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1968-03-01 第58回国会 衆議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月一日(金曜日)    午前十時十九分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 田中伊三次君 理事 高橋 英吉君    理事 中垣 國男君 理事 濱野 清吾君    理事 猪俣 浩三君 理事 神近 市子君       大坪 保雄君    佐藤 文生君       坂本三十次君    千葉 三郎君       渡海元三郎君    村上  勇君       森山 欽司君    中谷 鉄也君       中村 重光君    楢崎弥之助君       岡沢 完治君    山田 太郎君       林  百郎君  出席政府委員         警察庁警備局長 川島 広守君         法務政務次官  進藤 一馬君         法務省刑事局長 川井 英良君         法務省訟務局長 青木 義人君         法務省人権擁護         局長      堀内 恒雄君         公安調査庁次長 長谷 多郎君  委員外出席者         文部省大学学術         局審議官    清水 成之君         日本国有鉄道公         安本部長    須藤 博忠君         専  門  員 福山 忠義君     ————————————— 三月一日  委員瀬戸山三男君、綱島正興君、渡海元三郎  君、福田赳夫君、岡田春夫君、堂森芳夫君、成  田知巳君及び西村榮一辞任につき、その補欠  として佐藤文生君、大坪保雄君、森山欽司君、  坂本三十次君、中谷鉄也君、楢崎弥之助君、中  村重光君及び岡沢完治君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員大坪保雄君、佐藤文生君、坂本三十次君、  森山欽司君、中谷鉄也君、中村重光君、楢崎弥  之助君及び岡沢完治辞任につき、その補欠と  して綱島正興君、瀬戸山三男君、福田赳夫君、  渡海元三郎君、岡田春夫君、成田知巳君、堂森  芳夫君及び西村榮一君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政検察行政及び人権擁護に関する件  (佐世保事件に関する問題)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  法務行政に関する件、検察行政に関する件、及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  佐世保事件に関する諸問題について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤文生君。
  3. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 過般来予算委員会で問題になり、取り上げられておる、エンタープライズ航空母艦佐世保に寄港した際における学生警察官との平瀬橋佐世保橋、これを中心にした問題が国民的に注視をされて、それが人権問題、あるいは文教政策の問題、あるいは社会政策の問題、いろいろな問題がこの事件中心にして展開されそうでございますので、このエンタープライズ寄港に伴うところの諸問題を、この機会に解明して、そうして委員会を通じていろいろな問題点を明確にする必要があると私は考えております。  とりあえず質問の前に、昨日社会党の楢崎委員予算委員会において質問をしました中で、催涙ガスを水の中に入れて、そして学生にそれを使った、その催涙ガス試験研究の段階において自衛隊と共同してやったのではないか、そういう問題と、その前々日畑委員から、催涙ガスを使って、そうしてそれを浴びた学生がそのためにたいへんな後遺症を受けたのだ、これは行き過ぎではないか、こういったような問題が出ましたので、一月の十六日から二十日まで現地に参りまして、平瀬橋そば、あるいは佐世保橋そばでこの事件の全貌を現実に見てまいりました私にとって、その現実質問の内容とに相当な食い違いがあるように思いますので、見たままの姿をこの機会に申し上げて、そうして警察庁にその答弁を求めたい、こう思っております。  一月の十六日、三派全学連博多に到着し、そして十七日に平瀬橋のあの三派学連との乱闘が始まったのですが、約二時間にわたって三派全学連警官隊とが平瀬橋とすぐそばにある引き込み線の架橋上において相互に攻撃が加えられました。最初警察のほうは、道路交通法違反であるので直ちに解散をし、そうして投石をやめてください、こういうような呼びかけを数分ごとに行なったけれども、先頭の、リーダーだと思うのですが、ロープを持って、第一のとりでが橋の上に三つ、四つつくってありましたが、そのとりでロープをかけてこわしてしまう、次のとりでをこわしてしまうということで、三十分くらい経過してから放水を始めたのではないか、こういうぐあいに——私あのときは時間をはかっておりませんが、放水の時期は、大体戦闘開始の三十分後だったと記憶します。そのうちに、三派全学連攻撃がやむどころか、ますます激しくなってきたので、ただいまより放水しますということで放水を開始し、その放水によって最初警備計画の中にあった死傷者を出さないという原則は必ず守られるであろうということで、その放水によるところの撃退に期待をして私は待っておったのですけれども、その放水の力がどういうわけか弱くて、放水を浴びても何ら物理的な影響全学連先頭部隊に与えないというので、こんなことではたしてこの暴力行為制止ができるであろうかという不安感を持ちました。そのうちに、ガス混入をやるという警報、それからガス弾を使うという警報を発して、そうしてそれを使い始めたのです。ですから、このようなガス混入をした放水をしたり、ガス弾発射することにおいて、必ずこの乱闘は一時中止するであろう、これは見ておったほとんど大部分の者がそれに期待をかけたのです。ところが、ガス弾発射においても、投げたガス弾が反対に警察官のほうに投げ返された。放水した水の中にガス液混入しているにもかかわらず、その攻撃の勢力は全然おさまりません。私は、そこでこの催涙液混入というものが攻撃に対して全然影響がないのではなかろうかというような感をいたしました。そうして全学連に対する防衛体制というか、警察官の受け身のかまえが約二時間にわたって行なわれまして、当日の十一時四十分ごろだったと記憶しますけれども、放水ガス弾発射にもかかわらず、警察官の目の前の最後のさくが、強引な三派全学連先頭部隊によってロープによって結ばれて、それによって引っぱられてさくがこわされてしまうという瞬間にまで追い込まれて、当日の十一時五十分前後だと思うのですが、京都部隊大阪部隊をついに後方から出して、そうしてはさみ打ちにしてやっと三派全学連攻撃がおさまったのだ、私はこういう印象を受けました。  そこで、平瀬橋を渡って警察官の一隊が前進をしたその直後に、突入十分後に、私はすぐそばにある市民病院の中に入りまして、そうして院長、副院長事務長に会って、病院患者ガス弾影響がなかっただろうか、あるいは入院した全学連学生と朝日新聞の記者の病状を聞きましたところが、二階以上に入院している入院患者には、窓を全部締めておったために、ほとんどおかげで影響はありませんでした。窓を開けて、その乱闘状況を見ようという患者が出て、その窓を締めよということの禁止指令に対して違反をして窓を開けて見た患者には少しはあったかもしれないが、すぐ締めさせましたので、ほとんど影響はありませんでしたという報告を十分後に私は受けて、そうして入院患者にこの乱闘影響があることを一番心配しておった私にとって安心感を与えてくれました。  この事件が終わって、二月の上旬に再度佐世保に参りまして、放水の中に混入しているいわゆるガス液を浴びた学生後遺症があるのかないのか、こういう点について、二月の五日にこの病院に私再度参りまして、院長それから実際全学連諸君のそのガスを浴びた学生の目を洗ったり、からだを洗ったりした看護婦二名に同席をしてもらいまして、その催涙ガス影響を聞きましたところが、幸いにして、市民病院院長皮膚科専門医でございますが、その院長の私に対する返事は、一月十七日の平瀬橋事件の際には、約七百名の応急手当てをした。学生、一般の方々、こういったような七百名の人々に対して応急処置、洗面、洗眼、洗浄、からだを洗う、こういったことをした中で、報道関係が二百名、学生関係が五百名、合わせて七百名ですが、その学生の五百名のうちの五十名は、全身催涙液を浴びていたので、これは放水した中に催涙液を入れておる、その水を浴びて全身ぐっしょりになったのが五十名出てきたので、それを全部服を脱がして裸にして、そうしてからだを洗ってあげた。そのままにして出ていった者も、ここの病院に来ないで、そのまま佐世保橋から、あるいは平瀬橋から佐世保の駅に行って博多に帰った学生もあるでしょうが、病院として手当てをしたのは五十名。この手当てをした者についての催涙液を入れた放水影響について後遺症が出るでしょうか出ないだろうか、この点が非常に心配であるから、専門医としてお聞かせ願いたいと、こう申し上げたところが、大体において後遺症は出ないと思う、こういう実際診療に当たった院長返事でございました。それには副院長事務長看護婦二人が立ち会っています。こういうようなことで、もしも後遺症が出た学生諸君が中に事実あったとするならば、私はあと手当てが十分でなかったか、あるいは擦過傷を受けた上にその放水液を浴びたがために出たものか、その点はわかりませんけれども、全般的にわたってこのくらいの放水の中に催涙液を入れておる程度では、後遺症は起こりません。目も、しばらくは催涙液影響もあるけれども、後遺症は起こらないということを、はっきり病院長が申しました。これが私の実地における、警察官催涙液を使って学生諸君にあたった後遺症問題点心配でございましたので、その調査の結果の私の意見であり、私の発表ですが、そういうことで、この催涙液を使った前後の状況、これは先ほど言ったとおりで、私はやむを得ない警察処置である、こういうぐあいに思います。ただ、これを使うにあたって、どういう配慮をして、どの程度のものを入れれば人体後遺症が残らないか、残るかくらいなことは、当然警察庁としても研究したんではなかろうかと思う。しかし、その点を私は聞いておりませんので、この機会催涙液を使った、使おうとした場合における警察庁準備体制人体に与える影響、そういうものについて意見をひとつ聞きたい、こういうぐあいに思います。
  4. 川島広守

    川島(広)政府委員 ただいまお尋ねの第一の問題は、昨日予算委員会楢崎委員が御質問されたあと社会部関係報道記者委員会が終わってからいろいろ御説明なさったそうでございますが、その中に、いま御指摘自衛隊警察関係について言及されておるようでございます。私は直接聞いてはおらないのでございますけれども、お尋ねでございますからここで申し上げますが、警察といたしましては、ガスを使い始めましたのは、遠く昭和二十五年から実は使っておるわけでございます。私の記憶に間違いがございませんでしたら、たしか宇都宮の競輪場八百長騒ぎのときに使ったのが最初でございまして、現在までに二十五度目になっているはずでございます。したがいまして、二十五年当時からガスを使っておるわけでございますが、自衛隊との関係は全然ございません。昨日の新聞の報道におきますれば、自衛隊化学学校等警察官を派遣して研究させたことがあるというようなお話もあったようでございますが、そういう事実は全くございません。これは警察独自に今日まで開発研究を続けてきたものでございます。中でもいまお尋ねガス水の問題でございますが、これは実は使ったのは今回が初めてでございまして、このガス水を使うに至ります経緯といたしましては、昭和三十七年以来実は研究をしてきたわけでございます。申すまでもございませんが、通常のガスでございますれば、風向きなりあるいはまた場所等関係がございまして、十分に有効にそのガスを使い得るのにいろいろな制約がございますものですから、指向性があって、いわゆる第三者への迷惑を最小限に食いとめるというような点から申しますれば、水で飛ばすということのほうがより有効であるということは、外国の警察経験例がたくさんございますので、それらに学んで実は三十七年以来今日まで研究を続けてまいっております。私自身もこの水をかぶって実験をしたことがございますけれども、これは今回の場合には、予算委員会でも御説明申したのでございますが、いわゆる塩化アセトフェノン五%液に四塩化エチレンの九五%液をまぜまして、これに界面活性剤を加えて水に混入して飛ばすということでございます。これはいろいろ倍率がございますけれども、今回の場合には、六十倍として実は使ったわけでございます。そこで、いま先生病院長からお聞きになられました専門医の御所見もあったようでございますが、われわれも実はこの液につきましては、十倍液、二十倍液、四十倍液、六十倍液というように濃度を逐次薄めながら実験をしてまいっております。われわれの実験では、数度に及んで専門医の立ち会いも求めておりますし、さらにまた専門家所見も求めておりますが、二十倍以上に薄めた場合には、一過性の刺激で涙腺を刺激いたしますけれども、あとに生理的な機能障害は残さないというような実験的結果をわれわれは得ておるわけでございます。それをさらに六十倍という濃度に薄めて今回使ったわけでございますので、医学的なことにつきましては私は存じませんが、ただいま佐藤委員お尋ねのように、市民病院長のおっしゃられたとおりだろうと私は確信を持っております。
  5. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 放水と、それからその水の中にガス混入した、これを佐世保最初に使ったのですが、現地で私は放水効果というものを相当期待したわけです。橋の上で、学生諸君警官隊に向かって突入してくる。死傷者を少しでも少なくする、そしてなるべく早くこの乱闘騒ぎをおさめる、こういう考え方で放水をやったんだと思うのですが、平瀬橋の際と佐世保橋の際におけるところの水の使い方というか、これにどうも私は変化があるような気がしてしようがない。十七日の平瀬橋の際は、幾ら放水をしても、攻撃してくる先頭の三派全学連指導者に対して放水をしても、何ら効果がなかった。一体この水の圧力というものはどのくらいなもので、そしてどの程度やれば早くこういう乱闘騒ぎがおさまるか、そういったようなことについて、私は疑義を持ったのです。佐世保橋の際は、相当早く私は乱闘騒ぎが終わったような気がしますが、平瀬橋の場合は、二時間にわたって放水をやっても、催涙液を入れても、一つも効果がない。そういうような印象を受けたので、なるべく負傷者を少なくするという、こういう乱闘事件早期終結のために使ったと思う放水、この使い方について、私は、どのくらいの気圧、あるいはどういうものを考えてこれを使ったかという点を、ちょっとお聞きしたいと思うのであります。
  6. 川島広守

    川島(広)政府委員 御指摘のように、警察といたしましては、十月八日の羽田事件、あるいは続いて起こりました十一月十二日の羽田事件、これは御案内のように、学生集団暴力思いのままにふるったわけでございまして、その結果出たものが、警察官羽田で千四百四名のけが人を出しておるわけでございます。学生側も百三十五名のけが人を出しております。在来そうでございますが、直接規制をいたします場合には、警察官が持っております制止用具といいますものは、いわゆる六十センチの警棒しかないわけでございます。相手方は、無限と申せるような石を使うわけでございまするし、さらにまた二メートル以上に及ぶ角材を思いのままにふり回して、なぐる、突く、けるということになるわけでございます。そういたしまして、わが方といたしましては、持っております制止用具は、警棒しかほかにないわけでございます。そういう意味で、いま御指摘のように双方けが人を出さないという警備方針からまいりますれば、どうしても遠隔規制ということを考えざるを得ませんでしたので、羽田事件の教訓に学びまして、佐世保の場合には、新たに実は放水ということを考える。さらに、それに先ほど申しましたガスを考えたわけでございます。この放水車と申しますのは、もうテレビ等で御案内のとおりに、容量といたしましては三千七百リットルの水が入るわけでございますが、これの到達距離と申しますのは、大体三十メートル程度でございます。気圧は、大体三十気圧まで上がるのでございますけれども、これもまた、従来繰り返しその訓練の結果、三十気圧に上げますれば、直撃を受けますと人体が倒れます。したがいまして、わが方としましては、けが人を出さないということをモットーにいたしますれば、どうしても三十気圧に上げられませんので、最大限二十気圧でとめておるわけであります。今回、平瀬橋で使いました場合には、十五気圧で実は放水いたしております。  先生ごらんになりましたように、わが方は平瀬橋西詰めのほうに部隊が待機しておりまして、まん中にお話しのようにバリケードを張っておったわけでございますが、ちょうど水の到達するところへ学生が来ておった。佐世保橋の場合には、ずっと前のほうへ学生が来ておりましたものですから、放水効果があった。そういう違いだろうと思います。
  7. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 この問題については、放水の方法が今度は成田のほうで使われるかということで、私、成田現地にも行ってみたのですが、成田では、放水車を前に置きながら、それを使わなかった。これは地形上の問題点があったのか、あるいはどういう理由があったのか、世論を聞いて使わなかったのか、その辺がわかりませんが、成田において相当ひどいけが人双方に出たんですが、この放水単を使っていま少し負傷者をなくすという措置はなかったのかどうか、この点をお聞きしたい。
  8. 川島広守

    川島(広)政府委員 確かに御指摘のとおりに、非常に残念でございますが、成田の場合には、警察官の側に七百名に及ぶ実は大量のけが人を出しました。これは、ほとんどは石によるものでございます。したがいまして、御指摘のように、実は放水車も消防車のところに準備をしておったのでございますが、あの事態以上に現場が混乱して事態収拾ができないという判断のその瞬間に使おうと、準備は実はいたしておったわけでございます。ただ、先生現地ごらんになられたそうでございますが、到達距離が三十メートルしかございませんものですから、ちょうど市役所の下の道路がございます。市役所正門から下がりましたところに、あそこまで到達するのがようようでございまして、結局、放水を使うとすれば、市役所正門のところの境、あそこで使うことになるわけでございます。将来、同じ場所で同じような事態が引き起こされるようなことが予定されます場合には、当然放水も使う、そういうつもりでございます。
  9. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 私は、成田の場合には、放水車を使う時期を逸したんじゃないかという見方をしました。ということは、放水車を前に置きながら、警察官がずっと前に出て、学生らは公団に突入するためにあの道路をやってきたのですけれども、やってきたときに、そこであの狭い道路の上で双方乱闘が行なわれたのですが、ずっと放水車うしろ警察官が下がってしまった。退却というか、隊形を立て直すために下がってしまった。市役所正門の前まで下がってしまった。私は、市役所の二階の窓からこの実況を見たときに、前面に出ている放水車をもう使って、そこで少しでも負傷者をなくすという、そういう措置が行なわれるだろうということを期待したのです。ところが、一人の警察官が、その退却する際に、退却しそこねたのかどうか知りませんが、放水車の前で、うしろのほうから来た三人の学生によって角棒によってなぐられて、放水車そばでもって倒れてしまった。その倒れてしまった警察官に、三人の学生角棒でもって約一分間乱打して、そうしてその警察官仮死状態に追い込んだ。そのときに警察官救いに行かなかった。救いに行くというか、なぜ出てその学生と戦って、その倒れた警察官を救わないのだろうかと思ううちに、完全にのびてしまった警察官を、学生道路上を腕を引っぱって放水車の下にほうり込み始めた。あんまりであったので、私は、窓から顔を出して、何をしているんだ、なぜ助けに行かないんだと上からどなったら、初めて気がついたように警察官が隊列の中から助けに行って、三人の学生乱闘して、完全に仮死状態になった警察官救い戻して帰ってきたわけですね。私は、こういうような警備状況成田では見たわけです。したがって、あのときに放水車を使ってやれば、私は、学生負傷者警察官負傷者も今度は少なかったのじゃなかったかという、放水車を使うタイミングを成田では逸したんじゃなかろうかという、この目で見た現況なわけです。したがって、今後、放水車を使う時期とかそういうものについては、十分な配慮をして——平瀬橋では十五気圧というけれども、現地で私は聞いたんです。七気圧と聞いたんです。あなたは十五気圧と言うけれども、七気圧です。私は、すぐ飛んでいって、この気圧は一体どのくらいだと聞いたら、三十気圧はいくけれども、七気圧しか使っていない。七気圧ですから、先頭に飛び込んでくる学生まん中に水が当たっても、全然関係がない。関係ないままに飛び込んでロープを引っぱっていくのですから、十五気圧を使ったというのですが、佐世保橋で十五気圧を使って、平瀬橋では七気圧じゃないのですか。その点で私はあの現地で見た目とどうも違うように思うのですが、この点をお聞きしたいのです。
  10. 川島広守

    川島(広)政府委員 先ほど十五気圧と申しましたが、平瀬橋の場合には、御指摘のとおり七気圧を使っておったそうでございます。
  11. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 そういうようなところをひとつ明確にしてもらわないと、私は、水を使ってけが人双方になくすという問題、これは非常に大切な問題だと思うのです。しかも、催涙液混入して使うということになっては、非常に問題も出てきますし、いま御説明のとおりに、十分な試験の結果であるということと、現地における皮膚科専門院長後遺症がないと認めるという、事後処理における私たちが行きましたときの返答を聞きまして、私は安心をしましたので、今後、放水車を使う時期なり、催涙液混入については、私は、ある時期においては多少は使って、そうして血を流すことを少なくすることがいいと思うのです。私は、そういう立場に立って、この使用法について十分な配慮をしていただきたい、こういうぐあいに思います。  次に、この二月、三月が大学入学試験期であるし、大学問題が父兄の頭の中に、自分の子供を通じて、大学という問題が受験身通じて非常に関心を持たれておるし、そのときに、三派全学連のこういった大学生中心にしたところの学生運動というのが、国民注視の的になっておる。成田空港の農民に聞きましたが、この騒ぎ影響が何かありましたかと聞いたところ、一番最初に出たことは、ことし大学試験を受けるうちの子供のことが、試験よりも先に、入学するよりか先に、大学に入ったときにうちの子供はどうなるんだろうか、こういうことです。こういう不安感現地農民に与えたことは事実であります。したがって、学生少数の、ほんのわずかの一握りの少数集団であるはね上がり的な三派全学連暴力行為というものが、意外に国民父兄の間にいろいろな意味における影響を与えていることは事実であります。したがって、昨年この問題を取り上げるよりも、来年この問題を取り上げるよりも、この三月、四月、子供大学進学について関心を集めている国民に対して、三派全学連の実態を明確にして、その若い学生諸君に政治的な指導を一体だれがやっておるのか、どういう団体がこれをやっておるのか、この三派全学連の行動の中から、文教政策はどう展開しなくちゃならぬのか、特に大学自治会大学生自身がつくっておる自治会国立大学私立大学と相当に自治会の運営方法が違うと思うのですが、自治会運営の方法、大学の管理職というものと教授との関係大学内におけるところのいわゆる学生の一年生、二年生の教養課程における教授と一人一人の学生との対話ができるかどうかという問題、三派全学連のはね上がった行動から小中高等学校の生徒に与える影響、これをどう守っていくかという問題家庭教育の問題等、三派全学連のこの行動の背後にある思想と、それを指導しておる政治団体というものを明確にして、そうしてこの法秩序を破る学生運動というものを、世論の中から正しい批判を起こしていく。学生と警官との戦いのあのテレビに出てくる姿だけを見て、その次には何か西部劇のアメリカ映画が出てくる、その前には何か違ったニュースが出てくるといったようなテレビの持っておる非論理性、テレビカメラから国民に与える参加性——テレビを見ておるおばあさんが、自分がなぐられているような気がする、プロレスリングを見て血を流した姿を見て卒倒するというのは、そのテレビの参加性ですが、こういったようないろいろな三派全学連の行動の中から、世論に与える影響が非常に大きいこの全学連の全貌について、私はこの機会お尋ねしたい、こう思うのです。  学生自治会というか、昭和二十三年に終戦後混乱直後に結成された学生自治会のいままでの動きというものが、私自身も実はなかなかわからない点がありましたが、現地平瀬橋なり成田乱闘事件の現場の中から、逆に私はその系統をたどってみて、そうしてその政治的な指導団体なりあるいはもとをただしてずっといくというと、議会政治を守る自民党なり社会党なりあるいは民社党なり公明党なり、あるいは共産党も議席を持っているのですから、こういったような日本の民主政治を守り、議会政治を守る政党の責任にもなると思うのですが、そこまでいかなくとも、三派全学連の実態についてお尋ねをしたい。特に秋山が委員長をしておる中核派、それから社学同、社青同、これがどういう組織の実態で勢力を持ち、そうして政治的な指導をしておる団体が、どういう団体がそのバックについておるかということについてお尋ね申し上げたい。
  12. 川島広守

    川島(広)政府委員 大学の管理問題なりあるいはまたあるべき文教政策と申しますか、そういう問題につきましては文部省からお答えがあろうかと思いますが、私から三派系全学連というものの実態について、簡単にお答えいたしたいと思います。  現在全国に八百二十一の大学がございます。その学生が百三十九万といわれておるわけでございますが、その百三十九万の学生のうち、いわゆる自治会に組織されております数は、東京で調査をいたしました結果では、九十八万八千人の学生、七百四十六の自治会に相なっております。その中で、いま御指摘のいわゆる反代々木系の三派系全学連あるいは革マル系全学連、そういうようなものを反代々木系各派と一応総称して申し上げますと、その数が、七十二の大学で百二十七自治会、したがって全体の自治会の数から申しますと、三〇%のパーセンテージに相なるわけであります。その自治会に組織されておる学生の総数は、二十九万九千というような数に相なっておるわけでございます。  いま御指摘の三派系全学連と申しますのは、四十一年の十二月に結成されたものでございまして、その中には、お尋ねのございましたように、いわゆる中核派、それから社学同のML派、社学同の統一派、社青同の解放派及び青年インターというふうに、おおむね五つのグループに分かれておるわけでございます。  その中でまず中核派でございますが、現在の委員長は秋山という男でございますけれども、この三派系全学連の中の主勢力は、いま申しました中核派と社単同、そういうものが勢力比から申しますれば大宗を占めておるわけでございます。そこで、まず中核派、これらの考え方に共通しておりますことは、一言で申しますと、いわゆるトロツキストの思想を持っておる団体といって間違いではないわけでございます。その中で、特に三派系全学連の中に、いま申しました中核派その他のそれぞれのイデオロギーの細部につきましては、中核派と社学同あるいは社青同との間にはそれぞれ相違はございます。相違はございますけれども、いま申しましたように、共通のイデオロギーとしては、トロツキズムを信奉しておる、そういうような団体でございます。  これらの団体につきましては、それぞれ親団体と申すべき政治的な団体が背後において指導しておることは、お尋ねのとおりでございます。三派系の中核派について申しますならば、いわゆるマルクス主義革命的共産主義者同盟——革共同と略しておりますけれども、この革共同という政治的団体が、背後におって指導しております。具体的に言えば、この革共同が出しておりますいわゆる「前進」という機関誌がございますが、この中に詳細に、たとえば羽田事件の前後あるいは佐世保事件の前後には、それぞれ理論的な解明なりあるいは今回の事件を引き起こすために必要であると思われるいろいろないわば扇動、宣伝というものが多量に登載をされ、配付されておる実情でございます。  次に、社青同、社学同のほうでございますが、これは御案内のとおりに、かつて六全協当時日本共産党から分かれまして、当時日共の中央におりました学生が中核になってつくった団体でございます。この親団体と申しますのは、いわゆる共産主義者同盟、いわゆるブンド、こう言っておりますが、共産同、これが親団体でございますが、これが「戦旗」という機関誌を発行いたしまして、これまた先ほど申しました革共同と同様の指導を常時いたしておるわけでございます。  そのほかに社青同解放派でございますが、この社青同解放派と申しますのは、これはまた因縁がございまして、いわゆる社会党の社青同といいますのは三十五年の十月に結成されたものでございますけれども、これより約四カ月前に社青同解放派というものが誕生しておったわけです。これは、三十四年の第四インター日本支部、ここから分かれていったものでございまして、これらの彼ら社青同解放派でつくっておりますグループは、要するに社会党の中にいわば潜入をして、社会党の中で栄養分を吸って、やがて大きくなったら飛び出すのだということをみずから言っておりますけれども、そういうのが社青同解放派でございます。  それから第四インターは、初めに申しました三十四年にできました第四インター日本支部、その流れをそのままくんでおるグループでございます。  いずれもイデオロギー的にはそういうような思想を信奉し、具体的な行動の面では、十月八日の羽田事件が起きました直後に、一部新聞にも報道されておりますので先生もお読みになっておると思いますが、秋山委員長記者会見をいたしました場合に、新聞記者のほうで、こういうような事件は、君たちは法律を認めないのかという問いに対しまして、われわれは現体制を認めないのだ、したがってもちろん法律も認めない、そういうことをはっきりと公言いたしておるわけでございます。そういうふうな行動の基本的な方針のもとに、昨年五月二十八日の第一の砂川、あるいは七月九日の第二号の砂川、十月八日の第一の羽田、十一月十二日の第二の羽田、それから今回の佐世保、さらには先ほど御指摘のいわゆる三里塚におきます反対闘争、一連の闘争の中で三派系全学連自身がみずから語り、さらにまた、いま申しましたような方法で組織内に宣伝をしております内容をしさいに検討いたしますると、一応次のようなことが結論づけられるだろうと思います。  と申しますのは、在来、特に羽田事件がその一つの転機であろうと言っておりますけれども、砂川事件の場合にも、パトカーが破壊され、あるいは付近の商店街のショーウインドーがこわされるということがたくさんございます。あの場合にも、百人になんなんとする警察官がけがをしたのでございますけれども、まだ砂川事件の場合までは、彼らの使うところの、称しておるところの武器というものは、大体石がおもであったわけでございますが、羽田事件を契機にいたしまして、今度は二メートル大の角材、それから全員がヘルメットをかぶり覆面をするという覆面スタイル、さらには石あるいは道路の敷石、側溝のふたをこわすというような方法で瓦れき、そういうようなものを十分準備をする。そういうようなことで、彼らは在来の常識的なデモからそういう武装デモに移り、直接行動ということばをしきりに実は使っております。  さらにつけ加えさせていただきたいのは、今回の成田におきます反対闘争の場合には、いまいろいろ捜査をしておる最中でございまして、最終的な鑑定の結果は出ておりませんけれども、十種類に及ぶ農薬が使われておることは事実でございます。中でも千葉の警察官、巡査が一名そのために気道が閉鎖いたしまして、気道の切開手術をいたしまして、いまだに重体のまま経過いたしておる実情でございます。彼らは、先般来、そのことにつきましても常に新しい武器を開発することを公言しておりますので、今後彼らが使いますいま申しましたいわゆる凶器の内容につきましても、彼ら自体といたしましてはいろいろとくふう、研究をこらしておる。とにかく万事すべて力で、武装で戦うのだ、国家権力に対決するのだということを公言してはばからないのが、現在の三派系全学連の実態でございます。
  13. 清水成之

    ○清水説明員 いま三派系全学連の全貌につきまして警察のほうからお話がございましたが、私どもといたしまして考えます場合に、学生自治会が認められておりますそもそもの本旨から反省をしていく必要があると思うのでございます。大学自治という問題が一方ございますが、中には大学自治と同列に学生自治を考えておる向きもございますけれども、私どもは、大学自治の範囲内で学生教育の必要から学生自治が承認されておる、こういう立場でものごとを考えておるわけでございます。そういう観点からいたしまして、学生自治は、大学におきます教育研究、それからまた、これは課外活動を含んでの観点でございますけれども、学生生活を豊かにするという観点から認められておるものでございまして、学外の政治的な団体と手をとってそれを学内へ持ち込むということは、学生自治をみずから破壊するものでございますし、ひいては大学自治の根幹を侵害していく、こういう立場で指導のポイントを置いておるわけでございます。いまいろいろ先生からお話がございましたが、そういう観点に立ちまして現在の学生自治会の運営を見ました場合に、御指摘がございましたように、一部の人間で自治会が牛耳られておる、こういう点が、まず大学当局も私どもも着目をしておる点でございます。  多少こまかくなりますが、大会の成立要件が、国立大学について見ました場合に、三分の二から五分の一で成立する大学がほとんどでございます。それから議決数を見ました場合に、大体のところが二分の一でございますので、最低の場合でありますと、学生総数の十分の一で大会決定だということで事が運ばれる、こういう点につきまして、私どもとしましては、いま指導も考えておりますし、学生部長会議等を通じてお話もしておりますが、学長会議その他からも、その点について非常な関心がいま寄せられておる点でございます。一面、一般学生がそういう点について大いに関心を持って、学生自治会の会員でございますので、大会等で良識ある意見を十分反映をしてもらいたい、こういう指導が大切かと思うのでございます。そういう点に関連いたしまして、御指摘がございました教養課程の問題が、教育上の問題といたしまして非常に基本的な問題であろう。長期的にも考えなければなりませんし、単に当面の問題としてだけではございませんで、基本的な問題である、かように考えております。  そういう点からいたしまして、最近起きてまいっておりますのは、教養課程におきます指導教官制とか、あるいは顧問教官制というようなことを充実いたしまして、学生との接触を深めてまいりたい、かように考えておるのでございます。  それからなお、御指摘がございました管理職と教授の問題でございますが、これは先般のILO条約に端を発しまして、国家公務員法等の改正が行なわれたわけでございますが、学生指導に関しまして、単に管理職がどうだとか、平の教授は、先生はどうだとかいうことではなしに、全学あげて、教職員一致して大学全体の指導方針のもとに指導に当たっていただくべきものであり、またそうしていただきたい、こういうことを機会あるごとに申しておる次第でございます。
  14. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 全学連の組織というか、三派全学連が今度非常にこういう問題を起こした原因にもなっておりますので、全学連全般の系統を私はずっと資料によって調査をしてみたのですが、戦後、混乱時期の昭和二十三年の九月に全日本学生自治会総連合が結成されて、その直後、昭和二十五年の一月に、コミンフォルムの日共批判によって、日共主流派と日共国際派というものに分かれ、昭和三十年七月の日共六全協、これを契機として、昭和三十三年六月一日からの前後に、内部における抗争が非常に激しくなって、三十三年の六月には、日共党本部の占領というような事件報道され、事実これがあったわけです。こういうことで、日共系の学生自治会と反日共糸の学生自治会とが大きく分かれてきた。現在佐世保の場合においても、日共系の全学連諸君は、きめられた道路の上あるいは所定の場所を実に静かな行進を続けておる、反対デモを続けておる。三派全学連のほうは、常にその先頭に立って非常に激しい暴力行為を行なっておるという両面をはっきり見ることができました。そこで私は、この暴走理論をカバーするというか、それを新聞紙上で見て、そしてなるほどこういう大学指導者がいるから、こういう青年諸君をいわゆる暴走させていくのだということを納得する一記事が出ておりました。もちろんトロツキスト系のこういったような考え方があることは承知いたしておりますけれども、新聞面でそういうような大学の教授の暴走理論を読んで、なるほど若い学生諸君がこの理論を背景にして行動を起こすのだなあということを印象づけられました。これは一月二十日の毎日新聞に立正大学教授の岩田教授の考え方がはっきり載っておりましたが、その中を要約しますと、思想やイデオロギーがあってはいけないのだ、それがあるということはセクト主義になるのだ、自分を否定するものにはすべて抵抗精神をもっていかなくちゃならぬというのが、ものの考え方の根底のようであります。ですから、ある大学の教授と話をした最中に、これは冗談まじりに言っておったのですが、三派全学連指導者になるためには、三十のことばだけ知っておればいいのだ。アメリカ帝国主義、あるいは反権力、こういったようなことをずっと並べて、三十のことばだけ知っておれば指導者になれるのだといったようなことを冗談まじりに言っておったのですけれども、こういったような、思想やイデオロギーがあってはいけない、それがあることによってかえってセクト主義になるのだ、自分を否定するものにはすべて抵抗精神をもっていかなくちゃならぬのだというようなものの考え方、したがって、飯田橋事件のときにも警官にかかったけれども、それは実は警官のほうが扇動したのだ、こういうものの考え方で学生諸君を応援する向きの人もある。それならば、目の前でビキニ姿が海岸を歩いておるときに、相手が挑発したからその女性を襲撃したのだから、あたりまえじゃないかという理論と私は同じであると思うのですが、こういったような暴走理論が堂々と新聞にも出ております。ちょうど違った意味の特攻隊精神を教えつけておるということ、これをバックにして政治の危機感やいろいろな政治の腐敗面を教え込んで、学生に危機感を与えてそれを行動に持っていく。しかもこの教授は、大学は下士官養成所であるとはっきり言っておる。日本の大学は下士官養成所である。何を上官といい、何を下士官というのか、それは私は知りませんけれども、そういったものの考え方で純粋な学生諸君指導している向きがあるということを、私ははっきり知ることができました。  そこで、この三派全学連の中の社青同で、国民が誤解をしている面がある。社青同は社会党の青年部である。そうして日共系の全学連と社会党の青年部が三派全学連に入って戦っているのだという向きが、一時流布されました。私は、民主主義を守る、議会政治を守る社会党が、まさかそんなばかげたことをするような政党でないということを期待いたしましたが、なるほど私が期待したとおりに、この社会新報によりまして、本年度の社会党の大会においても、日本共産党がわれわれに対してそういう誤まった攻撃をしておるのだ、社青同は解放派が入っておる、社会党が除名しておる学生集団が三派全学連に入っておるのだ、したがって社青同の本流といったほうは、勝間田委員長が政治的な指導団体としてやっておるのだ、こういうことを私は知ることができましたが、世間は、議会政治を守る社会党が、社青同を通じて三派全学連指導しておるのだというようなことをいう向きもあると思うので、明確に議会政治を守る野党第一党として、私はこの機会に私自身の口からはっきりしておきたい、こういうぐあいに思っております。全然社会党の青年部ではないのだ、解放派は青年部ではないのだ。日共派代々木系の全学連は日共の政治的指導を受けておるということを、はっきり私は言ってもいいと思うのです。しかしながら、三派の中の社青同解放派は日本社会党とは縁切りをしておるのだということを、はっきり私はこの機会に確認をしたい。しかしながら、佐世保事件においても、羽田事件においても、社会党と暴力行為を行なう学生諸君との間がきわめてあいまいな印象国民大衆に与えておるということは、私は残念だと思います。佐世保事件の際に、朝日新聞の四十三年一月二十二日の「ゆれる社共共闘解説」と書いておるその中で、「発足時に甘い妥協」というただし書きを書いて、「今度の共闘を組むに当って、社会党は共産党から、反代々木系全学連と手を切るよう迫られて苦しい立場に立たされた。結局、共産党との共闘を成功させるため『反代々木系全学連の参加は認めず、彼らの妨害行動には共同で対処する』という取決めをのんだ。しかし、社会党側は、初めから反代々木系しめ出しを実行する気はなかったようだ。」と、はっきり朝日新聞に書いてあるわけであります。私は、民主政治というものは、私が言わぬでもこれは当然わかっておることですけれども、人によらず法によるべし、民主政治を守るということは、法を守っていくことだ。故小泉信三先生が「秩序ある進歩」ということばを前の反安保騒動のときに言ったけれども、ああいうときに、秩序を守る警察官攻撃することによってヒロイズムを感ずるような風潮があってはいけない、こういうことを小泉信三先生が「秩序ある進歩」ということばの中に書かれておりますけれども、この佐世保事件の際に、議会政治を与党、野党通じて——野党の第一党として守る社会党が、このように朝日新聞の記者の見方によって書かれるということは、私は非常に残念だと思います。さらに社青同解放派をはじめ、他のこのような暴力行為、秩序を破る行為を行なう学生諸君との絶縁とまではなかなかいかないでしょうけれども、しかし、このような行動に対して、やはり愛を持つことが正しい政治だ、愛を持つことが正しい教育だと考えておる思潮、思想、節度、こういうものをこの付近でぴしゃっとやらないといけないような時代が来たということは、私は言えると思います。  これは警察庁にお聞きしますが、昨年の羽田事件のときだったと思うのですが、——第一次羽田事件であったか、第二次であったか、その辺はよく記憶ありませんが、九月の四日の朝日新聞に、社青同の東京の定期大会で乱闘が行なわれて、これによって解放派と非解放派と分かれたのではないかと私は思うのです。この付近はまだよくわかりませんが、二十一人が重軽傷を負った。これを行なった会場が、新聞によりますと、社会文化会館である。社会文化会館というのは、私は何か社会保障をやるような、そういったような外郭団体が経営しておるところでやっておるのではなかろうかと思って、社会文化会館のパンフレットをいただいて調べてみたところが、財団法人社会文化会館のその当時の理事長が社会党の委員長の佐々木更三、理事成田知巳、下平正一はじめ十名、監事が加藤勘十、佐藤觀次郎というぐあいに、理事長、理事、監事がはっきりされまして、私はそのときの直観としては、ああ、社青同は社会党の青年部だ、したがって社会党の本部でこういうことをやったのだ。もちろん会館の運営はどこにやらせておるとか、それによってどうこうということは言われませんけれども、少なくとも世間に、国民に、社会党があたかもこのような事件を起こすものに、その宿泊場所を与えて、会議場所を与えて、しかも二十一人が重軽傷にあって、そうしてやったという報道が出たけれども、その後この措置について、何か血を流した場所がはっきりあったわけですから、そういうことが新聞に報道されておるのですから、これが一体その当時どのようになったのか。社会文化会館の会場でもってどういう種類の会合があっても、それは私はけっこうだと思うのですけれども、議会政治をともに守るという社会党のこういったような代表者が理事長をやり、理事をやっておるところで、このような会議が行なわれ、しかもそれだけならばいいけれども、乱闘事件があって、流血の惨事を起こしておる。こういうことがあるということは、私は非常に残念と思うのであります。  これを裏書きするように、本年度の社会党の大会で——これは東京新聞の一月二十四日の社説でありますが、社会党の新運動方針案について、太田薫氏、前総評議長が、「社会党の主体性を確立するためには、三派全学連羽田事件などに対する態度を明確化するとともに」云々と、こういうぐあいに前総評議長も、この三派全学連の社会党との関係心配をして、今後における議会政治を守る面について心配をされている社説が載っております。私は、ここでその関係をどうだこうだと言うのではありません。しかし、国民大衆が、いま、議会政治を守り、民主政治を守るというときにおいて、その法秩序を破る三派全学連の政治的の指導は一体だれがなされておるか注目しようというときに、公党が、少なくとも議会政治、民主政治を守ろうという政党が、このような法秩序を破る学生諸君との線があいまいであるということは、日本の民主政治を守る上において非常に私は残念に思うのです。したがって、社会文化会館における二十一名の流血の惨事は、その後一体どうなっておるか。もしもこれが何らの処置がされなければ、治外法権がそういうものの中にあるということになるのだが、一体どういうぐあいになっておるのか、その当時の状況と、その直後における処置を、参考のためにお聞きしたいと思います。
  15. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 委員の発言は自由で、大いにやってよろしいのでありますが、とにかく事務官僚を前に政党に対するような質問をやるということは、どうもぼくは不見識だと思うのです。しかも、きょうは質問者が多くて、時間が限られておるわけなんだ。それを長々と、社会党はどうのこうのと、おかしいですよ。どうかしているのじゃないですか。来ているのは、失礼だが事務官僚ですよ。その前に、お互い公党が、事務官僚に、事実を質問するのは当然だけれども、社会党の性格はどうのこうの、そういうようなことを言って、事務官に何をお尋ねするのですか。もう少し質問を整理して、あなたまだお若いようであるからあれだが、今後もあるから、もう少し整理して的確にやってください。時間があるのですから……。
  16. 森山欽司

    森山委員 佐藤君の質疑、私ども聞いておってもまことにごもっともなことだと思う。いま政府に対して質問をしているのは、社会党本部のある社会文化会館で社青同の乱闘事件があった、その後どうなっているかということを聞いたわけであります。質疑はそれである。しかし、こういう委員会において、議員がその最終的な質疑に至る経過において、所見を述べる言論の自由はある。佐藤君、堂々とおやりなさい。私はそう思います。
  17. 永田亮一

    永田委員長 答弁がありますから、川島君。
  18. 川島広守

    川島(広)政府委員 いまお尋ねの事案は、一昨年の九月三日の事案だろうと思いますが、一昨年の九月三日に、お尋ねの社青同の東京地本の第七回大会が社会文化会館の五階ホールで開かれ、その中に参加しました人員は、いろいろ関係者からお聞きしたのでありますが、六百十名ということでございました。ここで、東京地本の場合には内部に解放派と協会派とのいわば内部対立がございまして、その間、午前に一回、午後に一回、相当激しいいわば乱闘がございまして、入院者一名を含む負傷者が二十一名、虎の門の川瀬外科その他で治療を受けた事案がございました。その後、一一〇番にかかってまいりました経緯もございまして、警察官が現場に急行したのでございますけれども、現場の会館の管理者の方及びいま申しました社青同の役員の方々にも事情聴取につとめたのでございますが、結果的にはいずれも拒否されまして、実はこまかな内容を聞くことができないのです。ただ、いま申しましたことに関しまして、一応入院された方あるいはけがをされた方等に対して、当時の事情について参考人としていろいろお聞かせを願いたいということで御協力を求めたわけです。その中で一名の方だけは実は参考人として調書をとらせていただいたのでございますが、さらにまた詳しく聞こうといたしましたところ、これまた拒否にあいまして、社青同東京地本の機関決定ということで、その後被害の申告も全然ございませんで、捜査は難航したまま現状に至っておるという経緯でございます。
  19. 森山欽司

    森山委員 機関決定というのは、どういうことですか。
  20. 川島広守

    川島(広)政府委員 協力を求めた場合に相手方のおっしゃったのは、社青同の東京地本として決定をしたもので、被害申告その他はいたさないという機関決定でございます。
  21. 森山欽司

    森山委員 それはどこがやったのですか。
  22. 川島広守

    川島(広)政府委員 社青同の東京地方本部です。
  23. 森山欽司

    森山委員 いまの話ですが、いまこちらからもお話がありましたが、もし暴力団がけんかをしてけが人が出た際に、その暴力団の機関決定だからという話が出れば、警察は調べないのですか。
  24. 川島広守

    川島(広)政府委員 この問題につきましては、いまの機関決定の問題とは別にいたしまして——私のことばが悪いのですが、そういうことばがあったことを申し上げたのですけれども、捜査は、あくまでも事実関係でございますから、もちろんするわけでございます。この場合も、極力いろいろな方々、会館の管理部長さん、あるいはまた東京地本の役員の方々にも、数カ月にわたりまして実は協力を求めてまいったのでございますが、いずれにいたしましても被害の申告が全然ございませんので、実害が何であるかちっともわからないわけであります。それから、医者のほうにも、病院のほうにも参りまして、どういうふうなけがなのか、あるいは何によったものなのかということもいろいろお聞きしたのでございますが、非常に残念でございますけれども、これまた十分なる御協力を得られませんで、捜査がそのままになっておるというのが現状でございます。
  25. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 新聞の報道によれば、病院院長の名前までもわかっておるし、それから二つ、三つの病院の名前もわかっておるし、院長もその代表で新聞にも書かれておる。ですから、報道陣もはっきりわかっておるような、そういう負傷者というか、血を流した事件が起きている。こういう問題を警察当局はいつもうやむやにしている。こういうことは、警察官職務執行法なり警察法によってきめられている法秩序を守って国民の信頼を受けるという警察としては、私はそういう態度ではいけないと思います。私は、去年からの一連のこういうような問題についての取り組み方が——私は、何も警察官が強くなれと言うのではありません。私は、こういったような政治的な問題は、どこまでも中正な立場に立って、法から逸脱した警察行動というのは、巖重に国会を通じて反省してもらわなければならぬと思う。しかし、法を守る、法の範囲内における警察官の勇気ある行動というものは、いまとらなければいけないと思うのです。こういうように血を流しておる姿を見のがしておるということは、ひいては成田事件のように、一人の警察官が目の前で殺されかけておるのに、救いに行く警察官は一人もいなかったということにもなるのではないか。私が窓ガラスをあけて救いに行けと言ったら、初めてわれに返った警察官救いに行った。そのときに五つくらいの石を窓ガラスに浴びて、私のそばにおった秘書と私は、窓ガラスの破片を全身に浴びたのです。瞬間、先生、あんたやられたんですかと言われたくらいです。私は、そのときに、こんな警察官でいいのだろうか、この警察力でよいのだろうかと、実は瞬間考えたこともあるのです。ですから、やはりこういったような流血の惨事がはっきり起こり、しかも病院までわかり、院長の名前まで新聞記事に出ているという問題を、ただ一ぺんの断わりでもって見のがしておるその態度、三派全学連のはね上がった行動が自然に国民に与えるいわゆる法秩序を守らないということの慢性化、警察官に対する信用がなくなるという不安感、これは私はたいへん重要な問題だと思うのです。要するに、日本を暴力革命しようとする人々には喜ばれるけれども、民主主義なり自由主義を守ろうという大部分の国民にとっては、その行動というものはたいへん重大な問題だと思いますので、私は特に発言をし、お尋ねをしたわけです。今後こういう問題については十分配慮し、巖正な態度をとっていただきたい、こういうぐあいに思います。  その次に、先ほどお尋ねしました大学の問題ですけれども、大学自治会というものは、名前が自治ですから、国民大衆は実に民主的な団体であろうと思っておる。その大学生が、それぞれ自治会費を払って、クラブ活動を行ない、学生運動を行なっておる。私はその行動について批判するのじゃありませんし、それはりっぱなことだと思うのです。しかし、先ほど国立大学におけるところのお話を聞いたのですが、私の地元である大分大学自治会の規約というものを見てみて、私は驚いたのです。これは国立大学ですから、大部分はそうだと思うのですけれども、たとえば大分大学の経済学部は、約九百名の学生がおる。その九百名の学生のうちの五分の一が集まったら、大会は成立する。五分の一ですから、まあ百七、八十名集まったら成立をする。そうして二分の一が賛成したら、その提出議案は成立をする。その二分の一の賛成者によってきめられたものを、一週間大学の構内に公示をする。そうして全学生の五分の一以上の反対署名がなければ、自動的にそれは成り立つという仕組みになっておる。この数を見ると、ほんのわずかな者が一つのものをきめてやっていけば、もうほとんど一〇〇%ものごとがきめられていくという仕組みであります。民主政治、多数決政治、こういうものの形骸は備えているけれども、内容はいま言ったようなきわめて非民主的な自治会の運営規約である。これは国立大学のいろいろな学校も、右へならえで大体このようなものであろうと思うのですが、国立大学なり私立大学なりの自治会の問題について、文部当局はどうこうという権限もないでしょうけれども、しかし、大学の管理当局は、この自治会運営についてやはり適切なる指導、助言というものがあってしかるべきだ、こういうぐあいに思います。この自治会の運営について、どういうふうに考えておるか、その点をいま一度お聞きしたい。  それから第二点は、大学の管理職の問題です。ある大学では、これは国立大学ですが、学長と学部長と学生部長と図書館長、大体これが大学の管理職である。管理職手当をもらっているのはそういうところだ。ところがある大学では、これも国立大学ですが、全教授が管理職だと規定している大学もある。ばらばらなんですね。もちろん大学のそういったものは自主的にやるように指導していると思うのですが、こういうところはそれでいいのか、今後そういうことでやられるのかどうか、これが第二点。  第三点は、一年生、二年生の教養課程における、いわゆるマス教育から脱却する意味における大学の教授と学生諸君との対話の場を広めるという補導機関について。ある大学では、一年生、二年生、三年生、四年生に至るまで——一年生、二年生は補導機関をつくって、三年生、四年生はセミナーでもって教授との対話ができるということで、一年生、二年生のときからそういうシステムをつくっているという大学があるのです。ところが、そうじゃなくて、野放しにしておる大学がある。こういうところは学生運動に非常に影響があると思いますので、そういった教養課程における補導機関の内容と申しますか、指導というか、そういうものをどういうぐあいに考えて文部省は指導しておるか、補導機関の問題。大学の管理職というものはどの範囲なのであるか。自治会の内規というものがきわめて非民主的である。全部の学生が参加して、そうして大体常識の規約によってものごとが決定されるという運営方法、こういう三点について文部当局の御意見をお伺いしたい。
  26. 清水成之

    ○清水説明員 最初自治会の規約等をめぐる運営状況でございますが、先ほど簡単に申し上げたのでございますが、遺憾ながら私立大学につきましては詳細ちょっといま承知いたしておりませんが、国立大学につきまして、学生系統から私ども承知しております範囲から申しますと、現在国立大学学生自治会が三百二ございます。これは学部ごとにあるところもございますし、分校等の単位でつくっておるのもございまして、三百二ございます。いま大分大学の経済学部の場合を例示いただいたのでございますが、非常にこまかいことでございますけれども、いまお話しになりましたように、大会の開催要求が、私どもの承知しておりますのでは五分の一、そして大会成立要件といたしまして、あそこは二学部ございますが、四分の一とそれから一つの学部は三分の一でございます。議決要件は二分の一、こういうことになっておりますが、全体的に見まして、先ほども申し上げましたように、成立要件が三分の二の大学もございます。最低が五分の一の成立要件、それから議決要件が二分の一、こういうことになっておりまして、場合によりまして非常に少数学生で全学生の意向だ、こういうふうにきめられる場合がございます。いま御指摘になりましたような状況が実情でございまして、この点につきましては私どもも非常に残念に思っておる点でございます。総長あるいは教官等の中でも、この少数学生で全自治会の動向がきまる、こういうことにつきまして、現在非常に注目をし始めてまいっておるのでございます。私どもとしましては、規約改正のこともさることながら、一般の学生が自分たちの自治会であり、会費も払っておることでございますので、学生自治、ひいては大学自治を自分たちの手で正常に確保する、こういう観点から、自治会の大会等に一般学生が進んで参加をして、積極的に、大学生でございますから理性を持って意見を述べ、討論をし、適正な結論が出てまいる、こういうふうに私どもは念願をしておるのでございまして、機会あるごとに学部長会議あるいは学生部長会議等を通じまして、そういう点の指導、助言ということにつとめておる段階でございます。  それから二番目の管理職でございますが、これにつきましては、いま御指摘のように大学によって実は範囲が異なっておる場合がございます。学長あるいは学部長、図書館長あるいは研究所長、それから事務系でいきますと、事務局長とか事務長、各課長等ございますが、問題の教授につきましては、これは端的に申し上げたほうがいいかと思いますが、国家公務員法の改正がございましたときに、一般教授につきましてどの程度を管理職の範囲として指定するかという、人事院規則が出ます段階でいろいろな考え方があったわけでございます。その結果、人事院規則で、一般の教授につきましては大学が人事院と協議して定めるものを管理職の範囲に入れる、こういう人事院規則に最終的になったわけでございます。その結果、個々の大学によりまして、教授会の構成要員が教授であり、重要な大学の経営に参加するのだから、教授全員を管理職として全部含める、こういうふうに定めた大学もございます。それからそこまで考えずに、特定のポストについた人はともかく、一般の教授についてはまば検討中のところもございますし、また入れない、こういうふうに決定したところもございます。これにつましては、私どもとしましてとやかく言うのはこれはちょっと行き過ぎかと思いますけれども、いろいろ相談のあった段階におきましては、教授会という重要な事項を審議する機関、それからまた評議会に参加する特定のポストについている以外の教授も、教授会に入っておるわけでございますが、評議会の教授は全部管理職に入っており教授会の教授は入ってないというのは、これは大学の重要な経営に参加するんだから入れるべきものではなかろうか、こういう考え方から御相談ありました場合にはお話をしておるのでありますが、実は御指摘のとおり区々になっておる、こういう現状でございます。  それから教養課程の関係につきましては、これはもう先生非常に強く御指摘ございましたように、戦後の学制改革からいたしまして、大学の大規模化あるいは大学の大衆化、こういうことが申されておりまして、ある程度国際的に非常にマスプロというような傾向になっておるわけでございますが、その結果、あるいはまた戦前の大学が、研究中心ということで、教育という面と申しますか、あるいは教育者精神と申しますか、そういう点から申しますと、どちらかと申しますと学問研究一点ばりというような点もございまして、新制大学のねらっております研究、教育という点で、なおまだ理解あるいはその教育指導上の問題が徹底していないうらみがございます。そういう点からいたしまして、御指摘ございましたような指導教官制とかあるいはクラス担任制、こういうことをとっておる大学がふえつつございます。私どもといたしましては、そういう顧問教官制あるいはクラス担任制で教官と学生等との接触の場ができるだけ持たれるようにということで、ただいま予算審議で多少のこともお願いいたしております。そういう点の充実に私どもも最善の努力をしてまいりたいと思いますし、大学におきましてもそういう点で一そうの熱意を入れていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 私がこの法務委員会でこの問題を三派全学連に関連して持っていったことは、現在大学の自治という問題で国民に、どこが正しいんだろうか、だれが言っているのが正しいんだろうかという不安感を与えておるから、この問題をお聞きしたわけです。私、佐世保に行きましたときに、もう御承知のとおり九大がいわゆる宿泊場所になって、そして九大の教授陣が、九大の中でそういういろいろな乱闘が起こったりしない、こういうようなことを信じ、また暴力的なことはやらないということを信じて門を開放し、そして宿泊さした、こう思うのですが、それが教育の愛だ、こう考えて、警察官警察というもの、これを敵対祝する、それを絶対入れない、これが大学の自治だという考え方と、阪大の学長がとった、なるべく入れない、大学の自治を守っていく、しかし暴力というものに対して大学の中にはそれを排除する力がない、だから最悪の場合には入れざるを得ぬという考え方、それと同時に、国大協——国立大学協会の第三常置委員会で、大学の自治、これを守るためには、大学の構内において暴力というものが行なわれたときにおいては、大学の許可を得て、やむを得ないけれども警察を入れるということが必要であるということをきめております。このようにして、大学の自治の問題について非常に国民に不安を与え、しかもさきおとといの予算委員会で、社会党の畑委員が、九大のとった、井上教授の考えておるああいう考え方、これによって最後まで入れなかった、だから大学の自治を守ったのだということをはっきり言われて、あの佐世保事件学生に対する警察官のとった行動が、特別公務員のいわゆる陵虐罪になるのだ、こういうぐあいなところまではっきり言われた。ところが朝日新聞の一月二十四日の投書欄に、九大の文学部助教授荒木見悟、五十歳、この人が「約束破った三派系全学連」というのを出した。大学の教授が説得をし、そして最後まで努力をした、これはもう新聞紙上で御承知のとおりでありますが、しかし「日本の再軍備に反対し、保守政権との対決の最先端を行くと称する」三派全学連の彼らが、一方では無防備な大学の自治を踏みつけながら、「一方ではエンタープライズの入港阻止に戦うとは、」笑止千万である。「大学の自治を侵害し、大学教師への信頼感すらもたぬ彼らは、佐世保に行く以前に、すでに学問と教育の府に向って挑戦しているのである。」こういうことをはっきり九大の助教授は朝日新聞に投書しておる。国大協第三常置委員会できめられたこと、こういったような大学の自治というものは、学問の自由がある、自由があれば学問がある、それを守る、そういう環境をつくるのが大学の自治であって、万一暴力が構内で行なわれた場合においては、許可を与えて、そうして血を流すことを最小限に食いとめることも大学の自治であるということを、私はここにはっきりすべきだ、こういうぐあいに考えております。したがって、大学の管理という問題について、文部当局は、一本の筋、バックボーンを入れる必要があると思います。きのう私は慶応大学の私の友人と話し合ったのですが、何だかいまの大学の教授の中で、自分自身が学長になるために、あるいは学部長になるために、隠花植物のように阿付迎合する教授が多いことは残念だということを、その教授の名前は言いませんけれども、言っておりました。やはりそういったことが大学の中に起こっているということは、大学の自治という問題について、各大学ともだんだんと考えてくるような風潮が出てきておりますけれども、この機会に、特に私は関心を持っておりましたがゆえに質問をしたわけであります。  さらに、三派全学連のことについて最後にお聞きしたいのですが、資金のことです。これは自治会において、必ず次のスケジュール闘争では資金の問題が起こるわけです。法大で九月にやった。そして羽田が第一、第二、それから次は佐世保、次は三里塚、その前に中央大学があった。次は、近いうちに行なわれる全学連の大会において、自治会における勢力をふやし、そして自治会費配分において、内部における権力闘争が行なわれる。これが読売新聞紙上に出ておる全学連春秋物語です。これはスケジュールになっておるのだそうです。こういったようなことで自治会費の配分というようなことが行なわれますが、これは各大学によってずいぶんいろいろ違うらしい。したがって、こういったような面についても、文部当局においては、これに手を出すとかなんとかいうのじゃなくして、正しく自治会費が使われ、運営されるような、やはりそこまでものを詰めてやっていくということが親切な文部行政であろう、こういうぐあいに私は考えております。  そこで、中核派の委員長である秋山委員長は、これは保釈中であります。そこで法務当局にお尋ねしますが、どういう状況羽田事件のときにこの秋山は逮捕されて、どういう条件で保釈されたのか。保釈中の秋山委員長が、佐世保事件のときには、東京においても、九大の構内においても、基地突入がわれわれの目標である、佐世保の海を血の色で飾ろうじゃないかという決議をいたしておる。またスピーチも現実にやっている。成田三里塚の空港においては、公団に突入して公団の焼き打ちをやろうじゃないか、こういうような激烈なアジ演説もやっておる。こういうような秋山委員長は、現在三十万円を積んで保釈をされておる立場に立っておることは、私は新聞で知っておるわけですが、この保釈中にはっきりこのような行動を起こし、そしてやっている。こういう行動に対して国民は、一体どういうことなんだろうか、こういう素朴な疑問があるわけであります。もちろん保釈というのは、住居がわからなくなるとか、あるいはその他何か一、二のいろんな理由があるようでありますけれども、どうも保釈期間におけるこの法秩序を破る過激な、しかも言ったことを実行しておるのですから、そういったことに対する法務当局の見解はどうなっておるのか。これはひとつ国民に納得のいくような説明をしていただきたいと思うのです。素朴な長屋のおかみさんが私に質問するのは、そこなんです。保釈中の方が、法秩序を破ることをどこでも演説しておる、それを国家が黙って見ておる、一体どうなんですか。こういういわゆる法秩序に対する無反省というか、破ることがあたりまえだといったような風潮が私にとっては非常におそろしいわけでございますので、この保釈中の秋山委員長の行動について、法務当局はどういうお考えであるか、お聞きしたい、こういうように思います。
  28. 川井英良

    ○川井政府委員 昨年十一月の七日に、同人は第一次羽田事件で公務執行妨害と傷害の罪で東京地裁に身柄拘束のままで起訴されたわけでございます。その後、十一月の二十四日に保釈になって釈放されました。その際の保釈の条件といたしまして、東京都内の指定住居に居住すること、それから三日以上の旅行には前もって裁判所に申し出てその許可を受けること、というふうな保釈の条件を付せられて釈放になったものであります。したがいまして、裁判所のあらかじめの許可なくして三日以上東京都外に旅行する場合には、保釈の許可条件に違反する、こういうことになるわけでございます。ところが同人は、先般の佐世保事件の際にも九州方面に旅行しておったという事実が、東京地検の調査の結果判明いたしましたので、検察庁といたしましては、先ほど付せられましたような保釈の条件に明らかに違反しているということを理由といたしまして、一月の二十四日に、東京地裁に対しまして条件違反を理由に保釈の取り消しの手続をとったわけでございます。これは御承知のとおり、刑事訴訟法に定められた規定に基づいての検察庁の手続でございます。  そこで、この請求を受けました地方裁判所は、同人を呼び出して、保釈の条件に違反したかどうかということについて取り調べをいたしました。その結果、一月十四日ごろから同月二十一日ごろまでの間、許可なくして九州方面に旅行しておったという事実が明らかになりました。裁判所は、さらにその事情ないしはその間における同人の行動等について事情を聴取いたしました。その結果、本人が明らかに非を認めておること、今後再び条件には違反しない、裁判には公判期日に必ず出頭するということを裁判官の前でかたく誓約をいたしましたので、それらの事情をくみまして、今回は保釈の取り消しをいたさないということで、検察官の請求を却下したわけでございます。  そこで、私ども法務当局の考え方になるわけでございますが、この保釈の条件には、いろいろな条件がそのケース、ケースによりましてつけられるわけでございますが、この保釈が最近取り消しになるという例は非常に少ないわけでございまして、その間にまた再び同じような犯罪を犯して起訴されるというふうな事情に近いものがかなり出てまいりませんと、なかなか取り消しにならないような事情であります。しかしながら、検察官といたしましては、前に同じようなことをやり、またさらに同じようなことをやる、現地に行っていろいろな行動があったというふうな事情でありますので、三日の条件違反だということではありますけれども、保釈取り消しの請求に値するというふうな考え方からこういう手続をとったわけでございますけれども、遺憾ながら裁判所と見解を異にいたしまして、今回はこのような措置になっておる、こういう事情でございます。
  29. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 こういったような行動における、これから出たところの保釈の問題が、素朴な国民にとっては非常に疑問をわかせる点が多いわけであります。いまの説明で、法理論的にはなるほどそういうことになるのか、こういうぐあいに納得いくところはありますけれども、目の前でもって血を流す、そういう行動を起こす集団指導者が、飛行機で——これはうわさですよ。飛行機で九州と往復したといったようなことが九州ではいわれておる。こういったようなことが、素朴な国民にとっては非常に不安というか、法秩序に対する信頼感を失ってくる、こういうぐあいに思いますので、警察、検察庁、裁判所、それぞれの立場において、こういったような学生運動における逮捕、検挙、公判、こういったようないろんな連携の問題については、国民に十分納得のいく御配慮をお願い申し上げたい、私はこういうぐあいに思っております。私は、三派全学連の問題についてはこれで終わりたい、こういうぐあいに思います。  次に、先般の予算委員会畑委員が取り上げられました飯田橋におけるところの学生の逮捕、百三十一名だったと思いますが、これは予防検束である、事前逮捕である——もちろん予防検束と事前逮捕とは法的な内容が違いますけれども、予防検束である、戦前の予防検束の復活である、こういうような考え方を意見として出したように私は拝聴いたしました。しかし、あの場所を見た私にとっては、予防検束という戦前のそれを出したことがどうもおかしいんじゃないか。私たちの常識からいう予防検束というのは、戦前、天皇あるいは高官がどこかに出かけるときに、精神病に近い者とか、あるいは犯罪を犯すような者、いわゆる何もしない者、こういったような者をあらかじめ検束して、そうして一定の場所に行かせない、こういったような、いまから考えればきわめて非民主的なやり方をとったのが予防検束だ、こういうぐあいに考えておるのに、三々五々と法大を出て、角棒を持って、切符を持って東京駅に行ったのをつかまえたのなら、これはなるほどそういうことも言えましょうけれども、集団警察官角棒を持って向かったその現行犯を逮捕したというやり方に対して、予防検束だということを流布宣伝するということは、私は大衆にこの警察行動なり、その現場の空気に対して非常に誤解を招く点があると思いますので、私はそういう立場を考えて、あの場合におけるところのいわゆる現行犯逮捕の根拠とその状況について、いま一度ここではっきりお聞かせ願いたい、こういうぐあいに思います。
  30. 川島広守

    川島(広)政府委員 飯田橋事件の概要についてお答えいたしたいと思います。  一月の十四日の夜から、法政大学の構内に約二百名余に上る学生が泊り込みました。そのことについて、警察側としましてもいろいろな事前の情報もございましたので、それらの学生の動き等についても構外から現認いたし、夜半になりましてから角材その他を持ち込んだことを現認をいたしております。いずれにいたしましてもこれらの学生は、角材を持ち込みました後、十五日の早朝、時間的にいえば六時半ごろでございますけれども、一部の学生が学校から飯田橋付近のところを偵察をするというふうな行動が見られました。警察のほうといたしましては、いま申しましたように、前夜の現認状況あるいは今回のこの学生の宿泊についての事前情報等もございましたので、そういう意味で察知しておったわけでございますが、午前の八時ごろから、学生たちが学校の構内、校庭におきまして、石を割る、あるいはレンガを割る、側溝を鉄のハンマーで割り出すというようなことが行なわれた。しかも、そのような行為がございました後、八時二十分ごろでございますけれども、いま申しました二百名余の学生が全員、一名の漏れもなく白いヘルメットを着用いたしまして、しかも、それぞれがプラカード様につくりましたものを——角材の長いものをつけたプラカードでございますが、そういうものを持って、さらに先ほど申しました石やらあるいはレンガやら、そういうようなものを段ボールに詰めましてこれを持ち出して、実は構外に出てまいりました。彼らは一斉にシュプレヒコールをしながらかけ足で出てまいったわけでございますが、そのようなことで、警察のほうといたしましては、一応公安条例による無届けデモでございますので、警告をいたし、その次に制止ということになったわけでございますが、その瞬間において、学生らは全員、いま申しましたような角材のプラカードを全部たたきこわしてこれを角棒にいたしまして、それで警察官に襲いかかってきたわけでございます。そのような経緯でございまして、警察のほうといたしましては、あくまでも公務執行妨害罪及び凶器準備集合罪の現行犯として、百三十一名の学生を検挙いたしたのでございまして、これは決して予防検束というようなものではございませんで、犯罪構成要件を充足いたしておりましたので逮捕いたしたわけでございます。
  31. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 たまたま凶器準備集合罪によって行なわれたこの事件は、昭和三十三年だったと思うのですが、私は選挙区が別府でございまして、いわゆる別府事件暴力団争議の現場に私はいました。その当時県会議員として、私は目の前で日本刀を持って突入しておる姿を見て、しかも四国からどんどん来ているのを見のがしておる、そういった事態で一体どうなるのかというその直後に、この凶器準備集合罪が暴力団対策につくられたのですが、当時公安や労働にこれが乱用されてはならないという附帯条件がついたように記憶いたしております。したがって、この法を使う場合においては慎重な態度でやったと思うのですが、飯田橋の事件の際におけるあの角棒使い方集団でもって警察官に向かってくる行動、それを現行犯として、しかも凶器準備集合罪としてやったということは、私は疑いのない適切な処置であったと思います。いま説明のあったことで了承しますが、ただ委員会あるいは予算委員会を通じまして、予防検束だ、こういったようなことを言う考え方の方もありますので、この機会に、予防検束は昭和二十三年の六月にすでにもう——行政執行法の第一条で、事前抑制ということを意味するのでしょうが、これはもうなくなっておる問題で、予防検束にはこれは当たらないんだ、こういったようなことを明確にこの機会に私の立場としてひとつ言っておきたい、こう思います。  次に、東京駅から乗り込んで博多まで学生諸君が行ったのですが、そのときの状況が新聞で報道されております。車掌二人が学生諸君に、中に入れてくれと言ったところが、入らないでもいいでしょうと言って博多まで行った。国鉄当局来ていますか。——実際人民管理と同じような姿で東海道線を堂々と突っ走っていった姿、それから佐世保の駅に十七日の朝着いたときに、あの鉄道線路を堂々と角棒を持って渡っていく行動、こういった人民管理的な旅行のしかた、鉄道線路の上を角棒を持って堂々と歩いていくそういう行動、こういう問題について、国鉄当局としては、今後再びこういう問題が起こる可能性もあるし、また起こった場合においてはどういう考え方をとろうとしておるのか。その当時のお考え方と今後の考え方、この二つに分けてひとつ御意見を伺いたい。
  32. 須藤博忠

    ○須藤説明員 御質問にお答えをいたしたいと思います。ただいまお話のありました問題でございますが、御指摘の列車は、一月十五日午前十時半東京駅発の三十一列車、いわゆる西海・雲仙号のことを御指摘になっておられるのかと存じます。この列車に東京駅から約百四十名の学生が乗車いたしております。これは先ほど御質問されました飯田橋事件で検挙を免れた者が乗ったものと思われるわけでございまして、東京駅では一応は角材等も持ち込まないで、平穏に乗車したわけでございます。この三十一列車の三号車だけは全員学生で座席を占めるというような状況でございまして、窓のカーテンを学生がおろすというような状況でございました。車内改札をいたしました結果、学生六名が入場券だけで乗車しておるということがわかりましたので、この六名の学生につきましては、横浜の駅で下車させまして、正当な運賃を収受いたしました。それから静岡の手前に参りますと、三号車の学生が貫通ドアに、この車は学生の専用車ですから一般乗客は御遠慮くださいというようなビラを張りましたので、車掌が静岡の駅の前でこれを撤去いたさせました。それから引き続きまして静岡発車のときに一人の婦人が三号車に乗車しようとした際、学生がこれは専用車だというようなことを申しましたので、警乗しておりました鉄道公安職員が、これを制止いたしたという事実がございました。その後、名古屋付近から再び三号車の貫通ドアに、この車両は貸し切り車であるので乗車できません。通路を御利用の方は一たんホームにおりて外からお回りくださいといったようなビラを張ったわけでございまして、警乗の鉄道公安職員が再三撤去を申し入れまして、ビラは加古川駅付近を通過の際にようやく撤去いたしたというような状況でございます。この際赤旗をもってガラスをおおい、車内を見えないようにして、一般の旅客の通行の妨げになるような状況でございましたので、これの撤去を命じましたが、これに応じませんので、私どものほうでは、次の停車駅は岡山でございますが、その手前の三石の駅で臨時停車をさせまして、こういうものは絶対に撤去させるように、撤去に応じない場合においては強制措置をとるというような指示をいたすために臨時停車をいたさせました。引き続きまして岡山の駅に公安職員六十名、それから公安職員だけでは足りませんので、警察官百五十名を応援に来てもらいまして、岡山の駅でこれを撤去させて、定刻に出発したというような状況でございます。御指摘のように一部新聞等に出ましたが、私のほうといたしましても、公安職員を警乗させまして、一般の乗客に迷惑をかけないように、また三号車は一般の車両でございますので、貸し切り車で学生が占領したというような状況を呈させないように、できるだけの措置を講じたような次第でございます。  それから一月十七日の佐世保の駅と線路を学生が横切ったという問題でございますが、これについて御説明を申し上げたいと思います。問題の列車は、三分延着して午前九時四十八分に学生約八百五十名が列車から佐世保の駅に下車いたしました。そのうち約四百五十名が出口から整然と出たわけでございますが、中核派を主体とする学生約四百名が小荷物室わきに設けた臨時改札口前を先頭にして集結を始めるとともに、約十名は下車するなりホームから約十メートル離れた早岐客貨車区佐世保支区玄関わきの洗面台のところに走りまして、同所にあった洗面器一個、それから防火用のバケツ二個、それからたんつぼ一個を持ち出しまして、これに東軌道車線のバラスを詰めて隊列の中に入ったわけであります。こうして学生約四百名がホーム一ぱいに集結いたしましたために、降車口の公安職員等は、一般客の一部に車内を通っていただきまして、学生と分離するといった措置をとりまして、一般乗客の安全確保につとめるのに精一ぱいという状況でございました。こうして集結した学生約四百名が、九時五十五分ごろ約八列縦隊で静かに出口に向かって前進いたしたわけでございますが、出口前に差しかかっても出口に方向転換をしない。そこで、出口わきの便所の前で警戒中の小倉第一鉄道公安室長が便所裏に待機中の鉄道公安職員二十九名を出動させまして、合計三十一名で三列横隊の阻止体制をとりまして阻止しようとしたのでありますが、その際、いきなり学生側のかかれというかけ声とともに手に持った角材をもって公安職員になぐりかかって、そうして阻止線を突破して線路内に乱入し、バラスを拾いながら潮見踏切方面に出場した。この際、公安職員七名が負傷しているというような状況でございます。佐世保の駅につきましては、非常な混乱が予想されるというようなことでございましたので、八十七名の公安職員を駅に配置をしておったわけでありますが、正直のところ、数の上からいわゆる衆寡敵せずというようなことで、わがほうの警備陣をこわされたというのが事実でございます。われわれといたしましては、そういうような不法行為というのは今後絶対に許さないというような措置をとりたいというふうに考えておりますし、また今後そういうような事態につきましては、そういうようなことの起きないように万全の体制を整えていきたいというふうに考えております。
  33. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 そうしますと、新聞に出ている——これは毎日新聞ですが、増田隆、小島忠次両車掌が「学生さん、キミたちには列車の管理権はないんだよ。一般乗客の身にもなってくれよ」と説得したけれども、ついに最後まで応じなかったということで、この両車掌は、もうしかたがないということで最後の博多駅に着くまで中に入れなかったということが新聞に出ている。これは同乗した毎日新聞の記者の記事が、一月十六日に載っているわけです。そういうことで、これから見ると、もうついに車掌は博多に着くまで中には全然入れなかったという、人民管理的な姿で東海道を突っ走ったということは初めてのことなんですけれども、これは事実なんですか。
  34. 須藤博忠

    ○須藤説明員 ただいま申し上げましたように、岡山の駅までに途中いろいろいざこざはございましたが、そういうようなこともありまして、最終的には岡山の駅で赤旗まで全部撤去させまして、その後は平穏に学生博多まで行っております。
  35. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 その後は中に入って、不慮のいろいろの事故が起こった場合には、車掌として対応の応急措置ができるような態勢で岡山から博多までは行った、この辺ははっきり確認していいのですか。
  36. 須藤博忠

    ○須藤説明員 岡山からは平穏でございました。ただ、博多の駅に着く前に、学生たちは一斉にヘルメットをかぶって、相当いわゆる戦闘態勢をとったということはございましたが、ただ一応の最低の車内秩序というものは確保したということでございます。
  37. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 博多問題について先般予算委員会でもって畑委員も取り上げましたので、その際に、私この予算委員会に出ておりまして、博多駅におけるところの三派全学連の構内における渦巻きデモ、公安職員がそれに対抗できなくて、そして駅の要請によって警察官が入って、階段において警察官学生が衝突してやった行動、そのやった行動は特別公務員のいわゆる陵虐罪になってくるのだ、こういったようなことを言われておりまして、私陵虐罪なるものが刑法でどういうものになるか久しぶりに読んでみたのですけれども、現地に行っておりましたわが党の森山代議士は、現地で見ていて、そして畑委員が言っているように、上から取っては投げ、取っては投げしたというような行動はなかったと言っておる。現地で見ておった森山代議士は、何らそういうことはなかったのだ、こういう現地で見た森山先生意見委員会における発言とは相当な食い違いがあるように、委員の一人として私は不審に思いました。陵虐罪という、この陵虐罪が刑法によってきめられておりますけれども、これはどういう判例があるか、学説があるか、しろうとの私にはわかりません。しかし、陵虐罪というのは、特別公務員が裸にしてみたり、あるいは人の前でもって被服を無理に何もしないものを破ってみたり、あるいは裁判官あるいは警察官が自白を強行させたり、そういったようなときにこそ私はこの陵虐罪というものが適用されるものであって、これは常識から考え得る。あの場面における渦巻きデモ、鉄道職員も抵抗できなかったような姿のときに、警察官が要請によって入って、そして静かにそれを排除しながらやったというところにおける力関係、若干出たけれども、大きなけが人は一人もなかったという程度くらいで陵虐罪が適用されるのだといったようなことは、私は、そういう考え方は、あの現場における報告を聞いて、該当しないのだという立場からお尋ねしたい、こういうぐあいに思うのです。あの場合におけるところの所持品の検査、これは委員会においても、イエスと言った者だけやって、ノーと言った者は見のがした、それをやった動機というものは、人民管理という東京からのその前後の空気から見て、警察官職務執行法の第二条なりあるいは逮捕した者については刑訴法でやったのだ、こういうぐあいに御返答があったようですけれども、この問題を見ておった九大の井上教授は、人権侵害であるということで、いま人権擁護局のほうに提訴をしておるようであります。しかし、現場で見ておった森山先生がわれわれに対する報告、われわれに対するところのいろいろなお話から見て、そういったようなことは当たらないのだ、こういう考え方と、同じ見ておっても見方によって相当違うのですが、いま一度はっきり、そのときの現場を——警察官職務執行法第二条でやったと御返答したように委員会では聞いておるのですが、私はむしろ警察官職務執行法第五条でやってもいいのではなかろうかという考え方も持っておるのですが、この辺のひとつ解釈をお聞かせ願いたいと思います。
  38. 川島広守

    川島(広)政府委員 一月十六日の博多駅の事案でありますが、前日の一月十五日にも学生が相当数西下しておりまして、さらにまたいまお尋ねの雲仙西海号のほかに平戸、瀬戸がそのあとに来ておるわけでありますが、雲仙西海に限って当時の状況を申し上げたいと思います。  雲仙西海号は午前六時四十五分ごろに博多駅に入ってきたわけでございますが、学生は、いま国鉄のほうからお答えもございましたように、おおむね三百三十名程度学生が三号車に独占的に乗車をしておったようでございます。そこで博多駅に着きますと、直ちに、いま申し上げました三百三十名のうちの二十名ずつ、計四十名が、一般乗客にまぎれてといいますか、一般乗客とともに、二十名は南出口から、他の二十名は北の出口から実は出たわけでございます。その他の二百九十名程度学生は、四番ホームのところに滞留をいたしまして、そこでアジ演説会が始まり、滞留をしたわけでございます。そこで、かなり気勢があがりまして、四番ホームから——現場は御案内思いますけれども、一たんホームから下におりまして地下道からずっと出てくるわけでございますが、一たんホームから下がりまして、南出口のところが地下道になっておりますけれども、約五メートルぐらいの幅員があったと記憶いたしますが、あのところに滞留をいたしまして、そこでさらにまた渦巻きデモを始めました。渦巻きデモを始めます前に、駅の職員及び公安職員によりまして、特に駅長の名前で退去の掲示が出されたわけでございますが、さらにまた、公安職員のほうも、そこに滞留をして演説がまた始まるというような状態でございますから、早く構外に出てくれということで、国鉄側のほうでは百名程度の職員がうしろから——あそこはホームが行き詰まりになっておりますから、四番線から一番線にすぐに出てくるわけでありますから、地下道のほうから押し始めて、いま申し上げましたような退去通告をしたにもかかわらず、それに抵抗する形で渦巻きデモが起こったわけでございます。その時間はおおむね五十分ぐらいの滞留になるわけでございます。そこで、約百名の職員がいま申し上げました渦巻きデモに巻き込まれて、非常に危険な状態になっている、とてもそれはいわゆる鉄道営業法四十二条による措置をとることはおろか、生命自体が非常に危険な状態になっているということで、警察側に出動要請がございまして、南出口のほうの前のほうに待機をしておりました百四十六名の警察官を、実は中に入れたわけでございます。入れまして、南出口のほうは、上がりますとすぐ階段があります。約三メートルぐらいの高さでございますけれども、その階段のところから両側に配置する、その上にまた配置するというようなかっこうで、警察官を百四十六名ぐらい配置したわけでございます。そういう中で、いま申し上げました渦巻きデモの規制あるいは公安職員に対する公務執行妨害に対する制止等につきましては、いまお話のとおり、警職法五条で実は行なったわけでございます。そういうことで二百九十名の者を押し出しまして、そのうち八十名程度の者は、あの南出口のところから、あるいは一番線の改札口のところに広場がございますけれども、あそこから北出口のほうに走りまして出ました。それから百七十名の者は、いま申し上げましたように警察官が中に入りましたので、今度は自発的に百七十名の者は南出口から出たわけでございます。したがいまして、実際に警察官が警職法五条で制止をいたしましたのは、四十名でございます。  次いで、いま御指摘の職務質問の問題でございますが、南出口のほうに出てまいりました最初の二十名の中で、持ち物でボストンバッグその他のものを持っておる学生がおりましたので、この連中に対しまして一応職務質問をいたし、中に持っておるものを見せてくれないか、見せてくれ、こういうことを尋ねました。そのうち二名の者はこれを拒否いたしまして、これはどうしても調べることができませんでしたが、八名の者は見るならかってに見ろということで見せてもらったものもございます。  それから、いま申しましたように規制しました四十名と自発的に出てまいりました百七十名、合計二百十名でございますが、この中の二十名の学生につきましても、一応職務質問をいたしております。拒否しました学生が五名ございますけれども、十五名の者については一応職務質問しております。それから北出口のほうから先に出ました二十名の学生のうち、八人の学生について職務質問を行なっております。したがいまして、職務質問を行ないました対象学生数は三十一名でございます。所持品検査と申しましょうか、要するに所持品の中身、所持品の内容を見せてもらいました学生が十三名でございます。結果的には見せてもらいました所持品の中には、特段任意提出を願うような危険なものは持っておらなかったわけでございます。それがいわゆる警職法二条でございます。いまお話のございましたように、井上教授が中央公論の中に書かれておりますものを私も読ませていただきましたけれども、その中で身体捜検ということを盛んに言っておられるわけでありますけれども、いま申しましたように、要するに公安官が渦巻きデモに巻き込まれて危険な状態になったというような現実はあったわけでございます。その中で足でけるとか突くとかいろいろしたわけでございます。その中で四名を傷害現行犯で逮捕しておる。これは南出口から出まして、井上先生がおられたあの付近のところで現場に出て捜索いたしまして、その者につきましては刑訴法二百二十条によって行なったわけでございます。そういうような状況でございます。
  39. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 それでは私は、いまのような報告なり、森山先生現地に寄って見てこられたわれわれの印象から考えて、予算委員会畑委員が発言したところのいわゆる刑法の特別公務員暴行陵虐罪、こういうものが適用されるのだと言われたようなことについては、そういう問題は起こらないのだということをここで確信を持って聞きたいと思います。ただ、身体捜検とかあるいは持ちものを見るという場合における黙示の状態ですね、黙示の承認というのですか、黙示の承認ということは非常に微妙なところがあるわけで、そういうところの今後における配慮もひとつ考えながらやっていただきたい。ただし、この場合における前後の車中における人民管理的な動きをしてきた状態、平瀬橋におけるところのアンモニアを使った現実、そういったところから見て、やはりあの場合におけるところの身体捜検というものはやむを得なかっただろうということだけは、私は良識のある方は納得してくれる、こういうぐあいに思います。  次に、松本清張の「点と線」のようなことが行なわれたのですけれども、素朴な市民、たとえば三里塚の成田空港では、学生諸君がやってくるというので、市長は百台のトラックを市で雇って、そして成田市内にある石や角材を百台のトラックで外に持ち出した。こんなものを持たせたらたいへんだと思ってやった、そういうぐあいに配慮をしておる。角材なんというものを持ち込まなければ、そういうことも起こらないのだという市民感情が実はあるわけです。それなのに、九大を出るときには全然無防備で出ていったのが、汽車に乗って、そうして佐世保に着いたときは角材を持っておった。途中で巧妙に完全武装している。久大線の鳥栖駅において、久大線から来た列車とホームにおいてほんの一分か三十秒すれ違った瞬間に角材を渡しておるという事実、翌日また無防備であったのが堂々と佐世保の駅ではトラックに積んで角材があったということ、角材さえ持たなければ、あの凶器を何とか持たせないようにしてもらったら、こういう流血の惨事が起こらないのだ、こういう市民感情があるわけです。そこで成田の市長は、百台のトラックを雇って成田市内にある石を全部外へ運び出したというような配慮までしたのに、警備当局がそういうような手抜かりというか、何というのですか、持たぬものが急に完全武装しておる、そういったような手抜かりというものがあったのではないかと私は思うのですが、どういう方法で角材を集め、どういう方法でハンマーを持って行ったか。平瀬橋警棒を使ったことも事実です。テレビで見たとおり、警棒を使ったことも事実です。しかし、ほとんどノックアウトされた学生が、また立ち上がって、全部持っておるハンマーでもって私の目の前で警察官の鉄かぶとについている風防面を破ってアンモニアをかけておったことも事実です。この乱闘状況を起こしたその凶器というものを、もうほとんど大部分のものはあれはただプラカードで、凶器ではないと最初は思っておったでしょう。しかし、それが堂々たる凶器になって、今度の成田の三里塚の場合には先をとぎ出して、そうして何か肉弾三勇士みたいにして、ほとんど無防備で防衛しておるところの警察官に向かって突入している姿を見るとき、あれが凶器でないという者はほとんどないと思います。法的にもあれは凶器だと私は思う。あなただってそれを認められると思うのです。もちろん身体捜検ができませんから、角材なりあるいはハンマーなりをみな持っておったのですけれども、どういう方法でそういうものを集めたりあるいはアンモニアをあの騒ぎの中で手に入れてやったかということを、わかっておる範囲で知らせてもらいたい。無防備であったものが、完全装備して佐世保でおりておる。裏をかかれた警察警備というものは、どういうことをやっておったのか、伺いたい。
  40. 川島広守

    川島(広)政府委員 まことに残念でございますけれども、事実関係はいま御指摘のとおりでございます。九州大学は十七日に出たわけでございます。十六日の晩に相当角材が持ち込まれたということは、一部現認もしておりまするし、また情報でも承知をいたしております。そういうことで、十七日の朝も、福岡県警といたしましては、凶器を持って佐世保に行くということも知らされましたので、大学の付近においても十分な警戒配置をとったのでございますが、学生のほうでは、意に反しまして何も持たずに参った。ただ数名の者が竹ざおその他を持っておりましたので、これに対して公安職員が警備をいたしましたのに襲いかかってきて、三名の公務執行妨害による逮捕を十七日の朝博多で行なっております。そういうわけで汽車に乗ったわけでございますが、いまお話の鳥栖駅と肥前山口の駅から完全に梱包された、布で完全に梱包されました束にした角材を持ち込みまして、それが偽装されたまま数人の学生がそれを雲仙西海のほうへ持ち込んだという経緯がございまして、それが佐世保駅頭におり立ちましたときには、全員が角材を持っておった、こういうことになったわけでございます。  それから、さらにまた御指摘のアンモニア等の入手経路は、実はいまだ判明しないのでございますけれども、事前からそのことにつきましては、アンモニアだけではなくて、硫酸でありますとか、あるいは発煙筒でありますとか、石を割るための鉄のハンマーでありますとか、あるいは有刺鉄線を切りますためのペンチでありますとか、そういうものを携行するということは、確実な情報として実は入手しておったのでございますけれども、いま申しましたように、結果的には、あのバリケードも現場であらわれましたように、ペンチと金のこで全部切って行ったわけでございます。さらにあの平瀬橋の東詰、市民病院の前でございますが、あそこのところで大きなボストンバッグでございますけれども、その中にかぎつきロープが入っておった。それをばんと投げて、それを学生が拾ってバリケード破壊に使ったということも、実は現認をいたしておるわけでございます。それからギターの黒いケースの中に石を割るための鉄のハンマーを二本入れて持っておりまして、これも同様市民病院の前のところで、せびろを着た男がばんと投げて、それを学生が拾って石を割ったということも実は現認して、全部出ております。結果的にはそういうことでございまして、鉄のハンマーなりあるいはまたかぎつきロープなり、そういうものがどういう方法で佐世保まで運ばれていったか、はなはだ残念なことでございますが、入手経路の詳細は、まだ判明しておらない実情でございます。  さらにまた、現地現地の材木屋から三万円相当の材木を三千五百円の前払い金を払って持っていってこれを使ったということも、調査の結果明らかになっておる次第でございます。
  41. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 学生がああいったような角棒とか凶器を持つということを事前に察知して排除するということは、なかなかむずかしいことだと思います、現行法規内においては。しかし、成田の市長が、いわゆる市費を使って百台の車を使って凶器と見なす石とか角材を市外に運び出さなければならないといった努力をしなければならないという、自治体の首長の苦労もひとつ考えていただいて、凶器と見なされるものを持つ場合においては、ひとつ法の範囲内において適確に事前に排除するということは、今後の流血の惨事を最小限度にするという意味において、死傷者をなくする、人命をとうとぶという意味において、ひとつできる限りの善処をやるということは大切だと思います。現地佐世保橋平瀬橋におけるところのいろんな実態は、行き過ぎであったとか、行き過ぎでなかったとかいうことが行なわれましたが、要するに世論というものが、これほど学生の政治行動、それから警察行動、それからずっとひいては各政党のいろんな動きというものについて、学生運動中心にして非常に大きく盛り上がっております。しかし、正しい世論とつくられた世論があるということを、私は現地で知りました。平瀬橋におけるところのデモの集団を私はこの姿で入って見てきたんですけれども、大体この大部分が、これはデモクラシーというよりか、つくられた人々によって——その騒動の周辺に集まった人々の八〇%は、革新団体のつくられた人々によって埋められている。そしてあとの二〇%のうちの一〇%は、佐世保市外の人が来ておる。そしてあとの一〇%が市民であった。これが大体における佐世保の市長、それから各種団体、あるいは病院、あるいはその他の警察当局、治安当局に私が行きまして、実際に聞いたところです。いろんな実情から見て、そういったような人がきの中におけるところの乱闘が特異な状況であったので、こういう場合には、その中からつくり出される世論というものは、正当な世論でなかった場合もあり得るんではないかと私は思うのです。したがって、私は、常に警察というものは、国民の目から見るというと受け身の姿で見られるほうがいいんだと思う、こういう事件というものは。しかし、受け身の姿で見られるのがいいけれども、法秩序を守る厳然たる姿だけは、その範囲内においては常に示していく、そういう姿を国民に与えるというところに、非常に治安当局のむずかしさがあると私は思いますけれども、そういう点を十分にひとつ警察庁としては配慮してほしいというのが、この学生運動佐世保から成田を通じての私のお願いでございます。  そこで、文部当局についてのお願いは、こういった大きな学生運動についての、いわゆる大学教育、小、中、高等学校教育に与える影響が大きいということは、私は佐世保へ行って知ったんですけれども、東京に行っておる大学生が、佐世保の高校生に手紙を出して、石を買うから石を集めてくれ、一キロ五十円で買うから、ということを言っております。私は、その手紙を入手しております。現実佐世保の駅前において石を売っておる。その高校生が、現在民青同の、いわゆる民青の一つのパイプになっていくんじゃないかということを私はおそれます。もちろん立場がそれぞれ違った方はそれを支持される方もあるけれども、私は、そういうことを通じて、学生運動を通じて、民青活動というものが、人間として人格、識見その他まだ一人前にならない小、中、高等学校の学生にそういう運動を通じて行なわれている事実、それから佐世保橋そば病院を経営している人が、血だらけの学生が入ってきたので、何だろうかと思って治療に当たったところが、鉄かぶとの中に赤インクを入れておる。そしてやられたときに赤インクが流れる、そしてそれで市民の中を走って回っておるという、その姿を治療にあたった医師は見ている。佐世保のいわゆるロータリーの昼食会で発表して、こういったような学生運動が、正しい学生運動から暴力になり、それが大衆のいわゆる社会不安を起こす一つの起爆薬になるような行動をするということ、こういうことが巧妙に行なわれておるという事実も知りました。ロータリーでそれが発表されたわけであります。したがって、こういったような学生運動について、治安だけ、警察の力だけでなく、これが学生警察、また三派学生がはね上がる、また重装備になっていく、こういったような悪循環を断ち切るには、私は広範な政治というか、配慮が必要だと思うのです。警察の力だけではできないと思います。したがって、大学当局におけるマス教育という問題、大ぜいを集めてやっていくというような生徒と教官との交流がないような教育の内容、それから大学の管理能力の問題、大学相互間におけるところの連携、そうして隠花植物的な大学教授というもの、こういったような姿が、各大学の中で浮き彫りされつつあるのではないかと思いますが、こういった教育の面、社会教育の面、治安当局の面、こういった面を十分ひとつ配慮して、国民の世論をバックにして三派全学連のはね上がりが大衆から打ち切られるように——この悪循環のために使われる税金、そんなむだな税金を使うならば、北方領土返還に使ったらいいじゃないか、こういう気持ちを私は持ちます。これはわれわれ政治家の責任であるということを私は痛感して、きょうの質問を終わりたいと思います。
  42. 永田亮一

    永田委員長 猪俣浩三君。
  43. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 私はきのう委員部と打ち合わせましたが、自民党のあれは十一時に済むだろう、私は一時間半としても十二時半に済むだろうということで、十二時半に実は法務、地方行政、運輸の社会党の委員全体会議を開く招集者に私はなっていたわけです。きょうの公報に出ているわけです。ところが、もう時間がありません。非常に御意見の多い質問ばかりやっておるので、時間がありません。ただ、人権擁護局長がおいでになっておりますので、急ぎますからこの点だけちょっとお尋ねをいたしまして、それから私は次回に留保したいと思います。  事実関係は、もうあらゆる週刊誌、テレビ、ラジオ、マスコミに全部明らかになっておって、あるいは自民党の諸君から見たのと違うかもしれませんけれども、それは違う目で見れば違うものが出るでしょう。私はそれより法律関係について徹底的にただしたいと思ったのでありますが、時間がありません。なお大臣もお見えになりませんし、国家公安委員長もお見えになりませんから、次回に譲っていただきまして、ただ人権擁護局長にお願いしたいことは、実は九州大学の法学部長の井上正治教授から私のところへ手紙がまいりまして、それは二点ある。自分は警察のやり方を見るに見かねて人権擁護局に調査の申し立てをした。だから、これに協力してくれということが一点。それからこの申し立てをして以来、自分にひんぴんたる脅迫がくる。日夜脅迫がくる。手紙でくるのが二百通、あと右翼団体と思われるものが三団体、自宅まで押しかけてきた。そこで家族は戦々恐々たる状態であるが、何とかして助けてもらいたい、こういう内容の手紙がきているわけであります。そこで人権擁護局長お尋ねいたしますが、この福岡の法務局だと思いますが、申し立てた人権調査は、どの程度調査をなさっておるか、調査の模様についてお聞きしたいこと。  それから、警察当局、検察当局にお尋ねしたいことは、こういうふうに大学の教授が——井上さんというと、これは有名な刑法学者です。日本におけるいま最も注目されている刑法学者ですからね。この人が、人権擁護局に対する申し立てをしたということだけで、かような脅迫ができている。こういう事情について、検察なり警察は何か捜査されておるのであるかどうか。このお話を聞きまして、私は退散させていただきます。次回に根本的な御質問をいたしたいと思います。
  44. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 井上教授の申告しました点につきましては、私どもただいまから調査を始めるところでございまして、まだようやく調査を始めたという段階でございます。申告にありましたような事実があるかどうか、また、それらがどういう事情に基づいてなされたか、その他を今後慎重に検討します。
  45. 川島広守

    川島(広)政府委員 いまのお尋ねの井上教授の問題でございますが、一月二十四日に福岡法務局に申し立てがあったわけでございますが、その後、二月八日の夜に、実は福岡県の県警の本部長にあてまして、新聞記者のほうから、井上教授のところにたいへんに多数の脅迫文書がきておる、本人もたいへん不安がっておられるというような電話がございました。そこで、さっそく——これは私ごとでございますけれども、井上教授と県警の本部長とは、実は同期生でございまして、法務官時代の同僚でございます。そんな気やすい関係もございまして、さっそく翌日に所轄署の警備課長をお宅へ伺わせまして——その晩からパトロールを強化いたしましたけれども、翌日、警備課長をお宅へ伺わせて、本人からいろいろお話を聞いたわけでございます。そうしましたところが、井上先生からは、脅迫の告訴も被害の申告も行なわない、投書は出さない、一部は焼いた、警察の身辺保護も遠慮する。ただし、非常に危急な場合があったときは一一〇番に連絡するからよろしく頼む、こういうふうな丁重なごあいさつが警備課長にございまして、それとは別に、警察のほうとしましては、以上の先生のお気持ちもそんたくは一方いたしておりますけれども、重点的にパトロールを強化して、その保護に当たっておるのが現状でございます。
  46. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なお、私は、これは信用いたしませんけれども、具体的事実はわかりませんけれども、西日本新聞社、あれは九州における大新聞です。この西日本新聞社の記者から連絡するところによれば、この脅迫文の内容は、ほとんど判で押したように同じものであるが、この活動をやっているのは、警察にかつてつとめたことのある人たちが警友会とかなんとかいうものをつくっている、その人たちが中心となって活動をやっているということが、私どもの調査には出てきておる、こういう報告があったわけです。もし、それが事実とすれば、容易ならざることでありますが、警察としては、そういうことをお含みの上、とにかく西日本新聞という大新聞の記者がわざわざそういう調査報告をしてくるのですから、これはそのつもりでもっと徹底的に捜査してもらいたい。現職の警官と古手とが合流して、現職の警官が古手を使ってそういう行動に出ているということになれば、容易ならざることですよ。さようなことが人権擁護に立ち上がった人にあるというようなことは、これは重大問題です。この点につきましては、なお私は、国家公安委員長、あるいは警察庁長官、法務大臣に、御出席のとき政治的な問題として追及したいと思いますが、本日は、皆さんに捜査だけしていただきたいこと、それから、人権擁護局も、何か聞くところによれば、さっぱり高見の見物をなさっているような報告もある。そんなことじゃいかぬと思う。徹底的にやってもらいたい。  それで、失礼ですが、局長は、検察官から局長になられたのですか、弁護士からなられたのですか。
  47. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 私は、元判事でございます。判事でありまして、法務省に入りまして、法務省に入りますと、一時身分が検察官になりまして、現在は、人権擁護局長になります際に法務事務官になりました。
  48. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 実は、元来の法務省の人権擁護局は、大体初代から弁護士会推薦の方が局長になられて、相当われわれと提携して人権擁護局が働けたんです。ところが、これがどういうわけだか、検察庁から局長に来るんだ。あなたは判事だというんだが、役人さんを持ってくるように相なった。それからこの人権擁護局の活動が何か鈍くなってきたんだな。それは、そういう疑いはわれわれのひがみかもしれません歩、どうも初代、二代、三代までは弁護士から全部出た。これは非常にほんとうに人権擁護のために働きましたよ。あなたは、役人さんだとしても判事あがりなら、公正な立場だと思うのです。検事よりいいと思うのだが、何だか知らぬが、さっぱり人権擁護局が動いておらぬという話だ。そんなことじゃならない。どうか徹底的に福岡法務局を督励して、との次の私の質問までに、いま捜査中だなんていうことでなしに、もっと具体的な調査の成果を聞かしていただきたい。私は、それを言うて退席さしていただきます。
  49. 森山欽司

    森山委員 関連。井上教授からの要請が猪俣先生にあった、また、それが九州の人権擁護局でございますか、そのほうに提訴という問題ですか、話がきておるということでありますが、私は、人権擁護局長にお願いしたいのは、これを提訴した井上正治氏がどういうものの考え方でものを見る人であるかということも、よくひとつ御検討おきを願いたいと思います。ただいまのお話によれば、刑法学の大家であるということでありますが、確かに刑法を専攻の九州大学法学部長のようでございますが、井上教授が最近中央公論に寄稿をいたしました「九州大学はなぜ門を開いたか」という題名の論文でございます。その中に「大学警察を嫌う。」とか「大学はどこまでも警察官を嫌わなくてはならない。」という、そういうことが書いてございますが、こういうものの考え方でごらんになれば、そこに人権擁護上の問題も出てくるかもしれません。しかし、問題は主観でございます。どういう眼をもって見たかということであります。色めがねをつけて見れば——私は、普通の透明なめがねをかけておりますから、透明に見えます。赤い色のついためがねをかけて見れば、赤く見える。青い色のついたガラスのレンズをつけて見れば、これは青く見えるのでございます。井上教授のものの考え方というものについて、私は、これは十分配慮してかからぬと、国の税金を使ってお仕事をされるわけでございますから、よくよくひとつそういう点についても慎重にお考えを願いたいと思っております。  今回の問題につきましても、先ほど佐藤委員から、九大文学部荒木助教授のお話が引用されております。こういう考えの人もある。また、法学部長の井上さんのような考え方の人もある。「大学警察を嫌う。」「大学はどこまでも警察官を嫌わなくてはならない。」という、こういう考え方のもとでおれば、やはり何でもかんでも過剰警備があったと、こう言わなければ相済まないということにもなろうかと思います。私は、実はそのとき、井上教授のそばで現場を見ておった一人でございます。井上教授の言うような意味においてこれを問題視することについては、同意いたしかねる一人であります。ものの考え方につきましては、先ほど佐藤委員からお話があった次第でございますから、どうかそういう点も御配慮の上、ひとつ公正なる態度をもって臨まれんことを希望いたします。
  50. 永田亮一

    永田委員長 午後は二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時一分休憩      ————◇—————    午後二時十九分開議
  51. 永田亮一

    永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  佐世保事件に関する諸問題について質疑を続行いたします。中谷鉄也君。
  52. 中谷鉄也

    中谷委員 委員長にお願いをしておきたいと思いますけれども、いわゆる飯田橋事件博多事件、さらに平瀬橋佐世保橋事件と呼ばれているエンタープライズの寄港に伴う諸事件につきましては、特に市民の自由に対する侵害、別のことばで申し上げますならば、警察権の限界を著しく突破したできごととして、私は重大な関心を持ちます。したがいまして、この問題については、今後この法務委員会におきまして、いわゆる佐世保事件を素材といたしまして、警察権の限界について、諸種の問題について、本通常国会中許される限り質問を続行していきたいと思います。そこで、本日は、午前中の与党委員質問に関連をいたしまして、若干の点をお尋ねをいたします。  まず最初に、いわゆる飯田橋事件について警備局長お尋ねをいたしたいと思いますが、飯田橋事件が予防検束であり、事前検挙であるという批判を受けたことは、言うまでもないことなんです。そこで、一体検挙をした学生のうち、何名が勾留請求の却下決定を受けたか、その勾留請求の却下理由は一体何であった、さらにいわゆる起訴された学生は何名か、その他の学生は一体どういう処分を受けているかということを、法務省に尋ねるのではない、警備局長としてどの程度の認識を持っておられるか、まずこの点をお尋ねいたしたい。
  53. 川島広守

    川島(広)政府委員 ただいまお尋ねの飯田橋事件でございますが、検挙しました数は百三十一名でございます。そのうち、検察庁に事件を送致しました罪種で申しますと、公務執行妨害及び持凶器で送りましたのが百三十名、そのほか傷害をつけましたのが一名、計百三十一名でございます。身柄の処置といたしましては、勾留されました者が二十八名、却下された者が九十八名でございます。釈放が一名で家裁送致が四名。起訴は、公務執行妨害罪及び凶器準備集合罪で五名の起訴になっております。以上でございます。
  54. 中谷鉄也

    中谷委員 一番力点を置いてお尋ねした点が落ちております。これほどたくさんの大量却下を見たことは、公安事件の中でもちょっと例が少ないと思います。百名近い勾留請求が却下されている。はたしてしからば、勾留請求が却下された、認容されなかった理由は一体何か、この点をどのように警備局長としては理解をし、事実認識を持っておられるか、この点です。
  55. 川島広守

    川島(広)政府委員 九十八名の却下理由の一人一人につきましては、私は詳細存じておらないわけでございますけれども、おそらく却下の理由といたしましては、その中に住所氏名の明らかな者とか、いろんな者があったのだろうと思っておりますが、実は詳細について私は存じておらないわけであります。
  56. 中谷鉄也

    中谷委員 一番大事な点についての御認識がないと思うのです。警察が権限を行使して強制逮捕された手続は、現行犯逮捕だと言われる。そのことについて、現行犯逮捕をした以上は、その現行犯逮捕をした身柄に勾留請求が認容されるかどうかの結果について、逆に言うと、そのような現行犯逮捕というものが、社会的な合理性を持ち、法律的な妥当性を持っているかについて、警備当局としては、法に基づいて逮捕したという以上は、その点についての御認識がなければならない。百名近くも勾留却下されていながら、その却下理由については知らない。そのことが事前検挙主義であり、予防検束である。とにかく逮捕すればいい、あとは野となれ山となれというやり方じゃないかと、私は指摘をしたい。その点について、どういうふうにお考えになりますか。
  57. 川島広守

    川島(広)政府委員 けさほどの佐藤委員の御質問にもお答えしたわけでございますが、あの現場において現行犯逮捕いたしました場合には、御説明もいたしましたように、それぞれ公務執行妨害罪及び凶器準備集合罪の構成要件を充足しておったというふうに判断いたしたわけであります。
  58. 中谷鉄也

    中谷委員 公務執行妨害罪あるいは凶器準備集合罪に当たらなくて逮捕しましたと言えば、これは気違いか何かのやることなんです。あなたとしても、該当したと思ったから逮捕したという以外にお答えのしようがないと思う。しかし、そういうふうな警察官の判断というものが、単に主観的判断にとどまらず、客観的な法律的な合理性を持ち、あるいはまた法律的に見て正しいかどうかという点を規定するのは、裁判所であり、裁判所の勾留請求に対する判断なんでしょう。事前検挙だということが、これほどやかましく言われておる、本件について予防検束だということがこれほどやかましく言われているときに、裁判所の勾留請求却下理由について何ら御調査がない、何ら認識がないということは、あなたのそういう態度というのは、ただつかまえればいいという態度としか思えないじゃないですか。  さらにお尋ねをいたしますけれども、一体、起訴された以外の人についての処分は、どのような処分であったか。不起訴であったのか、嫌疑なしであったのか、不起訴の理由は起訴猶予であったのか、それらについての御認識はありますかどうか、お尋ねをいたしたい。
  59. 川島広守

    川島(広)政府委員 まだ全部について処分を終わっておらないわけであります。
  60. 中谷鉄也

    中谷委員 いまは刑事局長にお聞きになって処分が終わっておらないらしいというふうにお答えになったように思いますけれども、そうじゃなくて、あなた御自身の、現在処分が終わった者は何名で、処分を終わってない者は何名だというような内訳についての御認識はありますか。
  61. 川島広守

    川島(広)政府委員 数字は存じておりません。
  62. 中谷鉄也

    中谷委員 要するに、あなた自身警備の一番の責任者として警備局長というお立場にあるけれども、いわゆる公安事件で、飯田橋事件といわれている本件事件以上に、百三十一名のうち百名近くの人間の勾留請求が認容されなかったというふうな例は、あなた自身の今日までの公安事件の経験の中にありますかどうか。いわゆる事前検挙だ、御都合主義の事前検挙であればこそ、これだけの勾留請求が却下されたと思うのだが、あなた自身、これほど勾留請求が認容されなかった事件の経験があるかどうか。あなた自身の今日までの公安事件についての処理の経験からお答えいただきたい。
  63. 川島広守

    川島(広)政府委員 私もいろんな事件をやっておりましたけれども、数字の記憶がどうもはっきりいたしておりませんので、これが最も大きなものであったかどうか、さだかでございません。
  64. 中谷鉄也

    中谷委員 事前検挙ということは、私は非常に危険なことだと思うのです。そこで、一月十六日の読売新聞には、次のような報道があります。すなわち、赤澤国家公安委員長は、「事前検挙の作戦が順調に進められた結果、実際に佐世保まで出向く数は減るだろう。」というふうに言っておる。そこで、少なくとも警備局長として、この第一線のお立場にある人として、事前検挙というものをどのように理解しているのか。それは警備警察のいう一体何に当たるのか。この公安委員長の談話は、警備当局としてはどのように理解し、どのように職務を遂行しておられるか、この点をお尋ねをいたしたい。  同時に、同じく官房長官の談話も、事前検挙は辞さないということを当時発表されている。一体事前検挙ということは、第一線の警備当局としてはどのように理解しているのか、この点をお尋ねいたします。
  65. 川島広守

    川島(広)政府委員 いま御指摘になられました事前検挙ということばでございますけれども、われわれ警察には事前検挙ということばはないわけでございまして、申しておられます意味は、いわゆる一般的な常識で、何か佐世保でいろんな問題が起こるというので、事前にいろんな不法行為も予想されるであろう。そういうような場合に、不法事態制止なり警告なり、あるいは違法の阻止なり、あるいはまた検挙なり、その一連のことを含めて、おそらく常識的な用語として用いられたものだろうと私は思っております。そういう意味合いでございますれば、御理解がいくのじゃないかと思います。
  66. 中谷鉄也

    中谷委員 法律家として、いまのような御答弁が理解できますか。また、そういうことは、常識として理解をすることが危険だと私は申し上げる。要するにこう書いてあるのですよ。事前検挙の作戦が順調に進められたからと、こう言っている。そういたしますと、ある一つの目的を達成するために、あるときには逮捕しない、あるときには逮捕をする、こういうふうなことが、事前検挙の名において常識的に理解しなさい、御了解をいただきたいという趣旨としか、私はただいまの答弁がとれないけれども、そんな常識が危険な常識であり、人権感覚の立場からは排撃されなければならないことだと私は考える。公安委員長が言っている事前検挙というものはどういうものか。常識的にいって、そういうふうな常識が人権擁護の観点から許されるのか。人権擁護の観点から見て、そのような常識こそ危険ではないかというふうに私は考えるけれども、実務を担当しておる警備局長として、どのように理解するか、いま一度お尋ねいたしたい。
  67. 川島広守

    川島(広)政府委員 いま御指摘の事前検挙ということばの意味、私ども説明が足らなかったかもしれませんけれども、これは私の想像でございますから、よく大臣にもお尋ねしておきますけれども、羽田事件の場合に、御案内のとおりに、前の晩に中央大学で決起集会を開きまして、夜半に東大に場所を移し、さらにまた東大に全員が泊まり込みまして、御案内のとおりに、東大から全員が角材を持ち、そして無賃で羽田へ行ったわけでございます。その間、当然そこには犯罪が発生しておるわけでございますけれども、残念ながら警察力の配置の状況その他で、それはできなかったわけであります。そういうようなことで、あの羽田の過去の反省でございますけれども、羽田の現場に、白昼堂々と覆面スタイルで、無賃乗車で何名かの者が行ってしまうまで、警察は何も取り締まりできないのだろうか、そういうふうな警察措置はいけないではないかというふうなことが世間の中にも著しくございましたことは、先生も御案内のとおりだろうと思います。さらにまた、われわれの警察措置といたしましても、あああってはならないのだという反省は、当然われわれにもございます。そういうふうな意味合いで、あの場合のことも想定して、おそらくそういうようなことばがそこに生まれてきたのだろうと、私は理解いたします。
  68. 中谷鉄也

    中谷委員 この問題はさらに私は時間をいただいて掘り下げてみたいと思いますが、一つだけ御答弁の中から確認をしておきたい。公安委員長が使い、官房長官が談話として発表した事前検挙ということばは、警備局長としては、そういうことについては想像するんだけれどもという理解しかできておらないことなのか。要するに、そういう事前検挙というようなことばは、国家公安委員長が、官房長官が、そのような厳密に人権を擁護するという立場から、予防検束は許されないんだ、旧行政執行法の復活は絶対にあり得ないんだということに力点を置くのではなしに、きわめて漫然と、そのような事前検挙ということばを使って、結局警備当局さえもそういうことを想像しなければその正確な意味はわからないというふうなことばを、政治的な発言をしたということに相なるのかどうか。これはあなた自身の答弁から、そういうようにしか理解できないわけです。この点はいかがですか。
  69. 川島広守

    川島(広)政府委員 私がいま申しましたのは、要するに事前検挙ということばの意味でございますが、そこにおっしゃった意味は、私の理解する限りではいま申しましたようなことで、羽田事件の経験を非常に強く当時考えておったわけでございますから、そのような意味合いで申されたのだろう、私はそういうふうに理解しておるわけでございます。
  70. 中谷鉄也

    中谷委員 次に、人権擁護局長お尋ねをいたしたいと思います。  まず前提として、当然のことでありますけれども、午前中与党の森山委員が、井上正治教授の人権侵犯調査の申し立てについて、井上という先生の思想的な偏向を取り上げられて、この申し立てについては、ひとつその点を配慮して調査さるべきであるという趣旨に受け取れる発言があったというふうに、私は理解をする。御承知のとおり、人権擁護委員法によると、人権擁護委員は人権侵犯の事実を認めたときには通報しなければならないという規定がたしかあったはずです。井上正治教授は、前人権擁護委員であるというふうに私は理解している。しかし、いずれにいたしましても、人権侵犯事件調査というものは、あくまで事実が判断さるべきであって、事実が認定さるべきであって、申し立て人の思想が判断の対象になるべきではない。もしそのようなことであるとするならば、申し立て人の思想が判断の対象になり、調査配慮される事項として入るならば、そもそも人権擁護委員会の、人権擁護部の調査の公正というものは、それ自体私は期し得られないと思う。この点について、警察官の不当な権限行使に対する歯どめとして、人権擁護部に対するところの期待、あるいは人権擁護部の正確な職務の遂行というものに対するところの注目は、かなり大きいと思うのです。ひとつ公正な調査をするという決意のもとに、思想がさばかれるのではなしに、事実が認定さるべきが調査である。あたりまえのことでありますけれども、あえてこの点を念のためにお聞きしておきたいと思います。
  71. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 私ども調査いたしますのは、おっしゃるとおり事実でございます。先ほども猪俣委員の御質問にお答えいたしましたけれども、井上教授から申告されております事実及びそれに関連しました事情を調査する、このように先ほどもお答え申しましたけれども、決して申告者の思想とかを調査いたすものではございません。
  72. 中谷鉄也

    中谷委員 人権擁護部福岡法務局の担当者は、全力をあげて調査に従事するということを言っております。まさにそのようなものでなければならないと私は思う。  たとえば、局長さんにごらんをいただきたいと思うけれども、「アサヒグラフ」二月二日の九ページ、さらに「毎日グラフ」二月四日の七ページ左上段、さらに「週刊読売」二月二日の一三ページ。これらの週刊誌あるいはグラフなどというのは、その発行部数は何万、何十万という部数を私は数えていると思うのです。だから、そこに掲載されている写真というのは、前後の連絡はありませんけれども、少なくともすべて抵抗力を失ったところの学生、あるいは市民ともおぼしき人間に対するところの警察官の徹底的ないわゆる暴行、警棒という武器によるところの暴行の写真が掲載されている。全国民の前にそれが公開されている。どの国民だって、そういう写真を見た場合に、はたして警察官のそのような行動が正しいのだろうか、許されるのだろうか、違法ではないのだろうかという疑問を持つに違いない。言うてみれば、人権侵害の疑いが十分にあるところの写真というものがそこに出ておる。これらの問題について、人権擁護局としては、けさほどの猪俣委員質問にふえんして申し上げるけれども、単に井上教授の申し立ての博多駅における警職法事件だけではなしに、少なくとも国民の前に明確になった——人権擁護をつかさどるところの人権擁護局長自身も、おそらくそのようなグラフの何枚かをごらんになったでしょう。そのようなものを人権擁護局としては積極的に職権をもってお取り上げになって調査されることが、私は人権擁護局としてのお仕事の一つであると思うけれども、この点についてはどうお考えになるか、これをお尋ねいたしたい。
  73. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 ただいまお尋ね事件は、佐世保で行なわれた事件だろうと思います。先ほどの井上正治教授の申告の事件博多事件でございますが、佐世保事件につきましては、今年の一月三十一日に社会党の議員団のほうから、福岡法務局に来られまして、そして佐世保におきます事件の中で、催涙性のガス発射して、それによってそれを受けた者が炎症を起こしていやしないかという点と、非常にきたない水を放水しておるので、それによって健康上有害な影響を受けていないかという、その点につきまして調査をされるよう要望を受けたのでございます。もちろん、それらの申告及び要望につきまして調査をいたす所存でございますが、ただいまのお見せくださいました写真などに関連しましても、ただいまの御要望の事項と関連したものとして調査をいたしたいと思います。
  74. 中谷鉄也

    中谷委員 私がそのような写真をお見せしたから調査をするというのではなしに、人権擁護局としては、本来そのようなものについて調査の意思を持っておられた、また現に調査準備をしておられるというふうにお聞きしてよろしいのかどうか、その点をまず私はお尋ねをいたしたい。
  75. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 私どもは人権を擁護するという職責を本来持っておりまして、行政内部におきまして、他の——法務省も含みますが、他の行政府の行ないました処置につきまして、人権上問題があると思われる点を調査するという職責を持っておるのであります。そういう立場からいたしましても、ただいまの点を調査いたしたいと思います。
  76. 中谷鉄也

    中谷委員 刑事局長お尋ねをいたしたいと思います。刑事訴訟法の規定によれば、検察官は捜査することができるという規定にたしか相なっていたと思います。そこで私は、検察官というものの職責、機能について、いろんな見方があると思うのです。あると思うけれども、警察官のこのようなグラフに出てきておるようなところの人権侵害、公務員の職権の乱用と思わしきこのような行為——これは警察のほうは被疑者として学生を検挙をして送検をするということはやるけれども、警察官警察官を検挙したというのは、いまだかつて聞いたことがない。そうすると、一体それの歯どめは何か。それは世論であり、あるいはまた国民の監視であり、公正な報道であるとは思うけれども、検察庁がこのような平瀬橋における、現にそのような証拠としての写真がある、このような事実を放置しておいていいことだとは、私は思わない。これらについて検察庁として独自の捜査をされるべきであると私は考えるけれども、法務当局の御見解を承りたい。
  77. 川井英良

    ○川井政府委員 刑事訴訟法のたてまえといたしまして、警察が第一線の捜査機関であり、検察庁はいわゆる第二次の捜査機関になっておるということは、現行刑事訴訟法のたてまえであることは御存じのとおりだと思います。しかしながら、ただいま御指摘のような、警察官が捜査をすることが適当でないような事件、あるいは何らかの理由によって警察官が捜査ができないような事件、または御指摘のような警察官自体が犯罪に触れるおそれのあるような行為をしたのではないかと思われるような案件につきましては、刑事訴訟法のたてまえといたしまして、まさに検察庁がこれを捜査すべき義務を負うものである、私はこう思っております。  そこで具体的な案件でございますが、この案件につきましては、きのうもほかの委員会でいろいろお話が出たようでございますけれども、もしかりに御指摘のような逸脱した行動が警察官にあったといたしますならば、これは刑法の百九十五条あたりの条文に該当するような問題の事項ではないかというふうに考えるものであります。問題は警察官の行動というのは、申すまでもなく、法律によりまして、人のからだに対するいわゆる直接強制が許されておる行動でありますので、外形的な事実だけを見ますと、警察官の行動は、多くの場合においてはそれは暴行になる場合もありましょうし、いろいろ刑法に規定されているような犯罪の構成要件を充足するような事柄がたくさんある。最近のこの種の事件規制行動を見ておりますと、多くはそういうふうな外形を呈しておるわけでございます。  そこで問題は、それが犯罪になるかならないかということになるわけでございますけれども、要は警察官の行動が、刑法の規定するような合法の場面を逸脱しておったかどうか、違法な行動であったかどうか、違法性を持つ行動として認めることができるかどうかということでそのポイントがきまるのじゃないか、こう思うわけでございます。そうしますと、具体的なこの案件において、その行なった警察官の行動が、はたして法で定められた警察官の実力行動というふうなものを逸脱していたものかどうかということでこの事柄の正否が決せられるのではないか、こう思うわけでございます。  そこで、現地の検察庁に対しましても、いろいろな方々から、この点について検察庁は早急に強力な捜査を開始しろというふうな強い要望も受けておりますし、私どももまた現地からそういうふうな報告を受けております。そこで、現地検察庁といたしましては、それらの要望を受けまして、本来、最初に申しました検察庁のたてまえという点とかみ合わせまして、いろいろと調査内偵を進めておるのではないか、かように考えております。
  78. 中谷鉄也

    中谷委員 このようなできごとが、人権擁護という観点から許されていいはずがない。したがって、近く民主的な弁護士集団あるいはその他の人たちのほうから、この事案についての告発があるということを、私はこの機会に申し上げておきたいと思う。しかし、告発を待つことなく、まずこのような問題について検察庁は捜査をするという、そのような意気込みをお持ちいただかなければ、とうていこの種の、警察という壁の中に隠れた、権力というベールをかぶった警察官の犯罪についての捜査というふうなものは、私は不可能だと思う。  そこで警備局長お尋ねをいたしたい。先ほど引用いたしましたアサヒグラフを警備局長ごらんをいただきたいと思うけれども、要するに氏名不詳であっても、国民であれば、逮捕をされて、検挙をされて、勾留をされて、名前を言わされる。かりに警察官が抵抗力を失ったところの学生をなぐったとしても、その場が終わってしまえば、どこの警察官であるかわからぬ。学生の側、市民の側からいうと、それを調査ずる方法がない。ところが、たとえばアサヒグラフのその写真には——私自身もそういうふうな写真を何百枚も持っておるけれども、たとえばそのアサヒグラフの写真には、顔のはっきり出ておるところの警察官の姿がある。警察官というのは、個々に動いたわけじゃないでしょう、当時。指導命令の中で動いたわけでしょう。その写真の中で、私がAと万年筆で書いてある警察官、少なくともそういうふうな写真の中で顔がはっきりしている警察官の氏名は、確認して、資料要求の際には報告をさるべきだと思うが、そういう点について、氏名は確認できるということを私はお答えをいただかなければ、なぐりっぱなし、国民はいつまでもなぐられたままではしんぼうできません。その点についてお答えいただきたい。
  79. 川島広守

    川島(広)政府委員 今回の、いまお尋ねのこの写真は、平瀬橋事件でございますけれども、この事件につきましては、先生現地においでになられていろいろ関係者からお話を聞かれたようであります。けさほども私からお答えいたしましたように、あの平瀬橋事件現場におきましては、約一時間五十分にわたりまして、わがほうとしましては、最初放水をいたし、次にガス剤を使い、最後にガス水を使った。そういうふうな制止行為をいたしました後に、相手方学生によって破壊されましたバリケードの上に大だてを伏せまして、その上を通って平瀬川を渡って前面に出で規制するということと、もう一つは側面から部隊を出しまして、検挙並びに制止活動を行なったわけでございます。この間に行ないましたいわゆる規制措置の所要時間と申しますのは、わずかに七分程度の短い僅々の時間でございます。しかも、さらに警棒を使いましたのも、それぞれの部隊でいま申しました時間の範囲内において警棒を使用したわけでございます。私のほうから申しますれば、まさに非常特別な場合でございまして、先生も十分に御想像がつくと思いまするし、また現地でいろいろ話もお聞きになったと思いますけれども、私のほうは、けさほど申しましたように、六十センチの警棒しかないわけであります。相手方は全員が石を持ち、二メートルの角材を持って振り回し、なぐり、ける、突くということでございます。その場合、わがほうとしましては、用い得る手段はそれしかないのでございます。しかも、この現場の写真は、平瀬橋の写真だと書いてございますけれども、要するにこの瞬間直前どういう事態があったかということ、そういうことをやっぱり全体としてお考え願いませんと、私のほうとしては、それ以上申し上げられないと思うのです、先生案内のとおりに。そうでございますから、初めからわがほうとしては、直接に規制をしないで、遠隔規制で抵抗の抑止をはかりたい、このような考え方で、実はけさほど来述べておりますように、水を使ったり、ガスを使ったりいたしたわけであります。あとうべくんば直接規制は避けたかったわけでございますが、どうしてもわがほうの警備目的が達せられませんでしたので、やむを得ずこのような措置をとったわけでございます。さように御理解願いたいと思います。
  80. 中谷鉄也

    中谷委員 お答えは、私のお尋ねしていることと全然違うのです。七分だということを力説されましたね。あなたのところの標語にあるじゃないですか。注意一秒けが一生。交通事故なら一秒ですよ。一秒でけがさしたところの運転手は、責任を免れますか。七分も警棒を振り回したという事実があるじゃないですか。しかし、私が聞いているりは、そんな一般的なあなたのほうの説明を聞いているのじゃないのです。それから私今後当委員会で、先ほど委員長にお願いをしたように、数回にわたって質問を続行させていただきますけれども、あくまでもあなたのほうはわがほうということばをお使いになりますか。わがほう、相手方、結局対立観念といいますか、対立感情がむき出しじゃないですか。警察側とか、警察としてはということばが、なぜ使えないのですか。わがほう、相手方——敵側ということばが出てこないだけましだ。そういうふうなことばをお使いになるかどうか。そのことばの中にも、警察のいわゆる対立感情というものがあらわれている。それが今回の事件の背景なんですよ。それはさておいて、私がお聞きをしたのはそんなことではない。その写真に出ておる警察官は、むやみやたらになぐり込んできた人間じゃないのでしょう。どこかの都道府県の警察官なんでしょう。その警察官の氏名の確認ができないというふうなことでは、野放しの状態で警察官がおった、それこそ統制のとれない暴動であったという以外の何ものでもないと思うけれども、そういう警察官の氏名は確認できますね。その一点だけお答えを願いたい。
  81. 川島広守

    川島(広)政府委員 いまここにお示しのありました写真等、私のほうでもいろいろ集めております。と申しますのは、先般来先生の御指摘をまつまでもなく、各方面からいろいろなお話がございまして、そういう意味合いで、現地でどのような部隊が、あるいは何中隊がというようなことについても実はいま調査をしておるところでございますので、はっきりここで、この写真だけでわかるかどうか、確答は申し上げられませんけれども、つとめてそのような方向で努力しておることは、はっきり申し上げたいと思います。   〔発言する者あり〕
  82. 中谷鉄也

    中谷委員 私のほうでは、あなたのほうに少なくとも新聞、週刊誌、グラフ、さらに手持ちの写真数百枚、あらゆるものをお見せする。それで確認できませんでしたというようなこと——佐藤君が何か言っておるらしいけれども、だれも、どの写真も確認できませんでしたというようなことではも世の中は通りません。だから、少なくとも国民の前に何十万と配られたそういうふうなグラフの写真が今日確認の努力がされておらないとすれば、これは警察は一体何をしておったのか。学生を検挙する警察官の行動については、一般的にいってやむを得なかったのだという、一般的なその議論だけで本件を終わらすというようなことは、市民の権利、自由を守り、警察権限の行き過ぎをなくするという観点からいって、非常に危険な考え方だと思う。人権擁護局は、この平瀬橋の問題について調査すると言っておられる。野党の私が、その氏名が確認できるかというだけじゃないですぞ。人権擁護自身から、あなたのほうにこの警察官は一体だれなのかということの問い合わせがあります。さらに、安保闘争事件の際に、いわゆる教授団に対する暴行事件については、準起訴請求手続の中で、東京地方裁判所は、夜の事件だったけれども、四百人の警察官の面通しをやったでしょう。そういうことをうやむやに終わらしてはならないということから、東京地方裁判所は面通しまでやった。あなたのほうで、少なくとも指摘された者の氏名については調査をいたしますということを言うことが、あなた方警察の行動について自信があるなら、調査をします、氏名確認の努力をいたしますと言うことが、警察としての公正な答弁であり、立場であり、主張ではないですか。この点について、お答えをいただきたい。
  83. 川島広守

    川島(広)政府委員 いまお示しのこの写真のAということでございますね。、まだたくさんお持ちだそうでございますから、ぜひ私どものほうに提供していただいてもだれとだれとだれをどういうふうにやって調べるのか、いろいろ御教示を得たいと思っております。
  84. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、今後私のほうから提供し、提示したところの警察官の氏名については、単にそのアサヒグラフに限らず、あなたのほうで氏名確認についての努力はされるということは、お約束いただけますね。
  85. 川島広守

    川島(広)政府委員 努力はいたします。
  86. 中谷鉄也

    中谷委員 次に、博多事件について、一点だけ警備局長お尋ねをしておきます。  警職法の問題というものは、すべての国民に非常に影響する問題であって、私は大事な問題だと思う。したがって、この一点の質問だけで終わらすつもりは決してありませんけれども、一点だけお尋ねしておきますが、あなたの御答弁によりますと、要するに所持品検査についての承諾があったんだという趣旨の説明があった。これは警職法二条の法的な評価、警職法二条によって所持品検査ができるのかどうかという以前の問題ですね。法律的な問題以前の事実の認識の問題なんです。そこで、私の見解を申し上げるならば、くどいくらい説明されましたね。飯田橋で棒を持って襲いかかってきた。また国鉄の公安本部長は、列車を占領してやってきた。その学生が、博多駅の南出口を出たその場所においては——あなたの説明によると、三派全学連というのは、権力に徹底的に反抗する立場らしい。それが突然変異のごとく、所持品検査に応ずる、権力の行使に応ずる存在に変わってしまう。まさにお化けのような存在であったらしい。そんなようなことは、少なくとも私の常識が承知しません。飯田橋では襲いかかってきた。それが博多駅に来たら、所持品の検査などという、それをさしたというふうなこと、考えられません。しかし、この点については、人権擁護自身調査をされるし、おそらくこの調査については正当な真相が究明されて、結論が出るだろうと私は思うけれども、あなたにお聞きしたいのは、この委員会でそういう警職法事案について、承諾があったのだというふうなことを言って、確信を持ってあなた言っておられるんですね。ところが、将来人権擁護局の調査の結果、不法な所持品検査であったのだ。承諾なんというのはなかったのだ。千五百人という警察官を動員したところの威力によって、公務執行妨害というところの権限を背景に持って無理やりに所持品検査したのだというふうな結論が出た場合に、そういうふうに判断をしておりました、そういうふうに報告を受けておりましたというふうなことだけではたして済ましていい問題かどうか。やはりこの委員会というのは、裁判所じゃないけれども、真相の究明ということが大事なんでしょう、真実を報告するということが大事なんでしょう。そういうふうな結論が出ますよ、この人権擁護部で。そういう結論が、全くあなたから答弁された事実認識と違う、あなたの言われた報告と違う結論が出たという場合、一体その責任の所在はどこにあるのですか。だれがそういうふうな答弁をされたことの責任をおとりになるのですか。この点について、あなた自身はそれはもう全く確信を持っておったということを言っておられるが、そのような事実認識が人権擁護局等においてくつがえされた場合において、あるいは将来国家賠償法等の訴訟になれば、裁判所において、行き過ぎの警職法の権限行使だったために損害賠償を払いなさいという、そういう判決が出た場合に、一体警察のだれがどのようにして責任をとるわけですか。私が言っているのは、国家賠償法による慰謝料を払えばいいというふうな責任のとり方ではないのです。人権擁護局からおしかりを受けたという責任のとり方ではないのです。この委員会でそういう答弁をされたということについて、その責任を一体だれがとるか。今後、私はいろいろな問題について聞いていきます。その場その場の答弁で、事実についての食い違いがあり、事実についてのお互いの間の議論の違いということもあり得るでしょうけれども、見方の違いをこえて、いわゆる動かない事実についての食い違いがあるということは困る。こういう点で、もしそういうふうな点について将来人権擁護部の調査とあなたの御答弁と食い違った場合に、責任をおとりになるかどうか、この点はいかがでしょうか。
  87. 川島広守

    川島(広)政府委員 私は、中谷委員の問題につきましては、そのようなことはなかったと確信をいたしておりますから、そのように……。
  88. 中谷鉄也

    中谷委員 だから、そうすると、あなたの答弁によると、飯田橋で襲いかかってきて、そうして列車を占領したというところのその学生が、突然博多駅の出口を出たところで所持品の検査に応じた、すなおに応じた、そのような学生に変化をした。そんなことが考えられますか。一体変化をした動機は何か。どんな心境の変化があったんだ。だれだってそんなことについてはふしぎに思いますよ。あなたの確信はいいですよ。しかし、将来の調査でそういうことが違った場合に、そんな答弁をしたことの責任というのは、警察当局としてはどんな形でおとりになるのか。確信を聞いているのじゃない。お互いに確信など突き合わせをしておってもしようがないです。だから、一体どんなですかと私は聞いている。この場でそういうようなことを言って、これはその場は通るでしょう。将来そうでないのだという結論が出たときに、一体どうなるのか、この点はいかがですか。
  89. 川島広守

    川島(広)政府委員 いま申しましたように、私は確信をしております。いま先生お尋ねのように、仮定の問題でございましょうから、そのときになりますれば、議事録も残っておりましょうし、私はそういうことは絶対ないと確信をしておりますから……。
  90. 中谷鉄也

    中谷委員 私があなたの立場だったら、確信を持って言った以上は、議事録に残っておるのだし、その点については責任をとりますよと、私なら答えますよ。  しかし、いずれにしても質問を続けますが、催涙ガスの問題についてお尋ねをいたします。いわゆる催涙ガスというものは、一体警職法にいうところの武器なのかどうか。この点をひとつお答えをいただきたいと思います。
  91. 川島広守

    川島(広)政府委員 中谷委員、先ほどの点を蒸し返して恐縮ですけれども、お答えする前にちょっとお聞きしますが、このAという人間の名前、これはどういう意味でございますか。ちょっといま見直したのですけれども、警棒を持っておるだけでございますけれども……。
  92. 中谷鉄也

    中谷委員 それでいいんです。とにかくそういうことが確認できるかどうかということです。
  93. 川島広守

    川島(広)政府委員 そういうことで了解しますから……。  いまお尋ねガスの問題でございますが、警察の武器所持につきましては、先生御専門でございますけれども、七条に武器の使用に関する根拠規定がございます。それで、ガスにつきましては、昭和二十五年から使用しておりますことは午前中お答えしたとおりでありますが、その当時の国会におきましても、たびたびガスが一体武器かどうかというような点については応答がございまして、当時国警長官は、お答えの中では、これにはいろいろな論議がございます。したがって、武器であるかどうかはまだはっきり定まっておりません、という答弁をたしかしておるはずでございます。現在、警察庁といたしましては、ガスは武器ではないという判断でございます。というのは、これはまた先生御専門でございますからあれでございますが、武器と申しますのは、本来人を死傷させる、そういうような性能を持ったものであり、器具でございまして、しかも人を死傷させるためにつくられた器具、これが武器である、こういうふうにわれわれは理解するわけでございます。ところがいま申しましたガスと申しますのは、先生案内のとおりに、あくまでもこれは一過性の刺激だけでございまして、後に機能的な障害を残さない、こういうのがガスの特質でございますので、われわれのほうとしましては、武器ではないという考え方でやっております。ただし、このガスの使用につきましては、慎重に使用いたしますことはこれは申すまでもございませんので、内部的な指導といたしましては、警職法七条本文の使用要件がありますときに限って使用する、こういうふうに内部指導をいたしておるのが実情であります。
  94. 中谷鉄也

    中谷委員 その場合のガスガス弾あるいはガス混入水というふうないろいろなものがありますが、そのガスと私のほうからお尋ねし、また催涙ガスというふうないろいろなことばでお尋ねしたわけだが、要するにそのガスという場合、本件の場合のみならず、警備警察としてお持ちになっているガス、装備しておられるガスというものは、一体どんなものなのか。どんな装備、どんな器具、そして問題のガス弾ガス剤、そういうふうなものについて、若干のお答えをいただきたい。
  95. 川島広守

    川島(広)政府委員 まず最初に、ガスの性能は一種類でございます。ただ、いまお尋ねのように、これを使います使用態様によりまして種類がございます。ガス剤と成分は同じでございます。ガス剤とガス水と二つに大別できるわけです。ガス剤のほうにつきましては、いわゆる吹き出しで、ガス銃で火薬を詰めて飛び出すやつですね、大体百メートルくらい飛びますけれども、そういうような発射式のもの、それから手で投げるもの、大きく分けてそういうものがあるわけでございます。
  96. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、予算委員会のほうでも問題になったというふうに私は理解をしておるけれども、まずその前提として、問題のガスというのは私は武器だという考え方を持っておる。この点については、後日詳細に議論をいたします。武器でないなんということは通らないという考え方を持っておる。でありますが、ガスについては、ガス取り扱い規程というのがあるわけですね。そしてそのガス取扱規程というのは何か公表できないと言われたらしい。だとすれば、いま一度ガス取扱規程を公表できないという、それを明確にお答えいただきたい。
  97. 川島広守

    川島(広)政府委員 ガス器具の使用につきましては、内部規定がございます。予算委員会でもお答え申し上げたのでございますけれども、ガスと申しますのは、いま先生のおっしゃいましたように、実は警察が持っております制止用具といたしまして——拳銃は武器でございますが、それ以外の制止用具としましては、これが最高なものでございます。このガス以外にはこちらは何もないわけでございます。そういう意味合いで、このガスの使用につきましては、使用方法の内規を全部公表いたしますと、これは相手方に直ちにいろいろ防御手段といいますか、すぐ講じられてしまいますので、ガス効果が大幅に減殺をするわけです。そういう意味合いで、内部的な使用につきましては非常に慎重を期しておることは先ほどお答えしたとおりでございますけれども、個々の規定の具体的な内容については、そういう意味合いで、何も別に秘密にしておかなければならない理由はないのでございますが、ただ、いま申しましたように、これは外部に全部発表したということになりますと、直ちに種々な対抗手段がとられるということで、結局ガスを持っておる機能というものが減殺されますので、そういうような意味合いであえて公表を差し控えさしていただきたい、こういうふうにお答えしたわけでございます。ここでも同じような意味でございます。そのように御了解いただきたいと思います。
  98. 中谷鉄也

    中谷委員 正確にお聞きします。そのガスの取り扱いに関するものは、どういう名前のものですか。
  99. 川島広守

    川島(広)政府委員 ガス器具使用及び取扱規程。これは警察庁の訓令になっております。
  100. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、その訓令は秘密のものではない……。
  101. 川島広守

    川島(広)政府委員 部外秘でございます。
  102. 中谷鉄也

    中谷委員 部外秘。そうすると、それを部外秘にしておく理由というのは、それが利用されるということを心配しておるということ、防御の方法を教えるというふうなことを心配しておられるということ。ところが、まず、そういうガスについては、警職法七条の武器であるかどうかについての議論はあった。しかし、武器ではないという統一見解を持った。しかし、七条の武器の規定に基づくという、いわゆるその点についての意思統一もしておられる。だとすると、そのガスの使用が合理的なものであるかどうか、いわゆる規制制止の範囲を逸脱しないものであるかどうかということについては、ガス取扱規程というものがまず正しいかどうか、ガス取扱規程そのものが七条の精神に合致したものであるかどうか。さらに、かりにガス取扱規程が正しいものだとしても、そのガス取扱規程に反した取り扱いをしなかったかどうかという、その基準はガス取扱規程になってくる。だとすると、外部に見せないというあなたの立場は、だれかが利用するかもしれないという立場だけが強調されて、その規程に合致した使用をしたかどうか、その規程が人権を守る立場において正しい訓令であるかどうかという点についての検証、分析、それを国民の立場においてするということの観点が抜けておる。ガスについては、予算委員会でも大問題になった。ガスの成分についてまず問題になった。ガスの取り扱いも、これまた問題にしなければならないことなんです。ガスの取り扱いがはたして正しかったかどうかということについては、取扱規程がなくてはその分析ができない。その点については警察にまかしておきなさいというふうなことでは、予算委員会においても問題になったように、この法務委員会において、そのガスの行使、ガスの使用、それが正しかったかどうかという問題についての判断の基準がないと言わざるを得ない。こういう観点についての配慮、あるいはそういうふうな主張については、どのようにお考えになるか。
  103. 川島広守

    川島(広)政府委員 いま先生の強調されました点は、主として人権擁護といいますか、警察官ガス使用が正しいか正しくないか、適正であるかどうかという判断のあり方の中に入っているはずだ、こういうお話でございます。私がいま申し上げましたのは、要するに対抗手段と申しますのは、ガスというものは、いま申しましたように、わがほうとしては七条本文の使用要件に合致する場合にのみ使うというふうになっておるわけでございまして、非常に慎重に扱っておるわけでございます。そこでガス使用規程につきましては、実は昭和二十七年のメーデーの裁判の場合にも、裁判所から提出を命ぜられて、私がいま申し上げましたような意味合いについて詳細に申し上げて、裁判官から提出しなくてよろしいということになった経緯があるわけでございます。  さらに、関連がないとおしかりを受けるかもしれませんけれども、警察の持っておりますいろいろな内部規程でございますが、たとえば警棒でございますとか、あるいは一般的に警察官がだれしも持っておる拳銃でございますとか、そういうようなものは、個人個人がみな携帯するわけでございます。ガスの使用につきましては、現状は個人個人の使用を許しておらないのでございます。あくまでも部隊として、部隊用具として使用することに相なっております。そういうわけでございますから、これを外部に発表するということは、いま申しましたように、使い方によって相手方がいろいろな対抗手段を考えてくる、そういうようなことを中心にして、実は部外秘にしてあるわけでございます。御満足じゃないかもしれませんが、そういうふうにお答えいたします。
  104. 中谷鉄也

    中谷委員 部外秘にしている警察の立場、理由というものは、何べんもあなたはちょうちょうと言われるのですよ。しかし、ガスの使用は、人権侵害どころじゃなしに、ガスの使用による職権乱用罪が成立する可能性がありますよ。現にやけどをした人がおるじゃないですか、ということですね。とにかくたいへんなかいようを生じた人がおりますよ、二日と見れない顔になった人がおりますよ、ということを盛んに主張している人がいるわけなんです。そうすると、ガスの成分がまず問題にされなければならない。はたして使われたガスがその成分のガスであるかどうかということについての事実認定が一つありますよ。あなたの言っているようなガスが使われたかどうかという問題がありますよ。同時に、ガスの取扱規程といろものがわからなければ、人権侵害をされたのかどうか。取扱規程が一体どうなのか。二十倍に薄めたらだいじょうぶだとか、それを六十倍に薄めましたといったって、それが事実だったのかということは、取扱規程が基準になる、それが基本になってくるわけですから、その観点が抜けてしまっておっては、問題がずれてしまうではないですかと私は言っているのです。メーデー事件のときにそのようなことがあったといったって、それは言うてみればさばかれておる被告人の立場においての問題でしょう。要するに、今度は第三者の市民も、そのガスによって被害を受けたわけです。市民病院の人たちが受けた。救護を受けて皮膚を洗った人がいるのです。そういうような問題について、市民の権利を守るという立場からガス使用規程というものを見る必要があるじゃないか、これについては、一体どう説明するのですか。そうでなければ、ガスの使用が正しかったかどうか、適正であったかどうかも取扱規程どおりであったかどうかということの判断は、できないじゃないですか。その判断だけは警察にまかしておけ、警察は七条に基づいて行使していますといったって、行使しているかどうかを論議しようとする立場からいうと、警察は行使しています、はいさようでございますかというわけにはいかぬでしょう。この観点は一体どうなるのかということを聞いているのです。
  105. 川島広守

    川島(広)政府委員 先生お尋ねは非常にいろいろ入っておりますので、整理してみて、まだ不満足なことがあればお尋ねいただきたいと思いますが、いま何度も繰り返して申し上げておりますように、使用規程は先ほど来申し上げたような意味であるわけでございますが、いまお尋ねの成分とかそういう問題は、規程の中には入っておらないのでございます。
  106. 中谷鉄也

    中谷委員 では、整理して私のほうから言いましょう。ガス取扱規程を公表するかしないかの判断は、あなたの観点の中に、それが七条に基づいて公正に行使をされたかどうかという点について、国民の立場からその使用規程というものが明確でなければ、判断する基準が一つ欠けるということなんです。そうすると、外部からそれがとにかく防御のために利用されるということがかりにあったとして——私はそういうような放水車なんというもので、とにかくそういうものが飛んでくるものについて、はたしてどういうふうに防御するのかわかりませんけれども、私にとってはそれは理解できないことだけれども、かりにそうだとした場合、そういう防御について云々という警察の立場と、市民としてのほんとうに七条に基づいて正確に行使されたかどうかというその疑惑、国民の疑惑、それとをてんびんにかけた場合、一体どちらが大きいのかということについての判断がなくて、ただ一方的にガスについては防御に使われるおそれがあるというふうなことで使用規程は明白にできませんというようなことでは、まず発想が間違っているじゃないか、おかしいじゃないか、こういうふうに私は申し上げたい。   〔委員長退席、濱野委員長代理着席〕
  107. 川島広守

    川島(広)政府委員 中谷先生がおっしゃっておりますのは、おそらく佐世保のあの事件を頭に描かれながらお尋ねになっているのだろうと私は考えます。そこで、平瀬橋のあの事件につきましては、午前中も詳細にお答えいたしたわけでございますが、あの場合には、八百名の学生現地に来て、全員が角材を持って、そして全員が側溝の石を砕いて、そして一時間五十分にわたって公務執行妨害の現行犯を継続しておったわけですね。そういうふうな現状に対して、私のほうといたしましては、先ほど来述べましたように、当初は放水をもってやり、その間に幾度となく、何十回となく、いわば警職法七条に基づく警告をいたし、そういう時間の経過の中で、もちろんガスを使用いたす場合には、事前に十分なる警告をした上でガスを使ったわけでございます。そうでございますから、警職法七条本文の中に書いてございます使用要件、三つございますけれども、あの場合には明らかに七条本文の使用要件に合致するわけでございますから、そういう意味合いで、先生おっしゃっておられる、どういうことで判断するかというお尋ねでございますけれども、私のほうといたしましては、警職法七条の使用要件を十分に満たしてある、だからこれを使ったのだ、こういうふうにお答え申し上げたいと思います。
  108. 中谷鉄也

    中谷委員 違うのですよ。問題は、七条を受けたところの取扱規程が、七条の要件にそのまま合致していなければいかぬでしょう。取扱規程というものが、まず七条の要件に合致した取扱規程でなければならないでしょう。だから、その規程が七条に合致しているかどうかについての判断は、規程を見なければできないでしょうということがまず一点です。それを見せないというのだから、その判断のしょうがないでしょうが。私自身がその規程を見れば、七条のこのような要件の場合にはこのような取扱規程に基づいたガス使用はいいと言えるけれども、取扱規程がわからなければ、七条の要件に合致しているかどうかわからないでしょう。まずこの場合に、ガスを使用していいということと、どのようなかっこうでガスを使用するかということは別なんですよ。そのことが局長、わかっていただけますか。それは取扱規程だから、それを見なければわからぬでしょう。しかも、取扱規程が正しいかどうかという問題があるし、取扱規程に合致しているかどうかという問題もあるじゃないか。そういうことだからこそ取扱規程は見せるべきではないですか。あなたのほうの都合というか、警察の相手方にというふうなことをおっしゃって、防御されたら困るということだけでその規程を見せないということなら、七条との関係において分析する観点からいうならば、その規程がなければ、そういう人権擁護、逆に言うと七条の行使が正当であったかどうかという規定上、法律根拠上の材料が大きく欠けているじゃないですか。欠缺するじゃないか、このことを申し上げておる。
  109. 川島広守

    川島(広)政府委員 お答えはどうもちぐはぐになりますけれども、まずいまおっしゃった第二の問題のほうを私は申し上げておるのです。先生は、平瀬橋の場合には、ガスの使用規程云々は別にして、私がたびたび申し上げておりますように……。
  110. 中谷鉄也

    中谷委員 平瀬橋関係せずに言ってくださいよ。
  111. 川島広守

    川島(広)政府委員 いや、七条の本文の使用要件を十分に充足しておったと私どもは考えておるわけでございます。そうでございますから、繰り返して申し述べておりますように、私どものほうの内部指導といたしましても、規制といたしましても、いま申しましたように、七条本文の使用要件を十分満たしておる。あえて申しますならば、今回の場合は七条ただし書きの点を十分に満たしておるわけでございますから、その点は、先生御専門でございますから十分御理解がいくと思いますけれども、そういうような意味で私は申し上げておるわけです。先生は規程規程とおっしゃっておられますが、私どもといたしましては、いま申しましたように、ガス用具というものを部外秘にさしていただいておりますのは、繰り返し述べますけれども、ガス使用はこういう場合、こういう風の向きを考え、こういう点云々であるという詳細なことを申し上げますれば、相手方にそれぞれそれに対する有効な防御手段をとられてしまいますので、ひとつ公表を差し控えさせていただきたいということをお願いしておるわけです。
  112. 中村重光

    中村(重)委員 関連して。局長は当日現場に行っておりますか。
  113. 川島広守

    川島(広)政府委員 私は年末二十九、三十日現地に行って、現地の様子は十分知っております。それから、現地との連絡は有線と無線でやっておりましたので、現地状況は十分知っておるつもりであります。
  114. 中村重光

    中村(重)委員 私は、学生諸君の行動というものを肯定をしているわけじゃない。また、いたずらにそれを弁護しようという考え方でもない。だがしかし、答弁は正確にお答えにならなければいけません。先ほどから中谷委員質問に対する答弁を聞いていると、全くあなたの答弁はでたらめなんです。事実と相違する。いまお答えになった、全員が角材を持ってとか、全員が石を持ってとか、あるいはガスを使うにも、十分に警告を発してガスを使ったとか、全然うそなんだ。私は地元だから、事実を知っている。全員が角材を持っておったわけでもない。全員がそれぞれ石を持って投げておるのでもない。それは相当数があなたのおっしゃるようなことであったのは事実だ。しかもガス使用にあたって、警告もせずにガスを使ったということは、たいへんな問題になっている。市民病院では憤激している、患者も医師も看護婦も。その事実を、あなた、御存じない。そうして一方的に答弁さえすればよろしいというような、そういう不謹慎、ふまじめな答弁は、あなたは反省しなければいけない。先ほどの放水の問題でも、あなた、全くでたらめな答弁をしておる。一時間五十分の後、ただ瞬間、七分間の中で実力行使をやってガスを使用したという言い方をしておる。あの学生平瀬橋についたのが、十時前後なんです。いいですか、十時五分からですよ、ガス弾発射して、そうしてなにを知ったのは五分か十分です。はっきり新聞に書いてある。事実に相違するような答弁をされないほうがよろしい。私はあらためて地方行政委員会質問するつもりだから、関連だからこれ以上のお尋ねはしないけれども、もう少し慎重に、まじめに、事実は事実としてお認めになるところはお認めになる、そういう態度でなければ私はいけないと思う。
  115. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 ちょっと関連。ガス使用の問題については、私はまだ討論を聞いてから言いますけれども、十時五分からガス混入した水をかけたということは、これは事実に反しております。私は十時から平瀬橋そばで、十時、十時十分、十時十五分、十時二十分、十時二十五分と順序にやりまして、私のこの手帳には、十時三十五分に放水ガス使用ということを私は書いております。これは私は現地で見たのです。ですから、十時五分からガス混入した水をかけたということはうその発言だ、私はこういうぐあいに思っております。しかも、十時三十九分から投石が始まっておる。それまではこん棒を中心にして突撃を開始しておったけれども、十時三十九分に学生が投石を始めた。十時四十分に、一分後に道交法違反ということで、すみやかにその道路から解散してくれ、こういう発言。四十三分に社青同が突入。ガスに対する警戒といいますか、警報を出したのが、すぐその四十三分から大体三十秒ぐらいあとで、ガスについての注意を出した。病院の窓を締めてくれ、こういうことにいたして、ずっと約一時間五十分にわたって、警告を発しながらガスを使用したのでありますから、無警告に直ちに十時五分からガス混入した水を出したということは、これは御訂正を願いたいと思っております。
  116. 濱野清吾

    ○濱野委員長代理 事実問題の対立は後ほど十分検討するということにして、中谷君、継続して……。
  117. 中谷鉄也

    中谷委員 それではも取扱規程について納得できないし、合理的な御説明があったとは私は思わない。七条の具体的な行使についての判断が正しかったかどうかということを検証するためには、取扱規程が必要なんですよと何べんも言っている。結局あなたのほうの言い方は、警察の行使は正しかったんだから、その場におった者は見てくれればわかるでしょう、聞いてくれたらわかるでしょうという考え方なんです。掘り下げてその問題を分析することについて幕を引いている。幕を引くということは、その規程は公開しませんということなんです。それでは国民は納得しません。さらにこの問題について続行してお尋ねします。  ただ、いま一点だけお尋ねをしておきますけれども、警職法七条についての判断をされたという。あの場合、ガス放水をした場合に、市民病院のほうにガスが流れていくという点についての判断が当時からあったかどうか、いかがでしょうか。
  118. 川島広守

    川島(広)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、私も実は年末二十九も三十と現場を見てまいりまして、現地におきます警備計画等についても、いろいろ相談にあずかった経緯がございます。そこで、いま先生指摘のとおりに、平瀬橋の場合には、市民病院がございますし、さらにまたその上には共済病院がございます。したがって、ここにおけるガスの使用は非常にむずかしい。二月の通常の風向きでございますと、平瀬橋から西北になりましょうか、市民病院に向かいまして河口のほうに風が吹いていくのが普通でございますが、たまたまあの場合には、西南西と申しましょうか、平瀬橋西詰めのほうから佐世保橋のほうへぐるっと回っておったわけであります。そこで、当初ガス筒を使ったわけでありますけれどもも風向きが途中で変わりましたので、これはたいへんだ、市民病院のほうにも入っていくということで中止をしたという経緯もございます。その場合に、ガス水の場合、けさほども申しましたけれども、到達距離が三十メートルしか飛びません。しかも水でございますから、指向性がございます。それから拡散性がないので、ガス弾よりはガス水のほうが病院に対する影響も少なかろう、実はこういうような判断をして使ったわけでございます。
  119. 中谷鉄也

    中谷委員 市民病院患者もこれはいわゆる第三者、このような第三者が七条の武器使用との関係においてガスの被害を受けなければならないという根拠は、一体どういうことになるのか。これは警察としてはどのようにお考えになっていますか。
  120. 川島広守

    川島(広)政府委員 ガスを使います場合の根拠といたしましては、先ほど申し上げましたように、警職法五条の精神ということもございますし、私どもとして五条を考えておりますが、しかしながら、七条の武器使用の要件を満たして使う、こういうように考えております。そこで五条及び七条、それに先生案内のいわゆる比例の原則ということで考えておりまして、あの場合、中村先生もおっしゃいましたけれども、私のことばが足りなかったら直させてもらいますが、私の申しましたのは、実力規制に入りましたのが十一時五十何分でございますから、そういう意味合いで先ほど申し上げたわけでありまして、そういう意味ではまことにお気の毒だと思っております。いわゆる第三者の方々にそういうような意味で御迷惑をかけたことにつきましては、残念、遺憾に存じておりますけれども、いま申し上げましたようなことで、あの場合あの方法しかほかにとるべき手段がなかったと私どもは考えておるわけであります。けさも申しましたように、あの場所におきましてあの不法事態制止し、ないしは逮捕いたします場合には、あれよりほかにとるべき手段がなかったわけでございます。その点は先生も御理解がいただけるものと私は確信をいたしておりますけれども、あの場合にはあのほかにとるべき方法がなかった、こういうように考えておる次第であります。
  121. 中谷鉄也

    中谷委員 警察の考え方あるいはその主張というのは、そうすると、病を養っておる病院患者が手段と目的の関係の比例原則からいうと、ガスをかぶっても、ガスが流れてきて病室へ入ってきても、お気の毒でございましたというだけで、一体どういうことになるのですか。それは第三者の患者の立場からいうと、そのような拡散性のある——ガス放水だって、いろいろな問題があったと思うのです。そういうようなものが使われることについて、比例の原則という警察権限の行使はともかく、患者の立場からいって受忍義務があるとするならば、どの根拠からくるのか。そんなことで第三者である患者に、警察がお気の毒でございました、やむを得なかったということで済まされるか。済まされるなら、比例原則などということではなしに、もっと明確な理論づけがなければ、そのようなガスの使用というものについての納得した説明にはならないと私は思う。第三者である患者が、受忍しなければならない、そのようなものをかぶらなければならない、そのことについて文句が言えないとするならば、その根拠は一体何なのか。これは一体どうなりますか。
  122. 川島広守

    川島(広)政府委員 けさほどもお答えしたかと思いますけれども、実は年末に私が参りましたとにきも、繰り返しになりますが、いま申しましたように、おそらく学生集団としましては、どうしても基地に突入する、こう言っておるわけでございますから、いずれにいたしましても中谷先生案内のとおりに、平瀬橋かあるいは佐世保橋か二つしかないわけでございまして、この橋でわがほうとしては限止線を張らなければならない。そういたしますと、いずれたいたしましても平瀬橋のほうに向いてまいりました場合にはどうしても、これはバリケードはもちろん、その他も巖にいたしますが、最後の制止の手段としてはガスをかけるということしかないというふうな結論になりまして、年末にも市民病院院長先生のほうにその旨、われわれとしてもむろん使うのは本意でございませんけれども、万一風が変わることもありましょう、そういう場合には十分締めていただきたいということを実はお願いをしてございます。ただ、先生にしかられますけれども、お願いしただけかとおっしゃいますけれども、またその当時といたしましても、使います場合に病院のほうにも連絡をしたわけでございます。したがって、全部窓を締めていただいた。ただ、結果的に、一応警察のほうでも院長先生並びに事務長さんにお会いしましていろいろおわびかたがた状況視察に参ったわけでございますが、その場合に、外来の患者の方々あるいは子供さん等が目が痛いというようなことで泣いておられたということがあったそうでございます。これにつきましては、ガス剤が行ったということもございましょうけれども、それ以上に、ガス水の付着しました被服、これを着た者が洗眼その他に——けさほど佐藤先生のお話もございましたが、七百名ほどの者が目を洗いに、からだを洗いに行かれた。これが外来のところに行かれたわけでございます。そのことによって、治療に当たられました医者の方も、あるいはまた看護婦さんの方々も、たいへん刺激されたということも聞いておるわけでございます。
  123. 中谷鉄也

    中谷委員 事実関係については、お互いに調査しているのです。それについては詳しくまたやるのです。きょうは午前中、猪俣先生も言っておったように、十一時に終わる予定の人が一時前までおやりになったから、事実関係について詳しく聞けない。ただ、私が聞いておるのは、そういう事実関係ではなしに、受忍しなければならない法律的な根拠はあるのですか、そういうことについて警察はお考えになりましたか、比例原則なんということだけで受忍義務の説明はできないでしょう、こういうふうに言っておる。そのことについて、失礼だけれども、だらだら事情と事実の説明をされる。だから、話が長くなるのです。そのことの法的な根拠は一体何ですか、そういうことをお尋ねしているのです。これはひとつお答えを願いたいと思います。
  124. 川島広守

    川島(広)政府委員 警察が権限行使をいたします場合に、権限法に基づく根拠がございます。先ほどから述べておりますように、警職法の五条、これは制止でございます。実際に使います場合には、内部規程として七条を根拠といたしておる。そこにいわゆる先ほど来繰り返して述べておりますが、警察の比例原則によって受忍していただく、こういうことになろうと実は私は考えておるわけでございます。
  125. 中谷鉄也

    中谷委員 比例の原則というのは、相手方はその職務質問を受ける人、実力規制を受ける人との関係における問題でしょう。全然第三者のいわゆる患者さんに、比例の原則だけでは説明しきれないでしょう。だから、法的根拠は何ですかと聞いておる。それについてのお答えはそれでいいのですか。職務質問を受ける人、実力規制を受ける人ではないところの第三者が、ガスをかぶって目が痛くなる、被害を受けたということがあった。そのことについての説明は、一体どうするのですかと聞いておる。その点についてのお答えがないから、何べんもしつこくお聞きするのです。その点については国家賠償の問題にもなってきますから、警察の見解をただしているのです。いまのような場合に、国家賠償の訴訟を起こしたら、もろにあなたのほうは負けますよ。だから、その点は言っておきますけれども、この点については私は質問を続行いたしますから、比例の原則ということだけで、そのことだけを何べんも何べんもおっしゃることは慎んでいただいて、ひとつ理論構成をしていただきたい、この点は私のほうから申し上げておきます。  最後に、時間がないようですので刑事局長さんにお尋ねをいたしますが、要するに飯田橋の場合は、これは予防検束などというようなことで、わずかの人、これは起訴された人間については、私はおそらくいろいろ公判で問題点が争われると思っておりますけれども、基地に突入しようとした人あるいは突入した人については、直ちにと申しますか、たしか勾留満了一ぱいか、待たずに起訴の処分をとられたと思うのです。そこで、一点だけ最後ですからお尋ねをしておきたいと思いますけれども、基地とか、米軍の施設とか区域というふうなものについて、私は、やはり国民感情というものは、底流としても、あるいはあらわれてきたものとしても、非常に違和感というものを持っていると思うのです。そういうふうなものについても、政府のある筋でもそういう国民感情というものについて配慮せねばいかぬということを言ったことは、御承知のとおりなんです。そこで問題は、区域とかあるいは施設というようなものについて、洗い直すべきではなかろうか。たとえば、局長にお答えをいただきたいけれども、最近参議院の決算委員会なんかで問題になっているところのゴルフ場の問題です。防衛庁の幹部が米軍専用のゴルフ場へ行ったということが問題になっていますけれども、一体米軍専用のゴルフ場なんかに日本人が入っていったという場合、やはり刑事特別法によって処罰の対象になるのかどうか、こんなことは私はふざけたことだと思っている。こういうような問題について刑事特別法による起訴——ただ刑事特別法というものがはたして有効なのかどうか、これはまた当然論議されるべき問題でありますけれども、少なくとも刑事特別法にいうところの区域などについては、洗い直す時期が来ているのではないかということについて、ひとつ局長の御答弁をいただきたいと思います。まさかゴルフ場が入っているとは思いませんけれども、入っているのかどうか、この点もひとつあわせてお答えいただきたい。
  126. 川井英良

    ○川井政府委員 私二、三の基地については実情を知っておりますけれども、国内にある全部のものについて詳しく調べたことはございません。  問題は、刑事特別法の二条が問題になると思いますけれども、ここにいう施設もしくは区域と申しますのは、御承知のとおり、法令によりましてきちんと定められているものでございます。したがいまして、この二条の適用にあたりましては、それが施設になるかならないか、区域になるかならないかということは、一応法令の規定によりまして明確に相なっております。問題は、施設、区域でありましても、ただその中に入れば二条の違反が成立する、こういうわけではありませんで、書いてございますように「施設又は区域であって入ることを禁じた場所」、こういう要件をつけておるわけでございます。そこで、施設、区域でありましても、入ることを禁じた場所であることを明確にしてある場合、たとえばさくが施設されておるとか、あるいはさくが切れておるところでも、そこは車が通るために切れておるのだけれども、ここからは入ってはいけないというようなことが一見明瞭に掲示されておるというようなこと、ないしは守衛というような人がおりまして入る場所でないということを明らかにして入る者にそれを知らせるというふうな監視の措置がとられているという場合には、入ることを禁じた場所であるということに相なるわけでございますので、法令で定められた施設、区域であって、かつ、いま申し上げましたような具体的な設備が設けられて入ることを禁じた場所という、この刑特法二条にいうところの要件に該当するような場所に正当な理由なくして入ったという場合に、初めて刑事特別法二条の違反が成立する、こういうふうに私ども解しておるわけでございます。  そこで、御指摘のゴルフ場はどうだ、こういうことでございますが、その入ることを禁じた場所の中にゴルフ場がはたしてあるかどうかということが問題だと思いますけれども、私、その辺のところ、突然の御質問でまだ確認をしておりません。したがいまして、推測でとやかく申し上げることは適当でないと思いますから、それはまたいずれ調べた上でもってお答えしたほうがいいと思いますが、本日のところは、いま申し上げましたような法律の解釈だけでひとつ御了承をいただきたいと思います。
  127. 中谷鉄也

    中谷委員 質問を終わりたいと思いますが、要望だけしておきます。  冒頭に申し上げましたとおり、やはりこの問題について、聞きようによってはしつこいと思われるくらい私はお尋ねをしたいと思うのです。やはり警察のあり方、いわゆる権力の行使というものは、どこかで歯どめがなければいかぬということについて、私は掘り下げてお尋ねをしたいと思う。そこで、警備局長あるいは警察庁当局に私は要望いたしておきますけれども、少なくともお尋ねをいたしました範囲内において、警備局長自身が一番おわかりになったと私は思うけれども、いろいろな見解の違いはありますけれども、法務省の刑事局長あるいは人権擁護局長などの答弁と警備局長の答弁の間には、かなり——警備局長の答弁は、私の気に入らないことを言うなどと申し上げているのではない。ただ、事実関係等についてかなりすっきりしない点があったと思うのです。これは決して私がお尋ねしたこと、それに私が期待しておるような答えがなかったという意味でなしに、そういう点があったと思う。しかし、先ほど委員長にお願いいたしましたように、今後数回にわたって平瀬橋事件、さらに飯田橋の事件、あるいは博多駅の事件、あるいはそれらを取り巻く警備警察のあり方について、お尋ねいたします。私のほうも今後十分整理をして質問をいたしますから、ひとつ簡潔に、明快にお答えをいただきたい。これだけを要望いたしまして、本日の質問は終わりたいと思います。
  128. 濱野清吾

    ○濱野委員長代理 神近君。
  129. 神近市子

    ○神近委員 私は、きょう佐世保の問題が繰り返し行なわれているので、婦人に関する佐世保の問題を一、二問、あとがつかえておりますから、お尋ねをしたいと思うのです。  この間の新聞の記事によりますと、アメリカ軍とそれから日本の業者との間の密契で、保健所が女の人たちの身体検査をして、そうして無病ということを証明する。その証明がなければ外人バーには出られないということなんですけれど、それは売春をするということを知っていてお出しになったのか。それを知らないで出しましたなどということを言ったって通りませんよ。奨励するようなもので、しかもこの事実をよく聞きますと、この間参議院の人が三人ばかり行ってきましたけれど、いろいろ話を聞きますと、みんな年少者であって、年長者の戸籍を、家族のものかいとこのものか借りてきてやっているというふうなことが、報告されております。いずれ参議院で問題になるのだと思うのですけれど、この身体検査をやってやるということは、これは人権擁護局長お尋ねしようと思うのですけれど、一体どういうことを意味するとお考えになっているか。二十以下の十六、七歳が一番もてるのだそうですけれど、その人たちが姉だのいとこだのの謄本を持ってきて、仮の名前で身体検査を受けて、この商売をやっている。これが歴然としている。日本の民族は、いまのままでおくならばどうなっていくかということは、非常におそろしいと思うのです。性病の蔓延ということがいま問題になっておりますけれど、この二年くらいのうちに数が倍になっています。二割七分くらいの性病患者を出すようになっている。しかも非常に悪質のものだ、まあどうでもかまわないと思えばいいかもしれませんが、そういう状態のときに、こういうような基地で公然と売春をさせて、これをお手伝いしているというようなことは、一体何を意味するのか。あまりアメリカの方々におせじに過ぎはしないかと私は考えるのですけれど、人権擁護局あたりではこの事実をどういうようにながめておいでになるか、それを伺いたいと思います。
  130. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 御質問の点につきまして従来まで検討したことはございませんけれども、お話にありますように、まだ年齢の幼い婦人たちが、御質問によりますと売春の疑いがあるというようなことで、さような業務に従事しておることがありますとすれば、人権の点でも問題がありますので、十分に私どもとしても今後の問題として検討してみたいと思います。
  131. 神近市子

    ○神近委員 あるとすればなんて、何の話ですか。大体、アメリカさんと女の人で話がつくと、四千円店主に出すのだそうです。そして四千円出すと店を出る許可がおりて、そしてどこかに行く。そうなると、また四千円か六千円別にもらう。こういうような事実がはっきりとある。議員が行っても話してくれる。そういうふうな事態をほっておいていいんですか。それは佐世保だけじゃないですよ。横須賀、そのほかの基地にも、同じことが行なわれていると私は考えます。日本人がいまにすぐ、二、三割くらいがこの悪質の性病をかかえるということになったら、日本の民族は一体どういうふうになっていくかと、私はよけいなことですけれど考えるのです。それを、できることもしないでほっておいでになるということに、私は不満がある。いま参議院が女の人三人で調査に行ってきましたから、もっと詳しいことの質問が行なわれると思うのですけれど、これはいつまでもこのままほっておおきになるかということを伺っている。アメリカ軍のほうがずっとりこうですよ、証明書を持っていない者は使わないというのだから。だけれど、それが毎日の検査はできないということです。一体これをほっておおきになるつもりか。売春防止法というようなものは、これはずいぶん非難が来ていますけれど、ないよりもあったほうがいいという立場で私は歯を食いしばっているのですけれど、非難が非常にたくさん私のところには来るのです。私は、ちょっと佐世保の問題が問題になったので、その点あなたの覚悟のほどを、あるいは、どうせもう現実にはしようがないことだというふうに考えていらっしゃるかどうか、それを伺いたいと思います。
  132. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 この問題には、保健所なども関係がございます。厚生省、それから総理府に売春対策審議会などもございまして、総理府の所管にもありますので、私のほうの立場といたしまして、それらの各省と連絡をとりまして対策を考えたいと思っております。
  133. 濱野清吾

    ○濱野委員長代理 岡澤委員
  134. 岡沢完治

    岡沢委員 私も、きょう第一次、第二次羽田事件佐世保事件、それから成田事件に関連して質問をさせていただく予定でございましたが、午前中の佐藤委員または猪俣委員、午後の中谷委員、ただいま神近先生の御質問が長くなりました。私もできましたら二、三時間いただいて本格的な質問をしたいと思いますので、質問そのものは次回に譲りたいと思いますけれども、この際御出席の政府委員の方々に、お願いといいますか、質問を予告させていただきまして、準備をしておいていただけば時間的に能率的にいくのじゃないかと思いますので、特に警察庁とそれから公安調査庁の方々に、いま申し上げました羽田事件佐世保事件成田事件の事実関係、たとえば学生の数とか装備とか、あるいはそれに要した警備側の費用とか、あるいは物的損害あるいは人的損害、死傷者、それぞれ警備側、学生側、一般市民側等に分けてお答えをいただく御用意をお願いいたしたい。また、そのために使われた国家経費がどれくらいになるかということも、もし概算できるなら、正確な数字はけっこうでございますが、お答えいただける御用意をお願いいたしたい。ことに公安調査庁の方々には、破壊活動防止法と結びつけて、これらの学生の行動がそれの対象になり得るのであるかどうかという点から御調査されておると思いますが、おるとすれば、その観点から適用の適否について、あるいは今後の見通しについてぜひお答えいただきたい。ことに、これは三月十日に成田の第二次行動が予定されておるわけでございますから、それとも結びつけてお答えいただきたいと思います。私は、これらの学生の行動の背景について考えることが、この際、学生自身のためにも、あるいは治安維持の立場上からも、あるいは犯罪予防の立場上からも必要だと思いますので、文部省の方々にこの学生の行動の背景、ことに思想的な背景、あるいは経済的、物的な背景、教育面だけではなしに、他の団体との結びつき、その経費の実情等もあわせ、あるいはまた教育的な面から、先ほど午前中の佐藤委員質問に対してお答えになりましたトロッキスト的な思想の内容等もからめて、お答えできるように御準備いただきたい。  以上、要求いたしまして、私のきょうの質問は留保します。
  135. 濱野清吾

    ○濱野委員長代理 政府委員に申し上げますが、ただいまの資料要求は御了承願えますか。
  136. 清水成之

    ○清水説明員 文部省の清水でございますが、資料の件について、資金関係について私どもちょっとわかりかねますので……。
  137. 濱野清吾

    ○濱野委員長代理 経費とか資金関係とかいうのは、なかなか困難だということです。
  138. 岡沢完治

    岡沢委員 できる範囲で……。
  139. 濱野清吾

    ○濱野委員長代理 ではできる範囲で、そういうふうに御了承ください。  本日は、この程度で散会します。    午後三時五十八分散会