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1968-02-29 第58回国会 衆議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年二月二十九日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 大竹 太郎君 理事 田中伊三次君    理事 中垣 國男君 理事 濱野 清吾君    理事 猪俣 浩三君       河本 敏夫君    瀬戸山三男君       中馬 辰猪君    渡海元三郎君       福田 赳夫君    山手 滿男君       岡田 春夫君    堂森 芳夫君       岡沢 完治君    山田 太郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 赤間 文三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         法務省刑事局長 川井 英良君         法務省矯正局長 勝尾 鐐三君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   綾田 文義君         通商産業省重工         業局次長    本田 早苗君         労働省労働基準         局監督課長   藤繩 正勝君         最高裁判所事務         総局総務局長  寺田 治郎君         専  門  員 福山 忠義君     ————————————— 二月二十九日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として岡  澤完治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡沢完治辞任につき、その補欠として西  尾末廣君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西尾末廣君辞任につき、その補欠として西  村榮一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十七日  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五三号)  刑法の一部を改正する法律案内閣提出、第五  十五回国会閣法第九四号)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  去る二十七日付託になりました内閣提出裁判所職員定員法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 永田亮一

    永田委員長 まず、政府提案理由説明を求めます。赤間法務大臣
  4. 赤間文三

    赤間国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理をはかる等のために、裁判所職員員数増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点とするところを申し上げます。  第一点は、裁判官員数増加であります。これは、高等裁判所における訴訟事件及び地方裁判所における借地非訟事件の適正迅速な処理をはかるため、判事の員数を十二人増員することにいたしております。  第二点は、裁判官以外の裁判所職員員数増加であります。これは、高等裁判所地方裁判所及び家庭裁判所における事件の円滑な処理をはかる等のために、裁判所書記官家庭裁判所調査官及び庁舎の管理要員等を増員しようとするものでありまして、合計十三名を増加することにいたしております。  以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案趣旨でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますように、お願い申し上げます。
  5. 永田亮一

    永田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 永田亮一

    永田委員長 次に、刑法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。  速記をとめて。   〔速記中止
  7. 永田亮一

    永田委員長 速記を始めてください。
  8. 大竹太郎

    大竹委員 通産省の方が見えたので、まずお聞きしたいと思うのでありますが、最近日本自動車生産力というものは非常に上がりまして、世界の第二位に躍進した。また、日本国内における自動車が一千万台をこえて、十人に一人自動車を持っておるというような勘定になった。欧米の一流国に近づいたというようなことで、非常に喜ばしいことだと思うのでありますが、同時にまた、道路改善がそれほど進んでおらない。また、改善ができても、安全施設というものがこれに伴わないというようなことで、自動車のふえたことによっての自動車事故というものが相当ふえてきているということが現状だといわれておるわけでありますが、最近における日本自動車生産力の上昇というものは、数字的に見てどういうようなことになっておるのかということ、あわせて今後の見通しというものは一体どうなっておるかということを、まずお聞きいたしたいと思います。
  9. 本田早苗

    本田説明員 お答え申し上げます。自動車生産につきましては、三百六十ccの軽自動車といわれております四輪車も含めまして申し上げますと、四十二年度の生産は三百二十五万台というふうに推定されております。これは四十一年度に比較しまして三二%の増でございます。この増加率は、最近の経済の景況あるいは消費の状況等から、例年に見ない高さになっておりまして、三十九年度は前年度に比較しまして二五%、四十年度は一〇%、四十一年度は二七%というようになっております。  今後の生産見通しでございますが、四十三年度の生産見通しといたしましては、三百九十万台というふうに見込まれております。それから社会経済発展計画によりますと、四十六年度の生産台数は四百八十万台ということになっております。最近の生産傾向からいきますと、あるいはこれを若干上回るというふうに思われます。以上であります。
  10. 大竹太郎

    大竹委員 たとえば四十二年度三百二十五万台ということでありますが、もちろんこの中には輸出向けのものもあると思うのでありますが、この三百二十五万台のうちで、国内で使われるもの、外国に出すもの、この内訳はどうなっておりますか。
  11. 本田早苗

    本田説明員 四十二年度生産台数のうち、輸出に向けられますものが三十八万台、前年度に比較して三三%増というふうになっております。本年度はこの三十八万台に対してかなり増加するというふうに見込んでおるわけでございます。
  12. 大竹太郎

    大竹委員 そうすると、この三百二十五万台から三十八万台を引いたものが国内で使われるものだというふうに考えてよろしいですか。
  13. 本田早苗

    本田説明員 そう御理解願ってけっこうでございます。
  14. 大竹太郎

    大竹委員 それでは、運輸省のほうへお聞きいたしたいのでありますが、もちろん減る部分もあるわけでございますので、四十二年度で国内でどれだけ増加することになっておりますか。
  15. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、車の保有数量伸び率かと存じますが、実は私どものほうで十年前とそれから四十一年度末を比べました数字がございますのですけれども、これは登録いたします車だけでございまして、それを見てまいりますと、たとえば営業用でございますが、乗用車の例をとりますと、十年前の三十一年度末を一〇〇といたしますと、四十一年度末におきまして三二三と三倍ちょっとふえております。ところが、それに対しまして自家用のほうの乗用車を見てまいりますと、三十一年度末が一〇〇に対しまして実に二〇八三というふうにふえております。これは乗用車だけでございます。同じような傾向で、トラックあるいはバス等につきましても、営業車でございますけれども、それと似たような現況でございます。  それで、最近の数字でございますけれども、四十二年の年末でございます十二月末の数字を見ますと、要するに登録すべき自動車の数でございますが、登録自動車数は、これはトラックバスも乗用も全部入れまして七百三十六万七千四百八十六、約七百三十六万七千というふうになっております。それを一年前の四十一年の年末に比べますと、四十一年の年末は五百九十二万三千ということでございまして、一年間に実に二五%増という状況でございます。
  16. 大竹太郎

    大竹委員 七百三十六万の営業用自家用内訳はどうなっていますか。
  17. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 いまの七百三十六万七千のうち、自家用は六百七十九万三千、営業用が五十七万三千、百以下を消去しますと、そういうふうになっております。したがって、比率で申しますと、自家用が九二・三%、それから営業用が七・七%というふうになっております。
  18. 大竹太郎

    大竹委員 そこで、私お聞きしたいのでありますが、御承知のように、現在の制度からいいますと、営業用の車は、新たに営業する場合はもちろんのこと、既存業者にいたしましても、車をふやすということになりますれば、許可ですか、認可ですか、が必要な制度になっておりますし、また自家用車につきましては制限がないわけでございます。もちろんこれは自賠法の保険をかける能力とかあるいは税金とかというものを払う能力のない者は持てないわけでありますけれども、少なくとも持つことに対する制限はないようになっておるわけであります。そういうようなことを勘案してみますと、自動車事故を少しでも少なくしょうという立場から考えますと、自動車の数の九〇%以上を持っておる自家用車の数を減らし、そして一面、程度の差こそありますけれども、公共的な役目を果たすいわゆる営業車というものの数をふやす。私は、少なくともこれはどのくらいの割合で、たとえば個人営業タクシーを一台ふやせば自家用車を何台節約できるかというようなことは、これはいろいろの面から見て非常にむずかしい問題だろうとは思いますけれども、国の政策だから、これは運輸省局長さんがお答えできる問題かどうかは別といたしまして、そういうことも現在の事故を何とかなくしようというものの立場から考えた場合には、私のいまのような考え方というものを運輸省としてどうお考えになるかということであります。
  19. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 なかなかむずかしい御質問でございますが、局長限りの意見でございますので恐縮でございますけれども自家用保有制限するというふうなことは、非常に困難じゃなかろうかと実は存じておるわけでございます。したがいまして、いまのような事故を——要するに道路容量に対しまして車が多いようになっておりますので、車が少ないほうがいいかもしれませんけれども、そういうふうに制限できないわけでございます。したがいまして、やはり公共の足でございますか、そういった意味でのバスとか、あるいは路線トラックとかも経済活動の基礎をなしているのでございますけれども、特に都市交通の面におきましては、そういった大衆の足を確保するためのバスというものを優先的にやる、そういった車を利用する、運行する面で何か手を打つべきではないかというふうに存ずるのでございます。これはもちろんバスターミナルとか、あるいはタクシーべーとか、そういった交通環境施設の問題もあると存じますが、それとともに、いま言ったように、現在たとえば一般の車は右折できないけれどもバスだけ右折していいというふうな、都市によりまして警察で協力してやっております。そういったようなぐあいで、バスの運行の利用を優先的にやるというような措置につきまして、私どもといたしましても、各省と御相談している次第でございます。
  20. 大竹太郎

    大竹委員 私はこまかいことはわからないのでありますが、たとえば個人タクシーを許可される場合におきましては、ほかの面もあるかもしれませんけれども、最近事故が起きた場合の賠償金の問題その他営業を継続していく面からも必要でございますが、相当その人間資産資力というようなものを考慮に入れて許可されているということを承っておりますが、これは当然なことであります。そういう面を一つ考えてみましても、個人については別に、まあ無制限でありますから、資力を検査しないでもいいわけであります。私はそれだけでも非常に矛盾があると思うのでありまして、むしろ最近の状況なんか見ますと、乗用車なんかについては、むしろ自家用車事故のほうが非常に多いわけでありますし、そうして最近新聞に出ておりますように、賠償の判決をもらったけれども賠償を受けられなかったというようなものは、どうも個人所有自家用車に多いというようなことを考えた場合におきましても、それだけの見地からいたしましても、自家用車というものを制限する根拠が何かあるように私は思えてならないのでありますが、その点はいかがですか。
  21. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 お説のとおりと存じますのですけれども、私どもで直接法律に基づきまして指導しておりますのは営業車でございまして、営業車の面につきましては、どうしても損害賠償能力ということにつきまして、たとえば免許する場合、あるいは増車する場合等、法規に基づきましてそういった資産信用力があるとか、そういった点を、審査しているわけでございます。特にいま御指摘個人タクシーにつきましては、これは大きな要件になっております。それで特にそういった事故発生の蓋然性が少ない個人タクシーを認可していきたいという方針でおりますので、十分そういった面から実は見ておるわけでございますし、なお免許がある個人タクシーにつきましては、たとえば協同組合というような組織化指導いたしまして、共済で要するに強制保険以上の任意保険をかけられるような指導をしております。一般自家用のものにつきましては、その点は根拠がございませんので、直接そういった指導は実はできないわけでございます。そういう状態でございます。
  22. 大竹太郎

    大竹委員 室長見えておるのでありますが、いまの私のものの考え方、これはもちろん国の施策として大きな問題になると思うのでありますが、交通安全の面から考えまして、国の施策として、もちろんどういう者は自動車は持ってはいけないという法律はなかなかむずかしいと思うのでありますが、たとえばこれは税金をうんと自家用車に高くするとか、あるいは保険金強制保険のいまの三百万を一千万にするとかいうような間接の面から、持っている人間が非常に費用がかかるというふうにすれば、所有制限できると思うのでありますけれども、そういうような面から見て、営業車をもっとふやして、そして自家用車というものをもっと少なくするという施策考えられないかどうか、考えられたことがあるかどうかという点について、ひとつお答え願いたい。
  23. 宮崎清文

    宮崎(清)政府委員 現在自動車が年々非常にふえておりまして、特に最近ではどちらかといえば、自家用車のほうが伸びているというような現状でございます。そこで、一方道路整備も一生懸命やっているわけでございますが、道路整備自動車増加とが見合わないという点も若干あるというのが現実でございますので、これにどう対処するのかというのが、御質問の要旨だと思われるわけであります。一番極端な言い方をいたしますと、自動車生産制限するというような考え方もあるわけでございますが、これは非常に大きな問題でございまして、私たちとしても、軽々にそういうことを結論を出すわけにはまいりません。したがいまして、問題は当面、特にこれは都市交通関係があるわけでございますが、都市交通におきまして、車をなるべく規制する、制限するということが、近い将来に一つの大きな問題になろうかと思うわけでございます。その場合に、何を規制するか、何を通して何を通さないようにするかということ、これはなかなかむずかしい問題でございまして、御承知のように、現在道路交通法という法律がございますが、この法律は主として道路上におきます物理的な危険に着目いたしまして車両の通行制限いたすことにしております。したがいまして、車が非常に大きくて危険であるという場合には、その道路交通法規定に基づきまして一定の車の通行禁止制限をいたすことができるわけであります。たとえば、公共的な輸送機関であるからそれを優先させるとか、あるいはその他特定の社会的な効用があるからそれを優先させろということになりますと、若干違った観点からこれを判断いたさなければならないことになるわけでございまして、この点は現在のところまだ結論は得ておりません。しかし、御指摘の点は非常に重要な問題であると思われますので、今後関係省庁とも十分連絡をとりまして、何らかの形でこういう事態に対処していくような方策を検討いたしたい、このように考えております。
  24. 大竹太郎

    大竹委員 警察庁のほうでも見えておられると思うのでありますが、取り締まり指導の面から見て、いまの問題はどうお考えになりますか。
  25. 綾田文義

    綾田説明員 警察取り締まりの面、特に交通安全という面から見ますと、たとえばめいてい運転にいたしましても、自家用車が非常に多いわけでございまして、プロ運転手のほうは、運転技術がうまくて事故発生率も少ないわけであります。そういった安全という面からのみ着目すれば、それはプロ運転手がいいと思いますが、しかし、警察行政以前の問題として、先ほど来のお話のように大きな国の政策もございますし、その点はわれわれとしては意見を申し上げるほどの点はないわけでございます。先生のおっしゃるように、所有をするまでに税制その他あるいは保険金間接に減らすとか、あるいは実際に使用する道路上において交通規制をしてやるという方法はあると思いますが、その後者の問題につきましては、御承知のように、現在もう大都市ではむしろ自動車本来の機能が交通円滑の面からは失われつつあるという点もあるわけでございます。そういう点では、先ほど来お話しのように、警察としても円滑の面からは何らかの手を打たなければならないと思っております。しかし、そういう点はございますけれども、これは非常に高い立場で総合的に判断さるべきものでございまして、警察としては先生のおっしゃるようなことだということが、どうも言い切れないような気もいたします。
  26. 大竹太郎

    大竹委員 それじゃ通産省のほうにお聞きいたしたいのでありますが、一番いいのは、乗用車生産制限をするのが一番手っとり早い問題だと私は思うのでありますが、しかし、また最近の業界新聞その他を見ますと、一面においては非常に過当競争になっているというようなことで、企業の合同その他をやって生産制限とでも申しますか、あまり生産の面で、数量の面で競争することをやめようじゃないかというような機運も、相当出てきておるように思うのであります。しかし、さっきおっしゃったように、先の見通しとしては相当ふえていくというようなことでありますが、通産省としては、自動車事故というような面、その他いまの過当競争というような業界一つの情勢の面から見て、無制限生産競争させるというような御指導ではないと思うのでありますが、今後どういうふうに考えていらっしゃるか、伺いたい。
  27. 本田早苗

    本田説明員 生産の面につきましては、御承知のように、各国から、資本自由化、あるいは自動車につきましては、またエンジンつきシャシーとかエンジンあるいはエンジン部品の一部につきましては輸入の自由化をしておらないという事情にございまして、その自由化を求められておるわけでございます。その自由化を求める目的は、外国自動車メーカー日本で組み立てあるいは生産を行なうチャンスを持ちたいということでございまして、それとの関係で、現在の十数社に及ぶ自動車メーカー生産状態では必ずしも十分な対抗ができる体制にはならないのではないか、したがいまして、これらをできるだけまとまった体制にして外国自動車メーカーとの競争力を強化しょう、こういうことを考えておるわけでございます。当面御指摘のような販売面その他で競争はございますが、それはむしろ外国資本に対する競争力の強化ということから、国内においてできるだけ少ない姿にまとめるべきだという考え方があるわけでございます。生産数量がかなり大きなテンポで伸びておりまして、これが国内交通問題になっておるわけでございますが、この点につきましては、供給の面からこれを押えていくというのは非常にむずかしい問題で、価格の面その他にいろいろ響きますし、これはできるだけ総合的に道路整備その他とあわせて解決していくべき問題であろうかと思います。今般も自動車取得税が創設されることになりますが、ことに問題のあります市町村道整備について、取得税という形で自動車使用者道路改善費を負担するという形でいかれるのも一つの方向だろうというふうに考えるわけでございまして、生産の面から直接供給をしぼって、これによって自動車数を減らすという形でいくのは、需要供給関係から非常な混乱が起こると考えておる次第でございます。
  28. 大竹太郎

    大竹委員 それでは通産省の方にもう一つお聞きしたいのでありますが、これはあなたにお聞きしておわかりになるかどうかわかりませんが、外国へ出す車と国内の車、これはあて先によっても違うかもしれませんが、構造上において相当差異がありますか、どうですか。
  29. 本田早苗

    本田説明員 御承知のように、外国ではハイウエーが発達しておりまして高速運転をする関係で、国内ですとたとえば千五百ccのエンジンを積む車でも、千八百ccとか大きなエンジンを積むことはございます。それから、アメリカのような国では安全基準が特に強く要求されるような状態になっておりますが、その基準に合わす、あるいはもちろんハンドルは通常日本では右ですけれども左にするというような、構造上合わせた形で出さざるを得ないという事情はございます。
  30. 大竹太郎

    大竹委員 それで、国内のものについて非常に問題になっておる点を申し上げたいと思うのでありますが、たとえば日本高速道路はたしか最高速度は八十キロということになっているにもかかわらず、日本国内向けで小さい自動車でも百キロ以上の能力を持っている。最高でも八十キロしか出せないのに、そんなスピードを出すものをつくる必要はないじゃないか。そして運転者がオーバーすれば処罰するということにするくらいなら、むしろつくるときに、八十キロまで出せるものなら九十キロか百キロ程度にとどめていたほうがいいのではないか、むしろそういう構造にしたほうがいいのではないかという議論もあるわけでありますが、この議論に対して通産省はどういうふうにお考えになっておりますか。
  31. 本田早苗

    本田説明員 自動車操縦性ということからいきますと、加速性問題等が重要な一つの要素になります。エンジンとして加速性があるということは必要であろうと思います。そういう加速性との関連で高速性も出てくるということはありますが、また一面、だんだんハイウエーも発達してまいりまして、現在中央高速道路ではたしか百キロの制限速度が認められるようになっておりますし、今度東名ができますと、さらに高い高速も認められるというような話も伺いますが、全般としましては、むしろ操縦性意味からエンジン性能が必要な場合があるので、そうしたときに応ずるエンジン性能を具備しておる、こういうことでございます。
  32. 大竹太郎

    大竹委員 次にお聞きしたいのでありますが、御承知のように、たしか七月から反則金制度が実施されることになっております。それで、この反則金というのは、いわゆる刑事罰でもなければ行政罰でもないというような非常にあいまいな説明がされておるわけでありますが、ただ私は、ここで反則金制度そのものの基本的な問題として非常に心配いたしますことは、刑法の改正をはじめ、とにかく交通事犯については国として重く考え、重く取り扱うのだというものの考え方に立っているという面から見ますと、反則金というものは、いままで刑罰として罰金その他になったものを、刑罰でも何でもない、しかも警察官が取り扱う簡単な制度として取り扱われるという面から見まして、ある面においては軽微な自動車事故というものがまかり間違えばふえる傾向になるのじゃないかと思われてならないわけであります。ただ、ここでお聞きいたしておきたいことは、どうも規定を見ましても、反則金というものは、あれに該当する違反行為は何回やっても、反則金さえ納めればそれで無罪放免になるのだというものの考え方に立っているように思われるのであります。私は規定の見方が悪いのかどうか知りませんが、そう解釈してよろしいのですか。
  33. 綾田文義

    綾田説明員 その点は法律の百二十五条にあると思いますが、反則行為というものは道路交通法の中で比較的軽微な違反行為でございますが、その違反行為をしても、四つの場合には、いわゆる反則者とされないで、この制度の対象からはずされるわけであります。その四つの場合と申します中に、違反行為をして運転免許の行政処分を受けた者は、反則者ではなくて、この制度には乗らないということでございます。したがいまして、きょうたとえば駐車違反をした、これは反則行為でございますが、しかし、その者がきょうから過去一年以内に違反をして運転免許の行政処分を受けておれば、その人はすぐいままでどおり刑罰に処すということになるわけでございます。さらに、先生も御承知と思いますけれども、運転免許のポイントシステム、これは制度は別個でございますが、本格的には来年の十月から始まるわけでございます。これは一応違反を点数で計算いたしまして、たとえば運転者一人に、まだきまっておりませんが、一定の持ち点がありまして、違反をするたびごとにその点数が減っていく。そして重大な違反であれば一回でございますが、二回、三回違反すれば運転免許の停止というふうなことになっております。その停止になれば本制度には乗らないということになって、しかもそういうたびたび違反した者は、運転免許の停止処分のほうでセーブされるということになっております。ですから、その点は先生のような御心配はないのではないかというふうに考えております。
  34. 大竹太郎

    大竹委員 いまの説明によりますと、七月から実施するのでありますが、そのポイントシステムは十月から実施になる。それなら七月から十月までの間には、いまの反則金のあれは、何回やっても反則金だけで済むということになるのですか、どうですか。
  35. 綾田文義

    綾田説明員 七月一日からということで、とにかく一年以内でございますので、一年以内に運転免許の違反をして処分を受けた者は、この七月一日からもうすぐいままでどおりに刑罰に乗るということになっております。したがいまして、ことしの七月一日にたとえば信号無視をした、これは反則行為でございますが、その者は七月一日から過去一年以内に違反をして運転免許の行政処分一を受けておれば、その者はこの制度に乗らないわけでございます。
  36. 大竹太郎

    大竹委員 いや、私の質問趣旨を了解されてないようでありますが、私は、とにかくそういう免許の行政処分を受けない、ただ反則金だけの違反をした場合、たとえば七月一日に免許をとってもよろしい。それから十月までの間に何回反則金をとられても、別に加重されない、そういうことになるんじゃないですか。
  37. 綾田文義

    綾田説明員 その場合には、来年の十月までは一応現在の、これはまだきまっておりませんが、行政処分のままいくということになっております。したがいまして、反則行為の中でも、運転免許の停止を受ける違反も現在ではございます。ですから、そういうものは、その違反を何回というわけにはいかないわけでございます。しかし、たとえば駐車違反のような場合には、これはまあ駐車違反で免許の停止を受ける者もございますけれども、受けない者は、何回しても来年の十月までは反則金も高くならないし、反則金で済ませるということになります。しかし、一応おそらくこの七月一日までに点数をきめまして、もっともどの違反にどれの点数を付するかはこれから検討するわけでございますが、その違反はだんだんと点数を加算されていくということになりますので、それはまあ来年十月以降チェックされるわけでございますけれども、そういう含みがあることになりますので、その面からも違反の防止力はあると考えております。
  38. 大竹太郎

    大竹委員 私はやはりそこが非常に問題だと思うのでありますが、少なくともいままでは反則金という制度はなかったのですから、おそらく行政処分を受けない駐車違反でも、いままで五千円取られておったものが二回目からは七千円とか八千円とか取られているのだと思うのであります。今度の制度になりますと、反則金そのものが刑罰にならないという面ばかりでなく、何回やっても行政処分に乗らないものは、これは金銭的負担も少なくて済むということになるというところに、私は反則金制度というものが少し甘過ぎるのじゃないかと思われてならないのでありますが、その点いかがですか。
  39. 綾田文義

    綾田説明員 これは直接警察の所掌事務でないのでございますが、私が聞いた範囲では、現在の交通違反の罰金も、相当違反の程度の高いスピード違反とか無免許、そういうものはそういうふうに加算されますけれども、たとえば駐車違反のような場合には、加算されているところもあるかもわかりませんが、大体においては現在でもそう罰金の金額は変わらない。これはあまりにも件数が多いために、前歴を一々免許証に書き込むことは、現在も全国的にほとんどやっておりませんし、件数を一々記録していくのが非常にむずかしいということで、先生のおっしゃるほどはきびしくはなっておらない。駐車違反なんかについては、私は実態はそういうことではないかというふうに思っております。
  40. 大竹太郎

    大竹委員 これで質問を終わります。
  41. 永田亮一

  42. 岡沢完治

    岡沢委員 最初に、法務省の刑事局長にお尋ねいたします。  過日の委員会で配付いただきました、昭和四十三年一月第五十八国会用の刑法の一部を改正する法律案についての資料、それから最近における人災事故例等を見ますと、特に人災事故例のほうは、すべてでございますけれども、いわゆる自動車による以外の業務上過失の事故例だと思います。列車とか、電車とか、飛行機、船舶、あるいは炭鉱事故、あるいはホテルの従業員とか警備員の過失等、私は最初にお聞きいたしたいのは、自動車による以外のものの人身事故について、量刑を中心に最近の実情をお答えをいただきたいと思います。
  43. 川井英良

    ○川井政府委員 自動車以外のものによる業務上過失致死傷の科刑の状況でございますが、長期の頭打ちである禁錮三年という刑罰が判決で出ましたのは、御承知の国鉄の三河島事故の場合が一つございます。それからそれ以外のものにつきましては、最高刑までいったものはございませんが、禁錮二年半でありますとかあるいは禁錮二年であるとかという、法定刑三年の範囲内におきましてかなり長期に近い重い刑罰が盛られたものが、この資料の中にもございますように、過去五年間の収録でございますが、そういうふうなものが数件出ております。  なお最近、三十九年ころから新聞報道などもある程度きびしくこれを取り上げるようになりましたので、自動車以外の業態による人災事故というものが、三十九年ころから非常に多く、実数が多くなるとともに、また社会の人の耳目に触れることも非常に多くなったような気がするわけでございまして、結局科学の発達といいますか、あるいは産業、文化の非常に高度の成長といったふうなことに伴いまして、自動車以外の部面におきましても、非常に大きな過失に基づく、または結果の大きな事故が、ごく最近におきましては非常に多発しておるということがいえると思います。そこで、いままでの過去の事例におきましては、頭打ちの三年が盛られましたのは三河島事故でございますが、ここにも収録してございますように、その後に発生いたしました南海電車の事故でありますとか、あるいは大きな爆発事故でありますとか、炭鉱における大きな爆発事故というふうなものが、かなり多数最近公判請求がなされておりますので、やがて近い機会に自動車以外の人災事故についての新しい判決例がかなりたくさん出る見込みになっておりますので、これから出てくるこれらのものの判決の量刑につきましては、注目してみたい、こういうふうなところでございます。
  44. 岡沢完治

    岡沢委員 ただいまの局長の御説明によりましても、いま公判中の事件等の推定は別といたしまして、少なくとも過去の事例に関する限りは、自動車以外の重過失、業務上過失事件では、三河島事件以外には禁錮三年の最長刑が科せられた例はないということは、逆に考えれば、本法で改正しようとされております長期を五年にする、あるいは懲役刑を加えるという必要性は、道交法といいますか、いわゆる自動車事故に限るというふうに、過去の数字からいたしまして少なくとも見てもいいんではないか。そうしますと、前五十五国会でしたか、社会党のほうの御主張がございましたけれども、わざわざ刑法を改正しなくとも、道交法の改正で足りるのではないかというふうに考えられないこともないと思うのでございますが、これについて局長の御意見をお聞きしたいと思います。
  45. 川井英良

    ○川井政府委員 ごもっともな仰せと思います。三十八年、三十九年、四十年の司法統計にあらわれたところを見ますと、三年の最高刑までいきましたのが、三十八年が二十、二年以上が二十九、合計四十九、三十九年は最高刑が同様二十、それから二年以上が三十五、合計五十五、四十年は最高刑が六になりまして、逆に二年以上が六十五になりまして、合わせまして七十一という数字を示しておりますので、一般論でございますが、三年という法定刑の中で二年以上という重刑がいま申しましたような司法統計における大きな数字を示しているということは、これは岡沢委員承知のように、裁判の実態から申しましても、非常に異例な事態だと思います。窃盗などにおきましては、前科十五犯くらいございましても、懲役五年以上はめったにいかないのでございまして、せいぜい三年か四年くらいでおさまっているというのが、日本の裁判の実情であるわけでございます。殺人なんかの量刑の実証的研究から申しましても、同じようなことが言えるわけでございまして、御承知のように、死刑の判決というものは非常に少なくなってきているという実情でございます。にもかかわらず、この業務過失の事故につきましては、法律で定められた現行の最高刑ないしはそれに近い刑が何十となく発生しているということは、日本の裁判の実情をよく御存じの岡澤委員のお立場からはよく御理解が賜われると私信じているわけでございますけれども、さてそれは一般的な論議でございまして、その多くは結局自動車の運転による業態のものだということでございまして、それ以外のものにはそのような重刑をいったものはまだ何十というわけではございませんで、あらわれたところでは過去五年の間に十例近いものにすぎないということでございます。それにいたしましても、かりに一例でも最高刑をいくというようなものが出るということは、やはりこの社会の実態から申しますと、法定刑との関係におきまして十分検討に値する問題ではないかというふうに思うのでございます。  それからもう一つ、抽象論で失礼でございますけれども刑法という法律のたてまえから申しまして、これはやはり一片の取り締まり法規ではございませんで、社会生活を営んでおる国民の人たちの道義的な規範と申しましょうか、そういうふうな規範力に重点が置かれておる法律でございますので、このような犯罪につきましてはこのような刑罰が盛られているんだということが、国民全体に対しまして、特にこのような人の生命身体に危険を及ぼすような業態にある者に対して、注意力を喚起し、その道義心を喚起する、こういうふうな一面の目的を持った法律でございますので、またさような点から申しましても、同じく人の生命身体に危険を及ぼす業態の者を、ある一部の者につきましては特に重くし、それからある一部の者につきましてはそれを軽くするというふうなでこぼこの取り扱いをするということは、刑法という法律の持っております性格から申しましても適当でない、こういうふうな考え方でございます。わずかな例ではございまするけれども自動車以外のものにつきましても、重刑をいった者がすでにかなり出てきておる。さらにまた、その一般的な趨勢は、そういうふうなものがこれからますます多くなる趨勢にある。こういうふうな観点に立ちまして、私どもといたしましては、ひとしく人命尊重というたてまえから、人の生命身体に影響を及ぼす危険な業務に従事する人の注意義務を喚起するというふうなたてまえに主眼がございますので、やはり刑法という形においてその刑罰を上げていくという方法が最も適当である、かように信じておるものでございます。
  46. 岡沢完治

    岡沢委員 もしこの改正案が成立いたしますと、もちろんあらゆる事故に適用されるわけでございますが、そういたしますと、単に科刑の上限が上がるだけでなしに、業務上過失事件の刑が全般に重くなるという心配を、特に運転者の諸君、私たちの関係いたします、単に自動車運転者だけでなしに、国鉄の諸君とかあるいは海員組合の諸君たちまでが心配をいたしておるわけでございます。私は、その心配することは、理由があるような感じがいたします。検察官が求刑する場合でも、裁判官が判決をなさる場合でも、やはり上限が上がったことによって、全体に傾向として、特に悪質でなくとも基準が上がるんじゃないかという危惧は当然だという感じがいたしますのでお尋ねするわけでございますけれども、もしこの法案が成立した場合に、そういう運用上あるいは運営上、一般運転者が持っておる危惧に対して何らか法務省として留意しておられる点があるか、何か御用意があるか、あればお答えをいただきたいと思います。
  47. 川井英良

    ○川井政府委員 三年の刑を五年に上げることによって、抽象的、一般的にこの種の業務に従事する人の注意力を喚起するという効果が一般に及ぶことは争えませんし、またそれを期待するものであります。しかしながら、この刑が引き上げられた場合における科刑の運用の実際につきましては、私どもかなり慎重な配慮を持っているものでございまして、ささいなことのようでございますけれども、御承知のように、禁錮ないしは懲役という自由刑のほうは上げましたけれども、一番下限でありまするところの罰金刑のほうは、依然として千円という法定刑をそのまま存置してあるわけでございます。これは何でもないようなことでございまするけれども、そうではございませんで、最初提案理由の冒頭に御説明いたしましたように、だれが考えましてもこれはひどい、これでいいんだろうかというふうな大きな国民感情にささえられまして、だれが見ても三年ではまかなえない、それをはずれるものだというふうなほんとに悪質、重大なものだけを上げていくんだ、こういうふうな立法の契機なりたてまえになっておりますので、その場合におきましては、上限である自由刑だけを上げておけば足りるのでございまして、ごく軽微な事故に対しましては従来どおりの方針をもって臨んでいくのだという趣旨を、立法の面におきまして明らかにいたしております。  それから運用の実際におきましては、御案内のように、日本の裁判、検察の実態から申しまして、裁判は長い間の法的安定性を考慮に置いた上で個々のケースについての裁判例が積み重ねられております。ことに刑事裁判は、理由も大切でございますけれども、御承知のように、主文においていかなる刑罰に処せられるかということが、社会的にも、国家的にも、また刑を受ける被告人の立場におきましても最も大切な、重要なことでございますので、裁判官の最も苦労される点は、そのいかなる刑罰を主文において盛るかということであると思います。それにつきましては、長い歴史を持った日本の裁判におきまして、すでにたくさんのケースと実績が積み重ねられております。今日、この刑が三年から五年に上がった、しかも、その趣旨は悪質、重大なものについてこれをまかなうのだ、法律のたてまえにおいても下限はいじっておらないというふうな事実からいたしまして、私はなお一そう、この法案が通過した暁におきましては、私どもの手元におきまして運用の面において誤りなきを期するいろいろな方策を考えておりますけれども、裁判の実情から申しましても、いままでの日本裁判所を信用していただきまして、決していままで一年くらいで済んだものがこつ然として三年になるというようなことは、絶対にあり得ないものと信じております。
  48. 岡沢完治

    岡沢委員 ただいまの局長の御答弁の中で、立法過程においても私の心配するような懸念はないということをおっしゃいましたのは、御答弁の中にありました罰金刑についてはいじっていない、あるいは下限をいじっていないという意味でございますか。そうでございますか。  それからいま裁判の例についておっしゃいましたが、局長は偉い方には違いありませんけれども裁判所じゃないので、科刑がどうなるかということを御答弁になることは、行き過ぎじゃないかと私は思います。ただ、求刑については刑事局長として大きな発言力をお持ちだと思いますが、少なくとも——そうすると、一般運転者が心配していますように、上限三年が五年になる、そのことによって、従来はたとえば求刑が十カ月で済んだものがその七割増しというような心配はないというふうに考えて、たとえばこの法案が成立しても、施行されても、求刑基準は上がらない。特に重大、悪質なものは別といたしまして、従来どおりの過失の程度のものは従来どおりであるというふうに解してよろしゅうございますか。
  49. 川井英良

    ○川井政府委員 裁判所の点について触れた点は、ことばが足らなかったのはおわびしたいと思いますが、私が申し上げた趣旨は、日本の裁判を信頼してまいりたいという点でございますので、ひとつ御了承を得たいと思います。  それから求刑の実態でございますが、これは絶対求刑を上げないというふうなことを申し上げることは適当でありませんで、世の中の進展に応じてあるいは求刑の基準を下げあるいは求刑の基準を上げるということは、私どもの部内において常時検討を重ねているところでございますので、この際、ある時点を画しまして、画一的にかたい運用でもってそのからの中に閉じ込もっていくんだということは、私、自分の職責にかんがみても、必ずしも適当でないと思います。ただ、考え方、方針といたしましては、刑を上げたからこつ然とあしたからすぐに求刑基準を上げる、そういうふうなことは、毛頭考えておりません。御趣旨を体しまして、非難のないように妥当な方針でもって進んでまいりたい、こういうつもりでございます。
  50. 岡沢完治

    岡沢委員 ただいまの点とあわせまして私たちの接します交通労働者が心配します点は、運転者のみが処罰の対象になっておる。従来使用者責任の追及が手ぬるい。民事上でも問題になり、民事上は、このごろはかなりむしろ財産のない運転者よりも使用者責任が問われる場合が多うございますけれども、刑事の面では、どうしても運転者処罰が中心になっておるという傾向は、否定できないと思います。しかし、御酷付いただきました資料によりましても、たとえば西宮のタンクローリーの事件あるいは愛知県の猿投町の事件等を見ましても、猿投町の場合でございますと、経営者のほうは無免許の自動車運送事業の経営者である。あるいは従業者の積載の制限違反についても、運送業者であります加藤さんにも過失は見られると私は聞いておりますし、ことに西宮のタンクローリーの事件につきましては、判決によりましても、明らかに経営者の過失が指摘されているわけであります。この二件に限ったわけではございませんが、一般に使用者に対していかなる処分がなされたか。ことにこの事件についての検察庁の取り扱い、そして裁判所結論等がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  51. 川井英良

    ○川井政府委員 お説のとおり、刑法はその具体的な行為を起こした者だけを処罰することがたてまえでございますのでこういうことになっているわけでございますが、今日の交通事故の実際にかんがみまして、それだけでは刑法の面におきましても不十分であるということを、私どもも痛感いたしております。そこで、主として雇用の関係にある者がその運転者について無理をしたというようなことが遠因、原因になって事故発生したというふうなことも多々あるのではないかということで、私ども早くからこの点について全検察官に、事故発生の場合においてはその点も十分に調べた上で科刑の目的を達するように努力しなさいということを言ってまいっております。けさも全国の次席検事を集めて会同いたしておりますが、目的は、第一がこの交通事故の取り扱いについての問題でございます。私十時から三十分間、依命指示をいたしてまいりまして、特にこの点に言及いたしまして、単に運転者のみを刑法をもって処罰するだけでなくて、その背後にあるものについても、十分検察官として目を配って目的を達するように総合的な努力をしてほしいということを指示してまいりました。  御指摘の西宮の有名なタンクローリーの炎上事件でございますが、この事件につきましては、もちろん事故を起こした者について、最高刑をこえる併合罪による刑罰がいっております。このタンクローリーの事件につきましては、この会社と、それからその代表取締役にやはり道路運送法違反ないしは労働基準法違反の罪責が認められるということで、この会社に対しましては罰金十万円。この十万円と申しますのは、運送法の罰則を見ていきますと、多くは三万円以下の罰金になっております。併合罪で加重いたしまして、かなり重い罰金十万円の刑が求刑をされ、求刑どおりの判決がなされております。それからその会社の代表取締役に対しましては、いまの道路運送法違反とそれから時間外労働などをさせたという労働基準法違反との二つを適用いたしまして、検察官は懲役六月と罰金三万円の求刑をいたしております。懲役六月は、この刑罰最高刑でございます。裁判では、いろいろ審理がなされまして、ただいま御指摘の判決の中にるる裁判所の理由が述べてございますけれども刑罰としては体刑は無理だということで、罰金十万円の判決が出まして、これが確定しているというようなことになっております。その他にもかなりこの種の事件を収録いたしておりますけれども、最近この方面につきましても巖格な処理がなされているというふうに申し上げて誤りないと思います。
  52. 岡沢完治

    岡沢委員 いまの雇用者あるいは管理者の責任の関連で、今度は警察庁にお聞かせ願いたいと思うのです。もちろんわれわれの目的は事故を防止する、犯罪者をつくらないというのが目的でございますし、被害者をつくらないということが目的でございます。そういたしますと、この法の改正で巖罰主義で臨むよりは、むしろ事故防止について考えるほうがより先行しなければいかぬと思うのでありますが、そういう観点から特に警察庁にお尋ねいたしたいわけでありますが、ただいま刑事局長お答えのように、大きな事故については、運転者だけでなしに、その背後に責任のある場合が相当多いということに関連いたしまして、運転者の運転事故を防止するために、雇用者、管理者に対する法的規制あるいはその取り締まりということについても、当然警察庁立場でお考えがあると思いますが、それの実態と申しますか、法的規制についてはどういうことをお考えになって、現に実施しておられるか、あるいは取り締まり方針はどうか、あるいはまたこの雇用者、管理者の違反責任が問われた事件の概要、件数等、わかりましたら、お答えいただきたいと思います。
  53. 綾田文義

    綾田説明員 まず、法的規制といたしましては、道路交通法の六十二条に、責任者は整備不良車両の運転をさせてはいけないという規定がございます。さらに七十五条でございますが、運行管理者その他責任者は、酒酔い運転、無免許運転あるいは過労運転を下命容認してはいけないという規制がございます。さらに、御承知のように、昨年の道路交通法の改正で、積載制限違反に対しても下命容認してはいけないという下命容認罪の新設をいたしました。それらの関連及び下命容認の場合には、実行が伴った場合には、御承知のように刑法の教唆幇助罰が成立するわけでございます。そういう法的規制がございまして、警察庁といたしましては、昨年から雇用者、運行管理者、あるいは安全運転管理者の責任を追及するということを取り締まり運営の一つの大きな重点といたしまして、本年も無謀運転の取り締まりと同様、これを重点といたしております。先ほど岡沢先生お話ございましたように、従来の交通取り締まりは、いわゆる現場における、現象面における取り締まりというところに重点が置かれがちであったわけでございますけれども交通事故の遠因、近因になっております運行管理、あるいは労務管理、あるいは車両管理の面からこれをとらえて、その背後にある者の責任を追及する必要があるという考えのもとに、そういう現象面ではない面の取り締まりということに重点を置いております。ただ、警察といたしましては、従来の体制から——これは取り締まりではなくて、いわゆる交通捜査の面に属するわけでございますが、事故捜査に関連して、さらにそういう両者の責任を追及する交通捜査の面につきましては、従来府県警察体制が必ずしも十分ではなかったので、昨年あたりからその体制づくりも含めましてやっております。昨年の法律改正のときにも附帯決議がございましたが、本年の二月には、これを府県警察の最重点として推進をするというふうなこともやって、そういういわゆる現象面でない面からとらえた事故防止の推進ということを期待しておるわけでございます。  それから法的規制といたしましては、さらに御承知のように違反行為についての両罰規定がございます。百二十三条であります。実績といたしましては、四十一年、一昨年でございますが、全国で約六千九百件、この中で両罰規定が非常に多くて六千五百件でございますが、無免許の下命容認が三百六十五件、その他酒酔い運転。それから昨年は——大体昨年の上半期でございますが、昨年の上半期は、一昨年一年よりも件数は多くて、全体としては六千九百九十六件というふうなことになっております。下半期の統計はまだ出ておりませんが、おそらく一昨年の倍以上になるのではないか。ただ主たるものは現在では両罰規定でございますが、私どもはそういう下命容認罪の追及ということに中心を置いております。  それからさらに、教唆幇助の関係でございます。これは一昨年の資料はございませんが、昨年の上半期におきましては、全国で百二十六件、無免許の教唆幇助が一番多くて八十八件、それから積載制限違反の教唆幇助が二十六件、その他教唆幇助があろうと思いますが、一応そういう実情になっておりますが、さらに今後これを推進いたしたいというふうに考えております。
  54. 岡沢完治

    岡沢委員 いまのお答えで、雇用者、管理者に対しても相当な法的規制があることもわかりましたし、取り締まり方針もわかったわけですが、やはり問題は取り締まり主義じゃなしに、管理者、雇用者に法的規制を十分熟知さして順守さすということが先行しなければいかぬと思います。その問題についてどういう実際的な処置をとっておられるか。たとえば車を何台以上持っているような経営者あるいは雇用者にはどういう教育をするとか、どういう指示をしているとか、そういう内容について、もし具体的な御用意があればお答えいただきたいし、あるいは今後こうしたいということでもけっこうでございますが、お答えいただきたいと思います。
  55. 綾田文義

    綾田説明員 その点は先生のおっしゃるとおりでございまして、まず、われわれは違反が起こる前に、防犯的な、起こらないような指導を重点に置くということが大切だと考えております。御承知のように、事業関係運輸省においてもやられておりますが、さらに自家用の安全運転管理者につきましては、五台以上を持つところは安全運転管理者を置かなければならないというふうに道路交通法が改正になりまして、私のほうでは、各府県警察ごとにそういう安全運転管理者の名簿が一応できております。そういう安全運転管理者を集めまして、そうして安全運動の期間その他におきまして安全運転管理者講習というものをやって、安全運転管理者はいかにあるべきかというふうな、違反をしないようにというふうな指導を行なっております。しかし、この点もさらに今後推進をいたしたいと考えております。  それからさらに、これは全国的ではございませんけれども、違反を摘発する前に、非常に事故多発の会社につきましては、たとえば一・四半期に一回、そういう責任者を呼び出しまして、事前に警告するというふうな措置もとっております。以上でございます。
  56. 岡沢完治

    岡沢委員 いまの雇用者、管理者についての点はこれで終わりますが、私は今度の——今度というよりも、交通事故防止について大きな点で忘れられておるのは、運転者、人の教育ではないかという感じがするのです。従来、車の問題とか、あるいは道路の設備の問題とか、標式の問題というのは、かなり指摘もされ、改善もされてきましたが、一番肝心の運転者教育ということが、従来まで等閑に付されたんではないかという感じもするわけです。私の承知いたしております範囲でも、毎年公安委員会指定の自動車教習所、全国に千二百ほどあるはずでございますが、これを出る新しい、いわゆる新米の運転者は、二百万人をこえるといわれております。この方々に対してどういう安全教育をしておられるか。私の知っている範囲では、技術指導あるいは法規については試験もございますけれども、安全運転教育というのがかなりおろそかにされているんじゃないかという感じもするわけです。ことに問題は、自動車教習所も出ないで、いわゆるフリーに直接試験場に行って免許資格をとる人に対して、どういう安全運転についての教育なり指導をしておられるか、またそういう機関があるのか、今後どうしようとせられるのか、そういう点についてお答えいただきたいと思います。
  57. 綾田文義

    綾田説明員 運転者の安全運転教育が大切だということは全く仰せのとおりでございますが、先生自動車学校の関係はある程度お詳しいのでございますが、従来から自動車教習所における試験には、単に技術、それから法規だけではなくて、心がまえと申しますか、マナーとか、そういうものを試験に加えたらどうかという意見もあったわけであります。そういう声にこたえまして、昨年ごろから全国的に、大体御承知のように、入校する際とか、あるいは卒業する際とか、あるいは臨時の時間を設けて、そういう安全運転教育をやっておる教習所はございます。しかし、まだ全国的にこの点は推進しておりませんので、現在警察庁におきまして安全運転読本を制定中でございまして、四月ごろにできるそうでございますが、これができましたならば、教習所におきましては、たとえば法令の時間あるいはその他の適当な時間をそれに充てて、もう少し先生のおっしゃるような安全運転の教育を推進するということについて検討をいたすことになっております。  それから、いきなり試験場に来る運転者の問題でございますが、これは自動車教習所の卒業生よりはそのチャンスに恵まれないのでございまして、府県におきましては、私も実際講師に行ったことがございますが、免許を受けて一番運転者の感激の大きいときに、免許を受けて帰るときに安全運転教育をやるということをやっている県が相当ございます。しかし、それはただ一回だけでございまして、そういうものにつきましては、さらに、先ほど申し上げましたもしこれが安全運転管理者の支配下に入るならば、そういう面をとらえていく、あるいはその他安全運動期間中警察署その他における安全運転講習というものがございます。しかし、これはどこまでも画一的な制度ではなくて、漏れるものがございます。むしろ漏れるものの中に事故を起こす者が多いということも考えられますので、この点は、そういう安全運転教育につきましてはさらにもう少し検討をして、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。
  58. 岡沢完治

    岡沢委員 もう一点だけ警察庁にお尋ねするわけでございますけれども、いまのフリーに試験場に直接行って免許試験を受ける人については、いまお答えのように、安全運転教育の機会についても、そのチャンスが少ないということであります。それ以上に、試験場に行って直接試験を受けるということは、それまでどこかで無免許運転をしておるということと結びつかざるを得ないわけであります。いま日本の空地事情道路事情考えました場合に、資格のない者が自由に運転の練習をするような場所は、教習所以外ではちょっと考えられない。そういうことにいたしますと、こういう教習所を経ないで直接受験する人の練習場所は、結局法に隠れて無免許運転をやっているというふうに推定するほうが、私は当然だと思うのです。事故の原因等を見ました場合でも、無免許運転者の悪質事故というのが非常に多いということからも関連いたしまして、この運転免許の受験制度について、きょうは直接関係はございませんので詳細に触れることは避けたいと思いますけれども、もし警察庁としてお考えになっている点がありましたら、お答えいただきたい。
  59. 綾田文義

    綾田説明員 その点につきましては、必ずしも詳細なデータは現在のところ手元にないわけでございますが、やはりトラックの助手その他の者で運転試験を受けるまでには、自動車教室には定時制と全日制の場合とそうでない場合がありますが、いわゆる臨時に自分の好きなときに行ってチケットによって受けるという制度があるわけでありまして、そういう制度を利用しておる者も相当あるのではないかというふうに考えております。  それから特に二輪車の問題がございます。この点につきましては、従来とも各教室に呼びかけて、二輪の施設をつくるようにという話を推進いたしておるわけでございます。この点は私も所管でありませんので、必ずしも十分なお答えはできませんが、そういう実情でありますが、さらにこの点につきましてはもう少し掘り下げて検討して、現実にそういう練習のために無免許運転をするということがないように、ひとつやっていくように努力したいと思っております。
  60. 岡沢完治

    岡沢委員 労働省お見えでございますか——先ほど来運転者事故発生原因に関連して、運転者自身以外の管理者あるいは使用者の問題について触れてきたわけでございますが、もう一つ、その事故の原因にいわゆる労働条件が悪い、そのために事故発生する、仮眠場所あるいは労働過重その他考えられると思うのですが、原因がいわゆる労働条件に基因するということも十分考えられますし、また実際各種の事犯で具体的にそういう問題が指摘された判決等もございます。そう考えますと、運転事故防止について労働省も大きな関心を持ってもらわなければいかぬと思いますが、また当然とっていただかなければならぬ必要措置もあろうと思います。この点について労働省がとってこられた施策、あるいは実績、今後の方針等についてお答えいただきたいと思います。
  61. 藤繩正勝

    藤繩説明員 ただいま御指摘のとおり、労働条件が劣悪であるという場合にそれが交通事故と結びつくということは大いに考えられることでございまして、すでにしばしば指摘されておるところでございます。私どもも、他産業の労働者に比較しまして、ハイタクあるいはトラック等の運転者の労働条件、なかんずく労働時間あるいは休日、賃金形態、ただいまおっしゃいました仮眠施設その他についていろいろ問題があるということは、かねてから考えておりまして、御承知と思いますが、昨年の二月九日にそれらの諸点につきまして改善基準を、通達等を出しまして流しました。そうしてそれによって強力な指導、監督をいたしております。と同時に、役所だけでは十分でございませんので、民間の方々にも改善推進員ということをお願いいたしまして、あげてその改善につとめておるわけでございますが、幸い各方面の御認識をいただきまして、漸次その成果があがっておる次第でございます。  まず、私どものほうのやりました監督実績でございますが、三十七、八年の往年の実績は、年間せいぜい三千から五千程度の事業場を監督するにとどまっておりましたけれども、最近では昭和四十一年度一万六千九百三十六、昭和四十二年度、これは春秋の一斉監督だけでございますが、それでも二万二千五百三十三というたくさんの事業場を監督いたしております。また、これに対して巖重な措置も行なってきておるということで、かなり広範に監督を進めておる次第でございます。と同時に、先ほど申し上げました改善推進員の方々による集団指導等も、すでに四十二年の七月までの間に六百四回、二万八千事業場に対して集団指導を行ない、また四百十四の事業場に対して個別指導を行なっておるというような次第でございます。  その結果、一、二の例を申し上げますと、たとえば歩合給というようなものがよく問題になりますが、ハイタクの場合は特にこの歩合給の度合いが非常に多うございまして、九五%の事業場が市部では歩合給を用いておりまして、そのうち五〇%程度のものが累進歩合でございます。この辺につきましても指導を加えた結果、その後ハイタクで二〇%程度は累進歩合をやめさせるということに成功しております。  それから労働時間、休日につきまして、この改善基準に沿ったいわゆる三六協定を届け出るようにということで労使双方に指導してまいりました結果、四十三年一月末におきまして約四五%程度、この改善基準に沿った協定の届け出を見ておるというようなわけで、まだ十分とは申せませんけれども、漸次実績をあげているというふうに私ども考えております。  そこで、四十三年度におきましては、ハイタクにつきましては累進歩合制を何とかなくすということに焦点を向けようと思いまして、現在賃金改定期でもございますので、業界を通じ、特に大都市のハイタクについて強くその点を指導をいたしております。  それからトラックにつきましては、参議院の大倉先生の御提案もありまして、諸外国で見られております乗務員手帳、つまり乗務員自身が労働時間や休日の記録をする慣行を打ち立てたいと思いまして、この指導に重点を置こうと考えております。  それから問題がありましたダンプカーにつきましては、昨年議員立法ができましたので、この立法の運用によりまして事故の絶滅をはかっていく、こういう三本立てで、四十三年度は労働省といたしましてはやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  62. 岡沢完治

    岡沢委員 労働省のお立場、よくわかりましたが、警察庁に重ねてお尋ねしたいのですけれども、いま労働省からもお答えいただきましたように、労働条件の劣悪——具体的には労働基準法違反。それは基準法違反でない労働条件も、もちろんいま御指摘のように賃金その他関連はありますけれども、実際問題として労働基準法違反が管理者、経営者にあって事故を起こすという事件がかなり多いことは、先ほども御答弁いただきましたが、そういう場合に、横の連絡で、担当の労働基準局あたりに取り調べ担当警察官なり署なりから御通報になって、この会社はこういう事故を起こしたけれども、その原因はここにあるということで、監督署の指導監督上注意すべき事項あるいは問題点を御通達になるような制度があるのか、ただ単なる運営にまかされておるのか、もう連絡もされないのか、そういう点についてお答口えいただきたいと思います。
  63. 綾田文義

    綾田説明員 その点につきましては、関係の行政官庁間でございますので、当然これは、制度としてではなくて、連絡をすることになっております。  私どもも第一線に出た場合に、そういう会議その他におきまして事前の協議をして連絡はやっておりますけれども先生のおっしゃるような具体的な事案についてということは、私はまだちょっと聞いておりません。
  64. 藤繩正勝

    藤繩説明員 いまの点につきましてでございますが、政府におきましては、御承知のとおり総理府を中心に非常に緊密な連絡をとっておるわけでございますが、私ども警察関係では、第一点は、重大な事故、つまり死亡事故等の事故が起こりました場合には、私どものほうから警察本部のほうにお伺いをいたしまして、全部その事業場を押えまして必ず監督をする、事故ではございますけれども、労務管理について必ず監督をするということを一昨年来実行いたしております。  それから第二点といたしまして、昨年の秋の一斉監督以来、私ども警察庁にお願いをいたしまして、路上検問に労働基準監督官も立ち会うということを実行いたしておりまして、それによりまして、個々の事業場に参りましても、零細な事業場でございますと、主人も出払っておる、記録もろくにないということで労働条件の把握がなかなか困難な場合に、路上で運転者からいろいろ聞きます。そこでまた管内、管外を問わず連絡をいたしまして、私ども同士の横の連絡、それから警察庁との連絡というようなことをそういう方法でやって、たいへん最近成果をあげておるというふうに思っております。また、警察庁の御協力も各方面でいただいておる次第でございます。
  65. 岡沢完治

    岡沢委員 いま労働省から非常に積極的なお話がございましたが、警察庁のほうでは、事実として御連絡はあるだろうと思いますが、制度的にはないというお答えだったと思います。やはり事故を直接に扱われるのは、むしろ第一線の警察でございます。死亡事故について、労働省のほうから、監督署のほうから積極的に動かれるというのではなしに、もちろん死に至らない事故が大多数でございますし、死に至らない事故でも、相当大きな重軽傷事故があることは明らかであります。やはりこの問題については、制度的に、全部の事故というのはたいへんでございますけれども、少なくとも経営者あるいは雇用者、運転管理者に責任があると思われるような事案については、所管の労働基準監督署に通報なさるということを確立されたほうがいいのじゃないか。その点についてぜひ御検討いただいて、われわれにも成果を発表する機会を与えていただきたいと思います。  これで警察庁と労働省はけっこうでございます。  重ねて川井刑事局長にお尋ね申し上げます。刑法の一部を改正する法律案の資料でございますが、これの七〇ページ、七一ページによりますというと、業務上過失致死傷及び重過失致死傷の事件の検察庁における受理人員は、増加しております。これに伴って、八〇ページ、八一ページの表を見ますと、もちろん当然ながら有罪になる者の数もふえております。八一ページを見ますと、禁錮刑が三年以上となる数は、昭和四十年にわずか六名でございました。昭和三十九年は二十名、三十八年も二十名ということでございまして、むしろ四十年度は減少しておる数字になっております。この点から見ますと、この法案をお出しになった趣旨であります刑が頭打ちになっておるということは、ちょっと当たらないということになると思いますが、この点について御説明をいただきたい。
  66. 川井英良

    ○川井政府委員 確かに最後の四十年度が、頭打ちの三年が二十名から六名に減ったことは事実でございます。この統計でございますが、でき得れば四十一年度、四十二年度と集計をしたいのでありますけれども、まだ司法統計が四十年度がようやくでございますので、ここに指摘いたしましたのはこれだけでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、この二年以上を見ていただきますと、二年以上は非常に顕著な増加を依然として示しております。そこで三年という法定刑の場合に、半分以上である二年以上の刑というふうなものが最高刑の三年をも含めて七十一件も出ておるという事実は、やはり注目しなければならない事実ではないかというふうに思っておるわけでございます。先ほどもちょっと触れましたように、刑法一ぱい一ぱいの刑までいくということは、日本の裁判の実例としては非常に珍しい、希有なことであるという中に、その最高刑の刑が若干あるばかりでなく、さらに二年以上というふうな重刑の者が非常に多くふえているというようなことは、やはり私は依然として統計の面から申しましてもこの法案の必要性を実証しているものだ、こういうふうに考えているものでございます。
  67. 岡沢完治

    岡沢委員 私、まだ五、六点質問をしたいわけでございますが、時間もまいりましたと思います。あとは次回にさしてもらえたらと思うのでございますけれども……。
  68. 永田亮一

    永田委員長 次回は、明三月一日午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会