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1968-05-09 第58回国会 衆議院 本会議 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月九日(木曜日)     —————————————  議事日程 第二十二号   昭和四十三年五月九日    午後二時開議  第一 国有林野事業特別会計法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  第二 行政機構簡素化等のための総理府設置   法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 畜産物価格安定等に関する法律の一部   を改正する法律案農林水産委員長提出)  第四 水資源開発公団法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  第五 原子力の非軍事的利用に関する協力のた   めの日本国政府アメリカ合衆国政府との間   の協定締結について承認を求めるの件  第六 原子力平和的利用における協力のため   の日本国政府グレートブリテン及び北部   アイルランド連合王国政府との間の協定の締   結について承認を求めるの件     ————————————— ○本日の会議に付した案件  赤澤自治大臣地方財政法第三十条の二の規定   に基づく地方財政状況報告についての発言   及び質疑  日程第一 国有林野事業特別会計法の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第二 行政機構簡素化等のための総理府   設置法等の一部を改正する法律案内閣提   出)  日程第三 畜産物価格安定等に関する法律の   一部を改正する法律案農林水産委員長提   出)  日程第四 水資源開発公団法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第五 原子力の非軍事的利用に関する協力   のための日本国政府アメリカ合衆国政府と   の間の協定締結について承認を求めるの件  日程第六 原子力平和的利用における協力の   ための日本国政府グレートブリテン及び   北部アイルランド連合王国政府との間の協定   の締結について承認を求めるの件    午後二時六分開議
  2. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  赤澤自治大臣地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況報告についての発言
  3. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 自治大臣から、地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況報告について発言を求められております。これを許します。自治大臣赤澤正道君。   〔国務大臣赤澤正道登壇
  4. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 地方財政法第三十条の二の規定に基づき、地方財政状況を御報告申し上げます。  まず、昭和四十一年度地方財政のうち、普通会計決算について申し上げますと、決算規模は、歳入五兆千七百七十七億円、歳出五兆二百六十二億円でありまして、前年度に比べますと、歳入において六千九百九十七億円、一五・六%、歳出において六千六百十一億円、一五・一%それぞれ増加しております。  収支状況について見ますと、全体では七百五十七億円の黒字でありますが、その内訳は、黒字団体は三千八十三団体で、その黒字額は千六十二億円、赤字団体は三百十二団体で、その赤字額は三百五億円であります。  昭和四十一年度地方財政は、初めは大幅な財源不足が見込まれ、その先行きを懸念されましたが、年度当初において各種地方財源対策がとられたこと、及び年度当初のきわめてきびしい財政見通しのもとに、各地方団体が慎重な財政運営を行なった反面、年度後半において経済が当初の予想以上に回復したことの結果、最終的にはおおむね順調な運営が行なわれました。  この結果、決算におきましては、収支改善単独事業伸長等やや明るさを取り戻した面も見られますが、他面、財政構造基調におきましては、依然として弾力性に乏しいのであります。  次に、地方公営企業について申し上げますと、経営面においては、引き続き赤字が累増しておりますが、赤字増加の度合いはわずかながら鈍化しております。  また、国民健康保険事業につきましては、前年度に比べ、赤字団体数赤字額とも増加しており、特に大都市及び特別区が赤字額の大半を占めております。  次に、昭和四十二年度における地方財政運営状況につきましては、年度中途において災害対策地方公務員給与改定等歳出増加要因に対し、地方交付税増加地方債ワク増加等所要措置を講じたほか、国内経済の回復に伴い、地方税の増収も見込まれる等、おおむね順調に推移しております。  地方財政につきましては、地方における行政水準はなお立ちおくれている部面が多く、他方、近年における社会経済の急激な変貌に伴い、各種の新しい行政需要が生じつつあるので、地方公共団体の果たすべき役割りはますます複雑かつ広範になってきております。したがいまして、地方財政がこのような需要に対処し、地域住民期待にこたえ得るためには、必要な財源確保をはかるとともに、地方団体自身においても、財政運営の一そうの効率化努力する必要があることはもとよりでありますが、国、地方を通じ、行財政の両面にわたり、さらに真剣な検討努力が必要であると考えられます。  以上、地方財政状況について、その要旨を御報告いたした次第であります。(拍手)      ————◇—————  地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政状況報告についての発言に対する質疑
  5. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。山本弥之助君。   〔山本弥之助登壇
  6. 山本弥之助

    山本弥之助君 私は、日本社会党を代表し、ただいま報告のありました地方財政状況に関連し、所信を申し述べ、政府に対し二、三の質問をいたします。  参議院議員半数改選投票日は、七月七日に決定を見たようであります。このことで思い起こしますのは、過去の総選挙及び統一地方選挙自民党候補者の掲げた選挙スローガンであります。その第一に掲げられたものは、「府県及び市町村進展は、中央政府に直結する以外にない」ということであります。このことは、佐藤総理の昨年四月実施東京都知事選挙における三多摩失言に明らかなごとく、歴代自民党政府地方自治に対する中央集権化政治姿勢を端的に表現しているのであって、地方財政が、地方自治法施行以来苦悩し続けてきた実態を如実に物語っており、憲法第九十二条の規定する地方自治本旨を忘れ去り、地方公共団体中央政府下部機構的存在に放置してきたのであります。(拍手)  そこで、まず第一に、佐藤総理にお尋ねいたします。  総理のよく言われる議会民主主義は、国会内部において、単に多数決原理のみが強行されることではないと思います。地方自治体において住民意識が高まり、その住民合意に基づき、地域住民生活向上のために、地方公共団体が民主的に運営されることが保障されるところに、すなわち、地方自治尊重と確立こそが、議会民主主義の確立される基盤であると信じます。私は、わが国経済高度成長下に激動を続けている地方公共団体を、依然として中央政府権力下に置かんとすることは、国民合意を求めながら、重要国策について、国民に対し白紙委任を強要する態度に通ずるものであり、ただ単に、地方行政進展を阻害するだけでなく、国の政治の将来を誤るものといわざるを得ません。(拍手)この点について佐藤総理の明快な御所信をお伺いいたします。  政府自民党は、昭和四十三年度予算編成にあたり、いわゆる財政硬直化の名のもとに、国民生活を圧迫し、物価高、実質増税生活福祉後退予算を組み、強引にこれを可決いたしました。地方財政は、地方財政白書に明らかなごとく、敗戦後十年間は、戦後改革された諸制度推進のために、地方公共団体の多くは赤字団体に転落したのであります。その後昭和三十年代に入り、地方財政再建促進特別措置法のもとに、地方自治体は、大企業中心とする経済成長政策に奉仕しつつ、未成年者として取り扱われてきたのであります。いわば地方財政硬直化は多年慢性的症状を続けてきたのであります。近年、臨時行政調査会地方制度調査会は、地方自治本旨に基づき、行政の民主的かつ総合的処理確保するために、国、都道府県及び市町村間の行政事務の再配分と、これに見合う財源配分につき、根本的改革断行すべきことを答申しているにもかかわらず、政府は故意にその年、その年の臨時措置で糊塗してきたにすぎないのであります。  国の財政硬直化打開策として行政合理化が強調されるや、佐藤総理の非科学的発言による一省庁一局削減人員整理の法案が提案され、地方公共団体にも行政組織合理化人員削減を強要しています。しかし、さきに述べたごとく、多年財政窮乏下にあった地方公共団体は、国政に先行して、地域住民便益のために絶えず合理化推進せざるを得なかったのであります。なお、重視すべきは、きびしい財政事情下においても、自衛隊の増強や、治安対策としての警察官の大幅増員が優先していることであって、地方行政自主性国民生活向上とを犠牲にし、さらに、わが国民平和主義に徹せんとする決意に逆行する政策が、着々と強行されることに対する大きな政治不信が高まりつつあることは、当然といわなければなりません。(拍手)肝心なことは、地方自治本旨に基づき運営される地方公共団体が、その住民とともに協力し得るような国の政策の転換こそを強く要請すべきときであります。  私は、行政改革は、内閣のリーダーシップを確立する組織の樹立が先行し、そのもとで国政統一性を保持し、地方公共団体行政能力強化する方向で改革が行なわれるべきものと思います。一局の削減は、一局長の行政事務処理限界を変更するにすぎないのであって、改革すべきは、その処理すべき事務内容であります。本年二月の閣議で、政府は、真に国民のための行政確保するため、行政組織及び運営その他の制度の全般について、改革計画を樹立して、強力にその実現をはかることを決定したのであるが、過去の事例に徴して、はたしてこれが実行についての熱意と、多年地方公共団体の要望する国、地方を通ずる抜本的行財政改革、ことに二十年来放任されてきた地方事務官制度の解決、超過負担早期解消地方債自由化を含め、自主財源付与等断行期待できるのかどうか。佐藤総理自治大蔵大臣行政管理庁長官の御所信をお伺いいたします。(拍手)  行政簡素化に関連してお尋ねしたいのは、国政佐藤内閣の表看板であった社会開発を取りはずし、アメリカとの軍事経済一体化政策推進されるときに、地方公共団体がその本来の役割りであるそれぞれの地域住民の健康で文化的な生活の安定を中心とする施策、すなわち保健社会福祉教育生活環境整備等重点を置くべきことが強く要請されております。したがって、国、地方協力することは必要であっても、同一基調のもとに財政計画が立てられ、地域住民生活に直ちに影響する事業が圧縮されることは許されません。ことに、清掃事業福祉施設医療保健施設が、補正なしの総合予算の名において、補助額の一部切り捨てが行なわれ、北九州市やその他の市の例が示すこれらの事業の全部または一部が、行政簡素化の名のもとに、民間委託を強要され、地方公務員の意欲を阻害し、緊急事業が後退するがごとき事態に追い込むべきでないと思いますが、自治、厚生両大臣の御所見をお伺いいたします。(拍手)  昭和四十年に実施された国勢調査は、激しい人口の流動と、地方公共団体が、複雑多岐にわたり、かつ増高する新しい行政需要に対応できない危機的症状を浮き彫りにいたしました。都市化傾向、ことに大都市及びその周辺への無軌道な都市の膨張は、机上のプラン、各省のセクショナリズム、そのときどきのばらばらの対策企業利潤本位責任回避住民不参加等により、その住宅難、公害、交通難交通禍記録的増大に拍車をかけております。また、本来公益性の制約を受ける交通事業等公営企業は、一定の外的条件整備のもとでしか強要できない独立採算制重圧下に、ばく大な累積赤字をかかえ、住民への便益の供与よりもその財政再建に忙殺されているのが現状であります。(拍手)驚異的な繁栄といわれる中で、最も国民の富の集積を重ねてきた大都市が、住民のための当面の都市機能すら果たし得ないままで赤字団体に転落しつつある現状は、明らかに地方財政の矛盾と国の政治の貧困といわざるを得ません。(拍手)  人口流出に悩むいわゆる過疎地帯実情につきましては、全国に多くの適例を取り上げることに容易でございますが、私は、多年身近に見聞してきた一例を指摘します。  岩手県の奥羽山脈沿い豪雪地帯に位置する沢内村は、人口約六千人の貧しい山村でございます。この村は、生命をかけた村長を中心に全村民努力により、最近十数年にわたり大きな犠牲のもとに、冬季間の村内幹線道路交通確保と、乳児、老人ともに十割給付を行なう国保を中軸として村民健康管理に成功した村であります。現在、国、県の助成により、豪雪山村開発総合センターが、老朽村役場にかわって、行政、産業、教育福祉等総合施設として建設中であります。いわば、本村の村政人間尊重の精神を貫き、生活優先防貧対策から経済生活向上へと進む自治体基本的理念に基づく村づくりといえるのでございます。しかし、村民の労働の過重は健康を阻害し、拡大する所得格差のための出かせぎ等による人口流出を食いとめることはできません。ここに村政限界があり、この村の将来に暗影を投げかけております。これを解決するには、国政としての国民生活を優先する施策が要請されるわけであります。(拍手)  今後、都市化傾向は依然流動的で、いわゆる過密、過疎対策は、地方交付税の少額の特別加算傾斜配分、あるいは特別の地方債僻地債恩恵的増額では解決できないのであります。(拍手地域別対症療法がさらに強化されるべきであります。大都市やその他の都市には、自主財源確保され、当面の都市機能保持にとどまらず、住民参加のもとに、その都市ビジョンを科学的に再検討する余裕が与えられなければなりません。(拍手過疎地帯自治体には弾力性のある補助金制度の運用と地方交付税傾斜配分強化によって、地域特性に応じ、ナショナルミニマム確保し得る施設多様性をはかる等、すみやかに適切な措置を講ずべきであります。(拍手佐藤総理及び自治大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。  終わりに、経済企画庁長官にお伺いします。  今秋までに、将来の展望に立って、現状に合わなくなった全国総合開発計画改定を行なうとのことですが、この計画に基づき、都道府県総合開発計画地方総合開発計画が、地方公共団体において早晩改定されることになりましょう。したがって、この計画は、地域開発の指針となり、地方公共団体の将来のあり方及び行財政改革断行にも密接な関係を持つものと思われ、さらに、計画自体を真に国民のために具体化して効果あるものとするためにも重要な課題でありますので、その改定基本構想をお聞かせ願います。従来の計画及びこれに関連する地域開発の立法の多くが、地方公共団体犠牲において高度経済成長政策に奉仕させるために企業誘致重点が置かれ、しかも、企業利潤本位の選択が、地方財政には大きな負担を、地域住民生活には大きな障害をもたらした多くの事例があることに留意すべきであります。釧路市の工場誘致条例廃止は、地方公共団体企業に対処すべき限界を明瞭にしたと思います。企業適正配置は、あくまで国の責任企業公益優先の考えに立って計画すべきであります。また、将来の高速交通体系は、各自治体都市計画農村計画に寄与し、国土の総合的な利用開発、保全に真に役立つものでなければなりません。  最後に、計画経済的効率性からのみでなく、国民生活を優先する見地に立って、地域住民がそれぞれの地域に適正に定着し、住民のエネルギーが結集されて、各地方公共団体地域特性を生かした発展が保障されるよう樹立されるべきであって、このための地方財政の長期的安定を確立すべきことを強く指摘いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  7. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  地方自治体の健全な育成、これこそは民主主義要諦だ、かように私は考えております。そこで、地方自治体中央政府出先機関として扱って、いわゆる中央集権的な行政をしたり、あるいはまた住民に対して押しつけ的な行政をするようなことは避けなければなりません。こういう意味において私は今後とも努力をするつもりでございます。  そこで、(「三多摩発言はどこへ行った」と呼ぶ者あり)三多摩発言はどこへ行ったというようなお話が出ておりますが、私はこの機会に申し上げたい。政党政治要諦国民期待に沿うことであります。私どもが多数を中央において持つ以上、国民は私ども期待するものがある。それにこたえなければなりません。また同時に、地方自治体もこれは地域住民から代表されるものであります。その場合に、中央地方が、ただいま申すような基本的理念に立ちましても、連絡が緊密でなければ十分の効果をあげ得ないことは、これは御了承がいただけると思います。私は、さような意味で、いわゆる直結というようなことばは不適当かと思いますが、連絡が緊密であることが望ましい、このことをはっきり申し上げておきます。  第二に、地方行財政あり方についていろいろ御意見を述べられました。確かに地方におきましても、行財政においていろいろの問題をかかえておると思います。ただいま地方制度調査会におきまして、行政の再配分、同時にあわせて財源配分等についていろいろ調査を進めております。いずれこれらについての答申が出てまいりましたら、それに沿いまして政府は善処することをこの機会にお約束いたします。  同時にまた、行政機構改革につきましては、中央におきまして、いろいろの御議論はございますけれども政府自身行政改革と取り組むその姿勢として、一省庁一局廃止ということを決意いたしました。私は同様の点において、今後この行政改革を、中央地方を通じてそれぞれ進めていかなければならないものだと思います。ただいまお話にありましたように、すでに閣議決定も見たのでございますから、国民のための行政に幸いするような行政機構、これを地方におきましてもぜひともつくるということに一そうの努力をいたしたい。その意味において熱意を傾ける次第でございます。  最後に、過密過疎対策についてのお尋ねがありました。申すまでもなく、全国均衡のとれた国土の総合的な開発が最も望ましい姿である、これには変わりはございません。しかし、なかなか問題がございまして、いま都市集中の形が出ており、農村山村等は疲弊しておる、いわゆる過密過疎の現象を生じております。そこで、政府におきましては、目下経済企画庁中心全国総合開発計画について根本的な再検討を加えることといたしております。これは国会議員の参画も得まして、第一回の会議を開いたばかりであります。その結果によりまして、私どもは、過密過疎対策としての適切な計画を樹立し、これを進めてまいるつもりでございます。  以上、お答えいたします。(拍手)   〔国務大臣赤澤正道登壇
  8. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 行政簡素化につきましては、ただいま総理が述べたとおりでございまして、国の行政簡素化に呼応いたしまして、地方団体といたしましても行政簡素化して住民の利便をはかる、またあわせて経費削減をも行なうようにお願いをいたしております。しかし、これを押しつけようというものでは決してありません。あくまで地方団体が自分たちのくふうと努力によって簡素化効果をあげることを期待しておるものであります。  また、地方団体行政簡素化と申しますけれども地方団体独自で行ない得るものは限りがありまするので、地方団体事務をいたずらに複雑にしておる国の制度などにつきましては、地方団体意見をよく聞いて、関係省庁改革をお願いするつもりで目下作業を進めておる最中でございます。  超過負担早期解消、また地方債自由化などにつきまして、貴重な御意見をいただきましたわけでございますが、国庫補助負担事業などにかかる地方超過負担につきましては、四十二年度におきまして保健所運営費など六事業実態調査いたしましてその実態を究明いたしましたが、この調査に基づいて三年間にその完全解消をはかることといたしました。今年度におきましても約三百二十億円片づくはずでございます。  地方債運営につきましては、現在許可制度がとられております。この理由は、一つは、長期低利資金にはおのずから限度があり、地方団体間の資金配分の公平を期する見地からでありまして、もう一つは、公債費が将来の財政運営に及ぼす影響の大きいのにかんがみまして、地方団体財政運営健全性確保するためになお必要であると考えられるからでございます。しかし、地方債事務処理につきましては、できるだけこれを簡素化してまいりたいと考え、いわゆるワク配分方式の拡大などによりましてその改善を積極的に推進していく所存でございます。  行政簡素化という名前で清掃事業などを民間委託しておるのはよくないじゃないかとおっしゃいましたが、われわれといたしましては、行政経費効率化及び合理化をはかる見地から、従来から、必ずしも地方団体が直接実施する必要のない事務事業、これを民間に委託する、また間接経営にゆだねるにつきまして、事務事業実態効果、法令の規定などを十分検討いたしまして、地方団体実情に応じて、地方団体の十分な管理、監督のもとにその実効をあげ得るよう指導してきておるところでございます。民間委託または間接経営実施につきまして、一律にこれを強制しているものではありませんので、地方実態に応じた実施期待しておるものでございます。  過密過疎問題につきましてもいま総理がお触れになりました。ただいま岩手県の例もおあげになったわけでございますが、これはもう国全体として一つの悩みでございますし、これをどう解決するかということは、目下非常に重大な問題の一つでございます。全国の均衡ある発展をはかり、人口の過度の都市集中を防止するため基本的な施策が必要であることは言うまでもありませんが、地方団体におきましても、過密地域過疎地域における新しい財政需要に対処いたしますために、財源充実が必要であると考えます。このため、従来から、これらの地域に対する地方交付税の算定の充実地方債重点的な配分などに意を用い、道路目的財源充実交通安全対策交付金交付国庫助成強化、ただいま御指摘になりましたとおりでございますが、そういう措置を講じてまいっておるところでございます。今後は、なお一そう過密過疎対策としての適切な計画を樹立いたしまして、その推進をはかっていきたい、かように考えております。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  9. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) お答えいたします。  御指摘ございましたように、行政簡素化が、中央でやるべき行政事務をみな地方に押しつけてしまうというようなことでございましたら、地方財政負担にたえられないことになりますので、どうしても行政簡素化は、中央地方を通じての調整であり、合理化でなければならないと考えます。中央地方事務配分が合理的に考えられた上で、初めて中央地方財源の再配分検討さるべきであろうと考えます。その場合には、どうしても現行の補助金制度との関係地方団体間の税源の偏在、こういう問題との総合的な考え方をしなければならぬという立場から、政府としましては、地方制度調査会税制調査会にこの問題についていま研究を願っておるところでございます。この問題は、早晩どうしても解決しなければならぬ問題だというふうに考えております。  それから過密過疎対策でございますが、いま財政支出としては、大体本年度予算で、この問題のために千八百億円の予算を計上しております。それから財政投融資としましては、四千億円以上の投融資に及んでおるわけでございますが、問題は、必要に迫られていろいろ施策を積み重ねてきている、したがって、補助金制度を活用すべきことはもちろんでございますが、この制度が積み重ねられて、都市改造事業とか市街地改造事業、それから住宅地区の改良事業あるいは北海道関係、離島関係の公共事業山村振興、奥地開発というふうに次々にいろいろ施策が重ねられておりますので、はたしてこれだけの資金が有効に働いておるかどうかは、非常に問題だと思っております。したがって、私どもは、いま経済企画庁が取り組んでおります全国の総合的な開発計画に非常に期待しておるのでございますが、もしこの開発計画がきまって、その上にこういう経費を投ずるということでございましたら、いまよりもっと一そう効率が発揮されるのではないかというふうに、どうしてもこの総合開発計画が必要な段階に来ているというふうに考えております。(拍手)   〔国務大臣園田直君登壇
  10. 園田直

    国務大臣(園田直君) 清掃事業等に対する補助額の一部切り捨て等を行なうのではないかということでございまするが、事業の重要性にかんがみ、規定する法律もあることでございまするから、事業実態に即応して、適正なる補助をするよう十分配慮する所存でございます。  なお、公立病院の給食、市町村清掃事業等は、御案内のとおり直営が原則でございまして、財政上の見地から簡単に一部委任することはまことに遺憾でございまして、やむを得ざる場合委任するというのは、あくまで医療、国民保健衛生を重点に考えて、やむを得ざると規定してあるものであり、かつまた、一部委任する場合におきましても、地方公共団体がその最終の責任を負うべきものであり、その実施については、職安法との関連などの問題もございまするから、これは慎重にやらなければならぬ。この問題については、自治大臣と私の意見が必ずしもぴたっとしていないようでございますが、十分話し合うつもりでございます。(拍手)   〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  11. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 新しい全国総合開発計画は、大体昭和六十年ごろを終期として考えております。それで、ただいまからこの自然の保存ということが非常に大切な問題になってくると考えておりますので、各ブロックに、一次、二次、三次の産業ばかりでなく、その自然保存ということをあわせました特色のある大型プロジェクトをブロックごとにつくっていきまして、そうしてそれを全国的に交通と通信というネットワークで結ぶ、そういう考え方ではどうであろうかというふうにいま考えておるわけでございます。  それで、私の乏しい経験でありますけれども、とかくこういうときにおちいりやすい弊は、全国の利益ということを考えるに急なあまり、地域感情というのを無用に刺激することになることが実は多いわけでありまして、今度はそういうことになりませんように、昨年から各都道府県と私どもの役所で個別にお互いの問題を話し合っておるわけでございます。かなりお互いにお互いの気持ちがわかってきているように思うのでございますが、これから本格的な段階に入りますので、御指摘の点は十分留意してやってまいりたいと思っております。(拍手)   〔国務大臣木村武雄君登壇
  12. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 行政改革は、占領政治が終わった直後に、自後の国情や国民生活に沿うように断行すべきだったと思いますが、延び延びになったことは、はなはだ遺憾であります。それだけに力を込めて、目下国民期待に沿うような、行政改革の根本的な三カ年計画案を鋭意樹立作成中であります。その芽ばえが一省庁一局削減と総定員法でありまするから、その出ばなをくじかないように、どうか新芽の育成強化に御協力くださるようにお願いを申し上げます。  地方事務官制度の問題は、二十年間たなざらしにあった問題でありまするから、早く解決したいと思って、いま解決案をつくるべく、八月一ぱいをめどにして取り組んでおります。(拍手
  13. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  日程第一 国有林野事業特別会計法の一部を   改正する法律案内閣提出
  14. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第一、国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  15. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事渡辺美智雄君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔渡辺美智雄君登壇
  16. 渡辺美智雄

    ○渡辺美智雄君 ただいま議題となりました国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、国有林野事業特別会計に属する特別積立金引当資金につきまして、現行制度では、同引当資金は林業の振興その他の財源に充てるものとして一般会計に繰り入れる場合に限り予算の定めるところにより使用できることとされております。これを今回改正して、森林開発公団の行なう水源林造成事業の所要資金を継続的かつ安定的に確保するため、当分の間、まずこの特別会計から森林開発公団へ直接出資するための財源として優先的に使用することとしようとするものであります。そしてまた、この使用の妨げとならない場合に限り、一般会計への繰り入れができることに改めようとするものであります。  なお、同引当資金を森林開発公団への出資に使用した場合には、これに見合う特別積立金の金額は利益積立金に組みかえて整理することといたしております。  本案につきましては、審査の結果、去る四月二十四日質疑を終了いたしましたが、去る七日、金子一平君外二十四名より、自由民主党及び民主社会党の両党共同提案にかかる修正案が提出されました。  修正案の内容は、原案で「昭和四十三年四月一日」と定められております施行期日を「公布の日」に改めようとするものであります。  次いで、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して阿部助哉君、公明党を代表して小川新一郎君は、それぞれ原案並びに修正案に対して反対の旨を述べられました。次いで、原案並びに修正案につきまして採決いたしましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決せられましたので、本案は修正議決すべきものと決したのであります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  17. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  18. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第二 行政機構簡素化等のための総理府設置法等の一部を改正する法律案内閣提出
  19. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第二、行政機構簡素化等のための総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
  20. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長三池信君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔三池信君登壇
  21. 三池信

    ○三池信君 ただいま議題となりました行政機構簡素化等のための総理府設置法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案の要旨は、行政簡素化及び能率化をはかるため、総理府本府ほか十七省庁についてそれぞれ内部部局一局の整理等を行なうこととするほか、合計六つの審議会について、その整理統合を行なおうとするものであります。  本案は、三月十二日本会議において趣旨説明が行なわれた後、同日本委員会に付託、三月十九日政府より提案理由の説明を聴取し、四月四日より質疑に入り、慎重審議を行ない、五月七日、質疑を終了、続いて討論に入りましたところ、日本社会党を代表して大出委員より、民主社会党を代表して玉置委員より、また公明党を代表して伊藤委員より、それぞれ反対の意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  22. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  23. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案農林水産委員長提出
  24. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。  日程第三、畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
  26. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 提出者の趣旨弁明を許します。農林水産委員長足立篤郎君。   〔足立篤郎君登壇
  27. 足立篤郎

    ○足立篤郎君 ただいま議題となりました農林水産委員長提出畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案について、提案の趣旨を申し上げます。  現在、指定食肉について政府の定める安定基準価格には、市場間格差が告示されておりますが、これは自由な市場取引をたてまえとする生産地における取引価格の上に、生産者側に悪影響を及ぼしている事実が見られますので、本案はこれを是正するため、政府が告示する指定食肉の安定価格は主要消費地の中央卸売市場についてのみ定め、いわゆる市場間格差の告示はこれを行なわないこととしようとするものであります。  農林水産委員会におきましては、五月八日本案を委員会提出の法律案とすることに決した次第であります。何とぞすみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  28. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。      ————◇—————  日程第四 水資源開発公団の一部を改正する法律案内閣提出
  30. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第四、水資源開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  31. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。建設委員長加藤常太郎君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔加藤常太郎君登壇
  32. 加藤常太郎

    ○加藤常太郎君 ただいま議題となりました水資源開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、水資源の総合的開発利用合理化の必要性にかんがみ、木曾川、豊川両水系の開発に当たった愛知用水公団を水資源開発公団に統合するため、昭和四十三年十月一日をもって愛知用水公団を解散し、その一切の権利義務を水資源開発公団に承継せしめるとともに、水資源開発公団の業務の範囲を改めることをその内容とするものであります。  本案は、去る三月十八日本委員会に付託され、三月二十七日提案理由の説明を聴取し、自来慎重に審査を進めてまいったのでありますが、審査の詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて、五月八日、質疑を終了し、討論もなく、直ちに採決いたしましたところ「本法案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたした次第であります。  なお、本案に対しましては、四党共同提案にかかる附帯決議が付せられましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  33. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  34. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第五 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件  日程第六 原子力平和的利用における協力のための日本国政府グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件
  35. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第五、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、日程第六、原子力平和的利用における協力のための日本国政府グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
  36. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。外務委員長秋田大助君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔秋田大助君登壇
  37. 秋田大助

    ○秋田大助君 ただいま議題となりました二案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  現行の日米並びに日英原子力協定は、それぞれ本年十二月をもってその有効期間が満了することになっておりますので、政府はかねて米英両国政府と新たな原子力協定締結するための交渉を行なってまいりましたところ、最終的合意に達しましたので、米国との間には本年二月二十六日にワシントンにおいて、また英国との間には三月六日東京において、それぞれ署名を行なった次第であります。  両協定のおもな内容を申し上げますと、まず日米原子力協定につきましては、両国政府原子力の平和利用について相互に援助することを目的といたしておりまして、米国原子力委員会は、日本国政府またはその承認した民間団体等に対し、合計百六十一トンの濃縮ウラン並びに三百六十五キログラムのプルトニウムを提供することとし、その量は現行協定に比し大幅に増加しております。また、その使用を通じて生産される特殊核物質は、軍事目的には使用されないこと、並びにこの協定に基づく資材及び設備等に対する保障措置は、両国政府と国際原子力機関との間の協定により代置される範囲を除き、米国政府が行なうものとすること等を規定しております。  次に、日英原子力協定につきましては、両国政府原子力の平和利用の促進及び開発のために相互に協力することを目的としておりまして、英国政府は、日本国政府またはその承認した民間団体等に対し、同国から輸入した原子炉に必要な燃料を供給すること、また、この協定に基づいて移転された核物質、設備等は、平和目的にのみ使用され、かつ、資材及び設備等に対する保障措置は、両国政府と国際原子力機関との間で協定締結して行ない、それが実施されないときは、英国政府が行なうものとすること等を規定しております。  なお、本二協定は、発効いたしますと、その日に現行協定にとってかわり、その有効期間はそれぞれ三十年となっております。  これら二案件は、四月十六日に委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ない、また、参考人として学識経験者等を招致して意見を聴取し、さらに科学技術振興対策特別委員会との連合審査会を開くなど、慎重な審議を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、五月八日、質疑を終了し、日本社会党を代表して石野久男君、公明党を代表して伊藤惣助丸君、日本共産党を代表して松本善明君より反対の討論が行なわれて後、採決の結果、これら二案件はいずれも多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  38. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 両件につき討論の通告があります。これを許します。石野久男君。   〔石野久男君登壇
  39. 石野久男

    ○石野久男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました日米原子力協定並びに日英原子力協定に対し、反対の討論を行なわんとするものであります。  今日、わが国原子力政策の主たる課題は、高速増殖炉、新型転換炉を自主開発し、核燃料サイクルを自主的に早期確立することにあります。原子力エネルギーを平和利用するための技術体系を確立し、総合的管理体制を整備することによって、安価なエネルギー源を確保せねばならぬというかねてからのわが党の主張は、これは世論一般の認めるところであります。わが党はこのことを積極的に推進するための道として、原子力基本法の精神を守り、平和利用に徹した自主、民主、公開の三原則にのっとり、平和目的、安全性確保、自主開発、国家管理の四つの柱を軸とした政策を主張しているのであります。  議題となっている日米原子力協定は、旧協定と比較して、形式的には相互主義に変わった点など、若干の改善を認められるとしても、その内容は、片務的、強制的で、米国に対する免責のみが強調せられて、濃縮ウランやプルトニウムを買い取る商売上の双務的な立場というものは全くなく、代金の支払いもしないで、ただで恵まれるというのならばいざしらず、ばく大な金を支払う取引としては、全く屈辱的な規定になっているのであります。協定に盛り込まれた保障措置、すなわち査察規定は、核拡散防止規定の先取りと見られる内容を持っているのであって、わが党の賛成のできるしろものではありません。  以下、協定の内容について反対の理由を申し述べます。  第一の点は、原子力基本法に基づく核燃料の国家管理の精神を踏みにじって、民有方式にすりかえているという点であります。  アメリカが一九六三年に民有化の方式に切りかえたから、日本もそれに歩調を合わすのだというのが政府の説明であります。この閣議決定こそ、基本法の精神を守らなくてはならぬという考え方が政府には全くないことを示しているものであって、政府の態度を許すことができぬのであります。しかも、協定の内容を見ればだれでもわかるように、アメリカは合衆国原子力委員会がすべての責任者で、政府を代行して契約の相手になっているのでありまして、実質的には民有化はほど遠く、国家管理にひとしい取り扱いが行なわれているのでありますから、まさにこれはペてんにかかったのと同様であります。わが国は平和利用に徹する立場で国家管理方式を規定しているのであって、法のたてまえからいっても、国民感情からいっても、また学識経験者の立場からいっても、民有方式については賛成せられていないのであります。政府がいたずらに民有化方式を先行させているのは、アメリカの実体を見きわめないで、いたずらにこれに追従し、原子力基本法の精神を無視し、産業界の恣意におもねているのであって、核の平和利用のための規制措置をなしくずしにして軍事利用への道を開こうとする意図を示すものであります。絶対に容認することはできないのであります。  第二に、この協定はきわめて片務的であるということであります。  協定の第五条によると、協定に基づいて移転された資材、設備等は、受領する日本政府責任において使用されるものとされ、米国は、それが完全であることを保証しないことになっているのであります。これは一般の商習慣による双務契約に反することであります。提供国である米国政府は無責任で、全く片務的な内容であります。原子力エネルギー、原子力産業が、日本の将来をになう産業であるということを意識すれば意識するほど、このような米側の、一方的で、一般商習慣を無視した態度を許すことはできないのであります。にもかかわらず、このような片務協定を、濃縮ウランを供給することをアメリカに義務づけたのであるから、決して片務的ではないのであると自画自賛する佐藤政府の屈辱外交は、必ず将来に禍根を残すでありましょう。(拍手)われわれは、このような腰砕けのふがいない協定内容と、その経済外交を認めることはできないのであります。  第三に、この協定の実体は、燃料としての濃縮ウラン、プルトニウムだけでなく、軽水炉を含めてその売り込みの強制を規定しているということであります。  第八条のD項は、総量より少ない量について契約したときは、残量は入手できないことになるのであります。また必要量を越えて濃縮ウランが日本にだぶついてもいけないことになっております。百六十一トンという多量の濃縮ウランが供給されることを喜ぶ前に、契約が少なければちょん切られ、だぶつけば許されないということは、所要の炉と燃料をミックスして、アメリカのものを買わせるという巧妙な商法であって、このような強制というか、締めつけを安易に受け取ることは、絶対にわが党は許すことができないし、わが国原子力産業の将来のために許すことはできないのであります。(拍手)  第四に、アメリカに対する免責が全く従属国の宗主国に対するがごときものであって、このような免責を許すことはできないということであります。  協定第八条I項の後段はこのようになっております。すなわち、「日本国政府は、合衆国委員会がこの協定又は旧協定に基づいて同政府に賃貸した特殊核物質又は燃料要素に関し、その特殊核物質又は燃料要素の生産又は加工、所有、賃借並びに占有及び使用から生ずる原因のいかんを問わないすべての責任(第三者に対する責件を含む。)について、その特殊核物質又は燃料要素が合衆国委員会から日本国政府又は同政府のために行動する者に引き渡された後は、アメリカ合衆国政府に対しその責任を免れさせ、かつ、損害を与えないようにするものとする。」とあって、重大なミスが引き渡しの前にアメリカ側にあることが明らかな場合でも、その損害を日本側はアメリカに補償させることができないというのであります。われわれはこれを許すことはできません。  第五は、査察が国際原子力機関の査察の範囲を越えてきびしいものであるということであります。  第十一条はこのことを詳細に規定しております。原子炉や資材、設備、装置の一切について、立ち入り検査が自由に行なわれ、設計審査や操作記録の保持、提出を要求する権利、少しでも違反があり、規定の履行が行なわれていなければ、協定を停止し、廃棄する権利をアメリカが持っている。資材、設備、装置の返還を求める権利等々、国連査察を上回る一方的な権力規定がアメリカ側の査察内容になっているのであります。のみならず、このことは、日本の技術を一切アメリカに筒抜けで提供するにひとしいのであって、日本側にとってきわめて不利なのであります。この査察規定と、いま国連で問題になっている、米ソが強引に世界に押しつけようとしておる核拡散防止条約の第三条第二項を彼此勘案すると、この協定はまさに核防条約の先取り協定であるといわなければなりません。この内容と意図とは、互恵平等の国際関係をいずこにも保障していないのであります。アメリカの言うままになっている不平等な従属性を露骨に示したものでありまして、絶対に容認することはできないのであります。  最後に、この協定は三十年間にわたる協定であって、日進月歩ということばが今日ほど世界に当てはまるときはないといわれている今日、特に原子力の世界で、三十年という長期にわたる協定を結ぶ政府の腹の中がわかりかねるのであります。  ウラン燃料がほしい気持ちはわかる。しかし、高速増殖炉、新型転換炉を一日も早く開発しようと気負い込む政府が、なぜ条約締結の常識を越えて、このような長期にわたる屈辱的な協定を結ぼうとしているのか、理解に苦しむところであります。(拍手)これはアメリカ側の主張であることに間違いありません。三十年にわたって安定した原子炉と核燃料の市場として日本を縛りつける本協定は、独立国日本の名誉のためにも賛成できるものではありません。  政府は、アメリカが一九六〇年代の初期から、貿易自由化、資本自由化を世界に呼びかけ、核のかさを世界に広げながら、ドルの権威を守ろうとして必死の努力をしてきたにもかかわらず、ベトナムにおける侵略戦争で行き詰まり、いまやSDRの助けをかりてもドルのかさは破れて、その権威を失墜しようとしている現代のアメリカを、よく承知しているはずであります。佐藤内閣は、どこまでアメリカに義理を立てようとしているのでありましょうか。また、日本の真の独立をほんとうに考えているのでありますか、全くわかりません。原子力開発の仕事はきわめて重大であることを理解しているからこそ、われわれは、原子力の基礎研究を積極的に政策路線に乗せることを要求し、わが国の自主開発を磐石の地位に置くことを要求してきたのであります。日本人の英知は決してアメリカに劣るものではないのであるし、われわれは、国の権威をアメリカに対しても堅持すべきであるということを、常に主張してきたところであります。  政府は、何ゆえあって、このような屈辱的な不平等協定を、この時期に、三十年という長期にわたっての約束事として取りきめようとしておるのであるか。かりにこの協定を結ぶとしても、なぜ五年、十年という常識的な年限を主張しなかったのであるか。日本の科学技術の進歩に信頼しないで、どうして原子力の自主開発の成果を期待することができるというのでありましょうか。日米原子力協定は、まさにこのようなものであります。日英協定も、また同工異曲のものであって、わが日本社会党は、とうていこのような協定に賛成することはできないのであります。  以上、両協定に反対する理由を申し述べて、討論を終わる次第であります。(拍手
  40. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これにて討論は終局いたしました。  両件を一括して採決いたします。  両件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  41. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、両件は委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————
  42. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣        内閣総理大臣  佐藤 榮作君        外 務 大 臣 三木 武夫君        大 蔵 大 臣 水田三喜男君        厚 生 大 臣 園田  直君        農 林 大 臣 西村 直己君        自 治 大 臣 赤澤 正道君        国 務 大 臣 木村 武雄君        国 務 大 臣 宮澤 喜一君