○新谷
政府委員 壬申戸籍につきまして、昨年末から本年の当初にかけまして、いろいろの問題が提起されたわけでございます。その中の
一つといたしまして、従来の壬申戸籍の閲覧の問題が確かにございまして、今後どうすべきかということを検討いたしますためのとりあえずの暫定
措置といたしまして、先ほどお示しの一月十一日付の通達によりまして、親族以外の者には見せないという
措置をとったわけでございます。その後いろいろ実情を調べまして、閲覧を全面禁止いたしましても一般国民にとって特段に不便は生じないということがわかりましたので、三月四日付の通達によりまして、閲覧は全面禁止することにいたしたのであります。これにつきましては、もちろん相続その他の
関係でどうしても身分
関係を証明する必要がある場合がございますので、公証
方法はやはり残しておく必要があるということから、現行の戸籍法で許される範囲のものについてのみ謄抄本を作成するという
措置にいたしたわけでございます。
閲覧
関係の問題につきましては、一般に公開することは確かにいろいろの問題が生じ得るのでございまするが、先ほど申し上げましたように、一般の閲覧は禁止いたしましたけれ
ども、全国的にながめてみますと、壬申戸籍といえ
ども一般国民は利用しなければならない面もまだございますために、その利用の面を完全に閉ざしてしまうこともこの際は困難ではなかろうかという感じがいたすのであります。そうかと申しまして、この閲覧も、謄抄本の作成が不要になった場合、もう完全に壬申戸籍利用の必要がなくなっったという場合の
措置でございます。その場合には、市町村のほうから法務局に廃棄の認可の申請を出してまいることになっております。廃棄いたしました後の保管が今後の問題でございますが、先ほどお話しのように、市町村によりましては、市町村側でこれを保管することについての万全の
措置がとれないという危惧の念から、法務局に保管してもらいたいという
意見も若干出ておるのであります。大東、岸和田、貝塚の三市は、そのような観点から大阪法務局に壬申戸籍の保管を依頼してきたという事実はございます。こういうことについて法務局側といたしましてどのように対処するかという問題でございますが、これは一がいには言えない面もあろうかと思うのであります。現在、全国三千三百八十六市町村のうちの二千六百四十五市町村が、この壬申戸籍を保存いたしております。戸籍の数も七百十一万一千戸籍、冊数にいたしまして約二万五千冊でございます。これは必ずしも正確な数字ではないかもしれませんが、本年一月に調べました一応の数字でございます。それだけのものがまだ保管され、利用されておるという面も
考えなければなりませんので、こういったことも
考えながら今後の
措置をとっていかなければならないと思うのであります。そこで
法務省側といたしましては、市町村から廃棄の認可の申請がありますれば、保存期間その他のことを
考えまして、正規に廃棄していいものかどうかを判断いたしました上で認可いたすのが通例でございます。廃棄いたしましたあと市町村側でどうしても保管に困るということであれば、法務局にこれを引き取りまして保管するのも
一つの
方法であろうと思います。しかし、法務局の
現状は、御承知と思いますけれ
ども、現在、登記簿あるいは戸籍の届け書といった書類で倉庫はもう満ぱいになっておりまして、それだけの壬申戸籍を全部一カ所に集中
管理するというだけの余裕もなかなかございませんけれ
ども、何とかくふうもあるのではあるまいかということをただいま検討いたしております。できるだけ人権
問題等生じないようにいたしますためには、法務局側としてもそれなりの配慮は必要であると思いますので、今後の問題といたしましては、市町村のほうともよく
相談いたしまして、法務局でとれるものにつきましてはしかるべき
方法を講じまして、それが外部に流出しないような
措置を講じながら法務局で保管していくということも念頭に置いて、ただいま検討いたしておるわけでありますが、近いうちにその結論が出し得るものと
考えております。