笠原諸島に対する施策として、国及び地方公共団体は、住民の生活安定のため、財産を住民の使用に供し、または公共の事業に国有財産の譲与等を行ない得ること。負担金、補助金等について特別の措置をとること。特別な場合を除き、土地の現状変更の制限また旧島民の帰島及び小笠原の復興に関し、別に法律を定めること。  第六は、小笠原復帰に伴い、関係法令の改正整備を行なうほか、本法における制限禁止事項に違反した者に対する罰則を定めることといたしております。  最後に、この法律の施行期日は、「南方諸島及びその他の諸島に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日」とすること。  以上が本案の要旨であります。  本案は、四月二十六日本特別委員会に付託され、五月七日田中総理総務長官から提案理由の説明を聴取し、その間地方行政委員会と連合審査会において参考人からの意見を聴取する等、慎重に審査を進めてまいりましたが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。  かくて、本日、質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決した次第であります。  なお、本案に対し、小渕恵三君外三名提出の自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の共同提案にかかる附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  55. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  56. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
  57. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。    午後六時五分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 三木 武夫君         厚 生 大 臣 園田  直君  出席政府委員         農 林 大 臣 西村 直己君         通商産業大臣  椎名悦三郎君         国 務 大 臣 田中 龍夫君         国 務 大 臣 鍋島 直紹君         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         科学技術庁原子         力局長     藤波 恒雄君      ————◇—————