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1968-03-18 第58回国会 衆議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十八日(月曜日)     —————————————  議事日程 第八号   昭和四十三年三月十八日     午後一時開議  第一 昭和四十三年度一般会計予算  第二 昭和四十三年度特別会計予算  第三 昭和四十三年度政府関係機関予算  第四 日本開発銀行法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第五 アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関   する法律の一部を改正する法律案内閣提   出)  第六 法務省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第七 裁判所職員定員法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  第八 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一   部を改正する法律案農林水産委員長提出)  第九 森林法の一部を改正する法律案(第五十   五回国会内閣提出)  第十 日本万国博覧会政府代表設置に関する   臨時措置法案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  沖繩及び北方問題並びにその他の固有領土に関   する対策樹立のため委員二十五人よりなる特   別委員会設置するの件(議長発議)  中央更生保護審査会委員任命につき同意を求め   るの件  公共企業体等労働委員会委員任命につき同意を   求めるの件  日程第一 昭和四十二年度一般会計予算  日程第二 昭和四十三年度特別会計予算  日程第三 昭和四十三年度政府関係機関予算  日程第四 日本開発銀行法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第五 アジア開発銀行への加盟に伴う措置   に関する法律の一部を改正する法律案内閣   提出)  日程第六 法務省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第七 裁判所職員定員法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第八 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等   の一部を改正する法律案農林水産委員長提   出)  日程第九 森林法の一部を改正する法律案(第   五十五回国会内閣提出)  日程第十 日本万国博覧会政府代表設置に関   する臨時措置法案内閣提出)  公衆電気通信法の一部を改正する法律案内閣   提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時六分開議
  2. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) おはかりいたします。   議員愛知揆一君から、三月二十一日より四月二日まで十三日間、議員永末英一君から、三月二十一日より四月三日まで十四日間、議員井岡大治君から、三月二十七日より四月十日まで十五日間、右いずれも海外旅行のため請暇申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————  特別委員会設置の件
  5. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 特別委員会設置につきおはかりいたします。  沖繩及び北方問題並びにその他の固有領土に関する対策樹立のため委員二十五名よりなる特別委員会設置いたしたいと思います。これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  6. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、そのとおり決しました。  ただいま議決せられました特別委員会委員は追って指名いたします。      ————◇—————  中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件  公共企業体等労働委員会委員任命につき同意を求めるの件
  7. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) おはかりいたします。  内閣から、中央更生保護審査会委員大平エツ君を、公共企業体等労働委員会委員兼子一君、金子美雄君、隅谷三喜男君、中西貴君、峯村光郎君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。      ————◇—————  日程第一 昭和四十三年度一般会計予算  日程第二 昭和四十三年度特別会計予算  日程第三 昭和四十三年度政府関係機関予算
  9. 石井光次郎

  10. 石井光次郎

  11. 井出一太郎

    井出一太郎君 ただいま議題となりました昭和四十三年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  この予算三案は、去る一月二十六日予算委員会に付託され、二月五日に政府から提案理由説明があり、即日質疑に入りましたが、七日午後から二十三日まで、日本海における漁船の安全操業に関連する前農林大臣の発言をめぐって審議が中断され、二十四日から質疑を再開し、その後も米審委員構成問題等のため、しばしば審議が停滞しましたが、昨三月十七日質疑を終了し、討論採決をいたしたものであります。  まず、予算規模等について簡単に申し上げます。  一般会計予算総額は、歳入歳出とも五兆八千百八十五億円で、四十二年度補正予算額に比べて二・八%の増加となっており、そのうち公債金収入は六千四百億円で、歳入総額の一〇・九%を占めております。  また、特別会計におきましては、経済援助資金余剰農産物資金融通特別会計産業投資特別会計に統合するとともに、従来一般会計に含まれていました国立療養所の経理を国立病院特別会計に含めることとし、その数は四十三と相なっております。  なお、政府関係機関の数は、四十二年度と同様十四であります。  次に、質疑の概要を申し上げます。  まず、予算規模及びその編成方針等につきましては、「政府抑制型予算編成したというが、昨年の公共事業費等繰り延べ措置及び今回の国立療養所特別会計への移行を考慮すると、一般会計予算の対前年度伸び率は一四%をこえ、国民生産予想伸び率一二・一%を上回っており、抑制型予算とはいえないではないか。特に防衛費において、後年度負担経費を著しく増加させていることは納得できない。また、総合予算主義をとり、補正予算を組まない方針であるというが、生産者米価の引き上げが予想されるのに、これにどう対処するのか。公務員給与改善に関する人事院勧告実施所要経費が、予備費中に計上している五百億円をこえても、完全実施をする意思があるか。国立療養所特別会計に移すことは、療養所独立採算制を強制して、患者負担増加させることになるのではないか。」という趣旨質疑があり、これに対しましては、「景気抑制の見地からは、国の一般会計伸びだけでなく、中央地方の各会計を通じた政府財貨サービス購入費伸びが最も重要と思うが、その予想伸び率は一一・七%で、総生産予想伸び率を下回っており、抑制型予算でないとはいえない。防衛費も、三次防の年次割り基準から見ると、相当圧縮した予算配分となっている。四十三年度は、年度途中において自然増収等補正財源が生ずる見込みがないので、当初において予備費を増額して対処しようとしているが、異常な災害等が生じた場合における補正の必要までを否定するものではない。米価はどう決定されるかわからないが、もし生産者米価が上がっても、食管会計内の操作により、補正予算を組まずに済ませたい。この場合、消費者米価が多少上がることも予想しなければならないと思う。公務員給与改善に関する人事院勧告がどう出るかもわからないが、総額千二百億円の予備費範囲内で、勧告を尊重し、他の補正要因調整しながら対処したい。国立療養所特別会計に移すのは、自己財源を与え、かつ借り入れ金の道を開いて、経営の改善をはかるためで、患者に対するサービスの向上こそあれ、負担増加となることは考えていない。」という趣旨答弁がありました。  次に、貿易国際収支及び外貨準備につきましては、「アメリカ輸入課徴金を課そうとしているが、これを阻止すべきではないか。もしこれが実現されるならば、報復措置を講ずべきではないか。従来の貿易があまりにもアメリカ依存に過ぎているが、多角的貿易方途を講じ、特に中国貿易については、輸銀融資の道を開いて、その拡大をはかるべきではないか。アメリカの要請に基づき、中期債券購入兵器購入輸入ユーザンスの高利なユーロダラーへの振りかえ等をはかっているというが、ベトナム戦費のため赤字国となっているアメリカドル防衛への協力はやめるべきではないか。最近の国際通貨制度の基礎をゆさぶる国際金市場混乱は、アメリカ慢性的国際収支悪化に基づくドル不安がもたらしたものと思うが、ドルにつながる円不安に対してどう対処するか。政府は、四十三年度経済見通しにおいて、輸出伸び率を一五・二%と見ているが、ポンド切り下げドル防衛強化ヨーロッパ景気後退等の諸情勢を考えると、この見通しは甘過ぎるのではないか。貿易外収支及び資本収支赤字予想も、ドル防衛強化等から見て少な過ぎる数字で、結局総合収支三億五千万ドル赤字という見通しは、大幅に狂うのではないか。なお、日本貿易規模から見て、二十億ドルを割るような外貨準備は少な過ぎるし、特にそのうちの金保有量があまりに少ないではないか。」という趣旨質疑があり、これに対しましては、「アメリカ輸入課徴金については、これを取りやめるよう再三米国政府の反省を促しているし、今後もその阻止に全力を傾けたい。万一実現した場合の対策については、関係各省検討している。日本の対米貿易は、総額の三〇%程度で、アメリカ依存ということばは当たらないが、多角的貿易に進むことはもちろん必要であり、そのため種々努力を払っている。中国貿易拡大も願うところであり、輸銀融資については、ケース・バイ・ケースで処理したい。国際通貨としてのドル価値強化することは、日本のためでもあるので、できるだけの協力はしたいが、円の価値を弱めるようなことまでして協力しようとは考えていない。現在のところ、中期債券購入は考えていないし、三次防で計画されている以外に兵器購入することも考えていない。ユーロダラーを利用するのは、金融調達多元化方針によったもので、アメリカで調達するよりも、金利は割り安であると思う。金市場混乱に対しては、アメリカ自身財政経済引き締めによる国際収支改善、及び関係各国協力により、鎮静への努力が払われている。わが国は、IMFを中心とする国際通貨体制維持、及び国内経済強化による国際収支改善により、円の価値維持したい。四十三年度輸出伸びを一五・二%と見込んだのは、世界貿易伸びを七%程度と見込み、これに日本輸出弾性値を乗じたもので、輸出振興策強化により、これを達成したいと思う。その他国際収支の面において、種々の困難はあろうが、何とか切り抜けて、年度後半には収支を均衡させることができると思う。なお、外貨準備は、現在の状態で十分だとは思わない。三十億ドル程度のものは保有したいと思う。金保有量が少ない点については、外貨で運用するほうが有利であるという理由もあるが、結局金を買う余裕がなかったためである。」という趣旨答弁がありました。  次に、税制につきましては、「総理は、配当分離課税について、一月三十一日の本会議において、「今日の状況で、いつまでもこれを守っていくというものではありません。」と答えているが、総理意思としてその廃止を税制調査会に付議する考えはないか。今回の間接税の増徴は、所得税を納めていない低所得階層に過大な負担を課するものではないか。国鉄定期運賃値上げに応じ、交通費免税点を引き上げるべきではないか。地価抑制の一方法として、土地開発利益課税する方途を講ずべきではないか。私学援助のため、これに対する寄付金減免税強化すべきではないか。」という趣旨質疑がありました。これに対しましては、「本会議答弁は、税の公平性の立場上、政策的減税が慢性化することは避けなければならないから、実情に応じて処置をとるべきであるということを述べたもので、配当分離課税は、あと二年の期限内に、税制調査会意見等も聞いて、その後の処置検討したい。間接税は、国民所得水準物価水準に比べて相対的に軽くなっているので、調整の意味で増徴したが、一部の品目については従来どおりとするとともに、生活保護等社会保障強化しているので、低所得者負担が不当にふえることはないと思う。交通手当免税点については、従来公務員交通手当改正に即して改正しているので、今後の公務員交通手当の問題と関連して考えたい。土地開発利益に対する課税には種々の困難な問題があるが、現在、土地税制を一括して税制調査会に諮問しているので、その答申を待って検討したい。寄付金減税については、四十三年度税制改正においても、四十二年度に引き続きその範囲拡大している。」という趣旨答弁がありました。  以上のほか、質疑は、ベトナム和平の促進、核拡散防止条約または核兵器使用禁止協定に対する態度安保条約事前協議の運用、米国沿岸警備隊日本駐留の根拠、沖繩返還核基地の取り扱い、B52の沖繩駐留、北方領土の返還と北方漁業安全操業確保等の外交問題をはじめ、政府の憲法に対する認識、非核三原則と非核武装決議に対する態度物価抑制及び再販売価格維持契約規制行政機構の改革及び防衛庁、公社、公団等高級職員関係企業への就職の規制小笠原復帰後の措置同和対策防衛庁研究開発計画及びバッジ購入契約内容自衛隊治安出動自衛隊のはやぶさ演習及び菊演習並びに松前・バーンズ協定米原子力航空母艦寄港の際の警察行動、いわゆる大阪タクシー事件捜査内容、京都府教育長未承認の理由児童手当創設等社会保障充実、水俣病及びイタイイタイ病対策米価及び米審委員構成石炭企業の統合、住宅対策及び地価対策過密都市対策及び過疎地域対策地方公共団体超過負担の解消、政治資金規正法改正、その他国政の各般にわたり、きわめて熱心に行なわれ、政府からそれぞれ答弁がありましたが、詳細は会議録をごらん願うことといたしまして、説明を省略させていただきます。  昨日、質疑終了後、日本社会党民主社会党及び公明党の各党から提出された予算三案を撤回のうえ編成替えを求める動議について、それぞれ趣旨説明がありましたが、その内容会議録をごらん願いたいと存じます。  かくて、予算三案及び三党の動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党は、政府原案賛成、三党の動議反対日本社会党は、自党動議賛成政府原案及び民主社会公明両党の動議反対民主社会党は、自党動議賛成政府原案及び日本社会公明両党の動議反対公明党は、自党動議賛成政府原案及び日本社会民主社会両党の動議反対日本共産党政府原案及び三党の動議反対討論を行ない、採決の結果、三党の動議はいずれも否決され、予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決定された次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  12. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 昭和四十三年度一般会計予算外二件に対しては、北山愛郎君外十三名から、三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議提出されております。
  13. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) この際、その趣旨弁明を許します。北山愛郎君。   〔北山愛郎登壇
  14. 北山愛郎

    北山愛郎君 私は、日本社会党を代表して、政府昭和四十三年度予算三案につき、これを撤回のうえ編成替えを求める動議趣旨を弁明するものであります。(拍手)  動議内容については、すでに印刷配付されてありますので、私はその要旨のみを御説明いたしたいと存じます。  いま、内外の政治経済情勢は、激しく流動いたしております。特にこの数日来の金買い付け旋風いわゆるゴールドラッシュはついに金恐慌となって、ワシントンにおける金プール七カ国の緊急会議は終わりましたけれども、世界通貨不安の前途はまことに楽観を許さないものがあるのであります。  ことに憂慮されますのは、わが国の円の状態であります。東京為替市場では、ドル買い、円売りが激しくなり、日本銀行は三日間で五千万ドル外貨を放出したといわれております。西ヨーロッパではドルが売られているのに、東京では円売り、ドル買いが激しくなっているということは、憂慮せずにはおられない事態であります。(拍手)このような円の動揺は、世界通貨不安を甘く見て、国際収支の安定と外貨準備充実を怠った佐藤内閣・自民党の重大な失政によるものであり、政府はその責任を免れることはできません。(拍手)  わが党は、数年前からドル不安について政府の注意を喚起し、安易なドル依存に注意し、外貨準備改善を要望してきましたが、政府はわれわれのことばに少しも耳をかさなかったのであります。私自身が、この議場で、昭和三十五年秋の金価格の暴騰のとき、また三十七年のドル不安の際と、二度にわたってこの点を主張いたしましたが、時の政府はにべもない返事をされたことを思い起こすのであります。この国会の冒頭でも、わが党議員代表質問に対し、経済企画庁長官は、社会主義政党が金のことを心配することはおかしいというようないんぎん無礼な答弁をされたのでありますが、社会党は、もちろん社会主義実現を目標としておることは言うまでもありません。しかし、それだからといって、いな、それだからこそ、わが国経済が破産したりするようなことに無関心ではおられないのであります。(拍手日本経済が行き詰まって、自主性を失い、ますます外国の干渉を受けなければならないような事態におちいることに重大な関心を持つことは、むしろ当然でございます。あえて言うならば、社会主義政党から金や外貨準備の心配をされるような資本主義政府これが、だらしがないと言うほかはないのであります。(拍手)  このように情勢は激しく動き、この予算案編成当時の状況とも大きく変わってきておるのであります。本予算がいまだ衆議院も通っておらないのに、政府は早くも三千億円の財政繰り延べ検討しておると聞いておりますが、そのこと自体が、この予算案の再検討、再編成必要性を雄弁に物語っていると申さなければなりません。(拍手)しかし、直面する経済危機は、外部の条件の変化からのみ生じたものではありません。佐藤内閣政策破綻失敗から生じておるのであります。  第一に、ドル、ポンド不安を軽視して、その備えをしなかったため、特に四十二年度政策失敗によって、国際収支悪化最悪事態において世界通貨危機のあらしを迎えたことであります。  第二には、大企業中心設備投資を軸とする高度成長政策が、インフレ、物価高を招き、安易な国債発行と放漫な財政支出がいわゆる財政硬直化となってきたことであります。農村の荒廃と中小企業倒産所得と財産の格差を広げ、教育、医療、交通住宅に大きな矛盾とゆがみを積み重ね、公害と事故をふやし、経済成長が人間のしあわせにつながらないという矛盾を累積したことであります。  しかるに、政府予算案は、これらの矛盾破綻を是正するどころか、一そうこれを激化しようとするものであります。国際収支危機財政窮迫をよそにして、防衛費海外経済協力を優先して増額し、国民に対しては、財政硬直化を口実にして増税物価高を押しつけ、対米追従経済軍事化国民生活圧迫反動政策を強行しようとしておるのであります。われわれが、このような国民生活圧迫政府予算案撤回を求め、わが国経済の平和的な自立のために、国民大衆の福祉につながる経済発展のために、その根本的な再検討と再編成を要求することは、しごく当然といわなければなりません。(拍手)  社会党組み替え要求の第一点は、国民出血を最小限にとどめながら、国際収支のすみやかな改善をする有効な対策を要求するものであります。  政府は、金融引き締めによって総需要を押え、輸出ドライブをかけて国際収支改善をやろうという間接的な景気調整策を昨年九月以来続けておりますが、この措置は、一昨年以来ものすごい利益をあげた主要産業設備投資を押える力を失い、引き締めの結果は、いたずらに中小企業を圧迫し、倒産に拍車をかけておるのであります。このような出血と犠牲をふやしながら効果の薄い景気調整策は再検討すべきであります。  われわれは、この際、輸入を誘発する度合いの高い主要産業設備投資を計画的に規制すること、また、外国からの兵器購入を停止して七千万ドル外貨を節約すること、六千億円に及ぶ会社の交際費課税強化して社用消費を押えること、高級ぜいたく品輸入抑制するなど、直接かつ具体的で速効性のある国際収支改善策をとることが、この際緊要であると主張するものであります。(拍手)  第二には、防衛費を大幅に削減し、海外経済協力を是正し、また対米依存貿易構造を手直しして、中ソなど社会主義圏との貿易を飛躍的に拡大し、多角的かつバランスのとれた貿易構造に是正することを要求するのであります。  防衛庁予算は、表面上三百五十億円だけの増額でありますが、予算外国庫債務負担行為継続費で千七百九十六億円を裏金として、将来の予算を先食いして膨大な兵器の注文をやろうとしておりますが、これは明らかに国際収支を悪化させ、財政硬直化原因をつくり、経済軍事化兵器汚職をふやすものであります。(拍手)われわれは、千五百八十億円の防衛庁国庫債務負担行為の中止、兵器購入の打ち切り、繰り延べによって、防衛費を大幅に縮減することを要求するものであります。また、中国貿易拡大は、今日、国民的な至上命令であります。東からは輸入課徴金、西からは開発途上国特恵関税の脅威にはさまれ、ベトナム戦後の変動に備えるためにも、この際、政府は、吉田書簡はもちろんのこと、政経分離のお題目を捨てて、断固中国との政府間交渉を開始し、経済文化交流拡大すべきであります。(拍手)  第三に、いわゆる財政硬直化の解決には、大衆負担に転嫁することなく、経済成長によって大きな利益を受けた大企業資産所得者階層負担によることを要求するものであります。  財政窮迫原因は、直接には物価高恒常化国債発行失敗、放漫な財政支出などによるものでありますが、取るべきところから税金を取らないで、年々一兆円にも及ぶ大企業金持ち階級減税を続けたための歳入の不足が、その大きな原因であることも明らかであります。勤労者課税先進国に比べて重いのに、国民所得に対する租税負担率は諸外国に比べて著しく低いのであります。このことは、税金の取れる大法人資産家からは軽い税金しか取っていない、反面、働く者に重税がかかっていることを端的に示すものであります。  われわれの推計によれば、租税特別措置整理で一千五十億円、減価償却適正化で約一千億円、法人交際費課税で一千億円、個人株主配当控除法人受け取り配当の益金不算入制度整理及び法人利潤税の導入で二千億円、合計五千五十億円、その他土地値上がりによる不労所得の吸い上げで二千億円など、国税だけでも七千億円程度増収は可能であり、その一部を整理して酒、たばこの増税国鉄定期代値上げをやめ、所得税標準世帯百万円までの非課税実現は、決して無理ではないのであります。これによって大企業優遇金持ち天国勤労者地獄税制を、この際根本的に改めなければなりません。(拍手)  国債の発行については、以上の税制改革と見合いながら、三年を目途として全廃する方針のもとに、とりあえず四十三年度は六千億円以内にとどめることが適当であると思います。  第四に、政府の公共料金主導型の物価値上げ政策をやめて、酒、たばこはもちろん、国鉄の定期代、消費者米価の引き上げを行なわず、特に地価対策については宅地課税強化し、膨大な不労所得を吸い上げて、土地投機による値上がりを防止する措置を四十三年度から実施すべきであります。  第五に、われわれは、政府補正なし総合予算主義の名のもとに企図しておる公務員賃金のくぎづけ、米価のスライド制に反対し、受益者負担と称して医療費、交通費、電話料金等公共料金の値上げ大衆に押しつけることに強く反対するものであります。  すでに、国民大衆は重い税金と税外負担で苦しんでおる。また、政府の財政投融資の財源の大半は、郵便貯金、厚生年金、国民年金、簡易保険など大衆の零細な貯蓄、実に二兆五百七十八億円がその財源であります。これらの大衆の貯蓄こそ、公共料金の抑制のために十分に利用さるべきであります。政府補正を組まないといっても、経済を野放しにして物価値上がりを黙認しておるのでは、それはできない相談であります。もしその意図が、財政を固定化することによって経済の安定を意図しておるものであるとするならば、それこそが逆であって、犬のしっぽを持って頭の向きを変えさせようとするのにひとしいナンセンスであるといわざるを得ません。(拍手)  第六に、経済高度成長から生じた教育、社会保障、住宅交通安全、公害などのひずみと社会資本の不足などの対策は、財政硬直化理由として抑制することはきわめて不当であります。  生活保護基準、各種年金の引き上げと物価スライド制、原爆被災者や同和対策強化、身体障害者対策交通安全施設の充実、水俣病、イタイイタイ病対策交通事故被災者の自動車賠償保険の限度額の引き上げ、大量輸送の拡充などについても、十分な予算措置を要求するものであります。  また、教育費の父母負担の軽減、幼稚園や無認可保育所を含む保育施設の助成、僻地の振興などとともに、恵まれない教育、社会福祉施設に働く人々の待遇改善措置に特別の配慮をすべきであります。  住宅対策については、特に公営住宅五カ年間二百七十万戸建設を目標として予算を増額し、総合地価対策と並行して用地の供給を改善することを要求するものであります。  第七には、中小企業、農林漁業対策であります。  中小企業に対しては、下請の保護の問題、零細企業に対する無担保、無保証融資の拡充及び個人事業税などの減税等々を行なうべきであります。が、中でも当面する金融窮迫を救うために、国の金融機関を中心として二千億円以上の緊急融資ワクの増大と、恵まれない中小企業労働者の社会保険、教育、レクリエーションの施設、福祉対策を進めることを要求するものであります。(拍手)  農業の中心課題は、食管制度の堅持であり、再生産を保障する農産物価格支持であります。また、土地基盤整備の全額国庫負担と経営共同化推進によって、わが国の農業が米中心だけの、米大黒柱の農業ではなくて、米と畜産と果樹、三本柱の上に日本の農業を確立するための長期の計画と、これに伴う予算をわれわれは要求するものであります。  また同時に、固定負債に悩む災害農家あるいは漁民、開拓農民の負債整理の立法、財政措置を推進すべきであります。  第八に、地方財政については、中央集権化から生ずる義務的経費の増大と、自主性の喪失によって一そう地方財政は困難を加え、実態は国の財政よりもむしろ硬直化しているというべきであります。  この根本解決は、もちろん中央と府県、市町村の事務と財源の再配分によって、自主財源を充実するほかないのでありますが、特に大都市、農漁村ともに悩みとしておる過密、過疎対策実現、実行のために、その財源と融資の配分を適正にし、特に本年度、四十三年度において国が地方自治体から四百五十億円の借り入れをするというような変則な措置は、この際取りやめるべきであると思うのであります。  最後に、私は政府に対し、憲法、財政法に規定する財政民主主義を厳守し、国の財政が国会を通じて正しく国民に公開されることを強く要求するものであります。  予算委員会審議中に、防衛庁国庫債務負担行為のずさんさが指摘され、技術研究開発費、半自動警戒管制装置、すなわちバッジの予算が追及され、政府は明快な答弁ができなかったのであります。防衛庁長官のごときは、みずから、「契約金額がだんだんふえてもいいしかけになっているのは不愉快である。それでも会計法違反ではないそうだ。」と人ごとのような答弁をやって、世間をあ然とさせたのであります。財政法や会計法がこのようなでたらめを許しておるのではありません。政府が財政法、会計法を正しく守らず、国庫債務負担行為を乱用しておることにその根本原因があるのであります。(拍手)  さらに指摘したいのは、国庫債務負担行為の一部、防衛庁関係だけで千五百八十億円のうち約九十三億円が歳出予算に重複して計上されておることであり、この予算案をそのまま議決するならば、それだけ余分の財政権限を政府に与える結果となることであります。これは財政法第十五条第一項に違反する疑いのある措置であり、これが正しく糾明是正されないままになっていることに、私は深い遺憾の意を表せざるを得ません。(拍手国庫債務負担行為のみならず、繰り越し明許制度を乱用し、政府がかってに議決予算政策繰り延べを行なうなど、行政執行上の便宜のために国会を軽視し、財政法のじゅうりんをするということは、まことに目に余るものがあるのであります。私は、これらの財政法違反を正すためにも、本予算案を全面的に組み替え、再提出することを要求して、趣旨説明を終わるものであります。(拍手)      ————◇—————
  15. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより、予算三件に対する討論と、動議に対する討論を一括して行ないます。順次これを許可します。小川半次君。   〔小川半次君登壇
  16. 小川半次

    ○小川半次君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算の三案に対し、賛成の意を表明し、日本社会党提案の編成替えを求める動議反対をいたすものであります。(拍手)  さて、わが国は昨年九月以降、財政、金融両面にわたって一連の景気調整策を講じております。が、この措置は、御承知のとおり、国内景気の過熱を押え、経済成長の鈍化を通じ、国際収支の均衡をはかろうとするものであります。しかして、ここに最も注目されなければならないことは、わが国経済財政の体質と、これを取り巻く国際的環境が、過去幾たびかとられてまいりました調整期に比べて、きわめてきびしいものがあることであります。すなわち、国内的には国債発行下における景気調整であること、自由化の進展、労働力需給の逼迫のもとで、民間設備投資は根強い基調にあること、さらに国際的には、ポンド切り下げドル防衛強化、なかんずくアメリカ輸入制限措置の新設の動きなど、まことに容易ならざる情勢に直面いたしておるのであります。  明年度予算は、かかる内外経済のきびしい諸条件を十分に認識し、すみやかに国際収支改善をはかり、経済の効率化と財政体質の改善を通じ、長期にわたってわが国経済発展の基礎を強化するための必要な諸施策を用意した、国民の期待に十分こたえ得る予算であると、衷心より賛意を表する次第であります。(拍手)  以下私は、本予算の特徴とも申すべき二、三の点に触れてみたいと思います。  第一は、国際収支改善を目ざし、財政規模を適度に圧縮していることであります。  このたびの国際収支赤字の背景を見まするならば、民間設備投資が前年度に対し約三〇%という、予想を上回る増加をいたし、また、賃金の大幅上昇を背景として、個人消費支出の伸びは、前年度に対し一五%以上、農村等においては約二〇%という著しい伸びを示しているのであります。このことは喜ぶべき一面をも持っておりますが、その結果は、輸出余力の低下、輸入増加をもたらし、四十二年度においては、総合収支で約七億ドル赤字が見込まれるに至り、なおこの赤字基調はいまだ根強い足取りをたどっておるのであります。したがって、当面とるべき施策は、金融面もさることながら、この際は、特に財政面に重点を指向し、需要の圧縮に極力つとめなければならないものと考えるのであります。  明年度一般会計予算は、前年度補正後、予算に比べ一一・八%、財政投融資計画は一三%の伸びで、ここ十年来の最低の伸びにとどまっているのであります。世論の一部には、四十二年度予算より四十三年度繰り延べ予算額や、国立療養所の経費を特別会計へ繰り入れた金額などを調整すると、予算規模は一三・一%程度となって、経済成長見込み一二・一%を上回るから、景気抑制型とは言いがたいという批判もあるのであります。が、しかし、財政規模と景気の動向との関係を見る場合には、中央地方を合わせた政府財貨サービス購入額で推計することが本筋でありまして、単に国の一般会計予算規模のみをもって論ずることは当を得ないと申すべきであります。(拍手)  ところで、明年度政府財貨サービス購入伸び率は一一・七%で、名目経済成長率一二・一%を下回り、これまた、ここ十年来最も低い伸び率であります。さらに、景気に刺激の強い公共事業費は、毎年二〇%前後の伸び率であったのに対し、明年度は七%の増加にとどめ、また歳入面においても、需要効果の大きい公債財源を大幅に削減し、その依存率を前年度当初の一六・一%より一〇・九%に引き下げたことは、まことに時宜に適した措置と考える次第であります。  第二の特徴は、財源を適正かつ効率的に配分いたしていることであります。  財政規模を圧縮し、窮屈な財源の実情にかかわらず、予算及び財政投融資計画を通じ、低所得者対策など社会保障の充実交通安全、公害対策強化住宅対策の拡充、農業、中小企業等低生産性部門の近代化と物価の長期安定、輸出振興と経済協力の推進など、当面緊要な諸施策等については、いずれも予算全体の平均伸び率を大幅に上回り、きめこまかく手厚い措置を講ずる等、最善を期していることは、佐藤内閣の人間尊重の姿勢を如実に物語るものと確信をいたすものであります。(拍手)  消費者物価の動向は、最近やや落ちつきを示しておるやに見受けられますが、いまだ必ずしも楽観を許さざるものがあります。上昇の要因は、その根は深く、かつ多面にわたっていることは御承知のとおりでありますが、ここ数年の傾向を見てまいりますと、上昇寄与率で大きな比重を占めておりますものは、農、水、畜産、食品、個人サービス中小企業製品等であって、そのウエートは八〇%以上となっております。もとより、これらの部門の価格や料金の上昇をささえているものとして、流通コストの増大も無視することはできませんが、要は、これら生産性向上の困難な職域に従事する人々の賃金、所得が、他の高い生産性部門で働く人々並みの賃金、所得へと近づきつつあることが、物価上昇の背景となっていることは、きわめて明瞭な事実であります。  二重構造といわれるわが国産業の中にあって、賃金格差が年を追って縮まりつつあることは喜ぶべき現象でありますが、このことが、消費者物価を押し上げていることも事実であります。したがって、その影響を消費者へ転嫁されることを避けるため、農業、中小企業等の近代化、労働力の流通促進、競争条件の整備、流通部門の拡充など、生産性の向上に施策を集中し、明年度においては、物価対策関連予算として五千四十五億円を計上いたしておることは、当を得たものと思うのであります。  物価を問題とする場合、私どもは国民として常に念頭に置かなければならぬことは、一面において消費者であり、他面において生産者として、物価構成の要素をなす賃金、所得の獲得者であるという因果関係にあるということであります。しかしてまた、賃金、所得の向上は、常に生産性の向上によってのみその実現が期せられるということを忘れてはならないのであります。  このような関係に着目するならば、物価対策の基本は、要するに国民経済全体の賃金の上昇が生産性の上昇率の範囲内に見合うよう節度が保たれることが絶対的要件でなければなりません。(拍手)総評の一万円ベースアップ、同盟の一四%のベースアップの要求は、明年度経済成長率を勘案し考慮するならば、生産性の向上を大幅に上回った要求であることは何人もこれを認めざるを得ないところであり、しょせん、これらの要求は、残念ながら物価値上げの要求であるものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  第三は、財政硬直化の打開であります。  財政は、由来、一方において資源の配分、他面において景気調整という両面の機能を持つものであります。したがって、もし経費の内容が固定化し、弾力性を失うならば、時代の要請に応じた資源の配分も期待し得なくなるのみか、そのときどきの景気の情勢に対応して、財政の面より経済の安定した成長を助けるという使命を果たし得なくなります。かかる意味で、硬直化の問題を、単なる経費の増大を抑制するとか、財源不足の一つの対策とかといった皮相的な角度で論ずることは、大いなる誤りと申さなければなりません。  顧みますれば、過去十年間、わが国経済はまれに見る高度成長を遂げてまいり、その結果、毎年巨額の自然増収を生じ、これを財源として減税、公共事業、社会保障など、近代福祉国家建設の諸条件を幅広く、しかもきわめて早いスピードでなし遂げてまいったことは、刮目に値するところであります。しかしながら、その反面、国民の間に、国の福祉サービスを、自己の負担と何ら関係はないというがごとき、いわば自己責任原則を忘れて、安易に国に依存しようという憂慮すべき風潮が醸成されてきたことも見のがし得ない事実であります。  一方、わが国経済の今後の成長は、雇用、国際収支物価などの要因により、鈍化の傾向をたどるであろうと想像されますが、このような時期に際会し、負担は極力低きを求め、受益はますます高きを求めるといったムードは、いまにして払拭しなければ、先行き大きな禍根を残す結果となるのではないかと心配されるのであります。(拍手)イギリスや西ドイツのわだちを踏むことは、断じて避けなければなりません。この際、国民各自が、負担と受益との対応している関係について明確な認識を持つことは、きわめて肝要と存じます。また、経費使用の効率化を一そう徹底化することも必要であります。政府は、明年度予算で、総合予算主義を採用し、他方、補助金の整理、合理化を一そう推進するとともに、官庁機構についても一省一局の削減、さらにまた行政需要の増大に伴い、やむを得ない増員を織り込みながら、なお総定員を約六百名縮減いたしたことなど、硬直化要因の芟除にきびしい態度を貫かれたことは、高く評価しなければならぬと考えるものであります。(拍手)  しかし、問題の本格的解決はこれからでありましょう。なぜかならば、硬直化の要因は、単に財政のみではなく、広く従来の制度、慣行に根をおろしていることが明らかであるからであります。この意味で、明年度予算は、まさしく硬直化打開の第一歩を踏み出したものであり、硬直化の打開こそ、わが国が長期にわたって繁栄する緊要な措置であることに思いをいたすとき、明年度予算は、質的にその意義きわめて重要なものであって、あすの繁栄を約束する希望に満ちた予算であることをかたく信じて疑わぬものであります。(拍手)  以上、申し述べました諸点から見て、明年度予算は、当面せるわが国経済社会の諸課題に積極的に取り組み、それらの解決に万全を期せんとしているものであり、長期的には、わが国経済の安定ある成長を保障するものと信ずるものであります。が、由来、安定せる社会の建設は、ひとり政府の施策のみでその効を期しがたいのであります。国民一人一人が、当面せる諸情勢と、問題の所在を的確に認識し、企業も、個人も、節度ある行動をとることにより、実を結ぶものと信ずるのであります。過当競争に基づく投資、レジャー産業への巨額の投資、ぜいたくな消費物資の輸入増の傾向、まさに昭和の元禄であります。国際均衡を無視して、国際収支問題解決にいとも安易な道を選ぶことの対価は、まことに大きいものがあることを銘記しなければなりません。この際、特に国民の節度ある行動を期待してやまないものであります。  次に、国際情勢に関し、特に政府に一言申し上げたいのであります。  御承知のとおり、本年年頭に発表されたアメリカドル防衛政策は、世界経済に大きな波紋を投じ、さらに引き続き、輸入課徴金制度の導入に踏み切りそうな気配を濃厚にしてまいりました。これら輸入制限措置の実施は、わが国貿易に直接に深刻な影響を与える問題であるばかりでなく、世界的に見て、まことに危険な傾向であると思うのであります。もし各国それぞれ対抗措置をとるとするならば、世界貿易拡大に大きな障害となるであろうことは明らかであります。特に、最近、世界は空前のゴールドラッシュに襲われ、金とドルの結びつきを基礎として組み立てられたIMF機構が崩壊するのではないかと懸念されております。  政府においては、これらに対し、目下あらゆる角度から善処されようとしておられますが、この際一そう衆知を結集し、対策に最善を期せられるよう、強く希望いたすとともに、予算及び財政投融資等の執行にあたっても、時宜に適した弾力的運用をはかられるよう、この際要望申し上げる次第であります。  最後に、社会党提案の組み替え案について、一言申し上げます。  社会党の組み替え案は、その基本方針において、わが党と所見を全く異にするものであり、また、その内容においても、現状において実現不可能な要求であり、残念ながらわれわれは賛成することは断じてできないのであります。  以上、政府提出の三案に賛成いたし、日本社会党提出の組み替え動議に対し反対いたし、私の討論を終わります。(拍手
  17. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 横山利秋君。   〔横山利秋君登壇
  18. 横山利秋

    ○横山利秋君 私は、日本社会党を代表して、政府提出昭和四十三年度一般会計予算をはじめ各予算に対して反対北山愛郎君外十三名提出にかかる編成替えを求める動議賛成し、以下その理由を述べて、同僚諸君に訴えたいと思います。(拍手)  われわれは、毎年度予算の重要な審議に参加してまいりましたが、本年ほどさまざまな問題が起こり、また本年ほど予算案の中に日本の歴史的な問題が提起された年はないと痛感するのであります。  その第一は、倉石前農林大臣の憲法無視の発言から起こった十数日の空白でありました。私は、全野党の一致結束した戦いによって、閣僚が憲法を守るべき条項を定めた憲法第九十九条を議会が再確認し得たことを心から喜ぶものであります。(拍手)しかしながら、この問題の本質は、倉石個人にあることもちろんでありますが、実は佐藤内閣並びに自由民主党の体質に根ざしていることは疑いをいれない問題であります。(拍手)すなわち、憲法改悪を心に秘めながら、それを当面は聖洞化し、時期来たりなば衣を脱ぎ捨てるのではないかとは、国民のひとしく不安としているところであります。この際、わが党が国民を通じて政府・与党に対決を迫っておりますように、参議院選挙を通じ護憲か改憲かの態度を明らかにして、国民に信を問うことが倉石問題の本質を明らかにする根本である。政府・与党は、いさぎよくこの挑戦に応ずべきだと痛感する次第であります。(拍手)  第二は、予算審議を通じて明らかにされた防衛庁内部の汚職である。また予算運用の乱脈である。また軍需産業に対し、過去五年に将官百六十四名という驚くべき大量天下り人事による防衛庁と防衛産業の結託の疑惑である。さらに防衛庁内部における憲法、国際法、安保条約を無視した演習や、あるいは日米協定や核研究や毒ガス研究の疑いであります。(拍手)  防衛庁長官自身が、予算委員会で、防衛庁は百鬼昼行の疑いがあると言明されましたように、もはや防衛庁は深い黒い霧に包まれている。国民の血税を一般会計四千二百二十億、債務負担行為など千七百九十六億、合計六千億を使って国の安全を守るというべき防衛庁が、まさに日本の政治を腐敗させる温床となりつつあることは言語道断といわなければなりません。(拍手予算審議の最中に防衛庁の高官が自殺をする、あるいは逮捕されるがごときは、この予算案の背景がいかにどろと霧に包まれているかを証明するものといわなければならぬのであります。(拍手)  第三は、財政硬直化から始まり、次いで深刻なドル不安の上に立ったこの予算案が、危険な対米経済協力の坂の上から経済混乱の谷底へ転落していく可能性のあることであります。  ドル不安は、ベトナムのどろ沼の中から始まっている。そこから足を抜かなければ解決できないことは、だれの目にも明らかである。それにもかかわらず、佐藤内閣は、アメリカのベトナム政策を支持するがゆえに、ドル価値維持協力しなければならぬ羽目にみずからを追い込んでおる。今後、米国の要請にこたえて、次々と、債権引き受け、兵器購入輸入課徴金、東南アジア、ベトナム援助の肩がわりを引き受けざるを得ず、いまや、ドルドル経済史上未曾有の深刻な危機に立っているが、それにもかかわらず、政府は耳をおおって無為無策に終始して、ドルと無理心中をさせられる日本経済危機が始まっているのであります。(拍手)それとともに、安保体制のしがらみは、日米間に軍事政策経済政策が一体化、一心同体となってきましたし、中小企業や庶民の生活に具体的なしわ寄せを与える結果となってまいりました。  第四は、一方で物価をつり上げ、他方で驚くべき間接税、酒、たばこ、定期割引などの大増税をしようとしていることが予算の重要な骨格となっていることであります。  皮肉にも佐藤総理は、池田内閣当時、その高度成長政策を非難して世に問うた人である。その人が総理になって以来、政策は改められない、いな、むしろ物価は歴年その当時以上にウナギのぼりになっているではありませんか。明年度は、四・八%の消費者物価の値上がりを政府は見込んでいる。予算委員会総理大臣は、四・八%は政府としてこれにぜひとどめる政策目標であると明言すると、すぐそのあとで経済企画庁長官が、十月ごろの消費者米価の値上がりは見込んでいないと言うのであります。したがって、他の授業料、交通料金、環境衛生料金から家賃や動物園、博物館に至るものを含め、金融機関やその他の調査機関が指摘しておりますように、おそらく六%以上の物価値上がりとなるでありましょう。したがって、五分五厘の郵便貯金や銀行の預金をしても、物価のほうが高くなっていくのであります。予算委員会で指摘いたしましたように、最近では、預金をしても損、借りたほうが得という思想が広がりつつある。庶民は、預金や生命保険の掛け金をして、結局、物価値上がりで損をする、大企業は、借りた金を物価値上がりを利用して、いながらにして得をするという時代に入ろうとしている。(拍手)貯蓄と金利と物価の悪循環が始まる要素は、まさにこの四十三年度予算の根底となっていると思うのであります。(拍手)  第五は、この明年度予算は、戦後最大ということばがさらに更新される中小企業の不渡り倒産に対して、何らの根本施策を用意してないことであります。  中小企業庁みずからが認めるように、中小企業は、今日、流通革命、人手不足、金融引き締め特恵関税ドル防衛から開放経済等の波を受けて、まさに中小企業存立の基盤をゆり動かされるまでに立ち至っているのであります。これに対して、この予算は何をしようとしているのでありましょうか。冷酷きわまる放任予算である。農民もまた同じでありまして、米価審議会からの農民代表追い出しの政府の意図は明白である。低米価で農民と消費者をけんかさして、食管法を骨抜きにしようとする悪質なものといわなければならぬのであります。(拍手)  第六は、エンタープライズやB52の沖繩常駐、また、プエブロをめぐる極東情勢の緊迫した情勢について、予算委員会をはじめ、国会で、総理以下の示した態度であります。  佐世保の市民が示した態度、沖繩全県民の燃え上がるような常駐反対、プエブロ事件による漁民の不安等は、すべて政府の対米一辺倒の施策に対する非難の集中的なあらわれであります。(拍手)それにもかかわらず、エンプラ寄港を認め、B52の常駐を許し、プエブロではアメリカをかばって失態を演じた佐藤内閣は、中国貿易に対しても頑迷な方針を依然としてとり続けておる。野党一致の核三原則の提案についても、理由にならぬ理由をあげて、みずからの言明に責任をとろうとしない。核兵器をつくらず、持たず、持ち込まずと言明しながら、安保条約にこと寄せて決議を拒否するゆえんのものは、沖繩を含め、核兵器をある時期に持ち込もうとする総理の秘められた野心があるにほかならないと考えざるを得ないのであります。(拍手)  佐藤内閣のこのような危険な右寄り政策については、国民の批判が集まりつつある。また革新勢力ばかりではない。与党内部からほうはいとした批判がある。そして、それは近い将来において爆発し、総理自身骨身にこたえなくてはならないときがぐるに違いありません。(拍手)  以上の諸点は、予算案審議の中で明らかにされた諸点でありますが、今後さらに各委員会審議の中で、ドル依存軍事化大衆生活圧迫の戦後最悪の予算の全容が、余すところなく国民の前に明らかにされるでありましょう。  その意味からも、北山愛郎君外十三名の社会党提出しておりまするところの政府撤回編成替えを求める動議賛成の意見をいささか申し述べたいと思う。  その基本となるのは、この激動する内外の情勢を正しく把握するとともに、働く国民の名において、誤った経済財政政策を根本的に転換することを要求し、きわめて具体的、建設的であります。  その重点の第一は、危機に立つ国際収支改善策であります。  政府の安易無策、しかも、くずれいくドル協力の立場をもってしては、円を守り、経済のこの危機を乗り切ることは不可能であります。輸入を誘発する割合の高い大企業設備投資抑制は厳重に行なうべきであり、特兵器輸入などは断じて直ちに停止しなければならないことは当然であります。(拍手アメリカ輸入課徴金の陳情をするよりも、断固たる態度で交渉をすべきであります。この際、吉田書簡の廃棄を宣言し、ドル依存貿易構造から中ソを含む社会主義貿易を全力をあげて拡大すること、海外経済協力は、先ほども話がありましたように、真に後進国の社会開発と住民福祉の向上を正しく見詰め、そのルートの上でなされるように着実に行なうことが生きた協力となるのであります。  第二は、防衛庁予算の大削減は、けだし当然のことであり、腐敗と汚職、予算乱用等の疑惑に包まれた防衛庁は大粛正を断行すること、人事を刷新すること、財政の弾力性を取り戻すためにも思い切った削減をすることは、国民の強く期待するところであると確信してはばからないのであります。(拍手)  第三の、国、地方にわたる大企業、大口所得者、不労所得者中心の毎年一兆円に達するであろう税の特別措置を大整理し、税を安く、公平に、わかりやすくすることは、ただに財政のためのみならず、納税者の理解と協力を得、また、徴税の第一線にある職員の諸君の仕事をやりやすくするゆえんでありまして、積年の問題であり、これを要望する声は天に満ち、地に満ちているのであります。(拍手)  第四は、生活の安定こそ政治の最終目的であるとの観点に立ち、万難を排して公共料金の値上がりをとどめ、独占価格や地価の値上がりを押える総合的な物価安定策を優先実行しなければなりません。公取を強化し、下がるべき独占価格を放置しているものは調査し、引き下げるべきであります。  かくして、税や防衛費によって捻出した財源は、赤字国債の解消とともに、住宅交通、社会保障、教育中小企業など、今日まで犠牲を受けた民生の安定に指向することこそ国民の最も要望するものであります。  第五に、私どもは、まやかしの総合予算主義反対をいたします。なぜなら、財政法そのものが本来総合予算主義によるものであって、今日までの政府のやり方が間違っているのです。必要不可欠の補正予算は当然上程さるべきであって、政府がこの予算を通じて賃金と米価を押えつけようとしている陰謀は、許されないことであります。  また予算の仕組みは、今日複雑にして、乱用や逸脱、国民の目をごまかすやり方が随所にあることは、すでに各方面の指摘されたところであり、この際、憲法、財政法の規定するところに従い、国会を通じ、わかりやすく国民に公開されるという原則は、全く私どもは賛成をするところであります。  私は、以上、予算反対する理由とわが党の主張を明らかにしてまいりました。いまやドル不安は世界にみなぎり、他方、ベトナム戦争におけるアメリカの勝利を考える人は、おそらく世界じゅう一人もおりますまい。(拍手アメリカの公定歩合の引き上げ、金の交換法の廃止、金取引の停止や国際会議の急遽招集など、ドルの国際金融は混乱の極に達しようとしています。ドル不安の原因は、アメリカの年間七兆円に達するベトナム戦費にあることは言うまでもない。アメリカ国民税金や、日本をはじめ諸国を道連れにして、できもしないベトナムの民族独立闘争を押えつけようとしていることに原因があることは、世界周知の事実ではありませんか。(拍手)  ジョンソン大統領との蜜月旅行を楽しんだ佐藤総理は、秋の大統領選挙の展望をよく分析なさるがいい。当てごとともっこは前からはずれるといいますが、アメリカの政治情勢は急変する。ベトナムとドルによって、ジョンソン政権の土台がくずされようとしている。したがって、次の会談の機会はないのではなかろうかと考えるときに、総理のなすべきことは、社会党提案を受け入れるほかにないではありませんか。(拍手)  四十三年度予算の骨格がつくられ始めたのは昨年の秋ごろでありますが、ここ数カ月の世界の動きは激動を重ね、しかもわれわれ社会党の指摘し予見したとおりになっている。まだ、つい先月の暮れに、総理は、予算委員会で、ドル不安はそう心配したことはないと思うし、私どもはドル維持協力すると、みえを切ったやさきのことであります。政府の甘い見方を通り越して、情勢の推移はきびしく、貿易収支も困難、物価見通しも上回る、景気回復の展望はますます暗い、不渡り倒産が大きくなるなど、経済見通しは音を立ててくずれ始めている。その上に立つこの予算案は、まさに砂上の楼閣であると断定してはばからないのであります。(拍手)  昭和四十三年度予算五兆八千百八十五億九千八百四十五万四千円。これをごろ合わせでいきます。と、「イヤイヤゴーハクヤシイヨ」となる。つまり、いやいや行くのはくやしいよとなる。これは、この予算によって強引に平和と生活を侵されている働く国民の気持ちが、いやいや行くのはくやしいよと、思いがけなくもにじみ出たのでございましょう。(拍手)  しかし、近づく参議院選挙において、国民諸君は、必ずやこのくやしさを、民主政治、伝家の宝刀である一票をもって、政府・与党に報いるでありましょう。すでに、世論調査によると、三月の佐藤内閣の支持率は、二月に引き続き、二回連続して大幅に低下し、二八・五%となりました。驚くなかれ、百人のうち七十二人までは、佐藤内閣を支持していないのであります。(拍手)そしてこの予算案は、佐藤内閣終えんの道に通ずることを予見し、私の政府反対社会党賛成討論を終わる次第であります。(拍手
  19. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 神田大作君。   〔神田大作君登壇
  20. 神田大作

    ○神田大作君 私は、民主社会党を代表して、政府提案の昭和四十三年度予算関係三案に対し、反対討論を行なうものであります。(拍手)  わが党は、さきの予算委員会採決に際し明らかにしたとおり、政府原案については、わが国内外のきびしい経済情勢に対処し、かつ国民生活の安定向上をはかるため、この際、これを抜本的に組み替え、まず歳入面においては、第一に、正確なる経済成長見通し税制における応能主義の原則に立って、租税自然増収は、政府案より千八億円増の九千九百三十四億円と見込むべきであると思うのであります。第二は、租税特別措置の改廃と交際費課税強化によって約二千億円の増収をはかり、これらを財源として所得税減税中小企業減税等約二千五百億円を行なうことであります。第三は、公債の発行を政府案より千四百億円減じて五千億円とするとともに、地方の自主財源確保のため、専売納付金の半額八百八十億円をこの際地方に移管することであります。  以上によって、昭和四十三年度一般会計予算規模は、政府案より約千八百三十億円減額し、総予算規模を五兆六千三百五十五億円とすることが適切であると考えるものであります。  一方、歳出においては、第一に、その規模は、歳入予算規模と同額にすることはもちろんでありますが、行政改革の断行に伴いまして、行政費用を約四千五百億円節減すること。第二は、防衛庁費を約四百十億円削減することであります。第三は、これらによって、不況下物価高に苦しんでおるところの国民生活の安定向上を実現するため、物価高抑制住宅の増設、公害、交通禍の除去、社会保障の拡充及び中小企業、農林漁業の近代化等の対策のためこれを増額すべきであると思うのであります。そのために、約三千八十億円を確保することにいたしたのであります。  以上により、歳出額の規模は、政府案より千八百三十億円を減額し、現下の経済調整をはかりつつ、国民福祉の拡大をはかったのであります。  この立場に立って、以下、政府案に対する反対理由を明らかにいたします。  申すまでもなく、わが国経済は、昨年九月の公定歩合引き上げ、続いてポンドの切り下げ、ドル不安の高まり等によって、内外の経済要因が大きく変化したにもかかわらず、大企業中心とする設備投資は依然として根強く、これら内外の経済危機を軽視しておるのであります。本年一月の公定歩合再引き上げによって、中小企業をはじめ大衆は金詰まりに苦しんでおりますが、大企業はさして影響を受けず、いまなお投資は活発であります。したがって、従来いわれておりました国際収支の悪化、公定歩合の引き上げ、輸入抑制設備投資抑制といった経済循環の形式はくずれつつあるのであります。政府予算編成にあたっては、まず何よりもこの景気調整、繋縮財政をもって国際収支の回復、安定をはかることが第一であります。しかるに、政府予算案は、これに対する配慮が全くなく、むしろ大企業設備投資を放任、助長するものであります。  第二は、政府の財政政策は、一貫性を欠いておる点であります。  この予算編成が進められている昨年秋以来、政府は、財政硬直化を表面に持ち出し、この打開が明年度予算案の最大の課題として取り上げられたのであります。つい最近までは、財政新時代の到来、経済成長等を理由として、公債発行を膨大ならしめ、予算規模を年々膨張させてきたのでありますが、このたびは一転して、財政硬直化理由に、実質減税ゼロ、大衆増税、民生支出の圧縮をはかったのであります。このように、その場その場の御都合主義で、財政政策を切りかえる政府の無責任は、これを許すことはできないのであります。  わが党は、財政政策の一貫性を強く主張するとともに、その進むべき方向は、国民の福祉の向上と、経済の計画的調整を効果的に果たすべきであると信ずるものであります。  第三は、政府がとらんとする総合予算主義矛盾であります。  従来、補正予算計上項目のおもなるものは、人事院勧告によるところの公務員給与の引き上げ費と生産者米価の引き上げに伴う食管赤字の補てんがおもであります。今回、政府予算案では、公務員給与費の引き上げを四・五%程度と見込んで五百億円を計上し、食管会計の繰り入れば二千四百十五億円で、四十二年度予算と同額であります。これは明らかに公務員給与を不当に押え、生産者米価の強い抑制を意味しておるのであります。政府はこれをしばしば否定しておりますが、米価の最近の情勢はすでに数%の上昇要因が見られ、また、国内米の買い入れ量の増加分は、政府見込みのものよりもはるかに超過を予想されております。また、公務員給与は、民間給与の上昇と物価高を考えるとき、政府の予定を上回ることは必至であります。当然これでは補正予算を組まなければならないのであって、総合予算主義は明らかに矛盾するのであります。  第四は、実質的な大衆増税と大幅なる物価上昇が必至となる予算案であるということであります。  政府は、財政硬直化を最大の理由として、所得税減税を千五十億円にとどめ、同時に酒税、物品税の引き上げ及びたばこの値上げをはかり、千九十一億円の増税で差し引きずるばかりでなく、実質的には大衆増税をもくろんでおるのであります。国民への公約を無視するこの税制の改悪は、断じてこれを許すことはできません。(拍手)  また、国鉄定期代、電話架設料の大幅値上げ、さらに四年連続して消費者米価値上げも必至であります。このような公共料金の軒並み引き上げは、政府予算案によって政府みずからが行なうものがあって、まさに政府主導によるところの物価上昇といわなければなりません。(拍手)  また、公債の発行については、ことしも六千四百億円と膨大な額に達しており、政府財政はこの公債を軸として組まれているといっても過言ではありません。言うまでもなく、政府の公債発行は何ら長期的な資金調節計画に基づくものではなく、結局は日銀券の増発に終始していることは明瞭であって、政府みずから財政破綻の墓穴を掘っておるといっても過言ではありません。  以上のごとく、政府は、税制物価対策及び公債政策を抜本的に再検討し、国民の期待にこたえ得る対策をすみやかに樹立すべきであると思うのであります。(拍手)  最後に、私は、窮乏化する地方財政を健全、安定化するため、専売納付金の地方移管を実施し、もって地方の財源確保をはかるよう提唱するものであります。  政府予算案編成に伴い、明年度地方財政計画を五兆六千五十一億円としたが、この伸び率は国を上回っているが、その内容は、相変わらずますます中央集権的性格を濃くし、三割自治のワクを一歩も出ていないのであります。政府は、自主財源に名をかりて新たに自動車取得税を設けようとしておりますが、大衆化する車両に安易に課税することは、国民大衆負担を増大させる悪税であります。わが党は、新税の創設によることなく、すみやかに専売納付金の地方移管によって地方財政を確立することこそ、国民の待望するところであります。  いまや、一昨日のロンドン金融市場の閉鎖、ニューヨークにおける金プール七カ国会議緊急会議等、ポンド、ドルをめぐる金融恐慌の混乱は、またついに、わが国内においても、市中銀行の外国為替業務の停止、ドル買い、円売り等、経済動揺は急速に拡大しつつあります。いまこそ政府は、ドルのかさのもとに安易に追随し、場当たりの予算編成を繰り返す惰性的な経済財政方針を一てきして、世界経済の構造変化に対処して、わが国が自主的に生き抜く道をすみやかに確立すべきであると存ずるものであります。(拍手)  この観点を無視した政府予算案に強くわが党は反対を表明して、私の討論を終わりといたします。(拍手
  21. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 有島重武君。   〔有島重武君登壇
  22. 有島重武

    ○有島重武君 私は、公明党を代表して、政府提出昭和四十三年度予算三案に対し反対の意見を述べるとともに、社会党より提出されております組み替え動議につきましては、多く賛同する面もあるとはいえ、なお若干見解を異にする点がございますので、反対の意を表明するものであります。  激動のゴールドラッシュにおののく世界経済情勢は、一九二九年以来最悪の事態におちいり、ドルとポンドによる国際通貨体制は、いまや崩壊寸前にあることを認めざるを得ません。迫り来る不況の中にあって、国民の生活を守り、国力の伸展を確保し、深刻な世界経済の変動に応じてわが国経済を安定せしめるためには、いかなる対策を講ずべきでありましょうか。  先般来政府は、景気抑制による国際収支赤字解消、また体質改善による経済の効率化という二つの目標を掲げ、財政金融政策の基本として財政規模の増大を極力抑制し、あるいは公債依存度を大幅に引き下げるという方針のもとに、本予算案編成に当たったと公言しております。しかるに、当時政府の行なった情勢分析は、世界貿易伸びを六・五%、日本輸出弾性値を二・三と仮定し、四十三年度わが国輸出伸び率を一五・二%と見込んだ。そして国際収支赤字は三億五千万ドルに詰めることができるであろう、そうした前提の上に組み上げられた予算が、五兆八千百八十五億という巨大な数字の累積となって提出されたのであります。一体、日本輸出弾性値が二をこえた先例は、三十四年、三十七年、三十九年の三回に限られ、四十年のように不況下の輸出ドライブがかかったときですら、一・九三にとどまったという事実をどう考えるのか。国内の不況が相手国の好況によって救われた過去の事例は、今日世界的な不況シンクロナイズのもとにあっては合致しないことを考えますときに、二・三という高い輸出弾性値は、全く甘い希望的な見通しであるといわなければなりません。(拍手)  このように、予算編成の出発点における政府のあまりにも楽観的な姿勢をまず第一に指摘し、強く警告を発するものであります。すなわち、当然予想される輸出競争の激化とこれに伴うコストダウン、また、資本取引面におけるマイナス要因を考慮いたしますときに、政府の誇示する赤字の解消は全く空中のにじのようなものである。このような甘い情勢判断によって編成された本年度予算は、政府がいかほど弾力的な運用をするといっても、必ず各所に支障を来たし、ついに本来の機能を失って、国民生活を混乱に導くでありましょう。かかる危険きわまる予算案をそのまま放置することは、断じてならないと主張するものであります。(拍手)  次に、本予算案の性格について申し上げます。  政府はこれを抑制型であると発表いたしましたが、その実態は、まぎれもない景気刺激型予算であるという点に注目すべきであります。政府説明によれば、一般会計の前年度補正後との比は一一・八%の増であるから、近年まれに見る低い伸び率であるというのであります。本年度はいわゆる総合予算の形をとっておりますが、結局は補正を避けられないでありましょう。もし例年どおりに前年度当初の予算との比率をとってみれば、これは実に一七・五%の大幅増であります。さらに、財政投融資二二%の伸びが景気刺激の材料であること、また、特別会計に移管された国立療養所の経費百四十一億円、これに前年度の公共事業費の繰り延べ分六百十三億、こう見てまいります。と、たとえ国と地方の財政を総合的に考えても、実質的には国民生産伸び率一二・一%をはるかに上回った、明らかに刺激型の予算である。政府説明は数字のトリックであると断定せざるを得ないのであります。(拍手)しかも、このような大型予算では、財政による景気調整機能は失われて、国際収支の均衡回復のためには、金融引き締め強化にたよるほかはありません。この引き締めによって大きく被害を受けるのは、中小企業であり、国民大衆であることは明らかであります。(拍手)  次に、国債発行六千四百億円について申し上げますと、政府は、公債発行額の圧縮に努力したと説明しておりますが、前年度の未発行額一千億円を残しておる実情にありながら、しかもいま景気鎮静をはかるべきときに、この額は圧縮ではなく、かえって膨張であるといわなければなりません。しかも、財政法第四条の公共事業支出のための建設公債の名をかりた赤字公債以外の何ものでもない悪性インフレの要因となるものであります。もし、政府が、本気で公債依存度の引き下げというならば、どうして国債発行ゼロに至るまでのプログラムを明確に示さないのか。すでにわが党は、予算組み替え案で、国債償還期である昭和四十七年度をめどとして、毎年一千億の国債削減を本年度より実施することを示しているのであります。  歳出については、ここに計上されております物価問題の関係をはじめ、社会保障、文教・科学技術、各種社会資本の整備、中小企業と農林漁業の近代化、交通安全と公害防止並びに地方財政の助成等、細目にわたって検討すればするほど、不備と矛盾が続々と露出してくることは、先日来行なわれました予算委員会審議によっても明らかであります。  煩を避けまして、ここでは二、三の例にとどめて申しますが、第一に、四千百八十億に達する防衛費の問題であります。昨年十一月の日米首脳会談以後、政府の姿勢は急激に右傾化して、七十年安保改定の機を目ざす政府・与党の自主防衛論は、おおうべくもない平和憲法破壊の方向に進みつつあります。この傾向は、単に一防衛費にとどまらず、本年度予算の随所に読み取ることができる重要な問題であり、個々に厳重に指摘、是正されなければなりません。ひたすらに平和と繁栄を願う国民を思うとき、また、広く世界人類の行く手を考えるときに、核、非核の論争を内に蔵し、黒い疑惑に包まれて再軍備に急傾斜する第三次防予算を、一体、だれ人が好んでこれを是認することができましょうか。したがって、三次防による増額分は、すべて大衆福祉に転用すべきものであります。  第二に、減税についていえば、政府は、所得税減税分を、大衆課税的な性格の強い酒、たばこ等の間接税値上げによって補い、差し引きゼロにした。このことは、所得税減税による恩恵を大きく受ける一部の高所得者を除く大多数の国民大衆にとっては、大きな増税となることは明らかであります。減税の財源は、大企業に対する過度の優遇を改廃することによって補てんすべきである。もし真に減税というならば、標準世帯百万円までの免税こそ、先んじて実施すべきであると主張するものであります。(拍手)  さらに、国民生活に最も密着した物価問題についていえば、消費者物価指数四・八%の上昇という政府見通しは、四十二年度よりのげたばき三・四%を差し引きますと、本年度は一・四に押えなければならない。初めから不可能を認めて、努力目標だなどと逃げております。現在の物価上昇は、政府主導によるところがきわめて大きい。すなわち、公共料金の値上がりが物価高騰のささえになっております。もし政府が公約どおり物価対策に取り組むというならば、まず、公共料金の値上げを停止して、抜本策を講ずべきが当然であります。(拍手)  最後に、住宅対策についていえば、政府の五カ年計画、六百七十万戸のうち、政府施策二百七十万戸、その建設計画の三年目として、本年度の建設戸数はわずか四十九万六千戸にすぎません。今後二年間で果たすべき百四十万戸の建設を、政府はほんとうにやる気があるのかないのか。少なくとも今日までの伸び率から見れば、この計画実現は不可能に近いといわなければなりません。特に最も住宅難に悩む低所得者のための公営住宅について、わずか九万三千五百戸、六百六十四億とは何事でありましょうか。これについては、直ちに二倍にせよと訴えるものであります。(拍手)  以上、本予算政府案に対しまして反対の意見を申し述べましたが、しょせんは、政府は勇断をもって現実を正視し、全面的な編成替えをすることこそ緊急の要務であると強く主張いたしまして、本討論を終わります。(拍手
  23. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、北山愛郎君外十三名提出昭和四十三年度一般会計予算外二件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。  北山愛郎君外十三名提出動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  24. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立少数。よって、北山愛郎君外十三名提出動議は否決されました。  次に、昭和四十三年度一般会計予算外二件を一括して採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。三件の委員長報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告のとおり決するに賛成諸君は白票、反対諸君は青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖〕
  25. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名を点呼〕   〔各員投票〕
  26. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。——開鎖。   〔議場開鎖〕
  27. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  28. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 四百十五   可とする者(白票)      二百五十五   〔拍手〕   否とする者(青票)        百六十   〔拍手
  29. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 右の結果、昭和四十三年度一般会計予算外二件は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)     —————————————   昭和四十三年度一般会計予算外二件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       愛知 揆一君    青木 正久君       赤城 宗徳君    赤澤 正道君       秋田 大助君    天野 公義君       天野 光晴君    荒木萬壽夫君       有田 喜一君    井出一太郎君       井原 岸高君    井村 重雄君       伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君       池田 清志君    池田正之輔君       石田 博英君    一萬田尚登君       稻葉  修君    稻村佐近四郎君       宇都宮徳馬君    宇野 宗佑君       上村千一郎君    植木庚子郎君       臼井 莊一君    内田 常雄君       内海 英男君    浦野 幸男君       江崎 真澄君    小笠 公韶君       小川 半次君    小川 平二君       小沢佐重喜君    小澤 太郎君       小沢 辰男君    小渕 恵三君       大石 八治君    大石 武一君       大竹 太郎君    大坪 保雄君       大野  明君    大野 市郎君       大橋 武夫君    大平 正芳君       大村 襄治君    岡崎 英城君       岡本  茂君    加藤常太郎君       加藤 六月君    鍛冶 良作君       海部 俊樹君    桂木 鉄夫君       金丸  信君    金子 一平君       金子 岩三君    上林山榮吉君       神田  博君    亀岡 高夫君       亀山 孝一君    鴨田 宗一君       仮谷 忠男君    川崎 秀二君       川島正次郎君    川野 芳滿君       菅  太郎君    菅野和太郎君       木野 晴夫君    木部 佳昭君       木村 武雄君    木村 俊夫君       岸  信介君    北澤 直吉君       吉川 久衛君    久野 忠治君       久保田円次君    久保田藤麿君       草野一郎平君    鯨岡 兵輔君       熊谷 義雄君    倉成  正君       藏内 修治君    黒金 泰美君       小泉 純也君    小坂善太郎君       小峯 柳多君    小宮山重四郎君       小山 長規君    小山 省二君       河野 洋平君    佐々木秀世君       佐々木義武君    佐藤 榮作君       佐藤 孝行君    佐藤 文生君       佐藤洋之助君    齋藤 邦吉君       齋藤 憲三君    坂田 英一君       坂田 道太君    坂村 吉正君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       志賀健次郎君    始関 伊平君       椎名悦三郎君    塩川正十郎君       塩谷 一夫君    重政 誠之君       篠田 弘作君    澁谷 直藏君       島村 一郎君    正示啓次郎君       白浜 仁吉君    進藤 一馬君       周東 英雄君    菅波  茂君       鈴木 善幸君    砂田 重民君       砂原  格君    瀬戸山三男君       園田  直君    田川 誠一君       田澤 吉郎君    田中伊三次君       田中 角榮君    田中 正巳君       田中 六助君    田村  元君       田村 良平君    高橋 英吉君       高橋清一郎君    高見 三郎君       竹内 黎一君    竹下  登君       谷垣 專一君    谷川 和穗君       千葉 三郎君    地崎宇三郎君       中馬 辰猪君    塚田  徹君       塚原 俊郎君    辻  寛一君       坪川 信三君    渡海元三郎君       登坂重次郎君    徳安 實藏君       床次 徳二君    内藤  隆君       中尾 栄一君    中垣 國男君       中川 一郎君    中曽根康弘君       中村 梅吉君    中村 寅太君       中村庸一郎君    中山 榮一君       中山 マサ君    永田 亮一君       灘尾 弘吉君    南條 徳男君       二階堂 進君    丹羽喬四郎君       丹羽 兵助君    西岡 武夫君       西村 英一君    西村 直己君       根本龍太郎君    野田 武夫君       野原 正勝君    羽田武嗣郎君       葉梨 信行君    馬場 元治君       橋口  隆君    橋本登美三郎君       橋本龍太郎君    長谷川四郎君       長谷川 峻君    濱野 清吾君       早川  崇君    原 健三郎君       原田  憲君    広川シズエ君       廣瀬 正雄君    福家 俊一君       福井  勇君    福田 赳夫君       福田  一君    福永 一臣君       福永 健司君    藤井 勝志君       藤枝 泉介君    藤尾 正行君       藤田 義光君    藤波 孝生君       藤本 孝雄君    藤山愛一郎君       船田  中君    古井 喜實君       古川 丈吉君    古屋  亨君       保利  茂君    坊  秀男君       細田 吉藏君    堀川 恭平君       本名  武君    前尾繁三郎君       益谷 秀次君    増岡 博之君       増田甲子七君    松浦周太郎君       松澤 雄藏君    松田竹千代君       松野 頼三君    松村 謙三君       三木 武夫君    三ツ林弥太郎君       三原 朝雄君    箕輪  登君       水田三喜男君    水野  清君       湊  徹郎君    宮澤 喜一君       武藤 嘉文君    村上  勇君       村上信二郎君    毛利 松平君       粟山  秀君    森   清君       森下 國雄君    森田重次郎君       森山 欽司君    八木 徹雄君       山口喜久一郎君    山口シヅエ君       山口 敏夫君    山崎  巖君       山下 元利君    山田 久就君       山手 滿男君    山中 貞則君       山村新治郎君    和爾俊二郎君       早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君       渡辺  肇君    渡辺美智雄君       斎藤 寿夫君    古内 広雄君       松野 幸泰君  否とする議員の氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井手 以誠君    井上  泉君       井上 普方君    伊賀 定盛君       石川 次夫君    石田 宥全君       石野 久男君    石橋 政嗣君       板川 正吾君    稻村 隆一君       枝村 要作君    小川 三男君       大出  俊君    大柴 滋夫君       大原  亨君    太田 一夫君       岡田 利春君    岡田 春夫君       岡本 隆一君    加藤 清二君       加藤 万吉君    勝澤 芳雄君       勝間田清一君    角屋堅次郎君       金丸 徳重君    神近 市子君       唐橋  東君    川崎 寛治君       川村 継義君    河上 民雄君       河野  正君    木原津與志君       北山 愛郎君    久保 三郎君       久保田鶴松君    工藤 良平君       黒田 寿男君    小林 信一君       小松  幹君    兒玉 末男君       後藤 俊男君    河野  密君       神門至馬夫君    佐々栄三郎君       佐藤觀次郎君    佐野 憲治君       佐野  進君    阪上安太郎君       實川 清之君    柴田 健治君       島上善五郎君    島本 虎三君       下平 正一君    田中 武夫君       田邊  誠君    多賀谷真稔君       高田 富之君    武部  文君       楯 兼次郎君    千葉 佳男君       戸叶 里子君    堂森 芳夫君       内藤 良平君    中井徳次郎君       中澤 茂一君    中嶋 英夫君       中村 重光君    楢崎弥之助君       成田 知巳君    西風  勲君       西宮  弘君    野間千代三君       芳賀  貢君    長谷川正三君       畑   和君    華山 親義君       浜田 光人君    平林  剛君       広沢 賢一君    福岡 義登君       帆足  計君    穗積 七郎君       細谷 治嘉君    堀  昌雄君       松前 重義君    松本 七郎君       三木 喜夫君    三宅 正一君       美濃 政市君    武藤 山治君       村山 喜一君    森  義視君       森本  靖君    八木 一男君       八木  昇君    矢尾喜三郎君       柳田 秀一君    山内  広君       山口 鶴男君    山中 吾郎君       山花 秀雄君    山本 幸一君       山本 政弘君    米田 東吾君       依田 圭五君    横山 利秋君       渡辺 芳男君    麻生 良方君       池田 禎治君    稲富 稜人君       内海  清君    岡沢 完治君       春日 一幸君    神田 大作君       河村  勝君    小平  忠君       佐々木良作君    鈴木  一君       曾禰  益君    玉置 一徳君       中村 時雄君    永江 一夫君       西尾 末廣君    西村 榮一君       門司  亮君    本島百合子君       吉田 賢一君    吉田 泰造君       吉田 之久君    和田 耕作君       浅井 美幸君    有島 重武君       伊藤惣助丸君    小川新一郎君       大野  潔君    近江巳記夫君       岡本 富夫君    沖本 泰幸君       北側 義一君    小濱 新次君       斎藤  実君    鈴切 康雄君       竹入 義勝君    中野  明君       樋上 新一君    広沢 直樹君       伏木 和雄君    正木 良明君       松本 忠助君    矢野 絢也君       山田 太郎君    川上 貫一君       谷口善太郎君    林  百郎君      ————◇—————  日程第四 日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出
  30. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第四、日本開発銀行法の一部を改正する法律案日程第五、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  日本開発銀行法の一部を改正する法律案  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  31. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長報告を求めます。大蔵委員長田村元君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔報告書本号(二)に掲載〕   〔田村元君登壇
  32. 田村元

    ○田村元君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法案は、日本開発銀行の業務の円滑な運営に資するため、同行の借り入れ及び債券発行の限度額を自己資本の四倍から五倍に引き上げようとするものであります。  すなわち、日本開発銀行の貸し付け等の残高につきましては、自己資本の額と借り入れ金等の限度額との合計額を越えてはならないことと定められておりますが、四十三年度における貸し付け計画等からいたしますと、同行の貸し付け等の残高は、四十三年度中にこの限度額を越えることとなるのであります。したがいまして、この際、同行の借り入れ金等の限度額を自己資本の四倍から五倍に引き上げ、これにより、貸し付け等の業務量の限度を拡大し、もって、同行の業務の円滑な運営をはかろうとするものであります。  本案につきましては、審査の後、三月十二日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、広沢賢一君は日本社会党を代表して、開銀の融資内容が電力、海運等独占大企業に片寄っていること等を理由として、本案に反対する旨述べられました。  次いで、採決いたしましたところ、多数をもって本案は原案のとおり可決となりました。  次に、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、アジア開発銀行の特別基金に充てるため、政府は、同銀行に対し、予算で定める金額の範囲内において、本邦通貨により拠出することができることとしようとするものでありまして、その拠出については、本邦通貨にかえて、その全部または一部を国債で行なうことができることとし、この国債の発行、償還等に関する事項は、同銀行に対する通常の出資に充てるため発行することができることとされている国債の場合と同様とするよう定めております。  なお、昭和四十三年度における特別基金への拠出金額は、七十二億円と予定し、四十三年度予算予算総則で、拠出限度額を七十二億円と定め、その全額を国債で行なうことを予定しております。  本案につきましては、審査の後、三月十二日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、武藤山治君は日本社会党を代表して、特別基金への拠出を国債で行なうことは妥当ではない等の理由をあげて、本案に反対する旨を述べられました。  次いで、採決いたしましたところ、多数をもって本案は原案のとおり可決となりました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  33. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  34. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第六 法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提出
  35. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 日程第六、法務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。法務省設置法の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載
  36. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 委員長報告を求めます。内閣委員会理事松澤雄藏君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕   〔松澤雄藏君登壇
  37. 松澤雄藏

    ○松澤雄藏君 ただいま議題となりました法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案の要旨は、旭川刑務所の位置を北海道上川郡東鷹栖村に改めること、愛知県西春日井郡豊山村ほか四カ所に入国管理事務所の出張所を設けることなどであります。  本案は、二月二十日本委員会に付託、三月五日政府より提案理由説明を聴取し、慎重審議を行ない、同十二日質疑を終了し、同十四日採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  38. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  39. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第七 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案内閣提出
  40. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 日程第七、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案議題といたします。裁判所職員定員法の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  41. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 委員長報告を求めます。法務委員長永田亮一君。     —————————————   〔報告書本号(二)に掲載〕   〔永田亮一君登壇
  42. 永田亮一

    ○永田亮一君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、裁判所における事件の適正迅速な処理をはかる等のため、裁判所職員の員数を増加しようとするものであり、その内容は、第一に、高等裁判所における訴訟事件及び地方裁判所における借地非訟事件の適正迅速な処理をはかるため、判事十二人を増員し、第二に、高等裁判所、地方裁判所及び家庭裁判所における事件の円滑な処理をはかる等のため、裁判官以外の裁判所職員のうち、裁判所書記官、家庭裁判所調査官及び庁舎の管理要員等、合わせて十三人を増員しようとするものであります。  本案は、二月二十七日法務委員会に付託され、同月二十九日提案理由説明を聴取し、自来慎重審議を重ねてまいりました。  かくて、三月十四日、質疑を終了、討論に入りましたところ、自由民主党より賛成日本共産党より反対の各討論がありました。  次いで、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  43. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  44. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第八 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改正する法律案農林水産委員長提出)  日程第九 森林法の一部を改正する法律案(第五十五回国会内閣提出
  45. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 日程第八は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。  日程第八、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改正する法律案日程第九、森林法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改正する法律案  森林法の一部を改正する法律案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  47. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 委員長趣旨弁明及び報告を求めます。農林水産委員長足立篤郎君。     —————————————   〔報告書本号口に掲載〕     —————————————   〔足立篤郎君登壇
  48. 足立篤郎

    ○足立篤郎君 ただいま議題となりました両案について申し上げます。  まず、農林水産委員長提出積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  御承知のように、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の対象になっております地帯は、それぞれの法律名に示されているように、自然的悪条件下にありますので、これを克服し、農業生産力の向上と農業経営の安定向上をはかるために制定されたものであります。  これらの法律については、なお引き続き継続実施していかなければならない実情にありますので、その有効期限をさらに三カ年間延長いたしまして、所期の目的達成に遺憾なきを期したいと考える次第であります。  農林水産委員会におきましては、三月十四日本案を委員会提出法律案とすることに決しました。何とぞすみやかに御可決賜わらんことをお願い申し上げます。  次に、内閣提出森林法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  本案は、最近における拡大造林の減退、外材輸入の増大等、林業を取り巻く諸情勢に対応して、森林計画の達成と森林施業の合理化、計画化をはかり、もって森林資源の維持培養と森林生産力の増進をはかることを目的としたものであります。  本案は、第五十五回国会内閣から提出され、諸般の情勢から今国会まで引き続き継続審査と相なったものであります。  去る三月十四日、本案に対する質疑を終了し、採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、森林生産力の増強をはかるため、造林、林道等生産基盤の整備をさらに強化すること等を内容とする附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  49. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) これより採決に入ります。  まず、日程第八につき採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。  次に、日程第九につき採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  51. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第十 日本万国博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案内閣提出
  52. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 日程第十、日本万国博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案議題といたします。     —————————————  日本万国博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  53. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 委員長報告を求めます。外務委員長秋田大助君。   〔報告書本号(二)に掲載〕     —————————————   〔秋田大助君登壇
  54. 秋田大助

    ○秋田大助君 ただいま議題となりました日本万国博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  昭和四十五年に大阪で開催される予定の日本万国博覧会につきましては、国際博覧会に関する条約第十五条の規定により、開催国は政府を代表する政府委員または代表を一人指名しなければならないことになっておりますが、その任務の重要性にかんがみまして、本法律案は、外務省に特別職の国家公務員たる日本万国博覧会政府代表一人を置くこととしている次第であります。  代表の任務といたしましては、条約及び条約に基づく一般規則の規定により、日本万国博覧会に関して日本政府を代表し、かつその約束の履行を保障することであります。  なお、代表の職は日本万国博覧会のために臨時に設けるものでありまするから、本法律案は、博覧会終了後一年の期間を経過いたしますと、失効することとしております。  本法律案は、三月四日本委員会に付託され、政府から提案理由説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、三月十五日、本案に対する質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  55. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  公衆電気通信法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  57. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 内閣提出公衆電気通信法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。郵政大臣小林武治君。   〔国務大臣小林武治君登壇
  58. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) 公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  最近における経済成長、社会開発の進展、国民生活の向上等に伴い、加入電話の架設に対する国民の要望は増大の一途をたどっており、申し込んでもつかない、いわゆる積滞の数は、現在二百二十万をこえている状況であります。このような需要に対応して加入電話の増設を円滑に行なう必要がありまするが、その新規架設に要する費用の一部に充てるために、加入電話の設備料の額を改定する必要があります。  このため、一加入電話ごとに一万円となっている現行設備料の額を、単独電話及び構内交換電話の局線部分につきましては一加入電話ごとに三万円に、二共同電話につきましては一加入電話ごとに二万円にそれぞれ引き上げ、多数共同電話につきましては現行どおり一万円としようとするものであります。  なお、この法律案の施行期日は、昭和四十三年五月一日としようとしております。  以上をもちましてこの法律案趣旨説明を終わります。(拍手)  公衆電気通信法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  59. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。島本虎三君。   〔島本虎三君登壇
  60. 島本虎三

    ○島本虎三君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました公衆電気通信法の一部改正法案に対し質問を行ない、問題点を解明せんとするものであります。  まず、政府の基本的考え方について伺いたいと思います。  総理は、過般の施政方針の中で所信を表明して、物価値上げを防ぎ、国民生活安定のため、総理自身中心となって関係大臣一体となり、有効適切な物価対策を強力に推進すると述べていること、御承知のとおりでございます。しかし、その舌の根もかわかないうちに公共料金の値上げが行なわれ、また続々と計画されているのでございます。今回の電話の設備料三倍引き上げ案も、その一つと言えるでありましょう。まさに国民に対する背信行為と言えるではございませんか。公共料金の引き上げは、政府自身物価の上昇を主導するものであり、便乗値上げを誘発するものであります。物価安定のためには、政府みづからが規制できる公共料金を押え、独占物価規制する必要があります。政府は、今回の設備料はじめ公共料金については値上げせず、その計画に対しては財政投融資等、財政資金のワクを広げてやるべきと思うが、総理、大蔵大臣の御見解を承りたいのであります。  次に、経済企画庁長官並びに郵政大臣にお伺いいたします。  あらためて申し上げるまでもなく、電信電話事業の発展は目ざましく、政府発表の資料に基づいても、電話はいまや生活必需品の一つであります。年々の増設によって、加入者はすでに一千万に達しようとしており、第四次五カ年計画では、さらに九百万余の増設が計画されているのであります。このように電話の数が増加すればするほど、その公共性はますます重要さを増し、サービスのみならず、料金も大きく国民生活に影響を与えること、明らかでございます。  まずその第一には、四十三年度予算原案と電電公社の第四次五カ年計画との関連性について、お伺いいたしたいと思います。  四十三年度計画は、第四次五カ年計画の初年度として実施に移されようとしているのであります。が、公社当局は、予算要求は五百九十六億円の赤字を計上し、しかるがゆえに、電話料金の引き上げやむを得ずといっているのであります。これに対して政府原案は、逆に六十一億円の黒字予算を組み、料金値上げを押えたのであります。公社当局は、第四次の事業拡充計画にあたり、経営が思わしくないとして料金の二二%アップが提起されたのでありますが、政府の公共料金に対する施策から、本年は見送りとなったのでございます。そのかわりというか、設備料を、当初の予定を早め五月から三倍に引き上げる案が、政府によって提出されたのであります。したがって、今後の第四次五カ年計画実施にあたり、政府としては、このような中で公社の主張をもとに、いつ、どのように電信電話料金を考え、是正せんとするものであるか、まずこれを伺いたいのであります。  第二には、ただいま議題になっておる設備料の性格についてでございます。  現行の一万円の設備料については、これまで国会審議の過程で明らかにされたごとく、政府の見解としては、加入者にかかる工事費と物品費の合計額として、曲がりなりにも積算の根拠があったのであります。しかし、今回の場合は、設備料の引き上げに何の根拠と理由があるのか、全く明らかでないのであります。第三十四国会では、自己資金の不足を債券の引き上げによって補うという方針が明らかになったのであるが、今回の設備料の引き上げにあたって、政府は建設資金の不足を補うものであると説いているのでありますが、これは今日までの経過から見ても、不足資金を債券によって補う方針からしても納得でき得ないのであります。もし政府が設備料を三倍にして不足資金を補うのであれば、これは重要な政策の変更でありますので、その理由と根拠を明らかにすべきであります。やみくもに三倍程度引き上げでは納得できないのであります。ことに、昭和三十五年の臨時措置法から設備拡充暫定措置法に切りかえた際、設備料と債券については加入者負担にならないようにするとの当局の言明もあり、さらに暫定措置法の制定は、昭和四十七年の時点までを展望した時限立法であって、その時限立法の一部を法の施行期間中に変えること自体にも、はなはだ問題があるのであります。この点どのように考えるか、政府の所見を伺いたいのであります。  第三には、電信電話料金体系全般についてであります。  去る二月十四日、電電公社総裁は、料金値上げは本年度は見送るが、四十四年度からぜひ実現したい、その具体案を八月の末ごろまでにまとめると言明しているのであります。現行電信電話料金については多くの問題点が含まれているのであって、公社が八月の末ごろまでにまとめたいというのであるならば、設備料を含め総合的に検討すべきであり、それまでの個別引き上げは当然差し控えるべきであると考えるのであります。政府の見解をお伺いいたします。  第四にただしたい点は、料金体系の中で問題点とも思われる基本料と加入区域の問題であります。  これは新聞等の報道によっても指摘された問題点であり、率直に申し上げて、政府においても頭の痛い問題でなかろうかと思う次第です。御承知のように、宮澤経済企画庁長官は、物価政策上好ましくないので取りやめる方法を考えるように郵政大臣に申し入れたと報道せられているのであります。これは昭和三十六年、第三十八国会で成立した法百四十九号、すなわち公衆電気通信法第四十四条に規定されたことであって、加入者の増加に伴い基本料が自動的に上がるシステムであります。この点につきましては、わが党がかねてより主張していた電話加入区域を経済圏、行政圏に合わせて統合することについては、当局もまた部分的に、北九州市をはじめとする加入区域の統合を計画しているのであります。しかし、現行のままで行なえば、当然基本料の増大する地域も出てくること、御承知のとおりであります。  現行電話料金体系は、基本料と通話料、さらに債券と設備料、この四つの柱によって構成されているのであります。その中で基本料金のみが自動的に増加するエスカレーションシステムは、すでにわが党が指摘してきたように、料金値上げの体系ともいわなければなりません。公社当局のいってきた十四年間料金値上げなしというのは間違いであります。天網恢々疎にして漏らさず、新聞等によって社会問題となっていることからしても、基本料金自動的引き上げは、わが党の主張の正しかったことを立証するものであって、政府みずから認めざるを得ないところであります。(拍手)わが党は、そのような矛盾の中で設備料の引き上げだけを切り離すことは、料金の総合的体系としてのたてまえを破壊するものであり、きわめて重大な問題であります。とうてい納得できないところであります。政府はいかように考えますか、明らかにしていただきたいのでございます。  第五に、今回の設備料の引き上げが及ぼす影響についてであります。  まず、公社当局は、申し込めばすぐつく電話を、四十七年度末に実施することをしばしば公約してまいっております。そして暫定措置法もその前提でできたのであります。ところが、去る八月に発表された第四次五カ年計画の大綱によれば、四十七年度には百二十万個の積滞が残ることが明らかになり、当局の申し込めばすぐつくという公約は放棄されたのであります。公社当局は、それでも需給は大幅に改善されるといっているのでありますが、設備料の引き上げによって、約九十万の需要抑制を前提としているのでありますが、需要抑制がないとすれば、これは昭和四十七年度末には、電話がほしくても引けない人が二百十万人となり、昭和四十一年度末の積滞二百十万とほぼ同数であって、需給は一つも改善されたことにならないではありませんか。  加えて、公社当局の今後の計画に、第三の通信といわれるデータ通信をはじめとする新しいサービスの開始が含まれているのであります。これは通信一元化の立場から公社が実施するのは当然でありますが、今回の計画に見られるように、生活の向上のために最も必要な住宅電話にしわ寄せされる結果になることに注目しなければなりません。  このようなまやかしはやめて、公約どおりの諸方策を行なうよう、政府としては厳重指導すべきであり、国会国民への公約は断じて変更すべきではありません。  また、設備料の引き上げと物価との関連については、冒頭に述べたごとく、電話はいまや国民の必需品となっているし、今後ますますその需要が増加すること明らかであって、都市と農村を問わず、生活維持のため欠くべからざるものとなっているのであります。このときに設備料の引き上げは、その及ぼす影響大なるものありと考えられるのであります。住宅電話を抑制してもデータ通信、集合自動電話等の産業用電話を強力に推進していく政府態度は、産業発展に貢献せんがため国民の生活を犠牲に供せんとするものと断ぜざるを得ません。  以上のような立場に立って、今後ますます。社会資本としても、国民生活の上からも重要な電信電話事業のあり方について、広く国民の知識を集めて抜本的に検討し直していくべきであって、それまでの間は、設備料の引き上げについては手を触れるべきでないと考えるのであります。政府の見解を伺って、私の質問を終わる次第であります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  61. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) 島本君にお答えいたします。  物価安定、これは政府の重要施策、重要課題でございます。したがいまして、ただいまお読みになりましたとおり、私を中心にして、関係大臣が一体となって有効適切な対策を講ずる、これにつきましては、何ら変わりはございません。  四十三年度予算編成にあたりまして、一部公共料金等の値上げを計画いたしました。これらのものは、申すまでもなくいろいろの御批判はありますが、財政体質の改善、これを念頭に置きまして、やむを得ざる値上げを計画いたしたのであります。その場合におきましても、できるだけその値上げ幅を小さくするとか、あるいは同時に、大衆負担、これについて特に考慮する等の考えで決定いたしたのであります。そうして、公共料金の値上げそのものは、当面は確かに好ましくないことでございまするが、しかし長期的に見てまいれば、必ず物価の安定に寄与するものだ、かように考えております。  かかる意味におきまして、現在とっております。政府物価政策をただいま変える考えは毛頭ございません。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男君登壇
  62. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) お答えいたします。  公社の事業及び収支については、本年度十分検討いたしました。その結果として、料金の値上げについての結論は本年度出ませんでしたが、おっしゃられるように、設備料と総合的に検討する必要があることは確かでございますが、今回、新規架設に要する工事のうちで、特に加入者の専用性の強いというものについては加入者の負担とすることが適当である。料金を上げることは物価に相当の影響を及ぼしますが、初年度の一時的な負担でございますので、これはサービス料金とは違いますために、したがって、物価への影響が少ないということから、一応切り離して、今年度は設備料の点を決定した、こういうようないきさつでございまして、これはやはり応益負担の原則から見ても、この決定は私は適当ではないかというふうに考えております。(拍手)   〔国務大臣小林武治君登壇
  63. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) この電話の設備料は、これは新規加入の際に、工事をすると、その工事費用の一部としてこれを充当する、こういうことであります。これは、御承知のように、電話の架設をするためには、いまの債券それからこの設備料と、こういうもののほかに相当な支出を要する。すなわち、いままでの平均においては、一個をつけるのに約三十三万円かかる、こういう状態でありまするので、その一部に資金として充当する、こういうことに相なっておるのであります。  また、四十四年度に電話料金のことを云々と、こういうお話がありましたが、いま大蔵大臣のお答えしたように、四十三年度は、電電公社としては、設備料、電話料金、この両者の申請が、申し出があったのでありまするが、今年度はいまお話しのような設備料の増額にとどめて、全体の資金計画をこれによって策定した、こういうことに相なっておるのでありまして、今後の電信電話料金そのものにつきましては、電信電話公社の経営全般の問題、また今後の設備拡充の方針あるいは国民経済全般に関連して慎重に考慮すべきものと、かように考えておるのでございます。  また、基本料は、御存じのように、現在電話の一加入区域内の電話がふえればふえるほど、市内通話の効用が上がる。したがって、電話の効果がふえる、こういう意味と同時に、加入者がふえればふえるほど、電話の交換の設備あるいは中継線等で多額の経費を必要とする、こういう事情からいたしまして、現在電話局は十四段階に分けてそれぞれの基本料をきめておるのであります。しかし、このきめ方は、私は、以前の電話の架設数の少ない時代にできたものでありまして、必ずしもいまの時勢に合わない、こういうことを考えておるのでありまして、次の機会においてはこれらの十四段階というようなものをもっと簡易化して、いまのお話しのような事態がひんぴんとして起きないようなことを講じたい、かように考えておるものでございます。  また、いまのお話しの電話値上げの影響につきましては、むろんないとは申せないのでありまして、昭和四十三年度におきましても約三十万個ぐらいの影響があるということをいま考えておるのでありまするが、しかし、いま申すように、現在すでに二百二十万個の積滞がある、こういう事態からいたしますれば、たいした影響があるとは私どもは考えておらぬのでございます。  なお、いま住宅電話のお話がありましたが、従前架設数の少ない場合においては、産業用電話あるいは公共電話を優先さしたのでありまするが、その後住宅電話につきましても、十分の配慮をいたしておるのでありまして、昭和三十八年度には住宅電話は全体の一九%にすぎなかったのでありますが、四十二年度にはすでに全体の三二%に住宅電話ができておるのでありまして、四十二年度の架設の約半数は住宅に振り向けておる、こういうことであります。  以上を申し上げまして、私のお答えといたします。(拍手)   〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  64. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 加入数がふえることによって、自動的に基本料が上がるという問題でございますが、これは法律的には非常にむずかしい問題でございますけれども、何か方法はないだろうかということで、だだいま郵政大臣と御相談を申し上げているところでございます。(拍手
  65. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。
  66. 小平久雄

    ○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 赤間 文三君         外 務 大 臣 三木 武夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         厚 生 大 臣 園田  直君         農 林 大 臣 西村 直己君         通商産業大臣  椎名悦三郎君         運 輸 大 臣 中曽根康弘君         郵 政 大 臣 小林 武治君         労 働 大 臣 小川 平二君         建 設 大 臣 保利  茂君         自 治 大 臣 赤澤 正道君         国 務 大 臣 木村 武雄君         国 務 大 臣 木村 俊夫君         国 務 大 臣 鍋島 直紹君         国 務 大 臣 増田甲子七君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         総理府総務副長         官       八木 徹雄君      ————◇—————